09/06/24 第2回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録 第2回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録  日  時:平成21年6月24日(水)10:03〜11:28  場  所:グランドアーク半蔵門「光の間」  出席委員:阿曽沼委員、伊藤委員、稲垣委員、小澤委員、片倉委員、神山委員、       木下委員、木村委員、澤委員、鈴木委員、土屋委員、永井座長、花井委員、       早川委員、前川委員、武藤委員、毛利委員、森尾委員、大和委員  オブザーバー:       三宅内閣府参事官、倉崎文部科学省研究振興戦略官、       倉田経済産業省生物化学産業課長、       鹿野独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査第二部長  行政庁出席者:       外口医政局長、高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官、木下経済課長、       中垣審査管理課長、熊本監視指導・麻薬対策課長、宇津審査管理課企画官、       山本監視指導室長、樋口経済課長補佐、山本経済課長補佐 ○木下経済課長  それでは、3分ほど過ぎておりますので、ちょっと遅れて見える先生方には恐縮でござ いますけれども、第2回再生医療における制度的枠組みに関する検討会を開催させていた だきます。  初めに、委員の追加につきましてご報告させていただきます。本検討会で扱う領域には 歯科も含まれる形でございますので、今回、日本歯科医師会常務理事の稲垣明弘様に新た に委員に加わっていただいております。ちょっとまだ稲垣委員お見えでございませんけれ ども、委員に加わっていただくということになってございます。  また、前回ご欠席されました委員につきまして、ご紹介させていただきます。  まず、弁護士の神山美智子委員でございます。よろしくお願いいたします。  社団法人日本薬剤師会副会長、土屋文人委員でございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧いただきた いと思います。  まず、議事次第がございまして、それから座席表、それから委員名簿、資料1としまし て、大阪大学教授、村上伸也氏提出資料、それから資料2といたしまして、ジャパン・テ ィッシュ・エンジニアリング代表取締役社長、小澤委員提出資料でございます。それから 資料3が、東海大学講師、梅澤和夫氏提出資料でございます。それから資料4といたしま して、東京医科歯科大学准教授の森尾委員の提出資料でございます。それから参考資料1 で21年度措置資料、それから参考2で21年度措置議論のたたき台、資料3で今後のスケジ ュール、以上お手元に配布しておりますので、ご確認をください。もし欠落等ございまし たらご指摘いただきたいと思います。  それでは、以降の議事進行につきましては、永井座長にお願いしたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○永井座長  それでは、本日の議題に入りたいと思います。  この再生医療という新しい分野につきまして、制度的な枠組みについて検討する場とし て、この検討会が設定されております。第1回の検討会におきましては、本検討会が再生 医療の分野について、まず21年度中に医療機関の間で行われる共同での診療の在り方につ いて条件を示すということが課題になっていること、また22年度中には、再生医療にふさ わしい制度的枠組みを検討すること、こういう2段階の議論をする場であるという旨の説 明が事務局からございました。その上で、私座長のほうから再生・細胞治療における共同 での診療について、議論のたたき台を示させていただいたという経緯でございます。  また、医療機関の間で行われます再生医療分野、共同での診療の議論の検討材料といた しまして、実際に大学でCPCを運営されていらっしゃいます委員の先生方、澤委員、前 川委員、森尾委員、大和委員からCPCの実態について、また運営する上での留意点等に ついてご説明をいただいたわけであります。  本日は、CPCに関するプレゼンテーション、そしてCPCの実態調査についての説明、 意見交換となっております。CPCに関するプレゼンテーションは前回に引き続いて、こ の医療機関の間で行われる共同での診療の議論の検討材料として、まず歯科分野のCPC の実態について、大阪大学の村上先生からご説明いただきます。  続きまして、委員でありますJ−TECの小澤社長、こちらは薬事法上の承認を得た企 業の立場でございますけれども、医療機関CPCについての検討にも資するお話であると いうふうに伺っておりますので、CPCの運営についてお話をいただきたいと思います。  そして、最後に東海大学の梅澤先生から、実際に臨床使用する立場での問題点、認識等 についてお話をいただき、その後でまとめて意見交換させていただきたいと思います。  よろしいでしょうか。  それでは、まず大阪大学の村上先生からお話を伺いたいと思います。 ○木下経済課長  カメラのほう、すみません、そろそろ。  それから、ちょっと間で今回新たに参加いただきます稲垣委員がお見えでございますの で、ご紹介させていただきます。 ○稲垣委員  稲垣でございます。よろしくお願いします。 ○村上氏  大阪大学歯学部附属病院の村上です。私は大学では歯周病という病気の担当をしており ますので、今日は歯科の立場からということでお話をさせていただきます。  歯科領域における再生医療研究の現状とCPCの意義ということで、少し駆け足になり ますが、お話をさせていただきます。  平成17年の歯科疾患実態調査のデータなのですが、我が国におきましても中高年の8割 近い方がこの歯周病という病気にかかっていらっしゃって、日本だけではないのですが、 世界的に見ても非常に罹患率の高い病気が歯周病という病気であります。どういう病気か といいますと、どこかで聞いていただいているとは思うんですが、歯と歯茎の境目に付着 しました細菌バイオフィルムの影響を受けて、歯を支えている、私たちが歯周組織と呼ん でいます組織が慢性炎症的に破壊されて、最終的には歯を失っていく病気が歯周病です。 歯周病になると、口の機能の低下があったり、全身への悪影響があったりするわけですが、 下のグラフで見ていただきますと分かりますように、中高年層では、この歯周病年齢とと もにどんどん歯を失っていく大きな原因となっています。  原因を、すなわち細菌バイオフィルムを除くということで、病気の進行はコントロール できるんですが、残念ながら一度失った歯周組織に関しては、通常の方法では再生できな いということが臨床上、十分認知されているところであります。  歯といいますのは、あごの骨に私たちが上皮性結合と呼ぶような、歯茎の上皮とエナメ ルが直接くっつく結合と、それからコラーゲンの繊維が歯と歯茎をしっかり強固に連結し ている繊維性結合で歯は顎骨に支持されているのですが、今お話しさせていただいた歯周 病という病気は、この歯周組織が慢性炎症的に破壊されて、歯が支持を失うという病気で あります。  今お話しした中で、歯と骨の間にあります歯根膜という部分に、いわゆる未分化間葉系 の幹細胞がリザーブされているということが現在分かっていますので、こういった体性幹 細胞を使って歯周組織を再生させようということについて、随分臨床応用されてきました。 すなわち、歯根膜の中にある体性幹細胞を何らかの方法で活性化して、骨芽細胞、セメン ト芽細胞、線維芽細胞に分化誘導すると、駄目だと思っていた歯周組織が結構再生するぞ ということが臨床的に確認をされて、ここに挙げさせていただいているような再生療法が 一部臨床応用されてきています。  一例でお示ししますと、このGTR法とか、これは昨年度から保険の適用も受けた再生 療法ですが、GTR法、もしくはエナメルマトリクスタンパクといった治療法を使って、 機序はもちろん違いますが、基本としては歯根膜に存在する体性幹細胞を賦活化して再生 誘導しようということが、これは既に臨床応用されている状況にあります。そういう点で は、再生医療が臨床の場に届いているのが歯周治療の現状ということも言えるかもしれま せん。  一番最近のところでは、このシグナル分子として、ヒト型リコンビナントサイトカイン を使うという検証もされていまして、一番下段の血小板由来増殖因子と骨補てん材のβ− TCPを組み合わせたmedical deviceが2007年12月にアメリカFDAでの製造承認を得て、 アメリカでは既に製造販売されております。私たちの研究室では塩基性線維芽細胞増殖因 子を使うという検討も同時進行で行っているのですが、これは2008年に発表させていただ いたデータですが、0.3%のFGF−2の局所投与で、ある程度の歯周組織再生が誘導でき るということを検証して、現在このプロジェクトは第三相の臨床治験を展開している状況 にあります。  ですけれども、こういった既存の治療法では、これはあくまでも中程度の骨内欠損が適 応症ということで、重度になりますと対応ができませんし、一度このような画でお示しし ているような、歯茎のやせが起こった状況には対応ができませんし、ほかの組織でも一般 に言われることですが、いわゆる体性幹細胞は加齢とともに減少するということが分かっ ていますので、高齢者、重度の方には既存の再生療法は適用できないということが既に見 えてきております。  