08/12/02 第7回雇用・能力開発機構のあり方検討会議事録 第7回 雇用・能力開発機構のあり方検討会             日時  平成20年12月2日(火)                 10:00〜             場所  中央合同庁舎第7号館共用会議室1 ○庄山座長 ただいまから「雇用・能力開発機構のあり方検討会」の第7回会 合を開催いたします。本日は、大変お忙しい中ご参集いただきまして、誠にあ りがとうございます。議論に先立ちまして、本日の代理出席の方をご紹介いた します。日本商工会議所渡辺委員の代理の青山様です。日本労働組合総連合会 古賀委員の代理の長谷川様です。よろしくお願いいたします。なお、高本委員 と佐伯委員が所用によりご欠席となっています。今野座長代理は、あと10分ぐ らいでお見えになるということなので、始めさせていただきたいと思います。  カメラ撮りはこれで退室をお願いしたいと思います。 (カメラ退室) ○庄山座長 議事に入りたいと思います。本日の議題は、前回委員打合せでご 議論いただきました、皆様からご意見をいただいた最終報告について、皆様の ご意見を踏まえて事務局に整理していただきましたので、初めに事務局から説 明をお願いします。 ○姉崎課長 お手元の資料No.1-1で説明をいたします。2頁の「検討経過」で、 昨年12月の「独立行政法人整理合理化計画」を受けて当検討会が設置され、今 年3月以降、現地視察やヒアリング等々を重ねてきたことの経緯が書いてあり ます。下から2つ目のポツは、座長からの意見等がありまして、「雇用のセーフ ティネットとしての職業訓練」「ものづくり分野の職業訓練について国が果たす べき役割は極めて大きいとの各委員の共通認識のもと」という文章を追加いた しました。あとは特に変更はありません。  3頁は、職業訓練業務全体の状況ということで、まず最初に、雇用情勢・経 済情勢とものづくり分野の状況ということで、完全失業率、有効求人倍率等は 10月の最新の数字に更新していますが、先行きが悪化する状況にあることや非 正規労働者が増えている状況にあるということで、3つ目のポツでは離職者訓 練の備え、それから非正規労働者を安定雇用へ誘導していくための職業訓練の 重要性が高まっている、という記述にしています。  4頁は産業分野ということで、ものづくり基盤技術を有する中小企業には若 年者が入ってこないということで、人材の確保・育成が困難な状況が続いてお り、厳しい状況にあるということです。  6頁は、教育訓練市場全体の状況ということで、国及び都道府県の公共職業 訓練が市場全体に占める割合は約1割ということで、OECD諸国の中で、日本の 教育訓練支出の割合は低い水準にあるということです。  7頁は民間の教育訓練機関の状況ということで、絵にもあるように、多様な 形態の民間教育訓練機関が存在しているわけですが、特徴としては大都市圏で は多いのですが、地方にいくとなかなか数が少ない。分野も限られており、特 にものづくり分野については、民間教育訓練機関の数は限られているというこ とです。  8頁は、公共職業訓練全体の状況ということで、離職者訓練、在職者訓練、 学卒者訓練とあるわけですが、公共職業訓練の特徴としては民間との重複を避 けつつ、離職者や能力形成機会に恵まれない方を主たる対象とし、分野として はものづくり、中小企業を主たる対象として実施をしているということです。 表は、19年度の公共職業訓練における国・都道府県の実績です。(2)は雇用のセ ーフティネットとしての公共職業訓練の意義です。失業した場合に、失業が長 期化すると就業意欲の減退等々が生じていくことになります。9頁で、失業時 に、必要な訓練を受けられる仕組みを全国にわたって保障することが、雇用の セーフティネットとして重要である、という意義を書いています。(3)は、もの づくり訓練を行う意義です。ここは、前回の清成委員のご指摘等を踏まえて修 正しています。中小企業のところですが、サービス経済化の進展により、若い 人たちがそちらに行ってしまうということで、ものづくり分野における若年人 材の不足、そうしたことが主因となって中小企業が厳しい状況にあるというこ とです。こうした状況を放置すると、我が国製造業の基盤が失われかねない、 厳しい状況にあるという修正でした。意義としては、下から2つ目のポツで、 特に、地域間格差が広がる中で、地域においては公的な人材育成機関に対する 期待が高まっている、としています。  10頁は、公共職業訓練における国と都道府県の役割分担についてです。離職 者訓練、在職者訓練については、都道府県は地域のニーズ、実情に応じた基礎 的な訓練を実施している。これに対して国は、ものづくり分野の職業訓練が中 心で、特に在職者訓練については高度なものに特化して訓練を実施している。 代表的な訓練科等々を例示しています。学卒者訓練については、都道府県は中 卒2年、高卒1年の基礎的な訓練を実施し、国においては、高卒4年ないし2 年の高度な訓練を実施している。  国の機構のほうの訓練は、11頁の頭のほうにありますが、高度なものづくり ということで、特定ものづくり基盤技術に対応するような訓練が多い。都道府 県と国、機構では、訓練の内容・水準において棲み分けを図っている状況にあ るということです。11頁の下のほうは、都道府県の特徴ということで、大きな 県と小さな県では、訓練の実施状況や実施体制等について格差がある状況にあ るということを書いています。これまでは、教育訓練市場全体の状況について です。  13頁以降は、雇用・能力開発機構の職業訓練の実施状況と評価ということで、 雇用・能力開発機構についてはポリテクセンター、ポリテクカレッジ、総合大、 それぞれにおいて必要な訓練を実施している現状について書いております。  14頁です。初めに、雇用のセーフティネットとしての訓練ということで、離 職者訓練の実施状況、実施数、就職率について書いてあります。3つ目のポツ で、それなりのパフォーマンスではあるのですが、現実問題としては施設によ ってバラツキがあること、あるいは受講が必要な方すべてが受けられているわ けではないことなどの課題もあるわけですが、雇用情勢が悪化した際に、緊急 時の雇用対策としてこれまで機構が迅速に実施してきました。最後に、いま雇 用情勢の悪化が予測されているわけですが、今後とも、全国ネットワークによ る離職者訓練などの緊急対策が必要になってくるということで、古賀委員のご 指摘を踏まえ、文章を少し追加しています。  15頁は、機構が行う職業訓練の特徴ということで、都道府県の実施状況に大 きな格差がある中で、不十分な県を中心に実質的に補完をし、支えていること、 あるいは全国ネットワークを生かして柔軟な対応ができていること、企業ニー ズに即応したカリキュラム・コースの見直しや再編、指導員の能力の向上や更 新を図ることができているといった特徴があります。それから委託訓練につい ての記述があります。  16頁は、フリーター、母子家庭の母等への対応についてです。3つ目のポツ では、国の政策対応としてのデュアルシステム、再チャレンジ訓練等々を順次 実施をしてきているわけですが、雇用・能力開発機構が中心になって実施して いるということです。また今年度から実施しているジョブ・カード制度等につ いても、機構が下支えをしています。  評価ですが、機構が行っている離職者訓練は全体の約8割を占め、就職率も バラツキがあるものの、全体としては82%ということで、高い実績を上げてい ます。  ただ、17頁の2つ目のポツは、今後、雇用のセーフティネットとしての役割 を十分に果たしていくためには、受講が必要な方、多くの方がちゃんと職業訓 練を受講できるような仕組みにしていく必要があること、また施設によってバ ラツキがあるということで、そうしたことの平準化をしていかなければならな い。また、フリーター、母子家庭の母等の非正規労働者が増える中で、これら の方々に十分な量の職業訓練を今後きちっと確保していく必要があるなどの課 題もあるわけです。下から2つ目のポツでは、基本的には国による全国ネット ワークの訓練体制を維持・強化していくことが不可欠であるわけですが、これ を全国画一的に都道府県に全部委ねてしまうことは、現状においては国の責任 を放棄してしまうことにも受け止められかねない、としています。  18頁は、ものづくりの関係です。最初は、在職者訓練の実施状況についてで す。下にありますのは、機構が実施している在職者訓練の内容の9割がものづ くり分野ということで、具体的な内容の記載です。  19頁の上のほうでは、こうした高度なものづくり分野の訓練は施設・設備に コストがかかるということで、民間教育訓練機関では採算をとるのが難しく、 都市部を除くとなかなか実施できない状況にあること、また在職者訓練につい ては、新技術等に対応して絶えず訓練カリキュラム・コースの見直しをしてい くことが不可欠なわけで、都道府県においては難しい面もあること、中小企業 自身も自ら教育訓練をしていくことも難しい状況にあること等で、公的な支援 の必要性が増している。また、地域の産業を支えるためにも高度なノウハウを 持つ国の役割が大きくなっているのではないか、と記述しています。  学卒関係の訓練については、ポリテクカレッジにおいて、体で技能を覚えさ せる、訓練時間が長い、実習の比率が高いという特徴が書いてあります。  