08/11/27 第1回看護の質の向上と確保に関する検討会議事録          第1回看護の質の向上と確保に関する懇談会               日時 平成20年11月27日(木)17:30〜               場所 厚生労働省専用第21会議室 ○寺山看護職員確保対策官 定刻となりましたので、ただいまから第1回「看護の質の 向上と確保に関する懇談会」を開催します。本日はご多忙のところ、お集まりいただき 誠にありがとうございました。本日は舛添厚生労働大臣、戸井田大臣政務官にご出席を いただいております。会議に先立ちまして、舛添厚生労働大臣より、本懇談会の開催趣 旨を含め、一言、ご挨拶を賜りたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。 ○厚生労働大臣(舛添) 皆さん、こんばんは。この懇談会、第1回を急遽開催するこ とになりましたけど、多数ご出席ありがとうございます。医療改革ということで「安心 と希望の医療確保ビジョン」、これはずっとやってきておりまして、看護師の皆さん方か らもご意見を賜って、十分、皆さんのご意見もその中に入れることができました。  先般、墨東病院の件で私は墨東病院に参りましてNICU、赤ちゃんの集中治療ユニッ トを見ましたら、15のNICUがあるのですが、12しか稼働していない。非常に深刻な 顔つきでそこにおられて、一生懸命頑張っておられる看護師の方々は、「大臣、この3 つが使えないんですよ」と。それは看護師不足がそういうことだということであって、 本当に現場を見ますと、ああいう大変不幸な事案があった直後でありましたけど、本当 に皆さん、歯を食い縛って頑張っておられたんで、何とかこういう状況も改善しないと いけない。もちろん、「安心と希望の医療確保ビジョン」の中に看護のことも書いてあり ますけど、これはひとつ、看護のあり方、看護師の皆さんの処遇も含めて、きちんと議 論する場があったほうがいいというふうに思いまして、急遽、こういう会を催させてい ただいたわけであります。  医師不足とか医師の過剰な労働ということが、いまメディアでもたくさん取り上げら れていますけど、看護師さんはどうなんだと言ったとき、看護師さんのみならず、医療 提供者の方が疲弊しきっている面がありますから、今回、この看護の問題、看護の質の 向上と確保ということをテーマに立ち上げたいと思います。  先ほどの墨東病院の話ではありませんが、どうすれば看護師の職員の確保ができるか がまず第1の課題だと思います。それから新人看護職員の質の向上を図らないといけな い。どんどん医療の水準が上がってきている。3年の教育だけでいいんですか、病院に 就職したはいいけど、「とてもじゃない、私のこのレベルでは付いていけません」という ことになって、お辞めになる方もいるということも聞いていますから、教育の問題もこ れはやらないといけない。それからチーム医療をどうするのか。これは「安心と希望の 医療確保ビジョン」のときもそうですが、お医者さんがお医者さん本来の仕事をやれる ために、いわゆるコメディカルというか、看護師さん、助産師さん、薬剤師さん、みん なで協力してチームでやる必要があると思いますので、このチーム医療をどう推進する かが、これからの医療提供ということの大きな課題だと思います。そして、先ほどもち ょっと申し上げましたけども、新人の看護師さんたちのレベルを上げるためには、看護 教育そのものをどうすればいいのだろうか。これを4番目のテーマとして検討したいと 思っています。  是非、国民の皆さんの期待に応えられる、国民の目線で、患者の目線でやるというこ とが原則だと思いますので、そういう観点から、私に遠慮する必要も厚生労働省に遠慮 する必要も全くありません。我々の行政の間違ったところがあれば、これを正していた だきたい。例えば文部科学省にこういうことを言ってほしいということがあれば、そう いうことも含めてきちんと答えを出したいと思いますので、忌憚のないご意見を自由闊 達におっしゃっていただくことが、国民のためになると思います。  そして積極的にご検討いただいた上で、1月中旬を目途としてまとめをやって、直ち に政策に移していきたいというふうに思っていますので、こういう非常に経済状況も悪 化している中で、医療を巡る問題がここまで国民の不安の種になっているということは、 私たちはしっかりと反省して、みんなで力を合わせて、そういう不安を払拭していって、 やはりこの日本の国は良い国だと、国民皆保険があって、安心して医療も介護も受けら れるんだと、そういうような国を目指したいと思いますので、どうか皆さん、よろしく お願いします。ありがとうございます。 ○野村看護課長 ありがとうございました。私は事務局を担当しております医政局看護 課長の野村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日の予定ですが、舛添厚 生労働大臣はほかの公務がございまして中座される予定でございます。予めお詫び申し 上げます。カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。カメラの皆さん、 退室をお願いします。  この間を利用しまして、本日お配りしている資料を確認させてください。議事次第、 座席表、資料1が「看護の質の向上と確保に関する懇談会」開催要綱、構成員の名簿(別 紙)、資料2が主な検討課題、資料3が今後の進め方(案)、資料4が基礎資料です。こ れは1冊の束になっています。資料等に不足がありましたら事務局までお申し付けくだ さい。よろしいですか。  第1回ですので、ここで通常ですと皆様方のご紹介、また事務局の紹介をいたすとこ ろですが、できる限り多くの意見をいただくということを考えまして、紹介は省略させ ていただき、構成員のお名前等は座席表と、資料1の別紙にある名簿をご確認いただく ことで進めさせていただければと思います。なお本日の会議は阿真委員、酒井委員、西 澤委員はご欠席の連絡をいただいています。また本懇談会の座長につきましては、田中 滋先生にお願いしたいと考えていますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○野村看護課長 それでは田中座長、今後の議事進行をよろしくお願いします。 ○田中座長 このたび、本懇談会の座長を拝命いたしました慶應義塾大学の田中でござ います。先生方のご協力を得て本懇談会が、いま大臣のお話にもありましたように看護 職員の質の向上と確保、ひいては日本の国民、患者の方々の安心感のために役立つよう、 実りある議論をしてまいりたいと存じます。よろしくご協力のほどお願い申し上げます。  早速、議事に入ります。初めに委員の皆様方から今日は意見をいただくわけですが、 その前に検討課題について確認します。看護課長、よろしくお願いします。 ○野村看護課長 資料2をご覧ください。大臣のご挨拶の中にもありましたが、簡単に ご説明いたします。主な検討課題の1.が看護職員の確保です。少子高齢化によって看護 職員の需要が見込まれていますが、平成23年以降の次期看護職員需給見通しの策定に あたって、考慮することにはどのようなことがあるのか。また看護職員の確保が困難で あるという指摘がされていますが、看護職員を確保するためにはどのような効果的方策 があるのか。  2.は新人看護職員の質の向上です。免許を取得する前の看護基礎教育で習得する看護 実践能力と、実際に勤務した病院で求められる能力に乖離があるということが指摘され ています。そのことが新人看護職員の離職の一因になっているのではないかということ から、新人看護職員の研修などの実施といった、質を向上させるための方策にはどのよ うなものがあるのか。  3.はチーム医療の推進です。医療の質を向上させるためには医療関係職種が専門性を 高め、チーム医療を推進することが重要と言われています。このチーム医療を推進する 一環として医師と看護職員の協働や連携を推進する方策について、どのようなことがあ るのか。  4.は看護教育のあり方です。医療の高度化や在宅医療が推進されていますが、そうい った面で医療の質の向上が必要です。医療従事者の約半数を占める看護職員の基礎教育 の充実を図ることが重要と指摘されています。これを踏まえて看護教育の体制や教育内 容、教育期間について充実を図る観点から、どのように見直しをしていくのかという課 題があります。  また離職を防止し、定着を目指した魅力ある職場環境を整備するために、看護職員が 専門性を持ち、キャリアアップできるようなインセンティブを付与していく。そういっ た支援策にはどのようなことがあるかなどが課題です。主な検討課題は以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。本日は第1回の会議ですので、懇談会の趣旨を 踏まえて、できればご出席の委員全員の方々から何らかの発言をいただきたいと考えて います。とはいえお1人に10分も演説されると時間がなくなってしまいますので、3 分程度で収めていただいて、いま課長が説明した4つの問題について、どれか1つだけ でも結構ですし2つでもいいですが、時間制約の中での発言をよろしくお願いします。 どなたか口火を切っていただけますか。 ○羽生田構成員 たまたま検討課題のいちばん上に、看護職員の需給見通しの策定とい う言葉があります。実は平成18年の見通しでは4万1,600人不足ということで、平成 22年には1万5,900人の不足にまで改善するという見通しが出たのですが、これが出た 翌年の4月1日に、7対1看護という新たな看護基準が誕生したために、非常に看護師 の異動が起こりました。  我々は養成所を多くやっているわけですが、本来、今まで就業の要請がきたことがな い例えば東大病院から、地方の養成所にまで看護職員の就業の要請がきました。