第5回重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会          日時 平成21年5月29日(金)          10:00〜          場所 厚生労働省9階省議室 ○大内専門官 定刻になりましたので、ただいまから第5回重篤な小児患者に対する救急 医療体制の検討会を開催します。メンバーの皆さまにおかれましては、ご多忙中のところ ご出席いただきまして誠にありがとうございます。なお、本日は杉本委員、上野委員より ご欠席との連絡をいただいております。  次にお手元の資料の確認をさせていただきます。上から順に、座席表、議事次第、開催 要綱、メンバー一覧です。続いて資料1が、前回議事概要です。訂正等ありましたら、後 ほどで結構ですから事務局まで意見をお寄せください。資料2が、本日ご議論いただきま す中間取りまとめ(案)です。資料の欠落等ありましたら事務局までお知らせください。 よろしいでしょうか。なお、カメラ撮影等はここまででお願いします。  それでは、議事に入りたいと思います。中澤座長よろしくお願いします。 ○中澤座長 それでは、議事に移ります。資料2の中間取りまとめ(案)について、事務 局から要点を説明していただいた上で、皆さまからご意見をいただきたいと思います。事 務局から、中間取りまとめ(案)についての説明をお願いします。 ○大内専門官 事務局より中間取りまとめ(案)の第1「はじめに」から第2「小児救急医 療の現状及び課題」について説明します。  3頁の「はじめに」の最初の段落では、「救急医療の今後のあり方に関する検討会」にお いて、特定の領域に焦点をあてた救急医療の体制の整備について議論する必要があると指 摘されたことが書いてあります。また、次の段落では、厚生労働科学研究費補助金による 「幼児死亡の分析と提言に関する研究」でなされた指摘等について書いてあります。最後 の段落は、重篤な小児患者体制に対する救命救急医療体勢に対する検討が必要であると考 えられ、本検討会を設置したという経緯が書いてあります。  続きまして、第2「小児救急医療の現状及び課題」、1「小児救急医療体制の整備状況に ついて」です。最初の段落は、これまでの法律等の歴史等が書いてあります。4頁の中ほど にあります次の段落、「これまでの各段階における整備状況をみると」という段落ですが、 初期救急及び二次救急等についての整備状況がありまして、この数字等については資料3 をご覧いただきたいと思います。一方、高度な専門医療又は救命医療については、成人と 共通の枠組において救命救急センターを基盤として整備されてきたということが書いてあ ります。最後の段落は、「小児救急電話相談事業」について記載したものです。  続きまして、2「小児救急患者の搬送と受入体制について」です。最初の段落は、メディ カルコントロール協議会等の設置状況について書いてあります。次は、消防法の一部が改 正された等のことについて書いてあります。最後の1行が課題ですが、地域ごとに小児救 急患者の搬送及び受入体制に係るルールを策定していくことが課題であると記載していま す。  5頁の3「救命救急センターにおける小児救急医療について」ですが、最初の段落は、救 命救急センターのこれまでの整備状況について記載しています。次の段落ですが、救命救 急センターにおける小児救急医療の現状について、日本救急医学会小児救急特別委員会の 平成19年度調査結果に基づいて記載しています。次の段落は、小児救急専門病床確保事業 について記載していまして、実際の整備状況に関しましては、資料6を参照いただきたい と思います。最後の段落ですが、救命救急センターを取り巻く状況についてです。これは 「救急医療の今後のあり方に関する検討会」において指摘された点を3つほどあげさせて いただいています。このような実情を踏まえた上で、救命救急センターが小児の救命救急 医療に果たす役割について検討する必要があると記載しています。  6頁は、4「小児専門病院における小児救急医療について」です。最初の段落は、小児専 門病院が設立されてきました歴史について及び現在の日本小児総合医療施設協議会への参 加施設数等について記載しています。なお、お断りとしまして、本報告書においては小児 専門病院という名称を使わせていただくこととしています。次の段落ですが、小児専門病 院について、高度な専門医療を提供していただいていますが、小児救急医療に果たす役割 については十分ではなかったとの指摘がありまして、最近いくつかの小児専門病院おいて、 積極的な小児の救急医療への取組みが見られ、実践されていることを書かせていただいて おります。  次の段落は、小児集中治療室につきまして、日本小児科学会及び日本集中治療医学会、 厚生労働科学研究費補助金による合同の研究班の「小児集中治療部設置のための指針」に ついて記載させていただいています。小児集中治療室の要件として、看護単位が独立して いることと最低6床程度の規模が必要である等が書いてあります。次の段落は、小児専門 病院にある小児集中治療室の現状について、日本小児総合医療施設協議会の調査結果を紹 介しています。数値等につきましては、資料6を参照いただきたいと思います。最後の段 落は、諸外国の小児集中治療室の状況につきまして発表いただいたことをまとめてありま す。オーストラリアとニュージーランドの状況に基づく試算についていただいた意見を記 載させていただきました。以上です。 ○中澤座長 どうもありがとうございました。この部分についてどなたかご意見、あるい はコメントはありますか。宮坂委員どうぞ。 ○宮坂委員 すごくよく書かれているので、あまり問題がないと思うのですけれども、一 番初めの「はじめに」の部分のところの中段の辺りに、重症の患者さんが全国の病院に分 散していて、1つの病院で亡くなるような患者さんが少ないということは、私たち専門家か ら見ると理由は明らかなのですけれども、これを見ると事実だけしか書いていないので、 「分散されていることが問題」、または「集約することの課題が認識された」というよう な説明の言葉を入れないと、読んだ方がその次に続かないのではないかと思うのですが、 いかがでしょうか。この間に、こう解釈を入れたほうがいいような気がするのですが。 ○石井委員 いまの話ですが、そういう考えがあって始まっているということはよくわか っているのですが、初めに集約ありきだと、本当に「はじめに」の段階で集約ありきのま とめ方になりますから、やっぱり少しいきすぎているのではないでしょうか。事実に基づ いての議論を通じて、将来に対する提言ということでまとめていただくことがよろしいか と思います。 ○宮坂委員 先ほど言いましたように、集約化という言葉を使わなくても「分散されてい ることが問題」とか何かそういう形で、読んだ方にポイントがわからないのではないかと いう意味だけです。 ○中澤座長 ありがとうございました。これは、やはり字面の裏にはいまの宮坂委員のご 指摘の部分が読み取れるのではないかと私は解釈をさせていただいたので、いくつかの事 実を述べて、その中でこのあとの部分もそうですけど、解釈していただく部分というのは、 ある意味では残しておいたというところがありますので、その辺はご了解をいただきたい と思います。 ○宮坂委員 わかりました。 ○中澤座長 ほかにありますか。それでは、引き続きまして、中間取りまとめ(案)の第3 「検討事項」について、事務局から説明をお願いします。 ○大内専門官 それでは、事務局から7頁の中ほど、第3「検討事項」から説明させていた だきます。1「検討にあたって」です。ここでは、前提として用いた言葉等について書かせ ていただいています。まず、2行目です。救急医療体制を整備するにあたって緊急に行うべ き取組みと将来的に進むべき方向性の2つに分けて議論をしていただきました。また、そ の議論に当たって、発症直後の重篤な時期を「超急性期」と呼び、それに引き続く専門的 医療や集中治療が必要な時期を「急性期」として区別をさせていただきました。  下から3行目ですが、2「小児救急患者の搬送と受入体制の整備について」です。最初の 段落は、小児救急患者の緊急度や重症度の判断について、小児としての特徴等について記 載をさせていただいています。今後は、都道府県が消防法一部改正に基づいて設置する協 議会の構成員に小児科医を含めること。消防機関が小児救急患者の緊急度や症状等を確認 するための基準を策定することが必要であるとしています。  次の段落では、小児救急患者の搬送先の選定に当たりまして、あらかじめ緊急度や症状 に応じて受入先の医療機関を地域ごとに定めておき、短時間で搬送することが必要である としています。また、2行下には、救急医、整形外科医、一般外科医等の複数の診療科の医 師との連携等について書いてあります。最後の段落ですが、必要に応じて県域を超えた搬 送体制についてもあわせて検討しておく必要があるとなっています。  続きまして、3「発症直後の重篤な時期(超急性期)の救命救急医療を担う体制の整備に ついて」です。最初の段落では、超急性期の救命救急医療につきましては、基本的にはす べての救命救急センターや小児専門病院及び大学病院等の中核病院において、確実にこの 救命救急医療が提供されるような体制を整備する必要があると記載しております。