08/11/17 第4回障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会議事録 第4回 障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会議事録 (平成20年11月17日(月)18:00〜20:00 於:第12会議室) ○座長  それでは定刻になりましので、ただ今から第4回の障害者の一般就労を支える人材の 育成の在り方に関する研究会を開催いたします。本日の議題は前回に引き続きまして、 「就労支援機関の役割に応じた就労支援を行うために必要な能力要件について」になり ます。ただし、本日はそれを含めてもっと重要な課題が出てきます。2番目の「一般就 労を支える人材の育成の在り方」です。これは育成の全般的なことを含めまして議論を することになっております。非常に盛りだくさんですので、早速議題に入らせていただ きます。まず、最初の議題につきまして、事務局からご説明をよろしくお願いいたしま す。 ○事務局 秋場  障害者雇用対策課職場適応援助係長の秋場でございます。まず、お配りしました資料 の確認をさせていただきます。次第がございまして、その後に参集者名簿があります。 資料1が職務と能力要件の修正案になっております。次に、横長のものが育成の在り方 についてが資料2-1です。そして、基礎スキルについて、資料2-<2>、就業支援担当者の 育成の在り方についてが資料2-<3>、そして、ジョブコーチの育成の在り方についてが 資料2-<4>です。最後に資料3になっております。また、参考資料といたしまして、1番 目が現行の研修のカリキュラムです。2番目が都道府県などで行っています人材育成の 研修をまとめたものをお付けしております。また、参考資料3は、これまでの研究会の 論点・意見をまとめたものになっております。  また、委員の方々のみですが、実態調査の追加集計結果を2つお手元にお渡ししてお ります。1つ目は、前回の研究会で小川委員からご提案がありました、ジョブコーチの 専任・兼任別の状況ということで、追加集計をしたものです。その結果は、専任の方が 若い人が多く、実は兼任の方よりもレベルが高くないという結果になっておりました。 本来研究会できちんと発表したかったのですが、なぜそうなのかというところの分析が まだなされていませんので、今回は委員の方々にだけ配っております。また、もう1つ の地域別追加集計の方は八木原委員から地域に差があるのではないかというご発言があ りましたので、分析したものです。事業所の所在地は都道府県のみしか聞いておりませ んでしたので、大都市圏ということで、東京、埼玉、神奈川、大阪と全国、で比較をし てみました。こちらも、明らかな結果があまり出ませんでしたので、正式に発表すると いう形ではなく、先生方のご参考にという形で配布させていただいております。  それでは、議題の方に入りまして、資料1をご説明いたします。まず1枚目の横の表で すが、前回の研究会の時にお配りしたものから少し変更しております。大きな変更点は ありませんが、もう1度改めて規定などを細かく見直しまして、最終確認をしました。 例えば、単に「計画」となっていたところを、各規定のとおりの計画名に直したり、事 業主支援のところで、「職務分析、職務の切り出し」を入れていたのですが、規定上は 必ずしも全職務でやるべき仕事であるという位置付けになっていないので、整理表から は外させていただきました。  2枚目以降ですが、前回の研究会で、実際の業務量と求められる役割、求められる理 想的な業務というものが違うのではないか、また、レベル別に違うのではないかという ご意見を多くいただきましたので、分析し直したものです。分析的で、非常に細かくな っていますので、ざっとご説明させていただきます。業務量については、白い部分は実 態調査の結果をそのまま記号化したものでございます。網掛け部分は、規定などから判 断をして記号を付けたものです。例えば、就労支援事業に関する規定では、実習先を確 保しなければならない、求職活動の支援をしなければならない、ハローワーク等と連携 して、求人の開拓に努めなければならない、障害者就業・生活支援センターなど関係機 関と連携して、就職した日から6カ月以上の定着支援を行うこととなっておりますので、 それらに基づいて、◎や○を付けました。一方で、サビ管や他の職員がメインでやるけ れども、就労支援員も関係があるものについては、△などとしております。  同様に、障害者就業・生活支援センターのワーカーについても、要領上しなければい けないと定められていることについては、◎や○を付けております。ジョブコーチにつ きましては、元々調査を設計する時に、項目として挙げたものを全てが本来業務に含ま れていると思いますので、あえて欄は設けておりません。  次のページに行きまして、就労支援に関する知識・スキルを活用する機会と能力につ いて整理をしたものです。先ほどと同様に、白い部分は実態調査の結果を記号化しまし て、網掛け部分は総合的に判断をしたものになっております。全部必要といえば、必要 だと思うのですが、なるべく各領域で濃淡が分かるように、あえて少し差をつけたとこ ろがあります。  また、次のページからは、就労支援員、就業支援担当者、ジョブコーチをそれぞれレ ベルに分けて分析をしたものです。今までと同様に、白い部分は実態調査の結果がその ままで、「求められるスキル」は前のページのものです。また、ここで「研修の必要性」 というのは、それらを見て、事務局の方で総合的に判断をして、○、△を付けたもので す。  例えば、就労支援員ですけれども、入門者、これは就労経験が1年未満の者ですが、 作業指導が前回も議論になりましたけれども、やはり作業指導のスキルを活用する機会 が多いといっていますけれども、就労支援経験が5年以上になるベテランになっていき ますと、アセスメントや定着支援のスキルを活用する機会が増えてきます。  就業支援担当者の方ですが、最初から様々な就労支援スキルを活用する場面や機会が 多いと答えておりますけれども、知識やスキルはまだ不足していると感じている状態で すが、担当者として3年以上経験を積み、さらに、主任となっていきますと、自分にそ のような知識・スキルが不足していると感じるところがなくなっていきます。それで、 研修の必要性のところは、書き忘れたわけではなくて、本人たちに不足感がないという ことで、マルバツを付けかねて、あえて空欄にしています。  続いて、最後のページがジョブコーチについてです。ジョブコーチも同様に、ここに 挙げた就労支援のスキルというのは、全般的に活用する機会が多いものですが、まだ1 年未満の人は不足感があります。しかし、年数が経つに連れ、アセスメントや企業知識 を活用する場面も増え、またスキルの不足感もなくなっていきます。2号ジョブコーチ については、非常に申し訳ないのですが、不足感と研修の必要性のところの記号を裏返 しに付けてしまいました。◎を×、○を△と入れ換えてください。ですので、正しくは、 上から、△△○××△△、飛びまして、△×、飛んで、△△×△△となっております。  全般的に活用する機会が多く、また、不足感もありませんが、やはり唯一障害者福祉 に関する知識のところで不足感があるということで、この部分については研修の必要性 はあると思われます。  今回、こういった形で分析をし直してみましたが、まだ細かいところ、一つひとつの マルバツなどについては検討の余地がたくさんあると思いますが、一応実態調査の結果 からはこのようになりました。本質のところは、もっと別のところにあるのかも知れま せんが、客観的な1つの指標、データとして、研修のカリキュラムなどを今後議論して いただく際の参考になればと思いまして、資料として提出させていただきました。以上 です。 ○座長  ありがとうございました。最初の調査をここまで丁寧に修正していただき、ありがと うございました。皆さんの方でご意見等ございましたらどうぞ。いかがでしょうか。 ○佐藤委員  あくまで指標の技術的な質問ですが、2枚目の業務量のところの墨で書かれている「求 められる役割」というのは、規定等から判断したものということでよろしいですか。こ こに書かれている二重丸が規定で定めた業務で、丸が付帯する業務となっている意味を 計りかねているのですが。 ○事務局  二重丸につきましては、まさに規定そのままのものでございます。また、○の方は、 付帯する業務とありますけれども、規程に書かれていることをするためには当然必要だ ろうというもので、二重丸と○とを分けております。なお、白抜きのところは、単純に 実態調査の結果の数値をそのまま記号化したものです。 ○座長  ありがとうございました。他にご意見、ご質問等ございましたらどうぞ。 ○山岡委員  白地のところは、二重丸は業務量が多い、バツは業務量が少ない、こう見ていいとい う話ですか。 ○事務局  そうです。地色が白のところは、本人が業務量が多いか、少ないかということを判断 した結果です。 ○座長  他にいかがですか。 ○佐藤委員  この墨のところに職業指導員や生活指導員など書かれています。これは、どういう意 味ですか。本来は職業指導員がやるべき業務だけれども、就労支援員に求められている というような理解でよろしいですか。 ○事務局  そのとおりでございます。例えば、サビ管と書いてあるのは、本来サービス管理責任 者がやるべき業務ですけれども、就労支援員も関係はするということです。 ○佐藤委員  分かりました。 ○座長  ありがとうございました。他にご質問等ございませんか。資料の内容説明については よろしいですか。では、よろしいようでしたら、この資料は事務局の方で、いくつかご 意見がありましたので、もう少し分かりやすく修正が入るかも知れませんので、よろし くお願いします。  続きまして、今日の主たる議題になります。2番目の「障害者の一般就労を支える人 材育成の在り方について」に入ります。全部で4つあります。資料2ですが、全体研修か ら始まりまして、基礎研修、そして就労支援担当者及びジョブコーチということで、い くつかのテーマに分かれていきそうな感じがいたします。