08/12/18 第5回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会議事録        第5回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会          日時 平成20年12月18日(木)          18:00〜          場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) ○指導課長 ただいまより「第5回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」 を開催します。委員の皆様方、参考人の皆様方、大変ご多忙のところ本日もお集まりい ただきまして誠にありがとうございます。  本日の出席状況ですが、阿真委員から急遽ご欠席というご連絡をいただいています。 なお、舛添厚生労働大臣は多少遅れて到着される予定です。カメラの方々は、一旦ご退 室をお願いします。  続きまして、お手元の資料の確認をします。上から座席表、議事次第、開催要綱、構 成員名簿です。資料1は、前回のこの懇談会での議事要旨で、ご意見等がありましたら 後ほどで結構ですのでいただければと思います。資料2は、「周産期医療と救急医療の 確保と連携に関する懇談会報告書(案)」です。参考資料は、昨日開催されました「救 急患者の医療機関への受入れを支援する情報活用等に関する研究会」、という厚生労働 省と経済産業省の両省が協力して設置した研究会の第1回の参考資料です。続いて、藤 村委員提出資料があります。以上が、本日の資料です。不足しているものがありました ら、事務局までお申し出いただければと思います。  それでは、議事に入ります。岡井座長、よろしくお願いします。 ○座長(岡井) 先生方、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございま す。今日の議題は報告書(案)の審議ですが、その前に藤村委員から追加の資料が提出 されていますので、先生申し訳ありませんが、掻い摘んで5分ぐらいでご説明いただけ ればと思います。 ○藤村委員 今般、札幌市で自宅分娩の子供が搬送という問題で報道されていまして、 これについて新生児関係者の新生児医療連絡会という、全国の都道府県の主立った NICUの部長が参加している組織で先週調査を行いました。その結果を配付しています。 ご承知のとおり、新生児は1年間に約1万件、医師がドクターカーとして救急車に乗っ て産婦人科に赤ちゃんを迎えに行って、そしてNICUに連れてくる新生児緊急搬送とい うのを約20年にわたって続けています。新生児搬送には、そういう歴史というものが既 にあるわけです。  資料全部は読めませんので口頭で説明します。今回の特徴は自宅において早産の方が 生まれたので、救急隊が行った。その間に、札幌市の専門のNICUに連絡がありました が、なかなかうまく連携が進まなかったというケースです。新生児医療連絡会には4頁 の別添1で、全国でこういう新生児搬送に日々従事している担当者としては、反省の念 を持って12月4日付で声明文を作成しています。と同時に、別添2のようにこうした自 宅出生における新生児の搬送困難事例について、まず一般救急に情報が入ったときに、 どのように対応するかということでアンケートを行いました。その結果概要を全国47 都道府県のうち39、回答率83%でまとめました。救急車または専用ドクターカーという ものの大部分が搬送に使われていますが、救命センターのドクターカーや新生児専用の ドクターカーは少ないです。  もし自宅で生まれて救急隊が行った場合、実際に救急隊が出動した場合の搬送先です が、24(61.5%)の都道府県では救急隊で関与します。5都道府県(14.7%)では救急司 令室も関与するけれども、7都道府県では周産期センターが関与する。要するに、十分 に体制が取られていない状況が明らかになってきたようです。そのほか、データがあり ますが1頁に結果の概要をまとめました。自宅分娩に代表される一般通報新生児の搬送 については、多くの都道府県で救急隊に依存している。つまり、発信先が自宅ですから 119番を使わざるを得ないわけです。新生児ドクターカーが対応するのは、先ほど申し 上げた12.8%の都道府県にしか過ぎなかった。  念のため追加しますが、一般の産婦人科でハイリスクの子供が生まれてNICUに運ぶ 場合は、現在9割以上の都道府県で新生児ドクターカーで対応しています。産婦人科と NICUの間にそういうネットワークが確立されて、20年近くになるわけです。今回の問 題は自宅で生じた場合、救急隊に119番を通じて情報が入る。そういうとき、どういう 対応になったかということを検証しているわけですが、新生児ドクターカーは残念なが ら12%でした。2)救急隊が行きますが、6割近くの都道府県では新生児用機器が救急車 に配備されていない。新生児を十分にケアする体制ができていないということです。  3)一般通報の新生児の搬送困難事例が発生する可能性が27%であり、その大部分が大 都市圏である。なぜ、地方では少ないのかということはいろいろ考えられます。今回分 析は不十分ですが、地方では、総合周産期母子がその地域で統括して、ドクターカーを 運行している場合が多いわけです。大都市になると、どうもその辺の情報の統括がうま くいっていないのかなということがあります。  4)搬送困難事例が発生する可能性がないと考える都道府県は、新生児ドクターカーが 対応する周産期センターに連絡する体制が確立していて、周産期センター自身が搬送先 選定に関与する比率が高い。つまり、大体周産期センターが関与するので、搬送困難事 例に至らないということになるわけです。  5)救急隊に対して新生児蘇生法の講習が行われる都道府県は36%であった。今後、各 都道府県で半数近くが搬送体制を再確認するということを我々はやらないといけない と、新生児担当者は考えたということです。  2頁のIVに結論と今後の方向性をまとめますと、119番で救急隊に自宅ないし医療機関 以外の場所でハイリスクの新生児がお産された場合は、救急隊は直ちに当然その場所に 駆けつけると同時に司令室は(1)の項に示しましたように総合周産期母子、新生児救急車 を運用している場合は新生児ドクターカーを持っているNICUに直ちに電話いただいて そのNICUからドクターカーが出動する。つまり2台の車を出動させればいい。先に救 急隊が行き次にドクターが乗ったNICUの専用車が行く。(2)のようにもしドクターカー のない地域でこのような事例が119番にかかってきた場合は救急隊はまず当然現場に行 く。同時にNICUのドクターにこの自宅の分娩の症例について、「救急車で迎えに行く なら乗ってくれますか」という連絡をいただいた上で、当然乗りましょうということで 自治体救急車で現場に向かう。119番については対応しないといけない。このことにつ いてそれぞれの地域で申合せを作るべきであろうということが結論です。 ○座長 ありがとうございました。もし、いまのご説明に対してご質問等がありました らお受けしたいと思いますが、いかがですか。大体、藤村先生が主張されたいことは理 解できたと思います。 ○有賀委員 先生のご説明の取っかかりが札幌だということでお聞きしたいことは、事 例のどうのこうのではなくて、一般的に救急隊が扱った事例で、救急隊の対応の事後検 証というルールがあります。それは一般的にはメディカルコントロール体制と呼ばれて いて、そのメディカルコントロール体制という仕組みの中でメディカルコントロール協 議会の下に多くの場合は事後検証とか処置基準だとか、いま先生がおっしゃった救急隊 がドクターを呼ぶとかというものも処置基準委員会で議論すると思いますが、とりあえ ず事後検証委員会というのがあって、そこで特異な事例について今後どうしようかとい うことを議論することが一般的です。札幌にも、いま言ったメディカルコントロール体 制という網がかぶっていて、その網の中でメディカルコントロール協議会というスキー ムを使ってその事例を検討して、そしていま先生がおっしゃったようなことを札幌の消 防署で考えようではないかということを地域の医師会や行政、衛生部門や消防部門と一 緒になって考えていくということがありますが、そこら辺の情報はどういうことかをも し知っておられたら。たぶんやっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○藤村委員 いま提出した資料は、あくまでも全国的な新生児医療連絡会という組織で この調査をしたという内容で、札幌ローカルのどういう情報、そしてどういう相談をさ れているかの詳しい情報は残念ながらありません。ケースについては北海道大学をはじ め、関係者から詳しく聞いていますが、メディカルコントロールなり情報については、 つまりその地域のネットワークの方々がどういう相談をされているかというのは存じま せん。 ○有賀委員 どうもありがとうございます。 ○横田委員 新生児の件ですが、母体救急もそうですが、いま医療機関で既に出来上が っているNMCSにしろOGCSにしろ、医療機関の連携がありますね。それについて、い わゆる消防機関に対してもその情報をある程度オープンにすること、あるいは何らかの 形で情報を使えるようにすることができないものでしょうか。現在、NMCSのグループ の先生方の中には医療機関同士でやってきたからこそやっていられるのだということも 一方であるように聞いていますが、119番の消防機関に情報をオープンにして、どうぞ 使ってくださいということは現実可能なのでしょうか。その辺を教えてください。 ○藤村委員 大阪では、既にちょうど30年の歴史がありますが、当初の7、8年は府消 防も市町村代表も、委員会に参加していました。ただ、使わないものは必要ないという ことになってきますので、最終的には参加されなくなったという歴史があります。普段 産婦人科とNICUとのお母さんや子供さんの情報交換において完結しており、救急隊に 情報交換してもそれをどう活用するか。要するに、利用メリットは感じられないと思い ます。救急隊に第1情報が入ったときのみ救急隊が使われると思います。今回のような この懇談会が始まったきっかけになったような事例については、当然そのような特殊な 問題をきちんと扱うシステムが要るというのが今回のテーマだと思います。いま先生が 提起された点については、通常のハイリスク妊婦、ハイリスク新生児の情報を公開して おくというのはあまり大阪では必要とされていないように思いますが、先生のお立場と してはそれはあったほうがいいとお考えでしょうか。 ○横田委員 いま有賀委員がおっしゃったことに関連しますが、119番の消防の機関か ら見ますと、病院前救護における医療の質を保障するのにメディカルコントロール協議 会というのがあります。傷病者の観察と、それによって判明した病態あるいは疾病に応 じて、どの病院へ運んだらよいかということを指示・助言する業務も含まれていますの で、必ず病院の情報が必要になるわけです。そのときに、それぞれの地域によって多少 違うかもしれませんが、情報センターなるものを持っていますが、オンタイムに使える 情報というのを実際にはなかなか持ち合わせていない現状があります。そうすると、先 生のおっしゃるように既存のNMCSといったシステムをうまく使えないものかという 考え方も出るのかなということで質問しました。以上です。 ○座長 ありがとうございました。この新生児搬送の問題は、今日これからご審議いた だく報告書の中に「搬送システムの整備」という項目がありますが、その中に盛り込ん でいくということでよろしいですか。                  (異議なし) ○座長 ありがとうございました。それでは今日の議題の報告書(案)の審議に移りま すが、事務局から最初に概要の説明をしていただければと思います。 ○指導課長 資料2に基づきましてご説明申し上げます。この資料は先ほど申し上げた とおり、この懇談会の報告書(案)ですが、これについては前回のこの懇談会の中で、 座長から委員の皆様方に予めお送りしてというご指示をいただきましたが、誠に恐縮で すが事務局の不手際で今日初お目見えとなってしまいました。委員の皆様方には大変ご 迷惑をおかけしますが、内容について逐次ご説明申し上げます。  この報告書の副題は、「周産期救急医療における『安心』と『安全』の確保に向けて」 です。「第1 はじめに」です。最初のパラグラフの中に救急医療の重要性、そして今 般東京都で起きた事案、さらにその中で、周産期救急医療の体制整備が急がれているこ と。2番目のパラグラフは、戦後の妊産婦死亡率の劇的な改善。その中で、元来頻度の 低い脳血管疾患などの間接原因による母胎死亡が顕在化しているという指摘。