08/12/08 第2回看護の質の向上と確保に関する検討会議事録 第2回看護の質の向上と確保に関する検討会                     日時 平成20年12月8日(月)                        15:00〜                     場所 厚生労働省専用第21会議室 ○寺山看護職員確保対策官 定刻となりましたので、ただいまから第2回「看護の質の 向上と確保に関する検討会」を開催します。委員の皆様、話題提供をしていただく先生 方におかれましては、ご多忙にもかかわらず当検討会にご出席をいただき、誠にありが とうございます。本日は前回、ご欠席された酒井委員、西澤委員が出席されています。 また阿真委員よりご欠席との連絡をいただいています。なお舛添厚生労働大臣につきま しては、公務により15時半ごろには中座する予定となっています。あらかじめお詫び 申し上げます。  会議に先立ちまして、舛添厚生労働大臣より、一言ご挨拶をいただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○厚生労働大臣(舛添) どうも、皆さん、お寒い中をお集まりいただきまして、あり がとうございます。酒井さんも久しぶりでございます。今日は2回目ということで、前 回もいろいろなご意見を賜りましたけれども、今日は尾形先生、大久保先生にもいらし ていただきまして、いろいろとヒアリングをさせていただきたいと思います。この検討 会の結果、今まで医師についてはずっとやってきましたが、看護師というのも非常に重 大なテーマで、医療サービスを提供する役割でありますので、是非、いいご意見を賜れ ばと思います。時間が限られていますので、なるべく皆さんのご意見を賜りたいのでご 挨拶はこれまでにします。よろしくお願いいたします。 ○寺山看護職員確保対策官 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラの皆 様にはご退席をお願い申し上げます。 ○野村看護課長 それでは議事に先立ちまして、第1回の会議で委員の方からご指摘を いただきました本会議の名称と委員の呼称でございますが、事務局で検討させていただ きまして、「懇談会」を「検討会」へと変更いたしました。また委員の呼称につきまして は「構成員」から「委員」に変更させていただきましたので、よろしくお願いします。  引き続き、本日お配りしている資料の確認をさせていただきます。1枚目が議事次第、 2枚目が座席表、3枚目からが資料になります。資料1は「『看護の質の向上と確保に関 する検討会』開催要綱」で、これは検討会に名称を変えたということです。別紙が付い ていて、資料2は「第1回検討会における委員の主な意見(未定稿)」です。資料3は 「事務局提出資料」で、資料3-1、資料3-2に分かれています。資料4は「話題提供資 料」で、資料4-1から資料4-4までとなっています。資料5は「委員提出資料」で、資 料5-1と資料5-2です。資料の不足等がありましたら事務局までお申し出ください。そ れでは座長、よろしくお願いします。 ○田中座長 本日もよろしくお願いします。呼びやすい委員という名前になりまして結 構なことだと思います。本日は本会議に与えられた4つの議題のうち、「看護職員の確 保」と「新人看護職員の質の向上」の2つの議題について検討することになっています。 それぞれの課題について、事務局から資料の説明をお願いします。そのあとは話題提供 していただく方をお二人お願いしましたので、お話を伺ってから意見交換を進める予定 です。初めに、1つ目の検討課題である「看護職員の確保」に入ります。時間も限られ ていますので、簡潔に資料の説明をお願いします。 ○野村看護課長 資料3-1をご覧ください。表紙には「主な検討課題」として、これは 前回の検討会で示したものと同様です。資料の項目は大きく分けてこの4つの種類のも のが中に入っているということです。1頁は「医師・歯科医師・看護職員数の推移」で す。医師等と比べると看護職員の伸び率が非常に高いところです。2頁が「看護職員就 業者数の推移」で、これは前回と同様です。3頁が「看護職員の就業場所」で前回と同 様です。4頁が看護職員全体ではなく「保健師・助産師・看護師・准看護師の就業場所」 です。保健師はかなり就業場所が異なっていますが、他の看護師等は大体同じような形 の病院中心とした就業場所になっています。5頁が年齢階級別就業状況です。これも前 回と同様ですが、枠囲みがしてあるのが対策がこの中に入っているものです。  6頁が人口と病床数の関係を都道府県別に表示したものです。人口と病床数の関連は あまり見られないという状況です。7頁は病床数と看護職員数を人口10万人対で示した もので、同じく都道府県別です。これを見ると病床数と看護職員の配置というのは、関 連があることがよくお分かりいただけると思います。8頁は前回と同様の国際比較です。 人口1,000人当たり看護師の配置で、日本は真ん中に位置します。9頁が「100床当た りの看護職員数の国際比較」で、日本はいちばん下にあります。10頁で逆に病床数を見 ると日本は非常に多いことが、ここら辺で読み取れるかと思います。  11頁からが需給見通しの関係資料です。これは前回の第六次需給見通しの策定につい て概要を書いたものです。枠囲みにありますが、検討会において検討した結果を踏まえ て作成した策定方針に従って、都道府県が実態調査を行い、全国の調査結果を積み上げ て策定する手法でやっています。調査の内容については以下に示したとおりです。12頁 も前回と同様のものです。13頁で助産師については再掲しています。14頁は需給見通 しの都道府県別に見たものです。15頁が助産師の再掲です。  16頁は「看護師等の人材確保の促進に関する法律の概要」です。この法律は平成4 年に施行されています。これに基づいてさまざまな確保対策が行われているところです。 17頁がこの法律に基づいて示された、基本的な指針の概要です。  18頁が離職率で、これは前回と同様のものです。19頁は全年齢層の退職理由になっ ているところが前回と異なります。新人だけではないというところです。いちばん多い のが「出産・育児・子どものため」、2番が「他分野への興味」、あと下のほうにまとめ ていますが、「労働条件と思われるもの」というのもいくつか挙がっています。労働条件 だけを足すと37%と若干多いデータになっています。  20頁が潜在看護職員(55万人)を推計したときの考え方を示しています。21頁が潜 在看護職員の調査を平成18年にしたデータです。3に「調査結果」とありますが、実際 に働いていない人たちに、就業していない理由について聞いています。「子育て」「家事 と両立しない」などが主な理由となっているということです。  22頁以降は、確保対策として事業化しているものを説明しようとして付けています。 「病院内保育所事業について」が22頁、23頁が「ナースセンターの事業概要」で、こ こでは都道府県ナースセンターで、潜在看護職員の就業促進を行うナースバンク事業 等々を行っているというものです。24頁が「中央ナースセンター事業」で、看護職員の 多様な勤務形態による就業促進事業をやっています。25頁以降は、実務研修を中心とし たモデル事業を行っているというもので、26頁は助産師の確保のモデル、実務研修事業 です。  28頁が、今年11月に出された社会保障国民会議の「医療・介護費用のシミュレーシ ョン」です。これは前提としてシミュレーションの考え方が29頁にありますが、現状 の固定によった推計がAシナリオ、B1からB3が改革のシナリオです。これは一般病床 の機能分化をどう進めたかということで違いが出てきています。これをベースにして看 護職員のマンパワー量を推計したのが33頁にあります。ここを見ていただくと、現状 のままの将来推計というAシナリオは約170万人、改革を進めたB3のシナリオでいく と、200万人の看護職員が必要だといったシミュレーションがされています。資料の説 明は以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。話題提供に移ります。初めに話題提供していた だく先生方の紹介を事務局からお願いします。 ○野村看護課長 お一人目は大久保清子先生です。福井済生会病院副院長兼看護部長で す。先生は福井県済生会病院で長年にわたって臨床看護に携わり、平成12年から看護 部長、そして18年から副院長を兼任されています。看護師としての経験を積み重ねる 中で、仕事へのやりがいを感じながら、安心して長く働き続けられるような職場環境の 充実のために、先進的な取組みをしておられます。特に多様な勤務形態の導入を実践し 効果を上げています。  お二人目は尾形裕也先生です。九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学教授です。 先生は医療政策、医療経済をご専門とされており、「看護基礎教育のあり方に関する懇談 会」のメンバーとして、マクロ的な視点から示唆に富んだご発言をいただいていました。 また「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」でも、委員として参加いただいてい ました。 ○田中座長 ありがとうございます。ではまず大久保先生から発表をお願いします。 ○大久保副院長 ご紹介いただきました大久保でございます。資料4-2をご覧ください。 まず病院の説明からさせていただきます。理念は「患者さんの立場で考える」です。創 立は1941年、病床数は466床、病床利用率は94.7%、外来患者数は1日平均1,250名、 平均在院日数は13.2日、診療科は21科、全職員数は1,040名、うち看護部が606名で す。  「当院における看護職の退職状況」ですが、平成18年の退職率は10%に下がり、正 職員からパートへの移行が増えています。また育児が理由での退職者は減少傾向です。 本年度の当院の重点目標は「働き甲斐のある職場」づくりです。その取組みとして選べ る勤務体制づくりの充実を行いました。この取組みは、当院での退職原因ともなってい る子育ての支援と、キャリア支援に対応していくことにもつながり、結果的には看護職 の定着策の一環にもなりました。  「内容」につきましては次のとおりです。「多様な勤務体制」の「短時間正職員制度に ついて」。目的は育児・介護・体調不良などの職員に、家庭での役割を果たしながら仕事 も続けていただくことを支援することです。労働時間は本人の希望する時間帯としまし たが、夜勤のみも可能としました。給料は基本給の75%を支給、賞与はその期間に応じ て計算し支給するとしました。そのほかは正職員と同じ対応です。  「パートは1時間から可能」としました。短時間勤務あるいは自分の働ける時間だけ のパート職員が地域で情報を伝えてくれることで、働くことを希望して来られる方が増 えました。またパートで働いてみて、自分に合う病院であるかどうかを判断し、正職員 へと希望する人も増えました。これらのことも看護職の確保定着につながりました。  「夜勤免除制度」です。目的は、夜勤ができない、夜勤回数を減らしてほしいという 人に対して、夜勤が続けられるように支援することです。対象者は産前産後・育児・看 護・体調不良・長期研修者です。夜勤回数による手当は公平性に考慮し、下記のように しました。  「多様な勤務体制の人件費」です。超過勤務が発生している場合、短時間勤務やパー トで補うほうが、正職員に超過勤務手当を支払うより、時給が安いため人件費は安くな ります。超過時間の推移はパートが増えることで減少しています。正職員とパートの比 較ですが、対応の差はありません。  「多様な勤務体制の制度化のポイント」です。まず勤務時間4時間を1単位とする考 え方です。1週間5日勤務、1日8時間労働で合計40時間を10単位、1日6時間労働 は30時間で7.5単位とし、1週間に単位数をいろいろな組合せで勤務する考え方です。 業務内容の見直しでは、必要なケアが適切に提供される人員配置と引き継ぎの工夫です。 そしてスタッフの受入れです。退職せずに短時間でも働き続けることで、専門職のキャ リアが継続できることを啓蒙する必要がります。  「多様な勤務形態導入前の勤務状況」ですが、6時から8時の起床、朝食の時間帯、 17時から21時までの夕食、就寝の時間帯が看護量も多く、安全性も問われるところで、 看護師が最も多く必要とされています。この時間帯に看護師を多く配置したのがスライ ド13になります。短時間正職員と希望されるパート時間の組合せで、必要な時間帯に 厚い看護師の勤務配置が可能になりました。  「多様な勤務形態の導入のポイント」は、経営姿勢で職員を大切にする経営理念です。 また支援体制の整備は投資といえます。経営陣と職員との総合理解と職場環境について 話し合える場が必要です。次いで推進体制、仕事の管理、人的資源管理です。  次に「子育て支援」についてです。当院の院内保育所「ぽっかぽか園」についてご説 明します。対象児は0歳児から3歳児、定員は50名です。職員は20名で、すべて病院 からの出向となっています。保育体制は365日24時間で、個人の勤務時間に合わせて 利用することができます。