09/09/09 第4回麻しん対策推進会議議事録             第4回麻しん対策推進会議                                 日時:平成21年9月9日(水)10:00〜12:00             場所:厚生労働省専用第21会議室 ○梅澤課長補佐 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、これより 第4回「麻しん対策推進会議」を開催いたします。本日は御多用のところ、御出席い ただきまして、誠にありがとうございます。  最初に、出席者の御紹介をさせていただきます。  まず、委員の方々より御紹介いたします。  飯沼雅朗様。社団法人日本医師会常任理事でございます。  衛藤隆様。東京大学大学院教育学研究科教授でございます。  岡部信彦様。国立感染症研究所感染症情報センター長でございます。  荊尾玲子様。島根県奥出雲町立三沢小学校教頭でございます。  加藤達夫様。国立成育医療センター総長でございます。  蒲生真実様。こっこくらぶ編集長でございます。  金城綾乃様。Kiroro(ビクターミュージックアーツ)のお一人でございます。  玉城千春様。Kiroro(ビクターミュージックアーツ)のお一人でございます。  佐藤秀一郎様。武田薬品株式会社医薬営業本部グループマネージャーでございます。  佐藤恭信様。江戸川区保健所長でございます。  竹田誠様。国立感染症研究所ウイルス第三部長でございます。  寺島光一郎様。北海道乙部町長でございます。  畑秀二様。SSPE青空の会副会長でございます。  福田仁史様。財団法人阪大微生物病研究会東京事務所長でございます。  前田秀雄様。東京都福祉保健局感染症危機管理担当部長でございます。  森谷一夫様。東京都公立高等学校PTA連合会顧問でございます。  今回、佐藤秀一郎委員におかれましては今井委員の後任といたしまして、また、竹 田委員におかれましては田代委員の後任として、新たに本会議の委員に御着任いただ いたところでございます。  本日、衛藤委員、荊尾委員、金城委員、玉城委員、寺島委員の5名が御欠席をされ ております。  なお、西口委員に関しましては昨年度末に退官されたため、現在、後任の方の委員 委嘱手続中でございます。  続きまして、今回、各地方自治体の取り組みを御紹介していただくために、参考人 として御参加いただいている先生を御紹介させていただきます。  山形県村山保健所の山口所長でございます。  川崎医科大学小児科準教授の寺田先生でございます。  千葉県松戸市医師会の岡会長でございます。  大阪府富田林市医師会感染症対策委員会の藤岡委員長でございます。  また、国立感染症研究所から麻しんの発生状況、麻しんの検査体制について御報告 をいただくため、参考人として感染症情報センターより島田先生、ウイルス第三部よ り駒瀬先生に御出席をいただいております。  また、今回、SSPE青空の会の畑委員を通じまして、家族会の方々が傍聴に来ら れておりますことを御報告いたします。  それでは、開会に当たりまして、上田健康局長よりごあいさつを申し上げるところ でございますが、本日、別の会議と重なっておりますため、誠に申し訳ございません が、欠席をさせていただいております。  局長に代わりまして、福島結核感染症課長よりごあいさつをさせていただきます。 ○福島結核感染症課長 おはようございます。結核感染症課長の福島でございます。 委員の先生方、あるいは参考人の先生方には大変お忙しいところ、本会議に御参加い ただきまして誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。  本日の会議でございますが、今、事務局から申し上げましたように、本来は局長が 御出席をするべきところ、ごあいさつを申し上げるべきところでございますけれども、 事務局の不手際もございまして、新型インフルエンザの予防接種に関する意見交換会 とちょうど同じ時間に重なってしまいまして、委員の先生方の中にもいろいろ御迷惑 をおかけして申し訳ないと思っておりますけれども、何せ時間がないということで、 今、重複して開催をしているところでございます。  麻しん対策につきましては、国の施策の基本となります「麻しんに関する特定感染 症予防指針」、これは平成19年12月に策定したものでございますけれども、この予 防指針に従いまして、平成24年度までに国内からの麻しんの排除を目標といたしま して、さまざまな施策を展開しておるところでございますが、この施策の評価、ある いは見直しに係る御提言をいただくということで、この麻しん対策推進会議を昨年2 月から発足させたわけでございます。  麻しん対策の根幹ともいうべき予防接種でございますけれども、特に昨年の流行を 踏まえまして、若年層への流行防止のために導入されました第3期・第4期の接種に つきましては、麻しん排除を達成するための要件になるところの予防接種率95%の達 成が危ぶまれる状況になっておるところでございます。  この95%の達成に向けて御協力いただけるよう、国民の皆様にいろいろとお願いを してきたところでございますけれども、各自治体におきましても、この対策につきま して御尽力をいただいているところでございます。しかし、現状を見ますと、なお一 層の努力が必要であると考えているところでございます。  麻しん対策の確実な推進のためには、施策の実施状況を把握し、その成果を評価、 分析し、そして、必要に応じてその施策を修正していくことが必要でございますけれ ども、これによりまして、この状況の改善が期待できると考えております。  また、今日の会議でございますけれども、各自治体の取り組みについても御紹介を いただくということにしておりまして、この会議を通じてそういう経験を共有してい ただくことは今後の取り組みに非常に参考になると考えているところでございます。  つきましては、我が国の麻しん排除に向け、現在の接種状況等を踏まえた活発な御 議論をいただきますことをお願い申し上げまして、開催に当たりましての事務局から のごあいさつとさせていただきたいと思います。  本日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。 ○梅澤課長補佐 それでは、この後の議事進行につきましては加藤座長にお願いした いと存じます。加藤座長、よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 おはようございます。ただいまより本日の議事を進めさせていただきま す。  まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○梅澤課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。  資料1「麻しん対策推進会議名簿」でございます。  資料2「麻しんの発生状況」でございます。  資料3「都道府県別麻しん風しんワクチン接種率2008年度集計結果 接種対象群 別結果一覧」でございます。  資料4「2008年度 都道府県における麻疹対策取り組み状況評価 第2回チェック リスト集計結果」でございます。  資料5「地方衛生研究所における検査体制」でございます。  資料6「2008年度における各自治体の麻しん対策取り組み事例」でございます。  資料7「平成20年度MR4期接種率向上に向けた山形県の取り組み」でございま す。  資料8「倉敷市および岡山県におけるMRワクチン接種率向上への取り組み」でご ざいます。  資料9「MRワクチン接種率向上への取り組み(松戸市医師会)」でございます。  資料10「大阪府富田林市における麻しんワクチン接種率向上への取り組み」でござ います。  資料11「麻しん風しんの第3期・第4期予防接種の促進について(都道府県衛生主 管部局長宛、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長宛)」でございます。  資料12−1「麻しん風しんの第3期・第4期予防接種の促進について(依頼)」で ございます。  資料12−2「平成21年度健康教育行担当者連絡協議会開催要項」でございます。  資料13「麻しん施設別発生状況(最終報 全施設別合計:2009年)」でございま す。  資料14−1「成人感染が問題となりつつある小児感染症への対応に関する研究(平 成21年度厚生労働科学研究費補助金 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究 事業)」でございます。  資料14−2「麻疹・風疹(MR)混合ワクチンの接種率効果・安全性・接種率に関 する研究(平成18年〜平成20年度厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研 究事業)」でございます。  以上、資料が多数ございますが、お手元にございますでしょうか。過不足がござい ましたら、事務局までお知らせいただきたいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  それでは、先ほど課長の方から御報告がございましたけれども、本日の麻しん対策 推進会議は平成19年12月28日に公布されました「麻しんに関する特定感染症予防 指針」に基づきまして、平成24年までに麻しんを排除し、かつその後も排除状態を 維持することを目標といたしまして、国、県、市区町村が実施している各種の施策に つきまして、その進捗状況を確認いたしまして、有効に機能しているか否か等の評価 を行い、今後の施策に反映させることを目的といたしております。  本日は報告がたくさんございます。まず、関係各方面の報告をまとめて行っていた だきまして、それを踏まえまして、委員の皆様には現在の対策の進捗状況について御 確認をいただいた上、すべての報告が終了後、議題7において意見をお伺いするとい うことになっております。余りたくさんの時間はございませんけれども、活発な御議 論をよろしくお願い申し上げます。  それでは、最初の議題となっております平成20年及び平成21年の麻しんの発生状 況に関しまして、麻しん対策技術支援チームより国立感染症研究所感染症情報センタ ーの島田先生から御説明をいただきます。 ○島田参考人 よろしくお願いいたします。 (PP)  早速ですが、最初に1982年から約20年間の麻しんの患者の報告数の推移から申し 上げます。これは小児科定点が全国で約3,000あるんですけれども、小児科定点から の報告数を基にしたものです。このグラフは1982年から開始されていますが、この 4年前、1978年から予防接種法に基づいて麻しんは定期予防接種となりました。  1982年から2005年までの年間の推移が示されていますが、約5年ごとに大きな流 行がありますが、全体としては麻しんの報告数は減少傾向にありました。 (PP)  成人麻しんは感染症法の改定に基づいて、1999年の14週から発生動向調査の対象 になっております。成人麻しんの報告機関である基幹定点の医療機関は、小児科と内 科を有し、病床が300床以上ある病院となっています。全国に約500あります。この ように小児科定点と基幹定点は数も質も少し違うので同率には比較はできないんで すけれども、この表では便宜的に一緒に示しております。  1999年から2007年までの報告数の推移をお示ししていますが、左の軸で赤で示し ているものが小児科定点からの報告、右の軸で青で示しているものが成人麻しんの報 告です。ごらんになれますように、2001年には大きな流行があり、この年は麻しん輸 出国と外国からも称された年です。  それ以降、2002年には第1期の定期接種の中でも、定期接種を1歳になったらすぐ に受けましょうという呼びかけを強化しております。  その後は減少傾向になり、特に2005年、2006年には小児科定点からの報告が年間 約500。あと、成人の報告は2005年では年間9例、2006年には39例というふうに非 常に減少していたのですが、2007年には、記憶に新しいところですが、高校や大学を 中心にまた大流行になりまして、ワクチンの不足や検査キットの不足などもあり、社 会問題になった年です。  また、この年の特徴としては、これまで小児が流行の中心だったものが、10代から 20代前半の若者に多く発生したものが特徴的でした。 (PP)  この年代の変化は、小児科定点を受診した患者さんの間でも見て取れまして、これ は1982年から2007年までの患者報告数の中の年代別の割合の推移を表しております。 ごらんになれますように、1歳から4歳までの小児たち、乳幼児が主だった患者さん が、だんだんと割合が変化してきまして、2007年では10代以上の年代が約半分を占 めるようになっております。 (PP)  同様に、基幹定点から報告される成人麻しんの報告の中でも同じような年齢の傾向 があります。10代から大体20代の患者さんが主に報告されております。  ただ、先ほど述べましたように、これは定点からの報告ですので、実際の患者数や 患者さんのワクチン歴などの詳細な情報が取れなく、もっと発生状況として正確に把 握する状況があるというような課題も浮き彫りになりました。 (PP)  そういうことと、あと、先ほどもお話にありましたように、2012年に麻しん排除を 国として目指すという方針から、2008年から麻しんは全数報告になったわけですが、 これが昨年の全数報告の結果です。全体で1万1,007例の報告がありました。また、 春から夏にかけて大きな流行があった状況でした。 (PP)  また、肺炎などの合併例も数十例報告されていましたけれども、その中でも重篤な 脳炎を合併した者は全体で9例の報告がありました。この表でわかるように、すべて 10代以上の患者さんです。中には高次脳機能障害といった恒久的な、重篤な後遺症を 残された患者さんもいらっしゃいました。 (PP)  これは、今年の第1週から第35週までの報告です。昨年と違いまして、患者さん は大分減っております。これまでに全体で594例報告されております。  また、29週に30例の報告があったんですけれども、それを除けば大体10から20 前後の報告が続いております。 (PP)  これが昨年のグラフとスケールを同じくして比較したものです。患者さんは約20 分の1に減りました。 (PP)  都道府県別に100万人単位で発生状況を見たグラフです。これは昨年のこの時期ま での報告ですけれども、全国を平均しますと100万人当たり84人の報告がある状態 でした。  WHOの麻しん排除の基準には、100万人当たり1未満の発生というものがありま して、それには少し遠く及ばない状況であったことがわかります。 (PP)  これが今年の状況です。昨年、流行のあった北海道とか福岡県、熊本県などは大分 減少している状況ですけれども、関東圏の千葉県、神奈川県は昨年と同じように多い 状態が続いております。 (PP)  これが今年の状況を都道府県別病型別に表したものです。円グラフに示されており ますけれども、検査診断は今年は合わせて約60%の検査診断となっています。これは 昨年は32%だったので、検査診断例が相対的に多くなっているという状況です。  ただ、今年のような状況ですと、臨床症状のみではなかなか麻しんの診断が確実に は下せない症例も多くなると思われまして、今後はIgMやPCRなどでの検査診断 が重要になってくるような状態です。  後で駒瀬先生からもお話があると思いますが、現在、全国の衛研でPCR検査がで きる体制が整っております。麻しんを疑った臨床医の方々には是非、積極的にPCR 検査なども考慮していただきたいと思っております。 (PP)  今年の年齢別接種歴別麻しん累積報告数です。 (PP)  先に昨年のものをお示ししますと、昨年はこのように10代を中心にした患者さん と、ゼロ歳、1歳を中心にした患者さんが主でした。  また、接種歴なしの患者さんが約50%を占めるような状態でした。 (PP)  今年は10代にあった山がなくなりまして、患者さんは1歳とゼロ歳が中心となっ ております。また、接種歴なしの患者さんは約23%に減少しました。 (PP)  まとめです。  日本の麻しん発生状況は、定期予防接種が導入されて以後は、減少傾向にありまし た。  以前は乳幼児を中心とする流行でしたが、2007年は10代後半から20代を中心とす る年代で、大きな流行を認めております。  2008年には年間で、1万1,007例が報告されましたが、今年は594例と大幅に減少 しています。  年齢別報告数を昨年と比較すると、今年は10代を中心にした年代の割合が激減し ました。  また、今年のような発生状況では、繰り返しになりますが、臨床症状のみから麻し んと診断することはしばしば困難です。是非、今後は保健所、衛研の協力の下、検査 診断で全例を確実に診断することが望まれる状況です。  以上です。ありがとうございました。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、2番目の議題でございます予防接種率調査等に関しまして、まず平成 20年度麻しん風しん第1期から第4期の予防接種等全国調査結果について事務局か らお願いします。 ○大坪課長補佐 そうしましたら、資料3をごらんください。平成21年6月26日付 で全国の都道府県に対しまして、平成20年度の麻しん風しん予防接種第1期から第 4期対象者に関する調査依頼を行っております。  最初のページ、第1期につきましては、下段の「全国」というところを見ていただ きますと、全国平均94.3%というふうになっております。  次をおめくりいただきまして、自治体ごとの接種率を地図の方でお示ししてござい ます。一番高いところが三重県の98.5%、低いところが秋田県の88.2%で、ちなみに この第1期につきましては、分母を平成20年10月1日現在の1歳児の人口としてお ります。  続きまして、おめくりいただきますと、第1期におきまして未接種者数の自治体別 の数になります。こちらは先ほど島田参考人の方から、関東圏での2トップは千葉県 と神奈川県という御指摘がございましたけれども、第1期の未接種者数の数で言いま すと、神奈川県、大阪府、東京都と都市圏に多いというような傾向にございます。  4ページで、第2期の結果になります。第2期につきましては、全国平均が91.8% となっております。  5ページに、同様に地図でお示ししてございます。低いところが沖縄県の88.1%、 高いところが秋田県の97.3%という結果になってございます。  こちらも6ページに未接種者数の都道府県別の順位が示されておりますが、やはり 都市圏で多いということになっております。  続きまして、第3期をお示しいたしますと、全国平均が85.1%です。  8ページで、同様に地図でお示ししてございます。一番低いところが福岡県の 75.7%、高いところが福井県の95.5%という結果になっております。  この第3期に関しましては、前回の第3回の麻しん対策推進会議のときに12月末 時点でのデータを御披露したところだと思うんですが、そのときは第3期は66.1%で したので、この年度末にかけてかなりの上昇が見られております。  9ページで、同様に未接種者数を都道府県別にお示ししてございます。都市圏で多 い傾向にございます。  最後に第4期になります。第4期の全国平均は77.3%でございます。  こちらは11ページの地図でお示ししますと、東京都の60.7%から山形県の91.9% となっております。やはり同様に、第3回の麻しん対策推進会議の席で昨年12月時 点での数字は58.1%でございましたので、こちらもかなりの接種率の向上が見られて いるというふうに考えております。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  引き続きまして、平成20年度都道府県におけます自治体の麻しん対策の取り組み 状況の評価につきまして事務局より御説明願います。 ○大坪課長補佐 資料4をごらんくださいませ。こちらは平成21年6月26日付で全 国の接種率を調査いたしました際に、幾つかの質問項目を同時にアンケート調査とい うふうにして同封してございます。  その内容の中から、まず「1.昨年度、都道府県レベルの『麻しん対策の会議』、 あるいは同会議に準ずる組織の会議を開催しましたか」という問いに対しまして、全 く行っていない県が2都道府県ございます。平均回数は1.7回でございました。 (PP)  3ページをおめくりいただきまして、予防接種台帳が電子化されているかどうかと いうことに関しましては、1,800強の市町村に対しまして298の市町村ではまだ紙媒 体で対応されているようでございます。  一方で、すべての市町村が電子化されているという都道府県も6都道府県ございま した。 (PP)  その次ですけれども、予防接種台帳が電子化されているところを細かくお示しして ございます。 (PP)  5ページをおめくりください。次は接種費用のことを調査させていただきました。  麻しん第1期から第4期まで全額公費と回答した都道府県が40か所でございまし た。残りの7県に関しましては、一部の自治体で被接種者の負担としているところが あるようでございます。 (PP)  その内容としまして、7つの都道府県を下に抜き出してございます。  今回の調査のやり方ですと、実際、個人負担が幾らかということまでは把握しかね るものなんですけれども、おおよそ、その自治体の中で、例えば北海道の砂川市は850 円の自己負担をいただいている。一番下の熊本県の水俣市では1,500円の御負担をい ただいている。それ以外のところは限度額を設定しているようでございまして、それ を超えた分は自己負担としているという実態がわかりました。 (PP)  続きまして、疑い症例に関しましての検査体制、先ほども検査診断の体制というお 話がございましたけれども、その構築状況でございます。  検体の搬送から検査の実施まで体制が整備されていると回答いただいたところが 34件になりました。 (PP)  その下に、積極的疫学調査について質問をさせていただきました。  感染症法第15条に基づいて、都道府県知事は患者や関係者に対して必要な調査を させることができるとされておりまして、積極的疫学調査ガイドラインが感染症情報 センターの方からもお示しされているところだと思いますが、実際に行った都道府県 は47分の45で、そのうち5類であること、性別と年齢のみの記載ということになり ますので、それが支障であるかという問いに対しては、支障がなかったとお答えにな った都道府県が6割という結果でございました。 (PP)  続きまして、保健所において積極的疫学調査がなされた事例について具体的にお示 ししております。  ここで一部、修正がございます。「『あった』保健所における平均事例数」といい ますものは、これは282の保健所におきまして事例が4,819でございますので、平均 は17.1事例ということで、ここは間違いございません。  その下の「『あった』における『実施した』割合」で、282の保健所で行われて、 それ分の281というところは削除していただけたらと思います。  その下の事例というところでは、実際に事例として4,819件あるわけなんですが、 そのうち積極的疫学調査の対象となった事例は2,823件ということで、およそ半分以 上になりますので、これは2回に1回、積極的疫学調査をやっていることになります ので、もしかしますと、ここに書いてございますように「症例」という概念と「outbreak」 という集団発生という概念が混在している自治体があるかもしれませんので、ここは 少し再確認といいますか、整理が必要かというふうに考えております。 (PP)  続きまして「5.第3期と第4期で『集団の場』を用いた接種を行った市区町村の 数(割合)」になります。  第3期におきましては24.2%、第4期におきましては9.4%の市区町村で「集団の 場」を用いた接種を行ったと回答されています。  都道府県のアンケート調査の結果は以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  引き続きまして、地方衛生研究所での検査体制につきまして、麻しん対策技術支援 チームより国立感染症研究所ウイルス第三部の駒瀬先生より御説明いただきます。 ○駒瀬参考人 国立感染症研究所ウイルス第三部の駒瀬です。 (PP)  麻しん排除がされたことに関しては、結局、実際にされたということと、ワクチン 接種率が非常に高く維持されているということ。それから、実際に麻しんがあるかど うかを確実にサーベイランスできるシステムがないといけないというふうに考えら れています。つまり、適切なサーベイランスの下で、常在性のウイルスによる麻しん 症例が12か月間以上ないということが、今のところ、WHOのPRO領域での一つ の麻しん排除の定義となっております。 (PP)  それで、適切なサーベイランス体制というものはどういったことをいうのかといい ますと、1つはここにある全数報告制です。勿論、これは実験室診断に基づいた全数 報告制です。  そして、その実験室診断がどこで行われるかといいますと、WHOに認定された組 織による実験室診断が行われているということです。今、これはNational Control LaboratoryとWHOの方では呼んでいるんですが、私たち感染研が当たっております。 私たち自身も2年に1度ほどWHOから査察を受けておりますし、現在も技術テスト というものをやっております。  それから、診断法に関しては麻しんIgM抗体測定による診断というものをWHO は推薦しております。 (PP)  こういった体制の下で、これはWPROの方の数値目標みたいなものなんですけれ ども、大体こういった数字で、例えば国家全体のレポートで麻しん疑い例の報告が10 万人に2人とか、届出後に48時間以内に適切な情報が集まったとかといった数値目 標も一応定められております。  これに関して、つまり日本でもワクチネーションを上げて発生数を少なくしたとい うことを証明できる体制は整っているということを準備しなければいけないという ことになります。 (PP)  日本に関して現状を御紹介しますと、先ほど島田先生もおっしゃられたように、臨 床診断が多いということ。約40%です。  