08/12/19 第2回厚生労働省政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ議事録 政策評価に関する有識者会議 社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ(第2回) 日時 平成20年12月19日(金) 8:30〜 場所 厚生労働省共用第6会議室(2階) ○座長(高橋委員) 定刻でございますので、第2回「政策評価に関する有識者会議社 会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ」を開催させていただきま す。大変お忙しい中、しかも早い時間にお越しいただきましてありがとうございます。 今日はメンバーの皆様全員出席ということでございますので、よろしくお願いいたしま す。それでは、荒井政策評価審議官からご挨拶をお願いいたします。 ○政策評価審議官 政策評価審議官の荒井でございます。本日は日程の調整でこのよう な早い時間になってしまいましたが、委員の皆様方におかれましてはご多忙中のところ ご出席いただきまして、どうもありがとうございます。ご案内のとおり、社会保険庁は 社会保険事業の保険者として、適正かつ安定的に事業を運営する任務を担っております。 私ども厚生労働省におきましては、社会保険庁を監督する立場から、平成13年度より 中央省庁等改革基本法に基づきまして、毎年度、社会保険庁が達成すべき目標を設定し、 その実績の評価を実施してきております。今般、社会保険庁から平成19年度の実績報 告を受けまして、その実績についての評価書を作成しましたので、ご審議をいただきた く本日ご参集いただいたということでございます。  ご案内のように、社会保険庁は、長い間に形成されました組織体質の問題や業務運営 上の問題を背景にしまして、年金記録問題など、国民の信頼を損ねる事態を招いており ます。この問題につきましては、これまで「ねんきん特別便」の送付、相談体制の整備 などを行ってきましたが、引き続き定期便の送付、未統合記録の統合・解明、標準報酬 遡及訂正問題の実態把握などに対応を進めるとともに、徹底した業務改善、組織の改革 を行うことによって国民の信頼の回復に全力を挙げて取り組む必要がある、というふう に私どもも考えております。このような年金記録問題の対応を最優先としながら、しか しながら事業所への適用、保険料の徴収、給付といった社会保険の基本となる大切な日々 の業務もございまして、着実に実施していかなければいけない状況にあります。  皆様方の忌憚のないご意見をいただきながら、本日のこの評価がさらに充実したもの となりますように、よろしくお願いいたします。本日もどうぞよろしくお願いいたしま す。 ○座長 ありがとうございました。それでは、議事に入らせていただきます。平成19 年度における社会保険庁が達成すべき目標についての評価ということで、お手元に資料 がきていますが、ご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐(宮崎) 本日の資料についてご説明いたします。まず、この実 施庁評価ですが、中央省庁等改革基本法に基づきまして、平成13年度から毎年度実施 しております。その仕組みとしましては、毎年度達成目標を示しまして、年度終了後に 実施庁の長、これは社会保険庁長官にあたりますが、実績報告を受けて評価を行うとい う仕組みになっております。、厚生労働省において実施庁というのは社会保険庁ですが、 ほかに国税庁や特許庁、海上保安庁がありますが、共通の仕組みで実施庁評価というも のがあります。  本日の資料で申しますと、毎年度達成目標を示すのが参考資料2になります。参考資 料2を示しまして、その実績ということで参考資料1がまいります。参考資料1という のはこの分厚い「平成19年度事業実績報告書」なのですが、これを社会保険庁長官か ら受けまして今回評価を行います。その評価というのが今回議論していただく資料にな ります。  評価書の説明の前に、目標がどういうものだったのかということをご説明しますが、 平成19年度の達成目標は平成19年2月に作成しました。参考資料2です。例えばこれ は目標が6本の柱に分かれていまして、1番が適用、2番が保険料等収納、3番が給付、 これで基本的な保険料徴収・給付の業務が3番までになっていまして、4番が保健事業 及び福祉施設、5番が広報、情報公開となっております。6本と申しましたが、目標自 体は5本ですけれども「その他」ということで、社会保険庁のほうから実績報告として 上げてきたものがあります。例えば、適用では適正な届出をするために事業所調査の件 数を目標に掲げていたり、保険料等収納では収納率。3点目の保険給付で申しますと、 給付業務ですので、申請を受け付けてから支給決定通知書が届くまでの事務処理の所要 日数について、サービススタンダードということで目標を掲げていまして、100%の実 現を目標としております。  では、評価書のご説明にまいりたいと思います。評価書ですが、2段構成になってい まして、「平成19年度に社会保険庁が達成すべき目標についての評価」という、少し薄 いほうが総論ということで全体をまとめたようなものになっております。各個別の具体 的な評価については各論で分厚い資料が載っております。各論の仕組みは、実績報告を 受けまして、その抜粋を指標とか目標に係る取組ということで紹介しまして、評価、今 後の課題等という構成が共通になっております。総論は、それぞれの評価について概要 を書かせていただくとともに、平成19年度については年金記録問題という非常に大き な問題がありましたので、冒頭にそちらについての記述をさせていただいております。  それでは、この総論に従って中身をご説明いたします。本評価について、先ほど申し 上げましたように中央省庁等改革基本法第16条第6項第2号に基づく実施庁評価の仕 組みについて冒頭で説明しております。厚生労働省本省として、達成状況に係る評価を 行い今後の課題を示すものです。評価の趣旨としましては、厚生労働大臣が設定しまし た平成19年度において社会保険庁が達成すべき目標について、実績を評価することに より、社会保険庁の事務の適正な実施を確保するというところにあります。  最初は「年金記録問題について」です。