という ことは看護職員のバランスというか、全国の今までの状況と全く違った状況が起きたに もかかわらず、そのときの需給見通しをやり直したらいかがかと厚生労働省に申し上げ ましたけれども、やるつもりはないということで、このまま今でもきています。我々は 看護師不足が急速な展開を示したものですから、我々独自でどのような形かを調査しま したが、かなりの偏在が起きたための地域での看護師不足というものが急速な形で起き て、病棟閉鎖をしたりといったことが起きてきたという事実がありますので、そういっ た制度上の変化というものが既にわかっていたはずなのに、あのような需給見通しを立 てたということ自体が、私はおかしいと思っていますので、もしまた新たな需給見通し を立てるときには、制度上の問題も考えた上で、きちっとした形の需給見通しを立てて いただきたいということです。 ○厚生労働大臣 私はあと10分以内ぐらいで立たないといけないので、是非、皆さん、 どんどんおっしゃってください。 ○井部構成員 私はつい先だってまで「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」の委員 でした。田中先生が座長で6名の委員で開催され、論点整理が出されたばかりです。こ の看護基礎教育のあり方に関する懇談会ですが、今回も懇談会ですので、懇談会という のは論点整理をして実質的には決めないというふうに聞いていましたので、また論点整 理だけをして終わるのではないかという、ちょっとした心配を持っているわけです。こ の懇談会が短期できちんとした方向性を出して、実際に実行されるようになることを、 大臣がいらっしゃる前で特に要望したいと思っております。 ○厚生労働大臣 そうするつもりです。 ○井部構成員 そうしますと懇談会ではなくて、きちんとした検討会とか、もっと実質 的な力のある会議のほうがいいのではないかと思います。私は前回、懇談会ということ で、単なる論点整理ですと言われてがっかりしたところがあります。今回は構成員とい う何か仰々しい肩書きですが、委員と構成員がどう違うのかも疑問です。それはともか くとして、何回も重要な懇談会あるいは検討会を開いて意見を出しているわけですので、 特に看護基礎教育のあり方に関する懇談会は、看護の基礎教育は大学にすべきだという ことをかなりの委員が出しているわけです。そうしたものをきちんと施策に乗せて、実 行されるようなステップを是非踏んでいただきたいと思っています。 ○厚生労働大臣 私は名前にこだわりません。ですから、それは看護課長、医政局長を 含めて検討会にしたほうがよければそうだし、方向はいま井部さんがおっしゃったよう に、やるためにやっていますから実行に移します。 ○田中座長 私も構成員は何となく堅いので、何さんとか何とか委員ぐらいでいきまし ょう。 ○草間構成員 看護基礎教育につきましては、いま井部構成員も言ったように、文科省 あるいは厚労省で何回も議論してきていますので、是非、その成果をきっちり反映させ ていただきたいと思います。それと先ほど舛添厚労大臣がおっしゃったように文科省と の関係というのは大変重要で、看護の基礎教育に関してはもう既に大学教育が行われて いるわけですし、高校衛看の一貫教育は文科省の管轄にありますから、文科省との共同 の話合いの場をもつというのが是非必要だと思いますので、その辺、お考えいただきた いと思います。  それと看護職員の先ほどの需給ですが、看護職員と言った場合に国家試験に合格した 看護師と、都道府県の知事が行う准看とが入っているわけですので、この辺の准看と正 看をどう考えるかというのは大きな課題です。特に質の問題は大変大きいと思いますの で、この辺は是非、分けてお考えいただく必要があるのではないかと思いますので、よ ろしくお願いします。 ○吉田構成員 専門学校を代表して質問します。先ほど井部構成員から、検討会におい て大学化が望ましいというお話がありました。いま現在、大臣ご存じのとおり、厚労省 管轄の養成校というのが、養成課程の70%以上を占めています。それもほとんどが3 年制です。大臣がおっしゃっていたとおり、質の向上ということを図る場合に3年から 4年というお考えもあるのではないかと思いますが、3年制の養成課程、つまり厚生労 働大臣の所管している養成校が7割以上を占めているにもかかわらず、それを3年制か ら4年制に持っていく場合には、どれだけの努力とお金がかかるかおわかりになるでし ょうか。  最近、文科省系の大学が、特に文系でさえも学生が集まらないということで、こうい った医療関係の学部を作りたがっています。そのことによって我々の専門学校、養成校 は大変な経営難に陥っています。そういったことを踏まえて、厚生労働省が所管してい る養成校はちゃんと守っていただきたいというのが私たちの願いです。決して4年制が 悪いというわけではありませんが、しかし、そのためには相当のお金が必要であるとい うことをおわかり願いたいと思います。 ○田中座長 先ほどから海辺構成員が手を挙げています。提供側の発言が続いたので、 先に患者の側を代表してお願いします。 ○海辺構成員 伺っていて、今まで出された報告書などにもある程度は目を通していま した。教育のことに関しては基本的にこういうものが必要であるということを、プロの 先生方が何回も考えていらっしゃることに対しては、そんなに専門外のところから言う 気はないですけれども、現場で実際に困ってしまう看護職員の方のご意見というのを、 もっと細かくリサーチしていくことをした上でないと、あれなのかなと思ったのです。  ただ、その辺に関しては専門外ということで、今回、質の向上と確保というふうに、 ものすごく全部に関わる問題を話し合うということですから、先ほどもおっしゃってい たように進め方の問題としては、なぜ確保できないかということ。その離職者の問題の 部分に関しては、どちらかというと教育とはかなり違うところに問題があるはずですか ら、分けて考えていかないといけないのではないかと感じています。  私などが現場の患者の方々や看護師のお話を伺っているところでは、ローテーション があって、そこの専門性を高めてステップアップしていきたいし、患者さんとしてもそ ういう専門のナースの方が育ってくださることはものすごくプラスです。何の考えもな く2年単位でいろいろな場所に変えられてしまうということですと、今までやっと培っ てきたものがまたゼロに戻ってしまうので、モチベーションが維持できないとも伺いま した。そのような部分に関しては比較的早急に対応できる部分と感じますので、そのよ うな対応を考慮いただけたらいいと感じています。 ○田中座長 大臣が6時までですね。坂本構成員に発言いただいた後、大臣に一言いた だきます。 ○厚生労働大臣 あとは議事録を読ませていただきますので、よろしくどうぞ。 ○坂本構成員 私は「安心と希望の医療確保ビジョン」の中で、大臣にお話させていた だいた者ですけれども、確保という問題と教育という問題と、それからローテーション とかいろいろ言われますが、すべて関係していると私は思います。だから、いまとにか く一丸となって、お互いにいろいろな分野で対立しているよりも一丸となって、この前 の墨東病院のような状況が起こることに対してと、ナースがなぜ離職するかということ を一丸となって解決しなければ、いけないと思います。次に喫緊の問題は少子化対策で す。少子化となると、いくら意見を言い合っても子供がすくないですから、なんとか力 を合わせてやっていくしかない。それには、はグランドデザインを、この会で描いてい ただきたい。  そして、舛添大臣によいしょするわけではありませんが、大臣が一生懸命頑張って、 いろいろなところで聞いてくださっているのは肌で感じていますから、それに対して実 行していただきたいと思います。医療スタッフたちが大変不安になっている。ドクター も大変そうです。そういうことにおいては、きちっとその人たちのを聞いて、先を見せ てほしい。そうしなければ不安でしようがないです。  羽生田構成員が言われたのと全く同じです。もう7対1が元には戻れません。病院の 患者数が本当に多くなって在院日数が短くなったため、患者が多くなり、医師もナース も疲労してきた。そういう状況の中で、看護師の7対1は必要です。この偏在に対して どう手を打っていくかということ。一丸となるということが重要だとは思います。  そういう意味では確保をどうするか。海辺構成員がおっしゃったように、離職してい くのは一体なぜかということに対して、きちっと手を打っていくということ。それはお そらく今までの看護師の雇用の仕方が、3交替で夜勤をしなければいけないというやり 方をずっとやってきました。そうでなく短時間でも、お子さんがいても働けるようなも のを作っていくということ。これは女医さんの問題と全く同じです。女医さんと同じよ うな対応をしていくことを、1つシステムとして取り上げてほしい。  もう1つは、託児所を作る病院が増えていますが、それはあまり効果があるようでな い。なぜかと言うと子供を連れて行かなければいけない。だから家に来てくれるような 仕組みにする。そういう子育て支援の体制に変える。今までの日本のやり方のように連 れて来いでなく、病院に行くまでにどこかに預けに行けではなく、来てもらえるような 仕組みも入れていくことで医療職をサポートしていく。そういう仕組みを作っていただ きたい。そして教育と、羽生田構成員が言われたように、これからの病院は足りないと いうことも含めてデザインを描いてほしい。そうすればみんな安心して、こういう質で やっていけば大丈夫なんだというように、医療職の人たちをとにかく安心させてほしい と思います。 ○厚生労働大臣 退室する前に、今度、児童福祉法を通しまして保育ママという制度を 入れました。それから院内保育がいいかどうかは、私どもは東京に住んでいて小さい子 を満員電車で連れて行くのは嫌だけれども、田舎の場合はむしろ病院の中にあったほう が便利がいいこともあるので、きめの細かい地域に任せる選択肢をとりたいと思ってい ます。