09/12/07 第7回チーム医療の推進に関する検討会議事録 第7回チーム医療の推進に関する検討会 日時 平成21年12月7日(月) 14:00〜16:00 場所 厚生労働省省議室 ○永井座長  時間になりましたので、「第7回チーム医療の推進に関する検討会」を開催 したいと思います。委員の先生方には、お忙しいところお集まりいただきま して、ありがとうございます。  最初に、事務局から委員の出欠状況、本日お越しいただいている先生方の ご紹介、資料の確認をお願いしたいと思います。 ○石川(義)補佐  事務局でございます。本日は羽生田委員からご欠席という連絡をいただい ております。  また、チーム医療の推進に関する話題提供をお願いしております済生会栗 橋病院院長の遠藤康弘先生、深谷赤十字病院副院長の山下恵一先生にお越し いただいております。  それでは、ここでカメラの方は、一旦退出をお願いします。  お手元の資料の確認をいたします。資料1として遠藤先生提出資料、資料2 として山下先生配付資料となっております。不足する資料がございましたら、 事務局にお申し付けください。それでは永井座長、引き続きお願いいたしま す。 ○永井座長  ありがとうございます。病院内における医療クラークが担う役割について、 済生会栗原病院院長の遠藤康弘先生に、また、周産期医療におけるチーム医 療の実態について、深谷赤十字病院副院長の山下恵一先生から、それぞれ話 題提供をいただきます。それでは、早速、遠藤先生からお願いいたします。 ○遠藤先生  済生会栗橋病院の遠藤でございます。いま診療報酬でも加算が付くような のですが、私どもの病院では、医療クラーク育成の取り組みを、それ以前か ら取り組んでまいりました。その取り組みの導入課程や成果について紹介し たいと思います。現在では、チーム医療に不可欠な人材、1つの部門として我々 も捉えていますので、その辺を紹介したいと思います。 まず、資料1に沿ってですが、いちばん初めに日米の職員数の比較ということ で持ってきたのですが、この辺はみなさんご存じのとおり、海外の病院では 非常に医療秘書がかなり豊富にいると。それだけでなく、当然ベッド数当た りの医師、看護師数も、かなり日本の病院職員の内訳としては変わっている ことは、知っている事実だと思います。  次、当院では、医療秘書をなぜ導入したかということですが、昨今話題と なっている勤務医の医師労働改善への取り組みの一つとして行ってきました。 我々の病院も地域の病院でありますので、勤務医の確保が難しいということ で、その辺の取り組みをいろいろやってまいりました。大きな柱としては、 医師不足対策、労働時間短縮をなんとかできないか、様々な医療従事者への 攻撃、攻撃という表現が正しいかどうかわからないですが、かなりそういう ことで医師が地域の病院から勤務医の抜け出すということも実際にあります ので、その辺の対応としてやってまいりました。  医師不足対策では、我々の病院では、外来が1日1300人ぐらい来ていた病院 なのですが、これまで政策的に逆紹介を進めまして、現在1日700人ぐらいに 外来患者が減少しています。その代り、一方、紹介率がかなり増えておりま して、地域支援病院と認定されるに至っているわけです。  そういうことで、いろいろ医師不足対策等の中で、やはり医療秘書を導入 して、逆紹介などの手つだい、サポートをするということで、非常に大きな 役割を果たしてきました。  労働時間の短縮の問題では、後で成果を出しますけれども、かなり診断書 の業務などは、外来・手術・病棟勤務を終えて、これから帰ろうという時に、 医局の机の上に診断書がいっぱい山積みになっている状況でした。それから、 その書類を整理して、やっと帰れるのは深夜になるというような、そういう 医師労働の中、あるいは、ゆっくり休むところを休日にも出てきて、診断書 を書くというような現状もありましたので、その辺も医療秘書を導入するこ とによって軽減されるのではないかというものがありまして、導入しました。  そういう、いろいろな労働環境改善の取り組みの大きな柱の中で、医療ク ラーク、医療秘書を導入したというのが、1つの大きな背景になります。私の 病院独自の背景としては、下になりますが、やはり、かなり事務作業が多く て、勤務医が疲弊していた、また、当然保険会社に提出する書類などを患者 さんが持ってくるわけですが、従来は非常に患者さんに渡すまで時間がかか っているという苦情も起こっておりました。その他、先ほど言いましたよう に、休日や時間外に、そのような作業をしないといけない、また、病院の方 針として、地域医療支援病院を目指すというのがありましたし、逆紹介をし ようということになっていました。あとは、我々の病院だとオーダリングを 導入して、病棟業務が、かなり簡略化する可能性があるので、その辺を仕事 の構成を変えたという背景がありました。  次頁、医療クラークの導入の経過です。これは、平成17年6月に始めまして、 最初は、どんな仕事をやったらよいのかわからないわけです。優秀な病棟事 務をやっている人が1人いましたので、その人に外来の業務を見せて、何か自 分たちがやれる事務作業はないかということで、仕事探しから始まりました。 いろいろなサポートをする中で、2名、3名、4名と徐々に段階的に人数を増や して、昨年4月に1つの課として、診療部の元に医療秘書課を置き、11名体制 に持ってきております。今年度中には、15名まで増やそうと思ったのですが、 なかなか人を病院で雇い入れるということは、それだけコストがかかること ですので、そんなに大盤振る舞いできないところがあります。経過のように 徐々に増やして、その効果を確認しながらやったというのが現状です。  現在のところ、医療秘書課の中に、主に外来をサポートする人材と、文書 作成のサポートというのがあります。従来から医局に秘書とか放射線課のト ランスクライバー的な秘書がいたわけですが、今回の医療クラークという仕 事は2つの柱からなっていて、朝から晩まで文書を作成する文書担当と、外来 をサポートするという外来業務という、2つのグループに分かれております。 外来では、なかなか全科行き届いていないのですが、内科、小児科、外科、 泌尿器科などでやっております。それぞれの科によって、何を必要とするか が違いますので、一律的に同じ作業ということではないですが、共通点も当 然ありますし、いろいろな作業をやっております。例えば、外科ですと、手 術の申込書をある程度やって、手術日の調整までもある程度入って、ドクタ ーに確認を取りながら、当然患者さんの希望日もありますので、その辺を聞 き入れて、ゆっくり話を聞いてやるということで、実際、そういう作業にも 医療クラークが入っているところであります。  1人、優秀な人がいたので、そういう仕事を見つけて、いろいろ1人、2人と そういうことを伝達する中でやってまいりましたが、ある程度集団的なもの になりましたので、新しく雇い入れる人のために、ある程度の研修のプログ ラムを作りました。当然、簡単なオリエンテーションから始まって、医療に 関する法規とか個人情報に関する約束ごととか、医療クラークに必要なもの を短期間で座学の講習、あるいは最近ではいろいろなセミナーがありますの で、それを利用させていただいて、勉強させております。なんと言っても、 このような人材を入れるとき、かなりいまでは加算が付くということで、何 人も集団的に募集するところも増えてきているようですが、我々のところで は、なかなかそういうわけにはいきませんので、人材確保をどうするかで悩 みました。とりあえず、それまで常勤職員として病棟事務、看護師のサポー トをやっていたような事務がおりました。先ほど言いましたように、オーダ リングもある程度入れるということで、その作業が少し簡略化、効率化され るということで、そこの人材、あるいは、他部門、例えば医事課から希望者 を募って、医療クラークを持ってきました。この段階では、7名のものを書い ておりますが、当然病棟事務は穴ができます。そのために、外部委託、比較 的常勤コストよりは安価な人を定形業務ということで外部委託しまして、そ この病棟事務に補充し、病棟事務だった人を医療クラークに回しております。 実際、5名を外部委託する段階で、年間の人件費コストの増額は、1,380万円 かかるということでした。  医療クラーク7名を入れて、要は勤務医の負担を軽減するための人材に続け ていましたので、果たしてこれが地域医療支援病院を取る、逆紹介をする、 支援する意味での力になるか、あるいは、実際に書類が完成するまでの時間 の短縮、患者サービスに繋がったのか、あるいは、勤務医の時間外のコスト がどのように変動したのかということで、次のように3つの医療クラーク導入 後の効果分析ということでまとめてみたのが以下のものであります。  1つは、実際、常勤のドクターたちがどのように医療クラークを受け入れた のか率直に無記名アンケートを取っております。もう1つは、自分で申請する わけですが、実際に時間外の勤務がどうなったのか。最後に診断書作成まで の時間がどうなっていったかという経過を示したいと思います。  最初に、医療クラーク導入後の評価ということで、これは確か導入して1年 半ぐらい経ったときにやったアンケートです。この時点で、常勤45名中39名 が回答をしております。回答をしていないのは、院長、副院長、麻酔科です。 麻酔科は手術場で仕事をすることが多かったので、最近は麻酔科にも手術室 にも医療クラークを入れるようにしているのですが、そのようなドクターが 回答しなかった訳です。最近は麻酔科にも手術室にも医療クラークを入れる ようにしています。他のドクターは、多く回答してくれました。選択肢から 選ぶものにしたのですが、時間外や休日に書類を作成したのが減ったので楽 になったという人が39名中34名、87%であります。そのほか、15名の方は、 外来が楽になったと。あと、その他のよい影響ということで、3つ全部選んで いる人もいますし、2つだけの人、1つだけの人といるのですが、その他よい 影響としては、医療に専念できる、書類作成のストレスが解消された、チー ムで働いている実感が持てる、暇になった、早く患者に書類を渡せる、台帳 業務、これは外科台帳、手術台帳だと思いますが、台帳業務をやってもらえ るので、非常に楽になったと、前向き、ポジティブに評価してくれるのが37 名、95%に及んでいます。率直に医療クラークとはまだ関わっていないので わからない、全ての診療科にいったわけではありませんのでという人が2名い ました。