もう一つは、この検査診断がどこで行われているかといいますと、病院が契約して いる検査センター、俗に言うコマーシャルラボで行われています。これは今のところ、 私たちNational Control Laboratoryは一切、その精度管理とかクオリティーコントロー ルとかはしておりません。  方法的には、検査方法は抗体検査、IgM値の測定、あるいはときどきIgGだっ たり、HIだったりするんですけれども、抗体検査で行われています。これは現状で はWHOの方法にミートしていることになります。 (PP)  ただ、このIgM ELISA法なんですが、IgMの値をはかるんですけれども、 例えば幾つかの問題があります。発熱から発疹出現直後では麻しんIgM抗体が十分 に上昇していないことがあります。 (PP)  これは麻しん感染後の免疫のスキームを表したものなんですが、ここが発疹が出て くる、rashが出てくるときなんですが、その辺りではまだIgMが十分に上がってお りません。日本では大体、この発疹の3日前ほどから熱が出てくるんですが、この発 熱から発疹の間ぐらいの患者さんが一番多いはずなんですけれども、その時期ではま だ十分にIgMは上がっていなくて、十分に検出できないケースがある。  それに対して、このウイルスの一番出ている時期はこの時期なので、そういうこと を少し覚えておいていただきたいと思います。つまり、IgMではときどき十分な検 出力がない可能性があるということです。 (PP)  もう一つは、このIgMなんですが、パルボウイルスとかヒトヘルペスウイルス等 の、これはリンゴ病、伝染性紅斑、それから、これは突発の原因ウイルスなんですけ れども、非常に麻しんと紛らわしい発疹性疾患による抗体も、この麻しんのIgMに クロスすることがあるということが知られています。それでしばしば陽性になったり、 擬陽性になったりして、現場を混乱させております。  それから、もう一つは、今、WHOの方で錠剤のウイルスによる感染がないことを 言えと言っていますが、つまり、そのためにはウイルスの同定をしなければ、どんな 種類のウイルスがはやっているかを調べなければいけないんですが、血清ではウイル スの遺伝子型を調べるには余り向いていないという問題があります。  こういった問題がある上に、もう一つは、最後のあれはIgMそのものではなくて 検査センターの問題なんですが、結果が出るまでにはしばしば時間がかかることがあ って、麻しんの場合、見つけたらすぐ対応ということが非常に重要なんですが、それ にミートしないこともあるということがあるので、こういったことを補うようなシス テムをつくる必要があるということで、地衛研の検査システムを考えております。 (PP)  その中のキーコンセプトなんですけれども、正確で、迅速で、しかもウイルスの同 定ができるような方法がいいだろうということで、RT−PCR法、あるいは遺伝子 定量法による診断をメインとしているということにしております。  それから、National Control Laboratoryによる精度管理ができなければ、これはWH Oに認めてもらえませんので、共通の診断方法を決めました。それで、試験精度が管 理できるようなレファレンスRNA、ウイルスと似たような遺伝子を配って、これが 必ず出るというシステムをつくるということを依頼しております。  もう一つ大事なものは、地衛研のうちの10か所に麻しん・風しんレファレンスセ ンターをお願いしまして、それぞれのブロックの地衛研のお世話をしていただくとい うふうに決めました。  それから、先ほど言いましたように、遺伝子診断だけだとWHOの条件に少し合わ ないこともあるということで、IgM ELISA法は、地衛研に来たものはレファ レンスセンターに集めてすべてやってもらうというシステムにしております。 (PP)  それで、今は病院から検査センターと行くのが主なんですが、ここに77か所あり ます地衛研のうちの10か所をレファレンスセンターとしまして、感染研からとして は方法の指示、技術指導、参照品、精度管理を行うというふうにしました。それから、 勿論、レファレンスセンターもブロックの地衛研のお世話をしてもらう。いろいろ技 術指導等もお願いしております。  ここでやってもらうことは、RT−PCRとSequence、遺伝子配列の決定です。こ ちらは、それにIgMをやってもらうように役づけを決めております。それで、その 中で検体を吸い上げていこう。保健所に集まったものを地衛研に集める。そのうちの 検体(血清)だけはレファレンスセンターに集める。そのうち、検体の5〜10%は感 染研で再チェックして、精度管理を兼ねながらやっていくという体制をつくっており ます。それで、その結果をWHOなり厚労省なりに報告するというふうに考えており ます。 (PP)  これは実際のフローチャートなんですが、方法論的に、今、検出法として2つ用意 してあるんですけれども、感度のいいH遺伝子を最初にすべての地方衛生研究所でや っていただいて、その後、ポジティブだった場合はウイルスの同定ができるN遺伝子 の解析をしてもらうというように決めております。血液だった場合、レファレンスセ ンターの方に血漿を送ってIgMを測定してもらうというシステムで、今、こういう システムが整いつつあります。 (PP)  それで、これが大体行き渡った時点で、今年1月15日に厚生労働省からはこのよ うな通知を出していただいております。 (PP)  現在の問題点なんですが、システムは一応できておるんですけれども、先ほどから 言いましたように、40%程度がまだ臨床診断だといって、どうも聞きますと、余り必 要ではないと考える先生はまだ多数いるということを聞いております。  もう一つは、保健所を中心とした検体輸送体制で、これは現実的になかなか、今、 地方衛生研究所に回ってこないんだという話を聞いておりますので、ここが少し大変 だとは聞いております。  地方衛生研究所のキャパシティー、あるいは感染研のキャパシティーというものは、 地衛研辺りに聞きますと、ウイルスの担当者が1人か2人しかいないということもよ く聞きますので、例えば今のインフルエンザのノロウイルスとかというものが来ると どうしても大変だ。そのときのバックアップのためにレファレンスセンターを感染研 は考えておりますが、そこら辺りのキャパシティーの問題はあるということです。  それから、今、なかなか遺伝子情報が感染研の方へすうっと上がってこないという ところも一つの問題だと思っていますけれども、ここら辺りはまた地衛研と集まって 協議してうまくやっていきたいと考えております。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  続きまして、第3番目の議題でございます自治体の麻しん対策の状況に関しまして、 昨年度、この会議で御披露いただいた自治体の取り組みについての総括を事務局から お願いいたします。 ○大坪課長補佐 資料6になります。昨年、第2回、第3回の麻しん対策推進会議に おきまして、接種率の高い自治体とか伸び悩んでいらっしゃる自治体から、その対策 とか問題点とかにつきまして御披露いただいたところです。本日、また新たに取り組 みについて御紹介をいただく前に、前回までにお話しいただきました内容を簡単に1 枚の紙にまとめてございます。  これまでに6自治体から御紹介をいただいたわけですけれども、そこからわかって くることは、市区町村の実情はそれぞれ非常に異なっておりますので、可能な、実情 に合わせた工夫をそれぞれされていて、それが功を奏したところが伸びていたという ことが今までの報告からわかってまいりました。  ここの表の中で1点、注意事項としましては「接種方法」の中に「個別」と「集団」 というふうにございますが、予防接種は先生方御存じのように、個別接種が原則でご ざいます。その中で個別通知とか広報に力を入れて促しても、最後の最後に接種率が 上がらないときに集団の場を設けるといったような対策を取ったところなどを御披 露いただいたかと思います。  またユニークなところでは、横浜市のように毎年住民の出入りが激しくて接種台帳 がうまく稼働できていないといったお話の中で、1歳から高校3年生相当まで全額公 費としたといったようなお話があったかと思います。この辺りはなかなか接種率とし ては数字に反映されてこないかもしれませんが、広くお子さん方に免疫を付与すると いう対策の中では一つのキーポイントかなとも思いましたので、一応、紙としてまと めさせていただきました。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  続きまして、各自治体の取り組みにつきまして、本会といたしましては関係機関と の取り組みの促進における見本といたしまして、まず山形県の状況を村山保健所の山 口所長より、続いて倉敷市の状況を川崎医科大学の寺田先生に御説明をいただき、更 に麻しん対策を推進するための議題について、より具体的に議論をしていただくため に、松戸市医師会の取り組みといたしまして医師会長の岡先生、富田林市医師会の取 り組みといたしまして、藤岡先生に御説明をいただきたいと存じます。  それでは、山口所長、よろしくお願いいたします。 ○山口参考人 資料7をごらんいただきたいと思います。山形県の第4期に限った取 り組み状況を御紹介申し上げます。  接種対象者は1万2,601名で、うち県立高校・私立高校の内訳はこのぐらいですが、 全日制に限りますと、県立高校が46校、私立高校が15校でございます。  1番で、1年にわたる長いレースに見立てますと、理論的にはトップグループを走 りまして、年が明けてからラストスパートで勝負を決めたという展開でございました。  県内には35市町村ございますけれども、内訳を見てみますと、出足は決して足並 みがそろったわけではございません。上半期で勝負を決めたところもあれば、スロー スターターもあったというところでございますが、終わったところを見ますと割合格 差が縮まりまして、95%以上の目標は13自治体で達成しているという結果でござい ました。ちなみに、最初の出足の悪かったところは、この13の自治体に入っており ます。  2番から4番と、これが役所の方の対応となりますけれども、第4期の特徴という ものは学校と市町村のつながりがラインとしてないというところです。ここが大きな 違いなんですが、県が高校に直接向き合って、市町村は向き合っていないという構造 になっております。  県が学校にどう向き合っているかというのが3番で、非常にクールな対応をしまし て、学校における麻しん対策ガイドラインにのっとった紙ベースでの情報のやりとり 以上のことは特にしなかったということでございます。  2番に戻りまして、県の保健部門の対応で、麻しん対策会議は8月8日と2月18 日の2回行いました。この日付が結構ポイントだと思います。  それから、委員構成でございますけれども、ごらんのとおりですが、すべて実務担 当レベルの代表者ということです。私は保健所長会の代表として入りまして、一応、 委員長を務めさせていただきました。  協議事項は型どおりでございますが、事務局についてはここにありませんけれども、 県の保健部門、赤ちゃん部門、教育関係、衛生研究所、それから、保健所ということ で、あとは自治体から2自治体の代表者。一番大きな市と、町村の中の一番大きいと ころから来ていただきました。養護教諭は、小学校、中学校、高校の代表者及び特別 支援学校の代表者ということで、4名の方に入っていただきました。医師会は県医師 会の副会長さん、これは小児科の先生でした。それから、小児科医会の代表者に入っ ていただいたということでございます。  それで、8月8日というタイミングですけれども、これは6月末の状況がわかって、 その成績を基にこれが開かれたということでございますし、第2回目は12月末の接 種状況を土台に行ったというタイミングでございます。  6月末、9月末、12月末の調査結果は、括弧にありますようなタイミングで市町村 にフィードバックしたということでございます。  「4 市町村の対応・経験(一部市町村の格別な取り組み)」ですけれども、すぐ 前に御紹介がありましたような取り組みにつきましては、各市町村、基本的なところ は押さえていただいたと思っております。  それから、高等学校との連携はやはりほとんどなかったということでございます。  広域化制度というものが山形県は結構進んでいるんですけれども、この利用者もわ ずかであった。ただし、一部では非常に歓迎されたということでございました。  それから、市町村として意外だという御意見でしたが、予診票をなくしてしまった という照会が結構あったということで、これにヒントを得て、最後の接種勧奨文書に これを同封したという市町村がございました。これは非常に気のきいた態度だという ふうに感心したところでございます。  2ページで「5 高等学校の対応・経験」で、結論から言いますと、この養護教諭 の先生方がキーパーソンとなったというふうに考えていただいたよろしいかと思い ます。  たくさん書いてございますけれども、非常に積極的に取り組んでいただきまして、 文科省から来ました学校のガイドラインに従ったことはすべてきちんとやっていた だいているということです。