そこで、いわゆる歯科領域でも、骨髄に由来、もしくは私が後でお話させていただきま す脂肪組織に由来するような間葉系幹細胞を何らかの足場材と組み合わせて移入すること で再生誘導しようということが、幾つかの大学の研究室を中心に検討が開始され、一部は 臨床応用が始まっているという状況にあります。  私どもの施設では、医学部附属病院の未来医療センター等のご支援をいただきまして、 患者さんから採取しました脂肪組織より間葉系幹細胞をエンリッチメントして、それを足 場材とともに歯茎の周り、歯周組織に移入することで再生誘導させようという臨床研究を 現在展開しているところであります。  この脂肪組織に由来する幹細胞を用いるメリットとしましては、当然、患者さんご自身 の組織・細胞を用い、比較的安全に採取ができ、採取において量的な制限も少なく、患者 さんの負担も比較的少ないということがあげられます。おおよそ脂肪組織15から20ccで4 から6ミリオンの幹細胞が得られるという状況にあります。in vitro、in vivoの実験で、 私たちが期待するようなポテンシャルをその細胞が持っているというところも確認ができ ているところでありまして、平成20年度の厚生労働省の再生医療推進基盤整備事業のご支 援を受けまして、全国歯学部の中で、私どもの附属病院にセルプロセッシングセンターと してアイソレーターを導入していただくことができました。これはまだ昨年度末に設置が 完了したところで、現在、本格的な使用に向けて準備を整えているところにあります。  それで、歯科領域でCPCを運用して、どういったことが臨床応用として具体的に期待 されているかということですが、既に運用が始まっている部分を含めますと、歯周組織再 生療法、歯周病が原因で歯を支える組織が駄目になった場合に、それを細胞移植で再生誘 導しようという検討は幾つかの研究室で検討が始まっています。  あと、私どもの大学では口腔外科のほうで口唇口蓋裂の手術症例をたくさんお持ちでし て、一部は骨補てん材とともに、骨髄の細胞を移植するということで、顎骨の再建を行っ ております。そういった口蓋裂(顎裂)部の顎骨再建療法に歯科領域としては今後CPC の運用が期待されるのではないかと思います。。  もう一つは、これも、幾つかの施設で検討が始まっていますけれども、歯科用インプラ ントを移植する際に、あごの骨を何らかの方法で骨造成する必要が出てまいりますので、 GBR、ridge augmentation、sinus liftと私たちが呼ぶような治療法で顎骨の造成を行 うという際に、その細胞移植が期待されているという状況にあります。  施設基準等々に関しましては、今見ていただきましたとおり、私たちの施設ではセルプ ロセッシング・アイソレーターを導入して、このアイソレーターを専用のクリーンルーム 内に設置している状況であるのですが、一応クラス100の無菌区域がこのセルプロセッシン グ・アイソレーターの中で設置されていて、その環境内でいわゆる細胞の調整を行うとい うことを予定しております。  人員の基準という点に関しまして、こちらで議論されている点とは少しポイントがずれ てしまって恐縮なのですが、今現在のところ、実際にこのような細胞調整に預かる人間は、 私どもの病院に勤務しています歯科医師、臨床経験を十分有する専門医等の資格を有した 者がまず対象、まず第一陣としてCPCの細胞調整に取り組むという予定で体制を組んで おります。  教育プログラムに関しましては、医学部附属病院の未来医療センターで既に教育プログ ラムを実施されている状況でありますので、現在そちらのプログラムに参加させていただ いて、将来的には自立的に教育の体制を整備するというふうな予定で計画をいたしており ます。今後、ケースが増えてきますと、私どもの歯科医師で対応しきれないケースが出て くると思いますので、そのときにはまた別の考え方をせねばならないのではないかという ふうには考えております。  安全対策等に関しましては、私がここで先生方に有益な情報提供をできる状況ではない のですが、お話に上がっておりました依頼医療機関と加工医療機関での共同の診療を行う 上での安全対策という点で歯科の実情で申しますと、医科のネットワークに比べて、大き な病院とのネットワークは比較的少なく、むしろ熱心に歯周病に取り組んでいらっしゃる 開業医の先生方とのネットワークを一番に考えていかざるを得ないのではないかというふ うに考えています。その際に、依頼医療機関への医師に対しては、十分な医療情報の提供 ができるような、それが公開できるような体制づくりを今現在進めておりますし、現時点 では一症例ごとに担当医を固定して、その一人の医師が全工程を管理するという体制で臨 むように、今現在は考えております。  私たちが採取を予定しています脂肪組織由来幹細胞の配送等に関しましても、幾つかの 配送に関する安全対策も今後の検討課題として残されているという自覚をいたしておりま す。  倫理に関しましては、これはもう歯学部と、それから医学部の共同研究になっています ので、現在既に設置されています両附属病院の倫理委員会等の審査を受けて、そういった 臨床応用に向かって前向きに進んでいこうという考えでおります。  予定といたしましては、ちょっと中期的なビジョンになるんですけれども、私どもで確 立しました技術に関しましては、いわゆるCPCを有する一般の病院、もしくは大学病院 にまず技術移転をして、それからその近隣の歯科医療施設とネットワークをつくって裾野 を広げていくというふうな形で歯科再生医療の普及に貢献したいというふうに考えており ますし、そんなに多くはありませんけれども、幾つかの大学病院等におきましては、こう いった体制が準備されつつある状況にあるというふうに認識をいたしております。  歯科医療に関しましては、従来の歯根膜に存在する内在性の幹細胞を使うという治療法 から始まり、いわゆる骨髄、脂肪組織に由来するような幹細胞を使う治療法が現在検討さ れている状況で、足場材の応用等に関しましても、ここに挙げさせていただいているよう なものが既に臨床応用されてきている経緯があります。  サイトカインに関しましても、PDGF、FGF−2というのが非常に臨床に近いとこ ろで、あるいは臨床応用されている状況で準備されている状況で、今、ティッシュ・エン ジニアリングの3要素で挙げられますシグナル分子、足場、幹細胞というものの道具が私 たちの領域にもそろいつつあって、これをいかに融合していくかということが、今後、短 い数年の間に任せられている宿題ではないかというふうに認識をいたしております。  以上です。 ○永井座長  ありがとうございました。  では、引き続きまして、小澤委員からお話をお伺いしたいと思います。 ○小澤委員  ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社長の小澤でございます。よろしくお願いい たします。愛知県から来ました。社名が長いものですから、J−TECのほうが皆様には なじみかと思いますので、よろしくお願いします。  私ども、再生医療製品として、我が国で唯一承認品目を持っております。それからこの 1月から保険適用という形で収載をいただきました。製品名は自家培養表皮「ジェイス」 といいます。今日はジェイスに関しまして中心的に製造・品質管理体制につきましてご説 明申し上げたいと思っております。よろしくお願いいたします。  私ども、再生医療製品としまして3つパイプラインをそろえております。自家培養表皮、 軟骨、角膜上皮、全て自家製品を取り扱っております。今日ご説明申し上げますのが、こ の一番左、自家培養表皮、製品名「ジェイス」と申します。おかげさまで平成21年1月か ら保険適用になった次第でございます。  ジェイスは、実際にはアメリカ、ハワード・グリーン教授が開発されたものでございま して、70年代に開発されました。アメリカ臨床応用は80年頭、そしてアメリカでは、ジェ ンザイム社が87年から同じようなグリーン型表皮というものを販売されております。20年 以上前のテクノロジーでございます。ようやくこれが日本で販売になったというわけです。 適応は重症熱傷という形で、大やけどの患者様でございます。  今日は、これからジェイスを中心にご説明申し上げたいと思います。  まず、ジェイス保険適用までの歴史でありますが、私どもが言うのも何なんですけれど も、やはりこの再生医療の規制というのは我々J−TECとともに変化してきたというふ うに感じております。私たち、創業は平成11年でございますけれども、この当時は自家移 植に関しましては、薬事法の外でもいいのではないかというような議論であったと理解を しております。その後、やはり薬事法をしっかり通すようにと、そして、さらに皆様ご存 じの確認申請というルールが平成12年12月に通知があったという形でございます。かれこ れ創業平成11年から保険適用、平成21年1月まで丸10年という形で、ようやく第1号の商 品が保険とともに世に送り出されたという状況ございます。  そういった中で、一番最初の関門が確認申請というものでございますけれども、こちら 10品目ございます。