09/09/18 「第5回新人看護職員研修に関する検討会」議事録            第5回新人看護職員研修に関する検討会 日時 平成21年9月18日(金)                       17:30〜19:30                    場所 厚生労働省共用第8会議室 ○島田課長補佐 定刻より若干早い時刻ですが、皆様お揃いですので始めさせていただき ます。ただいまより「第5回新人看護職員研修に関する検討会」を開催いたします。委員 の先生方におかれましては、ご多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうご ざいます。本日は北村委員より、遅れて出席というご連絡をいただいております。  続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。テーブルに「議事次第」をお配り しております。その下に資料1「新人看護師研修ガイドラインに関する主な意見」、資料2 「第5回新人看護職員研修に関する検討会論点(案)」、資料3「新人看護職員研修体制に おける用語の定義(案)」、資料4は熊谷委員資料、資料5は坂本委員資料、資料6は猪又 委員資料、資料7「技術指導の具体例について」でございます。乱丁、落丁などがござい ましたら、事務局にお申し付けください。  議事に先立ちまして、もう1枚テーブルに「平成22年度看護職員確保対策予算(概算要 求)の概要」という紙をお配りしております。新人看護職員研修に関する概算要求をして おりますので、それにつきまして情報提供をさせていただきます。  新人看護職員に関しましては、2「資質の向上」という枠があり、その(1)ですが、「新人 看護職員研修の着実な推進」ということで、32億4,500万円という概算要求をしています。 [1]、[2]とありまして、いずれも新規の事業ですが、[1]「新人看護職員卒後研修事業」とい うことで、新人看護職員が卒後臨床研修を受けられる体制を構築するため、教育担当者研 修や新人看護職員の卒後臨床研修に対する支援を行うもの。[2]「新人看護職員卒後研修推 進事業」ということで、他の病院等での新人研修の受入促進を図るため、推進方策を協議 する協議会を設けるとともに、OJT研修の未実施病院等のOJT研修導入に対する支援を行 う事業というものを概算要求しています。  この要求につきましては、8月末での方針に基づくもので、現在新たな政府の基本方針 に基づきまして、概算要求については今後指示があるというふうに聞いております。事務 局としては、その指示を待っているという状況です。この説明については以上です。それ では石垣座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○石垣座長 それでは本日も活発な議論をよろしくお願いしたいと思います。ただいま説 明のあった概算要求もうまくいってくれると、私たちは大変勇気づけられることでありま すので、頑張っていきたいと思います。では議事に先立ちまして、資料1について、事務 局からご説明いただきます。 ○島田課長補佐 資料1をご説明します。資料1は「新人看護職員研修ガイドラインに関 する主な意見」ということで、前回までの先生方にご議論いただきましたご意見をまとめ ているものです。毎回どおり、斜めの文字が前回の検討会でいただいたご議論です。簡単 ですが、以上です。 ○石垣座長 ありがとうございます。それでは、本日は議事次第にありますが、「教育担当 者研修について」、そして「技術指導の具体例について」、検討を行う予定になっています。 初めに「教育担当者研修について」ですが、資料について事務局から説明をお願いします。 ○島田課長補佐 資料2と資料3につきまして、ご説明します。まず資料3ですが、「新人 看護職員研修体制における用語の定義(案)」としています。この定義(案)は、これまで も会議のほうでお示しているものですが、いままでいろいろご議論いただきましたものに 基づきまして、そこから若干変更をしています。  変更部分を主に説明します。研修責任者がトップにいますが、ここの部分につきまして は看護局長とか、そういった組織ごとの具体的な名前を入れていたのですが、組織によっ て異なるのではないかといったことを考えまして、「研修責任者」というふうにしています。 その方につきましては、定義を右横に書いていますが、「新人研修プログラムの策定、企画 及び運営に対する指導及び助言を行う者」と考えています。  その下に、組織図としてはラインという形で置いていたものですが、ラインというより も、これはおそらく委員会などの組織が想定されるのではないかということを考えまして、 横にラインから外しまして「プログラム企画・管理組織(委員会等)」と書いてあります。 具体的にプログラムを企画・管理していく組織というものを考えて、ここに置いています。  その下に各部署に置く「教育担当者」を置いています。教育担当者については、「病棟や 外来、手術室など各部署で新人研修の運営を中心となって行う者」、そして「実地指導者へ の助言及び指導を行い、また新人看護師への指導、評価も行う」というふうにしておりま す。これは下のほうに1つ目のポツで書いております「新人看護師への指導、評価も行う」 というところが従来なかったところですが、教育担当者は主としては実地指導者への指導、 助言などを行うということがメインになるかとは思いますが、新人への直接的な指導や評 価といったものも行いますので、その役割についても加えています。  その下に「実地指導者」として、「新人看護師に対して、臨床実践に関する実地指導、評 価等を直接行う者」ということで、直接指導に当たる者という意味合いを強調するという ことで、「直接」という文言を加えています。  前回、教育担当者、実地指導者の方々への研修が非常に重要であるというようなご意見 をいただいたのですが、これらの定義づけについて、あるいは役割について、整理したほ うがいいのではないかといったことを考えまして、こういったものを今回お示ししており ます。  この整理に基づきまして、資料2ですが、本日の検討会でご議論いただきたい点を、事 務局としての案を提示しています。「教育担当者と実地指導者の研修について」ですが、1) として、教育担当者と実地指導者はそれぞれどのような役割とするのか、といったことを まずご議論いただきたいと思います。そして、実地指導者、教育担当者それぞれにつきま して、ガイドラインとしてどのように示すか、どのような能力を身につけることが必要か、 そのためにはどのような研修内容が必要か、といったことをご議論いただきたいと考えて います。以上です。 ○石垣座長 それでは資料2にあります論点の1)です。「教育担当者と実地指導者はそれ ぞれどのような役割とするのか」ということを確認したいのですが、ただいま提示されま した資料3の用語の定義(案)ですが、このことについて何かご意見がございますか。 ○上泉委員 以前の定義に比べまして、まず教育担当者のところから「師長・主任等」と いうのが外れたのがすごくわかりやすい表現になっていると思います。定義もここに書い てある定義でよろしいのではないかと思いますが、ただ「教育担当者」という名称なので すが、どちらかというと教育というのは、もっと上のほうの担当の方に使うものかと思い ます。ここは「研修担当者」というふうにしてはどうかと思います。役割としては、大変 整理されたのではないかと思います。 ○石垣座長 ありがとうございます。この「教育担当者」、部署の研修を担当する人のこと を「教育担当者」というよりは、むしろ「研修担当者」としたほうが、いちばん上は「研 修責任者」となっていますので、そのほうがわかりやすいのではないかというご発言でし たが、いかがでございますか。 ○坂本委員 病棟というのをイメージしますと、研修ということで一括りでいいのかとい うのはちょっと疑問なのです。研修というと、研修プログラムを組むような形になるので すが、OJTも入ってきます。それらを総括してかかわる人なので、研修もあるけれどもOJT の総括もするので、研修という言葉がどうですかね。ちょっと違和感があるのです。 ○石垣座長 坂本委員は教育にしたほうが。○坂本委員 そうですね、教育担当者とした ほうが違和感はないような気がするのですが。ただ、教育担当者にプログラムを組むこと があるということもちゃんと役割として入ってくれば、私は違和感がないのですが。 ○石垣座長 いかがでしょうか。いま教育担当者そのままでいいというのと 、研修担当者、 2つご意見が出ました。 ○坂本委員 もう1回ご意見を伺わせていただきたいのですが。 ○上泉委員 教育といいますと、やはり学校教育ですとか、特別の教育プログラムという ようなイメージがあるものですから、これは現場で学んでいく、あるいは指導していくた めのプログラムとなると、研修のほうがぴったりするのではないかというふうに思ったも のですから、そういう意見です。 ○石垣座長 これは部署の研修を担当するのですが、猪又委員、何かご意見はありません か。 ○猪又委員 責任者も担当者もこのままですと、すべての院内の研修というイメージが強 いので、私は責任者のほうには新人研修責任者という形がいいのではないかと思いながら、 見ていました。それから教育担当者のほうは新人研修担当者としてしまいますと、おそら く実地指導者の教育というのがかかるので、そういう意味では新人教育担当者という名称 のほうがふさわしいのではないかと思いながらいまお話を伺っていました。 ○石垣座長 「新人」という文言を入れるということですね。 ○猪又委員 はい。 ○石垣座長 役割としては、皆様方、これでよろしいでしょうか。部署の教育を担当する 者、それから実際にOJTで直接新人に教える実地指導者。特にいま問題になっているのは、 部署の教育研修を担当する者の名称ですね。ガイドラインに盛り込むときの名称をどのよ うにするかということなのですが。 ○熊谷委員 私はこの新人看護職員研修体制の中での用語なので、あえて研修責任者に「新 人」と付けなくてもいいのかと考えたことと、先ほどの研修担当者か教育担当者というと ころでは、ここで定義をしているのは、新人、それから実地指導者へも指導を行うと考え ると、やはり教育担当者のほうが適切なのかという意見です。 ○石垣座長 いろいろ意見をいただきました。このあと、もっと詳しくこの教育担当者、 あるいは実地指導者がどのような能力を身につけることが必要かとか、研修の内容をどう するか、即ち研修をどうするかというところにいくわけです。そのときに、どういう役割 を担わなければいけないかということと同時に話を進めていかなければいけませんので、 先にガイドラインでどのように示していくのか、示すとすればどのような内容かというこ とに進んで、同時にいま議論されました名称についても議論していただくということでい かがでしょうか。次の論点よろしいでしょうか。では、そのようにさせていただいて、次 の論点で教育担当者と実地指導者について、ガイドラインとしてこれを示していくのかと いうことと、その人たちはどのような能力、あるいはそのためにどういう研修内容が必要 なのかというところに進んでいきたいと思います。  まず、その検討に当たって、本日は熊谷委員、坂本委員、猪又委員に話題提供をお願い してあります。まず、熊谷委員からよろしくお願いしたいと思います。 ○熊谷委員 それでは資料4で説明をさせていただきます。当院は厚労省のほうでやって います新人看護師教育担当者研修のモデル事業に手を挙げまして、平成19年度からこの教 育担当者研修をやらせていただいています。  資料4の1頁にあるように、先ほど来出ているところで、教育担当者というのを、うち では「サポーター」、実地指導者を「プリセプター」というふうな形でネーミングをしてい ます。研修責任者というところでは、プログラムの企画・管理をする別の委員会を持って いますが、この図でいいますと、教育担当の看護師長が研修責任者として動いています。 概ね例年50から60名ぐらいの新規採用がありまして、そのうちの半分ぐらいが当院の場 合だと、新人看護師になっています。  2頁目、当院での教育担当者と実地指導者の役割を整理しています。資料3に出てきた ところを総括しますと、大体ほぼ同じような点です。教育担当者というのは実地指導者に 対しての指導・助言等も行い、かつ新人看護師への中長期的な指導計画、それから指導、 評価に当たるようになっています。  その下にそれぞれの研修の目標が挙げられています。この目標に従って、どういったカ リキリュラムを組むかというと、3頁にあります。教育担当者の研修につきましては、新 人看護職員という対象の理解ということと、それから教育の基本的なことがらとして教育 の目的論、それから教育支援の方法と評価という方法論について、それぞれ講義と演習を 踏まえながらやっています。そういったものを踏まえて、実習もこの断続型カリキュラム なので、講義を受けながら、また現場に帰って実際にやってみて、そしてまたそれを講義 の中に活かしていくというような、そういったカリキュラムを組んでいます。  「実地指導者育成研修カリキュラム」におきましては、次年度に新人の実地指導をやっ てもらいたい職員に対して、大体秋過ぎぐらいに声を掛けて、そして1月ぐらいから、ま ずは「新人とは」というようなところや、プリセプターの役割というような役割研修をま ず受けてもらう。そしてその次の年に、この新人担当者研修のある部分だけを研修を受け るというような形で教育をしています。  いままでの担当者研修した修了者の状況ですが、当院は院内だけではなくて、地域の病 院にもこの研修を広げています。平成19年度におきましては、院外から参加をしてくださ った方々が5名、平成20年度では3名、現在やっている最中ですが4名ほどが院外から参 加をして、断続型カリキュラムで行っています。  この教育担当者と実地指導者を比べたときに、どこが違うのかというと、教育担当者は 教育の計画・指導・評価までのすべてを担いながら、新人、それから実地指導者に対して もそれを行っていくというもので、実地指導者というのは新人に対してそのことを行って いくというような役割で整理をして実施をしています。以上です。 ○石垣座長 ありがとうございました。引き続きまして、坂本委員には前回も発表してい ただきましたが、内容の追加説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○坂本委員 資料5のいちばん最後の表1「教育担当者研修における教育内容の現状」と いうのを見ていただければと思います。まず、これも22の施設の報告書より、教育担当者 研修がどのようなことをされているかということをピックアップしたものです。それから 教育プログラムにあるものではなくて、教育目標、目的が何をもってされているかという ものを取り出して、それを8つの項目に分けました。教育要素として、目的と目標から取 り出したものです。64要素がありました。いちばん多い順から並べてありますので、表1 の表を見ていただくと、[1]「対象の理解」、[2]「教育システム」、[3]「教育技法」、[4]「教育 に関する基礎的知識」、[5]「教育担当者の自己理解」、[6]「医療安全」、[7]「倫理」、最後に [8]として、ご自分の教育担当者のキャリアラダーの中のプログラムとして入っているもの に分けました。  まず「対象の理解」というのを見ていただくと、この中には5つ出してあります。まず、 新人看護師の現状理解(課題、技術修得状況など)、これがいちばん多かったです。それか ら、現代若者の理解、新人看護師を取り巻く環境の理解、それから、ここに「プリセプタ ーの理解」というふうに入っています。先ほど、熊谷委員がお話された実地指導者と、こ のプリセプターというものがどちらに位置づけるかというのは、ちょっとわかりませんが、 もう少しプリセプターのところをあとで話し合わなければいけないと思います。単なる相 談役なのか、実地指導者なのかというのはよくわかりません。  この中では対象の理解と新人とわかり合うという、交流というか、接する状況が2つ「対 象の理解」の中に入っています。知識的なものとかかわり方というのが入っています。  「教育システム」ですが、これは役割の理解がやはりいちばん多かったです。それから 院内の教育プログラムの理解、部署ではなくて、院内の理解ですね。院内教育システムの 理解、これは組織的なことです。それから、看護教育の現状、新人教育のあり方、所属部 署における教育プログラム、厚生労働省の取組みというのは、部署のことと、病院の外、 国の動き、それから他の病院のことというようなところが入っていると思いました。それ から、専門職としての役割や所属組織の理解、他施設の教育・看護体制の理解ということ で、他の施設のことも理解するということも入っていました。  次は「教育技法」です。教育技法の中でも、8項目「コミュニケーションスキルの向上」 のところまでは教育するときの技法、技術が入っているというふうに理解して、ここは多 かったです。次は教育方法の理解、あとは対象理解と教育ニーズの査定、コーチング、支 援方法(メンタルサポート)、思いの共有、教育に関する課題の明確化。続きまして、カウ ンセリングスキル、職場適応の促進、教育環境の整備、フィジカルアセスメント、オリエ ンテーションの立案・実施・評価、目標設定とありまして、この「教育技法」の中には、 技術と対応と教育方法が入っているというふうに考えられます。  [4]にいきまして、これは「教育に関する基礎的知識」です。教育に関する基礎的知識(定 義)、OJT・動機付け、理論と実践の統合。それから看護職の教育はどのようにしているか と、新人、キャリアー、そういうようなことの生涯教育に対する学び。成人学習、学習に 関する基礎知識、教育評価、指導者としての態度・心構えがありました。  [5]は教育担当者の自分自身に対する学びというか、リフレクションのことが入っていま す。看護観であるとか、自分自身をどのように見るかということとか、教育者としての振 り返り、周囲からのサポートの存在を知るというようなことがありました。  [6]、[7]は少し違う毛色ですが、医療安全のことと倫理がありましたので、分けています。 [8]です。これは教育担当者というよりも、その病院にあるキャリアラダー・プログラムの 中で、教育担当者の人がどのようにステップアップしていくか、というような要素が入っ ているというふうに考えられます。  この○印ですが、多い順に並べましたが、基本的に要素という、目的・目標のところが あったものを出していますので、例えば、○が少ないところは、あまりやっていないので はないかということも考えられないでもないですが、そういうふうに取ることもなかなか できない。もっと中に、裏に何かがあるのではないかということも考えられますので、○ 印で出てきた事象をそのまま張り付けましたので、○印が多い少ないで、傾向としてはど うだということもちょっと言えないのではないかという気もしています。以上です。 ○石垣座長 ありがとうございました。引き続きまして猪又委員より、「研修担当者育成の ための研修ガイド(案)」についてご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○猪又委員 資料6について説明させていただきます。これは日本看護協会の平成20年度 に教育委員会が作成したもので、「新人看護師臨床研修における研修責任者・研修担当者育 成のための研修ガイド(案)」として作られたもので、まだ案の段階の内容になっています。 この資料は、その中の「研修担当者育成について」という内容だけ抜粋して、ご用意して あります。  2頁にありますが、「研修担当者育成について」です。先ほどから出ている教育担当者、 資料3でいいます教育担当者のことを、この資料では研修担当者と言っております。この 育成研修によって、研修担当者に達成されるべき目標ということで3点、こちらには挙げ られております。