3番目の パラグラフは、そういう中で平成8年度から周産期医療対策事業によりまして、産科と 新生児の医療を中心とした総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センタ ーの整備が各県において進められてきたこと。その中で、一般救急及び関連診療科が併 設されていないセンターがあるという指摘があります。  2頁は、「第2 現状の問題点」です。1番目は、救急医療担当医師の不足ということ で、(1)は産科医の不足です。この中では、今般の事案での受入要請のあったセンターで の当直体制の問題、産科医の減少が記載されています。(2)は新生児の担当医不足で、小 児科医の医師数は増えているけれども、ハイリスクの妊娠というものが増加している中 で、新生児医療を担う医師の方々の不足が出てきている。(3)は麻酔科医の不足で、帝王 切開術の増加、麻酔科医の確保の困難性が出ています。3頁の(4)は救急医の不足で、救 急医療のニーズの増大に応じてというか、その中で勤務医の負担が増加しているという 記載があります。  2番目は、救急医療施設の規模と診療体制の問題です。比較的規模が小さく、そのた めに、ベッドが恒常的に満床となっているセンターも少なくない。小規模の施設では、 新たな救急患者を受けられない状況も生じている。また第2パラグラフで、複数の救急 医療施設があっても、満床という理由で受け入れられない施設があって、結果的に他施 設を検索することが選定に時間がかかる原因となっている。規模の小さいことの課題。 最後のパラグラフは、NICUの不足というものがあります。  3番目は、地域内連携です。助産師、助産所、初期・二次の産科医療機関と周産期母 子医療センターとの連携体制という議論があります。それから、一般産科医療機関で対 応可能な軽症例が、センターに搬送される傾向というのがあります。4頁は周産期セン ターでの恒常的な満床と、医療従事者の人員不足というのがあるということです。4番 目は、情報システムの問題です。一般の救急のための医療情報システムと周産期の情報 システムが別に運用されているところが半分で、連携が不十分である。また、センター 化が遅れている地域というものもある。  「第3 基本的な方針(検討における大前提)」です。1番目は国の責務です。第1 パラグラフは、国として、政府として万全な体制を整備していく意思を表明すべき。第 2パラグラフは、周産期医療は複雑な医療システムの中のサブシステムということです。 5頁は、都道府県というものが責任を持って構築すべきものであるけれども、国は日本 全体を見据えた方向性を示す必要がある。医療現場に対して、これ以上負担を増やさな い姿勢が大事だということです。  2番目は、地域の役割です。それぞれ異なったシステムが地域にあることを踏まえれ ば、それぞれの地域においてその特性を踏まえた効果的な対策を模索する。特に第2パ ラグラフで、地方行政におけるリーダーの役割ということで指摘があります。3番目は、 医療現場の役割です。問題点を抽出し、国や地方行政に情報を発信する。6頁で4番目 は国民、地域住民の協力ということで、理解と協力が不可欠だということです。  「第4 周産期医療体制について」です。まず、周産期救急医療体制というのがあり ます。体制整備の必要性ということから、いくつかのポイントがあります。(1)現状を把 握し、情報公開をする必要がある。(2)関係者間の連携として、国の中の行政分野のさら なる連携の強化、総務省消防庁との連携。医療部門においても救急医療と周産期医療、 またその関係部門の間で連携を推進する必要があるという指摘があります。7頁は施設 間ということで、救急医療施設と後方施設との連携を強化する。また、それらを含めて 行政組織や医療機関における縦割りを解消する必要があります。  (3)医療機関の受入体制の1)医療機関の機能のあり方です。第1パラグラフは、周産 期医療対策事業の見直しを行う。その内容は、その次のパラグラフの地域のニーズに応 じて救命救急センターを併設する医療機関等、すべての救急患者に対応できる設備、人 員を備えた大規模施設の整備をし、24時間の患者の受入体制を確保する。そのための財 政支援、診療報酬上の措置等を検討する。それに併せて第3パラグラフは、周産期母子 医療センターの指定基準を見直す。特に総合周産期母子医療センターについては、それ ぞれが提供可能な診療機能を明示するということで、その下に分類例が出ています。8 頁は、この構想に基づいて平成20年度末を目途に、研究班等において体制整備の詳細を 検討するということがあります。  2)救急医療・周産期医療に対する財政支援とドクターフィーです。周産期医療に関す る診療実績の客観的評価に基づいて、財政支援、診療報酬上の措置等のインセンティブ を設けて、医師に対してはドクターフィーのあり方を検討する。医療機関に対しては、 妊産婦受入れを奨励するための措置を検討する。また、出産育児一時金の引上げ等の措 置を検討するということで、その下に診療実績の評価項目の例が出ています。9頁の第1 パラグラフの「なお書」ですが、公務員の兼業禁止規定、就業規定の見直しが指摘され ています。  3)地域におけるネットワークの構築です。1つ目のポツは、初期救急を含む周産期医 療と救急医療体制の全体の整備、地域における周産期医療ネットワークの連携強化。2 つ目のポツは、二次医療機関の輪番制の確保等。3つ目のポツは、総合周産期母子医療 センターに軽症の患者が送られないように、また空床の確保ということもあります。4 つ目のポツは、搬送元の医療機関に転送する戻り搬送の推進。5つ目のポツは、周産期 母子医療センターの人員設備の強化があります。9頁のいちばん下に、国は今年度末ま でにこの体制の整備方針を策定・公表し、都道府県に通知するということで、10頁は通 知すべき内容について書いています。  4)リソースの維持・増強です。(1)NICU病床の確保ということで、病床満床に対応す るために、いままでの出生1万に対して20床という考え方を改めて、1万に対して25 〜30床を当面の目標として地域の実情に応じてNICUの整備をする。そのためには、新 生児医療を担う医師、看護師の確保が重要になるわけで、例えば新生児科の標榜、専門 看護師、認定看護師の認定支援などについての議論があります。(2)後方病床の拡充と NICUに長期入院している重症児に対する支援体制ということで、GCUや一般小児救急、 重心施設などの整備というのが指摘されていて、11頁には具体的にそれらの整備を進め る必要と併せて、独立行政法人国立病院機構など、全国の施設において短期入所病床の 整備が出ています。  (3)人的リソースの維持・拡充ということで、医療現場における過酷な条件下の勤務を 踏まえて人的なリソースの維持・拡充が極めて重要ということです。○の付いた医師の 確保では下線部にありますように、医師への手当が直接支給される方策、その次のパラ グラフでは当直翌日の勤務の緩和、短時間正規雇用など環境の整備。また、その下に先 ほどありました新生児科の標榜があります。12頁は、看護師、助産師の確保、女性医師 の復職支援、救急隊のスキルアップ、メディカルクラークの配置と並んでいます。  4番目は、搬送システムの整備です。(1)病態に応じた搬送システムということで、病 態に応じた対応のガイドラインを設けるということです。病態に応じた受入基準をそれ ぞれのセンターが作成する。そして、そのセンターの中では、院内での関連診療科との 綿密な協議をするということです。4つ目のポツは、脳神経外科等の関連診療科がない センターでは、近隣の救命救急センターとの連携です。13頁は、都道府県では関係者の 協議の場を設ける。それを通じて、救急患者の搬送及び受入ルールの策定。5つ目のポ ツは、必要に応じて重症の患者に対応できる医療機関を定めて、そこに財政支援を行う ということで、受入れが確実に行える体制を整えるということです。(2)広域搬送という ことで、県境を越えた体制ということです。  5番目は、救急医療情報システムの整備です。(1)周産期救急情報システムの改良とし て、情報センターの設置、搬送コーディネーターの24時間体制での配備、情報システム の開発、医療機関同士の連携のための情報システムの統合、また空床情報の入力などの 改善、県境を越えた情報システムの整備などが事項として挙がっています。(2)搬送コー ディネーターの役割として、コーディネーターを医療機関または情報センター等に配置 した上で、14頁の搬送先の照会、情報の収集、後方病床への斡旋を行うということです。  「第5 地域住民の理解と協力の確保」です。1番目は、地域住民への情報公開です。 公開すべき情報の内容として、その下に例があるような事項があります。15頁の2番目 は地域住民の啓発活動として、地域住民が主体的に取り組む支援を行うということがあ ります。  「第6 対象の効果の検証と改善サイクルの構築」です。データの収集と公開、PDCA サイクルによる改善サイクルの形成があります。  「第7 おわりに」です。速やかな措置を国に求めることと、第2パラグラフは基本 方針を国が策定する。今回の提言はグランドデザインであって、国は周産期医療を救急 医療体制の中に位置付けるよう、医療計画に関する基本方針の改正を行うなど、そのほ か中長期的な視点から取り組むべき対策についてロードマップを作成し、都道府県等に 明示することが望まれるということです。次の頁以降は、この報告書の概要案で内容を 踏まえたものですが、この報告書に添付するものということの位置づけです。以上です。 ○座長 ありがとうございました。ただいまご説明のあったことの逐一議論に関しては、 このあとお願いします。厚生労働大臣がいらっしゃいましたので、ご挨拶をいただきた いと思います。 ○厚生労働大臣(舛添) 皆さん、いつもありがとうございます。岡井先生をはじめ、 徹夜でこのドラフトづくりに当たられたそうで、まさに当直体制でおやりになったよう な感じで、大変ご苦労さまです。私はつい1時間ぐらい前にいただきました。皆さん方 も同じだと思いますからこれをよく読んでいただいて、いろいろな良い提案が既にあり ます。  例えば、6頁のいちばん最後の関係者間の連携の(2)の厚生労働省の緊急医療担当部門 と周産期医療担当部門の連携のさらなる強化、こういうことはすぐにでも始めていきた いと思っていますし、消防庁との連携についても、こういうことをやっていきたいと思 っていますから、我々がやっていきたいことは立ち所にやりたいと思っています。ただ、 私は先ほどこれを手にしましたし、メンバーの先生方もそうだと思いますので、今日の 時間は8時ぐらいまでに限られているので一気にご結論は出ないと思います。大体年内 を目途にやっていましたので、もしさまざまな議論が出るようであれば、その後メール や何かを使って岡井座長ないし事務局にお送りいただいて、年明けにもう一遍やる可能 性は残して構いません。というのは、私もいま勤務医みたいなもので、厚生労働大臣と しての産科と救急医をやらされています。ほとんど年末年始もやっていますので、1月5 日から国会が始まりますから、今日ご無理にフラストレーションを残したままというよ り、岡井座長ができるだけ皆さん方の意見をしっかり入れてということをおっしゃって おやりになっているので、年内を目途にということを申し上げていましたが、そこはフ レキシブルでよろしいかと思います。  これは全国民が注視しています。特に墨東病院の件がありましたので、いまから妊娠 する、いま妊娠している、いまから子育てする方がものすごく関心を持っています。是 非皆さんのできるだけ多くの意見を入れて、それをいただいた上でこちらは具体策をや る立場ですから、そういう観点から岡井座長には是非よろしくお願いしたいし、皆さん 方にも忌憚のないご意見をお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。 ○座長 これから逐次ご審議いただきたいと思いますが、最初に少しご説明しておきた いことがあります。この報告書案はこれまで委員の先生方からいただいた貴重な意見を まとめただけではなくて、その中の重要な事項に関しては厚労省側のその施策を進める という強い意思を盛り込んでいます。ですから、一部はこんな話をしたっけということ もありますが、全然別の事項ではなくて、議論したことから厚労省がこういうことを是 非自分たちでやるという強い意思を表明している部分であるとご理解いただければと思 います。  もう1つは、現場の医師にインセンティブを与えるというところで、保険点数を何点 に上げてください、あるいは、こういう加算を付けてください、という具体的な数字ま であげて委員の先生方からご要望をいただいていますが、今回の報告書案の中ではそれ をすべて“財政支援等”の言葉で括っていまして、それぞれのご要望なりは別添として、 具体的な項目、またそれに対して何点の保険点数を付けるかを、その領域の学会から要 望するというものを付けたいと思っています。