20頁には分野について、高度なものづくり分野であること、卒業生の約8割 は中小企業に就職をしているということで、中小企業への人材供給源になって いること、それから就職率の実績です。  21頁は、こうした学卒者訓練についても高度なものづくり分野の訓練、在職 者訓練と同様に施設・設備にコストがかかるということで、民間では採算がな かなか難しいこと。都道府県においても、短期大学校を設置・運営している県 もありますが、4年制の大学校レベルとなると、実施能力を持つ県も限定され ているので、こうした学卒訓練、大学校の設置・運営については、基本的には 国の責任の下で行っていく必要があるのではないかということです。21頁のい ちばん最後の「なお」書きでは、職業能力開発大学校を学校教育法に基づく大 学にした場合ということで、少しこうした課題があるということの整理をして います。  23頁の(4)は、職業能力開発総合大学校の関係です。指導員の養成・再訓練 の状況の評価ということで、指導員の養成では、1学年の定員が200名程度で、 指導員となる者が従前は90名、就職率は50%ぐらいで推移していたわけです が、機構や都道府県の採用枠の削減によって、そもそも求人が減ったというこ とで、就職者数も大きく低下をしました。そのことで、全然指導員になってい ないではないかというご指摘が、会計検査院等からあったわけです。これは、 制度の抜本的な改革を行う必要があるということです。  一方で、民間企業への就職を含めた全体の就職率になると、総合大について は毎年98%以上という高い実績を上げており、民間企業においても指導的立場 として活躍している方が多いということです。どうしてかというと、大変長い 時間の訓練を受け、(2)になりますが、実習と指導技法の繰り返し訓練で技能習 得を行い、24頁の(3)に書いていますが、自ら技能を習得するだけではなく、同 時に人に教えるという技能を客観的に分析し、そのポイントを理解すると同時 に教育をしていくというこうした能力が高く評価をされています。  2つ目のポツにあるとおり、こうした能力は企業現場においても大変重要で、 評価されているということです。こうしたものは、総合大学校だけではなく、 むしろ職業能力開発大学校などで訓練内容をきちっと教えていくことが、企業 の需要に応えていくことにつながっていくだろうということです。1つ飛んだ 下のポツは、指導員の再訓練についてです。19年度の実績を書いています。そ の下のポツでは、技能五輪全国大会、国際大会、こうした大会については総合 大の先生方が陰で支えているということで、志治委員から、こうしたことも書 いてはどうかということもありましたので、追加の文章を書いています。  訓練のノウハウの関係については、25頁です。訓練のノウハウを生かして毎 年、離職者訓練・在職者訓練のコースの改廃等を積極的に行っています。こう したことの基には、3つ目のポツにあるように、長年かけて蓄積してきた職務 分析手法やカリキュラム・コースのデータベース、障害者の職業能力開発体系 などがあるということです。それから〔ISOの動向〕については、4つ目のマル で、11月のシドニー会議で機構の持っている職業訓練の質の保証システムを報 告し、これをベースに今後もいろいろな議論がされていくという状況になって います。  26頁は3つ目のポツで、指導員の養成や再訓練を専門的ノウハウに基づき体 系的・効率的に行う機能は、職業訓練制度全体のために不可欠であり、こうし た機能を持っている都道府県や民間事業者がほとんどない状況では、国の責任 の下で機能の維持・強化を図っていく必要があるのではないか。  28頁は、職業訓練の財源の関係です。上原委員のご指摘等を踏まえ、「事業 主の保険料負担分のみを原資とする」という、わかりやすい記述にしています。  29頁はコストの関係です。離職者訓練は6カ月で、1人当たりのコストが約 80万ということです。都道府県とほぼ同水準です。  在職者訓練については、30頁の上のほうで、高度な訓練を実施しているとい うことで、県に比べると少し割高です。学卒者訓練については、1人当たりコ ストが年間約300万です。国立大学の工学部等と比較すると、大体同程度です。 コストのさらなる削減に向けての取組みは当然で、絶えずチェックをしながら コストの削減に努めていく必要があるということです。以上が評価の関係です。  31頁は、職業訓練業務の今後のあり方ということで、最初に、雇用情勢の話 を書いています。ものづくりのところでは、清成委員のご指摘等を踏まえ、中 小企業が若者の人材確保・育成で困難を抱えていることを書いています。その 雇用のセーフティネットとしての訓練、それからものづくりの訓練は国のいま 重要な課題になっているわけですが、受け皿となる民間教育機関が特に地方に 行くとなかなかないこと、都道府県の実施状況にもバラツキがかなりあること などから、基本的には国の責任において実施する必要がある。全部都道府県や 民間に任せてしまうということは、なかなか難しいのではないか。特に、雇用 のセーフティネットは、最後の担保があることが大事であって、国による担保 を維持し、セーフティネットを保証する必要があるということです。これは住 田委員のご指摘等を踏まえ、少し文章の整理をしています。それから、国とし ての指導員の養成・再訓練、指導員の訓練技法については、全国的なネットワ ークによる訓練を実施することのほうが効率的ではないか、としています。  他方、いちばん下のポツですが、地方分権とか民営化の流れなどがあります ので、「都道府県や民間が管理を希望し、かつ、都道府県や民間で訓練水準を維 持して実施できるものについては委ねていく」。山田委員のご指摘等を踏まえ、 少し表現を修正しています。  32頁です。まず、機構の組織については、これまで大型の福祉施設の設置・ 運営などで問題点が指摘され、批判が生じていることがあるので、そうしたこ とがないような反省に立ち、労使が参画する仕組み、それから資産を管理する 仕組みというものをきちっと導入していく必要があることを、総論的に書いて います。  真ん中のポツでは、日本の国際競争力を高める観点から、今後積極的に地域 における産業界や中小企業とのネットワークの形成等に取り組んでいく、とし ています。現在の行改担当大臣の甘利大臣からも、少し中小企業施策との連携 等にしっかり取り組んでいきなさいというようなご指摘をいただいております ので、総論的な考え方として記述しています。  (2)職業訓練事業運営の重点については、前回、地方に移管等した場合の問題 点ということで整理したものですが、今野座長代理から、問題点という否定的 に書くのではなく、国のほうだとこういうメリットがあるというような書き方 に変えてはどうかということで、後ろのほうのものを全部前に持ってきました。 第一から第五まであります。例えば、第一のところは離職者訓練についてです。 「緊急時には国のほうが迅速に実施をすることが可能であり、状況に応じてネ ットワークを生かして柔軟な資源の投入が可能である」と書いています。前回 は、後ろのほうの問題点で、都道府県に全部任せてしまうとなかなか迅速にで きないとか、都道府県にばらしてしまうと柔軟な対応ができないという書き方 をしていたのですが、逆の書き方にすべて直しました。第二ではものづくりの 関係、第三は訓練の実績の差の問題、第四は訓練の質の保証システム、第五は 全国ネットワークのメリットの関係について、整理しています。逆の書き方を しただけで、中身は基本的には同じです。  34頁は個別の方針、ポリテクセンターについてです。ポリテクセンターにつ いては、雇用のセーフティネットとして国の責任の下で、全国ネットワークに より一定水準の訓練を確保できるような形で実施していくということです。都 道府県のほうで希望がある場合には、移管を検討するが、各都道府県に最低1 つはポリテクセンターの設置は必要であるということです。  ポリテクカレッジについては、現状では民間、都道府県では対応が困難であ るという声があり、そうした要請を踏まえ、国が自らの責任において引き続き 実施することが妥当であり、原則として各ブロック1カ所程度に、ものづくり 拠点としての大学校を配置することが適当であるということです。  下のポツは短期大学校についてです。基本的には大学校と同じなわけですが、 現に都道府県で9校、実施しています。短期大学校についても、県からの移管 の希望があれば、移管を検討することが適当としています。  (3)総合大学校についてですが、住田委員のご指摘等を踏まえて、結論がわか るような書き方に整理しています。まず、あり方を抜本的に改革をする。どう いうように改革をするかということで、(イ)(ロ)(ハ)に改革を書いています。 これに合わせて、資産の有効活用についても検討していくこと。具体的な姿と しては、現在の4年制の長期課程を廃止し、短期の研修課程に切り換えるとい うことが書いてあります。中身は変わっていません。再訓練については強化を していくこと。先導的な訓練のカリキュラムの開発・調査・研究についての取 組みも、充実を図っていくということです。  35頁のいちばん下から36頁にかけては、この訓練にかかるノウハウについ てです。機構だけではなく、いろいろな所に連携を図りながら、広くその還元 を図っていくということを書いています。  