その調査結果に基づいて、何度も学内で情報提供を繰り 返したということでございますので、高校3年生で自分が接種の対象になっているこ とを認識していないという子どもは潜りというような状況ができたということです。  それから、進学・就職等に際しまして、先方から麻しんに対する罹患状況、抗体の 接種状況、ワクチンの接種状況についての確認があるということを第1回の麻しん対 策会議で私の方から紹介いたしました。その情報があまねく行き渡りまして、高校に おいては、特に進学校においては、非常に先生方は神経質に対応していただきまして、 4つ目のポツにありますように、三者面談の席で担任の先生が直接勧奨してくださる というようなことがあったということをうたっております。  それで、年明けからは個別面談という、いわゆる一本釣りに入って、聞いてみます と、やはり知らない子はいなくて、理由はやはり面倒だ、それから、注射が嫌だとい うことだったそうです。これをいろいろ話していくうちに意外と素直に納得してくれ たということで、学校の方からも市町村の方からもいろいろ勧奨が行っているんです。 両方から行ったところが本人、それから、保護者の両面に届いて、これがきいたので はないかというような意見を伺っておりました。  「6 その他の動き」といたしましては、各方面でいろいろなことが陰ながら動い ていただいたというふうに伺っています。  医師会の先生方というものは、表に立って引っ張っていたという存在では当県では ありませんでしたが、いろいろ私どもの方から接種状況の四半期ごとにお知らせいた しますと、それを基に、自分のところは出遅れているというふうに判断された医師会 の先生方がいろんな各方面に圧力をかけていただいた。第4期に関しましては、余り 市町村が表に立ちませんでしたので、保健所がプッシュの主役だったという状況では ございませんでした。  それから、波紋といいますか、2年生のときに海外修学旅行をする学校がこれだけ ございます。それに関して学校の校長先生方が非常に悩まれたというのは、この麻し ん対策会議でも話題になりました。結論としましては、ほとんどの学校で自費で接種 したという情報が入っております。これを今年の第4期の対象としてどう扱うかとい う、これを事務的に整理するのは非常に大変なことだということで、現場では悩んで おります。  「エピローグ」として地元の下馬評を書かせていただきましたけれども、御紹介申 し上げましたように、特別なことは何もしておりません。これといったインセンティ ブは一切ありません。各持ち場の方々がそれなりにきちんと努力をしていただいた結 果、こういう形になったというふうに結論付けてよろしいかと思っております。  これはどうしてかといいますと、皆さん口をそろえて、それは県民性でしょう。そ ういう人が住んでいるところなんですよというふうにおっしゃいます。保健所長とし てはパラダイスでございます。  以上です。 ○加藤座長 山口先生、どうもありがとうございました。  続きまして、寺田先生、お願いします。 ○寺田参考人 倉敷市は麻しん及び風しんをなくすためにはどうしたらよいかとい うことで、平成13年に小児科医会の中でWGをつくりまして、2点「1)接種率を 約95%以上にするには?」ということと「2)接種率を一過性ではなく、高く維持す るには?」ということで「動機付けや接種を促すシステムが必要」と考えたわけです。 (PP)  その結果、どんなシステムがいいだろうかということでいろいろ考えていたんです が、平成11年度の岡山県内の小学校の統計で、寄生虫虫卵検査陽性者における治療 率が95.5%と非常に高いことに気づきました。  その理由は、検査陽性者は治療証明書を提出することになっております。それを利 用して接種証明書を求めたらどうかというふうに気づいたわけです。 (PP)  倉敷市での取り組みですが「入学後の調査、勧奨、接種証明書」というものを、小 児科専門医会と連合医師会と教育委員会とが一緒になりまして、平成14年から5年 間行っております。  幼稚園、小学校、中学校の入学後に、麻しんと風しんの既往歴と接種歴のアンケー トを実施しまして、感受性者に対し接種証明書の提出を要求いたしました。接種証明 書は無料といたしました。 (PP)  2006年4月までは、生後12か月から90か月まで、7歳半まで無料でしたのでOK なんですが、中学校入学後は定期接種ではないので任意接種になってしまうんですが、 勧奨しようということでできるようになりました。  それで、1歳のお誕生日にはMRワクチンのキャンペーンということで、このシー ルをおつくりいたしました。 (PP)  その結果ですが、少し見にくいんですけれども、はしかは接種率が結構高かったの で、幼稚園と小学校は無料ということで接種率が4%なり3%なり上がりましたが、 中学校は任意接種ですのでほとんど上がりませんでした。 (PP)  一方、風しんなんですが、幼稚園、小学校、中学校は任意接種になるんですが、接 種率が悪かったということが一番大きなポイントだと思うんですけれども、11〜17% というふうに接種率が随分上がったということがわかりました。 (PP)  もう一つの点は不明率で、母子手帳を見ていただいて不明かどうかというのを、接 種歴や既往歴を書いていただくんですが、その点、どんどん不明率が減りまして、母 子手帳の利用がスムーズにいくようになったということであります。これは風しんで も同じであります。 (PP)  平成18年度からMRワクチンの接種の方法が変わりました。1歳と小学校に上が る前の1年間ということで、幼稚園と中学校、それから、1歳はできないことになり ました。 (PP)  幼稚園と中学校の接種証明書が任意接種になってしまうということで、できないと いうことで、やむを得ず中止というようなことになりました。  その代わりに、小学校の就学時健診の接種歴を厳重にチェックしようではないか。 したというだけではなくて、接種年月日を記載していただくようにしました。  それから、就学時健診時だけではなくて体験入学時にも2回接種をしていない保護 者に接種証明書を出すというふうにしました。 (PP)  接種証明書が右なんですけれども、1回目は就学時健診時にすべての保護者に配布 しますが、2回目が体験入学時で、未接種の保護者にのみ配布します。ここがポイン トだと思っております。全員ではなくて、あなたは未接種です、ほかの人と違います ということをするのが特徴だと思います。  もう一つは、接種証明書は無料だということと、接種医療機関だけの判こで済ます というふうにしております。 (PP)  その結果、どういうふうになったかといいますと、岡山市と倉敷市は、人口は多少 違うんですが、余り変わらないんですけれども、接種率に13%も差が出ました。  それから、全国の出生数5,000名以上の市町村の中で、倉敷市が第3位ということ になりました。 (PP)  その結果、平成20年度から変更になりまして、岡山県の小児科医会と県の医師会 が全県で倉敷方式で実施するようにというふうに提言いたしまして、県と教育委員会 の協力の下で、全県で行われるようになりました。  また、第2期だけではなく第3期・第4期の対象者にも接種証明書を送付して回収 するということになりました。  結果、第2期が前年度は39位だったんですが、今年は13位になりました。ところ が、第3期・第4期というのは全員に配布しているということで、接種していない人 に2回目を配っているということはしておりませんので、余り成績はよくありません でした。 (PP)  まとめですが、結構です。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、岡先生、お願いいたします。 ○岡参考人 それでは、松戸市の取り組みを発表させていただきます。 (PP)  平成18年度から2期接種が始まったときに、これはやはり、今、発表にありまし たように、就学時健診で徹底した方がいいでしょうということです。 (PP)  これは田辺製薬のポスターなんですけれども、これをいっぱいくれということで 200枚ぐらいもらいまして、就学時健診の場所に張っていただくことにしました。毎 年もらっているので、言わなくても9月になるとたくさん持ってきてくれるようにな りまして、これでお母さんたちに教えるということです。 (PP)  これが就学時健診に来る子たちに接種歴とか罹患歴を聞くものがありまして、麻し んは一番下なんです。ですから、これを一番上に上げろということで、ここを徹底的 にチェックしてくれということを行っております。 (PP)  余り松戸市は芳しくありませんでしたので、平成20年度は市内の小学校の44校中 24校で、本当は校長先生がお話しした方がいいのではないですかと言ったのですが、 やはり校医さんがやってくださいということで、内科検診に携わる先生が少し時間を 空けてやるということで24校。残りは保健福祉課が20校ということで、全校で就学 時健診で保護者に説明いたしました。 (PP)  一応、平成18年度は千葉県で下から5位で、19年度は21位ということで、今回、 20年度は94.3%というふうに上がりました。  ただ、今年もそういうことをやってくださいと教育委員会から来ましたので、それ では文書で出せと言ったら、自分たちの仕事ではないから文書は出さないということ になってしまいました。  また、打っていない子に徹底的に勧奨してほしいということを言ったんですけれど も、就学児童はまだ学校に入っていないので学校の管理下ではありませんというよう な言い方をする関係者がおりまして、ここが山形県と少し違うかなと思っております。 (PP)  次は、中学校1年生と高校3年生の接種に関してです。 (PP)  これは多分、余りうまくいかないだろうと初めから思っていましたので、予診票に 学校名を記載させることにしましたのと、第3期と第4期に関しては接種証明書を出 しまして、1枚は本人用、1枚は担任の先生に渡しなさいということで、担任が毎日、 この子は打っていないというのをわかるようにわざとしました。 (PP)  就学時健診も近かったので、市長さんに松戸市は余りよくないという手紙を書きま したら、次の日にすぐ教育委員会が飛んできましたけれども、それでは頑張るという ので飛んできたのかと思ったら、そうではなくて、市長に直訴するなということで怒 られまして、システムがあるんだから、そのとおりにやれということで、ここでボタ ンをかけ違ったせいか、あとはことごとくマイナスになってしまいました。 (PP)  千葉市で夜間部の生徒に往診接種をすることができるということがありましたの で、松戸市でもできるのかということでやりました。 (PP)  そうしましたところ、一応、教育委員会もそのニュースは新聞で知っておりました ので、医師会の責任でやるのならどうぞということで始まりました。 (PP)  市内の高校は1月に入りますとお休みで、ほとんど学校に出てこないということで 断念いたしまして、一応、市内の全中学校20校でなるべく校医さんが行く。校医さ んが予防接種の契約をしていない場合には、ポリオの協力医ということで全部を選び ました。 (PP)  これは養護教員に渡したものなんですけれども、MRワクチンは5度C以下でもっ て保存しなければいけないので、学校に持っていって、また持って帰ってくるのは大 変なので、なるべく不適を減らそうということで、ここに黄色く書いてあるようなこ とを養護の先生がチェックしてくださいと言ったら、医療をやらせるのかという反発 を受けたんですけれども、何とかやってくれということでお願いしました。 (PP)  一応、全部が出そろったところですし、あと、校医は個別に対応しまして、20名の 接種医の協力準備ができましたところです。 (PP)  それで一応、持っていって、すぐとんとんできるように出動協力医には、学校の先 生は生徒の誘導だけしかしませんから、皆さん全部看護婦さんを連れていって、自分 で全部やってくださいということをお願いしました。 (PP)  それで、万が一、ひっくり返ったりなどされたら困りますので、酸素は持っていけ ませんので、マウスツーマウス用の紙を、キュービック何とかというものを全員に渡 しまして、それから、間違えてはいけないから学校の地図を、ここに入ってください という地図も学校にくれと言ったらだめだと言われて、池田小学校以来のことかもし れないんですけれども、これはインターネットで取れるものですからだめだと言う必 要もないと思うんですが、一応、これを全員に配布いたしました。 (PP)  これが、ガイドラインにも書いてあるように、万が一の事故があったとき用に消防 署に連絡しなさいということで、この学校ではこの日にやりますということを消防署 に連絡いたしました。 (PP)  わざと養護教員に関与させようと思って、出してはあるんですけれども、もう一回 出しなさい。それから、礼儀でしょうから、終わったら「終わりました、ありがとう ございます」というファックスを、ここに日付と名前だけ書いて送れるようにわざと 出したんですけれども、消防署の方にはそのファックスを全部取っておいてねという ふうにお願いしたんですが、1通もありませんでした。 (PP)  このファックスを送りましたら、途端にそんなことはやらないぞというファックス が教育委員会に届いたという事例もあります。 (PP)  一応、教育委員会との折衝に全身全霊を傾けておりましたので、医師会員への説明 が少しおろそかになりましたので、医師会の方から反対の意見が出ました。 (PP)  民主党の小沢さんみたいな方が言い出しましたので少し影響があったのでござい ますけれども、個別接種なのに何で学校でやるんだとか、緊急時の設備がないところ でやってはだめでしょうとかということがありましたが、大分進んでいるということ を説明しまして、今年だけだということで許可を得ました。 (PP)  一応、接種に行きましたところ、中学校で延べ574名、接種率にして約15.8%向上 できました。  一応、この公立中学校に行っている生徒の中では90.6%。あと、私立に行っている 方たちに関しては特別なことをしませんでしたけれども、大体94%ということで、合 計して松戸市のMR第3期の接種は91.2%というふうになりました。 (PP)  これが各学校別で、最高は100%が1校、最低が75%で、一応、排除という95%を 超えた学校が5校ありますけれども、これは接種に行かなければ88%ぐらいどまりで すから、一応、効果はあったかなというふうに思っております。 (PP)  これは千葉県のおもだった市の例でございまして、ちょうど、そこの鎌ヶ谷市の第 3期が90.0%。この鎌ヶ谷市は初めから中学校1年生は全部学校で打つということで やりましたけれども、この程度で、一応、松戸市はそれより超えたぞと言って威張っ ているところでございます。 (PP)  私も行ってきたんですけれども、養護教諭もかなり協力はしてくださいました。そ して、全校生徒の接種歴を全部ちゃんとパソコンに入れてありまして、全部把握をし ておりましたので、あと一息、あなた打っていらっしゃいと一言言ってくれればいい と思うんですけれども、それで行って聞きましたら、部活に熱心な子どもたちですよ、 だから行けないんですよ。そんなものは1日行けばいいのではないかと思っています。  最大の理由は、50代ぐらいの学校関係者のころは麻しんの予防接種がなかったので、 自分もかかったけれども大したことはないねというのが頭にあるのではないかとい うのが最大のネックではないかと思っております。 (PP)  一応、大体、このくらい打って、最高で打った方は73名ぐらいの子を一遍に打っ てくださいました。 (PP)  はっきり言われますと、学校の仕事ではないということで、予防注射がどんどん個 別接種になってきまして、平成15年からBCGもなくなってしまいましたので、学 校関係者は予防注射は自分たちの仕事ではないという感覚がかなり強く出てきたの ではないかと思っております。 (PP)  一番接種率がいいのは、各学校の競争に持ち込むのが一番いいので、95%に達した 学校は公表して、表彰状を送ったらいいのではないかということです。  それから、共通一次試験の願書で、これは試験場で麻しんがはやってしまうと困り ますので、MRワクチンの接種済証明書を共通一次試験の願書提出時に求めれば、出 さない人は受けさせないとかそういうことではないんですけれども、そういうふうに やれば大分啓蒙にはなるのではないかと思っております。  ありがとうございました。 ○加藤座長 岡先生、どうもありがとうございました。  引き続きまして、藤岡先生、お願いいたします。 ○藤岡参考人 大阪府富田林市の藤岡でございます。配付資料がうまくスライドのフ ァイルが届いていなかったようで、途中で切れておりますので、本日は前のスライド をしっかりと見ていただきまして、よろしくお願いいたします。  「大阪府富田林市における麻しんワクチン接種率向上への取り組み」を報告いたし ます。 (PP)  富田林市は大阪府の南東部にある、人口12万人、年間出生数は約1,000の自治体で す。 (PP)  昨年度の接種率ですが、大阪府はすべての期で全国最低レベルです。富田林市は全 国では大した数字ではありません。しかし、大阪府内においてはすべての期において 比較的高い接種率を達成しています。 (PP)  累積接種率のグラフです。  第2期は1年を通じて同じような傾きで上昇し、3月末で95.4%でした。  第3期は5月までに80%近くまで急速に上昇し、その後は少しずつ増えて、94.6% でした。  第4期は第2期と同じようなカーブを示し、84.1%でした。 (PP)  「接種率向上への取り組み」です。  記録の電算化、未接種者の把握、個別勧奨は多くの自治体で取り組まれているもの と同じですが、他の自治体で余り実施していないものとしては、第3期・第4期の学 校での集団接種、第2期の文具券の配布、それから、すべての期についての行政措置 接種、いわゆる救済措置です。 (PP)  まず、公立中学校における集団接種を報告します。 (PP)  第3期・第4期の対象者である中高生は疾病の罹患率が低い年代で、いわゆる「か かりつけ医」がほとんどいません。したがって、医療機関での個別接種にこだわる必 要性はないと考えます。  また、中高生の生活の場は主に学校等ですから、学校等で接種することは理にかな っています。  国も「接種を受けやすい環境整備」に配慮しています。すなわち、集団接種の安全 基準を明示し、保護者の同伴要件も緩和してくれています。 (PP)  これは「学校における麻しん対策ガイドライン」ですが、マル印のように、6月ま でに重点的に接種を受けるよう勧めています。 (PP)  そこで、富田林市と医師会は公立中学校での集団接種を早期に実施するべきと考え て、教育委員会に協力を求め、このような学校長あての依頼文を送りました。集団接 種に積極的でない先生方にも理解や協力を求める内容になっています。配布とか指導 とか引率ということを学校で必ずしていただくようにしました。非常に良好な関係で す。 (PP)  3月中旬に全校に配布される市の広報には、公立中学校での集団接種の告知がなさ れています。右の下です。  当然ですが、一日も早く受けたい方、あるいはかかりつけ医で受けたい方には、委 託医療機関での接種ができることも当然書かれております。 (PP)  昨年度の8つの公立中学校での集団接種の実績です。接種日は5月中旬までに設定 しています。  昨年度の公立中学校1年生は1,202名でした。その85%が学校での接種を希望しま した。  それで、集団接種で実際に接種できたのは希望者の95%でした。これは公立中学校 1年生の81%に当たります。  私立中学校や支援学校に通う生徒も合わせたすべての対象者を分母にすると、約 70%が集団接種で済ませたことになります。 (PP)  月ごとの接種者数です。緑色が集団接種、黄色が個別接種です。  左の一斉勧奨は広報紙での告知ですので、費用はかかりません。それから、6月末 時点での未接種者にははがきによる個別通知を行いました。はがきによる通知はこの 1回だけですが、6月までに80%程度は接種を済ませておりましたので、20%の対象 者だけに郵送することで済みました。1月からは担当者が電話で個別勧奨を行ってい ます。 (PP)  学校での早期の集団接種の結果、5月末までに80%近くまで接種率を急速に上げる ことができました。本年度も同様の方法で実施し、7月末までに90%近い接種率を達 成しています。 (PP)  次は、府立高校での集団接種です。 (PP)  昨年11月中旬に学区内の府立高校における接種率を問い合わせたところ、9月末 までの接種率は高校によって20〜60%ほど大きな開きがありました。ここはオフレコ でお願いしたいんですが、いわゆる偏差値の順番にきちんと並んでおります。  養護の先生方も、生徒への啓発や保護者への通知などに積極的に取り組んでおられ ましたが、医療機関に行くまでにはつながらず、また生徒に通知を手渡しても保護者 まで届いていなかったということもあり、努力の割には効果が上がっていないようで した。  富田林市内の府立高校は赤で示す3校ですが、府立高校なので富田林市市外からの 通学生も多く、主としては学校での集団接種に協力できないということでした。そこ で医師会で何とかしようということになりました。  校医に集団接種の必要性を説明し、養護教諭や校長に働きかけ、保護者への説明書 を用意し、消防署、病院への依頼も行い、すべての手はずを医師会で行いました。 (PP)  また、富田林市医師会と予防接種委託契約を結んでいる7つの市には委託契約の書 類を送りましたが、残念ながら4つの市とは契約を結べませんでした。その地区の医 師会の担当理事には前もってお話をしていたのですが、結果的には医師会の了解が得 られなかったようです。 (PP)  12月中旬に学校での集団接種を実施しました。契約を結べなかった4つの市から通 学する生徒が黄色なんですけれども、できませんでしたので、本来なら10〜25%の接 種率が上げられる予定でしたが、6〜18%程度にとどまりました。  このことから、高校などで集団接種を効果的に実施するためには、少なくとも大阪 府内ではどこでも接種を受けられるという県レベルでの予防接種体制の広域化が必 要ということを再度痛感いたしました。 (PP)  累積接種率のカーブでも、集団接種の影響はほとんどありませんでした。  平成21年度は新型インフルエンザの影響か、昨年度よりも低い状況です。  ちなみに、大阪府医師会ではこの4月に府内の第3期・第4期の接種率の向上を目 指して、小児科医、学校医、内科医、自治体、教育委員会などが麻しん対策推進検討 委員会を立ち上げました。私も効果的な接種体制実現への大きなステップになると考 えて小児科医会の代表として参画しましたが、小児科医会が切望した第4期の府内広 域化を医師会としては受け入れてもらえず、私としては失望いたしましたことも皆様 にお伝えします。  昨年度12月にやったときに、各校の校長や養護教員からは、できれば今年は7月、 8月の間に是非ともやってほしいというふうに依頼を受けたんですけれども、残念な がら実施することができなかったということです。 (PP)  続いて、早期接種者への文具券配布という御褒美の制度を説明いたします。 (PP)  これは今年度に開始したんですが、富田林市医師会独自の試行的な取り組みです。 6月までに接種されたお子さんに対して、医師会の予算で500円の文具券を配布する というものです。  文具券にした理由は、換金性が低く、子どものために使ってもらいたいという考え からです。  また、500円とした根拠ですが、5%の対象者の接種に要する費用、100マイナス 95で5%ですが、その人の費用を勧奨に充てようと考えました。すなわち、1,000人 で約1,000万円の接種費用で、その5%として50万円。これを1,000人で分けて、1 人500円の褒賞というふうに考えました。最初は富田林市に出してもらおうと考えま したが、行政が行うと、なぜMR第2期だけなのかという議論から始めなければなら ず、医師会独自で行うこととしました。  目的は早期接種のさらなる促進ですが、あくまでも自発的に早く接種したお子さん へのお礼という位置づけです。予防接種の第一の御褒美は病気にかからない、軽く済 むという個人予防に尽きるのですが、病気自体が減ってきた現在ではその恩恵が実感 できにくくなっています。そうなると、接種しない人への罰則の方が強調されていま す。一番の罰則は、ワクチンで予防できる病気にかかってしまい危険な目に遭うとい うことですが、実際的には定期の期間を過ぎたらお金がかかるとか、米国のように学 校に入学できないということです。私たちとしては、受けなかったらこんなことにな るとおどすより、早く受けたらこんなにいいことがあるという方がストレスがかかり ません。  また、第2期を対象に実施したのは、パイロット事業という意味合いもあるんです が、第3期・第4期は母子健康手帳の提示義務がなく、接種歴が十分確認できません。 こういった褒賞のために何度も受けようということがあるとは言い切れないために、 今回は第3期・第4期では実施しませんでした。 (PP)  これは接種後に読んでいただくお手紙です。  基本的には予防接種における集団免疫の意義、すなわち予防接種を受けることは自 分のためだけではなく、周りの人のためになること。そして、医師会がお礼をするほ どの行為であることを市民の方に御理解いただく機会にしたいという医師会の強い 意志でもあります。  文具券でつってやろうというげすな考えではございません。また、ポスターなどで の広報活動は一切行わず、保護者同士の口コミの力を信じようと考えました。 (PP)  結果的に、6月までに昨年度より32.4ポイント上昇しました。  6月末までの未接種者数が昨年より400名減り、個別通知などにかかる労力も少な くなり、行政の担当者からは喜ばれております。 (PP)  最後は未接種者への行政措置接種、すなわち救済措置です。 (PP)  少し古いデータですが、平成19年度の第2期の未接種者です。大阪府は全国ワー スト1で、1万7,000人が2回目接種を受けておりません。 (PP)  府内では大阪市が断然トップで、7,500人の未接種者が残りました。 (PP)  さて、国の定めた「麻しんに関する特定感染症予防指針」の目標には、麻しんの排 除の達成と維持がうたわれています。 (PP)  WHOの定義でも、すべての地域、すべての年齢集団において、2回接種で95%以 上と定められていると思います。 (PP)  すなわち「未接種者を放置すれば麻しん排除は達成できない」ということです。接 種率が95%を超えるまでは、その年齢集団に接種を勧奨し続けねばならないというこ とです。例えば95点を取るまでは追試を続ける、卒業させないということです。  大阪府では幾つかの市町村が行政措置接種を行っています。青いところですが、ご く一部にすぎません。 (PP)  富田林市では、接種漏れの一番の要因は勧奨が不十分であったからであると自らの 責任を一番に認め、感受性者を一人でも減らし、地域での流行を防ぐために、執行さ れなかった予算を翌年以降に執行するという観点で、全額公費での行政措置を実施し ています。  対象期間は、第1期では7歳未満までということにしておりますので、幼稚園入園 時に未接種なら公費でできますし、第2期の接種時に第1期をまだ受けていないこと がわかったら、それからでも2回接種することができます。  富田林市など一部の市町村が頑張っても、大阪府の接種率は95%になりません。同 様に、大阪府や東京都などの都市部が95%にならなければ、幾ら他の県が頑張っても 国として95%の達成は不可能です。  すなわち未接種者対策は国の責務でありますから、是非、定期接種としての位置づ けが必要であると思います。  幸いなことに「麻しんに関する特定感染症予防指針」の下、平成21年度の麻しん 対策推進会議からは、平成20年度のMR接種率の集計結果などに従い、施策の見直 しについて提言を行うと先ほど福島課長が言われたようになっております。本日は是 非、未接種者対策について協議していただき、施策の見直しについて提言が行われる ものと期待しております。 (PP)  急いで行きましたが「まとめにかえて」で、一番言いたいのは5.です。麻しん排 除には未接種者対策が必要です。2回接種の必要な国民すべてが定期接種として受け られる制度を国の責務で構築する。すなわち定期の期間を延長するという予防接種法 施行令の改正を強く要望いたしまして、大阪府富田林市の報告とさせていただきます。 ○加藤座長 藤岡先生、どうもありがとうございました。  各立場の方々から御意見を伺いました。どうもありがとうございました。後ほどデ ィスカッションを行いたいと存じます。  続きまして、第4番目の議題でございます学校における取り組みに関しまして、厚 労省から文科省に対して通知をいたしました。それから、文科省からの報告、そして、 麻しん施設別発生状況、すなわち学校欠席者数等につきまして事務局からお願いいた します。 ○梅澤課長補佐 資料11をお開きください。これは私ども厚生労働省結核感染症課 長から各都道府県の自治体あてに出した通知でございます。  これは7月15日付で出させていただいております。といいますのも、この文書の 中段辺りに書かせていただいております「当該対象者においては」以降でございます が、7月下旬から夏休みに入るということになりますものですから、こういった夏休 み期間中に時間的猶予があるということを踏まえまして、こういった時期を利用して、 いまだに接種を受けていない者について接種が完了するようにということで、このタ イミングに通知を出させていただいたということでございます。  また、市町村に対しまして「麻しん対策の会議」への協力の推進といったものの周 知徹底、また、都道府県・市町村の取り組みというものが推進されますように「記」 の下のところに書いてございますけれども、各自治体におけます接種の取り組み状況 の事例につきまして、ホームページのアドレスを掲載させていただくことによります 周知というものをさせていただいたところでございます。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、文部科学省から高山専門官、お願いします。 ○高山専門官 文部科学省学校健康教育課の高山でございます。7月15日付で厚生 労働省結核感染症課長から文部科学省学校健康教育課長あてで依頼の通知が届きま して、それを受けまして、7月16日に文部科学省学校健康教育課長から各都道府県 教育委員会などに対して、麻しん風しんの予防接種の促進について通知を発出させて いただきました。  内容としては、資料12−1になります。地域の保健部局と連携をしていただいた上 で、第3期・第4期の予防接種の未接種者・未罹患者の状況を把握していただいて、 特に夏季休暇を前にした接種の勧奨を行っていただくということを、この通知を通じ て要請したところでございます。  そして、これは以前、昨年度から発出している通知にもあるんですけれども、都道 府県の麻しん対策会議などで学校ごとの予防接種の接種状況の確認調査が実施され る場合には、学校でもその協力をお願いしますということを今回の通知でも記載した ところでございます。  続きまして、これは文部科学省からの報告でございますが、資料12−2になります。  これは今年6月に都道府県の教育委員会、そして、指定都市の教育委員会の学校保 健及び学校給食、学校安全を担当している担当者の連絡協議会を開催いたしました。 これは毎年開催しているものでございますが、今年度におきましては特に新型インフ ルエンザの発生等で感染症対策に関する関心が高まっている状況がございましたの で、私が新型インフルエンザに関する対策についてお話しさせていただく時間があっ たんですけれども、その時間の中で、はしかの対策についても特に重要であるという ことでお話しさせていただいたところです。  資料12−2の2ページ目の、これはスケジュールになりますけれども、6月2日の (11)です。15時以降というところにありますが、真ん中の辺りで、文字が小さくて申し 訳ありませんが、私の方からはしか対策と新型インフルエンザ対策についてお話しさ せていただいたところです。  そして、3ページ目以降に、そのときに私が説明させていただいたスライドを印刷 して掲載させていただきました。この内容につきましては、今年2月に開催いたしま した第3回麻しん対策推進会議で国立感染症研究所の先生方が資料を提供してくだ さった、その内容をまとめ、そして、抜粋させていただいたものを、この6月の協議 会で発表させていただいたところです。  これは昨年4月から12月までの接種率、そして5ページ以降に「麻しん対策で効 果的だったポイント」として、接種率が非常に高かった自治体のポイントをまとめた ところです。第3期・第4期でそれぞれ、どのようなことを行った自治体では接種率 が高かったかということを説明させていただきました。  そして、接種率が上がらなかった自治体のポイントについても説明させていただき ました。6ページ目の上のスライドの赤字のところですけれども、学校と保健衛生部 局との連携が不足または困難であった事例については接種率がなかなか上がってい ないということを申し上げさせていただきました。  結論としては、これは国立感染症研究所の先生方の資料の中の結論をそのまま持っ てきたんですけれども、実情に併せてさまざまな工夫をして、関係部局とよく連携し ていただくことが大事であるということをお話しさせていただきました。  そして、資料の7ページ目で、これは私の方からお話しさせていただいたところな んですが、平成14年にスポーツ・青少年局長の通知で、学校保健法という法律の中 の一部改正の通知ではあったんですが、就学時の健康診断について、この通知で注意 をさせていただいたところなんですけれども、その内容としては、就学時の健診のと きに予防接種をちゃんと受けたかどうかをチェックしてください。それで、予防接種 を受けていない者があれば勧奨してください。予防接種を受けるよう指導してくださ いということを、この通知で依頼しているところです。  それを受けまして、このはしかについても、第2期については就学時健診で受けて いないことがわかれば受けるよう指導するということを、今年2月の通知で改めて求 めているところです。  対策のまとめとしては、各自治体の保健衛生部局との連携がポイントである。  保健衛生部局からも、学校からも、未接種者に対して勧奨を行うと非常に効果的で あるということ。  そして、未接種者の把握に協力してくださいということも求めました。  就学時健診については、先ほど述べたことを説明させていただいたところです。  文部科学省からの報告については以上でございます。 ○加藤座長 高山専門官、どうもありがとうございました。  次に、資料14−1をごらんください。これは私が厚労科研費を、国費をいただいて 研究いたしておりますので、この場を借りまして簡単に御説明させていただきます。  既に国で行っておりますので、先ほど来、御発表がありますが、先駆けて私どもの 研究班でやった結果でございます。  この図に描いてございますとおり、接種率が、上が第3期、下が第4期でございま すが、無作為に全国の市区町村1,948か所からのアンケート調査でございます。1,750 の回答数で、第3期が85.3%、第4期が同じように行いまして78.2%という成績にな っておりまして、今、出てまいりました国の成績とほぼ同じという感触を得てござい ます。  私どもの研究の結果を発表させていただきました。  続きまして、麻しんに関しまして国際的な種々の報告があると伝え聞いております が、もしよろしければ、その点を岡部委員から御意見をお伺いいたしたいと存じます。 ○岡部委員 麻しんの対策に関してはWHOが音頭を取っているところが多いんで すけれども、特にここでは西太平洋地域、Western Pacific Regional Officeというところ がやっています。  それで、6月30日から7月2日にTAGミーティングというものをやりまして、 その中で、はしかだけではなくてポリオとかDPT、それから、B型肝炎といったよ うなものに対する状況の説明がありました。  先ほど日本の状況ということが、ここ数年来、非常に注目を浴びていたところなん ですけれども、日本の取り組みに関しては非常に好意的に物事がシステミックに進ん でいて、国の音頭だけではなくて、地域あるいは医師会とか学校、いろいろなところ の取り組みで、減っているということは評価されています。  先ほどの情報センターからの発表の中にも、昨年度、人口100万人当たり83.8まで に落ちてきたという話がありましたけれども、この数字はどのぐらいかといいますと、 西太平洋地域の中でカンボジアの120、中国の98.4に次いで3番目の83.8でありまし て、平均的な数字なんですけれども、平均値では真ん中ですが、この3か国がほとん どを占めているので、下の10前後の国を一気に押し上げているというような状況で あります。つまり、ラオス、ベトナム、モンゴル、パプアニューギニアをはるかに上 回った高い数字が、この83.8ということです。ただし、今年現在のところは6.4ぐら いなので、カンボジア、マレーシア、ベトナムよりはよくなって、オーストラリア、 フィリピン、シンガポールと同じぐらいというのが、この西太平洋地域の現状です。  それから、今後の方針に関してもいろいろ討議があったんですけれども、先ほど駒 瀬先生の方からも発表がありましたが、はしかのエリミネーションというものの指標 になる数字、あるいはその方法については、これが日本に適しているかどうかという ようなことにも議論がありました。例えば検査方法についてはIgMということが、 一応、WHOの方針になっているんですけれども、日本側からはやはりPCR検査な ども入れてほしいというようなことがありました。  加えて、今回ははしかでありますけれども、現在、WHOで一つの問題事項といい ますか、検討事項になっているものが、風しんのエリミネーションをこの中に入れる かどうかということがありました。風しんのエリミネーションに関しては、日本は割 にいい線を行っているところで、現在、先天性風しん症候群の報告もゼロというよう なことが続いています。  しかし、これをアジア地域の国レベル全部に風しんの診断を求めることができるか どうかということは慎重にやらなくてはいけないところで、我が国にとっては、この 風しんのエリミネーションも一つの目標に入るというのは非常にいいことなんです けれども、全体の地域から見ると、これについてはなかなか難しいところがある。そ んなようなことが、この間の6月に議論されていました。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  いろいろな御意見を承りました。もうしばらく経ちましてからディスカッションに 移ります。  本日、傍聴席にお見えになっていらっしゃるSSPE青空の会の副会長でございま す畑委員からお言葉をいただきたいと存じます。 ○畑委員 SSPE青空の会の畑でございます。  今日は最初に司会の梅澤課長補佐さんから御紹介いただきましたように、私の息子 と、2年前に発症した辻海人君と、その御両親、それから、既に子どもさんを亡くし ておられるお父さんなど、会のメンバーが傍聴に来ております。  