09/12/03 第5回労働基準法施行規則第35条専門検討会議事録

第5回労働基準法施行規則第35条専門検討会議事録(平成21年度第5回)
 
1 開催日時及び場所
 開催日時:平成21年12月3日(木)午前10時00分から午前10時45分まで
  開催場所:厚生労働省共用第7会議室

2 出席者
 医学専門家:圓藤吟史、岡田了三、奥平雅彦、櫻井治彦、夏目誠、別府諸兄、堀田
            饒、柳澤信夫、和田攻、
  厚生労働省:尾澤英夫、田中誠二、渡辺輝生、神保裕臣、山口浩幸、宮村満、柘植
            典久 他

3 議事内容


○山口職業病認定対策室長補佐
 定刻となりましたので、これより「第5回労働基準法施行規則第35条専門検討会」
を開催します。本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、感謝申し上げま
す。なお、大前先生、兼高先生、工藤先生、馬杉先生、山田先生については、本日の
検討会について御欠席の御連絡をいただいています。座長である櫻井先生に議事の進
行をお願いいたします。
○櫻井座長 
 議事を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。最初、議事に入る前
に、事務局から今日の資料の確認をお願いします。
○山口職業病認定対策室長補佐 
 資料の御確認をお願いします。本日の資料は、「労働基準法施行規則第35条専門検
討会報告書(案)」となっています。さらに、報告書に別添資料として1~8まで付け
ています。資料の不足等がございましたらお申し出下さい。
○櫻井座長 
 お手元に揃っているようですので、早速、議事に入りたいと思います。議事次第に
あるように、今日の議事は「労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書(案)」に
ついてです。今日、その資料として、これまでの議論を踏まえた報告書(案)をここ
に提出しています。従いまして、本文について事務局から一通り全部読み上げていた
だいた後で、御意見をお伺いしたいと思います。まず、事務局から読み上げをお願い
します。
○柘植中央職業病認定調査官 
 報告書(案)を御覧下さい。表紙の後ろをめくっていただき、皆様方、参集者の方
の名簿を付けております。その下に検討会開催状況として、今日、第5回までの開催状
況を記載しております。次に目次として5項目を付けています。次頁から読み上げさせ
ていただきます。
                         (報告書(案)読み上げ)
○櫻井座長 
 順次、御意見を伺いたいと思います。1「検討会の開催経緯及び目的について」、
2「例示列挙の考え方について」、3「検討疾病について」の部分について、何かお気
づきの点、追加等がありましたら、御発言をお願いします。よろしいですか。
 報告書(案)については、先ほども申しましたように、これまでの議論を踏まえ、
事務局と私とで作成して、一度、委員の皆様方に御検討を郵送等でお願いして御意見
をいただき、また若干の修正を行ったものです。従いまして、何かこの点についてま
だ修正が足りない、あるいは新たにお気づきの点等もおありかと存じますが、これか
らまた個別に進めてまいります。元へ戻っての御発言でも結構ですが、先へ進みます。
 3頁の4「検討疾病に係る検討結果」の(1)「木材の粉じんによるがん」についてはい
かがですか。よろしいですね。(2)「上肢障害」についてはいかがですか。
○柳澤先生 
 上肢障害の中で診断上問題になるのは、単一業務により過剰に使用することによっ
て起こる軽微の痙攣だと思うのです。それ以外の物の運搬や組立てなど、そういう重
労働によって起こる整形外科的な上肢の障害については、従来、申請がされて認定さ
れるという作業にそれほど問題がなかったと思うのですが、いわゆるジストニアと言
われる痙攣について、どのように例示をするのかということが大切だと思います。お
そらく事務局はいままでの議論でおわかりになっていると思いますが、印書、速記、
金銭登録機は全部繰返しの軽微の過剰作業で、そういう作業がなくなったということ
がありますが、パソコンを使った作業であるとか、あと何がありますかね。
 労災といっても職業性の筋痙攣というと、むしろ楽器を演奏する人たち、ミュージ
シャンが非常に激しい筋痙攣を起こすことがあるのです。そういう人たちも、もし職