保育費は2万円です。この費用については後ほどご説明しま す。  院内保育を整備するための具体的な対策は、まず保育士の充足です。これは利用者が 多い場合を対象として、病院内の小児科外来や病棟所属の保育士6名を応援に行くこと ができる体制に整備しました。次に、対策は経済的な支援として保育費の減額です。以 前は月額3万5,000円でしたが2万円と減額しました。減額にあたっては人件費のすべ てを病院の負担として、運営に最小限必要な部分のみを保育費で賄うことにしました。  「育児休業制度」は、出産した職員のほぼ全員が1年間の育児休業制度を利用してい ます。次に休業の回数ですが、1年間に5日間、子どもが病気になった場合の介護休暇 を取得することが可能です。また育児休暇中の職員への経済的援助として、出産1回に つき、一律で10万円を支給しています。  「院内保育の年間運営費」についてですが、表のように年間の運営費は5,603万4,000 円です。人件費の病院負担額は4,103万4,000円です。人件費以外を収入で賄っている という状況です。  次に「専門職としての業務整理」です。定着率向上のための改善策をフォーブロック チャートで表すと、効果が大きく実行しやすいのは「時間内に仕事が終わる」で、効果 は小さいが実行しやすいのは「ミスをした時のフォロー」でした。  「キャリア継続の活用と支援」ですが、当院では認定看護師が13名活動しています。 専門性の活用として認定看護師の活用の場をそれぞれ保証しました。看護外来では5名 の看護師が病院を横断的、縦断的に活動し、地域に対しても活動を展開しています。彼 女たちの活動は医師業務の支援をし、またチーム医療の支援をしています。ほかの看護 師の育成モデルにもつながっています。  「看護職の職場現状と課題」です。定着でき、働きやすい環境については、今後、多 様な勤務体制や子育ての取組みが必要です。また専門職としての業務整理や時間内に業 務が終わる取組み、そしてキャリア継続の活用と支援も今後の課題と考えています。  最後に、次の図は当院の職員のモチベーションを表しています。下の線は2007年度 です。上の線は2008年です。当院での取組みは効果的だったと考えています。以上で す。 ○田中座長 ありがとうございます。モチベーションのグラフは大変参考になります。 意見交換に移る前に、大臣がほかの公務のご都合がおありですので、先にご発言をお願 いしてよろしいですか。 ○厚生労働大臣 大久保先生、ありがとうございました。大変いい報告をお伺いしまし た。これは看護職についてのお話でしたけれども、例えばいま小児科、産科も半数が女 性医師ですから全く同じ状況だと思いますし、私も子育て中なので男も休ませてくれと いうのがありますので、男性でもこういう多様な勤務体制があることが非常に重要だと 思います。片一方で労働大臣をやっていますから、労働基準法を守らせるという要請が ありながら、片一方では、それだと現場がどうしようもないということなので、これは 非常に大きな問題になっています。こういう夜勤の免除制度とか短時間正職員制度とい うのは、活用していきたいと思います。最後、このモチベーションがここまで上がって いるというのは、やはり人間を大事にする経営ということが、いちばん大きいと思いま す。  1つだけ重ねて私のほうからご質問したいのは、先ほど院内保育の年間運営費なんか も出ていましたけれども、結局、病院経営ということで財政的に見たときに、要するに こういうことに踏み切りたいと思われている病院などもあると思いますが、一方で、と てもじゃないけどペイしないのではないかとか、赤字になるのでないかということにつ いてはどうですか。重ねてになりますが。 ○大久保副院長 確かにこれは出資になります。そういう余力のない病院に対しては、 院外で、既にそういう保育所をされている病院の近くの保育所と提携して、そこで職員 に1万円、2万円の補助金を出す。そういう対応もいいのではないかということを勧め てはいます。 ○厚生労働大臣 またいろいろ良いアイデアがあったら、教えていただきたいと思いま す。もっともっと伺いたいのですが、あとまた議事録で尾形先生のお話もお伺いしたい と思います。どうぞ皆さん、活発なご意見を賜りますことをお願いして、お許しいただ いて中座させていただきます。ありがとうございます。 ○田中座長 ありがとうございました。では委員の間での意見交換に移りたいと思いま す。大久保先生の発表への質問も含めて、看護職員の確保対策に関して意見を言ってい ただいても結構です。また資料を提出されている委員は、その内容も含めてご発言いた だきます。 ○大熊委員 今日、私がデンマークなどで見聞きしてきたことをご紹介しようと思って いたら、もうそれが全部、大久保委員のお話の中にあるので感動しています。準備期間 がどのくらいあったのかということと、済生会とか福井県のほうでこれをお手本にして いる所が、いまどのくらいあるか教えてください。 ○大久保副院長 ありがとうございます。本格的に取り組んだのは18年からですけれ ども、それ以前から私は個人に対して、できることはすべて適えてあげたいという思い がありまして、どうしたら辞めずにいられるかというところで話し合って、できたら退 職をとどめるような対応をしてまいりました。制度化して本格的に動き出したのは18 年度からです。福井県でいろいろ伝えてはいるのですが、なかなか踏み切る所はなくて、 大学病院が院内保育を作り上げてくれました。これが大きなメリットかなと思います。 ○大熊委員 院内で抵抗勢力があるとしたら、どんなところに抵抗があったでしょうか。 それはどうやって突破したでしょうか。 ○大久保副院長 抵抗は、事務長、院長が大きくいろいろ首を傾げます。ナースが足り なくなって、いま7:1体制をとっていますけれども、とれなくなったときの試算を言い ます。いま月に約5,000万円ぐらい、7:1体制で入ってきます。それを全部使っていい のではないかという考えを大きく出して、看護にお金をかけてくださいということで、 いろいろ対策をステップアップしてまいりました。やはり夜勤回数にお金をかけるとい う考え方です。これもすごく抵抗がありました。  もう1つは、保育士を院内にストックしていくという考えです。何も点数も付かない し何もないのです。だからストックして子どもが多くなったら、そちらに回していくと いう考えに関しても抵抗はありました。だけど小児科とか病棟で保育士がそれなりの活 動をしていますので、それに対してドクターのほうから認めてきたという感じです。 ○森委員 保育所のことについて質問なのですが、病児保育、病後児保育はどのように なっていますか。 ○大久保副院長 病児保育もやっています。看護職が2名、病院では合わないというよ りは保育所が合うかなというナースもいますので、その2名を保育所のほうで勤務して いただいています。ですから病気に対しても、だっこして外来受診までしてくれますの で、お母さんはとても安心して勤務できます。ただ、今後考えなければいけないのは感 染に関してなのです。どう対応するかというところは私も問題にしています。 ○森委員 保育所はできるのですが、病児保育はなかなか病院のほうで準備しきれない という現状があると伺っていましたので、質問させていただきました。 ○大久保副院長 そうですね。もし病児対応でできないときには、小児科の病棟1室を、 その対応のためにしようかなという考えも持っています。ただ、今はそこまでいかずに 保育所で対応できる範囲です。 ○森委員 ありがとうございます。 ○井部委員 4頁のところに「選べる勤務体制」という項目があるのですが、看護職と いうのは、これまでは3交替ができないと一人前でないという変な社会通念があって、 夜勤ができないと駄目よ、みたいなのがありましたけど、夜勤でも交替勤務でなくて準 夜なら準夜ですね、そのシフトを固定してやるのが私はいいのではないかと思っている のですが、この場合の選べる勤務体制というのは、勤務時間帯を固定してやるというこ とも含まれているのでしょうか。 ○大久保副院長 はい、そうです。固定したメンバーが約3分の2います。あと3分の 1が自分の生活とか育児、その他介護をしているとか、そういう家庭的な状況において 自分で働ける時間を選んでいるという状況です。 ○海辺委員 カード20枚目というか、そちらのほうで「キャリア継続の活用と支援」 でモチベーションがというのは、まさにこの間、私が申し上げた部分に対応されている んだなという感じです。ローテーションしてしまって、せっかく築き上げたキャリアが また別の所に異動することによってなくなってしまうために、非常にモチベーションが 下がると伺ったものですから、これはローテーションがないという意味なのかなという のが1点です。あと、逆に固定になってしまうと、病院内で人気のある所、ない所なん かが出たりはしないのかなというところを伺いたいと思いました。 ○大久保副院長 ありがとうございます。認定看護師とか自分が専門性を深めたいとい う希望のあるナースに関しては、ローテーションは控えています。固定です。年に2回、 面接を各所属長が行っていますので、そこで本人の意思を確認しながらこれは進めてい ます。人気がある所は、今はホスピスが人気があります。それに関しては院内留学制度 と言って、3年以上のナースに関して、1ヶ月または2週間の希望する場所での勤務を 可能にしています。まずホスピスならホスピスに行って働いてみて、本当に自分が合う のか合わないのかということを確認しています。いま新人のほうでそれをしている所が 多いのですが、新人では帰属意識というか、人間と人間のつながりが薄くなってしまう 可能性がありますので、3年以上を対象に行っています。ですから希望したけれど、や はりやめたというのもありますから、今はうまくバランスがとれています。 ○石垣委員 これだけ職員のモチベーションが高ければ、平均在職期間が長いと思いま すが、定年制というのはあるのですか。それから、いろいろな能力を持った人たちが定 年になった後の、セカンドキャリアということもお考えになっておられたら伺いたいと 思います。 ○大久保副院長 定年制ですが、60歳が定年です。今年も2名の師長が定年を迎えまし た。師長というポジションは下りていただきますが、本人がどこで働きたいか聞いて、 総合案内にいたいとか、女性診療センターへ行きたいという希望で、いまも働いてもら っています。だから再雇用になります。是非、この2名は働いてほしいということを私 も言いまして、というのは、それが働けるというみんなのモデルになるのです。そうい うことで再雇用ということで働いてもらっています。 ○石垣委員 一般のスタッフはどうですか。 ○大久保副院長 スタッフも、もちろんあります。 ○石垣委員 それはシステムとしてあるのでしょうか。 ○大久保副院長 はい、ございます。例えば事務の広報部でしたけれども、写真を撮る のが好きな事務の方がいましたが定年退職しました。だけども写真を撮ってほしいとい うことで、病院にとっては必要ですので、再雇用ということで働いてもらっています。 ○吉田委員 保育士の件についてお尋ねします。「保育士6名による応援体制」と16枚 目に出ていますが、この6名というのは足りているのか足りていないのか。これは点数 に入らないので国からの補助はないと思いますが、これをもっと増やしたほうがいいの かどうかというのが1点です。それと報酬について、看護職と保育職の報酬はどのぐら い差があるものですか。実はうちの学園でも保育士の養成校と保育園をやっているもの ですから、興味があってお聞きしました。 ○大久保副院長 ありがとうございます。まず6名ですけれども、外来に2名います。 病棟のほうに4名います。外来に関しては保育士はお母さんにすごく人気があります。 やはり保育の仕方が、プロだからあやし方がナースとは違うのだと思います。病棟にお いてもお母さんが不在とか、治療しなければいけなくて子どもが泣いてしまうときは、 ナースも関わりますけれども、保育士の関わりがすごくいいみたいで、4名でちょうど いい感じかなと思います。いま保育所のほうは満杯状態、50名定員が60、70ほしいと いうところで、春には行ってもらわなければいけないと思っているのです。病院に6名 いてくれるということは、ちょうどいいかなと考えています。  報酬はありません。保育士が外来や病棟にいることに対しての診療報酬は付きません が、その分、ナースに対して助けてくれますし、ドクターに対しても外来で助けてくれ ます。顧客満足等を考えると、それは報酬がなくても十分いいのではないかと考えてい ます。もう1つナースと保育士の給料の差ですが、今回は資料を何も用意してきていま せんので分かりませんけれども、ナースより低いのはたしかです。 ○田中座長 時間の都合で、もう1人ぐらいにしたいと思います。 ○坂本委員 福井済生会病院では、例えばご自分の病院の中でそれをやって公開すると、 今までより集まって来た人が多いわけですか。 ○大久保副院長 それは中途採用でしょうか、新人でしょうか。 ○坂本委員 というか、潜在していた人たちが集まって来ているのか、どこかの病院か らそういうことがあっていいなと思って集まって来ているのか、それが知りたいという ことと。