09/09/02  第3回障害支援区分の在り方等に関する勉強会 第3回障害支援区分の在り方等に関する勉強会議事録 1.日時 平成21年9月2日(水)15:00〜17:00 2.場所 三田共用会議所3階D・E会議室(東京都港区三田二丁目1番8号) 3.出席者 全国身体障害者施設協議会     真下 宗司構成員 日本知的障害者福祉協会      小板 孫次構成員 日本精神科病院協会        花井 忠雄構成員 全国精神障害者社会復帰施設協会  高橋 忍構成員 全国社会就労センター協議会    阿由葉 寛構成員 全国地域生活支援ネットワーク   田中 正博構成員 日本身体障害者団体連合会     松井 逸朗構成員 日本盲人会連合          東山 文夫参考人 全国脊髄損傷者連合会       大濱 眞構成員 全日本手をつなぐ育成会      大久保常明構成員 九州授産施設協議会        佐多 京子構成員 DPI日本会議          尾上 浩二構成員    全日本ろうあ連盟         小中 栄一構成員 日本障害者協議会         佐藤 久夫構成員 全国精神保健福祉会連合会     良田かおり構成員 日本発達障害ネットワーク     山岡 修参考人      【事務局】         木倉障害保健福祉部長 藤井企画課長 中島障害福祉課長         福田精神・障害保健課長 他      4.議題 ○開発の考え方について 5.議事内容 ○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回の障害支援 区分の在り方等に関する勉強会を開催いたしたいと思います。  御出席の皆様方には大変お忙しい中、誠にありがとうございます。  お手元に本勉強会の出席予定者と座席表をお配りしてございます。時間の関係もございますの で、これをもって出席者の御紹介に代えさせていただきたいと思います。  なお本日は、日本盲人会連合の笹川構成員の代理といたしまして東山参考人に、また、日本発 達障害ネットワークの田中構成員の代理といたしまして山岡参考人に御出席をいただいておりま すので、御報告をさせていただきます。  次に、お手元に資料をお配りしてございますので、資料の不足・落丁等ございましたら、事務 局までお申し付けください。資料としてあらかじめ入っているものと、そのほかお手元に2種類、 DPIの尾上さんからと、日本障害者協議会の佐藤構成員からの追加の資料もお手元にあると思 いますので、御確認をいただければと思います。よろしいでしょうか。  なお、前回御質問にありました議事録の公開についてですが、参考資料の中にも入ってござい ますけれども、第1回については厚生労働省のホームページのトップページからいきますと、本 日の進捗情報欄というのがあるんですが、第1回目につきましては7月30日の掲載欄に、それか ら、第2回目の議事録につきましては8月25日付の掲載欄に掲載されておりますので、併せて御 報告を申し上げたいと思います。  それでは、時間の関係もありますので、議事に入りたいと思います。  まず、本勉強会の趣旨でございますけれども、本勉強会は障害程度区分の見直しのための調査 方法について認識を共有するために立ち上げたものでございます。今回は第3回目でございます が、本日までで調査の概要につきまして一通りいろいろな御意見があろうかと思いますけれども、 御議論をいただければと思っております。そういう形で進めさせていただきたいと思います。  それでは、資料1から資料3−2まで、全体を通して説明をさせていただければと思います。 その後、質疑応答という形で意見交換、そして情報交換をさせていただければと考えております ので、よろしく御協力のほどお願いいたします。  それでは、資料の説明をお願いいたします。 ○江副課長補佐 それでは、お手元の資料に沿って御説明させていただければと思います。まず、 資料1をごらんください。ここに全体像が書いてありまして、第2回の勉強会におきましては、 「イ.支援実態調査」の(2)支援ニーズ推定調査について御議論をいただいたところでございます。 今回の議論の中心としましては、それ以外の2つの調査「ア.障害状態調査」「イ.支援実態調査」 の中で、(1)支援量実測調査について御議論いただければと思います。  それでは、早速1枚めくっていただいて、資料2−1をごらんください。  先ほどの左側の調査ですけれども、障害状態調査の実施方法について御説明をいたします。ま ず、「1 概要」ですが、障害者の標準的な支援の度合いを推計するために、支援実態調査の対象 となる障害者に対して、障害状態調査を実施するということにしております。  「2 調査項目」ですけれども、調査項目に求められるものとしまして3点ほどあります。1 点目がさまざまな障害者の特性を反映できること、2点目が客観的に把握できること、3点目と して支援ニーズに関連があることとさせていただいております。イメージ図の左側が状態調査項 目のイメージなんですが、例えば、下肢の麻痺といった項目がある際に、右側の支援ニーズの中 で支援の種類によって関連性が異なってくるかと思いますので、その支援との関連性について調 べるために、状態調査によって左側の各種障害の状態についてしっかりと調べていくということ を考えております。  四角の中ですが、開発段階では認定調査項目に最終的になり得る候補について幅広く調査した 上で、右側の支援量実測調査、支援ニーズ推定調査との関連性を分析して、支援ニーズと関連が 見られる項目について最終的に認定調査項目として選んでいくということを考えております。  2ページが状態調査項目の概要としまして、あくまで幾つかの例示をお示ししております。「※」 にありますように、今回を含めて今後、関係者の御意見を踏まえて更に検討を深めていければと 思っておりますけれども、主なものをピックアップしたものです。全体の領域としては、左側に 幾つかありますが、主に8つの領域があろうかと考えておりまして、これまではどうしてもAD L関連というのが前面に出てきていたのですが、それ以外の項目についてもしっかりと把握して いければと思っております。例えば、これまで余り把握できていなかった社会生活関連ですとか、 発達・学習関連といったことも含めて、右側に幾つか例示しておりますけれども、こういった項 目を含めて幅広く調査して、最終的な認定調査項目を選んでいければと考えております。  具体的には、より詳細な調査票を3枚ほどめくっていただきますと、資料2−2として縦の表 にお示ししております。これについても「※」にありますように、今回を含めて今後、関係者の 御意見を踏まえて更に検討を深めていければと思っているのですが、左側に参考までに現行の項 目をお示ししておりますけれども、これにとらわれずに、例えば、右側に挙げてあります項目、 IADL、コミュニケーション支援、行動関連ですとか発達・学習、健康管理、社会生活、精神症状 への支援といった項目について幅広く盛り込んでいければと考えております。具体的な御意見に ついては今日でも結構ですし、今後、具体的な調整をする際にまた仰っていただければと思って おります。  それでは、資料2−1の3ページにお戻りください。以上が項目そのものの議論なのですが、 それ以外に項目の選択肢についても改善を図れればと思っておりまして、基本的な考え方として は障害特性をより的確に反映できるとともに、わかりやすく判定しやすい選択肢にするというこ とで、例えば、真ん中に例1として買い物という例を示しておりますけれども、現行の選択肢と しては買い物については「できる」「見守り、一部介助」「全介助」といった選択肢になっており ます。これについては不安定な状態を的確に把握できない場合があるのではないかという御指摘 をこれまでもいただいておりますので、右側のように、まず頻度の観点で「いつもできる」「たい ていできる」といったような観点で選択していただいて、その上で見守りといった程度、支援の 種類についても選択していただくことによって、少なくとも今よりは状態の不安定な方について 一定程度改善が図れるのではないかと考えております。  例2として調理も挙げておりますけれども、基本的には同様の工夫を行ってはどうかと考えて おります。  次に、(2)障害特性に対応した選択肢とするということで、ここでは視覚障害の例を挙げており ます。視力については、現行では視野の欠損も含んでおりまして、こういった独自の選択肢にな っておりますが、更にこれについても、例えば、視力と視野を分けたり、あるいはそれぞれの障 害に特化した選択肢に更にしていくといったような御指摘もいただいておりまして、これはあく までも一例ですけれども、ほかの障害分野についても障害特有の選択肢があれば、それも柔軟に 調査の段階で盛り込んでいきたいと考えております。  「4 把握方法」ですけれども、調査対象としては状態調査だけで独自に対象を決めるという ことではなくて、基本的には支援の実態調査の対象者にこの状態調査も行うということですので、 実態調査の方で御議論させていただければと思います。  調査方法については、マニュアルや説明会等によって調査方法を標準化した上で、調査員が障 害者本人の状況を調査するという考え方で行ってはどうかと考えております。  以上が、障害状態調査の概要になります。  資料3−1をお開きください。これが右側の支援の調査の中で、前回御議論していただいた支 援ニーズ調査に加えて行う支援の実測調査についてです。  「1.概要」につきましては、障害者が受ける支援を把握するに当たって、支援ニーズを推定 するための支援ニーズ推定調査に加えて、実際に行う支援量を測定するための支援量実測調査を 施設と在宅それぞれにおいて実施する。  「2.評価領域」につきましては、前回の支援ニーズ推定調査と基本的には同様の整理で考え てはどうかと思っておりまして、例として8領域ほどありますけれども、これもADLもですが、 それ以外の領域についても幅広く分けて、それぞれについて詳しく測定できるようにしてはどう かと考えております。  具体的な調査票については資料3−2ということで縦の表がございます。これもあくまで現段 階の案ということになりますけれども、例えば、こういったような形で具体的に8つの領域に沿 ってこういった分類を設けて、実際の調査を行ってはどうかと考えております。  資料3−1の2ページを開いていただきますと、幾つか改善すべきと考えられる点として、あ くまで例示ですけれども幾つかお示ししております。例えば1点目として、IADLに関する項目を 新設してはどうかと考えております。これは清掃・ごみの処理ですとか、金銭管理、戸締まり・ 火の始末、寝かしつけといった項目については、これまで必ずしも十分はかれていなかったので、 こういったことを新設してはどうかと考えております。  同様に2点目として、社会生活に関する項目を新設してはどうかと考えております。例えば、 外出時の移動ですとか、外出先での行為、来訪者への対応といった項目です。  3点目として、発達・学習支援に関する項目を新設してはどうかということで、注意を集中す ることへの支援ですとか、数、時間、文字の理解への支援、計画の決定への支援といったことに ついても新設してはどうかと考えております。  4点目として、見守り、言葉による働きかけの位置付けの明確化ということで、これまで十分 こういった直接的な介助以外の支援についてはかれていなかったのではないかという御指摘もあ りますので、こういった見守り、言葉による働きかけについても、しっかりと項目を設けて明確 に位置付けて、測定できるようにしてはどうかと考えております。  3ページをめくっていただきまして、支援量実測調査については施設調査と在宅調査に分けて おります。まず施設調査についてですが、基本的な考え方としては、良質なケアを提供している 施設を対象とする。それから、おのおのの障害特性を十分に反映できるようにバランスのとれた 対象とする。  具体的には(1)にありますけれども、良質なケアについて測定する観点から、各施設関連団体に 推薦していただくということを現在のところ考えております。