ただ、よい影響も悪い影響もない、マイナスの評価をする人は皆無 でありました。この結果から、非常にドクターからは受け入れられた対策、 取り組みであったのではないかと思われます。  次に、医師時間外労働の推移を見てみますと、縦のグラフが月の平均の医 師集団のということですが、1400時間〜1800時間となっていますが、平成16 年になってかなり上がっています。この頃は、常勤日数がまだ確保されてい たのですが、平成17年頃になって、かなり医師確保が難しくなり、また、時 間外労働が増える傾向にありました。ここに医療クラークを大体導入して活 動の幅を拡大するときだったのですが、平成18年度は時間外労働が抑えられ る傾向にありました。平成19年、さらに抑えられる傾向が出ています。ドク ターは、この間減る傾向にあったのですが、減るときに時間外労働が増える 傾向になりましたが、逆に医療クラークを入れてからはそれが抑えられる傾 向になりました。  下のグラフが、時間外手当の推移です。平成17年度は月々750万円の時間外 手当が発生している状況でした。グラフでは平成18年度と平成17年度の差が 100万となっていますが、正確に言うと、と平成19年度の差が100万円で、750 万円が月々650万円に抑えられる結果になりました。年間にすると、1,200万 円、先ほどの外部委託を病棟事務にしたと言いましたが、大体同じような、 それに匹敵するドクターの時間外手当を抑制する効果があったということで す。これは、ドクターはあまり時間外までして、お金を稼ごうという意識は ありませんので、当然手取りの給料は少なくなりますが、むしろドクター側 からは受け入れられると思われます。これは、今日の検討会で使うというの で、実際、データを整理していなかったのですが、平成19年度、20年度、21 年度と時間外手当の推移をもってまいりました。資料がなくて申し訳ないの ですが、大体、平成19年度、20年度、21年度が月々600万円弱になっておりま す。これは、やはり医療クラークを入れて、業務の整理ができた、休日や夜 間に診断書類を書かなくて済んだという効果が出ているのだと思います。さ らに、我々の病院の場合、ドクターが増える傾向にあります。昨今地域の病 院では、むしろドクターが減る傾向があるのですが、やはり働きやすい環境 の病院と認識するようなドクターが増えて、入職を希望する人が少しずつ出 始めているということで、現在常勤医が53名で、お配りした資料よりも増え る傾向にあるというのがうれしい効果ではないかと思います。  診断書の出来上がり平均日数を最後に効果として説明します。これはやは り苦情があって大体保険の診断書を患者さんに渡すのに2週間経っていて、そ れがだんだん期間が短かくなりまして、現在ではばらつきはありますが、大 体2週間から1週間ぐらい、やはり患者さんに対する医療サービスとしても、 特に文書管理をしている医療クラークの役割が大きいのではないかと思われ ます。  最近の動向ですが、ご承知のとおり、平成20年度から加算が付きました。 これが我々の病院では、大体年間1,200万円のプラスになると試算されており ます。ただ、この間新しい医療クラークを入れていますので、この金額だと3 人分ぐらいの金額にしかならないので、そういう意味では不十分ではないか と考えております。この間、やはり他の診療科もそのような人材がほしいと いうことで、いろいろ配置したり、15名を目標にしていますが、女性が多い ですので、産休や結婚退職で他に移るとかで、なかなか育成が数としては滞 っているような状態であります。あとは、いろいろなプログラム、内部規程 の整備とありますけれども、これはやる前にコンプライアンスをしっかり守 らないといけないということで、内部規程をいろいろ整備しました。ただ、 その後、確か医政局から昨年チーム医療を推進させるための通達が出ました。 かなりそういう意味では、やり易い環境が通達によってなされたのではない かと我々も考えております。この効果については、病院会雑誌に2年前にまと めて投稿しましたので、そういうのを見て我々の施設を見学する人も増えて きておりますので、その辺を情報交換することであります。なんといっても、 医師、労働環境がかなり悪化しているということが周知の事実になって、そ れぞれの対策としてやっているわけですが、そういう配慮をする中で、また 更に地域の病院でも働きやすい環境ということで、ドクターが集まるような、 そういうマグネットホスピタルの創造ということで、これまでやってまいり ました。一応、私から、取り組みについての紹介は以上です。 ○永井座長  ありがとうございました。  続きまして、周産期医療におけるチーム医療の実態につきまして、深谷赤 十字病院副院長の山下恵一先生お願いします。 ○山下先生  それでは発表させていただきます。ちょっとスライドが多くて申し訳ござ いません。その詳録はよくそういう関係の講演をさせていただくときに、抄 録として付けさせてもらっているもので、今日の発表の骨子がその中にある と思っております。お産の現場でのチーム医療ということですが、その1つに 「助産師外来」があります。最初のスライドの「開設には」というところの 中には、助産師のやる気と産科医の理解。これが結論として書いてあるので すが、私はずっと携わってきているのですが、抄録の中段にも記入させてい ただいた「助産師外来」という標榜にも非常に温度差があるのではないか。 その温度差の大元は産科医の理解という中で、そこまで助産師さんにお願い しよう、それ以上はちょっと任せられないなというようなニュアンスで、そ の理解がこれを普及するに当たってのハードルかなと思っております。  スライドの1には「助産師外来とは」、「院内助産所とは」。当院は1991年か ら助産師外来という標榜でやっておりますが、実質的な運用は院内助産所的 な、任せられるものはすべて助産師の範囲で任せるという形で考えておりま す。  診療は結局は医者として周産期部門の安全と安心をいかに患者さんに提供 するかという中で、日々変化、変遷の中でたどり着いたものなのですが、病 院の使命や特性の中で、何をすべきかということの中から出てきたものと思 っています。  当院は埼玉県の北部の基幹病院で、おかげ様で救命救急センターや地域災 害拠点病院、がん診療連携、地域医療支援病院等々、私の守備範囲の母子周 産期センターを拝命しています。スライドの4ですが、当院は506床ですが、 実質はご多分に漏れず医師不足の中で、1病棟休床にせざるを得ない状況に現 在至っています。できれば来春に再開をということで、準備をしているとこ ろです。それはやはり医師不足ということで、やむを得ない選択だったと思 っています。  埼玉県の北部では、当院しかないということもあるのですがお産の救急の 受入施設です。産婦人科、周産期部門ですと、産婦人科が実働5名、小児科も 5名、3名、4名ということで、いま何とか4名で運営をしているのですが、ス ライド7にあるように、赤ちゃんの受入れ、NICUの受入制限を余儀なくされて、 ずっと推移しております。平成19年度までは32W/1,500g、それより小さい赤 ちゃんが生まれそうだと受け入れられない。もちろん個々のケースで小児科、 周産期の医者が診られないわけではないのですが、小さい子を受け入れると いうことは、24時間365日、付きっ切りという形では診られないという状況で 推移しておりまして、平成20年度からは5名が3名になるに至りまして、 34W/2,000g。正直申しまして、それでは周産期センターは看板を降ろさなく てはいけないと言わざるを得ない実情です。里帰りの双子、ハイリスクもそ れなりに受け入れているのですが、制限せざるを得ないということでやって おります。  スライド8の首都圏の一般的な周産期医療を見ますと、総合の周産期センタ ーは国の方針ですと人口150から200万人に1施設ということですが、群馬県は 200万人で1施設、埼玉県は、私が赴任してから、ずっとですが、人口が増え ているのだと思いますが、1施設という形で、インフラの整備がどうしてもで きない中で、やれることを頑張ってやってきました。  東京都と比べてみますと、人口は埼玉県の倍弱、しかし周産期センターの 施設としては埼玉県が3分の1以下ということで、周産期センターにベッド等 があるということになりますので、現在83床で、当院もその中の3床を担って いるのですが、推定で埼玉県は6万強の出生数ですので、120ベッドぐらいは 絶対必要ということで、慢性的に40床が足りない状況で来ております。全部 の周産期センター数は埼玉県はたったの6施設ということで、恒常的にパンク しておりまして、現在に至っています。  スライド11ですが、消防署、搬送(母体搬送)の依頼ということで、埼玉 県は東西南北に分けますと、北部の当地域では、受け入れられたのが当院で 約1割で、9割はどこかにお願いをすると。言葉は悪いですが、たらい回しに 結果的になることもあるのではないかと思っております。 スライド13です が、当院の周産期、産婦人科の使命としては、分娩もやるし手術もやるとい うことで何とかやってきたのですが、昨今、皆さんのお耳に入る帝王切開は 間違いなく増えております。20年前は16%でしたが、直近は35%ということ で、産婦人科全体では、全部の婦人科の手術の中での帝王切開の割合も20年 前は30%、今現在は73%と増えております。どういうことかというと、婦人 科の手術はどこかにお願いするか、待っていただくという形で、当院のいま の診療は周産期に特化せざるを得ないということです。  スライド17にあるように、16年当時で3名の医者で500の分娩と320の手術を どうこなしてきたか、やはりチームでやる助産師さんにお願いせざるを得な いというか、したほうがいいということで、助産師外来というシステムにた どり着いたのです。  スライド18、19の医師不足の状況は、皆さんご存じだと思います。地域の 偏在、診療科の偏在ということで、当院もご多分に漏れず、産婦人科、小児 科もその中にあります。  スライド20のような、よくあるフローですけれども、結局は疲れて燃え尽 きて、退職、産科の休診、お産難民という言葉ができてくるぐらいです。  スライド20、21は2006年の新聞の内容です。そんなことを言っても、毎日 の診療をやっていかなくてはならないので、当院使命の中でできることはや ろうということです。