09/09/30 第11回高度医療評価会議議事録 第11回 高度医療評価会議 (1)日時:平成21年9月30日(水) 10:00〜12:00 (2)場所:中央合同庁舎第4号館(財務省)1階共用108会議室 (3)出席者:猿田座長、山口座長代理、飯沼構成員、伊藤構成員、        柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、田島構成員、        藤原構成員、堀田構成員、村上構成員、出口技術委員        (事務局)        医政局研究開発振興課治験推進室長   他 (4)議題 1 国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる医療技術を評価する際 の 観点について(案) 2 新規申請技術の評価結果(20年8月受付分)ついて 3 先進医療専門家会議における第3項先進医療から第2項先進医療へ継続 される   技術に対する科学的評価結果について 4 その他 (5)議事録:以下 ○猿田座長  定刻になりましたので、第11回「高度医療評価会議」を始めます。本日は お忙しい中をお集まりいただきましてどうもありがとうございました。本日 の会議には、技術委員として出口委員にご出席いただいております。構成員 の出欠状況ですが、金子構成員、川上構成員、佐藤構成員、田上構成員、山 本構成員から欠席の連絡をいただいております。なお、佐藤構成員におかれ ましては、本日の審議案件について事前に検証していただいており、意見書 をいただいております。新しい構成員として、国立病院機構名古屋医療セン ター院長の堀田知光先生に加わっていただきましたのでご紹介いたします。 ○堀田構成員  名古屋医療センターの堀田です。大変重要な会に参加させていただきます ので、諸席全うできるようにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいた します。 ○猿田座長  本日の配付資料と、審査案件の確認を事務局からお願いいたします。 ○事務局  事務局です。本日の配付資料については、議事次第をご覧ください。資料 1「国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる医療技術を評価する際の 観点について(案)」、資料2-1「新規申請技術の評価結果(20年8月受付分)、 資料2-2「高度医療評価表」、資料3「先進医療専門家会議における第3項先 進医療から第2項先進医療へ継続される技術に対する科学的評価結果につい て」です。あとは参考資料が付いております。  それから利益相反についてです。検診対象となる機器の製造販売企業のこ とについて、資料2-1をご覧ください。今回、カールストルツ社の蛍光膀胱 鏡が案件に挙がっております。検診対象となる機器の製造販売企業又は競合 企業に関して事前に確認をさせていただいております。事前の届出以外に、 特別に関与するような事例はございませんでしょうか。 (特に発言なし) ○事務局  該当なしということですので、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  早速議事に入ります。議題1は「国内外とも未承認の医薬品・医療機器を 評価する際の観点について」ですが、これはこの前からもお諮りしていろい ろ議論していただいておりますが、もう一回事務局から説明をお願いいたし ます。 ○事務局  前回までの会議において、国内外問わず、未承認である医薬品・医療機器 を用いる医療技術の評価の観点についてご議論いただきました。前回の会議 でのご議論を踏まえ、今回は最終案として資料1にまとめておりますので読 み上げます。  高度医療評価会議において、国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用 いる医療技術の評価の際には、原則として以下のすべての要件を満たされて いることが必要であることとする。  I.国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術を評価する際 に特に必要とする要件。1.有効な代替医療技術のない疾患を対象としている こと。2.関係する法令又は指針(GCPもしくは該当する臨床研究指針等)を 遵守のもとに行われた数例以上の当該施設での臨床使用実績があること及び その1症例ごとに十分な検討がなされていること。3.使用する試験薬・試験 機器の品質を担保するため、試験薬・試験機器概要書(薬理毒性、薬物動態 及び薬物代謝、非臨床試験成績並びに先行する臨床試験のデータ等を記載す ること)が提出されていること。  II.高度医療評価制度に申請されるすべての医療技術に求められる要件で はあるが、国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術につい ては特に厳密に考慮されるべき要件。4.高度医療技術の試験実施計画(プロ トコール)が、単なる未承認製品の試用にとどまらず、当該臨床試験を実施 した結果、被験製品の有効性及び安全性について治験に繋がる科学的なエビ デンスが得られること、又は次に行われるべき治験の試験計画の設定根拠と なるエビデンスを作り出せる設計となっていること。