09/09/30 第5回今後の看護教員のあり方に関する検討会議事録 第5回今後の看護教員のあり方に関する検討会          日時 平成21年9月30日(水)          15:00〜          場所 厚生労働省共用第8会議室(6階) ○島田課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第5回今後の看護教員のあり方に 関する検討会」と開催いたします。委員の先生方にはご多用のところ、検討会にご出席いた だきまして誠にありがとうございました。本日、全員の委員の先生方から出席という連絡を いただいております。澤本先生と安酸先生は若干遅れておられますが、開催させていただき ます。  資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に座席表を配らせていただいております。 その下に資料がありまして、資料1「これまでの委員の主な意見」、資料2「主な検討課題 と論点」、資料3「継続教育に関するこれまでの議論の整理(案)」。乱丁、落丁などがあり ましたら事務局のほうにお申し付けください。  それでは永山座長、進行をよろしくお願いいたします。 ○永山座長 本日も活発なご議論をよろしくお願いいたします。議事に先立って、資料1 の説明を事務局からお願いします。 ○島田課長補佐 資料1はこれまでの委員の主な意見ということで、いままでいただいたご 意見をまとめているものですが、項目ごとに、斜めの文字になっている部分は、前回、先生 方からいただいたご意見をまとめているところです。簡単ですが以上です。 ○永山座長 いま説明がありましたが、何かご質問等なければ先へ進ませていただきたいと 思います。本日の議論は議事次第にしたがって、前回に引き続いて看護教員の継続教育につ いて検討を行うこととしております。これまでの委員の意見をもとにして、さらなる議論が 必要な事項に絞る、効果的に進めてまいりたいと思いますので、今回も事務局に整理をお願 いしました。本日はその整理にしたがって議論を進めてまいりたいと思います。まず資料に ついて事務局から説明をお願いいたします。 ○島田課長補佐 まず資料2、主な検討課題と論点ということで、ただいま座長からご説明 がありましたが、本日は2番にあります「看護教員の継続教育について」ということで、前 回に引き続きご議論いただこうと思っております。  資料3は、これまでこの会議で議論がありました継続教育に関する内容について、事務局 でまとめさせていただいております。後ろのほうの点線で囲んである部分で、さらなる議論 が必要な事項を3点まとめさせていただいております。上から順番に読み上げさせていただ きます。  看護教員の新任期からの連続した継続教育の仕組みについて(1)現状と課題。教育や看護 実践能力、研究、マネジメントといった内容について、設置主体が組織的に教員の研修を体 系化している所がある。ほかにも、病院に付属の教育機関がある場合、教員が希望する病棟 で一定期間の研修を行えるシステムを構築している所や、採用後の教員研修を体系化し、研 究調査日の取得や臨床研修制度等を導入している所もある。また、大学が養成所も含めた看 護教員を集めて公開講座等の講習を開催し、専任教員の継続教育を担っている所もある。新 人教員には即実践が求められており、その現状は苛酷なので、指導教員や助言システムを用 意している所もある。学習を積んだ看護教員が、養成所で能力を発揮しながら教育にあたる という環境が整っていないので、大学院修了などキャリアアップした看護教員たちは大学へ 流れてしまう。大学や大学院では、教師教育という意味でファカルティ・ディベロップメン トの取組みが義務づけられているが、さらに看護実践能力をいかせるようなFD等の取組み が必要である。医師は大学に所属していても、病院で外来をするなど患者とかかわりが持て る。看護師の場合、ユニフィケーションを実施している所でも、病院と学校の仕事を1人が こなすとなると、人数の問題等で厳界があり医師と同様にはいかない。また、病院と学校の ユニフィケーションは、身分の保障や給与の関係などの問題で実践できない所が多い。代替 要員がいないと小規模な養成所では、看護教員を一定期間の研修に出すのは困難な状況にあ る。5年一貫校では、教職経験及びライフステージの各段階に応じて必要な能力が備えられ るよう、初任、中堅、管理職に分けて悉皆研修が体系化されている。一方で、医療現場での 研修機会の確保や長期研修中の代替教員の確保が課題となっている。都立の看護専門学校で は、体系的にさまざまな研修が用意されているが、授業 分担の調整等により、残ったメン バーで長期研修者の欠員分をカバーしているのが現状である。教員の配置数のほかにも新人 教員への支援、臨床現場と学校との連携が課題となっている。看護系大学では、研究能力や 教育実践能力等の向上に向け、さまざまなFD活動を実施しているが活動内容の偏り、FD に対する教員の知識不足、予算の確保等が課題となっている。  (2)対応策。看護教員の質の保証については、看護教員養成講習会とは別に、画一的では なく、個々の能力を高めていける仕組みづくりが必要である。看護実践能力と教育実践能力 のどちらも必要で、そのバランスが大事であり、両方を補い合うシステムをつくることが重 要である。大学が行っている講習等の看護教員の継続教育を、各都道府県で行うことができ るよう体制を整備する必要がある。新任の看護教員が実際に教育を始めてから抱える悩み等 に対応するため、新任期のフォローアップ研修等の実施が求められる。看護教員のキャリア アップやユニフィケーションのシステム化を考える必要がある。養成所でも、大学や大学院 のように看護教員のFDの義務化が必要である。看護師のラダーと同様に、看護教員の成長 を審任、中堅、ベテランといった成長段階別モデル(ラダー)を作成し指針として示すとよ い。養成所同士でブロックをつくり、他の看護専門学校が行っている体系的な継続教育プロ グラムを、部分的に実施する仕組みを考えてはどうか。看護職員と同様に看護教員にも、資 質の向上につながるメンタリングやスーパーバイジングを導入していくことは可能ではな いか。小規模な養成所の看護教員が一定期間の研修に出られるようにするには、代替要員を 派遣する仕組みが必要である。  3頁。さらなる議論が必要な事項として(1)現状を踏まえ、看護教員に対する新任期からの 連続した継続教育が、全国的に展開されるようにするためにはどのような方法、体制が考え られるか。(2)看護教員が生涯を通じてキャリアアップを重ねるためには、どのような継続教 育の内容が求められるか。(3)養成所の現状から看護教員が、外部の研修に参加することが困 難な状況となっているが、養成所でもキャリアを積み重ねられるようにするためにはどのよ うな方策が必要か。以上です。 ○永山座長 ありがとうございました。前回の検討会では、3人の方からのヒアリングを中 心に展開しましたので、少し議論の余地があったかと思います。それも受けましてさらなる 議論ということでまとめていただきましたので、そこから入っていきたいと思います。それ でよろしいですか。  はい、それでは1点目の「現状を踏まえ、看護教員に対する新任期からの連続した継続教 育が、全国的に展開されるようにするためにはどのような方法、体制が考えられるかという ことを焦点にご議論をお願いしたいと思います。スピーカーであった齊藤先生から、もし追 加発言がありましたら口火を切っていただくと助かると思います。いいでしょうか。お願い いたします。 ○齊藤委員 前回の討議の中で感じたことです。公開講座等の機会を通して、教員の再教育 をしていくというのはとてもいいとは思うのですが、単発で受け身の研修を受けてもモチベ ーションに関しての即効性はありますが、持続していくというところでは、本当の力はつか ないと思うのです。そういうところでは何かをつくり上げるとか、継続的な研修を行い1 日単位ではなくて数日単位のものでも、最低は必要かなということを感じました。  この議論の1番について、いま、まとまってはいないのですが、新人教員の研修は、早い 時期に1回は必要かなと思います。それから、1年間かけて体系的に新人教員を、継続的に 支援していく体制づくりが必要ではないかと思っています。やはり進行していく時期によっ て内容が変わってきます。4月5月の時期は、どんな仕事があるのかという全体像を見る、 7月8月ごろになってくると、実習指導とか講義がそろそろ始まってきますので、その内容 についてちょっと煮詰まってくる時期、そして秋ごろになると、今度はいろいろな行事が入 ってきます。専門学校は戴帽式があったり学校祭があったりで、そういうところも教員が担 っていく分野もありますので、自分の本来業務とそういう教科外活動をどうやって仕事の中 に織り込んでいくかということについて悩むのだと思うのです。そして、3月ごろにもう1 回あるといいのかなということを感じております。 ○永山座長 具体的な実践を通してのご発言でした。それと関連してでもよろしいですし、 別のことでもよろしいのですが、ご意見お願いいたします。 ○井部委員 齊藤委員に質問です。私の個人的な関心です。いま、ナースキャップをつけな いで仕事をしている病院が増えてきています。戴帽式のときにキャッピングをするわけです が、ナースキャップを使っていない病院に就職した場合、キャップはどうされているのでし ょうか。 ○齊藤委員 戴帽式については都立全校、実施するという方針を決めております。それは、 実習場に行く学生がキャップをするということとは全く違うもので、情意領域の教育の一環 として位置づけています。ですから、在学時代の臨地実習も就職後もキャップをするという ことは、学生は式典以外にはないのですね。この式典を通して学生に伝えていきたいものと いうのは、看護への理念とか思いとか誇りとか、そういうものをこの行事を通して教えてい くという位置づけにしております。 ○井部委員 そうするとナースキャップは、貸与しない、するのですか。 ○齊藤委員 式典の形では貸与する形になっておりますが、そのキャップは学生が購入して いるものです。 ○井部委員 大学はほとんど、戴帽式というのはもうないので、そのナースキャップが象徴 するような、価値づけとか意味づけをするという行事そのものが重要視されていない。○齊 藤委員 ありがとうございました。それに関連してでもよろしいのですが、ほか、いかがで しょうか。 ○井部委員 新任期に、学校の中でどういう業務があるかということを指導しなければなら ない、これは業務のオリエンテーションのような内容なので、これも継続教育と言えば教育 ですが、業務のオリエンテーションは、やはり、中でやらなければならない必然性はあるの ではないかと思うのです。先ほどの説明ですと、初期の研修は業務内容まで、体系化されて どこかでやったほうがいいというご意見だったのかどうか。それを確認させていただきたい と思います。 ○齊藤委員 業務に関するオリエンテーション的な内容も含めて、職務研修という形で新任 研修と、東京都の場合は昇任試験がありますので、主任に昇格した場合の主任研修と、さら に主任から教諭という係長級に昇任したときの研修をそれぞれ組んでおります。その内容は 職務に関したものです。それ以外に前回お示しした教育能力とか、研究能力とか看護実践力 といった研修を体系化しております。 ○佐藤委員 この資料3.の3頁の「さらなる議論が必要な事項」の(1)についてですが、新 任期からの連続した継続教育というのは、いわゆる初任、新任教員の研修、それから中堅教 員の研修、それから主任や管理職の研修という、教員としてのライフステージにあった研修 をどうするかという意味で捉えてよろしいですね。その中の「全国的」ということにのみ概 略的な枠組みの考え方を申し上げますが、全国研修あるいはブロック単位の研修、都道府県 単位の研修があると思います。その場合、それぞれの実施主体をどうするかという課題があ ります。例えば国であるとか都道府県であるとか、あるいは全国組織の関係団体に委託する などの方法があると思います。この場合標準的な研修のカリキュラムがないと、研修事項や 内容がばらばらになって教員の均一性や等質性が保てなくなるという課題があります。以上 です。 ○永山座長 ありがとうございました。少し系統的にまとめていただいたかなと思います。 それと関連していかがでしょうか。 ○井部委員 教員の継続教育をどうしたらいいのか考えてきたのですが、やはり、行政より も学会ベースがいいのではないかと思うのです。看護教育に関する学会は看護界では2つ、 教育学会と教育学学会というのがあると思うのですが、そういうところでやる。あなたは初 任者研修を受けなさいというのではなくて、先ほど齊藤委員がおっしゃったように、自発的 にこういうプログラムが私は必要だと考えて、提示されたものから自分が学びたいもの、あ るいは、自分のキャリアアップに必要なカリキュラムに適したところを自分で選んで参加す る。学会は大体2日か3日ぐらい行われますので、その中で、学会の一部を看護教員の継続 教育カリキュラムのようなものを組んで、多様なプログラムができるといいと思うのです。 学会ベースにして、単位制ですね。そのようなことをしたらどうかと思います。いずれにし てもある程度の標準化は必要なので、学会に委託するというか、学会が考えるときにも、こ のような観点でプログラムを組むということは必要だと思います。それを生涯研修として積 み重ねていけるような単位制にするのはどうでしょうか。 ○永山座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○後藤委員 まずやはり、このカリキュラムと言いますか、その内容を標準化してガイドラ インみたいなものを、これはやはり国が作ったほうがいいのではないかと思うのですが、そ れに基づいて、井部先生がおっしゃったような学会、あるいは各地域での研修とか。やはり これ、3番目の問題にも関係するのですが、通信教育とか、いわゆるインターネットを使う とかそういう、いまのITを利用したような仕組みも同時に考えていかないと、なかなか難 しいかなと思っています。方法、体制、そのうちの体制の問題なのかもしれませんが、そう いうITを利用したような方法で、標準化してカリキュラムの中で単位を決めて、それを1 年の間にこのぐらい修めて、その次の段階でいけるというような。  いまやっている8カ月の看護の講習会。これについては、現状やっているような仕組みと、 もう少し、あれも受けやすくできるといいなと思うのですけどね。つまり8カ月、大体1 年ぐらいは現場から出向してしまうわけですよね。全部が全部そういうようには。代替の教 員の確保というのはなかなか難しいわけで、そこにも何か、ITヲ利用したような工夫ができ ないかなと思います。  それと、前から申し上げていることですが、途中でスーパーバイズが受けられるような仕 組み。例えば、どんなように自分は次のキャリア、どんなことを学んだらいいのかとか、学 生と実際に触れ合っていて、こういう問題を抱えてしまっているのだけれどとか、そういう ことについて相談できるスーパーバイズを受けられる。そんな仕組みが教員の継続教育の中 にちゃんと組み込まれたほうがいいのではないかと思います。 ○永山座長 人材をどう育成していくかというのはすごく大事なところですので。ほかにご 意見を伺いたいと思います。 ○羽生田委員 いま後藤委員が言われたように、研修に出すというのはその養成所にとって 非常に大変なのですね。ですから、どういったカリキュラムを提示して、受けるというのは 必要だと思うのですが、現実問題その代替要員もいない、あるいは目いっぱいの、最低限の 数の専任教員という形で、そして新人は8カ月以上の講習に行かなければならない。そこに また継続研修というのが入ってきたときにやはり。受けやすいのはどうしたらいいのかとい うところまで考えていただかないと、なかなか。カリキュラムあるいは大学とか、いろいろ な所でやられる、あるいは学会でやられる、それはそれぞれいいのですが。おそらく、学会 まで行くというと、全国いろいろな所で学会の研修があるわけではありません、学会を開催 する所で研修をやる。そうすると、大学などは研究部門がありますから、看護学会とか看護 教育学会とか、そういう所へ行かれていろいろ勉強するというのが十分、時間的にも取れる と思うのですが、現実の養成所としては、学会まで行かせていられない所が非常に多いとい うこともお考えいただいて、そういう人たちはどこでどうやったら継続教育が受けられるか、 それにはどういったカリキュラムを、どういう形で提示してどういう所でやっていただくか という、そこまで考えていただかないとちょっと。いいのですがなかなか。現実としてそこ まで研修に出かけられないという状況ですので、現実に受けられる体制をどうしたらいいか というところもひとつ、方法として考えていただきたいと思います。 ○永山座長 いま、主にその体制づくりのところが焦点になっているのですが、それに関し てどなたかご意見ありますでしょうか。 ○林正委員 これは私の経験ですが、中国・四国・九州のプロックの医師会立の看護学校は、 年に1回会を設けていまして、2日間にわたるのですが、そこは1つの研修の場になってい るのです。いくつかの内容に分かれていて、自分の興味のある所に出席する。そういうよう な形で年に1回ですが、医師会が非常に力を入れてやっているみたいです。ですから、こう いうようなこともやはり自助努力として、医師会立だったら、ブロックごとにそういうよう な会を設ける。そういうことは現実に可能ではないかと思います。 ○永山座長 いろいろな団体が関与しております。いま、医師会というのが1つ出てまいり ました。ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 体制づくりとして、いろいろな組織が体制をつくっていくということも考えて いただければと思うのですが、新人教員は毎日すぐ業務に入っているわけですね。そういう 中で授業をするとなると、講義指導案を立てて、内容精選をして、どういう教育技法を使っ て教えていこうかということに思い悩むと同時に、臨地実習の指導での悩みもあるわけです。 両方のことをやらなければいけないということで。実習指導に行くとなると、今度は学生対 応と患者対応、臨床のスタッフとの対応と、すごく調整力が必要になってくるというところ が、新人であってもベテランと同じようなものを求められる辛さというのがあると思うので す。そういうところでは、授業を1人に任されるという点と、密室化状態になるというのが あるのですね。ですので、そういう所に一緒に行って、モデルを見せてあげられるような機 会を設けるといったことがあると新人にとってはすごくいいと思うのです。