08/11/27 平成20年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第6回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会議事録 平成20年度第6回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会 日時 平成20年11月27日(木) 15:00〜 場所 金融庁13階共用会議室(1320号) ○大淵化学物質評価室長補佐 ただいまから第6回「少量製造・取扱いの規制等に係る 小検討会」を開催いたします。少し遅れるというご連絡のあった方もおりますが、時間 になりましたので始めさせていただきたいと思います。それでは、座長の名古屋先生、 お願いいたします。 ○名古屋座長 前回の検討会ではばく露調査手法案に関する検討を行いまして、今回は その2回目の検討ということになります。それでは、早急に事務局のほうから資料の確 認をお願いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは、本日の出席者、資料の確認ということで順に させていただきます。出席者につきましては、本日、5名の先生方のうち、大前先生が ご都合によりご欠席となっております。それから、本日はばく露の関係の有識者という ことで3名の方にご出席をいただいております。まず、中央労働災害防止協会化学物質 管理センターの棗田様です。同じく、中災防の細田様です。社団法人日本化学工業協会 環境安全部部長の山口様です。続きまして、配付資料の確認ですが、3枚目の配付資料 一覧をご覧いただきたいと思います。まず、前回もお配りしていますが、資料1-1が少 量製造・取扱い作業の把握が可能なばく露評価手法の検討の論点案です。資料1-2、前 回第5回の小検討会における主な意見です。資料2として、ばく露実態調査の流れ。資 料3として、有害物ばく露作業報告等に関するアンケート結果。資料4として、イニシ ャルリスクアセスメントの手引。資料5として、少量製造・取扱い規制等に係る今後の 検討予定ということです。また、参考として4つ資料をご用意しています。参考1とし て、リスク評価に係るばく露調査の現状及び課題。参考2、平成20年版有害物ばく露作 業報告書の書き方。参考3、日化協・新労働安全衛生管理指針ですが、こちらにつきま しては机上のみ配付となっております。参考4、イニシャルリスクアセスメントの手引 きということで、こちらも机上のみ配付とさせていただいております。本日の議事とし ましては、前回に引き続きましてばく露評価手法の検討における論点について、(2)ばく 露実態調査の現状について、(3)有害物ばく露作業報告等に関するアンケート結果につい て、(4)国内における「ばく露評価手法」の事例についてということで、順に検討をして いただく予定としております。以上でございます。 ○名古屋座長 それでは、早急に議事に入りたいと思います。事務局より、ばく露評価 手法の検討の論点ということの説明、資料1-1と資料1-2だと思いますが、よろしくお 願いします。 ○島田化学物質評価室長 それでは、事務局のほうからご説明いたします。前回、少量 製造・取扱い作業の把握が可能なばく露調査手法の検討ということで、論点素案につい てご検討いただきました。その結果を踏まえまして、今日は第2回目の検討をいただき たいと思います。資料1-1が、前回の議事を踏まえて修正をさせていただいた論点案で す。資料1-2につきましては、第5回、前回の小検討会における先生方からいただいた 主な意見です。併せて、前回ご欠席の先生方もいらっしゃいますので、前回の資料です が、参考1として「リスク評価に係るばく露調査の現状及び課題」ということで、以上 3点の資料を用意しております。  まず、資料1-1ですが、論点案についてご説明いたします。論点案として事務局より 提案させていただいたものについては合計4点ほどあります。1点目といたしまして、 少量製造・取扱いの調査についての基本的考え方ということで、2点ほど細かな項目を 立てております。1点目は、有害物ばく露作業報告の対象事業場の裾切数量、現在は500 kg以上の事業場が対象になっていますが、これについてのご検討です。2点目といたし まして、少量製造・取扱い事業者の特定のための新たな調査の検討ということで、現在 のばく露作業報告のみならず、その他の調査手法についてもご検討いただく必要がある のではないかというふうな論点です。  2点目ですが、有害物ばく露作業報告の改善の方向ということで、特に1の(1)に関係 する項目を立てていまして、1つは報告スキームの改善点というふうなことです。これ については、現状リスク評価については1年間のリスク評価を行っていただきまして、 それを基に規制を検討するという体制になっていますが、これについて丁寧な調査をす るためには検討が多少必要ではないかという論点を入れております。2つ目は、有害物 ばく露作業報告の様式の点検ということで、本日こちらに用意しております参考の2、 パンフレットですが、このパンフレットの中を見ていただくと報告の様式が入っており ます。この報告の様式についても工夫が多少必要ではないかという論点を入れておりま す。詳しくは、有害物ばく露作業報告の様式が5頁にありますが、この様式についても 多少使いづらいというような点もありますので、この辺りをご議論いただく必要がある かと存じます。  3点目ですが、少量製造・取扱い事業者の特定のための新たな調査手法の検討という ことで、これについては1の(2)に対応した論点ですが、2点ほど挙げております。1つ は、関係業界との連携による情報の収集です。2点目として、検索サイトの活用等新た な手法の検討ということで、場合によってはインターネット等で情報を入手することも 重要な材料になってくるのではないかということで挙げております。  4点目ですが、ばく露レベルの評価方法の検討ということで2点ほど挙げていますが、 統計学的解析手法の活用、ばく露モデルの活用手法の活用ということで、これについて はこのリスク評価のスキームが始まった時点でもモデルの活用等について指摘がありま したので、改めてご検討いただきたいという趣旨で入れております。  これを踏まえまして、前回第5回において議論いただいた中で、資料1-2において前 回の意見を取りまとめていますのでご紹介いたします。資料1-2ですが、1点目としま しては、本報告制度の検討段階でPRTR法に係る調査結果を参考に、有害物ばく露作業 報告に関する対象物の製造・取扱いの裾切値として500kgを設定していますが、これに つきましては、特にPRTR法につきましては一般環境におけるリスクを考慮しているも のです。一方、労働者のリスクを評価するための本報告制度の2つの間には、性格が異 なる部分が当然あるということですので、平成18年以降数年を経て、少量製造・取扱 いの把握に係る問題が生じたという状況であれば、裾切値についても検討をすることが 妥当ではないかというご意見です。  2点目ですが、本報告制度が始まる前に議論された平成17年5月の「労働者の健康障 害防止に係るリスク評価検討会報告書」において、「統計学的な代表性を担保するために 無作為に抽出されたデータに基づいて実施することが重要であり、これら無作為性を損 なわないためには測定データを任意に抽出することができる仕組みを整える必要があ る」という指摘をいただいていることを踏まえてご議論いただきまして、実際の作業環 境測定では比較的ばく露の多そうな事業場あるいは作業を選んで測定しているという状 況がありますので、この2つの間に矛盾といいますか、食い違いが多少あるのではない かというご指摘がありまして、これらを十分に検討していただく必要があるというご指 摘です。  3点目ですが、これは2点目の回答というふうなことに関するサジェスチョンをいた だいていまして、日本全体の事業場におけるばく露レベルの平均値を知ろうというわけ ではなくて、リスクの高い事業場を特定する場合には、ばく露レベルを層別にグループ 分けして、ばく露が高いと思われる事業場のグループの中でランダムサンプリングを行 う方法が妥当ではないかという回答的なコメントをいただきました。  4点目ですが、当初の論点で4番が「その他」となっていましたが、統計学的手法や ばく露モデルの活用ということであれば、これはばく露レベルの評価方法ということで 検討していくべきではないか、というご指摘をいただきました。この最後の点につきま しては、ごもっともということで、我々事務局として今回出させていただいている資料 1-1の4番については「ばく露レベルの評価方法の検討」という形でご検討いただくよ うに直しております。以上でございます。 ○名古屋座長 それでは、ただいまの説明につきましてご質問等がありましたらお願い します。前回休まれた委員の方もいらっしゃいますので、これについて論点をお話して おいたほうがいいのかなというところがありましたらどうぞ。よろしいですか。論点の 見直しはないということですので、このまま進めていくという形でよろしいでしょうか。 (異議なし) ○名古屋座長 ありがとうございます。それでは、2番の「ばく露実態調査の流れ」と いうことになるのかと思いますので、具体的にどのような進め方をするかという確認と 具体的な調査上の課題について掘り下げていきたいと思いますので、先ほどご紹介があ りました中災防の棗田さんと細田さん、日本化学工業協会の山口さんがいらっしゃいま すので、お三方も含めて積極的に議論に参加していただいて進めていきたいと思います。 まず、事務局から説明をお願いいたします。 ○島田化学物質評価室長 「ばく露実態調査の流れ」ということで資料2を用意させて いただいております。資料2につきましては、有害物ばく露作業報告という報告が上が った事業場に対する実際のばく露実態の調査をさせていただくスキームについての具体 的な流れということです。この資料につきましては、1頁めくりまして、参考としてば く露実態調査のフローチャートということで入れております。