08/11/05 第2回国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会議事録 第2回国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会(議事録) 日 時:平成20年11月5日(水)14:00〜16:15 場 所:厚生労働省共用第8会議室(6階) ○伊藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「国立更生援護機関の今後 のあり方に関する検討会」を開会したいと思います。  委員の皆様方には、御多忙中にもかかわらずご参加いただき大変ありがとうございます。どう ぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、事務局より委員の出欠状況について報告をお願いいたします。 ○難波施設管理室長 委員の出欠状況につきまして御報告をさせていただきます。  本日は、小中委員、柳澤委員が御欠席との御連絡をいただいております。  また、山崎委員につきましては、若干遅れるとの御連絡をいただいております。  それから、小中委員の代理としまして、久松参考人に御出席をいただいております。  よろしくお願いいたします。  それから、前回御欠席でありました、森委員について、御紹介をさせていただきたいと思いま す。よろしくお願いします。 ○森委員 ただいま、御紹介に預かりました、日本身体障害者団体連合会の常務理事兼事務局長 を拝命しております、森でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。 ○難波施設管理室長 それから、事務局の紹介をさせていただきます。  前回、所用で欠席しておりました企画課長の蒲原でございます。  なお、木倉障害保健福祉部長につきましては、所用が入っておりまして若干遅れるということ でございますので、後ほど、途中で参加させていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。それでは、事務局より、本日の資料の確認をお願いいた します。 ○難波施設管理室長 本日の資料でございますが、資料1「国立身体障害者リハビリテーション センターの今後のあり方に関する検討会中間報告書(要旨)」をお手元にお配りしております。  これは、リハセンター内部で検討したものでございまして、後ほどリハセンターより御説明い ただきますが、今後の議論の参考とさせていただきたいと思っております。  続きまして、資料2「国立更生援護機関の役割及び機能について【現状・課題及び論点(案)】」 というものでございます。前回は、項目のみをお示しさせていただいておりましたが、課題及び 論点を少しまとめさせていただいたということでございます。  参考資料が4つございます。まず、参考資料1「国立更生援護機関の位置づけ等について」。  参考資料2「国立障害者リハビリテーションセンターにおける高次脳機能障害の対応状況につ いて」。  参考資料3「労災病院における脊髄損傷疫学調査」についてでございます。  参考資料4「国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会(第1回)議事録」。これにつき ましては、委員の皆様方に御確認していただいて、本日、机上にお配りしているということでご ざいます。  資料の御不足等ございましたら、御連絡いただきたいと思います。  以上でございます。 ○伊藤座長 資料についてよろしいでしょうか。特に問題ございませんでしょうか。  それでは、早速議事に入りたいと思います。  議事の第1番目ですが、第1回の検討会で皆様からいただきました御意見を踏まえまして、「国 立更生援護機関の役割及び機能」に焦点を絞って議事を進めたいと思います。  まず、リハセンターから資料1の説明をしていただきたいと思います。  江藤先生、よろしくお願いいたします。 ○江藤オブザーバー 更生訓練所長の江藤でございます。総長が委員を務めますゆえ、私が代わ りまして説明させていただきます。  国立リハセンターは、昭和54年に設立されております。それに先立って、昭和40年代に2 回ほど提言がなされて、それに基づいて設置されたわけでございますが、この30年間に心身障 害者対策基本法が障害者基本法となって、更にそれが整備されて、それから国際的にも国連で障 害者権利条約が近年採択され、国によっては既に批准されるという状況の中で、障害に対する見 方あるいは障害を取り巻く環境というものも大きく変わってきております。  こういう時点で、私どものセンターのあり方も変換点にあるという認識で、総長より指示がご ざいまして、昨年約1年かけて検討した中間報告書がお手元にあるものでございます。かなり長 いものですので、後ほどお読みいただけたらと思いますが、要旨について簡単に御報告させてい ただきます。  まず、この30年間の私どもの活動を振り返って、少なくとも設立当初、答申にあったような 内容で我が国のリハビリテーション、これも障害を持った方の医療から福祉、就労に至るまで、 そして、それに関連した人材の養成あるいは研究という総合的で国際的にも非常に類のない施設 と考えておりますが、当初の目的に関しては、それなりに達成できているのではないかと考えて おります。  改めて、センターの設置の目的でございますが、障害特性に対応する設備を備えて、国立施設 として身体障害者の医学的、社会的、職業的リハビリテーションを一貫して実施するとともに、 リハビリテーションの技術、福祉用具の研究開発、専門職員の養成研修、更には情報の発信及び 技術指導を行っていく、これが私どもの目的ではないかと考えております。  併せて、これは、当初の昭和40年代の提言の中には含まれておりませんでしたが、国際協力 を推進すること、更には医療の発展と疾病構造の変化を反映して、重複障害者への対応といった ものも主体的に実施していきたいと考えております。  これまでの取組みを踏まえて、現状について問題点も含めてディスカッションをしたわけです が、部門間の連携、病院、更生訓練所、研究所、学院といったそれぞれの活動を活発に展開して きた中で、場合によってはバラバラな対応になり、一人の障害をもった方のニーズに対応して、 連続的にサービスを提供するといった面では、まだ問題点が残るのではないかと考えております。  また、近年は重度の重複障害者が、私どもの利用者でも増えてきているわけですが、それに関 する新技術はまだ開発の余地がたくさん残っているのではないかと考えております。  