5.高度医療として行わ れる臨床研究は、治験を計画あるいは実施できない正当な理由を明示した上 で、医師又は歯科医師が主体となって計画・実施されるものであること。  III.国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術の採択後に求 められる要件。6.安全性・有効性が確立しておらず、その評価が特に不足し た医療技術であることに鑑み、高度医療評価会議が指定する期間毎に、試験 結果(安全性データ、中間解析による試験の継続の可否等)を報告し、医療 技術の実施を継続することの可否について高度医療評価会議の判断を仰ぐこ と。7.高度医療技術の評価期間中(実施中)は、当該高度医療技術について は、実施医療機関(協力医療機関を含む)においては、高度医療評価会議で 承認された試験計画以外に実施しないこと。ただし、当該医療技術を用いた 当該疾患以外の疾患を対象に行う臨床試験を制限するものではない。以上で す。 ○猿田座長  いまご説明いただきましたことは、既に委員の先生方とご議論してきたと ころですが、大きく分けて、1番目は、国内外ともに未承認の医薬品・医療 機器を用いる新規技術を評価する際に特に必要とする要件。2番目は、高度 医療評価制度に申請されるすべての医療技術に求められる要件であるけれど も、国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術については特 に厳密に考慮されるべき要件。3番目は、国内外ともに未承認の医薬品・医 療機器を用いる新規技術の採択後に求められる要件。このように3つに分け て、I、II、IIIとそれぞれに項目を挙げさせていただきました。  前からもいろいろ議論があって、特にIの2の数例以上の当該施設での臨 床使用実績があることというのは、前のがんペプチドワクチンの治療法のと ころで議論がありましたけれども、ある程度症例があって、評価できなけれ ば困るだろうということで、こういう点が出てまいりました。先生方のご意 見をいただきまして、これで直して、最終的な決定事項としたいと思います。 ○藤原構成員  いまのところですけれども、これは前に川上先生とか、村上先生もおっし ゃっていて、非常に大事なところです。この数例をやるまでのところで、私 がいちばん気になっているところは、この数例の経験を当該施設で組むとき にはどういう枠組みでやったらいいのだろうかというところです。それは治 験でやりますというのはきれいはきれいなのですけれども、従来、例えば文 科省のがんTRなどでやっている臨床研究などを見てみますと、院内製剤を 作って、それを患者に投与してというところの経費はどのように捻出されて いるのだろうと思います。  製剤部分に関しては、患者から徴収しないで済むのですけれども、研究目 的で、例えばCTを撮ったり、超音波を撮ったり、採血をしたりというとこ ろに関しては、研究的な診療としてやっている検査なのだけれども、保険診 療の中に請求されていると思うのです。そこをファジーなまま運用していい のか、それとも何か新しい枠組みを作ったほうがいいのかということです。 ○猿田座長  いまの点は非常に難しくて、各施設でかなりバラバラなところがあります。 その辺について事務局の意見はありますか。 ○事務局  本日は保険局が来ていないという事情もあるのですが、1つは「数例以上」 の数例のことですが、基本的には治験でできればいちばんいいということで す。もう一方で、臨床研究で行う場合には、臨床研究に関する倫理指針があ りますので、臨床研究計画をデータベースに登録するということもあります し、倫理審査委員会も適切に運営する必要があります。  費用に関する問題は臨床研究計画ごとで違います。ケース・バイ・ケース で非常に難しい問題です。それに関しては各担当部局と個別に相談する必要 があると思っております。 ○猿田座長  技術によってすごく費用が違います。ものすごくかかる場合には、例数も 1、2例しかできない場合もあります。そういうときの費用も、最初は自由診 療でやっても、症例数をもう少しやらなければいけなくなると限界がありま す。藤原先生、そんなところで何か方法はありますか。そこのところがいち ばん引っかかってしまうのです。 ○藤原構成員  川上先生が前に言っていた、リサーチINDみたいな仕組みを作って、そこ で高度医療評価とは別に、もっと初期のところに関して、別枠で合法的な混 合診療ができる仕組みがあれば良いと思います。  がんペプチドワクチンの審査を通じて気になったのは、医療機関のIRBが たとえ事前に審査して承認して、この会議にあげてきて、きちんとサイエン ティフィックに見られていない計画があったので、当該施設の倫理委員会と は別に、もっとほかの施設も含めた倫理委員会のような所で、サイエンティ フィック・バリディティとかをチェックするものがないと、日本で治験では なく臨床研究としてファーストインマントライアルをやるのは危険であるよ うに思いました。