09/10/16 第4回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録 第4回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録  日時:平成21年10月16日(金)10:00〜12:00  場所:九段会館「真珠の間」  出席委員:阿曽沼委員、伊藤委員、稲垣委員、小澤委員、片倉委員、神山委員、       木下委員、木村委員、澤委員、鈴木委員、永井委員、前川委員、       武藤委員、毛利委員、森尾委員、大和委員  オブザーバー:       三宅内閣府参事官、渡辺文部科学省研究振興戦略官       荒木経済産業省生物化学産業課長、       平山(独)医薬品医療機器総合機構上席審議役  行政庁出席者:       木下経済課長、成田審査管理課長、國枝監視指導・麻薬対策課長、       岸本経済課長補佐、山本経済課長補佐 ○岸本経済課長補佐  それでは、定刻になりましたので、第4回再生医療における制度的枠組みに関する検討 会を開催させていただきます。  本日、欠席の連絡をいただいております委員の方は、早川委員、土屋委員、花井委員で ございます。また、阿曽沼医政局長、高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官は所用のた め欠席となりますので、ご了承ください。また、木下経済課長、所用により遅れてまいり ますので、ご了承願えればと思います。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席図、委員名簿に 続きまして、資料1「再生・細胞医療における共同での診療についての前回の議論の整 理」、資料2「再生・細胞医療における共同での診療についての今回の論点」、その他参 考資料として、1から7までお手元に配付いたしておりますので、ご確認いただければと 思います。  それでは、以降の議事進行につきましては永井座長にお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○永井座長  それでは、早速議事に入りたいと思います。  この検討会は再生医療という新しい分野についての制度的な枠組みを検討するというこ とを目的としております。今年度21年度は医療機関の間で行われる共同での診療のあり方、 この条件を示すことが今年度の課題であります。これまでの3回の委員会、検討会ではC PCの実態、運営する上での留意点等について委員の方からご説明をいただいております。 これを踏まえて、再生・細胞医療における共同での診療の具体的な要件についての検討を 始めていただいているということであります。  本日の議題は、前回の議論を整理した資料及び残された論点についての資料が事務局よ り提示されておりますので、これらを踏まえて具体的な要件について検討を進めていきた いと考えております。  では、まず資料1について事務局より説明をお願いいたします。 ○岸本経済課長補佐  それでは、資料1をご覧ください。全部で3枚の紙になってございます。それでは説明 させていただきます。  前回の議論でございますが、まず大きな1番目として、基本的な考え方について整理さ せていただきました。(1)再生・細胞医療の一般化、普及化を図ることがこの検討会の目的 であると。そのためには、再生・細胞医療は先端的なものではあるのですが、患者にいか に有効性、安全性の確保された形で医療を提供できるか、まさに患者の視点からの議論が 重要であろうというようなご意見がございました。  (2)でございますが、具体的には複数医療機関の共同診療という形態を議論するわけでご ざいますが、加工の段階のみが分断されるというのは好ましくなく、細胞採取、加工、搬 送、移植までに至る各過程が一貫して両医療機関により実質的に管理されているというこ とが必要であろうというインフォームド・コンセントについても同様であろうというご意 見がございました。  (3)でございますが、医療には臨床研究の段階、それから徐々に応用されていく段階、最 終的に企業が加わり、薬事承認を得たり保険に導入したりして利用が拡大していく最終段 階など、ステージによって求められる要件は異なってくるであろう。また、利用が拡大す るにつれて上乗せの要件も求められてくるのであろうというようなご意見があったと思い ます。  続いて、2番目、診療の体制でございますが、再生・細胞医療の実施に当たっては、医 師個人の判断だけでやるのではなく、医療機関としての管理・責任体制を明確にしておく ためにも、倫理審査委員会の承認を求める必要があるのではないかというご意見がござい ました。倫理審査委員会に求められる役割としましては、製造・品質管理等に関する手順 書や搬送方法の確認、追認のようなものですとか、それらが適切に守られているかどうか の確認、また、患者の有効性、安全性に関する情報のフォローのようなものですとか、技 術を継続する妥当性の検証だとか、問題が起きたときの対応の検討といったものが考えら れるのではないかということでございます。  続きまして、3番目でございますが、まさにこの検討会の特にフォーカスを当てる点で ございますが、共同の診療の条件でございます。(1)でございますが、倫理審査委員会につ いては、有効性や安全性、品質に関する情報を共有するためにも、それぞれがおのおの独 立してやっていればいいということではなく、共同開催のような形をとる必要があるので はないかというご意見がございました。  続きまして、ページ変わりまして2ページ(2)でございますが、医療機関が連携するのみ ではなく、当然主治医を中心とした両医療機関の医師、スタッフの参加によるカンファレ ンスのようなものも必要であろうというようなご意見がございました。(3)でございますが、 長期間にわたっての患者のフォローが必要になってきますので、そのような体制が取れる ような医療機関間で実施すべきであろうというご意見がございました。  続きまして、4番、加工医療機関についてでございますが、(1)のところにございますよ うに、加工医療機関については、一律に病院でないとだめだとか特定機能病院でないとだ めだとか、そういうことは適切ではないだろうが、しかし一方で、有効性、安全性、品質 確保のための一定の要件を満たしている医療機関で実施される必要があろうというような ご意見がございました。  続きまして(2)でございますが、加工医療機関における細胞の培養・加工につきましては 必ずしも医師が行う必要はないということでございますが、医療行為の一貫として当該医 療機関の医師が実質的に監督しているもとで実施される必要があろうというご意見がござ いました。  (3)CPCの施設の要件でございますが、[1]細胞調製室云々の施設を有すべきではな いかというご意見がございました。[2]電気冷蔵庫、電気冷凍庫等々の設備を有すべき ではないかというご意見がございました。[3]でございますが、標準作業手順書、衛生 管理の手順書、製造管理の手順書等々の文書を定め、共有しておくべきではないかという ご意見がございました。[4]でございますが、両医療機関で製造管理、品質管理、バリ デーション等に関する事項を定め、共有しておくべきというご意見もございました。  (4)、今度はCPCの人的な方の要件でございますが、[1]製造管理責任者、品質管理 責任者、細胞培養責任者、細胞検査担当者の配置が必要ではないか。[2]製造管理責任 者と品質管理責任者は分けられるべきだろうというご意見がございました。[3]細胞の 培養・加工を監督する医師、品質管理、製造管理等の実施者には一定の知識・経験が必要 であろうという意見がございました。  続きまして、3ページに移りまして、5番、移植又は投与の関係でございます。(1)、今 回は移植・投与を行うのは依頼医療機関という前提で考えてございますが、その依頼医療 機関についても実施する再生・細胞医療に関する知識・経験が一定程度必要ではないかと いうご意見がございました。(2)でございますが、実施する再生・細胞医療に関する成績に ついて、ホームページでの公表や学会への報告、またそこでの評価・公表のようなものが 必要ではないかというご意見がございました。  最後に6番目、学会に期待される役割でございますが、1)のところにございますよう に、細胞培養施設に求められる水準の設定でありますとか、その認定のようなもの、2) のところにございますが、細胞の培養・加工を行う者に求められます知識・経験レベルの 設定やその認定、またその研修の実施のようなものが期待されるのではないか。3)にご ざいますように、個別の技術ごとに適切な細胞の培養・加工の方法の検討を行っていただ くことが考えられるのではないか。最後に4)のところでございますが、実施される再生 ・細胞医療の科学的な評価とデータの公開、これらは学会を中心に検討されるようなやり 方があるのではないかというご意見がございました。  最後に、学会を中心にと申し上げても、その際には倫理等さまざまな観点にも配慮でき るような、そういう構成をとる必要もあるのではないかというご意見もございました。  以上でございます。 ○永井座長   ありがとうございます。  これまでの議論の整理でございますが、いかがでしょうか。少し厳し目な感じはします けれども、今年度の議論に従って、基本的な考え方から、診療体制、共同診療の条件、加 工医療機関、移植・投与に関する事項、学会への期待の議論を整理していただきました。  はい、どうぞ。澤先生。 ○澤委員  3の共同診療の条件の(1)ですね、依頼医療機関と加工医療機関とで共同開催というニュ アンスはそれぞれに付設の倫理委員会が連動してやるというニュアンスでいいんですかね。 それとも、また新たに共同でというのは難しいですよね。ですから、それぞれに同じもの を出して、そこにコンセンサスを得るような、そんなイメージですかね。もちろん、こう すべきだとぼくも思うんですけど、共同開催って、何となくこれだけ見ると倫理委員会の 先生が両方集まって一つのところに行くような、そういうイメージじゃないんですよね。 ○永井座長  これについてはどの程度共同と言うかですね。情報を共有する必要はあると思います。 研究代表者が行って説明するとかですね。依頼医療機関と加工医療機関で全く別個に議論 が行われて行き違ってもいけないとは思いますが、いかがでしょうか。 ○阿曽沼委員  確認でございますが、医療機関の倫理委員会というのは、依頼医療機関及び加工医療機 関の両方に必ず設置されて、なおかつそれが共同で開催されなければいけないということ になりますと、かなりハードルの高いことになるのだろうというふうに思います。細胞培 養を請け負う加工医療機関においてはきちんとした倫理委員会があるということは非常に 重要なことだと思いますが、依頼医療機関に果たして独自の、しかも知見のある独自の委 員をそろえた倫理委員会が必ず必要なのかどうかは議論すべきと思います。是非、臨床研 究のガイドラインだとかヒト幹指針における倫理委員会の設置とのあり方の整合性とかの 議論が必要なのではないかなと思います。 ○永井座長  いかがでしょうか。今回の枠組みは、共同の診療ということにはなっています。ですか ら、倫理審査が別個に行われてよいかということですが。 ○阿曽沼委員  倫理委員会が別々に輻輳して存在して、それでなおかつそれを共同で開催しなければな らないという運営がもし求められると、診療所等では相当ハードルが高いことになってし まうと思います。 ○永井座長  共同の診療、1つの治療を2つの機関が共同して行うという枠組みの中で倫理違反が起 こってもいけないと思いますが。 ○木村委員  両方の機関に倫理委員会というのは必要だと私も原則的に思うんですが、ちょうど今例 えば大きな共同研究をやられているときに、主任研究をやっている機関、それから分担研 究をやっている機関というような関係で、相互に相手がちゃんと承認をしているかどうか というのが条件になること、それから、多少内容が相手の部分にまで踏み込んだ内容を相 互に検討するということになるというのがイメージとしては現実的ではないかというふう に思うんですが、いかがでしょうか。 ○永井座長  一方のメンバーが他方に行く必要はない、書類だけのやりとりでよいのではないかとい うことですね。この点はいかがでしょうか。 ○前川委員  この倫理委員会、両方とも再度集まってやるというのは時間もとりますし、審査が遅く なるという可能性があるので、今おっしゃったように依頼医療機関での倫理審査委員会、 加工医療機関での倫理審査委員会の議事録をお互いに審査し合って、批判し合って、それ でやるというふうなことのほうが現実的であろうかと思います。 ○永井座長  はい。 ○阿曽沼委員  基本的な考え方の(3)の中で、臨床研究の段階と臨床応用の段階、更に企業が加わり細胞 培養の外部委託が拡大していく段階、それぞれのステージがあると思います。例えば臨床 応用の段階においては色々な医療機関の規模があるだろうと思いますし、特に前回の議論 の中では、診療所が再生・細胞医療を実施するということについては依頼医療機関から除 外しないという合意ができていると理解しています。そういった診療所・クリニックで志 のある先生方が再生・細胞医療をやりたいというときに、すべての診療所に自前の倫理委 員会を作ることを義務づける必要があるのかどうかということです。例えば倫理委員会を 他の医療機関のそれに委託することができ、依頼することができるということであれば助 かりますし、そういった柔軟な対応が可能なのかどうかも議論すべきと思います。それか ら、加工医療機関においてはやはり細胞加工プロセスをきちんとコントロールするという ことと、その医療そのものをきちんと理解をしておく責任がありますから、加工医療機関 における倫理委員会の設置は必要ですし、その委員会そのものは充実したものでなければ ならないと思います。例えば、そこに依頼医療機関の先生をお呼びして、その医療機関が 再生・細胞医療を行うに相応しいかなどを議論し、審議することの方が現実的と考えます。 そういった審議を加工医療機関側の倫理委員会の中できちんと行い、更に定期的にフォロ ーアップしていくということのほうがより現実的なのではないかなと考えますが、いかが でしょうか。 ○永井座長  診療機関側には倫理委員会は要らないのではないかということですが、いかがでしょう か。 ○阿曽沼委員  いえ、そこのあり方をどうするかということを議論頂きたいということです。 ○永井座長  はい、どうぞ。 ○伊藤委員  患者団体としての発言なんですが、基本的な考え方の中で、患者の視点からの議論が重 要だというふうに書かれているということは大変よいことだと思うんですけれども、倫理 委員会が必要かどうかというところまでいくとなかなか特に技術的な問題にまでは患者の 側ではよくわからない、ついていけない部分もありますので、そこのところをどう補って 安全性あるいは倫理性を保つかということは非常に重要なことだと思うんです。それで、 実は私は札幌である病院の倫理委員会の院外委員というのをやらせていただいているんで すけれども、そこでもやっぱり細かなこういう研究レベルの審査の内容になると、それは 院内の委員だけで開催されるということが多いんですね。しかし、ふだんからさまざまな 病院を取り巻く階層から出されてきている、選ばれている院外の委員と院内の委員の人た ちと定例的に集まっていろいろ意見交換をしていく中で、その病院としてあるいは職員と してどういう倫理で医療に当たらなければならないのかということは、ふだん議論をずっ と重ねていますし、年に一遍は全職員を対象とした公開倫理委員会というのも開いて、そ こでさまざまの意見を交換し合うんですね。そういうようなことを通じて、医療と医療の 持つ者、あるいは医療技術者あるいは医療職の方々の倫理という問題と患者側からの視点、 意見というのが日常的に意見交換をされていく、その中でお互いに高まっていくという信 頼関係があれば、技術的な問題で患者の側はついていけないにしても、お互いに信頼関係 は成立していく、そして絶えずそういうところで監視もされているというふうに思うこと が非常に大事なのではないだろうかと思うんです。だから、例えば加工側と施行する側で 両方のほうに委員会が必要かどうかということについては、ちょっと技術的な問題ではつ いていけませんけれども、少なくとも医療を行う側では形式的な倫理委員会でなくて、幅 広く医療の持つ倫理性を日常から検討する倫理委員会というのがきちんとなければならな いんだと思うんです。最近はたくさんの医療機関に倫理委員会が置かれています。さまざ まなことがあって置かれているんですけれども、実質的に開かれている、あるいは院外の 委員も含めてさまざまな検討をされている委員というのは極めて少ないというふうに私た ちは思っているわけです。そういう形式論になっていくのは、ある意味では倫理委員会に かかれる、特に先端医療の部分というのが難し過ぎて、医療職員以外の人にはなかなかわ からないということがある。しかし、それをわからないままにしておくと、何が起きるか またわからない。それでは責任が持てませんので、少なくともわかりやすく説明するため の、あるいは患者の側も理解できるための日常的な倫理委員会がきちんと開かれているか どうか。どういう検討をされているかということをきちんと検証していかないと、やっぱ り技術優先に走っていってしまうという危険性が非常に大きいので、この基本的な考え方 の(1)の部分をあとの少なくとも診療の体制のところまではもっと深く影響が及ぼされるよ うな形で具体的に検討されるべきだというふうに考えます。  以上です。 ○永井座長  倫理委員会のあり方についてはどのようにお考えでしょうか。私は両方に倫理委員会は 必要だと思いますが、それが合同で開催される必要があるのか、もっと密接なコミュニケ ーションという程度の表現にするかですね。 ○伊藤委員  私も技術的なことはわかりませんので、合同がいいかどうかはわかりません。しかし、 加工の側にまで例えば地域の住民代表とか患者代表というところまでの院外の委員を含め てまでの倫理委員会というのは多分必要がないであろうと。それは技術を中心にきちんと 確立すればいい話なのではないかと思いますけれども、診療の体制のところまではかかわ るような倫理委員会が一方できちんと機能していれば、両方ともに同じことをやるとか同 じ合同の会議を開くなんていうことまでは多分必要ではないだろうと思うんですが、それ は全くやることがむだということではないんだと思うんですね。その片方の方がしっかり とした委員会を持っているということが前提だというふうに思います。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。  そうすると、ここの書きぶりはもう少し検討させていただくということにしたいと思い ます。どちらにも倫理委員会は必要だと思います。それがどういう形で連携するか、書類 だけのやり取りでよいのか、合同で開催するのか。あるいは代表者が説明に行くとか、顔 が見えないと、書類1枚だけではちょっと不安な気がします。合同でないにしてもかなり 密接な顔の見える連携ということは必要だと思うのですが、いかがですか。 ○澤委員  今、今年度やっているこの医療機関同士とか、そういう臨床研究の段階だと、こういう ことをする場合にはヒト幹細胞の指針を通過しないといけませんよね。もう既にそれは例 えば他施設でやる臨床研究でもう既に前例があるのではないですか。そういう倫理委員会 の出し方とか、私は自分のところでしかやっていないんですけど。 ○大和委員  信州大学と松本歯科大学が共同でヒト幹指針の厚労省審査に出していたと記憶していま す。一つの参考になるのではないでしょうか。 ○澤委員  そのときはやはりその倫理委員会はそれぞれに出したものを提出して、それで通ってい るんですかね、現状で。ですから、そのときの共同の開催というニュアンスはちょっとそ ちらを参考にされて、やはり内容的にも合致してお互いにコンセンサスが出た形を出すと いうことだと思うんですけれども。 ○永井座長  松本歯科大学の倫理委員会がどうなっていたか調べてみる必要があると思います。です が、ただ書類だけのやりとりでよいのか、研究代表者が行ってお互いに確認する必要があ るかが議論になっています。特に細胞を加工する場合ですね。 ○大和委員  この再生・細胞医療の話は、きわめて先進的な医療で、ある意味試行錯誤的なところが どうしてもあるので、関わっている人たち全員が患者さんのことを覚えている、すべての 症例を覚えているぐらいでないと、やっぱりまずいと思うんですね。そういう意味では、 代表が出ていくなど形式上はいろいろなやり方があるとは思いますが、おそらく本当に求 められているのは、倫理委員会の先生方、関わっている加工される方、治療される方がす べての症例について十分記憶に残っていて、つまり記憶に残るぐらい十分きちっとコミッ トしているということが重要で、形式上、書類なのか代表が行くのかというのはいろいろ な場合があると思います。関係者全員がコミットしていて、ものすごい頭の中に記憶に残 るぐらい全身全霊を込めてやっているんだというところを前に出していただければと思い ます。 ○永井座長  そういうことを踏まえて倫理委員会はどうあるべきかということになるのですが。  はい、どうぞ。 ○木村委員  同じような内容になるかもしれませんが、ちょっと追加させていただくと、この会議の 目的というのが再生・細胞医療の普及を図るということですが、その安全性ということが 問題になっている、その基本的なところだと思いますけれども、あまりにも書類等だけで はもちろんいけないわけで、加工に特化した機関というのが出てきて、それは全くつくる だけでいいということになれば、これはもう薬事法の範疇に入ると考えられます。今話し 合っている内容は2つの機関が1つのチームであるということが前提だろうと思うんです ね。ですから、そういう範疇での話だということですから、その中でうまく合同で開催す る倫理委員会というのがなかなかイメージとしてそれぞれが外部委員が入ったりとか、い ろんな技術的な問題もあると思いますので、両方でちゃんと検討ができるようなというこ とで、1つのチームであるという意識が大事なのかなというふうに思いますけれども。 ○永井座長  ですから、同じ研究チームのだれかが倫理委員会には出ていないといけないと思うので すが。診療側のメンバーが加工側に行って説明する必要があるのではないでしょうか。そ れを加工側に手紙だけ書いて、別のところでは顔を合わせていても、引き受けた人だけが 加工機関で説明するだけでよいのかということなのです。これは共同診療だというところ がまずポイントですが。 ○阿曽沼委員  先生のおっしゃるとおりで、やはり依頼医療機関側も治療として行う場合は、例えばセ ル・プロセッシングセンター(CPC)というのはどんなものなのか、CPCの安全管理はど う行われているのか。自分が預けた細胞がどの様に管理されているのかということを知る ことは当然必要だと思いますので、そういう意味で、私はより重要なのは加工医療機関側 における倫理委員会のあり方だと思います。共同診療を行う依頼医療機関側がきちんと再 生・細胞医療のことを認識してくれていて、倫理性を保って医療をやってくれるかという ことを判断するという意味では、加工医療機関の倫理委員会の役割は非常に重要だと思い ます。再生・細胞医療においては、倫理委員会の委員として専門的に判断をして下さい専 門家の方達はそんなにいっぱいいるわけではありませんから、全ての依頼医療機関がみず から無理して委員を選んで、委員会そのものが実質的には形骸化してしまうのであれば、 専門の加工医療機関の方々に倫理委員会を任せておくとか委託するとか、そういう道が開 かれていくのであればいいと思います。加工医療機関における倫理委員会のあり方や組閣 の仕方だとか、依頼医療機関が他の医療機関の倫理委員会に委託できるのか等を少し幅広 にご議論いただいたほうが現実的ではないかと思います。 ○伊藤委員  ちょっと質問なんですけれども、先ほど阿曽沼委員がおっしゃったと思いますが、倫理 委員会を開けないような、例えばクリニックですね。例えばそういう先端医療をやられる ような先生、最近専門医の先生がクリニックを開かれるというのは随分多いんだと思うん ですけれども、そういう先生がやられるという場合の倫理委員会というのはここでどんな ふうに議論されるんでしょうか。その開かなきゃならないというふうにするのか、実質的 にはそれは無理だというような気もするし、どうなんでしょうか。それは今先生おっしゃ ったようなどこかに倫理委員会を委託するという形のことを言っておられるのか、ちょっ と知りたいと思ったんです。 ○阿曽沼委員  すみません。私が申し上げましたのは、臨床研究における倫理委員会の運用で、臨床研 究機関だけですが、当該機関の長が設置した倫理委員会以外の倫理委員会に審議を依頼す ることができるということになっており、臨床研究段階に関しては非常に明確に委託可能 なガイドラインができていますが、ここにおける1の(3)の臨床応用の段階になったときに はどうなのかということについては、つまり他の機関の倫理委員会に委託ができるかでき ないかということについては、まだはっきりしていないのではないかということで申し上 げました。 ○永井座長  それはこれからの議論です。 ○阿曽沼委員  ええ。ですから、そこの整合性をきちっと見据えた上でのご議論をいただくとありがた いということでございます。 ○永井座長  問題になるのは、本当に効果があるかないかわからないという段階の細胞移植医療です。 加工機関が細胞の調製を依頼されても、本当は効果があるかないかわからない計画の場合 です。害があるかもしれないような細胞や治療法である可能性があるわけです。非常に初 期段階の開発医療については、かなり慎重に行わないといけない。頼まれたから細胞を加 工しただけですでは済まないこともが起こりうると思います。したがって加工する側にも それなりの責任があって、そのプロジェクト全体が科学性と倫理性、妥当性があるのか、 そもそも臨床的に有効性を評価できるのかということまで踏まえて加工していただきたい。 そういう段階での先端医療だということなのです。先端医療として確立されていない段階 でどうするかという話です。 ○伊藤委員  今の座長のご説明でわかりましたけれども、ただ基本的な考え方の中で再生・細胞医療 の一般化、普及を図ることが目的というふうに書かれているものですから。 ○永井座長  それは次の段階になるわけです。 ○伊藤委員  次の段階でというふうに考えて。はい、わかりました。 ○永井座長  そのときには、すでに確立されてきた再生医療をより広めるときにはどういう体制が望 ましいかという議論になると思います。 ○神山委員  今、座長が言われたように、まだ効くか効かないかもわからないという状況でも、やは りこういう医療を選びたいという人は、本当にそれが効くんだったらやってみたいという ような、藁にもすがるような気持で選択する場合もあるのではないかと思います。そうい うとき、クリニックなど、そもそも自前の倫理委員会が持てないようなところでやってい いのかということもあるでしょうし、もしそれをやっていいとしたときに、さきほど阿曽 沼先生が言われたように形骸的な倫理委員会だけできていて、それでいいのかということ になると、それも困ると思います。だから不確実なぎりぎりのところで患者が選択しなけ ればならないとすれば、そういうものが本当に大丈夫なのかということも含めて、ちゃん としたところで審査をしていただきたいと思います。 ○永井座長  やはり開発のステージによるのだと思います。かなり確立された治療の場合にはもう少 しバリアを低くして審査をしてもよいと思うのですが、先端的で、有効でない可能性があ る、あるいは逆に害のある可能性、例えば腫瘍化もあり得る場合には、共同診療という枠 組みで考えれば、加工医療機関側にも一定の責任は当然かかってくるわけです。やはり加 工医療機関側に診療側が説明に行くぐらいはしてもよいのではないかと思います。申請書 だけではわからないことは結構あるわけで、どういう治療でどういうデザインでどういう 評価をするか質問に答える必要があります。もし細胞が腫瘍化したらそのときはどうする のかということまで含めて、加工医療機関側で議論が行われるべきだろうと私は思います けれども、いかがでしょうか。 ○阿曽沼委員  何回も申し上げているように、やはり加工医療機関側がむやみに何でもかんでも加工す るなんていうことはあってはならないわけですから、加工医療機関側にこそより重い倫理 性を保ってもらうことが必要だと考えています。従って、加工医療機関側が、依頼医療機 関側に本当にこの医療をやらせて良いかをきちんと管理・審査をするということは非常に 重要だと思います。ただ、依頼医療機関側の倫理委員会が、不十分な体制でやらざるを得 ない状況があれば、私が先ほど言いましたように、他の医療機関の倫理委員会に依頼をで き等の柔軟性を持った運用が重要と思います。 ○永井座長  かなり細胞の性質や調製法が広く行き渡って認識が深まってくればそういうことは可能 だと思うのですが、まだ最先端の、初めて実施するような医療の場合には、そこまで理解 できないと思うのですが。 ○小澤委員  すみません。J−TECの小澤でございます。  初期の研究、治療ということでありますし、結局責任はだれがとるんだというような話 にもなってくると思いますので、次のいろんな人員の要件であったりCPCの基準にもな ってくると思うんですけれども、例えば企業人として考えるならば組織図をイメージして しまうんですよね。そうすると、だれが責任、頭なのボスなのということを考えると、さ っき澤先生なり大和先生がおっしゃったように、依頼する側が両方ともコミットする必要 があるんですけれども、やっぱりどっちが患者さんと接点を持っているかというと依頼す る側なんだろうなという気はしていまして、その依頼する側のほうはやっぱりある程度か なり責任を持って、さっき座長、永井先生がおっしゃったように、説明に上がるなり、顔 が見えるというところが非常に重要であると私も賛成いたします。ただ、物理的な距離の 問題もあると思いますので、近くならよろしいと思いますが、2つの機関一緒にやるとか なり無理があるなと思いますけれども、どこかで依頼側が説明に上がるなり何なりという のは非常に重要なベースのところかなという気が私はします。 ○森尾委員  医科歯科大学の森尾ですが、私も共同診療ということは依頼側と加工側というのはイー ブンな医療で、同じだけの責任を負うべきだと思うんですね。どちらが重いということで はなくて、やはり一緒に診療するということだと思うんです。その中でやはり診療機関と いうのは患者さんを直接診療し、説明をしなければいけない立場ということですので、そ の場所で倫理審査委員会を開催し、やはりそこでしっかりと議論するということ、倫理性 とか安全性とかを含めてよく理解して議論していただくというのは非常に重要なことじゃ ないかというふうに思います。 ○武藤委員  永井先生がおっしゃっていますように、非常に最先端の医療であるという観点からして、 これが有効性あるいは安全性、倫理も含んで、ほんとに適切かどうかというのは、加工も 依頼する側も当然、先ほどから話に出ていますように1プロジェクトチームとしての取組 ということを考えますと、やはり共同でフェーストゥーフェースで開催するというのが当 然じゃないかなというふうに私は感じております。 ○永井座長  それが完全な合同なのか、全メンバー、フルメンバーがそろわないといけないのか、代 表者が説明すればよいのかですね。 ○武藤委員  そこはなかなかケースバイケースにもよるかと思うんですけれども、少なくとも代表者 は出席するぐらいのことは必要かなと思います。 ○前川委員  今の議論は医療機関、加工機関のほうが相互に査察するという、いわゆるチェックアン ドバランスの機構だと思います。それで両者に倫理委員会があって、それがほんとに全員 集まってやらなければならないかというと、それは難しいと思います。ただ書類だけでオ ーケーかと言われると、永井先生言われたように少し問題があろうかと思います。多くの 大学にCPCがありますが、新しい治療法を開発する時に、例えば医師あるいは研究サイ ドが加工するCPCの技官(テクニシャン)のほうに「この論文に書いているように、この細 胞を分離して、培養して、治療用のヒト細胞を作製しておいて下さい。」と言って丸投げ するような格好ではまったく動かないです。大学の中でCPCが動いてないところの多くはこ このところのコミュニケーションが切れているから動かないのでありまして、ここの連携 をきちっとする必要があるということがきわめて重要です。例えば医療機関側で倫理委員 会を開いて、その議論の内容を加工側のほうの倫理委員会へ先に書類を送っておいて、疑 問点とかいろいろ上げていただいた上で、そこへ行って説明をして、逆に加工機関側のそ の結果をまた医療機関側でもう一遍検討するというふうなことのほうが実際的ではないか なと私はそう思います。 ○伊藤委員  すいません。ちょっとしつこいようですけれどもね、やっぱりちょっといま一つ腑に落 ちないところがあるんです。やっぱり技術的なこととかそういうのはなかなか我々はつい ていけない。で、そういうことを含めた医療者、技術者の倫理ということについては皆さ んの議論に理解しようとするしかないんだと思うんですけれども、一方で先ほど神山委員 おっしゃったように、患者がそこに存在するわけですね。患者にとってはこういう治療法 がある。これはきくかもしれないよ。わからないけど、きくかもしれないよと言われたら、 まずほとんどの方の場合はそれでそういう信頼する先生にそう説明されたら、じゃやって みましょうということになるんだと思うんですけど、それ以降については患者の倫理性と か、患者に対する支援というかサポートシステムというのは全然この中にもなくて、患者 はひとりで立ち向かわなければならない。加工側も診療側もさまざまな倫理委員会があっ たりいろんな検討をしたりしていろんな形でのお互いにサポートなり監視があるけれど、 患者の側はここでせいぜい自分の家族ぐらいしか相談できない、不安も打ち明けられない という中での倫理性というのはこの中にもうちょっと書き込めないものなのか。そういう ことでのサポートというのがなければ、何のための最先端の医療なのか、何をしようとし ているのかということがちょっとよく見えないということなので、あえてよくわからない ことでありますけど、それは一言申し上げておきたいというように思います。 ○木下委員  今ご議論いただいている問題としては、依頼医療機関と加工医療機関でともに倫理委員 会をつくったときに、その両方が共同開催する必要があるかということであったかと思い ます。これは永井委員長がお話しになりましたように、少なくとも依頼医療機関は、臨床 応用という場面においては、効果も含めまして倫理的な問題を検討すべきでありますが、 加工のプロセスについては全く実は丸投げというかお願いする以上、少なくとも加工医療 機関の全貌をわかっている方がその委員会に入るべきだろうと思います。加工医療機関の 倫理委員長というのは加工医療機関の全貌のみならずそれ以外の問題についても議論して いるはずですから、そういう方は依頼医療機関の倫理委員会に入るべきだと思います。ま た逆もしかりでありまして、加工医療機関では加工のプロセスについては自分たちでわか ると思いますけれども、どのような臨床応用を考えての話というのは当然わからないわけ でありますから、この医療機関の代表者が加工機関の倫理委員として入るべきだと思いま す。何らかの関係を持たざるを得ないとなったらば、共同開催するというのは現実的には 難しいとなるならば、今申し上げた方法が現実的だと思います。基本的には永井委員長が おっしゃったようなことじゃないかと思います。倫理委員会で何を検討するかというのは 恐らく相方で若干違う部分があると思いますが、それはまた今後の問題と思いますし、小 さな診療所等で加工医療をするとなれば、倫理委員会をつくれないんだということがある かもしれません。しかし、そういう機関でも実際に倫理委員会が必要であるとするならば、 そういうような機関でも倫理委員会をつくるにはどうするかというような現実的な対応を する必要があります。どこかの第三者に丸投げというのは問題があると思いますので、そ こもまた今後具体的に考えればいいと思いますので、要はこのポイントはやっぱり共同開 催するというのはかなり無理があるかなということであるならば、やはり代表者同士がお 互いに入り合って現実的に対応していくというふうなことが一つの考え方ではないかと思 います。 ○前川委員  今までの議論、2つあると思います。医療機関側からとそれから加工医療機関側の倫理 委員会、それから伊藤委員がおっしゃいましたような患者さんサイドからの要望もあると 思います。例えばこれはちょっと話が少し異なりますが、京都大学では骨髄移植の患者さ ん、特に家族、血縁の患者さんに対してドナー外来というものを開設しております。要す るに普通の病院では患者さんの主治医とドナーの主治医が一緒のことが多い。これではド ナーにかなり負担がかかるので、京都大学ではドナー外来というのを設けて、ドナーの適 格性を判定したり、あるいはドナーの不安とか、そういうのをいろいろ聞いております。 そういうことをまた患者さんのサイドに立って必要であるかというふうな議論かと思いま すけれども、ここで議論しているのは先端医療ですので、いろんなそういう一般的な医療 とは違うと思います。 ○永井座長  まだ本当に始まったばかりの、有効かどうかわからない医療で、恐らく一人の研究者が 何年かに1回のような研究ですね。それを始めるに当たって、しかも加工を他施設にお願 いして、共同診療というプロジェクトになった場合に、何年かに1回のことを加工機関の 倫理委員会に行って説明するのがそんなに大変なことなのかという気がしますが。 ○阿曽沼委員  永井先生が何年に1回というふうに限定されますけれども、再生・細胞医療の中にはあ る程度普及に近いもの、もしくは普及を準備しているものというのもあるわけですから、 ほんとに1年に1回しかやらないところであれば、今医療法でできている医療機関の中で 自分の責任においてやらないと、それはもっと怖いことだと思いますし、各普及度のレベ ルによって柔軟に考えていくということが必要だと思います。  それから、私も多く発言しましたので、今倫理委員会の問題に議論が行ってしまってい ますが、これはこれで非常に重要だと思いますが、実は事務局がまとめていただいた共同 診療の条件の中で(2)(3)というのがあります。むしろ運用的にはこの(2)(3)をきちんと日々や っていくことが非常に重要なのではないかと思います。カンファレンス、モニタリング、 そして患者さんのフォローといったようなものがほんとにできていないと、形式的な倫理 委員会が開かれても意味がありません。 ○永井座長  もちろん、当然それはきちんと行うわけです。 ○阿曽沼委員  いや、ですから、そういったことのバランスを踏まえて、共同診療の条件というものを 考えていく必要があるのではないかなと思います。 ○永井座長  ですが、これは施設として責任を負う話なのです。カンファレンスというのは当事者の 話ですから、研究者同士の交流ということですね。 ○森尾委員  永井座長のおっしゃるとおりで、あと伊藤委員、前川委員のおっしゃったことを考えま すと、この(3)のところでやはり長期間で共同で有効性、安全性の点で患者さんをフォロー できる医療機関であるというふうに書いてございます。そういう点でやはり依頼した医療 機関というのも倫理審査委員会でしっかりと議論できるようなところでなければ、長期的 にこういうことをフォローできないのではないかと私は思います。 ○澤委員  ちょっと倫理委員会の話と形式の話が出ていますけど、とどのつまりはやはり他施設で こういうことをやるときに、診療行為とそれから加工する行為と、それから搬送の行為と この3つが大体存在すると思うんです。結局、とどのつまりはそこの責任の明確化かなと。 それでしっかり責任の明確化をしながら患者さんに理解をしていただいて患者さんに安心 して医療を受けていただくような形にするということが最も重要かなと思っていまして、 倫理委員会の形式、すいません、最初に私が口火を切ったのであれなんですけれども、共 同開催云々は議論していただくとしても、責任の明確化をやはりしっかりうたうことで大 体ある程度の話が進むんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょう か。 ○永井座長  それをするのはやはり倫理委員会の場ですね。病院長と施設長に責任がかかるわけです から、聞いてなかったという話では済まないことですね。 ○澤委員  そうです。ですから、そこをしっかりとどこの部分の責任を明確にするかということを 2つの施設でしっかり話をするということが重要だろうというふうに思います。 ○永井座長  ここの書きぶりはもう少し検討して次回ご相談したいと思います。ほかの部分について はいかがでしょうか。 ○神山委員  先ほど伊藤委員が言われたことを基本的な考え方の2のところで、「一貫して両医療機 関により実質的に管理されていることが必要。インフォームド・コンセントについても」 とありますので、ここのところに先ほどの患者さんのサポートというようなことを書き加 えていただくことはできないのでしょうか。 ○永井座長  はい、どうぞ。 ○伊藤委員  あえて先に言わなかったんですけど、今私たちはインフォームド・コンセントという言 葉も非常に否定的に受けとめているんですよね。というのは、これは専門家や先生方から 説明されてどうですかと言われると大概患者さんは「お任せします」とか「わかりません。 よろしく」とかこれしかないので、これはほんとのインフォームド・コンセントなのかと いうことがあるので、言葉だけのインフォームド・コンセントだったらむしろ今先生おっ しゃったように別な形に置き換えるとか、何かしていかないと、インフォームド・コンセ ントをしましたというのが何というか隠れみのに、あるいは逃げ道になられたら困るとい うのがあるんです。インフォームド・コンセントという言葉は非常に患者さんにとっても わかりにくい言葉でして、ここのところをもしもやるんだったらもっと厳密にインフォー ムド・コンセントとは何か、どうやってわかってもらう努力をしたのかということをやら ないと、何か説明を聞いて判を押して、最近はサインをさせられるんですけど、それがイ ンフォームド・コンセントだと言われると全く何か我々は信頼できないというふうに思い ます。 ○永井座長  継続した患者さんの支援ということが必要で、それを織り込むということだと思います。 本当はインフォームド・コンセントの中にそういうことは書いてあるのですけれども、そ の実質化が求められると思います。実施のときだけ同意したという話になってしまっては いけないと思いますね。 ○大和委員  同じような先進、あるいは先端医療ということで言うと、治療等はなかなか進んでない と思いますけど、遺伝子診断というのは結構されていて、女子医科大学でも相当な数の遺 伝子診断を羊水等々で見るというのをやっています。認定遺伝カウンセラー制度による認 定試験に合格することで、日本遺伝カウンセリング学会および日本人類遺伝学会の共同認 定により、認定遺伝カウンセラーの資格が授与されます。女子医科大学では、遺伝子診断 をする場合には必ずその遺伝カウンセラーの方が、中立的な立場で患者さんのケアをしま す。非常に複雑な遺伝学をかみくだいてお話し内容をお伝えして、かつ結果が出た後も、 それなりにミゼラブルなケースもあるわけですから、ケアするということで活躍されてい ます。実際、日本でも複数の大学で遺伝カウンセラー育成のプログラムが走っていますが、 将来的にはこういう再生・細胞医療でも、カウンセラーという言葉がいいかどうかわから ないんですが、そういう役割を果たす中立的な人材が医療機関に必要であると提言したい と思います。 ○永井座長  はい、どうぞ。 ○伊藤委員  そうお願いできればありがたいんですが、ただ一般的に、これも気をつけていただきた いのは、カウンセラーは時には患者を説得する役割を果たしてしまう。それがないように お願いしたいというふうに思います。 ○木村委員  患者さんへのインフォームド・コンセントのことになると、それはそれで一つの大きな 問題だろうと思いますので、その辺は別に軽視しているわけじゃなくて一番大切な点だと 思うんですが、この会の趣旨というのは永井先生言われたように、まだ開発途上の医療を しかも2つの施設でやろうと。例えば研究所で開発したものを病院でやるという一つのチ ームとしてやろうという初期の段階だと思うんですね。そうすると、それぞれの倫理委員 会がきちっと内容を検証する。それからもちろんインフォームド・コンセントもやるとい うことで、代表者が行って説明をする。そういうことは当然必要だろうと思うんですが、 問題は今までと違うのは、最初はやはり一つの施設でやるんだろうと思うんです。大学の 中であろうとかそういうところでですね。そうすると非常に単純なんですが、2つの施設 ということになると当然その輸送、移動というのがありますので、そこが何らかの関係で 後に影響が出ないかというのは、これが一つでやるのと今回検討していることの一番技術 的なことかもしれませんが、違う点だと思います。例えばその間にコンタミネーションと か何かがまざってしまったとか、細胞の力価が落ちてしまったとか、結果的に何カ月か後 に不都合が起きて、それを追求していったらどうもその辺がおかしかったとか、そういう 点を安全にどうやったらできるかというのが2つの医療機関でやるということを前提に考 えた場合に一つ大きな問題じゃないかなというふうに思いますが。 ○永井座長  搬送の問題はこの後残された課題の中で議論したいと思います。ほかの部分はよろしい ですか。 ○鈴木委員  この資料の3ページ目に移植または投与の(2)として、実施する再生・細胞医療に関する 成績についてホームページでの公表や学会への報告・公表が必要という議論があって、確 かにそういうふうに書いてあるんですけれども、こういうふうに文言で見てしまうと、確 認だけなんですけれども、これは何らかのオーソライズを、このこと自体が何かオーソラ イズをすることにはつながらないというふうなことは確認しておきたいと思うんですね。 何かこうどういうアウトカムを求めているのかというニュアンスがこの文言だけではちょ っと十分伝わってこなくて、評価システムなり何なりというのは全然別な形で必要なんだ ということ、これはちょっと確認をしたいんですが。 ○永井座長  これは今主要なジャーナルでは臨床研究をあらかじめ公表しておくべきということでU MINなどに登録システムがあります。そういうことがしっかりされていれば大体機能は 果たせるのではないかと思いますが、澤先生はいかがですか。 ○澤委員  確かに非常に鈴木委員がおっしゃったことは重要で、例えばですけれども、全臨床研究 を終了してから発表するのと途中でするのとで微妙な違いもあるんですね。ですから、そ ういうことも含めて永井委員長がおっしゃったようにUMINで登録してみんなやってい ても、やはりどこかで第三者にきっちりと評価をしてもらった形で発表するということが 重要だろうなと。ですから、うちは実は前例になるかと思うんですけれども、6例の臨床 試験でありながら、1例目の患者さんの退院のときにやはり記者会見をさせていただいて 公表しているんですけれども、それは未来医療センターの中でそれをやっていいかどうか の議論をして第三者に非常に評価をしていただいて公表するということを公表して公表し たと。ですから、少なくともやっぱり第三者に何かをしていただくような形で公表すると。 ○永井座長  これも評価の問題になってくるので、次の残された課題の中でさらに検討したいと思い ます。気をつけておかないといけないのは、研究者だけでよい成績だけが表に出るような ことがあってはならないということです。ですから、そういうことも含めた透明性が求め られるのだと思いますが。 ○阿曽沼委員  先ほど伊藤委員もおっしゃいましたが、この資料1の中の基本的な考え方というのは再 生・細胞医療の一般化、普及化を図ることが大きな目的の一つであるということです。し かしここでは、どうも議論が臨床研究段階で今は山のものとも海のものともわからないと いう分野での議論が多く行われているような気がしてなりません。基本的にこの委員会の 役割として、一般化、普及化ということを前提として考える場合に、臨床応用の段階に入 ったときにどうするかという議論を一方できちんとしておかないといけないと思います。 それはそのときにまた議論すればいいということになれば、また時間もかかってしまいま すし、普及を阻害するということにもなりかねないと思いますので、その辺はぜひこの中 で議論をしていっていただきたいなというふうに思っています。 ○永井座長  事務局、いかがですか。今年の議論の枠組みと来年度の枠組みの中で、非常に普及して きた再生医療をどのように対応するかという点について。 ○山本経済課長補佐  今回の検討の枠組みというのは資料2の頭のところで書かせていただいている共同での 診療をやっていくベースであります。今回のこういう枠組みが診療、研究開発から普及化 を図っていくどの段階に当たるかという指摘かと思います。現時点でこういう形態が実態 としてどういう形でやられるのかということについて、先生方のご意見を教えていただけ ればとは思うんですけれども。 ○阿曽沼委員  私の理解では再生・細胞医療における共同の診療の中には当然臨床研究は含まれている と理解していますが、特に閣議決定の文章の中でも「医療機関が患者から採取した細胞に ついて別の医療機関において培養・加工を行った上で患者の診療に用いること」という様 に診療という文言が使われています。この診療ということをどうとらえるかとすれば、今 年度の議論の基本的な考え方である(3)の臨床研究の段階と更に、一般的な診療での臨床応 用の段階、両方を考えるべきだと考えています。 ○岸本経済課長補佐  実は本日、資料2のところで本日議論していただきたい課題の中にも入っておるのでご ざいますが、まさに最終的な目標としては当然、普及、一般化ということでございますが、 その中には今までの議論にもありましたように、いかに有効なものなのかどうか、害が本 当にないのかどうかという評価をかませるというのが前段階で必須だと思っておりまして、 そこの段階の議論なしに普及化、一般化の議論の段階に飛ぶというのは余り考えづらいの ではないかなとは個人的には思っておるんですが、少しそういうところも踏まえながらち ょっと議論いただければありがたいかなというふうには思っております。 ○阿曽沼委員  今のコメントについて申し上げますと、私は安全性と有効性というものを無視して議論 しろということは一言も申し上げておりません。そこは誤解のないようにしていただきた いと思います。 ○永井座長  ちょっと先のステージの議論も踏まえたほうがよろしいと思います。例えば保険診療だ ったらどうするのか、先進医療やその前の医師の臨床研究の場合にはどうするか、これま での議論は医師の臨床研究の段階を念頭に置いて行われていますが、むしろ次のこれから の課題の中であわせて議論していただいてよろしいでしょうか。  それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○山本経済課長補佐  それでは、資料2に基づきまして、今回の検討会の論点ということについてご説明をさ せていただきます。  前段部分は前回からお示しさせていただいている部分で、今回も検討の前提を書かせて いただいております。複数の医療機関が共同で再生・細胞医療を行っていくということに ついて整理をしていくと。そういう意味では医療法の開設の許可を受けた、または届出を した医療機関が対象ということで、論点を3つ挙げさせていただいております。本日ご議 論を既にいただいておりますけれども、搬送や取り違え防止などを含め、製造・品質管理 のあり方をどのように考えていくかが論点の1つ目でございまして、研究段階、ヒト幹細 胞に用いるものを対象といたしまして、いわゆるヒト幹指針という、今回参考資料の3の ところでつけさせていただいておりますものが示されております。研究の段階で行ってい く上ではこういった指針を守ること、また参考資料3の中、ページをめくっていただけれ ばと思いますけれども、ヒト幹指針では、参考資料3、1ページめくっていただければど ういったことが書かれているかというのが目次だけ簡単にご説明させていただければと思 います。第2章では研究の体制、医療機関の体制ですとか採取段階、調製段階、さらには 移植・投与の段階でそれぞれ品質管理の安全確保に関する基準が設けられております。さ らに、ヒト幹指針の中では、治験薬GMPですとか、ちょっと省略した文言で恐縮ですけ れども、いわゆる1314号通知という、生物由来のものを使っていく場合に安全確保、品質 確保をどうしていくかという通知を満たすということが盛り込まれておりますので、研究 段階で幹細胞に使用するものに限られますけれども、そういうものを遵守した上で、今研 究としてやられています。こうした再生医療を共同で行う場合、これらのものと比較して どの程度のものを守っていく必要性があるかということをご議論いただければと思ってお ります。  2番目としては、今まさに議論のありました評価システムで、当然、医薬品医療機器承 認を受けたものとして出ていくときにはその承認等々が必要になってくる。また研究とし てやる場合にはヒト幹指針の中では大臣の意見を聞くという形で評価システムがございま す。今回共同でやっていく、共同の診療としてやっていく場合で、どのような評価システ ムが必要かというところも次の論点としてあろうと思っております。  3つ目といたしましては、加工医療機関について、実際に診療を行ってこういう再生・ 細胞医療を実際に行う必要性があるかどうか。その評価を行ったものを他医療機関と連携 していくということが必要ではないかという、バイオ加工だけに特化するというよりはそ ういった医療も実際に行っていくことが必要かどうかというところが3つ目の論点として 挙げさせていただいておりますので、先ほどの議論のつながりもあろうと思いますので、 これらの点についてご議論いただければというふうに思っております。  以上でございます。 ○永井座長  いかがでしょうか。いろいろご意見がお有りだと思いますが。  前川委員どうぞ。 ○前川委員  資料1とも少し関連しますが、この資料2の1番目ですね、CPCにおける製造・品質管理 の在り方に関して、CPCの施設の要件とかいろいろ決める必要があります。今、大阪大 学未来医療センター、北海道大学と私どもの京都大学、それから少しスタンスは違うんで すけれども、神戸の先端医療センターで、CPCの施設基準、製造、品質管理などに関して、 どんな書類が必要かなどを含めて、ガイドライン(案)とそれぞれのチェックリスト(案) を作成中であります。これは恐らく今年度中にはできると思います。臨床研究を対象とし たガイドライン及びチェックリストですが、基本的にはヒト幹細胞指針あるいは1314号に のっとった治験薬GMPレベルに準拠することを念頭に置いたものです。ただ、今腐心し ておりますのは、余り懇切丁寧なものを書きますと、それをそのままコピーして提出して くるようなところが出てくると思いますので、やはりこれはGMPというものがどういうもの であるべきか、勉強していただく必要がありますので、そのためにどういうふうなところ までつくるかというところで苦心しているところであります。  それと、加工機関に設置されるこのCPCの人員のことも少し触れさせていただきたい のですが、よろしいですか? ○永井座長  はい。 ○前川委員  実際にいろんなシステムや枠組みができましても、CPCで働く人が最初から、GMPのイロ ハから勉強しないようではなかなか時間がかかりますので、CPCの管理・運営と細胞培養に 習熟した人材を育成するプロジェクトを今計画中であります。再生医療や細胞治療の開発 を加速するためには、これらの人材の育成が早急に必要であります。 ○永井座長  澤委員どうぞ。 ○澤委員   先ほどの資料1の6に学会に期待される役割というのを明記していただいていて、前回 の委員会では私、再生医療学会の立場からお話ししましたが、再生医療学会では実際にこ れに即して、加工施設というか、まずCPCですね、それがどのレベルであるべきかとい うことの議論をもう始めております。永井委員長が行われております、もう一つのヒト幹 細胞の臨床研究の見直しの委員会のほうでも、やはりヒト幹細胞の臨床研究の位置づけと、 やはり実際に企業で行う治験との位置づけのシームレスな連動・連携というのが非常に重 要だという話も出ていまして、逆に言うと前回も申しましたが、きょうは早川先生お休み ですけれども、ミニマム・リクワイアメント的なやはり基準が要るだろうと。 これは前川 先生もおっしゃったとおり、あんまりどこまで書くかというのが難しいところなんですけ ど、それを援用するのにやはり1314号というのが基本になると思うんですね。1314号がい ろいろ解釈の仕方があって、ものすごく深く考えるとものすごく厳しくも見えるし、そこ をうまく臨床研究でやる場合と企業治験でやる場合というのを、例えばですけれども、こ の前議論に出たんですけど、マイコプラズマの試験なんかについても、臨床研究ではPC Rでやっていると。ところが企業治験であると局方でやらないといけない。そういう差が あることはあるんですけれども、そのあたりをどういうふうに解釈しながら連動していく かということを踏まえて、1314号がやはり基本としてやるべしということをこのヒト幹細 胞の臨床研究の指針にも書かれていますし、逆にそれをうまくかみくだいて連動するよう なミニマム・リクワイアメントをつくっていこうと、そういうことをしております。それ をしながらですけれども、やはり再生学会単独ではだめで、やはり我々の考え方としては 学会がこういうふうに関連する関連学会の機構というか、そういうものを形成していただ いて、関与する学会がそれを議論しながら提言していければいいかなというふうに思って おります。 ○永井座長  CPCがGMP準拠ということになっているわけですが、GMP基準とは必ずしも言っ ていない。そこのところをどのように現実的に運用するか。 ○澤委員 そうですね。むしろGTP的なレベルで議論すべきだろうというふうには思っ ております。ちょっとGMPという言葉が何かやっぱりハードルを高くしているように見 えるんですね。 ○大和委員  この資料2でヒト幹指針ではということで書かれているので、あたかも幹細胞を使った 再生医療の話というような感じがちょっと出てくると思うんですけれども、タイトルは再 生・細胞医療ということになっていて、先進的で、永井先生がおっしゃるように、まだ本 当に効くのかどうかもわからないし、害があるのかどうかもわからない。害がある可能性 があるかもしれないというようなものであるときに、再生医療であろうと、例えばがん免 疫療法に代表されるような細胞医療であろうと、やはり幹細胞かどうかが問題なのではな くて、国として、これはたまたまヒト幹指針という名前がついていて、幹細胞を用いた臨 床研究に関する指針ということですけれども、細胞を使って、今言ったような海のものと も山のものともといったようなもの、もしくは有効性、安全性が論文レベルあるいは学会 レベル等々で完全に確立しているわけではないような治療に関しては、等しくこの治験薬 GMPもしくは1314号で網をかけ担保するというのが国の方針なんだということを、ぜひ 厚労省側に表明していただきたいと要求します、一学者としてはそのように考えています。 ぜひこの場で議論していただきたいと思いますが、ヒト幹という言葉にとらわれるのでは なく、現行のヒト幹指針の幹細胞の定義はかなり曖昧で、十分とはいえないと考えていま す。ヒト幹であるかどうかではなく、細胞を使って先進的な医療をやるときにはこういう ふうにしましょうということが大事だと考えています。ぜひ、改定をお願いしたいです。 ○永井座長  いかがでしょうか。今対象にしているのはかなり先進的な、先進医療に行くか行かない かぐらいのところの医療ですね。そういう状況での細胞の調整のレベル、あるいは基準が どうあるべきかということです。今GMP準拠という言葉が使われているのですが、そこ はいかがですか。 ○大和委員  前川先生のご意見をうかがうのが一番いいと思いますが、GMPというのは要するにお 薬やデバイスの治験を完了して、有効性・安全性が確認されて、それではどうやって製品 を大量に製造しますかという時点で初めて出てくるものです。再生医療・細胞医療の文脈 で今やっているようなものは本当はGMPではありません。澤先生がおっしゃるように、 現実に即したものを新たに定義する方がむしろよほど健全だと思います。しかし、それも 時間がかかるので、現状では治験薬GMPを参照するというのはそれなりに妥当な解答で はないかと考えています。 ○永井座長  前川委員どうぞ。 ○前川委員  「治験薬GMP」あるいは「GMP準拠」という言葉なんですけれども、いわゆる医薬 品、錠剤なんかの医薬品のGMPと細胞製剤のGMPというのはやっぱりこれはかなり違 ってくると思います。例えば、例を挙げますと、膵島移植のときにドナーさんから細胞を いただいて、組織をいただいてそれを分離して加工して患者さんに投与しますが、医薬品 GMPであると、例えば3ロット以上同じ結果が出ることをまずちゃんと前もって確かめ ろというのが規則になっています。しかし、ドナーさんからいただいた細胞を練習材料と して用いるわけにいきません。このあたりは通常の錠剤などの医薬品(あるいは治験薬) の製造と全然違うところであります。それからバリデーションに関しても医薬品のGMP のバリデーションはかなり複雑なことが要求されておりますが、細胞治療のGMPの場合 はやはり細胞のいわゆる生ものの特性というところを十分考えないといけない。そこでG MP準拠というふうな言葉で説明しているわけです。FDAなんかではこの辺がFDAの 係官はみんなある程度わかっておりまして、細胞治療ではやはり「ここまでだよね」とい う格好である程度細胞の特性を理解したうえで、できるだけ品質を担保したうえで、納得 したうえで承認しているというのが現状です。余り四角四面のことを考えると、なかなか 細胞治療や再生医療の開発自体が動かなくなると、私はそういうふうに思います。 ○阿曽沼委員  その議論には私も賛成です。