09/06/30 第1回新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会議事録 第1回 新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会 日時 平成21年6月30日(火) 10:00〜 場所 虎ノ門パストラル6階ロゼ ○事務局(佐藤室長) 定刻になりましたので「新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関 する検討会」を始めさせていただきます。本日は、ご多忙のところ、またお足元の悪い中、ご参集 いただきまして、ありがとうございました。それでは、議事に入ります前に研究開発振興課長の千 村よりご挨拶を申し上げます。 ○研究開発振興課長 研究開発振興課の千村です。本来でありますれば、この検討会の主催 者である医政局長からご挨拶を申し上げるところですが、急に国会関係用務が入りまして、本日 は欠席をさせていただくことになりました。私が局長に代わりましてご挨拶を申し上げたいと思いま す。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、検討会にご参加いただきまして、誠にありがとう ございます。心より御礼を申し上げたいと思っております。  さて、平成19年3月に文部科学省・厚生労働省において、「新たな治験活性化5カ年計画」が 策定されております。それから2年が経過しておりまして、今年度は3年目の中間年で、折り返し 地点に当たっております。この計画ですが、治験の空洞化が指摘される中で、我が国の治験を活 性化させるために策定をしました「全国治験活性化3カ年計画」に引き続く計画でして、治験・臨 床研究をより一層推進し、国民に質の高い最先端の医療が提供されること、そして、日本発のイ ノベーションを創出すること、こういったことを目的としております。  これまでの2年間、この計画に基づいて選定をした中核病院及び拠点医療機関、その他関係 者の皆様のご尽力をいただきながら、計画に示された課題の改善に向けた取組みを進めている ところです。  改めて申し上げるまでもなく、画期的な医薬品あるいは医療機器を我が国の医療現場に速や かに導入し、世界最高水準の医療を提供するために、治験は必要不可欠なプロセスでございま す。また、その治験を下支えする臨床研究を実施する体制を整備することが、我が国における革 新的な医薬品・医療機器の開発のために重要な課題であると認識しているところです。  ここ数年、医薬品等の世界同時開発が急速に増加をしており、治験あるいは臨床研究の体制 整備については、各方面の方々の関心も高まってきているところでございます。6月3日に開催い たしました第4回革新的創薬等のための官民対話の場においても、製薬業界より国際共同治験 の実施のための一層の体制整備などが必要であるといったご意見をいただいているところです。  本検討会には、治験及び臨床研究に関係をするさまざまな立場の有識者の先生方にお集まり いただいております。新たな治験活性化5カ年計画のこれまでの取組みを評価いただき、最終目 標の達成に向けて、より強化すべき点や5カ年計画後半のこれからの約2年間の具体的な取組 事項等についてお示しをいただきたいということでございます。是非、忌憚のないご意見を賜りま すようお願いを申し上げまして、冒頭に当たりましてのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願 いいたします。 ○事務局(佐藤室長) 引き続きまして、本日ご出席の本検討会の構成員につきまして、ご紹介 申し上げたいと思います。  お手元に講成員名簿と座席表がありますので、これに基づきご紹介をさせていただきます。日 本医療機器産業連合会GCP委員会委員長新井構成員、東京大学医学部附属病院臨床試 験部副部長荒川構成員、独立行政法人国立病院機構本部医療部研究課長伊藤構成員、日 本CRO協会専務理事一木構成員、日本大学医学部附属板橋病院治験管理室主任榎本構 成員、国立成育医療センター研究所成育政策科学研究部成育保健政策科学研究室長掛江 構成員ですが、少し到着が遅れているようです。独立行政法人大阪医療センター院長楠岡構成 員、社団法人日本医師会治験促進センター研究事業部部長小林構成員、日本製薬工業協会 医薬品評価委員会臨床評価部会長作広構成員、北里大学医学部附属臨床研究センター准 教授佐藤構成員、慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター教授佐藤構成員、日本 SMO協会副会長田代構成員、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の辻本構 成員、国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部がん統計解析室長山本構成 員、国立循環器病センター臨床研究開発部臨床試験室長山本構成員、浜松医科大学臨床薬 理内科学教授渡邉構成員です。本日は構成全員のご出席を賜っております。  事務局側は、厚生労働省より医政局研究開発振興課のほか、政策医療課、医薬食品局より 審査管理課、同医療機器審査管理室、文部科学省高等教育局医学教育課及び研究振興局 研究振興戦略官付、そして独立行政法人医薬品医療機器総合機構信頼性保証部より出席し ております。  次に配布資料についてご説明します。まず議事次第、座席表、構成員名簿。資料1「新たな治 験活性化5カ年計画の概要及びこれまでの進捗」。参考資料1「新たな治験活性化5カ年計画 の中間見直しに関する検討会開催要綱」、参考資料2「新たな治験活性化5カ年計画」、参考 資料3「治験中核病院・拠点医療機関等ベースライン調査結果報告(Ver.2)」、参考資料4「治験 中核病院・拠点医療機関等、治験・臨床研究基盤整備状況調査結果報告(平成19年度)」、 参考資料5「臨床研究に関する倫理指針」、参考資料6「臨床研究に関する倫理指針の改正等 について(通知写し)」、参考資料7「臨床研究に関する倫理指針質疑応答集(Q&A)の改正につ いて(通知写し)」、資料及び参考資料は以上です。過不足等がありましたら、お知らせいただくよ うお願いします。  続きまして、座長選出をさせていただく前に、本検討会についてご説明いたします。なお、座長 の選出まで引き続き事務局側で司会を務めさせていただきます。  参考資料1です。本会議の趣旨について、この開催要綱を基にご説明いたします。本会議で すが、先ほど研究開発振興課長からの挨拶でもありましたように、私ども厚生労働省は文部科学 省と共同で、平成19年3月に新たな治験活性化5カ年計画を策定しました。それ以降、急激に 国際共同治験の数を実施しているなど、臨床研究あるいは治験の環境の変化は目まぐるしいも のがありました。  そのような環境の変化を鑑み、中核病院あるいは拠点医療機関等を中心として治験、臨床研 究の基盤整備に取り組んできたこと等を評価して、5カ年計画の最終目標の可視化あるいは当 該その最終目標に向けて、新たなアクションプランの設定、既存のアクションプランの変更等の必 要性について検討していただくために、今回設置したものです。  本委員会で検討していただく事項は2に書いてあるとおりです。以下の課題を検討し、5カ年計 画の必要な見直しを行っていただきたいと思っています。  検討していただく1点目は、中核病院・拠点医療機関等の基盤整備状況を評価していただき、 中核病院・拠点医療機関等へ求める機能を、より明確にしていただく。この点についてご議論を お願いしたいと思います。  2点目は、5カ年計画の実施により期待されている以下のような最終目標というか、治験・臨床 研究の姿が5カ年計画の報告書の中にあります。まず1点目が、治験・臨床研究のコスト、スピー ド、質が欧米等、諸外国並に改善されていること。2点目は、国際共同治験の実施数が、アジア 周辺国と同等以上の水準まで向上している。このような姿がありますが、これをより具体的に可視 化をしていただくという点で、ご議論をいただければと思います。その2点の議論を踏まえて、可視 化した最終目標に向けて、新たなアクションプランの設定、既存のアクションプランの変更の必要 性についても、併せてご検討いただきたいと思っています。これが検討事項です。  次の頁の運営状況については、開始時、検討期間中、最終報告書作成時を目処に開催する こととしていますが、必要に応じて随時開催をしたいと思っています。本会議については、本年10 月を目処に、最終的な報告書を作成できるような形でスケジュールを考えていますので、先生方 のご協力をお願いできればと思っております。検討会については、知的財産権等にかかる事項を 除いて、原則公開とさせていただき、議事要旨については、作成後、速やかに公表することにな っております。さらに必要に応じて個別事項の議論をすることになると思いますので、その際には、 その専門家を参考人としてご出席をいただき、その議論に加わっていただくという形にしておりま す。以上が、本検討会の趣旨等です。  それでは、座長の選出を行いたいと思います。本研討会の座長は自選・他選等がありましたら、 この場で出していただければと思います。もし自選・他選特段のものがありませんでしたら、事務局 側からのご提案をさせていただくということてよろしいですか。  それでは、事務局としては楠岡構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。                   (異議なし) ○事務局(佐藤室長) ありがとうございました。それでは、楠岡先生、座長をよろしくお願いしま す。 ○楠岡座長 ただいま座長にご推薦いただきました楠岡でございます。微力ではございますが、 どうぞよろしくお願いいたします。ご承知のとおり、前回、この5カ年計画を策定する検討会におい ても座長を務めさせていただきました。作った計画が予定どおり進行しているか、もし問題点等が あるならば、それを検討せよということで、再び座長ということになったと思いますので、どうぞご協 力のほどをよろしくお願いしたいと思います。  それでは早速、2番目の議題に移りたいと思います。2番目は「新たな治験活性化5カ年計画 の概要及びこれまでの進捗状況」ですので、事務局から説明をお願いします。 ○事務局(後澤) それでは、事務局から説明させていただきます。資料1「新たな治験活性化5 カ年計画の概要及びこれまでの進捗」をご覧いただき、参考資料2「新たな治験活性化5カ年計 画」の計画自体を示していますので、併せてご覧にいただければと思います。  改めてになりますが、この5カ年計画策定に至る経緯を少し説明申し上げます。およそ10年前 の平成9年に薬事法が改正になり、以後ICH-GCPに従い治験を実施することとなり、また海外の 治験のデータを利用できるようになったという背景があり、国内から治験が減るいわゆる「治験の 空洞化」が生じました。その治験の空洞化の解消に向けて平成15年に、全国治験活性化3カ年 計画が作られました。