08/12/24 第19回未承認薬使用問題検討会議速記録 第19回未承認薬使用問題検討会議議事録  日  時:平成20年12月24日(水)14:00〜15:11  場  所:九段会館 真珠の間  出席委員:堀田委員、井上委員、川西委員、後藤委員、浜田委員、       樋口委員、藤原(久)委員、藤原(康)委員、吉田委員 ○審査管理課長  定刻でございますので、ただ今から第19回未承認薬使用問題検討会議を開催させてい ただきたいと存じます。  本日は、年末にもかかわらずお忙しい中、ご参集をいただきまして誠にありがとうござ います。  本日の先生方の出欠状況についてご報告いたします。岩砂先生、佐川先生、大塚先生、 久保先生からご欠席というご連絡をいただいております。また、本日、ご議論をお願いす る個別品目の検討に当たりまして、国立精神・神経センター病院院長の葛原先生に、参考 人としてご出席いただいておりますので、ご紹介申し上げます。  それでは、堀田先生、議事進行方、よろしくお願いいたします。 ○堀田座長  それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の配布資料について確認をお願いしま す。 ○事務局  本日の配布資料につきましては、議事次第及び座席表、座席表につきましては大塚先生 が急遽お休みとなっておりますので、詰めてお座りいただいている状況でございます。そ れに加えて資料1−1、前回検討会議での結論に基づきワーキンググループで検討が行わ れた未承認薬、資料1−2、ワーキンググループ検討結果報告書、資料2、本年9月から 11月に提出された要望書一覧、資料3、本年9月から10月に欧米4カ国で新たに承認 された医薬品(類型I)、資料4、本検討会議で検討された医薬品リスト、また、参考資 料として参考資料1開催要綱、参考資料2構成員名簿、参考資料3対象医薬品の類型、参 考資料4未承認薬を治験対象とする場合の考え方、参考資料5ワーキンググループの設置 について、参考資料6本検討会議での検討状況を配布しております。  その他、構成員の先生方の机の上には、本日、資料3に出てくる3品目の医薬品の欧米 添付文書等につきまして、英文で大変恐縮ですが、コピーを置かせていただいておりま す。ページ数も多く、かつ英文でございますが、傍聴されている方々の中でこの資料をご 希望される方は、恐縮でございますが、会議終了後、事務局までお声をおかけください。  さらに、本日検討いたしますテトラベナジンについて、資料1−2のワーキンググルー プ報告書の添付資料を先生方の机の上に置いております。数に限りがございますが、傍聴 の方々でご所望の方は同じく事務局までお声をおかけください。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。  資料の欠落等がありましたら、事務局までお知らせください。  それでは、本日の具体的な議事に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。  まず、前回の本検討会で幾つか確認あるいは進捗状況の追跡等で宿題があったと思いま すので、事務局のほうからその結果をご報告ください。 ○事務局  ご説明いたします。  前回の第18回検討会議において、次回の検討会以降に進捗等を報告するようにご指示 をいただいた事項が幾つかございますので、順次、ご説明いたします。  前回の検討会において、慢性乳児神経皮膚関節症候群(CINCA症候群)に対するア ナキンラの早期承認のご要望が、日本小児科学会より寄せられた件をご紹介いたしまし た。アナキンラは米国アムジェン社より販売されている品目で、欧米において慢性関節リ ウマチを効能と取得しておりますが、当該効能に関しては米国でも取得しておりません。 日本においては、製剤そのものが導入されておりません。前回の検討会において米国アム ジェン社に対し、当該効能での日本における開発の予定等を事務局のほうで確認すること となっておりました。  米国アムジェン社に対し、日本及び欧米等においてCINCA症候群に対する開発の予 定を照会いたしました。12月20日にアムジェン社から回答があり、日本においてCI NCAを効能とした開発は行わないとの回答を受けました。その理由として、現在、アム ジェン社の本品目における契約上、日本における営業基盤がないこと、また、当該疾患に ついて非常に患者数が少ないこととの回答を受けております。  次に、メチルナルトレキソンについてご報告いたします。前々回の検討会にて海外で新 たに承認された品目としてご説明した品目です。オピオイド誘発性の便秘に対する注射剤 ということから、重篤な疾患の根本治療となるものではないものの、緩和医療の観点から 国内開発の状況を調査し、報告するようにご指示をいただいておりました。今般、当品目 について米国の開発元であるプロジェニクス社と日本の小野薬品工業株式会社が、ライセ ンス契約を締結したとの旨のプレスリリースが10月17日にございました。今後、国内 での開発が進められるということでしたので、ご報告させていただきます。  次に、アプレピタントの小児適用についてご報告いたします。アプレピタントは化学療 法誘発の嘔気・嘔吐症の治療薬として成人への適用については2007年7月に申請さ れ、現在、審査中です。前回の検討会にて日本小児がん学会からアプレピタントの小児適 用についてのご要望が寄せられている件をご報告いたしました。事務局のほうで小児適用 に関する開発状況を確認し、次回の検討会にて報告することとなっておりました。アプレ ピタントの小児適用については、開発会社である小野薬品工業株式会社より、小児に対す る開発について検討中であるとのことでございます。  最後に検討会資料の訂正でございます。前回の検討会において、平成20年6月から8 月に欧米4カ国において新たに承認された医薬品を紹介した際、国内開発状況に関する記 載が間違っておりましたので訂正させていただきます。5番目に紹介いたしましたステロ イド療法、免疫グロブリン、脾臓摘出に不応な特発性血小板減少性紫斑病の治療薬として 承認を取得した米国アムジェン社のロミプロスチムという医薬品ですが、前回の検討会資 料において武田バイオ社にて国内治験を実施中と資料に記載がございました。国内での開 発は武田バイオ社ではなく別の会社によるものであるとのことでありますので、お詫びの 上、訂正させていただきます。  また、今回の資料につきましても、先生方より誤記の指摘をいただいております。ま ず、議事次第の日付、曜日が間違っております。正しくは水曜日でございますので訂正を お願いします。次に資料2において関節リウマチの「関節」が「間接」の字に間違ってお りました。資料4、表の右上の日付が前回の日付である9月29日のままとなっておりま すが、本日の「12月24日現在」ということで併せて修正をお願いします。ホームペー ジ掲載時には訂正した版を収載いたします。申しわけございませんでした。  報告は以上です。 ○堀田座長  ありがとうございます。  それでは、今の宿題の件につきまして、先生方からご質問あるいはご意見がございまし たらお願いします。いかがでしょうか。  アナキンラについては結局、今は世界でも未承認ということの理解でいいですね。 ○事務局  はい。アナキンラはもともと慢性関節リウマチの適用を持っていますが、CINCA症 候群というものに関しては、どこの国でも開発は行っていないということでございます。 ○堀田座長  ということで、国内未承認というのがここの検討対象なものですから、世界でも未承認 になると対象からはずれるという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。  それから、オピオイドの誘発便秘というので、前回、これ自体、便秘は重篤、致死的な ものではないけれども、がんの末期に使われるオピオイドに関連するということで、その 冷たい対応はないんじゃないのという議論もありましたが、現在のところはライセンス契 約をしたという状況があるということですから、開発が見込まれると考えてよろしいです ね。  たしか吉田先生からのご指摘だったんですが、いかがですか。 ○吉田委員  特に結構だと思います。開発が進むということで理解しております。 ○堀田座長  それでは開発の経緯を見守って、できるだけやっていただく方向で努力していただきた いというふうに思います。  そのほかのものはよろしいでしょうか。  アプレピタントについては、先ほどのお話ですと成人に申請中で、小児については開発 の検討中ということでありましたけれども、小児からの要望も出ておりますので、引き続 きプッシュしていただくようにお願いします。  特に問題がなければ、それでは前回の検討会で、ワーキンググループで検討を行うべき とされました医薬品について検討したいと思います。  事務局から資料1についてご説明ください。 ○事務局  ご説明申し上げます。資料1をご覧ください。  医薬品名はテトラベナジン、販売名、Xenazineでございます。テトラベナジンは学 会、患者会からの要望はなく、米国の製薬会社の品目であるため、国内開発も行われてお りません。前回の第18回検討会議において、欧米4カ国のいずれかで新たに承認された 医薬品、類型Iとしてご紹介させていただいたところ、ワーキンググループで詳しい検討 を行った上で、今回の検討会議に報告することとされた医薬品でございます。本品につい て、ワーキンググループに検討結果の報告書をおまとめいただいておりますので、これに 基づいてご検討をお願いいたします。 ○堀田座長  それでは、ワーキンググループで報告書をまとめていただいたテトラベナジンについ て、先ほどご紹介のありました葛原先生のほうからご説明いただきたいと思います。よろ しくお願いします。 ○葛原参考人  それでは、これについて検討結果を報告させていただきます。私は国立精神・神経セン ター病院の病院長の葛原でございまして、専門は神経内科です。  検討者は、お手元の資料1−2の2ページ目の一番最後に書いてございますけれども、 私のほかに貫名信行先生、これは理化学研究所の脳科学総合研究センター病因遺伝子研究 グループ・ディレクターということで、ずっと金沢一郎先生と一緒にハンチントン病の遺 伝子と、それのいろんな病態の研究、それから治療薬の研究ということをやっていらっし ゃる方で、最近ではいろいろとマスコミでも話題になりましたトランスジェニックマウス にトレハロースという糖質を使うと、非常によくなるなんていうのを出したのがここのグ ループということで、加わっていただきました。  それから、長谷川一子先生は国立病院機構相模原病院の神経内科の医長で、現在、厚生 労働省の精神神経委託費のジストニア、要するに不随意運動の研究班の班長をしていらっ しゃいます。それから、その下の村田美穂先生は私のところの病院の神経内科の部長なん ですが、やはりハンチントン病とかパーキンソン病のような錐体外路疾患の専門家という ことで、この4人で検討させていただきました。  それで、検討した文書というのは、ちょうどここの3−(1)から(3)についていますような アメリカで出されている添付文書で、本当は今日つけておけばよかったんですが、ちょっ と私も初めてで事情がよく分からなかったのでつけておりませんが、それとことしの 「Neurology」というアメリカの神経学雑誌のほうに出ております、後で要約しておりま すその論文についての内容の検討、それから、あとはFDAとか、幾つかのところから解 説文のようなのが数件出ておりますので、それを中心に検討させていただきました。  それで、1ページに戻りまして短い文章ですので、基本的にはこれを読みながら説明さ せていただきます。  テトラベナジンはどんな薬かといいますと、神経終末のモノアミンの枯渇作用です。 したがいまして、モノアミンに相当しますカテコールアミンとかドーパミンとか、ある いはセロトニンのような物質を神経終末からたたき出して、それによって量を少なくし て機能亢進を抑えるということで、選択的ヒトモノアミン小胞トランスポーターtype2 の阻害薬ということになっております。類似の薬としてはレセルピンという薬がござい ます。  現在、ことし7月だったと思いますが、アメリカではハンチントン舞踏病に対してこ れが認可されたと。それとともに国名として論文に載っていたのは、ヨーロッパの数カ 国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドとなって計9カ国と書いて、ヨーロッ パがどこかというのはちょっと詳しくは論文からは分からなかったんですが、イギリス とかフランスとかドイツの主な国では、論文で見ますと大体認可になっている国に含ま れているように思います。  対象疾患なんですが、ハンチントン舞踏病あるいはハンチントン病という遺伝子の異 状によって起こる優性遺伝の病気で、特に大脳基底核の変性によって非常に激しい舞踏 運動と、それから性格変化、認知症が起こるという病気で、日本では10万人当たり欧米 の約10分の1か、それ以下と言われていて比較的少ない病気です。欧米では4から8と いうことで非常に多い、最も多い神経変性疾患の一つということで、常に社会的な話題 にもなるということなんですが、我が国では約600人ぐらいだろうと。  症状はハンチントン舞踏病と言われるとおり、大体、肩、手、足、首、表情にちょう ど盆踊りを踊るような感じの不随意運動が出て、例えば歩いていてそれが出ると転んで しまうとか、あるいは手に出ると持っているものを取り落とす、あるいは随意的な運動 ができないというような、そういう不随意運動で非常に皆さん苦しまれるという、そう いう症状が一番大きな症状なんですが、それ以外にもだんだんと認知症とか性格変化が 出て、自殺者も多いということで、最終的には寝たきりになって数年から数十年で亡く なっていかれるという、そういう病気なんですけれども、現在までにどういう治療が行 われたかということがその次に書いてございますが、根本的治療法はございません。現 在は遺伝子に対してどうアプローチするかというようなことがやられていますけれども、 対症的な療法が現在行われています。  この中で、特に不随意運動に対しましてはドーパミンの過剰状態ということで、ドー パミンを阻害するという作用がある薬が使われています。具体的には抗精神病薬でドー パミン受容体の遮断作用がありますハロペリドールとか、あるいはペルフェナジン、ス ルピリド、チアプリドと、こういういろんな抗精神病薬が使われておるんですけれども、 いろんな副作用が出ております。それから、もう一つはレセルピンという同じようなモ ノアミンの枯渇薬が使われていますが、これは特に非常に強い副作用があるということ で、なかなか適切な薬がないというのが現状です。  