最初に資料2の<1>、<2>です ね。全体研修及び基礎的な部分につきまして、事務局の方からご説明をしていただけま すでしょうか。 ○事務局 秋場  資料2の<1>をご覧ください。この研究会の方向性について、今までの議論に基づいて まとめてみました。まず、1番の育成の在り方ですけれども、これは研究会の元々の趣 旨でもありますが、現在就労支援を担当する人材の中で、必要な知識や実践的なノウハ ウが不足しています。調査結果を見ても、実際に困っているというものが多くありまし た。また、自分の担うべき役割、業務、自分の立ち位置といいますか、地域や組織にお ける、あるいは就労支援の流れにおける、いろいろな視点があると思いますが、それを まだ必ずしも理解していない人がいるのではないかという懸念もあります。  また、ご意見でもいただきましたが、就労支援のスキルは実際の業務を通じて身につ けることがよいのではないかと考えられます。一方、本来行うべき業務以外の業務が多 いなど、いろいろな理由から、業務を通じてだけではなかなかスキルが身に付かないと いう現実があります。  調査対象の約半数では、研修などを行っていると答えていますが、一方で、8割、9割 の事業所では外部研修の参加を認めたり、費用補助を行っていることから、内部の研修 だけではなく、外部の研修も活用しているという実態が見られました。  そこで、大きな課題としまして、業務を通じてのスキルアップは、一体どのようにし ていったらいいのか。また、業務のみを通じたスキルアップには限界がありますので、 その不足分を補うような、方向付けをするような、そして起爆剤となるような研修はど のようなものが必要なのか。というようなことについて、是非ご議論をいただきたいと 思っております。  また、2つ目ですけれども、その研修の在り方としまして、これまでの議論の中で就 労支援に共通して習得すべきスキルがあるのではないかというご意見をたくさんいただ きました。また、直接就労支援を担当する者以外の人たちでも、就労支援の目的や流れ を理解することが必要なグループがあります。そういった地域で就労支援に関連ある幅 広い対象者を対象に研修を行うことで、その就労支援に対するベーシックな共通認識が 生まれるという利点や、また、地域のネットワーク作りにもなるということが考えられ ます。  初めて就労支援に携わる者、また、ある程度の経験を積んだ者など、バックグランド も違いますし、それぞれのレベルに対応した研修の内容を検討すべきであると考えてい ます。そこで、どのような研修体系にすべきか。具体的には、対象者、時期、研修機関、 また研修内容などについて、ご議論いただきたいと思っています。  2枚目が、研修体系の全体像として、たたき台を作ってみたものです。上に、今回の 主な対象者として、就労支援員、就業支援担当者、第1号ジョブコーチ、第2号ジョブコ ーチとありますけれども、それを、基礎、初級、中級、上級と分けた場合に、本当は中 級、上級の部分も共通スキルがあるのかも知れないのですが、一応ここでは基礎部分の ところで、就労支援担当者の共通基礎スキルがあるのではないか。また、それと一体的 な部分で、綺麗に分かれるかどうかはっきりは分からないのですが、就労支援担当者以 外の人たちにも必要な就労支援の基礎、入門スキルがあるのではないか。ということで、 横断的なスキルをイメージし、その上に、それぞれの専門スキルがあるという形です。  下に注で書いてありますが、初級、中級、上級の定義、レベルはそれぞれ異なります。 つまり、たとえば就労支援員の初級と1号ジョブコーチの初級は、必ずしも同レベルで はないという意味です。また、基礎部分は必ずしも独立した研修ではなく、もちろん独 立した研修をしてもいいのですけれども、例えば特定の対象者に対して、基礎部分と初 級部分をドッキングさせた研修を実施することも想定できるかと思っています。  また、網掛け部分が既存のもの、または、新たに作成していきたい部分でありますけ れども、それ以外に、スキルアップ研修として、いろいろなニーズに合わせた専門的、 実践的な研修があると、先ほど申し上げたような、起爆剤や方向付けになって、うまく 業務と連携し、スキルアップしていけるかなと思い、このような絵をご提案させていた だきました。 ○事務局 藤井  資料の2の<2>をご覧いただければと思います。今、秋場からご説明を申し上げました 就労支援共通基礎スキルについてということで、一応今までの議論を踏まえて、たたき 台としてご提案をさせていただきます。  これまでの研究会及び並行して開催している作業部会の議論の一端を紹介したいと思 います。就労支援を担う人材、主にここで取り上げているのは就労支援員、就業支援担 当者、ジョブコーチ等でございますけれども、これらに共通する部分があるのではない かという議論が多くございます。あと、就労支援機関のみならず、就労支援機関以外に、 また就労支援機関の職員で就労支援担当者以外の者でも、就労支援の目的や流れを理解 することが必要なグループがあるのではないかと、議論があります。  現在、基礎的な就労支援スキルを習得できる研修としては、幕張の総合センターで行 っております職リハ実践セミナー、発達障害者就労支援セミナー、それから、地方自治 体や民間機関が独自に行っている研修等もございます。  そういった研修を実施する場合の前提として、どんな人が対象となるかカテゴライズ してみたのが、1の(1)から(4)です。  まず、1は、本来のターゲットではありませんが、「就労支援機関で直接就労支援業務 を担当する者」ということで、就労支援員、障害者就業・生活支援センターの就業支援 担当者、1号ジョブコーチ。それから、ご議論の中でもございましたけれども、自治体等 の就労支援センターの就労支援担当者もここに加えさせていただいています。  2番目のグループとしては、「就労支援を実施する機関以外の職員で、それなりの知識 が必要であるとする者」、例えば、継続のA・Bの職員、それから、全国で県立含めて19 カ所ございますけれども、障害者能力開発校の訓練指導員並びに生活指導員、それから 特別支援学校の指導教員それから、発達支援センターの就労支援担当者、難病相談支援 センターの担当者、それから、主に精神保健福祉センターなどでございますけれども、 医療保健機関等で障害者の就労支援に関わりのある者。これを第2のグループとしてご ざいます。  それから、第3のグループとしては、就労支援機関の職員で、直接就労支援業務は行 わないが一定程度スキルが必要であるとする者で、先ほどから出ておりますように、サ ービス管理責任者であるとか、あるいは職業指導員や生活支援員、就業・生活支援セン ターの生活支援の担当者としております。  4番目としては、今度は受け入れ側といいますか、企業、それから特例子会社を念頭に 置いて、第2号ジョブコーチ、管理者の方、人事・労務担当者や職業生活相談員等を一応 それぞれのグループとして、ここで提案させていただきます。  2の<2>の2ページ目ですが、研修のやり方についていろいろご議論がありましたけれど も、対象者を特定して行う場合と、あるいは、一般的に広い対象者を行う場合が想定さ れるということです。それから、先ほど、秋場の説明でもありましたが、基礎部分のみ を独立して実施する場合と、それぞれ、例えば就労支援担当者研修の中にある初級研修 に、入門・基礎部門の内容を包括的に行う研修等が想定されます。  それと、3番目の丸として、これはご意見が多かったのですが、座学だけではなかな か身に付かないということで、事例検討、演習ロールプレイングそれから、意見交換、 実習等の時間を多く設けて欲しいというご議論もありました。  それから、研修の機関としては、先ほど申し上げたように、高齢・障害者雇用支援機 構の総合センターあるいは地域センターでの研修、自治体、また、その地域の社会福祉 法人等で研修を実施することが想定されます。具体的研修の内容としては、就労支援入 門と共通基礎知識というように、とりあえず分けて考えてみました。  少なくとも就労支援を志すには最低限習得して欲しいもの、あるいは習得すべきもの ということで、書かせていただいています。  入門編のポイントとしては、就労支援に関する基礎的知識のみならず、背景にある考 え方や理念も必要である。自分の担当職務のみならず、就労支援全体像を押さえること が必要である。福祉施設等で働いていると不足しがちなところにウェイトを置くべきで はないか。4番目としては、自身が不足しているもの、今後必要となってくるものを、 研修していく中で、集中的な気づきを求める、あるいは発想の転換や意識改革を促すと いうことでございます。  <1>の理念と知識として、主にこれは具体的な研修内容に繋がってくるのではないか と思いますけれども、前回作業部会でご議論が多かったのは、「働くことの意味」とい うことで、要するに、障害者は尊厳をもって働くことの意味ということを、もう1度しっ かり基本指導されるべきである。特に、企業で雇用されるということを念頭にやるべき ではないか。  それから、2番目としては、当然、ここで、「障害者を取り巻く現状と障害者の雇用制 度」、2番目として、「全体像と立ち位置ネットワーク」と書いていますけれども、就労 支援のプロセス、これは受付・相談からアセスメント、プランニング、フォローアップ に至るまでの基本的な流れをまず押さえていただくということと、あと就労機関の役割 をまずしっかりと認識することが、将来的なネットワークの構築に繋がるということで ございます。それから、<3>の弱いところということは、「企業の障害者雇用の実際」、 <4>についてはは共通基礎スキルと合い通じるものがございますが、企業の実際の現場 を見たり、あるいは、当事者、企業、支援者の声を、いわゆる体験談としていますけれ ども、こういうところを、しっかり入門編で押さえるべきではないかということで、書 かせていただいています。  右側の箱の担当者基礎という部分に書いていますけれども、その入門編を若干ブラッ シュアップしたということで捉えていただけると思うのですが、支援に必要な最低限の 基本的知識、それから、繰り返しになりますが、それぞれの就労支援機関の役割を十分 しっかり認識をする。