09/06/18 第21回未承認薬使用問題検討会議 速記録 第21回未承認薬使用問題検討会議議事録  日  時:平成21年6月18日(木)13:57〜15:34  場  所:はあといん乃木坂 413号室  出席委員:堀田委員、井上委員、岩砂委員、大津委員、大塚委員、川西委員、       久保委員、後藤委員、佐川委員、浜田委員、樋口委員、藤原(久)委員、       藤原(康)委員 ○審査管理課長  それでは、ただ今から第21回の未承認薬使用問題検討会議を開催させていただきます。  議事に入ります前に、本日の構成員の先生方の出欠状況についてご報告申し上げます。 本日は、13名の構成員の方にご出席いただいて、全員にご出席いただいております。  それから、本日ご議論をお願いします個別品目の検討に当たりまして、東京女子医科大 学病院血液内科准教授の寺村先生にご参加いただいていることをご報告申し上げます。  それでは、座長の堀田先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○堀田座長  それでは、ただ今から始めます。  まず最初に、事務局から本日の配布資料の確認を行ってください。 ○事務局  お手元のところの資料につきましてお話をさせていただきます。  本日の配布資料につきまして、議事次第及び座席表及び資料1「前回検討会議での結論 に基づきワーキンググループで検討が行われた未承認薬」、資料2−1「ワーキンググル ープ検討結果報告書(プレリキサフォル)」、前回もお配りした添付文書を準備しており ます。資料2−2「ワーキンググループ専門家リスト」、資料3「平成21年2月〜4月に 欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医薬品(類型I)」、資料4「平成21年3 月〜5月に提出された早期承認に係る要望書一覧」、資料5「「未承認薬使用問題検討会 議」での検討結果等について」、また、参考資料として、参考資料1、開催要綱です。参 考資料2、構成員名簿、参考資料3、対象医薬品の類型、参考資料4「未承認薬を治験対 象とする場合の考え方」、参考資料5「ワーキンググループの設置について」、参考資料 6「未承認薬使用問題検討会議での検討状況」、当日配布資料といたしまして参考資料7 「医療上の必要性が高い未承認の医薬品又は適応の開発の要望に関する意見募集につい て」を配布しております。参考資料7につきましては、会議の最後に説明をさせていただ きます。  その他、構成員の先生方の机上に、本日の資料3に出てくる6品目の医薬品の欧米添付 文書につきまして、英文で恐縮ですが、コピーを置かせていただいております。ページ数 も多く、かつ英文ですが、傍聴されている方々の中でこの資料をご希望される方は、恐縮 ですが、会議終了後、事務局までお声をおかけください。また、本日検討するプレリキサ フォルについて、資料2−1のワーキンググループ報告書の添付資料を先生方の机上に置 いております。数に限りがありますが、傍聴の方でご所望の方は、同じく事務局までお声 をおかけください。  配布資料につきましては以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。  それでは、資料の欠落等がありましたらお申出いただきたいと思います。  なお、発言される方は、今日、マイクは手元にありますので、それを用いて発言してい ただきたいと思います。  それでは、本日の具体的な議事に入りたいので、よろしいでしょうか。  それでは、前回検討会でワーキンググループで検討を行うべきとされた医薬品について 検討したいと思います。  事務局から、資料1について説明をお願いします。 ○事務局  お手元の資料1についてご説明を申し上げます。  医薬品名はプレリキサフォル、販売名はMOZOBIL、前回、第20回検討会におきまして、昨 年12月から本年2月に欧米で新たに承認された医薬品(類型I)として紹介した品目でご ざいます。ワーキンググループで検討を行った上、報告することとされました。  学会、患者会からの要望はなし。米国で承認を取得しているジェンザイム社によると、 国内では年内に治験届を提出予定として準備を進めていると聞いております。  寺村先生を中心に、資料2−1の報告書をまとめていただきました。ワーキンググルー プのメンバーは資料2−2になります。  事務局からは以上でございます。 ○堀田座長  それでは、ワーキンググループで報告書を取りまとめいただきました医薬品の検討を致 します。まずは寺村先生のほうから、この検討結果の報告をお願いいたします。 ○寺村参考人  資料2−1をご覧ください。医薬品名、プレリキサフォル。  対象疾病についてですけれども、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫に対する治療とし て、自家末梢血幹細胞移植を施行する目的で、自己末梢血幹細胞採取を行う症例が本剤の 適応となります。本剤は、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)と併用投与することに より、患者骨髄より末梢血中に造血幹細胞を効率よく動員する薬剤でございます。対象疾 病である非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫の我が国における年間発症率は、人口10万 当たり、それぞれ約7人及び3人でございます。  非ホジキンリンパ腫では再発時に、多発性骨髄腫では寛解導入療法後に引き続いて自家 末梢血幹細胞移植を行います。悪性リンパ腫あるいは多発性骨髄腫の治療のために自家末 梢血幹細胞移植を受けた患者数は、日本造血細胞移植学会の全国調査報告書によると、 2007年の1年間で、それぞれ707人、534人でございます。  本剤の医療上の有用性についてですが、造血幹細胞は、その細胞表面に発現しているC XCR4というケモカインレセプターが、骨髄間質細胞などに発現しているSDF−1と 結合することにより、骨髄に定着していると考えられております。本剤はCXCR4のア ンタゴニストであり、造血幹細胞のCXCR4と骨髄間質細胞のSDF−1との結合を阻 害することにより、造血幹細胞を骨髄から末梢血中に多数動員させる作用を有しておりま す。  本剤の有用性を評価する目的で、自家末梢血幹細胞移植を予定されている非ホジキンリ ンパ腫及び多発性骨髄腫患者を対象として、無作為二重盲検プラセボ対照試験(第III相試 験)が米国で施行されました。  非ホジキンリンパ腫298例を対象として施行された臨床試験におきましては、4回以上の アフェレーシスで2×106/kg以上のCD34陽性細胞を採取できた患者の割合は、G− CSFと本剤投与群では87%、G−CSFとプラセボ投与群では47%であり、本剤投与群 のほうが有意に高いと報告されております。また、4回以下のアフェレーシスで5×106 /kg以上のCD34陽性細胞を採取できた患者の割合は、G−CSFと本剤投与群では59 %、G−CSFとプラセボ投与群では20%であり、本剤投与群のほうが有意に高いと報告 されております。G−CSFと本剤投与群では90.0%、G−CSFとプラセボ投与群では 55.4%が初回の採取後に移植を受けております。好中球の生着率は両群とも100%であり、 血小板の生着率は両群ともに98%でありました。移植後の好中球及び血小板の生着日の中 央値は両群ともに、それぞれ移植10日後、20日後でありました。  多発性骨髄腫302例を対象として施行された臨床試験におきましては、4回以下のアフェ レーシスで2×106/kg以上のCD34陽性細胞を採取できた患者の割合は、G−CSF と本剤投与群では95%、G−CSFとプラセボ投与群では88%であり、本剤投与群のほう が有意に高いと報告されております。また、2回以下のアフェレーシスで6×106/kg 以上のCD34陽性細胞が採取できた患者の割合は、G−CSFと本剤投与群で72%、G− CSFとプラセボ投与群で34%であり、本剤投与群のほうが有意に高いと報告されており ます。G−CSFと本剤投与群では95%、G−CSFとプラセボ投与群では88%が移植を 受けました。好中球の生着率は、G−CSFと本剤投与群で99%、G−CSFとプラセボ 投与群では100%であり、血小板の生着率は両群とも99.3%でありました。移植後の好中球 及び血小板の生着日の中央値は両群ともに、それぞれ移植11日後、18日後でありました。  上記2つの臨床試験において、本剤投与群で高頻度、5%以上に見られた有害事象とし ましては、消化器症状(下痢、悪心、嘔吐、腹部膨満感)、疲労感、注射部位の反応、こ れは紅斑など、頭痛、関節痛、目まい、不眠であり、本剤投与に関連した死亡例の報告は ありませんでした。  これら第III相臨床試験の結果から、本剤とG−CSFの併用投与は、G−CSF単独投 与に比べ、末梢血造血幹細胞の採取量を有意に増加させると考えられます。  また、compassionate use programにおいて、従来の採取法でpoor mobilizerであった患 者に対して、本剤とG−CSF併用投与による再採取を行うと、半数以上の患者で必要量 の末梢血幹細胞採取ができたという報告もなされております。  