その内容はそちらに示しているとおりですが、実施指導者のことを把握 して、実施指導者に対する支援を行うことができるというところが1点目です。2点目が、 新人看護師についての状況を把握し、実施指導者と新人看護師、両方への教育的・精神的 支援ができるものというように2点目を挙げています。3つ目は、研修計画に沿って計画 を立案し、実施・評価をする役割をとるということで、それができるような研修というこ とで、3つ目標を挙げています。  2「新人看護師臨床研修において教育支援上果たすべき役割」ということで、研修担当者 がこのような役割を果たせばよいのではないかというところで挙げております。片括弧に 示してあるところが大きい項目で、5項目挙げております。1)が「部署および部署に関連 する職員に対し、新人看護師臨床研修体制の伝達・周知」をする役割というところを挙げ ております。2)が「集合教育と部署教育の連動を促進」という役割です。3)が「実施指導 者と新人看護師への支援」、4)が「部署管理者との連携」、5)が「部署における研修の評価」 ということで、細かい内容は両括弧で示しております。  次に「役割遂行する上で学習すべき内容」ということで整理したものが3に示している 内容です。項目として5つ挙げております。これは先ほどの役割のところに対応して、学 習すべき内容ということで挙げておりますので、1)のところは、先ほどの役割の1)のとこ ろと同じ内容になっております。そして、その内容を達成するために、両括弧で示してあ る内容を学習して、能力を身につけていることが必要だろうということで、片括弧でその 学習すべき内容というのを示しております。1)に対しては4項目、2)に関しては3項目、 3)に関しては7項目、4)に関しては1項目、5)に関しては1項目ということで挙げており ますが、詳細は読まなくてよろしいでしょうか。 ○石垣座長 はい。 ○猪又委員 そして5頁になりますが、これを踏まえて、4「研修プログラム」ということ で一応案として作成したものが、その次から示している内容になります。なお、このプロ グラム作成に当たりましては、研修担当者の対象者としては、そこの[1]から[3]に示してあ るような対象がいいのではないかということで、その会議では話し合っております。[1]が 「認定看護管理者教育課程ファーストレベル修了者、もしくはそれと同等の知識・技術を 習得している者」ということで、この要件を満たし、更に[2][3]に示している要件を備えて いることが望ましいだろうということで、話し合った上で作成した研修内容となっており ます。  具体的な「研修担当者研修プログラム」を6頁から示しております。「概論」としては、 研修体制について講義をするという内容。「各論」に関しては、部署における新人看護師を 教育する体制づくり、部署における新人看護師臨床研修計画の立案と評価、実施指導者の 育成・支援ということで、講義と演習を交えた内容を研修プログラムとして組んではいか がかというところで、話合いをしたという内容となっております。  8頁にいきまして、この「育成研修の評価について」に関しては、このような形で評価 してはどうでしょうかということで挙げてある案となります。研修そのものが終了した時 点の評価として、研修の企画・運営の評価という点と、研修受講者の学習成果の評価とい うところが1点です。それから研修が終了した後、実務を通しての追跡の評価も必要では ないかということで、研修終了後、実務について6カ月以上1年未満を目安に、そのよう な評価を実施する必要があるだろうということで、案として出したものとなっています。  ただこの内容に関しては、言葉の定義等もこちらの会議との整合性というところもある と思いますし、あとは施設の規模等によって考慮すべき内容というところで、まだ検討が 足りない部分もあるかと思いますので、一応参考資料ということでご報告させていただき ます。 ○石垣座長 ありがとうございました。いま3人の委員から、教育担当者の研修及び実地 指導者の研修の話題提供をいただきました。それでは、この検討会として、資料2の論点 に従って、教育担当者の研修、実地指導者の研修をそれぞれガイドラインにどう示してい けばいいか。それから、どのような内容を盛り込むのがいいかということをご議論いただ きたいと思うのですが、先ほど坂本委員の資料では、かなり具体的な項目が示されていま した。それをまた参考にしながら、どのような能力を身につけることが必要で、どんな研 修が必要なのかということも含めて、議論いただきたいと思います。  まず、2)の「実地指導者研修」というところから議論を始めたいと思いますが、いかが でしょうか。いま3人の方々から話題提供をしていただきました。 ○坂本委員 どうもいろいろな病院で話を聞いていると、この実地指導者という人に対し て、プリセプターという名前で単なるお姉さん的な相談役をしている、2年くらいでいち ばん年齢が近い方でやっているのと、それから本当にそれを臨床指導している人と、タイ プが2つあると思うのですが、はっきりどういう人であるということを、もう1回ここで 確認するのがよろしいのではないでしょうか。 ○石垣座長 はい。先ほど事務局から説明がありましたように、実地指導者は「新人看護 師に対して、臨床実践に関する実地指導、評価等を直接行う者」という案がございました。 これについて皆さん方で何かご意見はありますか。精神的なサポートだけをする人をプリ セプターと言っている施設もあるようですが、ここで言う実地指導者というのは、先ほど 事務局から提案のあった案で、話を進めていくということでいかがでしょうか。○庄野委 員 当院では新人看護師の部署での実地指導者というのを、指導官という名称を置きまし て、5年以上の経験がある者を部署に2人ずつ置いております。その指導官というのは、 やはり実践を指導できる者というところにいちばん重点を置きまして、知識・技術・態度 を確実に新人が習得できるよう、実践を教えられる者として位置づけて、5年目以上の者 をつけました。  振り返ってみて思うのですが、実際にはやはり技術をメインにもちろん教えるのですが、 新人のメンタル的な相談であるとか、そういうのも結局両面から教えているという実態が ございまして、5年目以上であれば非常に。10年目くらいの者もおりますので、ちょっと 年齢が離れて話しづらいであるとか、そういう問題点も上がってはきております。  メインとすれば、やはり技術。ここに書いてある臨床実践に関する技術であったり、態 度であったりというのを、実践で教える者でいいと思うのですが、メンタル面でのフォロ ーというか、相談役という辺りの役割をすごく大事なことだと思うので、両面から支援し ていくという面で、個々の実地指導者が両方受け持つのか、あるいはまた違う側面から支 援するのかというのは、ちょっと考えていくところがあるかとは思います。 ○石垣座長 いまの庄野委員のご発言について、いかがでしょうか。 ○村上委員 実際現場に、例えば5年目くらいの実践力を身につけたスタッフがきちんと いればいいのですが、最終的にはやはり2年目になった人が直接実地指導していくという のが現実は多いのかなと。  1年を通してプリセプター制を導入しているところでは、1年間、いまメンタルの面でも 見ていけますが、最初の肝心な数週間くらい、3週間とか1カ月くらいは同じ人が面倒を みるのですが、あとはプリセプターという人が1年間、1人の新人をずっと面倒みていく のです。現実的には、やはりある程度、2年目以上の経験のあるスタッフ、なるべく新人 に近いところにある人たちが、実際に現場で実地指導をしていくのだなと、現状の問題か らそのように考えるのですが。 ○石垣座長 前回の報告書を作ったときの検討会でも、実地指導者のことが非常に話題に 上がりました。結局報告書としては、新人にできるだけいい看護を示すということで、い ろいろ施設の事情もありますから、一律には決めることは難しいのですが、少なくとも3 年以上の経験者が望ましいという提案をいたしました。  この「何年目の人が」というのは、また問題なのですが、ガイドラインに盛り込む実地 指導者というのは、ここに示されているように、臨床実践に関する具体的な指導や評価と いうのが、やはりメインの役割になってくると思うのです。当然メンタルな面や、さまざ まなことに対するフォローもあると思うのですが、それはその施設によって役割分担をし ながらやっていくと思うのです。差し当たってこのガイドラインでは、具体的に日常の技 術・態度・知識を教える、指導する、あるいはそれに基づいて評価をする者というのが馴 染むように思いますが。福井先生や、羽生田先生、西澤先生はどのようにお考えでしょう か。医師の臨床研修とは異なるかもしれませんが。 ○福井委員 微妙に異なっているのですが、現在のところ医師の方は、卒業後7年目以上 の医師を指導医と呼びます。たしか卒後4年目以降指導者のためのワークショップや指導 医養成講習会という、定められた内容の研修を受ければ、指導医として資格を認めてもら えます。ただ、実際は1・2年目の研修医を、3〜5年目の専門研修医がほとんど教えてい るのですが、彼らは必ずしも指導医とは呼ばれません。屋根瓦方式で何枚もあったほうが いい、ということではあるのですが。したがって、実際は2・3年目の人が新人看護師にか なり教えているとは思うのですが、その人たちを実地指導者と正式に呼ぶことに対しては、 躊躇するところもあります。 ○石垣座長 現実の問題としては、そこの部署の職員の構成が、経験3年未満が50%とい うところがあります。先輩を付けたくても付けられないという事情も考えられます。しか しこのガイドラインで示すのは、先の報告を受けると、やはり少なくとも3年以上の経験 ある人が望ましいことを、是非踏襲していきたいとも思うのです。実地指導者が、どのよ うな能力を身につけることが必要か、それから、この人たちに対してどんな研修が必要か ということをガイドラインに盛り込んでいきたいものです。