認識した上で、地域の実情等に応じた就労支援の連携の在り方を どうするか。福祉施設等で働いていて、不足しがちなところはどこかという、具体的な イメージをもっていただく。それから、就労支援機関がそれぞれの役割を理解した上で、 不足しているスキルは何かということを認識していただく。  <1>の理念と知識として、既存の研修で既に取り組んでいるものと若干重複するとこ ろもありますが、まず、職リハ概論をやって、障害特性と職業的課題、今、発達障害と か高次脳障害とか、いろいろ複雑な事案が出てきていますので、それをしっかりと、課 題を認識してもらう。それから、活用できる障害者の雇用支援策や助成金制度。それと、 最近地域で問題になっているところもあるやに聞いていますけれども、個人情報の取り 扱いについて、しっかり認識しておく必要がある。  それから、<2>全体像と立ち位置ネットワークの中で、作業部会では若干早いのでは ないかという議論もありましたけれども、まず「ケースマネジメント概論と方法論」、 それから、「全体の支援の中で、自らの役割をしっかり認識すること」。それと同時に、 「地域の社会資源の活用やネットワークの構築を計る」。それと、<3>弱いところとい うか、押さえるところとしては、「企業の視点や企業文化の理解」。それから、「コミ ュニケーション能力」が絶対に必要であるということで、話の聞き方とか、分かりやす い説明の仕方、あるいは企業を開拓する場合には、プレゼンテーション方法、それから、 価値観や立場の異なる人への理解や連携方法等ということで、担当者の既存の弱いとこ ろ、補うべきところを記載させていただいています。 ○座長  ありがとうございました。研修を含めて全体的な育成の在り方になります。資料1の 調査結果とちょっと質が違いますけれども、全体的な構造は、ここできちんと議論して おきたいと思います。よろしくお願いします。中身は順序関係なしで、皆さんご質問、 ご意見等ございましたら、ご自由にご発言ください。よろしくお願いします。どうでし ょうか。 ○佐藤委員  資料2の<1>、<2>について、基本的には特に異論はありません。この研修の事業をどこ が実施するのかという部分が、今ひとつ呑み込めていないところがあります。この資料 を見ますと、基礎研修といいますか、共通基礎スキルにつきましては、資料2の<2>で総 合センターでの研修の他、地域センター、自治体、地域の先進的な社会福祉法人等と書 かれていますので、多分こういうところでやってもらうような体制をこれから作ってい くという話なのかなと、理解しました。それはそれとして、それでは、それ以外の、縦 の初級、中級、上級とありますが、それらの研修をどこが担うのか。この資料で見る限 りでは、それぞれの事業体が行うということを予想されているのかなという気もするの ですが、そういう理解でよろしいのか。もしそうでないとすると、そういう事業体の研 修に対しての、いわばバックアップみたいなものも検討されるのかなという気もするの で、事務局としてはどんな考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。 ○座長  では、事務局からお願いします。 ○事務局 藤井  まだどこの研修機関でやっていくのが適当かというのは、念頭に入れてやっているわ けではございません。就労支援に携わる人材育成の必要性を感じていますので、とりあ えず、それぞれの就労支援機関毎、あるいは直接就労支援には携わっていないけれども、 こういう知識を取得して欲しいということを念頭に、要は全国共通の研修体系なり、カ リキュラムなりを策定しようということで作業をしています。ただ、実際に最終的に出 来上がった段階で、どの機関がどういう取り組みをするかというのは、今後の課題であ り、議論だろうと思います。 ○座長  今のお話はすごく大事なところなのです。結局、私どもが共通のカリキュラムを作る といっても、実施機関がここにあるような形だけで、本当にいいのかどうか。人材の育 成というのは、本当はもっと幅広く考えなければいけないかも知れません。そういった ことも含めて、皆さんのご自由なご意見、ご発言をよろしくお願いします。他にどうで しょうか。原委員どうぞ。 ○原委員  このたたき台の、就労支援担当者の共通基礎スキルについて、分野を超えて基盤をも つというのは、非常に大事なことだと思っています。対象の中に教育機関も入っており ますので、そういう意味で、特別支援教育に移り変わった中で、非常に大事な観点だと 思います。それだけに、資料の2の<2>の方ですが、入門、それから担当者基礎のところ に、各就労支援機関の役割であるとか、ネットワークの構築、社会資源の活用等が入っ ておりますけれども、ここに当然含まれていると思うのですが、いわゆる特別支援教育 の現状というか、課題も含めてですが、それを一緒に研修できるような項目を入れても らえたらと思います。いわゆる特別支援教育に替わっていく中で、特別支援学校以外の 通常学校に在籍する人への支援というのも大事になってきましたし、いわゆる就労継続 にいく前に、暫定支給で就労に入っていくわけですが、在学中の就業体験であるとか、 地域の関係機関の協力を得て、いわゆるキャリア教育ですけれども、学ぶ機会をもって いますので、そこがうまく繋がるような機会に非常に貢献できるのではないかと思いま す。その意味では、教育の担当者も、非常に地域の関係者と知り合える場にもなります。 そうした特別支援教育について研修できるような、内容を含んでいると捉えてもらえた らと思います。 ○座長  ありがとうございました。多分、当然こなければおかしいですよね。移行支援の話で すから。他にご意見等ございますか。志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  今の話の延長なのですが、資料2の2で、今まで議論していた4つの対象者以外の方まで 含めて、ある程度想定している部分もありますという資料が出てきて、この中を見てみ ると、逆に私たちはもう少し期待をさせていただいてもいいのかなというのが1つありま した。地域の就労支援ネットワーク、地域の中で会議を行い、どうやって就労支援をし ていくかという時に、私たちがやはり一番頼りにしているのは、ハローワークの専門援 助部門なわけです。ハローワークの方はもちろん労働行政に携わっている立場ですから、 研修にあるような障害者雇用の制度とか、そういったのをわざわざ研修するような必要 はないので、よく分かりますが、逆に、今の自立支援法であったり、特別支援教育であ ったり、新たな障害の人の問題であったり、そういった面では、一緒に顔を見て学び合 える場というのは逆に非常に有り難いと思います。企業まで入っているのでしたら、是 非、地域で一緒にという意味で、やっぱりハローワークの専門援助部門の方も、直接研 修の対象というだけではなくてもかまわないし、実施体制ところで必ず講師をしていた だくとかそういう形でもいいですけど、その辺は是非お願いしたいと思います。 ○座長  ありがとうございました。いろんな要望があるのですが、最初に資料2の<1>の方で、 課題を2つ出しています。育成の在り方に関する課題及び研修の在り方に関する課題で、 もう少しこちらを中心に議論を絞って、皆さんのご意見をお伺いした方があるいはどう かなと思いますが、どうでしょうか。無理に方向性を決めなくてもいいのですけどね。 はい、八木原委員どうぞ。 ○八木原委員  この資料2の<1>、<2>、を見ると、共通基礎スキルができてくるというのは、とても いいなと私も思います。ただ、ここに出されていること、これから出てくることもそう なのですが、こうやって就労支援という、人が人を支援するといった時に大事なことと いうのは、知識編だとか技能編ではなくて、もっと根本的な、支援者が支援者であるた めには、自分自身の研修といいますか、もっと自分を磨いていくという、そういったも のがなくてはいけないだろうと思うのですね。そういったものが、この中には残念なが ら見られません。私はいつも若い人たちに話をする時や研修をする時には、「自己覚知」 という言葉をよく使いますが、その人自身が支援をする側に回った時、どう対等に向き 合えるかということで、自分自身をもっと知るという、そういう意味の技術が必要だろ うと思っています。例えば、SSTというのは、支援する障害のある人のためにあるので はなくて、支援する人のためにもあるもので、そういった、もっと自分を磨くというと ころにプログラムがあっていいのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございます。大学でやっていると、ソージャルワークを使ってケースワー クの研修を必ずやりますからね。自己覚知ということを非常に重視しますからね。それ と同じですね。他にどうでしょうか。 ○湯田委員  ここに書いてあることについては、他の委員の方と同じ意見なのですが、この中で、 企業の部分が相当書いてあると思うのですが、企業というのはなかなかこういうものに 時間をとるのは非常に難しいというのが実態だと思います。ですから、ここはどのよう に企業を組み込んでいくかという仕組み作りを併せてやっていかないと、なかなか難し い。内容は分かりますけれども、それに併せて、そういった支援をしていかないと、本 当に限られた一部の企業になってしまいます。例えば、企業連絡会のようなものは最近 多いですが、そういうところと連携をとりながら、一定の企業にあまり負担がかからな い仕組みだとか、そういうものも併せて検討していただいた方がいいと思います。それ は、先ほど志賀委員からもありましたように、ハローワークさんとの連動というのは非 常に大きいと思いますので、この辺の部分も是非お願いをしたいと思っています。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでしょうか。岡野委員どうぞ。 ○岡野委員  研修の場合、あまり座学は人気がないようですけれども、業務を通じてのスキルアッ プということになってくると、OJTとかとなると思いますけれども、さらにOJTを的確に 実施していくためには、指導者の方がきちっとしていないと、効果がないと思います。 