特に心 肺停止等で緊急性が極めて高い状態であれば、近くの救命救急センター又は医療機関にお いて対応される必要があり、そのためには必要な医療設備や医療器具等があらかじめ準備 されている必要がある。  次の段落ですが、いまの基本的な役割というものを前提とした上ですが、救命救急セン ターが設置されている本院の小児科の規模等によっては、小児への対応能力に多少の濃淡 が見られることは否めない。そのため小児救急患者への医療提供体制の特に整った救命救 急センターや小児専門病院、大学病院等の中核病院のうちから、小児の救命救急医療を担 う医療機関を整備していくことが必要である。その際に目安として、少なくとも都道府県 又は三次医療圏あたり1カ所の整備が必要と考える。小児の救命救急医療を担う医療機関 に求められる機能ですが、すべての重篤な小児救急患者について、診療科領域を問わず、 24時間体制で受け入れることであると記載しています。そのために必要な医療用具、医療 設備及び必要な人員を配置しておくことが求められると書いてあります。  その次の段落は、小児救急医療体系における救命救急医療(三次救急医療)の位置づけ について記載した部分です。三次救急医療については、これまではあくまでも救命救急セ ンターの一部門として包含されてきました。しかし、最近いくつかの小児専門病院等が小 児の救命救急医療を行っていることを踏まえ、これらの医療機関についても新たに小児の 救命救急医療を担う医療機関として位置づけ、両者を含めた概念として「小児救命救急セ ンター(仮称)」として整備する必要性が指摘されました。しかし、既存の救命救急セン ターにおいて、そのような機能を果たしている場合においては、「小児救命救急部門」と いう呼び方のほうがふさわしく、小児の救命救急機能を担う小児専門病院や中核病院等を 「小児救命救急センター(仮称)」と呼ぶことが提案されました。  その下の(1)「小児の救命救急医療を担う救命救急センターの整備について」です。こ れ以降は、救命救急センターについての記載です。同一二次医療圏に複数の救命救急セン ターが整備されている地域においては、そのうち少なくとも1つの救命救急センターを小 児の救命救急医療を担う救命救急センターとして整備することが考えられます。また、二 次医療圏単位で救命救急センターが1カ所又は整備されていない場合にあっては、少なく とも都道府県若しくは三次医療圏に1カ所以上の救命救急センターが小児の救命救急医療 を担う必要があると考えます。  ア「必要な病床の整備について」です。この部分では、小児救急専門病床の設置が必要 である。その病床の数については、一律に規定しない。そして、小児用として固定しない ということが書いてあります。  イ「専任で配置されるべき医師の専門性について」です。小児患者への対応という視点 からは、小児科医を専任とすべきとの考え方がある。しかし、救急医療に携わる小児科医 が不足している現状において、救命救急センターに小児科医を必ず配置することとすると、 地域全体としての小児救急医療の確保に差し障るおそれがあるという意見があった。また、 救命救急センターの専任医師には他の救急医同様にすべての年齢層の救急患者に対応する ことが求められるが、そのような職責を果たせる小児科医の人数はかなり少ないのではな いかとの意見があった。更に、若手医師の中には小児医療の分野をサブスペシャリティに 選んで救急医療の研鑽を積んでいる者がいるなど、小児科医でなくても小児の救急医療を 見られる医師が育っているとの報告があった。一方、小児に特有な心の問題や成長・発達 等への対応、家族支援等については、小児科医が急性期から継続的にかかわることが必要 不可欠である。  これらの意見を踏まえると、小児の救命救急医療を担う救命救急センターに小児科医を 専任として配置することが理想的ではあるが、現時点で可能な限り医療の質を確保する手 段として、救命救急センターが設置されている本院の小児科医等との連携に基づき、常に 必要な支援が受けられる体制を構築しておくことが求められる。  なお、小児外科、整形外科、脳神経外科、一般外科、麻酔科等とより一層緊密な連携を 構築することも必要ということが書いてあります。  (2)「小児の救命救急医療を担う小児専門病院、中核病院等の整備について」です。小児 専門病院は、小児医療に携わる医師、看護師等が多く集約された施設であり、急性期から 在宅医療までを一環として支援することが可能であることから、今後、小児専門病院での 救命救急医療への取組みを積極的に進めるべきと考えられる。将来的には、整備が可能と 思われる20程度の小児専門病院において、小児の救命救急医療を担うことが強く望まれる との意見が多かった。また、小児専門病院のない地域においては、大学病院等の中核病院 がその機能を担うことが望まれるとする意見があった。その下は、その小児の救命救急医 療を担う小児専門病院や中核病院等に留意していただきたいことは積極的に24時間体制で 受け入れていただきたいということだと書いてあります。  4「『急性期』の集中治療・専門的医療を担う体制の整備について」です。小児に対して 集中治療・専門的医療を担う病床としては、小児集中治療室が良い受け皿であると考えら れている。ただし、その整備については、今ある医療資源だけでは直ちに実施できないこ とも多い。そこで、我が国が将来進むべき方向性を示すため、本検討会において議論を深 めた。  (1)「『超急性期』と『急性期』に提供される医療の機能分担について」です。救命救急 センターの使命とその機能を考えるならば、重篤な小児救急患者に対して超急性期の医療 を行うことは不可欠であると考えられるが、それに引き続く急性期の集中治療・専門的医 療については、小児科医がいる専門の病床において実施されるべきと考えられる。  その次の文は、呼吸不全を例に上げて書いた部分です。このように、救命救急センター 等がまず重篤な小児救急患者を受け入れて、小児科医との連携の基に超急性期の医療を提 供した後、高度な専門的医療が必要な患者については、急性期の集中治療・専門的医療を 担う病床に転床・転院する体制を整備する必要がある。  続きまして、(2)「小児集中治療室の整備について」です。超急性期を脱した小児救急患 者に必要な高度な専門的医療を提供する場として、小児集中治療室の整備が必要である。 小児集中治療室を整備する医療機関の候補としては、救命救急センターが設置されている 病院、小児専門病院、大学病院等の中核病院が挙げられる。救命救急センターとの関連に おいては、救命救急センターが設置されている病院の本院に設置する場合と、救命救急セ ンターが設置されていない病院に小児集中治療室を整備する場合とに分けられますが、い ずれの場合においても、救命救急センター等において、超急性期の治療を受けた小児救急 患者を必ず受け入れる体制を整備する必要がある。小児集中治療室を整備する医療機関に ついては、一律に決められるものではなく、地域ごとに決めるのが適切であるとの意見が ありました。  将来的な方向性として、諸外国の事例を参考に我が国で必要とされる小児集中治療室の 規模を考慮すると、1つの都道府県又は複数の都道府県あたりに相等数の病床を有する小児 集中治療室を整備することが望まれるとの指摘がありました。一方、現状においては、限 られた医療資源を集約することなく、より身近な地域に小児集中治療室を確保する方策に ついて検討すべきとする意見もあった。  (3)「『急性期』の集中治療・専門的医療を担う医師及び看護師の養成について」です。 現在、小児の集中治療に習熟した小児科医の数は全国でも100人に満たないと言われてお り、麻酔科医師の不足とあいまって、全国に小児集中治療室を整備するには、その担い手 である医師が足りない状況にある。このような状況のもと、小児集中治療室の増床に合わ せて、小児の救命救急医療及び集中治療を担う医師及び看護師の養成が喫緊の課題となっ ている。  これらの医師の養成については、小児集中治療室を有するいくつかの医療機関において、 小児科医師のみならず、救急科、麻酔科、小児外科等の若手医師が集まって小児集中治療 の研修を行っている状況がある。また、小児の救命救急医療を担う医師及び看護師を養成 するためにPALS等の研修が行われており、今後これらの取組みを支援・拡大していく必要 がある。  12頁です。5「小児医療に係る連携について」、(1)「小児の救命救急及び専門的医療と 地域医療との連携の推進について」です。最初の段落は、「救急医療の今後のあり方に関 する検討会」においても指摘された「出口の問題」について記載しています。次の段落で すが、小児の救命救急医療を担う医療機関に設置される病床や小児集中治療室の整備に際 しても、同様の出口の問題が大きな課題であるとの意見が多く見られました。中でも、長 期間にわたって人工呼吸管理が必要な小児患者が集中治療室に留まっていることが課題と の指摘がありました。  今後は、1つの医療機関において医療を完結することだけを考えるのではなく、地域全体 において完結する視点で超急性期から在宅医療を含む「慢性期」までの医療提供体制を一 体として整備する必要がある。