なぜ、このような場に病気の子どもまで連れてきたかということですけれども、麻 しんの予防接種率がなかなか目標を達成しそうもない。このままですと、新型インフ ルエンザ対策の陰に隠れて麻しん排除への動きが減速してしまうのではないかとい うような危機感を会として感じていたからなんです。  現在、病気の子どもたちを人の集まるこんな場所に連れてくるというのを、インフ ルエンザの感染のリスクもあって、主治医などからもやめるようにという指摘を受け ましたけれども、それでも連れてきたのは、既にこのSSPEになってしまった子ど もたちを治す方法はないわけです。しかし、将来、同じSSPEになる子どもをなく すことはできるわけです。麻しんが排除できれば全く起きないわけです。欧米のよう に予防接種が徹底して麻しんが排除できた実績はあるわけですから、そういうことか ら見ると、たとえ我々の子どもがインフルエンザにかかって万一のことがあっても、 いずれは亡くなる運命です。それに比べれば、こういう場に来て、悲劇を繰り返さな いことに皆さんに御関心を持っていただけるということで貢献できる方が重要と思 っているからです。  今日伺った平成20年度の結果はまだまだ目標には遠くて、我々としては非常に残 念に思っております。新型インフルエンザも深刻な被害をもたらすということで、そ の対策は一番の課題だと思いますけれども、新種のウイルスに対応する困難さに比べ ると、従来からある麻しんのウイルスに対応するというのはそれほど難しいことでは ないのではないかというふうに我々は素人で思います。その排除に向けた予防接種の 重要性が、まだ日本全体で本気で感じられていないのが問題だと思います。  この子どもたちをSSPEにしてしまった直接の犯人というのは、この子どもたち の幼少期に麻しんの予防接種をしてやれなかった我々親だというふうにも後悔して おりますけれども、将来の、これからの子どもたちをSSPEにかからせるのは、麻 しんの媒介者になる中学生や高校生、そういう若い人たち自身であることを知っても らいたい。また、そういう人が犯人になり得るということを知ってもらいたいと思っ ています。  また社会全体として、先ほど岡先生からも紹介がありましたが、子どものころにか かったけれども大したことはなかったというふうに言われた先生がおられたという ことだったんですが、そのような社会全体の認識そのものがこういうSSPEをまた 起こす犯人になって、将来、また発生し続けるというふうに思っております。  是非、社会全体がそのような将来のSSPEの犯人にならないように責任を果たし てもらいたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ただいま、畑委員からの御説明がございましたが、実は畑君がそこにおられますが、 平成8年、私が横浜市の大学病院で初診をいたしました。初めて診察をいたしました。 非常に微々たる症状でございまして、SSPEという病気を知らない場合には見過ご した可能性はございますが、御両親が微々たる変化を察知して受診されたのでござい ます。即日入院いたしまして、翌日には診断がつきましたが、これは診断がつきまし ても治療方法はございませんでした。全く元気なお子さんで、今、そこに寝ていらっ しゃる息子さんがそうでございます。5年ぶりにお会いいたしました。ありがとうご ざいました。  さて、続きまして、質疑に入りたいと存じます。本年度及び今後の取り組みとして の課題等につきまして、委員の皆様から御意見・御質問をいただきたいと存じます。 どうぞ、御意見がある委員の方、御遠慮なく御活発にお願いいたしたいと思います。 ○梅澤課長補佐 座長、申し訳ございません。1点、私の方で資料13の説明が抜け 落ちておりました。 ○加藤座長 どうぞ、素早くやってください。 ○梅澤課長補佐 済みません、資料13でございます。麻しんの施設別発生状況でご ざいます。  休校、学級閉鎖といったものは今回はゼロということで御報告させていただきます。 また、施設別の休校サーベイランスにつきましては9月から再開させていただく予定 でございます。  失礼いたしました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  どうぞ、今日、各方面からの御発表・御報告がございましたが、いかがでございま しょうか。委員の方、御意見はございますか。  前田先生、どうぞ。 ○前田委員 済みません、2点で、まず地方衛生研究所の検査体制です。  1つは今回、全数になったことに伴って、これまでは本来、定点の場合にはかなり 義務的といいますか、定点から確実に検体が集まるシステムになっておりましたけれ ども、むしろ全数になったことによって非常に義務感が薄れてしまったということで、 やはり検体数が県によっては非常に集まりにくいところがございます。ですので、も う少し行政施策として、ある程度、検体を集めることが必要なんだというところをし ていただかないと、せんだって、こういう1月の通知を出していただきましたけれど も、何となく隔靴掻痒な感じで、なるべくやってくださいのような形ではなくて、極 端に言えば、診断基準の中に検査のことをある程度入れるというようなことをするよ うな形をしていただかないと、これはなかなか進まないのではないかと考えておりま す。  それから、レファレンスセンターのお話がありましたけれども、レファレンスセン ターというものは本当に研究ベースのお話で、行政的にはなかなか他県で検査を実施 していただくことは非常になじまない方法ですので、やはりもう少し行政ベースで、 本当にそういう他県との連携でやるのならやるという形をしていただかないと、非常 に治験の側のレファレンスでやろうという考え方も、それは本当に研究者同士の間の 感じになってしまいますので、もう少し行政ベースでということを思います。  もう一点、やはり第2期が一番肝要ではないかと思うんですけれども、第2期は今 までいろんな御報告を聞いていても、やはり教育委員会との連携が非常に課題になる と思うんですが、これはかつてのように生後90か月までが接種期間という形になっ ていれば、当然、1年生になっても接種の対象ですので、学校に入ってからの対応で は可能になりますので、今回改正になって90か月ではなくなってしまっていますが、 一応、90か月を復活していただければ、当然、学校に入ってから学校保健の中での対 応ができると思いますので、是非、接種期間については過去のように90か月として いただくことがいいのではないかと思っております。 ○加藤座長 御意見ありがとうございました。この件に関して委員の方から何か御意 見はございますか。  ただいま検体の件が出ましたけれども、これは臨床診断ではなく検体検査とすると いうことに関してでございますね。そうしますと、そのことによって少し症例数が減 ってくる可能性があるというふうに判断してよろしいですか。 ○前田委員 症例数は減っていくかもしれませんけれども、結局、さっきの報告の中 にありましたが、保健所がなかなかすべての届け出られたものを地方衛生研究所の方 に搬送するというところが、余り義務感がないというところがあるんです。 ○加藤座長 わかりました。行政上の問題だろうということですね。  1つ座長が少し危惧しておりますのは、先ほど来、御発言がありましたが、臨床診 断だけではなく、今後、どんどん数が減ってきた場合に、やはり検体検査をしていか ないといけないのではないか。その検査する方法・制度ということはまた別として、 実際に検体を採取しなければいけないという問題は生じますが、特に乳児といいます か、1歳以上の方々、またそれ以下の方々で麻しんが発症した場合に、果たしてそれ を現在の体制で診療所の先生方が血液を採取することに積極的になり得るかどうか ということを私個人としては非常に疑念に思ってございます。  確かに、それは駒瀬さんがおっしゃるように、最終的には検体検査をして確定診断 をしない限りはWPROの条件を達成できないことになるのですが、我が国において 診療所に診断の多くを任せている実情において、全体の診療の先生方が採血というこ とを行い得るか。協力し得るか。そのメリットは何か。そこまで教育できるか。そう いうことが今後問題になろうかというふうに座長としては考えますが、この件につい ては大変申し訳ありませんが、日本医師会を代表して飯沼先生に御意見を賜りたいと 思います。 ○飯沼委員 全数ということになりますと、日ごろ子どもさんを診ない診療科とか、 めったにポリオやはしかに会わない先生方から、失礼な話をすると、この採血のテク ニックの問題とか、子どもさんからそういう医療機関で取ることが可能かどうかとい うのは、恐らくそういう経験がないところの先生なり看護師さんたちが採血するとき にかなり抵抗があるような気がするので、全数把握というよりもしっかりしたところ で定点把握の方がというふうな感じはします。 ○加藤座長 岡部委員、それに対して何かございますか。 ○岡部委員 血清診断でもともといいかどうかというのは、先ほどのWPROではそ ういうことを決めているわけですけれども、採血ということも含めてPCR検査法も その中の基準に入れていただくことになれば、血液を採取するという面ではかなり少 なくなるのではないかと思います。  あとは認識の問題なんですけれども、これだけ多くなってきた新型インフルエンザ についてまだまだ全数検査をしなくてはいけないということがありながら、数少なく 丁寧にやらなくてはいけないものについては、たかがはしかだから検査はやらなくて もいいだろうというところがまだまだ認識がうまく整っていないところで、これは私 たちも啓発あるいはその意味を含めて説明していかなくてはいけないところだと思 います。  でも、見た目の診断というものは、はしかではやはり、そのうちできなくなること になるので、これは何らかの方策での検査診断は必須であると思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  駒瀬先生、どうぞ。 ○駒瀬参考人 今の検査診断のことなんですが、確かに血清を取るならば血液なんで すけれども、今のところ、私たちは咽頭ぬぐい液と、あと、尿もある程度できるとい うことで、それでもお願いしておりますので、難しい血液だけではなくて、ほかの方 法で対応できるような周知をお願いしたいと思っております。 ○加藤座長 ありがとうございました。尿でできるということはメリットですから、 寺田先生、どうですか。先生は風しんで尿をやっていますね。はしかでできそうです か。 ○寺田参考人 尿に血液の抗体が漏れ出てきます。それで低いんですが、ELISA でやりますと、風しんのIgGがあるか、ないかというのは、感度が血液よりは少し 悪くなるんですが、検査することができます。この方法を使えばはしかもきっとでき るとは思うんですけれども、従来の血液の抗体、IgGよりは感度は悪くなるのでは ないかと思います。  だけれども、これは既往があったか、ないかだけの話で、現在の病気の人が診断で きるかというと、陰性が陽性になればできますけれども、これは診断には使えないと 思います。 ○加藤座長 駒瀬先生、どうぞ。 ○駒瀬参考人 今、尿、それから、咽頭ぬぐい液と言ったのは抗体検査ではなくて、 要するに、今、つくっているPCRの方のウイルスのゲノム検査の方に用いられると いうことで、こちらだったらそれほど、寺田先生のおっしゃるようなことは問題はな いと思います。 ○加藤座長 どうぞ。 ○山口参考人 山形県の状況ですが、今年度はまだ7例で、私の管内で4例でござい ますけれども、衛生研究所の方と保健所長の方と定期的に会合を持っておりまして、 おっしゃったように、尿と全血、これも検体が欲しいということは1年前から存じて おりまして、そこら辺りを地区の小児科の先生方にも情報を流しておりまして、今年 度に入りましたら、むしろ小児科の先生方から届け出をいただきますと、検体をどう しましょうかという、むしろそういった動きです。  それで、私どもの管内ではすべて検体を確保しております。ですから、数が少なく なれば全然、それほどストレスなくできるのではないかと、私どもの方では思ってお ります。  以上です。 ○加藤座長 佐藤先生、どうぞ。 ○佐藤(恭)委員 保健所の立場からお話しさせていただきます。  保健所では、新型インフルエンザもそうですけれども、こういったPCR検査の検 体の採取ということについては一生懸命取り組んでいるところでございます。  新型インフルエンザについては患者数が非常に多いということで、都道府県の地衛 研だけでは十分対応できない、マンパワー不足とかそういったことがあるのではない か。私どもの保健所では検査室がありまして、PCRのできる機械もありますので、 そういったところも組み込んでいただきますと、もう少しニーズに合った検査ができ るのではないかと思っております。  それから、麻しんについても私どもは医療機関の先生方に検体のお願いはしてござ いますが、やはりまだなかなか出てこないというふうなところでございますので、そ ういった制度化を進めていただくことが非常に重要なことかなと思っております。 ○加藤座長 ありがとうございました。話題を変えます。  