08/12/10 第2回生活機能分類−小児青少年(仮称)−(ICF−CY)日本語版作成のための検討会議事録 第2回生活機能分類−小児青少年版(仮称)(ICF−CY)の日本語版作成のための検討会議事録 1.日時:平成20年12月10日(水) 10:00〜11:40 2.場所:厚生労働省専用第23会議室 3.出席者: <五十音順> 有馬正高構成員、岩佐光章構成員、大川弥生構成員、坂本洋一構成員、 佐藤久夫構成員、徳永亜希雄構成員 事務局  人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、  国際統計基準分類専門官 4.議 題  (1)国際生活機能分類−小児青少年版(仮称)(ICF−CY)の日本語訳について  (2)国際生活機能分類の変更すべき項目名について  (3)その他 5.議事内容 ○事務局  予定の時刻10時になりましたので、第2回生活機能分類−小児青少年版(仮称)(IC F−CY)の日本語版作成のための検討会を開始いたします。  各先生方、お忙しいところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。  それでは、初めに資料の確認をさせてください。議事次第、資料1−1「国際生活機能 分類−小児青少年版(仮称)序文(案)【検討事項一覧】」、資料1−2「国際生活機能 分類−小児青少年版(仮称)追加項目(案)【検討事項一覧】」、資料1−3「国際生活 機能分類−小児青少年版(仮称)追加項目(案)【再確認事項】」、資料2「国際生活機 能分類の変更すべき用語について」、資料3「ビギナーズガイド(仮訳)(案)について」、 参考資料1「国際生活機能分類−小児青少年版(仮称)序文(案)」、参考資料2「国際 生活機能分類−小児青少年版(仮称)追加項目(案)」、参考資料3「Towards a Common Language for Functioning, Disability and Health ICF」でございます。  更に、机上配布資料といたしまして、ICF−CYの日本語版の案と、ICF−CYの 英語版を置かせていただいております。  資料は以上でございますが、先生方、資料はございますでしょうか。もし過不足等あり ましたらお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。  それでは、議事の方に入らせていただきたいと思います。座長の有馬構成員、よろしく お願いします。   ○有馬座長   皆さん、おはようございます。前回に引き続きまして第2回目でございますが、今日も どうぞよろしくご審議お願いいたします。  大分まとまってきているのでございますが、まだいろいろ構成員の方からもご提案、修 正のご意見なども細かくいただいておりまして、それに対して事務局でもかなり修正して きたわけでございますが、まだやはり小さなところ、特に単語の訳というようなことでか なりのご意見があったように聞いておりますので、今日はそれも含めまして、事務局から の説明を聞きながらご審議いただきたいと思います。  それでは、最初に、前にいただいていたのと、今度の「小児青少年版(仮称)序文」と いう、ここの名称について、前は「児童版」というふうに一度ここではなっていたように 思います。これについては何かご説明ございますか。 ○事務局  前回の検討会の議論を踏まえまして、提案ですが、「国際生活機能分類−児童版−」と 翻訳してはどうかということでございますが、それでよろしいでしょうか。 ○有馬座長  いかがでございましょうか。これはかなり時間をかけて前回議論していただいて、これ でよろしいのではないかというので大方のご賛同をいただいたと思っておりますけれども、 では、これはまた上部委員会に出したときにどう言われるかわかりませんが、うちとして は「児童版」ということで、そういう意見だということをご説明いただければと思ってお ります。やはり法律上の問題とか、児童福祉法という法体系があるということが、全部の 年齢を網羅するのは、今のところは日本の場合は「児童」ということなので、そういうこ とで。ただ、中で必要に応じては、例えば「青年」というような「児童」からちょっと外 れたかなというような印象もあるような文面のところもございますから、そういうところ はそれぞれその状況に応じて、場合によっては字句を少し弾力的にすることがあるのかも しれませんけれども、全体の版の名前としては「児童版」ということで進めさせていただ きたいと思います。  それでは、次の説明に入りますが、非常にたくさんですから、順序よくお願いいたしま す。 ○事務局  その前にICF−CYは「生活機能分類−児童版−」ということですので、今この場で は決定ということでよろしいかと思います。ただ、この検討会の名前としては、「小児青 少年版(仮称)」ということを確認させていただきます。  それでは、資料の説明ですが、幾つか項目がありますので、一個ずつ議論していくとい う形でよろしいでしょうか。   ○有馬座長  結構です。同じようなものがいろいろなところに出てくるようなものは、最終的にまた それをどうするかという議論に戻るかもしれませんが、とりあえずは一個ずつご説明いた だきたいと思います。 ○事務局  それでは、資料1−1について、分類項目が並ぶ前に序文として存在しているものです が、この中で幾つか相違点がございました。その中で、まず1ページ目でございますが、 「Practical rationale」というところの中で「sensitive」という単語が出てまいります。 ここは「敏感な」という訳をしていただいているのですが、これは日本語的に違和感があ るということで、例えば「細かく対応できる」など、もう少し意訳という形で対応しては どうかという提案がございました。まずこれについてですが、いかがでございましょうか。   ○有馬座長  構成員の方々、どうぞご自由に発言していただければと思いますが。 ○徳永構成員  徳永です。構成員からの意見というのは、たぶん私からだったように記憶しているので すけれども、「敏感な分類法」というのが普及という観点で意味がよくわからないかなと いうふうに思ってご意見をさせていただきました。ほかの、例えばICDでありますとか、 そのあたりは私よく存じませんので、ほかの分類等での言葉がどうなっているかはわかり ませんが、ちょっと違和感を覚えたということで意見を述べさせていただきました。以上 です。 ○有馬座長  「細かく対応できる」というような表現という一つの案で、おっしゃっている意味はよ くおわかりだと思いますが、いかがでしょうか。特に修正することに余り問題はないです ね。これは丁寧にということで。では、そういうことで。 ○事務局  では、続きまして次のページでございます。次のページにタイトルで「Philosophical rationale」という単語がございます。これは以前から相違点がございまして、ここではい わゆる「理論的」という訳をしておりますが、「理論的」というよりは、文章の内容から 読みますと、むしろ理念あるいは哲学の問題ではないかという意見がございまして、「理 論的」というよりは「理念的」の方がいいのではないかというような意見をいただいてご ざいます。あるいは「哲学的」という意見をいただいておりますが、これについてはいか がございましょうか。 ○有馬座長  「理論的」というと何となくサイエンティフィックな意味合いを感じる言葉なので、そ れよりは、ここは哲学的と言うとちょっと大げさかもしれませんけれども。そういうこと で「理念」という言葉はどうだろうかということでございますけれども、どうでしょうか。 ○坂本構成員  これは、ワシントン会議のときにICFで大激論になったところがありまして、アメリ カ派とヨーロッパ派と考え方が違って、アメリカ派はすごくファンクショナルな捉え方を しようと。 