09/12/24 第4回私のしごと館に係る建物等の有効活用検討会議事録 第4回 私のしごと館に係る建物等の有効活用検討会        日時 平成21年12月24日(木)        10:00〜          場所 中央合同庁舎第5号館6階共用第8会議室 ○加藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回「私のしごと館に係る 建物等の有効活用検討会」を始めさせていただきます。本日は、大変お忙しい中お集まりい ただきまして誠にありがとうございます。  本日は、川本委員、森永委員からご欠席の連絡をいただいております。なお、山下委員は ご出席の予定ですが、到着が遅れていらっしゃるようですので、会を始めさせていただきま す。また、厚生労働大臣政務官の山井さんがご出席の予定ですが、ご到着が遅れていらっし ゃいますので、ご到着次第ご挨拶をいただきたいと思います。カメラ撮りはこれで終了させ ていただきます。カメラマンの方は退場をお願いします。  それでは、議事に入ります。本日の議題は2点あります。1点目は、「私のしごと館の建 物等の有効活用に関する調査(最終報告)について」、2点目は「私のしごと館の建物等の 有効活用方策について」ということで、本検討会の報告書の取りまとめについてです。  1点目についてですが、前回の検討会で調査・検討の中間報告があり、それに対して出さ れた意見を基に、PwC社に最終報告書をまとめていただきました。また、前回の検討会での ご意見を踏まえ、事務局において、国の機関及び独立行政法人における活用に関する調査も 行っていただいています。それらの概要について説明をしていただき、ご質問等をいただき たいと思います。それでは、第1点目についてご説明をお願いします。 ○育成支援課長 まず、PwC社の委託調査の最終報告についてですが、報告本体は資料2に なります。ただ、これを全部説明していると時間がかかりますので、ポイントだけ資料1を 用いて説明します。  今回の最終報告ですが、前回の検討会で委員の先生方からいただいた、いろいろなご指摘 を踏まえ、中間報告に追記・修正を行ったものになっております。その内容についてご説明 しますと、前回の検討会で、官が運営に参加している事例をもう少し追加すべきではないか、 また、1つの施設を1つの主体が使っているのではなくて、複合的に使っている事例をもう 少し追加すべきではないかというご指摘をいただき、それぞれ資料2の本体で研究施設、教 育施設を中心に事例を補強しております。例えば、研究施設ですと22頁以下にいくつかの 官が運営に関与している事例、もしくは複合的な利用をしている事例を追加の調査をして追 記しております。また、教育施設については、同様の調査を行い、46頁以下にいくつか事例 を追加しております。データセンターについては、その後事例がいくつか集まりましたので、 48頁以下にいくつかの事例を追加する形で修正を行っております。  また、103頁で事業モデルの複合利用について分析を行っており、官と民との住み分け、 例えば建物なり土地なりを官が所有して、利用は民がしている、もしくはその逆、もしくは 両方といったいろいろな組合せが全国に見られるということで、可能性としてはすべてある という結果にしております。  前回資料として出した99頁の図表6-3という大きな表ですが、いくつか表現ぶりについ てご指摘をいただきました。1ついただいたのは、「立地面での適性があるとは言えない」、 もしくは「ニーズがない」といった表現がありましたが、委員の先生方から学研都市におけ る立地動向をもう少し分析して、本当にそう言えるのかどうかを精査するようにとのご指摘 をいただいた結果、学研都市には最近でも立地が続いているという事実がわかりましたので、 それを踏まえてこのような表現については修正をしております。規制面についても、「事業 が制限される」となっていたところは、関係の委員の先生にお伺いしたところ、制限はそれ ほどきつくないというご指摘もいただきましたので、それを踏まえて「用途制限の範囲内で 立地可能」といった表現にしております。以上が資料1、PwCの中間報告からの変更点のご 説明です。 ○加藤座長 そこまででいいですか。ただいま山井大臣政務官がご到着です。大変お忙しい ところをご出席いただきましたので、この会の最初にご挨拶いただく予定でしたが、ご挨拶 をお願いします。 ○大臣政務官 皆さん、おはようございます。先ほどまで首相官邸で年末年始の対策の検討 会がありまして、遅くなって申し訳ございません。本日は、年末の大変お忙しい中お集まり いただきまして誠にありがとうございます。また、本日に至るまで、この検討会で今後の私 のしごと館の活用について、本当に真摯な、建設的な議論を行っていただいていることにも、 改めて御礼申し上げたいと思います。  私のしごと館は、平成15年のオープン以来全国から多くの中学生、高校生が来られて、 実は私の地元にあるわけですが、私も何度も足を運んで、多くの若者、子供たちが将来の自 分の職業選択のために、有効な示唆を与えてもらったのではないかと思っております。ただ、 さまざまな議論がある中で、来年の3月末には残念ながら閉鎖ということになり、かつ本当 でしたら来年の夏であったところが、3月末に廃止ということで前倒しになったことで、4 月以降も来館を期待されていた方々に対しては、また地元の方々には本当にお詫びを申し上 げなければならないと思っております。  私のしごと館は2つの観点で非常に重要で、1つは関西学研都市の目玉の施設であるとい うことで、ここが閉鎖してそのまま放置されるようなことになると、そもそも国家的なプロ ジェクトと、関西経済の活性化の起爆剤とも言われた、関西学研都市の目玉施設が空いたま ま放置されることになると、まさに地元のみならず関西経済の活性化についても、大きなブ レーキとなってしまうのではないかということ、もう1つは言うまでもなく、私のしごと館 の跡をどう有効活用し、地域のみならず、日本の未来のためにどう役立てていくのかという ことは、非常に大切な議論であると思っております。  とは言え、非常に大きな建物でもあり、これをどう有効活用するのかに関しては、さまざ まな議論もあろうかと思いますが、とにかく私たちの思いは3月末に閉鎖されたあと、1日 も早く良い形で再スタートを切れるように、そのためのお知恵を皆さんからいただきたいと 思っております。そして、今日の答申を踏まえて、再スタートのための前向きな計画をスピ ーディーに立てていきたいと思っております。今日は最終回になりますが、地元の方々を初 め、先生方には今後もご指導をいただきまして、私のしごと館が新たなスタートを切れると きまで、是非ともご指導、ご支援を賜ることができればと思っております。私はこのあとも う1つ検討会がありまして中座いたしますが、心より御礼とお願いを申し上げたいと思いま す。どうかよろしくお願いします。ありがとうございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。政務官もお忙しい日程ですので、これでご退 席となります。 (大臣政務官退席) ○加藤座長 政務官から大変心強いご発言をいただきました。それでは、続いてご報告をお 願いします。 ○育成支援課長 続きまして、資料3です。