リサーチINDの仕組みで、混合診療がそこでも認められる というのがあれば、臨床開発の全ての流れがシームレスになるのではないか と思います。 ○猿田座長  確かにこの前議論したときに、全く成り立たない、内容を見たらひどいも のでした。それを、もう少しなんとかクリアにしようということでこういう ことにしたのですけれども、いま藤原先生がおっしゃった問題はどうしても。 ○伊藤構成員  いまの議論は前に戻るのだと思います。本来リサーチINDというのは治験 そのものだと思うのです。治験そのものでやるのであれば、やはり治験とし て出すべきであって、治験届を出さないのであれば、100%研究費ベースで 自由診療とするという枠組みですべきであるとはっきり言わないといけない と思います。ファジーのままいくと、この制度そのものが何?という議論に 立ち返ってしまうのではないかという気がします。  ここの数例に関しては、研究費ベースで全額自由診療で実施するぐらいの 話をしないといけない。それゆえに数例でもよいという例数を制限している という整理をしていかないと、また以前の議論に立ち戻るのではないか。そ うでなければ、最初からいまの枠組みの中で治験届を出してください、とい うふうにクリアにしたほうがいいのではないかと思います。 ○山口座長代理  基本的には、いま伊藤先生がおっしゃったとおりだと思うのです。中には、 ほかの治療が並行して行われていて、その一部をカバーしたらいいのではな いかというものがあったり、現実的にはなかなか難しいものがあると思いま す。ただ、ここのスタンスとしては先生がおっしゃるとおり、それは研究費 で病院が負担して全額やるべきだということを言っておくだけでいいのでは ないでしょうか。 ○藤原構成員  賛成なのですけれども、問題は厚生科学研究費などの運用の場合、研究費 で医療費は出せないのです。だから、そこをちゃんと整理していただいて、 自費診療でやるのだったら、科学研究費でやっても、医療費に使用できます、 というのを研究開発振興課が言うのではなくて、厚生科学課が言うことにな ると思うのですが、ちゃんと宣言してもらえれば。安心して研究できると思 うのです。  いま医師の治験をやる場合には、医師の治験専用の厚生科学研究費の中で やっていますが、それ以外の厚生科学研究費で、いろいろな臨床研究をやっ ている先生方がいます。それを、自費診療の医療費に回せるかというと、い まの仕組みの中ではできないので、それが解決すればおっしゃるとおりで、 自費診療を研究費でやるという仕組みができると思います。 ○伊藤構成員  うちのある施設では厚労科研費とは別に、文科研費で膵島移植をしていて、 病院が赤字になって困ると言われています。筋論は筋論で通して、数例だけ は自前でやるのか治験でやるのかどっちかぐらいの切り分けをしないと、た ぶん高度医療の枠組みそのものがボロボロになるという懸念があります。 ○治験推進室長  いまの議論は、どちらかというとIの2のところにあります、法令等を遵 守のもとに行われた数例以上の当該施設での臨床使用実績を、どういう形で、 どういうファンドでやるかというご議論だと思います。どちらかというと、 これ自体を今後動かす際の運用の中で、例えば研究費の問題などが出てくる 話ですので、本日のペーパー自体の議論とは違うところなのかなと思ってい ます。  まさにここの議論は、そもそも1例、2例の使用経験が出てきたもの自体 が、果たして今後の高度医療の中で、それを候補として挙げていいのだろう か。どの程度確立したエビデンスがあればいいかという、この前、先生方の ご議論があった上でこの文言が載ったものですので、その観点からこの表記 自体がどうかというところをご議論いただければありがたいと思います。  もう1つ研究費等の問題については、今後いろいろ回していく上で、たぶ ん当課だけでは解決できない問題かと思います。本日挙がった議論について は、今後いろいろな所で照会した上で検討させていただきたいと思います。 ○猿田座長  どうでしょうか、この数例というのがなかなか問題でして。 ○藤原構成員  原則としてという言葉を入れるかどうか。フレキシブルにするのだったら 原則としてというのを入れておいたほうが安全なのは安全ですけれども、そ れをあまりやると際限がなくなってしまうので。 ○医政局治験推進室長  藤原先生のご意見なのですが、一応いちばん上に「原則として以下のすべ ての要件を満たされている」という言葉を入れさせていただいておりますの で、あまり原則、原則を散りばめるのもいかがかと思っております。そこで ちょっとご容赦いただければありがたいと思います。 ○堀田構成員  病院を管理する立場から言いますと、こういうものが出てくると非常に困 ります。要するに扱いに困るのです。当面の薬の入手の問題ならいいのです けれども、それは全部自費だぞ、それでは病院が持つのか、という議論にど うしてもなります。そうすると、多くの施設長は拒否するというか、そこま で面倒を見きれないという言い方になってしまいます。大学のように、例え ば委任権利金等が潤沢にある所はできるかもしれないということになると思 うのです。 ○猿田座長  前にあったのは、肝移植のときにすごくお金がかかったのです。