09/12/11 第1回角膜移植の基準等に関する作業班議事録          第1回角膜移植の基準等に関する作業班                                                    日時 平成21年12月11日(金)             15:00〜            場所 経済産業省別館1042会議室 ○大竹補佐 それでは、お時間少し早いですが、ただいまから「第1回角膜移植の基準等 に関する作業班」を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お足元の悪い中、 またお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は先の国 会で臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律が成立したことを受けまして、法改正 の施行に当たって角膜移植に関する基準を検討することを目的としています。  本日は第1回目の会議となりますので、班員の先生方のご紹介を事務局よりさせていた だきます。  東京大学準教授、天野史郎先生です。愛媛大学教授、大橋裕一先生です。京都府立医科 大学教授、木下茂先生です。国立感染症研究所部長、佐多徹太郎先生です。東京歯科大学 角膜センター長、篠崎尚史先生です。日本アイバンク協会理事長、所敬先生です。続きま して、事務局の紹介をさせていただきます。臓器移植対策室長の峯村です。 ○峯村室長 室長の峯村です。よろしくお願いいたします。 ○大竹補佐 続きまして竹内補佐です。 ○竹内補佐 竹内です。よろしくお願いいたします。 ○大竹補佐 長岡補佐です。 ○長岡補佐 長岡です。よろしくお願いします。 ○大竹補佐 井原主査です。 ○井原主査 井原です。よろしくお願いいたします。 ○大竹補佐 私は大竹と申します。どうぞよろしくお願いします。  さて、第1回の会議でして、班長を事務局からお願いしたいと思っています。事務局と いたしましては、京都府立医科大学の木下先生にお願いしたいと思っておりますが、皆さ ま、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大竹補佐 ありがとうございます。それでは木下先生、座長席までご移動願えればと思 います。  それでは、以下の進行を木下先生にお願いしたいと思います。報道カメラの方はいらっ しゃいましたらご退席のほど、よろしくお願いいたします。 ○木下座長 木下です。よろしくお願いします。まず始めに事務局から資料の確認をお願 いします。 ○大竹補佐 それでは、お手元の資料を議事次第に沿いましてご確認させていただきます。 まず、配付資料、資料1〜6までございます。資料1としまして「臓器の移植に関する法律 の一部を改正する法律の概要」、また資料2としまして「厚生科学審議会疾病対策部会臓器 移植委員会について」という3枚の紙です。資料3としまして「臓器の移植に関する法律 の運用に関する指針(ガイドライン)の一部改正(案)(概要)について」というものです。 また、資料4は2点ありまして、資料4-1としまして「親族への優先提供について」とい う1枚紙です。そして、資料4-2としまして「親族優先提供とレシピエント選択基準の関 係について」という、こちらも1枚紙です。資料5としまして「角膜移植希望者(レシピ エント)選択の標準的な基準(案)」というのがあります。こちら、2枚紙です。そして、 資料6としまして「眼球提供者(ドナー)適応基準について」という1枚紙です。また本 日、参考資料としまして参考資料1〜5までそれに続いています。ご確認いただければと思 います。  また、お手元にファイリングされています「作業班参考資料」があります。こちら、こ れまでの法律改正の経緯等を記した資料です。大変恐縮ですが、お帰りの際は机の上に置 いておいていただければと思います。もし、資料の不足等がありましたら事務局までお申 し付けください。資料確認は以上です。 ○木下座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。みなさん全部いっておられ ますか。  それでは早速、議事に移らせていただきたいと思います。この作業班ですけど、「改正さ れた法律の施行」ということで、それに向けて厚生科学審議会疾病対策部会での審議に当 たりまして、専門的な観点から検討が必要な事項について議論を行うということになって おります。先般からパブリックコメントも開始されておりますので、まず法改正全体の概 要とこの角膜の作業班の位置付けについて事務局から簡単にご説明をお願いします。 ○大竹補佐 それでは、資料1、2、3に沿いましてご説明させていただきます。まず資料 1、「法律の概要」ということで資料をご用意させていただきます。資料の1枚目は法律の 概要につきまして文書で記したものですが、2枚目、こちらは表になっています。こちら の新旧対照表で、比較表で確認させていただきたいと思っています。まず、今回の臓器移 植に関する法律の改正点なのですが、大きく5点あります。  まず1点目が、「親族に対する優先提供」です。左側に現行法、右側に改正法とあります が、現行法におきましては、「当面見合わせる」とガイドラインに規定しておりますが、改 正法におきましては「臓器の優先提供を認める」ということが記載されています。施行日 は平成22年1月17日になっております。また、2点目としまして、「脳死判定・臓器摘出 の要件」、こちら現行法では「本人の生前の書面による意思表示があり、家族が拒否しない 又は家族がいないこと」となっておりますが、改正法におきまして第1点目は現行法と同 じなのですが、2つ目の○で「本人の意思が不明(拒否の意思表明をしていない場合)で あり、家族の書面による承諾があること」ということが記載されています。ここが大きな 改正点です。  また3点目、小児の取扱いとして「15歳以上の者の意思表示を有効とする」、こちらを ガイドラインで記載されていますが、改正法におきましては「年齢に関わりなし」となっ ています。また4点目、被虐待児への対応としまして現行法では規定はありませんでした が、新たな法律におきましては「虐待を受けて死亡した児童から臓器が提供されることの ないよう適切に対応する」と記載されています。また最後に、普及・啓発活動等ですが、 これまで規定はなかったのですが、改正法においては「運転免許証等への意思表示の記載 を可能にする」等の施策を行うことが記載されています。後半4点は平成22年7月17日 をもって施行となっています。以上が法律に関する新旧の説明です。  続きまして、本作業班の位置づけを簡単にご説明させていただきます。資料2をご用意 ください。資料2、2頁に簡単な模式図があります。こちらでご説明させていただきます。 まず、法律の改正後、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会、こちらの審議会で早々 に議論をさせていただきました。9月15日に開催した次第ですが、この中で法施行に当た りましてどのような課題を整理し検討をする必要があるか、こちらを決めさせていただい た次第です。主な検討課題としてはいちばん左、5点あります。  まずIですが「親族への優先提供」、これにつきまして親族の範囲、そして親族への優先 提供意思の取扱いについて、またあっせん手続きについて、こうした課題が挙げられまし た。またII、「小児からの臓器提供」、ここにおいて小児の脳死判定基準をどうするか、ま た被虐待児の取扱い、更には15歳未満の者による拒否の意思表示について、こうしたこと が課題として挙げられています。更にIII、「本人意思が不明の場合」、意思表示していない ことの確認について、また有効な意思表示ができない者の取扱いについて、こうした方々 の取扱いについてどうするか。またIV、「普及啓発」、こちらは臓器提供意思カードについ て、また登録システムについて、更には普及啓発の対象者、方法、主な内容について、こ ういうことが検討すべきということがなされました。そして最後にV「臓器移植の実施に 係る課題」としまして、ドナー適応基準、レシピエント選択基準が挙げられています。  こうした大きな課題をどのような体制で整理するかということが中段に記載されていま す。いちばん上、「臓器提供に係る意思表示・小児からの臓器提供等に関する作業班」、主 に法律の先生方に入っていただきまして、親族の範囲、そして拒否の意思表示等について、 これまでも議論をいただいているところで一定の方針を示されているところです。また2 点目として、「普及啓発に関する作業班」、こちらの中ではドナーカードの様式について、 また登録システム、更には普及啓発の詳細について検討がなされているところです。また 3点目、「臓器毎による作業班」、現在角膜に関して先生方にお集まりいただいているこの 作業班はここに入ります。