確認申請のルールができて8年半ぐらいたちましたでしょうか、10品 目が確認申請に適合という形になっております。このうち、私たちの製品、自家培養表皮 と軟骨、2品ありますが、それぞれが医療機器という範疇になっています。このリストは、 今、生物系審査一部のほうが血液製剤、それから遺伝子治療薬のほうだと思います。その ほかが、いわゆる再生医療製品が二部だと思いますけれども、一部、二部のもの合計でと いう形になっております。私たちのものは医療機器というふうに分類されておりまして、 この中の自家培養表皮ジェイスが確認申請だけではなくて、製造承認、そして保険適用ま でいただいた次第でございます。  こういった中で、ジェイスがどういったビジネスモデルかというのをご説明申し上げた いと思います。重症のやけどの患者様でございます。医療機関に重症の熱傷の患者様が運 ばれますと、私たちは患者様から焼けていない部分の正常な皮膚を切手大いただきます。 製品仕様としましては、最低限1平方センチの全層の皮膚をいただいてまいります。その 正常な皮膚を受け入れまして、私たちが3週間培養させていただきます。3週間で切手大 の皮膚が畳1畳の表皮になります。畳1畳というのは成人男性の全身を覆う面積という形 でございます。それを出荷検査して、梱包してお届け申し上げる、こういったようなビジ ネスモデルになっておる次第でございます。  こういった中で、今日は特にCPC製造部門に関してという形でございますので、まず 製造方法について説明申し上げたいと思います。患者様からいただきました皮膚、正常部 位でございますけれども、それを組織採取セット、チューブに入れまして、しっかりと温 度管理をして断熱輸送容器に入れて、私どもの施設に運ばれます。このように皮膚は表皮 だけではなくて、全層の皮膚をいただいてまいります。これを酵素処理いたしまして、単 離いたしまして、私たちはフィーダー細胞として3T3−J2細胞を使っております。こ の上に播種して何回か継代培養いたします。最終的にはシート状の表皮が作成されると。 そして、でき上がったものがいわゆる世界的に有名なグリーン型培養表皮、そして製品名 がジェイスという形になっております。  このジェイス、規格としましては8掛ける10センチになっております。80平方センチで 成人男性の体表の0.5%に相当する部分を覆うことができます。すなわち、10%のやけどの 場合には20枚を使うという形になってまいります。  今、画面のほうでビデオが動いておりますけれども、私どもはこういった形で培養して おります。この表皮、非常に薄いものでございますけれども、非常に柔軟性がありまして、 強度もある、こういったものでございます。  重要なのは、このフラスコでは私たちは運ばないんです。私たちも全ての競合会社を調 べたわけではないんですけれども、海外ではフラスコのまま患者様にお届けしています。 私たちはフラスコでは運びません。後ほど、その辺の物流につきましては、ご説明申し上 げたいと思います。  製造場所、私どもは愛知県蒲郡というところに本社を構えております。まず、ご覧いた だきたいのは、私たちが治験をやった製造施設と商用生産、今生産をしている設備は違い ます。こういったことで製造場所を変えたということからも同等性の証明等をしてまいり ました。  設計図、お手元にはないと思いますけれども、画面をご覧くださいませ。治験時はこち ら、大学の皆さんにとってはなじみのある、非常に汎用的なCPC、我々はCPCと言わ ないんです、工場なんですけれども、汎用的なCPCになっていると思います。  実際、我々が今、ジェイスを商用生産しているのは、この新しい棟の部分でございます。 20メートル掛ける50メートル、広さ1,000平米の場所でございます。これだけでは我々メー カーとして機能しませんでございまして、別のフロアに品質管理室、品質検査室がござい ます。そして、製造管理室もございます。奥のほうで今ジェイスをつくっております。今 後控えております軟骨につきましては、手前のほうで作製という形で考えております。  こういった中で、私たちの施設、これは50メートルの廊下になっておりますけれども、 特長としましては、2つ工場をつくってきましたので、大分このポイントが分かってきま した。特に我々は製品ごと、表皮に適した培養施設、CPC、それから軟骨に適したCP Cという形で、製品ごとに特化した設備を設置しております。  そして、我々はつくるだけではなくて、運用、メンテの面ですね、その辺も重視してこ れを設計しました。それから、もちろん人の面に関しましても、専任の製造、品管、あと は生産管理ですね、こういったメンバーをそろえておる次第でございます。  私たち、承認をいただいたという形で、唯一、QMSの適合性調査が入った会社でござ います。GMPと読み替えてもらってよろしいかと思いますけれども、実際にはこういっ た先ほどの培養施設だけではなくて、これバックヤードですね、機械室になるんですけれ ども、ここに50メートルの廊下と同じように50メートルの機械室がだーっとつながってい ます。非常に運用を重視しております。こういったハード面というのはCPCのほんの一 部でございまして、皆様ご存じのとおり、QMS適合のポイントで重要なのは、ハードに 加えてソフト面でございます。企業としましては、全社レベルでの品質マネジメントシス テムへの取り組み、そして製造部門におきましては作業手順書、作業者教育というのが重 要になってまいる次第でございます。  お題をいただいておりまして、どういう教育をしているか、人員基準というところをい ただいております。参考になればという形で挙げてみました。製造、生産管理、品質管理 という形で3つに分けてみました。私たちはOff−JT、OJTの教育を十分に受けた 後に認定試験というものを行っております。教育対象としましては、製造はその作業ごと に認定をしております。そして、例えば分かりやすいのは、品質管理に関しましては、試 験ごとに認定試験を行っております。具体的には、社員が入社しまして、部門に配属後、 約半年から1年後に認定試験を受けるというようなルール化をしております。  さらに、認定作業に一定期間従事していない場合には、再認定試験を受けさせます。判 定項目はこちらにありますが、作業手順書の遵守、作業の正確性、所要時間、記録の記載、 作業結果、その他という形で参考になればと思ってまとめてまいりました。ちなみに人員 が製造関係のところ、もうちょっといるんですけれども、ちゃんと特化しているメンバー というところでは、こういうぐらいのメンバー、製造11名、生産管理6名、品質管理10名 という形で作業に従事しております。  メーカーとしましては、品質を担保することが重要でございます。いかに製品規格を設 定するか、この辺が長い間時間をかけて規制当局と議論をしてきたところでございます。 私たち企業としましては、出荷検査はもちろん重要なんですけれども、原料に当たります 患者様の皮膚をいただいてきたときの受け入れ検査、それから継代培養するときの工程の 検査、それから一番肝となってくる出荷検査、これで終わりではないんです。さらに確認 検査というのがあります。確認検査というのは出荷をしてから判定が出るような検査も行 っておる次第でございます。非常に綿密に検査しておりまして、これをもって製品の品質 を担保しているという状況でございます。  そして、さらに販売インフラの整備も非常に重要でございます。物流等も含めて重要で ございまして、例えば1番目、手引き書はそろっているか、2番目、輸送容器はあるのか、 3番目、物流体制はどうなっているのか、4番目、製造販売後の調査体制は整備されてい るのか、5番目、原価管理・管理会計システム、この辺は企業として当然のことでありま すが、特に今日の議論の中で関係する1番、2番、3番について言及申し上げたいと思い ます。  まず、手引き書。インフォームドコンセントの話もあったと思います、倫理面でありま す。私たちはこのような形で取り組んでおります。左側が医療従事者向けの手引き書、右 側が患者様用説明書という形になっております。まず、私たちは医療従事者の皆様に、皆 様、ジェイスといっても聞いたことはあるけれども、実際に触ったことはないので、さら に禁忌事項とかいっぱいあります。その中では、しっかりとまず医療従事者の先生たちに 理解をいただいて、その上で先生が患者様にもう少し簡単にしたパンフレットで多分説明 されることになると思います。重症熱傷の患者様がインフォームドコンセントにサインす るわけではないかもしれません。代諾者の方がサインすることも多々あります。そういっ た場合には、先生が患者様に説明して、その後に病院が患者様、もしくは代諾者にインフ ォームドコンセントをとるというような手続を考えております。既にこれはもう実行され ております。  そして、パッケージ、これは先ほど海外ではフラスコのまま搬送するというふうに言い ました。多分そういうところばっかりだと思います。私どもは違います。別途製品パッケ ージをデザインしました。日本全国をこのジェイスが旅をしますので、まずこういうよう な一次容器、これも金型から起こすんですが、一次容器にジェイスを1枚ずつ入れます。 それを二次容器、紙の容器に入れます。こんなようなイメージですかね。前見ていただき ますと、一次容器が二次容器の中に入っている。