10/01/14 第6回職場における受動喫煙防止対策に関する検討会議事録 第6回職場における受動喫煙防止対策に関する検討会 議事録 1.日時及び場所   平成22年1月14日(木)13:30〜   経済産業省別館825号会議室(8F)   (東京都千代田区霞が関1―3―1) 2.出席委員(10名)   ◎相澤 好治(座長)、漆原 肇、鍵 直樹、沢田 純一、武田 繁夫、   内藤 恵、中原 富美子、福島 葉子、三柴 丈典、望月 友美子(50音順、敬称略)   欠席委員(1名)   土肥 誠太郎(敬称略) 3.行政機関出席者   鈴木 幸雄(労働衛生課長)、亀澤 典子(環境改善室長)、   永田 和博(主任中央労働衛生専門官)、徳田 剛(副主任中央労働衛生専門官)、   木村 博承(健康局生活習慣病対策室長) 他 4.議題   1.関係団体等からの意見聴取について    (1)たばこ業界      ・日本たばこ産業株式会社        山下 和人 たばこ事業本部渉外グループ社会環境推進部長      ・フィリップ モリス ジャパン株式会社        後藤 忠寛 コーポレートアフェアーズマネジャー      ・ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン        Z 了介 広報・渉外企画統括部長   2.その他 5.備考   本検討会は、公開で開催された。 ○徳田副主任 ただいまから第6回「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」を開催 いたします。本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。この検討 会は公開で行われ、議事録は厚生労働省のホームページで公開されることとなっております。 また、本日は土肥委員より御欠席との御連絡を頂いております。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料1が、日本たばこ産業株式会社から御 提出いただいた資料です。それと、本日お配りした分煙ハンドブックがあります。資料2が、 フィリップ モリス ジャパン株式会社から御提出いただいた資料です。それと、別冊として企 業のパンフレットがあります。資料3が、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンか ら御提出いただいた資料です。今回の資料は意見聴取団体、企業からの資料ですので、委員の みの配付とさせていただいております。落丁等がありましたらお知らせいただきたいと思いま す。それでは、座長、お願いいたします。 ○相澤座長 今年第1回になりますけれども、第6回の職場における受動喫煙防止対策に関す る検討会を始めさせていただきます。それでは、議題1になりますが、「関係団体等からの意 見聴取について」でございます。本日はたばこ産業株式会社から御説明を頂きます。1団体当 り御説明10分・質疑応答20分と、時間が限られていますので効率的に議論が進むよう御協力 をお願いいたします。初めに、日本たばこ産業株式会社の山下和人たばこ事業本部渉外グルー プ社会環境推進部長にお越しいただいております。それでは、山下部長、よろしくお願いいた します。 ○山下部長(JT) ただいま御紹介いただきました日本たばこ産業株式会社の山下と申します。 本日はこのような機会を与えていただき誠にありがとうございます。  早速ですが、受動喫煙については、気密性が高く換気が不十分な場所において目や鼻、喉の 刺激や不快感などを生じさせるケースがありまして、また、たばこのにおいが気になるとの声 もあるなど、たばこを吸われる方々の周囲の方々や、特にたばこを吸われない方々におかれま しては、しばしば迷惑となり得るものと認識しております。なお、受動喫煙と肺がんなどの慢 性疾患とを関連付ける科学的根拠は十分得られていない点なども含めまして、私どもの受動喫 煙に関する認識につきましては資料の3頁及び4頁に記しておりますので、後ほど御確認いた だければと存じます。  私どもといたしましては、このような認識の下に、たばこを吸われる方々と吸われない方々 双方にとりまして、我慢の押し付けにならないような協調ある共存社会を目指して、たばこを 吸われる方々のマナー啓発活動を継続的に行うとともに、分煙の推進にも積極的に取り組んで いるところでございます。  私どもの分煙に関する取組みは、大きく分けて、普及啓発活動と具体的な分煙環境整備活動 の2つがあります。  普及啓発活動につきましては資料の5頁を御覧になってください。当社ホームページやテレ ビ広告等を通じ、私どもの分煙に対する考え方やさまざまな分煙事例などを、より多くの施設 管理者・利用者の皆様にお伝えする活動を積極的に展開しております。  分煙環境整備活動につきましては、現在、4点の取組みを実施させていただいております。  1つ目は、資料の6頁、7頁にございます、不特定多数の方々が出入りする飲食店等における 店頭表示活動でございます。お客様がお店に入る前にそのお店の喫煙ルールを知っていただく ことによって、たばこの煙がお嫌いな方々の不意なたばこ煙曝露を防止するだけでなく、お店 に対する苦情を低減し得る非常に安価な施策であり、健康増進法の周知にも役立っていると自 負しているところでございます。  2つ目は、資料の8頁から16頁にございます大手デベロッパーの方々や空港会社の方々、あ るいはビルオーナーの方々と協働展開している喫煙場所の設置活動でございます。煙が漏れな いように工夫され、かつ快適なソリューションを世の中に提示していくことによりまして、他 の大規模施設の管理者の方々にも同様の環境整備を行っていただくきっかけになればと考え て実施しているところでございます。  3つ目は、資料の17頁から19頁にございます分煙コンサルティング活動でございます。分 煙を望むビルオーナーの方々や施設管理者様の方々からの御相談を専門的に担当するチーム を設けまして、当該施設の特性や利用者のニーズに応じた分煙コンサルティングを無償で実施 しておりまして、これまでに1,800件以上の御相談を承っております。  最後の4つ目は、資料20頁から23頁にございます未来の分煙に向けた取組みでございます。 私どもが最終的に目指す分煙の形とは、「人を分けずに煙を分ける」ことでありまして、たば この煙やにおいをコントロールし、たばこを吸われる方と吸われない方が同じ空間にいてもた ばこの煙やにおいが気にならないような空間の実現に向けまして、幅広い専門家と共同で研究 開発に着手し推進しているところでございます。  受動喫煙にかかわる社会環境は、ここ数年で飛躍的に改善・整備されてきていることは私ど もも肌で感じておりますし、資料24頁の厚生労働省の委託研究でも報告されているところで ございます。  本検討会におかれましては、従業員保護の観点から労働安全衛生法に基づき受動喫煙防止の ための取組みを更に進めていくために、国として何ができるかを議論されているものと認識し ておりまして、本日は、私どもの取組みを通じて得た知見を御提供させていただき、御参考に なればと考えているところでございます。  ここからは受動喫煙防止対策の進捗状況を事業者が自主的にチェックするためのものとし て協議されている進捗表につきまして、私どもの知見や考え方を御説明申し上げたいと思いま す。  まずは一般の職場、すなわち一般的な事務所や事業場に係る進捗表に関しまして、次の3点 を御説明させていただきます。  1点目は、レベル5で言及されている全面禁煙についてでございます。デベロッパーや設計 事務所の方々、ビルオーナーの方々は、不動産としての価値を高める投資として、ビル共用部 分の充実に注力しておられ、特にここ数年は共用の喫煙所設置に力を入れておられます。しか し、仮に、いずれは全面禁煙にしなければならないということであれば、そのような投資はし ないというご判断をなさる方々が多くなる可能性があります。そうなりますと、受動喫煙防止 対策は各テナントの方々に委ねられてしまうことになってしまうため、かえって対策の推進が 遅れるという懸念もあります。  また、全面禁煙を実施しているビルでは、たばこを吸われる方々が屋外喫煙スペースから溢 れ出たり、やむなく隣接するビルの喫煙所に移動するなど、行き場に困っておられるケースが よく見受けられます。こうした状況では、火災やセキュリティ面など、新たなリスクを惹起す るおそれもあります。  本検討会は職場での受動喫煙防止が目的ですので、より制限的ではない方法によっても達成 することが可能であるという観点からも、レベル5には禁煙に限定せず、しっかりした分煙も 認めていくべきではないかというふうに思慮するところでございます。  2点目は、レベル2からレベル4に記載されている空間分煙についてでございます。レベル3 やレベル4で記載されている分煙効果判定基準につきまして、喫煙エリアから非喫煙エリアに 向けて風速毎秒0.2mの気流の確保というものがありますが、多くの既存の事業所にとって、 大幅な既存設備の更新が必要となり、そのハードルは決して低くありません。対策が困難な理 由につきましては資料25頁でお示ししておりますが、中小事業所にとってはコストの観点か らも対応が極めて困難となりますので、現実的にはビル全体の大規模な改修や増築・新築等の 機会を活用するなど、相当程度の期間が必要となってくるものと考えております。  一方で、こうした中小事業所やテナントオフィスでも比較的取組みが容易なものもございま す。資料の26頁から30頁で取組み例をいくつかお示ししておりますが、比較的安価で、かつ 取組みを一歩でも前進させることができる方法は多々あります。受動喫煙防止対策を前進させ るためには、実際に行われている分煙の取組みを収集し、事業主の皆様に紹介していただくこ とが有用ではないかというふうに考えている次第でございます。  3点目はレベル1の記載についてでございます。時間分煙のみならず、事業場の喫煙ルール や相談窓口などに関する情報を例えば休憩室に掲示して、職場ルールというものを「見える化」 するということもご検討いただきたく存じ上げます。