ちょうど今日はもう1つ会議がありまして、それがなければ、体が2つあればこ ちらにいたいのですが、最後、看護課長、構成員というのは言いにくいというので、検 討会とか委員とか普通の名前にするならするで、私は皆さんにお任せしますので、中身 の問題ですから、そんなことでよろしくお願いします。あとの皆さんのご発言は議事録 できちんと読ませていただきます。ありがとうございます。               (舛添厚生労働大臣退室) ○田中座長 ありがとうございました。残りの議事もちゃんと伝わるそうですので、引 き続きご発言をお願いします。 ○海辺構成員 私、専門外の人間なものですから、私が日々、感じている素朴な疑問と 申しますか、割といろいろな所で検討会とかを傍聴し報告書なども見ていると、問題点 といういのは基本的に洗い出されて整理されていますけれども、なぜか現実が伴わない ところに大きな問題があるのだと思います。グランドデザインという先ほどのビジョン は、本当に大切なビジョンですけれども、ただ、私が癌の協議会に出ていて思うのは、 結局、そういう絵に描いた餅ができても、実行を伴わせること自体がものすごく大変で す。アクションプランのようなものにして、ちょっとずつでも進めていくことが非常に 重要なのかなと感じていますから、先ほど井部構成員がおっしゃっていたように、絵に 描いた餅を作るだけでなく、そういうアクションプランのようなものも、今回、併せて 作るというふうにしていかないと、せっかく開いた意義が出ないのかなと感じています。 ○田中座長 問題点の整理だけで終わりたくないという、お2人の同じ意見です。 ○太田構成員 私は現場の在宅医療を推進している医師の立場で、一言申し上げます。 国立長寿医療センターに昨年、在宅医療推進会議というのが組織され、在宅医療に縁の ある職能団体あるいは学術団体の代表者が集い、日本の在宅医療をどのように普及させ るのかと考えはじめました。いま、「在宅医療」という言葉は日本歯科医師会も日本薬剤 師会も使います。したがって在宅医療は当然チームで推進です。四輪駆動という時代に なりました。医師と看護師が共に車の両輪でやってきた時代から四輪駆動の時代になっ て、そのハンドルを握るのがソーシャルワーカーだったりケアマネだったりする時代が、 訪れました。  医師は、在宅医療に向けて比較的意識改革が進んでいるのではないかという印象を持 っています。医師の意識を変えるのはとても難しいのですが、あるとき、医師が変わら ないと馬鹿みたいだと思われるようになると医師は変えるのです。ですから医師の意識 を変えるというのは、もしかしたら意外にスッといくのかもしれないという気がするの です。  その医師の意識を変えてくれるのは誰かというと、私は紛れもなくナースだと思いま す。在宅医療の主役はナースです。しっかりとした療養生活をナースが維持してくれれ ば急変しません。特に高齢者の急変のほとんどは脱水が原因ですから、生活も含めた視 点で管理していくのは、ナース以外にエキスパートはいないと言えます。ですから、在 宅医療推進のいちばん重要な鍵を持つのはナースだという認識が必要です。ところが、 先ほど7対1の看護の問題も出ましたが、訪問看護ステーションは疲弊して数が減って いる状況です。  NICUの話もありましたが、いま子供もNICUから地域に戻って来ます。そういう子 供たちは必ず人工呼吸器と経管栄養(tube feeding)になっています。それをしっかり管理 して支えていくのはナースなのです。医師は指示をして、責任をとりますが、それ以上 関わるとあまりいい結果にならないのでナースに任せる。ということで、この訪問看護 の重要性というのは再認識していただきたい。 ○秋山構成員 エールを送られた訪問看護の代表ですが、秋山から発言させていただき ます。いま太田先生が在宅医療について、看護師が要だと言っていただいて大変ありが たく拝聴しました。私は高齢化に伴って、これは仙台のカワシマ先生がおっしゃってい ましたけれども、治す医療の部分より支える医療の部分が非常に大きなウエイトを占め ている。慢性維持で非常に高齢化し、癌の方も含めて非常に長期にわたって病気と共に 生きていくことを支え続ける。そういう医療のある意味での意識改革をもう少し教育の 中でもして、そういう看護職の方が、在宅にもっとたくさん復帰していただくことが必 要ではないかと思います。  急性期の中で病院の医療看護だけではなく、在宅でどういうことが行われているかと いうあたりを、私たちももう少し情報発信して、そこに人が入って来ていただけるよう なことを工夫していかないといけないと思います。そういう意味で医療の組立てが、あ る意味で医学教育も含めてですが、治す医療からシフトを変えていくあたりのことも必 要ではないかと思っています。 ○田中座長 治す医療プラス、支える医療の中の看護という視点で、話をしていただき ました。 ○中山構成員 私のほうは基礎教育ですが、前回のあり方懇談会の中でもありました。 今日も議論が出ていますけれども、看護職というのを1つの固まりでは論じられない。 どのくらい在宅看護を担う人がいるのか。どのくらいプロフェッションとしての看護師 がいるのか。大学化が進むということはそれだけ看護職が普通の仕事になってきたのだ と思います。離職率が高いと言うのですが、でも普通の仕事ですから、そういう意味で は大学に入る学生の中には看護ではなく、もっと違う職業に就きたいという方々も入っ ていて、基礎教育を大学でやっている教員は、そこのジレンマがあると思います。職業 教育をするのか、本当に一般教養としての看護をするのかというところに、ジレンマが 出てきているのが現状かと思います。  そういうことも含めて、私は100万人を超える看護職のどのくらいの層をプロフェッ ションとして育て、どのくらいの層を普通の看護師として育てるのか。この辺の区分け の問題が多少要ると思っています。あり方懇談会の報告書を私も読んできましたが、そ こで求められている能力はどう考えても現状の看護師で担えるものではないわけですか ら、そこをもう少し分けることを考えていただかないと、この看護職の役割というのは 担えていけないというのが私の主張です。そこのところも議論の論点で挙げていただき、 プロフェッションとして医師と両車輪になるような看護職、それから労働力として要る 看護職、そういったことを考えていただかないと、看護職員を十把一絡げにされると、 論じにくいという感じがしています。 ○福井構成員 私も中山先生と同じ考えで、ナース全員が同じ仕事をするというのは、 非効率的だと思っています。私がアメリカにいたときはナースプラクティショナーがい て、RNがいて、LPNがいて、エイドみたいな人もいるというように、仕事の分担が行 われていました。日本の看護師の仕事の質は、アメリカのRNとかなり違うように思い ます。  医師の仕事の分担もそうですが、ナースの仕事をもう1回考え直して、4年制の大学 を出たナースの行うべき仕事とそうでない仕事、ナースプラクティショナーに相当する 人の仕事などに分類してはどうでしょうか。  若い方の離職が多いことについては、おそらくいろいろ検討されているのだろうと思 います。様々な離職理由も資料に記載されておりますので、それぞれの項目についてど う優先度をつけて、どれくらい政治家が本気でそれを解決する気持があるのかによるわ けですから、新しいブレイク・スルーのようなアイデアが出てくるような気はしません。 ○田中座長 どういう案があり得るかではなく、何を優先度を付けて実行するかのほう が大切であるということですね。ナースのいろいろな種類も、むしろ職務のほうもきち んと分析しておくと、どういう人ができるかがわかるとのご指摘です。 ○海辺構成員 いまナースプラクティショナーの話が出たので、私が去年、アメリカの M.D.アンダーソン癌センターを見せていただいたときに、ナースプラクティショナーの 方のお話なんかも伺うことができました。そういう方々は初めに看護師としての職をし ていながら、自分自身のステップアップをしたいというニーズもあって、また大学院に 行って修士の称号を取ってから戻って来るというお話を伺いました。その方とはまた違 う方ですが、ナースプラクティショナーの方が日本に来ていろいろな看護師の方と交流 したときに、そこの看護師の方々が真っ先にまず質問することというのが、お給料がい くらぐらいかという話から始まったそうです。資格によって細かく給与が違うので、資 格によって違いますよと話すと、どういった資格があるのか、どうやって取っているの かという質問が矢継早に出てきたと伺いました。  いろいろな方がいらっしゃるし、いろいろな生活パターンとかがありますから、その 中でいろいろなニーズがあって、私はとにかくこういうルーチンの中で働いていきたい という方もいるでしょうし、そういうふうにステップアップしていきたいという意欲的 な方もいらっしゃると思います。アメリカでも人が足りなくて、私立病院がどんどんお 金を付けて看護師を集め、そっちに寄ってしまう問題があったときには、ローテーショ ンがなく、勤務も夜勤の人は夜勤しかしないし、昼間の人は昼しか働かないという住み 分けができているので、それで働きやすいということもおっしゃっていました。そうい うところを細かく見て、できるところはどんどんやっていくということも、すごく必要 なことではないかと感じています。 ○田中座長 勤務の仕方のこと、それから、よりレベルの高いプロフェッションになる ステップアップの方法について言っていただきました。 ○中山構成員 いまの発言に触発されて加えさせていただきます。アメリカは私も見て まいりましたが、分業の国のアメリカと比べると、日本はすべての看護師が同じ仕事を している。いまは准看護師でさえ看護師と区別が付かないような形で同じ仕事をする。 このみんな同じということの良さも私は感じていて、ここに何人も看護部長の経験者が いらっしゃいますが、この良さがある一定の看護の水準を保ってきたということもある。  