特に、就業支援担当者なり1号ジョブコーチのスキルアップ研修とか、そういうところ で問題になってくるのだと思います。そういったところもなしに、基礎的なスキルの話 に止まってしまうと、ちょっと片手落ちになるかなと思いましたので、そういうことを 含んでいただければと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にご意見等ございませんか。 ○根岸委員  少し細かいところになると思いますが、先ほど研修の講師にハローワークの活用とい うお話がありましたが、そもそもハローワークの専門援助部門だけではなく、ハローワ ークで働く職員に障害者のことについて知ってもらわないといけないと思っています。 私がいる新宿のハローワークですが、一般紹介の窓口で、明らかに精神障害者が治療中 で、働くのは無理であろうというような方、あるいは落ちついている方、それから生活 保護受給者や外国人の方の中にも障害をもった方がとても多い。そうすると、一般窓口 に障害者のことを知っている人がいないと、専門援助部門に繋げることができないとい うことが、とても大きな課題だと思っています。やはり、この研修対象者には、ハロー ワークの専門援助部門とか、雇用指導官とか、そういう特定の者だけではなくて、もっ と全体に広げなければいけないと思いますし、特別支援学級の先生だけでなく、一般の 教育をされている先生、そういうところにも障害者のことをもう少し盛り込んでもらう ようなことができないものかと思っています。  それから、実際ハローワークの活用の仕方ですが、やはり利用の仕方をご存知ない方 が多いですね。何となくハローワークに行きにくいというのは、まだまだ地方ではある ようです。逆に叱られてしまうだとか、いろいろ言われてしまうとか。それで、職業紹 介の流れ、どうやって利用するか、どういう組織であるとかというものは、多分、この 就労支援機関の役割認識のところに入ってくるとは思いますけれども、許可がなければ 職業紹介はできませんので、就労支援者と職業紹介機関は違いますし、そこを混同され てもいけないと思いますし、改めて、こういうところで入れていただければと思います。  また、雇用に関わることはもう少し知っていただきたいですね。労働基準法であると か、いろいろな労働法について、やはり最低賃金は守らなくてはいけないということや、 労働時間や賃金など労働条件については明示しなければいけないということもあります。 そういうことというのは、結構福祉関係の方はご存知ないので、企業さんの言うままに なってしまうということもあると思います。入った時は最低賃金をクリアしていたけど、 年が経ってもそのまま据え置きで、実は最低賃金を下回っていたということも、実は定 着指導にいくとあるのですね。そういうことを回避するためにも、みんなが知っていな いといけないと思います。  大きくなり過ぎて、難しいかも知れませんが、いろいろなところに入れていただいて いいことなのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございます。では、小川委員。 ○小川委員  今回の資料の2と1を大変興味深く見させていただきました。ジョブコーチネットワー クで職場適用援助者養成研修に取り組ませていただいている経験から少し発言をさせて いただきたいと思います。  JCネットの職場適応援助者研修はもちろん第1号、第2号のジョブコーチの養成を目的 として、厚生労働省の規定のカリキュラムに沿って行っているわけですが、同時に、福 祉施設の職員、それから企業の方、そして、たまに教育関係の方、本来職業リハビリテ ーションの専門職員でない方たちに、いかに就労支援、職業リハビリテーションの専門 性をもっていただくかという意味ももっている研修だと思っております。既に報告させ ていただいたように、定員に対して沢山の応募があって、一定の評価を得ている研修だ と思うのですが、ただ、中身は私たちが何をやっているのかというふうに思った時、こ の資料の2<2>で示していただいたような人たちを対象にして、中身的にはこの2枚目を めくっていただいた、この内容をジョブコーチの規定のカリキュラムにうまく砕きなが ら、ただ知識の座学に終わらないように、ロールプレイなどを採り入れたり、できるだ け実践性をもたせてやっている研修だと思っております。ほとんどこの、今回事務局が 出していただいた共通の基礎スキルだという、この内容を普通にやっていたら、48時間 十分使いきってしまいます。むしろ、それぐらいのところに落としているから、中身の ある比較的評価を得られる研修になっているような気がいたします。逆に、第1号職場適 応援助者の制度についての詳細、制度には細かいルールがありますが、そういう細かい ルールであるとか、職業センターさんとの事務連絡であるとか、その辺については、今 の内容だと、48時間の中で教えきれないぐらいの印象をもっております。  もし、第1号職場適応援助者の制度や位置付け、それから、細かいルールについて、 さらに十分行おうとすれば、プラス20時間ぐらい必要なのかなと、かなり大雑把な印象 ですが、そういう考えはもっております。これについては、今回お出ししていただいた 枠組みの中での就労支援員とか、それから就業支援担当者についても、実は共通のこと がいえるのではないかと思っております。基礎で一番下になっている部分が、もう少し 上がって、共通する部分というのは、かなりのウェイトを占めていて、この部分を座学 での知識と、ロールプレイや演習なんかでやると、48時間ぐらいはかかるだろうという 内容です。さらにその上の共通の部分というのは、お示ししていただいたように、4つ の業務に共通する部分であると思います。もしかしたら、学校の先生にも共通する部分 であるかも知れません。その上で、就労支援員とか、就業・生活支援センターとか、第 1号、第2号、この制度についての詳細な部分の、要するに上積みの部分というのがあっ て、そこはプラス20時間ずつぐらいで組み立てていけるのではないかと思っております。 もう1つの視点で、ジョブコーチネットワークが、98年から社会福祉法人横浜山びこの 里でやっていたジョブコーチの養成研修ですが、NPO法人になって、職場適応援助者養成 研修を厚生労働省指定研修としてさせていただいて、受講者の数がずっと増えました。 今後も一定の層が増えていくような気がしています。その理由の1つは、内容的に実践的 であるという辺りもあるのかも知れませんが、もう1つが、企業と支援者の異業種が交流 しながら学べるという辺りが、少しずつ浸透してきているのかなということと、同じ「 ジョブコーチ」というキーワードを使っても、職場適応援助者養成研修にした場合、国 家資格ではないのですが、とにかくこれで資格が取れるのだという誤解があるように思 います。皆さん、それを名刺に入れられています。よく養成研修の申し込みで問い合わ せをいただいて、定員がいっぱいですとお伝えして、地方ではこういった研修を2日間 でやっていますとお知らせしますと、それでは職場適応援助者の資格が取れないので、 中身的によくても駄目なのだというような、そういうお話もいただいております。  まとめますと、共通の部分というところで、もしかしたら、資格というと語弊がある かも知れませんが、やはり何か名刺に書き込んで、これについては一定の資質をもって いるのだという証明が得られるようなものを、どうやら欲しがっている方たちが多いよ うだということです。ただ、それは一つひとつの業務別ではなくて、共通のものがあっ てもいいのかも知れない。それをベースにしながら、それぞれの業務別、あるいは制度 別の研修の仕組みというのが、上に乗っかっていくような仕組みがあれば、逆にその業 務別の研修というのも、比較的短時間で効率的にできるのかも知れないと考えておりま す。 ○座長  ありがとうございました。今までの委員会の時の「共通」というのは、まさにそうい ったことが多分に背景にあるような気がします。今お出ししています資料2<1>の図で もそうなのですが、一番下の基礎部分とか入門部分に関しては、修了したという修了証 明という形があれば、例えば、就労支援員でも、1号JC、2号でも、基礎的な部分があ れば、あとはプラスアルファ部分だけできるという形にすれば、全然形が違いますよね。 なおかつ、このいわゆる一番下の、共通基礎スキルというのはもっと幅広く、本当に幅 広い教養を含めて、幅広い受講体制を作っていくと、かなりの部分、裾野が広がります。 さらにいうと、それをどう裏付けていくかということで、それぞれ4つの領域の、プラス アルファの研修体制をもっていく。そういった大きな体制が多分必要かなと、私は個人 的に必要かなと思っています。どうぞ、皆さん、ご意見をお願いします。山岡委員、ど うぞ。 ○山岡委員  業務を通じてのスキルアップとか、この辺のところを見ていて、昔、企業の中で人材 育成をちょっと検討したことがあって、これと同じことをやっていました。いわゆる企 業で人材育成をする時というのは、割と長く勤めていただくことを考えているので、若 い時に何をしてもらい、中堅になったらこのぐらいの仕事をしてもらって、これぐらい になったらこれをしてもらうということです。ここにある項目というのは、いわゆる職 務要件そのものです。事務職があって、中級の役職者があって、課長とか部長とかです ね。課長とか部長になってくると、いろいろ分かれてくるのですけれども、では、課長 の時、どのような職務要件をもっていないといけないのか。理想としてはですよ。なか なかそのとおりはいかないのですけど。そうすると、就労担当者という人たちは、職務 要件として、この知識を備えていなければいけないと皆さん思っているから、この要件 についてこのように教えるわけですね。ですから、基礎の部分として、小川委員がおっ しゃったような修了証であったり、あるいは、分かれるのであれば、単位のようなもの にして、この単位とこの単位をとっていなければ、就業担当者にはなれないとか。  