それから、自立支援法では、地域コミュニティーでの生活や就労、そういった地域活動が重視 されるわけですが、これまでは、全国から利用者を受け入れるということで、地元自治体等との 連携に関して、あるいは地元のさまざまな企業あるいは教育機関、そういった個々の地域での連 携に関しましては、若干不備なところがあって、利用者の継続的な支援という点では、今後、ま だ課題が残っているのではないかと考えています。  本年10月より、私どものセンターの名称もこれまでの身体障害者リハビリテーションセンタ ーからその身体を外しまして、障害者リハビリテーションセンターとして精神障害あるいは知的 障害といったものも含めて取り組んでいくことを目指しておりますが、現段階ではまだ幾つか課 題があって、これは段階的に取り組んでいくものと認識しております。  それから、重複障害者、あるいは重度重複障害者も含めて、これから段階的に取り組んでいか なければならないと考えております。  そして、障害というもののとらえ方も若干医学的な側面に重点が置かれてきたきらいがありま すが、心理的あるいは社会的な存在として学問的にも障害学といったものを理解し、それを深め ていくこと、そして、ノーマライゼーション、自立生活、自己選択と自己決定、完全参加、機会 平等、差別禁止、多様性尊重といった近年の障害に対する認識、理解、共生社会を目指した、そ うした理念に基づいて、我々の活動を改めて見直していきたいと考えております。  センターの展望でございますが、共生社会の構築に向けて、障害をもつ人々のリハビリテーシ ョン過程の中で、医学的に健康管理、機能回復、能力の向上、日常生活の自立、社会生活技能の 習得、職業能力の学習、こういったものを中心にした支援の提供、更には国が行うべき障害者に 対する政策に向けた新技術あるいは手法、技法といったものの研究開発を行うことによって障害 をもつ人々の福祉の向上を図り、共生社会の構築に貢献するということを将来的な目標として掲 げたいと考えております。  要旨のところの最後に、一つポンチ絵のような形で、図が入れてあるかと思いますけれども、 この図をもとに、私どもの将来構想をお話したいと思います。  現段階でということで考えると、若干、絵に描いた餅ではないかと見えなくもないのですけれ ども、まず、医療から福祉まで、シームレスに途切れなく利用者のサービスを提供できるように ということで、医療機関としての病院から、更に生活訓練あるいはプレボケーショナル、ボケー ショナルを含めた就労支援、地域生活移行といったことに取り組んでいくということです。  最初の入り口として、センター全体の総合相談窓口を考えております。前回御質問がございま して、本日の参考資料2にもございますが、高次脳機能障害の支援ということで、5年間のモデ ル事業は、私どもにとっても非常によいトレーニングの機会が与えられたと思います。現在、相 談で訪れる方の数が、病院の医療相談室で約250〜300、それから更生相談所の現在は総合相談 支援部になっておりますが、総合相談課の相談事業の中で、やはり250〜300ぐらいと、併せて 年間500〜600ぐらいが相談にみえるわけです。それぞれ相談の場としては、病院の相談窓口、 あるいは更生訓練所の窓口で、かなり内容がオーバーラップしています。それぞれ、どういった 社会資源があるかということも含めて御相談に応じるわけですが、私どものセンターの、まず、 入口として総合相談というものを充実させていく必要があると考えます。  そして、事例によって、医療における機能回復訓練が必要なケース、そして、機能訓練として、 医療の後のあるいは回復期の医療の後の訓練、社会生活、地域生活に移行するための生活訓練、 それから、就労あるいは復職に向けてのトレーニングなど様々なニーズに対応した支援を行って いくということでございます。就労に関しましては、同じ敷地内に国立職業リハビリテーション センターがございます。これはもともと労働省所管ということで、昭和54年のセンター開設段 階では、同時期に別々の管轄でスタートしております。そうしたこともあって、若干性格的にも 違うし、サービスの提供の仕方も違っておりますが、同じ敷地内にございますので、更生訓練所 と職業リハセンターとの連携をもっと密にして、有効な機能を発揮していく必要があると考えて おります。  自立支援法では、地域コミュニティーということが非常に強調されます。私どものセンターは 全国から利用者を受けているわけですが、地域の中での活動も盛んに展開を図っているところで ございます。就労に向けてのネットワークとして、ハローワークあるいは特例子会社あるいは幾 つかの企業も含めてですが、そういったところのネットワークを構築していく必要があると考え ております。  将来的には、私どもの発想によって、事業展開を拡大して、そこでの就労移行支援といったこ とも考えたいと思っておりますが、現段階では、所沢地域の関連する機関に利用者が就労参加し ていく段階に私どものスタッフも出向いていって、それぞれのネットワークに加わりながらネッ トワークをつくっていくということが当面の課題であると考えております。  その過程で、各都道府県それぞれのやり方があるかとは思いますが、役に立つモデルの構築・ 提供を展開していきたいと考えております。  併せて、個別支援でこうした流れの中で開発されてきた技術、技能といったものをきちんとエ ビデンスとして記載していくことが重要であると考えております。  それから、新たな障害に対するプロジェクトを立ち上げて、それを一つの事業にしていくこと や 従来も行ってきましたが、福祉機器あるいは支援技術の開発研究といったこと、そして、障害全 般に関する支援技術も含めた情報発信といったものも将来的な機能として拡張、充実していく必 要があると考えております。  以上、昨年約1年かけて、総長の諮問で、私どものセンターのあり方について検討して、現段 階では、まだまだ課題がたくさん残っておりますが、将来的な展望として、今、ここにポンチ絵 のような形でお示しした、こういったものを長期的な目標に掲げて活動していきたいと考えてお ります。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。ただいま、リハセンター内部で検討された内容につきま して御報告いただきましたが、どなたか御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいで しょうか。  特にないようでございますので、後でまたこのことに絡んで御意見がございましたら、そのと きにまたお話を伺うことにしたいと思います。  それでは、引き続きまして、お手元の資料2の「国立更生援護機関の役割及び機能について」、 今日の主題ですが、これについて事務局より説明していただきたいと思います。 ○難波施設管理室長 資料2の「国立更生援護機関の役割及び機能について」ということでござ います。  1ページ「国立更生援護機関の基本的な役割」という形で整理をさせていただいております。  まず、現状でございますが、リハセンターにつきましては、身体障害者を中心に、医療から職 業訓練まで一貫した体系の下で総合リハを実施するとともに、それに加えまして、研究開発、人 材の養成、情報の収集・提供等、我が国のナショナルセンターとして中核機関としての役割を担 っているということでございます。  2つ目でございますが、これは、8施設共通の問題でございますが、更生訓練所、光明寮、保 養所、秩父学園、各々の施設機能としての役割でございますが、基本的には民間施設等での取組 みが十分でない頚髄損傷者、高次脳機能障害者、それから重度の知的障害者、これらの方々に対 する自立支援等のサービスの提供というものでございます。  それに加えまして、中途視覚障害者に対する「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」 の養成機関としての役割を担っているというものでございます。  参考でここで書いておりますように、4つの類型で8つの施設があるということでございます。  2ページ、課題及び論点(案)という形でございます。国の責務であります医療の提供あるい は研究開発、人材育成等、その基本的政策の具現化並びに政策への還元等の障害者リハビリテー ションの中核機関としての役割を担う必要があるということでございます。  論点案といたしましては、これまでもリハビリテーションセンターにつきましては、医療から 職業訓練まで一貫した体系の下で総合リハを実践してきたということでございます。それに加え まして、研究開発、人材の育成等、我が国のナショナルセンターとしての役割を担ってきたとい うことでございますが、これまでの実施状況等の検証、それから、役割の再認識というものが必 要ではないかということでございます。  2つ目でございますが、障害全体を通じたリハビリテーション医療、それから研究開発、人材 育成等の実践を通じ、障害に関する基本的政策に関する情報の集積と評価・分析、それから、政 策提言を行う機能を持つべきではないかということでございます。  3つ目、施設機能の問題でございますが、民間と同じサービスを提供するだけでは、国立施設 としての意義がないわけでありまして、したがいまして民間施設等での取組みが十分ではないも の、それから、頚髄損傷者や新たな障害分野への対応といったものも考えていく必要があるので はないか。  そして、これらを通じまして、サービスモデルあるいは事業モデルというものを構築しまして 民間施設等への情報提供等、指導的役割を担うべきではないかということでございます。  また、医療から職業訓練まで一貫した体系の下で総合リハを提供するということでございます が、そういったものを通じまして、モデルというものを示していく必要があるのではないかとい うことでございます。  3ページ、機能別の状況ということでございまして、5つの柱を立てております。  リハビリテーション医療、研究開発、人材育成、情報の収集・提供、企画・立案という問題、 それから施設機能という5つの柱がございます。  まず、1点目のリハビリテーション医療の関係でございます。現状としましては、現在、リハ センターの病院におきまして、現時点では身体障害者を中心に専門的な検査、治療等を行ってい るところでございます。  それに加えまして、肢体不自由、聴覚、視覚の3障害に係ります機能回復訓練というものを実 施している、それから、リハビリテーション技術の研究開発というものを担ってきたということ でございます。  2つ目でございますが、先ほど江藤更生訓練所長からも説明がございましたが、高次脳機能障 害支援モデル事業というのを5年間かけて実施して、診断基準でありますとか訓練プログラムと いったものを開発しまして全国へ発信しているというものでございます。  それに加えまして、平成16年10月から高次脳機能障害専門外来を開設したということでご ざいます。  3つ目でございますが、平成20年10月から発達障害に対する診断、治療等を目的に、児童 精神科(発達障害診療室)を設置したところでございます。  (2)のところの国立秩父学園でございます。  平成12年度から在宅の自閉症等の発達障害児を対象に、外来診療それから、通園による療育 指導というものを行っているところでございます。  4ページ、課題及び論点(案)でございます。障害者のリハビリテーション医療の専門機関と して、障害全体を視野に入れたリハビリテーション医療の提供、それから臨床に関するデータの 集積と評価・分析を行うことによって、標準的なリハビリテーション医療モデルを構築し、安全 かつ効果的な医療の提供及び医療技術の向上を図る必要があるというものでございます。  論点案といたしましては、障害全体を視野に入れつつも、当面は高次脳機能障害あるいは発達 障害等、新たな障害分野への対応を強化すべきではないか、そして発達障害の分野につきまして は、秩父学園、それから、精神・神経センターとの役割分担並びに連携というものが必要ではな いかということでございます。  2つ目でございますが、障害の発生予防、それから二次障害及び生活習慣病予防等の機能強化 というものを図るべきではないか、それから、標準的なリハビリテーション医療モデルを構築す るために、臨床データの集積と評価・分析等臨床開発研究の機能強化が必要ではないかというこ とでございます。  最後でございますが、医療から職業訓練まで一貫した体系の下に総合リハを実施するためには、 更生訓練部門、研究部門等の各部門との連携が不可欠ではないかということでございます。  5ページ、大きな2点目でございますが、リハビリテーション技術の研究開発機能という問題 でございます。  現状におきましては、リハセンター研究所では、身体障害中心に医学、工学、社会科学、行動 科学の学際的観点からの研究を行うことを目標に、障害者の社会参加と生活の質の向上を促進す るための支援システム、支援技術に関する研究開発等を実施しているというものでございます。  それから、先ほど病院でもございましたが、高次脳機能障害支援モデル事業を5か年計画で実 施しまして、訓練プログラム等を開発し全国へ発信しているというものでございます。  平成20年10月から、研究所に発達障害情報センターを設置いたしまして、発達障害に関す る各種情報を提供しているところでございます。  