ヨーロッパの方は方法論的な問題をかなり議論した経過があって、むしろここ は「理論的」というとかなり誤解されるところがあるだろうと思うので、「理念」という とちょっと違うかなという感じがするのですけれども、むしろメソドロジカルな、哲学的 な方法論みたいな、そういうイメージでヨーロッパのリサーチャーというのは追求してい た。そこの違いが結構あるみたいですね。ですから、「理論的」というのはちょっと誤解 を受けるだろう。「方法論的」とか「理念的」とか、そういうイメージなのかなというふ うに思っているのですけれども。 ○有馬座長  「方法論的」という言葉も出ましたが、どうでございましょうか。 ○坂本構成員  「方法論」というといきなり飛んでしまうので入りにくいだろうと思うので、「理念的」 というのがスッと日本語訳には入りやすいかなと。ただ、そういう背景をちょっと区別し ておかないといけないのかなという印象を持っています。 ○有馬座長  どうでしょうか。今のそういうような背景ですが。 ○佐藤構成員  この修正を言ったのは私かなと思うのですけれども、要するにICF−CYがなぜ必要 かということについて、実際的なのがAのところで説明をしていて、Bのところではフィ ロソフィカルな根拠ということで言っているわけですよね。そこで出てきているのが権利 条約とか、児童の権利宣言とか、そういう方法論というか、理念というか、考え方、潮流、 そういうものが大人の中に混ぜ込めにしておくのはよくない、適切でないというふうな考 え方を示しているということだと思うのです。だから、「理念」がいいのかなというよう なことで書いたのですけれども。ちょっと違うような感じもあるのですが、一番近いのは 「理念」かなと。 ○有馬座長  佐藤構成員がおっしゃった言葉の中に「考え方」という言葉も出たのですが、「考え方 の根拠」というようなことよりも、やはり「理念的」の方がよろしいですか。 ○岩佐構成員  私も「理念」がいいのかなと思いました。「方法論」の場合、英語にするとmethodolog y、メソドロジーというような言葉の方が当てはまってきてしまうので、ちょっと離れてし まうかなと思います。ですから、それよりは「理念」という言葉の方がいいかなというふ うに思いました。 ○有馬座長  では、うちとしては「理念的根拠」ということといたしましょうか。 ○事務局  続きまして、3ページ目でございます。5行目あたりからですが、「with」から始まっ て、「with the family or other caregivers in a close, social environment」という ところが出てまいります。その中で、日本語仮訳としては「家族その他の養育者との、身 近な社会環境における」という訳をしているのに対して、構成員の方から「家族や身近な 養育者、社会的環境との」というふうに意見をいただいております。つまり、社会環境と いう中における相互作用であるのか、社会環境との相互作用であるのかという違いかと思 われます。そこは、この文章の中で直訳すると仮訳のようになるかとも思いますが、ある いは社会環境との相互作用もこの文章の意味の中に含まれているのかどうかということに なろうかと思います。この点についていかがでしょうか。 ○徳永構成員  これも私が意見を出させていただいたところかと思うのですけれども、文法でどう読む かということもあるのですけれども、たぶん環境に含めるのだったら「social」はつかな いかもしれないというような思いとか、前段の方に、環境の0歳〜20歳までは環境の影響 を受けやすいというようなことがあったように記憶していたことを踏まえまして、「家族 その他養育者」と「社会環境」を分けた方がすっきりするのかなと思って意見を述べさせ ていただきました。でも、どう読むかというのは、どちらにもとれるとは思っています。 以上です。 ○有馬座長  つまり家族その他養育者というのが身近なというところで、その人たちと環境は本人も かなり共有しているという、そういう考え方の捉え方もあるだろうし。 ○佐藤構成員  徳永構成員のような日本語が意図されているとすれば、恐らく英文としては「with the family, other close caregivers」で、その後に「or social environment 」という英語 になるのかなと思うのです。だから、仮訳の方が適切だなという感じがしますね。あるい は、訳の方を「子どもの生活機能は身近な社会環境にいる家族やその他の養育者との継続 的な相互作用から」という感じで、ちょっと入れ替えた方がいいのかなと。でも、この原 文のままでもいいのかなと思いますけれども。相互作用の対象が、家族が1、身近な養育 者が2、社会的環境が3ということで、3つ並列になっている英文ではないと思うのです よね。「身近な社会環境の中にいる家族やその他の養育者」で。 ○有馬座長  「close」は「social environment」にかかるわけですね。 ○坂本構成員  「caregivers」にかかるのではないですか。 ○徳永構成員  私もそう読めましたね。 ○有馬座長  「caregivers」にかかるのですか。「close social environment」なのか。 ○徳永構成員  一般的なcaregiversじゃなくて、身近にいらっしゃるcaregiversの影響が強いという ふうに。 ○佐藤構成員  その場合には「other close caregivers」になるだろうと思うのです。形容詞だから、 その後に。 ○事務局  恐らく、この「close」は、「in a close,」 とコンマがついていますけれども、その後 にかかるものとしてあるのだと思います。この言いぶりからして、「in a close」という ことで前にかかるというのは英語としてちょっと不自然かなという感じがします。 ○有馬座長  そうすると、「身近な」と訳すか、「似たような」というふうな意味にするのかですね。 似たような環境にいる家族やその他caregiversと。 ○岩佐構成員  ここの日本語訳としては「養育者」ということで良いのではと思います。ただ、日本と 海外とでちょっとニュアンスが違うのかなと思いますが。例えば幼稚園の先生とか、そう いうのもヨーロッパなどの文献ではcaregiversに入れたりしているようです。「close c aregivers」という言い方をする英語は余り見たことがないので、ここも「in a close so cial environment」で一つの言葉なのかなというふうに思っていました。そうすると、佐 藤構成員と私は意見が同じで、environmentの中でのfamilyとcaregiversとのインタラ クションというふうに理解していました。 ○有馬座長 よろしいでしょうか。 ○事務局  では、これは仮訳のままということでよろしいでしょうか。 ○岩佐構成員 強いて言えば、「身近な社会環境における家族その他の養育者との継続的な相互作用」 という訳になるかと思います。 ○有馬座長  意訳的にすれば、「身近な社会環境にいる」ということですね。それを前に持ってくる と。 ○事務局  では、順番を変えるということでよろしいでしょうか。 ○有馬座長  では、これはそういうふうにさせていただきます。 ○事務局  次は、資料1−2、項目になります。黄色に色づけしてあるところを主に提示させてい ただきます。  まず一つ目、b1143の項目。これは後からも度々出てまいりますが、「object」という 単語でございます。「object」というのはどう訳するかということで、さまざまな案が出 てまいります。その中で「物品」という仮訳をつけてございますが、「物品」というのは 違和感があるということで、平仮名の「もの」、あるいは漢字の「物」、あるいは「事物」 というさまざまな案が出てきております。日本語にすると何が自然であるか、あるいは、 みんなにわかりやすいかという観点かと思われますが、この点についていかがでしょうか。   ○有馬座長 構成員の方からのお話はそのとおりだろうと思いますが、かなり共通で例えば「もの」 というようなことでずっと通すか。