ですから、短期 でもかまわないので、メンタリングやプリセプターシップといったマンツーマンの仕組みと いうのも必要なのかなと思っています。 ○永山座長 ありがとうございました。いま、新任のほうに少し話がいってはいるのですが、 少し幅を広げていってもと思います。体制についてはよろしいですか。方法論も若干出てき ておりますが、どなたかご意見があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○岩本委員 1番と2番は関係していると思うのですが、全国的に展開させるために何をす べきかと言ったときに、先ほどほかの委員の方がおっしゃったように、看護教員としての成 長の段階がありますので、その成長段階に合わせた能力開発モデルの提示は可能だと思いま す。それに関連して、養成所の教員たちも自律した1人の教員ですので、自己研鑚をどうす るかということに関して、自分の領域や自分の能力にあった自己研鑚を、自分のお金を使っ て実施するということが基本だと思います。また、教員として、教師として成長するために は相互研鑚も必要ですので、学校単位で、その教員の成長のためにどのような仕組みをつく るのかということも重要だと思います。それから、学校同士の連携の中で、先ほど医師会の 話が出ましたが、各都道府県に看護学校の協議会のような組織がありますので、そういう組 織とか、あるいは設置主体が複数の学校を持っている場合には、その設置主体の複数の学校 での研修も可能だと思います。研修はさまざまありますので、それらの研修を自分のキャリ ア形成の内容にあわせて教員が選択できる環境を学校が提供するということも1つの方法 論ではないかと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。先だっても、この前の前ですか、各都道府県で行わ れている研修の内容も提示されておりましたので、それも1つの方法かとは思います。ほか にどうでしょうか。いきなりで。安酸先生、お願いします。 ○安酸委員 申し訳ありません、遅れてきまして。その仕組みのときに1つは経済的な、国 からきちんとお金がつくとかいうようなことがないと。確かに個人の努力ということもある のでしょうが、徹底してきちんとやるには難しいかなというのが1つあります。それと、先 ほどメンタリングという話が出ましたが、多くの教育現場では、メンターがつくような人的 余裕がないので、新任教員が突然、早期完成を求められ、密室で個人のセンスに任せられて 学生指導しなければならないような現状がある。そうなると、能力がつくまでの間は、学生 の犠牲を強いるみたいなところがあるので、そこを埋めるための仕組みというのが必要かと 思います。だからそのメンタリングというところ、ある程度の人数的な措置がないと難しい とは思うのです。例えば私が短大の助手を3年やったときには最初の実習で、教授の実習指 導に1クールつけてもらったのです。完全に1クールは一緒にさせてもらいました。  それと、授業をするときは、最初の何回かは上の先生が見に来るという仕組みがありまし た。たまたま私はそのときに上司が忙しくて来てもらえなかったのですが、それはもう当た り前のように新人の先生に最初から自信もないからということで、バックアップする仕組み を内部で作っていました。そういうことが当たり前にできるようでないと、新人の先生が潰 れてしまうか、新人が潰れるか学生が潰れるかみたいなことになりかねない。それではいけ ないだろうなと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。バーンアウトの問題もありますので貴重なご意見だ と思っております。ほかにいかがでしょうか。 ○石渡委員 いま新人のバーンアウトの話を聞いていて思いましたが、やはり臨床現場でも 同じようなことが起こっています。実際それをどうするかといろいろ考えてやっていますが。 大体うちは大きな病院なので、新人の数が多いということもありまして、新人看護師がある 程度集まり、グループアポをしたり、お互いの立場でいろんな意見を交換をし会い、それで 少し ガスぬきというかそういう場が作れているのです。ところが新人の教員というのは多 分、学校でお一人とか、すごく少ない数で、そういう自分の思い、体験を共有する人がなか なかいないのではないかなと思います。ほとんどすべての人が先輩という形で。やはりそう した時に、新人の教員が集まって、そういういろいろな思いを吐き出して、そしていろんな 問題とかを共有し会える。  いまお話を聞いていて、こういう物があったらいいと。各現場でやはりいろいろニーズを 踏まえながら教育とかはされているとは思いますが、実際のところ新人教員の方がどういっ たようなニーズとか思いをもっているかをもう少し知りたいなと思いながら話を聞いてい たものですから。ぜひ新人教員に対しての研修という名前で1日でもいいですから、集まっ てもらっていろいろ話をしたりというような丈が例いえば県単位とかでできればいいので はないかと思いました。 ○永山座長 どうもありがとうございました。本日は他にも関連した議論が後にもあります ので、2番目に行ってもよろしいですか。また、1番とも関連いたしますので。引き続きま して、看護教員が生涯を通じてキャリアアップを重ねるためには、どのような継続教育の内 容が求められるかについての議論に進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょう か。もう1のところで若干関連のとこが出てきておりますので重複してもかまわないと思い ますので、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか野本委員。 ○野本委員 直接にだけのお話ではなくなるかもしれないのですが、先ほどからの話を伺っ ていると、よく言う「オンザジョブトレーニング」という形でこの実際にやりつつ、指導を 受けていくという教育のありかた。オフザジョブという形で研修会、知識としてという形で 収得していくべき教育と両方あるのだろうと思いまして、それらを一緒にして話してしまう と、とてもややこしくなってしまって、何を教育の内容とするのかという整理がしにくいの ではないかと思いましたので。業務を実際にやりながら学習していく収得していくべきもの。 研修会としてしっかり知識、技術を身に付けておかなければならない部分とを少し整理をし て教育の内容を検討していく必要があるのかなと思いました。それが1点です。  「継続教育と生涯を通じてキャリアアップを重ねるためには」。継続教育は自主的に自分 から進んで受ける、自分で選んで学習していくことが重要だと思いますが。先ほどから出て いますが、モチベーションを持ち続けることはなかなか難しくて、そういうことを続けてい くためには、ある意味では評価システムというか、どのように教育を受けてきて、どういう 成果が上がっているのかを評価するようなシステムというのもないとなかなか継続して続 けて教育を受け続けるというのは難しいのではないかと思いましたので、教育の内容は、も ちろんはっきりその辺がしてない部分がありますので議論が必要だと思うのです。それとと もに教育の成果とか、どのようなことが出来ているかを評価するようなシステムにつきまし ても検討を加えていかないと、なかなか生涯をつうじてのキャリアアップというものは難し くなっていくのかなと思いました。以上です。 ○永山座長 ありがとうございました。いままであまりその部分は、表面には多分出てきて ない部分ではないかと思います。それに関連してご意見をお持ちの方おいででしょうか。後 藤委員。 ○後藤委員 よろしいですか。継続教育の内容も、ここは内容の検討かとは思いますけれど。 継続教育をずうっと生涯を通じて受けてキャリアアップしていくと、こうなりますよと。こ ういうふうにあなたはなれますよと。もちろん、インセンティブが必要です。例えばその前 から申し上げるのは、大学の教員になる文科省の基準になるのかもしれませんが、そこに専 門学校の教育歴はあまり反映されてないのです。例えば専門学校で教員をやっている人が将 来は、大学の先生にでも進んでみたいと思う人がいるときに、何年も看護教員、専門学校の 教員をやっていても、それは経歴としてあまり評価されないのです。これは仕組みができる のかはわかりませんが、現在私どもの民間の養成所は、看護師養成とのことで、国と都道府 県から補助金をいただいているのです半額。これ、看護教員が研修を受けるための補助金。 学生1人につきましていくらということではなく、教員に直に手当として渡すという補助金 の仕組みのようなものが考えられれば、これも1つのそれなら私はやっていきたいというも のにプラスをして、もっと教員になろうとする動機付けになるような気がしているのです。 ○永山座長 それでは関連してどうでしょうか。齊藤委員お願いします。 ○齊藤委員 先ほど評価も考えなければいけないというお話を聞いて気がつきましたが、養 成所の場合は、学校教育法の中では初等、中等段階のところの準用になっています。教育の、 自己点検、自己評価は義務化されている段階だとは思いますが、実際のところ全国の養成所 がどれだけこれができているのかになりますと、できてはないところもあるのではないかと 思います。教員の質を上げるにはのばしていくにつきまして研修だけではのばせないと思い ます。自己点検・自己評価を本来の目的である教育の質の向上につなげるには、もう少し、 実行できるような仕組み作りも必要ではないかと思います。 ○永山座長 その点はどうでしょうか。専門学校の評価点検が始まっているとは思いますが。 どちらかお答えください。まだだそうですこれからとのことです。岩本委員どうぞ。 ○岩本委員 ちょっとよろしいでしょうか。専修学校の自己点検・自己評価に関しましては、 学校教育法が19年に改正になりまして、公表が義務化になったと思います。現在、それぞ れ自己点検・自己評価について各学校が実施していますが、これからは公表を前提として、 自己点検・自己評価の評価項目や方法、その他について検討をしていく必要があります。点 検・評価項目の中には、必ず教員に関する項目、つまり教員の確保と教員の育成についての 内容が含まれるので、公表によって実態と改善策が明確になり学校のシステムとして運用さ れれば教員の質向上にとって有効だと考えます。○永山座長 よろしいでしょうか。他に佐 藤委員どうぞ。 ○佐藤委員 その「継続教育の内容」に限って申し上げます。また概略的な内容になります が、「看護教員が、」とありますから看護教員としての専門分野でのキャリアアップが必要で す。それから教員一般としてのキャリアアップが求められます。それらがうまく融合して1 人の看護教員が育っていくのだと思います。専門分野のキャリアアップはさておいて、教員 一般のキャリアアップとしては、例えば施設の管理、教育の管理、教育原理、学生指導等の 分野の研修があります。また新任の立場、中堅の立場、管理職の立場としてのそれぞれに必 要な研修内容がもり込まれていなければならないと考えます。これもモデルがあればよろし いかなと思いますが。以上です。 ○永山座長 おまとめいただきまして、ありがとうございます。その点に関しましていかが でしょうか。井部委員どうぞ。 ○井部委員 いま佐藤委員がおっしゃいました専門性という点からしますと、例えば基礎看 護学を担当している看護教員は、これは例ですが、看護技術学会があります。マネジメント を教えなければならない立場だと看護管理学会とか。ですから私が最初に教育に関する学会 だけを言いましたが、専門性という点では、30いくつもの看護系の学会がありますので、 私はこれまで自分を含めて反省ですが、学会というのは、あまり公に活動をする視点が薄か ったのではないかと思います。なぜそう思うかといいますと、看護系学会等社会保険連合、 看保連を作っていろんなエビデンスを提案してもらい診療報酬、介護報酬に反映させていこ うと思いましても、まだ学会自体が弱体なのです。例えば、外保連、内保連のように医師の 学会はきちんとデータを出していますが、そうしたことができないのです。その意味ではい ろんな学会はいま市民に開こうとしているプログラムがたくさん学会では組まれるとは思 いますが、その他にも我々のステップアップのためにといったプログラムも学会がもっと考 え出していいのではないかと。体系化された学習の機会を専門職に提供するという視点をも っと明確に位置付けてやるというのは非常にいいのではないかと思います。つまり講習とか 研修ですと誰かの語りを聞くのが多いわけですが、学会はやはりそれぞれの研究発表があっ てディスカッションされるわけですから。その意味では受身ではなくて、自分も発表し批判 を受けるといったようなことを行うことができるので、そういう機会をもっと公的なシステ ムとして活用するという考え方を導入してもいいのではないかと思います。年に1回の学会 ですが、いま例会というかブロックごとに小さな学習の機会がいろいろ計画されつつありま すので、その意味ではブロックごとにリーダーがいればそのような機会も作れると思います。 これからは看護系の学会が社会的な位置付けとして活動を明確に打ち出していくという視 点がこの看護教員の継続教育を機会にやってもいいのではないかと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 井部委員にお伺いしたいのですが。いまのその学会自体の通知は、学会員に しかいってないですか。 ○井部委員 学会開催ですか。 ○羽生田委員 はい。 ○井部委員 学会開催は広くいたします。多分学会誌は、学会員にいきます。 ○羽生田委員 学会紙は。学会の開催は例えば養成所、他の方にも目に触れるように出して いるとのことですか。 ○井部委員 一般の雑誌に公告しますので。看護教育の雑誌です。 ○永山座長 よろしいでしょうか。他に、安酸委員。 ○安酸委員 いまの井部委員の話、管理性です。いま日本看護学教育学会の理事をしていま すが、この学会の前身の研究会の時にはかなり継続教育的な役割を担っていたようです。学 会になったときに、研究的なところに視点がシフトしてきたところがありまして、そういっ た継続教育的なリカネント教育的なところを関しての活動というのは縮小しています。ただ 現在は検討しているところですので、いまの意見は学会に持ち帰り検討できたらと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。他にご意見はいかがでしょうか。はい、羽生田委員 どうぞ。 ○羽生田委員 学会にそうやって行って、自分で勉強し、自分でも発表というこれは非常に いいのですが。現実に養成所の教員が学会発表、学会に行って発表をすることはほとんど不 可能です。いまの現時点では。 ○安酸委員 そんなことはないと思います。 ○羽生田委員 知っています。私の知っている医師会立の養成所はもう小さな養成所ですか ら、そこの教員がどこかの学会で発表することは、まずデータをきちんと作って、どう発表 していくかというところからも、ほとんどできないです現実に。大きな養成所でしたらかな りしていると思いますが、小さなところではまずできないと思います。 ○永山座長 それでは聞いてみますがいかがでしょうか。 ○齊藤委員 都立に関しましては、毎年この先月の北海道の学会でも3人ほど発表していま すし、養成所でも研究発表はしています。ただ、先ほど羽生田委員がおっしゃったように、 研究には指導者が必要で、いわゆる研究のスタイルになっていくところまで、支援してくれ る人が絶対に必要だと思います。そういう仕組みは小さい養成所ではなかなか確保ができな いだろうと思われますので、その研究支援に対しての仕組み作りもほしいと思いますが、本 当に時間的なことや研究の環境などを考えますと、研究活動を専門学校の教員が行っていく のは厳しいなという気持ちは私の中にもあります。ですが、この学会での発表を見ていても 本当に小さな養成所の人が発表している機会はあります。その人たちは自努力で指導者を得 て、発表までいっているというのがありますので、ぜひそういう方の支援ができれば良いと 思います。 ○永山座長 岩本委員どうぞ。 ○岩本委員 同じで、学会発表は私たちの学校でも奨励しております。ただし、発表しなく ても参加をする、ディスカッションに参加するということも、学習にはなる、継続教育の一 端にはなると思います。学校によっては学会に年1回教員が出席することに関し経済的な支 援をしています。これも教員の質の向上を図るための学校の1つの支援です。  研究に関しましては、いま倫理委員会の承認がなければ実施できないようになっています ので、研究に関し他者の指導を受けるというシステムは、養成所でも必要ではないかと思い ます。 ○永山座長 はい、ありがとうございます。それでは後藤委員どうぞ。 ○後藤委員 看護教育学会とか大きな仕組みにいく前に、例えば日本看護学校教育会という 組織がありますが。そういう中でも学会もやっておりますから、そういうところにも参加し て発表して機会を作るとか。すごく動機付けにはなります。いきなり大きな学会とかで考え なくてもいいのではないかと思いますし。ぜひこの継続教育の内容ではなく、私はやり方の ほうに話がいってしまいますが。いま言った日本看護学校協議会、あるいは東京都内であれ ば、都の都立の看護学校、都内にある民間の看護学校が一緒にあつまりをやるとか。工夫を すればそういう学会ともいかなくても、前段階の組織が作れるのではないかと気がします。 大学側が少し機能してほしいなと。いま委員がおっしゃった、研究をするための指導教員と いうのは、なかなか民間の養成所の中では、そういう人まで雇い入れるのは難しいですから。 やはり少し指導を受けるに大学の先生、都内でいえば、東京都の大学がそういう講座を開い てくれる。その仕組み作りがすごく必要で。さっきから申し上げていますが、1年なら1年 で出て行ってしまうという仕組みではなく、ちょこちょこと研修を始めていかれるような、 やり方、ITとかいま申し上げたように大学が会合をしてくれるとか、協会を利用するとか、 そのことでも単位が取れていくような仕組みがいちばん望まれるのではないかなと気がし ます。 ○永山座長 ありがとうございました。それではなかなか内容のところにいかず、仕組み、 方法論にいま少し議論がいっているのです。それもとても重要なことですので。内容にぜひ というようなご意見はございますか。はい、齊藤委員どうぞ。 ○齊藤委員 都立が研修体系を組んでいちばん教員の必の向上に貢献したなという研修は、 授業研究なのです。これはぜひ研修のメニューを作るときに入れていただければと思います。 これは月1回あつまる形で年間10日、その中で共通の教案を作ってみたり、教材を作って みたり、お互いの授業に参加したりとできますので、それはとてもいいと思っています。  