事業者や従業員の方々との間で適切な受 動喫煙防止対策のあり方について、一層活発な議論がなされるようになり、結果、職場の実態 に則した取組みが着実に進展していくのではないかというふうに考えているところでござい ます。  次に、お客様が喫煙する職場、いわゆるサービス業に係る進捗表に関しまして、意見を4点 述べさせていただきたいと思います。  1点目は、こちらもレベル5で言及されている全面禁煙についてです。  多くのサービス業の方々が全面禁煙を行った際の売上げ影響について非常に不安を持って おられます。実際、資料の31頁から32頁にあるように、屋内禁煙等の規制が導入された国で は、飲食店の売上げ減少、あるいは屋外喫煙スペース拡大のためのより大幅な設備投資競争に よる小規模施設の廃業、従業員の解雇などのさまざまな影響が報じられております。  資料33頁から38頁は、全面禁煙に踏み切った英国・アイルランドの例でございます。規制 の結果、消費者による飲食店の利用機会そのものが減少したり、客単価が減少しまして、多く の中小零細のお店が次々と廃業に追い込まれていったと聞いております。  昨今の厳しい経済情勢の中で、たばこを吸われるお客様もたばこがお嫌いなお客様も、どち らも取り込むための分煙への投資というものは、サービス業の事業者の方々にとっては売上げ 増加のための営業努力でございます。しかしながら、全面禁煙は事業者の方々にとって単に売 上げ減少のリスクとしか捉えていただけないというような実情もあります。  このことから、サービス業のレベル5につきましても、禁煙に加えて、しっかりとした分煙 を認めていくべきではないかと考えております。  2点目は、レベル3及び4で言及されている空間分煙に、「当該区域内ではサービスを提供し ない」と補記されている点についてでございます。  サービス業の事業者様、特に風営法対象施設の事業者様からは、「たばこを吸いたければあ ちらへどうぞ」、というような対応をしていては、お客様がお店を利用しなくなったり、長時 間の利用者が減少して固定客の客単価が減少し、売上げが落ちてしまうということを心配して おられるということをよく耳にいたします。このため、「当該区域内ではサービスを提供しな い」という条件が入っていては、段階的に対策を前進させていくという形にはならなくなって しまいます。  3点目としましては、レベル1からレベル4で言及されている分煙の種類についてでござい ます。  中小零細の飲食店の方々は、分煙は推進したいが、壁等の造作により、喫煙スペースと禁煙 スペースを完全に分割するのは物理的に困難というジレンマにも陥りがちですし、パチンコ店 や麻雀店など、風営法対象施設では、客室内の見通しを妨げるような間仕切り等の設置は承認 されないというようなさまざまな問題もございます。  バックヤードは一般事務所と同様に扱うことはできるとしましても、業務上、喫煙エリアに 立ち入ることが不可避な職場につきましては、喫煙エリアでの曝露を少しでも低減させるため の具体的な取組み例を提示していくべきではないでしょうか。例えば、換気扇の増設等の方法 に加えて、空気清浄機の設置や既存換気扇の位置変更などによっても一歩前進ということは可 能でございます。実際の改善事例につきましては資料の39頁から45頁を後ほど御確認いただ ければと存じ上げます。  また、サービス業における従業員の曝露低減という観点からは、例えば従業員の待機場所を 煙の届きにくい場所にする、休憩時間やシフトを十分に調整するなど、接客時の工夫事例を数 多く提示していただくことも効果的であると考えております。  4点目はレベル1の記載についてでございます。サービス業におきましても、時間分煙に加 え、職場ルールの「見える化」、接客時などの工夫例などといった就業ルールの「見える化」 も有用であろうと考えているところでございます。  分煙コンサルティング等を通じた私どもの知見を踏まえた御説明は以上になりますが、一般 の職場、お客様が喫煙する職場のいずれの場合であっても、職場における受動喫煙防止対策は 一律的な対策よりも、事業者と従業員、あるいは従業員同士という関係者間でのコンセンサス 形成をいかに支援できるかが重要であると感じております。  こうした考えに基づきまして、国の受動喫煙防止対策に対する要望としまして次の3点を挙 げさせていただきたいと考えております。  1点目は、職場における喫煙対策のためのガイドラインを含め、現行の法令に関しさらなる 普及啓発をお願いしたいということでございます。  資料の46頁を御覧ください。平成20年度の厚生労働省委託研究の結果によりますと、「ガイ ドラインを内容も含め知っている」と答えた事業所は全事業所の27.4%に止どまっております。 また、事業所規模が小さくなればなるほど、「知っている」と回答する割合は低下いたします。 ガイドラインを知らないので取り組みようがないという小規模事業者の方々が少なからず存 在する可能性が、この調査から強く示唆されていると考えております。  資料の47頁の神奈川県における調査結果ですが、こちらからも明らかなように、法令の認 知状況と取組み水準には相関関係があります。  例えば、小規模事業所の方々の集まりに国から出向いて説明することやセミナーを開催する など、現行法令のさらなる普及啓発を図るだけでも、この検討会が目的とする受動喫煙対策の 一歩前進が実現できるものと考えております。  私どもの要望の2点目としましては、各事業者の方々の取組みに対する具体的な支援を検討 していただきたいということでございます。  私どもの分煙コンサルティング活動に関心を抱かれまして、相談に来られる方々がたくさん おられることは冒頭に説明したとおりです。改作の費用を尋ねられる際に、一つの目安として 資料の48頁のようなものをお見せすると、もっと安いものはないかという要望が出されます。 先ほども申し上げましたとおり、一歩前進を目指すならば、空気清浄機の効果的な設置方法や 安価な造作による方法などをアドバイスできるのですが、「これで法律は大丈夫なのか」との 質問を受けると、私どもには法律を有権解釈する権限がありませんのでお答えできず、事業者 の方を失望させてしまうということも多々ございます。  例えば、私どものこうした活動を御了解いただければ、一歩前進させるためのメニューを積 極的に御提案することもできますし、将来、新たな支援制度が策定された際には併せてPRす ることも可能でございます。  また、私どもとしましては、具体的な取組みメニュー充実のために国との共同開発や共同研 究を実施し、コンサルティング活動を一層充実できれば、これは大変ありがたいことだという ふうに考えております。  最後となる3点目の要望です。  本検討会は、事業者の方々にとって実施可能でバランスのとれた対策メニューを明らかにす るために、多くの事業者の方々からヒアリングを行い、実現可能性や影響度合を検討されてい ると承知しております。今後、仮に、各種基準の改定や施策の義務付けなど、新たに何らかの 制約を事業者の方々や喫煙する労働者の方々に課すということでありましたら、まず、受動喫 煙防止といった目的の科学的な意味について具体的に明確にした上で、どの成分へのどの程度 の曝露がどのような健康影響を生じさせ、どの程度までその曝露を低減する必要があるのかな どにつきまして科学的なエビデンスベースで議論・検討されることになるものと承知しており ます。とりわけ、労働安全衛生法に基づく新たな規制ということになりますと、罰則付きの法 的義務といった性格も併せ持つ可能性もございますので、規制の必要性、相当性、あるいは明 確性といった観点から慎重に議論・検討が必要との指摘もございます。新たな規制の具体的な 内容等につきまして、今後、検討会等を設置・開催されるということであれば、私どもとしま しても今回は御紹介していない受動喫煙の健康影響に関する科学的知見やさまざまな受動喫 煙防止のための措置に関する情報なども御提供させていただきたいと考えておりますので、是 非とも、委員として積極的に参画させていただければと存じ上げます。 本日はこのような貴重なお時間を頂戴いたしまして、私どもの本検討会のテーマに関する考え 方を御紹介させていただき、改めて感謝申し上げる次第でございます。御清聴ありがとうござ います。 ○相澤座長 JTとしての取組み、レベルについてはコンサルタントの取組み、最後に3つの御 要望を頂きました。1つは普及啓発、2番目が具体的な支援、3番目に科学的エビデンスですけ れども、委員の方々からいまの御発言に関して御質問がありましたらお願いいたします。 ○武田委員 コンサルティング活動をされているとのことですが、どういうことで困っていら っしゃるのかとか、あるいはどのような解決策を提案されているのかお聞きしたいと思います。 ○山下部長(JT) コンサルティング活動で一番多くあるのは煙のにおい、たばこのにおいにか かわるお客様のクレームというところが一番多くあります。「分煙をしたのはいいのだけれど も、禁煙スペースに煙が漏れてきているのか、においがするということでクレームを受けた場 合にどういうふうにしたらいいのか」という御相談を受けるケースが非常に多くあります。そ うした場合は、私どもとしましては、まずは健康増進法の考え方であるとか、職場における分 煙ガイドライン等の法規の説明をいたしまして、例えば効果判定基準である喫煙室内での濃度 とか気流・風速0.2m/sというとハードルは高いのですが、それをつくるための造作の方法と、 いくつかのポイントを御説明申し上げて、例えばということで、それこそ、一番完璧なものか らある程度前進できるまでのメニューをお見せして、どのような投資レベルにされるおつもり なのかということを聞いて調整させていただくということです。たしか、お手元の資料の18 頁で分煙コンサルティングの「コンサルティングの流れ」をご紹介しておりますが、こうした 流れで、先方と打ち合わせしながら、最も適切な形、あるいは事業者様にとって受け入れ可能 な範囲内でつくっていくという努力をしているところです。 ○漆原委員 いまのコンサルティング活動に関連することなのですが、これをJTさんのほう にお願いに来ている事業場の規模というのは1,800という数を聞いたのですが、どのぐらいの 規模が多いのかというのが1点。