09/02/20 第3回麻しん対策推進会議議事録             第3回麻しん対策推進会議                         日時:平成21年2月20日(金)10:00〜12:15             場所:厚生労働省中央合同庁舎5号館共用第7会議室(5階) ○山田課長補佐 定刻になりましたので、これより「第3回麻しん対策推進会議」を開会 いたします。本日は御多用のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。  最初に出席者の紹介をさせていただきます。  まず、委員の方々より御紹介いたします。  飯沼雅朗様。社団法人日本医師会常任理事でございます。  今井達男様。武田薬品株式会社医薬営業本部グループマネージャーでございます。  衞藤隆様。東京大学大学院教育学研究科教授でございます。  岡部信彦様。国立感染症研究所感染症情報センター長でございます。  荊尾玲子様。島根県奥出雲町立三沢小学校教頭でございます。  本日、座長をお願いしております加藤達夫様。国立成育医療センター総長でございます。  玉城千春様。Kiroroのお一人でございます。  佐藤恭信様。東京都島しょ保健所長でございます。  田代眞人様。国立感染症研究所ウイルス第三部長でございます。  畑秀二様。SSPE青空の会副会長の方でございます。  福田仁史様。財団法人阪大微生物病研究会東京事務所長でございます。  前田秀雄様。東京都健康安全研究センター所長でございます。  続きまして、今回、各地方自治体の取組みを紹介するために、参考人として参加いただ いております方々を御紹介させていただきます。  まず、橋本剛太郎様。福井県小児科医会予防接種委員会委員長でございます。  中井信也様。神奈川県保健福祉部健康増進課技幹でございます。  大浜悦子様。横浜市保健所長でございます。  佐藤功様。大阪府健康福祉部地域保健感染症課、総括主査でございます。  島田智恵様。国立感染症研究所感染症情報センター研究員でございます。  山本久美様。国立感染症研究所感染症情報センター研究員でございます。  砂川富正様。同じく感染症情報センターの主任研究官でございます。  この島田様、山本様、砂川様におかれましては、麻しん対策技術支援チームの一員でご ざいます。  それでは、開会に当たりまして、梅田結核感染症課長よりあいさつを申し上げます。 ○梅田結核感染症課長 おはようございます。本来ならば、上田健康局長からごあいさつ 申し上げるところでございますが、本日、国会用務のために、残念ながら、局長はこの会 議に参加がかないませんので、替わりまして、私の方から一言、御挨拶を申し上げたいと 思います。  委員の先生方には、本会議の第3回開催に当たりまして御多用にもかかわらず、御出席 いただきまして、大変、ありがとうございます。麻しん対策につきましては、国の基本施 策である「麻しんに関する特定感染症予防指針」が策定されまして、平成24年度までの国 内からの麻しんの排除を目標に、本年度より体制が動き出し、間もなく1年が経過しよう としているところでございます。  麻しん対策の根幹ともいうべき予防接種でございますが、特に昨年の流行を踏まえ、若 年層への流行防止のために導入された第3期、第4期の接種につきましては、麻しん排除 を達成するための目標である予防接種率95%の達成にはまだ及んでいないという、危ぶま れる状況になっております。  国民の皆様には、麻しん排除に向けて必要な予防接種の摂取率達成に向けて御協力いた だけるよう、お願いしているところであり、また各自治体などにおきましても対策につき 御尽力いただいているところではございますが、現状に目を向ければ、関係者間における より一層の努力が必要な点があろうかと思っております。  麻しん対策の確実な推進のためには、本会議の役割である施策の実施状況の把握、成果 の評価、分析、必要に応じた修正等を実施することが必要であり、それにより状況の改善 が期待されるところでございます。  また、麻しん対策における各自治体の取組みを御紹介いただき、本会議において共有し ておくことが現状の把握において重要なことであると考えております。  我が国の麻しん排除に向け、現在の麻しんの予防接種の実情を踏まえ、本日は各委員の 先生方から活発な御議論をいただけますことを期待いたしまして、開会のごあいさつとさ せていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 カメラをお持ちの方につきましては、撮影をここまでとさせていただき ますので、御了承いただきたいと思います。第1回、第2回に続きまして、今回も事務局 として文部科学省より参加いただいておりますので、御紹介いたします。スポーツ・青少 年局、学校健康教育課、高山専門官でございます。 ○高山専門官 高山でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 この後の議事の進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じま す。加藤座長、よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 おはようございます。それでは、本日の議事を進めさせていただきます。ま ず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○山田課長補佐 はい。それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認を させていただきます。  資料1「麻しん対策推進会議名簿」でございます。  資料2「2008年度第2期・第3期・第4期麻しん風しんワクチン接種率(4月1日〜12 月31日接種状況評価結果)」でございます。  資料3「平成20年及び平成21年の麻しんの発生状況」でございます。  資料4「2008年9月末現在の自治体種、人口規模別にみた接種率と接種率上昇に向けた 各自治体の取り組みに関して」という資料が付いております。  資料5「福井県のMR接種率向上への取り組み」でございます。  資料6−1「神奈川県における麻しん対策について」。  資料6−2「横浜市における麻しん対策について」。  資料6−3「大阪府における麻しん対策について」でございます。  資料7「麻しん風しんの第2期・第3期・第4期の予防接種における未接種者に対する 積極的な勧奨等について(依頼)」でございます。  資料8「全国主要大学における麻しんに対する取り組み状況に関する調査報告書(暫定 版)」となっております。  資料9「麻しん・風しん(MR)混合ワクチンの接種効果・安全性・接種率に関する研 究〜最終年度・中間報告〜」でございます。  資料10「CMの効果から見た今後の麻しん地域運動の戦略」でございます。  資料11−1「子ども予防接種週間の」実施について」。  資料11−2「麻しんの検査診断体制の整備について」。  資料11−3「IASR<特集>麻疹2008年」でございます。  以上でございます。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。 ○加藤座長 よろしゅうございましょうか。  本日の麻しん対策推進会議は平成19年12月28日に公布されました「麻しんに関する 特定感染症予防指針」に基づきまして、平成24年までに麻しんを排除し、かつその後も排 除状態を維持することを目標といたしまして、国、県、市、区、町、村が実施しておりま す各種の施策について、進捗状況を確認いたしまして、有効に機能しているかどうかとい う評価を行いまして、今後の施策に反映することを目的としておるところでございます。  本日は、今、資料でも示されましたとおり、議題がかなりたくさんございますので、ま ず、関係各者からの報告をまとめて行っていただきまして、それを踏まえまして、委員の 皆様には現在の対策の進捗状況について御確認をいただいた後、議題8において御意見を 伺うことといたしたいと存じます。御協力をお願いいたします。活発な御議論を期待いた しておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、最初の議題となっております「平成20年度及び平成21年度の麻しんの発生 状況」に関しまして、麻しん対策技術支援チームの国立感染症研究所情報センターの島田 先生から、御説明をお願いいたします。 ○島田研究員 よろしくお願いいたします。平成20年、平成21年の麻しんの発生状況に ついて御報告申し上げます。まず、平成20年、2008年の状況から申し上げます。この年 の1月から全数報告となったわけですが、年明けから報告数が急増し、主に、特に2月か ら3月の時期には毎週500例前後の報告がある状況でした。  後で申し上げますが、流行の中心というか、主に中学生、高校生の年代が主な患者さん であったために、学校の活動を合わせますとこのようになりまして、3学期が始まった以 降、急増、春期休暇になったら少し減少、新学期が始まったら、また増加に転じるような 状況でした。  ゴールデンウイーク以降、2007年には患者の急増が見られましたが、2008年はそういう ことはなく、ゴールデンウイーク以降は減少という方向になりました。昨年の1学期、4 月から7月までの1学期の間に休校や学年閉鎖を行った学校は、計123例、事例が報告さ れました。  これは主に年齢を見ていただきたいのですが、横のx軸が年齢になります。ごらんのよ うに、0〜1歳、また13〜18歳の年代にピークを認めております。特に中学生、高校生に 相当する年代が約40%を占めました。この年代に対しては2008年4月以降、3期、4期 の定期接種が行われますので、今後、患者数の減少が期待されるところです。  全体の接種歴別で見ると、5割弱が接種歴のない患者さんでした。  都道府県別に麻しんの報告数を見たグラフです。ごらんのように、北海道、あとは神奈 川県を中心とした南関東の都道府県、また大阪を中心とした関西圏、福岡県が特に目立つ 報告数でありました。  これを人口100万対にしますと、前に述べた4つの都道府県の地域、または都道府県以 外にも中学校、小学校などで流行が見られた秋田県、大分県、熊本県でも高い報告数であ ったことがわかります。  合併症について申し上げますと、最も重い合併症の一つである脳炎に関しては、昨年、 9例、報告がありました。その中で転帰がわかっているものについては、一番右の欄に記 入しています。全部、この報告のあったのは10代以降の年代でしたが、20代のこの患者 さんは高次脳機能障害を永続的に残すことになりました。  肺炎の合併症についてですが、脳炎とは対照的に5歳未満の子どもたちが約半数を占め ております。  病型別の累積報告数ですが、検査診断例は4割弱にとどまっておりました。  その検査診断例の中の約9割近くはIgMで診断されたものですが、そのうちの264例 についてはウイルスの分離・検出がなされました。昨年においては合計22の都道府県で、 都道府県、27の地方衛生研究所からウイルスの型について報告がありました。この中で、 型が判明したのが188例で、その9割近くはD5ということでした。  今年の状況についてです。スケールが昨年のものとは違いますが、第6週、2月の第1 週になりますが、第6週までに合計94例の報告があります。これを昨年と比較したのがこ のグラフになりますけれども、やはり、一目瞭然というか、激減している状況ではありま す。ところが、今年に入っては一つの都道府県当たり、週に1例とか3例などの報告数で すが、検査診断例は昨年と同じように約4割にとどまっている状況です。  これまでの年齢別ですけれども、現在のところは10歳未満の年齢層が約半数を占めてお ります。  まとめますと、昨年は合計で1万1,000例以上の報告がありました。その中で中高生の 年代が中心であったために、学校や学級閉鎖等が123例報告され、教育現場への影響も少 なくなかったと思われます。また、脳炎の事例も9例報告されました。  診断方法については、検査診断例がまだ4割にとどまっている状況でありました。  以上です。ありがとうございました。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、2番目の議題でございます。予防接種率調査等につきまして、事務局から 資料3についてです。よろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 申し訳ございません。お手元の資料2でございます。 ○加藤座長 資料2ですね。資料2でございますね。はい。 ○山田課長補佐 御説明をさせていただきます。  昨年9月末に引き続きまして、12月末時点での接種率について、都道府県を通じて調査 をさせていただいたものを資料とさせていただいております。あらかじめお断りをさせて いただきますが、今回の調査の締切りを本年1月末とさせていただきましたところ、愛知 県、大阪府、岡山県、高知県につきましては一部の市町村において集計の都合上、12月末 の数字が確定できなかったことから、暫定値となっていることを申し添えさせていただき ます。  まず、最初に2期でございますが、これは小学校入学前1年間の間に接種を済ませてお く必要があるものですが、福井県が79.8%となっており、宮崎県が57.5%になっておりま す。  1枚おめくりいただきますと、下の方に全国平均が示されておりまして、66.4%となっ ております。  1枚おめくりいただきますと、昨年9月末から12月末までどれくらい接種が進んだのか という比較表を付けさせていただいております。全国平均で2期は15.2ポイントの増とな っております。  