08/11/12 「安心と希望の介護ビジョン」第6回会議議事録          「安心と希望の介護ビジョン」第6回会議議事録 ○ 日時及び場所    平成20年11月12日(水) 10時00分から11時56分まで    厚生労働省 共用第8会議室 ○ 出席委員    石川(誠)、石川(良)、太田、駒村、袖井、鳥羽、古川、堀田、前田(座 長)、    村上、村田の各委員    中村委員は欠席 ○ 議題    安心と希望の介護ビジョンについて ○ 議事内容 ○大澤総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第6回「安心 と希望の介護ビジョン」を開催いたします。  本日は、大変お忙しいところ御参集をいただきまして誠にありがとうございま す。  本日は、中村委員が所用により御欠席との連絡をいただいております。また、 鳥羽委員につきましては所用により途中で御退席される予定だとお伺いしており ます。  なお、舛添厚生労働大臣につきましては、国会用務につき欠席の予定となって おりますので、ここでお詫びを申し上げたいと存じます。  引き続きまして、お手元の資料について確認をさせていただきます。  議事次第、座席図の名簿のほか、資料1として「「安心と希望の介護ビジョン」 案(たたき台)」、それから参考の1としてその案を概要にまとめたものの1枚紙 を付けております。資料に不備等がございましたら事務局までお申付けいただき たいと存じます。  それでは、前田座長、議事進行方、よろしくお願いをいたします。 ○前田座長 本日も、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。  それでは議事に入りたいと思いますが、これまでの会議で多くの参考人の方々、 そして各委員の方々からプレゼンテーションをしていただきまして議論を深めて まいりましたけれども、ここの段階でこれまでの議論を踏まえまして、今回、事 前に大臣とも十分に御相談していただきまして、事務局にビジョンの案のたたき 台を作成していただきました。これにつきまして、今日は御審議いただきたいと 思います。  まず、事務局の方からたたき台について御説明をいただきまして、それを踏ま えて取りまとめの方向で議論を進めてまいりたいと思います。  それでは、課長の方からたたき台についての御説明をいただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○大澤総務課長 それでは、資料1の「「安心と希望の介護ビジョン」案(たた き台)」、縦長の文章編に沿いまして順次御説明を申し上げます。  最初の3ページまでが前文のようなことになっておりますが、各委員が初めて ご覧をいただくものでございますので、少し長くなりますけれども、丁寧に説明 させていただきたいと思います。  まず1ページでございますけれども、超高齢社会を迎えるに当たりまして、我 が国の将来への不安が広がっているということでございます。高齢者の数が急増 することによる社会保障費の増大への不安、あるいは経済停滞への不安等々、さ まざまな不安が広がっているところでございますが、一方ではこれまで豊かな超 高齢社会へ向けて実現してきたこと、蓄積してきたことも考え合わせる必要があ るということでございます。募る将来の不安を乗り越えまして、「安心」と「希 望」を抱いて生活できる超高齢社会を築いていくためには、これまで築いてきた 基盤を充実させて、新しい選択肢を積み重ねていく必要があるのではないかとい うことでございます。  そこで、「安心」と「希望」の実現に向けまして3つの実現すべきことをここ でビジョンとして掲げさせていただいております。  まず第1に、高齢者の増加をすなわちマイナスと捉える基本的な発想を改める 必要があるのではないかということでございます。私たちは、たとえ高齢、要介 護になりましても、最期まで生き方に選択肢を持って、人とのつながりを持って 生きていける社会を今後創らなければならないと考えるものでございます。  2ページでございますけれども、一人ひとりの多様な選択肢へのニーズに対し ましては、自助あるいは公助だけでも十分対応することはできないわけでござい まして、地域コミュニティにおいて一人ひとりが支え合い、役割を持って生きて いくための「共助」の仕組みを整備する必要があるのではないかということでご ざいます。  そのためには、地域の人財、この「人財」というのはやや造語なのですが、地 域で生活していただいているさまざまな方々というのは、いわば人の宝ではない かということで、ここで人財というやや造語的な表現を使っておりますが、そう いったようなものと、潜在的な意欲を発掘をして、それぞれの方々が「できるこ と」と、またそれを「必要とされること」とを結び付けて、高齢者が主体的、積 極的に活動するための「場」づくりの担い手役として、ここで新しい提案でござ いますけれども、厚生労働大臣がいわゆる「コミュニティ・ワーク・コーディネ ーター」というものを今後10年間、年間300人ずつ輩出していきたいということ でございます。  2つ目には、たとえ介護が必要となりましても、住み慣れた自宅や地域で住み 続けるために、高齢者の生活を支える介護の質を一層高めていく必要があるとい うことでございます。そのためには24時間・365日、安心して在宅生活を送れる ような基盤整備を推進していかなければなりません。  また、合わせて要介護でありましても残存するそれぞれの能力を大切にし、維 持向上を図るためにはリハビリテーションも積極的に推進する必要がありますし、 また、医療と介護の間に挟まってどちらからも救済されないということがないよ うに、両者の連携が十分に確保されている環境を整備していく必要があります。  そのために、24時間・365日のサービス提供拠点、あるいは施設の計画的・戦 略的な整備を進めてまいります。また、同時に、自宅での生活に必要な機能の回 復、悪化の予防を目指すいわゆる「在宅生活支援リハビリテーション拠点の整備 」、それから経管栄養や喀痰吸引などの生活を支えるために必要な医療行為を介 護従事者が行うことができる、ここで仮称として「療養介護士の新設」、それか ら地域包括支援センターを舞台にいたしまして介護従事者と医療従事者がチーム として要介護者を支援する「地域ケア・チームの推進」などに取り組んでいくと いうことでございます。  取り分け、認知症につきましては介護と医療の連携を進めて、認知症の進行と 症状、合併症に対する知識を関係者、住民が幅広く共有をして理解して対応でき る基盤を整備してまいります。  また、こういったサービスの裏打ちとなるいわゆる介護保険の在り方について は、医療保険とのより緊密な連携・整合性の確保を図るべく、包括的に議論を行 っていくということにしております。  続いて、3ページでございます。ビジョンの3つ目でございますが、介護従事 者が働きやすく、介護の仕事に誇りとやりがいを持って生き生きと取り組み続け ていくことができるための環境整備に取り組む必要があります。  特に、第3段落目の中ほどでございますが、介護保険は主に保険料と公費で成 り立っていて、そこから収入を得る介護事業者は介護従事者の雇用条件の整備、 専門性とやりがいの向上といった環境づくりに公的な責任があることを強く自覚 していかなければならないと考えます。  そこで、介護従事者の雇用環境を改善していくために、「各事業所における介 護従事者の労働条件や給与水準の積極的な公表」を推進していくこととしており ます。同時に、「介護従事者の専門性向上などの継続教育の充実」、「介護従事 者の処遇改善に資する介護報酬の設定」、「新規人材の育成」などの環境整備に 取り組んでいく必要があるとしております。  前文の締めくくりでございますが、超高齢社会における「安心」というのは、 たとえ高齢、要介護となりましても多様な生き方や必要なサービスを選択できる ということであって、また「希望」というのは年齢や心身の状態にかかわらず一 人ひとりが大切にされ、必要とされ、自らの持つ知恵と力を活かせることだとし ています。  その実現のためには、これまで構築してまいりました制度、あるいは人材、地 域社会、積み重ねてきた経験を活かして、これからの社会を支える担い手として 自ら人生を開こうとする人たち、地域の共助に参画する人たち、介護を担う人た ち、それぞれが尊重されて、その持てる能力を発揮できる環境をつくらなければ なりません。そのためには、政府、企業、地域、国民、それぞれが地域と力を結 集することが今、求められているとしております。  そこで、4ページからはこういった「安心」と「希望」のある社会を実現する ための2025年を見据えて取り組む施策について列挙しております。2025年と申し ますのは、いわゆる団塊の世代の方々が75歳以上になり切る年ということで、先 般まとめられた社会保障国民会議におきましてもターゲットにしていることも考 慮したものです。  まず第1に、「高齢者自らが安心と希望の地域づくりに貢献できる環境づくり」 として、「コミュニティ・ワーク・コーディネーターの輩出」でございます。先 程も申し上げましたが、意欲のある地域の高齢者、あるいは、それ以外の住民の 方々が主体的・積極的に活動するための場を自ら立ち上げ、推進できる環境をつ くるために、大臣がこのコーディネーターを年間300人、10年間で3,000人輩出し ていきたいということでございます。  このコーディネーターは地域の方々が抱える課題、いわば求めていることと、 それから自らの持てる力を活かしたいという高齢者の方々の「できること」を結 び付けて、高齢者が主体的・積極的に参画するコミュニティ・ビジネスや、ある いは互助事業等々を育成しようとするものでございまして、このコーディネータ ーについては一般公募をし、厚生労働省における研修を修了した者が希望する地 域に派遣されるような形態を一応想定しております。  (2)は「地域包括支援センターのコミュニティ支援機能の強化」でございま す。地域包括支援センターにおきましては、介護、医療の従事者に加えまして、 地域の活動をされている方々、あるいはボランティアを含めた、いわゆる「コミ ュニティ会議」を開催していきたいと考えます。  また、こういった「地域の守立て役」としての地域包括支援センター、これま でにも好事例が各地にあると思いますので、そういったようなものを集めた上で 紹介をしていきたいということでございます。  続いて、5ページでございます。第2に、「高齢者が、住み慣れた自宅や地域 で住み続けるための介護の質の向上」でございます。  その(1)が、「在宅生活を支援する介護サービスの基盤整備」でございます。 在宅サービス拠点や施設の計画的、効率的、戦略的整備と、それから24時間・ 365日対応が可能な訪問介護・訪問看護のネットワーク整備に向けた事業者数の 確保と、適切な運営方法の整備をしてまいります。  「(2)在宅生活支援リハビリテーションの強化」でございます。訪問リハビ リステーションの創設、それから既存の施設におけるリハビリテーションの推進 など、在宅生活を支援するリハビリテーション拠点の整備と、その質の向上に向 けた取組の推進でございます。  それから、「維持すれば十分」などといった関係者の意識改革を促すために、 いわゆる「維持期」リハビリテーションの呼称の見直しも進めてまいりたいと考 えております。  「(3)医療と介護の連携強化」についてでございますが、第1に先ほども触 れました一定の医療行為を行うことができる新たな介護の資格、いわゆる療養介 護士、仮称でございますが、この創設です。  