6ページ、課題及び論点(案)ということでございますが、リハビリテーション技術の研究開 発の中核機関として、医療から福祉の臨床・現場を有する特性を活かし、医療・福祉技術のイノ ベーションを高める必要があるということでございます。  障害全体を視野に入れた研究開発を推進するためには、産学官、それから、他の研究機関等と の連携による共同研究等を行うことによって、研究開発力を高める必要があるのではないか、そ れから、福祉機器や支援技術等の開発、その実用化及び普及に向けた取り組みが必要ではないか ということでございます。  論点案といたしまして、臨床・現場を有する特性を活かし、臨床データや社会的ニーズ等の集 積と評価・分析を行い、研究開発テーマの企画・立案・調整を行う機能を持つべきではないかと いうことであります。  2点目は限られた予算及び体制の中で、効果的な研究開発を進めるということになりますと、 組織横断的な体制を構築する必要があるということと、外部機関との有機的な連携による共同研 究や外部競争資金の活用などを図ることによって、その効果を発揮すべきではないか、それから、 新たな障害分野における福祉機器、支援技術等の研究開発を進めるために機能の強化が必要では ないかということでございます。  3つ目でございますが、産学官、それから他の臨床現場を有する機関等とのネットワークを構 築するということが重要であろうと思います。障害者のリハビリテーション技術に関する調査、 研究開発の主導的な役割を担うべきではないかということでございます。  一番下、障害者の安心・安全のために、福祉機器の安全性、それから、耐久性等の評価認証機 関としての機能を担うべきではないかということでございます。  7ページ、3点目、人材育成機能でございます。  現状でございますが、リハセンターにおきましては、身体障害者のリハビリテーション分野に おける専門職の養成というものを実施しておりまして、養成学科としましては、言語聴覚学科、 義肢装具学科、いずれも国家資格でございます。それから、手話通訳学科、視覚障害学科、リハ ビリテーション体育学科の5つの学科がございます。  参考のところにございますが、言語聴覚士養成校、全国には61校と数が増えてきております。 義肢装具士の養成学校が9校でございます。  一番下の視覚障害学科及びリハビリテーション体育学科については、リハセンターのみが実施 しているという状況にございます。  2つ目でございますが、研修関係でございます。身体障害者のリハビリテーション関係業務に 従事する医師、理学療法士等の専門的な研修を実施しているというものでございます。それに加 えまして自立支援法上の相談支援従事者指導者養成、それから、サービス管理責任者指導者養成 研修というものを実施しまして、全体としては年間21の研修を実施しているというものでござ います。  (2)の国立秩父学園でございますが、保護指導職員の養成所というものを附属機関でもって おりまして、知的障害児の保護、指導の業務に従事する専門職員養成を、児童指導員科、保育士 専修科で実施しているところでございます。  それに加えまして、知的障害関係施設の専門職員、知的障害者をもつ親、発達障害関係の業務 に従事する職員に対する研修を実施しているところでございます。  8ページ、課題及び論点(案)でございます。  国家資格である言語聴覚士及び義肢装具士の養成につきましては、大学等の養成校は増えてき ておりますが、その位置づけの明確化が必要ではないかということでございます。  我が国唯一の学校組織である視覚障害学科、それからリハビリテーション体育学科につきまし ては、その資格化を視野に入れた検討が必要ではないかということでございます。  すべての学科について現場の専門職の養成にとどまらず、教育・研究まで担える人材を育成す べきではないかということでございます。  論点案といたしましては、リハセンター学院の養成課程におきましては、臨床・現場を有する 特性を活かしまして、より専門性を高めるということと、医療・福祉の現場の専門職養成にとど まらず、教育・研究まで担える人材を育成するための機能を持つべきではないかということでご ざいます。  2つ目、障害関係分野における人材育成のための社会的ニーズ等を把握し、医療・福祉現場に おける人材育成に係る企画・立案及び実施する機能を持つべきではないかということでございま す。  3つ目、専門職員の研修につきましては、研修受講が資格要件となっている研修を重点的に実 施する。それから、専門職のリーダー養成、包括的な支援を可能とする専門職の養成と人材育成 のすそ野を広げるための指導者の養成というものに力点を置くべきではないかということでご ざいます。 9ページ、4つ目の柱でございます。情報の収集・提供及び企画・立案機能でございます。  現状でございますが、現状では、リハセンターの各部門が開発した情報、それからセンターの 運営に関する情報等をホームページあるいは定期刊行物、シンポジウムを通じて提供していると いうものでございます。  リハセンターにつきましては、障害の予防とリハビリテーションに関して、WHOの指定研究 協力センターとして指定されておりまして、リハビリテーションの分野でのWHOの事業に協力 しているというものでございます。  それから、JICAの事業に協力ということでございますが、海外のリハビリテーション専門 職員の技術向上のための集団研修、技術協力プロジェクト等に係る専門家の派遣協力支援という ものを行っているというものでございます。  一番下でございますが、リハセンターにつきましては、リハビリテーションに関する企画・立 案・調整及び情報の収集・提供という組織がございますが、なかなか体制上の問題で、その機能 が十分発揮されていないという現状がございます。  10ページ、課題及び論点(案)でございます。  先ほど申し上げましたとおり、障害者のリハビリテーション情報の収集・提供及び企画・立案 機能は組織的には存在しますが、なかなか十分機能していないという課題があるということでご ざいます。  2つ目、障害者の医療、それからリハビリテーション技術の研究開発等の政策を具現化するた めには、障害者や家族等の社会的ニーズ、それからリハビリテーションの実践を通じて得られる 基礎データの集積、それからその評価・分析に基づき、障害施策の企画・立案を行う必要がある のではないかということでございます。  論点案でございますが、リハビリテーションの実践を通じて得られる基礎データ等の集積・評 価・分析及び企画・立案機能の強化を図る必要があるということと、国の障害施策の企画・立案 に関し、政策提言を行う機能を持つべきではないかということでございます。  