もう一枚おめくりいただきますと、第3期でございます。これは中学校1年生相当の年 齢を対象としております。福井県が87.7%となっており、大阪府が55.2%となっておりま す。  1枚おめくりいただきますと、全国平均66.1%となっております。  もう一枚おめくりいただきますと、9月と12月の比較表でございますが、第3期は全国 平均で9.7%の増加となっております。  もう一枚おめくりいただきまして、これは高校3年生相当の年齢を対象としております。 福井県が81.4%、東京都が40.7%になっております。  一枚、おめくりいただきますと、全国平均が示されておりまして、58.1%となっており ます。  もう一枚おめくりいただきますと、これも比較表となっておりまして、第4期は全国平 均で10.5ポイントの増加となっております。  1枚おめくりいただきますと、政令指定都市の表を付けさせていただいております。2 期、3期、4期とございますが、政令指定都市、広島県、2期については広島県が78.9%、 大阪市が52.6%、3期につきましては浜松市が80.4%、川崎市が48.0%で、平均が61.0%。 2期は62.4%ですが、3期は61.0%になっております。  もう一枚おめくりいただきますと、4期の政令都市でございますが、浜松市の79.7%、 川崎市の36.5%になりまして、政令指定都市の平均が51.2%となります。  もう一枚おめくりいただきますと、特別区の表も付けさせていただいております。2期 につきまして練馬区は75.8%、港区が46.4%、特別区の2期の平均が63.2%となっており ます。  第3期でございますが、葛飾区が68.4%、港区が44.0%。3期の平均でございますが、 54.0%となっております。  もう一枚おめくりいただきますと、第4期、千代田区が47.2%、足立区が31.0%。特別 区の平均、第4期でございますが、39.3%になっております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、第3番目の議題でございます。自治体の麻しん対策の状況につきまして、 47市町村の取組状況につきまして、国立感染症研究所情報センターの山本先生に御説明い ただきまして、続いて、接種率が高い地域の取組みの紹介として福井県小児科医会の橋本 先生、次にはしかの対策の推進のための課題について、より具体的な議論をしていただく ために、自治体の取組例といたしまして神奈川県、横浜市、大阪市より続けて御発表をい ただきます。  まず、山本先生からお願いいたします。 ○山本研究員 山本でございます。よろしくお願いいたします。  私の方からは前回の調査です。9月末の接種率におきまして、それぞれ、自治体の約1,800 市町村がありますけれども、その約1,800ある市町村を政令市、中核市などの自治体種別、 及び接種対象人口別にそれぞれ分けまして、それぞれ、上から並べまして、上の2つと下 の2つということで抽出いたしまして、そちらに、一体、どんなことをやって接種率を上 げたのか、あるいはなかなか伸び悩んでいるのかということに関して、電話によるインタ ビュー調査を行いました。  調査に御協力いただいた自治体はごらんの47の市町村でありまして、第3期、第4期に 分けると、このようになっております。  特に接種率が上位の2つに入っておりました市町村の中で、第3期に関しましては13 の市町に関しての調査でありましたけれども、効果的であったポイントといたしましては、 前年度末、あるいは年度始め早々の個別通知を実施した。あとは13市町中、10の市町に おきまして集団の場を用いた接種を併用しておりました。  第3期は中学1年生ということで、接種の場としては10市町すべてが学校で行われてい たということです。接種漏れ者に対しては、もう個別の対応で、その後、接種を徹底した ということでありました。  勿論、個別接種のみで対応している自治体もございまして、それらはまず自治体が未接 種者を把握する、そして未接種者にターゲットを絞った個別の勧奨を繰り返し実施してい るということがありました。  こういったところでは、学校からも積極的に複数回の勧奨がなされていたということを 聞きました。学校との十分な連携も大きなポイントだということで、未接種者の把握がで きない自治体もございましたけれども、未接種者の把握ができない自治体も学校との十分 な連携で対処していたということがわかりました。  次に第4期ですけれども、効果的であったポイントとして、15の市町村になりますが、 第4期は主に個別接種での対応をしておりました。個別接種で、まず自治体としては未接 種者を把握する。そして未接種者にターゲットを絞って、繰り返し、個別の勧奨を行う。 一方、未接種者の把握ができないような自治体でも、学校との連携で対処したというとこ ろがありまして、学校からも繰り返しの勧奨と確認がなされていたということが挙げられ ました。  学校との十分な連携ということで例を挙げますと、第4期は高校3年生ですので、受け やすいタイミングということで夏休み前、冬休み前、スポーツイベントのときに合わせて、 タイミングを逃さない通知を実施した。一つ、上越市さんの例ですけれども、市と学校が 通知のタイミングを同期させて、同時にお手紙を出す。そうすると、受け手側には学校の 方と行政の方から2つ、お手紙が届くことになりますが、そのタイミングで一緒にお手紙 を出した。  それと接種医療機関が土日を開ける、あるいは夕方の診療期間を若干拡大して待機する ということで、まさに行政と学校と医師会が連携をして取り組んでいたということがあり ました。  もう一つ、非常に興味深かったのは、短期集中型といいましょうか、短期集中型の接種 として、接種期間を限定した。例えば4月から6月のみ、あるいは夏休み期間中のみ、日 程を指定したということで、「そこしかやりませんよ」という情報を徹底的に出した。そ ういったところで第4期の高校3年生においては「そのときしか受けられないと思って、 接種率がぐっと上がりました」という声も聞かれました。  集団の場を用いた接種を併用しているところが4市町ございまして、こちらは接種の場 は保健所、保健センターが2、医療機関が1、学校が1という結果でした。  逆に伸び悩んでいる自治体さんにおきまして、では何が困難であるのかというポイント に関してお聞きしたところ、まず、4つの市において台帳が未整備であるというところで 未接種者の把握ができない。あとは繰り返しの個別通知を予定していない。これは財政上、 あるいは人員上の問題で不可能であるということもありましたけれども、担当者が必要と 感じていないというところもございました。  つまり、市町村担当者の認識不足である、明らかに認識不足であると思われるところが 2つございました。  あと、最も多かった16の市町で学校との連携が不足、あるいは困難ということが挙げら れておりました。これは昨年出しました『学校における麻しん対策ガイドライン』が学校 側において遵守されていない、あるいは「予防接種は保健行政の仕事であるという学校側 の意識が非常に強くて、なかなか連携ができないのです」という意見も聞かれました。あ とは、市町村の担当者が学校との連携の必要性を感じていないというところもございまし た。  都内6市町に電話をしたときに、非常に興味深い困難であるポイントとして特徴的だと 思われたことがございまして、特に都内の6市町におきましては、第4期の対象者に対し て、高校、学校に対する市町村からのアプローチが全くされていないということがありま した。これは第4期における学校との連携を市町が、自治体側が積極的に検討していない。 これは検討していないというよりも、検討できないという現実があるということでした。  これは東京都の場合は高校3年生、都立高校と私立高校が約半分ずつございまして、住 民の高校が余りにも多岐にわたり過ぎて、対応が不可能である。学校側も生徒の住所地が 多岐にわたるため、住所地ごとの対応が不可能であるということで検討できないというこ とが挙げられておりました。  あとは都の教育庁、あるいは私学の監督部署と市町村間での情報共有・連携がないとい った問題もあるかと思われました。  つまり、東京都の第4期に関しては、市町村、特別区と学校側の連携を望むよりも、そ れぞれがそれぞれの立場でできる最大限の努力をすることが必要なのではないかと考えら れました。これは大都市圏におきましては、同様の傾向が予想されるのではないかと考え ているところです。  まとめますと、市町村の実情はまさに千差万別です。ただ、接種率が高い自治体は実情 に合わせてさまざまな工夫を凝らして、関係部署が非常によく連携しているということが 考えられました。つまり、自治体としましては個別通知をまず最初に、早々に行う。そし て未接種者を把握して、未接種者にターゲットを絞った繰り返しの勧奨を実施する。この ときの繰り返しの勧奨は、やはり可能な限り顔の見える勧奨を行うことが望ましいと考え ます。  学校はその顔の見える確認、勧奨の実施場所としては非常によい場所と考えられまして、 これは学校における麻しんの流行の抑制に直結するのだということの再認識をすることが 必要かと考えます。つまり、地域の実情に合わせて、最大限、実施可能な対応を実情に応 じて講じることが必要だと考えられました。以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。それでは、福井県、お願いいたします。 ○橋本参考人 橋本でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、次のスライドを。  これは福井県のMR接種率の一覧表でございますけれども、MR2期も3期も4期も、 比較的、高い接種率を達成しております。また、MR1期は2歳児の接種済率は県内すべ ての市町で95%以上を達成しております。  接種方法は原則として個別接種です。例外的にMR3期では17市町のうち4市町が集団 接種を採用しております。このように、福井県の成績は個別接種であっても十分高い接種 率が達成できるということを示していると思います。  では、接種率を上げるための取組みについて、越前市の2006年度のMR2期を例に取っ て振り返ってみます。接種開始から3月末まで、月ごとの接種者数には変動があります。 さまざまな取組みが接種者数にどのような影響を及ぼしたかを検討してみますと、接種が 始まった7月に、新聞でも大きく報道されましたので、そのおかげで接種者数が上がるか と思ったのですが、全く関係はない数字でありまして、結局、9月の段階で30%にしか達 しておりませんでしたので、私どももいささか慌てまして、10月の就学時健診のときに、 校医などから未接種者に対して勧奨していただいたり、あるいはチラシを配布したりしま した。この月は接種数が増えましたけれども、それでも接種率は55%でした。その後、も う一度、新聞で特集をしてもらったり、市の広報で、あるいは保育園でチラシを配布した りしましたけれども、余り効果はなくて、1月の時点では70%であったわけです。そこで 2月と3月に未接種者に対してダイレクトメールを送るなどして、個別に勧奨しましたと ころ、ようやく90%に達したという状況であったわけです。  接種率を上げるためにどのような方法が有効であったかを振り返ってみますと、新聞記 事とかチラシなどの不特定多数への呼びかけは大切ではありますけれども、余り有効では ありませんでした。これに対して就学時健診のときとか、あるいはダイレクトメールなど で、未接種者に直接勧奨することが有効であったということがわかります。  この結論は、第2回のこの会議で新潟市の方が御発表になった御意見と一致しておりま す。  お父さんやお母さんの予防接種に対するスタンスを「積極的に受ける人」から「受け身 な人」まで図示できるとしましたら、恐らく、こういう正規分布のような形になると思い ますが、左側に分布するような積極的な人たちはお知らせだけでも受けてくれるでしょう から、60%、70%の接種率はそれほど苦労をしなくても達成できると思います。しかし、 90%以上を目指すとなりますと、右側の受け身な人たちへの働きかけが必要になります。 この人たちに対しては不特定多数に対する呼びかけは効果がありませんので、未接種者を 特定して、個別に勧奨することが必要になるわけです。  つまり、高い接種率を達成するには未接種者に直接勧奨することが重要で、そのために は未接種者をいつでも容易に把握できる体制が必要になります。そして、そのためには予 防接種台帳を整備してきちんと介入することが求められるということになります。  ちょっと、ここで話題を広げまして、すべての定期予防接種の接種率についてお話をし たいと思います。福井県では6年前から県小児科医会の事業として、すべての市町で予防 接種台帳に基づく予防接種率調査を続けております。  どういう調査方法かと申しますと、次のこの細かい図はある種の予防接種台帳のコンピ ューター画面ですけれども、例えば福井花子さんという人のデータを呼び出しますと、住 所や生年月日などとともにいろいろな予防接種を実施した年月日、ロット番号、接種医師 名などがすべて出て、表示されます。それで、どれが未接種かということがすべてわかり ます。  このデータがきちんと更新されてさえいれば、後はこれを集計するだけでありまして、 年齢別とかワクチン別に集計をするわけです。そういたしますと、次のスライドで大変細 かい表でありますけれども、こういう表ができ上がります。  縦の欄には年齢別の人口が示してありまして、0歳児の住民数は760、などとなりま す。横には「BCG」「三種混合」「麻しん」という欄がつくってありますけれども、要 するに、例えば2歳児は757人いて、そのうちBCGを済ませているのは743人で、接種 率は98%といったことが正確にわかるわけです。  