36頁の(4)の民間教育訓練機関への委託訓練ですが、国と都道府県それぞれが 実施しているわけですが、地方分権を推進する観点から、訓練内容が定型化し ているもの等については、原則的に都道府県に移管をする。国においては、先 導的な訓練やモデルカリキュラムの開発・試行が必要なものについて行う。国 でやるものについては限定をするということです。  37頁は、先ほど問題点は全部一括して前のほうに持っていきましたので、個 別の問題点についてです。職員の移管に関する問題、財源の問題とあります。 財源のところの書き方は少し整理しています。職業訓練業務について、都道府 県に移管をするという場合に、事業主負担のみの雇用保険二事業からの支出で 対応するということは、財源負担者である事業主団体の代表から強い反対の意 見があり、全額補助というのはなかなか難しい。一方で、都道府県の側からは 財源は全部くださいという意見がありました。こういうことですので、雇用保 険二事業である財源がそういうことであること、事業主のご意見、都道府県の ご意見、いろいろな地方が行う施策に対する補助制度など、仕組みの均衡を考 えながら、望ましい財源のあり方ということを今後検討していく必要がある、 という記述にしています。  37頁は財産の移転の関係です。基本的に、適正価格で買い取っていただくこ とが必要としていますが、それは一応原則ということです。(2)、(3)は特に変更 ありません。(3)の「移管に伴う業務の負担と混乱」のいちばん最後の部分で、 「離職者訓練の実施などの機能を麻痺させかねず、その間の職業訓練機能をど のように保障するのかという問題が生じることとなる」と書いています。これ は上原委員のご指摘等を踏まえて修文したものです。  39頁は、職業訓練以外の業務についてです。(1)から(5)については変更あり ません。(6)は私のしごと館についてです。昨日、「私のしごと館のあり方検討 会」の最終回が開かれ、そこで検討会としての結論が出されました。この9月 から2年間の予定で民間委託をしているのですが、民間委託のその終了後は、 国の事業としての私のしごと館事業を廃止するという結論になりましたので、 そのように記述しています。廃止するのですが、その際、巨額の解体費用や違 約金等、さらなる国庫の投入を招くことのないよう、委託契約期間の遵守、建 物は取り壊さないで、有効活用していくことに最大限配慮してほしいというこ とでした。  40頁は機構の組織のあり方ということで、3つ目のポツでは、全体として雇 用のセーフティネット、ものづくり支援の観点から、国の責任の下で公共職業 訓練の運営を行うことが必要不可欠であるということでは、委員の意見は一致 しています。他方、実際の担い手として現在の雇用・能力開発機構がふさわし いかどうかという点については、いろいろな批判がある。そこに謙虚に耳を傾 け聞く必要があるということです。  下から3つ目のポツでは、国の責任の下で公共職業訓練を担う組織のあり方 については、次の方針に従って、ゼロベースでの抜本的な見直しを行い、国と しての責任を果たせる効果的な組織として出直す必要があるとして5つの観点 を挙げています。  第一は、職業訓練関係業務に特化していくこと。第二は、国が一定の関与を 持つ仕組みというものが必要であること。第三は、労使が参画をし、コントロ ールできるような仕組みの導入をすること。第四は、多くの資産を持っていま すので、外部専門家からなる第三者委員会を設けることで、資産の効率的な管 理の徹底をしていくこと。第五は、各施設ごとに地域の中小企業団体、教育訓 練機関の声を反映できるような教育環境を作り、地域の声を反映できるように していく。それから中小企業施策との連携を進めていくということです。  「まとめ」として、この報告を踏まえて、政府において最適な改革案を実施 することを要請する、としています。最後に、「セーフティネットとしての訓練 や国際競争力を支えるものづくりの分野が適切に行える国として、省庁の枠を 越えた最大の努力がなされることを希望する」、座長のご指摘を踏まえ、一文を 挿入しました。報告書の修正は以上です。  資料No.1-2は概要のようなもので、少し短くしたものです。資料No.1-3は参考 資料です。資料No.2は、既に委員の皆さま方にお知らせいたしました11月19 日の有識者会議のヒアリングにおける主な意見です。既に皆様方には説明して いますので、省略します。  資料No.3は都道府県のアンケート集計です。まだ全部の県が出揃ってはいま せんので、12月2日現在で報告いたします。まず問1の「機構の職業訓練施設 について、どこが実施主体となることが適当か」については、「ポリテクセンタ ー、ポリテクカレッジともに国が責任を持って実施することが適当」というの が多いのですが、ポリテクセンターについては「その他」がいちばん多くなっ ています。「その他」は、国と地方の役割分担とか、財源・職員などの移管の条 件が明確でないと、なかなか判断できない、というのが多くの意見です。  問2で「都道府県への移管を検討することとなった場合、引き受けることが できますか」については、ポリテクカレッジについては「引き受けることがで きない」というのがいちばん多く、ポリテクセンターについては「条件が整え ば引き受けることができる」という意見が多くございました。それから、ポリ テクセンターについては、「(3)その他」もあり、その他は、「国と地方の役割分 担や財源・職員などの移管の条件が明確でないと判断ができない」という意見 が多くありました。  問3の「受入れの可能性があると回答された都道府県」で、まず指導員につ いてです。指導員は、機構の指導員の移管は不要で、県で全部できますという 県はなかったわけです。ポリテクセンターでは「その他」が多くなっています。 これについても、「移管される訓練業務により必要な指導員の体制がそれによっ て決まるので、現時点では判断ができない」、「一遍に多くの人を受け入れるこ とは難しい」というのが、多くのほとんどの県です。  職員の受入れの待遇ですが、これについても「その他」が多いわけです。こ れも、具体的な制度設計とか、移管の条件が明らかでないため、現時点では判 断できないということでした。  国からの財源についてですが、(3)「財源が恒常的に100%確保されなければ 対応が不可能である」が多く、「その他」も多くあります。「その他」において も、「安定的な財源の移譲が必要である」、「新たな財政負担が生じるということ だとなかなか難しい」というご意見がほとんどでした。  施設・設備の買取りについては、「基本的には無償譲渡でなければ駄目」とい うのが圧倒的に多く、その他についても、「無償譲渡を前提、原則とすべきであ る」という意見がほとんどです。  最終的に移管されるまでに必要な期間については、「その他」が多く、「移管 の条件等が不明な中で、現段階では具体的な期間について回答するのは難しい」 というのが、ほとんどです。  それから、引き受けることができない都道府県、引き受けられない理由につ いては、複数回答です。いちばん多いのは、(4)「国と都道府県の役割分担上か ら難しい」です。  5頁の上の「受け入れができない場合の対応」についてですが、「受け入れで きない場合には、引き続き国が責任を持って実施してほしい」がいちばん多く あります。  問5は、「機構の職業訓練施設について、あなたの県内で移管可能な民間教育 訓練機関が存在すると思いますか」ですが、「存在しないと思う」がいちばん多 くなっています。その他ですが、「サービス・事務系のものだったら民間が存在 するけれども、ものづくり系はなかなか難しい」という意見が多くありました。 まだ全部揃っていないのですが、一応都道府県のアンケート調査結果は以上の ようなことです。説明は以上です。 ○庄山座長 ありがとうございました。ただいまの最終報告案について、各委 員の皆様方から既にご意見を拝聴して修文されているところもあるかと思いま すが、さらにお気づきの点等ありましたら、いろいろこの場でご意見を拝聴し たいと思います。また、本日は一応予定している最後の検討会ですので皆様方 から感想も含めて、あるいはここはもっとこうすべきということも含めてご意 見を拝聴できればと思っております。ご紹介が遅れましたけれど、草野局長は 国会の関係で11時半頃まで不在でありますので、追加で申し上げる次第です。 それでは、どなたでも結構なのですが、どうぞよろしくお願いいたします。 ○住田委員 何回か検討会を持たれたようですが、多忙で申し訳ございません でした。ただ、その間に事務局の方がお越しになりまして今回の文章について 見せていただきましたので、かなり時間をかけていろいろ私の意見を申し上げ て、それをこういう形でまとめていただいたことに感謝申し上げたいと思いま す。私の意はたぶんここで、文章としては尽くされているだろうと思います。 この原案についてはまず賛成ということで申し上げたいと思います。その上で 感想ですが、よろしいでしょうか。どなたか切り出されたらと思ったのですが、 とりあえず私の感想を申し上げます。 ○庄山座長 どうぞお願いいたします。 ○住田委員 まず、今回、行政減量・効率化有識者会議ヒアリングと、それか ら、今回の検討会とのいろいろな意味でメディアでも面白おかしく書き立てら れたことがあり、そこの真の論点は何かなと考えたことがあります。