09/09/04 第5回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会議事録 第5回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会 日時 平成21年9月4日(金) 15:30〜 場所 厚生労働省仮設第1会議室 ○清本専門官 本日はお忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。定 刻になりましたので、ただいまから「第5回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関す る検討会」を開催いたします。なお、土屋委員が遅れて来られるということなので、先に始 めさせていただきます。初めに、平野安全衛生部長より開会の挨拶をさせていただきます。 ○平野安全衛生部長 7月の末から安全衛生部長に就任しております平野でございます。よ ろしくお願いいたします。本日は大変お忙しい中、労働安全衛生法における特殊健康診断等 に関する検討会にお集まりをいただきまして誠にありがとうございます。ご承知のとおり、 8月30日以降、行政を取り巻く状況が非常に激変をいたしておるわけです。ただ、労働者 の安全と健康の確保を常に優先させていくという考え方は変わるわけではございません。委 員の先生方はじめ関係者の皆様方のご理解とご協力をいただきながら、これをより一層進め てまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、本日は、先般、特定化学物質障害予防規則の対象業務としてニッケル化合物と砒素、 それとその化合物が特殊健康診断の対象となりました。それに伴いまして、健康管理手帳の 交付対象とすべきかということについてご検討いただきまして、その結果に基づいて所要の 制度改正を行いたいと考えております。また、特殊健康診断につきましても、その項目につ きまして、労働環境の変化や医学・医療の進歩等に対応したものとなるよう検討していただ きまして、これもその結果に基づいて所要の改正を行いたいと考えておりますので、よろし くお願いいたします。 ○清本専門官 では、前回の検討会から事務局のほうも異動がありまして、主任中央じん肺 診査医、中央労働衛生専門官、中央じん肺診査医が交代しております。自己紹介をお願いい たします。 ○桐生主任中央じん肺診査医 7月24日付で井上の後任として主任中央じん肺診査医にな りました桐生と申します。よろしくお願いいたします。 ○清本専門官 7月1日から石井の後任となりました清本と申します。よろしくお願いいた します。 ○森中央じん肺診査医 労働衛生課には4月にまいりまして、清本の後任として7月からじ ん肺診査医のほうへ所属しております森と申します。よろしくお願いします。 ○清本専門官 では、以後の進行につきましては座長の櫻井先生にお願いしたいと思います。 櫻井先生、議事進行のほどよろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 議事進行に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。議事に入る前 に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○清本専門官 配付資料ですが、資料1は「各規則等における健診項目の改正の詳細につい て」。資料2が「『ニッケル化合物』及び『砒素及びその化合物』に係る健康診断の実施に当 たって留意すべき事項について」。資料3が「健康管理手帳の交付対象業務の追加に関する 論点整理案」。資料4が「労働安全衛生法に基づく健康管理手帳について」。資料5が「関連 条文」です。資料6が「ニッケル化合物・砒素及びその化合物について」。資料7が「健康 管理手帳交付対象業務等検討結果報告」。資料8が「がん原性物質若しくはがん原性因子又 はがん原性工程における疾病等について」。資料9が「平成19年度化学物質による労働者 の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書(抜粋)」。資料10が「労働安全衛生法にお ける特殊健康診断等に関する検討会 開催要領」。資料11が当検討会の参集者名簿になって おります。特に配付漏れ等がありましたらお願いします。 ○櫻井座長 皆さんそろっておられるようですので、まず、資料の説明に入っていただきた いと思います。議事(1)の「労働安全衛生法における特殊健康診断等の健診項目について」、 事務局から説明をお願いいたします。 ○清本専門官 それでは、ご説明いたします。もともと平成19年度の中央労働災害防止協 会に委託した研究委員会の報告書の見直し案を基に、いままでの4回の検討会を経て見直し た、もともとの委託の報告書から追加になったもの、若しくは削除になったもの等を赤字で 追加していまして、左側が現行項目です。第4回までの検討会のご議論をいただいた上での 見直し案、現在の最終の今の状況が右側の見直し案ということです。今日は、時間の関係も ありまして、特に手帳の話をメインにさせていただきたいと思っておりますので、今回はこ の資料はご確認にとどめていただきまして、また後日、特に間違いやご意見等がありました ら事務局までにご連絡いただきまして、次回の検討会で健診項目についてご議論等をしてい ただければと思っております。 ○櫻井座長 資料1については皆さんのご検討をいただいて次回以降ということですね。 ○清本専門官 そうです。資料2のほうは、もともと、その10月のときまでの議論、ある いは作業条件の簡易な調査について入れるということは皆さんオーソライズしていただい たと思うのですが、その内容の中身については別途しっかり作ってもらいたいということで 中災防に委託をしまして、それでガイドラインを作っていただきましたので、その案に基づ いて行政のほうでニッケル化合物及び砒素化合物を先行して4月1日から作業管理も入っ た形で施行になっております。その健康診断の実施に当たって、留意すべき事項として通知 で示しているものです。  中身等につきまして簡単にご説明いたします。特に、一次健康診断では作業条件の簡易な 調査ということで、いちばん後ろの別紙にありますが、各労働者の方々に、問診票のような 形で、実態の作業環境測定結果以外のところで特に作業工程の取扱いの変化とか実施の頻度、 作業環境管理の状況であったり作業管理の状況、大量ばく露のような事故等がなかったかと か、そういうことを問診させていただいて、作業条件の簡易な調査である程度のばく露があ りそうであるとか、健康診断の結果で所見がありそうであるという場合は、医師は積極的に 二次健康診断について検討してくださいという中身になっております。  