親族優先、小児からの臓器提供等に伴うドナー適応基準、レシ ピエント選択基準をご議論いただきたいと思っています。これまで全7班ある中の6班が 終了しておりまして、本日、7班目としまして角膜のことをご議論いただければと思って おります。  最後に厚生科学研究の研究班を設けまして、こちらで小児の脳死判定基準、また臓器提 供施設の体制整備、更には虐待を受けた児童への対策ということで研究代表者を貫井先生 にお願いいたしまして、こうした課題を現在研究班で整理をいただいているところです。  適時、こうした検討をご議論いただきまして、また厚生科学審議会臓器移植委員会にそ の検討内容を報告していただきまして、更にパブリックコメント等と併せまして奨励やガ イドラインを整備し、施行に向けた体制整備を図っていきたいと思っています。  更に1枚めくっていただいて、これまで行ってきた検討状況と、そして今後のスケジュ ールを簡単に記載させていただきました。9月15日、臓器移植委員会、先ほどご紹介しま した審議会ですが、第1回目を開催しまして、以下の作業班の体制が決められた次第です。 また適時、法律に関する作業班や、臓器ごとの作業班に関しましては9月来、肝臓、そし て肺、順次開催をさせていただきました。また、本日、11日ですが第1回角膜移植基準に 関する作業班を開かせていただき、後日、疾病対策部会臓器移植委員会にその検討内容を ご報告させていただきたいと思っています。  これまでのスケジュール、そして本作業班の位置付けについては以上です。 ○長岡補佐 引き続きまして資料3をご覧ください。資料3は広く一般の方から意見を募 集する手続きでありますパブリックコメント手続きを先月18日よりこの資料によって実 施しておりますので、以下、説明したいと思います。  横長の紙、1頁目の2番、「改正の概要」というところをご覧ください。こちらを順次説 明したいと思いますが、まず(1)です。こちらは親族優先提供の意思表示、これが何歳の方 からできるのかということですが、親族優先提供の意思表示は臓器提供の意思表示に併せ て行うことができると法律で定められておりますので、同じく15歳以上の者の意思表示を 有効なものとして取り扱うとして定めを置いています。続きまして(3)にお進みください。 (3)は今回、新しく設けられる親族優先提供の意思表示についていくつかの定めを置いてい るものです。まずアをご覧ください。親族の範囲ですが、立法者の意思を踏まえて限定的 に解釈するということで、配偶者、子及び父母ということで定めを置いています。こちら につきましては、3頁に考え方をお示ししておりますので併せてご覧ください。  3頁は親族の範囲についての基本的な考え方を記しておりますが、順次説明します。ま ず、配偶者、子及び父母とするというところですが、その考え方としては、上2つ、改正 法の国会審議において立法者から「親子及び配偶者」と明確に答弁されていること、また、 「臓器移植の公平性の原則に極力抵触しないような仕組みにする必要がある」といった答 弁をいただいているということがまず、挙げられています。次に臓器売買の防止等の観点 からは範囲をできるだけ狭く解すべきであるというご議論をいただいているということで こちらに記しております。  最後に家族概念の最小単位、これを考えた場合は、婚姻関係、それから親子関係が考え られるということから、立法者による「配偶者及び親、子」の意思は妥当ではなかろうか ということで、考え方としてお示しをしています。配偶者、子及び父母とした場合に、下 2つは養子、それから配偶者の中の事実婚配偶者についての取扱い、これについて記した ものです。真ん中が養子です。日本の養子縁組制度の下では成年養子を広く認めるという ことなので、臓器売買等の危険性を考えますと、養子縁組については限定的に取り扱うべ きであるということとしまして、要件が厳しく、実方、いわゆる生みの親ですが、その親 子関係を終了させる特別養子縁組は認めてもよいのではないかということで考え方をお示 ししています。その下が事実婚配偶者ですが、事実婚の方につきましては法律上の血を差 別する趣旨ではございませんが、臓器移植の場面においてその関係を形式だけではなく安 定性も含めて統一的に確認するのは難しいのではなかろうかということで、事実婚配偶者 を除くことと定めを置いたところです。  それでは2頁にお戻りください。2頁は「意思表示の方法」について定めを置いている ところですが、親族優先提供の意思表示は移植術に使用されるための臓器を死亡した後に 提供する意思に併せて書面に表示することができるということです。また、特定の親族を 指定してその方に臓器を優先的に提供するという意思が表示されていた場合には、その方 を含む親族全体へ優先的に提供する意思表示として取り扱うということで定めを置いてい ます。こちらも基本的な考え方を4頁の上の段に記しておりますので併せてご覧ください。  基本的考え方ですが、先ほど説明しましたが、親族優先提供の意思表示は移植機会の公 平の特例であること、また運用上のトラブルを防ぐ必要があるということを踏まえまして、 特定の親族を指定した意思表示があった場合には、順位付けがなされている場合も含めま して、指定された親族を含む親族一般への優先提供意思ということで取り扱うのが良いの ではないかという考え方を示しております。2番目ですが、そうした場合、優先提供の対 象となる親族が複数人となる場合があると思いますが、その場合はレシピエント選択基準 に従って医学的に優先順位を決定すべきであるということで考え方を示しております。  では、2頁に戻りまして、ウに進んでいただきたいと思います。ウは親族関係の確認に ついて記したところですが、1行目、親族への優先的な臓器の斡旋に際しましては、親族 関係及び親族関係本人であるということについて、公的証明書で確認をしていただくとい うことで定めを置いております。2つ目、2行目以下ですが、レシピエント選択の際に親族 関係を確認できる公的証明書の入手が困難であることが明らかな場合は、入手可能なその 他の公的証明書の情報、または、複数が望ましいとしていますが家族・遺族の方からの証 言によって、レシピエントの選択を開始して差し支えないということで定めを置いており ます。ただし、この場合も可能な限り、速やかに親族関係を確認できる公的証明書によっ て確認をしていただくということで定めを置いています。  エに進んでいただいて、留意事項です。1点目、医学的な理由等から、親族優先提供の 意思表示があった場合でも、必ずしも親族に対して移植術が行われるとは限らないという ことで定めを置いています。2点目の留意事項ですが、臓器提供の意思に併せて親族以外 の方に優先提供したいという意思表示が書面で表示されていた場合には、優先提供にかか る意思表示は無効です。ただ単に臓器を提供する意思表示として取り扱うということで定 めを置いています。  最後ですが、臓器の提供先を限定する意思、例えば親族にだけ提供して他の人にはあげ たくありませんといったような意思表示がなされていた場合は、それが親族に限定してい る場合も含めまして、法に基づく脳死判定と臓器摘出は見合わせるということで定めを置 いています。この考え方は4頁の下の段にお示ししておりますので併せてご覧ください。 基本的考え方のところですが、親族優先提供の意思表示は、臓器提供の意思表示に併せて 行うことができるとされていることから、臓器の提供先を限定し、その他の方には臓器を 提供することを拒否する意思が明らかな場合には、親族への優先提供意思の前提となる臓 器提供の意思がないと解しまして、臓器提供を行うべきではないのではないかという考え 方をお示ししています。  では最後、2の(4)ですが、こちらはコーディネーターについての手続きを定めたところ です。コーディネーターは今後、親族優先提供の意思表示が始まることで、臓器提供の意 思を表示していた方が併せて親族優先提供の意思を表示していたかどうかについて書面で 確認をいただくという定めを置いています。また、意思表示を確認された場合には、親族 への優先提供に関して必要な説明を行っていただくとともに、該当する親族及び親族のレ シピエント登録の有無について確認をいただくと、把握をしていただくということで定め を置いているところです。以上です。 ○木下座長 ありがとうございました。概略は大体、いまの説明でおわかりいただけたか と思いますけれども、何か全般的なことでご意見がありましたらご発言をお願いしたいと 思いますが。いかがでしょうか。  2頁目の4番のコーディネーターというところなのですが、他の臓器移植には臓器移植 ネットワークコーディネーターが必ず関係してくると思うのですが、角膜移植に関しては、 アイバンクコーディネーターという独自の制度があります。