なぜこういうものをつくったかというと、 私たちが考えているのは、最終的には工業製品でございますので、極力不純物のない状態 で最終製品を提供する必要があるというふうに考えました。例えば、培地が入っていたり、 フィーダー細胞が入っているというのは、最終製品として好ましくないという形で規制当 局と議論をしてまいりました。ただ、これは海外とは違います。日本独自のものだと思い ます。  もう一つが、保存安定性でございます。ジェイスは、日本全国を旅します。温度管理、 気圧管理等々を含めまして、これだけではなくて、さらに三次容器というような形で断熱 輸送容器をつくっております。病院に届いたときをイメージしてください。医療機関でま ずロックタイを開けます。中には保温材が入っております。保温材を取り出しますとジェ イスが5枚ずつパッキングされております。それを開封しますと1枚ずつばらばらと出て きます。二次容器にはもちろん製造番号、シリアル番号が振ってあります。使用期限が振 ってあります。二次容器から一次容器を取り出しますと、一次容器にも製造番号、シリア ル番号、そして使用期限が振ってあるという状況でございます。  細かい点ではありますが、取り違え防止等もしっかり考えたかったものですから、通常 のロックタイではなくて、第三者が開けてもすぐ分かるように、J−TECオリジナルの ロックタイをつくって、だれかが故意に開けても別のロックタイで閉まらないようにして おる次第でございます。  もう一つ、物流体制も非常に重要であります。私たちメーカーでございますので、日本 全国にお届けする義務がございます。まず、輸送時の基本ルール、医療機関に直接搬入す る必要があります。宅急便屋さんのように軒下に置くのではよろしくありません。直接搬 入でございます。それから、ジェイスは貯蔵条件が10から25度というふうに定義をされて おります。これを担保します。そして、使用期限がパッケージから56時間、56時間を超え たものは廃棄します。患者様は今、生死をさまよっている重症熱傷の患者様であられます。 このタイミングで送らなくちゃいけません。そして、輸送手段は車、交通機関、公共交通 の電車、新幹線、飛行機、いろいろありますけれども、コンビネーションになっていきま す。特に空輸時は非常に重要な点があります。いろいろ天候によるダイヤの乱れが発生い たします。注意する必要があります。迂回路を予め考えておく必要があります。それから、 手荷物としてX線は当てたくないですね。どうしたらいいか。それから、そもそも今、飛 行機には液体の持ち込みが不可でございます。しかし、私たちはジェイスを保存液に入れ て運びます。さあ、どうやって交渉するか。そして、飛行機で飛びますので気圧変化への 対応、こういったところからもパッケージングというのは非常に重要になってきます。そ して、人為的なミスの回避。結構路面は暑くなっております。地面に置かない、不潔であ ります。それから、盗難防止策というものを考えて、日本全国にお届けするシステムをつ くりました。  こういった形でジェイスをこの1月からお届けしているわけなんですけれども、今一度 適応対象をご覧くださいませ。重篤な広範熱傷で、深達性II度熱傷創及びIII度熱傷創の合 計面積が体表面積の30%以上の熱傷患者様であられます。そして、今回決まりました保険 償還価格は、1枚30万6,000円という形になっておる次第でございます。  ここまでが、今日事務局の経済課さんからいただいた宿題という形で、あと3枚ほどス ライドがあります。手元にはございません。私たちのほうから問題提起という形になると 思います。ジェイスは30%以上の熱傷患者様という形で適応対象が定義されております。 非常に少ない患者様であります。このように死亡率がすごい高いところでございます。実 際にはこの中の多分100名から200名が年間の対象患者となるというふうに想定しておりま す。  こういった中で、今回いろいろ条件をいただいております。  今日の議論にも関係するんですが、製造販売承認をいただいたときにも、まず製造販売 後臨床試験、医療機器であってもこれから製造販売後臨床試験をしっかりやりなさい、そ して、原則として再審査期間、7年間でございますが、全症例を対象とした使用成績調査 を実施する。この後、梅澤先生にもご説明いただくんですけれども、非常にお手数をかけ ているところでございます。全症例の報告というのが義務づけられております。そして、 結果の公開に関しましては、特に迅速に公開すること。特に有害事象はもう我々はホーム ページでも公開しておりますし、それから患者様に対する情報提供資料にも適切に反映す ることという形で既に反映をしております。それから、保存条件に関係してきますが、私 たちはジェイスのサンプル及び記録を30年間保存しております。これは、3T3−J2を 使っておりますので、異種移植のガイドラインに従いまして30年間の保存と。  そして、保険適用でございますけれども、今回1患者につき20枚が算定限度という形で 条件をいただきました。そして、広範囲熱傷特定集中治療室管理料を届けているところの みが保険償還の対象となるという形でございまして、実際には、我が国で広範囲熱傷特定 集中治療室管理を届けているのが非常に少ない施設でございます。その中で20枚までが保 険償還の対象となる。当社としましては、ここのみが売り上げの対象となるという形にな っております。  幾つか問題提起あると思います。皆さんもいろんなことが考えられると思いますけれど も、ぜひとも再生医療ラグが起こらないように、それからこれだけ薬事法であったり、そ れから、そもそも患者様のところにお届けするためにはいろんな問題があります。そうい ったところでは、前回も言いましたけれども、やはり21年度議論も重要でございますが、 22年度議論は前倒しでぜひとも議論していただきたい。毎月こういうのは議論してもいい んじゃないかなと私は思っております。  以上でございます。 ○永井座長  ありがとうございました。  続きまして、東海大学の梅澤先生にお話を伺いたいと思います。 ○梅澤氏  東海大学、救命救急医学の梅澤と申します。お手元の資料をご覧ください。  今回、使用者側ということでお話をしてくださいということでしたので、一般的なこと を言うのは難しいと思います。当院の救命センターでジェイスを使っておりますが、これ がもし製品ではなく他施設間の研究であったらどのような状態になるだろうかということ を想定して、この文書を書いてみました。  まず、当院の救命センターがどういう状態かというのをご紹介したいと思います。当院 の救命センターは高度救命センターで、神奈川県西部地区250万人をほぼカバーしておりま す。救急車搬送台数は年間約8,000台、ドクターヘリ300台で、毎年ほぼ9,000人ぐらいの患 者さんを受けております。  うちの局員は全てで20名おりますが、これを3チームに分けまして、中2日、3交代で 24時間ずつ当直しています。当直中に入った患者さん全てがそのチームの主治医として担 当していくので、各チーム大体20名前後の患者さんを持っていると。当直回数は中2日で すので、4週間で8回から9回ぐらいと。この中で患者さんの治療を行いながら、かつ業 務も行いながら、この重症熱傷患者さんの治療を行っているところで、ジェイスがもし他 施設からのものだったらとイメージしながら書いてみました。  まず、再生医療品ですので、1番として組織を採取するのですが、まず採取してこれを だれが運ぶかと。ジェイスさんは、名古屋にありますので、名古屋に我々が運ぶかと言わ れたら、業務上まず100%不可能ですので、基本的に、臨床側としては100%そちらのほう で運んでくださいと、我々は運ぶことはできませんということになります。  また、この搬送手段とか、搬送容器の安全性、これに関しては臨床研究委員会に届ける ときに必ず言われます。東海大学の臨床研究審査委員会の委員長は加藤教授ですが、加藤 教授はもともと小児の骨髄移植をやっておりました。また、東海大学病院は、実はうちの 教室でも再生皮膚をつくっておりますが、そのほかに整形外科で椎間板、また浅原教授の ところで末梢血管の再生をやっていますので、非常に再生医療に詳しい方が臨床研究委員 会に入っておりますので、こういう搬送手段とか容器の安全性についてはどうなのかとい うのは、かなり突っ込まれる部分になります。  さらに、そのことについて、こちらが説明しなければならないということですので、こ ういうことをしっかりと情報提供をしていただかないと、東海大学では臨床研究委員会は 通らないということになります。また、組織提供者の感染症の検索をもちろん行いますが、 このときにHIVとHTLV−Iを含めるかどうかと。これは患者さんに対するインフォ ームドコンセント等が発生するということなので、この範囲が問題になるということにな ります。  また、様々なこの採取の記録というのをこちら側でも残すのですが、うちの病院で以前、 培養皮膚を研究していたときには、患者さんのIDとか名前とか採取年月日、組織の大き さ、こういうものを残しておりました。  次に、この組織を再生するときの問題点、つまり、つくるときにCPCがどれほど安全 であるかということをもちろん臨床研究委員会では当然問われますが、実際には私たちが やっていない他施設のことを細かく聞かれることになるので、細かく情報提供していただ かないと、臨床研究委員会で説明できないということになります。  