あるいは、企業の中ではできるのですけれども、ある職場にいくと、最初2年間はジ ョブローテーションといって、この3つの業務を3カ月以上必ずさせてくださいというよ うに指定する。そういうことをやって、5年以内に、地域がこれだけある人を育ててい こうと、長期的にやるわけですね。そうすると、その上のところというのは、もう少し 職務要件として高いものになって、ここでいう中級とかいわれる方については、このベ ースが終わっていることを要件として、次はさらにもう少しこの上に、もっと高いもの があったり、業務別にはこういうものがあったりというようなことの積み重ねでいくと、 ある程度、おっしゃったみたいに、免許が皆伝の人もいれば、この初級基礎プラスこれ とこれを持っている人ができます。それには、多分、座学だけではなくて、企業で考え ると通信教育もありますし、研修をやったら必ずテストをやって、合格しないとパスし ないとか、いろいろなことをやりながらやっていくので、そういうことも考えられるの かなと思います。 ○座長  ありがとうございます。他にご意見どうですか。岡野委員、どうぞ。 ○岡野委員  就業支援の仲間を増やしていくというか、そういった意味で、私たちの就業支援基礎 講座とかをやっていて、東京の場合だと50人ぐらい参加者があり、2日に分けて実施し ています。ただ、全員がそれに3回とも参加できるかというと、業務をもっていらっし ゃいますので、そうではない現実があります。昔は修了証を発行したというようなこと も聞いていますけれども、単位制とかというふうにすると、仲間作りをしていくと観点 からすると、現実には厳しいところがあるかなと思います。ですから、就労支援者の育 成をきちんとしていくための基礎的なものとして位置づけるのか、そうではなくて、一 緒に就労支援をやっていくための仲間として、できるだけ共通の認識をもって仕事をし ていくことが望ましいわけですから、その範囲を広げるのかというようなところと、少 し違いが出てくるのかなと思いながら、いまお話を伺っておりました。 ○座長  ありがとうございました。さっきのは、単なる仲間作りとは違うような気がするので すが、どうなのでしょうかね。具体的なプログラムと、階層的なものをどう作っていく かということの方が多分第一になるのではないかと思うのですが。どうですか、今の岡 野委員のお話を伺って。どうぞ。 ○志賀委員  研修の方法の話に少し入っていたので、どこかで言いたいと思っていたことがありま す。どこまで、どこがどういうふうにやるかという部分に、全てかかってはきますが、 個人的な経験からいいますと、どうしても制度が関わる時には、ある程度の資格要件と までは言わないまでも、基礎知識をもってもらわないといけない研修というのは、最近 福祉関係はすごく多かったように思います。私の場合は、平成12年の高齢者のケアマネ ジャーの研修を初年度に受けた経験があります。あの研修はまさに促成栽培だったと思 います。今は結構進んでいると思いますが、やはり非常に苦痛な時間でした。何百人か の中に入って、もちろんグループワーク等もありましたけれども、なかなか準備をする 余裕もありませんでした。私はもう参加させていただけないのですが、サービス管理責 任者や指定相談支援事業所の初任者研修等も、何となくうちの職員の方から話を聞いて いると、同じような気配がやはりします。職員の方にどうだった?と聞いた時に、「や あ、あれはひどいですね」と答えれば、見込みがあるかなと。あまりいい話ではないの ですが、そういう面では、研修を行う場合、カリキュラムをいくら作っていっても、特 に資格等ではないとした場合に、どういう規模で、適正な運営をするかというのは、非 常に難しい問題だと思います。特に就労移行支援事業所は新しくできた組織であります ので、例えば、1,200カ所で、最低1,200人とすれば、ある程度、たくさん、いっぺんに、 それを2年、3年以内に研修をせねばならないとすると、ものすごい数の養成が必要にな ります。  資格要件がありませんから、各組織は比較的簡単に就労支援員については内部で変え ると思いますので、毎年何千人単位の研修を行わねばならぬということになると、結局 それらの研修に非常に近いものになってしまうという危惧が残されますので、運用のや り方だと思いますけれども、非常に大きな企画する時の段階では、議論しておくべきだ と思っています。 ○座長  ありがとうございます。確かにそういうところはあると思います。他にご意見等ござ いませんか。実際に研修を動かす方の議論が大事になるかも知れません。カリキュラム そのものに関しては、結構今まで詰めてきました。いわゆるこの基礎的な部分として、 幅広く裾野をつくるといった時の、実際の研修の在り方、アイディア等々ございました ら、皆さんのご意見を伺いたいのですが、どうでしょうか。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  もう一度その基礎的なところを作るということに立ち戻って、自分の発言をもう一回 整理しておきたいのですが、今回のこの研究会で初めて就労支援のジェネラリストモデ ルというのですか、就労支援の一つひとつの職務毎ではなくて、ジェネラリストモデル の人材育成ということを考えるという、そういう土俵にようやく乗れたような気がする のです。それについて、まずこの研究会では、かなり共通の考えが出てきたということ を押さえておきたいということと、それが実際に研修の実施となると、この研究会の中 でどこまで詰められるかどうか、私は分かりません。基礎とか入門ということで考える と、先ほど私が申し上げた48時間ぐらいということも1つの考え方だろうと思います。 一方で、社会福祉の分野では、社会福祉士という、ジェネラルな資格があるわけで、あ れは大学教育の学部教育の中で養成するというような位置付けで考えているものです。 就労支援が果たしてどのレベルまで深められるか分かりませんけれども、必ずしも48時 間で終わっていいというものではなくて、その内容を深めれば深めるほど、より高度な 専門教育、だけれども、モデルとしてはジェネラリストモデルで、それをベースにしな がら、ジョブコーチであったり、いろいろな分野の実務研修が乗っていくということも 考えられるかも知れません。ただ、最終的には、この研究会では、あまりそこに深入り はできないと思うのですけれども、仕事としての専門性と、社会的な地位と経済的な地 位がしっかりしないと、時間がかかって、しかもお金のかかる人材養成というのは成り 立たないということも、意識しないといけない要素だと思います。 ○座長  確かにそれもそうですね。さて、実はあと2つそれぞれについてテーマがありますの で、今のこの問題というのは、時間があればまた次回に議論するとしまして、とりあえ ず残りの2つにつきまして、事務局の方からよろしくお願いします。 ○事務局 大野  それではご説明いたします。地域就労支援室の補佐をしております大野と申します。 資料2の<3>についてご説明させていただきます。まず、こちらは就業支援担当者の育成 の在り方ということで、このページについては、主に現状をまとめさせていただいたも のでございます。  まず、1番目といたしまして、就業支援担当者の能力、要件、こちらを我々が事務的 に定めさせていただいているというものでございます。就業支援担当者の能力といたし まして、主任就業支援担当者の指導あるいは助言の下、具体的な就労支援を実施できる レベルということで、要件といたしましては、原則として障害者支援の経験を1年以上 有して、就労支援に関する基本的知識・スキルを有している者、職場適応援助者相当の 能力を有することが望ましいとさせていただいております。  2つ目といたしまして、主任就業支援担当者でございます。能力といたしましては、 就労支援全般をマネジメントできるレベルで、要件といたしましては、原則として就労 支援の経験を7年から10年程度を有する者ということで、そのうち障害者の就労支援の 経験が3年以上あることが望ましいとさせていただいております。  次に、こちらは先ほどの実態調査の結果から取りまとめたものでございます。就業支 援担当者の実態といたしまして、新任レベル、こちらは担当者1年未満ということで、 年齢は20から30代、学歴につきましては、大学卒以上で、福祉系の方が多いということ で、経験につきましては、障害者の支援5から10年未満、就労支援の経験は1年未満とい うような状態になっております。また、資格につきましては、特にないということで4 割、社会福祉士を有しているということで2割という実態でございます。  中堅レベルは、担当者3年以上ということで、年齢といたしましては、30から50代、 経験につきましては、障害者の支援経験を有している方は10年以上、就労支援を経験 している方は、経験が3年から5年ということになっております。資格につきましては、 特にないということで4割、社会福祉士で3割というような状態になっております。  主任レベルは、年齢といたしましては、30から50代、経験は障害者の支援が10年以 上で、就労支援の経験が5から10年未満、資格につきましては、特にないということで 4割、社会福祉士で2割、精神保健福祉士で1割ということでございます。  3つ目の現行の研修ですが、幕張にあります高齢・障害者雇用支援機構で行っている 研修でございますけれども、まず、研修名は障害者就業・生活支援センター就業支援担 当者研修、概ね2の(1)に該当するものでございます。対象者といたしましては、新たに 就業・生活支援センターにおいて就業支援担当者になった方ということでございます。 内容につきましては、障害者雇用対策の体系と障害者就業・生活支援センターの役割、 関係機関との連携の方策、あるいは、そちらにございますように、様々な障害に係る障 害別の特性あるいは職業的な課題、あるいは就業支援に関しますニーズ、支援方法等、 3つ目といたしまして、企業の雇用管理の実際と就業支援に係りますニーズ、事業主へ の支援等を、大体4日程度で、年間4回開催してございます。  スキルアップ研修でございますが、こちらは2の(2)に相当するものでございます。