ただ、確かにあまりにも部分的に入る人たちを入れないということが、これまで起こ ってきたのかなとは思うのですが、一律にずっとやってきたことの良さも、いまの看護 の質を保ってきたところに貢献しているだろうと思うし、その辺にジレンマを感じてい ます。 ○草間構成員 ナースプラクティショナーの話が出ましたので発言させていただきます。 実は私どもの大分県立看護科学大学は、今年からナースプラクティショナーの教育を開 始しています。文部科学省にも厚労省にもお話をしていますが、これはあくまでも大学 院を出た方たちの教育ですので、チーム医療という形の議論の場では、是非ナースプラ クティショナーのほうも踏み込んでいただきたいのですが、とりあえず看護の基礎教育、 要するにRNの教育をどう行うかは分けて検討していただきたい。いまのようにRNに なるためにもたくさんの道があるという、これが本当に看護師のステータス、あるいは プライド等にもかなり関係してきているのではないかと思います。  そういう意味では18歳人口が減っていく中で、とにかく大学がこれから増えていく のだろうと思いますが、医学部の場合には定員を増やせば必ず充足するわけですけれど も、看護大学の場合に定員がどんどん増えていったとき、本当に定員が満たせるかどう かという大きな問題もあると思います。そういう意味では、まずRNの教育をどう統一 化していくかが大変重要ではないかと思います。ばらばらの教育課程をある一定の枠の 中に入れていくというのは、私は看護師の質の確保のために絶対必要なことではないか と思いますから、是非、その視点でお願いしたいと思います。 ○坂本構成員 私もNPとか、そういう話も大変重要だと思いますが、先ほど吉田構成 員が言われたように、養成学校の定員割れとかいろいろなことが起こってきている状況 で、そしてこれからもっと少子化になっていくときに、そこを何らかの形で救うシステ ムがないと。私も地方に行って話を聞くと、30人養成しているけれど、市が大変でその 学校が潰れようとしていて、それを何らかの形で残せないかと先生方は必死なのです。  私もそういう経験をNTTでしてきて、定員がなかなか集まって来ない状況あり、大 学化していったのですが、大学化になるとまだいまのところはある程度いくのです。し かし養成校では、定員が集まってくる所もありますが、そこは赤字になってきている。 8人、9人の先生方の給料を払っていくだけでもずいぶんお金がかかるのです。そうす ると、その辺のテコ入れもちゃんとやっていくべきだと思います。ただ大学とNPと、 そういうことの王道というのはあるかもしれないけれども、いまのいろいろな所で働い ている人たち、そして養成学校にいる人たちに、どのように国がサポートするかという ことを、ちゃんと明らかにしていくことも大事だと思います。  そういう意味では、アメリカの状況などからも大事ですが、、いまドクターが少なくな っているところで、ナースがいろいろな業務拡大をして、お互いにチームでやるという ことは絶対しなければいけない。何でもかんでもドクターがやってくださいでは、やれ ない状況が起こってきているのも事実です。養成学校とか大学の定員割れもくるかもし れないところではこれからは、きちっと基本を決めて救うというシステムを作らなけれ ば、確保ですから、少子化になってきたからナースがどうあるべきか、素晴らしいナー スの仕事をいっぱい作ろうと言っても、足りないのですから、これをどうするかという ことをちゃんとしないといけないと私は思います。 ○石垣構成員 看護基礎教育の制度のことで、お話させていただきます。いま医療の現 場も大変繁忙を極めているというのはご存じのとおりですが、それと同時に機能が非常 に分化しています。ですから、いまどんなに小さな病院でも本当にさまざまな医療専門 職が入っていて貢献しているわけですが、その後発のというか、さまざまな医療専門職 の基礎教育というのは、いまは少なくとも4年制以上の大学のレベルです。資料の13 頁に看護教育制度図というのがありますが、看護師の教育というのは戦後60年のさま ざまな社会状況の変化、あるいはそれに影響される医療に対応するために、そのとき、 そのときに必要な制度が生まれてきて、それが延々と続いているわけです。  確保の問題でこのままでいっていいのか。もうそれはずっと前から話合いのテーブル には乗っているのですが、この看護基礎教育の統一化まではいかなくても、整理すると いうところをもう少し国として考えていかないと、私は看護師の確保というのは国家的 な課題だと思っていますので、国としてこういうことにどう取り組むかというのも、ひ とつ考えていきたいと思っています。 ○森構成員 私は、大学の中で助産師教育を担当している立場から意見を述べさせてい ただきます。大学の統合カリキュラムの中で助産師になろうとする学生は、志望動機が はっきりしており優秀ですので、卒業後即助産師としての実践をきちんと踏み、各病院、 産院から高い評価をいただいています。看護系大学卒業の助産師と1年課程の助産師教 育課程卒業の助産師で比較したところ、卒業時の実践能力として差は見られていない研 究結果がでています。大卒者は、卒後3年、4年経ったところで実践能力や判断能力な どの高まりが見られています。また、3年、4年の実務経験を経た後に、大学院への進 学も見られます。大学院修了後は、母性看護専門看護師(CNS)や大学教員、研究者と して活躍しています。  看護師の教育を4年にし、保健師や助産師の教育を大学院で行うかどうかについては、 全員が大卒になった段階で制度化を考えていただきたいというのが私の要望です。今は、 大学の中で助産師、保健師を養成することが、養成コストの面から見ても、看護職員の 確保に非常に重要だと思っています。  助産師に関して言えば、新人研修が4年前から始まり、一定の成果が見られると伺っ ています。対象者は新人助産師の1割程度のようですが、早急に全員が受けられる制度 にしていただければ、安心して助産師が就労できると思います。今、産婦人科医不足で すから、その点でも正常な分娩を助産師で行うことが可能になると考えています。助産 師の就業者数が2万6,000人程度ですが、実際の免許の保有者は5万人程度で、この差 は非常に大きいです。助産師も卒後10年目位になると子育てが非常に大変な時期にさ しかかります。女医さんと同じように、子育て支援について、今後検討していただきた いのと、助産師としてインセンティブを持って働けるような環境づくりも、是非、やっ ていただきたいと思っています。  現状を考えますと、産科の医療施設が集約されて、助産師がそこに集中して移動して いる状況ですが、集約に伴い助産師は2倍のお産を抱えて非常に大変な状況です。一方、 産科を閉鎖した医療施設の助産師は、助産業務ができなくて看護業務をされているとい う問題が起きていると伺っています。お産の多い医療施設に、自治体単位で出向という 形での工夫をしたりすることが必要かと考えます。  また、卒業した助産師が全員、妊産褥婦に関わるわけではなく、NICU(新生児集中 治療室)にもかなりの助産師が就業しています。ですから、今後も助産師の専門性の高 さを求められる実践の場は増えていくと思いますので、助産師教育に関わる教員の配置 数の増加や、助産学実習の受入れ施設の増加により、助産師養成数を増加するための支 援を希望します。このような助産学実習教育の環境整備も、この懇談会の中でご検討い ただきたいと思っています。一大学当たり、助産師養成数を15名程度とできるように、 予算措置して環境整備していただければ、助産師の確保の成果はすぐに見込めるのでは ないかと考えます。 ○羽生田構成員 いま森構成員から、統合カリキュラムの中での助産師という話が出ま したが、ほとんどの大学が統合カリキュラムということは、単純に大学教育は3年で看 護教育をやっている。統合が良い悪いという話ではなく、実質は助産師6カ月、保健師 6カ月、看護教育3年です。ということは大学4年と言っても、看護教育は3年でやっ ているということになるのではないか。ですから看護教育を4年ということにするので あれば、助産師、保健師は卒業後に取るような形にすべきではないか。看護教育を本当 に4年でやってください。まずそれを大学がやるべきではないか。その上にいわゆる専 門教育的な形で大学院でもいいですし、看護師を取ってから助産師あるいは保健師を取 る。そのほうが、いまのお話にもありましたが、大学の中でも助産師を取っている学生 は非常に意識が高くて、助産師になりたいという気持が強いのです。ただ、保健師を取 っている方々は保健師になりたいと思ってやっていない。それが看護に活きないとは言 わないけれど、看護師の免許を持った後に保健師になりたいという人が、ステップアッ プする形で保健師を改めて取るという形ができるのではないかと考えているので、大学 教育、4年制ということを言うのであれば、まずは大学4年で看護教育をしてみてくだ さい。  いま新人看護師が、すぐに付いていけないという話ですが、先生が座長をされていた 懇談会でもヒアリングのときに言いましたけれども、実際に免許を取って仕事が全力で できるのは進学コースを出た方です。准看の資格を取って進学コースを出た方が、即戦 力という意味ではいちばんできる。  それはどうしてかというと、進学コースに行っている間に既に看護業務をしているの です。それが即戦力として活きる。医師の教育もそうですが、いま本当の医療の業務と いうものが実習の中でできない。いわゆる患者さんの同意を取るとか、それはある意味 で必要ですけれども、将来の医療職種を育てるためには、実習の中でもう少しできるこ とをきちっと法律上も担保してあげないと、卒業し立ては医師でも使い者にならないで す。実習でも何でも実際の医療のことができないのですから、免許がないということで は何もできない。