09/05/22 第1回議事録 第1回第7次看護職員需給見通しに関する検討会議事録 日時 平成21年5月22日(金)15:00〜17:00 場所 経済産業省別館1014号会議室10階 ○木村補佐 定刻となりましたので、これから始めたいと思います。高砂委員と大熊委 員は少々遅れているということですので、これから第1回「第7次看護職員需給見通し に関する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、本日はご 多忙のところ本検討会にご出席いただき、誠にありがとうございます。初めに、医政局 長よりご挨拶申し上げます。 ○外口医政局長 検討会の開催に当たりまして、ご挨拶申し上げます。委員の皆様にお かれましては、日ごろから医療行政の推進につきまして、ご理解とご協力を賜り、厚く 御礼申し上げます。看護職員の需給につきましては、これまで通算6回にわたり、需給 計画及び需給見通しの策定を行ってきたところです。今後の看護職員の需給見通しにつ いては、厚生労働大臣の下に設置された「看護の質の向上と確保に関する検討会」にお いては、少子化による養成力の減少などを踏まえた長期的な需給見通しについても検討 するべきであり、また看護職員の確保のために、働く意向がある潜在看護職員を把握す る仕組みづくりを検討するとともに、多様な勤務形態の導入や院内保育所の整備などに より、就労継続及び再就業の支援体制を強化することなども含め、総合的な推進策が求 められることが示されたところです。  この検討会は、こうした提言を踏まえて、引き続き需給見通しの策定を行うとともに、 総合的な看護職員確保対策等についても検討するために設置されたものです。委員の皆 様には、さまざまな視点から忌憚のないご意見を賜り、活発な議論をお願いしたいと思 います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○木村補佐 続きまして、野村看護課長から、本委員会の委員の皆様及び事務局を紹介 させていただきます。 ○野村看護課長 看護課長の野村でございます。委員の皆様方には、本当にお忙しい中 ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。私から委員の皆様方をご紹介申し 上げたいと思います。窓側の先生方からご紹介いたします。財団法人三友堂病院看護部 長の浅野弥恵子委員、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長の飯倉裕之委員、 全国自治体病院協議会常務理事の遠藤昌夫委員、福井済生会病院副院長・看護部長の大 久保清子委員、国際医療福祉大学大学院教授の大熊由紀子委員、九州大学大学院医学研 究院医療経営・管理学教授の尾形裕也委員、全日本病院協会副会長の神野正博委員、日 本看護協会専務理事の菊池令子委員、大阪府健康医療部長の笹井康典委員ですが、本日 は代理で伊藤様がお見えです。横浜市南区メディカルセンター訪問看護ステーション管 理者の高砂裕子委員、日本医師会常任理事の羽生田俊委員、東京医科歯科大学大学院医 歯学総合研究所医療情報システム学准教授の伏見清秀委員ですが、本日は代理として小 林様がお見えです。なお、本日お集まりいただきました委員の皆様以外に、北澤潤委員、 酒井ゆきえ委員、田中滋委員、吉田松雄委員、上泉和子委員がおられますが、本日はご 都合がつかないということでご欠席という連絡をいただいております。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。ただいま挨拶を申し上げました、 医政局長の外口です。医療保険、医政担当審議官の榮畑です。私は医政局看護課長の野 村です。私の左隣が大臣官房企画官の間です。私の右隣が医政局看護課課長補佐の木村 です。  続きまして、本検討会の座長についてお諮りをしたいと思います。座長には厚生労働 行政にも大変高い見識をお持ちで、前回の看護職員需給見通しに関する検討会において も委員をされておられました尾形委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでし ょうか。 (異議なし) ○野村看護課長 それでは、尾形委員、座長席にお移りいただいて、一言ご挨拶をいた だければと思います。 ○座長(尾形) ただいま座長にということでご指名いただきました尾形でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。今回、第7次の看護職員需給見通しということで、 先ほどの局長のご挨拶にもありましたように、これまで6回作ってきて、今回が7回目 であると。看護職員の需給見通しというのは、医療提供制度、あるいは医療提供政策を 考える上で非常に重要なポイントの1つだろうと思っております。私は看護の専門家で も何でもありませんが、是非皆様のご協力・ご支援をいただきまして、この検討会を実 りあるものにしていきたいと思いますので、ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げた いと思います。  1つ提案ですが、私は福岡と東京を往復しているものですから、場合によっては出席 できないということもあり得るので、できれば座長代理を置かせていただきたいと思っ ております。私のほうから提案させていただければと思うのですが、今日はご欠席です が、DPCをはじめ地域の医療の需給問題等について大変見識をお持ちの東京医科歯科大 学の伏見委員に座長代理をお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○座長 ありがとうございます。それでは、そのように運ばさせていただきたいと思い ます。早速、本日の議事に入りたいと思います。まず、事務局から資料の確認と、本検 討会の公開ということについて、説明をお願いいたします。 ○木村補佐 それでは、資料の確認をお願いいたします。右側に番号を振ってある資料 1「第7次看護需給見通しに関する検討会開催要綱」は3枚もの、資料2「看護職員の需 給に関する資料」は15枚ほどの束になっております。資料3-1「第6次看護職員需給見 通しについて」は10枚ほどの束になっております。資料3-2「看護職員需給見通しと就 業者数について」も10枚ほどの資料になっております。資料4「看護職員需給見通し等 の検討に当たっての論点」は2枚紙です。以上が資料ですが、そのほかに参考資料とし て1から4まであります。参考資料1「看護職員の需給に関する基礎資料」は全部で20 枚ほどになっております。参考資料2「看護の質の向上と確保に関する検討会中間とり まとめ(抜粋)」は2枚ものになっております。参考資料3「看護職員確保対策の経緯」 は7枚ほどの束になっております。参考資料4「平成21年度看護職員確保対策予算につ いて」は2枚ものでお付けしております。参考資料5「社会保障国民会議における検討 に資するために行う医療・介護費用のシミュレーション(抜粋)」については、6頁にわ たっております。資料の落丁などありましたら、事務局にお申し付けください。  次に、本検討会について、この検討会を公開で行いたいと。それから、議事録や各委 員から提出された資料も含めて、原則として厚生労働省のホームページなどで公表いた しますので、ご了承願いたいと考えております。事務局からは以上です。 ○座長 それでは、早速、議事に入りたいと思います。議事は「看護職員需給見通しの 現状と課題について」ということですが、資料がたくさんありますので、いくつかに分 けて議事を進めてまいりたいと思います。まず、事務局から資料1「本検討会の設置要 綱及びスケジュール」について、資料の説明をお願いいたします。 ○野村看護課長 それでは、資料1「開催要綱」を使って説明申し上げます。本検討会 の開催の趣旨ですが、国は、「看護師等人材確保の促進に関する法律」に基づく看護師等 の確保を促進するための措置に関する基本的指針において、医療提供体制等を踏まえた 需給見通しに基づいて、看護師等の養成を図ることが求められております。看護職員の 需給見通しは、看護職員確保の基本的な資料として、概ね5年毎に通算6回にわたって 策定してまいりました。これまでの第6次の需給見通しは、看護職員の業務の密度や負 担が高くなっていること、そして患者本位のサービスが求められることなどなど、こう いったことを踏まえて平成18年から22年までの5年間の見通しを策定しております。  一方、平成21年3月に取りまとめられた厚生労働大臣主催の検討会で、先ほど外口 局長の挨拶の中にもありましたが、少子化による養成数の減少を踏まえた長期見通し、 そして看護職員確保の総合的な対策といったことを推進するために、こういったことを 総合的に勘案して第7次の需給見通しを策定することとされております。  このような背景を踏まえて、平成23年以降についても、引き続き需給見通しを策定 するとともに、総合的な看護職員確保対策を検討するものといった趣旨になっておりま す。  そして、この検討会の検討課題ですが、3つ挙げております。1)が看護職員需給見通 しの策定、これは第6次までの需給見通しの策定と同様のもののイメージになっており ます。5年程度の中期的な見通しです。2)は長期的な看護職員需給見通しの推計、これ については研究的に行っていくことを考えております。3)が少子高齢化を踏まえた看護 職員確保対策の検討、いまの時代に合った効果的な離職防止や再就業を促進する対策の 検討をお願いしたいと思っております。  委員については2頁にあります。そして、この検討会の運営ですが、厚生労働省医政 局長の検討会という位置づけになっております。  2枚めくるとスケジュールがあります。本検討会のスケジュールです。5月、これは 本日のことですが、フリーディスカッションをお願いしたいと思っております。