08/11/07 第33回先進医療専門家会議議事録 第33回先進医療専門家会議 議事録 (1)開催日 平成20年11月7日(金) (2)場所  厚生労働省 共用第7会議室(5階) (3)出席者 猿田座長、吉田座長代理、赤川構成員、新井構成員、加藤構成員、笹子構        成員、田中(憲)構成員、田中(良)構成員、辻構成員、坪田構成員、        樋口構成員、渡邊構成員        事務局:医療課長、医療課企画官、保険医療企画調査室長、歯科医療管理        官、薬剤管理官、医療指導監査室長、医薬食品局医療機器審査管理室長、        江口課長補佐、佐々木課長補佐、他 (4)議題  ○先進医療の科学的評価(9月受付分)について        ○先進医療の届出状況(10月受付分)について        ○先進医療専門家会議に係る運営要綱(案)について        ○その他 (5)議事内容 午後 3時46分 開会 ○猿田座長  それでは時間が参りましたので、第33回の先進医療専門家会議を始めさせていただき ます。今日はちょっと時間が遅くて申しわけございません。またお忙しいところ、委員の 皆さん方にお集まりいただき、ありがとうございました。  それでは早速開会させていただきますが、お手元に議事次第もございますけれども、ま ず最初に本日の会議の構成員の出席状況でございますけれども、飯島構成員、岩砂構成員、 金子構成員、北村構成員、竹中構成員、谷川原構成員、戸山構成員、永井構成員、福井構 成員が御欠席ということで連絡をいただいております。  それでは最初に、資料の確認を事務局のほうからお願い申し上げます。 ○事務局  本日の資料について確認いたします。  まず1枚目、先進医療専門家会議の議事次第がございます。続きまして構成員リストが 1枚紙でございます。続きまして座席表1枚紙、それから続いて先−1の1枚紙、先進医 療の新規届出技術(9月分受付分)についてです。続いて先−2の1枚紙、先進医療とし て届出のあった新規技術(9月受付分)に関する事前評価結果等について。続きまして別 紙1、1枚紙のものです。続きまして別紙2と書かれたホチキスどめのもの。続いて別紙 3、こちらもホチキスどめのものです。続きまして先−3、先進医療の新規届出技術(1 0月受付分)についてです。最後に先−4と書かれたホチキスどめのもので、先進医療専 門家会議の運営要項の案です。  以上ですが、何か不足等ございましたらお知らせください。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  お手元の資料、よろしいでしょうか。最後が先−4ということになってございます。  もしよろしければ、それでは早速、さらに進めさせていただきます。  それでは、9月に届出がありました新規の技術に関する審議に入りたいと思いますけれ ども、まず事務局のほうから御説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局  新規届出技術、9月分についての説明を行います。  資料先−1、先進医療の新規届出技術(9月受付分)についてというのを参考にしてく ださい。また先−2の先進医療として届出のあった新規技術(9月受付分)に対する事前 評価結果等、こちらもあわせてごらんください。  9月受付分ですが、ごらんのとおりマイクロ波子宮内膜アブレーション、アミロイドマ ーカー(炭素11−PIB)によるPET検査(アルツハイマー型認知症に係るものに限 る。)、続いて141の内視鏡下筋膜下穿通枝切離術、続いて角膜ジストロフィの遺伝子 解析(角膜ジストロフィと診断された症例に係るものに限る。)、最後に強度変調放射線 治療(限局性の固形悪性腫瘍(頭頸部腫瘍、前立腺腫瘍又は中枢神経腫瘍であって、原発 性のものを除く。)に係るものに限る。)という5件でございました。  このうち、139番のマイクロ波子宮内膜アブレーションと141番の内視鏡下筋膜下 穿通枝切離術、この2つについては書類不備がございまして、今回返戻という形を事務的 にとらせていただいております。  140番のアミロイドマーカー(炭素11−PIB)によるPET検査(アルツハイマ ー型認知症に係るものに限る。)でございますが、適応症はアルツハイマー型認知症が疑 われる患者となって、先進医療費、それから保険外併用療養費等は先−1の資料にあると おりでございます。これに関しまして、先−2の資料をごらんください。事前評価の担当 構成員として田中先生のほうに御評価をいただいておりまして、総評は否というふうにい ただいております。  続きまして142、角膜ジストロフィの遺伝子解析(角膜ジストロフィと診断された症 例に係るものに限る。)でございますが、適応症は角膜ジストロフィとなっており、先進 医療費用、それから保険外併用療養費等は先−1の資料にあるとおりでございます。これ に関しては事前評価の担当構成員として坪田先生のほうに御評価をいただいておりまして、 総評は適というふうにいただいております。詳細については別紙2のとおりにありますの で、後ほど坪田先生から御説明いただければと思います。  最後に143番、強度変調放射線治療(限局性の固形悪性腫瘍(頭頸部腫瘍、前立腺腫 瘍又は中枢神経腫瘍であって、原発性のものを除く。)に係るものに限る。)でございま すが、適応症は頭頸部腫瘍、前立腺腫瘍、中枢神経腫瘍以外の限局性固形悪性腫瘍となっ ております。先進医療費用、それから保険外併用療養費等は先−1の資料にあるとおりで ございます。こちら関しましては事前評価の担当構成員として田中先生のほうに御評価を いただいておりまして、総評は適というふうにいただいております。こちらの詳細につい ては別紙3のとおりにありますので、後ほど田中先生のほうから御説明をいただければと 思います。  今回、9月分の受付については、以上のとおりでございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明ありましたように、先−2に書いてありますように、139と141がまだ やはり書類不備の状況で戻されたということで、あと今日は140、142、143に関 しまして先生方に御意見をいただくということでございます。  それでは早速でございますけれども、まず最初に140、アルツハイマー型の認知症が 疑われた患者さんに対するアミロイドマーカーによるPET検査でございますけれども、 田中先生、よろしくお願い申し上げます。別紙1でございますね。 ○田中(良)構成員  それでは、答申させていただきます。  別紙1でございますが、アミロイドマーカーによるPET検査で、これは炭素11とい う陽電子を放出するアイソトープで標識されたPIBという化合物を投与して、それでア ルツハイマーの発症前診断、あるいは超早期の診断をするという検査法でございます。  適応症がアルツハイマー型の認知症が疑われる患者ということで、この検査法の先進性 に関しては、アルツハイマー型の認知症の原因物質であるとされているベータアミロイド たんぱく、これの大脳皮質に蓄積する状態を体の外から、画像化したり定量的に評価でき るということで、アルツハイマー型の認知症の超早期診断が可能であるということです。 原因物質に着目してイメージングするという点で、認知症に対する従来の画像検査とは根 本的に異なると言えます。従来のというのは、CTとかMRIとか、その他もろもろの検 査法なんですが、それらに対して本検査法は狙いとしてはよろしいのではないかと思って いるわけです。  概要については詳細は省きますけれども、特徴としては、C11−PIBという化合物、 これを投与するわけですけれども、それを合成する方法に一つちょっと工夫がありまして、 この施設の申請者たちもピッツバーグ大学で開発された方法を用いております。それを投 与して、PET検査用のカメラでそれの分布などを検出するというわけでありますが、そ の施設内でつくられた薬ですので、当然院内での倫理委員会だとか薬事委員会なんかで承 認をしてもらうなど、その辺の手続はきちんと済ませたというふうになっております。  それで、どのような結果が得られたかということなんですが、ここの申請書の中では、 アルツハイマー型認知症の36例中33例にβアミロイドのたんぱくの蓄積が見られて、 それで軽度認知症、健常正常者との間で画像上で差がみられ、診断精度についてそれぞれ 数字に挙げられたようなデータが出たということで、このアルツハイマー型認知症の診断 に有効であるということでございます。  それで、先進医療に係る費用もそちらに書いてございます。  読ませていただきまして、本件に関する関連学会としては、医学放射線学会とか核医学 会があるのですが、そういうところの担当の方、あるいは健保委員会だとか、あるいは新 しい検査法に関する技術検討委員会といいましょうか、そういう方々から事前に少し情報 を集めまして、私個人だけではなくて、そういう方々の意見も聴いた上で適格性について 評価させていただきました。  結論から申しますと、総評のところに書いてありますように、総合判定は否となってい ます。適応症については妥当でないと、私がBにしましたのは、検査法そのものについて、 ちょっと今は臨床研究の段階であるという要素が大きいということです。この炭素11− PIBという化合物を用いるという方法は、論文なんかでは非常にすぐれた方法であると いうことが言われているんですけれども、まだほかにももろもろの化合物がございまして、 そういうものを投与したときの診断精度についての比較だとか、そういうほうについても 今一つ、ちょっとまだエビデンスが不十分ではないかなというふうに思っております。  