周産期センターというと、異常分娩ばかりということ ではなく、地域の正常の分娩も診る使命がありますので、何とか対応して、 スライド24のように、当たり前の話ですが、多くのお産は正常な分娩の経過 で終わる。ただし、突然、急速遂娩というような医師の介入が必要になる異 常分娩もある。そうすると、4分の3は助産師さんに任せて、4分の1に特化で きれば、時間的、体力的にシェアができて、安全なチーム医療を続けられて きており、その役割分担に周産期では、助産師外来があるという形です。  スライド26ですが、私が赴任して25年になるのですが、最初からそういう システム(診療方針)をやっていたかということではなく、その時々の中で、 変革、チェンジしながら、1991年にこのシステムにたどり着いていまに至っ ているのですが、そういう形で変遷をしてきたということで、大げさですが、 「医師の苦悩」と書いてしまいましたけれども、そのぐらいどうしようかと 日々悩んできた中の結果であることは間違いないと思っています。  スライド28にあるように、日中計画分娩という形で進め、安全の提供、1984 年に赴任したのですが、その当時、産科の医者は私を含めて2名でした。助産 師さんも10名もいなかったと思います。私が行った当時の平均年齢もだいぶ 高い年齢の助産師さんでした。どのように安全が提供できるか。やはり昼と 夜では、医師、助産師さんの目は手薄になるのは夜に決まっておりますので、 結果的にはお産は誘導する形のほうが安全かなという自負もあり、やってい た時代もありました。  そうこうしているうちにスライド30、31のように、お産をする産婦さんの いろいろな希望、病院助産師として勤めている助産師さんの自立(自律)、助 産師としての魅力を助産師長のリーダーシップの下に、改革の提案がありま した。その中で私自身も、どうしたほうがいいか悩むこともありまして、考 えている矢先に、スライド34のように、助産師さんから自立したい、助産師 業務を実践したいという熱い要望がありまして、ちょっと例えが違いますが、 青天の霹靂のように私は受け止めまして、どうしたほうがいいか、ピンクの 中に書いたように、いろいろなことを悩みました。その中で、信頼関係が間 違いなくできてチーム医療ができる土台既にができておりまして、それまで もずっとそのようなことでやってきたのは間違いないのですが、改めて明文 化するような形というと、責任がという言葉がついてきます。私が責任を取 ればいいのは当たり前なのですが、そこに書いてあるように、大きな決断を したのは間違いなかったといまでも思っております。  そういうことで、助産師外来というシステムの標榜でやっておりまして、 スライド37にそのコンセプト、概念ということで書いてあるのですが、標榜 は助産師外来ですけれども、いまやっている運用は、限りなく院内助産院だ と思っております。そういうことで38のような感想というか、自画自賛にな ってしまうのですが、当院的にはそのシステムは医師不足、個々の職種の職 能としてのやりがいをいろいろ加味すると、非常に良いシステムではないか と自負しております。「心の通った」という言葉で書いていますけれども、当 時としては、大丈夫かなというところから始めて、発想の転換ということで、 冒頭申し上げた産科医の理解というのが、現在臨床の最前線で活躍されてい る産科医に多少まだ垣根があるのかなと思っております。  スライド41のように、いろいろ取り上げた医療従事者の役割分担、周産期 部門での役割、産科医師不足の切り札というとほかにはないのかという話も あるのですが、個人的には医師が不足していなくなっても、このシステムは 必要ではないかと常々思っている1人です。  周産期におけるチーム医療としての役割分担の助産師外来ということで、 ずっと続けておりまして、全国に普及されればいいなと思っているのですが、 新聞にもあるように、「院内助産所」相次ぎ誕生、医師不足対策、もしものと きに安心感。まさにそのとおりだと思いますが、ある反面では、産科医の間 には慎重意見もあるということで、それが負のスパイラルと書いてしまった のですが、助産師のやる気は十分あると常々思っておりますが、産科医の理 解に多少温度差があるのかなと、49の本当に任せられるのか、医師が立ち会 っていないお産の責任は取れないとか取りたくないというか、そのようなこ ともまだまだ産科医の中にはあるのではないかと思っております。2002年の 進先生が、医師、助産師などの垣根を越えて、まさにこの垣根がまだまだあ るのかなと思っています。  あと3枚のスライドは、一般的な医療の現場ということのチーム医療を考え る場合に、負のスパイラルとまた書いてしまったのですが、(1)から(6)のよう な医療崩壊ということがまだまだ危惧される中でできるだけ医療を頑張って いるということなのですが、限りある医療資源(人的経済的)収入というこ とですが、医療安全の確保はチーム医療が間違いなく必要で、避けて通れな いのではないか。多職種協働、スキルミックスということで、いろいろ雑誌 にも載っていると思います。当然医療行為に対して多くの目(監視)の存在 は、さらなる安全の構築にはなると思っていますが、危険のない医療行為は 存在しないという根本的な生命を預かる医療に対することがあって、安全神 話だけが非常に膨らんで、不幸な結果というと、医療ミスではないかと、す ぐに取りざたされてしまうようなことがある。その辺から国民の理解を再確 認、再認識していただかないと、安心して医療も提供できないのではないか。  最後ですが、限りある医療資源の有効活用、チーム医療、スキルミックス、 それに尽きると思っているのですが、医療事故や逮捕されてしまうような業 務上過失致死とか、医療訴訟ということで、医療が現場では間違いなく頭の 片隅をよぎるわけで、大前提的な国民の医療への理解がベースにあって、そ れには国でやっていただけることの中に、医者が安心してやってあげたい医 療行為ができるようなインフラ整備も加わってくると、さらにチーム医療が 進むのではないかと考えております。以上です。 ○永井座長  ありがとうございました。今日は時間が十分ありますので、是非いろいろ なご意見をお伺いします。いかがでしょうか。 ○有賀委員  昭和大の有賀です。どうもありがとうございました。山下先生に産科医の 充足がそこそこできていても、この方法は正しいとおっしゃったのか、良い 方法だとおっしゃっていますよね。これは、いまはたまたまチーム医療とい うことが、医師不足とか現場の疲弊とか、そういう話でとりあえず出発した ことはそのとおりだと思うのですけれども、ここで議論されていることは、 基本的に患者さんに質の良い医療を提供することに最終的にはなるのではな いかと思っています。そこで、いま先生がおっしゃったところの部分の、い ちばんわかりやすいスライドはどれですか。ピンクのところはわかるのです が、産院の先生の「出産のヒューマニゼーションの提唱」というものが50頁 のところにあるのですが、助産師さんのほうが、お産をする女性にとってよ り良いということですね。そこを素人にわかりやすくお願いします。 ○山下先生  私見になるのですけれども、スライドの33になるのですが、やはり役割が 違うのではないかと思っているのです。ポイントの4番にあるように、やはり 陣痛で入院している産婦さんにいわゆる精神的にも支えてあげられるのは助 産師なのです。要するに、ずっと腰をさすって頑張ってねと。やはり産科の 医者はやればできるのかもしれませんが、私個人的にはそれはできない。1時 間前に診て1時間後に分娩の経過が順調か異常かということは見られますけ れども、夜中中ずっと腰をさすって生まれるまで付いてというのは私はでき ない。たぶん女医のドクターもしている人はいるかもしれませんが、やはり できないかなと。それに、助産師としての職能があって、それが産婦さんに 無事に正常に生まれればよかったというのではない。お産というのは1つのイ ベントですので、満足のいく出産ということになると、むしろ異常のかかわ りが医者で、正常の関わりが助産婦さんのほうがいいのではないか。ただし、 医療の現場はダイナミックなので、急変したときに、すぐに医者がいるとい うような総合病院での院内助産院的なもののほうが、いわゆる満足のいくサ ービスという意味では高いのではないかなと。極論でいったら、分娩場所を 選ぶのに、医者を選ぶのではなくて、いかに助産師さんが満足いくことを提 供していただける場所が選べるぐらいになればいいかなと私は個人的に思っ ています。 ○有賀委員  ちょっと教えてください。4歳下の自分の弟が確か隣の部屋で生まれたのを 漠然と覚えているのですが、そのときはたぶんお産婆さんが来ていたような 気がするのです。 ○山下先生  そうだと思います。それはまあ日本だったら50、60年前の出産形態で、安 全ということですと、やはり異常入院への医者の介入ということだと、多少。 ○有賀委員  そのころのお産婆さんの系譜がいまの助産師さんなのですか。 ○山下先生  もちろんやっている内容は同じなのです。 ○有賀委員  ありがとうございました。 ○加藤委員  山下先生に助産師の仕事についてご説明いただき有難うございました。い ま言われましたように、助産師の必要性は継続したケアができるということ が重要だと思います。今日は、出産の場面だけ捉えられておりますが、本来 妊娠中からの継続したケアが望まれます。イギリスでは、女性の運動を通し て助産師が妊娠・分娩を継続したケアが強調され開業助産師や病院の助産師 もそのようにやっています。助産師は、正常な妊娠・分娩の経過を予測しな がらケアをしていますが、異常がある場合は、医師に依頼するというのは、 当然のことです。また、異常の場合には医師と協働してケアにあたります。 ここ数年前から、助産師外来、院内助産を進めるように行政からも方針も出 していただいております。院内助産や助産師外来を進めることは、医師と助 産師の役割分担のなかで業務を遂行できることは、まさに病院内でのチーム 医療だと思います。異常時は医療介入がすぐできる体制であると考えられま す。助産師ができる範囲は助産師に任せていただくというような方向を、是 非進めていただきたいと思います。また、医師にも助産師教育について知っ てもらう必要があろうかと思います。今後チーム医療を考えたときには、大 学教育の中で、様々な医療職がチームを組んで、学習できるような環境を整 える必要があるかと思います。お互いの教育内容が理解し合える体制を整え る必要があります。縦社会ではなくて、横の関係性を持ち尊重し役割を考え ることが重要であると思います。