3番として、次に実際にできた組織をどのようにうちの東海大学病院まで運ぶかという ことです。一応、J−TECさんのところからということになりますので、名古屋からも ちろんうちまで運ぶと。これも、最初の組織採取の時と同じように、もちろん搬送をだれ が行うか、また、実際の組織よりも再生組織のほうが非常に脆弱な場合が多いですので、 その安全性とか、容器の安定性、またJ−TECさんの場合、新幹線で運んでもらってお りますが、例えば航空機で運んだらどうなるかとか、その辺も臨床研究委員会では厳しく 追及されます。その追及に耐えられるだけの情報提供をしていただいて、我々が研究委員 会で話すということになります。  再生組織の移植時の問題ですが、一番我々が気にするのは、この移植するときに再生組 織をopeで出すと。この出したときに、自分たちがつくっていれば、これが実際に移植して も大丈夫なものかというのは分かるのですが、他施設から持ってきたと。持ってきた人が 実際にそこの先生(臨床研究責任医師)であればいいのですが、技師さんとか、余り詳し くない人であった場合、ぱっと見たときに何か形が変だなとか、何か見た目が変だな。で もこれが本当に移植に適するのかどうか、移植しても大丈夫かなという判定ができるか、 できないかというのは、我々使用者側としては非常に気になるということになります。  記録は下に書いてあるように、この一般的なことをやるということになります。  次に、臨床研究委員会で一番問題なのは、重篤な副作用が起きたときに補償をだれが行 うのか。これは常に臨床研究委員会で言われます。これが製造の過程において起きた問題 であれば、製造側に求めることができるでしょうが、ただ、実際の臨床では重篤な副作用 が起きたときに、これが術後の管理の問題なのか、それとも製造においての問題かという のを明確にするのは非常に難しいことになります。ただ、あくまでも患者さんに使うもの になりますので、補償をどうするかというのは臨床研究委員会では極めて厳しく追及され る点になりますので、ここをしっかりしないと臨床研究を行うことは100%無理だろうと思 われます。  次に、費用負担になりますが、ヒトカン(ヒト幹細胞を用いた臨床研究)が通って、か つ高度医療が通っていれば、ある程度、患者さんに自己負担ということも求められますが、 高度医療が通っていない場合はもちろん施設間で負担すると。その負担分はどうなるかと いうことは、これはしっかりと話合いをしなければならないと。ただ、このときに東海大 学の場合に、財源の中に企業からの寄附講座とか、そういうお金を使っている場合は、そ の寄附者との中立性を求めるとか、かなり厳しく研究としての中立性を求められることが しばしばありますので、この点についても財源、またはその財源のよりどころ、そして、 その使用目的、これに関してはかなり厳しく審査されます。  インフォームドコンセントですが、東海大学の臨床研究におけるインフォームドコンセ ントは、この17項目です。これは必ず入れなさいというふうに最低限決められたことにな っております。あくまでもこれが東海大学の最低限のハードルということになります。  最後に、研究の資料等ですが、一応、臨床研究に関する資料、昔は臨床研究終了後3年 間保存しなさいということでしたが、今回改定になりまして、臨床研究に関するものは、 終了後10年間必ず保存しなさいということに改定になっておりますので、訂正を、お願い します。  なお、特定生物製剤を使用した場合、最終使用から30年間保存しなさいと、これも臨床 研究委員会で決まっております。  要約いたしますと、我々、もしこれを他施設で受ける場合、一番気にするのがまず費用 の問題、その次に補償の問題ですね。それから、かつ最後に臨床医として非常に気になる のが、この植えた組織が実際にうまく働かなかったときに、それが術後管理の問題なのか、 製品の生産の問題なのかという問題であるということと、かつ、どことやるかというのが 非常に重要になると思います。例えば、非常に近くの大学で、かついつも交流があるとこ ろであれば、少しでも問題があれば実際に行くとかいうことができますが、例えばJ−T ECさんのように名古屋にあって、東海大学の場合、関東になりますので、非常に行きに くいと。あくまでもお話しするのは電話だけということになって、実際に話したりとか、 そういうことは難しいと。そのような距離的な問題があれば、なかなか現在の時点で行う のは難しいんじゃないかなというふうに考えています。  以上です。 ○永井座長  ありがとうございました。  では、意見交換を始めたいと思いますけれども、その前に事務局から議論の枠組みに関 しまして、第1回会議において、大和先生からいただいた質問についてご説明があるとい うことでございますので、事務局、よろしくお願いいたします。 ○樋口経済課長補佐  第1回の検討会の際に、大和先生から共同での診療の範囲につきまして、研究所につい てどう考えればいいのかというご質問をいただきました。そのことについてご説明させて いただきたいと思います。  本検討会における共同での診療の議論と申しますのは、医療法の下において、細胞の加 工、培養を他の医療機関が行うことについて、その条件を明示していくこと、これを課題 にしておりました。医療法におきましては、医師という有資格者が医業を行う場として定 められている医療機関を対象といたしまして、共同で再生医療を行う際の条件の議論、こ れをお願いしているものでございます。医業が行われる場所を医療機関と定めております のは、医療機関として求められるべき構造、設備、人員配置などを確保させまして、さら に都道府県の監督対象とすることによって、医業が行われる施設の安全管理をはじめ、最 低限の質を確保する意味を持つものと考えております。  再生医療の分野が今後発展していくための環境整備として、まずは医療法という最低限 の質を確保する枠組みの中におきまして、医療機関の共同での診療について現行での整理 をしていただくということと、今後行われていくことが望ましい条件を明示していくこと、 これを検討課題の第一段階とさせていただいているという次第でございます。  以上でございます。 ○永井座長  ありがとうございます。  大和先生、よろしいでしょうか。 ○大和委員  正直言うとよく分からないところがあるというのが本音で、病院として届けているとか いうのはもちろん分かるんですけれども、医学部の中に研究所があって、その研究所自身 は診療行為はしていないので、研究所の中には当直がいるわけでもないし、医療機関とし て要求されるような幾つかのことをやっていないんだけれども、しかし、そこで働いてい る人間は医者であったり、医者の指示を受けて働いている人がいて、みたいなのが我々の ケースなんですね。  この場合、例えば現実問題としてどうなんですかね。我々も東京女子医科大学先端生命 医科学研究所という名前なんですね。東京女子医科大学附属病院先端生命医科学研究所で はないんですよ。何かお話だけ伺っていると、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の 場合、病院ではないので、この枠組みから外ですよというふうに聞き取れるんですけれど も、そういう解釈でよろしいですか。 ○樋口経済課長補佐  そういう解釈だと理解しております。 ○阿曽沼委員  今の話でいくと、例えば医学部の基礎医学系の場所にあるCPCは、附属病院のもので はありませんから、基礎医学系、例えば生理学教室にあるわけですから、それは医療機関 ではなく、今回の議論の非対象ということになるわけでしょうか。 ○樋口経済課長補佐  そうですね、21年度の議論と申しますのは、共同での診療行為ということについてどう するかということでありまして、前回ご議論も少し出ておりましたけれども、診療行為と してのものとその他のもので区分して考えるという話もあったかと思うんですけれども、 そういう理解で考えております。 ○阿曽沼委員  その理解でいくと、この委員会全体の枠組みとしては次年度で、病院でない大学内にあ るCPCをどう扱うかを含めて包括的に議論をしていくということでよろしいでしょうか。 ○樋口経済課長補佐  前回の議論でもそういう理解だったというふうに認識しております。 ○永井座長  これ、ちなみに研究施設が病院附属センター医学研究所といった場合には、また話は違 ってくるということでしょうか。 ○樋口経済課長補佐  形式的な回答で恐縮ですけれども、まさに医療機関としての届出の対象になっていると ころ、医療機関としての許可の対象になっている範囲がどこまでかによってくるというこ とだと思います。 ○永井座長  分かりました。それはまた追々議論をしていきたいと思いますが、今日プレゼンいただ きましたお話を踏まえましていかがでしょうか。質問、ご意見のおありの方、ご発言をお 願いしたいと思います。 ○前川委員  J−TECの小澤さんにお伺いしたいんですけれども、例えば、これ非常によくきちっ とやっておられるのが、非常に感銘を受けたのでありますけれども、例えば、採取施設の 条件というふうなのは何か設定をされているのかというふうなことなんです。