社会保険庁は、社会保険事業の保険者として 適正かつ安定的に事業を運営する任務を担っていますが、年金記録の管理は年金制度の 根幹に関わる重要な事務であり、加入者一人ひとりの記録を長期にわたって責任を持っ て管理しなければならない。しかしながら、長い間に形成された組織体質の問題や業務 運営上の問題を背景にしまして、いわゆる5,000万件の未統合記録の存在をはじめとす る年金記録の問題、各般の不適正事務処理事案などが生じまして、国民の信頼を損ねる 事態を招いたことは誠に遺憾でございます。これらの問題に対して真摯に反省し対応に 全力を尽くしていく。それとともに、社会保険庁自身の徹底した業務改革と組織改革を 進めることにより、国民の信頼回復に全力を挙げて取り組む必要があるとしております。  この問題につきましては、平成19年の10月ですが、総務省に設置された年金記録問 題検証委員会の「年金記録問題検証委員会報告書」というものが出されております。そ こにおきまして、使命感及び責任感の欠如した年金記録管理に関する基本的姿勢、年金 記録の正確性を確保することの重要性に対する認識不足、最終的に年金給付の裁定請求 がなされたときに記録の確認を行えばいいという事務処理上の考え方、いわゆる「裁定 時主義」といわれております問題。そういった基本的な問題をまず指摘しまして、それ に加えてさまざまな事務処理上の問題、年金記録管理システムに関する問題などの直接 的な要因、さらには間接的な要因として社会保険庁職員の三層構造等の組織上の問題が あったと、そのように指摘されております。こうした指摘につきましては厳粛に受け止 め、年金記録業務の適正執行に真摯に取り組まなければならないとしております。  具体的には、社会保険庁では平成19年7月5日、年金業務刷新に関する政府・与党 連絡協議会で取りまとめました「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体 制の確立について」、以下、こういった取りまとめ計画等々に基づき以下のとおり対応を 進めてまいりました。そこに掲げている対応は、(1)(2)とありまして、(1)は平成19年12 月から「ねんきん特別便」を送付して、年金記録の確認を年金受給者・加入者の方にお 願いしております。  具体的にはア、イ、ウとありますけれども、平成20年3月末までに5,000万件の未 統合の記録と、1億人の方すべての方の記録をコンピュータ上で突き合わせ、その結果、 記録に結びつく可能性がある方1,030万人に「ねんきん特別便」を送付しました。平成 20年4月からこの3月までに送付した以外にも、年金受給者の方、現役加入者の方に「ね んきん特別便」を送付しております。次に「ねんきん特別便」に未回答の方や「訂正な し」と回答した方に対しましても、郵送・電話・訪問などによるフォローアップを行っ ております。また、「ねんきん特別便」の送付に伴いまして相談件数が増加しますので、 その増加に対応できるように電話相談や来訪相談等の体制を整備しております。「ねんき ん特別便」について新聞、テレビなどを中心として周知広報も行っております。  こうした記録の確認の取組と並行して、想定される名寄せができなかった要因に応じ まして旧姓の活用、住基ネットワークの活用など、引き続き未統合の記録の解明・統合 の作業を進めております。  このように作業をしてきているわけですが、今後は引き続きまして、この特別便のフ ォローアップの徹底などを中心として記録を統合・解明するとともに、来年度以降です が、ねんきん定期便、これは加入期間、保険料納付額、標準報酬月額などを記載してい る定期便ですが、それを送付することによって国民の皆様が自身の年金記録をいつでも 簡便に確認できる仕組みの整備を行う等、自らの記録に不安を持つことのないよう、将 来にわたって正しい年金記録としていく必要があるとしております。  また、8億件を超える紙台帳の記録とコンピュータ記録の突合せにつきましては、画 像データ検索システムの基盤整備を平成21年度に実施しまして、そのシステムを活用 して、申出での有無にかかわらず、すべての受給者と加入者の方について、突合せを徹 底的に実施していく必要があるとしております。  さらには、総務省の年金記録確認第三者委員会のあっせん17事案について調査をし た結果、標準報酬月額または資格喪失の遡及訂正処理について、社会保険事務所の職員 が事実に反する処理であることを知っていたと考えられる事案などが含まれておりまし た。この問題につきましては、オンライン上のすべての記録から抽出した不適正な遡及 訂正処理。可能性のある記録のうち、すでに年金を受給している方、約2万件ですが、 に対する戸別訪問による年金記録の確認調査を進めているところです。  また、厚生労働大臣直属の「標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会」が設けら れまして、ヒアリング、アンケートなどを通じて職員の関与に関する調査を行いまして、 先月の28日に「標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会報告書」が取りまとめら れましたが、その報告書の中では、社会保険庁本庁が不適正な遡及訂正を書面で指示し た事実は見つからなかったが、「社会保険事務所の現場では、徴収課長を中心に複数人の 間で遡及訂正が容認されており、その意味では、現場レベルの『組織性』が存在してい たと見ることができる」といった文面での指摘を受けております。この問題につきまし ては、引き続き徹底的に事実関係の調査を行った上で、被害者の救済を最優先としつつ、 関与した職員については厳正に対処する必要があるとしております。  続きまして「平成19年度に達成すべき目標についての評価」ということです。年金 記録問題は、冒頭にまとめさせていただきましたが、以下は各事業ごとに評価をまとめ ております。以降はこちらの総論を中心としつつ、場合によっては数字などを各論のシ ートでご紹介しながら説明させていただきたいと思います。  社会保険庁はその担うべき事業である適用、保険料等収納、保険給付、保健事業・福 祉施設事業、広報・情報公開・相談等について平成19年度に達成すべき目標を掲げて、 それぞれ事業を推進するための取組を実施してきました。