作業条件の調査のほうは、さらに具体的に職場巡視も踏まえて、または衛生管理者とかの ヒアリングも踏まえた形で、よりその場でという把握ではなくて現場に赴くような形でしっ かりと作業の条件を調査していただいて、何らかの異常所見があるような方で、さらに作業 条件のほうでばく露が疑われるような方々は二次検査をやっていただきたい旨の通知をさ せていただいております。これに基づきまして、特殊健康診断全般のガイドラインも中災防 の委託でいただいておりますので、そのガイドラインを基に今回の有機則、特化則、鉛と四 アルキルの関係についての実施に関する留意事項も、ニッケル・砒素と同じような形でこち らのほうで留意事項として示させていただければと考えております。以上でございます。 ○櫻井座長 資料2についても皆さんはすでに内容をご承知のものだと思いますが、何か追 加のご質問、コメントはございますか。特にないようですので、これは両方含めまして、資 料1は次回の検討事項、資料2はすでに出ているものですが、これに類するガイドライン等 が次回以降の改正の後で必要になるだろうということも含めて、次回以降の検討事項とさせ ていただきます。次に議事(2)の「健康管理手帳の交付対象業務の追加について」に入りた いと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○森中央じん肺診査医 事務局からご説明いたします。お手元の資料3をご覧ください。健 康管理手帳の交付対象業務の追加に関する論点整理案ということで、事務局のほうで考え方 の案を作成していますので、それに基づいてご説明いたします。まず、「はじめに」という ことですが、これまで有害な業務に従事する労働者及び有害な業務に過去に従事して現にま だ事業者に使用されている労働者、この方々につきましては労働安全衛生法の第66条第2 項等に基づき、事業者が特殊健康診断として健診を実施しております。また、離職した方に 関してですが、第67条の規定に基づいて、労働安全衛生法施行令第23条各号に掲げるが んその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務に従事していた者のうち、規則の第 53条に規定する一定の要件を満たすものについて、離職の際又は離職の後に、国が健康管 理手帳を交付し健康診断を実施しております。  この健康管理手帳に関してですが、現在、交付対象業務は12業務ということになってお りまして、平成20年末における累積交付数の合計が約5万件となっております。12業務に 関しては資料4に付けていますので、適宜ご参考いただければと思います。  昨年、平成20年の労働安全衛生法施行令の特定化学物質障害予防規則、これらを先生方 にもご議論した上で改正しまして、ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く粉状の物に 限る)並びに砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く)につきましてはばく 露防止対策等を義務づけるとともに、この物質を製造し、又は取扱う業務については特殊健 康診断の実施を義務づけております。こういった経緯を踏まえまして、ニッケル化合物並び に砒素及びその化合物について健康管理手帳の交付対象とすべきかなどについて検討する 必要があるという状況になっております。  まず、健康管理手帳の基本的考え方というところをまとめてみました。交付対象業務の基 本的考え方につきましては、労働安全衛生法第67条、施行令の第23条に規定する健康管 理手帳の交付対象業務というものがありますが、平成7年の12月に当時労働省の検討会が 取りまとめた「健康管理手帳交付対象業務等検討結果報告」というものが出されております。 こちらは、資料7のほうに報告書を添付していますのでご参照ください。こちらの資料7 の63頁になりますが、報告書の中で以下の(1)から(3)のいずれの要件を満たす物質の取扱い 業務等を健康管理手帳の交付対象として検討すると掲げております。  (1)としましては、「当該物質等について、重度の健康障害を引き起こすおそれがあるとし て、安全衛生の立場から法令上の規制が加えられていること」。イ、製造等禁止物質である こと、ロ、製造許可物質であること、ハ、その他の規則物質等であるということ。  (2)としましては、「当該物質の取扱い等による疾病(がんその他の重度の健康障害)が業 務に起因する疾病として認められていること」。イ、労働基準法施行規則別表第1の2第7 号「がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における疾病」等ということが1 つと、ロ、当時の中央労働基準審議会の議を経て労働大臣の指定する疾病として、告示によ り指定された疾病、こちらは別表第1の2の第8号ということで掲げております。  (3)としましては、「当該物質の取扱い等による疾病(がんその他の重度の健康障害)の発 生リスクが高く、今後も当該疾病の発生が予想されること」。この3要件を平成7年の報告 書では掲げております。  当時は、この3要件に基づいてコークスと石綿とジアニシジンの3つの物質を検討してい たのですが、上記の要件の(1)のハに該当する、従前の健康管理手帳の交付対象の規制物質等 としては、現在、クロム酸及び重クロム酸並びにこれらの塩、三酸化砒素、コークス又は製 鉄用発生炉ガス、塩化ビニル又はポリ塩化ビニル及び粉じん作業が該当していまして、これ らは、特定化学物質障害予防規則等によるばく露防止対策等とともに、健康診断については 第66条に規定する事業者が有害な業務に過去に従事して現在も事業者に使用されている労 働者を対象に行う特殊健康診断の対象業務とされております。  また、こちらの要件の(3)につきましては、主として近年の労災認定の事例の有無などを勘 案してきたところです。また、平成7年の報告書の考え方に加えて、ここ10年とか、近年 に取扱いが行われるようになった有害物質で(1)に該当するものは、労働者のばく露期間等か ら、労災認定の事例が発生する可能性が低いと考えられますので、別途国内外の疫学データ や症例データ、作業環境等を踏まえた検討が必要ではないかと考えております。