○海辺委員 こちらの各委員 の先生方の発表された資料を見ながら、いまのご意見なども伺いながら考えたりしたので すが、実情の医療を回していかなければいけない中での研修であったり教育であったりす るということで、それぞれの医院の規模であるとか地域性であるとか、いろいろなことで もって、できること、できないこと、必要なことというのが変わってくるとは思うのです。  ただ、やはり前回も議論になったように、たった1人しかいないと、新人さんが1人の 現場ですとか、教える方が1人の現場ですとか、いろいろなパターンがあると思うのです が、本当に1人だけでいろいろと、まったく同じ立場を客観的に見ることができない状況 が続くと、やはり燃え尽きてしまったりということが多くなると思いますので、やはり地 域の中核をなすような病院が、ある程度こういう資格を持った方の研修を1年に1回行う ですとか、何かそういうことは今後考えていくべきではないかと感じていました。  あとは、私自身は単にプリセプターでお姉さん的な立場の方は、やはり実地指導者とは 呼ばないのではないかと。それなりのきちんとした資格として成立させていくことが今後 必要な作業だと思うので、そういう資格としてはきちんとした研修をある程度は受ける。 私は、自分自身が働いていたような仕事に関しては、3年ですと人に教えるというよりは、 先輩として助言することはできても、きちんと指導して、ある程度評価してということが できるかというと、かなり私自身の経歴でいくと疑問を感じますので、実地指導者という きちんとした資格にするなら、やはり5年くらいはという感じがして聞いておりました。 ちょっとばらけた言い方ですみません。  もう1つ、ちょっと思ったのが、やはり実地指導者と、教育のもっと上の教育指導者の 方は、それぞれがシステム的につながっている形でないと困るということ。ですから、ま ず実地指導者の方だったら、コーチングの概念ですとか、コミュニケーションスキルです とか、そういうところをたっぷりやっておく必要がたぶんあると思います。もっと教育管 理の方だったら、この坂本委員の資料を見ていて、私は医療安全ですとか、倫理ですとか、 患者の側からだとやはりコミュニケーションですとか、いろいろそういう部分がすごく重 要ではないかと感じたのですが、その割には丸がすごく少ないという印象を受けたもので すから、うんと責任もある教育指導の方などには、やはり医療安全や倫理など、そういう ところももうちょっと勉強する必要があるのかなと感じたのですが。 ○石垣座長 地域での研修体制や研修内容については、これから議論を深めていかなけれ ばいけないと思います。先ほど熊谷委員の発表の中で、2頁に研修担当者、部署の教育担 当者と実地指導者の研修について、項目が書かれておりますね。特に実地指導者の育成研 修ですが、どういう人たちを対象にして、この内容を組まれたというのを、もう少し説明 していただけますか。 ○熊谷委員 先ほど来出ている、うちは実地指導者をプリセプターという名称で呼んでい るので、たぶんその概念の違いで混乱があるのかなと思っているのですが。結局プリセプ ターとか指導者とかたくさん作っていくと、みんないろいろな役割が増えていってしまい まして、それからメンタルなところを支えるのも、やはり何か具体的なOJTの現場を通し て支えたほうが、すごく効果的だということで、要はプリセプターと呼んでいる人は、実 地指導者でありメンタルも支えるという両方の役割を持たせてやっております。  どれくらいの人にというのは、やはり3年以上ということでやっています。大体、いま の日本の看護師の状況の中で、5年以上が豊富にいる病院というのは大変少ないと私は思 っています。平均勤続年数というのは、そこまでいっていないと思うのです。大体3分の 2が20代の看護師で占めている割合から考えると、大変厳しいところがある。  それから、あとは専門家、認定看護師の資格、受験の条件が臨床経験5年以上というこ とからなります。それを考えると、実地指導者というのは3年の経験くらいから始めても いいのかなと思いまして、3年目の人たちからやっています。その3年間の中で、それぞ れたぶん病院で、いまキャリアラダーがありまして、その中でいわゆる1段階目の教える ということも、そのプログラムに入っていますし、リーダー研修と呼んでいるものですが、 あとは1年生、2年生でそれぞれ看護技術の研修も入っておりますので、そういったこと を踏まえたものが実地指導者ということで機能をしています。 ○石垣座長 ありがとうございます。 ○海辺委員 質問です。実情としてはいまのお話、すごくよくわかるのですが、ただ、3 年目というのはやっと自分で自信を持って、一通りできるようになったというレベルとい う感じがする。いま伺いたいと思ったのは、その3年目で今度は指導になる方が、プレッ シャーになったり仕事が増えたりして、非常に負担感が多いのか、あるいは責任が増した ことによって、むしろすごくやる気が増えるのか。後者なら非常にいいのですが、実は負 担感がすごく多いということになると、ますます離職が高まってもどうかと思ったもので すから。満足度といいますか、そういう調査みたいなことはされたりしているのでしょう か。 ○熊谷委員 満足度の調査ということではやっていませんが、実際これを経験したあとに、 きちんと1年経ってのシェアリングを兼ねた振り返りというのはやっておりまして、それ ぞれが成長しているのではないかと感じております。  それで、3年目以上なのです。ただ、部署によっては3年の人もいます。それは、どう しても前後します。だから、3年という言い方が申し訳なかったのですが、4年目というこ とですかね。 ○石垣座長 たぶん屋根瓦方式がうまく機能しているところは、サポート体制がいいと思 いますが、それがうまく機能していないところは、おっしゃるようにとても疲弊してしま うこと、そういうことが起こり得る可能性はあると思います。 ○坂本委員 熊谷委員にお聞きしたいのですが、こういう方は何人くらい病棟にいらっし ゃるのですか。 ○熊谷委員 うちで言っているプリセプターですか。新人が大体25人くらいですから、2 人か3人ですので、それに対してプリセプターですから2人から3人の配置です。 ○坂本委員 病棟で。 ○熊谷委員 はい。 ○石垣座長 2人から3人というのは大変恵まれていますね。いかがでしょうか、この実 地指導者について。熊谷委員のところでは、実地指導者の育成の研修カリキュラムという のを、年間40時間をかけてやっておられますが、この研修カリキュラムの評価、効果、成 果についてはいかがですか。 ○熊谷委員 きちんとした評価をお示しするものを今日は持ってこなかったのですが、例 えばこの実地指導者を通して、またさらに上のサポーターになっていく者もありますし、 そこからまた実習指導者になっていく者もありますので、指導を通してそれぞれが、やは り看護師としての力量も育っておりますし、また教育に関心を持っていくという結果もあ ります。 ○石垣座長 研修計画としては、いまのところ適切とお考えですか。 ○熊谷委員 いまのところは、そうですね。適切というか。 ○石垣座長 ありがとうございます。坂本委員、どうぞ。 ○坂本委員 私はもう大体理解しました。というのは、実地指導者はやはり臨床実践に関 する実地指導、評価まで含めて行う者ということで、3年という意見、5年という意見、い ろいろありますが、やはりそれだけの余力を持った、ある程度評価まで行える人という位 置づけをしていただくと、いままでの話が少し理解できる。そして新人に対して入職した ときにいろいろなお世話をしたり、相談に乗ったりするような人たちが周りに何人かいた としても、その人たちは役割を担っていただくけれども、制度というか仕組み的に役割を 担う人は、ちゃんとそういう意味では実地指導者として、数年経験した人たちというとこ ろのほうがわかりやすいと思いました。 ○石垣座長 ありがとうございます。そうすると、この資料3にあります実地指導者の役 割は、こういうことで共通理解をして進めていってよろしいでしょうか。実地指導者に関 してはいいですか。  具体的にどのような能力を身につけるかというところでは、先ほどの熊谷委員の発表だ とか、いろいろあるのですが、これについてはどうでしょう。具体的にご自分のところで なさっている、あるいはいろいろな施設でなさっているところを見ますと、実地指導者は どのような能力を身につけていくか、そのためにどのような教育をするか、それをガイド ラインにどこまで盛り込んだらいいかということを含めて、ご議論いただきたいのですが。 ○羽生田委員 いまの看護協会のお話は別としても、実際にこういった研修をしてやって いる病院というのがやはり大規模な病院で、それなりの人員が揃っている中での研修とい うことですが、それを地域で集団的に、1つの病院でやるということでなくやる方法はあ るのかもしれませんが、現実にこれだけのことができる病院は、地域で本当に数えるほど しかない。ですから、こういった臨床研修の担当者、指導者を育成するというこのカリキ ュラムは、もちろんこういうことが済んで、きちんとしたシステムができるということは 非常に理想的にいいのですが、現実とすると、これができる病院というのはほんの一握り しかないわけです。 ○石垣座長 そうですね。 ○羽生田委員 ですから、その辺をガイドラインとしてどこまでどう書いて、そういった 人員が少ない病院でもどこまでできるかというところが。いまの議論だけそのままガイド ラインとして、確かに研修カリキュラムとしては非常にいいものですし、そういった指導 者ができてくるというのは理想的だと思いますが、現実的でない。そういったところのほ うが多いわけですから、その辺をどこまでガイドラインとして示していくか。また、それ を地域で、そういった病院を集めた形でもどこまでできるかというところまで、やはり考 えた形でガイドラインを作っていかないと、実際にはまったく動かないところだらけとい うことが起きてしまうので、その辺も注意していただきたい。 ○石垣座長 そう思います。