08/11/13 第4回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会議事録 第4回 受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会 議事次第                    日時:平成20年11月13日(木)13:00〜15:06                    場所:厚生労働省 共用第8会議室 1.開 会 2.議 題  (1)たばこ対策及びたばこ業界に関する意見聴取     (1)神奈川県保健福祉部健康増進課     (2)日本たばこ産業株式会社     (3)フィリップモリスジャパン株式会社コーポレートアフェアーズ     (4)ブリティッシュ・アメリカン・タバコ  (2)質疑応答  (3)その他 3.閉 会 照会先:健康局総務課生活習慣病対策室(内線2348,2971) ○生活習慣病対策室長 それでは、定刻の1時となりましたので、ただいまから第4回「受動喫 煙防止対策のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。  検討会の委員の皆様方におかれましては、御多忙の中お集まりいただきましてありがとうござ います。御礼申し上げます。  本日は遠藤委員、見城委員、高見委員、永井委員から御欠席の御連絡をいただいております。  今回でございますけれども、引き続き有識者をお招きしての御意見を伺うというセッションを 開催いたしますが、本日は5名の方をお招きしておりますので、御紹介申し上げたいと思います。  神奈川県保健福祉部健康増進課長 玉井拙夫様。  日本たばこ産業株式会社たばこ事業本部フェロー 岩室佳明様。  同じく、渉外企画部長 山下和人様。  フィリップモリスジャパン株式会社コーポレイトアフェアーズディレクター ピーター・ニク ソン様。  ブリティッシュ・アメリカン・タバコ広報・渉外企画統括部長 辻了介様。  同じく、グループマネージャー 土井克己様。  それでは、これ以後の進行につきましては、久道座長によろしくお願い申し上げます。 ○久道座長 よろしくお願いいたします。  前回に引き続きまして、たばこ対策に関わる有識者を招いて、意見を聞きながら検討を進めて いきたいと思っております。  それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○生活習慣病対策室専門官 配付資料の確認をお願いします。  議事次第、座席表のほかに、資料1−1として「神奈川県の受動喫煙防止の取組」が10ペー ジまでございます。  資料1−2「『神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)』骨子案の概要」が2枚 紙でございます。  資料1−3「『神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)』骨子案」が14ページ までございます。  資料2といたしまして、日本たばこ産業株式会社様からの資料で、32ページのものがござい ます。  資料3「公共の場所での喫煙規制について」。フィリップモリスジャパン株式会社から8枚紙 のものがあります。  資料4−1といたしまして、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの配付資料ということで、 12ページまでのものがございます。  資料4−2といたしまして、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの受動喫煙に関する考え方 ということで、1枚紙のものがございます。  それとは別に、お手元に全旅連のアンケート集計結果というのがございます。これは永山委員 より机上配付ということで配付させていただいております。これにつきましては、後ほど永山委 員から御説明があるかと思います。  もし過不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し付けください。  以上です。 ○久道座長 それでは、早速議事に入りますが、玉井様より神奈川県の受動喫煙防止の取組みに ついて説明をいただきます。質疑応答はそれぞれの説明のあった後に行いたいと思います。  それでは、どうぞお願いいたします。 ○玉井健康増進課長 まず初めに、座長の先生、委員の皆様に神奈川県の取組みについて説明を させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。資料については、1〜3と用意 をさせていただいておりますけれども、資料1を中心にお話しをさせていただきたいと思ってお ります。  この資料ですけれども、条例づくりを目指しているところでございますが、いろんなところで この資料で懸命に説明に上がっているんですが、県民にまだまだ十分説明が足りていないという 指摘もありますし、実感としてそう感じております。  特にたばこの害について、私も直接話をさせていただいておりますけれども、たばこの害につ いて、更に受動喫煙の害についてということになりますと、我々どうしても専門家の間で議論す ることが多いんですが、本当に町の中に入っていって話をすると、なかなか浸透していないなと いうのが実感としてございます。そうした中で、できるだけわかりやすい形でこの資料をつくら せていただきましたので、多少そういう認識で見ていただきたいと思います。  それでは、神奈川県の受動喫煙防止の取組みについてということで、神奈川県の公共的施設に おける受動喫煙防止条例、これは仮称ですけれども、この骨子案を中心に説明させていただきま す。  まず、この条例名でございますが、当初公共的施設における禁煙条例ということで、基本的な 考え方の中ではこういう名称で示させていただきましたけれども、そもそも条例の目的が受動喫 煙による健康影響の防止を目指すということを明確にするため、名称を骨子案において変更させ ていただきました。  どうしても「公共的施設における」という文言が外されて、禁煙条例ということでマスコミ等 で報道されることが多く、そのこと自体でいろいろ誤解を招くということがあって、名称を変更 させていただきました。  2枚目に移らせていただきますけれども、これはここにお集まりの方に改めて説明するまでも ないと思いますが、受動喫煙における健康影響というのは科学的に認知されたものであるという ことを認識して、そうしたものが条例に対する取組みの第一歩だと考えております。  3ページ目をおめくりください。たばこ規制枠組条約についても、ここで改めてお話しするま でもございませんし、健康増進法の第25条についても、改めて触れる必要はないかと思います。 3つ目の神奈川県でございますけれども「がんへの挑戦・10か年戦略」は平成17年3月に策定 したものでございますが、この中の重点項目としてたばこ対策を挙げておりまして、その中で受 動喫煙防止を含むさまざまな取組みを行っております。  ただ、現状といたしましては、受動喫煙防止対策はまだ不十分でございます。そこで、県では 公共的施設における受動喫煙による健康影響を防止するための条例を制定することとしたとこ ろでございます。  条例の制定に向けまして、昨年の11月に県民の意識調査、また、事業者調査等をさせていた だきました。受動喫煙の健康への影響についてどう思うかということについては、県民の84.4% が何らかの健康影響があるという認識があるということがわかりました。  一方では、受動喫煙防止の対策は進んでいるのかという認識を問うたところ、飲食店等では 50%を切る数字という話で、条例で公共的施設の喫煙を規制することに賛成だという方が 88.5%、90%近い方が賛成だという数字を得ております。こうしたことで、公共的施設において、 受動喫煙による健康影響を防止するための条例を制定する検討を始めたといういきさつでござ います。  4ページでございますけれども、ただいま申し上げさせていただきました県民調査アンケート だけではなく、神奈川県知事の松沢がふれあいミーティングという形で、県民と直接、8か所で およそ1,500人ぐらいの方と意見交換をさせていただきました。そうした中で、さまざまな意見 がございました。また、施設管理者、例えば飲食店や旅館、レストラン、理美容の方だとか、い ろんな業界の方と意見交換をさせていただきました。  昨年11月には公衆衛生の専門家でいらっしゃる先生や法律の専門家、医学の専門家、県民、 市町村の関係者等も参加していただいて検討委員会を開催させて、さまざまな意見をいただきま した。そうした中で、昨年の4月に基本的な考え方というのを示させていただいて、それに対し て、その時点では公共的施設における禁煙ということをうたって、更に罰則を設けた条例にしよ うという考え方を示させていただいて、県民にパブリックコメント等で意見をいただきました。  その他、松沢知事がパチンコ屋や居酒屋など、さまざまなところに直接出かけていって意見を 聞くという状況をつくらせていただいて、また海外の状況についても私も知事と一緒に香港、ア イルランド、イングランド等に調査に随行させていただきました。  そうしたさまざまな議論を経て、本年の9月10日に骨子案を示させていただきました。その 骨子案についてポイント等をお話させていただきます。  5ページになりますけれども、条例は、受動喫煙による健康影響を防止し、県民の健康を守る ことを目的とするとさせていただいております。  対象施設につきましては、これは後でもう一度触れさせていただきますけれども、禁煙とする 施設、禁煙または分煙を選択できる施設に分けさせていだいております。  また、未成年者の保護という観点から、喫煙が可能な場所へ未成年者を立ち入らせてはならな いということを、挙げさせていただいております。  更に、先ほども言いましたように、今後は周知もきちっとしていかなければいけないというこ とがありますので、そうした周知期間や準備期間を設けたことがポイントとなっております。  6ページをごらんください。主な内容でございますけれども、まず受動喫煙による健康影響を 防止するためには、すべての公共的施設において受動喫煙の防止が徹底されることが望ましいと 考えております。一方で、喫煙者、非喫煙者双方の自由や経済的な自由なども配慮することが求 められているということが、先ほどのさまざまな意見の中で求められました。  そこで、条例を実効のあるものとし、規制についてきめ細かい配慮をするため、施設の性質や 利用の実態等に応じた規制をすることとしました。具体的には、公共的施設を利用者の選択の余 地がない施設。これを第1種施設とさせていただきました。それと、それ以外の施設。これを第 2種に区分しまして、これらの施設で不特定多数の出入りすることができる公共的空間について、 第1種については禁煙していただく。第2種については本来は禁煙が望ましいんですけれども、 禁煙ないし分煙を施設管理者に選択していただくということにしました。  7ページ「規制の概要」に、図説しておりますが、第1種では禁煙、第2種では禁煙または分 煙を選んで、施設の入口に表示していただくことを義務づける形になっております。ここでいき なり喫煙所という言葉が出てくるんですけれども、海外と日本の一番大きな違いは、路上も喫煙 を禁止している、それも罰則を伴うという市町村が多いということですが、神奈川県においては たばこを排除するわけではないということをうたっておりますので、どこで吸うのかということ に対する1つの形として、第1種、第2種ともに喫煙所を設けることを可能という格好にさせて いただいています。  