例えば看護協会みたいなところの、ある程度システムを持っている所と連携し ながら、そういう情報を公開していっているのか、単なるご自分の病院のホームページ だけでそれを確保しようとしているのか、それを教えていただけますか。 ○大久保副院長 公開は、もちろんホームページでやっています。あと看護協会が行っ ている求人のときに、大々的にみんながいろいろ情報を出し合うという場で情報の共有 は行っています。就職してくれているメンバーは、いちばん多いのがUターンです。と いうのは結婚で県外に行く、だけど帰って来た、それで帰って来てくれるというのがい ちばん多いです。月に3名、4名は確実に帰って来ています。あともう1つは、ほかの 病院からもありますけれども、次に多いのは子育てが終わって働きたいなということで、 ほかの病院のナースもそうですが、就職して来ているということがあります。もちろん 当院を退職したナースもいます。2番目に多いです。3番目に多いのは、ほかの病院か らホスピスで働きたい、SCUで働きたいという場所指定して来られる方もいらっしゃい ます。この順番です。 ○田中座長 まだあるかもしれませんが、一応、ここで大久保先生、ありがとうござい ました。引き続き尾形先生、報告をよろしくお願いします。 ○尾形教授 先ほどご紹介いただきました九州大学の尾形です。私からは資料4-1に沿 ってお話をさせていただこうと思います。資料の1頁を開けていただくといきなりタイ トルが間違っていて、懇談会ではなく検討会になったそうですので、直していただけれ ばと思います。10分程度というお話であり、私は看護の専門家でもありませんので、こ れからお話することは十分こなれた発表とは言えないと思います。そういう意味で、今 回パワーポイントではなく、ワードで発言要旨という形で発表させていただこうと思い ます。やや生煮えの意見も含め、話題提供ということでお話をさせていただこうと思い ます。  全体に3点、お話をしたいと思います。1つが全般的な事項、2番目に我が国の医療 提供体制、あるいはその改革の方向と今回の看護職員をめぐる問題、そして3番目に、 いずれ「看護職員需給見通し」の策定という話がまた出てくるだろうということで、そ れについての若干の意見ということです。   1頁に戻って「全般的な事項」ということです。この検討会は「看護職員の質の向上」 と「確保」というテーマが両方並んでいるわけですが、私はこれは大変いいことだと評 価しています。というのは、ここに書いてありますように、この2つが普通はトレード・ オフというか、相互に矛盾して、あちらを立てればこちらが立たずという問題だと考え られがちです。特に「質」と「量」ということで質のほうを重視すると量の確保ができ ない。量の確保を重視すると質が下がってしまうと言われるわけです。しかしながら、 この問題に関しては、結論から言うと私はトレード・オフではないのではないかと考え ています。  どういうことかと言うと、ここに量の確保ということで2つ書いてありますが、「新 人看護職員の供給」と「継続雇用の確保」で、これは再雇用を含めての話ですけれども、 2つに分けて考えることができる。これは需給見通しなどを立てるときにも、供給の推 計というのはこういう形で行われるだろうと思います。この2つに分けて考えると、(1) の「新人看護職員の供給」に関しては、今日のような少子社会あるいは高学歴社会とい う中では、質と量というのはむしろ両立する問題なのではないかと考えます。つまり看 護のような専門職については、相当の高学歴が要請される。あるいは少子化によって子 どもの数が少ない中では、量と質というのはまさに両立する問題だろうと思っています。  (2)の「継続雇用の確保」あるいは再雇用を含めての話ですが、これについては先ほど 大久保副院長のお話の中にもあったかと思いますけれども、私は専門職の雇用において はこれも両立するのではないかと考えています。ここに書きましたように、CS(顧客満 足度)と、ES(従業員満足度)は両立する。あるいは顧客満足度を高めるためには従業 員の満足度が非常に重要だということになると思います。  看護の世界では、よく「マグネット・ホスピタル」ということが言われてきたわけで すが、これは最近では医師も含めて、病院の人材を引きつける魅力ということで言われ ていることです。看護のほうのマグネット・ホスピタルでは、14の「磁力」が掲げられ ていますが、それらはいずれも看護の質に関わる項目であると思います。そういう意味 で質と量というのは、(2)についても両立するのではないかというのが第1点目です。  2点目として、「日本の医療提供体制の特徴及び改革の方向と看護職員の確保問題」と いうことで、日本の医療提供体制についてはいろいろな捉え方があろうかと思いますが、 ここでは2つの点に絞ってお話をしてみたいと思います。  1つは国際比較ということで、先ほども資料で事務局からお話がありましたけれども、 国際比較をしてみると日本の医療提供体制というのは、どうも相対的に「資本集約的」 「労働節約的」なのではないかというのが私の捉え方です。一般的に医療というのは、 労働集約的なサービスだと考えられています。ここに書いてありますように、マクロで 見ると、例えば国民医療費33兆円のうち、大体50%ぐらいが人件費に使われていると いう推計がよく出されます。また、ミクロで見てもというのは、個々の病院経営を考え ていただくと、もちろん病院の種類や病床の種別によって違いはありますが、人件費比 率は我が国では50%というのが、1つの目安と考えられてきているわけです。  ところが、括弧に書きましたようにドイツの全部の病院の平均人件費比率のデータを 見ると、67%という数字が出てきます。これはどういうことなのか。基本的に日本の医 療サービスの提供というのは決して労働集約的ではない。むしろ国際的には労働節約的、 資本集約的なのだということだろうと思います。  次に看護職員数の国際比較で、これも先ほど事務局から追加資料があったところです が、OECDのHealth Dataによると、人口当たりの看護職員の数は平均的な水準にある けれども、病床当たりの看護職員数は圧倒的に少ない状況です。また、実際の配置とい うのはさらに少ない状況だと思います。先ほどのOECDのHealth Dataは、あくまで も資格を持っている看護職員全部の数ですから、実際の配置ということになると、いわ ゆる潜在看護職員の問題がありますので、次の2頁にありますように100床当たりとい うことで見ると、一般病院でも100床当たり50人程度、精神科の病院ですと30人ぐら いという状況で、非常に手薄な配置になっていることは否めないところだろうと思いま す。  これをどう考えるかですが、次に「医療生産関数」と書いてあります。医療経済学の ほうでよく使う分析ですけれども、日本の医療サービスの提供がどういう状況にあるか ということを見たものです。その次の図1を見ていただくと、縦軸が資本、横軸が労働 ということで、例えば資本としては病床数、横軸はいまの場合ですと看護職員の数とい うのを考えていただくと、日本はちょうどQ2のところでJapanと書いてあります。資 本が非常に豊富にあって、労働が非常に手薄な医療サービスの提供が行われているとい うことです。  この図はちょっと古いので、日本より下のところのQ1のところにUKと書いてあり ますが、最近はイギリスのほうが日本より医療費は高くなっていますので、このUKと いうのは消していただいて、日本よりも医療費が低い国と考えていただければいいかと 思います。例えばアメリカを見ていただくと、医療費は高いけれども、資本と労働の投 入の状況が全然違う。日本に比べると資本が薄くて、労働の投入が非常に手厚い状況だ と思います。この日本の位置をどこへ持っていくのかというところが、まさに政策課題 なのだろうと思います。  次に3頁ですが、従来のような資本集約的あるいは労働節約的な医療サービスの提供、 端的に言えば多くの病床等に手薄な人員配置というやり方が、限界にきているというこ とです。最近よく言われる「医療崩壊」という問題の根本原因も、ここにあるのだろう と私は思っています。  今後の方向としては次の○ですが、もう少し労働集約的な方向に持っていかざるを得 ないと思いますし、既にそういう動きになっていると思います。例えば2006年の医療 制度改革では、全体としては病床数を削減し、看護については7:1看護ということで、 いろいろ混乱はありましたけれども、7:1看護の導入等が行われているということがあ ります。あるいは最近のいろいろな提言を見ても、例えば日本学術会議の提言は非常に いい提言だと私は思いますが、これは看護というよりむしろ医師の需給のほうの話です が、全体としてはかなり労働集約的な方向を目指すべきだということが書かれています。  あるいは最近出た社会保障国民会議の報告を見ると、今回は注目すべきシミュレーシ ョンになっていると思います。「医療・介護費用のシミュレーション」ということで、先 ほどお話があった「改革シナリオ」というB1からB3を見ると、明らかに人員配置を 手厚くしたときにどうなるかということで、現在に比べ1.8倍とか2倍という数字があ ったと思います。そのときにどうなっていくのかが書かれているということで、全体と してはかなり労働集約的な方向への転換が進められようとしていると考えられます。こ れが第1点目です。  2点目で、Lack of differentiation and standardizationというのは、実はOECDが 2001年に出した「Economic Surveys」という日本を対象とした対日経済審査の報告書 の中で、日本の医療サービスの提供についていろいろ評価をしていますが、その中で問 題点としてこういうことを言っています。つまり「機能分化と標準化」が欠けているの ではないか、という指摘です。これは2001年の報告ですが、私はこれはかなりいいと ころを突いた指摘だと思いますし、最近の医療制度改革というのは、これを意識してか どうかはわかりませんが、基本的にこういう方向を向いているのだろうと思います。  例えば医療計画の見直しのポイントは、まさに機能分化です。機能分化によって地域 完結型医療を目指すという話です。あるいは診療報酬体系を見直すことによって、DPC あるいは療養病床の包括払いの導入等を通じた標準化の推進ということがあります。さ らには、クリニカル・パスとか地域連携パスの普及といったこともあります。全体とし て見ると機能分化と標準化が欠けている、少なくともOECDはそういう評価をしている ので、その辺を考えていく必要があるだろうと思います。そういう中で看護職の果たす 役割は非常に重要ですし、質の高い看護サービスが求められるということだろうと思い ます。以上が2点目です。  最後に簡単に3点目として、需給見通しの策定に関して若干の意見を申し上げておき たいと思います。そもそも需給見通しをなぜ策定するのかということですが、これはも ともとは、まさに看護職員が非常に不足するという時代があって、先ほどお話がありま したように基本指針を定めたり、いろいろな政策あるいは法律まで作って対応するとい う中で作られたものだろうと思いますが、その時代とはかなり様変わりをしてきている。 そういう意味では需給見通しを策定する意義を、もう一度考えてみる必要があるだろう と思います。  1つの視点として、次に「マクロ−メゾ−ミクロ」と書きましたが、現在の需給見通 しというのは国、都道府県からのデータを上げてきて、全体としてまとめるという形を とっていますが、おそらくこの需給見通しの意味というのは3段階あるのだろうと思い ます。国全体としてどうか、都道府県レベルでどうか、個別の医療機関のレベルでどう か、この3つがあると思いますが、そこを通じての1つの「見通し」ということだろう と思います。  実際には各レベルで相当齟齬が出てくる。つまり日本全体としては需給が一致してい ても、都道府県レベルでは崩れているということがあり得ますし、あるいは都道府県レ ベルで需給が仮に一致していても、個別の医療機関では十分でない、あるいは不足して いるということがあり得る。そうすると、これは、各レベルにおいてどういう適切な政 策を展開するか、ということと込みの話だろうと思います。  最後の4頁ですが、需要と供給それぞれの推計上の問題ということで簡単に申し上げ ます。「需要推計上の問題」としては、言うまでもなく病院と診療所で8割以上のシェ アを占めているということですから、ここを押えると大体8割のところがわかることに なります。その一方で介護施設等、需要が多様化しつつあるということも事実ですので、 その両方を押えていく必要があるだろうということが1つです。  それ以上に難しいのが、医療制度改革の影響をどう見込むか、どう反映させるかとい うことです。残念ながら2006年の改革では全然盛り込まれなかったというか、第六次 の見通しによると、「医療制度改革等を踏まえた適時適確なものとすることが求められ る」ということが文章の中に入っています。たしか最後の検討会で「これはどういう意 味ですか」と質問したことがあるのですが、なかなかこれは難しい問題だと思います。 あとで対象期間のところでもう1回、お話をしたいと思います。  