平成19年度においては、業 務改革プログラムというものを平成17年に策定して、随時状況に応じて改定してきて いますが、こちらに基づいて個々の目標ごとに取組を強化、あるいは新たな取組を展開 してきたところです。その結果、目標の達成に向けて進展があったものもありますが、 取組が不足しているものもみられたところです。  概要は次のとおりですが、なお、平成19年度の達成目標が定められたのは、冒頭に 申しましたとおり平成19年2月でしたが、その後、年金記録問題への対応が最優先の 課題となりました。このため社会保険庁は、組織を挙げてこの問題に重点的に取り組む ための要員シフトを行い、他の業務の実施体制に少なからず影響が及びました。もとよ り、年金記録問題の発生という事態を招いたこと自体は、社会保険庁の組織体質や業務 運営に起因するものでありまして、国民の信頼回復に向けて全力で取り組むべきである ということは言うまでもありませんが、平成19年度の社会保険庁の業務実績の背景に は、以上に述べたことがあるという点を念頭に置く必要があるとしております。  以下、各業務ごとにご説明いたします。1番目は「適用事務」です。適正な適用は年 金制度の運営の基盤となるものでありまして、極めて重要ですが、新規適用事業所数が 減少し、事業所調査の実績についても調査件数が大幅に減少しており、目標を大きく下 回っております。具体的な評価の内容を各論でご説明いたします。事業所調査件数につ いて全適用事業所数の4分の1以上という目標を定めていましたが、それにつきまして 年金記録問題の対応を最優先とする中で調査件数が前年度より大幅に減少し、各論4頁 のいちばん下の3行ですが、平成18年度の46万事業所が平成19年度20万事業所にな りまして、この20万6,652カ所という数は目標を4分の1としたところですが、数値 にすると12.78%となっております。  これにつきまして今後の課題としては、まず未適事業所の適用の促進に関しては重点 加入指導というものを適切に実施していく。重点加入指導というものは、評価書各論の 2頁にあるとおり、文書や電話・訪問といった適用勧奨を実施しても自主的に届出を行 わない事業所のうち、一定規模、10人以上の従業員を使用する未適用事業所を対象とし て、呼出や訪問による重点的な加入指導を行うものですが、これを適切に実施していく ことが重要です。  また、事業所調査は届出の適正化のために行うものですが、これについては届出漏れ や不適正な届出が多い事業所への重点化が重要であるとしております。また、適用促進、 未適用事業所に係る促進ですが、先ほど申しました文書・電話・訪問による適用勧奨で すが、これについて民間委託が実施されていますが、引き続き適正に実施していく必要 があると考えております。以上が適用です。  2点目の「保険料等収納事務」ですが、年金制度の健全な運営のためには、保険料の 確実な納付を行っていくことが極めて重要です。保険料の収納については厚生年金保険 料、国民年金保険料の収納率それぞれの目標を掲げております。まず、実績の数値です が、厚生年金の場合は各論11頁です。真ん中辺りの表を見ていただくと、保険料収納 が大体98.7%で目標が98.5%ですから、数値目標は達成しております。国民年金保険 料の実績は、14頁の真ん中辺りの表に保険料納付率のパーセンテージが出ていますが、 平成19年度は保険料納付率が63.9%になっています。この63.93%という数字は対前 年度比マイナス2.3%で、目標が80%に達するように最大限努力をするとなっています が、この80%達成には至っていないところでありまして、前年度実績を下回っており、 評価としては取組が不足しているとさせていただいております。  評価は、同じ評価シートの18頁にあります。63.93%ですが、これが現年度、平成19 年度ですが、保険料は過去2年分の納付が可能ですので、平成17年度保険料分につい ても、過年度保険料分についても数値を紹介しています。18頁の上のほうに「納付率の 推移」という表が出ていますが、平成19年度の欄の横の17年度分保険料という所を見 ていただくと、最終的には72.4%となっています。これは目標が74.5%でしたので、2.1 ポイント及びませんでした。  これについての今後の課題としまして、まずは確実な収納を図るためにはこれまで以 上に年金制度の意義・役割・重要性について広く国民に周知し、制度に対する不安を払 拭することが必要です。それとともに、19頁ですが、具体的な対応としまして、○の上 から2つ目の所ですが、保険料を納めやすい環境づくりを推進する。それと、未納者属 性に応じた効果的・効率的な取組を実施する必要があるとしております。未納者属性に 応じた効果的・効率的な取組というのは、例えば保険料の負担能力がありながら納付義 務を果たさず、ほかの被保険者の納付意欲にも影響を与えかねない未納者に対しまして は、強制徴収を確実に実施するということです。一方、保険料を納めることが経済的に 困難な方については、免除等制度の利用によって確実に年金受給権を確保していくとい うことが重要です。  なお、この目標設定に関しましては、未加入者の推移など納付率の算定の前提に影響 を与える諸条件を勘案しながら、今後の納付率について、実現すべき目標設定の検討を 引き続き行う必要があろうと考えております。  3点目が「保険給付事務」になります。保険給付事務については3つ内容があります が、そのうちのレセプト情報管理システム、これを利用した医療費適正化につきまして は、こういったシステムを利用した効率的な点検が実施されていまして、引き続き的確 な点検の実施により、適正化のための取組を推進していく必要があるとしております。  具体的な給付事務ですが、政管健保などの傷病手当金等の現金給付の迅速な決定及び 適正な支給に関しては、すべての給付種別において90%以上の達成率になっていまして、 目標の達成に向けて進展がみられました。他方、年金給付ですが、年金給付においては 請求書を受け付けてから年金が裁定され、年金証書が請求者に届くまでの処理日数の目 標(サービススタンダード)を大きく下回っております。年金給付のサービススタンダ ードというのは、具体的には各論27頁のいちばん上の目標の欄にあるとおり、老齢基 礎・老齢厚生年金で言うと2カ月としております。