DPTの部分をグラフにしてみますと、1歳児、90%以上が1期初回を済ませています けれども、追加接種はまだ18%。これはある程度、当然ですけれども、2歳児ではこれが 71%、3歳児では85%と上昇していきますけれども、しかし、6歳児のところで追加接種 は92%止まりで、つまり、残念ながら10人に1人がDPTを完了しないまま入学してい るという様子がわかりまして、これはこれで、今後、取り組むべき課題が明らかになって くるというわけであります。  麻しんの場合は、2歳以上のすべての年齢層でほぼ95%に達していることがわかりまし て、少なくとも、この5年、10年の間、95%の接種率を続けてきた、だから、この年齢層 では恐らく麻しんの流行は起こらないということが予想されるわけであります。  このように、予防接種台帳を整備して、きちんと管理をしていれば正確な予防接種済率 が容易にわかります。福井県では全市町で2003年以来、この調査を毎年続けております。  このような予防接種台帳の管理はどこの市町村でも、当然、やっていることのように思 われるかもしれません。『予防接種実施要領』の一番最初に「予防接種台帳を作成して管 理するように」と指示されているくらいですから、遵守されているはずですけれども、実 際には予防接種台帳がなかったり、あっても管理が不十分という市町村は少なくないよう であります。  まして、県内すべての市町村で整備しているというところは、残念ながら、余り多くな いのではないでしょうか。  先ほどの一覧表に戻ります。この中の麻しんの欄を取り出して、ちょっと拡大してみま すと、2歳児は757人いて、そのうち730人が麻しんはもう終わっている。ということは、 27人が未接種であって、しかも、それはどこのだれかということまでわかるわけです。コ ンピューターを操作すれば、未接種者の住所、氏名の一覧表が出てくるというわけであり ます。これが最も重要な点であります。  つまり、予防接種台帳を整備して管理することによって、正確な予防接種済率がわかる だけではなくて、未接種者を容易に把握することができるので、直接、勧奨することが可 能になって、その結果、高い接種率が得られるというわけです。  このような福井県方式、これは実を申しますと県の健康増進課の強力な御支援があった からこそできたことなのですが、これを5年間、続けてまいりました。そのような実績が あったために、MR2期、3期、4期が始まりましても、同じような対応ができまして、 結果的に高い接種率になったのではないかと思っております。  さて、本日のテーマであるMRの話に戻りますけれども、このグラフは12月末現在のM R3期の福井県の市町別の接種率でありまして、四角で囲んである町は集団接種ですけれ ども、人口割にして大体、1割が集団接種で、9割は個別接種であります。  緑は6月末の接種率、オレンジ色は9月末、赤は12月末の値であります。県平均が87.7% ですので、恐らく3月末には95%も可能ではないかと思っております。  次のスライドはMR4期でありまして、これはすべて個別接種です。県平均が81.4%で すので、3月末には少なくとも90%ぐらいまでは到達するのではないかと期待しておりま す。  ここで注目したいのは、勝山市という人口3万人の市の接種率であります。個別接種で すけれども、6月末にもうMR3期が91.2%、4期が84.1%に達してしまいまして、12月 末の段階ではそれぞれ、MR3期は97.5%、MR4期が90.7%になっております。  これには私も驚きまして、その理由を担当者に尋ねましたところ、まず、3月中に個人 通知を送って春休みに受けるようにキャンペーンをした。それから、3月中に学校との連 絡会を持って、生徒の予防接種教育や指導をお願いしたということ。そして、早くも5月 には未接種者を洗い出しまして、学校からも市からもダイレクトメール、最終的には電話 で勧奨したということでありました。  というわけで、私の話をまとめますと、まず、麻しんに限らず、すべての定期予防接種 について、予防接種台帳を適切に管理することによって正確な予防接種済率が得られると いうことと同時に、未接種者に対して直接勧奨ができる。こういうシステムをつくり上げ ることが大切であると思います。  それから、MR3期と4期に関しましては、学校との連携を密にして、生徒の予防接種 教育や指導の協力をお願いする。そして、最終的には未接種者に対する直接勧奨が鍵にな る。しかも、新学期の早いうちに一気に受けさせて、一種の雪崩現象を起こさせるという ことも、テクニックとしては効果があるようでございます。  以上、福井県の取組みを御紹介いたしました。ありがとうございました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。続きがありましたね。 ○橋本参考人 よろしいですか。 ○加藤座長 はい、どうぞ。 ○橋本参考人 以上は福井県を代表してのお話ですが、この先は私個人としての意見とし て、ちょっと追加をさせていただいてよろしゅうございましょうか。先ほど、急遽、一枚 の追加の漫画のようなものをお渡しいたしました。これをごらんになって、実はパワーポ イントを用意したのですが、ちょっとバージョンが合わなくてお示しできません。済みま せん。紙でごらんください。  前回のこの会議でも、大変、話題になりましたし、先ほどの山本先生の話でもございま したけれども、「MR3期と4期に関しては集団接種すべきだ」という御意見が、最近、 全国各地でますます強くなっております。  その理由の第一、31番のスライドです。その理由の第一は「個別接種では高い接種率を 達成できない」というものですけれども、今日、お示しした福井県の成績からは、それは 少し違うのではないかと思います。  第二の理由は、「生徒たちは忙しい」というものですけれども、果たしてそうでしょう か。インフルエンザの予防接種のときなどは、忙しいはずの受験生を母親が目の色を変え て連れてまいります。要するに、「必要」と切実に思うかどうかという問題だと思います。  それから、3番目は「5年間の臨時措置なのだから、予防接種の社会的意義の方をより 重視して、いわば緊急避難というニュアンスで集団接種をする」というものであります。 この理由は理解できると思います。  32番のスライドに行きます。また、集団接種のやり方につきましても2つに整理できる ようでありまして、個別接種で努力をしても達成できないときに、年度末辺りに学校に医 師が出張して、形式上は個別接種を行うという考えと、年度の最初から集団接種を行うと いう考えがありますけれども、メーリングリストなどを見ておりますと、どうもこの2つ をはっきり区別しないままに議論が進められているように感じられます。特に最近は2の 方の意見が強くなっているようで、「今年は個別で低率だったから、もう、来年は4月か ら集団だ」という、やや安易かと思われるような声が聞かれます。  次のスライドです。MR3期、4期に一番大切なのは生徒たちに対する教育だと思うの です。予防接種の意義、大切さを伝えて、自らの足で病院に受けに行く。そういう判断を させる、体験をさせるという教育であります。しかし、現状ではこれも前回の会議で多屋 先生が御発表されましたように、生徒たちのかなりの部分が予防接種の大切さや意義など を十分に理解してはおりません。  それを教育するのは市町村と学校と我々、医師の仕事でありますけれども、これには大 変なエネルギーを必要といたします。もし、安易に集団接種が導入されると、その教育が おざなりになってしまうという可能性は大いにあると思います。  34番の漫画ですが、接種率を上げることばかりに気を取られて集団接種をしますと、生 徒たちにとっては「何だかよくわからないけど、注射された」ということで終わってしま いかねません。  35番です。しかし、その生徒たちは5年後、10年後にはもう自分の子どもを抱いている かもしれない。予防接種教育とか体験を十分に受けなかった彼らが自分の子どもに予防接 種をしっかり受けさせるという行動を取るでしょうか。つまり、これは予防接種を自らの 意思で受けるという文化だと思うのですが、文化を少しずつつくり上げていくということ だと思うのです。  「文化」などと申しますと、「大げさな」と思われるかもしれませんけれども、このよ うな長期的な視点を忘れないことは大切だと思います。今は短期的な要請として接種率を 上げるという喫緊の課題がありますので、そちらにウエートを置かざるを得ませんけれど も、長期的な視点も忘れないというバランス感覚を失ってはいけないと思います。  集団接種に関する議論を眺め渡しましても、このような教育という長期的視点からの意 見がこれまでほとんど見受けられなかったように思われます。  というわけで、まとめますと、最後のスライドです。まず、個別接種でスタートして、 生徒の予防接種教育や指導に努めるべきであると思います。年度末が近づいて、95%はと てもおぼつかないというふうになりましたら、集団接種も併用して何としても95%を達成 するべきでしょう。そして、残念ながら集団接種になった。このスライドはちょっとおど けまして、「恥ずかしながら」などと書きましたけれども、「恥ずかしながら集団接種に なった」という、要するに「力及ばなかった」という心の痛みのようなものを忘れないよ うにしたいと思います。以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。続きまして、神奈川から中井先生、お願いいたし ます。 ○中井参考人 資料6−1で、20年度の取組みを記載してございますけれども、平成19 年度の取組みも簡単に述べさせていただきます。  平成19年は関東を中心に麻しんが流行したのを受けまして、5月に副知事を座長とし て「麻しん対策庁内検討チーム」を発足しまして、県内の公私立小学校における麻しんの 発生状況の把握、及び蔓延防止対策の要請やテレビ、ラジオ、新聞を通じての緊急広報の 実施などの対策を実施しました。  続いて、平成20年度の取組みを述べさせていただきます。注意喚起と予防接種の勧奨を 主体とした広報媒体による普及啓発は資料の記載のとおりでございまして、新聞、ラジオ、 タウンニュース等で実施しております。  普及啓発用のチラシにつきましては、公立学校全児童・生徒配布としました。私立学校 につきましては、当所の私立学校所管課を通じまして、チラシの配布の依頼をいたしまし た。  ホームページにつきましては、県衛生研究所では、流行中、トップページに掲載したの は勿論ですが、全数把握になりました平成20年1月1日以降、常に全国でトップだったこ ともあり、2月以降、6月末まで、県のトップページに掲載いたしました。  6月まで延ばしましたのは3期、4期の予防接種が4月から6月まで強化月間というこ ともあり、当所ホームページ所管課にお願いして残していただいた経緯があります。なお、 県のホームページには、先ほど説明いたしました普及啓発用のチラシを入れ、ダウンロー ドできるようにいたしました。  また、予防接種済率向上のためには、医療関係者、行政関係者の理解が不可欠というこ とで講習会も開催いたしました。  次に県立学校での対応ですが、別添1のとおり、罹患歴、予防接種歴の把握による感受 性調査と、それに伴う予防接種の勧奨を目的とした調査票を県立高等学校、特殊支援学校 に、学校における対応を促しております。  次に発生時の迅速な対応が麻しん感染拡大防止のために重要なわけですが、5類の全数 報告ということで患者情報には法的には性別と年齢しか把握できなく、積極的疫学調査が できないため、主治医への任意の情報提供依頼ですが、別添2のような連絡票を5保健所 設置市と共同して策定いたしました。  医師会に協力依頼を徹底したため、届出と一緒にほぼ全例、連絡票をいただいたので、 保健所の対応が迅速だったと思いますが、届出で既に集団発生していたケースが多く、残 念ながら、感受性者に3日以内に予防接種をすることにより発症を防げたというのは、少 数と思います。患者の居住地と学校の所在地が違うケースが多く、5保健所設置市と共同 してしたことはよかったと思います。  なお、別添1の学校での罹患調査票とうまくマッチすれば、学校での麻しん発生時、迅 速に感受性者を把握でき、発症予防につなげることができるとは思います。  最後に、今月10日に麻しん対策会議を開催し、本日、御出席の岡部先生にも委員として 参加していただきましたが、「平成20年の麻しん発生状況、都道府県別・県内市町村別予 防接種状況報告」「市町村の取組状況の報告等」がありました。  麻しん・脳炎合併症例のあった県所管域の保健所から医師会、教育委員会、市町村等を 対象に会議を開催し「3期、4期の接種率の低さより接種の在り方を含めて検討した」と の報告もありました。会議の中では、教育部門との連携の重要性と義務接種と勧奨接種の 問題が議論されました。以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。それでは、横浜市から大浜先生、お願いいたしま す。 ○大浜参考人 横浜の大浜です。よろしくお願いいたします。  本日は「麻しん対策推進会議」にお招きいただき、ありがとうございます。これを見ま すと、麻しん対策を更に推進することが必要な都道府県での取組みということですので「横 浜はもっと頑張れよ」ということだと思います。  今日は接種率が高い地域の取組みを聞いて、更に私どもも一生懸命、接種率を上げるよ うに取り組んでまいりたいと思いますが、横浜市は大都市であるがゆえに悩みというもの もございます。