対象者については、3障害の対象 者を確保するということは当然なのですけれども、更に視覚・聴覚ですとか、発達障害ですとか、 更に細かい障害種別についても確実に対象にするということを考えております。それから、対象 施設は新体系の施設も対象になりますし、障害のバランスに配慮しながら旧体系の施設について も対象になってくるかと思っております。  調査方法については、先ほどと同様な面もありますが、調査方法を標準化した上で調査者が障 害者を支援している職員ごとに、その支援の種別と量を把握するという構成で考えております。  以上が、施設調査です。  次に、4ページの在宅調査について御説明いたします。概要としては調査方法を標準化した上 で、障害者が在宅で受けている支援の種別と量を把握するということで、基本的な考え方として 最初の2点は施設調査と同様なのですけれども、3点目として障害者や家族の負担とならないよ うな策定方法についても、在宅ですので十分に配慮する必要があると考えております。  調査方法としては、下記のような3点ほど考えられるのですけれども、まず、1点目としては 自宅で第三者が入って調査する。この利点としては、施設調査と同様に詳細な測定ができるとい うことがあります。ただし、課題としては調査について当事者・家族の了解がそもそも得られる か、得られたとしても自宅に第三者が入っているということで当事者の負担となったり、状態や 支援が変化するおそれがあるのではないか。それから、生活と支援の区別がそもそも在宅では難 しい面があるのではないかといった課題があろうかと思います。  2番目の方法としては、自宅で第三者ではなくて家族などが入って調査をするということで、 利点としては第三者が入らないので調査の協力を得られやすくて、ありのままの状態を調査しや すい。課題としては、正確で詳細な結果が得られにくい、それから、生活支援の区別が難しいと いうことは同様です。  3番目の方法として、グループホーム等で第三者が調査するということも考えられます。この 利点としては施設調査と同様に、ある程度厳密な測定ができる。ただし、課題としてはそもそも グループホームですので、自宅とは違うという課題もございます。  こういったことを踏まえて、後ほど御議論いただければと思いますけれども、矢印のところで すが、関係者の御意見をいただきながら、例えば、試行的に調査を実施するということも含めて、 在宅における調査方法を更に具体的に検討する中で明らかにしていってはどうかと考えておりま す。  資料3−2は先ほど触れましたので、とりあえず調査の概要の御説明ということでは以上とな ります。 ○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。  いわゆる障害の状態調査の部分と、支援実態調査のうちの支援量の実測調査についての概要を 説明していただいたわけでございますが、ただいまの説明に対しまして御質問・御意見がござい ましたら、お願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  なお、使い方は前回もこの会場だったのでおわかりかと思いますけれども、御発言がある場合 に真ん中のボタンを押していただきますと赤いランプがつきますので、それでお話しいただき、 それでお話が終わったらまた押していただくとボタンが消えまして、ほかの人が話せるようにな りますので、よろしくお願いします。 ○東山参考人 日本盲人会連合の参考人の東山です。今回が初めてで恐縮でございます。  単純な質問ですが、資料2−1、状態調査の項目の2ページの一番下、コミュニケーション関 連というものがございますね。ここでそれぞれ視野・色覚を伺っておるんですが、次に今度は支 援量の評価領域、具体的にいいますと資料3−1の1ページの一番下の中に、急に「目の見えな い者への移動支援」というのが入っているんですけれども、このコミュニケーションと移動支援 というのは単純に言えば分けた方がわかりやすいと我々は考えております。ここは勉強会ですの で、学者の先生方がいるからそれは別としまして、単純な方がわかりやすいということで分けて いただきたいということです。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 今のは御意見ということで承ればよろしいでしょうか。ありがとう ございます。  ほかに御意見・御質問ございますか。 ○田中構成員 全国地域生活支援ネットワークの田中です。  今回の調査の対象として、在宅と施設と分かれているところがありますが、在宅調査における 課題として、生活と支援の区別が難しいとなっていますが、どんな見通しを持って難しいとされ たのかということについてお示しいただければと思っております。  それから、在宅で生活と支援と分かれていく際の前提として、何を確認するのかということで すが、3ページの「3 項目の選択肢」で、今回時間軸を少し持ち込んで、頻度と程度と分かれ たと理解したんですけれども、頻度と程度として分かれる部分について、例えば先ほどの在宅の 方にかぶせて考えますと、特に発達障害系のお子さんで具体的にお話ししたいと思うんですが、 支援として生活と支援の中にあらかじめ環境設定として本人の障害特性に合わせた、不安定にな ったり、ここでは買い物、調理となっていますが、行動障害の部分の聞き取りになれば、ここが 頻度と程度で、いつも起こるというのが程度として「見守り、一部介助」「全介助」となると思う んですが、その辺の区分けが暮らしの中に適切な環境が用意されていると、こういった状態像が 起こらないとなる場合があると思うんですが、そういった点も含めて生活と支援について、どの ような見通しを持たれているのかというのを教えていただければと思います。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  大変重要な指摘で、私どももそこが難しいなというところがあって、いろいろとお知恵をいた だければという部分も含めてあえて出しているんですけれども、では、事務局の方から現時点で の整理をお願いします。 ○林課長補佐 ここで生活と支援と区別が難しいと書かせていただいていることの意味は、在宅 での生活、しかも、障害者が御家族として生活されている中での話でございますので、例を挙げ れば、例えば、調理をするといっても障害があって調理ができないから調理をしているのか、家 族のみんなの御飯をつくっているのかというようなことがありますし、テレビを見ながら見守り をしているというようなことと同時に何かをしているというような場合、生活と支援をどういう ふうに把握していくのか、どの部分をケアとらえて、独立してどのように把握していくのかとい うところに課題があるということを書かせていただいたということでございます。更に、それを どうしていくかということは、皆様方からもお知恵をいただいて議論していけばよいということ だと思います。  後半にありました環境設定についても、それを支援と見るのか、それとも生活と見るのか、ど のように見るのかということも御質問の中でございましたけれども、そこも環境設定のために一 定の何らかのことはしているという場合に、つまりマニュアル上それは一部介助というふうにと らえましょうとか、そういう約束ができればそういう方法もあるのではないかと思いますし、そ ういうことでは対応できない部分があるのであれば、またそこを検討していくことになるのでは ないかと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  それでは、佐藤構成員からよろしくお願いいたします。 ○佐藤構成員 今の生活と支援の区別が難しいということに関連する問題なんですけれども、追 加で出させていただきました私の1枚ペラの資料で、(3)支援の範囲と概念が不明ということを指 摘させていただきました。調査の設計としては、障害の状態、心身の状態と支援の実態、必要量、 それらを併せて相関を見てという調査なわけですけれども、その際、支援の概念や範囲というも のが非常にはっきりしないと、調査票の設計の段階に入れないことは明らかなことだろうと思い ます。  私は都合で第2回目に参加できなかったんですけれども、議事録を丹念に読ませていただきま して非常に疑問に思った点として、お二方の構成員から就労支援についても見てほしいという意 見が出されて、それに対してそれは困難だという回答がなされたと記憶しています。なぜ困難な のかというと、障害の状態、心身の状態との相関が余り高くないことが予想されると。心身の状 態を見れば大体の予測がつきそうな範囲の支援について調査をするのが趣旨なので、就労支援の 必要量に関してはまた別な仕組みで考えることが必要なのではないかというような趣旨の御回答 がなされたわけですが、今日の資料を見ても、発達への支援だとか、コミュニケーション支援だ とか、相当広い範囲の支援について見ようとしておられる。何ゆえ就労支援についてだけ取り上 げないことになっているのか、非常に疑問だなと。介護給付の範囲の支援を見ようとするのか、 法律が規定している障害福祉サービスという法律どおりの支援を見ようとするのか、あるいは障 害者自立支援法全体の支援を見ようとするのか、そういう辺りの論議をきちんとしないままでは、 調査票の設計に入れないのではないかという感じがします。  そう思って、先ほど資料3−2の2ページをもう一度見直してみたところ、社会生活支援の中 に職能訓練だとか生産活動だとか就労移行支援、就労継続支援などが入っているので、第2回で 就労移行の支援は見ないと言われたんですけれども、実際には入っているなと。説明と実態とが ちょっと食い違うかなと思ったりもしていまして、そうなってくると、本当に何の支援のニーズ を見ようとするものなのか、それがはっきりしないなというのを改めて感じた次第で、この辺の 合意形成というのが重要なのかなと思いました。  ちょっと長くなって失礼しました。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。大変重要な御指摘かと思います。  第2回のところでも何回かやりとりのあったところでして、まさにどの範囲のための情報なり データをとるのかというところで、端的に言うと、今、佐藤構成員がおっしゃられたようなとこ ろが具体的な細部のやりとりになっていたところでございます。そういう意味では、今おっしゃ られたような、この部分での考え方の整理ができないと、確かに細かなどういう項目についてど うとっていくのかについての議論が進んでいかないというところは現実問題としてあるのかなと 思っています。  一方、前回の説明にもありましたけれども、今ある現実部分のさまざまな問題、その中でいわ ゆる障害の多様な特性を踏まえた場合に、十分に実情が把握されていない、反映されていないの ではないかと。その部分について今回いろいろなお立場の方々から、また、実際にやっておられ る方々から、経験・実情を踏まえていろいろと知恵を出していただこうという、そこに第一義的 なフォーカスが当たっているという中で、今おっしゃられたような議論、それだけでいいのかと いうことも含めてあったのかなと思いますけれども、何か追加のコメントは事務局からございま すか。とりあえず御意見としてお伺いしておくということでよろしいですか。 ○林課長補佐 調査設計上のことを申し上げると、就労支援を制度論上位置付けて、積極的に調 査でその部分のニーズを把握しようと思ってとりにいくというデータの集め方もあるでしょうし、 一方で、例えば、在宅の調査を行うとすると、ある一定の対象者の支援を24時間分類していこう とすると、就労支援部分のケアをあえて積極的にこの調査の対象としているわけではないとして も、24時間の中にその時間も入っているわけですから、どこかでコードを振っておかないと調査 として穴が開いてしまうという意味で、コードを設けなくてはいけないという意味もあるでしょ うし、そういう意味では、このコードに入っているということと、制度論上位置付けられるとい うこととは必ずしもパラレルに一致するものではないと思っておりますが、そういう意味では調 査をするということは、やってできなくはないということなのだと思いますけれども、それを制 度論上どうしていくかということは、また別の議論なのかなと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 支援の実態を見る上では、そういったところも当然入ってくるとい うことで、そういう意味では全体の姿を確認するという実情を的確にとらえたいということで入 っているという趣旨ですけれども、それと制度論上どこを位置付けるかというところはまた別途、 この場ではないような気がするんですが、そういう議論が必要になってくるということでござい ます。  