「供給推計上の問題」としては、先ほど2つに分けましたけれども、1つは新卒の就 業者の推計ですが、これは学校や養成所の動向等を踏まえて、ある程度正確に把握する ことが可能な部分だろうと思います。それに比べると再就業者数とか退職者数の推計は 労働市場の動向の影響を受けますので、経済状況に応じて動き得る部分である。そうい う意味ではここは推計が難しい部分だろうと思います。  そういう中で、いわゆる「潜在看護職員」をどうやって把握するかというところが1 つの課題になってくるわけです。「免許登録制」のようなものを採用してはどうかという 意見があるようですが、これについてはその費用対効果というか、免許登録制を新たに 入れるというと大変なコストがかかるわけで、それに比べてベネフィットがどうかとい うことが問題になります。あるいは他の施策、例えば研修であるとか再就職支援といっ た他の施策と組み合わせて、この問題というのは考えていく必要がある。免許登録制だ けを採用すれば何とかなるということではないと思います。  最後に「対象期間設定上の問題」ということです。最近の2回の見通しをは5年計画 ですが、かつては10年計画ということで長い期間を見ていたわけで、その辺をどう考 えるかということです。医療制度改革ということになるともう少し長期という話が出て きますが、一方で診療報酬改定は原則2年に一遍行われているわけですし、介護報酬の 改定も3年に一遍ですので、そういう観点からは5年でも長いということになろうかと 思います。  考えなければいけないのは、例えば10年というような長期の計画を作ることも考え られるわけですが、やはりブレが相当大きくなる危険があるということです。そういう 意味では仮に10年と設定したとしても、ある程度の期間、例えば5年というところで 中間見直しが必要になるのだろうと思います。そういう意味では、結局、5年計画とあ まり変わらない形になってしまうのかなと思います。特に昨今のように医療制度が大き く動いているときに、長い期間を対象期間とすることにはかなり無理があるように考え ているところです。早口になりましたが、私からの問題提起は以上とさせていただきま す。 ○田中座長 ありがとうございました。尾形先生への質問でも結構です。また看護職員 の需給に関するご意見でも結構です。委員の方々からのご発言をお願いします。 ○井部委員 2点お伺いしたいのです。1点目は需要という概念ですけれども、これは ある程度国の制度に則った、あるいは診療報酬上の制度に則ってカウントしていくもの だと思いますが、往々にして現場ではもっと高いニーズがあるにもかかわらず、需要と いう点では押えられてしまい、現場の認識との乖離がいつも感じられます。それはどの ように考えたらいいのかということが1点目です。もう1つは潜在看護職員の把握のと ころで、免許登録制よりはもう少し効率のいいものがあるのではないかという点につい て、もう少し説明していただきたいと思います。 ○尾形教授 ありがとうございます。2点目のほうからお答えしますと、免許登録制よ りも効率のいいものという意味ではなくて、免許登録制だけでこの問題に対処しようと するのは、あまり効率的ではないのではないかというつもりで申し上げました。ですか ら先ほども言いましたように、例えば研修であるとか、他の施策と組み合わせてどうい うふうに考えるのかという、そういう意味で申し上げたということです。  1点目は確かに、まさにニーズとディマンドというのでしょうか、これは別に看護の 問題だけでなくて、医療そのものについてもあるかもしれないと思いますが、そこはな かなか難しい問題だと思います。ただ、実際に公的な見通しを作るときには、それなり に現行制度あるいはそこで規定されていることを前提として、考えなければならないと いう部分はどうしても出てくる。そういう意味では現場の実感とズレてしまうというの は、ある意味でやむを得ないところがあると思います。  ある意味では、こういう需給見通しのほかに、望ましい姿を描いた図のようなものが 本当はあるのかもしれない。あるいはいろいろな経済見通しや人口の見通しでもそうで すけれども、上位推計とか中位、低位推計といったやり方もあります。そういったこと も本当はあるのかもしれないと思います。ただ、どうしてもこれはいろいろな政策の指 針となるものですから、一本化して需給の見通しという形で現行制度をある程度前提と した上で、そこが5年なら5年の間にどれだけ変わるかということで、立てざるを得な い面があると考えます。 ○西澤委員 尾形先生、ありがとうございました。関連して看護職員の需給に関しての 意見を述べさせていただきます。資料5-1を用意しましたので参照いただければと思い ます。おそらくこの後、また看護の需給見通し等を立てると思うのですが、現場ではど うなのかということで参考にしていただければと思います。  前回は平成17年に、この需給の見通し検討会が始まったと思いますが、それと時期 を同じくして病院団体でアンケートを行いました。これは四病協で行いましたので、会 員病院5,546病院に出しました。このとき日本全体では約9,000ぐらいの病院数だった と思います。約6割ぐらいの病院です。病床規模とか都道府県別はその下に書いてある とおりです。40.2%の回答率でした。  実際、看護師や准看護師が充足されているかどうかですが、全国で件数と%に分けて ますが、「できている」はほぼ50%です。50%は「できていない」「時々不足している」 というデータが出ています。特に政令指定都市などの大きい都市のほうが「できている」 という率が高く、地方のほうは若干少ないというデータが出ていました。准看護師の場 合は「できている」が80%前後で、看護師よりは充足率が高かったというデータです。  次の頁は、充足している、していないにかかわらず補充難易度はどうかを聞いたもの です。実は「困難」が70%弱ということで、充足している病院でも補充はなかなか大変 だという現状です。これも政令指定都市よりそれ以外のほうが困難度が高いということ で、地域差ということを十分考えないといけない。全国一律の規準ではこういうことが 起きると申し上げたいと思います。  次の頁で、これは病床規模別でみると面白いのですが、看護師のところで「希望する 看護師数が時々不足している・確保出来ていない」というのは、200床以上の病院のほ うが多く、ちょっと意外なデータでした。逆に「看護師の採用が困難」なのは規模が小 さいほうで、おそらく大きい病院はかなり人数はいるけれども、もっとほしいというこ とで、医療法や看護基準上はクリアしていても、実際の人数としてはほしいという希望 があったと思います。実際、確保しようと思った時には大病院のほうが確保しやすいと いうデータが出ています。こういう特徴がありました。  次の頁で、開設主体別では時々不足・確保出来ていないというのは、公的病院の方が 多いのですが、その下を見るとわかるとおり、採用が困難だというのは医療法人・個人 病院で、これも逆のような現象が出ています。これは医療機関だけですけれども、最近 聞こえてきたのでは、老人保健施設等々の介護施設で、地方に行くと介護職員よりも看 護職員の確保のほうが難しいという声が出ていることを、お伝えしたいと思います。  「平成18年4月診療報酬改定に関する緊急アンケート」ですが、いま尾形先生のお 話の中で診療報酬での影響ということがありました。まさしくこのような制度改革が、 看護師の需給にどれだけの影響を与えたかという簡単な資料です。下に頁を振ってあり ますが、簡単に言うと、18年度改定で7:1看護が新設になったのと、同時に夜勤勤務等 看護加算が廃止され、夜勤時間が72時間以下であることが通則に入り、72時間を満た さないと減算ということではなく、一気に「特別入院基本料」575点と、非常に低い点 数に落ちたということがありました。また看護師比率も、今までは2.5:1では70%以下 40%以上の減算だったのですが、これも70%以上が条件となり、クリアできないと減算 ではなく1つ基準が下がるということで、これは非常に病院経営に大きな影響を与えた ということです。  アンケートの結果ですが、2頁は設立主体等を書いています。これも40数パーセント の回答率でした。3頁に簡単に結果を書いています。結果として上の四角の中ですが、 7:1、10:1以上の病院が699ということで、「旧2:1を遥かに上回る」と書いていますけ れども、2:1が実は546です。これは抜粋だったので抜かしましたが、546病院が旧2:1 以上なので、本来であれば7:1と10:1で546病院であるはずが、ここが一気に699に 増えたということです。点数が高いということで、一気に7:1のほうに誘導されていっ たという事実があります。またその結果として、先ほどの夜勤加算等を含め、特別入院 基本料を取る病院が30病院と急に増えました。このような病院は病棟閉鎖や倒産に追 い込まれたという事実があります。  4頁です。回答病院で今回の診療報酬改定についていろいろな評価がありました。859 病院が今回の改定は良かったということで、「制度が判りやすくなった」「看護師の夜間 勤務等、勤務条件が良くなった」「7:1という手厚い区分が出来た」という回答がありま した。これは、比較的都市の病院であって、大型の病院でした。逆に悪いと思われると いうことでは、過半数以上の1,300病院が悪いと言った。どういうことかというと、「看 護師の引き抜きなど、看護師不足に拍車がかかる」「看護師の就職条件が悪化する」、下 のほうに「中小規模の医療機関に厳しい改定である」とあります。  平成18年度の診療報酬改定で、看護師の需給に変化が起きたということですので、 今後需給見通しを立てるときには制度の改定によって、このようなことが起こり得るこ とも考えていただければと思っています。いちばん最後の頁にまとめて書いてあります ので、あとでお読みいただければと思いますが、要するに診療報酬改定などの制度改革 は、その影響を十分検討、考慮した上で行うべきだと思っています。以上、追加意見で す。 ○田中座長 貴重な資料をありがとうございました。 ○森委員 2点ほど質問がございます。第七次の需給見通しの策定に当たっては、どの ような医療提供体制が前提なのかというのが非常に重要だと思っています。1つは、先 ほどご説明いただきました尾形先生の労働集約的な方向で立たれるというような、いま の状況はその方向で行っていると考えてよろしいのかどうかという質問です。  もう1つは第七次需給見通しに当たっては、供給推計上の問題として新卒就業者の推 計を置いていただいていますが、修業年限の延長もこの委員会で話題になっています。 この修業年限の延長は需給バランスに多大な影響を与えると思いますが、その辺につい て、先生はどのようなお考えをお持ちか教えていただきたいと思います。 ○尾形教授 ありがとうございます。後のほうからお答えしますと、確かにいろいろな 制度そのものが変わっていくという先ほど西澤先生からもお話がありましたが、それを どこまで需給見通しに反映するのかは結構難しい問題です。タイミングの問題と、その 時点ではなかなか影響を正確に測れないということが当然あるだろうと思います。おっ しゃるような制度改革がもしあるのであれば、それはできる限り反映をさせていくとい うことだと思いますし、私は大きな制度改革があった場合には、途中で見直すことがあ ってもいいのではないかと思います。それはもちろん、先ほど言いましたように対象期 間をどのように取るかにもよるだろうと思いますが、そういうことも考えていいのでは ないかと思います。  1点目ですが、全体としてより労働集約的な方向に向かっていることは間違いないと 思いますが、どこまでいくかということになると、いろいろな考え方、意見があるだろ うと思います。個人的には、今回の社会保障国民会議の「改革シナリオ」くらいがいい と思っていますが、それは非常にドラスティックだという意見も当然あると思いますの で、どこまでいくかについてはいろいろな考え方があるだろうと思います。ただ、少な くともこれまでよりは、はるかに労働集約的な方向に進もうとしているのではないかと 思います。 ○森委員 看護系大学では、保健師、助産師、看護師免許を4年間で取得できるような 教育をいま行っていますので、第七次需給見通しの策定に当たって、修業年限の延長と なったときに、看護師、看護職員の確保というところから、この4年制大学のような教 育形態のメリットも注目して検討していただきたいと思っています。仮に大学の4年間 で看護師だけを養成するという仕組みに移行した場合に、保健師、助産師の養成はどの ような教育機関が担うのか、需給バランスを踏まえた議論が必要となると考えています。  私ども国立大学の場合は、専攻科や大学院における助産師・保健師の資格者の養成は、 教育の効率性、採算性、教員の確保の観点から非現実的と考えていますので、質の向上 と量の確保という点でご検討いただけたらと思っています。私は4年制大学の中で助産 師教育も担当していますが、助産師の場合は既に大学院で教育している機関もあります ので、学士課程において助産師教育を受け、助産師免許を取得して2年間の助産師とし ての実務を経験した上での大卒3年目の実践能力と、看護系大学卒業後すぐに大学院に 進学して助産師教育を受け修了し助産師免許を取得した大卒3年目の実践能力との比較 などをして、養成コストと見合った成果があるかどうかの検討が必要かと思っています。 