先月ありました北海道での学会でリフレクションに関して発表していたグループがあり ますが、それを伺ってみると、ある県の教員の継続教育の一貫で3つぐらいのコースがあり まして、教育課程、教育方法、もうひとつは忘れましたが、その中の教育技法のコースの内 容がリフレクションとのことで県内の学校の先生が何人かあつまりまして、年間10日ぐら いの中で、授業リフレクションにつきましてまとめて、6題くらい発表されていましたので、 そんなふうに繋がっていけばいいのかと思いました。 ○永山座長 まあニーズとしてはあるということで、方法しだいではといま1例が出ました。 他にいかがでしょうか。また後で前後をしながら、また話がもどってもよろしいかと思いま すので。次に3点目に「養成所の現状から看護教員が外部の研修に参加することが、困難な 状況となっている。他の委員の方からもそのような発言がありましたが。養成所でもキャリ アを積み重ねられるようにするためには、何か方策がないかと議論として最後に残っており ますので、そこへ行きたいと思います。  羽生田委員のほうからもございましたが、そういう場合にどうしようかとのことで何か方 略があればご意見をいただきたいと思います。羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 前に一度申し上げたのは、いま各県に看護大学が1つ以上ありますので、大 学が中心になりました、継続教育というものが各県でできれば非常にありがたいと思います。 いま現在特に養成所では、継続教育的なものがやられてない。されてない養成所のほうがむ しろ多いわけでして。やはりそれを全体としてレベルアップをするためには、県が、県単位 で、県が中心になりまして、システムを作り、実行させるというある程度の縛りがないとな かなか広がっていかないので。やはりスタートのときにはそういったところを少し取り入れ るといいますか、県に少しがんばっていただくことも必要かと思います。  先ほど学会のことでは、私の古い記憶で申し上げたので大変失礼いたしました。私が非常 に感じたのは、自分の研究よりも学生に看護発表をさせるときに、その指導がまったくでき ていない。その記憶が非常にあった養成所を見ていたときに。看護学生が自分の看護の体験 を発表するわけです。その時には専任教員が指導して研究発表、看護の症例発表みたいなこ とをするわけですけれど。それ自体の教育が専任教員にまったくできていないという記憶が ありまして、だからとっても学会に発表するレベルではないらしいと、古い知識と記憶で申 し訳ないのですが。そういうところがありましたので齊藤委員が言われたように、継続教育 の中にもそういう論文、研究の指導というものを何か取り入れていかないとまずいのかなと。 病院の中でも看護発表をされています。それを重ねていけば当然きちんとできるようになっ てきますが。やはり学生の指導の中でも、それを専任が研究なり論文の書き方まで、教員に なってからでも十分に継続してお勉強していかなければいけないだろうなと思いますので、 その辺も継続教育の中に必要かなと感じています。 ○永山座長 ありがとうございました。かなりシビアな意見も出たのですが、それに関連し ていかがでしょうか。 ○齊藤委員 今のお話で少しずれてしまうかもしれないですが、学生が実習した内容を論文 としてまとめていくときに、論文作成のときに初めて整理できるものではなくて、実習中で の体験がどれだけ学生の学びとして残っていたかということが、最終的に論文として形にな っていくのかなと思いますから、論文の指導力だけの話ではなくて、実習はどうだったかと いうところからスタートしているのかなと思いました。感想だけです。 ○林正委員 羽生田先生に、いろいろと大学のほうを評価していただいてありがたいのです が、現状を先に申し上げます。地方の国立大学の看護学部にこれを要求するのは絶対無理で す。現在、独立行政法人化してから地方の国立大学というところは非常に疲弊していまして、 今後どうなるかわからない状況にありますので、これは絶対に無理だということだけ申し上 げておきます。  それから、地方の中でも公立の大学というところが今後どうなるかはわかりません。現在、 私の所属している山梨県立大学は来年度からの独立行政法人化の作業を進めていますが、実 際にそうなってしまいますと、例えばこういう継続教育というのは専修学校の教員の方と個 人的なつながりでいまはやっていますが、独立行政法人化された暁には、そういうことをす る時間がなくなってしまう。あるいは、きちんとしたお金を取った上で、講習会を開くよう な形におそらく整備されていくのではないかと思います。そうすると、専修学校のほうの持 ち出しというのが非常に増えるおそれがあるのが現状だと思います。大学中心にされて継続 教育をというのは、ちょっと実現不可能だろうと思います。 ○永山座長 安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 うちも、同じ公立の大学ではありますが、私は少し違った観点で先ほどのお話 を伺っていました。量的に保障するような継続教育を大学がというのは厳しいなと思いなが ら聞いてはいましたが、いま地方は、特に大学院の修士課程には、学校の先生なども社会人 という形で入ってこられる方がかなり増えてきています。そうした中で、期間は2年より延 長する可能性があったとしても、大学院に入ってこられるとかなりインテンシブな関わりが できます。それで、その先生方は自分が大切にしている思いとか、教育的な観点とか、なか なか論文に書くことの訓練ができていないという辛さはありながら、修士に入ってこられれ ばそこの指導を受けて形にする。その修士を取ったら自信も付く。そうすると、帰っても職 場の中でのある程度の研究のこととか、実践のところでも指導的な役割ができたりするのか なと思っていました。それで、大学院の修士の中で、看護学教育コースのようなものを考え ています。例えば専門が母性看護学の先生が、教育哲学を学び、母性看護学の教育内容と方 法を身につけていくコースです。修士課程ではあるけれども、研究コースではなくて、専門 看護師の教育実践バージョンのようなイメージです。論文は、自分の授業改善をテーマに授 業リフレクションをまとめるとか、授業研究をアクションリサーチでするというイメージで す。そういうことを大学の中で何個かモデル的にでもやって、それに若干補助が付くような ことになれば、少し看護教師の教育実践能力が上がっていくのかなと考えています。 ○永山座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。佐藤委員どうぞ。 ○佐藤委員 (3)の「養成所でのキャリアアップ」のところです。この文章では「外部の研修 に参加することが困難だから養成所で」とネガティブな書き方になっています。養成所、つ まり学校内での教員研修体制の確立・充実は、外部研修への参加が困難で有る無しにかかわ らず、必要なことです。外部での講習、研修も大切ですが、教員は365日のほとんどは学 校にいるわけです。そこで研修に行って帰って来た教員の受け皿といいますか、学校の環境、 教員の意識、学校組織全体が教員一人ひとりのキャリアアップに積極的に取り組む姿勢、雰 囲気がないと外の講習に出て行っても、効果は半減するものと思います。いわゆる学校内の 研修体制や計画ですね。前回、都立の先生から都内の養成所の教員の方々が集まって、研修 を重ねておられる事例が紹介されました。大変感銘深くうかがいましたし、内容も全国のモ デルになるかなと思いながら拝聴いたしました。しかし地方のように隣の学校に行くのに野 山を越て行くような所ではそれは無理なので、自分の所できちんと研修をするという考え方、 体制の確立が必要です。  例えば、私の所に3年課程の養成所があります。年間1回は必ず研究授業をするようにし てますし、夏休み、冬休み、春休みには2日間程研修日を設定して全員で何か協議をしたり、 外部講師による専門分野、一般教養の分野の講話など聴いたりしています。それで十分かど うかは分かりませんが、そのような自助努力が必要ではないかというのが1つです。それに、 そういう環境を整えることも大切だし、自己啓発、自己研鑽、先ほど自発性というのがあり ましたが、そういう教員自身の姿勢も必要です。そこで、そういう環境の整備や教員一人ひ とりの自発性を求めるには、 何と言っても設置者あるいは校長のリーダーシップが必要だと思います。以上です。 ○永山座長 ありがとうございました。校長のリーダーシップという管理のことが若干出て まいりましたが、ほかにいかがでしょうか。井部委員どうぞ。 ○井部委員 おっしゃるとおり、校長のリーダーシップが大事だと思います。特に看護職に ありがちなのは、何かを学ぼうとすると外に目が向ますが、実は自分たちの組織の中にたく さん学習の素材があると思います。教員や学生たちから学ぶこともたくさんあるわけです。 その意味では学習する組織というものをどう作るかというのが、基本的に重要だと思います。 組織が学習しないと豊かにはならないわけですので、みんな何かを学ぶときに外に行く、学 会とかいろいろ言いましたが、最初の段階は足もとです。組織内が豊かな学習する組織とし て存在するというのは校長のリーダーシップをはじめ、好奇心溢れる人たちが相互に一目を 置きながらお互いを尊重し、お互いから学ぶといったようなことを積極的にやるような組織 風土を作ることが非常に重要であると思います。以前はQC活動とかTQCとか言われまし たが、その発展系が学習する組織。