それをど う持っていくかということで随分議論がありました。施設によってものすご い差が出てきました。結局いちばん大切なことは、この委員会で議論すると きに、ある程度評価できる状態がなければいけませんから、そこがこの前の ときもいちばん問題になったわけです。 ○伊藤構成員  こういうことをきっかけにして、厚労科研費がもう少し臨床研究ができる ような取扱いにしていただく方向に持っていくのが、現場の研究者としてい ちばん望ましいのではないか。高額の研究費を貰って、それが医療として評 価できるものに、安定してできる体制をつくっていくことが、今後技術立国 をする上で必要なのではないかと思います。厚労科研費では医療費の支給が できないので、できないということではなく、今後そちらのほうへ舵を切っ ていただくのが、技術立国へ向けての道ではないかと思います。 ○猿田座長  ということは、当局にやっていただくことになりますね。いまのところ以 外はいままでどおりでしょう。いちばんの問題はここのところですね。 ○堀田構成員  初めての出席なので、いままでの議論は踏まえておりませんが、4の治験 に繋がる科学的なエビデンスが得られること、又は次に行われる治験の計画 の根拠になるということは、ここで得られた高度医療で行う臨床試験は、あ くまでパイロット・スタディであって、治験は別にやらなければいけないと いう整理ですね。 ○猿田座長  そうです。未承認の薬を使って数例でも、結局混合診療の形になるもので すから、それでということなのです。 ○事務局  事務局のほうから確認させていただきたいのですけれども、いまの議論を 踏まえまして、事前相談ではいろいろな案件がたくさん出てまいります。基 本的に数例の実績もないような案件も中には出てきます。今後そういう扱い に対して、いわゆる前回の議事録を見ますと、数例あるのかないのかという のは、構成員によって意見の分かれるところではないかと思います。これは 最終的な案ですので、次回の会議では決定という扱いになると思うのです。 この辺に関して、基本的には数例ないものというのは取り扱わないという方 向でよろしいでしょうか。 ○猿田座長  前にありましたのは、実際に評価できないのです。やはり大切なのは安全 性の問題があります。どれだけ有効な技術であって、それでいちばんは患者 さんが対象になっていますから、そこである程度評価できないと困るという ことでした。いきなり出てきた薬ということで、担当する委員の先生方も一 生懸命調べるわけです。いままでのこの技術でどうかとか、そういうことで やっていたものですから、少しでも情報を出してもらうことと、ある程度の 症例数はということです。もちろん技術によって大きく違いがあります。そ こだけを把握しておいていただいて、あとは伊藤先生がおっしゃったような、 将来のお金の使い方の問題は検討していただくということでいかざるを得な いかと思っています。  ともかく、この高度医療で進めていく医療に対して、この委員会としては ちゃんと効果があって、安全と有効性が確認できたものを高度医療として評 価するということです。一応そういう方向で、もう一回当局とも詰めさせて いただきまして、最終報告にさせていただきたいと思います。事務局のほう も、相談させていただくということでよろしいですね。 ○事務局  はい。 ○猿田座長  それでは、8月受付分に入ります。8月の受付は、整理番号016の評価に なります。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  整理番号016。高度医療名は5-アミノレブリン酸(5-ALA)による蛍光膀 胱鏡を用いた膀胱癌の光力学的診断です。適応症は、表在性(筋層非浸潤性 膀胱癌で、経尿道的膀胱腫瘍切除術が適応である症例です。  承認状況ですが、5-アミノレブリン酸に関しては、院内製剤の扱いですの で、この案件に関しては特に承認の必要性はありません。蛍光膀胱鏡のほう が未承認医療機器となっております。医薬品・医療機器情報ですが、蛍光膀 胱鏡がPDDtelescope30°という名称で、カールストルツ・エンドスコピー・ ジャパン株式会社です。実施又は調整医療機関は、高知大学医学部附属病院 です。審査担当構成員は、主担当は伊藤先生、副担当は山口構成員・佐藤構 成員、技術委員が出口構成員です。総評は条件付適となっております。以上 です。 ○猿田座長  まず、伊藤先生からご説明していただけますか。 ○伊藤構成員  高知大学から申請が出ている事案についての説明をさせていただきます。 表在性の膀胱癌で、経尿道的な膀胱腫瘍切除が必要である方を対象とした試 験になっております。そういう方に、5-アミノレブリン酸を膀胱内に投与、 あるいは経口で投与された後に、蛍光で診ますと、その膀胱癌の診断精度が 上がるという記述です。  2004年9月から2007年9月までに、既に膀胱癌86症例の、全639の生 検検体がされているのですが、それによって的中精度が72.6%、それから感 度が92.9%、特異度が61.7%と、従来の白色光源での膀胱鏡検査と比較して、 診断精度が14%向上したというデータが提出されています。  