検討結果でございますけれども、現在、非ホジキンリンパ腫及び骨髄腫患者における自 家末梢血幹細胞採取にはG−CSFが使用されております。いわゆるpoor mobilizerの割 合については、過去の治療歴に大きく影響されるため、報告により大きく異なりますが、 大規模な報告、非ホジキンリンパ腫467例、骨髄腫384例によりますと、G−CSF単独投 与によるpoor mobilizerは、非ホジキンリンパ腫で26.8%、骨髄腫で6%と報告されてお ります。poor mobilizerでは末梢血幹細胞採取が再度施行されますが、最終的に必要な末 梢血幹細胞が採取できず、移植を断念せざるを得ない患者さんも存在します。  本剤をG−CSFと併用投与することにより、G−CSF単独ではpoor mobilizerであ る患者の多くが移植可能になると考えられ、患者の負担の軽減及び予後の改善が期待でき ると思われます。また、poor mobilizerでない患者においても、本剤投与により必要なア フェレーシスの回数が減少し、患者の負担が軽減するとも考えられます。さらに、一般的 に、CD34陽性細胞採取量が多いと、移植後の速やかな血球の回復が期待されます。その ため、本剤による末梢血幹細胞の採取量の増加が同様の効果につながることが期待されま す。  以上より、本剤は自家末梢血幹細胞採取における有益な薬剤と考えられ、我が国におい ても国内で治験が早期に開始されるべきと考えます。ただし、米国で行われた第III相試験 では、G−CSF単独投与と本剤併用投与との比較試験であり、化学療法後のG−CSF 投与時に本剤を投与した場合の有用性については、今後検討すべき課題であると思われま す。また、本剤投与により腫瘍細胞も末梢血中に動員され、採取された検体に腫瘍細胞が 混入する可能性もあり、この点については今後の検討が必要であると考えられます。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。詳細に報告していただきました。  何かご質問ありますでしょうか。  藤原先生。 ○藤原(康)委員  CD34のセパレーターって、これにあったような機器というのは日本ですぐ使えるのか どうかというのが気になるんですけれども。この薬でモビライゼーションして、CD34セ レクションかけるのであれば。  結構、移植の領域って、それぞれの薬は承認されていても、その周りに付加的ないろん な導入の抗がん剤の用量が違ったり、それからフォローする抗生剤の効能効果がなかった り、治験をするときに何かいろんなハードルがあったりするのを聞くんですけれども、こ の薬、単純に治験にいったときに、いろんな周辺の承認状況とかがなくて、企業さんが困 るというようなことは想定されていないかというのが私の質問。 ○寺村参考人  今、日本で恐らく行われている末梢血幹細胞移植につきましては、恐らくG−CSFで 動員するんですけれども、そのまま末梢血からアフェレーシスでとって、特にCD34陽性 細胞を分けるということはしていないと思います。それがスタンダードと思いますので、 今回、この薬剤におきましても恐らくそのような使い方が行われるので、特にそのような 心配はないのではないかと思います。 ○堀田座長  そうしますと、藤原先生がおっしゃったような、CD34を目印にして、その細胞分画を 選択的に集めるカラムみたいなものはあるんですが、それは臨床に直接に使っているので はなくて、どちらかというと、凍結保存したり、培養して増やすとか、そういう目的では 使っているんですね。臨床では通常のセパレーターにかけて、比重によるある一定の分画 をとって、その中にCD34陽性細胞が幾ついるかということですから、決してCD34に特 化して集めているわけではないということですね。結果的に、どれだけCD34陽性細胞が いるかというカウントで勝負しているということになる。  ちょっと耳慣れない方には、CD34陽性細胞と造血幹細胞がどういう関係にあるかとい うのは分かりにくいかもしれませんが、人の造血幹細胞はCD34陽性細胞という分画の中 に高率に含まれておるということで、それを目印にして集めているということになります。 造血幹細胞に特異的な目印がないので、CD34で代用しているということになります。こ の数が2×106、これは200万個/kg以上あれば移植が可能ということで、500万個以上 あれば十分量だという、大体そんな目安です。  何か、ほかの構成員の方でご質問いかがですか。  大津先生。 ○大津委員  ちょっと参考までなんですけれども、このアメリカのIII相試験のプライマリーエンドポ イントというのは何だったのかというのと、予後の改善を期待できると書いてあるんです けれども、実際に予後に関しては見ておられるのかどうかというのを聞きたいと思います。 ○堀田座長  寺村先生、いかがでしたか。 ○寺村参考人  今、論文をちょっと見ているんですけれども、たしか私、記憶ですが、プライマリーエ ンドポイントは、どこかに書いて……、ちょっと待ってください、どこでしょう。プライ マリーエンドポイントは、これは2つありますけれども、例えば、今、骨髄腫のほうのフ ェーズIIIスタディーの論文では、プライマリーエンドポイントは、6×106個のCD34陽 性細胞を2日以内に、アフェレーシス2回以内にとれる患者さんの割合をプライマリーエ ンドポイントとしています。 ○堀田座長  採取効率ですね。要するに、移植後の生着率だとかはセカンダリーエンドポイントとい うことになる。 ○寺村参考人  通常、アフェレーシスは2回程度で、1回か2回でとれるのが臨床的には患者さんの負 担も少ないし、医者の負担も少ないというふうに考えて。 ○浜田委員  すみません、プライマリーエンドポイントでは有意差はあったんでしょうか。 ○寺村参考人  そうですね、プライマリーエンドポイントで有意差はありました。 ○大津委員  予後に関しての記載はないんですね。 ○寺村参考人  予後というのは、移植した後ということですか。 ○大津委員  はい。 ○寺村参考人  予後というのはありませんが、先ほどこっちの報告書にあったように、生着率とかそう いうものについては全く差がない。 ○堀田座長  生着までの日数とか、それは短くなるという、そういう話ですね。 ○寺村参考人  そうですね。 ○大津委員  サバイバルは見ていないと。 ○寺村参考人  サバイバルについては、恐らくこれ、今後の問題だと思います。 ○大津委員  その辺はもうそれでも十分意味があるという判断になるんでしょうか。結局、だから骨 髄のEMTの率は上がるというのは分かるんですけれども、それによっての、最終的には PFSなりOSなりという部分での差は求めなくていいという判断でいいんでしょうか。 ○堀田座長  いや、この治験の設定が採取効率をプライマリーエンドポイントとしており、OSの差 を求めるものではないですね。もしその差を求めるのであれば例えば患者さんのステージ であるとか、あるいは化学療法、それまでの化学療法とか大量療法の在り方で物すごく作 用されちゃうものですから、それをエンドポイントとして持ってくるとなると、相当厳密 なそれなりの設定の試験をやらないと、ここからは出てきませんね。 ○寺村参考人  この薬を使いますと、結局、CD34陽性細胞の数が増えるわけですので、そうしますと 生着も早くなりますし、それだけ輸血の必要性も恐らく減りますし、感染症のリスクの機 会も減るということで、そういう副次的なものが恐らく期待できるというふうに考えてお ります。 ○堀田座長  これが結果的にサバイバルにつながっているかという、そういう話ですよね、大津先生 のご指摘は。そこまでの結論についてはまだはっきりしないんだろうと思います。  大塚先生。 ○大塚委員  全く専門外ですけれども、一番最後のところに、本剤投与によって腫瘍細胞も末梢血中 に導入されて混入するかも分からないと書いてあって、何か怖いような気がするんですけ れども、もう既に外国で承認されているわけですけれども、こういうことについて、外国 の何らかの調査や研究はあるんでしょうか。 ○寺村参考人  これは、特にこの薬に限らず、現在使われているG−CSFであってもこのようなこと が言われているわけですけれども、実際、今までのいろいろな調査報告によりますと、明 らかに末梢血幹細胞の採取した細胞にある腫瘍細胞がその後の何か再発に影響したとか、 そういうふうなエビデンスはないというふうに考えられています。  実際、モービライズして、中にあるかどうかということに関しては、なかなかそれを検 出する方法が難しいので、なかなかそういう研究は余り見かけられません。例えば骨髄腫 細胞ですけれども、それをどうやって末梢血で同定するかというのは非常に難しい問題が ありまして、なかなか難しい。 ○堀田座長  そういうこともあって、悪性リンパ腫や骨髄腫の場合は先行治療に、効果があった例に しかやらないという形になっていますので、できるだけ腫瘍細胞が混入しないような条件 で採取に入るということは臨床的にやっていると思いますね。  はい、どうぞ、久保先生。 ○久保委員  ちょっと専門外なのですけれども、この方法でとったCD34陽性細胞の機能が、G−C SFで集めたのとほとんど機能的には変わりないのですか。