09/04/30 第1回新人看護職員研修に関する検討会議事録

                                   

                    第1回新人看護職員研修に関する検討会


                                        日時 平成21年4月30日(木)
                                              15:00~
                                        場所 厚生労働省共用第7会議室5階


○島田課長補佐 ただいまから第1回「新人看護職員研修に関する検討会」を開催いたし
ます。委員の先生方におかれましては、ご多用の中、当検討会にご出席いただきまして、
誠にありがとうございます。私は看護課課長補佐の島田でございます。よろしくお願いい
たします。初めに、医政局長からご挨拶申し上げます。
○外口医政局長 検討会の開催にあたりましてご挨拶申し上げます。委員の皆様におかれ
ましては、日ごろから医療行政にご協力、ご支援いただきまして、改めて厚く御礼申し上
げます。この検討会につきましては、厚生労働大臣の下で設置された看護の質の向上と確
保に関する検討会における中間取りまとめで、新人看護職員研修について基本的な方向性
が示され、これを受け、具体的な議論を進めるために設置されたものであります。また、
現在、議員立法によりまして、良質な看護等を国民に提供することの必要性に鑑み、保健
師助産師看護師法の改正が今国会の提出に向け検討されており、この中でも新人看護職員
研修について明記される等その期待が高まっているところであります。
 新人看護研修の検討にあたりましては、モデル事業等の先進的な事例なども踏まえて枠
組みを整備していただくとともに、実施されていない医療機関等の実施体制の取組みや必
要方策等も含め、新人看護職員研修のあり方についての検討をお願いしたいと思います。
先生方におかれましては、魅力ある新人看護職員研修とすべく忌憚のないご意見をいただ
きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○島田課長補佐 続きまして、本検討会の委員の皆様及び事務局の紹介をさせていただき
ます。まず初めに、本検討会の座長ですが、平成16年の新人看護職員に関する検討会でも
中心的にご活躍いただいた、北海道医療大学看護福祉学部教授石垣靖子委員にお願いして
おります。よろしくお願いします。委員の先生方をご紹介します。北里大学病院教育看護
科長猪又克子委員、癌と共に生きる会副会長海辺陽子委員、青森県立保健大学副学長・教
授上泉和子委員、東京大学医学教育国際協力研究センター教授北村聖委員、恩賜財団済生
会横浜市東部病院副院長・看護部長熊谷雅美委員、東京医療保健大学医療保健学部看護学
科学科長・教授坂本すが委員、徳島赤十字病院看護部長庄野泰乃委員、日本医師会常任理
事羽生田俊委員、聖路加国際病院院長福井次矢委員、日本赤十字看護大学教授村上睦子委
員。なお、社団法人全日本病院協会会長西澤寛俊委員は本日ご欠席の連絡をいただいてお
ります。事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご挨拶申し上げました医政局長の外
口です。医政局審議官中尾は用務のため遅れているところです。医政局総務課長の深田、
看護課長の野村です。
 本日配付しております資料の説明をさせていただきます。議事次第をお配りしておりま
す。その下のほうに資料として一覧が書いてありますが、資料1「新人看護職員研修に関
する検討会の開催要綱」の綴りがあります。資料2「新人看護職員研修の現状について」
という綴りがあります。資料3「新人看護師研修ガイドラインの素案(たたき台)」の1枚
紙です。資料4「今後の進め方(案)」の1枚紙です。参考資料1としまして、「看護の質
の向上と確保に関する検討会中間とりまとめ(抜粋)」を付けております。参考資料2とし
まして、リーフレットですが、「新人看護職員研修到達目標・新人看護職員研修指導指針」
を付けております。乱丁落丁がありましたら、いつでも結構ですので、事務局のほうにお
申し付けください。それでは、石垣先生、一言ご挨拶をお願いいたしまして、議事の進行
をよろしくお願いいたします。
○石垣座長 皆さん、こんにちは。このたび、本検討会の座長をさせていただくことにな
りました石垣靖子と申します。委員の皆様のご協力を得て本検討会を実りある議論の場に
していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、早速です
が、本検討会の進め方について事務局から説明してください。
○島田課長補佐 検討会の進め方について確認をさせていただきます。当検討会につきま
しては公開で行います。議事録についても、事務局でまとめたものを各委員にお目通しい
ただいた後、資料も含めまして厚生労働省のホームページで公表することとしますので、
この点についてご了解をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○石垣座長 それでは、議事に入っていきたいと思います。まず、資料1「検討会の開催
要綱」について説明してください。
○島田課長補佐 資料1をご覧ください。「新人看護職員研修に関する検討会の開催要綱」
です。1.「趣旨」ですが、先ほど医政局長のほうからも話がありましたが、「看護の質の向
上と確保に関する検討会」におきましてのまとめを受けて本検討会を設置しております。
その報告の中で、看護基礎教育と臨床現場との乖離を埋めるためには、看護基礎教育の充
実も重要であるが、新人看護職員研修の制度化・義務化を視野に入れ、離職防止の観点か
らも、新人看護職員研修の実施内容や方法、普及方策について早急に検討し、実施に移す
べきであるとされたところです。そこで本検討会では、臨床実践能力を高めるための新人
看護職員研修ガイドラインの策定及び普及のための具体的方策についての検討を行うこと
としたいというのが設置の趣旨です。
 2.「検討課題」ですが、3点挙げてあります。新人看護職員研修の内容、ガイドライン
の策定と活用方法、新人看護職員研修の普及方策についてという3点です。
 4.「運営」ですが、医政局長の検討会としまして、会議の庶務は看護課で行うというこ
ととさせていただいております。以上でございます。
○石垣座長 本検討会はかなり具体的な内容を決めるということですが、ただいまの事務
局の説明について何かご意見ご質問はありますか。もしありましたらまたご発言ください。
それでは、今後、本検討会の趣旨により効率よく検討を行っていきたいと思いますので、
皆様のご協力をお願いいたします。本日は第1回目ですので、議事次第にある2つの項目、
1つは「新人看護職員研修の現状と課題」、もう1つは「新人看護師研修のガイドラインの
素案について」幅広くご意見をいただきたいと思います。議論に入る前に、新人看護職員
の現状について共通理解をしたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。
○島田課長補佐 資料2を用いまして現状について説明させていただきます。資料2-1「看
護職員就業者数の推移」です。これは新人だけではなく、看護職員全体がどのぐらいの数
の者がいるのかということを推移でお示ししております。いちばん多いのが看護師で、約
85万人という数になっております。次に准看護師が41万人、保健師が4万7,000人、助産
師が2万7,000人となっております。
 資料2-2ですが、看護職員、新卒の学校・養成所の卒業者がどういった場所で働いてい
るかという内訳をお示ししたものです。左側の○ですが、看護職員全体の就業場所につい
てですが、最も多いのが病院ということで62%になっております。次いで診療所の22%、
介護施設等の8%、訪問看護ステーション2%、学校2%、市町村2%といったような内訳
になっております。ここで「看護職員」となっているのは、下の※に書いてありますが、
保健師、助産師、看護師、准看護師を総称してですので、内訳はこの4つの免許を持って
いる者の就業場所の内訳となっております。
 右側の○は新卒者の就業場所です。最も病院が多く78%、次いで診療所3%といった内
訳になっています。その他が17%になっていますが、下の※2つのものを見ていただくと、
その他の中にはここに区分されていない施設や進学、看護職以外での就職等が含まれる内
訳になっております。新卒者の合計は下の□に書いてありますが、平成20年の調べで6万
人といった数です。
 資料2-3ですが、「新人看護職員の入職時の実践能力」について調べた結果です。これは
2002年に出された日本看護協会の実態調査の結果からの引用ですが、それぞれの項目につ
いて「一人でできる」「指導があればできる」「できない」「未経験」という区分で集計され
ていますが、「一人でできる」が5割以上を超えているものが上から6つの項目になってい
まして、以下は4割以下というような状況になっているという結果です。
 資料2-4ですが、離職状況です。全産業と看護職員の離職状況、新人看護職員について
の離職状況の推移をお示ししたグラフです。いちばん上のグラフは全産業の離職状況であ
りまして、平成18年では16.2%という離職率になっております。その次が全看護職員で
12.4%ですが、新人看護職員については9.2%という数になっているという状況です。
 資料2-5ですが、「新人看護職員の離職理由」です。これは資料2-6にもあるのですが、
学校を対象にした調査です。学校を対象に、なぜ新人が離職するのかという理由を尋ねて
いるものですが、大学、短大、養成所と、いずれの養成所においても1位となっているの
は「基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい」ということと、