そういうデータを見せていただいたところ、いくつかの問題点があるので、 条件をクリアしていただければ適という話になっています。  本日は佐藤構成員が欠席ですので、代わりにコメントを述べさせていただ きます。主な点は説明文書、同意説明文書について修正をしていただきたい という点があるのだろうと思います。  それ以外に全体として見せていただいて気になる点として、擬陽性とか、 がんでないdysplasiaの検出の頻度がちょっと高いということがあります。 診断精度が10数%上がるということですが、膀胱内投与、局所投与ともに安 全性の問題というのはそれほど大きな懸念はないのですが、個人負担の額と して10万6,000円とかなり高いようにも見受けますので、負担額が果たして 妥当なのかという気がいたします。見落としの頻度を下げる利益と見合うの かなというところが気になります。これは、偏に被験者の判断かなと思いま す。そのためもう少しきちんと同意説明文書に書いていただくことが、判断 する材料として必要なのではないかと思います。  申請者の試験結果では、同一患者で、白色光と蛍光を使って診断率を見て いるだけですので、比較試験になっていません。そういう意味では診断率の 差という科学的な評価として記載する文章にするのは大変かと思いますが、 何らかの形にしていただきたいと思います。これまでのデータがすべてオー プン試験で、今後の話もオープン試験なので白色光との比較試験ではないの で、承認申請の資料とするにはちょっと困難なのではないかという気がしま す。  佐藤構成員から提出されているコメントを読み上げさせていただきます。 説明文書1頁、2頁で、本試験の内容、意義・目的は、現在この診断は先進 医療として行われている、この手技をより普及させるために今回の臨床試験 を目指している、という順に並んでいるのですけれども、こういったことに ついて説明の順序を変えるなどの対応が必要なのではないか。  それから、「手術や治療は医師の説明どおりに行われているので、新しい治 療法や技術の開発を行うための研究ではない」という文章の意味がよくわか らないと書かれています。  それから、患者相談などの対応は、問合せ先として、泌尿器科のスタッフ が挙げられているのだけれども、医療相談室やCRCなどが載せられるべき ではないか検討されたい。  それから、同意文書に代諾者の署名欄があるのですけれども、申請書では、 被験者本人とあり、同意能力があることが前提とされているというのに、「代 諾」という用語が使われているのは妥当ではないのではないか、という個別 に指摘されています。  こういう点が改善されて、さらに他の医療機関が参加したときのデータ管 理については何も書いていないので、それについて明らかにしていただけれ ばよろしいのではないかと思っております。以上です。 ○猿田座長  いまご説明いただきましたけれども、山口先生はいかがですか。 ○山口座長代理  この研究に関しては、高知大学の診療体制とか、研究体制とかは特に問題 ないと思います。このケースは、ヨーロッパで多数の経験例があって、有望 なリポートがたくさん出ているということは大きいのではないかと思います。 この施設自身でも、先ほど伊藤先生がおっしゃったように、数例ではなくて かなりの症例が行われていて、手ごたえを感じたということではないかと思 います。その評価に関してはいくつか問題がありますので、今回少しやって いただいて、機器もきちんと承認申請していただいて、それからきちんと評 価するというふうに進むべきものだと思います。 ○猿田座長  安全性もまあまあ問題ないですね。 ○伊藤構成員  大丈夫だろうと思います。 ○猿田座長  技術のほうを出口先生からよろしくお願いいたします。 ○出口技術員  いままで先生方がお述べになったとおり、平坦な腫瘍に関しては、なかな か目で確認することができないようなことはよくあります。本来ならば生検 をして、怪しいところを確認した上で、次の治療に移るようなことはよくや られています。2段階のところを、1段階でこれができるという意味では、診 断的なものと、治療を兼ねたということでは有意義なものではないかと考え ております。  伊藤先生には申し上げていなかったのですが、またよく見返しまして、い ろいろなところで、ポイントで問題があるのではないかと思ったところがあ ります。これは治療として考えているのか、診断として考えるのかというこ とで、この実施体制というか、計画書の中で、例えば予測される安全性とい う、高度申請用紙の治療の評価のところを見ますと、本来ならばこれは臨床 の診断としてのデータが出ているわけです。診断としての効果はいいという ことを先ほど伊藤先生が14%ということで出ています。それに対して、今回 申請したのは高度医療として申請しているということになりますと、この問 題としては再発症例がどれだけ出たかというものを中心に評価していくとい う計画のほうがいいのではないかというのが私の1点目の考え方です。  2点目は、これは膀胱へ注入する方法と、それから内服する方法と2つあ ります。これを両方追いかけるのは少し複雑なので、限定してもらったほう がいいのではないでしょうか。  