というのは、 例えば臍帯血を採取する、臍帯血バンクの場合、臍帯血を採取する施設は臍帯血バンクネ ットワークからインスペクションに行って、きちっとそういうある一定の条件ですね、き ちっとした独立した部屋で採取しているかどうかとか、そういうところを見ておりますけ れども、この場合は恐らくちゃんとした救急センターとかはいいんでしょうけれども、そ うじゃないところで採取された組織の場合はどういうふうにされるというのが1点ありま す。  それから、もう一つは、この作業員なんですけれども、作業員に、例えば何らかの国家 資格みたいなのがいるのかどうかということで、ちょっと先に意見を言って申しわけない んですけれども、例えば赤十字の血液センターで血液製剤をつくっている作業員ですね、 彼らは全く資格はありません。教育訓練を受けているだけであります。だから、恐らく私 はそれでオーケーだろうと思うんですけれども、その辺に対するお考えをちょっとお聞か せいただければと思います。 ○小澤委員  薬事法の話でもよろしいですか。どうせ混ざってくる話なので、21年度議論、22年度議 論、やっぱりここ意味がないなというところではあるんですが、前川先生の質問に答えた いと思いますが、私たちはジェイス、まず承認の条件といったところで、お手元の資料は ないんですけれども、ごめんなさい、スライド出したんですけれども、適切な医療機関、 そして適切に医療行為ができる医師がいるところという形で、製造承認の条件というのを いただいております。その中では、特に熱傷を対応できる施設ならよいというところであ りまして、採取センター、イコール我々が納める施設という形になってまいります。  それから、人員基準に関しましても特段なくて、私たちがJ−TEC基準でつくってい るわけでございます。薬事法で何かあるかとか、そういう話ではないかと思います。特に 製品ごとに違う話でございますし、それこそ製品のスペックによって、この辺の人員の教 育の仕方というのは変わってくると思います。我々、かなりいろんな複雑な作業をしてお りますので、その中では一律こういうような資格がいるというのはなかなか難しいんじゃ ないかなと思いますし、実際、人員は我々、思いっきり教育をしています。マーケットに はいない人材だと思っています。回答としては、国家資格が別になくてもいいと思います。 ○永井座長  そういうシステム全体のバリデーション、つまり第三者からの評価はどういう形がある のでしょうか。 ○小澤委員  第三者といいましょうか、そもそも医薬品医療機器総合機構様と、それから都道府県か らQMSの適合性調査というのが入っております。ハードウエアだけではなくてソフトウ エア、先ほどの手順書の整備であったり、人の教育ができているかというところまでチェ ックが入りました。第三者機関といいましょうか、十分なチェック機関による評価だと考 えています。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。 ○阿曽沼委員  輸送の件でちょっとJ−TECさんにお伺いしたいんですけれども、いろんな交通機関 をお使いになるということでありますが、輸送そのものは外部に委託されているのかとい うことをお聞きしたいのと、輸送におけるトレーサビリティー等の議論する時、例えばカ テゴリーBという1つの基準の輸送方法を使うという考え方があるんだろうと思いますが、 その点について、現在やられている輸送方法も含めて、もう少し具体的にお聞かせ願えま すでしょうか。 ○小澤委員  すみません、ちょっとカテゴリーBの説明をしてもらってよろしいですか。 ○阿曽沼委員  カテゴリーBは、航空法の中での基準ですが、血液だとか細胞とかいったような感染の 危険性のある物をきちんと運ぶための基準です。例えばほかのものと合わせて送らないと か、もしくは送ったものの中身のきちっとしたトレーサビリティーができるということと か、温度管理の為の梱包基準だとかが規定されています。例えば宅配便の業者の中でもそ ういったものをきちっと扱う業者とそうでない業者があるわけでありますけれども、一般 には、例えば血液とか皮膚というのは輸送してはいけないものには入っていませんけれど も、安全上の問題だとか、混同の問題だとかの課題を回避するために、カテゴリーBの基 準で輸送する事が望ましいという意見もあるんですが、それについては今どんなふうにさ れていらっしゃるんでしょうか。 ○小澤委員  実際に、我々もジェイスの事業が始まる前にいろんな、いわゆる業者さんとお話をさせ ていただきました。しかし、結果としてはジェイスに関しては自前で、全て社員が輸送に ついても対応しております。これに関しましては、トレーサビリティーもそうでございま すけれども、やはり人命に関わっている商品を運んでいるというのがございまして、その 中で何かあったときに、先ほどの例えば使用期限、56時間以内に遅れたらどうなるんだ、 だれが補償するんだという、補償できなくなっちゃうし、それから同梱がちょっとできな いというのがいろんな業者さんからの話でございました。だから、チャーター便というよ うな形じゃないとなかなか受け入れないというのが、我々が過去に議論してきた業者さん との話でございます。  トレーサビリティー、非常に重要だと思いますけれども、ちょっとまずジェイスは横に かなり振れた振り子というのか、かなり極端な製品だと思いますので、もう少しマスプロ ダクションのような製品だったらば、多分業者さんとお願いできるのではないかなという 気がしております。カスタムメイドでさらに人命救助に関わっちゃっているような商品な ので、非常にこの辺は我々が責任を持って、J−TECで責任を持ってお運び申し上げて いるという状況でございます。 ○永井座長  ほかに。 ○鈴木委員  今のお話にもちょっと関係するんですが、細かい技術的な話なんですけれども、温度が 10度から25度という微妙な温度をきちんとコントロールするということが重要そうに聞こ えたんですけれども、例えば9度でも、あるいは26度でも駄目なわけですよね、製品とし ては。その輸送期間中のトレースというのをどういうふうに実際には管理なさっているん でしょうか。 ○小澤委員  ありがとうございます。これはそれこそ生物系審査部さんに聞いてもらったほうがいい と思いますが、我々、実際製品の幅としては、この10度から25度ではなくて、もう少し幅 が広うございます。しかしながら、企業として確実に運ぶためには少し狭めて、10から25 度なら完全に製品の品質を担保して運ぶことができますよ、私たちがつくった断熱輸送容 器というものに関しましても、何回か試験をしました。保存安定性試験というもので、北 海道に運んでも必ずこの10から25度に温度が管理されていますというのをちゃんと提出申 し上げて、その中でこの10から25度がオーケーという形で製品規格として決まったという 経緯でございます。 ○鈴木委員  1製品ごとにチェックをしているということではなくて、輸送容器としてのチェックを という意味ですか。 ○小澤委員  製造承認いただくときに、これはちゃんと証明しているんですが、ちょっと私も詳細は 分かっていないので、もしかしたら社員に聞いたほうがいいかもしれないですが、1製品 ごとはやっていません。製造承認のときにこれで大丈夫ですというのを証明して、総合機 構さんにオーケーをもらったという形でございます。 ○森尾委員  村上先生にお伺いしたいのですが、歯周病疾患の場合には、ユーザーの方、患者さんが すごく多いということで、実際に治療される方が開業の先生方の可能性が高いということ だったのですが、実際に恐らくそういう方々が皆さん大学病院などにいらっしゃると大変 な混雑になってしまうということもよく分かるのですが、実際に使っていただく医師の方 々が適切に使用されている、その担保について、どういうふうなお考え方を持っていらっ しゃるかお伺いしたいと思います。 ○村上氏  使っているというのはどちら側の。 ○森尾委員  最終的にその組織を使う開業の先生方ということです。 ○村上氏  現場の開業をされている先生が…… ○森尾委員  開業とは限らないと思いますが、現場の方です。 ○村上氏  今現在のところは十分検討ができていないところでありますけれども、初めは(専門医 の資格等をお持ちの)有限の先生方と私たちの施設との連携体制を整えることがまず優先 にされると思います。初め想定していますのは、そのような有限個の施設と連携をとって、 現場の先生方と十分に密な連携をとって、顔の見える先生方との間でやりとりをするとい うことをまず第一段階で行っていくということを想定しております。最終的には開業され ている多くの先生方のところに細胞を届けられるような仕組みが必要だろうと考えていま すが、具体的に近未来的な想定としましては、しかるべき診療体制と技術を持った顔の見 える先生方とまず密な連携をとって、治療の質の担保を図れるようなコミュニケーション をとる必要があるというふうに考えております。そして、裾野の拡大については段階的に 進めざるを得ないのではないかというふうに考えています。 ○永井座長  そのほかいかがでしょうか。  梅澤先生は、救急医学の現場でお仕事をなさっていらっしゃいますが、今後どういう展 開が起こり得るか、何か予測としてはお考えになっていらっしゃるところがあれば、お聞 かせいただけますか。熱傷だけでなく、いろいろな再生医療が救急の現場にも入ってくる だろうとお考えでしょうか。 ○梅澤氏  時期は分からないですが、我々、救急疾患ですので、腕がなくなった、手がなくなった、 肝臓なくなったとか、そういう臓器喪失性のものが多いですから、それはもちろん治療し なければならないのと、あともう一つ、臓器移植法が変わりましたけれども、それのドナ ー側の、こちらはもちろんドナーを出す側になるんですが、なので、こういう再生に関し てはかなり我々も興味ありますし、ベストはもちろんご自身の細胞で再生されるのがいい と思うのですが、我々は培養皮膚とか熱傷治療をやっていますけれども、それ以外にも様 々なそういうことがありますので、今後広がってくれれば、もちろん非常にうれしいなと は思いますが、具体的にどうなるかというのはちょっと分からないですね。 ○永井座長  状況によっては、救急の現場で早期に細胞移植医療を行えば予後が改善されるという事 案が出てくるような気がいたしますけれども。 ○梅澤氏  今、澤先生がいらっしゃるので、例えば救急だと重症の心筋炎ですよね。心筋炎の患者 さんは、PCPSを入れたりとか、いろいろ頑張るんですが、助からなくて、かつ結構若 い方が多いですが、心移植を緊急でやるのは無理ですので、再生医療でできればもちろん いいでしょうし、救急の場で応用できるものは熱傷以外にもかなりいっぱいあるのではと 考えています。 ○永井座長  熱傷の皮膚移植の場合には、もう既にかなり確立されて、エビデンスがあります。しか し、これからは研究を進めながら臨床現場で検討し、応用もしていこうと考えているプロ ジャクトに関しては、恐らく再生医療研究の在り方について、色々な問題が出てくるので はないかと個人的に感じていましたので、お聞きいたしました。 ○澤委員  今の点なんですけれども、やはり再生医療の普及というのは医療の普遍化ということで、 我々でもやっぱり急性の心筋梗塞とか、急性期に起こった疾患への対応、それからあとは 他家細胞を使って復旧させていくというのが一番最終ゴールかなというふうに思うんです ね。もちろんiPSももちろん含めてですけれども、そうすると、常に製品化されたもの をうまく医療現場に持っていくことが最終ゴールであろうというふうには考えます。ただ、 段階を追ってですので、自己細胞についてという今の段階できっちりとしたシステムを整 えていくというのが必要だなというふうに思っています。 ○片倉委員  梅澤先生に質問です。この問題点の4の再生組織移植時の問題、(1)ですね、やっぱりつ くったものが適した状態かどうかの判断が難しいというお話がありました。この話はとき どきあちこちで聞いたことがあります。先ほどいろんな方が小澤さんにいろいろ質問され ていましたけれども、企業が製品を出す、いわゆる認めていただいた段階では、有用性、 有効性を発揮する規格というのが決まっていて、それをどう維持できるかということを前 提として搬送とか全部決まってくるわけですけれども、先生方が臨床研究に使われるとき に、そのものを使っていいかどうかのクライテリアと判断基準がないと、実際にはそれで 出てきた臨床研究のデータというのをどう評価していいか、非常に難しいと思うのですが。 ここら辺については、アカデミアのほうでもやっぱり解決する手段を考えないとしょうが ないのかなと思います。もう一つ、使って駄目そうな場合ですね。救命救急の場合はつく り直すという時間的な判断もあると思うんですけれども、そういう場合の対応というのは どうされるんでしょうか。ちょっとそれは興味も含めてお聞きしたかったんですが。 ○梅澤氏  今回、うちは偶然、培養皮膚をやっていますので、もちろんJ−TECさんが製品担保 してくださるので、返すなんてことはあり得ないですけれども、自分がある程度ノウハウ があるものであればいいのですが、例えば心筋をやったとかいう場合、うちの場合、全然、 心筋はやったことないので、ただ、そういう全然、門外漢のものを一緒にやるというとき はかなり厳しいかなと。全くノウハウのないものに関してはですね。  あと、救急疾患ですので、例えば今回のJ−TECさんの場合だと、実はかなり融通利 かせていただいて、再移植が直近である可能性があるのですけれども、一応大まかにつき そうかな、つきそうでないかなというのは分かりますので、頑張ってみるけれども、2週 間後リジェクトされそうだから、もしかしたら頼むかもしれないというと、一応セットア ップしてくださいます。そこら辺の、もちろん前の日に頼んで次の日にできるというのは 無理だと思うのですが、状況を知っていれば、こちらのほうとしてもうまくいけそうとか、 駄目そうだとか言えますので、ある程度の融通性を利かせていただければ、こちらとして も対応できるかなというふうに思っています。 ○永井座長  ほかに、ご質問、ご意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○木下委員  J−TECの小澤社長にお伺いしたいのでありますけれども、自家培養表皮ができてい くプロセス等、非常にきめ細かい管理で、これ以上ないシステムでやっておられ、感銘を 受けました。結果として出てきた商品は個人のものであって、もしも患者さんが不幸にし てお亡くなりになってしまえば、それの表皮は無駄になってしまうと思います。つまり一 商品に対してかなりコストがかかるものであって、将来、この企業が成り立っていくため には、実際はどのくらい保険業務にする必要があるのでしょうか。適切な点数がない限り は自費診療にせざるを得ないということもあると思うのです。コストの設定というのは果 たしてこの30万円でいいのかと思います。実は1商品じゃとてもカバーできないのではな いかと想像するのでありますが、そういう視点から将来的なこととして、この再生ビジネ スが成り立つためには、一体全体どのくらいの点数にしなければ企業として成り立たない のかという、その辺の見通しも含めてお話しいただきたいんですが。 ○小澤委員  ありがとうございます。非常にすばらしいご質問でありまして、我々も悩んでおるとこ ろですが、実際どのぐらいかというと、企業として、私たちメーカーでございますので、 それこそ医療機関の先生に安全に安心して使ってもらうためには、つくるだけじゃ駄目で、 先ほど梅澤先生も言及されましたが、営業、それから我々、全数製造販売後調査が入って おりますので、フォローアップ体制までばっちり押さえる、構築する必要があります。そ れから、私のような管理者がいる必要があります。  どのぐらいかというと、議論は分かりませんけれども、今、保険医療財源は限られてい るところでございますので、国のほうでも余り余裕がないという状況はよく伺っておりま す。どのぐらいか、30万6,000円というのは我々が希望した価格ではございませんが、でも まずはこれでやってみましょうという形で、我々ももっと経験を積まないと、なかなか原 価計算のところも適切な計算ができないのがあります。  どのぐらいかというのは、例えばジェイス、我々は表皮だけの会社であるならば、多分 売り上げとして、最低5億、6億、7億、そのぐらいないと多分会社としては維持できな いのではないかなという気がしております。そのためにも今、三省合同で革新的医薬品医 療機器のための5カ年戦略が動いているはずでございますので、このいろんなイノベーシ ョンに対する適切な評価というのは、やはりこれからも議論を深めていただきたいと思い ます。現状ではかなり持ち出しという状況であります。 ○木下委員  この再生医療でありますとか、遺伝子治療でありますとか、当然、国民にとってこれは 望ましいことでありますし、その方向性はもう避けて通れないと思います。そういったと きに今日の抑えられた医療費の問題がある限り、とてもじゃないけれども、ベンチャービ ジネスは成り立ちません。今のJ−TECさんも含めまして、どんどん養成していくこと が国の使命だろうと思うのであります。しかし、その点数設定も含めまして、とても企業 が成り立つような料金が設定できないとなりますと、保険医療そのものも、どうなるかわ からないようなことが当然出てくると思います。今日の低医療費のなかで、しかも私費診 療は封じられている中で、再生医療にかかわるベンチャー企業の位置づけをどうするのか という大きな問題が出てくるだろうと思います。あまりいい解決策に関するアイデアとし て出てこないのでありますが、国民も国も医師も現実的に考えていくべきだろうと思いま す。 ○阿曽沼委員  今の議論、大変重要な議論だというふうに思いますが、J−TECさんは少なくとも平 成11年に創業されて、10年間歯を食いしばっていらしたわけですが、これはいわゆる医薬 品という化合物を不特定多数の方安全かつ有効に適用するという薬事法の現在の枠組みの 中で、それと同じ様にプロセスを踏まなければならなかったという前提の下で、これだけ の費用とコストと期間をかけたということでありますから、医療法の下で、例えば医療機 関が医療機関に委託して行う場合、全くこれと同じ考え方と概念でやっていくことが果た していいのかどうかということも、充分に考える必要があるのではないかと思います。そ れを分けてきちっと整理をするというのがこの検討会の一番大きな役割ではないかなとい うふうに、私は理解をしております。  私も本来お聞きしたいことがいっぱいあるんですが、この委員会の主旨とは少し離れた 話題になってしまいますけれども、J−TECさんの説明資料の3ページで、確認申請に 適合した10品目と書いてありますが、この中で例えばBCS社なんかは確認申請がされた 途端に企業として破綻をしてしまいました。