職員の確保について、質と量の両面から、第七次需給見通しではご検討いただけたらと 思っています。 ○坂本委員 教育の話はありますが、とにかく看護師はいったいどうなっているだろう ということで、坂本と書いてある資料を見ていただきたいと思います。「病院就業看護職 の就業者数の変化」というスライドのような資料を作っていますので、見ていただけれ ばと思います。入学定員から入りますと、6.6万人の保助看准というところで入学する ことになります。しかし、その中ではいろいろなことが起こっていまして、定員割れ、 中途退学、その他いろいろあって、最終的に残ったのは、4.6万人が新卒就業と入職さ れます。  入ったら、これも結果としてわかっていることですが、離職率が9.2%あります。就 職してから離職していく者と新卒の離職率を合わせますと、10.2万人離職していきます。 そして、いちばん後ろに書いてあるのが、おそらく1.3万人増えているのは確定でかわ りますので、2005年度末ですが、そこから引きますと6.9万人が何らかの形で就職して いるのではないか。先ほど大久保副院長のお話にあったように、Uターンしたり就職し ているのではないかと、これはあくまでも推計です。わかりません。  この変化にいろいろ起こってくることに対して、それぞれ手を打つことを考えていか ないといけないのではないかと思います。まずは定員割れをしないようにすること。そ れから、中途退学はなかなか難しいものがありますが、看護師を希望した者は、きちん と最後までできるようにする方法を考えていく。いちばん私たちが思っていることは、 9.2%の新卒の離職率が4.6万人の約10%ですから、大変大きい。看護学校からどれだ けの数の新卒者が離職していくかは、大変恐ろしい話です。大久保副院長がお話された ようなワークライフバランスや、多様な勤務形態を作りながら、この離職の10.2万人を 何らかの形でサポートしていく仕組み。それから、この中に含まれている、おそらく何 らかの形では教育が必要だろうと思います。この下に「18歳人口激減に向けて看護師確 保対策は必須」ということで、詳しく説明してあります。  では新卒看護師はなぜ退職しているか。本音はなかなか聞けないものもありますが、 日本看護協会が取ったアンケートの結果によりますと、「配属部署の専門的な知識・技術 が不足している」というのが76.9%です。私はこの会に臨む前に、私どもの大学の4年 生約100人に「これから就職するに当たり、どうか」という質問をしましたら、「大変 不安」という言葉がたくさん出てきます。ここにも「医療事故を起こさないか不安であ る」。医療事故はまだ学生たちは経験していないので、医療事故についてはあまり言いま せんが、仕事ができるかどうかが不安。それから、すぐに行って何か言いつけられたと きに、それができなかったときに患者に危害が加わるのではないかということの不安。 それから、もっと技術を身に付けてから行きたいという不安がたくさんありました。  次は、新卒看護師の7割以上が、どういうことができると思っているか。入職時に一 人でできると認識している技術があるのかということを調べたものです。これも2002 年のものですが、103項目挙げている中の4項目が、確かなご自分の技術としてできる と表現したものです。技術というのは、患者の状況によってはいろいろ変えていかない といけないので、簡単にできる、できないという判断だけではないと思いますが、それ にしても103項目中4項目というのはいかがなものかというのがここに出てきます。  潜在看護師の話に戻ります。先ほど大久保副院長のお話された中で、これも日本看護 協会が「定年退職者看護職員の就業に関する意向調査」をやりました。まず、離職をし た理由は妊娠・出産、結婚です。これは女性が多いです。しかし、それをよく調べてみ ましたら、次の頁に「産前の母性保護制度」というのがあります。病院勤務者です。そ れをもう少し詳しく見てみますと、黄色で塗っている「制度がなかった」が25.8%あり ました。制度は法的にあるわけですので、制度がなかったとしか認識していない。それ から、「制度はあったが実際には受けられなかった」と。何らかの形で受けられない状況 にいた、ということに問題があるのかなと思いました。  次は、新人研修のことです。ここでお話しておきますが、定着確保と新人研修とは大 変関係があると思います。いちばん最後のパワーポイントの「看護職員確保・定着の対 策(効果)」は、管理者等にいろいろ聞いた結果です。そうしますと、先ほどの大久保副 院長のお話にあったように、「夜勤ができなければナースではない」という形ではなくて、 いろいろな形を取り入れることをこれからやらなければいけない。それから、お子さん が生まれて働けるようなことをしなければいけない。3番目に出てきているのは、教育 体制の充実です。この教育体制をこれからどのようにしていったらいいかということが、 ここに現れてきていると読みます。そのあとには、定年後の再雇用制度。これはすでに やり始めている病院がありますので、こういうことをきちんと対策をとっていかないと いけないのではないかと思います。以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。ほかに、この看護職員の確保対策状況について ご意見があるとは存じますが、本日のもう1つの議題に移らないといけない時間帯にな ってまいりました。もしご発言になりたい意見がおありの場合には、ペーパーにまとめ ていただいて事務局にお渡しくださるようお願いします。  引き続き2つ目の検討課題「新人看護職員の質の向上について」に移ります。初めに、 事務局から資料の説明を簡単にお願いします。 ○野村看護課長 資料3-2「新人看護職員の質の向上について」です。表紙には、これ の「主な検討課題」が書いてありますが、前回と同様の内容となっています。資料の主 な項目ですが、大きく3点「新人看護職員の就業状況」「新人看護職員の課題」「新人看 護職員の質の向上に関する取り組み」に分けて準備しています。  1頁は「看護師学校養成所卒業者の就業状況」です。これは平成19年3月に卒業した ものを挙げています。養成所は約9割が病院、短大は76%、大学は80%弱です。短大 が少ないのは進学をしていること。大学が若干少ないのは、助産師として、または保健 師として就業している数が入ります。2頁は、同じ卒業者の就業状況の2年課程です。 これは、准看護師の免許を持って看護師の学校に入ってきたり卒業した者ですが、ここ でも多くが病院に就業しています。短大は数としては非常に少ない状況ですが、先ほど と違うのは診療所が数として少し上がってきているところかと思います。  3頁は、保健師の学校養成所の卒業者です。nが非常に少ないので、見ていただきま すと、養成所は1,000人ちょっとですが、この中でも看護師と保健師の統合カリキュラ ムを採っている養成所は半分近く入っています。ですので、看護師として就業する人た ちも出てきているということです。大学については、保健師として就業した者のみのデ ータになっています。市町村が大部分です。養成所では、保健師としての就業では市町 村が大部分となっています。4頁は、助産師の学校養成所の卒業者ですが、ほとんどが 病院に就職をしています。これも大学については、助産師として就業した者の割合のみ を示しているというところです。  5頁は「新人看護職員の入職時の実践能力」。これは、先ほど坂本委員からも出ていた ものと同じ資料です。新人看護師の主観的回答からですが、先ほどあったように上のほ うは自分でできる割合が高いものですが、下のほうは診療の補助の行為がかなり入って きまして、経管栄養、意識レベルの観察、気道内吸引、皮下注射等々を1人でできると いうのが非常に少ないということが、新人看護職入職時の状況です。  6頁は、医療安全の関係で「ヒヤリ・ハット事例 当事者の職種」です。これは、看護 師が非常に多いです。7頁は、その方々の経験年数がどうかです。これは全職種の経験 年数別ですが、0年と新人が非常に多くて、だんだん下がってきています。11年からは、 10年分を集めてみますと非常に高い数字になっていますが、こういった傾向にあるとい うことです。8、9頁は前回お出ししたものと同じで、「新人看護職員の離職理由」とい う資料です。  10頁は「新人看護職員研修に関する取り組み」です。左側にあるのが検討会、右側に あるのが事業です。平成15年の検討会のときから、新人看護職員研修に関する検討が 行われてきていまして、平成16年の検討会ではガイドラインを策定しました。そして、 その後の検討会でも出てまいりますが、右側の四角で囲ってあることを現在事業として やっています。新人助産師の研修、新人看護職員の臨床実践能力の研修といったものを 現在行っています。  11頁は、平成16年の検討会で出された報告書です。ガイドラインとなっています。 真ん中の大きな枠で囲っているのがコアな部分で、「新人看護職員研修到達目標」。これ は、看護師が1年目に1年間で修得すべきことはどういうことかというのを明示してい ます。詳しいものが12頁に載っていますが、こういった内容のことを1年間に修得す べきことだという目標を立てて、研修を組み立てていただいています。  13頁は、平成20年度において行っている、名前がわかりにくいですが、俗に新人看 護職員の研修のモデル事業と言っています。ピンク色の枠で囲んでありますように、現 在新人看護職員研修は39施設、助産師は19施設、それに加えて指導者の研修も22施 設や13施設でモデル的に実施をしています。簡単ですが、資料説明は以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。では、話題提供に移ります。新人看護職員の質 の向上に関しては、委員である石垣先生と福井先生にお願いしています。石垣先生は、 長年病院の看護部長・副院長というお立場で、新人の看護職員を育ててこられた経験と、 厚生労働省の「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会」などの委員を歴任 されてきたお立場からお話を伺います。福井先生には、医師の臨床研修制度に関わられ てきたご経験と、看護師の新人の研修を積極的に施設内で行っておられる聖路加国際病 院の現状などを含めて、ご発表をお願いしたいと存じます。  では、石垣先生からよろしくお願いします。 ○石垣委員 私は、ただいまご紹介頂きましたように平成16年3月に報告書が出され ました「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会」の委員をいたしました。 その内容を踏まえ今日は主にこの報告書の考え方を中心に述べます。  ご存じのように、看護師の3年課程の教育と実習時間は、この表にあるように推移し ています。指定規則が制定された1951年は5,077時間で、実習は108週以上となって います。1967年に第1次改正、1989年に第2次改正、1996年に第3次改正が行われ ましたが、教育時間はこのように変化していますし、問題は実習時間が第2次改正で 1,035時間になりましたが、第3次改正ではこれに在宅看護実習と精神看護実習が加わ りました。実質的な実習時間の減少になっています。言うまでもなく、ナイチンゲール は看護そのものを教えるのは病棟だけであると言っていますが、私もそれを信じている 者の1人です。いまの学生は、学ぶべき知識の量が非常に増えていること。修得すべき 技術の質、量ともに変化しています。一方、臨床の場は1960年代すべての人間の手で 行ってきたある意味で非常に素朴な現場から、ハイテクに武装された現場に変化してい るという状況もあります。  私が勤めていました「東札幌病院」の事例を簡単に申し上げたいと思います。今年度 の状況ですが、232床で5病棟あります。そのうち緩和ケア病棟が1棟で、日本の医療 を支えている一般的な中小病院の1つとお考えいただきたいと思います。進行・再発・ 末期がんの患者が、全体で約7割いる特徴を持っています。  看護師数は今年131人で、そのうち准看護師は1人。そう遠くない昔は160人の看護 職員がいました。それが、他の専門職の増加によって看護師数が減ったという現状があ ります。例えば、メディカルソーシャルワーカーを5人体制にしたとか、薬剤師の数を 増やしたとか、リハビリの点数は全く取れないですが、リハビリのスタッフを採用した とか、音楽療法師とかチャプレン、いわゆる心理社会的な側面に対するケアの専門家を 準備したということがあります。それから、ナースの専門性を高める教育、補助者の導 入、もちろん業務改善などに力を入れて、現在この数字になっています。  年間採用数は今年は21人。うち新卒は11人で、大卒が6割、3年課程が4割です。 昨年の退職数は12人。新卒はこの4、5年は1年以内の離職がゼロです。入院基本料は 10:1をとっています。