この1314号通知、お配りいただいた20年の2月8日の通知 でも、自己由来細胞・細胞加工医薬品と書いてありますね。医薬品という言葉が使われ、 再生・細胞医療で培養され加工されたものを細胞医薬品としたことが、非常に大きな混乱 を招いているんじゃないかと思います。前にも申し上げましたが、合成化合物である医薬 品を不特定多数の方に投与する場合の対応として安全性と有効性をきちんと担保する為の GMPの基準と、自己由来加工細胞というのは明らかに全く違います。例えば加工とか製 造の指示をするとすれば、一般医薬品というのは企業になりますけれども、自己由来細胞 に関しては医師の指示がない限りこれがスタートしないわけであります。また材料の均一 性という点で言えば、患者さんから頂く細胞は均一性も保てませんし、それから加工され たものについての均一性も保てないのが再生・細胞医療であります。しかも加工されたも のにも流通性がありませんから、細胞を採取した患者さんみずからに返すというものであ りますので、医薬品や医療機器等とは全く違った枠組みの中できちっと議論されていくと いうことが重要だと考えています。 ○永井座長  この点はよろしいでしょうか。  それではGMP基準準拠ぐらいで大体妥当であろうと。あとは具体的にはどうするかは もう少し煮詰めるにしても、表現としてはGMP準拠ということでよいと思うのですが。 ○神山委員  すみません。質問ですが。 ○永井座長  はい。 ○神山委員  今のCPCの基準についてですが、前に参考資料でいただいた医療法の施行令と施行規 則で、例えば検体検査をやるような施設について、ものすごく細かい基準が決まっている んですよね。最終的にはこういうような形で医療法の施行規則に入ってくることになると 考えてよろしいんでしょうか。 ○岸本経済課長補佐  最終的にはというところの意味合い次第だと思うんですけれども、この検討会は実は2 年度構成で、本年度と来年度と予定されておりまして、そこら辺のところはまさに来年度 の議論次第でいろいろな形が考えられるということではないかなというふうに思っており ます。今の段階で現行法を前提にしている限りはなかなか少し薬事法との関係等々あって 難しいところがあるのではないかなと、ちょっと個人的には思っておりますが、そこのと ころは次年度議論いただければよろしいのではないかなというふうには個人的には考えて おります。 ○永井座長  はい、どうぞ。 ○阿曽沼委員  この議論の中で、いろんなご批判もご議論があろうかと思いますが、今のご質問に答え るとすれば、私は医療法の中でこの自己由来細胞の培養・加工ができるということである と考えます。薬事法の中で議論するのではなくて、自己由来細胞に関しては医療法の枠組 みのなかで議論すべきと考えます。医療法の中の15条の2、これは医療機関が外部に委託 できる業務というものを規定していますが、その業務を通称で政令8業務と呼んでいます。 その政令8業務の中でも当然、臨床検査を請け負う衛生検査所を認定するために業法とし て相当細かいものが規定されて安全性と有効性を担保しています。そういった道を考える ことも一つの大きな方向性だと考えます。今結論的にということではなく、充分に議論す べきですが医療法の枠組みの中で、業法の拡大をして政令8業務そのものをを拡大すると いう議論があっていいのではないかと考えています。 ○永井座長  そういう意味では、今議論している医療がどのレベルの医療かを少し整理しながら考え る必要があります。保険診療になった場合にはどうするか、相当普遍化された場合にはど うするか、いろいろなステージの中でおそらく業としてどうするかという議論になるのだ ろうと思います。 ○阿曽沼委員  ステージとしては臨床研究という段階もありますし、高度医療評価制度という制度もあ りますし、それから先進医療という制度があるわけですから、その後に保険医療というス テージもあるわけですから、そのステージ毎に一貫した議論があっていいのではないかな と思います。 ○永井座長  そうですね。 ○澤委員  先ほどの大和委員の話ともつながるんですけど、自由診療で行われている他施設の細胞 の受け渡しが入ってくるかどうかというのはどうなんですか。 ○永井座長  それは、ヒト幹指針にもかかわってくるのでしょうか。 ○澤委員   自由診療でやられているものはヒト幹でかかってきていませんよね。 ○山本経済課長補佐  研究として行われている場合については基本的には対象になってくるものではないと思 います。所管課ではありませんので申しわけありません。 ○澤委員  例えばですけれども、美容外科的なコウフクジというものの自由診療的なところでやら れているものというのはヒト幹には出てきていませんよね。そこで、現状で自由診療でや られている範囲では何らあれはないんでしょうけれども、これは他施設にわたってこうい うふうになってくるときには、やはり関連してくる可能性があるかなというふうには思う んですが。 ○山本経済課長補佐  ヒト幹指針をちょっと読み上げになって恐縮ですが、参考資料3の2ページの適用範囲 のところだと思うんですけれども、臨床研究を対象としで、さらに3ページのところでは 診断・治療のみを目的とした医療行為は対象としないという形でまずヒト幹指針では整理 されておるというふうに考えております。 ○阿曽沼委員  自由診療という言葉がありますが、保険対象医療なのか保険外の医療なのか。保険対象 であっても自費で自己負担の医療もあります。自費の医療というと、中にはいっぱいいろ んなものがあって患者さんの不安も当然あるわけですから、自由診療、自費医療などの文 言の整理や、それらの医療のあり方も整理する必要がありますね。再生医療、細胞医療の 中でのあり方というのも当然議論をしていく必要がありますし、当然それが高度医療評価 の対象になっていくのかということも踏まえながら議論をされていくべきだろうと思いま す。 ○永井座長  そういう意味では、本日議論しているステージですね、これをどうするかというのはこ の2のところに書いてあります。その前に1の搬送方法、取り違え防止について、だれが 運ぶのかについてご意見いただきたいのですが。加工機関から依頼機関へだれが運ぶかと いう点です。 ○前川委員  米国では治療用ヒト細胞の搬送に特化した業者があって、自家用のジェットを持ってい たりします。基本的には搬送最中に誰が運ぼうとも、また搬送途中の温度管理とか無菌性 の担保とか、そういうのがきちっとできているかというふうなことをバリデートしておく 必要があると思います。臍帯血バンクでは、臍帯血ユニットを治療施設まで搬送している ことがありますけれども、宅配業者を教育および指導して運んでいるというふうにしてお ります。しかし、これを例えば医療機関のほうが取りに来ないといけないとか、そういう ふうなことにすると、これはまたなかなか大変でありますし、やっぱりそういうふうな業 者の教育指導体制というのも必要であります。また、治療用ヒト細胞の搬送に関して、温 度管理や無菌性の担保できる特殊な機能をもった搬送容器を、私どものところでも企業と 共同で開発をしております。 ○永井座長  いかがでしょうか。 ○大和委員  実際には日立物流さんとか、何社かはこういうことに興味を持っていて、実際に前川先 生おっしゃるような容器であるとか記録がとれるデータロガーがついているようなものが 実はもうできていて、実験的に運ぶといったことは我々のところでも確かにやっています。 本当は医師がついていくというのが理想だと思いますが、現実的にはあまりに無駄だと思 います。必要な要件を決めることができて、その必要な要件の記録さえとれているならば、 医師をわざわざはりつける必要はないと思います。 ○永井座長  その場合には搬送の基準やプロトコール等について相当きっちり決めておかないといけ ないですね。 ○大和委員  むしろ国としてこういうものが必要ですとか、あるいは学会としてこういうものを提案 しますとか、きっちり決めるプロセスを先にやることが重要だと考えます。 ○前川委員  その搬送の基準に関しても今CPCのそういう設備、あるいは中のそういう文書体系で すね、その中に搬送のことも草案の中に少し書いておりますので、搬送に関してもしっか りした取り決めをしておく必要はあろうかと私も思います。 ○永井座長  その点は。 ○鈴木委員  今大和先生がおっしゃられた記録というものの中身というのはどういうふうなことでし ょうか。温度とかそういうことですか。 ○大和委員  我々のところは、温度と加速度(衝撃)、飛行機で運ぶことも検討しているので圧力、 気圧というのが正確でしょうか、飛行機に乗ると0.7気圧とかまで下がってしまって、細胞 にとってはかなり侵襲的です。他には容器のふたが開かずに運ばれているとかといったこ とを記録しております。 ○鈴木委員  前にJ−TECさんのプレゼンテーションのときに10度から25度というふうなクリティ カルな幅という議論があって、ぼくはちょっと質問したんですけれども、その搬送のとき にシビアな条件もあり得るというときに、ある程度大丈夫だというものも実は世の中には できているんだとすれば、その辺についてちょっと、ぼくは専門ではないので、コメント いただければと思います。 ○小澤委員  よく10から25度とよく覚えてくださっていてありがとうございます。搬送は2つあって、 実はツーウェイでございまして、組織をいただくときの採取のときの搬送と、それから製 品となったときに送り出すときの搬送が2つございます。ちょっと順番にお話をさせてい ただくと、我々どっちかというとCPC、加工者側の行為として受け取るとき、それから 運ぶ側はというのは責任をもって今当社の場合にはやっております。一方でちょっと矛盾 があるんじゃないかなと思っているのは、医師法、医療法のもとでは医師が責任をもって 運んだり受け渡しをするというところがあるというところでは、ちょっとここを整理しな きゃいかんかなと思うんです。今ご質問に関して言うと、ある程度バリデーションするん ですけれども、のりしろをもって温度帯域であったり気圧帯域であったりというのは管理 しています。あとは使用期限ですね、その使用期限が非常に重要でございまして、でもバ リデーションに関して言うならばまず温度のところをしっかりとれば、あと飛行機を使う 場合は気圧管理というところが重要なところだと思います。で、のりしろをちょっとつけ ておくという形になっています。 ○鈴木委員  この前質問したときに、個々の製品については記録はとっていないと。輸送用のボック スについて承認を受けているというふうなお話でして、個々の搬送ケースについてモニタ リングを自動的につけるようなそういうことの方向性というのはあるんでしょうか。技術 的にどんどん細かい話になってしまって申しわけないですが。 ○小澤委員  今は、そこまでは考えていません。技術的には全然可能だと思いますけれども、いろん なケースがありボックスの承認というよりも製品の承認になっておりますので、その製品 の品質を担保する、ボックスだけではないのでだれが運ぶかというのも重要でございます ので、その辺を総合的に承認をいただいているというところでございます。 ○永井座長  ほかに、ご意見は。 ○大和委員  一緒にやっているベンチャーがヨーロッパで治験をやっています。すでにEMEAとい ろいろ相談をしている中で、我々のプロダクトでは37℃で培養して37℃で運ぶというよう にしています。そのために48時間以上36.5℃を維持できるような熱容量が大きい箱を作り、 その中に入れて運びます。48時間以内は36.5℃から1℃も下がらないということを実証し てあり、さらにデータロガーをつけて運びます。ヨーロッパでは、スペインなどでは空港 の路面温度は40℃以上ですし、北の方ではマイナスになります。 ○阿曽沼委員  先ほど医師法や医療法の中で検体や採取した細胞を医師が運ばなければいけないという 規約があるやのお話がありましたが、そんなことはないと認識していますが、もし間違い だったらご指摘ください。そこで、以前に委員会でも申し上げましたが、例えば米国のF DAでは細胞とかサンプルとか血液とかいうものを輸送する上での規定があると聞いてい ます。それらは当然輸送業者が送っています。例えばFedEX(フェデックス)等の輸送業者が 送る場合は、生物由来の細胞等を送る規定のカテゴリーBというカテゴリーがあって、そ のカテゴリーの中で箱の管理とか温度管理などが細かく規定されています。輸送という問 題に関してはこのカテゴリーBという生物由来の物を運ぶ期待を参考に考えるべきなので はないかなと思います。