それから、障害関係機関等とのネットワークを構築し、障害施策関係の情報の収集、民間施設 等に対し先駆的サービスモデル(事業モデル)や障害者のリハビリテーション等の情報・提供機 能の強化を図るべきではないかということでございます。  11ページ、5つ目の柱で、施設機能の問題でございます。  現状につきましては、まず、リハビリテーションセンター関係につきましては、障害者自立支 援法に基づく、指定障害者支援施設として、就労移行支援(養成施設を含む)、自立訓練、施設 入所支援の障害福祉サービスを、全国を対象にして実施しているというものでございます。  2つ目、各障害福祉サービスの利用者は減少傾向にございまして、特にあん摩マッサージ指圧 師、はり師、きゅう師の養成課程については、利用者の減少が著しいという状況でございます。  参考の2つ目のところですが、養成施設でございますが、平成8年では、161人だったものが 10年後の平成18年では98人ということで、利用者が半減しているという状況でございます。  3つ目、本年10月から、視覚障害者の機能訓練に加えまして、頚髄損傷者の機能訓練という ものを、対象を拡大しているということでございます。  4つ目、新規利用者の状況を見ますと、高年齢化傾向にあるということと、主たる障害である 身体障害に加えまして、糖尿病等の医療的ケアを必要とする者、それから、知的障害あるいは精 神疾患をあわせ持つ者が増えてきているという状況にございます。  5点目、先ほど申し上げました、高次脳機能障害支援モデル事業を実施して全国へ発信してい ます。  最後になりますが、青年期発達障害者の就労という視点から、今、モデル事業を実施しており まして、平成19年から3年かけて就労支援に関するモデル事業というものを行っているところ でございます。  12ページ、中段辺りでございますが、(2)の視力障害センターでございます。  視力障害センターにつきましては、函館、塩原、神戸、福岡の4センターがございまして、い ずれも自立支援法上の指定施設として、就労移行支援養成施設、自立訓練、施設入所支援の障害 福祉サービスを、全国を対象に実施しているというものでございます。  就労移行支援の利用者につきましては、年々減少傾向にございまして、この10年間の状況を 見ますと、全体では56%減少しており、特に高等課程(中卒5年)でございますが、この減少 が著しいという状況でございます。  そのため、視力センターの高等課程(中卒5年)につきましては、本年度より新規募集を停止 しており、リハセンターに機能の一元化を図ったというところでございます。  一番下でございますが、あはき師の養成施設は、国以外には公立で京都府の施設が1か所、そ れから、民間で東京・広島に2か所の施設がございます。  いずれも、これら施設につきましても利用者は減少しておりまして、また、盲学校につきまし ても、利用者は減少の傾向にあるという状況にございます。  13ページ、一番上でございますが、視力センターはもう一つの機能がございまして、中途視 覚障害者の歩行でありますとか、日常生活上の自立訓練というものがございまして、この利用者 につきましては、ほぼ横ばいで推移しているという状況にございます。  (3)の重度障害者センターでございます。  重度障害者センターにつきましては、伊東、別府の2センターございますが、いずれも自立支 援法上の指定施設として自立訓練、施設入所支援の障害福祉サービスを、全国を対象に実施して いるというものでございます。  昭和50年以降は、頚髄損傷者が利用の中心になっておりまして、現在では、90%以上が頚髄 損傷者ということでございます。  それから、国立施設以外の民間の身体障害者更生施設につきまして、頚髄損傷者の利用がどの 程度あるかということでございますが、1施設当たり、平均2名程度と、なかなか利用が進んで いないという現状があるということでございます。  14ページ、国立秩父学園でございます。  秩父学園につきましては、知的障害の程度が著しい児童、自閉症等による著しい行動障害を持 つ児童、あるいは視覚及び聴覚に障害のある重複の知的障害児というものを対象にしておりまし て、生活指導でありますとか学習指導を行っているということでございます。  施設利用者につきましては減少傾向にございまして、この10年間では全体で21%減少してい るという状況にございます。それから入所されている方の出身地域を見ますと、東京、埼玉、千 葉、これでほとんどを占めているという状況でございます。  3つ目、秩父学園は障害児の施設でございますが、利用者の84%が年齢超過児ということで ございまして、平均年齢も30歳、それから、平均在園期間は17年という状況になっていると いうことでございます。  15ページ、課題及び論点(案)ということでございます。  障害者自立支援法の施行に伴いまして、サービス体系が一元化されたということでございます。 国の施設も県の指定を受けて、民間施設と同様のサービス体系の下でサービスが提供されている ということでございますが、こういった観点から、国の施設としての役割の明確化というものが 求められているというものでございます。  国の施設でございますから、民間施設と同様のサービスを提供するだけでは存在意義がないと いうことだろうと思います。  したがいまして、これまでの取組みを検証しつつ、民間施設の取組みが十分でない高次脳機能 障害あるいは発達障害等、新たな障害分野に特化した形で、その取組みを進める必要があるので はないかということでございます。  それから、国立施設として、障害福祉サービスの実施、あるいは試行的取組み等を通じ、個別 支援プログラムの研究開発、サービスモデル、事業モデル等を構築し、民間施設等へ提供するな ど、指導的な役割を担うべきではないかということでございます。  論点案といたしましては、リハセンターにつきましては、医療から職業訓練まで一貫した体系 の下で総合リハを実践するというものでございます。それに加えて研究開発、人材養成等の機能 を有する特性を活かし、更生訓練部門における各部門との連携を図りつつ、先駆的、試行的な取 り組みを進めるということが必要だろうと思います。  その結果、サービスモデル、事業モデルを構築しまして、民間施設等へ提供するなどの指導的 な役割を担う必要があるのではないかということでございます。  更生訓練部門につきましては、高次脳機能障害あるいは発達障害等新たな障害分野への対応、 それから、頚髄損傷者等の重度重複障害者へのサービス提供を中心にその機能を充実すべきでは ないかということでございます。  