09/06/04 第18回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第18回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日 時:平成21年6月4日(木) 15:00〜17:30 2.場 所:厚生労働省 省議室 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、伊藤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、小川構成員、 門屋構成員、坂元構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、 高橋構成員、谷畑構成員、寺谷構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、 野沢構成員、広田構成員、三上構成員、山根構成員   厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、福島精神・障害保健課長、塚本障害保健対策指導官、 林課長補佐、野崎課長補佐、矢田貝課長補佐 4.議 事 (1)精神科デイ・ケア等について (2)気分障害について (3)依存症について (4)児童・思春期の精神医療について 5.議事内容 ○樋口座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第18回のあり方等に関する検討会を開催させ ていただきます。  構成員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうござ います。  まず、本日の出欠状況等について事務局からお願いいたします。 ○野崎課長補佐  本日の出欠状況等について御報告いたします。  良田構成員、町野構成員より、御欠席との御連絡をいただいております。また、高橋構成員は 時間どおりとの予定でしたが、少し遅れられているようですが、直にいらっしゃると思います。  なお、蒲原企画課長は、所用により遅刻させていただきますので、あらかじめ御了承いただけ ればと思います。  本日の出欠状況等については以上でございます。  なお、前回も申し上げましたが、クールビズの励行期間ですので、上着を着ていらっしゃる方 は上着を脱いでいただいて、涼しい格好で臨んでいただければと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、早速議事に入りたいと思いますが、お手元の議事次第にありますように、本日のテ ーマは4つございまして、その1つは精神科デイケア等について、2つ目は気分障害について、 3つ目は依存症について、そして4つ目は、児童・思春期の精神医療についてということでござ います。  本日の進め方でございますけれども、まず、精神科デイケア等につきまして最初に事務局から 説明をお願いいたしまして、その後、皆様から御議論をいただきたいと思います。その次に、後 半は気分障害、依存症、そして児童・思春期の精神医療につきましてまとめて事務局から説明い ただきまして、議論の時間をその後に設けさせていただきたいと思っております。  それでは、精科デイケア等につきまして、資料1に基づいて事務局から説明をお願いいたしま す。 ○林課長補佐  それでは資料1「精神科・デイケア等について」、御説明させていただきます。本日は検討す べき内容が多くなっておりますので、資料の方はかいつまんで御説明させていただければと思い ます。  まず、めくっていただいて1ページ、論点整理でございます。デイケアについては、下の方に ありますように、精神科デイケア等の機能の強化・分化ということが論点整理に掲げられており まして、この部分について御検討いただきたいと考えております。  2ページ、精神科デイケア等の概要でございますが、診療報酬上、デイケア、ナイトケア、デ イ・ナイトケア、ショートケアというものが順次導入されてまいりまして、本日の資料の中で精 神科デイケア等というものは、この4つを含めたものだと御理解くださいませ。  次のページ、デイケア等の区分と診療報酬についてでございます。ショートケアが3時間、デ イケアが6時間、ナイトケアが4時間、デイ・ナイトケアが10時間、診療報酬については、この ような形になっております。  また、その次の4ページ目でございますけれども、人員基準については、それぞれのサービス に応じて、また規模の大きさに応じてこのような基準となっております。  5ページ目は、実施施設数の状況でございますが、精神科病院、精神科診療所、いずれも普及 が進んでおりまして、実施施設が増加している傾向にございます。  6ページ目、デイケア等の利用実人員と新規利用者数の状況でございますが、合計しますと、 平成18年に8万3,132人の方が利用されています。新規の利用者数は1カ月当たりで3,600人程度 でございますので、単純計算いたしますと、2年以上ぐらいが平均の利用期間となっております。  7ページ、延べ利用者数、これは利用者の利用された回数を掛けたものでございますけれども、 93万7,000回ということになります。8万3,000人いらっしゃいますので、月当たりの平均で11回 余りということになります。  8ページ、精神科デイケア等の利用状況でございます。精神科病院と診療所で若干特徴が異な っておりまして、精神科病院に関しましては40歳以上65歳未満のところが最も数が多くなってお ります。精神科診療所は、精神科病院に比べるとそれより若い方、あるいは75歳以上の方の利用 が多くなっております。全体としては、40歳以上65歳未満の方が54%を占めております。  9ページが疾患別の利用状況でございます。精神科病院は統合失調症の方が多く、精神科診療 所は気分障害、アルコール依存症、あるいはその他の疾患の方が多い。全体としては統合失調症 の方が72%、次いで気分障害10%、アルコール依存症5%などとなっております。  10ページが、デイケア等の利用の目標。これは医療機関の担当者の方に、その利用者ごとにど ういった目標でデイケアを利用されているかということを聴いたものでございますが、多い順に 見ますと、再発・再入院の予防、慢性期患者の居場所、薬剤処方についての相談・調整、回復期 リハビリテーションなどとなっております。  11ページは、調査の主体が異なっておりますが、デイケアのスタッフに利用目的を聞いたもの でございまして、こちらの調査では、最も多い回答が生活リズムの維持、次いで再入院・再発予 防、集団に慣れる、家族の負担減などとなっております。  12ページ、デイケア等において実施しているプログラム、どういった方を主な対象としてやっ ていらっしゃるプログラムがあるかという質問でございますけれども、疾患別に見ると、統合失 調症患者を対象としたもの、うつ病患者を対象としたもの、アルコール依存症の患者を対象とし たものなどのプログラムが行われております。  12ページの下の年代別を見ますと、高齢者を対象としたもの、青年期の患者を対象としたもの 等のプログラムがあるというお答えのところが2割ぐらいございます。  病期別に見ますと、慢性期の患者を対象としたものをやっているという答えが3分の1程度ご ざいました。  目的別に見ますと、家事等、日常生活技能の習得、症状や再発サインへの対処スキルの獲得、 疾病と治療についての理解、こういった目的を中心にやっているプログラムがあるという答えが ごらんのような数字でございました。  利用期間別のプログラムについては、余りお答えが多くありませんが、1年から2年程度の期 間を設けてやっているというお答えが病院で14%、診療所で19%等となっておりました。  14ページは、デイケアで利用していたプログラムについて、これもスタッフに伺ったものでご ざいますけれども、多い順に見ますと、文化系のレクリエーションプログラム、運動系のレクリ エーションプログラム、作業系プログラムなどの順になっておりました。  15ページは、精神科デイケアと作業所利用者の利用目的。利用者に伺ったものでございます。 多い回答としては、生活をする力をつけるため、周囲の人たちとうまく付き合うため、自分の生 活を楽しむため、その他、ごらんのような目標が多くなっております。精神科デイケアと作業所 の比較では、それぞれ大きく差はないようにも見えますが、自分なりの生きがいや目標を持つた め、自分らしく生活するためといった項目については作業所の方が多くなっており、自分の生活 を楽しむため、あるいは症状のコントロールや症状悪化時の対処をできるためといった項目につ いては、精神科デイケアの方がやや多くなっております。  16ページはデイケア等の利用期間でございます。今回の利用継続期間では1年以上が75%でご ざいました。初回の利用からの通算の利用期間で見ますと、1年未満、3年未満、5年未満とい うくくりでございますけれども、5年以上の方も43%ぐらいいらっしゃいました。  デイケア等の終了理由について聴いたのが17ページでございます。最も多いのが再入院という ものです。また、それ以外には、本人の意思というもので、これはいろいろな理由が含まれてい るようでございます。復学・復職、それから他のサービスの利用といったように、症状が改善し たことが主たる理由になっているというお答えは比較的少なかったように思われます。  18ページ、デイケア等の利用者の週当たりの利用回数でございます。週1回以下のお答えが最 も多いわけでございますけれども、中には週4回、5回、あるいは週5回を上回る方もいらっし ゃるということでございます。  19ページ、ここからはデイケアの効果についての幾つかのデータでございますけれども、デイ ケアと再入院に関する調査でございまして、デイケアを利用されていた方とデイケアを利用され ていなかった方で、入院しないで地域生活を続けられた期間、あるいはその方の割合がどうであ ったかということをずっと追った調査でございます。  2つの調査の結果を並べておりますけれども、いずれの調査においても、デイケア利用者の方 が有意に、入院しないで地域生活を続けられた期間が長かったというデータでございます。  20ページ、デイホスピタルの国際的な分類。日本ではデイケアという言葉を使っておりますけ れども、デイホスピタルというカテゴリーの中には、急性期デイホスピタル、移行期デイホスピ タル、デイトリートメント、そしてデイケアセンターと、急性期から長期の患者さんの状態に応 じてこのような大まかな分類があるということでございまして、例えばイギリスのNICEの委 員会では、急性期デイホスピタルに対して、在宅医療チーム等とともに入院を代替するサービス として推奨がなされておるところでございます。  21ページはコクランレビューという論文の中から見ましたデイホスピタル、すなわち先ほどの ページにありましたように、いろいろなものがまざっておりますが、その効果に関するエビデン スをまとめたものでございます。  まず、1番として、急性期デイホスピタルと入院を比較いたしますと、入院期間を短縮すると いう効果についてはデイホスピタルが有意に効果があったという論文が3つでございます。2番 目に、デイホスピタルと外来の比較、このデイホスピタルというのは、移行期あるいはデイトリ ートメント等が含まれておりますけれども、その比較において、デイホスピタルの方が効果があ ったという論文が、精神症状の改善、治療コンプライアンスの維持といった観点から1つずつあ った一方で、有意差がないという論文が数多く取り上げられておりました。  続いて、22ページからは、現在あるさまざまなデイケアの例を示しております。精神科デイケ アをいろいろな対象者の像や目的に応じて機能分化させていらっしゃる例として、あさかホスピ タルのデイケア、ここでは、目的志向型、そして日中生活支援型、次のページにある治療主体型 のデイケア、こういったものに分けて行われているということでございます。このほかに、精神 科作業療法を行うこともあるということでございます。  24ページが、前駆期・急性期治療をデイケアで行われている例でございまして、東邦大学の大 森病院で、15歳〜30歳の若年の方の統合失調症の早期の方に、1年間という期間を設けてプログ ラムが行われている例でございます。  その効果が25ページに示されているとおりでございます。  26ページは、デイケアを「復職プログラム」のために活用している例でございまして、26ペー ジがNTT東日本の関東病院、27ページがささがわ通り心・身クリニックの例でございます。  28ページは、その復職支援プログラムをどういった目的でやっているかということをさまざま な施設にアンケート調査したものでございますが、自己理解や疾病理解、対人関係のスキル、再 発・再休職予防を目指したセルフケアの獲得、こういった目的で行われているということでござ います。  29ページは、デイケア以外の精神科専門療法として診療報酬の対象になっているものでござい ます。入院生活技能訓練療法、精神科作業療法、通院集団精神療法、入院集団精神療法等がデイ ケア以外に精神専門療法の対象となっております。  31ページ以降は、福祉サービス等との関係について御参考までにお示ししている資料でござい ます。精神障害者の現状とありますように、デイケアを使われている方が約8万人いらっしゃる 一方で、それ以外にも福祉系のさまざまな日中活動サービス等がございます。  32ページにその利用者数をまとめておりますけれども、日中活動・就労訓練施設等施設で新体 系の施設を利用されている方が2万2,800人余り、そのほか、社会復帰施設、小規模作業所等を 利用されている方もいらっしゃる。合わせても数万人に満たない数でございまして、デイケアと 比べると、福祉系のサービスを使われている方の方が少ない傾向がございます。  33ページ、34ページ、35ページは、御参考までに、福祉系のサービスの内容や報酬等について 概要をお示しいたしております。  36ページ、課題と検討の方向でございます。現状と課題の方から御説明させていただきます。  精神科デイケア、ナイトケア、デイ・ナイトケア、ショートケアの実施目的としては、再入 院・再発予防、慢性期患者の居場所、生活リズムの維持等があり、利用者の利用目的としては、 生活する力を高める、周囲の人とうまく付き合うことなどがございます。  デイケア等は、日中活動系の障害福祉サービスよりも相当多くの利用者に利用されており、精 神障害者の退院後の生活支援を含め、地域移行における受け皿の機能を果たしています。  発症早期、急性期等の患者を対象に、目的、利用期間等をより明確にしたデイケア等の取り組 みが行われるようになってきているほか、うつ病患者へのリワークプログラムなど、多様なデイ ケア等が試みられております。  デイケア等の利用期間は数年にわたっていますが、症状の改善が終了の理由となることは少な く、再入院まで利用が続く場合も多くなっています。デイケア等には食事の提供等を通じた生活 支援の役割が大きいとの指摘がある一方で、より自立した生活を早期から促すべきとの指摘もご ざいます。なお、デイケア等の利用は、3年を超える場合は、週5日までとされております。  デイケア等の効果については、入院の防止等に一定の効果があるとの研究もありますが、特に、 慢性期のデイケア等による治療効果のエビデンスは確立されておりません。  検討の方でございますが、急性期や回復期に、適切なアセスメントに基づき、一定期間、認知 行動療法、心理教育等を重点的に行う等、対象・利用期間・実施内容を明確にして機能を強化し たデイケア等の整備を図ることについてどう考えるか。  2つ目といたしまして、現在のデイケア等は、現在の障害福祉サービスの供給状況においては、 生活支援として地域移行における一定の意義を有すると考えられるが、貴重な医療資源をより重 症な患者に重点的に活用する観点や、利用者のニーズ・目標に応じた多様なサービスを提供する 観点からは、対象者、利用目的、実施内容が福祉サービスと重複しているデイケア等については、 利用者が徐々に障害福祉サービスに移行できるよう、障害福祉サービスの充実等を図っていくべ きではないか。  3つ目として、利用者の地域生活における自立をより促す観点から、デイケア等の漫然とした、 長期にわたる頻回/長時間の利用については、是正を図るべきではないか。  こういった観点を中心に、デイケアについて御検討いただければと思います。  資料の説明は以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、資料は大分ボリュームがありますけれども、今の説明でおよそ御理解いただいたか と思います。これから質疑の時間に入りたいと思いますが、約1時間、このデイケアについては 議論をさせていただきたいと思います。どうぞお願いします。品川構成員から。 ○品川構成員  済みません、初めに話させていただきます。  資料の御提供をいただいたんですけれども、実際、私ども地域でいろいろなデイケアを利用さ れている方の実像とちょっと違っているように思いますので、私の周りにいる実情をちょっとお 話しさせていただきます。  ある方は、10年近く地域に住んでおりますが、同じデイケアに週5〜6日通い続けておられま す。データでは1日とか5〜6日という方は少なかったんですけれども、ほとんどの方、デイケ アを中心に通っていらっしゃる方は、週に4日以上通っていらっしゃるのが現状です。そういっ た方も、御自分から先生にどこかかわりたいというようなことが言えないんですよね。