また、いわゆる「主治医意識」については、これまで小児 科医のみならず、患者側にもこれを望む意識が強く見られたとの指摘があったが、今後は 果たすべき機能に応じて、異なる段階ごとにそれぞれの領域を専門とする複数の医師が連 携して治療に当たることが求められる。  本検討会において議論した小児の救命救急医療や専門的医療は、小児の初期及び二次救 急医療やその基盤となる地域全体の医療提供体制に支えられて初めて成立するものである から小児の救命救急及び専門的医療と地域医療との連携を一層進める必要がある。  その下の○「患者・家族、住民への情報提供について」では、超急性期あるいは急性期 の病床からの転床・転院を進めるためには、小児患者とその家族の協力が必要不可欠であ るので、入院当初より患者へ転床・転院の可能性について情報を提供しておくことが重要 である。また、地域全体としての医療提供体制について、都道府県は医療計画に記載し、 日ごろより住民に対してわかりやすい言葉で伝えておく必要がある。  最後、(2)は「広域連携について」です。地域の救命救急センターや小児専門病院等にお いて超急性期の救命救急医療が提供されるのであれば、急性期の集中治療・専門的医療を 担う小児集中治療室については、それらの医療圏よりも広域で整備することが可能となる。  そのあと、資料11、資料12等をつけてドクターヘリ等の、あるいは消防機関が保有する ヘリコプター等について書いてあります。そのような搬送手段を活用しながら、複数の都 道府県の連携に基づく小児集中治療室の効率的な運用についても検討される必要があると の指摘があったと記載しています。以上です。 ○中澤座長 どうもありがとうございました。それでは第3「検討項目」についてご議論を 願いますが、少し量が多いので、区切ってご議論をお願いしたいと思います。最初は1と2 をまとめて議論をお願いしたいと思いますが、この部分に関しましてどなたかご意見、ご 発言はありますでしょうか。 ○渡部委員 検討のところなのですが、この会の目的が、先ほどもありましたように1歳 から4歳の幼児死亡率を改善する、幼児の救命率を上げることが目的ですので、その一文 があってもいい、目的を少し明確にしたいということがあります。  もう1点は、いまお話いただいた超急性期、急性期治療、慢性期のことですが、例えば 救命の連鎖というのがありますが、重篤な小児患者の救命の連鎖として、「病院前処置、 搬送、超急性期治療、急性期治療、慢性期医療の5つのステップの連鎖」と捉えて示した ほうがわかりやすいと思います。 ○中澤座長 どうもありがとうございました。ただいまのご意見、あるいはほかにござい ますでしょうか。確かにこのスタートポイントとして、1歳から4歳ということがあったわ けですが、実際には小児全体の問題も全く解決していないということであって、私として はもう少し広く、そこに限定しないほうがいいのではないかと考えました。  連鎖のお話がありましたが、これは十分な議論がなされていないので、最後のまとめに も、一次から最後までということ、今後の方向ということで一文章だけ入れさせていただ いております。それが、次のステップとしてきっちりした議論をしていくということにな るのではないかと思います。この所ではこのままでもいいのかなと私は思いました。 ○有賀委員 5つのステップのいちばん最初は現場ですか。 ○渡部委員 病院前という。 ○有賀委員 先生のご指摘はある程度そのとおりだと思うのは、前段においてもメディカ ルコントロール協議会、ここには協議会と書いてありますが、そういうようなところに、 小児科の先生に入っていただいたほうがいいというような記載があったと思います。8頁の 上から5行目に「都道府県が消防法の一部改正に基づいて設置する協議会の構成員に小児 科医を含めること」とありますし、「消防機関が小児救急患者の緊急度や症状を確認する ための基準を策定」云々と書いてありますので、そういう意味では連鎖という言葉をどの ように使うか。絵で書くかどうかはわかりませんが、ここにそれが入ってきているので、 連鎖というかその辺の流れというものを、少し強調しても別にびっくりすることではない のではないかと思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。いまのご意見に関しまして、確かにプレホスピタ ルからの話は書き込んではありますが、後ほどもう一回考えさせていただくということで、 全体を眺めまして整合性を取りたいと思います。すべてが大事なのは、この検討会が始ま りましたときに切れ目のないというお話がありましたが、どこで切れてもいけないという ことで、最後の頃には議論が出口の問題に集中した感がありますが、プレホスピタルとい うことに関しても、視点がはっきりあるということは事実でありますので、ちょっと考え させていただきたいと思います。  ほかにこの2項に関しましてご意見がなければ、時間の制約もありますし、おそらくご 意見の多いところがあると思いますので、次の第3項「発症直後の重篤な時期(超急性期) の救命救急医療を担う体制の整備について」という第3項だけに限ってご議論を願いたい と思います。どなたかご意見、ご発言はございますでしょうか。 ○田中委員 8頁の下から3行目ですが、施設として「1カ所の整備が必要」という辺り、9 頁の(1)の救命救急センターの整備についての、「少なくとも1つの救命救急センターを、 小児の救命救急医療を担う救命救急センターとして整備することが必要」というところな のですが、1カ所という形にしてしまいますと、例えば直近の救命救急センターがそういう 状況を踏まえて、そこへ行くように指示してしまうような可能性、あるいは当該センター、 その施設が受け入れ不能な状態のときのセーフティネットが少し弱いのではないかと思い ますので、1カ所と限定する必要はないと考えますがいかがでしょうか。 ○中澤座長 この点いかがですか。 ○阪井委員 いま田中委員がおっしゃったことと結論は同じなのかもしれませんが、意味 が違うのかもしれないのですが、超急性期は救命救急センターという名前の施設であれば すべて受けると。どこでも直近でやるというのが私は良いと思っていまして、ずっとそれ を主張しているのです。そういう意味でここに書いてある3項の内容が少し混乱を来たし やすいというか、田中委員がおっしゃったような疑問も当然出てきますし、私から見ても1 カ所を決めた、ではそれ以外の所はやらなくてもいいのかというようになりますよね。そ の次の10頁の4項のいちばん下のパラグラフですが、(1)で「『超急性期』と『急性期』に 提供される医療の機能分担について」というところに、「救命救急センターの使命とその 機能を考えるならば、重篤な小児救急患者に対して『超急性期』の医療を行うことは不可 欠であると考えられる」ということをしっかり出しているわけですから、超急性期はすべ ての救命救急センターでやるという命題があって、その前の3項に、少なくとも1カ所で云 々と書いてあるから、かなりわかりにくくなっていると思うのです。そこはもう少し委員 の間で議論して、すべての救命救急センターで小児の超急性期をやるのかどうかというこ と、そうであればその次に急性期における救命救急センターの役割は何なのかということ を、もう少しクリアにしたほうがよろしいかと思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。ただいまのご意見に関していかがでしょうか。  私がこのように考えましたのは、やはりまず小児を受け入れられない所、断わる所があ るということをなくしたいということがあります。そういうものがあった所において、「少 なくとも」ということが書いてありまして、複数であっても構わないということなのです。 少なくともそういうものがあって、少し広げていきたいということがあるのが事実であり まして、いまのところ阿真委員がおっしゃったように、ない地域に作っていきたいという ことが最初の視点ではなかったかと思います。そういう意味で「少なくとも」という言葉 を入れて、スタートラインとして設定をしたいということがあります。その辺のところを もう少しご議論いただきたいと思いますし、小児の救命救急に対して多少得意なところが 出てきたとすれば、そこにある程度の距離であれば集中するのもやむ得ないのかなという ことも少しは考えます。距離と時間の問題は当然あります。心肺停止等の重篤な超急性期 の場合は、必ずどこでも受け入れるというのが事実だろうと思います。  それから田中委員にご指摘いただきました、セーフティネットという考え方は確かにあ ると思います。私どもはこの点に関してバックアップベッドの充実ということを考えて、 救命救急センターのICUがいっぱいにならないように、後ろ側をちゃんと整備しようと。 地域の定義というのがありますが、地域に複数あるということになると、やはり少し質の 担保、あるいは人員の配置が、いますぐには無理ではないかということを考えたものです から、こういう形にさせていただきました。ただいまご指摘のように、最初の部分のご議 論をもう少しいただければと思います。いかがでしょうか。 ○阪井委員 もう一言言わせて言ただきますと、救命救急センターというのは大人であっ ても子どもであっても、全部超急性期は少なくとも受けるというのが基本的な考え方だと 私は聞いているのですが、今回は少なくとも1カ所で子どもをわりと優先的に、しっかり 受けなさいということを作るということは、それをかなり変えるということになると私は 思うのですけれども、そうするのかどうかということだと思うのです。もし、そうするの であれば、私の考えは、救命救急センターは急性期もしっかりやる。少なくとも200〜300 万の人口の地域には、小児病院は要らないと。急性期をやる小児病院はなくて結構だと、 そういうスタンスだと私は思っています。前回茨城の例を挙げて言いましたけれども、小 児病院だって救急をやれていない病院はあってもおかしくないかもしれないですから、現 状は現にありますし、そこはしっかり指摘をして、無駄なことをやらないようにしたほう がいいと思います。 ○山田委員 この問題は、時間的なことも考えていくべきであって、最初は分散だと思う のです。そのステージがあって、さらに次のステップとして自然に集約化が出てくるので あればいいと思うのです。ただ、いま阪井委員が言われたように、子ども病院でやってい る医療と、救命救急センターでやっている医療とは、質的な違いがかなりあります。いま 小児専門病院でやっていることに、超急性期というのは、これは非現実的な問題なので、 まずは広く、ある程度セーフティネットも考慮して設置すると。それがどれだけの機関が あるかわかりませんが、次の段階で、自然とその中で得意な所は小児救命救急センターと いう形になっていってもいいと思うのですが、やはり本質的には違うものではないかと思 います。 ○渡部委員 1歳から4歳までの死亡率が高いと感じているのですが、小児でも4歳以下、 あるいは2、3歳以下のところは、やはり難しい、専門性が高いのです。ですから例えば3 歳以下の救命医療、集中治療ができるところは、いまの218カ所の救命救急センターすべ てではないと思います。どこができるかということを明示して、そこに早く搬送すること のほうが救命率が上がると思うのです。ですから、年齢によって変わると思うので、すべ てではないと思います。 ○宮坂委員 私はこの部分はこの文章のままでいいと思っております。前段のところで、 先ほど阪井委員がおっしゃった、超急性期の医療はすべて担うのだということが書いてあ りまして、その下に三次医療圏あたり1カ所と。「少なくとも」というのが私はなくても いいと思っていたくらいなのですが、いまの社会的なことを考えると、ここに「少なくと も」ということが入っていれば、目的が達せられるかなと思いました。 ○阪井委員 いま渡部委員がおっしゃった1〜4歳の子どもはかなり専門性が高いから、そ れなりの所に運ぶべきだというのは、一旦救命をしてから運ぶべきであって、急性期の話 だと思います。 ○有賀委員 私も読ませていただいて、座長がおっしゃるように、あらかた全体像として は理解してはいるのですが、どうも一つひとつのわかりにくさがある。たぶん医療提供側 からみると、いまのところ手持ちのカードは、救命救急センターと一部元気な小児専門病 院とこの2つしかないのです。したがって救命救急センターと言えば、その救命救急セン ターは、おそらく超急性期については基本的には診なければいけないだろうと。ですが救 命救急センターの後ろ側にパワフルな小児科、また新生児などをやっている先生方がたく さんいるとすると、上手な連携をすれば、阪井委員のようなことができるかもしれません。 医療提供側からすると、救命救急センターの中の一部に小児専門病院と同じようなこと、 つまりここで言うと超急性期プラス急性期ができるかもしれないというようなことがあ る。それから救命救急センターを横に置いて、小児専門病院でいくと、おそらく急性期は うまくやればできるだろう。もっと鞭を入れれば、超急性期もできるかもしれないという、 提供側の手持ちのカードからみた議論がどうしても私たちの頭の中にある。  しかし、先ほどの救命の連鎖の話でいきますと、現場があって、運び手がいて、それか ら超急性期があって急性期があると。このような話でいきますと、超急性期の部分につい ては、全部の救命救急センターがそれなりのことをやってくださいというような話になり ますし、急性期に関して言うと、救命救急センターの中の一部がそうなってもいいかもし れないけれども、いま現在頑張っている専門病院で、急性期の部分についてはそれなりの 手厚いことを考えて、うまくやればいけるかもしれない。したがって、救命の連鎖も現場、 搬送、超急性期、急性期、それからそのあとの出口というような議論であればよい。その ようであれば、読んでも困らないし、手持ちのカードからみて、私たちの手持ちのストラ クチャーをどのように変えていけば、良いプロセスが得られるか。その結果1歳から4歳ま でのアウトカムはこんなふうにうまくいくねというような話も、両方から読んで困らない ような書きぶりにするという話のほうがいいのではないかという気がします。  これは、とりあえずたたき台としてできていますけれども、いま言ったように手持ちの カードからすると、こういう形にならざるを得ないのかもしれません。阪井委員、渡部委 員が言うように、搬送、超急性期、急性期という中で、超急性期に入る病院、急性期に入 る病院というような形で、縦横でうまくやればいいのではないかというような感じがしま す。 ○石井委員 いまの話の流れは、どちらかと言うとインテグレーション、全体を統合して の話ではなくて、むしろ微分側に傾いているのではないかなというのが1つの印象です。 もう1つは、都市と地方で分けると、都市型に傾いているかなと。それを全国の標準に当 てはめようとすると、少し無理があるのではないかと思います。やはりある程度アバウト なところを残しておかないと、例えば四国のある1つの県が全部僻地医療というゾーンが あるわけですから、そういう所をイメージしたときに、例えば何歳はこうあるべきだとか 年齢で制限をしたり、あまり細かい書き方をしますと、取り回しができない。したがって、 これを参考に地域でちゃんと考えてくださいねと言った場合に、やりようがないとなって も困るのではないかなと思います。 ○有賀委員 いま四国の話が出ましたが、現場、搬送、超急性期、急性期と。この手の話 は四国は四国なりに作れますよね。 ○石井委員 四国ぐらいの大きさの僻地医療ゾーンがあるという話です。 ○有賀委員 ですから、その大きさでというか。脳卒中でも直近の話題にあったのですけ れども、東京都北多摩群は二次医療圏で3つに分かれたのです。でもやってみたら昔の北 多摩群をそのまままとめたほうがいいということがわかったので、脳卒中に関する限り、 厚労省の作った二次医療圏はやめて、東京都の北多摩群の医療圏でやろうではないかとい うような話になったのです。この手の総論を地域に降ろせば、おそらくその地域でその地 域なりの議論をきちんとやっていけるのではないかと思います。それが消防法の改正の話 だったと私は理解をしているのですが。 ○中澤座長 ありがとうございました。冒頭にもお話しましたように、そういう意味で多 少融通の利く形にしておいたほうがいいだろうと思っております。前回、前々回で私が今 日ご欠席の杉本委員にお伺いしたときに、救命救急センターで、すべての子どもでもすべ ての心肺停止等の超急性期を受け入れるべきだけれども、小児は断られるところがあるよ というようなお話があったと思います。こういう地域では1カ所は受け入れてくれよとい うところが、その真意だろうと思いますので、何度もお話していますように、喫緊にでき ることと将来の話を分けて考えて、どちらにも読めるような形に残しておきたいというの が、座長としての見解です。いまのご議論も踏まえて、また次のバージョンには入れさせ ていただく可能性もあります。  それでは超急性期のご議論はこれでおしまいにさせていただきまして、第4項の「『急 性期』の集中治療・専門的医療を担う体制の整備について」です。これは小児病院、ある いは中核病院等の話ですが、どなたかこの点に関してご意見、ご議論はありますでしょう か。よろしいでしょうか。ここもいくつかのご議論があったところです。それなりに各委 員のご意見を入れて書かせていただいているつもりですので、もしこのことに関してご意 見がなければ、このような形になると思います。よろしいでしょうか。  それでは、5項目「小児医療に係る連携について」、いわゆる「出口の問題」も含めて、 住民との連携ということも、最後に○で書いてあるわけですけれども、この問題に関して のご議論をいただきたいと思います。 ○市川委員 少し細かくなるかもしれませんが、「出口の問題」というのは、「主治医意 識」という言葉もありますけれども、我々超急性期、急性期を診る医者というのは、とに かく助けるのが精一杯で、細かな配慮ができていないと。現実的には家族はそこに不安を ずっと持ち続けているということがあります。いわゆる総合的なリハビリセンター。これ は小児救急医学会の評議員にアンケートを取りましたけれども、ほとんど自前でフル装備 のリハビリ施設を持っているところはありませんので、地域にある療育センター等の福祉 士、作業療法士、理学療法士のすべてが揃った総合リハの施設との連携を超急性期が過ぎ た急性期からしていただくと。