後でまたこれは同じような点が出てまいりますけれど も。「もの」と言えば一番広いのかもしれませんが、何かご意見をどうぞ。 ○徳永構成員 ここの意見の一部が私の意見になると思うのですけれども、この意見を出すに当たって、 ICF本体の方の「object」がどういうふうに訳されているのかというのを全部当たった のですけど、それはバラバラで統一されていないですよね。そう考えると、その文脈に合 わせて言い替えていいのだろうと考えました。それで、子どもの発達などを考えたときに は、「もの」の様子が何だろうとわかってくるようなことを見当識と言っているのだとす ると、「物品」というのはちょっと堅いと思います。一般的な言葉じゃないということで、 私は平仮名の「もの」がいいかもしれませんということを提案したように思います。以上 です。 ○佐藤構成員  質問ですけれども、これはお母さんとか、お父さんとか、兄弟とか、学校の先生とか、 そういう人も含めて「object」と言っていて、この人はお母さんなのか、学校の先生なの かがわかるというようなことを Orientation to objectsと呼ぶというふうに言っている のか。人も含めているのかどうか。それが訳に影響するかなと思うのですけれども。 ○徳永構成員  一個前のb1142に「Orientation to person」というのが出てくるので、b1142で人のこ とを括っておいて、その後にb1143の「objects」と出てくるので、ここでは人は含まない のだと思います。 ○有馬座長 よろしゅうございますか。そうすると、人ではないと。人は除外して考えてもいいとい うことであるとすると、さっき事務局の方から今まで出てきた言葉で、漢字の「物」、そ れから「事物」というような言葉がほかに出ていたというお話ですけれども。 ○事務局  構成員の方から、これについて何か強い意見、ご提案はございますでしょうか。 ○徳永構成員  一個一個「object」を訳していくのは相当な作業だと思うのですが、ここについては子 ども目線で考えたら「もの」という感じかなというふうに思って、私は「もの」というふ うにここでは提案させていただきました。でも、全体の統一などはまた別な作業かと思い ますが。 ○事務局  また、文脈の問題もあろうかと思います。 ○有馬座長  とりあえず、ここは「もの」としておいて、後でまた「object」があちこちに出てきた とき、どうしてもここは「もの」よりもうちょっと数えられるようなものだとか、そのよ うなことになった場合には。 ○佐藤構成員  その場合でも、漢字の「物」なのか、平仮名なのかはどうですか。 ○有馬座長  どうでしょうか。 ○佐藤構成員  子ども目線だと平仮名がいいとか。 ○徳永構成員  平仮名っぽいなとは思ったのですけれども、それは私の好みかもしれませんので。 ○有馬座長  教育の立場から見ると、そういう感覚をお持ちだということで。 ○徳永構成員  岩佐構成員のように、療育のもっと年齢的に下のお立場からすると、想像するにやはり 平仮名のようなイメージがありますが。 ○岩佐構成員  それでよろしいかと思います。 ○有馬座長  では、ここは平仮名の「もの」でとりあえず案として出していくということで。 ○事務局  では、ここは平仮名の「もの」ということにいたしたいと思います。  続きましてb147でございます。これは非常にいいご指摘をしていただいたと思ってご ざいます。日本語のICF本体に「論理的思考の機能」というのが入ってございますが、 ICF英語版に「論理的思考の機能」が入っていないことが事務局のその後の精査により 判明いたしまして、これは実は本体の問題であるということが明らかになりましたので、 これについては、また事務局の方で検討させていただきまして、ICF専門委員会の方で 取り上げたいと思います。ありがとうございます。  続きましてb3401、これは仮訳が抜けているということでございます。ここの「crying、 cooing、gurgling and babbling」というところで、「babbling」という言葉がこの翻訳さ れていなかったということで、「喃語を発するなどの機能」という仮訳をつけてございま す。これについていかがでございましょうか。   ○有馬座長 いかがでしょうか。子どもを扱っている限りでは「babbling」という言葉はよく出てき ますし、「喃語」以外に訳があるのかどうかもわかりませんが、岩佐先生、どうですか。 ○岩佐構成員 有馬先生のおっしゃるとおり、「babbling」は「喃語」でよろしいのではないでしょう か。それが最良の訳かと思います。 ○有馬座長 よろしいでしょうか。 ○事務局  では、これは仮訳のままということで。  続いてd110からd1131までございますが、これは主に「object」というところの問題で ございます。「object」が繰り返し出てございます。これを「もの」、「物品」、何と訳 するかというところで意見がきてございます。   ○有馬座長 そうですね。「object」はたくさん出てきますので、これは後で。 ○事務局  では、次のページ、d132「Acquiring information」という項目について、「情報の獲得」 ということで仮訳をさせていただいてございますが、「Acquiring」という言葉は「習得」 とも別の項目で訳されてございます。これをどちらにするかということでございます。 これについてはいかがでございましょうか。 ○佐藤構成員 「情報の習得」とは言わないですよね。情報は「獲得」とか「入手」で、外にあったも のを自分の中に取り込むだけのことなので。「習得」というのは、それによって何か成長 が伴った場合には「習得」というようなことを言うのだろうと思うので、ほかでは「習得」 と訳していたとしても、「情報の習得」というのはなじまない表現ではないかなと思うの ですけれども。 ○有馬座長 いかがでしょうか。ここはタイトルになっているところで、「情報」と出ると「獲得」 がいいのか。言葉の意味としては「獲得」でよろしいだろうということですね。ほかにも うちょっと何かソフトないい言葉があるかどうかということだろうと思いますが。 ○佐藤構成員 ちょっと心配なのは、「情報の習得」と訳してしまうと、情報を入手したというだけで は習得したことにならないのではないかというふうに思う人が出てくると、評価に影響を 与えてしまいますよね。そんな心配があるかなと思うのですけれども。 ○岩佐構成員 ひょっとしたら、これは私が出したかもしれないのですけれども、「習得」にすべきだ という積極的な意見のつもりではなくて、ほかのところでも、そこが何か今思い出せない のですが、「習得」という訳があったのだと思うのです。それなら統一すべきじゃないか という、ただそれだけ意見です。 ○有馬座長 恐らく「Acquiring」というのは、今おっしゃったような意味で。 ○事務局  統一すべきだと。「言語の習得」というのがございまして、それは、まさに今、佐藤先 生がおっしゃったとおりの意味で、獲得することによってレベルが一段と上がるようなイ メージだと思うのですが、この場合はどうかということになろうかと思うのですが。 ○岩佐構成員 ここに関しては、私の意見は取り下げようかなと思います。 ○有馬座長 どうもありがとうございました。では、「獲得」でよろしいということで。 ○事務局  その下二つは、また「objects」の問題でございます。  続きまして、d2104「Completing a simple task」という項目でございます。その中で「C omplete」という言葉がございまして、それは課題を「完遂」するのか、「達成」するのか ということで二つ意見が出てございます。本体ICFの中で「Complete」を「達成」とし ている項目もございますが、この場合はどうなのかというところもあるのかなと思います。 いかがでしょうか。   ○有馬座長 積み木で搭をつくるとか、靴を履くとか、そういうことを達成、完遂する。 ○徳永構成員 例えば、子どもが三つ積み木を持って三つ積んだとした時。