そしてそれぞれが責任ある行動をとること が必要かと思います。  少し長くなって申し訳ありませんが、開業助産のことについて触れさせて いただきます。現在、日本では開業の有床助産所が、約260箇所ございます。 医療法の改正により、嘱託医は産科医を、そして医療連携機関を持つことが 定められました。助産所で約1万1,000人が産まれていますが、異常が起きた 場合に連携医療機関を定めておいても搬送できないという状況も有ります。 医療機関と助産所のチーム医療ということも重要です。現在稼働している周 産期医療ネットワークの中に助産所もしっかり組みいれていただき、スムー スな搬送ができるようお願いしたいと思います。助産所を望まれる妊産婦の 分娩の安心を、医療の制度、システムを国の責任として取り組んでもらいた いと思っております。嘱託医療機関にお願いしていても、満床だと言って断 わられて救急車で他の病院を探していただくというような事態も起きており ます。  チーム医療は、病院内のみならず地域との関係も考えて頂きたいと思いま す。 ○朔委員  山下先生にお尋ねしたいのですが、助産師外来の場合に、保険診療のルー ルとの兼ね合いに問題はないのでしょうか。例えば正常分娩から異常分娩に なったときに、これからは保険診療だというときの移行がスムーズにやれる のかということをお聞きしたいのですが。また、診療録はどのようにしてい らっしゃるのですか。助産師外来の場合は病院の他科の診療録とは切り離し ておられるのでしょうか。 ○山下先生  保険は少なくとも助産師外来であろうとなかろうと、日本中同じですので、 助産師外来を標榜しているから変わるということはないです。ですからどこ の大学病院の産科病棟でも当院でも同じです。助産師外来と明文化している のは。 ○朔委員  私がお聞きしたいのは、保険診療は保険医登録をしている人がやるという のが大前提となっているものですから、保険を使うときにその辺のことはど うなるのだろうかということです。 ○山下先生  ただ、助産院というところは助産師でやっているわけですから、チームで やっていますので、病院の中には産科の医者もおりますし、ただ、分娩の場 所に実際にいるかどうかという意味だったら、いないことが多いのですが、 やっている内容は変わらないです。 ○朔委員  助産師さんしか関わらなかった場合は、保険診療にはなりませんよね。 ○山下先生  基本的には正常分娩は医者がやっても正常分娩ですので、同じ料金を取っ ています。 ○朔委員  正常分娩から異常分娩になったときに、私費診療から保険診療への移行が うまくいくのかなということが少し気になります。まるきり異常分娩であれ ば、すべてを保険でカバーすることになると思うのですが。 ○山下先生  それは、例えば医者がやっていても、3日前に入院して、3日後に帝王切開 になれば、その日から保険になりますので同じです。 ○朔委員  診療録はどうされてますか。 ○山下先生  診療録は、基本的に科によって違うのですけれども、医師が書く診療録も、 助産師、看護師が書く診療録も同じ時系列の同じ診療録で産婦人科はやって おりますので、全く別ではないということです。よく、診療所の外来などで は診療録を変えたりしていますが、病院的には医者だけでも診療録は1つでや っております。ただ、事務サイドがこれは保険とか、そういう料金は取って おります。○坂本委員  山下先生にお聞きしたいのですが、実は私は助産師で、国立病院に勤めて いたときに、ドクターが嘱託だったのです。夜間にお産をして、裂傷などを 起こしたときに、朝までドクターが出勤してくるのを待って、縫合をしても らうということをやっていたのです。ドクターと助産師との役割分担の中で は、もうちょっとここは助産師に任せたほうがある意味ではいいなというと ころはありますか。例えば会陰切開とか、破膜とか、そのようなことを含め て。 ○山下先生  医師の了解の下でという形ではやっているつもりですが、ここまではとい うことは、院内で取り決めておりますので、その辺は任せております。ただ、 4分の3が正常分娩に、100%医者が呼ばれていないわけではないという実態は あります。裂傷が起これば、縫合ということでは、結果は正常分娩ですが、 医師にお願いするという形なので、4分の3が全部起こされないわけではない ですが、システムとしてはこのような明文化をしています。 ○坂本委員  夜間にドクターを起こすということについてですが、私も産科のドクター と一緒にやっていたときに、わざわざ起こさなくてもいいのになと思うよう なことにも起きていただいてやっていました。先生のお考えでは、もう少し 助産師に任せていいのではないか。いまの取り決めの中では、異常というこ とで、ドクターしか縫合できない、会陰切開できないということになってい ますが、そのようなところはもう少しやらせてもいいのではないかというよ うなお考えはありますか。 ○山下先生  それはあります。院内ではクリッピング的なところの縫合もお願いできれ ばと思っているのですが、そこまでは話し合い中という形です。あえて言わ せていただくと、医師が分娩に立ち会うというのも、ある所の先生と話をす ることがありますと、極論で申し上げると、最後の1分1秒でも医師が立ち会 う。その時点で呼ばれる。そのハードルがどうも越えられない。任せられな い心配があって、助産師外来がもう少し広がらないのかなと思っています。 ○坂本委員  なぜ任せられない、ハードルを越えられないものがあるのでしょうか。 ○山下先生  あえて申し上げると、やはり私もそうでしたが、大学教育でそういうもの だと。最終責任は医者が取ると。責任のある立場だと、任せるというのを明 文化しようとすると、ハードルになるようですね。その辺から変えないと、 先ほどどなたかが言った、周産期ではなくても、薬剤師とか、大学教育の中 に縦割ではないチーム医療が提供できるような仕組みが当たり前のように、 医学生にも教育の中にあれば躊躇はなくなるのではないか。私も変な話です が、そこで教わった人間ですので決断をしました。 ○加藤委員  清水から飛び降りるというような思いで助産を助産師に渡されたようです けれども、保助看法では、助産師の行う業務は定義されています。山下先生 の病院では理解をいただき助産を助産師の役割として委譲し、現在もそのよ うにされているようですが、助産師の定義にありますように、助産は助産師 がやる行為だと私は受け止めております。ですが、お産の現場では、助産師 が自立して働いているところは少ないのが現状のようです。助産師がいわゆ る医師の補助のような形で働くというのは、いかがなものかと常々思ってお ります。このような中で、産科医師が少なくなってきたからというようなと ころで、助産師外来や院内助産所など動きだしていますが、法律で決められ ている、正常分娩の介助は、助産師が責任を持ってやるのは当然なことでも あります。本来、保助看法で助産業務を独占することが認められております。 今後、さらに医師と話し合わなければいけないと思っております。 ○山下先生  2つあると思います。医療行為に対する責任の所在、チーム医療であれば、 皆が責任は何パーセントかあると思うのですが、やはり最終的には医療行為 ですので、医師の責任が大前提にあるので、自分が診ていなくても、その医 療行為に対して責任が問われるので、そういうものが医者かなとも思ってお ります。そういう意味で躊躇というか、任せられないのではないかと思って います。  もう1つは、助産師は自立して助産院でお産はできる、それはそのとおりだ と思います。逆に医者からの質問でよくあるのですが、私はうちの助産師と の信頼関係ができておりますので、当院ではこれはできました。先生は先生 のところの助産師さんの能力だとか、チーム医療ですから、任せられるかど うか。それでお考えになったらいかがでしょうかとしか、答えようがないの です。一般論として、チーム医療は間違いなくいいのですが、実際の現場は そんなに簡単ではないです、医者だって任せられない医者もいるわけですか ら、要するにチーム医療といったら、助産師と医者との信頼関係がその場で いかにできているかの次にあるべきではないかと、あえて言うのならそう思 っております。 ○加藤委員  助産師は、妊産婦に異常が認められた時は、医師の診療を求めさせること を要し、自らこれらの者に対して処置をしてはならないということでありま すから、その範囲での業務ですから、病院においても助産所においても、医 師がバックにいてくれることは、非常に心強いということもあるわけです。 これらの業務に対して、「医師と助産師のその溝は深く、広く、なかなか越え られないかな」とある医師は言いますが、私たちの対象者は、妊産婦ですか ら、対象者にとってより良い方向を見出す必要があるかと思います。医師と の協力の中で、正常分娩は助産師に、そして異常時の医療介入時には助産師 も協力して妊産婦により良いケアを提供していくことが重要だと思います。 深谷赤十字病院では、産科として理想的な業務運営をしているかと思います。 このような病院が増え助産師も生き生き働き、医師は最新高度な産科医療を 提供していただきたいと常々思っています。産科医師と助産師の意識の改革 が、チーム医療の中では非常に大事なことだと思っております。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。 ○川嶋委員  私も助産師の資格を持っているのですが、全然仕事に就いていないので、 確かめたいことがあります。49番の産科医が助産師に対して「本当に任せら れるの」と。「医師が立ち会っていないお産の責任は取れない」と書いてある のですが、立ち会いは正常お産でも病院の中では必要なのですか。 ○加藤委員  正常であれば、産科の医師の立ち会いは必要としません。異常が予測され る時や、異常時は当然医師が主であります。 ○川嶋委員  いま山下先生のお話を伺っていて、産科のドクターとして、助産師に任せ るということに対して、清水の舞台から飛び降りるように決断をされたとい うことで、ある意味では感動的ではありましたが、もう1つは、人間関係とか 信頼しているかしていないかによって、任せられるかどうか決まるとおっし ゃったのですが、チーム医療というときは、ドクターも一応業務として考え ているわけですから、ドクターも信頼できる、助産師も信頼できるという前 提に立ってやらないと、個人的な条件を入れないほうがいいのかなというよ うに思いました。  