前回の検討会で、木村委員から各省庁の意向に ついて調査をすべきではないかというご指摘をいただき、12月に入って各省庁に対して厚生 労働省が調査をしました結果が資料3です。調査対象は霞が関のすべての省です。対象施設 は各省が所管する施設、また各省が所管する独立行政法人が所有する施設について、それぞ れの省もしくは独立行政法人が所有する文化・教育・研究施設で、「私のしごと館」の建物 ・土地を活用する可能性があるかということ、文化・教育・研究分野に限らず、そのほかの 施設で「私のしごと館」を活用する意向があるかどうかという2点についてお伺いしました。  その結果、すべての省からは可能性あり、もしくは意向ありとした省は該当がなかったと いうことです。ただ、下の括弧に書いてありますが、文部科学省からの情報として、所管の 機関から、地域と連携して、私のしごと館の建物等を活用する事業への参加の可能性につい て検討している、という情報提供が1件寄せられております。以上です。 ○加藤座長 調査結果についての報告は以上ですが、最終報告を巡る議論は後ほどというこ とにして、この報告の部分についてご質問等ありましたらお願いします。 ○木村委員 ただいま、浅川課長が私たちの思いを反映するべくいろいろご努力いただきま したことに、私からも心から感謝申し上げたいと思います。ただ、いまの私のしごと館の各 省庁の調査事項ですが、12月2日から11日というわずか短期間のうちに、それぞれの省の 関係者から手を挙げることは本来あり得ないと。期間的にもそうですし、テレビあるいはマ スコミ報道から見ても、事業仕分けがあれだけ表に出て、いろいろな批判のある中で議論を されてきた経過からすれば、思っていても意思表示ができないという状況の中で、私はよく 調査していただいたと思っていますが、これがすべてではないのではないかと、一方期待を 持ちながら報告を聞かせていただきました。文科省から何らかの形で検討されているように も伺ったわけですが、何かそういう面でも引き続いてお願いができたらと思って、感じたと ころを申し上げました。お世話になりました。 ○加藤座長 いま木村委員からご指摘がありましたように、確かに短い期間、また事業仕分 け等の流れの中で、それでは私の所でと手を挙げる方は少ないというのはよくわかりますが、 先ほどの政務官の話にもありましたように、これから最終報告にどのようにいまのご発言を 織り込むかはあとでご検討いただくとして、これからも粘り強く努力していただくというこ とにしていただきたいと私も思います。ほかにいかがでしょうか。  それでは、2点目の「私のしごと館の建物等の有効活用方策について」について、これま での検討会の議論及び調査・検討の結果を基に案を作成しています。また、地元自治体から 活用に関するご提案もいただいていますので、それについて事務局から説明をお願いします。 ○育成支援課長 資料4になります。この資料4が、本検討会における報告という位置づけ です。かいつまんでご説明します。  2頁ですが、I「はじめに」ということで、私のしごと館の設立の経緯、また今回の廃止 に至った経緯を紹介しております。昨年12月に閣議決定で廃止が決まったあと、この検討 会を立ち上げて、廃止後の有効活用方策を検討することとしたという一連の流れが紹介して あるのが2頁です。  3頁ですが、IIの1は本検討会の検討経過ということで、4回開いたものを紹介してあり ます。  IIの2ですが、本検討会の検討の中で、私のしごと館に係る有効活用に関する調査をする ことが決められたということで、PwCに委託をして委託調査を行いましたが、その経緯が紹 介してあります。  その委託調査の内容ですが、(3)(4)で、実施可能性について3分類で整理しようというこ とで、この検討会で議論がされました。[1]は現在の用途規制の範囲内で活用する方策、[2]が 現在の用途規制にとらわれずに活用する方策、[3]が公的な目的のために活用する方策です。 具体的には、次の(4)の表の中にある想定される事業モデルごとに委託調査をすることにし ました。それぞれの事業モデルについて、ほかの事例の情報収集をするとともに、関係者か らヒアリングを行う方式で報告書をまとめることになったわけです。その報告書の最終報告 が、先ほどご説明した資料2です。  5頁からは、最終報告の結果をまとめてあります。それぞれの事業モデルごとに見た有効 活用の可能性と課題ということで、施設ごとに紹介しております。(1)の研究施設ですが、 規制面については用途規制上の問題はない。しかし、建物面については改修が必要である。 実施主体については、民間の企業もありますが、公的主体による運営も研究施設は行われて いる。実現可能性については、実施主体の判断によってここに立地したいということであれ ば、有効活用の可能性がないわけではないという結果になっております。このような感じで、 (2)のインキュベーション施設、(3)のコンベンション施設といった形で調査報告がまとめら れております。  また、(4)の文化施設については、こちらも規制面については用途規制の対象とはなって おりませんが、建物については改修が必要であるということです。実施主体についても、大 多数は公的主体による運営が行われているという事実が紹介されております。実現可能性に ついては、こちらは公的主体なら可能性があるけれど、民間は立地面、採算面の問題から見 てあまり可能性はないという結果になっております。  (5)の教育施設については、こちらも用途規制上は問題はない。ただ、建物については改 修が必要である。実施主体については、こちらは教育機関が設置主体となりますので、実現 可能性についても、教育機関のご判断で立地の可能性ありということになっております。  (6)のデータセンターについては、こちらは立地上の問題はありません。規制上も特に問 題はないということになっております。ただ、建物について、設備を確実に守るために、か なり大規模な改修が必要であるという結果になっております。実施主体については公的主体、 民間主体のいずれもあり。実現可能性については、こちらは実現可能性はありということに なっていますが、ネックとしては大幅な改修が必要であるという結果が出ております。  (7)の商業施設(アウトレットモール)ですが、こちらは立地上の問題はないし、採算面 も可能性ありということです。ただ、現在の用途規制の下では商業施設としての立地が認め られておりませんので、用途規制を緩和しないと立地はできないという結果が出ております。  (8)の職業施設については、訓練施設と就職支援施設と体験施設とありますが、訓練施設 と支援施設については、規制面で学研都市の基本方針に合致しないということで、ほかのも のと合わせてであればいいけれど、単独でこれだけが立地するのは難しいという結果になっ ております。体験施設については規制上の問題などはありません。ただ、仮に民間というこ とで考えると採算面で問題ありということで、各施設ごとの結果が出されております。  11頁ですが、2が調査結果ということで、そこからが全体のまとめになります。(1)の実 現可能性のある事業モデルについては、民間ということで考えると、[1]研究施設、[2]教育施 設、[3]データセンター、[4]商業施設の4つのモデルが実現可能性ありという結果になってお ります。