完遂しました、というのは、 ちょっとイメージがつきにくいなと思います。そうすると、「完遂」か「達成」ならば、 「達成」の方がいいのかなという感じを受けます。以上です。 ○有馬座長  ほかに。「完遂」ではちょっと重かろうということでしょうか。よろしいでしょうか。 では、「達成」ということで。 ○事務局  では、「達成」ということにいたしたいと思います。  次にd2401について、「systematically looking for lost items」、要するに「失く し物を探す」というような英語がございますが、これを「失くした物を系統的に」という ふうに、ある意味、かなり難しく訳している部分がございますが、 これを「失くした物を 順を追って」という意見がきてございます。そのような意訳でいいのかどうかということ も一つかと思いますが、これについていかがでしょうか。   ○有馬座長  どうでしょうか。「系統的に」では少し重いから、もうちょっと日本語的にというご意 見かと思いますが。「systematically」というと、サイエンスとか、いろいろなところで は、元の訳の方が一般的なのかもしれませんが、もう少し日常的に言うということだろう と思うのですが。 ○佐藤構成員 恐らく、通ってきた道を順を追って全部探してみるとか、部屋を、あの部屋、この部屋 全部、端からつぶして調べるとか、そういう順を追うという、つまり時間的なものと空間 的なもの両方とも言おうとしているのだろうと思うのです。ですから、「順を追って」で も、空間も含めて順を追ってということでカバーされるのか。 ○有馬座長 語弊がないようにということで、一つずつ。何かありますか。 ○事務局  そうすると、やはり「系統的」というのがふさわしいということになるのでしょうか。 ○佐藤構成員 やはり堅いですよね。堅いので、何とかやわらかい言葉にしたいなと。いい案がなけれ ば、「順を追って」の方がいいかなと思いますけれども。 ○有馬座長 どうでしょうか。構成員の方、ほかにご意見は。「順を追って」という、これもよくわ かる言葉ですが、「順を追って」では少し狭いのではないかというのが佐藤構成員の危惧 ですが、それほど大きな問題じゃないのだったら、これでもいいかなという程度のことか と思いますが。これは日本語の感じ方の問題だと思います。 よろしいでしょうか。「系統的」という言葉じゃなくて、こちらの方がベターであるとい うことですよね。 ○事務局  それでは、「順を追って」ということで。  続きまして、その下の二つも同じ「もの」という訳の問題でございます。  続いて、d3503でございます。ここに「pre−verbal」という言葉が出てまいります。こ れを「言語以前」というような仮訳をつけてございます。これを「前言語」と訳す場合も あるそうでございます。それで、どちらにするかという相違でございますが、これについ ていかがでしょうか。   ○岩佐構成員 これは、たぶん私が出した意見だと思います。意味としては事務局の仮訳でもちろんい いかと思っています。ただ、療育をやっている立場から言いますと、私のところで一緒に 仕事をしているスピーチ・セラピストに聞いたところ、「pre−verbal」は「前言語」とい うよ訳が適当ではという意見でした。例えば、「pre−verbal play(前言語的遊び)」とか、 そういう用語として定着しているので、「言語以前の遊び」というふうにすると逆に何か わからなくなってしまうという印象を持ちましたので意見を出しました。「systematical ly」の話とやや似ているかもしれません。 ○有馬座長 「pre−verbal」という言葉の訳、使い方ということですが。 ○岩佐構成員  どうしても堅くなってしまうので、それを避けるという意味であれば、事務局の訳でも いいかとは思うのですけれども。 ○有馬座長  誤解を受けないかどうかということですね。 ○岩佐構成員  そうですね。そういうのを専門にやっているスタッフがピンとこなくなってしまうとい うところから意見を出したまでです。 ○佐藤構成員  専門職のSTさんなどにとってはわかりにくくなるかもしれないけれども、「前言語」 と訳してしまうと、今度はお母さんがうちの子について見るときにどうだろうかとなると、 「前言語」となってしまうと、今度はお母さんが使えなくなってしまうというような感じ だと思うのです。 ○岩佐構成員  そうだと思います。 ○佐藤構成員  そうだとすると、専門職の方にはちょっと遠慮していただいて、お母さんの方を取ると いうことかなと思うのですけれども。 ○岩佐構成員  それで構わないと思います。概念的に意味が全く変わってしまうというようなことでは ないと思いますので。そうすることで間違いになってしまうということではないと思いま すので、わかりやすい方をとるということであれば、この意見も取り下げさせていただき たいと思っております。 ○事務局  一つ伺ってよろしいでしょうか。d331という項目が別途ございまして、参考資料2の1 6ページの一番上ですが、「pre−talking」という項目がございます。「言語以前の発語」 というふうに訳してございます。例えば、これについても「前言語」ということなのか。 これはまた概念的に違うものなのでしょうか。 ○岩佐構成員 「pre−verbal」というのは「前言語」という感じだと思いますが、「pre−talking」と いうと、恐らく専門用語という感じではないような気もいたします。「talk」ということ になると、「言語」というよりは「会話」であるとか、そういう言葉になると思うので、 「pre−talking」に関しては、「言語以前」でも良いし、「会話以前」でも良いしという ふうには思います。 ○事務局  では、概念的に少し違うということでよろしいですか。 ○岩佐構成員  はい。「pre−verbal 」と「pre−talking 」は違うかなと思います。 ○事務局  例えば、括弧をつけて同時に併記するという対応もできると思うのですけれども。 そう すると、どちらにもわかるのかなという気もしますけれども、それはいかがですか。 ○有馬座長  それは事務局で少し考えていただいてもいいと思いますが。 ○事務局  では、我々の方で対応してもよろしいでしょうか。 ○有馬座長  ご議論は大体今出たと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 ○事務局  では、続けます。d8153について、「Terminating preschool educational programme」 ということで、このような項目がこの先も幾つか出てきますが、「教育の終了」というこ とで、「終了」なのか「修了」なのかということで意見がきております。一般的な制度の しっかりした形での教育課程を修めるという意味では「修」という字を使うことが普通だ と思うのですが、この場合どうなのかということでございます。いかがでしょうか。 ○有馬座長 「終」にするのか「修」にするかということですが、証書が出るようなものは「修」で、 時期がきたから学校へ行くのは終わりだというぐらいのところが「終」ととれるのでしょ うか。感覚的にはどうなのでしょうか。これは、preschoolの文部科学省などでやってい るのは、もうきっちりしたものが出ているのですか。修了したというような。 ○徳永構成員 そうですね。学校教育の場合では「修」の方だと思うということで私の意見を出させて いただいたのですけれども、正確にpreschoolに当たるものは日本の教育にはないことに なるのですけれども、近いのはキンダーガーデンのような幼稚園かもしれないですが、ど ちらにしても、「修」という方が日本での訳としては似つかわしいかなと思って意見を出 させていただきました。 ○佐藤構成員 これは、途中でやめてしまう、退学するみたいな、そういうものは含まないわけですよ ね。適切に所期の予定のプログラムを全部完了して終わるということを言っているのだか ら、「修」の方が適当だと思いますよね。