コーディネーターが実際には ほとんど動いていないアイバンクも、アイバンクは54ありますのでそういうところもあり ますので、そういうところでは医師そのものがその書面的な手続きもしているところもあ ります。このコーディネーターというのはそういう角膜移植に関しては角膜移植のアイバ ンクコーディネーター、もちろん臓器移植ネットワークのコーディネーターのいるところ もあります、アイバンクとして。ただ54の中でかなり整備のレベルがややばらけてますの で、その辺のことはご理解いただくということでよろしいですか。このコーディネーター というのはそういう意味として捉えたいと思います。他に何かよろしいですか。概要のほ うでも。天野先生、何かございますか。いいですか。大橋先生、いかがですか、いいです か。佐田先生、いかがですか。篠崎先生、よろしいですか。所先生、よろしいですか。  それでは、ここまでのご説明としてのご意見はここまでということで。早速、まずは親 族優先とそれからレシピエント選択基準の関係について本作業班で議論を行うに際しての 留意点を踏まえまして、法律の専門家による作業班での議論なども踏まえまして、事務局 から説明をお願いしたいと思います。「法律の」というのが非常にポイントでして、我々は 基本的に性善説でやっている医療なのですが、法律の観点からいくと、そこに落とし穴と かがあると、全然意図したことと違うようなことが起こる可能性もありますので、その辺 も踏まえて事務局からご説明をお願いいたします。 ○大竹補佐 はい、それでは資料4についてご説明させていただきます。資料4-1をご覧 いただければと思います。こちら親族への優先提供についてということで、法律による規 定、またそれに伴う国会の議論を示させていただいたものです。まず1点目、親族に臓器 の優先提供を認める規定ですが、こちらは平成22年1月17日施行で第6条の2に、以下 のように記載されております。「移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意 思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親 族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる」このよう に記載されております。  2番として、こういった議論に伴う国会での審議をご紹介させていただきます。まず1 点目です。本年5月27日の厚生労働委員会における河野太郎議員の答弁です。こちら下か ら3行目ですが、「親子及び配偶者に対しては親族の優先提供を認めること」ということで、 かなり厳しい枠をはめて、その中に限り優先提供を、これは心情を考えて認めるというよ うなご発言をしております。  また、さらに7月7日、参議院の厚生労働委員会山内議員のご発言ですが、下から5行 目、「A案におきましては、親族への優先の意思表示の規定を設けることとしておりますが、 この場合におきましても、その意思表示を踏まえた上で、最終的には血液型が適応するか などの条件に照らし合わせて順位が判定することになると想定しており、決して順位の判 定が恣意的に行われることはないと認識しています」と、このような発言をしております。  代表的なものを2点ご紹介させていただきました。また、資料4-2をご覧ください。先 ほどご紹介しました作業班、主に法律における作業班において、こちらの中で医療従事者 等も加わりまして、親族優先のレシピエント選択基準という取扱いについて議論を行って きたところです。その中においてレシピエント選択基準において優先順位の第1位として 取り扱うことがふさわしいとされたところですが、その中でのご議論を簡単にご紹介させ ていただきます。  まず1点目です。優先提供を受ける親族は、あらかじめレシピエント登録をされている ことを前提とすべきというご意見をいただきました。2点目、親族優先はレシピエント選 択基準の優先順位の第1位とするのが妥当ではないかというようなご意見をいただいてい ます。3点目、法律に規定されており、医学的緊急度などよりも優先されると解釈される。 このようなご意見をいただいています。4点目、同時移植希望者よりも単独での移植を希 望する親族が優先されると解釈されるというご議論をいただいています。また虚血許容時 間の位置づけは、臓器ごとの作業班において検討を行ってはどうか。最後に、親族への優 先提供に伴う移植を必要とする方の親族に対する心理的な影響としまして、特に生体移植 の行えない心臓移植における親族の自殺の誘発について懸念がされたところです。資料4 に関しては以上です。 ○木下座長 ありがとうございました。それではこの親族優先提供、レシピエント選択基 準、ここら辺のことについて全般的にいまのご説明についてのご質問はございますでしょ うか。班会議ですからフリーに話していただいていいかと思いますが、いかがでしょうか。 特になければどんどん進むというよりは、実際に今日本当にディスカッション、議論をし たいところへ進めていっていいですか。それではよろしければ、レシピエントの選択基準 について、検討を行っていきたいと思いますが、それでよろしいですか。  まず、事務局から現在の角膜移植におけるレシピエント選択の現状と法改正を踏まえた 対応について、説明をお願いします。 ○大竹補佐 はい、それでは資料5に沿いましてご説明をしたいと考えております。本日 は参考資料2から5まで、こちらは全国54カ所のアイバンクにおいて、眼球のあっせんが 行われていますが、その1部を参考資料として添付させていただいています。参考資料2 に関しては、角膜センター・アイバンク医学基準ということで、角膜センターから拝借し たものです。また、参考資料3に関しては、静岡県のアイバンクから抜粋したものです。 資料4は、富山県のアイバンクの医学基準です。資料5は兵庫県からのアイバンクの基準 です。こうしたことを参考にしながら、我々のほうで法律事項である親族優先については、 全国一律に取り扱う必要があることと、本作業班において法改正を踏まえた標準的な基準 案を作成していただきたいと思いまして、素案としてご用意したものが資料5となってい ます。  資料5の説明をさせていただきます。1点目として移植希望者待機リストということで、 各眼球あっせん機関において移植希望者の登録順に角膜移植待機リストを作成する。なお、 角膜移植希望者が医学的に緊急な角膜の使用を必要とする場合においては、広域あっせん を含めた眼球あっせん機関の間におけるあっせんについても考慮すると、このように記載 させていただきました。  また2点目、優先順位ですが、角膜移植希望者の優先順位は、以下の順に勘案して決定 する。こちらは2本立てに分けさせていただきまして、(1)として1眼の提供があった場 合には(1)として優先すべき親族、当該親族を優先する。今回の法律改正に併せて親族優先 を記載させていただきました。また、(2)として医学的に緊急な角膜が使用がされる者、具 体的には角膜穿孔、角膜潰瘍、角膜感染症などを優先すると記載しております。(3)として 待期期間の長い者を優先するとなっております。  また(2)として2眼の提供があった場合、こちら1眼については(1)に基づき配分し、も う片眼については下期の順に配分するとなっています。まずは先ほどと同様、優先すべき 親族、さらには(2)として医学的に緊急な角膜の使用が必要とされる者、またここが(1)と違 うところですが、必要性の高い者、必要性の高い状態とは両眼性視力低下、そして疼痛な どをいい、と記載させていただいています。1枚めくり、待機期間として、待機期間の長 い者を優先するとなっています。  さらに3点目、附則として両眼の移植が必要な者の取扱いとして、両眼に対する移植は、 片眼移植終了後、改めて移植希望者の登録を行うこととする。ただし、2眼とも医学的に 緊急な角膜の使用が必要とされる場合はその限りではない、と付けさせていただきました。 レシピエント選択基準案については以上です。 ○木下座長 ありがとうございました。それでは参考資料にありますように角・アイバン クにおいてあっせん業務を行っているわけですが、作業班として今回の法改正を踏まえて 標準的な基準という形でレシピエントの選択基準を作成したいと思っております。これが いちばんの今日の趣旨になるかと思います。角・アイバンクの基準も参考にしながら、そ れ以外にアイバンクの置かれている状況も想定しながら、事務局に提示いただいた案につ いて、ご意見をいただければありがたいです。1眼と2眼ということが実際にありまして、 54のアイバンクの中でいくつかのアイバンクは片眼の提供ということをかなり推進して、 眼球提供を非常にたくさんいただいていて、愛知県などいくつかあります。あとは医学的 に緊急な角膜の使用云々ということについては、前に厚生労働省からいただいた厚生科学 研究費で随分昔ですが、研究した内容が現在もここに残っているというところになるかと 思います。篠崎班員どうでしょうか。 ○篠崎班員 この基準(案)にあるように1眼、2眼と、我々も最初アイバンクの医学基 準を作ったときに、提供の形式として、ちなみに大体日本全国平均でお1人のドナー数と 移植した角膜数で見ますと、年によってばらつきはありますが、昔は1.68というレベルで したが、最近は1.8眼ぐらいです。ということは大体2割ぐらいの方が片眼しか使えない、 使用不可能であるということになると思うのです。基本的にはある程度考えてあっせん基 準を作るべきなのかなというのが1つあったことと、1眼しか使用できない提供者の場合、 その1眼がどこへいくかというと、結構2眼のときよりも自由度が狭められるべきでない かという発想があって、こういう基準を作ったのですが、果たしてそれでこの審議会で全 体的な賛同を得られる基準なのかどうかということを、一度皆さんにご意見を伺いたいと 思うのです。 ○木下座長 いまの話は1眼の提供があったというのと、提供は2眼あったけれども、1 眼しか使えないというのは、それは1眼と同じというように考えて作ってきたわけですね。 ○篠崎班員 そうです。 ○木下座長 いかがでしょうか。 ○井原主査 ご参考として参考資料2及び参考資料4についてはそれぞれ1眼の提供があ った場合と2眼の提供があった場合で基準を設けているものになります。参考資料2は10 頁目からが分配についての考え方が記載されています。また参考資料4は5頁から記載さ れていますのでご参考にしてください。また参考資料3及び参考資料5については、提供 された眼球の数にかかわらず、1つの基準の中で分配を行っているという点で提示させて いただいております。参考資料3については2頁から、参考資料5については8頁から分 配法が記載してありますので、併せてご覧いただきながらご意見をいただければと思いま す。 ○大橋班員 (2)の2眼の提供があった場合ですが、(3)の必要性の高い者が結局(1)なので すね。入り方なのですが、ここが3番目に入る意味が何かあるのでしょうか。普通なら4、 必要性の高いものというか、改めて付けるのなら。逆に言うと上の1眼のときに(2)の(3)が 入っているほうが妥当なような気がするのです。何か順位がちょっと上がって、待機期間 の長い者よりも前に出てきている意味がよくわかりませんが。 ○木下座長 そうそう、そこはそうなってね。この案が絶対ではないのですよ。そこの中 でまず優先する親族というのが1番で。 ○大橋班員 それはございますね。異論がない。 ○木下座長 このことについてまず異論がないと、法律の関係もありますけれども、それ が大前提。そこのところはそれではよろしいですか。1眼であれ2眼であれ。 ○大橋班員 はい。 ○木下座長 その次のところからはかなりさまざまな考え方があると思うので、それは先 生のおっしゃるように決めていただくといいです。1つ、例えば待機期間の長い者という のは、待機するけれども、ずっと断っているというような人がいますよね。本人が。連絡 ても。だから、そういうとこら辺とかのことも含めて、どういうふうに処理をするか。 ○大橋班員 普通考えると1眼しかないときは、要はよりニーズの高い人にということで しょう。そうすると、(2)の(3)のほうがニーズが高い場合がある。これが(1)(3)にあって、 (4)待機者の長い者を優先するというのが(2)のいちばん最後にあれば、何かリーズナブルの ような気がするのです。 ○木下座長 大橋先生のおっしゃるのも1つかと思います。 ○天野班員 必要性の高い者というのと、医学的緊急な(2)の(2)との境目といいますか、実 際にどちらも必要性は高いわけですが、疼痛が強かったりというのも、やはり緊急とは言 えないかもしれませんが、この(2)と(3)をどこで区別するのかというのが、実際の場面で難 しいところもあるのではないかと思うのですが。 ○木下座長 これはですね、おそらく過去から広域あっせんを依頼する場合があります。 それは角膜が穿孔したり非常に緊急性があって、自分の所のアイバンクで対応できないと いう広域あっせんをかける場合、それが(2)を想定していて、(3)番目というのは、両眼の疾 患で相当に視力が悪い、あるいは水疱性角膜症などで疼痛があるといった例で、そこに(2) と(3)にやや順位が出てくるかなというような議論も、前からこれはあったかと思います。 所先生いかがでしょうか。 ○所班員 そうですね、やはり(2)と(3)というのはわりと似通っていると思うのです。必要 性が高いというのは(3)は両眼ということだけのような気がするのです。ですから、疼痛と いうのは(2)の場合も結構あると思いますので、両眼視力低下というのをどのように扱うか。 ○大橋班員 (2)というのはほかに代替の治療がほぼないという意味だと思うのです。角膜 移植以外に救えないというか、それはイメージ的にかなり絶対的適用ということですよね。 ○所班員 (3)案の疼痛の場合はほかに治療のオプションがありますから、例えば疼痛を取 る治療、羊膜移植をしたりコンタクトレンズを使うとかいろいろあるので、だからたぶん そうですよね。穿孔したらもう角膜移植ということが第一義的になりますね。 ○木下座長 現場の感覚で言いますと、(2)と(3)は近いけどやはり微妙に差があるというふ うに思います。そうすると、この待機期間の長い人というのと、必要性の高い人というか ですね、この辺の順番ですね。プライオリティの順番ですね。 ○大橋班員 必要性の高いのが上にきているのに、よりチャンスの少ない1眼のときに、 それが省かれている理由がよくわからない。 ○木下座長 だから、そこが整合性が。 ○大橋班員 それだけのことです。それが何か意味があるのなら、全然。 ○木下座長 篠崎先生どうですか。 ○篠崎班員 これももともとの私どものところは必要性というのは医学的の中に入ってい て、除外事項に入っているのです。もともとこれは親族優先がなかったものですから、う ちはもう1眼であろうと2眼であろうと待機患者順という基本概念がありまして、これも 実はそうだったのです。いちばんベースである(1)-(3)にしろ、(2)-(4)にせよ、もともとの ベースは待機時間によって公平にやっていたのですよね。それの除外項目として必要性が 高い者。それよりも緊急度が高い者、そして今度は親族優先ときたのだと思うのです。だ から、そこのどこにボーダーを付けるのかという法的な意味があれば、先生がおっしゃる ように医学的なところでいうと現場で緊急性と痛みに訴えて大変で、ちょっと痛みを抑え るのも大変だという状況があれば、それは現場の先生方は医学的と判断される可能性も高 いでしょうし、混乱することもあるかなと。ただ、両眼性といいますか、度合いというの はあまり、必要性が高いか、両眼性か片眼性かで。 ○大橋班員 角膜変性症とか、そんなのでしょうね。 ○篠崎班員 はい、はい。 ○木下座長 これは両眼の極度な視力低下という意味でしょうね。 ○篠崎班員 たぶんですね、ごめんなさい、我々はいままではそういうものを優位に上げ ることはしていなかった。アイバンクの待機順としてはしていなかったものですから、そ の必要性ということを勘案して、その辺も今回考え方の基本をここでお決めいただくのは 非常に現場にとっては重要だと思います。 ○木下座長 いま議論しているところは、片方の目はよく見えている。片方が角膜混濁が ある。それで待っているという人と、両眼性で極端に、これは極端な視力低下かどうかと いうことがありますが、極端な視力低下で日常というか、実際上自分で自分のことができ ないというような人と、どちらを優先するのですかというような議論だと思うのです。篠 崎先生がおっしゃったように待機期間については待機期間の長い人から手術をするという のが大原則であって、その中の除外事項の第1番が優先提供、第2番が医学的緊急度、第 3番がたぶん必要性の高い人ということになってくるのだろうと思います。 ○篠崎班員 事務局のほうで何か法的な側面とか、公平とか、担保という面で見て、1眼 の場合と2眼の場合の違いというものがあるのですか。 ○井原主査 基本的には移植を必要としている方のほうがドナーの方より多いという部分 は眼球においてもあるわけなので、待機期間というのが一定の公平性を担保する基準だと 思っております。ですので、1眼しかなかった場合には、いま大橋先生からもご指摘があ りましたが、移植しか治療の方法がない方というのは、待機期間より優先されるべきであ ろうということで、親族の次に医学的な緊急性がある方、そしてその次は待機期間の長く 待たれた方になるべく移植の機会をご提供するということです。一方2眼あった場合に、1 眼については長く待たれている方にご提供して、もう1眼については待っていることはわ かるのですが、それ以上に両方極端に視力が落ちていたりして、社会的な必要性というか、 そういう観点から移植の機会を早くご提供できたらどうかということで、2眼の提供があ った場合に、間に必要性の高い方というのを入れさせていただいています。 ○木下座長 2眼が例えてはこうなのですね。 ○井原主査 わかります。ただ、おっしゃるとおりに必要性の高いものというのが本来1 眼の場合でも、入ったほうがいいのかどうかというのは、それぞれ54カ所のアイバンクの 移植を待っている方の数と、実際に年間出るドナーの数というので、かなりばらつきがあ るのではないかと正直思っております。そういったことを背景として、今回4つのアイバ ンクから基準をご提供いただきましたが、それぞれ少し違う形であっせんのルールを決め ているのかなと。それは法律に基づかないということではなくて、それは角膜に関しては 臓器移植法より早く前からやっていただいていることになりますので、その地域の特性と いうのを反映しているのかなと思っております。  今回は親族優先というのは一律に扱っていただく必要がありますので、その際に少し各 アイバンクの方にお示しできる基準として、統一的な見解を先生方にご議論いただければ なと思っております。 ○木下座長 いかがですか。 ○大橋班員 了解。 ○篠崎班員 どっちかが……なのはわかりやすいですね。 ○木下座長 はい。いいですか。あっという間に解決してしまいましたね、井原さんの説 明で。それではまず親族優先は先ほどご了解していましたが、この基準を原則それでは皆 さんご賛同いただけたと。 ○篠崎班員 アイバンク側の立場として、例えば親族優先は書面で示すと書かれています よね。親族優先提供希望しているドナーがご提供になったという場合に、それはレシピエ ントの方を我々は現場で探すわけですね。その方は提供時に登録されていなければいけな いわけですね。 ○木下座長 そこは先ほどにも何かありましたね。登録をしていなければならないという 意見が入っていないと。 ○井原主査 それは必須だと思います。 ○篠崎班員 それはそうだね。 ○井原主査 あっせん機関があっせんする対象としては、事前に登録を済ませている方と いうのがもう大前提になっています。 ○木下座長 それは角膜移植は臓器移植ネットワークのようなネットワークコンピュータ に登録されていないと、紙ベースで確認するしかないとか、そういうことですね。 ○篠崎班員 登録はアイバンクでは確認できると思うのですが、その方を確認するという 作業が各バンクにも通達として出していただく必要があるのかなと思います。 ○木下座長 ただし場所が54のアイバンクがあって、違う所で亡くなるというか、例えば 旅先で亡くなったと。それで眼球は違うアイバンクがそれを取りに行ったと。実は前から 違う、例えば先生の所で親族登録がされていたと。そういうときに、果たしてスムーズに チェックできるだろうかと、そういうことがあるのではないかと思います。 ○篠崎班員 我々は現状でも、例えばアイバンクに登録していたのですというような登録 証がいまも過去にもない場合、というご家族からの提供に何度か遭遇しているのですが、 その場合には一応地元のバンクに確認作業は、バンク同士ではやらしていただいていると いうことはあります。  逆に言うと、今度はアイバンク協会のほうからも、そういったことに対応できる、例え ば夜中であったり年末であったりする可能性がありますので、待機リストにあるかどうか、 目の場合ですと一刻を急いでいるわけではないので、あっせん時間というのは大体1日、2 日の余裕はあると思うのです。その間に確認できるような体制も是非協会のほうからご指 示いただければ、我々もそういったアクセスできるような体制をとらなくてはいけないと 思っています。そのかわりに現住所を、例えば親族優先登録した方の現住所のバンクには 確認がとれると。大体都道府県に1つですよね。その上で確認をとれれば、もしその体制 さえ整えていただくような指導ができるのであれば不可能ではないと思うのです。ただ、 違う都道府県であった場合にはかなり厳しくなる可能性はあると思うので、その場合には やはり地元のバンクに確認してもらうしかないと思います。 ○所班員 ひとつ別のことでいいですか。2眼の提供があった場合、親族の方に移植する わけですが、その方が同一人に2眼移植することはこれでは可能になるのでしょうか。そ れ以外の方は順番があれですね、次のものになるわけですね。 ○木下座長 移植のところ。 ○大橋班員 そこが優先すれば駄目ですよ。 ○木下座長 これはでも親族優先のところには。 ○大橋班員 親族優先にはかからないでしょう。 ○木下座長 かかっていないです。 ○大橋班員 (3)にかかっているのです。 ○木下座長 両眼を角膜移植をしてほしいという親族優先で。 ○篠崎班員 2つパターンがありますよね。両眼のマイナス事案の場合とお2人にという 場合があります。 ○木下座長 親子でね。 ○篠崎班員 子どもがないとか、大体両方のパターンを考えるべきだと思います。 ○大橋班員 個人が異なればいいでしょうね。 ○木下座長 個人が異なればいいのだと。 ○大橋班員 現実の臨床としては両眼は普通1週間を置いてオペすることはあるのです。 できないことはないです。 ○木下座長 だから同時に手術するというのもあるかもわかりませんね。普通はだから少 なくともリスクだね。 ○篠崎班員 あり得ない高いリスクですね。 ○木下座長 でも親が子ども2人にというような角膜移植はあり得るよね。それはこの中 に入っているのではないですか。 ○篠崎班員 (2)-(1)に関しては(1)-(1)とは別人、同時人物ではない前提というので、それ を明記しておいていただいたほうがいいのかなと思います。2眼の場合の、したがって2 眼の提供があった場合の1の優先すべき親族というのは、(1)-(1)の優先親族とはこの別人 物であるという前提でよろしいですか。だって同一人物でもともと。 ○井原主査 その点は1眼、1個を分配された後についてのお話になるのでそもそも除外 されて。 ○篠崎班員 (2)-(1)の場合、同一人物は考えなくていいということですね。 ○木下座長 これはもうこのまま読んでそれでいけるのではないのかな。 ○井原主査 ですので、例えば親から子ども2人に対して1眼ずつ提供がいくというのは 考えております。あとは緊急的に両眼の移植が必要な方については、お1人の方にいくと いうことも考えています。緊急的に必要でない場合に2眼移植するケースというのは想定 されるのですか。 ○木下座長 例外的にもあるわね。ですから親族優先の中で2眼同時に1人であれ2人で あれ、使うことはそれも含めて優先するのでいいということですね、考え方は。皆さんこ この方は。 ○大橋班員 異なればいいと。 ○木下座長 異なれば。 ○大橋班員 両眼同時移植を認ると、先生が言われたように。 ○木下座長 まず、ないと思います。まず、ないと思うけれども、想定外と言わずに想定 内であるということで、それも含めて優先提供を認めると。 ○大橋班員 この場合もそうですから。 ○井原主査 それは附則の3という形で緊急的に両眼が本当に必要な場合には、医学的に され得るということだと思いますので、ここは医学的な移植、あくまでも手術で必要性の あることになりますので、医学的な観点から必要性をご判断いただくということなのかな と考えています。 ○所班員 附則の3というのは親族というにもかかるわけですか。 ○井原主査 はい、そう考えておりましたが、緊急的な場合以外に、そもそもやられるこ とがあるのでしょうか。 ○木下座長 想定しているのは本当に子どもが両眼の、たぶん何らかのジストロフィーか 何かであって、親が両方とも角膜移植をさせてやりたいと言って、両方を同時に手術して くれということは、そういうのは想定としてはあり得るのですよね。 ○大橋班員 ただ想定してなかった、だからこの文言の中では別に違反というか。 ○木下座長 これで別にそれをしても違反ではないのですよね。 ○大橋班員 この文言なら。 ○所班員 医学的に必要な場合であれば、当然行われるものなのかどうか。 ○長岡補査 (2)はそう読むことはできるかと思います。まず(2)で1眼については(1)に基 づき分配しているのですから、そこにまた親族の。 ○木下座長 (2)だよね。 ○長岡補査 はい。もう1眼残りますので、その方についても当該の親族というか、医学 的に緊急性が高くて、(1)の優先すべき親族に当たるというのであればかまわないという考 えます。 ○天野班員 木下先生のおっしゃった点は緊急性はないです。ただ、親としては両眼とも 子どもが見えるように一遍にしてあげたいという場合は、これに従うとやっていけないで すよ、緊急性がないから。これは断わるというか、片方だけやってあげるということにな るのではないかと思います。この案のままだと。私はそれでいいと思います。 ○篠崎班員 もう1回お願いします。理解不足なもので、まず2眼提供があった場合、1 眼については1を使うわけですから、要は(1)-(1)で優先的に使うわけですね。 ○木下座長 そうそう、優先的にね。 ○篠崎班長 もう1眼が(2)-(1)になった場合の親族が同じ人でいいか悪いかという問題で すよね。 ○木下座長 そうそう。 ○篠崎班員 それをいちいち規定する必要はないと。 ○木下座長 そうしたらできるのではないですか。 ○篠崎班員 そういうこと。 ○大橋班員 できますよ。 ○天野班員 3の附則だと医学的に緊急の場合でないと両眼の登録はしてはいけないこと になっていますよね。片方が終わってから登録しなさいと書いてあってね。両眼、例えば 感染症を起こしている場合はやってもいいけれども、ジストロフィーとかでそんなに急が ない場合は、片方しかできない。このままの……。 ○木下座長 これは待機時間の話ですね。 ○篠崎班員 全体ですよね。 ○木下座長 附則、だからこれが要るかどうかということですよね。附則の1が。 ○井原主査 現行はどういった取扱いにされているのですか。これ1つ。静岡県のアイバ ンクの3頁にあります(6)を参考に作らさせていただいていますが、ほかのバンクで例えば そういう両眼が必要な方をどういう取扱いにしているかという一般的な形を反映させてい ただければと思います。 ○木下座長 あまりしっかりと規定はされていないようですけど、片方を手術して、その 後、また1から移植を希望すると並んでいる所が多いと思います。ですから、両方の目を 同時に移植希望に入れているわけではなくて、一旦角膜移植を片方して、その後、ここに 書いてあるように再度移植登録をするという、普通はそういうふうなことですよね。  そのことがこのように文書として明言化されていないところが多いです。いかがですか。 この親族優先以外であれば、附則はここにこのようにあるほうが絶対にいいと思います。 ○篠崎班員 腎臓のほうの話は片方だけ。 ○井原主査 基本的にお1人の方に、1つずつであって機能する場合に、2腎を同時に1人 の方に移植するという場合は医療行為としてはあり得ないことですので行われません。た だ、1つだけでは機能として不十分である場合には2つを1人の方に移植するというのは 通常の医療行為として行われますので、それは親族であっても変わらないということにな ります。 ○篠崎班員 この文言であれば、否定しているものではないのですよね。 ○木下座長 これは否定はしていないのですが、明確にしていないですよね。1人の人に2 眼がいくということについて、イエスともノーとも言っていないというようなことになり ますね。 ○大橋班員 天野先生が言われたように2眼全体にかかったら。 ○木下座長 緊急性がなければね。 ○井原主査 そうですね、その角膜移植の方法として2眼同時にやるというのがあり得る のであれば、緊急性の場合と並列で親族の場合には2眼同時というのを明記してあったほ うがわかりやすいという。 ○木下座長 それを書いておけばわかりやすい気がします。いかがですか、そこは。 ○所班員 附則の3についても親族にかからないようにしたら。 ○木下座長 親族に限ってはこの限りではないということですね。 ○天野班員 実際に、緊急性がないのに親族から両眼を例えば子供に同時に移植するとい うことは、まずないですよ。緊急性があればやることもあると思うのですが、滅多にない ことだと思います。そうすると、ここはこのままでいいと思うのです。というのは、緊急 性があるのだったら両眼登録して親族の方から2つとも同じ人にいっても、これはいいと いうことになっています。緊急性がある場合です。ない場合は片方ずつやりなさいと書い てあるわけですから。 ○木下座長 片方ずつというのは。 ○天野班員 片方やって、そのあとまた登録し直しなさいと。 ○木下座長 だから、片方は親族だけれども、片方はそうではないということですよね。 ○天野班員 このままで現実にうまくいくと思うのですが。 ○篠崎班員 医学的にも安全性は高いですよね。万が一同時にやって、それこそ感染症で もあった場合は、両眼の危険性がありますから。 ○木下座長 だから、国会答弁のときも、心情を鑑みて云々と。親族優先のそこのところ は、角膜に関しても、一応そのことは片目については優先されますよ、ということですよ ね。 ○大橋班員 親族優先のほうがすごく重いと見れば、木下座長が言うように、認めざるを 得ないということになる。それを第一義的にすると、両眼でも。 ○井原主査 あくまでも医学的な安全性というものを担保した上でやっていただくという 形を考えています。ですので、医療行為としての安全性がないものをやるというのは、や はり考えづらいと。角膜以外については、日本臓器移植ネットワークが一元的にあっせん を行っていますので、そこの基準の中に親族優先を入れる場合には、血液型などがまず合 っているかどうかで1回スクリーニングをかけまして、そのあとに優先順位を決めるとい う形になっています。親族に関しても、血液型が合わないような場合には、医療行為とし ての移植術の安全性というものが担保されませんので、その場合には親族の方は優先され ないという形で基準を設けています。そこは、角膜移植の安全性という部分からご判断を いただきたいと思います。 ○木下座長 そうですよね。ちょっとそれ以上にはわからないというか、法律家の考え方 というのが若干あると思うのです。そこのところは我々の中でちょっと整理ができないの で、法律的に見たときに2眼を親族優先だと理解していたと言われたときに、こちらは片 方だけをして、それで親族優先をしましたというので、耐えられるものなのか耐えられな いものなのかはわからないので、そこのところは法律の部会のほうで聞いていただいて。 ○長岡補佐 そうですね。10月1日に、先ほど資料4-2でご紹介したと思いますが、親族 優先提供というものを、移植機会の公平性のある意味例外ということで、どこまで認める かという議論になったわけです。その中で出てきましたのは、医学的に適切な移植という ことを動かすところまではさすがに難しいだろう、ということで出てきています。先ほど 腎臓のケースで申し上げましたが、1つの腎臓が有効に機能するということであれば、医 学的にここで適切な移植が行われて、それが有効に機能しているということですので、そ の場合は、もう1腎をあえてその方にもう1つあげるというよりは、公平性ということも あって、おそらく分配させるのだろうと考えます。先ほど篠崎班員からご指摘がありまし たが、両目の角膜を移植した場合に、それが医学的に適切な移植にならないということで すと、そこまで親族優先提供ということで、公平性を崩してまで認めるということは、お そらく法律の班に戻した場合も、そこまでは求めないだろうという結論になるかと思いま す。 ○木下座長 ありがとうございます。長岡補佐のご意見も踏まえまして、原則、天野委員、 大橋委員のおっしゃるように、このままの基準で、附則の1というものも緩やかながら踏 まえて親族優先を取り扱うということで、この会としてはいきたいと思います。念のため に、法律部会のほうに最終的に聞いていただけるとありがたいです。 ○井原主査 (2)の「医学的に緊急な角膜の治療が必要とされるもの」というところに、例 えば移植のみしか治療法がないということを記載したほうがわかりやすいかどうかという 点と、(2)の(3)なのですが、疼痛というところにも両眼性というのをかけたほうがいいのか、 また、先ほどご指摘がありましたが、「視力低下」のところに「極度の」という言葉を入れ たほうがいいか。その辺のご指摘をいただければと思います。 ○木下座長 まず(2)の(3)の「両眼性視力低下」というところを「両眼性の極度の視力低下」 とするか、単に「両眼性視力低下」とするかということですが。 ○大橋班員 何か付けたほうがいいですね。極度と言いますか、高度。0.1ぐらいのイメ ージなのですかね。 ○木下座長 社会的失明ということでね。両眼性の高度な視力低下。それから、疼痛とい うのは両眼なのか。 ○井原主査 そこはあまり限らずに、疼痛がある場合と。 ○木下座長 それでは、(2)の(2)に、大橋委員の言われました、角膜移植以外には代替する 治療がないと。 ○井原主査 それは、何となくいまの(2)の表現で、先生方が一般にそういうご判断をされ て、いま広域あっせんもしているということであれば、特段書く必要はないかと思うので すが。 ○木下座長 これはそういう理解なので、あまり書きすぎるとあれなので、このままでい いのではないでしょうか。 ○井原主査 このままでいいですね。 ○木下座長 それでは、この基準を1つの参考として各アイバンクに周知するということ でよろしいでしょうか。これはあくまでも基準案です。各アイバンクの基準を今日も3つ ご提示していますが、文章の形式でまとめているものが多いように思いますので、各アイ バンクにお知らせするに当たっては、今回のこの基準の案を盛り込んだ形のものを、いま 少しコーディネーターの人たちにもわかりやすいように、文章にして作成していただける とありがたいと思います。例えば篠崎班員、いかがでしょうか。 ○篠崎班員 この参考資料にあるのも我々が作成したものなのですが、このような形でよ ろしければ、私どももこれに基づいて変える必要がありますので、参考としてそれを書い て、時間的にも余裕がないと思うので、班長と事務局にご検討を賜るということであれば、 お作りするのにやぶさかではないですが。 ○木下座長 たぶん、そのほうが具体的にわかりやすいですよね。作っていただいて。 ○篠崎班員 今日の変更点を入れたものを一度私にちょうだいして、それに基づいて作成 して、事務局に1回見ていただくということでよろしいですか。 ○木下座長 念のために班員の先生にもお目通しをいただくということで。ただ、1月17 日では駄目なので、もう少し前から配っていただかなければいけません。そういう時間的 な制約がありますが、よろしくお願いします。それでは、本作業班で取りまとめました案 を参考に、各アイバンクにおいて、先ほどもありましたが、法改正を受けた対応をしてい ただきたいと思います。これについては、もちろん厚生労働省からの通達、通知もあるか と思いますが、日本アイバンク協会からも、それをサポートするような形で、54のアイバ ンクに所先生のほうからご連絡をいただけるとありがたいと思います。それでは、続きま して、ドナーの適応基準について検討したいと思います。まず事務局から、現行のドナー 適応基準等について説明をお願いします。 ○大竹補佐 それでは、資料6に沿ってご説明したいと思います。資料6「眼球提供者(ド ナー)適応基準について」という紙をご用意させていただきました。現状では、眼球提供 者となることができる者は次の疾患または状態を伴わないこととしまして、1番にありま す、原因不明の死から、細菌性、真菌性又はウイルス性全身性活動性感染症、そしてHIV 等の抗体が陽性であること、また、(4)として、クロイツフェルト・ヤコブ病その疑い、そ の他、亜急性、急性のウイルス感染症が羅列してあります。また、さらには、(5)としまし て、眼内悪性腫瘍、白血病、こうした疾患が並んでいます。また、2番としまして、「次の 疾患又は状態を伴うドナーからの眼球の提供があった場合には、移植を行う医師に当該情 報を提供すること」としまして、(1)のアルツハイマー病から(4)の梅毒陽性反応まで記載 されています。また、今回3番として朱書きで入れさせていただいたのは、ほかの臓器の ドナーの適応基準に年齢についての上限、下限等について議論していただいたものですか ら、角膜においてもこの件について、本日我々から意見打診をさせていただきました。こ の点については、ご議論を後ほどさせていただけければと思っています。また、付記とし て1番から3番までございます。最後に「適時この基準を見直されること」ということで 締め括っています。 ○木下座長 ありがとうございました。それでは、このドナー適応基準について、法改正 の点も踏まえてご意見をお願いしたいと思います。年齢のこともありますが、全般的にほ かにも何か。原因不明の死というのは、ほかにあるのですか。 ○大竹補佐 ほかのドナー基準にはないですね。 ○木下座長 ないですか。なぜ原因不明の死というのが。 ○篠崎班員 これは、死因が明確でない場合で、検死なり行政解剖、司法解剖等がない場 合のものに関しては、感染症なども出てこない可能性があるので、それを排除したという 歴史的なものらしいです。これは、もともとはアメリカのアイバンク協会の、世界で初め てできた医学基準から持ってきたもので、歴史的に付いている意見なのです。 ○木下座長 これは、歴史的に付いているということと、角膜移植が心臓死を対象として いて、脳死ではないところで昔から来ていたのと、移植までの時間を緊急性を持ってする という歴史的背景があったからですね。これも含めてですが、私は、個人的には、1番の (1)の「原因不明の死」というのを置いておくのがいいのかどうかということと、年齢制限 を付けるのか付けないのかということですね。角膜移植はかなり特殊といいますか、ほか の移植臓器とだいぶ違いますから、必ずしもこの適応基準を変えなければならないという わけではないのですが、このような班会議で議論できるということであれば、それも。 ○大橋班員 細かいことでもいいですか。てにをはの話で恐縮なのですが、1の(3)の「HCV 抗体など」の「など」の意図なのですが、この4つのことを指して「など」と言っている のか、それとも、これ以外にまだあるかもしれないという意味なのかが、よくわからない のです。 ○木下座長 これ以外ですか。 ○大橋班員 例外があっても大丈夫なように「何々等」と含むことが多いのですが、そう いうニュアンスなのですか。それとも、「などが」というのは4つのことを言っているので すか。 ○木下座長 現時点では、4つのことですよね。 ○大橋班員 「など」は要らないではないですか。ややこしいですよ。いずれかが陽性と か、いずれか1つ以上とかにすればいい。 ○木下座長 そうですね。これは文言のことなので、「のいずれかが陽性」ですね。 ○大橋班員 そういう意図なのですね。 ○木下座長 そういうことだと思います。 ○大橋班員 あと、(2)が長いというか、熟語の羅列が激しいかなと思います。例えば全身 性活動性の、「細菌性」とは最近言わないので、「細菌真菌ウイルス感染症」に直してもら うと読みやすいと思います。 ○木下座長 全身性の。 ○大橋班員 「全身性、活動性の細菌真菌又はウイルス感染症」にしてもらったら、たぶ ん読みやすくなると思います。 ○木下座長 はい。これも文言のことなので。 ○大橋班員 はい、文言です。それと、2の「情報を提供すること」の中に「内眼手術の 既往」というのは要らないのですか。「屈折矯正手術既往眼」というのはあるのですが、内 眼手術で内皮が減っているのは。 ○木下座長 内眼手術のことは、規定にはなっていなくて、それを一応情報としてもらっ ていることが多いですよね。 ○大橋班員 ありますよね。明記はされていないのですか。 ○木下座長 いずれにしても、角膜内皮数をチェックするでしょう。白内障手術をしてい るからそれで跳ねられるとか、そういうことではなくて。 ○大橋班員 そういう意味ではなくて、これはそういう目であると。例えば内皮が2,000 ぐらいに減った目があったときに、もし白内障の手術をしていると、ああ、そのせいかと 合点がいくと思うのです。 ○木下座長 どうですか。「移植を行う医師に当該情報を提供すること」。内眼手術を受け ているということをですね。いまは、例えば内皮細胞数が2,500個/mmあっても、それは 内眼手術を受けていて2,500個なのか、内眼手術を受けていなくて2,500個なのかという ことは、わからないかもしれませんね。そのことがどれほど。 ○大橋班員 意味があるか。 ○木下座長 気になるか、意味があるか。そうですね。多少それは意味がありますね。こ れは、たぶん、昔したときのが多少残っていると思うのです。おそらく白内障手術をして いる人は、年齢から考えても非常に多かろうと。なので、何十パーセントにもなってくる 可能性もあるので、それはどうなのかと。それで、最終的にスペキュラーマイクロスコー プで内皮細胞密度を見るということだったかな。 ○大橋班員 立ち入った話をしているわけではなくて、要は、内皮が減っているときに、 それで減っているといって安心してできる。それだけの話なのです。 ○木下座長 これは、もちろん書いておいても悪くないですね。天野班員、いかがですか。 ○天野班員 屈折矯正手術の場合だと、移植する角膜にレーシック……をすると手術に使 う部分に大きく影響を受けるので、絶対に情報が必要だと思います。わからなければ提供 できませんが、わかった場合は提供してもいいと思います。 ○木下座長 虹彩炎などの内因性眼疾患まで入っているのに。 大橋班員 情報としては、これのほうがわかりにくいですよね。 ○木下座長 内眼手術の既往の有無。 ○大橋班員 (2)のところに併せて入れておけばどうなのですか、「内眼手術又は矯正手術 の既往」と。 ○木下座長 いいですか。それを検討していただけますか。同じより別のほうがいいと思 います。 ○大橋班員 意味合いが違うから。 ○木下座長 意味合いが違うからです。ほかには何かありますか。元に戻って、まず「原 因不明の死」、これは、篠崎班員いかがですか。 ○篠崎班員 いまのところ、原因不明というのはないのです。ただし、死亡診断書が現場 にいて困るのは、特に心停止のドナーが多いわけですから、警察から通報をもらって行っ た場合、自殺と死因が記載されているケースもありまして、医学的なところというのはな かなかわからないのです。血液……ということになると。死後採血で血液は検査しますが、 そこで得られる情報というのは非常に少ないので、そういうところのリスクというのは、 佐多員から一言どうなのかと。ウインドーのこともあったりしますので、我々は専門外の ところで。感染症の伝播、トランスミッションが怖いわけなので、その辺は、たぶんこれ ができたのは10何年前で、精度も上がっていると思いますし、ウインドーピリオドも短く なっているので。