08/11/27 第4回高度医療評価会議議事録 第4回高度医療評価会議 (1)日 時:平成20年11月27日(木) 13:00−15:00 (2)場 所:KKRホテル東京 丹頂の間 (3)出席者:猿田座長、飯沼構成員、伊藤構成員、金子構成員、佐藤構成員 柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、田島構成員、藤原構成員 村上構成員、山口構成員、山本構成員 澤技術委員、一色技術委員、中村参考人       (事務局) 医政局研究開発振興課長 医政局研究開発振興課治験推進室長        医政局研究開発振興課医療機器・情報室長  他 (4)議 題:1 高度医療を実施する医療機関の要件について        2 新規申請技術(10月受付分)の評価結果等について        3 新規申請技術(5月受付分)の評価結果等について        4 既存技術実施状況について        5 追加協力医療機関(7月、8月、9月及び10月受付分)について        6 その他 (5)議事録:以下 ○猿田座長  それではこれより、第4回「高度医療評価会議」を開始いたします。本日は雨で寒 い中を委員の先生方、ありがとうございました。出席状況は、川上委員と田上委員 がご欠席ということで、あと山口座長代理その他、すぐにいらっしゃると思います ので、会議を進めさせていただきます。  まず、最初に事務局のほうから資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  議事次第に基づきまして資料の確認をさせていただきます。配付資料といたしま して議事次第、座席表、開催要綱、構成員名簿の他に、資料1といたしまして高度 医療を実施する医療機関の要件の考え方(案)。資料2−1といたしまして新規申請 技術(10月受付分)の評価結果等、資料2−2といたしまして高度医療評価表(番号 004)。資料3−1といたしまして新規申請技術(5月受付分)の評価結果等、資料3 −2といたしまして高度医療評価表(番号002)、資料3−3といたしましてロボット 支援下心臓外科手術の手術ステップについて。資料4といたしまして高度医療評価 表(番号003)。資料5といたしまして「臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に 対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床確認試験」の中間報 告。資料6といたしまして追加協力医療機関(7、8及び9月受付分)。資料7とい たしまして追加協力医療機関(10月受付分)。また参考資料1〜7のものを準備させ ていただいております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。お手元資料、よろしいですか。申し遅れました けれど、本日は技術委員といたしまして帝京大学の一色先生と、いままだ澤先生は おみえになっておりませんが、聖路加国際病院の中村先生がご出席されております。 どうぞよろしくお願いいたします。  先生方、資料の面では特に問題はございませんでしょうか。  本日の利益相反のことは事務局のほうからご説明お願いします。 ○事務局  本日の個別の審議案件といたしましては資料2−1、3−1をご覧ください。資 料2−1といたしまして、拡張型心筋症に対する免疫吸着療法。また資料3−1で、 虚血性心疾患に対するロボット支援手術となっております。事前に対象となる機器 の製造販売企業または競合企業との利益相反に関して申し出をいただきましたとこ ろ、山本委員におかれましては、50万円超100万円以下の受領があるということで ございました。取扱いにつきましては第2回のこの高度医療評価会議において取決 めをさせていただいており、そこでは出席、発言等は可能でありますが、最後の確 認にはご参加いただかないという取決めとなっております。また、審議の資料2− 1の拡張型心筋症に関する事案ですが、申請する医療機関が北里研究所ということ でありまして、竹内先生におかれましては、系列の医療機関ということで、この審 議にはご参加いただかないことにさせていただきます。以上でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。そういうことで、審議には加わらない形で確認させて いただきます。  それでは早速、議事に入らせていただきまして、議題1、高度医療を実施する医 療機関の要件について、事務局からご説明をお願いいたします。 ○事務局  資料1としまして、高度医療を実施する医療機関の要件の考え方(案)についてで す。まず現状としまして、今年4月から高度医療評価制度は創設されたわけですけ れども、その運用する上での通知におきまして、現状としては、医療法に規定する 特定機能病院、高度医療を実施する機関として法的に担保されている医療機関、ま たはそれ以外の医療機関が実施する場合には、緊急時対応・医療安全対策等につい て必要な体制を有する病院で実施することと定めております。またもう一方、今回 の高度医療というものの対象になっている技術としまして、この制度が4月から始 まる以前に、15技術について臨床使用確認試験というものを経た上で引き継ぎでき る技術がございます。その技術については、厚生労働大臣の定める告示におきまし て、施設基準が定められておりました。それは、参考資料3をご覧いただきますと、 技術ごとに医療機関の要件、また実施する医師の要件を個別に定めていたという状 況でございました。こうした基準というのを先進医療専門家会議において、技術ご とに設定をし、この要件を満たしている医療機関において実施してきたというのが これまでの経緯、現状でございます。  こういった考え方を踏まえて、今後どういうふうに運用を進めていくかというと ころが2.でございます。やはり最初の現状の1つ目に書かれておりますとおり特 定機能病院というのは、一定の担保がされた医療機関ですが、それ以外が高度医療 を実施することについて、どのように担保を取っていくかということが重要であろ うと思っております。その中で特に、15技術引き継いだ技術と新しい技術と2つあ ると思っており、2.の2つ目の○のところですが、原則引き継いだ技術に対して、 従前から基準がございましたので、それを確認していくという方法が1つあるのだ ろうと思っております。またその基準についても時代の流れにより、その他変更等 が必要であれば必要に応じて議論をいただいた上で変更していくということも当然 あろうと思っております。  また、平成20年4月以降、高度医療評価制度において、認められた技術について は特定機能病院以外が実施する場合、安全性・技術対応等をしっかりと実施しうる 医療機関でやっていくことが重要であります。ですので、施設基準等、必要な要件 を確認した上で認定をしていくのが良いと考えております。この会議で施設基準な どの要件を定めていただき、その確認を事務局で行っていくという様に進めさせて いただければと思っております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いま、ご説明いただきましたけれど、この高度 医療が始まる前、高度先進医療のときには、特定機能病院あるいはそれに準ずる病 院でなければ出すことのできないという過程できたのがこうした形の先進医療がで きて、それから高度医療に変わってきた、その辺のところは皆さま少し誤解してい るところがありまして、いまの状況でもやはり特定機能病院、それに準ずる病院、 さらにはいまご説明いただきました、緊急時の対応が可能な体制を有していること と、医療安全対策に必要な体制を有していること、この2つをもっているところが 重要だということです。新しい技術がここで通った場合にそのあと他の医療機関で やりたいという場合には、そこの医療機関で、いま言ったような条件ができている かどうかをしっかり確認させていただいた上で進めていくということですが、どな たか委員の先生方、ご意見ございますでしょうか。前の高度先進医療のときと、そ の辺りがちょっと違うということで、ここでもう一回これをご確認していただけれ ばということで、今日図らせていただいておるわけです。よろしいでしょうか。も しお認めいただくということであればそういった形で今後はやっていきますので、 特にこの医療機関の要件に関しましては、先生方、今日ここでもう一回お認めいた だいたということにさせていただきます。  事務局から他に何かその辺りございますか。 ○事務局  また後程、個別事案のときにどういう運営方法で高度医療評価制度を運営してい くかは、そのときに説明させていただきたいと思います。 ○猿田座長  それでは時間の関係もありますので、次の議題に移ります。議題の2は新規申請 技術(10月受付分)の評価結果について、まず事務局からご説明いただきます。 ○事務局  資料2−1をご覧ください。10月受付分としまして、1技術の申請がございまし た。高度医療の技術名称は「拡張型心筋症に対する免疫吸着療法」で、適応症は拡張 型心筋症です。承認状況としては、医療機器の適応外使用となっております。医薬 品・医療機器の提供企業は、株式会社旭化成クラレメディカルとなっております。  申請医療機関につきましては、北里大学北里研究所病院からの単独の申請、協力 医療機関はなしとの申請となっております。  また審査いただきました先生方につきましては、主担当として柴田委員、副担当 として佐藤委員、猿田座長。また技術委員として、本日出席していただいておりま す一色先生に評価をいただいております。総評としましては、一部修正の上、条件 付き「適」という形になっております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは、いまお話ありました、004の拡張型 心筋症に対する免疫吸着療法に関しまして、総括責任者の柴田先生のほうからご説 明お願いいたします。 ○柴田構成員  国立がんセンターの柴田です。私が主担当を仰せつかりましたのでご説明いたし ます。  まず佐藤先生、猿田先生、一色先生からコメントをいたただいておりますが、こ のものは拡張型心筋症に対する免疫吸着療法ですが、どういったものであるかと申 しますと、進行性の心筋障害により重症心不全を来す拡張型心筋症に対し、抗心筋 自己抗体を免疫学的に吸着させることによって心機能を改善させることができるも のであるということです。こちらにつきまして、一色先生、猿田先生からは、実施 体制の評価として、お手元の資料2−2にあるように、1、2、3番いずれに関し ても「適」とのご判断をいただいております。  一色先生からは目的が本療法の安全性と有効性を調査することを考えると、効果 が大きく期待できる自己抗体陽性例に限定することが妥当であるだろうとのご意見 をいただいております。  また、もう1点、1996年にドイツから報告があり、抗心筋抗体を有する拡張型心 筋症では、非常に効果的かつ安全であり、申請者からの症例でも効果があるという ことについてコメントをいただいております。  続きまして佐藤先生からは、倫理的観点からの評価をいただいておりますが、同 意に関する手続き、同意文書に関しては「不適」という印が付けてございますが、コ メント欄にその内容を記載していただいております。同意説明文書等に関して、こ ちらに記載いただきましたように、例えば22頁、「本試験期間中の入院診療に関し ても、保険診療とはせずに、全額を研究費より負担します」との記載について適宜修 正が必要ではないかとのご意見。また同意文書3)につきまして、「その際の費用は 保険で負担することを承知しています」との記載についても修正すべきではないか、 とのご意見、並びに患者相談等の対応体制についても記載すべきである、とのご意 見をいただいております。  実施条件欄をご覧いただきますと、本制度の実施が承認された場合に保険請求部 分に関して自己負担分を病院が負担するとの記載があるのですが、健康保険との矛 盾があるか、ないかという点についても確認が必要であろうとのことで、必要があ る場合には修正が必要であろうとのご意見をいただいております。  続きまして、プロトコールの評価に関しましては私が担当いたしましたが、6番 から16番までございますが、8番と10番の被験者の適格基準及び選択方法、並び に有効性及び安全性の評価方法のところには条件付きの「不適」という印を付けてお ります。コメントを全て読み上げることはここでは省略させていただきますが、大 きく挙げますと、これまでごく少数の経験に基づくものではあるものの、抗心筋抗 体陰性の方には治療効果がない、あるいは効果が小さい可能性があるとの記載があ りますので、その場合、本試験に陰性の方を含める場合には、この事実をきちんと 被験者の方に説明する必要があろうと考えますし、また陰性の方を含める場合であ っても、そうでない場合であっても、臨床試験実施計画書他、関連書類に反映させ ることが必要であろうと考えました。  もう1点、本試験に関して、生物統計学的な観点からレビューさせていただきま すと、明確には書いてありませんが、本試験には安全性の確認に加えて3つの目的 があると推測されます。1つ目は本治療の有効性を示すこと。つまり患者さんの臨 床状態が改善することを確認するという目的。  2つ目は、本治療の機序を検討するという目的。  さらに3つ目として、抗心筋自己抗体測定、治療を開始する前に測定される測定 方法の意義、その意義を病因・病態との関係を捉えるという意味での検討と、治療 効果との関係を捉えるという意味での検討。以上、申し上げましたような3つの目 的があるのではないかと思われます。  一方でこのような目的があると思われるのに対して、実際に提案されている研究 のデザインであるとか、データの集め方、解析方法との間にはギャップがありまし て、現在提示されている方針では、これらの目的に対して結論を導くことは困難で す。例えば比較可能性ですとか、検出力の面で、この研究のみで結論を導くという のは難しい部分があるということはやむを得ないとしても、臨床的な仮説を明確化 して、それに対応する解析方針等を選択していただくことが必要であろうと考えま す。それで、その辺については、適宜修正をしていただく必要があるかと思います。  次頁で、以上申し上げましたような点もございますので、現在プロトコールの中 には特段明示されていませんが、臨床試験の実施前に生物統計学の専門家の関与が 必要であろうと考えます。実施条件欄につきましては、先ほど申し上げましたもの、 リスク・ベネフィットの記載・説明にあたって、補足していただく点が必要であろ うと思われるところの追記が必要かと思います。  追加で申し述べますと、拡張型心筋症が本治療法の対象となっている単一要因に よって起こるものではなさそうであるだとか、効果が発現しない方も、先ほど申し 上げられましたようにあり得るということ。あるいはこれまでの本治療法の実施経 験から抗心筋自己抗体の再上昇が考えられる方も存在することなどから、詳細の情 報提供が必要かと思われます。  また安全性情報等の記載については、有害事象ベースでの記載と書類には書いて ありますが、実際には、「因果関係あり」のもののみで議論がされていますので、副 作用ベースでの議論であるのか、有害事象ベースでの議論であるのかということの 整理が必要であろうかと思います。  モニタリング等についても、適宜対応していただく必要があると思います。  個別の項目については以上ですが、総評としましては、条件付きの「適」であろう と判断いたしました。こちらに(案1)と(案2)と2つ実施条件を記しておりますが、 1つ目の案としまして、先ほど一色先生からもご指摘がありましたように、抗心筋 自己抗体陰性例を除いて、同意に係る手続き、同意説明文書、有効性及び安全性の 評価方法に関わる規定が修正されることを前提として適と判断するというもの。あ るいは抗心筋自己抗体陰性例に関しては、含めるけれども、既知の情報を被験者に 予め提供して同意を得るべきであろう、その他同意に係る手続き、同意文書、有効 性及び安全性の評価方法に関わる規定が修正されることを前提として適と判断する べきであろう、との2つの案を記しております。私のほうからの説明は一旦ここま でとしまして、ご担当いただきました先生方に、ご意見をいたただきたいと思いま す。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。総括的なお話をいただきましたけれども、1つ は、いわゆる医療技術面ということ。それから、倫理面。2つに分けて議論させて いただきたいと思います。  まず技術面に関して、私も1人として非常に新しい方法であると思います。これ はドイツから入ってきて、非常に優れた、特にいままでいいものがないものですか ら、かなり効果が出ているので、とても有意義であるということでいいのではない かと思いますが、専門家の一色先生のほうからよろしくお願いいたします。 ○一色技術委員  ポイントは柴田先生のほうからかなりお話されたと思いますけれども、このいわ ゆる吸着療法自体の安全性というのはおそらく問題ないと思いますが、問題は対象 となる患者さんが重症の心不全ということで、それなりにポンプを使って体外循環 を回すということの安全性という意味からは、やはり慎重な態度が必要かと。です から最初の段階で始めるところでは、有効性が非常に期待されるという症例を限定 してその安全性、あるいは有効性を認める方向のほうがスタートの段階ではよろし いのではないかというふうに思います。  それでは有効性が確認される、期待される症例群というのはどういうものかと言 いますと、資料として病院のほうから出していただいて、事前に行われた7症例が 提示されておりますが、そのうち奏効例というのが3例ありまして、心機能の改善 がよく見られたというもの、別添の資料、中ほど前1/4ぐらいのところに症例の 一覧が出ていますが、これを拝見しますと、奏効例の3例がすべて抗体陽性例です ね。やはり抗体を吸着するという技術の概念と、それから有効性が非常に一致して おりますので、この手法で有効性が明らかに期待されるということが、現時点で予 想されるものはおそらく抗体陽性例だろうと。抗体陽性例については、こういう技 術を導入して、その安全性そして有効性が明らかになれば、もしかするとその抗体 陽性例以外にもこういう形で目に見えない吸着因子などの有効性というのも発展的 に見るという、意義は十分にある可能性はありますが、取りあえずこの段階で最初 のステップは私は陽性例でデータを見ていくほうが安全ではないかと、そのように 考えた次第でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。先生からお話がありましたけれども、症例を見ますと たしかに抗体陽性で非常にいいということで。それと他にはあまりやっている施設 が少ないのですが、国立循環器病センターの友池先生、その他の方に意見を聞いた り、日本循環器学会にも一応意見を聞いてみますと、やはり同じような意見であり ました。抗体陽性例で非常にいいのと、現在良い治療法がないことと、先生がおっ しゃったように安全面ではそんなに大きな問題はなく、心不全の状態にもよります が、かなり効果的な症例があるとのことでした。先生がご指摘いただいたとおりで す。  今度は倫理面を佐藤先生のほうからよろしくお願いいたします。 ○佐藤構成員  ただいま柴田先生からご説明いただきましたので私はヘビの絵に足を書いてしま うのですが、少しだけ補足をさせていただきます。現在この北里研究所病院という のはすでにこの治療法を臨床試験として行われているようで、これは別添の資料の 「患者様の支払いについて」という資料を見ていただくとわかりやすいと思います。 