その点についてもう一度お伺いをして、 場合によったら領域ごとに優先順位を付けていただいて、書類を提出していただくこと をやったらどうかと思いますが、その点に関してはよろしいですか。                  (異議なし) ○座長 それでは早速、順番に見ていきたいと思います。最初に「報告書(案)」の下 にサブタイトルが付いていますが、これは厚労省からいただいたサブタイトルです。委 員の先生方から何か異論があればですが、こういうサブタイトルを付けることでよろし いですか。 ○藤村委員 周産期医療というものについて、この懇談会では定義はきちんとしていな いのですね。先ほど大臣から、厚労省内の縦割りというお話がありました。周産期医療 というのはチームの医療で、産科医療と新生児医療がお互いに助け合ってやっているの が骨格になっています。これからずっと、周産期救急とか周産期医療という言葉が流れ てきますが、ある場合は産科救急を意味していたり、ある場合は新生児の搬送を意味し ていたりというのがあるので、周産期という言葉を全部に使った場合、それぞれの場面 で何を示しているのかがわかりにくい。極端に言うと、産科救急のつもりで書いたチャ プターが、実は読む方には新生児救急も一緒に理解されてしまう場合もあると思うので、 そのあたりについて注意していただきたいです。 ○座長 先生のご指摘はよくわかります。この報告書の中では、周産期医療というのは 産科医療、新生児医療の両方を含めているつもりで書いています。どこか外れるところ はあるかもしれませんが、特に産科医療だけを言う場合は母体救急搬送とか母体救急疾 患とか、別の言葉で使っているつもりですが、そうなっていないところがあったらまた ご指摘をいただきたいと思います。お願いします。 ○有賀委員 全く同じ観点での指摘になると思いますが、題名に「周産期医療と救急医 療の確保と連携」とありますので、この場合の救急医療といったときには一般救急医療 を指しているらしいと。そういうつもりで読めるところも多々ありますが、2頁に「救 急医療担当医師の不足」とありますよね。ここには産科の先生が入ってきますよね。で すから、産科を含める救急医療ということかなと。そうすると、今度は産科救急医療と いう言葉もまた中に出てきます。3頁には「救急医療施設の規模と診療体制の問題」が あって、「地域によっては、複数の救急医療施設があっても」と書いてある。どうも救 急医療という言葉そのものが色々の意味で使用されているらしい。先ほどの三浦課長の 説明だと、2の3つ目のパラグラフの「地域によっては、複数の救急医療施設があって も」というところは、複数のセンターとおっしゃったのですね。そのときの周産期に関 連する今回テーマになったあのセンターかなと聞けたので、救急施設とか救急医療の担 当医師とかの言葉について、少し丁寧に使い分けるとか括弧を付けるとか、いろいろや ったほうがいいのではないかなと思いました。 ○座長 わかりました。ありがとうございました。「救急医療」のほうが、先ほどの周 産期医療よりは少し曖昧な使い方をしています。確かにご指摘のとおりで、産科救急、 周産期救急、一般救急と両方を含めたものと、一般救急を指すものとあります。整理は します。最初に定義をする必要のあるところは、括弧何々と付けて。 ○有賀委員 題名をベースにすればいいのではないかと思います。 ○座長 サブタイトルはいいですか。というのは、サブタイトルに一般救急が抜けてい ます。懇談会をやるきっかけになったのが周産期救急搬送の問題だったので、どうして もそこに話が行っているのもあります。報告書もそこのことがたくさん書かれているの で、どうしますか。 ○有賀委員 サブタイトルがそうであったとしても、いちばん最後のところにあります よね。「おわりに」の下から4行目に「周産期医療を救急医療対策の中に位置づけるよ う」とあるではないですか。だから、救急医療そのものが全体としてシャキッとしない といけないよねと。その中に、周産期の救急医療のシャキッとする部分が入っているよ という話になるのではないかなと思います。話のきっかけがそれだったし、阿真委員が もしおられればそういう観点で発言されるのではないかなと想像します。 ○座長 あと、救急医療をやっておられる杉本先生お願いします。 ○座長代理(杉本) 基本的には、救急医療になるとあまりにも広くなりすぎます。こ うやって集まっているのは、あくまでこれは周産期に伴う救急医療だから、私はこれで いいのではないかと思います。 ○座長 よろしいですか。これは確定で、このサブタイトルを付けます。  あとは、先ほど三浦課長からご説明いただきました「はじめに」に書いている内容等 はよろしいですか。 ○岡本参考人 今回は、東京であった搬送などの事例に対して、早急にいろいろな部門 のネットを組みながら解決すべきであるというところで、特に急ぐ分野を整理されてい ると思います。そのことを表示してもらう。そうでないと、もっと中期、長期のことを 考えるのだったら他分野のものもたくさん言いたいことがありますので、今回は取り急 ぎネットを整備して安心につなげたいというあたりの文言がもう少し出るといいかなと 思います。 ○座長 今回のこの懇談会で、やってきた議論の最後の1日の分ですよね。最後のとこ ろで、中長期的な視点に立った対策を書いています。ですから、この中にもそういうも のが入っているとは思いますが、具体的にどのことをご指摘ですか。 ○岡本参考人 例えば現状の問題点も、前回も助産師不足とかいろいろなことを申し上 げましたが、確かに救急医療の周産期のことの特に医師の問題がいま喫緊の課題である ので、これでいいと思います。けれども、全体を見回したときにはもっといろいろなこ とがありますので、そういう意味で初めに少し取り急ぐことを中心にというような文言 があれば、それで納得できるかなと。 ○座長 むしろそうではなくて、ここはこうしておいて、助産師の問題点は後のところ に、それぞれの箇所に少しずつ加えていくことでよろしいですか。 ○岡本参考人 はい。 ○座長 では、そうします。 ○藤村委員 先ほど私は周産期という言葉にこだわりましたが、早速「はじめに」の2 番目のパラグラフに戦後日本の妊産婦死亡率が出てきますが、新生児死亡率が出てきま せん。そのあたりの見方が、周産期と銘打って始めて、そういう文言なしにスッと妊産 婦死亡率、次の段落は母体救急疾患と流れていくので、このレポートは周産期ではなし に妊産婦なのかなと読めます。 ○座長 わかりました。ここは入れるということで、ほかの委員はよろしいですか。新 生児の死亡が著しく良くなっていることを入れます。ありがとうございました。申し訳 ありません。 ○座長 ありがとうございました。「はじめに」はオーケーですか。あまり「はじめに」 だけに時間をかけても進みませんので、次にいきます。次は、「現状の問題点」です。 救急医療の個々の言葉はあとで整理するとして、新生児科医という言葉は使えないので 担当という言葉にしていますが、麻酔科、救急、それぞれの内容はこんな形でよろしい ですか。不足の現状が書いてある内容について。 ○有賀委員 「救急医不足」のこの3行は、書き直したほうがいいのではないかなとい う気がします。ニーズが増大する中で、勤務医の負担が増加している。一般臨床医によ る診療が行われていた疾患に対しても、高度な専門的医療が期待されるようになった。 このことも加わって、救急医の不足というわけではないですよね。このことも加わって、 救急医を含めた勤務医の不足が深刻化してきたということなので、これは救急医を含め た勤務医の不足という話だと思います。そんな感じになるのではないかと思います。あ と、横田先生とかがおられますので。 ○座長 岡本参考人、ここに助産師を入れてほしいということですか。 ○岡本参考人 助産師だけではなくて、看護師も不足していますので、看護職の不足と いう対策も入れていただければ。 ○座長 そうすると、現状の問題点の1の言葉を変えます。それで助産師、看護師も不 足していることも入れる。従事者で括る。それでよろしいですか。不足していることの 説明等を、助産師と看護師について書いて送っていただけますか。こういうことで不足 しているとか、不足していることでこういう問題を起こしているとかがありましたらお 願いします。 ○藤村委員 不足という言葉でずっとタイトルになっていますが、前から本当にこの言 葉でいいのかどうかが疑問に思っています。現在新生児科医が不足しているのが重要課 題ですが、今迄に、新生児科医というポストがなかったのです少なかったこともそうい う状況を生み出してきた大きな原因であると考えられます。 ○座長 科のことは、あとで出てきます。 ○藤村委員 不足という形で出すと、成り手がないだけと読まれるおそれがあります。 現実には成り手はあっても、給料をもらうポストがないので、なれないのです。例えば、 今回の焦点になった東京都のある病院は、新生児科医として、なりたい人は居られて他 の病院で待っていると聞いています。だから、その病院の新生児科では医師が不足して いるのです。そこのところのニュアンスを入れて下さい。 ○座長 そこをなんとか入れます。大事なことだと思います。ただ、実際に新生児科医 として働いている担当医が不足していることは事実ですよね。 ○藤村委員 その言い方は誤弊を与えると思います。報告書として書く場合は、従来そ の部署はポストを要求していたのに、管理者が実は認めていなかったかもしれないです。 ですから、成り手がないという印象を与える書き振りはちょっと。 ○座長 それでいいですか。田村先生どうですか。成り手がないわけではない。ポスト さえ与えれば、人は集まってくるのですか。 ○田村委員 特に公立の病院では、なかなか実際にポストがなくて、希望しているけれ どもなれない所もあります。現実に、今回の墨東病院では、そういう状況だったみたい です。 ○座長 忙しいとかということで、成り手も十分ではないというのもあるのではないで すか。 ○嘉山委員 それはおかしいです。成り手もないですから、先生のおっしゃることは非 常に大事です。産科もそうです。例えば、山形の県立病院で産科のポストが2つしかな い。だから2人しか行けないことも現実ですが、産科が足りないことも現実なので、そ こは併記すべきだと思います。ポストがないからなれないのではなくて、成り手もない のです。 ○座長 成り手も足らないという認識でいいですね。ポストももちろんということで、 現実に不足している事実もあるわけで、その辺も付け加えるということで、ポストの問 題は藤村先生よろしいですか。 ○藤村委員 はい。勿論結構です。 ○厚生労働大臣 是非正確に書いていただきたいのは、ポストがないのだったらポスト をすぐに作ればいいわけです。けれども、医師の養成は10年かかるので、是非それは両 方書くなら書くで、政策に落とすときに困りますので、よろしくお願いします。 ○横田委員 救急医療における人の育成という観点で話をさせてください。救急医療で は人、システム、情報が揃わないと機能しませんが、現在いずれのパーツも不足してい ます。人について言いますと、いま出てきた4つの分野は大学の先生には言い方が失礼 ですが、そもそも大学の講座の中で真剣に育てようというところが希薄だったことです。 これは医師の免許証を取ってから、臨床の場として必要な分野があるために、その後医 師が切磋をして、その分野を切り開いてきた実態があります。その点を忘れないでいた だきたい。どこかに落としていただかないと人が育ちません。荒波の中で仲間を求めて いる実態は、そもそも医学部のあり方から出てきているということをここで言っておき たいと思います。 ○座長 ここに入れますか。それとも、対策のほうで、あとで人的リソースというとこ ろに、どうやって担当医師を確保するかというのが書いてありますが。 ○嘉山委員 大学の代表として、文部省からいま全部作れということが来ました。私の 同級生が新生児で、わざわざ仙台から久留米まで勉強しに行ったのをよく覚えています が、それは大学があえてそうしたのではなくて、日本の大学の高等教育費が非常に低い し、ベッド数も少ないし教官数も少ない中で、小児科は当時は新生児をやるところまで いっていなかったからやっていないだけで、これから大学の教育費が増えたりポストが 増えれば大学でも。いま、うちでも4つのベッドを使ってセンターではないけれども、 NICUの患者を診ていますから、あとはコアカリキュラムもできましたので、すべての 救急も全部の大学でやらなければいけないことになっていますので、この数年でかなり 変わってきていますから、昔は事実でした。でも、かなり改善したことも書いていただ かないと、大学としては困ります。そうでなければ、日本の大学医学教育はとんでもな いということになるので、それはコアというものを作りました。