何かこの機能を見ると、接着 をはがしてくるという方法なんですよね、この方法は。だから、機能的には全く、両方の 方法でとった細胞、CD34陽性細胞の機能自体は変わらないというふうに考えていいです か。 ○寺村参考人  その辺りについては、恐らくなかなかそういう基礎的なデータは何か余りないんではな いと思うんですけれども、ただ、実際、このフェーズIIIあるいはいろんな報告、パイロッ トスタディーで報告されている報告によりましては、移植した患者さんのその後の経過に おいて、何かそういう易感染性があったとか、そのような何か非常に問題が起こったとい う報告はなされていないということです。 ○堀田座長  ほかにないですか。  井上先生。 ○井上委員  ちょっとお聞きしたいんですけれども、これ、G−CSF単剤ですと、移植までの細胞 が集まる日数は数日間かかるんじゃないかと思うんですけれども、併用するとこれが短く なるというのをちょっと聞いたんですけれども、どのくらいの集まる、移植するまでの期 間が短くなるのか。そうすることによって患者さんのQOLも大分維持できると思うんで すけれども。 ○寺村参考人  それは採取のときの話ですか。 ○井上委員  そうです、はい。 ○寺村参考人  通常は、この薬はG−CSFを4日間先行させて、その4日目の夕方に本剤を投与して という薬なんですけれども、通常は1日か2日でとれるということですね。G−CSF単 独だと、やはり4日目か5日目からとり始めるというのが一般的なので、特に早まるとい うことはありません。ただこの薬だと、1日目、2日目でとれる患者さんの割合が有意に 増えるということは分かっておりますけれども。 ○堀田座長  よろしいでしょうか。通常の薬とはちょっと違うものだから、理解しがたいところもあ りますが、基本的にはG−CSFは絶対必要で、それプラスこれをやると採取効率が非常 に高まると、こういった流れだと思います。  特にご異議がなければ、このワーキンググループの報告のとおりでよろしいでしょうか。  それでは、国内においても、この医薬品が開発されるように、治験に進められるような 環境を整えていただけるように、事務局のほうから関連企業に働きかけをお願いしたいと 思います。よろしくお願いします。  それでは、次に資料3といたしまして、平成21年2月から4月に欧米4カ国のいずれか で承認された新しい医薬品のリストでありますが、これについての検討に移ります。  事務局から簡単にご説明をお願いします。 ○事務局  ご説明させていただきます。  前回の報告以降であります平成21年2月から4月の3カ月間の間に、新たに欧米4カ国 のいずれかの国で承認されました医薬品6品目をご紹介いたします。  1番、アゴメラチン、メラトニン作用を持つ抗うつ薬です。効能・効果は、成人におけ る大うつ病エピソードです。類薬はありません。学会・患者団体からの要望はなく、国内 開発は現在なしと聞いております。  2番、プラスグレル、抗血栓薬です。効能・効果は、経皮的冠動脈形成術を受けている 急性冠症候群患者のアテローム血栓予防でございます。アスピリンと併用して使用します。 類薬はクロピドグレルです。国内治験は第III相実施中でございます。  ページをおめくりください。  3番、アーテメター・ルメファントリン、合剤のマラリア治療薬です。体重5キログラ ム以上の患者に使用することができます。現在、国内にあるマラリア治療薬といたしまし ては、キニーネ、メフロキン、スルファドキシン、ピリメタシン等があります。学会・患 者団体からの要望はなく、国内開発は現在なしと聞いております。  4番、ゴリムマブ、TNF−αの抗体薬です。効能・効果は、中等度から重度の活動性 の慢性関節リウマチ、活動性の乾癬性の関節炎、強直性脊椎炎などです。類薬は、インフ リキシマブ、アダリムマブです。国内治験は第III相試験実施中でございます。  ページをおめくりください。  5番、ラソフォキシフェン酒石酸塩、エストロゲン受容体作用の骨粗鬆症治療薬です。 類薬は、ラロキシフェン、エビスタでございます。学会・患者団体からの要望はなく、国 内治験は第II、第III相試験を実施中でございます。  6番、ミファムルチド、骨肉腫治療薬です。切除可能な非転移性の骨肉腫の手術後、多 剤併用化学療法とともに併用します。学会・患者団体等からの要望はなく、国内において 武田薬品工業が開発検討中です。米国では、有効性を立証するのに追加の臨床試験データ が必要であるとして、not approvable letterを発出したということを聞いております。  以上6品目でございます。先生方のご意見を賜りたいと思います。 ○堀田座長  それでは、これらの品目についてご検討をいただきたいと思います。  順次行いたいと思います。アゴメラチンにつきましてはいかがでしょうか。これはメラ トニンの受容体に作用するというんですが、メラトニンそのものが国内では承認はされて いないという状況かと思います。疾患の重篤性という点では、ここの検討会での基準とい いますか、それからは少し外れるかなと思います。  樋口先生、お願いします。 ○樋口委員  アゴメラチンでございますけれども、今まで市販され、あるいは開発されてきた抗うつ 薬が、ほとんどのものがモノアミン、セロトニンあるいはノルアドレナリンを増強すると いう形の作用機序で開発がずっと進められてきました。その結果として、今、私たちが臨 床で症状を改善できるうつ病が、多く見込んで7割、もう少し、物によっては6割ぐらい であって、そのほかの3割方のものが、いわゆる難治性というふうに呼ばれて、どういう 薬剤を投与しても、あるいは併用してもなかなか思うに任せないという、そういう状況が あります。  それで、一方では最近、国を挙げて取り組んでいる自殺予防対策等にも絡んで、自殺と うつ病の関係も非常に深刻でありまして、そういう意味では、私たち臨床で薬を使う側の 立場、あるいはもちろん患者様も当然でございますが、もう少し機序の違うお薬がないか という大きな期待はあるわけでございます。  そういう中で、今回のアゴメラチンというのはメラトニンの受容体に作用すると。セロ トニンにも一部、アンタゴニストとして作用しておりますが、そういう全く新しい機序で あるとすれば、その辺りのデータをちゃんと私も見ておりませんが、どういう対象に有効 であるのかというのは、向こうでの結果を詳細に見る必要はあるんですけれども、これま で使われてきた薬剤では反応しなかったようないわゆる難治例に対してある程度の効果が あるとすれば、これはかなり意味があるかなというふうに思っております。 ○堀田座長  効能・効果にあります大うつ病エピソードというのは重篤度ではどこに分類されるんで すか。 ○樋口委員  これは、必ずしも重篤度をこれだけではあらわしておりません。一般的に言われるうつ 病とほぼ同義でご理解いただいていいと思いますので、重症から軽症までを含んでいると いうふうになります。 ○堀田座長  少し資料を見てみますと、65歳以上の人にはベネフィットがはっきりしないというふう なことが書いてありましたね。あと、肝機能に問題が起こるかもしれない。  いかがいたしましょうか。これ、緊急性とか重篤性という点ではそんなに高くない。 ○樋口委員  緊急度とか、生命と直接絡んだという意味では、ないとは思います。 ○堀田座長  分かりました。  そうしましたら、学会要望、あるいはその他の方面から何かアクションがありましたら、 またその時点で取り上げさせていただくということにしたいと思います。  じゃ、2番目の成分ですね、プラスグレル、これはいかがでしょうか。アテローム血栓 の予防薬ということになっております。  藤原先生。 ○藤原(久)委員  対象は急性冠症候群で不安定狭心症と心筋梗塞という循環器では死亡率も高い重大な疾 患です。治療法としてはPCI、経皮的冠動脈形成術です。そのときの一番の合併症が血 栓症です。それに対してクロピドグレル使っていますが、低反応例というのがかなり認め られ困っています。この薬は今までのクロピドグレルに低反応性の患者に対してでも有効 ということが欧米で分かっていますので、できたらこれを早く臨床で使用できるようにし ていただけたらということです。  それから、国内状況は、ここではフェーズIIIになっていますけれども、実際はフェーズ IIみたいですね。 ○堀田座長  その辺はいかがですか。もう既に第一三共がフェーズIIIに入っているという状況とここ には書いてありますが。 ○事務局  事務局としましては、第一三共株式会社のホームページで第III相と確認いたしましたけ れども、もう一度確認しまして、修正すべきでしたら対応いたします。 ○堀田座長  こういう薬だと、フェーズIIIでないと、承認申請資料にはならないと思いますね。 ○藤原(久)委員  欧米では既に発売されているわけですが、厚生労働省のほうからフェーズIIからやって くれということを言われたというようなことを聞いているんですけれども。 ○堀田座長  これ、確認をしていただくということで、よろしくお願いします。 ○事務局  状況につきましては確認いたします。 ○堀田座長  ということで、この扱いはいかがいたしましょうか。  ほかの先生、何かご意見。久保先生、何か。 ○久保委員  いいえ。 ○堀田座長  いいですか。  川西先生。 ○川西委員  私は、これに関して特段の知識はありませんけれども、今の藤原先生のお話をお聞きし ている限りだと、ちょっと検討してみるということが妥当なのではないかというふうに思 いました。 ○堀田座長  ほかにはいかがでしょうか。ほかの先生、佐川先生はいかが。 ○佐川委員  特に詳しいわけではないんですが、ちょっとホームページでいろいろ調べてみましたら、 アメリカでのトライアル結果、学会報告があったということで、従来のクロピドグレルよ りもすぐれていることが示されたというようなちょっとコメントもございましたものです から、先ほどの先生のお話も含めまして、やはり積極的に進めていただいたほうがよろし いのじゃないかなというふうに思います。 ○堀田座長  分かりました。  そうしますと、フェーズIIかIIIか分かりませんけれども……、どうぞ、課長さん。 ○審査管理課長  先生方、よくご存じのとおり、この薬は第一三共が開発を進めているものでございまし て、先ほどフェーズIIかフェーズIIIかという話もあったわけでございますけれども、一度、 国内で着手が遅れたのか、どういう事情があってこういうことになっているのか、ケース スタディーにもなるかもしれませんし、そこをまずよく調べた上で対応したほうがよいの ではないかというふうに考えますので、もし差し支えなければ、我々もホームページで確 認したということで、誠に申しわけないんですけれども、詳細を一度確認した上で必要で したら改めてご議論願ったらと思いますが、いかがでございましょう。 ○堀田座長  ありがとうございました。  ということで、少し議論ありましたけれども、現状について調査して、できるだけ進め るという方向で、どういう問題点があるかを整理していただくということにして、次回で もまた報告していただきたいと思います。  それでは、3番目に移ります。アーテメターですね。コアルテムという合剤のようであ りますが、これについていかがでしょうか。  マラリア自体は、日本は国内発生というのは今のところ余りない。海外に行く場合の話 かもしれませんが、最近、マラリアの北限がだんだん上へ上がってきて、沖縄辺りはもう 既にそこに入ってきたという話も聞きます。従来のマラリア、抗マラリア薬でありますと キニーネとか、そういった薬もあるんですけれども、小児を対象にしたものがないという ことです、この薬の特徴は小児にも内服可能という点が言われております。あとは、先行 薬に耐性のものについても、一部効果があるというようなことが特徴のようでありますが、 いかがでしょうか。  後藤先生。 ○後藤委員  この薬剤は、ここに書いてありますように、アーテメターと、それからルメファントリ ンの合剤ということで、アーテミシニンというのはチンハオスと言われている誘導体です。 即効性も非常にあるということと、それから合剤にしてあるということで、薬効のほうに 関しても効果が期待できるということがあります。今お話がありましたように、小児に適 応もあるということから、この薬剤の有用性に関してはそれなりに評価できる薬剤と考え ていいというふうに思います。  ただ、我が国では、先ほどお話がありましたように、まだ承認されている薬剤も非常に 少ない段階で、なおかつ耐性マラリアも現在かなり増えている中で、我が国のマラリアに 対してどういう形で対応していくか。だから、予防薬はどういう形のものを日本では用意 して、スタンバイ治療薬としてはどういうもの、治療薬としてはどういうものという形で きちんと考えて、その中で、今の日本の医療体制の中でマラリアの薬剤に対して、治療薬 はこういう形での整備が必要だろうという形で考えていくべきことでしょう。たまたまこ の薬が出たから、じゃ、これを承認という形と考えるよりも、これは、たまたま今回は学 会要望というのはありませんけれども、できれば熱帯病学会とか、あるいは熱帯病治療薬 研究班とか、そういうところと意見交換をして、この薬剤が必要だということを逆に学会 のほうから要望していただいて、それに関して討議するという形が望ましいかなと思いま す。 ○堀田座長  聞くところによりますと、キニーネとかそういったものは、学会でまとめて配布してい るようなこともやっている。そういう意味では、後藤先生がおっしゃったようなルートで 少し折衝して、整理する必要があるかもしれませんね。  この検討には直近の3カ月に海外で承認されたものがすべて俎上にのってくるわけでセ レクションをかけておりません。事前に学会や、あるいはその関係のところと少し折衝し て、こういったものに対しては今後日本はどういうふうに対応していくかというある種の 戦略があっての話が必要かもしれませんね。  岩砂先生、この辺はいかがでしょうか。 ○岩砂委員  世界医師会にも関係しておりますけれども、やはりこういうようなお薬というのは小児 にとって非常に重要であるということとして、貧しい国というところ、そういうところに 非常に問題があって、小児のときから有効であれば非常にいいものでございましょうから、 国内とか国外とかとらわれず、大きな意味でこういうことは進んでいけばいいなと、私は 素人でございますけれども、そう思っております。 ○堀田座長  ありがとうございます。  まさに今おっしゃったことが実はこの薬ではありまして、いわゆるネグレクテッド・ト ロピカル・ディジーズといいますか、国際的には大事なんだけれども、先進国が余りタッ チしていない領域のものに対して、特別に公衆衛生に寄与する薬の開発をした場合には、 米国の仕切りでは、プライオリティーバウチャーというのを獲得できるそうです。そうす ると、ほかの自社の開発品の審査に優先権が与えられるというようなこともあるみたいで、 そういうインセンティブが働くようになっているんですね。その辺、日本でもそういうの はそろそろやるといいなというふうには思いますね。  中垣さん、何か言いたそうにしていた。 ○審査管理課長  今、座長からご紹介いただいたとおり、たしか昨年の暮れのFDC Actの改革法とい うのが通ったときに盛り込まれた条項だと聞いております。すなわち、熱帯病の薬を開発 すると優先審査をする権利を、1品目優先審査をする権利が与えられるんだと。それはま たよその会社に売ることもできるんだということを聞いています。非常におもしろい制度、 一つのインセンティブとして価値があるんだろうと思います。  一方において、この薬をどうするかというのは、後藤先生のおっしゃったとおりではな かろうかと。すなわち、例えばマラリアならマラリアについて、どういうことを我が国で 少なくとも考えておくべきかと、医療の在り方というのはどういうふうにあるべきなのか というのを考えた上で、この薬の位置づけというのを考える必要があるんだろうと思いま す。  そういう意味で申し上げますと、差し支えなければ、先ほどございましたような学会に 照会をしてみて、そこのご意見を賜った上で、またここの場でご議論願うというようなや り方でいかがかと考えている次第でございます。よろしくご検討をお願いいたします。 ○堀田座長  今のような提案ですが、よろしいでしょうか。  それでは、関係学会等と折衝して整理をしていただいて、次回出していただくことにし たいと思います。  4番目に移ります。ゴリムマブというんですね。これは関節リウマチに対してメトトレ キサートとの併用ということになっておりますが、月1回でいいというところが特徴です。 多分欧米では自己注射もやっているんじゃないかなと思います。日本でも、レミケードと いいますか、インフリキシマブだとか、あるいはエタネルセプトみたいなものがあります が、類似薬としてはそういったものがあると思います。ご検討をお願いします。  いかがでしょうか、川西先生。 ○川西委員  これは、患者さんのQOLということで考えると、非常に有用なものになっていくとい う可能性を感じるものではありますので、大いにこういうものをトライして、開発してい くということに関しては非常にいいことだと思っているし、私自身も期待している薬の一 つなんですが、この未承認薬の使用問題の検討会として考えるならば、もう幾つか既に選 択肢はありますし、それからもう一つは、フェーズIIIだと、今フェーズIIIにあるというふ うに、対象疾患によってちょっと違いますけれども、もうそういう状況だということもあ りますから、これはやっぱり未承認薬使用問題検討会としては、特段にこれに対して意見 を言うということはなくて、とにかく見守って、頑張ってくださいということだと思いま す。 ○堀田座長  ありがとうございます。  ほかの先生はいかがですか。大体そんなところでよろしいでしょうか。  それでは、もう第III相にあることでもありますし、ほかの選択肢もある状況であります ので、粛々と進めていただくということにしたいと思います。  それでは、5番目になりますね。ラソフォキシフェン酒石酸塩というんですか、これは いかがでしょうか。骨粗鬆症治療薬ですが、これもフェーズII、IIIの段階に開発状況とし てはあるというお話であります。何かご発言は。  井上先生、何か。 ○井上委員  既にこれはもう類薬も出ているということだと思うんですけれども、フェーズIIIの段階 に入るとされていることなので、特にここでというふうなことは。