09/06/22 第2回議事録 第2回 第7次看護職員需給見通しに関する検討会 日時 平成21年6月22日(月)13:00〜 場所 中央合同庁舎7号館共用第2特別会議室(12F) ○木村補佐 羽生田委員が遅れておりますが、これから第2回「第7次看護職員需給見 通しに関する検討会」を開催いたします。委員の皆様におかれては、本日、お忙しいと ころお集まりいただき、ありがとうございます。まず、野村課長から、前回ご欠席の委 員を紹介させていただきます。 ○野村看護課長 本日は、大変蒸し暑い中ご出席いただきまして、誠にありがとうござ います。前回、ご欠席されました委員を紹介させていただきます。  青森県立保健大学副学長の上泉和子委員です。栃木県保健福祉部長の北澤委員の代理 で、保健福祉部次長兼保健福祉課長の斎藤さん。フリーアナウンサーの酒井ゆきえ委員 です。前回は代理出席でしたが、今回は大阪府健康医療部長の笹井康典委員です。東京 医科歯科大学大学院医歯学総合研究所医療情報システム学准教授の伏見清秀委員です。 なお、本日は、神野委員、田中委員、吉田委員が、ご都合がつかないというご連絡をい ただいています。  前回の検討会でお話がありましたように、伏見委員には、副座長として座長をサポー トしていただけるということですので、よろしくお願いいたします。今後の進行を、座 長、どうぞよろしくお願いいたします。 ○尾形座長 こんにちは、大変お暑い中、また忙しい中をお集まりいただきまして、あ りがとうございます。今日は大変きれいな部屋ですが、ただ、大変大きくて、遠くてな かなか顔が見えないようですが、親密な議論を行いたいと思います。本日は15時まで という予定ですので、効率的な議事進行にご協力をいただければと思います。  早速、議事に入りたいと思います。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○木村補佐 資料を確認します。資料1は、「患者調査、DPC調査などの統計調査デー タを用いた看護職員必要数の長期将来推計に関する検討」。資料2は「需給見通し策定に かかる基本的考え方(たたき台)」です。参考資料として、「第1回需給検討会における 委員の主な意見」です。 ○尾形座長 議事に入りたいと思います。前回の検討会においても、長期的な看護職員 の需給見通しの推計については、厚生労働科学研究で、伏見委員にお願いしているとい うお話がありました。本日は、伏見委員から資料1で、「患者調査、DPC調査等の統計 調査データを用いた看護職員の必要数の長期将来推計に関する検討」という資料が提出 されていますので、まず、伏見委員からご説明をお願いします。よろしくお願いいたし ます。 ○伏見委員 お手元の資料1に沿って説明させていただきます。「長期将来推計に関する 検討」で、○の「背景」について、ここの研究のいままでの経過と背景とを、まずご説 明させていただきます。  ・の1番目、医療の効率化と高度化とともに看護業務が高度化、複雑化して業務量が 増大し、看護職員の必要数が変化する可能性があるため、医療の質と量および医療提供 体制の将来的な変化を反映させた形で長期的な看護職員必要数の推計方法について必要 と考えられますので、これについて厚生労働科学研究において研究を進めています。  平成20年度までの厚生労働科学研究、主に医政局の研究ですが、地域の疾病構造、 例えば年齢別の入院患者数、外来患者数と、疾病あたりの医療需要量、具体的には、例 えば心筋梗塞ですと、平均的に在院日数が20日ぐらいかかるとか、手術をする患者さ んは何%ぐらいいるという形の医療需要の推定ができます。そういうものから地域の医 療需要を推計して、それをもとに、例えば急性期の病床数、医師数、主に病院の病棟を 担うような医師の数になりますが、そういう必要性を推計する方法をいろいろ検討して、 昨年度、平成20年度までに報告書に報告しています。この方法を用いて、地域の看護 需要とその将来予測を推計し、地域の看護職員の必要数の推計を試みることは可能であ ると考えられますので、今年度からその研究を進めています。  ・の3つ目は、平成20年度の社会保障国民会議で、急性期医療の効率化及び高度化 を想定して、(1)2025年の人口構造予測、(2)急性期患者数を現在の入院患者の約70%と 仮定し、(3)急性期医療の変化を想定した4つのシナリオを策定して、看護職員必要数の 推計の概要が公表されています。このシナリオは、急性期病床あたりの看護職員数を現 状と同等、あるいは現状の1.2倍、2倍、2.2倍等の形で設定しまして、それをもとに推 計を行っています。この推計では、例えば急性期の患者数、看護職員の必要数、先ほど の現状よりもどの程度増えるかという形の必要数について非常に暫定的な仮定の下に計 算が進められていて、この数値に関する明確な根拠は特に示されていません。本研究に おいては、これらの数値をより厳密に推計するとともに、医療提供体制の変化等さまざ まな条件設定を含めることにより、ある程度幅をもった形で、かつ詳細な看護職員必要 性の推計を進めたいと考えています。  次の○、推計方法の具体的な説明をさせていただきます。医療において、外来、急性 期、慢性期、あるいは精神、療養等の大まかな医療機能の区分を適宜設定して、それぞ れの区分毎に、例えば年間の退院患者数、在院患者数の数値及びそれぞれに必要な病床 数、これらの医療需要、さらに、例えば患者1人あたりどの程度の看護需要があるか、 看護職員が必要であるかといった手法を用いて推計を進めていきたいと考えています。  特に大きな変化が予想されます急性期の医療需要の推計については、先ほどの社会保 障国民会議においていくつかのシナリオを設定しているわけですが、これらのシナリオ を参考に人口構造の変化、急性期医療の効率化の状況、高度化の状況、医療機関の機能 分化、特に急性期に関しては近年DPCほか資料からも入っており、医療機関の機能分 化は今後もさらに進む可能性がありますので、そういうものに関して条件を設定して、 推計を行いたいと考えています。  病床当たりの看護職員数の推計に当たっては、例えば診療プロセスの変化、特に在院 日数が短縮化しますと、検査、手術の回数、密度も非常に大きくなりますので、そうい うものの変化、医療の高度化を配慮して、単に現状からの相対的な変化量、1.2倍、2 倍という形の変化量のみではなくて、諸外国の状況なども考慮して、一定の根拠に基づ いて、例えば在院日数がどのぐらい減ったら、どのぐらい診療密度が上がるだろうかと いう条件設定を設けたうえで検討を進めたいと考えています。  2頁目にいきます。急性期以外の機能区分に関しては、特に人口構造の高齢化等の影 響が非常に大きいと思われますので、それらについて重点的に条件設定の下に推計を行 っていきたいと考えています。  また、これらの検討結果に基づいてある程度、例えば推計の式等ができてきた時点で、 全国レベルのみではなくて、地域レベル、特に都道府県あるいは二次医療圏等のレベル でも、推計作業も平行して行いたいと考えています。  推計に用いるパラメータとしては、以下のような候補を考えております。1番目が「人 口構造将来推計」についてです。これは平成17年度の国勢調査に基づいて将来推計値 が市区町村レベルで出ていますので、この数値を用いて現在、分折を進めています。  2番目の「疾病構造の推計」について、人口構造の変化、やはり特に高齢化が進みま すので、実は既に人口構造のデータと統計調査部の患者調査のデータなどを組み合わせ ると、年齢階級別の患者の数は、大体推計することができるようになっています。こう いうものを用いて、仮に人口構造が、高齢化が進んだ時に、どの程度、どういう疾患の 患者が増えるか、減るかということも推計することが可能になっています。こういうも のを用いて疾病構造の変化を推計していくことを考えています。  また、医療の高度化、特に急性期医療あるいは外科の手術の高度化に影響することも 考えまして、そういうものについても条件分けを設定していくことを検討しています。  3番目の・です。医療機能区分別の平均在院日数及び医療需要の推計もパラメータと して入ってきます。これは、医療機能分化、もちろん、どの程度機能分化するのか、例 えば急性期医療、慢性期医療がどの程度に分かれていくかも影響していくと考えられま すので、場合分けを設定し、急性期医療の中でも特に重症な部分、例えば集中治療、救 命救急などの部分については、より人員の配置が必要になりますので、そのような部分 がどの程度増えていくかについても条件設定をすることは可能となっています。  4番目として、さらに医療機能区分別の看護人員の必要数、特に、先ほど少し述べま したが、例えばある程度病床数、患者数が推計されても、1床当たりの看護人員の必要 数はさまざまな要因でおそらく変わってくると思われます。特に医療の効率化、高度化 が進みますと、診療密度が高くなってきますので、必要な看護人員もおそらく増えてく ると思います。それについても何らかの形で条件設定を考えて検討しています。  5番目は、地域差の要因として、特に医療提供体制の地域差の変化がありますので、 そういうものについても場合分けを行いたいと思います。現状についても、ある程度の 地域差があることを認識しています。そういうものがこれから拡大するのか、解消して いくのかについても併せて検討する必要があるのではないかと考えています。  