それは病院のみならず、こういう教育機関はなおのこと、 組織が豊かになるという視点を学校の理念や目標の中に据えていかなければいけないので はないかと思います。何でも学ぶために外に行くという発想は、少し切り替えなければいけ ないと思います。 ○永山座長 ほかはいかがでしょうか。後藤委員どうぞ。 ○後藤委員 私も、校長のリーダーシップの話は置いておきまして、うちの場合は少し特殊 なのかもしれませんが、理学療法師の教育とか鍼灸師の教育とか、マッサージ・指圧師と一 緒にやっているものですから、年に1回一緒に学会をやります。学会というと学内の学会で すから、非常に違う職種の人たちに触れ合って、それは学生の教育というところに焦点が合 っているときもあるし、それぞれの専門のところをお互いに発表し合うというのもあるし、 各教員がよその学会に行って、例えば看護師の仕事についていまはこういう問題を抱えてい るということの授業をやったりします。そういう違うものに触れるというのは、ものすごく 刺激になるみたいで、違うことに何かの気付きを得ているような感じがします。  いま、学習する組織という井部先生のお話がありましたが、経験で、このごろ非常に年齢 が高い学生が時々混ざって入ってきます。教員よりもはるかに年齢が高かったりすると、高 年齢の学生は若い学生たちにだんだん同化していって、すごく若くなっていきますが、教員 はいままでの学生に対する指導の仕方とは全く違う指導の仕方が必要になってきた。いまは 通信性を始めて、通信性はもっと年齢が高いですから、10年の准看護師のキャリアを持っ ている人たちで、65歳ぐらいの人も学生でいます。だから、それに対応できるように、通 信性の教員は少し年齢が高い、よその専門学校を退職したような人を積極的に受け入れて教 員になってもらっていますが、この教員と通学の教員が混ざることによって変わっていきま す。だから、学習する組織ということが非常に大事だと思います。そのためには、内部での 研修というのが外部でできない代わりだということではなくて、オン・ザ・ジョブ・トレー ニング以上に、やる内容以上のことをそこに作っていくことが大事だと思います。  あとは自己研修というか自己研鑽で、いまは自分を分析してどういうふうに高めるかとい うのは、企業では盛んにいろいろな手法があって行われていますね。そういうのを毎年1 回は外から人を呼んで研修をやりますが、やはり変わります。何かに気がつきます。1年ぐ らいするとまた元に戻るみたいですが、だから1年ごとにやっていないと駄目な気がします。 この内部のキャリアを積み重ねるというのは、主に自分を変えていくこと、自分が所属する 組織を変えていくことと、そういうような教育内容みたいなことがきちんと組まれていると いいなと思います。ですから、そういうのがきちんと単位になって、看護教員としてのキャ リアが上がっていく。またこれも方策のほうになるかもしれませんが、看護教員の国が認定 している仕組みは1種類しかないですね。養成所の仕組みはそうですよね。学校で主任であ ったり、副校長になったりというのはあるでしょうけれども、教員というのは1つですよね。 幹部教員があるのですね。わかりました。単位があって、その単位をずっと取っていくとキ ャリアアップしていく仕組みが、もっと多彩だといいなという気がします。以上です。 ○永山座長 いろいろな角度からありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。岩本 委員どうぞ。 ○岩本委員 先ほど、校長のリーダーシップということですが、前回研修センターの幹部看 護教員養成課程のお話があったと思います。教務主任になるためには、専任教員の経験が3 年以上で、幹部看護教員養成課程を修了している者という要件があります。この幹部看護教 員養成課程では、看護教育に関する管理者としての指導的な役割と、研究やカリキュラム開 発などを通して教育的な視点を養成するカリキュラムになっています。養成所の教務主任あ るいは副学校長、学校長の人たちは、この養成課程を修了しています。そしてこれらの役職 の人々が学校での教員たちの継続教育に対する指導あるいは組織づくりを行います。幹部看 護教員養成課程は養成所の管理者育成に非常に大きな役割を果たしていますし、養成所の管 理者として必要な能力獲得だけではなくそこを修了することにおいて全国的な人的ネット ワークを持つことによって、教育に関する情報網を獲得することも非常に重要なことです。 実質的には、看護職の管理者が学校の組織を運営していることもありますので、そこでの管 理者の教育観やリーダーシップの発揮が教員の育成に直接影響します。 ○永山座長 ありがとうございました。それに関して、追加発言はありますか。 ○齊藤委員 私は、厚生労働省の幹部教員養成課程の修了者ですが、1年間で得た学びとい うのは学校運営の中核として、自分がどんなふうに学校の中で仕事をしていくかということ を徹底的に学んだ1年間だったなと思います。すごく質の高い教育を受けることができたな ということで、感謝申し上げています。学校運営をきちんとやっていくことが、教員の一人 ひとりの力を伸ばしたり、組織の風土を前向きなものに作り換えていったりということが可 能なのだと思います。そういう意味では、教員そのものの養成も必要ですが、学校運営に関 わっていく人の教育もまた必要なのかなということを考えます。 ○永山座長 実は(2)の話題に少し戻った状況になりますが、あとは整理の段階でしていただ ければいいかなと思います。石渡委員どうぞ。 ○石渡委員 いまのお話を聞いてよくわかったのですが、幹部教員の養成は1年間というこ とをお伺いしました。3番目の論点で、外部の研修に参加することが困難ということで、教 員養成で1年間、看護教員になってから、その次の段階としては1年間の教育コースという ことで、その間の段階がないのかなということを話を伺っていて感じました。それは、たぶ ん看護学校の協議会とか県単位のものということで、あまり体系化されたものがないのだな というのを感じました。  例えば臨床の管理者ということですが、看護協会でファースト、セカンド、サードレベル といったコースがあって、1年間という長丁場ではなくて、もう少し短期である程度段階的 に学べるというものがありますので、教員になってから何年経過して、その1年コースに行 くのかというのは個人差があると思いますが、もう少し段階的な学びができるようなものが あってもいいのかなと思います。野本先生がおっしゃられたように、OJTとか学内でのい ろいろな学習する組織づくりというのもすごく大事だと思いますが、OFF-JTの場面でのあ る程度体系化された研修内容というものを提示していただいて作っていく。それを担う組織 をどこにするかというあたりのところでいろいろご議論がありましたが、どこか1カ所とい うのはいまのこの現状では非常に難しいと思いますので、内容を提示して、そこをどういっ た組織が担えるかどうかということで考えていったらいいのではないかなと思いました。 ○永山座長 どうもありがとうございました。(1)のところで標準化という話題が出てまいり ましたので、それとの関連でも国のレベル等々で考えていただきたいと理解してよろしいで しょうか。ほかはいかがでしょうか。方略、方策のところにも少し話が入ってきています。 もう(1)(2)(3)関係なく、どうぞランダムにご意見を言っていただければよろしいと思いますが、 いかがでしょうか。もう出尽くしましたか。羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 先ほど私は県が是非ということを言ったのですが、県の専任教員再教育事業 というのがきちんとあります。ただ、数えると平成20年度でも14件しかやっていない。4 分の1近くしかやっていないということなので、せっかくある事業ですから、各県でできる ようになっているようですので、この辺はまず1つスタートしていただければと。是非やる ようにということです。バックアップしていただければと思います。以上です。 ○永山座長 前回の資料に掲示されていますので、実態に基づいて方略をというご意見です。 ほかはいかがでしょうか。出尽くしたと考えてよろしいでしょうか。また検討すべき詳細な 事項もあろうかと思いますが、この時間をもちまして、看護教員の継続についての議論は一 応終了します。次回からは資料2-IIIの「臨床家の活用と臨地実習の指導体制について」を 議論する予定ですが、若干時間のゆとりがありますので、少し議論を進めておきたいと思い ますが、よろしいでしょうか。それでは事務局より、これまでいただきました委員の意見の 説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○島田課長補佐 資料1は、先ほどご説明しましたようにこれまでの会議で出ました意見に ついてまとめていますが、最後の6頁にただいま座長から提案のありました次回の検討課題 となっています「臨床家の活用と臨地実習の指導体制について」に、今までどういったご発 言をいただいているかをまとめています。  順番に見ていただきますと、臨床家の教育者としての活用というところでは、臨床の実習 指導者は看護師の業務と兼務でしか学生と関われていないので、専任として関われる人の配 置を義務づける取組や、学生が行う学内演習から関わることができるシステムが必要。