死後採血である程度やればいいのではないかということであれば、我々 は採るのもやぶさかではないですし。 ○木下座長 佐多班員、いかがですか。 ○佐多班員 これは心臓死の案ではなくて、脳死。 ○木下座長 すべてにかかります。 ○佐多班員 今回のこれは、脳死提供ですよね。 ○大竹補佐 ドナー基準についてもすべて、心臓死も含めてです。 ○佐多班員 すべてですね。前は、もともと経緯が長いので、あまり混乱しないような形 で、いままで使っていたものをベースに作っていこうという話で、それで、このまま入っ ていたという理由だけなので、あまり困っていないのならそのままのほうがいいのではな いか、というのが1つです。あと、2番目の「細菌性、真菌性、ウイルス性」という言葉 は、ゲンチュウはどうするのかなと。ほかのところは全部そういう名前を外しているので す。角膜だけ入っているので、それはどうか。もう外してもいいのではないかと思います。 ○木下座長 ほかは、どうなっているのですか。 ○佐多班員 ほかは「細菌性、真菌性又はウイルス性」という言葉がなくて、「全身性の活 動性感染」ですよね。これはいかがかと思います。3番については、これは「など」は全 部入っているのですね。「など」が入っているか、よくわからないのですが。 ○井原主査 「など」は一応全部入っています。 ○大橋班員 「等」とはまた意味が違うのです、たぶん。 ○木下座長 何かが急に出てきたときに。 ○大橋班員 「等」とは違う「など」ですね。みんながそうなら、全然直す必要はないと 思います。 ○佐多班員 あまり大きな意味はなかったということですね。 ○大橋班員 そうですね。 ○佐多班員 ほかの参考資料を見ると、ばらばらですが、それはそれでわかりやすいので はないか。広域提供の話になってくると、ちょっと齟齬が出てくる可能性が。 ○木下座長 今日は、54のアイバンクの中で、しっかりしているアイバンクの4つで、そ こに多少のバリエーションがありますから、推して知るべしということになります。一気 には統一できないのですが、緩やかながら全体の基準も決めて、レベルアップをここから していけばいかがかということなのです。原因不明の死は、佐多班員いかがですか。 ○佐多班員 慣れているようであれば、特に結構だと思います。入っていてもあまり困っ ていないわけですよね。 ○木下座長 一応、困っていませんね。 ○篠崎班員 不明と言われると、逆にアイバンクの立場とすると、患者様とか先生方がそ の状態を知るよしもなく、我々が不明であるというような証言を受けた場合に、実は2番 も同様でして、前は敗血症と書いてあったのですが、いま、医療機関にいますと、敗血症 の疑いという死亡診断書が非常に多いのです。直接の死因はDICとかと書いてあって、2 番目に敗血症の疑いという診断書を見てしまったときに、我々としては、どういうことな のだろうと。確認をとりようもない場合もあって、出血経過を見てもらったり、プレート の数を調べてもらったり、微熱があったかどうかとやるのですが、死亡診断書にそう書か れた場合の取扱いというのは、現場のコーディネーターは非常に苦慮しますので、こうや って活動性の全身性のものがあったと疑われた場合は、もう提供いただかないというよう な方向でいかないと。移植する先生方はドナーのことを知るよしもないので、少し厳しめ に広くとるほうが安全ではないかと。医療行為上安全ではないかという概念が、たぶん流 れているのだと思います。私としては、ちょっと広めにとっておいていただいたほうが、 患者様に対しては、移植を受けるレシピエントの安全性の担保には、後々のアルツハイマ ーもそうですが、アルツハイマーは安全としても、ヤコブの疑いを可能な限り取り除くと いうことをやらないと。ベストを尽くすという意味で必要なことだとは思います。 ○木下座長 さほど問題がないということであれば、他の臓器移植の適応基準とは若干違 いますが、このまま置かせておいていただくということにいたしましょうか。年齢につい て制限を設けるかどうかということなのですが、高齢者もあれば子供もあればなのですが、 米国アイバンクはいかがですか。 ○篠崎班員 ないです。 ○木下座長 ない。ヨーロッパは。 ○篠崎班員 ないです。 ○木下座長 ないですね。 ○篠崎班員 数の多いようなところで、内規で持っているところはあります。逆に、アメ リカの協界なども、オールド・ドナー・エリジビリティなどを比較してみても、例えば65 歳以上と65歳以下で見ても、あまり結果的に遜色はないと。内皮の減少率はあるわけです ね。ですから、レシピエンド確認、高齢者に合わせるかどうかという話はありますが、レ シピエント側でリクエストが出てきたりしてしまうと、アイバンクとしては非常にやりに くいことになってしまうので。例えば若いレシピエントがいるから内皮の多いのがほしい ということが、アメリカで実際に起こったことがありまして、一旦そういう風潮が出ると 非常に公平あっせんの概念を崩すことになりますし、我々が公平にあっせんし、そういう 理由で先生が断っていただけるのであれば、当然のことながら次の方に決めて構わないの ですが、逆に、あっせん側ベースで公平性を担保するという概念を先につけていただけれ ばと思います。ですから、年齢はあまり要らないですよね。 ○所班員 JEBの協会のほうでは、聞いてきたときに答えているのは、3歳以上と言ってい るのです。乳児の角膜が極端にエラスティックで弾力性があって、角膜移植がしにくかっ たりすることもあって、そういう話があるのでしょうね。ただ、そうではないところも。 年齢制限は原則していませんよね。 ○木下座長 わかりました。一応、年齢についての制限は設けないと。そのほか、ドナー 適応基準についてありますか。 ○大橋班員 先ほど、スペキュラーをとって2,000以上を使おうというのは、それは基準 なのですか。 ○木下座長 それは内規というか。 ○大橋班員 それは、ここに明記する必要はないのですか。 ○木下座長 それは、米国アイバンクの基準が、全層角膜移植あるいは内皮移植というか、 それに使うのには2,000個/mm^2以上のものを。 ○大橋班員 それは、エビデンスあって言っているわけではない。 ○木下座長 それは、エビデンスはあるのかな。2,000、2,500、3,000個、A、B、Cのラン クを付けて。 ○大橋班員 グランドフェリヤーが例えば2,000を切ると多いとか。 ○木下座長 早いということのエビデンスは、ボンとかのそういうデータを……。 ○大橋班員 それは、アイバンク協会の中ではコンセンサスとしてあるわけですね。 ○篠崎班員 あります。 ○大橋班員 それは、ここに書くまでもない。 ○木下座長 各アイバンクが持っている基準の中に、2,000個以下の場合は全層移植には 使用しないで、ほかの保存角膜とか表層角膜移植に使用しましょう、というようなサジェ スチョンをしていると。ただし、緊急の場合はまた違うところがありますからね。 ○大橋班員 その内規というのは、眼科医の目に見えるものですか。啓発という意味で。 ○木下座長 教科書的というか、結構そういうことを書いてあるところが多いけれども。 ○大橋班員 一般常識的な話になっているのなら、付記ぐらい書いてもおかしくはないで すね。 ○篠崎班員 全層用の角膜は2,000以上とすると。 ○大橋班員 「望ましい」ですかね。 ○木下座長 書いたほうが周知徹底しますよね。 ○大橋班員 決してやってはいけないわけではないのですね。 ○木下座長 やってはいけないわけではない。おそらく、それは書いてもらってもいいで すね。国際標準を再確認するということになるので。いかがですか。全層角膜移植に使用 する場合には内皮細胞数2,000個/mm^2以上が望ましい。わかりました。ほかに何か。よ ろしいですか。それでは、レシピエントの選択基準およびドナー適応基準について、今回 の議論を踏まえまして、篠崎班員のご助力もいただきまして、事務局のほうで改正案の作 成をお願いいたします。そして、それを班員の方には一応お目通しいただきまして、最終 的にはまとめていきたいと思います。若干の変更点については座長に一任ということにさ せていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい。それでは、事務局から何か ありますか。 ○大竹補佐 ありがとうございました。本日のご議論を踏まえまして改正案等を作成しま して、その後、座長とご相談の上、皆様方に改めてご相談、ご報告させていただきたいと 思っています。途中、所用がありまして退席いたしましたが、大変失礼いたしました。ど うもありがとうございました。 ○木下座長 それでは、会議を終了いたします。皆様のご協力によりまして30分早く終わ ることができました。ありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室  代表 : 03(5253)1111  内線 : 2366 ・ 2365