我々の所でいまトライしていますけれども、いわゆる出張 リハと呼んでいますが、そうすることによって、家族はここの病院が終わればあそこに行 けると。あるいはここの先生がしょっちゅう診てくれていたということで、安心感が出る ということがありますので、細かいのですけれども、出口の1つの解決策、現時点での端 的な解決策としては、総合リハ施設との連携が不可欠だということを入れていただければ と思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。先生のリハの対象の患者さんというのは、やはり 重い脳障害が残ったとか、あるいは整形外科的な問題でリハビリテーションが必要だと、 そういう解釈でよろしいですか。 ○市川委員 特に整形外科的なものはいいのですが、いわゆる頭部外傷とか、脳症です。 運動機能は治るのですが、高次脳機能障害になって、かなり社会からおいてきぼりになる ということがありますので、長い支援のためにも、リハ施設との連携は非常に不可欠だろ うと思います。 ○渡部委員 茨城県南地域では、当院が急性期の脳症、髄膜炎などを治療して、約1カ月 ぐらいで治療が終わると、そのあとは茨城県立医療大学というのが近くにあるのですが、 そこで早期リハに移りまして、そのあとは複数の病院が一緒に診るという形をめざしてお り、実現しつつあります。この文にも出ていますけれども、複数の施設が診るということ は、慢性期の患者さんにとっても良いことなのです。私は地域の開業医も入れたいです。 市川委員がおっしゃった、早期リハは非常に大事ですので、これからそれを進めていくべ きだと思います。 ○有賀委員 私が救急医療に入っていくとっかかりが脳外傷で、やっていくうちに救急医 療全般になっていったのですが、そういうようなことから、高次脳機能障害、その他の後 遺症という話で、認定のための会議などにコミットすることが多いのです。国土交通省の 問題だからということになるのかもしれませんが、警察行政、厚生行政、自賠責保険など は国土交通省でしょうか、それらが分断をされているのです。子どもたちは学校へ戻るわ けですよ。平たく言いますと、気が短かくなったおじいちゃんと同じですよね。1つは切れ やすい、つまり情動障害ですよね。したがってすぐ切れるものだから友だちがいなくなる。 それから算数や国語などは年齢が上がっていくと、どんどんハンディキャップが出てきて しまう。小さいときはかわいい、かわいいで済むのですが、小学校の高学年へ上がってく ると、高次脳障害でとてつもなく悲惨な状況が出てくるのです。そのときには医療機関か ら離れてしまっている子が結構いるのです。カルテはいま5年ですよね。5年経って10年 前のあの事故は、と言っても記録がないと。認定のしようがないという話もあるわけです。 分断された行政の問題を、ここにどう書き込むか私は知りませんが、それなりに重要と思 います。小児の救急医療を経て、「出口」とありますが、出口というのは出たらどこかに いってしまうような言い方は私は何か嫌な感じです。フォローアウトというのであれば、 流れとしていいのですが。1歳から4歳で死んでしまったらしょうがないということにはな りますが、少なくとも急性期から脱した子どもたちが、助けたあとがいかに悲惨かという 話を、厚生省の方たちはきっちりと、少なくとも厚生省の責任の範囲内においては、半頁 ぐらいを使って、こんなふうに大変なのだから、子どもたちを救うためにこういうような ことをしなければいけないと書いて欲しい。いま言ったリハビリの病院もそうですし、障 害の認定の話もそうですし、認定されたあとは、作業所に通うわけですよ。そういうよう なことをきちんと書いていただいて、だから向こうの施設に行って次のステップを頑張ろ うねというような包括的な仕組みを是非作っていくことをここで提案したいと思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。出口だから出てしまったということは意識はして いませんので、その点をご確認いただきたいと思います。 ○石井委員 出口という言葉は日本医師会がよく使うものですから、お叱りいただいたと。 ただ、それは救急の入り口に対応する出口の話であって、医療からの出口ということで言 っているわけではないのです。出口の問題というのは、そのあとの地域のネットワークも 全部含めたことで言っているつもりなので、ご理解いただければと思います。 ○有賀委員 家族に分かるように。 ○石井委員 そういう話は何度も言っているので必要であればまた何度でも言います。  もう1点は、有賀委員のご指摘は非常に重い。実は国交省の「親亡き後の問題」という 委員会に半年以上参加しまして、その実態調査と、それに対する対応策、リハビリを含め た問題、高次機脳障害が残されたまま、社会的に悲惨な状況になる。その次に若年の方々 の親が世話をするしかない。それが介護保険の対象にも届かない状態で、社会の中で落と し穴に入っているのではないか。それをどのように救い上げて、もう少し別な対応ができ ないかということをだいぶ考えました。その答申が国交省から出ていますから、ご覧いた だくと良いと思います。そのときの当面の結論は、いわゆる厚労省マターである社会保障 制度の上で、それに足らざる部分、特に交通外傷で悲惨な高次脳機能障害プラス全身挫滅 だとか、そういうことになりますと、リハビリも、いわゆる急性期リハビリやその後のリ ハビリという枠で収まらないような維持のリハビリということが、どうしても必要な場合 がある。高次機能障害に関して言えば、失読、失認という問題は、社会生活を阻害し、教 育にもうまく乗れない。ところが何らかの手立てをすれば、そこを越えた瞬間に社会生活 に入っていける症例もあるのではないかと。結論は社会保障の現在のベースラインプラス 外傷に関しては、十分な手当てを考えるべきだという文案を作ってもらいました。それを ここに書くかどうかは、よそでやったことですから。リハビリに成果主義が導入されたと いう、いまの医療保険の状態が非常に歪んでいるということを痛感しております。  もう1つは、自賠責、労災の両方を担当しているものですから、労災のほうでは、社会 復帰のためのリハビリはそういう次元では済まないですよということで、労災保険の中で は認めていただきました。これは同じ厚生労働省の中ですから、認めていただいています ので、医療保険に関しても、その辺の施策の間に落ち込まないような、それから実態に即 した対応ができるような目配りというのは必要だと痛感しています。逆に言うと、足りな いところは残っていると認識しています。それをどう書くかなのです。言い出すと、これ は別にまた委員会を立ち上げていただくぐらい問題意識は持っているのです。共有認識の 上で何かここにそれを表現していただくということは、よろしいかなと思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。実は、この出口の問題に関しましては、いまのご 指摘のように、出口を出てしまったらお仕舞いという意識は全くなくて、継続ということ でこういうことを書かせていただいたのですが、これは座長の不手際で、この問題に関し て議論することがなくて、時間をとって議論されたのは今日が初めてではないかと思いま す。いまの問題は流れの中ではとても大切な問題ですから、素通りするわけにはいかない ということがありますので、何らかの形で盛り込みたいと思います。先ほどもお話しまし たように、具体的なことに関しては盛り込めないとしても、そういう方向性は何らかの形 で盛り込んでおいたほうがいいのかなと。有賀先生がおっしゃったように、出口を出てし まったらお仕舞いという感じにとられるのは避けたいと思います。 ○有賀委員 12頁の「患者・家族への情報提供」の3行目に「その可能性について情報を 提供しておくことが重要である」と書いてありますよね。これは重要なのです。この情報 を提供するのは誰かといったら、直接的には主治医です。主治医または医療チーム、退院 調整ナースとか、いろいろな人たちがいますが、そういうチームであり、なおかつ急性期 または超急性期の病院ですよね。  ここでの書きぶりは、現場の私たちに頑張れということになっているのです。孫悟空が 頑張るにしても、お釈迦様の掌がどうにもなっていないというところを、ここで是非指摘 していただかないと、私たちはもう頑張り切れない。患者のご家族に説明するにしても、 「じゃあ、有賀先生、出されちゃうの」ということになるのです。いまでこそ「クリニカ ルパス」とかいって、多少気のきいた言葉がありますので、「次のステップ」とかと言っ ていますが、患者さんのご家族は、「有賀先生、私のことを見捨てるの」と、これですか らね。ここの部分に関しては、主治医意識として正しいことを提供しようと思うから、「次、 リハに行こうね」ということを言うのですが、でも、やはり「見捨てるの」となるわけで す。情報を提供することは重要なのですが、孫悟空がいくら頑張っても、お釈迦様の掌、 つまり急性期以降の社会資本の充実そのものがどうにもなっていないと、どうにもならな い。