今回のガイドラインは、研修体制が整っていないような小規 模、さまざまな規模の病院でも参考になるものを目指しておりますが、いずれにしても新 人が入れば、その人に対する教育というのは何らかの形でしていかなければいけないわけ で、地域でどういう研修体制をとっていくかとか、規模の多様性を考えて、ガイドライン にどこまでどのように盛り込むかというのは、この議論の大事なところだと思います。 ○西澤委員 もう少しあとで言おうと思ったのですが、いま羽生田委員が言ったように、 中小病院の場合だったら人数が限られているし、20代がほとんどだということもなくて、 かえって20代のほうが少ないということもあります。そういう中で先ほどから見ていたの は、実地指導者と教育担当者というのは、小さい病院だったらおそらく同じ人がやってし まうのかなとか、いろいろなことを考えていました。  ただ、中小病院を最初から合わせていくということになると違うのかなと思いまして、 聞いていました。実地指導者と教育担当者をある程度の規模の病院で作って、そこがある 程度しっかりしてから、では中小病院にどう落としていきましょうと。中小病院の場合は この2つが同じ場合もあるねと、あるいは人数が足りなければ、病院の中だけでは無理で あれば、この部分は外だねとか、後の議論でそちらをやっていただければと思って聞いて いました。 ○石垣座長 ありがとうございます。上泉委員、どうぞ。 ○上泉委員 新人研修の実地指導者ですので、どういうゴールを設定するかだと思います。 1年かけて新人と言われる人が、そこに慣れて1人で仕事ができるようになるというとこ ろを目指すとすると、例えば熊谷委員の資料の3頁の「実地指導者育成研修カリキュラム」 の後半の部分の「看護マネージメント」と書いてあるような部分については、実習指導者 には荷が重すぎるのではないかと思います。プリセプターという人も含めて、実地指導者 の負担が非常に大きいとも言われているのは、1つは実地指導者への期待が高すぎるのも あると思います。それですので、1人に背負わせるのではなくて、複数の人たちでできる 体制を作る。それには経験年数を限定してしまうのではなくて、そこの施設に合ったよう な、一人前として仕事のできるナースを、少しのトレーニングで実地指導者としてできる ようにする。そのほうが現実的ではないのだろうかと思うのです。  すごく気持はわかるのですが、あまり実地指導者への期待が高すぎると、潰れてしまう のかなと思うのです。むしろ人材開発は管理者の担当になると思うので、そういったとこ ろを教育担当者もしくは研修担当者、どちらの名前かはあれですが、見ていくほうがいい のではないかと思います。本当にその職場に慣れて、1人で仕事ができるようになるため にかかわっていく人としたほうがいいのではないかと思うのです。 ○石垣座長 大きな施設はこのようなことも可能ですし、こういうことが盛り込まれるか もしれないのですが、いかがでしょうか。先ほど坂本委員が示してくださった具体的な内 容、これは教育担当者の研修ですが、教育担当者は当然実地指導者も指導するということ が含まれています。この中で、実地指導者にとっても必要な項目はかなりあると思うので すが、このことについて何かご意見はございますか。 ○坂本委員 22のモデルから、教育担当者というところに限って取り出したものなのです が、これをもう少し抜き出したり落としたりすることによって、実地指導者への自己の振 り返りなども少し分けられるような気もします。かかわり方なども、コーチングなど、い まは担当者だけで取り出していますが、もう少し分けられるような気もします。ただ、事 実なので、これについてもっと深く知りたいとか、そうなると少しややこしいのです。と いうのは、出してきたものでしか分析していませんので。 ○熊谷委員 少し言葉を足させていただきます。うちでは、一般的に言われているメンタ ルサポートをするようなプリセプターとしての機能と、実地指導をしていく実地指導者の 両方を合わせたものをプリセプターと呼んでいると。資料にあるように、プリセプターに なるには、ラダーのI-3にいっていないと駄目なのです。要は、この人たちはIIに上がる ための研修も踏まえるので、それでマネージメントも入っているのです。そこは当院の事 情というか、特別なのです。  それで、先ほど来出ている実地指導者のカリキュラムを考えたときに、私もマネージメ ントと言うより、対象の理解と、教育に対する基本的なことがら、あとは看護技術の指導 の実際の流れを演習等で経験できたらいいのかなと思います。 ○福井委員 内容を厳選するということと関連するのですが、いただいた資料では、総時 間数が93時間、40時間、21時間から120時間とか、かなり長いように思います。内容を 厳選して、もっと短い時間で行うようにしたほうがいいと思います。 ○石垣座長 実地指導者の教育の内容も時間も、もう少し考慮したほうがいいというご意 見ですね。 ○庄野委員 先ほどの熊谷委員、羽生田委員のご意見を基にして、システムとして具体的 に構築していく上での1つの考えです。実施指導者のカリキュラムでは、新人の対象の理 解あるいは教育方法、OJTの流れの演習という辺りで、いま現在、いままでの実績があっ て、地域の中核病院あるいは大きな病院で、熊谷委員のいるような臨床研修をしている病 院でしてきたノウハウみたいなものがあるので、例えば各県でいくつかの病院を集約化し て、そこへ希望者が集まる。研修担当者研修も院外から参加されている現状も各県である と思うので、例えばその中でも共通する、対象の理解、教育の方法などは、どの施設でも 共通する基盤になるものだと思うので、そういうものはどこかで、県、看護協会、中核病 院なのか、するところは決まってくるとは思うのですが、そこに参加して研修を受けられ るようにする。あとはOJTとか、自分の施設のルールあるいは演習みたいなところは、で きる部分は自分の施設でしていくというのも、1つの方法であるかなと思いました。 ○村上委員 この冊子を作るとき新人看護師がこちらで話をしたときに言ったことが、緊 急事態のときに新人だからナースステーションで留守番をして、放っておかれて、みんな がそちらに向かったときに寂しい思いをしたということがありました。是非緊急の場面に、 新人も遠からず近からず参加させてくれと。それは看護師という専門職として、自分たち がそういう場面で本当の意味の看護を学んでいくのだという気力がそこで養われ、能力、 実践力がそこに一丸として入ってくる。教育の一環として、そういうチャンスを入れてく れと言っていました。  ずっと私はそのことが心に残っていまして、このプログラムを作るときに、基本的な態 度とか、対象の理解も1つ挙げながら、本当の意味でのスキルの問題です。中ではやり切 れない部分を、外の研修のどこに何を求めて行っているのかの調査をしたときに、応急処 置の研修に多く出ていっているのです。どんな大きな病院でも小さな病院でも、看護の現 場での出来事の中で、そういうチャンスをうまく活かす教育もプログラムの中に入れてあ げて、本当に看護師になってやる魅力を植え付けていくプログラムの展開も重要だと感じ ています。 ○石垣座長 具体的に実地指導者は日々の看護援助、その中でも技術についてOJTで指導 する役割が大きいのですが、その技術も侵襲度によって、段階的に指導することが望まし い、あるいはこの技術に関しては、長い期間を置いて習得することが望ましいという書き 方でまとめられてはいると思いますが、部署によっては5月ぐらいから、かなり侵襲度の 高いものもやらなければいけないということもあるので、あくまでもガイドラインで提起 するのは一般的なことになりましょうが、技術教育の基になるのは、技術のマニュアルな どが各施設に整っていれば、それを参考にしながら、ご自分の施設に合わせた指導ができ ることもあると思います。猪又委員、熊谷委員のところでは、具体的なOJTの技術指導は どのようになさっているのでしょうか。 ○坂本委員 村上委員が言われたのは、実地指導者研修の中で、どのような能力を身につ けることが必要かというときに、緊急事態が発生したときにチームでやるサポート、その ように持っていく力を言われたのかと思ったのです。緊急事態のときに一人ひとりの技術 はできたとしても、例えばドクターや人工透析、MEの人たちで、チームで何かをする能力 を実地指導者に付けさせて、それで新人を巻き込んでいくやり方をしてほしいと言われた のではないかと思ったのですが、そういうことですよね。 ○村上委員 それも含めて、経験できない分、先輩の動きを見て技術を盗んで身につける。 その気持をもって、自分がもっと何をしなければいけないのか、知識を補う、自己能力を 高める場も非常に重要な機会、現場でこそできるものだと思うのです。どうしても実習が 少ない中、緊急事態はさほどありません。いま坂本委員が言われたこと、チーム力も踏ま えて、もう1つそれぞれの持っている高いスキルを勉強していくことが、重要だと思って います。 ○熊谷委員 先ほどから時間数のこと等も出ているのですが、平成19年度にこのカリキュ ラムを考えたときにどのように考えたかというと、看護師の中には国で認めた実習指導者 講習会というのがあって、そのカリキュラムも保助看法の中に出ています。私はそれをベ ースにして、実習指導者の養成の時間もこれより少し少なめにしたことと、学生に教える のか新人職員に教えるのかを考えたときに、教える人たちは、ある程度は技術は何となく できていて、それに教育の技能を乗せればやれるのではないかと考えたこと。実習指導者 のカリキュラムを少し参考にして考えていったので、こういった形を考えました。  それから、先ほど来大きな病院、小さな病院ということが出ているのですが、当院では このカリキュラムを全部オープンにしていまして、資料に出ている院外の病院はすべて出 て修了証書をもらっているのですが、実は小さな病院でこれをオープンにしていて、これ とこれだけは出ておきたいということで実際は出てきてくれていますので、そういった意 味では地域を巻き込みながら、もう3年やっています。 ○海辺委員 確認したいのですが、今回のガイドラインでは、実地指導者の定義や整備は 見送るということで話が進むのでしょうか。