現在食事と個室の利用料についてだけは患者さんにご負担をいただいて、それ以外 の部分は基本的に保険で認められているものも、そして保険で認められていないも のもすべて病院の持出しでやっているという状態です。おそらく今回の説明同意文 書はそのバージョンが出てきたのではないかと思われますので、その関係で、食事 と個室利用料以外はすべて病院の負担でやりますと書いてあるのですが、その部分 については修正が必要であろうと考えました。  それから患者相談等の対応ですが、この病院は特定機能病院ではないですし、病 床数も300ぐらいですけれども、お医者さんの数もたくさんいますし、相談体制も、 見たところきちんとしているようです。そして説明文書のほうでも治験管理室の治 験コーディネーターの方に相談ができるようなことは書いてあるのですが、そのこ とがあまりはっきりとは書いていないものですから、主治医だけではなくてそれ以 外の人にも相談ができるということを書くべきではないかと考えました。  もう1点、実施条件欄のところですが、これは1点目とかぶってしまうのですが、 現在この病院は食事代と個室利用料だけを患者さんにご負担いただいて、それ以外 はすべて病院の持出しでやっています。今回高度医療評価の申請が通りますと、通 常の診療につきましては、保険のほうに請求することができるようになるわけです。 病院としてはこの保険に請求した分の患者さんの自己負担分3割というのも病院の 持出しでやると、つまり患者さんの負担はこれまでと変わらず、食事代と個室利用 料だけであるということで申請を出されているわけですが、そうなりますとこれは、 健康保険法の、混合診療の禁止の原則と抵触をするおそれがあるので、この点は事 務局のほうに予め確認をさせていただきまして、抵触があるのではないかと考えま したが、もしその点を補足いただけたらと思いますが、特にないでしょうか。以上 でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。ただいまのことも含めて事務局のほうからご説 明いただけますか。 ○事務局  議題1で説明いたしました、実施医療機関の要件について、補足説明いたします。 今回申請いただいた医療機関は特定機能病院ではありませんので、資料2−2の6 頁をご覧ください。技術の議論はこれからですので、実施医療機関の要件も合わせ て議論をいただければと思います。どういう医療機関の標榜科ですとか、医師の体 制についてまとめさせていただいております。  診療科としては、循環器内科です。資格としては循環器内科の専門医が自主的に 医者として実施していただき、経験年数としては当該医療診療科の経験年数が5年、 また当該技術の経験としては、これは新しい技術ですので1年という形で提案させ ていただいております。また標榜科は循環器内科で、常勤の医師が2名以上です。 あとご議論をいただきたいのは体外循環を回すということで、透析医をおいたほう が安全面ではいいのではないかと思っておりますが、その点が必要なければご議論 をいただき、なしとさせていただこうと思っております。  また、大型の医療機器を使いますので臨床工学技士の配備が必要であろうという 形でさせていただいております。病床の規模は200床以上、10対1看護以上という 形で、当直としても循環器内科という形にさせていただいております。当然医療機 器の保守管理体制は必要ということにさせていただいております。  その他については示させていただいているとおりであります。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。施設のほうもこういった形でしっかりしている 施設であるということでございます。いまの技術面、倫理面、それから総括的に柴 田先生からご説明いただきましたけれど、他の委員の先生方のほうから、何かこの 件に関しましてご意見ございますか。 ○藤原構成員  藤原です。5頁の高度医療の内容の概要のいちばんの下のところで、他の全費用 は当院循環器内科の研究費より負担しているという記載があるのですが、高度医療 評価制度も含めて、臨床試験を実施する際に、どういう研究費を用いてやっている かというのは非常に頭を悩ませているところですが、この辺り申請書のほうで、厚 労科学研究費で使っているとか、委託研究費のどこかから用いているとか、そうい う明示的な記載はあったのでしょうか。 ○猿田座長  事務局のほうでわかりますか。 ○事務局  ちょっと確認をさせていただければと思います。お時間を少しいただいてよろし いでしょうか。 ○猿田座長  ちょっと調べたところでは、いまおっしゃった、厚労科学研究費からかなり入っ て、特に免疫的なことに対する治療はあまりやっている所がなかったものですから、 その点で何かお金が取れているというふうに。ただ、かなりのお金がかかっている 見当ですが、一応そういった形で出ているようですので、ご確認していただきたい と思います。  他にございますか。  倫理面に関しては、佐藤先生にいまご指摘していただいた所をしっかりさせれば ということですね。それから、一色先生、技術的には。 ○一色技術委員  技術的な側面は、おそらくやることも比較的単純ですし、血管の中に何か介入す るわけでもないので、大きな問題はないかと思います。 ○猿田座長  そうすると、柴田先生、総括的に先ほどお話していただいた形でしょうか。 ○柴田構成員  先ほど申し上げたように、最終的に、案1、2と2つ記していますが、一色先生 のご意見も伺って、やはりここの所は、抗体陰性例を除外してとするのがよいかと 判断しますが、いかがでしょうか。 ○猿田座長  それでよろしいですね、先生。あと、もう1つはやはり費用の面があります。症 例数は、はっきりよかったのは3例ですが、その他にも効果が出ている症例が出て いるということで、症例数に関しては事務局とも相談させていただければと思いま す。 ○柴田構成員  先ほど私が申し上げた所との関係を補足しますと、治療開発の戦略というものを 考えた場合、将来的には事前に測定する検査の善し悪しも確認する必要があります ので、将来、このような絞った形での研究ではなくて、どこまで広げられるかとい う点などについても調べる必要は出てくるかと思いますが、まずいちばん最初の取 っかかりという意味では、先ほど一色先生からご意見いただいたような所も踏まえ て、案1の陰性を除外するというほうがいいのではないかという印象を持ちました。 ○猿田座長  それでは、一応評決をお認めいただくということですね。ありがとうございまし た。  そういうことで、この004に関しては条件付きの「適」としたいと思いますが、先 生方、いかがでしょうか。 ○金子構成員  先ほど佐藤先生が指摘した、患者さんの支払いに関してですが、これはこういう 方法でもよろしいでしょうか。食事代と個室利用は患者負担で、その他の費用は研 究費負担でということですね。本来この高度医療はある程度有効性、安全性が確認 されているが治験に載らないとかいうレベルのものを議論していたので、患者さん からその費用をいただくことに関してあまり問題がなかったようです。結局、北里 大学にとっては、金銭的には保険請求分の30%の負担で済むこと、あと、お墨付き をいただいてもっと症例が増えると、その2つのメリットになりますが、支払いの 方法はこれでよろしいのですか。 ○事務局  その点については佐藤先生からご指摘をいただいたとおりで、修正していただい た上で、適正な修正は必要だろうと思っております。 ○関原構成員  素朴な疑問ですが、それなりに有効性があって、かなり安全になっている治療な のに、その程度と言っては失礼ですが、どうしてそのお金を患者からとらないのか というのが素朴な疑問なのです。 ○事務局  先生方のご指摘のとおりで、必要な修正等は早く確認した上でかけていきたいと 思います。ですから、ここで技術がご了承いただければそういう費用負担も。実は、 これは先進医療の会議の案件になるかもしれませんが、いずれにしても適正な形に して進めていきたいと考えております。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございます。 ○佐藤構成員  ですから、このポンチ絵の説明でいうと、通常診療の費用50万円のところは保険 で請求しますので、この50万円の3割については患者さんに負担していただくので すが、免疫吸着療法のほうは保険で認められていない制度ですので、すべて患者さ んの負担にするか、すべて病院の負担にするか、どちらかでしかないわけですが、 本件では、すべて病院の負担とすることになるかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。その辺りの所はもう一回、事務局と病院とでしっかり させていきたいと思います。他にご意見は。 ○藤原構成員  ちょっと思いついたのですけど。高度の医療機器の場合、昔、メーカーさんが立 会いといって病院に入って来て、いろいろおつき合いして、機械の使い方とかを教 えてくれる制度があって、最近はそれが結構厳しく批判されているようですが、こ の免疫吸着療法の場合、立会いなどしなくても大丈夫なものなのか、旭のクラレさ んが入って来て、体外循環を回すときに立会いして、サポートしなくてもいいよう な手技なのかどうかです。 ○猿田座長  これは普通の透析療法と同じ形ですね。 ○事務局  研究費の出所については、おそらくいま手元の所にはありませんので、確認した 上で先生にお伝えできればと思いますが、それでよろしいでしょうか。 ○藤原構成員  質問の背景は、大学などでは、委託研究費とかに旭化成が寄付で入れているとか、 多分そういうのを使って利用しているのか、僕らナショナルセンターだとそういう 仕組みがないので、いろいろなやりくりが結構大変なのですが、やはり金の出入り ははっきりしておかないと、旭化成が治験をやればいいだけではないかと言われて も困るということで、お聞きしました。 ○猿田座長  ありがとうございます。