6月は、 中期の需給見通しに当たっての基本的な考え方。そして、7月〜8月が需給見通しの策 定方針等の検討、そして9月ごろには都道府県に対して需給見通しの策定依頼、通常、 調査などをお願いしております。11月から来年の2月まで、都道府県が調査をしている 間になりますが、看護職員確保の検討をお願いしたいと。そして、来年の3月にはこの 中期的な需給見通し、そして確保対策の中間取りまとめをお願いしたいと思います。4 月以降ですが、需給見通しについて、都道府県に対するヒアリング等を行って、データ の精査等々を行っていく。そして、来年の12月に全体の報告書を取りまとめるといっ たスケジュールを考えております。  前回の第6次の需給見通しの検討会では、スケジュールが若干違っております。前回 は、1年目に策定方針、調査票の検討を行って、2年目に都道府県に調査をお願いして ヒアリングを行ったあと、2年目の12月に報告書をまとめておりました。この方法です と、数値が出された最終的な報告書の議論が十分時間がとれなかったことなどがありま したので、今回はこういった反省を踏まえて、来年の3月ごろに調査を踏まえた暫定値 を出していただいて、さらなるご議論をいただき、その後に報告書を取りまとめること としてはどうかと考えております。それと一部の地域においては、看護職員の不足によ り、医療提供体制にも支障を来たしているといったこともあります。こういった観点か らも、看護師の確保対策は喫緊の課題ですので、早急の対応が求められております。こ ういった対応についても、来年の3月に中間取りまとめを行っていただき、予算措置を 伴うような対策については平成23年度要求に盛り込みたいといったことも考えており ます。  なお、需給見通しの中間取りまとめ、来年3月の中間取りまとめに当たっては、十分 な時間の確保ができないといったことも予測されます。都道府県の調査をしていただく 期間が短いなどといったことも予測されますので、後ほどご説明いたしますが、都道府 県の負担軽減も念頭に入れてご議論いただければと思っております。私からの説明は以 上です。 ○座長 開催要綱と大まかなスケジュールについてのご説明がありましたが、ただいま の説明について、何かご質問・ご意見があれば承りたいと思います。 ○伊藤参考人 都道府県の立場で、少しだけ意見を言わせていただきます。いまご説明 がありましたように、前回は2年目に調査をやって、そのあと取りまとめをされたとい うことで、都道府県としてはかなり時間的な余裕があったわけです。今年度の下半期に 調査をやるということになると、1つは予算の問題が出てまいりまして、もう当初予算 は終わっておりますので、途中で補正予算を組むという形になります。これは府県によ りかなり事情が違うと思いますが、大阪はご承知のとおりかなり財政状況が厳しいので、 近年9月補正予算というのは、よほど緊急なもの以外は予算編成しておりません関係で、 正直かなり厳しいのかなと思っている点が1点あります。  それから、これも県によって違うかもわかりませんが、前回のときには大阪府では独 自の検討委員会を作り、国の調査とは別に作られた調査をやりまして、検討会で検討し たという時期がありました。それがおそらくこういう形ではとれないのではないかとい うことを1点危惧をしており、全国一律の調査だけをやるということであれば、可能か もわからないのかなと思っております。以上です。 ○座長 ただいま都道府県の立場から、調査の予算の問題と付加的な調査の話が出まし たが、事務局のほうから何かコメントあるいはお答えがありますか。 ○野村看護課長 先ほども申し上げましたが、都道府県にはかなりのご負担をおかけす ることになると思っております。予算的には、できるだけこちらも何らかの努力をして いきたいと思っておりますが、需給見通しを立てるということは非常に重要なところで すので、是非ご協力をいただきつつ、お願いをしたいと思っております。 ○座長 それから、調査のほうは一律なのかというお話でしたけれども。 ○野村看護課長 こちらの検討会で、これから6月、7月、8月にご議論いただく中で 決めていっていただければと思っております。 ○座長 伊藤参考人、よろしいですか。何かあればどうぞ。 ○伊藤参考人 非常に厳しいなという印象だけです。 ○座長 ほかにいかがでしょうか。またお気付きの点があれば戻っていただいても結構 ですので、とりあえず先に進めさせていただきたいと思います。次は資料2「看護職員 の需給に関する資料」ということで、かなりの量のものを用意していただいていますの で、これについて説明をお願いいたします。 ○木村補佐 資料2に基づいて説明させていただきます。1頁の「看護職員における就 業者数の増加」という資料です。これは平成17年から18年に、どのぐらい看護職員が 増加したかというものを簡単なポンチ絵で示したものです。真ん中にあるのが増加数と いうことです。2万5,000人程度の方が増加しているというものです。その増加の要因 ですが、左下にありますように、新卒入学者5万1,000人の方がいらして、4万5,000 人の方が資格を取ると。その4万5,000人と再就業9万5,000人を足した数に離職者11 万5,000人を引いて2万5,000という形になっております。いちばん上にありますよう に、現在133万人の方々が就業しているというものです。  2頁の「看護職員就業者数の推移」です。平成18年において、看護職員の方は84万 人ほどいらっしゃいます。昭和54年に准看護師の方と交差していますが、昭和54年以 降、看護師の就業者が准看護師を抜いて以降、急上昇しているというものです。准看護 師の方は若干なだらかになっているという状況になっております。保健師、助産師につ いては、大体一定の数というものです。  3頁の「看護職員の就業場所」です。平成18年度就業場所、どこに就業しているかと いうものですが、病院が約62%、診療所が21%、それから介護施設等、訪問看護ステ ーション、学校というような形になっております。  4頁は「職種別の就業場所」です。いちばん左の上ですが、まず保健師です。保健師 は市町村が5割程度、保健所、診療所、病院となっております。市町村については、基 本的に平成6年に保健所法が改正されて、地域保健法というのが創設されたことから需 要増があったと思われます。それから、助産師です。実は助産師の方というのは、病院 に勤めている方が極めて多い。病院、診療所で約8割7分ということになっており、助 産所は1,550人ということで、ここ何年かはずっと同じで、若干微減になっていますが 推移しているという状況です。それから、看護師です。看護師については、圧倒的に病 院が多いと。診療所の約5倍程度の方が病院で働いているというものです。それから、 准看護師です。准看護師は病院に比べて診療所での勤務がかなり多いというものです。 それから、介護施設で働く方が非常に多いというグラフかと思います。  5頁は「看護職員の年齢階級別就業状況」です。棒グラフの所ですが、年齢階級とい うことで、25〜29歳という20代後半の方がいちばん多いと。以降、年齢階層とともに 下がっていくという感じになっております。55歳ぐらいを過ぎると、急激に減っている と。どうしても若いほうにシフトしているのではないかというような就業形態かと思い ます。  6頁は「看護師の年齢階級別の就業場所」です。これについては、ほとんど20代の看 護師は病院で、90%程度勤務していると。年齢とともに、病院ではなく上の診療所であ るとか、あるいは介護保険施設であるといった所で就業していただくという状況になっ ております。  7頁は「准看護師の年齢階級別就業場所」ということです。これは先ほどの看護師と 異なり、20%程度以上の方が当初から診療所で勤務をなさると。年齢とともに、病院は 若干増えたり減ったりしますが、診療所、あるいは介護保険施設というところがかなり のウエイトを占めていることが見られるというものです。  8頁は「人口1,000人当たりの看護職員数の国際比較」です。日本は真ん中辺の9.3 人となっています。イギリス、アメリカ、ドイツに比べて若干少ない、フランスよりは 若干多いということが見受けられます。それから、9頁が人口1,000人当たり病床数の 国際比較です。これは日本が圧倒的に多いという状況になっております。  10頁は「看護教育制度の概念図」です。看護師になる方は、非常に多様なルートがあ ります。いちばんオーソドックスなものとしては、真ん中の高校を卒業して3年間養成 校に入って、国家試験を受けて看護師になるという方がいちばん多いのではないか。次 に、左側に3年制課程に対して4年制課程という大学が、近年徐々に増えております。 それから、真ん中辺の五年一貫校、右側にある准看護師の養成所です。准看護師の場合 は、制度上、卒業したら2年間は准看養成所に行って、知事の試験を受けて准看護師に なると。それから2年課程に行って、そこで看護師の資格試験を受けるというものです。 基本的に大学以外については看護師国家試験を受けて、さらに養成所に入り、保健師、 助産師の国家試験を受けるという形になっております。  11頁は「高校卒業者と看護師・准看護師学校養成所入学者の推移」です。平成6年か ら高校卒業者が160万から110万に減っている中、看護師・准看護師の学校に入る方も 減っています。ただ、最近減り方が急激ではなくて、何とか一定数をキープしているの ではないかと。大体2.9%ぐらいから3%程度、高校を卒業された方が看護師養成所、あ るいは准看護師養成所に入学しているという状況になっております。  12頁は「国家試験の実施状況及び合格率の推移」です。保健師、助産師、看護師とい うことです。平成21年、看護師については5万人受けて、約9割の方が合格して4万 5,000人。保健師については約1万2,000人の合格者、97%。助産師については99.9% という合格率となっております。  