それとも、そういう人がいなかったら新人教 育と呼べないというわけではないので、実地指導者というのはこういうスタイルではない かというものを、ガイドラインとしてまとめていくのかどうかを確認したいと思いました。 ○石垣座長 先ほど確認したのは、資料3の実地指導者がどのようなことをする人かです。 このような役割を担う人ということで、議論が進んできたように思っています。そういう ことでしょうか。 ○海辺委員 「実地指導、評価等を直接行う者」という定義が入っていて、そういうこと ができるようになるのは、実務経験3年を経たような方ではないかというところまで話が いって、そのあと「やはり実情があるので」という話になったかと思います。いま実情と してこうであって、そういう指導方法がいけないとか、全否定であるということではなく、 実地指導者という資格をある程度誕生させていくのであれば、こういうスタイルではない かというものを作って、そういうことができる病院からやっていけばいいのではないかと 感じたのです。  そういう資格が誕生していって、そのような人たちが実地指導者がいないような病院に も行くようになっていけば、実地指導者がいる病院として新人を受け入れられる病院にな っていくわけですから、そういうものを今回かちっと作らないのかなと感じたものですか ら、伺ってみました。 ○石垣座長 海辺委員のご意見に対していかがでしょうか。 ○庄野委員 私も確認したいことが1点あります。1回目のときに北村委員からありまし たが、新人看護職員研修はどこで行うのかという問題を、議論を進めていく中で平行して 持ち越してきたと思うのですが、何となく流れを見てみると、新人看護師が就職した病院 で行われる。いま実地指導者を資格化して、ある程度中規模から小規模診療所などに配置 してとなると、そこら辺についてどうなのかなと疑問に思ってきたのです。 ○石垣座長 また根本的なところに戻ったようです。実地指導者というのは、あくまでも OJTを担当する者ということで出発したと思います。On the job trainingですので、ほか のところで研修を受けることはあると思います。実際に新人の日常のケアをする中で、直 接その人に指導なり支えることをする人という出発だったと思いますが、それでよろしい ですか。その人たちをどこで教育するというのは、いろいろ案もありますし、バリエーシ ョンもあると思うのですが、基本的にこの人たちはOJTを担う人という理解です。 ○島田課長補佐 事務局から1点確認します。先ほどの海辺委員のご発言の中に、「教育担 当者あるいは実地指導者の資格化をして」といったお話があったのですが、現時点で事務 局としては、法令上でこういったものを実地指導者とするという、資格化をすることは考 えていません。そのような共通理解でいいかどうかの確認をさせていただきます。 ○石垣座長 ガイドラインに盛り込むのは、あくまでも中身ということですので、今後そ れがどのように発展していくかは別として、いまはまだそこまでは述べることはできない ということだと思います。 ○北村委員 いまの島田課長補佐のご発言を確認したいのですが、医師の場合は、必修化 になったときに指導者を設けます。指導者講習会を受けた者です。講習会は、時間も内容 もある程度決められていて、それを地方の厚生局が認可します。その講習会を受けた修了 書には、主催者の判こと同時に、医政局長の判こも押されています。その修了書を持って いる者を、資格とは呼ばないのですが、指導者と呼ぼうということになっています。  実務経験で言えば、7年以上でその研修を受けた者で。必修化になって慌ててやったた めに、実質、ようやく5年をしてその制度が落ち着くようになってきました。看護は必修 化する必要はないにしても、資格と呼ばなくてもいいのですが、いま議論されているよう な決まった形での実地指導者講習会をやった場合、その主催のプライベートホスピタルの 修了書だけでなく、公的な人からの修了認定があったほうが、後々はいいかと思いますが、 それも含めて資格化はしないという理解でよろしいのでしょうか。 ○島田課長補佐 あくまでも現時点の案としては、資格化を想定していないということで す。先生がおっしゃいましたように、看護師の場合は、いまは努力義務ということでの制 度が平成22年4月1日からスタートする段階であることです。  メインは就職した場でのOn the job trainingが中心ではないかという想定で、医師の 指導医講習のように均質化されたものがどの程度行われるかは、未知数だと事務局は思っ ています。ゆくゆくはそういったものが必要だと、場が充実してくればそういったことも 可能かとは思いますが、いまの時点ではそういった想定は難しいかなという判断をしてい ます。 ○北村委員 わかりました。 ○石垣座長 差があまりにもあるということも考えて、今回も、現実に合わせたほうがい いというのと、ある程度のことは盛り込んだほうがいいというご意見が両論あります。い ままでいろいろと議論された中で、実地指導者というのは、少なくともどのような能力を 持たなければいけないのか。例えば対象の理解、いわゆる技術指導をきちんとできる人と か、いろいろありました。実地指導者の能力ということでは、改めてご意見はございます か。  実地指導者を持っている施設では、この人はこういう役割を果たすということは明記さ れていると思うのですが、そういう人がなることが望ましいとガイドラインには盛り込む はずなのですが、いかがでしょうか。 ○上泉委員 少なくとも、そこの場で一人前、指導なく1人でできるという能力は必要最 低限のことだと思います。さらに、新人の世話をする能力、さまざまなところと調整する 能力は必要だと思います。教育よりも、1人で一人前として実践できることが、新人にと っては、一緒にしながらそれを見て学ぶことができるので、まずは一人前としての能力が 必要最低限だと思います。 ○石垣座長 実地指導者が一人前だということですね。 ○上泉委員 はい。 ○石垣座長 その「一人前」ということが。 ○上泉委員 例えばベナーが言っているような熟練の段階からしますと、中堅とまではい かないのですが、その前の段階で、通常に起こることについては1人でできる段階かなと 思っています。 ○石垣座長 どういう能力が必要かというのは、そんなに細かくなくてもいいのですが、 こういうことというのを具体的に盛り込んだほうが、読む人はイメージしやすいと思うの です。 ○庄野委員 是非盛り込んでいただきたいことが1点あるのですが、新人指導を実践で受 け持っている方に、指導する上で待てる能力。指導をするよりも、自分でしたほうが早い ということが頭に浮かびます。ゆっくりでも確実にできることをそばで見ながら、時間が かかるのですが、見守ることが非常に難しいのです。次の仕事が控えている中で、自分が さっさとしてしまうのではなくて、見守りながらできない部分だけをサポートする。時間 を待つというのか。「能力」と呼ぶのが適切かどうかはわかりませんが、それは非常に持っ てほしい部分の1つだと思っています。 ○熊谷委員 この指針の裏側に、実地指導者が出ています。ここには、この段階で要件と して、臨床経験2年以上と出ています。あと、教育をすることが重要だということです。 それから、実地指導者研修のプログラムの柱が盛り込まれていますので、これを大体どの くらいの時間数でやるのかを詰めていくことで、私もこれを参考にしているところはあり ますので、いまの議論で大体こことずれてはいないのかなと思います。 ○坂本委員 こういう人であってほしいと言い始めると、彼女たちにどんどん負担を言っ ていくのです。だから、普通の人であるということで、教え方を知っているとかというこ とではなくて、普通でいられるのがいいのかなという気がするのです。何ができる、何が できるというと、自分の仕事が精一杯であるのに、また何ができるとなってしまって、二 重課題になってしまうのです。その辺りをいい方法で書き表す方法はないのかなと思うの ですが。 ○村上委員 師長の立場だったら、新人がそろそろ夜勤に入るときに、一緒にペアを組む 看護師が緊急に対して、対人能力、人間関係、最低緊急に対してある程度コーディネート できる人を師長は付けると思うのです。夜中に師長に応援が来ないような、職場の緊急を 避けるような人を選ぶと思うのです。そういう意味で、実地指導者の持っている能力とい うのは、そのように考えたときに、どの師長も技術は一緒ではないのかなと思うのです。 それを一つひとつ書くというのは難しいのですが、ケアが1人でできる、緊急に対しても 1人でできるという能力になるのでしょうか。 ○石垣座長 この報告書を出したときの2年目以上というのは、現状を考えて、3年目か らということで考えました。知識、技術の指導というのは、教えていて最も大事なところ になると思います。「情緒的に安定した教育的指導」というのは、教える人のその日の気分 で左右されたりすることが、検討会の中で具体的な意見として出て、情緒的に安定してい ることは、実地指導者の非常に重要な要件ではないかということがありました。教わる側 から、教わる側はそれに非常に影響されるということが出まして、少し相応しくない表現 かもしれませんが、この一文を入れました。 ○西澤委員 いまの要件は指導者の要件ではなくて、一人前の看護師の要件のような気も します。だから私の考えでは、どのような要件があるかといったら、まず臨床看護師とし て一人前であることです。それと、そこには人間性も含まれると思うのですが、それにプ ラスして、ちょっとした指導能力です。それだけでないかと思うのです。それをどのよう に書き込んでいくかです。決して教員ではなく、あくまでも臨床看護師なのです。その辺 りを勘案して、あまり細かくせずに書き込んでいただければと思います。 ○石垣座長 いろいろ議論が出ました。まだ次に、教育担当者の研修についてもご意見を いただかなければいけませんので、そちらに進んで、実地指導者についてまだいろいろと ご意見がおありだと思うので、この点に関しては、また事務局にご提案くださったらあり がたいと思います。