このd8153の説明文のところを見ればそういう 趣旨だということはわかるにしても、タイトルのところは「修」の方にしておいた方が、 細かいところを読まない人もいる可能性があるから。場合によっては、下の説明文のとこ ろは「適切に終了する」は「終」でも誤解を与えないと思うのですけれども、見出しのと ころは「修」にした方が安全かと思います。 ○有馬座長 ただし書きを考えれば、「修」で悪くないんじゃないか。むしろその方がはっきりする のではないかということですね。 下の方は「終」でもよろしいのではないかと。そんなこ とでよろしいでしょうか。 ○事務局  では、項目名は「修」ということですね。その下の説明書きは「終」と。 ○有馬座長 適切に終えたということがわざわざ書いてありますからね。 ○事務局  続きまして、d820でございます。ここに「education」という言葉が入っております。 これは訳がございませんでしたので、「学校、教育機関へ入学し」と仮訳してございます。 これでいかがでしょうか。 ○有馬座長 「school, education; engaging in all school−related 」というような言葉が続いて いるわけでありますが、よろしいでしょうか。 ○徳永構成員 ここは、私、今まで気づかなくて、今初めて見たのですけど、この日本語だけを見ると 教育機関の中に学校を含むので、並列に並んでいるのがどうかなと今直感的に思ったので すが、じっくり読ませていただく必要があるかなというふうに思います。 ○有馬座長 学校に関係したようなレスポンシビリティーを持っている、そういうことですね。これ はどうでしょうか。 ○佐藤構成員 ここはschool、educationの説明ですね。 ○有馬座長  そうすると、教育機関は。 ○佐藤構成員  「学校その他の教育機関」というふうに意訳してしまいますとわかりやすいですよね。 「その他の教育プログラム」。 ○徳永構成員  「その他の」でしょうか。というのは、ICF−CYの訳が、児童福祉法に基づいて「児 童」となるのと同じように、学校というのを規定する学校教育法というのがあります。再 度きちんと調べた上でご報告したいと思います。 ○事務局  では、それは後で徳永構成員と事務局の間で調整するということにしたいと思います。 ○有馬座長  ええ。少しお考えいただいて、事務局にお任せいただければ。いかがでしょうか。  では、次をお願いします。   ○事務局  続きまして、d8201について、これも後で幾つか同じような項目が出てまいります。「M aintaining educational programme」、ここを「学校教育の履修に必要なこと」と訳して ございます。その中で、「学校教育での履修に必要な諸活動の遂行」という意見がきてご ざいます。これはもう一つ、「履修」なのか「参加」なのかという別の意見もございます。 つまり、「履修」というよりは、もう少し広い意味で「参加」なのではないかという意見 かと思います。これについていかがでしょうか。 ○有馬座長 黄色い方の「学校教育での履修に必要な諸活動の遂行」と。これは、「履修に必要なこ と」じゃなくて、こちらにした方がいいということですか。 ○事務局  項目名をそちらにした方がいいという意見でございます。これは、恐らくその前後の項 目との整合性、並びをそろえたのだと思います。つまり「Maintaining」ですけど、これは 「terminaiting」とか、そういった動詞にingがついて終わらせているので、「必要なも の」というよりは「遂行」というように終わらせているということかと思います。 ○有馬座長 それでよろしいわけですね。  次の「参加」、「履修」は何かご意見ありますか。 ○徳永構成員 これは私が出した意見だと思いますが、先ほど事務局の方からご説明があったとおり、d 8202とか、d8203との並びで、「必要なこと」というよりも、動きを体言止めしたような ものがいいだろうというふうに考えて「遂行」というのを考えたと思うのですけど、今読 んでみると、かなり意訳をして提出させていただいたのだなと。「諸活動」とか、もう少 し検討が要るかなと思いました。今パッと思いついたので言えば、「継続的な履修」とか、 それだと通るかもしれないと思います。「諸活動」というのは余り出てこない。「継続的 な履修」が一番近いかなと、今の段階でちょっと思いました。 ○有馬座長 では、これは先ほどの「教育機関」のところとも絡みますから。 ○佐藤構成員 学校教育というふうに限定するのはちょっと狭いですよね。 教育ですよね。「教育の継 続」の方がいいのかなと思うのですけれども。 ○坂本構成員 ただ、ここは学校教育の項目なので、学校教育に関して、参加して、そこに行けるかと か、そういう議論だろうと思うのです。 ○佐藤構成員 参加としての項目のような表現ですよね。学校教育を継続するのに必要なことの一つ一 つは「活動」という感じがしますけど、それらを遂行することを通じて、退学しないで学 校教育の中に籍を置き続けるという「参加」を言っているような感じがしますので、事務 局訳の「必要なこと」とやってしまうと「活動」というイメージになってしまうので、そ れはいかがなものかなと。これも、「活動」と「参加」をどう見るかというようなことと も絡むような難しい場面かなと思うのですけれども。 ○徳永構成員  先ほど私は「学校教育の継続的な履修」というふうに申し上げたのですけど、学校教育 の文脈では何かふさわしくない言葉のような感じがしまして、そうすると、「学校教育の 履修の継続」の方が、どちらかというと履修を続けるというか、そちらの方がまだ動きを あらわして、なおかつ日本の学校教育の文脈に合っている言葉に近いような感じを持って います。 ○有馬座長  「学校教育の履修を続ける」でよろしいですか。 ○徳永構成員  「履修の継続」ということが近いかなと思います。 ○事務局  「履修」を「参加」にしてしまうと、問題があるということでしょうか。 ○佐藤構成員  そうすると、何か無理に「参加」の項目とせよというふうに言い過ぎちゃっている感じ がありますよね。選択の自由を訳によって歪めているというか、それはまた強過ぎる。 ○有馬座長  「履修の継続」でよろしいですか。  では、そういうことで。また何かございましたら、上の項目のこともございましたから、 徳永先生、また後で考えてみて、 お考えがあったらおっしゃっていただければと思います。 ○事務局  では、続けさせていただきます。  その次のd8251、d8253、d8301、d8303については、整合性をとっていくということで よろしいかと思います。  更に、d880でございます。「Engagement in play」、これを「遊びへの取組」と事務局 案はなっておりますが、「遊びにたずさわること」というふうに、ちょっとやわらかくし た感じの案をいただいてございます。これについていかがでしょうか。   ○有馬座長 ソフトにしたと。特に反対するほどの理由はないということでしょうか。 ○事務局  わかりました。では、「遊びにたずさわること」とさせていただきます。 続きまして、その下三つ、これも全て「object」を何と訳するかということになります。  次のページ、e115でございます。この中で「products」と「technology」という言葉が 出てまいります。ICFの中では「products」は「生産品」と訳されておりまして、「te chnology」は「用具」と訳されております。ここでは「生産品」と「用具」というふうに 出ておりますが、「products」を「製品」として、「technology」を「機器」というふう に序論に出てございます。これは、これまでICF本体との整合性をとるという意味で、 「生産品」と「用具」というふうにここではそろえさせていただいてよろしいでしょうか ということでございます。   ○有馬座長  いかがでしょうか。これでよろしいということですね。  ICFも考慮しておくということだと思います。 ○事務局  では、よろしいでしょうか。