接種率の話が先に出ましたけれども「横浜は何をやっているのかな」と思 われるかもしれませんが「現場の人たちはこういう努力もしているのだ」ということも、 少しはお話ししたいですし、また現場の人たちが感じていること、「国に対してこういう ことを言ってきてほしい」ということがございましたので、まいりました。よろしくお願 いいたします。  横浜の人口規模、365万人。出ていく方が14万、15万、入ってくる方が15万、16万と いうことでございます。こういった中で予防接種をしていくという難しさがございます。  資料をごらんいただきたいと思います。まず、1ページでございますが、平成19年には 南関東を中心に麻しんが流行いたしました。そのとき、横浜はそれほどでもなかったので すが、そのころから横浜市として全庁的な対策を取ってはおります。  ホームページに出したり、教育委員会と連携して徹底したりということはしておりまし た。  2ページをごらんください。19年の12月には、1月から全数把握になることに備えま して、医療機関でも、2,900ございますけれども、医療機関に通知文を出し、医師会とも 連携を取りました。  20年1月に麻しんが全数報告されるようになったときに、横浜では1月で148人、2月 が304人、3月が371人と、まさに日本の中で非常に麻しんの発生が多い状態でございま した。患者さんの多くが10代を中心とする若者でありまして、その多くが麻しんの予防接 種を1回も受けていないか、接種歴が不明という方でございましたので、未接種、未罹患 の方ということで、1歳から高校3年生相当までの年齢、全額市費負担で緊急予防接種を やりました。3月21日から今年の3月末日まで、緊急対策ということでやっております。 3ページに緊急予防接種ということで書いてあると思います。  4ページをごらんください。20年4月に入りまして「横浜市麻しん排除戦略」を策定し ました。定期接種対象者への郵送による個別通知もしております。また、変わったところ では横浜スタジアムの電光掲示板での周知や、各区役所でも登録係で流出入が15万人ぐら いありますけれども、その転入者にチラシを配布し、勧奨する、そうしたこともしており ます。  それから、学校、教育委員会とは連携を取りまして、学校の未接種者を把握いたしまし て、それぞれ、担任の先生、養護の先生から未接種者に面談をするとか、お宅にお電話を かけるとか、そういう個別のアプローチもしてございます。  また、教育委員会で各学校ごとに接種率を集計し、低いところは教育委員会からちゃん と話が行くようになっております。横浜市は18区ございますけれども、18区に各福祉保 健センターから、区内の接種率の低い学校には、学校へ行って、校長先生に直接談判をす る、そういう未接種者への個別アプローチもやっております。  今後は学校全体が95%を上げようという気持ちになるようにするというのが、我々のま た努力をしなければいけないところだなとは思っております。  5ページをごらんください。市内の大学にも徹底するようなお願いをしておりますし、 先ほど、申しましたけれども、私立の学校においてはそういう接種状況の調査、それから 未接種者には個別のアプローチをしております。  また、横浜は外国籍の方も多いので、日本語を除く6か国語のチラシもつくっておりま して、情報が届きにくい外国籍の市民にも働きかけを行っております。  あと、6ページですけれども、例えば電車。京急の電車800車両に車内広告をするとか、 地下鉄でテロップを流すとか、そういうことをしておりますし、現在は3月末までの緊急 対策について対象までの年齢で、打っていない人、打ったかどうかわからない人に「免疫 を付けるという趣旨ですから、どんどんやってください」ということをやっておりますけ れども、その辺の勧奨も継続していきたいと思っております。  ただ、横浜の場合、そのMRの接種に12億円かかります。例えば2期、3期、4期、個 別通知をするにしても、郵送代、印刷代だけで約1,000万円かかります。一生懸命、やっ ていただくよう、今、教育委員会とやっているわけですけれども、とにかく巨大な数の対 象者がいるということは、一つ、ネックではございます。  私ども、努力をしたいと思いますが、国としても、是非、予防接種について財源的措置 をお願いしたいということが一点でございます。  また、もう一つでございますけれども、2012年までに排除をするということですから、 例えばアメリカなどのように入学時の義務付けなど、国として強い方針をもっと示してい ただけないか。この2点でございます。  余談でございますけれども、昨年横浜ではしかが流行したときに、横須賀の米軍のドク ターがいらっしゃいました。それで言ったことが「横浜はこんなにはしかが多いの。うち は学校に入るとき、それから職場に入るとき、予防接種をしないと入れないんだよ。」と 言われました。私どもは一生懸命、勧奨しています。それから緊急接種もやろうというこ とで、担当者が夜を徹して、財政を説得して、やっておりますけれども、ただ「まだ生ぬ るい」という声だと思います。例えば予防接種台帳についても、きちっと住民基本台帳と 連動したものは今はございません。  現在、住基を所管する市民活力推進局と調整を行っているところですが、365万人のシ ステムをつくり、15万、16万の入れ替わりが常にあるところで、そのシステムを運用して いくにはかなり莫大なお金もかかります。   私どもも予算獲得、頑張りますけど、国の方も是非、そういった予算措置、それから、 入学時の義務とまでは言わないかもしれませんけれども、もうちょっと強い方針を出して いただければ、我々はもっと励みになりますので、また、今日は接種率のいいところのお 話も聞きましたので、それを参考に持ち帰って、また横浜は接種率をもっと上げるように 頑張っていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。 ○加藤座長 ありがとうございました。続きまして、大阪から佐藤先生、お願いいたしま す。 ○佐藤参考人 大阪府の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、大阪府における麻しん対策について現状と課題ということで、説明をさせて いただきます。  取組状況でございますが、20年4月にポスターを配布。これは2万6,000枚。配布先と しましては教育関係、医師会、病院、それと各市町村保育所所管課でございます。同月、 『府政だより』にも啓発記事を掲載しております。  これがお配りしたポスターでございまして、特に気を使った点としましては、目に付く。 ピンクが目に付くということで、担当の方でいろいろ苦慮して、こういうデザインにさせ ていただきました。  また、先ほど、横浜市さんもおっしゃっていましたけれども、財政的な問題もありまし て、5年間、掲示できるようにということで、接種対象者の5年分を下の方に入れており ます。  6月末現在の第3期麻しんの接種率でございますが、特に目立ちますのが左側の4自治 体でございます。これにつきましては集団接種をされた自治体でございます。府全体とし ましては28.2%という低い値でございました。  第4期麻しんの接種率でございます。これも6月末現在でございますが、全市町村、ほ ぼ、大体、同じような接種率でございました。  次にこの6月末現在の結果を受けまして、8月に担当者会議を開催いたしました。対象 としましては、各市町村の予防接種主管課、及び教育委員会等でございます。この中で麻 しんの専門家による講義も受け「関係者の連携を」ということでこの会議を持ちました。  と言いますのも、ある市町村から「予防接種担当課と、それから教育委員会と、連携が 全くない。担当者の顔も知らない」ということもありまして、そういう場を設ける意味で 担当者会議を開かせていただきました。  次に9月末現在の接種率でございますが、府全体としましては43.9%。まだまだ低い接 種率でございます。同じく第4期の麻しんの接種率。府全体で33.5%と低い値でした。こ ういう低い値でしたので、平成20年10月に中1、高3、第3期、第4期を対象としたリ ーフレットを配布いたしました。  対象としましては、府立の学校、それから私立の学校、各種専修学校、及び国立の学校、 計382校に約8万5,000枚、各個人に渡るように作成いたしました。  チラシの内容ですけれども、大阪独自と言いますか、どういうことを訴えたらいいのか、 病気のこと、麻しんの怖さも訴えたらいいのでしょうけれども、大阪ということもありま して、定期の接種でありますので「無料で受けられますよ」ということを対象者の生徒さ ん、及び保護者の方に訴えたいということもありまして、こういう内容にいたしました。 それで、一番上に「今なら無料です」と。同じく高校3年生を対象とする、同じ内容でご ざいます。  平成20年12月に大阪府麻しん対策会議を開催いたしまして、この中で、先ほど、9月 末現在の接種率をもとに討議をいただきまして、未接種者への強力な接種勧奨であるとか、 地域の実情に応じた集団接種を検討してくださいということを求めました。同月、12月『府 政だより』の方にも啓発記事を掲載しております。  12月末時点の接種率でございますけれども、ここにありますように、第1期が67.8%、 第2期については57.8%、第3期は55.2%、第4期は45.8%という結果でございます。  これをグラフにしましたのが、これです。第3期麻しん接種率、府全体としましては 55.2%でございます。特にこの丸を付けましたのが、集団接種を実施した自治体でござい ます。左から4自治体につきましては、集団接種の会場としまして学校を利用しておりま す。それと、あと大阪狭山市、貝塚市につきましても、集団接種を行っておりますが、そ の市の保健センターで土曜日に実施したと聞いております。ですから、余り府全体の平均 接種率より若干多い、高い接種率ですけれども、それほどの効果はないのかなというとこ ろでございます。  学校で集団接種をした場合につきましては、6月末までに集団接種をしておりますので、 この時点でもう既にほかの自治体よりも高い接種率でございました。  第4期の麻しん接種率、12月末現在でございますが、府全体で45.8%。ここでも、貝塚 市につきましては集団接種を行っております。第3期と同じく、保健センターで行ってお りまして、府下では一番高い65.4%という接種率でございます。  資料にはございませんけれども、これが学校別の麻しんの接種状況。府立高校の接種状 況でございます。11月末現在でございますが、棒グラフは各学校ごとの接種率でございま す。それと折れ線グラフにつきましては各学校の未確認率を示しております。  接種の高いところを見ますと、未確認率が低い。きれいな正比例といいますか、比例し ているわけではございませんけれども、接種率の低いところにつきましては、未確認率が 高い。この未確認率はお聞きしていますと、ほぼ、アンケートが返ってこないという学校 と聞いております。  同じく私立の学校の第4期、11月末現在の接種率でございます。府立の高校と同じよう に、接種率の高いところは、当然、未確認率も低い。接種率の低いところは未確認率が高 い。いろんな生徒さんの事情、家庭の事情、いろいろございます。あるいは不登校である とか、生徒さんと連絡が取れないという状況もあると聞いております。  このような状況でございますので、今後の対策としましては、効果的な啓発、接種勧奨 ということを検討していきたいと思います。その中で、例えば大阪府下全域の予診票の統 一ということにより、学校でその生徒さんがどこにお住まいであっても、同じ予診票が配 れたら、ある程度、強い接種勧奨ができるのではないかと思います。  また、集団接種の検討。先ほど、4市町村につきましては学校で集団接種をしましたの で、高い接種率を示しておりますので、こういう集団接種の検討を行っていただきたい。 これにつきましては、医師会の強力なバックアップが必要だと聞いております。また、関 係機関の緊密な連携も必要かと思われます。  3点目が広域化でございますけれども、予診票の統一と同じように、府全域、どこでも 接種可能な、一自治体だけではない、府全体で受けられるような体制がつくれればと。こ ういう検討をしていきたいと思います。  同じように、大阪府だけではなくて、私立の学校ですと特にスポーツとか芸術に秀でた 学校、あるいは進学校などですと、全国から学生さんが来られますので、全国レベルでの そういう広域化をお願いしたいと思います。それにつきましては、国の方で全国一律、ど こでも受けられるような体制がつくれればと。そういう検討をお願いしたいと思います。  余談でございますけれども、ある高校から「高2の時点で修学旅行をする。特に海外へ 修学旅行に行く。この場合にどうしたらいいでしょうか。麻しんのワクチンを打たなけれ ばいけないのですが」という御相談もあります。ですから、今、現状、高校3年生のみと いうことになっておりますが、高校2年生で修学旅行に行きたいために「当然、任意で接 種を受けていただかないといけませんね」というお話をさせていただいておりますが、こ の辺も、あと5年間のうち、もう1年が過ぎてしまっておりますが、国の方で御検討をい ただければと考えております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  それでは、続きまして、4番目の議題でございます。学校における取組みにつきまして、 厚生労働省及び文部科学省において発出いたしました通知、大学における独自の麻しん対 策について事務局から御説明をお願いいたします。 ○森主査 お手元の資料7につきまして御説明いたします。「麻しん風しんの第2期・第 3期・第4期の予防接種における未接種者に対する積極的な勧奨等について」。