13頁は「全産業と看護職員の離職率の推移」です。全産業がいちばん上です。16%、 17%の離職率というものです。看護師については11%から、最近0.1あるいは0.2、若 干増えているというものです。それから、新人看護職員だけ別に取り上げております。 大体横這いとなっております。ただ、この資料の離職の定義なのですが、病院を辞めた 方、あるいは企業を辞めた方、それから定年退職が含まれているということなので、ど うかという気がしています。  14頁は退職の主な理由です。都道府県に各1カ所、ナースセンターが設置されており ますが、そこに来る求人者の方にアンケート調査しているというのが実情です。いちば ん多いのは「出産・育児・子供のため」ということで、平成13年から18年まで順位は 変わりません。ただ「結婚」については平成13年は2位だったのですが、いまは5位 ぐらいになって、いわゆる他分野への興味であるとか、看護内容の不満という比率がど うも増えているというのが特徴です。  15頁は「ナースセンター及びハローワークにおける職業紹介」です。先ほども言いま したように、ナースセンターは各都道府県1カ所、ハローワークについては公的な所な のでさらに数があるので、もともと就業者の数は違いますが、ナースセンターの就職者 数は約1万6,000人、ハローワークは5万8,000人です。ただ、求職者就職率を見ると、 ナースセンターはずっと20%程度、ハローワークについては最近急激に上がってきてい て、求職者就職率が17.8%まで上がってきているという状況です。  これ以外にも、参考資料1に若干ここの係数の資料を用意しています。時間の関係上、 ピックアップしたものだけを説明させていただきました。以上です。 ○座長 看護職員の需給に関する基本的なデータ等についてのご説明ですが、ただいま のご説明について、何かご質問あるいはご意見があればどうぞ。 ○遠藤委員 過去6回、需給見通しが立てられているのですが、その適中率といいます か、どのぐらい正確に当たっていたのでしょうか。 ○野村看護課長 本日の資料には付けておりませんが、トレンドを見ていくと、かなり 需要・供給の線に近い就業者数が確保できてきているというように思っております。経 緯については、参考資料3の2頁にある第1次の5ヶ年計画で上のほうですが、見込み を超えてはいない、若干少ないのですが、上がってきているといったデータです。下に あるのが第2次の需給の数値ですが、昭和54年から60年、この下の実績値を見ると、 昭和54年は低かったのですが、昭和60年には見込みを超えているといった数値になっ ております。3頁ですが、これは7ヶ年の計画で昭和63年からのものですが、昭和63 年と平成6年を比較していただくと、ここでも平成6年には見込みを超えているといっ た数値になっております。4頁ですが、平成3年から12年の需給見通しにおいても、同 様に平成12年には実績値が見込み値を超えているといったデータになっております。5 頁が平成13年から17年の需給見通しですが、同様の実績値は平成17年には需要・供 給を上回った数値になっております。6頁が平成17年、これが現在の需給見通しです。 ○遠藤委員 過去すべての回において、この検討会で立てた見通しよりも、さらに必要 になったということですね。 ○野村看護課長 計画した数値を超えても、需要がどんどん伸びているということかと 思います。 ○遠藤委員 今回立てるに当たって、過去の経緯よりももうちょっと多めに見積らない といけない可能性もあるということですね。 ○野村看護課長 その辺はご議論いただければと思います。 ○座長 今回の見通しについては、これからまた委員の皆様からご意見を伺いながら、 検討していきたいと思います。遠藤委員、とりあえずよろしいでしょうか。 ○遠藤委員 結構です。 ○座長 菊池委員どうぞ。 ○菊池委員 資料をご説明いただいて意見なのですが、1頁の資料ですが、供給見通し を考えるときに、2つの大きな視点があるかと思うのです。1つは養成ということかと 思うのですが、養成については新卒入学者が約5万1,000人に対して、新規資格取得者 が4万5,000人ということで減少しておりますが、こういう教育の成果というか、動向 をどのように捉えるかということを、供給見通しを考えるときにはきちんと考える必要 があるのではないかなというように思います。  もう1つ、いま働いている人が辞めないようにする。離職率を抑えて供給を考えると いうことが必要かと思うのですが、1頁を見ると、4万5,000人の人が資格を取得した にもかかわらず、その1年後に増えているのは2.5万人ということで、定年退職なども あるかもしれませんが、やはり多く養成しているにもかかわらず多く辞めているという ことで、結果的に潜在看護職員がこういう形で多いということがありますので、供給を 考えるときに、とにかく離職を減らす対策というのが非常に重要になるかと思います。  それで、先ほどのスケジュールで確保対策をきちんと議論して、それを平成23年度 の予算に反映することを考えていらっしゃるということなので、それは非常にありがた いなと。是非そういう方向で反映していただきたいなと、これは意見です。 ○遠藤委員 いまのご意見に対してなのですが、ずっと前からも私たちの議会でいつも 聞かれているのは、離職率が高いではないか、高いではないかと言われているのですが、 いま資料を拝見すると、一般企業の離職率に比べれば低いのですね。だから、巷間言わ れているように、看護師の仕事がきついからとか、そういうので辞めていくというだけ ではなくて、ある団体の中にある人間が属したら、そこからはみ出していく人は一定の 数でいるという範囲から出ているかどうかというのを、ちょっと検討する必要があるの ではないかと思うのですね。 ○座長 先ほどの菊池委員のご意見もそうですが、今回の検討会の検討課題3つの柱の 中の3つ目ですか。「少子高齢化を踏まえた看護職員確保対策の検討」というのが柱とし て入っておりますので、是非そこでまた皆様からいろいろご意見を伺って、単なる需給 見通しだけではなく、確保対策についても意見交換をしてまいりたいと思います。ほか にいかがでしょうか。 ○神野委員 これからまた資料の説明があるのでしょうか。もしないならちょっと。 ○座長 一応いま資料2までで、資料3からこのあとあります。 ○神野委員 これから説明があるのですね。それを聞いてからにします。 ○座長 それでは、またあとで戻っていただいても結構ですが、とりあえず進めさせて いただきます。資料3-1、これは前回の見通しですが、「第6次看護職員需給見通しにつ いて」と、資料3-2「看護職員需給見通しと就業者数について」というのがありますの で、この2つを一括して説明をお願いいたします。 ○野村看護課長 資料3-1が前回の6次の需給見通しの内容です。概要を説明申し上げ ます。第6次の需給見通しの基本的な考え方です。(1)医療技術の進歩や患者の高齢化な どで、看護密度が高くなっている。また、患者本位の医療サービスを実現する。こうい ったために、看護職員の質・量ともに確保する必要があるといったことから、引き続き この需給見通しを策定したといったところです。これは先ほど説明したところです。  2の算定方法です。これの算定は、策定方針、そして調査票に沿って、各都道府県が 調査を実施し、算定した需要数と供給数を積み上げていただき、この積上げを基に厚生 労働省が全国の需給見通しとして積み上げて、第6次の検討会において、全国の需給見 通しを決定したということになっております。そして、(2)需要数についての考え方です。 需要数については、看護職員の就業場所別に推計したものを積み上げております。なお、 短期労働者(パート、アルバイト等)については、実労働時間を踏まえて常勤換算をし ております。  続きまして、2頁の都道府県の調査方法です。都道府県においては、検討の場を設け て、その調査を実施していただいております。(2)で実態調査の実施方法ですが、(1)の施 設については全数調査を基本といたしました。病院、有床診療所等々、ここは全数に調 査票を都道府県が配付し、調査をしております。そして、(2)については、既存の統計資 料集の活用、または抽出調査でよいということで、無床診療所、介護保険施設等々は、 そういったやり方で出していただいております。調査項目については、基本的な調査項 目に加えて、看護職員の離職の原因、今後の確保の方針・方策、看護サービスの質の向 上に向けた取組みなど、こういったことを盛り込んだ調査票を基本として作成をして、 調査に当たっていただいているということです。  4の需要数の算定です。調査に当たってですが、前提とされる勤務条件、需要を計算 するときの勤務条件ですが、週40時間労働制、産前・産後の休業、育休などの全員取 得や年次休暇、介護休暇なども見込んだ需要数としているところです。3頁にあります ように、夜勤体制についても複数夜勤を基本とし、3交替の場合は1人月8回以内とい ったもので需要を見込んでいただきました。  病院については、ここに書いてあるとおりです。ここについては省略させていただき ます。病院、診療所、助産所、訪問看護ステーション、こういう施設ごとにこういった 内容を国で示して、この検討会でまとまったものを示して調査をしていただいたという ことです。  4頁の供給数の考え方ですが、供給数については算定式を示しております。これは年 当初の就業者数、その年の頭の就業者数です。これにプラス新卒の就業者数、それに加 えて再就業の者、これを3つ足して退職者を引いた、といった計算式にしております。 ここにおいても、短時間労働(パート、アルバイト等)については常勤換算をしており ます。(1)の新卒就業者数などはここに書いてあるとおりのものを使っていただいたとこ ろです。  5頁の需給見通しの結果ですが、これは7頁に表として付けてありますので、そちら をご参照いただければと思います。  