その下の「現代の若者の精神的な未熟さや弱さ」がいずれの養成所でも1位、2位という
上位にきている状況になっております。
 資料2-6ですが、同じく「新人看護職員の離職理由」です。これは就職した病院看護部
という立場での調査になっていますが、病院調査において、あるいは学校調査の全体を見
てみましても、1~3位という上位は同じになっていまして「基礎教育終了時点の能力と現
場で求める能力とのギャップが大きい」、「現代の若者の精神的な未熟さや弱さ」、「看護職
員に従来より高い能力が求められるようになってきている」というのが上位に来ていると
ころです。
 続きまして資料2-7は、平成16年に厚生労働省の検討会でまとめました報告書の活用状
況についての調査結果です。報告書の周知についてですが、対象は新卒の看護職員の採用
があった1,607病院の調査結果ですが、「この報告書を知っている」と回答しているのが
80%という円グラフの結果をお示ししております。右側ですが、「この報告書を知っている」
と回答した病院の中で、この報告書に基づく新人看護職員研修を実施しているかどうかと
いう実施状況をお尋ねしているところです。病床規模別に見ていますが、500床以上では
約70%、400から499床では63%、300から399床では約60%となっていますが、それ以
下の病床では50%以下という結果になっていまして、20から99床では約34%という結果
になっております。これは先ほど参考資料で配付しましたこの検討会の成果である目標と
か指針といったものを、活用しているかどうかということをお尋ねしている結果です。
 資料2-8ですが、同じ調査で「新卒看護職員の教育研修実施体制」について聞いており
ます。縦に研修の内容、横に研修実施方法を挙げております。まず、横で見ていただくと、
「看護職員として必要な基本姿勢と態度についての研修」ですが、これについては「院内
全体での集合教育研修」という、いわゆるオフジョブトレーニングになるかと思いますが、
そういう方法で実施している所が85.7%。1つ飛びまして、「実際の業務を通して指導」が
74.4%となっているところです。その次の「臨床実践の看護技術研修の実施」についてで
すが、これはOJTである「実際の業務を通して指導」が94.8%で最も多くなっております。
「薬品に関する知識研修の実施」ですが、これについても「実際の業務を通して指導」が
84.8%で最も多くなっております。「医療安全に関する研修の実施」につきましては、「院
内全体での集合教育研修」が90.2%、「実際の業務を通して指導」が83.2%ということで、
研修の内容によって実施の方法も異なることが示唆されているかと思います。
 資料2-9ですが、厚生労働省として新人看護職員研修に関してどういった取組みを行っ
てきたかというものを一覧でお示しているものです。まず「検討会」が左側にまとめてあ
りますが、平成15年に、新たな看護のあり方に関する検討会の中で、卒後の教育研修につ
いても、更に充実させ、制度化を含めて検討することが課題である、ということが書かれ
ているところです。それを受けまして、先ほど来出ている「新人看護職員の臨床実践能力
の向上に関する検討会」を立ち上げまして、平成16年に取りまとめを行っているところで
す。その検討会の報告書を受けまして、右側に「事業」と書いてありますが、「新人看護職
員教育責任者研修」を平成16年から平成19年にかけて厚生労働省で実施をいたしました。
 その下の流れですが、新人助産師とその実地指導者、新人看護師とその教育担当者に対
してのモデル研修を実施するという流れにつながってきているものです。左側ですが、検
討会としましては、平成17年に、医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法のあり方
に関する検討会におきまして、新人看護職員に対する研修について何らかの制度化をする
ことは不可欠であるという取りまとめがされているところです。さらには、平成19年に、
看護基礎教育の充実に関する検討会で、卒後の臨床研修についての検討に速やかに着手す
べきであるということが書かれているところです。さらに、平成20年に、看護基礎教育の
あり方に関する懇談会の論点整理で、研修の必要性、研修において行う教育内容の確立と
いうことが論点として出されていまして、今回の看護の質の向上と確保に関する検討会で
も、先ほど申し上げたような指摘があったというところです。
 資料2-10(1)ですが、先ほど申し上げましたモデル事業の概要です。平成21年度は、予
算額としましては2億7,200万円といった額で実施する予定となっていますが、平成20年
度には、この左側に施設が書かれていますが、新人看護師研修については39施設、教育担
当者研修については22施設、新人助産師研修については19施設、その実地指導者研修に
ついては13施設で行っていただいたところです。
 資料2-10(2)ですが、新人看護師の研修を行っていただいたモデル施設39施設の概要を
ここに出しております。モデルで選定をし実施していただいた病院の病床数では600から
699床が12施設と最も多く、100から199床という規模の小さい施設でも実施していただ
いているところです。その新人看護師数ですが、9名以下という所も1施設ありますが、
最も多いのが40から59名の14施設というような状況です。研修期間としては、ほとんど
が1年ということで34施設となっております。また、指導体制ですが、指導者1人に対し
て何名の新人を担当しているかという数です。指導者1人に新人1人という施設が16施設
で最も多くなっていまして、1から2名が13施設といったような状況になっております。
簡単ですが、以上でございます。
○石垣座長 ただいまご説明いただいた内容について、何かご質問ありますか。
○北村委員 離職率についてお伺いしたいのですが、離職率の定義というか、そしてこの
表をどのように解釈するのか。全産業に比べて看護師は離職しにくいと読むのか、あるい
は全職種に比べて新人は離職しにくいと考えるのか、どのように考えたらよろしいのか教
えてください。
○島田課長補佐 お尋ねの内容は、離職といっても免許があるので、看護師を全く辞めて
しまったのかどうかということも含めてかと思いますが、この場合の離職は1つの職場を
辞めた数ということで、その後、看護職を全く辞めてしまった数というわけではありませ
ん。数については、まさにこれは先生方にご議論いただきたい点でもあるのですが、おそ
らく、「看護職員の離職は、多い多い」と言われても、全産業と比べると低い数字となって
いるのは免許を持っているということもあってかと思いますが、それでも全体では1割強
の方々が離職をしている。そして、新人では1年のうちに1割近くが辞めているという数
は多い数なのではないかと考えるところですが、そこは現場などでの実感なども含めて先
生方にもご議論を併せていただきたいと思います。
○上泉委員 これまで病院等では、新人看護職研修の実態というのはデータとしてはかな
りあるようですが、例えば病院以外の所で、診療所とか介護老人保健施設などでの新人看
護職員の研修の実態は文献や調査でもなかなか出てこないので、そういう所についてはど
のようなデータがあるのか。もしなければ何か調査といったようなものが必要なのではな
いだろうか。よくお話を聞くところでは、新卒者の数は少ないけれども、それに対応する
人材を確保することも大変難しいということも聞きますので、その辺の状況がどうなって
いるのかと思いますが、いかがでしょうか。
○石垣座長 病院も含めて、少規模施設の研修体制ということですね。事務局のほうで何
かありますか。
○島田課長補佐 どうしても病院に新人が多く就業するという実態がありますので、病院
についてはデータを探すのは容易ではあるのですが、それ以外の所については事務局でも
今は持ち合わせてないところで、先生方にもいろいろご意見をいただいて、必要であれば、
調査をするかどうかということも含めて、ご検討いただければと思っております。それか
ら、規模別というお話がありましたが、先ほどご紹介した規模別の実施状況を見ましても、
病床規模によって傾向が異なるのではないかと感じますが、詳細についてはまだ実態を把
握できておりません。
○上泉委員 もしこれが義務化されるようなことになっていけば、すべての看護職、新卒
者が行く施設でこういうことが行われるようになりますので、そういうところでも可能な
方法を考えていくには、実態を把握することが必要ではないかと思います。
○石垣座長 今後、実態の把握の方法なども検討していきたいと思いますが、本検討会で
も、新人看護職員が、どこへ行っても同じような、ある程度質の担保された教育を受ける
にはどうしたらいいかということも課題になろうかと思います。
○野村看護課長 上泉委員から義務化というお話がありましたが、冒頭局長から申し上げ
ました動きの中でも、努力義務ということにはなっていますが、義務化という状況は現在
のところありません。
○石垣座長 ほかにご質問ありますか。
○羽生田委員 小規模の施設、医療機関等でのお話なのですが、新人研修というのは小さ
くなればなるほどしていないというのが実情です。今は、小さくなればなるほど、看護職
員を新たに採用することが非常に難しい。それで、離職率までは調査していないのですが、
現実には大きい所に移る、言葉悪く言うと引き抜かれるということがありまして、率がど
のぐらいかまではわからないのですが、データがあれば次にでも出したいと思います。
 それから、1つ質問なのですが、新人看護職員の離職理由というのが学校側と病院側と
あるのですが、辞めた本人の調査は実際にないのでしょうか。あれば、そういうものも是
非聞きたいというふうに思います。
○石垣座長 辞めた当事者の調査ということなのですが、いかがでしょうか。
○島田課長補佐 準備段階で探している範囲ではその調査は見つかっていません。もし先