今日の御発表の中で、いろいろ医師会の先生方が御努力されている。また、自治体 の方々も御努力されておりますが、学校関係、教育委員会関係の御協力は、得られて いるところと得られていないところがありそうであるというように拝聴いたしまし たが、高山専門官、その辺のところを、先ほど学校に十分通知を出しておるという御 発表でございましたけれども、その結果についてのアウトカムは文科省は握ってござ いますか。 ○高山専門官 どれくらい協力をいただいているのかと申しますか、教育委員会と学 校関係者が協力しているのかということについて、数字として統計で集計はしていな いところではあるんですが、私が本日報告させていただいた連絡協議会など、そうい った担当者が集まる会議などで、都道府県もしくは市町村で麻しん対策会議などが行 われる際には、しっかりと教育関係者も出席していますかということで、その連絡協 議会の場で挙手をしてもらったことがあったんですけれども、そのときにはほとんど の方が手を挙げてくださいました。  勿論、全員の方が連絡協議会に来ているわけではないんですけれども、連絡協議会 に参加している関係者においては、保健衛生部局との対策会議などがあった場合には 出席をして、その対策について議論など相談をしてもらっているということを私の方 では認識しているところです。 ○加藤座長 ありがとうございました。何か、この件についてはいかがでしょうか。  どうぞ。 ○森谷委員 PTAの方の関係から見ていきますと、特に今、データの方で第3期・ 第4期の都市部の接種率が悪いということだったんですが、東京辺りを見まして、よ く議論になるんですが、高校3年生ぐらいになりますと、学校からの通知を生徒を介 してきちっと保護者まで届けられているかというところで、どうも達成率が低いので はないかということがよく議論になるんです。  それで、PTAによってはメールで配信するとか、いろいろダイレクトに通知する という手段を講じているんですけれども、学校のルートにすべて乗せてしまうという のは少し考えとして若干甘いかなという印象はあります。 ○加藤座長 先生の方からPTAとしては、結論的には学校には任せられないという ことでしょうか。 ○森谷委員 いえ、PTA独自としても、例えばいろんな集会等で専門家の方に来て いただいて啓発活動をするとか、そういうことと並行していかないとなかなか厳しい のではないか。  東京都も教育委員会の方で、いろんな機会があったらいつでも行きますというふう に声はかけていただいているんですけれども、複線的にやっていかないとこういうも のは保護者のところまで全部届かないと思っています。 ○加藤座長 ありがとうございます。  岡先生、どうぞ。 ○岡参考人 一応、文部科学省の方にお願いしたいのは、学校におけるガイドライン というものを学校は全部持っています。それで一応、把握はしているんです。この子 が打っていないというのはわかっているんです。わかっているんですけれども、勧奨 できないというんです。勧奨は健康保健課の仕事であると言われます。それで2時間 ぐらいけんかしたんですけれども、とにかく、一応、この子は打っていないのはわか っているんだから、あなたは打って来なさいと言いなさいと言っても、言えない。個 人情報だとかそういう感じなんです。  あの文章を読むと、どうしても学校で勧奨しなさいというふうに取れると思うんで すけれども、今日もここに書いてありますので、通達ではっきりと、学校で勧奨しな さいというふうに書いていただけばかなり違うかなというふうに思っております。 ○加藤座長 ありがとうございました。御発言はありますか。  どうぞ。 ○高山専門官 本日の資料12−1で、文部科学省が発出した通知の中で3段落目「学 校の設置者及び学校においては」ということで、それを主語にしてずっと文章が続い ているんですけれども、この未接種・未罹患の者に対して、夏季休暇中の接種の勧奨 を行うなどというふうに記載しておりまして、要するに学校の設置者及び学校におい て勧奨してくださいということを明記しているんです。なので、学校関係者が勧奨で きませんというようなことを言う場合には、この文書を根拠にして、文部科学省はこ う言っているということをおっしゃっていただいて構わないと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。話題を変えます。  先ほどの大坪課長補佐の御説明の中で、地域によっては有料化で行って、要するに 自費負担をしなければ接種ができないような市区町村があるというふうな報告をい ただきましたけれども、この市区町村、自治体によりまして価格が違うということに 関して、私は若干、勉強不足でわかりませんが、これもまた恐縮ですが、医師会を代 表とされている飯沼委員に御意見をいただきたいと思います。 ○飯沼委員 この資料4の3ページにデータがありますが、ここにいろいろな額があ るんですけれども、本来は取らないことになっているんですね。それで、こういうと ころは行政指導を行うとかはないんでしょうか。 ○加藤座長 これは行政指導というよりも規則の中に書いてありまして、給付できる ところは給付してよい。できないところは絶対しなさいとは書いていないはずです。 ○飯沼委員 そうなんですか。  やはり接種率を上げるには、これは何とか個人負担がないように、そういう努力を していただきたいと思いますので、ハウツーはよくわかりませんけれども、それが一 つの条件ではないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。また日本医師会に戻りまして、是非、先生の方 からも啓発をお願いいたします。  もう一点、先ほど出ました集団接種の問題点が1点と、それから、これは既に議論 済みなのですけれども、第2期接種を決めた段階で90か月というものはやめたわけ ですが、その幅を超えた者に対してどうするかという2点が残ってございます。委員 の先生方から御意見をいただきたいと思います。  微研の福田さん、どうですか。 ○福田委員 やはり接種年齢90か月という幅がなくなったことでチャンスを逃がし ているお子さんが随分いらっしゃると思うんです。接種勧奨の期間として、やはり90 か月まで延ばした上で、推奨するのは1歳代であるというような形に戻した方が、も う少し費用負担も含めて軽減されるのではないかと思います。 ○加藤座長 この件について、委員の方、ほかに御意見はございませんか。  ありませんか。  それでは、集団接種について御意見はございますか。今日、御報告がございました けれども、PTAの会長さん、どうでしょうか。 ○森谷委員 今の新型インフルエンザの方にかなり関心が行ってしまっていると思 うんですけれども、先ほど50代という話がありましたね。高校3年生の保護者は大 体、その世代なんです。  それで話していると、接種といいますか、若干抵抗感を持たれている方も確かにま だいらっしゃるような気はするんですけれども、ただ、2回ぐらい前のこの会議でし たか、イメージとして、ある期間を設定して、学校なりどこかでやって、そこに強制 的に来なさいというのではなくて、その期間でやっているから一斉に受けられる条件 があるというような感じでやっていただければそんなに抵抗はないのではないかと 思いますけれども、どうも昔、春先に並んで、保健室に全部連れていかれて、列をつ くって、片っ端から打っていったというあのイメージが残っているんです。それは少 し抵抗になっているのではないかという気がするんです。 ○加藤座長 ありがとうございます。  全体を通じまして、蒲生委員、何か御意見をいただけますか。 ○蒲生委員 私は高校3年生の娘がおりまして、残念ながら50代ではないんですけ れども、先ほど来の自治体の取り組み、いろいろ医師会の取り組みなどを聞いており ますと、いかに学校がハードルになっているのかなということを思いました。  自分たちのころは、はしかにかかって、それで予防したんだから要らないという、 学校関係者の方の言葉とは思えない、子どもとか社会を守る気はないのかなという、 今日伺った中で一番衝撃的だったんですけれども、勿論、高校3年生になれば自分た ちのことはよくわかってきますが、やはり大人が導いてあげなければいけないところ がたくさんある中で、日本から麻しんをなくすためにまず変えなければいけないのは、 もしかしたら大人の意識なのかなということを思いました。  私は小さい乳幼児のお母様を対象にした雑誌をつくっていますので、その中ではい つも春先に、1歳になったら麻しんを受けさせましょうという特集を毎年やっていま すが、もっと上の方たちこそそういうことをお知らせしなければいけないのかなとい うことが1点。  あと、予防接種を受けさせることが非常に重要だとわかっていても、親の方として、 親御さんたちをたくさん見ていて、わかっている方は多いんですが、受けやすい環境 を国としてつくってさし上げることもとても大事かと思います。  特に今回は平成24年までにという目標もありますので、受けさせやすい環境は2 つあると思っていまして、1つは費用の無料化、もう一つは中学生・高校生の場合は 学校で受けられれば一番受けやすい、先ほどいっぱいいろいろな、かかりつけ医がい らっしゃらないとか、部活で忙しいとか、塾で忙しいとか、皆さんが想像していらっ しゃる以上に中高生は本当にいい意味でも悪い意味でも忙しい毎日を送っているの で、私は費用の無料化と学校での接種ができれば、かなり接種率は上がるのではない かと考えています。 ○加藤座長 すばらしい御発言、どうもありがとうございました。座長がとりまとめ るまでもなく、まとめていただいたような感覚でございますが、時間もございますの で、本日、皆様方からいただきました御意見を座長なりにまとめさせていただきます。  短期的な視点でございます。時限的に定期接種を開始いたしました第3期・第4期 の接種率につきましては、残念ながら95%の目標は達成できておりません。しかし、 関係者の御努力の結果、今日の御報告にもありましたとおり、初年度の試みといたし ましては昨年の中間報告に比して改善が見られたことも事実でございます。  次に、接種率を上げるための自治体における有効な取り組みについて、未接種者の 把握、未接種者に対する個別通知や電話による呼びかけの御発表がございました。ガ イドラインに基づき、都道府県による麻しん対策会議を活用いたしまして、関係機関 との連携を強化し、市区町村、特別区や学校等の関係機関への積極的な支援を行うと いうような、顔の見える形で接種を受けるように繰り返し働きかけることが有効であ ろうかと存じます。それには常時、接種率をモニター可能な電子台帳の管理が有効で あることは明らかでございます。  次に、学校や教育委員会等におきましては学校における麻しん対策ガイドラインに 基づいた麻しん対策を一層進め、定期接種対象者における未接種者や接種済みの把握、 未接種者への繰り返しの勧奨と接種の確認、自治体の取り組みと連携や、都道府県に おける麻しん対策会議への報告を積極的に行うことであろうかとまとめます。  また、長期的な視点の取り組みでございますが「麻しんに関する特定感染症予防指 針」の中で麻しんの届出基準につきましては「我が国における麻しん患者の発生数が 一定数以下になった場合には、類似の症状の疾病から麻しんを正確に見分けるために、 病原体を確認することが不可欠であることから、原則として検査室での診断で麻しん と診断した症例のみの報告を求めるものとする」とされておりますところから、検査 診断へ移行するに当たって、一定数の発生数の基準など、日本としての排除基準も今 後検討していくことも必要であろうと思いますし、また、先ほど日本医師会からのお 話もございました接種技術等の問題点もあろうかと思いまして、今後の課題になろう かと思います。  WHOの排除の基準の一つでございます検査診断を推進するために、既に設置され ました体制を活用する方策につきまして、今後、検討を進めていく必要があるという ふうにまとめさせていただきます。  よろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○加藤座長 それでは、最後に事務局の方から何かございましたら、よろしくお願い いたします。 ○梅澤課長補佐 次回の開催でございますが、今年12月末までの接種率についてと りまとめをさせていただきます。また、本日以降、国の取り組み、または都道府県の 取り組みといったものを併せて御報告をさせていただきたいというふうに考えてお ります。  したがいまして、来年、平成22年2月辺りに開催させていただきたいというふう に考えさせていただいております。詳細については、また後日、御案内をさせていた だきますので、委員の先生方におかれましてはよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  若干、予定の時間をオーバーいたしました。御協力いただきましてありがとうござ いました。これをもちまして本会議は終了でございます。  ありがとうございました。        照会先             健康局結核感染症課予防接種係  (2383 2377)