そうした中で施設管理上、喫煙区域から非喫煙区域にたばこの煙が流れ出ないようにすること が必要であります。分煙のためには喫煙区域と非喫煙区域を、ある程度仕切りで分離する。また、 換気扇などで屋外廃棄装置をつける必要がある。非喫煙区域から喫煙区域への空気の流れ、これ は厚労省の基準である毎秒0.2メートルをつくることを基準として挙げさせていただいておりま す。更に、喫煙区域など受動喫煙のおそれのある場所、喫煙が可能という場所には、未成年者を 立ち入らせないということを義務づけさせていただいております。  8ページ、実効性を確保するため、義務違反に対して過料を科すこととさせていただいており ます。個人に対しては、禁煙の場所では喫煙しないという義務に反した場合に過料を科すという 形になっております。施設管理者に対しては、施設の入口等に禁煙や分煙等を表示すること。喫 煙区域には未成年を立ち入らせないこと。非喫煙区域にたばこの煙が流れ出ないようにすること 等の義務違反に対して、いきなり過料という形ではなくて、立ち入り調査、指導、勧告、命令な どの手続を経た上で、それに従っていただけない場合には過料を科すという形になっております。  9ページですけれども、この条例の施行日につきましては、条例の趣旨、規制の内容などにつ いて十分周知する必要があると考えておりまして、このため公布の日から6か月後に施行するこ とを明示させていただいております。更に、禁煙または分煙の選択や、分煙のための設備、喫煙 所の設置などのために6か月間の準備期間をおいて、その上で表示義務や罰則を適用することと しております。すなわち、周知期間が6か月あって、その上6か月おいて罰則等を適用する形に なります。  なお、受動喫煙防止対策を今後より一層推進するために、条例は5年以内に必要な見直しをす るということにさせていただいております。  1つ抜けましたけれども、バーやキャバレー、パチンコ店、麻雀等につきましては、青少年の 利用が本来想定されていない施設、風営法等に基づいて、そういう形になっております。更に、 こういった施設では非常に喫煙率が高いという声もございまして、そうした施設及び利用者に対 して、きちっと周知するのに少し時間がかかるだろうということで、こうした施設については3 年間の適用を猶予し、その間に実質的に取り組んでいただき、また我々としても周知に努めてい きたいと考えております。  こうした形で骨子案を組ませていただいておりますけれども、この9月の時点でまだ検討すべ き課題として、何点か挙げさせていただいておりまして、これらについて今まさに議論を重ねて いるところになります。  その1つが、みんながたばこを吸うというような施設、そういう人たちしか立ち入らない施設 というものがあるのではないか。そういうことに対する対応をどうするのか。また、旅館業組合 からも宴会についてきちっと禁煙ということになると、申込みがなくなるということがあって、 そういうものに対して考慮してほしいということもありまして、そのことに対しても現在、どう いう形にするかは検討中でございます。  3番目の過料の額についても、さまざまな意見をいただきながら最終的な形に持っていきたい と考えております。  以上で私からのプレゼンテーションは終わらせていただきます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  今、御説明いただきましたけれども、何か委員の皆さんから御質問ございませんでしょうか。 ○望月委員 ありがとうございます。質問よろしいでしょうか。  この条例がどういう形になるにせよ、義務違反の取締りの方法については御検討なさっていら っしゃるんでしょうか。行政が取り締まるのか、あるいは利用者の苦情申し立てのような機関を 設けるんでしょうか。 ○玉井健康増進課長 取締りの体制というか、実効性を確保するための体制については、予算や 人の配置等の議論を我々保健福祉部で全庁的に議論をしていく中で、決めていこうというのが今 のスタンスで、今まさにこの点も議論をしていかなくてはいけません。  ただ、執行体制、たばこを吸う人は100万単位で神奈川県にもおりますので、実際に何千人い たらそれで十分かという議論もあるとは思うんですけれども、その点についても、いわゆる社会 の目といいますか、社会的な監視という言葉は余り好きではないんですけれども、そうした批判 等でかなり補え得るのではないかと考えております。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○永山委員 全旅連の永山でございます。多分いろいろ旅館関係の方にもヒアリングを続けられ て検討をされていると思うんですが、やはり我々が一番気になるのが、分煙を進めるにしても、 どうしても設備投資がかさんでくるということと、当然売上への影響が一番気になるところでご ざいます。  宴会場とかも気にはしていただいているので、恐らくこのままいろいろ議論が進んでいくんだ とは思うんですけれども、その設備投資に対するものと、売上への影響に対するもの。そういっ たことに関しまして県として、何か助成であるとかバックアップされるようなお考えはございま すでしょうか。 ○玉井健康増進課長 まず第一点なんですけれども、基本的な考え方のところで、できれば禁煙 を選択していただきたいというのが根底にございます。禁煙については設備投資等全くかからな いわけで、そういう背景がまず1点あります。  もう一点は、健康増進法が15年ですからもう5年を経過している中で、積極的に取り組んで おられる施設もございます。そうした中で、今後新たにという形で何らかの支援をするというこ とになると、そうした人たちとの公平性という面もあると思いますし、もう一点は、やはり増進 法で努力義務とはいえ、そういうことが課されている中で、旅館等にしても一定の社会的な責任 というのはあるんだろうと思っています。  ただ、そうは言いましても、なかなかしゃくし定規にはいかないところがあるのかなと思いま す。実際は分煙をしたい、または喫煙所をつくりたいんだけれども、どうしても資金面で、とい う問題は声としては聞いております。そうした中で、どういう形がいいのかというのは、全体を 議論しながら決めていかないといけないと思っていますけれども、それも先ほども言いましたよ うに、今、条例案に向けて議論しているところでございます。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○曽根委員 曽根でございます。  これは神奈川県内の保健所の役割みたいなものは、この中に盛り込まれていますでしょうか。 ○玉井健康増進課長 先ほども言いましたように、がんへの挑戦10か年戦略の中で、たばこ対 策ということで、未成年に対する対策、受動喫煙の防止、受動喫煙の影響等に関する普及啓発も 今までやってきております。また、禁煙支援を神奈川県はかなり一生懸命やっているんですけれ ども、たばこをやめたい人たちへの相談という格好で、いろいろ保健福祉事務所と連携をしてや っております。  また、こうした条例ができれば、当然そうしたものの中で連携してやっていかないといけない と考えております。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○加治委員 加治です。すばらしい条例づくりの取組みに敬意を表したいと思います。ただ1つ 残念なのが、職場のバックヤードといいますか、従業員の控え室、休憩室までについては除外さ れています。従業員の中には当然、未成年の方もいらっしゃると思うんですけれども、その辺り で御配慮お願いできないかと思います。 ○玉井健康増進課長 確かに、職場における受動喫煙というのは、いろんな調査等においても重 要だという認識を持っております。またもう一つ、家庭等においても受動喫煙に対する影響は大 きいことは十分認識しております。  そうした中で、なかなか家庭の中まで条例がというのも、そこは一歩引かざるを得ないところ だと思っておりますし、職場におきましては労働安全衛生法等の仕組みがございまして、労使関 係の中で話し合いをすることによって進めていくという仕組みもございます。県の条例としての、 ある意味労働衛生関係のところに規制をするということに対しては、なかなか難しいのではない かと思います。  ただ家庭においても、職場においても、受動喫煙及びたばこに対する普及啓発活動というのは 可能だと思いますので、規制ということにとらわれずに、そうしたところには普及啓発という形 で取り組んでいきたいと考えております。 ○加治委員 わかりました。ありがとうございました。 ○久道座長 ほかにございませんか。  この条例は知事提案の条例ですか。それとも、議員提案ですか。 ○玉井健康増進課長 議員提案ではなくて、知事が2期目に合わせてマニフェストの中でうたっ ているということはございます。ただ、その前から受動喫煙の防止に対する取組みというのは、 全庁を挙げてがんに対する対策ということで進めておりましたので、それと相まってという形に なると認識しております。 ○久道座長 これは、これから提案するんですか。議会にもう提案したんですか。 ○玉井健康増進課長 今まで基本的な考え方という格好で議会に提案し、骨子案という格好で提 案し、この次には条例案という形になっていき、できれば今年度中にはきちっとした形で提案を していきたいと考えております。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○曽根委員 骨子案が発表されてから、県民の皆さんの反応はプラス、マイナス両方あると思い ますけれども、いかがでしょうか。 ○玉井健康増進課長 基本的な考え方でも、骨子案についても、パブリックコメントということ で広く一般の県民の方から意見をいただいておりまして、先ほども知事とふれあいミーティング という形で、直接対話をしてという格好で意見交換をさせていただいております。  それが十分か不十分かという議論はさておきまして、やはりさまざまな意見が出てきておりま す。特に骨子案で言えば、基本的な考え方で禁煙という形を打ち出しておきながら、分煙を導入 したことに対しては一歩後退ではないかという意見だとか、一方ではやはり規制をするとなると、 やはり経済的な影響が大きいという懸念の声は聞こえてきます。賛否両論というか、さまざまな 意見が寄せられているという状況でございます。 ○久道座長 今日は玉井さんは最後までおられる予定ですか。 ○玉井健康増進課長 はい。そのつもりです。 ○久道座長 それでは、また何か思い出して質問がありましたら、そのときにお願いをしたいと 思います。  それでは、説明をいただくのを進めていきますが、続きまして岩室様、山下様にお願いします。 日本たばこ産業株式会社の取組みについてということでお願いいたします。 ○山下渉外企画部長 日本たばこ産業株式会社の山下でございます。よろしくお願いします。  まずは、本検討会にお呼びいただきまして、発言の場を与えていただいたことに深くお礼を申 し上げます。誠にありがとうございます。  早速ではございますが、お手元の資料の2ページ目をごらんいただければと思います。2007 年に公表されました「健康日本21」の中間評価報告書におきまして「分煙の推進など昨今の様々 なたばこ対策の成果は着実に進展している」、あるいは「公共の場及び職場における分煙に対す る取組みも増加している」という評価がなされております。  