もう1点は、このコンサルティング活動をやるということの 広報はどのように周知するというか、1,800社集まった広報の手段というか、啓発についてど のようにやるのかということについてお聞きしたいのです。 ○山下部長(JT) 分煙コンサルティング活動の問い合わせをしていただいているお客様、お得 意様の種別にかかわるデータが手元にございませんが、飲食店の方々とか、ビルのテナントを 貸しておられる方々、いわゆる施設側の方々が一番多いです。一般の方々から普通に「うちの ビルはちょっと煙たいんだけど何とかならないか」という問い合わせはありません。2点目の 広報についてですが、当社のホームページに掲載させていただいて受け付けをさせていただい ている、あるいは飲食店の方々にお話をしたときに「こういう活動させていただいているので 御利用ください」ということで、そもそも、たばこ会社ならそれぐらいのことはやってくれと いう要望がありまして、そのニーズがあったのでちょっと考えなければいけないねということ で一歩ずつ前進してきた活動です。飛躍的にその相談件数が増えたのは、昨年から実施させて いただいている分煙にかかわるテレビ広告の中で「JTとして分煙コンサルティング活動をやっ ています」ということをテレビの広報で流してから大体半年間で300件近くの御相談が一気に 来るようになりました。 ○望月委員 こういうコンサルティング活動は、JTの事業活動の中でどういう位置付けなので しょうか。社会環境推進部として活動をしているわけですか。 ○山下部長(JT) そうです。私どもといたしましては、たばこを吸われる方々には、当然、気 持よく吸っていただきたいのですが、一方で、たばこを吸わない方々に迷惑がかかるというの はよろしくないということで、協調ある共存社会を実現したいというのが会社の理念でござい ます。その理念を実現するために、例えばマナー活動であるとか、美化あるいは安全という観 点からでも「ひろえば街が好きになる運動」というのを展開しているのですが、そうした社会 貢献活動の一環として実施しているというふうに御理解いただければと思います。 ○望月委員 今、メディア、特にテレビや新聞、雑誌を使って分煙のこととかを非常に積極的 に発信されていますが、その全体のコストはどのぐらいかかっているのですか。分煙の実験室 をつくって開発もしていますし、分煙コンサルタントの方々がいて、実際、全部コストがかか るわけですが、会社として総額どのぐらいかけているのでしょうか。 ○山下部長(JT)例えば、分煙コンサルティング活動をやっているのは当社の社員で、全国合わ せて150人ぐらいの体制で実施しているのですが、その150人が全員、分煙コンサルティング 活動のみをやっているわけではなくて、他の仕事もやっています。「ひろえば街が好きになる 運動」であるとか、そういう活動もやっていますので、厳格にそういう人件費まで含めたコス トというのは把握しかねますが、トータルでこうした社会貢献のための活動に関しましては、 最低でも営業利益の1%ぐらいは世の中にお返ししなければというような考え方で整理してお りますが、具体的な数字につきましては御容赦いただければと思います。 ○望月委員 最後の要望の所でもおっしゃっていたように、そういう受動喫煙の健康影響とか 規制の根拠というものに対してまだ疑義を唱えていらっしゃるのが御社のスタンスですか。 ○山下部長(JT) 健康影響が何を指すのかというところに関しまして、急性の健康影響という のは御案内申し上げたとおりでございますし、例えば慢性疾患でも、小児喘息であるとか呼吸 器系の病気が悪化するというのは疫学でも明確になっていると思っております。 ○望月委員 それがほかの2社と決定的に違う点と思ったので後でお聞きしようと思っていま したが150人の社員を全国に展開して分煙コンサルティング活動などを行う際に、具体的に、 健康増進法や、ガイドラインについて、クライアントに対して情報提供するときに矛盾しませ んか。WHOの条約にしても、健康増進法にしても、受動喫煙の健康影響に関しては根拠ありと いうところで進めているのですが。それに対して、そこの部分に疑義を持ちつつ社会貢献活動 として事業主に接するというところで何か矛盾を来してないでしょうか。行政として、あるい は研究者として、発信すべき情報が曇ってしまう原因にならないでしょうか。お客様のクレー ムというのは、臭いとか煙にしても、そこに有害物質があるわけですが、それに対して、どの ようなロジックで問題を解決する、回避するために具体的な提案をされているのでしょうか。 根本のところでエビデンスに対して違う見解を持った活動をしていることについて少し懸念 を感じます。 ○山下部長(JT) お話は2点ですね。実際に我々がこういう活動をしている中で、健康障害防 止という観点で、例えば望月先生と我々で見解が違うというときに、実際の活動の中で矛盾が ないのかという御質問が1点。あと、WHOの条約における認識を踏まえた上でJTはどう考えて いるのかというふうに聞かれたと考えさせていただいてお答えを申し上げます。  1点目につきましては、我々が実施しているのは、それが迷惑であれ、あるいは健康障害の 防止であれ、実際にお困りの施設の管理者の方々がおられます。あるいは、実際に迷惑を被っ てクレームをされている一般の方々、たばこを吸わない方々がおられるという社会問題をどの ように解決するかという観点では全く同じ問題かなということで、その点に関して矛盾を感じ たことはありません。唯一、あえて申し上げますと、分煙するというのは、喫煙所を設置する と、そこ以外の場所はすべて禁煙にするということでもあります。先ほどの大手のデベロッパ ーの方々と手を組んで協働して喫煙所を設置するということも、モデルルームみたいなものを つくるということを目的にしまして、各種調査に協力していただくということを条件として 我々もそれなりの支援を申し上げるケースもあるのですが、なぜそのデベロッパーの方々がそ こに興味を持たれるかというと、テナントオフィスが全面禁煙にできるからなのです。そうす ることによって不動産価値が上昇するということなのです。一生懸命に喫煙所をつくりながら 実際は禁煙を広めているというような結果があるということを、どのように認識すべきかとい うようなことは、時折り議論になったりすることは社内的にはありますが、実際にその結果と して、かかわった方々に喜んでいただいたり、そこでたばこを吸っていただいている方々が心 おきなく吸えるようになったと。あるいは、今まで迷惑されていたたばこを吸わない方が、過 ごしやすくなったというふうに喜んでいただければ、それでよいのかなというふうに考えてい るところでございます。  WHO枠組条約の8条の1項に書かれている認識ですが、重大な科学的証拠があるのは明白だ とありますが、何の病気のことを言っているのかというのはありませんし、仮に、同1条の1 項の認識を踏まえて、2項の具体的な取組みというのは何をどうしなさいということが具体的 に書かれていない。そうすると、基本的にはそれぞれの国の裁量で1項をどのように認識し、 その対策を考えていくものだというふうに期待はしているところではあります。したがって、 その際には、具体的にどの程度の健康影響がエビデンスベースであって、そのデータに基づい てそれをどの程度下げていかなければいけないのかというところは慎重に御検討していただ きたいというのが私どもの考え方でございます。 ○望月委員 最後に1つだけ伺います。先ほどコストの例示があったのですが、御社からの御 提案はかなりコストがかかる分煙設備ですね。最もコストがかからないのは先のスケールでい えばレベル5、即ち完全禁煙だというのはすべての合意だと思うのですが。 ○山下部長(JT) 行政側のコストは全くかからないかも知れませんが、全面禁煙を仮に強制さ れたお店が、売上げ減少をすることによって商売が立ち行かなくなるということになると、そ のコストはすべて… ○望月委員 それはまだ起こってないことですよね。 ○山下部長(JT) はい。私が御紹介申し上げているのはそういうことを懸念されている方々が 非常に多いということでございます。分煙のためのコストは、実際に売上を上げるための投資 であり、それに見合うリターンというものを事業者の方は一般的に考えられるのですが、単純 に、売上げの機会が減るとなると単なるリスクでしかありませんので、我々が接しているよう な事業者の方々にとっては分煙と禁煙ではレベルが根本的に違う問題になってしまうという ところで、一緒に御理解いただくのは難しいかなと。それは、実は、分煙一つとってもそうな のですが、分煙をするということは、喫煙エリアの客席数と非喫煙エリアの客席数を規定して しまいますので、流動的に出入りするお客様の比率がコントロールできなくなって制約してし まいますので、それだけでも売上けが減ったというふうに嘆いておられる方もおられますので、 そういうところにどう知恵を使っていくのかというのも今後の課題として、現在、研究は進め ているところでございます。 ○望月委員 特に、御社が関係もされていると思うのですが、最近のトレンディなスポットの 飲食店というのは開放型で全面喫煙で天井が高かったり換気があるものもありますが、それが イメージしていらっしゃる飲食店における分煙対策ですか。 ○山下部長(JT) さまざまあろうと思います。きっちりと分けることも分煙対策ですし、例え ば神奈川県下で、今、ロイヤルホストさんみたいに、その中ではサービス提供しなくて、電話 ボックスのような喫煙コーナーをつくって「そこでお吸いください」というのも分煙ではあり ましょうし、全面喫煙可のお店で、店頭に入るときに「こちらのお店を御利用になるときは全 面喫煙可のお店ですよ、御了解くださいね」という表示を見た上でお入りになるのも、世の中 全体では適切な分煙ではないかと私どもは考えております。 ○三柴委員 1つには、資料で御紹介いただいた職場の対策例なのですが、飲食店とかサービ ス業にほぼ集中しておられるように見受けられるのですが、そうでない職場についても同様に お考えなのかということを1点伺いたいのです。 ○山下部長(JT) 施工例のお話ですか。 ○三柴委員 後ろからで恐縮ですが、45頁より前の部分で例えば参考資料として挙げておられ る取組み例であったり、職場での対策というふうに銘を打っておられます。