加入期間、加入状況の再確認を要し ない方は1カ月という目標が立っております。これについての実績ですが、28頁にある のが割とわかりやすく書いてある表なのですが、例えば「加入状況の再確認を要するも の」の達成率は90%台、80%以上となっていますが、再確認を要しないものについては 50%から60%半ばとなっております。達成率自体は目標を100%としていますので、こ れは目標を大きく下回っており、評価としては取組不足ということです。  その原因については裁定件数の増加などの影響も考えられるところですが、今後の課 題としましては、達成率の低い給付項目や社会保険事務所について、個別に原因の分析・ 把握を行った上で、目標達成のための取組を進める必要があるとしております。給付に ついては以上です。  4点目の「保健事業・福祉施設事業」です。保健事業というのは健診などを実施して いますが、政府管掌健康保険の健診実施割合は前年度を上回る結果となっているものの、 目標自体は達成していないとなっております。福祉施設に関しましては、具体的には評 価シートの34頁になります。目標としては保健・福祉施設の見直しの方針に基づいて 着実に整理合理化を実施する、という目標を立てているところです。  実績としましては、まず宿泊施設などの福祉施設事業ですが、これに関しては平成17 年10月に設立したRFO、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構におきまして、 施設の譲渡・廃止を進めているところです。平成20年10月に全国健康保険協会の設立 がなされましたが、福祉施設以外に社会保険病院、厚生年金病院などについてもRFO に出資されまして、こちらについては整理合理化計画がまだ策定されていませんので、 早急に整理合理化計画を策定し、計画を着実に進める必要があるとしております。福祉 事業のうち船員保険福祉施設については、引き続き整理合理化に向けた検討を進める必 要があるとしております。  5点目ですが、「広報、情報公開、相談等」に関して目標を掲げ評価をさせていただい ております。広報は国民の年金制度への理解を深めるために重要なものでありまして、 社会保険庁ホームページの充実などの取組が実施されているところですが、生徒に対す る年金セミナー実施率、こちらを数値目標として掲げているのですが、平成18年の実 績及び数値目標を下回っており、取組が不足している。具体的には、各論36頁の5の (1)ですが、年金セミナーの実施率は全中学・高校数の35%以上としていますが、実際 には28.3%という数値になっていまして、目標数値を下回っております。  相談業務に関しましては、被保険者、受給権者の方が利用しやすい年金相談体制の構 築に向けて実施してきているところです。具体的には、評価シートの43頁からになり ます。実績自体は相談需要に応じた相談時間延長とか土日相談日の拡充、「ねんきんダイ ヤル」の充実などと一緒に、年金個人情報の提供の充実を図るため、先ほど年金記録問 題で紹介しましたが、「ねんきん定期便」の一部実施、前倒しなどに取り組んでおります。  広報、情報公開、相談に関しましては、今後の課題として引き続き創意工夫をこらし た年金広報・教育を推進し、国民の方々の年金制度への理解を深めていくとともに、職 員研修の充実などによって年金相談業務の質の向上を図りまして、より利用しやすい相 談体制を整備していくことが必要であるとしております。以上5番目までが、平成19 年度の達成目標として厚生労働省が示した目標に対する実績及び評価になります。  6点目は、目標という形で定めたものではありませんが、社会保険庁のほうが実績報 告の中で報告してきた内容に関して、これについても併せて評価をしております。具体 的な内容ですが、「その他業務全般」ということであります。国民サービスの向上あるい は組織内部の改革、ガバナンスなどの話とか、政府管掌健康保険が全国健康保険協会へ 移行するに当たっての円滑な移行という、そういったその他業務全般の評価となります。  国民サービスの向上については、全国の社会保険事務所への来訪者の方々を対象とし たお客様満足度アンケートにおきまして、年金相談窓口・年金相談以外の窓口の満足度 が、いずれも前年同期より低下しているところです。これは「ねんきん特別便」によっ て年金記録の確認などの来訪相談数が大幅に増加しまして、相談に至るまでの待ち時間 が延びたことにより「待ち時間に対する満足度」が大幅に低下しています。こちらが満 足度の低下につながったということが要因の1つとして考えられるため、待ち時間に対 する満足度の向上に向けた取組を推進する必要があるとしております。  組織の改革については、社会保険事務所長等への民間人材の登用、監査部門の機能強 化や新たな人事評価制度の本格実施といった取組が行われているところですが、さらな る内部統制(ガバナンス)の強化、事業管理の確保を行っていく必要があるとしており ます。  政府管掌健康保険については、自主自律の運営による保険者機能の強化とか、地域の 事情を踏まえた取組の推進を図るため、平成20年10月、今年の10月に国とは切り離 された非公務員型の公法人である全国健康保険協会が設立されました。全国健康保険協 会においては、被保険者等に対してサービスを切れ目なく適切に提供し、被保険者の方 の視点に立ちましてサービスの向上に努めるとともに、事業の運営に当たっても保険者 機能の強化を図り、保険事業の充実等を図っていく必要があるとしております。  最後に「今後の在り方・課題」をまとめております。社会保険庁は、業務改革プログ ラムによる193項目の改革項目を着実に実施するとともに、「社会保険事業運営評議会」、 こちらは社会保険庁に設置されているものでありますが、そういった会議などの幅広い 有識者の方々の意見を踏まえつつ、国民の社会保険行政そのものに対する信頼の失墜を 早急に改善すべく、職員の意識改革、業務改革等をさらに強力に進め、改革を断行して いく必要があるとしております。  また、平成20年10月1日に政府管掌健康保険の業務について「全国健康保険協会」 が設立されたことは先ほどご紹介したとおりですが、平成22年1月には社会保険庁が 廃止されて、年金業務について「日本年金機構」が設立されることとなります。