どうして こんなに擦れ違うのだろうかと。私ども、特に私はこの雇用・能力開発機構が どういう存在であるべきかということについての1つの考え方を持っておりま す。やはり、職業訓練というものは日本の我が国のこれまでの伝統、実績を踏 まえて全国的により質の維持及び向上を図る必要があるだろうと思います。  そして、そのためには中心的な存在として中核中枢機能が必要であって、そ こで情報交換をしたり連携したりすることが大事である。その上で、民間では できないセーフティネットとしての部分をしっかりと保ち続ける必要があると。 そして、日本の優秀なノウハウに関しては国際貢献、国際協力ができるもので あると。その意味での、中核機能としての本社機能を私は絶対になくしてはな らないと思っております。  ところが、行政減量・効率化有識者会議のほうでは、要するに機構解体あり きという形でおっしゃって、どうもそれが擦れ違っているような気がしていた のですが、この機能論を申し上げている部分においては、おそらく噛み合って いるのだろうと思っているのですが、そこを否定されるとどうしてもおかしく なってしまうと思っています。この機能の部分、中核中枢としての機能の部分 を言葉として「国の責任」と置き換えるから、おそらく、あちらの有識者会議 では、それに対しての否定的な感じになってしまうのかなと。  そうすると、「国の責任」と書いたとき、有識者会議は何を問題としているか。 おそらく組織、職員体制、人事の問題について、要するに天下り組織はけしか らんし、いままで無駄なことばかりやってきたからそういうものを解体してし まえという、ある意味ものすごく無茶な発想からおっしゃっている部分がある と私は思うのです、全員がそうだと思いませんが。今回の意見を見てもそうい うところが垣間見えるわけであります。  それに対して、謙虚に批判があるものに対しては耳を傾けます、と今回お書 きになったわけですので、せめて人事とか職員体制のあり方、国との人事のあ り方、それについては今後もよく検討していただかなくてはいけないのですが、 これはこの場とか、それから、有識者会議でおっしゃっていることと違った場 が、今後公務員制度改革の中でしっかりと議論されていくのだろうと思ってお りますので、そちらでやっていただく必要がある。そして、ここで「国の責任」 と書かれているのは、私の気持ちとしてはあくまでも全国統一的な基準を維持 するための、さらに向上を図るための、そういう機能としての組織であるとい うことだけは強調しておきたいと思っております。 ○庄山座長 どうもありがとうございました。それでは、今日は全員、毎回皆 さん方のご意見を拝聴しているのですが、お聞きしたいと思います。どうぞ。 ○秋葉委員 、会議の度に担当者にお出でいただきまして、いろいろご説明い ただいて、さらにこちらの意見も申し上げたことで進められて、丁寧な議論が できたことに感謝申し上げます。これからどうなるかというところが見えない ところがありますけれど、大変立派な報告書ができたような気がいたしており ます。我々専門学校で、職業教育と言いながらも関与しているのは2割程度だ ったわけです。ものづくりはあまり多くなかったという感想と反省はあります。 ものづくりというところに特化しての議論でしたので、議論がされませんでし たけれども、職業とか産業が大変いびつになっているような気がしております。  例えば美容師、美容院、床屋を千葉県で調べると10万人当たりに200何軒と いう数字だそうです。全国の下から2番目だというのにはびっくりしました。 いちばん多いのは秋田県で、500いくつなのですね。そして高齢化していると 聞きました。要するに、生活を守る人材が全部高齢化してリタイアしてしまい ますと、今度我々の生活を守る人材がいなくなってきているということです。 都市部は割とそれでもいいのでしょうけれど、地方に行くと大変少なくなって いる。そうすると、人材育成、配置を政策的にしないといけないのではないか なという気がします  無理すると、介護福祉士みたいに入学時と卒業時に20万ずつ、月に5万円ず つ、奨学金を渡して、5年その職に就くと返済しなくても良いというものを作 らなくてはいけなくなるわけです。特に生活を守る人材が大変少なくなってい る中で、人材をどうやって育てていくか、いろいろな問題があるのだというこ とが大変よく見えてたような気がします。今後のことはどうなるかわかりませ んけれども、期待したいと思います。どうもありがとうございました。 ○大久保委員 この一連の会議を通じて私も改めて公的職業訓練についてじっ くり考えてまいりました。改めて思うことなのですが、日本の職業訓練行政を ほかの国と国際的に比較してみても、それほど多くの資金を投入しているわけ ではないことがデータでも出ておりますように、この公的職業訓練というセー フティネットの柱であるべきものについて、むしろ強化をしていかなければい けないものであろうと思うのですが、実態は全くそれと逆行する動きが進んで います。地方では財政難で、どんどん県の施設は縮少傾向にあるわけでありま す。国は今回は組織論によってある種のスケープゴートのように解体論が進ん でいると思います。本来あるべき姿とは逆行しているところでありまして、今 回最終報告書の中で、1つの県に最低1つ以上のポリテクセンターを国が責任 を持って維持するという書き込みになっているわけでありますが、一部を地方 に移管するものの議論が残ってはいるものの、最低、国が責任を持って行う一 県一つ以上のポリテクセンター、ポリテクカレッジによって、本当に職業訓練 の基盤をしっかり維持するという見通しを付けていく、その責任があるなと感 じております。  もう1つの感想は、今回一連の期間の中でずいぶんいろいろな記者から質問 を受けたり、意見を聞かれたりする局面があったのですけれども、少々意外だ ったのは、雇用・能力開発機構がやっている施設内訓練が本当に有効に機能し ているのかどうかに関して、そう思っていないと思い込んでいる記者が非常に 多いということが話している中でよくわかりました。この中にも年間に、例え ば離職者訓練のものづくりの施設内訓練で、年間に2万9,000人ぐらいがその 訓練を受け、6カ月ぐらいの時間をかけ、1人当たり80万ぐらいの予算を使い、 そして82%の人が就職し、事業者の評価が満足度でいうと96%が満足をしてい るということです。このパッケージとしての訓練というものを、これはかなり 工夫をしながらつくり上げてきたのだと思います。コースの見直しをして市場 のニーズにきちんと応えるようにすることとか、あるいは、新しいスキルにキ ャッチアップすることとか、あるいは就職のあっせんと訓練のプロセスを見直 すこととかを繰り返してきた結果として一つこういった、ある程度まとまった 規模の訓練システムをつくり上げてきた。このことの価値をしっかり伝えてい くことは大事だと思いますし、そのことを、この報告書の中でもより私はしっ かり伝えていくことは大事かなという感じもいたしました。 ○川本委員 2点ばかり申し上げたいと思います。1つ目は雇用のセーフティネ ットとしての職業訓練、とりわけ、ものづくり分野の訓練の重要性が指摘でき たということは大変よかったなと思っていることが1つ感想でございます。  あともう1点、財源の関係ですけれども、報告書の37頁の真ん中辺りに財源 の問題のご指摘があり、それから、資料No.1-2の7頁に要約があります。まと まっていると思います。この財源については、都道府県の移管に伴っての財源 問題として、事業主団体から全額補助は理解が得られないだろうという指摘が 何人の方からあったということで書かれているかと思います。それで見ますと、 7頁の上から2段目のところに、「雇用保険二事業からの支出で対応することに ついては、財源負担者である事業主団体の代表者から強い反対意見があった。 一方、都道府県は」という書き方であり、ここも全額補助という形のバランス をとった文章にしていただければなと思います。全く雇用保険から出さないと いう意見交換にはなっていなかったように思います。全額負担というのは雇用 保険制度のシステムからいって難しいのではないですか、という意見が何人か らかあったのではないかと私は記憶していますので、議事録をみていただいて 修正をしていただければなと思っております。以上です。 ○庄山座長 ありがとうございました。 ○姉崎課長 7頁の概要のほうを修正させていただきます。 ○千葉委員 報告書自体は大変よくできていると思いますけれども、我々教育 機関の立場からすると、若干意に添わない部分も残っているというのが正直な ところであります。そもそもの問題として、このあり方検討会というのは、本 来、法人自体の存廃について1年を目途に検討を行うというところからスター トをしたものでありますけれども、どちらかと言うと、この機構の必要性につ いての議論に終始をして、存廃というところまではなかなか踏み込めなかった ということはあるのではないかと思います。  それから、先ほど委員の方が言われた部分にも若干、ちょっと意味合いが違 うのかもわかりませんけれども、国と当機構がイコールなのかどうなのかとい うことは若干私としては疑問があります。