以上が交付 対象業務についてのこれまでの考え方と、新たに近年等の扱いについての考え方を示してお ります。  交付要件等に関する基本的な考え方としましては、個々の交付対象業務に係る交付要件、 これは労働安全衛生法の規則の第53条で規定していますが、特定の所見、例えば石綿の胸 膜肥厚等があるとか、そういった特定の所見や、業務の従事経験年数等を定めておりまして、 症例データ等のほかに、従前の交付対象業務と類似の業務であるとか、同様の疾病を引き起 こすような業務の交付要件を参考に定めておりまして、これも同様の考え方でよいのではな いかという提案となっております。また、健康診断に係る実施頻度とか健康診断項目につき ましては、従前の交付対象業務における健康診断や特殊健康診断等を参考に定めておりまし て、同様の考え方でよいのではないかというふうにこちらで示しております。以上について、 基本的考え方に関しまして先生方のご意見やご議論をいただきたいと考えております。 ○櫻井座長 これまでの基本的な考え方についての論点メモという形で出されております。 いかがでしょうか。平成7年の検討会で取りまとめた事項をおおむね踏襲するのに加えて、 この40頁の中間の所で、労災の認定の事例が発生していないものについても検討する必要 が出てくるという部分を付け加えてはどうかということが1つあります。基本的に前回の平 成7年のまとめを中心とした考え方になっているわけですが、その点はいかがでしょうか。 ○和田委員 1点お伺いしたいと思うのですが、もともとの趣旨といいますか、がんみたい な潜伏期間が長いもので離職後に発生するとか、離職後に進行していくじん肺みたいなもの とか、そういうものに対して重視しようということだったと思うのですが、この考えがこの (1)(2)(3)に全部含まれているということであれば全然問題ないと思うのです。 ○鈴木労働衛生課長 事務局でも平成7年ですからかなり以前の部分ですので、この原則が 崩れるような物質とか領分があるかという意味で特に認定事例などを当たってみたのです が、今のところ問題や課題としてご提示するようなものがないので、いずれまた別の要素等 があれば、あるいは現場なり症例のご指摘で見直すことはある得るにしても、当面、ニッケ ルや砒素を議論するにあたっては従来のものでご審議いただければいいのかなということ で、今日はこの資料でということでございます。よろしくお願いします。 ○圓藤委員 砒素取扱い作業の対象業務をどうするのかということが問題になろうかと思 うのですが、そこはどうお考えでしょうか。 ○森中央じん肺診査医 砒素につきましては、ニッケルと併せて次の所でもう一度ご意見を いただければと思います。 ○圓藤委員 基本的な考え方は従来を踏襲していいのではないかと思っています。 ○櫻井座長 いまの基本的な考え方の最後の所で、健康診断の実施頻度とか項目についても 従来と同様の考え方でいいだろうかということを問われていますが、これもそれでよろしい ですね。では、ただいま示された考え方については皆さん同意しておられる。 ○和田委員 一つひとつ見直してひっかかるようなものはないですよね。 ○鈴木労働衛生課長 いま見直しているものですか。 ○和田委員 ええ。 ○鈴木労働衛生課長 それを含めてチェックしたところですが、今のところは大きな問題に なるとか基本的考え方を変えなければいけないというようなものはないのではないかと思 いますが、次回にもし必要であれば提示できるかどうか検討します。 ○櫻井座長 では、具体的な議論に入らせていただきたいと思いますが、この資料の連続に なると思いますが、ニッケル化合物に係る健康管理手帳の交付に関してです。では、説明を お願いします。 ○森中央じん肺診査医 続いて資料の説明をさせていただきます。40頁の案ということで、 「新たに特殊健診の対象となった物質(ニッケル化合物、砒素及びその化合物)の健康管理 手帳における取扱いについて」として論点を整理しております。現状としましては、現在、 ニッケルに関しては、健康管理手帳の交付対象の業務とはなっておりません。砒素に関して は、「三酸化砒素を製造する工程において焙焼若しくは精製を行い、又は砒素をその重量の 3%を超えて含有する鉱石をポツト法若しくはグリナワルド法により製錬する業務」が交付 対象業務となっております。現状としまして、平成20年末の健康管理手帳の交付数は45 件となっております。また、参考資料として資料6に業務の概要とか主立った健康障害につ いて載せていますのでご参照ください。  まず初めに、ニッケル化合物について論点を整理いたしました。こちらは、特殊健診でニ ッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る)というものが新たに加わって いますが、こちらの業務について、2の(1)の[1]から[3]の各要件に照らし合わせてみますけ れども、このニッケル化合物については国際的にもIARCの評価においては、「I:ヒトに対 して発がん性がある」物質等として分類されております。また、特化則におけるばく露防止 対策等とともに、労働安全衛生法の第66条第2項に基づく、有害な業務に過去に従事し、 現に事業者に使用されている労働者を対象に事業者が行う特殊健康診断の対象業務となっ ております。これらのことから(1)のハに該当するのではないかということが1点目です。次 に「ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん」、こ れにつきましては、労働基準法施行規則の別表第1の2第7号における業務に起因する疾病 として定められていまして、要件の(2)のイに該当するのではないかというのが2点目になり ます。また、このニッケル化合物につきましては、資料6にもあるように、近年取扱い等が 行われるようになった物質等ではなく、過去約30年間、労災認定事例がないこと等を勘案 すると、(3)に該当しないのではないかと考えられるのが3点目になります。  これらのことから、現状におきましては健康管理手帳の交付対象に係る要件を満たしては いないと考えられ、交付対象業務としないことが適当であると考えられるのではないかとい う提案になりますが、こちらに関しまして先生方のご意見、ご議論をいただければと考えて おります。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。 ○山田委員 ニッケルは、今回、特定管理物質になりましたが、あれはがん原性があるから ということですよね。