少子高 齢化が一段と進む中、新たな組織が国民生活の安定を保障する社会保険を担う組織とし て、真に国民の方々に信頼される存在となるため、引き続き年金記録問題の解決と新組 織への移行に向けた社会保険庁の改革に全力を挙げて取り組むことが必要であるという ようにしております。以上、長くなりましたが評価書の説明でございました。 ○座長 改めて私なりのおさらいをしておくと、要するに平成19年度の実績報告書が 社会保険庁から提出されて、それについて厚生労働大臣が評価をする。そして、今日お 示しいただいたのが、これは評価書と、サマリーというか総論というか本文というか、 セットで評価ということになりますね。それで、これについて公表するに当たって、ワ ーキンググループでこれでよろしいかという意見を頂戴したいと。そういう整理かと思 います。  なお、ややこしいのは平成19年度でございまして、今は平成20年の12月でありま すが、実は平成20年度にまたがっていろいろなことが起こっていますので、そこら辺 のことも、ややそういうニュアンスのことが書かれているわけですが、そこら辺の話が 1つあります。もう1つは、最後にご説明いただいたように、社会保険庁の廃止の中で、 健康保険のほうは先に走っていて、年金のほうは平成22年以降にできる。その場合に、 今後こうすべきというのは社会保険庁を廃止する前までの話と、新しい組織にこうして ほしいという話とがいろいろ混在する。それから、社会保険庁というのは世の中的に見 るとなかなかわかりにくくて、要するに年金の業務と健康保険の業務があるわけですが、 そこら辺が同じ保険という言葉遣いで使われると結構ごっちゃになるなと、これを読み 直してみて改めて思ったのです。  これは国民に公表するものですから、そんなことを少しわかりやすくするということ のお手伝いを、このワーキンググループでできればと。しかも、その評価が的確である か適切であるかどうかについてのご意見を、委員の皆様に賜りたいと。ワーキンググル ープとしてそれを取りまとめて、こうしたらどうでしょうか、これで結構だ、というこ とを今日決めたいということかと思いますので、忌憚のないところのご意見をいただけ たら大変ありがたく思います。いかがでしょうか。 ○大谷委員 4点ほど確認というか、そういう類のもので、この内容にどうのこうのと いう趣旨のものではありません。平成19年度は、当然のごとく年金記録問題が最重点 ということで、本来業務への力点を割くだけの余裕がなかったということも、重々そう なのだと理解をしています。  その中で、前段で年金記録問題を書いておられますので、いま非常に関心が高いのが、 第三者委員会等で年金の記録訂正などが出たときに、裁定されているものの再裁定をし ていかなければならないということです。これはまた大変な労力のかかる作業だと理解 しているのですが、現状、この年金記録問題が出る前と後で再裁定がどれぐらい増えて、 そのために平成19年度はどれだけの陣容が余分にかかるようになったのか。その辺り、 質問の視点は、通常は何カ月でできるんだという視点で問われる方も多いのですが、社 会保険庁の実際の仕事として、これだけ件数が増えて、これだけの陣容をかけて今やっ ている、その結果が何カ月かかっているよというところの切り口で、ご説明いただけた らというのが1点目です。  2つ目が、勧奨状の件数は、絶対数が平成18年度から比べて27万件ほど減っている わけですが、絶対数が減るところだけを見て成果があったという結びになっているので すが、事業所数はどうなったのか。要は、国民年金についての勧奨状ですので、基本的 には3号が1号になるとか、2号が1号になるとか、そういった動きでの勧奨をしてお られると思います。一方、新規事業所数が減少しているということが1つ書いてある。 それから、被保険者数との関係は1対1の関係ではないと思うのですが、そこまでを意 識した中で勧奨数が減ったと断定的に言えるのかどうかということを、確認していただ けたらということです。  3点目ですが、保険料収納率です。厚生年金のほうは収納率が非常に高いという前提 があると思いますが、国民年金の収納率が低い。過年度分の保険料収納率は、70%を超 えたのは初めてではないかというぐらい高い数字に近づいているとは言えると思うので すが、それを支えるために、払いやすい環境づくりと書いておられるのですが、いちば ん確実に収納を得られるのは口座振替だと思うのです。その口座振替の利用率が39.5% ぐらいだったと資料には載っているのです。例えば、口座振替をしたらインセンティブ があるとか、わずかでもいい、前納式のインセンティブがもしあれば、より確実な収納 に結び付くだろうという想像ができます。その辺りについて、今後の取組としてどのよ うにお考えになっているのか。  4点目は、国民に対する広報の中で、いちばん大事なのは子ども、学生の方々に社会 保障制度、とりわけ年金制度をきちっとお話できるということです。ここでは学校での セミナーの開催とか大学でのセミナーをやったということが書かれています。実質的に は37頁に28.3%と出ているのですが、これはあくまで社会保険事務所の職員の方が直 接やっておられる数字なのですね。前回も、平成20年の目標設定のときに何人かの先 生からお話があったように、これは社会保険事務所の職員でなくてもできるのではない か。いわば、それはアウトソーシングをして十分に年金の教育やセミナーの開催ができ る。この忙しい年金記録問題の対応、さらには日本年金機構への移行という狭間に、こ の20年、21年と入ってくるわけですから、できる限りアウトソーシングできるものは どんどん出していく。特に、教育というのはそれが十分可能なところだと思いますので、 今後の課題としてどうお考えになるか。この4点です。 ○座長 それでは、社会保険庁のほうからお願いします。 ○社会保険庁総務課企画室長 4点ご質問いただいたうちの、最初の再裁定の話から申 し上げたいと思います。いま先生からご心配いただいたとおり、記録問題について特別 便を出した結果、すでに裁定を受けた方々の中で記録が新たに見つかったということで、 再裁定ということになる件数が大きく増えております。数字的に申し上げると、今年の 1月の時点、もうすでに特別便の送付が始まっている時点ですが、その時点で受け付け ていたものが1カ月間で1.9万件です。 ○社会保険庁総務課長 大体、これまで通常のときで言うと、再裁定というのは1年間 に3万件から4万件。それを30人くらいの人数で処理をしてきたのが、こういう特別 便になる前の姿です。 ○社会保険庁総務課企画室長 それが今では1カ月の間に、例えば今年の9月の1カ月 の間に再裁定の受付件数が14.4万件ありまして、こういったものを早急に処理しなけれ ばいけないということで対応しているわけです。人員体制の問題でいくと、昨年末の時 点で大体26名程度の職員で対応していたわけですが、これを逐時増やしてまいりまし て、12月現在では280名の体制で再裁定の処理に当たっているところでございます。 さらにこの体制を拡充すべきというご議論もあるわけでして、さらにもう一段の人員増 が図れないかということを検討しているところですが、いかんせん、全体としての体制 が限られていますので、全体としての業務のバランスを考えながら、いま検討を重ねて いるというような状況です。  2点目ですが、国民年金の届出漏れに係る勧奨状の送付件数と事業所数との関係です。 実績値で見ると、厚生年金の適用事業所数ということで年度末の数字を見ると、平成19 年度末が171万5,590事業所となっております。平成18年度と比較すると、平成18年 度末が168万1,355件ということですので、平成18年度から平成19年度にかけて厚生 年金の適用事業所数はやや増えているというような状況です。そういう中での先ほどの 勧奨状の数字をどう評価するかというところは、何とも言いがたいところがありますが、 適用事業所の数で言うとそんなところです。  それから、3点目にご質問いただいた口座振替の関係ですが、実は、これは私どもの ホームページから先ほどアウトプットしてまいりました。ホームページの中でクリック していただくと、このようなものが出る所があります。口座振替をいただきまして前納 割引制度ということをPRさせていただいております。国民年金の保険料は、毎月現金 でお支払いいただいた場合は月々1万4,410円、12カ月で17万2,920円をお支払いい ただく必要があるわけですが、これを1年間前納ということで口座振替でやっていただ くと3,620円割引になりまして、年間で16万9,300円で済みますよということでPR させていただいております。是非、私どもとしても、もっとこれのPRに努めていきた いと思っていまして、このような形での利用を促進してまいりたいと思っております。  それから、年金教育ということにつきましてもご質問いただきました。私どもとして、 最大限の努力をしなければならないのはもちろんですが、年金についてのさまざまな知 見をお持ちの方々が世の中にはたくさんいるわけですので、いろいろな方々のご協力を いただきながら進めていきたいと思っております。 ○山口委員 記録問題がある中で、それに手を取られて本来業務がなかなかできなかっ たということから、全体として非常に厳しい評価になっていると思います。そういう意 味ではおおむね妥当ではないかなと私は思っておりますが、ただ3、4点申し上げたい ことがあります。  私は独立行政法人評価委員もやらせていただいていますが、まず評価ののタイミング の問題です。平成19年の2月に厚生労働大臣から目標が定められて、平成19年にそれ を実際におやりになったと。それで、今は平成20年の12月ですが、このタイミングで この評価をしているというのは、忙しかったということは確かにあるのでしょうが、あ まりにも遅いのではないでしょうか。タイミングとしては遅すぎるということを感じて おります。今後、日本年金機構という形で独立組織になっていくわけですから、そうい う意味でも組織の透明性といったことを考えた場合には、迅速なディスクロージャー、 開示ということは非常に重要だと思います。今後は報告は早いタイミングでしっかり出 していくということが、信頼回復にもつながっていくと思いますので、その辺について は、是非、来年度以降、迅速な対応を期待したいと考えております。  それから、内容に関しましては、本来業務については適用、収納、給付といったよう な3つのことがあると思います。いずれも重要な仕事だと思うのですが、昨年度は記録 問題で非常に手を取られたという実情もよく理解できるところですが、その3つの業務 に関して言えば、いちばん大事なのは給付、国民の受給権を守っていくという観点で、 もちろん適用や収納も大事なのですが、受給資格に達した人が年金をきちんと受給でき る、その裁定業務をきちっとやっていくというようなことが非常に重要だと思うのです。  今回の中身を見ると、特に加入状況の再確認を要しない場合の、例えば老齢厚生年金 については目標内にできたのが52.4%だということで、平均処理日数が35.4日だとい ったようなデータが出ています。これに関して言えば、受給者が増えたということが原 因ではなかいかということが触れられているわけですが、ご案内のとおり、団塊の世代 が60歳になっていき、これからもどんどん増加していくわけでありまして、年齢構成 から考えればそういうことが当然出てくると予想できたと思いますし、これは今後も出 てくる問題です。ですから、受給者が増えるということにきちっと対応できる、しかも それがいちばん重要な業務であるとすれば、ここのところの達成率が52.4%というのは、 いかにも低いのではないかという感じがしております。来年度以降、これについても改 善を特に期待したいなと思っております。  さらに心配しているのは、その1カ月以内に処理できたのが52.4%ということなので すが、平均処理日数が35.4日です。その35.4日というのは平均の日数でありまして、 若干心配しているのはその分布の広がりみたいなものが非常に幅広くて、処理できない のはものすごく時間がかかっている。平均だけ見ているとなかなかわからないことが多 いのですが、そういったことがないのかどうかということです。遅くても、最悪でも、 このぐらいの処理機関でやるといったようなことも併せて、国民の受給権を確保してい くということが非常に重要なテーマだと思いますので、特にその辺はよろしくお願いし たいなと感じております。  また、あと1点だけ付け加えさせていただくと、インターネットを使ったサービスに 力を入れてやっておられて、私なども標準報酬のデータを調べることをやってみて、実 際にそれをファックスで送っていただいているのです。