視力センターにつきましては、視覚障害者の職業別従事状況を見ますと、現時点におきまして も、あはき師の業務というのは、まだまだ高い比重を占めているということでございまして、依 然としてそういう状況にございますので、また、国以外の取組みがほとんどないという前提に立 ちますと、引き続き中途視覚障害者のあはき師の養成というものは続けていくべきではないかと いうことでございます。  16ページ、最後に出てきますが、国立更生援護機関の機能の一元化というものがございます が、これに合わせまして、中途視覚障害者の職業的自立あるいは生活支援等の研究開発の臨床現 場としての役割も担うということも必要ではないかということでございます。  いずれにしましても利用者は減少しているということからしまして、全国的な視点に立って、 施設の再配置の見直しというものが必要ではないかということでございます。  重度センターについてでございますが、頚髄損傷者が増加傾向にある中で、民間の更生施設等 での利用が進んでいないということがございます。したがいまして、リハビリテーションを行う 病院等との連携を図りつつ、国の施設として引き続きその役割を果たすべきではないかというこ とでございます。  それから、利用対象につきましては、頚髄損傷者に加えまして、若年の脳血管障害者等にも対 象を拡大すべきではないかということでございます。  こちらも国立更生援護機関の機能の一元化に併せて、頚髄損傷者の職業的自立や生活支援等の 研究開発の臨床現場としての役割を担うということでございます。また、全国的な視点に立って 施設の配置の見直しを考えるべきではないかということでございます。  秩父学園につきましては、利用者の約8割が20歳以上の年齢超過児ということでございまし て、終身保護的な色彩が強くなってきているということでございます。  したがいまして、年齢超過児につきましては、利用者本人あるいは保護者の理解を得ながら地 域生活への移行というものを考えていく必要があるのではないかということでございます。  だから、国の施設といたしまして、重度重複の知的障害児・者に対する自立のための先導的か つ総合的な支援の提供等を通じ、重度重複の知的障害児・者の個別支援プログラムあるいはサー ビスモデルというものを開発して民間施設へ提供するなど指導的な役割を担うべきではないか ということでございます。  秩父学園につきましては、利用対象の拡大という部分では、強度行動障害児あるいは発達障害 児等の利用対象というものを考えていくべきではないかということでございます。  最後になりますが、国立更生援護機関の機能の一元化という問題でございます。  現在、4つの類型と8つの施設があるわけでございますが、同種の施設においても微妙に運営 方法及び内容が異なっているということでございます。  視力センター、それから重度センターの機能につきましては、リハセンター更生訓練部門にも 同様の機能があるわけでございますが、そういった意味におきましてナショナルセンターとして サービスの共通化・統一化をはかるための機能の一元化が必要ではないかということでございま す。  2つ目、リハビリテーション医療の提供、それから技術の研究開発、人材の育成等の機能を有 しているわけでございますが、臨床現場としての地方センターとしての有機的な連携が可能とな るように考えていく必要があるのではないかということでございます。  それから、これは事務的な話になりますが、予算及び職員定員、これは4つの区分で分かれて おりまして、相互流用ができないという状況にございまして、事業を効果的に発揮するためには、 機能の一元化あるいは統一的な方針の下での効率的な運営が必要ではないかということでござ います。  各センターの利用者の状況等を踏まえて、全国的な視点に立って、センターの再配置というも のを考えるべきではないかということでございます。  参考資料で付けているものでございますが、参考資料の1でございます。国立更生援護機関の 位置づけということでございますが、上から、障害児・者の数が載っておりまして、身体障害者 総数として340万余りでございます。その中で、視覚障害の中途視覚障害が対象になっている、 また、 肢体不自由の中では、頚髄損傷が対象なっているということでございます。  一番下のところに国立施設が担っている部分がございますが、視力センターにつきましては、 自立支援法上の就労移行支援の養成型、それから自立訓練の機能訓練を担っている、それから、 重度センターにつきましては、自立訓練の機能訓練を受け持っている、リハセンターにつきまし ては、就労移行支援、就労移行支援(養成施設)、自立訓練と生活訓練のところまで受け持って いるということでございます。  リハセンターにつきましては、先ほど更生訓練所長からも御説明がありました国立職業リハビ リテーションセンターというのが敷地内にございまして、こことの連携を図りながら職業訓練を 行っているというものでございます。  秩父学園については、知的障害児の施設としての機能を果たしているというものでございます。  最後のところでございますが、4ページでございます。国立職業リハビリテーションセンター の運営形態というものが入ってございます。  基本的には、下の方に国立障害者リハビリテーションセンターというものがございますが、リ ハセンターに入所して、そこで一定のオリエンテーションをこなしながらハローワークの求職登 録というものを行って、職業リハビリテーションセンターに入所して訓練を受けるという流れに なっております。  右の下の方に、直接入所というのがございますが、知的障害者及び精神障害者については、リ ハビリテーションセンターが利用対象にしていないということで、直接職リハの方に入所してい るといった流れになってございます。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。それでは、これから1時間10分ほど議論したいと思い ますが、委員の皆様方には今日初めて資料が提示されて、そして説明を受けて、盛りだくさんの 内容でございます。これを全部議論することは大変難しいとは思いますが、とりあえずできると ころまで議論をしていただき、残りました部分につきましては、次回に譲りたいと思っておりま す。  まずは、前半の部分と後半の部分に分けまして、資料2の10ページまでを前半の問題として 議論し、その後時間があれば、その先にも進めますが、なければ今日のところは10ページまで ということで、少しゆっくり目に議論をしていきたいと思います。  また、センターや、そのほかの更生援護機関のいろんな問題点についてわからないところがあ れば、オブザーバーの先生方もいらっしゃいますので、直接お聞きできますので、そのことも含 めて御意見をいただければと思います。  それでは、いかがでしょうか。