確かに、飲食店・ サービス業は1つの注目点であるというのはよく承知しておりますが、この検討会自体が広く 職場の検討をする場だと理解しております。国によっては飲食店・サービス業というのは1つ の社会的な交流の場として喫煙は認めて構わないというような方針をとっている所もあるの で、そうでない職場についてもJTさんはどうお考えなのかということを伺いたいのです。 ○山下部長(JT) 一般の事務所の取組み例では26頁から30頁などで一歩前進のためのメニュ ーとしてお示ししております。なかなか完璧ではないものもあるのですが、一歩前進するとい う意味ではこういうものも御検討いただければなと思います。ただ、一般の職場では、それで はお話をさせていただいている相手方がもたないケースがありますので、どうしてもしっかり とした喫煙所ということがゴールになるのかなというふうには思っております。 ○三柴委員 中小零細企業等で金銭の余裕がなかなかない、コンサルティングで示されるよう な部屋を設けにくいというような所について、JTさんとしてはどういうアドバイスをされるの でしょうか。 ○山下部長(JT) 難しいですね。まずは「喫煙室をつくって煙が漏れないような造作をされれ ばどうですか」というふうには言っているのですが、逆に、手軽に安く実施できる、今回お持 ちした資料でお示ししたような方法も、どうしてもと言われればお示しはいたします。しかし、 「これで完璧ですか」と言われると、これはちょっと完璧と言える立場ではないと。本当は、 「一歩でも二歩でも前進していますよ」と言えたらいいのですが、私どもとしてはそれで完璧 と言える立場ではありませんので、そういうときは「何だ」と、逆に失望させたりしてしまう とか、そういうことから本日の御要望の1点目として、「一歩でも二歩でも前進していれば大 丈夫だよ」というふうに言っていただければ、我々ももう少し自信を持って「こういう方法で も、完璧ではないけれども、次のレベルには到達しており、とりあえず今よりは良いよ」とい うアドバイスはもっと積極的に展開できるのではないかというふうに考えているところです。 ○三柴委員 あと1点だけよろしいですか。なかなか踏み込むのが難しい健康障害、とりわけ 慢性影響の部分について伺います。専門外なので私が伺うのは特に難しいのですが、JTさんと して科学的な検証が必要である、物によっては疑義があるというふうにおっしゃっておられる 点について、そうでない立場があるということについて認識はおありということですね。 ○山下部長(JT) 例えば、公衆衛生の立場だと、リスクの恐れがあるだけでも、それは全てな いほうがよかろうというお立場があるというのは重々認識しておりますし、それは間違ってい ないことだとは十分理解しております。ただ、具体的に何らかの義務であるとか強制をすると いうことであると、それが本当に目的として合理的であるのかどうかというのは、エビデンス ベースで議論されるということが必要ではなかろうか、そういう御指摘がある、というふうに 申し上げている次第でございます。 ○三柴委員 そのエビデンスベースといっても、100%の実証というのは、おそらく、いろい ろな例で難しい問題が多いと思うのです。そういう中で、どこか蓋然性、つまり可能性の高さ で測っていくしかない問題というのが多いと思うのですが、そういう可能性の高さとか、そう いうレベルでの御認識というのはお持ちなのかということが質問の趣旨なのですが。 ○岩室フェロー(JT) 受動喫煙につきましては能動喫煙と比べてかなり曝露量が少ないとい うのは事実でありまして、どの程度の曝露であったらどの程度の健康影響が出てくるのかとい うことは、もちろん蓋然性のレベルでよろしいのですが、それですらデータがそんなに貯まっ ているのかなという感じがしております。例えばバイオマーカーでも何でもよろしいのですが、 きっちりとした曝露量を把握するということがどこまで正確にできているのかということも 含めまして精査する必要があるのではないかと認識しております。 ○望月委員 労働安全衛生法の中で規制しているさまざまな有害物質や発がん物質がありま すけれども、それに対しての考え方についてJTは同様の見解を持っていらっしゃるのですか。 それとも、たばこについてだけ特別な見解をお持ちなのでしょうか。 ○岩室フェロー(JT) 規制にあたってのリスクレベルとして検討・評価されている、いわゆる 10の5乗のレベルというお話でしょうか。 ○望月委員 それから、ほかの例えば環境基準にしても食品衛生上のさまざまな規制について も、考え方はたばこに対してと同じアプローチを我々はしているつもりです。 ○岩室フェロー(JT) 私は、別に、たばこだけを特別扱いというつもりは全くありません。た だ、既存の受動喫煙に関するレポートを見る限りにおいては、物質レベルでの曝露ということ が、非常に微少な曝露のところできちんと把握されているのかどうなのかということに疑義を 持っているということを申し上げたつもりなのです。 ○望月委員 でも、御社の製品にしても、たばこ製品そのものが煙の成分としてさまざまな有 害物質などを発生しているという事実はお認めになっている。 ○岩室フェロー(JT) そうです。 ○望月委員 その中に、測定すれば、濃度とか全体の量とかいうものも検出できることもお認 めですね。 ○岩室フェロー(JT) はい。 ○望月委員 その空間において、人であろうと動物であろうと、曝露されたら何らかの影響が 起こるということについても承知していらっしゃいますよね。 ○岩室フェロー(JT) それは曝露量の問題とか、全部絡んでくる問題だろうと思うのです。曝 露されたらすぐに健康影響が起きてくるということではなく、どの程度の曝露量がどの様な影 響を及ぼすかという次のステップの問題ではないか。有害物質があるかないかというだけの定 性的な問題ではなくて、定量的な問題になってくるのではないかと思います。 ○望月委員 でも、それは、ほかのアスベストでも、さまざまな発がん物質でも同様なのです が、それに対して同様の考え方を適用するということもいけないのですか。 ○岩室フェロー(JT) いえいえ、ですから、考え方はよろしいのですが、要はちょっとでもあ ったらいけないということでは決してないのだろうと思うのです。 ○望月委員 どのぐらいだったらいいのでしょうか。 ○岩室フェロー(JT) 私は、そこまでの判定ができるようなデータがかなり不足しているので はないかと、率直に思っております。 ○相澤座長 時間もあれですので、よろしいでしょうか。ほかの先生方もよろしいですか。で は、山下さん、どうもありがとうございました。それでは、次に、フィリップ モリス ジャパ ン株式会社の後藤忠寛様にお出でいただいております。コーポレートアフェアーズマネジャー をされておられます。それでは、後藤マネジャー、よろしくお願いします。 ○後藤マネジャー(フィリップ モリス) フィリップ モリス ジャパンの後藤忠寛と申しま す。本日は、職場における受動喫煙防止対策について、私どもの考え方を述べさせていただく 機会を頂き誠にありがとうございます。まず、本題のほうに入る前に、弊社につきまして簡単 に御紹介させていただければと存じます。資料の2頁を御覧ください。私どもは世界160カ国 でビジネスを行っております国際的なたばこ会社であります、フィリップ モリス インターナ ショナルの子会社として、1985年に日本でのビジネスを開始しました。現在、約1,800名の正 社員が全国で営業しており、日本のたばこ市場においては2番目に大きなシェアを持っており ます。  資料の3頁を御覧ください。まず、たばこ政策全般に関するフィリップ モリスの基本的な 考え方です。私どもは、たばこ政策に対して包括的なアプローチをとることにより、公平で効 果的なたばこ規制が実現できると考えております。御覧のチャートはいくつかの代表的な視点 を示しています。公共の場所での喫煙規制もこの包括的なアプローチの重要な要素の1つです。  資料の4頁を御覧ください。公衆衛生当局は受動喫煙が非喫煙者にさまざまな病気を引き起 こす原因になると結論付けています。成人喫煙者はその結論を十分に理解して、いつどこでた ばこを吸うのかについての判断は、環境中たばこ煙、またはその受動喫煙が健康に及ぼす影響 に関する当局の見解によって導かれるべきだと考えております。また、子どもがいる場所では たばこを吸うべきではありません。  資料の5頁を御覧ください。公共の場所における喫煙規制について検討する際には、この公 衆衛生当局の結論とともに、日本における社会事情も十分に考慮した上で実態に即したものと することが必要です。日本における喫煙を取り巻く社会事情として4つの点を挙げたいと思い ます。1つ目は、喫煙者がまだ相当数存在するということです。喫煙率は減少傾向にあります が、現在の喫煙率は男性で約37%、女性で約9%、平均で22%程度となっています。数にして 約2,600万人と推計されています。これだけ多くの方々が喫煙されている状況を踏まえ、たば こを吸う場所が必要であることを考慮しなければなりません。  2点目は、この現象は他の先進諸国では見られないのですが、日本では屋外での喫煙規制が 進んでいるという点です。多くの都市部においては路上喫煙が禁止されております。したがっ て、大規模事業所など、屋内での喫煙規制も進む一方で、屋外であってもたばこを吸える場所 が減ってきております。  3点目は、1点目と2点目とも関係し、したがってとなりますが、喫煙者の多くが喫煙する場 所として飲食店などを利用している実態があるということです。このような産業では喫煙する 顧客にそのための場所を提供することもサービスの一環であるとの認識があります。  4点目は、日本では分煙が進んでいる点です。公共交通機関、大規模な商業施設や事業所な ど、多くの場所において分煙対策が近年進められてきております。公共の場所での喫煙規制に ついて検討する際には、このような社会事情も十分に考慮し実態に即した対応を進めていくこ とが、効果的な規制づくりにつながると私たちは考えております。  資料の6頁を御覧ください。実際、他国の事例を見ましても、公共の場所での喫煙規制は1 つの決まった規制の方法があるのではなく、国によってその国の文化や社会事情を反映した規 制になっております。