これと見比べながらご説 明を聞いていただければ幸いでございます。まず、ばく露実態調査ですが、調査を始め る起点につきましては有害物ばく露作業報告ということで、これは労働安全衛生法に基 づく義務ということで報告を上げていただく制度です。それについては前回にご説明い たしましたので割愛しますが、また議論の中で必要があれば参考の1に基づいてご説明 を併せてさせていただくつもりです。ばく露実態調査につきましては、国がリスク評価 対象物質を指定するということで、これに基づきましてばく露実態調査を始めさせてい ただくということです。実際の事業の受託者については、平成18年度から平成20年度 まで一貫して中央労働災害防止協会にお願いしていまして、対象物についてのサンプリ ング方法や分析手法についてあらかじめ策定していただいております。  それを受けまして、2番目として、国は、有害物ばく露作業報告を出していただいた 事業場、事業者に対して、中央労働災害防止協会のほうからばく露実態調査の候補事業 場の選定を依頼しております。特に、国はその選定の際に、そこの下に書いてある「候 補選定基準」に基づいて選定しまして、併せて事業受託者である中央労働災害防止協会 と相談をした上で、事業場・事業場数を検討した上で、1つの化学物質につき1事業場 から10数事業場を選定しているのが現状です。特に報告が少なかった場合については、 1事業場あるいは2事業場ということでサンプリングが少ないという状況もありますが、 できるだけ多く対応していただいているところです。  候補選定基準につきましては、1番目として、ばく露が比較的大きいと推定される事 業場を優先的に選定していただいております。併せて、多様な業務を把握する必要があ りますので、特殊な作業工程あるいは用途がある場合については当該事業場を優先的に 選定していただいている次第です。  それから、こういったことを勘案した上で複数の事業場が候補となっている場合につ いては、できるだけ個人ばく露のサンプル数を増やす、確保するということを視点に、 比較的従業員の数が多い事業場を優先的に選定していただいているということで、こう いった基準をセットしております。その上で、このばく露実態調査については義務の調 査ではありません、任意の調査ですので、国から候補事業場に調査受入れを打診してお ります。その上で、打診を受けた事業場に受入れの可否を確認して、その事業調査を開 始するということです。その上で、事業受託者である中央労働災害防止協会のほうに事 業場との間で調査日程等の調整をしていただいて、事前調査、本格調査という形で2段 階で調査をしていただいているのが現状です。  事前調査におきましては、調査員の方が事業場の代表者に対して聞取り調査を行って、 「調査事項等」という所に書いてありますが、特に以下の項目について確認をいただい ている次第です。まず、作業の概要の聞き取りですが、対象化学物質を取り扱う工程及 びその作業概要に関する聞き取りを行いまして、これを踏まえて特に作業環境への化学 物質の発散が多いと見られる工程、作業者へのばく露が認められるものについて、そう いった作業を特定していただくということになります。  その上で、作業の観察をいただいております。特定された工程、作業について実際に 観察していただいて、対象化学物質を取り扱うことによる作業者の吸入ばく露の可能性、 皮膚等への接触によるばく露の可能性を調査していただいております。それとともに、 基礎データの収集ということで、括弧の中に入っていますが、その当該化学物質の取扱 い量、取り扱う頻度、作業者が就業される形態、取扱い作業ごとの作業時間、作業頻度 といったものについて把握をしていただいて、対象物の分析に影響を及ぼす共存化学物 質についても併せて把握していただくということで、併せて写真などがあれば可能な範 囲で収集していただいている状況です。  次の頁ですが、事業の事前調査を踏まえまして本調査を実施するということですが、 本調査においては特に環境の測定、個人ばく露の測定ということで実施していただいて おります。「調査要領」については、その下に書いてある項目ですが、まず、個人ばく露 の濃度の測定については、選定された作業に従事する作業者にサンプラーという小型の ポンプ及びサンプラーを装着していただきます。これは、1日の間、作業時間を通じて 環境気体中の対象化学物質を捕集し作業時間平均濃度を算出していただくということで す。具体的なイメージにつきましては、いちばん最後の6頁にありますが、その写真に 出てきますように、吸入ポンプとサンプラーということで、大きさ的には吸入ポンプは タバコの箱の2倍ということで多少大きめになりますが、作業に支障がないような形で 着けていただくということで対応していただいております。  それから、戻っていただきまして、作業環境測定ということで、これは作業環境測定 基準に準じて、A測定と俗に言われている、所要時間が2時間程度、測定時間が60分 程度というものですが、作業環境の場の測定をしていただいております。その際には、 サンプリング実施時の状況について併せて確認していただいていまして、確認事項につ いてはその下にある数項目となっています。室内の気温、湿度、気流といったものを確 認していただく。作業工程と発生源及び作業者の数ということ。設備、排気装置の稼働 状況。ドア・窓の開閉状況。当該単位作業場の周辺からの影響ということ。各測定点に 関する特記事項ということ。その他対象化学物質の含有量なり外気の条件等についても 併せて把握していただいております。そのほか、実際にスポット測定というような、作 業がある発生源の近傍において実施する短時間の測定もしていただいていまして、作業 時間を通じて測定を実施していただいております。  併せて、局所排気装置の有効性等の確認をしていただいていまして、これについては 局所排気装置の有効性の確認のため、局所排気装置が稼働している作業状態で、発生源 近傍でスモークテスターという形で煙をベースに気流を確認していただいて、それがあ る場合には局所排気装置への気流を確認し、局所排気装置が有効であると判断した場合 には風速等の測定も併せて行っていただいているというふうなことで、以上がばく露実 態調査の内容です。補足等があれば、また実際に実施していただいている中災防のほう からもコメントをいただきたいと思います。以上でございます。 ○名古屋座長 ばく露調査に関する審議ということで、アンケートの結果は次にありま すので、ここではいまのばく露調査の流れということだけで質疑応答をさせていただき ます。 ○唐沢委員 2頁目の下から2番目にスポット測定というのがありまして、先ほどのご 説明では作業時間が短時間の場合ということでした。そうすると、これは労働安全衛生 法65条1項に規定する作業環境測定基準のB測定とは違う位置づけなのですね。作業 時間が短時間であるからということでスポット測定というご説明がありましたが、その 点を教えていただければと思います。 ○棗田(中災防) ご質問のとおりで、作業環境測定基準のB測定とは全く違って、作 業の時間のみとるという形にしていますので、そういったB測定とは違う形になります。 ○名古屋座長 ほかによろしいですか。 ○圓藤委員 その後、個人ばく露濃度測定というのは8時間平均にするのですか。それ とも、作業時間平均濃度というのは、いまのような短い場合、スポット測定も個人ばく 露濃度がその短時間で出るということでしょうか。 ○棗田(中災防) 個人ばく露の濃度の場合は8時間という形で計算しています。スポ ット測定の場合は、例えばどうしても短時間で作業が終わってしまうのですが、作業者 の場合は8時間作業をしていて、その中で特別にその化学物質を取り扱うのがその時間 という場合は、平均濃度は出せるのですが、その時間の濃度がなかなか把握できないと いうことで、それをスポットで代わりに取りましょうという形で、補完的な意味で取っ ているという形になります。 ○圓藤委員 その場合は個人ばく露濃度がないということになるのですか。 ○棗田(中災防) 個人ばく露濃度はその作業を含めて8時間の平均値になってしまい ますので、反映はされているのですが、例えばその作業が10分しかない場合にはその 10分の濃度をターゲットに個人サンプラーをやっているわけではありませんので、8時 間の作業の平均値になってしまいます。そうすると、そこの作業の時間も反映されてい るのですが、その作業そのものの濃度は平均値になってしまいますので、反映されない ので、そこを補完するためにスポットで補完的に見ているという形になります。 ○圓藤委員 2つ書くということですね。 ○棗田(中災防) そうです。 ○櫻井委員 いちばん下の局排の有効性の確認というところは、スモークテスターで気 流を確認し、有効であると判断した場合だけ風速を測定しているのですか。 ○棗田(中災防) 実は、前年度、昨年度までに関しては、局排が付いているものにつ いてはすべて風速をとっていたのですが、私どものそういった評価の委員会の中で、効 果のないものを測っても例えば改善するための条件や案にはならないだろうということ で、まず風速を測る前に、そういったスモークテストで風速が十分に出そうだという所 に関しては風速を測って、後に良いタイプの局排という形で紹介していこうという案で そういうような測定をしているという形になっています。 ○櫻井委員 了解しました。 ○圓藤委員 ということは、ばく露を評価するために局所排気装置の能力を見ていると いうことは、ちょっと違うわけですか。 ○棗田(中災防) そうですね。ご指摘のとおり、ばく露の評価のために見ているので はなくて、もともと新規の化学物質とか、特にこの場合、労働安全衛生法で特別に規則 がある物質ではありませんので、例えばあとは屋外であったりとか、今までとは少し違 うような状況になっていますので、そういったところで効果のある局排とか、そういう ものはどういうものがあったのかということを調査するということを兼ね備えて調査を しているという形になっています。 ○圓藤委員 たぶん、ばく露評価のときにはその局排がそのばく露にどのぐらい影響し ているかというのを見ないといけないのではないかなとふと思ったので、それは数値を 見るときにどこかで反映され得るのでしょうか。 ○棗田(中災防) 一応、うちのほうでまとめているときに、そのデータのところに局 排があったとかないとか、そういうことは報告書のほうには反映していますので、そこ で例えばスモークテスターの場合できちんと局排の効果があれば「効果あり」という形 で、たぶん、そこでデータが低く出るはずですので、それは反映されているような形に はなっていると思います。 ○名古屋座長 いまの続きで聞きたいのですが、風速もそうなのだけれども、そのとき は作業者がいるときなのですか、いないときで測定しているのですか。 ○棗田(中災防) 基本は作業者がいる形で測定する形にしています。ただ、先生もよ くご存じだと思うのですが、ちょっと難しい場合にはいないような形で局排だけ動かし ていただいてという形です。効果を見る最初のスモークテスターで見るときは必ず作業 をやっているような状況で見る形にしています。 ○名古屋座長 そうしないと、風速だけの評価ではきちっとした評価ができなくて、我々 が現場に行って見たときに、いちばん必要なのは、風速よりは作業をしている人と局排 がマッチしているかどうかが大切なのです。それと、我々は漏洩濃度を優先して測ると いう形になりますので、作業者がいないと風速を測ってもと思ったのです。もう1点聞 きたいのは、8時間のときにお昼休みを入れるかどうかで我々は結構議論をするのです が、このときはお昼休みを入れているのですか、外しているのですか。 ○棗田(中災防) 基本的には外す形にしています。ですから、場合によっては7時間 という形になっていることもあると思います。その場合は、いまは補正しない形にして います。 ○名古屋座長 そのほうがいいですね。NIOSHなどを見ていると、確かに、連続8時 間とりなさいとは言うけれども、6時間と8時間だったら構いませんよ、なるべくお昼 を入れないで分けてくださいというふうになっているから、たぶん、7時間とれば十分 だと思います。 ○細田(中災防) 補填しますと、捕集管の能力の関係で、8時間だと破過してしまう ようなものなのです。もう1つは、作業が午前中と午後と全く違う。例えば、ドラム管 の充填作業が午前中の3時間あります、午後は事務所に入ってしまいます、というよう なときに、午前中だけの作業を測っているというところもあります。その場合はその時 間の平均という形になっています。 ○名古屋座長 それはNIOSHで言う部分分割方法という形、それがいちばんいいと推 奨していますが、そういうふうにやられているというわけですね。 ○細田(中災防) はい。 ○名古屋座長 そういう形でばく露実態調査をされているということですが、よろしい でしょうか。そうしましたら、これを引き続きアンケートのほうと併せてまた議論を進 めたいと思いますので、どうもありがとうございました。次に、ばく露のアンケートの 結果についてということで、これも事務局からお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 アンケートの関係ですが、資料3と、その資料3の後ろ に資料3別紙ということでグラフをお配りしてありますので、この2つを使ってご説明 いたします。まず、資料3の表紙の所で、アンケート調査の概要です。今回は10月28 日から11月10までという10日余の期間で事業場に対してアンケートを行っておりま す。対象とした事業場は全部で150、これは平成18年から平成20年度において、有害 物ばく露作業報告をしていただいた事業場の中から約1割程度の事業場を選んで調査表 をお送りしております。回答があったのはそのうちの114事業場で、回答率76%という ことです。調査方式としましては、私ども厚生労働省から事業場に郵送で用紙を送りま して、それを事業場からファックスで返していただいたということです。具体的なアン ケート項目、それぞれの項目についての回答が次の頁から始まっております。すべての 項目というわけではないのですが、わかりやすいようにグラフもつくっていますので、 それを対応しながらご覧いただければと思います。  資料3ですが、数字が2つ書いてありますので、そちらからご説明しますと、太字の ゴシックで書いてある数字は回答率の%を表わしております。括弧書きで斜字体にして いるのは実際に回答があった実数ですので、基本的には%のほうを中心にご説明いたし ます。今回の調査ですが、大きな1番として有害物ばく露作業報告制度についてのアン ケートをしております。後ろのほうに大きな2番が出てきますが、そちらは先ほど説明 がありました現場での実態調査の関係を大きな項目の2番としております。  まず、有害物ばく露作業報告制度の関係の設問の1番ということで報告制度に関する 理解度を問うようなことをしていまして、設問1としては、報告の作成は会社の中でど ういう立場の方がやっているかということで聞いております。いちばん多かったのは3 番の、事業場の労働安全の担当者あるいは責任者という方で、約7割の所ではこういっ た方がご回答いただいております。  設問2として、この有害物ばく露作業報告のどういう目的で報告を求めているかとい うことで、リスク評価を行う目的ということについて理解していたかどうかということ をお尋ねしております。こちらについては95%の事業場が理解していたということです が、5%については理解していなかったということです。具体的にどのように考えられ ていたかというと、労働基準監督署等がその事業場でどんな作業を行っているかについ て確認するためのものというような理解をしていたようです。  設問3ですが、報告の目的について労働局や労働基準監督署から十分な説明がありま したかということでしたが、いちばん多かったのは説明がなかったというところで40% です。説明を受けたところにつきましても、理解ができたという方も半分ぐらいいらっ しゃいましたが、必ずしも十分理解できない、少し難しかった、という方もいらっしゃ いました。  次の項目でいきますと、2頁ですが、報告作成の困難性ということで、設問4、報告 作成において問題と感じたことがありますかということで質問しております。問題があ ると感じた所が30%、問題は特に感じなかったという所が70%です。まず、問題があ るとお答えになった所について、もう少し具体的にどんなところが問題ですかというこ とを尋ねております。設問4-1で具体的にということで選んでいただいたところ、そも そも報告の義務があるか否かについて判断がつかないという所が40%近く、また、報告 作成に負担が大きいとお答えになった所も30%ありました。  この中で、報告義務があるか否かについて判断がつかないとお答えいただいた所にも う少し詳細に聞いているのが次の設問4-2です。どのようなところで判断がつかないの かということですが、20%の所が製品中の対象物質の含有率が不明であって、報告の必 要があるのかどうかが判断できないというところや、あるいは3番目としまして、40% の方がお答えになっているということですが、この報告がそもそも労働者がガス、蒸気、 粉じんにばく露する恐れのある作業の場合に報告をしてくださいということでやってい るのですが、どういう場合がばく露の恐れがあるのかという対象作業になるか否かとい う判断がつきにくいというお答えが40%でした。  続きまして3頁の設問4-3ですが、前の設問4-1で報告作成に負担が大きいというふ うに感じたところにつきまして、どういうところが負担が大きいのかということで聞い ております。いちばん多かった約50%の所で回答をいただいたのが、取扱量、含有率、 作業従事時間等をあらかじめ把握しておらず記入が難しいということがありました。こ れにつきましては、私どもの制度上の問題もあるのですが、この物質について報告して くださいというアナウンスをして、その後で1年間作業して報告をしてもらうというよ うな流れには必ずしもなっていませんで、告示をするとその告示時点より遡った期間に ついてどういうものをどういうふうに取り扱ったかというようなことを報告していただ くような形になっていますので、そういったことで回答が難しい場合があるということ をお答えになったのかなと思っております。約20%の所でご回答いただいたのが、報告 項目が多岐にわたるために記載の負担が大きいというところでした。そのほか、化学物 質の対象となる物質が多くて対応できないというようなお答えも挙がっております。  設問4-4では報告様式について少しご意見をいただいております。その中には、装置 産業での場合は密閉設備でやっているので、製造量そのものは多いけれどもばく露の可 能性はほとんど低いというところで、こういうところについて今の様式だと書きにくい というようなお話がありました。あるいは、本当に技術的なところですが、製造量や輸 入量の表示桁数が足りないという、様式自体の単純な不備というものもご指摘をいただ いております。  設問4-5ですが、報告期間に問題があるというふうに前の頁でご回答いただいた所に つきまして、どういう問題点がありますかということでは、報告の期間が短い、実質3 カ月の報告期間となっているということです。2番では、前年度の1年間が報告対象期 間になっているということで、その記録等をとっていないということも指摘をいただい ております。その他、自由記載のところでも関連するようなご意見をいただいておりま す。  4頁ですが、設問5として報告制度の全般についてご意見があればということで記載 をしていただきました。回答数も多いので全部はご紹介できませんが、前の頁の回答項 目にもありましたが、そういったことについても含まれていますが、こちらとしてもず っと懸念している事項としましては、ご意見の1番目、毎年報告の対象となる物質が変 更されるので把握するのが難しいということです。他の制度、PRTRの制度などだと、 基本的に毎年報告を求める物質が同じということなのですが、私どもの今の制度は毎年 物質を入れ替えているということなので、物質が変わったということを関係者の方に十 分周知しきれていない、あるいは関係者の方の事務が煩雑になってしまうというような ところがあろうかと思います。  