それで、今まで、ここの(3)で近年そういうものは30年使っているけ れども何もなかったのだという話であれば、管理物質にする必要もないわけですよね。その ようにする必要があるという以上は該当しないと言い切っていいのかなというのがありま す。 ○和田委員 管理手帳であれしていれば、ずっと傾向がありますから、肺がんになった人は ニッケルと関係があるという説もできますけれども、全く20年間あれしないで肺がんが出 た場合に、それが本当にニッケルがあるかどうかということを今までの例できちんと区別で きるかどうかですよね。30年後に肺がんになった人をそれがニッケルによるものだったの か。昔の既往歴とか職業歴というのがわからないと思うのですね。そういう場合にどうかな という感じもしますけれども。 ○山田委員 いまから初めて始まって、過去に戻って追及していくわけですから、従事しな くなったらそれで切ってしまうと後のほうではなかなか難しいように思います。我々でも健 診をしていますが、これは肺がんの対象になっているからこれからもお付合いするのですよ という話をしているわけです。もうやっていない方もたくさんおられるのですけれども、そ の方とのお話は、そういう形で、これからということを言っているのです。 ○和田委員 もう1つは、いまの資料の疾病の4に出ていると思いますが、この中で化学物 質でニッケルの現状と同じようなものはないですね。過去20年間発生していないとか、そ ういうような物質があるかないか。あればアンバランスになってしまいますよね。 ○櫻井座長 交付対象になっているので認定の動向はどうなっているかというご質問です ね。 ○和田委員 あれはニッケルと同じだということになってしまうのですね。 ○鈴木労働衛生課長 いまは(3)に該当しないということで、原案としてはあれですけれども、 前例があるのではないかというようなことですね。 ○大前委員 今年度、産業衛生学会がニッケルの許容濃度を改定したのですが、発がんに関 しては発がん性があるということですが、製錬工程に限定したのです。製錬工程以外では発 がんの情報はないということで、発がん性に関してはニッケル製錬工程のみとしています。 このニッケルの場合も、このニッケルの業務の概要を見ると電池製造とかめっき液の製造と かというものがありますが、同じニッケル化合物を扱う中でも製錬とそれ以外とを分けて手 帳を交付するとか、そういうことは今までやったことはあるのですか。少なくとも、過去に 情報がある作業工程は30年間なくてもやったほうがいいと。でも、そうではないものもや る必要があるのかなということです。 ○櫻井座長 これは、おそらく、平成7年に今のような考え方を一まとめにしたけれども、 その前には、おそらく、必ずしも労災の認定がなくてもこれに入れたケースもあった可能性 がありますね。 ○和田委員 あったような気がしますね。 ○櫻井座長 だから、そういうものが出てくる可能性はあります。 ○和田委員 アンバランスになってしまうというのはこのことです。 ○塚本調査官 ベリリウム及びその化合物に関するものについては近年出ていませんが、そ のほかのものについては認定事例が近年出ているという状況です。 ○櫻井座長 ベリリウムだけないですか。 ○塚本調査官 はい。 ○和田委員 何年ぐらいのあれなのですか。 ○塚本調査官 昭和63年からですから20年ぐらいですかね。 ○櫻井座長 労災の認定件数はないけれども、一応、基準としては製錬及び精錬を行う工程 における業務は肺がん及び上気道のがんというものを出しているわけで、それとの整合性も 考えるとしたらこういう業務に限定して交付するというお考えが、皆さんの頭の中にあるの ではないかという感じがするのですが、和田委員もそんな感じでよろしいですか。大前委員 もおっしゃったように、粉状のニッケルもすべて同等に扱うというのはあまり妥当ではない だろうと。 ○圓藤委員 ばく露量が圧倒的に違うのですかね。 ○山田委員 圧倒的に違うのですかね。何倍ぐらい違うのですか。200倍ぐらい、もっとで すか。というのは、最近、ニッケルをいろいろなものに使いだしていますから、かなり量が 増えてきているので。今までとはまた違った動きが出てくる可能性はありますよね。かなり の量を使っていますから。 ○圓藤委員 製錬又は精錬業務というのはばく露量がべら棒に高いと思います。それとそれ 以外とは区別すべきだろうと思います。それが1点です。もう1つは、肺がん又は上気道の がんというのはポピュラーな病気ですので、それと因果関係を結び付けるということが作業 ですので大変ですよね。そういうようなことで、認定されてこなかったというのはあるので はないかと。その辺になるとわからないですね。 ○山田委員 一般的なものは肺がんのほうで処理されて、ばく露のことについての考慮がな かなかできていないという可能性ですよね。 ○圓藤委員 そうです。実際にばく露したときと肺がんになったときとに何十年のタイムラ グがありますので、ばく露がどうであったかというのは過去に遡って把握できているのかど うかという問題が大きいのではないかという気がしますね。 ○山田委員 だから、これからの問題として管理手帳があれば、これからは出せるのではな いですか。ここで管理手帳をなくすとその可能性をなくすということにもなるのではないで すか。 ○圓藤委員 それはニッケルの製錬又は精錬という作業がどの程度あって、そのばく露の仕 方が過去と現在でどの程度違うのかを含めて、もう少し検討したらいいと思います。私は、 交付対象としないことが適当であると今日決めるのは早すぎると。もう少し審議が必要では ないかという気がします。そのためには過去の精錬作業はどうであって、現在の精錬作業は どうであり、ばく露状況はどのぐらい変わってきたのかというのを、調べてからのほうがい いのではないかという気がいたします。 ○大前委員 その過去の肺がんが起きた精錬作業は、名前は忘れてしまいましたが、何とか 法というやり方でやったときにたくさん出ているのです。それをやめて、保護具を使い始め てからは肺がんのリスクが非常に下がっているということがあるので、今、実際にやってい る方法と当時の方法、これは日本ではなくて鉱山のほうですが、そっちでやっていたのはち ょっと違うので、今のリスクがあるとしても我々がデータで見たリスクというものは相当低 いだろうと思います。ただ、具体的に何倍低いとか、ばく露レベルがどのぐらいあったかと いうのは今は記憶にないですけれども。 ○櫻井座長 いま委員の頭の中にある情報から方向性は大体見えるわけですが、ここで結論 をするにはちょっと検討が不足しているというようなことであるとしたら、検討を続けると いうようなまとめ方でもよろしいですか。 ○鈴木労働衛生課長 そうしましたら、現時点でどんな実態だとか、いまほど言われたよう なことをもう少し資料を集めるということで。 ○大前委員 例えば、日本で製錬をやっている所が何カ所かありますので、鉱山はないです が、鉱山の近辺で製錬をしてニッケル何とかというのを輸入してそれを再製錬していると思 いますので、そこのところのばく露実態とか、そこら辺がわかれば情報としては非常にいい のではないかと思います。 ○鈴木労働衛生課長 1つ目の質問に明確にお答えしなかったのですが、いまの議論でもう よろしいでしょうか。 ○和田委員 場合によっては条件を付けるということですね。こういう作業で、何年以後は 法律で成り立った何年までにばく露した人とか、そういう条件を付けるかどうかですよね。 ○塚本調査官 補足説明ですが、資料4の一覧表を用意させていただいております。左側が 業務ですが、これを見ると、一般的に書かれているものではなく、いまからご議論いただく 例えば5番目だと、三酸化砒素を製造する工程だけではなく、その後ろのほうには鉱石をポ ツト法若しくはグリナワルド法により製錬するとか、特定の業務の指定とか、また、6番も コークス又は製鉄用発生炉ガス云々というようなものもあります。次の頁を見ていただいて も、例えば10番で塩化ビニルを重合する業務で密閉されていない遠心分離機云々というも のがありますので、対象業務はかなり包括的に書かれているもの、そうではないもの、これ はいろいろあります。 ○鈴木労働衛生課長 そういうことですので、今日は保留にして、資料をまた集めてからご 議論いただくということでよろしいですか。 ○櫻井座長 今日のところはそれでよろしいと思います。では、ニッケルについては今後検 討を続けるということにいたしまして、その際の検討の方向性等はいろいろと委員の先生方 のお知恵を拝借してやっていくことになろうかと思いますが、その折はよろしくお願いいた します。次に、砒素及びその化合物に入りたいと思います。 ○森中央じん肺診査医 続いて資料の説明をさせていただきますが、42頁になります。砒 素及びその化合物に係る業務としましては、(1)から(3)の各要件に照らし合わせてみると、ま ず、砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く)については、国際的にもIARC の評価において「I:ヒトに対して発がん性がある」物質等と分類されております。また、 特定化学物質障害予防規則によるばく露防止対策等とともに、労働安全衛生法の第66条第 2項に基づく、有害な業務に過去に従事し、現に事業者に使用されている労働者を対象に事 業者が行う特殊健康診断の対象業務となっております。これらから(1)のハに該当するのでは ないかというのが1点目になります。  次に「砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素 化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん」、こちらにつきましては、 労働基準法の施行規則別表第1の2第7号における業務に起因する疾病として定められて おります。これに関して(2)のイに該当するのではないかというのが2点目になります。次に、 労災認定事例のほうを調べてみましたが、昭和55年以降は30件、近年10年間においては 3件。この内容に関しては、下に労災認定事例の概要を載せていますが、こちらは現在の健 康管理手帳の交付対象業務外の労災認定事例が含まれているということなどを勘案すると、 要件の(3)に該当するのではないかというのが考えられることとして3点目に挙げておりま す。  概要のほうを少し説明させていただくと、3件のうち1件は個票がなかなか見つからずに、 こちらについては詳細は不明となっております。2例につきましては、1例目の昭和24年 から38年の14年6カ月従事されていた方で、原発性肺がんを発症されております。作業 内容としては、農薬工場において亜砒酸を硝酸で酸化(砒酸反応)をさせて砒酸液を作る作 業とか、砒酸鉛・砒酸石灰を製造し、乾燥後に粉砕混合をして包装する作業に従事しており、 無機砒素化合物を製造する工程における業務上の疾病として労災認定となっております。も う1例に関しても、時期は昭和26年から昭和41年の15年間で、疾病名は原発性肺がん、 作業内容は最初に申しました作業例と同様なものとなっております。近年ではこの2例の事 例は現在の健康管理手帳の交付対象業務外になっているのではないかと考えております。以 上から、健康管理手帳の交付対象に係る要件を満たしているのではないかと考えられまして、 少なくとも、従前の交付対象業務以外である労災認定事例に係る業務については、新たに健 康管理手帳の交付対象業務とすることが適当であると考えられるのではないかと整理させ ていただきました。  これに加えて、交付要件と健康診断についても追加で説明させていただきます。もし健康 管理手帳の交付対象業務とした場合になりますが、その際の交付要件の考え方としましては、 近年の労災認定事例でわかる範囲ではこの2例に限ってはいますが、いずれも5年以上の従 事期間であること。また、砒素及びその化合物による慢性的な健康障害においては、石綿や ベリリウムのような胸部レントゲンでわかるような陰影等の特異的な臨床所見がないこと などから、従前の三酸化砒素と同様、従事期間をもって交付要件とすることが適当であると 考えられること。もう1つ、現行の三酸化砒素等の交付要件と特段の差を設けることが必要 であると考えられないこと。以上のことから、「5年以上従事した経験を有すること」とす ることが適当であると考えられるのではないかというふうに整理しております。  健康診断の実施頻度及び健康診断項目につきましては、健康管理手帳における砒素及びそ の化合物の健康診断というものを平成20年、昨年の特化則で改正された砒素及びその化合 物に係る特殊健康診断の実施頻度と健康診断項目とすることが適当ではないかと考えられ ます。以上、こちらに整理させていただいた点につきまして先生方のご意見、ご議論をお願 いしたいと思います。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。ご意見を承りたいと思います。 ○和田委員 労災認定の要件は別として、業務と、現在の三酸化砒素についての業務規定と の整合性はどうかということですよね。全体として、こっちはかなり詳しく書いてあります よね。現在の健康管理手帳の業務。 ○櫻井座長 労災認定疾病の書き方は非常に細かく。 ○和田委員 こっちは健康管理の所は何とか法、何とか法とかいう。 ○森中央じん肺診査医 従前の健康管理手帳のほうは2つありまして、三酸化砒素を製造す る云々という工程と、後段は砒素を含有する鉱石、銅鉱石とか鉄鉱石とか、そういった鉱石 をポツト法とかグリナワルド法により製錬する業務がありまして、今回はその鉱石の製錬で はなくて、砒素化合物であるものを製造していくような方が労災認定の作業内容になってい るようですので、検討するものとしてはこの従前の健康管理手帳対象業務のこの前段のほう について検討するのではないかと考えています。 ○圓藤委員 業務をある程度限定していくのが妥当ではないかという考え方をしているの ですが、どういうふうにお考えでしょうか。 ○森中央じん肺診査医 まさに、そこのところのご意見を伺いたいと思っているのですが、 どこまでの業務とするか。 ○圓藤委員 基本的に、労災認定疾病名の所に書かれている業務というのが原則的で、基本 的にこれでいいと思っております。「砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは 精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務」というふうに比較的わか りやすい。ただ、1点、近年の状況を考えると修正していただきたいなと思っております。 すなわち、鉱石を原料にするというのに限らない。いわゆるスクラップの再生工程もありま すので、ここの「鉱石」という部分を修正していただければ、私は原則これでいいと思って おります。 ○櫻井座長 これは例えば削除するということですか。 ○圓藤委員 そうですね。「含有する原料」を。 ○櫻井座長 あるいは、鉱石と書かないで、「砒素を含有するものを原料として金属の製錬 若しくは精錬を行う工程又は」。この「無機砒素化合物を製造する」のほうにも係るのです か。 ○圓藤委員 「又は」ですから、これは、原料は三酸化砒素から他の砒素化合物を製造する 工程とかがありますので、これはこのままで結構です。「無機砒素化合物を製造する工程」。 鉱石を原料するとは限りません。 ○櫻井座長 これは構わないか。係っても係らなくても。 ○圓藤委員 「又は」で一旦止まるわけでしょう。だから、無機砒素化合物を製造するとい う場合は、普通は三酸化砒素から他の砒素化合物をつくっていくのですから、それはそのま ま残しておけばいいと思っております。日本では鉱石からつくるのはもはやしていませんの で。 ○和田委員 昔はやっていたのですか。 ○圓藤委員 昔は、銅製錬を行っていて、銅を取り出す。そのときに廃棄物として砒素化合 物が出てくるわけです。それを回収して精製していくという作業があるわけです。ですから、 いくつかの銅製錬工場で砒素中毒といいますか、砒素による障害が起こっている。砒素を取 り出してるのではないです。 ○大前委員 今は銅の製錬工場でも砒素精錬はやっていないですか。 ○圓藤委員 日本では採算が合わないのでやっていないと思います。ほとんどすべて三酸化 砒素を輸入しています。 ○和田委員 その前にばく露した人の潜伏期は終わっているわけですか。昔の工程でばく露 した人は。 ○圓藤委員 そうですね。 ○山田委員 それは明治や大正ではないですか。 ○和田委員 潜伏期が終わって、いないということですか。もう皆さん他界されたりして。 ○圓藤委員 昭和20年代、昭和30年代までですね。 ○和田委員 残っているとしたら。 ○圓藤委員 80から90歳以上です。それで、もう1つ言えるのは、その後、この手帳がな くても、その会社が退職者にまで定期的に健康診断を行ってきた。そういう事例が労災認定 されている事例ですので、追跡しない限り明らかにならないということがあります。 ○櫻井座長 大変具体的に案を提示していただいたわけですが、それについて何か追加のご 意見があるでしょうか。要するに、砒素を取り扱う業務を明確に限定するという具体的な案 をお示しいただきました。 ○圓藤委員 ですから、先ほどの5年以上というのは現時点では妥当ではないかと。もっと 長くてもいいと思うのですが、10年でもいいかと思うのですが、5年でいいと思います。 総ばく露量が多くなかったらリスクは高くならないので、砒素を短期間取り扱っている人は 対象外にするというのは妥当であると思います。 ○山田委員 農薬工場というのはいまだに砒素をかなり使っているのですか。 ○圓藤委員 現在では農薬として登録されておりませんので。 ○山田委員 大丈夫ですかね。 ○圓藤委員 はい。あくまで過去の例です。海外ではまだ製造している所もあるかと思いま すけど。 ○櫻井座長 健康診断の実施頻度及び健康診断項目についてはいかがでしょうか。 ○圓藤委員 健康診断項目として、特殊健康診断をしたときに議論していますので、ほぼそ のままでいいだろうと思っております。 ○櫻井座長 いまのはどこにあるのですか。 ○森中央じん肺診査医 健康診断については55頁以降で、56頁に参考に特殊健診の健康診 断の内容を載せています。 ○櫻井座長 これは改正したものですね。 ○森中央じん肺診査医 はい。 ○圓藤委員 ただ、健康管理手帳により健診を行う時点では、ばく露していませんのでね。 「尿中の砒素化合物(砒酸、亜砒酸及びメチルアルソン酸に限る)の量の測定」、これはば く露しているときしか意味をなさない。 ○櫻井座長 そうですよね。 ○圓藤委員 曝露から離れてしまうと、出てこない。 ○圓藤委員 そうしたら、こういうのは削除してもいいのかもわからないなと思います。そ れから、肝機能とか赤血球系の血液検査とか、どちらかというと急性中毒を意識している部 分がありますので、そういう部分は削除して行ってもいいかもしれません。 ○櫻井座長 事実上例えば作業条件の簡易な調査等とか作業条件の調査。 ○圓藤委員 いまさら要りませんけれども、過去の作業条件は残しておいていただきたいわ けですからね。 ○櫻井座長 簡易な調査は要らない ○森中央じん肺診査医 簡易な調査は今の特殊健診における項目に入っています。 ○櫻井座長 現在の状況を見るのですから、どうしても微妙に違ってきますよね。 ○森中央じん肺診査医 はい。 ○櫻井座長 ですから、同じというのではなくて、本質は同じだけど書き直す必要がある。 