この第6次の検討会のときにも、看護職員需給をめぐる今後の課題ということをまと めております。5頁に戻って、需要については、医療機関や都道府県によって、勤務条 件等々をお示ししたのですが、同じ条件の算定にはなっていないといったことが課題と して出されております。例えば年次有給休暇についても、法定休暇日数を消化すること を基本としたのですが、達成したほうが望ましいという日数を基に算定した医療機関が あった一方で、実現可能な数値を算定した所もあったといった状況でした。  次のポツですが、都道府県の医療機関に対して需要調査を行っていますが、非常に項 目数が多かった。本日は示しておりませんが、次回以降でお出しする予定ですが、項目 が非常に多かったといったこと。そして、5年間の予定数を見込むといった調査の内容、 見込むことは非常に難しいということからも、未記入ですとか、記入の誤りの項目が非 常に多かったといった課題が残されております。こういったことから都道府県がそれぞ れの医療機関に照会するなど、大変ご苦労いただいたということですが、それでもうま く埋まらず調査に活用できなかった。そして、独自の調査を使ったものもあった、とい うことが6次のときの課題として出されております。  6頁ですが、供給の見通しにも政策効果を見込むということが方針として出されてお りましたが、その見込み具合は都道府県によってさまざまだったというところがありま す。そして、確保対策ですが、再就業への普及啓発とか、ナースバンク事業の強化をす る必要がある。そして、定年後のセカンドキャリアなども活用していくことが重要であ るといったことが求められております。それから、離職しても働き続けられるような労 働条件、勤務環境の改善に取り組む必要がある。そして、再就業、新卒の就業者も地元 で定着させることも課題であるといったことが、確保対策についても第6次で示されて いるところです。以上が6次での需給見通しをどのような手順で、どのような考え方で 立ててきたかといったことの概要です。  続きまして、その需給見通しがどういった成果というか、実績があったのかといった ことを捉えようと思い作成したものが、資料3-2です。非常に細かい内容ですが、説明 させていただければと思います。まず、この表の説明を申し上げますが、左側が第5次、 右側が第6次で、第5次と第6次をつなげて見ているわけです。第5次の青と第6次の 紺のような色、これが需要の見通しです。そして、赤系統のものが供給の見通しです。 第5次の見通しは、常勤換算をしていない実績値になっておりますし、第6次は常勤換 算をした需給見通しとなっております。ここで数値の考え方を変えているわけです。で すので、つなげてはいません。なお、緑のものが就業者の実数で、常勤換算をしていな いデータになっております。  第6次の需給見通しについては、下の注2とか注3にありますように、施設において は短時間労働、パートについて常勤換算をしてもらいましたし、また課題の時間外勤務 がある場合には、第6次はその削減を目指して必要な増員も考慮して積み上げた数値で す。注3にありますが、これは供給のことを書いております。供給については、5次も6 次も算定式には変更はありません。ですが、先ほど申し上げましたように、6次は常勤 換算をするといったことが書かれているものです。緑色の就業者の実数については、こ れは実は常勤と非常勤の数が合わさった数です。しかも、この就業者数は、3つの資料 を使っているというのが注4に書いてありますが「病院報告」と、診療所については「医 療施設調査」、診療所と病院以外については隔年ごとに実施している「衛生行政報告例」 を使っております。3つの統計データを合わせた数になっております。ですが、注の5 にありますように、常勤者数については原則として施設で定めた勤務時間のすべてを勤 務している者の数ということになっております。実はこれが全体なのです。  次の頁は、それぞれの病院や診療所ごとのものを書いたものです。これも色について は同じデータを取り扱っているところです。先ほどのものと違うのは、これは青ですの で需要見通しと緑の実数、そしてパープル、紫色が常勤換算したデータを使っておりま す。病院報告は常勤換算を経年的にしておりますので、こういった実線で線が引けてお りますが、これを見ていただいても常勤換算したはずの需要のものと、実際の常勤換算 とはだいぶずれがあるといったところが読み取れるかと思います。  次は「診療所」ですが、診療所はまた様相がだいぶ異なっております。青が需要の見 込みなのですが、これはいちばんわかりやすいと思うのですが、ずっと延長線になって おります。通常、常勤換算した場合にはデータが下がらないとおかしいのですが、これ は下がっていないということになってしまっています。それでは実態はどうかというと、 実際には頭数でいうと緑ですので、伸びていると。ですが、下のパープル、紫色ですと、 2点しかわからないのですが、常勤換算をすると下がっているというデータになってい ます。これは診療所で、おそらく非常勤化、パート、アルバイト化が常勤から進んだの ではないかなと思っております。  説明を省いてしまいましたが、1頁戻って、逆に病院においては平成17年、平成18 年の紫色のデータが急激に伸びている。この辺は常勤化が逆に進んだということが読み 取れるかなと思います。データが十分揃っていないので、こういう出し方をしておりま す。  次に「助産所」について見てまいります。助産所については、需要見通しが第5次は 下がっておりますが、第6次はフラットという出し方をしており、実数は緑色ですので、 これを下回っています。常勤換算をしますと、これは1点しかないので、平成18年の 所のちょっと上に×で1,521とあり、これが常勤換算した数字です。ですので、常勤換 算すると、実数よりは少し下がったデータになっております。  続きまして「介護保険関係」です。これも同じように見ていただければと思いますが、 介護保険については先ほどと逆で、需要の見込みよりも実数が少ない。そして、常勤換 算も若干少ないというデータになっております。それから「社会福祉施設」のものはち ょっと複雑になっておりますが、これは大体実数と需要の見込みとが合っているという 状況です。そして「市町村・保健所」になりますと、需要の見込みと実数がだいぶ乖離 しているというところです。常勤換算をしますと、需要の見込みにちょうど合ったとい うところです。また「教育機関」においても、需要のほうが多く見込まれているという こと。それから「事業所、学校、その他」についても、実際の数のほうが多く、需要が 少ない。ですので、それぞれの施設ごとで実際の数や常勤換算などなどを見ていると、 需要との関係が非常に複雑になっているといったことが読み取れるのではないかと思い ます。  最後の頁は、需要と供給の第5次、第6次をつなげた数字を載せています。第6次に ついて第5次と違うところは、先ほども申し上げましたが、望ましい勤務環境などを見 込んで、需要が上積みされていることがありますが、医療機関の調査では常勤換算をし ていただいたり、または常勤換算が確実にできたかというと、そこは難しかったのでは ないかということ。5年間の将来見通しといったものも書かれていなかった、回収率に 問題があったといったようなこともございました。需要見通しではそういった課題があ りました。  また、供給見通しでも、年度当初の就業者数は前年の就業者数を推計して算定するこ ととされている。第6次の平成18年のところの供給見通しの(1)の「年当初就業者数」 が、125万1,100人になっています。これは前年の平成17年度の就業者数とほぼ合いま す。それの常勤換算をしたデータであるべきなのですが、そのデータがないのですが、 平成17年当初の就業者数と見ると、常勤換算したということもあって、若干減ってい ますが、本当に若干減ったといったデータになっているので、ここが本来ですと平成17 年度の最後の就業者数の常勤換算した数値が入ってくるということでなければならない と考えています。  非常に複雑な説明を申し上げましたが、今回6次では常勤換算ということをやったわ けですが、その就業者数等々のデータには限界があったということが、いろいろデータ を整理した上でわかってきました。今回はこういった報告をさせていただくことにいた しました。以上です。 ○座長 前回の第6次の看護職員の需給見通しについてのご説明でした。ただいまのご 説明について、ご質問、ご意見をお願いします。 ○神野委員 今回の開催要綱で、看護師の養成を図ることの主語は国になっているので、 確認ですが、看護師の養成の責任は国にあるということを開催要綱の趣旨で見せていた だいたので、安心しています。  それから、第6次までの需要見通しで、先ほど遠藤委員からのご意見にあったように、、 当たったか外れたかという話が必要です。いろいろな前提条件が違うので、大変難しく 感じます。ただし、我々現場からすると絶対に足りません。これはどこの病院、医療機 関に聞いても言えることですので、第7次は現実に近い数字で計っていただきたいと思 います。いまいろいろと話のあった、第5次と第6次がつながってなければいけないか という話も、そこは1回御破算にされて、第6次の続きではなくて、第7次に向けての 新たな視点が必要なのかなと思います。  私は、昨年は去年の資料に付いている社会保障国民会議のサービス保障分科会におり ました。そのときに2025年の看護師の予測というので、200万人ぐらい必要だとあり ました。長期的には、これからすごい数が必要になってくるわけですと。  私は石川県から来ておりますが、石川県の医師会で、毎年看護職員の需要調査をやっ ております。今年のデータを見ると、病院の73%、有床診の52%、無床診の43%、訪 問看護ステーションの78%、介護保健施設の56%が不足しているというものでした。 