ただ、ヒアリングをした範囲内では、具体的にしごと館を活用したいという企業は ありませんでした。しかし、幅広い範囲で募集すれば、立地したいという実施主体が存在す る可能性はあるということです。データセンターについては、将来有望な分野ということで 立地の可能性は大いにありますが、大規模改修が必要だというところが課題としてあるとい う結果になっております。商業施設については、調査結果では用途規制を見直す必要がある ことが課題であるという結果になっております。  以上が民間により可能性のある事業モデルですが、商業施設以外の事業モデルについては、 公的主体が運営に関与する可能性も考えられるという結果が一方で出されております。これ が(1)です。  (2)ですが、有効活用方策の検討に当たり留意すべき事項ということで、いくつか掲げら れております。[1]は、どのような人を実施主体とするかということで、残念ながらヒアリン グをした範囲内では立地したいという方はいらっしゃいませんでしたが、ここに立地したい という判断次第での立地可能性はありますので、それを念頭に置くべきであるということが [1]です。[2]が、用途規制を変更するのかどうかということで、特に商業施設を可能性として 考えるかの前提条件として、用途規制の見直しの可能性について本検討会で議論すべきであ るということです。  [3]が、改修等を認めるのかということです。職業体験施設を除いて、ほとんどの事業モデ ルでは、多かれ少なかれ改修が必要だという結果になっており、この費用負担が可能かどう かをまず議論する必要があります。また、建物を複合的に利用する、複数の方が利用する可 能性を認めるかどうかも、議論すべきであるという結果になっております。[4]に、有効活用 に係る費用負担の増加を、特に国費として許すのかどうかも考えるべきであると。この4つ の留意事項が結果として出ております。  このような留意事項を踏まえた本検討会としての結論が、14頁以降です。IVの1の「基本 的な考え方」ですが、(1)ではこれまで私のしごと館が果たしてきた意義について紹介して います。第3回の検討会で木村委員からこのようなことも報告書に位置づけるべきではない かというご意見があり、こちらに位置づけております。  (2)ですが、有効活用にあたって考えるべき前提事項ということで、いくつかまとめて書 いております。1つは、昨年の閣議決定で2つのことが言われております。[1]建物の有効活 用に向けた検討を行う、[2]廃止に伴うコストの最小化に配慮するという2つが決められてお ります。もう1つは用途規制で、こちらも有効活用を検討するにあたって、念頭に置くべき であるという考え方を示しております。  次の15頁です。(3)として、学研都市全体の街づくりとの調和、地元との調和、厚生労働 省以外の省庁での活用といった視点も考えるべきだという、前回の検討会でのご意見を踏ま え、記述しています。  2ですが、具体的な有効活用の方法です。「(1)検討対象とする事業モデル」として考えて いくと、いまご紹介したいろいろな前提条件を厳密に考えると、例えば改修が多かれ少なか れどの施設でも必要で、コストが増える可能性はどの施設もあるという結果になっておりま す。前提条件を厳密に解釈すると、いずれの事業モデルも活用先として該当なしとなってし まいますので、本検討会としては、これをあまり厳密には考えずに、できる限り前提条件を 充たすと、少し裾野を広げて検討したほうがいいだろうということを(1)で書いております。 また、民間主体についてはPwCの調査で示された4つの施設類型で考えることが必要ですが、 それ以外の施設類型も含めて、公的主体による活用も検討すべきであるというまとめにして あります。  (2)が具体的な事業モデルごとの検討結果です。[1]に、研究施設、教育施設、データセン ターについては、この検討会で出されたご意見の中で、複数の事業で既存スペースを活用す ることも検討すべきというご意見が多く出されました。また、複合的な事業の実施にあたっ ては、公的主体の関与も必要であるというご意見がありました。したがって、このようなご 意見を踏まえ、「複合的な活用も視野に入れるべきである」という取りまとめにしておりま す。厚生労働省以外の省庁も含めて、地域に受け入れられる用途を探していくべきだという ご意見もありましたので、いちばん下の「さらに」の段落でそのような記述をしております。  [2]は商業施設についてです。活用を考える大前提として、用途規制を緩和するかですが、 前回の検討会でご議論いただいた中で「用途規制の見直しはするべきでない、する考えはな い」という意見が出されました。というか、この意見だけでしたので、そうであれば、今回 は商業施設は活用の選択肢から外すべきであるということです。  [3]が公的主体による活用です。PwCには民間主体ということを念頭に各施設類型を調べて もらったわけですが、いろいろ調べていく中で公的主体が関与している事例もかなり出てき ました。また、この検討会でも、公的主体も排除せずに考えるべきだというご意見が多く出 されたこともあります。したがって、ここでのまとめでは、「公的主体による活用も視野に 入れて、今後有効活用策を考えていくべきである」という取りまとめをしております。しか し、公的主体ということになると、税金の負担が今後続く可能性があります。したがって、 閣議決定の趣旨を踏まえれば、新しい有効活用先を決定するにあたって国費を一切負担せず に、例えば入場料の収入だけで運営していくのか、それとも最小限の国費の負担をし続ける のかということについて、「国民の理解を得ることが必要である」ということを書いており ます。  (3)ですが、有効活用に当たって考慮すべき事項ということで、手続的な留意事項といっ たものをまとめてあります。[1]は用途規制の問題です。新しい有効活用先を考えるにあたっ ては、閣議決定の趣旨を前提とすることも必要ですが、学研都市の街づくりとの調和も考え て、「用途規制の範囲内で活用することが必要である」というのが1点目です。[2]は、「で きる限り幅広い範囲の主体に活用の途を開いて、柔軟な対応をすべきである」ということを 書いております。例えば、今回の委託調査で検討した事業モデル以外の施設であっても、学 研都市に相応しい施設ということで新しいアイデアが出てくれば、これを採用すべきですし、 1つの建物を1人の人が使うことにあまり厳密にこだわらずに、複数の事業で使うことも念 頭に置いて、柔軟に対応していくべきであるというのが[2]です。[3]が円滑な移行ということ で、前回の委員会で、「廃墟にはしないでください」という関係の委員からのご意見が多く 出されたことを踏まえて、3月に廃止後、「可能な限り速やかに新しい用途に移行すべく、 関係者への働きかけをすべきである」ということを書いております。また、政府においては、 この検討結果を踏まえて、「速やかに所要の手続を取るべきである」というまとめにしてお ります。  資料5は各地方からの提案です。前回、座長から「地元自治体からご意見があれば、この 際出してください」という提案があり、関係の自治体から提案がありました。京都府からは、 「研究施設を中心に、複合的な施設としての検討を行うべきである」と。木津川市からは、 「文化学術研究施設として設置管理を継続する。