新卒を11名しか採らないというのは、5病棟しかないものです から、責任を持って新人を育てるためには10名から多くても12、13名です。  「1年目研修」で大事にしていることは、平成16年に出された先ほどの報告書を基に、 より具体的に個別的に改善しました。大事にしている2つの柱があります。「生活の営 みを整える援助技術を学ぶ」ことと、「事例を通して患者の全体像の把握ができる」とい うことです。看護技術に関しては、主任補佐という立場の者が各セクションに2人おり、 その人たちが責任を持ってプログラムを作り、指導に当たっています。自分の部署にい る2名くらいの新人に対しては、主任補佐がその成長に合わせて個別に指導ができると いうメリットがあると思います。そのほかに、技術に関しては専門看護委員会というの があって、その委員会が主催する技術指導というのもあります。  報告書にある看護技術を支える要素の3つと、看護実践における管理的側面や安全、 感染予防技術。すなわち、看護が行われることに伴う全体像を、1年生のときからしっ かり把握しながら技術教育に力を入れることを大事にしました。事例は、毎年対象疾患 が違いますが、今年は乳がん患者の全体像を把握・アセスメントし、看護計画を立てる。 そして、自分の受け持った患者の事例をまとめて、発表して評価し、プレゼンテーショ ン能力を身につけるというのがあります。  「新卒看護師教育」で工夫しているところは、集合教育での看護技術以外はメディカ ルソーシャルワーカーとか、リハビリのスタッフの1年目と合同で研修している。すな わち、職員が一緒に育っていくことを大事にしていることと、技術教育については、い まはかなりの病院でやっていると思いますが、就職前からいちばん事故の多い与薬に焦 点を絞って教育をしていること。それから個別の相互研修といいましょうか、マニュア ルはありますが、それがかなり個別になっていまして、どこまでできて、何がわからな くて、何が問題かということを、個別に1年間を通してサポートできるようにしている こと。 それから、全体のケアの統合能力を高めることでの事例発表です。  4年前まではプリセプター、いわゆる実地指導者を3年目ないし4年目のナースが担 当していました。しかし、1年終わるときにプリセプターのほうがバーンアウトしてし まうというのがあって、3年ぐらい前から病棟の主任がプリセプターをしている。そし て屋根瓦方式を重視して、みんなで育てることを大事にしています。主任がプリセプタ ーになったのは、いちばんわからない時期にエキスパートの技術やケアを見せて育てる ことが大きな理由の1つでした。  そして、先ほど申し上げました次の頁にある「臨床看護能力の構造」。全体像を把握し ながら、いま学んでいることにつなげるということを大事にいたしました。そういうこ との結果、1年以内の離職がこの4、5年はゼロになりました。ヒヤリ・ハットはもちろ んありますが、インシデントが減少した。中堅ナース、いわゆる3年目から5年目ぐら いのナースの成長と定着率が向上したこと。それから、多職種間の連携の強化・組織文 化の浸透と共有。すなわち組織が何を大切にし、どこへ向かっているかを毎回の研修で いろいろテーマを変えながら話すことを重視していることです。そして、1年生のとき から専門職として、目指すべき組織の価値観を強調していることです。  新人を育てるときの核になる中間管理職との話合いも大事にしています。看護師長た ちに共通していたのは、例えば、最初は「生活の営みを整える」というケアに徹するこ と。それから、新人のゆとりを大切にして、個人に焦点を当てる。それぞれの内発性を 重視し、小さな達成感を共に喜び合う、こころに響くように教えるというか、なるべく 脳の海馬に蓄積するようにと支援するということを強調していました。そして、肯定的 な関わりをし、新人の目標になれる。プリセプター制度の見直しや病院のトップとの縦 のつながり、他職種との横のつながりを大切にする。看護部教育で大事にしているケア をすることと人を育てることの本質は同じで、それは同時に自分をケアする、育てるこ とであるという基本的な考え方を実践するということ。それから、先輩が看護の魅力と 価値を情熱を持って伝えることが大切ということなどを、中間管理職は述べていたこと です。  次の「臨床実践能力の構造」というのは、1年生のときから将来専門職として研鑽し ていかなければいけない、看護職員としての必要な基本姿勢と態度というところをしっ かりと、これは言葉だけではなく、それぞれの新人の成長過程に応じて事例を用いなが ら、あるいは個人の経験を用いながら入れること。それから、夜勤に入る前は必ず管理 的側面の重要性を強調する、そして看護を行うことには必ず管理ということが切り離せ ないものであることを1年目から理解するということです。  私は検討会の委員をしましたので、その後、講習会やさまざまな施設に伺って普及と いうことをさせていただきました。その中で、いろいろな施設から伺ったことは、基礎 教育のところでは実習を引き受けるときに、大卒の人、3年制、進学校とか、同じ看護 師になる人でも教育背景の違いによる問題というのを述べていた。それから、在院期間 の短縮によって、患者の選択と実習の了解がなかなか得られない状況。教員と臨床指導 者の連携が難しい。どちらも非常に忙しくて、もっと協働すれば効率的な指導ができる はずだということ。それから、臨床指導者が専任でいない所が多いものですから、業務 の増加で学生の実習指導が疎かになりがちになるということを話している所が多かった です。  新人の教育に関しては、病院の中で臨床経験年数が3年未満の人が看護職員の7割を 占めるというので、プリセプターにするにはまだまだ未熟だけれども仕方がないという こと。看護協会の調査でも、プリセプターになっている人は3年未満が7割となって、 両方に非常に負担をかけている状況があります。教育方法も報告書は出たけれども、そ れを自分の施設に合った教育システムを作ることができないという意見。それから、報 告書はかなり浸透して実践で活かされていますが、まだまだ地方の中小の病院に行くと 浸透していない現状がある。教育担当者の専任がいないとか、時間的な余裕、能力の問 題で十分な指導ができない。そして、離職防止とか精神的支援と、新人に対して具体的 方策が定まらない。新人に対して、まだまだ未熟だとわかっていても、1メンバーとし て臨床のメンバーに加わらざるを得ない状況で、インシデンド・アクシデントの不安を いつも抱えているなどというご意見を伺うことが多いです。  そういうことを踏まえて、いまは既に超高齢社会に入りまして、慢性疾患や加齢に伴 う心身の障害を持った人が多く、生活重視型医療モデルへの転換は既になされています。 今後、長期的に看護師の育成、新人看護師の定着ということを考えますと、1つは臨床 研修制度の制度化というのは必須だと思っています。資格を取ってからでなければ、実 践できない技術というのがたくさんありますので、そういう実践能力の保証をするため にも資格後の研修が必要である。  それから、施設による教育の差異というのが非常にあって、プログラムの標準化を厚 労省などがリーダーシップを取って、作っていかなければいけないと思います。すなわ ち、どこに勤めても、ある程度の実践能力が担保されることが必要だと思います。具体 的には、臨床研修制度については日看協が提案していますが、医師のようなマッチング システムというのはたぶん向かないだろうと思います。原則的には就業先の病院で実施 して、ほかの施設からも研修を引き受けるとか、厚労省というか国がプログラムの標準 化を作るとか、新人研修に関わる責任者を専従で配置するための制度、それに対する経 済的なサポートというのが必要だろうと思います。  もう1つ大事なのは、基礎教育の期間延長です。ほかの医療専門職なみにしなければ いけないと思っています。特に教育時間、特に現場の状況に即した臨地実習時間の確保 というのは必須です。  基礎教育と卒後研修をどのように連携させるか。教員の数も教員の仕事も非常に煩雑 で多忙を極めていますが、臨床指導者との協働というか、例えば臨床指導者が基礎教育 の場に出ていって演習を見せるとか。あるいは卒後教育の新人を育てる場に、育てた所 の先生が来て、一緒にこのプログラムやカンファレンスに参加するとかということも必 要でしょう。基礎教育の年限期間を延長すると同時に、臨床研修をそれにプラスした、 長期的に見ると私は4年プラス1年の5年教育は当面の目標にすべき、すなわち新人看 護師に対する手厚いサポートは、いまは必須だと思っています。大変概略的なことを申 し上げました。 ○田中座長 ありがとうございました。引き続きまして、福井先生よろしくお願いしま す。 ○福井委員 資料4-4をご覧ください。スライドの資料が26枚ありますが、最初の14 枚が、ご参考までに、医学教育についてのお話ということになっています。医学教育も 先ほど石垣委員がおっしゃったように、知識が膨大化しています。それと同時に、態度 や実技の充実も必要。医学教育は、特に最近はEUの影響があり、世界的な標準化の話 も進んでいます。  3枚目のスライドです。医師の養成課程は大学医学部を卒業して卒後研修、専門研修 と続きます。臨床実習の手前で全国共用試験が行われるようになっています。CBT(コ ンピュータ・ベースト・テスティング)で知識の試験をして、外部からの評価者も加わ って評価する実技試験のOSCEも行われます。形としては臨床実習が2年になっていま すが、内容と期間に大学間の較差があるのが実状です。平成16年から卒後臨床研修制 度が必修化されました。そのあとの専門研修も非常に大きな問題を抱えてはいますが、 卒後臨床研修制度も現在検討会が立ち上がっているように、いろいろな批判があります。  臨床研修のプログラムは、4枚目のスライドから「研修理念」と「行動目標」の項目 だけ列挙しています。5枚目、6枚目は「経験目標」。これは手技的な面と、実際に35 種類の症状を経験してほしいとか、緊急症状・病態、疾患・病態なども具体的に最低こ れこれの経験をするようにと定めています。その例が7枚目、8枚目で、35項目のこう いう症状の患者は2年間で必ず経験するようにと。9枚目、10枚目が症状・病態。10 枚目は、特定の医療現場での経験もすることを定めています。  「指導体制」が11枚目で、研修管理委員会とプログラム責任者、ベッドサイドでの 臨床研修指導医という、少なくとも三層構造で指導体制が組まれています。指導医につ いては12枚目ですが、最も大きな特徴で私自身は大変素晴らしいと思っているのが、 指導医養成のためのワークショップを受けないと指導医として認定されなくなったこと です。この4年近くの間に、全国でおそらく3万人近くが、指導医に必要なノウハウを 組み込んだワークショップを受けています。  13枚目は聖路加国際病院のものですが、いわゆる屋根瓦方式で、卒業後1年目、2年 目のジュニアレジデントには、ほとんど3年目、4年目のシニアレジデントが教えます が、それに加えてさらに上級のドクターも教える。ほかの診療科のドクターも教える。 メンターも付けています。医師以外の職種のスタッフも教え、評価もすることになって います。  具体的な技能の学習というのは、最近は患者の人権の問題も倫理的な問題もあって難 しいのですが、侵襲的な手技を選ぶときにはこのような段階を経て勉強してもらうよう、 多くの研修病院で行われていると思います。以上が、医師の卒後研修についての大まか な説明です。  15枚目からは、聖路加国際病院で行っている「新人看護職員の研修プログラム」につ いてです。16枚目にありますように、今年度の採用看護職員が103名で、そのうちの 93名が新卒です。大卒が90%という構成でした。  先ほど野村課長からもお話がありましたように、「臨床実践能力向上推進事業」をモデ ル事業としてさせていただいています。スライドの17枚目にありますように590万円 近くの助成を受けていますが、私たちのシミュレーションで、研修費用を算定しますと、 1,200万円以上かかっています。この違いは、補助対象者となるのは60人程度で60日 間という原則に由来しています。当院は、今年度に限っては少なくとも93名が新人で、 それに伴う人件費などの差額も関係しています。18枚目は「院内教育の理念」で、時間 があるときに読んでいただければと思います。  19枚目、20枚目に目的、目標を書いていますが、21枚目は具体的にどのような研修 を行っているかです。第1期オリエンテーションは、新人職員のオリエンテーションで す。第2期が約8週間、1人の新人看護師にプリセプターを付けてオン・ザ・ジョブ・ トレーニングを行っているものです。したがって、プリセプターの負担がかなり大きく て、その期間は中堅の看護師プリセプターが100%業務に専念できる状態ではなく、い ろいろな意味で病院の業務を少し削減せざるを得ない状況になります。  そのあと、看護実践のための基礎知識と看護技術などのクラスがあり、22枚目もクラ スを示している。それから、シミュレーションラボでの看護技術トレーニングも行って います。23枚目は、シミュレーションラボで行っている様子です。24枚目は「新人看 護師研修の評価」です。そこに書いてあるように、入職時から始まって、1ヶ月後、3 ヶ月後など6回行っています。