なぜなら、 入院させられるとか、自分がそういったことを訴えたら薬が増やされるというような、皆さんち ょっと信じられないと思うんですが、まだまだそういった先生に対して何も言えないというのが 現状です。  また、福祉のサービスを利用されている中には、例えば、さっきデイケアからの移行という言 葉が最後に出ていたんですけれども、なかなか移行されて、今、福祉のサービスを利用されてい る方も見当たりません。実際、グループホームとデイケアと同じ経営で運営しているところでは、 日中はデイケアに毎日通い、夜間はグループホームで休むといった、本当に入院中と変わらない、 およそ地域生活とはかけ離れた生活を続けられているというのが見えます。これは抱え込みの状 況で、本当に利用者もゴールが見えないまま、10年来そういった生活を続けられている方がおら れます。  保健医療福祉体系の再編が求められているのですが、デイケアの必要性、本当に有効だという ことも感じられますが、機能分化、せめて患者さん、利用者さんが選べるようなデイケアとか福 祉サービスであってほしいと願っております。デイケアのゴールは、デイケアの利用を本当に最 小限に抑えて、地域での生活を、サービスを選びながら続け、暮らしていけるというのが理想で はないかと思っております。  以上です。 ○樋口座長  伊澤構成員。 ○伊澤構成員  資料の6ページ、7ページを概観しますと、年度ごとにデイケア利用者が増大している傾向が 見て取れるということですが、利用者の増大というのは、その背景の一つとして、福祉サービス 事業における訓練と就労を強調するが余り、そのことが暮らしの中心になりにくい人たちを遠ざ けているという現象が一方であるような気がしてなりません。居場所とか、あるいは日中のより どころ、言い換えると福祉型のデイサービス的な場の機能といいましょうか、そういうものが地 域から消えている、その機能が低下している、そういう現状をきちんととらえるべきだと思いま す。  そういったこともあって、生活支援とか、あるいは生活維持型の支援サービスとしてのデイケ アが活況を呈している、はやるのは当然という感じもしております。中には、私の知っている方 ですけれども、自立支援医療の負担はあるけれども、デイケア、ナイトケアを使えば、食事も確 保できる、日中系の福祉サービスに通って、工賃を稼いで利用料を払うよりもリーズナブルであ るという観点から、まさに生活経済的な視点、あるいは生活防衛的な視点から、このデイケアを 選択していくというような方が大勢いらっしゃったりもするわけです。そういう傾向を推しはか ることができるわけでありまして、やはり居場所機能というものをきちんと再構築していくよう な視点は欠かせないのではないかと思っております。そういう視点がないままに、デイケアの機 能の整理と機能分化論だけで事を進めていくのは、少々乱暴な感じがしてなりません。  昨年の中間まとめに至る議論の中でも、居場所機能の再構築というあたりは再三議論が出てい た部分ですが、こういう機会を通じて、再度、その視点に基づいて強調しておきたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  どうぞ、田尾構成員。 ○田尾構成員  私も少し自分の経験の話をさせていただきたいと思いますけれども、私は最初に、平成2年に デイケアを立ち上げましたが、このときは、基本的に通過型をイメージしました。一応、就労を 前提にして目標を定めて、就労支援なども行っていくと。どうしてもそこには到達できない人た ちは、地域福祉事業所に紹介していくというような形をとりました。  当然、小規模で、プログラム中心ではなくて、原則、利用者に運営してもらう、自発性を引き 出すというような形の構造にしました。年齢も30代ぐらいで、次の目標を持てる人を対象にした。 現状維持を目標にする人たちは、デイケアの対象から外したというようなやり方をとった。  平成11年にはナイトケアをつくりました。これは、長期入院をして退院した人たちを中心にし たもので、退院したのにデイ・ナイトというような形で10時間も病院に縛りつけるのは余りにも 気の毒だと思いまして、昼間は福祉サービス事業所へ、夜は食事が無料で食べられるナイトケア という仕組みをつくった。入院者でさえ食事代を払っている時代に、外来で食事が、東京の場合、 都が補助しますので無料になっていましたので、おかしいなと思いましたけれども、制度がある 以上、利用者のためにそういうものを十分活用させていただこうというのが、そのときの私の気 持ちでした。  昼夜行く場所を分けることで変化もあり、昼は働くことを中心に、ナイトケアは、カラオケと かマージャンとかレクリエーションとかを中心に、生活にめり張りがつくような形にした。今で もナイトケアをみんな楽しんでいます。  私は、今回のデータからも言えるのは、多少デイケアは機能分化していく、機能的に整理され ていく必要があるのではないかと考えています。今回、常勤基準がありましたけれども、見てび っくりしたんですが、例えば70人の大規模デイケアを福祉サービス事業所と比較してみますと、 例えば医師を福祉サービス事業所の管理者と見立てると、最も人員基準の低い、例えば就労継続 Bでも、70人だとサービス管理責任者を含めて常勤換算で9名以上の人員配置が必要になります。 でもデイケアでは4名です。これでは何もできないのは当然だと私は思います。何もしなくてい い、気ままに、自由に、食事だけ出してレクリエーションをしていればいいというのが、この基 準にほかならないと思います。  さきにお話ししたように、目標を設定して、例えば就労支援までしていく、例えば急性期を入 院せずにデイケアで乗り切っていくような治療型のデイケアを考えていくならば、まず、規模を もっと小さくして、もっと手厚い人員配置ができるような仕組みと報酬が必要なのではないかと 私は考えています。  それから、私たちはこの福祉サービス事業所の中で新体系に移行して、新しい事業ではサービ ス利用計画が義務付けられました。これを書いていくことで、本人とサービス利用の目的を確認 し合えて、現状維持とこちらは思っていた人でも、話し合うことで新たな目標が生まれてくるこ とが経験上すごくありました。デイケアにはそういう義務はないですね。慢性期の居場所と考え られている人たちも、このサービス利用計画あるいは、例えば病院だったら治療計画というよう なことをきちんと義務化して、本人と話し合いながら立てていくことで新たな展開が見えてくる ということは大いにあり得るのではないかと思います。これも是非御検討いただきたいと思いま す。  それから、これはデイケア以外の話ですが、せっかく資料に載っているので、29ページですけ れども、デイケア以外の精神科専門療法というところで、入院生活技能訓練療法というものがあ りますが、生活技能訓練というのは、入院ではなくて、生活がある外来にこそ必要なプログラム だと思います。これは、生活技能訓練をやっていただく方たち皆さん思っていらっしゃると思い ますが、これが入院にしかないというのは論理的に矛盾だと思います。何とか御検討いただけた らと。  それから、3)、4)の通院集団精神療法と入院集団精神療法が、医師及び精神保健福祉士、 つまり医師が義務付けられている。これ、実際に集団精神療法の中に、お医者さんが1時間とか という時間をかけていることは、今の医師不足の中、病院の中ではほとんど不可能な実態がある かと思います。医師ではなくてもとれるような形にしていただければと思います。  それから、最後の検討で上げられたことは、私は大いに賛成ですので、是非この方向で考えて いただいたらと思います。  以上です。 ○樋口座長  それでは、山根構成員。 ○山根構成員  伊澤構成員と田尾構成員が大体のことを言われたのですが、1984年に大規模病院で、平成1年 に大学病院でデイケアを開設し、かかわってきた経験から、デイケアは、当初の再入院防止、退 院後の居場所の提供という役割はかなり果たしたと思います。しかし、近年のいろいろな福祉サ ービスができ始めた時点で、デイケアと生活支援とのすみ分けが問題になっています。自立支援 法における利用料に関連して、私たちがかかわっている授産からも、何人もの人たちがデイケア に戻っていきました。伊澤構成員が言われましたが、デイケアに行けば食事が出る。1日いて、 テレビを見て、遊んで、おふろに入れて、場合によっては、3食無料で食事が出る。福祉は利用 に費用がかかるからと医療の方に戻ってしまう。しかもそうしたデイケアのプログラムの大半が、 ここにあるようにレクリエーションです。このあたりを少し整理しないといけないように思いま す。  地域においてはまだ、福祉サービスが十分ではなく、デイケアを切ってしまうと行き場所がな くなるというところもあります。そういう過渡期にあるということを考える必要がありますが、 週2日以下の利用の人が6割、3年以上利用の人が6割ということは、デイケアは、居場所とか そういう形での利用が多過ぎるのではないでしょうか。1年未満で地域移行する人と、居場所と して入院するまで長期に利用するという人たちを、同じプログラムで対処することは無理だと思 います。資料の中では多少そういうことを工夫されている病院もありますが、大半のところは同 じプログラムで、大規模とか、拡大型の70人とか100人来られる中でされています。  治療型であれば、例えば医療機関は1年とか2年に限って、そのかわり人もお金もかける、支 援型の場合は、医療としての保護下でないと支援ができない場合と、場所があって、相談する人 がいたら、それで十分できる場合がありますので、医療費と福祉のお金の使い分けというんです か、どうせ財源は国の一つなわけですから、そのあたりを少し考えていただけるといいと思いま す。  それと、昔のままの人員配置の問題があります。最近、きちんとプログラムに入っているかと か、毎日患者さんを診ているかという指導がある県が増え医師の役割が問われていますが、兼務 可能と書いてあるだけで、何の役割をするかが明確でないまま配置されています。医師だけでな く、スタッフの役割とか配置の見直しということが必要になります。  もう一つ、作業療法という視点から、職種のことは出さない方がいいかもしれませんが、養成 が少なかった当時のまま、「作業療法士又は経験のある看護師」という文言が残っております。 近年は、もう十分に養成が進んでおりますので、このあたりの過渡的な人員配置についても修正 し、経験のある看護師は作業療法士にしていただければと考えております。  とりあえず、以上でございます。 ○樋口座長  では、長尾構成員。 ○長尾構成員  デイケアがこれまで果たしてきた役割は、今まで述べられてきたとおり、非常に大きなものが あると思いますし、やはり資料にも示されていますように、再入院の防止というのは、デイケア を受けている、受けていないということによって、やはり有意な差が見られることは事実であり ます。  それと、デイケアのいろいろなデイサービス等との云々ということがありましたけれども、医 療スタッフが、それなりの症状の評価であるとか、さまざまなものを見ながらかかわるというこ とは、やはり大きな利点であるということは言わざるを得ません。  それと、確かに長期で居場所の提供ということも実質あるわけですが、そうだからといって、 この最後にありますようなデイケアの漫然とした長期にわたる頻回/長時間の利用について是正 を図るべきではないかというのは、余りに短絡的に行き過ぎるのではないか。確かにいろいろな 福祉サービスというものができてきてはいますけれども、十分な質と量が担保されていない。今 の実際の地域の社会資源として、そういったものの基盤整備が全くそろっていない中でこういっ たものを規制してしまうのは、いかにもちょっと短絡的過ぎるということを言わざるを得ません し、こういったことは、やはり今の段階でやるべきではない。  それから、先ほど若干、ドクターにもなかなか言えない、入院させられるのではないかという お話がありましたけれども、実際そうなのかなと。うちでもやっていますけれども、実際に自立 支援医療が始まって、逆に利用者は少し下がっていますし、利用する人によっては、やはりそれ ぞれデイケアを選んだり、作業所を選んだり、それぞれの自己決定でされている部分は非常に大 きい部分があると思います。いかにも抱え込みながら、デイケアから出てはいけないという話で は、これはあり得ることではないと思っていますし、必要とする人はそれぞれの必要とするサー ビスを受けられるということが非常に大事であると思います。  それから、いろいろな機能分化ということは、これはこれからも非常になってはくると思いま すけれども、今はこれだけのこの中で、細かく機能を分化してこれをやらなければいけないとい うことをするのには、まだちょっと時期尚早かなと。十分なそれを分けられるだけの疾患、病気 であるとか、いろいろなものを勘案したり、疾患別のプログラムであるとかといったことも十分 な人数的なことも含めて考えていかなければならないし。当院でも、いろいろな管理プログラム であるとか、就労支援プログラムであるとか、SSTとか、いろいろなものをまぜながら、それ ぞれのニーズに合わせながらやっているわけですが、これだけの人数にわたってこれを決めなけ ればいけないというような余り型にはまった機能分化をやってしまうと、かえって動きがとれな くなってしまうということを言わざるを得ません。  ですから、今の段階で十分な社会福祉サービスの基盤整備もできない中で、こういった短絡的 にデイケアを是正するというようなことは、絶対反対であると言わざるを得ません。 ○樋口座長  上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  今回のデイケアの検討に関しては、医療費の削減が主要目的なのか、あるいは地域ケアの充実 が目的なのか、そこはやはり確認しなければいけないと思うんですね。もし仮に医療費削減のた めにデイケアのこの見直しということが持ち出されているとしたら、ちょっとこの会の趣旨に反 するのではないかと思います。  デイケアの果たしてきた役割は、既に皆さんおっしゃったように、再入院を防止したり、非常 に大きな効果があったと思います。しかし、まだまだこのデイケアに関しては未熟なところがあ るということです。本格的に行われるようになったのは、昭和60年ごろからでしたでしょうか、 始まったのがいつからでしたか、ここの資料では昭和49年からとありますので、もう何年もたっ ているかのようですが、デイケアに関する位置付けとか認識とか、そういう中の治療的なあり方 とか、いわゆるここの機能分化として上げられているようなこととかに関して、まだまだこれか らどんどん議論していって、そして、最終的にはこのデイケアをもっと充実させていく方向で議 論を進めていくのか、あるいは、これはもう役割を閉じたのだから収束する方向に持っていくの かというところが大きな分かれ目になると思います。  診療所でデイケアをできるようになったのは1988年からなんですね。だから、まだ20年ぐらい の歴史しかありません。そして、これがどんどん増えているかというと、必ずしもそうではなく て、施設数の推移を見ても、例えば資料の5ページなどを見ていただいたらわかりますが、毎年、 デイケアの開設者の数がどんどん増えていっているかというと、そうではない。利用者もどんど ん増えていっているかというと、そうでもない。例えば、利用者でいきますと平成17年と18年で は、デイケアでは6万人から5万8,000人に減っていますよね。最近の開業なさる先生方の傾向 からいいますと、わざわざそんな人手をかけて地域ケアを一生懸命やるよりも、簡単に開業した 方が手軽でいい。そういう手間暇かけて人員を配置して地域ケアをやっていこうとするような邪 魔くさいことは余りしたくない、そういう傾向があるような気もします。それはどういうことか というと、やはりデイケアの意味がもう少し明確になっていなくて、それの果たしている役割を 皆さんが積極的に評価していくということになっていないからではないかと思うんです。  私は、公的な機関がどんどんデイケアを縮小したり、保健所の機能が低下していく中で、全国 に展開した診療所などが、きちんとデイケアを持って、地域ケアの拠点としてきちんと機能でき るような人員配置とか施設基準とか、そういうものを持てるような体制にしていただければ、そ こには医者もいるわけだしスタッフもいるという形になれば、非常に日本的な、有機的に機能的 なシステムができるのではないかと思います。是非そのような形で対応を考えていただけたらと 思います。  機能分化という点で言えば、診療所と病院の役割が既に資料として明らかになっていますけれ ども、年齢構成的に見ても、疾患別に見ても、やはり違うところがあると思います。これはしよ うのないところであって、病院の果たしてきたデイケアの役割というのは、地域移行であるとか 地域での受け皿づくりのために、居場所的な機能を確保する意味で積極的な意味があったという ことでこのような形になっていると思います。診療所でやるデイケアは、やはり入院を防いで、 そして地域での生活を支えていくという意味で、それから、統合失調症中心ではなくて、さまざ まな疾患に対応できるような形でやっていくということで、多様性があるという意味での機能分 化は既に行われている。それをもう少し明確な形で位置付けてやっていくというのは意味がある と思います。  最後に一言だけ言いたいのは、やはりこの最終的な結論としての漫然と長期にわたる頻回/長 時間の利用に関しては是正を図るというのは、非常に医療者をばかにした言い方ではないかと思 います。決して漫然と行っているわけではない、それから、喜んで長期にわたって見ているわけ ではない。そのことをもう少し理解していただきたい。