そ ちらの3つの要件に何れにも該当する方を研修の対象にさせていただいておりまして、 内容といたしまして、中堅職員としての八割、新たな支援技法、それから企業経営や障 害者の雇用管理の実際、就業支援に係りますニーズ、事業主支援に係りますニーズ、事 業主支援に係ります支援技法、そういったものを対象とした内容になっております。期 間につきましては、概ね前期・後期3日ずつと、実践的なものということで、10週間。 こちらは年1回という開催でございます。  それから、最後、一番下になりますが、主任就業支援担当者研修でございます。2の (3)に相当する方々で、対象者といたしましては、新たに主任になられた方ということで、 内容といたしましては、障害者雇用対策の体系と障害者就業・生活支援センターの役割、 あるいは関係機関との連携の方策、支援センターのマネジメント業務と主任の役割、そ れから、企業におきます障害者の雇用管理の実際と就業支援に係りますニーズ、事業主 支援の基礎という内容で、1回の研修当たり4日間で、こちらも年4回開催しているよう な状況でございます。  1枚資料をおめくりいただきまして、こちらは事務的な作業部会で、JHC板橋会ワ ーキング・トライの清家委員からご提供いただいた資料について作業部会で議論させて いただいたものを精査したものでございます。内容につきましては、ご承知のとおり、 ここ数年、就業・生活支援センターの立ちあげが相次いでいるという中で、昨年度135 カ所、今年度204カ所と増設されております。その中にありましては、新設センターの 中にはまだ支援システムが整っていない、業務に追われているところが多いように思わ れるということで、就業支援担当者自身の役割を理解する間もなく支援を行い、支援に 振り回されてはいないかというのが問題意識というところでございます。また、アンケ ート結果から、障害者支援の実績10年以上という方が多かったが、就労支援は3年未満 の方が多かった。1つ目にも通じるものでございますけれども、支援の積み重ねができ ていないといった答えも多かったということです。それから、求められる役割でもござ いますけれども、就業・生活支援センターは、相談と具体的な支援を行うセンターでご ざいます。それから、自らの法人内の施設ばかりではなく、地域の関係機関、医療、ネ ットワークをつくっていかなければ支援はできないということで、当然地域の就業支援 ネットワークを構築することによりまして、具体的な就労支援をする。そういった必要 性が指摘されてございます。  1枚めくっていただきまして、これは集合研修、OJT研修、その他研修の在り方につい てということで、内容が盛り込まれてございます。下からご説明させていただきますが、 初任研修でございます。これは概ね対象者としては1、2年目の方で、現在行っている研 修、そういったものをベースといたしまして、就労支援の全体像、そういったものが見 えてくる研修が必要ではないかということで、講習の内容といたしましては、障害者雇 用対策全体の概要と支援センターの役割、これは法律上の位置づけ、特に国がどういう ことを求めていて、センターをつくったのか。それから機能、役割、地域の中での位置 づけ、そういったものを理解するといった内容でございます。特に就業支援担当者の自 己覚知、が求められているところであります。2つ目といたしまして、関係機関の役割 です。それぞれの関係機関の役割を十分に知るということです。それから、3つ目とい たしまして、職場における雇用管理の実際ということで、支援推進員が企業で働いた経 験がないという方が多いという中で、企業で働くということは、企業からの生の声、特 に実際の職場の見学の必要性も指摘されてございます。4つ目といたしまして、障害特 性については、講義のみではなく、具体的な事例も加えるということでございます。5 つ目でございますが、ケアマネジメント、技法ではなく、就労支援の全体像が見えるよ うなものということでございます。6つ目といたしまして、ケーススタディということ で、意見交換、情報交換がございます。  それから、上に上がりまして、中級者研修ということで、概ね3年から4年の経験があ る方を対象といたしまして、具体的な支援の流れ、そういったものを把握しつつ、次の 段階へステップアップということで、各センターの支援システムの確認、それから、し っかりとケースと向き合うという研修で、講義と演習のマッチングということでござい ます。具体的な研修の内容といたしまして、1つ目として、職業相談あるいは面接、そ れから援助の原則。2つ目として、ケアマネジメント、実際の流れに応じまして、問い 合わせから相談、アセスメント、就労支援、それから定着支援、そういった各段階を踏 まえまして、マネジメントというもので、全体のスキルアップを計っていくということ でございます。それから、プレゼンテーション、分かりやすく効果的に、言葉あるいは 視聴覚、そういったもので伝えるというスキルを学習する。それから、事例研究といた しまして、ケーススタディ、あるいは5つ目といたしまして、ジョブコーチ支援の実際 ということで、1号、2号ジョブコーチから支援の実際について意見交換をするというこ とでございます。  それから、一番上にまいりまして、主任支援者研修でございます。考えている対象者 といたしましては、5年から10年の経験を有する方で、現行研修をベースにいたしまし て、講義中心のカリキュラム、そういったものに演習を加えていくというものです。特 に1つ目といたしまして、サービスの管理責任者として業務管理についての研修。ある いは2つ目といたしまして、スーパービジョンを受ける、特にスーパーバイザーとして の人材育成、一般的な知識・経験に加えまして管理職としての技能が必要ということで ございます。  1枚おめくりいただきまして、OJTについてです。地域の関係機関ということで、ネッ トワークが非常に重要でございますので、支援において具体的に連携するようなハロー ワークですとか、職業センター、地域の各施設、保健所、福祉事務所等々の就労支援セ ンターの役割、活動について、OJTが必要ではないか。あるいは障害の特性を踏まえな がら、相談・面接、記録の取り方といったものを学ぶ。ケア会議に実際に参加する。そ れから、様々な障害者の雇用を支援する各制度がございます。そういったものも学んで いただく。それから、啓発活動といたしまして、障害者の就労とその支援について、研 修会や学習会の企画ということで、それから、最後に、各項目横断的なことではござい ますけれども、研修とOJT、そういったものの連携が望ましいということでございます。  それから、その他の研修といたしまして、現行の研修は講義中心ということで、実際 の支援など、現場で抱えていることなど、初任者にとっては、自分自身の所属している 機関について、役割、期待されていること、地域の中での位置づけなど、確実に意識さ せることのできる研修が望ましい。また、実際の支援が具体的にイメージできますよう に、意見交換ですとか、情報交換、そういったものができる場が必要というところでご ざいます。 ○座長  ありがとうございました。それでは、今ご説明ありました就業支援担当者の育成の在 り方について、ワーキンググループの報告を踏まえてまとめていただきました。皆さん から、ご意見等ございましたら、お願いします。  私の方から事務局にちょっと確認しておきたいのですが、今ここで出しました中身は、 先ほどの全体報告からいきますと、初級、中級レベルで想定しているのか、中級、上級 の上の段階のことを想定してのカリキュラム内容と理解していいのですね。この先、こ の上の方のカリキュラムの構成の主体たる中身で想定していくのですが、そこまでは考 えてはいない。そこのところはどう整理すればいいのでしょうか。 ○事務局 秋場  実は、このペーパーを作成していただく段階の時には、共通スキルというのが、まだ ここまで幅広くしっかりイメージできていなかったということもありまして、先ほどか ら議論がありましたような、基礎の上積み部分の専門研修みたいなものではなくて、む しろ現在の形のような、初任、中級、主任という形で作っていただいたペーパーになっ ています。 ○座長  ありがとうございました。では、ご質問、ご意見等ございましたら、どうぞお願いし ます。原委員、どうぞ。 ○原委員  この就業支援担当者、就業・生活支援センターの役割が、全国の特別支援学校との繋 がりという観点からみて、非常に大事になってきていると思っています。圏域に設置さ れていく中で、特別支援学校または特別支援学級の生徒の部分との繋がりが深くなって いると思うのです。元々学校は地域障害者職業センターとは非常に深い繋がりをもって いたわけですが、圏域にどんどんできてくる中で、学校のいわゆる進路相談、職業相談 の部分で、関わりをもっていただいたり、実際の個別の教育支援計画は非常に大まかな 計画ですけれども、その部分で、アドバイスをもらったりとか、そうしたものが地域に よって、非常にうまく機能しているところの話を聞きますので、その意味では、この集 合研修のところの中級、上級ですか、主任支援者研修辺りの部分に職業相談の部分であ ったり、面接であったり、アセスメントやケアマネジメントが入ってくるのが、非常に 妥当だなと思います。そのOJTの中に、地域の関係機関の支援として、特別支援学校在 籍生徒への支援、または先ほども申しましたけれども、通常の高校等に在籍している人 への支援というのが、OJTの項目として入ってくるのかなというふうに思いながら読ま せていただきました。 ○座長  ありがとうございました。他にご意見等ございませんか。志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  今回の主だった研修のプログラムを見ていると、どこまで関係するかちょっと分から ないのですけれども、今回の2枚目の方で、就業・生活支援センターの研修についての 最後のところで、法人内の施設、施設ばかりではなく地域の関係機関、企業とのネット ワークを作っていかなければ支援ができないというふうに、課題として書かれていまし て、これは私としても本当にまさにそのとおりだと思います。