それから、医療関係者と介護関係者が一堂に会し、同じチームの一員として高 齢者に最適なケアの在り方を考える「地域ケア・チーム」の立ち上げ。  関係職種間の連携による緩和ケアの積極的な推進。  医療関係者・介護関係者の養成課程等における介護・医療職間の協働、あるい は連携を学習する実習の実施、あるはケアマネージャー等に対する医療研修の実 施。  また、退院後の在宅生活への移行に係る医療と介護の連携を強化するために、 病院とケアマネージャー・地域包括支援センターとの間の引継ぎ連絡体制の確立。  医療保険による診療報酬と、介護保険による介護給付の連動性・整合性の確保 に向けた取組の推進を挙げております。  続きまして、6ページはまず「(4)認知症対策の充実」でございます。医療 と介護の連携が確保できますように地域のかかりつけ医、あるいは介護従事者等 に対する認知症研修の実施、地域での総合的なケアの提供を進めるための地域レ ベルでの検討会の設置、または地域包括支援センターの機能強化が必要だと考え ております。  また、認知症高齢者の症状、本人の特性、あるいは終末期など、ライフステー ジに対応した認知症ケアの標準化、介護現場への普及に向けた取組の推進。  認知症高齢者の持てる能力を積極的に評価した社会との接点づくりの拡大。  また、皆様方委員にも視察に行っていただいたような小規模多機能型居宅介護 などの認知症ケアに対応した介護サービスの基盤整備。  また、認知症高齢者を地域で支えていくための「認知症サポーター」の普及。  そして、成年後見制度の一層の活用というものを挙げさせていただいています。  「(5)地域の特性に応じた高齢者住宅等の整備」についてでございますが、 地域ごとの高齢化の度合いや地域住民のニーズなど、地域特性に応じた高齢者の 住まいの整備を進めていくということで、例えば公的賃貸住宅のケア付き住宅化、 既存住宅のバリアフリー化の推進、社会インフラの整備、「早めの住み替え」を 促す高齢者住宅やケア付き住宅の整備など、地域特性に応じて計画的に整備をし ていくということです。  また、その際、いわゆる地方と都市部という視点だけではなくて、都市部の中 でもさまざまな特性に着目した視点を加えることが必要であるとしております。  また、高齢者のみの「集住」とはならず、地域に常に開かれた場として、多世 代交流機能を持つ小規模の住宅や施設の整備も挙げさせていただいております。  最後の7ページでございます。「介護従事者にとっての安心と希望の実現」と いうことで、まず「各事業所における介護従事者の労働条件や給与水準の公表」 についてでございます。  処遇改善によりまして、介護従事者の士気の向上、あるいは介護の質の向上を 促すために、こういったようなことの積極的な公表を推進していくということで、 基本的にはすべての事業者が公表することを目指すということでございます。  また、ハローワークにおける公表された情報の積極的な活用を推進してはどう かということでございます。  「(2)介護従事者が誇りとやりがいをもって働くことができる環境の整備」 といたしましては、処遇改善に資するための介護報酬の設定。  介護従事者のワーク・ライフ・バランスへの配慮の促進。  それから、継続教育の充実を目的といたしました社会人大学・大学院での学習 機会の拡大、介護従事者の能力開発等を行う事業者への支援。  また、資格や経験などに応じたキャリアアップの仕組みの構築、介護従事者の キャリア・サポートの充実。  また、昨日ちょうど「介護の日」でございましたけれども、こういったような 日、場を通じた介護職の役割や魅力に対する国民の認識・理解の深化、介護従事 者が誇りとやりがいを持って働けるような社会的意識の醸成。  また、EPAにより入国した外国人介護従事者への適切な処遇。  また、介護従事者の負担軽減や、介護の質の向上に資するような介護ロボット 等の研究開発の推進を挙げております。  「(3)介護従事者の確保・育成」といたしましては、奨学金制度の拡充など、 社会福祉士等の専門職を育成する養成校を志望する学生への支援。  また、潜在的介護福祉士等の掘り起こし、現場復帰に向けた再研修の実施。  離職看護師の介護分野での現場復帰のための再研修、あるいは訪問看護ステー ションの設立支援などの取組。  また、介護未経験者への就業支援。そして、高齢者向けの説明会を始めとして 介護専門職志望者の拡大ための取組。  最後に、福祉人材ハローワーク(仮称)の創設など、人材確保支援の強化とい うことでございます。  説明は以上でございます。 ○前田座長 ありがとうございました。今までのここの場での議論を踏まえて、 一部新しいアイデアを付け加えていただいているところもあるわけですけれども、 いずれにせよ委員の先生方には初めて見ていただくものですので、まず何か御質 問がありましたら出していただければと思います。いかがでしょうか。どんな点 からでも構いませんので、よろしくお願いします。  では、袖井委員どうぞ。 ○袖井委員 コミュニティ・ワーク・コーディネーターというのが突然出てきて、 ちょっとよく分からないのですが、これは例えば常勤であるのかとか、身分的に どうなるのかとか、どのくらい働いてもらうのかとか、厚生労働大臣の発案だと 思うのですが、どんなことを考えていらっしゃるのか、ちょっと教えていただけ ないでしょうか。 ○前田座長 よろしいでしょうか。では、課長お願いいたします。 ○大澤総務課長 率直に申し上げて、まだ具体的な姿までは詰め切っておりませ んが、基本的にはボランタリーにやっていただく人が中心になると思いますけれ ども、必ずしも無償ボランティアである必要もないと思いますし、それはそれぞ れの活躍の場に応じて、例えば地場産業というようなことを通じて高齢者の方々 に参加していただくとすれば、それは当然報酬を伴う作業でございますので、収 入が入ってくる場合もあり得るでしょうし、あるいはこの場でも石川市長などが おっしゃっていただいたような電球の取換えみたいな、そういう共助的な活動に 御参加いただくということであれば報酬は必ずしも求めない活動もあるでしょう し、さまざまな形態があると思います。  また、非常勤か、常勤かということにつきましても、地場産業ということであ ればそれをなりわいとしてやっていただく方ですから、常勤というのでしょうか、 仕事としてやっていただく場合に当てはまるでしょうし、共助ということであれ ば本来の職業を持ちながら時間のあるときに活躍していただくというようなこと で、必ずしも常勤、非常勤であるとか、有償、無償であるとか決めてかからずに、 地域の事情とか、そういったようなものに対して弾力的、柔軟に対応できるよう なものを具体化できればいいなと思っております。 ○袖井委員 ただ、これは厚生労働省でやるというふうに書いてあるのですが、 むしろ地域の実情に応じてということであれば自治体でやってもらった方がいい んじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。 ○大澤総務課長 これは、例えば厚生労働大臣が職員として採用して派遣すると いうことではなくて、研修とか、情報提供とか、そういったようなことを通じて、 大臣からある意味でお願いをするということだろうと思うのです。これは、また これから具体化を進めていくに当たって考えさせていただくことになると思いま すが、例えば各地域の社会福祉協議会とか、商工会議所とか、いろいろな場があ ると思いますので、そこへ登録していただくということなのかどうか。そういっ たようなことも含めて、それは先生がおっしゃるように全部本省の方で管理する というのは非現実的だと思いますので、先生の御趣旨を踏まえてこれから考えさ せていただきたいと思います。 ○前田座長 それでは、村上委員、村田委員の順でどうぞ。 ○村上委員 今のコミュニティ・ワーク・コーディネーターですけれども、ここ の文章を見ますと、コミュニティ・ビジネスというような言葉もあって、これは 何らかの事業として進めていくのかと思ったりするのですが、例えば今、地域ケ ア会議とか、そういうようなものを平成12年以来ずっとやっているのですが、あ まり機能していないのですね。そういうものが機能しないまま、またこういうも のが入ってくるということは、制度を更に複雑化するというような感じがないの かなと思ったのですが、そこのところについてお聞きしたいと思います。 ○大澤総務課長 村上委員がおっしゃる地域ケア会議は、どちらかというと介護 サービス、共助というようなことを中心にお考えになっていると思うのですが、 ここで言うコミュニティ・ワーク・コーディネーターというのはそういう場もあ ると思うのですけれども、むしろ元気な方々が就労というのでしょうか、それぞ れの方が持っているノウハウを活かして、例えばその地域、地域の特産物を販売 するとか、作るとか、そういったようなことを含めた、どちらかというとやや広 い活躍の場ということをイメージしております。  地域ケア会議的なものが機能していないという御指摘は、確かにそういう面も あると思いますので、それはそれとしてしっかりやっていかなければいけないと 思うのですが、これはそれにとどまらずやや広いですね。あるいは柔軟、多様な ものをイメージしておりまして、これはまた地域の特性によって大分違うと思い ますので、それぞれやっていただく内容と地域の特性に応じて活性化できるよう な環境整備も、合わせてそこはよく考えていきたいと思います。 ○村上委員 今お話を聞いて、よくそのことは分かるのですが、そうであれば介 護保険制度に位置付けるのか、あるいは先程おっしゃったようにもっと地域全体 を活性化するための社会福祉協議会とか、あるいは自治体の一部でそういうよう な事業をするのか。ここのところについて考えておくことが必要かとは思いまし た。 ○前田座長 今の点ですが、制度として介護保険の中に位置付けるということで はないのだと思うのです。これはまたもちろん整理していかなければいけないと 思うのですが、順に先ほどから手が挙がっております村田委員にお願いいたしま す。 ○村田委員 今と同じところなのですが、地域ではいろいろな役目を担った方々 がボランティア的にいろいろな働き方をしているわけで、それと新たに提案され たものとの仕分けがどうもまだはっきりしないのです。このコミュニティ・ワー ク・コーディネーターという横文字を一言で日本語で言うとどういうことになる のですか。 ○大澤総務課長 すみません。まだ確たる概念を詰め切っていないものですから ちょっとあれなのですが、地域での活動の場を調整というのでしょうか、地域で の活動に結び付けていただく人というのか、要するにワークというのは地場産業 的な内容もあるでしょうし、互助組織的なものもあるでしょうし、活躍の場とい うのはさまざまだと思いますので、そのさまざまなものを、それを求めている人 と、やりたいという人を、その場を通じて結び付ける人ということです。  それで、村田先生がおっしゃるように、今でもこういうようなことをやってい る方々は多分いらっしゃると思います。したがって、そういう方々を後付けでと いうのでしょうか、全くはっきりと分掌するとかということでは必ずしもなくて、 既存のそういう活動をしている方々のこともよく考えながら、どういう整理が一 番混乱がなくうまく回るかということを今、提案として頂戴できれば、我々とし てももう少し具体的に問題がないような、あるいは円滑に進むような手立てはこ れから考えさせていただきたいと思います。 ○前田座長 質問の前にちょっと補足的にですけれども、このたたき台の頭にも 書かせていただいたように、まず高齢者の方々が安心してということよりは、や はり希望を持てる。それには、生きがいを持てる社会、地域がある。そのために は、やはり何らかの意味で働くということ、そこに書いていただいているように、 高齢者の増加即マイナスということではなくて、高齢者の社会参加をいかに事実 化するのか。これは非常に難しいですが、その方向で舵を切っていかなければい けないのではないか。  その中で、現実に地域のコーディネーターでおじいさん、おばあさんのパワー でこんなに良くなっているというようなものが散見されてきている。そういうも のをうまく結び付けながら、それぞれのベストプラクティスを全国に押しつける ということではないのですけれども、ただ、そういうリーダー的なものというか、 それを日本語に直すのは難しいと思うのですが、そういうことを提案したらどう かということなのです。  中身の肉付けは、委員から現場を踏まえた御助言などをいただいてやっていか なければいけないのですが、肝の部分はもちろん認知症にかかられた方をどう介 護するかという面もありますけれども、今回よく分かったのは、いかにそこにい かないで元気にやっていくか。そのためには、やりがいがあり、社会が高齢者を 必要としているのだという自覚の持てる社会をどう創っていくかという基盤が何 かできないか。まだちょっと煮え切れていないところがあるのですが、そういう 提案をしていこうではないかという御趣旨だと思います。  お待たせしてすみません。石川市長、お願いします。 ○石川(良)委員 私もこの部分に対する意見と質問ですけれども、コミュニテ ィ・ワーク・コーディネーターというのは、このイメージからしますと端的に言 いまして民生委員さんみたいなイメージがちょっとありますね。それで、介護保 険制度そのものはまだまだこれから制度として充実しなければいけない。また、 ボランティア等を含めて共助の部分をどうやって創っていくのかということで、 制度が固まっているような状態ではないわけで、これから創っていかなければな らない。  そういう段階で、上から、厚労省から人が派遣されてくるようなイメージで制 度ができていく段階でもないし、むしろ地域の力を活用するということはもっと 分権型で自由に地域がさまざまな試みを実証しながら、それを持ち合って、そし て下から積み上げてきたものが一つの大会なり、あるいはそういった会議なりで いろいろな事例を持ち合って、それを刺激しながら、その中でそれをまた持ち帰 って自らの地域で活用できることは活用していく。  そんな機能が国には求められるのかなと思いますけれども、上から人材を派遣 するというような形で、介護保険の制度の中でやるならば別ですが、そうでない ならばやはりこれは下から持ち上げた一つの形として、受け皿として、全国の会 議としてこれをやって、ここに出席した人たちをそういうような位置付けにして、 むしろそれは下から盛り上げてやっていくような形に続けていかないと、実質的 には機能していかないのではないか。  また、逆に地域によってはいろいろな環境が違うわけですから、その地域の多 様性を活かせるような事例をまず先につくって、その上でその事例を持ち寄りな がら、それを毎年、毎年、常に新しい情報、新しいやり方、連携を創り上げてい くような組織として立ち上げていくということであるならば効果はあるかもしれ ませんけれども、何となく知事直属の辞令を交付しますというようなことで地域 に入ってきても、実際には地域の一角で、その地域の枠の中でほとんど主体的な 機能は果たせないのではないかというようなイメージを私は持ちます。  ですから、この辺りについては特に上から人を派遣するというようなニュアン スを非常に強く感じますので、この辺は発想の仕方をむしろボランティア型にす る。米国などを見ても、ボランティアが地域をどんどん支えて、行政の施策その ものもボランティアが支える。そういうようなものをどうやって構築していくの かというようなイメージに是非転換してもらいたいと思いますので、その辺りの 考え方をお伺いしたいと思います。 ○大澤総務課長 我々も決して国から画一的に一律に型にはめた方々を派遣する という発想は持っておりませんで、地域でやっていただいている方々からはいろ いろな好事例がちらほら聞こえてきますので、そういう方々を横展開できるよう な、こういう例があるのでどうですかというような応援をする、支援をするとい う基本的な立場でおりますので、今、石川市長がおっしゃっていただいたことも 十分踏まえて、少し考えてみたいと思います。 ○駒村委員 コミュニティ・ワーク・コーディネーターのところで、今の石川市 長とほぼ同じようなイメージを持っているのですけれども、地域のさまざまな助 け合いというのは「結」とか、昔から日本津々浦々にいろいろあったわけですね。 その中で、だんだんそういう数、姿は消えていった。  一方で今、地域通貨みたいなものも出てきて、新しい現代版の助け合いの仕組 みというものができていると思います。それで、そういう地域の助け合いの仕組 みをコーディネートする人を育てていこうというイメージだと思います。  いろいろ調べていただくと、例えば地域通貨にしても、これはこういう人がい ないと、こういうところが欠けているとシステムがうまく回らない、あるいは短 期間で事業が止まってしまう、あるいは一定範囲の中で収まってしまうというよ うないろいろな制約がある。これは、ソーシャルネットワークの研究の中でもい ろいろあるのですけれども、やはりそういうものを調べていただいて、どういう 人材がいればこのシステムがうまく動くのかということを調べていただければい いのではないかと思います。  そういう意味では、先ほど村田先生から御質問があった、これは何と訳すのか というのは、地域互助における顔の広い長老というイメージかなと。そういう方 を上から育てていくのはどうなのかというのは、石川市長のおっしゃるとおりだ と思います。  ただ、なかなか一回壊れてしまった地域の助け合いというのは、何十年も何百 年もかけて作ってきた慣習というものも一方であるわけです。それが数年でまた できるということはないので、地域でさまざまに持っているうまくいったケース やうまくいかなかったケースを徹底的に調査して、それをまた共有する。そうい う研修のところにこういう立場の方をお呼びするというような形で、セットした らいいのではないかと思います。  そういう意味では、この会合ですからここに出てきたのだと思いますけれども、 こういうコミュニティのサポートをするのは何も介護の話だけではなくて、全省 のあらゆる分野で重なる部分だと思うのですが、こういうものをサポートするよ うな部局というのが厚労省内にあるのかどうか。そこだけ教えていただきたいと 思っております。 ○前田座長 それでは、お答えいただけますか。 ○大澤総務課長 なかなかどういうところに着目するかによって、石川委員がお っしゃったような民生委員的なことでは社会・援護局であったり、あるいは私は 詳しくありませんが、労働部局にもそういう方々がいらっしゃったり、いろいろ な場面であると思いますけれども、今回御提案させていただいているコミュニテ ィ・ワーク・コーディネーターについてはそういう意欲のある高齢者の方々が求 めていることと、やれることを結び付けて、何とか活躍の場を拡げていきたいと いうことでございますので、高齢者ということであれば私ども老健局、あるいは 労働部局の適当な部局が協力しながら考えていくことだろうと思っておりまして、 具体的にどこが担当というところまではっきり今の時点で申し上げるのはなかな か難しいと思います。 ○前田座長 では、石川委員どうぞ。 ○石川(誠)委員 違うところの質問でよろしいですか。 ○前田座長 どうぞ。 ○石川(誠)委員 私もコミュニティ・ケア・コーディネーターは何かと思って いたのですが、それよりも5ページ目の(3)の「医療と介護の連携強化」、こ れ自体も大変結構だと思いますが、その最初の丸印の「経管栄養や喀痰吸引など の一定の医療行為を行うことができる新たな介護の資格(療養介護士)の創設」と いうのは非常に唐突に出てきたので、どういうことでどうしてこれが突然出てき たのか、お聞きしたいと思ったのですけれども。 ○大澤総務課長 先頃まとめられた社会保障国民会議の中でも言われているので すが、医療職と介護職の協働ということが一つのテーマになっております。現実 問題として、私どもが所管しております特別養護老人ホームなどにおきましても、 こういう喀痰吸引、経管栄養について、看護師、介護職、どういう役割分担でや るのかということは一つの検討課題に実はなっております。  その点については私どもなりに検討は進めているわけですけれども、今回のこ の会議は中長期的なビジョンということですから、そういう介護職、介護をして いただいている方も一定の医療行為ができるような資格というものの創設ができ れば、例えば看護師さんがいなくてもそういった方が特別養護老人ホームあるい は在宅生活においてこのような行為を担っていただくことができるのではないか ということで、今回御提案をさせていただいたものでございます。 ○石川(誠)委員 現在、吸引は在宅ではできるという特例があると思うのです けれども、たしかあれは特別なものであって、私が非常に気にするのは経管栄養 一つにしてもまかり間違えば肺の中に入って重症肺炎を起こす可能性がある。そ れから、喀痰吸引も口の中にたまっているたんとか唾液をぬぐい取るくらいだっ たら、それは別に誰でもやっていることですから良いのですけれども、ディープ サクションといういわゆる気管の中に管を入れて吸引するということになります と、やはりかなりの危険を伴いますし、かなり習熟した技術が必要になります。  そういうものというのは、営々と医師の指示に基づいてナースがやってきたと いう歴史があって、それなりの経験と勉強を積んでいるわけです。それが突然、 そこの分野だけぽんと持ってくるというのはどうも違和感がある。  そうではなくても、やたら資格制度が増えて、介護の中でも介護のヘルパーさ んの1、2級とか、介護福祉士とか、いろいろなものがあって、そのまた介護療 養士というのは介護のヒエラルキーのピラミッドをつくるような構造が見え隠れ するのです。  そういうことではなくて、そういう人たちに吸引等の医療行為をやってもらう 時代、そういう人たちが増えないとどうにもならない時代というのは分かるので すけれども、それは突然こういう療養介護士というものを持ってくるのではなく て、別の手法で考えるべきなのではないかと思うのです。何か突然出てきたとい う感じで、非常に違和感があるのです。 ○鳥羽委員 今のことに関連して、追加でよろしいですか。  石川先生のお話と同じですけれども、書き方として資格を書くのではなくて、 医療、医師が管轄している医療行為で慢性期のものは看護師もできるようにして いく。看護師にしかできなかったものも介護士にできるように、慢性期の介護・ 医療行為について大幅な法改正を行って権限委譲を行うことによって、提供でき る資格の人を増やすというような形の書き方にされた方が私はいいと思います。  慢性期医療について石川先生はおっしゃいましたけれども、私はほとんどそん な難しいことはなくて、習熟すれば誰でもできることです。誰でもできることだ から家族もやっている。それを、資格が医師、看護師の何とかのあれがないと、 というのはナンセンスに過ぎないです。