文化・学術研究・産業の創造への貢献が期 待される国の研究機関などの機能移転」といった2点の提案がありました。精華町からは、 「文化・学術研究・産業の創造への貢献が期待される国の研究機関等の機能移転」といった 提案が出されております。以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。以上が、我々としての最終報告の案です。具体的に これだという提案まではたどり着かなかったのですが、いままでの3回の委員会でのそれぞ れの委員の皆さんから出された意見については、可能な限り盛り込んであると思います。最 終的な取りまとめですので、今日は委員の皆さんお1人ずつから最終案に対してご意見を伺 って議論をしたいと思います。稲田委員から順番にお願いします。 ○稲田委員 第3回から第4回にわたって、短時間でよくここまでまとめていただいたと感 じております。事務局の皆さん、ご苦労さまでした。ありがとうございました。特に私以下、 地元で学研都市づくりをしている面々の意見を、可能な限り入れていただいたのではないか なと感じております。そういう意味で、特段ここを直してくれとか、そういう意見は十分反 映していただいたと思っております。  ただ、意見を言えということですので、先日も学研都市に関係するメンバー100人ぐらい で会議をやりました。その中で当然いろいろな意見が出たのですが、にぎわいがないとか、 そういう意見がありました。この施設は、学研都市としては珍しく年間30万人という非常 に大勢の方が来られる。また、学研都市以外から来られるということで、その人たちが家に 帰ったときに学研都市はどうだったと言われる、学研都市というのはどちらかというと研究 施設というか、半閉鎖的な所が多いのですが、そういう意味では非常に数少ない、学研都市 における不特定多数の方が来られて、その人たちが学研都市から帰って、また話をしていた だくというような施設でした。そういう意味では、学研都市づくりには欠かせない施設だっ たわけです。今回いろいろなものを柔軟に受け入れるというところは賛成ですが、「今後入 札により売却」と最後の結論みたいな所に書いてありますが、是非中身を学研都市により相 応しいかどうかという判断を、最後に入れてもらう形になれば非常にありがたいと思います。  私の所にもいろいろな施設を作りたいという話が来るのですが、基本的には官に何らかの 関与をしてもらって、民が活用するという案が、いろいろなレベルでちゃんと事業趣旨を考 えている方もおられますし、まだ提案の域を出ない人もありますが、いろいろ話があります ので、是非国側も一切、入札して終わりということにならないようにだけはよろしくお願い したいと思います。 ○梶川委員 途中の議論に、あまり参加させていただかずに、最後にお話させていただくの も恐縮ですが、全体としては非常によく、見直しも含め検討が進んだのではないかと思って おります。  ただ、整理事項そのものはこれで結構なのですが、基本的にトーンとしては、確率的には、 公的主体の関与した活用が望ましいという方向性が見えていると思うのです。そういう意味 では、最終的に17頁の(2)の[3]のなお書きの部分は、なお書きと言えばなお書きなのですが、 「廃止に伴うコストの最小化に配慮する」という部分についてどの程度のことを考えて、現 実が入札等も含めて進んでいくのか。これはこの委員会が、どのように考えるかともなかな か言えない部分なのですが、ここがどのように、我々は何を前提としてこの意見をまとめて きたかということは、少し整理をしておいたほうがいいのかなと感じました。  今後入札等の場合には、基本的にその最低条件とか、経済的な合理性の最低価格は何を置 くのかは随分大きく違って、実際にこういう用途であれば、極端に言えば、ただに近いもの でもということでもないのだと思うのです。そうすると、結論的には、これはどういう手続 で最後に処理されていくのかが、ある意味ではわかりにくいところもあって、そこをこの委 員会として、故なき批判にされてしまうこともあり得ますので、最小コストというのはどう いうものなのか、少し整理をしておいたほうがよろしいかなという気がします。 ○加藤座長 これもあとでご議論いただきますが、私の理解では、従来のパターンでの厚生 労働省としての財政支出はゼロだということが、コスト最小という意味ではないかと理解し ております。ただ、これまで委員の皆さんからいろいろな話が出ましたように、従来パター ンではない公的機関の活用によって、その中でこの目的であれば少し公的支出も考えられる のではないかと、その知恵を出そうということで検討しているので、確かにご指摘のように コスト最小という意味は何なのだということについては、しっかり認識してこれから考える 必要があると思います。 ○大臣官房審議官 昨年の閣議決定の段階で、具体的な文言の意味について、我々もこれ以 上のことを承っているわけではないのですが、廃止に伴うコストの最小化ということですの で、我々の認識としては、雇用保険事業として行うことについて、引き続き何かの事業をや り続けるとか、そういったことは全く念頭にありません。ただ、建物を維持・管理する、あ るいは売却に伴う諸費用がかかるといったことは必要最低限かかるわけですから、そういっ たことはやむを得ないとしても、そこへそれ以上に、ある意味で同じ雇用保険を使って事業 を継続していくことは全く考えておりません。ただ、例えばほかの公的使用のあり方につい て可能性があるとすれば、別の主体が公的機関として運営をすることになれば、それはまた 別の観点から公的な支出はあり得る話ですが、我々としては、先ほど申し上げたように、廃 止に伴うコストの最小化ということですので、それは別の問題だろうと思っております。 ○加藤座長 おそらく、そういう理解で整理すべきだろうと思います。それについてご意見 があれば伺います。河井委員、いかがですか。 ○河井委員 今回、4回の検討会ということでいろいろとお世話になりました。ありがとう ございました。今回報告を聞かせていただく中で、各省庁への調査をしていただいたという ことで、大変、意見を聞いていただいたと感謝をしております。期間が、少し短かかったこ ともありますので、活用の可能性ありといった省庁がなかったということでは少し残念な思 いをしております。ただし、文部科学省から建物等の活用事業への参加の可能性について、 検討がされているということも少し書いていただいていましたので、それにいまは期待をし ているところです。  有効活用に当たっての考慮すべき事項ということで、建物に関する用途規制については、 範囲内に活用すべきと明記していただいたことについては、学研の街づくりを進めてきた市 長として感謝しているところです。また、本検討会で検討された事業モデル以外の施設も柔 軟に対応して、選択肢から排除すべきではないという文言がありますが、これについては、 是非とも学研の理念に立った選定をしていただきたいと思っております。特に入札による売 却を早急に進めていかれるということですので、どういった所が手を挙げられるのか、いま 見当がつきませんが、そういった中でも、学研の理念に合った事業に向けて進めていただき たいと思っております。願わくば、次世代を担う若者たちの有益な施設、もしくは学研の振 興や新産業の創出に寄与するような施設に、活用していただきたいというのが切望です。 ○木村委員 私も、先ほど申し上げたとおり、我々地元の考え方をいろいろな角度から確認 をいただいて、こうしてまとめていただいたことについては感謝をしております。それぞれ 施設、あるいは新しい事業所あるいは研究所を入れるにしても、改造が伴うということが付 け加えられておりますが、あの建物に実際に入っていろいろなことを考えてみたときに、 100%手をつけずして活用できることは、私は200%あり得ないと思います。そういうことを 強調するのはいかがなものかなと。当然、新たな事業をここに置くにしても、私は大きな改 修費用が伴うと思います。それだけ、周りから見ても異様な感じがする、まさに目的よりも 建物に対する批判が、こういう結果になってきたのではないかと思えば、余計に残念でなら ないわけですが、学研都市の魂を引き継いでいただくならば、改修・改造はあって当然のこ とだと思います。これについては、国の責任において作られてきた事業ですので、当然最小 の経費ということは我々も全面的に理解しますが、可能な限りそういうことも含めて、よろ しくお願いしたいと思っております。  けいはんな学研都市の中には、今日までいろいろ大きな企業なり研究所の撤退がありまし たが、幸いにも学研都市につながる企業立地が進められてきたことについては、非常に嬉し く思っています。木津川市にはバイエル薬品の撤退があり、ロート製薬がお入りになったと。 また、住友金属工業ハイクオリティライフ研究所については、NICTという国の研究施設にお 入りいただいたと。あるいは、キヤノンさんの後には同志社大学がお入りになったと。そし て新たな事業展開がそこに起こってきていることについても、非常に感謝をしています。ま さに学研都市は国家プロジェクトであり、国の法に基づいて作られてきたしごと館が、あま りにも軽々にお金を出さない、知恵を出してくださいと、これについては考えられない。や はり国の責任において、一定のご理解をいただかないと前進しないと思っておりますので、 幸いにも地元の関係者の皆さん、あるいは市民レベルの皆さんからも、何とかこれを有効に 活用できるようにという提言も、社会的にアピールをいただいておりますし、12月の議会に おいては京都府議会も全会一致で、木津川、精華町の議会においても全会一致で、何として でもこの施設が廃墟の館にならないように、学研都市の思いに共通できる施設の立地を是非 ともお願いしたい。  それには、国の大きな責任の下に、何とかよろしくお願いしたいということです。当然、 そこには地元は地元としての一定の役割を果たしていこうということについても、議会の皆 さんのご支持がある中で、今日是非とも一定の方向が示されて、新たな段階に入るわけです が、当然閣議で廃止が決まったのは前内閣の麻生さんの時代です。まさにこの9月以降は、 民主党政権の下にこのしごと館をどうしようかということでご議論をいただいているわけで すので、私は民主党さんは、働く多くの大衆の皆さんの支持母体になっている国民政党だと 思うにつけては、是非とも従来の思いに反する大きな政治的決断をお願いしたいと。そのこ とが国民の大きな求めではないかと思っておりますので、そういう面では関係者の皆さんに も、是非とも我々の思いをまとめ上げていただいたら嬉しいと思っております。 ○山下委員 まず、これまでかなり地元の意見を出させていただいて、今回盛り込んでいた だいたことに厚くお礼を申し上げたいと思います。全体の方向性はこんな感じだと思ってお りますが、少し気になる点だけお話します。  1つは、今回の最終報告を事前にいただいたときにも申し上げましたが、17頁の[2]に「学 研都市全体の街づくりと調和を図りつつ」という文言をわざわざ入れていただきました。こ れは、今後の活用方策について、すべてにかかる言葉として入れてくださいとお願いして入 れていただいたものですので、その認識だけは今後も持っていただきたいというのが1つで す。  2つ目は、この検討会はこれで終わるわけですが、引き続き具体的な手続に入るに際して も、今日地元の首長さんがお2人お見えになっていますが、地元の意向を市町村だけではな くて、さまざまなセクターの意向を十分踏まえていただきたいというのが2つ目です。  3つ目は、海外の事例をいろいろ見ると、私のしごと館は日本的に見るとばかでかいとい う表現が出てくるのかもわかりませんが、グローバルで見るとそんなにばかでかくはないの です。例えばコンベンション1つを見ても、日本にはコンベンションが全然足りない施設は いっぱいありますし、最近国際的なコンベンションをやると思うと、少なくとも5,000人以 上入れないとできないという話もお聞きします。グローバルな視点で考えたときに、あの大 きなスケールの建物は、何も並外れてでかいわけではないのです。今後、関西学研という国 家プロジェクトでやるわけですから、もう少しグローバルな視点に立った活用方策を、我々 も考えて提案もさせていただきたいし、厚労省もそういう視点も持っていただきたいという ことです。  最後は報告書とは関係しませんが、いま雇用情勢が非常に厳しい中で3月で閉館されると いうことですが、現にあそこに多くの方が働いておられるわけです。報告書に盛り込むよう な話ではないですが、現に働いておられる方の今後のあり方についても、十分ケアをしてい ただくように、よろしくお願いしたいと思っております。 ○加藤座長 雇用の問題については、今後どのように。 ○大臣官房審議官 その点については、私どもも非常に大きな問題だと思っております。地 元の労働局、あるいはハローワークと連携をしていろいろな手続、雇用保険の問題や再就職 の問題などが当然出てくると思いますので、それらの支援には遺漏ないようにやっていきた いと思います。すでに能力開発局から職業安定局の担当部署に、こういった問題があるとい うことで連絡をして、職業安定局から地元の労働局に対しても、そういったことについて指 示をしておりますので、その辺をよく連携しながらやっていきたいと思います。 ○山本委員 まとめていただいた方向については、特に大きな意見はありません。というの は、学研都市全体の街づくりの視点からというのが1つ、複合的な活用を図るべきだといっ たこと、あるいは公的な機関が関与していくということを入れていただいた取りまとめにな っておりますので、基本的にはこれで大きな意見はありません。今後委員の皆様方から出て いる公的な機関が今後とも関わる可能性、この辺りは是非強調していただきたいということ と、学研都市の街づくり、あるいは地元の意見を最大限尊重した形での今後の施設の有効活 用策を、できるだけ強調した形で最終取りまとめをいただければいいのかなと思っておりま す。 ○加藤座長 オブザーバーですが、隈崎さん、いかがでしょうか。 ○隈崎社長 実際にしごと館を運営している立場からの感想になりますが、いまおっしゃい ましたように全国にコンベンション施設(会議場)がたくさんあります。ほとんど全部が赤 字です。それを国なり自治体から補助を出して、ずっとやってきています。それが指定管理 者制度が始まって、つまり民間に任せることになってから様変わりしてきています。例えば、 私どもがこの4月から名古屋国際会議場の指定管理者として運営をやりますが、ここは毎年 2億数千万円名古屋市から補助をもらってきていたのです。