3ページ目につきましては、その具体的な進展度合いを示しておりまして、また、4ページ目 は私どもJTが行ったアンケート結果、手前みそではございますが、主な健康増進法25条の対 象施設の禁煙及び分煙の推移を示しております。これらの調査結果からも、ここ数年間で取組み が着実に進展していることは、明らかであると考えているところでございます。  しかしながら、その進展度合いに関しましては、業種や施設の対応や利用者の実態によっては まだまだ不十分な部分があるという御指摘がなされていることも、承知しているところでござい ます。  この度の検討会は、先ほど申し上げましたように、着実な成果を挙げている健康増進法の枠内 で、いかにすれば受動喫煙防止対策の取組みをより一層推進させ、実効性を上げることができる だろうかという趣旨で開催されているものと私どもは承知しておりまして、私どもJTもその趣 旨に賛同しているところでございます。  したがいまして、本日は皆様方、委員の先生方の御検討に資するような、私どもJTが実際に 実施しておりますさまざまな取組みを御紹介するとともに、国として採択可能な対策を御提案さ せていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  私どもJTは、たばこを吸われる方とたばこを吸われない方とが、協調して共存している社会 が望ましいと考えております。その実現のためには、たばこに関わる諸問題を解決することが肝 要でありまして、そのためにJTといたしましても、さまざまな取組みを実施しているところで ございます。  たばこに関わる諸問題は、例えばポイ捨てによる美観の問題であるとか、人込みでの歩きたば この安全の問題、未成年者喫煙の問題などさまざまございまして、本検討会で御議論されており ます受動喫煙の問題も、その例外ではございません。たばこを吸われる方が吸入した煙、これは 主流煙と申しますが、その主流煙の吐出煙とたばこの先端から出る煙の副流煙が、空気中で混じ り合って拡散し、薄められたもののことを環境中たばこ煙といいまして、周りの方がこの環境中 たばこ煙を吸い込むことが、いわゆる受動喫煙と呼ばれることは、説明の必要もなかろうかと思 っています。  非常に薄められたものとは言いましても、環境中たばこ煙を吸引することによる影響というの はございます。まず気密性が高くて換気が不十分な場所では目、鼻、のどに対する刺激や不快感 などの症状が発生するという急性の影響がございます。そして、多くの疫学研究により報告され ておりますが、例えばお子様のぜんそく発作の誘因あるいは子どもの受動喫煙による呼吸器系疾 患や症状の悪化という慢性の影響もございます。  一方、受動喫煙と肺がんや虚血性心疾患などとの発生との関連性は、大部分の疫学研究におい て統計的に有意な結果が示されておらず、科学的に説得力のある証明がなされていないものと、 私どもJTは考えております。しかしながら、たばこを吸わない方々にとって受動喫煙はしばし ば迷惑となり得ると考えているところでございます。  こうした私どもJTの考えの基礎となっている資料も、5ページから10ページに、御参考ま でに掲載させていただいております。  したがいまして、私どもJTといたしましては、たばこを吸われる方お一人おひとりに、どの ように吸っていただければ、吸われない方々に対してこうした迷惑をおかけしないかということ を考えて、その解決のためのさまざまな取組みを実施していると御承知おき願えればありがたい と思います。  それでは、JTの取組みにつきまして、普及啓発という観点と具体取組みという観点と大きく 2つに分けて、御説明いたしたいと思います。まずは普及啓発に関してでございますが、2つの 取組みを現在行っておりまして、順に御紹介いたします。  普及啓発に関する1点目としては、喫煙マナーの啓発を行っております。11ページ目をごら んください。「あなたが気づけばマナーは変わる。」というコピーで広告活動を積極的に発信して おります。これは、たばこを吸われる方が御自身の行動を振り返って、マナーの大切さに気付い ていただきまして、更に考えていただき、ひいては行動を変えていただきたいという思いを込め て実施しているものでございます。  普及啓発に関する2点目につきましては、分煙に関する啓発活動を実施しております。分煙に つきましては従来、当社のウェブサイトにて具体的な分煙方法や、分煙アイテム等の御紹介を行 ってまいりました。今年の8月には新聞紙面にて、私どもJTの考えます分煙に関する基本的考 え方をお示しする企業広告を実施いたしました。  12ページ目をごらんください。非常に細かくて見にくいものではございますが、こちらの広 告でお伝えしたかったメッセージは、次の3点でございます。  1点目は、分煙のカタチは1つではないということでございます。私どもは分煙の形は1つに 決めてしまうものではなくて、たばこを吸われる人にとっても、吸われない人にとっても、更に はその施設を提供される管理者側にとっても、さまざまな選択肢が整っており、それを利用者あ るいは施設の管理者が自由に選べる環境があるんだということが、世の中全体、社会全体でより 分煙が進んでいる状態、つまり分煙社会であるんだと考えております。  2つ目は、分煙の推進に貢献するために、私どもJTは具体的に取り組んでいるんだというこ とをお伝えしたかったということでございまして、具体的な取組みの詳細については、後ほど紹 介させていただきたいと思います。  最後になりますが、3点目といたしまして、私どもJTの目指す最終的な目標である分煙のカ タチというのは、なかなか難しゅうございますが、人を分けるのではなくて煙を分けるという夢 を持っているんだとお伝えしたかったことでございます。たばこの煙やにおいをより完全にコン トロールして、同じ空間であってもたばこを吸う人も吸わない人も、たばこの煙やにおいを気に しなくていい、そんな空間を提供したいと考えまして、幅広い専門家の方々等と共同で、現在道 半ばでございますけれども、研究開発に着手しているところでございます。  13ページ目をご覧下さい。こうしたメッセージをお伝えする新聞広告を皮切りに、さまざま な分煙の在り方をわかりやすくお伝えするためのテレビ広告も開始いたしました。また、分煙ド ットコムという名前のウェブサイトを立ち上げまして、分煙を始めてみようかという御興味を施 設の管理者の方々に、詳細な情報提供を行っているところでございます。  次に、私どもJTが実施しております具体的取組みの詳細を、限られた時間でございますが、 3点ほど御紹介いたしたいと思います。  1点目は、喫煙場所の整備への協力でございます。空港や駅などの公共の施設におきまして、 喫煙場所の設置にさまざまな方々と協力して進めておるところでございます。資料につきまして は一部例でございますけれども、14ページと15ページにございます。  本日はその中から、14ページ目の新千歳空港の事例を簡単に御紹介いたします。新千歳空港 の喫煙スペースは、天井部で気流を制御する誘引気流分煙システムを導入しております。これは 天井部に設置されました誘引気流フラップが気流を生み出しまして、立ち昇ったたばこの煙を排 気ダクトへ誘引して、屋外へ排出するという仕組みでございまして、これによりまして入口にド アがなくても、十分な陰圧を室内に確保することができて、煙やにおいが喫煙スペース外へ漏れ にくくなっているという構造になっております。これはあくまで一例でございます。  2点目の私どもの取組みといたしましては、分煙コンサルティングという活動の実施でござい ます。16ページ目になります。こちらは分煙を望まれるビルオーナーの方々や施設管理者の方 からの御相談窓口といたしまして、2004年より社内に分煙コンサルティングチームを設け、当 該施設の特徴や、それらを利用される方々のニーズに応じた分煙のコンサルティングを無償で実 施しておりまして、2008年9月末現在で、1,295件の施工の具体的なお手伝いをさせていただ いているところでございます。  17ページ、18ページでは、私どもがどのようなお手伝いをしているかを御理解いただくため に、具体的な実例を御紹介しております。例えば17ページ目の、あるイベントホールの例でご ざいます。この施設の担当者のお悩みは、開催するイベントによっては屋内の喫煙所がいっぱい となって、通路まで煙が広まってしまう一方で、敷地が広すぎるので、休憩時間中に喫煙者を屋 外喫煙所に誘導することは非常に難しい、何とか解決できないかという御相談でございました。  ついては、屋内喫煙所を何とか改善して対応できるようにしてほしいということから、早速そ の施設担当者の方が、私どもが王子に持っておりますJTの分煙試験室というところで、こうい う幾つかのテストなどデモンストレーションをやっておりますので、こちらの方にお越しいただ いて、そこで煙の流れの特徴や効果的な間仕切りのデモンストレーションを御体験していただき ました。  次に、現地の喫煙場所を訪問しまして、施設の実際の使用状況を見させていただいた上で、改 善方法をその施設の担当者と御相談させていただくという手順で、具体的なコンサルティングを 進めてまいりました。  その結果、施設側がまず排気装置を設置されまして、更に喫煙場所と非喫煙場所の境界部にカ ーテン等を仮設されましたので、こちらからはスモークマシン等を持参して、煙の流れ及び漏れ を確認しながら最適な形状をシュミレーションして、施設管理者とさらなる精緻な検討を重ねて まいり、最終的には施設側が写真のような形でビニールカーテンだったんですが、比較的安価で ビニールカーテンを設置され、こうすることによって十分な陰圧が確保できましたので、喫煙環 境を改善することができ、その後、お客様からの苦情も減ったということで、施設担当者に非常 に喜んでいただくことができたという状況でございます。  19ページから26ページは、このような分煙コンサルティングを実際に実施させていただいた さまざまな施設の施工例でございまして、時間の関係で説明は省略いたしますが、もし御興味が ある方がおられましたら、後日改めて、よろこんで御説明させていただきたいと思います。  最後になりますが、私どもが実施しております3つ目の取組みは、さらなる分煙環境向上のた めの未来に向けた取組みでございまして、これは先ほども述べましたとおり、我々が目指す分煙 の最終的な形である、「人を分けずに煙を分ける」ことを目指した取組みの1つの事例でござい ます。  27ページをごらんください。私どもJTは2006年から快適な分煙環境をつくるための第一歩 として、アイデアや空間作品例を一般の方々から募集する「SMOKERS’STYLE CO MPETITION」という試みを行っております。2007年度の最優秀賞受賞作品は、煙の流 れがある程度調整可能な上下移動型のパラソルを軸に、空間を分断せずに分煙を可能とするとい うアイデアでございまして、まだまだ不完全ではございますけれども、28ページ目にもありま すように、そのコンセプトは、実際に原宿のカフェ・スタジオというところで、現実的に生かさ れているという状況でございます。  次に、社会全体で受動喫煙防止対策の取組みをより一層進めていくために、私どもJTが考え る解決策を2点、御提案いたしたいと思います。  1点目といたしましては、そもそも健康増進法を御存じでいない施設管理者が、まだ多くいら っしゃるのではないだろうかという観点からの御提案でございます。