あるいは長期にわたって、例えば私のと ころでも10年間デイケアに通っておられる方がいますけれども、その方が、もしこのデイケアを 利用しなければ、恐らく入院になっていただろうと思うわけですね。その間の医療費の差たるや 大変なものだと思います。そのようなことを考えますと、このデイケアの果たしている役割に関 する位置付けをはっきりさせてほしいということがあります。  もっと言いたいことはありますけれども、また後で言います。以上です。 ○樋口座長  小川構成員。 ○小川構成員  質問と意見です。資料の18ページのデイケアの週当たりの利用回数ですけれども、これは、デ イケアの分類ごとに分けてそういう資料があるのか、あるいは資料がなくても、何か傾向がある のかというのをちょっと教えていただきたいのが質問です。  意見ですけれども、SSTについて田尾構成員が御指摘したように、私も、本来、入院期間中 にやるよりも、地域できちんとやった方がこれは効果的だということは、もう皆さん御存じだと 思います。やはり入院期間ということが、できるだけ短ければ短いほど社会復帰に要する時間も 減るということとか、入院が及ぼす社会性を失う、そういう負の面ですね。勿論きっちり入院治 療を行って精神症状を改善するという意義もあるわけですが、入院期間が社会性を奪っていくと いう側面もあるわけですので、SSTは、やはり今後は地域での展開が必要だと思います。  デイケアの話ですので、入院医療とデイケアとの関連で述べますと、これまでも入院期間中か らデイケアを利用して、できるだけ早期に退院に結びつく努力をしてきたわけですね。これはも う10年、20年以上前からそういう取り組みがされておりますが、そこは診療報酬上評価されてい ないということもございます。したがって、できるだけ入院期間を短くする取り組みの一つとし て、積極的にデイケアを活用していく、そういう意味でのデイケアの活用ということを診療報酬 上も評価していただければと思います。  以前、トライアルというような話もグループホームの活用なんかで話が出ましたけれども、デ イケアのトライアルということもあっていいのかなと思っておりまして、これは意見でございま す。  以上です。 ○樋口座長  では、今の質問について何か。 ○林課長補佐  質問についてお答えさせていただきます。  社会医療診療行為別調査というのが抽出の調査なものですから、全体で8万人余りをされてい るといっても、調査に使えるサンプルというものは1,000とかそれぐらいの数でございまして、 その中で、デイケアはそこそこの数があるんですけれども、デイ・ナイトケア、ショートケア、 ナイトケア等については数が、少ないものでは数十人といった数になってしまうので、そこまで の評価がちょっと難しい感じがいたします。ショートケアについては、比較的利用回数が少ない 方が多いのかなとは感じますけれども、正確な評価あるいはデータとしてお示しすることはちょ っと難しいことを御承知いただければと思います。 ○樋口座長  では、大塚構成員。 ○大塚構成員  今、上ノ山先生が「漫然」とと言われると不快だとおっしゃったんですが、実際に現場で必ず しも漫然と行われているわけでも、喜んで長期化させているわけでもないと思うんですが、現状 としてそういうふうに見られても仕方がないという、何十年もデイケアに通い続けている人がい るということも、どこかで私たちは認識をしなければいけないだろうと思います。  15ページの資料で、例えば作業所とデイケアの利用目的のところを見ますと、ほとんど差がな い形になっています。例えば山根構成員がおっしゃったように、当初、デイケアが始まった時代 は、生活支援を担う福祉資源が非常に少なくて、デイケアでそこを見ざるを得なかったというこ とはあったと思いますが、これだけ役割が分化してきましたので、やはり生活支援型のいわゆる デイサービスに値するような方々の部分は、何とか移行していくという形に持っていくことをこ こで認識すべきだと思うんですね。  そこについては、長尾先生が、今、資源がない中で移行するのは早いとおっしゃったんですが、 今すぐ、今日の明日で移行ができるとは思いませんけれども、逆に、どういうふうに仕掛けてい ったらそこの移行がスムーズにできるかということを、例えばマンパワーですとか、デイケアの プログラムの体制ですとか、それから、今日はデイケアのことで語っていますが、むしろ外来の スタッフ体制ですとかというところをもとに、少し具体的に踏み込んで検討していかないと、逆 にいつになったらそこは生活支援型の人たちが福祉サービスを利用できるようになるのだろうか というところは、私は少し疑問に思っています。そういう意味では、田尾構成員も言いましたが、 やはり個別支援計画をきちんと外来の患者さんたちにも立てていけるような体制を、むしろ考え ていくべきだろうと思っています。  現状では、残念ながら、やはり移行希望者が、資源が少なくてなかなかかなわないという実態 はありますので、そこのところをどういうふうにしたらいいかという内容の方を検討できればと 思う次第です。 ○樋口座長  どうぞ、お願いします。 ○門屋構成員  現状と意見を申し上げたいと思います。  私どもの地域は、970床のベッドがあって、デイケアができたのが1984年、40人の通うデイケ アができました。私たちは、いろいろな社会資源、退院してくる方々を、生活資源をつくりなが ら活動してきたんですが、実は、時間の経過とともに、ベッドは減るんですけれども、退院は促 進されていくんですが、むしろデイケアの利用者は減り続けるという傾向を示しています。その 40人の一番最初にできた公立のデイケアは、現在20名ぐらいしか通っていませんし、援護寮に至 っては、20名定員のところ、現在2名とか3名という利用で事足りているという状況になってき ています。これは、資源がなければという考え方は、それは私たちも同じ考え方を以前からずっ と持っておりますが、医療が行うべき役割なのか、それとも生活支援という、今まで何人かの方 が言ってくださった形の資源ができれば、確かに医療の中でやる必要性が非常に少なくなるとい うことについては、私たちも認識してきています。  さて、しかし、私は、実は新しい課題はデイケアの中にもあるんだろうと思っているんですね。 それは、幾つかの専門的なプログラムが、地域資源の中ではでき得ないものがたくさんあります。 ここのところは、有期限でプログラムの内容をきちんと精査した上でのプログラムが用意される べきだと。特に私が感じていますのは、デイケアは、日中、彼らが生活する状況を見ながら、実 は薬の作用であったり副作用であったり、そのあたりの調整もできることでは非常に有効な場所、 場面でもあります。こういうところに実は余り使われていない、外来の診察の場面でしか使われ ないということがあったり、あるいはさまざまな心理教育も含めて、有効なものはこれからも用 意することが大事なんだと思っていますので、そこをきちんと分けていくべきだと思います。  ただ、一律に、今は全国的なことでこの場は話がされるわけですから、全国、資源のないとこ ろに合わせて今の状況をつくるのかというと、私はそうではなくて、やはり地域間格差をきちん と認識しながら、地域ごとにデイケアの必要性について検討するような状況があるべきだと思っ ていまして、精神科は都道府県単位になっていますから、少なくとも都道府県あるいは二次医療 圏できちんとした必要量についても研究なさることが課題なんだと実は思っています。  もう一点だけ、現状の経過ということから言えば、これは諸外国にそのデイケアの経過がきち んとあるわけですね。現実に、例えばバンクーバーあたりの報告を読むと、50万人のところに25 人分のデイケアしかないと。しかし、過去にはもっと大きなものがあったわけですね。こういう 歴史的な経過というのは、多分いろいろな資源あるいはプログラムが開発されることによってそ ういう変化が起きるのだろうと。そこのところをきちんと議論できるようにしないと、いつまで も質はかなり悪い。悪い状況で維持されることについては、やはりまたまた議論しなければいけ ない課題として出てくるだろうと思います。  私は、精神医療の質は高めないと、日本人のさまざまなメンタルヘルスの問題が起こっている のに対応できる機関として、すごく限定された機能しか社会は求めていないように思うんですね。 ここのところは、このデイケアの問題も決して例外ではないと思っていますので、デイケアは、 本当にもっと細かく、厳密に検討すべきだと思っています。  以上です。 ○樋口座長 末安構成員。 ○末安構成員  以前にもお話ししたんですけれども、今回もデイケアを終了する理由が再入院だと。以前のこ この検討でも、それから社保審の方でもあったと思うんですが、精神科関係の社会福祉施設から の再入院というのが25〜26%ずつ推移している、4分の1だと。それが、両方ともリハビリテー ションの一環だと考えるのであれば、リハビリテーションのサービスを受ける、外来であっても、 入所型の施設であっても、4分の1の人が再入院するのが精神科の治療のいわばベースだと考え るのかどうかということだと思うんです。というのは、デイケアが、いろいろ議論があるんです けれども、私どもも調査をやらせていただいて、回復期リハビリテーションの一環で機能として は位置付けられているにもかかわらず、生活支援が重視されている。それは、今までのお話にあ ったように、地域生活支援サービスが乏しいから、仕方なくそうなっているのか、それとも精神 科の病気になった方たちが回復していくということについては、医療と福祉と線引きするのでは なくて、それは相互にミックスしたようなサービスがないと成り立たないと考えるのか、そこを 検討する必要があると思うんですね。  先ほど門屋さんもおっしゃったんですけれども、専門分化しているともし考える場合、例えば 欧米の例で言えばすごくわかりやすいと思うんですが、地域で暮らしている方が、デイケアでは なくてデイホスピタル的なプログラムの充実したところへ行くような場合、地域の側が送ってい くんですね。それはなぜかというと、障害が重いからです。1人で行くことができないような方 が地域で暮らしていて、例えば精神障害、知的障害、身体障害を全部合併しているような方が暮 らしているので、送っていかないとデイホスピタルに行けないんです。でも、日本の場合、今は まだ、自立支援法になりましたけれども、精神障害の方が移動することは基本的には認められて いない。ごく一部の市町村で運用的にやっていますけれども、それすら認められていない。自立 支援法ができたと言っているけれども、行動の自由が確保されていないから、重症度の高い人が 住む場所もないと言っているけれども、行動の自由がそもそもないから、デイホスピタルを充実 させていこうとした場合に、それを利用することは結局できないわけですね。医療の側だけ考え ると。  だから、回復期のリハビリだと考えていく場合に、どこまで医療と福祉がミックスした形で、 つまり生活の延長、生活の中に医療を位置付けるということを考えていかない限りは、結局、今 のまま、この辺で行こうかというような今の延長のことしかアイデアが出てこない。そうすると、 根本的な転換になっていかないのではないかと私は思います。 ○樋口座長  いかがでしょうか。長野構成員。 ○長野構成員  今までの意見と重複しますが、いわゆる社会的入院の問題とこのデイケアの問題というのは、 全く同じではないかと考えております。地域で生活も含めて支えられる資源が、昭和49年からデ イケアしかない中で、いわゆる社会的通所者、これは言葉が適切かどうかわかりませんが、社会 的通所者をつくり出しかねない構造に今ある。ホスピタリズムをつくり出しかねない構造にある。 そこの目の前の議論だけで終始していると、結局、水かけ論になってしまうのではないかと思い ます。  今必要なのは、私たち医療を担う者も、ホスピタリズムを通所の中でつくらないという将来像 を明確にしながら、今から10年後の日本の精神科デイケアはこうなんだという将来像を明確につ くり上げることがとても大切なのではないかと思います。そうしないと、また目の前のことの対 処で、機能分化とか長期入院の抑制という非常にシンプルなことだけでは、とても細かなニーズ には応えられないのではないかと考えております。  あと、目の前で整理すべきと考えているのは、自立支援法が今、どんどん施策が充実してくる 中で、自立支援法のサービスと医療のサービスが重複してきている部分がかなり出てくる中で、 両方とも使いながら、両方とも財源を消費してしまっているケースがかなりあると思うんです。 先ほどグループホームの話が少しありましたけれども、グループホームが例として適当かどうか はちょっとまた考えるにしても、福祉サービスと医療サービス、機能が同じなのに2つとも使っ ているという、貴重な財源をずっと同じ方が使わざるを得ないような状況が出てきていると思う ので、そこの整理が必要なのかなと思います。  以上です。 ○樋口座長  中島構成員。 ○中島構成員  長野構成員の御意見を支持したいと思います。やはりこの最後のページのところの検討課題は、 決して医師をばかにした話ではなくて、きっちりそういう目標を持って今後やっていかなければ いけない、そういう目標を明確に立てた上で、この5年間、どういうふうにステップを踏んでや っていくかということを今はもう明確に出すべきときだと思います。ですから、一番上の急性期 とかいろいろなこういうものについては、疾患別、状態像別のデイケアの分化というものをきち んとやっていかなければいけないし、福祉的には、福祉サービスを、これは行政にきちんと義務 付けていくことが必要で、そういうものができていくのと並行しながら、やはり現在のデイケア というものをきちんと整理していくことが必要ではないかと思っております。  以上です。 ○樋口座長  それでは、広田構成員。 ○広田構成員  デイケアが今日出るということで、医療と福祉の闘いになるのかなと思っていましたら、医療 の中でも福祉的な方もいらっしゃるんですけれど、いわゆる社保審の障害者部会をしょっちゅう 傍聴に来ていた人から、「あの中でコンシューマーの視点はIBMの鶴田さんと横河電機の箕輪 さんと毎日新聞の野沢さんと、それから精神医療サバイバーの広田和子さんだったと思います」 ということを随分伺いました。  それで、いわゆるコンシューマーとして、私も26年前にデイケアに1年行って、卒業し、そし て20年前に作業所に行って、1年で卒業し、民間企業でも働きましたが、結局、デイケアに行っ たことも、作業所に行ったことは、前にも言いましたが、仲間に会えたことと規則正しい生活が できたことは非常にプラスになったけれど、いわゆる当時の作業所の職員から得たものは何もな かった。  それから20年たって、ではどうだろうと思ったら、やはり変わっていないということで、現在、 神奈川の患者会の事務局長として、自立支援法下ではいろいろなものがありますが、3つの旧作 業所とデイケアに、仕事として有料のいろいろなことをお願いしていますが、例えばデイケアの 人は、この間こういうふうに言われました。「今、デイケアで内職をもらおうと思うと本当にな い。とても大変だ。ここの仕事をもらえるのはとてもありがたい」と言うから、「それはうちの 方も助かるというだけではなくて、私がかつてデイケアに行っていて、いろいろな社会の仕組み を知ったり、社会の中にいろいろなことがあるということを知るのが大事だろうと思って出して います。」と言ったら、「本当にありがたい」ということで、社会性のある職員だなという印象 を先週持ちました。  同じ部分的なパーツで出していますが、ほかの仕事を間違えた作業所に指摘をしたら、何と、 ちが出しているお金が安いと言うから、「あなたね、いわゆる99円ショップとか100円ショップ で物を買って、壊れていたときに、店員さんが、うちは安いから壊れているという言い方はしな いでしょう。おかしいのではないの」と言ったら、「それは、いわゆる作業所に通っているメン バーにたくさん工賃を払いたい」と言うから、「そんな間違った仕事をしていて、たくさん工賃 をメンバーがもらったら、社会の中で、間違えても障害者なんだから当たり前なんだ、高くもら えるなんて思うから社会性が身につかないでしょう。」「あなたは社会経験があるんですか」と 聴いたら、「あります」ということなんです。「それはおかしいのではないですか」ということ で、今週あたりから彼の態度が少し変わってきています。  もう一つは、いわゆる患者会以外の、私の生活の中で、一軒家を借りていて、庭も広いもので すから、私自身が草刈りをやり切れなくて、生活保護施設というところに出しています。これは 有償ボランティアで。ここもやはり仕事がないからとても喜んで、職員とそこの通所者が来て、 やってくれているんですね。  そういうことを見てくると、本当に、厚生労働省がお並びになっているけれども、私は社保審 の方で反対しましたが、工賃5カ年倍増計画とかいって、この間、あるところが「80万円もらっ た」と職員から報告がありました。「何のお金か」と聞いたら、「工賃倍増計画で寄附金が来 た」ということで、そういう意味で、ある意味では、デイケアかいわゆる福祉かということで、 確かにデイケアがデイ・ナイトということで10時間も行っているなんて、私は、何時から何時ま で行くのかしら、何時間うちにいるのかしら、どうなっているのかしらということで、これは3 食もそこで食べて、家で寝るということは、ちょっとどういう生活になっているのかしらと思い ます。率直に、めったに話は合わないんですけれども、上ノ山さんが、これはデイサービスの施 策のことについて求められているのか、お金かと言ったのは、私もそう思います。国のお金なの かなと。