09/03/17 第3回がんに関する普及啓発懇談会議事録 第3回がんに関する普及啓発懇談会議事録 日時:平成21年3月17日(火)14:00〜16:10 場所:三田共用会議所1階 講堂 出席委員:中川座長、天野委員、衞藤委員、塩見委員、       関谷委員、永江委員、山田委員、若尾委員 (第1部)公開シンポジウム 【プレゼンテーション】 ・韓国でのがん検診受診率50%達成について   国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部長 祖父江 友孝 ・英国における「がん当事者の語り」による普及啓発について   特定非営利活動法人グループ・ネクサス理事長 天 野 慎 介   ディペックス・ジャパン:健康と病いの語りデータベース事務局長 佐藤(佐久間) りか ・日本対がん協会の取り組み   財団法人日本対がん協会理事・事務局長 塩 見 知 司 ・がん検診−富山県の取組み−  富山県厚生部健康課 主幹 加 納 紅 代 【懇談会構成員及び傍聴者の質疑応答】 各プレゼンテーション終了後 (第2部)懇談会・・・カメラ撮り不可、会議は公開 事例発表に対してのフリーディスカッション   【資料】                                        事例1 韓国でのがん検診受診率50%達成について  事例2 英国における「がん当事者の語り」による普及啓発について  事例3 日本対がん協会の取り組み  事例4 がん検診−富山県の取組み−  資料1 中川座長提出資料  資料2 「がん検診受診率50%達成に向けた」受診勧奨事業に係るキャッチフレ      ーズ等の募集について(案)  資料3 広報誌「厚生労働」特集 がん対策について  資料4 若尾委員提出資料  参考資料 第2回がんに関する普及啓発懇談会議事録 ○前田がん対策推進室長  それでは、定刻より少し早い時間ではございますが、委員の方、全員お揃いでござ いますので、ただ今より第3回がんに関する普及啓発懇談会を開催いたします。  委員及び参考人の皆様方におかれましては年度末のお忙しい中、お集りいただきま して誠にありがとうございます。  本日の懇談会は前回に引き続き、2部構成にて開催いたします。まず、前半の第1 部、公開シンポジウムにおきましては海外での取組や普及啓発活動を実施している公 益法人及び地方自治体の取組につきまして事例発表をいただき、委員の方、参考人の 皆様より事例発表を行っていただく予定でございます。各発表の後には質疑応答の時 間を設けてございますが、この質疑応答につきましては時間の許す限りフロアの皆様 からの質問についてもお受けいたしたいと存じます。  また、この公開シンポジウムにつきましてはカメラ撮影はオーケーでございますの でよろしくお願いいたします。  次に、後半の第2部懇談会におきましては、第1部の発表内容等を踏まえましたフ リーディスカッションを行っていただき、そしてカメラ撮影につきましては頭撮りの みとなってございますので、ご了承願います。  本日は委員として、50音順でございますが、天野慎介さん、衞藤隆さん、塩見知司 さん、関谷亜矢子さん、永江美保子さん、中川恵一さん、山田邦子さん、若尾文彦さん にご出席いただいております。なお、兼坂紀治さんにおきましては、本日日程の都合が つかずご欠席でございます。  また、本日参考人といたしまして、祖父江友孝さん、佐藤(佐久間)りかさん、加納 紅代さんにお越しをいただいてございます。  そして、事務局でございますが、健康局長の上田健康局長と大臣官房審議官の安達審 議官と私、健康局総務課がん対策推進室長の前田を初めまして、がん対策推進室の室員 が参加しているところでございます。  それでは、中川さんに以後の進行をお願いいたしたいと存じます。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○中川座長  座長の中川でございます。皆さん、こんにちは。  既に前田室長のほうからさんづけで始まっておりますので、今さら言うまでもないん ですが、この懇談会では「何とか委員」ということをやめて、あるいは「何とか先生」 というのはやめて「何とかさん」ということでお願いしたいと思います。  それでは、まず最初に、事務局から資料の確認をお願いします。 ○前田がん対策推進室長  それでは、資料の確認をさせていただきます。  こちらの、左側に二つとじになってございます「第3回 がんに関する普及啓発懇 談会 議事次第」と書かれました資料の第1部、公開シンポジウムの資料といたしま して、1ページ目から事例1、韓国でのがん検診受診率50%達成について、そして11 ページ目から英国における「がん当事者の語り」による普及啓発について、そして18 ページ目から日本対がん協会の取組、そして27ページ目から、がん検診−富山県の取 組−が入ってございます。そして、第2部懇談会資料といたしまして、34ページから 資料1、中川座長提出資料、44ページ目から資料2、「がん検診受診率50%達成に向 けた」受診勧奨事業に係るキャッチフレーズ等の募集について、そして45ページから、 広報誌『厚生労働』特集がん対策についてのコピーでございます。そして58ページ目 から若尾委員提出資料、そして参考資料としまして昨年の12月26日に開催されました、 第2回がんに関する普及啓発懇談会議事録が60ページ目から81ページ目まででござい ます。そして1枚追加配布資料といたしまして、平成21年度がん対策関係予算案の資 料を配布してございます。それから委員の方々に机上配布させていただいてございま すが、『厚生労働』の3月号を配布させていただいております。資料の不足がござい ましたら、お申出いただきたいと思います。  また、次回の日程につきまして、この日程表ということで左上にご芳名を書いてい ただく日程表を配布いたしてございますので、現段階で分かる範囲で結構でございま すのでこの第1部の終了時点までにご記入いただき、その後回収をさせていただきま すので、よろしくお願いいたします。  それでは、中川座長、よろしくお願いいたします。 ○中川座長  それでは、まず第1部の公開シンポジウムです。  まず最初に、韓国でのがん検診受診率50%達成について、国立がんセンターのがん対 策情報センターがん情報統計部長の祖父江さんにお願いします。  よろしくお願いします。 ○祖父江参考人  では、時間は限られていますので、ちょっと飛ばし気味にご説明します。  必ずしも私は韓国のがん検診の専門家というわけではありませんけれども、今回この 話題をいただきまして、韓国の国立がんセンターの先生方にちょっと協力をいただきま した。キム先生、パク先生であります。最初に、韓国にも国立がんセンターがあります。 病院、研究所、がん対策研究所なんていうのは割と日本と似たようなものがありますが、 このがん対策研究所の所長でありますパク先生、それからがん早期発見室の研究者であ りますキム先生、この方に今回の情報をいただきました。  韓国におけるがん対策は、それほど長い歴史があるわけではないんですけれども、か なり系統的に進めておられます。1996年から10カ年計画というのを立ち上げ、国家がん 検診事業というのを99年から開始し、2000年には日本の厚労省に当たるところにがん管 理課と、がん対策推進室に当たるものだと思いますけれども、それを設置し、2001年に 国立がんセンター、これがかなり歴史は浅いですけれどもこの時期に設立をし、がん管 理法、日本におけるがん対策基本法に当たると思いますけれども、これを成立させ地域 がんセンターを9つほど配置していると思いますけれども、それから2006年に第2期の 10カ年計画を開始したというような、割と系統的に進めておられます。  検診に関しては1999年に開始をしたということですが、当初は胃がん、乳がん、子宮 頚がん、この3つの部位、それも対象は低所得者のみということで開始をし、順次、国 民健康保険加入者の所得の低い人から無料で提供するというような仕組みを拡大してい ったと、それから肝がん、大腸がん等を追加していくと、こういうような取組をされて おります。  国家がん検診事業ガイドラインとしてカバーしているがん、それからその検診の内容 ですけれども、胃がん、乳がん、子宮頚がん、肝がん、大腸がんといったものをカバー しています。日本と比べてみますと、肺がん、子宮体がんというのは韓国ではやってい ません。メニューにしても、胃がんについては2年に1回、内視鏡も含めですし、子宮 頚がんですと、日本ですと20歳以上ですが30歳以上、肝がんについては日本ではウイル ス検査だけをしますけれども、このような検診を行うと。大腸がんについては、日本で は40歳以上ですけれども、50歳以上と。ちょっと違うところはありますけれども、この ような内容でやっていると。  今回の話のきっかけになった朝日新聞での報道ですね。浅井記者が「予算倍増、検診 率50%」と、韓国は非常によくやっているというような新聞報道がありました。  このデータですが、これは詳細なデータを提供していただきました。2004年から2008 年に至る韓国におけるがん検診の受診率が胃がん、子宮頚がん、乳がん等が非常に急速 に上がっていて、対象者の人数で重みづけをした加重平均の受診率が38%から50%に至 ったと、50%に増えましたというようなことであります。このデータソースは、実は検 診の実数をカウントしてというわけではなくて、アンケート調査でランダム抽出をした 対象者に対して、2,000人ほどですけれども、聞き取り調査によってこれを情報を得た というものです。ですから、我が国の国民生活基礎調査でやっているものと大体同等と いうことなんですが、数としてはかなり少ないものです。  ということは、国が直接提供している検診だけではなくて民間で提供しているものも 含めての受診率ということになると思いますけれども、それがどんな程度なのかという のがこの図でありまして、所得別上位、世帯所得が上のほう3分の1、中位、下位とい うふうに分けて、がん検診費用の負担状況を見てみますと、このNCSPというのは National Cancer Screening Programという国家がやる100%フリーであるというものと、 それから国民健康保険に加入している人の、ここにカバーされていない人は、残りの人 は80%だけをカバーして20%アウトポケットということになっているようで、そこでカ バーされているのが大体半分ぐらい、民間での検診というものが半分ぐらいと、大まか に大体そんな感じでのカバーの割合であるということのようです。  別に国がやっている国家がん検診事業の受診数をその対象者数で割った、こういう形 での受診率も計算をされていて、それを見ますと先ほどの50%というわけではなくて、 2002年ですと十数%というところから2006年でも高くても二十数%といったところであ りまして、これは50%の半分というのがそんな単純なものではなくて、対象者数が違い ますから分母が違いますから、ここの国家がん検診事業の対象外の人はもっと受診率が 高いということだとは思いますけれども、国が提供しているものについてはこの程度の 受診率であるということだと思います。これが我が国の地域保険、健康推進事業報告に おけるがん検診の受診率に相当するものであるということだと思います。  実施状況を見ますと、受診者数でも胃がんについて見ると150万人ぐらい、乳がんで 100万人ぐらい。日本でいきますとこれが500万人とか200万人ということなので、人口 にしてみますと日本が1億2,000万、韓国が5,000万ぐらい、約半分ぐらいですから、そ れほど多いというわけではありません。ただ、韓国の場合、若干年が若いですから、対 象者数も若干少ないだろうということはあるかと思います。  それから、がん発見率にしてみますと、胃がんですと大体同等かもしれませんが、乳 がんあるいは大腸がんというと非常に低いです。ですから、まだその精度管理等、きち んと発見がんをカウントできているという体制が確立しているというわけではないとい うふうに思います。  これは仕組みですが、ちょっと英語なので私が日本語にしてみました。保健福祉部と いうのは厚労省ですが、その下に専門家として国立がんセンターの中に国家がん検診事 業支援評価委員会というものがあって、ここで事業の企画・予算化、ガイドラインの策 定、専門家の養成、国民への普及啓発事業の評価というふうなことをやっていると。み そは、この国民健康保険公社というところです。保健を扱っている機関が、韓国では一 本化されていて、ここが全国民をカバーしている。その名簿を使って対象者を選定し、 個々の人に対して受診勧奨通知を送っていると。これが一番大きなところです。受け取 った対象者の方は、それを持って受診をすると。費用のほうはこちらが払うと、国民健 康保険公社が払い、結果を通知して対象者の方はその後もし異常があれば医療のほうに 行くと。それとともに保健所が結果通知を受けて発見がんのフォローをしているという こともあるんですが、保健所のほうは主には一般の国民への普及啓発、それから対象者 への受診提供といったことを系統的に行っていると、こういうような仕組みを韓国はこ こ数年で確立をしたということであります。  使っている予算ですが、確かに2005年のところで倍増辺りなんですが、これは私も余 りよく分からないですけれども、10ウォンを1円というふうに計算しますと、この金額 は大体81億円ぐらいになると。日本で使っている予算と比べてそんなに高いものでは決 してありません。単価で見ますと、日本に比べるとやや安目ということで、先ほどの件 数とこの単価を掛け算して81億というような、まあ妥当な金額になっているというふう に思います。  国民への啓発ということで、こういうようなテレビとかいろんな媒体を使ってのプロ モーションが行われているということで、まとめますと、韓国で急速に受診率が増加し た理由としては、1つには対象者に対する個人宛ての受診勧奨通知を保険という仕組み を使ってきちんとやったと。