そのほか御意見・御質問ございますか。 ○阿由葉構成員 今、佐藤構成員から質問していただいて、前回その部分については私も質問さ せていただいたところです。前回、働く支援のニーズを把握することは非常に難しいということ で、今回の支援量実測調査の中にきちんとそこを含めていただいたというところで、方向性とし ては私どもが提案させていただいたことはきちんと入っていると理解していますが、実際の調査 内容を見てみないとわからないところがたくさんあると思います。特に働く支援については、社 会経済活動の中で生産活動に伴う受注活動とか検品活動あるいは納品活動等が重要であり、利用 者本人、支援する職員が一緒にやるというところがあります。そういったところがその中にきち んと含まれているということが大切だと思います。そこのところを調査内容のところにきちんと 書き込んでいただきたいと思います。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  では、大久保構成員、よろしくお願いします。 ○大久保構成員 育成会の大久保です。  確認ですけれども、今の部分というのは結局、必要とされる標準的な支援の度合いをどうとら えるかということだと思うんですが、私の理解ではどこにいても暮らしていく上での基本となる ニーズととらえれば少しはすっきりするかなと。それ以外にオプションとなるニーズも当然ある でしょうけれども、ここではそういうとらえ方なのかなということがあります。  もう一つ、生活と支援の区別ですが、通常は調査する上でコントロールとして一般の成人の生 活実態と比較して、普通はあり得ない支援というか、普通は必要とされない支援が実際に存在し ている。そこで生活と支援という区別ができるのかなと。これは実際に調査できるかどうかとい うのはわかりません。  それともう一点、これも確認ですけれども、この障害程度区分の中で発達とか学習関連、ある いはADL、IADL、社会生活といったものについて知的障害の視点から見れば、障害程度区分は 変化するというとらえ方でいいのかなと思っております。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。特性を踏まえた御意見も含めて貴重な御意 見をいただいたと思います。  そのほか御意見ございますか。 ○高橋構成員 全精社協の高橋です。  いろいろ細かいことはあるんですが、私の率直な印象として、実態調査が非常に難しいのでは ないかと思いました。例えば、施設調査も誰が調査に入るのかということと、やはり時間軸で見 ていくとしたら、多分2〜3時間の調査ではなくて1〜2日、24時間とか48時間の支援を観察し ないといけないとなると、絶対1人や2人では難しいということになりますよね。そうなると、 施設職員がこれに対応して調査しないといけないのかとなると、特に移行したところはとてもで はないけれどもそういった余力はないなと感じております。  あと、在宅に関しても、やはり自分の家に第三者が来て調査するというのは物すごくストレス になると思うんですね。それは調査する側も、受ける側もだと思います。ですので、調査方法と いうのを本当に人を使ってやることが果たしてベストなのかなというのはちょっと感じておりま す。  例えばなんですけれども、思いつきなので聞き流していただいて結構なんですが、勿論御本人 さんたちの了解をとっての話になりますけれども、いわゆるカメラを4〜5台、何台が適当かわ かりませんが、それを結局防犯カメラのように、例えば24時間、48時間撮りっ放しにすると。そ れを持ち帰ると別のところで分析できるので、例えば、生活と支援の区別というのも協議しなが ら、これはそうだよねということで判断がつきやすいのかなと思うんです。例えば、現場で調査 する人が、それは支援なのか、生活なのかというのを判断しながら調査票に記入していくという のはかなり技術が必要なことで、例えば、調査員をどういう人たちを対象としているのか、どう いう人たちにお願いしようとしているのかなというのがちょっと疑問なんですね。となると、そ れをやるために研修会なり何なりをかなり開かないとできないような状況になってしまうのでは ないかという気がします。そうすると費用もかかってしまうことなので、人件費というのはばか にならないと思いますので、そういった器材を準備してそれを使ってやった方が、ひょっとした らコストが安くなるのではないかということも考えられますし、ビデオを巻き戻してもう一度確 認したりということもできると思うので、そういった方法も含めて、お互いにストレスにならな いような方法を是非考えていただきたいなと思います。  特に、精神障害者の場合、環境が変わるだけで病状が悪化したりします。ということは本来の 姿ではない姿になってしまって、結局きちんとしたものが調査できないということになってしま いますよね。それから、第三者が入ると、やはり実態とは違う動きになってしまったりというこ とがあるので、私の個人的な思いとしては、今これだけいろいろなところに監視カメラや何かが ついていますので、その方が人が入るよりは抵抗がないんじゃないかと感じたものですから、具 体的にはどういう方法がいいかわかりませんが、調査方法自体そういった方法も含めて、もう一 度検討していただいた方がいいのかなと思いましたので、ちょっと発言させていただきました。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  ある意味では調査の実施可能性の多寡についてということで、事務局としても特に在宅につい て言うと非常に難しいというか、状態像を的確に把握するという観点から、どういったことが一 番いいんだろうかということでいろいろと悩んでいたところなんですけれども、そういう意味で は新しいアイデアをいただいたという感じですが、今幾つか調査のフィージビリティのことでコ メントがありましたが、追加で事務局から説明はございますか。 ○江副課長補佐 これから具体的な調査設計については、いろいろと御意見を伺いながら詰めて いこうと思っているのですが、例えば、施設調査は誰がやるのかということについても、当然施 設に丸投げということではいけませんので、ここに書いてあるようにマニュアルや説明会等によ って調査方法の標準化という趣旨は、全員を外部から入れられるかどうかというのはわかりませ んけれども、極力施設職員だけに頼ることがないように、一定の知見のあるような者を外部から ちゃんと入れて、少なくともその方々にはマニュアルや説明会等で、かなりばらつきのないよう な形で調査を行えるような工夫はしていきたいと思っております。  それから、在宅調査の方法もまさにこれから詰めていく必要があるのですけれども、ビデオカ メラというのも確かに選択肢としては想定できると思っていまして、まさに最後のところにあり ますように、今後具体的な課題を洗いながら試行的な調査が場合によっては必要かと思っており ますが、その中で十分参考にさせていただければと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 事務局から今、補足的に御説明させていただきましたけれども、事 務局の今の説明に対してまた御意見等があれば、追加でいろいろな形で御意見をいただければと 思っております。  そのほかにございますか。 ○花井構成員 ちょっと変な質問かもしれませんけれども、教えていただきたいのは、資料1の 1ページの右の方に「イ.支援実態調査」で(1)(2)と書かれていまして、これは前回も説明された んですが、支援ニーズ推定調査というのは、時間で測定することが困難な支援を含めた支援のニ ーズを把握するとなっていますが、実際項目等を見ますと、タイムスタディを行う場合の調査領 域と同じ項目になっていますよね。このイメージが沸かないんですが、1番目のタイムスタディ を行った実測調査と、2番目で支援ニーズ調査、これはポイント制でやるという前回の説明だっ たんですが、両者の関係はどういうふうに考えたらいいんですか。 ○林課長補佐 関係というのは方法なのか、それともどう使うかという趣旨か、ちょっと教えて いただけますか。 ○花井構成員 障害状態調査と支援実態調査を付き合わせて相関を分析していくとなっています よね。その場合に、支援実態調査に(1)(2)が入っているんですが、(2)はどういうふうに位置付けら れて支援実態調査としてまとめられていくんですか。 ○林課長補佐 利用者の2つの調査はどういうふうに組み合わせて使っていくかという趣旨でご ざいますね。まず、支援量実測調査と支援ニーズ推定調査の両方行うことの意義としては、両方 それぞれに利点があるのだと思っておりまして、支援量実測調査の方であれば支援の内容につい て客観的に把握して詳細に分析できますし、また、そのことによって説得力も高いものができる と思っております。  また、2番目の支援ニーズ推定調査の方であれば、支援量実測調査でどうしても出てきにくい、 過小評価されやすい部分の領域の支援が把握しやすいことであるとか、あとは実際に行われてい る支援よりもニーズがある部分の方が大きいんだというような御意見もあるところでございます ので、そういった部分が本当にあるのか、あればどういう部分なのかといったこともわかるとい うこともございます。  また、支援量実測調査の方では、在宅の施設調査のやり方が今議論されておりますけれども、 支援ニーズ推定調査の方であれば少なくとも在宅・施設によらず良質な方で調査ができるという ような利点もございます。  それぞれ両方の利点があるわけでございまして、その結果がもし全く同じようなものであれば、 単純に足し算しても、あるいは片方だけを使っても構わないものだと思います。そうなのかどう かというのをまず見ていくということだと思いますし、領域によっては(1)よりも(2)の方がニーズ が大きいというふうに出てくる領域とか、あるいは(1)だとみんなが同じケアの量だけれども、(2) で見てみると支援ニーズが大きい人と少ない人がくっきり分かれたという領域が出てきたりする ということもあるかもしれません。そういった場合には、両方をうまく組み合わせて足し算する のがいいのか、あるいは領域ごとにこの領域はこっちを使おうという処理をするのがいいのか、 それは試行錯誤的にやることになるかと思いますし、皆様方とも御相談できればと思っておりま すけれども、そういったそれぞれの利点を生かして関係を分析して、その上で使うのがより望ま しい方あるいは領域によってどういう組み合わせをするのがよいのかといったことを検討してい ければと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 基本的には項目がある意味では並ぶわけですが、そういう中で例え ば、5人なら5人は見守っているというときに、その5人の特性が違うかもれしないわけで、何 か起こった場合にはすごく大変な人もいるかもしれないし、頻繁に起こる人もいるかもしれない。 それを例えば1人の支援者が見ているという場合に、どういうふうに割り振るといいのかという、 単純にとらえていいのか、その辺の量的な問題とともに質的な問題をうまく(2)のところでとらえ られたらいいのかなというところが1つ。  もう一つ、ここにも「含めた」と書いてございますので、そういう意味では構成員の皆さん方 のいろいろな御経験の中で、時間では非常にはかりにくくて、または、はかってもうまくとれな いだろうというようなものがある場合には、また御意見をお寄せいただいて、そういったものも 調査の中に含めていけたらいいのかなというような趣旨でございます。  