見守っていくというふ うな形でいいと思います。 ○堀田座長  ほかにご意見は。よろしいですか。  これもさっきの4番目の薬と同じように、もう既に開発もかなり進んでおるところであ りますから、開発状況を見守るという形で処理させていただきたいと思います。ありがと うございます。  それでは、最後のミファムルチド、これはいかがでしょうか。小児を中心とした非転移 性の悪性骨肉腫、これに対して治療後、外科切除した後のアジュバントの化学療法と併用 すると、こういった内容のものだと思いますけれども、どちらかといえば、これは免疫賦 活薬と申しますか、そういった内容のものかと思います。  いかがでしょうか。藤原先生、何か。 ○藤原(康)委員  がんワクチンの系統で、初めて欧米の中で承認された品目ですけれども、たしか昔、F DAが承認しなかった、フォローアップ期間が短いときに余り有意差できていなくて、そ の後、長く見ていたら有意差が出てきたので、今回、EMEAは承認したというような品 目なので。  肉腫の患者さんというのは非常にオプションが少ない方々なので、どの程度これがイン パクトを与えるかというのは注目に値すると思いますけれども、武田さんが治験をやると いうようなことを決められるんであれば、別にあえて早くやりなさいとか言わずに、粛々 とやっていただければいいんじゃないかなと思いますけれども。 ○堀田座長  大津先生は何かありますか。 ○大津委員  今の藤原先生とほぼ同意見ですけれども、結局、このnot approvable letterが出たとい うことに関しては、そのプライマリーエンドポイントが合致しないで、その後のフォロー アップで出たという話であるからnot approvableということでよろしかったんでしょうか。 それであれば、今のような形でいいんじゃないのかと思います。 ○堀田座長  その辺はどうでしたかね。このINT−0133試験というやつの同じ試験でEMEAは通 したけれども、FDAは通していないというちょっと解析の仕方で変わってきているよう な感じでありますが、事務局のほうで何かコメントありますか。  藤原先生。 ○藤原(康)委員  試験は同じだけれども、長く見ていたら差が出てきたというだけの話じゃないですか。 ○堀田座長  だから、FDAのほうがもっと前に駄目と言った。 ○藤原(康)委員  いや、駄目というか、その試験のデータではまだ差がちゃんと言えないからダメと言っ ているので、恐らく普通の考えだと、観察期間が延びて差がしっかりついたら企業さんが もう一遍、申請を出し直すということをされるんじゃないかと思いますけれども、FDA にですよ。 ○堀田座長  これはもともと治験としてやったスタディーじゃないですね。NCIスポンサードの臨 床試験…… ○藤原(康)委員  NCIのコオペラティブグループがやったスタディーです。 ○堀田座長   このIDMファーマーというのは、武田薬品が何か最近買い取った会社だそうですね。 ですから、武田さんが開発する権利を持っていると、こういうことだと思います。  課長さん、何か。 ○審査管理課長  先生方、よくご存じなんだと思いますけれども、お手元にございます資料3−6の8ペ ージの第2段落のところに「Clinical safety and efficacy」というところがありまして、 この第2段落に、非常に簡単ではございますけれども、フェーズIIIの結果が出ております、 これによりますと、フェーズIIIで678例を試験をして、結果としては「relative reduction in the risk of death of 28%」だというような結果が出たんだというふうに書かれてお ります。  ただ単にご紹介だけでございます。 ○浜田委員  有意には一応出ておりますけれども、P値が0.0313ということで、非常に微妙なところ ですから、フォローアップ期間等を変えた場合については、ひっくり返るようなことが十 分あり得るレベルで、余りエビデンスとしては強くはないだろうと思います。 ○堀田座長  試験結果については、いろいろ議論はありますけれども、この取り扱いをどうするかと いうことについてはいかがでしょうか。  先ほどの提案では、既に武田製薬が検討しているので、それを見守ってもいいんではな いかという議論もありました。よろしいでしょうか。  それじゃ、この薬につきましてはそのような形で進めさせていただきます。  つい最近の日経新聞のコラムかインタビュー記事を読んでいたら、武田製薬の会長さん が、我々の企業は社会貢献として、体力のないところでは開発できないようなものをやる 義務があるみたいなことを書いてありましたので期待しております。  ということで、よろしくお願いします。  それでは、この6品目については、このような整理をさせていただいてよろしいでしょ うか。ありがとうございます。  それでは、ワーキンググループに特におろすものはなくてよろしいですか。  じゃ、今回はそういうふうな形にさせていただきます。  次に、資料5としまして、これまでの検討会議での検討品目の取組状況につきまして資 料が配布されておりますので、事務局からお願いいたします。 ○事務局  資料4のほうをお話しさせていただきます。 ○堀田座長  すみません、そうでした。患者団体からの追加要望の関係の資料4がありました。  お願いします。 ○事務局  次に、資料4といたしまして、本年3月から5月に学会・患者団体から追加で、9成分 に係る未承認薬の早期承認に関する要望書が提出されました。  また、既承認薬の効能・効果等に関する要望につきましても、本検討会の対象ではござ いませんが、資料4の2ページ目に参考としてまとめさせていただきました。  では、戻りまして、1番からいかせていただきます。  1番から3番のガランタミン、メマンチン、リバスチグミンは、認知症の治療の適応で、 認知症の人と家族の会、若年認知症家族会・彩星の会、若年認知症オアシス虹の会から要 望をいただいております。ガランタミン、メマンチンは申請準備中、リバスチグミンは治 験実施中となっております。これら3品目は、アルツハイマー性認知症を対象として開発 されています。  4番のアバタセプトですが、日本リウマチ学会、日本リウマチ友の会からの要望です。 本検討会議の第8回におきまして検討済みで、現在、承認審査中でございます。  5番の5−ALAは脳腫瘍摘出術の補助薬です。外科手術の際に腫瘍細胞を蛍光標識し、 正常細胞と視覚的な区別を容易にするものです。日本脳神経外科学会から要望いただいて おります。本品につきましては、現在、国内において導入を検討中の企業がございます。 術前三、四時間前に経口摂取をします。そうすると、アミノ酸の一種で、細胞内に代謝さ れまして、蛍光分子のプロトポルフィリンIXというものを生成いたします。腫瘍細胞では 特にこの蓄積がございまして、ここに青い光の光線を当てますと、励起されて赤く光ると いうメカニズムだそうです。  6番はセリトリズマブ・ペゴルで、クローン病の適応です。前回会議で多団体からの要 望について報告いたしましたが。今回は特定非営利活動法人JAPAN IBDから要請 をいただいております。本品目は申請準備中でございます。  7番のテリパラチドは骨粗鬆症の適応で、日本整形外科学会から要請をいただいており ます。本品は承認審査中でございます。これは、ヒト副甲状腺ホルモン遺伝子組み換え、 骨形成促進作用を持っております。  8番、子宮頸がんワクチンほか。2種類ございまして、前回も要望いただいております。 今回は、公明党、同東京都本部女性局ほかから要望をいただいております。承認審査中で ございます。  最後に9番の7価結合型肺炎球菌ワクチンは、細菌性髄膜炎の予防の適応でございます。 前回も要望をいただいておりまして、今回は日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小 児科医会から要望をいただいております。承認審査中でございます。  以上です。先生方のご意見を賜りたいと存じます。 ○堀田座長  この要望書が出てきたもので、基本的には、以前に検討したものもありますけれども、 新たに要望書がこの3カ月間に出たものでございます。  何か特別にご意見がございますでしょうか。  既に申請中であるか、あるいは治験中、準備中というものが多いとは思いますけれども、 5番目の5−ALA、これだけがまだ着手をしていないという状況かと思います。  藤原先生。 ○藤原(康)委員  8番の子宮頸がんのワクチンなんですけれども、これは女性の、防ぐために、子宮頸が んを予防するためには非常に、日本以外の国ではもうほとんど承認されて、非常に大事な 薬になっているにもかかわらず、これ、日本で2年も審査をしているというのは、何か非 常に奇異な感じがするんですけれども、大丈夫なのかなというのを。 ○堀田座長  その辺の実情を、課長さん、お願いします。 ○審査管理課長  藤原委員ご指摘のとおり、この薬は非常にユニークで、かつ有用なものではないかとい うふうに考えております。そのような考えにのっとって、我が国で治験をしておったわけ でございますけれども、その治験中であっても、海外データをまとめた形でまず申請をさ せたところでございます。  