こちらに つきまして、厚生労働省から文部科学省に対し、昨年6月、9月、予防接種の促進につい て依頼しておりました。  昨年9月末の接種率、第2期、第3期、第4期、この結果を受けまして、改めて、今年 2月に厚生労働省から文部科学省に対し、予防接種の推進、積極的な勧奨等についてお願 いをしたところでございます。  学校等機関を通じました積極的な接種勧奨の実施に関する周知ですとか、入学手続の機 会等を利用しました対象者に対する接種の機会がありますことの周知、そのようなことの 協力をお願いしたところでございます。  また『学校における麻しん対策ガイドライン』を策定しておりまして、こちらでは学校 単位での接種率を把握し、それを都道府県衛生主管部局で対策の中心となっております麻 しん対策会議等に報告をしていただくよう、お願いをしたところでございます。厚生労働 省からは以上になります。 ○加藤座長 ありがとうございました。文部科学省からいかがでしょうか。 ○高山専門官 文部科学省では、この厚生労働省からの依頼を受けまして、本日付で「こ の依頼に基づいた対応を行ってください」ということを、全国の教育委員会、及び私立学 校を主管している部局に通知を発出することとしております。  内容としましては、厚生労働省からいただきました依頼文の内容をそのまま各教育機関 にお願いするという形にしておりまして、学校に置ける接種勧奨、また更なる接種勧奨を お願いしますということ。  そして、小学校入学予定のお子さん、そして大学入学予定の、現在、高校3年生におけ る方々に対して、定期予防接種の対象者であるということ。そして「受けていなければ、 受けるように」ということを周知をお願いしますという旨のこと。そして、3点目として、 学校ごとの予防接種率を把握して、都道府県の麻しんの対策会議に情報を提供するよう協 力をお願いするという3点につきまして、本日付で通知を発出する予定でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。続きまして、8番目の資料をおめくりください。 これは京都医会から出ておりますが、これは、先日、日本小児科学会からも、清沢先生が 理事なものですから、小児科学会で先ほどの福井でしたか、エクセルを使った福井ですね。 京都は同じような方式を取っているようですが、小児科学会の予防接種委員長であります 岡部先生から一言、ございますか。 ○岡部委員 ありがとうございます。岡部です。  清沢先生、あるいは竹内先生から話を伺ったのですが、この資料8では、当初は京都周 辺での大学、京都府内での大学の調査というところでしたが、これを全国の主要大学にい かにはしかに対して取り組んでいるかというようなことを調査して、その結果は資料の最 後の、これは新聞報道ではありますけれども、読売新聞の夕刊の一面の記事で「大学に入 るならば、はしかの予防接種が必要であり、現在、主要校の8割が感染対策を求めている。 医学部は特にこれに対して強く求めている」ということであったり、あるいは一部の大学 ですけれども、神戸大学が全員に証明義務といった形で、大学自体が昨年、一昨年の集団 発生のときにかなり苦労をしたというところの改善に取り組んでいることを示されていま す。  ただ、これは単に大学だけの状況を求めるための調査ではなくて、こういうことをしな いと大学に入るときに困るのだという、中学、高校生に対する大きいメッセージになるで あろう。やはりこういうことが積み重ねられて、次第に都道府県において麻しんが減少し ていくことを、清沢先生、あるいはこの京都の小児科医会のグループがメッセージとして 送っております。  この活動は日本小児科学会も全面的にサポートをして「是非、こういうことを続けてい ただきたい」とお願いをしております。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、5番目の議題。資料9をごらんください。これは私の方で資料を見ながら、 御説明をさせていただきます。私が厚生科研費をいただきまして研究した最終年度の中間 報告でございます。  最初のページの下の方は「なぜ、このような研究が行われているか」ということでござ いまして、御承知のように、2012年までに西太平洋地域のWHOで日本では「はしかを排 除しましょう」ということが目的となっていつために、次のページをごらんください。こ のような法律、政省令が改正になっておりまして、最初は平成6年4月、はしか、または 先天性風しん症候群を防ぐための風しんのワクチンを接種するということが決まりました。  また、平成18年4月、同じく6月には現行のようなMR接種を行うことに決定したわけ でございますが、御承知のように小中学生、または大学生、そしてもっと大きな方々のは しかの流行が見られたことから、20年4月には3期と4期が追加で接種が行われるように なったということが、現実でございます。  この研究の目的は「その理由」と書いてありますけれども、我が国では一人の個人が2 回、はしか、風しんのワクチンを接種したという経験はございませんので、その安全性と 有効性は実際問題として実証されておりません。  したがいまして、その安全性、有効性が担保されるかどうかということをこの研究班の メインの目的といたしました。  次の3ページ目で、研究方法でございます。この24か月、1期、2期、3期、4期、そ して既に感染した方、それから、MRを治験で行った方々がMRワクチンを接種するよう になりますので、その方々につきまして安全性と有効性を調べる。  安全性に関しましては、アンケート調査を28日間、行いました。それから、有効性に関 しましては、ELISA法によりまして風しん抗体の測定をいたしました。  接種率は全国1,042か所の自治体から無作為に抽出されたものを対象といたしまして、 接種率の算定を行いました。  下の方ですけれども、これは2期の結果でございます。調査対象は、これは昨年の12 月31日までの結果ですが、1,686名集まりまして、発熱者が17.08%、局所反応がここに ありますように9%程度。関節痛、リンパ節腫脹が1%程度で、これははしか、風しんな どの1回接種とほぼ同等な値でございます。  右側が効果でございまして、接種前に陰性であった者のはしかは、全例、陽転。そして 風しんに関しては2例を除いて陽転でございます。はしかの2倍以上の上昇率が82%、風 しんが66%でございまして、このことからMR2期の接種の安全性、有効性は確認できた と考えております。  このことによりまして、厚生労働省としての施策として接種率の向上に向けてアピール していただきたいということが結果でございまして、それによりまして、はしかの排除に 向かいたいということでございます。  4ページ目。これは3期、4期の例でございます。これは2008年4月1日から始まりま して、この統計は同年の12月31日までの経過でございますので、症例数が少のうござい ますが、3期では安全性に関しては212例、4期では67例でございました。発熱率はおの おの3%と7.46%。局所反応は7%から8%。腫脹が5%から4%。関節痛は1%、2%。 ここに書いてあるとおりでございます。  有効性に関しましては、これもまだ途中でございますので、例数が40例と27例と少の うございますけれども、いずれも陰性例は全例が陽転してございまして、はしかでは3期 で2倍以上の上昇が87%、4期では77%。風しんでは70%。4期では59%でございまし た。  例数が少ないので、これは中間報告のためと思われますが、この1月、2月、3月でラ ストスパートがかかると思います。  このようなことから、恐らくMR3期、4期も安全性、有効性は確認できると確信いた しておりまして、これが厚生労働省の施策となろうかと思われます。そして、それをもと といたしまして、接種率の向上を図っていただき、そしてはしか、風しんの排除に向かっ ていただきたいと存じます。  下の方はそれをグラフ化したものでございまして、2期のはしかの接種を行いますと、 このグレーのようにブースター効果が上がります。  ページをめくっていただきまして、2期の風しんにおきましても、接種をいたしますと ブースター効果、グレーのゾーンでございます。  下の方は3期のはしかでございまして、やはり接種をいたしますとブースター効果が上 がって、グレーのように上がってまいります。  めくっていただきまして、6ページ目。はしかの4期でございます。これも接種をいた しますと、当然のことながら、ブースター効果が現れ、下の方は3期の風しんであります が、このようにブースター効果が現れます。  7ページ目。これは例数が少ないので、へこんで見えますけれども、接種をいたします と、ブースター効果が現れているということでございます。  下の方は接種率でございまして、これは先ほどの報告と若干、違ってまいりますが、こ れは先ほども申し上げました全国無作為調査でございまして、2007年目のはしかだけでご ざいますが、累積調査でいきますと、接種率が全国で約80%、2008年になりますと、これ が90%になっているという結果が私どもの研究班では出ております。  次の8ページ目。3期、4期でございますが、上の段で3期の方は昨年の12月31日ま でを追ってみますと、約50%の接種率。4期におきましては、40%の接種率でございまし て、残りの1月、2月、3月のラストスパートを期待いたしているところでございまして、 これも厚生労働省の今日の会を中心といたしまして、施策として用いていただければあり がたいと思っております。  下の段は治験でMRワクチンを接種した方に更にMRをやった場合には、有効性と安全 性はいかがかということを見たものでございまして、このスライドに示してございますよ うに、有効性、安全性ともに担保されていると考えてございます。  最後のページになりまして、この2期、3期、4期ともに有効性、安全性は担保されて いると考えました。接種率は2期は90%、3期は60%、4期は40%でございまして、ラ ストスパートが必要だろうと考えておるということでございます。以上でございます。あ りがとうございました。  それでは、引き続きまして、次の6番目の議題でございまして、CMの効果から見た今 後のはしかの地域運動の戦略につきまして、砂川先生からお願いいたします。 ○砂川主任研究官 国立感染症研究所、感染症情報センター、麻しん対策技術支援チーム の砂川です。よろしくお願いします。この研究は「沖縄県はしか"0"プロジェクト」との共 同研究です。  はしかの排除に向けた活動の骨格についての図ですが、いわゆる行政の方々が中心にな って行うような接種率向上に関する感受性者対策、それから全数の把握、それから発生し たときの対応の強化というものに加えまして、麻しんの対策について非常に重要な「麻し んをなくす」という雰囲気づくりでありますとか、国民としてのそのコンセンサスづくり というところで、国を挙げてのそういう雰囲気づくり、それから、地域運動が今後重要に なってくるだろうと思われます。  そういったところで、いろいろな集中キャンペーン用の媒体が作成されておりまして、 行政機関や医療機関、教育機関の関係者を対象とした感染研の方からつくりましたDVD であるとか、各種パンフレットなどがあります。  それに加えるような形で一般の方々、それから、接種をいたしますと、対象者、保護者 向けにアピールするものとして、国の麻しん対策推進会議の委員でもある玉城千春さんも 入っている、あのKiroroの方々の全面的な協力を得まして、メディア媒体というところで CMをつくりました。  それから、ポスターを全国で26万5,000枚ほど配布するというところで、このテレビを 中心としたCMですが、沖縄県内で試験的な放送として4月から6月に流れました。  このCMの効果につきます評価というところで、沖縄県内の1期、2期、3期、4期の それぞれの保護者、対象者につきまして、合計7,000人ほど、これは各期、かなり率はば らばらではありますが、例えば4期などはその世代の20%近くをカバーしておりますけれ ども、アンケート調査を去年の7月に行いました。この結果について御報告させていただ きたいと思います。  まず、最初にMRワクチンの接種対象者であることの認知と、それから実際に接種の行 動をしているかというのを7月時点の情報で見てみますと、1期、2期につきましては、 この回答をしていただいた人たちの中で9割近くが認知をしている。しかしながら、3期 は40%と認知が非常に低い。4期は75%程度の認知がありました。  ところが、1期は9割近くがこの時点で「接種をしていた」と答えたのですが、2期と 4期は認知をしているけれども、接種行動というところには結び付いていないという特徴 がありました。  それから、麻しんという病気が流行する病気であること、それから、死亡する病気であ ることというようなことにつきまして、1期と2期につきましては8割以上の人たちがこ れを認知していますけれども、3期、4期につきましては半分以下の方々の、半分程度の 方々の理解にとどまっているという情報がありました。  さて、CMの状況と効果というところについて調べてみました。Kiroroさんに御出演い ただいたCMですけれども、1期、2期の保護者の方々につきましては、9割近くが「こ れを見た」とお答えになりましたが、3期、4期は40%強ぐらいが「これを見た」とお答 えになりました。  このCMは、いわゆる煽るような形ではしかの怖さを前面に押し出したCMではないの ですが「麻しんの怖さが伝わった」と答えた方々は1期、2期で約60%、3期、4期で40% 台という状況でありました。  続きまして、CMの印象深さ、それから、このCMを見たことで麻しん、風しん、混合 ワクチン接種への動機付けになったかという辺りについての情報ですけれども「CMが印 象深かった」とお答えになったのが、1期、2期で8割を超えておりますが、3期では4 割、45%にとどまって、4期は60%弱でありました。  