いくつかの代表的な事例を御紹介したいと思います。一番上はイギリス の事例です。イギリスでは公共の場所は全面的に禁煙になっています。次の2カ国はフランス とイタリアです。この2カ国は全面禁煙を施行している国と言われることもありますが、実は そうではありません。多くの施設で事業主に喫煙室を設置する裁量が認められています。  一方、次のスペインですが、スペインではほとんどの公共施設が禁煙となっていますが、飲 食店での喫煙規制については店舗の面積によって異なっています。100平方メートル以上の店舗では規制 はイタリアと似て、喫煙室の設置とそこでの飲食の提供が可能となっています。そして、100 平方メートル未満の店舗では喫煙ポリシーを定める裁量が事業主に認められています。スペインではタパ スバーと言われる小さな飲食店が数多くあり、人々が集う社交の場になっています。タパスバ ーでは分煙することが物理的に困難ということで、このような規制が制定されたと聞いており ます。  最後の2カ国はドイツとアメリカの事例です。ドイツでは連邦レベルの規制がありますが、 アメリカでは現時点において連邦レベルでの規制はなく、公共の場所での喫煙規制は州によっ て異なっています。したがって、厳しい規制を施行している州もあれば、規制自体が存在しな い州もあります。ドイツではベルリンとバーデンビルデンベルクの2つの州の州法で大規模飲 食店に分煙を認める一方、小規模の飲食店については一律禁煙としていましたが、2008年、連 邦憲法裁判所がこれを不公平として両州に州法を是正するよう求めた結果、現時点におきまし て、全16州で店舗面積が75平方メートル以下のワンルームタイプの小規模飲食店に関しましては、18歳 未満の入店不可、調理された食事の提供不可、喫煙標識の掲示という要件を満たせば喫煙可能 とできるという状況です。これらの事例から、諸外国における公共の場所での喫煙規制もさま ざまであり、文化や社会事情も考慮されたものになっているという点を御紹介できたかと思い ます。  資料の7頁を御覧ください。ここで代表的な国の一般的な屋内の事業所における受動喫煙防 止の具体的な対策について御紹介したいと思います。左側のイギリス、香港、スペインなどで は全面禁煙となっております。一方、シンガポール、フランス、オーストリア、デンマーク、 イタリア、ドイツ、そしてアメリカのいくつかの州では喫煙室の設置が認められています。こ れら喫煙室の設置を認める国や州の規制について、もう少し詳しく見ていきます。  資料の8頁を御覧ください。シンガポールやフランスでは、換気機能を有し、壁などで囲い、 分離または密閉された喫煙室の設置が可能です。イタリアでも壁などで完全に分離した喫煙室 の設置を認めています。ドイツでは、事業主は非喫煙者を受動喫煙から保護する措置をとらな ければならず、職場のすべてまたは一部を禁煙とするなど、適切な措置をとることを義務付け られています。オーストリアでは、喫煙室のほか、非喫煙者が不在のエリアでは喫煙が許され ています。デンマークでも、喫煙室及びプライベートオフィスに1人でいる場合には喫煙が許 されています。また、デンマークでは、事業主は従業員に対し喫煙ポリシーを書面にて示すこ とが義務付けられています。  資料の9頁を御覧ください。アメリカの州レベルでの事例です。コネチカット州、カリフォ ルニア州では喫煙室の設置を可能としているほか、従業員が5人以下の小規模事業所において、 事業主は条件を満たせば当該事業所を喫煙可とすることができます。ジョージア州では、事業 主は喫煙ポリシーの従業員への周知と目立つ形で表示しなければならず、また、新入社員に対 しては文書で示さなければならないとしています。  資料の10頁を御覧ください。これまで御紹介しました事例をまとめますと、次のようなこ とを申し上げることができるかと存じます。まず、事業所すべてを禁煙としている国もある一 方で、喫煙室を設置する裁量が、事業主に認められている国もあるということ。また、個室内 に1人でいる場合や非喫煙者が不在の部屋や職場空間では喫煙を認めている国もあります。そ して、アメリカでは5人以下の小人数事業所で喫煙を認めている州もあります。さらに、事業 主が従業員に対し喫煙ポリシーを周知することが義務付けられている場合があります。  資料の11頁を御覧ください。先ほど申し上げましたとおり、日本にはまだ多くの喫煙され る方が存在し、喫煙する場として飲食店等を利用しているという実態があります。したがって、 そのような顧客が喫煙する職場における従業員の受動喫煙防止については、より現実的で柔軟 な対応が求められると思います。このような職場では、事業主は、まず当該施設の喫煙ポリシ ーを定める必要があります。そして、その際、受動喫煙の健康影響に関する公衆衛生当局の結 論について従業員に説明を行い、従業員の懸念や要望を考慮するよう努力すべきと考えます。 例えば、こちらの資料に書いてありますとおり、アメリカのコロラド州では、シガーバーやカ ジノなど、喫煙が認められている場所で働く従業員が要望する場合には、事業主は非喫煙場所 への配置転換などの対応をとらなければなりません。また、ワシントンD.C.でも同様に、非喫 煙場所で働くことを希望する従業員に喫煙場所で働くことを強制したり、そのような従業員を 解雇したり、待遇面で不利益を被らせることを事業主に禁じております。  最後に、資料の12頁を御覧ください。これまで職場における受動喫煙防止対策に関しまし て、日本の社会事情を踏まえ、それぞれの職場の実態に即した対策を進めることが大切である ということを、諸外国の事例を御紹介しつつ述べてまいりました。以上を踏まえまして、最後 にフィリップ モリスの「職場における受動喫煙防止対策について」の基本的な考え方を述べ させていただきます。  まず、民間の屋内事業所あるいは飲食店などにおきましては、当該施設の喫煙ポリシーを決 定する裁量が事業主に認められるべきであると考えます。同時に、非喫煙者がたばこの煙のな い職場で働く環境づくりも重要です。喫煙室を設置する、あるいは喫煙場所を指定するなどの 措置をとることは現実的な対策として有効であると考えます。飲食店など、顧客が喫煙する職 場におきましては、事業主は受動喫煙の健康影響につきまして、公衆衛生当局の結論を従業員 に伝え、理解を促すことが重要です。その上で、従業員本人の懸念や希望を考慮する努力が求 められます。政府におかれましては、そのような事業主の取組みを促し、後押しするような政 策づくりを、今後ともお願いできればと考えております。御清聴、どうもありがとうございま した。 ○相澤座長 ありがとうございました。世界の各国の喫煙対策についてレビューしていただい て、また、フィリップ モリスの受動喫煙防止対策についての基本的な考え方をお示しいただ きました。ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問あるいはコメント をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○望月委員 最後のほうの御提案のところなのですが、「公衆衛生当局の結論について従業員 に説明し、従業員の懸念や希望を考慮する努力が求められます」というのは、具体的に下に、 例えばワシントンD.C.だと不利益を被らないようにということが法律に書かれているわけで すよね、そういうことまで提案していただいているのでしょうか。 ○後藤マネジャー それぞれの国におきまして、資料の4頁、5頁の状況を、4頁は公衆衛生当 局の見解、5頁については日本における社会事情、その双方を考えた上で、その国によって適 切な規制のあり方というものが考えられるべきだと考えています。そういった上で、日本にお いて、まず施設の喫煙ポリシーを定めていくということすらまだ完全にはできていない状況だ と思いますので、そういったところから現実的な対応策として進めていくと。そういった中に、 将来的なところとして、こうした不利益を被らないような配慮を事業主にさせていくというこ とも考慮されるべきだと考えています。 ○望月委員 それは、ガイドラインや普及啓発の中で事業主にそういったことを求めていこう という御提案ですか。それとも、きちんと法律で担保されるような形までしたらどうだろうと、 いまのことに対して考えていらっしゃいますか。 ○後藤マネジャー たばこ会社ですので、どういった法律のレベルでこういったことが書き込 まれるべきか、というところまでのコメントは控えさせていただきたいと思いますが、こうい った諸外国の事例というものも十分に政府におかれましては考慮されたほうがよろしいかと 思います。 ○望月委員 諸外国の事例なのですが、イギリスは全面禁煙の1つのモデルとして提示してお られますが、アイルランドについてはどうして触れられておられないのですか。 ○後藤マネジャー こちらは代表的な国ということで、日本政府のほうで特に海外事例という ことで検討される際には、いわゆるG7のような国が通常取り上げられますので、そういった ところを私どもとしても想定しまして、今回載せています。 ○望月委員 アイルランドの禁煙法が世界の受動喫煙防止法に与えた影響というのは非常に 大きいと思うのですが、それはどのように評価しておられるのでしょうか。昔のアイリッシュ パブはもうもうとしているイメージがあったにもかかわらず、全面禁煙法が通ったわけですよ ね。グローバル企業として、その辺はきっちり押さえていらっしゃるのではないかと思うので すが。 ○後藤マネジャー アイルランドでそういった法律が通ったということは、私どもとしても承 知しています。それが日本にそのまま直接持ってこられるかどうかということは、この資料の 4枚目と5枚目の、公衆衛生当局の結論と日本における社会事情の双方を考慮された上で、実 態に即した日本での対応策というものを、一歩ずつ着実に進めていくことが重要かと考えてい ます。 ○望月委員 アメリカなどでも、州法の下に郡の条例とか市の条例がきめ細かく張り巡らされ ている場合があると思うのですが、その辺の情報は収集されていますか。例えば州法が斑だと いう例示がなされていても、実際に地方政府の当局はそれを埋めるためのさまざまな努力をし ているわけですよね。