通常の郵便を使うやり方であって、特に個人宛てにどこど こに行ってくださいというわけではなく、特にそういうことは特定せず受診機関、検診 を提供できる機関のリストをつけて送るというような形でやっているようです。国民へ の普及啓発というのを全国的にやっていますけれども、保健所というネットワークを使 ってやったと。それから、自己負担額を無料あるいは非常に低額に抑え、低所得者を優 先して順次拡大していったということであります。それから、もちろん政府が強力に関 与をしたと。専門家の明確な指針というものと予算の裏づけと。こういうことはそれほ ど新しい考えではありませんが、こういう、やれば確実に受診数が上がるということを きちんと取り組んでいるという姿勢がうかがえるというふうに思います。  課題としては、検診提供機関の整備というのがまだ十分ではないかもしれません。そ れから、やはり精度管理システムの確立というところがまだまだ課題であるんですけれ ども、ポテンシャルとしては保健システムを利用できる可能性というのは、これは非常 に大きいです。  それから、韓国の場合は個人識別番号というものがあります。13けたのこういう番号 ですが、個人IDカードとか運転免許証とか、こういうものに全てこのID番号が含ま れていて、がん登録等もこの番号が含まれていますので、がん検診のデータとがん登録 のデータを照合するということで見落としへの把握をし、感度を測定し、精度管理につ なげるということがポテンシャルとして非常に効率的によくできる可能性があります。  一方、民間によるがん検診というのがある程度大きなウエートを占めているというこ とは、やや危険なところもあって、現に女性における甲状腺がんというものが非常に急 速に増えているようです。この理由は、韓国の研究者の方々の意見ですけれども、超音 波検査を多用しているからではないかと。特に女性に胸の検診だとかする場合に一緒に 甲状腺を超音波で検査をすることでこのような罹患率が増えている可能性があるという ことで、民間のがん検診を使って、がん検診をプロモートしていくということに関して は、やはり証拠がある、きちんとした検診を展開するということだけに限らず、いろん な検診がオーバーユーズされる可能性があるというところで、こういうことが韓国では 起こっているということはちょっと念頭に入れておかなきゃいけない点だというふうに 思います。  以上です。 ○中川座長  祖父江さん、ありがとうございました。  それでは、委員の皆さん、あるいはフロアからでも結構なんですが、質問とか意見と かコメントとか。  そもそも前回の懇談会で私が、祖父江さんがご紹介になりました朝日新聞の、韓国で がん検診受診率が50%になった、これをご紹介してそれから少しやはり調べてみると、 韓国がすごく急激に進んだんですね。もちろん祖父江さんのお話にありましたように問 題もあるんですが、しかし明らかにがん検診の先輩である日本を、細かいことは言い立 ててもやはり追い抜いたと言わざるを得ないんではないかなというふうに思います。一 方、もともとこの懇談会のプライマリーエンドポイントはがん対策推進基本計画にある、 計画上は5年後、今から3年後に日本でがん検診の受診率を50%にする、これが既に2 年たっているわけで、一部では逆に受診率が減っているという報道もありますので、大 変危機感がある。その中で韓国の事例を虚心坦懐に学ぶ必要もあるんだろうと思います ね。  実は、私は今日、後で懇談の場でまたご説明しますが、今、祖父江さんがご紹介いた だいた勧奨用のパンフレット、勧奨通知、これを資料の中で今日入れて提出してありま すので、ちょっと後で簡単にご説明します。  どうぞ。 ○若尾委員  がんセンターの若尾です。1つ教えてください。  8ページの下側のスライドで、検診受診率が急速に増加した理由というのを4つポイ ントを挙げていただいているんですけれども、先生が感じられたあるいはいろいろヒア リングしていただいた中で、この中のどれが一番有効だったかというようなことがあれ ば教えてください。 ○祖父江参考人  重みづけを系統的にちゃんとやったわけではありませんが、印象としてはやっぱり一 番最初の、個人通知を出すと、これを全部、対象者全員に出すと。対象者名簿を把握す るということがまず第一でありまして、それがあってこそ受診率が計算でき、未受診者 対策もできるということなんだと思います。 ○中川座長  この、もともと50%達成の記事を書かれた朝日の浅井さんは、今日来られていますね。 何か今の発表ないしはご自身の報道、取材で感じられたこと、特にこの辺、言いたいこ とがもしあれば簡単に。 ○浅井記者  浅井でございます。  先ほど、祖父江先生が、祖父江さんがおっしゃった全くそのとおりなんで。私、去年 の12月に韓国のがんセンターに行って実際取材してきたんですけれども、やはり、基本 的なことをきちんとやっているなというのが私の一番の印象です。  今日、配られている資料の34ページ以降に韓国での個別勧奨というか、一人一人の国 民の人々に行く案内状があるんですけれども、非常によくできていて、例えば大腸がん 検診でこんなことをするんですよとか、胃がん検診で、もし精密検査の場合はこういう ことになるんですよとか、そういうのが全部分かりやすく写真付きで説明されているん ですよね。例えば、私は東京都内に住んでいますが、大腸がん検診なんて紙1枚来るだ けで、何月何日までにここに来いとかいう、何かえらい命令口調の案内状で、そういう のに比べると非常に丁寧な案内をしていらっしゃるという、個別の案内をしていらっし ゃるというところが印象的でした。 ○中川座長  ありがとうございます。  祖父江さんの発表の中で触れられておられましたけれども、やっぱり日本とそこの違 う、そうは言ってもアメリカと日本ほど違わないですよね。国民皆保険ですし、近くに こういう国があるのでそれを見習う必要がある。ただ、やっぱり日本と幾つか違うとこ ろがあって、先ほどの個人識別番号ですか、日本ではよく背番号といいますね。ああい うものが日本ではない。これはがん検診のみならず、がん登録ということにも関係する でしょうし、それから保険が一本化されているというのも非常に違いますよね。ですか ら、これを一朝一夕に変えることはできませんけれども、何らか工夫していく必要があ ると思いますし、もう一点は、がん検診受診率の把握、数字そのもの、50%というんで すが、一体今何%なのか、50%というのはどう考えたらいいか、これもなかなか難しい 問題で、韓国の場合にはいわゆるサーベイですよね、ランダムサンプルによるサーベイ をしている。これは背番号制ということにも関係するんでしょうけれども、でも、これ は考えていい気がするんですよね。  国民生活基礎調査ですか、あれは3年に1度やるようですが、かなり大量の質問項目 がある中にがん検診があって、多分、韓国の場合にはがん検診に特化した質問ですから、 やっぱり正確に答えが出てくる。ですので、国民生活基礎調査と内閣府がやった調査が 結構違っていたりするというようなところも、やはりサーベイそのものの問題点がある んではないかなという気がするんですね。  何かコメントがなければ。また、懇談会後半の部分でオープンな議論がありますが、 委員の皆さん、ちょっとかた過ぎるので特に山田さん、顔がこわ過ぎるので、あなたが やわらかくしないとだれがやわらかくしてくれるのか。 ○山田委員  でも、顔はしょうがないと思いますけれども。ええ、すばらしいなと思いました。や っぱりさっき朝日の方がおっしゃいましたけれども、ぷらっと送られてくるだけなので、 工夫がなかったなというふうに思いましたね。 ○中川座長  関谷さん、検診受けていますか。 ○関谷委員  いや、自治体から来るのは確かにこの受診日と受診機関を物すごく指定されていて、 どうやってそれを選んでいるのかもよく分からないし、同じ区にいっぱい病院はあるん だけれども、結構電話すると、もうそこは締め切りましたとかと言われて、それを特定 しないで出しているのは。  もしかしたら低所得者の方は指定されたところ、それもフリーの方は結構来るんです か。 ○中川座長  いや、違います。恐らくだれも。 ○関谷委員  だれでも、どこでもというのは、すごくやっぱり生活をしている中では大きいなと思 いますね。私は自治体の検診は受けています。いや、受けていないのもありましたね。 この仕事を始めるようになって重要性に気づきましたね。 ○中川座長  ありがとうございます。  それでは、祖父江さん、ありがとうございました。  続いて、英国における「がん当事者の語り」による普及啓発について、特定非営利活 動法人グループ・ネクサス理事長の天野慎介さんに今ご紹介していただく形で、ディペ ックス・ジャパン:健康と病いの語りデータベース事務局長の佐藤りかさんにお願いし ます。  では天野さん、ちょっとご紹介をお願いします。 ○天野委員  グループ・ネクサスの天野でございます。よろしくお願いします。  がんの当事者が体験を語るということにつきましては、国内では例えば医学生などの 教育に取り入れられているような大学もありまして、私自身も患者として東京医科歯科 大学や奈良県立医科大学などでお話をさせていただく機会もございます。また、一般の 方を対象にがん当事者が語るということにつきましては、例えば先月開催されました厚 労省のがん対策推進協議会に提出されましたがんワーキンググループの提案書の中でも、 がん患者の語りによる普及啓発のアクションプランが推奨施策の1つとして提示されて いましたが、国内ではこういった取組はまだ広く行われているという状況にはございま せん。そこで、本日のプレゼンでは海外での先駆的な成功事例としまして、月間およそ 100万を超えるアクセスがあると言われています英国のディペックスを中心に、ディペ ックス・ジャパンの佐久間事務局長にお話しいただきます。  それでは、佐久間さんよろしくお願いいたします。 ○佐藤(佐久間)参考人  佐久間でございます。よろしくお願いいたします。本日は、イギリスのディペックス についてご紹介いたしたいと思います。  ディペックスというのは2001年に英国のオクスフォード大学で生まれた患者体験のデ ータベースです。がんだけではなくて心臓の疾患ですとか、脳や神経の病気、心の病気、 慢性疾患などいろんな病気の体験者の方の語りを映像と音声を使ってそれを集めて、そ れをインターネットで配信するという、そういうプログラムです。  2008年10月に名前がディペックスからヘルストークオンラインという名前に変わりま したけれども、やっている内容は同じです。  こんな感じのトップページになっていまして、下のカラフルなレインボーカラーのと ころががんだとか、あるいは精神疾患だとか、心臓の病気だとかというふうになってい まして、それぞれの中にまた細かい項目が出てくるようになっています。  この目的なんですけれども、患者さんが同じ病気の体験者の語りから病気に立ち向か う勇気を得たり、治療法を主体的に選択したり、生活上の工夫を学んだりできるという ことが一番の目的です。それから、家族とか友人、それから職場の人なんかですね、そ ういった方たちが患者さんの気持ちを理解してサポートをする、そのための手がかりが 得られるということがあります。  そしてもう一つ大事なことは、医学教育ですね。医療者や医療系の学生が大学で学ぶ ことは生物医学的な情報なんですけれども、患者さんたちは文化や社会を背負って生き ていくわけで、その生きていく中での病の体験というのを医療者の方にも理解していた だく、その手がかりになるであろう。それから、やはり医療政策とか医療行政にも反映 していくことができるということでつくられております。  どういうふうにしてつくるかということなんですけれども、メディアとか医療機関、 患者会などを通じまして、自分の体験を話してもいいよという、そういう協力者の方を 募集します。1つの疾患について30人から50人ぐらいの人の語りを集めます。やはり一 人二人ですと特殊な経験をした方の語りばかりになってしまいますから、なるべく多く の方、しかも例えば年齢とか住んでいる地域とか病気の進行度とかいろんな点で多様な 体験を集める努力をします。  そして、協力者の方のご自宅にインタビュアーがカメラを持っていきます。カメラク ルーがいて、わあっと大勢に行くわけではなくて、たった一人でカメラを持って出かけ ましてお話を伺います。病気に気づかれてから今までのことを自由に話してくださいと いうことでお話しいただいて、短い方でも1時間ぐらい、長い方は4時間、5時間とお 話しされる方もいらっしゃいます。  その語りを全て文字に書き起こしまして、それを社会学とかの専門家が分析を行いま す。その上でインタビュークリップを編集してウェブサイト上で公開します。その際に その語りの部分の中に医学的な間違いがあってはいけませんので、そういった点につい ては専門家の方やあるいは患者会の方なんかにも入っていただいて、監修をするような 形をとっています。  このディペックスでは病気の体験者だけではなくて、検診受診者のインタビューも行 っています。実際イギリスの場合、今あるのが乳がん検診、子宮頚がんの検診、それか ら大腸がん検診とPSA検査の4つの検診についてのインタビューのページがつくられ ています。それぞれについて30人とか50人とか、そのぐらいの人数が紹介されているん ですね。  これがヘルストークオンラインの大腸がん検診のサイトです。これは要再検とか異常 という結果が出たとき、皆さんはどんなことを思ったでしょうということを、まず地の 文でまとめて書いてあるんですけれども、その途中途中にこういうふうに顔写真が出て いますよね。その顔写真の1つをクリックすると、こういうふうに大きいページ、その 人の顔が出てきて、実際今これは静止画像になっていますけれども、実際はこれをクリ ックするとしゃべり出すという映像になります。ビデオになります。  がん検診の語りってどんな語りだろうかと言いますと、まずどういうきっかけで検診 を受けようと思ったか、それからなぜ受診を避けていたか、長い間避けていたような方 も出てくるので、なぜあなたは受けなかったのか、それから検査の実際ですね。