08/12/05 第6回審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会議事録 審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会  議事録 1.日時及び場所   平成20年12月5日(金) 10:00〜 厚生労働省 専用第21会議室 2.出席委員(5名)五十音順     神 山 美智子、 桐 野 高 明、 杉 浦 幸 雄、 花 井 十 伍、   ◎樋 口 範 雄、 日比野 守 男 (注) ◎座長   欠席委員(0名) 3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)   岸 田 修 一(大臣官房審議官)    川 尻 良 夫(総務課長)   中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備考   本委員会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 ただ今から、第6回「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会」 を開催いたします。本日、先生方におかれましては御多忙のところ、御出席いただきま して誠にありがとうございます。会議に先立ち、配付資料の確認をいたします。まず議 事次第です。報告書は右上に「見え消し版」と書いてあるものと、その見え消し版を反 映したものを二つ出させていただいております。あと、座席表と委員名簿を用意してお ります。  なお、本日は所用により日比野委員が11時ごろに退席の御予定です。そして大変恐縮 ですが、11時半を目途に、所用で高井医薬食品局長と川尻総務課長が退席させていただ く予定ですので、御了承いただければと思います。それでは議事進行を樋口座長にお願 いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○樋口座長 今日は第6回です。ついこの前、第5回で「報告書(案)について」の議論 をいただいて、相当活発な御意見をいただきましたので、その御意見を入れ込む形で、 資料がバージョンアップしたと言ったらいいですか、改善が図られているはずです。こ の報告書(案)を基に、今日は報告書をほぼ確定するという作業を行いたいと思います。 よろしくお願いします。まずは事務局から、バージョンアップされた現在の案について の御説明をお願いいたします。 ○総務課長補佐 前回、この委員会に提出したものからどこが変わったかという点を中 心に、見え消し版で御説明させていただければと思います。目次の2の(3)の5)に、改 めて「本ルールのマネジメントの在り方」というのを項目として立てております。1ペ ージの1の「はじめに」は修辞的な訂正です。2の(1)の「本委員会の基本的な論点に ついて」は、前回の委員会において、教授だけではなく、研究者も入るという御指摘が ありましたので、「教授」を「教授・研究者等」としました。また、「大学」と限定し ておりました書き振りを「組織」として、幅広く対象を明示しております。その下の(1) の「検証方法」という表題の所ですが、書いてある内容が論点ではありませんので、「検 証方法」に変えております。2ページの訂正については、全部修辞的な訂正です。  3ページの上段部分の「米国等」ですが、欧州での同様の利益相反ルールの話につい て、現行の申し合わせを審議していただいた際に議論にあったので、「また、欧州にお ける同種の利益相反ルールにおいて、審議不参加の基準となる寄附金・契約金等の額を 5万ユーロが目安」という形にしております。また、17行目の語尾は「点で厳しいルー ルとなっている」という形でしたが、感情が入っているのではないかという御指摘があ りましたので、事実のみの記載にしております。その他にも訂正は幾つかありますが、 こちらの方は修辞的な訂正です。  4ページの(2)の「報告された調査等の内容」については、調査結果をかなりまとめた 形で書いておりましたが、事実関係のみに着目して、こちらも淡々と調査結果をそのま ま書くという形に訂正しております。この訂正は、5ページの一番上まで続いておりま す。  続いて5ページの(3)です。こちらの書き振りとしては、調査結果の方で事実関係を淡 々と書いたことを受けて、こちらもその状況について、「大学の奨学寄附金の経理方法 に関する規程や管理の状況から見て、現時点において、奨学寄附金の大学内における制 度的な位置付けや取扱いが定まっているといえる状況にはない」という書き振りに変更 しております。2)の(1)は修辞的な訂正です。(2)は全部赤字になっております。前回提出 した報告書では、欧米における組織の寄附金の取扱いの話は後の方に書いたと思うので すが、これを前の方に持ってきた上で、先ほどの(2)の(2)と同じように、感情の入って いる部分はやめて、事実関係のみの記載にしております。  続いて6ページの(3)です。現行の申し合わせでは、学部長あるいは施設長の立場で受 け取っているものの取扱いについて、考え方の記載がないという御指摘がありましたの で、「機関経理される場合の寄附金・契約金等の名宛人は、学部長・学長等の組織の長 とすることが通例であるが、これらの寄附金・契約金等のすべてが学部長・学長等個人 の判断で使用されるものではないため、他の教授と同様、実質的に個人宛てのものを申 告対象としている」というのを新たに付け加えております。その後はそれを受けての修 辞的な訂正です。7ページは特段訂正しておりません。  8ページの5)、「本ルールのマネジメントの在り方」としては、前回の議論を踏まえ て、新たに項立てをしております。「上記1)〜4)の課題に加え、国立大学法人の例を 参考に、利益相反マネジメントの実務を行う第三者的な組織を新たに設置する必要があ るのではないかという指摘があった。一方、現行のルールは簡単明瞭なものであり、運 用における裁量性はほとんど無いことや、審議会は非常勤の委員が対象であることなど を考慮すると、そのマネジメントの実務を担う組織を設けるのではなく、特例的な取扱 いを含めた運用状況の検証や必要な改善方策の検討等を定期的に行う第三者的な組織を 設けるべきとの指摘があった」ということで、ここの部分を追加しております。  3の「薬事分科会への提言」ですが、(1)については皆さんも同意されているとおり、 「審議参加規程」に改めます。(2)の「評価・検討の継続的な実施」については、上に ある「本ルールのマネジメントの在り方」に対応した提言の具体的な内容を追加してお ります。赤字になっている部分で、「今後は、少なくとも年1回、特例的な取扱いを含 めた運用状況の評価や必要な改善方策の検討を継続的に行っていくことが適当である」。 