そして、今後のMRワクチン、それから、今までにMRワクチンを受けたということに つきまして「プラスのイメージを持ちましたか」という質問をしましたところ、1期、2 期においては非常に高い、90%以上のそういうプラスのイメージを得たという答えが出て きましたけれども、3期では65%、4期では70%という回答の状況でした。  この結果の最後ですけれども、麻しん、それからワクチンに関する情報源を聞いてみま すと、テレビは全各期を通しまして1位、あるいは2位という非常に高い媒体としてあり ましたので、今後、これを活用していくという方向性は非常に重要かもしれません。  また、1期、2期におきましては「市町村からの通知が非常に重要ですよ」とお答えに なりまして、3期、4期では「学校からの情報が重要」と答えました。  まとめですが、1期・2期対象者につきましては、これは1歳と、それから小学校就学 前の保護者の方々ですが、麻しん対策への関心が高く、CMへの関心・共感も最も大きか ったグループであったと考えられます。  この年代の保護者の方々はもともと、こういった麻しんへの関心が高い可能性や、それ から、Kiroroのお二人とも年齢層が近かったり、保護者としての共感が影響していたので はないかということが考えられます。ですので、現在の方法といたしましては、市町村か らの情報伝達による現行の個別接種強化というところの継続でいいのではないかと思いま した。  しかしながら、2期の対象者が接種者、対象者であることを知っているにもかかわらず、 接種行動が遅いということについての改善を考えていく必要があるかと思いました。  それから、3期、4期につきましては、特に第3期、中学校1年生相当ですが、接種対 象者であることの理解とか、麻しんの理解も非常に最低でありまして、接種率も非常に低 かったというところがありますので、3期、4期ともにこれらのグループへのCMの有用 性は不十分であったようだという結果が出てまいりました。  このグループに対しましては、学校からの情報伝達が非常に有効であるということもあ りましたので、これまでのいろいろなプレゼンテーションの中で、いわゆる学校などの集 団の場を用いた接種というところの検討も有効であるという情報もありますので、これら を組み合わせていくことが必要である。  それから、この年代に情報が伝わっていく、接種に対するモチベーションを促すような 媒体の研究開発が必要ではないかと思います。そういったところで、今後、またKiroroさ んのお知恵なども借りながら、こういったところにも取り組んでいきたいと思います。  また、第4期につきましては、この方々も認知をしているけれども、接種行動に結び付 いていないというところで、接種しやすい環境づくりというものをつくっていく必要があ るかなと思いました。以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、第7番目の議題でございます。子どもの予防接種週間、続いて、はしかの 検査室診断実施体制の整備、それからIASRについて、続けて御発表をいただきたいと 存じます。よろしくお願いいたします。 ○森主査 お手元の資料11−1について御説明いたします。こちらは毎年行っております 「子ども予防接種週間」につきまして、今年度は平成21年の2月28日、土曜日から3月 8日、日曜日までの9日間、実施することといたしました。  毎年、土日1回の約1週間を実施しておりましたが、今年度はやはり接種がよりやりや すくなるようにということで、土日2回を挟んでの9日間となっております。  こちらは麻しん、風しんを含めました予防接種全体の正しい知識を広く知っていただい て関心を高める週間といたしておりますが、併せて麻しん、風しんに関しましては、2期 の予防接種、そして3期、4期の予防接種についても周知を図りたいと思っております。  従来は主催といたしまして、日本医師会、日本小児科医会、厚生労働省で主催をしてお りまして「健やか親子21」の方で、毎年、後援をいただいておりました。また、今年度よ り「麻しん排除計画」もありますことから、文部科学省さんの後援をいただいております。 こうした取組みを継続していきたいと考えております。  続きまして、資料11−2を御説明いたします。「麻しんの検査診断体制の整備について」。 こちらは平成21年1月に厚生労働省より各都道府県にお願いをした事務連絡になります。 昨年は1万1,000人と患者数を報告いただいておりますが、検査診断による届出が約35% と非常に少ない状況でありました。  「麻しんの特定予防指針」では、麻しん患者の発生数が一定数以下となった場合、原則 としてすべての発生例を検査診断することとしております。本年度以降、研修会等を開催 して、地方衛生研究所の検査体制の強化を図っておりましたが、今回、このお願い、事務 連絡の方では、まず、麻しん患者との接触歴が明らかでない第1例は確実に検査診断を行 っていただき、また、二次感染以降の患者さんにつきましても、各自治体の実情に合わせ て、可能な限り検査診断を実施していただくよう、体制をしていただくよう、そのような 協力の依頼を、お願いをしております。以上になります。 ○加藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。  そうすると、一応、資料の御説明はこれで終了ということで、これはどうしますか。微 生物検出情報。岡部先生、少しフォローをしていただけますか。 ○岡部委員 資料11−3を見ていただければ、おわかりになると思いますけれども、これ は毎月一遍、感染症研究所と、それから厚生労働省結核感染症課が共同になって編集して いる「病原微生物検出情報」というものです。「マイナーな」と言いますか、専門的な疾 患から、あるいは非常にトピックス的な疾患まで幅広く特集を取り上げております。  今回は、これが「はしか」ということですが、ここのところ、年に1回、はしかの状況 を取り上げております。主な内容は今、御発表になったようなことの状況、それから、ペ ージを繰っていただきますと、各地における取組みであるとか、あるいは現在、分離され ているウイルスの分析であるとか、あるいは発生したところにおける感染伝播の状況など、 であります。  またこのウイルスの中には輸入型のはしかがあるということも判明しています。一つ、 注目をしていただきたいと思うのが、4ページのところに千葉県において高校の柔道大会 というところから発生した広がりの状況です。  それから、6ページのところでは沖縄県におけるライブコンサートを中心にして、若者 たちの間に流行が及んだという話。あるいは8ページのところには、海外研修、修学旅行 で発生した状況について、いかに学校側も苦労をしたかといったことについて、これは医 学関係ではなくて、学校の先生からいただいた報告をまとめてあります。非常に状況を克 明に書いていただいたわけですけれども、これは特定の学校に関する問題ということでは ないのでいろいろなところで、特に医療関係、保健関係、学校関係の方に参考にしていた だければと思います。  それから、ちょっと余計なことかもしれませんけれども、メディアの方もおられるので、 これはちょっとお願いです。もし、こういうことに関心といいますか、取材上、必要であ るならば、学校の方に許可を取っていただきたいという学校側からの要請がありました。 経験を述べて頂いた学校側への配慮のお願いとして、付け加えさせていただきます。以上 です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ただいまをもちまして、予定いたしました議論、それから、資料の御説明が終了いたし ましたところでございますので、残る時間をもちまして、今まで議題の1から7番目をひ っくるめまして、そしてまた今後の取組み方もまとめて、いろいろディスカッションをし ていただきたいと存じます。  委員の方々、各立場で御参加でございますので、また併せて総合討論もさせていただき たいと存じますけれども、大変、失礼ではございますが、順次、委員の方々に一言ずつ御 意見を承りたいと思いますので、各お立場で今までの資料、または参考人等の御意見を聞 き踏まえた上での、各お立場からの御意見を伺いたいと存じます。  恐縮ですが、まず、日本医師会の飯沼先生からよろしくお願いいたします。 ○飯沼委員 はい。日本医師会の飯沼でございます。今「子ども予防接種週間」のお話を していただきましたが、毎年、1週間でございますが、今年はちょうど土日を2回入れた わけであります。  9日間にした理由は、これは非常にたくさんの人が受診されて、接種、毎年、患者さん が増えております。それをさばくにも十分な日にちをとる必要があると思いますし、どう しても麻しんを95%まで持っていきたいので、2日間、余分にいたしました。  それが会としてのお話でありますが、それから、私、今日、お話をお聞きしていて、福 井県の小児科の先生はお帰りになってしまったので、聞きそびれたといいますか、このい い方の先生方のところの話は質問はできないわけでありますが、悪い方のお話は、今日、 全部、お残りですので、お答え、できればしてほしいのですが、例えばほかの感染症行政 は、先生方のところでは十分やられていて、はしかだけが特異的にやられていないという 傾向はあるのでしょうか。 ○加藤座長 いかがでしょうか。では、順番に。御発表の順番。 ○中井参考人 神奈川県の中井ですけれども、そんなことはございません。麻しんもほか の感染症と同じように、麻しんは5類の全数報告ですけれども、1類から4類と同じよう な形で発生すればすぐに対応してやっておりますので。麻しんだけ対応悪いということは ないです。 ○飯沼委員 いや、そうではなくて、おやりになっていても、結果が悪いわけですね。福 井に比べると、全然、悪いわけです。だから、悪い理由は先生方が一生懸命、努力をされ ても悪いと。ほかのその行政がやる、例えば肝炎の無料検査が時限立法でできた。3月31 日までの時限立法でできたものも、各都道府県で非常に差があります。無料検査がただで やれていない都道府県がいっぱいあるわけです。  そういうところとの相関がもしあるとすれば、これは大変な話だと私は思いますので、 あえて御質問をしているわけで、先生のところを責めているわけではありません。だから、 ほかの保健衛生行政、それから医療行政も全部、麻しん並みに悪いのかという質問を聞い ているわけです。 ○加藤座長 予防接種に限らず、他の医療行政との兼ね合いということですね。 ○飯沼委員 そうです。 ○大浜参考人 私ども、一生懸命、やっているつもりで、決して特別悪いとは思っており ません。ただし、はしかについて「95%に行っていないではないか」というところで、私 どもはこれから努力する余地はいっぱいありますので、ただ、先ほどもお話ししましたよ うに、大都市特有の問題もございます。  例えば、数百人のところと360万人のところでは、やはりちょっと違うのではないかと 思うのです。例えば「受けましょう」と言っても、学校の先生が言う、保健師さんが言う 場合には「はいはい。行かなければ村八分になってしまう」というのもありあすけれども、 大都市ではなかなそういうわけにもいかない。  勿論、勧め方、勧奨の仕方が「たくさん先生がいる中で、100%できていないから、もう ちょっと勧奨をしろ」とおっしゃると思いますけれども、それは勿論、やります。ただ、 そうは言っても、なかなかいかないところがあるから、そういうところでは例えば学校で 入れなければ「学校に入る前に受けてきてくださいよ」というようなデユーティーも、義 務化も国として言ってくださるとありがたいなと、そういうこともありました。  勿論、95%にするように頑張りますけれども、私ども、感染症の対応がまずいと言われ ると、ちょっと現場の者が悲しみますので。 ○飯沼委員 ちょっとだけ。  私は行政の規模のことは余りおっしゃらない方がいいと思うのです。それは大きいとこ ろは大きいなりに人もいるわけだし、頭脳もあるわけですから、余りそれをおっしゃって 比べるのは、余りよくないと思います。  傾向として、この表を見ると、大都市圏のところが確かに到達率が悪いのはわかります けれども、それを余り行政の大きさに集約しない方がいいと、私は思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。それでは、医師会に対して何か御要望とか、御意 見、いかがでしょうか。特に参考人の方でも結構でございます。どうぞ、皆さん。ござい ませんか。  私、飯沼先生、インフルンザは不思議と皆さん、受けに来ますね。インフルエンザは有 料でありながら、なぜ、はしかが無料なのに接種率が低いかということは、僕はいつも非 常に疑問に思うのですが、医師会としてはどうお考えですか。 ○飯沼委員 先生が心配されているような現象としてはわかりますが、我々は「ワクチン をやりましょう」という、そういうのは今年は、そこに多屋先生がおられますが、多屋 先生にも出ていただいて、医師会主催のワクチンのシンポジウムを開きました。  そのときに、はしかはもう第1テーマで取り上げて「大切だから、やろう」と、そうい うお話もしていますので、医師会本体としては御心配の向きではなくて、我々は同じに扱 っている。正しいワクチンの普及をしたいと思っております。 ○加藤座長 わかりました。今年はもしかすると間に合わないのかもしれませんけれども、 私個人のお願いとしては、インフルエンザを接種しに来た方に「これは有料だけれども、 はしかは無料なのだから、6日後にははしかの接種に必ずいらっしゃいよ」というような、 そういうテクニックを医師会の先生方にお伝えいただいて、普及していただければいいか なと。