それともう一つは、いわゆる医療機関も、デイナイトはもしかしたらお金が欲しくてや っているのではないかと。だから、お金が2つ出てきますね。  そうすると、コンシューマーからすれば、福祉にしろ、医療にしろ、どちらでもいい。自分が 自分らしく生きていけて、そして、前にデイケアから就労に行くのはだめだと言っていましたが、 それは何も義務教育がデイケアで、高等教育とか大学が福祉ではないと思います。そんなに医療 と福祉の職員の質が、福祉に行ったら突然よくなるということはあり得なくて、場合によっては デイケアから就労に行く人もいるだろうし。  それから、例えばここでデイケア、デイケアとやっていますが、では、デイケアで足かせして 何年と切ったときに、いわゆる福祉に行ったときに、そこなら全然上限なし、何年でもいいとい うことなのかなということと、さっき日中活動の場というところでたまり場的なお話が出ていま したけれども、それは、もしお金がきちんと出せて、そして本人がそれを望むならば、「日中活 動の場ということであれば、コンシューマーとしては医療でも福祉でもいいのではないか」とい うことを仲間も言っていますし、ここはシビアにお金の問題で、国のお金の問題と、いわゆる医 療機関のお金の問題と、それから福祉の職域を開拓したいという思いがとても強く感じられて、 そこに行っている、ただ、さっきお話ししたように10時間も行っているということは、行き過ぎ ではないかと思います。  それともう一つ、これも私は大反対ですが、雅子様がうつになり、安倍晋三さんも恐らくうつ で投げ出したと思われるようなこの国で、精神障害者の全国のソフトバレーボール大会をやろう と騒いでいますが、そんなお金があったら、さっきの門屋先生のお話ではないけれども、精神医 療の質を上げていただきたいと思いますが、そういうところに本当にデイケアの若い、ここの平 均年齢の数字よりも、私が知っているデイケアのメンバーははるかに若いです。若いメンバーが、 ソフトバレーに勝つことに夢中になっているんですね。この間もその話を伺って、そういうエネ ルギーがあったら働こうという気にならないのかしらと思ったんですけれど、そういうことで、 医療対福祉、そして国のお金、医療のお金、そして福祉のいわゆる職域開発、そういうことと、 それから本人にとってみれば、これは私、是非やっていただきたいと思います。私を含めた日本 人は、とてもネガティブに思考、考えるんですけれど、ここの検討の上から2行目、一定期間、 認知行動療法、これはとても大事だと思うんですね。物事をいい方に持っていってやる。そうい うことを是非やっていただきたいと思います。  そういうことです。 ○樋口座長  それでは、どうぞ。 ○佐藤構成員  我々の病院の概要を前回お話ししましたけれども、デイケアを一応やっておりまして、それを ちょっと紹介いたしますと、我々のところは2年の期限付きでやっております。一応、急性期型 の病棟ですから、退院直後の方とか、外来に通っておられて社会参加されておられない、ずっと うちに閉じこもっておられるということで、何か社会参画の機会を得たいという方を対象に2年 間の期限付きでやっているんですね。  そうしますと、2年間ほぼ通われた方がどうなるかというと、3分の1ぐらいがアルバイトと か仕事に就けるんですね。3分の1ぐらいの方は作業所に行っていただく。残りの3分の1は、 また、やはりうちに閉じこもるという生活に戻ってしまうことが多いんですけれども、その程度 の効果は得られるんですね。  やはり急に入ってきたり、2年終わらない人とか、メンバーも多様ですから、1つのプログラ ムというだけではうまくいかないわけですね。そうしますと、2プログラムの日と3プログラム の日があるんですが、3プログラムの日の方が参加者が多くて、割と活性化して、今の診療報酬 でいくと、大規模ですから原価計算をやられてしまうと、3人以上は病院の方で人を配置してく れないので3人でやっていますが、医者がやるのは症状管理ぐらいで余りやることはないんです けれども、一応監督しながらやっている。そうしますと、3人だとやはりちょっと足りないんで すね。多様なプログラム、3プログラムするときには、2人スタッフがついた方がいいプログラ ムがありますので。そうすると、2プログラムないし3プログラムでやっていまして、ちょっと 人数が足りないかなという感じがするんですね。  そういうふうにしますと、社会的なトレーニングの場と考えて、そこでうまくいった人は、就 労したり、作業所の方に移行すると考えると、かなり有効な部分があると思うんです。  デイケアも、生活支援のサービスと同じではなくて、差別化していくためには、もうちょっと 高機能なデイケアといいましょうか、人をたくさん配置できるようなデイケアが必要だと思うん ですね。その場合には、やはり無期限にしますと、ただそこにたまっていくだけになってしまい ますから、ある程度期限を設定して、その中で社会的QOLを高めるようにやっていくと、ある 程度有効かなと思います。 ○樋口座長  それでは、伊藤構成員。 ○伊藤構成員  長期デイケアの検討は、引き続きこの検討会で議論されていくと思いますが、同時に、急性期 デイケアが求められていると思います。海外では急性期のデイホスピタルの効果がデイケアの中 でも最も高いエビデンスとして存在しています。事務局の資料からもデイケアが多様化しつつあ ることをうかがうことができ、5年後を見据えると、濃厚な急性期デイケアの可能性を検討する ことは大事であると思います。  ただし、その場合に条件があります。期限をある程度決めることと、どういった内容の支援が なされているかわかる形にすることです。期間限定で、先ほどお話にあったサービス利用計画と いった内容とセットで急性期デイケアを考える必要があると考えます。  今回、事務局の資料でいろいろなモデルが実はもう既にできてきていることを考えますと、相 当デイケアが多様になってきていて、特に、その中でケアや急性期系のものがどういうものかと いうのを考えていく必要があるのではないかと思います。 ○樋口座長  それでは、野沢構成員。 ○野沢構成員  先ほど広田さんからコンシューマー側の一人だと言われたので、私も一言発言させていただき たいんですが、デイケアのことだけ考えると、どうしても医療費の削減みたいなものが向こう側 に見えたりして、どうも議論が重くなってきてしまうんですけれども、コンシューマー側の立場 で見れば、地域生活をきちんと安心して営んでいけるような福祉サービスの充実がやはり大事だ と思っているんですね。  先ほど長野先生がおっしゃられたように、十分な社会資源として整備されていない、それはそ のとおりだと思うんですね。どこに行っても皆さんすごく貧しいですよね。なぜかといったら、 この報酬基準が、このデイケアはどういう評価なのかわかりませんけれども、福祉のサービスと 比べてどうですか、福祉サービスの方がはるかに点数が低いですよね。しかも人員配置なんかは もっと高いハードルが課せられてきて。それを放置していたのでは、いつまでたったってきちん と充実なんてしてこないと思うんですよね。やはり順番として、地域生活を支える福祉サービス をきちんと分厚くしていく、それによって、今デイケアで担われている、本来だったらば福祉サ ービスの方で十分担えるようなもの、この資料を見ますと、むしろ福祉サービス等がふさわしい ようなものも今までデイケアになっているわけで、そういうものをきちんと福祉サービスの方に 流していくという考え方をしていくべきではないかと思います。  お金がいっぱい、じゃぶじゃぶある時代ならば、もうそれだけでやっていけばいいんですけれ ども、だれがどう考えたって、この国の財政を見たらそんなわけにはいかない。やはりある程度 整備しながら、予算を足りないところに流していくことを考えなければいけないと思うんですね。 その予算措置の技術はちょっとわかりませんけれども、医療費の削減なのか、それとも福祉の予 算を増やしていくのかというのは、コンシューマーから見れば、それはどうでもいい話であって。 ただ、技術的にあれこれやっていくうちに、医療費の方だけ削減されてしまって福祉は伸びない ねということがこれまでも幾つかあったので、軽々には言いにくいんですけれども、やはりそれ ぐらいの政策誘導を大胆にしていかなければ、これはいつまでたっても、福祉サービスの資源は 乏しいからしようがないねというところで立ち止まってしまうのではないかと思います。 ○樋口座長  では、この順番で、谷畑構成員、上ノ山構成員で最後でいいですか。どうぞ。 ○谷畑構成員  久しぶりに出席させていただきました。次回も議会がありますので欠席させていただくことに なります。  先ほどちょっと中座いたしましたのは、久しく音信を交わしていなかった恩師からの電話であ りまして、開口一番、谷畑君、自民も民主も消費税の議論を避けているけれども、どう思う。市 の立場でどうだというお話でした。要は、ここ2日間ほど全国市長会がありましたので、国会議 員の間をうろうろしていたんですが、自民党が今やっていることは焦土戦術だと言っています。 政権交代の前に、今ある財政資源をすべてばらまいてしまって、民主党が政権を取ったときには、 新たな施策が打てないようにしておこうということのようです。その一方で、一昨日あたり、プ ライマリーバランスの目標達成を先送りするというようなことを言っておりますので、やはり財 源の問題というのは非常に難しいところに今立っている。それは、やはり有権者がきちんと見て おかなければならないことだろうと思うわけです。  先ほど来の話をずっと伺っていたんですが、1つ例を出しますと、ナイトケアのお話が今なか ったんですが、滋賀県においてはほとんどナイトケアの対応ができていません。最近の事例とし て、夜中に雨の公園で寝ていた方がおられて、それを病院に入ってもらおうとしても、病院側も 準備ができないし、御本人も入院したくないということなので、おうちの方に帰ってもらったら、 また外に出て、そこで倒れておられた。胃の中に大量の出血があって、貧血で脳梗塞ということ で、身体障害者の方に移行されるというようなこともありました。  実際、ナイトケアの制度があったとしても、それが、では現実に動いているのかというと、先 ほど来お話がありましたように、財源面、それから人員面でそういったことが難しいという状況 があります。  そういった中で、それは精神科救急の話とも一緒だとは思うんですけれども、先ほど中島構成 員が行政に義務付けということをおっしゃられました。ただ、一方的に行政に義務付けという場 合に、中央と地方のバランスがありまして、普通それを義務付けますと、中央が半分持つので地 方が半分というような形になるわけです。ところが、財源がそこまで確保されるかというと、実 際のところは確保されない。ずっとこの場で申しておりますけれども、どうしても交付金化とい うことでしか対応できないんですが、先ほど言いましたように、ナイトケア一つ取っても、全国 津々浦々で同じだけのサービスを受けられる体制をつくっておかなければならないというものに ついて、その財源は自由に使っていいですよといったときに、道路に使うところもあるし、教育 に使うところもある。そうすると物すごくむらができてしまうというところがありますので、そ このところはしっかりと財源論は議論しておかなければならない。  新型インフルエンザの話をして恐縮なんですけれども、あそこまで検疫体制を万全にしても中 に入っていたと。だから、やはりそういったことに使うお金があるのであれば、先ほどの福祉に 回すとかといったことについても大胆な政策転換をきちんとしておかなければならないだろうと いう思いはあります。ただ、それは厚生労働省だけということでは難しいと思います。当然政府 として対応しなければならない話ですし、その後ろには、与党、野党それぞれの政治というもの がありますので、そういったところに対する国民の見方ということをしっかりしておかなければ ならない。  先ほど来ずっと聴いておりますと、やはり全体のスキームをきちんとしなければならないとい うお話ばかりだったと思います。技術的なところは当然厚生労働省で対応できるんだろうと思い ますけれども、やはりそういったところのコンシューマーからの見方ということは、政治の方向 から見なければならない問題かなと。  財源論で言いますと、実は福祉医療費がありまして、乳幼児の医療費の無料化というものを、 滋賀県の中でうちの市ともう1市だけが最後までかたくなに拒んでいたんですけれども、とうと ううちも議会の方が無料化が多数派になってしまいかけたので、その前に、では、大転換をして 対応しますと。財源を捻出するのに、高齢者の医療費を削減してそっちに充てるという形で条例 をつくりました。財源を明示して条例をつくったというのでマスコミにも取り上げられましたけ れども、やはり財源自体は有限ですので、それをどっちに持っていくのかというところは、大き なところから見ていかなければならない。それは、政策分野もそうですし、一応、地方の部分も そうなんですけれども、やはりそこのところをまず押さえておかないと、細かなところで悲鳴が 上がっているところまでは届いていかないのではないかという思いがございます。  ですから、そういった点も十分に押さえながら議論していかなければならないのでしょうけれ ども、多分それをするには時間的制約があるんだろうなという気はいたします。この激動期です ので、そこまで十分に対応できるかどうかということもありますけれども、厚生労働省の側にお いても、そこら辺も十分に酌み取った上で常の政策というものも考えていただきたいと、この点 はお願いでございます。 ○樋口座長  それでは、最後に上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  簡単に申し上げます。  野沢構成員が福祉の方が予算が少ないことが明らかとおっしゃられましたけれども、事実は違 いまして、一応、事実関係だけ。就労移行支援とデイケアを比べますと値段が随分違うんですよ ね。つまり同じような日中活動をしていても、今の自立支援法下における就労移行支援とか、あ るいは就労継続にしても、そちらの方が高いということはあります。それが一つ。  それから、最初に品川構成員が言われたように、医者に文句を言ったら、また入院とか、そう いう何年も通わされるというのは、非常に偏った地域の偏った意見をこういう全国的な場でおっ しゃられるのは、少しいかがなものかと思います。やはりそれは、利用者がデイケアを選べない というのが一番問題であって、デイケアの数が少ない、もっと増やす、そういう方向で知恵を絞 れないのかということを私は是非考えてほしいと思います。  最近、診療所協会で調査しましたところ、デイケアをやっている人たちは、小規模が圧倒的に 多いんですけれども、定員として30人規模が認められていても、実際に通所しておられるのは11 人ぐらいが平均です。私のところだって135平米ありますが、実際、15人ほど患者さんが来られ たらもういっぱいです。それに対して基準のスタッフ3名で、例えばさまざまなプログラムをこ なしていこう、機能分化していこうと思ったら、それだけでも足りなくて、実際はその基準の倍 の人数をかけてデイケアを小人数の人たちに対して行っているのが現状です。だから、そういう 実態があるということを是非理解してほしい。  そして、チーム医療ということを今度の精神保健福祉法に書かれるらしいので、それは非常に 期待しているんですけれども、チーム医療をするために、このデイケアというのはすごく大事な んですよね。というのは、チームのスタッフをプールしていくところが今の診療所にはないんで すね。デイケアにスタッフを配置するということが、チームを組織する上で非常に大事なので、 そういう意味でのデイケアを育てていくという観点で政策を考えていただきたいと思います。  以上です。 ○門屋構成員  最後と言われましたけれども、ちょっと最後だけ。 ○樋口座長  では、ごく簡単に。 ○門屋構成員  今の意見は、どういう役割、機能のデイケアを増やすのかということの議論なしにデイケアだ けを増やすということだけが残っていくのは、私は絶対に反対なんですね。そこのところだけは 申し上げておきます。今の意見については、是非そのことを付け加えて、どういうものであれば 増やすかということの議論なしに増やすということの一般論では、私は承服できません。 ○樋口座長  どうぞ。 ○野沢構成員  就労移行は福祉の方がすごく高いんですよ。ほかの、例えば就労継続のB型だとか、あるいは 地域活動支援センターとか、この利用目的にそぐう福祉サービスと比べてみると、福祉の方が低 いというのが私の意見です。確かに就労移行は高いです。 ○樋口座長  どうぞ。 ○広田構成員  ドクターが言うと、いわゆる入院させられる、薬が増えると品川さんがおっしゃったけれども、 そういうときに、福祉の場面でもなかなか職員に言い出せないと。やはり力関係では、コンシュ ーマーなんて名乗っている人は全国に少ないんですから、圧倒的に患者や障害者は力が弱いんで すよ。そういうことですよ。働きに行こうと思ったら、職員に言ったら、私の言うとおりできな いなら辞めなさい、首切ると言われた人もいるわけだから、力関係が弱いということをおっしゃ った方がいいと思います。両者同じです。  それから、先生、余り営業マンはやめられた方がいいと思います。 ○樋口座長  ありがとうございました。  時間が大体いっぱいいっぱいになってまいりましたので、デイケアの議論はこの辺でひとまず 打ち切らせていただきます。  後半に入りたいと思いますが、後半は、先ほど申し上げましたように、気分障害と依存症、そ して児童・思春期の精神医療についてということで、これもまたそれぞれ相当大きな課題でござ いますが、まとめて資料を説明していただいて、ディスカッションしたいと思います。