そういったコミュニティのインフラ環境が整っていくということまでお 示しいただけないと、情報として不十分なような、不完全のような気がします。 ○後藤マネジャー 正直にいいまして、すべてのそういったコミュニティレベルの情報収集が できているかというと、できていません。これは、あくまでも私どものほうで調べられる範囲 で調べて、御参考になりそうな情報を提供させていただいているということです。 ○沢田委員 先ほどのJTさんのお話を伺っていますと、昨年からテレビなどですごく受動喫 煙を宣伝して、喫煙室などを設置して受動喫煙を防止しようという活動をやっていらっしゃる。 いまのお話を聞いていますと、22%の人が喫煙をしているというデータをお持ちなのですが、 いまの説明では、どちらかというと喫煙する方の考え方のほうに傾いているような感じがしま す。この受動喫煙防止対策に関する検討会の中では、受動喫煙を防止しようという方向性で考 えていますので、御社として、防止をするための啓蒙活動とか、社会貢献で何かなさろうとか、 そういう御計画はありますか。 ○後藤マネジャー お配りしている冊子の16頁、17頁を御覧いただきたいと思います。私ど もでできる範囲ということで、こういった屋内での喫煙室の設置ですとか、屋外での喫煙所の 設置などは、要望を頂きましたら、対応できる範囲で対応させていただいています。また、喫 煙マナーの向上ということで、携帯灰皿の提供ですとか、スタンド灰皿を提供することもやっ ています。また、私どもの会社のホームページを御覧いただきますと、やはり情報提供が受動 喫煙防止では重要だと考えていますので、受動喫煙の健康に関する情報について、ホームペー ジ上で書いています。 ○沢田委員 事業主に対しては、ある程度認めてほしいということですが、そうなると、どの 程度まで認めるかということがあると思います。中小企業に対しては、先ほどのデータですと、 ほとんど状況を知らないとか、やるつもりはないという会社もたくさんあるわけですよね。そ ういう方々が、何もしないままで流れてしまう。やはりそこには多少の規制なり努力目標なり がないと、なかなか進まない感じがします。いままでにそういう意見がだいぶ出たことがある のですが、その辺はいかがですか。 ○後藤マネジャー そういった意味におきまして、日本の現状で次のステップとして有効なの は、喫煙ポリシーを各事業所が定めていくということから始めることだと思います。その喫煙 ポリシーの策定に当たっては、事業主が従業員としっかり相談した上で作っていくということ が重要かと思います。 ○沢田委員 そのポリシーを高めるために、ガイドラインというものを、(案)の段階ですが、 話し合っています。それについては、先ほどJTさんからも、ガイドラインの内容の考え方と か御意見をいろいろいただきましたが、一度御覧になったことはありますか。 ○後藤マネジャー はい。 ○沢田委員 あれについては、どのようにお考えですか。 ○後藤マネジャー 私どもとしましては、あちらの(案)につきまして、まだ内部での検討が 終わっていない段階ですので、今日この場で発言することは差し控えさせていただきます。 ○相澤座長 ほかの先生方からは。 ○漆原委員 11頁なのですが、頂いた資料に「顧客が喫煙する職場においては、そこで働く従 業員の受動喫煙からの保護について、より現実的で柔軟な対応が求められます」という記載が あるのですが、その「現実的で柔軟な対応」というのは具体的にどういう形のものをイメージ されているのか、もしあれば教えていただければと思います。 ○後藤マネジャー それは、2点目のところなのですが、まず顧客が喫煙する職場、これは主 として飲食店などを想定していますが、飲食店ですと不特定多数の方々が集まってくる場所で あると。そこでの喫煙ポリシーという部分と、従業員の方から見ますと、そこは、そうはいっ ても複数の方々がそこで勤務する職場であるということで、一般的な屋内事業所に比べますと、 対策を考える上での難易度が高いと思うのです。そういった意味で、まず2点目のところに書 かせていただきましたのは、喫煙ポリシー、喫煙可なのか、分煙なのか、それとも禁煙とする のか、そういった喫煙ポリシーをしっかり事業主が定めるということ。2点目としまして、そ こで働く従業員の方々に、受動喫煙の健康影響に関してきちんと説明すると。その上で懸念や 希望を考慮するということで、そういった取組みを進めていくことが重要だと考えています。 ○相澤座長 ほかには、いかがですか。 ○鍵委員 日本と諸外国の対応というのを説明していただいたのですが、例えば日本独特の業 種というのがあると思うのです。例えばパチンコですとか、いまで言うと漫画喫茶とか、そう いうところも野放し状態なのかなと思うのですが、そういうところをうまく分煙できるような 提案というのはできそうですか。諸外国を見渡して、何か応用できるもの、適用できるものが あるかどうかというのは、いかがでしょうか。 ○後藤マネジャー 日本独特のそういった場所につきまして、海外から直接やり方を導入して できるかというと、そこにはやはりもう一工夫ないと、なかなか実際のところは難しいのでは ないかと思います。 ○相澤座長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、最後になりま すが、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの広報・渉外企画統括部長をされてお りますZ了介様に、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○Z部長(BAT) 御紹介いただきましたブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの Zでございます。お手元にある資料に基づいて、御説明させていただきます。まず最初に、今 回は、この「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」で私どもの意見を述べさせてい ただく機会を与えていただきましたことに対しまして、お礼申し上げます。  まず最初に、私どもの会社について、あるいは御承知でない方がいらっしゃると思いますの で、1頁目にざっと概要を書かせていただいています。私どもは、イギリスに本社を置くブリ ティッシュ・アメリカン・タバコ、通常BATと呼ばれていますが、その日本における子会社で す。BATグループは1902年に設立されまして、100年以上の歴史がありますが、中国を除く世 界での市場シェアは21%ということで、世界第2位のたばこメーカーです。しかしながら、我 が国におきましては、私どもBATの製品自体は1985年から国内で販売されているわけですが、 BATジャパンという会社ができたのは2001年ということで、まだそれほど長い歴史があるわけ ではありません。市場シェアも約11%に達したところです。  次の資料です。今回ちょうだいしましたテーマに対しての弊社の基本的な見解をまとめたも のです。健康増進法ですとか労働安全衛生法の中に、事業者に対して職場における受動喫煙問 題の解決に資すると思われる規定、これは指針あるいはガイドラインを含めてですが、そうい うことが盛り込まれているということですので、私どもは、これを当然ながら支持いたします。 そして、顧客が入店をされるに当たって事前に室内の喫煙環境を入口付近等に掲示することに より、入店するか、しないかということが判断できる、そして、また、従業員にとっても、自 分が働く労働環境を認識することが容易になるのであろうと、このように思います。しかしな がら、とりわけ中小の事業所においては、必ずしも現行規制の内容に対する理解が十分でない ケースがあるということではないかと考えます。したがいまして、現行法の普及啓発を政府が 推進されることは、非常に意味があることであると考えています。  最後に、私どもとしての提案です。先ほども申し上げたことですが、顧客には店内の喫煙環 境について入口付近などに視認性の高い表示を掲示することによって、入店するか、しないか の判断が容易に行われることとなり、また、従業員にとっても、自分が働く労働環境を認識し やすくなると思います。また、喫煙者と非喫煙者それぞれの利益を尊重して共存を図るために、 喫煙空間と禁煙空間設置による分煙のさらなる啓発を政府が推進されることも、非常に意味が あることだと考えます。また、喫煙スペースの設置などによる喫煙空間と禁煙空間の分離に関 する私どものこれまでの経験、蓄積に基づく技術的なアドバイスを御提供する用意がございま す。  先ほども申し上げましたとおり、健康増進法や労働安全衛生法など、現行法には受動喫煙問 題の解決に資すると思われる内容が規定されていると承知しております。したがいまして、中 小事業所の中にはそれに対する理解が十分でないケースもあるということで、現行法の内容を 政府が周知徹底されるに当たって、当社としましても可能な限り御協力させていただきたいと 存じます。  弊社グループは、世界180カ国でたばこ事業を行っており、それらの市場において、例えば 空港施設内の喫煙ラウンジ設置の経験、あるいは、レストラン、カフェ等での分煙コンサルテ ィング等を行った豊富な実績がありますので、それに関連した参考になり得る情報や先行事例 の御紹介が可能だと考えております。以上、甚だ簡単ではございますが、弊社からの御説明を 終わらせていただきます。 ○相澤座長 ありがとうございました。BATの提案として5ついただいています。これに対し まして委員の方から何か御質問、コメントがありましたら、お願いします。 ○武田委員 見解を見せていただきますと、現行法での規制が望ましくて新たな規制は好まし くない、という理解でよろしいでしょうか。 ○Z部長 そういうことではございません。基本的に、受動喫煙の問題に関しては、心ならず も受動喫煙に曝されるといったことは、やはりあってはいけないと思っております。したがっ て、もしそういうことを実現するために何らかの規制が必要だということであれば、それは、 理に適ったものであれば、当然、進められるということに対して異議を申すものではありませ ん。ですが、ここで申し上げているのは、まず現行法というものが、拝見すると、非常によく 考えられて作られている。