抗精神病薬で一番大きな副作用は、パーキンソン症候群が出て寝たきりになってしま う。それからレセルピンがカテコールアミンの全部を阻害しますので、パーキンソンが 出るか、うつ病が出るか、あるいは血圧が下がり過ぎるかという、そういう副作用があ って、なかなかこの不随意運動はコントロールしにくいということがございました。  その次の本剤の医療上の有用性についてということで、テトラベナジンというのは先 ほど申しましたように、モノアミンを枯渇させてしまう薬ですけれども、特にこの薬が 結合しやすい部位というのが、尾状核とか被殻、側座核という大脳基底核の中でもハン チントン舞踏病で非常に病変が強くて、ここの病変で舞踏運動が起こるというところに 結合するという点では、比較的、選択的にパーキンソン病の病変部位に大体該当すると ころにくっつくということがございます。  何度も申し上げますが、よく似た薬のレセルピンという薬は中枢だけではなく末梢に もつきますために、ドーパミンだけではなくていろんなカテコールアミン、例えばノル アドレナリンのようなところにも働くので血圧降下作用が出る、あるいはセロトニンに 働いて抑うつで自殺が増えるというようなことがあるので、実際には今まで使いにくか ったということです。それともう一つは、レセルピンというのは非常に結合してから離 れるまでが長いために、副作用が出てもなかなか取れにくいということがございますが、 テトラベナジンは数日以内で副作用は取れてくるという、そういうメリットがございま す。  その次の段からの米国では84例云々というので書いてございますのは、今年の 「Neurology」に載った論文の中身なんですけれども、実薬とプラセボにつけてUHD RS、これはユニファイド・ハンチントン・ディジーズ・レーティング・スコアという ことで、統一ハンチントン病評価スケール、これは資料として日本語訳をつけておりま すけれども、それで不随意運動を中心に検討した結果、投与量は1日12.5mgから 漸増して、50mg以下で使うようにするということでやった結果、効果は1週間目か ら始まって、3点以上の改善はプラセボで20%、実薬で69%、それから全体的改善 はプラセボで24%、実薬で69%と有意差があったということと、投与中止後で1週 間で効果は消えて、またもとの状態に戻ったということで、要するに副作用なんか出た 場合は比較的速やかに元に戻るということがございます。  問題の副作用なんですけれども、4例5件がございまして、これは薬の種類が先ほど 申しましたモノアミンを枯渇させるために、うつ、これは多分セロトニンのほうに働い たと思うんですが、自殺、転倒というのは恐らくパーキンソン症候群だろうと思います が、それによる事故としての脳出血、それからうつ状態、それから乳がんというのは恐 らく関係ないと思いますけれども、そういうことがあったということで、薬の性質から は予想された副作用であったということです。  あとは血液とか生化学のような、いわゆるラボデータには特別のものはなかったとい うことで、結論としてはこの薬は従来使われておったレセルピンとか、あるいは抗精神 病薬で抗ドーパミン作用薬ということになりましょうか、そういう薬に比べて副作用が 少なくて、しかも効果があって、安心して使える薬であったと、こういう形の結論が書 いてございまして、検討委員会でもそれについて検討しましたけれども、従来の使って いる薬に比べればはるかに効果があって、しかも副作用が少なくて安全に使える薬では ないかという結論に至りました。  以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。  それでは、ただ今のワーキンググループの報告につきまして、ご意見、ご質問があり ましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。  樋口先生。 ○樋口委員  質問なのでが、対象疾患についてのところで解説をされているドーパミンの受容体の 遮断薬ということで、従来のハロペリドールとか書いてございます。いわゆる古典的と いいますか、定型の抗精神病薬で確かにドーパミンの阻害作用として強いものなのです が、それと同時に副作用も非常に多いという今の解説でした。最近、非定型抗精神病薬 というのが開発されておりまして、ドーパミンを遮断する作用とセロトニンの受容体も 同時に遮断する作用があって、それで副作用を少し軽減させるということなのですが、 こういう非定型の例えばオランザピンとか、ああいった系統の薬がハンチントンで使わ れているという報告はあるのでしょうか。 ○葛原参考人  私は見たことはありません。特に非定型抗精神病薬ですと不随意運動じゃなくて、ど ちらかというと、こういう多分ハンチントンにも使われるとすると精神症状、例えば暴 力行為とか不穏とか、それから非常に暴れるとか、そういうものでは使うかもしれませ んが、不随意運動自体には少なくとも使ったという論文は見たことがありません。 ○堀田座長  ほかの先生はいかがですか。  川西先生、特にご意見はありませんか。 ○川西委員  特段にないんですけれども、伺っている限りで見ても、これは非常に重篤な疾患があ りますし、従来の治療薬よりはまさる部分が見られるということからして、やはりワー キンググループの結論というのは支持できるんじゃないかと、そう思います。 ○堀田座長  井上先生、薬理作用的に問題が何かありますか。 ○井上委員  特に今のお話を聞いていて特に生化学系の副作用も余りないということ、それから一 般的な他の向精神薬との副作用が似ているというようなことですので、管理上、特に大 きな問題はないように思うんですけれども。 ○堀田座長  そうしますと、欧米に比べて患者数が10分の1以下というお話でしたけれども、遺 伝的なことははっきり分かっていて、患者さんは遺伝子異常があると確定診断に至るん ですか。その辺を説明してください。 ○葛原参考人  遺伝子診断すれば100%、確実にペネトレーションが100%ですから、おぎゃあといっ て生れ落ちた途端に遺伝子診断すれば、確実に一生の間に発症するというのは分かるん ですけれども、ただ、倫理的な問題で現在、遺伝子診断があるのは発症者に限って、未 発症者に関してはやっておりませんので、発症者に関しては100%、例えばもし治験を する場合にどういう患者さんを対象にするかということになると、例えば遺伝子で確定 している人に限ることはできます。  ただ、例えばハンチントン病というのは大体母親から遺伝した場合は20歳、父親か ら遺伝した場合は30歳、次の世代では若くなりますので、一番最初の発端者というの は60代、70代に認知症だけという方もいらっしゃるんですね。しかも、親が発症し ていなくて子どもが未発症、そういう場合は見かけ上は子は正常に見えますから、もし それが疑われた場合は遺伝子の診断をすれば、100%エントリーするということはで きます。  それから、先ほどちょっと私は言い忘れたんですが、モノアミンのディプレーターと いうのは、パーキンソンとかうつとか自殺というセロトニン系に働くと、特にうつとか 自殺を誘発するということで、アメリカでは適用の禁忌の中にうつのある人とか自殺未 遂という、そういう既往歴がある人は除いていますので、もし日本でやる場合にもそう いうことが必要であるというようには思います。 ○堀田座長  欧米のこの文献でも、うつ病や自殺企図の既往のある患者は最初から対象から外して あるというふうに書いてありますね。 ○葛原参考人  はい。そういうことになっています。 ○堀田座長  そうしますと、遺伝的な素因を持っていても発病しない人もあるんですか。 ○葛原参考人  ポリグルタミン病というか、CAGという繰り返しが長くなればなるほど早く発症し て、短いと遅いですから、一生のうち、どこかでは発症するということになっています けれども、短いと60歳以降ぐらいに発症して、一番問題になるのは大体20代から4 0代ぐらいに発症する人が不随意運動が非常に早いと。それから、最近では子どものと きに知能障害とかパーキンソンとか、あるいは変な不随意運動ということで遺伝子診断 すると、親はまだ発症していないのに、数歳で幼児期に発症するという患者さんも見つ かっていますので、いずれにしても普通は六、七十まで生きれば、必ずそのどこかでは 症状が出てくる病気ということになっています、100%出ると。 ○堀田座長  分かりました。よろしいでしょうか。  藤原先生。 ○藤原(久)委員  ちょっとミスプリントなんだと思うんですけれども、資料、2ページのほうの上から 5行、「プラセボ群で70%(21/70例)」になっていますよね。これは70が本 当は30なんじゃないですか。この数字「21/70」だったら70%じゃなくて30% ぐらいなんだけれども、こっちの1ページを見ているとプラセボは30例と書いていま すよね。だから、「21/30」だったら70%になるんですけれども、70%は正し いんでしょうか。 ○堀田座長  分母がプラセボと実薬分で違う。 ○葛原参考人  申しわけございません。確認をいたしますけれども、症例数がプラセボ30例でござ いますので70ではなくて……。 ○藤原(久)委員  恐らく「21/30」で70%だと思うんですね。 ○葛原参考人  「21/30」で70%だと。 ○藤原(久)委員  そうすると、ちょっと私の疑問としては70%がプラセボであるというのは、何か妙 な感じもするんですけれども、有害事象が。プラセボって全くほかの何か対象薬を用い たわけじゃないでしょう。 ○葛原参考人  アメリカですから作用がないものがプラセボに入れられると……。 ○藤原(久)委員  全く作用のないものですよね。だから、作用のないものを入れて70%も有害事象が起 こるというのは何か妙な感じがしますけれども、普通は30%ぐらいかなと思う、プラ セボ効果としてプラセボの場合は。ちょっとこの病気の特殊性かもしれませんけれども ね。 ○堀田座長  投与期間ってどのぐらいなんですかね。かなり長期にわたるんですか。 ○葛原参考人  投与期間は13週間まで使って、それで最後に切ってどうなるかというのを見ていま すね。ですから、3カ月か4カ月というところでしょうかね。 ○藤原(久)委員  こちらの後の具体的な数字を見ていると、鎮静とか眠気とかプラセボでは3%で、不 眠症がプラセボが0%、疲労13%と書いていて、それから抑うつはプラセボが0%です よね。それからアカシジアも0%なので、70もないんじゃないかなと思いますから、よ く分かりませんけれども。 ○葛原参考人  添付文書上では、そのような記載があったんですけれども。 ○堀田座長  それでは、またその辺は確認していただくということでお願いします。 ○事務局  あと、これは副作用ではなくて有害事象ですので。 ○藤原(久)委員  有害事象でしょう。 ○堀田座長  だから、投与期間が延びると、有害事象はどうしても頻度としては高くなるるという ことですね。 ○事務局  何かが出たら全てカウントされてしまうというところがありますので、プラセボでも 何か出たものに関しては全てカウントすると、このような数字になることもあります。 服用中に、ハンチントン病による何かが出たとしても、一応治験期間中に全てカウント ということで、ちょっと頻度が多くなっているんだと思います。いずれにしろ正確な数 字は確認をいたし、必要であれば訂正を行います。 ○堀田座長  有効性については有意差が確認をされているようでありますが、吉田先生、この品目 につきましていかがでしょうか。 ○吉田委員  報告書によると、現在はそうすると適応症をとっている薬はない。 ○葛原参考人  ありません。 ○吉田委員  ということは、今現在は適応外使用で、保険上は違法的にやっていると。 ○葛原参考人  そういうことですね。ですから、いろんな病名がついていると思います。 ○吉田委員  それと、あと患者さんが600人ぐらいで、発症したりしなかったりするということ のようにお伺いしたんですけれども、そうすると、結論で国内治験が早期に開始される べきというのは、適応症のある薬がないという現状から考えても、そのとおりだとは思 うんですけれども、この少ない人数で治験をやるとなると、どういうふうに具体的に実 現できるんだろうかというのが実は不安なんですけれども、例えば数例とかというもの をクロスオーバー試験するようなことでも、それで十分効果が確認できるというふうに お考えでしょうか。 ○葛原参考人  実は、資料でつけましたハンチントン病の統一尺度、これは私が去年まで班長をして おりました厚労省の神経変性調査研究班でつくったものなんですが、ちょうどアメリカ でこういう薬が今治験されているということと、もう一つはネズミの実験で効果があっ たというトレハロースという糖類、ああいうものについて、患者さんのほうからも何と かならんかということがございましたので、班のほうでこういうのをつくって、もし治 験があったら、日本でもできるだけ標準化された評価法を使ってやりたいということと 一緒に、非常に患者さんは厚労省の特定疾患という難病になっていますので、ほとんど の患者さんというのは登録されているわけです。  そういう中で、大体どのくらいの患者さんが今不随意運動があるかというのは、恐ら く200人ぐらいだろうという大体の推計をしておりまして、ただ、いろんな条件を加え ると、その対象になる人というのは4,50名ぐらいというのは、患者団体なんかにも 働きかければ、比較的早い段階で幾つかの施設で集中的にやれば、例えばプラセボとこ れとで10例とか20例ずつというような形が、その気になればできるのではないかと いうことをちょっと検討委員会のほうでは検討していました。  それから、これとは全く無関係にちょうど厚労省のほうからこのお話があるときに、 大阪の製薬会社なんですが、7月にアメリカで発売になったので、日本ではこういうの を今後、何かやるような考えがこういう神経内科のほうではあるのかどうかという、ち ょっと問い合わせがあったりしたので、会社としてもそういうことを考えている会社が あるだろうというぐあいに思っています。  以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。  こういう希少な疾患ですので、治験を組むとなると大変難しい問題もありますが、希 少医薬品の申請もできる対象ではありますし、その辺は工夫してやっていただければと 思いますね。  何か事務局で情報を持っていますか。 ○事務局  今、葛原先生のほうからもご発言があったんですけれども、まだちょっとメーカーの ほうは申し上げられないんですけれども、この会議でワーキングの結論を得まして、我 々のほうからその会社のほうに働きかけをしていければと思っております。 ○堀田座長  それでは、皆さん、いかがでしょうか。