問題は、その個別のケー スにおいて、いろんな関係機関と繋いでいくということについては、この初任者研修あ るいは中級研修の中には入っているのですけれども、では、ネットワークを地域で作っ ていかなくてはならない役割を一体だれがやるのかというところが、今回の主任者研修 にも当然入っていませんので、それはハローワークがやるのか、市町村のどこがやるの かというような問題が、どうしてもここまで出てしまうと、気になってしまいますので、 逆に、主任の研修プログラムプラス運営の要綱自体の問題だと思います。その辺が本当 にどうなるのかなということが、課題としてここまで明確に出ているのであれば、少し 議論していただいた方がいいのではないかと思います。 ○座長  なるほど。ネットワークづくりというのは、何処でということではないかと思います が。ケアマネジメントだって、いろんなことを担当者がやるということは考えられるの だけど、どこでやるか決めた方がいいのかな。どうですか。 ○志賀委員  個別のケースについて云々ではなくて、やはりそれをやりやすくするための基盤づく りというのが、残念ながら今は行政の枠も越えておりますので、そういった場というの は、自然発生するものなのか。ある程度役割をもって作っていくのかというのが問題だ と思います。 ○座長  ありがとうございました。これに関してどうですか。あるいは、別のことでも結構で すので。どうぞ、根岸委員。 ○根岸委員  その就業・生活支援センターに関しては、私の経験ですけれども、東京都は独自に各 区市町村に1つずつ、就労支援事業をやるということで、東京都の計画に入っています。 その就業・生活支援センターの生活支援の部分は都道府県が関係するので、東京の場合 は産業労働局の労働担当部署と東京労働局と一緒になって、今後どういうふうにネット ワークを作っていくかというような形で、将来的に就業・生活支援センターはどこに、 いくつぐらい必要なのだろうかという話し合いをもったりしています。それから、東京 都の就労支援事業については、各区市町村に1つずつありますので、就業・生活支援セ ンターも増えてきて、そこと学校やハローワークがどういうふうに連携をするかという のは、やはり頭の部分で示しておかないと、バラバラ動いてもいけないし、どっちが上 とか下というわけでもないので、そこでやっぱり自ら考えないといけないという問題が ありまして、何回か打ち合わせをして、将来的にいくつかというようなことは決めたみ たいです。では、それぞれの地域に就業・生活支援センターとして機能はどうか、法人 格はあるか、地域毎に予算的なものであったり、機能的なものであったり、いろいろな 課題や問題があるので、こうなったらいいというのは決められないと思うのですが、や はり自治体と東京労働局が話し合いをもつということがないといけないのではないかと 思っています。 ○座長  それは当然そうですよね。地域のエリアの問題をどう分担するかですからね。他にど うでございますか。どうぞ、八木原委員。 ○八木原委員  根岸委員と関連してなんですが、就業・生活支援センターは今年から東京都は5つに なりましたけれども、4つの段階の時に、ハローワークを4分割して、一緒に合同の連 絡会を作ろうということで、これは東京労働局が主になってやってきて現在に至ってい ます。ということは、ハローワークが地域のコーディネート機関なのかなと私は思って いるのですね。私たちのところでは10月に、第1回の合同の連絡会をもちました。 ハローワークが地域のコーディネート機関として動くだろう。そうしたら、障害者就業・ 生活支援センターはどうあるべきかということは、もう少し具体的な市区町村の事業な どと一緒に活動しながら情報提供、支援のアドバイスなどを行っていくのかなというよ うな印象を私は持ちました。 ○座長  例えば、区単独の支援センターとはどう関わるのですか。 ○八木原委員  連絡会の中では、うちはいつも一緒にやっています。東京都の場合は、ネットワーク を作っていこうという意味で、障害者就業・生活支援センターを分割しやすいような位 置に置いてあるのではないかと思います。障害者就業・生活支援センターが5ヵ所あり、 ハローワークや市区町村センターは、障害者就業・生活支援センターの5ヵ所で分割し ようとしているのではないかと思います。このことから、障害者就業・生活支援センタ ーは地域ネットワーク構築に期待されているのではないかと思います。 ○座長  他にどうですか。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  非常にシンプルな質問なのですが、職場適応援助者養成研修は厚生労働大臣指定研修 として外部機関が研修主体になれるわけですけれども、障害者就業・生活支援センター の研修は制度的にそういうことが可能なのか、難しいのか。その辺の仕組みだけちょっ と教えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○座長  事務局、どうでしょうか。 ○事務局 大野  現状でございますけれども、障害者就業・生活支援センターについては、幕張の総合 センターの総合研修でやっているものについては、厚生労働大臣指定というようなもの ではなく、実際の措置ということで行っているものでございます。 ○高齢・障害者雇用対策部長  障害者就業・生活支援センターについては、国の委託事業という形であるため、委託 事業をきちっと進めるために、私どもというか、高齢・障害者雇用支援機構の方で研修 をやっています。ただ、全体が、こういう共通の研修基盤ができてきたような場合にど うするかというのは、その中で考えればいいと思っています。ただ、私どもとしては、 委託事業はちゃんと進めていかないと困るので、今の状況の中では、私どもできちっと できるようにというだけの話だと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでございましょうか。それでは、もう1つござい ますので、職場適応援助者の育成の在り方について、ご説明をよろしくお願いいたしま す。 ○事務局 秋場  資料2の<4>をご覧ください。職場適応援助者の育成の在り方ということで、就業・生 活支援センターの場合と同様に、1枚目が現状ということでまとめております。2枚目以 降は作業部会の委員の方に作成していただいたものになってございます。  まず、職場適応援助者の要件ということで、こちらに書いてありますのは、助成金の 職場適応援助者に関して書いております。2番目に、職場適応援助者の実態ということ で、実態調査に基づいて、いろいろ特徴的なものを挙げておりますけれども、ちょっと 時間が押しておりますので、資料でご確認いただければと思います。  3番目に、現行の職場適応援助者の研修でございますが、これまでの研究会の中でも ご説明いただきましたとおり、1つ目としまして、高障機構の方で行っている研修がご ざいまして、配置型のジョブコーチを除き、昨年度は137名が修了しております。2つ目 に、厚生労働大臣指定研修ということで、この10月1日に1つ増えまして、4機関が行う 研修について、指定をしているところです。小川委員の方から、JCネットの研修につい てはいろいろご紹介いただいておりますが、今回の2枚目以降は、大阪障害者雇用支援 ネットワークの酒井さんの方からご提供いただいた資料になっております。先ほども座 長の質問でお答えしましたけれども、こちらは、共通基礎スキルという概念をまだ想定 せずに作成していただいたものですが、奇しくも、ご覧いただくと分かりますとおり、 ステップ1とステップ2の半分ぐらいまでは、まさに共通基礎スキルの内容と重なる部分 が多くなっています。  ステップ1としまして、職リハ概論、働くことの意味について、あと、ジョブコーチ は何ぞやということを、まず学びます。そして、特に1号ジョブコーチについては、労 働関係が弱いということで、労働関係機関の役割や労働関係法規を理解するとともに、 ジョブコーチは企業に実際に入りますので、ビジネススキルが必要だろうということに なっております。また、2号ジョブコーチについては、逆に福祉の視点ということで、 障害の概念や社会福祉の視点ということが、ステップ1のところで入っています。  次の段階として、ステップ2ですけれども、まさに「本人を知る」ということで、個 人の特性のアセスメント、障害特性をきっちりアセスメントして、その働く力を見極め るという部分、また、「仕事を知る」ということで、職務分析、工程分析、職場環境ア セスメント、また、「人と仕事を繋ぐ」ということで、ジョブコーチならではの仕事が 列記されています。その一方で、1号ジョブコーチが必要なものとしましては、企業文化 といいますか、企業の部分をもう少し補うべきだろうということです。また、2号ジョブ コーチに関しては、事業所内の調整が非常に重要だという話がありまして、そもそも障 害者を雇用する前の段階から、障害者雇用への理解を深めていくなど、そういうことも 含めまして、事業所内における調整をしていくということが、ステップ2になってござ います。  また、ステップ3はその上の段階としまして、1、2を知った上で、実習ということで 実際に事業所に行って、ジョブコーチの支援を見学したり、同行したり、実習をすると いうのがステップ3になっております。  また、研究会でも多くご意見をいただいているとおり、ステップ4としましては、そ の地域ネットワークでどうしていったらいいかということが、ステップ4となっており ます。  1枚めくっていただいて、研修の対象者ですが、まさにこちらに書いてあるとおりな のですが、現在、他の就労支援の研修があまり存在していない、存在していないという とちょっと強いですけれども、あまりないために、ジョブコーチとして活動を予定して いる方以外の方もこの養成研修を受けたいという希望が多くなっています。それによっ て、養成研修終了者全ての方が助成金を活用するジョブコーチにはなっていないという ことです。