病院の中の助産師外来なので、お産が医療という感じで受け取られたので すが、本来お産は医療じゃないわけですので、その辺の住み分けをしておか ないと、先ほどの健康保険のこととも関連してまいりますが、正常産はあく までも助産師が独断場というか、産科学と助産学と違うと思います。その辺 のところですよね。ですから、住み分けをしながらこのお産の問題を考えて いかないと、混乱するのかなと思いました。あくまでも医療の最終責任はド クターですが、自然の分娩でもし助産師がやった場合は、最終責任を医師に 負わせるのではなくて、助産師が負うというのが前提ではないかなと思いま す。 ○永井座長  そういうところは、制度上どうなっていますか。そこまで言えるのでしょ うか、補助看法で。 ○川嶋委員  独占業務ですよね。 ○加藤委員  独占業務です。開業助産師は各自の責任で業務を行っています。しかしな がら、病院という組織の中では、組織上のトップいわゆる医師が、が、そし てそこの部長がという形で進んでいるようです。ただ、こういうことを考え ると、お産が全部病院の中に入ったという中から、そういう状況になってい るのかと。本来、自立してやれると思っています。 ○海辺委員  ずっと自分の2回の出産を思い起こしながらお話を伺っていて、私は幸いな ことにスタッフの先生方に超安産とおっしゃっていただいたような正常分娩 でしたので、こういう方法もあるなとか、山下先生の33枚目のカードの「四 六時中産婦さんの側にいて励まし続ける事は困難」。「産科医(男性)として の「性」の違いからくるサービス・サポートにいささか限界を感じるように なった」というところは、逆に受け手の私も女性ですので、男性の先生より もそばに付いていてくださる助産師とかベテランの師長とか、そういう方々 に対して非常に安心感を覚えました。確かに出産の現場では女性の方の存在 は大きいなということを思い出したりしました。  あとは「医学的なアドバイスはできるが、子供のこと、夫のこと、嫁姑の 愚痴などの話し相手までは相談に乗ってあげられない」というところにも非 常に共感しました。いま少子化ですので、私自身第二子なものですから、私 が生まれたての赤ちゃんを相手にするのは従兄弟なんかも見ていますが、四 六時中相手にする存在としての新生児は初めてだったものですから、非常に 些細なことでもいろいろ知りたいこととか聞きたいことというのがその当時 ありました。ですので、助産師がもっと活用されるということは、受け手の 側からも受け入れやすいのではないかなということを感じました。  ただ1点というか気になりましたのは、助産師の場合は会陰切開とか、その 方法というのは行えないのかなと。先ほどの坂本委員のお話の翌朝まで待っ て縫っていただくというと、それが自分だったらと思うと、またあんな痛い 思いをするのかなんて恐怖を覚えながら、顔をしかめながら聞いてしまった のですが、そういうこともあったりしますと、先週までデブリートメントの お話をすることが出ていましたら、会陰切開とちょっとした方法というのは、 セットになる必要な行為ではないかなと考えて伺っていましたので、助産外 来を進めるのであれば、そこら辺までができるようにならないと、逆に受け 手の側としても辛いものがあるかなと伺いました。 ○永井座長  会陰切開はよく話題になりますが、いまはどういう解釈になっていますか。 ○加藤委員  医行為になっていますので、会陰切開は医行為でやれないとなっています。 ○永井座長  やれないと書いてあるのですか。 ○加藤委員  医師から常に言われます。 ○永井座長  これは、たまたま厚労省がそういう通達を出していないだけの話なのか、 本当に法的に改正が必要なのか、その辺はどうでしょうか。前の話ですと、 結構いろいろ本当はできるけれども、これはやってはいけないとはなかなか 言えないのだということでしたね。ここはやっていいということは言えても、 これはやってはいけない行為であるというのは、実際はほとんど難しいとい うことですが、会陰切開についてはどうなのでしょうか。 ○加藤委員  会陰切開や縫合は、必要時できるとよいと考えます。産婦の経過を見てい る助産師が行う事はよいと思います。業務の拡大ではなく当然正常分娩の付 随行為であると考えたいと思います。 ○永井座長  慣習で、そうなっているという理解でよろしいですか。 ○加藤委員  そうです。 ○永井座長  そういうことでよろしいですか。 ○石川(義)補佐  事務局からお答えします。会陰切開や縫合に関して、明確に何かお示しし た通知のようなものはありません。 ○永井座長  その辺を今後どうするか。もちろん信頼関係は大事ですが、ある程度きち んとカリキュラムとか教育とか、そういうことをしっかり体制を作ることに よって、厚労省の解釈も変わる可能性はあるのではないかと思います。 ○加藤委員  会陰切開や縫合については、たしか過去の懇談会においても、正常分娩で の会陰切開やその後の縫合はたくさんの経験を持った助産師がやっていいの ではないか。産婦さんもそれを望んでいるのではないかと思われます。産婦 さんの目線に立って誰にどのようにやるのがよいかという基準で考え、教育 をしっかり分業をたてていいのではないかといっている事を聞いております。 最終的な結論は出されていないと受け止めてよろしいでしょうか。 ○有賀委員  山下先生も加藤委員も、たぶんその場においてきっとやらなければいけな いときには、やっていいのだろうと。 ○山下先生  要するに、医師の指示の下という。 ○有賀委員  病院ですから医師の指示の下でしょうし、場合によってその後から飛んで くる医師もいるということであれば、「ああ、そうだったのかい」という話だ ってあるでしょう。加藤委員の話でいけば嘱託医療機関となりますから、現 場サイドでうまくやれればやれる話を、何も箸の上げ下ろしまで厚労省の人 に聞くという話ではない。やらなければいけないときはやるのだという話で いいと私は思いますが。 ○永井座長  坂本委員、どうですか。 ○坂本委員  私はいままで、30年近く助産師をやってきましたが、会陰が切れて待たな ければいけないとか、縫合することについて、ドクターによっては違う言い 方をする、助産師によっては違う言い方をするということは、産婦さんのこ とを考えたときには問題です。責任範囲とある程度やっていいことについて は、教育の中にも入れないといけないでしょうけれども、通達なのか制度な のかきちんとやるべきだと思います。チーム医療の中で、それをきちんと決 めて、それを決めたからそれ以上のことができないとか、できるとかという ことではないと思いますが、ある程度のガイドラインみたいなきちんとした 制度は作っていかないといけないと思います。いま、この縫合の話をしただ けでも言い方がみんな全然違っていましたよね。だから、こういったところ が問題だったと、今までの職歴から考えていました。 ○海辺委員  補足といいますか、こういう検討会に出ていらっしゃる方々は、皆さん素 晴らしい病院の素晴らしい技術の方々ばかりですからあれですが、患者の立 場でいつも申し上げているのは、例えばここに行ったら正常分娩ならすべて こちらで完結すると思っていたら、朝まで待たされてしまった私のケースは、 ということがあると嫌だなという話ですので、ある程度はそういうお産だっ たら、大体そういうことはこちらで完結して、助産師が責任を取ってくださ る形になっているほうが望ましいのではないかなというのが私の意見です。 ○竹股委員  私は助産師ではないので、逆にいくつか聞きたいことがあります。1つは、 正常分娩といったときの異常と正常の境というのは、どこからあるのかです。 それは会陰を切開しなければいけないとか、産婦人科業界の常識的な見方か ら、そこは異常な範囲に入るのかどうかについてはいかがでしょうか。 ○山下先生  会陰切開がですか。分娩の経過で必要な行為という判断をすれば必要なの で、それは異常な分娩の経過だから切開をするわけではない。あと、どこか らが異常か正常かは難しいのですが、結果的に正常分娩といっても赤ちゃん の心音が落ちたりして、分娩は正常分娩というのがありますので、どこから というのは医療の現場の赤ちゃんの元気さを判断するわけで、それを誰が判 断するかという話はあるかもしれませんが、結果的には異常か正常かダイナ ミックな話なので、異常であっても分娩は正常で終われば、全部正常分娩に なるというのがお産の現場です。 ○竹股委員  いまのお答えから少し私が思っているのは、当院でもよく助産師から聞き ますが、助産師はできるだけ自然分娩というか、なるべく傷付けないで自然 に会陰保護しながら生ませたいという努力を払います。助産師は、そのプロ セスに一生懸命に関わっているわけです。しかし、ドクターによりけりだと 思いますが、会陰切開をする局面の判断が違うといいます。そうすると、助 産師からすればもう少し頑張って、もう少しすれば自然に分娩させられる。 会陰切開をすれば痛いわけで、後が大変ですから、できるだけ保護しながら 自然に生ませたいと思うわけです。しかし、ドクターはそこで会陰切開とい う感じになって、言葉的に申し上げれば不本意に会陰切開をせざるを得ない ということがあると聞いています。私はそれを聞く度に、なぜ助産師がそこ まで関わっていて判断ができないのか。会陰切開というのが非常に特殊な技 術とか判断が要るということで、助産師の知識とかキャリアの範疇を越えて いるなら別ですが、どうもそうでもないのではないかなと。そうすると、あ るプロセスの完結するところまでは、助産だけではなくいろいろな業務で、 かなりそういうことがありますが、あるレベルまではそれを携わっている専 門職に任せていただきたい、そういう中にこの会陰切開の部分があるのかな と、いま話を伺って感じました。 ○永井座長  それは、ある程度教育も必要になりますね。 ○竹股委員  そこもそうです。現場というのはチーム医療ですから、患者の責任という のはみんなで負っています。確かに最終責任というのはありますが、先ほど 来話に出ていましたように、例えば医師でも、我々から見て非常に危ない先 生もいらっしゃるわけです。それは、どうしているかというと、身近に言え ば看護職が気を付けて見ているわけです。そして、危ないなと思えば上級の 先生にナースのほうから連絡を入れたり、あるいはその先生に「先生、これ はいかがなものか」ということを言って、結果としてそれなりの保障された 医療をしています。それは、ナースも助産師も同じだと思います。ドクター がこのナース、この助産師に任せられないなといったら、そういう視点で見 ていくというのがあるのかなということ。  