そして3カ年計画に基づく取組みを平成18年度に評価を行いました。評価 にあたり、全国の治験の体制整備の状況について調査を行い、その時点での課題を明確にして、 新たな治験活性化5カ年計画を策定したという経緯です。この5カ年計画が目指しているところと しては、国民に質の高い最先端の医療が提供されることを最も優先されるべきこととして挙げてい ます。また国際競争力の強化の基礎となる医薬品や医療機器の治験及び臨床研究の実施体制 を確保し、我が国から日本発のイノベーションを創出すること。このようなことを目指して本計画は とりまとめられました。  3枚目のスライドに目標を示しています。当該計画を実施することによって目指すところは、た だいま申し上げたとおり、最も優先されるべきことである患者に新規治療薬、医療機器へのアクセ スを可能とすることです。また、そのためには新規治療薬、または医療機器を生み出すための重 要なステップである治験・臨床研究を推進することが必要とされています。そして、その治験・臨床 研究を実際にどのように推進していくかということですが、まずは治験・臨床研究に協力してくださ る国民の皆さんが安心して、その治験・臨床研究に参加できる体制を確保すること。そして、新規 性が高く、医学的にも臨床的にも価値のある治験が円滑に実施できる、そのような全国的な体制 を構築すること。また、治験・臨床研究に関する技能を集積し、それらを中核とした拠点のネットワ ークを形成すること。これらのことが求められています。  そして、この取組みの継続によって、最新の医療の標準化が図られ、我が国の医療水準の向 上につながること。併せて国際的な共同研究への参加率を向上するなど、治験・臨床研究による 日本発のイノベーションを世界に発信することを目指して、この計画が立てられているわけです。  この計画では、この目標達成に向けて関係者が取り組む具体的な内容を示す形になっていま す。この5年間の取組みを通じて、先ほど室長からの説明申し上げましたとおり、5年後には我が 国の治験・臨床研究がコスト、スピード、質とともに、米国等、諸外国並みに改善されているという こと。国際共同治験の実施数が、アジア周辺国と同等以上の水準まで向上しているということ。ま た、質の高い最先端の医療の提供を確保し、国民が安心して治験・臨床研究に参加することが できる体制が確保されていること。このような姿が期待されています。  5枚目のスライドに当該5カ年計画の概要を示しました。これは関係者が取り組む具体的な内 容について5つの重点的取組事項をアクションプランにまとめたものです。1つ目は、治験・臨床 研究に関する技能を集積して治験・臨床研究を実施する医療機関を整備すること。2つ目は、 治験・臨床研究を実施する人材を育成して確保すること。3つ目には、治験・臨床研究に協力し てくださる国民の皆さんに、さらに治験・臨床研究について知っていただくこと。普及・啓発を図り、 参加を支援する体制づくりを行っていくこと。4番目には、治験依頼者と実施する側の医療機関 の役割分担を明確にし、治験を効率的に実施していく体制を整えていくこと。また、その他、治 験・臨床研究を実施する上で障壁となる規制等があれば見直しを行っていくという5本のアクショ ンプランからなっております。次のスライドから各アクションプランにおいて目標としていること、また これまでの進捗についてできる限りデータを示しながら説明いたしたいと思います。  まずアクションプランの1つ目ですが、中核病院・拠点医療機関の体制整備として、治験・臨 床研究を自ら企画して運営できる中核病院を10カ所程度整備することが目標に挙げられていま す。また、治験・臨床研究を円滑に実施できる拠点医療機関を30カ所整備することも、併せて目 標として掲げています。  次に示すのは、その10機関の中核病院、また30機関の拠点医療機関がどのような体制整備 を図り、何が求められているかを示した図です。これらの中核病院・拠点医療機関の体制整備に よって効率的に、かつ迅速に国際共同治験・臨床研究が実施できる連携体制を構築することが 求められています。この図に示しましたように、例えば中核病院を中心として、その周りを拠点医 療機関がとり巻き治験・臨床研究を進めていく。またその拠点医療機関の周辺には、地域、また は疾患領域における医療機関が協力し合ってネットワークを形成するような形、または中核病 院・拠点医療機関、文部科学省の橋渡し研究推進プログラムの拠点医療機関等が共同して、ま たその他の医療機関とも協力し合ってネットワークを形成して、関連医療機関との連携による被 験者の集積を図ることが求められています。  このようなネットワークによる治験・臨床研究を進めていくことで治験・臨床研究の迅速化を図 ること、またシームレスな開発を実現することが求められています。これらのネットワーク形成のため に、我々としても拠点医療機関や中核病院に向けて環境整備等を目的とする補助を行っている ところです。この中核病院・拠点医療機関等が形成するネットワークについては、さまざまな形が あると思いますので、先生方には具体的なネットワークのあり方等について、ご議論いただければ と思います。  その中で特に中核病院に求められる役割を8枚目のスライドに示しました。中核病院には高度 に専門的な知識や経験が要求される等、実施に困難を伴う治験等を計画実施できる専門部門 及びスタッフを有し、またその基盤が整備された病院について選定させていただいています。  中核病院にどのようなことを行ってもらいたいかですが、まず1つ目としては、医師主導治験を 含む臨床研究が円滑に実施され、他機関との共同研究を主導できるよう研究計画の立案、統 計解析、データマネージメント等を行うことができること、またほかの共同研究を行う医療機関に 対して、治験・臨床研究に関するコンサルティング機能を提供できる水準の医療機関であること。 治験ネットワークにおいて、治験手続等が円滑に実施されるよう拠点医療機関とともに、治験事 務局等においても効率化を図っていること。これらが中核病院に求められている機能です。下の 四角で囲んである10機関が、現在中核病院として選定されています。これら中核病院が、平成 19年の5カ年計画開始時点から行ってきた取組みについて次のスライドでデータを示します。  これは中核病院・拠点医療機関として5カ年計画の取組みを始めた平成19年から、平成18 年度の取組み前の状況をベースラインとして毎年1年ごとに調査を行っている治験・臨床研究基 盤整備状況調査の結果から抜粋したグラフです。今年度、実施した平成20年度のデータについ ては、まだ粗集計の段階であり、暫定的なデータであることをご了承ください。  まず左手のグラフですが、これは臨床研究について、どのような体制整備が進んでいるかを示 しました。平成18年度当時には、まだ臨床研究を支援する部門はないと回答されていた医療機 関もありましたが、現在までに、プロトコル作成支援という研究者そのものを支援する研究の企画 を支援する機能から始まり、徐々にデータマネージメント部門、監査部門へ、その整備が広がっ ています。  右のグラフは平成20年度に調査を行いました、治験・臨床研究を実施する上でのコンサルテ ィング機能の提供に関するデータです。まだ未整備の所もありますが、徐々にコンサルティングを 提供しているということが、ここでお示しできるかと思います。恒常的なコンサルティングを提供する 機能を有している機関は、まだ半数に至っていないという現状にあります。  また先ほどのスライドで治験ネットワークを活用した治験手続等の円滑的な実施ということもあり ましたが、この調査ではネットワークについても、併せて調査を行っており、具体的な数字で示せ るような結果は、いまのところ、調査としては捉えておりません。実際に伺っているところでは、中核 病院・拠点医療機関等でグループを作って、臨床研究を実施している所もありますし、さまざまこ こに示しているように、治験の受託を行っている所、また研修等の活動を行っている所があること は調査の結果として現われています。  次に拠点医療機関に求められる役割についてご説明します。拠点医療機関には中核病院や、 ほかの拠点医療機関、また地域の医療機関とも連携して治験等を円滑に実施できる体制を有す る医療機関として30機関を選定しています。また、これも下の四角の中に示していますが、地域 性も考慮しながら、全国の中で30機関を選定しています。  これら拠点医療機関に目指していただきたい姿としては以下のようなもの上げられております。 また中核病院・拠点医療機関と連携し、治験・臨床研究を着実に実施できること。3つ目は、地 域においても、治験・臨床研究を実施するモデル医療機関として、研修を医師等に提供できる 水準の医療機関であること。これらの機能が求められています。  この拠点医療機関に求められる機能を11枚目のスライドで示ししました。症例の集積性を示す データとして2つのグラフを提示させていただきます。1つ目は、1治験当たりどのぐらい症例を集 積する能力があるかを示したグラフです。左手がそのグラフになります。平成18年度最大値につ いては1機関飛び抜けた所がありましたが、その後は中央値を見ていただきますと、ほぼ横這い で集積性を高めることは、まだ結果としてはあらわれていない現状にあります。  もう1つの指標として、これは治験になりますが、依頼者との契約に基づいて、最初に予定した 予定症例数を、どれだけ遂行する能力があるかを示す実施率の推移です。これも中央値につい ては横這いが続いている状況です。この中核病院・拠点医療機関等の協議会に参加している医 療機関(調査対象医療機関)には、この実施率が年間80%を超えることを目標に、いま取り組ん でいただいているところです。  また拠点医療機関にも同じくネットワークを介したさまざまな取組みの例を調査しております。 拠点医療機関でも同一疾患領域や地域等のネットワークを構築しているということは、結果として 見られておりますが、具体的に治験の受託度がどのぐらい進捗したかは数字的にまだ現われてい ません。研修等についてはさまざま行われているという結果が得られています。  12枚目のスライドは参考で、11枚目で示したのは30機関の拠点医療機関のみに絞って解析 したグラフです。こちらでは中核病院・拠点医療機関等協議会の54機関を総合した結果として 示しました。あまり大きな変化はありませんが、若干実施率等は上がってくる傾向があるかと見て 取れます。  続きまして、アクションプランの2番目について説明します。アクションプランの2つ目は治験・ 臨床研究を実施する人材の育成と確保についてです。研究を実施する医師だけではなく、CRC 等支援スタッフの質的向上による治験・臨床研究の円滑化を図ることと、また治験・臨床研究実 施に係るインセンティブを確保することが目標として挙げられています。  続いてのスライトは、CRCの養成数の推移について示しました。これは5カ年計画に先立つ3カ 年計画の中でも、かなり積極的に人材の育成が図られており、当時、治験コーディネーターと呼 ばれて、さまざまな研修が実施されました。