これは早期に開発すべきであるということで、 プッシュしていただくように事務局からお願いします。ありがとうございました。  それでは、続きまして資料2のほうにお願いいたします。  本年9月から11月に学会、患者団体等から追加で検討要望のあった未承認薬のリス トと、それに効能効果に係る早期承認の要望書が下の欄に書いてございますけれども、 事務局から簡単にご説明ください。 ○事務局  ご説明申し上げます。資料2をご覧ください。  前回の検討会以降の平成20年9月から11月の間に、5成分に係る未承認薬の早期 承認に関する要望書が提出されました。また、既承認薬の効能追加に関する要望につい ても、本検討会議の対象ではございませんが、資料2の下段に参考としてまとめてござ います。  では、要望のあった各薬剤の内容でございますけれども、まず、1番のプレガバリン、 適応疾患は帯状疱疹後神経痛に対する薬でございます。日本ペインクリニック学会、日 本疼痛学会、日本麻酔科学会より要望書が提出されております。本薬については本年5 月に申請が出され、現在、承認審査中です。  2番目のラメルテオン、不眠症の適応です。国立精神・神経センター名誉総長の大熊 先生ほかから要望をいただいております。こちらも本年2月に申請され、現在、審査中 です。  3番目のペメトレキセド、非小細胞肺がんの適応です。日本肺癌学会から要望書が提 出されておりますが、こちらも本年2月に申請され、現在、審査中です。  4番のレベチラセタムですが、成人部分てんかん治療薬であり、日本てんかん学会か ら要望をいただいております。資料では申請準備中となっておりますが、メーカーに確 認させていただいたところ、本年11月に申請が行われ、審査中ということでございます。  最後に5番目のペルメトリンですが、疥癬を適応症とする品目でございます。日本臨 床皮膚科学会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会から要望書が提出されたところです。 こちらもまだ社名は明らかにはできませんが、国内の企業が開発に意欲を示しており、 国内治験実施が検討されているところであると聞いております。  以上でございます。  1つの品目が国内での治験実施を検討中ですが、その他の品目は既に申請が行われ、 既に対応が進んでいるという状況でございます。ご意見をいただきたいと考えておりま す。よろしくお願いします。 ○堀田座長  どうもありがとうございます。  それでは、この5品目につきまして、何か先生方からご意見がありましたらよろしく お願いします。  樋口先生。 ○樋口委員  2番目のラメルテオンというのは多分メラトニンのアゴニストだと思いますが、私は 内容を特に知っているわけではないのですが、適応疾患としては不眠症だけですか。例 えば睡眠覚醒リズム障害というような適応も含まれていたかどうかなんです。  といいますのは、不眠症の薬というのは今たくさんございまして、それほど緊急性を 要するものではないというふうに思うのですが、メラトニンは実は主に不眠だけではな くて睡眠覚醒リズム障害といいまして、極端な宵っ張りの朝寝坊で、それが修正できな いというような睡眠障害とか、あるいは1日1日少しずつ入眠時刻がずれていって、昼 夜逆転してしまって社会生活ができなくなってしまうという、そういう特殊なリズム障 害がございます。それはメラトニンが非常に有効であるということで外国では使われる のですが、日本にはメラトニンそのものが入っておりません。  それで、実はインターネットでかなり海外から輸入して使っているというケースがだ んだん増えてきていて、それ自体は逆に問題になるのではないかということがございま すので、そういう意味で不眠症に対するメラトニンというよりは、そういったリズム障 害等に対しては適応を持った薬が日本にないということから、これは審査中ですので、 恐らくどこかで承認されていくんだろうと思いますが、割と意味があるかなと、重要な 一つの薬剤になるかなというふうに思っています。 ○堀田座長  ありがとうございました。  そうすると、例えばこれが承認になればメラトニンは個人輸入というのは減りますか。 ○樋口委員  減ると思います。 ○堀田座長  分かりました。  実際、海外、特にアメリカなんかへ行くと、スーパーマーケットみたいなところでメ ラトニンを売っていますね。 ○樋口委員  売っていますね。それをたくさん買ってきて、日本の中で使っている人もいるという ことです。 ○堀田座長  分かりました。  そのほかはいかがでしょうか。  課長さん。 ○審査管理課長  今、ご指摘のございましたラメルテオンでございますが、少し確認してみないと分か りませんけれども、たしか申請されている効能は不眠症だけだったかと思います。 ○樋口委員  不眠症だけですか。 ○審査管理課長  ただ、先生がおっしゃるようにリズム障害にも使えるのではないかというのは、我々も 考えておるところでございます。あと1点申し上げますと、この薬はアメリカでは承認に なりましたけれども、ヨーロッパで承認に当たっては試験をやり直せというようなことを 言われて、今、そちらのほうの対応も進んでいるというふうに聞いておるところでござい ます。我々といたしましてはそれらの情報も含めて粛々と審査をしていきたいと思ってお ります。よろしくお願いいたします。 ○堀田座長  ありがとうございました。  ほかのものはいかがでしたっけ。プレガバリンとかペメトレキセドは前にも検討しま したね。 ○審査管理課長  プレガバリンについては、繊維筋痛症でたしか西岡先生にも来ていただいて、ご議論を していただいたところでございますし、その議論の結果も踏まえて、会社では治験を始め たという報告もいただいておるところでございます。 ○堀田座長  ほかはいかがですか。  藤原先生。 ○藤原(康)委員  資料2で多分誤記かどうかを確認しておきたいんですけれども、3番のペメトレキセ ドは悪性胸膜中皮腫で既に承認済みなので効能追加だと思うので、下のほうにおりるの かなという。 ○事務局  アリムタですよね。効能追加に当たりますので、下の参考の欄になろうかと思います。 修正の上、ホームページに掲載するときには修正をしたいと思います。ご指摘、ありが とうございました。申しわけございません。 ○堀田座長  では、直しておいてください。どうもありがとうございました。  ほかにいかがですか。  そうしますと、この5品目のうち1つは効能追加ということで対象とは違いますけれ ども、上の4品目は承認審査中であるという状況で、間もなく承認に向けて出口も見え てきているところで特段に進めなければいけないということでもないかというふうに思 います。よろしいでしょうか。  最後の5番目ですけれども、これもライセンス交渉中ということですが、これらにつ いては既にさっきのお話ですと多少の進展はありでしたか。 ○事務局  まだちょっとメーカーの名前は申し上げられないですけれども、国内開発について、 前向きな意欲を示しているという会社がございますので、また、進捗がありましたら、 その状況についてもこの会でご報告できればと思います。 ○堀田座長  ありがとうございます。  よろしいでしょうか。  そうしましたら、進捗を見守るという形で、もし必要であればまた検討会あるいはワ ーキングにおろすこともあるかもしれませんが、今のところはこれを見守るという形で いきたいと思います。  