また、「これらの評価・検討に当たっては、現行の申し合わせの4.(8)に示されている 分科会の下のワーキンググループではなく、委員の過半数が外部有識者等で構成される 分科会から独立した評価委員会を設置することが適当である。その委員選定に当たって は、医薬品等によって健康を害した者を含め、幅広い国民の意見を反映できるよう留意 することが適当である」という形にしております。  最後に、9ページの4「おわりに」です。こちらは前回、かなり議論がありました。 情報公開の取扱いに関する、一番最後の段落の「なお」の所ですが、前回の指摘等を踏 まえて訂正しております。具体的に、「2の(3)の1)(2)で示されたアンケート調査の暫 定集計結果によれば、奨学寄附金の経理方法に関する規程や管理の状況から見て、現時 点において奨学寄附金の大学内における制度的な位置付けや、取扱いが定まっていると いえる状況にはない」という部分を、前に指摘しているとおりの文章に変えております。 続いて「また、奨学寄附金の受領に関する情報公開については、国公立・私立での別や 大学ごとに対応に違いが見られた。情報公開の範囲については、個人情報の保護等様々 な観点に留意する必要があると考えられるが、今後、奨学寄附金の位置付けや情報公開 の透明性が一層高まる方向での検討が進められることを望みたい」という形で、最後を 締めくくっております。訂正部分は以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたしま す。 ○樋口座長 前回の案に比べて大きく変わった部分と、字句の訂正等にとどまる部分と があるのですが、議論の仕方としては一応同じ資料を使って、最初のページから順次見 ていくという形にしたいと思います。目次はいいと思いますので、まず1ページの「は じめに」と、下の「検証方法」という表現にした所です。ここは表現にかかわるだけの ところが多いので、余り問題はないかと思いますが。 ○杉浦委員 細かい所ですが、下から2行目の「医学部、」は、「医学部・」の方がい いと思います。 ○樋口座長 ありがとうございます。またお気付きになったら、後で御指摘いただける と有り難いと思います。取りあえず2ページにいきます。これも実質的な部分ではあり ません。もちろん前回出ていなくても、こういう論点もあったのではないかということ をおっしゃっていただいても結構です。  それでは3ページです。これは従来からのいきさつについても、今のルールがどうい う形で定められたかについて、「米国等」というだけであったのですが、実際にはアメ リカのことだけ考えていたわけでもないのです。特に前回、資料等ではヨーロッパの状 況なども見たわけですから、3ページは主としてはヨーロッパの状況もこうなっている という記述を、念のために追加したということです。これも事実関係のところなので、 記述を丁寧にしたということでよろしいですか。  4ページですが、ここは4ページだけで終わるのは中途半端だと思っているので、実 質的には5ページの真ん中辺までですね。長谷川先生の報告の内容を、こういう形でま とめているということで、少し記述を丁寧にしたということです。その調査結果のお蔭 で、こういうことが分かったと記してあります。つまり奨学寄附金等について必ずしも 定まった取扱いが、すべての所でなされているとは言えない状況だということです。そ れで現時点における認識の所までです。ここは新しく加わっている部分でもあるので、 お読みいただいてということにしたいと思います。ただ、今回の趣旨は、この前の調査 結果の要点に、少し数字なども入れながらということだとは思うのです。 ○杉浦委員 4ページの30行目の5)に、「1大学を除く残りの大学で」と書いてあり ますが、上からずっと読んでいくと、「残りの大学でも」の方がいいような気がするの です。 ○樋口座長 すみません、私がちょっと理解できなかったのですが。 ○総務課長補佐 4ページの29行目〜31行目で、「奨学寄附金の経理方法については、 約9割の大学で全て機関経理されていた他、1大学を除く残りの大学でも原則機関経理 が行われていた」ということです。 ○杉浦委員 そうです。その方がいいような気がしたのです。 ○神山委員 今の所ですが、9割の大学の機関経理と、1大学を除く残りの大学の原則 機関経理というのは、どう違うのですか。 ○総務課長補佐 これはアンケート調査の聞き方です。ここに書いてある文章は、すべ てアンケート調査の調査表に書いてある項目と対応付けて、そのままの記載をしており ます。委員の方には前回の資料がお手元にあろうかと思います。前回の参考資料3の10 ページ、回答の所を御覧いただきますと、「すべて機関経理である」という回答が全体 の87.9%ということで、これが約9割です。「原則機関経理」という所が6.1%、これ が「残りの大学でも」の部分になります。3.0%の「機関経理は行っていない」という所 が1大学です。ですから、この調査結果をアンケートに使われた文言を使って書いたと いう形です。 ○神山委員 アンケートを見ないと分からない文章ではなくて、これを読んだだけで意 味が分かるように、「1大学を除く残りの大学で原則機関経理」と言って、「(一部例 外がある)」というようなものを入れておかないと、上と下の文章の意味が、読んだだ けでは通じない気がするのです。 ○樋口座長 そうですね。ちょっと分かりにくいかもしれませんね。「すべて機関経理 されていたほか」というのと、「すべて」に対して「原則」というのを対応させている のでしょうけれども、例えば今、杉浦先生がおっしゃったように「1大学を除く残りの 大学でも」の後に、「一部の例外はあるものの、原則機関経理が行われていた」ぐらい を入れてあげると、原則ということの意味をもう少し説明してあげる形にはなるかもし れません。その方が分かりやすいとは思います。 ○総務課長補佐 ありがとうございます。 ○花井委員 これが読みにくいというか、ちょっと判然としにくいのは、「9割の大学 ですべて機関経理とされたほか」と受けた後に、その残り1割を指していることが判然 としないからであって、「残り1割の大学でも」というのを頭に持ってくれば、このま まであってもスッと入るのではないでしょうか。 ○樋口座長 「残り1割の大学でも1大学を除いては、原則機関経理が行われている」 ぐらいで書けばということですね。 ○総務課長補佐 ここの部分は今の花井委員の意見を反映させて、「約9割の大学です べて機関経理されていたほか、残り約1割の大学でも1大学を除いては、原則機関経理 が行われていた」という形にさせていただこうと思います。 ○樋口座長 それならもうはっきりするかもしれませんね。ほかにはいかがでしょうか。 ○日比野委員 もし今の所を明確にするならば、「すべて機関経理」をカギ括弧でくく って、同じように「原則機関経理」もカギ括弧でくくっておいた方が、はっきりすると 思います。 ○樋口座長 これとこれが対応しているという趣旨を、より分かりやすくということで すね。  それでは次に移ります。私はページごとと言っていましたが、5〜6ページにかけて の「組織の取扱い」というのは、分断して議論していただくわけにもいかないと思うの です。これは前にもあったものを、ただ場所を移しただけという御説明がありました。 その上で、6ページで、学部長・学長等の長の名前で寄附金等があった場合について十 分触れていなかったので、これを入れたわけですね。こういう形で入れておいてよろし いかどうかというのを、少しお考えいただきます。 ○神山委員 6ページの「現時点における考え方」に、これを入れていただいているの はいいと思うのです。しかし、この文章は考え方ではなくて、前のページにある現状を そのまま書いているだけなので、現状をまたここに書くのはおかしいと思います。基本 的に、今後もまだ引き続き検討していくという結論に結び付けていいとは思うのですが、  これは実質的に「個人宛の寄附金とは見なす必要はないというように、この委員会でも 考える」となっていますよね。書き方の問題として、考え方ですから個人宛のものを申 告対象としているというのではなくて、「実質的に個人宛の寄附金として扱う必要はな いと考える」とか、私たちの考え方を書かないといけないのではないかと思うのです。 ○樋口座長 私もおっしゃることはそのとおりだとは思いますが、文章は5ページの「現 状と論点」から始まっているわけです。そこの4行で書いてあることを、ここでもう1 回繰り返しているわけです。 ○神山委員 そうです。しかし現状をもう一遍繰り返すのですか。 ○樋口座長 つまり神山委員は、繰り返しはいけないとおっしゃっているわけですね。 ○神山委員 そうです。 ○樋口座長 しかし繰り返しがあった方が、現状の考え方と今後の見直しをという所が つなぎやすい。私は結局、分かりやすさの話だと思うのです。 ○神山委員 そうではないのです。繰り返してもいいのですが、この上の現状を書いた だけでは、「現時点における考え方」で、「このため、これらの寄附金・契約金等を申 告対象外としている現行の取扱いを見直す必要はないと考えられる」の「このため」と は、何も結び付かないのです。その上の「制度的な裏付けや実態が存在するとはいえな い」というのを受けて、「このため」がきていますが、現在の例外の扱いですよね。学 部長宛のものは把握されているけれど個人宛ではない、個人が実質的に使えるわけでは ないから、これは個人宛の寄附と見なさなくてもいいという考え方を、やはりどこかに 入れる必要があるのではないですか。そこが前回の論点だったわけです。注で例外には なっているけれども、そのままでいいかどうかという議論はしなかったという話になっ た。最終的にはまだ今後検討していく課題だという所に結びつけてもいいかと思うので すが、この委員会としての考え方が、ここに入る必要があるのではないかというのが私 の意見です。 ○樋口座長 いかがでしょうか。 ○総務課長補佐 まず考え方として、個人宛のものは申告対象とするけれども、学部長 ・学長で自分で使えないものについては、申告対象とはしないという現行の申し合わせ の取扱いについて、それを変える必要はないということではどうかというところを御議 論していただいた後に、神山委員がおっしゃっているように、その考え方を委員会とし てどう記述するかということではないかと感じております。 ○樋口座長 今までの経緯を振り返っていただくと、組織の取扱いについてここで新た に論じられたのは、6ページの真ん中から書かれていることです。アンケート調査をや ってみたら一定のことがわかったというわけですが、ここではとりわけ学部長・学長等 にアンケート調査をしたというわけでもないのです。普通一般の研究者等について、ど ういう意識を持っているのかということで一つ分かったことは、組織等にどれだけのお 金がきているかというところまで、普通は把握していないという話が一つあります。二 つ目は、しかし同じ研究室内の助教、あるいは准教授の数字は把握している例が相当あ るということです。この二つがあって、学部長・学長等についての議論はなかったわけ です。先回、やはりそれもきちんと入れた方がいいのではないかという話でしたので、 それについては見直しが必要だとか、見直しが必要でないという議論はなくて、取りあ えず今はこういう状況だということをただ書く。ここでは先回話が出たから確認してい るだけだというように、私は理解しているのです。 ○神山委員 前回の議論では花井委員からそこが指摘されて、参考資料7の注6の学部 長宛に来ている寄附を学部長が知らないことはあり得ないから、知らないというだけで 把握できないから、入れる必要はないという議論には結びつかないという話になって、 注6についての実質的な議論はしていなかったねということになったと思うのです。で すから座長が言われるように、議論をしていないから書くだけでいいのか、それともそ うではなくて、やはりそこは先送りにしようでもいいから、何らかの結論を出さなくて はいけないのではないかと思います。注6は注6としてこのままで、実質的に個人宛の ものだけを対象としておけばいいのではないかと。そうでないと検証したことにはなら ないのではないですか。 ○総務課長 今、神山委員がおっしゃったようなことで、6ページの(3)の冒頭を少し直 すとすれば3行目辺りから、「学部長・学長等個人の判断で使用されるものではなく、 他の教授と同様、そのすべてが実質的に個人宛のものととらえる必要はないと考えられ る」というように書くことは可能だと思うのですが、座長がおっしゃったように、では、 そのファクトがどこにあるかというと、およそ学部長宛のものが学部長個人宛のもので はなかろう、という常識的な判断に基づいて書く、あるいは各委員の皆様方がそういう ように当然のことと思ってもいいということであれば、そう書いていただいても私ども もいいかとは思うのです。そのファクトはどこにあるかというと、アンケート調査から そういうことが出てくるわけではないという整理になるだろうと思います。 ○樋口座長 私も前言とは少し違うことを申し上げます。私の頭の整理の仕方が十分で はなくて、これでいいかどうかも分からないのですが、学部長・学長以外の委員と、学 部長・学長の方という二つに類型化します。それ以外の、例えば私みたいな平の教授と いうか、そういう人たちのアンケート調査においては、組織についての情報を把握して いるわけでも何でもないので、この前はそういう表現をしたわけです。