その点ももう一回、藤原先生がおっしゃったとおり、確 認をさせていただきたいと思います。一応技術的には透析療法と同じ形なものです から、カラムの所がどのぐらい関係しているかという論点です。 ○事務局  卓上配付されている申請書の所で、頁数がなくて恐縮ですが、「高度医療実施計 画」という資料の「高度医療申請様式第3号」の2頁目の所で、「高度医療申請様式第 3号(つづき)」という資料があります。申請者からとしては、12.の所で、「起こ りうる利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり」について、ありませんという 申請はいただいています。でも、いずれにしてもその点は確認させていただければ と思います。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。藤原先生、よろしいでしょうか。  ありがとうございました。他にご意見がなければ、この004は条件付きで「適」と いう形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  どうもありがとうございました。  続きまして、議題の3でございます。新規申請技術(5月受付分)の評価結果等に ついて、これも事務局から説明していただきます。 ○事務局  それでは、資料3−1、及び3−3をご覧ください。これは第2回の評価会議に おいて一度議論していただいた技術でして、虚血性心疾患に対するロボット支援手 術となっています。前回の会議で議論になった点で、おそらくいちばん大きいポイ ントは、途中までロボットでやり、その後、開胸してしまえばあまりメリットがな いのではないかということではなかったかと思います。その点について、資料3− 3の3頁目、追加資料2という形で、申請医療機関から補足の説明資料を提出して いただいています。概要としては、1つ、メリットとしては、やはり正中切開を回 避できることで、感染、疼痛を軽減できて、術後早期回復、入院期間の短縮、早期 社会復帰が可能となるわけでございます。  もう1つは、従来のMIDCABとロボット支援下との違いということで、資料 を提出していただいております。従来のMIDCABでは左内胸動脈採取の際に大 きく肋間開胸し、肋骨切断・肋間動脈及び肋間神経を切断した後に肋骨を挙上して、 血管採取を行うわけです。やはり肋骨の切除をやるなどということで、従来型と比 較して、今回の場合であればそういうことを行わなくて済むわけで、低侵襲性とい うことが挙げられているわけです。そのように、やはり従来型と比較した場合でも、 手術ロボットを使うメリットはあるのではないかという資料をいただいています。 以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。この技術面に関しては澤先生にお願いしてある と思います。もう一回、澤先生から少しコメントをいただけませんか。 ○澤技術委員  前回の議論では、評価としては、冠動脈のバイパス術を中心にやるのかという話 で、最終的にそういった評価になったと記憶しているのですが、それはそうですか。 やはり世界的に見ても、冠動脈バイパス術がかなりやられている中での話で、冠動 脈のストーリーと、今回ASD、心房中隔欠損、それから、僧帽弁と、みんな一緒 に入るプロトコールなのですが、必ずしもそれは一連ではないという話もあったと 思います。 ○事務局  それについては資料3−3の2頁目、追加資料1をご覧ください。基本的には、 今回申請していただいている技術については、いまお話していただいたものすべて について申請があるものと理解しています。しかし、すべての実施者がいきなりす べての技術を実施するものではなくて、申請者としては各ステップを設けて、その ステップをクリアできるようになった段階で次のステップを実施していくと、その 技術を習得する段階を設けて、前段階の技術についてできるようになった医師が次 の技術について実施していくという形で、追加資料の提出をいただいています。以 上です。 ○澤技術委員  これはわかるのですが、前回の最終的な評価では、冠動脈バイパス術について行 うとなっていたように記憶していて、限定すると書いてあるのですけどね。 ○事務局  それについてはこの申請を踏まえて、まさにこの場で議論していただいて、限定 する、もしくはすべて認めることを審議していただければと思います。 ○澤技術委員  そういう評価で、今回またこういう形で出てきたわけですね。 ○事務局  はい。 ○澤技術委員  2施設両方で同時にやるのですか、それとも東京医大でですか。 ○事務局  両方です。 ○澤技術委員  両方でやるのですか。 ○事務局  前回も発言させていただきましたが、いずれの医療機関においても渡辺先生が居 るときに実施するという形で伺っています。 ○澤技術委員  技術者が両方見てということですね。あと、東京医大のほうが、特定機能病院で ないというところをどうするかという話です。 ○事務局  それについては資料3−2の7頁目をご覧ください。先ほどの拡張型心筋症の事 案と同様に、事務局として案を提示させていただいています。いまの手術は当然心 臓血管外科においてやられるものと考えていて、実施医療責任者の医師の要件、特 に「その他」の所だと思いますが、技術の経験に関するものについては申請書の中で、 どういう研修を受けた者をやるというのが明記されているので、やはりその点につ いては申請書の中のものを踏襲していく形にすればと思います。また、医療機関の 要件としては、心臓血管外科において、手術するのが3名以上、当然麻酔医が必要 となっています。また、当直体制としては、当然再度の手術に備えるために、心臓 血管外科と麻酔科の当直が必要としていまして、その他の要件としては、やはりロ ボット以外の手術に移ることもありますので、冠動脈バイパス術、弁膜症手術等の 開胸心臓手術を年間100例以上やっている所を確認した上で認めていけばどうかと 考えています。この点についても何か、修正とか必要な点があればご意見いただけ ればと思います。 ○猿田座長  澤先生、審議に入る前に、いまの施設の条件をもう一回検討させていただきます。 実は特定機能病院に準ずる病院、あるいは、もしそうでない場合には、この2つの 緊急状態にきちんと対応できる体制の病院であること、それから、医療安全対策に 必要な体制がしっかり整っていることと、いまここに説明していただいた形ですね。 こういった形であればよろしいのではないかと事務局がおっしゃっています。すみ ません。 ○澤技術委員  いえ、こちらこそすみません。遅れて来ました。 ○猿田座長  とんでもございません。あといちばんは、医療技術面のほうですね。 ○澤技術委員  そうですね。前回の議論から非常に改善が見られていると思います。ただ、この 第1ステップ、第2ステップと、その次の第3ステップは必ずしもつながるわけで はないので、1、2、4、5、6−1とはつながったらいいと思います。今回、心 房中隔欠損を含めるのかどうかですね。それと、僧帽弁ですね。これは縦につなが るのではなくて横かと思いますが、同じ技術ではないし、おそらく人工心肺を使う ときにシステムが変わってきますので、冠動脈の場合、基本的には使わない術式で やられるのかと思います。 ○事務局  技術として、ステップの踏み方の修正という理解でよろしいわけですね。 ○澤技術委員  そうですね。 ○事務局  縦に3以降をつなげてではなくて、6−1、6−2を並列でもいいのではないか と。 ○澤技術委員  そうですね。ですから、ステップの踏み方と同時に、まず冠動脈バイパス術をや ることです。心房中隔欠損、僧帽弁は、これは人工心肺を使って、ある程度クロー ズドというか、内視鏡下等でやられるわけでしょうから、逆にいうと、必ずしも第 3ステップを踏む必要がなくて、流れとしては、第2ステップの次は第4ステップ、 第5ステップでいいと思います。 ○事務局  もしそれをやれば、そういうステップの踏み方で宜しいでしょうか。 ○澤技術委員  ちょっとここの修正を。 ○猿田座長  この技術面に関して、他にどなたか、先生方からご意見はありませんか。澤先生 がいまご指摘していただいたような形でのステップでということで。確かに第3ス テップの所が引っかかるかもしれません。  あと、全体に関しては竹内先生に、倫理面は田島先生に見ていただきます。もう 少し技術のほうだけ議論させていただいていいですか。ご意見をいただきたいと思 います。 ○澤技術委員  議論としては、冠動脈の所をずっといくのと、今回同時に、ASD、それから、 僧帽弁ですが、両方を全部まとめてしまうのですか。この前の議論は、まず冠動脈 をやってという話ではあったのですが、その辺がどうかということなのです。 ○山本構成員  高度医療の性格が、より治療というよりは研究の色彩を強く持っていると思いま すので、そういう意味からいうと混ぜ混ぜで、要は対象となる患者が異なる、それ から、当然予後もある程度異なりますし、そもそも手術のリスクもある程度違うの を並列に扱って、全部をロボット手術ということで括ってしまうのは大雑把な括り 方かと。臨床研究であることを前提に考えれば、もう少し均一な対象疾患を対象に するべきで、個々の対象疾患に対するこの技術の有効性、安全性を確認するのが臨 床研究として成立するのであれば、そのほうが成績をよりクリアカットに見ること ができると思います。もちろん、最終的に解析は個々の疾患で行われると思います が、先ほどもあったように、研究のプロセスで、例えば第2ステップと第3ステッ プで、第2ステップができれば確実に技術的に上がるとは思いますが、その技術が 第3ステップの安全性を確実に向上させるものかどうかはわかりません。私は、少 なくとも1つの臨床研究の中のサブスタディーとしては、やはり異なるものとして 扱っていただきたいと考えます。ですから、同時進行でやるのがよいのか、あるい は、ある程度どちらかを先行していくほうがよいのか。