長すぎてしまいますが、あとは現場的には特に患者の体に侵襲のあるよう な処置行為をするときには、権利があるからとか、やる資格があるからとい って簡単には絶対させません。必ず、現場の中での一定の教育期間なり、必 要な期間を経て、何でもそうですが「この人はもう大丈夫」というときから 始めているので、その辺の現場の良識というのがあることをご理解いただき たいと思います。 ○永井座長  山下先生に私からお聞きします。産婦さんの反応、印象はどうなのでしょ うか。中にはドクターと助産師任せのお産があるわけですが。 ○山下先生  それは結果ですが、次も当院で是非お産をと希望している人はたくさん(二 度目三度目の出産)おりますので、たぶん選択の1つとしてでもいいですが、 評判はいいことになっていると個人的には思っていますし、最初に是非先生 にという産婦さんもいると思いますので、最初に当院のシステムの説明をし て、了解の上で当院でお産をしていただいているということでやっています ので、やめてほかへ行く人はあまり聞いたことがないように思っています。 回答になりましたか。 ○永井座長  正常分娩ですから、保険とはあまり関係ないとは思いますが。 ○山下先生  外来検診も、ドクターに回らないものは回らない。ただ、それは基準を作 りまして、こういう人はドクターも必ず外来で診る。そういう間違いなく明 確な基準の中で、チーム医療をやっています。 ○永井座長  お産の料金は各病院で設定できるわけですので、マンパワーとして不足す ることはないですか。それとも、もっとお産の報酬をいただいて人を増やし たいとお考えなのか。 ○山下先生  もっといただければいいなと思っています。それは病院全体もそうですが、 医療の現場ですと簡単に言えば、間違いなく昼間も夜も医師がいることに対 して、どれだけお金を払うかに行き着くことになるし、助産師も同じですの で、いまは自費ですが、もう少し上げたいというか、こういう合意がどこか であるといいかなと思っています。 ○永井座長  遠藤先生もいらっしゃっていますので、そちらのほうのお話もご質問して いただけると。 ○大熊委員  遠藤先生のも、とても重要でなるほどと思ったのですが、とりあえず山下 先生で。山下先生がおっしゃった、「せざるを得ないので」はなく、「したほ うがいい」のだと。「医師不足が解消されても必要」と結論付けられたことに 非常に賛意を表する、なんて偉そうですが、そうだなと思いました。という のは、私のホームページ、http://www.yuki-enishi.com/ にもスウェーデン とデンマークでのお産のシステムのことを載せていますが、オランダもそう だと思いますが、山下先生の今日のご発表のほうが世界の当たり前のことで あって、日本がむしろ異常なことなのではないかと思います。スウェーデン のケースは医師とその奥さんの経験、デンマークのケースは普通の人でした が、どちらも助産師さんを重視したシステムに非常に満足をしていました。  先ほど訴訟のことをおっしゃったのですが、これはいま医政局で進めてお られる事故調がきちんとできれば、やたらに逮捕する話にはならなくなるの ではないでしょうか。大野病院事件の場合、逮捕は非常に問題ではあるけれ ども、なぜ産婦さんが死んでしまったかというと、助産師が「産科医1人体制 の病院でやるのは難しい症例です」と、1年1カ月入院中に散々産婦人科医に 助言したのに、それを聞き入れずに1人でやってしまったところに死亡事故の 原因があったとこのごろ考えられていますので、助産婦を重んじる文化が大 事だと思うことが1つです。  もう1つは、先生がやっていらっしゃるようなことをある病院の院長がやろ うとして挫折した話です。別の厚労省の会で、私が「院内助産の仕組みを進 めるのがいいのではないか」と言いましたらば、終わってからその院長が私 の所にやって来られて、「とてもいい方法だからやろうと思ったところ、産婦 人科医から猛烈な反対が出て、それは自分にとっては極めて意外なことでは あったけれども、それでとうとうできなかった」とおっしゃったのです。先 生のスライドの中には、医師の理解とかが何度か出てくるのですが、この理 解を得るために医学教育の場面とか、既に産婦人科医になった方の生涯教育 の場面とか、どういうふうにやったら産婦人科医のこれまでの頭にこびりつ いたものを直していけるかとお思いかというのを教えていただきたいです。 ○山下先生  それはないと思います。5年後、10年後のために医学部の教育の中に入れて いただかないと。いまの教授の考えですから、教授の方針が医局の方針にな ります。教授といったら私と同じぐらいの年の人ばかりですから、それを変 えるのは私でも大変だったとしか言い様がないです。私の母校でも、100%結 局助産師がまだできていないですから、だからいいとか悪いではないですが、 そういうことなので俄には難しい。あとは、個々の職場でケースその1で深谷 ではできているから、是非助産師サイドからやらせてくださいという、この とおりの話の中で話し合うしかないのではないかなと思います。 ○永井座長  助産師の生涯教育というのは必要ないのでしょうか。いまのままで、現場 でやっていけばいいのか。 ○山下先生  それは、加藤委員のほうが取り組んでいるのでお答えされると思います。 ○加藤委員  助産師の職能団体としては、生涯教育として、長期、短期の研修を組んで おります。最近では、救急蘇生をはじめとして応急手当の研修や、開業のた めの研修、院内助産、助産師外来を開設するための研修を全国的に展開して おります。新たに助産師外来や院内助産を発足させ担当する場合は、助産師 の個々の能力を高めるための研修も行っております。助産師外来、院内助産 の設置は、助産師外来で産科を標榜している病院での助産師外来は約20%、 院内助産で助産師が主体的にやっている助産は、まだ僅か4%ぐらいであるこ とが厚生労働省からの調査でわかっています。出産が施設で行なわれて以来 助産師の業務範囲が非常に狭くなり、長年正常分娩も医師が関わるようにな って役割分担といってもなかなか難しいと思いますが、医師不足の今こそ助 産師ができる事を委譲することが重要だとおもいます。助産師も必要に迫っ ていろいろ研修をうけている状況です。開業助産院でお産をした人たちの満 足度は非常に高いですから、院内助産を行うことにより、妊産婦の満足度は 高くなり、助産師の業務に対する満足度も高くなりよい結果が出るのではな いかなと思っています。そのために今後も社会のニーズに合った研修をして いく予定です。また、医師でなくてはならない業務を行って頂くことがよい と考えます。 ○瀬尾委員  病院でお産をするのと、助産所でお産をすることの安全性について伺いた いです。私たちが生まれたときはもともとは家でお産をやっていたわけです よね。いまは、妊婦さんの死亡率、新生児の死亡率も非常に低いと言われて います。それは、どういう効果があってそうなっているのか。逆に言うと、 そういう助産婦さんが主導型でやるようになったら、死亡率とかに変化がな いのかどうか。開業助産所で、新生児の死亡率とか妊婦の死亡率は、統計と して取られているのでしょうか。それがあれば、助産師主導でお産をするこ とへの説得力となり、安全で安心で、あまりにも変わらないというのであれ ば助産所でお産をすることができると思います。たぶん妊婦さんが病院志向 思考であるのは、何かのときに安心できないのではないかということで、来 られているのではないですか。私はこの当たりの妊婦さんの気持ちはちょっ とわからないですが。 ○加藤委員  いまの日本の出産というのは、ほとんどが施設分娩ですので、女性が何の 教育を受けなくても妊婦になれば、病院に行くという思考をしています。よ ほど勉強した人というのが、開業の助産所に来ています。いま全体の死亡率 とか、そういうようなことをと言われましたが、異常があれば病院のほうに 早くに搬送をするという開業助産所のガイドラインがありますので、そんな に多いようなことはありません。ですから、病院に早め早めに送るようにと いうことです。 ○瀬尾委員  実際は、送るという取り決めがあっても、搬送するときに向こうで受け入 れないということがよく問題になっているわけです。実際に開業助産所では、 どういう実態かという数字はあるのでしょうか。 ○加藤委員  毎年助産師会においては、全国の分娩件数及び転院件数を集計しておりま す。分娩時の緊急搬送数は助産所分娩約1万に対して、233件で2.1%です。 ○永井座長  医療クラークのことも取り上げたいと思います。 ○川嶋委員  遠藤先生に2点お聞きします。この医療クラークの導入で、医師の常勤医の 評価も非常に高く、労働時間短縮の効果があったということですが、当然ナ ースの負担も医療クラークの導入によって軽くなったと思いますが、いかが でしょうか。そのことに関連しまして、7頁のスライド6の医師事務作業補助 者というのは、医療クラークのことですよね。そして、その教育研修プログ ラムが全体で6カ月かかっていますが、この方たちはお仕事をしながらプログ ラムに沿ってたぶん研修されているのだろうと思いますが、全体をイメージ して全然わからないのは、各職場に配置されている人たちの教育研修は時間 外になさっているのか、時間内になさっているのか、どのようになさってい るのかということが1点です。  もう1点は、病棟クラークというか医療クラークと書いてありますが、病棟 の事務が外部委託によって手を打って医療クラークのほうに回ったと理解し たのですが、病棟におけるクラークと、いまの先生がおっしゃっている医療 クラークとの関係をもう少し説明していただきたいなと思います。 ○遠藤先生  最初に、看護師の作業もということだと思いますが、例えば体制と業務と いうのがスライド5の中にあります。カルテの振り分けとか、看護師が見て、 いろいろ振り分けていたようなところもありますが、こういうのがクラーク によってできるようになっています。具体的ないろいろな例はたくさんある と思いますが、私も現場の細かいところまで把握していませんのでここで紹 介できないのですが、最初に導入の仕方の中で優秀な事務員がいましたので、 彼女に現場を見てもらって「こういう作業なら、私たちもできますよ」とい うのをいろいろ見付けてもらって、そこから入り込んでいったということで、 当然看護師不足というのもありましたので、そのころ第1看護配置とかいろい ろありましたが、できるだけ病棟に看護師を上げて、外来業務についてはク ラークでできるところはやろうということでやっています。  