生方でご存じのデータなどがありましたらご提供いただけるとありがたいと思います。
○石垣座長 実際に新人職員を採用し離職の体験をお持ちの委員の方々、いかがでしょう
か。
○村上委員 私も、今、臨床を離れて大学に来て3年経つのですが、現実に中にいて辞め
る新人との面接をかなりしました。そのときに大きいのは、現場での多忙さの中に起きて
くる指導体制の人間関係がうまくいかないことです。そういう中でたくさん理由があるの
ですが、いちばん大きいのは、卒業のときにほとんど身についていない技術を現場でやる
怖さの中で、手が出ないときにアドバイスをくれる人が不足しているという環境があるの
ではないかと思います。
○坂本委員 先ほど離職率の定義が何か、というお話がありましたが、私は病院経験があ
るのですが、辞めていくことを悪いと捉えるかどうか悩みました。看護師がいろいろなこ
とをしたいと考え、結果辞めていくことも善しと考えておく必要があると思います。これ
からはある程度しないと、多様な情報がたくさんありますので、引きとめておいて自分の
病院にいつまでもいてくださることがいちばんいいのかどうかというのがあります。そう
いう意味からすると、新人研修というのは、病院を替わってもどこかでいろいろなところ
を学んできて、また違う病院に行ったとしてもそれが何となく続いているというようなも
のがあればいいのかなと思っていまして、私はこのガイドラインということに大変期待を
しています。1つの病院で何かを成し遂げていくということだけで終わるかどうかという
のは、離職のことを考えていくと、おそらくこの人たちはまたどこかで働いていると思う
のです。そういう意味では一般企業の離職とちょっと違うかなという気がします。
○上泉委員 離職率については、最適な離職率というものがあるのではないかと思うので
す。それぞれの個人の計画に伴って移動するということも中にはあると思います。という
ことですので、離職率はゼロにするということではなく、この率については、最適な離職
率というものを確保していくということのほうがよろしいのではないかと思っております。
そういう意味では、9%という離職率、あるいは看護職の12%というのはまあまあな値で
はないかと思います。ただ、この離職率については施設による差が随分大きいと聞いてい
ますので、そこは少し問題ではないかと思います。

○海辺委員 今までのことと関連してということになるのかもしれないのですが、この資
料で何点か気になった部分があります。まず、資料2-7の「報告書の周知について」の所
で、いまのお話と通じるかなという気がするのですが、報告書の周知について「知らない」
という所が18%ありますが、その18%の内訳については全然調査がされていないのかとい
うことが1点です。あと、いろいろな施設でそれぞれが違う卒業後の新人教育を行ってい
るということだと、その「知らない」という所で教育を受けている新卒者が数としてどれ
ぐらいあるのかということと、すごく規模が小さくて総数も少ないのであれば、そういう
所ではなくある程度の規模の所でやっていく、という方向性をつけていくということにな
ろうかと思いますし、逆に、「知らない」という所に相当数の新人の方が流れているのであ
れば、そこの相当数に対してきちんとしたことをやっていくための手立てを、ここの「知
らない」に対してもしなければいけないのかなと感じたものですから、この報告書の「知
らない」という中身についてもある程度調査する必要があると思ったのですが、何かデー
タはお持ちでしょうか。
○島田課長補佐 これは「知らない」という所までは分析がされていないようです。日本
看護協会での調査結果を引用させていただいていますが、そこへ新人の方がどのぐらい入
っておられたかという実態はいまの時点ではわからないです。
○海辺委員 あと、先ほど羽生田委員もおっしゃっていたのですが、この病院調査と学校
調査だと4位と9位が入れ替わっていたり、病院調査と学校調査で数がかなり違ってしま
っている部分が気になって、辞める病院に対しては、「誉める認めるが少なかったから、私
辞めたのよ」というようなことは言いづらい環境があってこのような結果が反映されてい
るのかなと思ったものですから、そういう理由を客観的に把握するには第三者機関といい
ますか、しがらみのない所が調べていく必要があろうかと感じたのですが、そういう調査
自体はこれからする予定はあるのでしょうか。
○島田課長補佐 新人看護職員の離職の大きな原因の1つ、トップに挙がっているものが、
現場で求められている能力と基礎教育で学んできたものとのギャップなので、こちらとし
ては、新人に対する研修を強化するということが考えとしてはあるのではないかという趣
旨で、この調査結果をお示ししているところです。新人の離職理由をもう少し深掘りする
とか、別な調査で探求すべきという観点は検討課題としては大きくはありますが、今検討
会の趣旨とは若干離れるかなとも思いますので、その課題はまた別途考えていきたいと思
います。
○石垣座長 いま海辺委員が指摘されたようなギャップは双方ともあるのです。いま事務
局から説明があったように、臨床の場も基礎教育の場も、そのギャップが大きいというの
は両方とも7割前後はそのように思っているわけで、このことをどのようにして解決して
いけばいいかということも本検討会の大きな課題になろうかと思います。
○福井委員 2点ほど質問です。1つは、看護師の免許を取るためのルートが5つでしたか、
たくさんある。そのルートにかかわらず同じような研修プログラムでやっても構わないぐ
らいの卒業時の能力なのかということが1つです。つまり、プログラムにバリエーション
をつける必要があるかどうか。もう1点は、新人の看護師の研修のためには、教育者も一
方では非常に重要で、例えば推進事業ではそれぞれの施設を選定して教育担当者の研修な
どをしていたのですが、これは全国からいろいろな病院の人を集めて行う研修プログラム
ということなのでしょうか。それとも、それぞれの病院内だけで教育担当者とか実地指導
者の研修をするものなのか。そこを伺いたいのです。
○石垣座長 1つは、免許を取るまでの基礎教育のルートの違いによる研修についてはど
うかということ。それから、教育担当者の研修については平成16年以降やっていますが、
そのことについて事務局から説明していただけますか。
○島田課長補佐 福井委員のおっしゃるように、看護師の免許を取るまでの養成ルートは
多様にありますが、そこでいろいろ教育プロセスが違う中でどういうプログラムを提供す
るといいのかということは、まさにこの検討会でご議論いただいて、適切なプログラムを
ご提案いただきたいというのが事務局の考えです。もう1つ、資料2-10でモデル事業とし
てやっていただいた教育担当者、あるいは助産師の場合は実地指導者という言い方をして
いますが、モデル事業で行っていただいている施設につきましては、主として実施施設の
教育担当者を実施施設で研修するというところがメインではありましたが、できれば、そ
の周辺の病院からの研修担当者も引き受けて研修をしていただきたいということで選定は
していますが、実態としてそういうことをスムーズにやるという土壌があまりないようで、
他施設からの方を受け入れるという実績は非常に少ない状況でした。
○福井委員 ちなみに、ドクターのほうは指導医養成講習会がすごく大きな影響を与えてきたと
思います。今年の4月から正式に、研修を行うためにはその講習会を受けていないと指導医とな
れないということになりましたので、教える側の全国的な標準化が進んできたと思います。看護
の分野ではまだそういうふうになっていないということでしょうか。
○石垣座長 ただし、平成16年3月に、この到達目標の報告書を出して以来、厚労省は全
国各地で研修担当者及び施設の責任者に対する研修をかなり多くやってきたように思いま
す。
○島田課長補佐 そちらは資料2-9で、右側の事業のいちばん上に「新人看護職員教育責
任者研修」と書いていますが、4年間で全国各地で開催しましたので、受講者数は4,000
人近い数だったと思います。
○坂本委員 どのように新人教育をするかという話ですが、現場では養成のコースに応じ
て教育をするというのは基本的には不可能に近いものがあるという気がします。例えば、
保健師、助産師、准看護師の方に対してのやり方というのは、また別枠で考えていかない
といけないのではないかと思います。ただ、ここでは看護師の国家試験を受かった人たち
が新人として入ってくるという前提を、ここで決めていくかということになると思うので
すが、ある程度決めないといけないのかなという気がします。それから、私は、今回、全
国で教育者の教育指導をしてまいりましたが、その中で感じたのは、看護管理者が新人に
対しての教育をどう考えているのかが重要だと思いました。考え方の違いで大変苦しんで
いたり間に挟まって苦しんでいたりという実態も見てきました。教育者だけではなく、新
人を取り巻く環境にいる人たちに対する教育も入れていったらいいと思います。
○庄野委員 いまの坂本委員のご意見に本当に賛成する次第ではあるのですが、看護管理
者の考えというか、新人看護職員をどう育てていくかというのが、現場の指導者、師長と
いう中間管理者に対して、看護部のトップである部長がどのように考えを示していくかと
いうことがすごく大事な点であるかと思います。もう1点ですが、先ほどプログラムにバ
リエーションをつけるという話があったのですが、実際の現場の者としての意見では、当
院も1年間の研修制度を始めて8年目になるのですが、20名から30名ぐらいの新人を毎年
受け入れまして、全員に臨床研修のコースに1年間乗ってもらっております。今年も新人
が21名いらっしゃって、17校の新人が多様な基礎教育を受けて入ってきました。そのよ
うに、バリエーションについて検討の余地はあるとは思うのですが、1つの病院の中では1