それと、ロボット手術とい って全部ひとまとめにして、要は高度医療として、今後、金額面もついていくわけ ですが、1つの申請の中に2つ以上の異なる治療技術を含んでいるような印象を受 けます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは、竹内先生、どうぞ。 ○竹内構成員  いま山本先生もおっしゃったように、東京医大の所でデータマネジメントしてい くと、前立腺でも問題になったのですが、一度に2つ同時進行しているとデータが バラバラに入ってきて、本当にデータのマネージメントが確実にできるのかという 疑問もあります。また、安全性面で、1ステップ、2ステップ、決められた症例ず つやり、安全性・有効性を確認するのが適切であると判断します。2施設でやって しまうと、本当に安全性・有効性を担保できるのかという不安もあります。やはり 私としては、冠動脈のバイパスだけに絞っていただいて、ステップ1、ステップ2 で確認した後に、いま澤先生もおっしゃったように、6ステップまでいって、次に いくという形に段階を追っていただいたほうが、プロトコールを書くにしても、デ ータマネージメントということからでも、臨床研究としては非常にすっきりする気 がします。 ○猿田座長  ありがとうございました。倫理的な面で田島先生に。 ○田島構成員  説明文書の内容が全体的に簡単すぎて、医療の知識のない一般の患者さんにとっ ては高度医療の内容がわかりにくい難点がありまして、特に段階を踏んでやる手術 については、すべての患者さんに対してロボット支援下の手術を行うわけではなく て、最初の症例の方については、途中から開胸手術に切り替わることも説明が不十 分です。ロボット支援下の手術、一般の内視鏡手術、それから、開胸手術、特に正 中切開法と肋間開胸手術といった2種類の開胸手術があるのであれば、その辺の所 もわかりやすく説明した上で、患者さんの症例がどの段階の手術に当たって、どう いう手順で行うことになるのか、やはり個々に書き分けないと理解されないという 問題がいちばん大きいかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。皆さん方のご意見、専門家のご意見もいただきました が、委員の先生方から他にご意見はありませんか。 ○澤技術委員  こだわって申し訳ありません。ステップの進み方がわかりにくいのですが、5例 やって次のステップというのは、全部1人の術者が60例やられる話で、ステップ、 ステップというイメージなのですか。それと、60の辺りがわかりにくいのですが、 その施設の中で何例かうまくいけばという意味でしょうか。ここはちょっと難しい ですね。 ○事務局  よろしいですか。最終的な確認が必要だと思いますが、施設というよりは術者の というふうに聞いております。 ○澤技術委員  術者がこれだけやられると。 ○事務局  あと、事務局からもう1つ確認させていただきたいのは、今回の技術、要するに、 冠動脈バイパスとその他の弁膜症のものがあると、それを混同しないようにという ことが多分先生方のご指摘だと思いまして、とりあえず両方を技術として高度医療 として認めていけるもので、ちゃんとそれを仕分けておけばいいのか、それとも、 高度医療としては、とりあえず冠動脈、どちらか一方しか認めないのか、という所 だけ明確にしていただければ大変有難く思います。 ○猿田座長  いま澤先生がおっしゃったのは、もちろん両方いくけれどまず順繰りにいって、 まず冠動脈に対して「適」をとって、その状況をしっかり見た上で、次にいったらど うだろうかと、竹内先生も同じご意見ですね。説明の所でも、田島先生はそういう ご意見ですね。澤先生、どうでしょうか。竹内先生、そこについて。  では一色先生、何かご意見ありますか。 ○一色技術委員  私、プロトコールは全部あれなのですけど。ロボット支援下のMIDCABが対 象であれば、澤先生がおっしゃるように、1つのものが全部ステップとして流れな いと完結しないという印象が確かにあります。おそらく事務局のほうからお話のあ った内容と両方を考えると、この場で対象を限定してしまうのか、ステップを分け た形で、例えばASDとか僧帽弁に対する手術についても、別の技術としてのステ ップを踏んだ形のものを提示していただいて、それをまとめて、ロボット手術とい う形で検討していただくか、どちらかの方法なのだろうという感じがしたのですが、 そういうイメージですか。 ○澤技術委員  そうですね。ですから、高度医療化について、目標を何にするかなのですが、ロ ボット支援下心臓手術であれば、今回、1回で承認してやるのは1つの方法ではあ ります。だから、そういう病気を分けて、それか、冠動脈バイパス術に対してとい う意味で強くいうのであれば、もう冠動脈だけですね。混同されないように大きく 分けて、流れがこうなってしまっていたので、一連ではないことが委員の先生方に 理解されにくいのではないかと思うので、そこははっきり分けていただいたほうが いいかと思います。細かく言うと、ステップも本当に1と2がいるのかと思ってい て、1と2は一緒でいいのではないかと、そんなことも思います。その辺は修正が いると。 ○山口座長代理  遅くなってすみません。一括してはどうかという議論だと思うのですが、例えば 腹腔鏡の手術を考えてみても、腹腔鏡でお腹の中何でもできるからという形で認可 するのは、ちょっとまずいのではないかと思います。同じお腹の中でもその部位に よって難易度はそれぞれ違いますし、シチュエーションも違います。それぞれ部位 について安全性が担保されたり実績がないと、一括して認めるというのはまずいと 思います。一括に認めることは便利ですが、これはメーカーサイドの論理であって、 やはり患者の安全性を考えたら危険ではないかと私は思います。  それから、簡単だからというのであれば、一つひとつについて実績をきちんと確 認して、当然できるようになるはずですし、その時点で審議にかけていただくのが いちばんいいのではないかと思います。ただ、もちろんこの会議の趣旨が、諸外国 で既に一般的に行われているものが、速やかに日本でも行われる1つのステップと いう位置づけでもありますので、一括は確かに簡単かもしれませんが、私は面倒く さがらずに一つひとつ行うのがいいのではないかと考えます。 ○村上構成員  事前にいただいた資料の中に、追加資料3「ステップアップの基準及び到達目標」 というのがあったのですが、今日配付されている資料の中に見あたりません。この 「ステップアップの基準」に基づいて、順番にきちんと評価され、次のステップに 移っていくという形であれば、初めから対象外にするということではなく基準に則 って行っていくのでよいのではと考えます。そもそも、事前にいただいたステップ アップの資料が有効なのか破棄されたのか、どちらなのか教えてください。 ○事務局  それは、資料3−3のことをおっしゃっているのでしょうか。 ○村上構成員  はい、そうです。 ○事務局  それは当然会議資料ですので、今回の資料です。 ○村上構成員  いや、事前にいただいた資料3−3の1頁に、「ステップアップの基準及び到達目 標」という資料が入っていたのですが、今日の資料の中にはないのですよね。 ○事務局  資料3−3の1枚目の2頁ではないですか。資料3の2頁。 ○村上構成員  頁番号1というのが、2種類あるのです。 ○事務局  少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか。すみません、ちょっと資料が足 りていない可能性がありますので、印刷して補足で配付させていただければと思い ますが、よろしいでしょうか。 ○猿田座長  一応時間の関係もありますので、いま先生方から議論いただいたことをまとめま すと、もちろん全体としての技術的なことはよくわかるけれども、まず最初に冠動 脈疾患に焦点を絞って、それから次のところも考えていくという形なのですが、総 責任者は一応竹内先生なので、それでよろしいでしょうか。 ○竹内構成員  全体としては、提出いただいた心臓外科手術でもいいとは思うのですが、その中 身がやはり冠動脈バイパス手術をしっかりしていただいた後にこちらのステップと いう具合で、一つひとつ確認されていったほうが、統計的なデータのばらつきの面、 データマネジメントの面からも非常にやりやすいですし、出てきた結果も明確であ ると判断します。また、患者様に対しても同意もきちんと取りやすいと思いますの で、そのような形でプロトコールを修正していただければと思っています。 ○猿田座長  ありがとうございました。澤先生、そのような形でいかがでしょうか。 ○澤技術委員  はい、それで結構ですが、要するに最終の治験にいったときの承認の形は、この 機械は冠動脈バイパス手術だけなのか、いろいろなものに使えるというのかですよ ね。そうしたら、冠動脈だけに限定のロボットでは、ちょっとセンスではないと、 やはりナンセンスですよね。先ほど山口先生がおっしゃったように、確かに疾患ご とにも整理しないといけないと思いますので、両方併せた形がいちばんいいのかな とは思います。 ○猿田座長  田島先生、倫理的にもそのような書き方をしていただければよろしいですか。 ○田島構成員  はい、結構です。山口先生、よろしいですか。 ○山口座長代理  はい。結構です。 ○猿田座長  そうしましたら、いま竹内先生にもご意見をいただいたとおりで、この形では一 応条件付きの「適」とさせていただいて、特に冠動脈疾患のところをまず焦点に当 てる形にさせていただきたいと思います。あとは、事務局でよろしくお願いします。 どうもありがとうございました。次に、前回のこの委員会において条件付きで認め られた「ロボット支援手術による根治的前立腺全摘除術」に関して、事務局から説明 をお願いします。 ○事務局  資料4をご覧ください。これは、いま座長から説明いただいたとおりで、先般条 件付き「適」という形で判断いただきまして、現在申請書等の修正をいただいている ところです。