29ページは今日お越しに なっていらっしゃいます、玉井課長のところで出されましたアンケート結果を若干見やすく加工 したものでございますが、青い線が健康増進法25条の認知率、赤い線が受動喫煙防止のための 分煙や禁煙等の何らかの取組みを実施しておられる施設の割合でございます。  このグラフから2つのことが言えると考えております。1点目は、そもそも健康増進法25条 について御存じでない施設の管理者は、まだまだ多く存在するのであろうということ。そしても う一つは、健康増進法の認知が高い施設は取組みが進んでおり、反対に認知が低い施設では認知 の高い施設と比較して、今一歩、取組みが進んでいないのではないかということでございます。  これらのことから、私どもが御提案申し上げる第一点目は、まずは健康増進法を更に周知徹底 して、受動喫煙防止対策について一層の理解を求めていけば、受動喫煙を防止することを格段に 前進させることが可能ではないかと考えておりまして、健康増進法の趣旨から遅れているという 御指摘のあるような施設の方々に、周知徹底を進めていくことが提案の1点目でございます。  2点目は、健康増進法を御存じでも、なかなか取組みを行うことが難しい施設の管理者がいら れるのではないかという観点からの御提案でございます。取組みを行うことが難しい施設の多く は、分煙をするためのスペースを確保できなかったり、分煙をするためのコストに課題のある中 小の零細施設ではないかと想像しております。  このような施設にとって、もし全面禁煙しか取り得る措置がなかった場合は、例えば喫煙場所 規制が導入された多くの国の先行事例で数多く報道されていますように、飲食店の売上減少と、 それに伴う従業員の解雇、屋外喫煙場所を確保するための新たな設備の投資競争と、その競争に 敗れた小規模施設の廃業、さらには予想だにしなかった酒類の売上減少など、さまざまな影響が 生じるという懸念もございます。30ページ、31ページは、それら経済的影響を伝える報道のほ んの一部ではございますが、御紹介申し上げてございます。  こうした施設に対する配慮を考えた上で、私どもが御提案いたしますのは、店頭掲示の奨励で ございます。資料は32ページです。店頭掲示の奨励とは、その施設が喫煙可能か、全面禁煙な のか、分煙であればその詳細、例えば喫煙スペースが設置されていればその旨、あるいは時間分 煙であれば禁煙時間帯などを施設入口に掲示するよう、国や自治体が施設の管理者に対して奨励 していくという考え方でございます。この方法によりますと、施設の利用者はその施設の禁煙に 関する店頭掲示を見ることにより、施設の利用に先立って、施設内の環境を知ることができます ので、不意の受動喫煙を効果的に防止することができるものと考えております。  また、非常に簡単、低コストでございますので、より多くの施設で取組みを進めていくことが 可能となると考えておりまして、冒頭に申し上げました、社会全体で受動喫煙防止対策をより一 層進めていく、分煙社会を目指すという意味では、非常に貢献する考え方であると考えていると ころでございます。  本日は貴重なお時間をいただきまして、受動喫煙防止対策をより一層進めていくため、健康増 進法の周知徹底と店頭掲示の奨励という2点の解決策を御提案申し上げました。これから更に、 国と幅広い専門家や関係者の方々との協議が行われることと存じております。その際は私どもJ Tといたしましても、これまでの知見を御提供するにとどまらず、その企画や実行においての協 業等、さまざまな御協力をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたしま す。  御清聴ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  今、説明いただきましたけれども、何か委員の方で御質問ございますか。 ○加治委員 何点かお尋ねしたいんですけれども、御社は受動喫煙による健康被害というものを 認めていらっしゃらないようですけれども、唯一副流煙が周囲の人に対して非常に強い粘膜刺激 作用を及ぼし、そして目や鼻あるいはのどへの刺激や不快感などを生じさせるということは認め て、そのホームページにも掲載していらっしゃいますけれども、その副流煙が非常に強い粘膜刺 激作用を及ぼす理由の第一は、たばこにアンモニアが添加されていることです。  厚生労働省のホームページに、たばこのさまざまな銘柄の主流煙、副流煙の中に含まれるアン モニアの量を測定したデータが掲載されていますけれども、これをお配りしていいですか。 ○久道座長 はい。 ( 資料配布 ) ○加治委員 これを拝見しますと、例えばマイルドセブン1本当たりの主流煙中に、アンモニア が31.3μg含まれていて、副流煙中には6,701μg含まれており、非常に大量のアンモニアが副 流煙には含まれておりまして、アンモニアは強アルカリ性ですので、これが粘膜に刺激作用を非 常に強くもつわけです。  それがある意味、副流煙が周囲の人から非常に嫌われる原因になっているわけですけれども、 それはたばこ会社にとっても非常にリスクだと思います。それだけのリスクを冒してまで、しか も非常に人体に有害なアンモニアをたばこに添加している理由をお尋ねしたいんです。 ○久道座長 岩室フェロー、どうぞ。 ○岩室フェロー アンモニアを積極的に添加しているということはございません。恐らく副流煙 に多いのは、燃焼状態等の違いによって発生してくるものだと思いまして、もとは植物体なもの ですから、そもそも葉っぱの中にそういうものも含まれていると御理解をいただきたいと思いま す。 ○山下渉外企画部長 補足申し上げます。当社のホームページで、製品に添加しております添加 物を開示しておりますが、当社といたしましては、当社の製品にアンモニアを添加物として使用 しているということはございません。 ○加治委員 間違いないですか。御社がたばこに添加している化学物質リストが確かにホームペ ージ上に公開されていますね。二百数十種類の化学物質がここに表示されていますけれども、確 かにアンモニアというのは書かれておりません。ただ私の理解では、各たばこ会社はアンモニア をたばこに添加して、製品としてつくっていると聞いています。  その理由は、アンモニアが添加されていますと、ニコチンの吸収が非常に早くなりますので、 たばこを吸われる方がたばこを吸ったときに、血液中のニコチン濃度の上昇が非常に早くなる。 それが脳の細胞に影響を与えて、ニコチン依存状態をつくり出していると言われていますので、 つまりはたばこを吸われる方が早くニコチン依存状態になるように、それを目的としてアンモニ アを添加していると聞いているんですが、そうではないんですか。 ○岩室フェロー そういうことではないと申し上げます。 ○久道座長 これはJTだけの質問ですか。それともほかの会社に対してもですか。 ○加治委員 ほかの会社の方にも御質問したいと思います。 ○久道座長 もしよろしかったら、どうぞ。 ○ニクソンディレクター JT社さんが申し上げられたとおり、たばこ製品には添加物としてア ンモニアを加えていることはございません。アンモニアはたばこ葉に自然に含まれているもので ございます。  10年ほど前に、アメリカのテレビ番組でこういった報道がなされたことがございまして、そ こでこういうように理解されている方がいらっしゃるわけですけれども、それは事実と異なって おります。 ○久道座長 ブリティッシュ・アメリカン・タバコの方もどうぞ。 ○辻広報・渉外企画統括部長 後の御説明のところでも申し上げようと思っていたんですけれど も、私どもは科学的見地からお答えできる人間が日本にはおりません。したがいまして、ただい まの問題についてはこの場で即答させていただくことはできない状況でございます。一旦持ち帰 らせていただくとか、そのようにさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○久道座長 わかりました。 ○加治委員 後日の検討会で御報告いただけるということですか。 ○辻広報・渉外企画統括部長 はい。そういうことでございます。 ○加治委員 済みません、もう一点よろしいでしょうか。  今日お配りいただきました資料にも、例えば9ページに受動喫煙の肺がんリスクに関する個々 の疫学調査のデータを掲載していただいていますけれども、受動喫煙の有害性というのは結論の 出たことで、議論の余地はないと理解しているんですが、ここに掲載されましたデータのそれぞ れにつきまして、この研究者がたばこ会社から研究資金の提供を受けたデータかどうかというこ とを明らかにしていただきたいです。  と申しますのは、アメリカの医師会雑誌に数年前に報告されていますけれども、たばこ産業か ら研究資金の提供を受けている研究者は、受動喫煙の害を否定する論文を書く率が非常に高いと 言われています。  たばこ会社から研究資金の提供を受けている研究者と、受けていない研究者で比較しますと、 受動喫煙の害を否定する論文を書く率が88対1ぐらいで非常に大きな差があります。88対1と いう大変な違いですので、受動喫煙の害を否定する論文というのは、ほとんどがたばこ会社から 研究資金の提供を受けている研究者が書いたものと考えてもいいのではないかと思うんです。  そういう意味で、ここに提供されたデータそれぞれにつきまして、たばこ会社から資金の提供 を受けた研究なのかどうかを知りたいと思います。 ○久道座長 簡単に答えられないでしょう。 ○岩室フェロー どれが受けているかどうかについては、私どもはわかりません。ただ、ここに 載せていますものは下に書いてありますようにIARCが評価を行うに当たって用いた文献を、 そのまま最初の46報が載せているという選択基準で載せています。私どもが選んだというわけ ではありません。 ○久道座長 このたばこあるいは受動喫煙のリスクに関する議論はこの場でしないことにして、 したがって、そういう資料は余り持ってこないようにと言っておったんですが、会社の事情で挟 まったようですので、この議論はしません。  科学的ないろんな議論は既に済んでいるという解釈を、我々の委員会はしています。ただ、枠 の中に書いた結論、グラフの読み方や解釈の仕方については、気に食わないところはありますけ れども、これは無視します。ですから、今の質問に対して少し無理ではないかと思います。  ほかに何かございますか。 ○曽根委員 JTさんの方でマナー広告をたくさんされていると思うんですけれども、広告費は どのくらいで、マナー広告の効果の評価はどのようにされていますでしょうか。マナーは実際に どの程度向上したのかといった数字はございますでしょうか。 ○山下渉外企画部長 御質問の1点目の費用の開示は御容赦いただきたいと思います。効果につ いては、「あなたの周囲の喫煙者は周りの人やマナーに配慮してたばこを吸っていると思います か」という質問に対しまして、いつも配慮している、まあ配慮していると思う、その合計の経年 推移で、だいたいサンプル数3,000人ぐらいの喫煙者あるいは非喫煙者のたばこに対する意識調 査をやっております。  そちらの喫煙者に対する調査の結果ですが、2003年度で68.4%、2004年度で67.2%、2005 年度で72.6%、2006年度で71.6%、2007年度で78.2%ということで、この5年間で約10ポイ ント強、マナー意識が上がったということで、「あなたが気づけばマナーが変わる」という新し いマナー広告を始めてからの効果は絶大であったかなと自負しているところでございます。 ○曽根委員 調査の中でその方たちに、マナー広告の認知度みたいなのはお聞きになっています か。 ○山下渉外企画部長 マナー広告の認知度は手元に情報はございませんが、90%近い認知度は獲 得していると認識しております。 ○曽根委員 私もJTの広告等を列車やテレビ等で拝見しています。例えば報道ステーションで あるとか、みのもんたさんの朝の番組等でもJTがスポンサーをされているので、あるいはマナ ー広告というのは実際にそのマナー広告の効果自体をねらうよりも、マスコミを味方につけるよ うな効果をねらったのではないかと考えておりましたので、そういう質問をさせていただいたん ですけれども、一応調査の中では効果が出ているとJTさんは認識されているということですね。 ○山下渉外企画部長 そうですね。特に先ほど申し上げました「あなたが気づけばマナーが変わ る」という新しいマナー広告は、ある意味たばこを吸われる方からも、たばこを売っている会社 にしては厳しすぎるという御批判を、たばこを吸われる一部のお客様から受けた広告ではござい ましたが、社内的には結果非常に効果があったとには評価しております。 ○曽根委員 もう一つよろしいですか。  JTさんはマナーで問題を解決されると認識されているのでしょうか。つまり、規制はじめと するいろいろな分煙等の問題を、喫煙者のマナーを改善することで解決するという認識なんでし ょうか。 ○山下渉外企画部長 その点につきましては、先ほど御説明申し上げました分煙コミュニケーシ ョンのところでも明示したところですが、マナーだけですべてが解決できるとは考えておりませ ん。したがいまして、マナーについても行いますが実際の施設に対する支援も行わなければなら ないと考えているところでございます。 ○久道座長 望月委員、どうぞ。 ○望月委員 今の曽根先生の御質問に関連して、コメントなんですけれども、この10%上がっ たというのはJTさんの調査で確かに数字は上がっていると思うんですが、この広告をまた別の 見方をしてみると、マナーとはこういうものだという定義をプロモーションしていて、本来受動 喫煙の問題をどう解決するかを社会全体で考えている中、マナーかもしれないしルールかもしれ ないし、相互の歩み寄りかもしれないんですけれども、気付いたことがマナーである。あるいは 携帯の灰皿を持つことがマナーであると、もしその調査の対象者がそう認知していけば、それは 間違いなく広告の効果ということは上がるんではないか。斜めから見るとそう分析もできるんで すけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○山下渉外企画部長 マナーについて、我々の方が定義した方向へ効果があったと見るべきでは ないかという御指摘でしょうか。ご質問の趣旨がよく分からないのですが。 ○望月委員 そういう見方もできるし、マナーというのは何がマナーなのか非常にあいまいな概 念で、私たちは健康の立場から受動喫煙による影響を減らそうという努力をしているし、それに 対しての害の啓発活動を行っているんですけれども、その問題がマナーという言葉によって別の 問題に定義し直されて、その解決策としてまた別の解決策が定義し直された広告という意図であ れば、これは間違いなく数字は上がっているのかなと思います。  だから、そういう見方をしてみましたというコメントです。 ○山下渉外企画部長 では回答を求められているわけではないと思ってよろしいでしょうか。 ○望月委員 はい。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○曽根委員 今、ラウンジの新設などがありましたが、あのラウンジの費用はJTさんが負担し たのでしょうか。 ○山下渉外企画部長 費用の按分などは施設管理者との関係もありますので、具体的な開示は控 えさせていただきたいと思います。施設の方々が費用の大半を持ち、私どもは知見とさまざまな シミュレーションであるとか、設計のお手伝いだけをしたというケースもありました。ここまで やりたいんだけれども費用が厳しいというお話があり、場合によっては、例えば先ほど議論にな りましたマナー広告ですが、マナー広告の掲示場所を置かせていただけるということであるなら ば御支援できますという形で、多少は出させていただいたケースもあります。  ただ、基本的には施設管理者さんの問題でございますので、施設管理者さんに費用金額を持っ ていただきたい、私どもはできるだけサービスの提供に徹したいと思っております。 ○曽根委員 先ほど、JTさんが最後の方でおっしゃった中小企業への支援をしたいということ であれば、例えば希望する分煙施設を希望する飲食店に補助金を出したり、あるいは融資すると かという、例えば1件100万円したとしても、1万件あったとしても100億円ですね。JTさ んの経常利益から言えばそれほど大きな金額ではないかと思うんですけれども、そういう直接的 なサポートは内部で検討されたりはしないんでしょうか。 ○山下渉外企画部長 社内的な議論をこの場で言っていいのかどうかはわかりませんが、例えば 広告費をすべて喫煙場所をつくるのにシフトした方が、効果的ではないかとかという議論は安易 には起こります。我々にもその社会問題の責任の一端があるとすると、その責任の解決者の1人 でありたいという願いがあります。一方で基本的には社会問題ですので、皆さんと手をとって解 決していきたいというのが、我々の哲学であると理解していただければありがたいです。 ○久道座長 それでは、先に進めます。  続きましてピーター・ニクソン様より、公共の場所での喫煙規制についてお願いいたします。 ○ニクソンディレクター フィリップモリスジャパンのピーター・ニクソンと申します。今日は このような機会をいただき、ありがとうございます。本題に入る前に、弊社について簡単に御説 明したいと思います。資料の2ページをごらんください。  フィリップモリスジャパンは日本のたばこ市場において、業界第2位の会社です。弊社は国際 的な大手たばこ会社である、フィリップモリスインターナショナルの子会社です。本日は弊社の たばこ政策に関する基本的な考え方や、海外の国々における公共の場所での喫煙規制の事例を中 心にお話をさせていただきます。  まず、公共の場所での喫煙規制の話に入る前に、たばこ政策に関するフィリップモリスの基本 的な考え方について御紹介します。3ページをごらんください。  弊社はたばこ政策に対して包括的なアプローチをとることを支持しています。ごらんのチャー トは幾つかの代表的な観点を示していますが、公共の場所での喫煙規制も、この包括的なアプロ ーチの重要な要素の1つです。  次のページをごらんください。公衆衛生当局は受動喫煙が非喫煙者に、さまざまな病気を引き 起こす原因となると結論づけています。成人喫煙者はその結論を十分に理解して、いつ、どこで たばこを吸うかを考えるべきですし、子どもがいる場所ではたばこを吸うべきではありません。 国内の公共の場所における喫煙は、この結論に基づいて規制されるべきと弊社は考えます。  最近、海外の多くの国で、公共の場所での喫煙規制が広がってきました。次のページをごらん ください。このチャートは弊社の独自の調査に基づいて、各国の公共の場所での喫煙規制の現状 を示しています。一般的に、これらの規制は公共性が高い場所、例えば交通機関のような場所と 飲食店のような、人々が選んでいく場所を区別しています。チャートにある赤い丸は、これらの 場所の両方において禁煙を含めた規制を設けている国です。緑の丸は、規制がほとんどない国で す。黄色い丸が一番多いんですが、これらの国の大半は飲食店のような場所でたばこが吸える規 制になっています。  このように、公共の場所での喫煙規制は、1つの決まった規制の方法があるのではなく、国に よってその国の文化や社会事情を反映した規制になっています。  それでは、幾つかの代表的な事例を御紹介したいと思います。次のページをごらんください。 まず1番上、私のふるさとであるイギリスの事例です。昨年の7月、イギリスではアイルランド に続いて公共の場所の禁煙がスタートしました。イギリスのほかにカナダやアイスランドなどの 国では、既に全面禁煙が施行されています。  次の2か国はフランスとイタリアの事例です。この2か国はよく全面禁煙を施行している国と 言われることが多いんですけれども、実はそうではありません。人々が行かなければならない場 所や、未成年者を対象とした施設では全面禁煙となっています。一方で、飲食店のような人々が 選んで行ける場所では、事業主は喫煙室を設置することができます。  フランスでは喫煙室での飲食の提供はできませんが、イタリアでは喫煙室で飲食の提供は可能 となっています。そこで何が起きたかといいますと、喫煙室を設置した店もありますが、多くの 店では喫煙は外のテラスに移るようになりました。皆さんの中にもフランスやイタリアへ旅行し たことがある方もいらっしゃると思いますが、御存じのとおり、屋外テラスの食事は一般的であ り、この規制が入ったことによって大した変化はありませんでした。  スペインでは飲食店の喫煙規制は店舗の面積によって異なっています。100平米以上の店舗で は、規制はイタリアと似たようなものになっていますが、100平米未満の店舗では喫煙ポリシー を決める裁量が事業主にあります。これらの飲食店では、事業主が禁煙か喫煙かのどちらかに決 め、入口にその方針を掲示することが義務づけられています。喫煙可能の場合には、未成年者の 入店はできません。スペインでは、タパスバーと呼ばれる小さな飲食店が多くあります。タパス バーは分煙することが困難ということで、このような規制が設定されたと私は聞いております。  最後の2か国はドイツとアメリカの事例です。これらの国では連邦レベルの規制がほとんどな く、公共の場所の喫煙規制は州によって異なっています。したがって、厳しい規制を執行してい る州もあれば、規制自体が存在しない州もあります。  このように、公共の場所の喫煙規制は一律ではなく、文化や社会事情などに合わせたものにな っているという点を御紹介できたかと思います。  次に、日本における社会事情について、少し考えてみたいと思います。次のページをごらんく ださい。日本での公共の場所での喫煙規制を検討する際に、日本のユニークな社会事情として、 主に4つの観点があります。1点目は日本での現在の喫煙率が男性で約40%であることです。 他国と比べても喫煙率が高く、特に先ほど御紹介した欧米の国よりも高い率にあります。日本に おいては多くの喫煙者がおり、たばこを吸う場所が必要であることを考慮しなければなりません。  2点目は、屋外での喫煙規制が進んでいるということです。多くの都市部においては、路上喫 煙が禁止されております。したがって、たばこを吸える場所が減ってきています。この現象はほ かの国では見られません。  3点目は、飲食店の形態が欧米とは大きく違っている点です。例えば、この写真にある新宿で は、ビルの各フロアに複数の飲食店が密集しています。残念ながら、イタリアやフランスのよう なシングルフロアでテラスダイニングがあるレストランは、日本では一般的ではありません。  4点目は、日本では分煙が進んでいるという点です。まだ十分とは言えないとは思いますが、 ここ数年間に多くの場所において分煙対策が進められました。中にはしっかりとした分煙をして いる場所も多く見られます。  このように、日本のユニークな社会事情があります。まずこれらを慎重に検討して、環境をど のように改善するかを考えていくことが大切だと思います。