その中にNICUも入っ ています。ですから、それはきちんと教えています。 ○座長 いまの件は大事なご指摘ですが、その領域の医師が足らない原因までここで詳 しく分析して書くのはどうか、事実を記載して、むしろ対策のほうに力を入れた書き方 でよろしければそうさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。 ○大野委員 現状の問題点として各科の医師不足ということが出ましたので、コメント です。そもそも今回の懇談会のきっかけになった墨東病院の症例のような脳出血合併妊 娠の場合は、脳外科がなければ対応できない症例です。私が愛知県の調査で指摘したよ うに、地域周産母子医療センターの中にも脳外科がない施設が存在します。今後、産婦 人科は救急科、麻酔科、脳外科、循環器科をも含めて、学会レベルで連携を進めていく ことが必要であるということを現状の問題点として入れておいたほうがいいかと思いま す。 ○座長 先生がいまご指摘されたことは、あとで出てきます。 ○嘉山委員 墨東の脳外科は、きちんと東大から行っています。あれは連絡が脳外科ま で行かなかっただけで、脳外科はいつでもウエルカムです。 ○座長 産婦人科が1人しか当直していなかったので、最初の段階でパスしてしまった という話です。ここまでよろしいですか。いまご指摘いただいたことを織り込んで、改 訂したいと思います。  次に先生が言われた施設の規模と診療体制。あとで出てきますが、規模と診療体制の 問題、ベッドが満床になる原因、また、当直医がいまほかの疾患に対応しているために 救急患者を受けられないという問題は、規模の問題が大きく関係しているのではないか ということで、こういう格好でまとめていますが、ここに関しては。 ○有賀委員 だから、先ほどこの救急医療施設といったときに指摘しましたように、き ちんと分けて丁寧に書いたほうがいいです。 ○座長 わかりました。 ○嘉山委員 いま2の規模と診療体制の問題ですよね。ここがすごく違和感を感じてい ます。舛添ビジョンの安心と希望の会では、いまある体制を壊さないで、なぜかといえ ば絶対的な医師不足の上でなんとかしなければいけない。施設の規模が小さいためとは、 施設の規模は何で規定されるかというと、医師の数によって規定されます。もちろん、 先ほど藤村先生がおっしゃったようなポストがないということもありますが、基本的に は医師の数でこの施設の規模が規定される。もう少し後に出てきますが、これを一遍に 小さいから次に大規模センターを作るのは、私が非常に心配しているのは、今回の事件 は連絡体制の不備と、医師数が少ない、原因はこの2つです。もしも、この懇談会の報 告書を実行した場合に、いまより悪くなった場合には大変なことになると思います。で すから、岡本参考人がおっしゃったように、設備の問題は短期的な問題と長期的な問題 とを分けないと。  例えば、東京に1個大きいのを作って、全部24科を集めることをやってしまったら、 いま現実も大学病院でやっていないといいながら、NICUで6つはないけれども4つで やって、センターと名前は付いていないけれども、山形ではそういう新生児は死んでい ないです。現実にやられているわけです。ですから、このあとのお金の問題も出てきま すが、補助金ではなくて大臣が前からおっしゃっている医療費で入れれば、そのような ことも全部解決してしまいます。つまり、医療費でNICUを扱えばインセンティブにな ります。センターにすると補助金を出すから、センター化しろというと、センターでは ない所はやらなくなってしまう可能性があります。いまより悪くなってしまう可能性が あるので、この辺は非常に慎重に言葉を選んで入れていただきたいと思います。 ○座長 いまのご質問に対するお答えですが、最初の案では長期的と短期的を分けてい たのです。政策としてそれを崩したというのがあるのですが、委員がおっしゃったこと は現状を踏まえて、あるいはいまの体制を壊さないようにということは、このあとの対 策の所に全部盛り込んでいるつもりなのです。ただ、長期的な日本の救急医療のあるべ き姿を思い描いてみると、いまのあり方は少し規模が小さいと。山形と東京とは違うと 思います。東京のような大都会では特に数があるけれど、規模が小さいというのは1つ の問題点であるという認識なのです。 ○海野委員 それだったらそこを書いていただかないと、これは全国版の報告書なので、 それぞれの地域でこれをどう読むのだということになってしまいますから、大都市圏に おける問題点という形で書いていただければよろしいのではないかと思います。 ○座長 嘉山委員、それでいいですか。 ○嘉山委員 それでないと壊れてしまう所が出るので。これをやられたら困りますよ。 ○座長 あとの対策には、いまの状況を見て、そういうことを壊さないようにとたくさ ん書いてあるのです。 ○座長代理 規模に関しては、それでも最低限必要な人数があるわけです。それを守っ ていない、例えば産婦人科医が2人しかいない所があります。そこでは、それぞれの医 師が月に14日当直して、あとはどうしても無理だからバイトを入れているという規模に なってくると、これは何と言っても無理すぎる。だから、24時間、365日、労働基準法 に基づいてやろうと思えば、常時1人ずつ置いたとしても最低5人の医師が必要です。 だから、ある程度の規模は必要です。  一方では、20人ぐらい置いておこうと、そうしたら次から次に運ばれてきてもできる という形を取っている所もあるのですが、同時にAという患者が運ばれて、すぐBとい う患者が来るときも対応できるではないかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、これ は効率的には非常に悪い話になってしまう。というのは、同時に2人来ることはそんな にたびたびにはない。そのときに、例えば2チームで6人とめていたら、1チーム3人 は患者さんが来ないで待機する状態にずっとなってしまうのです。その辺りの意味合い が、ある一定の数は必要だけれど、かと言ってどんどん大きくしたらそれでいいかとい うものでもないのは間違いないと思います。 ○嘉山委員 杉本委員のおっしゃることは私も大賛成で、そのとおりだと思います。山 形ではその規模でやっています。ただ、7頁に非常に危険なことが書いてあるので、イ メージが委員のおっしゃる5人という規模ではないのです。これは非常に飛躍した、整 合性の取れていない論調になっているので、私はわざわざ2番を問題視したのです。で すから、いま海野委員もおっしゃいましたが、5人とか現実にやっている規模でうまく やっていくと。連絡体制などの工夫はこの中に入ってきていますから、それをやればこ の前のような悪いことは起きないし、いまのシステムも壊れないことになります。この 7頁の(3)の1)は、日本で1個しか作らないようなイメージがにじみ出ているのです。こ れでは、現実にやっている所は壊れてしまうのではないかと危惧したものですから。 ○有賀委員 岡井座長は、救急医療とおっしゃいましたね。そのとたんに、話としては ドーンと来るのです。もし、大きな施設を作らなければいけないという議論があったと すると、それはいまの初期・二次・三次の救急医療体制、昭和50年代からずっとやって きた体制をどう考えるのかという話までいってしまうのです。いまのガラス細工が壊れ るかもしれないと言っている意見は、まさに東京で議論されていることなのです。都会 だから救急医療はかくかくしかじかと言ったとたんに、ガラガラといく可能性のあるこ とをおっしゃったのです。ここも丁寧に、周産期に関する救急医療の観点からすると、 最小限を超えた少ない当直医のような所では云々という形で書かないと、見た人がギョ ッとしてしまう可能性があります。 ○座長 わかりました。私は産科なので、周産期救急に関してはそれなりの現状も知っ ているし、考えを持っているのですが、一般救急の施設の規模は、ご指摘の通りだと思 います。病院がいくつかあっても、医師がみんな疲弊していて、人手不足のために大き くできないという現状はあるけれど、いまは本当に適正な大きさなのか、もう少し大き いぐらいのほうがいいのか、やたら大きくしていいわけではないけれど、もし可能であ れば、もう少し大きいぐらいのほうがいい、という表現にするのはいかがですか。本当 の理想の姿、もしそれが取れるとすればです。もし、ガラガラポンで全部やり直せると したら。 ○有賀委員 もし理想の姿を議論しろというのであれば、初期・二次・三次といういま の基本的なスキームについてガラガラポンしたほうがいいと思います。 ○座長 それを変える。 ○有賀委員 そうです。 ○厚生労働大臣 報告書を受ける側が言ってしまってはいけないのですが、小規模とい うのは何が小規模なのか。規模というのは平米の面積なのですか、ベッドの数なのです か、人の数なのですかというのがあるので、別表でもいいですが、第一次救急はこれぐ らいの広さで、ベッド数はいくらで、医者が何人だというのがあるといいと思うのです。 私の情報が正しければ、墨東は受け入れるが、送り出したのは五の橋。五の橋のほうが、 あの日は当直の産科医の数が多いはずです。そのようなことがあっていいのだろうかと いうことがあるのです。受け入れられた側は研修医が1人しかいない。五の橋のほうは 最低2人ぐらいいたはずです。そうすると、私がここで止めてはいけないのですが、普 通の素人の感覚で言うと、規模とは何でしょうか。総合周産期センターや地域周産期セ ンターのガイドラインがあって、当直は複数いるほうが望ましいという書き方がしてあ るのですが、それを見ても、どれぐらいの大きさとかというのはないので表か何かを付 けることが可能かどうか。つまり、たちどころに変えたいものは変えたいのです。この 文章からすぐ変えられるかという観点から見ているものですから、どこかブレイクダウ ンした部分がほかにあればかまいません。 ○海野委員 その規模のことに関しては、現実に存在している総合周産期センターはと ても規模が小さいわけです。1人当直でやっている所が半分ぐらいあります。それが実 態なので、先ほど嘉山委員からお話があったように、それぞれの地域の実態も踏まえて 次の対策を打たなければならない部分がありますので、規模の議論をするとすれば、今 後新しくシステムを育てていく中でどうしていくかという、中長期的な議論になってい かざるを得ないのです。 ○厚生労働大臣 わかりました。 ○座長 中長期的な議論として入れていたのをばらしたので、間に入ってきたのです。 それでは、ここはもう一度考え直して、どこへ入れるか先生方に案として提示します。  次は、地域内連携の問題です。よろしくお願いします。 ○海野委員 この地域内連携のところでは、実際に書いてあるのは、助産所も含めて周 産期の一次・二次・三次施設の連携体制が不十分であると書かれているのですが、この 会の問題の大きな部分は、一般救急医療機関と周産期センターとの間の連携体制の不十 分さの問題です。ですから、地域内連携と施設内連携と両方あるのだと思いますが、そ の辺りをうまく書かないと、地域内連携のところが浮いてしまうのではないかと思うの です。 ○座長 ここの中に入れていないのですが、一般救急と周産期救急との連携の問題は、 対策としてはたくさん書いているのです。 ○海野委員 問題点としては、ここがあるから対策が出てくるのだと思うので、そこで コンセンサスが得られている部分だと思います。また、この並びで施設内連携の問題も、 あとの対策のほうではあるわけですが、問題点としても指摘されるべきなのではないか と思います。 ○座長 問題点の中に、診療科間の連携やいま海野委員が指摘されたような連携を、地 域内の問題にしていいかということもありますが。 ○海野委員 それはあると思います。要するに、一般の二次救急病院が妊産婦をどのぐ らい受けるかということも、重症でなくても妊産婦にとっての受入体制を良くすること に関わる問題なので、それはその地域の中での連携ということになると思います。 ○座長 ここに入れますか。他科との連携とか、周産期救急と施設の中。 ○藤村委員 私が最初に申し上げた「周産期医療」という言葉の使い方が、ここでは新 生児の立場からは引っかかるのです。新生児の連携は、25〜30年の歴史で強固に地域で 構築されております。産科救急に大きな問題があるとされて今の討論をしている訳です が、そこで同じ物指しで新生児救急にもいま触ろうとされるのかどうか、新生児の関係 者にとっては非常にシリアスな問題です。なぜ触る必要があるのかということにもなっ てくる。どれにもみんな小さな問題がいろいろあります。しかし、基本的には新生児の 問題は、前から出ているように医師のポストが足りないとか、小児科勤務医全体が不足 しているとか、ベッドが足りないとか、後方病床が足りないという問題です。連携の問 題、救急搬送の問題ではないのです。