それは助成金の制度上の問題もあるでしょうというご指摘で、小川委員の方 からも以前にお話があったと思いますが、1号ジョブコーチについては地域センターと の関係とか、2号ジョブコーチについてはそもそも助成金が時間計算になっているので、 なかなか申請まで至らないなどの要因があるということで、養成はしても、現実のジョ ブコーチ活動に繋がっていないという問題点が挙げられています。  3番目の「立ち位置がなかなか明確ではない」ということですが、ジョブコーチ、就 労支援員、就業支援担当者等、就労支援に携わる人材の、就労支援全体の中で占める位 置や役割は現行では重なる部分が多く、明確化されていないということで、これは研究 会の議論にもなってとおりと思います。  また、4つ目ですが、これは研修だけではなかなか難しいということで、やはり実践 の機会を積むことが重要であって、それによって初めて研修の効果が得られるでしょう というコメントをいただいています。現在の高障機構の研修と大臣指定の研修がござい ますが、座学のウェイトを減らして、演習や実習等を増やす方が効果的ではないか。ま た、これは非常に重要だと思うのですが、研修終了者に対するフォローアップの仕組み が必要だろうということです。あと、大臣指定の研修は現在4機関ありますが、もっと 地方における受講機会を増やして欲しいという要望がありまして、実際に今、大臣指定 の研修を、東京や大阪だけではなくて、地方研修をしていただいてはいるのですけれど も、なかなかマンパワー的に厳しいということで、現状はやはり所在地での研修が多く なっている状況にあります。 ○座長  ありがとうございました。それでは、ジョブコーチの育成の在り方について、みなさ んのご意見、ご感想等をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。どうでしょ うか。岡野委員どうぞ。 ○岡野委員  今の今後の研修の検討すべき事項としての、地方における受講機会を増やして欲しい という要望は、やはり切実なものかなと思いながらお話を伺っていました。いろんなと ころが養成研修について努力をしてくださっているわけですけれども、きめ細かさとか、 タイムリーさになってくると、高障機構の私どものところでもやっていますが、少し回 数が少ないということと、1週間なり仕事を空けるということの大変さも出てきますの で、ここは、やはりジョブコーチの質を上げていくというところからすると、とても大 事なことかなと思いました。それから、研修終了者に対するフォローアップの仕組みが ないということですが、確かにそうだなと思います。私ども東京障害者職業センターで は、月1回か2カ月に1回は、ジョブコーチに、1号ジョブコーチ、2号ジョブコーチ両方に お集まりいただいて、推進協議会という形で、事例検討を行うことで研鑽を積むという 仕組みをとっております。けれども、やはりきちっとフォローしてあげないと、一人で 抱え込んで、悩んでしまうというような現状もありますし、よい支援をしていくために は、やはりここのところは必要な検討をすべき課題だと思ってお話を伺っていました。 ○座長  ありがとうございました。地方開催は、すごく求められていますが、講師がなかなか 揃わないですよね。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  今回、大阪の職業リハビリテーションセンターの酒井さんから出していただいたたた き台ですけれども、ジョブコーチネットワークの方で行っている研修の考えや枠組みと あまり大きな違いはないものを出していただけたかなと思っています。ジョブコーチネ ットワークの方では、障害のある人と企業の双方のアセスメントをして、これは「本人 と仕事を知る」ということで、こちらの資料には出ていると思います。それから、マッ チングをしますが、これは「人と仕事を繋ぐ」というところだと思います。そして、職 場での集中支援で、仕事を教えること。それから、私たちは「ナチュラルサポー」トと いう言葉を使っていますけれども、従業員の企業側の支援をいかに構築するか、橋渡し をします。その辺のキーワードがもう少し入ってくると有り難いかなという印象を持っ ています。あとは、フォローアップですね。基本カリキュラムの方でも、もし可能であ れば、支援の流れということを意識した組立にしていただけると、研修自体も組みやす いかなという、そんな感想は持っております。  それから、ナチュラルサポートについては、先ほど申し上げましたけれども、実際の 職場の中で、企業の方と一緒に職務の再構成をしていくという、その辺のキーワードも 必要かと思います。特に、大手の企業の場合には、職務再構成は企業側の仕事になるわ けですけれども、これから重視される中小企業の場合には、その辺をジョブコーチと一 緒に共同作業をしていくという部分が必要になってくるかと思います。協力機関型ジョ ブコーチから第1号に変わったポイントの重要なところは、私は職場開拓とインフォー ムドコンセントだと思っています。職場開拓はハローワークさんの仕事になるわけです が、企業側にジョブコーチ支援について説明をして、障害のある人を雇っていただく時 に、こういう支援が付きますからということをセットで、きちんと説明できるスキルも 必要になると思いますので、その辺も要素として重要だと思っております。たたき台の 内容については、以上です。  続いて、ちょっと長くなりますが、1号と2号について、少し発言をさせていただきま す。  2号については、東京で行うJCネットの研修は、前回も申し上げたように、かなり受 講の希望が増えてきております。年2回あるわけですが、各回とも大体20〜24名ぐらい の申込みがあるという現状です。もうしばらくこの傾向は続くかと思います。この場合 にはいいのですが、地方で開催をする場合、2号の希望者がぐっと減るのですね。 ここが3名とか5名になった場合に、別カリキュラム用の講師であるとか、2号専門の演 習を組み立てて、そこに専門の講師を配置したりということが非常に厳しい状況があり ます。これは、研修の運営体制や収支の問題であってちょっと生々しい話も加わってき ますが、1つはそういう現実があるということです。  もう1つは、東京の研修で、企業の2号の方が例えば20名ぐらい、それから、1号希望 の方が40名ぐらいという組み合わせになった時に、やはり1号と2号の相互理解というこ とで、共同で研修を受けていくというところの効果が非常に大きいというふうに感じて おりますので、1号と2号の共通カリキュラムの部分を増やしていただきたいということ が要望でございます。  それから、最後に、地方開催ですけれども、東京でJCネットは2回研修をして、地方 で1回研修をしています。JCネットが協力して、地方で職場適応援助者養成研修を開催 している地方の組織に、1回は共同で開催して、2回目以降は、地方の組織に研修機関と しての指定を取れないかという投げかけをした時に、果たして毎年開催して、お客様が いらっしゃるかというところが、不安なようです。実際、30・40名規模でやらないと、 コスト的に難しいと思いますので、果たして1回やって、翌年もそれぐらいのお客様が 集まるかという問題がございます。仮に、指定を取っても、隔年ぐらいで開催すればい いというような仕組みがあると、その辺の不安が解消できるのではないかということが 1点です。  それから、セミナーを開催していく時に、事務局の機能、要するに、広報して、受け 付けをして、それから全部の収支を取りまとめるという、事務局の機能的には年間2回 ぐらいやるのが正直精一杯です。事務局機能を別な機関が担ってくださって、ソフト的 には、研修の運営の中身的にはジョブコーチネットワークが厚生労働省の指定を受けて いるものをそのまま実施できるというような共催のような仕組みが、もう少し規定上や りやすい形になれば、地方での研修がやりやすくなります。現在も協力してもらいなが らやっているわけですが。例えば、地方の社会福祉法人あるいは地方の都道府県からも、 いわゆる受託として、職場適応援助者養成研修をしてもらえないかというようなことは 希にありますので、様々な機関が事務局となって、プログラム的には指定機関のもって いるプログラムを使うというような、そんな仕組みも考えられないかなと、地方の研修 の充実ということでは、そんな仕組みも考えられないかなという意見をもっております。 以上です。 ○座長  ありがとうございました。かなり具体的な話ですね。他にどうでございましょうか。 ご意見、ご提言がございましたらどうぞ。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そ れでは、今日の議題は大体これで予定とおり終わりました。最後に、その他というとこ ろで、事務局から次回の開催等を含めまして、よろしくお願いいたします。 ○事務局 藤井  それでは、お手元の資料3をご覧ください。今後の進め方の案としてございますが、 今回は第4回目、11月17日でございますけれども、一般就労を支える人材育成の在り方、 主に就業支援担当、ジョブコーチ、育成の在り方や研修体系の在り方について、ご議論 いただきました。次回は、前回の研究会の時に日程はご確認いただいておりますけれど も、12月15日に、同じ18時からという時間でございますけれども、主に就労支援員の育 成の在り方や研修体系の内容についてご議論をいただきたいと思います。  なお、今後の予定としましては、12月を入れて3回を予定しておりまして、1月につき ましては、人材育成の在りの研修体系のモデルカリキュラムについて、あるいは報告書 の骨子案についてご提案をし、2月には報告書案ということで取りまとめをしたいと考 えております。なお、12月15日の場所につきましては、追ってご連絡申し上げたいと思 います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。それでは、次回は12月15日ということになります。長い時 間ありがとうございました。今回の委員会を終わらせていただきます。どうもありがと うございました。 【照会先】   厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室   電話:03−5253−1111(内線5854)