3点目は、題名のところで高度医療云々の光力学的診断ということになっ ているのですけれども、もし再発症例を中心にまとめるということになれば、 あるいは高度医療としてやっていただくことになれば、これは診断ではなく て、光力学的診断に基づく内視鏡手術の評価とか、そのようなものに直して いただいたほうが適切ではないのかと考えました。以上です。 ○猿田座長  先生のお考えでも、その点をしっかり直していただければいいだろうとい うことですね。 ○出口技術員  はい、そのとおりです。 ○伊藤構成員  一応書かれているのは、膀胱癌で、経尿道的な膀胱腫瘍切除が必要である と診断された方ということで作られているので、それに基づいてのタイトル を変えろということですか。 ○出口技術員  はい。 ○伊藤構成員  確かに膀胱の中に注入するほうが、血中濃度も上がらないし、光線過敏症 のリスクも少なく効きそうだと思うのですが、一方で飲んでいただいたほう が楽で、尿道の中に、膀胱の中に入れて、パンパンに張ったまま1時間、2 時間辛抱させるというのも、どっちがいいのか悩むところなのであまりコメ ントしなかったのです。 ○出口技術員  そうですか。脳外科のほうでは内服が主体ですので、それではあまり重篤 な服作用も出ていないということが頭をよぎったものですから、内服のほう が楽なのではないかと考えております。 ○伊藤構成員  そういう意味では絶対的な安全性から考えれば、膀胱内注入のほうが血中 濃度が上がりませんので、光線過敏症のおそれもないと思うのですが、ただ、 患者の苦痛とか術者のほうの話からいうと、膀胱内注入よりは、経口のほう がという、痛し痒しなので、コメントしないほうがいいかなと思ってしなか っただけです。あとは、患者とよく話をしていただいて決めていただくとい うのが研究の筋論かと思います。 ○山口座長代理  この計画書には300症例やるということで、実はこの施設だけではなくて、 将来はほかの施設が参加するというような前提で書かれています。いままで はここの施設でしかやっていませんから、一応こういう形で複数の施設がそ れを評価して、特に診断に焦点を当てて、そこのところからまずスタートし たほうがいいのではないかと思います。治療法の評価ということになってく ると、グループスタディとしてやるには難しい点が出てくるので、そういう 形になっているのではないかと理解しました。 ○柴田構成員  大筋のところのコメントではないのですが、きちんと評価するために押さ えておかないといけない部分があるのでコメントさせていただきます。先ほ ど先生方から出ましたけれども、まず診断のデータを取ることがメインなの か、あるいは再発のデータをメインにするのかというのはやはり整理が必要 だと思います。それぞれどちらをメインにする場合であってもちょっと問題 があると思うのでコメントさせていただきます。  再発の場合は、高度医療申請様式第3号の3番の期待される適応症効能及 び効果のところには、例えば、経験として観察期間は平均17カ月で再発は8 例、無再発生存率84.2%、従来の切除を行った149例では、無再発生存率 31.6%と書いてあります。これらは、実際にどの時点での無再発生存率なの か、あるいはどれだけフォローした上での無再発生存率なのか、というのが 明らかにされていないと比較できません。平均で17カ月ということは、半分 以上の方が1年半未満という可能性があることになります。そうであれば、 ここのところは2年ぐらいまでのデータをきちんと詰めた上での数字でない と、既存のデータとの比較は当然できません。そういうところは、書きぶり を明確にしていただく必要があると思います。先ほど伊藤先生がおっしゃっ たように、これに対する費用負担を、患者はどのように考えられるかという 意味でもこれは結構重要なデータだと思います。  一方でこの試験の結果として再発を評価するのであれば、将来施設が広が るということも考えますと、再発の取り方というのはCRFを定めて、どの タイミングで再発、無再発のデータを取るのかというのを明らかにしていた だかないと、いまの書きぶりでは、きちんとデータが取れるような計画にな っていないのではないかということが危惧されます。セカンダリー・エンド ポイントにする場合であっても、このデータの取り方はきちんと定めていた だく必要があると思います。  もう1点は診断精度です。実際にこのプロトコールで診断精度というのを どうやって算出できるのかがピンと来ないです。診断精度を算出するには、 今回の診断法でネガティブであるという方のデータが必要になるのですけれ ども、そのような方のデータが今回のプロトコールの中でも取られるのかと いうことについて明らかになっていないのではないかと思います。通常の日 常診療の中で、ランダムバイオプシーなどをされるのであれば、それをネガ ティブなものとして扱われるのかと想像したのですが、そこのところはいか がでしょうか。 ○出口技術員  通常は先生がおっしゃったとおり、ランダムといいましょうか、系統的に パンチをして、それで実際に腫瘍の広がりとかを診るというのは通常の診断 方法としてはやっていました。  ただ、いまはそのパンチをすること自体ががんを誘発するのではないかと いうことで、比較的いまは足が遠のいている状況です。