昨年度までの研究で行った、実際にどのような形で医療需要の推計を行っていたかに ついて、少し、多少専門的になりますが、参考の情報となると思いますので、少しここ で説明させていただきます。  推計方法は、基本的に用いたデータは厚生労働省の統計情報部患者調査です。この調 査は3年に1度行われていて、最終のものは平成20年に行われています。こちらの退 院票は、日本全国の病院の9月1カ月間の退院患者に関するデータの調査票です。及び 入院票は、10月の時点での病棟に入院している患者さんに関する情報が入っています。 そういう個票のデータを、目的外使用を用いて、再集計を行って、急性期、慢性期、基 本的には在院日数が大きな視点になると思いますが、例えば31日以上の入院を行って いる患者さんを、仮定的に慢性期という形で状態を分けて、地域における患者数の推計 を行っています。  こういうものを用いて、都道府県、二次医療圏別に疾病構造を推計します。さらに年 齢階級別の患者数と将来の人口構造推計、これは国勢調査に基づくものですが、これに よって、先ほど言いましたように、年齢別の疾病の特性は大体決まっていますので、そ ういうものに基づいて地域の疾病構造、将来推計を公表しています。  ・の2番目ですが、一方、DPC調査データ等によって、傷病別の診療プロセスが、特 に急性期医療に関する診療プロセスが大体見えるようになってきて、先ほど申しました が、急性心筋梗塞で心臓カテーテル検査を行う患者さん、インターベンションを行う患 者さんですと、大体在院日数が20日ぐらいとか14日ぐらいとかいう情報が分かってい ます。あるいは何回ぐらい検査をするということも分かっていますので、ある意味、そ ういう傷病別の標準的な診療内容を求めて、それをもとに傷病別の平均在院日数、ICU の利用日数、回復期リハビリテーションを必要とする日数、さらには医師等のマンパワ ーの医療需要の推計を行っています。  急性期医療においては、今後の在院日数の短縮、診療密度の増加等を考えて、複数の 条件を設定して、傷病別の医療需要の変化を推計することが可能となっています。また、 外来、慢性期その他医療区分は、平均在院日数の問題及び受療率の変化、機能の条件が、 やはりその医療需要の推計に大きく影響を与えるということが分かってきています。  このような形で、傷病別、病態別に地域患者数に関する推計値を求めて、さらに傷病 別、病態的に医療需要に関する推計値、例えば在院日数がどれぐらいかという形を推計 しますと、簡単な計算式によって傷病別に必要な急性期の病床数、慢性期の病床数が推 計できます。それをもとに、地域の医療需要を推計していく手法をとっています。  次の○、推計例ですが、患者調査に基づく疾病構造の推計とDPC調査データに基づ く傷病別の平均在院日数を、例えば傷病においても急性期の患者と手術を行う患者とい う形で大まかに区分していき、在院日数等を求めていきます。それをもとにわが国の急 性期病床数が具体的にどの程度になっているかを推計しますと、現在、約90万床ある 一般病床のうちの50万床分がほぼ急性期に相当するような診療に当たっていて、残り の40万床分がほぼ亜急性期、慢性期等に相当する部分に当たっているのではないかと いう形で推計されています。この推計は、先ほど申しました社会保障国民会議の推計値 とほぼ似たような値が出ています。  仮に、今後急性期病床の平均在院日数が、現在、病院によって違いますが、15日から 20日前後になっていますが、12日に短縮しますと、急性期の病床の相当数は40万床、 場合によってはもっと少ない数値に減っていくかもしれないという形の推計の結果も出 ています。  あと、亜急性期に関して、回復期のリハビリテーション病床は、現在の急性期病床、 特にDPC病院においては、退院した患者さんがどこに行っているかという状態が掴め ますので、それをもとに、仮に急性期の患者さんが次に亜急性期に一定の割合で移って 行くという形を仮定して、さらに現在の診療報酬点数等で定められた形での利用日数を 最大限利用すると仮定しますと、例えば回復期リハビリテーション病床数は最大11万床 が必要という形になっています。参考ですが、現在、平成20年度末の時点では、5.3万 床という報告が出ています。  3つ目の・は、急性期病床の病床当たりの平均医師です。これは厳密な推計ではあり ませんが、DPCに参加している病院ですが、大学病院は非常に多いですから、大学病院 を除いて、DPCに参加している病院の病床あたりの平均医師数は0.2人となっています。 これは大体5床当たり1人になりまして、これはばらつきがあまり大きくなくて、どこ の医療機関もほぼ一定の数値になっています。このような数値をもとに、例えば、先ほ どの急性期の病床数、慢性期の病床数を想定して、医師不足がひどいと言われている東 北地方の一部において、具体的にどの程度足りないのかということを推計しますと、こ こに書いてありますように、充足率が約80%です。ですから、急性期と慢性期で明確に 機能区分して、急性期に仮にこの5床に1人の医師を配置することを達成しようと思う と、現実的には医師が2割ぐらいは足りないと、かなりの数になると思いますが、客観 的には、このような形になっています。  最後の・は、2025年の人口推計に基づいて、手術患者数は約1.3倍、短期入院の患者 数は、ほぼ急性期に相当する患者数ですが、患者数の数としては1.7倍、慢性期の患者 数は、当然のことながら、高齢者が増えますが、2.5倍ぐらいに増加する形に予想して います。これは退院患者数レベルの推計値になりますので、例えば在院日数の影響とか によって、必要な病床数については大きく変わる可能性はあると思いますが、統計レベ ルでの退院患者レベルとしてはこのぐらいの変化が予想されるという形の結果を報告さ せていただいています。以上です。 ○尾形座長 社会保障国民会議の報告も踏まえ、大変興味深いご報告だと思います。た だいまの伏見委員のご説明について、ご質問、ご意見があればお願いいたします。 ○菊池委員 長期の将来推計が出ることを非常に楽しみにしています。いまご説明のあ った中で、3つほどもう少し詳しくご説明いただけたらと思っているところがあります。 1点は、将来のいろいろな変化を考慮して、急性期と慢性期といくつか医療機能区分を 分けて推計されるということですが、急性期の医療についてはかなり詳しくその推計の ご説明はあったかと思いますが、今後の高齢社会を考えると、急性期医療だけではなく て慢性期、介護保険施設、訪問看護など、そういう部分の看護職員確保も重要になるか と思います。例えば、訪問看護について見ると、現在、31万人が利用していますが、私 どもの推計では2020年には訪問看護の必要者が100万人ぐらいにはなるのではないか と、最低でもそのぐらいになるのではないかと推計しているのですが、そういう慢性期 訪問看護ステーション等の医療需要や看護職員の必要数は、どう推計されようとしてい るのかを、もう少し詳しくご説明していただけたらということです。  2点目は、長期見通しを立てる期間、例えば平成24年ですと、診療報酬、介護報酬の 同時改定とか、いま看護教育の制度のことなどもいろいろと検討がされていると、制度 の変化がその間に予定されるかと思うのですが、そういう制度変更は、この推計につい てはどう反映されるものか、あまり関係ないものか、その辺のところを聞かせていただ きたいのです。  3点目は、前回の需給見通しのときには、看護職員の勤務環境の改善ということを見 込んでマンパワーの需要ということも考えられていたわけですが、勤務環境の改善とい う点については、このような推計の場合にはどういうところに反映されていくのかとい うこと。この3点についてもう少しご説明をお願いします。 ○伏見委員 第1点目の慢性期、訪問介護等については、実は社会保障国民会議の推計 などを見てもあまり細かい推計がされてなくて、おそらく技術的に難しい面がたぶんあ るのだろうと考えています。この点については、先ほど少し説明しましたが、病気で、 特に慢性期についての数の推計はある程度できるということがわかりますので、それは 1つの参考情報としても当然用いるということになると思います。具体的にそれ以外、 例えば在宅の部分、訪問看護については、少し別の研究班で検討したことがあるのです が、どうしてもかなり幅が大きくなってしまうのです。その辺の前提をどこに置くかに よってかなり幅が大きくなってしまうので、非常に難しい面はおそらくあると思うので すが、全体の推計値の中での、もちろん影響がどの程度あるかというものも含めて、あ まり影響量が大きくない部分については、たぶん細かい推計をする時間はできないかと 思いますが、ある程度のボリュームがある、特に慢性期病棟、訪問看護などについて、 ある程度の人員の確保が必要だと想定される分については、先ほど申した一定の幅を持 った形で、例えば患者数がこのぐらいになったときにどの程度に増えるのかということ を基本的には患者数ベースで推計していきたいと検討しています。  2番目の制度変更については、例えば診療報酬の改定などでの人員基準の問題、ある いは急性期・慢性期、場合によってはさらに高度な急性期の部分など、制度としてそう いう話が出てくる可能性があると思いますが、そういうものも含めて医療機関の機能区 分はどう分かれているかということ、例えば急性期がどのぐらいに集約されるか、ある いはさらに高度な急性期がどの程度集約されるかという変数を入れるという形での検討 は進めていますので、その辺を制度変更の1つの要因として入れていきたいと思います。  