まず法令があって、それから指針があって、ガイドラインがある。 ここでまさに御議論されている中のいろいろなポイントが、私も不勉強でして、今回のこの機 会を頂いた中で気付いた点などがいくつもございました。そういった点について、先ほど申し 上げたように、特に、例えば中小の企業、事業所においては、そのこと自体がまず御理解が十 分でないケースがあるとするならば、1つは、現行法をきちんと浸透させる、啓発するという ことは、これはまだやる余地があることなのではないか。一方で、そこにとどまっていればい いというふうに否定的に申し上げたものではないというのは、冒頭申し上げたところです。 ○相澤座長 ほかには、いかがでしょうか。 ○内藤委員 BATジャパン社、御社の基本的なお考えというものについて、まず2点ほど確認 をさせていただきたいのですが、まず第1点として、御社のリポートの中では、御社、BATジ ャパンは、例えば環境中におけるたばこ煙の健康被害というものはどのように御理解なさって いらっしゃるか。御社の御理解の点、それについて、まず第1点としてお伺いしたいのですが。 ○Z部長 その点につきましては、私どものホームページに、いま申されたポイントについて の私どもの見解を、まとめて掲示しています。世界保健機関であるとか、米国の公衆衛生局で あるとか、その他の公共の保健機関が、受動喫煙はさまざまな疾病の原因の1つになる、と結 論付けておられます。これらの機関は、受動喫煙がどの程度であれば安全なのかは明らかでは ないとして、公共の場での喫煙を禁止することは最善の公共衛生対策になる、と報告しておら れます。そのことについては十分承知しておりますので、そういう認識に立って、受動喫煙と いうものについては、これは先ほど申し上げたところですが、心ならずも曝されるといったこ とは、やはりあってはならないのだと。したがって、そのための対策というものをとる必要が あるということは、私どもとして十分認識しているところですので、そのために現行法でもし 間に合わない、更に規制が必要だということであるならば、それは、理に適ったものである限 りは、私どもはそれを積極的に支持していくところであると、そのように考えております。 ○内藤委員 それでは、第2点といいますか、まず、いまのお答えに対してなのですが、失礼 な表現になるかもしれませんが、その理に適ったものというのは、どのようなものと御理解な さっておいでですか。 ○Z部長 まず、世の中には喫煙者がいらっしゃって、そして非喫煙者がいらっしゃるという 直接的な関係もありますが、一方で、また、事業者と従業員というような関係性で捉えること も当然あるわけです。ですから、この場で御検討されているのだろうと思うのですが、そのよ うにいろいろな多様な関係者がいらっしゃるというのが現実ですので、その現実からかけ離れ たような理想の議論というのはあり得ないのだろうと。そういう意味において、しっかりと現 実を踏まえた上で、それがいろいろな関係者に対して、例えば一方に100%影響が出て、一方 には0%とかというようなことというのは、現実の世界ではなかなか考えにくいのではないか。 そういったことを引っくるめて申し上げると、受け入れることが可能なやり方というのはどこ かであるのではないか。そういう意味では、それは確かに全部の人にとってハッピーではない かもしれないけれども、ある程度理に適っていると全体として言えるのではないか。そういう ような意味で申し上げています。 ○内藤委員 承りました。それでは、第2点の質問なのですが、御社のレジュメの3頁にある 「喫煙空間と禁煙空間の分離に関する技術的アドバイス」云々という件ですが、喫煙空間と禁 煙空間の分離ということについて、いま少し御説明を賜ってもよろしいでしょうか。 ○Z部長 私どもは、今回ちょっとお持ちしていなくて、言葉で申し上げましたが、世界180 カ国で事業をやっています。ですので、現実的に、例えば先ほどからお話が出ていますような 喫煙室の設置、あるいは空間分煙など、さまざまな、それぞれの国の事情に応じた、あるいは、 その事業所の事情に応じたような適切な分煙環境、あるいは、喫煙者と非喫煙者の方双方が共 存できるような環境というものを、御提供してきた実績がある。そういう中で、例えば空港の スモーキングラウンジであるとか、例えばレストラン、カフェの中の喫煙室とか、それ以外の 一部のスペースのベンチレーションであるとかを、さまざまな御要請に基づいて、それに対す るコンサルティング、技術的アドバイスをやってきた経験があると。ちょっと実例としてお持 ちしていませんが、日本においても、関空であるとか成田空港のスモーキングラウンジ、ある いは海外でも、ローマ空港などいろいろなところでそういうことが実績としてある、というこ とを申し上げております。 ○内藤委員 確認させていただきますと、つまり、そこでおっしゃいます分煙というのは、あ くまで空間的な分離ということが基本になりますでしょうか。 ○Z部長 空間的な分離というのは、例えば空港にあるような喫煙室ですと、はっきりと一般 の方がお使いになる、いろいろな方がお使いになる公共的なスペースと、もうそこではいわゆ る受動喫煙ということが起こり得るということを認識した方だけがお入りになって、普通はそ こで喫煙をされるのだろうと思いますが、そういう形で、密閉したといいますか、そういう形 で設置するスモーキングラウンジとか喫煙室とかといったような、そういうことも入ります。 ○内藤委員 むしろそちらを主としてお考えになりますか。 ○Z部長 どちらが主というのは、先ほど申し上げたように、その国によってやはり状況が違 います。したがって、この国ではこういう規制になっているとか、この事業者は、完全な喫煙 室をつくって、全くスペース的にもあけたいのだということであれば、そのような対応をいた しますということです。 ○内藤委員 ありがとうございました。 ○相澤座長 ほかには、いかがでしょうか。 ○福島委員 最後の頁に「現行法内容の、様々な関係者に対する周知徹底への御協力」と書い ていただいているのですが、どのような場面を通じてといいますか、どんな手法でとイメージ されていますか。 ○Z部長 これは、現行法の周知ということですので、民間の私どもが勝手にそのようなこと を先走ってやるという話では当然ないわけですので、基本的には、政府がそのようなことをす るべきだという御判断をされた上で、それを実際に実行するに当たって、いろいろな問題、あ るいは不足する点とか、あるいは、こうやればもっと効果が上がるのにとか、効率が上がると いったようなことがある程度明らかになってきた段階で、例えば私どもには、少ないですが、 全国でいいますと900人ぐらい従業員がいますので、そういう形でのフットワークであるとか、 私どもが何かの形でその御説明のお手伝いをさせていただくとかいうようなことはあるのか なと思いますが、いま明確に、具体的にこのような部分で、こういう機能を私どもが果たす用 意がある、ということを前提に申し上げたわけではありません。 ○相澤座長 ほかには、いかがですか。 ○中原委員 世界各国に会社をお持ちということで、先ほどフィリップ モリス ジャパンさん のほうからもお話があったのですが、喫煙ポリシーの明瞭な表示ということを各国で事業主の 方たちにやっていただくということがあったのですが、実際にそれが日本でできるのかなと。 実際に決まったとしても果たしてできるのだろうか、という思いがよぎるのですが、実際にそ のことが受動喫煙防止に役立っているかとか、徹底されているかという情報をお持ちでしたら、 教えていただきたいのですが。 ○Z部長 いまおっしゃったことは、私の理解としては2つあったと思います。事業主がその スペース、施設について喫煙ポリシーを設定することが容易なのかどうか、できるのだろうか どうかという点が1つと、そのことをそこを利用する人に対して知らしめる、周知するという ことが実際上可能なのかどうかということかと思うのです。  まず1つ目ですが、これは、受動喫煙という問題がそこを利用する方にとってどういう問題 なのかということが理解されていないと、そこの施設を預かるといいますか、保有なのか管理 なのかわかりませんが、ここで「事業主」という言い方をしますと、その事業主の方にとって 一体何をしなければいけないのか、喫煙ポリシーを定めるということが必要なのかどうなのか ということが、まず認識できないだろうと。  そういう意味では、いま言ったような受動喫煙の問題というものを含めて、そして、受動喫 煙にかかわる労働安全衛生法とかといった現在の法制、指針、ガイドラインといったものを、 先ほどのようなやり方を政府に考えていただいて普及啓発するというところがまず1つと、そ して、そういうポリシーを定めたとして、それをどうやって知らしめていくのかといったとこ ろについては、それぞれのケースによって状況が違うと思いますが、ガイドライン、指針の中 にもそういったことは触れられていると承知しております。  そのような中で、私どもが、実際にたばこというものに携わっている身ですので、アドバイ スとか何か、できることがあったらさせていただきたいと思います。そこの部分について、ど の部分ができそうもないのかとか、どこまでできているのかということについて、すべて我々 はいま承知していませんが、何か私どもにもできるのではないかと。そうであれば御協力させ ていただきたい、というようなことを申し上げました。 ○鈴木労働衛生課長 御説明ありがとうございます。これまでのヒアリングでも、たばこを吸 う方であっても他人のたばこの煙は吸いたくないとか、そういう話があるのです。先の2つの 会社様からは、喫煙室あるいは喫煙空間の基準等についても、一定の認識を踏まえた提示があ ったと思うのですが、BATジャパンさんにおかれましては、喫煙空間についての基準というか、 性能というか、そういうものはどのように御認識されていますか。換気などの面において、喫 煙者が集まる場所であってももうもうであってはいけないとか、その際の濃度といいますか。 ○Z部長 私どもは、技術的なアドバイスですとか、分煙コンサルティングとかという中に、 社内的には、望ましいレベルというものがございます。