何をす るのか、痛いのか、あるいは、検査の結果を待つ間とても不安ですよね。そういったと きの気持ちとか、その間どうやって情報収集をしたか、それからどんな結果があり得る か。もちろん陽性の場合もあるし陰性の場合もあるし、結果がはっきりしないのでもう 一回再検しましょうという場合もあります。疑陽性や疑陰性もあります。そういった結 果についても、体験した人の言葉としてそれが紹介されます。そして陽性の場合に、次 のステップとしてどんな精密検査を受けたか、それも話が出てきますし、残念なことに がんの確定診断が出たとき、それはどういう治療法があり得るのか、それも体験者の方 の言葉で紹介されていくというふうになります。  検診受診者にインタビューすることで、どういうメリットがあるのか。体験者の言葉 で伝えられることにより検診のメリットがよりビビッドに伝わってきます。ああ、早期 発見できてよかったというような、そういう語りが出てくるわけですね。それから、検 診の実際が分かって不安が減少するということがあります。あっ、思ったより痛くなか ったですというような話ですね。それから、具体的なエピソードを紹介することで、検 診の精度、あるいは結果の受け止め方への理解も深まります。何か前がん状態って何だ ろうと思ってしまうことってよくあると思うんですけれども、そういったことについて も体験者の言葉として紹介されていきます。また、皆さん、自分が検査を受けて何か悪 い結果が出るのが嫌だということで受けない人もいると思うんですけれども、それが実 際に検査を受けて治療を受けられてインタビューを受けている方たちの顔が出てくるわ けですから、悪い結果が出てもそこで終わりではないんだということが伝えられるとい うことがあるんではないかと。これは一般市民の方たちにとってのメリットであります。  それに加えて、検診受診の動機や検診回避の理由というのが分かるという意味で、医 療者や行政側にとってもメリットがあると思います。また、受診者に提供すべき情報、 事前にどういった情報を一緒に提示していくべきかということも見えてくると思います。  いわゆる検診受診者の語りというのもあるわけなんですけれども、それ以外にがん患 者の語りというのもたくさん集めてあるんですね。今イギリスの場合は全部で8種類ぐ らいですかのがんの体験の語りがあります。その中でもスクリーニング検査や検診があ るもの、乳がん、頚がん、大腸がん、肺がん、前立腺がんといったがんに関してはそれ ぞれのページの中に、検診についての語りというコーナーがあります。  今、日本でもがん患者の語りを収集している最中です。日本全国から今、乳がんの患 者さん46名、それから前立腺がんの患者さん49名の語りを収集しています。間もなくこ の夏ぐらいから公開していこうと思っているんですが、イギリスの話をということだっ たんですが、ちょっと患者さんの体験を英語で訳すのが難しいので、日本の患者さんの 体験のほうをまずちょっとお見せしたいなと思うんですけれども、近畿地方に住んでい らっしゃる50歳の方なんですけれども、内科で検診を、自分がちょっと不安に思われて 診断してもらおうと思って見てもらったけれども大丈夫と言われて、集団検診を受けた という方なんですね。ちょっとこのビデオをお見せします。 (動画ファイル再生) ○佐藤(佐久間)参考人  このような形で、この方の場合は乳がんをどこに行って受診したらいいのかも分から なくて、たまたまこの方は集団検診を受けられたのでそこで発見することができたとい う例なんですけれども、実際私たちが今インタビューしている中で、ほかに例えば集団 検診を受けていなかった人たちがどんな理由で受けなかったのかというのを見ますと、 例えば乳がんというのは胸の大きい人がなる病気だと思っていて、自分は貧乳なのでな るはずがないと思っていたとか、それから20代で乳がんになるはずがないと思っていた、 それから、やはり忙しいということですね。忙しくて主人の介護、親の介護、自分の仕 事で忙しくてやはり受けられなかった、こういうような意見もあります。  また、実際に異常に気づいていて受診しなかった人たちというのもいまして、しこり に気づいたんだけれども自分の家族のだれにも乳がんはいないので、自分が乳がんにか かるわけがないから何か関係ないだろうと思っていた。何かたんこぶだと思って湿布を 張っていたというような人もいたんですけれども。それから、皮膚病だと思って、ちょ っとただれが出てきた方なんだけれども、その方もこれはただの皮膚病と。  それから、実際に乳がんなんではないかというふうに疑った方もいるんですね。乳首 に出血があって。でもそのときに一番最初に考えたことは、仕事が首になるんではない かしら、彼に振られるのではないかしら、そのことを考えたら怖くて受診できなかった。  それから、とにかくがんだと宣告されること自体が怖かった。だから、きっと乳腺炎、 絶対乳腺炎と自分に言い聞かせていたというような、そういうような語りがいっぱい出 てきます。  こういうのを見ていく、紹介していく中で、実際、今自分があれ、ひょっとしてと思 っている方や、検診に忙しくて行けていないななんていう方たちが、もしこういうもの を見る機会があったら、こういう人たちが実際にがんになったんだな、今、自分が考え ていることと同じことを考えている人たちが、がんになったんだなということが分かる と思うので、そういった意味である程度受診の重要性ということ、検診の重要性という ことが伝わるんではないのかなというふうに私たちも思っていまして、それを何かいい 形で使っていけたらいいなと。イギリスのほうはNHSというイギリスのがん検診を提 供しているサービスがあるんですけれども、そこのホームページ、検診のホームページ にリンクが張られていまして、イギリスのこのディペックスのサイト、ヘルストークオ ンラインのサイトのほうにリンクが張られていて、検診を受けようかなと思ったときに そこも見てみれば実際に受けた人たちの語りが見られると、そういうふうな形になって います。これが今、日本版ではこんな形のデザインにしようかなと思って始めたところ ですけれども、一応、乳がんが7月、前立腺がんを9月に公開するという予定でござい ます。  以上でございます。 ○中川座長  ありがとうございました。  大変、重要な仕事だと思いますね。私は緩和ケアというのをやっているんですが、 日本人はよく死ぬ気がないなんて言うんですね。その死ぬ気がないというのは簡単に 言うと、死ぬというのを見るチャンスがなくなった。核家族でおじいちゃん、おばあ ちゃんが家にいないし、もう死ぬというのは病院と決まっていますから、生活の中で 死ぬということはないんですね。それと同じように、結局、知らないことというのは 恐ろしいんですね。それを先輩方がこういう経験をしてそれを後輩に伝える、これは 最も基本的な教育の在り方だと思いますが、衞藤さん、何かこの辺り、こういう取組 を見て何かご感想なりありますか。 ○衞藤委員  はい、大変興深く拝聴しました。  語りというのは、これは私どもが研究として聞く内容なんかでは、アンケート調査と かインタビューとかそういうのと別に、いわゆる質的研究というのに似ていると思いま す。これは、何か集団の中でどのぐらいの割合いるのかとかそういうことではなくて、 その意味のある事柄は何なのかという発見するんですね。そういう方法だと思うんです ね。今日のお話の中、大変幾つか啓発されることがありまして、私は健康教育というの が一応専門なんですけれども、例えばこの検診のことだったら検診の大切さが分かって 実際に受診するという行動に、分かって行動するまでに何が必要なのかということが一 番大きな問題だと思うんですけれども、今日のビデオの中で内科の先生が、外科に行っ てみたらどうですかと言ってくれたらもう一つ違っていたというようなことがありまし た。日本の国民の教育のレベルは高いですし、無知だから行動できないんではないんで すね。いろいろなことを知りたがっているわけです。知りたがっている内容にどういう ふうにアクセスすればいいかと、その部分がちょっとうまくいっていないんだと思うん ですね。その部分をどうすればいいかというのは、それはまたいろいろ当たるべき点は 多いと思うんですが、この懇談会を通じて人々がどういうふうに、相談ということが一 番適切かもしれませんけれども、自分の住んでいる地域の中で資源をどこが利用できる のか、それがある程度整理できれば、後は自分で見つけて行動していくと思うんですね。 その辺が学校の教育とはまた別に、学校を卒業して生活をしているいわば大人の人々に 対するサービス、それも情報の整理とか相談とか、そういうものがどうあればいいかと いうことを問いかけているように思いました。 ○中川座長  似たような取組は、アフラックでされていますよね。がんと生きる、これをどんなふ うにご覧になりましたか。 ○永江委員  私どもも、たくさんのがんの経験者の方と接点がありますけれども、やはり経験され た方の生の言葉って一番伝わるというのは本当によく分かっております。なので、私ど もも同じような活動は確かにさせていただいておりまして、実際の乳がんの方ですと、 今もお話があったんですが、30代でもやっぱりまず自分には関係ないと思っていたと。 まさかなると思っていなかったので、検診も受けていないし、何の経済的備えもしてい なかったという声もあります。また、半年ぐらい自分で違和感はあったにもかかわらず、 胸ということで恥ずかしくて検診が受けられなくて、受けたときにはもう肺に転移もし ていてというような方も実際いらっしゃるんですね。やっぱりいろんなところで検診を 受けることへの啓発ですとか、検診そのものへの理解、例えばがん検診って本当に何な んだろう、どういったものをがん検診というのかとか、どういう検診なのかとか。あと 厚生労働省の研究班の調査だったと思うんですけれども、実際がん検診で見つかった場 合と自覚症状から見つかった場合で明らかに5年生存率が違うとか、こういったことも あるので、絶対に検診というのは有効だし、受ける意味があるし、生きるためには必要 なことなんですが、まだまだ理解が足りないということの中で、やはり理解促進という 工夫がもっともっと構造的に必要かなということを日々感じています。 ○中川座長  ありがとうございます。  そうですね、山田さんの体験もぜひ、ディペックスの中で取り上げていただく。 ○山田委員  私ですか。 ○中川座長  あなた、お願いします。 ○山田委員  ええ。また、何か機会があればぜひ、そうしたいと思います。  字ではなくて、やっぱり映像が見られるというのは非常にいいですね。そのときその 人がしゃべっていることの何か体温のような感じ、その焦った感じや明るくなっている ようなことが見えますのでね。これは非常に、取材がとても大変なことだなとは思いま すけれども、すごくいいなと思います。ただ、あとはこういう機械に慣れていない、イ ンターネットとかサイトを開いたりすることに慣れていない人たちもいますから、あと はまた違うことも考えていくというようなこともあるかもしれませんが、これは非常に 大変なことだと思いました。すばらしいと思います。 ○中川座長  ありがとうございます。  特にがん検診の部分にぜひ力を入れていただきたいなと思うのと、あと、こういう取 組をやはり個別にやるんではなくて、例えばそれこそアフラックのホームページなんか とリンクが張れるとか、すぐにたどり着けるような仕組みをつくっていく必要があるん でしょうね。  どうもありがとうございます。 ○山田委員  そう、そこなんですよね。何を見ていいか分からないんですよ。それで、元気なとき は絶対見ないんですよね。やっぱり、あっとなったときに慌てて何かないか、何かない かと探すときに、見やすいといいかもしれないですね。 ○中川座長  そのことが12月に説明があったその実施本部ですね。そういったところのやはり仕掛 け、仕組みなんだと思うんですね。気がついたら普通の方がこれは受けなきゃいけない というふうな気持になる仕組み。  さて、ちょっと時間がないのでまた懇談会の中でお話しできればと思いますが、続き まして日本対がん協会の取組について、財団法人日本対がん協会理事かつ事務局長であ られる塩見知司さんからお願いいたします。 ○塩見委員  対がん協会の塩見でございます。私どもは本部・支部、支部は東京都を除いて全国に 46支部がございまして、そこでは主にがん検診をやっています。私ども本部では普及啓 発活動を主にやっておりまして、その前提で今日お話をお進めしたいと思います。 まず、私どもは普及啓発に関して何をやっているかというご説明をしておきますが、 受診率50%に上げるためにまずメディアを活用する、イベントを展開する、それからい ろいろなパンフレットをつくっております。この財源が全て寄附、個人あるいは企業の 方々からの寄附をいただいてこれらの活動をやっております。それで、受診の誘導とか 検診への理解を深めていただいて、支部が検診を実施しやすいようにするということを やっております。 細かく説明しますと、まずはメディアを活用するという中で新聞記事、あるいは広告 紙面で、たとえば朝日新聞紙の紙上などでスライドにありますような企画の記事を組ん だり、広告特集を組んだりという形で、これは全国の方々に理解をしていただくために やっております。 それからAC公共広告機構のキャンペーンというのがございます。ここでは社会貢献 をやっている各団体を取り上げて、テレビとかポスターとかあるいは新聞広告などがあ りまして、それぞれ全国のメディアを通じて流していただきます。これは、広告の制作 費以外は無料でございます。メディア費としては相当な額になると思います。数億円規 模のメディア費になるのでは思います。ことしは山田邦子さんにご登場願っております。 ポスターは1万部刷って、駅の看板などでご覧になった方々も多いかもしれませんが、 こういうキャンペーンに参加しております。 続きましてホームページでもがんの部位の説明でありますとか無料相談のご案内であ りますとか各種イベント、協会がつくりましたビデオもそこで視聴できるようになって おり、協会の現況や、がん検診受診者数も伝えております。