そういう意味で指摘していますので、是非お願いします。 ○中澤座長 その下には「都道府県は」ということが少し加えてはあるのですが、現場で 働く先生は、ご指摘のとおりですね。やはり私たちがお話をしないといけないということ があります。いま、出口のあとの総合リハビリというお話も出ましたが、こういうものが あったり、あるいは呼吸の問題も委員からご指摘があったのですが、そういう問題は、実 は、具体的なことには踏み込まないでここに書こうということを意識したのです。ただ、 そのときに抜けてしまったのが、いまご指摘のような、医療から出た、あるいは福祉に関 係していくような部分で、そこに関する認識がこれでは読み取れないというご指摘をいた だいたと思います。 ○渡部委員 初めにも述べましたように、これを5つのステップと捉えて、このまとめの 優れているところは、超急性期と急性期を分けたことと、慢性期という言葉を使ったこと だと思います。いままでは、こういう重篤な小児に対して「慢性期」という言葉を使った ことはあまりないと思うのですが、出口というよりは「慢性期」という言葉を使って、5番 目のステップの慢性期の医療の手当を付けると。そこには医療スタッフも十分に必要だと いうことを強調していいと思うのです。 ○中澤座長 ありがとうございました。重要なご指摘をたくさんいただいたと思います。 いまご指摘いただきました慢性期に移行した、なったという患者さん、あるいは人たちを、 どういうふうに支援していくか、そういうことまで意識して救急の体制をつくらないとい けないというご指摘だったと思います。すべての医療は連鎖といいますか、救急だけでは なくて、救急が入口だとしても出口はものすごく広いということがありますので、そうい う意識も少し入れて書きぶりを考えたいと思います。ほかにどなたかご質問、ご意見ござ いませんでしょうか。ありがとうございました。それでは、この「検討事項」に関するご 議論はいただいたということでございます。それでは、引き続きまして、中間取りまとめ (案)第4「今後の方向性について」と第5「おわりに」について、事務局から説明をお願 いします。 ○大内専門官 13頁、第4「今後の方向性について」、1「小児救急患者の搬送と受入体制 の整備について」です。小児科医を構成員に含む協議会を都道府県に設置して、小児救急 患者の搬送及び受入れの実施基準を定める必要がある。その実施基準の中で消防機関が小 児救急患者の緊急度や症状等を確認するための基準を策定する必要がある。小児救急患者 の受入体制について医療計画の中に明示し、住民にわかりやすく伝える必要がある。  2「小児の救命救急医療を担う救命救急センターの整備について」です。救命救急センタ ーの実施要綱における小児救急専門病床の要件については、本検討会での議論に基づいた 見直しが必要である。また、小児の救命救急医療を担う救命救急センターにおける医療の 質の確保や実績の評価については、今後関連する情報を集め、専門家による検討が必要と なるとともに、そのような機能や評価に応じた適切な支援が求められる。  3「小児の救命救急医療を担う小児専門病院・中核病院等の整備について」です。小児の 救命救急医療を担う小児専門病院・中核病院等については、従来の救命救急センターの小 児救命救急部門と同等の機能を有する「小児救命救急センター(仮称)」として、必要な 支援を行っていく必要がある。  4「小児集中治療室の整備について」です。小児集中治療室については、財政的支援が充 分でないことを一因として整備が進んでいない状況にあり、今後は整備を推進するための 支援の充実が必要である。今後は、小児の救命救急医療体制の中で集中治療室が受け皿と して普及することが求められており、そのためには小児の集中治療を担う医師の確保・養 成が必要である。また、小児集中治療室に必要とされる小児科医、麻酔科医や専門とする 看護師の要件等について、前出の「小児集中治療室設置のための指針」を参考に、質の確 保と量の拡充の視点から、さらなる検討を行う必要がある。さらに、各地域において小児 集中治療室を整備する医療機関や必要な病床規模について、地域の実情に応じて実現に向 けた検討をしていく必要がある。  続きまして、第5「おわりに」です。本検討会では、重篤な小児救急患者が確実に受け入 れられる体制の整備を目指して、地域ごとの搬送及び受入基準の策定や、重篤な小児救急 患者の受入体制の整備について議論した。その中で、重篤な小児救急患者の受け皿として、 小児集中治療室のあり方についても議論が及んだ。さらに、我が国の現状と将来を考え、 小児の救命救急及び専門的医療の基盤となる地域全体の医療提供体制についても議論し た。また、今後の方向性については、いただいたご発言を記載してございます。  小児の専門的医療と一般救急医療との機能分担については、「超急性期」及び「急性期」 という概念を導入することで、小児救急患者の搬送及び受入体制の整備、超急性期の救命 救急医療を担う医療機関の整備については一定の方針を示せたものと考える。しかし、小 児集中治療室の要件や、急性期を脱した患者に対する医療提供体制については、十分な議 論ができたとは言い切れず、今後の検討課題として取り残された。このほかにも、議題と しては取り上げなかったものの、小児患者については、初期から三次救急までを区別する ことは難しい場合もあり、すべての小児救急患者を受け入れる医療機関を整備する必要性 について発言があった。また、小児救急患者の大半を占める軽症患者について、軽症患者 が軽症のうちに治癒できるような対応の重要性、又は、軽症患者の中から重症化し得る患 者を適切に選び出して早期に治療を開始する必要性などが指摘された。今後は、国が中心 となり、本検討会で示された各種の対策に取り組むとともに、今回示されたさまざまな課 題に関してさらなる研究や検討を行うことが求められる。以上です。 ○中澤座長 どうもありがとうございました。最後の部分ですが、この2つの点に関して、 どなたかご意見、ご発言ございますか。 ○山田委員 2つのことをお話したいと思います。総論的には4、5に私も非常に賛成なの ですが、「おわりに」のAに「小児の救急医療に精通した医師の養成」ということを掲げ ていただいています。これは非常にありがたいことなのですが、少し前の10頁との整合性 を考えたいと思うのです。「これらの意見を踏まえると、小児の救命救急医療を担う救命 救急センターに小児科を専任として配置することが理想的ではあるが」というあとに、こ こに書いていただいた「小児救急に精通した医師の養成や」という1項目が入れば「おわ りに」との整合性がつくのではないか。「本院との連携」というのは当然のことで、まだ できていないところは、これをさらに進めていただくことは大事だと思うのですが、さら に前向きに、一歩進んだものとして、こういった人たちの養成というのは非常に大事では ないかということで、本文にもそれを挙げていただければありがたいというのが1点です。  もう1つは、4項の「今後の方向性について」の2番に「救命救急センターの実施要綱に おける」云々ということで、「本検討会での議論に基づいた見直しが必要である」と書い ていただいているのですが、それをもう少し具体的に、例えば9頁のアに挙げていただい ていますように、一律に規定しないとか、小児用としては固定しないとかと。いままでは、 独立看護単位があって、6床以上、小児科医がいることというようなことを挙げていたので すが、今回の検討では、もう少しフレキシブルな、弾力的運用が必要ではないかと。それ に具体的に少し触れていただいたほうが、よりはっきりするのではないかと思います。 ○中澤座長 どうもありがとうございました。ただいまのご意見に関して、どなたかご発 言がございますか。第2点目はおそらくそういうことだろうと思いますが、第1点目に関し ましては、確かに急性期に関しては、10頁の最後の行に「小児を含む救急医療に必要な技 術を習得した医者であれば可能と考える」ということで、ここで少し書いてありますが、 超急性期に関して、ご議論の中では、いまはそういう人たちがまだとても少ないのではな いかということを少し意識して、養成できる場所というのが限られているのではないかと いうご議論があったと思いますので、その辺で、ここで少しニュアンス的にトーンダウン という感じになっているのかと思います。山田委員のご発言は、「本院の小児科医との連 携」ということの中に、もう少し養成ということを入れていただきたいということだと思 います。 ○石井委員 世界医師会とWHOのオブザーバーから先週帰ってきたものですから、そうい う文脈で言うのですが、プロフェッショナル・オートノミーとかプロフェッショナリー・ レッド・レギュレーションという言葉があります。医師という専門職は自律的にそういう ことをするべきであるという原理原則があるということをもう1回確認してきたところな ものですから、いわゆる生涯学習、生涯教育というのは我々のプロフェッションの前提で あると考えるのです。救急医療に関しても、日本医師会で何をしているかというと、普通 のドクターは全員救急医療の学習をして、いざとなったときには応じる、用意をするとい うことが目標だということを謳っているわけです。