もちろん診療報酬については、例えば7対1、5対1、さらに上にはいろいろあると思 いますが、それについては、例えば急性期全部7対1で推計するなどと、そういう乱暴 なことをする予定は考えていませんので、何らかの形で急性期の中でもある程度の階級 を分けたり、区分を分けたりして、制度変更の要因を反映させられる形で検討を考えて います。  3番目の勤務状況については、現在、例えば看護の基準、病院に配置している看護職 員の数、そもそも様々な労働基準に関する状況のデータをいま集計しているところでし て、それを基に、仮にすべてそういう基準、いろいろな勤務条件等の基準を満たした場 合に、どの程度要因が増えるかということを1つのファクターとして入れることができ ますので、そういう形で、ただ単に現状の看護師職員の数を基準にするわけではなくて、 そこに勤務状況が改善した場合、あるいはすべての基準を満たした場合、どの程度の余 剰が増えるかも含めて検討するという形で、いまデータを収集して分析を始めていると ころです。 ○尾形座長 菊池委員、よろしいですか。ほかにいかがですか。 ○遠藤委員 かなり検証可能な説得力のあるデータが出ると思うのですが、単なるアン ケート調査で集めているのと違って、それぞれ看護密度とかそういうのを考えて、パラ メータを作って、最終的に係数を出していくことになると思うのですが、それで必要な 患者数掛ける係数ということに最終的に集約されてくると思うのです。その場合の基の 数がすごく大事で、基の数が倍だと、係数を掛けると最終的な必要数が倍になってしま いますので、その辺を詰めるのが非常に大事だと思うのです。そこさえ詰められれば、 簡単に、要するに様々な思惑は全部とっ払って、日本における必要なナースの数は出て くると思いますので、是非、これを積極的に進めていくべきだと思うのです。  その場合、私はこの前も少しお話したのですが、ナースのレベルを全部均一と考えて 総数を出すのか、例えば訪問看護に携わるナース、診療所で外来を担当しているナース、 本当の急性期のICUで働くナース、慢性期またはホスピス関係で働くナースを全部均一 の質が要求されるのかどうか。均一な質が要求されるとすると、そこを最高レベルに持 っていかないといけないので、これはまた今度は看護教育という面からかなり大きな問 題が出てくるので、その看護のいくつかの階層別の数が出てくる研究方法、そういうも のも少し考えていただけたらと思います。 ○伏見委員 看護のレベルなり看護職員のレベルということで、非常に難しい課題だと 思います。今回の推計で直接的にどのレベルの看護職員がどの程度必要かということま では想定していないのですが、出てくるデータは医療機能区分別、例えば急性期、ある いは急性期の中でも非常に重篤な急性期と手術をたくさんやっている医療機関とそうで ない医療機関の急性期の形、医療機能区分別の需要という形で出てきますので、そこか ら逆にそれぞれの機能区分別にどの程度の看護職員が必要だという推計が出てきますか ら、そちらの方向から、では具体的に看護職員の技術水準としてはどの程度が必要かと いう形で推計していくという、ある意味逆の方向にはなるかと思いますが、そういう形 の参考の情報は得られるのではないかと考えています。 ○酒井委員 先ほどの菊池委員の質問と重複するところがあるかもしれませんが、また 具体的に教えていただきたいことがあって質問します。私の立場として、患者であると か家族の立場から伺いたいと思った点が1つありますので、お願いします。先ほどの急 性期におけるという数字の所では、なるほどと思うところがたくさんあったのですが、 先ほどの菊池委員ともお話がありましたが、慢性期、療養の病床は完全に減っているわ けですよね。例えば、家族の立場にしてみると、180日でも転院・転床させなければな らないという現状の中で、算定していくときに、それがどのようにこのまま減っていく のか増えていくのか、その診療報酬改革によってもこれは大きく変わってくると思うの ですが、それはどのぐらい見込まれているものか。極端に言うと、これはもっと減って いくと算定されているのか、それがもう少し増えていくと算定されていくのか、それに よって実際の看護の数はすごく大きく変わってくると予想されますが、患者および家族 にしてみれば大変不安な数字ですが、具体的にはどう算定されたらよろしいのですか。 ○伏見委員 非常に重要なポイントだと思います。療養病床がいくつになるかというこ とはこの研究の対象ではないので、おそらくどう考えるかと言いますと、私の分析は、 患者数あるいは患者の病態ベースの推計になるわけです。まだ予備的な検討しかやって ないわけですが、当然のことながらこれから高齢化が進みますから、長期患者、長期入 院患者、慢性期患者が絶対増え、先ほどきっと2.5倍という推計値を出したわけですが、 そこから私の場合は最初は病床のことを全部抜きにして、患者数ベースで、こういう病 態の患者がこのぐらいになる。仮に例えばこういう患者が療養病床に入ったら、このぐ らいの病床が必要で、そこに看護師がこのぐらい必要になるという数値を出していきま すので、その分については制度を一旦除外した形での推計が最初に出てくるという形に なるのですが、制度上どこにいるのか関係なく慢性期の患者がどのぐらいいるか、どの ぐらいの病床、患者数がいて、看護師が必要なのですと、そういう数値になってきます から、最初は制度を除外した形になっています。もしかすると、そこでかなり乖離が出 てくるかもしれません。それはある意味大きな問題だと思いますが、その乖離が出た段 階で、逆に仮に療養病床が本当に厚労省のという形で減った場合には、外れた部分をど うするかという形は、また1つの課題になると思いますが、制度の以前の段階でもある 意味生の形での推計値が出てくるのではないかと考えていますので、その時点でまた検 討する必要があるのではないかと思います。 ○上泉委員 患者の病態ベースの需要という点では、非常に興味深いものがあるし、こ れまでになかったものであると思います。その際に病態別に必要な看護職の数は、現在 の数が投影されていくものですか、それとも何かほかの算定の要素というか、そういっ たものが加わっていくのですか。先ほど菊池委員の労働環境の改善といった点が加わる ということですか。ほかに何かあるのですか。そこを教えていただきたいのですが。 ○伏見委員 基本のベースとなる数値は、おそらく現在の施設基準の数値になると思い ますので、その施設基準を厳密に満たした場合に、先ほどのいろいろな労働基準等の条 件を加味した上で、どの程度の数値になるという形の条件を入れていくことになると思 います。  急性期については、先ほどから言っていたように、現在の基準をそのまま外挿してい くということについては、おそらくあまり意味がない。逆にいろいろな変化が起こり得 る部分だと思いますので、その辺については条件分けした上で、例えば、極端な話の場 合によると5対1も含めて考えるとか、そういう話も出てくるのではないかと考えてい ます。  慢性期については、いろいろな条件設定は非常に難しい面があるのですが、いまの施 設基準で、かつそういう必要条件を十分満たしたというのをおそらく最低条件として考 えた上で推計を進めていくということと、もしかしたらそれでいくと、場合によっては 非常にものすごい数になってしまう可能性もあるのです、患者の数が非常に増えてきま すから。そのときに看護職員が見るべき部分はどこまでかという形は、ある程度伝統を 入れた上での推計は、もしかしたらいまはそういう必要になってくるのかという形のこ とは考えてはいるのですが、それについては、基本的には現状の基準をきちんと満たす ことが前提条件ではないかと考えています。 ○大久保委員 私も病態をベースにしてというのは、いまとても興味深くお聞きしたの ですが、いまの医療の現場では、高齢化で80歳、90歳でも大きな手術をされています。 その患者も慢性疾患をお持ちの方も多いです。慢性疾患を持ちながら手術をしていく、 その急性期に当たってどのようにいろいろなケースを考えておられるのか。その変化を 加味しながらというところが、看護職員の人数係数にどうつながるのかと感じましたの で、もしわかればお願いします。 ○伏見委員 少し難しい点もあるかと思いますが、急性期部分については、高齢化の要 因はどこまで入れるかはいまはまだ検討途中でして、例えばいまの急性期病院のDPC 病院などのデータを見てみますと、高齢化の要因と診療内容はそれほど大きな相関はあ まりないのです。ですから、高齢者は確かにごく一部、超高齢者の方が手術を受けたり、 非常に高度な治療を受けたりというのは現実にあるわけですが、全体的に見るとそもそ も急性期の患者は比較的若い人が多いので、それほど年齢の影響はあまり大きく出てこ ないのではないかという形、いまのところはそういう分析結果が出てきています。ただ、 もちろんそうは言いましても高齢化はさらに進むわけですから、その辺については、例 えば特に高齢者が手術を受ける場合、急性期治療を受ける場合についての影響度などに ついて、看護職員に対しても必要等に対する影響については、検討を進めていきたいと 思っています。 ○飯倉委員 いままでの意見と重複するかもしれませんが、長期推計を考えていく上で、 医療機能区分、そうしたところとの関係性をどう整理していくのかが非常に重要だと思 っており、患者ベースで図っていくところは、そのとおりというか、そういうことにな るだろうと思うのですが、当然、患者1人で療養するということにはならないわけで、 そうしますと、では在宅か施設かというところの中でどういう体制が必要かということ は、当然、併せて考えていかなければいけないということになるかと思いますので、い くつかの複数の前提条件とかそういったことが必要になるというお話もありましたが、 そうした急性期と慢性期、開放施設、在宅、そういったところでのそれぞれの状況を、 患者のベースでありながらも、患者が在宅で、看護施設等の中でどれだけのニーズがあ るのか、というところも連動させて検証をしていただく必要があるのではないかと思い ます。 ○高砂委員 在宅での看取りの推進という部分が、いま飯倉委員などがお話になってい たところかもしれないのですが、新たな変化に対する推計というか、その辺はどのよう にお考えであるのかをお伺いしたいと思います。 ○伏見委員 特に在宅についてもおそらくいろいろな変化は大きいと思いますので、繰 り返しになってしまいますが、患者数ベースの推計で、例えばそこから慢性期の患者の うちどのぐらいの割合の方が在宅に移行するかという形の推計は、別の研究報告などで いくつか出ていますので、そのような数値を参考にしながら、在宅、施設等の部分の需 要も含めて検討していきたいと考えています。 ○羽生田委員 3頁の真ん中から下に平均在院日数のお話があるのですが、平均在院日 数が約12日に短縮するという数字が、短縮するという仮定の数字ですが、いま現在も かなり短縮をされてきて、退院患者の要望、あるいは状況からして、すでにいっぱいで はないかという意見もかなりある。それとともに再入院とか、完全に治癒ではなく改善 した状態で退院をさせるという状況になってきているのですが、約12日というのは、 厚労省がそこまで持っていこうと考えているのか。短縮すればするほど、看護師、医師 にとっても非常に大変なわけですから、今後の推計値にもかなり影響のあるものだと思 うのですが、この辺は少し幅を持って推計をされていくということになるのですか。 ○伏見委員 これは非常に重要なポイントだと思います。12日という数値は別に特に大 きな根拠があるわけではないのですが、例えばアメリカは異常に短いというのは有名で すが、ヨーロッパの先進諸国、いろいろな国とのデータの国対比較研究などをやってい て、それで検討すると、ヨーロッパの国ですと8〜10日ぐらいという国が多いのです。 それと日本の現状の急性期病院、DPC病院ですが、15日になっていますので、ほぼそ の中間値程度までという形で12日ぐらいという形で置いた形の推計値で出しています。 ですから、特に大きな根拠があるわけではないのですが、おそらくその前提となる部分 については、例えば急性期病床の機能分化、あるいは急性期病床とそれ以降の病院の連 携状況、そういうものがきちんとできてくるということが、当然、前提条件になってく ると思いますので、これはあくまで数値が先にありきという話にはならないとは考えて います。現状においても在院日数は未だに短縮傾向にはあるというのが事実であります ので、それについてはある程度幅を持たせた上で、例えばそこを目標値という形で置く のではなくて、ある程度幅を持たせた上で、ここまで減った場合、あるいは現状とほぼ 同等な場合という形の幅を持たせた上での推計にしていくという形にしたいと考えてい ます。 ○羽生田委員 平均在院日数を減らすという急性病床が当然減ってくるわけですが、そ の場合には亜急性病床をかなり増加しないと、あとの後方ベッドが足りなくなる。後方 ベッドが確保されてなければ、急性期医療も回らないということがあるわけですから、 そういった推計のときに、急性期ベッドを減らす、あるいは在院日数の短縮とともに亜 急性ベッドが増えるという想定もしていかなければいけないのかと思いますが、どうで すか。 ○伏見委員 私もまさにそのとおりだと考えています。例えば、いま90万床のうちこ こに50万床で残り亜急性40万と書いてありますが、これが仮に急性期が40万に減っ た場合、おそらく亜急性期が50万あるいは60万という形に増えるのは当然のことだと 考えていますので、その部分も含めて推計をしたいと思います。 ○菊池委員 これは研究への質問や意見ということではなくて、需給見通しの長期推計 における供給はどう考えるかということについて、厚生労働省看護課でどのようにお考 えかということですが、中期見通しでは需要と供給を見通すということで一応予定をさ れています。いまご説明のあったのは、長期の必要数ということで、長期的なものの需 要の部分を推計していただくという話だったかと思うのですが、長期的な部分の供給の 見通しについては、それも必要ではないかと思います。必要となる看護職員と、供給が どうなるかを見て、そのギャップをどうやって対策的に対応していくかということが必 要になってくると思うのですが、そういう議論をする上で、長期の供給の見通しも必要 ではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えかをお聞きしたいと思います。 第1回の資料でも、供給に対して養成所の定員割れとか大学志向ということがデータか ら見て取れますので、そういう供給の1つの柱である養成という観点からも、ある程度 の供給の見通しもできる部分があるかと思うのですが、その辺について長期的なものに ついては、どのようにこの検討会で議論するのかについて、是非、そういうことをした ほうがいいという観点からの質問です。 ○尾形座長 これは伏見委員というよりは、むしろ看護課へのご質問と考えてよろしい ですか。それでは看護課でお願いします。 ○野村看護課長 供給については、おそらくデータとしてあるのが、18歳人口がどのよ うに変化したかというデータかと思います。養成数がどのように変わるかというのは、 なかなか長期見通しでは難しいと思っています。そこで中期的な見通し、今後5年間で 養成数がどのように変わっていくかは、ある程度把握はできるのではないかと思ってい ますので、供給の見通しは、長期推計というよりは、この5年間の中期の需給見通しの 中で押さえていくものではないかと考えているところです。 ○菊池委員 最初の回でご説明いただいた、もともとこの検討会が立ち上がる前の「看 護の質の向上と確保に関する検討会」の中間まとめの中で、「少子化による養成数の減少 などを踏まえた長期的な需給見通しを検討すべき」ということが前の中間取りまとめで 記載されており、その資料も前回の資料の中に入っていましたので、当面、中期的な供 給の見通しを立てると、それはそれでやるということなので、それは必要かと思うので すが、もう少し長期的な見通しも議論したほうがいいのではないかと思います。 ○野村看護課長 中期の需給見通しでは、需要と供給とそれぞれ5年程度ということに なるかと思っているのですが、長期の需要見通しの中では供給についても5年の供給の トレンドは延ばしていって、長期の需要のトレンドと供給のトレンドを見ていくことに なると思いますので、そういったあたりで供給をどのようにしていかなければならない のか、といった議論ができると思っています。 ○尾形座長 菊池委員、よろしいですか。ほかにご意見、ご質問はありますでしょうか。 よろしいですか。それでは伏見委員、本当にありがとうございました。本日、伏見委員 にご説明いただいた長期推計については、ただいまご意見が出たように、あるいはご説 明の中にありましたように、医療における機能分化、あるいは看護職員の必要数につい て、複数の前提条件を置いて、複数の場合を想定した幅のある推計ということでご提案 をいただいていますので、本日、委員の皆さまからいろいろなご意見あるいはご提案が 出されましたが、長期推計に反映できるものについては反映をしていただくということ で、引き続き伏見委員にはこの検討をお願いする。今年中にはご報告をお願いしたいと いうことですが、伏見委員、そういうことでよろしいですか。 ○羽生田委員 2025年を想定しての需要の見込みといいますかデータですが、今回の5 年間の第7次の需給見通しに生かせるデータというのも出てくるのですか。今回の5年 間の7次の需給見通しの中で、委員の2025年までの想定ですが、この直近の5年間と いうものがそのデータの中に生かせるものも少し入ってくるのですか。 ○伏見委員 人口構造の変化の予想は入れられるので、近い年次の形での推計値という 形では出していきます。ただ、もちろん非常に近い年次だから大きな制度変更はそれほ どは想定はできないと思いますが、できる範囲で、例えば患者数、人口構造の変化等に ついて、おそらく現状の制度を多少、それほど幅は大きくならないと思いますが、外挿 した形での推計値は出していこうと思います。 ○尾形座長 いずれにしても中期推計と長期推計とあるわけですから、相互にある程度 整合性が取れていなくてはまずいと思いますので、その辺について是非ご検討をよろし くお願いしたいと思います。それでは、よろしいですか。次の議事に入りたいと思いま す。資料2ですが、「第7次需給見通し策定に係る基本的な考え方(たたき台)」を提出 していただいていますので、事務局からご説明をお願いします。 ○野村看護課長 資料2をご準備ください。資料2で「基本的な考え方(たたき台)」で、 まず3点「基本方針」といったものを整理しています。基本方針の1点は、医療ニーズ の増大や看護の質の向上、こういったことが求められていることに鑑み、看護職員の就 業の現状、まずは現状を押さえるということと同時に、各施設での看護の質の向上や、 先ほど出てまいりました勤務環境の改善などを見込んだ場合の看護職員の必要数につい て把握する、といったことが1点基本的な考え方としてあると思います。  