そこで、どのように日本の現状を前 向きに改善できるかについて、弊社の基本的なアプローチと御提案について御説明します。資料 の最後のページをごらんください。  人々が行かなければならない場所や子どもたちがいる場所では、禁煙を含めた規制が適切であ ると考えます。これらの場所の多くでは対策が進んでいると聞いておりますが、更に対策の強化 が望ましいと思います。人々が選んでいく場所においては、事業主が喫煙についてのポリシーを 決めることができるようにすべきと考えます。その際には、事業主が受動喫煙の健康被害に関す る結論と、従業員や顧客の要望を考慮することが大事です。  更に、これらの場所においては入口に喫煙ポリシーを掲示することが義務づけられる必要があ ります。喫煙の可能な場所では、受動喫煙の健康被害に関する結論も併せて表示するべきだと考 えます。これにより、その場所での喫煙に関する状況が明確に把握できるようになり、また受動 喫煙の健康への影響についても理解することができます。  このような対策によって、喫煙者と非喫煙者の両方にとって、より望ましい環境づくりに向け たステップとなり、現在の日本の状況が大きく前進するものと考えます。  御清聴ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。どなたか質問ございますか。 ○曽根委員 今、お聞かせいただいたんですけれども、具体的にフィリップモリス社としては、 この対策進めるために何をしていらっしゃるのかが明確ではなかったかと思うんですが、教えて いただけますか。 ○ニクソンディレクター 2つのパートでお答えしたいと思います。1つは健康のリスクについ てコミュニケートをするということですが、特に喫煙者に対して喫煙の健康被害及び公衆衛生当 局の健康被害に関する結論、これを喫煙者の方にお伝えすることによって、人の周りで吸うとき に配慮するということ、あるいは子どもがいるところでは吸わないといったことを、きちっとコ ミュニケートしていくということが1点目です。  2つ目の部分としては、JT社さんも御紹介されておりまして、本日は自分の話の中には特に 取り上げませんでしたけれども、フィリップモリスとしましても大体の日本の主要都市におきま して、まず屋内における空港やショッピングモールへの喫煙所の設置を行っておりまして、社内 にそのためのチームも編成しております。屋外に関しましても携帯灰皿の配布でありますとか、 屋外の喫煙場所の設置等、それと同時にポイ捨てを防止する、ポイ捨てをしないというメッセー ジも伝えていくという活動を行っております。 ○久道座長 ほかにございませんか。それでは、なければ次に進みます。  辻様、土井様より、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの取り組みについてお願いいたしま す。 ○辻広報・渉外企画統括部長 ブリティッシュ・アメリカン・タバコの辻でございます。今日は このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございました。本日は事前資料で御説 明してまいりますけれども、まず1ページ目をごらんくださいませ。  私どもブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンはイギリスに本社を置きますブリティ ッシュ・アメリカン・タバコ、通称BATの日本における子会社でございます。御存じない方も いらっしゃると思いますので、概要を示させていただきました。  BATグループは設立後100年以上経過しておりしまて、基本的な考え方としましては、事業 を展開するそれぞれの国における歴史、制度、文化といった、その土地の社会環境を尊重すると いう経営方針を掲げております。したがいまして、現在に至りましても多様性を尊重した方針が、 グループの行動原則の1つとして経営に生かされております。  具体的には、例えばグローバル本社で決めたことを、事業を展開するすべてのマーケットのグ ループ会社に一律に義務づけるというのではなく、各マーケットの制度、文化、伝統といった社 会環境を取り入れて運営できる仕組みになっております。  また、たばこの規制につきましても、日本においては我が国の社会環境に合った形で実施して いくことが重要であり、これを無視して他の国で実施されているやり方を、そのまま導入するの は得策ではないというのが、弊社の基本的な考え方でございます。  BATジャパンについてでございますけれども、BATの製品自体は1984年から国内で販売 されてまいりましたが、BATジャパンという会社は7年前に設立された、若い会社でございま す。現在、市場でのシェアもまだ10%強というところで、会社としましては発展途上の段階で はございます。これから皆様の御指導をいただきまして、伸ばしていきたいと考えておるところ でございます。  それから、先ほど少し触れましたんですけれども、あいにく私どもブリティッシュ・アメリカ ン・タバコ・ジャパンには、科学的見地からのお話ができる担当者が日本にはおりません。した がいまして、私自身もその点についての専門家ではございませんので、誠に申し訳ございません けれども、この場では科学的見地に関する御質問については、一旦持ち帰らせていただくという 風に対応させていただきたいと思います。 ○土井グループマネージャー 資料の2ページに移らせていただきたいと思います。この資料の 2ページについて、ステークホルダーとの関係が記述されておりますが、ここは私、土井の方か らお話させていただきたいと思います。  弊社は2002年からステークホルダーとの対話を継続しています。弊社が取り扱っている製品、 つまりたばこ製品というのは潜在的な健康リスクがありますので、責任ある対応がとりわけ重要 だと認識しております。また、たばこを取り巻く関係者、ステークホルダーが、すべての点で考 えを一致させることはできないでしょうが、各々のステークホルダーが納得できる実行可能な方 法を考え、実施していくことで、少しずつ前進できるものと考えています。そのために、弊社で はこれからもステークホルダーとの対話、それから、彼らの意見に耳を傾けていく所存です。  ここで、今年行った対話と調査について、簡単に説明させていただきたいと思います。この対 話及び調査の目的は、それぞれのステークホルダーがたばこに関してどのような関心、または懸 念を持っているかを把握するために行いました。それぞれのステークホルダーによってニュアン スの違いはありますが、まず最も関心のある、または懸念している事項が未成年者の喫煙問題で す。また、ステークホルダーとの対話以外にも、一般の人からの意見も集めまして、彼らも同様 に未成年者の喫煙問題が、最も大きな懸念事項ということがわかりました。  未成年者の喫煙問題に関しては、今年7月からタスポカードが導入され、タスポカードにより 成人と識別された者のみが、たばこを自動販売機から購入できるシステムになっています。未成 年者の喫煙問題については、今後も社会全体で取り組んでいくことが必要だと考えております。  また、ステークホルダーとの対話で判明した第2の懸念事項なんですが、これは受動喫煙及び 喫煙マナーの問題とも関連するんですが、分煙についての問題です。2ページの下から3番目の ポイントですが、一般の方のコメントとして、最近は禁煙、分煙が進んできているという声が寄 せられております。これは健康増進法、また、公共の場所での禁煙政策が進んでいることを示す ものだと考えております。一般の方から寄せられた声や意見をすべてここで紹介することはでき ないのですが、喫煙者、非喫煙者ともたばこを吸える場所の確保というものは、必要だと感じて いると思います。勿論、完全な禁煙空間、完全な喫煙空間を分けるべきだという考えを出してい らっしゃる方もいます。  受動喫煙の防止策について、ステークホルダーにより考えや期待が違うと思いますので、特定 のステークホルダーの利害に偏らない政策が必要と考えております。ほかの人のたばこの煙はだ れしも迷惑なものであり、ほかの人のたばこの煙にさらされないようにするための取組みが必要 であるということは、改めて申し上げるまでもありませんが、現実的な取組として、分煙政策に よりたばこの煙にさらされる機会を低減できると考えております。  また、喫煙者であっても喫煙に関する健康について高い関心を示しているということが判明し ました。低リスク製品の研究開発が、私どもたばこ会社がなすべき責任ある行動の1つと考えて おります。後ほど、低リスク製品については説明させていただきます。 ○辻広報・渉外企画統括部長 次に、受動喫煙の防止策についてお話しさせていただきます。3 ページ目をごらんください。私どもは喫煙者、非喫煙者、そして喫煙者と非喫煙者の双方を顧客 に持つ事業者、以上の三者のすべてが納得できる規制を支持しております。したがいまして、先 ほど弊社に寄せられました一般の方々の声を紹介させていただきましたけれども、その中には路 上、公共交通機関といった施設での喫煙規制は成果が上がっていると見ている方がいらっしゃい ますので、このような場所での分煙は引き続き推進していくことが必要だと思っております。  一方、これらの規制によって喫煙できる場所が減少しております。これについては、やはり考 慮することが必要だと感じております。すなわち、喫煙者を顧客とする事業者を一律に規制する ことについては、消防法あるいは風営法等、既存の法規制との兼ね合いや当該事業者がテナント である場合の賃貸契約の制約など、さまざまな問題があることを認識して、このような立場に置 かれている方々の御意見も尊重することが必要かと思います。  したがいまして、飲食業、サービス業等におきましては、事業者の業績や顧客へのサービスに も影響を及ぼすことになりますので、一律に全面禁煙という規制を課すことは妥当でないと考え ています。したがって、利用される方に対してこの施設あるいはお店は禁煙、こちらは施設内に 喫煙スペースを設けた完全分煙、そしてこの店はテーブル席を分けたり、あるいは時間帯によっ て管理する分煙、あるいはすべての席が喫煙可能などと、入口に掲示しておけばよいのではない かと考えます。  このような喫煙者、非喫煙者、そして喫煙者と非喫煙者の双方を顧客に持つ事業者の、この三 者にとって納得のいく分煙の促進が現実的であり、実行可能な取組みであると考えます。  また、先ほど話がございましたが、私どもは長期的な研究課題として、低リスク製品の開発を 進めております。これには煙の出ないたばこが含まれます。例えばスウェーデンで使用されてい るスヌースと呼ばれる製品は煙が出ませんし、たばこ製品の使用に伴う健康リスクを低減できる 可能性があると考えております。弊社のスヌース製品は現在、一部の国でしか流通しておりませ んけれども、今後より多くの国で流通できるよう、研究を進めているところでございます。  4ページ目をごらんください。先ほど申し上げましたように、喫煙者、非喫煙者、そして事業 者が共存している現実を見据えまして、これら三者すべてが納得できる防止策を検討し、見出す ことが重要だと考えております。事業者による分煙の選択については、その事業者の経済的状況 や、既存の法規制との兼ね合いを考慮して、テーブル席別の分煙といったことについて裁量を与 えるならば、事業者の理解を得ることができると思います。  飲食業者あるいは遊技場経営者は、零細な個人事業種や小さな店舗を経営していることが多い ということで、何らかの財政支援策がない限り、設備投資は期待できません。