それと、上の七ですが、「令第23条第5号の業務に5年以上従事した」というのは、これ はこれでいいわけですね。書き方が変わるのですか。 ○圓藤委員 ええ。令第23条第5号の業務ではなくて、新たにつくった決めた業務にして いただければいいと思うのですけど。この特殊健康診断そのものがそうですよね。手帳の人 の。だから、ここの部分は要らないのかな。「胸部のエックス線直接撮影」だけでいいです よね。 ○塚本調査官 教えていただきたいのですが、砒素関係の業務の所なのですが、今までの健 康管理手帳の業務対象というのが、三酸化砒素化合物の中の三酸化砒素を製造する工程にお いて云々の所が1つ。それで、労災のほうは無機砒素化合物を製造する工程となっている。 ○鈴木労働衛生課長 資料4と5です。 ○塚本調査官 資料4の5の所です。 ○鈴木労働衛生課長 それで、労災のほうは。 ○塚本調査官 資料の8番になります。上のほうの○のほうの16です。今回、三酸化砒素 以外のところで労災認定があると。労災認定のほうは無機砒素化合物ですから、三酸化砒素 以外も入るということで、ここは三酸化砒素だけだと追い切れないという状況。あと、次の 所の健康管理手帳のほうは、「砒素をその重量の3%を超えて含有する鉱石をポツト法若し くはグリナワルド法により製錬する業務」という、かなり限定的に書いている。これで労災 認定のほうは資料8の16で「砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を 行う工程」となっている。それで、三酸化砒素の拡大ではない、いわゆる製錬とかの拡大の ところなのですが、どういうような理由といいますか、形で整理したらいいのかどうか。例 えば、先ほどの基準だと認定があったとか、過去にこういうのがあったからで、現在はなか なか見られない業務であったとしても過去があれば含める。ここの特に製錬とか鉱石関係の 所の対象の変更はどういう考え方をもって整理したらいいのか、そこを詳しく教えていただ けるとありがたいのです。 ○圓藤委員 ポツト法若しくはグリナワルド法というのは私も知りません。おそらく、古い 時代にこういう方法でされていたのだろうと思うのですが、今となってはあまり意味のない ことであろうと思っております。ですから、労働基準法施行規則の記載の仕方のほうがシン プルでいいのではないかという気がしております。唯一残すとしたら、3%という部分はあ ってもいいのかなという気はいたします。すなわち、極く微量を踏まえているというのはい ろいろな製錬があるわけですね。製錬するというので、例えば鉛製錬を行うというときに、 微量の砒素化合物を含む原料から鉛製錬を行うという場合もありますので、ある程度の砒素 化合物を含んでいるという限定は必要かもしれません。 ○塚本調査官 この製錬の所は昭和50年に通達で若干解説しておりまして、その当時、先 ほどのポツト法やグリナワルド法は銅製錬工程において鉱石を焙焼する方法であること。こ の焙焼方法は現在は行われていないと。ですから、昭和50年のときにも行われてはいない のですが、従事していた労働者というような観点でという趣旨の解説だったかと思うのです が、それを今後拡大ということならば、例えば今までの整理のところだと労災認定とか、リ スク云々というのがあるのです。 ○山田委員 資料のほうでその砒素の管理手帳はどれぐらい出ているのですか。いまのポツ ト法とグリナワルド法によって労災管理手帳の件数が出ていますよね。全部で5万件出てい ると。 ○森中央じん肺診査医 この業務だけで45件のうち、三酸化砒素を含めて。 ○山田委員 三酸化砒素も含めて45件ですね。だから、後ろだけで何件というのはわから ない。 ○森中央じん肺診査医 そこは詳細まではわからなかったのです。 ○山田委員 後ろのほうはもっと少ない可能性はありますね。先ほどの段階でもうないのだ から、管理手帳を持っている人はほとんどもういない可能性はありますね。その話は昭和 50年ですか。 ○塚本調査官 昭和50年ですね。 ○山田委員 今は84年ですから、もう34年前の話ですよね。だから、この方法でやって おられて管理手帳をお持ちの方はほとんどおられないのではないですか。 ○塚本調査官 それを拡大するとしたときに、例えば従前の考え方だと、今まで整理してい た対象業務以外のところで、端的なのは労災認定事案があるとか云々で拡大というような考 え方が示されていたかと思うのですが、もし仮に拡大するとしたときに労災認定事案なのか がもしわからないと仮にしたとき、また、わかれば同じような考え方で、わからないときに どういう考え方の整理でそこは拡充を、これだけ増やすべきというところは。 ○山田委員 それは先ほどと同じように考えれば、3%を超えて含有するものを製錬すると いうふうに、ポツト法を外したらそれで終わりですよね。それは先ほどのこの考え方と一緒 だと思いますよ。先ほど圓藤委員がこちらでやってくれと言われたとおりのことだと思いま す。ただ、この方法で今まで何人おられるのかというのはありますよね。 ○圓藤委員 逆に、ポツト法若しくはグリナワルド法以外の方法で製錬しているがために管 理手帳をもらえないというのがどれだけあるのか、それは管理しなくていいのかという部分 がよくわからない。ですから、私は、そんなところを詳しく調べていくよりも、素直に労働 基準法施行規則の別表に載っているやり方のほうがわかりやすい。そして、両者を統一させ るほうが行政的にもシンプルであるという気がします。 ○山田委員 だから、圓藤委員は労基法のほうの16の砒素を含有する「鉱石」を「もの」 にしたらいいわけですね。 ○圓藤委員 はい。 ○櫻井座長 3%というのは。 ○圓藤委員 あってもいいと思います。妥当な数字だと思います。 ○山田委員 「砒素をその重量の3%を超えるものを原料として」という書き方ですね。 ○圓藤委員 そうです。 ○櫻井座長 いかがですか。そういう感じでよろしいですか。 ○塚本調査官 1つ質問したいのですが、今までは必ずしも労災認定の列挙されたものと違 っていたと思うのです。リスクが高いというお話だったと思いますが、具体的に、例えばこ んな形で高いとか、そういうのは何かわかるものはあるのでしょうか。 ○圓藤委員 先ほどの労災事例のようなものは管理手帳の対象外であったわけです。それで も、砒素のばく露量は極めて高いのはわかっていましたので、退職後も調べております。三 酸化砒素以外の砒素化合物、無機砒素化合物を製造する工程における業務だと思うので、ま ずそれを入れていただきたい。また、それも古い時代での事例で現在はその業務はありませ ん。