国が果たすべき役割を、それを実施 する機構ではあるわけですけれども、これを国がやることは我々のことだとい う読み換えをできる部分も若干疑問を、最後に読み直して感じたところもあり ます。国が果たすべき役割は極めて大きい、あるいは、「国が果たすべき役割の 存在」というところが、これを「当機構が果たすべき役割」と読み換えていい のかどうかですね、この辺のところは若干私としては最近気になったところで あります。  具体的に我々の教育機関として、この報告書の中で一言申し上げるとすれば、 全般にわたって、我々の部分については、どちらかと言うとセーフティネット の部分であるとか、現業者の職業訓練であるとか、こういったところは若干置 いておいて、いわゆるものづくり教育、学卒者に対するものづくり教育という ところで考えてみますと、やはり、日本全体のものづくりが社会を支えている という基本的な認識と、それを支える社会の仕組みがだいぶ変わってきてしま っている。ここにあるような、機構が数百人の人間を毎年育成するだけで、も のづくりの衰退が止まるのかどうなのか、こういったことがありますので、そ の辺についてはこの機構だけではなくて、我が国の初等・中等教育から含めた、 やっぱりものづくりに対する喚起と言いますか、そういったものをやはり国策 として文科省と一緒にやっていくことになるのかもわかりませんけれども、そ ういったことが根本的になくてはいけないのではないかなと思います。  そんな中でこちらの報告書の中には、我々民間の教育機関は高度な実習機材 を導入することができない、高度なものづくり教育をする人材、教員を確保す ることができない、そういったことから民間ではそれができないと何箇所にわ たって書かれているのですけれども、それは1つの理由ではあるかもわからな いのですけれども、根本的には先ほど申し上げたそういう分野で勉強して、そ ういう分野で社会に役に立っていこうという、そういう若者がいないために 我々はできないということになっているわけです。そういう意味では、対処療 法的な、この機構が毎年数百人という人材を育成することに留まらず、もうち ょっとダイナミックに考える必要があるのではないかなということで、この機 構のあり方についての感想ではないのですけれども、やはり、我々教育に携わ っている者として、この日本の将来を考えたときに、この機構後の活動をもっ てこれが解決されるというような認識は持たないでいただきたいなと思いまし た。 ○上原委員 いままで議論を積み重ねてきて報告書自体は、そういう意味では よくまとまっていて、現時点では大変よくできていると評価したいと思います。 その上で私も、私のしごと館へこの間行ってきたのですけれども、たまたま、 家内も連れて行って感想も聞いたのですけれども、やっぱり一言、普通の人の 感覚からすると、何でこんな立派な建物がいるのかなと。存廃は決まったとい うことなのですけれども、廃のほうに決まったようですから、それはそれでい いのでしょうけれども、報告書の32頁に書いてあるように、いままでもいろい ろな例でいちばん上のポツで、批判がスパウザ等であったと、そういうことを 二度と起こさないようにしっかりした仕組みに再構築して、職業訓練に特化し ていきたいということが書いてあるのですけれども、自分が心配するのは、報 告書で書くのはいいのですけれども、実行面でどうなのかなと。  例えば、しごと館でいうと、前にちょっとお話したのですけれども、要する に、プランがあって、誰かが決めて実行しているわけですよね。その間に政治 の人も、行政でも担当の人等が替わってくる仕組みがあるわけで、最終的にそ の責任の引継きというか、そういうものをしっかりやっていかないと、いくら 書いても繰り返されるのではないかなというところが非常に心配するところで すね。第三者が見ても、お話したように、しごと館は職業体験という意味では、 間違いなく存在意義はあるのです。時代の流れが大変な不況期に入ってきてい たり、人口が減ると。世の中の流れが我々の頃よりは一層早く職業選択の意識 をさせようということで、いろいろな施策を見ていると中学生レベルまで落ち てきているのですよね。  私もこの間、地元の中学校でそういう話をしてくれというので調べてみると、 県なり市なりがそういう流れになっていて、したがって、中学生に仕事の話を するのは大変難しかったのですけれども、それもそういう時代の流れなのかな と思うわけですね。ドイツなどでも比較的、職業選択の人生の入り口の決定が 非常に早い。もし不具合があれば、選択ですからまた違う道を選べばいいので すけれども、そういう仕組みのところに非常に重要性があるのかなと、このよ うに考えている次第です。  効率化のほうからいろいろ言われていますが、そもそも教育や訓練という部 分に効率という概念が当てはまるのかどうか。大学校で職業を実際的に教える のは、全然ゼロのことからよりは、ある程度経験があって、こういうふうにや ったほうが早いよと、そういうことはもちろんあるわけですが、そればかりを 追いかけて本当にいいのか。単なる技術論になりはしないかという心配が一方 であるわけで、本質的な問題というか精神というか、そういう言葉もどう教え ていく中で刷り込ませるということは非常に重要で、総合大学校という所には 働くということの本質的な技術論以外の部分をどう織り込んでいくのか、まさ にこういう職業訓練、働くことの意義というか、そこが非常にもっと中身を厚 くしていくことにつながるのではないかと思うのです。  230年以上前にアダム・スミスが『国富論』で言っているように、働く人× 働いている人の力量、その総和が国富になると単純にこういうふうに言ってい るわけですから、個別の働く人たちの力量を職業を通してどう上げていくかと、 これは本当に重要なことなので、今日でも通用する話だと思うのです。その上 で、今後報告書に沿って作業をいろいろ進めていくわけですが、働く側の人た ちと使用者側の人たちとに、取りまとめを含めてしっかりPRをしていくことが 非常に重要だと思います。  もう1つ、国と地方、官から民へという議論があって、これも少しお話した のですが、そういう流れが何か「小さな政府」ではないけれども、いい流れだ と言われているわけですが、一方で、国がやるべきことと地方がやるべきこと と、それから民も効率は常に追うわけですが、一方で危うさもあるわけです。 国が全部安全だとか、そうは言いませんが、そこも同時に視野に入れながら議 論しないと、何でもかんでも民なり地方なりにやればいいということではなく、 先ほど本社機能というお話がありましたが、国家としてのマネジメントという かコントロールの制御の頭、そこは職業訓練だけではなくて、ほかのことすべ てにとっても大変重要なことだと思います。特にこういう作業は、座長がおっ しゃっているように、ものづくりの競争力の原点にあるわけで、特に企業数の 99.7%、雇用の70%をカバーしている中小企業にとっては非常に大きな課題だ と思うので、是非、今後とも実行面なりで成果を挙げていただきたいと思って います。 ○庄山座長 審議官、この辺で何かコメントでもあれば、まだまだ後半、皆さ ん全員のご意見を聞きたいと思っていますが。 ○杉浦審議官 まだご意見をいただいていない方もおられますが、これまで何 回か検討会を開き、その都度、各個別にもご意見を頂戴しながらまとめてきた つもりですが、いまお聞きする限りにおいては、大変国における職業訓練の意 義、ものづくり産業に資する役割、そういった意味でこの役割がご認識いただ けていることに対しては、非常にありがたいと思っています。  先ほど、国と機構が一緒になっている形で文章は書かれているのではないか というご意見もありましたが、国がやるべきか、都道府県がやるべきかという ことで役割分担の中で法律上は整理をされているわけでして、国がやるべき職 業訓練の実施機関としてといいますか、国に代わってという形で雇用・能力開 発機構がやるという位置づけになっているわけです。雇用・能力開発機構も前 身は特殊法人でしたが、数年前の特殊法人を廃止するという大原則のもとで独 立行政法人という組織形態になっているという経緯もあります。  独立行政法人そのもの、これもご案内のとおりですが、国が直接行う必要は ないけれども、民間で行えないものを行うのが独立行政法人の通則法に書いて あり、大原則になっていると承知をしています。そういった観点で出来上がっ ている独立行政法人として、現在の雇用・能力開発機構の形になっているわけ です。この報告書案で最終的な組織のあり方はどうすべきかまでは、もちろん この検討会の結論として出すまで求められているわけではないので書いてあり ませんが、そういったことからして、果たして独立行政法人という形態でいい のかどうか、もっとこれまでのご批判をいただいて別の形がいいのかどうか、 あるいは有識者会議で指摘されているように別の組織に付けてしまうほうがい いのか、という話もこれから出てくるのではないかと思いますが、私どもとし ては、どういった組織があろうかということはともかく、国が行うべき一定の 役割、それに基づく組織のあり方を、今後、年内に関係省庁とも話をしながら 進めていきたいと思います。  そういう意味で、そこから先の話はありますが、これまでいただいたご意見 は非常に貴重なご意見ばかりで、我々も非常に意を強くしている部分もありま すので、また関係方面ともよく話をしながら適切な結論を得られるように努力 していきたいと思っています。