ただ、細かい診療報酬の加算基準では、たしか医師のサポート業務だけに 加算が付いて、看護師のサポートにはたぶんそういうのは付かないと思いま す。あまり言い過ぎてしまうと誤解を得るところもあると思いますので、そ の辺にしておきます。  研修プログラムですが、まったく新人からというのが3人ぐらいいて適用し ました。当然仕事をやりながら、あるいは医師の業務をいろいろわかっても らおうということで、短期間にあちこちを見て回ったり、そういうこともし ています。話がずれてしまうかもしれませんが、私も院長になる前に2週間ほ どいろいろな職種、厨房に行ってご飯を作ったり、看護夜勤、おむつ交換、 清拭、夜勤をやったりをもう一度やらせてくれということで請求業務をやり ました。そういうことで職員の視点に立つことが、1つはチーム医療と名ばか りではなくて、相手の仕事の内容をよく理解することが非常に大切なことだ と思いますので、そういうことも踏まえて院長がやっているということで、 事務の管理者がこの医療クラークにも、やろうということで施行してきまし た。いま初期研修の女子医大の大学研修医が順ぐりに回ってきています。ド クターだけれども、1日だけプログラムの中に看護夜勤を入れてやっています。 相手の視線になることが大切だということで、そういうことも入れています。  あとは病棟事務というのは、昔病棟クラークとか呼んでいたので紛らわし いので病棟業務事務としたのですが、主にいまはフィルムレスになっていま すので、いろいろフィルムの整理とか伝票の整理とか、本当に細々としたも のをやっていた。どちらかというと、看護師が病院によっては一般病院でや っているところかもしれませんが、事務がやっていました。そういう人で、 優秀な人あるいは希望があった人を新たにドクターを直接にサポートするた めに人材をそこから出したという取り組みです。 ○朔委員  クラークの導入は、医師の業務を軽減する上で非常に良いということに異 論はないと思います。もう1つは、別の観点から見ると、いい医師を獲得する には、そこの病院で臨床研究をきちんとやれるという環境づくりも非常に大 事でだと思います。私は九州医療センターの院長時代には、臨床研究を行っ て良い論文を書いて頑張れば、よその大学教授に推薦するよということをよ く言っていたのですが、そして、現実にそういう人を何人も出しましたが、 臨床研究をサポートするためのクラークを導入しることが病院の格を上げて いく、あるいは医師を確保していく上には非常に重要だと思います。遠藤先 生の病院では、いま導入していらっしゃるクラークは全部診療の介助だけを させるクラークなのでしょうか。 ○遠藤先生  うちの場合は治験のCRSというか、そういう人材は現状では外部委託でやっ ています。最近も新しい全国的な臨床研究で、内部のうちで医療クラークで できるのではないかという意見もあったのですが、まだそこまで仕事をいろ いろと増やすのは難しいかなという判断で、従来どおり外部委託のCRSに治験 に関してやってもらっています。将来的には、人材が増えればそういうこと もどんどん入れていって、正の好循環に持っていければいいかなと思ってい ます。 ○永井座長  まず1つは、この方々の資格とか教育を今後どう考えていらっしゃるかとい うこと。50対1というのは、入院患者50人に1人ですね。そうすると、もっと 必要でないのだろうか。その辺の数がどうなのか。それから個人情報の扱い とか、場合によってはネットで仕事をすることもアメリカではやっていまし て、インドに吹き込みを送ってインドから書類が返ってくる、あるいはレン トゲンの読みが返ってくるということをやっていますが、そういう制度的な 問題というのは何か感じられていることがおありかどうか。その3点について 教えてください。 ○遠藤先生  1つは、実際医療秘書を育成する大学とかが昔からありますし、医療秘書の 何々会の資格みたいなものはあると思いますが、実際にうちの職員はそうい うのを持っている人はいません。従来、医事業務をやっていたとか、病棟事 務をやっていたとか。ただ、病院全体として個人情報の勉強会とか教育につ いてはベースとしてはやっていますので、新たに入る人に対してはこういう プログラムとか、そういうのをやっている次第です。何か専門職をやると、 資格とか認定とかが出てくるのではないかなと思いますが、当然その辺をあ まりガチガチにしてしまうと、病院としての育成がまた難しくなるようなの で、その辺については慎重に考えてもらいたいと思います。ただ、国として 医師を補助するためにどうすべきか、いろいろなセミナーを企画したりとか、 最低限そういう教育体制を保障するように取り組んでいただき、そこで研修 した人は認定証をもらえるとか、ある程度標準的な知識、そういうのを担保 できるとか、システムは是非国として考えてもらいたいと思いますが、何か 非常に難しい資格にしてしまって、かえって病院でコストがかかってしまう というのは、私としてはあまり望ましいとは思えないところです。あとは何 でしたっけ。 ○永井座長  50対1というのをどういうふうに感じているか。 ○遠藤先生  病院によってはこういう加算が付いて、厚労省の勉強会で私が呼ばれたと きに、京都で国立病院機構の院長先生がやっていたと思いますが、ドクター の数ぐらいあってもいいのではないかということで、かなりの規模でいま育 成をやっているという話もありました。そういう意味では、ドクターの常勤 の数ぐらいあってもいいかもしれませんが、すぐそこに配置してしまうとコ ストばかりかかって、何の仕事をやっていいのかもわからないですので、徐々 にその辺は見ながらだと思います。うちの病院の場合は、時間外手当という のは決してドクターが欲しいための、それが財源となったような経過はあり ますが、もう少しいろいろなサポートができるように人数を増やして入れる ような、その財源の保障というか加算とか、診療報酬で裏付けができればあ りがたいなと思います。 ○永井座長  患者さんの反応はいかがでしょうか。 ○遠藤先生  先ほども助産師の中でも出てきたのですが、医師よりは話しやすいとかい ろいろ訴えやすいと思います。希望を伝えやすい。例えば、いろいろな予定、 予約、手術の日程を組むときも、たぶん患者からするとそういうのを訴えや すい。当然苦情なども訴えやすいという1つの効果になって、ドクターに言い づらいところを言えるなど、そういう面ではそれなりのプラスになっている のではないかと思いますし、目に見えてわかるのは診断書が早く出来上がる ということで、その苦情も減っているということは大きな効果ではないかな と思います。 ○太田委員  診断書の件ですが、教育のこととも関わりがありますが、介護保険制度を 利用するための主治医の意見書も、お示しいただいた資料の中では、クラー クさんがお書きになっているということですよね。そうすると、例えば身体 障害者の申請とか、生命保険会社からの後遺症診断とか、主治医の意見書も 相当知識がないと、なかなか書きづらいように思いますが、医師の書いてく る主治医の意見書は大したことないですが、具体的にどういうふうに教育さ れるのでしょうか。 ○遠藤先生  1つは、介護保険の書類例が出ましたが、これはたしか医師会が作成した入 力できるような、データベース作成ソフトを使っています。いちばん最初の 段階では、ドクターが手書きで書きます。それを入力して、次回の更新のと きは変わりがないかどうかだけを書きますので、変わりがなければサインだ けで済みます。そういうことで、診断書というのは大事ですし、法令遵守も 大切ですので、その辺は内規できちんと作業規定をしてやっています。当然、 死亡診断書は書いていませんし、保険の診断は書いてサインをもらうという やり方をします。ただ、これは論文の中にも書いたのですが、公的な保険診 療請求は医事課という事務がドクターに代わっていろいろ請求して、公的な 保険、診療報酬を得ているわけです。  患者は、保険会社に診断書を書いてもらって、自分が請求するということ で少しルートが違いますが、そういうものももっと簡略化して、保険会社が 替われば診断書のあり方も変わるし、決してドクターが診断しないといけな いものではなくても、同じような診療報酬の請求の仕方でやれれば、もっと ドクターの負担という意味では減るのではないかなと思いますし、診断書も いま保険会社によってまちまちだというのも1つ問題になっていて、統一して もらえばその辺も非常にコストもかからなくて、いろいろなソフトも出てい ますし、そのソフトを買うための補助事業はやっているようですが、その辺 を場合によっては国の立場で指導して、ドクターにあまり負担がならないよ うな診断書の請求の仕方とか、いろいろ工夫ができるのではないかなと思い ます。 ○島崎委員  遠藤先生にお伺いします。スライドの6で、3カ月か4カ月目のところに「ク リニカルパスの理解」と入っていますが、この「クリニカルパスの理解」と いうのは、どういう中身なのでしょうか。お伺いしたい趣旨は、例えばすべ てのクリニカルパスについて理解しろということはたぶんないと思いますが、 代表的なものに関しては、かなり具体的に医学的な中身まで立ち入り、どう いう手順なりで行うのかということまで理解しろということなのでしょうか。 ○遠藤先生  細かいところは説明できないかもしれませんが、診療録の「録」が間違っ ていますね入院オーダーの際、パスがある疾患の場合はうちの場合はまだ手 書き的なパスで動いていて電子化されていませんので、それを例えばオーダ ーで、発生しないといけないわけですよね。だから、この点については医師 の代行入力してオーダーをするとか、そういうことでパスというのが、例え ば胆嚢切除のパスにはこういう流れがあって、ここでいろいろな伝票が発生 するので、そのときはこれを押さえなさいという意味での理解だと思います。 ○島崎委員  医学的な中身というより、むしろ手順等の理解という意味ですね。 ○遠藤先生  そうです。 ○大熊委員  追加情報1つと質問を1つです。前回か前々回にいらっしゃった鹿児島の中 野一司先生のところは病院でなくクリニックですが、医療秘書的な人を非常 に上手に使っているために、あの方は8時から4時までの勤務時間で仕事を終 えています。たまに夜呼ばれるということはあるけれど体も壊さずにやって おられます。それは出先からデータを送ったら医療秘書的な職員が、書式の 中にきちんと入れて、つつがなく請求してくれるとか、そういう部分をやっ ていらっしゃるからです。