ですから、そういう意味で安心を持たせ るには権限の委譲といったことを法的に整備していくということを盛り込まれた らいいと思います。 ○石川(誠)委員 基本的には鳥羽先生のおっしゃるとおりだと思いますが、療 養介護士は消していただきたいと先ず思うのと、新たな介護の資格という介護の 差別化につながるものもいかがなものかと感じています。  実は、吸引に関してはリハビリ業界でも大変話題になっておりまして、理学療 法士が呼吸療法をします。そのときに、当然、排痰というのは重要課題でして、 理学療法士が吸引するということができるようにしたいのですけれども、それと て法的に裏打ちされておりません。また、言語聴覚士が嚥下訓練をやっておりま すが、食事の摂取、嚥下障害の摂取をするときに吸引をしながらやらなくてはな らないこともあるのです。  しかし、言語聴覚士は吸引をやっていいという法的根拠はないのです。ですか ら、医療職であってもまだこの吸引に関してきちんとしたお墨付きが出ていない 現在、一挙にここに飛ぶのはちょっと過激過ぎる。何か他の方法を考えるべきで す。研修して認定をするとか、そういう違った形式で実施できる人を拡げるのが 良いと思います。 ○鳥羽委員 安心と希望のビジョンですから、そのような法的なものの改正をし てということを盛り込んだらいいんじゃないですか。そうしないと間に合わない と思います。 ○前田座長 いずれにせよ、ここのところは私ごとになるのですが、厚労省で吸 引をどうするかという座長を何年か前にやらされて大変な思いをしたのです。医 政局でしたが、看護師さんの側の意見は非常に強いし、その上にいらっしゃるお 医者さんたちの意見も非常に確固たるものがある。  ただ、看護師さんしかやれなくて介護の方がやれない吸引を私はやっていたわ けです。それで、私でもできるものがなぜできないかという議論があって、ただ、 逆にその場でよく学ばせていただいたのですけれども、看護師さんのおっしゃる ことで、吸引の危険性とか、乗り越えなければいけない問題がいろいろあるとい うのはよく分かって、今、徐々に吸引の範囲を養護学校に拡げるとか、いろいろ な取組みを今も医政局の方で会議を一つ立ち上げているのです。  そういう中で、先ほど鳥羽先生のお話もありましたように、将来に向けてのビ ジョンとして、やはり何とか医療と介護の穴を埋めなければいけない。これは確 かに療養介護士というものを創ると、そのピラミッド構造を複雑にするという御 指摘があるとすれば、そこを十分留意して直していかなければいけないと思うの ですが、基本的な方向としてはやはり高齢者の方が安心して暮らせるような介護 のシステムに資するにはどういうものがいいか。  もちろん、その大前提としては医学的に危険なことが生じないようにするとい うことを含めてなんですが、介護士さんのほかに看護師さんはいらっしゃるけれ ども、そこが莫大な数で増大するという展望は非常に難しい中で、ある程度の方 向性として介護士の方に経管栄養とか、たんの吸引などについてもお願いしてい ける方向での検討をしていくというメッセージ性を持ったものは何か出していき たい。その範囲でお許しいただければ、文章を書き直したいと思います。 ○石川(誠)委員 そういうことに抵抗しているわけではなくて、非常に取って 付けたような気がしたということです。 ○前田座長 分かりました。それは私の方でも申し訳なかったと思うのですけれ ども。 ○石川(誠)委員 もう一点よろしいでしょうか。たくさんあって申し訳ありま せん。  逆に(2)の「「維持期」リハビリテーションの呼称の見直し」と書いてある ところが実は今リハ業界でも大変話題になっておりまして、やはりこの言葉は拙 いというのが皆さんの一致するところで、今あるアイデアは、生活期リハか、展 開期リハか、生活展開期リハか、この3つの言葉が出ているのですけれども、維 持期という言葉はどうも誤解を招きやすくて良くない。我々もそう思っておりま す。ですから、これは是非積極的に何かいい名前を付けたいと思っています。  それからもう一点なのですが、(3)の2番目の丸の「「地域ケア・チーム」 の立ち上げ」というのが具体的に何か全然見えないのです。実は、地域ケア・チ ームというのは今でもあると思うのですけれども、いい形のチームができなくて 苦労をしているのが現実です。理由の一つは、すべての事業所が縦割りで全部分 散している。だからチームができない。あちらのヘルパーステーション、こちら の訪問看護ステーション、こちらの通所ケア、あちらの何とかという分断したも のだから、その人たちがなかなか一堂に会せないでいるし、チームができない。 一堂に会して地域ケア・チームをつくるといいますが、具体性にとても欠けてい てどうするのだろうという疑問なのですが。 ○前田座長 では、今のことに関連してということでしたら合わせて御質問いた だいてと思います。 ○堀田委員 今の(3)の2番目の地域ケア・チームについて私も質問です。4 ページの(2)番にあるコミュニティ会議は、恐らく地域の高齢者の生活を広く とらえて、いろいろな担い手が入って議論するというような位置付けだろう理解 していますが、この地域ケア・チームというのは、介護保険のサービスの利用者 一人ひとりの個別ケアに関して医療、介護など関係するいろいろな専門家が集ま って、より良くするためにどうしたらいいかを話し合う場なのか。  既存のものとの違いに加え、コミュニティ会議との住み分けという観点から、 事務局としてここに書かれた趣旨を教えていただければと思います。 ○前田座長 維持期のリハのこともお答えがあればあれですけれども、先に議論 がつながるように、地域ケア・チームのことについてお答えいただけますか。 ○大澤総務課長 今、堀田委員がおっしゃった4ページのコミュニティ会議とい うのは、おっしゃるようにこれは介護・医療従事者にとどまらず、広く高齢者の 生活を支えるさまざまな分野の方々、ボランティアも含めて今後どうすべきか、 どういうシステムを構築するのが適当かということを恐らく考えていただくよう な場となるのではないかと思いますが、5ページの地域ケア・チームというのは、 医療と介護の連携がなかなかうまくいっていないのではないかというような現状 の中で、この場でもお話がありましたように、介護関係者からすると医療関係者 の方々は敷居が高いように受け取られがちなところがあるというような御指摘が あったものですから、同じチームのメンバーとして、同じ目線でこういう個別の ケア、あるいは場合によるとそのシステムの構築も含まれるかもしれませんが、 そういったようなことを同じ目線で議論していただけるような場を立ち上げては どうかということです。  石川委員がおっしゃるように、事業所が縦割りである中でなかなかこういうケ ア・チームの立ち上げというのは難しい面があるのはそのとおりだと思いますが、 事業所を直ちに一緒にするということも、これまた難しい問題でございますので、 事業所は別であったり、あるいはまた介護保険以外のところ、いわゆる病院とか 診療所にお勤めいただいている医療関係者の方々がいらっしゃるでしょうから、 そういったような方々も含めて同じ目線で同じチームの一員としてケアの在り方 を考える。そういう場を立ち上げたいというような趣旨でございまして、これ以 上の具体的なことは今後また詰めさせていただきたいと思います。 ○宮島老健局長 現場レベルで今ケアカンファレンスなどを診療報酬で評価して、 退院するときにケアカンファレンスを開いて、そこは多職種の方が集まってカン ファレンスをやるわけです。そういう現場レベルのこういうありようが1つある のですけれども、もう少し上のレベルというか、上と言うと変ですけれども、そ の現場と離れてこういう多業種の方たちがお互いに訪問看護ステーションの方で すとか、訪問介護事業をやる方ですとか、あるいはリハビリをやっている回復期 の病院ですとか、そういう事業者の単位でもどうやっていったらお互いに地域包 括ケアをうまく実現できるかを協議してもらうような場という2つのレベルがあ るかと思うのですが、今の御質問は多分そこがこの表現はごちゃごちゃになって いるのでそういう御質問になったのかなというふうに思います。両方必要だと思 っています。 ○前田座長 では、どうぞ。 ○太田委員 2点ほどあります。  まずは先ほど皆さんから出ていたのと同じコミュニティ・ワーク・コーディネ ーターなのですけれども、最初に読んだときにはやはり民生委員さんのことをイ メージいたしました。それから、その後、御説明を聞かせていただいてから社会 企業家のような方をイメージいたしました。  具体的に言うと、こんなところで言っていいのか分かりませんけれども、四国 の方にある「いろどり」のようなところがすごく有名だと思うのですけれども、 ああいう人を養成していくということなのか。養成と言うのではなくて研修をす るというようなことなのかなと思ったのですけれども、とにかくすごく分かりづ らいので、私も是非これは日本語にしていただきたいと思いました。  それと、24時間・365日というのが何度も出てきております。すごく耳障りが いい言葉ですが、先日、最後に大臣から、介護が必要になったときの入口から最 後までというような一本線というふうなお話がありましたが、入口ですね。多分、 地域包括支援センターという言葉も何度か出てきておりますので、そこが入口に なるのではないかと思うのですけれども、しっかりと地域包括支援センターだっ たら地域包括支援センターで必ず受け入れ、相談の窓口になるというようなこと を明確にする文言を1つ入れていただけると分かりやすくて安心感が高まるので はないかと思いました。 ○前田座長 今の点について、何かお答えいただくことがあるとすればお願いし ます。 ○大澤総務課長 中長期的な有り様としては、それは非常に望ましい姿だと思い ます。  ただ、1点お断りしておきたいのは、現在の地域包括支援センターは平成18年 4月に立ち上げまして全国で4,000か所程度ですが、要支援者の介護予防ケアプ ランが非常に業務としては大きくて、なかなか総合相談機能まで手が回らない現 実というのも一方であるものですから、地域包括支援センターが全部ワンストッ プの相談機能だというふうにしていくのが将来的にはいいのかもしれませんが、 先程のお話ではありませんが、段階を踏まないといけない面もありますので、少 し考えさせていただきたいと思います。 ○太田委員 もちろんこれは介護ビジョンというふうに伺っておりますので、今 すぐそうだという結論を求めているものではなくて、やはりどうしても入口は鮮 明に国民の方に示していただきたいというのが希望です。  そうじゃなかったら、本当に分かりづらくて、どこに行ったらいいのかわから ず、おろおろしている人たちばかりです。その人たちがとにかく入口を明確にす ることは、中長期なのかは分かりませんけれども、なるべく早い時点で必要なこ とだと思います。よろしくお願いします。 ○石川(誠)委員 地域包括支援センターですが、随所にあちこちに地域包括支 援センターの強化ということが出ていて、まだ何も具体像はないのでしょうけれ ども、おっしゃるとおり要支援のケアプランを立てるのに手一杯で、他に何もで きない。それが現在の実態ですから、要するに人数を増やして重装備型にすると いう意味ととってよろしいわけですね。 ○大澤総務課長 地域包括支援センターというのは介護保険の中の地域支援事業 というふうに位置付けられておりまして、率直に申し上げて財政的な問題も一方 であります。