よろしく お願いします。 ○林課長補佐  ありがとうございます。ちょっと時間が押し気味ですので、本当にかいつまんで御説明したい と思います。  まず、資料2「気分障害について」でございます。  1ページにありますように、気分障害の患者数が非常に急増しております。気分障害について は、論点整理の中で明示的に書いておらなかったわけですけれども、このように患者さんが急増 していること、精神科医療の中での重要性が高まっているということで、この機会に資料を提出 して御議論いただきたいと思っております。  気分障害の患者さん、とりわけうつ病の患者さんが近年非常に急増して、これは医療機関にか かっている患者さんという意味でございますけれども、急増しているということでございます。  2ページにありますように、気分障害に一生のうちに一度でもかかられる方について見ると 6.6%ということで、決して人ごとではない病気でございます。  3ページにありますように、自殺の原因としても、うつ病の占める割合が高くなっておりまし て、警察の統計で見ますと、平成20年3万2,249人の自殺者の中で原因・動機が特定された者の 中で、うつ病と記載されている方が6,490人でございます。自殺にはさまざまな原因があります ので、実際、うつ状態を背景にする方はこれよりもっと多いものと考えております。  4ページが、うつ病を含め、気分障害対策の全体像でございます。心の健康づくり、早期発見、 治療、社会復帰と分けております。政府の政策の取りまとめとしては、新健康フロンティア戦略、 自殺総合対策大綱がございますが、それに基づいて普及啓発、地域保健、職場のメンタルヘルス、 早期発見、そして精神科治療、社会復帰プログラム、研究、こういった領域の施策、あるいは民 間での取り組みがなされております。  5ページが、新健康フロンティア戦略の内容でございまして、うつ対策については、うつの早 期発見・早期治療の推進、2番目にうつの治療、社会復帰の推進といったことが掲げられており ます。  6ページは、自殺総合対策大綱の概要でございますけれども、この中でも、自殺の実態を明ら かにする中で病態解明や治療・診断技術の開発、あるいは気づきや人の見守りを促す中で、普及 啓発の推進、適切な精神科医療という中で受診率の向上とスクリーニング、あるいは精神疾患の 対応といったことが入っております。  7ページからが個別の施策でございますけれども、普及啓発活動としては、健康日本21、これ は平成12年から行っておりますが、この中で、ストレスの低減、睡眠への対応、そして自殺者を 減らしていくといったことを掲げております。  精神保健分野では、「こころの健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」というものを 2004年に行っておりまして、それを踏まえて、9ページにございますが、「心のバリアフリー宣 言」に基づいて普及啓発を進めていくこととしております。  10ページは、地域保健における取り組みでございますが、国としては、うつ対策の推進方策マ ニュアル、うつ対応マニュアルといったものを都道府県あるいは自治体の保健医療従事者に向け てお示しして、ホームページでも利用できるようにしておりますけれども、うつ病の対策につい ての方法を示しているところでございます。  11ページは職場のメンタルヘルス、これは産業保健領域の取り組みでございますけれども、事 業場において適切な対応がなされるように、「メンタルヘルス対策支援センター」の機能の充実 を図るといった取り組みをさせていただいているところでございます。  12ページ、早期発見に関する取り組みといたしましては、うつ病を有していらっしゃっても受 診されない方が多いということ、また、それらの方々は、最初から精神科にかかるということで はなくて、内科等にかかられて、またそこで診断できる割合が低いといったこともわかっており ますので、まず、かかりつけ医にうつ病に関する対応力向上の研修を行うことで、診断率の向上、 受診率の向上を図っていきたいということで、平成20年から事業化して、各自治体に研修を行っ ていただいております。  また、13ページには、診療報酬改定における対応でございますけれども、診療情報提供料の中 で精神科医に紹介する際の加算を設けております。また、救命救急センターでの自殺企図者の診 察に精神保健指定医が加わって行うときについての加算などを設けております。  14ページからが精神科の治療についての資料でございます。病院と一般診療所、それぞれうつ の患者さんを診療していただいておりますけれども、近年、非常に患者さんの数が伸びているの は診療所の方でございまして、平成8年を1として、平成17年には2.8、これぐらい気分障害の 患者さんの受診が増えてきております。  15ページ、治療についてでございますけれども、さまざまな治療に関する問題が最近指摘され ておりますが、治療の標準化への取り組みとしては、欧米のエビデンスに基づいて作成されたこ のような治療のアルゴリズム等がございます。やはり十分に普及しているとは言えない状況でご ざいまして、今も根拠のない多剤併用等が行われているといった指摘をしばしばいただいており ます。  16ページは、認知行動療法。この検討会でもしばしば話題に上っておりますけれども、17ペー ジがその効果に関するデータでございまして、薬物療法と同等の効果がある、また薬物療法と認 知行動療法を併用することによって、それぞれよりも上回る効果があるといったような海外のデ ータがあるということでございます。  18ページが、気分障害に対する精神療法の実施状況でございますが、医師が施行、医師以外が 行っている、あるいは他施設に依頼というものを合わせても認知行動療法の実施率が約半分とい うことでございまして、我が国においては、実施できる医療機関がまだまだ少ないということが わかります。  19ページからが社会復帰プログラム。これは、デイケアの資料の中にも入れさせていただいて おりますけれども、リワークプログラムもデイケア等の場で行うといった取り組みがなされてき ておりますが、今はまだ試みの段階、まだ標準的なプログラムが余り確立していないのではない かと思います。  その次に、うつ病治療の流れと課題ということで整理いたしておりますが、気づきから、軽度 〜中等度のうつ病、そして、人によっては重度のうつ病になったり、治療抵抗例になられたりす ることもありますし、また回復する方もいらっしゃいます。そういった中での課題として、気づ きのレベルでは、一般の医師に対するうつ病についての啓発などが必要ですし、うつ病の治療と いうことに関してみると、適切な医療を提供するための質の確保、それから治療抵抗例に移行さ せない、あるいは早期の回復を図るためのリハビリテーションなどをしっかりしていくことがご ざいます。また、治療抵抗例についての課題としては、有効な治療法が今のところなかなかない といったような課題がございます。  22ページが、課題と検討の方向でございますけれども、左側、現状の課題といたしましては、 気分障害はまだまだ見逃されている場合が多いと考えられます。  また、精神科を受診する気分障害の患者さんは、近年著しく増加しております。精神科治療の 標準化が進んでいないほか、社会復帰への取り組みが十分でない。  また、慢性・遷延例の治療への対応が十分でないといった指摘がございます。  検討の視点といたしましては、うつ病患者を早期に発見し適切に診断できるよう、精神科につ なぐための対策を引き続き進めるべきではないかということ。  2つ目に、気分障害の患者に対して適切な精神科医療を提供するため、診療ガイドライン等の 作成を進める等により、医療の質の向上を図るべきではないかということ。  3つ目に、特に海外でうつ病への有効性が確認されている認知行動療法について、国内での有 効性の検証を進めた上で、普及を図るべきではないかということ。  4つ目に、気分障害の治療について、復職等の社会復帰の取り組みを積極的に進めるとともに、 慢性化・遷延化への対応を含め、治療・支援の方法に関する研究を進め、成果の普及を図るべき ではないかということ。こういった検討課題を上げさせていただきました。  続いて、資料3「依存症について」でございます。  1枚おめくりいただいて、論点整理の中では、依存症を含め、その体制のあり方について検討 を行うということが掲げられております。  2ページ目が、アルコール・薬物関連の精神障害の分類でございまして、ICD−10の中では このような分類となっております。有害使用からF1x.2というところが依存症ということでご ざいます。  3ページ目に、依存とは、「精神依存」、「身体依存」に分けられ、こういった症状が出てく るといったことをまとめております。  4ページ目からが依存症に関する統計でございます。表に出てきにくい疾患でございまして、 患者さんが何人という統計はなかなか難しいんですけれども、4ページの一番上が医療機関にか かられている方の数、アルコールに関して5万1,000人、薬物依存に関して9,000人といった数字 がございます。  5ページは、研究による有病率の推計でございますけれども、5ページの上でございますが、 アルコール依存症の患者さんの数は81万人と推計されております。そして、その他の統計を含め て、5ページ、6ページ目に紹介いたしております。薬物の方は、違法物質でございますので、 有病率の研究というのはなかなか難しいと考えられております。薬物依存症については生涯有病 率が0.1%程度でございますので、全体では10万人程度ではないかと推測されます。  7ページ、アルコール、薬物の使用と自殺との関連でございますけれども、依存症の方につい ては、気分障害に次いで自殺のリスクが高いことが知られておりまして、依存症対策は、自殺対 策の観点からも重要と考えられます。  8ページ、薬物・アルコール問題対策の全体像でございますが、有害使用防止対策、再乱用防 止対策、そして依存症対策と大きく分けられます。依存症対策について、次のページから、追っ て説明させていただきます。  依存症の治療・リハビリテーションは、医療の場、社会福祉の場、あとは法的・教育的な場と いうことで大きくこういうふうに整理させていただいております。  10ページ、物質依存症の治療ステージでございますけれども、導入期、解毒期といったところ では、例えば解毒期では、急性中毒・離脱症状への対処法ということで、薬物療法や入院治療が 必要とされております。他方、リハビリテーション前期・後期、後期の方になってきますと、む しろ入院等による医療の場での治療というよりは、断酒会などの福祉的な場、あるいは自助グル ープ等の場が役割を増してくるものでございます。  11ページ、これは依存症になる前の有害使用、多量飲酒等の段階での予防のための治療的介入 の例でございますけれども、ブリーフ・インターベンションについては一定のエビデンスが認め られております。資料にありますように行うということでございます。  他方、依存症そのものの治療については、エビデンスが十分示されている治療が余りないわけ でございますが、12ページにありますように、久里浜病院では、認知行動療法が行われるように なってきております。  13ページ、認知行動療法は、薬物依存症に対しても行われておりまして、動機付け面接、再発 防止法、こういった方法で行われております。  14ページ、専門家の間では、こういった医療の場での治療法というよりも、依存症に関しては むしろ自助活動が最も有効であると考えられておりまして、解毒や精神病症状の治療を医療の場 で行った上で、自助グループ、リハビリ施設等で回復した状態を維持していくといった形での取 り組みが多くなっております。依存症の回復において、これらの場が中核的な役割を果たしてい ると考えられます。  我が国では、15ページにありますように、DARC、MAC、あるいは自助グループとして断 酒会、AA、NAといったところがその役割を担っているところでございます。  16ページは、かつて当事者であったDARC職員に聴いたものでございますけれども、こうい った方々の意見としては、DARC、NA、AA、MACのプログラムがかなり役に立ったとい うような声が多くなっております。  17ページ、自助活動の基盤でございますけれども、自立支援法の施設になっているところが3 分の1ぐらいありまして、内訳としては、グループホーム、ケアホーム、小規模作業所、あるい は福祉ホームといったものになっているというところがございますが、いまだそういった施設に なっていないところもございまして、その基盤が課題となっております。  18ページは、地域保健領域の取り組みでございますが、精神保健福祉センター、そして保健所 等において、アルコール・薬物依存に関する相談をお受けすることになっております。  また、薬物依存症に関しましては、19ページにありますような家族向け、相談員向けの冊子を 作成して、地域保健における相談活動の強化を図っております。  20ページは、当課で今年度から行っている事業でございますけれども、地域依存症対策推進モ デル事業といたしまして、地域での先進的な取り組みに国としても補助をしていくことを考えて おります。  21ページ、課題と検討の方向でございますが、現状と課題の方で、これまでの薬物・アルコー ル対策は、不適正使用・有害使用の防止に重点が置かれ、依存症に対する対策が十分に行われず、 依存症の患者が支援を受けにくい状況が生み出されているというような指摘がございます。  依存症治療においては、医療、リハビリ施設、自助グループ等のさまざまな試みがありますけ れども、それらの役割が不明確であるという指摘がございます。  依存症のリハビリ施設は公的な支援を受けにくく、運営が不安定であるという指摘がございま す。障害者自立支援法のサービス形態の活用についても、取り組みはなされているものの運営の モデルがまだ確立されていません。  なお、薬物・アルコールの不適正使用は、保護処分、刑罰の対象とされている部分がある一方、 依存症に対する治療的な視点が乏しいという指摘がございます。  右側の検討でございますが、依存症患者の回復に向けた支援について、総合的な取り組みを強 化すべきではないかということ。その際の観点として、依存症が疾病であるという視点を持って、 普及啓発や患者の支援に当たるべきではないか。回復のための支援について、医療、リハビリ施 設、自助グループ等の取り組みを踏まえ、効果を検証しつつ、役割を明確化して普及を図るべき ではないか。リハビリ施設や自助グループがより効果的に活動できるよう、その支援のあり方に ついて検討すべきではないか。こういった観点を上げております。  また、物質使用に係る法的側面については、精神保健福祉のみならず、幅広い観点からの検討 を要するのではないか。このようにまとめさせていただいております。  もう一つございまして、資料4「児童・思春期の精神医療について」でございます。  これについても、論点整理の中でその体制のあり方について検討を行うことにさせていただい ております。  まず、児童・思春期の対象にどんな患者さんがいらっしゃるかということで、若い方から参り ますが、2ページ、発達障害でございます。児童期においては発達障害が問題になることが多く、 具体的には、広汎性発達障害、AD/HD、LDなどでございますけれども、3ページにござい ます梅ケ丘病院の患者さんで見ると、F8、F9といった発達障害の患者さんが、3ページは外 来、そして4ページは入院、いずれにしても比較的多いというところがわかります。  そして、思春期になると、5ページにありますように、さまざまな疾患、成人において認めら れる疾患にかかる機会が増えてまいりまして、青年期の方が発症しやすい時期となっております。  患者の数で見ますと、6ページにありますように、医療機関にかかられている数で見ても、近 年、20歳未満の精神疾患の患者の数が非常に増えてきているところでございます。  他方、7ページにありますように、入院患者の数はやや減少傾向にございます。  8ページ、9ページは、早期支援の資料にも示しましたが、若年者にとって精神疾患の疾病負 荷は、ほかの疾患と比べて非常に大きいことがわかります。  10ページからが、まず、児童・思春期精神科医療の医療機関に関する資料でございます。アク セスになかなか時間がかかっているという御指摘がございまして、専門病院を予約してから受診 までの期間が1カ月以内という方が半分、逆に言いますと、1カ月以上かかるという方が残り半 分、1年以上という方が8%、こういった状況になっております。  専門病床については、11ページにありますように、全国どこにでもあるというわけではござい ませんで、アクセスがなかなか難しい状況にございます。  子どもの心の診療拠点病院ネットワークといった事業を行っておりまして、12ページ、そして 13ページにありますように、今は中央拠点病院、そして都道府県の地方の病院として9カ所を指 定して診療拠点病院として整備を図っているところでございます。  その次の14ページからが医師の確保の問題でございます。「子どもの心の診療医」の養成に関 する検討会というものを母子保健課で平成17年から19年まで開いておりましたけれども、そちら の議論といたしまして、対応できる医師の層を厚くすることが課題であるとなっております。  16ページにありますように、「子どもの心の診療医」の養成を行っている医療機関、掲げてあ るようなところで行われておりますけれども、我が国においては、児童青年精神医学会の認定医 数が153人といったように、専門医の数が非常に少なくなっており、例えば、アメリカと比べま すと非常に少ないという状況でございます。  