教育担当者については、いかがでしょうか。  これは、先ほど猪又委員、坂本委員、熊谷委員からも話題提供があったところですが、 部署の教育あるいは新人の研修を担当する人たちに対する役割と能力、どのような能力が あればいいのか、その人たちにどのような教育をすればいいのかということです。 ○ 坂本委員 指導者は、徹底してやったらいいと思います。対象の理解、教育システム、 プログラムの組み方などの骨組みを作って、きちんと理解していただくことが必要だと 思います。  私も現場を経験した中では、実地指導者にすごく負担がかかって、それをサポートする 人たちがどこまで理解しているかということが、安心につながると思っていました。きち んとチームで支えていく。どのように新人を受け入れて、そして、その新人を実地指導し ている人たちをどのようにサポートしていくか。全体的に看護部とのかかわり方、病院の かかわり方をどのようにつないでいくかということを、骨組みを立てて、ガイドラインに 入れたらいいと思います。 ○石垣座長 わかりました。先ほどの坂本委員、猪又委員、熊谷委員などの話題提供など を参考にして、考えていくということでよろしいですか。これについて特にご意見等はご ざいますか。今日はもう1つ「技術指導の具体例」というのがありまして、そちらに進ん でもよろしいでしょうか。  それと、ガイドラインに盛り込むときのネーミングの話で、「研修担当者」か「教育担当 者」にするかとありましたが、いまいろいろな議論があった中で、改めてどのようにお考 えかご意見があればいただきたいと思います。 ○羽生田委員 すでに、ここに「教育担当者」と「実地指導者」という言葉になっている のですが、連続性という意味で、使う言葉としては、これを踏襲していくほうがいいのか と考えます。 ○上泉委員 新人研修を担当する人ですので、言葉の統一としては「研修担当者」のほう がいいと思います。そういう意味では、猪又委員が看護協会のガイド案としてお示しして くださった言葉の使い方、定義、研修プログラム等が、すんなりと入ってくる気がします。 ○石垣座長 猪又委員に伺いますが、看護協会の検討の中で、教育担当とか研修担当とい うのは、議論としてあったのでしょうか。 ○猪又委員 名称については、指針のほうが先に出ていたので、それを前提に話を始めた ように記憶しています。研修担当者がいいか、教育担当者がいいかという議論は、そこま ではしなかったと記憶しています。  先ほど「新人」を付けたほうがいいと発言したのですが、このワーキンググループで協 会のところで話合いをした部分で、当院のシステムも教育体制を変えていったときに、研 修責任者あるいは研修担当者、教育担当者という名前を付けて始めようとしたのですが、 そうした場合に、先ほども申し上げたように、院内で新人ではない人に対する研修もやっ ているので、非常に混乱を生じるので、あえて当院では「新人教育研修担当者」というこ とで、頭に「新人」を付けないと、実際の施設の中では混乱するのではないかと思ってい ます。ただ、それが施設によっては、新人の研修責任者と、ほかの研修責任者が1人にな る場合もあるでしょうし、分ける場合もあると思いますので、そういう意味で分けたほう がいいという意見は変わりません。 ○石垣座長 名称については事務局等でもう少し練るということで、次に進めます。「技術 指導の具体例」に移ります。資料1のガイドラインの目次のIの4「技術指導の具体例」 になります。これは皆様方のご了解を得て、看護の委員でワーキンググループを作って検 討しました。  そのときに、たくさんの技術がある中で、どの項目に絞るかを検討しました。いままで のヒヤリハット、インシデントが一番多い技術が与薬でした。また、どのような施設に就 職しても必ず体験する技術であること、基礎教育では履修が難しい技術であること、比較 的初期の段階から新人が行う技術であるというようなことを考えて、診療では与薬の技術 です。療養上の世話では、活動、休息、援助技術の中の「移送」を選びました。これは高 齢化、重症化によって、移送による事故や問題がいろいろありますので、移送を取り上げ てモデルを作ろうとしました。  形式については後ほど説明させていただきますが、項目を統一しました。技術の到達目 標をどこに置くか。到達までの履修期間の目安。報告書にもありますが、技術は必ずその 技術を支える要素を盛り込むということで、この技術に関してはどのような支える要素が あるか。研修方法として、集合研修、実際の場面を見学、シミュレーション、実施、振り 返り、このような流れで習得することが望ましいということです。それから、皆様方のご 意見にもありましたように、必ず基礎教育でのレディネスを確認しながら、技術指導を進 めることを確認して、ワーキンググループで進めてきました。その1つの例を説明します。 内服薬の例について、庄野委員から説明していただきます。 ○庄野委員 内服薬の例について説明します。「経口薬の与薬」で1つのモデルを示してい ます。この「経口薬の与薬」は、1枚目が目標、期間、要素、研修方法の流れです。2、3 枚目が、左側が実際の「手順」、右側が「指導時の留意点」です。次の頁が評価、振り返り のときの「チェックリスト」です。このパターンの流れについては、ほかの注射、輸液ポ ンプ、移送も、同じようなパターンにしています。  1枚目です。「到達目標」と「到達までの期間」の目安を示しています。「看護技術を支 える要素」としては、6点挙げています。この技術を支える要素については、実際の「指 導時の留意点」に盛り込んでいます。知識、安全への配慮、家族への説明する技術、コミ ュニケーション、判断・観察という辺りを、「指導時の留意点」に支える要素から盛り込ん でいます。  次は「研修方法」です。研修の流れをイメージしやすいように、順序性を持たせたつも りで、それぞれの項目を矢印で示しています。まず、「集合研修」を新人全員にします。そ こで、内服薬の与薬実施に必要な基本的な知識・技術・態度、処方箋や指示書の読み方、 薬剤の知識、目的・手順、施設のルール(安全面での約束事等)、全員に共通するものを、 まずは集合研修で覚えていただきます。  その次に「実際の場面を見学」します。これは実地指導者がしている場面を実際に付い て行って見て、自分の中でイメージしていただきます。次に「シミュレーション研修」で、 実際に行う前に、実地指導者とともに、実際に使用する物品を用いて、リアルにシミュレ ーションを処置室なり演習等で行います。それで、実地指導者がこれは大丈夫だと確認を すれば、実際の「実施」になります。  最後は「振り返り・評価」で、やりっ放しではなくて、最後に必ず、プラスのフィード バックです。ここができていなかったから今度はここを気をつける、ここは上手にできて いたとか、チェックリストを用いて、できていた部分、できていない部分を、新人本人に 認識していただきます。すべての項目について、この研修方法で進めるようにしています。  2、3枚目は、具体的な「手順」と「指導時の留意点」です。どの施設でも、指示書であ ったり、処方指示であったり、いろいろな書き方があると思うのですが、「内服指示箋」等 でという形で、同じようなものと認識していただければと思います。「指導時の留意点」は、 先ほどの技術を支える要素の辺りを盛り込んでいます。  最後のチェックリストのところは、実地指導者と一緒にチェックをするのですが、○△ ×で、5項目になりすぎても煩雑になってきますので、「一人でできる」「助言があればで きる」「不十分」というところで、○△×にしています。もちろん×の場合は再度指導を要 するというところで、評価のチェックリストは統一しています。  大事なのは、指導者だけがこれを見るのでなく、特に「指導時の留意点」の辺りを、指 導者と新人の両方の方に活用していただいて、実践に活かすという意味で見ていただけれ ばと思っています。  ほかの項目も同じように、ワーキング委員の中で話し合って進めてきましたので、それ ぞれの施設で少しずつ違うところがあるかと思いますが、ある程度標準的なものです。も しこれ以上に項目として、違う侵襲的な技術も組み込みたいというところは、この流れに 沿ったものを参考にして、自分の施設で作っていただければと思うので、1つのモデルと して示しています。 ○石垣座長 ここには与薬として、経口薬、筋肉・皮下注射、点滴静脈注射、輸液ポンプ・ シリンジポンプを使用した与薬というように、ワーキンググループのメンバーが作成しま した。  具体的な中身は看護の委員が考えなければいけないことなので、今回ご意見をいただき たいのは形式です。先ほど申し上げたように、この技術に関してはどこを到達目標にする か、履修までの期間、看護技術を支える要素や研修方法ですが、これもすべて平成16年度 の報告書に則って、一つひとつの技術が看護技術を支える3つの要素で支える。これは同 時に教えていくことが重要であることを踏まえて、ワーキンググループの方たちが作成し たものです。  もう1つは、今回皆様方のご意見をいただいて、基礎教育とのつながりをどう活かすか ということです。一人ひとりの新人看護師が基礎教育で学んだことをどう活かすかを大事 に考えました。 一つひとつの具体的な中身についての検討について、ご意見がありまし たら、後ほどいただきたいと思います。このような形式で進めていってよろしいでしょう か。○上泉委員 実施の段階での部分です。これは1人の人に対して提供する方法が書い てあるのですが、実際は医師の指示を受けて、それと確認したり、多くの人に与薬をしな ければいけないわけですが、そういった多くの人たちへの技術提供あるいは指示の確認と いったことは、この技術指導の中には含まれるのですか。 ○石垣座長 例えば「筋肉・皮下注射」の次の頁をご覧いただくと、手順の[1]で、指示を きちんと確認するところから始めていますが、上泉委員がおっしゃっているのは、このよ うなことではないのですか。1つの技術を進めていくときに、必ず指示を確認するところ から始まりますよね。 ○上泉委員 すみません。