続けさせていただきます。  e1152から下、これは全部「製品」と訳しているのを「生産品」と直しているというこ とと、あと、「objects」という言葉も出てきていて、それを「物品」か「もの」かという ことの問題でございます。  最後のページでございます。最後、三つ項目が並んでございます。すべて「Special ed ucation」という単語に関する問題でございます。「Special education」をどう訳するか ということでございますが、これを「特別な教育」とするのか、「特殊教育」とするのか、 「特殊支援教育」とするのか、いろいろ案があります。これは、それぞれ制度に関するい ろいろなことを考えなければいけないと思うのですが、「Special education」をどう訳す るかということについていかがでしょうか。   ○有馬座長 いかがでしょうか。これは、「Special education」という言葉自体は、一つの一般的な 用語として外国ではまだ残っているわけですよね。 ○徳永構成員 この分野で働いているので。結論としては、「特別な教育」に私は賛成します。日本だ と、「Special education」に近いのは、今の制度の前の「特殊教育」。今は「特別支援教 育」と申しますが、いずれにしても、障害のある子どもたちの教育を指して「Special ed ucation」、「Special needs education」と呼ぶのですけれども、世界各国のことを考え ると、「Special education」のところで、いわゆるgiftedとか、talentedと言われるよ うな、天才児と言われるような子どもたちも含むことも考えられますので、「特別支援教 育」は日本のことに限定してしまうのでふさわしくないだろうということで、幅広く意味 を持たせるためには、 「特別な教育」でよいのではないかというふうに私は考えます。以 上です。 ○有馬座長 よろしいでしょうか。もしご異議がなければそういうふうに。 ○佐藤構成員  「特別な教育」と訳してしまうと、普通学級の中で配慮しながら教育をするのはここに は含まれない。特別支援学校での教育だけが該当するみたいな、そういう誤解が生ずると 困りますよね。 ○徳永構成員  これを「特殊教育」と訳してしまうと、そのように、ちょっと日本の制度の話になるの ですけど、従前の「特殊教育」と言われていた枠組みでは、少なくとも国の枠組みでは、 通常の学級では障害のある子どもたちへの指導が法的にはできなかったけれども、「特別 支援教育」ではやっているのです。それで、「特殊教育」と訳した場合は、今、佐藤久夫 先生がおっしゃったような誤解が生ずるかもしれませんが、「特別な教育」となると幅広 くなりますので、佐藤先生がおっしゃったようなことも含まれるというふうに捉えられる んじゃないかと思います。 ○有馬座長  幅広い言葉だというふうに教育では理解されているということですね。よろしいでしょ うか。それでは、どうもありがとうございました。 ○事務局  続きまして、資料1−3「再確認事項」でございます。  これは、申しわけありません、後で事務局が漏れているという指摘を受けまして作成し た紙でございます。ただ、訳にはほとんど影響しないものでございます。確認させていた だきたいと思います。  一つ目、項目のInclusionsの中に「as in」が消されてございます。訳には関係してご ざいません。  二つ目、「in」という単語が消えてございます。これも訳には影響してございません。  その下、これも「as in」の「in」が消されてございます。これも影響してございませ ん。  続きまして、その下も「in」。更に、その下も「in」が消されてございます。訳は変わ ってございません。  その下、b4450、ここは「as」が消えてございます。これも訳が変わってはいません。  その下、d166、「Reading(読むこと)」という項目でございます。ここに「Inclusion」 というのが入ってございます。ここで翻訳は「標準の文字で書かれた言語及び図像(アイコ ン)などの独自のシンボルで作成された文章の理解及び解釈」とさせていただいてございま す。これについていかがでございましょうか。   ○有馬座長 よろしいでしょうか。 ○事務局  よろしいでしょうか。 その下d440。「細やかな手の使用」、これは「Exclusion(除かれるもの)」が消えてい るということで削除してございます。  その下、d4601。この中で重複しておりました「private or」という単語を消してござい ます。  続きまして、d4701。これは「car」という単語に「a」がついていたのを消してございま して、「乗用車」という訳語をつけてございます。  続きまして、d5700。「身体的快適性の確保」という項目で、その中で「cold」と「wet」 という単語を入れてございます。これを翻訳として、その前から「暑すぎず、寒すぎず、 ぬれていないようにしたり」という翻訳をつけてございます。これについていかがでしょ うか。   ○有馬座長  少し丁寧でソフトということですが、よろしゅうございますか。 ○事務局  よろしいでしょうか。  更に、最後ですが、d7100。「concerns」と「sympathy」という言葉が入ってきてござ います。これを「関心」と「共感」と訳してございます。これでよろしいでしょうか。 ○有馬座長  よろしゅうございますね。  どうもありがとうございました。  では、資料2に入るのでしょうか。 ○事務局  では、次の議題にいってよろしいですか。 ○岩佐構成員  すみません、一点だけ。資料1−3に戻るのですけれども、b4152、「静脈の機能」とい うのは、これで合っているのでしょうか。「機能障害の例としては、静脈弁閉鎖不全(静脈 拡張、静脈狭窄、静脈瘤時)」と書いています。自分はこの領域から遠ざかっているのです が、「静脈拡張、静脈狭窄、静脈瘤による静脈弁閉鎖不全」ではないかなと思います。「I nclusions:impairment such as venous dilation;venous constriction;insufficient closing 」というのは三つが並列かなと思いますが。解剖学的にも、静脈弁のところに静 脈瘤ができてしまうと弁の閉鎖不全が起きるかなと思うのですけれども、静脈の狭窄で静 脈弁閉鎖不全というのは余り起きないのではないかと思って。いかがでしょうか。 ○有馬座長  内容についての訳ですね。  これは、ちょっと検討させてもらいます。 ○事務局  確かに、ご意見のことは検討に値するご指摘だと思います。確かに、ICF本体に関わ る問題として、今後、専門委員会で提示させていただくことを考えたいと思います。 ○岩佐構成員  ちょっとだけ気になったので意見をさせていただきました。 ○事務局  ええ。確かにおっしゃるとおりかもしれませんので、そこは改めてまた検討させていた だきます。ありがとうございます。 ○有馬座長  どうもありがとうございました。  では、時間もございますから次に進めさせていただきます。  議題2について事務局、お願いします。 ○事務局  それでは、議題2「ICF(国際生活機能分類)の変更すべき項目名について」でござ います。資料2「国際生活機能分類の変更すべき用語について」ということで、三つ整理 してございます。  この中で、法令、いわゆる行政的に用語が変わったものとして、いわゆる旧「精神分裂 病」と言っていたものが「統合失調症」、あるいは「痴呆」と言っていたものが「認知症」 と呼び名が変わってございます。  もう一つ、医学の進歩ということで、学界で用語の名前を変えているという場合もござ います。その中で、いわゆる「慢性関節リウマチ」ということで「関節リウマチ」、「妊 娠中毒症」ということで「妊娠高血圧症候群」というものがございました。  もう一つ、大川構成員より提案していただいたもので、ISOという標準化の国際的な 団体がございます。