と申しますのも、申請をしてもらうことによって、品質でございますとか、非臨床試験 でございますとか、そういうものの審査をまず早目に進めようと、我が国の治験結果がま とまった段階で、その治験の結果と、最後、総合的な判断をしていこうというようなこと を考えまして、まず申請を先行させて、治験に並行して審査を始めたところでございます。  2社のうち1社につきましては、本年の2月末、3月の初めに試験が終わりまして、デ ータが提出されたところでございまして、今、最後の詰めの段階にございます。もう一社 につきましては、ちょっと時間がかかっておりますけれども、いずれにいたしましても、 今、最後の詰めの段階をやっておるということでご報告を申し上げたいと思いますし、併 せて申し上げますと、9番の肺炎球菌ワクチンにつきましても、今同じような状況にある ということをご報告申し上げたいと思います。 ○堀田座長  ありがとうございました。  申請のほうを治験と並行してやっていただいているということで、その関係で一応、こ の時間が少し記録上は延びているというか、そういうご説明でありました。  大塚先生、どうぞ。 ○大塚委員  9番の肺炎球菌のワクチンですけれども、ヒブワクチンをつい最近認めていただきまし て、臨床現場では、需要が多くて供給が間に合わないような状況があったりして、ヒブワ クチンの承認は非常に喜ばれております。今度はこの9番のワクチンをぜひと思うわけで ありますが、ヒブワクチンのときも、結局その審査に4年ぐらいかかったということがご ざいますけれども、こちらのほうは、もうかなり進捗していて、近いうちにめどが立ちそ うなような状況なんでしょうか。ちょっと心配なのでお聞きいたしました。 ○審査管理課長  ヒブワクチンは、たしか2年ぐらい前に承認したんだと思いますけれども、日本の市場 はなかなか厳しくて、きれいなものじゃないといけないとかいろんなことがあって、専用 ラインをつくるとかいうようなことで供給がごくごく絞られておって、世界は恐らくほと んどの国で売られているんだろうと思いますけれども、そこと違うものを持ってこないと 日本の市場ではいろんな意味でクレームがつくんだということで、供給に苦労をしておる ようでございますが、また、つい最近報告を受けたところによりますと、日本専用ライン を増強して供給を増やすというような報告も受けたところでございます。  今ご指摘の7価の肺炎球菌ワクチンのほうでございますが、これも多くの国々で既に販 売されておるわけでございますけれども、少しずつどうも改良がなされておるようでござ いまして、もう既に売られているものと同じものを持ってきてくれれば、我々としても判 断にたやすかったのかもしれませんけれども、改良型を持ってこられたようでございまし て、少し承認審査に苦労したのは事実でございますが、いずれにしても、今もう最後の詰 めの段階にあると。余り予断を持って審査課長が話すわけにもまいりませんので、この辺 りでご了解を願いたいんでございますけれども、最後の詰めをやっておるということでご ざいます。 ○大塚委員  ありがとうございます。ワクチンで予防できる病気というのは、薬じゃなくてワクチン のほうがいいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○堀田座長  ありがとうございました。  切実な要望がやっぱりあって、いろんな団体あるいは学会から出てきておりますし、実 際、小児を中心に、この子宮頸がんワクチンも、14歳から16歳ぐらいの間にやらないと余 り効果がないということからいうと、2年もたつとその時期を失しちゃうという人も出て くるわけですから、できるだけ慎重でありながら、早く審査をお願いしたいところであり ます。  樋口先生、お願いします。 ○樋口委員  一言だけですが、1、2、3という認知症の薬は、この提出者は、いずれも3団体が3 つの薬を要望しているというのは、多分、どれでもいいけれども、とにかく早く出してよ という切実な要望なのかというふうに思うんです。  ご承知のように、今、我が国で、アリセプト1種類しかないんですね。だから、もうア リセプトも進行をやや遅らせる程度の力しか持っていないので、多分、家族の方からする と、それが功を奏しない場合は非常に絶望的になるというようなところがあってのことだ と思います。  原因療法的なものがまだ出てきておりませんので、本当にこの1、2、3でどれぐらい の対応ができるかというところが疑問もあるわけでございますが、少なくとも申請準備中、 治験実施中という段階ですので、できるだけ促進的に進めていただければと思います。 ○堀田座長  こういった要望というのは審査官のほうにも届いておりますので、それは十分に配慮し ていただけると思います。 ○審査管理課長  今ご指摘のございました1番、2番、3番のアルツハイマーの薬につきましては、我々 からも再度、企業のほうに、できるだけきちっと急ぐようにということで伝えたいと思い ます。  先生方から特にご意見を賜りたいと思っておりましたのは、5番の5−ALAなんでご ざいますけれども、これについて、ちょっと私どももよくまだ分からないところがあるわ けでございますが、ご意見を賜れれば幸いです。 ○堀田座長  ALAというのはアミノレブリン酸といってヘム合成経路として、一番最初にサクシニ ルコエンザイムAとALAの重合をして、ポリフィリン体になっていくんですね。その一 番最初の物質ですよね。これは腫瘍細胞は取り込まれるとポルフィリンIXのところでとま ってしまって、先に行けないんで、ポリフィリン体が腫瘍の中に蓄積すると。それを蛍光 だか何か光を当てると発色するということで、腫瘍のありかが、境界が分かるということ です。こういったいわば試薬と申しますか目印ですよね。手術中にそれが可能であるとい うものだと聞いております。学会からの要望は出ておりますけれども、いかがでしょうか。  これはいいんじゃないかと……。  藤原先生。 ○藤原(康)委員  同僚の脳外科の先生は欲しいと言っていますが、そういう個別の話をしてもしょうがな いと思うんですけれども、でも、脳外科学会がそういうふうにちゃんと上げていらっしゃ るということは、やっぱり多分手術のときに可視化、見ながらやる意味には非常に大きい んじゃないかとは思いますけどね。 ○堀田座長  これは、もう欧米では既に、大分前に承認されているんですね。 ○審査管理課長  学会の要望書によりますと、欧州で2007年6月に承認勧告を受けたことが書かれており ます。ただ、勧告となっておりまして、承認がおりたかどうかまでは書かれておりません が、我が国では、研究試薬として売られているものを使って、1,000例近く手術が既に行わ れておるというようなことも書かれておるということでした。 ○堀田座長  薬にすると余計価格が高くなって、使いにくくならないかな。 ○久保委員  これは何か、目で見て、それもすぐ分かる。何かそういう器械を使って見るのですか。 その器械は高価ですか。 ○事務局  器械に関しましては、値段はちょっと分からないんですけれども、脳外科の手術という のはマイクロサージェリーですので、ちょうどしやすいといって、今、これ、言っていい のかどうか分からないんですけれども、NHKのエンタープライズというところが一緒に 共同研究されているみたいです、器械のほうに関しましては。 ○久保委員  じゃ、それほど悪い方法じゃないんで、早くやってもらえれば多分、脳外の先生も喜ば れるんじゃないかと思いますけれども。 ○審査管理課長  後で、今日の会議の一番最後の段階でご報告申し上げますけれども、この未承認薬問題、 さらには、いわゆる適応外と言われる問題がございますので、これまで先生方にお骨折り いただいて、未承認薬のみやってきたんでございますけれども、適応についても、欧米で 認められている、あるいは公的な医療保険の中で使われているものであって、国内ではそ の適応がないという問題があるやに聞いておりますから、この2つを一緒にして、改めて 学会あるいは患者会等から要望をいただくと。その中には、学会等にあっては評価もして いただくというようなことを本日付けで実はホームページに掲載をしたところでございま す。  したがいまして、この問題、私から声をかけておいて自分で消すのも変な話でございま すけれども、脳神経外科学会と連絡をとってそういうことを始めたと、ぜひ脳外科学会の ほうで評価書をつくっていただいて、そのスキームでもう一度上げてくれないかというよ うなことをお願いをしてみたいというふうに考えておりますので、自分で提起して自分で 消すのも誠に恐縮でございますが、そういう形でご了解いただければと思います。 ○堀田座長  分かりました。  それでは、5番目のものにつきましては、関係学会にもう一回投げるという形で、この 中で特別今処理するというかプッシュするものは特にないという形でよろしいかと思いま す。  藤原先生、どうぞ。 ○藤原(久)委員  肺炎球菌ワクチンのことでお聞きしたいんですけど、今、肺炎球菌のワクチンはごく限 られた人に対してだけ適応になっています。新型インフルエンザを含めて、インフルエン ザで死んでいる患者の多くの死因が、肺炎球菌による肺炎です。適応を拡大して、秋以降 の流行に対し態勢に整えることは考えているんですか。  