ですから、少なくともここだけは「周産期医療」 と書かずに、新生児医療についてはそれなりの強固な組織が確立されているという書き ぶりをお願いしたいと思います。 ○座長 わかりました。ただ、搬送の問題は、先ほどご指摘された問題はあるのですよ ね。 ○座長代理 それは全国的に言える話なのですか。全国的に新生児の医療ネットワーク は完成していると、いまのお話を聞いているとそう理解できるわけですが、この前のお 話では、施設によっては1人の人が非常に頑張っていて、残りの4人の方が研修医で、 それを引っ張っていくと。そのトップの方が倒れれば、私の経験では、そのような施設 は瞬時に崩壊してしまうのではないかと思うのです。もちろん、それが充実している所 もあるだろうと思いますが、全国的にそうだと考えていいという理解でいいのですか。 ○藤村委員 いま先生が例に引かれた県の方が、組織はきちんとできているのだけれど、 医師のポストがない、新生児科医のなり手がない、ベッドがないということで、そのこ とを強く主張しているのです。新生児の搬送システムは、もう20年間、年間に1万人1 件数千円の診療報酬でドクターが運んでいるのです。そういう歴史をきちんと認識して こうした医療を評価する必要がある。入院患者は4万人です。ですから、一定の実績を 見て、触ろうという場合は何が問題かを触っていかなければいけない、分析していかな ければいけない。 ○座長 わかりました。田村委員も同じ意見でいいですか。 ○田村委員 今回の問題は、東京近辺のある意味では矛盾が傑出した所でできてきた問 題であることと、全国のそれぞれ閉鎖している地域ではネットワークがうまくいってい る所もある。但し、これはあくまでネットワークの話であって、そこで働いている新生 児科医の労働環境が悪いという問題に関しては、いっぱい問題を持っている所がありま す。  ネットワークに関してだけ言えば、ネットワークで非常に大きく問題を抱えているの は関東一円です。東京は、我々から見るとまだネットワークは恵まれているのです。埼 玉などは本当に悲惨なものです。神奈川、千葉も東京との間に大きな落差があって、ネ ットワークについては関東圏では非常にまだまだ大きな問題があると思います。 ○座長 そうすると、地域によって多少差がありますが、新生児のネットワークは比較 的うまくいっているということで、そのような文言をここに入れると。それでよろしい ですか。 ○藤村委員 先ほど申し上げたように、病床が足りないとか医師のポストが足りないと かいう問題があるから、新生児のシステムはうまくいっているとだけ書くのは問題があ ります。 ○座長 そうですね、わかりました。 ○藤村委員 連携、システムの問題については確立していると。 ○座長 連携やシステムということですね。ありがとうございました。情報システムの 問題ですが、ここでは簡単にしか書いていません。このあとでもう少し具体的な問題点 を書いて、対策を書く格好になっていますので、ここはこれでよろしいですか。 ○池田委員 情報網なのですが、妊産婦死亡の正確な実態が把握できていないと思うの です。新生児死亡は、実際に新生児が亡くなるわけですから、どういうところで亡くな ったかが極めてクリアにわかるのですが、今回の東京のケースにしても脳出血で亡くな ったというところから、東京で起こったということで非常に注目が高くなったわけです が、当初は妊婦の脳出血は非常にまれだという意見が大半だったと思います。産婦人科 医にとっては、特にそのようなところを研究していた私たちにとっては、妊産婦死亡の 中ではかなり重要な疾患だということは前もって出てきておりましたし、こういうこと もなければ注目もされないわけで、救急医療との連携のところにも発展しないわけです。 ほかにも心臓病などいろいろなものがありますが、実際の妊産婦死亡の正確な情報が把 握できていること、それがショートでフィードバックできるシステムが抜けているとい うことも、現状の大きな問題点だと思いますので、情報システムか別個の所に付け加え ていただきたいと思います。 ○座長 情報システムは救急患者を搬送するシステムですので、池田委員の言われた周 産期のデータ等をもう少し正確に分析するという話を問題点の中に項を起こして入れて おけばということでよろしいでしょうか。 ○池田委員 よろしくお願いします。 ○座長 きちんと情報収集し、分析をしっかりやる必要性を問題点の中に入れると。 ○横田委員 情報システムの問題については、ここに書かれているように救急医療情報 と周産期情報が別々に運用されてきたことが1つ問題です。もう1つは、医療機関同士 のネットワークと、先ほども質問しましたが、救急車、言い替えると消防機関が持って いるネットワークとが連結されていないことです。その辺りの情報のやり取りをどうす るのかということにも、問題の2点目として挙られます。  もっと大きいことでは、一般の方に対する情報の開示よりも、医療機関が不透明な部 分もあるということで、情報のネットワークの作り方はどこまでなのかが問題点として あるということも、入れたほうがいいのではないかという気がします。特に消防との情 報の連携ということにおいて。 ○座長 それは、ここに付け加えたいと思います。ほかに、この箇所に関してはよろし いですか。池田委員のご指摘されたことは、項を起こして問題点の中に入れさせていた だきます。  次に、第3「基本的な方針」です。これこそこの懇談会で議論したわけではないので すが、厚労省の心意気を報告書に表してもらったということだと思いますが、「国民の 『安心』の確保を最優先とすることを国の責務とする」と書いております。そのあとも、 机上の空論ではなく、現状を踏まえた解決法という、先ほどご指摘いただいたことがお かしくならないようにという基本姿勢があります。最後には、我々医療現場の人間のこ とをよく理解していただいて、医療現場に対してこれ以上の負担を増やさず、行政の力 で負担を軽減させる方向で対策を検討すると。この辺りはよろしいですか。 ○有賀委員 「少子化社会にあって」という所の3行目に、「国民の『安心』の確保」 と書いてありますね。この副題は、「『安心』と『安全』の確保に向けて」ですね。安 心というのは、ある意味サブジェクティブなというか、納得と安心ですね。安全という のは、飛行機が何回飛んだら何回墜ちると、だから安全だと、だけど乗らないと。そう いう意味では、心の問題と理屈の問題を並べて、安全と安心の確保と。1個だけ入れる と言うなら、安全です。 ○座長 はい、両方入れます。 ○海野委員 安心と安全でいいのですが、今回の問題がなぜこれだけ大きな国民的な不 安をかき立てたかを考えると、お母さんのことがとても大切だというみんなの気持ちが ある。その安心をみんなが強く求めているということがあると思うのです。阿真さんの お話の中でも、我々が非常に高度なところで、500gの赤ちゃんを助けるといったことを やっていることも、もちろん評価の対象にはなるのだけれど、ちょっとしたことで実際 に医者が診てくれるか、救急で診てもらえるかということの安心度が欠けている部分が あるから、このような問題が大きくなってしまうところがあると思うのです。ですから、 安心と安全、順番もあるかもしれませんが、安心の確保を最優先というのが、この問題 に関する国の姿勢としてはあり得る姿勢なのではないかと、私は考えております。 ○有賀委員 だから、国民の安心と安全、とりわけ安心の確保です。 ○座長 これは大臣の意見を聞きたいと思います。 ○厚生労働大臣 悪乗りして言うのではないのですが、政治家の立場からすると、「希 望」という言葉がほしいのです。ドイツ語をやっている方はわかると思いますが、Being in hope、妊娠している女性をドイツ語でguter Hoffnung seinという、妊娠は希望 (Hoffnung)なのです。新しい生命が誕生すると。だから、安心と希望の医療ビジョンと 言ったのは、安心でも安全でも確保して、後ろ向きとは言わないけれど、それをやるこ とによって明日への希望が生まれる。特に赤ん坊は明日の希望なので、だからなおその 希望が絶望や失望に変わることがあれだけのショックを起こすのです。ドイツ語の表現 は、うまいことを言ったなと思っているのですが、これは全く希望ですから。 ○座長 ここは、最終的には大臣に決めていただきたい。 ○厚生労働大臣 妊婦の話や子どもの話のときに、夢とか希望みたいな感覚がほしいと いうのは、まさに希望です。 ○座長 それではこちらでもう1回じっくり考えて。ここは「意思を表明し」につなが るから、基盤を整備することで安全にして、意思を表明することで安心と希望と。 ○有賀委員 こだわっていないのです。ただ、題名がそうなったから。それに、我々が できるのは、基本的にスクラムを組んだって、やっていることは安全ですよね。 ○座長 これはあとで事務局の方々ともよく相談して、大臣の意見をもう1回聞いて書 き直します。ありがとうございました。  次は「地域の役割」になりますが、この点はいかがでしょうか。国は「責務」にして、 地域は「役割」にするという形を取ったのですが。 ○有賀委員 「地方行政においては、リーダーの役割は重要である」とありますが、こ の「リーダーの役割」の外来語のリーダーは、地方行政のことを言っているのですか。 ○座長 三浦課長、説明できますか。実は、ここは省からいただいた部分なのです。先 ほど言った意思表明みたいな格好で。 ○指導課長 地方行政におけるリーダーとは首長を指しています。 ○有賀委員 首長さんたちのことですか。 ○厚生労働大臣 石原都知事のことですね。 ○有賀委員 何とか長という言い方があるじゃないですか。 ○嘉山委員 私はすぐわかりましたよ。「首長」ですよ。 ○有賀委員 「首長」と書けばいいではないですか。 ○嘉山委員 私もこれを読んだとき、リーダーって誰、と思ったのです。でも、本当に 首長ができる問題は限られると思うのです。国の責務は先ほど出てきているからクリア になったけれど、これは行政なのですか。 ○座長 地方行政ですね。グランドビジョンを国が示し、方向性を示し、具体的にその 地域の医療行政をやるのは地方自治体であるというのは、最初の前提です。 ○有賀委員 5頁の上から4行目の「負担を増やさず、行政の力で負担を軽減させる」 という「行政」は、地方行政のことですか。 ○座長 ここは国の責務に入っています。 ○有賀委員 では、「国の力で負担を軽減させる」でいいのですね。 ○座長 例えば、保険点数を上げて、医師のインセンティブを確保してやるとかいう話 は。 ○嘉山委員 国と書いたほうが。 ○有賀委員 地域(都道府県)が責任を持って構築するものであるけれども、国は云々 と書いてあって、その下に「行政の力」と書いてあるから。 ○座長 前の頁に1「国の責務」とあって、その中に入っているので。 ○有賀委員 だから、国と書けばいいではないですか。 ○座長 「国は」と入れろということですか。 ○有賀委員 いや、行政は国なのですね。 ○座長 国の行政の力でという。 ○有賀委員 それでいいのですか。 ○座長 ここはですよ。 ○嘉山委員 だから、素直に国と書けばいいのではないですか、というのが有賀委員の 意見で、私もそう思います。 ○座長 「行政の力」ではなくて、「国の力」と書くと。 ○嘉山委員 この辺りがいつも曖昧だから日本が腐ってきたので、クリアにしてもらい たいです。政府でも何でもかまわないですが。行政、行政と書いてあって、解釈が。 ○有賀委員 だって、上は「国」と書いてあって、下は「行政」と書いてあるから、行 政というのは国と地方行政のことをみんな言うのかとか、だからわからなくなってしま っただけなのです。 ○嘉山委員 クリアに書いてもらわないと、科学論文になりますから、国に変えたほう がいいですよ。 ○座長 わかりました。よろしいですか。では、ここは「国の力で」と。 ○有賀委員 そう読むなら、そのようにすべきだと私は思います。 ○座長 リーダーの話はどうしますか。 ○嘉山委員 「地方行政においては」で何でリーダーが出てくるのですか。「地方行政 の役割は重要であり」でいいのではないですか。地方行政というのは、県から市から町 から村からでしょう。 ○有賀委員 一部事務組合だってあります。 ○嘉山委員 地域の役割だから、行政単位で言えばそういうことですよね。そのように きちんと書けばいいのではないですか。何か思惑があるのですか。 ○指導課長 特にありません。 ○嘉山委員 では、クリアに書いたほうがいいです。 ○座長代理 それはそうですが、行政と言っても、我々の大阪府のような行政になると、 知事の考え方が非常に大きな影響を与えます。首長が替わったら、その方の考え方によ って予算をどんどん削っていこうではないかということがあるから、おそらくここは地 方行政においては、首長は地方行政の代表者であるということになってくるから、課長 はそうされたのですね。 ○嘉山委員 三浦さんはそんなことは考えていないと思います。