それを私どもはそれはゼロでい いというどころではなく、逆にこちらから上納金を出しましょうと提案しています。この上 納金をキープして補修の費用はもらわなくても運営していける体制を取りましょうというこ とが評価されて、私どもが担当することになったのですが、計画達成には自信を持っており ます。こうしたことは私どもだけではなくて、神戸もほぼそのようになっています。次々と 民営化されていっている所は、黒字に変わっていっている。これまでとは逆に、それぞれ行 政に上納金を差し上げるというようになっている。神戸の場合も、聞いているところでは、 4年間で7億円程度上納することになっており、以前とは様変わりしているのです。  何を言いたいかですが、実は施設は全部国なり自治体なりのものなのです。それを民で運 営している。そういうやり方なら、我々は絶大なノウハウも自信も持っているのですが、こ れをそっくり入札などで民に売り渡して、民でこのままやっていくことについては、税金の 問題等もありそれはちょっと難しい、ということになる。これが民の立場だろうと私は思っ ております。  したがって、もう1点大事なことは、国際会議場についても言えることですが、これは全 国からお客様をこの地域に呼び寄せるという機能で、この経済波及効果はものすごく大きい のです。情報の受発信機能も大きい。しごと館についても、学研都市において最も大きな集 客能力と受発信能力を持っている得がたい施設だと。また、山下さんもおっしゃったように、 グローバルな目で見ればしごと館は決して大きなものではない。東京ビッグサイトは8万平方メートル 強あって、あれが日本で最大なのですが、アジアで見れば上海では20万平方メートル、10万平方メートル規模で すから、日本にはグローバルスタンダードの集客施設はない。そういう意味では、単なるコ ンベンション施設としては駄目かもしれませんが、会議場、展示場併設で、各自治体におい てこれをハブの施設とするという考え方もあるでしょう。しかし、その場合でも全部を民に 持たせて民でやっていくことについては、実際にやってきた者の立場で言いますと、民有民 営は難しい。少なくとも所有権は公で、運営は民でというやり方が落ち着き所ではないだろ うかと思います。 ○加藤座長 建物は国が所有して、運営を民間に委託して、支出はゼロだという運営は、可 能性としてはあるのですか。 ○大臣官房審議官 中身によると思いますが、採算という言葉が良いかどうかわかりません が、事業をやって国あるいは自治体等からお金を出さないでやり続けるという、まさにソフ トのほうが、いまもし仮にそういったやり方をするということになると、私どもの労働関係 の行政、あるいは事業ということで、そういったことがあるかどうかということを探さなけ ればいけないことになると思うのですが、もしそれではないところでの国の事業ということ になると、非常に手続的な話になって申し訳ないのですが、会計の所管替えみたいなことを しなければいけないことになるものですから、そうすると受け手になる省庁にも聞いてみな ければいけないという話が出てくるかと思います。正直言って、少なくとも私どもの所管の 行政の範囲内でそういったことがあり得るかどうかということも、具体的な検討をしてきた わけではありません。例えば、報告書の中にありましたが、職業訓練にかかるような施設と して成り立ち得るのかどうかとか、そういったものの可能性はあるかもしれませんが、それ を公設民営で採算が取れるのかどうかという具体的な検討を、これまでしてきたわけではあ りませんので、いま1つのお考えとして承って、そういったこともあるかどうかということ については、勉強していきたいと思います。 ○加藤座長 今度は官の中での移管の話が出てくるので、そこはなかなか難しい問題もある と。私の感じでは、コンベンション施設は確かにあれだけの建物の活用としては、有効のよ うな気がするのですが、率直に言うと周辺の宿泊施設は割合にプアな感じがするのです。そ の辺についてはどういう感じですか。大体外国のコンベンション施設は、そういう施設と同 時にきちんとした宿泊施設がセットになって、会議をやったりしますが。 ○隈崎社長 加藤さんのおっしゃるとおりで、私は一例で申し上げたのですが、コンベンシ ョンというのは会議場と展示場と宿泊施設とがセットになっているゾーンとして考えなけれ ばいけないものなので、私は今回の調査に来られたときにも、コンベンションだけでという のであれば無理ですよと申し上げたのです。ただ、私が申し上げたかったのは、複合的に使 っていくことが前提でないといけないし、その中で所有権は公で持っていただかないと、民 が丸抱えとなると、極めて厳しいだろうと思いながらお話の推移を伺っておりました。 ○加藤座長 この前からけいはんなの学研都市の振興ということで、地元ではあそこに勤務 する方たちの住宅などについては随分配慮されて、充実されてきました。けいはんな学研都 市全体としての宿泊とかイベントに伴う施設の強化というのは、ほかには何か例があるので しょうか。けいはんなでそういうことに取り組まれた例は。 ○山下委員 これはニーズの問題と絡むのだと思うのですが、もともとそういう発想があっ たので、けいはんなプラザにホテルを併設しているわけです。それはどれぐらいの規模と、 どれぐらいの利用者が集まって来られるかによるのだと思います。  今年は京都の観光客はたぶん減ると思っているのですが、去年までは我々が一生懸命コン ベンションの誘致をして、東京に次ぐぐらいの数をやっていると思うのです。これは国立の 国際会館があるのも原因だと思いますが、宿泊は最近京都だけでは賄いきれず、滋賀県とか 大阪に泊まっておられる。ただ、例えば市内でやった場合ですと、滋賀県の大津市ですと東 海道線で10何分ですから、たぶん利用されている方は違和感はないのだと思います。我々 京都府は今回、研究機能を中心とした複合施設ということで、「グローバルな」ということ を視野に置いているわけです。そういった面でいうと、例えば海外から来られた方のご子弟 の教育ということで、小学校から入っていただくような施設をつくったりということで、あ る種の社会インフラとしての努力はしている最中です。 ○加藤座長 さっきも河井委員からお話がありましたが、他省庁で括弧書きの文科省という アイデアにすがりすぎるのも、相手にも負担が大きくなって気の毒なような気がします。こ れから先はフリーディスカッションということで、議事録にとめるかどうかは別にしまして、 例えば京都府で、研究施設を中心に複合的な施設の検討を行うべきということでお話があり ましたが、そのことを足がかりにして何かこういう展開というようなことが、もう少し具体 的にありますでしょうか。 ○山下委員 我々も、こういう会議で「こうしてほしい」と言っているばかりではなかなか 検討が進まないので、いろいろな形でスタディをしている最中です。どういう可能性が本当 にあるのかということを、いまここで申し上げるレベルに達していないので、確たるところ までは言えないのですが、あそこを複合的に使って、少なくともアジア圏域ぐらいを視野に 置いた活用可能性はあるのではないかと思っています。非常にぼやっとした感じで申し訳な いのですが、そういう可能性はあるのではないかと思っています。  