それは非常にいいのですが、年 金見込額の試算は報酬を自分で入れなければいけないようになっているのです。一方で、 標準報酬のヒストリーは取れるわけですから、結び付ければ自動的に計算できるのでは ないかなと思ったりしています。これは単なる実務上の質問なのですが、そういったこ とも含めて今のレベルをさらに上げていただければ国民の利便性は高まって、こういう 時代ですから、いちいち相談に来る人もいますが、一方で、年輩の方でもインターネッ トを使える人が随分増えていますので、そういう部分で力を入れていかれると、効率的 なサービス提供ということにつながるのではないかと感じております。 ○座長 山口委員に確認なのですが、本体の報告書のほうで保険給付事務に3として触 れていますが、いまのご指摘とこの書きぶりについて、何かコメントがあるということ でしょうか。あるいは、これでよろしいということの前提でしょうか。 ○山口委員 文章表現等も含めて、今回のこの総括はかなり厳しいものだというふうに 受けとめております。そういう意味では、この文章については特段の意見はなくて、ど ちらかといえば感想といいますか、来年度以降の期待といいますか、そういった意味で 申し上げたわけです。 ○座長 わかりました。それでは、目が合いました菊池委員、どうぞ。 ○菊池委員 特に内容に関して大きな異論はないのですが、若干感想を申し上げさせて いただくと、1つは、いま山口委員がおっしゃいましたように、この時期にこれを出す ということがどう活かされていくのかというのがよくわからない部分があります。今年 度はあと3カ月で終わりですし、ここで議論したことが来年度、平成21年度に活かさ れるのではないかという期待をしているのです。その辺りで少しコメントをいただきた いと思うのと、それ以降、新組織に移行して、それがどういう形で引き継がれていくの かという辺りも気になるところです。  それから、これも最初に年金教育の話が出まして、ワーキンググループではなかった かもしれませんが私も前に申し上げたのですが、年金教育という問題がある場合に、年 金だけではなくて、少し広い視点から子どもたちに教えていかないと、年金のそういう 技術的なことだけをやってもどれほど効果があるのか。年金制度自体が、今回の社保庁 の一件で大きく信頼が揺らいだ面があることは事実だと思いますが、年金制度そのもの に対する信頼感というか、そういったことも問われているわけです。それがまた、将来 これからの制度をどう支えていくのか、なぜ支えなければいけないのかとか、そういっ たことから多少やっていかないと将来的な効果につながっていかないのではないか。た まに高校生や小学生などに接しているものですから、そういう面からも少し感じるとこ ろです。  もう1点、これは評価書の視点とは少し違ってくるかもしれませんが、最後に人員配 置について若干書かれていまして、人員を500人増員したという記述もあります。確か にこの一連の対応の中で人を増やしている部分はもちろんあると思うのですが、全体と してどうなっているのかという辺りがよくわからないといいますか、おそらく、退職さ れておられる職員の方も少なくないと思うのです。この12月を機にという方もおられ るでしょうし、そういった中で、人員は限られているわけで、ないものの中でこの数値 目標を達成せよというのは、その数値目標自体の信頼性ということにもなりますし、現 実的ではないということかもしれない。あるいは使用者的な立場で言えば、数値目標を 立てることによってその職員をそれに駆り立てることで、精神疾患を含めた安全衛生面 はどうなっているのかという問題にもなり得ます。  それを書き込むかどうかというのは、この性格上ふさわしくないのかなとも思います が、そのバランスで考えていかないといけないと思います。人の確保の面や安全衛生面、 あるいは重点項目は絞り込むとか、優先順位を付けるとか、ざっと並べて全部やるとい うのか、ある程度限られた中でここを重点的にやっていくというのか。その辺りのメリ ハリを付ける、という手もあるのではないかなという感想を持ちました。ただ、ここを 書き改めてくださいという趣旨ではありませんので、一応申し上げておきます。 ○座長 いまの菊池委員のご意見について、コメントをどうぞ。 ○社会保険庁総務課企画室長 先ほど山口先生のほうからもご指摘をいただきましたよ うに、私どものほうから実績報告を出すのがそもそも遅いということで、誠に申し訳な いと思っております。いろいろと決算をまとめるプロセスの中で、また、いろいろな業 務を重ねる中でいろいろな遅れが生じてきているわけですが、何とかもう少し早く取り まとめるように、私どもとして一段の努力をさせていただきたいと思っております。  また、これから先どのようにこれを活かしていくかということですが、いま現在、業 務改革プログラムというものを実施していますが、それの改定作業を行っております。 社会保険庁としてはあと約1年間という期間になってまいりますので、その期間にどこ に重点を置いてやっていくか、社会保険庁としての改革の仕上げを行うためのプログラ ム改定の作業に入っているところでございまして、そういった中にも是非反映させてい きたいと思っております。  また、社会保険庁としての平成21年度の残り9カ月の実施計画、事業計画もこれか ら取りまとめを始めようとしているところです。また、日本年金機構として考えまして も、その先、平成22年1月から3月という3カ月間の、言ってみれば初年度の日本年 金機構の事業計画というものも作業として同時並行で入っているわけですので、先生方 からいただいたご議論、ご意見をそれらに少しでも反映させていただきたいと思ってお ります。 ○篠原委員 報告書自体は、各委員が指摘されているように時期は遅いものの、かなり 厳しく評価され、その課題も分析されているのでこれはいいのではないかなと思うので すが、いくつか質問をさせていただきたいと思います。1点目は口座振替なのですが、 これは非常に個人的なことなのですが、通常、雑誌等は一括で払うと割引をしているの ですが、税金とかこういうものは、私も子どもの年金を振り込みに行くと、足してみる と何もされていない。口座振替ならば割り引くけれども一括納入の場合はされないので すか。それと、私も口座振替で考えていたのは、当然、業務量は減りますね。