経口の部分しか見ていなかったものですから、失礼しました。 ○石垣座長 経口の場合は、内服指示箋というもので確認していくのだと思います。必ず そこから出発するというのは、確認していますか。 ○上泉委員 受け持っている複数の人への提供と言ったのは、この中ではなく、別なとこ ろでと考えていいのでしょうか。これは1人の人へこの技術を提供するときの具体例と考 えていいのでしょうか。 ○石垣座長 そこからまず出発するということで、応用はいろいろあると思います。いま の上泉委員のご意見に対してはいかがでしょうか。 ○庄野委員 上泉委員のおっしゃることもよくわかります。実際にはこれは1人を対象に 書いているのですが、実際の現場では、内服薬であれば、複数人の方の準備を同時にして、 順番に投与してという場面もあります。ですけれども、1人に対する手順を最初から最後 までできないと、複数というのはそれができた次の段階です。最初の準備から後片付けま でできたところで、次の段階に移っていくものだと思いますので、それをこの中に何かの 形で盛り込むかどうかは別ですが、今回は1人ということで、それぞれの技術は提案して います。 ○猪又委員 イメージしている場面が違うかもしれませんが、基本的に何人かの患者に内 服の援助をする場合でも、1人の方の指示を確認して、実際にそこで観察し与薬をして、 観察をしてという一連の流れは同じで、また次の患者のときに同じ流れになるので、私は これで全く問題はないと考えています。 ○石垣座長 そう思います。複数でやるからそれを省略していいというのは、一人ひとり にはこのプロセスをきちんと踏む。その一人ひとりのプロセスを、ここにきちんと明記し たということです。上泉委員、いいですか。  複数だけではなくて、いろいろな状況によって、例えば夜間に指示を受けたときにどう するかとか、いろいろな変数は出てくると思うのですが、基本的に与薬をするときの大事 なことを押さえておかないと、次の応用にいかないのではないかと思います。それをどの ようにガイドラインに盛り込むかというのは、今後の課題になるかもしれません。 ○西澤委員 原則的には1人のやり方で、それ掛ける人数だと思います。実際の現場の場 合は何人も受け持っていて、例えば保管箱が詰所にあったら、1人分そこから出して、1 人に持って行って、またそこにしまって次の人などとやらないですよね。まとめて複数に ついてやります。保管場所から何人か分を取って、病室に行って一人ひとりに配ることも、 現場ではあると思います。そういうところでの間違いは結構あるはずなので、そういう視 点もどこかでと。原則的にはこれですが、その次の段階というか、何かあってもいいので はないかと思います。 ○猪又委員 いろいろな状況があると思いますが、原則として、保管している所から取り 出して、何人かに持って行ってというのがリスクの原因ですので、そういうことはしない という考え方で。当院ですと、保管してある与薬車そのものがタイヤが付いていて、病室 まで持って行けるので、そこでこの手順で確認をして、終わって、次の患者の準備をして という形でやっています。かつてはそういうものではない場合にはやっていたことも、私 も記憶にありますが、いまはリスクを考えるとそのような方法は取らないのが原則と考え ますので、そういう意味では、ガイドラインにそれを載せてはいけないのではないかと考 えます。 ○西澤委員 いろいろなケースがあると思います。最近はこれを看護師ではなくて薬剤師 がやっている場合もあります。それは病院によってさまざまなので、いろいろなケースを 考えていただいたほうがいいと思います。  以前に福井委員が言っていた問題なのですが、こういう新人の研修をやるときに患者を 1人しか持たないという話で、「えっ、医師は複数持ちますよ」ということがあるように、 現場で教育のときに1人受け持ちでやっていて、新人から一人前の看護師になって、複数 患者を持ったときに応用できないということで、かなり混乱している例もあります。複数 を持っているという視点を入れていただきたいと思います。 ○熊谷委員 前からずっと議論になっていますが、新人を育てていくのに、段階的に受け 持つ数が増えていくことをどのようにやっていくかが、これとは別にガイドラインにきち んと出ていく必要があると思って伺っていました。  これは、あくまでも1つの技術のチェックリストと捉えていただいて、どのように新人 が育って、仕事の枠が広がっていくのかという辺りは、先ほどから先生方から出ているよ うなところは盛り込んでいかないと、多重の課題をどうやってやっていくかというのは、 すごく大事なポイントだと思いました。 ○石垣座長 いまご説明がありましたが、経口薬の与薬という技術に対して、安全に、確 実に、その人に与薬をするためにはこのようなことが大事だということです。もちろんこ れは成長に従って省くところもあるかもしれませんが、基本的には確認が必要だというこ とを盛り込んでいくので、中身についてはもう少し検討する余地があるかもしれませんが、 それも含めて、一度お持ち帰りいただいて、ご意見を事務局に出していただきたいと思い ます。 ○北村委員 この指導例を読ませていただいて、大変よくできているので素晴らしいと思 いました。技術教育というのは、ミラーの三角というのが教育学的にあります。最初に知 識を教え、次に実際に見せ、シミュレータでやらせ、次にきちんとやります。その段取り 通りに形が納まっているのです。  2つ気がついたことは、いま言った原理原則を、この具体例の前に「技術教育とは」と いうことで、きちんと書いて、それを現場にやったらこのようになるということを言って いただいたほうがいいと思います。実例だけを見て、最初におっしゃったように、ほかの 技能にも適応できると言われても、原理原則を知っていたほうが、ほかの技能を自分で作 る上ではいいと思います。  もう1つは、できない場合です。例えばシミュレータできちんとできない場合は、原則 は1つ前に戻ります。シミュレータをもう1回やるのでなくて、これで言えば、シミュレ ーションができなかった場合は、実際の現場をもう1回見学します。そして、このステッ プごとにきちんと評価をするのも原則です。点滴静脈だけは、シミュレーションのあとに 「実技評価を行う」と書いてあって、これは素晴らしいのですが、ほかはシミュレーショ ンを行うだけで、そこの評価です。庄野委員が、「ここで実地指導者がいいと思ったら次へ いきます」とおっしゃっていましたが、そのいいなというところについて、チェックリス トがせっかくあるので、複数の人がチェックするなり、そこできちんとした仕掛けを作っ ていただいて、チェックリストを使うのはいちばん最後もいいのですが、シミュレーショ ンのあとの辺りでやっていただくのがありがたいと思います。  医学のほうでは、このような研修の間に学ぶ技能がある程度固まってきたら、いろいろ な会社あるいは共用試験実施機構というのもあるのですが、技術のビデオがたくさん出て います。もし可能ならば、このガイドラインはビデオ付きのガイドラインをお作りいただ くほうがいいと思います。技能を言葉で説明するのは極めて難しいので、これが標準的な ものの1例であるとか、こうでなければならないというのは無理ですから、1例のような ビデオを作って、それを広めることで全体的な技能は上がっていくのではないかと思いま す。 ○石垣座長 貴重な意見をありがとうございました。 ○羽生田委員 技術指導の具体例がいくつか書いてありますが、これはもっと多くのもの を具体例として上げていくことになるのですか。 ○石垣座長 いまのところはそのようには考えていません。限りがなく、選択をするのが とても難しいのです。先ほど言ったような理由で、与薬と療養上の世話の1つを取り上げ たのですが、その前にいま北村委員がおっしゃったようなことで、技術指導は基本的なと ころを押さえた上で、具体例を示していくと。考え方としては「到達目標」と「期間」と いうこの考え方で進めていく、その1つの例を示したいと思いました。 ○羽生田委員 どこまでの技術を具体例として上げるかはあとの問題としても、いま北村 委員が言われたように、いまはビデオなりDVDでかなりの見学ができます。病棟であまり やられていないような技術でもDVDなりになっていますので、その辺は上手に作っていく べきだと思います。 ○海辺委員 北村委員のご意見を伺って、共感して申し上げたくなったのですが、原理原 則をきちんとということと、できなかった場合は1つ前に戻るとか、ステップごとに評価 するという形は、是非お願いしたいと思いました。それから、いろいろ見ていると、この 文書を頭の中で連想しながらやっていたら、いろいろな教育ビデオが世の中にあるので、 教える方が少ない中では、ビデオで何度も見られるというのは非常にいいと思いました。  ここは本当にかっちりと、わりと高い感じで作っていただきたいと感じました。という のが、先ほどいろいろ伺っていて、現場の現状がすごく大変であるのがよくわかるのです が、患者側からすると危ないようなところは嫌だというのが本音です。そうすると、どん どんやっているところ、マグネットホスピタルと呼ばれているようなところに、職員の方 も患者も吸い寄せられていくとすると、それでもそこにしか行かれない患者が集中するよ うなところは、どんどん疲弊すると思いました。うちの病院はこういうことをきっちりと やっていますということをしているところでないと、患者も行きたがらないのは事実とし てあるので、努力目標としてかっちりしたものは作っていただきたいと思いました。 ○石垣座長 議論は尽きないのですが、本日はこれで終了します。活発なご議論をありが とうございました。次回以降の日程を事務局からお願いします。 ○島田課長補佐 次回は10月26日(月)の17時から、厚生労働省内5階の第7会議室で 開催の予定となっております。正式なご案内は別途させていただきます。 ○石垣座長 本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。 照会先:厚生労働省看護課 島田(4167)杉田(2595)