看護 教員が、高度な看護実践能力を維持するためには、病院内での看護実践能力の活用をどのよ うに考えるかが大きな課題である。看護教育において、臨床家と看護教員の協働の仕方につ いて、その仕組みづくりが重要である。高度実践能力を持つ看護職員、認定看護師や専門看 護師等を教員として活用するシステムを作る必要がある。臨地実習指導に関わる看護教員や 臨床の実習指導者といったマンパワー不足から、学生に安全に実習を行ってもらう環境を整 えるのに苦労しているといったご意見がありました。  臨地の実習指導者について、病院によっても実習指導者の配置数に差があるが、実習病院 で職員を実習指導者講習会へ派遣する際は病院の負担であり、経済的支援がないのが厳しい。 小さい病院が、病院だけで実習指導者を養成して配置することは不可能であり、学校で養成 費用を負担しないと動かない現状がある。臨床の実習指導者を含めて、実践能力のある人が 実習に来た学生に関われる体制づくりが必要である、といったご意見を今までいただいてい ます。 ○永山座長 ただいま説明がありました内容を踏まえまして、IIIの「臨床家の活用と臨地実 習の指導体制」という点について、ご意見を伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。 随分話題になって出てきていましたので、今日中には議論を深めることは無理ですが、触り だけでもご意見を伺っておきたいと思います。羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 看護の基礎教育の検討会のときに随分申し上げましたが、実習指導者は臨床 の現場にいるほうが多いですが、専任教員が実際に看護の現場にいる時間が非常に少ないこ とが学生の教育にはまずいのではないかと。ですから、そういった臨床の場に出るチャンス をシステムとして作るべきではないかということも申し上げてきたのですが、この教員の臨 地の実習というものをどういう形でできるか。先ほど夏休みとか、そういうところで研修し ているという話もありましたが、何かしらの形で実際に専任自体が臨地実習的なものをして いかないと、現場との乖離というのがなかなか詰めていけないのではないかなと思っていま すので、臨地での研修というものを是非システムとして取り入れていただきたいと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 いまの羽生田委員のご意見を実行しようと考えたときに、圧倒的に教員数が問 題になります。講義、演習、実習で、実習が大切だというのはみんなわかっていて、実習で もっと学生と関わりたいけれども、講義や演習、そのほかの学内運営など、いろいろなこと があるということで、特に看護学校等で人数が少ない所では、実習に行きたくても十分には 行けない。臨床現場にお任せとかラウンド程度の関わりになってしまっている。そこをいま のご意見に変えるためには、教員の人数をかなり制度化して、何人以上ときちんとしていた だかないと難しいと思います。たぶん、現場で教えている先生たちは、実習現場に行きたい ですが行けないというのが現状だろうと思います。 ○永山座長 日頃のジレンマが見えるようですが、ほかにいかがでしょうか。林正委員どう ぞ。 ○林正委員 2番目にあります臨地の実習指導者についてですが、この実習指導者の養成と いうのは各県によってかなりシステムが異なっていると思います。私の経験を申し上げます と、平成7年に山梨県立看護短期大学ができました。この設置に当たって、設置の中心にな った方々は臨地実習の指導者の養成というのをまず念頭に置いて、短期大学は全面的にこれ に協力するというのでスタートしたわけです。ですから、前年度の平成6年から既に教員の 予定者というのは、その臨地実習指導者の講習会の講師として必ず来なさいということから 始まりました。現在私は離れていますので、詳しいことはわかりませんが、県庁の医務課、 県の看護協会、県立看護短期大学、県立看護大学、いまは山梨県立大学になりましたが、そ れが一種の三位一体になってカリキュラムから講師の選任、依頼ということを進めてやって きたのが実状です。そうして見てみますと、病院によりまして院内で教育するのが結構難し い。そういうところは積極的に、かなりの負担がありますが、最低でも何人かをまとめて出 してきてくださることが定着してきました。1年間を通してという形ですが、どうしても大 学が休みになる。夏期にある程度集中する傾向はありますが、1つのシステムとしてこれは かなり機能しているのではないかなと考えています。以上です。 ○永山座長 ありがとうございました。実態の一環をいまご紹介いただきました。ほかはい かがでしょうか。齊藤委員どうぞ。 ○齊藤委員 私は、実習指導者講習会に、実習指導案の立て方というところで関わらせてい ただきましたが、東京都の場合は1回80人で年3回ぐらいやります。そういう中で養成し た指導者たちが、現場に戻ってどのようにやっているかということで、私どもの実習施設で 少し数を調べましたが、大体1病棟に指導者が3人ぐらいいらして、15病棟あると40〜50 人ぐらいになりますが、この40〜50人の方のうち、実習指導者講習会を受けている方は1 割に満たないというのがほとんどの所でしたので、養成を受けた人たちがどこに行っている のかが疑問です。一説には、こういう指導者研修に出す人というのは病院でも一目置いてい る人たちなので、指導者研修が終わったあと戻ってきたら指導者に当てないで、病棟の教育 委員とかリスクマネジメントとか、そちらのほうに回していくという話も伺ったことがあり ますが、臨地実習は授業であることを考えると、指導者は講師ですので、実習指導は誰でも できるというものではないと思います。そういうところでは、病院が苦労して出されて、そ のあとこの人に活躍してもらいたいと思われたときに、是非指導者研修に行った人について は、学生指導に当たるように配置をしてもらいたいと思います。 ○永山座長 どうもありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 私は附属病院のない大学にいますが、附属病院がある所の協働の仕方と附属病 院がない所の協働の仕方がまた違うかなと思います。臨床側と学校側とがどう上手に連携す るかというかなり大きい課題で、うちの大学は比較的教員の人数を確保していますが、そう いう所と、人数が少ない所とあると思います。けれども、いずれにしてもいい看護師になっ てもらいたい願いを共有して、協働できる形の仕組みが必要だと思います。学生が学ぶとき には、いつも指導者というのが学校側の教員が絶対いなければいけないということではない けれども、臨床指導者か教員のどちらかがきちんと存在して学生の学習を保障できる体制を 作る。そこを義務化する形ができないかなと思います。結局、行く先生の数も少なかったり、 学内の仕事のために臨床現場に常時いられない。病院側も臨床指導者がいるといっても三交 替の中で仕事をしていて、学生がいるときにずっと張り付いて指導しているわけではない。 日勤でいたとしても、ほかの業務をしながら片手間にやっていることが実際は結構あると思 います。だから、学生が実習に行っているときには、必ず臨床実習指導者が学生の教育を専 任にして存在していることを義務づけられるような体制を作らないといけないのではない かと思います。そこは、例えばいま病棟で3人ぐらいと言われましたが、3人ぐらいはいな いと、たぶん日勤中に必ず1人はいるという体制をまず作れないのだろうなと思います。複 数の学校からの受け入れをしている病院もありますし、現実的にはかなり寒い状況になって しまう。人はいるけれども、実際誰が関わっているかといったときに、体制が十分にできて いない所もある。  私はいろいろな県に行きますが、県によって考え方が違うような気がしています。看護学 校でも教員数が確保されていて、実習にほとんど張り付きの形で指導に行けるところもあり ます。しかし最低人数でいいという最低線でやっているところでは、先生たちはもっとしっ かりと教えたい気持はあっても物理的にもう無理ということになる。その物理的に無理とい う状況を打破するための仕組みを国からきちんと出さないと、学生の実習指導の質を上げる ことが難しいのではないかと思っています。 ○永山委員 ありがとうございました。マンパワーの問題がいちばんではないかということ ですが、ほかはいかがでしょうか。石渡委員どうぞ。 ○石渡委員 臨床の現場で実習指導者の養成ということで、なるべく努力をしていま出して いるところですが、研修に行って帰ってくると、それなりにきちんと実習指導ということを わかって、学生に関わってくれることで安心して任せられるところがあります。非常にいい 講習だと思っていますし、そういう実習指導の体験を積み重ねて、看護教員になってもらえ るとありがたいというところはありますが、実習指導者講習で何箇月か出して、またさらに 教員養成で出してというあたりで、臨床側としては非常に負担が大きい中、無理をして出し ている所があります。是非そこら辺のところは論点がずれてしまうかもしれませんが、つな げていけるようなものがあるといいと思います。せっかく2カ月ぐらいの時間をかけて研修 会を組んでいますので、そういったものも単位制にしていくことで、それから先、自分たち が積み上げられるような何かがあるといいと思います。  