そうではなくて、首長 が替わっても、国の提言ですから、いくら大阪府の知事が替わっても変わっては困るの です。変わっては困るからこそ国家は提言を出すわけですから、これはきちんと書いて おいたほうがいいと思います。 ○座長 では、リーダーの話はやめて、地方行政のことでもう1回文章を変更したいと 思います。ありがとうございました。ここはいまの点を直すということで、よろしいで すか。  次は、「医療現場の役割」ですが、これはむしろ医療従事者ではないかと。 ○横田委員 医療現場の役割は2点あろうかと思うのですが、この文言ですと、医療従 事者個人がこういうことをやりなさいということよりも、問題の大きいのは、施設の管 理のあり方です。組織としてどうあるべきだということが、現場では個々の診療科の科 長がそれなりに一生懸命やっていても、今回の事例もそうですが、病院機能として複数 診療科に対応するような組織化が、うまいことできていない実態があるのです。そうす るための問題点も出していかないといけないのですが、ここは個人といわゆる病院運営 の点において、こうあるべきだと書く必要があるのではないかと思うのです。 ○座長 わかりました。個人の役割と医療機関の組織のほうですね。 ○厚生労働大臣 大熊由紀子さんがメンバーではないですが、大熊由紀子さんがここに いたら何と言うかというと、「国民」という言葉が抜けていて、国や地方行政ではなく て、国民に対して情報を発信してもらわないと困ります、と。 ○座長 それもそうですね。これは改善をしてもらわなくてはいけないという、自分が いまある環境で一生懸命頑張っているだけでは医療は良くならないから、問題点を訴え て改良してもらうと。国民も入れます。 ○海野委員 これは厚労省が書いてくださったとすると、現場の声を聞きますという意 味ですね。 ○座長 そうです。だから、厚労省の強い意思が表れていると。 ○海野委員 そういうお考えと理解していいわけですね。 ○厚生労働大臣 だから、そこが駄目なのです。国民があっての厚生労働省なので、国 民に声が届かないと、役人に届いてもどうしようもないのです。 ○座長 わかりました。では、そこはもう少し考えて書き直します。 ○藤村委員 私は、3番の文章がいちばんまずいと思います。「いかなる環境下にあっ ても、目の前の患者の治癒に最善を尽くすことが最重要」というのは、昨今の医療の問 題を正しく評価しているのかという批判がきっと出ると思います。この書きぶりは、い まの認識でこの懇談会が出せる言葉ではないと思います。 ○座長 環境が悪ければそれを変えなければいけないのですが、患者が目の前にいたと きは環境も何もなくて、とにかく全力を尽くすのが基本だと思うのです。 ○藤村委員 いまの医療問題では、それが課題になってはいないのです。本当の現在の 医療問題は何かというと、そうした環境が崩れるような状況に、社会全体として国民も 行政もみんな一定の責任があると思うのです。支えきれなくなった現状を述べる必要が あると思うのですが、この場合は医療現場のみが最善を尽くすことが最重要という言い 方で、非常に反発を招く言葉だと思います。 ○厚生労働大臣 これは二階経産大臣発言になるのです。 ○座長 ここは抜きますか。これは当たり前のことで、ここにわざわざ書くことではな いと。我々医療従事者の意識としては、当然、当たり前ということで、書かないと。医 師と病院組織から問題点を抽出して、国民にも知らせる。また、省庁にもそうしてもら うということでよろしいですね。そのような書き方にします。藤村委員のご指摘のよう にさせていただきます。 ○厚生労働大臣 くどくてすみません。政治行政の言葉で言うと、国と地方、国や地方 行政となっていますが、少し違うのです。「国及び地方」で、「国と地方行政」という 言い方はしないのです。国VS地方、中央政府VSローカルガバメントという言い方を するのです。これはむしろ役人のほうが言葉遣いがうまいので、ここは知恵を働かせて。 ○座長 ありがとうございます。次は、「国民・地域住民」ですが、ここは役割とか責 務というわけにいかないので、協力の形にしたのですが、この辺りはいかがですか。一 緒に協力してやっていきましょうという呼びかけみたいなことになりますが、よろしい ですか。そこまではいいですね。  第4の議題で、ここから具体的な話が出てきますが、1番目は「周産期救急医療体制」 です。これは当然新生児を含んでいるつもりでいますが、最初に定義をしてわかるよう にしておきます。現状把握、情報公開、関係者間の連携、いちばん最初の関係者間連携 の所にアンダーラインが引いてある部分は、厚労省でこのようなことをやるという意思 をここに表明してくださっているのだと理解しています。 ○海野委員 ここだけではないのですが、(1)の2行目に「研究班等において」と書かれ ていますね。実際に、全体のレポートの中で私が数えた限りでは、研究班が検討しなけ ればいけないことが7項目あるのです。そのうち周産期センターの指定基準の見直しに 関する部分は、平成20年度末を目途とすると書いてあって、それ以外の6項目に関して は全部早急にという表現になっています。実際に、これは具体的にはどの研究班のこと を想定されて、いつまでにどうしようとされているのかがわからない。そうすると、私 自身はこの懇談会が安心と安全を確保するために、急いでやらなければいけないことを 考えなければいけないと思うのです。そのときにどのような順番でこれを進めていくの かが、これだとわからない。早急というのがもう少し具体化されて、具体的にこういう プロセスで進めていくということまで書かないとわからないと思うのです。これだと、 安心は与えられないのではないかと思うのです。 ○座長 平成20年度末までと書いてある所は、そのつもりでいらっしゃると思うので す。早急にとしか書けていない所は、まだ具体的に出せない所があるのです。研究班、 研究班と出てきて、ほかにもいっぱい研究班があってどうなのだろうというのですが、 それは研究班を作ろうという厚労省の意思なのですね。 ○指導課長 おっしゃるとおりで、研究班を設けて検討していただこうということです。 ただ、メンバーとなっていただく先生方は一定の数ですので、先生方にあまり一気に負 荷をおかけして、短時間に結論だけ出してくださいといまこの段階で申し上げるのも非 常に申し訳ないので、一旦私どもが引き取って、いま海野委員が言われたような順番、 あるいはメンバーの構成をもう一度再構築する必要があるのではないかと思っておりま す。海野委員が言われるようにすぐやらなければいけないこともあれば、もう少し時間 を当てるものもあるという中で、書きぶりを考えたいと思います。 ○座長 これが至る所に出てくるのです。そうすると、順序をもう1回整理して、ここ に記載して早くやらなければならない部分もありますが、決まらないのに無理に書くの もおかしいので、プランがしっかりしたところだけ載せていくということでいいのでは ないでしょうか。約束できることをきちっと書くと。約束できないことまで書いて、実 行力に疑いを抱くことがないようにしたほうがいいと思います。 ○海野委員 もう1点、(2)の関係者間の連携の所で、産婦人科学会と救急医学会で出し た提言を参考としていただけるということでありがたいのですが、これは関係者間だけ ではなく、それぞれの都道府県レベルでどういう形で連携をするか、都道府県の行政も 含めた形での提言になっていると思います。そういう意味で、そこの部分が抜けてしま うと、むしろ私どもがお願いしたいと考えているのは、厚労省のほうからこういう形で 都道府県レベルで地域の連携を強化・推進することに関しては、ほかのことはともかく、 前倒しでどんどん進めてくださいという形で呼びかけていただければ、都道府県もどう したらいいかということになっているわけですから、現場でそれに対応していただける と思うので、むしろそのように書いていただけると進みがいいのではないかと思います。 ○座長 国が都道府県にそういうことを要請することは、9〜10頁に出てきます。 ○海野委員 これは平成20年度末ですよね。だから、早くしたほうがいいと思います。 そのために急いで提言をまとめたので、平成20年度末に通知するという順番で、通知す る内容の中には、救急医療体制の整備と母体救急連携システムの構築を行うこと等が書 いてあるのです。これは、周産期医療対策事業の見直し案ができないと出せない内容な ので、どんどん遅くなっていく危険があることを心配しているのです。 ○座長 わかりました。これは急いで国から都道府県にそういうことを要請する、要す るに早くすると。 ○海野委員 都道府県レベルで、あるいは現場レベルでできることはどんどん進めてい って、その上で国や都道府県での制度整備もやっていただいて、早く安心と安全を確保 できる体制を作っていくのがいいのではないかと思っているものですから、そう申し上 げたのです。 ○座長 では、そこはいま海野委員が言われたことを盛り込めるように考えていきます。 ほかにいかがですか。 ○座長代理 この関係者間の連携の所で、国立大学附属病院の立場から言っておきたい のですが、是非とも文部科学省にも連携に入っていただきたいと思うのです。というの は、厚労省で行われた諸々のことに関して、文科省側からは基本的には我々の所に、救 命救急センターをやっていたからといって救命救急センターに対しての何らかの補助と か交付金が出てこない。だから、大学では救命救急センターは赤字ばかり作る金食い虫 と言われながら、みんな苦しくやっていますから、厚労省がこういうことをやられると きには、文科省にも同じような形での予算づけをしてやっていただきたいと思います。 あとでも出てきますが、これをすべての関連診療科に持っていって対応していこうとい う意味合いでは、大学病院は非常に有効な手段だと思うのです。私学に関してはそれで 出てくると思うのですが、国立大学、要するに大学院は、そこに関しては出てこないも のになってきて、その付加だけがかかってくる面があるものですから、人員や設備の面 で、特にいま交付金が年々減っていく中で、附属病院は特に厳しい状況になっているも のですから、そのときどうしても不採算の所は厳しい風当たりが起こってきて、これほ どしんどい思いをしていてあれだけ言われるのだったら、それを見ている学生を含め、 大学は若い人たちを育てますから、そこにすり込まれてしまうのです。それは新生児も そうですが、そういう所に対して文科省も連携して、是非とも進めることを入れていた だきたいと思います。 ○座長 それを入れることには異論はないだろうと思いますので、これも入れていくと。 早くやることを、またここで指摘すると。 ○嘉山委員 いまのことと関連するのですが、厚労省から大学に、私は学部長ですから いろいろ来るのです。こういう授業をやれと言ってくるのですが、普通は会社で業務命 令が来ると、その人にはこれだけ人員を増やしますとか予算を付けますというのが、外 口医政局長の名前で来るのですが、いつも真っ白なのです。ですから、いま委員がおっ しゃったことは当たり前で、文科省も病院の運営費交付金は法人化してから4割ぐらい 減っています。それは厚労大臣の力で、病院のことに関してはお金を付けていただけれ ばと思います。 ○厚生労働大臣 研修制度に関しては文科大臣と一緒にやっていますから、それはいい と思います。 ○藤村委員 6頁の1の周産期救急医療で、先ほど座長から新生児も含むというご発言 がありました。質問ですが、(1)の研究班というのについて、全然知らないのですが、新 生児も入っていくのでしょうね。検討すると言って、新生児関係者が入っていないのは まずいので。関係部門討議とか。 ○座長 まだこれから作ろうという。 ○藤村委員 この章全体が周産期救急医療と書かれると、先ほど言われたように新生児 も入っているのです。ところが、内容を見ると、どうも妊産婦救急、いみじくも海野委 員が先ほど母体救急とおっしゃいましたが、どちらかはっきりしないと、あとに問題を 残します。 ○座長 すべてにわたって、その点をもう一度はっきりさせて記載して、新生児救急の こともしっかり書くようにします。 ○座長 この関係で、連携の点等はよろしいですか。  次の「医療機関の受入体制」、機能のあり方ですが、ここで先ほどの規模の話になる のですが、周産期が最後の砦であれば、いろいろな疾患に対応できる施設が揃っている のが理想だろうと思うのです。ただし、現状はそうでないということがあるので、みん なそうしろと言うと先ほどのように壊れますので、現状の施設に関してはそこにあるよ うな分類をして、はっきりうちの施設はこういうことをやるということで対応していく のが大事かなと思います。  もう1つは、国が基準を決めた場合に、人口の少ない地方ではその基準を満たすもの を作っても逆に仕方がない場合もありますし、大都市では大きい基準のほうが機能する だろうと。