有効性については、従来の技術を用いるよりもやや有効であろうと、それから安全性に ついてもそれほど問題ではないのではないかと思っています。技術的成熟度は、この検査 をそれなりに数多く経験すればそれほど難しい検査ではないということと、それから社会 的妥当性、倫理的な問題ですけれども、多少問題があると思っております。これはアルツ ハイマーのそういう早期診断ということに関して、医学界をはじめ、社会的にどの程度評 価といいましょうか、普通の意見といいましょうか、アルツハイマー病に関する診断・治 療体系ですね、そういうことに関するスタンス、その辺についてはまだまだ議論のところ があるんじゃないかなというふうに思っております。そこで、そういうふうな背景の中で この検査法が出てきたということに関して、ちょっとまだ現時点では少し違和感があると いうのが個人的並びに学会なんかのコメントでございます。現時点での普及性は、まだ余 り普及していません。効率性についてはやや効率的であろうということで、保険収載につ いては、将来的といいましょうか、長期的なことはともかくとして、近い将来においては まだ保険収載には向いていないのではないかなというわけであります。  総合判定は、先ほど申しましたけれども、否ということで、コメントとして、繰り返す ようですけれども、アルツハイマー型認知症の画像診断と脳機能の定量評価に関して標準 的検査法はまだ確立されていないということで、現在アルツハイマー型認知症の早期診断 の確立、あるいはまた治療について、根本的な治療薬の創出に向けた多施設研究が現に行 われておりまして、そういう研究結果も踏まえて、まだこれから評価しなければいけない ところが多々あるのではないのかということで、この技術を先進医療として承認するには 時期尚早ではないかなというふうに思った次第です。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明がありましたように、PETによるアルツハイマーの診断はいろいろやられ ておりまして、いろいろなマーカーが使われているわけですけれども、この使われている 炭素のPIBがちょっとまだ問題がある、まだ研究段階ではないかという御意見でござい ますが、先生方、どなたか御意見をいただきたいんですけれども、どうでしょうか。  では、樋口先生、特にありますか。 ○樋口構成員  アルツハイマーの何らかの早期の診断技術というのは非常に重要で、これから特に高度 高齢化の時代を迎えてアルツハイマーが非常にふえてくるということで、期待は非常に大 きいと思うんです。ただ、いろんなリガンドを使った研究が次々行われているので、これ だけという今の状況ではないというのは、今の御説明を伺って理解したつもりでございま す。 ○猿田座長  ありがとうございます。  辻先生、いいですか。 ○辻構成員  私の理解するところですと、これは非常に感度がよくて、アルツハイマー病の臨床診断 を受けている方については非常に高率に陽性になるということは確立されていて、ただし 高齢者で健常者の中にも一部取り込みのある方がいらっしゃって、その位置付けについて はまだ少し研究する必要があるのではないかと。つまり、そういう方々が将来的にアルツ ハイマー病を発症するのか、あるいは健常者のままでいるのかというところについては、 まだ結論を得られていないというふうに理解していまして、そういう点でもう少しそのあ たりのところの特異性について確認がとれれば、臨床診断として僕は確立できるんだと思 うんですけれども、まだ少しそういう点で研究する余地が残っているのではないかなとい うように理解します。 ○猿田座長  ありがとうございます。  どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  PETに関するいろいろな核種があると思うんですけれども、これは薬事ではどういう 扱いになっているのか、ちょっと聞きたかったんですけど。 ○猿田座長  どうぞ。お願いいたします。 ○医薬食品局医療機器審査管理室長  PET診断用の核種そのものは医薬品として承認になりますけれども、極めて短い場合 にはデリバリーが困難なので、病院でいわゆる自動合成装置といいますか、装置がござい まして、その装置については医療機器として承認を受けますが、基本的には、注射、薬と なるだけの十分な品質が確保できるものが一定の放射線をもってつくれるという、製造の 品質を確保することができることを確認して承認を与えているということでございます。 今、アルツハイマーについての効能を持った核種で、承認になっているものはまだないと 思います。FDGについても今、てんかんと、心臓と、たしか悪性腫瘍だったと思います が、聞いているところでは、アルツハイマーについても研究が進んでいるというふうにお 聞きしているところでございます。 ○猿田座長  よろしいですか。  確かに高度医療として今盛んにやっているところが随分ありまして、今、辻先生からお 話がありましたように、どれが一番いいかと、この方法はかなりいいようですけれども、 まだ議論の多いところであります。 ○笹子構成員  この場合、アルツハイマーで通っていないとすると、これが薬事で引っかからなかった 理由が分からなかった。 ○医薬食品局医療機器審査管理室長  薬事的にも一応、合成装置でつくられているのかどうかちょっとよく分からないんです けれども、まだ承認したものはないということではお答えをさせていただいております。 ○猿田座長  ちょっと引っかかるわけですね。おっしゃるとおりですね。  ほかに御意見ございませんでしょうか。  2つがありまして、1つは今言ったように、診断的にもう少し検討して、ほかのリガン ドとの比較が必要ではないかと。もう一つは今の薬事法の問題もあるんです。確かに問題 と思いますけれども。  そんなところで、ほかに御意見ございますか。非常に診断的には意義あることだけれど も、もう少し検討していただいて、そのあたりもはっきりできればと思いますけれども。  よろしいですか。田中先生、それでいいですか。 ○田中(良)構成員  はい。 ○猿田座長  もしよろしければそういうことで、今日はともかく否という形にさせていただきたいと 思います。今の問題は必ずもう一回検討させていただきます。ありがとうございました。  それでは続きまして、今度は142の角膜ジストロフィの遺伝子解析でございますが、 これは坪田先生のほうからよろしくお願いいたします。 ○坪田構成員  角膜が濁ってしまう遺伝性疾患はかなりいろいろなものがあるんですが、これはスリッ トランプでほとんどのものが診断可能というふうに言われています。実際そういうふうに なっています。ひどくなりますと角膜移植が必要になるということです。  今回提案されていますのは、かなりそれの原因遺伝子がはっきりしてきましたので、そ れを実際、遺伝子解析ということで、遺伝のタイプを確定したらどうかということでした。 僕は実はこの先進医療専門家会議の専門家としては、なるべくこういうものはとってあげ たほうがいいのかなというふうに思いまして、最終結論は適ということにさせていただき ました。  ちょっと見ていただければと思いますが、適応症としては妥当で、有効性としては大幅 に、実際に診断が確定していますから有効と。ただこの文章の中に、ちょっと気になるの は、角膜の専門医が見れば、ほとんど臨床的にはどのタイプか分かってしまいますし、そ れから予後も予想されてしまうので、それがないと絶対だめということはないです。それ から次に、安全性については問題ないです。技術的にも、かなり遺伝子が確定しますので、 これはいいと思います。社会的妥当性については逆にここで皆さんの御意見をいただきた いと思いますけれども、こういう臨床的に何かの問題があった場合、技術があったものは どんどん解析していく方向に日本の社会は行ったほうがいいのかと。これがやっぱり先進 医療に認められれば、多分かなりの先生たちがどんどん検査しようという方向になると思 いますので、これは一つ検討する必要があると思います。普及はまだほとんどしていない です。一部の大学だけがやっております。私たちのところのように、角膜移植を年間180 件やっているような大きなところでもやっていないです。それから効率性は大幅に効率的 と。もしこれがここでオーケーになったら、将来的には保険収載すべきだというふうに考 えました。  ちょっと気になりますのは、先ほどの臨床的に診断ができたものを、技術があったもの はどんどん遺伝子診断していく方向に判断していくのかというのが1点と、これは実施科 が臨床検査科から出ているんですが、これはどうなんですかね、僕たち角膜専門医として、 ちょっとここは少し変に感じるところはありました。眼科のニーズとして入ってくるなら いいんですが、検査科のニーズって何なのかなというところがございました。  以上です。 ○猿田座長  施設のことも一緒に。 ○坪田構成員  施設のほうは、要件としては、眼科が必要。眼科専門医、臨床遺伝専門医が必要。それ から当該技術は5年以上。当該診療科が5年で技術自体は1年以上というふうにさせてい ただきました。診療科としては眼科、それから当然、臨床科ですね。眼科と臨床検査部以 外は不要とさせていただきました。それから、病床数も看護配置も当直体制も不要と。緊 急も不要。院内検査は必要と。他の医療機関との連携は不要。医療機器保守体制は要で、 それから倫理委員会に対する審査体制、これは非常に重要で、要であり、さらに審査開催 の条件は、倫理委員会が設置されており、届出後当該療養を初めて実施するときには必ず 事前に開催しろということを条件にさせていただきました。医療安全管理委員会が要。医 療機関としての実施症例数は1例以上。  