2点目が、実態を適切に把握するために、各施設に協力を得て、より精度の高い調査、 例えば回収率を高くする、空欄の回答を少なくするなど、そういったことに努める必要 があると。  3点目が、いまご議論のありました将来的な長期的な見通しと中期見通し、これの役 割分担と整合性を確保するといったこと。これが基本的な考え方としてあると思ってい ます。具体的に第7次の需給見通しについて、どういった整理で調査を行っていくのか ということが、6次と併せて、下の票に書いてあります。  まず1点目は、調査方法についてです。第6次では調査方法は、都道府県が医療計画 などを策定していて、医療提供体制について責任を有するということから、需要数・供 給数については都道府県ごとに調査をした上で積み上げをしていただいて、それを厚生 労働省が取りまとめるという方法をとりました。第7次についても、同様の方法を考え ております。ただし調査の方法について、施設からの協力が得られるような工夫にはど ういった工夫があるのか、といったことがあるかと思います。  2点目は、調査票についてです。第6次では調査票と記入要領が別々になっていたり、 具体例が示されていない等で書きにくい、といった指摘がありました。第7次につきま しては、その需要数の記入については算出方法を示す等、記入しやすい工夫をしたらど うかというようなこともあるかとは思っております。例えば順を追って記入するような 調査票にする等もあるかと思っています。  3点目は、調査票の記入者ですが、第6次は特に指定しておりませんでしたが、第7 次では指定してはどうかといったことです。また誰が記入をすべきなのかといった点も、 ご議論をいただければと思います。  4点目は、調査項目です。第6次は、非常に細かい調査項目でした。2枚めくります と、前回の第6次の調査項目を一覧表にしてあります。横の区分が病院であったり、有 床診療所であったり、どこを対象としたかというのが、1から6までに区分されていま す。そして、調査の項目は縦で示していますが、それぞれの調査対象によって、調査し た部分が異なっていました。病院が、いちばん全部に○が付いているという状況です。 これを基本的な情報、看護職員の就業状況、勤務条件、そして看護職の配置計画といっ たこと、養成状況も聞いていますが、この中で黄色のラインでマーカーをした所は※1 箇所ですが、需給見通し策定に直接関係があるのは、こういった部分だろうと。そして ここについては、数値のデータも取っています。ただピンクの所、※※の所ですが、こ れは策定に関連しているとは思われるのですが、人数を書くようにしていなかったとい う点もあります。  こういった第6次の調査をしましたが、これの反省に立ってというか、第7次につい てはどのようにするかというと、もう一度先ほどの所に戻っていただけますでしょうか。 非常に細かい、直接需給見通しの策定に影響のないような項目もありますので、施設か らの協力が得られるように、策定に直接関係のない調査項目を整理してはどうかといっ たこと。それから策定する上で、新たに第6次で調査しなかった項目で、こういった調 査をする必要があるのではないかといったことも、あるのではないかというように考え ています。  1頁の調査項目についての続きですが、看護の質の向上や勤務環境の改善など、どの 程度需要の見込みを考えるのかといった点は、幅があると思います。ここをどのように 考えるのかということです。  調査対象の期間については、下線部で引いた所が、第6次は全数調査、それ以外は既 存調査の活用または抽出調査でした。第7次もこの考え方、調査対象期間のほうは同じ でよろしいのではないか、というように考えています。  見通しの期間ですが、前回は5年間で、第7次も5年間としてはどうかということで す。非常勤職員の取扱いで、前回も常勤換算を、週日にいま把握しておりますが、これ については第7次も同様としてはどうかというところがあります。ただ前回もご説明し ましたように、常勤換算にかなりさまざまなばらつきがあったと。入れたり入れなかっ たり、十分入っているかどうかは、不明な部分もずいぶんあったようです。常勤換算に ついては把握方法、工夫が必要ではないかと思いますが、考え方としては同じではどう かというところです。  推計方法ですが、前回は特に示していなかったわけですが、第7次では未提出の辺り につきましては推計をどのようにするかなど、具体的な方法を示したらどうかといった ことがあります。そして医療計画等ですが、第6次のときも医療計画に基づく基準病床 数の過不足を考慮しました。第7次はこれに加えて、医療計画や医療費適正化計画との 整合性を持たせる事項をどうするかといったことも、ご検討いただければと思います。 たたき台の説明は、以上です。 ○尾形座長 ありがとうございました。今回は調査を1年前倒しで行いたいということ で、調査票のあり方について基本的な考え方、たたき台という形で、第6次の見通しの 経験を踏まえまして、事務局のほうから改善案、あるいは検討の方向を示していただい たものです。皆様からのご意見、ご質問をお受けしたいと思います。 ○笹井委員 調査を実施する自治体という立場で、意見を申し上げたいと思います。前 回のときもそうだったのですが、やはり調査内容が非常に多岐にわたっていまして、回 収率が非常に低い所もあったと聞いておりますので、できるだけスリムにしていただい て、回収率が高くなる項目に絞り込んだらどうかと思います。  特に今回は調査期間が非常にタイトなもので、そのようにしたほうが回収率も上がっ て、精度の高い結果になるのかなと思います。  もう1点は、看護の質の向上、勤務環境の改善という部分ですが、いわゆる30時間 の正規職員の制度とか、かなり正規職員でも労働時間を少しバリエーションを持たせた り、いろいろな取組みが特に病院等では進んできていますので、やはり全部を押し並べ て常勤換算というよりも、例えば40時間の人がどれぐらいでとか、30時間がどれぐら いでとか、少しその辺りを丁寧に調べたほうがいいのかなと思います。それで結局、そ ういう短時間正職員制度というのが現場で評価されているということであれば、そうい う制度が伸びていくと思いますので、現在の実態をこの際、きちっと把握したほうがい いと思います。  もう1点質問ですが、確かに都道府県は医療計画、あるいは医療費適正化計画という ものを作っています。たたき台の最後の2頁のいちばん下ですが、医療計画、あるいは 医療費適正化計画とをリンクされるという、何かお考えがあるのでしょうか。少しこの 部分がよくわからないのですが。 ○間企画官 最後の質問の点について、答えさせていただきます。これはまさしく具体 的に調整すべき項目があるかというのを、お尋ねしたいわけです。  例えば医療費適正化計画の関係でいくと、療養所などの関係もありますので、そこの 影響があり得るということなのだろうと思っています。それは前回の6次のときにも医 療計画の関係で、基準病床数との関係を考慮してくださいというお願いをしていまして、 それをどこまで考慮したかというのは、実際によって違うかもしれませんが、今回の場 合もそういう病床をガッと増やしますよというようなことを前提とした計画を出された、 要するに病床過剰地域でそのようなものを出されたときに、それをどれだけ見込むのか、 見込まないのかという整理が必要だということを考えて、こういうものを入れておりま す。ただそれは、どこまで考慮をすべきなのかというのは、検討会でのご議論を踏まえ て検討させていただきたいと思っております。 ○笹井委員 医療計画で、例えば病床不足地域というのは、病床を増やすのか、医療機 関をもっと整備するのかというのは書いてあると思うのですが、そこは各県によってだ いぶ書き様が違っているのです。  例えば今年ぐらいに病院の統廃合、あるいは病院の病床の純増が見込まれている場合 には、きっと医療計画にはそこまで書き込んでいる所もあると思うので、それは反映で きると思います。ただ、医療費適正化計画、いわゆる療養病床への転換というのは、私 が所管している大阪府の話でいけば、これは介護報酬や診療報酬に全部リンクして動く 話ですので、現時点で転換意思をはっきりされている所はそれを見込めばいいのですが、 介護報酬、診療報酬がどう変化するかによって、非常に影響を受けますので、ちょっと見 込むのは難しいかなという感じがするのです。  少なくとも大阪府の医療機関では、医療型の療養病床から介護型、あるいは介護型の 老健に転換していこうというようには、いまの時点ではまだ態度を保留されているとこ ろが多い。私が知っている限りではそうなのです。そこはどういう方法で反映させるか というのは、もう少し、例えばもう現時点で移行表明されている所のみを反映させると か、少しきちんとしないと、各県によってかなりばらばらな判断になってくると思いま す。 ○尾形座長 事務局、いまのはよろしいですか。 ○間企画官 まさしくそういうことがあろうかと思ってお伺いしているわけでして、他 方難しいのは、全体としての方向感は持っておられるのでしょうが、どこの病院がどう なるというのは、いま笹井委員がおっしゃいましたように、決まっている所はいいとし て、まだ方向感が出ていない所は、どこの病院から出てきた報告、看護師について調整 すべきなのかというのは、なかなか実際の立場から決めがたい部分もあるのだろうとい うことは、実は想定をしています。