まだほかにもご意見を頂戴することになると思 いますので、引き続きよろしくお願いします。 ○志治委員 この会議は、ワーキングも含めてほぼ毎回出席し、県の立場から いろいろな意見を言いましたが、最終報告書を見ますと、県の立場をしっかり 踏まえて書かれており、事務局の取りまとめに厚く感謝したいと思っています。 公共職業訓練を国、機構、県で担っているわけですが、公共職業訓練の役割分 担の現状認識について、最終報告の10、11頁に書かれていますが、都道府県が 地域のニーズ、実情に応じた職業訓練を行い、機構、国がものづくり分野の職 業訓練、特に在職者訓練の高度なものに特化して行われているということで、 訓練の内容、水準において棲み分けを図っているという認識が書かれています が、日ごろ、公共職業訓練の一翼を担っている県の立場として、機構と県と役 割分担を適切に行われ、相まって仕事を進めているというのが実感で思ってい ます。  今後のあり方について、34頁以降、ポリテクセンター、ポリテクカレッジに ついて記述がありますし、総合大学校の中で、とりわけ県の立場から言います と、再訓練について「対象者の拡大、内容の充実等、さらに強化」と記述がさ れており、ありがたいなと、この方向でしっかり総合大学校の再訓練の強化を 実現していっていただきたいと思っています。  36頁へ行きますと、地方分権の推進の観点ということで、これは全国の知事 会でも要望しているところですが、原則として訓練内容の定型化、モデルに従 って実施できるものは原則として都道府県に移管という方向も示されています ので、これも含めて検討し、この方向について賛成を改めて申し上げたいと思 っています。  そういうことを申し上げた上で37頁の話ですが、今後の移管の実現可能性の 話です。これについても財源の問題、財産の移転の問題について、県の立場の ことをしっかり記述されていますが、今日、資料No.3のアンケートの結果も先 ほどご説明がありました。このアンケートの結果の3頁を見ていただければ、 「財源措置」は、(3)に「財源が恒常的に100%確保されなければならない」、 施設・設備の買取りについても、(2)、(3)その他合わせて「無償譲渡でなければ 引受け不可能」と。現実、県の厳しい財政状況の中ですべての県が一致した考 え方だと思っています。そういうことからすると、37頁の最初のポツの所に「実 務的問題として、職員や財源上の解決すべき問題があり、移管が実現できる都 道府県は一部に限られる可能性がある」と書かれていますが、特に財源や財産 の移転について、こうした都道府県の気持ちが活かされる工夫をされないと、 移管がゼロになってしまうのではないかという危惧もしています。今後、この 検討会の結果を受け、政府部内でいろいろな検討がされていくと思いますが、 移管にあたってはしっかりと県の意向も踏まえていただきたいことを最後に申 し上げたいと思います。この最終報告の取りまとめも、本当にありがとうござ いました。 ○本田委員 皆さんもお話になられているわけですし、個々に説明をいただい たときにいくつか申し上げ、それはこの中に集約をされていると思いますが、 先ほどどなたかもおっしゃっていましたが、今回素晴らしくまとめられた、こ のことについては賛成ですが、これをいかに実行に移せるのかが1つ疑問に思 っています。なぜならば、先ほど千葉委員もおっしゃっていましたが、存廃に かかわる意見、議論はあまりなされていないので、いまやっていることをどの ようにして継続していくのかが中心のように思えていますが、すべからく無駄 と見えているスパウザ小田原にしても、10月に私も上原委員同様に、私のしご と館の見学をしました。  しかし、京都から乗用車で一生懸命に走って1時間位かかるという大変アク セスの悪い所に580億円投ずるのだったら、あれを5つか6つに分けて東北ブ ロックだとか関東ブロックというふうにして全国に分散したほうが、もっと活 用できたのだろうと思うし、中身もキッザニアのように多少体を動かして参画 できるものができなかったのか。それが目に付いているのでしょうが、それら は今後こういうことを踏まえた中で改善をされると言われていますが、1つは お金の使い方の方法を、1つの省ではなく国全体のシステムとして、予算額を その年度の中で使いきってしまわなければならないというシステムを変えない 限り、無駄の削減はできないのではないかと思います。その年度で余ったもの は国へ返し、次の年度に新たに出したものに対して厳正な目で見て効果の期待 できるものだったら、そこに配分をしていくというシステムでないと、どうし ても無駄は取りきれないのではないかと考えています。  もう1つは、ものづくりに参加する教育を座長が最後の文言で入れているよ うに、「国として、省庁の枠を越えた最大の努力がなされることを希望する」、 これは文部科学省も含めてです。いまの進学を見ていると、いままで大学へ行 けなかった学校の水準が、中身は何であれすべからく大学進学という大学一辺 倒という傾向ですが、それを中学から高校へ進学する経緯を見ますとほとんど が理由なく普通高校への進学を進める指導です。ものづくりをする工業的な分 野に進む子どもはほとんど皆無ではないかと思います。それが突如として、も のづくりの方向に進路をというのは、非常に難しいのではないか。何か言うと、 本人の希望だとか親の希望だから大学へ行かせるほうが世の中のためみたいな、 そういううがった考え方というか教育概念がいま根づいているのかと思います。  噂によると、これはどこまで現実かわからないけれども、中間的な私学の高 校を見てみると、1人の優秀な学生がいると、大学受験に本来は家庭と本人が 早稲田なら早稲田を受けようと思って、入る力もあるから本来はそれでいいの ですが、受験料を負担して3つも4つも受けさせ、大学へ行っている、合格実 績を貼り出す、そういううがった慣例が昨今も高校にあるわけですから、そう いうことを踏まえた中で本当にものづくりをどうしていくかを考えていかない と、こういう議論の中でポリテクカレッジや大学が存続をしたとしても、今後 そういう分野を支える人口が果たして満たせるのかどうか。結論としては、そ の辺は千葉委員と同じになるかもしれませんが、同じように考えていますので、 是非、このまとめが半歩でも一歩でも前進し実行に移せることを期待していま す。 ○渡辺委員(青山代理) 本日、渡辺委員の代理で出席しています。委員の皆 さまのご意見が反映された報告書であるということで評価したいと思っていま す。特に最後で5つの方針が出されていますが、皆さまからご意見がありまし たように、この方針が確実に実施されていくことを強く期待しています。  私どもは地域を担う経済団体ですので、そういう観点から2、3感想を述べた いと思います。1つ目は、先ほど来ご意見がありました、国・機構の責任関与 の問題です。これは押しなべて国の責務が評価されているわけですから、基本 的に国・機構の責任関与はこれからも必要であろうと思っています。特に、地 域における人材育成、そして中小企業に対する人材供給は、一自治体ではなか なか困難であると思っています。そこには予防という問題、緊急性という問題、 これはナショナル・ミニマムから始まり、地域の人材の底上げを国と地方が役 割分担をしながらやっていく必要があるのだろうと思っています。国際的に見 れば、競争力をどうやって維持していくか、人材をどうやって育成していくか についても、国の関与なくしてできない問題であろうと認識しています。  その結果として、マクロ的に大きな数字や評価につながっていると認識して いますが、今後は、地域ごとにいろいろな人材が必要になってくると思われま す。現在、景気はだいぶ落ち込んでいますが、その一方で、実はものづくりを 中心とした高度人材、「高度人材」という言葉はこの中にたくさん出てきますが、 いろいろな種類があるのではないかと思っています。この定義について、これ からもう少し議論していただければと思っていますが、その中でも、例えば自 動車産業を担う技能者や造船を担う技能者については、大変不足していると言 われています。このような人材の養成がなかなかうまくいっていない。ミスマ ッチが実はある程度指摘はされているけれども、なかなか解消されていないと いうことについては、今後、地域の産業や実情、また、必要とされる人材につ いて、さらに深掘りしていく必要があると思っています。そういう意味で、中 央でやる職業能力開発の政策と各地域における実施との整合性をどう図ってい くのだろう、というところが大きな1つの課題になってくるのであると思って います。  また、最後の座長の指摘に「省庁の枠を越えて」ということがありましたが、 ヒアリングにおいて意見にも出ていましたが、他省庁との連携をもっと図るべ きだというご意見が出ており、これは当然であろうと思っています。なおかつ、 密度の濃い連携をしていく必要があると思いますし、先ほど教育の問題が出て いましたが、連携なくして教育の問題は解消されないと思います。各地域にお いて他省庁との連携を深めていく必要があると考えており、これからの課題で はないかと思っています。  お金の使い方についてですが、無駄なものを排除するにはどういう仕組みが 必要か、そのような担保も構築していく必要があろうかと思っています。