本件についても、特定機能病院以外からの申請ということでしたので、 同様の実施要件を資料4の6頁に準備させていただいています。簡単に説明させて いただきます。これは、ロボット支援による前立腺の摘除術ですので、当然実施責 任者は泌尿器科の医師で、専門医を有していること。また技術の経験に関しては、 申請書どおりに記載がありましたので、どのようなトレーニングを受けているかと いうのは、それを守っていただくこととさせていただければと思っています。医療 機関の要件としては、基本的には先ほどの心臓のものと同じですが、実施診療科で の医師、また麻酔科の医師が要るということ、さらに臨床工学技士が要ること、当 直体制として泌尿器科及び麻酔科、緊急手術に対応することを要件として挙げさせ ていただいています。  またその他のところで、やはりロボット以外の手術に切り替わる可能性もありま すので、前立腺全摘術が年間30例以上を要件とさせていただいています。これにつ いては、事前に技術委員とお話をして提示させていただいています。何か意見等あ ればと思っています。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いま条件付きということでありました前立腺の 件、特に施設の内容ですが、説明いただいたとおり6頁のものですが、何かご意見 はありますか。一応、この施設の条件でお認めいただければ、この形で次の先進医 療会議に回させていただくことになりますね。 ○事務局  医療機関から要件を確認したうえで、報告させていただければと思っています。 ○猿田座長  そのようになりますが、何かご意見はありますか。それでは、一応このような形 でお認めいただいたということにさせていただいて、確認したうえでこの次の先進 医療会議に回させていただきたいと思います。続いて、議題4、既存の技術の実施 状況についての審議です。これは、実は前から問題になっている乳がんにおけるセ ンチネルリンパ節同定と転移の検索ですが、随分いろいろな施設から多数上がって きています。ここで、責任者の聖路加国際病院の中村先生にお出でいただいていま すので、まず実施状況を説明いただいて、皆様方からのご意見を伺いたいと思いま す。 ○中村氏(聖路加国際病院)  私は他施設共同試験の責任者をしています、聖路加国際病院の中村です。このセ ンチネルリンパ節生検は、臨床的に転移が陰性と思われる患者が対象で、世界的に もいまは標準治療と見なされている技術なのです。実際どのようなものかといいま すと、乳房の表面に色素ないしはアイソトープあるいは両方を打つことによって、 最初にリンパの流れを受けるリンパ節を同定して、そこに転移がなければその先の リンパ節には転移がないだろうということで、郭清を省略すると。このリンパ節郭 清というのは、行ってしまいますとリンパ浮腫の問題や、あとでさまざまな合併症 や後遺症を残す可能性があるということで、なるべく転移がない患者にはそれを回 避したいということです。しかしながら、我が国でこの手技を行うにあたりまして、 用いる色素ないしはアイソトープというものが、適応外使用であるという指摘を受 けて、それに関する安全性と同定率が、欧米で行われている試験の結果と同程度で あるかどうかを確認するという目的で、この試験が組まれました。資料5の4をご 覧ください。色素は欧米ではリンファズリンという色素を用いていまして、文献的 には0.5から1.1%のアナフィラキシーの副作用があると言われていました。同定率 に関して申しますと欧米の文献では、同定率は93%ぐらいをハードルにすればほぼ 問題ないだろうということで、そこでイベント数などを勘案して症例数の設定を行 いました。アイソトープが使えないような施設もありますので、色素法単独も含め まして、単独、両方併用、アイソトープ単独といったものすべてを条件を勘案した うえで、症例集積を1,600例に設定して、その症例集積期間2年間で行おうという ことになりました。お手元の資料でカラーの資料が後ろに付いています。資料6で すが、2頁めくっていただきますと、「参加施設数および本登録数の推移」という棒 グラフが3枚目の中程の左側にあります。これは、3月の末からこの試験が始まり まして集積をしましたところ、8月の末に我々が当初目的としていました1,600例 を超えまして、8月末で1,793例という症例をいただきました。そこで、急遽今年 の9月の末に乳癌学会がありまして、そこで中間報告という形でデータの解析をし た結果を報告させていただきました。資料を戻りまして、最初の資料の2頁をご覧 いただくとわかると思いますが、9月の末までのデータをここでは報告させていた だいています。色素法単独が481例、RI単独法が209例、併用法が1,482例、合 計2,172例に対して同定率を計算しますと、色素法単独でも97.1%、RI法99%、 併用法99%ということで、同定率に関してはかなり良好な成績です。  一方、色素のほうも、その下の段にありますが、ICG+インジゴカルミンの2 剤に関していいますと、それぞれ99%、96.2%ということで、これもそれぞれ非常 に良好な成績でした。安全性に関してなのですが、グレード4に関しては速やかに 事務局にご報告いただくことになっているのですが、現在までのところ私どもがこ こで採用しました色素アイソトープでは、重篤な合併症の報告はございません。た だ、いまご覧いただいているように、色素、アイソトープともに複数のものを使っ ています。例えば、単独という形で見ていただきますと、2頁目の中程下の色素法 単独という所を見ていただきますと、ICG単独は97例の症例集積です。まだ単独 法で、個々の色素を独立して取り上げてみますと、症例数の少ないグループが存在 するということです。3頁目も、RI法単独で見ますと、スズコロイド単独という ものが46例ですので、こういったところはさらに必要症例数を達成するまでは試験 を継続したほうがいいのではないかという考察をしました。  それから、4頁の6ですが、これはこの本法を用いるべき対象症例です。比較的 この試験では、広く採用しているのですが、DCISというのは非浸潤性乳管がんの可 能性が高い、つまり針を刺して組織を一部取ったときに、非浸潤がんという、乳管 の中にまだ留まっている早期の乳がんの可能性の場合には、この手技すら実は要ら ない可能性があるのですが、なに分針で一部取ったもの等だけでこの手技を回避で きるのかどうかについては、いまいろいろな議論があります。実際に、術前非浸潤 がんだと思われるものに対してこの本法を用いたところ、転移陽性例が3.9%認めら れたというようなことがあります。ですから、これに関しては、この対象症例に関 してもきちんと症例を集積して結論を出したいという、この班の中での意見を取り まとめています。  次に、最近は乳腺の場合は、術前化学療法を行うケースが多いのですが、その場 合に化学療法に入る前にリンパ節の状況を調べたほうがいいのか、あるいは施行し たあとの画像診断で転移がなければその段階でこの本法を用いていいのかというよ うなことについても、まだ87例の登録症例しかありませんので、これも引き続き検 討したいと考えています。この試験の今後の予定ですが、1月末までにもう一度症 例を集積した結果を解析しまして、この時点でのこの研究班としての班会議を開い て報告を出したいと考えています。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございます。そうすると、その報告をまとめたうえで、今後の 方針はどうなるのでしょうか。 ○中村氏  色素、アイソトープに関しては、適応外使用ということですので、このデータを もっと詳細にいろいろな角度から見ていただいて、できればこの手技で使わせてい ただくということについて。 ○猿田座長  結局、これは許可を取っていかなければいけませんね。 ○中村氏  はい。 ○猿田座長  それと、PMDAとも相談していくという形になりますね。委員の方々、どなた かご意見はありませんでしょうか。いま詳細にお話いただきましたが、非常に実施 施設も多くなり、患者数もすごく多くなりまして、それだけの2つの方向でも、と もにまだ認められていない試薬ですが、これだけの例数が揃ってきて、いい結果も 出ているということで、先の見通しとしては申請にもっていけばということで、山 口先生、何かありますか。 ○山口座長代理  この技術は、もうほとんど日常診療化しているというか、一般診療化しているか らこそ、こんなに集まるのだと思いますね。特に、欧米ではもう日常診療として行 われていると理解しています。96.7%と下限に近いですが、これは期待する同定率 をクリアしているわけですよね。 ○中村氏  はい、そうです。 ○山口座長代理  ですから、さらに症例を重ねるのではなく、このまま認めていただくことを申請 して何ら差し支えないのではないかと思います。 ○中村氏  なるべく100に近づけたいという気持がありまして。 ○山口座長代理  大変まじめにやられて十分なデータも出ていますので、早く進められたほうがよ いと思ってお聞きしました。 ○藤原構成員  当初、私主担当で審査したので、そのときに当日の配付資料でも、こういう点に 配慮してプロトコールを作ってほしいというまとめをしたのですが、そのときのい ちばんの肝要は、使われている薬剤が非常に多種類にわたっているということで、 これは将来的に体内診断薬として承認申請をするときに、用法・用量がばらばらな データだけ集められても申請しようがないと思いましたので、ある程度薬剤を絞り、 用法・用量も全国的に統一した内容にしないと、集めたはいいが申請資料にならな いという懸念をもちましたので、その辺りを統一していただきたい、論点メモに書 きました。しかし、今回のデータを見ると、相変わらず、非常にばらついていて、 これではいくら集めても収拾がつかないのではないかとの懸念を持ちます。