これの中のいわゆる標準化に関するいろいろな文章の中で、「produc ts」という言葉ですが、「製品」として訳されているということでございまして、ICF の中の「生産品」というより、「products」を「製品」と今後訳してはどうかという提案 でございます。  この中で、ICFに該当するものは、法令の中の「痴呆」を「認知症」にするというこ とと、「生産品」を「製品」にしてはどうかということになろうかと思われます。あと、 本日指摘していただいた点も幾つかあるとは思いますが、これらの点についていかがでし ょうかということでございます。   ○有馬座長  ここでとりあえずあれするのは、「生産品」と「製品」、ここはたくさん出てきたとこ ろですね。上の方は、「知的機能」のところにありますけれども、「痴呆」を「認知症」 と。これは大体一般化されている言葉になっておりますね。よろしいでしょうか。  最後の「生産品」と「製品」というのが「products」というような言葉で。これはどう いたしましょうか。先ほどのICFの方が。   ○佐藤構成員  日本語としても、もともと「製品」の方がなじむかなと思いますし、ISOの訳が「製 品」となっているのであれば、そういうふうに直すのが筋だろうと思うのですけれども、 これはICFの日本語訳をつくるときのISOの日本語訳が、その後、ISOの日本語訳 の変更に伴って、こちらの方も変更するということになったのか。ICFの日本語訳をつ くるときに、ISOとの整合が十分できなかったために今になってやっているということ なのか、どういうことでしょうか。 ○事務局  実は、今いらっしゃらない大川先生が説明してくださることになっていました。変更が あったということらしいです。 ○有馬座長  では、今ここですぐご議論いただかなくてもいいですね。上部委員会との関係なども出 てくるかもしれませんから。ありがとうございました。  それでは、議事3に移らせていただきます。   ○事務局  議事3「その他」として「ビギナーズガイド」についてご説明をしたいと思います。資 料3「ビギナーズガイド(仮訳)(案)」がございます。これが前回、第4回ICF専門 委員会において、ICFを今後普及するための資料として翻訳すべきではないかというW HO資料を参考資料としてございますが、翻訳すべきではないかという意見をいただいた ものであります。その中で、ICF−CYの検討会というものが立ち上がった際に、内容 の確認をしていただいてはどうかという助言をいただいているところでございます。その 中で、構成員の皆様には、ご多忙中、恐れ入りますが、この資料についてご確認をお願い したいと思っております。それで、年度内の刊行を目指しておりますので、年内、12月中 にはご意見をいただきたいと思ってございますが、いかがでしょうか。 ○有馬座長  お手元の資料3「ビギナーズガイド(仮訳)(案)」ということでありますけれども、 今のご説明でよろしいでしょうか。これを読み合わせるということですね。  もしご意見があれば、12月中に事務局にご連絡いただきたいということですね。どうも ありがとうございます。 ○佐藤構成員  メールでいただければ、そこに書き込みやすいですね。それで、返事を送りやすいです よね。 ○事務局  では、メールで送付させていただきたいと思います。 ○徳永構成員  16ページ以降の「世界的なICFネットワーク」のところ以降は大分変わってきている ので、そこは事務局で調べていただいてということでよろしいですよね。連絡先とか、セ ンターのこととか、大分変わってきていると思うので、それ以前の中身のところというこ とですね。 ○事務局  そうですね。 ○有馬座長  あとは、参考資料の方は何かご説明いただくことはあるのでしたか。 ○事務局  議事に関しては、事務局からは以上でございます。 ○有馬座長  では、参考資料1と2についてはよろしいわけですか。 ○事務局  はい。 ○佐藤構成員  これでこの検討会はおしまいということですね。 ○有馬座長  そうですね。ちょっと今までの事務的なことと、今までの議論でまだ言い残したことが もしあれば、どうぞおっしゃっていただければと思います。 ○事務局  では、今後の予定ということでご説明させていただきたいと思います。  本検討会は今回をもって終了になります。本ICF−CYの検討会(案)は、今後、I CF専門委員会が開催されますので、そちらに提示させていただいて了解を得たいと考え てございます。それが1週間後の17日になります。その後、各省、関係諸団体に意見を伺 うという手続きがございまして、それをもってして最終的に年度内に刊行というスケジュ ールを目指したいと考えてございます。本件に関しては、今、案がある程度固まったとこ ろで、最終的な調整につきましては、事務局と座長の有馬先生と相談しながらせていただ きたいと思ってございます。それでよろしいでしょうか。   ○有馬座長  よろしゅうございましょうか。  では、そういうふうに進めさせていただきます。さっきの「object」の訳については、 まだ一つ一つはし切れなかったので、事務局案は大体できておりますけれども、そのまま でいいか。あのときに、「もの」でいいところは、そのまま「もの」にしていると。   ○事務局  特段違和感がなければ、そのままということでよろしいでしょうか。 ○有馬座長  大川先生がいらっしゃいました。お忙しいところ、ありがとうございます。 今までの経過としては、前回の検討会、その後、構成員からまたいろいろな意見をいた だいておりまして、今日は逐一議論して、来週の上部委員会に出す検討会としての案を大 体固めたということでございます。  それから、先生にお断りしておかなければならないのは、うちの検討会は「生活機能分 類−小児青少年版(仮称)−作成のための検討会」という名前できておりましたが、ここ の訳は、前回出ましたように、「児童版」ということでご了解をいただいたように認識し ていましたので、上部委員会に出すときは、そちらのことで出したいということを最初に 決定いたしました。ご了承いただきたいと思います。  それから、先生にまだお話をいただきたいということで待っていたところもございます が、ちょっと説明してください。   ○事務局  資料2のISOの話ですね。 ○有馬座長  おいでいただいて早々でどうも済みませんけれども、先生から何か。 ○大川構成員  たくさん出てくる項目ですが、環境因子の1章にもあります「products」をどう訳すか ということですが、ICFができました後に、例えば2004年にISO関係でISO1400(環 境ISO)の規格改定が規定の明確化とISO9001との両立性の原則で行われまして、日本語 訳として出たものも「products」は「生産品」になっております。かなり基本的な用語で すので、その訳と統一した方がいいのではないかと厚生労働科学研究のICF−CYの委 員会での案ですので、ご検討いただければという提案でございます。 ○有馬座長  では、さっきいただいたようなお話をしていただけますか。そのことにつきまして少し 議論があって、こういうふうになっているけれども、とりあえずはまだペンディングとい うようなことですが、これを十分念頭に置いてということだと思いますが。 ○事務局  これにつきましては、今度のICF専門委員会に本検討会から出た意見として提出する 予定ですが、それでよろしいでしょうかということです。 ○大川構成員  はい、ご検討いただければと思います。 ○佐藤構成員  2004年に日本語訳が変わったのは「products」だけですか。 ○大川構成員  変わったといいますか、2004年には環境ISOが改定されたということで。 ○佐藤構成員  変わったわけじゃなくて。 ○大川構成員  それから、工学系の先生方に確認をとりましたところ、やはり製造過程を経て最終物と して完成したものは「製品」というのは学術的にもかなり一般的な使い方のようですので、 「製品」の方が適切かなと。そもそもICF本体の飜訳の際にも「生産品」との訳にはか なり迷った用語で、より適切な言葉があれば変えようというのが大前提としてあったもの です。