したがって、完全 分煙の実施は困難な場合があると思われます。一方で、個々の事業者への経済的な直接支援には 困難な面があると思いますので、やはり事業者の選択が経営判断として尊重されるべきであると 考えます。ただし、事業者は禁煙か喫煙なのか、またどのような分煙対応なのかを店の外に表示 する必要がありますで、これによって喫煙者と非喫煙者の双方にとって、利用すべき店舗、施設 の選択が可能になります。 ○土井グループマネージャー 5ページに進みたいと思います。ここでは無煙たばこ製品の開発 について、お話しさせていただきます。  受動喫煙防止策に関する取組みの1つとして、無煙たばこ製品の開発についてお話しさせてい ただきたいと思います。無煙たばこ製品の1つとして、スウェーデン型スヌースと呼ばれる製品 があるのですが、これは火を使用せず、製品自体が発熱しない、煙の出ないたばこです。スヌー スは煙の出ないたばこであり、本製品使用に伴うリスクは通常の紙巻きたばこより低いことが、 複数の信頼できる学術論文によって報告されていると聞いております。これにより、周囲の人を 不快にさせる受動喫煙の問題も一切ない商品ということです。  先ほど申し上げました、ステークホルダーとの対話、とりわけ喫煙者との対話を通じてなんで すが、喫煙者が健康に害がないようなたばこの開発を、たばこ会社に期待していることがわかり ました。弊社は低リスク製品の開発は、たばこ会社としての責任を果たす1つの行動であると認 識しています。喫煙者はより低いリスクのたばこ製品を、1つのオプションとして考えるでしょ うし、周囲の喫煙者が紙巻きたばこに代わりスヌースを使用すれば、非喫煙者はたばこの煙にさ らされることがなくなることがあると思います。 ○辻広報・渉外企画統括部長 最後に、海外の事例について御紹介したいと思います。海外の喫 煙規制の事例は7ページにございます。まず屋内喫煙規制で考慮すべき点ということでございま す。こちらに書かせていただいたようなポイントを簡単に、これはメディアで取り上げられた例 をまとめたものです。  第一に、オーナーの費用負担の問題。  第二に、喫煙者が飲食店等々で喫煙できなくなったために、自宅で喫煙する機会が増えたこと による家庭内受動喫煙の増加の問題。  第三に、レストランなど飲食業で見られる規制による、客離れに起因する売上への影響や雇用 機会の減少。  第四に、屋外喫煙スペースでの騒音問題。  その他、喫煙者が室内環境から締め出されることによる疎外感など、考慮すべき多くの問題が 報告されております。  次のページでは、具体的にイギリスの事例を紹介しております。これはあるパブの例ですけれ ども、先ほどお話がありましたように、2007年7月から屋内喫煙規制が導入されましたけれど も、この店では、このために客が離れていくことを防ぐために、店舗の屋外に喫煙可能なバーを 設置しましたけれども、320万円相当の投資が必要になったということでございます。  次は、私どもBATジャパンあるいはBATグループの分煙事例の御紹介です。最初に、これ は私どもBATジャパンが入居しているオフィスビルでの例でございますけれども、今年2月に 喫煙室が設置されました。弊社からはビルの管理者に対して、排気ファンを取り付けた効果的な 空調に関する提案をさせていただきました。  次のページでございます。これは成田空港のターミナルビルでございますけれども、ここにも 効果的な空調の提案をいたしました。完全禁煙の空港内においても、快適な喫煙スペースの提供 が実現しているという例でございます。  最後は、これはグループ海外での事例でございますけれども、イタリアのローマ空港での喫煙 室です。以上、簡単ではございますけれども、海外の事例を御紹介させていただきました。  これで、私どもブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンからの御説明とさせていただ きます。ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございます。どなたか質問ございますか。 ○望月委員 3社にお聞きしたいんですけれども、大きなパブリックスペースでの喫煙場所を今、 設置していらっしゃるというお話を伺いましたが、そういうところでのたばこのサンプルの提供 や、あるいは広告空間としての利用というのは、どのようになっているんでしょうか。  例えば、私がヨーロッパで見たのは結構大きなブランド名があって、かなりなスペースで立派 な広告塔にもなっている印象があったんですけれども、3社からお聞かせいただけるとありがた いです。 ○山下渉外企画部長 喫煙場所を大きく分けて3つに分けてご説明いたします。  基本的に自治体や施設の方々と協業でさせていただいたものは、当社が関わったことを喫煙場 所に記録することは先方から許されておりませんので、それはそのままという状況です。  当社が相当程度の資金拠出をさせていただいたケースでは、大きく分けて2種類ございます。 1つは当社のブランド広告を掲示させていただいている場所。これはたばこ事業法に基づく財務 省の指針に基づきまして、広告掲出が許されている場所、例えば駅等でよくお見かけになるよう な喫煙所では、ブランドの広告を引き続き掲出させていただいております。  自治体との協働でつくらせていただきましたところは、マナー広告を掲出させていただいてい るという形で、一応使い分けてはおります。特に、外から見え場所では、できるだけブランド広 告は出さない方針でいきたいと考えております。ただ、歴史的な経緯がありますので、まだブラ ンド広告が残っているところも、多少あるとご理解いただければと思います。 ○望月委員 ありがとうございます。 ○久道座長 フィリップモリスさん、お願いします。 ○ニクソンディレクター 弊社からの回答もJT社さんと似たようなものにはなっております けれども、2つのパターンがございまして、1つは喫煙室において広告がなされているもの。そ れから、もう一つのパターンとしては、広告はなくて環境美化あるいはポイ捨て防止といったよ うなメッセージを掲出している場合です。それは施設の場所によって、この2つのパターンがご ざいます。  広告を行っている場所におきましては、成人の喫煙者のみが入室できることを確実にする努力 をしておりまして、非喫煙者あるいは未成年者が入室できないことを徹底するために処置をとっ ております。 ○久道座長 ブリティッシュ・アメリカン・タバコさん、お願いします。 ○辻広報・渉外企画統括部長 私どもも非常に似通っているといいますか、ほとんど同じでござ いまして、基本的には成人の方が入られる場所にのみ掲出するということで、全く変わりはござ いません。 ○望月委員 外から見えるわけですね。 ○辻広報・渉外企画統括部長 その施設によって、ちらっと見えるということでしょうか。 ○望月委員 はい。 ○辻広報・渉外企画統括部長 それはすべての角度において、それが消えているかどうかについ てはあれですけれども、基本的にはたばこを吸うということを既に選択された方に対してのコミ ュニケーションでありまして、選択されていない方や、あるいは選択してはいけない未成年の方 の目に触れるような形での掲出はしないということにしております。 ○望月委員 例えば例で写真を付けていただいているのでよくわかるんですけれども、ガラス張 りの中で非常に立派な喫煙室があり、その中でブランド名があったり、あるいはたしかJTだっ たと思うんですけれども、キャメルの大きなラウンジのような形で非常に美しくて、外からも入 りたいなと思うぐらいきれいなものができているんですね。  それに対して、例えば真っ黒の完全に見えないような壁ならともかく、やはりある程度の喫煙 所を提供すると言いながらも、やはり広告というような、先ほどのマナー広告も似たようなとこ ろがあるのではないかと思うんですけれども、喫煙を選択した消費者以外の方々への訴求効果と いうものも拝察できます。  例えば業界の中でのマーケティングコードのような中で、これについては議論はされているん でしょうか。 ○久道座長 御意見あればどうぞ。 ○望月委員 どなたでも結構です。 ○山下渉外企画部長 喫煙所に関する広告に関する効果については、業界での協定はございませ ん。例えば面積の規定でありますとか、注意表示をちゃんと付けるであるといった広告内容に関 する規定はございます。  御質問の、外から見える、見えないという話は別として、その広告効果と喫煙所の設置の関係 も、確かに当然事業者ですから考慮します。もう一つは喫煙所をこちらがつくるのに資金投資い たしまして、全く何もしないと寄附金になってしまうという問題もありまして、そうしますと先 方のご都合で別の契約の形で、例えばマナー広告だけ載せていただくという形で対処するという こともあったりいたします。そこら辺りも、御参考までに御承知おきいただければと思います。 ○久道座長 内田委員、どうぞ。 ○内田委員 私の方から2つ質問をさせていただきます。3社にお願いをしたいと思います。1 つは、先ほど最後に無煙たばこの開発ということをお話されましたけれども、やはり受動喫煙の 防止対策ということで言うと、そういうツールの開発は非常に重要だと思います。  今、パッチやガムなど、それから先ほどの無煙たばこもありますし、私の友人はスイッチを入 れると赤い光が付いて、ニコチンを含んだ水蒸気が入ってくるというのが中国であるみたいで、 それがちょうど吐き出すときに水蒸気が出てきて煙を吐くような感じで、かなり吸っているよう な臨場感があるという、そういうのを開発しているという話も聞いたことがありますけれども、 そういうツールの開発についてどう取り組んでいるのかというのが1点です。  それからもう一点は、やはり受動喫煙の防止と言っても、喫煙率を低下させることが一番重要 な課題だと思いますので、その点について、税を含めてたばこの価格を上げるという喫煙率低下 に対する影響というのを、どうお考えになっているのか。その2点をお聞きしたいと思います。 ○久道座長 ブリティッシュ・アメリカン・タバコさんどうぞ。 ○土井グループマネージャー では、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの方から、まず1点 目の質問にお答えさせていただきます。  弊社、特にBATのグループなんですが、低リスク製品の開発についてのオプションは無煙た ばこ以外にもございます。幾つか今おっしゃったようなもの以外にも、まだまだ研究段階である んですが、複数のオプションを持っております。 ○辻広報・渉外企画統括部長 では、2つ目の受動喫煙対策としては、喫煙率を下げるのがやは り一番いいのではないか。そのためには税金を上げたらどうなんだという御質問の趣旨かと思い ますけれども、受動喫煙の問題と喫煙者率の問題とは、必ずしも私どもは強い関連があるとは思 っておりません。したがいまして、受動喫煙対策としては先ほど御説明申し上げたような、さま ざまな対策がまずあるんだろうと考えております。  一方で、喫煙率を下げるということと税金との関係については、これはいろんな国でいろんな 形で御検討がされていると思いますので、それはそこの国のお考えの中で進められるべきだと思 いますけれども、BATグループとしては、社会的なコンセンサスというものがそこに存在して、 そして増税も1つの方法としてあるのかということがもしあるのであれば、必ずしもそれに対し て全面的に反対ということではございませんけれども、今の受動喫煙という問題と税金を上げる ということとは、必ずしも強く関連するとは考えておりません。 ○ニクソンディレクター かなり幅広い質問で、なるべく簡単にお答えしたいと思います。  1つ目の御質問ですけれども、これはリスクを低減する商品ということで、私どもの会社も研 究開発におきまして、多額の投資をこの分野に投じております。私どもの会社の経営上のプライ オリティーの、非常に優先順位の高いものでございます。  まだ市場に出せる商品は出てきておりませんが、研究開発に従事しているということでござい ます。非常に複雑な分野でもございまして、市場に出す商品そのものが必要という側面もござい ますが、その商品を規制するレギュレーション、規制自体も必要になるといったことがございま す。  2つ目の御質問に関してですけれども、喫煙率を下げるということですが、公衆衛生当局の立 場からしますと当然、喫煙率を下げていくことが目的かと思います。これに関しては、弊社とし ても反対するものではございません。  そして、それを達成するための最良の方法はというところで、御説明しました資料の3ページ にお示ししておりますように、包括的なアプローチをとることが重要だと考えております。この 包括的なアプローチの中には税金、禁煙支援あるいは啓発活動等が含まれるわけですけれども、 この税金というのは重要な一部分であると考えております。  弊社としては増税そのものに対しては、必ずしも反対するものではございません。増税の幅に もよるわけですけれども、重要な点は、このような包括的なアプローチの中で考えていくべきで あるということだと思います。 ○久道座長 JTさん、どうぞ。 ○山下渉外企画部長 御質問の趣旨であります、受動喫煙防止という観点での分煙たばこという ものは、各社が研究してますスヌースのみならず、従来からありますかぎたばこ、かみたばこも 含め、当然煙が出ませんから効果的であると考えます。また、リスク低減という観点からも、各 社同様、当社も研究開発投資は行っておるところです。  ただ、唯一他社と立場が違うとすると、それが選択肢として提供されるのみならず、顧客に受 容されて、アクセプタビリティーというのもなければ、例えいいものであってもなかなかうまい ことがいかないのではなかろうかなというところも大変気にしているところでございます。  御質問の受動喫煙を下げるには、喫煙率を下げれば良くて、そのためには増税をしたらどうか ということについてですが、それぞれ簡単に立場だけをお伝え申し上げます。まず、受動喫煙を 下げるために喫煙率を下げるという政策課題の設定の仕方を、余り短絡的にやるのは問題であっ て、慎重であるべきであると私どもは考えます。それから、率の低下実施に対する立場は、従来 から申し上げておりますとおり、成人の選択や嗜好、そちらの方に公権力が強制的に介入するこ とに対しては、一貫して、反対であるとお伝え申し上げているところでございます。  増税につきましては、たばこと申しますのは、既に消費税の中で最も高い税負担を課せられて いる商品でございまして、その担税能力はもう限界であると私どもは考えております。したがい まして、今、御議論されていますように、例えば500円であるとか1,000円であるとかという増 税になりますと、その結果として増収効果が得られないだけでなく、たばこ産業及び地域経済に 与える影響は計り知れず、壊滅的なものになると思っておりますので、断固反対の立場というこ とで、こちらの方も皆様にお伝え申し上げているところでございます。 ○久道座長 これですべてのヒアリングは終了いたしました。  時間が余りないんですが、永山委員が用意された資料がありますので、それについて説明をお 願いいたします。 ○永山委員 ありがとうございます。先月、全国の旅館の組合に対しましてアンケートの集計を 取らせていただきました。その結果が、これまで私の方から発言をさせていただいた内容の、若 干の理由づけになるのではないかということで、今回提出をさせていただきました。時間もござ いませんので数字は読み上げませんが、この数字になった根拠と、これに対する意見のまとめみ たいな形で、お話をさせていただければと思っております。  何度もお話をしているように、同じ旅館と言っても5室、10室といった規模の旅館から、数 百室の旅館までございますので、そういった意味で規模によって考え方が全く違うということを、 まずお伝えしたいと思っています。  それと、一人ひとりがお部屋に入って泊まられるビジネスホテルといった形態と、1部屋に6 人、10人入られて、同じ部屋で過ごされるといったもの、また、先ほど議論にもありましたよ うに、宴会場のあるなしであるとか、レストランに対しての考え方、いわゆる高級な和食を食べ ていただいて、食事そのものを楽しんでいただくレストランと、あとは宴会場に代表されるよう な、その場のにぎやかさを楽しんでいただくような、そういった形態がさまざまございますので、 一概に一貫した回答ではないことを、まず申し上げたいと思います。  例えば設問の2番で、現在行っている健康増進法対策というものも、例えばロビーでは完全分 煙をしているけれども、その他のところではまだできていないとか、もっと言うと、今、自分が やっているこういった対策が、どれに当たるのかわからないとか、そういったものもその他に入 っていたり、全体が100%になっていないことも御了解いただきたいと思います。  ただ、例えばCの完全分煙というところを見ていきますと、やはり旅館でも大規模であれば、 ある程度そういったスペースが持てているんですけれども、小規模であれば少なくなる。43%と 24%といったような、やはり明快な違いが出てきております。逆に、何の対策もしていないとい うところが、右下の10%という結果が出ておりますので、何かしらの意識と、何かしなければ いけないという気持ちは持った上で、各施設営業をしているということを、御理解いただきたい と思います。  ただ、どこまでやればお客様に理解いただけるのか、どこまでやれば法に準拠するのかといっ たところの理解がまだ進んでいないということも、正直あると考えております。  あとの数字は見ていただいて、2ページ目に設問で自由回答欄をまとめております。こちらも 今まで私が発言させていただいた内容が、かなり含まれていると思うんですけれども、やはり大 きく出てくるのが売上減であるとか、既存の顧客に対する気配りの部分です。いきなり禁煙をし てしまうと、お客様が離れていくのではないかといった部分。そういったことの不安がかなり大 きい件数で出てきております。  特に、先ほどレストランでも形態が違うという話をさせていただきましたけれども、食事を楽 しむという形態であれば禁煙、完全分煙にしてもさほど影響はないだろう。逆にそれをプラスに 転化することもできるのではないかという意見もありますけれども、やはり宴会中心であるとか、 不特定多数の皆さんが、大勢で食事を召し上がれるというところに関しましては、これは直接ア ルコールの販売減に直結するのではないか。特に宴会場となりますと、例えば極論100人の団体 様でも、幹事さんが喫煙者であれば、その100人全部を逃がすことになってしまう。そういった ことになると、我々業界としてもどう対応していいのかわからない。また、分煙という考え方も、 では宴会場を2つに仕切って、それぞれがコミュニケーションをとるということも難しいお話で ございますので、その辺りの配分というか、考え方をどう持っていこうかといった議論で、若干 混乱をしている部分もございます。  また、例えば火災といったことを気にしている旅館も結構ございます。これは禁煙に対して、 多分どうしても吸われる方はベランダであったり、お客さんの目に触れないところで吸われるケ ースがこれまでもあったわけなんですけれども、そういったことによって火災であるとか、あと は込み入った密集地にあるホテルであれば、屋外の禁煙もままならないということで、代替策が どういった形で出てくるのか、そういったことに対する不安といったものもございます。  何より気になるのが、やはり利用者の方のニーズに応じて運営するのが我々の営業の仕組みで もございますので、利用される方が、ここはきっちり分煙をされている施設だから利用しよう。 禁煙をうたっている宿だから利用しようという意識がまず最初にないと、我々旅館が先行してこ ういった取組みをしても、逆にお客様から支持されなければクレームの原因になったり、そうい ったことが怖いといった声もたくさんいただいております。  何度も言わせていただいたように、世論の熟成というものが何よりもこういった取組が必要な のかなと考えております。  設問5でも、施設に影響があるかないかということで、やはり売り上げが変わらないというと ころも多数ございますけれども、増えるというよりは減るという方がまだまだございますので、 先ほどの設備投資と、スペースが足りないから対策が進まないといった内容等含めて、そういっ た売上対策にも気配りをいただいた結論が出ればと考えております。  最後になりますけれども、未成年への曝露の防止であるとか、公共空間で受動喫煙を完全に防 止するといった観点からの取組みであれば、協力できる余地はこの業界はたくさんございますけ れども、例えばお客様が貸し切る宴会場や、やはり零細の小規模既設、飲食で言うと例えば5人 しかお客さんの入れないところで、その半分以上が今まで喫煙者だったりしたような業態のとこ ろが、狭いから禁煙を選べばいいのではないかと言っても、そこは死活問題になるのが見えてお ります。  そういった零細の小さい施設に対する御配慮であるとか、先ほど言った宴会場に対する配慮と いったものも是非この場で進めさせていただいて、そういったところに関しては、できるだけ選 択制を取り入れながら、完全な公共空間と、そうでないあいまいな公共空間との具体的な区分け ができていけば、我々としても対応は取りやすくなるのではないかなといったところをまとめに させていただいて、報告とさせていただきます。  ありがとうございます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。何かこの件で、特に御質問したいことはございま すでしょうか。  既に予定の時間が過ぎております。これまでの審議において受動喫煙防止対策を推進するため の方向性については、ある程度方向性が見えてきたのではないかと思います。ちょうど今日で4 回目で、本日の検討内容等を踏まえまして、事務局においてこれまでの議論の論点整理をしてい ただきます。  それに基づいて、次回はとりまとめの議論をしていきたいと考えております。今日は関係する 有識者の方々5名をお招きいただきました。貴重な発言をしていただきまして、ありがとうござ います。  それでは、事務局から何かございますか。 ○生活習慣病対策室専門官 今後の日程につきましては、また調整のメールをさせていただきま すので、是非よろしくお願いいたします。  以上です。 ○望月委員 質問していいですか。今後の日程なんですけれども、あと何回ぐらいを予定してい らっしゃるんですか。 ○生活習慣病対策室専門官 2回ぐらいで、1回は提示をして検討していただいて、それをまと めるような形でもう一回ぐらいということを考えております。ただし、勿論そこは議論の詰まり 具合ですとか、意見の相違などがあれば、必要に応じてもう1回、2回ということはあり得ると は思っています。 ○久道座長 年度末までですか。 ○生活習慣病対策室専門官 年度末までにはとりまとめます。 ○久道座長 それでは、今日の会議は終了いたします。  どうもありがとうございました。