また、このサイトを通じて 寄附を募集するようなこともやっております。 続きまして、イベントですね。イベントはがんセミナー、あるいはリレー・フォー・ ライフなどを実施しております。まずは講演会をやりまして、がんについての知識、普 及啓発を実施します。 セミナーだけで年間十数回程度開きますが、聴講者はトータルで1万3,000人程度にな ります。  それから、リレー・フォー・ライフというイベントを開催しておりますが、ことしで 4年目になります。これはアメリカ対がん協会が従来からやっておりましたイベントが ございまして、20年ほど前からがん征圧のための寄附を集めるために競技場などに集ま ってトラックを1周したら寄附をくださいというふうなことから、アメリカ対がん協会 のドクターが始めたものであります。日本では06年秋に筑波大学でやったのを皮切りに、 去年は6会場でやらせていただきました。参加者は1万人を超えました。来年度は既に 十数会場が決まっております。アメリカ対がん協会では年間大体5,000会場でやりなが ら、寄附の金額としては400億円から500億円をそこで集めているという規模のものであ ります。がんの患者、家族、支援者、一般の方々がお集まりになって連帯意識を高めな がら寄附を集めるというものであります。 次に、もう一つ、ピンクリボンフェスティバルも実施しております。これは乳がんに 特化したものでございます。これも山田邦子さんにはお世話になっておりますけれども、 東京、神戸、仙台という会場を中心に朝日新聞社と協会が中心になりまして、まず10月 1日の都庁のピンクへのライトアップ、その他レインボーブリッジだとか、神戸のポー トタワーとか、そういったところを一斉にピンクでライトアップして、ピンクリボンと はどういうものである、乳がんというのはどういうものであるというご説明をします。 それから、健康をかみしめながら患者の方々とともに歩くスマイルウオークをやってお りまして、08年度は1万2,200名、シンポジウムには2,300名が参加されました。 それから、ビデオとかDVD、ポスターなども制作しておりまして、また禁煙に関す るポスター、ピンクリボンでお配りするリストバンドやバッジをつくるなどの活動もや っております。 同じような話でありますが、啓発のパンフレットなど印刷物も発行しておりまして、 各種、それぞれ無料でいろんなところに配布しているということであります。 協会の収入、先ほどからも寄附に言及しておりますが円グラフで昨年度の協会の寄附 金収入を書いておきました。分かりにくいかもしれませんが、左側に寄附金収入、1億 9,500万となっております。まだこの程度しか集まりません。今年度は2億9千万にな ると思いますがこの程度の寄附金収入です。前回に島根県方式が紹介されまして、同じ ような規模を集めていらっしゃるので相当すごいなと私は思いました。寄附金収入の内 訳は右側になっております。えび茶色の部分、あれが法人のシェアであります。つまり、 企業からいただくお金。その左上の紺の部分が個人の皆様方からいただくお金。それか らもう一つは紫色のものがありますが、これはほほえみ基金といいまして、乳がんに特 化した形の寄附を集めており、ピンクリボンを中心に相当脚光を浴びておりますので、 この程度の大きなシェアを占めております。 それから、使い道ですが、今いただいたお金を、ではどう使うのかということですが、 一番大きいのは知識啓発費ということで、冊子を発行したり機関紙を発行したりポスタ ーをつくったりというところの啓発活動、グラフでは緑色の部分が一番大きいというこ とですね。その他、赤い色で調査、研究、これについては地方研究団体を奨励したりと か、あるいは若手医師に奨学金を出したりとかという活動もやっております。 外部組織とどういう連携、協力関係を持っているか。真ん中に丸い楕円があり、これ を対がん協会とみなしていただいて、厚労省と協力連携関係を持ち、メディアあるいは 協賛企業といろんな情報発信をしていただいたり、あるいは寄附・協賛金をちょうだい したりということで連携しています。それから、患者会、あるいはほかの征圧団体それ らとイベントで協力したり患者支援を行ったり、左側に行きましてがん診療連携拠点病 院、がんセンター、がん研有明などの医療機関とも研究の協力をしたり奨学医をそこで 面倒見てもらったりということをやっておりまして、下には全国の支部、これはそれぞ れ、がん検診をやっております。 支部で実施しているがん検診の実施状況も今日ご紹介したいと思いますが、これは最新 の数字であります。まだ08年度は3月までかたまっておりませんので、07年度の数字に なります。胃がんから始まりまして、子宮頸がん、子宮体がん、乳がん、肺がんとつな がります。全国の46支部ありますが、中で5支部は検診をやっておりませんので、トー タルで41が一番多い数字であります。例えば胃がんでご覧いただきますと07年度で41支 部が実施しておりまして、受診者数は250万9,780人という数です。06年度からは若干伸 びておりまして、5万2,694人伸びている。伸び率は2.14%でした。ただ、06年度は減 っており長期的には漸減傾向にありました。左のほうにまた戻りまして07年度のトータ ルで1,155万4860人、大体1,200万人ぐらいの受診者を私どもで引き受けております。私 どもがやっておりますのは各地にある施設検診、病院のような検診機関もありますが、 主には検診車、エックス線検診車など、皆さんはバスのような検診車をご覧いただいて いると思いますが、その検診車は胃で373台、子宮で92台、乳房で119台など保有してお り、全体で956台、大体1,000台ぐらいの検診車を全国に回しております。市町村検診に おける協会のシェアは胃がんで73%、子宮頸がんで75%、子宮体がんは25%、乳がんで 71%、肺がんで65%、大腸がんで55%。私どもの支部が受託している市町村のカバー率 は大体55%ぐらいから70%ぐらいです。 それから、ちょっと気になることがありまして、皆さんにご紹介しておきたいんです が、08年度の4月から12月までを見ますとかなり落ちております。表に書いておきまし たが、胃、肺、大腸、乳、子宮だけ調べました。括弧内の数字は1割以上、つまり大幅 に落ちたところで、胃では13支部、肺では18支部、大腸では13支部が落ちたとなってお ります。前年は1割以上落ちたところが胃で4支部であり4から13ですから、かなり落 ちているということが言えると思います。受診者数では胃で9万8,000人、肺で26万人、 大腸で7万2,000人、子宮で2万4,000人という数が落ちました。これにつきましてはい ろいろと原因が考えられます。特定健診・保健指導が4月から導入されました。一般の 会社にお勤めの方の奥さまは、これまでは市町村が実施する検診機関に行っているんだ けれども、今年度からはあなたは健診は受けられないですよと言われます。ただ、がん 検診だけは受けられます。特定健診は保険者の義務ですから、国保の場合は市町村に義 務がありますが、会社勤めの方の奥さんというのは、これは会社に義務があるわけです。 去年まで受けられていたのにことし行ったら受けられないという健診になりますね。で すから、あなたは駄目ですよと言われてがん検診もともにやめてしまったというケース もあります。 それから、若い世代の検診離れもあります。市町村合併により自己負担金が増加した ケースもあります。ところが、乳がんだけは伸びております。なぜ伸びているのかとい いますと、やはり啓発普及活動なんですね。先ほど申し上げましたピンクリボン事業を 全国に展開して、いろんなところがピンクリボン事業をやっていただいておりますから、 これをやることによって乳がんに関する普及が高まる。それから、山田邦子さんをはじ めアグネス・チャンさんもそうですけれども、皆さんが、乳がん経験者の方々が声を大 にして いろんなところで言っていただける。それでやはり啓発普及されるんですね。また、去 年は乳がんをテーマに取り上げた映画が結構多かったですね。3つほどありました。そ れが上映されたということで、やはり知識が高まる。普及啓発をやれば、がん検診受診 者はこれだけ増えるということの、これは証明ではないかなというふうに思います。 雑駁ですが、以上であります。 ○中川座長  塩見さん、ありがとうございました。  委員の皆さん、あるいは会場からご意見。  予算は少ないですよね、本当に。 ○塩見委員  そうですね。寄附の。 ○中川座長  寄附ですね。 ○塩見委員  アメリカ対がん協会、この席でも前回申し上げたかもしれませんが、1,100億円ぐら いの収入がありますね。そのうち、四、五百億円が先ほど申し上げたリレー・フォー・ ライフというイベントで集めます。あとは個人のほうが多いんです。個人の寄附と法人 の寄附は7対3で個人のほうが多いんです。私どもは先ほどグラフをご覧いただきまし たように7対3で法人、企業のほうが多いんですね。やはりそれはドネーションをする という考え方、意識、カルチャーが日本とは異なりまして社会貢献に非常に熱心な国民 であると思います我が国では非常に少ない、だからなかなか事業ができにくいというこ とは言えると思いますね。 ○中川座長  また、ちょっとその辺りは懇談会の場で、この2部の中で少し議論できればと思いま すが、最後に言われた検診受診率が下がっている、これはまだ確定データではないわけ ですが、しかし、そういった報道が残念ながら相次いでいますので、やはりかなり危機 感を持っていく必要があって、これはよほどのことがないと目標を達成できないですね。 ですから、厚労省だけではなくて国民全体のこれは大きな問題だというふうに考えてい ただく必要があると思いますが、それでは引き続きまして、がん検診−富山県の取組に ついて−、富山県厚生部健康課主幹の加納紅代さんからお願いいたします。 ○加納参考人  よろしくお願いいたします。  私のほうからは、富山県でおよそこの20年間、がん検診の受診率を向上させるために 具体にどういったことをしてきたかということについてご紹介したいと思います。  これは、昭和58年から平成17年までの富山県における市町村で行われている、市町村 がん検診と言われているものの受診率の推移でございます。左側が胃がん、右側が肺が んでブルーが全国値で富山が赤です。いずれも国のガイドラインに基づいた方法、胃が んの場合はバリウムを飲んでいただく、肺がんの場合はプレーンの胸部レントゲン写真 を撮っていただくという方式のものでございます。どちらのグラフを見ても、大きく伸 び上がっている部位があることをお気づきでしょうか。これが平成元年に大きな節目が あって、このように全国と比べて非常に高い、全国と比べてですが非常に高い検診率に シフトしていく大きな転機がございました。これは50%で切ってあるのは、今の日本国 挙げてこの50というラインを目指そうというところなのですが、高い肺がんであっても まだまだ50には届きそうで届けない、胃がんはまだまだという段階ですし、大腸がんと 乳がんに至ってはやはり富山が赤、全国値青で昭和58年から平成17年の間、いずれの年 においても富山の受診率のほうが全国を上回った数字が出ているのですけれども、しか し50%には全くジャンプしてもホップ・ステップでもなかなか届かない状況が続いてい るという現状でございます。  では富山県、実際にどういった取組をしてきたかという中で1つだけ乳がんについて、 これはやはり国のガイドラインに基づいた手法ですので、大腸がんの場合は潜血、それ から乳がんは視触診ということを主体にやってきたんですが、平成13年、富山は全国に 先駆けてと申し上げてもよろしいのでしょうか、市町村検診全ての市町村にがん検診マ ンモグラフィーを導入して始めております。  では、実際ですが、富山県、県全体として行ってきたこと、主なものですが、まず手 間、暇、お金の中からお金のことについて富山県では節目年齢者──5歳刻みなんです けれども──のがん検診料金に助成を行っています。これは、ある程度お金ということ、 負担の軽減というよりはむしろキャンペーン効果というか、そういうものをねらっての 節目検診への助成であったかと思います。また、特徴的なものとして、がん対策推進員、 ボランティアさんがいます。富山にはがん対の推進員のほかに母乳育児を推進する「母 推さん」と言われている方と、あと、食生活改善推進員という「食改さん」とみんなに 呼ばれている三大ボランティアの団体があります。その中のがんを担当してくださるボ ランティアの方が受診勧奨活動をしてくださるということなんですが、実際には、例え ばある市ではがん検診の時期が参りますと、スーパーに行ってもどこに行っても桃太郎 旗というピンク色の旗が立ちます。どこに行っても桃太郎旗があります。今日、山田邦 子さんが来ていらっしゃるような美しいピンク色の、もうちょっと旗は安いんですけれ ども、そういう旗がショッピングセンターから道路とかに全部立ちます。それを見ると、 もう乳がん検診に行かねばならないと、なるまいと体が動くのではないかというふうに 私も見まして、あざやかな……。 ○中川座長  何旗ですって。 ○加納参考人  乳がん桃太郎旗です。桃太郎の桃が書いてあるピンク色の旗が立ちます。といったこ とを、がん対策推進員の方がやってくださいます。  またもう一つ、これはこれからも、私どもの大きな課題と思っていますが、商工団体、 要は職域のがん検診について、これは最近ですけれども、啓発活動や検診企画事業へも 助成をさせていただいています。  あと、がん予防ポスターというものも実際に富山県でオリジナルのものもつくってい ますし、一昨年からは厚生労働省のほうでがん診療連携拠点病院といったフレームをつ くっていただいた、そのおかげもありまして、がん診療連携拠点病院に配置され、いら っしゃる専門医の先生にご協力いただいて、富山県ケーブルテレビは100%のカバー率 ですので、それを利用して実際にそのマンモグラフィーというのはどういうものかとい うのを看護師の方に実際にモデルになっていただいて、実際におっぱいをつぶしてぎゅ うっと撮るような形も動画でもってCATVで皆様に見ていただくといったような形も とっております。  