このような経過も踏まえ、「製品」の方がいいのではないかと思います。 ○有馬座長  ほかに何かありますか。 ○佐藤構成員  実質的に、ほかにもそういうようなことがないかどうか。ISOの項目と照合するのは 大変かもしれないけれども、より適切なISOの日本語訳として使われるようになってい るものがあれば、それに日本語訳を切り替える。「products」以外にもチェックをしてみ るということは必要かなと思いますけれども。「製品」に変えるに際して一緒に。そのチ ェックの時間がなければ、とりあえずは「製品」だけを変えておくと。 ○大川構成員  先ほどの委員の中に工学系の先生方にもお三人入っていただいて、一応確認はしていた だいて、まだいろいろと検討途中のものまで変更する必要はないだろうから、かなり基本 的な用語であるこのぐらいでいいのではないかというご意見はちょうだいしています。 ○有馬座長  よろしいでしょうか。 ○佐藤構成員  年度内ぐらいに翻訳が決まって、4月、5月ぐらいには厚生労働省訳として出版される ということだと思いますけれども、これを普及し、活用をうんと広げるために、何かやれ ることはないかなという感じがするのですが。例えば、ICF−CYを中心になってつく ってくれていたルネシメンソンさんは私も知っていますし、徳永さんがしょっちゅう会っ て、徳永さん自身もこの作成のチームとして加わってきたので、そういう人に来てもらっ て何か講演、セミナーなどをやったりとか、学校教育の中である程度徳永さんたちのチー ムなどを中心にして使っているところがありますので、教育だけでなくて、子どもの医療 とか、そういうようなところでの実践の例の報告なども含めて、経過の基調講演的なもの と実践報告の交流みたいなもので、何か半日ぐらいでも普及セミナー的なものがあるとい いのかなと思うのですけど、それはここで議論することではないだろうと思いますので、 またご検討いただければと思います。 ○事務局  今度のICF専門委員会のテーマはまさにそういうことでございまして、いかにICF を活用していくかということを念頭に事例を収集し、今後どう広げていくかということを 考えるために企画しているというものでございます。その結果をまた見まして、いろいろ こちらの方から適切に情報発信をさせていただくということで検討してまいりたいと思い ますので、先生方の方にもどうぞよろしくお願いしたいということでございます。 ○有馬座長  それでは、ほかにご意見がなければ。大川先生、何かつけ加えることがございますか。 ○大川構成員  遅れまして大変申しわけありません。いろいろとご意見が出て、もうある程度決まった ことだと思いますが、後で事務局に意見は述べさせていただくということでよろしければ、 と思います。  ただ、ちょっと耳に残ったので。「もの」というものの訳はどうなりましたでしょうか。 今、議論があったようなふうに。   ○事務局  今のところは平仮名の「もの」というふうになっております。 ○大川構成員  理由については恐らく議論があったと思うのですが、平仮名の「もの」にしますと、「物」 なのか「者」なのかという区別がつかないので、平仮名にするのはかなり慎重にした方が いいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。やはり「物」か「者」というのは 分けるべきかと。 ○有馬座長  先ほど「物」か「者」かというところまでは話がいきませんでしたので、ソフトな言い 方で。 ○坂本構成員  ここでは「物」ですね。「者」じゃないので。 ○佐藤構成員  その前に項目として「person」というのがあるので、余り誤解はないだろうと思うので すが。 ○大川構成員 ただ、やはりその項目しか見ないという使い方の方がむしろ多いでしょうから、やはり どちらかということは明確にした方がいいのではないかと思うのですが。 ○有馬座長 漢字の「物」でもいいということでしょうか。 ○大川構成員 漢字の「物」の方がいいのではないか。誤解が生じないのではないかと思いますが。 ○有馬座長 とりあえず、そういうご意見ですけれども、どうでしょうか。 ○大川構成員 済みません。経過を知らずに申しわけありません。 ○佐藤構成員 子どもにもフレンドリーなものにしようということで、平仮名の方がいいのではないか というような議論で、さっきはそう傾いたのですけれども。 ○大川構成員 ただ、子どもが使うところまでの安易さまでではなく、まず正確に伝わるということの 方が大事ではないかと思った次第です。 ○佐藤構成員 子どもで使おうということで、今、徳永さんたちのグループがやり始めているというこ ともあるようなので。 ○大川構成員 その場合はその場合で検討なさればよいことではないかと思いますが。「もの」という 平仮名にしてしまうと、「者」なのか「物」なのかがわからなくなって、正確に意味が伝 わらないところが複数あったと思います。 ○有馬座長 かなりの項目に出てきますので、おっしゃるとおりだと思いますが。 ○岩佐構成員 確かに、やや議論をし残したところです。ケース・バイ・ケースというのが本当のとこ ろだろうという話も出たかと思います。例えば物の操作であるとか、物の永続性であると か、そういうようなことをかなり意識している項目の場合には、漢字での「物」というの が、認知発達をやっている人の立場からすると一番しっくりくるかなとは思うんです。な かなか最大公約数ですべて「objects」をこういう日本語訳にしようというのが難しく、や はりケース・バイ・ケースかなと思います。ただ、そこはちょっとし残した、一つ一つ見 ていないところではあったかと思います。すべての「objects」に関して平仮名の「もの」 というふうにしようとまでは言っていなかったと思います。 ○有馬座長 そういう議論で、最初のところでそれは議論がございました。しかし、これは項目が非 常にいろいろなところで出てくるものですから、 やはりそこで全部じゃなくて、その文章 の前後でその辺はより分けてもいいという項目の中の一つにしたことは確かでございます が。 ○大川構成員 「物」ととっても「者」ととっても構わないというものであれば平仮名の「もの」でい いと思うのですけれども、明快な場合はやはりどちらかをきちんと使った方がいいのでは ないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○有馬座長 そういうご意見で、これはよろしいですか。では、これは最終的につくるときに、私と 事務局とで前後の文章に沿って、迷うときには、これはどちらにしようと私の方で決定さ せていただきます。 ○大川構成員 そうですね。お任せいたします。 ○有馬座長 よろしいでしょうか。  では、もしなければ、これで今日は閉じさせていただきます。また先生方には、さっき の宿題といいますか、ビギナーズガイドその他のことでお願いすることもあるかと思いま すので、どうぞよろしくお願いいたします。大変ありがとうございました。 ○事務局  最後に、事務局の方から挨拶をさせていただきたいと思います。  先生方におかれましては、貴重なご意見を賜りまして本当にありがとうございました。  本検討会の任期は、先ほどちょっとお話がありましたが、来年の3月31日までお願いを してございますけれども、こういう形でお集まりいただくのは今回が最後になろうかと思 います。ただ、先ほどお願い申し上げたビギナーズガイドの件、また、来週以降、ICF 専門委員会、また、いろいろと意見照会とか行います。その際に、また再度検討すべき事 項などが起きましたときに、事務局からご相談をさせていただくこともあろうかと思いま すので、その節は何とぞよろしくご協力をお願い申し上げます。  本当にありがとうございました。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室     電話 (代表)03-5253-1111(内線)7493