いま先生がおっしゃ ったとおり、きちんとパンチをしながら、診断に対するはっきりとしたもの まで持っていくというのは、やはり1つの臨床研究として立ち上げないと難 しいかもしれません。 ○猿田座長  その辺りのところは1回戻して、明瞭にしていただいてということになる かと思います。 ○山口座長代理  この研究の背景は、ヨーロッパで相当広く行われているというところにあ ると思います。ただ、日本ではここでしかやっていないということで、なん とか複数の施設がそれを少し検証して、安全性も含めてヨーロッパのとおり かというところから、先生のおっしゃる厳密なステージというのは始まりま す。確かにおっしゃるとおり、この施設のデータは何も語っていないわけで す。ただ、ヨーロッパにおいて優れたデータが報告されているというところ は1つ大きなエビデンスですが、我が国におけるエビデンスはほとんどゼロ に近いと思います。そこを突っ込むと、これは駄目ではないかということに なってしまいます。 ○猿田座長  ただ、高度医療としてこれからスタートしていくには、一応データ的には どうでしょうか。 ○山口座長代理  おっしゃるとおり、諸外国においてこういうことがあって、安全性は大丈 夫そうだということで、試行してもよいのではないかと考えました。 ○猿田座長  一応プロトコールも、もう一回ちゃんと検討していただきまして、それで 動かしてみて、やっていただいてはと思います。私がいちばん心配したのは 安全性の問題ですけれども、それが経口でいくのか、あるいは注入でいくの か、そこのところも先生方にもう一回確認していただいて、プロトコールを 作っていただくということでどうでしょうか。 ○関原構成員  素人の私がこれを見て思ったのは、若干のリスクや安全性の問題はあるの かもわからないけれども、再発率の数字が本当だとしたら、31%が84%にな るというのだけを考えれば、ものすごい効果があり、若干の安全性などに比 べたらはるかに大きい。しかも、これはそんなに難しそうな診断方法ではな さそうで適する範囲をある程度固める診断をするのに、なぜこれがいままで 日本では使われていなかったのかというのが率直な疑問です。こんなに再発 率が減るというのは珍しいような気がしたのです。 ○出口技術員  大体データが出て、10年遅れぐらいで動いてくるというのが通常なのです。 向こうからのデータで、いいなと思って、薬を取り寄せて、いろいろなこと を準備運動するのに1、2年かかってしまいます。そこからデータを出してく ると、さらにかかっていくというのが通常のタイムラグと考えていただいて いいと思うのです。 ○藤原構成員  私も同じような懸念を持ちました。既に86例もやっていて、体外診断薬の 診断の承認のハードルなどはそんなに高くないですから、なんでカールスト ルツ社が治験をやらずに、こんな300例もさらにやるのかというのが不思議 です。  しかも、いちばん承認のネックになるのはアミノレブリン酸の薬事法の承 認が無いところでしょうから、いつまで経っても高度医療評価の仕組みでこ の技術をやらないといけないということになるのではと危惧します。  ○事務局  その点については申請者に確認しておりまして、藤原先生のおっしゃると おりですが、いわゆるアミノレブリンの承認を、本来は申請者も希望してい るのですけれども、基本的にヨーロッパのほうではメインが脳腫瘍というこ とで、ヨーロッパのほうでも現在は脳腫瘍以外の使用に関しては輸入ができ ない状況です。基本的に申請者と企業の相談の中に、膀胱癌に関してはヨー ロッパのほうでも適用がありませんので、まず高度医療で膀胱癌に対する有 効性有りと出れば、企業のほうでも膀胱癌に関するアミノレブリンの承認の ほうに向かっていきたいということを一応確認しております。 ○藤原構成員  体外診断などでやれば、100例もあれば十分なので、300例もやる必要は ないような気がするのです。 ○猿田座長  そこは、こちらから申し上げて無駄のないようにすること。一応この技術 としては承認方向へ持っていって、いま先生方からご意見をいただいたプロ トコール、その他、いまの例数の問題といったことをしっかり直していただ くこととします。この技術としてはこれだけの例数もあるし、お認めいただ くということでさせていただきたいと思います。 ○事務局  事務局から確認させていただきたいのですけれども、一応事務局のほうか ら、申請者に修正ということで、もちろん皆様に確認させていただきますけ れども、基本的にこの会議で確認したいのが、再発に絞るのか、それとも診 断に絞るのかという部分が、結局申請者のほうにどっちにするのかという検 討を委ねていいのか、それともこの会議で、再発のほうに絞ったほうがいい とか、診断に絞ったほうがいいのかというのを確認したほうがいいのかとい うことに関してはどうでしょうか。 ○伊藤構成員  いま提出されている資料を見る限りでは、既に膀胱癌と診断された人を対 象にして、膀胱癌というのは多発的に出てくるので、その見落としを少なく するという申請にしか読めないのです。ですから膀胱癌の疑わしい、例えば 血尿の人のスクリーニングでこれを使うという申請にはなっていないと思っ ています。 ○事務局  ということは、基本的には診断という方向をメインでよろしいでしょうか。 ○伊藤構成員  いわゆるスクリーニング的な診断ではないと思っております。この資料で読 む限りは、確かに診断なのですけれども、ある意味では再発を低下させるた めの治療手技の一環として使われているという理解だろうと思います。だか ら、蛍光で光ったところをみんな切除して、それで再発を防ぐ、というふう に読めるので、治療の一環としての診断補助ではないかと思います。 ○猿田座長  そこのところを明確にしていただくということでどうでしょうか。 ○事務局  もう一点確認させていただきたいのですけれども、膀胱内投与か、内服か という部分に関しても、これは申請者のほうで検討していただくということ でよろしいですか。 ○猿田座長  この委員会としては、そのような両方の意見が出たことを伝えていただく。 あとは向こうのデータと合わせていただいて、どちらのほうが患者さんに負 担が少ないのか、それから経口でいった場合に、本当にどのぐらいの副作用 が出るのかどうか、もう一回そこのところをお願いいたします。 ○事務局  わかりました。 ○猿田座長  患者のメリットを考えることが大切です。 ○事務局  この会議としては、一応両方でその評価もちゃんとできるようにという形 で修正していただくということで、基本的には同意書の件も含め、それを修 正した上で条件付きということでよろしいでしょうか。 ○猿田座長  それでは、そういう形で先方にもう一回問い合わせていただいて返事をい ただくこととさせていただきます。ほかにないようでしたら、この案件はそ ういう条件付きで認めさせていただくことにさせていただきます。  本日議論していただくところは016だけですので、次に「先進医療専門家 会議における第3項先進医療から第2項先進医療へ継続される技術に対する 科学的評価結果について」を、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  この件に関しては、先日の先進医療専門家会議で既にご議論がありました。 資料3の整理番号1から4にあるとおり、乳がん及び悪性黒色腫におけるセ ンチネルリンパ節の同定に関する案件です。今回使用する医薬品ジアグノグ リーン、インジゴカルミン、テクネフチン酸キット、スズコロイド注調剤用 キットが承認の予定となりましたので、基本的に第3項から第2項へ移る手 続になっております。先日の先進医療専門家会議において、科学的な部分に ついてもう一度ご議論いただくということで、すべての案件に関して総評適 ということで、3項から2項へ移行されることが決まりましたのでご報告い たします。 ○猿田座長  いまのようなご説明ですけれども、承認されるということで、第3項から 第2項へ移るということです。ご意見がありましたらお願いいたします。 ○藤原構成員  これは担当したので。乳がんの先生方がいちばん使いたいと思っていたの は、緑色の色素ではなくて、むしろ非常にはっきり見える青色色素のほうで はないでしょうか。事実、メラノーマの患者のセンチネル生検では、青色色 素を使っています。今回の薬事法の承認もたぶん青色色素は入っていないか らこのようになっているのではないかと思います。青色というのは、今後も 永遠に使えないのでしょうか。 ○事務局  その部分に関しては難しい問題だと思います。特にブルーの色素に関して は、パテントブルーとリンファズリンがあるかと思います。パテントブルー に関しては院内製剤が使われますので、そう大きな問題は生じないと思いま す。  リンファズリンに関しては国内でも未承認ということで、ただ欧米では比 較的メインに使われている薬ですので、この件に関してどういう扱いにする かということに関しては、今後検討していかなければならない部分であると 思っております。 ○猿田座長  そうすると、これはどこかで検討をすればいいのでしょうか。 ○藤原構成員  事務局のほうで検討していただければ。 ○事務局  1つのお答えといたしましては、先ほどブルーの色素がグリーンに比べて よいというお話がありましたので、基本的にグリーンよりもブルーのほうが 有用性があるというプロトコールを組んでいただいて、高度医療に入れてく るという可能性ももしかしたらあるのかもしれませんが、それに関しては今 後関係者といろいろ相談しながらやっていく必要があると思っております。 ○猿田座長  そういう形で、認められている部分は、第2項のほうへ移ることになりま す。これは、報告ということで承ったことにいたします。本日の審議は以上 ですが、そのほかのことで何かありましたらお願いいたします。先生方から ほかにご意見がないようでしたら、これをもちまして第11回の会議を終了し たいと思います。 ○事務局  次回の日程は現在調整中ですので、決まりましたら追ってご連絡申し上げ ます。 ○猿田座長  できるだけ多くの委員が出られる日を選んでいただきたいと思います。そ れでは、これで終わらせていただきます。どうもご協力いただきましてあり がとうございました。 照会先 厚生労働省医政局研究開発振興課 TEL 03−5253−1111 高度医療係 松本 内線2589