それから、さらに付記させていただきましたけれども、これはやはり遺伝情報でありま すので、遺伝情報の取り扱いがその病院全体としてしっかりと周知徹底していること、そ れから遺伝カウンセリングの実施体制があることを必要条件とさせていただきました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今御説明いただきましたけれども、一番問題のところは別紙2の最初のところ、実施科 が臨床検査科ということになっていて、これはやはり眼科でないと問題ではないだろうか ということと、あとは遺伝子診断でございますので、やはり倫理的な面、社会的な面はし っかりしなければいけないだろうという御意見でございますが、全体としては適でよろし いんじゃないかという御意見のようですが。  どうぞ、加藤先生。 ○加藤構成員  2点ございまして、1点は坪田先生がおっしゃったとおり、申請では臨床検査科という ことでしたけれども、やはり、もしやるならば眼科医であろうと思います。今までの遺伝 子検査に関するこの委員会の決定でも主たる科が担当科ということになっておりましたの で。  それからもう一点は、坪田先生にお伺いしたいんですけれども、この角膜ジストロフィ というのは、臨床的にもし、先生がおっしゃったように、診断がつくものであるとすれば、 将来、保険医療に持っていくべき先進医療というものの中にこの方法を入れる必要がある かどうか。なぜこの診断をするときに遺伝子解析をしなければいけないのかというところ が、臨床家としてちょっと疑問に感じたところです。 ○坪田構成員  そこは実際の考え方だと思うんですが、例えば自分が、先進医療のこの会議として新し い技術が出てきて、それに対してそれほど副作用がなくて、そしてニーズがあればやっぱ り、どちらかというとポジティブに出していくべきなのかという態度なので、今回適にし ております。  一方、僕は角膜専門医として実際どうかというと、ほとんど困っていないんですね、今 は。困っていない。なので、多分こういうものを出していなかったと思うので、自分が困 っていたらやっぱり出していきたいと考えております。  ただ、ここに書いてありますけれども、1万8,000円でこういうものができるシス テムがもしあったらどうするかというと、やはり患者様に僕はお聞きすると思うんです。 これは遺伝病ですけど検査をしたいですかと。そのときにもし、僕の判断というよりは患 者様の判断で、私は検査したいという人がいたら、それはしてあげるべきなのかなと。そ ういうところの余地を残すという意味では、こういうものを先進医療にしていくのもいい のかなとは思うんですが、ちょっと本当に判断しにくいところもあるので、ぜひディスカ ッションしていただければと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。  どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  きちっとした遺伝子解析に基づく診断があることが、そうでない場合よりも、患者に対 する治療上、臨床的な有効性、先生は大幅に効率的と書かれましたが、臨床上効率的であ るかどうかということにはお答えになっていないと思うんです。もし臨床上効率的でない、 つまり遺伝子解析による診断があることで患者さんにメリットが臨床上あるならば効率的。 でも、それがないんだったらそうとは言えないというふうに僕は思います。その辺がどう かと。 ○坪田構成員  それは患者様によって違うと思うんです。視力だけで言ったら、はっきり言って角膜の 専門医が診たら、遺伝子がどうであろうが濁っていれば見えないし、それから角膜が濁っ ていれば、僕は「これは濁っているから」と言えるわけです。だから全くないですよね。  ただ、患者様の中には、やはり自分の確定診断というんですか、遺伝形態も知りたいし、 それを知りたいというニーズがある人もいるということは、僕は理解しているんです。そ ういう人たちを全部、「それは知らなくていいんだよ」というふうにするのか、やはりそ ういう、今回の先進医療という根本にもかかわりますけれども、多様性の時代に日本は入 っていると。その多様性に対応するような判断をしていくのかどうかというところになる と思います。  ですから、角膜専門医としたら僕は要らないんじゃないのかというのが本音のところで すけれども、けっこう重要な判断になると思うので、あえて適というところからスタート させていただいたんですが、これは重要なポイントだと思います。 ○猿田座長  どうぞ、田中先生。 ○田中(憲)構成員  この疾患は全例が遺伝性ですか。遺伝性でないタイプの疾患というのはありますか。 ○坪田構成員  優性遺伝形式を持つものと劣性遺伝形式を持つものがほとんどですが、非常にまれに、 スポラディックにそれが出ないものがあります。 ○笹子構成員  実際、例えばほかの疾患とリンクしているとかそういう、この病気であることを遺伝疾 患として正しく認識することが、いろいろな意味で、社会的な意味も含めて有用であるか どうか。もしそれが余りないんだったら、保険適用になると全部にやるわけですよね。要 するに医療費の枠の中でそれを出すべきかどうかということで考えたら、要らないという ふうになるんじゃないかと僕は思うんですけれども。 ○坪田構成員  そうですね。まさにそう思います。先生に賛成です。そういう面では、保険適用ではな い。  ただ、僕がこれにしたのは、先進医療を通ったものは基本的に保険適用にしていくとい う大きな流れがあるということを理解しているのでそういうふうにしましたけれども、で すから、そういうふうに考えたら、本日これを先進医療として認可するかどうかというこ とについても、やっぱり議論が必要だと思います。 ○猿田座長  加藤先生、どうぞ。 ○加藤構成員  同じような意見で恐縮なんですけれども、やはりこれは将来的に保険医療に持っていく ための審査ですので、もしこれが通るということになりますと、将来的に保険適用になる ので、臨床診断をしている先生も全員これをやるわけですよね。そうすると、やれること になるわけですよね、保険で。それはやはり無駄遣いということになると思うのが1点。  それから逆に、先ほどからしつこく小児科医として聞きますけれども、遺伝子検査をす ることによって、どこにメリットがあるか。例えばその家系にそういう病気があるという ことになれば、次のお子さんはつくらないでおこうというような家族的な計画をつくるこ ともできるということはメリットであろうかなと思いますが、どちらかを考えた場合に、 坪田委員としてはどのようにお考えかと。 ○坪田構成員  臨床的には、家系図をかきまして、自分が実際に見させてもらえれば、その方に出てい るかどうかが分かりますので、現実的には、今まで実際に問題はなかったわけなので、い いと思うんです。  だから、難しいですね。先進医療の委員としてはこういう技術が出てきたときに、やは りとってあげるべきなのかなという気は本当に強いんですけどね。 ○猿田座長  一つはやっぱり、坪田先生みたいな専門家がいればいいですけれども、そうでない、こ れ出しているところも臨床検査科から出ていますよね。そういった意味で、必ずしも角膜 専門ではない眼科の先生方が診たときの確定診断ということで意義があれば、その点では 私は意義があるんじゃないかと考えますけれども、どうですか。 ○坪田構成員  そうですね。 ○猿田座長  辻先生。 ○辻構成員  これは私も何回か発言していて、非常に本質的なところの議論になると思うんですけれ ども、今お話しのように、角膜ジストロフィは恐らく原因遺伝子は複数あって、遺伝形式 もいろいろであるということですから、さまざまな病態があるんだと思いますけれども、 その病気の原因をきちっと診断するということは、僕は医療の出発点だと思うんです。診 断というのは治療のディシジョン・メーキングのためにのみ存在するという考え方は、僕 は排除したほうがいいと思っていまして、やはり正確な診断を得るということが、例えそ れが直接治療につながる・つながらないはなくても、意義はあると考えるべきだと思うん です。  患者さんがそれを受けるかどうかは御本人のお考えとか希望もありますので、別にこち らから強制するものでも何でもないと思いますけれども、やはりそういった診断の、これ は1回やればいいわけですから、僕たちの領域で言いますと、こういうものもあるわけで す。つまりCTスキャンであるとか、MRIであるとか、あるいは生理学的検査とか、そ ういうのは幾らでも通るんです、保険に。ところが、1回だけやれば診断確定できるとい うものが保険が通らないというのは、幾らでもあるわけです。  だから、僕は非常に矛盾を感じるというところがあって、やはり病態を正確に把握でき るという診断をすることの意義は、僕は認めたほうがいいと思うし、それとその治療方針 の決定にかかわる・かかわらないというのはリンクさせるべきではないというふうに考え るのです。それが私の意見です。  それから、2つ目なんですけれども、これは坪田先生も御指摘なんですが、実施科が臨 床検査科というのがありますけれども、これは僕はある意味で非常にシンボリックな問題 点を提起していると思うんですけれども、やはり眼科の専門の先生がこれを使ってどう説 明するかというところが基本だと私は思うんです。これはどうも出てきているところを見 ると、検体検査としての何か申請というように見えるんですけれども、やはり特に治療に つながるというわけでもない現段階での診断ですから、やはり眼科の担当の先生が総合的 に説明するということは必須だと思いますので、僕はやはり眼科の先生がキープレーヤー として進めるという形をとらない限りは、僕は難しいと思うんです。つまり、角膜ジスト ロフィを知らないDNAの専門家というのは、どうも僕は矛盾を感じるんですけれども。 ○猿田座長  ありがとうございます。  それと、先ほど坪田先生がおっしゃいましたように、これは遺伝カウンセリングとか、 やっぱり倫理委員会が非常に重要と先生がおっしゃるのは、そういった点ではそのとおり だと思うんです。ですから、そういった点を生かせれば、この検査というのは眼科から出 て、こういった形でと。  どうですか、ほかに御意見ございますでしょうか。  はい、どうぞ。 ○医療課企画官  今の御議論を伺っていますと、臨床的にはこれがなくても全く問題なくて、しかもこれ が分かったからといって、例えば治療方針が変わるものでもないということであると、将 来の保険導入ということを考えた場合に、やっぱり基本的には治療に結びつくということ が大原則ということが一つありますので。  もう一つは、分からなくてもいいけれど、希望があればこういうことが分かりますよと、 そういうことであると、どちらかというと選定療養的な、何かちょっと今お聞きしていて そういうイメージがあったんですけれども、そうすると将来の保険収載ということを考え たときに、どういうふうになるのかなということを、ちょっと事務局側としては思います けれども。 ○猿田座長  私としてはやっぱり、坪田先生みたいな専門家がいれば診断がつくかもしれない。実際 の今の日本全国の状態を見ると、必ずしも細かい診断をつけられるとは限らないと思うん です。そういったときにこういった形できちっと診断がつくならば、これはやっぱり意義 があると私は一応考えるんですけれども、先生方どうでしょうか、そのあたりのところ。  どうぞ。 ○笹子構成員  保険適用というものが何かということに当たると思うんですけれども、1万数千円でや れるなら全然選定医療というか、選定医療というよりも、そこの部分は研究をやっている 先生のところに行けば診断がはっきりつくよという話で、保険と別個に切り離して考えれ ば、やってはいけないと言っているわけではないので全然いいと思うんですけれども、も っとこの病気のことと遺伝子のことが分かってくると、もう多型なのか病気なのか分から ないような領域まで、全部こういうのでわっと出てきて、山ほどセットにして、検査が幾 らでみたいな話になってしまうというおそれもありますよね。だから、そういう意味では、 1つ通すといろいろなことがどんどん出てくる可能性があるところだと思うので、お金が いっぱいあるならいいですよ。狭いパイを分け合っている状況の中で、こんなことまでと いう余裕があるのかという気が僕はします。 ○吉田座長代理  たしか以前もこういう問題が出て、保険収載するときに我々が医療費まで考えるのかと いう話が出ましたよね。そこまでこの会では必要ないと。お金に関しては厚労省が考える し、中医協で考えるんだと。ですから実際は、これを見ていますと、1万8,000円で すけれども、多分事務局は、もし保険が通った場合でも80点とか、大分安い点数をつけ ると思うんですよ。多分こういう、普及しては困るという検査は安い点数をつけますので、 その辺の心配はないと思うんですけれどもね。 ○猿田座長  あとは、これを通してからどのくらい実際にやられるかどうか。それでまた保険を通す ときは皆様方で議論させていただきますので、そういった点も考慮していただいて、どう ですかね。  どうぞ、辻先生。 ○辻構成員  これも繰り返しになってしまいますけれども、当局の方々にもぜひ御理解いただきたい のは、やっぱり病気の正確な診断を得て、その病気ごとの情報を提供するということには 価値を認めなければいけないんだと僕は思うんです。つまり診断が確定することによって、 あるいは遺伝子の型が確定する、どの遺伝子によるということが分かることによって、遺 伝形式だけではなく、どういう自然歴であり、どういう合併症なりが進行するか、あるい はその過程でどういう対症療法があるかということを含めて、そういった情報は提供でき るわけで、それが僕は基本だと思うんですよね。それを否定するということは、これは差 別ですよ、もう完全に。 ○笹子構成員  僕が言っているのは、そういうことが、例えば予後が違うとか、対応が違うとか、そう いうことが疾患を区別することで意義があるかどうかとさっきから散々聞いていて、全く ないとおっしゃるから、診断のための診断じゃないのと。 ○坪田構成員  先生、それはだけど、さっきちゃんと言いましたように、僕は角膜専門医としてできる と言っているんですけれども、猿田先生のおっしゃるように、じゃ、日本全部の眼科の先 生がそれをできるかといったら、それはやっぱり無理ですよね。だってそんなに頻度が高 いものじゃないですから。それは眼科の先生の能力がないというのではなくて、経験がな いから。僕たちはそれをしょっちゅう見ているわけですから。  そういう面では価値があると思いますし、辻先生のおっしゃることは僕も正しいなと思 うんですが、自分で角膜専門医としてはこの人がどういうふうになるかというのは自分で 分かりますけど、患者様の中にやっぱりそういうのを知りたい人は絶対にいるし、それを 知る権利もあるし、そこは難しいところだと思います。  それから、先進医療の根本的なところに入りますけれども、やっぱり保険収載というの は、あくまでその前提に縛られて動いていくんですか。それとも、少しはそこは自由度を 持って、保険収載になる可能性のあるものをとるけど、別に収載に将来ならないものだっ てとっていくと。どうですか。 ○猿田座長  いかがですか。 ○事務局  あくまでも先進医療にかかわる者としては、やはり将来的に保険収載の可能性があるも のというふうに限定して、こちらのほうで審議していただきたいとは思っています。 ○猿田座長  これは今までの高度先進医療のときにも、保険適性も議論したんですけれども、やっぱ りこれを通してから一体どういうふうにやられてきて、どのくらい数が進んで、事故が起 こらないかどうか、あるいはどのくらいメリット・デメリットがあるか、そういった点を もう一回先生方に評価していただいて、それで保険に持っていくかどうか検討することだ と思います。先進医療として開始しておいてうまくいかない場合もありますし、いろいろ なことがありますので、それはまた改めて議論していただくということになります。  はい、どうぞ。 ○辻構成員  質問なんですけれども、この保険外併用療養費ですか、こちらが81万7,000円と 非常に高額なんですけれども、この計算根拠というのはどういうことになるんでしょうか。 ○猿田座長  事務局、答えられますか。そうでなければ、坪田先生に。 ○坪田構成員  これは、この検査科の人は、角膜移植も全部行って、すべて手術を行った前提で計算し ているんです。ですから非常に高い値段になっています。  少し話題がずれてしまうんですけれども、角膜移植の話が出たので、ちょっといいです か、先進医療に関係あるので。  今、角膜移植は日本で1,500件行われているんです、国内のバンクから使われて。 ところが、アメリカのアイバンクから1,000件輸入して角膜移植をやっているんです。 このアメリカの角膜移植は、実は慶應大学では完全自費なんです。アメリカからとってき ているから。しかし、これこそ先進医療にしてほしいと何回か事務局に言っても、輸入す ることには先進性がありませんと。だからこれは自費でやってくださいと言うんですが、 僕たちは先進性があったからこそ、それをちゃんと英文論文にしてきたし、千何例という ものを輸入してやってみたところ、ちゃんと安全が確認されたし、こういうのは本当にだ めなのかどうか、僕はちょっと聞きたいなと。 ○猿田座長  何か御意見ございますか。 ○医療課企画官  ちょっとその件について今、分かる人間がいない……、ちょっと我々は聞いていないの で。国内と海外とで別にしているということですね。移植を。 ○坪田構成員  そうです。ですから、海外から取り寄せるためにはそれだけの特別なコーディネーター が必要ですし、海外の角膜のプロセスフィーというのは大体3,000ドルぐらいします から、角膜移植の点数が今3万1,500点ですから、結局それで飛んでしまうわけです。 だから結局自費でやるしかないということになりますよね。アメリカに対するプロセスフ ィーが出ないというようなことで、今回の主題じゃないので、後でまた御検討していただ ければと思います。 ○猿田座長  おっしゃるとおり、非常に外国のものはお金がかかっていますし、そのために今、日本 ではいかに開発しようかということの見解が得られているわけでございますので、これは ちょっと言えませんけれども、そういったことでございます。その点はよく、ちょっとも う一回、この次でも調べておいていただければと。  ほかに御意見なければ…… ○坪田構成員  先生、あと、先ほど辻先生から御意見をいただいたように、僕もちょっと不安なんです が、これは例えば基本的には通す方向だとしても、検査科から出ているものを、例えば眼 科との併任というか、何か両方から出してもらい直すとか、何かそういう手続上のものは どうなんでしょうか。 ○猿田座長  そのあたりのところ、どうですか、事務局。今は臨床検査科でございますけれど、これ は眼科から出すべきだということについて。 ○事務局  それは、こちらの会議の場で、眼科で出していただいたほうがいいということであれば、 いわゆる診療科のほうを眼科というふうに指定していただいて、その時点でその告示を出 して、改めて医療機関が届出をしていただくときは眼科のほうから出していただくという 形にすればいいと思います。 ○坪田構成員  この大学の眼科がもし必要ないと言った場合には、しようがないということですよね。 ○猿田座長  よろしいですか。  渡邊先生、どうぞ。 ○渡邊構成員  臨床検査のほうから言いますと、実際これが来たときに、猿田先生から相談されて、こ れは眼科のほうから出すべきものであると私が申し上げて、こうなっているんです。実際 はインフォメーションが少なくて、自分のところの眼科では依頼がないけれども、ほかの 病院の眼科からいろいろ注文が来てしまって、検体が送られてくるなんていうこともある わけですよね。そうすると、希少疾患だとやはり、どうしても臨床検査を実施する所が申 請を出さないとやってくれないし、お相手の眼科の先生が例えばそういう意欲がなければ、 結局実際に検査をしているところが、さっき辻先生がおっしゃったように、診断の確立の ためにこういうものを先進医療に通したほうがいいのではないかというモチベーションで 出すことがあります。そういうことで出てきてしまったのではないかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。  そのことも含めて事務局からちゃんと対応していただいて、ここの検査科と、そこのと ころの施設における眼科との相談をよく聞いていただきたいと思いますけれども。 ○渡邊構成員  申請する側が、ちゃんとそういうものを理解していない方がいると思いますので、ぜひ そこをよくご指導いただければと思います。 ○医療課企画官  今のお話は、まさに前回も議論した検査委託、こういった遺伝子検査の委託に係る話だ と思うんですけれども、それに関しては、まさにこちらで先生方に議論していただいたよ うに、そもそもそこの施設自体がこの要件を満たしていなければ受託できないということ で御了解いただいたと思うんです。  ですから、そういう意味では、先ほどの眼科にしてもそうですし、あるいは臨床遺伝専 門医、あるいはこういう遺伝カウンセリング体制というものをそもそも持っていなくて、 検査能力があるだけというのは、やっぱりちょっと違うんじゃないかと。せっかくその能 力があるとしても。  だから、そこのところはやはり、前回の御議論でも大体合意いただいたような線で行く しかないんじゃないかなというふうに思いますけれども。 ○辻構成員  この施設は、恐らくこの検査科の方が臨床遺伝専門医を持っていらっしゃって、この遺 伝診断などを積極的にやっていらっしゃる方なんだろうと思うんです。なかなかそこのと ころは難しいんですけれども、さっきシンボリックと申し上げましたのは、こういう診断 にかかわることですから、診療科がやっぱりきちっとそこにコミットする形の体制の中で 進めたほうが私はいいんだと思うんですけど。 ○猿田座長  事務局のほうはその点も御考慮いただきまして、技術としては、どうでしょうか、これ で一応認めさせていただいてよろしいですか。それでもう一回事務局のほうで、この次の ときに、その点がどうだったということだけはちゃんと報告いただきたいと思いますが。  どうぞ、赤川先生。 ○赤川構成員  今の議論ではないんですけれども、使用する医療機器が薬事法の承認を受けていないと 書いてあったと思うんですが、これはよろしいんですか。前にいただいた……、ここも変 わったのかも分かりませんが。核酸・たんぱく質分光光度計とか、シークエンサーとか、 そういうのが書いてあったので、ちょっと気になっていただけなんですけど。 ○事務局  恐らくちょっと該当するものはないかと思うんですが、あるとすれば遺伝子検査にかか わるもので、例えばPCRを使う際の試薬であるとかというのが、いわゆる薬事から外れ るものになりますので、恐らく該当するものはないかと思います。 ○猿田座長  そこももう一回確認させていただきます。ありがとうございました。  それでは、いろいろ議論いただきましたけれども、先ほどのことを含ませていただいて、 お認めいただくということで。ありがとうございました。  それでは、続きまして143でございます。強度変調放射線治療。これも田中先生、よ ろしくお願いいたします。 ○田中(良)構成員  それでは、強度変調放射線治療です。  別紙3ですけれども、これは既に先進医療として認められていた医療技術でありまして、 その中の脳腫瘍と頭頸部腫瘍と前立腺癌については、たしか今年の4月の診療報酬改定の ときに保険に収載されております。したがって、それ以外の部位を対象とした強度変調放 射線治療については保険収載もされなかったし、それから先進医療からも取り残されたよ うな状態になってしまっていたというのが実情であります。今回の申請は、先に挙げた3 つの部位を除いた領域についてというのが適応症になっております。  先進性についてはもう既に、先行技術として数年来我が国でもやっておりまして、次第 にその技術も普及してきたというのが国内の事情であります。基本的な内容は、繰り返す ようですけれども、癌の部位に放射線を当てる際に、コンピューターによる計算プログラ ム、それを駆使して、強度というのはいわゆる放射線の強さですけれども、照射部位ごと に放射線の強さを、その照射野の中で不均等にして照射するという技術です。そういうこ とをすることによって、より局所のほうに、腫瘍のほうに高い線量を与えて、もう一つ大 事なことは、健常の部位、正常の組織とか臓器をできるだけ避けることができるというの が、今までの治療とは異なった先進性のある技術であるというふうに言えると思います。  ということで、効果のところにも書いてございますが、局所効果が上がるということで は局所制御率が上がるということでいいですが、あるいは同じ局所制御率であったとして も、合併症とか、それから晩期障害、特に放射線治療の場合には、年月を経てからいろい ろな障害といいましょうか、有害事象が出てまいりますので、そういうのが減るというこ とはQOLの向上にもつながるということが言えるのではないかなと思っております。  それで、裏のほうに先進医療としての適格性ということが書いてございまして、適応症 も、限局性の固形悪性腫瘍で先ほどの3つの部位を除いたものに限るということであれば 妥当であろうと思います。有効性もBと。安全性もBと。それから技術的成熟度もBであ ろうと。倫理的にも問題ないと。それから、普及性に関してはまだまだこれからというこ とでCのランクにしました。効率性もやや効率的であろうということでBにしました。先 ほど来議論しております保険収載のほうも、将来的にも保険収載を行うことが妥当ではな いかなと思っております。総合判定を適とさせていただきました。  コメントにも書いてございますけれども、先ほどの3つの部位以外のところに適用する わけですけれども、一応技術的にも確立された内容を持っていますので、部位を広げたか らといって、それほど大きな問題はないのではないかと思っております。  それで、実際に具体的に行う医療機関の要件ですが、Iの実施責任医師の要件について は、診療科は放射線科、または放射線治療科というのは必要であると。資格は要で、放射 線科専門医の資格を持っていること。あとは当該診療科の経験年数は5年以上、それから 当該技術の経験年数は1年以上ということです。実施術者としては10例以上ということ です。助手としての特別な症例数の蓄積は要らないであろうということです。  それから、IIの医療機関の要件ですが、診療科は放射線科または放射線治療科と。実施 診療科の医師数、これは要で常勤の医師が2名以上ということにしました。それから、ほ かの診療科の医師数は、特別この治療を行うからといって必要な医師数はございません。 それから、その他の医療従事者ですが、これは非常に大事なところなんですが、放射線治 療の経験を5年以上有する常勤の診療放射線技師、これは日本の医療現場では診療放射線 技師が一般的ですが、それが2名以上いることが大事です。  その次、病床数は、この治療技術に関しては不要。看護配置も特別設ける必要もないと。 当直体制も特別設ける必要はないと。緊急手術も特別問題ない。院内検査も不要。それか ら他の医療機関との連携も特別要らないであろうと。それで、医療機器の保守管理体制、 これが非常に高精度の治療を行いますので、これは是非あったほうがいいということで要。 それから倫理委員会、これも必要以上にこの治療の適用を拡げたりしますと問題もあろう かなと思っていますし、倫理委員会はあったほうがいいと。それから医療安全管理委員会 も要と。実施症例数は10例以上は必要であろうと。その他のほうで、これは今既に保険 収載されておりますけれども、そこの中で強度変調放射線治療をやるときの施設基準がご ざいます。それをやはり踏襲していただかなくてはいけないということで、それの届出を 行った施設であることということを要件に入れました。その他の要件では頻回の報告は特 別必要ないであろうというようなことで、一応、総合判定としては適としております。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今御説明いただきましたけれども、一部のところは保険がもう通っていて、それ以外の ところの適用ということで、見ていただきますと、先進医療としては78万8,000円 と非常に高いですね、保険外の、これは癌の治療ですから、総合的には高いお金だと思う んですけれども、そういったことで非常に重要だと思いますけれども。  田中先生の御意見は適でよろしいのではないかということで、御意見をいただきたいと 思います。  はい、どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  当該技術の実施症例数というのが、既に保険に通っている強度変調放射線治療をやって いる施設であれば、その適用から外れているものを10例やっている経験の必要性はない んじゃないですか。 ○田中(良)構成員  ですから、中枢神経系と頭頸部腫瘍と前立腺、その3つの部位についてはしかるべく技 術を持っていると思いますけれども、例えば肺とか肝臓だとか、ほかの部位へ適用すると きには、やはり患者の固定精度とか、それから実際に治療をするときには、リニアックに いろいろなプログラムを組み込むわけですけれども、そういう技術を体幹部のほうに応用 するためには、それなりの経験をやはり持っていたほうがいいんじゃないかということで す。 ○笹子構成員  コンピューターのプログラムとか、そのようなものに関しては同じものを使うわけです よね。 ○田中(良)構成員  そうですね。 ○笹子構成員  だからどうなのかなと、ちょっと思ったんですけど。 ○田中(良)構成員  または、例えば肺癌の場合には呼吸性の移動がありますので、その呼吸の動きと同期さ せてやるとか、そういうのはまた別なアプリケーションが要るわけです。例えば肝臓にし ても、放射線治療中の呼吸性移動もあるということで、最近では動態追跡照射とかそうい うふうな技術も導入されておりまして、ですから、全然ゼロの症例のところがいきなりこ の先進医療の技術を申請するというのはどうかなということです。 ○猿田座長  吉田先生、どうぞ。 ○吉田座長代理  実は今年、先進医療から41件でしたか、保険導入しましたよね。それで、実際、施設 基準を厳しくしてしまうと、あちこちから前回も文句が出てくるんです。きつすぎると。 それで、前の医療課長のときには、技術に関しては最低5例以上にしようと。それから検 査については1件でいいだろうということが出ていますので、将来のことを考えると、こ れを10例以上としてしまうと、むしろ先生方が困ることになるんじゃないですか。5例 くらいで僕はいいと思いますけれどもね。 ○田中(良)構成員  いや、そう言っていただければありがたいです。 ○吉田座長代理  3臓器でも多くの経験はたしかしているわけです。経験ありますので、5例くらいでい かがでしょうか。 ○猿田座長  では、これは5例くらいでという御意見が出ましたけれども。  ほかに御意見は。  どうぞ、樋口先生。 ○樋口構成員  教えていただきたいんですが、これは限局性の云々という、頭頸部、前立腺、中枢神経、 これは保険で認められたわけですよね。それ以外のものが残った理由が何かあったのか、 その辺が、だから、もし何か理由があったとしたら、今回それはある意味ではクリアされ て、この先進医療に乗せて、将来的には保険という方向に持っていくということが判断で きるんだろうと思うのですが、そのあたりは何かありますか。 ○田中(良)構成員  やはりこの治療技術を適用するときに、部位としては一番多かったということです。ま ず、このIMRTという技術が前立腺と主に頭頸部からスタートしたといういきさつもあ りまして、ですから、まとまった症例数の蓄積のデータ、それの解析がこれらの部位から 一番たくさん得られたといいましょうか、エビデンスとしてまとまったデータがあったと いうことで、それでその3つの部位が選び出されたのではないかなというふうに思います。  そういう技術を背景にして、ほかの部位もだんだん技術的に、安全度といいましょうか、 成熟度というものが満たされてきたというのが現状です。 ○猿田座長  ほかに御意見ございますでしょうか。  加藤先生、どうぞ。 ○加藤構成員  その他の医療従事者の配置というところで、診療放射線技師が2名以上というその根拠 といいますか、2名以上いなければいけない根拠について教えていただきたいと思います。 ○田中(良)構成員  ですから、これは、今我が国ではまだ資格としてはないんですけれども、例えば医学物 理士とか、それから線量測定士とか、外国ではそういう職制の方が必ず放射線治療のほう には、現場におられるんですけれども、そういう人たちの業務をこういう人たちにやって いただきたいということです。技師の方が1人しかいないと、プログラムのセッティング から実際の患者さんへの対応のところまで、すべて1人でやらなくてはなりません。複数 いても、できれば5年以上経験のある方、そういう方がやはり2人以上いたほうが技術的 にきちんとした治療ができると思います。  一番心配しているのは、そういう技術的なバックグラウンドが乏しいところでこの治療 を行って、もし万が一何かのエラーがあったときには、今までいいと言っていたことが裏 目に出まして、例えば必要以上のところに高い線量が当たってしまったり、本当にやらな くてはいけないところが抜けてしまうとか、そういうことも起こり得ますので、ですから、 ダブルチェックをするという意味でも、そういうふうにやったほうがいいと思っておりま す。 ○猿田座長  どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  先ほどのお話ですと、心拍とか呼吸との同期性というものが今までの保険を通っている ものとの違う点ということなんですけれども、照射機器及び、あるいは周辺の、そういっ た同期性も含めて担保するような機械とか、そういうレベルでの、そこの施設にある機械 の影響というか、それができるようなものを持っていないとできないということになりま すよね。そういうのを縛っておく必要というのはないんですか。 ○田中(良)構成員  これは多分、事務局のほうからお答えいただけると思うんですけれども、施設要件の中 に入っているんですね。 ○事務局  現在、保険収載されているものについて、施設基準において、機器、施設を備えている ことということで、けっこう厳しいものがありまして、例えば直線加速器があること、治 療計画用CT装置、インバースプラン可能な三次元放射線治療計画システムがあること、 照射中心に対する患者の動きや臓器の体内移動を制限する装置、平面状の照射強度を変化 させることができる装置、微小容量電離箱線量計または半導体線量計及び併用する水ファ ントムまたは水等価固体ファントムを備えていること、二次元以上の相対的な線量分布を 測定・比較できる機器。こういった機器を備えていないといけないという規定がございま すので、恐らくその辺は問題ないかと思います。 ○猿田座長  逆に言うと、少し放射線の先生方がそろっているところでないと、これはできないとい うことなんですね。  ほかに御意見ありますか。  田中先生、どうぞ。 ○田中(憲)構成員  倫理委員会が必要であると、おっしゃっていますが、私は個人的には、必要ないと思っ ています。先生はどこに倫理的な問題があるとお考えでしょうか。 ○田中(良)構成員  例えば先ほどちょっと触れましたけれども、症例の適用を決めるときに、わざわざこの 強度変調の放射線治療の技術を適用しなくてもいいような症例に対して、もし、している となったら、やはり問題ですよね。これはいい治療であるだけに、例えば広く拡がったよ うな状態、ちょっと専門的ですけれども、胸膜中皮腫とかいう病気は胸壁の内側にずっと 沿って進展していくんですけれども、それはある意味では、拡がっているけれども、拡が っている範囲の中では限られているという意味で、そういうところにIMRTというこの 治療をやると非常にいいという症例が出ているんです。そういうときには僕はいいと思う んですけれども、例えば腹膜播種のあるような人に対してこれをやっていいかどうかとい うと、やっぱりそれは適していないと思うんです。そういうのにやっぱり眼を光らせてお く必要があるんじゃないかなと思ったりしているものですから。 ○猿田座長  よろしいでしょうか。 ○田中(良)構成員  それから、ちょっと今気づいたんですけれども、先ほど症例数で10例以上というのが 引っかかったんですけれども、現行の保険収載されている中で、IMRTに関する施設要 件の中に、事務局は御存じだと思うんですけれども、年間10例以上実施していることと いうのが条件に挙がっていると思います。ですから、もしこれ、今の議論から言ったら、 こんなに必要じゃないのではないかといったら、ここも直していただいたほうがいいかも しれません。 ○吉田座長代理  あと、課長補佐に確認したいんですけど、この技術、施設基準で病院と明記してありま すか。保険医療機関という表現と病院という表現ですよね。最初のところに載っていない ですか。以下の技術は病院で行うことというのがまずあるんですよ。そうしますと、もし ふだん、病院で検査なんかをやると、ベッド数とか看護配置が必要になってくるんですよ ね、これ。心カテか何かは保険医療機関になったんですよ、途中でね。古いほうを見たほ うが分かりやすいと思う。 ○事務局  これに関しては保険医療機関となっています。 ○吉田座長代理  なっていますか。じゃ、いいんですね。分かりました。 ○猿田座長  ありがとうございました。  よろしいでしょうか。  一応今のは5例ということでいいですか。どうですか。 ○田中(良)構成員  いいんですけれども、そうすると、現行の条件の要件のところも直す必要があると思い ますが。 ○事務局  それにつきましては、ちょっとこちらのほうで再度検討していただくということでよろ しいでしょうか。よろしくお願いします。 ○猿田座長  それで、あと倫理委員会もやっぱり必要という形で。では、そういう形で一応御了承い ただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは、お認めいただいたということにさせていただきま す。  どうも活発な御意見、ありがとうございました。  それでは、一応、9月の受付に関しましては、本日は3つを議論させていただきまして、 2つを通させていただいたということで、142の角膜ジストロフィの遺伝子解析と、今 の強度変調放射線治療を通させていただいたということにさせていただきます。  それでは、続きまして、10月分の受付に関しまして事務局のほうから。 ○事務局  10月分の受付でございますが、先−3の資料のほうをごらんください。  