ちょうど私の病院は感染症指定病院で、しかも兵庫県尼崎で、いわゆる5月16日から新 型インフルエンザがいっぱい入ってきました。担当したドクターの話では、肺炎球菌のワ クチンを自由に使えるようにしてほしいという要望が非常に強いわけです。 ○審査管理課長  先生のご指摘は非常に重要な危機管理上のご指摘だろうと考えております。  いわゆる新型インフルエンザ問題をどのように対応していくのかという点については、 ご指摘のワクチンの問題もそうでございますし、薬の分野だけ考えましても、そもそもの インフルエンザワクチン、H1N1をどうするのかという問題がございますし、また、対 応という点から申し上げますと、タミフルでございますとかリレンザでございますとか、 あるいはまたそれらに耐性が出たときにどうするのかと、いろいろな問題を考えていかな ければいけないと思っております。  先生ご指摘の点についても、ぜひ検討課題の一つとして検討させていただきたいと思い ます。ありがとうございました。 ○堀田座長  ありがとうございます。  それでは、次に、適応外と申しますか、効能・効果追加に関するもの、これは先ほどか ら申し上げておるように、この検討会の直接のミッションではありませんけれども、参考 ということでいつも出させていただいているものです。これも含めて、今、新しい枠組み で検討をするという中に入ってくると思います。  特別に何かこの表の中でご意見を賜ることがありましたらお願いします。いかがでしょ うか。  それでは、これにつきましては、これから後で、この検討会議の発展的な形とも言える、 適応外も含めた検討のスキームを用意されるそうでありますから、そこでまたご検討いた だくことにしたいと思います。  それでは、資料5のほうに移りたいと思います。これまでの検討会議での検討品目の現 在までの対応状況でございます。  事務局から説明をお願いします。 ○事務局  資料5についてご説明を申し上げます。  検討された品目の開発の進捗状況は一通り確認しておりますが、ここでは、前回より進 捗があった品目についてのみご説明させていただきます。表において、網かけ、太字にな っているところを中心にお話をさせていただきます。  2ページ目をご覧ください。14番のリポソーマルドキソルビシン、卵巣がんの適応につ いて、本年3月30日、薬事分科会で報告された後、4月22日に承認されました。また、22 番のアバタセプトは、昨年9月に承認申請されております。こちらは昨年12月の会議で報 告すべきところ、会議への報告が遅れまして申しわけございません。  3ページをご覧ください。32番のアレムツズマブは国内治験が開始されました。また、 33番のタルクは、国内の医師主導治験が開始されました。  4ページをお願いいたします。42番のエクリズマブは承認申請がされました。  資料5の表の欄外をご覧ください。下のほうです。これら44品目の現在の状況をまとめ て集計したものでございます。44品目中、現在、開発企業募集中3品目、治験計画等検討 中が9品目、治験実施中9品目、申請準備中品目はなし、審査中2品目、承認済みが21品 目となっております。  なお、本日の会議で新たにプレリキサフォルが45番目の品目として加わりました。こち らは治験計画等検討中に分類されます。  参考資料6にあります円グラフなんですけれども、それをご覧ください。ただ今ご説明 いたしました品目の平成21年6月上旬現在における状況をグラフにしたものでございます。 本検討会にて検討を行った品目の約半数が既に承認されております。  今後、これらの品目の国内開発が進むよう、引き続き製薬企業に対し要請していきたい と考えております。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。  それでは、何か先生方から、今の説明に質問あるいはコメントいただけますでしょうか。  井上先生。 ○井上委員  このリストにはちょっと載っていなかったんですが、実は、昨年の12月に検討された疥 癬治療薬のペルメトリンというお薬があるんですが、これが日本病院薬剤師会、日本薬剤 師会、また臨床皮膚学会から要望書が出ていると思うんですが、その後の経過について、 もし分かれば教えていただきたいんですが。  実は、院内で疥癬に使われているγ−BHCが、どうも入手困難になる可能性があると いうふうにお聞きしていますので、そうしますと、外用剤で効果のあるものがほとんどな くなってしまうと。特に高齢施設なんかで疥癬が発生しますと、これは大変なことになり ますので、その辺がもしお分かりであれば教えていただきたいというふうに思います。 ○堀田座長  これは、実は私どもの病院の皮膚科の部長から、学会から、君のところの院長はこの会 議の座長をやっているそうだから、ぜひ言っておいてくれと言われて、私もメッセージを もらってきたところなんですね。このペルメトリンクリームというものでありますけれど も、疥癬の外用薬として大変重要な薬なので、ぜひよろしくというのを一言いただいてお ります。  じゃ、事務局のほうから。 ○審査管理課長  この委員会で取り上げられて、また、今、先生がご指摘のBHCの問題も、いわゆる環 境中に蓄積するという問題もございまして、疥癬の治療薬を何とかということで、我々も 努力をしてきたところでございます。  会社名を具体的に言っていいのかどうか分かりませんけれども、ある会社と話がほぼつ きつつございまして、ペルメトリンと、非臨床的に見ますと、どうも同じぐらいの効果が あると。ペルメトリンそのものを商品化できない理由は、特許があるのか、何があるのか、 よく分かりませんけれども、いずれにしても、それと同系統の薬を開発を急ぐということ で、数回にわたり、その会社と今話合いを続けているところでございます。  極力急いで、きちっとしたものができ上がるように取り組みたいと考えております。 ○堀田座長  井上先生、今の発言でよろしいですか。ありがとうございます。  引き続きプッシュするようにお願いしたいと思います。  そのほかに何かご発言いただきますことありますでしょうか。  よろしければ、本日の用意した議題は以上でございますが、事務局のほうから、また今 後のことにつきましても報告して頂きます。じゃ、その前に藤原先生ちょっと。どうぞ、 藤原先生。 ○藤原(久)委員  眼科のドクターから言われていることですけれども、例えばアバスチンを糖尿病性網膜 症に使っているわけです。 ○堀田座長  血管新生阻害剤としてね。 ○藤原(久)委員  ところが、保険適応になっていないため、リサーチとしてやるそうです。 メーカーサ イドに言っても、使う量が非常にわずかであるとかで、全然商売にならないとかいうこと で治験をやってくれない。眼科用の薬についての国の考え方はどうでしょうか。 ○堀田座長  これ、既に治験をやっていませんでしたか。血管新生阻害薬の点眼あるいは局注といい ますか。 ○審査管理課長  今、先生ご指摘のアバスチンの問題でございますけれども…… ○藤原(久)委員  アバスチンだけじゃなくて、ケナコルトをはじめ眼科関係ではそういう薬物がたくさん あるそうです。 ○審査管理課長  いわゆるオフラベルユースの問題だと思います。  アメリカのある文献によると、処方の何割でしたっけ、2割でしたっけ、3割でしたっ け、非常に高い率がオフラベルだというようなのが出ていたというのを覚えておりますけ れども、国内だけではなくて、海外でもその問題というのは出てきているということでご ざいますし、今、先生のご指摘のように、眼科とか、ある面で申し上げますと、市場が余 り大きくないところは、余計そういうものがあるのではないかというふうに考えた次第で ございます。  そういうことも、あるいはまた従来からこの委員会においても、また別の場でも、特に オフラベルの問題をどうするのかというようなことをご指摘いただいておったわけでござ いますので、今回、5月の末に成立した補正予算の中で、未承認薬・適応の開発支援とし て七百数十億円、また、それらの薬の審査を急ぐ費用として四十数億円、合わせて800億円 弱の基金をつくって、3年間集中的にこれに取り組むということにしたところでございま す。  そのまず第一歩として、今日、意見募集を始めましたので、それについて、参考資料7 でご説明させていただきたいと思います。 ○事務局  それでは、参考資料7をご覧ください。  この参考資料7なんですけれども、ちょうど今日から厚生労働省のホームページにアッ プするという形で、要望受け付けを開始したというものでございます。  記事としましては、今、課長のほうからもありましたけれども、先日成立いたしました 補正予算の中で、未承認の医薬品あるいは未承認の適応について、開発を促進するという ことから、公的資金を投入して開発を支援するというもの、さらには、承認を早くするた めの審査体制を強化するというものが含まれているということであります。  本検討会議でも開発を進めるべきとされた未承認薬についても、その公的支援の対象に なり得るということで、検討は進めることとなると思われます。  この際に、その適応外、未承認薬だけではなく適応外、どちらかというと、この適応外 のほうがたくさん来ると思われますけれども、学会などから要望を受けるということとし たものでございます。  