それから、座長からインフラについて、いろいろご指摘がありましたが、例えば日本の研 究者の方がアメリカの大学に行かれた場合、ご子弟の教育やレジデンスなど、行かれたとき からすぐに研究室があてがわれて、プラグ・インで研究ができるような環境になっているわ けです。卑近な例で申し訳ありませんが、京都の京都大学はそうなっているかというと、実 は、そうはなっていないのです。コンベンションでもそうですし、国際的な研究という観点 に立っても、まだ国際水準に追い付いていないのではないかと思っています。そういう視点 に立てば、いろいろな可能性は見えてくるのではないかと思っています。 ○加藤座長 いまの話は1つの展望として是非検討していただきたいと思うのですが、その ときに、あの施設を国から、京都府でもいいのですけれども、自治体に移管して、地域とし て自主的にそういうことに取り組むということが、必要になってくると思うのです。そうい うことを含めて、これからの検討ということでよろしいのでしょうか。 ○山下委員 その辺も微妙で、コアがないと、いま言ったようなことはできないのです。一 体コアをどうするのかということによって、関与の度合いも決まってくるかなと思っていま す。私はトップでもありませんから、そういう可能性があるかないかというのは、いまの段 階では言えませんが、いずれにしても、研究機能を中心としてと言っていますが、研究機能 のコアは必要なので、そのコアがどういうセクターになるか。いちばんパワーがあって、し かも、国全体としてコストパフォーマンスがいちばんいいものを選ばないと、この前提条件 で書かれていることが充たされないと思います。どういう分野の、どういう研究をやること が、今後、我が国にとってどういう意味を持つのか。成長戦略に資するのか、そうではなく て国際貢献に資するのか。それぞれによって中身は変わりますから、その辺のところを我々 も早急に勉強したいと思っていますし、内部的にはいろいろな議論をしているということで す。 ○加藤座長 山本委員、その辺はいかがですか。 ○山本委員 いわゆる民間企業でという視点を考えたときには、前回にもちょっと申し上げ たようなことで、なかなか活用するということは難しいと思うのです。公的な核になるとこ ろができて、それを部分的に民間が活用するという考え方はあると思います。いますぐある ということでなくても、将来的に可能性としては、あるのではないかという気がしています。 ○加藤座長 稲田委員、いかがですか。 ○稲田委員 公設民営というようなシステムが、実態としては国民の理解を得られるかとい うところを注視して、何が何でも売ってしまうということではないと思うのです。まだたっ た5年しかやっていないわけです。国民の理解をどうしたら得られるかということでいけば、 いま議論になっている公設民営というようなことは、十分理解が得られるのではないかと思 います。国民の1人としては、むしろ、そちらのほうがいいのかなと思います。 ○加藤座長 梶川委員、いかがですか。 ○梶川委員 これは、議論の最初の前提の置き方自身の難しさというのは、当初から感じる ところでした。先ほど審議官がお話になったように、仮に公設民営でも、公設をする主体が どちらになられるかという大前提がある。公設民営にしても、そもそもパブリックな目的の、 一種の行政サービスを行うということに近いわけです。民営というのは、何も民の目的で民 営するわけではなくて、公的目的で民が委託を受けて運営されると。そうすると、まず最初 に前提となるのは、その公的な目的が何で、どこの省庁が所管する事業を前提にお話をする かと。ここがある意味では大前提で、こちらからの目的からは離される、という大前提があ るかのように先ほどお聞きしたものですから、何となく議論全体が、今後のどなたかのお気 持を察して、議論をしていかなければいけないのかと。その所管する省庁が、あなた、こう いうのだったら使いやすいんじゃないの、というようなお話に近いものですので、ラフな言 葉で申し訳ないのですが、何となく主体を持った議論をしにくいところだな、という気はし ていました。  それと同時に、前提として、物理的な施設としての所有権を手放すということ、所管替え をするということは、かなりの前提になっているのだなということで、そこが大前提として ある限りは、どうしても人の意図を推測して、リコメンディットしているだけの話に近いよ うで、どなたがやってくれるかという話かなと。  もう1つは、コストの最小ということが、すでにかけられたものの埋没してしまったコス トはもう考えない、追加的なキャッシュアウトするコストを最小にするという意味なのか、 少しでも値段を付けて所管替えなり売却をしたいのか。お聞きしますと、このもの自身のい ままでのコストを回収するという意味の処分というのは、難しいのかなということになれば、 逆に言うと、ここで責任を持って言えることは、どなたかにお引取りいただくということだ と思います。ほとんどコストをかけなくても、何とか引き取っていただけないかという議論 が、第1議論になってしまうので、そういうことに限ってしまうと建設的な感じがしない部 分がある。これは最終回に言うべきことではなくて、最初にもっと発言させていただくべき ことだったのですが、最後に見せていただきながら、どう考えたらいいのかなと。最終回の 発言としては、無責任なことは十二分にわかっていながら、感想としてお話させていただき ました。 ○加藤座長 最後のコストのところは、どうですか。 ○大臣官房審議官 梶川委員も参加されていましたが、昨年の有識者会議の中でいろいろな ご議論があったと思います。昨年のいまごろまでのご議論の中では、これまで投入したコス トをいかに高く回収するかということも含めて考えるべきだ、というようなトーンもあった ように思います。ただ、そこについても、我々としてもこれまでやってきた事業を評価はし なければいけないのですが、この事業を廃止するという結論が出た以上、それに伴ってかか るコスト、先ほど言いました手続的な面も含めて、いかにコストをかけずにやっていくかと いうことを、トータルで見て進めていかなければいけないという命題はあると思っています ので、そこは、何度も繰返しになって申し訳ないのですが、私どもの所管している雇用保険 という事業の中で、やっていけるということはないという前提で、考えていかなければいけ ないということだろうと思っています。 ○加藤座長 率直に言うと、私は、これまでにかかった費用の回収までを考えて、これから の対策を考えるというのは不可能ではないか、無意味ではないかと思います。むしろ、これ から毎年発生していく費用を最小にする、ゼロにするという前提で考えるべきかなと思いま す。この委員会の最初にも申し上げたのですが、私は、いままでのしごと館に関する議論が、 先ほど木村委員がお話になりましたが、建物が華美だということで、本来の目的よりもマス コミなどの論評に少し振り回されすぎてしまったのではないかと思っています。本当の目的 を議論する前に、いろいろな廃止論だけが先行してしまった。4回議論していただきました が、改めて意義などについて議論できたので、もう1回、世論の形成も含めて、こういうこ とだったらやむを得ないとか、いいなという国民の理解といいますか、先ほど稲田委員がお っしゃったところでまとめるべきかなと思っています。 ○木村委員 オープンにいろいろご意見をいただいているわけですが、同じ委員である森永 先生が4回ともお出にならなかった。