関連して、もし差し支えなければ、なるべく大勢の方に御意見をいただきたいんですけれども、 前回から花井構成員に障害区分のロジックについて資料を出していただいていますので、手短に 御説明していただければありがたいかと思いますが、よろしいですか。 ○花井構成員 それでは、簡単に説明させていただきます。  私たちの考え方は、やはり必要な支援のニーズをどのようにとらえるかというときに、時間で はかってこのぐらいの量があるととらえやすいものも勿論あるでしょうけれども、それではとら え切れない問題が特に精神・知的の場合には多くのニーズがあるということで、それをどういう ふうに反映していったらいいのか。時間では測定しにくいものですから、時間で測定できるもの と測定できないものを同じ尺度では評価し切れないだろうと思っています。時間という尺度で両 方を評価することができない以上、ほかの尺度を考えざるを得ないだろうということで、私たち が考えたのは、現場で支援している精神保健福祉士であるとか、あるいは看護師といった資格を 持った実務経験者の実際の経験的判断というものを一つの基準として集団的なものを用いて、そ れを基準にして判断する方法しか結局ないのではないかという考えで、この方法を一応検討して います。  3ページにありますが、2つのステップで考えておりまして、1つは、いずれのステップも専 門家の臨床的・経験的判断を投入して判定方法を考えるということで、1つ目のステップはニー ズの調査票を作成する。これは3つの支援領域にそれぞれ1つの評価基準を設けまして、各評価 基準に5つの必要度を持つということで、全部で75の項目を検討しております。3つの支援領域 のもとにある5つの評価基準の中にも、それぞれ支援必要度の密度といいますか、濃い薄いがあ るだろうということで、その重み付けをやる方法としてAHPという手法を用いて重み付けを行 うということで、あるいは各評価基準の必要度項目をそれぞれの重み付けもやるということで、 支援必要度の換算表をつくるというのが第1のステップです。  第2のステップとしては、実際のニーズ調査をやって、実際に経験している専門スタッフによ って、今まで障害程度6区分が既に運用されているわけですから、その経験的尺度に基づいて自 分たちが調査した、この人は推定区分幾つであるという推定をしてもらうと。そのもとで、支援 必要度換算表を用いて支援区分ごとに必要度の範囲を決めていこうという方法です。  その3つの領域は4ページに書いてあるとおりで、あと、各3つの領域ごとに5つの評価基準 を設けてありまして、12ページですが、先ほど言った第1ステップとして、メンタル支援領域に 5つの評価基準を書いてありますが、この評価基準間の重み付けをやる方法、これをAHPとい う手法を用いて行うわけです。トータルが1になるように、各評価基準の重みベクトルを計算す る方法がありまして、これによって重み付けを判定するということです。  13ページにありますように、各評価基準に5つの評価必要度の項目がありますが、その重み付 けも行うことによって、14ページにありますように支援必要度換算表をつくろうということでご ざいます。  次に、第2ステップとして、実際にこの調査票を使って調査を行った専門家が、例えば6区分 のうちの4であると推定する、そういう調査票を集めて、そこから各推定された障害支援区分ご との支援必要度を集積しまして、各区分ごとの支援必要度の範囲を推定するという方法です。  一番最後のページにありますように、厚生労働省は今説明されたような障害状態調査と支援量 の実測調査をやって一次判定を行おうということですが、我々日精協の方針としては、同一対象 者の一部、XとYをイコールにしていますが、その一部について日精協の方でも先ほどの調査方 式をやって支援区分の一次判定結果を出そうと。両者を比較検討して違いがあった場合には、そ の違いの根拠を分析して、それを修正するロジックをつくっていこうというような方法で考えて おります。  あくまでも我々としては時間で判定できるものもあるけれども、時間ではなかなか支援の必要 度というのは表現できないものが多いので、そこをどのように組み入れた方式をつくるのかとい うことでこういう案を考えていますので、一応御紹介します。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  幾つかの軸に沿った形で、また、その重み付けとそれぞれの中の構成要素の重み付けというも のを確立された手法でつくった上で、それを支援量として数値化していくというロジックのよう でございますけれども、いろいろな意味で検証していくというか、これからいろいろ考えていく ものを検証していく意味で、一つの試みを今検討されているということで理解させていただきま した。  それでは、小中構成員、先ほど手を挙げていただきましたので、よろしくお願いします。 ○小中構成員 全日本ろうあ連盟の小中です。まとまらないままの話しになるかと思い、申し訳 ないんですけれども申し上げます。  資料2−1の1枚目、障害状態調査項目に求められるものが支援ニーズに関連があるというこ とですけれども、私たち全日本ろうあ連盟では、これまで自立支援法の障害程度区分において、 聞こえない者の位置付けといいますか、支援についてどう評価されるのか、その辺り抜けている 面が大きかったのではないかと思います。ですから、今回の見直しを機会にそれがきちんと位置 付けられるというか、そういうことを一つの大きな期待として持っているんですけれども、支援 ニーズに関連して状態調査項目を見るという辺りの考え方が、ちょっと漠然としていてよくわか らないところがあります。  聞こえないということからどのような支援ニーズが必要になるのか、その辺りの確認といいま すか、これはひとつ丁寧にいろいろな実態を見ながら審議をしていく、そういう過程がまだまだ 必要なのではないかという気がします。  例えば、どのような手話を使うかというところにしても、また、さまざまな手話レベルがある かと思います。基本的な手話で通じる場もあれば、非常にホームサインといいますか、その人の 生まれ育ったといいますか、また、かかわり合った中で自然とあるいは何とか伝えたいというこ とでやってきたサインといいますか、そういうホームサインを用いてやっと理解できるというよ うな人たちもいるわけです。そしてまた、手話で通じる場合にしても、伝えたことがきちんと理 解されるのかどうか、そのためにいろいろな経験・知識というものがどれだけ蓄積されているの か、その辺りで手話を使えばそれでいいのか、それとも手話と同時に一緒に行動するなど、さま ざまな支援が必要なのか、そういった面はわからないわけですよね。そういう面を見ていくため に、まだまだいろいろな実態調査といいますか、いろいろな考え方の審議が必要ではないかとい うことがあると思います。  また更に、そういう調査をして、例えばこういう支援ニーズが必要だという場合に、手話でい ろいろな話をしたり、働きかけをしたりするということで支援できるというニーズがあるにして も、現実の施設や家庭でそういう条件にあるということはほとんどないんじゃないかと思います。 一部の聴覚障害専門の施設においては、ある程度そういう条件がそろっていますけれども、一般 の施設や一般の家庭にいる人にとって、手話できちんと見守ったり、言葉がけをしたり、話をし たりということが必要とされても誰もいないという状況もあるわけです。  では、そういう環境の悪いところについて障害程度区分の考え方としてどこまで関わっていく のか、そこで打ち切ってしまうのか、それとも必要な社会支援を更にどうやってつくりましょう かというところに向かって進んでいくのか、そういう考え方があるのかどうかということを確認 したいと思います。  もう一つ、調査員についても先ほど話がありましたけれども、基本的にはそれぞれの障害を専 門としている、経験を持っている人が当たるべきだと思いますが、やはり具体的にどういう人を あてるのかというところがまだあいまいなので、いろいろな考え方はあると思いますけれども、 せっかくこの勉強会で話し合っているわけですから、全体の共通理解はやはり必要ではないかと 思います。  そういう意味で、どこかに「試行して」という言葉がありましたけれども、やはり試行して、 その結果をもとにまた集まって、いろいろとデータをとって進めていくというような手順といい ますか、そういう経過が必要ではないかと思います。  もう一つ、この調査をするに当たって、「良質なケアをされている施設を選ぶ」とありますけれ ども、良質なケアというのは一体どんなケアのことを言うのか伺いたいなと思います。  最後に、やはりこの勉強会については全体の場で確認なり、いろいろと話し合っていくべきこ とがまだまだ多いので、是非続けていただきたいなと思います。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 貴重な御意見をありがとうございました。  特に聴覚障害の方について、今お話にもありましたように、状態やニーズというもののとらえ 方がなかなか難しいという中で、そういったお話があったかと思います。それから、調査員につ いての考え方と良質なケアについての御質問もございましたので、その3点について事務局で今 答えられる範囲で結構ですけれども、コメントをいただければと思います。 ○林課長補佐 まず最初に、調査をしてニーズがわかったときに、その後更にどうしていくのか という問いかけがございましたけれども、調査としては心身の状態に関連してどのような支援の ニーズがあるのかということをできるだけきめ細かく図っていくということをまずきちんとやっ ていきたいと思っております。その先というのは、それとは別にそのサービスの体系をどうする のかという別の議論があることは理解しておりますし、そこは事務局の担当の課からコメントが あれば話をさせていただきたいと思います。  それから、調査員はどういう人かという点でございますが、今の時点ではこういう人でなくて はならないということまでは記載させていただいておりませんが、できるだけ障害の状況に通じ た人、きちんとその方の状況がわかる、あるいは支援の内容がわかるという人が当たるべきだと いう基本的な考え方は持っておりまして、きちんと確保できることも一方で必要ですので、基本 的な考え方を持ちながら、できるだけよくわかる方が調査をするというふうにしていきたいと思 っております。  あと、良質なケアについてどういうものかということでございまして、今日の資料の中では在 宅調査、それから、施設調査と共通して、支援の量の実測調査の中で良質なケアを提供している 場所ではかっていくんだということを基本的な考え方としてお示ししております。これは支援の ニーズをはかるためにという最終的な目標があって、今、実際に行われているケアを測るわけで すから、行うべきニーズをある程度満たしているようなケアを行っているところで測らないとい けないという考え方に基づいているわけでございます。  良質なケアの定義というと、いろいろな側面、いろいろな次元での評価があると思います。そ れをきちんと定義できるという方法もあるのかもわかりません。ここで御提案しているのは、そ ういうことをすべて一番よく御存じなのは同業者といいますか、それぞれの障害のケアについて その分野に属する方が一番よく御存じだろうということで、各施設の関連団体にあそこはきちん としたケアをやっているというようなことを御推薦いただくような形でやってはいかがでしょう かということを一つの案として御提案させていただいております。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  そのほか御意見ございますか。 ○大濱構成員 今の関連で調査員なんですが、前回のときはどんな調査員を具体的に使われたん ですか。 ○江副課長補佐 前回と言いますと、平成18年に調査しようとしたのですが、結果的に実施でき ませんでしたので。障害者を対象にしたこういった調査というのは、これまで十分できておりま せん。 ○大濱構成員 では、調査員のイメージというのはその程度しか持っていなくて、どういう人が 調査員に当たるかは具体的にはまだないということですね。 ○江副課長補佐 これから勿論詰めていく必要があるのですが、想定しているのは、どういった ところに委託することになるかにもよるのですけれども、例えば、常日ごろケアに携わっている ような方々を派遣しているようなところですとか、あるいは日ごろからヘルパーですとか、ケア に携わっているような方々にできるだけ調査についてもかかわっていただくようなことを考えて おります。具体的には、これから御相談しながら調整が必要だと思っています。 ○大濱構成員 先ほどの良質なサービスというのは、推薦していただくという話でしたけれども、 良質というのはかなり主観的になってくるのではないかと思うんだけれども、本当に良質かどう かという判断というのはできないような気がするんです。施設の調査の結果、どういうものが出 てくるかによって相当影響してくるのではないかという気がするんですけれども、その辺具体的 なきめ細かいアイデアとか考え方はありますか。 ○江副課長補佐 それぞれの専門家のグループの中で統一的な、こういう基準を満たしていれば 良質と言えるだろうと、そういうものがあればそういう基準に沿って行政側が選定するというこ とも可能なのですけれども、現時点ではおっしゃっているように、障害者の当事者ですとか支援 にかかわっている方々の間ですら、そういう外形的な、客観的な基準、これさえ満たせば良質だ と言えるというような基準がなかなかありませんので、もしそういうものがあれば是非御提案い ただければと思うのですけれども、なかなかないので、それであれば、ここなら良質だと言える ようなところを逆に推薦いただくことによって担保しようという考え方でございます。なかなか 難しいことであることは理解しております。 ○大濱構成員 もう一点なんですが、先ほど花井構成員が話されたロジックで、これを具体的に この中に今後落とし込んでいく予定なのか、ただ、今は聞き置いたという形にするのか、その辺 の考え方はどうなんですか。 ○林課長補佐 そこも御意見があればいただければと思っております。花井先生からいただいた ものを今まで事務局が御説明した中に位置付けるとすると、支援ニーズ推定調査に近い部分にな ってくるのだろうと思っております。支援ニーズ推定調査の領域としては8つの領域を事務局か らは御提案させていただきましたが、花井先生からは大きく分けると3つの軸の領域を御提案い ただきまして、メンタル支援、生活支援といった部分は共通していくと。QOLの向上支援ある いはまた事務局が出させていただいているものと別のものなのか、同じものなのか、そういった 辺りを少し読ませていただいて、花井先生にもまたお話を伺えればと思っておりますし、更にき め細かい部分についてどういうふうに提案を生かすことができるのかということについても、事 務局で中身を検討させていただきたいと思っております。 ○大濱構成員 支援ニーズの件ですが、前回の資料で評価スケールというのが出ていましたよね。 支援の頻度が高いとか低いとか、そこはタイムスタディと一緒に入れ込んで評価するということ になりますよね。そのとき在宅などで支援の頻度が低いか高いかというのも、客観性という面で はどうなのかなという気がして心配なんですが、どうなんですかね。 ○福田精神・障害保健課長 まさに、そこのところは非常に主観的になるおそれもあるわけです ので、そこは冒頭の御説明でもあったように、なるべく標準化するようなことについてもいろい ろ知見を集めて、調査の対象の特性にもよると思うので一概に決められない部分もあると思うん ですが、私どももやはり今、構成員から御指摘があった点というのは、ある意味では調査そのも のの信頼性とも関係することになりますので、一緒に知恵を出し合いながら考えていきたいと思 っています。  事務局から追加があればお願いします。 ○江副課長補佐 基本的には今のとおりなのですけれども、マニュアルをつくる際にも極力ばら つきがないような形でちゃんとルールを決めていければと思っておりますが、そのルールを決め る際にも、また個別に御相談させていただこうと思っています。 ○福田精神・障害保健課長 追加ですけれども、先ほどの花井構成員からの調査の部分について も、今の花井構成員からの御説明ですと、同一対象者を選んでいろいろと比較をしてみようとい う話もありますので、時間的な枠組みとかいろいろ制約要件があるのかなと思いつつも、ある意 味では実際に精神障害者を日々見ていらっしゃるところでの取り組みということもありますので、 特にまた、はかりにくい部分をはかっていただくという試みでもありますので、情報・連絡を密 にしながら、いいものはうまく取り入れられるような形で議論が進められたらというふうにこち らとしては考えております。  次は手を挙げられた順番からということで、真下構成員からお願いいたします。 ○真下構成員 身障協の真下です。  お願いと確認があります。先ほど「障害状態調査」と「支援量実測調査」にかかわるお話があ りましたが、その実施方法としてカメラを設置して把握するという話もありました。実際に施設 の支援員の動きを常時調査員が記録する方法ならば、例えば50床の施設で、2:1で配置されて いる職員について、48時間の調査を行うことを考えた場合、単純計算で100名ぐらいのスタッフ が必要になるだろうと思われます。実は、身障協では過去にタイムスタディ調査を実施した経験 がありますが、相当数の調査員の確保が必要になりました。また、8時間ずっと1人の調査員が 記録するということではなくて、調査員1人が6時間ぐらい記録しその整理に2時間ぐらいはか かるだろうと思います。そう考えるとやはり100人近くの調査員が延べで必要となります。  それから、障害の状態調査については、1人が5名の利用者を調査すると考えても、10名程度 は必要になります。また、調査員として誰がかかわるかというと、先ほども事務局からも話があ った、日々支援に携わっている人を集める必要があります。本会でタイムスタディ調査を行った ときは他の施設の職員が調査員として協力するというかたちで調査したのですが、調査対象施設 に過度の負担をかけないように、調査員の確保等にあたっては十分な配慮をしていただきたいと 思います。この点をお願いしたいと思います。  それから、今回は一次判定、つまり障害程度区分に関わる検討を行っているわけですが、我々 としては、審査会を含めた支給決定プロセスのことについても勉強会を是非お願いしたいと思い ます。一次判定となる障害支援区分における支援ニーズの推定のみならず、その後の支給決定プ ロセスにおいても個別支援計画や個別支援計画に現に具体化されていないニーズを勘案要素とす るように検討をお願いします。また、今後の調査の前提として、今後このような視点や調査結果 を踏まえながら、支給決定プロセスについて改めて議論することやその場を設定していただける のか確認させていただきたいと思います。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。  今、真下構成員からお話がありましたように、実際に調査するとなると非常に労力といいまし ょうか、一定の要件を備えた方、しかも、通常はそういう方々は日ごろ逆に言うと支援に携わっ ている方ですから、そういう方の確保とそれに対する一種の保証策といったことについても十分 な配慮がないと、なかなか調査自体が絵に描いた餅になるかもしれないということで、そういう 点十分な配慮をお願いしたいというお話であったかと思います。  また、区分については前回もいろいろありましたけれども、基本的に幾つかあるさまざまな勘 案する要素のうちの一つであるという整理の中で今、議論を進めさせていただいておりますので、 そういった中でまた考えさせていただければと思っております。  そのほか御意見・御質問ございますか。 ○良田構成員 実際の調査のことなんですけれども、非常に難しいだろうなというのは、やはり 皆さんと同じように私も思っているんです。特に在宅ですね。精神の場合で言いますと、在宅で 家族とともに暮らしているのが8割を超えていて、恐らく9割ぐらいだと思いますけれども、診 療所協会などの調査を見ましても、いわゆる外来ニートと言われる、つまり外来しか行っていな い、どこの施設にもつながっていない人が非常に多いんですね。どんな支援者ともつながってい ない、要するに家族だけが見ていると。この人たちを除いてしまったら、また、その人たちは光 を浴びることなく、単なる引きこもっている障害者ということで終わってしまうのではないかと いう懸念があるんですね。ですから、やはりそういう人たちのニーズというものもしっかりとら えていかなければいけないなと思います。  そういう場合、カメラという話もありましたように、それは家族会としてはちょっと怖いんで すけれども、人が入るにしても、家族がやるにしても、カメラにしても、その調査をやったら希 望が見えてくるというか、いいことがあるというような障害者全体の中でみんなの気持ちが盛り 上がっていないと、こういう調査というのはなかなか引き受けてくれるところがないんじゃない かと思うんです。ですから、ちょっと厳しいことを言うようなんですけれども、いつも国の調査 は調査しても結果がわからない、戻ってこないとか、あるいはちっとも改善されないとか、お願 いしたりすると、いろいろ団体としての文句ばかり聞くんですね。そうではなくて、この調査は 本当に障害者にとっていい結果を生み出すものなんだという、具体的には何ともわからないんで すけれども、そういうものがみんなの中で了解されているということが前提になる、そういうム ードをつくっていかなければいけないなと思っていますので、じっくりと焦らずに取り組んで、 みんなの気持ちが本当に納得できるような形になってほしいなと希望いたします。 ○福田精神・障害保健課長 大変重要な御指摘をいただいたかと思います。  では、小板構成員、よろしくお願いします。 ○小板構成員 今たくさんの御意見が出てきているんですけれども、実はここへ来て一応政権が 変わったということが出てきてしまっているわけですね。障害程度区分は廃止するということを 言っているんですよね。この勉強会そのものとしては勉強することは当然いいことだろうと思い ますし、皆さんの御意向というのは非常に大切なところだと思うんですけれども、ただ、見通し みたいなものは今の段階で厚労省の方としてはどんな見方をされているのかということだと思う んです。  我々実際には非常に不安な状態の中でいるわけでして、果たしてこういった議論をすること自 身が本当に正しいのかどうか。全く別のものが出てきてしまったりという可能性もあるわけです から、その辺はどうでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。 ○藤井企画課長 今回の勉強会は、皆さんの御認識はそう変わらないと思うんですけれども、以 前の全国会において当時の政府・与党で提出した自立支援法の改正案がございましたし、その中 身を踏まえてこの勉強会で検討していこうというのが一つございました。また、あの法案以前の 問題として、現行の自立支援法に規定された障害程度区分、実際施行以来運用してきたわけです けれども、その程度区分そのものが障害特性を十分に反映していない、したがって見直す必要が あるということで、私どもも抜本的に見直すとか、ゼロから見直すといったことを申し上げなが ら検討しなければいけないという流れの中で、この勉強会をお願いしたという経緯もございます。  そういう意味では、いずれにいたしましても役所でございますから、現行の法律を前提とした 勉強会ということでお願いしておりますし、そういう意味では、今日いただいた御意見も今後も 勿論何らむだになるようなことはないと考えておりますので、是非、建設的な御意見等もいただ ければありがたいと思っておりますが、新政権との関係は正直まだ私どもとしても特段具体的な 指示があるというような時期でもございませんし、何とも申し上げられないというのが正直なと ころでございます。