その辺も効率的に実習がやっていける、どこまでできるという、もう ちょっとステップアップした実習ができるようにしてあげないと、なかなか難しいと思 っています。 ○森構成員 統合カリキュラムについて誤解があるかと思うのですが、3年の看護師基 礎教育プラス6ヶ月ずつの保健師・助産師教育ということではなく、大学では保健師・ 助産師・看護師の実践に共通の内容を体系づけられた看護学として教授することを重要 視しています。そこに保健師特有の専門性や助産師で専門的で重要なものを楔形に入れ ているのです。ですから、1年から助産師の教育が始まっていますし、保健師の教育も 始まっていると考えています。大学は、そのような学び方ができる学生を選抜していま す。看護師養成機関がいろいろあるために、そのような誤解が生まれるかと思いますが、 もし、大学教育に言及されるのであれば、その辺のことをご理解いただけたら大変あり がたいと思います。 ○草間構成員 看護教育にあたっては、厚労省だけでなく文科省と両方の意見の一致が すごく大事なので、是非、共同して検討してほしいと最初に私がお願いしたのはこの点 からも重要です。現在、統合カリキュラムの問題点については、先ほど井部構成員から 発言がありましたように、懇談会の中でも指摘されていると思います。実際に大学教育 に当たっている方たちも、看護師にとっては統合カリキュラムというのは大変素晴らし い教育ですけれども、保健師、助産師にとって本当にいい教育かどうかというのは、き っちり検討しなければいけないと思います。  特に保健師に関しては、いま文科省のほうが、大学を設置するときに保健師と看護師 は両方取るようにということで、そうしないと設置を認めない形で指導しているという 実態があるわけです。ですから保健師に関しては大学を卒業する1万3,000人が保健師 の免許を取るわけですが、実際に保健師の免許を使って就業できる人は1,000人以下な のです。だから大方がペーパードライバーであるということ。この辺も需給バランスを きっちり考慮した教育が、専門性を強化するという点では大変重要だと思います。その 辺で是非、文科省とのすり合わせが大事ではないかと思います。  文科省とのすり合わせに関しては、いまのような問題と、もう1つは文科省が中等教 育の中で高校の一貫教育も進めているわけで、この辺についても質の確保という点から 考えたときに、文科省と厚労省がすり合わせをして、先ほどからあるように、看護師の 教育課程がこんなに複雑でいいかどうかも含めて検討していくためには、文科省と厚労 省とが一体になって話し合うことが、私は是非必要だと思いますので、強調しておきた いと思います。 ○井部構成員 森構成員と言ったらいいのか、ヤクザみたいで嫌なのですが、森構成員 の大学4年の中で助産師も立派に育つし、保健師も立派に育つという考えの派もありま すし、そうではないという派もあります。これは後で大臣が議事録を読むにあたり、均 等に考えていただかなければいけないと思いますので、あえて発言したいと思います。  「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」では、統合カリキュラムを何と書いたか覚 えていませんが、検討するということと、保健師と助産師の教育も改めて検討するとい うふうに別出しになっている。それは1つ懇談会の論点整理としてきちんと書かれてい ることであるし、この件では過去にさまざまな報告書が出ているわけですので、それか ら先に行かなければいけないと思うのです。そうでないと、いつもグルグル回っている ような気がします。先日、マスコミの人との話合いで、あなたたちがやった「看護基礎 教育のあり方に関する懇談会」の論点整理は逆行していますね、戻っていますねという 指摘を受けて、私たちは何をやっていたのかなと非常に反省したわけです。ですから、 数々の看護に関する報告書を踏まえて、将来、もっと先にいくような懇談会になってい ただきたいと思っています。 ○中山構成員 それに関連してなのですが、私はそのネックになっているのが、私と同 じ還暦を迎えた保助看法だと思うのです。そこに看護師・保健師・助産師と書かれてい るその規定の問題があって、是非、この検討会はその保助看法の考え方を一旦外して、 そして看護師はどうあったらいいのか、保健師はどうあったらいいのか、助産師はどう あったらいいのかという議論に持っていっていただきたいと私どもは思っています。  それでないと、井部構成員も言ったこの間の懇談会もそうですが、先ほど秋山構成員 から出たように、看護は予防から生活の場でのケアまで全部含まれているわけですから、 そういった看護に期待されていることが、いまの保助看法で定められている療養上の世 話と診療の補助でいいのかという問題にいきます。私としてはこの検討会は是非、60年 経った保助看法の規定のことについて、とにかく一旦外して考えたいと思っています。 ○坂本構成員 いま構成員の方々が言われたように、私はこの時期は早くしなければい けないと思います。だから何回も何回も懇談会をやっていても本当にグルグル回るから、 羽生田先生も言われたように、とにかくやろうではないかという話で1つ出さないと、 いつまでもこんなことをやってもしようがない。大体のことは一致しているわけですし、 とにかく質を上げるということは一致しているわけですから、どうやって質を上げるか というところをちゃんとやっていくことが必要だと思います。 ○吉田構成員 いま坂本構成員がお話になりましたが、私はよくわからないのです。と いうことは、厚労省の養成校の看護師が質の向上ということで劣っているのか。3年制 であったら駄目なのか、4年制だったらいいのか。どのカリキュラムだったらいいのか。 うちの学園は4年制の専門学校で保健師との統合カリキュラムをやっていますが、この 保健師も駄目なのか、意味が全然わからない。  大学なんてできたのはつい最近です。ついこの間まで短期大学だったではないですか。 何ら変わっていなかった。大学院だってつい最近できたものです。まだドクターのコー スだってほとんど整備されていない。そこで大学、大学という言葉で3年制から4年制 という言葉に持っていくというのは、少し乱暴すぎるのではないかと私は思っています。 ○坂本構成員 私は大学が優れているとか、看護学校の3年は駄目だと言っているので はない。私も看護学校3年卒業です。だから、そういうことを言っているのではなくて、 少子化になってくると、私はNTTの看護学校を持っているときに定員が割れてくると いうのを経験しているのです。いま大学も学生を集めるのに必死です。この少子化にな ってくるときにどうするのかというのが、私はすごく気になるところなのです。大学は いいとか、看護学校が駄目だからどうするというのではなく、大学も含めて質を上げる ということはもちろん1つで、どこどこの誰かの質を上げるという話をしているわけで はありません。それははっきり言っておきます。 ○太田構成員 ちょっと視点を変えてしまって申し訳ないのですが、一旦育った看護師 がどうレベルアップしていくのかというところでの課題です。私どもの医療機関にもた くさん看護学生が実習に来ますが、訪問看護の姿を見て感動して帰るのです。訪問看護 は素晴らしい。だから自分も訪問看護をやりたいという夢を抱きながらナースになって、 ところが、いざ病院に就職してしまうと、訪問看護に携わる機会がなくなるのです。病 院で教育されていく中で、専門ナースになっていくという目標が1つ掲げられると、よ りスペシャリティの高いレベルに挑戦していくことのほうが、尊いことのように感じて しまうわけです。  これは医師も全く同じで、スペシャリストたちはジェネラリストを蔑むのです。もと もと私も前はスペシャリストだったのですが、スペシャリストと仕事をするにはスペシ ャリティがより高いナースが必要ですけれども、在宅もやりますよという地域のジェネ ラリストたちと共に仕事をするナースたちを、どういうふうに育てていくかというとき に、ドロップアウトしてきた人たちという見方をされるわけです。ですから、そこを改 善しない限り訪問看護師は増えない。いま2%ぐらいです。今これだけ在宅医療、在宅 医療と言われて、在宅医療という言葉がトレンドになって、在宅をやろうという医者は 結構いるが、ナースがついて来ない。病院のナースからは何かネガティブなキャンペー ンを張られますが、卒後の教育の中でどうやって訪問看護師を育てるのかということを 大学病院クラスで絶対に考えてもらわないと、ナースもどんどん専門特化していきます。 本当に心がある意識の高い、心優しいと言うと専門ナースも心優しいですが、取りわけ 心優しいナースたちをどうやって地域に戻すかが非常に大きな課題だと思います。私は 教育の専門家ではありませんが、訪問看護をやるためのナースを育てるような学校があ ってもいいのではないかと思うのです。というのは、地域の医師会がやっているような、 と言うと、レベルの話ではないですが、教育付属病院もないまま町の開業医たちの中で ナースは育っていくのです。そのような所のナースたちというのは地域医療と非常に近 い関係にありますから、そのままその地域で働けるようなコースを作ってやることがで きれば、訪問看護師が育つのではないかなと思っております。以上です。 ○坂本構成員 それはおそらく第2回目のフェーズの所にある教育の問題で、病院など で仕事をしていて思ったのは、今ほとんど手を使わせないという教育をしていて、いか にギャップ、谷間をどうやって埋めてあげるかといったときには、やはりやらないとい けないということです。やらないで、見て覚えろというのは大変苦しい。そして、病院 に入って仕事をしたときに、「えっ、こんなこと」となって、やれないでしょうと言われ て、自分はできない人間だと自虐的に思ってしまうというからくりがある。訪問看護に しても、病院の実習にしても、とにかく手を出させてやらせる、仲間に入れていくよう な教育をどこかでしていかないと、おそらくいつまで経ってもおそろしい、おそろしい、 やっぱりおそろしいでしょうといった教育になっていくので、第2回目の新人研修の中 でたくさん言わせていただきますが、私も太田構成員が言われるとおりだと思います。 ○太田構成員 度々の発言で申し訳ないのですが、病院のナースたちは医師の指示に基 づいて働きますが、地域に出たら主役なのです。力のあるナースの指示に従って医師が 働きますから、ナースにとっては非常にやりがいのあるエリアだと思うのです。やりが いと生きがいということでそのような楽しさをどこかで教えてやらないといけないと思 います。 ○坂本構成員 そうですね。意欲のアウトカムということですね。もう1つだけよろし いですか。在宅のことは秋山構成員が言い出してそうなのですが、病院のナースはドク ターの中でと言われますが、実は昼間はドクターがいない状況になってきているのです。 私も経験しましたが、ドクターは外来とオペ室という状況で、いそがしい。そのなかで 看護師も必死です。例えば開業医、病院、在宅、訪問で主体的に動く、病院の中でも主 体的に動く。それから開業医の所にいる人たちは先生が往診に行っているときには、そ れこそ主体的に看護師も判断している。このようなことは、ナースにとってはできるこ とのやりがい、判断することのやりがいというものが出てくるはずですから、地域をど こで区切るかという話よりも、主体的に何かがやれていって、みんなが看護師の仕事を 重要に思っているという教育。そのような場に持っていかなければいけないと思います。 ○田中座長 別に何回発言なさっても結構ですし、論点はいま数えてみましたら数え切 れないですね。事務局は大変だと思いますが、今日は何でも結構ですし、厚生労働省、 文部科学省への注文でも構いません。なお、法律のあり方の中身から出ていた医療法、 保助看法も両方とも60歳ですね。 ○坂本構成員 最初に質問があった人材確保の数ですが、予想していた数と予想してい なかった今のギャップということについては、厚生労働省に質問させていただいてよろ しいですか。どのような見解なのですか。 ○野村看護課長 第六次の需給見通しは2年間かけて作っております。1年目は検討、2 年目に調査をして策定しておりますので、非常に時間はかかっております。制度の動き というのはかなり早いので、やっている間にそういったものが見えないと、都道府県に 計算してもらいますのでそちらにオーダーはできないというところです。ですから、診 療報酬のように2年に1回変わっていくようなものは、このような長期スパンで時間を かけ、見通しを立てているというのにはなかなか合致していかないという部分がありま す。 ○羽生田構成員 確かにそれはあると思うのですが、ただ、あれを出すときには既に7 対1というものはわかっていたはずです。最終的な独自の見通しを出したときには、厚 生労働省は7対1を4月から行うということは既にわかっていたのです。あのときにす ぐそれに対応するということも必要だったのではないかと。あれほど変わったわけです し、あれほど看護師たちの異動が起きて、あのとき地域では看護師不足が本当にすごか ったです。もちろん、いまでもすごいです。  もう1つは一次から六次まですべて、これは目標があって数字を定めているのではな いと思いますが、再就業の数というものがその調整役を果たしておりまして、大体この ぐらい足りなかったはずがこれぐらいに減りますよという数合せは、再就業の看護師の 数で合わせているのです。並べてみればわかるように、これは一次から六次まで全部そ うです。また、全国一遍にやっていますから、全く意味がない。もちろん、各県から積 み上げているのですが、それぞれの地域によって状況が全然違うわけです。いまの見通 しの出し方にはその辺に非常に問題が多いので、新たな検討会ができるはずでしょうか ら、今後出すときには今のままの形でいいのかということを検討していただきたいと思 います。 ○田中座長 別の検討会できちんと新しい方法を考えるということですね。 ○海辺構成員 全く関係のない視点から、要するに、志願者がいてこその需給バランス ということになると思うのですが、例えば先生方がいろいろ教えている学校などですと、 志願者自体はどうなのかということが非常に感じられるのです。というのは、私はこの 懇談会の中ではいちばん若いほうだと感じていますが、いまどきの価値観と言いますか、 みんなが満たされている中での将来の職業選択といったとき、看護師になることの魅力 が今あまりアピールし切れていないのかなという感じがするのです。例えば、私は普通 に主婦をしていますが、主婦でもいろいろなことを地道に取り組み、社会に奉仕すると いうことは本当は美しいあり方ですが、そのようなことは絶対にもてはやされなくて、 グルメだ、セレブだ、どこのバーゲンだということばかりをテレビでやっていると、主 婦というものは何か踊らされてそちらのほうに走ろうとする。そうすると、私がやって いるようながんの患者会のほうには人が集まってこない。私の母は元看護師で、いま私 は2人の娘を育てていますが、「おばあちゃまみたいな看護師になるわ」と娘たちが言 うかというと、ちょっとそのような方向ではない世の中ではないかという感じがいたし ます。ニーズを高めるというあり方も並行して考えていかないと、そもそも人が集まら ないという状況になるのではないかと感じながら聞いておりました。 ○田中座長 子どもたちに看護師になる夢が伝わっていないのではないかという危惧を お持ちなわけですね。団塊の世代とはちょっと違う発言でしたね。 ○森構成員 海辺構成員が言われたとおり、看護系の希望者はいま横這い状態です。18 歳人口が急激に減る一方で、女性が選ぶ魅力ある職業としていろいろなものが開けてき ていますので、学力がある方は医療職でも薬剤師、医師を選ぶ可能性があると思います。 そういった点で看護師の魅力、看護の専門性を打ち出していくということは本当に重要 だと思っております。 ○田中座長 高校生の気持と流れが他の職種と競合し得るわけですね。 ○森構成員 18歳人口が減ってきているので、看護の基礎教育を4年化することは重要 だと思っております。看護師の判断能力という点では、優秀な人を養成していくという ことが重要だと思いますので、医師不足もありますから、その辺の競合するということ を私たちが考えていかなくてはと思います。 ○吉田構成員 いまの森構成員の発言ですが、4年制にシフトということに私は決して 反対はしていないのです。ただ、3年制があまりにも多いので、短大も含めてその3年 制の養成校はどうするのかと。短大は何とか学部にもっていこうとはしていますが、3 年制の養成校を4年制にもっていこうということになると、本当に大変なのです。いま でも大変です。逆に言えば、4年制は大学だから課程、専門学校、養成校であったら3 年間で看護が取れることで何とか成り立っているのですが、それをすべて大学も4年制、 専門課程を置いた養成校も4年制となった場合、学生たちを4年制の学校に本当にもっ てこれるのかと言ったら、いまの少子化の時代、18歳人口が100万人になっているわ けですから大変不安です。質の確保よりも看護師の確保のほうがもっと大変になるので はないかということを懸念しております。 ○坂本構成員 魅力あるかどうかということで、看護協会のホームページに載っていた のを見ると、やはり大学のほうは微動しています。あとの学校はすべてやや下降気味で す。これから大学になるか、ならないかという話をここでしていても、大学の志望率が 高くなってくると、いままでの状況はどうなっていくのかという危惧が、魅力ある職場 として本当にいけるのかどうか、定員が割れてくる状況というのが一体どうなっていく のかが大変気になるところです。看護大学は定員割れという話はまだ聞きませんが、一 般大学は最後までいっていま定員割れの問題が出てきていますから、そのようなことに なってくると本当に大学だけの一本化でいけるのかどうか、吉田構成員が言われるよう な話もきちんとしておかないといけないと思います。  もう1つは、厚生労働省が出された資料にもあるように、やはり離職率が大変な損失 と言いますか、一生懸命養成しても辞めていく人がいる、看護学校等でやめていくのと、 就職してから辞めていくのと、新人となってすぐ辞めていくという人たちを考えてみる と、大変な損失がある。全部辞めて何もしていないかと言うとそうではなくて、いろい ろな所で働いている方も若干いると思いますが、全体的には減少しているというか、働 いていない人たちが多く存在している。これは女医の問題と同じだと思いますが、そこ にきちんと手を打たないといけないと思います。夢だけではなくて、働きながら生活が きちんとできるという仕組みを作ってあげる。女性が多い職場ですし、男性ならばでき たかもしれませんが、女性は子どもを産み、家庭と両立などいろいろなことがあったり するので、そこをきちんとすることが大事だと思います。 ○石垣構成員 新人看護職員の離職が大変大きな課題になっておりますが、今ほとんど が採用した施設側の努力で何とか頑張っているという状況です。いままでのさまざまな 検討会で、卒後の看護師の臨床研修制度については今後の検討課題であることが度々報 告されておりますが、いま厚生労働省が30いくつかの施設で、モデル事業として卒後 の臨床研修制度に取り組んでいるようです。医師とは違って絶対数が多い、しかし何と かこの新人看護職員を定着させるために、卒後の臨床研修制度をどのようにしたらいい か、新人看護職員の質の向上あるいは確保の問題から取り組んでいかなくてはいけない と思っております。 ○井部構成員 これは第2回でもっと議論されると思いますが、看護職員の確保という ことでは、長期的な確保と短期的な確保があると思います。いわゆる潜在、免許を持っ ていても仕事をしていない人が、推計値が随分違うのですが、50万人とも65万人とも 言われていて結局わからないわけです。