あとは、1人は必ず臨床の現場にいるといいのですが、おわかりのとおり7対1や夜勤時 間の問題といったことがありますので、是非そういう実習指導者をきちんと置いているよう な病院に関しては、何らかの配慮をいただきたいと思っています。 ○永山座長 7対1で少しマンパワーをどのように活用しようかというところも1点あろう かと思います。この6頁には、議論として臨床家と教育者としての活用という点、臨地の実 習指導者の件についてと大きく2つについてですが、いかがでしょうか。マンパワーのこと がすごく出てきていますが、具体的な指導者の役割のあたりがあまりまだ出てきていないよ うにも思いますが、何かご意見はありますか。 ○安酸委員 教育側のほうは、もちろん学生の学習を促進するといういちばんの役割がある。 病院側のほうの臨床指導者に関しては学生に対する指導もですが、病院側にいますので、ま ず患者の安全確保ということを優先しますよね。その看護学的な視点と教育的な視点と両方 が必要で、1人の人に両方がバランスよくとれているといいのですが、なかなかそうはいか ない場合もあるので、そこをどう上手に協働するかというところで、役割分担という話も出 るかなという気はしています。 ○永山座長 ありがとうございました。この検討会の冒頭で、たぶん井部委員だったと思い ますが、そのバランスですねと、両方とも持ち得るのは難しいのではないかというご意見が ありましたが、それに関してでもいいと思いますが、ご意見を承りたいと思います。いかが でしょうか。林正委員どうぞ。 ○林正委員 もう、これは既にいろいろな所で実際に行われているのではないかと思います が、認定看護師という制度があって、随分たくさんの人が養成されていますよ。そういう方々 に例えば講師として来ていただいて単元を何項目か持っていただいて、それを教育していた だく。そういうことは、既に専修学校でも随分行われているのではないでしょうか。私の考 えですと、これはものすごく実践的で、しかも看護師はこういうコースもあるのだというこ とを看護学生に示す実例として、非常にモデルケースとしても活用できるのではないかと思 って、本学においてはもっともっと連れて来ようと言っていますが、講師の謝金の制限があ りまして厳しい面もあります。専門看護師に関しては、大学院レベルになると思います。大 学院のほうでは来ていただいています。 ○永山座長 いま、具体的な人材活用の例ということで紹介がありましたが、それと関連し てもいいですが、いかがでしょうか。後藤委員どうぞ。 ○後藤委員 質問です。この臨床家の活用というのは、臨床の実習指導者を学校の教員ある いは学校の教育の現場で、どういうふうに活用するかということだけですか。それとも、臨 床実習指導者ということでなくて、臨床の高度実践能力を持つ臨床の看護職員を教員として 活用するシステムというのは、いまの教員システムとは違うということなのでしょうか。 ○永山座長 そこのところも、議論をしなければいけないところです。少しランダムに話を 伺っていますので、次回あたりは少し整理をしながらいきたいとは思っています。 ○後藤委員 現実に、看護教員になる人材が不足しているわけですよね。そういうことを考 えて、この臨床家の活用というのがあるのかなと思ったのですが、それも議論するというこ とですね。この前3年と申し上げて、やはり5年ぐらい必要だというご意見もありましたが、 臨床経験をただ看護師の免許を取ったことから3年経ったということではなくて、こういう 種類の臨床経験を積んだ人であれば教員の講習会を受けて、一定の単位を取れば教員として。 文科省の教員の仕組みの中に、助教諭みたいなものがありますよね。それで、夏休みに研修 を受けていくと、きちんと教諭になっていくというのは佐藤先生のほうが詳しいと思います が、そういう仕組みみたいなこともお考えの中にあるのかなと思ったのですが、それも含め て議論するということですね。 ○永山座長 そうです。 ○後藤委員 教員のなりてが少ないので、そういう人も少し育てていこうということなのか なという気がしたのです。 ○永山座長 両側面があると考えています。いかがでしょうか。安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 ちょっとまた観点が違いますが、臨床教授制というのをとっている大学が結構 あると思います。附属病院のある大学病院では、臨床教授制をとっている大学が国立では多 いと思います。うちは附属病院がないですが、今年から臨床教授制を入れました。まだ試行 的ですが、臨床の指導者の人たちに少し条件を付けて導入しました。ただ今のところインセ ンティブがほとんどないですが。学生教育を共同して担う意識を持って頂く。何らかのFD 的なことでも、企画したときには優先して来ていただける。一緒に育てたいという仕組みを 作ったのです。そういった、何か一応教育を担っているのだという意識づけみたいなところ を、臨床の方たちにもできるような仕組みができるといいかなと思っています。特に附属病 院がないと、学生が肩身の狭い思いをする現状もあります。  先ほど臨床教授制で、インセンティブがないと言ったのですが、例えばこちら側から何ら かの謝金を臨床講師になっている人に、少なくても月に5,000円でも出すことができないか という検討をしました。すると、複数の学校の実習を受け入れておられるので、謝金をもら ったからといって1校だけを特別扱いはできないので、謝金をもらうというようなインセン ティブをもうけることは難しいということになりました。何かいい仕組みができるといいか なと思っています。とにかく、学校側も病院側も、いかに自分たちのいい後輩を有効に育て るか。臨床側の人は、看護実践の能力を高めることに関しては日々努力するし、認定とか専 門看護師の仕組みもどんどんできている。学校側は、いまの状況ではある程度自分の実践能 力を高めるといっても限界がありますので、実践力が高い人たちといかに協働するかという 仕組みを組まないといけないのではないかなと思っています。 ○永山座長 ご意見をありがとうございました。いまランダムにご意見を伺っていますので、 いずれはその仕組みと役割、位置づけ、最後の能力が、次回あたり少し整理をして検討して いかなければならない議論の内容ではないかとは考えていますが、それでよろしいでしょう か。これもマンパワーの件もあり、すぐ右から左へ行くかどうか、でもすごく看護基礎教育 の中における臨地実習の位置づけ単位からしましても、かなり重要な部分で特色でもありま すので、本当に詳細にわたって議論をする必要があるところです。次回も、引き続いて検討 していきたいと思いますので、その方向でよろしいでしょうか。何かほかにご意見があれば 承っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。井部委員どうぞ。 ○井部委員 医師の臨床研修制度の検討会に出たときに、医師は屋根瓦方式としきりに主張 されていて、先輩は後輩を指導する役割があると。だから、全体が指導するわけですが、看 護の臨地実習だと特定の人を決めて、その人が教育にあたるというような傾向はあるので、 それは私の経験では馴染まないのです。結局、臨床ナースはすべて教育的な役割を持つとい うふうに組織が謳っていれば、3月までは学生でも4月からは社会人として仕事を始めると、 そのときに既に学生が来ると、もう役割としては教育的な関わりを持つというふうに考えら れると思います。臨地実習は授業と違って、あれこれとその場で説明するのは時間的には少 ないわけですので、患者のケアを一緒にしながら考えることをやってもらえばいいと思いま す。  一方では屋根瓦方式で、臨床家はすべて教育的役割を持つと言いながらも、教育というの はそこで何か細かな説明をしたり授業をしなければいけないのではないかというふうに、負 担に感じる新人ナースもいるわけで、実際理屈どおりにうまくはいかないところもあります が、私は、こう考えてこのようにやっているということを見せて、ケアを一緒にやる。最初 から「はい、あなたやってみなさい」ではなくて、「私の受け持ちはあなたと一緒にやりま しょう」と、全体が教育的な機能を持つようになるのがいいのではないかと思っています。 ○永山座長 ありがとうございました。安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 いまのところも、役割分担のことだろうと思います。学生は、その日に自分の 受け持った患者を受け持っているスタッフに指導してもらうことがほとんど多くて、臨床指 導者がダイレクトに指導する仕組みはほとんどの所がそうできていないので、スタッフナー スと臨床指導者の役割分担というところも話をするときには重要な点だと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。それでは、次回にその部分も持ち越しにさせていた だきたいと思います。  事務局から連絡をお願いします。 ○島田課長補佐 次回の検討会は、11月12日(木)17時からの予定をしています。場所は、 また正式にご案内をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○永山座長 本日は、これで「第5回今後の看護教員のあり方に関する検討会」を閉会しま す。お忙しいところご出席いただきまして、また活発なご議論をありがとうございました。 照会先 厚生労働省看護課 島田(4167) 関根(2594)