つでないと、現場はそれだけでもかなり混乱しますので、これから議論を進めていって、
バリエーションは少な目というか、必要最小限のものにすればいいのではないかという意
見を私自身は持っています。
○猪又委員 私の現場で教育を担当している所からの意見なのですが、いまおっしゃった
意見に賛成で、当院では毎年120から160名ぐらいの新人を受け入れております。学校も
大卒であったり、背景はかなり違います。その中で、研修は、いまおっしゃったように、
基本的にはすべて同じような形でやっています。ただ、それぞれにマンツーマンでプリセ
プターが付いていますので、どうしても時間のかかる新人とスムーズにいく新人がいます
ので、そこは個別の対応をしていますが、プログラムとしては1つでやっているのが現状
ですし、おそらく、バリエーションはあったらいいだろうと思いますが、実際に施設の中
でそれをやるのは少し難しいかなというふうに私も考えています。
○石垣座長 基礎教育での教育のルートは違っても到達目標はある程度あるので、臨床と
しては、教育機関の差よりは個人の差ということでしょうね。
○猪又委員 個人のほうが大きいと思います。
○坂本委員 北村委員にお聞きしたいのですが、研修医制度というものを私も病院の中で
経験してきましたが、院長と教える先生方が一致して研修生に関わっていく方法を見てき
たのですが、それはどのようにして浸透させていったのですか。
○北村委員 福井委員がおっしゃったように、指導者というのは大事だと思います。指導
者を教えていくときに、院長がリーダーシップを発揮して、指導者の意思を統一し、指導
者を通じて病院の理念から病院のあり方を新人に教えていくのが理想だと思っています。
ただ、いま坂本委員がおっしゃったことで言えば、どうでしょうか、福井委員にもお聞き
したいのですが、むしろ医学教育のマインドの高い先生が指導者にいて、その先生が院長
も教育し研修医も教育し、そして医学教育の重要性を普及していったというのが現状かな
と。これで看護のほうに置き換えてみると、看護の教育熱心な師長さん、あるいは中間ス
タッフの方がいらっしゃると思うのですが、その人を中心に看護教育、現場教育の仕組み
を整えてやっていらっしゃるのが現状ではないかと思っています。
 ついでに、用語がたくさん出てきていて「実地指導者」、「教育責任者」、「教育担当者」
等が出ているのですが、何か整理の分けはあるのでしょうか。
○島田課長補佐 一応、事業としてどういう方を対象にということはお示ししていて、使
い分けはしているのですが、実際に病院ではいろいろな呼ばれ方をされていたり、病院の
規模によっても組織体制がどのぐらい厚みがあるかということの違いがあって、受けとめ
られ方は多様になっています。ですので、むしろ後ほどご議論いただくことになると思う
のですが、そのガイドラインとか、この場で新人の研修体制をお考えいただくときには、
共通の認識が持てるようなカテゴリー化をしていただくといいのではないかと思います。
○北村委員 これからの議論ということで安心したのですが、福井委員もおっしゃりたか
ったと思うのですが、この教育にはTOT、トレーニング・オブ・ティーチャーのほうも同
じぐらい大事だと思っていますので、是非一緒に議論されたらいいと思います。
○石垣座長 すでに第1の議題である「新人看護職員研修の現状と課題」ということでご
議論いただいていますので、続けて皆様方からご意見をいただきたいと思います。今まで
各委員から出てきた意見としては、病院の規模によって研修内容が異なっているというこ
とと、小規模の施設では研修が十分できていない所もある。それから、研修担当者、教育
する者の研修が非常に重要ではないかというようなご意見をいただいていますが、どうぞ
ご自由にご意見をいただきたいと思いますので続けてよろしくお願いいたします。
○海辺委員 伺っていて確認したくなったのが、そもそものこの最終到達目標みたいなと
ころをどこに置くのかということで、新人の看護職員が研修プログラムを終えて質の均一
化みたいなところを最終到達目標にしたいのか。それとも、自信を持って離職しないでい
く、そういう離職防止みたいなことが第一義なのか。そういう人材確保の側面のほうを大
切にして、とにかく辞めないでいくことで育てていくということに重きを置くのかという
ことで方向性もまた違うのではないか。あと、病院自体も、大きい施設だと余力があるの
かもしれませんが、大きい病院というのは高度な先進医療や急性期の医療の部分を追って
いて、もしかするとそのような施設ではないところのほうが、新人職員が勉強するのに最
適な場かもしれないということもあるかもしれないのですが、そういうふうな中で、プリ
セプター制度だと、以前の検討会ではバーンアウトの問題とかのいろいろなことがあった
ので、病院としての体制が充実していないと、教える側の方もものすごく負担が大きくな
ってしまうと思うので、どの程度の部分を目指してどうやっていくかということを、これ
は上手に言えないのですが、病院のタイプがいろいろある中でも、充実した自信の持てる
教育制度を受けて新人としての期間が終わるというような、そういうものを見ていくには、
いろいろな部分を細かく見ていかないといけないのかなというふうに感じたものですから、
発言させていただきました。
○石垣座長 いま皆さんからご自由な意見をいただいていますが、最初に事務局からこの
検討会の開催要綱と趣旨について説明がありましたが、これをもう一度確認させていただ
きたいと思います。
○島田課長補佐 資料1の開催要綱で先ほど説明させていただきましたが、先の看護の質
の向上と確保に関する検討会で新人看護職員研修の制度化・義務化を視野に入れて検討す
るということが言われていまして、いま検討されているのは努力義務という内容ではあり
ますが、そういう方向性があるということを念頭に置きながら、どういった新人看護職員
の研修の内容であるかということとか、ガイドラインの策定・活用・普及方法ということ
を検討していただきたいと考えていますが、ある程度、努力義務になると、形式としてど
ういう研修のプログラムのものを実施していただくかということをご議論いただいてお示
しすることが必要になろうかということも考えまして、この場ではガイドラインを検討し
ていただきたいと思っているところです。その離職防止の観点も、当然、新人看護職員研
修については非常に重要な観点ですが、それが目的というよりも、その理由であるところ
の、新人が卒業した時点で、臨床の場で自分に求められるものとのギャップがあるという
ことが医療安全という観点からも非常に問題である、ということが指摘されてきていると
ころでありますので、そういうものを埋めることが離職の防止にもつながっていくのでは
ないかという考え方かと思っております。
○石垣座長 平成16年に検討会の内容に基づく報告書ができました。これは、先ほどの資
料にもあるように、かなり浸透はしつつありますけれども、まだまだ具体性に欠けるとい
うことで、今回はもう一歩踏み込んで具体的なガイドラインの作成にまでいきたいという、
そういう方向性ということでよろしいでしょうか。その背景には、おっしゃったように、
離職防止とか、さまざまなものがあるのですが、本検討会はこの平成16年度の報告書のス
テップアップしたものというか、もう少し具体的な活動に結び付くようなものというふう
に考えてよろしいですか。
○羽生田委員 国家試験というレベルをクリヤーした方が看護師という資格を授与される
わけで、同じところからスタートするという発想で新人看護職員の研修が、全国差のない
ような形で進められるのがいちばん望ましいだろうと思いますが、実は、この資料2-3に
ありますように、実践能力というところで、こんなこともできないのというか、こんなこ
とはやったことがないという回答まであるわけですよね。こういうことが実際に1人では
できないということがあってはならない、この辺はほとんどの人が1人でできるところま
で新人研修でやってほしいなという希望です。それから、病院がいろいろある中で、先ほ
ど、私、小さい所ほどしていないと申し上げたのは、系統立てての新人研修をしていない
という意味で、新人研修が全くないわけではなく、むしろマンツーマンというか、プリセ
プターみたいな形で教える。そのときに、プリセプターによってこの新人看護師がその後
どうなるかというのがすごく大きな問題なのです。ですから、その辺がいちばん大きな人
間関係で、同級生というよりは先輩との関係が非常に大きな人間関係ですが、そこへもっ
てきて患者さんがいて、そういう人間関係が非常に難しい中での業務ということですから、
TOTと言われましたが、教える側がきちんとその辺のことをわかって教えることが必要だ
と思います。
 もう1つは、看護師の資格を取る前の教育と取ったあとの教育で絶対違ってくるのは、
取る前にはできないことがいくらでもあるわけです。取って初めて、いままで見学だった
ものが実際に手を出してやると。そこを十分な研修、学生だったときの教育では見学にと
どめてあったものが、実際に手を出してやれるという部分です。ある程度侵襲が加わるよ
うなことでも、やらなければいけないわけですから、薬剤投与だとか、いろいろあるわけ
です。そういうところを実習で中心にきちっと教えていくというところが、1つの基本的
な考え方として必要なのかなと感じております。
○坂本委員 私も全く同じです。そのときに私たち看護職が勘違いしてはいけないのは、
就職してすぐできるということを求めていることがあるのです。学生や新人ができないこ
と。次のステップでできることなどを双方の教育の役割分担をきちんとしておくことを指
導者が分かっていることが大事です。学生なども実習しているとき、血圧も計れないのか
と言われると、つい萎縮してしまうことがあります。その辺をこの検討会できちんと押さ
えていきながらガイドラインの中に組み込んでいけば、いいのではないでしょうか。
 もう1つ、例えば500床以上の病院と100床以下の病院と並べてありますが、国家試験