だとした ら、どれだけの効果があるかというのも、見積るのが難しいのかなという気もしないで もないのですが、いくらかは費用をほかに回せるという意味では、1つの宣伝としてそ ういう分析も必要かなと思います。  2点目は、菊池先生がおっしゃった業務量との関係なのです。いま指摘をされて、や れよといろいろ言っていますよね。いろいろな委員会等が指摘をして、ほぼ対応をして いますが、その一部についてはマスコミ等で不十分だと指摘されています。そうすると、 これをきちっとやるには、少なくともどのぐらいの人と時間がかかるかという予想が経 験からできるはずだと思うのです。菊池先生が指摘されたように、これを全部足したら 当然できないだろうという感じがするのです。そうすると、次に考えられるのは、これ は思い切って人・物・金を投入するような組織をつくってやらない限りは、ズルズル行 って中途半端になってしまうということです。マスコミの指摘を私が聞いていると、こ れは大変なこっちゃな、解決もうまくいかないのではないかなと思います。  社保庁としては、先ほどあったように、全体の体制の中で効率よくやるというのは当 然の答えだろうと思うけれども、我々から見ると、もっとそれを超えて、国民とか国家 にとってはもっと金や人を投入しない限りは解決しないじゃないかという感じがあって、 その基礎データを社保庁が出す義務があるのではないかと思います。先ほど言った、こ う指摘されたら全然できませんよということです。そのぐらいの基礎データは出したほ うがいいのではないかという気がするのですが、どのようにお考えなのでしょうか。 ○座長 平時の評価と戦時の評価の話で、ある意味では戦時だし組織が変わるという事 態の中でどう考えるかという、なかなかお答えしにくい課題かと思いますが。 ○社会保険庁総務課企画室長 最初の前納のほうのご質問からお答えします。口座振替 を使った場合に年間で前納していただくと3,620円割引ですということを先ほど申し上 げました。口座振替をご利用いただかない場合で、かつ1年度分を丸々現金で前納して いただく場合にも3,070円の割引をさせていただいております。いずれにしましても、 まとめて前にお支払いいただいたほうが私どもとしても効率的ですので、そういった割 引をさせていただいているところでございます。  それから、人・物・金の資源の集中的な投入についてですが、私どもとしてこの記録 問題等に組織を挙げて取り組むことはもちろんですが、この問題については政府の中で も関係閣僚会議が設けられていまして、政府を挙げての対応をいただいているところで あります。例えば総務省に第三者委員会というものを設けていただいて、そちらのほう で記録の確認をしていただいているわけです。また、そのような組織に対しましては、 私ども社会保険庁からも多くの職員が出向していますが、それ以外の各省庁からも相当 数の方々が第三者委員会に来ていただきまして、そちらの事務に当たっていただいてい ます。  また、今現在、社会保険庁にも各省庁や民間企業から多くの方に来ていただいて、要 所要所で仕事をしていただいている状況です。それでもなお、いろいろな所でご批判を いただいているような実態があることは間違いないわけですけれども、今時点でできる 努力を最大限させていただいている状況でございます。 ○政策評価審議官 目標に関しましては、来年早々に平成21年度の目標設定をしない といけないと思います。その目標設定をするに当たっては、今の状況をどういうふうに 踏まえながら設定するか、平時ではない状況の中での目標をどうするか、ということに も関わってくると思います。この問題については、状況はいろいろ話も動いていく中で、 確かに体制が整っているかどうかということの問題があると同時に、イコール社保庁の 問題から出てきていることですので、安易に目標を下げていくことは許される状況かと いう問題もあると思います。その辺は新たな目標設定をする際に少し議論をしながら、 またこの場でのご議論をいただければありがたいと思っております。 ○座長 今日のいろいろなご意見は、いま審議官が引き取っていただきましたように、 次年度の目標設定にいろいろな形で活かされるべきご意見がたくさん含まれていたかと 思いますので、平成19年度の事業評価についての実施庁評価の結果ということは、お おむねこの原案でよろしいでしょうか。そういうことで引き取らせていただきます。こ の案のとおり今後の手続を進めていただくことにしまして、貴重なご意見をいただきま したが、大きな転換期の中での政策評価の役割というようなことをどう考えるかという、 そういうことも含まれた内容のご意見を頂戴しました。これは次年度のほうに活かして いただきたいというふうに思いますし、いろいろな事情はあるにせよ、こういう評価と いうのは気の抜けたビールになっては困るという、かなり厳しいご指摘もいただきまし たが、そこら辺も来年改善されることを望むということで、こんな取扱いでよろしいで しょうか。 (異議なし) ○座長 それでは、そのようにして了解ということで、今後の取扱いについて事務局か らご説明をお願いいたします。 ○政策評価官 本日はどうもありがとうございました。本案をもちまして上案といたし まして正式に社会保険庁長官に通知をするとともに、公表の仕方は、厚生労働省のホー ムページで公開するという運びでございます。どうもありがとうございました。 ○政策評価審議官 日程が遅れたことにつきましては、私ども評価を担当する立場とし ましても社保庁に報告を早く出していただくようお願いしていたのですが、いかんせん、 社保庁の状況を見ると、自ずからこちらとしても言えることはきちんと言ってきたこと でございまして、来年の問題につきましてはいまのご指摘を踏まえまして、私ども評価 する立場からもいろいろ働きかけながら、日程が収まるような努力をしたいと思います ので、そういうことでご理解いただきたいと思います。 ○座長 委員の皆様方は事情は重々理解した上でのご発言ですので、社会に公表すると いう意味では、そういう反応は覚悟しなければいけないなということを踏まえてのご発 言かと思います。本日は以上でございます。本当に熱心にご議論、ご指摘をいただきま して、大変ありがとうございました。 (了) (照会先) 政策統括官付政策評価官室 電話:03−5253−1111(内線7786)