それを全部合わせると、900何十人足りないというような数字をいただいています。そ れと、いままでの需要実態調査との大きな乖離があります。調査票の尋ね方によって、 いろいろ違ってくると思います。  もう1つは、平成19年12月に役割分担の話が出てきました。看護師でなくてもいい ことは看護師でない人にやっていただこうということで、逆に今度は医師のほうからは 看護師に下りてくるということで、プラスマイナスで、その辺のところも第7次のとき の視点として必要だと思います。先ほど離職防止とかいろいろ挙げていただきましたが、 いろいろと反対はあるかもしれないけれども、役割分担としてナースプラクショナーと か、麻酔看護師といった話も出てくる可能性があるので、役割分担が視点として必要な のかなと思います。  ただ、いずれにしましても、いま高齢化が進んで需要が多く、そして少子化が進んで 医療を担う人が少なくなっていきます。いまの経済情勢の中で、日本の内需拡大をしな ければいけない。そういったことを全部含めると、需要見通しをある程度高い数字にし て、看護師養成を大きく図っていただく、それが雇用の確保にもなるし、内需の拡大に もなると思います。こういうところまで考慮すると、過去のことは過去のこととして、 第7次は是非大きな視野に立っていただきたいと思いました。 ○座長 ご意見にかかわる部分は、次の資料4で論点についてもご議論いただきますの で、そこで皆様からのご議論をいただければと思います。いまのご意見について事務局 から何かありますか。 ○ 特にございません。 ○羽生田委員 資料3-2のいちばん最後の頁で、130万人の就業者がいます。先ほどの 退職率は12%というと、退職者数が14万〜15万にならなければおかしいのが、そこま でいかない。それから、再就業者と退職者の関係が、退職したけれども、看護職という 手に職を持っている方は離職したあとにほとんどが別の医療機関に就業しています。そ れが再就業に入る。この辺の数字が私にはよくわからないのですが、失業者の率からす ると退職者数は少ない数になっているし、再就業というのが、退職者の中からどれだけ その年の内に入っているかというと、これはデータとしては採れないのだろうと思うの ですが、その辺の数をどのように見るかというのが、数字の上で非常に難しいのかなと 考えています。この再就業者というのは、ナースバンクとか、ハローワークとかを通っ た数だけが出ているのですか。 ○間企画官 いまのご質問ですけれども、第5次と第6次の何が違うかと言いますと、 先ほど課長から説明しましたように、第6次のほうは、すべての医療機関ではありませ んが、多くの医療機関、病院、有床診療所、大きな施設、市町村などに対して全数調査 をして、そこからいただいた資料、データを基に、それを積み上げています。これは先 ほどの神野委員のご意見にも関連すると思うのですが、行政側で作り上げたというより は、現場としてはこれぐらいほしいというデータをいただいて、それを積み上げたもの です。同様に、供給などについても、そのような積上げをしながら作ったものです。  委員がおっしゃるように12%の関係というのは、データの視点が違うので、確かに単 純に比較することは難しいのかと思います。ただ、例えば先ほどご説明した資料2「看 護職員の需給に関する資料」で、これもいろいろなデータを積み上げて作ったものです。 この1頁の再就業にあるハローワークやナースセンターなどの数字は実数で、それから すると、この積上げで出てきた数字も、強ち嘘ではないと思っています。  他方、例えば新規資格取得者あるいは全体の看護師の就業者の数も、実数から拾って いますので、ここも間違いがないということからすると、離職者等はこの需給の見通し から拾ってきているので、ここはいわば見通しに過ぎないわけですが、全体としてはお かしくはないということです。その年度でどうかという点についてはお答えしづらいわ けですが、全体の構造としては、概ねこのような形になっているのかと思っています。  最初のほうで菊池委員のお話もありましたが、やめる人も多いということです。そし て、資格職ですから働き続ける人も多いということで、この辺りの再就業をどう増やし、 離職をどう減らしていくのかというのが、重要なポイントではないかと考えています。 ○羽生田委員 5次と6次で、再就業者数が倍ほど違うのはどうしてですか。 ○間企画官 これは第6次の計画策定のときにも、大変議論になったと承知しています。 これも積み上げた結果ということで、これが先ほどのご説明につながるのですが、これ が本当なのかどうなのかという意味でいけば、先ほどの再就業のハローワークなどの実 績からいくと、概ね当たっているのではないかと考えています。 ○羽生田委員 見通しですから、実績に再就業はないのですが、平成18年には7対1 という看護基準の改定があったために、非常に看護師の移動が起きているわけです。あ のときには、悪い言い方をすると引き抜いていったところがあって、引き抜かれたとこ ろは潜在看護師を一生懸命掘り起こして、再就業の努力をしてわけです。ですから、平 成18年の場合には、実績にはかなり出ているのかなと思います。  いま神野先生が言われたように、偏在というか、県なら県だけでも、県の中でも看護 師が十分にいる病院と、そうでない病院とがあります。その辺が、この需給見通しの中 でどう活かされてくるか。全国的なことは、いまお話したような数で出てくるのですが、 資料3-1のいちばん最後には、県ごとが出てきます。この県の中でも、地域、市町村で、 大きな都市と山間部とでは全然違うし、病院の規模によっても全然違います。それが、 数としては全国的に中小病院のほうが多いわけです。そこにおいては、もうほとんどの 病院が看護師不足です。そこがこの需給見通しには全然出てこないのです。  ですから、全国的あるいは県ごとには、何とかわかっても、病院の規模とか、地域と か、そこら辺の細かいところで、どれだけ足りないのかというところまで出てこないか ら、この需給見通しについて、多くの人から信用していないという意見のあるいちばん のところだと思うのです。これでいくと、5年後には足りますと、いつも見通しの最後 のほうには、足りてきますという結果が出ているのです。それが実際には、半数以上の 病院で看護師不足ということが実際にあるわけですから、その辺がこの需給見通しにど のような形で活かせるのか、その辺を是非考えていきたいなと思います。 ○座長 また資料4のほうで、その辺についてもう一度ご議論いただきたいと思います。 ほかにいかがでしょうか。 ○遠藤委員 調査方法のルートですが、市町村を通してやって、市町村を通して回収し ているのですか。 ○木村補佐 基本的に、都道府県から各病院や医療機関にやっていますので、市町村は 通っていないと思います。 ○遠藤委員 要するに公的なルートを通っていって、公的なルートで返ってきているわ けですよね。 ○木村補佐 都道府県庁から各医療機関に対して調査しまして、病院から各都道府県に フィードバックされたものを厚生労働省にという流れです。 ○遠藤委員 そうすると自治体病院としては、総務省のいう総定員法とのかかわりがあ って、需給は正確に出てこない可能性が高いのです。例えばうちの病院はもう10年以 上も定数は変わっていますから、どんなに現場が多くしてくれと悲鳴を挙げても、総定 員法があるから増やしませんと言っているので、アンケートが来ても現場はもう頭にき ていて、5年先のことなんかわかるか、いくら書いたってくれないんだからといって、 「不明」と書いて出す。そうすると自治体のほうは、しようがないから「変わらず」と か、定数変わらないのですから、同じといって返してきます。そういうものを集計すれ ば、需要見通しは下回りますよね。  例えば厚生労働省が、直に現場の病院に、何でもいいからとにかく書いくださいと直 接出して、直接回収すれば、随分違ったデータになると思います。市町村を通していた ら、そういうことになりますので。 ○木村補佐 そうですか。先ほども説明しましたように、第6次の需給見通しについて は、望ましいとされる事項というのを書いています。先生のところのような自治体病院 ですと、そういったこともあるかもしれませんけれども、逆にいくつかの都道府県を見 てみますと、未記入で来るところについては、各医療機関、ほかの病院で書いて来たと ころを見て、それを基に判断しているところはあるやに聞いています。それですので、 書いていないところは、部署でまた違うと思いますが、どのような書き方をしているか については県によっても違うと。 ○遠藤委員 その辺は次回のアンケートのときは考える必要があると思います。 ○羽生田委員 公立病院等はいまの定員が問題になりますが、県を通して民間病院に問 い合わせたときに、民間病院がどういう数を出すかというと、最低限規定どおりに出さ なければ、県からお咎めを受けるのではないかという心配が出てくると、そのような数 を出すのです。ですから、どれだけ本当の数が出ているかというのは、看護師不足だと いうわりには、全国的にいうとそんなに足りなくないという数字が出てくる。  こういうことはあまり公式の場で言ってはいけないかもしれませんけれども、実際に 県が担当課からアンケート調査をしたときには、実際に看護師がいないのですから、各 病院は足りないところも随分あるのです。でも、足りないということを正式なアンケー ト調査に出せるかというと、非常に問題があるのではないかという心配もします。 ○神野委員 羽生田委員と同じなのですが、先ほどの私が医師会レベルで採ったアンケ ートというのは、「いまは10対1だけれども、本当は7対1にしたいのではないですか。 そのときにあと何人必要ですか」という聞き方をあえてさせていただいて、現状ではな くて、なりたい姿がどうですかという聞き方をすると、結構数が出てきます。  いまおっしゃられたように、県がやると、10対1で医療監視は通っているわけですか ら、10対1には足りています。