5頁ですが、今度は大きな2番ということで、ばく露実態調査の関係についてのアン ケート項目です。(1)として、調査受入れの状況ということで、設問6ではばく露実態調 査の受入れの状況について回答していただいていますが、今回、そもそもアンケートを お送りした所はこの2番の項目について聞けるようにということで、できるだけ実態調 査にご協力いただいた事業場を選んでいるということもありまして、結果的にこちらの 項目の中では80%以上の事業場が事前調査、作業環境測定ともに受け入れたというよう なことになっております。  このうちで、調査の受入れをしなかった所が7%ということですが、その事業場につ いて調査を受け入れなかった理由を答えていただいたのが設問6-1です。これはご回答 自体が少ないのですが、目立つものとしては、調査期間中に対象化学物質の製造あるい は取扱い作業がなかったからというもの、製造工程なりの中に企業ノウハウや特許があ って調査により漏洩の恐れがあるというご懸念もいただいております。  (2)の調査実施上の問題点ということですが、設問7としまして、調査受入れにおいて 問題と感じたことはありますかということで、こちらは大部分の事業場、90%近くの所 が特に問題なしということでしたが、約10%の所では問題点があったというご回答をい ただきました。  具体的なその中身としましては設問7-1ですが、いくつか回答がありますが、2番目 の、調査方法手続等に問題があり準備や対応がうまくできなかったということとか、あ るいは調査の実施により作業に支障が生じたというご回答をいただいております。6頁 ですが、こちらは設問7-1の2で、準備対応がうまくできなかったというふうにお答え になった方について、その理由を回答していただきました。件数は少ないのですが、製 造工程・技術に係る特許やノウハウの漏洩防止措置について配慮がなされていなかった、 誓約書の作成等がなかったというところで対応がやりにくかったというようなお話があ りました。 設問7-1の3で調査の上で支障が生じたというふうに回答いただいた所に つきまして、具体的にどんな支障がありましたかということでお答えをいただきました。 1社だけですが、作業環境測定に時間がかかりすぎ、立ち会い等で作業に支障が生じた というところを選んでおります。そのほか、自由記載欄の所では、いまの事項に関連す るようなこともいくつかの事業場からご回答をいただいております。  7頁ですが、設問8で、調査について改善すべき点があれば具体的にお答えください ということです。こちらにつきましては、かなり技術的なところでご回答いただいた所 もありましたが、上から5つ目の項目等だと、事前の説明のときにサンプリングの方法 あるいはサンプラー、粒子カットのサイズについて説明がなく測定に進んでしまったと いうところでご指摘をいただいた所もありました。  (4)として調査の効果ということで、実地調査にご協力いただいた事業場でどんな効果 がありましたかということでご回答いただきました。これにつきましては、かなり前向 きにとらえていただいているなという印象を持っていまして、約40%の事業場で自社の 化学物質取扱い作業に労働安全上の問題意識を持つことができたというふうなご回答を いただいております。それ以外にも、労働安全上のリスクを考慮するきっかけになった とか、あるいは調査によって作業環境改善を検討するきっかけになったというように見 ていただいている所もあります。  8頁ですが、調査全般の意見ということで設問10ですが、こちらは自由記載欄でいろ いろ記載をしていただいております。こちらについても前向きなご意見もありましたし、 また、こちらに提言といいますか、真ん中辺りになりますが、調査の頻度が高くなると 対応が困難になる場合も出てくるというようなところで、場合によっては同じ事業場に 2年続けて調査にご協力いただいた場合などもありまして、そういうところで少し負担 があったというようなこともあったかと思います。  9頁ですが、大きな3番として「その他」ということで、今日の最初の議題であるこ の会議の論点のところにもありましたが、ばく露作業報告に関しての裾切りの関係につ いて少しご意見をいただいております。私どもの設問としましては、現在、500kg以上 の製造・取扱いの事業場に報告義務があるけれども、このやり方だと500kg未満の取扱 いについては把握ができないということで、これらの作業の中に特殊な作業がある場合 には当該作業に対して十分な考慮ができない可能性が指摘されています、事業場の立場 でどう考えますか、ということで質問を投げかけました。この中で回答としていただい たところでは、いちばん多かったのが2番の回答で、裾切値については見直さず、少量 の取扱い等のうちリスク評価において特別の考慮を求めたい作業については企業または 事業場の判断で報告できる仕組みとすべきという、こういったご回答が全体の半数でし た。また、3番のご回答も多くて、500kg未満については、裾切りについて変えること は事業場の負担が拡大するので、裾切値は現行どおりとして、別の手段による把握を検 討すべきというご回答が約30%です。別の手段というのはどういう手段が考えられるか ということで、こちらのほうで提示した中でというのが設問11-1になります。この中で は、約60%の事業場が業界団体を通じた調査による把握というふうに答えていただいて おります。また、40%の所からは、代表的な企業からの聞き取りによる把握というよう なご回答もいただいております。  以上、少し長くなりましたが、今回行いましたアンケートの結果ということでありま して、今回はご回答いただいた所は基本的にはこういった調査について協力的な事業場 ではあるかと思いますが、実際に、特に現場の測定等を進める中で不具合が生じている ところとか、あるいはそもそもの報告様式や報告の取り方で事業場に負担があるという のも今回のこのアンケートで把握できたかと思います。以上です。 ○名古屋座長 それでは、ただいまの説明に対して質疑に移りたいと思います。 ○唐沢委員 ただいまの6頁の設問の7-2の所で、括弧書きで記載された部分ですが、 これは具体的なトラブルになったのですか。 ○島田化学物質評価室長 特にトラブルはありませんで、実際に詳細な作業の報告とい うのは中災防のほうでご検討いただいている中で行われていまして、国レベルのリスク 評価検討会という形でご議論いただきたいときにはばく露のレベルをお知らせする程度 ですので、ホームページ等にも載っておりません。そんな状況でありまして、特に個別 のクレームを私どもにいただいたわけではありませんが、アンケートをとってみたとこ ろ、初めてそういうふうな部分で問題がありましたというご回答をいただいたものです。 ○唐沢委員 実際には、製造ノウハウは、場合によっては事情をお聞きすることはある かもしれないのですが、ばく露の把握には直接はかかわらないのですよね。だから、そ ういう質問をするということもあまりないように思うのですが、それは調査対象事業場 の方に正確なご理解をいただいてご協力いただくということは大事なことだと思うので、 そういう不安がないような説明の仕方というのはあり得ると思うのです。あるいは、む しろ対象事業場の方のほうがいろいろ考えられて誤解されていてこういうふうなアンケ ート結果になったのかどうか、その辺はどうなのでしょうか。可能な範囲で結構です。 ○島田化学物質評価室長 一般的なご回答は私どもからさせていただきます。基本的に はおっしゃるとおりでありまして、私どもも手続をきちっと説明する、あるいはそれに 関する公表の際にはその関係事業場に対して許可を得るという作業がもし出てくれば大 きな問題は生じないのかなと思っておりますので、その点については今後検討させてい ただくつもりです。併せて、実は、今回中災防のほうとも調査に対していくつか打ち合 わせをさせていただく機会がありますし、また、名古屋先生等にもいろいろお話を伺っ ていますが、製造工程について企業側で秘密にしたいという事例はかなりあるようでし て、その辺りについては特に先端産業などで使われる場合にそういう懸念が高まってい るというふうなことも我々で把握しているところですので、必要があればその辺りのコ メントを中災防なり名古屋座長のほうからしていただければありがたいのですが。 ○名古屋座長 私たちが調査を行った企業はものすごく敏感でした。例えば、普通、大 学が調査に行くときは比較的フリーなのですが、学生が行くときに聞かれたのは、就職 先はどこなのですかという、要するに同じ業界だったらまず駄目ですよということと、 どういう測定をするのか、工程は見せませんよと。だから、面倒くさいから、大学で実 験しますから試料をくださいと言うと、チャンバーで飛散したものもすべてお返しくだ さいと。床を拭いた雑巾の汚れたものも返してくださいと。それは本社から言われてい るらしくて、今いちばん先端でやっているそういう所は、我々が考えている以上に、ち ょっとしたコメントそのもの自体が、大学の先生はどこへ行ってもしゃべるからという 話で言われていて、みんないつもフリーに見せてくれるのですが、こういう所では駄目 だということをよく言われました。結果的に今、先端の所は2、3カ所断わられた部分 があるので、多分そういう所もあるのではないかと思います。昔、自動車会社に行った ときに、カムの数だけですぐに分かったということがよくありましたので、我々は素人 だから分からないちょっとした部分が、ということではないかと思います。 ○唐沢委員 6頁のコメントについては、アンケートを出された事業場側の印象がこう だったということなのかもしれないのですが、それに対して応答したら、真意はこうだ ったから誤解が解消されたとか、ちょっと丁寧に書いていただいたらいいのではないか と思います。この資料は公開されまするものだと思いますので、無用の誤解がないよう にしたほうがいいのではないかと思っております。 ○名古屋座長 それはそうですね。これから中災防さんが行くときも、こういうことが あるのではないかと思います。 ○山口(日本化学工業協会) このばく露作業が約8時間となると、ものによっては一 連の作業が全部わかりますので、それをどういう形で公開するかです。その流れがわか ると、細かいことはわからなくても、大体こういうステップで作っているということが わかりますから、やはり受け入れる側には問題が出てくると思うのです。単純に作業と いうことではなくて、どんなばく露があったのかということだけだったらよろしいので すが、こういった作業でこういうばく露がありましたということだと、工程のステップ がわかりますので、そこはやはり何か配慮が必要になってくると思います。 ○名古屋座長 わかりました。では、ここの微妙なところだけは公開するときに気を付 けていただければと思います。ほかに何かありますか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 いまの関連で、1点だけ補足いたします。ノウハウとい うようにアンケートでお答えになった所については、私どもの最終的な報告書のときに、 ばく露が高かった作業については、どんな作業のときにばく露が高かったかというのを 2、3行の文章で記載する形の報告書になっておりますので、おそらくそれを指してこの ようなコメントとなっているのではないかと思っております。全部の段階を追って書い ているということではなくて、どの部分のばく露が高かったかという記載ぶりなのです が、それだけでも会社のほうとしては、問題だというようにご指摘いただいたのかと思 います。 ○名古屋座長 わかりました。これに関して、ほかにありますか。 ○圓藤委員 このばく露調査について、先ほど8時間が長いという話がありましたが、 私も4時間でいいのではないかと思ったのです。そういうことは難しいのでしょうか。 個人ばく露濃度は、全く8時間にしなくてもいいのではないかと思ったのです。 ○山口(日本化学工業協会) 作業内容が、1つの単位が4時間の繰返しだったらよろ しいのですが、8時間単位で繰返しだと、やはり8時間は必要です。一連の作業がどう いうサイクルで回るか、基本的にはそのサイクルの時間で測るべきだと思います。それ を部分的に取って大めに見たり少なく見たりということがありますから、一連の工程の 中で1サイクルが終わるということが代表できるような測定であればよろしいかと思う のですが。 ○細田(中災防) 同じように経験したことは、私も現役のときは外資系だったもので すから、個人ばく露主体で測っていたのです。作業には2種類あります。1つは、この 部屋の中で決まり切ったことをずっとやっているような作業です。もう1つは、最近の 日本ではそういう作業は減りましたが、例えば現場の各工程を監視しながら歩いてくる ような作業で、その中でほんのちょっとだけサンプルを採るということの連続です。こ の2つを測るときに、前者のほうは午前も午後も同じような作業の継続であれば、測定 が有効である時間を測ればいいと思うのです。ところが後者の場合は1日に延べでいっ て、午前中はAという現場を回って、午後はBという現場を回る、その間にサンプルを する、メーターを見るというような工程ですと、通して見ないとその人のシフトの間、 どのぐらい平均的にばく露しているのだろうかというのが読めません。ですからその辺 を臨機で考えれば、短い時間でもいいと思いますし、有効だと思います。 ○名古屋座長 なかなか難しいですね。今のところは8時間なら8時間という決まった 時間でばく露評価をしましょうと言っていますよね。しかし本来的に作業的に言うと、 短時間ばく露のきつい所でも後は作業をしていなければ、平均濃度が低くて当然OKに なるけれど、やはり短時間でも危ないと。では、そこをどう把握化するかというと、作 業性によって違いますから。今のところ皆さんは、原則8時間きちんと測ってやりまし ょうという形での測定なのでしょ。 ○細田(中災防) それともう1つ、今回の調査の特殊性は、Aという企業が、うちの ばく露を全部測ってくださいということであれば、その会社の労務形態に基づいて、例 えばシフトの時にAという担当者がどういう作業をするか、Bという担当者がどういう 作業をするか、シフトが何組あって、どういうように繰り返すかということまで考慮す ればいいのです。しかし我々がA社を測る場合、A社を測るという目的ではなくて、全 体としてその物質を扱う姿の高い所を見たいということで測っています。ですから労務 の対策が変われば。例えばドラム充填をある班に必ず専任でやらせるような労務形態に なった場合に、ドラム充填が高い場合には、そのばく露がものすごく多くなるわけです。 ですからある会社へ行ってその形態だけで測っていいのか。ある人にいちばん高い作業 を8時間ずつ必ず担当させるような労務形態を取った場合は、このように高くなります ということも知らなければいけないというのがあるのではないかと思っております。そ の辺が難しいですね。 ○山口(日本化学工業協会) いまの件にかかわりますが、この調査報告は、ばく露の 高い作業を中心に考えるのか、平均的に人がどの程度受けるのか、どちらを中心に考え るのかです。基本的にはばく露の高い作業を中心に調べる人ということではないかと思 うのです。報告する側として、この報告書を見て思うのは、こういう危険な物質がある ので、ばく露作業を報告しなさいということは書いてあるのですが、もっと大きな流れ の中で、有害な物質を扱っているので、そのばく露を調べます、その結果、何らかの対 策あるいは規制をすることで、労働者の健康を守るためにやっているのです、という全 体の流れがわからないのです。法律に基づいて単純にばく露作業を報告してくださいと いうことですから、受け取り方によっては設備なり、いろいろな粗探しみたいなイメー ジを受けるところもあるかと思うのです。そういう点は誤解のないように。何のために これをやっているのかというところを、目的のときにもう少し十分な説明がされるべき ではないかと感じます。 ○名古屋座長 説明が不十分だったという形のものが、アンケートの中にもありました よね。これをまたこれから活かしていくと思いますが、ここの中で、ほかに何かありま すか。後でまとめてもう一度見直しが必要かどうか、論点にしないといけないと思いま すが、とりあえずここのアンケートに関しての質問は、これでよろしいでしょうか。 ○山口(日本化学工業協会) 後ろの設問にありましたが、1回終わった物質に関して は、再度ばく露作業報告をするということは、基本的にはないのでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 単年度の作業報告になっておりますので、基本的には1回限 りの報告をいただいているという状況です。そういう意味で我々は、一部の報告をした 方からの情報を前提に評価を始めているということです。 ○山口(日本化学工業協会) ちょっと懸念するところがあります。作る側の問題はな いのですが、使う側に用途が新しくできて、それにばく露を受けるような用途が新しく 出てくると、調査に載ってこないのではないかと思うのです。調査後にそういうものが 出てきたら、といった懸念があるのではないかという気がします。 ○櫻井委員 このサンプリングのやり方を確認します。個人ばく露は一応、個人サンプ ラーでやっているのでしょうか。 ○細田(中災防) はい。 ○櫻井委員 そうしますと、8時間連続でその人に着けてもらっているとしたら、もち ろん情報としてはあったほうがいいけれども、その中間の作業内容の確認というのは、 絶対に必要ではないですよね。「それをやるから報告は困る」と言われても、我々が本当 に必要な数字は、基本的には1日8時間のばく露です。ただ時間によっての変動がある し、その日8時間取ったのが、全体をどれだけよく代表しているかわからないし、安全 サイドも考えるということはおっしゃるとおりです。  基本的に我々が比較をして、ばく露限界値の数字を示すときには、常に8時間ばく露 の平均濃度で出しますから、それがあればいいのです。ただ、その数値は8時間のばく 露はこうです、ただしその危うさというものをどう考えるか、という立場で我々は考え るべきです。しかし先ほどから聞いておりますと、午前中だけ作業があるとしたら、午 前中の作業の平均濃度を取って我々は判断したということですよね。それはそれでいい けれども、本当はそういう判断をしている、ということを明確にしておいたほうがいい だろうと思います。2分の1ぐらいは安全サイドへ行っているわけですよね。つまり2 倍高く測っているかもしれない。 ○細田(中災防) そうですね。 ○櫻井委員 つまり本来、論理的には標準ばく露限界値と比べるべき数字の倍の数字を 使って比べたことになるわけですから。 ○唐沢委員 同じく6頁の先ほどのノウハウの下に、「サンプラーの粒子カットサイズ が国内法ではないものであった」とあります。これは粉状の化学物質の場合でしょうけ れども、これは4ミクロメーター50%カットという、例のあのサンプラーではないので すか。この事実関係がどうなのかという感じがするのですが、いかがでしょうか。 ○棗田(中災防) これはおそらくニッケルのことだと思います。ACGIHのもともと の評価の基準が、100マイクロカットでの許容濃度というように示されていましたので。 もともと個人サンプラーは、別に国内で法律があるわけではないのですが、そういった 形で我々のほうは一応IOMサンプラーというのを使って、評価値と比べるということ でしたので、そういう方法を採っていました。 ○唐沢委員 このアンケート調査が公開されて、ここだけを読む方が、妙な調査をして いるという受け取られ方をしないほうがいいと思うのです。アンケートに答えられた方 に個別具体的に、ここはこういう意味ですよということを追加説明しても、別に差し支 えはないと思うのです。それで正確に、科学的に妥当性のある方法でサンプリングして いるのですということまでフォローして、追いかけてアンケートを寄せた方の正確なご 理解を得るという努力は、私はこの制度をよりよく円滑にするためには、大変大切な気 配りではないかと思います。