これは追加です。  質問は、先生の所は本当に正職員であって能力があって、病院のこと全体 を知っている人をさらに養成したという作り方でとても素晴らしいと思いま すが、たぶん先生の所に話を聞きに来る人たちの中には、もう少し安易なお 手伝いさんみたいなクラークを頭に浮かべている人もいるのではないかなと いう気がしますが、「こんなクラークでは困る」という例があったら教えてい ただきたいと思います。同じクラークという。言葉であっても、中身を思い 浮かべるのは違うのかしらと思いますので。 ○遠藤先生  うちの医療クラークの柱は、1つは文書担当。これは、朝から晩までカルテ とにらめっこしているような担当、片方は外来担当です。外来担当する基本 的な素養というか、患者に接するわけですので、そこがしっかりしないと困 ったクラークになると思います。文書は文章です。カルテを職員としていろ いろ見て、どういうところにポイントがあって、それを診断書の中に入れる かというのがわかれば、文章作成ができるようになります。  医事課での作業経験を経て、文書担当をやった人がいましたが、すごく能 力を発揮してくれて、適材適所だったのではないかと思います。事務の職場 というのもいろいろありますので、その辺を発掘していかないといけないか なと考えています。あとは、医療クラークをうちで育てようということが大 きな柱になっていましたので、やる気がある人が「やらせてください」と、 医事課からいまも手を挙げてくるような人もいます。モチベーションを高め られるような部門として、いろいろ発掘できればいいかなと思います。 ○朔委員  遠藤先生にMSWと医療クラーク体制との関係を教えていただきたいのです が。5番目のスライドで示されています体制とはまた別にMSWという職種が存 在しているのでしょうか。それとも一般病院でやっているMSWという人の仕事 までこのクラークさんたちがやっているのかはいかがでしょうか。 ○遠藤先生  MSWは全く別部門です。 ○朔委員  MSWは別組織で3人いらっしゃるのですね。 ○遠藤先生  はい。 ○井上委員  今日の助産と医療クラークは専門外ですが、伺っていると本質的なところ は一緒だなと感じました。いままでの討議は大きく3つに分けられると思いま す。1つ目は、処置とか技術の種類です。業務内容に関してもう既にやってい る、ナースがやったほうがいい、あるいはいまやっていないけれども、先ほ どの切開縫合のようにやったほうがよいと思われるものがかなりある。そこ でのナースの立場からいうと、かなりのハードルが高いのが、例えば切開縫 合処方権、検査オーダー、最新の機器を使うなどのものです。これらは医師 の象徴のようなものだと思います。例えば出血している人や狭窄のある人の 胃管挿入というのは、会陰切開よりははるかに危ないと思います。そういう ものが、闇に埋もれてやられているというのを黙認するというのは危ないだ ろうと思います。  2つ目は誰がやるかということで、ナース全員がやっていいのか、それとも 教育を受けた人、あるいはひょっとして新職種なのかという論議があるかも しれない。3つ目は、やっていいという裏付けが法改正が必要なのか、通達レ ベルでいいのか、現行法の解釈でいいのか。この3つの組み合わせなのではな いかと思いました。そういうふうに丁寧に一つひとつ見ていかないと、例え ば新職種ありきとか、すべて現行法でやっていいというと、非常に危なくな ってくる可能性があるというのを感じました。そういう意味では、医療クラ ークさんの仕事というのは、最初に言いました処置とか技術の中での、こう 言っては何ですが国家資格を持った医療職種がやらなくてもいい仕事をここ は新職種、あるいはどんな教育をしたらいいかというところでそんなに問題 はないかと思いますが、いちばん主義主張とか意見が分かれるところが、仕 事と仕事の狭間を、やるかやらないか、やりたいかやりたくないか、誰がや るのかが非常に論議になっているのかなという気がしました。 ○川嶋委員  最終的には、この委員会でまだ先のことかもしれませんが、ずっと通って いると制度とか法改正ということになりますと、業務としての位置づけで誰 がやるかになってきますが、今日の会陰切開と縫合の話を伺っていて、技術 と技術水準の問題が欠けていたかなという感じがします。その技術を患者の 安全性から考えたときに、本当に誰がやっても安全でないと困るわけですか ら、それをどの程度ナースがいまの教育の中でやるのか、あるいは新たにも っと教育を重ねてやってもいいのかという業務に移っていくと思います。そ れが1点です。  もう1点は、この委員会の性格で、いま医師不足という非常に社会的な問題 になっているところからこのチーム医療検討会が始まったと思いますが、急 場凌ぎの対症療法的なことを検討する場なのか、かなり将来を見越して提言 するのかによっても違うのではないかなという気持を持っています。 ○永井座長  両方でしょう。とりあえずどうするかということと。 ○川嶋委員  その辺のところを確認しておきたいのです。 ○永井座長  どちらかということではありません。 ○川嶋委員  いまの現状でどこまでできるのかということと、将来を見越してやるのと 少し違うかなと思ったのです。 ○永井座長  両方だと思います。 ○坂本委員  いま川嶋委員がおっしゃられたように、もう必然的に助産師の会陰切開と 縫合の研修をドクターの指導の下にやり始めている病院とか、助産師学校が 出てきています。だから、あいまいというか、見様見真似でやってきたこと を、もう少しきちんとしていこうという動きが出ているのだと思います。  それから、今回助産師と産科のドクター、病棟クラークさん、メディカル クラークさんのお話でしたが、もう1つお願いしたいことがあります。山下先 生にお伺いしたいのですが、9ページのスライドの埼玉県のNICUのベッドが83 床で、東京都は201床とあります。助産師と産科医のこともそうですが、NICU に入った赤ちゃんたちを在宅に移す作業は、83床であと40床不足していると 書かれていますが、そういうところをどうされているかということを教えて いただければと思います。  それと、いまいろいろな話が訪問看護ステーションから入ってきています が、どうも病院と連携してNICUから在宅への移行を支援したとしても、すべ てドクターの指示の下に動かなければいけない状況がありそのため、在宅へ の移行に向けて早めに訪問して指導するなど、いろいろな対応をしているこ とについては、すべてコストの診療報酬の問題ですが、そういうものは全然 もらえないという問題があります。役割分担の中ではできるだけ在宅とNICU の関係のところも詰めていかないといけないのではないかと思います。だか ら、お産のこともそうですが、NICUのことも役割分担として何が障害になっ ているか、何の裁量権を与えればスムーズに行くかということも是非議論し ていただきたいと思います。質問です。 ○山下先生  NICUの後方ベッドというのは、非常に私産科なのですけれど、周産期とい うか小児科の大学の教授なども常々問題提起をしています。要は長期入院に なっていて、それが健常ではない子で、でも急性期は過ぎて、でも保育器は1 つ占有していて回転をしない。そういうものもあるので、在宅までは無理だ としても、そういうことへ誰が指示するといっても、NICUをやっている所の ドクターはみんな早く後方に送りたいけれども、送る収容の場所がないので す。それで、小さければ小さい子ほど長期になるし、障害というかレスピレ を付けている子を受けてもらえないので、またNが空かないというようなこと。 絶対的に少ないですが、それが非常に取りざたされて、そういうのを抱括(入 り口は作っても出口まで作らなければ貯まる一方)の中でインフラを整備し てもらわないと、極論だったらNだけを作っても医師がいないわけですからと いう問題が1つありますが、収容した子の後方的な整備をしてもらわないと機 能しないと、常々言っていました。それぐらいしかお答えできません。 ○坂本委員  訪問看護ステーションはそう多くないですが、シームレスにどのように役 割分担をしていくかということについても、制度的な問題を抱えて効率が悪 いこともありますので、こういうところも少し議論していただきたいなと思 います。 ○太田委員  いま、山下先生の言葉の中に、在宅は無理かもというイメージがあります が、先生は産婦人科の先生ですから当然と思いますが、現実問題在宅医療側 では、チューブヒディングで人工呼吸器という子供たちを結構見ています。 ですから、在宅は無理だというのではなくて、在宅で見られるのだから、と にかく在宅でなんとかしようと考えないと、NICUから子供は出せないと思い ます。そのためにはどうするかというのは、いろいろあると思います。 ○海辺委員  全く話が飛んでしまいますが、先ほど遠藤先生のお話を伺っていて、保険 会社の請求というか書類が会社によって全く違うという。ここが変われば、 随分楽になる部分もあるのにというお話には「なるほど」とすごく思う部分 もありました。あとは個人的な体験から言うと、私の娘が学校の体育の授業 でけがをして病院にかかったら、「学校でけがをしたのだったら学校が保険 に入っているから、請求したら今日の診察代は出ますよ」というお話を伺っ たのですが、そのときの窓口での支払いが2,000円ぐらいで、診断書を書いて いただくと1,500円かかるので、それだったらもういいかなという感じで請求 しなかったような経験もあったので、やり方次第で工夫して、そこのコスト が削減できるのだったら、管轄が違うかもしれないですが、民間の保険会社 の方ともいろいろとお話を伺って、削減できるところはできたらいいかなと 感じました。 ○永井座長  よろしいでしょうか。大体時間になりましたので、また今日のご意見を踏 まえてこれからのまとめに入りたいと思います。事務局から連絡事項をお願 いします。 ○石川(義)補佐  次回は、12月21日(月)15時〜17時、場所は厚生労働省専用第18〜20会議室 (17階)です。よろしくお願いします。 ○永井座長  ヒヤリングは次回が最後ですね。 ○石川(義)補佐  今年は次回で最後です。ヒヤリングについても、一区切りということにな ろうかと存じます。 ○永井座長  ありがとうございました。それでは、これで終了します。 −了− (照会先) 厚生労働省医政局医事課 石川義浩、石川典子 (代表)03−5253−1111(内線2564、内線2563)