組織が影響を与 えていることはないだろうということで、組織についての見直しは、今のところ必要な いのではないかというのですが、そこで花井委員がおっしゃったのは、神山委員から御 指摘いただいたように、平の教授はそうかもしれないけれども、多分学部長・学長はさ すがに組織にどれだけのものが来たかを知らないわけではないだろうということです ね。そうすると、それをその組織に対する恩義と言うのか分かりませんが、そういうも のについて影響を与える可能性はあるので、それについてはもう少し考えた方がいいの ではないかという御趣旨ですね。そうだとすると、それについても神山委員がおっしゃ ったように、見直しを検討していく必要があるかもしれないというところも入れ込んで、 平の教授については、聞いてみたら、どうも助教や准教授の情報はよく知っているとい うお話が出てきているので、それについての影響があるかどうかというのも、今後の検 討課題だというのが一つです。  それから学部長・学長というのは組織全体について、やはり何らかの寄附金が来てい ることは一応知っているわけですから、それが影響を与えるかという点についても、知 らないとは言えないわけです。ですから、ここでは今言った前者のところだけ、必要に 応じて見直しを検討していく必要があるというので収めているような気がするのです。 必要に応じて見直しを検討していく必要があるというのを、将来の課題として二つ抽出 したというように書けばよろしいですか。花井委員と神山委員の御意見を、そういう趣 旨で整理してよろしいでしょうか。 ○花井委員 確かに今の神山委員の御指摘どおりで、これを当委員会の考え方とすると、 論点に対してどう評価しているかというのは、若干ぼやかしている感があると思うので す。私が一番思ったのは、学部長・学長個人の判断で使用されないことが、利益相反に 当たらないことはないということです。組織運営責任のある人が、自分の組織を運営し やすくできるお金というのは、明らかに得なわけです。それは自分が個人的なあれをし なくても、自分の組織がいいと。運営責任者であれば管理職と平とは違うというのは、 そういう意味だと思うのです。  そこについては「他の教授と同様、実質的に個人宛のものを申告対象としている」と しているので、実質的に個人宛でなければ利益相反に全く当たらないというように、こ の会が追認している書き振りになっているところが気になったのです。やはりそこは組 織運営者であっても、そこへの利益相反がある可能性はあり得るのではないかというこ とです。しかし、そこについて現行では、それは個人的なものだけにしようということ を判断して、現行の取扱い、つまりシステムについては「これら」以下を追認するのだ から、それを今のように「このため」としてしまうと、個人でなければそれはもう大丈 夫だということを追認した話になって、ここの委員会の評価がぶれるという指摘だと思 うのです。ですから、そこだけを書き分ければいいと私は思っています。 ○神山委員 やはり先ほど座長もおっしゃったように、学部長や学長宛のアンケートを やっているわけではないですよね。学部長・学長名で組織としてどれぐらいの寄附をも らっているかというのも分かっていないわけで、それを調べてみないと。委員の中には 学部長・学長の方も当然いらっしゃると思うのです。その方たちが全部外れてしまうと、 成り立つか成り立たないかという問題もあるわけです。ですからもう一度、学部長・学 長宛のアンケートなどもやって調査をして、さらに見直して、一番最後の「本論点につ いても」という所をもうちょっと膨らませて、そういうことをやらないと結論は出せな い、という形でまとめた方がいいのではないかと思います。 ○花井委員 これによると、今後もこれを評価する何らかのシステムを継続してつくる ことになっていますね。そもそもこの委員会はこの暫定ルールを走らせて、わりとすぐ に立ち上がっていて、現ルールを走らせた上でのいろいろな問題点を評価するには、結 構切迫した状況で検討したということもありますし、やはりアンケートも含めてもう一 度、今後このルールを走らせる上で注視すべき論点についてはある程度出して、こうい ったことはほかにもあるかもしれませんが、そういうことを新しいシステムで評価して いく。  その中で、調査やアンケートを追加で、例えば学部長宛のアンケートをしていくとか、 そういうことをそこに盛り込んでいったらいいのではないかと思います。与えられた材 料だけでここで価値判断をするというのは。論理的には私が先ほど言ったとおり、組織 の長であれば、どうしても利害が生じると思うのです。しかし経験的に言って私の知っ ている限りは、それによって学部長・学長クラスの先生方に、メーカーの商品の審査に 大きくバイアスがかかっていることがありそうな感じは、直感的にはしないのです。た だ、それは知らないだけで、たまたま私の知っている先生方が立派な方ばかりというこ とかもしれませんし、それは分からないのです。そこのところは論理的には利害はある わけだから、そこについては今後の課題として先送りしても、別にそんなに悪くはない のではないかと思います。そもそもこれで評価しろというところで、この委員会はかな り苦労している面もありますし。 ○樋口座長 総務課長補佐の方がきっといい案を出すと思いますが、私のざっくりした 案を申し上げます。今のお話を伺っていて現時点における考え方は、一言で言えばなか なか難しいということです。私の案を取りあえず聞いていただきたいのですが、このま まの文章をいかすことにします。まず第一点は、学部長・学長等についてはこういう状 況があると記します。これは個人宛という話だけでやっていて、一応組織に来ているこ とは知っているだろうけれど、とにかくそれは個人宛のものではないからという話で除 外しているわけですね。学部長という職責で知っているわけですから。二つ目に、平の 教授については、そもそもそういうことを知っている、という実態が存在するという調 査結果は出てこなかったという話です。そして三つ目が「なお」以下です。「なお」は 取って「さらに」でもいいかもしれませんが、今度は講座内ではかえって情報があると いうことがあった。  これで三点あって、真ん中の2行、「このため、これらの寄附金・契約金等を申告対 象外としている現行の取扱いを見直す必要はないと考えられる」というのは全部削除し て、一番最後の3行のまとめを、「これらの論点についてもこういう状況である」とす る。ただ先送りだけの文章にしてしまって申し訳ないけれど、必要に応じて見直しを検 討していく必要があるという形で、取りあえず今回はまとめておくというか。結局は文 章にしただけですが、これがとっさの樋口案です。 ○総務課長補佐 座長がおっしゃっているので私は結構です。 ○樋口座長 組織を中心とした利益相反を考えていくのか、個人を中心とした利益相反 を考えていくのか、あるいは択一的にそういう発想でいいのかということも含めて、な かなか難しい問題なので、多分ずっときているのです。 ○桐野委員 実際に難しくて、組織に関する寄附金・契約金等があったら、利益相反が 発生していると考えないといけないのです。ゼロではないわけですから。したがってゼ ロでない利益相反をどう判定するかが、利益相反マネジメントであって、白か黒かとい う世界ではないのです。一つのガイドラインとしては、公的な職責によって受けた寄附 金・契約金等は対象外にするという考え方は、十分成立すると思います。それから、そ れを入れてやってみるということもあるかもしれませんが、そうすると、実質的にはそ ういう職責にある人は、こういう分科会には参加しないことにするということになりま すので、それでいいかということです。  寄附金・契約金等のお金のやり取りについては、国立大学法人では基本的には全部学 長宛だと思います。教授個人がお金のやり取りについて契約行為をすることはできませ んので。それで実質的に個人あるいは個人の教授の教室、教授の研究に関連して、その 資金がそこに充当されるわけで、最初から名指しで来るわけでも何でもないと思います。 確かに大きな会社の社長が、支社で行われた契約について具体的に知らなくても、公的 に「それはあずかり知らない」とは言えないですね。職責で寄附金・契約金を受け取っ ている状況というのは、それと同じだと思います。実際に私も何年かやりましたが、具 体的には知らないですね。 ○樋口座長 しかし、「知らない」とは言えないということですね。 ○桐野委員 はい。「知らない」とは言えないということです。 ○樋口座長 この樋口案はどうですか。本当に取って付けたようなのですが、その2行 を削除して、最後に「これらの」という形で、こういう三つの課題を抽出したところま でです、ということなのですが。これは花井委員がおっしゃったことに、そのまま乗っ かっているということでもあるのですが、最後は文章表現の問題になりますから、大筋 でそういうことでいいかどうかを伺いたいと思います。 ○神山委員 書き方のバランスの問題です。「なお」を取ると言われた「なお」の所で すが、ここに「講座内の関係者への寄附は、申告対象に加えるべきという指摘があった」 ということで、ここだけそういう指摘があったと書いてあるのです。そうだとすると、 先ほどの学部長・学長宛のものであっても、利益相反になり得るという指摘があったこ とも書かないと、ここだけ指摘があったようになってしまいます。全体として組織に対 するものも利益相反になり得るという指摘はあったけれども、今の段階ではこの委員会 として結論を出すには資料や情報が不十分だから、今後も見直してくださいというよう に、先送りですが、そういうようにまとめた方がいいように思います。今の段階で、こ こだけ指摘があったわけではないのです。 ○樋口座長 文章の作り方として、今までこういう形でやってきたのです。つまり、十 分ではないとは思いますが、議論が比較的十分になされたものだから、丁寧に書かれて いるので、バランスを欠いたような話になっているのです。逆に全部に指摘があったと いうことになると、それに対する反論も全部書かないといけないという話になりますか ら、そこは一概にそうとも言えないような気がします。そうすると、こういう調査結果 が出てきたというだけで三点目を収めて、こういうところの利益相反の問題もあり得る というぐらいの事実の認識と言うのですか、そういう話でまとめた方が、かえってバラ ンスとしてはいいかもしれないと思うのです。つまり、あっさりしていた方が、文章と しては簡単になるという気がします。 ○桐野委員 同じことを言いますけれども、利益相反はあるのです。利益相反になるの ではないかと言うより、明らかに利益相反状態です。学部長であって、ある製薬企業か ら学部が多額の寄附講座を受けているような場合、それは利益相反状態になるわけです。 なるけれども、その状態の個人が薬事審議会の分科会の委員として審議に加わる、又は 採決に加わることが適切かどうかの判定をするわけです。それに加わることが社会にと って有害であれば、それはリジェクトしないといけない。社会にとって有益であれば、 審議に加わってもらわなければいけない。その判断をするのがこの申し合わせの役割な のです。  そういう観点で言うと、現時点における考え方はAもあったしBもあった、Aもあっ たしBもあったから今後検討してくださいということで、価値判断はしなくともいいの かという問題ですね。今回はちょっと時期も早いし、難しいという言い方は十分あると は思いますが、一方で一つのベンチマークとして、これを申告対象外とするという考え 方で当面やるというのも十分あるわけです。私個人は一定の判断をした上で、しかし今 後もやはり検討が必要であるということにしていただいた方が、役割がすっきりすると 思うのです。そうでないとAもあったしBもあった、今後よく調べて検討してねという ことで終わりになってしまうので、どうかなと思います。 ○樋口座長 問題は結局のところ、そういうようにまとめられるかなのです。 ○桐野委員 それは各委員の御意見によります。 ○樋口座長 まとめられるのなら、私もそうしたいと思います。座長がそんなにはっき り言っていいかどうかは分かりませんが、私は、例えば第一点の問題については、多分 桐野委員と同じだと思います。これは許された利益相反だと思っています。産学連携で 研究教育を一生懸命やろうということで、学部長・学長宛に多額の寄附金をもらってい るわけです。そこに利益相反的要素は発生するかもしれないけれど、それは織り込み済 みの話で、国としてもそれを許しているのですから、そういう意味では何の問題もない。  ただ、その中で個人宛という話になると別かもしれないということで、今のルールが あるのですから、今のところは考え直す必要はないということで、皆さんが賛成してく だされば、私はそのとおりに書きますが、そうはいかないのではないでしょうか。申し 訳ないというか、私にとっては残念です。やはりそのようには割り切れないということ ではないでしょうか。そうすると仕方なく、「こういう点について指摘があった」とい うのは、逆に私などからすると、「そういう指摘もあった」ぐらいの話かと思っている のです。しかし、そこまで座長が色を出すのもどうかと思っているので、どういうよう にまとめたらいいですか。一応今日、私は文章としてまとめたいと思っているのです。 皆さんもその点ではそうだと思っているのですが。同意していただけると思っているの ですが。 ○桐野委員 例えば申告対象側としている現行の取扱いについて、当面はこういうやり 方でやってみて、その次のときにはきちんと見直しましょうという言い方の方が現実的 だと思います。 ○樋口座長 結局のところ、一番最後の3行はそういう趣旨ですが。 ○桐野委員 そうかもしれないですね。それが非常に大きな問題を引き起こしたという 証拠があれば、当然考え直さないといけない。 ○神山委員 今、座長が削るとおっしゃった12行目と13行目を、これらの論点の結論 の前に移動させて、現在は学部長宛は除外している、そうでない人たちは制度的な裏付 けがない、内部のことは把握している人が多いということも分かったというように、三 つの問題を並べて書く。もうちょっと文章を膨らませてほしいのですが、とにかく、こ れらの寄附金・契約金等を申告対象外としている現行の取扱いを、当面見直す必要はな いと考えるとして、しかし、これらの論点についてはまだ時間も経っていないし、情報 も不足しているし、アンケートなども不足していることから、今後とも引き続き運用状 況の検討を行いつつ、見直しを検討していく必要がある、というように先送りさせても らうしかないのではないかと思います。現時点における考え方ですから、当面は現行の 取扱いを見直す必要はないと考えるという考え方をどこかに入れないと。抜かしてしま うというのはおかしいと思います。 ○樋口座長 分かりました。今の神山委員のようなお考えはどうですか。趣旨は、桐野 委員や花井委員や私の言っていることを、神山委員がうまくまとめてくれたような気が するので、この部分はその趣旨で、頼りないけれども座長一任で文章を考え直して、取 りあえず今日は一応の方向性はほぼまとまったという話にしておいていただいて、この 文章の作り方だけ、文章表現のところだけは任せていただくという形で、何とか納得し ていただけると次へ。 ○花井委員 それはその方向でいいと思うのですが、先ほど座長が言われた、許されて いる利益相反について、組織的に許されている利益相反の中でもその表現は、ある種適 正だと思うのです。かといって、その枠組みの中に入っても許されないものがあるのか という問いがあります。私はそれを類型的に二つぐらい考えています。  一つは、組織全体についてです。大学という巨大組織ですが、私は患者ですから、患 者会があったりするわけです。そうすると、患者会の組織が運営費をもらっていても、 ここでクライテリアが出てきて、組織のクライテリアとして運営費の70%をそこに依存 している、90%を依存しているといった場合、それはやはり抵触してくる可能性がある でしょう。これが一つです。大学レベルでそういうことはないと思いますが。もう一点 は、もちろん大学でも、その組織全体の研究費の90%ということになれば、これはもう そのメーカーが引いた瞬間に、その組織はひっくり返るわけですから、これは今言った 話とは違う。ロジックとしては容認される利益相反であるけれども、その中にある程度 の基準はあるだろうということの一例です。  もう一点は、部長宛で来ているけれどもある教授が、うちの講座の研究費をと。要す るに、中身の使い道が分からないわけです。きちんと機関経理はされているけれども、 これはあの先生の所の研究費に使うのよねとなっている場合があります。その先生がそ このメーカーのMRなどとの懇意で、そこで臨床試験やら何やらを行う。臨床試験が具 体的にその品目だったら、今度は利益相反に当たるわけですが、疫学と称した他社との 競合疫学調査をやっていて、その講座全体の研究費は、実はそれで成り立っている屋台 骨だと。しかし、その寄附は部長宛になっているので、その教授宛という個人にはなっ ていない。これが実態であれば、明らかに利益相反があると言わざるを得ない。しかし、 これを掌握することは今は不可能であるということだと思うのです。  私はこの二つの類型が一番大きいと思いますが、こういった容認される利益相反でき ちんとやっている分には、私は問題ないと思います。むしろシステムとして、そういう システムでやりましょうということを社会が選択しているのだから、それは容認されて 当たり前ということには賛成です。しかし、その中でこういう例を許していいのかとい う部分について、やはり組織的利害について、先ほど桐野委員がおっしゃったのはそこ だと思うのですが、そこでマネジメントの問題が出てきて、そこにもやはりある種の基 準があるのです。つまり、一般論全体としては容認するけれども、こういう場合は容認 し難い、しかしこの場でそれをつくることはできない、こういう趣旨だと思うのです。 それが私の言いたいことです。それを踏まえていただいているのであれば、別にそれで よろしいのです。 ○神山委員 (1)の「現状と論点」に、組織がもらっても利益相反になり得る場合がある のではないかという論点がある、という指摘を入れていただければいいのではないでし ょうか。そういう論点があるからやっているわけで、組織として受け取ったものでも利 益相反に当たる場合があるだろう。それが許される利益相反かどうかということを論点 としてやったけれども、結局、今は結論が出なかったというように、論点の方に入れて もらえれば客観性も保たれるのではないかと思います。 ○花井委員 今のお話はそのとおりだと思います。ただ、桐野委員の意見との整合性を 考えると、結局、利益相反という概念の中には容認されている利益相反と、容認されな い利益相反という二つがあるのですか。ここで議論しているのは、あくまでも委員とし てリジェクトするかどうかです。つまりリジェクトしなければいけないものを「利益相 反」と呼ぶと考えれば、基本的に組織の中では利益相反にはならないと言い切るわけで す。ならないけれど、その中で利益相反になり得る尖鋭的なケースがあり得るというこ とになると思います。文章は難しいかもしれませんが、ロジックとしてはそういうこと だと思います。 ○樋口座長 利益相反の範囲や対象についてのロジックについても、いろいろな考え方 がありますので、文章としてうまくそれをまとめた形で、ここで定義を与えるようなこ とはきっとできません。先ほど神山委員がおっしゃったような範囲で、この文章をもう 1回バージョンアップして、皆さんに提示したいと思います。取りあえず原則は、座長 に一任していただくような形にしていただきたいと思います。 ○神山委員 座長一任でいいのですが、今、花井委員が言われたように、「認識できる かどうかなどを踏まえ」というだけではなくて、「現状と論点」に審議参加の条件とし て考えなければならない問題があるかどうか、ということも検討を行ったというのも入 れていただきたい。「認識できるかどうかを踏まえ、これら寄附金・契約金等をどのよ うに取り扱うべきかについて検討を行った」と書いてあるのですが、上の除外されてい るものについても、それでいいかどうかという検討を行ったということ、一応やったと いうことが分かるように入れていただけるといいと思うのです。 ○樋口座長 分かりました。できるだけ御要望に沿うように、きちんと努力してみます。 それでは一つ大きな宿題ができたという話にしておきます。  7ページには見直し事項が入っていませんが、8ページ、9ページには少し大きな論 点があります。まず8ページの「本ルールのマネジメントの在り方」については、桐野 委員をはじめとして、少し議論をいただいたので、こういう形で入れています。これは こういう表現でよろしいでしょうか。結局、その下の方もそれに関係しているので、8 ページは下まで含めてという形にしてもらいたいと思います。ですからワーキンググル ープという話ではなくて、もう少しきちんとしたものを作る必要がある。ただ、どこま でやるかというのは議論が分かれているのでという話が、上にきちんとあるのですが、 少なくともこれはワーキンググループというよりは、独立性がきちんとしているという ことが見えるようなことを、少し考えたらどうかということです。  今までの議論は、この程度にしか収束できないという判断ですが、8ページの下2行 は従来からの方針の変更でも何でもなくて、それをもう1回、ここでもきちんと確認し ておくということです。本当は中身は同じではないかと私などは思っていますが、ワー キンググループという名前であれ、独立した評価委員会であれ、下の2行は同じことで す。こういう幅広い層を代表した人に入ってもらって、きちんとやることが必要という ことです。よろしいですか。  最後に「おわりに」というところで、今後の課題があります。先ほどのも一つ残って はいるのですが、まとめの文章をどうやってまとめるかということで、この前も少し議 論をいただいたので、この程度の文章にしたわけです。 ○神山委員 内容はこれで結構だと思いますが、最後の下から2行目、「今後、奨学寄 附金の位置付けや情報公開の透明性が一層高まる方向での」というのは、何がどこにか かるのかがよく分からない文章です。「位置付け」に「透明性」もかかるのか、「位置 付けが一層高まる」というのも分からないので、「位置付けを明確にすること」、ある いは情報公開ということで言えば、「透明性」だけでいいのではないかと思います。文 章的に少しごたごたしている感じがします。 ○樋口座長 「明確性」にするか「明確化」にするかは、好みの問題かもしれませんが、 今の御意見は、「今後、奨学寄附金の位置付けの明確性や情報公開の透明性が一層高ま る方向での検討が進められることを望みたい」というぐらいでよろしいですか。結局、 「高まる」につなげるから、「明確性」「透明性」と並べてみたのですね。その点でな くても、何か御意見があれば伺いたいと思います。どうぞ御遠慮なく。 ○花井委員 確認ですが、8ページの5)にある「本マネジメントルールの在り方」で、 「第三者的な組織を設けるべき」との指摘があったのは、薬事分科会の権限とは外れて、 このワーキンググループの範囲から外れるからだと思いますが、(2)については、この 枠組みというのは、薬事分科会の権限で可能な枠組みという理解でよろしいわけですね。 つまり、8ページの(2)の継続評価で、「これらの評価・検討に当たっては、現行の申 し合わせ4.(8)に示されている分科会の下のワーキンググルループではなく、委員の過 半数が外部有識者等で構成される分科会から独立した評価委員会を設立することが適当 である」というように、薬事分科会会長宛に言い切ってしまっているのですが、これが 適当であるということ自体、事務局としては可能だということですか。 ○総務課長補佐 本委員会は薬事分科会とは独立しています。委員についても薬事分科 会長による委嘱ではなくて、医薬食品局長の委嘱です。申し合わせの規程の設置根拠と しては、現行の申し合わせもありますが、考え方としては独立して今、検証・検討を行 っていただいているという位置付けです。4の(8)の書き振りですと、また分科会の下 に戻ってしまうという書き振りになっておりますので、それは適当ではないのではない かと思います。ですから今、この委員会で御検討していただいているような形で検討を 進める、外部から御意見をいただくという形で第三者性を持たせた方が、より適切では ないかという趣旨です。 ○花井委員 分かりました。 ○樋口座長 9ページもあるのですが、あるいは9ページしかないと言ってもいいかも しれませんが、全体を通じていかがでしょうか。 ○桐野委員 直接この文言とは関係ないのですが、本来、薬の分科会での審議を大学の 教授などが参加して行っている現状というのは、本当は薬事審議を専門にする人たちの 養成が遅れているから、こういうようになっているのです。大学の教授は利益相反も顧 みず、製薬企業に奉仕したいと思って来ているわけではないのです。やはり忙しい時間 を割いて、言ってみれば公共サービスのつもりで来ているのです。ある意味では、それ をいろいろとディスクローズしてやることについては、ちょっと重荷だと思います。た だ、それはせざるを得ないと思います。本当は国として薬事審議というものを、今後10 年ぐらいのタイムスパンでどう考えるかということを考えていただけると、一番有り難 いと思います。ただ、これは全然関係のないことです。そういうバックグラウンドがあ って、こういう検討もされているというように私は思いました。 ○樋口座長 本当は局長がいらっしゃったときの方がよかったとは思うのですが、何で あれこの記録は全部残りますし、最後に各委員には、全体的なコメント、あるいはこれ に関連したコメントをいただこうと思っていますので、そういう話なのかもしれません。 この報告書自体、大きな宿題は残っていますが、そこも先ほどのすべてということでは なく、それこそ原則ということでよろしいかと思っています。報告書の最終的な取りま とめについては、事務局と一緒になってやるわけですが、座長の私にお任せいただけれ ばと思います。  ただ、実際のやり方としてはどうですか。あとの情報は知らせないよという話にはで きないので、こちらで先ほどの所を中心に案文を取りまとめて、メールか何かで一度御 連絡いたします。私の方からのお願いは、一応最終的な取りまとめを座長に委ねていた だいたので、よほどのことがない限りは我慢していただくというか、とにかく報告書と してはこの形で取りまとめます。これも先送りの議論になるかもしれませんが、結局こ こで全部終わりという話ではなくて、これと同じような独立した評価委員会は、今後と も継続して試行錯誤的にやっていく性格のものですし、時間的な制約もありますので、 取りあえずの報告書ということで、薬事審議会の分科会の方へ提出するものとしてお任 せいただきます。  しかしお約束するのは、その前に念のために各委員にそれをお見せして、御意見は必 ず伺います。