卒前・卒後教育については17ページにございますが、講義を行っている大学は非常にたくさん あるんですけれども、「子どもの心」に関連した実習を行っている大学等が半数ぐらいであるな ど、取り組みが十分に進んでいないということでございます。  18ページが、子どもの心の診療に関して、検討会の報告を踏まえてテキストを作成し、ホーム ページに掲載するなど、診療技術の普及に努めております。  また、19ページは研修についてでございますけれども、研修を行って、医師の養成を進めると いうことを行っております。  20ページは、児童・思春期精神科医療における診療報酬上の評価でございます。こういった点 数がございますけれども、平成20年の診療報酬改定では、その点数のほとんどについて拡充を図 るということを行っております。  21ページと22ページは16回の検討会の資料で、早期発見・早期支援について御議論いただいた ときのものでございます。そのときにも御議論があったと思いますけれども、早期支援を進める という観点からも、児童・思春期精神科の医療体制の整備をどう図っていくかを検討する必要が あると考えております。  23ページ、課題と検討の方向でございます。  現状と課題につきましては、発達障害児への支援、精神疾患の早期発見・早期介入の観点から も、児童・思春期精神科医は重要であるということ。  そして、専門的に対応できる医療機関や医師が少なく、医療提供体制が、需要に対応し切れて いないということ。  理由としては、専門とする医師の養成不足、精神科医の児童・思春期患者への対応力の不足。 また、患者の診療がマンパワー・時間を要しコストがかかるといった指摘がございます。  検討としては2つ掲げておりますが、まず医師の問題。専門的に対応できる医師数の拡大に取 り組むとともに、一般の精神科医に対しても、児童・思春期精神医学の研修等を進めるべきでは ないかということ。  2つ目に、医療機関の確保の問題でございます。医療機関が児童・思春期精神科医療により積 極的に取り組むための施策を講じ、専門病床及び専門医療機関の確保をはじめ、医療提供体制の 拡充を図るべきではないか。こういった課題を掲げさせていただいております。  非常に駆け足になりましたけれども、この3つのテーマについて御議論いただければと思いま す。以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  3つ、それぞれ大変大きな課題で、それぞれに相当時間をかけてディスカッションすべきとこ ろでありますけれども、これをまとめてというお話になってございますので、もうどれについて と順序を追ってやりませんので、どの課題についてでも結構でございます、ディスカッションを お願いしたいと思います。では、小川構成員。 ○小川構成員  質問と意見になるかと思いますが、改革ビジョンにおいて、児童・思春期について、病床等に ついて、医療計画上における取り扱いについて検討して結論を得るというビジョンの書きぶりに なっております。そういう意味では、この児童・思春期の病床をどういうふうに医療計画上位置 付けるのか、位置付けないのかということの検討がもう終わっているのか、終わっていないのか、 これからなのか、あるいはこの場でやるのかというのを教えていただきたいということです。  もう一つ、これは意見にもなると思いますけれども、23ページの児童・思春期の検討のところ にございますが、「積極的に取り組むための施策を講じ、専門病床及び専門医療機関の確保をは じめ、医療提供体制の拡充を図るべきではないか」という、そこの記載のところですが、ここの ところについて、どういう施策を講じるのかどうか。これまで診療報酬上の評価をしてきたわけ ですけれども、やはりなかなかハードルが高いというところで、診療報酬上の評価だけでは、こ れはちょっと難しいのではないかと私は思います。先ほどこの資料の中にも、取り組みが非常に 進んでいない状況が見えるので、やはりこれは、公立病院なり都道府県の医療計画上位置付ける なり、きちんとされなければ、診療報酬の評価だけでは前に進まないのではないかという印象を 持っておりまして、そこは是非十分な取り組みをお願いしたいと思っております。  以上です。 ○樋口座長  今の質問の方については。 ○福島精神・障害保健課長  非常に残念ながらというんですか、我々の怠慢なのかもしれませんが、専門病床の位置付けに ついては、どれぐらい整備すべきかということについての検討は、まだ十分に進んでいないのが 現状であります。  我々の認識という面で言いますと、ベッドの確保もさることながら、それを担う、児童・青年 期を専門にできる医師そのものが非常に不足しているというのがまず根底にあって、そのことを 今の時点では優先しているという認識です。医療計画にどう位置付けるかについては、またこれ も精神科医療全体のことも関連するわけでありますけれども、医療局の中での位置付けが、精神 科医療全体が弱いので、そこについてはまた、できるだけそういうものが含まれるように中での 調整もしていきたいと考えております。 ○樋口座長  どうぞ、中島構成員。 ○中島構成員  ちょっと長くなりますが。先ほど小川構成員から、診療報酬だけでは無理で、やはりきちんと 自治体の行政の中に位置付けていかなければいけないというお話がありましたが、実際そうだと は思うんですけれども、今、自治体がほとんど死に瀕しておりますので、そういうものが出てこ ないんですね。  岡山県も、11ページのところにありますが、病床は16床あります。年間7,000万円の赤字です。 それを覚悟しながらやっていかなければ地域の子どもたちを守れないということでやっているわ けですけれども、やはり診療報酬上の手当てというものもある程度はやっていただかないと、都 道府県、自治体がもはや今はもう入れない状況にあるんだということを是非御理解いただきたい と思います。  この児童・思春期のところをまず行きますけれども、2ページのこの重なり合いは、模式図で すからこうなっているんですが、実際には、AD/HD、LD、そしてPDDというものは、も っと複雑に絡み合って合併しておりますので、子どもたちの治療、診断には、まだ十分なコンセ ンサスが医者の中で得られていないという部分があります。そこがまた混乱を招いているのでは ないかと思っております。  それから、6ページ、7ページと20歳未満で切ってしまうんですけれども、これではやはりき めの細かい施策はできないだろうと思います。児童・思春期とくっつけておりますが、思春期の 医療というのは、大人をやっている精神科医が少し勉強すればできるようになるんですが、児童 の精神科医療というのは、これは小児科の経験も積み、さまざまな全然違う研修をきちんとやっ ておかないとやれない分野でございますので、この児童精神科医を増やすというところに力点を 置いていただきたい。  そのためには、若い精神科医は児童精神科に興味は持つんですけれども、最終的には、就職す る場所がないためにそこから離れていく若い医師が非常に多いということを御理解いただきたい。 ですから、そのためには、就職して働ける、きちんと仕事ができる場を確保しなければいけない。 そのためには、1つは、病院だけでなくて、子どもの診療所というものがきちんと機能できるよ うにならなければいけないということがあるわけです。  本当はほかにも言いたいことがいっぱいあるんですけれども、飛ばさないと遅くなりますので、 申し訳ないですが、20ページ、診療報酬も、金のことを余り言わない僕が、今日は金のことを申 し上げますが、児童・思春期精神科入院医学管理料というところで650点に増やしていただいて 非常にありがたかった、多少息をついたわけですけれども、これでは全然足りないんですね。や はり児童精神科入院医学管理料ということで、年齢を15歳未満ぐらいに限って、これが80%を占 めている、こういう病棟については3,500点ぐらいのマルメの点数をつけていただかないととて もやれないというのが現状でございます。それでも赤字になると思いますけれども。  それから、外来の通院・在宅精神療法の加算、これは200点加算を1年間に延ばしていただき ましたが、1年ぐらいではどうにもなる問題ではないんですね。虐待が非常に増えてきているこ の状況を考えますと、親の了解を得、関連機関との連携を常に取りながら、大体大人の精神療法 の3倍から4倍の時間を食っているわけです。ですから、子どもを中心に診る診療所というもの が増えないのが現状だろうと思うんです。  ですから、これも、15歳あるいはお金がないというのであれば12歳未満、小学校については、 1年間の期限を撤廃して、無期限にこれを算定できるようにする、あるいはそれが無理なら、と りあえずは3年に延ばすとかという、本当にもうこれは泣いて、悲鳴を上げているんです。もう やめようかと言っている人も近所にいます。  それから、23ページの最後になりますけれども、この児童・思春期というものを一括して議論 されるのを今後はやめていただきたい。やはり児童と思春期は違うんだと。それから、早期発見 のところでも、もう3歳児健診のところから、きちんとスクリーニングしていっているわけです ね。このスクリーニングには、保健師さんもやっていますが、専門の児童精神科医が必要なんで す。そして、そこでリスクの高い子どもについてはきちんとした療育ができるかどうか、ここの ところなんです。ここで療育が受けられないと、その後、小学校、中学校、高校で大きな問題を 起こしてくる。発達障害の子どもたちは、ほんどそうなんです。そのことをよく御理解いただい て、重点的な施策を是非やっていただきたい。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  一言付け加えると、最近はもう3歳児ではなくて1.5歳児なんですね。そういうことです。で すから、早期に発見して、療育体制を確立することは非常に重要だということです。  どうぞ、坂元構成員。 ○坂元構成員  少し視点がずれるかもしれませんが、この依存症の問題で、1つ巧みにここで避けられている と思われるものがニコチン依存症だと思うんです。公衆衛生学的に、ニコチン依存症という喫煙 が多大な健康被害をもたらしているということは、もう周知の事実だと思います。それは厚生労 働省が出している「たばこ白書」にも明確に記載されており、しかも日本はタバコの規制に関す る世界保健機関枠組条約の批准国家であって、その中でも薬物依存である旨のことは記せられて おります。そして、日本学術会議においても、健康被害等は明確に記せられております。ニコチ ンが精神障害を起こす物質ではないという観点からあえて除外されたのかなと思いますが、喫煙 が薬物依存症であるということと、かつ多大な健康被害をもたらしているということの観点から して、例えば、少なくとも薬物名としてモルヒネ、バルビツール、アルコール、にニコチンを加 えるというのは、日本が条約の批准国家となっている以上、これは避けて通れないと思います。 勿論、これはたばこを吸う人を批判しているわけではなく、やはり既にこれはもう欧米の精神科 の教科書においても喫煙がニコチン依存症と定義をされている以上、しかもその被害の大きさか ら考えて、当然、依存症としての一つとしての対策を立てるべきではないかと考えております。  以上です。 ○樋口座長  では、長野構成員。 ○長野構成員  依存症のことについて、先ほど事務局の御説明でも表に出にくい疾患ということがありました が、地域の中で本当にすべてを、全体が見渡せる中でやっていると、やはり精神科の受診率が一 番低い疾患が、このアルコール依存症だろうと思います。先ほど80万人という推計が出ましたけ れども、そんなものでは恐らく済まないのではないかなと。大量飲酒が200万人、認知症の方よ り多い数字になってきている。1980年代の研究で、当時の国民医療費の6.9%、2兆円がアルコ ール乱用に関連した疾患に医療費が使われていた、今も変わっていないのではないかと思う。本 当に大きな重大な問題だろうと思うんですが、何となく少しさらっと行ってしまいそうでとても 危惧をしております。  日本が薬物依存、覚せい剤と全く違うのは、やはり公立で認められていると同時に、昔から 「酒は百薬の長」などという飲むためのことわざが残っていたりして、非常にアルコールに対し て寛容な状況の中で、今回の施策の中で絶対必要なのが予防の視点だろうと思うんです。飲まな ければならない。先輩たちに、3合を10年飲んだら全員がアルコール依存症になるんだ、5年5 合でなるんだと教えられましたけれども、大量飲酒、継続飲酒でどなたもアルコール依存症にな るんだという啓発を伴った予防が、とにかく重要ではないかと思うんですね。  日々テレビではビールの宣伝がしてあり、今日も帰り、飲もうかなと思っていますが、本当に 飲むためのものはいっぱいあるんですけれども、飲み続けたら依存症になりますよという警告は 世の中にはほとんどないんだろうと思うんですね。本当に苦労されて、どろどろになって、財産 を失って、家族も失ってという方が目の前に幾らでもいらっしゃる中で、この啓発・予防という ものが大々的キャンペーンを打っても全くおかしくないんだろうな。たばこ、薬物に関しては少 しずつ始まっていますので、アルコールに関してもどうしても必要な情報ではないかと思います。  あと、やはりどうしても医療が、治療上、明確なエビデンスを私たち持ち得なくて歯がゆい思 いをしていますが、自助グループの方々に頼らざるを得ない。絶対そうだと思うので、自助グル ープの支援に関しては、断酒会も本当に崩壊の危機に瀕していると思うんですね。ずっと通って いる仲間の方々が、10年前から幹部が変わっていないような状況が私たちの地域でもありますの で、自助グループに対する支援というのは、もう求められることに応じてしっかりやっていくべ きだろうと思います。  あと、児童・思春期のことに関してあわてて勉強している一人なんですけれども、余り十把一 からげにというか、これで議論できる問題ではなくて、早期発見のことも含めてもっと細やかな 議論が要るのかなと。最近、医師会員の不足で、保育所と小学校の学校医をここ2年ぐらいさせ ていただいていると、かなり小さな小規模校なんですけれども、そこで発達障害の相談がどんど ん舞い込んできてしまう。精神科医が学校医になった。体の方は小児科医に照会するのでこっち をといって相談があるんですけれども、もう田舎の地方の小さな小規模校でさえ、その問題がど んどん噴出しているということは、もっと高い頻度で、もっと大きな問題としてあるのではない かと思いまして、そこの学校医から、文部科学省の政策から、もっと総合的にきめ細かくやらな いと、これから5年先のことを考える検討会のはずなので、5年先まで、これがこれぐらいの計 画ではちょっと足りないのかなということを感じました。  以上です。 ○樋口座長  それでは、山根構成員から、その後、三上構成員。 ○山根構成員  児童の件については、長野構成員からまとめてお話をされましたが、発達障害のリハビリテー ションにかかわっている経験からすれば、従来はLDを中心だった発達障害のリハにいろいろな お子さんたちが増えてきています。本当にここ4〜5年ぐらいの間に。親から暴力を受けてとい う問題も含めて、非常に診断がつきにくいような子どもたちが増えています。病院にも、小学生 が入院してきています。しかし、小学生を今の精神科病院で受けますと、大人ばかりの場にお子 さんが入られるので、とても違和感があるんですね。お子さんにとっても治療環境としては大変 なんだろうなと思います。  子どもたちにとって本当に必要な医療の環境とは何か、また、お子さんを受けた場合、どうし ても学校の先生との連携が必要になりますし、学習をどうするかということ、そして学校に戻ら れた後のサポートをどうするかといったことが問題になります。復学後、受けるにしても、放課 後来られるわけですから、外来の作業療法ですとかデイケアで受けるんですが、そこも周りのプ ログラムが全部大人用なんですね。大人のデイケアも大変ですけれども、お子さんがそこに入ら れたら、また別な意味でお子さんの気持ちそのものに問題が起きるのではないかという心配をし ながら、それでも行き場所がないものですから受けているというのが現状です。  こういう方法がいいというものがあるわけではないのですが、ともかく今、大人も大変だけれ ども、子どもたちが置かれている状況は大変なので、将来的なことを考えれば、もう少し抜本的 なといいますか、何年先ぐらいまでにはこういうことは検討しましょうというところまでしない と、問題をあげるだけになるのかなと思います。  何年か前に見たそのお子さんたちが、思春期になって大きな問題を抱えて、またみえるんです ね。とても悲しいといいますか、どうにもしてあげられないものがあります。教育との関連とい うことも考えてかかわらないと、単に精神科に来られたお子さんという形ではもう済まないので はないかという思いがあります。 ○樋口座長  三上構成員どうぞ。 ○三上構成員  気分障害の中のうつについて意見を申し上げますが、自殺される方が毎年、この10年以上、3 万人を超えておりまして、うつへの対応というのは非常に大切だと我々は考えております。  12ページにあるような、かかりつけ医のうつ病対応力向上研修会につきましては、医師会とし ても協力して取り組んでおりますし、自殺予防マニュアルについても、本を発行して会員に配布 しているのですが、なかなかうつの方が早期発見されるというか、早期受診をされるということ がないので、基本的には、国民に対する啓発活動が非常に大切だと思います。  