今度は実際、市町村検診ですので、検診をしてくださっていた市町村の取組ですけれ ども、あの手この手、マルチチャンネル、ここまでやれるかというぐらい、広報誌を使 ったり回覧板を使ったりはがきを使ったりカレンダーを配ったりということで普及啓発 をしてくださっています。  個別にももちろん受診の案内をいたしますし、今はなかなか情報の管理というものが 難しくなってきたんですけれども、例えば婦人会の方のご協力などをいただいて個別で 訪問をしたり、未受診の場合はお宅まで行って、なぜ受けないのというような形でひざ 詰めで、問い詰めるわけではありませんけれども、行きましょうねと、こんな感じでみ んなで受ければ怖くないという状態になっているということのようでございます。  それから、いろんな形態をつくっているということです。  節目検診について簡単に。対象としては、今年度、胃がん検診、乳がん検診では40歳 から60歳の40、45、50、55といったところの年齢の方がお受けになる方には検診料が、 自己負担がかなり低い、場合によってはほとんどないという状態まで補助をすると。肺 がん検診、これは低線量のヘリカルCTでいろんな議論があるかと思うのですが、これ についても節目年齢に助成をしている。それから、子宮がん、実際には子宮頚がん検診 ということだけではなくて、体がん検診をセットでやっておりますので、そういったも のについても節目検診の助成というのも、金額は余り多くないのですけれども、助成を させていただいているということです。  実際にそのがん対策推進員ですけれども、富山県で今どれぐらい活動されているかと いいますと、約4,000名の方、ほとんど女性が中心なんですけれども、そういった方が 活動してくださっております。養成が始まったのは平成元年、先ほど大きく受診率が上 がっていた年と一致するのですけれども、平成元年に富山県として推進員、5,000名弱 の方の養成を始めました。その後その推進員のリーダーというものを養成して平成10年 からは県ではなくて市町村が独自で養成、養成というのはがんの知識を勉強したり一緒 に普及啓発に回ったりという活動をしてくださる方のお世話というものを市町村でお願 いできるという体制になっております。  もう一つ、これはこれから私どもが力を入れていきたいと思っています中小企業の方 のがん検診をどうやって推進していくかということです。これについては2つ軸を置い て、まず、がん検診普及のための両輪、普及啓発を推進するということで、講習会を行 ったりパンフレットを作成するということについても、助成をわずかながらさせていた だくということでございます。  それから、「事業所におけるがん検診の推進」ということの一番上なんですけれども、 がん検診の企画立案及び事業主との調整と、結構難しいことが書いてあるんですが、実 際にはこれからもやっていくんですけれども、例えば中小の企業ですと一つ一つの事業 所にいらっしゃる従業員の数は非常に少ないと。そこで検診をセットするとなると、非 常にコストパフォーマンスが悪すぎるということですので、お近くにある事業所が集ま ってこの日まとめて肺がん検診をやるよと、車を回します。この日、まとめて乳がん検 診をやるのでマンモを積んでいる検診車を回しますということで、幾つかの企業体が一 緒にグループとして検診ができるような、そういう企画立案を立てていくというような ことも考えておりますし、これまでもそういった取組をやってきております。  富山県の検診受診率の鍵の一つは、桃太郎旗もあるんですけれども、検診車というの も一つキーワードになるんではないかと思っています。そのハード、車があるというハ ードのことを言いたいのではなくて、アクセスがいいということだと思うのです。その がん検診率を見てみますと、これは私の印象ですけれども、郡部のほうが都市部、富山 でいう都市なんですけれども、都市部よりもいい。それはなぜなんだろうと考えたこと がありました。そうしますと、先ほど対がん協会の方からもご紹介が、塩見さんからも ご紹介があったんですけれども、検診車が縦横に山間部を走り回っているというのが本 当のところで、公民館に検診車が行ったり、お寺の駐車場に検診車が行ったりとか、お 年寄りであっても歩くのがとにかく大変という方であっても公民館までなら言ってみよ うかとか、お寺に車が来ているんだったら乗ってみようかとか、アクセスをいかによく するかと。僻地、山間部が多いということを逆手にとったような、そんな対策であった のではないかということを思っています。  それから、ポスターはきれいな女性2人のポスターで、こういったものもJRであっ たり、あと銭湯にあったりとか、いろんなところに張ってたくさんの人が目に触れてい ただけるようにということを工夫しております。  それから、ヘリカルCT検診のモデル事業をやりました。いろんな問題がありました けれども、この18年度までで14名の方、肺がんが見つかりました。93%がTNM分類の ステージ1、その中でも非常に肺胞上皮に限局したような非常に早期のものが9割を占 めていたということで、この成果を踏まえてリスクを、ハイリスク者に限るあるいは検 診の間隔をよく考えるといったようなことをもちろん注意しながらなんですけれども、 昨年度から低線量のヘリカルCT肺がん検診を50歳から70歳の節目年齢者が受ける場合 には検診費を補助するということも富山県は始めております。  国のほうで法律をおつくりいただいて、それに基づいて富山県でも計画をつくってい るわけですけれども、いろんながんに対して、いろんな内容でもってがん検診をいかに あの手この手マルチチャンネルで攻めるかということで、いろんなことを考えています。 その中でも乳がんについては、これは三、四十代のおっぱいが張っている年代の方には 超音波も一緒に入れてというのもモデルでやります。しかし、これは超音波だけという ことではありません。もちろんマンモとセットでやりますし、この後、超音波検診は時 間がかかるので、実は待っていただく時間がすごく長くなるんです。受診率が落ちるか と思ったら、落ちませんでした。結構みんな興味があって。その待ち時間を利用して、 実は自己触診の検診法の普及の教育の講座をその待ち時間を使って、せっかく来てくれ たからというのでそこでやるというので、その時間を逆手にとって普及啓発を頑張って いこうと思って、ことしからやっております。  あと、HPVの検査を入れて、郵送検診という形で何とか、これもアデノカルシノー マを拾えるわけではない、アデノカルシノーマも落ちてしまう可能性があるので100% ではないんですけれども、とにかくまず受けてもらおうと、大事なんだということを伝 えたいというので補助、サポートになるんだと思うんですけれども、これも何とか入れ ていけないかということで今、考えています。  それからもう一つ。節目年齢に加えてことしから重点年齢というのも考えていこうと いうことになっていました。非常にサイエンティストが見ると何だこれはということか も分からないんですが、死亡率が急激に上がっていくおよそ10年前からがんは一歩一歩 歩いているだろうということを非常に感覚的なんですけれども、死亡率が上がっていく 年代をねらっても救命率というか、死亡減少効果を生めないのではないかということで、 10年前倒しでやろうよということで、10年前の年代を使ってもっと節目よりも細かく年 代を刻んで補助をしていこうと、キャンペーンをしていこうということでやっています。  これは一緒にがん検診というか、がん対策を取り組んだ仲間がぜひこれだけは見せて きてくれというので今日持ってきたスライドで、左から3番目にあるのが実は富山城で、 ちょうど去年壁を白く塗り直してピンク色にほおを染めたような、初めてなんですけれ どもピンクリボンキャンペーンで赤く染めさせていただきました。これは噴水、オレン ジだったと言ってみんな怒りましたが、県庁前でたくさんの、高校生も来てくれる場所 なので、こういったところでピンク色に噴水の色を変えて、その間なぜこれがピンク色 なのか、なぜピンクリボンキャンペーンなのかといったことのご案内と一緒にキャンペ ーンを張りました。富山県は平成元年からがん対策本部を立ち上げて、ずっとがんを知 り、がんに勝ち、がんとともに生きるという基本目標で、あれなんですけれども、がん と闘ってきました。  がんには治せるがん、治るがん、治らないがんがあるということのようですが、治ら ないがんであってもがんとともに生きられるように、また、治るがん、治せるがんであ ったらそれを知って勝ち抜いていきたいと、そういう気持で我々はずっとがん対策に取 り組んでおります。  以上でございます。 ○中川座長  ありがとうございました。  余りにすばらしいので、懇談会でまたちょっと別に議論をさせていただこうというふ うに思います。  ちなみに、何年間このがん検診をなさってこられていますか。 ○加納参考人  私は今のポストに8年おります。 ○中川座長  すばらしい。それが大事ですね。  それでは、予定にないのですが、いつも予定にないことをやっていただける山田さん に、第1回目は私に急に歌を歌わされましたね。 ○山田委員  そうですね。 ○中川座長  覚えておられますか。 ○山田委員  ええ。それで、2回目は団員を呼びましてスター混成合唱団、歌わせていただきまし て。 ○中川座長  あれは座長も全く知りませんでした。 ○山田委員  今日、こういう会場でしたら、このステージがあれば今日やったほうよかったな。こ の間、非常に変てこりんな狭いところで大変申しわけなかったんですが、第1回のとき に私は無伴奏で、今できあがったばかりですがということでアカペラで歌わせていただ いたものがめでたくCDになりまして、まだレコーディングという形には余りきちんと なっていないんですが、練習テープというのができ上がりましたので、今日は何となく 聞いていただこうかなと思って。余興ですけれども。 ○中川座長  それでは、今私が持っているんですが、がん支えあいソング『あなたが大切だから』。 NPOキャンサーリボンズ、スター混成合唱団。それでは、ちょっとかけていただいて もよろしいですかね。 (音楽再生)             あなたとつなごう その手と手             いっしょに歌おう 大きな声で             あなたのやさしさ あなたの笑顔             わかっているよ ありがとう             つなげよう心を 虹のリボンで             咲かせよう 心に愛の花を             あなたが大切だから アイリスの花             あなたと歌おう この歌を             一緒に歩こう 手を振って             疲れたときには 休めばいいさ             わかっているよ ありがとう             つなげよう心を 虹のリボンで             咲かせよう心に 愛の花を             あなたが大切だから アイリスの花             アイリスの花 ○中川座長  ありがとうございます。 ○山田委員  大変ありがとうございました。 ○中川座長  すっかり上品に格調高くなりましたね。 ○山田委員  6月21日が1年の大体半分だろうということで、そのときに1年に1回でもみんなで がんのことを思って、思う日、考える日という感じでね。それで6月21日の1日前なん ですが、6月20日にコンサートを開いて、そこまでに私たちが、がん撲滅のためにつく っているこのスター混成合唱団は今月も来月も再来月も京都の病院や三重の病院やなど を全国行って、これは練習テープなので4部に分かれているんですが、それぞれ企業や 病院や学校などを回って練習をして、それで6月20日に東京の笹川記念ホールなんです けれども、そちらのほうでみんなで歌おうということで、この練習テープも600円で、 今インターネットで買えますので、これを買っていただくとまたチャリティーになって いくというようなことなんですけれども、このようなところまで進みました。  それで、3月は1日にテレ朝の下のところのumuという会場、3月7日は大阪の河 内長野のラブリーホールというところ、それから若尾さんのところの、今度3月28日は がんセンターのほうでこの歌をまた、国立がんセンターのほうでも歌わせていただくこ とができると思います。  頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでチャリティーが、やっぱりチャリティー金というのはそれをやるたびにちょぼ っとずつ集まるので、また対がん協会のほうも考えておりますし、今現在もちょびっと ずつですけれども病院とか小児がんの子供たちとか、そういうところにも寄附を続けて おります。頑張ります。 ○中川座長  ありがとうございました。  それでは、私の進行が悪く少し時間が押しているのですが、よろしければ引き続きま して懇談会のほうに入りたいと思います。  どうしましょうか。先ほどの富山の取組、ちなみに今日は余りカメラもないので言う こともないのかもしれませんが、とりあえずカメラ撮りはここまでとさせていただきま す。次の懇談会にはもう少しカメラが入るように関谷さん辺りがふれ回っていただくと いうことも必要かもしれません ○関谷委員  私……。 ○中川座長  ぜひ、よろしくお願いします。つまり、こういうことを言わなくても済むというのも ちょっとどうかなという、そういうことでございます。  富山の取組は非常に重要かな。均てん化ということの中にこういうこともあるんだろ うなというふうに思います。ぜひ加納さんが今の仕事を続けていただくようにお願いし て、そして、やはり……。  はい、どうぞ。 ○山田委員  そうですね。富山のは、すばらしかったですね。それで、本気なところがすごいです よね。そこまで気持ちがみんなでどうやって行き着いたのかと、そこがちょっと知りた いんですね。 ○中川座長  何でここまで気合いが入っているのかということですね。 ○山田委員  何でこうなっていったのか、そこをみんなの、ほかの都道府県が学んでいけばいいん ではないかなと思いましたね。 ○加納参考人  非常にクリティカルな質問で、私は責任の重大さをひしひし感じておりますが、富山 県の皆さん、富山県民の性質として、まずとにかくまじめ実直というのがあると思いま すのと、もう一つはいい意味で病気になって周りの家族に迷惑かけないよ、かけないで おこうという、そういう気持が強いんではないかなと私は思います。命は命として大事 だし、一人一人の命なんですけれども、家族のつながりということを考えると、自分が 病気になったときに一体だれが見てくれるんだろう、あるいはお母さんだったら子供の 面倒をだれが見てくれるんだと。おばあちゃんでも、女性の就業率は非常に高い県です ので、私が病気になったら家事労働をだれがやるんだろうといったことを、いろんなこ とを、そんなに深刻には考えていないにしても、元気で病気にならないで迷惑かけない で生きていようという、そういう気持が非常に強い、そんなようなふうに、私はまずそ れが根底にあるのではないかなと、そこに……。 ○中川座長  みんなそうだと思いますよ、日本人。 ○山田委員  そうなんだけれども、みんな何か白けちゃうんですよね。 ○加納参考人  そこに平成元年に大きなピークがあったと思うんですが、やはり忘れていけないと私 が個人的に思っていますのは、行政の非常に強いリーダーシップでもって、がん対策推 進本部というのを富山県が立ち上げて、それでみんなを引っ張っていこうというふうに、 やっぱり行政がリーダーシップをとってシステマティックに見えない形で施策を敷いて、 その中に県民性のまじめさがあってそれにみんなついていこうというふうにした、その ベクトルの方向が同じに向くような幾つもの要因が重なってこういう数字が出てきたん ではないかなと、これは私の全くの感想でございます。 ○山田委員  これは最初の何人かはすばらしいけれども、やっぱりリーダーが、何か189名と書い てありますけれども、この人たちもすごいですね。リーダーがそれぞれのところにいる というのはいいですね。どんな人たちなんですか。 ○加納参考人  一言で言うと、怒られますけれども、お世話好きなおばさまたちです。やっぱり、そ れがないとできないです。 ○山田委員  おせっかいとかではなくて、例えば先生とか主婦とか、そういう。 ○加納参考人  いえいえ、主婦の方です。主婦の方が多いのです。 ○山田委員  そうなんですか。 ○中川座長  それは、それになりたいと言って、自分で立候補するんですか。 ○加納参考人  そうですね。立候補というか、まあ、立候補ですよね。余り押しつけではなくて、ひ とあじ運動とかお年寄りのうちにお料理をたくさんつくったその分、ひとあじ分だけ持 っていってあげるとかそういった活動もしていらっしゃる中で、今度はがんというもの に特化して勉強されてがん推進員になっていくといったような、そういう。 ○山田委員  やっぱり侮れないですね、そういうのがね。すごく勉強になりました。 ○塩見委員  欧米の調査結果を見ますと、必ず周りから勧められて、親、家族、友人から勧めらた から検診に行く、というのが圧倒的に多いですね。今のこのがん対策推進員、これが個 別の受診勧奨になっているわけで、それらの方々が行って、さっきのおせっかいなおば ちゃんたちが行ってやられると、これは行かざるを得ないということで、これは非常に 見習うべきアイデアだと思いますね。これを全国につくれればかなり検診受診率が上が るというものではないですかね。 ○中川座長  そうですね。27ページの肺がん、この異常なジャンプがあるわけですよ。これをやら ないと、これを国レベルで達成できないと検診受診率5割できないですね。ですから、 加納さんがやっていることの全国均てん化をする必要があって、私が言うのもあれです けれども、この委員の中に入ってもらったらいいんではないですかね。いや、ともかく そういった、やっぱりこの会の在り方も、やっぱりどんどんいい事例は当事者として加 わっていただく必要もあるような気がしますよ。本当にそうです。 ○山田委員  何か暗いんですよね。ともするとね。何か、この……。 ○中川座長  あなた以外はね。 ○山田委員  がんのことを考えている会に行くんだというだけでも何か、大変ねなんてね。だけど、 富山のこの例を見たって、みんな明るいわけですよね。だから、何かこう、前向きに先 に見つけてやるぞぐらいな気持ちになるのも、ちょっと富山から学んでいきたい感じが ありますね。 ○中川座長  平成元年に、その推進本部ができたわけですね。ここで激しく変わる。恐らく韓国も 同じようなことをやったんですよ。それを国レベルで。ですから、僕は本当に個人的に 韓国に行ってその真相を知りたいと思っているんですが、富山は日本なので一度行きま すので、どうやって、ちょっと皆さんで行って、本当にそう思いますよ。 ○関谷委員  本当に発想がすごく、私は思うんですけれども、発想が生活に密着しているというか、 ホームページでとか何か病院でとか講演会でではなくて、スーパーにのぼりが立つとか、 銭湯もとおっしゃいましたか、あとはお寺なんかもというような形で、物すごく生活者 の目線だなと思うんですね。いかにがんと関係ないところで告知をするかというのがす ごく大きいんではないかなと。それこそ、検診車が幼稚園のお迎えや送りのときに来て くれて、その間先生が見てくれるんだったらぐっと検診が増えるというようなことも前 も言ったんですけれども、やっぱり関係ないところ、だからメディアでも本当は新聞だ けではなくて関係なさそうなファッション誌とか、そういうところで取り上げたりとい う、いろんな意味ですごく今のは示唆的で、あっぱれでしたね。 ○山田委員  本当に進んでいますよね。すごく一番最初に行っている、進んでいるところだなと思 いますよね。どうしてメディアというのは、何かというと死んじゃうような、何かぐあ い悪い感じのばかり取り上げるんですかね。今も乳がんだって、日本人は20人に1人で しょう。がんだけといったら、いろんながんがあるわけではないですか。がん大国。そ うしたら、2人に1人と言われていたら、ここだって、ここを真ん中から切ってこっち がみんながんですよ。そうしたら、その人たちがみんな暗くなっちゃったらもう、日本 じゅう真っ黒けになっちゃうわけでね。そこがちょっと嫌だなというふうにいつも思っ ていることと、だけれども、これだけ私が毎日のようにイベントに行ってコンサートに 行って、いろんなのに出てやって頑張っているのに、まだ受診率が上がらないとなると、 明るく言うのもいけないのかな、死んじゃいそうなほうがいいのかなとか、いろいろ考 えちゃうわけですよね。 ○中川座長  いやいや、あなた以外は暗いんだ、きっと。 ○山田委員  えっ。 ○中川座長  あなた以外は暗いんだ、やっぱりまだ。 ○山田委員  暗いんですか。 ○中川座長  きっとね。それとやっぱり、ああやってボランティアの方、いい名前でしたよね。何 でしたか。推進員。 ○山田委員  うん、これ、いいですね。 ○中川座長  これはアメリカなんかやっていますよ、こういうのね。やっぱり個別訪問をして。僕 はちょっと知りたいのは、富山には対がん協会のバスが結構行っているわけですか。 ○塩見委員  富山では対がん協会の検診が胃がんで93%、子宮頸がん100%、子宮体がん93%、乳 がん100%、肺がん100%ですから、ほとんど我々の支部で受託しているということにな りますね。 ○中川座長  それで多分、同じような県を探して、そして受診率が低いところの理由を比較すれば、 ここをやれば変わるというのは分かってきますよね。ぜひ塩見さん、次までに。 ○塩見委員  そうですね、これを調べて、模範例として調べておきましょうね。 ○永江委員  各都道府県の推進計画を見るところ、「推進員」と挙げてきているところが結構あり ますが、富山県ってやっぱり先駆けなんですか。一番最初なんですか。 ○加納参考人  すみません、そこまで昔のことは私、全然。 ○永江委員  私は平成元年と見ただけで、今日はすごい驚いたんですね。前回の懇談会のときに私 も当社の活動について発表させていただいて、私どもの全国にいる募集代理店も啓発活 動を日々やっているんですが、やっぱりフェーストゥーフェースって一番伝わるので、 その人たちがこういうことをできれば、ということを前々から実は考えてはいたんです が、既にこれだけの実績がある県があるということを新鮮に今日びっくりして、本当に 事例に学びたいなというふうに思いました。 ○中川座長  バスの行き方なんていうのが、バスの配車の手配の仕方が、ほかとやっぱり違うんで すかね。 ○塩見委員  どうでしょうね。対がん協会支部は、やはり山間というか、人がなかなか行かないよ うなところまで行くというのが使命でありますが、それぞれ自治体、市町村さんのご希 望に従って回しますから、ほかの県と違うということはないですね。沖縄などは離島へ、 検診車が行けないところは機材を担いで行っていますからね。ですから、行き方は違う んではないんです。恐らくは対策推進員、この効果ではないかなと思います。 ○中川座長  分かりました。 ○若尾委員  先ほど、中川さんからご指摘があったんですけれども、27ページの肺がんなんですけ れども、肺がんだけやっぱりジャンプ率が非常に高いのは、何かほかと違うことをやら れているとか、そういうことはあるんでしょうか。 ○加納参考人  これも検証された結果がパブリッシュされているわけではないんですが、私が歴史を 学んでおりましたら、やっぱり富山県の肺結核の検診って、お年寄りの結核が割と罹患 率が高い県でして、それとセットでやっているということは一つあったんだと思うんで すけれども、しかしそれが全てなのかどうかは私は分かりません。 ○若尾委員  この平成元年というのは肺がんだけではなく、全てのがんで同じような推進員を始め てという、同じような取組をしていて肺がんだけすごくやっぱり目立っていますよね。 ほかに比べてここだけすごい何か特殊なことがあるような。全てほかのがんでもこの肺 がんで伸びた要因を何か分かって取り入れられれば、もっと伸ばせるんではないかと思 うんですが。やっぱり、結核絡みというぐらいでしょうか。 ○加納参考人  以下、推測でしかないのですが、結局、胃がんであっても乳がんであっても脱いだ り飲んだりといろんなことがあるわけですけれども、やっぱり身近なということでい うとレントゲンを撮るというのは割と身近な医療行為で、痛くもかゆくも余り恥ずか しくもない。そういう抵抗感がないということも一つ飛び抜けているということでは ないのかなと、これも私はずっと歴史を見ていて、歴史というか、そのように。これ は、私が全く個人的に感じているところでございます。 ○中川座長  抵抗感ということをおっしゃられたんですが、特に乳がんなんかはそれこそ男性のレ ントゲン技師さんに撮られるのは嫌だなんていう、そういう方は結構いるんですね。そ れで、メディアを使った啓発などというんですが、具体的にはやっぱり個々人において はそういったところの抵抗感って案外多いんですね。がんと言われれば、山田さんも前 に言われていましたね。がんと……。 ○山田委員  そうですね、一たびがんと分かればね、もう男の先生も女の先生もないんですけれど も、やっぱり最初の一歩はデリケートなんですよね。ちょっと恥ずかしいというのがあ って、検査のときは女の人がいいなというふうに思いますね。 ○中川座長  先般、日本放射線技師会に伺いまして、今日も事務局長が来られていますが、やっぱ りそういった撮る側の配慮というんですか、医療──医療ではないのかもしれませんが、 提供する側の在り方というのも非常に大事かなという気はしています。  実は、先ほどの祖父江さんの韓国の取組のご紹介に少しありましたが、韓国の受診勧 奨用のツール、これが資料の34ページからあります。 ○山田委員  これはちょっと韓国語で分からなかったんですけれども、何か商品券みたいなものが ついているんですか。何かこう……。 ○中川座長  これは、実は朝日新聞の浅井さんからもらったんですよ。浅井さん、おられますか。 これをちょっと説明できますか。これは、クーポンなんですか。 ○浅井記者  簡単に説明させていただきますと、34ページ、要するに20ページぐらいのパンフレッ トなんです。34ページが表紙のところで、これは裏側に字が消してあるのは、これは住 所、名前が入っていて、これはダミーなんですが、一人一人郵便で送られてきます。  35ページは何か商品券みたいになっているんですが、これが要するにMinistry of Health of Welfareですから、韓国厚生省が新たにがん検診の検診券を差し上げますみ たいになっていて、12月31日までと書いてあるんですよね。何かそういうクーポン券を もらうと、何かせっかくもらったから使わなくちゃいけないみたいな気になるではない ですか、もったいないみたいな。そういう何か結構マーケティング手法をきちんと取り 入れていて、実際に伺うと12月31日で一応一区切りなものですから、やっぱり10月11月 になると受診が伸びてくるとか、そういうふうに伺っています。  その後は、36ページ目のところに行くと、これが各胃がんとか大腸がんとか、そのが ん検診ごとにいつにどこに受診に行ったかというのが書いてあって、右の上側のほうは 多分これはさっきおっしゃった個人ごとのID番号が全部振られています。そのあとは、 例えばがん検診を受けてこんなに発見されてよかったみたいな体験談を入れたりとかし ていまして、38ページ目に行くと例えば胃がん検診を、検診で早期で見つかれば死亡率 は非常に低いですよと、見つかるのが遅いとその後大変ですよとか、そういうことが書 いてあって、検診はどうして受けなくちゃいけないかがちゃんと分かるようになってい るとか、あとは40ページ以降だと写真が入っていますけれども、それぞれの検診で精密 検査が必要と分かった場合こういうような、例えば大腸がんだと内視鏡検査をしますよ とか、それが全部流れがすぐ分かるように丁寧に説明されていまして、42ページ以降に なると、これが、あなたの近くの検診を受けられる病院という名前のリストがあって、 ここに電話をかけて予約をして行きなさいと。