その結果、5カ年計画を開始する時点で4,500名を超 えるCRCを養成してまいりましたが、この5年間で、さらに3,000人で、目標8,000人の養成を進 めていくことが掲げられています。いまのところで予定に沿って進められています。また、この5カ年 計画の最中には、各養成団体の研修の内容の統一化を図り、さらに3,000人の養成を目指すこ とが記されています。  15枚目のスライドには、CRC以外の人材の養成研修についても示しました。5カ年計画では CRCだけではなく、治験・臨床研究を進めていくためには、ローカルデータマネージャーや生物 統計家等、さまざまな専門的知識を有する人材が必要だということが明記されていますが、平成 19年度からローカルデータマネージャー、また経験を積んだCRCの上級研修、その他治験・臨 床研究の第三者的な審査を行う治験審査委員会や倫理審査委員会の委員研修をモデル的に 開始することが計画に立てられており、平成19年より厚生労働省で実施しております。  ローカルデータマネージャーと上級CRCについては示しているとおりで、治験・臨床研究倫理 審査委員研修については、中核病院・拠点医療機関等協議会に参加している医療機関を対象 に開催しています。これまでが人材の養成について示したグラフですが、16枚目のスライドには、 人材確保のための方策について示しました。  アクションプラン(2)のタイトルにもありますとおり、養成と確保が併せて検討されることが必要とな っていますが、人材の確保についての1つの方策として、厚生労働科学研究費補助金取扱細則 を一部改正させていただきました。厚労科研というのは、研究者が実施する個々の研究計画に 沿って実施する臨床研究の経費を補助するものですが、その際にいちばん下の四角の枠に書い てあるとおり、臨床研究に関する倫理指針等、人を対象として実施する臨床研究を行う際には、 その実施に当たって人材の確保にかかる費用を補助できるように細則を改めました。平成20年4 月からそらの人材に対して、諸々の諸手当を付けた形で人件費の補助を行えることが追加として 盛り込まれています。これは研究費の一定期間の措置ですので、今後、恒常的な確保のための 方策を検討していく必要があると考えています。  アクションプラン(3)は「国民への普及啓発と治験・臨床研究への参画の促進」ということで、あ とは協力してくださる方々が安心して治験・臨床研究に参加できる体制を整備していくことが挙げ られています。治験・臨床研究への参加を希望する方々、また必要としている方が、安心して接 することができる情報を確保すること。また治験の実施状況を知りたいという声や医療関係者から 適切な説明を受けたいという一般の国民からの要望に応えるプランです。  18枚目のスライドには、国立保健医療科学院にあります臨床研究登録の情報検索のポータ ルサイトを示しました。これはイメージ図ですが、臨床研究と治験の計画を事前に登録をして広く 公開をすることで悪い結果も隠さず、臨床研究・治験の透明化を図ること。また現在、我が国の 中で実施している治験・臨床研究をいつでも検索できるような環境を整えるということで、参加者 募集の促進にもつながります。そのようなものを目指して、これまで我が国には3つ登録サイトがあ ったのですが、それを1つの入口から国民の方々が検索できるような臨床研究登録情報の検索 ポータルサイトを作成しました。  6月25日時点で、すでに2,779件の治験と臨床研究が登録されています。これらをこの入口か ら入っていただくことで、横断的にこの情報を検索することが可能となっています。専門的知識を 持たない人でも検索しやすく、わかりやすい一元的なサイトを目指しているわけですが、わかりやす いというところに関しては、是非、先生方も1度検索していただいて忌憚のないご意見をいただき、 今後ブラッシュアップできればと思っています。これは平成19年10月から稼働しております。  また国民が安心して治験・臨床研究に参加できることの1つとして、第三者的な機関である IRBや倫理審査委員会での審議状況の透明化を図るという目的でIRB等の開催状況等の情 報公開が図られてまいりました。ここに示しているのは、上2つが医薬品・医療機器の薬事法に基 づくGCP省令を一部改正する省令と、3つ目が臨床研究に関する倫理指針です。治験に関して も臨床研究に関しても、併せてその審査委員会の議事概要の公開が求められるようになって、こ の4月1日から施行されています。  続きましてアクションプラン(4)「治験の効率的実施及び企業負担の軽減」です。これは治験を 主に実施する際のスピードアップとコストの低減を図るために、医療機関と、企業の役割分担を 明確にすること。また治験に関する関係書式の共通化、治験データのIT化による効率化を一層 促進して関係者の負担を軽減していこうという計画です。  治験手続に要する最短期間としてスピードアップに関するデータを21枚目のスライドに示しま した。これもまた先ほどご紹介した中核病院・拠点医療機関等協議会に参加している医療機関 を対象に実施した基盤整備状況調査の結果です。  治験の依頼から終了までの各タイミングに係る期間を示したグラフです。左側のグラフが最大 値を示したものです。最大値、もしくは最悪値と言ってもよろしいかと思いますが、最もかかってい た日数に関しては、確実に短縮化が図れていることが示されていますが、まだまだ右側のグラフの 中央値の数字には至っておりません。  中央値は右側のグラフで示しています。例えば初回の申請からIRBの開催までの日数が中央 値でも14〜15日、半月程度で実施されていたようですが、その中でも1日、2日程度より短く、短 縮が図られていることが見て取れると思います。  これはあくまでも医療機関のスピードについて調査した項目です。諸手続きに関しては、依頼 者と医療機関の間で発生する日数ですので、例えば医療機関から質問等が出たときに、回答ま での日数を要するとか、依頼者側で時間がかかる場合もあります。それらの依頼者にかかる時間 を排除するために、ここでは最短期間ということで調査を行っています。  22枚目のスライドはコストに関するデータです。これもあくまでも医療機関にかかるコストを示し ました。調査対象が実施医療機関ということもありますが、治験のコストと申しますと、医療機関側 のコスト、または依頼者側のコストと両面あるかと思います。ここでは医療機関側のコストについて 示しています。  医療機関にかかるコストについては、かねてより高いと評価され、コストの適正化が求められて いるところですが、どの部分のコストがどのように高いのかという問題点を把握するために、さまざま な調査項目を盛り込んでおります。何と比較して高いのか。海外と比べて高いのかということに関 しては、対照となるデータがいまのところは得られていない状況です。少なくともここに示したのはコ ストに関する無駄を省くという点です。先ほどの課長からの挨拶にもありましたとおり、先日の官民 対話でも、治験依頼者から実施医療機関に対して支払われる研究費が実施に基づいて支払わ れるのではなく、予定に対して支払われており、未実施の部分について返金されていないという問 題を指摘されていますので、そのような無駄がどの程度あるのかを把握するためのグラフをお示し しました。  上のグラフですが、いままさにお話したとおり、治験実施に伴う研究費の支払方法について調 査した項目です。残念なことに、予定症例数に基づき依頼者から研究費の支払いを受けたあと、 11枚目のスライドで実施率を示しましたが、中央値8割に至っていない実施率、つまり残りの2割 強の未実施分についても返金がないという前納返還なしとして、このグラフの数値として現れてい ます。ただ、出来高払いという医療機関もありますので、実施に基づく支払いが全く不可能という ことではないと見て取れますので、今後この点については取組みを具体的に検討していく必要が あるかと考えています。  また下に示したのは、研究費に上乗せした直接閲覧の費用請求の割合です。これは上で示し た研究費と一般的に言われる部分に上乗せしてエクストラで個別に費用請求している部分で、こ のコスト請求の妥当性は議論をしていかなければいけないかと思います。もともとの研究費では治 験を実施する上で必要な直接閲覧等に対して不足しているのか、もしくは単にエクストラで求めて いるだけなのか、この評価するためのエビデンスを示していく必要があると考えています。GCP省 令に規定されているモニタリングの一環として実施される直接閲覧ですので、その際に1回当たり いくらということで費用を請求している機関の割合が右側に赤で示している「請求あり」という部分 になります。  続きまして23枚目のスライドでは、効率的な治験の実施に向けた治験の依頼等に係る書式の 統一化という取組みをご紹介します。まず背景として、治験の実施に際して医療機関等、治験を 依頼する企業で取り交わされる文書は医療機関によってまちまちで、全国津々浦々、医療機関 ごとに書式や記載項目に違いがありました。それによって依頼者にとっては、例えば一治験で20 機関依頼をしなければいけない場合に20通りの手続が必要で、治験依頼者にかなり過大な負担 が生じておりました。  そのような背景をもとに、全国で治験の依頼等に係る書類を統一しようということで協議会参加 機関及び業界団体の代表者にご協力いただいて作業班を構成しました。この中でいままで国立 病院系や大学病院系、また私立大学病院系で用いていた書類の雛形を基に検討を重ね全国 的に統一を図りました。この統一書式の遵守を推進することで目指しているところは、治験の効率 的な実施に資することを期待していますが、この作業班に参加していただいた医療機関だけでは なく、全国に広く浸透させていきたいと周知を図っているところです。  24枚目のスライドで、その統一書式の導入状況について示しました。この統一書式を最初に 通知したのが平成19年12月ですが、中核病院・拠点医療機関等協議会の加盟機関では、平 成20年4月の時点でほとんどの医療機関において、すでに導入しているか、もしくは導入に向け ての準備が進んでいる状況でした。今年の4月に再度調査した時点では51機関がすべて導入 済みで、あと2機関が現在導入手続中ということで、今年度中にはすべて導入が終了する状態で す。  また昨年度、この統一書式がどのように全国的に広まっていくかを調査するために、治験等効 率化作業班によって大規模な調査を行いました。医療機関に関しては、大規模治験ネットワーク に参加している医療機関に調査の依頼を行って、その中から回答を得られた198機関について、 右側のグラフに示すような導入状況でした。全国的にもこの統一書式が広まっていることをご覧い ただけると思います。  次は、治験の実施に関して効率的な治験の実施のひとつとして、IT化による治験・臨床研究 の効率化を図ることもアクションプランに挙げられています。治験情報のIT化検討チームを昨年 度設置しました。これは治験にかかる情報を電子的に収集分析することが容易になるよう関連シ ステムの標準化に関する検討を行うことを目的に設置しましたが、そこで提言をとりまとめ報告書 を提示しました。  その提言としては、治験情報のIT化に関して短期的な視点から、主にEDCの運用に関する 課題への対応をまとめています。