日本でもカテゴリーBで多くのものが実際に輸送されています。  もう一つは、輸送だけではなくて実は保管管理という問題も非常に重要な課題です。そ れを輸送業者がやるものもあれば、もしくは加工医療機関が行うものもあります。加工医 療機関が採取した細胞を受け入れて保存をして加工まで行くプロセス、そしてそれが最終 加工物外部の輸送業者に委託するまで、保存・保管をしていかなきければなりません。い わゆるパッケージングは加工医療機関がやるのか、もしくは業者がやるのかといえば、そ れはやはり加工医療機関が責任をもってやっていくということが必要なのではないかと思 います。輸送や保管を含め、それをロジスティックという概念で議論されるといいのでは ないかなと思います。 ○永井座長  本日は余り時間がないのですが、それについてはかなり詳細かつ明確な取り決めが必要 ということで、次回さらに検討させていただくことでよろしいでしょうか。  次の2に参りたいのですが、評価のシステムです。この再生・細胞医療が淘汰されてい くシステムが必要ではないかという事務局の提案です。これは先ほどのどのステージの医 療技術について論じているかということにも関係してくるのですけれども。  はい、片倉委員どうぞ。 ○片倉委員  ちょっと先ほど発言してなかったんですけれども、資料1のほうで長期間にわたって共 同で有効性・安全性の点で患者をフォローすると、ここにつながってくる話だと思います。 先ほど委員長もおっしゃったように腫瘍源性の話、これは多分今の科学技術レベルで全否 定できるステージで治療が行えるかどうかということを考えたときにやはりそこは考慮し なきゃいけない。それともう一つはやっぱり培養に使ういろいろな履歴のある材料がござ います。それを含めて企業のプロダクトに対してはいわゆる製造のトレサビリティ、それ と記録の保存すべてですね、そういったことが要求はされているんですけど、この長期間 にわたってフォローするという、どの程度の期間でそれをやっぱりジャッジしていくのか ということと、それと共同で行うときに製造の履歴と患者さんのカルテとの突き当てをど の期間どうやって見ていくんでしょうか。ちょっとそこがよくわからなくて、そこをまず 明確にしないと治療効果と何か起きたときの原因の判断というのをどうしていくのか、そ こにつながらないと思うんですけど、そこはちょっと事務局に伺うべきかどうか、実際に やられている先生方に伺うべきかはあるとは思うんですが。 ○永井座長  論点は、副作用の問題と有効性の確認の問題ですね。その2点が必要だと思いますが、 疾患によっても違うとは思うのですが、いかがでしょうか。特に腫瘍原性にはどのくらい 見ていればわかるのかということもあるかと思います。がんになったかどうか、10年待つ 必要はないと思いますが。有効性については、例えば血管再生や澤先生がなさっている心 不全はそんなに待つ必要はないでしょうが、数年間のフォローは必要だろうと思いますが。 ○澤委員  やはりステージでも大分違うという永井委員長のお話のとおりで、実際各医療機関等で の倫理委員会でもきっちりとは倫理性ということの議論をした後その医療機関内で承認し ても評価のところまできっちり決めている、もしくはこれは大阪大学だけのあれかもしれ ませんけど、きっちりやれていなかったんですね、以前。実際、ところがTR拠点ができ て、TR拠点では評価まできっちりやりましょうと。大体、アバウトですから疾患により ますけど、やっぱり2年はフォローしようというある程度の基準をつくって、その腫瘍源 性なり疾患によっては心不全と不整脈とか予後についての改善度、それがどれだけ継続す るかということをきっちり見ないといけない。それは倫理委員会と連動してやはりその医 療機関が、また今回は複数にわたりますので、複数の医療機関同士で相互に連携しながら、 やはり公開性が一番重要だというふうに思いまして、そういうことをはっきり公開性を持 てるような組織を医療機関にやっぱりつくっていただくのが一つ重要なのかなというふう に思います。 ○永井座長  これがどの枠組みの医療で行われるかにもよるのでしょうね。 ○鈴木委員  今回の場合は結局複数の医療機関が連携する場合という前提で議論しているわけですよ ね。その場合にどういうふうに比較していったらいいかという評価の一つの基準として、 だから複数じゃなかったら、逆に言うと一つの医療機関でやってこれだけの成績があった ということが多分多くの例であるんだろうと思うんです。この前なんかはデータベースと いう話さえ出ていたわけですから、そういうのと比べて一つの複数でやった場合にこれだ けよかったとか悪かったとかいう基準づくりというのはあり得るんじゃないかなと思うん ですけれども、結局評価するときは何を基準に評価するか、一種のコントロールといいま すか、比べる対照が必要なわけですよね。そのときに一つの医療機関内でやった場合との 比較というのがこの共同でやった場合との評価の仕方として出てきてもあり得るんじゃな いかと思いますが、いかがでしょうか。 ○永井座長  どちらについても同じ問題はあるということですね。  いかがでしょうか。  つまり実施したままでよいわけではないので、例えば先進医療制度などで行われている 評価のような枠組みが必要ではないかと思います。まずは先進医療制度の中で実施するの がよいのではないか。澤先生はどういうふうにお考えですか。 ○澤委員  そうだと思います。これはヒト幹でも基本的にはまだそこまでの議論はされていないん ですかね。ちょっとそこは私も余り具体的にわかっていないんですけども。ですから、ど こかで評価をするということは、しかも公開性と客観性というのが最も重要ですので、複 数の施設にわたるときはわたってきっちりとやるべきということだと思うんですけれども。 ○永井座長  少なくとも開発早期の場合には当面は先進医療制度に乗る。その次にどうするかという 議論が必要になりますね。初期の段階については先進医療制度の枠組みを使うというとこ ろはいかがですか。多分そこを経ないとなかなか先へは行かないと思うのですが。 ○前川委員  今、永井先生おっしゃるように先進医療の枠組みなどがあります。要するに、例えば臨 床研究で、例えば何例やって何例副作用が出たらこれでストップだとか、そういうふうな 取り決めがあってプロトコールに入っているわけですよね。それでやっていっていますの で、事務局が言われるこの有効性とか安全性がわからないのはステップ・ステップできち っとやっていけばそういうのは淘汰されてくるとはと思われます。ただ問題は、いろいろ こういうふうな枠組みに入らなくて巷でやられているいろんな細胞療法、ここを淘汰して いきたいという、そういうふうに事務当局としてはお考えなんですかね。例えば、私は全 部否定するわけではないんですけれども、細胞治療的にいわゆる民間療法みたいなものが あります。そういうふうなものを淘汰していくというふうなことを目指しておられるのか、 ちょっとそこをお聞きしたいんですけれども。 ○永井座長  事務局、いかがでしょうか。 ○山本経済課長補佐  事務局というより先生方のご意見をまずお聞かせいただければ大変ありがたいと思いま す。 ○永井座長  研究者がきちんとした施設で行っている分には自然と淘汰されるはずです。そうすると 先進医療で認めてもらうのが一番簡単ですね。ですが、そこに乗ってこないような再生医 療、あるいはさらに先のステージの医療の場合はどうするかという点は議論しないといけ ないと思います。先ほどの民間療法的な細胞医療ですね、これはどういう枠なのでしょう か。これはむしろ事務局のほうが詳しいと思いますが。全部自由診療で行われているとい う場合ですね。 ○大和委員  民間療法というかはともかく美容整形であるとか、ある種のがん免疫療法等々の、本当 に自由診療つまり保険外でやっていて、保険外でやっているから厚生労働省的には余りダ イレクトに、見て見ぬふりをするというふうには言いませんけれども、そういうような位 置づけになっているものというのは結構実際あると思います。再生医療でも、澤先生がさ れているようなきちんとした臨床研究とは大分違うものが多数あるように聞いています。 皮膚などの形成外科領域では、美容整形との境目が結構難しいと思います。実際、保険外 で再生医療的診療をおこなっている大学病院があるという話も聞いています。それに関し て厚労省が見て見ぬふりをするのは、忙しいのでしようがないとしても、関係者として一 言言いたいのは、やはり国民に対して有識者あるいは国が何らかの発言をして健全な方向 に導くというのは使命だと思います。健全な方向というのは、有効性、安全性を評価しな がら、言葉はちょっときついかもしれませんが淘汰させていくことが必要だと思います。 ○阿曽沼委員  この視点は当然従来からもずっと言われている視点で、悪貨は良貨を駆逐しないように 悪貨が淘汰されていくということが非常に重要だと思います。制度的枠組みというのは志 のある人々の想いを撃墜型で制度をつくるのか、そいうった想いを強力にサポートする支 援型の制度をつくっていくのかが、再生・細胞医療という新しい医療の中では問われてい くと思います。本当に必要なものが淘汰されないようなきちんとした枠組みがやっぱり重 要で、制度そのものが新たな発想を撃墜型とするような制度にしてはならずに、強力に支 援をしていくという形での制度作りを考えてほしいと思います。  それからもう一つは、国民の多くには保険で認められている医療が正しくて安全な医療 で、保険で認められていない医療がいかがわしくて危ない医療だという通念が当然あるわ けですけれども、そうじゃないという概念をベースにやっぱり考えるべきであります。安 全性や有効性を担保するために倫理委員会があり、そして資料の1にあった主治医を中心 にして両医療機関がモニタリングをきちんとしてそれを情報公開して、透明性のある医療 にしていくということがまず必要です。ハードルの高い仕組をつくって淘汰をしていくの ではなくて、組織ガバナンス、透明性というものを担保させる為に、情報公開をデューテ ィとさせて、医療機関がみずからが外部の評価を受けていくということを求めていく事が より重要なのではないかと思います。 ○永井座長  はい、どうぞ。 ○岸本経済課長補佐   我々もちょっと特定のものを特に念頭に置いてというわけではないということが一つと、 あとちょっと見て見ぬふりをしているという厳しいご指摘もありましたが、医療というの はやっぱりここにいらっしゃる皆さんはもう十分理解されているんだと思うんですが、な かなかやはり評価する、評価してくれというような、議題を入れておいて言うのも何なん ですが、評価が難しいというのが一方であるというようなことでございまして、何でもか んでも医者がやればすべてそれがいいというようなことになっているわけではなくて、最 低限衛生的に患者なり国民に危害を及ぼすようなことが行われれば当然医師法なり医療法 なりでそれなりの処分は行うというようなことにはなっておるわけでございます。ただ、 そこの程度の議論みたいなのはあるのかもしれませんが、何でもかんでもやっていいとい うようなことにはなっていないということだけ少し確認させていただければと思います。 ○永井座長  はい、どうぞ。 ○森尾委員  有効性・安全性が確認できないものは淘汰される、という書き方ですので、有効性・安 全性が確認できれば淘汰されずに残っていくべきだということだと思うんですよね。そう いう意味で一番大切なのは安全性・有効性というのは公表されて評価されるということが やっぱり重要なことであって、特にヒト幹細胞指針以前に通っているようないろんな医療 というのは実は目に見えていないものがたくさんあって、それについてどういうふうにデ ータが出ていくか、評価されるかということが重要なんじゃないかというふうに考えてお ります。 ○阿曽沼委員  もっと根本的に言えば、医療や治療の有効性というのはどういう指標によってはかられ るのかということ自体が今まだ問われていることでもあります。再生・細胞医療はこれか らの医療ということになると、むしろ有効性というものを評価する評価軸もしくはインジ ケーターというのはどうするのかということも問われている医療でもありますから、これ は有効性・安全性というものの確認の仕組を含めて議論していくことが重要だと思います。 確認をする仕組とかやり方を含めて共に議論してスタートすべきではないでしょうか。ま ず安全性と有効性が担保されなければ何もできないということになると、先端的な医療で ある再生・細胞医療の芽を摘んでしまうのではないかという気がします。 ○永井座長  研究についてはそういう整理になると思いますし、医療であるならばもうエンドポイン トがはっきりしたものが認められていると思います。保険外であろうと保険診療であろう とですね。そこはきっちり整理しておく必要があると思います。医療といった場合にはエ ンドポイントがはっきりしているものではないのでしょうか。研究であればもう少し柔軟 性があるということでしょうか。 ○澤委員  あと、やはりきっちり培養の工程も含めてきっちりと基準どおりにやられているならい いんですけれども、そういう土俵に乗っていないときに医療事故が起こってしまってから 世の中がどうこうというと、要はちょっと言い方変えると、我々はこういうふうなことを 一緒にこれだけ頑張って議論しながらきっちりやっている、こういう再生医療全体に、細 胞治療全体にまた水を差すようなこともあり得ると思うんですね。ですから、やはりこの 同じ土俵に皆さんが乗って、ミニマム・リクワイアメントをきっちり守るということが一 番重要だろうと。その問題、そこをクリアしながらやはり評価というのもやはりしながら、 きっちり医療に定着させていかないと、やみくもではやはり問題が大変多いというふうに 私は思っています。事故が起こってから動き出すのは絶対やめていただきたいと思います。 最初から一緒にやってほしいですね。 ○永井座長  伊藤委員どうぞ。 ○伊藤委員  大和先生、澤先生の言うようなご見解をいただいているというのはほんとに我々にとっ てもほんとに真摯に対応されているということでほんとに感謝申し上げたいんですが、た だ、先ほど事務局のほうで言っていた、特に危険・危害がないような問題であればそれは ほうっておくんだみたいなようにもちょっと聞こえたので、それでいいのかという疑問も 若干あるんです。というのは、今までもそうですけど、割と学会の指針だとかそういう倫 理のらち外にある診療が行われているというのがときどきあるわけですね。よく新聞なん かをにぎわすわけですけれども、それは一つにはそういう治療であっても、それをしても らいたいという患者の存在が一つにはある。またそういう世の中の流れにさからってでも おれはあんたのためにやってやるよという先生というのはどちらかといえばカリスマ性が そこで生まれて、何というかいろんな免許の問題に発展していってももうその先生を支持 するような署名を集めるというようなファンクラブができるような、そういう状況という のが生まれてますますそこに患者さんが集中するというようなことも実際にあるわけなん ですね。ですから、ある意味ではきれいごとだけでは済まされない問題もあるんだという ことと、その裏にはやっぱり患者側の熱烈な希望みたいなものもあるわけですから、そこ をどうするか、どうやってそういう先生方も取り込んでいくか、あるいは患者さんに正し い情報を伝えていくのかということも並行して考えていかないと、この理念はよくてもほ かは知らんよというようなことになると、ちょっと混乱が、危険なことが存在するんじゃ ないかというようなこともちょっと一言言っておきたいと思います。 ○永井座長  木下先生どうぞ。 ○木下委員  この問題は皆様方お考えのように極めて重要な話でして、先ほど永井委員長お話しにな ったような研究と医療というふうなところで、研究段階ではない医療が行われている以上 はある一定の基準を設けるべきだというのは、私は医療界にとりましては当然のことでは ないかと思います。基本的にはそれを行う医師は、保険診療であれ自由診療であれ、医の 倫理に基づいて行うという非常に基本的なところを無視してはならないと思っております。 例えば医師は医の倫理を基本においたある組織に入っていて、自律的に医療行為を評価で きればいいのですが、我々自身がそういう評価ができないような、学会や、あるいはこの 先進医療制度の枠以外で、患者さんが求めているなら何でもやるということになりますれ ば、これは逆に医療界が結果として非難されることになります。つまり自律的に医師の組 織ができていればそういうところで我々自身がそれはやっぱり医の倫理にもとるものだか らきちっと対応しようではないかということはできるのでありますが、残念ながら今はそ ういう仕組がありません。どんなに適切な評価システムができたとしてもそれには乗らな いで患者さんが求めているから今お話になったカリスマ的な方がいらっしゃるからそこに みんな集まっているでいいではないかということになりかねない話であります。むしろこ の治療効果や安全性に関して適切な評価システムに乗らないでやるような方たちに対して どのようにして、それを抑えていくかということはもう一歩別の視点から考えていかなく てはならないと思います。むしろこのシステムに乗るような医療機関であれば問題は起こ らないはずなのでありますが、現実的には、色々な施設があると思います。結局、医の倫 理をベースにおいた評価のシステムを作ることが健全な医療界になっていくと思いますの で、その辺もまた議論いただきたいと思います。 ○永井座長  そういう意味では、まず臨床研究の段階があって、次に先進医療の段階がある、そして 保険への適用を認めていくという、そういう道筋があるわけですから、この細胞医療につ いてもその道筋をたどっていただきたいということは言ってもよろしいのではないでしょ うか。それ以外というのはまずあり得ない。まず臨床研究、次に先進医療、それから保険 導入というステップは明記したほうがよいかと思うのですが。  時間の関係もありますので、次回さらにこの辺を議論したいと思います。最後に加工医 療機関の条件です。加工機関側でもこれを用いた医療を実施し、十分な評価を行っている ことを求めるかどうかです。これはいかがでしょうか。開発早期の場合は多分そうだろう とは思うのですが。 ○大和委員  医療法上で開設の許可を受けるというのは、必要要件だけから見ればそう難しいことで はありません。極論すれば、医者が1人いれば医療機関だと言えるような仕組みです。な ので、医者が1人いてうちは医療機関ですよと宣言し、しかし診療行為は一切せずに細胞 の加工ばかり毎日やっていますという「医療機関」が想定できます。そういうものに対し て良しとするのかどうかという議論は、多分今年度の医療機関同士の共同でやるという話 と多分来年度にやる話とちょっと中間ぐらいのところにあって、必ずしも今年の枠組みの 中だけでは十分議論できないようなところがあるのではないかとは思います。むしろ平成 22年度の課題の一番手前のところにあるような話として、ここを議論してもいいのかな考 えます。 ○永井座長  先ほどの臨床研究を行っているステージ、そして先進医療のステージになったぐらいの ところではどうなのでしょうか。それでも加工機関がその治療を行っていなくてもよいの かどうか。 ○大和委員  その場合は絶対に、医療を精力的におこなっている医療機関でないと絶対に駄目だと思 います。臨床研究というのはとてつもなく大変なことをやっているんだという認識で、皆 さんされていると思うんですけれども、そのフェーズで加工しかしないというのは絶対あ り得ないと思います。 ○永井座長  その点はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  ステージによりますね。もう少し先へ進んで、もうそろそろ保険導入でよいのではない かという段階になるとこういう問題が出てきますね。 ○阿曽沼委員  当然、研究から先進医療、それからその前の高度医療評価制度というのがあると思いま すが、それらのルートに乗らない医療も再生・細胞医療の中では出てくるということがあ ると思いますので、先進医療の承認を受けろだとか高度医療評価制度でやれなどのいろん なハードルをつけることが果たしていいかどうかも含めて考える必要があると思いますし、 先に議論がでた医療のそれぞれのステージという考え方も一度共通認識として整理をして おく必要があると思います。一方で医療法や医師法の枠内で自由診療というのが認められ ている現状で、自由診療というものが厚労省のチェックの枠外になってしまう事も危惧さ れています。だから自由診療は危なっかしい医療と言うふうに思われてしまうわけですが、 自費診療という言葉も誤解を生みます。自費の中でも保険の枠内で認められてなおかつ自 費という診療もあれば、保険外の自由診療で自費診療もあって、診療のカテゴリーという のもすごく幅広いと思いますので、きちんと整理をした上で議論しておく必要があると思 います。 ○永井座長  少なくとも先進医療のステージのものは、加工機関は多分先進医療を行っているような 機関であろうという整理はよいと思うのですが、それから外れた場合はどうかということ ですね。特に臨床研究の段階ではいろいろな人が臨床研究しようと思えばできるわけです。 その段階の整理をどうするか。余り固くしてもいけないとは思いますが。 ○阿曽沼委員  企業も医学部に付属している施設も来年度の議論になってしまいますよね。この委員会 では医学部付属のCPCは医療機関のCPCと認定されないけれども、そこには医師がいてき ちんと管理していて、むしろ医療機関以上のきちんとした運営管理が出来ていても、それ は今年の議論からもし外れてしまうとすれば、そこにやっぱり齟齬が生まれたりダブルス タンダード的なガイドラインが出来る危惧がありますね。 ○大和委員  先生のご指摘の点は、この委員会の1回目と2回目に大分議論したと思います。私の理 解では平成21年度の枠組み委員会ではそういったものは除く、対象外ですよということで 話が始まっておりますので、私自身として納得しています。 ○永井座長  大分論点が出てきたと思いますので、事務局で整理していただいて、もう少し文章に落 としていきたいと思います。  以上、まだ議論は残っておりますが、次回さらに議論を深めたいと思いますので、本日 はこの辺にしたいと思います。事務局から連絡事項ございますでしょうか。 ○岸本経済課長補佐  次回でございますが、12月14日月曜日、15時30分から2時間程度で予定しております。 開催場所など詳細につきましてはまた決まり次第、追ってご連絡させていただきたいと思 います。  以上でございます。 ○鈴木委員  1つだけちょっと事務局に質問したいんですけども、ぼくなんかはつい高度先進医療と いう言葉を使ってしまうんですけれども、今高度医療と先進医療というのは分ける考え方 できていますよね。この会議のメンバーはさすがにそういう言葉はきちんと使い分けてい るんだと思うんですけれども、ちょっといろいろネットで調べていたら高度医療のほうで は何か評価の仕方とかという検討会を既にやっていますね。これは研発課のほうでやって いたのかな、事務局は。そこの議論とそれからこの会議の検討会の性格づけといいますか 位置づけはどうなるかというのをちょっと疑問に思ったので、説明していただければと思 います。 ○山本経済課長補佐  この検討会との位置づけというよりも、まずは高度医療制度もしくは先進医療の説明だ けをさせていただければと思っております。これはちょっと所管が違いますが、保険と併 用して新しい技術を先進医療とその名のとおりやっていくときに、高度医療、先進医療、 2つ今言葉出ておりますけれども、大きく言えば先進医療という制度があります。その中 で、薬事法の承認は得ているけれども、まだ保険に入っていないものを原則として併用し ていくのが第2項先進医療。第3項先進いわゆる高度医療は、薬事法等で承認がないもの、 もしくは適用拡大のようなもの、適用外のものをやっていくのが高度医療という形で整理 をされていまして、いずれも一定の厚労省に設置されている専門家会議の評価を受けて保 険との併用が認められていくという制度になっております。今日ご議論いただいたのは、 こういう再生・細胞医療についても研究開発が進んでいく中で臨床応用、保険収載してい く中でこういう枠組みとの接点が出るかというところを本日ご議論いただいたというふう に考えております。 ○鈴木委員  評価の仕方やなんかに関しては、向こうのほうが早くから走っているというところもあ って、かなりもしかしたら煮詰まった議論が出ているのかなとちょっと思ったものですか ら、そこと齟齬を生じるようなものをまとめていってもしようがないなとちょっと思った のですけれども。いや、ただそれだけなんですけれども。 ○永井座長  その点についても次回ご報告いただけますでしょうか。  それでは、きょうは時間になりましたので、終了させていただきます。どうもありがと うございました。 (照会先)03-5253-1111(代表) 医政局経済課     課長補佐 岸本(内線2524) 医薬食品局審査管理課 課長補佐 中山(内線2746) (了)