こういうお願いでございます。 ○飯沼委員 はい。ありがとうございます。 ○加藤座長 それでは、今井さん、いかがでしょうか。 ○今井委員 武田薬品の今井でございます。メーカーの立場といたしましては、やはり安 定供給に努めるという観点から、平均的に、毎月、全国で接種していただければ一番あり がたいとは考えております。  今回の、現在の接種状況の遂行からいきますと、可もなく不可もなくというところかな とは考えております。ただ、これが2月、3月のところで集中的に接種されても、ワクチ ンは何とか供給は耐えられるとは思います。やはり、きっちりと接種していただいて、そ して麻しんを排除するという観点からきっちりと均等に毎月接種をしていただきたいなと 考えております。  横浜市民では、いろいろと御苦労されていることはよくわかります。例えば、横浜市に 住みながら昼は東京に来たり、家族全員、すべて違うところに移動しているわけです。そ の様なところで広告、情報で伝わるかといいますと、なかなか経費を投下されても、見る 方にとっても点になってくると思いますので、持続性がないとよく伝わらないのかなとい うふうには感じます。  確かに先生方、各県でいろんなことをやられています。「やっているけれども、できな い」という御意見があります。うまくいっているところは、やはり何かそこにひとつの信 念を持って実施されておられるような気がいたします。  橋本先生は本当に、日々、細かく勉強会とか、いろいろなものを開きながらやっておら れる。その辺がちょっと違うのかなという気がいたしました。 ○加藤座長 それでは、福田委員、どうぞ。 ○福田委員 阪大微研の福田でございます。今、今井委員が言いましたように、私どもで は3月にも恐らく駆け込みの接種希望者が増えるのではないかということで、体制的にも 約100万人分ぐらいのワクチンを保存できるように、今、体制を組みつつありますので、 万が一、駆け込んでこられても、かなり耐えられるだけの量は確保したいと考えておりま す。  一点。福井県の橋本先生は帰られたということですけれども、3期、4期を前倒しの3 月に接種をしてできる体制を組んでいると私は理解したのですが、もし、そうであれば、 これは言われた、大阪府の修学旅行の高校2年生の接種もそういう体制を整備すれば受け られるのではないかと、ちょっと感じました。そこは御質問をする前に帰ってしまわれま したので、確認できておりませんが。以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。今の最後のところをもう一回、ちょっと。 ○福田委員 福井県勝山市の第3期、4期は3月の春休みに接種を受けるように推奨して いるということは、恐らく小学校6年生、高校2年生の春休みにも受けても構わないとい うふうに私は理解しました。 ○加藤座長 わかりました。ありがとうございます。  それでは、時間も制限がございますので、順番にお話を伺ってまいります。  衞藤先生、どうぞ。 ○衞藤委員 私は学校保健の立場ということだと思いますので、今日も「学校からのメッ セージの発信が特に3期、4期に対して、大変、有効である」というデータが出てきて、 心強く思いました。  学校に関しましては、ちょうど学校保健法等の改正があって、4月1日から従来の学校 保健法が学校保健安全法という法律として施行されまして「設置者、あるいは学校長の責 務」という言葉が明記されております。法的な体制としては、より学校において保健・安 全に関しての対策を進めやすくなったということだと思います。  では、具体的にこの麻しんの状況はどうか、特に高等学校等ではどうかということにつ いては、学校として一体となってこのことを進めていくことが必ずしもうまくいっていな いようだということも、今日、わかりました。  これは学校から最終的にメッセージを発信するにしても、やはり学校単独ではなかなか できにくいところがあって、そのサポートといいますか、保健衛生部局からのサポートが、 必要だろうと思います。その地域の末端の学校、地域での連携体制をどうやって築き上げ ていくかということが大事だろうと思います。  先月ですけれども、日本小児保健協会と沖縄県小児保健協会が合同で沖縄小児保健セン ターの落成も兼ねまして、那覇の周辺で「小児保健セミナー・イン・沖縄」を開催しまし た。そのときに沖縄の「沖縄県はしか”0”プロジェクト」の成果の紹介が詳細にございまし た。それを聞いても、この施策は重点的に行うということが末端まで伝わるようにする必 要があろうかと思いました。  そのためには、今日もCM等のメディアの活用という報告もございましたが、その中で ラジオの役割が必ずしも高く評価されていなかったように思います。これは厚生労働省の 献血の推進ということに係わる検討会等で出ていたことですけれども、ラジオとテレビ、 それぞれ特徴があって、ラジオの場合には例えば月曜日から金曜日、同じ時間帯に同じパ ーソナリティーが時間帯を持っていたりということがあって、繰り返しのメッセージ発信 ができる。そういう特徴が、若い世代がそれを聞いているということもあるので、その辺 ももう少し追求してみたらどうだろうかということを思います。以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。岡部先生は後でまとめていただきますので、先に 荊尾委員からお願いします。 ○荊尾委員 失礼します。私も学校保健という立場になるかと思いますが、今、学校現場 におりますけれども、昨年度まで県の教育委員会におりましたので、その立場になると思 いますけれども、やはり健康ということに関して子どもたちが自分のこととして自覚する には、随分、かけ離れた意識があるなと思います。  ですので、保健教育をしっかりしながらというところで、長期的視点と、ここ5年間の 緊急的な短期的視点という両方を持ちながら育てないといけないということを、今日、福 井県からの報告を伺いながら、改めて感じたところでした。  実は昨年1月のセンター試験のときに、センター試験の会場にいた高校生がその後、発 症したということで、とても大変な事態が起きまして、そこの会場にいた高校生には健康 調査をしたり、その後の健康観察をしていただいたりということで、緊急事態がありまし たので、今年、その学校の接種率を見ますと、今、95%ぐらいまでいっておりますし、同 じ会場にいた高校も80%以上の接種率になっています。  やはり、子どもたちはそこで自分の健康の問題として自覚したから、接種率が上がって いるのだろうなというところで、やはり子どもたちにこの緊迫感ということを学校では健 康教育の中でしていく責任があるなと感じているところです。  集団接種の意義もあると思いますけれども、学校を会場としていただく場合につきまし ては、前回のお話にもありましたけれども、やはり、実施主体者をはっきりしていただい た上で、学校は十分に協力をする体制で臨みたいというところはありますし、来年度に向 けてはもう今の時点で学校の年間計画は決まるわけですので、やはり、これから4月、始 まるまでのところで来年度に向けての対策は、自治体と学校が協力して行わなければいけ ないということを感じております。 ○加藤座長 ありがとうございました。それでは、佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員 それでは、私の方から地域保健、特に保健所の立場から2点ほどお話しさせ ていただきたいと思います。  1点は全国の保健所の役割と申しますか、一応、保健所では医療機関からの全数の届出 の受理を受けまして、積極的疫学調査等によりまして、迅速に発生時対策に取り組んでお るというところでございます。感染の拡大防止、あるいは発生予防に力を入れておるとい うところでございます。特に全国保健所長会では、地域の健康危機管理の観点から感染症 予防、感染症対策にも努めております。  もう一点は、その全国保健所長会の方で区市町村の予防接種の取組みを直接やる、ある いは支援するということを行っております。例えば、平成20年度からの全国の医療計画制 度、それを受けまして二次医療圏の県型の保健所等では、保健計画、保健医療計画等で感 染症対策、あるいは母子保健対策、学校保健対策等で取組みを強化しておるというところ でございます。  それから、もう一点です。一応、私は東京都の島しょ保健所の担当をしておりますので、 東京都の話題が出ておりましたので、ちょっと、それについてお話しさせていただきたい と思います。  資料4で取り上げていただきまして、ありがとうございます。東京都もいろいろ課題が あって、これを取り上げていただいたので、これを持ち帰って、また皆で進めていきたい なと思っておりますが、東京はかなり地域特性が幅広いところでございまして、特別区、 人口100万人のところから、この島しょ地域の、例えば人口7,000人、あるいは300人の 村もあったりというところで取り組んでございまして、それぞれ、特徴があるというとこ ろでございます。  この多摩地域の市町の方で、なかなか、ちょっと、高校と市町村とのアプローチがない というところでございますが、一応、高校につきましては、例えば学校保健委員会活動が ございまして、その中に学校医を通じた地区医師会との連携、それから地元市町村との連 携、保健所との連携というところもあって、進めておるところでございます。  また、今般、東京都の教育委員会が接種勧奨を行いまして、高校だけではなくて、第4 期だけではなくて、第3期も接種率が上がっておるという状況もございますし、また、東 京都医師会と東京都教育委員会、連携いたしまして普及啓発の取組みも進めておりますの で、今後、更に接種率も上がるのではないかと思っておるところでございます。  それから、一点。八丈町でございますけれども、これは島しょ地域9町村の中の一箇所 でございますが、ここもちょっと、いろいろ特徴がありまして、この9町村の中には、普 段、予防接種100%というところもかなり多くございますので、今回「接種率がよくない」、 あるいは「取組みがよくない」という御指摘もございましたので、また持ち帰って勧める ようにしたいと思います。  それから、もう一点だけ、東京には19年度、流行があったわけですけれども、やはり、 東京には大学が非常に多いという点がございまして、大学生の広域にわたる対応が必要に なるわけですけれども、なかなか、地域単位の保健所だけの対応では非常に苦しいところ がございますので、やはり、義務教育学校と同じように大学でも保健対策、予防対策とい うのを充実していただきたいなと思うところでございます。  ありがとうございました。 ○加藤座長 ありがとうございました。  時間もございますので、できるだけ、お一人2分程度でお願いいたします。田代先生。 ○田代委員 では、2点に絞ってお話ししたいと思います。  1つは戦略です。これは5年間をかけて3期、4期をやるという追加接種という戦略で、 これは当初から非常に危ういなというか、いわゆる縦断的なキャンペーンではないという ことで、いろいろ心配していたわけですけれども、今日の話を聞きますと、やはり接種率 がなかなか上がってこないと。  加藤先生がおっしゃったように、残り、ラストスパートをかけたとしても、恐らく95% の達成は難しいのではないかということが予想されます。そういう事態が生じた際に、こ の5年後、どうするかと。  ですから、今回、打たなかった人たちは積み残しになって、打つチャンスが現時点では ないわけですから、それについて、やはり2012年をエリミネーション(Elimination)のゴ ールと考えた以上、それに対する措置というか、どういう措置にするか、これから検討し ていただきたいと思います。何しろ、そこの年代に抗体、免疫を持ってもらうというその 戦略、これはそういうことの検討をお願いしたいと思います。  もう一つは、患者さんが減ってきた場合のエンドゲームといいますか、ポリオなどでも 同じですが、これについては全例の報告にその検査の診断を必要とすると。確かにはしか であるということを確認していかなくてはいけないということですが、これの体制につき ましては、各地方衛生研究所を中心にして、リファレンスセンターを、今、整備していた だいて、いつでも検査ができるような体制をつくっております。  これがいつそのゴーサインを、ボタンを押してそういうシステムに持っていくかという ことが大きな問題ですけれども、この辺についても具体的な対応をそろそろ考える時期で はないかと思います。  ここで1つ、問題になるのは、これは地方衛生研究所で検査をするということになって、 そこで確認検査をしていくことになっていくと思います。我々はそこで遺伝子診断と、そ れからウイルスの分類ということを戦術として選びました。WHOが推奨しているIgM 抗体の測定は、感度の問題、それから特異性の問題で日本では必ずしも適当ではないだろ うということで、遺伝子診断を導入したわけですけれども、これにつきまして、現在、医 療の第一線で行われているコマーシャルラボ、民間の検査機関に出す場合の検査方法との 間の齟齬、それから健康保険の保険料の問題、それから検査の費用、そういう問題につい ても、今後、急いで検討していただく必要があるかと思います。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  では、玉城委員、お願いいたします。 ○玉城委員 私は2人の子どもがいますが、行きつけの小児科があって、その小児科の先 生がすごくいい先生で、子どもの体調が悪くなって病院に行くと、必ず母子手帳の後ろの 予防接種の記帳を見て、接種し忘れたもの、これからすべきものの計画を立ててくれるの です。