静岡県の事例ですけれども、医師会が中心となりましてテレビコマーシャルをつくりまして、 父親と娘という設定で、娘がお父さんに最近眠れているかどうかを尋ねるという、ほのぼのとし た感じの親子愛の非常に強いコマーシャルで、非常に評判がよく、効果があったという報告も聴 いております。ただ、こういったことに対しての予算はなかなかついていないということで、是 非こういった国民への啓発についての予算をつけていただきたいということ。  それから、社会・援護局を中心にこういったことに関するコールセンターというのか相談セン ターということを予算をつけて考えておられるんですが、老健局の方では、全国の150カ所、地 域包括支援センターの中で150カ所を選んで、認知症に対する強化型の地域包括をつくるという ことで予算がついております。ここには認知症の研修を受けた方が配置されるわけですけれども、 例えばそういうところにPSWのような方を配置していただくことによって、同じような形でこ ういううつとか自殺予防に対するコールセンターの役目が果たせるのではないかと。局を超えて 予算を配分するというのは非常に難しいのかもしれませんけれども、是非考えていただきたいと 思います。 ○樋口座長  では、どうぞ。佐藤構成員。 ○佐藤構成員  アルコール依存症に戻りますけれども、恐らくアルコール依存症も、DALYsという支障が 高い疾患の一つではないかと思うんですが、入院治療に関しましては、依存症の4ページのとこ ろに依存症専門病床が3,000床ぐいあるんですけれども、恐らくこれは、きちんとした診療報酬 上の枠組みってございませんよね。一応、自称アルコール依存症病棟と言っているだけで、きち んとした枠組みがないために、かなりこの需要の枠組みがあいまいになっている。  国立久里浜アルコール症センターでは、長年アルコール症のモデル医療を行っているわけです から、ここでアルコール症の研修なんかもやっておりますので、やはり久里浜のそこを、専門的 に国費を投じてやっているところはここだけではないかと思いますので、経験があるわけですか ら、是非この久里浜アルコール症センターの医療モデルを、モデルとしてはきちんとした枠組み といいましょうか、それをつくって、アルコール依存症の入院医療における枠組みを確立すべき ではないかと思うんですね。欧米では、解毒施設というものがあると聴いておりますけれども、 そういうものも日本にはないですよね。ですから、そういうものを兼ねたものとして、きちんと した枠組みのアルコール依存症の医療施設が必要だと思います。  それから、児童・思春期に関して申しますと、子どもの心の診療拠点病院をどこに設置してい くかということになった場合、これを見ますと、精神病院に設置しているタイプと、小児総合病 院に設置しているタイプ、それから梅ケ丘みたいに小児精神病院ですか、いろいろなタイプがあ ると思うんですけれども、これをこれから普及させるには、やはり子ども病院といいましょうか 小児総合病院に子どもの心の診療、あるいはきちんとした病棟を持ったものをつくっていくこと が、アクセスの面でも受診の支障を下げる、受診しやすさを高めるという意味でも必要ではない のかと思うんですね。  子ども病院で精神病棟を持っているところでも、診療報酬が余りに低いためにこれをやめてい くということがありますから、中島先生が言われたように、やはり診療報酬的な枠組みをきちん とやるということが大切だと思います。  それから、思春期に関しては、やはり児童と思春期を分けていくことは私も重要だと思うんで すけれども、思春期に関しては、以前にも言いましたが、やはり一番多いのは統合失調症ですね。 前駆期といいますか、早期介入につながる枠組みが必要だと思いますので、思春期の精神医療は、 是非アーリーインターベンションと絡めてこれから検討されていくのがいいのではないかと思い ます。 ○樋口座長  伊澤構成員。 ○伊澤構成員  依存症のことについて少しお話をさせてください。  資料によりますと、14ページに自助グループ、リハビリ施設の有用性・有効性については強調 して語られていますけれども、こういう場の確保といいましょうか、そのあたりについては、地 域生活支援の観点、あるいは事業の維持とか発展という観点からとても大事な部分、つまり依存 症リハビリ施設の運営について、しっかりとした視点を持たなければならないと思っております。  現状では、例えば都内のアルコール依存症の方々のグループの団体としてMACがございます けれども、板橋、北区、それから豊島ですか、その3区に展開していて、レジデンスケア、入所 型の事業とともに、通所のスタイルでの実践もしているということですね。レジデンスの方は、 20人ぐらいの方々の利用があるということです。ただ、結局、アルコール依存の方々に対するプ ログラム重視の中で、12のステップの積み上げ、これが期間設定をきっちり施して、かなり短期 間の凝集型で支援をしていくということで、つまり24時間の対応をしながらレジデンスケアをし て、一定の期間がたつと、やはり皆さん退所されるわけですね。それで、新たな入所者の方々が 確保できなければ、当然、空室、空白ができてしまう。それが、要するに自立支援法との絡みで 言うと、日額制とか日割り方式になじまないところが、実際、現状としてはあるということが一 つあります。  通所系の事業についてもMACの関係者からお聴きしたんですが、やはり日によって通われる 方の増減が非常に激しくて、精神全般で見ても6割ぐらいの通所率なんですけれども、更にそれ が激しさを増して増減の率が高いというようなこともありまして、やはりこれも自立支援法の事 業とはそりが合わない、かみ合わないというような実情があったりもするわけです。実際、そう いう意味では、事業あるいは運営しているプログラムと法制度がかみ合っていないという実情を きちんととらえて、別枠とか別建ても含めてですが、対応をきちんと考えていかなければならな いと思っております。  現状、このMACの事業は、東京都内の場合で言うと、東京都の外郭団体である地域福祉振興 事業、その辺の基金を活用した事業で何とか乗り切っているということと、通所ホームに関して は、共同作業所の補助事業があります。これは東京都が行っている包括補助事業の一部を使って 運営している実情ですが、これがいつ途絶えるかわからないという、非常に将来の見通しが立た ない状況の中で、先の見通しを立てていくことに非常に窮しているという状況をとらえながら、 政策制度でしっかりカバーしていく視点が大事だと思います。  資料の終わりの方で依存症対策推進モデル事業というものが新規で立ち上がりまして、5,000 万円の予算措置があったということ。対策会議などを開きながら、いわゆる会議体系の中で地域 地域の実情に即したいろいろな支援が立ち上がってくる、非常に大きな期待を持ちますけれども、 現状の事業運営に支障のないように、町から支援プログラムが消えることのないように、是非強 い思い入れというんでしょうか、そういう施策推進を進めていただきたいと思っています。  以上です。 ○樋口座長  それでは、順番に行きましょうか。伊藤構成員、上ノ山構成員。 ○伊藤構成員  気分障害の御報告を御準備いただいて、事務局に大変感謝いたします。  先ほど佐藤構成員からDALYsの話が出ました。また事務局資料で、若年層の疾病負担が高 いという論点でDALYsの資料が出されています。  加えて、国際的にDALYsを使った疾病負担の順位が2004年にWHOから出されており、こ れによりますと、世界全体では単極性のうつ病が第3位になっていますが、高所得国ですと第1 位、西太平洋地域で第2位になっています。さらに、2030年には単極性のうつ病性障害が世界全 体で第1位になると推計されています。ちなみに、2030年での2位は虚血性心疾患、3位は交通 事故、4位は脳血管疾患です。気分障害、特にうつ病の課題は、今後ますます大きな問題になっ てくることは間違いないと思います。  特に日本の場合、若年層に加え、三上構成員もおっしゃられたように、高齢者の方も増えてき ているわけであります。また、自殺対策との関連でいきますと壮年層の問題もあります。厚生労 働省行政にとどまらず、気分障害への対策は大変大きな課題として認識する必要があると思いま す。  以上です。 ○樋口座長  では、上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  子どものことなんですけれども、子どもがかなりたくさん診療所に来られて、実際に日々の対 応に困っているということがあるんですが、だけれども、やはりそれに対応できる能力のある人 が少なくて皆さん困っているというのが現状です。  そんなことで、子どもの心の診療ができる一般精神科医の育成に関する研究というものが厚生 労働科学研究でありまして、それに我々診療所側も協力して、子どもの心を診られる精神科医が どのぐらいいるかという調査をしましたら、専門医を含めて積極的に診るというのは25%、一般 の患者さんと同じように診ているというのが28%、それから、子どもが来たら、もうどこかへ紹 介してしまうというのが27%。あと20%ぐらい残るんですけれども、これはもう子どものことを 質問されたくもないというようなことですね。  ですから、一応私たちとしては、積極的でなくても、子どもの診療に携わる能力がもう少しア ップできるように、そういう参考テキストを作成したりしたんですけれども、何せ精神科医に対 する啓発というのは、なかなかうまく進まないというのが現状です。  200点上げてもらいましたけれども、それは確かに上がりましたが、ほとんどそれは子どもを 診ようというインセンティブにならない。時間と手間がかかるばかりで、ほとんど診たくないと いうのが現状だと思います。それから、逆に子どもさんや親御さんに対する自己負担が増えます ので、それは、かえってその治療を妨げてしまうという問題があります。だから、診療報酬上で この問題を解決しようというのは、やはり無理があるのではないかというのが一つですね。  それから、やはり精神科医が子どもを診るのは、確かに邪魔くさくて嫌なんだけれども、実際 は、我々大人を診ている精神科医は発達障害をたくさん診ているわけなんですね。ところが、そ れにふだん、これまでは気づかないで来た。やはり今まではどちらかというと発達障害というも のをカテゴリーとして見て、発達障害か、あるいは統合失調症か、あるいはうつ病かというカテ ゴリーで見て、分類して、診断していくということが多かったわけですけれども、最近は、発達 障害スペクトラムとかというようなことで、スペクトラム概念が浸透してきまして、やはり発達 障害をベースに持ちながら、何らかの二次的障害としての精神症状を持ってくる方が非常にたく さんおられる。統合失調症も含めてたくさんおられるということですね。実際、大人の精神科医 もそれを診ているので、この問題に関して知らない顔はできないということを我々としてはもっ ともっと啓発していきたいと思っているんです。  ところが、先ほどデイケアのことをもっと増やせと言ったら、こちらの委員からも文句を言わ れましたけれども、実は精神科医からも文句を言われるんです。そんなややこしいことをする必 要はないと。子どものことも同じようなことで、積極的に診ようと言えば、後ろから前から責め られるんです。そういう状況でどうしたら子どもを診られる体制をつくっていけるのかというこ とを、もうちょっと真剣に考えなければいけない。そうでないと、我々は一歩踏み出していけな いという状況にあります。  以上です。 ○樋口座長  それでは、先に門屋さん。 ○門屋構成員  誤解なきように。先生のおっしゃったように、役割、機能がはっきりしているものについて、 私は大賛成ですので、それについてはですね。先ほど申し上げたのは、総論的に増やすことにつ いてはいかがなものかということです。  それを申し上げるつもりで実は手を挙げていたのではないので、そのこととは別に、今の児童 の領域でいきますと、地域では実は大変、私どものところにもそれを専門とする精神科医の病院 があるものですから、その先生方に、診断を受けるまでに3カ月、4カ月待つということが実情 であるということもよく認識しています。私は地域で子どもの療育から、学童の養育から、発達 障害の領域の人たちの診断はさることながら、その後の処遇について支援を受けるわけですね。 非常に気の毒だなと思い続けていますのは、病院へ行って、関係者が集まって会議をする時間と いうのは、夜とか夕方とか診療が終わられてからということになります。最近の傾向で、自立支 援法絡みということで考えますと、連携というものに対して報酬が払われないというか、評価さ れない。実は、発達障害の場合は、診断された治療を受けるということはその一部でありまして、 生活とかというのが、まさに療育の世界や特別支援教育の世界や、さまざまな人たちがかかわる 世界なわけですね。この連携なしに彼らは大人になっていけないわけでして、そこのところを何 か、何がというのは私自身もよくわかっていないんですが、評価され、報酬につながるようなも のがあるべきではないかと思うところを1点申し上げておきたいと思います。  それから、私は30年来、いまだ病院を20年ぐらい離れてからも、病院に毎週行って、アルコー ル、あるいはアルコールだけではないんですが、依存のグループをやらせていただいておりまし て、その中で、以前のこの検討会で啓発についてはいろいろと議論もありましたので、重なると ころではありますが、この物質依存に関しては、まさに教育の分野できちんと教育をすべきこと と考えています。一時いろいろな領域でそれもなされた、私たちも高校生や何かにしたことがあ るんですが、それは大変効果があったということもあります。  しかし、もう一点は、他科から紹介されてくる方々というのは極めて多いんですね。内科とか ですね。そうなると、もう少し早く紹介してくれたならばということをよく精神科医たちとお話 をすることがあります。ということは、三上先生もいらっしゃいますけれども、他科の先生方が、 このアルコール依存あるいは依存の問題をどのようにとらえるのかと。他の身体合併症と一緒に やることが、このチームの治療のことについてもう少し力を入れるべきではないかと常々考えて おりました。  もう一点、これは全く外れた話かもしれないですが、私は、アルコールのことをかなり以前か らやっていた中で、アルコールを製造している産業界がこの問題のリスクに対してお金を払うと いうことが海外ではあり得るということは、実は30年ほど前から言われていて、日本では、高い 税金を払っているせいか、それはやらないのかなとも思いますが、その部分については、さっき の広告の問題もありますが、私は、危険ですよというリスクの広告は産業界に求めてもいいので はないかと思うぐらいのことがあります。そういう意味での依存の対策をもう少し広げてはいか がかと。財源も産業界からそれなりのものをもらうことも当然ではないかと思っていますので、 そんなことも御検討いただければと思います。 ○樋口座長  ちょっと待ってください。坂元構成員。 ○坂元構成員  気分障害に関してなんですけれども、例えばここに有病率とかの疫学的な情報が記載されてい るんですが、昨今のいろいろなテレビなどで、薬を変えたら直に治ったとか、さらにある薬の危 険な副作用が4例も出たとかの、薬物に関しての断面的な報道がなされております。薬での治療 に関して、副作用というものが大きなキーワードになると思うんですが、報道では何例出たとい うだけで、例えばそれが100万処方のうちの何例とか、母集団の数についても正確な報道がなさ れていないような気がします。実際にその薬の投与を受けている患者さんにとっては、それがす べてのように思われてしまうこともあるということで、影響は大きいと思いますので、やはり薬 に関する正確な情報の啓蒙・普及というものはきちんとしていかなければいけないだろうという ことがまず1点述べさせていただきます。  次に、気分障害に関して、この中でちょっと欠けているなと思う視点が、例えば統合失調の場 合は、場合によっては生涯を通してケアしていく必要性があるということはかなり理解されてい るところだと思うんですが、この気分障害も、やはりいろいろな疫学データを見ると、再発率な どがかなり高いことから考えると、やはり生涯を通してケアをしていく視点も必要だと思います が、この資料では再発率とかそういう重要な問題に関して触れられておりません。治療が悪いか ら再発するんだというように取られかねない一部マスコミ報道もありますが、必ずしもそうでは なくて、やはりこれも統合失調症と同じような、生涯を通してのケアも必要な疾患だという、再 発率も含めた対策の見直しが必要ではないかと感じております。  以上です。 ○樋口座長  それでは、広田構成員。 ○広田構成員  今日の話はお金がいっぱいかかるお話で、富士山から石油が降るわけじゃないから国はさぞ大 変でしょう。さっき、福祉は、医療と比考しているから福祉はという話をしたんですけれども、 福祉は必要だと思えば市町村でつくっていただく。その中でこういう依存症のこととかは、いわ ゆる若者も入ってくると思いますが、昨日の夜買ったんですが、「週刊現代」、我が横浜市長、 中田宏さんがずっとたたかれていますが、今回は出ていません。「心の病と付き合おう」と、こ れ350円もして、貸本でもしなければいけないと思うけれども、実にいろいろなことが出ている んですね。こう出ていますよ。100年に一度の暴風雨がサラリーマンの心に吹き何とかと。これ は、100年に一度の不況というより、このざらざらとした、いろいろな人が電話をかけてきて言 っているんです。「広田さん、もう日本はどうなっていくの?」と。