25枚目、26枚目は教育体制についての組織図ですので、 時間があればご覧になっていただければと思います。以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。本日は皆様方にあらかじめご連絡したように、 5時30分までの予定でいます。そこで、いまから大体30分間で、ただいまの石垣先生、 福井先生のご発表への質問でも結構ですし、新人看護師に関する研修についてのご意見 でも結構です。ご発言いただきたいと存じます。どなたでもどうぞ。 ○草間委員 厚労省でお配りいただいた資料についてですが、6頁はヒヤリ・ハット事 例数が職種別で書いてありまして、次は看護職の経験年数別で書いたものです。経験年 数は看護師のみに注目して書いているので総体の事例で表わしていただいて結構だと思 いますが、その前の職種は看護師が圧倒的に多い。これは、看護師が現在130万人いれ ば当然です。私たちは各職種の母数がどのぐらいかがわかるのでこれでいいですが、社 会の方たちがこれを見たときに「看護師はこんなに多いんだ」と。これは、私どものよ うに養成する側から考えますと、看護師の社会的評価にも結び付くと思います。だから、 こういう表し方をしていただくとちょっと誤解を与えます。これを新人研修が必要と主 張する資料としてはものすごく突出していていいかもしれませんが、社会に対する誤解 を与えるという点では、こういうのを出していただくと大変だと思いますので、母数を きちんと書いていただくか発生率のようなもので示してもらわないとしなければいけな いと思います。  もう1つは、今日は看護師の教育あるいは研修がメインですが、先ほど森委員からも ご発言があったように、保健師や助産師も看護職の中に入るわけですので、少なくとも 新人で、助産師あるいは保健師として働いている人たちがどのぐらいの人数であるかと いうものを経年的に出していただくと、すごくありがたいなと思います。3頁の資料で すと、大学はnが601人ですのでこのままでいいわけですが、養成所の1,068人に例え ば20%を掛けて、今年は保健師として就職できた新人は800人ぐらいと考えればよろ しいわけでしょうか。保健師も需給バランスが必要ですので、毎年新人で保健師になれ る人がどのぐらいか、助産師として新人で就職できるのがどのぐらいかというのをきち んと把握して、それに見合った供給体制を検討することが必要だと思います。その辺の 資料もご提示いただくと大変参考になると思いますので、よろしくお願いします。 ○田中座長 これは、対応できるようでしたらお願いします。 ○野村看護課長 次回に準備したいと思います。 ○田中座長 酒井委員どうぞ。 ○酒井委員 私だけ今日この会場の中で部外者といいましょうか、医療の現場の専門家 ではないので、私としては新人の看護師に直接取材する形で声を聞いて、この場で意見 が活かせたらなと思って臨みました。  国立病院の新人看護師の皆さんにお話を伺いました。その中で、いま委員からご説明 いただいたところで疑問に思ったところは、新人の研修を行う場合に、果たしてそれは 研修だけを専門として受けられるのか。それとも、トレーニングしながら職場で働いて いくのかというようなところです。彼女たちの声からしますと、現場で看護師として働 いているときに、患者から新米だということで信頼されないデメリットが非常に大きい。 もし、それが臨床の場で研修を受けながらやると、患者からますます信頼されないので はないか。そういう関係性が損なわれるのではないかといった心配の声も上がりました。  また、研修を受けるということですが、いまでも当然研修を受けていますが、彼女た ちは時間外労働でその研修をすべてこなしているわけです。かなり厳しい労働条件の中 で彼女たちは働いていて、さらにその研修が増えていくということは、さらに時間外労 働で拘束されていってしまうのではないかという不安もあるので、果たしてどこまで研 修をすることがいいのかという疑問の声も上がってはいました。先ほど来プリセプター の話も出ていましたが、そのプリセプターも病院によってはそれが功を奏しているとこ ろももちろんあるでしょうけれども、それが逆効果で辞めたいという人も中にはいまし た。だから、どういう方に付くか、どういう先輩に付いて研修をしていくかが、その人 の人生を左右する場合もあるという話が出ていました。  とにかく私が伺った看護師たちは、国立病院の新人ばかりに伺ってきましたが、この まま私たちの勤務状態が続いていけば、自分たちがもう持たない。殺されてしまうか、 いつかゆとりがなくて人を殺してしまうのではないかというのが、最終的な彼女たちの 結論でした。明日にでも私は患者の立場にもなるわけですから、その立場からいくと、 これは一刻も早く解決しなければ、私はとても大病院で入院ができなくなるのではない かという不安がありました。とにかくどうやった体制で、彼女たちに負担にならないよ うに、皆さんに負担にならないような形で研修を続けられるのかが大きな問題ではない かなと思います。 ○田中座長 研修と勤務の関係についての質問かと思いますが、石垣先生、福井先生い かがでしょうか。 ○石垣委員 酒井委員のおっしゃることは尤もだと思います。けれども、基本的な考え 方は、集合教育は勤務時間内にするというのは、ごく当たり前になってきているのでは ないかと思います。研修によって逆に負担をかけすぎないというのは、施設の教育に携 わる人は考えなければいけないこと。それと、集合教育と現場教育、OJTとのつながり をどうするかで、いろいろな工夫をしています。  ある総合病院では、全く性質の違う4部署ぐらいの科が集まって、4部署が合同で4 部署の新人を育てる。そうすると、自分の部署だけの経験ではなくて、けいけんの幅が 広がる。それから、4部署の先輩が他の部署の新人たちに同じように対応することによ って、新人にとってはネットワークが広がるとか、集合教育とOJTのつながりが効果的 になるなどの工夫もなされておりました。  でも、最も大事なのはOJTで、私たちがどこで育つかというと毎日の実践の中で育つ わけですから、その実践をどういう人がどのようにサポートするか。おっしゃるように、 これまでのプリセプター制度というのは1対1で、それこそ相性もありますし、だから といってなかなか変えられないとか、そういう問題もありました。ですので、1対1の 関係を長期間持たないことと、プリセプターになる人はある程度包容力のある人、全体 を見られる人、待てる人、すなわち臨床経験が豊かな人という工夫が現場では必要だと 思っています。  福井先生もおっしゃいましたが、私もその屋根瓦方式で、現場にはさまざまな能力や 立場を持った人、あるいは勤務体制の中でさまざまな人に出会うわけですが、全員が入 ってきた新人を大事に育てるという意識を、組織としてどのように育てるかという組織 文化というのも大事だろうと思っています。 ○田中座長 海辺委員どうぞ。 ○海辺委員 まず伺っていて、駅の改築と同じで、いまある医療をきちんと回しながら どのように持っていくかという難しさがすごくあると思いますが、長期的なビジョンと 短期的なビジョンの両方が必要かなと思います。プリセプターの制度のことを伺ってい ると、潜在的に、キャリアを積んでいま職を離れているような方々もいらっしゃるので、 医師も指導医の資格とかがあると思いますが、看護師の職の中にもこれから指導看護師 の資格のようなところをどんどん誕生させていって、その方々が新しい看護師を教育し ていく制度を考えていかないといけないのかなと思いました。  それから、いまのご発表があったような病院に就職した看護師は非常に幸せだと思い ますが、いろいろとばらつきがあって、かなり病院によって違ってしまうことがいちば ん大きい問題です。離職率の高い病院と低い病院というのがデータとしてわかる部分が あろうかと思うので、離職率の高い病院に対してはどんどん指導していかないといけな いのかなと感じました。  教育を受けた環境が違うところも今後大きな問題かなと思うのが、少子化の中では私 も子供を2人育てておりますが、一生腐らない資格を持つというのはとても大事なこと だとは考えておりますけれども、やはり高校卒業のころのまだ人生を知らない時点で方 向を決めていく場合を考えると、きちんとした大学卒業資格のようなものがさらに付い ていてくれたほうが、親としてはありがたいなと感じたりします。やはり養成所、大学 などいろいろと機関が分かれている部分も、将来的にはきちんと統合していくことを考 えるべきではないかと感じました。 ○石垣委員 離職防止はもちろん非常に大事なのですが、離職防止は目的ではないと思 うのです。結果だと思うのです。新人看護師を教育しようと思えば、病院全体がナース の教育をきちんとしていかないと、新人だけが対象になることはあり得ないのです。で すから病院の考え方として、先ほど大久保副院長からありましたが、病院全体として職 員を大事にして、結果は新人が残るのは、やはり組織でみんなを育てるという文化があ るからだと思います。離職を目的にしてしまうと、やはり小手先のノウハウに終わって しまうので、新人だけではなく、ほかの職員も定着するように考えていく。まさしく先 ほどの発表にあった考え方だろうと思います。 ○井部委員 先ほど酒井委員のおっしゃった国立病院のヒアリングの結果について、少 し反論したいと思います。まず第1点は、OJTで、あなたは新人だからと教えてもらっ ていると患者からの信頼を失うのではないかということについてです。最近多くやられ ている、多くかどうかわかりませんが、管理者研修で全国の人たちが集まると話題にな ることですが、新人ですということを明らかにする。例えばワッペンを付ける、名札の 色を変えるなどということで、新人でいま私は教育を受けている、ということを明らか にすることによって、患者が新人教育に関わってくれることがあるということです。や たらに隠さない。新人なのに新人ではないふりをしたり、顔つきをすることはないとい うことです。これまで私たちはいろいろ隠してきたと思います。准看護師は准看護師で はないように、同じユニホームを着て、同じことをしてきて、世の中の人にはよくわか らないような状況があったので、まずそれは私は1つ反論したいと思います。  それからプリセプターは逆効果ではないかという意見がありました。確かに問題のあ るプリセプターもいますが、基本的には指導医のように指導看護師、いま海辺さんがお っしゃったような、トレーニングをある一定程度うけた人が臨床で指導するということ を、もっときちんと制度化をするという点では、臨床研修制度を看護師にも設ける必要 があると思います。私の経験では多くの新人は優れたプリセプターの影響を受けて、ず っと生涯「私の先生はあの人」というようなことを認識しています。必ずしも現場で教 える人がみな逆効果を生むということは決してないと思います。役割モデルとして非常 に優れた先輩が多く指導に当たっていると思います。  先ほど福井委員からは8週間プリセプターということで、これは聖路加国際病院はず っとやってきたことです。けれども、先ほどの厚労省の新人研修期間の報告は1年です。 しかしある一定の役割を持って、契約を結んで研修をするという関係性は、1年という のは長すぎるのではないかと思っているので、そこは今後検討する必要があると思いま す。いずれにしても新人を当初から1職員としてカウントせずに、やはりある一定期間 の研修制度をきちんと設けるべきだと思います。 ○太田委員 わずか2%しかいない訪問看護のことです。1996年に第三次の改正があっ て、在宅看護実習が教育の中に入ったというのは、訪問看護の重要性が認識されたから だと思います。ところがいまのご議論を伺っていてもそうなのですが、訪問看護をやり たいと思った看護師は一体どの時期に、誰が、どこで訪問看護を教育するのだというこ とが疑問なのです。ここには看護教育のプロの方がいっぱいいらっしゃるので、一体訪 問看護師になりたいと思ったら、どういうコースに乗っていればいいですか。 ○田中座長 どなたかお答えになりませんでしょうか。 ○井部委員 きちんと確立したコースはないので、経験的にこれまで多く見られたのは、 一般的に内科、外科を経験して、最初から、就職したときから訪問看護師になりたいと いうキャリアプランを持っている人たちですけれども、内科、外科、場合によっては小 児科をやる人もいますが、いずれにしても訪問看護師の基礎的な知識、技術を付けるた めに一定程度臨床で仕事をして、大体3年過ぎると部署の配転を申し出て、それで訪問 看護科にいく。あるいはいまは訪問看護の認定看護師のコースもあるので、そのような コースを受ける。一方ですすめている認定看護師のコースを指導している者からすると、 新卒ですぐに訪問看護ステーション、あるいは訪問看護科などに入って、そこから内科、 外科などに国内留学のような形でやるということをすすめていると聞いておりますので、 二通りあるのかなと思います。 ○太田委員 実際に訪問看護を学べる医療機関が、どのくらいあるのでしょうか。 ○石垣委員 おっしゃるとおりだと思います。訪問看護の在宅ケアのニーズが高まって いるにもかかわらず、それを担う人がいないというのは非常に問題だと思います。