整理番号が144番から150番までございまして、1つ目の144番が前眼部三次元 画像解析でございます。適応症は緑内障、角膜ジストロフィ、水晶体疾患等となっており ます。  2つ目が新規遺伝子変異検出法(SMAP法)を用いたUGT1A1遺伝子多型検出キ ット。適応症は結腸直腸癌、胃癌などに対して塩酸イリノテカン(CPT−11)を使用 する症例というふうになっております。  3つ目が膵石症に対する体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)で、適応症は慢性膵炎に おける膵石症。  147番が生理食塩水経尿道的前立腺切除、適応症は前立腺肥大症となっております。  続きまして148番、マイクロ波子宮内膜アブレーション。適応症としましては機能性 及び器質性過多月経(ただし、妊孕性の温存が不要な患者で子宮内膜癌・異型内膜増殖症 などが除外されている場合)となっております。  149番に関しましては、144番と同じものであります。  引き続いて、最後に150番で、大腸腫瘍に対する内視鏡下粘膜下層切開剥離術。適応 症としましては大腸腫瘍(早期癌及び腺種)というふうになっております。  以上、この7件に関しまして新規の届出がございました。 ○猿田座長  ありがとうございました。  先−3の資料にあるとおり7件ですけれども、144と149が同じですということで、 大分こういった形で出てきまして、これから先生方はまた、もう審査に回っているかもし れませんけれども、よろしくお願いいたします。これに関して、どなたか御意見ございま すでしょうか。  はい、辻先生、どうぞ。 ○辻構成員  145番は、こういう形で出てくると、薬事承認が必要になるような形になるんでしょ うか。何か特定の目的に非常にデザインされた検出キットと読めるんですけれども。 ○猿田座長  一応これは受け付けたということで、これから果たして、まず皆さん方で議論を……。  何か御意見ございますか。今の145に関しては。受け付けたところだということなん ですけれども。 ○事務局  145なんですけれども、先日これはちょっと全く違う方法で、インベーダー法という のを用いたUGT1A1の遺伝子の検出というのが承認されて保険収載されたということ で、そのことをこの申請者の方に伝えたところ、こちらの申請は取り下げという形に今な っています。 ○猿田座長  いろいろとちょっと問題があるんですが、一応これだけ受け付けたということでござい ますけれども、ほかに御意見ございますでしょうか。  あとこれできっちり検討していただいて、また先生のほうにお願いする形になると思い ますので。  もしよろしければ、これが10月の受付分ということでございます。  それでは議題のほう、この会議の下流となる、いろいろな先進医療等高度なことがあり ますけれども、ここで先進医療専門家会議に係る運営要綱(案)についてもう一回事務局 のほうから御説明いただいて、先生方の御意見をいただきたいということで、それではよ ろしくお願いします。 ○事務局  それでは先−4の資料のほうをごらんください。まだこれは初めてお見せするというこ となので、一通り読み上げていきたいと思います。  「先進医療専門家会議」運営要綱(案)。  (所掌事務) 第1条 先進医療専門家会議(以下「専門家会議」という。)は、次の各号に掲げる事項 について専門な検討を行う。  一 保険医療機関から保険給付との併用の希望があった医療技術(高度医療評価制度の 対象となるものを除く。)に関する次のイ及びロに掲げる事項   イ 当該医療技術の有効性、安全性、先進性、効率性、社会的妥当性、将来の保険収 載の必要性等の観点から見た保険給付との併用の適否   ロ 当該医療技術を届出により実施可能とする場合の実施可能な保険医療機関の要件  二 保険医療機関から保険給付との併用の希望があった医療技術(高度医療評価制度の 対象となるものに限る。)これに関する当該医療技術の効率性、社会的妥当性、 将来の保険収載の必要性等の観点から見た保険給付との併用の適否  三 保険給付との併用が認められた医療技術(高度医療評価制度の対象となるものを除 く。)に関する次のイからニまでに掲げる事項   イ 当該医療技術の有効性、安全性、先進性、効率性、社会的妥当性、将来の保険収 載の必要性等の観点から見た保険給付との併用の継続の適否   ロ 当該医療技術と保険給付との併用を継続させることを適当とする場合の実施可能 な保険医療機関の要件   ハ 当該医療技術の普及性、有効性、効率性、安全性、技術的成熟度、社会的妥当性 等の観点から見た保険収載の適否   ニ 当該医療技術を保険収載することを適当とする場合の実施可能な保険医療機関の 要件 2 高度医療評価制度の対象となる医療技術とは、次の各号のいずれかに該当するものを いう。  一 薬事法(昭和35年法律第145号)第14条第1項に規定する承認又は同法第1 9条の2第1項に規定する認証(以下「承認又は認証」という。)を受けていな い医薬品又は医療機器の使用を伴う医療技術  二 薬事法上の承認又は認証を受けて製造販売されている医薬品又は医療機器を承認又 は認証された事項に含まれない用量、用法、適用等と同一又は外の効能又は効果 等を目的とした使用を伴う医療技術  (組織) 第2条 専門家会議は、先進医療に係る専門的学識経験を有し、かつ、保険診療に精通し た者により構成する。 2 座長は、構成員の中から互選により選出する。 3 座長は、専門家会議の事務を総理し、専門家会議を代表する。 4 座長に事故があるときは、予め座長の指名する構成員が、その職務を代行する。 5 構成員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。 6 構成員に欠員を生じたとき新たに任命された構成員の任期は、前任者の残任期間とす る。  (定足数) 第3条 専門家会議は、構成員の総数の2分の1以上の出席がなければ、会議を開き、取 りまとめを行うことができない。ただし、第6条に規定する意見書の提出があっ た者は、出席したものとみなす。  (議事の取りまとめ) 第4条 議事は、座長を除く出席した構成員の過半数をもって取りまとめ、可否同数のと きは、座長の取りまとめるところによる。  (特定医療技術の検討) 第5条 構成員は、次の各号に掲げる医療技術(以下、「特定医療技術」という。)に関 する検討(第1条第1項第1号及び第2号に係るものに限る。)には参加しない。  一 自らが所属する保険医療機関からの届出に係る医療技術  二 自らが関与又は特別の利害関係を有する医薬品・医療機器等が使用される医療技術 2 前項の規定にかかわらず、座長(第2条第4項の規定によりその職務を代行する者を 含む。以下同じ。)が必要と認めた場合にあっては、当該構成員は、特定医療技 術に関する検討に参加することができる。ただし、この場合にあっても、当該構 成員は、前条に規定する取りまとめには参加しない。  (欠席構成員の意見提出) 第6条 構成員は、やむを得ない理由により出席できない場合にあっては、議事となる事 項について、あらかじめ意見書を提出することができる。ただし、座長が必要を 認めた場合を除き、特定医療技術に係る意見書(第1条第1号及び第2号に係る ものに限る。)は提出することができない。  (開催) 第7条 専門家会議は、概ね月に1回、定期的に開催するほか、必要に応じて随時開催す るものとする。  (議事の公開) 第8条 専門家会議は公開とする。ただし、座長は、対象となる患者が特定されるなど、 個人情報保護の観点から特別な配慮が必要と認める場合等にあっては、会議を非 公開とすることができる。  (議事録の公開) 第9条 専門家会議における議事は、次の事項を含め、議事録に記載するものとする。  一 会議の日時及び場所  二 出席した構成員の氏名  三 議事となった事項 2 議事録は公開とする。ただし、座長は、対象となる患者が特定されるなど、個人情報 保護の観点から特別な配慮が必要と認める場合等にあっては、議事録の全部又は 一部を非公開とすることができる。 3 前項の規定により議事録の全部又は一部を非公開とする場合にあっては、座長は、非 公開とした部分について議事要旨を作成し、これを公開するものとする。  (補足) 第10条 この要綱に定めるもののほか、専門家会議の議事運営に関し必要な事項は、座 長が専門家会議に諮って定める。   附 則 第1条 この要綱は、平成20年―これはこの後ちょっと議論していただいて、施行日 を決定したいと思います。それで空欄とさせていただきました。 第2条 この要綱の施行日前日に構成員として任命されている者は、第2条第5項及び第 6項の適用については、この要綱の施行日に任命されたものとみなす。  以上になります。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  改めて、少し制度も変わってきたものですから、この先進医療専門家会議をもう一回し っかり、こういう運営要綱をつくろうと。それから、このごろ利益相反の問題も出てきま したので、先ほど言ったような利益相反の問題も掲載させていただいたり、それから高度 医療制度が出てきましたから、そのところで議論されたものは、最終的に先進医療にも係 ってきますから、そこのところも述べたということと、それからもう一回、高度医療での 検討する事項とこの先進医療での検討する事項は少し違いがありますから、そういったこ ともはっきり分かっていただければということで、まとめ直していただいたわけでござい ますけれども、どうぞ先生方の御意見をいただきたいと思います。  はい、加藤先生、どうぞ。 ○加藤構成員  ちょっと一読しただけで、もしかすると理解度が悪くて変な御質問になるかと思います けれども、第1条の一の2行目のところで「対象となるものを除く。」