今日は手元にありませんが、そういう ものに基づいて、例えばこれぐらいの性能のベンチレーションであるとかというのは、これは 何せ設置場所があっての話で、つくり上げたプレハブ型のものをそこへトンと置くわけではな いので、そういう意味では、広さ、あるいは周りの空間の環境なども含めて、そこに合ったデ ザインをして、しかしながら、出来上がった暁の空間の中における基準というのがこれぐらい であるべきではないかというような、社内での基準というものはございます。 ○鈴木労働衛生課長 それは、世界各地に展開されているのですが、共通の基準なのでしょう か。 ○Z部長 それが完全に1つの基準になっているかどうかということは、ちょっとここでは確 かに申し上げることはできませんが、地方によってそれが変わるかもしれません。ちょっと、 いま私どもはそれを持ち合わせておりません。 ○鈴木労働衛生課長 もう1点、先ほどフィリップ モリス ジャパン株式会社さんから、海外 におけるまとめの中で、一定人数以下の事業所で、全従業員が同意した場合には、喫煙を可と することができるという事例の国がある、ということがありました。これを提案されたわけで はないと私は認識しているのですが、BATジャパンさんにおかれましては、そういった規模と か従業員の同意の場合はどうかということについては、どう御認識されていますか。 ○Z部長 そういう事例が海外にあるということは承知している、ということがまず1点。そ れから、日本で同様の条件を認めてはどうかということにつきましては、社内でそこまでまだ 検討していませんが、先ほど申し上げたように、理に適ったというのは、誰もいないところで どうして他人の気遣いをしなければいけないのかというのは、これは非常に素朴な疑問として 立つのではないかということはあります。それから、事業主と従業員との関係というのが、1 人のオーナーが切盛りされているようなお店ではどのようにそれは捉えるのかとか、少人数と いったときに、1人はいいけれども2人は駄目なのかとか、いろいろな形があって、それで、 いま例示として5人という数字をお挙げになったのかと思いますが、その辺は、理に適ってい るかどうかというのは議論の余地がありますが、1つの問いとしては立つのではないかと考え ます。 ○相澤座長 ありがとうございました。 ○亀澤環境改善室長 3頁に御社の御提案が書いてあります。一番最初に書いてある「喫煙ポ リシーの明瞭な表示」なのですが、これは顧客だけではなくて従業員の利益に適うと書いてい らっしゃるのですが、例えばレストランのような場所だと、ここの店は喫煙ですとか、分煙し ていますという表示は、顧客に対しては利益に適うと思うのですが、そこで働かざるを得ない 従業員の利益に適うというのは、どういうことでおっしゃっているのか伺いたいと思います。 ○Z部長 これは、従業員というのをどう捉えるかなのですが、これから働きたいとか、いま 別の職を持っているのだけれども、転職を考えておられるとかというときに、当然ながら、そ の事業所を訪れて、雇用主の方とお話になって、労働条件を明らかにして、それで契約されて 入社されるということだと思うのですが、往々にして思っていたのと違うといったようなこと も、最初の契約に至る中では明らかにならないというようなこともあるのではないかと思いま す。そのときに、決定的なものにはならないかもしれませんが、少なくとも、こんなはずでは なかった、というようなことがないように、顧客に対するのと同様に何かのヘルプにはなるの ではないかと、そういう意味です。 ○亀澤環境改善室長 現在いる従業員ではなくて、従業員となるかもしれない人たちに対して のツールになり得るということですね。 ○Z部長 そうですね。現在の従業員の方が御存じないということは、あり得ないと思います ので。 ○相澤座長 ほかには、よろしいですか。どうもありがとうございました。今日は、JTとフィ リップ モリスとBATの3社の団体から意見聴取をさせていただきましたが、全体を通して何か 御意見等ありますでしょうか。 ○望月委員 事務局に御説明いただきたいのですが、今回のヒアリングのセッションというの は、この検討会にとってどういう位置付けなのでしょうか。また条約の話になるのですが、条 約に公衆衛生政策の形成過程で関係者としてたばこ産業を招くということは、もしかしたら抵 触するのではありませんか。日本政府としてそういうポリシーをまだ明確に打ち出していない のであれば、このような形で情報提供していただくことは、双方のコミュニケーション上、意 味はあることかもしれませんが、位置付けとしては、先ほどBATジャパンの方がマルチステイ クホルダーの合意形成の下に決めてほしい、というようなことをおっしゃっているのだと思う のですが、そのステイクホルダーの一員としてお招きしているのですか。何を期待して、今日、 3社に1時間以上を使ってお話を聞いたのでしょうか。それを確認したいのです。 ○亀澤環境改善室長 ヒアリングを3回行いました。最初の2回については、顧客が存在する 職場でして、そこについて対策がなかなか難しいのではないかということで、現状はどうかと いうことをお聞きいただいたと認識しています。今回の第3回目のヒアリングについては、た ばこ産業ですが、いままで受動喫煙防止対策にかかわってこられたという経験で、いままでの 経験をお聞きするということについて一定の意義があるのではないかと考えたので、ヒアリン グをこのように3回行わせていただいたということです。 ○望月委員 例えば海外の事例については、すでに中災防の非常に詳細な研究もありますし、 その委員でいらっしゃる三柴先生もいらっしゃって、それを更にアップデイトするような形で 具体的にお聞きすることはできたかもしれませんが、先ほども質問させていただいたように、 そこで提供された情報を、どのぐらいの精度で私たちが聞くことができたのか、理解できたの か。こちらも時間が限られているので、お聞きしたいこともたくさんあったのですが、そうい う意味で、御経験をお聞きするということは非常に大事だと思いますし、現実的なソリューシ ョンをいま見付けようとしている中で、我々よりも遥かに多い手足を持って現場でやっていら っしゃるということはよくわかるのですが、逆に、議論がミスリードされる恐れもあるのでは ないでしょうか。  例えば「喫煙ポリシー」という言葉の使い方にしても、我々は、先ほど沢田委員もおっしゃ っていたように、圧倒的に多い、たばこを吸わない方たちを、どうやって職場という限られた 環境の中で守っていこうかというところで、何らかのポリシーを模索しているわけです。例え ば条約にしても、健康増進法にしても、労働安全衛生法にしても、制限を加えるということは、 英語で言えば「スモーク-フリーポリシー」を求めようとしてきていると思うのですが、そこ で「喫煙ポリシー」となったり、「分煙」という言葉が改めて繰り返して出てくることで、そ れが私たちが目指しているものであるかのような錯覚を、私ですら「うーん」と引き込まれる ぐらい、圧倒的な情報量に曝露されるわけです。その辺で、あえて言っている部分もあるので すが、我々が目指しているものは一体何なのか、もう一度原点を確認しないといけないと思い ます。  先ほどのレベルの5、4、3、2、1というのも、あれもまだ作成の途中段階だと思うのですが、 やはりスモーク-フリー、完全禁煙を目指していこうということだったと思いますし、遡って 言うと、健康局の3月に出た報告書でも、方向性としては全面禁煙ということが、それこそマ ルチプルなステイクホルダーの合意として出されたと思うのです。それがまたもう一度巻き戻 されているような気がしましたので、あえて申し上げました。これだけのたくさんの時間とた くさんの情報を得ただけに、次のステップというのはとても大事だと思いますので、あまり時 間を巻き戻すことのないように、お願いしたいと思います。 ○亀澤環境改善室長 第3回目に、第1回目、第2回目におまとめいただいたものについて、 更に詳細な御意見を頂いたと認識しています。ですから、次の回は、また後ほど御案内します が、第1回、第2回で御検討いただいて、第3回で少し深めていただいたものを、ヒアリング の成果とともにお出しして、更に御意見を頂きたいと考えています。そういう点では、検討会 の冒頭に事務局としての認識を御説明したと思いますが、それについては変わっていないと認 識しています。 ○三柴委員 いまの望月先生のお話に絡むのですが、そもそも受動喫煙とはいえ、やはり喫煙 に絡んでくる、そういう施策のあり方というのは、ものすごく難しいと思うのです。そもそも 一方ではたばこ事業法という法律が基本にあって、他方では公衆衛生施策も必要でというよう な、相対的なものだろうと思うのです。そういう中で、この検討会の先生方、事務局の方々は、 いま、労働衛生としてどう新たな対策を練っていくかということについて努力されている、と いうことだと認識しています。  先ほどのフィリップ モリスさんの調査というのは、私なりに、中災防の調査からのアップ デイトに努力させていただいている中で、全体として客観的なものだと拝見しました。ただ、 セレクションポリシーとしてどこを引っ張ってくるか、こういう国もある、という方針で説明 されたというのはわかります。とはいえ全体として客観的な調査だと拝見しました。そのこと だけ一言申し上げたいと思います。 ○相澤座長 ありがとうございます。ほかには、よろしいでしょうか。ありがとうございまし た。次に、議題2です。「その他」ですが、事務局から何かありますでしょうか。 ○徳田副主任 次回、第7回の検討会の日程ですが、2月15日(月)の10時から開催させて いただきます。先ほど室長からもありましたが、次回は報告書の骨子について御検討いただく ことを予定していますので、よろしくお願いします。場所については現在調整中ですので、ま た改めて御連絡させていただきます。 ○相澤座長 ありがとうございました。それでは、本日の議題は以上です。長時間にわたって 活発な御議論を、ありがとうございました。また、ヒアリングの3つの会社の方々、どうもあ りがとうございました。それでは、これで終了します。 ( 了 ) (照会先)  厚生労働省労働基準局安全衛生部  労働衛生課環境改善室  03−5253−1111(内線5506)