もし、そういうことが可能であれば、できるだけそういう 対応をして、報告の中でもそこまでフォローをして、こういうようにご理解を得たとい うことを。短くまとめていただいたので、なかなかそこまで長く書けなかったというこ とはあるのかもしれませんが、できればそういうように書いていただいたほうがよろし いのではないかと思いました。 ○櫻井委員 もう1ついいですか。先ほどの話だと、スポット測定はわりあい限定され た短い作業についてのみ実施したということですね。しかし個人ばく露を原則8時間と したら、それ以外に中間のばく露が多そうなときのスポットサンプリングの数をちょっ と増やしておけば、バラつきに基づく健康上の問題は評価できると思います。一応今後 の調査の際にお考えいただきたいと思います。 ○棗田(中災防) 一応1時間を超える作業がある場合には、作業環境測定の対象とし てA測定を取るという形にしています。作業上、個人のスポットとしては見ていないの ですが、その作業場全体の濃度としての減衰などが見られるような形で押さえています。 1時間未満のものに関しては、スポットで押さえていくという形を考えています。 ○櫻井委員 B測定はやっていないのですか。 ○棗田(中災防) 中災防でやっている委員会の中で、10分という規定がありますので、 B測定の評価は難しいということで、その代わりにスポットで替えていきましょうとい う形で、一応評価のBは外しています。 ○名古屋座長 あと、個人ばく露を測られているときは8時間ですが、これは皆さん、 タイム作業を取られているのですか。 ○棗田(中災防) ずっと付いて行くわけにはいかないので、作業者に聞取り調査をし て、時間ごとにどういう作業をしていたのか聞いています。 ○名古屋座長 それもあるといいですよね。粉じんなどのほかのものはずっとやってい るけれども、化学物質はなかなかそうはいかないので大変かなと思っていたのです。 ○櫻井委員 おっしゃるとおり、ずっと8時間付いているわけでもないので、本人に装 着してもらってタイムスタディーを。何時から何時まではAという作業をやって、何時 から何時まではBという作業というような、抽象的なことで十分大丈夫ですよね。 ○細田(中災防) そうです。実際には記録表をお渡しして、時間単位でいいですから 書いてくださいということにしています。しかも我々が報告するときは、その中から対 象物の開放作業につながるものだけ、時間を取っています。例えば缶詰めをやりました、 サンプリングをやりました、それが8時間のうち、延べで3時間ありましたというよう な形で報告しています。それ以外の作業は全然報告には載りませんので、ノウハウの話 にはつながりにくいと思います。 ○棗田(中災防) ノウハウの話ですが、実は我々のほうで事前調査を行っています。 その事前調査を行っている理由ですが、そこで実際の工程等を聞きます。工程を聞かな いと、結局どこでばく露しているかが分からないからです。ただ、その報告書というの は、私どもと厚生労働省の間だけで見るようになっています。我々が出す事業報告は、 リスク評価事業というので受けているのですが、その報告書にもその調査結果は出ない 形になっています。あと、事前調査報告書も調査をした会社にメール等で送って、それ を見ていただいて、まずい所は変更してくださいという形でお願いしていますので、実 際にノウハウが漏れたというように言われていることについては、我々のほうも今回び っくりして、ちょっと驚いているのです。どこの部分でそういうように感じられたのか、 逆にもう少し聞いていただいて、その辺のところが配慮できるのであれば、我々のほう はいくらでも配慮できますので、今後の課題とさせていただければと思います。 ○名古屋座長 それは説明をしたときに、向こうの聞いている人との間でギャップがあ ってということではないかと思うのです。ですから向こうの人も誤解をしている部分が あるのではないかという気がします。 ○細田(中災防) それと先ほど言われたように、データの高い所にラベルを付けたの です。例えば、これはニッケルの何々の中の電池の工程の中の粉砕作業です、というよ うな形になりますので、その情報をいただいた相手方が見ると、電池の粉砕といったら、 うちのことに決まっているじゃないかという話になってしまうのかもしれません。 ○名古屋座長 ニッケル工場についても、普通の所はすごくきれいだけれども、混練し て隔離されているような中に入ったときに、ばく露を測ると極端に高くなって、普通は 薄いけれども、そこだけ高くなることがありますよね。ですから、そういうことが多分 あるのでしょう。だからといって私たちにノウハウを言ってもわからないけれども、そ の辺の説明などはかなり。やはり子会社が多いから、本社からかなりきつく言われてい る部分があるので、その辺のところでどこかから、「お前の所か」という形になるのが嫌 なのかなという気がしました。唐沢委員が言われたように、説明しているのでIOMサ ンプラーは本来的にはわかるけれども、これだけ見ると誤解されるかもしれないので、 6頁の書きぶりは少し変えてください。 ○島田化学物質評価室長 いまの部分だけ、いくつか回答させていただきます。まず IOMサンプラーというか、いわゆる国内法に基づかないものを使ったことに関しては、 すでに関係業者や企業の方と重々お話をさせていただき、基本的な理解はしていただい ております。ただ事実関係としてそういうことがあったということで、アンケートには そのような書きぶりがあったのだと思います。当然そういうことに関しても、今後考慮 させていただいて、中災防とご相談させていただくようにいたします。  それからもう1つ、企業ノウハウの関係については、国としても一応以前から問題意 識を持っているという部分だけは、ご紹介させていただきます。資料2をもう一度見て いただければと思います。資料2の参考的な資料として5頁に、労働局あるいは労働基 準監督署のほうから現場の企業のほうにお伝えしている内容を、ここに付けさせていた だいております。いちばん下に3番、「この調査結果について」ということで、2つほど 書いてあります。「調査結果は、中央労働災害防止協会から厚生労働省に報告が行われま す。調査結果は公表されますが、事業場が特定されることがないようにする等の配慮を 行いたいと思います」ということと、「事前調査及び本調査の結果は、事業場あてに結果 報告書として提出します」と書いてあります。多少いまの趣旨で不十分な面もあるとは 思いますが、公表に関してはあらかじめ事業場との間で、配慮させていただくというこ とは明言はしているということです。 ○唐沢委員 アンケート調査の細かい点で、いくつか申し上げましたが、私はこの制度 ができたとき、果たしてうまくいくかなというように見ていたほうです。もう3年です か。もっと経っていますか。このアンケートをいろいろ拝見しますと、かなり苦労され ているとは思いますが、対象事業場のご協力もあって、結構うまくいっているのではな いかと思います。もちろん改善点は検討して、改善すべき点は改善しなければいけない と思います。そういう意味でこの制度がかなりきちんと動いているということは、評価 してあげてもいいように思います。一言コメントさせていただきます。 ○名古屋座長 ほかによろしいですか。 ○圓藤委員 皆さん、昨年度の消費量や製造量は難しいとおっしゃっていますが、最近 1カ月というようなやり方では駄目なのかと思いました。 ○島田化学物質評価室長 もちろん、1カ月の間にその作業がある場合については有効 だと思います。実は、併せてアンケートの中で、実態調査を受け入れない事業場があっ た結果の理由として、ばく露実態調査は通常、毎年秋口から年末ぐらいまでの間にやら せていただくのですが、その期間に当該作業がありませんとお答えになる事業場があり ます。ということは裏を返せば、1カ月の期間を区切ってやった場合に、必要な情報が 取れないことがあるかもしれません。それが懸念です。 ○圓藤委員 例えば1年が出せないならば、最近数カ月でもいいというような、もうち ょっと弾力的な運営ができないものかと思いました。 ○島田化学物質評価室長 事務局側で検討が進んでいることを、少し開示申し上げます。 例えば、1月から3月までの3カ月間に報告を出してくださいというようにした場合に、 それから遡及して過去1年間というような形でお願いをしておりますが、場合によって は今後何月から何月の間に実施した作業について書いてくださいということを、あらか じめ調査表を配ってお願いするというやり方もあるのではないかと思っております。調 査期間と調査報告を出していただく期間との関係を、少し整理するということもあるの ではないかと思っております。 ○圓藤委員 機密については、この事前の書き方だけでは足りないのではないかと思い ます。もっと「機密は守られます」というような記述があったほうがいいのではないか と思います。 ○名古屋座長 ほかによろしいでしょうか。いまアンケートのお話をしましたが、いろ いろご議論いただきましてありがとうございます。最後に、今のばく露の実態調査の流 れと、アンケートを踏まえて見直しが必要な点、今後どういうことを議論しておいたら いいかという議論だけしていきたいと思いますが、いかがでしょうか。この意見はもの すごくいいことが書かれています。こういう形で平成21年度もこれをやりますが、こ のアンケート結果を次の平成22年度に反映させるのかどうか、その辺の見解を教えて いただければと思います。書きづらかったり、いろいろなことがあったのに、すごくい い意見がまとまっているのを、ただここにとどめているのではなくて、それを次に反映 させるというのは、ものすごく大切ではないかという気がしていたのです。事務局はど うお考えなのか、お聞かせ願えますか。 ○島田化学物質評価室長 この検討の場でご検討いただいたものを反映させるというの が、私どもの趣旨ですので、そういうご指示をいただければと思っております。