現在は管理濃度を非常に厳しい値にしておりますので、その基準を守っておればそんな に有害な業務には今後はならないと思います。過去、その管理濃度を決める前までは、もっ と高い濃度で作業していたと思われますので、それらを含めて救済していく必要はあろうか と思います。 ○山田委員 この近年10年労災認定事例という形は、これは管理手帳でも何でもないわけ ですよね。これはどういう形で労災認定というふうに上がってきたのですか。 ○圓藤委員 それは管理手帳と関係なしに、ばく露量もわかっていますし相当因果関係がわ かっていますから。 ○山田委員 これは、ずっと追及して来て38年までやっていた人が平成10年までやった 以降ですよね。だから、その間、ずっとその企業が追っていたわけですか。 ○圓藤委員 独自に経過観察していたということです。ですから、ニッケルに関してもそう いう事案があれば上がってきたかもわからないです。もしそれがなければ肺がんになったけ れどもニッケルによると証明できないだろうと思われます。 ○山田委員 これは特定のグループが前から砒素が悪いということでやっていたのですか。 染色業界で多いと思うのですね。わかりました。 ○森中央じん肺診査医 三酸化砒素以外のところの砒素化合物というものをリスクという 意味で、今回、こちらの労災の事例が出てきて、これで交付対象業務以外のところにリスク があるのだという話はよくわかったのですが、お話が戻ってしまうのですが、鉱石を扱う所 でポツト法、グリナワルド法は確かに古い業務ではあるのですが、鉱石を製錬する業務でポ ツト法及びグリナワルド法以外で製錬していた業務というのがどれだけあるかということ と、もしそれをひっくるめた労災の名前と同じようにしてしまうのであれば、そこにどれだ けリスクがあるのかというというところが、もう少し情報収集なり知見があれば教えていた だきたいなといま考えてはいるのですが、そこのリスクというところは。 ○圓藤委員 私はよく知らないのですが、昔問題になったのは銅製錬工程だと思います。 ○鈴木労働衛生課長 先ほどの調査官からの問題提起は極めて簡潔に言えば、資料8の別表 があるわけですが、これと「鉱石」を「もの」に変えると、若干、範囲が変わってくるわけ です。それがこれと同等あるいはそれ以上のリスクがあるというエビデンスを確認した上で 結論を出すということで、先ほどのニッケルもそうですので、早急にそこを確認した上でも う一度かけるということが可能であればそうさせていただきたいのですが、いかがでしょう か。 ○櫻井座長 追加の情報をある程度示せますか。 ○圓藤委員 その作業は非常に難しい作業だと思うのです。それは、労働行政全般にわたっ て協力していただかない限り、そのエビデンスを出していくことは困難ではないかと思って います。1つは、ばく露状況はどのようになっているのか。それが過去のばく露状況はどう だったか、今はどうか、今後は作業工程がどうなっていくのか、というのも考えられます。 それから、現在肺がんになっている人が業務上で肺がんになったのか、そうでないのか、と いうのは非常に調べるのが困難である。それらを含めて、総合的に判断していく作業だと思 いますので、みんなで頑張らない限りエビデンスは見つかってこないのではないかと思って います。 ○櫻井座長 例えば今後の問題として、現在あるいは今後、無機砒素化合物を製造する工程 に5年以上働いた人に全員お渡しするかというと、どうでしょう。例えば、現在、管理濃度 が非常に低く定めましたよね。 ○圓藤委員 僕個人的には、管理濃度以下で働いている所ではリスクはそれほど高くないで すから、手帳交付対象者にしなくてもいいかなと思っています。ただし、管理濃度以下であ るというのが果たして妥当なのか。測定したときは管理濃度以下になっているが、測定して いない日に管理濃度を超えていないだろうか、あるいは波があるのではないかという考え方 をすると、管理濃度以下を常時守れたかどうかというのがかなり難しいのではないかと思っ ています。 ○鈴木労働衛生課長 そうしましたら、エビデンスとして今からというのは困難であるとい うお話を伺いましたので、あとは行政的に、認定とこの手帳の業務の表現の仕方について整 合性がきちんととれるかどうか。これを事務局で検討しまして、整理した上で次回に再度お 諮りするということでお願いしたいと思います。 ○櫻井座長 はい。そういうことでよろしいですか。 ○和田委員 全体としてある程度可能性があるものをヒントにするのか、リスクが高いもの だけやりましょうかという基本的な考え方になるのではないかと思うのです。可能性がある ものはすごく膨大になってしまってとてもやりきれないというのであれば、リスクが高いも のにしなければいけないと思いますし、その考え方だと思います。 ○平野安全衛生部長 基本的な考え方の所の(3)の部分をどのように適用していくかという ことだろうと思いますので、その辺の考え方あるいはデータを整理いたしまして改めて検討 いただきたいと思います。 ○櫻井座長 いま安全衛生部長のまとめのお言葉をいただきましたが、そういうことで次回 にさらに整理された形で提起していただいてご審議いただくということにさせていただき たいと思います。あと、議事の「その他」については何かありますか。 ○清本専門官 特にありません。 ○和田委員 今後のこの特殊健診の改正の予定というのはどのように。22年の4月からと いうようなことを聞いたこともあったのですが、どうなのですか。 ○清本専門官 それにつきましても、日程調整等を検討しないといけないので、いつかとい う形では言えませんが、我々事務局としては何とか改正も4月1日でできないかと。ただ、 もう少し延ばすのであれば、特殊健診は半年に1回という形でやっていますので10月1日 施行とか、そういった刻みでやりたいと思いますが、これはいかんせん今後の検討次第かな と思っております。 ○鈴木労働衛生課長 現時点では、当初大まかにご説明していたスケジュールでは頑張って やっていきたいというふうに思っていますが、まさに、これを打ち出すための根拠とかが重 要だと思いますし、行政的に長い歴史があるものですから、その連続性を図った上でできる だけ遅れないようにやらせていただきたいと思います。 ○櫻井座長 ほかにご発言はありませんか。よろしいですか。では、今日はこれで終わりに いたします。どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 電話03-5253-1111(内線5495)