充分な資金調達ができなかった訳ですね。米 国でも非常にいい技術を持っているバイオベンチャーが次々に破綻してしまうというよう な現状を踏まえていくと、来年度、企業において細胞加工を受託するためには、本当にど ういう枠組みが必要なのかということを踏まえて考えていくことが肝要であると思ってお ります。 ○小澤委員  今の阿曽沼委員のそのとおりでございまして、この21年度議論は非常に重要だと思いま す。CPCのお話というのは入り口の話でございまして、私たち企業の取り組みはかなり オーバースペック気味にやっていると思います。なので、来年度の議論なのかもしれませ んけれども、出口戦略をちゃんと見て、ちょっと全体を俯瞰しながら議論したほうがいい かなと思います。CPCのところで余りがちがちにやると、多分、出口がなくなってくる というふうに私も思いますので、その辺は注意して議論をしたいと思います。 ○永井座長  よろしいでしょうか。  また追々議論も続くと思いますけれども、まず、今回この後、第1回でご了承いただい ておりますCPCの実態調査について、森尾委員に進めていただいておりますので、ここ で森尾委員にその内容についてお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○森尾委員  第1回でご指名いただきましたので、CPCの実態調査についての概略をご説明申し上 げたいと思います。資料4をご覧ください。1枚でございますので、ちょっと内容をかみ 砕いて説明したいと思っております。  対象となりました施設は、医学部及び歯学部を設置する全ての国公立及び私立大学と、 再生医療学会で把握されている国立病院機構、民間病院、研究所などでございまして、合 計140施設でございます。  内訳でございますが、医学部、歯学部を設置する国公立大学及び私立大学が100施設にな りました。国公立病院が9施設でございます。公的研究機関が2施設、企業が13施設、い わゆる民間病院が14施設などというふうになっております。  アンケートは全て紙ベースでございまして、A4、6枚で施設長の方々にお送りいたし ました。  調査項目についてご説明申し上げます。  まず、施設でございますが、今議論になっております医療法に規定のある医療機関に附 属したCPCであるか、あるいは医療機関以外に附属したCPCであるかという項目立て から始まっております。設立の年月日、補修年月日などもお伺いしている状況でございま す。あと、センターの中の部屋の名称と室数、清浄度はUSA FED規格でございます。 その他、室圧などの項目がございます。  2番目は、バリデーションでございまして、年に一度以上行っている場合にご回答いた だくという形になっておりますが、環境のバリデーション、あと機器の校正バリデーショ ンという点が行われているかどうかという質問がございます。  3番目が、環境測定でございます。定期的な塵埃測定や定期的な浮遊菌の測定、定期的 な清掃がどうなっているかという項目であります。  4番目が、これも当検討会の課題でもあります人員のことでありますが、まず総人員を お伺いした後に、いわゆるセンター長、管理責任者、製造部門の管理責任者、品質管理責 任者などが専任になっているかどうかという点をお伺いして、あとは細胞培養者の資格、 あるいは細胞検査担当者の資格等をお伺いしております。実際には医師、歯科医師免許取 得者であるか、薬剤師免許取得者であるか、あるいは臨床検査技師免許取得者であるか、 あるいはその他の場合には、どういうバックグラウンドの教育を受けた方かということで、 大学とか専修学校とかバイオ系のそういう学校であるか、そういうところをお伺いしてお ります。  5番目が、実際に使用していただいている再生医療・細胞治療製剤のことでございます。 具体的なバイオ組織・細胞の名称と、過去3年間の年ごとの投与人数、2006年から2008年 までをお伺いしております。あとは施設倫理委員会の承認年などでございます。  6番目の項目は品質保証のことでございまして、製品標準規格、どういうものが実際に 投与に適したものであるか、そういう規格がつくられているかという点と、あとは最近、 バイオ、エンドトキシン、マイコプラズマ、その他のウイルスなどについてのことと、染 色体検査など、追加の品質保証検査がどの程度まで行われているかという点をお聞きして おります。  それから、大切な問題であります患者さんの移動の有無、プラス、製剤の輸送を実際行 っていらっしゃるかということでありまして、輸送が行われている場合には製剤の搬送方 法などをお伺いする項目がございます。  7番目が文書体系でございます。ここが一番ややこしいところでありまして、恐らく各 施設で文書体系、標準体系が異なると思われますので、代表的な書類名を挙げて、追加変 更記載欄を設けるという形にしております。お配りする資料に記載している手順書の順番 は一次文書から三次文書まで順不同になっておりますが、まずは標準作業手順書です。こ れは恐らく様々な標準作業手順書があるので、ひとくくりにしてもどうかと思いますが、 そういう項目が最低限として1つの項目立てになっています。  品質マニュアルというのは、これはちょっとISO的な書き方でございます。製品標準 書、これは実際に製剤が自分たちが望む製剤ができたかどうかを規定するものであります が、その製品標準書があるかどうか。あとは、業務管理標準書の中でずらずらと書いてあ るもの、例えば製造管理基準書、製造衛生管理基準書、品質管理基準書、教育訓練基準書、 記録管理基準書、あるいは購買管理基準書、文書管理基準書などでございます。この点に ついて記載していただくという項目がございます。教育訓練基準書の部分がありますので、 教育訓練の概要についてもここでお伺いしているという記載になっております。  最後は情報公開でございまして、ホームページをお持ちかどうかということと、あるい はホームページや冊子などによって治療の実績、論文、学会発表、CPCの設備や人員に ついて情報公開しているかという点についての質問をさせていただいております。内容は そういうところが主なところでございますが、5月29日に送付いたしまして、締め切りが 6月26日金曜日で、2日後でございます。今まで返答があった施設は23施設でございまし て、あと2日間でどのくらい集まるかということでありますが、その中でCPCなしの返 答が11施設で、計画中が3施設と、CPCありが9施設ということでございます。皆さま からのご回答をお待ちしながら、次回にご報告できればというふうに考えております。  以上でございます。 ○永井座長  ありがとうございます。  これは回答はいつまでということになっていますか。 ○森尾委員  明後日の金曜日でございます。 ○永井座長  ただ今のご説明に何かご質問おありの方はいらっしゃいますか。  それでは、次回に森尾委員から調査結果をご発表いただくということで、医療機関の間 での共同での診療について、今後望ましい姿を提示していくためにさらに議論を進めてい ただきたいと思います。  本日は、予定した議題は以上でございますが、何かほかにございますでしょうか。 ○神山委員  ちょっと質問させていただきたいのですが、前回の議事録を拝見しておりましたら、大 和先生が、過去に産総研が培養して病院に送った例があるというようなことをおっしゃっ ておられたのですけれども、これは法律上の枠組みで言うと、どういうものに基づいてお やりになっていたということなのでしょうか。 ○永井座長  事務局からいかがでしょうか。 ○宇津企画官  すみません、ちょっと具体的な事例が分からないので、確実なことはお答えできないわ けでありますけれども、今の扱いでありますと、例えば臨床研究で行われる場合、そうい う場合については医療機関でなくても、例えば産総研さんも多分含まれますが、企業の方 でも臨床研究に用いるものについて、例えば細胞の培養とかやる場合については、薬事法 上の問題があるかどうかについて、こちらのほうにご相談をいただいて、その内容につい て確認をし、薬事法上の問題がないということであれば、臨床研究に物を提供して構わな いことになっております。  ですので、臨床研究ということで行われていたのではないかと思うのですが、事例が分 からないので、神山先生がご指摘の点に正確な答えになっているかどうかはわかりません。 ○神山委員  そうすると、そういう事前の相談があったかどうかということは、過去の記録はあるわ けですね、もし臨床研究であるとすれば。 ○宇津企画官  すみません、具体的な事例がないので、その点、当時どういう扱いになったかというの はこの場ではお答えできません。 ○永井座長  よろしいでしょうか。  そういたしますと、次回の日程について、事務局からご説明をお願いいたします。 ○木下経済課長  次回の日程は、8月24日月曜日、15時から17時を予定しております。詳細が決まり次第、 ご連絡をさせていただきます。 ○永井座長  それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。  お忙しいところ、どうもありがとうございました。 (照会先)医政局経済課     課長補佐 岸本(内線2524) 医薬食品局審査管理課 課長補佐 中山(内線2745)  (了) −1−