日程調整の関係もありますし、やっと3回目を今日セットできたと思ったら、 まさに選挙直後のタイミングになってしまったというようなこともございまして、私どももつら いところもございますが、その要素も含めまして今後の進め方等につきましては、私どもも改め て整理をしなければいけない部分もあるかもしれませんし、その辺は整理した上で、また皆様方 にも御相談させていただきたいと考えておりますけれども、今日の時点では何とも申し上げられ ないようなところでございますので、引き続きこの勉強会のもともとセットされた趣旨にのっと って御意見をいただければありがたいと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 では、尾上構成員、お願いいたします。 ○尾上構成員 DPI日本会議の尾上です。  今日は当日持ち込みになって申し訳なかったんですけれども、ペーパーで意見をまとめさせて いただいております。  まず意見提起をさせていただく前に、資料を見てみますと、先ほどの藤井課長さんの御説明だ と3月31日の法案がああいう形になって、それでも現行法に基づいて今やっているということな んですが、確かに資料1の1ページは「障害程度区分・一次判定方法開発調査」となっているん ですけれども、議事次第等はなぜか「障害支援区分の在り方に関する勉強会」になっているんで すよね。これは一体、どちらなんですか。つまり、今まで議論しているのは障害支援区分を開発 するという見通しで検討しているのか、それとも現行の障害程度区分を見直すということで議論 しているのか、両方の名称が配られているので一体、どっちなのかなというのが不明でございま す。  先に質問だけさせていただいていいですか。1つは、その名称の件です。ほかの人に尾上は一 体、何の勉強会に出ているのかと聞かれたときに、障害支援区分の勉強会と言うのか、程度区分 の勉強会と言うのか、どっちか私もわかりませんとはね。私も大阪の人間なので「何ふざけたこ と言ってんねん」と言われてしまうなと思うので、名称は統一していただきたい。何で3回目で 統一という話になるのかわからないんですけれども、整理をしていただきたいのが1つです。  もう一つは、今日いただいた資料3−1の4ページです。実測調査の在宅部分です。基本的な 考え方ということで、先ほど何人かの構成員から良質なケアについてどういうことなのだろうと いうことで質問があったと思います。先ほどの事務局の回答を聞いておりましたら、基本的には 支援の質という部分なんだなと思ったんですね。ただ、在宅の場合はいわば支援の質だけではな くて、自治体によって支給力が残念ながらバラバラなんです。どの自治体でも必要かつ十分な量 も確保された上で質という話だったら質だけ見ればいいんですけれども、今回これは実測量も見 るわけですよね。だとすれば、必要かつ十分な支給決定をしている地域で、なおかつ、良質なケ アを提供しているということでなければ、言わば本来はもっともっと必要なんだけれども、制限 された時間の中で、質はいいけれども量は足りないということだったら、それが今の量だという ことになってしまうと、またそれが独り歩きしてしまうのではないか。したがって、在宅に関し ては必要かつ十分な量が確保されており、良質なケアを地域で受けている障害者を対象とすると すべきではないかということです。これは今日の質問というか、むしろ良質なケアの中身につい ての質問です。  以下、意見を提起させていただきます。ペーパーでちょっと長めなんですけれども、どうやら 今日の第3回目で終了というお話ですので、これが最後の機会かなと思いますので、時間をたっ ぷりいただければと思っています。言い残したくないと思っておりますので、申し訳ございませ ん。  私どもは、この7月から初めて議論に参加しているので非常に不明な点が多く、私も一生懸命 勉強してきたつもりなんですけれども、やはり遅れての参加なのでハンデが大きくて、まだまだ 理解不足でございます。そのためにいろいろ質問を出したんですが、ますます疑問は深まるばか りというのが正直な実感なんですね。  不明な点あるいはこうすべきではないかということを何点か提起させていただきます。  調査項目の議論なんですが、私自身の理解不足もあるんでしょうけれども、調査項目や回答の 選択肢といったディテールにわたる部分の議論はなかなか難しいなと思いました。いろいろ考え たんですが、要は、私自身の理解不足もありますが、加えて調査項目の検定の前提であるはずの 調査の目的や対象、方法などの基本的な論点整理がこの勉強会でされたかなというのがわからな いんですね。本来前提となる目的や対象、方法について多角的な視点から検討を行って、一定の 方向性が定まった上で調査項目や誰が調査員になるかという具体的な実務にかかわる部分の検討 というのが普通はあるのだと思うんです。プロジェクトレベルでいえば、コンセプトの部分が全 然整理されていないという感じがするわけです。  例えばですけれども、先ほど今日初めて大久保さんから標準的な支援の度合いはこう考えたら いいんじゃないかという、基本的な生活にかかわるお話でしたけれども、例えば、基本的な生活 にかかわる部分は具体的にどの範囲なのかとか、そういったことをもっともっと勉強会でできれ ばいいなと思ったんですが、私は第2回目で標準的な支援の度合いという場合の「標準的」とい うのは何なのか、あるいは在宅の場合特に住環境や同居家族等々いろいろな条件がある。でも、 それを捨象したものが標準的なものだという、心身の状態から導き出されるというのがどうも理 屈としてわからないので、もう少しここは勉強会でしっかり勉強していきたいな、お教えいただ きたいなと思っているところなんですね。  あと、今日フォーマットをお配りいただきましたけれども、標準的なものをめぐる疑問という ことで、例えば、調査のフォーマットは在宅と施設共通で行うのか、それとも別々に行うのか。 あるいは共通で行った場合、在宅には非常に変動的なファクターがたくさんある支援の量やニー ズを確認していけるのかというのがやはりわからないんですね。少なくともここの勉強会で共通 のフォーマットでやるのか、別々にやるのかというのも確認されていなかったんですが、事務局 としては共通のフォーマットでやるということで理解していいのか、その辺も今日初めて見て思 ったので教えていただければと思います。  ただ、その点にかかわって、第2回目の資料では開発の進め方ということで、施設における支 援だけでなく、在宅における支援ニーズについても把握できるよう、在宅で生活する障害者につ いても調査を実施すると言われているんですが、同じ資料の中にやはり施設におけるタイムスタ ディという手法と在宅とは違うのではないかという意見に対して、これらを比較検討するという ことなんですけれども、例えば、フォーマットを書いて比較検討するのか、何を比較検討するの かが2回目の資料を見てもわからないんです。これもお教えいただきたいというより、やはり勉 強会で確認いただきたいことですね。  では、どのようにしたら在宅の支援ニーズを反映できるかの議論がなされてこなかった。残念 ながら、まだまだ足りない部分かなと思っています。  これは、介護保険の準備室の当時の室長、和田勝さんの直属の部下といいますか、介護保険の 準備を中心に進められたスタッフの方のお話を以前聞いたことがあります。ある地域で試行的に 在宅生活者を対象にした調査を行ったことがあるけれども、住環境や家族の構成によってばらつ きが物すごく大きくて統計的処理ができなかったと。そのために介護保険のロジック開発に当た っては、特別養護老人ホームの職員にタイムトライアル調査をやってもらって、そのデータを基 に開発したと言われているんですね。確かに、先ほどの標準的な度合いというのは一定の施設だ ったら、例えば、身体障害の人が2階に階段を上がって、2階建てでエレベーターのない施設は 考えられないと思うんですけれども、標準的な度合いというのは在宅の場合どうやったらわかる のか。少なくとも介護保険の場合はわからなかったから特養のタイムトライアルでやったと当時 の担当者の方が言われているわけですよ。だとすれば、こうした経験を踏まえるならば、12〜13 年前に不可能だったことが、なぜ今回の調査で可能になるのか、新たな手法がどう開発されたの か、そこをお教えいただきたい。そうしなければ、実際に調査をやってみたけれども、そして、 突き合わせをしてみたけれども、やはり在宅の調査はばらつきが多くてできないね、えいやで一 方の施設の調査と一定の突き合わせで、また上乗せロジックみたいなものをつくろうかみたいな 話になってしまわないか。  今回が初めてだったら、私たちもこんな疑り深い言い方までしません。でも、残念ながら、介 護保険の79項目にIADLや高度障害を足したら十分使えるという資料を厚労省は出されて、実際 にふたを開けたら全然違った。つまり、上乗せロジックでは全然使えなかったというのが経験上 示されているわけですから、そういう意味で在宅のニーズはどうやったら反映できるのかという のは、今までお聞きしていて、その調査方法がまだ開発されていない、開発しなければいけない と思うんですけれども、それを勉強会で詰め切るべきではないかという意見です。  ほかにも、この勉強会でも質問や意見として出されたんですが、未整理なままになっている論 点というのを、私自身が出した意見ではないですけれども、議事録を改めて勉強し直しました。 例えば、障害程度区分の見直しに当たって、障害共通のものを目指していくのか、障害種別ごと のものを目指していくのかということや、あるいは調査の突き合わせ事項として障害者手帳の等 級や記載内容を含むのか否かということも、構成員からは意見として出ましたけれども、この勉 強会としてはどういう方向でいくのかということは確認されていないと思うんです。私の勘違い だったら指摘いただければと思いますが、ただ、これらはいずれも調査項目のディテールではな くて、調査の基本的なコンセプトにかかわる問題ではないでしょうか。  つまり、先ほどのお話だと今日勉強会を閉じて、あとは各団体と調査項目について調整をしま すというような段階まで、まだこの勉強会の議論は残念ながら煮詰まっていない、生煮え状態だ と言わざるを得ません。あるいは、もう少し言うならば、時間もこれまでなかったこともあって、 言いっ放し、聞きっ放しの状態だなと思っています。  そういう意味で、勉強会の構成メンバーとして私はちゃんと責任を果たしたいと思っています。 なので、勉強会を継続して基本的な論点を煮詰めていく努力をして、私自身もしたいと思います し、もっと言うならば勉強会構成員全員の責務でもあるのではないかと。私たちは謝金をもらっ て参加しているんだから、謝金をいただいた分やはり国民に対して責任を果たさなければいけな いと思うんです。責任を果たさせてください。それが1つです。  2つ目、調査対象と障害者の範囲についてですけれども、これも私ずっと提起していますが、 未整理のままになっています。それは何かというと、前回の勉強会で少なくとも障害者の範囲が 確定することが調査の前提ではないのかということを申しました。その後結局、法律的には先ほ ど課長さんがおっしゃられたとおりになってしまったんですけれども、この勉強会が発足する前 後は、3月31日に閣議決定された見直し法案が国会に付託されていました。しかし、その後、解 散に伴い廃案になりました。そのため前回の勉強会でも後先が逆になっている感じがぬぐえない。 つまり、立法で方向が決まったのを受けて行政がそれに基づいてやるというのが、三権分立制度 からすれば当たり前の姿かなと思うんですけれども、それが後先逆になっている感じがするんで すね。  更に、その後8月30日の衆院選挙の結果、新政権がもう近々発足するわけです。そのマニフェ ストの中で、自立支援法の廃止と障害者総合福祉法の制定ということが述べられていますが、そ の中身を見ますと、後先が逆になっているという感じが私の中では極限に達した感じがしていま す。  その選挙結果を受けて、私はマニフェストをもう一回勉強し直しましたら、こんなことが書か れていました。