もちろ ん我々事務局側でも、できるものはできるだけ早急に進めていきたいということで、実 は年末までにこの議論を進めていただこうと思っておりましたが、多少ご議論が増えて おりますので、年明けまでかかってしまうだろうという状況です。  そういう意味からしますと、ばく露作業報告を求める時期が、もうすでに来ておりま す。報告について例えばアンケートの中では、報告物質数が多すぎるというご指摘があ りました。平成21年度については物質数を一定程度絞ってはおりますが、挙げさせて いただいております。したがって、これは現場での作業の混乱になりますので、それは 進めさせていただきます。ただ次年度において実施されるばく露実態調査については、 当然年明けから始めるものですから、機密の保持その他、実際に行ったときの段取りを 事前に十分ご説明するといったことについては、早速始めさせていただくという状況に なると思います。 ○名古屋座長 去年は44で多いなと思っていましたが、確かに今年は20で約半分にな っていますよね。そういう意味では、これが反映されたのではないかという気がします。 ただ書き方とか、いろいろなことがまだまだあると思います。私たちが見ていても、実 際に私たちが書くわけではありません。こういうようにしているのだなということしか 分からないので、やはり現場の意見というのがいちばん大切です。書く人がいちばんい ろいろなことが分かっているというのがアンケートだと思いますので、是非それを反映 していただければありがたいという気がします。ほかに何かありますか。 ○圓藤委員 これは普通の紙の形式だけですか。例えば、電子ファイルといったらおか しいですが、書き方が決まっていて、CDみたいなものにパソコンで入力可能のような ものは出来ているのでしょうか。 ○名古屋座長 将来のことでもいいし、現状でもいいのでどうぞ。 ○島田化学物質評価室長 現状は紙で報告をいただいております。その紙を入力する際、 我々は国側で入力をして、電子データとして流通させているという状況です。これにつ いては各事業場の入力の方式とか、国においてそれが実際に情報として受け取れるかど うかということがあります。現状として現場の事業場から上げていただくものは、紙ベ ースでやっていただいております。 ○圓藤委員 記入はパソコンでできるのですか。 ○島田化学物質評価室長 基本的には用紙をお配りして、用紙に記入していただくもの ですから、そこにタイプ打ちのようなことではやっていないという状況です。 ○名古屋座長 例えばWordでできていて、そのWordにパソコンで打ち込めるかとい うことを、圓藤委員は聞かれているのですよね。そうではなくて。 ○島田化学物質評価室長 現状はそういう状況にはなっておりません。実際に手書きで 書いていただいております。 ○圓藤委員 やはりそれはホームページに載せるなり、紙以外の書式があっても然るべ きだと思います。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃるとおりで、実は中にも同じように、電子媒体で出 させていただくようにお願いしたいというものもあります。 ○名古屋座長 たぶん、もうちょっと煮詰まってきて書式がきちんとすれば、そういう 形になるだろうと思います。しかしWordぐらいだったら出来そうな感じですよね。個 人的には圓藤委員と同じように、書くのは大変ではないかと思いました。 ○圓藤委員 書くのはExcelかWordですよね。 ○櫻井委員 今日はまだ議論したい予定があるかもしれませんので、一言だけ問題点と して申し上げます。この回答率と申しますか、本当の意味で使っているのに回答として 出てこないものが必ずあるわけです。それがどれぐらいあるか大変気になりました。で きるだけ回答がちゃんとされるように。つまり、真面目にちゃんと出す所だけに、いろ いろな負担がかかってしまい、本当の実態がつかめないという基本的な問題があると思 いますので、回答率を高める方策を検討すべきだと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 私どもで具体的にやっているところで申しますと、報告 対象物質の中にはPRTR法の対象物質となっているものもあります。PRTR法の場合は どこの事業場から報告があったというのを、情報公開と言いますか、一定の開示請求手 続をしますと、誰でもデータが入手できるようになっております。私どももその手続を 取りまして、どこの事業場でどの物質を作っている、あるいは使っているという情報を 把握しております。  それを基に各労働局のほうに、この物質はこの事業場でPRTR法上の報告があります という情報提供をして、それを基に局なり監督署なりに、対象となる事業場のほうに、 今年はこの物質が報告対象ですということを連絡してもらうようにしています。そこは できるだけ漏れがないようにしているつもりですが、必ずしも十分ではないところもあ ります。来年、平成21年も、かなりPRTR法と重なる物質があり、20物質中13物質 は重なります。その中でも特にエチルベンゼンなどはPRTR法で、たしか1万9,000事 業場ぐらいから報告があったかと思います。それが実際に私どものほうにどのぐらいの 報告が上がってくるのかというのを照らし合わせると、ある程度報告率も見えてくるの ではないかと思います。 ○櫻井委員 1つ追加させていただきます。PRTR法は先ほど来言われているように、 500kgという裾切値があるので、当面のやり方としてはそれでいいと思いますが、先へ 行った場合、もうちょっと広げるとすると、PRTR以外の所の報告率は、もっと小さな 所だったりして、やはり悪いだろうという気がいたします。ですから労働基準監督署等 の協力を、できるだけしっかり得られるようにするとか、また検討が必要ではないかと 思っております。 ○名古屋座長 ここのところは次回にでもできると思います。今日はもう1つ、資料4 として化学工業会さんが作成したものがありますので、そこを説明していただいてから 議論していただきます。ここについてはまだまだあると思いますが、次回以降というこ とでよろしくお願いいたします。では事務局のほうからよろしくお願いいたします。 ○島田化学物質評価室長 資料4というのを用意させていただいております。前回の議 事をいただいて、国内外でどういう形でリスクの確認をしているかということも話題に なっておりましたので、そのうち優良事例として、私どもがやっている評価に非常に近 い模範的な事例を見つけて、それについて今回、ご説明をさせていただきたいと思いま す。日本化学工業協会からきているもので、実際には平成10年に作成していただいた、 「イニシャルリスクアセスメントの手引」というものを参考にさせていただき、その抜 粋ということでご報告させていただいております。  今日は、参考の3と参考の4という2種類のものをお届けしております。主に参考の 4に即した形で、資料を作らせていただいております。併せて参考の3という資料も用 意しておりますが、落丁がありますので、改めて皆様方にお配りしたいと思います。た だ、今日の議事は参考の4を中心にご説明させていただくことになりますので、議事に 支障はないかと存じます。  早速、資料4でご説明申し上げます。イニシャルリスクアセスメントというものにつ いては、左側の上の四角から始めてご説明したいと思います。ここにはこのアセスメン トの背景および目的が書かれております。これは実際に化学物質を扱う事業者が、レス ポンシブルケアというのを実施する上で必要となる有害性の評価とばく露の評価とを併 せて、イニシャルリスクアセスメントをすることに関して、手引書を作成したと書いて あります。  レスポンシブルケアについては、下のほうに注釈が付いております。1985年にカナダ の化学品生産協会がスタートさせたもので、自主管理の仕組みであると書いてあります。 この仕組みについてはその後、1990年に日、米、欧、カナダの4カ国が推進協議会を 設立して、1992年だったと思いますが、アジェンダ21というリオでの環境宣言が出た 年のUNCEDという会議で公表されました。化学物質の全ライフサイクルにわたり、自 己決定あるいは自己責任の原則に基づき、総合的自主管理を行う活動の一環として作ら れたものだとお伺いしております。  その後、これについては本手引書を参考としたEUの「テクニカルガイドドキュメン ト」が、1993年に出ているようです。それとOECDの「SIDSマニュアル」が改訂さ れているということで、これを契機として平成10年に改正を行っていただきました。 これは実質的に企業側が自社で製造を取り扱う化学物質のリスクアセスメントを実施し て、総合的な化学物質の安全管理に活かしていただくことを期待して作られたものです。  この手引書の特徴として、4つほど挙げております。対応できるばく露については、 作業者のばく露ということで、特に我々がやらなければならない労働者のばく露につい ても、当然含まれております。そのほかに消費者のばく露、水系環境、低質の環境を対 象としているということで、直接ばく露、間接ばく露の両者に対応していただいている ものです。  リスクアセスメントのレベルについては、さらに詳細なリスク評価の必要性を判断す るためのイニシャルリスクアセスメントの位置づけのものです。これについてはEASE モデルということで、これも注釈として下のほうにありますように、英国で開発された モデルで、作業環境の実測データがない場合に、リスク管理対象物の順位づけなり、相 対的な比較を行うのに有効なモデルです。ただ、この報告書の中にも記載されておりま すが、反面、デフォールト値が安全側に設定されていることから、リスクを高く見積も るような形になっているという注釈が付いております。いずれにしても、これは実測値 が得られない場合に数値を入れてアセスメントができるということで、モデルを採用し ておられるわけです。  それから最終的な出口として、定量的なリスク判定が可能なものです。併せてMOS という安全マージンも求めることができますので、そのリスクのレベルを基に、優先し て管理すべき物質の判断が可能なアセスメント手法ということで伺っております。  