それでは、参考ですけれども、効能効果の追加については特にご意見はございません でしょうか。よろしいでしょうか。  これも承認申請中のものが多いのでありますが、下から2番目のトポテカン、卵巣が んについては申請取下げというふうに書いてありますが、事務局のほうで事情を説明し ていただけますか。 ○事務局  ご説明申し上げます。  トポテカンについては実際、申請されておりましたが、やはり有効性、安全性の面で 追加の臨床試験が必要ということになりまして、一回、申請が取り下げられたものです。 申請者としては現在、医薬品医療機器総合機構の方と今後の方針について検討しておる ということで、また、進捗がありましたらご報告できようかと考えております。 ○堀田座長  ありがとうございます。  そのほか、一番下のメトトレキサートについては高用量ですけれども、これは何か動 きはありますか。 ○事務局  メトトレキサートにつきましては、本年に行われました小児薬物療法検討会議のほう で小児の適用の追加を行っております。その際に現在、小児の用法・用量が成人よりも 多い状況になっております。小児のほうが耐性があるということでご結論をいただいた のですけれども、実際、成人のほうに関しましても、既存の用法・用量の範囲をさらに 上回る高用量での使用というものを希望されておられまして、学会もしくはメーカー製 薬企業のほうで検討が行われると聞いております。 ○堀田座長  ありがとうございます。  ほかにご意見はよろしいでしょうか。  それでは、特になければ、資料2につきましては特に積極的なアクションを起こすこ となしに見守っていきたいと思います。  それでは、次に資料3をご参照ください。  本年9月から10月に欧米4カ国のいずれかで承認された医薬品リストでありますけ れども、これについての検討に移ります。  事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  それでは、ご説明申し上げます。  前回の報告以降であります本年9月から10月の2カ月間になります。11月分の報 告が来るのが若干遅れましたので、本検討会でご紹介するのは2カ月分ということで、 次回、その分多く報告できるかと思います。その間に欧米4カ国のいずれかの国で新た に承認された医薬品は、資料3に記載がございます3品目でございます。  まず、1番目のラコサミドは効能効果が16歳以上のてんかん患者における部分発作 の補助的治療である経口の錠剤、シロップ剤、注射剤でございます。学会、患者団体か らの要望はなく、国内で治験は現在なしと聞いてございます。  2番目のアリトレチノインでございますが、こちらは成人における強力な局所ステロ イド治療に反応しない重度の慢性手湿疹を効能効果とする経口薬でございます。国内で の治験はなく、要望も特にございません。  ページをおめくりいただきまして3番目、ヒトC1エステラーゼ阻害物質含有製剤で ございます。人の血液からエステラーゼ阻害物質であるC1エステラーゼインヒビター を生成したもので、遺伝性血管浮腫患者の血管浮腫発作を予防する効能効果とした注射 剤でございます。国内開発は現在なしと聞いております。  以上の3品目でございますけれども、いずれも同種同効薬が存在し、必ずしも致死的 あるいは重篤な疾患ではないと考えますが、先生方のご意見を賜りたいと存じます。よ ろしくお願いします。 ○堀田座長  ありがとうございました。  それでは、この3品目について個々に検討をお願いいたします。  まず、第1のラコサミドですが、いかがでしょうか。  英語の添付文書で読みづらいのでありますが、成人のてんかんの患者さんの部分発作 に対する補助療法ということであります。何かご意見をいただけますでしょうか。  樋口先生、何かご意見はありますか。 ○樋口委員  特にはないのですが、もし情報があったら教えていただきたいんですが、今、現有の 同種同効薬ありというふうに書いてございますが、その同種同効薬に比べて安全性とか 副作用とか、抗てんかん薬というのは比較的副作用、有害事象が多い薬が多々あるので、 そういうものに比べて非常に改善された点があるものかどうかというような、そういっ た点での何か情報はありますでしょうか。 ○事務局  こちらはピボタルな試験が1剤から3剤、てんかん薬を使っている状態にこの薬をア ドオンするというデザインでやっている、その上で承認ということになりましたので補 助的治療という、そういう書き方になっています。既存の治療に比べて副作用の頻度が どうかということになりますと、ちょっと分かりかねるんですけれども、添付文書によ ると10%以上の副作用としては、目まい、頭痛、吐気、複視が見られているということ です。加えてAVブロック等が発生するということになっていますので、禁忌として2 度、3度のAVブロックがある方は投与禁忌と、そういう情報が入っております。ただ、 既存のてんかん薬の副作用に比べて頻度がどうかというのは、その添付文書のほうから はちょっと読むことができなかったので、余りお答えになっていないかもしれないんで す。申しわけございません。 ○樋口委員  実は、皆様ご承知のことなのですが、抗てんかん薬のドラッグラグというのは、一番 顕著であるということをしばしば言われて、欧米で使われている抗てんかん薬と日本で 使われている抗てんかん薬は、余りにも違うということがしばしば指摘をされるんです ね。そういう意味で、こういった薬が意外に世界的には標準、これはもちろん補助的な 治療ではありますけれども、難治性のてんかんというのは一般的に多剤併用でやってい っても、なかなかコントロールできないというものがありますので、補助的というか、 アドオンの薬が多くなるのはやむを得ないんですが、そういう意味でインターナショナ ルにスタンダードになり得るようなお薬が、同種同効薬があるからなくてもいいでしょ うという話になるのか、これ自体も、そういう意味ではまだインターナショナルにスタ ンダードのお薬としての地位を占めている、最近承認されたので分からないかもしれな いんですが、そういうことによって少し判断が違ってくるかというふうに思っています。 ○堀田座長  ありがとうございます。  ご指摘の点はありますが、基本的には学会とか患者団体からきちっと要望があれば、 またこの検討会に上がってきますので、その段階でも対応できるかと思います。  課長さん。 ○審査管理課長  今、委員からお話がありましたとおり、てんかん薬というのは確かにドラッグラグの著 しい分野の一つと指摘されたものと考えております。このため、ここ二、三年、学会の先 生方ともお話をし、特に治験へのご協力というのもお願いをしているところでございます。 今、ご指摘のございました国際的に標準的に使われているようなてんかん薬については、 幸いにして、ここのところ幾つか承認をして、そういう意味で申し上げますと、かなりキ ャッチアップできてきたのかなというふうに考えております。一方におきまして、この薬 剤につきましては個別具体的に学会の先生方からは聞いていないところでございますけれ ども、また、学会のほうからも話があれば、再度、この場でも議論をしていただきたいと 考えています。 ○堀田座長  という対応でよろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、2番目のアリトレチノインですか、これはいかがでしょうか。  