業性疾病として認定されるカテゴリーに入るのであれば、軽微を反復して過剰に使用
する業務という一般的な表現を書いておいてもいいと思うのです。現在、速記をする
ことは少なくなりましたが、「書痙」という言葉は医学用語としては非常に一般に使
われるものですから、書痙という言葉はそこに1つ入れておくことはよろしいかと思い
ます。
○櫻井座長 
 ただいまの御意見に何か追加等の御意見はありますか。報告書では、例えば上肢障
害についても具体的な文言の修正については示すことを控えて、「医学的に十分検討
された同報告書の内容に沿った規定とすることが適当である」と一般論的に書いてい
ます。しかし、その後どのように細かな書き振りにするかについては、今後、いまま
での議論を十分踏まえて進めていくと私は理解しているので、事務局もそれを念頭に
置いて進めていただきたいと思っています。それでよろしいですね。
 (3)「電離放射線による多発性骨髄腫」及び(4)「電離放射線による悪性リンパ腫」
についてはいかがですか。特にないようですので先へ進みます。(5)「塩化ビニルに
よる肝細胞がん」はいかがですか。いまのところ問題はないと存じます。(6)「石綿
による良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚」についてはいかがですか。よろしいです
か。(7)「過重負荷による脳・心臓疾患」はいかがですか。特にないようです。(8)
「心理的負荷による精神障害」についてはいかがですか。よろしいですか。
○柳澤先生 
 夏目先生にお伺いした方がいいかもしれませんが、心理的負荷による精神障害は、
もし職場のいろいろな状況によるうつ病がそこに含まれてくると、非常に膨大な数
になりますね。その辺は何かの区切りのようなものは考えた方がいいのでしょうか。
○夏目先生 
 要するに、うつ病やパニック障害などいろいろありますね。精神医学による疾患が
対象になります。それは認定システムによると、ICD-10、国際疾病分類に基づいてま
ず発症している事実から診断名を付けて、そこから労災認定基準により業務上外の判
断がなされるので、必ずしも病名が絶対的だという感じでの対応はないと思うのです。
○柳澤先生 
 そうすると、労災の認定に関しては特段の問題はいまの時点では考えられないと理
解していいですね。
○夏目先生 
 そうですね。ある疾病、例えばうつ病のみが業務による心理的負荷が非常に影響す
るとかいうわけではないだろうという観点です。だから、精神障害そのものに対して、
強い心理的負荷があった場合、それが特に業務によるものであるという場合に限定す
るので、病名そのものというよりは、むしろ広い範囲の精神障害に対して、業務上の
心理的負荷がどの程度あるかどうかというところが論点になってくるのではないかと
思います。病名自体はそれほど大きなウエイトではないと思います。
○柳澤先生 
 はい、わかりました。
○櫻井座長 
 その他ありますか。なければ、次に(9)「介護の業務による疥癬」についてはいかが
ですか。これについては、疥癬に限定しないで介護の業務全般を取り上げていくとい
う方向になっています。よろしいですね。
 (10)「理美容の業務による接触皮膚炎」についてはいかがですか。
○堀田先生 
 独立行政法人労働者健康福祉機構が出したデータの中で「実施したパッチテストに
は交差反応の問題もある」という表記があるのですが、これは疑陽性に出るというの
か、本来、陽性になるのが、何かのインターフェアによって陰性になるというのでし
ょうか。これは機構の発表の中では何も問題にならなかったのですが、新たにあった
問題なのでしょうか。
○櫻井座長 
 これはおそらく非常に強力な感作性を持つ物質について高率に陽性反応が出ていて、
それ以外の2、3の物質については、交差反応によると思われる陽性反応が出ていたと
きに、交差反応にかかわる物質も列挙する必要があるかないかという点について、少
し専門家で御議論いただいた方がいいのではないか、という発想での表現ですが。
○堀田先生
 そうすると、疑陽性ということですか。
○櫻井座長 
 いいえ、陽性そのものではあると思います。他の物質にばく露しても、強力な感作
性物質に過去にばく露しているものが交作反応を起こしている可能性があるというこ
とです。
○堀田先生
 そういう意味ですか、わかりました。
○櫻井座長
 いずれにしても、そのところの因果関係が明確であるならば、業務上という方向へ