必要数はゼロですという数として出てきてしまいます。 聞き方をきちんとしないと、難しい話なのだろうと思います。  いまの点でもう1点ですが、今年は各都道府県が医療計画の見直しとか、医療費適正 化計画とか、そのようなものを作っていると思うのですが、そうすると、その中に必ず、 医師不足、看護師不足は入ってきます。それを集めるだけでも、いろいろなデータが出 てくるのではないかという気がします。 ○座長 もう資料4の議論に入っているかと思いますので、併せて議論をしたいと思い ます。資料4が、まさに「需給見通しの検討に当たっての論点」ということで、事務局 でまとめたものがあります。これを叩き台にしていただいて、さらに議論をお願いした いと思います。資料4についての説明をお願いします。 ○野村看護課長 事務局でこれまでの資料をまとめて、論点にしたものです。この論点 は、5年間の「中期見通し」「長期見通し」「看護職員確保策」の3つに分けています。  中期見通しについては、先ほどから申し上げていますが、需給見通しの精度を高める ために、調査や推計方法について、どのようにすべきなのか。需給推計の方法について、 国が示していますが、都道府県ごとの需給推計の方法が異なっている。これについては 次の頁でご説明します。そして、医療機関等に対して行う調査項目について、多いとい った指摘がありますが、どう考えるのか。  4点目が供給推計についてです。例えばナースバンク事業による再就業の促進などの 政策効果をどのように組み込むのか。5点目として、需給見通しについて、医療を取り 巻く変化を踏まえて制度改正があった場合にどのように取り扱うのか。こういったこと も議論になるかと思っています。  長期見通しについてです。これをどのように考えるのか。看護職員確保策については、 離職防止のために勤務環境の改善をどのように進めるか。働く意欲のある潜在職員の再 就業をどのように進めるのか。こういったことがあります。  次の頁ですが、第6次の需給見通しの都道府県の需給の推計方法について整理してい ます。病院・有床診療所については、3つくらいのパターンがありました。1つは、国 が示した策定方針どおりに、病院からの需要数の積上げをしていただいたものです。こ れは47県のうち5県だけです。もう1つのパターンが、国が示した策定どおりなので すが、病院からの需要数の積上げ、病院ごとの回答の内容にばらつきがありましたので、 それを都道府県が補正をして推計をして、積み上げたものがありました。3つ目は、国 が方針を示しているので、それを踏まえて現状を把握して、需要数については独自に推 計をしているものが10県ありました。多くは2つ目のパターンで、32県ということで す。それなりに都道府県が回答を補正しているのがほとんどだという結果です。  無床診療所については、概ね国が示した策定方針のとおりに、伸び率を乗じたといっ た推計のやり方をしています。  供給数については、国が示した策定の方針どおりですが、ほとんどの都道府県が、政 策効果を見込まないで推計をしていたということが、結果としてわかっています。  ここに挙げてはおりませんが、先ほどからのご説明を少しまとめますと、第6次の需 給見通しというのは、常勤換算、新しい需要等といったこともいろいろと見込んだわけ ですが、精度をどう上げるかといった課題があります。それから、常勤換算をどのよう にしていくのか。パートとアルバイトの方の常勤換算をしたわけですが、実人員の中で の常勤、非常勤、こういったことについてもご議論していただきたいと考えています。 また、先ほどから出ていますが、調査項目についても絞り込む必要があると考えていま す。  それから、先ほどの長期見通しについて冒頭にご説明いたしましたが、これについて は厚生科学研究で、伏見委員に地域の実情に応じた看護提供体制に関する研究というこ とで、厚生科学研究を依頼しているところです。本日は伏見委員がご欠席ですので、次 回出席のときに、伏見委員から長期推計についてご説明をしていただき、ご議論をお願 いしようと思っています。資料4については以上です。 ○座長 これで全部網羅しているということではありませんが、いまの時点で事務局が 考えられる論点ということで提示しています。こういう点が足りない、あるいはこれは どうかというようなご意見を賜りたいと思います。今日はフリーディスカッションです ので、できるだけ広くいろいろな観点からご議論を願えればと思います。いかがでしょ うか。 ○菊池委員 需要の推計についてです。今日の参考資料にも社会保障国民会議の推計が 出されていますが、今回同じようにやるとして、都道府県がどのような考え方で推計を するのかということと、この国民会議のほうで専門家が推計された考え方とある程度一 致させないと、違う考え方で違うものが出てきても、おかしいことになるのではないか と思うのですが、そこの考え方をここで示していただくことはお考えなのでしょうか。 ○座長 これは主として長期見通しにかかわるのかと思いますが、どうでしょうか。 ○間企画官 これは神野委員がいちばんお詳しいわけですが、社会保障国民会議の費用 推計ですが、費用とは言いながら、これからの医療・介護のあるべき姿というものを大 胆に設定をして、それに基づいて医療提供体制、介護の体制をどうするのか、そしてマ ンパワーはどうなるのかというように推計をした、非常にマクロなものです。  その中には、これから政策的にどうするのかというのは行政に投げ掛けられているわ けですが、相当な変革を行うことを前提にした推計ですので、それをそのままというこ となのかどうか。むしろこれからの政策をどうしていくのかということかと思っていま す。  それに対して、この看護職員の需給見通しについては、少なくとも第6次のやり方と いうのは、それが正確かどうかというのは先ほど来ご意見が出ておりますが、ミクロ、 個々の施設あるいは医療機関の需要をできるだけお伺いして、それを積み上げるという 方式になっていて、できるだけ現場のリアリティを大事にしようというやり方をしたと いうことです。  それですから、第7次をやっていくときに、望ましいという話もありますし、政策的 にどうすべきだという話、それから実際のリアルなところはどうなのかとか、いろいろ な次元がありまして、その辺りはどのような姿を見せれば、現場のリアリティもあり「そ うだよね、こういう厳しさだ。その中でもやればここまでいくかもしれないけれども、 大変に厳しい目標だからこのような政策を打たなければいけないよね」となるのか。そ この辺りの技術的な面、物事の方向性も含めまして、この検討会でご議論いただきたい と思っています。  基本的には、リアリティがないといけないということですので、今回の医療機関など にお伺いをしながらという方式は、維持するのかなと考えているところです。その中で、 先ほど来の論点でありましたように、今後の政策、医療環境を取り巻く政策変化を含め て、それをどのように今後反映させていったらいいのかを、別途の論点としてご議論い ただきたいと思っています。 ○菊池委員 いまのご回答はそれで了解しました。いま「リアリティがないといけない」 というお話が出ていましたので、現場がどのような状況かというお話をさせていただき ます。  看護職の就業者の62%が病院で働いているということで、離職率なども出ていました が、この中には非常に厳しい労働環境で働いている状況があります。昨年10月には、 24歳と25歳という若い看護師が2名過労死しています。この中で大阪のほうの公務災 害の場合には、交替制勤務をしながら超勤時間が50〜60時間あったということが、通 常の過労死認定基準よりも低い超勤時間ではあるけれども、過労死と認定されたことが あります。  このときに私たちは緊急に調査をしたのですが、このような状況で働いている看護職 員、交替制勤務をしながら月60時間を超えて勤務している人が、病院勤務者の2.5%い ました。この人たちは過労死寸前の状態で働いているわけです。これは全国の看護職員 で計算すると、約2万人近くいるという状況です。そのような状況で看護職員が働いて います。  この長時間労働と、実際の疲労の自覚症状、疲労を自覚している数と、医療事故に非 常に不安を持っていると、そのようなことが強く関連しているという調査結果が出まし た。このような環境の中で看護職員がやめていくという状況もあります。  離職防止対策としては、このような状況を改善していく、過労死を出さないような勤 務環境の確保対策をきちんと立て、そこの政策を組み込んで供給見通しを立てていただ きたいと考えています。リアリティというところで、少し現場の話をさせていただきま した。 ○間企画官 いまの委員のお話とつながるお話だと思います。資料3-2を1枚おめくり いただくと、病院の関係の資料があります。先ほど来、特に病院を中心に現場は厳しい 状況にあるというお話があります。この第5次の計画においては、真ん中の青い線が需 要見通しでしたが、頭数ベースでは緑色を上回っている形になっています。第6次は真 ん中の青い線に対して、紫色の常勤換算数は下回っています。この辺りに、1つ出てい るのかなという面もあります。  ただ、この青い線とは何だったかというと、先ほど課長がご説明しましたが、「注2」 をご覧いただくと、第6次は第5次と異なって、望ましい勤務環境ということで、例え ば法定の有給休暇を全部取得するという前提とか、いま菊池委員からお話がありました が、過大な時間外勤務があるという場合には、その先を目指して必要な増員を考慮して くださいという形で、調査をお願いしています。  問題は考慮してくださいとお願いしているわけですから、それをどう考慮するのか。 それから、いろいろと質問項目の大変多い中で、どこまで一生懸命書いてくださって、 ご協力いただけたのかという辺りに、難しさがあったのかなと考えておりまして、どの ような形であれば、生の声を聞かせていただけるのかという辺りも、ご議論いただきた いと思います。 ○飯倉委員 いまの話とも関連するのですが、実態に対して、残業時間も含めて最大値 でということなのですが、本当にそういう意味でのリアリティということで調査をされ ているのか。先ほど委員の先生方からのご意見もありましたが、仕方がないという意味 でのリアリティでは、実態がこうなっていて要望しても現実としては変わらないのだと いうところから含めた回答になっていないかとか、そのようなところを今回の検討会の 中では分析していただきたいと思っています。  私どもも連合ということで、医療職場、看護師とか、そういったコメディカルも含め て、医療職場の組合員も大勢仲間におりますが、みんな異口同音に現場は非常に厳しい、 職員が不足しているということで、声を聞いています。そういう意味では、需要の推計 については、現場の本当の実態、そうしたところをどう吸い上げられるかを、是非検討 したいと思っています。  そういう意味では、供給の推計の政策効果を分析するのも重要なのですが、需要の推 計を達成させるためにどう政策に結び付けていくのかも、確保対策も含めて、この場で は議論していくということになっていますが、是非そうしたところにも留意をいただき たいと思っています。  私自身が勉強不足で恐縮なのですが、今回第7次の検討会ということになるのですが、 第2次までは看護需給計画ということで進められていて、第3期目からが見通しという 形になってきているのですが、そういう意味で言うと、印象として客観的というか、も う少し政策的なところのかかわり方が弱まっているのではないかという印象を受けます。 この「計画」から「見通し」に変わった経緯がわかれば教えていただければと思います。 ○野村看護課長 はっきりした記憶ではないのですが、「計画」と言っていたのは、いま やっているように都道府県に調査をして、それを積上方式でやってきたということでは なくて、国がいろいろなデータに基づいて計画を作ったというような時に使っていた用 語だったと覚えています。  途中から現場のリアリティをきちんと把握した上で計画したほうがいいだろうという 考え方が出てきまして、そういったやり方に変化してきたことが、この長い経過の中で ありました。おそらくそのときから、「計画」から「見通し」に変わったのだと思ってい ます。 ○飯倉委員 名称というより、実際に需要がどれだけ必要なのかということを、推計を していく以上は、そこを達成していくための政策はどうあるべきなのかが非常に重要だ と思いますので、その点は是非議論させていただきたいと思っています。 ○座長 ほかにいかがでしょうか。 ○大熊委員 素人なので、この調査について全然知らないのですが、これは病院長とか 偉い方に聞いて、それを県の偉い方が見るであろうという状況で行われれば、真実とい うのは掴めないのが当然なので、こういうときにはそのような正式なものをやる一方で、 そうではない組合や看護協会などに対して別途行って、落差を測るというのがいいので はないかと思います。全県についてそれをやるのが大変だったら、あるパイロット地域 を設けて、正直ベースというのを調べて、ほかから出てきた積み上げたものもそれで補 正することもしてみたらどうかと思います。  例えば国連のスタンダードルールという障害者のルールがあるのですが、それなどは 国に聞きと同時に、障害者組織などにも国連は聞いてくるということです。それがよく やられることなものですから、ご参考までに。 ○遠藤委員 先ほど間さんが、政策と見通しを分けて考えてほしいとおっしゃったと思 いますが、それは切り離せないと思います。ニワトリが先か卵が先かという問題で、例 えば先ほどから、本当の需給をどうやって見出そうかということを議論しています。い ちばん正確にやろうと思ったら、伊藤参考人も予算が取れていないからお金がかけられ ないとおっしゃっていますし、ここの場では予算が取れているので、民間の調査会社に 依頼して、全部データをとらせれば、みんな気兼ねなく書いてくるので、あまり苦労し ないで本当の数字がすぐに集まると思います。  しかし、そのようにやったときにいちばん問題になるのが、日本はどのレベルの医療 を国民に提供するかというのが、まず決まっていないと、資料の最初のほうの「人口 1,000人当たり看護職員数の国際資格」というのは、ノルウェーがトップで、日本は13 番目です。ところが、次の「人口1,000人当たり病床数の国際比較」では、日本が断然 トップで、ノルウェーが19番目なのです。ノルウェーは19番目の病床数に、これだけ のナースを集めているので、病院のクオリティはものすごく高いのです。  アメリカはよい医療の象徴のように言われていますが、アメリカも人口当たりの看護 職員数は9番目なのですが、病床数の国際比較でいうと最下位なのです。アメリカは国 民が医療にかかれないのです。年間の医療機関受診回数を日米で比較すると、アメリカ は日本の5分の1です。日本は何でそのようになっているかというと、国民皆保険で、 コンビニで、誰でも好きなように、好きなときに、最高の医療を受けられるという権利 が浸透しているので、だからベッド数も、どんどん需給見通しに則って許可しているか ら、このようにトップになってしまっているのです。これは悪いとは言えないのです。 それだけ国民に寄与しているのです。しかし、これだけのベッド数を抱えて、それぞれ の病院に好きなだけナースを要求しなさいと言ったら、天文学的な数になります。その ようなことをやったら、この委員会が吹き飛んでしまいます。  だから、どこに枠を掛けて、どのような形で持っていくかという枠がないと、それに よってアンケートの取り方も変わってくるし、そこを議論する必要があるのではないか と思うのです。  例えば先ほども、どうやってナースの離職を少なくするかが問題だとおっしゃいまし たが、離職するのは憲法で定められているので、うちの病院も看護師部長が副院長をや っているのですが、1カ月ぐらいかかって、あなたやめないでと説得しているのだけれ ども、みんなやめていくのです。それをもっと少なくしろといっても、やめる権利は憲 法で保障されているので、それよりも再就職しやすい環境をつくって、やめたのだけれ ども戻りたければすぐに戻れる環境を、どうやってつくるかを考えたほうが、より現実 的だと思うのです。  日本医師会でもアンケート調査はやっていますが、そこで返ってくる返事では、再就 職したいけれども、いまの現実では再就職した次の日から常勤と同じ環境に放り込まれ、 同じ労働を強いられるのです。それでは誰も帰って来られないのです。そうではなくて、 例えばアメリカなどでは、NRの下にNRの数倍の量でプラクティカルナースというの を養成して、現場で働いてもらっているのです。そのプラクティカルナースだったら、 再就職は簡単なのです。要するに、自分で看護計画を立て、正規ナースから指示された ことだけをしていればいいので、すごく楽だし、パートでもいいし、1週間に1時間だ け来ても、言われたことだけをやればいいので、できるのです。そのような制度をどう やって作っていくかのほうが、遥かに現実的ではないかと思います。 ○座長 今日はフリーディスカッションということで、一わたりご議論をしていただき たいと思います。まだご発言のない委員の方もおられるので、是非一言ご発言いただき たいと思います。 ○大久保委員 アンケートについてですが、3、4年前にアンケートに答えたことがあり ます。この需給見通しのアンケートはとても回答しにくいようなストーリーになってい まして、1回ほかのところで計算して書かなければいけないということだったように覚 えています。  そうではなくて、先ほどありましたように、連休をすべて与えたらあと何人必要かと か、細かく切って、残業をゼロにするにはあと何人必要かとか、段階的に回答していけ るような方式であれば、現場の声というのは上がってくると思います。  委員の方もおっしゃいましたが、例えば7対1にするには、いまから何人必要である か。今後5対1になるには何人必要であるかとか、そのような病院の見通しを何となく わかるような、上からそのようなことを書いたらとか言われないようなアンケート方式 のほうが、現場の声が上がってくると思います。  現場にいますと、先ほどマクロの視点という話がありましたが、いつ5対1になるの かとか、その辺がすごく問題になるのです。その辺のことも、回答するときには頭の中 で計算してしまうので、例えばこうなったらというような言い回しであると、いつから という期待がなくて回答ができるのではないかと感じました。  それと、先ほど遠藤委員がおっしゃいました現場での再復帰支援ですが、これはある 程度ナース職は理解しておりまして、復帰したナースにはそれなりの継続的にキャリア 支援ができるような認識はできていると思います。そのような仕組みを作っている病院 が多くなってきていると思います。どのぐらい多くなっているかの現状は掴んでいない のですが、取り組んでいることはたしかです。 ○浅野委員 当院は米沢にある190床の民間の小さな病院で、10対1をようやく取って いるような状況です。2006年の診療報酬改定の影響をもろに受けまして、看護師の離職 は16%以上という厳しい状況でした。看護学校も併設していますが、どんどん都会に、 大学に流れていくという状況でした。  社会保障費の抑制というところも、そのような日本の仕組みの中で、民間の病院の経 営というのは大変厳しいです。当院は急性期も取っていますが、非常に厳しいです。そ れで、もう一度入院基本料の見直しとか、診療報酬の見直し、看護への手厚い配分も検 討していただきたいというのが、非常に感じているところです。 ○高砂委員 私は訪問看護ステーションですので、枠がないのです。病院であれば、何 人の患者に対してということなのですが。