小児救急医療のトレーニングコースを 入れるか入れないかという議論は、毎年日本医師会内の救急災害医療対策委員会でやって いるのですが、いまのところオプションになっているのです。地域によってはもうだいぶ 進んでいる地域もあります。いわゆるアベレージのレベルでそれですから、小児科の先生 方が自律的にそういうことをお進めいただくということは全くやぶさかでないので、それ を他律的なものに置き換えようとすることはまずいのではないかと思うのです。これはあ くまで自律的に、是非やっていただく必要があるのではないかと思います。  この書込みをどう書くかというのは、ちょっと他人行儀だなと思って聞いていたのです。 これはこれでいいのだと思うのです。そういうことを行政なり国民がバックアップしてく れるという状況をつくり出すということを、我々は応援団としてやらなければいけないと は思っています。 ○山田委員 ありがとうございます。石井委員の言われることは、私も当然だと思います。 ただ、これは、小児科医療から小児救急医療へということで、いわゆる内科的なものだけ を診ているのではなしに、トータルに子供のことを診るための1つの養成という意味なの です。ある意味では、これは質的な研修を少し枠を広げようということなので、特にここ に記載していただきたいというのが私の意見です。 ○中澤座長 ありがとうございました。小児科学会、あるいは小児救急医学会でも、そう いうトレーニングの、あるいは研修のプログラムをお作りになられたと思います。石井委 員が言われたように、小児科医として、あるいは小児科の専門医としては、この救急医療 に携わるということはある意味では要件になっていますので、それをもう少し強く書いた らどうだ、というのが山田委員のご発言だったと思います。 ○宮坂委員 いま山田先生が言われたことと同じなのですが、9頁のイの「専任で配置され るべき医師の専門性」に小児科医の数の不足が書いてあるのですが、この議論の中でも何 回もありましたように、救急や急性期の医療に対応する小児科の現状が不十分だという質 の問題が書いていないので、その辺をここかどこかに入れておけば、いまの石井先生のお 話とつながるかなと思いました。 ○中澤座長 ありがとうございました。確かに私どもは謳ってはいますが、全員が救急医 療に参加しているわけではないということがあります。しかも、いまの宮坂委員のご発言 のように、すべてがある程度の質に達しているかというのは、ある意味の評価がなされて いないので、そこのところを少しはっきり書いたらどうだ、というご指摘だったと思いま す。 ○有賀委員 第4の「今後の方向性」の1、2、3、4の次に5があって、慢性期の話にちょ っと触れるというようなスキームはないのでしょうか。「今後の方向性」というのですか ら、少し広く深くいっても誰も怒らないと思うのですが。 ○中澤座長 実は、この「今後の方向性」については、私も事務局とお話をさせていただ きました。私どもは「今後の方向性」といいますと、私自身が何度もお話しましたように、 将来ということを考えるのですが、この「今後の方向性」というのは、わりと近未来的な ということを意識されているようで、そこまで書き込むと手が回らない、というのがお役 所の立場のようなのです。これはやはりこれとして別の検討会で深めていただくしかない のかなと。私としては、個人的には当然だと思うのですが、お役所の立場も理解していた だいて、それでご納得いただければと。本文には、先ほどお話したように、少しあそこの 部分を膨らませてどうにか入れたいと思っていますので、その点でご勘弁願えればと思っ ています。 ○有賀委員 患者の代表がオーケーすれば、いいと思います。 ○阿真委員 「今後の方向性」が近未来的なものだというのは、今知りました。先ほどの ところにちょっと膨らませていただくということでいいと思います。私のほうで気になる ところは、「今後の方向性」と両方同じことが書いてあるのですが、都道府県が「医療計 画の中に明示し、住民にわかりやすく伝える必要がある」というのが第4のほうにあって、 12頁の5の○には「都道府県は医療計画に記載し、日頃より住民に対してわかりやすい言 葉で伝えておく必要がある」と同じようなことが書いてあるのですが、医療計画の中に明 示して住民にわかりやすく伝える必要があるというのは、すごく簡単にサラッと書いてあ りますが、それがいちばん難しいことではないかと私は思うのです。  小さな子の悲しい死が少しでも減るようにという全体像を見せる努力というのが、すご く大事ではないかと思っているのです。必要な情報を届ける努力、病院の先生方とか、病 院自体とか、厚労省の実情をきちんと開示して、メディアですとか、私たちとか、医療を 扱うような東金とか、柏原の会とか、COMLとか、いろいろなところがあると思うのです が、そういうところに情報を開示して、メディアがいちばん大きいと思うのですが、そう いうところがそれぞれに、国民とか市民とかに対して、あなたの子が見捨てられるという ことではなくて、あなたの子供を助けるということでやっているのだということが少し見 えるように、別にここに入れてほしいということではないのですが、人に情報を伝えると いうことがとても根気の要ることで、うちの子が見捨てられてしまうのではないかと思っ ているものを、そうではないというふうに人の意識を変えていくというのはすごく大変な ことだと思うので、繰り返し繰り返し言葉を砕いて伝えるという努力をしなければいけな いということがあると思うのですが、すごく簡単に書いてあるような気がしたので、これ はもうちょっと。文章としてどういうふうに入れるかというのは、ちょっとわからないの ですが、なかなかこれは大変なことだということはあると思います。 ○石井委員 親亡き後問題の検討会で全国サーベイをやってみますと、例えば成年後見制 度に対するアナウンスをどのぐらい積極的にやっているか、そういうことを周知している かというと、ほとんどないというような数字が出てくるのです。そのときに問題になった のは、医療機関側の説明と同意、説明責任もあるのですが、もう1つ大事なのは、厚労省 でも都道府県でもなく、地方自治の役場の窓口にそういう情報が十分あって、医療側から 問合せがあったり、患者さんのご家族がアクセスしたときに、提供される状態になってい るかどうかということなのです。これが、まだ思うようでないという実態が見えているの です。いまのお話は、まさに共有の情報がまずそういう場所にあるかと。患者さんという のは、そのとき突然患者さんになるわけで、最初から患者さんではないものですから、常 に知っているわけにいかないのです。まして、ご家族となれば、降って湧いた話から始ま るので、是非そこはわかりやすい状況である必要があるなとは感じているのです。ですか ら、ここの書込みには気にしていたのですが、そういう実態があるということだけ言って おきます。 ○中澤座長 ありがとうございました。いまのご発言、有賀委員の先ほどのご発言も含め て、ここに「日頃より住民に」と書いてあるのですが、実は医療側も知らないことがたく さんあるのではないかと。ここの部分は、医療側が知っていて、ここに電話すればいいと いうお話をできるだけでも随分違うのではないかという気がして、いまのお話を伺ってい ますと、「日頃より医療側」というのでしょうか、「医療者」、書込みはどうとしても、 「とともに住民に」というような書込みができるかなと思います。そうしますと、私たち も知っている、どこに電話をすればいいか、行くところがわかる。そこに行くとあとのこ とまで説明がいくということであって、地方の自治体もそれに対して意識をしていかざる を得ないと。私たちに情報を提供しないといけないわけですから、厚生労働省から流れて きた情報を私どもに提供する義務を生じているということを感じますと、そういうことで、 ここのところは、いまお話を聞いていて、私たちが知らないで住民だけが知っているとい うのも、これまたおかしい話なので、その辺のところは両方あったほうがいいのかなと感 じました。 ○阿真委員 いま石井先生がおっしゃったことは、本当に大事なことだと思います。例え ばヒブワクチンの話で、私たちの会の人たちが結構知っているようなことでも、私たちは、 いちばん身近な行政というのは保健センターなので、自分の地域はどうかということを電 話したりするのですが、何人も「ヒブって何」と保健センターの保健師さんに聞かれてい ます。それだけではなくて、「ヒブって何」と言う人はちょっと置いておくとしても、全 然わからない、そういう計画がないし、自分のところには全く下りてきていないとか、そ ういうことは本当にざらにあるので、私たちに伝えることも大事なのですが、地方自治体 とか保健センターは住民にとっていちばん身近だということの下に、そこにもうちょっと 情報がいくようにしたらいいのではないかとは思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。こういう住民への情宣というのでしょうか、情報 提供というのは、数年前から国の行政と小児医療体制を通してお話をさせていただいてい るのですが、それまではこんなことは1行もなかったのです。