こう いうところも次の検討課題になってくると思いますが、こうした意見を次の議 論に是非とも反映して実現していただきたいと考えています。 ○山田委員 ほかの委員の方とかぶらない感想を2点ほど申し上げます。1つ 目は、私は雇用・能力開発機構がこういった事業をされていたことが、この委 員をやるまではほとんど知らなかったです。ハローワークまでは知っています が、ハローワークのその先にこういったものづくり人材を養成する学校がたく さんあることを全然知らなかった己を恥じるとともに、知らない人間がたぶん 国民の大多数だと思いますので、それは果たしてセーフティネットと言えるの かと。こういうものがあるのだというのを知ってもらってこそのセーフティネ ットなのに、この知名度の低さは何ぞやというのを最後に感想として思いまし た。これがこういった会議をきっかけに情報として知れ渡るといいと思ってい ます。  もう1点です。先ほどの知名度の問題と絡めたことですが、名称がよくない のではないかというのは実は最初のころから思っていて、ポリテクとは何だと いうことだったり、雇用・能力開発機構の「開発」は、山を切り崩してダムを 造るのかみたいな、ここら辺の名称のセンスと申しますか、非常に瑣末な問題 のようにも見えますが、実は国民にとってはこの辺の印象というのは強いもの があり、マスコミの方もおそらくそうだと思います。何か愛称でも一般名称で もいいのですが、ここが何とかならないものかということを最後に感想として 申し上げたいと思います。 ○古賀委員(長谷川代理) 大変ご苦労さまでした。私は古賀の代理で2回ほ ど参加していて、本日の最終報告を見て、この間の関係者の皆さんの努力がこ ういう形で報告書になったのではないかと評価しているところです。若干の感 想ですが、私はどちらかというと、訓練を受けるというか、そういう施設を利 用する労働者とか従業員という立場で考えたときに、能力開発機構が行ってい る在職者訓練、離職者訓練をどういうときに活用しているのかということで言 えば、在職者訓練は、中小の労働者、従業員の人たちが活用しているわけです。  昨日、私どもの所で次年度の政策をつくるためにいろいろな構成組織から意 見をもらったところ、中小の労働者の在職者訓練で、ものづくりの分野でスキ ルアップしようと思うとき、なかなか時間が取れないという話がありました。 次は、是非、連合の政策として、訓練を行う時間が取れる何らかの方策を政策 の中で入れてくれという要請があったわけです。そういう中小の所で働いてい る人たちがどういう所で訓練を受けるかというと、機構の関連の所で受けるわ けです。どこかの専門学校に行くわけではないのです。東京、神奈川、大阪、 そういう都市部で県庁所在地の所は、民間の専門学校、どちらかというと、事 務系の人たちの学校があって、語学、パソコン、コンピューター、経理など、 そこにみんな行くのだと思うのです。私は出張で全国を歩くわけですが、県庁 所在地から新幹線で1駅ずれた所にはそういうものがあるかというと、少ない と思うのです。例えば、宮城県仙台市にはいっぱいあります。しかし、仙台市 から1駅新幹線で行った古川にはそういうのがあるかといったら、確実に少な くなっています。新潟の1つ手前の長岡ですと、専門学校は1校しかありませ ん。その専門学校が何をやっているかというと、経理とパソコンがくっ付いて いるもの、理容・美容、介護です。私が北海道から沖縄までの全国を見たとき に、能力開発の重要さを言われたとしても、民間が引き受けている所は、都市 のある意味では利益の出る所に集中しているわけで、地方の人たちが何らかの 形で自分のスキルアップをしようとするときに、そういう施設が見つからない のが実情だと思います。そういう所にセーフティネットとしての職業訓練は、 国民がどのような所でも在職者訓練で、自分のスキルアップをしようとか、失 業したときに、スキルアップをして転職をしようというときに、その部分を能 力開発機構の実施する訓練が担っているのが事実だと私は思っていて、そこは もっとネットをきちんと張る必要があると思います。  私どもでもいま調査をやっていますが、現在、こういう景気の状況で、派遣、 請負、期間工などという人が、いま雇い止め、解雇などに遭っています。彼ら、 彼女たちはそのときにどうするかというと、能力開発をして新しい仕事を探さ なくてはいけないわけですが、そこは私たちがここで考えるほどうまくはいっ ていません。彼らはいまおそらく12月だから仕事探しもやめているのだと思う のですが、そういうときに雇用保険を給付しながら能力開発をし、次の仕事を きちんと提供することが必要なわけで、そこには能力開発機構がきちんと関与 することが必要ではないかと私は思っています。  ものづくりの話がありました。私は、ものづくりというのはすごく広いもの だと思うのです。例えば、いま新たな雇用の創出ということでは、農業、漁業、 林業などということも言われています。農業、漁業、林業などに対する能力開 発、職業訓練をしないと、いままでの我が国の農業、漁業、林業などの力が落 ちていくのではないかとも言われています。そういう訓練もやっていかなけれ ばいけないわけで、そういうものを労働者、従業員に提供することも重要で、 機構の今後の仕事ではないかと思うのです。介護もそうです。介護労働者がな かなかスキルアップもしない、なかなか定着しないという問題を、能力開発と どう結びつけていくのかは非常に問われているのだと思います。  私たちは、大学に行ってホワイトカラーの仕事に就いて生きていくことがい ちばん幸せな生き方だとずっと教育されてきたものですから、ものづくりをや る、農業をやる、水産加工業の寒い所で働くということに対して、どちらかと 言えば避けるようなことがあったわけですが、日本の産業はそういうところで 働く人達の下支えがあって、初めて我が国が成り立っているのではないかと私 は思っています。そういう意味では、今回の検討会で皆さんからいろいろなご 意見が出されたことは重要なことだったわけです。私たち働く者の職業生活は 40年やそれ以上に長くなっていくわけですから、能力開発は重要な課題だとい うことを受け止めておくことは必要ではないかと、そういう感想を持っていま す。 ○清成委員 感想でしかないのですが、あまり発言したくなかったのです。何 回目かに気がついていたのですが、この委員会の限界があるということ、つま り逆立ちしているのです。雇用・能力開発機構のあり方を議論するのであれば、 今日も随分お話は出ましたが、職業訓練の話が出てくるわけです。審議官は国 か機構かという違いをおっしゃったわけですが、職業訓練は国の基本的な課題 だと思うのです。これは厚生労働省だけではなく、文部科学省、経済産業省も 加わって、きちんと制度設計すべきものです。それがないのです。なくて機構 だけ議論するのは、そもそも無理がある。この辺は千葉委員と全く同意見です。 本来ですとそういう職業訓練のあり方は明確になっていて、どこの部分であれ ば機構は十分に対応できると、だからここは残すべきだという議論ができるわ けですが、全体がないのです。だから、議論のしようがないということがある わけです。委員会そのものの限界だということです。  もう1つ、それとかかわるのですが、何人かの方々から若者がものづくりか ら離れてしまっているというお話、これは先進国に共通の問題です。これは私 も何度か言いましたが、この問題を解決した先進国は1つもないのです。そう いう極めて難しい課題であり、かつ、1つの省だけで解決できる問題でもない ということです。したがって、今回の委員会には限界があり、その枠内で事務 方も努力され、精一杯言いたいことは皆書かれていると思うのです。それはそ れでもちろんいいのですが、根本問題を議論していないから今後どうなるかと いったら、仮に機構が存続されても本当に職業訓練が円滑に進むかどうか、私 は悲観論です。それだけの基本問題、根本問題を議論してないではないかとい うことです。それはこの委員会の課題ではないものですから、それはここでこ れ以上言っても仕方がないことです。  最初に事務方から配付された資料の中にドイツの職業訓練白書が載っていた ものですから、ホームページで全部プリントアウトしてみたら膨大なものなの です。やはり苦悩なのです。ものすごく苦悩してやっていて、成果が上がって なくて、対症療法をどんどん積み重ねていっているのがこの数年の動きです。  もう1つ、昨日の日経の夕刊にも載っていましたが、ドイツの介護労働者は、 外国人が随分入ってきている、これはEUの中ですから当然の話ですが。そうだ とすると、若者に何らかのインセンティブを与えても、ものづくりの世界はな かなか入ってこない。そうすると、次善の策として外国人活用という問題があ るわけです。それは一部の機関で外国人を受け入れて技能労働力の育成をやっ ていますが、これもおそらく本腰を入れてやらざるを得ない問題だろうと。そ れと機構のかかわりといったものも当然あるわけですが、これも基本問題に属 することです。ですから、可能な限り早くそういう基本問題の議論をしていた だきたい。これはおそらく審議会の場だと思うのです。  