中村先 生は2月にコンセンサスミーティングをされるとのことですので、もう少し用法・ 用量、使用薬剤の絞り込みをお願いしたいと思います。  それから、そのときのコメントでも書いたのですが、実際にはブルーの色素のほ うが同定率がいいという先生も結構いらっしゃいまして、ここにも書いているよう にリンファズリンなど、いわゆる試薬を院内調整して使っている医療機関は、とて もたくさんあります。今回の資料を見ますと、ブルーダイは含まれていないようで す。たぶん市場の占有率は結構あると思うので、やはりブルーの色素を入れておか ないと、皮膚科のほうのメラノーマのセンチネル生検はブルーダイを使っているこ とも考えますと、齟齬も生まれるということで、折角、体内診断薬を将来申請する のでしたら、ブルーの色素も早急に集めておかないといけないなと思いました。  それから、先ほど健康保険との兼合いで問題になりましたが、この色素に関して 広く使われているのは間違いないことなのですが、現状での費用負担はどのように プロトコールの中で設定されているのか。それと、これも厚生科学研究費などでや られているのか、それともいろいろなリソースを集めて工夫されながらやっている のかという質問を2点したいと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。中村先生、何かご意見はありますか。 ○中村氏  藤原先生にご指摘いただいたとおりでして、非常にばらつきがあるのですが、 我々としてはそのばらついたものの中で、例えば色素の注入量などであれば、少な くても同程度であれば少ない量でいいでしょうし、その辺りをどこに設定するのか というのは、我々自身も実は全体を通してみないとわからないということで、2月 までにはこのデータを基にして、学会としてどの幅の中でそれを標準とするかにつ いては、コンセンサスを得たいと思っています。  それから、ブルーの色素に関してなのですが、当初私たちが安全性の面で懸念し たことは、外来で局所麻酔でこの本法を行ったときのアナフィラキシーショックが 起こるのか起こらないのかということが非常に重大な関心事であったのですが、ブ ルー系でない、グリーンと少し紫がかった色素になりますが、ここで用いている薬 剤ではいまのところアナフィラキシーショックの報告はありません。ただ、視認性 といいますか、リンパ節が染まっているか染まっていないかを見極めるうえでは、 ブルーで色素単独法でやる場合は、確かに濃く染まるという意味では、この青色の 色素が単独の場合は良さそうなのですが、我が国でもし使おうとすると、2種類の 方法があります。1つはパテントブルーという色素を使うのですが、これは研究試 薬で認められているだけで、実際に使う場合は、院内で滅菌処理をする形になりま す。それから、リンファズリンという色素に関して申しますと、これはアメリカで 使われている色素なのですが、未承認薬ですので、承認申請を取らなければならな いというハードルがあるということで、今回3月のスタートの時点では、この2剤 は見送ったのです。いまのところ、色素単独でもほかの2剤で同定率が比較的良好 ですので、そこに踏み込むかどうかについても、もう一度このデータを一般に広く 会員にお見せして、意見を求めたいと思っています。  それから、この試験は一応厚生科学研究費でやらせていただいているのですが、 データを見ていただいてわかるとおり、私どもの病院は書類の山に埋もれているよ うな状況にありまして、毎日ファックスが入っています。数が増えるにしたがって、 その入力要員の費用などをそちらで賄って、実際の費用負担というのは患者の自己 負担分があるこの高度医療評価制度の中でのやり方に準じて、各施設が各社会保険 事務所とのやり取りの中で設定しているという状況です。 ○猿田座長  結局、ですからこれは藤原先生がおっしゃったように、絞り込んでそろそろはっ きりさせていったほうがいいですね。それで、稀なものは高度医療で残すけれども、 たくさんやられてしっかりしたものはPMDAのほうへ持っていくしかないですよ ね。 ○藤原構成員  これだけ使われているのなら、本当に早くしてあげたほうがいいかなというのが あります。それともう1つは、今日最後のほうに加えられたDCISと術前化療の センチネル生検はかなり別次元の話でエクスペリメンタルなところがありますので、 これを今回の高度医療の同じプロトコールでやるのはちょっと変な感じがして、別 でやるのがいいのかなという気がしました。 ○猿田座長  その点はいかがですか。 ○山口座長代理  そのとおりで、いつまでもこれをやっていると、いつまでも結論が出ないような 感じがするのですか。 ○猿田座長  では一応そういう形で、大変でしょうが中村先生にうまく整理していただきたい と思います。そのほかに何かご意見はありますか。一応、いまお話いただいたよう な形でまとめていこうということですが。 ○山本構成員  特に言う必要もないのかもしれませんが、高度医療評価制度のいいお手本という か、こういう形で事務局がきちんとデータをまとめられて、有効性、安全性が十分 に確認できて、それが医師の自主臨床研究の中で行うことができて、例え既にある 適応外のものであるとしても、最終的にそれが保険承認に進めば、高度医療評価制 度から卒業していけるいいお手本だと思います。是非前に進んでいかれて、早急に 卒業していただければ、このあとの高度医療に関わる者もこういう形で進んでいく という筋道になると思いますので、頑張っていただきたいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長(医薬食品局)  最後に水を差して申し訳ないですが、原則論だけ説明させていただきます。薬事 承認を受けていただくためには、基本的には薬事法に基づく治験という形でエビデ ンスを集めていただくということです。そのほかに、もう既に広く使われている、 いわゆる公知といわれるようなものについては、必ずしもGCPに則った治験とい う枠組みでなくて、データがある場合には承認を取る道というのが、これは通知に も明記されていますが、高度医療評価制度のデータをどのように薬事に結び付けて いくのかというのは、その次の段階にもうワンステップ治験があるのが、フルコー スとしては正常だと理解しています。このセンチネルがどのようにいくのか、PM DAとの相談がどこまで進んでいるのかは、ちょっと私は医薬品サイドの情報を持 ってきていないので承知していませんが、十分によく相談をしていただいていいデ ータであれば、無駄なことをする必要もないですが、きちんとした説明もしていか なければならないので、よくご相談していただければと思います。 ○猿田座長  特にたくさんの例数をやられたときに、それをいかに保険に持っていくかという、 そのステップのところですね。そこは、ですから私どもだけではなくて、事務局の ほうもよく教えていただかないと、皆さんが少しでも保険でうまく使えるようにな れば、それがいちばん国民にとって大切なことですので、その辺りのステップをう まく考えていただきたいと思います。私どもとすれば、ある所の例数までいけば、 これはいいのではないかと考えられるわけですが、その辺りの手続きをよろしくお 願いします。 ○山口座長代理  室長のご発言にちょっと揚げ足を取るようですが、皆さんで考えていただきたい というのは全く逆さで、そういう道筋をきちんと決めていただければこちらも努力 できるのだと思います。我々が集まっていくら話し合ってもなかなか難しいところ だと思います。調整がついていないのであればいいですが、なるべく早く調整して いただいて、道筋を明らかにしていただくことも、そちらで努力していただきたい と思います。 ○医療機器審査管理室長  道筋としてはかなり明らかでして、きちんとGCPに則った治験を実施して、そ の治験のデータで薬事申請を取っていく、これは法律に基づいた道筋です。そのほ かに、医学、薬学、公知だといわれるものについては、通常公知申請と言っていま すが通知が出ていまして、一定の条件に該当するデータがある場合には、薬事申請 をすることができるということです。個々のケースでどのような道筋で申請に持っ ていくかというのは、申請企業のストラテジーもありますし、もちろん実際にある データがどのレベルのデータなのかにもよりますので、道筋はあるのですが、一つ ひとつの例えばセンチネルはどうなのか、ダビンチはどうなのかというのは、1例 1例がどこに当てはまっていくのかということは、それはまさに申請する企業との 間で調整いただきたいという意味で、制度として調整が残っているということでは、 理解していません。 ○山口座長代理  だからこそ、そういうことをそちらに相談したときに、相談に乗っていただいて ご指導いただきたいということを言っているわけで、業者だけ集まってもちっとも 話は進まないということを申し上げたいのです。 ○医療機器審査管理室長  もちろんそのとおりでして、PMDAや本省も含めてどのような道筋で申請にも っていけばいいかについては、相談をしていただければいいと思います。 ○山本構成員  先ほどの事務局からの説明は非常にごもっともなのですが、まず高度医療評価制 度にかかってくるものというのが、そもそもあまり企業が触手を伸ばしていない、 動かさないものを医師が拾って、それを医師が主導で行っているというところが強 くありまして、医師主導治験にも載らないというものです。逆に言うと、その医師 が自分たちで実質的にやっているものについては、医師側には厚生労働省が定めて いる承認を取得するまでの道筋というものは、臨床医からはそれは見えていないと ころなのです。何が見えていないかというと、どこに相談をもちかければいいか、 あるいはどのような手続きがあるかということは説明を受ければわかると思います が、そこに到るためにどのような相談の筋道があるか、どのようなことを進めてい けばコースとしてそこまで到るかということですね。