こういう話が出てきている のは最近です。ですから、非常に進歩だと思いますし、これを機にもう一歩進めて、いま のような言葉遣いをちょっと加えさせていただければと思っています。すべての国民が情 報を分かち合う。これは医療者も排除されてはいけないし、いまお話の保健所、保健セン ターも蚊帳の外であってはいけないということだろうと思います。ほかの問題にも共通す る問題ではないかと思います。 ○渡部委員 今回、慢性期の医療についてこれだけ話し合ったので、是非そのことは入れ てもらいたいと思っています。1つ頭にあるのは、森島先生たちが作ったインフルエンザ脳 症のガイドラインです。あのガイドラインでは、慢性期のリハビリのこと、あと、亡くし た子供たちに対する親のグリーフケアまで含めて書いてあるのです。やはり重篤な小児患 者の医療ということを考えれば、今回そこまでいくかどうかわかりませんが、慢性期まで は含めていただきたいと思います。 ○中澤座長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。いままでは、私 の不手際で随分時間が延びて、最後に駆け込んだところがありますが、今日は時間が少し あります。もしご議論がこれ以上なければ、今日いただいたご意見をもう一度持ち帰りた いと思います。報告書を、事務局を通してまとめたいと思います。私自身も発言させてい ただきましたように、少し修正が必要だと思いますので、できるだけ急いで事務局に作業 をしてもらった上で、内容に関しては、各委員の方々にもう一度ご確認をいただきたいと 思います。今日のご議論を踏まえた上での修正ですので、そのあとのことに関して、最終 的に皆様方のご意見を汲み取って書き込み、また、私の判断ということで最終案を作らせ ていただきたいと思います。そういう意味では、私に最終的にはお任せいただくというこ とでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○中澤座長 ありがとうございます。 ○有賀委員 基本的に異議は全くないのですが、ちょっと言葉の使い方で。10頁の(2)の「小 児の救命救急医療を担う小児専門病院・中核病院等の整備について」の5行目に「小児の 救命救急医療を担うことが強く望まれるとの意見が多かった」とあって、その次の行には 「大学病院等の中核病院がその機能を担うことが望まれるとする意見があった」とありま す。「とする意見があった」とか「との意見が多かった」と書くということは、例えば「小 児専門病院のない地域においては大学病院等の中核病院がその機能を担うことが強く望ま れる。」と書くのとは具体的にどこが違うのですか。この検討会の形式としては、私は「望 まれる」でいいのではないかと思うのです。もちろん、お任せすることは任せるのですが、 望んでいない人がいるということを意味していることになるのですか。 ○中澤座長 そういう意味ではないと思います。あまり強い書きぶりにはしたくないとい うニュアンスがあるのです。「望まれる」というのと「そういう意見があった」というの は、実は、議論がそこまで深められたかどうかということに多少不安が残っているもので すから、そういう意味で。それから、大学病院のことはある程度書いてあるわけですが、 果たして地域地域の大学病院で、そのように私たちはしてほしいのですが、果たしてそう いう意見でできるのかなと。 ○有賀委員 できるかどうかって、先生、望まれるのですよ、単に。「望んでいる」でも いいし、「望みたい」でもいいし。「との意見が多かった」、それでは、少数意見は強く 望んでいない人たちがいるのだ、ということでいいのですか。そうではないでしょう。語 尾の書き方というのは、いろいろ水準があることは日本語の特徴で、私はそれでいいと思 うのですが、「とする意見があった」という書き方で望まれる水準1、2、3、4、5のどこ かに入るというのは、日本語としては少し違うのではないかと。 ○中澤座長 持って回ったような書きぶりになっているのは、そのとおりです。 ○有賀委員 もっと円滑で美しい日本語、違う書きぶりはあると思うのです。 ○石井委員 おっしゃることも非常にわかるのですが、それをやると、報告書というのは1 頁、2頁ぐらいになって、決を採って圧倒的多数で決議されたとか、そういう文章になって、 少数意見は大体なくなってしまうのです。医師会はどちらかというとこういう行政的なや り方をせざるを得ないことが多いものですから、少数意見など、いろいろな2案があった ら、それを書いておくことによって次の検討に使えるし、地域で考えるときには使えるの です。片方を削ってしまうと、もうこれしかないのだと。「望まれる」となれば、それ以 外は望まれないと。それをやると、かなりきついことになるのではないか。 ○有賀委員 先生、小児専門病院のない地域において中核病院が機能を担うことが望まれ るというのは、これはみんな望んでいるのではないですか。 ○石井委員 いまからそれを全部やるのですか。 ○有賀委員 望んでいるということに関しては、誰も望んでいないことではないわけです よね。「その機能を担わなければならない」とは書いていないわけでしょう。それから「場 合によっては担うほうがいいだろう」とも書いていないのですよ。「担うことが望まれる」 と書いているだけですよね。だから、この語尾について、美しくない日本語だから、何と かせいやと言っているのです。この美しくない日本語の書きぶりが行政の書き方であれば、 私はそれで任せますが、違うのではないかと言っているわけです。もし先生がそうだとす れば、「望まれるとする意見があった」というような書き方ではなくて、「望まれるとす る意見に対応して地域地域で考えることが必要なのではないか」というようなことを書け ば、それはそれでいいわけです。これは、「望まれる」というようなことがあったときに、 どうして望まれないのかな、ということになるのです。 ○山田委員 それと同じようなことが10頁にあります。初めの草稿では「継続的にかかわ ることが必要であると指摘があった」とあって、今日の本題では「かかわることが必要不 可欠である」と、かなりきちんと書いてあるのです。そういう強弱は当然あるのですが、 私は、有賀委員が言われるように「望まれる」のほうが、ここの方向性が明確になってい いのではないかと思います。 ○中澤座長 ありがとうございます。その点も少し考えさせていただきたいと思います。 確かに「意見が多かった」というのは、有賀委員がご指摘のように、私が読んでも美しい 日本語ではないなと思います。私自身は国語は得意ではないのですが、そういう感じがし ます。ただ、こういう書きぶりなのかなということは、少し理解をしたつもりです。先ほ どお諮りしました最終案を私がまとめさせていただくということでよろしいですか。先ほ ど「異議なし」というお言葉をいただきましたが、そのようにさせていただきたいと思い ます。それでは、最後に三浦課長から一言いただけますでしょうか。よろしくお願いしま す。 ○指導課長 委員の皆様方におかれましては、5回にわたりまして、しかも、それを3月か らの非常に短い間にご議論いただきまして、ありがとうございます。先生方の頭の中にそ もそもあったものを、その短い間ではありましたが、お示しいただいた。そういう意味で は、最後のご議論、意見があったというだけではなくて、コンセンサスというようなもの も相当多かったと思います。  今回の検討会は、小児医療、救急医療、地域医療、さまざまな分野、また医療を利用さ れる方々の立場という方もおられまして、そういう意味では非常に多角的な視点からのご 議論をいただけたのではないかと思っています。最後のところで、「今後の方向性」とい うことで「近未来的な」という座長からの言葉がありましたが、私どもとしては、「to do リスト」といいましょうか、これらをこれからやっていくのだということを宿題としてい ただいたと理解しています。いただいた結論につきまして、予算も含めて今後の施策に是 非反映させていきたいと思っていますので、これからもご指導、ご支援をいただければと 思います。簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。どうもありがと うございました。 ○中澤座長 どうもありがとうございました。事務局から連絡事項等、何かございますか。 ○大内専門官 あとは座長と報告書の作業を一緒にさせていただいて、皆様に送らせてい ただきたいと思います。 ○中澤座長 まとめ案が出ましたところでは、可能な限り読み込んでいただいて、ご意見 をいただければと思います。いま課長からもお話がありましたように、今年の3月から短 い間に5回にわたって集中的にご議論いただきまして、ありがとうございました。小児科 医の私としましては、これだけ先生方に熱心にご議論いただいたことに非常に感謝申し上 げたいと思っています。少し早いのですが、これをもって本検討会を終了させていただき ます。ありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省医政局指導課 医師確保対策専門官 馬場 (代)03-5253-1111(内線4134)