慢性湿疹、手の湿疹ですね。これも重篤性とか致死的とかということからいうと、対 象は違うようには思いますけれども、同種同効薬というのは抗ヒスタミン薬ということ になるんですかね、今のところ。よろしいでしょうか。  これも、そうしますとここで対象とする疾患としては少し同種同効薬があり、また、 学会からの要望がない段階では、見守るという形にさせていただきたいと思います。  その次、3番目のヒトC1エステラーゼ阻害物質含有製剤、これはいかがでしょうか。 遺伝性の血管浮腫というのは非常に日本ではまれな疾患のようでありますが、欧米では 結構あるんですかね。いかがですか。 ○事務局  米国では6,000人から1万人というふうに聞いております。有病率が5万人から10万 人に1名ぐらいでかなり欧米では多い疾患だと、遺伝的疾患ですので多いというふうに 報告では聞いております。 ○堀田座長  日本ではちなみに患者数はどのぐらいでしょうか。 ○事務局  日本でのことはちょっと申しわけないです、把握しておりません。 ○堀田座長  余り聞いたことがないが、先生方はいかがですか、angioedemaというのは聞いたこと がありますか。後藤先生、何かありませんか。 ○後藤委員  まだ拝見したことはないですね。ただ、かなり少ない疾患のことは間違いないでしょ うね。 ○堀田座長  どなたか。  少なくても、これが非常に画期的で、これがなければほかの代替薬がないという状況 であれば、検討しなければいけないと思いますけれども、今のところ、学会からの要望 あるいは患者団体からの要望というのはいただいておりませんし、抗ヒスタミン剤で基 本的には対症療法で今のところ乗り切っている状況だということになっておりますが、 よろしいでしょうか。  特にご推奨がなければ、また、いろんな形で要望等が上がってきた場合に対応させて いただくということにしたいと思います。  それでは、この3品目とも、そのような対応にさせていただきます。  そうしますと、次に資料4になりますが、これまでの検討会での検討品目で、現在ま での対応状況についてまとめてございますので、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料4に基づき、前回より進捗があった品目についてご説明申し上げます。  まず、3番目のサリドマイドでございます。10月16日に承認されまして12月10日に薬 価収載されました。  2枚おめくりいただきまして30番目のダサチニブでございます。11月27日の医薬品第 二部会にて審議され、12月19日の薬事分科会に報告されました。その際、ご了承いただ きましたので、今後、承認に向けて作業を進める予定でございます。  37番目のスチリペントールでございますが、これまで国内での開発メーカーを募集し ておりましたが、今般、明治製菓株式会社が開発元であるフランスのバイオコデックス 社とともに国内開発を進めていくという発表が10月15日にございました。現在、治験準 備中と聞いております。  40番目のオキシコドン注射剤でございますが、こちらは12月より治験が開始されまし た。  42番のエクリズマブでございますが、こちらは希少疾病用医薬品に指定され、国内治 験も終了したということでございます。現在、申請準備中となっております。  43番目のヒトヘミン、こちらは本年3月の検討会にてワーキンググループよりご報告 いただいた品目です。これまで国内開発の権利に関する契約作業を行っており、調整中 というふうに記載をしていたところでございますが、12月17日、シミック株式会社より ヒトヘミンの販売権を有しているオーファンヨーロッパと、国内開発に関するライセン ス契約を締結したとのプレスリリースがされました。今後、国内開発が進められるもの と考えております。  以上でございます。  なお、本日、ご検討いただきましたテトラベナジンにつきましは、次回以降、本品目 リストの44番目に記載させていただきたいと思います。  以上です。よろしくお願いします。 ○堀田座長  ありがとうございました。  それでは、ただ今の取りまとめにつきまして、何かご意見をいただけますでしょうか。  募集中となっているのが何品目かございますけれども、まだ、手を挙げられていない という状況ですね。なかなか難しいでしょうか。こういうのは国内に代理店というのか、 日本法人がないところばかりですか、募集中となっているのは。 ○事務局  そうです。 ○堀田座長  そういうのはなかなか厳しいですね。  それでは、特に問題がなければ最後に現在の検討状況の円グラフを説明してください。 ○事務局  参考資料の6番目をご覧ください。円グラフがございます。未承認薬使用問題検討会 議での検討状況という円グラフがございますけれども、ご説明申し上げます。  本資料には、平成17年1月の第1回の検討会より本日の第19回検討会までに検討され ました全43品目の開発状況を示しております。左側においては検討会にて取り上げた時 点での開発状況、右側には2008年12月現在の状況を提示しております。検討された品目 中22品目は抗がん剤領域、11品目は先天代謝異常症などの小児用薬、その他として10品 目となっております。  検討会で取り上げた時点においては、国内治験開発前の品目が多くございましたが、 現在の状況においては承認された品目が19、承認審査中の品目が2品目、申請準備中の 品目が1と、本検討会で取り上げられた品目の半数が国内での治験を終了しております。 また、前回の検討会以降、国内開発に着手され始めた品目もあり、現在、開発企業の募 集中も含めた国内開発が開始されていない品目は8となっております。  今後、これらの品目の国内開発が進むよう、引き続き製薬会社に対し要請していきた いと考えております。また、本資料も検討品目の進捗状況に合わせ、適宜、更新してま いります。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。  それでは、先ほどのリストも含めまして現在の検討対応状況につきまして、何かご意 見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  では、吉田先生。 ○吉田委員  43同士の比較なんですけれども、依然として白が8あるんですけれども、白い検討要 請中って8と……。 ○事務局  というのは、この8の中には近々の検討会で取り上げられたものも入りますので、例 えば本日ご検討いただいたテトラベナジンにつきましては、次回の検討会のときに例え ば治験が既に始まったということでなければ、8が9になるということになってしまい ます。 ○吉田委員  時間の経緯は書いてないんですね。 ○事務局  常に新しい品目が来ると、ここはゼロになるのが望ましいんですけれども、なかなか 難しいところかなと。 ○吉田委員  当時の状況で43になっているので、43は増えていないのかと思ったんですけれども、 そういうことじゃないんですね。 ○堀田座長  課長さん。 ○審査管理課長  その8品目あるいは治験中と言われる13品目、これをどのような形で進めていくかと いうのは、重要な課題だろうと考えております。ことし初めにまだ会社が決まっていな い品目については業界団体に対して、また、開発の会社が決まっている、まだ治験に入 れていない、そこから1年以上の経過がしたというような品目については、個別の会社 に対して督促と申しますか、推進をお願いをしたところでございます。  