1ページから10ページのところで、御意見をいただけますで しょうか。 ○東山委員 日盲連の東山です。私は、以前国立リハセンターに勤務していて、本当に恐縮なん ですけれども、昨日国リハニュースを拝見させていただきました。  私がいた当時、誰を対象にして、国リハニュースを発行するかということがありましたが、今 回、国立施設のあり方として、情報提供を、中核的施設として行うのならば、専門的分野の記事 と施設の運営的な、例えば体育祭だとか文化祭などは切り離して、それぞれ専門分野は専門家向 けの情報提供をすべきではないかと、このように考えております。ここら辺は、今後検討したら いかがかなというのが私の感想です。  以上です。 ○伊藤座長 いかがでしょうか。回答は、事務局というよりも、オブザーバーの先生方のほうが いいですかね。どなたか御意見はございますか。  どうぞ。 ○江藤オブザーバー 江藤でございます。ただいま、東山委員から御指摘がございましたが、国 リハニュースにつきましては、御指摘のとおりですので、内部的にも定期的に編集方針について 検討しながらやっております。全国的な情報発信の側面と、それから利用者や修了者の方々に対 する情報発信を含めた内部のことをお伝えするという2つの側面を持っている、元々そういった 趣旨であったと思います。  また、ちょっと頻度は少ないのですけれども近年は更生訓練所だよりを発行して、修了した 方々も含めて情報発信をしております。  ただ、御指摘ございましたように、全国発信でも、一般に向けた情報という形ではないので、 内容を少し整理して、今後、検討していきたいと考えております。 ○伊藤座長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○箕輪委員 それぞれのページで質問や意見があります。  まず、1ページです。「発達障害」について書かれていませんが、「発達障害」についてはどの ようにお考えでしょうか?  次に2ページでは、重度の頚髄損傷の方のお話がありました。前回もお話をしたかもしれませ んが、やはり排泄、食事、移動の支援さえあれば、IT化の進む社会において、企業に通勤して 働ける方がたくさんいらっしゃると思います。  ただ、国の制度としては整っていないため、民間の施設や訓練校では、排泄や食事の支援が必 要な重い障害の方は受け入れていただけないのが現状だと思います。モデルとして示されている 「高次脳機能障害」や「発達障害」と併せて、排泄、食事、移動への支援が必要な方を積極的に 受け入れていただき「支援さえあれば地域で普通に就職できる」ということをご提言いただくよ うなことを、国立の施設で取り組んでいただきたいです。  3ページについては質問があります。「発達障害診察室」は、児童を対象としているのでしょ うか?それとも、成人も対象となるのでしょうか?  4ページでは、発達障害分野については、秩父学園と精神・神経センターと連携をはかると書 かれていますが、次のページにある「発達障害情報センター」や「発達障害者ネットワーク」な ど、発達障害の支援に関する機関が、いろいろできてきていますので、役割分担を明確にしつつ、 お互い補完し合うようしっかり連携をとっていただきたいです。  6ページに書かれている調整を行うマネージメントの機能は本当に重要だと思います。社会的 ニーズは、ここに書かれているとおりだと思います。このマネージメントの機能が絵に描いた餅 にならないよう、評価していただくことが重要だと思います。  また、2つ目に、福祉機器や支援機器の研究開発を進めるということが書かれていますが、こ れも勿論重要だと思います。ライター、ウォシュレット、ノック式のボールペンなどは、上肢が 不自由な方のために改良されたものだと聞いていますが、結果的には、誰にとっても便利なもの になり、障害のない人も普通に使っています。ただ、限られた予算だからこそ「既に世の中にあ る技術を活用することで、障害による制約をカバーできる」という研究も是非強化していただけ ればと思います。一般的な技術の進化によって、特別な福祉機器でなくても障害の制約をカバー することができると思います。例えば、自由に歩行や移動をすることが難しい方、手を使うこと に制約のある方、弱視や全盲の方、聴覚に障害がある方などにとって、パソコンを使うことによ って「自力でできること」がかなり増えると思います。今あるもので、障害による制約をカバー できるという情報も是非集めていただきたいと思います。   7ページに書かれている手話もとても大事だと思います。ただ、手話は話し言葉に比べて、や はり語量が少ないので、仕事や日常生活の中で、筆談の方が正確に伝わるという意見もあります。 手話と並行してノートテイクに代わるパソコン入力による通訳の育成が、実際に取り組まれてい るのか教えてください。会社や学校には、話しているスピードと同じ速度でパソコンを打てる人 が多いと思いますので、専門家でなくても、聴覚に障害のある方の隣にいて、パソコンの画面を 使って通訳をしてもらえれば情報保障がができます。手話を覚えるよりは、パソコンで速く正確 に文字入力ができる人に対して、通訳をしてもらうことを求めることの方が聴覚に障害のある方 の情報保障のスピードが加速するのではないでしょうか。もちろん、聴覚に障害のある方の中に は、文字を読むことが苦手な方もいらっしゃると思いますし、日常会話では、表情も伝えられる 手話の方が有効な場合もあると思います。ですから、特に仕事上の通訳について、パソコンを活 用することをご検討いただいているか教えて下さい。  8ページですが、論点にある、医療・福祉の専門職の養成にとどまらず、教育・研究まで担え る人というのは、かなり特別な人ではないでしょうか。例えば、企業の例ですと、研究開発のス ペシャリストと、組織や社員をマネジメントする人とでは適性が違うので、それぞれの社員がそ れぞれの立場から連携を取り、全体の成果を出します。福祉の分野でも同じことがいえるのでは ないでしょうか。あらゆることができる人を見つけるのは、かなり困難なようなイメージがある ので、それぞれの役割を担える人を育てて、お互いに連携をとるという考えの方が現実的かなと 思います。  教育をする前に、それぞれの適性を見極めることも強化をしていただきたいと思います。  9ページについては質問があります。リハセンターの体制上の問題から、企画・立案機能がう まく機能していないとのことですが、この体制的な問題というのは例えばどのようなことなのか を教えて下さい。  最後になりますけれども、10ページです。先ほどの刊行物の話と同じですが、「情報提供機能 の強化」について、先ほど東山さんのご発言にもありましたが、情報の質を強化していただける ように、分野を分けて考えていただきたいと思いました。  