臨床 看護の質を高めるという視点で、5年以上のナースは訪問看護ステーション、同じ法人 の中に2つありましたので、訪問看護を6ヶ月間経験するということをしました。同時 に、訪問看護に携わっている人が臨床にきて、アップツーデートの緩和ケアのノウハウ や考え方も含めて学ぶということで、そういう交流の仕組みを行いました臨床の質を高 めるためには訪問看護を経験すると、とても視野が広がって技術にも自信がつきますの で、そういうことも考えていいかなと思っています。 ○田中座長 訪問看護について秋山委員はいかがですか。 ○秋山委員 私は前回も申し上げたのですが、これからは国際比較で見ると、例えばノ ルウェー、アイルランド、デンマークその辺りは大熊委員のほうが詳しいのですが、看 護職員の数が多いのに病床数が少ない。では一体どこに看護職員は勤めているかという と、在宅だと思うのです。これからは在宅の分野に医療が拡大していく中で、では新人 の時代から訪問看護もやれる人をつくるにはどうしたらいいかというときに、医師のよ うな臨床研修制度で、ローテーションの中に在宅、訪問看護の分野も入って、そこを何 かしらの形で給与面等でバックアップしていただかないと、弱小企業の訪問看護ステー ションはなかなか難しいという状況があるかなと思います。それが意見です。 ○田中座長 大熊委員、その後に大久保先生に先ほどのことをお答えになってください。 ○大熊委員 私の娘は医者ですが、医学部教育の中で在宅ケアを実践している医師の所 に学生時代に研修に行ったことが、非常に大きな影響を与えています。看護教育の中で も在宅の研修を充実してはいかがでしょうか。先ほどおっしゃったデンマークなどでは それが組み込まれているということがあります。  石垣先生はテレビでは拝見しているのですが、直々に伺うのは初めてです。大久保先 生、今日は、希望の持てるお話を聞かせていただきました。  深刻な問題は、坂本委員資料5-2です。これをみんなでもっと深刻に考えなければい けないかなと思っております。2の上を見ると、とにかく定員割れをしている。昔は二 八闘争というのがあって、あまり苛酷な勤務なのでやめていくことを私たちは報道して きたのですが、看護師の学校が定員割れするという状況はありませんでした。前回配付 された黄色の資料の中にある1枚目の人口の逆ピラミッドをもっと深刻に考えるべきで はないでしょうか。若い世代の母数がこれだけ減ってしまった状況で、どうしたらいい かという入口のことを考えないといけないかと思います。  そのことから言うと、どういう大学、どういう看護師養成所で、どのように定員割れ、 倍率の違いがあるかという基礎データを見せていただくと、どういう所だと少ない若者 たちをこの分野に引き込めるかというヒントが得られるのではないかと思います。  やっと確保した人の中途退学がこのようにたくさん出てしまうのは、看護の素晴らし さをきちんと先生方が教えていらっしゃるのだろうかと心配になります。特に大学の教 員の場合は、修士、博士の称号が大切にされていると伺っています。放送大学の番組で 拝見していると、現場での生き生きとした話が盛り込まれていない方がおられます。今 日の石垣先生のようなお話がもしも盛り込まれた上で、アンダーソンがどう述べた、ナ イチンゲールがどうしたというのならば、身に付くと思うのですが、何となく外国の教 科書をそのまま言っていらっしゃるような節が見えます。これは臨床をもうやめてしま った方、または臨床があまり好きではない方が教員になっているのではないかなという 危惧がいたします。  いま私は「医療福祉ジャーナリズム」分野の大学院生を受け持っていますが、長くジ ャーナリズムの世界にいたのと、いまもジャーナリストを続けているから、若い院生さ んをワクワクさせる、アジテーションができるのではないかと思っています。  看護学生を確保できないこと、その上、中途退学してしまうという問題についても、 もっと深刻にここで議論すべきではないか。そのことは、教育年限を3年から4年、大 学をもっと増やすということにつながってくるのではないかと思います。 ○田中座長 教育については次回取り上げて、改めていたします。 ○大久保副院長 もうお話が展開してしまったのですが、最初の新人の看護師について ですが、井部委員もおっしゃっていましたが、患者さんとの信頼関係を保つために、身 分を表すということで、当院でも「新人です、よろしくお願いいたします」というきち んとしたものを付けております。これは3ヶ月付けておりまして、身分を明らかにする。 これは大事なことだと思います。もう1つは、精神的なフォロー、メンタルフォローに なると思いますが、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、精神的に落ち込む段階で、まず1ヶ月目は 病棟の師長、所属長の面接を行います。3ヶ月目は専従でいる教育担当の面接を行いま す。そして6ヶ月目が臨床心理士の面接を行います。この3回の面接というのがとても 効果的で、現場では活きていると思います。  もう1つ、先ほどの新人の離職率が9.2%。確かに看護職になりたくてなった人ばか りではございません。親の勧め、受かったからなどいろいろあります。そこを専従の教 育担当者がずっと対話していくことによって、看護が好きになるという現状があります ので、専従の教育担当者というものを付ける必要があると思いますので、これは何かの 方法で広めていったほうがいいというような思いもしています。  もう1つ、訪問看護に関してですが、病院に訪問看護ステーションがあり、そこにロ ーテーションで行くメンバーはいろいろ悩みます。やはり最低限いろいろな科を経験し て、看護観があり、看護職としても、専門的にも成熟していらっしゃる方というような 選び方をいたします。そして日本看護協会が行っている研修を終えているという基準を 設けてはおりますが、何かそういったラインがあるといいようにも思います。今後それ も検討していくところかなとも思っております。 ○坂本委員 この資料は看護協会からいただいたものですが、、例えば福井先生がお話し た聖路加の新人研修など、大久保副院長が出されたものもありますが、すべての病院に 就職している看護師がきちっとした新人研修を受けるべきであって、余力がある病院、 大変一生懸命頑張られる病院が受ける、そして大変疲弊している病院ができない、こう いうことはあまりよくないと思うのです。  平成16年度に厚生労働省から出された新人研修のガイドライン、指針と到達目標は いろいろな病院で聞いてみると、大変役に立ったといわれています。それはなぜかと言 うと、国がこのような方針をだしていることだったわけです。いろいろな病院がそれぞ れやっているのではなく、看護の教育に対してはこのように考えているということを、 まず出すべきだと思います。それでもできない病院というのはいっぱいあって、西澤委 員が出されたように300床ぐらいの病院が大変でしんどい、確保もできないという状況 があるということ、したがってそれもきちっとフォローしていくような体制を作るべき だと思います。できる病院だけがやっていくというようなことでは駄目だと思います。  もう1つは、例えばあるレジデントの話を聞いたのですが、初めて点滴をしてくださ いとナースから言われた。そして点滴をしに行った。大変自分がドキドキして、原理原 則を頭に浮かべながらようやくやれた。そして帰ってくるときにきちんとやれたかなと、 何回も振り返りながら考えた。そのときに頭に浮かんだのは、学校で学んだこと、教科 書で学んだことだけでは役に立たないということに気がついたと。それが臨床に身をお いて学ぶということだと思います。それは臨地実習などでは経験できない、若干ソフト なハラハラ、ドキドキというものがおそらく臨床に身を置くということだと思います。  ただ、そこはいま大変看護師の現場においては、ハラハラ、ドキドキして、こういう ことだったのだと確認していく時間がない。そしていっぱいいろいろなことを教えられ、 3ヶ月や2ヶ月で夜勤に入る。これではこういうことがあったのだと内省して、自分の 中で確認していくというような状況はおそらくないのではないかと思います。  まずは母体として、きちっとガイドラインができたわけですから、次にそのような研 修制度を作っていく。それから新人はやはりそのような環境のなかにある。国がそのよ うに指針を出してやっているのが、大変安心するのだと思うのです。いまいちばん怖い のは、何をさせられるかわからない、でも大学や学校で学んできたことはこういうこと だというギャップが、大変新人を不安にさせることになるので、是非新人研修について は一歩前進して、決めていっていただきたいなと思います。 ○秋山委員 私は東京都ナースプラザの委員もしており、東京都ナースプラザの事業で、 中小の病院の新人教育に派遣する専任の教育担当のために、人員に東京都がお金を付け て実験的にやっています。非常にまだ数は少ないのですが、そういう中小の病院の専任 の教育担当を置けない所に、そのようにフォローを入れるということで、少し効果が上 がっているという実態があります。だからいま坂本委員がおっしゃったようなことも含 めて、大きな所はできる、それだけでは片手落ちであると確かに思います。 ○中山委員 言おうか、どうしようかとさんざん迷ったのですが、福島県という地方か ら来ている私としては、やはり発言しなくてはならないかなと思いました。今日は大久 保先生が福井県だったのですが、この看護職員の中に准看護師が入っている問題を抜き にはできない。尾形先生の需給見通しの中にもあったのですが、福島県などは、准看護 師の問題を抜きに需給見通しはできないわけです。  いま私が県の検討会で座長をしていて抱えているのは、准看護師の学校が、例えば定 員が100人であれば、学校の先生たちが頑張ってもせいぜい50人、60人くらいしか定 員が埋まらない。それがこの先続くので、方針としてこれを埋める方向にいくのか、も う来ないならいいということでその努力をやめる方向にいくのか。これは医師会立です ので、その兼合いも出てくるのですが、しかし人がいない中では、准看護師であっても 人がほしいということでせめぎ合いの問題があるのです。  日本の需給見通しの中で、看護職員という形で准看護師が一緒に入っている。そして 現在でも大体看護師が82万人余り、そして准看護師が40万人ぐらい働いているという 中で、需給見通しの問題について私は発言する気はなかったのですが、何か避けて通れ ない感じがしたので発言させていただきました。この問題を置きざりにして、需給見通 しは立てられないなと思っています。 ○田中座長 ありがとうございました。実はほかにもたくさん意見をおっしゃりたい方 がいらっしゃるとは思いますが、私も本当は言いたいことがありましたが。テーマが重 要であること、これだけ多彩な委員がいらっしゃること、そしてそれぞれの四方に討論 のベースとなる報告をいただくこと等々で、どうしても時間が足りなくなります。時間 が足りなくて発言できない、これはしかし伝えておきたいと、中山委員はたまたま最後 に2分ぐらい取れましたが、そうでない方の場合はどうぞペーパーでご提出いただけれ ば、事務局で配っていただけますね。ということにさせていただきたいと存じます。  では予定時刻となってまいりました。本日の検討会はこれにて終了させていただきま す。次回会議の検討課題は「チーム医療の推進」と先ほど大熊委員がご指摘になった「看 護教育のあり方」になります。本日と同じように話題提供をしていただいた後に、意見 交換を行っていく予定です。次回も委員の皆さまから資料の提出、ご意見がございまし たら事前に事務局にお渡しいただければと存じます。では次回の日程について事務局か ら説明をお願いします。 ○寺山看護職員確保対策官 次回第3回会議については、12月25日(木)9時30分か ら12時まで、場所は本日と同じ厚生労働省専用21会議室を予定しております。早朝か らで恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。 ○田中座長 クリスマスの日の朝ですね。敬虔なクリスチャンの方はこの時間は教会に 行かなければならないのではと心配しておりますが、国家の大切なことということで、 お祈りは少し時間をずらしていただければと思います。本日は大久保先生、尾形先生ど うもありがとうございました。 ○井部委員 1点確認をしたいのですが、懇談会から検討会に格上げというか、変わり ましたが、これによって成果物はどのように変わるのでしょうか。 ○野村看護課長 今日はまだ2回目ですので、3回目のご議論を踏まえた上で、考えて いくことになるかと思っております。 ○井部委員 少なくとも論点整理で終わるということはないということですか。 ○野村看護課長 大臣は基本的な方針、これを出すとおっしゃっておりますので、そう いう方向で中間的な取りまとめをすることになると思っております。 ○田中座長 では本日の第2回「看護の質の向上と確保に関する検討会」を終了いたし ます。どうもありがとうございました。 医政局看護課 照会先:看護課課長補佐 島田(4167)     看護課課長補佐 中谷(4166) 電話:03−3595−2206