この提言は医療機関に向けての提言、依頼者に向けての提言、 我々規制当局に向けての提言、またEDCを開発するベンダーに向けても提言をとりまとめており ます。これらのベンダーに関しては治験だけではなく、臨床研究にもそのノウハウを提供することも あり得ると思いますので、使いやすいEDCの開発等を提言としてとりまとめています。  また中長期的な視点としては、治験情報を電子的に収集することを可能とする電子カルテの 活用等を可能とする関連システムの標準化を目標とすることも提言としてとりまとめています。この ようなことから治験だけではなく、臨床研究に関してもIT化が進むことが期待されています。次の 27枚目のスライドにはその短期的な目標であるEDCの活用の状況を示しました。  中核病院・拠点医療機関等で過去3年間に実施した治験のうち、電子的に治験依頼者に治 験情報を提供する症例報告書EDCを用いた治験の割合を示しました。平成18年度当時には、 中核病院・拠点医療機関の中でもEDCの経験がない医療機関がかなり多く、まだ最初の1件、2 件を経験しているような段階でしたが、平成20年度には実施している治験の40%以上がEDCを 使用しているという医療機関も出ております。すでにEDCを経験したことがない医療機関は中核 病院・拠点医療機関においてはない状況です。IT化が我が国の中でどのぐらい進んでいるかと いう1つの指標として示しました。  次のスライドは治験依頼者側のデータになります。治験情報のIT化に関する報告書の中から 一部抜粋していますが、治験依頼者58社から回答を得た調査結果です。国際共同治験のほう が、より参加国が多いことから、EDCを使うことが進んでいると言われていますが、国際共同治験 の中でも、75〜100%の利用率が半数を占めていますが、1割程度の依頼者では国際共同治験 においても、まだ使っていないという回答が、2008年8月時点では得られています。国内単独治 験のほうがまだEDCを活用する割合が少ないことが示されました。以上が効率的な治験の実施と いうアクションプラン(4)に関する説明です。  次にアクションプラン(5)ですが、その他の課題として、この5カ年計画の期間中に、併せて取組 みを推進すべき課題を示しています。国際共同治験・臨床研究の推進における障害の解消、ま た臨床研究開始の届け出制に関する検討、「臨床研究に関する倫理指針」の見直し等、GCP 省令の見直し等が求められています。  29枚目には、平成20年7月31日に厚生労働省告示第415号として告示し、平成21年4 月1日施行された臨床研究に関する倫理指針の改正について示したスライドです。この改正につ いては、臨床研究を取り巻く環境の変化に対応すること。また研究倫理や被験者保護の一層の 向上を図るために全般的な見直しを行いました。特に臨床研究の多様な形態に配慮して改正が 行われております。  続きまして、GCP省令については、この数年の間に各種検討を進めてきた医薬食品局でGCP 省令の改正等を進めてまいりました。ここには一部抜粋を示しましたが、先ほどご紹介したIRBの 議事概要の公開についても、この一部になります。またいちばん下の「その他」としては、国際共 同治験が増加傾向にあり、国際共同治験に関する基本的考え方について、医薬品医療機器総 合機構がガイダンスを示し、審査管理課から通知が発出いたしました。  その他関連事項としては、5カ年計画よりも前からの取組みになります、我が国の治験実施に 対して、GCP等のあり方について検討する「治験のあり方に関する検討会」、また「有効で安全な 医薬品を迅速に提供するための検討会」等が開催されて、報告書がまとめられております。  5カ年計画で当初より触れられていましたが、臨床研究を実施する際の健康保険との関係に ついて、臨床研究を推進していく上で障害となるのではないかということが指摘されており、平成 20年4月から、特定の条件を満たす場合には保険診療と併用できる高度医療評価制度も開始 しております。  最後に「その他の関連事項」として、ドラッグラグ、デバイスラグを解消するために、さまざまな会 議、検討会を開催して、その問題点の検討を進めているところです。  以上、長い時間を頂戴しましたが、これまでの5カ年計画の概要と、取組みについてご説明さ せていただきました。最後に「参考」として、ここ数年の治験の数の推移等を示しております。  以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。本日は第1回目の検討会ですので、ただいま事務局からご 説明のありました概要及び進捗状況を中心に議論をいただきたいと思います。検討会の残り時 間は、あと1時間弱でして、構成員が16名おられますので、お一人5分ずつ発言いただいても 時間が超過しますので、なるべくポイントを絞ってご意見をいただきたいと思います。  内容としては、本日は特に進捗状況についての評価をいただきたい。現在の構成員は、かなり の方が計画を立てる段階に関わっておられますので、そのときの検討会としての方向性と現在の 方向性が合っているかどうかという点の検証も含めて、進捗についてご評価いただきたいと思いま す。  今後、5カ年間の基本方針はいまここで変わることはありませんが、今後どういうところを進めて いくかに関する論点についてもご指摘をいただければありがたいと思います。  また、5カ年計画の実施によって期待される姿、そのためのアクションプランに関しても、どうやっ て評価していくかが非常に大事です。現在のところ、ベースライン調査から3年間の調査をしてい ただいて、データはありますが、さらに今後評価するための方法、あるいは指標として追加していく ようなものがあるならばご指摘をいただきたいと思います。  こういうことをする場合、元のデータがないとなかなか議論ができないということで、前回の検討会 での策定の場合も、非常に短期間ではありましたが、精力的なアンケート調査等を行っていただ いております。今回は、いまのところそのような調査を行う予定はありませんが、議論の際にどうし ても必要なデータがありましたら、関係の所でそのようなデータをお持ちの所にお願いして出して いただくことも考えておりますので、そのようなデータがありましたらご指摘をいただきたいと思いま す。  以上のような点に関してご自由にご発言をいただきたいと思いますが、ポイントを絞って手短に お願いします。 ○佐藤(裕)構成員 21枚目に「手続きに要する最短期間」とありますが、その右側の中央値を 見ると、平成20年度には治験依頼者の申請書類の提出からFPI(第一症例登録)までが3週間 でできることになって、これはたぶん世界最速で、シンガポールも青ざめるくらいだと思うのです。 だから、これは中央値ではなく最小値ではないかと思うのですが、いかがですか。 ○事務局(後澤) これは1医療機関で全部が横並びというわけではなくて、各機関における最 短期間、医療機関のルールに則って速やかに進んだ場合が最短で何日かかるかを各医療機関 に調査し、回答の中央値をお示ししております。 ○佐藤(裕)構成員 各医療機関でこれが最短期間ですよと言って出したものの中央値ということ ですか。 ○事務局(後澤) そうです。 ○楠岡座長 もし、1つの医療機関が全部この最短値を達成していれば、おっしゃるように3週間 になるので。 ○佐藤(裕)構成員 そうしたら、この事業は要らないと思いますが。 ○楠岡座長 ところが、ある医療機関はある項目については非常に速かったけれど、ほかのところ で少し遅れがあって、トータルすると必ずしもそうはなっていないということですね。 ○佐藤(裕)構成員 ということは、手続きの期間に関して言うと、いちばん良い所はシンガポール ぐらいの水準になるのだという証拠でもありますね。 ○事務局(後澤) すべての治験でこの数字が出ているということではなくて、努力すれば手続き 上はこれが可能だという回答ですので、あとは実績ですね。本当にやったときに何日かけているか というところも、併せて聞いていく必要があるかと思います。 ○佐藤(裕)構成員 実績ではないのですか。理論値ということですか。 ○事務局(後澤) 実績ですが、頑張ればこの数字が出せるということで、すべての治験でコンス タントにこの数値ということではありません。 ○佐藤(裕)構成員 わかりました。 ○楠岡座長 そういうことです。ただ、このデータは毎年取りまとめて、各医療機関の個別データ ではなくて、いまのまとめた形で公表しています。しかし、各医療機関はこのデータを見ると自分が いまどこのポジションにあるかがわかりますので、ベンチマークとして使っていただきたいということで す。こちら側が知るだけではなくて、医療機関側にも知っていただくという双方向の意図を持って 調査しているデータということですね。 ○佐藤(裕)構成員 昨日、CRC等と見てみんな青ざめて、今日来るのが恐かったのですが。 ○楠岡座長 ほかにご質問等ありましたらどうぞ。いかがでしょうか。あまり漠然とし過ぎていると議 論しにくいですので、ポイントを絞るということで、アクションプランの柱ごとにご意見をいただきたい と思います。まずは中核病院・拠点医療機関の体制整備ですが、この状況に関してご意見はあり ますか。 ○田代構成員 スライドの11〜12頁の1治験当たりの症例数や実施率の推移を見ると、必ずしも 改善していないような結果なのですが、これを見て私が感じたことは、いまの日本で行われている 治験が、大病院中心の治験と、開業医中心の治験と、両者のミックス型に分かれているのではな いかということです。特に今回の調査は大きな病院が多いというか、大きな病院だけですので、そ うすると比較的難しいというか、そういう治験が集中している可能性がある。そうすると、1プロトコル 当たりの症例数も少ないだろうし、実施率の低い原因とも考えられる。  そういう意味では、8頁の上のほうに模式図がありますが、中核病院、拠点病院、拠点病院にぶ ら下がったもの、開業医だと思いますが、こういうモデル自体がいまの実態と乖離しているのでは ないかと思うのです。ですから、先ほど言いましたように大病院中心の治験、開業医中心の治験、 ミックス型がどれぐらいの割合あって、それぞれの問題点は何なのか。そのようにとらえていかない と、このモデルで全部とらえようとすると、いまの日本の治験、特に症例を集約するのは、どちらか というと生活習慣病などのほうがやりやすいのですが、このモデルではやりにくいと思うのです。そう いうところを整理して問題点を把握することによって、具体的なそれぞれの対策が出るのではない かと考えます。 ○楠岡座長 事務局の方から何かご意見がありましたらどうぞ。  座長が言うのもなんですが、まさにご指摘のとおりだと思います。これは依頼者の側のご意見とし て、生活習慣病等のいわゆるクリニックを中心とした治験は、スピードにおいてはかなり進んでいる と思います。コストの問題もありますが、これもかなり改善してきていると。  ただ、治験の内容は生活習慣病のようなものだけではなくて、抗がん剤をはじめとする難しい治 験が大きな問題で、それがなかなか進んでいないというのが現状です。