ですから、これは丸が5つついています が、これは各、肺がん検診、大腸がん検診、乳がん検診とか、肺がんはないですね、胃 がん、大腸がん、乳がんとかの検診が受け入れ可能なのが丸がついています。ですから、 5つ丸がついているのだったら、うまくちゃんと予約をすれば、その1つの病院に行け ば1日で全部の検診を受けられるということになっていて、そこは非常に便利です。 ○中川座長  ありがとうございました。  浅井さんは、韓国語が分かるんですか。 ○浅井記者  同じ会社の同僚の若い人に教えてもらいました。 ○中川座長  今日は私からこの資料を急遽入れていただいたんですが、もし可能なら事務局のほう でこれをちょっと日本語に訳していただいて、次の懇談会で配布していただければと思 うんですが、ぜひよろしくお願いいたします。  とてもいいですよね。こういったものがやっぱり必要かなという気はしています。  あと、全体を通して委員の皆さんあるいはフロアの皆さん、何かありますか。せっか くの機会です。  若尾さん、どうぞ。 ○若尾委員  今日、富山の非常にすばらしい取組を紹介していただいて、この懇談会が始まったと きにこういう好事例を集めましょうということで幾つか紹介していただいているんです が、今までの流れだと、どうしてもこの場で終わってしまうような感じなんですね。そ れをだから、本当にこの場で通り過ぎてよかったねで終わってしまうんではなくて、何 か蓄積していって、ほかの人が利用できるような形で紹介できるような形にすることが 今後やっぱりしていかないといけないんではないかと思います。 ○中川座長  そうなんですね。ですから、先ほどちょっと申し上げたんですが、この会は健康局の 中では多分かなりざっくばらんなものだと思いますし、柔軟にやっぱりよい事例をなさ っているキーマンは直接なり間接なりに取り入れていただいて、そういう工夫がなかな か難しいかもしれませんけれども、できたらいいのではないかなという気がしますね。 また、この場合以外でもいろいろ聞いてみたいですものね。ですので、また加納さん、 面倒くさいかもしれませんけれども、ぜひ来ていただければ。衞藤さん、天野さん、今 のこれまでの話、富山の話やあるいは韓国のああいったパンフレット、こういったもの に関して何かコメントやご感想があれば。 ○天野委員  今、韓国の受診勧奨通知、大変興味深く拝見させていただいて、国内でもこういった ものが広がればいいと感じたんですが、一方で韓国の事例の中で対象者に対する個人宛 ての受診勧奨通知を出したことと恐らくセットになっているのが検診の自己負担額を無 料あるいは低額に抑えているということが恐らくここでセットになっているかと思うん ですね。ですので、例えば受診勧奨通知を国内で市区町村が出すときに、現状の財政措 置では受診勧奨通知を出すとその分受診率が向上するということは分かっているんだけ れどもなかなか予算措置上厳しいといった意見もあるので、そういった面についても普 及啓発とセットで取り組む必要があるのではないかと感じました。 ○中川座長  そうですね。後でまとめて少しお話しします。  衞藤さん、どうぞ。 ○衞藤委員  私は2つのことを感じました。  どなたも感じたと思いますけれども、顔が見える、個人的なコミュニケーションの呼 びかけというようなことは大変効果があるし力強いし継続性もあると。それを支えるや っぱり行政の支援なり、今のお話にあった財政的な継続を可能にするような財政的な基 盤をつくるというようなことがやっぱり大事で、それがうまくかみ合っているというこ とが大事だと思いました。  もう一つは、この韓国のことにしてもそうだけれども、富山のことにしても、実際に そういった対象となる人々、あるいはそういった呼びかけを受けた人たちはどういうふ うに思っていて感じているのかというのも、また別の角度から調べてみたらどうだろう かと思いました。 ○中川座長  そうですね。それはまさに先ほどのディペックスになってくるんだろうと思いますね。 よくアメリカでは検診で早期がんが発見されると、コングラチュレーションズと言われ る。要するに、がんになっておめでとう。だけども、あなたのがんは治るんだよ。確か に早期の胃がんというのは100%の治癒率ですね。多分、早期がん全体でも9割近い治 癒率だと思うんですよ。ですから、それは本当にある意味ラッキーであって、そういう 事例も載せていただく必要があるかもしれません。  先ほど、天野さんから費用の話がでたんですが、これも非常に重要で、いつか事務局 側から出していただきましたが、検診の費用って安いですね。都道府県では、ただのと ころも結構ありますし、高くて1,000円未満のところが圧倒的に多いんですけれども、 それも案外知られていない。一方、韓国は、これは浅井さん、しつこくて申しわけない んですけれどもこのクーポンというのは、所得に応じてその充当率があるんですか。 ○浅井記者  これは保険、要するに日本でいうと保険診療で受けられる、要するに国がやっている 医療です。 ○中川座長  まず前提として、韓国の国のがん検診は、これは健康保険がカバーしていると。こ こは日本とは全く違うわけですね。 ○浅井記者  ですから、このクーポン券を持っていけば、高額の所得の人は2割負担です。低額所 得の人は全額無料で受けられるという形で。 ○中川座長  つまり、このクーポン券というのは、これを持っていけば保険でカバーしてくれる という、そういう券なんですね。 ○浅井記者  そうです。2割負担は、ことしから1割に減額になります。 ○中川座長  なるほど。祖父江さん、何かその辺ございますか。 ○祖父江参考人  保険でカバーしているというよりは、違う財源なんでしょうけれども、その保険の仕 組みを使っているということだと思います。 ○中川座長  なるほど、保険の仕組みを使っているということですね。 ○祖父江参考人  はい。それで、浅井さんが今言われたように半分の、ですから保険料を算定するのは 恐らく所得を把握している、その情報を使って低所得者のほうにはカバー率を高く高所 得者のほうにはカバー率を低くしていると。半分のほうは無料でやっていますし、来年 からは高所得者のほうもアウトポケット、実際自己負担額は10%のみに抑えるというふ うになっているということらしいです。 ○中川座長  なるほど。その仕組みは使っているし、多分その自己負担率は通常の病院で支払う のと同じような自己負担なんだけれども、残りの財源というのは、自己負担分以外と いうのは健康保険とは別な財源があるんだということなんですよね。なるほどね。そ れは、学ぶべき点は多いような気がしますね。  何か一般的な話として、これは言っておきたいぞと。 ○若尾委員  今、住民検診、安いというお話があったんですけれども、がんセンターの予検センタ ーの斎藤部長がやられている研究班で、杉並区でスタディーをやっているということな んですが、ただ安い、1,000円で受けられるというと、そんな安いんではどうせ質が悪 いだろうと思っている人もいるみたいなんですね。だから、必ずしも安ければいい、安 かろう悪かろうとどうしても思われてしまう、そういう感じ方をする方もいるんで、杉 並区でやっているのは、ただ単純に1,000円で受けられますというのと、もう一つ、幾 つかチラシをつくりまして、本来は1万1,000円のところを1,000円で受けられますとい うようなお得感を出すと、やりくりに生きがいを感じているような人たちは、さっきの クーポンではないですけれども、これは今受ければ1万円も得するんだと思って受診勧 奨になるんではないかというのを実際に今始めていて、そのレスポンスだけ見るとやは り総額を書いたほうがよかったと。これからもう少しすると実際の受診率も出るという ことですが、そういうような検討もされていて、だから先ほどの富山ではないですけれ ども、いろんな地区でいろんな工夫がされているので、そういうのをやっぱり集めて、 こういうチラシをつくってこういう進め方をするといいですよというのを皆さんに見え るような形に何かできないかというようなことを考えております。 ○中川座長  あと、ちょっと私が祖父江さんの話のときに触れましたが、がん検診受診率のとら え方の問題ですよね。これもなかなかこの場でそこまで議論するのは適切かどうかあ れですが、ぜひ事務局というか、がんセンターを含めてこの問題をどう考えていくか という、少なくとも議論をする必要はあるんだろうと思うんですよね。韓国と比べて、 いわゆる背番号制ではないし、ハンディがあるのはよく分かるんですが、しかしその 中でやはり相手の分からない闘いに臨むというのはよくないことなので、それはやっ ぱり考えていく必要があるんだろうなというふうに思います。  あとは、前回私が学校の中でがんの教育をしていく必要がある、例えば子宮頚がん、 恐らくこれが一番がん検診が有効ながんだと思うんですが、例えばアメリカだと85% ぐらいの女性が受けている。日本はこれが21%というような数字が出ていますね。特 にこの子宮頚がんの特徴はパピローマウイルスの関与、これは多くの場合、性交渉に 伴う感染と言われていますが、ですから年々若年化が問題になっていて、二十歳から 検診を受けるということを国が推奨をしているわけですね。ところが二十歳代の子宮 頚がん受診率というのは多分6%未満なんですね。これは圧倒的に少なくて、ですか ら、中学校3年生の女の子にとってはもう5年後、やらなきゃいけないんですよ。と ころが、やっぱりそんなことは全く教えられていない。この辺は文部科学省との問題 になってくるわけですが、やっぱりこの辺も無視できないと思っています。  特に、私の子供のころもそうだったんですが、これは衞藤さんの領域で余り私が立 ち入るのはあれかもしれませんが、私の経験あるいは私の子供なんかの経験だと、学 校における保健体育というのはほとんど体育な感じですね。保健の先生というのは実 は非常にいかついガテン系の先生が多くて、私のころは、たばこを吸っていたですよ。 どうも一部の資料を見ると保健の先生が一番たばこを吸う率が高い。そうすると、や っぱりがんのことというのはどうも後ろめたくなっちゃうでしょうかね。なかなかそ ういった保健体育に関わる部分というのも少し考えなきゃいけなくて、もちろんその 指導要綱はなかなかあれなんですが、やはり子供たちに義務教育が国ができる教育の 体系だと思いますから、その義務教育の中で特にぎりぎりの15歳、中学校3年生にや っぱり教育をする必要があると。これは個人的な、ドン・キホーテ的な考えなんです が、何らかの形で中学校3年生に全員にがんの本を配れないか、そういうキャンペー ンができないか。120万人、中学校3年生がいるんですね。1冊50円でつくれば、 6,000万円です。この予算を要求するつもりはありませんが、民間の活力などでそう いったキャンペーンができていったらいいなというふうに思っていまして、実際、前 回配った子供用のがんの本ですね、あれは一部からは、あんなのはちょっと昭和の薫 りが強過ぎて今の子供はあんなのは駄目だというんで、もう少し21世紀版を今、少し 考えているところです。  衞藤さん、学校の保健体育の在り方というのは議論されているんでしょうか。ちょ っと体のこと病気のことって、日本は教えていないような感じが少ししているんです が。 ○衞藤委員  前にも1回申し上げたかもしれませんけれども、ほぼ10年に1回、全ての教科の学習 指導要領というのは考えるチャンスがあって、今、小学校、中学校、高校を含めて、今 から数年後から実施される新学習指導要領が去年からことしにかけてどんどん出てきて いるということなんですね。中学校は今、その教科書をつくっている最中だと思います。 高等学校はことしの夏ぐらいからその製作に入るという、そういう時期です。もちろん ヒトパピローマウイルスのこととか、それも大事だということもよく私も存じています し、ただ、教育の大きな枠組みというのはやっぱり相当議論をされて枠をきっちりつく って進められていくので、特定の課題が出てきたときにそれをどういうふうに入れるか というのは少し工夫が必要です。指導要領の中にそれを入れるということになると、ほ ぼ10年先になってしまいますから、1つは今の教科書の中にそれを入れるようなことと いうのはまだ可能だと思うんですね。この指導要領の考え方もかなりきっちりとした、 ちょっとでも超えてもいけないしちょっとでも下回ってもいけないという、そういうか なり厳密な考え方の時代から、今は少し広がってきて、最低限教えることはこれだけ、 しかしもっと高度なことも教えられるというような広がりが出てきています。各教科書 会社も特徴を出せるというような部分も、もちろん検定ということもあるんですけれど も、あります。ただ、このことはやっぱりすごく簡単ではもちろんないんだけれども、 ある程度私は可能性があると思いますね。大きな意味で言えば、生活習慣病の予防とい う中で日々の生活のいろいろな注意すべきことを気をつけながら、がんの予防もすると いうような形では教えることは十分にその基盤は築かれておりますけれども、教科書だ けの問題ではなくてそれを教える側の力も必要ですし、あとは、そういった授業だけで はなくて保健室で養護教諭の先生が個別に指導したりとか、そういったことを全部体系 的に考えていく必要があるので、やはりこういった会議等からもどんどん情報を発信し て、今日も文部科学省の方もここに見えていますし、私たちもそういったことをよく知 っているんですけれども、あらゆる機会を使いながら、やっぱり、そこにどれだけ時間 を割けるかとかいうことはいろんな問題があるにしても、非常にこれから先の日本を背 負っていく子供たちにとっても自分自身の問題でもあるということですね。  というようなことで、そういった意識を形成していくということは、学校教育は非常 に有力な場になっていくだろうということを思っております。 ○山田委員  しかし、10年というのも結構大変な年月ですよね。