と書いてありまし て、同じく第1条の二のところで「に限る。」ということでくくられていますが、中身は 全く同じなのですけれども、この「除く」と「限る」というのを一くくりにできないんで しょうか。 ○猿田座長  どうぞ。 ○事務局  これは厳密に読んでいただくと違うんですが、一に関しては、これは「高度医療評価の 対象となるものを除く。」というふうにしているのは、いわゆる有効性、安全性、先進性、 効率性とかがあって、この中で有効性、安全性というのが入っています。次の「高度医療 評価会議の対象となるものに限る。」というのは、いわゆる高度医療評価会議において、 安全性であるとか有効性というものを評価しているので、それ以外の部分、いわゆる効率 性、社会的妥当性、将来の保険収載の必要性というのをこの先進医療専門家会議で議論す るといった形で、分けて表記させていただきました。 ○猿田座長  よろしいですか。高度医療のほうではそこのところをしっかりやっておけば、もう二度 同じことをやることはないだろうと。そしてこちらのほうでは今あったところを議論する ということです。  ほかにございませんでしょうか。  もう一回改めてまとめさせていただいたと。これで先生方がよろしければ、この形でや っていくということになるものですから。大体、先生方御存じのとおりのことかと思いま すけれども。もしよろしければ、これでお認めいただいたということでよろしいでしょう か。  それでは、事務局もそういう形で通させていただいたということで、よろしくお願いし ます。もし後で少し訂正、そのほかがあった場合には、また私のほうも相談させていただ いて、声をかけさせていただきます。 ○事務局  すみません、運営要綱についてなんですが、この要綱の施行日については…… ○猿田座長  お任せします。 ○事務局  もし承認いただければ、速やかにすぐ、例えば明日の日付であるとか、そういったこと でもさせていただきたいとは思いますが、例えば週明けであるとか。本日でも構わないで す。 ○猿田座長  そこは事務局のほうにお任せいたします。よろしくお願いします。  それではちょっと時間が遅くなってきましたけれども、最後、その他のところで実はこ の間から議論させていただいております検体検査の外部機関の委託のこと、これについて もうちょっとだけ、もう一回説明をさせていただいて、それから渡邊先生の御意見もちょ っといただくということで、それでは御説明をお願いします。 ○事務局  事務局からなんですけれども、外部委託の件なんですが、前回・前々回と欠席されてい る先生も多数いらっしゃるということで、簡単にちょっとこれまでの概要、それから流れ からちょっと説明させていただきたいと思います。  先進医療で認められている検査の中には、実施可能な施設が非常に限られているものが ありまして、患者さんの利便性に欠ける問題があったということで、こうした検査は外部 委託することを前提に先進医療として実施を認めていくことではどうかということで、前 回の先進医療専門家会議において了解をいただいたかと思います。  具体例としては、例えばA病院がある検査を先進医療として実施しているとして、その 実施する設備のないB病院が先進医療をやりたいといった場合は、B病院はあらかじめA 病院に検査を委託したいという相談をした上で、外部委託を前提とした先進医療の届出を 行っていただくと。  先進医療専門家会議においては、この技術について改めて御議論していただき、その結 果、この技術や検査が外部委託可能となれば、委託か受託かそれぞれの施設要件を改めて 検討して、それを踏まえて告示すると。これを受けて、B病院に改めて自施設を先進医療 実施機関として届出していただくといった流れになっております。2施設目以降は、通常 の先進医療と同様に地方厚生(支)局への届出だけで、委託での実施が可能になると。  まとめると外部委託に関する実施のニーズがある検査については、初回に限り一件一件 この会議で審議していただき、外部委託をお認めいただければ、通常の評価技術と同様の 手続で実施できるようにするということで、前回の先進医療専門家会議においてお認めい ただいたと。  残っております課題としましては、前回議論にもなったと思うんですが、検体の品質管 理といったことでございます。特に外部委託の仕組みで対象になってくるのは、先ほどお 話にも出たような遺伝子検査が中心になると思われるのですが、検体の採取方法、保存、 運搬方法等が検査結果等に影響を及ぼし得るということで、一定のルールが必要なのでは ないかとの御指摘をいただきました。  この件につきまして、さかのぼること7月の先進医療専門家会議において、構成員でい らっしゃる渡邊先生から遺伝子検査の標準化に向けた取り組みがなされているとのお話が ございました。具体的には、日本臨床検査標準協議会の中に遺伝子関連検査標準化専門委 員会が設置されまして、遺伝子検査に関するマニュアルが作成されつつあるといったお話 で、ただ、7月の段階で、完成までの期間がはっきりしないということでございましたの で、先進医療の外部委託の件はそれよりも先に始めてもよいのではないかという話もござ いました。  しかし、最近になりまして、マニュアルの予定が予想よりも早く、年明けにも完成する 見込みであるということをお伺いしたので、事務局としましては先進医療において外部委 託を実施するに当たり、遺伝子関係の検査が多くなることが予想されますので、このマニ ュアルができ次第、このマニュアルに準拠する形をとったほうが適切ではないかと考えて いる次第でございます。  恐れ入りますが、この件について追加がありましたら、渡邊先生から御説明いただきた いと思います。 ○猿田座長  今お話ありましたように、この間から議論は大体終わって、やることになっているんで すけれども、実際やるに当たってこういうマニュアルができてくるならばそのほうがいい だろうと言うことです。今日11月7日でございますけれども、もうすぐできそうだとい うことで、それでは渡邊先生、御意見を。 ○渡邊構成員  では、簡単に経緯だけ御説明します。  今お話がございましたように、この遺伝子関連検査の検体品質検査マニュアルにつきま しては、現在、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の遺伝子関連検査標準化専門委員 会というところで作成しております。ここでは、日本人類遺伝学会、日本遺伝子診療学会、 遺伝子カウンセリング学会、あるいは日本臨床検査医学会など、その専門学会の先生方、 あるいは経産省の方、それから厚労省の方が一堂に会しまして、あるいは企業の方も含め ましてこの検討体制をつくっております。  この中で、今御紹介いただきました遺伝子関連検査の検体品質検査マニュアルにつきま しては、大体約2年間を要して委員会で議論を重ねまして、大体骨子ができ上がっており ます。10月1日にこの委員会で委員会承認を受けておりまして、今月中に日本臨床検査 標準協議会の理事会、あるいは、もう一回各専門学会の関連団体の了承を得るという手は ずになっております。ほぼこれは大丈夫だろうということになっております。一応、現在 のところは来年1月末にホームページに公開する予定になっておりますので、これを御利 用いただければと思います。  内容に関しましては、遺伝子検査の検体の取り扱い、採取方法、運搬、保存方法、分析 方法につきまして、いろいろ細かいところまで、約80ページぐらいのマニュアルとなっ ていまして、その件に関して、我が国でこれよりすぐれたものはないのではないかと思っ ています。これを先進医療の遺伝子検査の指針に利用されるのが一番いいということで御 推奨させていただく次第でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  そういった形で、かなり膨大なものでしっかりしたものができ上がるということでござ いますので、それを利用するほうが一番いいだろうというふうに考えて、余りそれが長引 けば、もちろんこちらは早く動き出しますけど、一応そういう方向で考えたいと思います。 よろしいでしょうか。  はい、どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  その膨大なマニュアルというのは、かなり技術的なものが膨大に入っているということ ですか。 ○渡邊構成員  ここに持ってきているんですけれども、技術的なことは、そう細かく書いてございませ ん。もちろん最低限必要な、要するにその在り方とかを基本に書いてあります。例えば保 存あるいは運搬を何℃にしなくてはいけないという、基本的な部分は細かいことも書いて ございますけれども、分析方法の詳細とかそういうものは余り書いてありません。 ○笹子構成員  こういう流れの中で入れておかなければならないことというのは、最低もう2点くらい で、個人情報保護の観点からの連結可能匿名化の問題と、あとは検体処理をどうするかと いう最終責任の、その辺のことがしっかり入っていればいいと思います。 ○渡邊構成員  それは入っております。ただ、ちょっと詳し過ぎるかもしれません。 ○猿田座長  それで、一応やるときはここで必ず一回かけさせていただきますので、そこの点も御了 承いただければと思います。よろしいでしょうか。もしよろしければ、では、これもそう いう形で決めさせていただきます。  以上が、本日の議論することのすべてでございます。  もしよろしければ、それでは33回の専門家会議を終わります。  どうも御協力ありがとうございました。 <了> 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)