それで「何月ごろにまた接種がある」と教えてくれるので、治療もしながら、接種 の計画も立てていける。  また、さっき、話に出ましたけれども、予防接種台帳もしっかりしてくれたならば、母 親としてもその小児科の先生と行政、市町村のそういう管理をしっかり2つがやってくれ たら、今後、自分の子どもがまた母親になっていくときに、子どもを産んで、今だけでは なくて、流れ的にいい管理ができるのではないかと感じました。  あと、第3期、第4期とか、やはり子どもたちがちょっと反抗期とかになっていって、 自分の健康のことは、どちらかというと母親になって、私も自分の子どもの健康とか、自 分の体のことをよく考えるようになったので、そのころの若者は自分の体のことは余り、 そんなに集中して気にしていないと思うので、伝え方として「はしかになったら、外国に 行けないよ」とか「修学旅行に行けないよ」とか、あと「もしかしたら、今後、大学など がそういう制度がすごくしっかりしていって、大学にも行けないかもしれないよ」とか「将 来、就職もできないこともあり得るかもしれないよ」と、そういう意識付けといいますか、 違うところから健康の、学校からそういうふうにしていった方がわかりやすいのではない かと感じましたということです。 ○加藤座長 どうもありがとうございます。CM効果が上がっているようですので、今後 ともよろしく御協力のほどを。 ○玉城委員 ラジオもすごくいいと思います。 ○加藤座長 よろしく、どうぞお願いいたします。  畑委員、お願いします。 ○畑委員 SSPE、亜急性硬化性全脳炎の患者の親の立場から発言させていただきます。  正直、まだ60%程度の予防接種率ということで、非常に失望しております。このまま、 本当に2012年までに排除できるのかということに非常に危機感を持ったというのが感想 です。  我々の会の患者の方で2008年度に、これまで、去年から既に4人ほど亡くなっています。 16歳から30歳ぐらいまでの間の子どもたちですが、成人になった方もいますけれども、 4人ほど亡くなっています。今のままでは、この状態といいますか、確実にこのはしかの ウイルスによる犠牲者はまだまだ続いていくのではないかと。我々の会の親のような悲劇 はまだ続くのではないかと思います。  そこで、その犯人は直接的にはウイルスですけれども、今日、橋本先生の方から話があ りました予防接種を受ける文化といいますか、そういう社会的な文化がないことが、我々 の犠牲者に対するもう一つの犯人だと思うのです。先進国ではそれを受けて当たり前とい う文化がちゃんとできているわけで、そういうものがないという状況が犯人の一つだと思 います。  そういうものに対してどうしていったらいいかということですが、1期、2期に関して は、玉城委員などの活躍もあって、お母さん方に訴えることで、結構、増えている感じで す。けれども、3期、4期に関しては一つの提案ですけれども、我々の患者に、大体、同 年齢の子どもたちが多いので、そういうことを使って「はしかはこういう怖いことがある んだよ」という、その怖さの伝達といいますか、そういうことに我々の会なども使ってい ただければと思います。  まだまだ、怖さが伝わっていない。「はしかは罹っても大したことではないのではない か」、まだインフルエンザの方が怖いと思われているのではないか、と思います。そこら のはしかの怖さをもっと伝えるような啓蒙を、我々の会の実態なども使っていただいて、 啓蒙していただければと思います。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。極めて重大な御意見で、厚生労働省にも是非、お 願いいたしたいと存じます。  それでは、最後に前田委員からお願いします。 ○前田委員 では、私も2分で2点だけお話をいたします。  1つは麻しんの検査態勢の整備について、せんだって先ほど説明された事務連絡をいた だきましたけれども、昨年、麻しんが定点疾患から全数疾患になった関係で、いわゆる病 原体サーベイランスで自動的に定点医療機関から検体が搬入されるというシステムからは ずれてしまった関係で、麻しんウイルスの検索に積極的ではない都道府県においては、検 体数が非常に減少しているという状況がございます。  このため、保健所が努力して積極的疫学調査を行っていただかないと、検体が集まらな いという状況になっていますので、次期の主管課長会等で、このつうちにつきましてはし っかり各都道府県で前向きに対応をしていただくようにお願いをしていただければと思い ます。  それから、もう一点。大都市部での対策についていろいろ議論がございましたけれども、 私が経験した中で、やはり、この市町村間での相互乗り入れ、さらには市町村を超えた都 道府県間での相互乗り入れをして、どこでも接種受けられる体制にしないと、都市部では 特に第4期接種の推進は不可能だと考えています。  ただ、これは多数の市町村と接種費用の精算をしなければならない等市町村にとっては 非常に事務負担が大きいので、やはり、国として相当、しっかりと推進するべきだという 基本方針を明確にしていただかないと、なかなか、都道府県として市町村に調整しにくい のかなというのがございますので、是非、その点、御配慮をよろしくお願いしたいと思い ます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  さまざまな御意見をいただきまして、ありがとうございました。最後に私の方から提言 と申しますか、まとめといいますか、そういったことをさせていただきたいと存じます。  今、一番、問題となってございますのは、やはり95%以上の接種率を達成することを目 標としてまいりましたが、田代委員がおっしゃったとおり、残りの期間でこれを全うする ことはまず無理であろうと想像ができます。  しかしながら、私どもがこれからやらなければならないことは、幾つかの点があると存 じます。まず、市区町村、特別区におきましては未接種者の把握が必要であろうかと考え ます。また、未接種者の把握の結果を有効活用いたしまして、未接種者への繰り返しの個 別の勧奨。これは今日のお話でも出てまいりましたが、重要なポイントであろうと思いま す。  また、今度は都道府県におかれましては、都道府県における麻しん対策会議のガイドラ インがございますので、それに準拠いたしました麻しん対策の推進と市町村への支援、こ れを是非、行っていただきたいということでございます。  また、学校に関しましては、やはり定期接種率対象者における未接種者の把握と、接種 済みの者の確認を是非行っていただきたい。そして、把握した未接種者への繰り返しの勧 奨と接種の確認を是非行っていただきたいのでございます。  繰り返しますが、私の提言といたしましては、市町村におきましては、おのおの、個別 の通知による、電話の呼びかけでありますとか、学校や都道府県との協力のもとに積極的 な勧奨を、顔の見える形で接種を受けるように、繰り返し未接種者に対して接種を働きか ける。そういうことを顔の見えるような形で行っていただくということを提言させていた だきます。  更に学校におきましては、就学前の検診、そして学校での説明会というものをフルに活 用していただけますように、そのように私としては座長として提言させていただきます。 これは今年度末までへの提言でございます。  また、来年の取組みに関しましては、同じようなことでございますが、予防接種の主体 でございます市区町村、特別区におきましては引き続き未接種者の把握や、未接種者に対 する個別勧奨と併せ、教育部門と連携した接種の実施を行うことが肝要でございます。  都道府県におきましても、先ほどと同様、都道府県における麻しん対策会議のガイドラ インに基づいた麻しん対策を一層進めまして、麻しん対策会議等を活用いたしまして、関 係機関との連携の強化、市区町村、特別区や学校等の関係機関への積極的な支援を行って いただきたい。  また、学校や教育委員会におきましては、『学校における麻しん対策ガイドライン』に 基づいた麻しん対策を一層強めていただきまして、接種対象者における未接種者や接種済 者の把握、未接種者への繰り返しの勧奨と接種の確認、自治体の取組みとの連携や都道府 県における麻しん対策への報告等を積極的に行うことが肝要であろうかと考えます。  いずれにいたしましても、平成24年度の麻しんの排除に向けまして、関係者におかれま しては、まず、今年度、残りの期間、可能な対応を、私が先ほど提言いたしましたとおり、 すぐにでも実施していただきますように、是非、よろしくお願いいたします。  そして、来年度の麻しん対策をより一層、推進していただけますように、今年度の課題 を再確認いたしまして、正確な情報の提供や普及に努めるとともに、接種を受けやすい環 境を整備させていただきまして、保護者の方や子どもたちが接種を受けやすいような働き かけや取組みを行っていただけるようにお願いいたしたいと存じます。  また、各市区町村に当たっては、個別通知の準備など、来年度の対策を今から始めなけ ればなりません。来年度の対策を早期に開始することが大切でございまして、先ほど、委 員からも指摘がございましたように、積み残しが多くならないように、十分に配慮をして いただきたいと存じます。  以上が座長としての切なる思いでございますので、よろしく御協力のほど、お願い申し 上げます。  課長の方から何か御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。 ○梅田結核感染症課長 本日は大変たくさんの貴重な情報と活発な御意見をありがとうご ざいました。現時点でこの麻しん関係に係わってくださっている方々や、一般の方々への メッセージは、まさに今、座長がまとめてくださったことに尽きるかと思います。  また、今日はいろいろと御意見をいただいた中で、個別の話では例えば「春休みに前倒 しで接種」ということで、ちょっと、それは付記県の例で橋本先生が帰られたので、詳細 を確認することはできないのですが、恐らくは、これは春休みの間に早目に前倒しで通知 をして、4月に接種をしているということが推測されます。  ただ、3月に自治体の独自の事業としてやっていらっしゃるかもしれませんので、市町 村が独自でそういう取組みをされるということは、それはその定期の接種ということでは ない任意の接種で、自治体の負担でということになりますが、それを阻んでいるものでは ございませんので、それも一つの工夫の在り方なのではないかと思っております。  それから、横浜市の大浜先生から特に入学時の、大学などの勧奨のことでより強硬なメ ッセージを出してほしいということですが、今日、本当に文部科学省から来ていただいて、 改めて今回、文部科学省とも何度も協議をして出させていただき、文部科学省からも出る 通知は中学、高校、小学校等を念頭に置いている教育委員会や自治部局の学校関係のとこ ろだけではなくて、今回、大学、それから大学の保健管理センターですとか、あるいは生 涯教育の部門もありますので、専門学校ですか、そういうところにも行きまして、新しく 入学してくる人たちに対して「今のうちに麻しんのワクチンを受けてください」というこ とを、今、この時期に強く勧奨するということを、今までにはやっていなかった一歩を進 めているということでございますので、また、それらの取組みを更に組み合わせていくこ とが必要かと思いますが、とにかく、年度末まであと残り1か月と少しの間、更にこの接 種の推進がされることを私どもは期待し、また、その評価も先生方にお願いをして、更な る知恵をいただければと思っておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 文部科学省、一言、いかがでしょう。 ○高山専門官 はい。私の説明のところで少し不足がありまして、申し訳ございませんで した。  今回、本日付で出す通知で、一点、今まで各教育機関に言ってきていなくて、新たにお 願いすることの一つとして、小学校に入学する直前の年少のお子さんに対して、そして大 学や専門学校など、現在、高校3年生に相当する方々が、来年度、専門学校や大学に入学 する予定の方に対して、その方は低位予防接種の対象でありますから、入学前に、もし受 けていないのであれば、接種をするようにしてくださいということのお知らせを行ってい ただくということをお願いするということが、一点、今回、新たに通知でお願いする点で ございますので、そのように各方面、各関係機関から多岐にわたって周知なり、指導なり をお願いするということを考えております。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  本日は長い間、いろいろ、参考意見、また御議をいただきまして、誠にありがとうござ いました。これをもちまして、第3回目の会議を終了させていただきますが、事務局の方 から何かございましたら、どうぞ。 ○山田課長補佐 事務局の方からでございますが、次の会議でございます。平成20年度末 までの接種率についての調査をさせていただきたいと考えております。それを併せて、本 会議以降の取組みと併せて御報告をさせていただくことを考えております。  会議は6月ごろの開催を予定しておりますが、詳細につきましては、後日、お知らせを させていただきたいと考えております。 ○加藤座長 最後に岡部先生、何かございますか。 ○岡部委員 加藤先生のおまとめで十分です。 ○加藤座長 それでは、どうも、お忙しいところ、長い間ありがとうございました。本日 は終了させていただきます。  ありがとうございました。                           健康局結核感染症課予防接種係                            (内線2383 2377)