我々といたしましても、この件につきましては先ほど座長の堀田先生がおっしゃった ような国内で会社があるものについては、その会社はこれ以外の品目も多々やっておる わけでございますから、お願いをすればかなり無理も聞いていただくところがあるわけ でございますけれども、会社すらないというようなところは非常に苦労をしておるとこ ろでございます。引き続き業界の協力を求めながら、また個別会社に促進をお願いをし ていきたいと思っておりますし、ちょうど1年たちますので、来年初めには再度、そう いった施策を講じていきたいと考えておるところでございます。 ○堀田座長   ほかによろしいでしょうか。  なかなか国内に開発のなり手の企業やあるいは日本法人がないという状況で調整する のは難しいんですが、何か促進するためにインセンティブになるようなものというのは、 希少疾患の指定や優先審査以外に何か仕掛けはないですかね。 ○審査管理課長  何か考えられればなというのが正直なところでございまして、逆にほかの品目も国内 で開発をやっておる会社に対しては、端的に申し上げますとCSR、社会的責任という ことを強調しておるところでございますけれども、今、座長からおっしゃられましたよ うな何かインセンティブが働くようなこと、審査の中では優先審査にするであるとか、 あるいはオーファンドラッグに指定をするとか、それぐらいの手段しかないわけで、プ ラスアルファとして何かあるかというのはいつも考えておるところでございますけれど も、なかなか一概にいいアイデアがないこともまた事実ですし、お金で何とかなるとい うものでもまたなさそうなところが多々ございますので、個別個別について各社の状況 を聞きながらできるだけ会社の負担を減らし、また、学会にもお願いするところはお願 いをしてやっていくというのが今の方式でありますけれども、いろんなアイデアがあれ ば、また、そういったものも取り入れていきたいと考えております。 ○堀田座長  そういうことに積極的に協力していただいたところは表彰するとかいうのはあるのか もしれませんが、ありがとうございました。いずれにしても私どもの使命としては、こ ういった本当に患者さんが必要としている薬をなるべくきちっと評価して、それを治験 につなげていくという役割を持っているわけなので、ぜひともまたよろしくお願いした いと思います。  それでは、よろしいでしょうか。  どうぞ、藤原先生。 ○藤原(久)委員  私は専門が循環器なのでちょっとよく分からないんですけれども、資料3の2番目の アリトレチノインと書いていますよね。これの同種同効薬のところに、慢性湿疹に対し て抗ヒスタミン薬の内服薬と書いているんですよね。皮膚科のあれでだれか、どういう 理由で抗ヒスタミン薬にしたんですか。高ステロイドの効果がないものに対して使うと 書かれているけれども、この表現でいいのかどうか。 ○事務局  先生のご指摘は強力なステロイドで効かないものに対するお薬であるのに、抗ヒスタ ミン剤を同種同効薬として入れるのは適切かどうかというものでしょうか。 ○藤原(久)委員  そう、そう。何か抗ヒスタミン薬って本当に慢性湿疹に対して使いますかね。いや、 私は循環器なのでちょっと本当のことは分からないんだけれども、皮膚科の先生のご意 見でそうなのかということをちょっと。 ○事務局  皮膚科の先生から具体的にお聞きをしたわけではございません。 ○藤原(久)委員  ちょっと気にしておいたほうがいいんじゃないですかね。 ○事務局  慢性湿疹という病気に対して同種同効薬を書いたものです。 ○藤原(久)委員  ステロイドの効果がない慢性湿疹に対して、ヒスタミンの効果はあるという感じなん ですよね。 ○事務局  確かにステロイドが効かないものに抗ヒ剤が効くかというと、この書きぶりは確かに 適切ではないかと思いますけれども、あくまでここは慢性湿疹ということに対してのお 薬として、抗ヒスタミン剤、ステロイドという、そういう意味合いで書かせていただき ました。 ○藤原(久)委員  だから、もし書くのなら、この資料はオープンになるんじゃありませんか。 ○事務局  はい。 ○藤原(久)委員  だったら、こういう表現でいいのかどうか、皮膚科の先生にちょっと聞いてみた後で やったほうがいいんじゃないかと思うんですね。 ○事務局  ご指摘、ありがとうございました。適切に修正を検討いたします。 ○堀田座長  ご指摘、ありがとうございました。  同種同効かどうかということは表現が難しいところがありますけれども、いずれにし ても現在の表現についてはちょっと検討していただくことにしまして、この品目の取り 扱いとしてはよろしいでしょうかね。 ○藤原(久)委員  はい、いいです。 ○堀田座長  ありがとうございます。  それでは、本日、予定しました議題はここまでと思いますけれども、よろしいでしょ うか。事務局のほうから何か連絡はありますか。。 ○審査管理課長  本年最後の検討会ということでございますので、本年、4回開催させていただきまし たが、お世話になりました。誠にありがとうございました。  おかげさまで先ほど円グラフで見ていただきましたとおり、この検討会で開発を急ぐ べきだと言われた44品目のうち、大体半分がめどが立っていて、残りの半分について、 今、いろいろ促進をお願いしているところであります。また、資料4をご覧いただきま したとおり、このワーキンググループで取り上げていただく品目も幸いにして減ってき ている。今年、平成20年は2品目ということで、17年、18年と十五、六の品目があった のに対して、そういう意味で申し上げますと、個別に緊急に対応しなければいけないよ うな品目というのも、先ほどの樋口委員の話ではございませんが、少しずつ落ち着きを 見せてきたところであろうかなというふうに考えておりますけれども、まだまだ、いわ ゆるドラッグラグ問題というのは社会的に大きな関心があるところでございますので、 引き続き来年もよろしくお願いをしたいというふうに考えております。  その中で昨年と申しますか、本年1月に半数の委員に交代をしていただいたところで ございます。その際に残り半数の委員についても、今年一杯でということを申し上げて おったところでございますが、幸いにして本年取り上げた品目が2品目しかなかったと いうようなこともありまして、そういう意味で申し上げますと、検討のやり方あるいは 蓄積というのを円滑に引き継いでいくという観点から申し上げますと、この機会に委員 の改選を行うことはいかがかというふうに考えておる次第でございます。  したがいまして、先生方におかれましては甚だ恐縮ではありますが、基本的には来年 もまたご活躍、ご協力いただきますようお願い申し上げたいと思います。もちろん、個 別にいろんな状況がございまして、やむを得ず、委員をやめたいという方もおられるや に聞いておりますので、それはそれで対応したいと思いますけれども、基本的には引き 続きご協力、ご鞭撻、ご指導をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願い申 し上げます。 ○堀田座長  それでは、ほかになければ、ここまでで本日の検討会を終了したいと思います。  ご協力ありがとうございました。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111