これだけ、でも言っていて、あき らめないで言っていくということかもしれませんけれども、教科書を書き換えたりする ことというのはそんなに大変なことなんですかね。ちらっと1行ぐらい変えちゃえばい いのにとか、そういう安易なことでは。あるいは、教科書が無理であれば、例えばみん なが使うノートってありますよね。ノートをつくっているような文具の会社がそのノー トの裏のところに、病気って大変なんだよとか、日本はがんが多いんだよというような ことを漫画入りでぱっと書くとか、そういうほうが早いですよね。 ○中川座長  僕、そういうことを考えているんですよ。 ○山田委員  学習帳みたいな。 ○衞藤委員  教育というのはやっぱり大きな国家的な事業ですので、小回りがきく部分ときかない 部分があって、小回りのきくところではいろいろそういう副教材をつくってやるという 手がいっぱいあると思いますし、教科書というのはやっぱり小回りがきかない部分です ね。でも、やっぱりいつかは変えていかなくちゃいけないから、やっぱり手がたくやっ ていくしかないと思います。 ○中川座長  ちょっと時間が、私の不手際で押しておりまして、事務局のほうから資料2と3と、 これをご説明お願いします。 ○前田がん対策推進室長  では、資料の44ページの資料2でございます。  「がん検診受診率50%達成」に向けた受診勧奨事業に係るキャッチフレーズ等の募集 について(案)という資料でございますが、がん対策推進基本計画における受診率の5 年以内の50%以上の個別目標の達成ということと、あと平成21年度から国・自治体・企 業・検診機関・患者団体等が一体となったがん検診受診率向上のための広報の全国展開、 こちらにつきましてはがん対策推進協議会、及び厚生労働省のがん対策推進本部におき ましても進めるという方針で決まったところでございます。そして、その受診勧奨事業 を効果的に展開するために国の主導の下、全国の関係機関及び関係団体が明確かつ共通 のキャッチフレーズの下に統一的な事業を展開することが重要と考えてございまして、 一般国民に対するがん検診の必要性を正しく認知され行動を促すようなキャッチフレー ズの公募というものを行っていきたいというふうに考えてございます。  現在、募集事項として、キャッチフレーズ、イメージキャラクター、ロゴ、そういっ たものを考えてございます。  この内容につきましては、先月開催されましたがん対策推進協議会においてもご報告 いたしましたし、本日のこの啓発懇談会でも報告をさせていただいたところでございま す。4月に入りまして30日間程度インターネット等によるキャッチフレーズ等の募集を 行いたいというふうに考えてございます。そして次回の普及啓発懇談会におきまして、 そのキャッチフレーズ等についてのご意見、評価をいただければというふうに考えてご ざいます。そして、その後、第10回のがん対策推進協議会でその決定、公表というもの を行っていく予定で考えているところでございます。  そちらが資料2でございます。  資料3でございますが、各座席の机上にはこちらでもお配りしてございますが、『厚 生労働』、月刊で出しております66ページぐらいの冊子でございますが、そのうち21ペ ージを割いて、巻頭カラーで、がん対策について掲載してございます。厚生労働省とし ても、広報の観点からも、がん対策について熱心に進めていてございます。  それからもう一点、追加配布資料ということで、1枚配布してございます。先ほども 予算の話が出てございますが、前回の12月26日の普及啓発懇談会でも21年度の予算案に ついてご説明申し上げましたが、そこの中で漏れていた部分というか、その後はっきり してきた部分が1点ございます。この追加配布資料の一番下の行でございますが、がん 検診事業、これは市町村で行う場合には地方交付税措置ということでございまして、使 用目的が特定されていないんですが、がん検診として概ねこれぐらい使ってくださいと いうふうな総務省から出される予算がございます。その中に今年度が649億円というふ うな地方交付税措置でございましたが、来年度、平成21年度はその倍の1,300億円程度 が地方交付税措置をされるという予算案になっているところでございます。先ほどもご 指摘がございましたようながん検診のための通知ですとか、がん検診の実施ですとか、 あとはがん検診に受けに来られる方の自己負担を安くするとか、そういったものにこう いった予算が使われるということを期待してございます。各都道府県に対しましては、 この地方交付税措置が倍増にされたということを通知いたしまして、そして各管内の市 町村に対するがん検診の充実、そして検診機会の増、そういったものについての要請を しているところでございます。  事務局からは以上でございます。 ○中川座長  ありがとうございました。  今の事務局からの説明、資料2と資料3について、委員の皆さん、あるいはフロア の方々からご意見。 ○山田委員  ないです。 ○中川座長  ないんですか。時間は、いいですか。このままだと、あと10分ぐらい。 ○山田委員  定額給付金も惜しかったなと思って。そういうふうに配ったりするときに全部がんの 検診1回ただですよとか、そうしたほうがよかったなと余計なことを考えていました、 すみません。 ○中川座長  加納さん、桃太郎旗、あれは今日お出しにならなかったんですね。何で桃太郎なんで すか。桃太郎って富山ではないですよね。 ○山田委員  富山はチューリップですよね。 ○加納参考人  戻って勉強してまいります。 ○中川座長  ぜひ、次回またちょっと、旗……。 ○塩見委員  それはピンクリボンなんでしょう。やっぱりピンクリボンにかかわる、ピンクだから 桃なんでしょうね。 ○中川座長  普通の人はそう思わないでしょうな。桃太郎はピンクだなんて。 ○山田委員  でも、そういうキャラって必要なんですよ、何かね。あら、かわいいわ、目につくわ とか、そういう。 ○中川座長  それはそうなんですよ。やっぱり今後、これは難事業ですよ。本当に検診率50%は並 大抵のことではない。ですからやっぱり日本国として、これはやっぱり錦の御旗を立て る、そして国を代表する方が私も受けるから皆さんも受けなさいと言っていただく。そ のときに、やっぱりイメージキャラクターというんですか、そういうものと、そしてキ ャッチフレーズと、これは非常に大事なので、委員の皆さんあるいはフロアの方からど んどん提案いただいて。  それともう一つ、地方交付税の倍増。これは地方から見てどうですか。加納さん、ど んな感想なり、こう使ってやろうとか。 ○加納参考人  こう使ってやろうも何も、とにかくありがたいの一言で、厚生労働省の担当の方のご 苦労が本当にしのばれるというのが私の実感でございます。 ○中川座長  審議官、室長、よかったですね。褒めていただいて。余りそういうことを聞くことも ない昨今ですので。 ○永江委員  ただ、富山みたいに実際にやっているからそういう声なのかなと思います。やっぱり お金があっても、本当にそれをそれに使わせる仕組みがない とですね。 ○中川座長  そうなんですね。 ○永江委員  そこが重要です。 ○中川座長  地方交付税、がん検診に向けたものとしても、それをがん検診に使う直接的な義務が ないですよね。したがって、これがやはり正しくがん検診に使われるような世論ですよ ね。そのやっぱりパイロットが我々だと思うので、そこをモニターするような仕組み、 これは協議会の中ですべきかもしれませんが、何らかのを。そして、せっかくついた予 算が適切に使われないと、またこれは継続性の問題もあるので、ぜひここは考えていく 必要があろうと思います。  どうぞ。 ○天野委員  先ほど若尾さんからせっかくこうやって好事例を集めているのであるから、これを広 く提示していこうということがご提案があったかと思うんですが、それに加えて、今回 予算措置が倍増になったということにも関連するんですが、もし可能であれば、そうい った好事例を集めた取組をモデル事業という形で特定の地区で、まずはやってみるとい うことも必要かと感じました。 ○山田委員  そうですよね、どこか何かピンポイントで、よし、今回は例えば滋賀でいってみよう とか、分からないですけれども、東京でいってみようかとか、それでこのメンバーでが あっと行くというのもあるかも分からないですよね。 ○中川座長  例えば、さっき僕が言った中学校3年生に21世紀版の子供のがんの副読本、これは 120万冊すぐに刷れませんよ。ですから、例えばどこか、岡山市とかね。桃太郎ですか らね。岡山市で、ああいうところで、岡山市だったらもうちょっと少ないんだろうから。 でも、その好事例を積み重ねていってそこに全国がついてくる。これが均てん化の発想 ですよね。ですから、がん検診もやっぱりこの均てん化、がん検診における均てん化と いうのは非常に重要だと思いますよ。ですからモデル事業を大いに。だから、地方から そういうのろしが上がるといいですよね。錦の御旗が立ったんだから、これは地方から、 いろんなところからのろしが上がると、こういう循環をつくっていく必要があるんでは ないかなというふうに思います。  さて、若尾さんから提出資料がありますね。これをちょっと、簡単にご説明。ちょっ と時間もあれなので。 ○若尾委員  資料の58ページ、59ページをご覧になってください。先ほど山田さんからもアナウン スしていただいたんですけれども、山田さんのすてきな歌声をもっと多くの方に聞いて いただきたいということで、国立がんセンターがん対策情報センターが主催しています 「市民向けがん情報講演会」にスター混成合唱団の皆様に来ていただいてミニコンサー トを開いて、それと同時に「あなたをささえる応援団」というテーマで今、家族を応援、 支えていただく、あるいは拠点病院相談支援センター、あるいは様々な情報サービス、 そういう支えるものがあるんだということをより多くの方に知っていただこうという目 的で講演会を開きます。3月28日です。  会場は東京築地がメーン会場なんですが、59ページのほうの下のほうに書いてありま すが、テレビ会議システムを使いまして、全国15カ所に中継するような形で、東京は今 いっぱい人が集まっているんですけれども、地方のほうがなかなか人が集まりませんの で、ぜひ、これを全国でやっていますということを皆様方にお知らせさせていただきた いと思います。よろしくお願いいたします。  まだ、地方につきましては予約なしでいきなり3月28日に行っていただいて、聞いて いただけるような状況になっておりますので、ぜひ皆様お誘い合わせの上、あるいは地 方の方にもお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○中川座長  ありがとうございました。僕はこういうイベント、あるいは試みが中央で進んで、 そのことが、これは錦の御旗ですよね、これにやっぱり地方がすぐこたえられるとい うふうな形になってこないと、なかなかがん検診の受診率は上がらない。ですから、 こういうのは試金石なんですよね。ですので、中央と地方とで、このチャンネルをつ くっていく、そのよい練習台になるんではないかなというふうに思いますね。富山で も、ぜひよろしくお願いします。  あとはあれですね。資料3はすごく、僕は今見ていたんですけれども、よく書いて あって、しかも後半は啓発懇談会のことも随分取り上げられていて、ほとんど関谷さ んの顔だらけという、これがまた……。 ○関谷委員  すみません、こんなに写真を使っていただけるとは思えなくて、髪もぼさぼさでとい う感じなんですけれども。 ○中川座長  ありがとうございます。  ちょっと時間が押しておりますが、今日の懇談会はとりあえずこれまでとして、最後 に事務局のほうから連絡事項等、お願いできればと思いますが。 ○前田がん対策推進室長  本日ご議論いただきました内容につきましては、議事録を作成いたしまして厚生労働 省ホームページ上にて公開することといたしてございます。議事録の案ができましたら、 委員の皆様にご確認をお願いいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。  また、次回の開催につきましては、会議の時間を3時間とし、5月中旬ごろの開催を 目指したいと思いますので、シンポジウムで事例発表をしていただくのにふさわしい方 がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡いただければと存じます。開催の日取りに つきましては、できれば本日お決めいただきますとありがたいのですが、中川座長、い かがでございましょうか。 ○中川座長  今、各委員の皆さんからご都合を伺ったんですが、山田さんがちょっとあれですね。 太田プロの、まだ分からないということなんですが。  あと、兼坂さんのほうは聞かれていますか。これは、兼坂さんのご都合はオーケー なんですね。そうしますと、山田さん以外のご都合が一番合うのは5月22日金曜日の 15時、午後3時から3時間になると、午後6時までですね。一応、これを仮押さえと いう形で、何とか3時間。これはあれですね、先ほどのキャッチフレーズやロゴに関 する議論も一応含めるということで、何とか山田さん、これでお願いできませんか。 ○山田委員  はい。 ○中川座長  山田さんがはいと言っていただきますので、仮押さえがかなり「仮」が取れる感じに なってきました。  次回も今回と同様に前半では事例をお話しいただいて、本当は加納さん辺りからほか の県でまたおもしろい取組があるというようなことをご推薦していただくとありがたい んですね。また後半ではこういう議論をしながら、ロゴ、キャッチフレーズについても 議論していきたいと思います。  それでは、私の不手際で10分ほど延長いたしましたが、でも、これぐらい話ができる 感じが本当は望ましいんだろうと思っています。  長時間、皆さんありがとうございました。どうもありがとうございます。 (了) 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室                末政(内線2946)