そこで、地域のニーズに合わせて幅を持たせてということがここに書いてあ るのですが。 ○嘉山委員 先ほどお話したのですが、(3)はもう一度先生から各委員にメールを送って いただいて、慎重にやらなければならない場所だと思うので、ここで煮詰めないほうが いいのではないかと思います。書き方を間違えると、いまより悪くなる可能性があるの で。 ○厚生労働大臣 どのポイントがとおっしゃっていただいたほうがいいと思います。 ○嘉山委員 長期的にはいいのですが、大規模施設を整備することに断定してしまって いるのです。これが来年1月からすぐ始まるような政策に反映されると、各都道府県で 対応できない所がたくさん出てきて、いまあるものは壊れてしまうことになりかねない と危惧しています。 ○座長 そこがそうならないように、大都市圏では、とか書くと。委員のご意見に最大 限配慮した文章に、もう一度検討し直します。 ○嘉山委員 そのときに、施設ではなくて、実際にやっていることで医療費を付けてほ しいのです。つまり、何とかセンターだったら補助金を出すよというよりは、文部科学 省が調べたら9つの大学にNICUセンターがなかったと言っているのですが、実際には NICUを扱っています。うちも4ベッドを持ってきちんとやっています。千葉や医科歯 科大もやっていないと書いてありましたが、大学はリスクの高いお産を受けますから、 少なくとも山形大学では診ていました。そのときはセンターという名前はないので補助 金は来ていないのですが、やった医療行為に対してお金を医療費として付けてくれれば、 壊れないでやっていけるのではないかと思います。規模としては、先ほど杉本委員がお っしゃったような5人とかある程度のたがは必要ですが、そこは慎重にお願いします。 ○座長 実際の診療実績に応じてお金が払われるべきだということも、このあと出てき ます。 ○有賀委員 今日、「母体搬送依頼についての受入れの判断基準(案)」という紙があ ると思います。これは「有賀委員提出」と書いてあるので、情報活動に関する研究会の 付録のようでありますが、実は岡井先生その他昭和大学のみんなでワーワーやり合った 結果として作成されたものです。これは東京における周産期センターの中で、特に厳し い患者について頑張ろうということで、最初はスーパー何とかと言われていたのでしょ うが、そういう箱ものでは必ずしもなくて、むしろプロセスとしてきちんとやろうと。 だから、いま嘉山委員がおっしゃったように、実際問題ストラクチャーとしてはNICU4 床は小ぶりかもしれませんが、「小ぶりのストラクチャーがあったとしてもプロセスと して一定の水準をいけば、それなりのことをしてほしい」という話と脈を通じるのだと 思います。つまり、普通の産科の先生方が昭和大の岡井先生の所に助けて欲しいという 真ん中の線があって、多くの場合はBとかCという産科の緊急事態であり、または新生 児の緊急事態であろうと。新生児に関しては新生児なりの、昭和大で言うと板橋先生と いう教授がいますが、その方がこの部分について相当程度関与してくださると。  表の左にAとあって、これは妊産褥婦への救命が必要であり、合併症がある場合です。 岡井先生たちと我々と連携しながら対応することになるのですが、119番通報で、東京 の消防本部である東京消防庁から昭和大学の救急センターに情報が入る。そういう系列 も実はあるわけで、その場合には我々は産科の先生方に、このような方がいま運ばれよ うとしているけれど、よろしくという話になるわけです。だから、お互いによろしくと いうことをしながら、Aの患者を診ていくという話になるわけで、この部分は大規模施 設という、いわゆる大きな建物の大きな箱というイメージではなくて、プロセスとして とても大事なことをやっているというのが、ここで言う地域の医療ニーズに応じて救急 患者たちに対応できる施設を整備していきたいという話だと思うのです。だから、この ようにイメージしていただいて、願わくば作文に反映していただくとありがたいと思い ます。 ○座長 読んだ人が、とにかく大きくすればいいみたいな印象を受けないように、適正 な規模という形で、あるいは地方と大都市と違うので、その状況に応じてということを きちんと書くということでよろしいですか。 ○横田委員 7頁の真ん中の2つ目のポツですが、「医療資源を有効に活用するため、 小規模救急医療施設の乱立を避け、重点化を図る」という文言があります。これは今回 の周産期救急の話に関わらず、一般救急でも大事なことですが、いわゆる急性疾患に対 して仕事をするときの話なのか、いわゆる小児科や産科、周産期としての日常診療の枠 も含めてのことなのかを明確にしておく必要があります。つまり、産科の先生方や小児 科の先生方が日常診療を小規模でやられていることがあっても、本当は急性期の疾患も 受けることがあります。そういう所は救急をやめてしまって、救急としての疾患を受け るのだったら大きい施設で受けなさいと言っているようにも取れますし、先ほどの元の 議論に戻りますが、実際は小規模だとやれないということになる。  なぜこんな質問をするかというと、日ごろ診療をしている多くの先生方は、一般診療 に主軸をおいています。そこへ急病の患者が入ってくることへの対応をどうするかが、 多くの病院の悩みなのです。そうしたときに、小規模の救急医療施設の乱立を避けると 言うと、そう言ってくれるとありがたいと、私の所は通常の産科と小児科をやっていて、 救急は一切やりませんと、いかにも言っていることになるのです。ここで私が書くのだ ったら、医療資源を有効に活用するため、救急部門としての乱立は避けたほうがいいで しょうと。急性期疾患、救急を扱うには、集約化と連携が必要なのだというイメージが わかるようにしていただきたいと思います。 ○座長 「救急医療施設」という言葉が曖昧なのですね。わかりました。 ○横田委員 それは非常に大事なのです。というのは、日常の病院を運営していくもの にとっては、どのようなシステム化をしようかと毎日悩んでいます。だから、小児科の 医師が1人辞めれば救急をやれないとか、産科の先生が1人やめたらやれないというの が、毎日起こっている実態なのです。 ○座長 そういうのを解決したいのですよね、全体で。 ○横田委員 はい。ですから、ここは少し表現がまずいと、何だ、この委員会の提言は こんなこと言っているよとなるので、少し考えていただきたい。 ○座長 わかりました。委員のご意見を踏まえて、ここは考え直させていただきます。 ○海野委員 私が確認しておきたいのは、ほかの所にもたくさんあるのですが、真ん中 辺で「財政支援や診療報酬上の措置等を検討する」と書いてありますね。この「検討す る」の主語がわからないのです。これは何も特別否定がなければ「厚労省が検討する」 ということでよろしいのですか。 ○座長 財政に関してはそれでいいと思います。 ○海野委員 ほかの所でもいろいろ検討されるのですが、それも全部厚労省ということ でよろしいのですね。 ○嘉山委員 主語が。 ○座長 基本はそうです。これも主体がそういう形で書くということになっているので いいです。 ○海野委員 それでよろしいですね。 ○座長 はい、いいです。財政支援を行うと書けている所もあるし、検討するだけの所 もあるし、そういうニュアンスの違いはあるのですが。 ○大野委員 確認しておきたいのですが、(3)の1)の第2パラグラフです。「救命救急 センターを併設する医療機関等、すべての救急患者に対応できる設備等々を整備する」 ということですが、これは、以前にスーパー周産期センターという構想で述べられたよ うに、病院が満床であってもとにかく搬送を受け入れなくてはいけないという方向性を 見据えているものと理解していいのでしょうか。 ○座長 見据えたといえば、受けなくてはいけないではなく受けられる、そういう余裕 のある、箱の大きさが大きいだけではなく人的にも余裕のある施設を目指したいわけで す。少なくともある拠点には、ある地域に、ここは大丈夫だというものがないというの は、患者の搬送先を探してあちらへ行ったりこちらへ行ったりなど、本当に滅多に起こ らないことでも重なってしまった時には、どうするのだということも起こるのです。あ る程度の無駄はこの施設に関しては許容している、だから空床ベッドを空けて待ってい ろ、お金も出す、公的に支援しましょうみたいな、そういうイメージです。だからその 施設は責任も、もちろん伴うのです。 ○大野委員 愛知県の周産期医療協議会もこの懇談会の提言の方向性を注目していま す。要するに、愛知県の総合周産期母子医療センターが行っているように、母体搬送を 全て受け入れるという方向性でやっていくのかどうかということです。箱を大きくする というのは時間のかかる話ですが、協議会としてはすぐに方向性を出していきたい、取 組みをしていきたいということです。総合周産期母子医療センターはとにかく母体搬送 を全て受け入れていく方向で整備していくということでしょうか。 ○海野委員 その件はコンセンサスというか、それはいままでの議論の中では、地域の 実情に即してとにかくできる体制を育てていこうという議論はあった気がするのです が、この方向でいきましょうというコンセンサスはないと思うのです。ですから、まだ そこは地域の実情をもっと精査する段階など、そういうことを経ないと明確なことは言 えない。それぞれの地域でも言えないのではないかと思うのですが。 ○木下委員 伺いたいのですが、有賀委員が提出された資料は非常にそのとおりだとい う目で見ていたのですが、東京都では3つの病院がとにかく母体搬送を何でも受けると いう話がありました。おそらくいまこのイメージでいくのだと思いますが、救命救急部 でも妊産婦を受けていただくと、これはいちばん大事な話だと思うのですが、先生方は 本当にこれでうまくいくかということが実はあります。例えば人的な問題としては、ド クターが少ないから、オペ中や分娩中だから駄目だなど、いままでそのような例がこの 前の消防庁のデータでもありましたし、受け入れるベッドがないなど、いろいろエクス キューズの状況がたくさんありました。先生方、これを本当に機能させるためには現状 をどうやっていくかを教えていただきたい。それは逆に言うと、今後の機能のあり方に つながっていくのではないかと。  理想的には規模を大きくしたりはありますし、実際問題としてそのような所は、たぶ ん私立大学ですからベッドを満床にしろと絶対に切っています。ですから、ほとんどま ずない。正常分娩はたくさん取れるという状況の中でこれを受けるとなった以上は、い ろいろな患者が来たときにどうやってこれを必ず機能させるかというところで何が問題 か、機能させるためにはどういう工夫をなさったかを先生方に是非教えていただきたい。 そのことは新しい機関の受入体制にもろに効いてくるのではないかと思うのですが、ど うですか。 ○座長 順序から言うとこういう施設を先につくって、これだけの余裕があって人もい るのだからやってくださいと言って、ではやりましょうというのが本当ですが、それは 先ほどのお話のように急にはできないわけで、でもいまの現状で、これはローカルな話 になりますが、東京都の場合はこういう体制がしっかりしていなかったので、患者の搬 送する先を探すことをやっているわけです。それでああいう事件が起こって、都民の皆 さんが大変不安を持っておられる。その不安を解消する先ほどの安心と希望ではないで すが、どこもみんな苦しいのですが、その中でも比較的余裕がある、人員も比較的そろ っているし、新生児もしっかりしていて、一般救急もしっかりしている所に、いまはと にかく頑張ってもらおうと言う考えです。ただし、こういうことをやるための体制強化 と言うと、それぞれの施設で違うのですが、昭和大学の産婦人科で言えば、いま3人当 直ですが、オンコールを2人置くのだと。そのオンコールを置く人の財政的支援は、都 からしてもらう。オンコールですから、家にいてすぐ来られる体制を取って、酒も飲め ないしということですから、拘束されているだけでお金が要るわけです。そういうこと を1つやります。  NICUは、ベッドを1床を空けていく努力をする。ただ、何かのことで埋まってしま うことはあります。そういう確立がいちばん低そうな施設を探したということになりま すが、それは現実には100%絶対に受けられることはないので、本当に希なことで2つ も3つも重なったとかいう場合もある。そのときはこの3つの施設の間でどう連携を取 るかも取り決めをやっておくなど、細かい付帯事項は付いているのですが、大事なこと は憲法で必ず受けるという体制を何とか頑張って取ろうと。1年経った段階でどういう 事例がどれぐらいあって、またうまくいかなかったことがあったとかいうことはちゃん と検証し、さらに何らかの工夫なりをし、改善して発展させようということでした。 ○木下委員 いろいろ工夫なさっていると思うのですが、人の問題は先生の所の教室は たくさんいらっしゃいますから何とかなるとして、最終的には、NICUもそうだし、ベ ッドがないのはいちばん大きな問題になってくると思うのです。