ただその一方で、全体との整合性というのはどの辺 まであるべきなのか。例えばいま笹井委員がおっしゃいましたのは見込みがもうついて いる所、はっきりさせている所、そこだけまずはっきり反映させたらどうかというご意 見だと承りましたが、それについて是非ご議論をいただきたい。ほかの委員のご意見も お伺いしたいと思っているところです。 ○斎藤様(北澤委員代理) 調査票の簡略化というか、項目を少なくするということに ついては、大阪府さんと同じような意見を持っています。この調査において何がいちば ん大切かというと、実態をつぶさに把握することだと思っています。それは取りも直さ ず、回収率を上げることなのだと思います。  現実的に回答する側の立場を考えた場合に、ある程度の調査項目数を少なくするとい うようなことで、回収率を高めるということにもつながるだろうと思っているものです から、目的に沿った数をお願いできればと思っています。 それから調査をする側の立場として、たぶん他県さんもそうだと思うのですが、今回の 調査は、平成22年度を想定していたと思うのです。そういう意味では突発的な調査と いうように私どもは受けとめております。従って、準備がかなりタイトになってくると 思うので、調査項目の検討、あるいは回収した回答の精査なりチェック、こういう部分 はなるべく少ないほうがいいのだろうと思っているものですから、必要最少限の調査項 目でしていただければ、ありがたいと思っています。  需要数の見込みについては、本当に難しいと思っています。今日の資料の中にも書い てありますが、質の向上、あるいは環境の改善をどう見込むかが本当に問題なのだと思 います。例えば超勤が0、あるいは年次休暇を100%取得するというような前提での推 計ということだと、かなり需要数というのは多く見込まれ、現場の実態とかなり違いが 出てきてしまうのではないかなと思っています。実際、今度の私の所の6月議会で、助 産師さんについて数が足りないとのご指摘がありました。  実は私の所の需給見通しでも不足気味に推移するというような見通しにはなっている のですが、「不足気味なんていうのはとんでもない。大幅に少ないではないか」というよ うなご指摘でした。どうも詳細はわからないのですが、望ましい勤務形態というものを ベースにした場合には、絶対的に足りないという状況のようですそういう意味で、何が 現実にあった需要数かというのは大変難しいと思いますが、理想的に望ましい数字を出 したとして、診療報酬や病院経営上の問題からどの程度採用できるのかというような現 実の問題があるかと思います。大変無責任な言い方ではありますが、現実的な需要数の 見込み数ができるような設計をしていただければ、ありがたいなと思っています。  もう1点、推計の精度の関係です。当初に申し上げましたように、回収率を上げるこ とが非常に大切だと思っていますし、私どもも努力はするつもりではおりますが、合理 的な推計手法について、なるべく早い時期にお示ししていただければありがたいと思っ ています。以上です。 ○尾形座長 何か事務局のほうで、いまの時点で意見はありますか。 ○間企画官 この件、今回の調査でも大変ご苦労をいただく医療機関の皆様方、あるい は現場の各施設の皆様方にご協力を得られやすくするということが、大事だと思ってお りまして、それが故に基本方針でも協力を得て、より精度の高い調査の実施に努めると いうのはいかがだろうかというご提案を申し上げたわけです。その中で回収率を上げる という意味では、今回いかがでしょうかとお伺いしているのは、やはり調査のやり方に ついて工夫が必要だということです。  先ほど課長からご説明を申し上げましたが、資料2の1頁でいうと、例えば調査票に ついては、前回大久保委員からのご提言の中にも、調査票自体が非常に書きにくいとい うお話がありました。私どもはまた自治体のほうに一部お伺いをしておりますと、今回 調査をしていくには短期間で準備をしなければいけないということ、それから各施設の 協力を得られるようにしなければいけないという意味で、調査票を流れの中で全部記載 要領などもずっと読んでいけばいい。いろいろな資料をあちこち読まなくてもいいよう にしてほしいと。あるいはもっと国から示されたものに各県の名前を入れて送ればいい ぐらいのものを作ってもらえたらありがたい、このようなお話もありました。そういっ たような工夫がいるのかなと思いまして、調査票についてそのようなことを書かせてい ただきました。  調査項目にしても同様で、いまご意見がありましたが、いろいろ聞きたいという思い がある一方で、いろいろ聞くだけ聞くのですと、結局書きたくなくなってしまうと。こ れでは本末転倒ですので、少し整理が要るのではないかと考えているところです。  先ほど現実的なというお話もありましたが、いまの資料の2の2頁のいちばん上の所 をご覧いただきますと、先ほど課長が説明した看護の質の向上や勤務環境の改善など、 需要数の見込み方はどのように考えるのかというようにお尋ねしています。6次のとき には、例えば有給休暇の取得については、基本的には100%取得することを前提に記入 していただくということでして、それが例えば取得率が4割だったときに、一気に100% にいくのだということがどうなのだろうということは、ご意見としてはあるだろうと。 他方理想は理想として目指すべきだというご意見もあるので、その辺はどの程度まで見 込むべきなのか。それを一本で見込むべきなのか、幅があっていいものなのか、その辺 も実はご議論をいただきたいと考えていたところです。  その上で、やはり6次の見通しはいろいろな要素をできるだけ理想的にしていこうと いう形で積んであるわけでして、その実態との乖離というか、どの程度開きがあるのか というのが見えにくいことがあります。そこで1頁に戻っていただきますと、資料の2 の基本方針の最初の○の所で、看護職員の就業の現状と。と同時に、ではどういうファ クターでどれぐらい積んだら何人ぐらい必要になってくるのかというのが見えるような 形になると、いろいろな議論がしやすいのかなということを考えておりまして、そうい う工夫が今回できないかなということも考えています。ただ、それをどういう形にどこ までやったらいいかという点については、是非先生方のご意見、お知恵をいただきたい と考えているところです。 ○尾形座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明も踏まえて、ほかにご 意見はないでしょうか。 ○遠藤委員 質問ですが、前回のはどういう方法でこちら側から都道府県を通して情報 を流して、それを受けた都道府県は、どういう方法で今度は各病院にそれを送って、回 収したのでしょうか。 ○木村補佐 基本的には調査票をこちらで作りまして、策定の方針と具体的な調査票、 それを県のほうに送りました。その後県では一応既存の委員会も含めまして検討会を設 けてくださいというお願いをしています。検討会の中で、さらにうちの調査に加えて調 査するものについては加えてもらって、それで県から医療機関、各施設に配っていると。 それを基にまた県のほうに回収しているというような状況になります。 ○遠藤委員 それで医療機関のほうが記入の方法について迷った場合には、その問合せ 先はどこになっていたのでしょうか。 ○木村補佐 基本的には、都道府県になっています。都道府県でわからないものについ ては、厚生労働省のほうに、こちらのほうは聞かれているという状況です。 ○遠藤委員 たぶんその方法だと、回収率は極めて悪いと思います。  まず例えば県で、私はさいたま市で県の悪口になってしまうと困るのですが、はっき り言ってやる気は全くないのです。今度の総務省の公的病院改革プランの策定でも、市 のほうは必死になってやるのですが、県は何だか全然話が通じない。それで緊急開設者 協議会とかを開いて、そこで具体的にやっても、県立という所は、いつも何だかよくわ からないのです。  それで、ではこのように決めてこのようにやっていいかなと言うと、そこに出ている 出席の人は「いいです」と言ったのですが、後日県のほうからこう言われたので、ここ の表現方法をもっと柔らかくしていただけませんかとかって、もう会議は終わっている のに、報告書を上げる段階で、そのような変更を頼んでくるというように、なかなか県 には県の思惑があって、あまり看護需要が多くなってしまうと、必ず予算を組むときに 予算がすごく膨大になってくるのをどうするか、議会対策をどうするかというのがすぐ こちらにきてしまって、だから正確な数は出てこないので、出すとしても県でさらに検 討を加えて、何とかというのは一切省いてしまって、もうそのままストレートに県は通 過するだけにして、各医療施設に、ただ出してもらうと。各施設で記入に困ったら、厚 生労働省に直接問い合わせてもらって、具体的に説明して、県は来たものをただ回収し て、こちらに戻してくるだけというような形にしないと、回収率は上がらないと思いま す。 ○斎藤様(北澤委員代理) 何か変な方向に行ってしまったのですが、すみません。別 にそれを非難するわけではないのですが、現実をちょっとお話しただけです。 ○遠藤委員 言い訳も含めましてですが、回収率を上げるための努力というのは、相当 しています。県のほうから病院なり施設のほうに送らせていただきますが、回収期限ま でに回答がない所については、それはそれなりに出してくださいという督促は当然やっ ていますし、その結果が、たぶん全国的には7割超ぐらいの回収率だったかと思うので すが、そういう結果になっているのだなと思います。