先ほど「我慢してください」と言いましたが、遠慮されることはないので、 これはこうではないかということはおっしゃっていただければ、時間の許す限り、でき る限りほかの委員の方も巻き込んで、やり取りを行うつもりでおります。そういう形で よろしいでしょうか。それでは一応議論は尽くされたという形にしようと思います。  今回の検証・検討委員会は、今日で幕を閉じることになっていると思います。先ほど 桐野委員がおっしゃったように、これに関連したことであれば大所高所の議論であれ、 各委員の方々からさらに何かコメントをいただければ、それはそれで将来に役立つこと があると思います。関係者も全部聞いていますし、議事録にも残りますから。強いてと いうことではないのですが、御発言をいただければ有り難いと思います。 ○神山委員 私は前のワーキンググループから引き続きですが、前のワーキンググルー プのときに、利益相反に当たる可能性のある委員が入っていらして、自分たちを抜かし たものを早急にもう一遍やってほしいという御希望があって、1年以内にこの検証・検 討委員会ができたわけです。そのときの御希望として、申し合わせではなくて規程にし てほしいということを強く言っておられました。今回、それがこの報告書に入ったとい うことは、大変有り難いことだと思っております。 ○桐野委員 私は大学におりました関係で、大学の利益相反しか知らないのですが、全 然性格が違うと思います。大学の利益相反に関しては工学部とかの学部では、病院とは また違った別のルールを定めている所が多いのです。ですから、ここの分科会の利益相 反の問題というのは、全然性格の違う問題だと思いますし、行われるディシジョンの影 響から考えれば、やはりかなり厳しくされないといけないだろうと思います。  利益相反というのは、利益相反があるとかないという議論は、もちろん非常に重要で すが、利益相反状態でありながら、それをディスクローズしないで何かをするというの が、一番いけないわけです。利益相反状態にあるのであれば、それを委員会に対してオ ープンにして判定を仰ぐというのが、利益相反マネジメントの基本だと私は思います。 ですから私は、実際には杓子定規なものだけでは扱いにくいようなケースも含めて、本 来は利益相反のマネジメントをする組織があった方がいいのではないかと思います。た だ問題の重要性から考えれば、かなりクリアな杓子定規にしておいた方が見えやすい面 もあるのではないかということを感じました。 ○杉浦委員 私は今回から入らせていただいたわけですが、やはりこういうことは、や ってみてこういう問題が出てきた、あるいは、こういうことは少し考えなければいけな いのではないかということは、現実にはやりながらでしか仕様がないと思うのです。そ ういう意味ではここにもありますように、ある期間置いてまた別のこういう組織を立ち 上げて、そこで検証していく、検討していくということを、しばらくはやっていかなけ ればいけないだろうということをすごく感じました。 ○花井委員 この問題は、私ともう1人ですけれども、実は患者として初めて薬事審議 会に入ったと思うのです。入ったときに一番思ったのは、結構いろいろな利害関係を持 っているのに、あたかも中立的、客観的なごとく、皆さん発言されていると思いました。 それはそうすべき所なのかもしれないけれども、その裏にはやはり人間が経済生活を営 んでいる以上、いろいろな関係性があるのだなと思います。ただ、それが国民からは見 えないのだろうと思い、その所属する部会でだけでもローカルルールを作れという要望 を出したのです。そこは事務局にも了解していただいて、やってみようかということで 一応上には上げてみたのですが、そこで検討してみると、ここであった問題群が次々と 出てきて、これはそんなに簡単なものではないということで、結構店ざらしになってい たのです。それが今回、こういう形で社会も要請してきたので、私たちからすると10 年かかったという感じですが、それは達成点として一つの段階ではないかと思います。  もう一点は、やはり今後の審議のシステムの在り方です。昔は薬害が起こっても、フ ィールド面などのところは薬事審議会しかなかったわけです。今はほとんどの内容が、 審査報告書を作るまでの過程で、医薬品医療機器総合機構の方でやっているのです。こ こにも専門家委員というのがたくさんいて、実はそこが審査の中枢になっていて、どち らかというと薬事審議会が形式化してきているというところはあると思うのです。今後、 医薬品の審査の中で親部会というか、政府側に付いている審議会の位置付けも今後変わ ってくるのかもしれないと思います。例えば専門的な領域については、もちろん医薬品 医療機器総合機構の方で行います。ただし、あちらは専門家委員になっているので、あ そこの透明性をもう少し高めて、こちらはむしろそんな専門性がなくて、社会と薬品の 関係について審議するということもありだとと思うのです。  そういうように今後は時代とともに変わってくるところがあると思うので、それを期 待しております。今回のルールはいろいろ大変だったのですが、一つできたということ は、私は評価したいと思います。本当に言いたい放題言ってしまって、座長には御迷惑 をかけて申し訳なかったという感じです。今後とも検討を続けていく必要はあると思い ます。 ○樋口座長 日比野委員が早めに退室されて残念でしたが、何かの機会があれば、また 感想を伺っておきたいと思います。事務局の方から何かありますか。 ○総務課長補佐 本委員会を取りまとめていただきまして、誠にありがとうございます。 最後の委員会ですので、岸田大臣官房審議官からごあいさつをさせていただければと考 えております。 ○審議官 局長が会議で外しておりますので、代わりにお礼申し上げたいと思います。 今年の3月に申し合わせ事項ができて、その申し合わせ事項の検証や運用状況の評価、 いろいろな課題について、短い期間の設定の中で非常に精力的に熱心に御議論いただき、 本日ほぼまとめていただきました。非常に感謝申し上げたいと思います。今の議論の中 でも、審査制度あるいは審議会の在り方について、いろいろな御意見がありましたが、 より専門性があり、より開かれたものという点について、今後私どもとしても努力して まいりたいと思っております。今日まとめていただく予定のものについては、12月19 日に薬事分科会に報告して、そこで御議論いただくことになっております。先生方には 今後ともいろいろと御支援、御協力をお願い申し上げたいと思います。ありがとうござ いました。 ○樋口座長 それでは、6回にわたる審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会を 閉じることにしたいと思います。委員の皆様、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)