だから「テレビを見ないよ うにしよう」と私は言いましたけど。新聞を見ないようにしようと。野沢さんがいますけれども。  要するにそういうことで、何か日本のメディアを読んだり見ていると、確かにどうなってしま うのかと。マスコミに不安にさせられて、そのぐらいにみんながおかしくなってしまって。私は 昔からおかしな人間ですからいいんですけれど。  今お話をずっと伺っていると、私が26年前に精神科に行ったときに、学校でいじめられて不登 校、いわゆる登校拒否の子が子ども医療センターに入院していて、そこに学校の先生が来て教え ていた。それが今、現代によみがえるような感じなんですけれどもね。そのことが衝撃的で、私 が精神医療サバイバーになって、横浜市の社会福祉協議会から頼まれて、何年も不登校の子の問 題をやっていました。そのときに500人ぐらいお母さんたちが来て、子どもを学校に行かせたい という話になりまして、いろいろな子どもに出会いましたが、本当に多くの子どもとかかわって、 また、乙武君が横浜に講演に来ると言ったら、「乙武君が横浜に来なくても、横浜には広田和子 さんがいるんじゃない」ということで、精神では関係ない業界の依頼で、私が講演したこともあ りますが、そういう中で、子どもがいっぱいうちに泊まりに来ています。  そうしますと、12歳のときに来た少年は、はみ出し刑事情熱系、前にも言ったかもしれません が、それが私と少年2人のピアで、それを泊まり込みで見たことがきっかけで、脅迫神経症が1 泊で治ったんですね。彼は言っていましたよ、「脅迫神経症の原因は家にあった。家が余りにも きれいだから、汚いと思った瞬間におふろにいっぱい入っている。」ところが、うちに来たら、 皆さん、来ていただければわかります。厚生労働省から送られてくる資料、あっちからこっちか ら、日本は世界一の紙の消費国だと思うんですけれど、そういう中で、広田和子さんのうちは、 ごみ屋敷ではなくて書類屋敷になっていて、そこに来た12歳の子は、余りの汚さに驚いて、「汚 いと思っている瞬間がなくて」、結局、おふろに入らないで帰ったんです。彼は治った。どうし てと言ったら、要するに、うちに来て、「これが普通だ」と思った。  今、その子は一流大学の大学院に行っています。その子が12歳のときにこう言いました。とり あえずその子だけは先生と。「広田先生、日本の精神医療で心の病は治らない」と。私、これは 先生方に反論していただきたいというか治してほしいと。「治らない」と彼は言った。それで、 彼はこう言いました。「お父さんがもし夜中に話を聴いてくれなかったら、僕は家庭内暴力を起 こしていた」と。非常にキーワードを幾つか言っています。そういう子がいます。  それから、フィットネスにいつも行っています。行って、お湯に入っていたら、15歳の子です。 うつでした。ミストサウナ15分です。谷畑市長も、ミストサウナ15分、ジャグジー15分、お湯に 3分、水30秒、これを5回繰り返して、彼女はうつ病を治して、こう言いました。「薬漬けはだ めですね。」大人より子どもが明言なんです。  15歳の子が家出して、うちに泊まって、3日たって帰っていったら、「どうだった」と1年後 に聴いたら、「広田さんのうちでいやされました。そして、今は家でいやされています。」そう いうふうにいっぱいあるんですよ。  ですから一つ、一番大事なのは、私がこの週刊現代中に出てくる、実に今、精神科医が嫌って いる松澤大樹、82歳、放射線の医者です。この医者が、いわゆるうつ病と統合失調を合わせて混 合型精神病と。それはMRIのカクドをやると治るということで、この人を7月4日に講演会に 呼んでいます。ですから、反論のある医者がいたら会場に来て言っていただきたい。それを書い ているとんでもないという医療ジャーナリストという、ある新聞社の科学部の元記者ですが、田 辺記者、「変人だ」ということで、私は、「いや大変人だと言われた小泉さんに会ったけれども、 普通の人だった。だから、会ってきます」ということで、今度この方も、2人でセットで講演に 来てもらいます。  要するに患者から言わせれば、国民から言わせれば、名医にかかっていじくり回されるより、 ちょっとわけのわからないところでも行って治った方がいいわけです。それと、やはり三上先生 も、ちょっと舌足らずだったけれど、啓発、予防なんでしょう。だから予防なんですよ。前回、 予防はできないと中島先生が大声で言われて、あの人に言われると文部科学省も小さくなってい ましたけれど、要するにそういうことで、もう一人の先生、愛媛県の長野先生も言ってくださっ た、要するに予防ですよ。  それで、さっきの話はとてもいいと思うのね。私は前にも言いましたけれども、このパトロー ルカードをさげて、山手線の中であれ、京浜東北線であれ、「よく寝られていますか、お食事を おいしく食べていますか、そして、話し相手を持っていますか、1時間に一度笑いますか」とい うことを言っています。横浜市役所もそうです、みんな笑わないんですよ。私が行って、みんな がわあっと笑って、帰ってくると、「また来てください」と。「どうして」と言うと、「こんな 大きい声で話して笑えるなんてことはない」と。そのぐらい不健全な日本列島をどうするかとい うことは、野沢さん、この前インフルエンザで休んでいましたが、インフルエンザより大問題で、 日本の国そのものの社会のありようが問われている。  そして、寺谷さんや私だってもうおばあさんの年なんだから、どうやったら、昔はうつが少な かったとか、認知症が少なかったと。やはり社会の中で役割を持とうとか、そういう語れる人た ちがいっぱいいるわけ。長尾先生ももうおじいさんになるでしょう。そういう人がいっぱいいる わけです。  それを何でもかんでも精神医療に呼び込んで、そして、この間も神奈川県の診療所協会の先生 と公式的なところでお会いしました。患者さん候補をいっぱい、いわゆるニーズのある人を集め たいと聴きました。「医療の質はどうなるんですか」といったら、「この会では質の向上はやら ない」と言われたんです。それで私は、是非総力を挙げて日本の精神医療を上げてもらいたい。 ここに、何かほかの医者から、精神科医療連携加算200点と、今、200点って幾らですかと言った ら、「1点が10円だから2,000円でしょう」と。私のかかりつけの先生が、「何かほかの副作用 があった」と言ったから、「精神科で注射を打たれて入院しました」と言ったら、「精神科は怖 いよね」と言ってくれた優しい内科の先生がいるんですけれど、その先生が、「うちの内科では 無理だからほかの科に行ったらどうですか」というのが、精神科のうつだけが2,000円になって しまう話なのかなと思って、ここになぜ2,000円がつくのか伺いたいということと、是非是非、 総力を挙げて、きちんと国民が安心して利用できるような精神医療に、さっき門屋さんがおっし ゃった質の高い医療にするときが来ています。そうしないと、もういっぱい啓発していますもの、 なった人の話をこうやって。後でどうぞ回し読みしてください。そういうことですから、是非是 非、質の高い医療を、座長もうなずいているだけではなくて、あなたも総力を挙げて、みんなで やらないと、精神医療に行って被害者になった私みたいな人ばかりでは困りますから、精神医療 サバイバーが増えないように、よかったなと思える精神科医療にしてほし。坂元先生もそうです、 インフルエンザでテレビに出ていましたけれど、よろしくお願いします。予防です。  それで、これは質問です。なぜこれだけ2,000円か。 ○樋口座長  それでは、大分時間が迫っていますので、末安構成員と中島構成員、野沢構成員、あと10分ぐ らいで終わりたいと思いますが、谷畑構成員は最後に時間があったら1分ぐらい。 ○末安構成員  では、1人2分ということで。  広田さんの話を聴いていると、自助というものが信じられる感じになってくるんですけれども、 薬物の依存症の部分だけで自助の効果という明確な書きぶりになっているんですが、統合失調症 にしても、うつ病にしても、それから勿論、広い意味で児童・思春期の治療やケアにも自助とい うのは非常に重要なポイントになるのではないかと思いますし、欧米の治療サービスとか生活支 援サービスとかを見ていると、自助が活用されていると思うんですね。  例えば米国なんかだと、処方は医師がするし、調剤は薬剤師がするけれども、実際に薬をなか なか飲んでくれない人に、当事者の方たちが配達するという仕事をやっているわけですね。ノッ クして。勿論欧米は、その一方で裁判所の命令を持ってドアを開けるということも、医療監察保 護的なことではなくて、一般的な治療の水準でも、そういうことも片手に持って、だけどもう一 方の手では、当事者の方たちをきちんと雇って、時給7ドルぐらいかと思いますが、薬を配達す る。統合失調症の一番最初の強い症状というのは、社会的引きこもりなんだという認識に立って いるわけですよね。陽性症状的なものが出てくるのは6番目、7番目なんだから、きちんと尋ね て丁寧にやるべきだろう。だけど、それはいわゆる専門家だけがやるのではなくて、当事者の方 たちがやる、それをバックアップするのが当事者の仕事だというシステムを構築しているわけで すよね。ですから、それは、広い意味で言うと、例えばクラブハウスモデルなんかもそうですね。  自助を助けるというのは矛盾する言葉ではないかと前に行政の方がおっしゃったけれども、で も、自助が成り立つ基盤というのは、行政の責任であったり、専門家の責任だと思うんですよ。 皆さんに頑張ってもらいたいと。だけど、頑張れ、頑張れと言うだけではだめで、どうやったら 頑張れるかということを考えるのが、こういうシステムを考える場所の役割だと思うんですね。 ですから、それを是非進めてもらいたい。  全体の書きぶりを見ていると、やはり医師が足りない、治療が手薄だということが、今、世相 を反映して出てくるんですけれども、我々は看護職ですが、弱いですけれども、例えば児童とか 思春期についての専門家も、自ら認定看護師として養成するとかということを医師以外も努力し ている分野はたくさんあるわけですね。ワーカーの人たちだって勿論そうです。OTの皆さんだ って、そういう専門的な研究とかをたくさんしていらっしゃる。だから、そういうところにも、 こういう場ではきちんと目配りをするというか、全体の体系の中に明確に組み込んでほしいんで す。いつも「等」ですよね、「医師等」。だけど多数派はどこかと。勿論、当事者の方が一番多 数なんですけれども、支える多数の人たち全体に政策を行き渡らせていくことが、こういう基本 的な計画を立てるときには必要ではないかと思います。  済みません、2分過ぎました。 ○樋口座長  それでは、野沢構成員。 ○野沢構成員  では、ちょっと手短に。  私も自閉症の子を持つ父親の立場で、やはりいろいろ自分の人生を振り返ってみても、1歳半 健診のころが一番大変だったんですよね。もうどうしていいかわからない。ほかの仲間の人たち を見ても、やはりみんなそうですね。そこでつぶれてしまう。悲惨な心中事件だっていっぱい起 きているし、虐待がいっぱい起きている。やはり心を一番重点的にやるというのが、僕は基本だ と思っているんです。そこをきちんとファミリーサポートも含めてやることによって、家族その ものが、いずれ長い目で見たときに社会的資源になっていく。自分はどこまで資源になっている かどうかわかりませんけれども、それは強く感じます。  それと、でたらめな療育なんかをやっているところが、まだまだ結構あるんですよね。見てい ても、結構高い金を取られてやっている。そこら辺は、やはり診断とか療育、治療を含めて、ス タンダードなものをきちんと発達障害については是非確立して、普及していただきたいというの が一つです。  それと、医療も勿論重要なんですけれども、12ページのこの図、ネットワークのイメージ、や はりボリューム面から見ると、発達障害の生活を考えてもらえばわかるように、医療もさること ながら、やはり保健とか福祉とか教育とか、こういうもののボリュームは圧倒的に足りなくて、 今、特別支援学校に行っても、もうみんなパンク状態ですし、発達障害者の支援センターなんか も、みんなもうすり減ってしまっていますよね。同時に、こういうものを増やしていくような総 合的な取り組みを是非していただきたいというのが一つです。  それと、この図にありますけれども、司法、警察、これも重要だと思うんです。最近いろいろ な事件を起こした少年等で、アスペルガー症候群とかいろいろ診断されていますけれども、今か ら9年前ですか、アメリカのイリノイ州にいろいろな権利擁護の研修に行ったときに、アメリカ では、医療や福祉がリーダーシップを発揮して、そこに司法、警察を巻き込んでいって、その地 域での障害者の権利擁護みたいなことをやっていたんですね。それにならって、我々民間の人間 が警察庁とかいろいろなところに掛け合ってやったりして、一部ではうまくいったところもあり ますけれども、やはりなかなか全体的な取り組みに進んでいかない。ここは、やはり医療と福祉 が力を発揮して、リードしていっていただきたい。そうしないと、マスコミも悪いんですけれど も、広田さんに言われる前に言っておきますが、やはりどうしても司法精神科の方、司法の方が リーダーシップを発揮してしまうと、とても危険なものを感じますので、今のうちに医療・福祉 でリードしていっていただきたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  では、中島構成員。 ○中島構成員  短く申しますけれども、一つ、依存症のところで、やはり医療は依存ということに対しては随 分無力なんですね。ほかの疾患に比べて。それで、余計に自助グループの重要性ということが強 調されるわけで、特に覚せい剤等の薬物につきましては、DARCのようなものをきちんと各地 に設置していくことが必要なんです。ところが、地域住民からの反対が非常に強いということと、 もう一つは、やはり土地と建物がどうしても必要になる。20人程度の人が生活するための場所を 確保しなければいけない。このお金がないんです。  それから、もう一つは、この気分障害が非常に増えてきているということの一つは、多くは社 会状況もあると思いますが、もう一つは、昔は抑うつ神経症と言われていたようなものが、気分 変調症としてうつ病の中に入ってきているんです。このことを忘れないように。どんどんうつ病 が増えていってしまっているのではないということを、ひとつ頭の片隅に置いておいていただき たいと思います。  それから、特にこの気分変調症等については、精神科医の治療力が非常に試される疾患でござ いますので、薬だけ処方してよしとしているような人は、精神科医を辞めていただきたい。  以上です。 ○樋口座長  では、最後に、谷畑構成員。 ○谷畑構成員  済みません、先ほどからのお話で大体言い尽くされたと思うんですが、本市で5年、6年前、 学校が大分荒れていました。子どもたちの問題行動がたくさんあったんですけれども、今年にな って、ようやくほとんどなくなりました。学校現場でそれを早期発見して、その内容は何かとい うと、やはり家庭に大きなところがある。虐待であるとか、離婚であるとか、貧困であるとか、 家庭内別居であるとか、そういったところを、学校に親を呼び出して1つずつつぶしていったこ ともあったということで、やはり医療にかかる前の地域なり、そのほかの機関での対応というこ とも非常に大事だろうと思います。  それから、依存症については、これはうちの市ではなくて、よその市の議長さんから言われた んですが、自分のところの子どもも依存症だった。非常に大変だ。やはり家庭が大事なので、依 存症の家庭の支援ということをしっかりと位置付けていただきたいということでありました。  それから、うつにつきましては、先週からNHKで「ツレがうつになりまして」を紀香様が主 演してやっておりますので、非常にいいことだなと思っております。  全体を通して言いますと、政策総動員ということをよく言われますけれども、ばらまきの総動 員ではなくて、やはりこういったところにある既存のものを総動員していただきたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  まだまだあるかと思いますけれども、時間の関係で終了にさせていただきますが、最後に一言 だけ、児童の専門家が全く育っていないというところ、これはもう20〜30年前から同じことを議 論しているんですよね。やはりこれは厚生労働省だけではなくて、是非、文部科学省と連携して いただきたい。しょっちゅうそれはおやりになっているんだと思うんですが、一目瞭然なのは、 全国の80医科大学があって、講座の主任が老年期の精神医学をやっている講座、これは結構ある んですよ。5〜6カ所は最低ある。児童は今1カ所たりともないんです。そういうところから人 が育っていくわけがないんですよ。だから、それは20年前に一度議論されて、そういう講座をつ くりましょうという話ができかけたところで、何があったのか知りませんけれどもできなかった。 やはりそれは根本的な問題で、それは文部科学省と是非連携していただけないかなと思います。  それでは、本日の議論、大分時間が超過して申し訳ございませんでしたが、これで終了させて いただきますが、あと、事務局から今後の予定等について。 ○野崎課長補佐  次回の日程でございますが、第19回は6月18日の木曜日、10時から12時半で、場所は航空会館 になります。以前使用いたしましたが、本日と場所が異なりますので御注意いただければと思い ます。  以上です。 ○樋口座長  それでは、これをもちまして、本日、18回のあり方検討会は閉会といたします。お疲れさまで ございました。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)