を受かったナースは、どこでも教育を受ける権利があるということが重要です。そのよう
な考え方を持つべきで、どこから手をつけるかは別として、全ての新人が何らかの研修を
受けられるようなことを考えていくべきだと思います。また、自分の所で大々的にやって
いるような病院をあまりターゲットにする必要はなく、もう少し頑張ればできるような病
院のサポート、つまり、どこの施設でも参考にできるようなもの、難しいかもわかりませ
んが、私はそのように考えます。手を差し伸べていけるようなものになればいいと思いま
す。
 なぜそのように考えるかというと、このトータルの到達目標と指導指針ができたときに、
現場ではすごく助かったのです。国がこのようなものを出したことにおいて何を支えにし
ていくか、それぞれの病院の看護部長が教えていることを支えにしていくのか、それとも
ある程度指針としてあったもので、全国的に厚生労働省から出されたものを指針にするか
は、そこで働く看護師にとっては全然違うことになるのです。つまり、つながるのです。
そういう意味では、これを参考にしながらやっていくということについては賛成です。
○石垣座長 いまお2人の委員からご意見がありましたが、基礎教育では免許を持たない
学生ができる技術の習得の限界があると。それが、臨床現場に行くとかなり早期の時期か
ら侵襲のある技術を適用しなければいけないということで、それもまた新人にとっては大
変大きなストレスになっている。そういうことも含めてガイドラインに盛り込んだらどう
かということと、もう1つは新人研修の底上げというか、十分いかないところに手を差し
伸べるようなものを作ったらどうかというご意見をいただきました。
 すでに第1の議題についてはたくさんご意見をいただいておりますが、ここでガイドラ
インの素案について説明していただいてもよろしいですか。もちろん、それも含めてご自
由にご意見をいただきたいと思いますが、ガイドラインの素案についてご説明いただきた
いと思います。
○島田課長補佐 資料3をご覧ください。先ほど坂本委員からもお話がありましたが、平
成16年に検討会を経て新人看護職員研修到達目標、指導指針を出しました。今回それを軸
にする形で、どこの病院、あるいは施設でもこういった流れ、あるいは組立てで新人看護
職員研修を作っていただくのがよろしいのではないかというご提案を、素案としてたたき
台をお示ししております。
 まず、I.「新人看護師研修」とII.「教育担当者研修」という枠組みを設定しておりま
す。新人看護師研修ですが、ガイドラインの内容としては、1.枠組みとして1)基本的考え
方、2)研修体制、3)研修における病院管理者・看護管理者の果たすべき役割などを明記す
るといったことを考えております。
 2.研修の構成ですが、1)対象者はどういった方を対象とするのか、2)研修の到達目標を
どういうものにするのか、3)研修の方法としてローテーション方式やプリセプター体制と
いったもの、あるいはほかのものとしてどういった方法で研修するのかをお示しする。4)
研修の内容についてお示しする、5)研修した結果を評価する方法や評価の基準をお示しす
る、6)その評価の結果をフィードバックする方法についても明示しておくといったことを
考えております。
 3.先ほど来ご議論がありますが、規模によって多様の研修実施のあり方があろうかと思
いますので、そういったこともお示ししてはどうかと思っております。
 4.技術指導の具体例ということで、いろいろな研修すべき内容があり、いろいろな実施
方法があろうかと思いますが、1)例えば新人の時期にヒヤリ・ハットとして起きやすいよ
うな与薬についてです。内服もありますし、注射といった方法もあります。2)医療機関な
どではこれから重症化、高齢化がますます進む上では、そういった方々への移乗といった
療養上の世話について等の例を挙げて、具体的にどのように指導をしていくかということ
もお示しをして、よりガイドラインを展開しやすくすることも含めてはどうかと考えてお
ります。
 II.「教育担当者研修」ですが、内容としては1)教育の対象者、2)教育担当者研修の到
達目標、3)研修方法、4)研修内容、5)評価方法・評価基準、6)評価のフィードバック方法
といったことを盛り込んではどうかということを、たたき台としてお示ししました。
○石垣座長 ありがとうございます。このガイドラインはたたき台として提出していただ
きましたが、このことも含めてご自由にご意見をいただきたいと思います。
○福井委員 新人看護師研修も教育担当者研修もそうですが、研修内容は到達目標と研修
方法以外にどういうものをイメージされているのですか。
○島田課長補佐 到達目標をどういった区分で提示するのかにもよるかと思うのですが、
その提示の仕方によっては、もしかすると研修内容とほぼ同じような項目について、到達
目標を出していくといった区分になるかもしれませんが、その目標の掲げ方によっては、
異なる内容を研修内容としてお示しすることもあろうかと思っております。
○福井委員 我々が医学教育の中でやっている枠組みから言うと、内容というのは、目標と方法
さえあれば、あえて別立てにはしていないものですから、イメージが涌かないので伺いました。
○石垣座長 これについては、先ほど事務局からもお話がありましたが、研修内容と到達
目標というのは、平成16年に出した報告書の中でも到達目標の中身に研修の内容というか、
技術の内容が含まれておりまして、この検討会で具体的にこれからどのようにしたらいい
かを検討していきたいと考えております。これは事務局からのあくまでも全体的な枠組み
の素案であって、これをどのように具体的なガイドラインとして作っていくかは、この検
討会で肉付けをしていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村上委員 私はこの検討会に参加して、実際に助産師の研修モデル事業を最初にさせて
いただいて思うことですが、内容については、この中で看護の技術を支える要素で何が骨
子になるのかはそこそこで、私どもは病院の中で安全と人間関係的なこと、あるいは医療
問題では薬剤のミス、そうすると薬剤の問題をきちんと掲げるとか、そういう具体的な病
院の特徴も踏まえて、特に看護技術ではきちんとさせなければいけないものを柱に立てて、
その病院の目標とするものを立ててということで計画をしましたので、そのように考えて
います。
○福井委員 おそらく、我々がやっている所では「一般目標」と言われている、数行で抽象的な言
葉で書かれる到達目標を言われているのかなと思いました。研修内容というのは「行動目標」と
いって、具体的にこれができる、あれを知っているということではないかと思いますので、両方とも
目標というカテゴリーに入っていると思いますが。
○石垣座長 たぶん、その辺もきちんと整理をしていったらいいと思います。
○北村委員 このガイドラインで新人が勉強するのですが、教育で1つ抜けているのは、
どこでという観点です。当然、目標があればそれで縛られる面があります。平成16年のも
のを見ると、例えば酸素吸入の基本を学ぶとか書いてあって、酸素吸入をやっていない診
療所とか、ベッド数が数床の所であれば、そこでは新人看護師の研修ができないというこ
とになってしまいます。それで皆さんが合意すればいいと思いますし、医師の場合は研修
病院ということで、外枠でかなり縛られています。本当にというか、当たり前ですが、も
しこのすべての技術的な到達目標をきちんとやるとすれば、表2にあるものを全部1つの
病院で学べる病院とすれば、そこそこ大きな病院でないとできないですし、あるいは手術
の看護は手術場がないと困りますし、小児の看護も目標に入れたら、せめて小児科の外来
がないと困るわけです。そういう意味で、研修の場所を議論を始める前に考えておいたほ
うがいいかなという気がします。
○石垣座長 それも含めてなのですが、このガイドラインでどこまで作るかというか、そ
こをまず確認したいと思います。先ほど事務局から説明がありましたが、新人看護師研修
の4番目に「技術指導の具体例」というところが出ております。先ほどの説明では、新人
看護師が臨床に出て最もリアリティショックというか、基礎教育とのギャップが大きく、
ヒヤリ・ハットやインシデントにつながる与薬について、これを1つのモデルにしてこの
ガイドラインを作っていきたいというご説明でした。
 もう1つは、2)にある患者の重症化・高齢化を踏まえた上での療養場の世話に関するい
くつかの技術のモデルを示してガイドラインを作る。北村委員がおっしゃったように、す
べての技術について網羅するというよりは、むしろ技術に焦点を絞った技術でモデルを作
って、指導の具体例を作っていくと理解しましたが、それでよろしいでしょうか。
○坂本委員 新人看護師の教育というのは結構幅が広いです。そこに就職していることは、
研修指定病院というような取り決めがあるわけではありません。この幅も考えながらこの
検討会で決めるべきだ思います。例えば、病院でも遭遇することですが、精神科病棟に配
属されたナースが、IVHを入れる患者がいない。IVHの介助を、経験できない。新人のとき
に1年間以上、あるいは数年精神科病棟にいるわけです。その点をどうするか。研修期間
を定め、内科病棟に行って研修するのかというと、それは研修として現実的なのか、ある
いは状況を見て2年後などにやるのがマッチするのかなど新人の経験項目を一定化させる
ことの、状況設定が難しい。そういうことも含めて、ドクターと同じような形でやるかと
いうと、その辺が違うのではないか、それらを勘案して、検討会でガイドラインの使い方
というか、目標の決め方を考えていかなければいけないと考えます。これは検討会で意見
を出していくのがいいと思います。事務局にどのようにするのですかということではない
気がして、現場の方たちがおいでになっているので、そういうことが使えるかどうかも意