考えていくものかと思いますが、そのあたりは専門家の御意見を十分いただいて判断
すべきだという感じがしています。
○堀田先生
 わかりました。
○櫻井座長
 他に何かありますか。なければ、(11)「インジウムによる間質性肺炎」については
いかがですか。
 最後に、5「まとめ」についてはいかがですか。特段ないようですね。
 なお、全体について何かお気づきの点はよろしいですか。特段、追加の御意見もな
いようです。特にここを修正すべきという御意見もありませんでしたので、本報告書
についてはこのとおりのものとしてまとめたいと存じますが、よろしいですか。
                  (異議なし)
○櫻井座長
 ありがとうございました。以上で、今日検討すべき事項は終了したと思います。今
日、御了解いただいた報告書(案)については、改めて文言等を精査した上で、私に
お任せいただきたいと思います。すべてこのとおりというより、微調整が必要になる
こともあろうかと思いますので、その際は私の判断にお任せいただき、その上で本検
討会の開催者である労災補償部長あてに提出したいと思いますが、よろしいですか。
お認めいただけますか。
                  (異議なし)
○櫻井座長
 ありがとうございました。これで本検討会に与えられた議題についておおむね結論
が得られたかと思いますので、事務局にお返しします。事務局、何かありますか。
○山口職業病認定対策室長補佐
 本検討会の報告書、「労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書」ですが、後日、
提出がなされた後に、厚生労働省のホームページへの掲載等で公開することを考えて
います。最後に事務局を代表して、開催者である労災補償部長の尾澤より御挨拶を申
し上げます。
○尾澤労災補償部長
 本検討会の終了に当たりまして一言、御挨拶申し上げます。櫻井座長をはじめ、御
参集の各先生の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、本年3月の第1回の開催以
来、延べ5回にわたりまして精力的に御議論、御検討をいただきまして、誠にありがと
うございました。
 皆様方の御尽力によりまして、本日、結論をおまとめいただきましたことに、心か
ら感謝申し上げる次第でございます。また、櫻井座長におかれましては、先ほどあり
ましたように検討会の報告書につきましてさらに文言精査等をいただくこと、恐縮で
ございますがよろしくお願い申し上げます。
 第35条専門検討会は、新しい疾病の発生等に機敏に対処するため、従前より定期的
に開催しているものでありますが、今回の検討会におきましては、近時の医学的知見
の公表状況、あるいは労働災害の発生状況等を踏まえた活発な御議論の結果、業務上
疾病の範囲を規定しております労働基準法施行規則別表第1の2に、新たにいくつかの
疾病を例示すること等を内容とする報告がなされるとのことでありまして、大変意義
深いものと考えております。
 私どもといたしましては、今回おまとめいただきました結果を踏まえまして、早急
に労働基準法施行規則別表第1の2の改正につきまして、関係審議会にお諮りする等、
所要の措置を講ずることとしております。
 最後になりましたが、各先生には、専門的見地から大変示唆に富んだ御意見、御指
摘をいただきましたことを、重ねて感謝申し上げますとともに、今後とも労働行政へ
の貴重な御助言を賜ることをお願い申し上げまして、簡単ではございますが私の挨拶
とさせていただきます。本当にありがとうございました。
○山口職業病認定対策室長補佐
 本日をもちまして本検討会を終了します。各先生方におかれましては、昨年度末か
ら非常に御多忙のところ、御参集いただきましてどうもありがとうございました。
                     
                     照会先
                     厚生労働省労働基準局労災補償部補償課
                     職業病認定対策室職業病認定業務第一係
                     〒100-8916東京都千代田区霞が関1-2-2
                     電話   03-5253-1111(内線5570)
                     FAX  03-3502-6488