救急もたぶんそうでし ょう。そのときに病院全体としてどうしても、どこの病棟でもとにかく取るのだという ためには、その辺は財政のバックが必要になるかもしれませんが、東京都からちゃんと 空床補償をする、いまこれが問題になっていますが、正常分娩の問題は気になりまして、 総合周産期でなぜそれほどたくさん取らなくてはいけないかはあり、全部取らなくては いけませんが、例えばいま100%だとすると、6割か7割でも機能させられるのだと、何 かそういう具体的なことまで言っていただいたほうがいいのではないかという気がする のです。 ○座長 こういう役割を担うわけですから、軽症の患者が集まってくると困るので、そ れに対するブロックの掛け方をまた作業部会で検討してうまくやっていく必要がありま す。正常分娩に関しては、昭和大学はリミットを設けていますので、それ以上は最初か ら受けません。  ところが、これは別の問題になりますが、あの辺の施設がお産をやめたために大変な 状況になっていまして、うちも正常分娩では8週ぐらいに来られても受けられない状態 なのです。そういうこともある中でこういう役割を果たしていくために、自分たちの大 事な義務を果たそうという心意気で体制整備をしているところです。 ○海野委員 いまの有賀委員の資料を拝見していて、Aの妊産褥婦救命が必要な場合と いうときの対応に関してはよくわかるのですが、現実は必要な症例かどうかの判断とい う部分がありますよね。このレポートの中には、結局、一次機関・二次機関がどう判断 してとりあえずするかと、そこの部分が書いてない気がするのです。 ○座長 それが大事なのはわかっていて、それは一次・二次の施設が判断する助けにも なるし、私どものほうに必要ない症例が送られないようにするためのガイドラインみた いなものを作る作業部会をつくりましたので、それには救急の先生も入ってもらいます。 あまり細かいと、これはどちらだと見ているのに時間がかかってしまうから、それほど 細かくはしないですが、それを見ればある程度判断がつくものを作ってやろうと思って います。 ○海野委員 そういう形で振り分けることで先生方のキャパシティーは保てるだろうと いう見込みがあってのお話ですね。 ○座長 やっていこうということです。 ○座長代理 いまの話は運用の問題だと思うのです。救命センターはいつもそのことが 起こっているのです。だから、20床ICUを動かしているとしたら、毎朝、ほとんど満床 になりますから、朝、5床ぐらい出してしまう。そして4床ぐらいまでは、言ってきた のはともかく救命センター適用だというのを入れていく。だけど、最後の1床は大体残 しているのです。そのときにはどうですかというのを聞いて、それは二次で行けるのだ ったら二次へ行ってくださいと二次のほうは振っているのです。これはどうしても救命 センターでなくてはいけないというものは入れる。そうしたら、それはゼロになってし まうのですが、そういう運用の問題でやって行ける。それは1カ所ではなしに、3カ所 ぐらいでやれば、行けるかと思うのです。  ここの「すべての救急患者に対応できる設備および人員」の「すべて」というのは、 「オール」という意味ですか。 ○座長 いろいろな種類のという意味です。 ○座長代理 ここを少し整理しておいたほうが、みんな救急患者を入れるというわけに はいかないです。 ○海野委員 作業部会をつくられるというのは、東京の話ですよね。 ○座長 東京の話です。 ○海野委員 ここの記載としてということなのです。このレポートの中に一次・二次医 療機関での重症かどうかというところのとりあえずどういう形でやっていくかというの が書いてないように思うので、それは全国的に必要なことなので、それはどうですか。 ○座長 いま海野委員が言ったこと、そういうのをやる必要があるというのは、地域内 連携の中に入れましょうか。 ○有賀委員 12頁の「病態に応じた搬送システム」というのはいまのことと関係してい るのではないですか。搬送システムに書いてある、このガイドラインというのは救急隊 のことを言っているのかと思うのですが、でもいまの話とも関係しそうな気もしますよ ね。 ○座長 苦労したのは、救急の先生方に入っていただいて、周産期救急と一般救急と一 緒に書ける部分もあるし、周産期救急独特の部分もあるのですが、話としてはなるべく 一緒にしたかったというところはあるので、そこは逆に混乱を招くことがあるので、ご 指摘いただいたところは直したいと思います。 ○木下委員 先ほど杉本座長代理がおっしゃった運用の問題は、実はすべてのこういっ た総合周産期の基本なのです。実はそれが正直言って周産期関係の得意ではないです。 全くいっぱいだから駄目ですという発想だったのだけれども、これは取るとなった以上 は、救急部にノウハウを教えてもらって、実際に4床空けるのは大変なことですから、 そのためにはどうするかと、前から言っていましたが空床補償は東京都が出してくれと いうことで、そして運用する3施設か4施設あればおっしゃるとおりの運用ができるの で、本当に現実的にはそこだろうと思うので、その運用を具体的にお示しいただければ これはモデルになると思いますので、是非よろしくお願いします。 ○座長 今年中に最初の作業部会を持つことにしていますし、それに関しては現場の第 一線で実際に医療に携わっている若手の中で責任を持って発言できる人間を集めて、そ れは救急も産科も新生児もということでやろうと思っています。一般救急でやってこら れたノウハウは、是非できるだけたくさんこちらのほうに教えていただいてということ になると思います。お願いします。 ○藤村委員 こういうところに、その地域における対象患者の年間の発生数等を評価し た上で、それに適合した大規模な施設を整備すると、いう風な記述にしていただきたい。 ○座長 症例の数をきちんと確立してということですね。 ○座長 大規模を、需要に応じた適正規模と書き直すことでいいですね。 ○藤村委員 はい。 ○厚生労働大臣 まだ議論が続いていますが、岡井座長が36時間勤務、昨日の徹夜で帰 ってそのまま外来に行かれたそうなのでお疲れでしょうし、これはまだ半分なので、こ れをやっているとまた今晩徹夜になる可能性があるので、私から今後のご提案を申し上 げたいと思います。皆さんはまだじっくり読み込んでないと思いますし、後半部分も含 めてメールでも何でも事務局か座長のほうに集中していただいて、日程的に可能であれ ば年内にもう一度やれるかという気もしますが、天皇誕生日、クリスマスで皆さんは年 末年始はお忙しいから無理かという感じはするのですが、あまり議論が拡散してもあれ なので、ある程度ご用納めぐらいまでに集中して全部ご意見をいただいて、それを岡井 座長のほうでそれを入れた形でリライトして、それで年明けにでも日程調整をしてご議 論をもう一度して、そこで大体片づけばそれを正規の報告書とするし、もう一度やった ほうがいいというのであれば、それはやって、そうすると1月5日から始まりますから その週にやって、さらに次の週にやっても、1月半ばぐらいには報告書ができるので、 そういう形でやったほうがいいかという感じです。あと、時間も超過していますので、 今日中にどうしても言っておかないといけないことをおっしゃっていただいて、岡井座 長の体力の限界もおありでしょうから、ということをご提言申し上げます。 ○座長 私の体力は大丈夫ですが、時間も本当にそろそろ押していますので。 ○座長代理 救急医は連続12時間以上勤務したら判断能力が落ちるから駄目だという のです。 ○座長 医療事故が増えると。 ○座長代理 ……。 ○座長 (3)の問題点は大体出尽くしましたか。次は第4から議論するということで、今 日はここまででいいですか。 ○岡本参考人 第4が周産期医療体制ということで、実際に始まっているのが周産期救 急医療体制の受入側のことからすぐ始まってしまうのですが、これは緊急のことだけで はないというご指摘が最初にありましたので、必要な医療の一次・二次・三次のレベル に合わせて本当に必要な医療が行われる体制に持っていくという基本的なことを最初の 方に少し入れていただけたらと思います。それをやることが前提の上で緊急の受入れの 整備を細かく今検討しているという話で、あとでバック・トランスファーの問題などが 出てきますので、また二次・一次に戻すということも当然入ってきますので、お願いし たいと思います。 ○座長 わかりました。 ○池田委員 皆さんはコンプレイントばかりやっておられるのですが、私はこの次のと ころでドクターフィーということを入れていただいたりしておりまして、現場のドクタ ーとしてこれは削られると思っていました。ですが、実際にこのようにここに文にして いただいたことに非常に感激していますし、いまそういうシステムの問題をされていま すが、結局、意識のモチベーションというものは、私たち現場のドクターはやっていな いことに対してお金をもらおうと思ってないのです。やったことに対する報酬をと。隣 の病院が困っているときに助けに行きたいのですが、これが公務員規定で助けに行けな いという何というもどかしさがあり、これに対して次の章を入れていただいたことに非 常に感激してしています。ありがとうございました。 ○嘉山委員 それは舛添大臣の「希望と安心のビジョン」でインセンティブとドクター ズフィーはきちんと入っていますから、あとは大臣の決断だけだと思っています。 ○厚生労働大臣 それはみんなと協力してやらないと、ややこしい診療報酬をどうする かがあるので。でも、とりあえずまた続けましょう。 ○座長 大臣にもう1回挨拶していただきますが、その前に、メールでお送りしますの で、残った部分もまたゆっくり読んでいただいて、いままでのところの積み残しも結構 ですし、ご意見をお寄せください。お願いします。それは事務的にいつまでにしますか。 ○指導課長 こちらから速やかに委員の方々の所に、紙ないしは電子メール、できれば 両方でお送りして、そのメール等に返していただくなりして、大臣からご提案がありま したように年内にご意見をいただいて、集約したいと考えています。 ○座長 以上のスケジュールでやりたいと思います。最後におまとめをお願いします。 ○厚生労働大臣 今日は参議院の厚生労働委員会が雇用法案で強行採決で、いま西岡参 議院議院運営委員長と岩本参議院厚労委員長、両法とも民主党ですが、解任決議案を提 出ということなのでまた明日もめますが、こういう不安定な政局にもかかわらずこうい う時間帯にこういう真面目な議論をしている人たちがいるということは特筆に値すると 思います。政務官は帰ったけれども大臣、副大臣はそろってやっていますので、我々も そういう熱意でもって、政局がどうであろうと周産期医療・救急医療として人の命を救 うのは大事だということで、各地、山形からも大阪からも皆さんに来ていただいており ます。是非、この熱意を具体的な形で政策に実現したいと思いますので、年末年始のお 忙しいときですが、我々も省を挙げて、全力を挙げてそれは実現できるようにしたいと 思います。今日も財務大臣と最後の折衝をして、2,200億円何とかつじつまを合わせて きましたが、片一方でこういう報告書をきちんと出してドクターフィーの問題もありま した。現状分析して誰が見てもこれが正しいのだという提案をやることが政治を動かし ていくと思いますので、皆さんのお力をお借りして進めたいと思います。私が国会で最 近申し上げていることは、これはただの財政の負担になるという観点からだけではなく て、医療というのはまさに夢と希望というか、それに対する投資であって、人間の価値 を高めるものなので、例えば自分のうちのお父さんが病気で一家の大黒柱が病気だった ときにどれだけ暗くなるか。いま私が救急ドクターみたいなもので雇用対策を一生懸命 やっていますが、大黒柱が失業してお父さんは仕事がないというのは、いかに家の中が 暗くなるか。だから、雇用や医療などということにきちんと投資をすることは世の中は 明るくなるし、お父さんもお母さんも働いて帰ってきて、夜、家族で団らんをするとし て、そこはみんな健康であると。病気になっても難病であっても必ずいい薬を見つけて やるというのが、社会の価値を高めることになるので、そういう観点から医療制度の改 革をやらない限り、ただ財政的にこのような負担になってではなくて、きちんとやるこ とがむしろ将来の日本の活力につながると思ってやっていますので、今後ともよろしく お願いします。ありがとうございました。 ○指導課長 次回の場所、時間等につきましては、また委員の方々の日程をお伺いした 上で調整してご連絡申し上げたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうござ いました。 (照会先) 厚生労働省医政局指導課 課長補佐  中谷 (代)03-5253-1111(内線2554)