見を聞きながら決めていけばいいのではないでしょうか。
○石垣座長 そのことについては、庄野委員や猪又委員はどのようにお考えでしょうか。
○猪又委員 実際にいまお話に出ていた表2の技術すべてを、当院の新人が1年間で1人
でできる状態になっているかというと、なっておりません。この項目以上の技術のチェッ
クリストを当院で用意していまして、私が病院に行って5年目ですから、4年間ずっと統
計を取ったところ、いまお話のあった精神科や小児科、外科、内科というように、科によ
って偏りがかなりあるというのが1つです。
 また、大学病院であっても体験できない看護技術があります。今年からは、当院ではそ
の中で大体どこの病棟でもできるだろうという、80%以上の新人が1年間で体験している
もの、うちの病院でこれはやってほしいものを整理して、チェックリストの中でこれにつ
いては確実に1年間の間に指導しなさいと言いました。それ以外の項目については、2年
目にかけて体験をし、1人でできるようにしなさいと、2段階に分けたというのが現状で、
いまおっしゃったように、すべてというのはローテーション研修などを入れないと難しい
だろうと思っています。現状でローテーション研修ができるかというと、160人の新人が
いてローテーション研修をしていくのは非常に難しいということで、いま頭を抱えている
ところです。場所というところでは、大学病院であってもこれすべては難しいだろうと考
えていますので、そこは整理する必要があるだろうと考えております。
○坂本委員 要するに、大学病院の特殊性の状況の中でやることとか、150床などの病院
でやれることの1つはいろいろなパターンがあって、それを使ってやるかということもあ
る程度は選べる形にしておかないと、押しつける形の新人教育は現場にとって大変疲弊を
招くことになります。逆効果になることにもなります。ローテーションしていく研修をや
っている所もあるだろうし、ローテーションしないで1つの病棟に配属されながら、集合
研修でそれを取り入れている所もあるだろうしというところで、いろいろな例を出してい
ただきながらやっていくのもいいではないでしょうか。
○熊谷委員 私は臨床の立場からです。私どもの病院は500床規模で、その中で新人をど
うやって教育しているかですが、先ほど来出ているように、ドクターのように回していく
ことは非常に難しいので、そういう教育はしていません。かなり削ぎ落として、共通する
ものは何かということと、急性期病院なので3年というスパンをかけて、1年時、2年時、
3年時ということでやっています。
 そこで非常に現場が抱える問題は、その人たちを育てるためには時間と人が要るのです。
それを現場から除けられるかというと、現場のベッドは最定限の看護師で回さざるを得な
い状況があるので、先ほどおっしゃっていたようなある程度小規模の病院がそこに特化し
てできるかというと、非常に厳しいと思うのです。ですから、現場に応じた形は、ある程
度裁量ができるようなスタンダードがいいのではないかと思います。そこは何か保証がな
いと、いわゆる診療報酬上の保証になるのかどうか、そこの現場が抱える問題はすごく大
きいと思っております。
 教育担当者の研修は、モデル病院として2年ほどやりました。地域の方はかなり募集が
あって、うちのほうは自前の人を育てるのも半分と、近隣の病院から来てくださっている
ので、皆さん関心は持っています。というのは、新人が病院を選ぶときの理由に、「教育担
当者はいますか」「教育プログラムはありますか」と聞いてくる時代になったので、かなり
関心が高いので、浸透していくケースになるのではないかと思っています。
○庄野委員 ローテーションに限ってなのですが、当院も405床の急性期病院で、新人看
護師全員がローテーションをしております。人数が少ないのでできるところがあるのです
が、私の感触では30名が限界かなと思います。というのは、1年間かけて5部署をローテ
ーションするわけですが、この看護技術についての到達目標は、猪又委員がおっしゃった
ように5カ所ローテーションしても90%ぐらいです。あとはどうしてもその部署の特性が
ありますので、できていないものが2年目に持越しということになります。でも、基本的
な採血や注射、経管栄養などは、5カ所行けばほぼ網羅はできます。急性期病院という特
徴の中なので、あるいは精神科病棟を持たない、あるいは在宅ステーションを持たないと
いう辺りで、少し幅が狭まるかなと思っていますので、ローテーションを視野に入れた研
修場所はもう少し広い意味で、1カ所に限定せずという辺りは議論していく余地があるの
ではないかと思います。
 ローテーションは30名が限度かなと感覚的に申し上げたところですが、その理由として
は、1年間を3分の1ずつに分けて、中間期からICU、救命救急病棟、オペ室をローテーシ
ョンします。そのときに、30名でマックス6名行くのです。オペ室に6名、ICUに6名と。
看護学校の実習生も現在6校受け入れておりますので、その上にプラスして、1年中1カ
月置きに新人看護師が研修にローテーションで来ることを考えると、400床規模の病院で
あれば、特殊な病棟は、5名から6名というのはスタッフの負担を考えたときに、自分の
業務の上乗せになって7割自分の時間を取られると、それに費やす時間が要ると聞いてお
ります。その辺りは、研修場所と人数というのは、具体的な話に入ったときに考えなけれ
ばいけないかなと思っています。
○北村委員 研修の場所ということで、現実問題診療所、同じ病院の中でも精神科に配属
された場合、小児科に配属された場合、それを全部ローテーションにしないといけないと
いうのは非現実的なことはよくわかりますし、そういう所に配属されて1年間研修して、
そこで何らかの評価をするべきだろうと思います。ただ、是非頭の中でイメージしていた
だきたいのですが、精神科に1年いる人と小児科に1年いる人、救急に1年いる人、診療
所に1年いる人、介護施設に1年いる人、その人たちの評価をどうやったら統一基準でで
きるのだろうかということです。何をできるようになれば研修をやったと言っていいのか、
いろいろな場所でできるということは現実的に大事だとは思うのですが、今度は評価をど
うするかというのが非常に大きな問題になってくると思うので、「評価方法・基準」と書い
てありますが、これをしっかり、どこでも誰でもある一定の、皆さんが納得できる評価基
準を決める必要があると思います。
○石垣座長 ありがとうございました。確かにこれはとても重要なことだと思います。
○上泉委員 今回の新人看護師研修は、その施設に就職した人たちが対象になるのか、も
しくは医師の臨床研修のように、おしなべて卒業して何年間かに得なければいけない能力
を達成するためにやるものなのか、それによってここにある研修内容、あるいは到達目標
が異なってくるのではないかと思うのです。これまでの看護研修はほとんど施設に就職し
た人たちが対象でしたので、離職防止のことなども上がってきていたと思います。ですの
で、もし就職した人たちが対象になるようなプログラムとなるのであれば、もちろん技術
教育も重要ですが、そこの施設に慣れていくことや、仕事をする人として看護の仕事をど
うやっていくかといったことも、就職したすぐから問われてきますので、そういったこと
も含めて、社会化という部分も研修の中身にしていく必要があるのではないかと思います。
それと、自分の施設だけではこういうプログラムを持てない人たちを受け入れて行う研修
も、二本立てでいくことになるのでしょうか。
○海辺委員 いままでのお話と通じるところだと思うのですが、普通の企業が新人を研修
して育てていくという観点でいくと、育てた金の卵はよそに行ってもらっては困るという
ことになっていくかと思うのですが、どちらかというと医療の場合は均霑化というか、あ
る程度の技術を持った方がいろいろな病院に行って、各病院の技術、質が担保されている
状態が医療を受ける患者の側からすると非常にありがたいことですので、どちらかという
と優れた新人教育のシステムを持っている所で新人時代を過ごした方が自信を持っていろ
いろな所に散っていかれるということが、医療を受ける側からするとありがたいなと思う
のです。
 ただ、人を育てるというのは非常にコストがかかることで、診療報酬で賄っていく中で
だったら、やっと育てた人は絶対に逃したくないということになっていくのが当たり前か
と思うので、育成する機関というか、医療機関については育成機関であることを、すぐに
はできなくても、2年後、3年後にするのだと、そういう機関に対しては別立てて、診療報
酬だけではなく、きちんと財源を付けるのだということまでがある程度約束されるのであ
れば、そういった中で考えていくことができるところがあるかと思うのです。そういうも
のが全くない中で、現状の医療がある中でみんなで育てていくということだと、目指すも
のや内容がだいぶ変わってこざるを得ないので、そこら辺自体がいまどちらを目指してや
るのかということが根本的にないと、全然違う話になるのかなと思うのです。
○石垣座長 ありがとうございました。財政的なことでの意見が出ましたが、育成機関や
制度化することに伴う財政的な支援に関しては、可能性というか、そのことについてはこ
こでお話できるのでしょうか。あるいは、今後の課題なのでしょうか。
○野村看護課長 現在の段階では、そういった財政的支援がどうなっていくのかをこの場
でお答えできる状況ではありません。関係省庁等とご相談しながらということになると思
います。
○羽生田委員 いまの海辺委員のおっしゃったことは全くそのとおりで、現在がもうそう
なのです。大きな余裕のある病院は、ローテーションしたりいろいろな形を取っています
が、看護師の新人研修を十分できている。それが小さくなればなるほど、財政的にも、人
員的にも余裕がありませんので、指導者の研修にも出せないような状況がいまの現状なの
です。そういう病院のほうが数的には圧倒的に多いわけですから、まだ義務化になってい