右のほうの四角をご説明申し上げます。特に私どもの関連する作業者ばく露の評価手 法について、いくつかの点を抜き出しております。作業者のばく露については経皮ばく 露と吸入ばく露の評価が対象となっており、この評価が可能ということです。作業環境 の濃度等の実測値がある場合はそのデータを活用し、ない場合はEASEモデルから推定 するという仕組みができております。  それぞれEASEモデルを採用する場合の考慮ファクターとして書いているのは、ご覧 のとおりです。吸入ばく露モデルについては物理的な状態として、例えばガス、液体、 固体、エアゾール、フュームといったものについても、それぞれ個別に例示が挙がって おり、これに基づくリスクが把握できるような仕組みになっております。また、使用形 態としても密閉型で使うのか、マトリックスへの包含や分散、非分散についても考慮し ていきます。制御としては完全密封から始まり、局所排気装置、全体換気装置による希 釈換気など、直接取り扱っているような場合も含めて、それぞれファクターを入れてモ デルが構成されております。  最終的な作業者ばく露の計算方法については、真ん中の四角にありますようにEHE ということで、作業者のばく露量の計算ができるようになっております。吸入ばく露の 場合は、人の呼吸量と1日当たりの作業時間を体重で割った形で計算することができま す。経皮ばく露も、基本的には接触物質中の評価物質の割合、接触物質の厚さ、ばく露 される皮膚表面積、そして1日当たりの接触回数をかけて、それを体重に割り戻した計 算手法で定量的に作業者ばく露量が求められます。  最終的なリスクの判定方法については、先ほどの計算方法によって求めた EHE/EDLC(推定無影響量)です。この数値は無毒性レベルのNOAELを不確定係数 で割った数値として、それとの比較で1を超えるかどうかでリスクの判定をするもので す。ただ、リスクがあるという判定が出た場合、つまり1を超える場合においては、直 接それを管理措置に持っていくのではなくて、リファインドアセスメントということで、 さらに追加情報なり試験結果を用いて、より実践的な精密なリスク評価をして、それに よって規制措置、あるいは対応が必要かどうかを判断するモデルのようです。  次の頁に、その具体的なフローチャートが示されております。個別のご説明は申し上 げませんが、資料の左側の四角にありますように、全体的なスキームとして、イニシャ ルリスクアセスメントというステップと、リファインドリスクアセスメントという2段 階のステップになっております。イニシャルリスクアセスメントのほうでリスクがある と判定された場合は、リファインドリスクアセスメントというスキームに乗せていって、 さらに詳細なアセスメントをいたします。具体的には真ん中の「シナリオの見直し」と いう部分の下のほうにあります。例えばばく露情報の追加をして、より精度をアップす るということ、それからハザード情報の追加ということで毒性試験などをより詳細に見 ていって、その両者から最初のイニシャルリスクアセスメントのほうで、問題となる量 を超えているのではないかというものが、このスキームの中で再度検討されて、改めて リスク判定がされます。その結果、必要な対策が取られるということになっております。  次の頁は、先ほどすでにご説明したとおり、左側の「作業者ばく露」から始まる所が、 ばく露評価のスキームです。実質的にはばく露評価のところでEHEというものを算出 し、そのEHEを今度は「ハザードの確認」と書かれている左側のフローと比較いたし ます。最終的にはいちばん下の真ん中に菱形の部分がありますが、ハザードデータから くる無毒性量と実際のばく露量を比較いたします。これは櫻井委員に座長としてやって いただいている上のリスク評価検討会でも、同様の評価をしていただいているわけです。 それを今後ばく露評価のスキームとして、ガイドラインとして示す場合には、優良な事 例ではないかということでご紹介させていただきました。 ○名古屋座長 いまの説明に対して、それぞれご質問等があればお願いいたします。 ○圓藤委員 1頁のばく露の計算方法の所ですが、経皮ばく露の接触物質の厚さという のがどのようなものか、その意味を教えていただきたいのです。 ○島田化学物質評価室長 我々も十分化学的に理解しているわけではありませんが、最 後の頁を見ていただきますと、実際の計算方法が書いてあります。これは同じもので、 それを数値化しているものです。「皮膚と接触する物質層の厚さ」というのが、いちばん 下の部分の凡例の所に書いてあります。どうもこれは実際に有害となる物質を含んでい る製品に、総量としてどの程度含まれているかという指標というように、我々は捉えて おります。その物質に触ることによって、その製品から滲み出てくるもの、皮膚のほう に移ってくるものが当然あるわけです。その厚さが大きいことによってばく露量が増え てくるということで、指標を入れていただいているのではないかと思います。 ○櫻井委員 この参考4の42頁のTですね。接触する物質層の厚さのデフォールト値 を0.01と決めています。 ○圓藤委員 もう決まっているわけですか。 ○櫻井委員 ええ。つまり0.1mmですか。そんなところかもしれませんね。結局、何と なくよさそうな数字だと思います。 ○山口(日本化学工業協会) これはあくまでもイニシャルリスクなので、安全側に見 て接触するものの量が多ければ、吸収するに従って減ってくるというところがあります から、ある程度は厚さに比例するだろうということです。あくまでも安全側、安全側に 見ていますから、本当にこういったTでやっているのか。単純に表面積でやっている可 能性もあります。これは基本的な考えで、実際となるとその後にいろいろ変わってきて いますし、いろいろなやり方になっています。現実の化学作業で経皮接触というのは、 ほとんど考えられません。手袋をしますので、計算しているようなところは現実にはま ずないかと思います。 ○櫻井委員 私もそう思います。これは結局、あくまでもばく露量だけをまずこれで出 します。それで比較すべき数字は、何グラム付けていたらどれだけかと。ただ吸収の問 題がありますね。それはやはり吸入の場合に比べたら、はるかに。当然ご承知のように、 多くの物質についてははるかにレベルが低いので、手袋をやっていないとしても、相対 的に今はほとんどやられていないし、それで済んでいるのではないかと思います。ただ 化学工業のほうでは、化粧品などの特殊なものがありますから、これはやはり一生懸命 ちゃんとやるということです。 ○山口(日本化学工業協会) 消費者のほうのばく露のリスクですね。 ○圓藤委員 なるほどね。ありがとうございます。 ○名古屋座長 手袋など、いちいち決めておいても大きな支障はないということで、あ えて問わなくてもいいということですね。ほかに何かありますか。よろしいですか。 ○櫻井委員 このモデルとして基本的に使っているデータというのが、30何頁に吸入の ほうがいっぱい出ていますね。これはイギリスで実測したデータから「エイ、ヤア」と 割り切って数値を出しているわけです。国によって実態は違うと思うのですが、その辺 りの実測の数値がその後何か修正されるとか、そういったことについて、もし情報があ れば教えてほしいと思います。 ○棗田(中災防) 実はイギリスモデルは、英国ではすでに開発を終了したという形に しており、いまはEUに移管しています。ただ私も開発の方とメールをやり取りしてい る限り、EUも見切りを付けているところがあるようです。いまはオランダの別の方式 に変えようかというところがあるようです。このイニシャルリスクアセスメント自身、 REACHが出る前のOECDのプログラムで、ここに出ているEDLCなども、今度は DNELという概念を変えた形でREACHの中にも出てきていますので、その辺で変わっ てくる感じがあると思います。しかしテクニカルガイダンスドキュメントが、きちんと した形で出ていないので、完全な形で理解するのが難しい部分があります。この辺でち ょっと流動的なところがあるのかもしれません。 ○櫻井委員 基本的にコントロールバンディングで使っているのも、このデータでしょ う。それもまだ修正されないで、これに則っているわけですよね。 ○名古屋座長 十年一昔と言われますし、化学物質にはいろいろな評価方法が出てきま すから、ここのデータを見ても、多分いろいろになってくるのではないかという気がし ます。本来的にはここと前のところをもう少し議論しなくてはいけないのですが、今日 は時間の関係でここで止めて、次回以降、また議論するということでよろしいでしょう か。 ○島田化学物質評価室長 ありがとうございます。確かにこれは平成10年ということ で、少し前の情報ですので、いま櫻井委員からお話のあったコントロールバンディング、 諸外国における同様のばく露モデルについては、次回および次々回にご紹介するような 段取りにさせていただいております。いま名古屋座長のほうからお話がありましたよう に、今後もこれに関する議論を続けていただければと思っております。 ○名古屋座長 もう少しいろいろなことを聞きたかったと思いますが、時間がきてしま いましたので、最後に資料5について、事務局からよろしくお願いしたいと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 資料5は、いま島田からも申し上げたように、今後の予 定です。次回の第7回は12月16日に本日の議論の続きということで、内容としては海 外の情報等を含めた形でやらせていただく予定としております。第8回以降については、 また調整をということで予定しております。 ○名古屋座長 本当に今日はお忙しいところ、ありがとうございました。では閉会させ ていただきます。本日は大変ありがとうございました。 照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                            化学物質評価室                電話03-5253-1111(内線5511)