しかし、それにしても各省庁は縦割になっていますから、たぶん文部科学省 の関係だと、これは中教審で制度設計をやるわけですから、どういう学校種を つくるのかという議論、それから中小企業庁は中小企業のものづくりとのかか わり、これは中小企業政策審議会です。全部縦割になっているのです。だから、 横断的に議論する場が審議会レベルでもないということです。そうすると、お そらく内閣府とかそういう所で音頭を取って特別のプロジェクトを立ち上げな いと、こういう問題は議論できないのではないかと、それほど大きい問題だと 思うのです。したがって、それはこの委員会で議論しても私はどうも限界ばか り目についてしまって、だから今日は発言したくなかったのはそういう意味で す。 ○今野座長代理 清成委員からああいうお話があると大変発言がしにくいので すが、この研究会は機構の存廃を考えるというミッションだったわけですが、 私はいちばん最初から考えていたのは、存廃と言われても、国が職業訓練にど う関与するかということを考えなくては存廃などは出ないので、そこはしっか り議論したいと思っていましたので、そういう点をこの報告書の中で整理をし ていただいたので、大変評価をしています。この間の経過を見ると、そういう 方向で、受け身からかなり積極的に書き方も変わってきたかという感じはしま す。  そういうことを踏まえて全体的な感想を言いますと、先ほど大久保委員もお っしゃられていましたが、日本の場合は職業訓練に対してお金に代表される資 源投入が国際的には非常に小さいということなので、もっとここはちゃんとや っていかなくてはいけないのではないかとは思います。その際に、資源投入し て何をやっていくかというときに、これまでのいろいろな委員から出ているよ うに、実は厚労省の範囲だけで済むのかという問題があって、特に実施上の段 階ですと国際的に見ても、いまの大学・専門学校等の動きを見ても、教育との 関係をどうやっていくのかということも考えなくてはいけない。今回の案がで きても、またたぶんその問題は必ず出てくるとは思います。  いま言ったのはどういう分野をやっていくかということですが、最後に機構 がやろうがその他の組織がやろうが、職業訓練を今後どう実施していくかとい うときに、仕掛けの問題とかいろいろあるのですが、それについてはここにも 書かれているし、いろいろな委員がおっしゃられているので、付け加えること はないのですが、仕掛けの前に、訓練を担当する人たちのマインドやモチベー ションはすごく重要です。最近は別にして、長い時間で考えると、機構に代表 される職業訓練を担当されている方たちが、職業、産業、企業などのニーズに 応えながら、自分たちをどう変えていくかということについてのマインドとモ チベーションは十分であったのか、という問題があると思うのです。組織とか そういうことの前に、ここで何度も出ていますがPDCAサイクルを回すとか回さ ないとか、これも仕掛けの問題ですが、その前に働いている、つまり訓練をす る人たちがそういうお客のニーズに応えるぞというマインドとモチベーション を持ち続けることは非常に重要だと思いますので、今回、この報告書をベース にして最終的にどういう形で機構が変わっていくかわかりませんが、最後はそ ういうことが非常に重要かと思います。  最後に、せっかくここまで事務方が頑張っていただいたけれども、我々も何 度か集まって議論したわけですから、ここで書いた内容が実現するようにも厚 労省には強力に対応してほしいと思っています。 ○ 庄山座長 各委員の方々からいろいろな形でご意見をいただき、誠にありが とうございました。最終版につきましては、一部字句の修正等があるかもし れません。ほとんどの皆さま方はほぼこれでご納得いただけたと理解をして いるのですが、よろしいですか。                  (異議なし) ○庄山座長 どうもありがとうございました。今日いろいろ感想を含めてご意 見は根本的なところのお話もありましたし、確かにあり方委員だけではなかな かうまくいかない、限界があるというのも清成委員のご指摘のところもあり、 いろいろな形で関係の省庁間でやらなくてはいけないし、国の仕掛け、仕組み も変えないと、これはある範囲の中だけで議論をしているきらいのところが 多々あるのだと思いました。  文中には、例えば今後の機構がどういう形にしても機構に対しては第三者委 員会、利用者の代表が入る、あるいはお金を出している人の代表が入る委員会 のようなものも設けて、より無駄排除、効率化を図ることもいろいろ最終案に は書いていただいていますので、是非、これが実現するように、実現しないと、 せっかくこれだけの皆さま方のお時間を頂戴してやったことが無駄になります ので、それは後ほど局長から選手宣誓をしていただきたいと思うのです。  それと同時に、今日出たのは、もっとこうやるべきではないかという建設的 なものは議事録なり何なりにしていただき、今度、局長、大臣から関係閣僚と の審議はあると思うのですが、そういうときに各委員のご意見がこういうこと ですというのを是非伝えてほしいと思います。今回、こういう素晴らしい委員 の方々にお集まりいただき、日本の将来、世界貢献などということを常に頭に 描いていると、いままで言われていることと少し議論が、もっと国としての大 きな方針を確かに決めないと、細かいところだけ一生懸命わあわあやっていて も、細かいところも大事ですが、あまり意味を成さないのかと。最初に住田委 員からバッと言われて、そういう論調の話が大体多かったわけですが、是非、 今日の感想を含めてのご意見を大事にして、将来の労働行政のあり方の中に大 きく反映していただきたいと思っています。最終報告書につきましてはこの形 でまとめまして、アンケート、ダイジェスト版とか何かは、一部ご注意があり ましたので修正をしたいと思っています。  局長も国会からちょうどお戻りですので、何かご意見、ご感想等がありまし たら、よろしくお願いします。 ○草野局長 最後のご挨拶ということで一言述べさせていただきます。3月以 来、本日で7回目の会議です。その間、職業訓練施設をご視察いただいたり、 また起草委員会などで案を検討いただいたり、多数の委員の方には本当に熱心 にご議論いただき、ようやく取りまとめに至りましたことを、まずお礼申し上 げます。  いまの状況を見ますと雇用情勢もこれから非常に厳しくなる、また、ワーキ ングプアと言われる方も非常に多いということで、公共職業訓練の出番はこれ からますます必要になってくると思っています。また、ものづくりという点に おきましても、電機、自動車、機械、そういったところの下請けの所でものづ くり中小企業群が非常に頑張ってきたわけですが、非常に苦境にあえいでいる という状況です。そういうことを人的面から支えていく公的役割、必要性も、 各委員のおっしゃいましたように論を待たない重要な課題です。他方、行政改 革、地方分権というもう1つの国の大きな流れがあるわけでして、その2つの 要請のバランスをどう取っていくかということでずっと苦悩してきたわけです。  熱心にご議論いただいた結果、今日、一定の方向性が出ましたので、先ほど 座長から選手宣誓というお言葉がありましたが、そういうつもりでこれをしっ かり受け止めて対応していきたいと思います。  また、組織のあり方等につきましては、当然、これから行政改革当局と話合 いをしていくわけです。国としての役割、責任ということをしっかり認識した 上で、組織についてはそれにふさわしいものということで、本日いただいたご 議論を踏まえまして、行革当局の意見もよく聞き、お互いに認識し合いながら 政府としての最終方針をまとめていきたいと思っています。  機構という狭い枠の中でご議論いただかざるを得なかったわけですが、座長 からもお話がありましたように、その議論の過程の中でいろいろなご意見、特 に国全体、あるいは世界の中で国をどうしていくか、経産行政、文科行政との 連携など多々問題が出たわけでして、言わば機構の改革、あるいはどういうこ とになるかわかりませんが、それを契機として改めて職業訓練、公共職業訓練 のあり方を幅広い視野から考えていく必要性を痛感したわけです。  私どもとしても、早速、中小企業庁などとも少し連携を図る、文科省とも少 し話し合いをしています。省庁の枠を越えて職業訓練のあり方を議論しなけれ ばならないのは、まさにご指摘のとおりでして、私どもとしても省庁という縦 割の制約の中で、そういうことの壁の打破ということでこれから一生懸命議論 していきたいと思います。そういう意味で、引き続き各委員の皆さまの大所高 所からのご指導、ご意見を賜ればと思っているわけでして、これが終わりでな く、むしろ始めというつもりでやっていきたいと思います。  3月から長い間でしたが、いろいろな成果をいただきましたので、これを踏 まえてやっていきたいということと、3月からですから8、9カ月にわたる各委 員のご議論に感謝しまして終わりの言葉とします。ありがとうございました。 ○庄山座長 本日、予定された最終検討会は、これにて終了とします。各委員 の皆さま方には、大変お忙しい中、いろいろな形でご意見を頂戴し、何とかこ ういう形でまとまりましたことを、座長として御礼申し上げたいと思います。 どうもありがとうございました。 (照会先)職業能力開発局総務課   TEL:03-5253-1111(内線5948)      03-3502-6783(直通)   FAX:03-3502-2630