ないのは、そういうことが根底にあるので義務化できないのです。義務化すれば、必ず財
源の確保を厚労省がしなければならないわけで、いまは努力義務で済ませているわけです。
ですから、そういったものをきちんと担保してという、国民のための医療を担う看護師を
育てるわけですから、その辺は国としてどういう姿勢で臨むかというところははっきりし
ていただかないと進まないと思います。
○深田総務課長 参考資料1にこの前の検討会の中間取りまとめが出ていて、それのいち
ばん下の○に、海辺先生はもうご覧になっているのですが、新人看護職員研修の実施内容
や方法普及方策について早急に検討するとなっていて、これについては新人看護師研修を
実施する医療機関に対する財政を含めた支援を行うべきであるということに、検討会の報
告書ではなっています。こうなっていますので、検討会を踏まえた対応を考えていくこと
になると思います。
 ただ、国も非常に財政が厳しいので、医師と同じことを同じようにやることは不可能だ
と思っています。いままでやられているやり方、大きな病院では実際に行われていて、い
ろいろ創意工夫もしてやっておられるということも踏まえて、こういう場でどういうこと
が要るのかとか、普及していくためにはどういう所にお金を入れていかなければいけない
のかということをご議論いただければいいのではないかと思います。
○熊谷委員 例えば、財源の確保というのは極めて重要なことだと思うのですが、いま研
修については日勤の時間のカウントから外さなければならないということがあります。新
人研修を非常に重要だと位置づけるのであれば、せめて新人が入って3カ月ぐらいは昼間
の何時間か研修していることを業務の一部とみなしてもらうことが、財源の担保も重要で
すが、その次にいますぐ考えられることとしては、その研修をお認めいただきたいという
ことがあるので、是非考えていただきたいと思います。
○深田総務課長 いまのお話は診療報酬の扱いですか。
○熊谷委員 そうです。
○深田総務課長 担当ではないのですが、診療報酬はあくまでも患者に対応している時間
を見てやりますので、本人のための研修、あるいは医療機関にとっての研修であるという
のが、果たして患者に対する対価として可能なのかどうかということになっていくのでは
ないかと思います。私は担当ではないので、具体的にはお答えできませんが、例えば看護
の職員を確保していくために、これから中医協での議論ですので、具体的なレジュメの中
でしか私どもはまだわかりませんが、仮に看護師を確保していく観点からいろいろな制度
を取り入れていこうということになれば、その中で新人看護師についての議論は当然ある
かもしれないし、こういうものが努力義務とはいえ制度化されるというのであれば、そこ
は検討する余地があるという議論がなされる可能性がないということではないと思います。
○熊谷委員 いまの総務課長のお話では、離職防止にポイントに置いていると私は思って
いなくて、新人看護師たちの能力を上げて、看護の質の担保だと思って臨床研修を考えて
いるところですが、医療の安全に関すること、感染防止に関することの研修についてはお
認めいただいているところだと思います。この新人研修も、看護の質の担保に、考えれば
別にそこが患者に還元されるということになっていくと思いますので、私はそのように考
えていきたいし、単なる離職防止のためだとは思っておりません。
○石垣座長 担当が異なるということで、診療報酬の話題ですのでご意見として伺うこと
にして、先ほど来の話に戻りたいと思います。
○村上委員 教えるのに何人看護職員が必要かという問題は、すごく大きいのです。私ど
もも助産師を8名新人で迎えたときに、何人の指導者を増やしてほしいかという議論はし
ました。このいちばん大きな問題は、病院全体で看護師を育成するという問題は、厚生労
働省の検討委員会が出て、初めて病院の組織の中に持っていけたことがすごく大きかった
と思います。このようにやらなければいけないのだと、医師の場合はそういうことの認識
は病院はできているのですが、看護師の場合それがなかったことは事実です。その中で、
具体的に実地指導者を置くとか教育担当者を置くという定義がされて、それに基づいて明
確にして置いたことと、予算が指導者の人件費が主だということがきちんとされていて、
そのために辞める助産師を3カ月間残して、3カ月間の実習だったので、その中でプログ
ラムをしました。それを看護管理者が意識して、一度ゲットしてしまえば、それはそのま
まのペースになってペース維持できることを実感として持ちましたので、診療報酬という
のも一方ではあるのですが、イコール看護師を育てる環境をどのように整備するかという
ところは、この研修制度の大きな意味だと思います。
○石垣座長 医師の臨床研修とは、基本的に同じようにはいかない。4万8,000から5万
に近い新人看護職の臨床研修を制度化しようということですので、医師の臨床研修制度も
参考にしながら、現実的に実現可能なこと、そして先ほど来ご意見の中にありますが、資
料2-3と資料2-7にある入職時の実践能力の現状と、施設規模による研修の実施状況を参
考にしながら、4万8,000の新人看護師がどこに就職してもある程度一定の最低の技術、
あるいは看護に対する将来専門職業人として、成長していくための基本的に重要なことを
身に付けていけるということを、是非考えていきたいと思います。実現可能なというとこ
ろが非常に重要だと思っておりますので、そういう視点でご意見をいただければありがた
いと思います。
○坂本委員 先ほど到達目標のお話があったと思うのですが、看護界もそうですが、私た
ちが意識を合わせなければいけないのは、何かができる、例えば血圧が計れるとかそうい
うことだけを目指すのか、それともそこにおけるベースで、次にステップしていくところ
になって何か新しいことに遭遇したときに、それも克服していけるところのベースを育て
るのかという、上泉委員が言われたように、ここが意識合わせをしていく重要なところだ
と思います。いままで、私も臨床の場にいるときにスタッフと関わっていると、何かをさ
せることばかりをゴールにしていくということで、そのときは1人の患者にできたけれど、
次のときはできなくなっていくこともあります。そういう意味では、今日でなくても結構
ですが、教育目標も論点に置いて少し議論していただければと思います。
○石垣座長 とても大事なことですので、今後の検討課題にしていきたいと思います。
○上泉委員 基礎教育におりますと、卒業生は職場選びの際に、研修のプログラムがどの
ぐらい充実しているかが非常に大きな選択のポイントになります。これが努力目標で、あ
る所はやれてある所はやれていないとなったときに、どのようにして卒業していく人たち
にこの機会を保証するのか、またこの違いが、さらに就職する場所が偏ってしまうといっ
たことが起こらないように、先ほど来出ている小規模の病院あるいは診療所、その他の介
護関連施設等も含めて、何らかの研修プログラムを作る必要があるかなと思います。この
ことで、余計に就職先の差が生じないようにしないといけないのかなと思いました。
○石垣座長 ありがとうございました。猪又委員がおっしゃっていましたが、研修担当者
の研修ニーズは非常に高いと、小規模病院であればこそ研修のニーズは高いと思いますの
で、是非そういうことにも応えられるようなものにしていきたいと思います。
○北村委員 いま石垣先生がおっしゃった実現可能というのは、極めて大事なことだろう
と思います。その中で統一基準を考えるとしたら、ピュアレビューというか、お互いに見
るとか、あるいは第三者機構が看護の研修体制を見て、良いところ、悪い所を指摘し合う
とか、そういうシステムがあれば、年を経れば経るほど良くなっていくものです。十分よ
くは知らないですが、病院評価機構が病院評価をしています。その中に看護研修の項目が
多少は入っていたと思います。あれでは不十分だと思うのですが、ああいうものを作って
どこの病院でも注意すればクリアできるレベルで研修体制を作るとか、そういうのもいい
考えかなと思います。
○福井委員 先ほどのローテーションとか、どの診療科に配属になっても、求められる基本的な
看護技術は何なのかということとも関係しますが、看護の世界では、例えば卒業後最初に小児
科なら小児科に入った方が、リタイアするまで小児科だけに属するというタイプの看護師は多い
のでしょうか。それとも、自分の意思に反してかどうかわかりませんが、さまざまな診療科で働く
機会が、実際は多いのかどうかにもよるのではないかと思います。つまり、基本的にすべての看
護師に求められる能力とは何なのかということを考える場合に、どうなのでしょうか。
○庄野委員 ローテーションに関しては、現状はその病院の看護管理者の考え方に尽きる
かと思います。小児科、あるいは精神科であるとか一般内科であるとか、平均的に1年目
から5年目ぐらいの間は何年か置きにローテーションをする病院が多いかと思いますが、
それ以後は本人のキャリアの希望を取りながら、自分が目指したい領域を徐々に見定めて
いきながら、配置を考えているのではないかと思います。
○熊谷委員 おっしゃるとおりだと思います。いまは認定看護師、専門看護師制度ができ
たものですから、割と新人でも最初から私は小児をずっとやっていきたいとか、精神科を
やりたいと希望してくる方々が多いので、私は定期的にローテーションするという考えは
あまり持っていなくて、本人がキャリアをどう引くかというところを支援してあげたいと
いうことでやっております。ただ、どちらかというといわゆる成人系の一般病棟のほうは
3年ぐらいでローテーションを希望しますが、小児、精神、オペ室のような所のナースた
ちは、できるだけそこでじっくりやりたいという現実があります。
○石垣座長 最近は単科の専門病院が大変増えてきました。ですから、卒業の時点で最初
は救急の場でしっかり身に付けて、それから地元に帰ってしようとか、あるいは急性期を