この場合、例えばこのデータ をそのまま企業に持ち込んでも、なかなかその企業自身があまり動かない場合に、 やはり折角高度医療評価制度で、ある程度保険まで使って行っているものですので、 もちろん優先的に承認をしろというのではなくて、道筋を明らかにする本省内での シームレスな流れといいますか、少なくとも事務局が研究開発振興課になっておら れるので、そこから審査管理課あるいは機構に至る筋道を、できるだけシームレス につないであげるというようなことはしていただければと思います。  それから、PMDAが直接研究者の研究相談を受けていらっしゃらないので、ど うしても企業を通じてしか受けられないと思いますから、研究者が直に相談できる 相談先がやはり本省内にある程度ないと、行き詰まってしまうと思うのですね。そ うすると、いつまで経っても高度医療から卒業できないということになります。 ○猿田座長  いや、結局高度医療に掛けたものが先進医療に回りまして、先進医療は保険への 道筋です。いままでの高度先進医療というのは、大体1年位やって、必ずその技術 に関して全部を再評価するのですね。それで、どのぐらいやられているのか、どの ぐらい安全なのか、どのぐらいこれからの医療に役立つかということで議論して、 保険のほうへもっていく形をお願いしていたのですね。ですから、結局この高度医 療に関しても、その連携をもう少しはっきりさせて、皆様方にわかっていただく、 いちばん大切なことはそれですから、少しでも早く保険などで国民にもっていくこ とが大切なわけです。ですから、それは頭に入れて、まだ整理できていなかったも のですから、私としても厚労省の皆様方と相談して、そちらのほうもしっかりした いと思います。それでないと、意味がありませんから。 ○藤原構成員  薬事の方も大変、医薬局だけでも大変ですので、薬事承認が大変でしたら、今回 の場合は適応外使用が使われていますと、平成19年9月に社会保険診療報酬支払基 金から、例えば卵巣がんのアドリアマイシンなど適応外なのですが査定するなとい う通知が出て、いまは普通に使えるようになっています。保険局の方は本日は来て いませんが、薬事法で大変ならそういう道もあるのかなと思いましたので、保険局 の方の意見も聞いていただきたいと思います。 ○治験推進室長  ありがとうございました。高度医療評価制度の目的、通知の中にも、薬事承認、 申請に結び付けるということが明記されていますので、まず王道はやはり薬事法上 の承認、申請というところだと思います。現在は、研究段階ですので、厚労省の中 でも私どものほうが窓口になりまして、その辺りのいろいろな相談には乗らせてい ただきたいと思います。さらに、最終ゴールに向かって、オール厚労省としてさら に機構を絡めて、どのような道筋を付けていくのかといったところは、その進行状 況に応じて適宜関係者を交えて調整をさせていただくというのが、私どもの考え方 です。  それから、藤原先生がご指摘いただいた点については、それをあまり王道にする ということではなくて、ご参考にさせていただきたいと思いますが、ちょっとそれ を全面に出すのはいかがかと思っています。 ○関原構成員  この会議が始まって半年なのですが、そもそもこれを見ていると上がってくる案 件というのはないのですね。これは、本制度を使おうという人は、世の中にはいな いのですか。あるいは、どういうことなのですか。みんな期待してやったわりに、 あまり案件がないですね。 ○事務局  正式申請をいただいたものについては、適宜開催して皆様にご審議いただいてい るところです。そのほか、事前相談をいただく形になっていますので、なるべくそ の段階できちんとした申請様式にしていただくよう、我々としても努めています。 それは、かなり多数に上っています。ですので、すべてが申請されるかどうかは、 最終的には当然申請者の判断ですが、今後相談件数はかなり多数に上っていますの で、適宜また増えてくれば是非ご議論いただければと思っています。以上です。  事前申請の段階で、やはりこの内容では受付はちょっと難しいというのが非常に 多いということですか。 ○事務局  そうではありません。あくまで申請するかどうかは申請者の判断ですので、相談 を受けて我々はいまの通知に基づいて記載を求めて、それが十分記載がされれば申 請に結び付けてきているという状況です。 ○猿田座長  かなり相談にはみえているようなのですが、申請まできていないということです ね。 ○佐藤構成員  何箇所かで、折角医師主導治験をやっても、それをPMDAに持っていくと、製 薬企業主導の治験をやってからきてくれと言われるということを聞きます。もちろ ん、制度上はそうなっていないわけですね。医師主導治験と製薬企業主導の治験と いうのは併存して並んでいるわけですから、それがどのような理由に基づくものか よくわかりませんが、例えば、仮に医師主導治験のデータの質が低くて製造販売承 認に持っていけないというようなことであれば、これは予めきちんとしたプロトコ ールを組めるように事務局でもサポートしていただきたいです。そして、今回の高 度医療評価についても、事前相談の段階から製造販売承認にもっていけるようなデ ザインを仕組めるように、ご支援をいただければと思いました。私が申し上げるこ ともないかもしれませんけれども、お願いします。 ○治験推進室長  いまの機構の相談の話ですが、実は私7月まではその機構の新薬の審査担当部長 をやっていましたので、治験相談もやっていた立場でお答えしますと、相談の中に 医師主導治験はまず企業でやりなさいというようなアドバイスというのは、それは 事実誤認だと思います。あくまでも、医師主導型治験でやるのであれば、その中で 企業との差をつけるのではなくて、きちんと治験の枠組みでやるために必要なもの は何なのかということを考えてアドバイスをさせていただいています。その中には、 有効性、安全性の確認はどうなのか、目的とするものはどうなのか、あるいは倫理 性で確保されているのかといった点についてアドバイスをしているところです。そ れが、どのようなことでいろいろとなって、最終的に先生に伝わったのかはわかり ませんが、先生がご指摘のように医師主導でいったからといって、すぐ企業でやり なさいというようなお話はしていないと思っています。  それから、最終的に治験ということになりますと、やはり治験相談という枠組み が総合機構の中にありますので、そこでしっかりお受けいただいて、きちんと最終 的に薬事承認申請までこぎ着けられるようなデータを収集していただきたいという ことは、私どもも願っているところです。治験についてはその辺りのことでご利用 いただき、かつそれ以外の研究に関していろいろな相談ということになりますと、 私どもの研発課のほうで窓口、それから技術的なことについては、しかるべき所と 調整のうえ、その辺りについては適宜必要なアドバイスをさせていただければと思 っています。 ○藤原構成員  関原先生のご懸念については、実際に臨床試験を多数やっている身からコメント させていただくと、制度ができたのが4月なのですが、実際にプロトコールを作っ たり、CRFを作ったり、それから多施設との共同試験の場合、いろいろな施設と のコミュニケーションを取って調整したりなど、そういう行為を例えば4月から始 めたとしても、どんなに早くても半年から1年は、フィックスするのに要するので、 なかなか時間がかかるのが通常です。私どもJCOGという、柴田先生もやってい るような第III相試験のような大きな臨床試験を動かすグループだと、コンセプトを つくってから実際にスタートするまで2年ぐらいを要していたりするのが通常です。 おそらく、いま懸念されているのは、この半年ぐらい出てこないということなので すが、私どもの病院でもたくさん高度医療評価を使おうという準備は粛々と進んで いますので、もうしばらくするとたくさん申請が来ると思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。もしご意見がなければ、それでは 先に進みたいと思います。次に、追加協力機関7、8、9月分の件と10月受付分と いうことで、これに関しても事務局から説明をお願いします。 ○事務局  資料6、7をご覧ください。資料6については、前回示させていただいていまし て、本日ご報告いただきました乳がんのセンチネルリンパ節の同定と転移の検索に 関する申請がありました。資料7については、同様に乳がんのセンチネルリンパ節 のものと、もう1つ悪性黒色腫に対して経皮的骨形成術というところで申請があり ました。これについては、資料1で実施医療機関の要件の話を整理していただきま したので、それに基づいて適宜要件を確認したうえで、追加の手続きを進めていき たいと考えています。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。この資料6、7に関して、委員の方々、ご意見 はありますか。あとは、先にいって新しいものがだんだん出てくるそうですので、 よろしいでしょうか。特にご意見がないようですと、これで今日審議する部分は大 体全部かと思うのですが、今後のことに関して事務局からお願いします。 ○事務局  先ほどお話しましたように、申請事案がまだ現時点で受け付けのものがこれ以外 ありませんので、また申請を受け付け次第、日程調整等をさせていただき、会議を 開催させていただければと考えています。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。委員の方々から、ほかに全体的にご意見はありません でしょうか。今日は活発なご意見をいただきまして、特に条件付きで「適」になった ものに関しましては、事務局と施設と相談させていただいて、きちんと先へ進めさ せていただくことになると思います。もしご意見がないようでしたら、少し早いで すが終わらせていただきます。どうもご協力ありがとうございました。      照会先  厚生労働省医政局研究開発振興課  TEL 03−5253−1111  高度医療係 松本 内線2589