別にどちらに軸足を置くと いうわけではありませんが、特にいちばん大きな問題を抱えていて、しかも解決しておかないと将来 的に新しい医薬品・医療機器の大きな障害になるのは、どちらかというと難しい治験であろうという ことで、このネットワークもそういう難しい治験をある程度頭に置いて策定したという方向がありま す。  海外で難しい治験も非常にスムーズに進んでいる例としては、韓国等がありますが、韓国等の 場合は病院が2,000床規模で外来患者が5,000人という所で、1プロトコルにたくさんの症例が集 まって進んでいる。それならば日本にそういう病院を作ればいいかというと、現状それは実現不可 能な内容で、結果的にネットワークでバーチャルな大きな病院を作ろうというのが、もともとのネット ワーク構想の基本にあったのです。データを見ていても、ネットワーク化がなかなか進んでいないと いうのがいちばんの問題点です。当初考えたように、ネットワークでバーチャルに大きな病院のよう なもので患者を集めていく方向がいいのか、それともここで少し方向を変えて別のやり方を考える ほうがいいのか、今回いろいろご議論いただきたいところかと思います。また、方法としてバーチャ ルな病院を作るようなネットワーク化しかないのであれば、それを進めるために今後残り3年間どう やればいいかというところもご議論いただきたいと思います。依頼者側のご意見として何かあります か。 ○作広構成員 冒頭の課長のご挨拶の中にもありました、業界として官・民対話のときに提言した 事項の1つですが、この5カ年計画にも書いてある中核拠点ネットワークを形成し、症例の集積性 を高めましょうということを推進していただきたいと我々は考えております。要は、実施率目標80% という話もありましたが、そのネットワークの中で何十例とやっていただくという発想をしていただき たい。極端な話、中核拠点が実施率20%であっても、そこのネットワークとして何十例やっていた だければ、依頼者としてはそれで満足ということです。  これはご提案なのですが、いまの中核拠点医療機関の中でもネットワークを構築されて、その医 療機関がハブとなっていろいろやられている所もあろうかと思いますので、そういう実例をご紹介い ただいて、そういうことがすべてできないならば、何が問題でできないのか、人なのか、それともお金 なのか。もしお金であるならば、予算はもう決まっているわけですので、この10カ所、30カ所の見 直しの際、数を減らすということも念頭に置いていただきたいと考えております。 ○佐藤(敏)構成員 ただいまのご発言は非常に参考になりました。実は、私どもが中核機関に 選ばれたときに、どうやってネットワークを作っていくか、学内でも非常に議論がありました。当初の アクションプランによると、中核を中心にしたネットワーク作りを急がなければいけないと思ったので すが、いろいろな方の意見をお聞きすると、中核同士のネットワーク、あるいは中核拠点のネットワ ークを作り上げるのはかなりの時間がかかるのではないか、困難な点があるのではないかということ で、まずは北里の中の4病院のバーチャルな病院を作る方向で来て、そこからさらに外部ネットワ ークを作ろうという方向で来ております。ただ、それだけでは難しいだろうという意見もありますので、 今後ネットワークを学外につなげていく努力をしようと思っているところです。 ○山本(晴)構成員 医療機関同士のネットワークの問題ですが、はっきり言って経営母体や何 らかのベースが同じ医療機関でなければ、そう簡単に共同で仕事ができるはずがないのです。医 療機関は、基本的に地域の中ではある程度競合しておりますし、大学同士も競合しています。そ の中で治験だけが仲よく手を取ってできるかというと、治験事務局同士は手を取ってできても、実 際に治験を受けるPIのレベルではできない可能性もあります。特に地域が近い大学病院や地域 の近い機関病院ほど競合的になっている所が多いので、大きな病院だけにお金だけつけてネット ワークで共同してくださいと言うだけでは無理なのではないかと思います。  ですから、どうしてもネットワーク化するのであれば、例えば領域がどう似ているかとか、人のつな がりがどうあるかとか、ある程度そういうことを考えて戦略的に組んでいかないと無理だと思います。 もう1つは、事務局を強力なものにして、各病院にお金をつけるというよりは、事務的機能を果た すところに集中的にお金を投下するとか、人をつけるという、もう少し戦略的な考え方が必要にな るのではないかと思います。 ○渡邉構成員 バーチャルなネットワーク化を考えるときに重要だと思う項目は、患者情報、患者 のパネル化です。あるネットワークの中にどのぐらいの患者がいろいろな疾患群で集積しているか。 そういうパネル情報をネットワーク内で共有し、いつでも提供できるようにすることが、今後非常に 重要だと思います。また、その際に、DPC情報と連動させてとか、この薬を使っている患者はこの ネットワークに何人いるというものが、ITの技術を使って瞬時に検索できるようなシステムを検討し て頂きたいと思います。 ○佐藤(裕)構成員 ネットワークに関しては、私は山本先生と全く同感で、すでに診療自体大学 病院と関連病院のネットワークはほとんど空洞化しているわけです。治験はtherapeutic area等に よって全然違うので、すべての領域ですべての治験にわたってネットワークが機能することはあり 得ないのです。IRBの一本化や組織の一本化、情報の共有化等ができていないのに、ネットワー ク化ができるはずはない。以上のことを全部やろうとしたら、中核拠点の予算を全部2、3カ所に投 下したとしてもほとんど不可能ですので、むしろ疾病領域別とか目的別で、バーチャルというよりは ファンクショナルなネットワークですね。アプリオリにネットワークがあるのではないので、あるときに 解散してあるときに集合してというのが唯一ではないかと思うのです。私が聞いている限りでは、む しろ依頼者側にはネットワークは勘弁してくれというご意見のほうが多くて、ネットワークと言いなが らも、結局すべての病院に全部モニターを派遣しなければならないし、全部手続きをやって、全 部違って、値段も違って、何がネットワークなのですかと憤慨している方もいらっしゃるので、その 意見をここで代弁させていただきました。 ○伊藤構成員 国立病院機構は1つの事業体ですから、比較的ネットワークが組みやすくて、昨 年11月からCRBという一本化したネットワークを作っております。1つの治験について10施設ぐ らいを束ねた形での治験が動く状態になっておりますので、1つの事業体だからということもあるの だろうとは思いますが、例えば山本先生の循環器病センターなどは循環器の領域で同じような形 のグループ化をしていただくとか、方策はあるのではないかと思います。それによって効率的な試 験が行われるようになることは可能であろうと思っておりますし、現在IRBなどの公開をするとか、 書式も統一するとか、EDCを使って入力作業がされる状態にもなっておりますし、同時に同じ研 究プロトコルもWebを使ってデータをそこに載せておいて、説明書きをするとか、みんなで共通し て使うこともできると思いますので、あながち否定的な話ばかりではないのではないかと思います。 ○辻本構成員 国民、患者の立場としては、アクションプランの第一歩からこけてしまっているよう な感じで、この2年間の皆さんの努力がなかなか形に表れてこないことを少し残念に思いながらご 報告を伺いました。私も、特に今回のご報告の中で、集積性が高まるには至っていないということ をいちばん大きな問題として受け止めたのですが、ただいまのご発言にもあったように、例えば北 里4病院のこれまでの取組みの実態と、その中から何が問題なのか、また、いま国立病院機構か らご発言がありましたが、そこでの取組みの中で何が功を奏し、どういう問題が浮き上がってきて、 今後の喫緊の課題が何であるかをもう少し具体的にこの会でお聞きすることが、ここの打開策を 見出すことにつながっていくのではないかと思いました。もちろん、人やお金の問題もあろうかとは 思いますが、それ以外に何が欠落しているかを見せていただきたいと思ってお聞きしておりまし た。 ○楠岡座長 事務局には、成功事例の報告も次回少し検討していただくということでお願いした いと思います。 ○荒川構成員 いまのご発言に関連して、この実績に対して要因分析をもう少しすべきではない かという気がします。一体何がこの結果を生み出しているか、この数年の間の環境変化も非常に 大きいかと思っていますので、必ずしもネガティブな部分だけではないと思います。ですから、これ を見る上で本当のベンチマークは何かということもよく考えて、もう少し具体的な対策に結びつけ ていかないと、これの改善は難しいのではないかと思っております。 ○一木構成員 現場で仕事をしているCROの立場からすると、ここ数年見ていると各先生方の 意識が変わってきている。この数字とは離れますが、各施設が実施率を非常に気にしている。契 約した例数に対する実施率に対して、各インベスティゲーターの方が非常に認識を持っている。 この5カ年が始まる前のころは、一体何例で契約したのか知らないという先生が多かったのですが、 いま非常に気にしているというのは現実に肌で感じます。この数字がどのように弾かれたかわかり ませんが、そういう意味で各インベスティゲーターの方、コメディカルの方も、何例で約束したのだ からちゃんとやろうという意欲は肌に感じるものがあります。ただ、試験の種類によっては難しい試 験もありますので、エリジビリティ条件で登録できない患者さん、ICを取ったけれど登録できなかっ た患者さんとかいろいろありますので、そういう意味からすると実施率が落ちるのかもしれませんが、 3年前と現在とでは明らかにインベスティゲーターの方の認識度は違うのではないかと、現場では 肌で感じています。  もう1点は、先ほどの佐藤先生のご意見にもありましたが、ネットワークの問題というのは、ネットワ ークがいいのかアメリカみたいに分業したアフィリエートを利用するのがいいのか検討するのも必 要と思います。例えばMDアンダーソンでICを取得してエンロールしたといっても、MDアンダーソ ンのみで症例を入れていなくて、そのアフィリエートからの紹介で入れているというのがいくらでもあ ります。ですから、アメリカの場合は実際にMDアンダーソンの数字といっても、実際は2割ぐらい しか入れていないのではないかと思います。8割は外からの紹介で入れているのではないかと思い ます。そういうものを想定したネットワークなのか、単なるグループとしてのネットワークなのか。単な るグループとしてのネットワークだと、結局モニターが全施設に行かなければいけないので、バラバ ラでも一緒なのです。ただ、セントラルIRBのことがやっと始まったので、それをクリアしてくれると、 先ほど北里の例のお話がありましたが、1カ所のIRBで4施設済むということで非常に効率的にな りますが、セントラルIRBの話が出たのが去年ですので、まだ数字として表れてこない段階ではな いかと思います。