ただ、それでもやはり残り3割ぐ らいは回答がないという現実もあるもので、最初に申し上げたように、回収率を高める ことが、やはり大変重要なのではないかというのを申し上げさせていただきます。 ○斎藤様(北澤委員代理) 一般的にアンケート調査というのは、回答率は60%です。 それを100%に上げるというのは、ちょっと相当の指導力が必要になりますね。 ○浅野委員 ちょっとわからないので質問します。そうすると、第6次の調査票を記入 する者を指定していなかったということは、回収率が悪くなるからというようなところ でしょうか。そこら辺のところにちょっと、なぜ指定していなかったのかというところ を、お聞かせいただきたいということ。  笹井委員の意見に私も賛成ですが、三友堂病院は、昨年から短時間正職員制度を導入 しております。フルは40時間、その半分の20時間以上を正職員ということで、非常勤 の職員ももちろんいますが、それを切り替えるというところの制度も行いました。やは り将来的な見通しのところでは、職員の定着を考えますと、短時間が効果的かなと。今 後どういったところで評価していくかというところが重点項目になっていくのですが、 ここをもう少し切り分けて、非常勤がどのくらい、短時間、正職員はどのぐらいという ところで、もう少しここら辺は詳しく調査をしていただきたいなと思います。 ○尾形座長 ありがとうございました。前半は質問かと思いますが、事務局のほうで答 えられますか。 ○間企画官 なぜその調査票の記入者を指定していなかったのかということですが、も う一度過去の議論を調べる必要はあると思いますが、特にこの点について議論があって、 意図的に何かこうしたということではなかったのだろうと思うのです。然るべき方がご 記入ください、ということではなかったかなと思います。ただ今回に関しましては、前 回の検討会におきましてもある種の現場の実感が反映されたものになっているのかどう かと、どうやったらより実態がわかるのかというお話がありまして、その場合には、そ れは病院長が書くのがいいのか、看護部長さんが書くのがいいのか、その辺りをある程 度指定したほうがいいのかどうかというご議論をしていただきたくて、今回このように あえてテーマとしてご提示したということです。前回は特には、たしか議論はなかった と思います。 ○遠藤委員 誰を記入者にするかというのに関しては、やはり院長がいちばんいいと思 います。もちろん院長に書けということは、看護部長と相談しないと院長は書けません から、必ず相談することになると思うのですが、そういう記入者が決まっていれば、今 度はアンケートの返事を出さなかったときに自分の責任になりますから、それはかなり 書くと思います。 ○酒井委員 もしそれを看護師長が責任を持って書くという場合と病院長が書く場合と、 差は出てくるのでしょうか。想定されますか。 ○遠藤委員 前回の調査項目を拝見してみると、今回またこれが配られると、少なくと も自治体病院は、看護師の必要数が全く変わらないです。というのは、もうギッチギチ に決まっていて、変えようがないのです。もうガバナーから言ってくるとおり、予算は これだけですから人数はこれだけ、総務省からの総定員数で、ポジション数は増やせま せん。何は何です、労働組合があって二八で何とか決まってますって言ってくると、も う全くいまの数以上のことは何も書けないです。だけどここの中で、将来の需求環境改 善などを見込んだ、要するに希望数に近いです。そういうものというのは、院長ぐらい の当事者能力がないと、その枠が決められないのです。看護部長の範囲内では、そこま でいけませんので、院長だったら、予算なんかは俺が何とかするから、ここのところを もうちょっと増やしておけというように言えるのですが、看護部長のレベルだとできな い。  また看護師さんの悪口になるといけないのですが、院長が「いいよ、好きなように書 いておけ」と言うと、ものすごく膨らんできますから。もう現場はもっと理想的に求め ていますから。もうナースは常に正義の味方なので、患者さんのためには絶対これだけ 必要という数を出してくるので、びっくりするぐらい出てきます。そこはまた院長がち ょっとという抑制をかけたりして、最終的に調整した数を出さなくてはいけないので、 やはり院長かなと思います。 ○酒井委員 でも、本当に必要な数が出てきたほうがいいのではないですかね。 ○遠藤委員 本当に必要な数は、先ほどの伏見先生の研究で出ますから。それはたぶん、 出たら大変なことになりますよ。今度はこれだけでギッチリやったら、ほとんど数が変 わらない。それなので私はこれをやって、ほとんど変わらない数を出すのと同時に、今 度は理想的にはどうですかというアンケート項目をここに付け加えて、全く縛られない で本当にいい看護をしようと思ったら、看護師さんは何人要りますかという項目を作っ て、それは参考値として出すようにして、その3つのデータを比べてみて、そこからあ とは阿吽の呼吸で、需求数を出すしかないと思います。 ○酒井委員 でも全く変わらない数字が出てくるのだったら、このアンケートは必要な くなってしまいますね。 ○遠藤委員 いえ、民間病院とかそういうものもありますから。私は自治体、協議会の ものなので、自治体の知識で言っているのです。もっと民間とかはダイナミックに動き ますので、また違ってくると思います。 ○上泉委員 私は前回の6次の需給計画の際に、青森県の検討委員会のメンバーにもな りました。その際にたしかおっしゃるように提出しなかった例ですとか、あるいは提出 していてもその内容が少し曖昧で、何度も電話をかけ直すという努力をされて、県の担 当官の方は非常に一生懸命頑張って、全数の数を集める努力をされている。それと同時 に、誰が書くかということにも関係してきますが、多くの場合私の聞いたところでは、 看護部長さんが事務局長さん、あるいは院長先生たちと相談の上、病院の方針としての 数を書いていくと。ただ希望数となると少し多い所もあったでしょうが、その際にこれ から将来の5年間をどのように採用を計画していくかということも一緒に話し合う、そ れがすごく大事なことでした、というようにおっしゃっていましたので、もうガチガチ で数が確定していてどうにもならなかったというわけではなく、例えば調査項目の中に ある専門性の高い看護師の配置等、そういったところではかなり計画的に配置数を書い たということも聞いておりました。項目としては大変多くて皆さんいろいろ苦労された かと思います。そしてまた誰が書くかというところについては、やはり看護部の長が責 任を持って、もちろん病院の方たちと相談をして書くというのが、私は必要ではないか なと思います。  ですが、そこはいちばん苦労されたところで、希望数を書くのか、もしくは本当に現 実的な数を書くのか。その現実的なということになると、例えば自治体なんかではそん なことは会議でも決まってないのに、書けないということもあったようですが、相談の 上これからどのように交渉していくかということも含めて、書いてくださっていたとい うのもあります。以上です。 ○尾形座長 ありがとうございました。菊池委員どうぞ。 ○菊池委員 記入者につきましては、いま上泉委員がおっしゃったように、やはり看護 の実態をいちばん病院の中で知っている看護管理者が基本的には書いて、将来の見通し を立てるときには、やはり経営の全体の方針があると思いますので、その辺は院長と相 談をしながら書くというような、そういう記入者の決め方がいいのではないかと思いま す。  それで、この調査をもっと回答しやすくする、それから人によって回答が、同じこと を聞いても中身がぶれないようにする工夫は必要だと思います。それを前提にして、こ の調査結果をいまは都道府県が需給見通しを立てることのために一応出していただくと いう話になっていますが、現場の人が忙しい中でエネルギーを注いで書く調査票ですか ら、この実態を把握するという部分もあると思いますので、それについてはそのデータ そのものが厚生労働省のほうまで上がってくるようにしたほうがいいのではないかと思 います。この前のときには、本当に需要と供給の見通しのところだけが上がってきて、 調査の中身については全然上がってきていなかったということはあります。やはりその データは貴重なものだと思うので、国でも利用できるようなものにしてはどうかなと思 います。  調査項目の細かい点ですが、例えば先ほど専門性の高い看護師の配置というのを、こ の前はこういう聞き方をしているのですが、できるだけぶれない回答と考えたときには、 例えば今回はここの所を専門看護師、認定看護師というように、人数がはっきり数えら れるような単位で記入するようにするとか、そういう工夫がそれぞれの調査の項目につ いては、必要かなというように思います。 ○大久保委員 記入者に関してですが、いろいろな病院の形態があると思いますが、院 長にはやはりアンケートの依頼文があって、そして実際に書き込むのは看護部長のほう が、いちばん即しているかなと思います。院長に直接行った場合は事務系に回る可能性 がありますので、一般的な病院では、そうかなというように感じました。  もう1つナースの現状把握に関しては、県別のデータが必要なのでしょうか。もしそ うでなかったら、県を通せば先ほどお話のあった、いろいろなバイヤスやフィルターが かかったりしますので、直接こちらのほうに一括して郵送なり何かで返ってくる直接的 なものがいいかなと思います。  