そのような状況の中で、2.5人で訪問看護ス テーションというところができますので、平均的には4、5人の看護師で訪問看護をし ているところが多いと言われています。  今回の需給見込みは、量と質というところでは、先ほど看護師の過労死の話がありま したが、私たちは大体9時から5時で訪問看護をやっているのですが、どんどん在宅に 重度の方がお戻りになっているので、24時間の電話対応をしてきています。そういう意 味では7対1に、この制度ができたときに、訪問看護というのは夜がないから魅力があ ると言っていた看護師たちが、24時間になったのであれば、給料のいい病院のほうに戻 ろうということで、非常に訪問看護師不足というか、訪問看護ステーションにおいては、 この2年間ぐらいはどれだけ募集をかけても、新たな方たちのご相談がない現状になっ てきています。  もう1つ在宅の特色としては、利用者にとても近いところで看護を提供しています。 そういう意味では、利用者の方たちは看護師イコール忙しいといつも思っているようで、 入院期間が短くなってきている中で、医師や看護師たちに話が聞けないこととかを、お 家に帰られてからいろいろな話を聞いたりということも、いま訪問看護師の役割になっ てきていて、直接的な看護というよりも、そのような橋渡しとか、そのような部分での 役割が大きくなってきているように思います。 ○神野委員 今後の予定の中ですが、来年診療報酬改定がある中で、跨いで予定という ことで、ちょっと難しいところもあるのかなというところもあります。日病協は7対1 とか、10対1に、看護補助者加算を付けるよう要望しています。例えば私の病院も7対 1だけれども、夜中の2時、3時に病棟へ行ったら、夜勤を3人でやっています。いま 在院日数はどんどん短くなって、これは3人では可哀想だなと思うのです。急性期で術 後の管理をしながら、終末期の人を診ているわけです。  その中で、急性期における看護補助加算は看護師の疲弊を少なくし、離職対策につな がるということで今回の診療報酬改定で入ってくる可能性もあるかなと思っています。 その辺も加味するような需給見通しは難しいなという気がしています。診療報酬改定と その辺のタイミングをどうするかというのも、ご検討いただければと思います。  もう1つは、看護師の年齢構成があります。特に地方へ行くと高年齢化というか、若 者が少ないなかで頑張って働いてくれということで高年齢化が進んでいます。そういっ た意味でも、もっと役割分担という意味も含めて、看護助手あるいは介護人を急性期に どんどん入れるような施策があると、全体の確保につながるのかなと思います。 ○菊池委員 論点の中期見通しの4番目で、供給推計について、例えばナースバンク事 業というような出し方がしてあって、供給のことを考えるときに、確保対策として潜在 看護職員の活用というのがよく出てくるのですが、確かにそのような考え方はあるので すが、実際にはそこを増やしていくというのはかなり難しく、どこにいるかわからない ということがあります。復帰するときに、何もないまま病院に入ると適応できないとい うことで、一定の研修が必要というのがあります。そのようなことがあるので、これか ら確保をするときの対策の柱は、離職の防止に軸足を変えていく、そこを中心に考えて いく必要があるのではないかと思います。  先ほど個人の自由の部分の話もありましたが、やめる理由というのも資料に出ていま すが、1つには出産・育児というのが昔からあるのですが、それが大きくあります。例 えばこのような方たちがやめないで働き続けられる条件、例えば短時間正職員制度の導 入を拡大していくような政策を強めて、働き続けられる。フルには働けなくても、とに かく短い勤務でも働き続ければ、その後ずっと働き続けることにつながっていくと思う ので、供給を考えるときの確保対策としては、潜在の活用というより、いまいる人が働 き続けられる対策に転換していく必要があるのではないかと考えています。これは意見 です。 ○大熊委員 この中に助産師の見通しがありますが、それがどのような視点から行われ ているのかが、たぶんいまの頭でやりますと、あまりたくさん需要が出てこないのでは ないかと思うのです。たまたま私は2週間ほどデンマークに行っておりまして、日本で は産婦人科が足りなくて、たらい回しでという話をすると、そんな話は聞いたことがな いと。よく聞いてみると、ほとんどの人が助産師に取り上げてもらっているということ でした。  それはデンマークだけかと思ったら、スウェーデンでも同様で、それは私のホームペ ージにも、ある医師が奥さんがお産したときに、どのように助産師に当たる人が活躍し たかということを書いていますが、しばしば医師が足りないからナースプラクショナー とか、看護師の偉いのをつくろうという話になるのですが、すでに存在する助産師をも っと働けるようにしてということを、この需給見通しの中に組み込んでいただけたらと 思います。  ある医師たちがよく読むメーリングリストでは、院内助産師ですら、医師の権限を犯 すから怪しからんという投稿が載っていまして、このような風土の中だと、なかなか助 産師の力は発揮できないと思いました。助産師問題もお忘れなく。  よくキャリアアップということが言われますが、それほどあからさまではなく、もう 少し階段を1歩1歩昇っていくと、それに応じて給料が上がっていくとか、権限が増し ていくという仕掛けを考えると、確保策につながるのではないかと思います。 ○伊藤参考人 先ほど神野先生が言われたことに関係があるのですが、最初に調査のこ とで話をさせていただいたのですが、前回の第6回のときに、それまでの調査を踏まえ て出して、すぐに7対1の問題が出ました。我々は行政ですので、例えば議会とか、い ろいろな関係の団体から、実態と全く違うということでいろいろと指摘もされてきた経 緯があります。  このような中で、中期見通しの論点のいちばん下に関連があると思うのですが、制度 改正があったときにどうするのかということからいくと、中期見通しの期間は5年とい うことなのですが、本当に5年でいいのかどうか。調査が頻繁にやられるというのは、 我々都道府県の立場としてはしんどいのですが、例えば中期の3年目に、推計でも何な りでも、制度が大きく変わったら見直すような視点とかも一方では必要ではないか。  先ほど神野先生が言われたように、来年4月に診療報酬が改正されるので、それの見 込みが出ない中で調査をやって、どこまで見込まれるのかということもありますし、平 成23年が1つの目処になっていますが、療養病床の転換の問題は現実になかなか進ん でいない状況もある中で、どうやって見通しを立てていくのかという、いろいろな課題 がある中で、5年というスパンがどうなのか、あるいは中間的な見直し。我々都道府県 にあまり負担がかかるのは困るのですが、そういったことも含めて議論する必要がある のではないかと思いました。 ○羽生田委員 いま大熊委員からお話がありましたが、一部の人の意見をまるで全部の ように言わないでいただきたい。助産師の話も、全然違う話もたくさんありますので。 そうでなければ回りませんので。世界医師会でいろいろな医師の勤務を調べたときに、 世界医師会すべての国で産婦人科の医師の時間外労働がいちばん多いという結果が出て います。ほかの国でも産婦人科の医師は時間外に一生懸命働いていることもご理解いた だきたい。これは世界医師会でとったデータです。もちろん助産師に対してそういった 部分も私は否定しません。しかし、それがすべてのような言い方はしないでいただきた い。 ○大熊委員 補足しますと、ある1人の医師が投稿したというのだったらあれなのです が、編集されているものの中ですので、ある程度オーソライズされた意見の1つかなと 思ってご紹介した次第です。  それと、9割以上が助産師でお産されていて、院内にあれば、安全性も確保されてい るという状況が、世界的なスタンダードだったのだなということに改めて気づいたもの ですから、報告いたしました。 ○座長 活発なご議論ありがとうございました。今日は第1回ということでフリーディ スカッションをお願いしたわけですが、スケジュールの関係もありますので、だんだん 議論を詰めていきたいと思います。そういう意味では、今日事務局から出された論点に ついては、いろいろなご意見が出ましたので、それを踏まえてさらに拡充をしていただ いて、第7次の需給見通しを策定するに当たっての基本的な考え方に関する叩き台のよ うなものを作ってもらって、それを次回ご議論いただくとことにしたいと思います。そ の叩き台は、今日出されたいろいろ貴重なご意見を踏まえた形で示させていただきます。  先ほど来出ていますように、医療提供体制のあり方が決まらないと、看護職員の需給 も決まらないというのはそのとおりだと思います。一方で、医療提供体制のあり方が決 まらないと、いつまでも需給見通しが決まらないということでも困るわけで、ここでは 中期を5年と見るかどうかという問題はありますが、ある程度短い時間について見る。 その一方で、長期的には医療提供体制のあり方そのものが大きく変わる。先ほど神野委 員からもお話がありましたように、社会保障国民会議の報告は2025年を目途として書 かれているものですから、それはそれでもう1つ違う視点が必要になると思います。そ の辺については、次回伏見先生にご出席いただいて、長期の見通しをどう考えていくか について検討したいと思います。そういう意味では長期と中期の2通りというか、その 辺はうまく役割分担ができれば、先ほどから出ているリアリティを踏まえたものになる のかなと思います。  そのようなことで、次回は今日の議論をさらに進めると同時に、長期見通しについて も伏見先生にお考えを整理して、ご発表いただくことを考えたいと思います。長時間に わたりまして活発にご議論いただきましてありがとうございました。本日はこれにて閉 会とさせていただきます。 (照会先) 厚生労働省医政局看護課 代表 03-5253-1111 茂田(4166)、若林(2597)