障害制度改革推進法を制定するということで、障害者の範囲・定義についてとい うことで、自立支援法第4条定義を早急に見直し、いわゆる制度の谷間として記されていた発達 障害、高次脳機能障害、難病、内部障害などを含む定義となることを基本とするということで、 定義を見直して制度の谷間と言われる福祉サービスの対象外をなくし、幅広く福祉サービスが利 用できるようにするということで、私などがペラペラしゃべるとどうしても身体障害の団体と勘 違いされがちなんですが、実はDPIというのはいろいろな障害種別を超えた団体、例えば、顔 にあざのあるユニークフェイスの団体もおられれば難病者の団体もおられる、そういう障害種別 を超えた団体ですので、この谷間のない制度を是非ともということはずっと訴えてきたので、大 いに期待するものでございます。  そうした新政権の障害施策に関する方向感からすると、少なくとも今回の調査対象に発達障害 や高次脳機能障害等は勿論ですが、更に難病なども含んでおくことが求められるのではないかと いう意見でございます。  言うまでもなく障害者の範囲は法律事項です。私たちが勝手に決めることではありません。し かし、新政権としての一定方向感のめどがついたならば、それに基づいて調査を進めていく必要 があると思います。なぜそれを今回の調査の中に間に合わせなければいけないかを考えてみます と、第1回目の勉強会で事務局から説明されたスケジュールが私の中にすり込まれているからな んです。今、これから大急ぎで調査項目も含めて開発をしなければ2012年4月に間に合わないん だということでしたね。ということは、今回の調査に難病等が入らなければ、またぞろ2012年に は間に合わないということが言えてしまうのではないかと思っているわけです。  そういう意味で、今後どんな形で障害者の範囲が規定されるかは国会で決めることで不明です けれども、どういう状態になっても困らないように、調査対象者の中に難病者等を含むようにす べきではないかということを提起させていただきたいと思います。  長時間になって申し訳ございませんが、もう少しお付き合いください。  あともう一つ、調査をするのかどうかも含めて、新政権の中で検討が行われるべきだと思って います。9月16日には新政権が発足するようですね。皆さん当然その新政権のもとのスタッフに なるわけです。とするならば、更にマニフェストの中にサービス料の支給決定の在り方というこ とで、こういうことが書かれていました。現行の自立支援法における障害程度区分によるサービ ス支給決定の在り方を抜本的に改め、障害者等のニーズに基づく認定方法を基本とする。抜本的 に改めるとは何かというと、障害程度区分を廃止すると書かれているんですね。ここで注目すべ きは廃止すると明記されている部分です。マニフェストというのは4年以内に実現するというこ とですから、2013年までには実現するということになるわけです。例えば、現行の障害程度区分 の見直しが来年4月から使われるものだったら2010年、2011年、2012年と3年間ぐらいは有効 だからマニフェストにどう書かれていようが見直すべきなんですが、2012年にもし今いろいろや っている調査に基づいての新しい障害程度区分ができました、でも、そのときに新政権のもとで 障害程度区分そのものを廃止しますという話になったら、調査には数億円ぐらいかかると聞きま したが、その数億円や労力がむだになるのではないでしょうか。  私は別にいたずらに遅らせろとかそういうことを言っているわけではなくて、もう近々泣いて も笑っても2週間後には発足するわけですから、皆さん優秀なスタッフとして新政権のもとで今 後の障害程度区分の廃止も含めた見直しの方向や、そのために現在検討している調査案やこの勉 強会についてどう取り扱うのかを、是非、新政権の中で検討していただきたいと思うんです。も し、先ほどのマニフェストに基づいた方向性で見直されるならば、費用と労力を集中すべきは廃 止される障害程度区分ではなく、支給決定プロセス全体の見直しであり、障害程度区分を廃止し た上で支給決定が可能になるような相談支援や支給決定の体制やガイドラインの検討にこそを労 力を割くべきなんだと思うんです。やはりこれだけ今財政が厳しい中で、むだになるかもわから ないものに数億円のお金を使うというのは、ほかの納税者の人に申し訳ないなと思います。国民 の大切な税金をむだに使わないためにも、新政権のもとで話し合いを進めて、方向性を是非、事 務局で整理していただきたいんです。その上で調査をするかどうかも含めて、もう一回勉強会に 提示をいただけないでしょうか。これが3つ目です。  以上ですが、状況に右往左往せずに落ち着いて検討していくためにも、勉強会の継続と検討を お願いしたいと思っています。当勉強会は3回程度で一区切りとお聞きしておりますけれども、 一番最初に述べました基本的な論点すら未整理の状態にあるのではないかということが一つです。 ある意味、今のままの段階で調査の実務に入るというのは、余りにも拙速と言わざるを得ないと いう実感を持っております。  加えて先ほど言った、選挙後の今、大きく政治状況が動いているということがございます。こ こは別に政治状況について議論する場ではないということは十分わきまえているつもりで、つま り、こうした状況で右往左往することなく落ち着いて検討が進められるように是非、新政権の方 向が定まり、そのもとで話し合いを進められるように事務局にお願いしたいと思います。  その方向性の整理と並行して、落ち着いた環境で検討を進めていくために、拙速に調査の実務 上の準備に入るのではなくて、継続して勉強会を開催して、基本的な論点すらまだ整理されてい ないわけですから、その整理をするということを続けていかれたらどうでしょうか。私は1回目 から言っていますけれども、ましてや先ほどのマニフェストでは障害程度区分は廃止し、支給決 定プロセスを見直すということが書かれているわけですから、支給決定プロセス全体の見直し、 参考になることがたくさんあります。是非、諸外国の支給決定プロセスなどもテーマに、今日で 終わりでなくて今後とも勉強会を継続していただきたい。そうしなければ、この勉強会を見守っ ている障害を持つ仲間や、もしむだな労力や税金になってしまうとしたら、国民の皆さんにも一 人の構成員として説明ができないなという感じがしています。  以上、長時間になりましたけれども、提起でございます。 ○福田精神・障害保健課長 大変貴重な御意見ありがとうございました。  会の名前については、先ほども話がありましたが、発足の経緯を引きずっているということで この名前になっているのだと思いますけれども、御意見も踏まえ、この会の今後のことも今御意 見としていただきましたが、これから事務局の中で今日いただいた御意見も踏まえながら、いろ いろと検討してまいりたいと思っておりますので、そういった中でまた反映できる部分は反映さ せていただければと思っております。名称についてどういうふうにするかは、事務局の中で整理 させていただければと思います。  それから、御意見に当たる幾つかの部分につきましては、確かに幾つかの点で生煮えの部分が あるのはおっしゃるとおりだと思います。それは要するに、障害者の持っているそれぞれの多様 な特性をどうきちんと反映させたらいいのかという、まさに我々の問題意識はそこにあるわけで ありまして、そういう意味で、ここで一堂に会する中で、ほかの障害も見ておられるような方々 の意見も聞きながら、併せて自らのところを振り返って御意見をいただくと。こういう貴重な場 を今回3回ほど続けて持たせていただいたわけで、そういう意味で、先ほどの企画課長の話にも ありましたけれども、今の枠組みの中でさえそれだけの大きな課題があると。それについて、ま ずどう考えて、どう整理するのかというところをきちんとやっていきたいということで、この会 を進めているわけでございます。そこのところは多分御理解いただいているのだと思いますし、 そういう意味でこういう議論をしていくというのは意味があるということは共通認識なのかなと 思っております。  それから、私どもとしても今、非常に幅広な意見をいただいておりますし、それぞれが非常に 重たいので、ある意味では、これから少し具体に即して個別に検討していきたいなという部分が ございます。その中で、もう一回必要があればまた整理していくという形にしていかないと、な かなか考えが集約されにくいなという感じがいたしますので、今後の会の持ち方の話も今御指摘 としてありましたけれども、私どもとしてはこういったそれぞれの会、大変にお忙しい中、構成 員の皆様方に都合つけていただいて、いつも各団体や障害を代表する方々にお出でいただいてい るわけなので、3回でいただいた御意見を踏まえた中で個別に整理をしていって、各障害の特性 というものを踏まえる中で、今度は大きな会というのではなくて、個別に頭を整理させていただ きたいと考えているところです。その後、また必要があれば御意見を伺うと。形はいろいろある かと思いますが、そういったことも考えておりますし、いずれにしても先ほど良田構成員の話も ありましたが、調査自体は皆さん方の御理解と現場のモチベーションが上がらないと、それ自体 なかなか進まないわけですので、先生方からいろいろいただいた意見を参考にさせていただいて、 わからないところは各団体に教えていただいて、少し整理をする時間にさせていただければあり がたいなと、事務局の一人としては考えているということでございます。お答えになっているか どうかわかりませんけれども。 ○尾上構成員 ちょっと私もたくさんのことをしゃべってしまったので、質問の趣旨がうまく伝 わっていないのだと思います、申し訳ございません。端的にお聞きいたします。要は、調査項目 のディテールの推定に入れる段階になっているのかどうかということで言うと、まだその段階に 勉強会としてはなっていないのではないか。基本的な論点を整理するために勉強会を継続すべき ではないかということ、これについてイエスかノーかをまずお伺いしたいと思います。私はそう いう認識を持っていますが、そういう認識ではないということでしょうか。それが1つです。  もう一つは、調査をするかしないかも含めて、もし先ほど申しました4年間の間に障害程度区 分が廃止されるという話になったときに、今から調査やいろいろなことで何億円もかけて、そし て、2012年にできました、でも廃止になりましたと。そのときの税金のむだ遣いは誰が責任をと るのでしょうか。私は構成員として、ほかの国民には説明できないから、まずは整理してほしい ということをお願いしました。それについてイエスかノーか、その2つをお聞かせ願えないでし ょうか。 ○藤井企画課長 私の方からお答えいたしますけれども、今後の進め方につきましては、先ほど 福田課長から申し上げましたように、今日もそれぞれ結構重要な意見をいただいていますから、 まずはうちの方できっちりと論点を整理し、進め方としてこうやってお集まりいただいて次回や った方がいいのか、それとも場合によっては個別に御相談を差し上げた方がいいのか、その辺も 含めて検討する時間をいただければありがたいというのが率直なところでございます。ですから、 イエスかノーかということですけれども、イエスと答えるべきか、ノーと答えるべきかも含めて、 我々も部内で検討させていただく時間をいただければありがたいということです。  それから、後者の方はまさにおっしゃるとおりでございますので、選挙の結果を踏まえて今後 どうなるかというのは、私どももまだ何とも申し上げられないというか、どうなるかまだ全くわ からない状況ですので、実際に新政権を発足されて当然この障害者施策は重要なテーマの一つに なってくることは間違いないと思いますので、今後議論をしていく中で、まさにおっしゃるよう な流れが出てくるかもしれませんし、そこは議論を進めながらまた皆様方にも適宜御相談させて いただきたいと思っております。 ○尾上構成員 ありがとうございました。これで質問は最後にいたします。  藤井課長さんからお答えいただいた2点目の方はすごく重要だと思います。そういう意味では 新政権のもとでこれから話をしていただけるということなので、その検討が進んで方向性が出る までは調査の準備やそういったお金のかかる、税金がむだになってしまうかもわからないような お金の使い方はしないということで理解していいわけですね。 ○藤井企画課長 いずれにしても、そこは新政権の関係であるか否かにかかわらず、やはり方向 性、それから、先ほど尾上構成員のペーパーでお示しいただいたいろいろな論点もきっちりこな せて、まさにここにお集まりいただいている皆さんの、ある意味ではコンセンサスとしてこうい う調査をやろうというようなことまでちゃんと合意ができないと、なかなか調査はできないと思 いますし、そういった合意コンセンサスがないままに調査しても、まさにむだに終わるような可 能性も十分ございますので、そこは先ほどの実際の調査のフィージビリティあるいは現場におけ るモチベーションなども含めて、きっちりとコンセンサスがとれる形でやりたいと思っておりま す。 ○福田精神・障害保健課長 では、山岡参考人、お願いいたします。 ○山岡参考人 もうちょっと細かいことを聞こうと思ったんですが、話題が大きなテーマになっ てきていますので、細かい点は省いてお話します。  民主党のマニフェストで障害程度区分を廃止ということになっているんですが、個人的には今、 事務局が示されている総論の中で、障害程度区分は支給決定における勘案事項の一つとして使用 する、それから、利用制限は行わない。要するに私の個人的な意見ですが、既にかつての障害程 度区分ではないんですね。恐らく調査として必要なのは、障害の状態の調査、実際にどのような 支援を受けているのかの調査、実際のニーズは何かという調査の三つだと思っております。また、 調査としては、障害の状態からスタートするということも理解できます。実際に支援をする場合 には、そこからどういう個別のニーズがあるかをケアマネジメントによって個々にていねいに見 て、どういう支援をするのかを決定するということが必要だと思っています。ですから、恐らく どのような政権になっても、この3つの調査というのは多分必要なのだろうなと私は思っていま す。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 大濱構成員、お願いいたします。 ○大濱構成員 先ほど、15日以降に新政権が発足ということなんですが、新政権が発足したら障 害程度区分認定廃止、こういうことが表に出てくるのかもしれませんけれども、そのとき確かに そういうことも含めて、それで予算がどのように組めるのか、私たち自身もきちんと冷静にその 辺を見極めていかなければいけない、時間的なものもかなり必要かと思っているんですよ。です から、そうなると、やはり今ここでタイムトライアルでするとか、支援ニーズの調査をするとか 細かい部分を詰めるよりも、先ほど提案があったように、もうちょっと広い範囲でどういう決定 の方法があるのか、海外の事例も含めて少し勉強会でやっていただきたいなというのが私個人含 めてもそうなんですが、もうちょっと何か手法があるのではないかという気持ちが最初からして ならないんですよね。ですから、その辺もお願いしたいと思います。  ただ、1つお願いとしては、発達障害、山岡さんなどの部分とか、あとは日盲などのグループ とか、その辺が今の判定の中では明らかに落ちこぼれているので、その辺については早急に別途、 今の判定の中に加えられるのであれば、来年度からでも制度として判定区分に加えていくような 手法とか、別途考える中で全体の身体、知的、精神の今まであって何とか持ちこたえている部分 については、もう一度新たにもう少しほかの手法がないのかとかそういう勉強会を持っていただ けると、私にとっても非常にありがたいなと思います。その辺課長なり、部長なり、考え方はい かがでしょうか。 ○藤井企画課長 今の具体的に落ちている部分というのが私どももどういう格好なのかというの はよく考えなければいけないのだと思いますし、実際そういうところがあるのだとすれば、おっ しゃるような緊急に手当をしなければいけないところだとすれば、今の大きな流れとは別にまた 議論をするような整理をしなければいけないのかもしれません。具体的に御指摘をいただければ ありがたいと思いますが。 ○木倉障害保健福祉部長 先ほどから出ているような新しい政権の中で、今の仕組みをどういう ふうに位置付けていくのか、今おっしゃるようなほかの方法がないのか、諸外国との勉強の中で もその議論をしていくべきではないかというのは当然の御指摘のとおりだと思うんです。そうい うことも含めて、私どもも新しい政権の中で新しい御指示をいただきながら、どういう対応があ るか御指示を仰いでいきたいと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 予定の時間を過ぎていますけれども、あと手短に幾つか。是非この 機会にいろいろ御意見をお聞きしたいので、まだ御発言がなかった佐多構成員からお願いします。 ○佐多構成員 いろいろ皆さんおっしゃってくださって非常にありがたいと思うんですけれども、 基本的には全国の障害者の生き方をどう支えていけるのかというのが大きな目標だと思うので、 個別の研究であったり、全体の話し合いであったりいろいろな形でいいと思うんですけれども、 こういう勉強する機会、みんなの意見を聞けるこういう会を是非、政党がどんなに変わろうと続 けていただきたいと思います。それを一言お願いしておきたいと思いますので、よろしくお願い いたします。 ○福田精神・障害保健課長 松井構成員、お願いします。 ○松井構成員 今おっしゃったことは私も同感でして、新政権のマニフェスト等には若干書かれ ていますけれども、政権が発足してこの分野にいってからつけられるものは今日、明日のことで は絶対にないだろうと思うんです。私たちはその状況に若干関心を持ちながらも、今まで当事者 の意見を十分にくみ取っていただきながら築いてきたものを更によくするための努力を粛々と継 続することは当然のことだと思っています。そういう面では、この会の有り様には若干私は異議 もあるんですけれども、とりあえずは個別にいろいろ聞いていただくような機会を是非おつくり いただいて、最終的にはまとめを皆さんにお知らせしながら、こういう会も必要かと思いますけ れども、私たちが今までやってきたことは正しいんだという前提で、そういうことをきちんと続 けていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  では、大久保構成員、お願いします。 ○大久保構成員 育成会の大久保です。  この調査の中身について十分な議論ができているかどうかというのは、確かにあるかもしれま せんけれども、ただ、先ほどもお話がありましたが、こういう調査を今まで国としてやってこな かったこと自体がおかしいというか、しっかりとやってこなければいけなかったはずです。  それと、障害程度区分というのは分析の過程で恐らく区分分けという形がとれると思うんです けれども、内容的にはニーズ調査という側面がかなり強く出ている部分があるわけですよね。単 にランク付けということではなくて。  そして、先ほどお話にあった在宅調査は非常に重要です。非常に困難ですけれども、恐らく初 めてちゃんとやれるかなという期待を持っています。というのは、先ほどもお話がありましたが、 つまり御家族の方がいわゆる無意識にやっている支援というものも含めてちゃんと見ていただき たいということなんですね。そこで在宅のニーズというのが明らかになる。そうすれば、それは 更に地域のニーズの掘り起こしないし基盤整備につながっていく、ここまで期待していいのかわ からないですけれども、そういう意味のちゃんとした調査が行われてこなかったわけですから、 そういう意味で私は期待を持っています。  確かに、中身的にはいろいろあったとしても、やはりそういう側面で見れば、民主党の言う障 害者のサービス利用ニーズ調査の形に近づけられる、十分活用できるんじゃないかともある意味 では期待しています。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 順番で佐藤構成員、そして、尾上構成員、お願いします。 ○佐藤構成員 日本障害者協議会の佐藤です。  まだまだ基本的な点で十分な議論が詰められていないところがいろいろあると思うんですけれ ども、そのうちの1つが先ほどからも言われているような、対象をどうするかということで、身 体障害者手帳のない難病の人たちを入れる方向に政策的にはこれから動いていくだろうと思うん ですが、それを入れることによって一番大きく影響を受けるのは、恐らく項目の選択肢の部分だ ろうと思うんですね。できる、できないという選択肢ではない。一部介助、全面介助でもない、 あるいは時々という頻度の問題でもないような、いろいろなタイプの困難というのがあって、そ の辺をきめ細かく見ないと、また知的と精神の障害特性を反映していないということで問題にな ったことと同じことが起こってくる可能性があるので、そういう分野の専門家や当事者団体など も入れながら検討することが必要ではないかというのが1つ。  それから、支援の方の実態調査については介護保険などを含めてかなりのノウハウがあるだろ うと思うんですが、推定調査の方というのは全く新しいことだと思うんですね。先ほど田中構成 員も言ってましたけれども、行動障害が起こるような人たちに対して事前の準備、環境調整をや っているために支援が必要ないというような場合なども、実態調査ではわからないけれども、推 計調査でどういう配慮をしているのかというようなことを調べることになると思うんですが、こ の資料の中では今受けていないけれども必要とされるサービス支援は何なのかということも推定 調査の中で明らかにしようとしているわけで、そうなってくると、実態調査ですら信頼度にいろ いろ問題があるわけですけれども、調査員の一致率、信頼度を高めるために相当きちんとしたこ とをやらないと、この人にこういうサービスが必要だろうと思うところと、そこまでは要らない だろうと思うところで推定量が違ってくることは明らかだと思うんです。そういうノウハウがほ とんどない中で、どういう調査員のマニュアルというか、調査の基準を設けるのかというような ことについては、実務的にやっていけばいいということでは恐らくない、基本的な課題の一つと して残されているのではないかと思いました。  以上です。 ○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。  それでは、尾上構成員、お願いします。 ○尾上構成員 簡単に申し上げます。申し訳ございません。  私は第2回目の勉強会のときにも申しましたが、障害程度区分が私どもは要らないという立場 をずっと申し上げましたが、障害程度区分がなかったからといって、何らかのガイドラインや聞 き取り項目は一切要らないということを言ったことはないということを申し上げました。だとす れば、今回先ほど大久保構成員のおっしゃられたとおり、右側の支援実態調査や特に支援ニーズ 推定調査は極めて重要なものだと考えております。ただ、それを障害程度区分の見直しというス キームで項目を立てていくのか、それとも言わばガイドラインや支給決定プロセスの際の在り方 ということと突き合わせて検討するのかでは、かなり調査の在り方も多少違ってくるのではない かと思います。  そういう意味で、右側の調査は極めて重要な調査ですので、この調査が例えば、新政権のもと だったらどういうふうに位置付くのかということを是非一度御議論いただいて、その上で今回の 調査はこのように位置付け直すんだみたいなことを御提起いただければありがたいなと思います。 以上です。 ○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。  議論は尽きませんけれども、後の御予定の入っている方もいらっしゃると思います。御意見自 体は私どもは引き続きいろいろな形でお伺いいたしますので、そういうことで今日は閉めさせて いただきたいと思います。  本日は大変お忙しい中ありがとうございました。次回の勉強会につきましては日程は未定でご ざいます。その進め方につきましても、本日お伺いした御意見も踏まえまして、まずは個別に我々 の頭を整理した上で勉強をさせていただければと思っております。  どうもありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 障害程度区分係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 TEL:03(5253)1111(内線3026) FAX:03(3593)2008