もう1つは、日本看護協会さんもいろいろデータをお持ちですので、それと重複しな いようなデータの取り方もいいと思います。全部でなくて無作為選出法での取り方も、 1つの手ではないかなと感じております。5年先というのは、なかなか現場では見にく いものです。退職率の上昇にストップがかかるか、かからないかというのは、こう改革 したからこのようにたぶん大丈夫だろうというのは何となくわかり、3年までは見える のですが、5年先はちょっと掴めにくいと思います。そこら辺の聞き方の工夫が、必要 かなというように感じました。以上です。 ○飯倉委員 すみません、重複するかもしれませんが、第6次の見通しの総括というか 検証を、厚生労働省としてするべきではないかと思っています。  この間のご意見にもありましたように、実際に調査票を送ったときの目的と、実際に 調査票を県を通じて受け取った医療機関側が、どういう場合に調査の回答をしたのかと いうことについて、予算、定員の問題だとか、目指すべき患者から求められる医療と、 現状の看護職員の体制という中で、ある程度現実的な判断をして書いてきた所もあれば、 本来はこうあるべきだということで書いてきたところもあるというような意見も前回の 中でもあったと思います。そういったところのバイアスがどのぐらいかかっていたのか というところも、ちゃんとまず厚生労働省として検証した上で、したがって具体的な第 7次見通しの対応についてはどうするのか。次期対応の中でそういったところも踏まえ て、調査をしていくということであれば、またそれはそれで議論だというように思いま すが、一遍そうした6次需給見通しの検証といったところについて、厚生労働省として 一定の何かアクションを起こす必要があるような気がするのですが、その辺はお考えが あれば、教えていただきたいと思います。 ○尾形座長 いままでの意見も踏まえて、いまの時点で事務局のほうからコメントがあ ればお願いします。 ○間企画官 いくつもご意見をいただいたわけですが、できるだけご意見を踏まえた形 で整理をしていきたいと思います。  1つ、先ほど大久保委員のご意見の中で、国が直接やったらどうかというお話があり ました。サンプリングでいいというのであれば、それも1つのやり方なのだろうとは思 います。ただ、いまの看護需要の見通しも、先ほど来、県の立場から、あるいは上泉委 員の話にもありましたが、かなり県担当者が努力をして、やっと回収率をここまで上げ ているというものなので、国から送ったから回収率が上がるというものでももちろんな いのでしょうし、無作為抽出にするにしても、どこの県、どの地域の病院をどれだけや るのかというのは、かなり地域差みたいなものを考える上で、そういう調査で本当にい いのかという議論は、1つあると思います。  それ以上に、都道府県におかれても医療計画は作成されていて、ドクターだけではな くて、看護師を初めとするコメディカルな人たちの供給、需給の話も当然議論になるわ けでございますので、都道府県にとっても非常に基礎的な資料なのではないかなと思い ます。その意味で、都道府県別のデータというのは国も必要ですが、都道府県において も必要なデータではないかというように、私どもは考えているところです。  いま飯倉委員がおっしゃいました総括をすべきだという話ですが、全部尽きて網羅的 に調べてということではありませんが、今回改善しようとしている点は、これまで都道 府県、あるいは間接的かもしれませんが、医療機関からお伺いしたさまざまな問題点、 それから前回の検討会でも出していただいた問題点を少しでも改善して、より精度の高 いものにしていくために、こういう工夫が要るのではないかという整理をしているもの でして、本日いただいたご意見を踏まえて、具体的な調査票の形でさらに委員の方々に ご議論をいただいて、たたいていいものにしていただきたいと思っているところです。 ○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。 ○菊池委員 基本方針の3つ目に書いてある中期の県に協力してもらってやる推計と、 先ほどの長期推計とで、役割分担をしつつ整合性を確保するというようになっています。 それでこれを具体的にどう役割分担するのかというのは、ちょっとまだイメージが湧か ないのです。  先ほどの長期の研究の2頁で、全国的なレベルの推計をして、そのあと何か都道府県 や2次医療圏の地域レベルでの推計を行うということも考えていらっしゃるということ ですので、都道府県レベルでも推計をするということですと、今回仮に5年後の需給見 通しが中期で出てきた都道府県の推計を、例えば5年後の部分で違いを検証したりする のか、どのように役割分担を考えるのかというのが、ちょっとイメージできないのです が、その辺は何かある程度お考えの部分があったら、少し説明していただければと思い ます。 ○尾形座長 これは事務局にお答えいただいたほうが、いいと思います。 ○間企画官 この点については、いまの時点でバチッとこうであるということを申し上 げるのはなかなか難しいと思います。それぞれ検討が進んだ段階で、さらに全体でご議 論をいただきたいとは思っています。  先ほどからお話が出ていますように、伏見委員のご研究のほうも相当各委員のご期待 も高いわけです。そして中期推計を出していく中で、全然何か方向感が違うものでは大 変具合が悪いということで、整合性を確保すると申し上げたところです。  例えば社会保障国民会議の推計の中では、看護師の配置基準を特に急性期を中心に大 幅に上げるという中で、一定の勤務環境の改善が図られる、そこにインクルードしてい くような考え方で、あそこはできております。細かく有休がどうだったらこうだとか、 産休がどうだということを、そんなに詳細まで推計しているわけではありません。ただ 委員の方々にはご案内のように、病院によっても違うでしょうが、例えば7対1看護を 取った所では、いままでよりは休みが取れるようになったという話もあるようですので、 実はその配置を厚くしていくということと、勤務環境の改善と一定のリンケージがある ことというように思っています。  今回中期のほうにおきましては、基本方針の1番目にありますように、現状と一定の 改善を図っていった場合に、どうなるかということを両方出すと。しかもたぶんやり方 を丁寧にやれば、配置をこのようにしたい。それで何人増とか、1級をもっと採ってい ただきたいと、それで何人増とかいうような計算の仕方も、うまくやれば出るかもしれ ません。そういうものをやっていきますと、最終的、あるいは伏見委員のご研究のほう での関係、インタラクティブの双方向で調整できる要素も、あるいはあるのかなと思い ます。ただ現段階で、この項目はこうですよと、このようにやったらというものはある わけではありませんので、今後整合性を保たなければいけないというように考えている と、現時点ではご理解いただければと思います。今後の議論だということだと思います。 ○尾形座長 よろしいでしょうか。 ○大熊委員 この調査では、伏見委員の研究では出てこないことが出てきたほうが面白 いと思うのですが、一つひとつの現場に根差してこれは出てくるので、数字というのを 何か無味乾燥で本当かどうかわからないようなものだけではなくて、よくいろいろなア ンケート調査では自由記載欄というのがあって、それを集めていくことでわからなかっ たことが浮かび上がるということがしばしばあるように思いますので、整理する上では 面倒ですが、そういうことについて、日頃考えていることや意見を書いてほしいという ようにされたらどうかなと思うのですが、どうでしょうか。 ○尾形座長 ほかによろしいでしょうか。 ○笹井委員 調査票の設計のときにまたお願いしたいのは、1つは離職率を下げるのに はどうしたらいいのかというところが、我々も非常にわからなくて、各病院のいろいろ な努力があるのだろうと思うのです。何か今回の調査でヒントが得られるようなものが できればな、と思います。  と言いますのは、これだけ人口が減り出すと、新しい人の供給というのはちょっと難 しくなるのかなと。ですから、せっかく免許を持たれた方がずっと働けるように、そう いうところをきちんとやっていく必要があると思っています。 ○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、そろそろまとめに入りたいと思 います。今日は、事務局から示された基本的な考え方、たたき台を踏まえまして、皆様 から活発にご意見、ご質問等をいただきました。今回の議論を踏まえまして、具体的な 調査票の検討に入っていただきたいと思います。ほかにご意見、ご質問等がなければ、 若干早いですが、本日の審議は、これにて終了したいと思います。事務局から、次回の 議事等について、ご説明をお願いします。 ○野村看護課長 次回の日程ですが、7月10日(金曜日)の10時から開催したいと思 っております。場所につきましては、追ってご連絡を差し上げます。  次回の議事につきましては、ただいまの座長のご指示を踏まえまして、事務局として 需給見通しの策定方針と調査票を提示します。そしてご議論をいただければと考えてお ります。 ○尾形座長 それでは、これをもちまして第2回の検討会を閉会としたいと思います。 どうもご協力ありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省医政局看護課 代表 03-5253-1111 茂田(4166)、若林(2597)