地域包括支援センターが全部必要な人員を抱えるということが財政 的にどうかということも、私どもとしては現実問題として考えなければいけませ んので、どういうやり方をしたら住民の方々のニーズに応えられるかというのは もう少し柔軟に考えさせていただく余地を残していただけるとありがたいと思い ます。 ○前田座長 よろしいですか。それでは、村上委員、鳥羽委員とどうぞ。 ○村上委員 5ページの(3)の先程の地域ケア・チームです。本当にいろいろ な会議があるのですけれども、例えば地域ケア・チームは、高齢者とか家族のケ アの在り方、あるいは生活の在り方、そのためにはどういうサービスが必要なの かという内容の会議です。  しかし、いろいろな会議があるけれども、会議ごとの整合性がとれていない印 象がある。いろいろな名称の会議があるが、どの会議にも共通な内容があり、そ れはそこにいる高齢者をどうするか、家族をどうするかという問題だと思います ので、複雑化している会議をもう少しすっきりとできないのかなということです。  それから、今この地域ケア・チームについて、家族というものをあえて入れま したけれども、例えば1ページ目のところにさまざまなことを書いていますが、 やはり家族に対する支援というものが大変弱いと思うのです。尊厳を持って自立 した生活だとか、超高齢者社会を築いていくためにという理念の実現には、家族 の存在を軽く扱うわけにはいきません。ですから、家族も尊厳ある生活をしてい かなければなりませんから、そのために高齢者を支えながらどういう家族の支援 をしていくのかという考え方が、どうもこれまでの議論の中でも前面に出てこな い。  私は、家族の人たちをきちんと支えるということをしないと、安心と希望とい うものが本当にあるのかどうかということについては大変不安だという気がする のですけれども、そこのところについてお聞かせいただきたいと思います。 ○前田座長 まず、地域ケア・チームに関連して組織が複雑化するのはもうちょ っと整理といいますか、合理化といいますか、そういうことについてはいかがで すか。 ○大澤総務課長 私どもなるべく住民にとって分かりやすい形といいましょうか、 整理の仕方というのは、行政実務の有り様として考えていなければいけないこと だと思います。ここで言っていただいているのは機能的な話なので、この機能を 実際に展開する会議がどういう形になるのかというのは、我々としてそこはしっ かり考えさせていただきたいと思います。 ○前田座長 家族の視点は、今回はそんなに強調はしなかったということなので すね。 ○大澤総務課長 2ページ目の最初の行に家族に触れてはおりまして、「介護が 必要な高齢者やその家族が社会の中で孤立することを防ぐことを目指さなければ ならない」ということで、無いわけではないのですが、どうなのでしょうか。 これはむしろ先生方に御議論をいただきたいと思いまして、どちらかというと高 齢者自身が要介護になってもならなくても、選択肢を持って自分の意思で生活を していきたい、生きていきたいというようなことがどちらかというと強調されて いたのかなというふうに思ったものですからこういう形にしましたが、その点は むしろ先生方の御意見を聞かせていただければと思います。 ○前田座長 やはりこの会としての御意向を踏まえてまとめていきたいと思いま すが、村上委員としてはもうちょっと家族の視点をということなのでしょうか。 ○村上委員 例えば、コミュニティということを考えても、あるいはその人らし く地域で暮らし続けるということにしても、そこに一番強く関わっているのは家 族なのだろうということです。一緒に住んでいるかどうかは別にしても、遠くに いる家族の人もいます。ですけれども、そういう人たちも高齢者の方が高齢にな って、あるいは何らかの疾病だとか障害が出てきても、地域で住み続けさせてあ げたいと思うでしょう。その時に、家族の人たちがどんなことができるのかとい うことを考えると、この家族の心痛というのは本当に大きいものがあると思いま すし、家族の支えがなければ決してそれはできないのだろうと思います。  それから、介護度もあるわけですが、同居をしていても介護度が低いためにサ ービスが十分使えないとか、その家族状況が大変複雑だとか、金銭的に大変困難 な状況にあるとか、認知症の軽度だがさまざまな行動的な障害があった場合、こ の人たちをどう支えていくのかという問題とか、さまざまにあるだろうと思うの です。  ですから、家族の支援というものをこの介護保険制度の中できちんと位置付け ていく必要が私はあるだろうと思っているのです。 ○前田座長 もちろん一番核になるコミュニティは家族かもしれないので、おっ しゃることに誰も異存はないとは思うのですが、今回のビジョンの中では超高齢 社会を迎えるに当たって政策としてどういうものに手厚くしていくか、資源を配 分していくかという観点が中心になったときに、ここで挙げたような1つ目のコ ミュニティ・ワーク・コーディネーターというのは今日、多数の御意見をいただ きましたように、これは皆さん共通の認識だと思うし、書いた側もそうなのです が、ボトムアップでしかあり得ない。上から人を派遣して何かやろうという案で はない。  ただ、そう見えてしまった書き方については、何とかしなければいけないと思 っています。  こういう形と、あとは高齢者が活き活きと働いて生きがいをもって、その中で 要介護を高めないで、よりハッピーな生活ができるというようなことを考えると きに、家族に対してどういう支援をするかという視点がなかなか入れにくかった かと思うのです。ですから、次回までに入るものであればまた検討させていただ くということにしたいと思います。 ○太田委員 私も、当然家族の立場ですのですごく気になっていたことなのです けれども、結局高齢者側からしました場合には、御高齢の方が一人暮らしとか、 また日中一人暮らしであったとしても、24時間・365日安心して暮らしていける 社会が必要なのだということだと思います。だから、これからどんどん一人暮ら しが増えていくわけです。日中独居も当たり前です。そういう社会でも安心して 暮らせるということを必ず入れていただきたいと思っております。 ○鳥羽委員 私は、前文の方に大変いいことが書いてあると思います。3ページ ですね。「超高齢社会における「安心」は、たとえ高齢、要介護となっても多様 な生き方や必要なサービスを選択できる」と書いてあるのです。この「必要なサ ービス」というのは当然、介護サービス、医療サービスのことも含まれると認識 しております。  それを踏まえて、5ページの「医療と介護の連携強化」のところでお話をさせ ていただきますと、私が資料を提出したりしていることが盛り込まれていないの は、まず第1に事務局でたたき台としてまとめられた経緯としてどういうことか ということです。医療と介護の継ぎ目を感じることがないようにというのですけ れども、医療が慢性化して介護になるだけではなくて、要介護者は平均5つ6つ の疾患と10以上の症状がある。これは、病人と考える人がほとんどなわけです。 寝たきりになる者も、脳血管障害、認知症、骨折、さまざまな病気を抱えている 人が多い中で、その人たちが救急医療の現場に行くことが当然ながら起きるわけ ですね。  ですから、医療と介護の継ぎ目というのは一方通行でなくて、いろいろな場面 で循環したりしてくるパターンがあるわけです。その中で継ぎ目を感じることが ないようにということで、高齢者の救急が不足しないようにする。行っても断ら れないようにする。ネットワークは要介護者にとって大丈夫か。また、要介護者 が本当に在宅医療の整備で、ここに書いてあるもので十分安心した慢性期医療を 受けられるのか。あるいは、前回も指摘しましたけれども、終末期医療について このままの体制で今、言ったここに挙げられた連携強化だけで十分高齢者が安心 した終末期医療、介護を受けられるのかといったことがこれで担保されているか というと、私は全く不足していると思います。この文章の前段に、介護需要とい うものは慢性医療需要の増大を意味するという認識をまず入れるというのが第1 点です。  第2点、要介護者の医療需要に不足のない施策を今後国としてとっていく。こ のような心構えをまず書いて、救急医療もしっかりと整備します。高齢者が救急 車でたらい回しされることがないようにしますというような形を書いていただき たい。それがない限り、どこが安心のビジョンか。不安のビジョンに過ぎないじ ゃないですか。 ○前田座長 それは書き加えなければいけないということで、事務局の方から何 かございますか。 ○大澤総務課長 これは、一応「安心と希望の介護ビジョン」ということなもの ですから……。 ○鳥羽委員 ですけれども、介護と医療は分離できないという立場で私は意見を 述べているのに、それが一行も入っていないじゃないですか。 ○大澤総務課長 わかりました。少しそこは考えさせていただきます。 ○鳥羽委員 これはたたき台ですから、事務局がたたき台を作ってこの会議で作 るわけですから、別に依存しないでこれを今、私たちの委員会で入れると決めれ ばいいのです。 ○前田座長 この会の中でも出てきたと思いますし、大臣の発言にもございまし たように、医療と介護を結び付けるというのは今、御指摘があったように切れ目、 狭間みたいなものをただ埋めるということではなくて、もっときっちり結び付け て、まさに高齢者の不安、安心でない部分というのはやはり病気になったときに どうしようというのが一番大きいことは間違いないわけです。  そこに関して、介護ビジョンの側で、こちらの医政局ではないところで書くも のであっても、それは私は入れるべきだと思いますし、今の鳥羽委員の御指摘の とおりにさせていただきたいと考えております。  ただ、修文は……。 ○鳥羽委員 私は、医療と介護の連携の関連で話してもいいということでこの委 員になっていますから、もし入れてくれないのだったら私はもう辞めます。 ○前田座長 そうおっしゃらないで、最後までお願いいたします。それは入れさ せていただくということでやりたいと思いますので、申し訳ございませんでした。  では、さっき堀田委員が手を挙げておられましたので、堀田委員どうぞ。 ○堀田委員 質問だけでなく意見ももうよろしいですか。 ○前田座長 どうぞ。 ○堀田委員 最初の1点は質問なのですが、残りは意見です。  質問は、7ページの「介護従事者にとっての安心と希望の実現」で、「(1) 各事業所における介護従事者の労働条件や給与水準の公表」の1つ目に「基本的 にすべての事業者が公表することを目指す」というふうにありますが、これは将 来的に何らかの労働条件や給与水準の情報を公表することを義務付けるというよ うな含みをもって書かれたのかという点です。私は義務付けには反対です。  これ以降はすべて意見です。1点目。全体の始めのところで、これまで皆さん もおっしゃってきた点と思いますが、介護が必要になったとき、どんな生活が送 りたいのか。どんな生活が保障されるのか。必要な助けはどういうものなのか。 その中で介護保険で賄うべきところはどこかといったことについて私たち一人ひ とりが考え、議論を続けていく必要があります。一人ひとりが探し続けていくこ とがそれぞれの安心にもつながるといったようなニュアンスを、何らか一文でも いいので入れていただければと思います。  2点目。先程村上委員からの御指摘もあり、前回私の報告でも申し上げたとこ ろですが、家族については必ず触れるべきだと思います。