ですから、できれば後半戦でどのような所に焦点を当てて注目しますよ、というメ ッセージを出せるようになると変わるのではないかと思っております。 ○新井構成員 医療機器の治験の場合は、医薬品と違って年間でも治験届が20以下で、その 中でいかに治験を効率化するかという話がありますので、いまお話があったように循環器であれば、 山本先生の国循で中央IRBを設置して、できれば周りの病院から患者を紹介してもらって国循 でやるとか、そのように集積性を高めないと、ただでさえ治験の数が少ないのに、全施設でやるの は無理だと思うのです。この40病院の協議会の中で患者情報の共有化をして、治験に慣れた病 院でやっていただくような制度ができないかなと思っております。 ○荒川構成員 地域連携を治験で活かせないかというのは容易に考えられることなのですが、実 際紹介していただく医師のインセンティブをどうするかは、現場としては非常に大きな問題です。こ れはいくつかのネットワークでは工夫されているようですが、そこにはなかなか難しい問題があるよ うな気がします。 ○佐藤(裕)構成員 いきなり治験の話になってしまったので、少し戻りますが、そもそも臨床研究 と治験とあります。ネットワークにしてもいまは治験の話なのですが、振り返ってみると医師の自主 研究に関連する問題とその推進と、治験とそのいろいろなハードルとは別のところがありますから、 それを今後の目標設定に関しては分けてやっていくべきではないかと思います。ただ、この両者 は無関係ではありません。というのは、市販後臨床試験、市販後に行われる委託研究のようなモ ジュールがいま増えておりますが、それに対して治験はどうにか整ってきたけれど、実際の自主研 究のサポートシステムが弱い病院だと、そちらができない。それは依頼者にはね返ってくるので、そ の3つを分けて整理していくことが今後求められるのではないかというのが1つです。  もう1つは、これも大きな話なのですが、折角3年間で結果が出たので、治験に関しては依頼者 からの評価をどう見るか、どこが足りないか、これはフォーカスを変えたほうがいいというようなフィー ドバックは是非していただくべきで、治験はお客さんが依頼者ですので、今後はそれを目標にす べきだと思います。逆に3年間で随分マトリックスをみたので、施設から依頼者に関して出てくる問 題も随分あるだろうと思います。特に国際共同治験に関しては各社足並みがバラバラですので、 むしろ現場で横並びで見て、こんなに違う、というものがありますので、それをまとめる必要があるの ではないかと思います。  もう1つは、IRBの話が出ましたが、施設によっても違うと思いますが、治験審査委員会がIRB で、自主研究は慶応などでは倫理委員会と別でやっている。例えば、新規治験の審議に上がる ものは月に4、5本ですが、自主研究は月に50本ぐらいあるのです。相当先進的なものもあるし、 その辺は皆様はどうなさっているのかということがあります。あくまで私のアイデアですが、1つの病 院を選んでIRBとか倫理委員会でどの程度の活動をして、どんな審議が実際なされているかを 少し把握される。人を送ってもよろしいと思います。というのは、議事録を公開されるとなっても、実 際治験薬の著しい不具合など甚だしい問題は議事録には載せていないので、各施設における臨 床研究、治験の倫理性・科学性を担保する最後の塞となっているIRBや倫理委員会がどの程 度機能しているのかいないのか、どういう問題があるのかを協議会として把握すると。数字は大体 把握されて出てきておりますが、実際の中身や委員の構成その他、そのようなものを今後の計画 としてはどうかと、伺っていて思いました。 ○楠岡座長 佐藤構成員のおっしゃった点に関しては、臨床研究や倫理委員会の取扱い件数 等は一応調査して、数字はありますので、それを見てどのような調査が必要かとか、方策が必要 かを見ていくという形にしていきたいと思います。  ネットワークだけであまり時間を取れませんので、人材育成、あるいは国民への普及・啓発の点 も含めてご議論いただきたいと思います。 ○榎本構成員 このアクションプラン(2)の14頁に「CRC養成数の推移」というグラフが載っている かと思います。いまCRCの養成数は大体5,000人ちょっとですが、目標8,000人ということで、主 に医療機関のCRCが参加していることもあって、だいぶ出切ったという形で、各研修会の参加者 が少なくなっている現状があります。実態調査の中で、実際これらの研修会に参加したCRCのう ち約半分は、CRC業務に就いていないという報告もあります。田代さんからもお話が出るかと思い ますが、これは医療機関のCRCで、実際には日本で約5〜6割の治験をSMOのCRCがサポー トしていることもあって、大体同数かもう少し多いCRCがSMOにいらっしゃるという話も聞いていま す。  このようにCRCを育てていただいて、今みんな非常に頑張っているのですが、参考資料2の15 頁にCRCのインセンティブとか人材育成のお話があります。育成という形で、初級CRC研修、ロ ーカルデータマネージャー、上級CRCといろいろな研修会をやっていただいて、CRCは非常に 一生懸命勉強しています。かなりのレベルまで上がってきているかと思います。実情としては今回 5カ年計画を実施いただいて、特に中核や拠点の施設ではCRCは確かに人数が増えて、当施 設もかなり人数を増やしていただきました。ですが、実際ほとんどが非常勤であったり派遣であっ たり、5年間という規程がある中で、病院が正職員を雇いにくいという事情があります。そうしますと、 あまり安定しない環境で、低い賃金で雇用されているCRCが、まだまだ全国に多いように感じます。 5カ年計画の15頁にも安定雇用とキャリアパスということを記載していただいたにもかかわらず、ま だまだ難しい状況にあることは、私もいろいろなCRCと話して感じています。  いますぐには難しいと思いますが、CRCはすごく勉強したいと思っていても、土日に研修会に参 加したり、学会に行くにも全部自費です。自分の休みをつぶして、なおかつ交通費も参加費も全 部自分で出しているCRCが結構多いのです。ですから、1つお願いは、中核病院・拠点医療機 関のCRCを育てるという意味では、もし可能であればある程度の基準を設けていただいて、育成 とか教育費用として補助金を使わせていただけたらと思います。私たちCRCを育てる意味で、自 分たちのOJTも大事ですが、先生方が教育してくださるような研修会に、土日を使ってもいいので、 参加費や交通費ぐらいは出してあげたいと思っている現状があります。CRCをレベルアップする 意味で、その辺を今後検討いただけたらと思っています。 ○楠岡座長 ありがとうございました。お金の使い方は、旅費の問題は前から少し出ているので、 また検討していきたいと思います。 ○山本(晴)構成員 CRCもですが、データマネージメントや生物統計も、最初の5カ年計画に記 載されていたと思います。平成19年度からローカルデータマネージャー研修が始まっていますが、 おそらくこれも施設内でデータを出すという、どちらかというと治験を対象にした研修であったよう に思います。いま問題になっているのは、自主臨床研究の質を上げるということと、そこからもっと 成果を出していくということがずっと疎かになっていて、特に自主臨床研究の場合は最初からデー タベースというか、どういうデータを取っていくかというところから自分たちで考えていかないといけな いので、ローカルデータマネージャーだけでは足りないのです。ですから、プロトコルを作成する、 CRFを作成するところでセントラルデータマネージメントが必ず必要になってくるのですが、それを 担える人材がほとんどいない。いまのところ北里やうちなどは細々と自分たちの中で養成をしてい ますが、どこにもお手本がないので、どうやっていいのかわからない。とにかく試行錯誤を繰り返し て、雇っては辞め、雇っては辞めとか、システムを入れてもそれがうまくいかなくて、また次への繰 返しとか、非常に効率の悪いことを施設内でやっているわけです。そろそろ自主臨床研究の質を どうやって上げていくか、人材を養成するところにも絡めて、後半の中では考えていただきたいと 思います。 ○辻本構成員 いまのお話を伺って、16のスライドで人材確保のための方策ということで、一部人 件費補助金の交付が行われたというご報告をいただきましたが、これをもう少しいまのご意見など を踏まえて、わかりやすくご説明いただければと思います。 ○事務局(後澤) 16枚目のスライドでお示ししたものは、厚生労働科学研究費補助金について の説明です。これは研究者が研究をやる際に、その研究を運営する資金の補助を厚生労働省 に申請して、研究計画の審査を受け採択をされることによって資金援助を受けられるという仕組 みです。その中で、これまではCRCだけでなく、データマネージャー等の専門的知識を有する臨 床研究をサポートする人材を雇用する際の人件費が、規定上この補助金の中からは捻出ができ ないことになっていました。5カ年計画の策定当初から、研究を実施するためには研究者だけで はなくて支援人材が重要だとは言われていましたが、そのチームを作るための費用が研究費では 工面できなかったということです。それでは適切な臨床研究の実施はままならないということで、取 扱い規程を改正して、研究を実施する上で必要な研究者以外の人材を確保するための人件費 として使えるようにしたというのが、今回お示しした内容です。いま先生方がおっしゃっていた、お 金は出せたとしても必要な人材を育成していかなければいけないということも、併せて取り組んで いかなければいけないと思います。 ○辻本構成員 これだけでは不十分だということですか。 ○山本(晴)構成員 お金だけでは不十分です。お金を出して雇ったとしても、専門的な知識とか スキルを身に付けるためには、習得するプラクティスを教えるコースが必要なのですが、現実はい まのところそういうコースがない。ですから、人を雇ってそのコースも自前で作らないといけないとい うのが、データマネージメントの現状なのです。CRCについてはほぼ研修コースが決まってきてい ますので、比較的CRCとして新任の方を取ったとしても、数箇月である程度スキルを身に付ける ことができるようになってきていると思います。 ○渡邉構成員 CRC、データマネージャーの育成は非常に重要だと思いますが、治験を含む臨 床研究を実施する人材というともちろん医師が欠かせません。臨床研究に関する倫理指針で、 研究者等の責務として臨床研究に関する教育を受ける事が謳われているように、医師自身が治 験を通じて新しいエビデンスを生み出していくことが自分たちの義務だと考えるようになる教育を、 是非促進すべきだと思います。例えば医師の初期研修のコアカリキュラムの中に治験や臨床研 究についての教育への受講義務といったことを設けていただければ、医師全体が治験を含む臨 床研究の重要性をさらに認識するようになるのではないかと思います。 ○荒川構成員 厚生労働科学研究費の話に戻りますが、いま実際に個々の研究でお金をいた だいてもなかなか支援人材が雇えないのは、期間の問題や金額の問題があります。