医師や歯科医師は届出制度があって、仕事をし ていなくてもどこに誰がいるかが推計ではなく、実態がわかるわけですが、看護師の免 許を持っていても働いていない人は、どこに誰がいるかということがわからない制度に なっております。事務局のほうでわかるようでしたら、潜在している看護師がどのよう にいるか、わからないのに出してくれというのも何ですが、少し資料を出していただき たい。健康保険法の改正のときに、看護師も届出をしたらいいのではないかということ がちょっと出たのですが、落とされてしまったのです。費用がかかるからかなと私は勝 手に推測しましたが、国の貴重な資源である看護師の確保という点で、何十万という、 働いていない看護師が、なぜ働いていないのかをきちんと調べて対応をとるということ も、確保においては当面必要なことではないかと思っております。 ○田中座長 資料についての話が出ましたので、ご存じの方が多いかと思いますが、資 料を共有するために簡単に説明をお願いいたします。 ○野村看護課長 資料4の基礎資料をご覧ください。表紙にはどういった内容があるか という項目を並べております。右側は頁数です。表紙を開きますと、よくご存じの人口 ピラミッドの変化、2005年から2055年のトレンドが載っております。2055年では65 歳以上が41%にも達するという状況です。2頁は18歳人口の推移です。度々出てきま したが、確実に減っていくというところです。現在から平成42年までには89万1,000 人ということで、現在の約3分の2、2055年には現在の約2分の1以下になるという推 計がされております。3頁は看護職員の就業者数、働いている者の数です。右側にある ように、看護師は平成18年では約85万人、准看護師が41万人、下にあるように保健 師4万7,000人、助産師2万7,000人で合計133万人という状況です。看護師の伸び率 が非常に高いといったところです。  次頁は就業場所です。先ほどから在宅のことが出ておりますが、大部分が病院、診療 所で84%です。訪問看護ステーションは2%という状況です。5頁は年齢階級です。下 の出典にあるように、このデータは平成14年のものですので若干古いのですが、青の 棒グラフが就業者数で、20代から40代前半までが大部分ですが、就業率で見ると、M 字カーブを描いております。オレンジ色は看護職員、ブルーの点線が全産業の女子の部 分です。M字カーブでは30代の前半から下がっていますが、看護師は全就業よりは若 干高く、下がり具合が若干弱まっております。6頁は先ほどからあります第六次の看護 職員需給見通しです。現在平成20年ですのでちょうど中間年となっておりますが、平 成22年には140万人という需給見通しを立てております。供給は若干少なく、139万 人で、いちばん下にあるように、98.9%に達する予定です。実績のデータがまだ正確に 出ておりませんので、どうかという辺りはわかりませんが、そういった見通しを立てて 供給数を増やしていくというところです。  7頁は人口1,000人当たりの看護職員数の国際比較です。日本は真ん中ぐらいにあり ますが、9.3です。よく出てくるイギリス、アメリカ、ドイツは日本よりも少し上で、 フランスは逆に下に位置しているというのが看護職員の人口1,000人当たりの数です。 8頁は離職率を表したものです。赤で書いてあるのが全産業の離職率、緑の看護職員は それよりも低くなっております。青は新人看護職員の離職率で9.2%で、大体ずっと同 じような値ですが、これは再掲でございます。9頁は新人看護職員の離職理由です。こ れは2004年に日本看護協会が実態調査をしたもので、養成している学校に対して回答 を求めたもので、大学は学部長、養成所は教務主任の回答ですが、大学、短大、養成所 ともに1位と2位はほとんど同じで、「看護基礎教育終了時点の能力と現場の求める能 力のギャップが大きい」が高くなっておりますし、「現代の若者の精神的な未熟さや弱さ」 といったものが高く出ているところです。  10頁は同じ項目ですが、就職先の病院の看護部長に回答を求めたものです。1位と2 位は先ほどの学校と同様です。若干高く出ているのが「看護職員に従来より高い能力が 求められるようになってきている」で、3位となっております。11頁は結核や精神を除 く一般病院の医療従事者の数です。100床当たりで見ていますが、医師は12.5人で 11.1%、看護師は35.7%、准看護師は9.3%で、医療従事者の中の45%が看護職員とな っております。12頁は昨年の12月28日付で出された局長通知で、「医師及び医療関係 職と事務職等との間等での役割分担の推進について」です。ここにあるように、通知の 中では、医師でなくても可能な業務の例を示しておりまして、以下の四角で囲ってある 所がその例示です。事務職員・看護補助者が行ったらどうかという業務例、助産師の例、 看護師の例、看護師の中では臨床検査技師、薬剤師、臨床工学技士も含まれております が、こういった業務例を示して役割分担の推進を進めていくというスタンスであるとい うものです。  13頁は度々出ております看護教育制度です。看護職には看護師、助産師、保健師の3 職種がありますが、非常に複雑になっているのが看護師の部分だと思います。看護師の 養成ルートは、左側にあるように、高等学校卒業後、看護師学校養成所で3年以上の教 育を受けた後、国家試験を受けて看護師になるという者が非常に多く、約7割を占めて おります。また、准看護師から2年課程で上がるというのが、やや右側にありますが、 准看護師から養成所で2年間の教育を受けてから国家試験というルートもあります。こ れは約25%で、ちょうど中間にあるのが高等学校、専攻科と俗に5年一貫校と言ってい る学校もありまして、6.4%、このような所から看護師の国家試験といったルートもござ います。助産師、保健師については3年間の養成所を出た場合はそれぞれの養成学校を 出た後、国家試験を受ける。大学については4年間の中で3つの資格の教育を受けた場 合はそれぞれの国家試験が受けられるということになっております。  14頁は保助看法の抜粋です。今回の懇談会と関連すると思われるところを抜粋してお りますので、後ほどご覧いただければと思います。15頁以降は今回の検討課題に関連す るもので、過去に行われたいろいろな検討会の提言をまとめており、特に最近のものを 挙げております。中身については後ほどお読みいただければと思いますが、16頁が看護 職員の確保に関連する検討会の報告書等です。前回第六次の需給見通しを立てたときの 検討会報告書と、大臣主宰の「安心と希望の医療確保ビジョン」を掲載しております。 17頁は新人看護職員関連の報告書です。平成17年、19年、20年に出された検討会の 報告書を掲載しております。18頁はチーム医療に関連するものでして、平成15年に行 われた新たな看護のあり方に関する検討会の報告書から付けてありますが、その後平成 20年に3本、こういった内容の検討会の提言が出ております。最後の頁は看護教育のあ り方に関するものです。これは平成19年以降のものを付けておりまして、カリキュラ ムの改正を検討した平成19年の検討会、平成20年に行われた3本の提言を掲載してお ります。資料説明は以上です。 ○田中座長 あと20分弱ありますので、ただいまの資料説明に対する質問も含めてご 意見があればお願いいたします。 ○羽生田構成員 離職理由については学校と病院とにアンケート調査しているわけです が、実際に現場で働いている看護師からの意見というものを是非アンケート調査してい ただきたい。というのは、業務範囲の見直しなどという話もありますが、現場では今の 忙しい中に業務を増やしてもらいたくないという意見が非常に多いからです。業務を増 やされても、とてもできないという意見も現場では非常に多い。ゆとりのある看護配置 をしている所については、そういったことまでしてという話がごく当たり前のように出 てくると思いますが、現場の、いわゆる中小病院等では看護業務が非常にきつくて、決 められた中で決められた業務をやることでギリギリという状況なので、他の業務まで増 やしてほしくないという意見がかなりあるということも考えなければいけないというこ とで、離職理由については現場の声をどこかで吸い上げていただきたいと思います。 ○福井構成員 半分質問ですが、離職理由の中にかなりパーセンテージの高い「教育終 了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい」がありますが、このことはだ いぶ以前から指摘されていると思います。養成課程の大学や短大では、このギャップを どれぐらい縮める努力を行ってきたのでしょうか。臨床実習がどれぐらい質の高いもの になっているのか。医学部ですと、教授は診療しながら教えるわけです。ちょっと違っ ているかもしれませんが、多くの看護大学では、教授になれば現場から離れて、現場か ら遊離する知識を教えているのではないかという印象を持っています。卒業する時点で、 現場で求められる能力に近づける努力が、いままでどれぐらい行われてきたのか知りた いのですが。 ○田中座長 ただいまの質問について、看護大学の先生方でどなたかお願いいたします。 ○草間構成員 例えば2002年に看護協会が行った調査で、103項目の看護技術の中で 「自分1人でできる項目としてはどんなものがあるか」という質問に対して、7割以上 の学生が「1人でできる」と答えた項目が4つしかなかったというので。その4項目も 大変プリミティブな課題であるということで、これは大学もそうですし、養成所も大変 危機感を持ちました。文部科学省は大学の卒業時点の到達目標についてという検討会を 2回にわたって行い、厚生労働省は養成所のそれぞれの到達目標を作りまして、卒業時 点までに1人でできる、あるいは指導者がいてできるといったように4段階に分けて到 達目標を作りました。そして、大学、養成所ではそれに沿った教育が行われるよう、か なり努力しました。