やってそれから高齢者の施設に行こうとか、看護師自身が自分でキャリアのステップアッ
プを考えて病院を選ぶというのも、最近は増えてきたように思います。
○村上委員  ローテーションのことですが、熊谷委員がおっしゃったように、小児の人
が突然に内科というわけにはいかないと、それは離職の原因になっているのです。日本の
場合に、退職あるいは産休、病欠になると、誰かどこかから連れてこなければいけない、
ぎゅうぎゅう詰めの人員の配置というのも現実あります。そのときに適正でない、小児を
やりたいという人に、キャリアがあるからこちらへ行ってくれといったことがたまたま起
きると、専門の領域で技術ができない人は、問題としていやになることが現状あります。
そういうことも踏まえて、ローテーションできる領域とそうでない領域があることは、よ
く知っておかないといけない。そういう意味で、どういうガイドラインを作っていくのか
なということだと思います。
○庄野委員 1点だけ、いま村上委員がおっしゃいましたが、熊谷委員のご意見と併せて
私の考えですが、入ってくる新人の自分自身のキャリアは、先ほど熊谷委員がおっしゃっ
たように救急がしたい、あるいは小児がしたいという方と、もう1つのグループというか、
実習場はいくつも回ったけれど、自分はどの領域に向いているのかわからないので、1年
間模索したいと、自分のキャリアを模索するためにローテーションの研修を選んだという
方が半分おられます。正確な数字ではありませんが、残り半分の方は救急がしたい、認定
医を取りたい、小児のほうへ進みたいと。必ずしも全員が全員何かの目標を持って卒業し
てくるわけではないので、そういう意味で「1年後はどうだったの」と8年間ずっと聞き
続けたのですが、やはりわからなかったと。でも、大まかなところではわかりましたと、
苦手な領域はわかりましたという方が多かったです。苦手な領域とは、手術室とICUが多
かったですね。やはり救急がやりたかったという、大まかな道筋は見えたと。卒業してく
る方はその2つのグループ分けを見定めて、研修の内容を決めていかなければいけないか
と思います。
○石垣座長 医師の場合はどうなのですか。
○北村委員 また少し変わるのですが、報道されているとおり、いまは1年目に内科を6
カ月、外科を3カ月、救急を3カ月、2年目に産婦人科、小児科、精神科、並びに地域医
療を最低1カ月以上、全部回ると4カ月。そうすると、最大で自由に選べるのが2年目の8
カ月です。病院によっては、小児科とか産婦人科を長くしていると、自由に選べるのが6
カ月ぐらいしかなくなっています。いま庄野委員がおっしゃったように、モラトリアムと
いうか、自分の行く所を模索している人が半分、将来行くことは決まっているけれど、外
科に行くのだけれど、内科的知識、小児科的知識を得たいという人も、もちろんいると。
一部の人は、もう外科に行くことは決まっているのだから、ほかの科は無駄であると、イ
ンセンティブが随分落ちていると。それが問題だということで、ここ1年ぐらい研修の見
直しということが言われています。
 今度見直しされると11カ月ぐらいが自由になるので、一部の報道は実質的研修が1年に
短縮されるみたいな報道がされていますが、まだわかりませんが、到達目標あるいは経験
目標に関してそんなに増減がないので、いろいろな診療のいろいろな疾患を経験しなさい
ということが残っているので、例えば眼科でずっとやって、経験目標が達せられるもので
はないと思っております。だから、到達目標で過程を縛ることもあり得ると。具体的にど
ことどこを経験しなさいという縛り方もあると思います。いろいろなやり方があるのでは
ないかと思います。
○石垣座長 いずれにしても、医師のようなわけにはいかないのですが、医師の臨床研修
制度も参考にしながら議論していきたいと思います。
○羽生田委員 現在研修されている所は、いわゆる全体的な集めた形での研修と、1対1
の研修と、どちらが時間が多いのですか。
○石垣座長 集合教育とOJTという意味ですね。
○庄野委員 個々の病院によってかなり差はあるかと思いますが、4月であれば集合教育
は約2週間、5月は3分の1と、徐々に3カ月ぐらいで集中して、あとは徐々にOJTのほう
に任せていく形を取っている所が多いのではないかと思います。
○石垣座長 割合いから言うと、OJTが圧倒的に多いということですね。
○坂本委員 私の聞いた話によると、随分前は集合教育をすごくやっていたのです。しか
し効果的ではない。居眠りしたり、慣れていない状況で座っているのでは身が入らないと
いうことで、集合と臨床実践とを交互にする傾向が多いような気がしています。臨床側か
ら得たものをまた持ってきてディスカッションをしたりという教育が増えてきているので
はないでしょうか。
○石垣座長 それもまた教育方法として考えていかなければいけないことですね。
 時間が残り少なくなりました。今日は第1回目で、さまざまなご意見をいただきました
が、今後の進め方について事務局から説明をお願いします。
○島田課長補佐 資料4ですが、「今後の進め方(案)」をお示ししております。今日は先
生方からご意見をいただきました。そして、新たな課題や論点といったものもご意見とし
て出てきましたので、そういったものも次回以降整理していきたいと思います。
 次回以降、新人看護職員と教育する担当者側の研修の実情を、例えば規模が異なる所な
どを想定して実状をお聞きするような場を設けてはどうかと考えております。それ以降、
そういった実態などを踏まえて、あるいは平成20年度のモデル事業の成果なども参考とし
てご提示をしながら、研修ガイドラインについて具体的に検討していただいて、第6回ガ
イドライン(案)をお作りいただいて検討し、そのあと普及方策についてといったことを
ご検討いただくことを考えております。
○石垣座長 今後、来年の3月まで目処にして、このように進めたいという事務局の案で
すが、これについてご質問はございますか。
○福井委員 ゆっくりですね。前回は2カ月でやっていたのですが、今回はばかにゆっく
りで、具だくさんですね。
○石垣座長 前回の報告を受けて、冒頭に申し上げましたが、本検討会は作り上げるとい
うか、形にするという使命がありますので、このぐらいの期間は必要になるかと思います。
○海辺委員 予算の概算要求が8月ごろにあると、こちらでの議論次第では、先ほどの財
源の問題などで予算がドンと増えることはあるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○深田総務課長 お答えしにくいのですが、シーリングも骨太の方針もまだですので何と
も言いようがありませんが、昨今社会保障の関係は、安心・安全をどう確保するかという議
論がなされています。いままでのように一律に2,200億をカットしていくといった骨太方
針はこれまではあったわけですが、今後はどうしていくのか議論がこれから出てくるので
はないかと思います。さりとて、国家財政が非常に厳しい状況にあることも事実ですので、
大きく予算が膨らむことはあまり期待できないと思います。
○石垣座長 大きく期待はできないそうですが、舛添厚生労働大臣直轄の検討会の中間取
りまとめで、新人看護研修を実施する医療機関に対する財政も含めた支援を行うべき、と
明記してありますので、かなり期待をさせていただきたいと思います。
○羽生田委員 希望なのですが、新人看護師が身近にいる先生方も今日は大勢いらっしゃ
るので、是非そういう人たちが新人看護師としての研修でどういうことをしてほしいのだ
という意見を直接聞いてきていただければと思います。ここに呼んでヒアリングしてもい
いのですが、それもやりづらいでしょうし、直接そういう方々に接する機会が多い方々は
いっぱいいらっしゃるので、彼女たちの実際の希望としては、当事者がどういうことを望
んでいるのかを少し聞いていただければと思います。
○石垣座長 以前の検討会では、当事者のヒアリングもしたことがありますので、それも
また事務局と相談したいと思います。
○坂本委員 私も希望ですが、私はこの検討会は大変意味を持っていると思っております。
平成15年の「新たな看護のあり方に関する検討会」を読んでいましたら、ある委員から、
人間は自分が教えられた方法でしか人に教えられないという言葉があって、こう考えてこ
の検討のガイドラインを作っていかなければいけないと、新人にばかり求めるものを作っ
ていくのではなくて、周りにいる人たちに対するものと2つの柱を立ててやっていかない
といけないと思って今日参りました。教えられた方法でしか教えられなければ、ギャップ
や精神的な不安定とか、追い込まれるということが現実にあるわけですので、そこは是非
希望したいと思います。
○石垣座長 そのような方向で考えていきたいと思います。
 そろそろ時間がまいりましたので、本日はこれで終了したいと思います。次回以降の日
程について、事務局から説明をお願いします。
○島田課長補佐 次回は、5月28日(木)18時からの開催を予定しております。場所につ
いては決まり次第ご案内しますので、よろしくお願いします。
 事務的なご連絡ですが、先生方の机に6月、7月の日程調整表を置いておりますので、5
月15日までに事務局にご提出くださいますようによろしくお願いします。
○石垣座長 ありがとうございました。本日は新年度の大変お忙しい中をご参加くださり、
非常に貴重な意見をたくさんいただきましてありがとうございました。また来月以降、実
りある議論をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は
本当にありがとうございました。

                     照会先:厚生労働省医政局看護課
                     片山(2595)  島田(4167)
                      (代表)  03(5263)1111
                      (直通 03(3595)2206