参考資料7をご覧いただくと分かりますが、募集期間としましては、今日、6月18日か ら2カ月間の間で募集をしたいというふうに考えております。  3ページ目以降に、どういった要望を受け付けるかという説明が書いてありますけれど も、これを簡単に申し上げますと、未承認薬につきましては、基本的には欧米4カ国、米 ・英・独・仏のいずれかの国で承認された医薬品であってという条件がつきます。それで、 かつ医療上その必要性が高いものということで、まず、適応疾病の重篤性が次のいずれか の場合ということで、致死的な疾患であるとか、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であ るということが一つ。さらに、医療上の有用性が次のいずれかの場合ということで、既存 の療法が国内にないですとか、あるいは、欧米において標準的療法に位置づけられている といったようなところがありますが、この両方に該当するものが、要望の範囲ということ では受け付けたいというふうに思っております。  適応外につきましては、未承認薬の範囲とまずは同じなんですけれども、それにプラス、 欧米の4カ国、米・英・独・仏において、いずれかの国の公的医療保険制度が適用されて いるものも含むという形にしています。例えば、アメリカでは、FDAの承認がなくても、 公的医療保険制度の適用があって、標準的な療法になっているものもあるということもあ るので、そういったことも含めて、要望としては受け付け、検討をしていきたいというふ うに考えているということであります。  要望を受け付ける内容といたしましては、単にこういうものは必要性が高いので要望し たいというだけではなくて、主たる今回の趣旨としては、やはりどれだけのエビデンスが あるのかということを、特に学会の方々を中心として、できるだけそこについてのエビデ ンスがどれだけあるということと、それに基づいてどういう評価ができるのかということ、 追加の臨床試験をもし加えなければいけないとすれば、どういった試験が必要になるかと いうことも含めて、学会としてのご意見というものをつけた上で要望を出していただきた い。そして、学会での要望の優先順位というものもつけて出していただきたいというふう に考えているわけであります。  この要望の受け付けにつきましては、ホームページにアップしましたが、それとともに、 医学会などを通じて学会に連絡をして、こういう要望受付が、厚生労働省ホームページに アップされましたということを伝えていただくようにしたいというふうに思っています。  受け付けた要望につきましては、関係する企業などの意見も踏まえながら、この検討会 議を発展的に改組するような形としての有識者会議を設置いたしまして、医療上の必要性 ですとか、エビデンスレベルがどの程度なのかということを評価しながら類型分けをして いきたいというふうに思っておりますが、今のところ考えておりますのは、公知という形 での承認申請が可能であるというようなものがどれだけあるのかということ、あるいは、 公的支援をするようなものはどのようなものがあるのかということ、あるいは、その他と いうような部分もあると思いますが、そういったものをその有識者会議において検討して いきつつ、これから3年間の集中的な取組ということで、できるだけ未承認薬と適応外を 解消していく取組を進めていきたいというふうに考えているというところでございます。  以上です。 ○堀田座長  という大変積極的な取組みであります。藤原先生。 ○藤原(久)委員  私は循環器のことしか知りませんけれども扱い方によっては、厄介な問題になると思い ます。  実際、わが国で日常的に使われているもので、効果があるということが分かっていて、 エビデンスに基づき学会のガイドラインなどで適応であると記載されている場合には、よ ろしいとするとか。 ○審査管理課長  何によろしいのかというのがよく分かりませんので、なかなかお答えに窮するところが あるわけでございますが、常識的に考えると、承認できるのか、あるいは医療保険で使え るのかというようなことではないだろうかというふうに考えるところでございます。  承認をしていくという立場から申し上げますと、もちろん学会のガイドラインの中で位 置づけられるということは一つの重要な参考となりますけれども、より参考となりますの は、じゃ、その学会でどういうエビデンスを集められていて、それに対してどういう評価 をされたのかということをお見せいただくことなんだろうと考えるわけでございます。今 さら言うまでもありませんけれども、エビデンスのレベルを確認していかなければなりま せんし、その基となったデータの信頼性等々も確認をしていく必要があるんだろうと思い ます。そういうことを考えますと、先生がおっしゃっているようなレベルであれば、いわ ゆる公知申請ということも認められておるわけでございますから、そこにたどり着くだけ のエビデンスがあって、信頼できるエビデンスがあって、それがきちんと評価された、そ れがまた学会のガイドライン、あるいは海外でも同じような扱いを受けているかどうかと いうものを主張していただくことになるんだろうと思います。  医療保険の世界について私が言及するのは、のりを超えておるわけでございますけれど も、承知している範囲内で申し上げますれば、再審査が終わったものについては、55年の 薬理作用に基づくというようなルールに基づいて、支払基金のほうで学会等からの要望を 整理し、認められるものを昨年一度公表されましたし、近くまた公表されるというふうに 聞いておるところでございます。 ○大塚委員  ちょっとよろしいですか。小児に関しては、小児薬物療法問題検討会議というのがござ いますよね。そこでいろいろ検討して、いわゆる治験をしなくても、さまざまなエビデン スとか、海外や国内での実績とかそういうことで薬の承認をいただいております。例えば ボツリヌス毒素などがその会議で認められましたけれども、今回のお話しとそういう会議 との関連はどうなんでしょうか。 ○審査管理課長  これはまた小児薬物療法検討会の委員の先生方ともご相談しなければいけないというふ うに考えています。  その上で申し上げますと、この未承認薬・適応外の新たにつくろうと考えております有 識者会議の中で、一分科会として小児を位置づけたほうがいいのか、それとも別に持って おいたほうがいいのか、どちらも一長一短があるんだろうと考えるところでございます。 端的に申し上げますと、今回つくる有識者会議というのは、先ほど申し上げました補正予 算等のサポートも前提に置いた議論をしていくものでございまして、もちろん、いろんな ハードル、高いハードル、高い選定というのはあるんだろうと思いますけれども、そうい う枠組みの中の一活動でございます。一方、小児薬物療法検討会というのは、そうではな くて、従来の枠の中にあるわけでございますけれども、小児が一つ脚光を浴びて、そこに 的を絞った議論ができるというメリットもまたあるんだろうと思います。その長短を併せ ながら、小児薬物療法検討会の先生方にもご相談して、どのような形にするかというのを 決めさせていただきたいと考えております。 ○堀田座長  そのほかにいかがですか。よろしいでしょうか。  最後に、この検討会議としてはどういうことになるんですか。 ○審査管理課長  この検討会をどうするかというが、この検討会の委員にとっては一番重要だと思います けれども、正直申し上げて、厚生労働省内においても本格的な議論というのはまだ行われ ていないところでございます。  ただ、考え方としては、未承認薬を今まで専門的にやっていただいてきた、これに適応 外が追加になったと。常識的に考えると、新しくつくる有識者会議の母体となるのかもし れないなというふうに考えておるところでございます。ここの先生方、仮に母体として、 これを改組発展するような形をとるということになります場合には、また個々の先生方に はいろいろなご意見があるでしょうし、それはまたご相談するということになるんだろう と思いますけれども、適応外ということになるとかなり、先ほど藤原先生からご意見のあ ったように、例えば眼科とか、いろんな科が出てくるのではなかろうかと考えております。 そういう意味で申し上げますと、委員構成等もまた考えなくてはならないと思っておりま すけれども、論理的に考えただけで申し上げますと、これを母体として改組発展するとい う形が一番素直ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、座長ほか、先生方とご相談させていただきたいと思います。 ○堀田座長  というわけで、今までの検討会議は一応、今日でおしまいということで。またいずれか の改組発展した有識者会議などで再会することがあるかもしれません。  いずれにしましても、補正予算が通ったことによって急遽この展開が変わってきたとい うことがあるものですから、この機に、日本におけるいわゆるドラッグ・ラグと言われる ものをできるだけ解消するということにおいて言えば、大変喜ばしいことだと思います。 引き続きよろしくお願いいたします。  特になければ、これをもって解散とします。ありがとうございました。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111