2002年のものはちょっと外に出せないぐらい大変恥ずかしいデータ でしたので、そのような努力は大学も養成所もしておりまして、『看護教育』等の雑誌を 見ると、それぞれがどのような努力をしているかという報告がたくさんなされておりま すので、2002年に比べるとかなり改善されてきているのではないかという印象は持って おります。 ○中山構成員 たぶん福井構成員への反論になると思いますが、ここでの議論は、大学 あるいは養成所を出たときに、即戦力になる看護師を育成したいのか、あるいはここで ずっと求められているような、かなり臨機応変に対応できるような能力を持つ看護師を 育成したいのかが議論の分かれ目ではないかと思っております。いま大学は教員たちの 臨床能力をどのように高めるか、臨床教育をどうするかが非常に大きな課題で取り組ん でおりますが、私自身は即いろいろな手技ができる看護師の育成なのか、あるいは将来 的にプロフェッションとして伸びる能力を持つ看護師の育成なのかと言えば、やはり大 学はプロフェッションとして生き残る能力をどう付けるかに賭けていると言えると思い ます。 ○井部構成員 私は看護部長をしていたときに、大学の教員がもっと臨床に来て見れば いいなと強く思っておりました。しかし、大学に行きますと、とてもそこに時間は割け ないことを教員の動きを見てわかりました。ですから、医学部の教員と学生の数と、看 護学部あるいは看護学科の教員と学生の数の人員配置の比較をちょっと出していただき たいと思うのです。もう少し潤沢に人がいれば、何曜日と何曜日は臨床にといったこと ができると思うのですが、いろいろなことで追われているのが実態でして、臨床だけで はなく、大学教育における人員配置という問題は大きいのではないかと思っております。 是非、医学部の人員と看護学部の人員の比較をお願いしたいと思います。それが大学教 育の教育環境の改善を考えていく上で非常に重要なことではないかと思います。 ○草間構成員 養成所は別の規則ですが、大学については、これは日本看護系大学協議 会から1回文部科学省に要望書を出したことがあるのですが、医学部の教育を行うため には設置審で120人の専任教員と附属病院を造らなければいけないという規定がありま す。それに対して看護教育の場合は12人の専門教員がいればいいという形ですから、 大学がこんなにタケノコのようにできていくというのは、12人さえ集めればできるとい う状況があるからです。同じチーム医療を担っていく職種を育てなければいけないのに、 医学部は120人の専任教員、それに対して、看護学部を作ろうとしたら12人の専任教 員でいいというこのギャップは絶対解消していただかなくてはいけないということで、 5年ぐらい前に日本看護系大学協議会では文部科学省のほうに設置基準の専任教員の人 員を見直すべきであるという要望書を出しておりますが、全く取りあげていただいてお りません。 ○森構成員 私も井部構成員、草間構成員と同意見です。やはり教員の人数の配置が非 常に違います。その中で助産師教育に関しては特に配置されていないのです。多くの国 立大学法人は助産師教育を実施していても、教員が増員されて配置されてはおりません ので、工夫して実施しておりますが、絶対的な教員数の不足のため助産師志望学生すべ てに応じられていないという難しい問題があります。助産師教育に関しては24時間体 制で実習をしておりますので、助産実習ではどこの大学でも助教から教授まですべての 教員が,現場に行って助産師として直接実習指導を行っています。看護系大学では実習を 重視し、教員が熱心に教育を行っている状況だと思いますが、本当に教員が足りないと いうのが現状です。そこを是非ご理解のほどよろしくお願いいたします。 ○田中座長 一当たりこれも議論が進みましたが、福井構成員よろしいですか。納得し たかどうかは別として、そのようにお考えであるということですね。他の論点ではいか がでしょうか。 ○太田構成員 チーム医療という視点でですが、制度的なところで要望というか、矛盾 もあるのではないかということです。1つは病院からの退院調整の窓口がしっかりして いると在宅に戻りやすいということがあります。MSWが配置されているときにも点数 が付くようになりましたが、地域に戻すときに、療養生活ということではナースの視点 が非常に大事で、ナースとMSWが一緒にいて初めて役に立つのでしょう。MSWがい るか、ナースがいるかで点が付くか、付かないかが決まっているのはちょっとおかしい のではないかというのが1点です。ナースもMSWも必要だということです。次に、訪 問看護ステーションの許認可の要件に2.5人というのがありますが、2.5人というのは 実際的ではないというのが本音です。2.5人で認可された所で24時間、365日やってい るということは1日おきぐらいに当直をしているということですから、24時間対応する ということはなかなか難しそうです。いま大規模化という話が出ていますが、大規模化 するほど訪問看護師もいないのです。一方で、1人で開業させてもいいのではないかと いう議論さえ出てきている状況です。制度の中では訪問看護ステーションがどうなって いくかということは非常に大きな問題です。  最後に、多職種協働と言われていますが、意外とナースは他の職種と仲良くなれない というか、医師の指示で動いていると言いますか、医師のほうを見て働いてはくれるの ですが、栄養士のほうを見て働けるかと言うと、そうでもないのです。実際NSTが機 能しているように、現場では薬剤師もPTもOTもSTも歯科医師も皆チームです。と ころが、ナースが直接情報を共有できる相手というのは意外に医者ぐらいしかいないと いう状況があります。他の職種と情報を共有できるような制度的なバックアップがいた だけないかと。制度の問題としてはこの3点を現場からは感じております。 ○田中座長 現場からの声ですね。 ○秋山構成員 最初に発言したときに、治す医療から支える医療への、ある意味意識の 転換といったものを申し上げたのですが、超高齢化していますし、その中で治らない病 気を抱えながら生き続ける、そこを支える医療もあって、そのような意味では在宅は急 性期をただ引き受けるだけではなく、予防から慢性期というか、維持している人たちが それ以上悪くならないように、穏やかに最終コーナーを回るまでを支える医療の一端を、 訪問看護というか在宅は担っていると思うのです。その辺の急性期では教え切れないも のをどうやって看護の人たちに知っていただくかが今の私たちの課題でもあるので、そ のような意味では急性期の病院の中での臨地実習だけというか、いま訪問看護も取り入 れてくださっていますが、訪問看護はのべつまくなし実習生を受け入れている状態で、 それもちょっと問題ではありますが、穏やかな流れの中での看護の様を、臨床研修のロ ーテーションの中の1つとしてきちっと見せていく。つまり、資格を持った人が臨床研 修に出て、そこをある意味経済的にバックアップしていただけるような仕組みでもない と、私たちは受け切れていかないという現状がありますので、その辺も少し考えていた だきたいと思います。 ○羽生田構成員 いま現場でも看護師が足りなくて、非常に疲弊している、これは医師 不足だけではない話ですが、人がいなければ回らない業務と言いますか、医療自体がそ のようなものですから、人材を確保できるだけの原資というものは、やはり国としての 方針がどうだということできちっと原資を確保してくれなければ、看護も医師も他の職 種も全部、患者に被害が及ぶ、国民に被害が及ぶことになるわけです。そこを国がどう 考えて、どのようにどれだけのことをしていくのか。これは患者負担だけを増やしても 意味がない話ですから、国としてどれだけの予算づけをして、医療あるいは社会保障全 体に取り組んでいくかという姿勢をきちっと出していただきたいと思います。 ○井部構成員 そこは羽生田構成員に珍しく大賛成です。 ○田中座長 いまの2人の発言は大臣にきちんと読んでいただきましょう。大体一当た り、一当たりどころではない、五当たりぐらい発言していただきましたが、事務局の整 理の苦労を思うと大変ですが、そのために開いた会ですのでここから何か汲み取ってい きましょう。予定していた時間が近付いてきましたので、本日の懇談会はここまでとさ せていただきます。  今後の進め方ですが、この懇談会では看護の質の向上と確保に関する基本的な方向性 について議論いただき、その内容を先ほど井部構成員が言われたように後戻りしないよ うにまとめて、厚生労働省、文部科学省に理解していただきましょう。資料3に今後の 進め方が出ております。2回目以降、2回目と3回目では会議ごとに2つずつ課題をま とめて議論していきます。次回は看護職員の確保について、新人看護職員の質の向上に ついて、3回目はチーム医療の推進と看護教育のあり方について、そして早くも4回目 には中間取りまとめという厳しいスケジュールを提示されておりますので、私どもも覚 悟しなくてはなりません。その際には、議論を深めるために数名の方から話題提供をし ていただいた上でディスカッションを行っていく予定です。話題提供もありますと、構 成員と言いますか、委員の方々の発言の時間も次回以降は少し限られますので、皆様か ら是非みんなに伝えたいという意見や資料がありましたら、事前に事務局まで届けてい ただければ配付の準備をしてくれることになっております。今後の日程などについて、 事務局から連絡をお願いいたします。 ○寺山看護職員確保対策官 次回の日程に関しては現在調整中です。確定次第、皆様に ご連絡をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。 ○田中座長 大変活発な議論をそれぞれの立場からいただきまして、座長としても嬉し く思います。以上で「第1回看護の質の向上と確保に関する懇談会」を終了いたします。 どうもありがとうございました。 医政局看護課  照会先:看護課課長補佐 島田(4167)      看護課課長補佐 中谷(4166)  電話:03−3595−2206