ですから、実 際人を雇う立場ですと、どちらかというと間接経費とかプールして使えるお金でないと、その辺が非 常に使いにくいお金になっていますので、むしろデータマネージメントやCRC支援といったものを ある程度パッケージにしていただいて、プールできるお金にしていただければと思っています。 ○楠岡座長 プールというのはなかなか難しくて、今度の地域医療再生基金が初めてのケースで すので、それを見習っていただければと思います。 ○小林構成員 話が戻るのですが、教育研修の手段について、先ほど榎本構成員が言われたよ うに、外に出て行く研修会が大変だと思います。今日のスライド等には特にないのですが、臨床研 究の倫理指針の改正の局長通知の中に記載されているとおり、山本精一郎先生の所と私ども日 本医師会でEラーニングによる臨床研究のトレーニングコースをやっています。私どものEラーニ ングですと、対象はCRCだけではなくて、医師やメーカーのモニターも入ってくださっていますが、 開設1年半で約5,000人を超えるユーザー登録がされています。CRC認定試験の前だとグッとア クセス数が増えるというデータも出ていて、比較的認知されてきたかなと思っています。臨床研究 倫理指針で紹介されたこともあって、新しく臨床研究に特化したもの、いままでは治験だけという 形でやってきたのですが、臨床研究向けの問題も増やしつつあり、治験、臨床研究も含めて月に 50問ないし100問の新規設問の掲載に努めているところです。こういった取組みも人材育成とい う形では利用できますというご紹介とさせていただきます。 ○山本(精)構成員 いま紹介いただきましたが、研発課から研究費をいただいてうちのサイトで は、4月1日から倫理指針が改正になってからすごい勢いで登録が伸びています。現在3,000人 ぐらいなのですが毎日10人ぐらいの登録があり、試験は結構難しいのですが、800人ぐらい合格 しています。ほとんどこちらに載っている中核や拠点の方ではないのです。今回、アクションプラン (1)で中核・拠点を何とかしようという話がありましたが、実際それ以外のところでも非常に多くの臨 床研究が行われているということと、もう1つは情報格差が非常に大きくて、アンケートを見ていて も全然わからなかったという人から、簡単すぎたという人もいるし、我々の所に統計家として相談に 来るのも、非常にプリミティブなものから難しいものまであります。指針が改正になったことも知らな いで相談に来る人もいるのです。  また、先ほど後澤さんから紹介がありましたが、人件費についてはほとんどの人が知らないので、 折角変えても実際使われていないとか、いろいろな事情があると思いますが、臨床研究者や臨床 研究をやっている施設にうまく情報が伝わるような仕組みが大事ではないかと思うのです。そういう 話だと、すぐ登録という話になるのですが、そんなに難しい話ではなくて、登録と言うと縛っている みたいに見えるのですが、縛っているのではなくて、逆にいろいろな情報を流しますよみたいな感 じのポジティブな情報提供の流れがないと、折角いいことをやっても活きないところがあります。先 ほど後半は臨床試験にという話がありましたが、そういうものが見える数字を出して目標にするの がいいのではないかと思います。 ○辻本構成員 次のアクションプラン(3)にもかかるお話かと思うのですが、ただいま山本構成員 から情報提供システムのお話がありました。試験の前だけアクセスが高まってくれただけでは、私 たち国民としては安心もできないわけですが、例えばこのたびの国循の自己調査の中にも、いま だにインフォームド・コンセントの足らなさが現実として浮き彫りになってきているのです。そういった ことも含めて、現状認識とあるべき姿を共有化していただくためにも、情報提供システムをもう少し 強化していただきたいと、人材育成と国民への普及に絡めてお願いしたいと思います。 ○山本(晴)構成員 事故調査報告書については、内容は見ていただいたらいいのですが、イン フォームド・コンセントをしていなかったわけではないので、その点は付け加えさせていただきます。  コミュニケーションの問題だったと思いますが、それはいいとして、アクションプラン(3)の国民への 普及啓発ですが、ポータルサイトを作れば見に行く人は見に行きますが、見に行かない人は見に 行かない。例えば、我々の病院は循環器病センターですので、来られている方はほとんど高齢者 ですし、たぶん外来の患者の大多数が60歳、それ以上になります。脳内科だったら70代や80 代が当たり前です。その人たちにインターネットで情報を取れというのは酷な話で、そういう人たち がいちばん求めているのはman to man、face to faceの情報なのです。  日医の方たちがキャンペーンプランを作られて、いろいろ資材を作られたのを一度お借りして、 院内で治験の啓発キャンペーンをやったのですが、こういうものは継続的にいろいろな所でやって いかないと、一遍見ても忘れてしまいますが、何度もやっているとだんだん治験というのはこういうも のなのだなと。例えば、テレビは確かに効果的ですが、テレビは一方通行で、わからないことを詳し く聞くことはできませんから、いろいろな病院や、街角は厳しいと思いますが、地道な普及啓発を 何度もやって、入ってくださいというのではなくて、正しく治験とはこういうものですと、臨床研究とは こういうものですというのを、教えていくというのは言い方が悪いですが、普及していかなければいけ ないのではないかと思います。アクションプランについては、マスメディアを使って効果的にという、 効率ではなくて一人ひとりに届く形のプランを後半には考えていただきたいと思います。 ○楠岡座長 啓発に関しては、厚生労働省では何か取組みをされていますか。 ○事務局(佐藤室長) いまポータルサイトのご紹介をしたことと、業界にいろいろとご助力をいた だいていて、例えば先ほどマスメディアというお話がありましたが、いろいろなメディアを通じて治験 という言葉を認識していただく、あるいは治験に関わる人は非常に多岐にわたっているのだという メッセージを、現在発信しているところです。確かに、おっしゃるようにポータルサイトは国民側から 行かないといけないという、我々にとっては待ちの体制ですので、山本構成員がご指摘のとおり、 こちらから情報を積極的に発信することを、後半ではもう少しやっていくべきと考えております。 ○山本(精)構成員 いまのご意見なのですが、アクションプランで安心して接することができる情 報確保やIRBの体制をという話がありましたが、どうしても厳しくしているから大丈夫みたいなメッセ ージですね。たぶん、必要なのはそういうことではなくて、臨床研究は役に立つのだとか、いいこと があるのだみたいなポジティブなもの、治験にしても臨床試験にしても悪いイメージがあるので、本 来医学の発展のためにやっていることなのにというところがあるので、そういうメッセージが必要だと。 例えば、我々は別に調査をやったことがあるのですが、基礎研究のほうがイメージがいいのです。 研究費をどのように使ってほしいですかと聞くと、基礎研究にと。ちょうどノーベル賞が取れたとか、 そういうことがあったりもしたのですが、臨床研究は役に立つのだとか、大丈夫だというのではなく て、そういうメッセージを伝えることが必要だと思います。 ○楠岡座長 治験に関するイメージ調査もやったことがあるのですが、「治験」という言葉よりも「臨 床研究」「臨床試験」のほうが、何となくわかった感じになるようです。「臨床」と「研究」というのを見 れば、それぞれの文字からわかった感じになるのに対して、「治験」というのは全く初めての言葉な ので、よくわからないという反応があります。もう1つは、情報はほしいのだけれど、その提供を誰が するかが非常に大事で、バラエティ番組の情報は見るけれど、信用はしないと。ニュースの解説と か、そういう信頼度の高いところから提供される情報は、先ほど「安心して」という言葉がありました が、そのような形で受け止めるということ。  また、その中で治験のメリット、デメリットに関しても、治験をわかっているとおっしゃっている方は メリット、デメリットを非常に公平に理解されているという結果が出ています。結果としてはあまり効 率はよくなかったかもしれませんが、治験に関するこれまでの啓発活動はメリット、デメリットを公平 に伝えていくという結果が出ています。治験はいいよというポジティブなものとか、治験はいけないと いうネガティブなものだけが伝わっているのではなくて、そこは比較的公平に伝わっているので、い まのやり方をもう少し効率よくというか、やり方を考えれば、問題なく、国民の方々に正しく情報を 伝えられるのではないかと思います。ただ、もう少し伝え方に関して工夫するところはあるかと思い ます。 ○田代構成員 アクションプラン(2)に戻って、人材の育成と確保のところで折角数値目標が出て いるのですが、例えば「CRC養成数の推移」は、正しく言うと「CRC初期研修受講者の累積数の 推移」。これはいままで研修をしましたという累積数で、先ほど榎本構成員からお話があったように、 この中で実際に実働としてCRCの仕事を何%の人がしているかとか、そこがCRCの確保という意 味で大事な点だと思います。データの取り方に難しい面はありますが、是非そこをつかむようにし たほうがいいと思います。  先ほどお金のかかる話がありましたが、SMOはいま協会に加盟している約60社で、CRCが 2,500名強おります。これは実働です。ですから、そういうものも実働でいますよということで入れて いただければ、実際にいま治験を担当しているわけなので、その実働数として目標をどうするかと いう議論になっていくのではないかと思うのです。同じように、治験および臨床研究に携わる医師 や生物統計家、データマネージメントの方々の養成数と実働という切り口でデータを取られたほう が、今回のようにPDCAサイクルを回して具体的な成果を出そうとする場合、次のアクションを取り やすいのではないかと思います。 ○楠岡座長 前回も、CRCの研修を受けた人のフォローアップ調査が不十分だったのですが、 今後それも1つ。というのは、いまCRC研修あるいは実際にCRCを経験された方が、師長になる とか副薬剤課長になるとかプロモーションをされていて、CRC出身の師長のいる病棟は治験が非 常にスムーズにいく、入院治験もスムーズにいくとか、スタッフの理解が速いとか、そういう波及的 なことがどんどん起こってきていると思うのです。その辺も少し観点に入れたフォローアップを。 SMOでCRCを経験された方がほかの所で働くときに、CRCの経験を活かしているということもあろ うと思いますので、その点は考えていく必要があると思います。 ○榎本構成員 5カ年計画を作るときに、参考資料23頁にCRC1名当たりの年間担当計画数7 〜8プロトコルという基準が出ていて、当時これぐらいはできると私も認識していたのですが、アクシ ョンプラン(4)で依頼者との役割分担ということで、医療機関が説明文書を作ったり、重篤な有害 事象報告書など責任医師が提出すべき書類を作成するようになっています。いままでは依頼者 の方に少し手伝ってもらっていたのですが、最近は役割分担ということで、当院でも文書作成をか なりやることになっています。