本人、家族、知人友人、 地域のネットワークがあって、それから公的なものということになると思います ので、家族がいなくても安心が守られる必要がある一方で、家族の位置付け、家 族も含めた支えのあり方を最初に示した方がよいのではないでしょうか。まず本 人、家族やネットワークによる互助共助があって介護保険というような支えの全 体の姿を示した上で、その中での家族について、前回も申し上げましたが、仕事 と介護の両立支援、現金給付、情報提供や相談対応、技術的な支援などを含めた 総合的な支援を検討していくといったようなことは、2025年という時期を考えれ ば十分に書き込んでいくべきことではないかと思います。  3点目。コミュニティ・ワーク・コーディネーターに関して、これは是非位置 付けを明確にしていただければと思います。それだけではないというのは御説明 でよく分かったのですけれども、少なくともこの概要だけ見るとコミュニティ・ ビジネス育成の担い手といった色合いが前面に出る形になっています。でも実際 には駒村委員の御指摘にもありましたが、現在各地域で活躍していらっしゃるキ ーマンを発掘して、認定し、その方々のネットワークを創ってノウハウを共有す るということの方が、イメージともしかすると合うのかもしれないという気もい たします。決まった研修を通じて養成するという形なのか。それとも、現在いら っしゃる方々の発掘・認定なのかといった位置付けもはっきりして書かれた方が よいのではないでしょうか。私は研修して派遣、ではなく発掘・認定・ノウハウ 共有の方がいいのではないかと思います。  4点目。大きな2番目のポツの「高齢者が、住み慣れた自宅や地域で住み続け るための介護の質の向上」というところ。これは前回、古川委員も指摘され、私 も少し触れましたが、まず介護の質の向上というときに、これも2025年という将 来を見据えたということであるなら、そもそも介護の質をどう考えるのか。アウ トカムの指標について具体的に議論を深めていく必要があることを、この(1)か ら(5)の前に入れた方がいいのではないかと思います。それがないと、継続的に 介護の質を検証して向上することはなかなか難しいのではないでしょうか。  5点目。3.の「介護従事者にとっての安心と希望の実現」のところで、まず (1)番の労働条件や給与水準の公表について。これは、私はなかなか難しいも のだと思っています。事業所の労働環境全体、働きやすさの情報を知らせていく ということは推進されてよいですが、注意しなければならないのは、処遇改善は 賃金アップのみによってはかられるものではないという点です。教育訓練の充実、 あるいは例えば非正規から正規への転換、法人内の異動などキャリアアップの仕 組みを整えるなど、さまざまなやり方があります。事業所における働きやすさを 示す情報は多様です。少なくとも現段階で給与水準を公表せねばならないという のはやめた方がよいと思います。1つ目の質問とも関連しますが、こういった公 開する項目を限定せず、各事業所における働きやすさを向上させる総合的な取組 みの自主的な公表を促すということならよいのですが。  最後に、今の点とも関連しますが、3.の中で特に前回古川委員も御指摘くだ さいましたが、介護従事者にとっての安心というときに、仕事ぶりや能力を評価 し高めておくといったような雇用管理のモデル、経営・事業戦略のモデルを創っ ていく。それを普及していくといった観点も、是非入れ込んでいくべきではない かと思っています。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。御意見のところはほぼ取り入れて次回に 修文してまいりたいとは思うのですが、7ページの公表の件で御質問があった点 に関して課長の方から何かお答えいただけますか。 ○大澤総務課長 給与水準等の公表について義務付けができるのかというお尋ね でございますが、堀田委員がおっしゃるように、給与水準には個人情報も当然含 まれてまいりますので、義務付けというのはなかなかハードルが高いというのは 十分認識をしております。  ただ、一方では、この検討の場でも御発言がありましたように、介護保険は保 険料と公費で成り立っていて、介護報酬が労働者の勤務条件の改善にいかに結び 付けるかということが非常に大きな課題になっておりまして、そのためには情報 開示というのも一つの手段ではないかと思っております。  おっしゃっていただいたように、給与水準にとどまらず、働きやすさというよ うにやや広げた情報開示の仕方ということも多分あるだろうと思います。そこは 私どもなりに考えてみたいと思います。 ○前田座長 堀田委員、今の回答でよろしいですか。  それでは、石川市長お願いします。 ○石川(良)委員 今の点に関しましては、私も介護従事者の労働環境全体を、 より公開をしていくということについては全く異論ありませんけれども、給与の 公表等については今、具体的に介護労働者が集まらないというようなこと等々を 含めて、現実問題としてこの会議も一定のメッセージ性を持たなければいけない。 現在、抱えている問題に対してどう対応するのかということで、多分事務局もこ れを具体的に入れたのではないかと思います。  そういう意味では、現実に今ここで介護報酬3%アップということが出ました けれども、それが実際に本当に労働者のところ、従事者のところまでいくのかど うかということをきちんと検証する一つの方法として、確実にこれは落とし込ん でいく必要があるのではないか。これは、ビジョンという大きな課題ということ からしますとちっぽけな問題かもしれませんけれども、今、抱えている問題に対 するメッセージ性もこの会議としては一定の必要性があるのではないかと思いま す。  もう一点、ちょっと先走った話になりますけれども、今後この取りまとめをし て、また中身を精査していくわけですが、やはり2025年という時間が出されてお りますので、2025年までの間にどういったタイムスケジュールで、ロードマップ をどう構築していくのかということについて、事務局の方で具体的にこれを一定 煮詰められたそれなりの案ができたとしても、具体化をしていくためのスケジュ ールが見えてこないと、いいものはできたけれども、実際にそれは実現できるの かどうかはわかりませんという話になってしまうと、この議論というものも少し 肩透かしということになってしまいますので、なかなか財源等の問題を含めて難 しい部分もあるかと思いますけれども、是非その辺りのことも含めたタイムスケ ジュールを、事務局の主導でも結構でございますので、きちんと素案をつくって いただければありがたいと思います。 ○前田座長 いつまでにロードマップをつくるかというタイムスケジュールがあ って、次回までにそれが完全にできるということは難しいかもしれませんけれど も、おっしゃることはごもっともで、ビジョンを創ってもその具体化の道筋を示 さなければ、まさに絵に描いただけだという御指摘は重く受け止めて考えていき たいと思っております。  では、袖井委員お願いします。 ○袖井委員 これは「安心と希望の介護ビジョン」ということなので、財政との 考えをどう考えたらいいかわからないのですが、本当にそれをあまり考えなくて というか、安心と希望を実現することを念頭に置くとしたら、例えば3ページ目 の先ほど鳥羽先生が御指摘になった「超高齢社会における「安心」とは」という のはなかなかいい文章だと思うのですけれども、「年齢や心身の状態に関わらず」 というところで、例えば所得の多寡とか、家族の有無というようなものも入れら れないかということです。  というのは、本当に介護保険というのは誰でもどこでもどんな状態でも介護保 険のサービスを受けられるというような理想を持って始められた制度だったので すけれども、だんだんきつくなって、実際に私の周りでは、介護サービスは金次 第ねというような声が出ているわけです。それから、家族がいないとやはりなか なか在宅でいられないという状況がありますので、本当に理想論を展開していい のであればそういうことも入れていただきたいということでございます。  それからもう一点は、7ページの(2)の最後のところです。全体的に皆さん が唐突という言葉をおっしゃって、多分これは舛添大臣の思い付きと言ってはい けないですけれども、ひらめきでいろいろな新しい言葉が次々と出てくると思う のです。さっきのコミュニティ・ワーク・コーディネーターみたいなものですが、 ここの最後のところも唐突に介護ロボットと出てくる。  この前、テレビで舛添大臣が介護ロボットに御飯を食べさせてもらうところな どが出ていたのですが、これも一つですけれども、これだけではないと思うので、 例えば介護ロボット等を始めとする介護機器とか、福祉機器とか、もう少し広く 考えていただきたいと思うし、実際に一時期、介護ロボットブームというのはあ ったのです。それで、それを実験的にやったりしたのですが、それほどうまくい かなかった例もあるし、他にもっと介護従事者の負担軽減できるようないろいろ な機器が結構ありますよね。北欧などは随分いろいろ使われているので、そこも もうちょっと広目に書いていただきたいという希望でございます。 ○前田座長 後の点ですが、杉並の施設に行ったときに、やはり入浴サービスな どを人の手でやるとものすごく大変ですけれども、あれをロボットというのでは なくて先生のおっしゃる機器の一つ、広い方の機器ととらえた方がいいと思うの ですが、そういうものが備わっていると、私などもずっとそういうものを見てき た人間ですが、やはりすごいなと思うのです。  そういうものに関しては日本の科学技術みたいなものを最大限活かした研究開 発をして、人的な不足を補える部分があればいいというニュアンスで書いてあり ますので、ロボットという言葉がちょっと強過ぎると言えばそうなのですが、今 回の研究会の中で思い付かれて、我々も感じたところでもあるので、そこのとこ ろはまた修文を考えさせていただきたいと思いますし、頭のところで理想論とい うようなことも可能な限り入れて、未来のビジョンとして夢を描けないビジョン ではいけないという御指摘も踏まえて直していきたいと思います。  では、太田委員どうぞ。 ○太田委員 先程、家族のところで、高齢者側から言えば家族が遠方に住んでい ようと、独居であろうと、日中独居であろうと、というふうに申し上げたのは、 私は基本的にといいますか、家族がいなくても要介護者が困らない社会が必要だ というふうに考えておりまして、特にこの2025年くらいになりましたら家族のい ない人というのも大勢になってきますでしょうし、家族がいてこそ成り立つ介護 ではなくて、いなくても成り立つ介護が必要だと考えております。  それで、あえて家族というものがここにあるべきなのだろうか、ないべきなの だろうかと考えていたのですけれども、今2025年に向けてと言っても、これが公 表されるビジョンとなっていくと考えた場合、今、実際に困って悩んでいらっし ゃる家族というのがすごく多い。そうした場合に、ここに家族の項目がないとい うのはすごく不安を煽ることになると思います。それこそ希望も何も持てないと いうふうな印象が非常に大きいと思います。2025年に家族がいなくても成り立つ 介護というものは必要だと思いますけれども、今の段階で出される介護ビジョン としては、この1、2、3の2と3の間に、できたら家族にとっての安心と希望 の実現というものが必要なのではないでしょうか。  そして、そこには先程も申し上げましたとおり、心配や不安があったときには、 それが地域包括支援センターなのかどうかはわかりませんけれども、24時間体制 で相談を受け付ける機関ができるということ、できているというようなことが必 要になってくるように思います。 ○前田座長 これも私事を言ってはいけないのですけれども、先程の家族を入れ なければいけない。これは不十分だというのは分かっているのですが、ちょっと 悩ましいし、非常に歯切れが悪かったのは、やはり私自身の介護体験から言って 家族中心で動かないという感覚を持っているのですが、私は子どもができなくて、 この後どうなるかというと、家内がいなくなったらやはり孤立無援で、その後の 老後はどうなるかというようなことを考えると、やはり家族抜きの介護というも のを考えなければいけない。  全く私的なことなのですけれども、ただ、世の中の転換の中で基本はやはり家 族抜きでも独居でも安心して暮らせる社会をひとつ考えておくことは重要なので はないか。ただ、理想として私はいろいろなところでの考え方としては、家族と いうのは非常に大事な社会のユニットとして、力としてあるのですが、その中で 今25年後を見据えてどの程度書き込んでいくかということは非常に悩ましいとこ ろなのです。  ただ、今の太田委員の御指摘なども踏まえて考えていきたいというか、まとめ ていきたいと思います。  では、村田委員お願いいたします。 ○村田委員 6ページで、認知症対策と住まいのことについて2点申し上げたい と思います。  1つは成年後見制度ですけれども、わずか2行に「成年後見制度の一層の活用」 と、何と素っ気ないことかと思います。これは、これまで出たいろいろなビジョ ンや報告書と何ら変わらなくて、あまり前進が見られないなという感じがします。 私たちは裁判所に関わるとか、法で支えられるということに日頃慣れていません から、やはり地域で認知症の人を支え、認知症の人の権利、人権を守るというこ とで、いきなり成年後見制度というのは無理があると思うのです。最終的にはこ の制度に結び付くわけですけれども、やはりその前に社協の地域福祉権利擁護事 業を使ったり、あるいは人権侵害を受けているというのはいろいろな要素が関わ り合っていますので、そのもつれた糸を解きほぐすのに消費者センターも関わる、 弁護士さんも関わる、ケアマネージャーも関わる。いろいろな方が関わって、そ のもつれた糸、侵害されていることをほぐしていくという過程があって、そして 最終的には制度を利用する。そういう道筋があって、認知症の人たちの権利、人 権を守っていくということだと思うのです。  この成年後見制度のことで言えば、一層の活用ということをもう少し具体的に、 例えば今、制度利用の上で一番法律改正しないでできることは何かと考えると、 およそ8割近いのが家族の後見人なわけです。他の意味で家族の支援というのは 出ていましたけれども、家族が後見人になっていても、家族への教育というか、 支援対策が全くなくて、市町村からパンフレットを1枚渡されて、あの分かりに くいものを、はいあなたは後見人です、1年間の業務報告を裁判所に出してくだ さいとか言われて、へれへれになっている。多くの家族の後見人がそういう状態 なのです。  だから、一層の活用をしていくために具体的にできることは何かというと、や はり家族がなっている後見人をどう支援していくか。例えば、第三者の専門家の 弁護士とか、司法書士とか、そういう方たちが家族の支援をしていく。研修を行 うとか、そういう具体的なことを示していく必要があるのではないかと思うので す。それで、家族支援をしていく上で行政の関わりももちろんですが、第三者後 見人の力を借りる。その方たちの責務としてやっていくというようなことも、こ の「成年後見制度の一層の活用」というわずかこれだけではなくて、もう少し具 体的に踏み込んでほしいというのが一つの希望です。  それから、住まいに関しては公的賃貸住宅のケア付き住宅化というのがあるの です。今巷にはケア付き住宅と銘打った住宅がいっぱい出てきているのですけれ ども、これが非常に怪しい。ケア付き住宅だったら有料老人ホームでしょう。と ころが、有料老人ホームではないから、公的な監視の目が入らなくて、きちんと 介護サービスが提供されているかどうかが全く分からない。非常にここが不安な 状態というか、悲惨な状態に陥ることもあるわけです。  そういう中で、このケア付き住宅などを整備していくというのはどういうふう に考えておられるのか。公的な監視の目が入るのかどうか。その辺の考えを、ち ょっとここに関しては伺わせていただきたいと思います。 ○土生振興課長 今、委員の御指摘の有料老人ホームの件でございます。平成18 年度に改正を行いまして、それまで常時10人以上という要件がございましたが、 それを撤廃いたしまして1人でも有料老人ホームに当たるということ、あるいは サービスの種類は4種類規定しておりますが、そのうち1つでも該当すれば有料 老人ホームに当たるという規制を拡大したところでございます。  したがいまして、私どもも今おっしゃいましたような質の確保ということも当 然規制として取り組む。その一方で、やはり大都市部を中心にこうした居住サー ビスがまだまだ不足しているということもございますので、事務局の案としてこ ういう点を書かせていただいたということでございます。  有料老人ホームの規制につきましては、まだ規制が徹底されていないという御 指摘もいただいております。具体的には、該当するものの届出がなされていない ホームもまだ相当数あるということで、そこは各自治体と連携をいたしまして、 私どもも規制の徹底、質の担保ということをやっておりますが、まだまだ足らざ る面があるということであれば、このビジョンで御指摘いただくべき事項であろ うと考えています。 ○村田委員 私が伺いたいのは、有料老人ホームならば老人福祉法に定められて いるということで公的な監視の目が入りますね。でも、この公的賃貸住宅のケア 付き住宅化というのは何か目が入るのですか。例えば、きちんとケアサービスが 提供されていない時にはどうなるのかなど、それは公的ということでいいのでし ょうか。 ○土生振興課長 ここのビジョンは方向性ということで、ここで具体的な制度設 計を御提案しているわけではございません。  ただ、1つ御紹介いたしますと、高齢者向けのケア付き住宅ということは今、 国交省の審議会で御議論いただいておりますけれども、私どももそこに参加をい たしましてケアの質の確保ということも含めて議論をしながら、委員のような御 指摘にこたえられるようなものにしていかなければいけないのだろうということ で、両省連携をして今、検討しているということは御報告させていただきます。 ○村田委員 これに関してもう1点ですが、非常に今ケア付き住宅ということが 曖昧で、民間が出しているものだとか、高専賃だとか、高優賃だとか、利用者に とってみるとよく分からない区別がつかないようなものがいっぱいありまして、 有料老人ホームと何がどう違うのか。利用者にとってみれば本当にわからないの です。そこはきっちり整理していただきたいと思います。 ○前田座長 この問題に関連して言えば、日本の団地などでも建替えというか、 昔は若者の町だったのが高齢者が多数を占める中でどう建て直していくか。その ときに、やはり介護の視点を入れた建築ですね。それが大事だとここの議論には 必ずなっていくと思うのです。そういう方向での御議論であって、公団住宅だと か、公的な住宅をそういう方向でやっていくということ自体、異存はないと思う のです。 ○村田委員 それは、全然ありません。 ○前田座長 それに関して、より一層の国費を投入していく。それは、決して無 駄な公共投資というよりは非常に国民が安心するための公共投資になるという方 向のもので、これによってケア付きをうたいながら高齢者にとって非常に不満な 状況をつくり出すということではなくて、少しでもそういう団地に住むときとか、 普通に住むときに、高齢者の介護に資するようなものにしていくという方向での 提言なのだと思います。  ただ、先生が御指摘のような視点も常に頭に置いておかなければいけないとい うことでは、重要な御指摘だと思います。  では、駒村委員どうぞ。 ○駒村委員 今ちょうど議論があったところと大枠と2つなのですけれども、今、 議論があった公的賃貸住宅で、日本の社会政策の最大のアキレス腱というのは住 宅政策が社会保障政策から完全に落ちているというところなのです。  そういう意味では、ようやく先ほど国土交通省との調整という話が出てきまし たけれども、住宅政策を真正面から社会保障政策の中で位置付けていく時期に入 ってきたと思います。そういう意味で私の理解は、これからの公的住宅というの は従来は低所得者向けの部分があったわけですけれども、高齢の低所得者に対し ていかに低廉でこういうものを保障できるか。  マーケットでも提供できるという話はあるのですけれども、マーケットでは高 齢者向けの住宅賃貸市場においては市場の失敗が起きるということが経済学の中 では確認されておりまして、そこは新しく公の役割の部分で新しい公的住宅の役 割、機能強化という部分でもっと積極的に位置付けていくべきものだろうと私は 理解をしています。そういう理解でいいかどうかということです。  それから、全体の点でありますけれども、最初の前文のところは例えば1ペー ジに生き方に選択肢、幅を持ち、人とのつながりを維持できるような社会にして いきましょう。あるいは、多様な生き方を保障できる社会にしていきましょうと いう点で、非常にいいキーワードも出ていると思います。  一方で、2025年という数字は国民会議の方でも財政見通しが出てきているわけ ですけれども、ちょうど介護保険ができてから24年から25年経つところでありま す。それで、これは他の社会保障、社会保険も概ねそうなのですけれども、20年 から25年くらい経つといかに工夫した制度であっても大規模改修をしなければい けない時に来るわけです。年金であっても医療であっても、技術や働き方や人口 構成の変化で、より介護の場合は生活、家族の在り方の変化がかなりなスピード で進んでいますから、本当に2025年が今の介護保険と同じ姿なのかどうかという のは全く分からなくなってくるかもしれない。  そういう意味では、ここに書いてあるように今はできていない、あるは検討中 で保留されている事項を新たに選択肢として、あるいは全く考えてもいないよう なものも新たな選択肢として一度出していくというのはビジョンとしては必要な のかなと思います。もちろん今、困っている問題があるわけですから、そういう 問題にも当然対応しなければいけないものもある一方で、その将来ビジョンも同 時にここでは考えていかなければいけないだろうと思います。全体のメッセージ としてそういうものが伝わっていけば、このビジョンの位置付けも明確になって くると思います。  その上で、あとは先程、堀田先生がおっしゃったこととかなり重なるのですけ れども、労働者の賃金公表、条件公表のところの話です。私は、介護労働、介護 サービスというものが、質という意味でのアウトプットが測定や公表できるよう な状況にはまだなっていないという以上、いかに働いている方が気持ち良くいい 条件で働けるかというインプット情報を出すことによって、質の情報の代替とし ていいサービスができているのだというメッセージ、あるいはその指標として使 っていくという意味で、公表というのは私はいい仕組みではないかと思います。  さっきも堀田先生がおっしゃったように、介護の質の向上を目指すように、明 確にそういう調査研究をして仕組みを入れていくということを書き込んだ上で、 介護従事者の方の介護の質をある程度把握、測定できるような仕組みが出てくれ ば、これとキャリアアップをつなげてキャリアの階段を明確にしていって、その キャリアの階段と報酬をリンケージすることによって高いインセンティブと報酬 がつながっていくという仕組みを将来的には目指していった方がいいのではない かと思っております。 ○石川(良)委員 先程来、少し議論が出ております(5)の公的賃貸住宅の問 題ですけれども、実は今、自治体で頭を抱えておりますのは高齢者専用の賃貸住 宅ということで、そういうものがどんどん出回ってきているということが結果と しては住所地特例等々もございませんので、高齢者を集めてきて、結果としてそ の地域の介護保険料にも影響を与える。こういう問題も抱えておりまして、いわ ばこの賃貸住宅の考え方というのは、それに打って出て、必要な住宅サービスを 公的にも進めていきましょう。そのことについては異論がないわけですけれども、 やはり介護保険の基本的な考え方としては、地域の中で安心して老いていくこと ができるというベースがあるべきだろう。ですから、ここはかなり一定の限定的 な枠の中で高齢者を事業として呼び集めてくるというようなイメージはきちんと 払拭をして、例えば限界集落でも指摘がありましたけれども、限界集落での介護 サービスには限界がある。しかし、その集落の中で一定公的住宅によってサービ スを提供して、集中的にサービス提供することによってサービスの質、量とも一 定確保することができる。こんなお話もございましたので、やはり地域の中でこ ういったサービスを進めていくという考え方を基本的にはベースにしていくのだ ということを是非明確にしていただきたいと思います。 ○前田座長 それに関連して、石川市長のところにも被っているかもしれないし、 隣の多摩市といいますか、多摩ニュータウンでは我々はちょっと研究みたいなこ とをやっていて、やはりこのビジョンの頭にあるように、高齢者が安心して活き 活きと希望を持ってという時に、高齢者ばかり集まった団地になっては困るし、 いかに若い人とうまく混じり合いながら、刺激し合いながら、高齢者の知恵を若 い人に伝えながら、それからいろいろなものを伝達しながら社会を創っていくか。 その中でのケア付きの住宅とか、高齢者が居易いとか、コミュニティの部屋をど う創っていくかとか、やはり先生がおっしゃったように建設の世界と社会保障の 世界ではいろいろなものが今まで切れていたのをどうしていくかというのは、こ れから大きな課題になっていくと思うのです。  さっき課長から御指摘があったように、動き出しているということなのでそう いうことに非常に期待したいと思うのですけれども、そのメッセージをここに少 しでも入れておいていただければと思います。決してそれは高齢者の方だけが集 まってというようなものを作るということとむしろ逆行するということは大事な ポイントだと思っております。 では、どうぞ。 ○村上委員 前回、舛添大臣が最後にお話いただいたときに、先ほど入口の話が ありましたけれども、出口ではなくて最期のところから高齢者のさまざまな生活 を考えていかなければならないというようなお話が、確かあったと思います。  その最期というのは、例えばお見送りをする。お葬式をするというところから 考えていくというようなお話もあったと思うのですけれども、私はそう考えると 安心、希望というビジョンであったとすれば、そこに至るまでの間にいかに安心 と希望が持てるか。何かあった時にどれだけそのことが補完してもらえるかとい うようなサービスも必要なのだと思うのですが、例えば2ページのところにその ことは書いてあると思います。  2ページの中段から下の方に、「財政的にも合理性の高い24時間・365日のサ ービス提供拠点」、これは小規模多機能のことを言っているのかなと思うのです が、その後も「施設の計画的・戦略的な整備を進める」と書かれています。  これは、最後の砦になっているところも考えているのだろうとは思うのですが、 先程のケア付き住宅なども含めて、グループホームだとか、特養だとか、そうい うものが全部「施設」という言葉でくくられていて、今ある特養に関してはこの 中で括られてしまっていますから、これを計画的・戦略的に整備を進めると考え た時に、どういう計画性なのか、戦略的な考え方があるのか。ここの中ではよく 分からないわけです。  それから、この時の医療と、介護の連携の問題とか、あるいは施設というもの がさまざまなカテゴリーがあったとすると、この施設の機能の使い分けはどうな っているのか。本当に安心と希望に基づいて、それを支えるための施設としての 使い分けをどう考えられるのか。  特養も今、地域の拠点になっていますし、これからもっともっと地域の拠点に ならなければいけないと思っていますけれども、小規模多機能のようなものだけ が拠点なのか、総合的に生活の機能を持った特養のようなものなのか、あるいは それ以外のものも拠点と考えるのか。ここについてもお聞きしたいと思います。  同じことが5ページにも書かれておりますので、それによってこの1番目の丸 の表現についてももう少し考えていただけることがあるのかどうか。それを教え ていただきたいと思います。 ○大澤総務課長 今、御指摘いただいた点は、実は関係の審議会でも重要な課題 と言われておりまして、そのことだけで非常に深い議論をしていただきませんと、 機能分担、今後の有り様については早急に結論が出ない非常に難しい問題だと認 識しております。今この時点でどの施設がどの機能でどうなのかというふうに明 確に申し上げるような準備ができておりません。これから、関係審議会の方で具 体的な検討を進めていく中で明らかにさせていただければと思っております。 ○村上委員 もう1つだけ、このたたき台案がこういうふうに書かれているとい うことは、これからたたき台ができた時にこの表現になっていくのかどうか。あ るいは、今もう少しいろいろなことを考えた上でこの表現が変わっていくのかど うかです。 ○前田座長 先ほど委員から御指摘があったものはもちろん直していくわけです けれども、御質問は今の「施設」という言葉をこのままということですか。では、 課長からお答えいただきたいと思います。 ○大澤総務課長 案のたたき台ですので、たたいていただいて「案」を取るとい うことでございますので、今日いただいた御意見を踏まえて今、出させていただ いたたたき台を修正をして案を取りたいと思います。 ○石川(誠)委員 5ページのまた(3)のところです。これは幾つか白丸のポ イントが示されていますが、どうもジャンルが2つ同居してしまっているような 気がしているのです。  というのは、「医療と介護の連携強化」というのは医療専門職と介護専門職が チームでもっと一緒にやれという意味と、医療保険から介護保険へのつなぎがう まくいくという意味と、何か違う表題が2つ付いていて、白丸の上の4つは医療 職と介護職が一緒にやろうということで、白丸の下2つは医療保険から介護保険 へのつなぎというふうになっているので、これは大きく3と4とを分けた方が分 かりやすくないかと思ったのですが、いかがでしょうか。 ○大澤総務課長 これは、一応サービスを利用される方から見て、要するに医療 と介護のシームレスな提供が受けられるようにするにはどうするかということで、 その1つの側面は職種間の協働でもあり、1つはサービスの連携であり、1つは 制度間の連携ということで、利用者の立場から見た時にはそれらは連携強化とい うことではないかということで、とりあえずたたき台としてはこうさせていただ きましたが、もしこれが不都合だということであれば当然修正はさせていただき ますけれども、いかがいたしましょうか。 ○石川(誠)委員 そもそもここで使っている介護という意味、医療という意味 が、立場によってどういう意味で使っているか分からなくなってしまうのです。 介護保険の介護というのは、医療職も介護職も一緒にやるということで、介護保 険というのは介護職だけでやるものではありませんから、それが誤解を招いてし まうような気がするのです。それで、2つに分けた方が分かりやすいという意味 です。 ○大澤総務課長 御指摘を踏まえて、そこは考えさせていただきます。 ○前田座長 他にいかがですか。 ○古川委員 5ページ目の療養介護士のところですけれども、先程来、いろいろ お話が出ていまして、実際のところ介護の現場でこういったことがやれるように なっていかなくてはいけないであろうとも思います。家族ができることなので、 介護職でもできるのではないかということも思うのですが、実際に何かがあった ときに家族であれば、家族だからということで許されるようなところあるけれど も、他人である介護職がやって何かが起こったときに、医療職でない人間がこれ をやるということでの責任問題というところに不安が残る部分が1点です。  もう一つは、7ページ目の労働条件の公表というところですけれども、整わな い中で公表していくということになると、その公表内容を見て余計に参入する意 思がなくなってしまわないかというのがちょっと心配なところです。  あとは、全体的に今回はビジョンを掲げる会議ということですので、将来ビジ ョンが並ぶかとは思うのですけれども、それに向かって高齢者の方、御家族もそ うですが、私たち介護職もこのビジョンに向かってやはり努力をしていく一員と なるわけで、そのビジョンに向かって何をどうしていくのか。先程、道というお 話が石川市長の方からもありましたけれども、ある程度それが見えなければ結局 向かっていけないということがありますので、それに向かうためにどうするのか。 どういう話し合いをどうしていくのかという道も一緒に示していかないと、これ でどうするのかとなってしまうのではないかという心配があります。以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。  では、石川委員お願いします。 ○石川(誠)委員 クレームばかり付けてまいりましたので、5ページ目の(2) の「在宅生活支援リハビリテーションの強化」で、「在宅生活支援リハビリテー ション」というのはいい言葉ではないかと思っておりまして、ここの2つの丸の 部分も大変に結構ではないかと思います。ありがとうございます。感謝いたしま す。 ○前田座長 いろいろ貴重な御意見をいただきましたが、ほぼ予定の時間がまい りました。  それでは、本日いただいた御意見を元に、このたたき台を直しまして、可能で あれば次回のこの会議でビジョンを取りまとめたいと考えております。ただ、も ちろんこの場で全て終わりということではございませんで、14日くらいまでに更 にお気付きになった点があれば事務局まで御連絡をいただきまして、提出してい ただいた案も含めて、この場での議論は経ていないので、出されたものに関して はやはり20日にきちんと御確認をしたいと思うのですが、次回はほぼ1週間か2 週間後くらいですが、これは課長から次回の予定をお話いただいた方がいいと思 いますが、その方向で進めさせていただきたいと思いますので、課長からよろし くお願いいたします。 ○大澤総務課長 それでは、次回はちょっと時間が早いのですが、11月20日木曜 日の9時半を予定しております。場所等については、追って御連絡をさせていた だきます。 ○前田座長 ありがとうございました。  本日の会議は、これで終了させていただきたいと思います。また次回よろしく お願いいたします。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 小野   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740