私は、ブログを見せていただいたりして、非常に感銘 しながら勉強させていただいているのです。こういう大事な場に、当然、ご都合もあったで しょうが、ここでいろいろなお知恵をいただいたらうれしかったのにな、と感じています。 それから、日本経団連の関係者にも過去の委員会でご諮問申し上げたこともあるのですが、 大事なお金を出された側の日本経団連さんが、どのようにお考えなのかということも聞きた かったわけです。そういう面からすれば、関西で直接かかわる者だけで意見を出していると いうことについては、何か寂しい思いがしているわけです。  それは置いておきまして、東京版はどうかわかりませんが、12月21日の毎日新聞に、高 卒者の就職難ということで、キャリア教育の充実を急げという社説があります。その他、各 紙の新聞も、最近、こういった職業教育とか人材育成という面では、社説で社を挙げてお取 り組みいただいている。その内容を見ますと、まさに今日的社会を映し出されていて、政治 責任として何とかしなさいよ、と言われているように私は受けているわけです。国の責任と して、厚生労働省だけではなしに、国家戦略として、10年先、30年先の日本をどうするの かという議論が全く行われないままで、お金を出すことが無駄だということが先行している。 私は終始そういう面では、要望なり意見を述べてきた1人ですが、何としてでも、この今日 的社会をじっと考えてみたときに、高齢者が若い人たちを支えねばならないような現実を、 このまま放置していいのかどうか。そういう角度から、経費の最小化、あるいは金を出さな い、何とか売却でもという、そういう安易なことだけは是非ともこの場では強く否定をして いただいて、国にかかわっていただく中で、民間の知恵、能力、あるいは、いろいろな面で、 民間が先行して何らかの事業の推進をしていく、その後ろ盾は、是非とも国の大きな力をい ただきたいと、これだけは是非ともお願いをしたいと思います。  先ほども、200人を超えるここで働いておられる方のご指摘もありましたが、我々地元と しても、何とか努力をしたいということは表明していますが、あくまでも原因者責任、誰が こういう原因をつくったかという原因者に100%責任を持ってもらいたい。そのカバーを周 辺の自治体なり関係者が、負うということにしないといけない。これも地元の責任で何とか 解決してくださいと言われるのは、私は到底耐えられないことです。正しい眼の置きどころ をきちんとやって、そして皆さんの協力を得て、すべての問題の解決に結び付けていただき たい。これだけは是非ともお願いしたいと思います。 ○加藤座長 ほかに、いかがですか。大体、皆さんの思いといいますか、ご意見を伺ったよ うに思いますので、討議は一応ここまでということにさせていただきまして、今日のご意見 も踏まえて、今日ご相談した最終報告書を取りまとめたいと思います。時間もあまりありま せんので、できれば、文面その他については、座長と事務局にご一任いただければと思いま す。よろしいでしょうか。案についてはご覧に入れますが、今日の最初の議論からありまし たように、1つは閣議決定という前提の中での話だということと、それから、いま地元でも、 先ほど山下委員からお話がありましたように、詰まってはいないけれども、いろいろなアイ デアも考えているのだと、そういう動きも尊重しながら最終報告をまとめたいと思います。 そんなことで、まずご一任いただくということでご了解いただきたいと思います。 ○山本委員 表現的なことで、2カ所だけ私が気になっているところがあります。1つは、8 頁の[5]の「建物面」のところの「無駄なスペースを」という表現です。いままで学園都市が 無駄の象徴のように言われてきていますので、こういう言葉は私自身、非常に気になります。 例えば「必要性の低いスペースは極力排除する」とか、多少表現を変えていただいたほうが いいのかなと思います。これは私の好みかもわかりませんが。 ○加藤座長 そのとおりです。そういたしましょう。 ○山本委員 もう1カ所は、11頁の[3]のアの「定義」のところです。定義で「職業体験施設 は、主に子供向けに」となっているのですが、子供向けということになると、どうしてもキ ッザニアのイメージが強いものですから、学園都市は中高生を中心にした職業体験施設とい う点からすると、ここはやはり「中高生」ときちんと書いていただいたほうがいいのではな いかという気がしました。その2点です。 ○加藤座長 「疑似体験」というのは、あまりいい言葉ではないですね。 ○山本委員 これもちょっと引っかかるのですが。 ○加藤座長 まさに実体験なのですよね。 ○山本委員 仕事の一部を実際に体験するという意味合いなのですが。 ○加藤座長 そうですね。 ○山本委員 確かに「疑似」という言葉はあまりいい言葉ではない。 ○加藤座長 文言等でお気付きのところはありますか。それでは、その整理も含めて文章整 理をさせていただきます。そういうことで、4回議論してきましたが、今日のご意見を踏ま えて最終報告案をまとめたいと思います。 ○大臣官房審議官 最後に一言、ご挨拶をさせていただきます。本来ならば局長の小野がご 挨拶をさせていただくところですが、今日はほかの所用が入っておりまして、失礼をいたし ます。最初の報告書にも書いてありますように、この4月以来4回にわたりまして本当に熱 心にご議論をいただきまして、ありがとうございました。PwCにお願いして、地元自治体、 関係の企業、団体等に対してヒアリング調査もやらせていただきましたが、そういったとこ ろに対してもいろいろなご協力をいただいたことに、感謝を申し上げる次第です。  また、議事を的確に進行していただきました加藤座長はじめ委員の皆様方、本当に重ねて 御礼を申し上げる次第でございます。報告はこういう形で、最終的に文言の整理等あります が、まとめさせていただくということにさせていただきたいと思います。今後は、それに基 づいて所要の手続を進めさせていただきたいと考えております。先ほど政務官の話にもあり ましたように、事業廃止後、建物を放置すべきではないという1つの大きな課題がある一方 で、皆様方から意見をいただきましたように、何も考えないで入札をして売るだけという形 にするべきではないということも、もちろん、大変重要なことだと考えています。文部科学 省からの回答、京都府さんからのご意見等をお聞きしまして、今後とも、関係各方面、ここ にいらっしゃる委員の方々はじめ、皆様方のご意向をよく踏まえながら、手続を進めさせて いただきたいと考えておりますので、また今後とも、ご指導の程をよろしくお願いしたいと 思います。  今年4月からですから、半年以上にわたりまして熱心にご議論いただき、まとめていただ きましたことに、改めて御礼を申し上げまして、ご挨拶にさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。それでは、これで検討会を終了とさせていた だきます。ありがとうございました。               (照会先)職業能力開発局育成支援課                    TEL:03-5253-1111(内線5390)                       03-3595-6901(直通)                    FAX:03-3580-3813