実際に報告書案を作成するのはCRCなのですが、そうするとCRC はいままで患者ケアをメインでやっていたのに、パソコンの前で書類作りをする時間が増えてきて、 かなり残業も増えています。実際に担当できるプロトコル数が7〜8本というのは、グローバルも増 えてきているのできつくなっていると思います。製薬協の方の発表などで、モニターの方が担当で きる施設数が日本は6、欧米は20という数値がよく出てくるのですが、私たちが役割分担を担当 することでモニターの方がほかの施設を持っていただけて、全体のコストが下がればいいのですが、 モニターの方が担当できる施設数が増えないのであれば、結局CRCが持てるプロトコル数が減る ばかりなのです。その辺りのデータも加味して、私たちCRCが頑張ればモニターの方がもっと担当 施設を持てるようになったというものが出てくると、私どもも頑張れるのです。その辺が数字的に見 えないところが、不安な部分であります。 ○荒川構成員 最初のスライドの4番に戻って、5カ年で大きく3つの目標を掲げているわけです が、これの具体的な数字が見えてこないのです。この2年ぐらいで、私どもの所でも本当にいろい ろな環境が変わっている中で、いまのままのアクションプランで具体的に達成可能かをよく見て、も う一度見直す必要があるのではないかというのが率直な意見です。ですから、見直しの範囲をどこ までにするのかということもありますが、いまの時点でのクリティカルパスは何かをもう一度掘り下げ てみないと、これは達成が不可能ではないかという気がします。 ○事務局(佐藤室長) 荒川構成員に対してなのですが、まさに先ほどもこの会議の趣旨をご説 明したときも、2点目として最終目標はこの部分ですが、5カ年を策定した当時はこのようなかなり 定性的というか、非常に文章で書かれていて、いわゆる意気込みというか、そのようなものを皆さん で共有しましょうという形で、とりあえず活性化を進めていこうという話だったかと思います。  ただ、ご指摘のとおり、進んでいくにあたって今後の最終ゴールがようやく見えてきたと。ゴール が見えてきたというのは何かというと、期限が見えてきたというところだと思うのです。ところが、実際 にそれが5カ年の結果どうかというところについては、申し上げたように最終ゴールがより具体化し ていないために、本当に達成されているのか、どこが問題なのかがわからない。そのためにも、今 回、この5カ年の中間年に当たる今年に、基盤整備状況等を評価していただいて問題点を洗い 出し、さらにここに書いてあるような最終目標について可視化というか、定量的な数値、あるいはよ り具体的な目標といったものも併せてこの会議でご議論いただいて決めて、残りの2年半にあたっ てどのような形でやっていけばいいのか、さらに細かいアクションプランの修正等をやっていただく ということをお願いしたいと思っております。 ○楠岡座長 時間がなくなってきたので、どうしてもという方がいらっしゃいましたらどうぞ。 ○渡邉構成員 データとして今後提示していただきたいものがあります。治験のスピードの問題が しばしば挙げられていますが、是非同じ国際共同治験で、他国と比べて日本の被験者治験のス ピードがどれ位であったか、速かったか、あるいは遅かったか。事例として日本はっくさいきょうどう ちけんでは、非常に速いというデータもあると伺っています。国際共同試験における各国間の比 較を資料としてまとめるべきだと思います。 ○山本(精)構成員 先ほどの4頁の米国等諸外国並みという話と、アジア周辺国と、というのは、 だいぶ話が違いますね。調査したときも、日本は臨床研究が遅れていると言う人と進んでいると言 う人がいて、進んでいると言う人はアジアに比べてという意味で、遅れていると言う人はアメリカに はみたいな感じで、国民は思っていらっしゃるようなのです。我々は、がんだとグローバル治験をリ ードするというか、TRになる研究者を出したいと。それは企業とアカデミアの共同でないと絶対で きないことですし、先ほど生物統計家とセントラルDMがという話がありましたが、このままだと絶対 どちらも増えないのです。そのような人たちがいると自主研究はすごく進むのですが、統計家から 言うとそんなに養成されていないので、いつまで経ってもこの状況は変わらないはずなのです。  そのためにプールとして入れるのは、企業の方には統計家もセントラルDMもたくさんいらっしゃ るので、その人たちがアカデミアに来てやるとか、そういう人材交流だけではなくて、早期開発や TRもアカデミアは全然ノウハウがないので、両方が具体的な形でコラボすることが、どちらかに入 るとかお金を出すだけではなくて、本当の意味でのノウハウの共有がないと進まないのではないか と。後ろを上げるのもいいのですが、先を伸ばすことも夢としてはあったほうがいいと思うので、そう いう目標を立てたいと思います。 ○掛江構成員 私は計画立案の段階に関わっていなかったので、もし外れたコメントだったら申 し訳ないのですが、被験者保護の観点から1点だけ申し上げます。先ほども佐藤構成員が倫理 審査委員会やIRBが被験者保護の最後の砦だとおっしゃっていたと思うのですが、アクションプ ラン(5)の2番で臨床研究の指針の見直し等をやっていただき、迅速審査手続や他の委員会へ の審査の依頼等ができることとなり、このような方法である程度以上の審査水準を確保することと、 効率化を図るという実際の対策を立てていただいたのかと思います。ですが、当初の指針の考え 方が各施設で審査をし、各施設で機関の長の責任で被験者の保護をしなさいという方針があっ たことから、そういった審査を外部に依頼するとか迅速化するとかいわゆる効率化を図ることをあ まり積極的に進めると、自分たちの施設が被験者保護について若干の責任放棄をしていると誤 解されると、多くの機関の長が考えているのか、実際に指針の改正がこの4月から全面施行であ ったにも関わらず、そういった改正への対応や体制整備がほとんど進んでいない、つまり迅速審 査手続き等を定めていない施設が多いように感じます。  そういった意味では、今後もまた実態調査は進めていかれると思いますが、実際に今回の指針 の見直しを各機関の長がどのように受け止めているのか、どのように理解しているのか等をデータ で知りたいということと、これからの被験者保護がどうあるべきか、この臨床研究、治験の中で被験 者保護の体制がどうあるべきか、改めて効率化や諸々の昨今の議論を踏まえた上で方針を中央 から出していただく必要があると感じています。そういった方針を、この委員会で議論して出すの か他所で議論していただいて出すのかは私は判断できないのですが、そういったことに取り組んで いただけるような何らかのメッセージがこの委員会で検討して出せたらいいのかなと思うのです。よ ろしくお願いします。 ○楠岡座長 ありがとうございました。この委員会は決してアクセルだけの委員会ではなくて、ブレ ーキというか、そのためのセーフティネットも考えていくべき検討会ですので、是非そのようなご意 見をお願いしたいと思います。  時間がなくなってしまいましたので、まだご意見はあるかと思いますが、ここで本日は終了したい と思います。前回もそうでしたが、ご意見がありましたら事務局へメールでお寄せいただいて、いろ いろ検討していきたいと思います。次回は、関係職員の養成という観点で議論を予定するというこ とですので、よろしくお願いします。最後に、事務局から連絡事項があればお願いします。 ○事務局(佐藤室長) 本日は活発なご議論をありがとうございました。先生方はまだまだコメント を言い足りないことがあるかと思いますが、事務局側にご遠慮なくメールでお寄せいただければと 思います。特にコスト等の後半については、私どももまだデータをお示ししていないのですが、こう いうデータがほしいとかこういう意見があるなど、構成員に限らずいろいろと頂戴できればと思いま す。  先ほど、次回は関係職員の養成と座長からご紹介いただきましたが、事務局のミスで、今日ご 議論いただいた内容を踏まえてもう一度全体的に整理をしないと、養成だけで済むかどうかわかり ませんので、今日出た点を整理し、その上で次回1つ、2つのテーマをご議論いただこうということ です。その際には、事前に座長とご相談して決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。今日もい ろいろと議論が出てきましたが、さまざまなお立場からいろいろなご専門の観点でコメントをいただ いたわけですが、先生方お一人お一人だけでは足りませんので、適宜テーマに応じてWGを作 成し、議論に必要なデータ等の用意を進めたいと思います。そのメンバーの構成、あるいは進め 方については、楠岡座長とご相談させていただきたいと思います。  次回の日程ですが、7月下旬から8月上旬の開催を予定しております。具体的な日程調整につ いては、3回目以降の日程と併せて事務局からご連絡します。本日の議事録については、作成 次第先生方にご確認をお願いし、その後公開しますので、併せてよろしくお願いします。  最後にお知らせです。すでにお配りしておりますが、今日のいろいろな調査結果のより具体的な 状況ですが、「第4回中核病院・拠点医療機関等協議会」というものがあります。先ほどの中核病 院・拠点医療機関、文科省の橋渡し研究の実施医療機関が一堂に会し、効率的な治験・臨床 研究を推進するための1つの会議である協議会の場で、これまでの中核病院・拠点医療機関、 TRの実施医療機関で行われた治験臨床研究基盤整備状況の報告会を予定しております。日 時が7月16日(木)10時半から、約1日かけて行う予定で、場所は築地の財団法人がん研究振 興財団国際研究交流会館の国際会議場です。今回初めての試みですが、それぞれ中核病院・ 拠点医療機関、TR実施機関それぞれにこれまでの基盤整備状況についてまとめていただき、ポ スターの形で発表していただく予定です。ポスターは、この会議開催時間中は随時ご覧いただけ る状況にしております。この中で、進捗状況についてそれぞれの機関のご報告をいただくとともに、 今日の中間見直しの検討会で頂戴したご意見をまとめて、中間見直しのスケジュールと議論のま とめのご紹介、各医療機関の中間報告をご紹介する場です。もしお時間がありましたら、会議に ご参加いただければということでご紹介しました。 ○楠岡座長 ありがとうございました。次回に向けての論点整理が必要になってきますので、なる だけ早い時期に、今日言いたくても言い切れなかった点がありましたら、是非事務局へお寄せい ただきたいと思います。前回もそうでしたが、この検討会は本当に活発なご議論をいただいて、結 果少し時間が足りないことがしばしばですので、その点は是非メールを使っていただいてお願いし たいと思います。  それでは、以上をもちまして「第1回新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討 会」を終了いたします。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省医政局研究開発振興課 後澤    03(5253)1111(内線2543)