すみません、たくさんになりましたけれども、以上です。 ○伊藤座長 多岐にわたる御質問でございますが、まず、質問の回答からお願いします。 ○難波施設管理室長 1点目の1ページのところに、発達障害の部分が含まれているかどうかと いう御質問だったと思うんですが、ここはまず現状のところで少し整理しておりまして、確かに 20年10月から発達障害の部分についてリハセンターは所掌として増えたんですが、まだ緒に就 いたばかりということもあって、現状のところではそこを明確に示しておりません。  したがいまして、その後の機能のところには、当然のことながら、発達障害というのは記述し ているということでございます。  それから、途中を飛ばしまして、8ページの学院のところの、教育・研究のところで御質問が あったかと思うんですが、ここで言いたいことは、教育・研究まで担える人材という背景には、 今、専門学校としての位置づけしかないものですから、例えば学位とか、そういうものは取れな い状況にあるわけです。  したがいまして、例えば大学の大学院であるとか、それから大学校であるとか、そういった上 位学校の位置づけをすれば、そういった学位も取れるということもあって、そういった意味での 教育・研究という形で、ここで整理をさせていただいているということでございます。  最後の体制上の問題という御指摘がございましたが、今、確かにリハセンターの管理部の中に は企画課という組織が存在しておりまして、所掌事務では明確に情報の収集・提供・企画・立案 と書いてあるんですが、体制上は、数人でやっているというような体制上の問題もあって、現実 的にはきちんと機能をこなしていないということで、少し整理をさせていただいたということで す。  後のところは、リハセンターの方から、少し御説明いただけたらと思います。 ○箕輪委員 体制のところは、人数の問題だとお考えなのでしょうか。 ○難波施設管理室長 基本的には、数人でそれだけの機能をこなすには、体制上こなし切れない ということでございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。それでは、それぞれの部門長の方々から御意見、御回答 がございましたら、よろしくお願いいたします。 ○赤居オブザーバー 病院、それから研究所にもおりましたので、少し御説明をしますけれども、 例えば、看護師さんの定員とかセラピストの人数の配置とかに関しては、私どものところでほと んど権限がございません。これは前の病院長からも言われましたけれども、非常勤の看護助手さ んを雇うときも私どもでは決められません。そういうことでありますので、例えば、現在、回復 期リハ病棟といったようなところでは非常にセラピストの数を増やして、収入も高めようといっ た工夫もするわけですけれども、その種のことが、現時点での私どものシステムでは、全くでき ない。  それから、ソーシャルワーカーが非常に重要な働きをしていて、かなり過労気味ですけれども、 その方たちの人数を増やしていこうということも、本当に数年かけてようやく2人増えたとか、 そういう話になりますので、基本的にお金と人がなかなか意のままにならならいというところが 実際ではあろうかと思います。  それから、先ほどの専門職に向けての情報発信ということになりますと、これは基本的には論 文をどう書くかとの話になってまいりまして、国リハニュースと直接リンクするような話ではな いところで、議論は進んでいくと思います。 ○伊藤座長 今の話の中で、私の方から一言申し上げますが、例えば御意見の中に、排泄や摂食 障害のある方に対するリハビリテーションについても、これは受け容れ体制がないから対応でき ませんよということではなくて、確かにこういうモデルも重要な対象だろうと私も思います。  したがって、そういう工夫をしていくような仕組みをつくらなければいけない。人がいなけれ ば、別枠を設定してその人に集中してやるような、そういうことをやらないと、いつまで経って も、排泄や摂食障害があると対象にはならないということですので、これは重要な問題ではない かと思いますが、いかがでしょうか。 ○江藤オブザーバー 更生訓練所の関わりの御質問を含めて、非常に貴重な御意見を本当にあり がたく拝聴いたしました。  まず、重度障害につきまして、介助付きの就労あるいは地域移行ということに関してですが、 国立施設として従来は保養所(伊東重度センター、別府重度センター)といったところで、重度 の方の対応をしてきたわけですが、自立支援法で県から指定を受けて、ある意味では、一般の事 業者として活動を展開する中で、ただ今、重度対応のため設備等の準備をしております。  そういったケアにつきましては、国立施設の中での人のローテーションや、お互いの情報の交 換などを含めて、ケアの必要な方の就労、これは職リハの方でも、やはり手がける必要を意識し ておられ、また地域生活への移行などは病院の外来でもそういったケースの相談が来ております ので、排泄や食事などの介助を必要とする重度障害のある方への対応は今後の重要な課題と認識 して、現在、施設および人員配置についての整備をスタートしたところでございます。  それから、発達障害につきましては、これは、秩父学園がございますので、私どもが対象とし て受け入れるのは、成人になられた発達障害の方の地域移行あるいは就労移行ということを考え ております。  それから、病院の方では児童精神科医を配置して、これは広く受け入れることも考えておりま すが、当初の方針、考え方といたしましては、体制、人員配置のこともございますので成人を対 象と考えております。  そういった発達障害分野に関しての連携ですが、これは御意見いただいたとおり、全国的にい ろいろなネットワークがございます。私どもに10月から課せられた一つの課題といたしまして は、発達障害に関する情報センターということですので、そういういろいろなネットワークも含 めた情報を整理して発信していく機能を整備していきたいと考えております。  また、地域的には近くに秩父学園、それから精神・神経センターがございますので、実際の利 用者に対応していくときには、こういったところとの連携を密にする必要があると考えておりま す。  それから将来的にだけでなく、現在でも、実は精神障害をもった方、重複障害の方はかなり受 け入れておりますが、精神障害に対応していく場合にも、地域的に近い精神・神経センターとの 連携が必要と考えている次第でございます。  調整ということに関連してですが、各種サービス提供におきましてもケアマネージャーが介護 保険で導入され、自立支援法でもサービス管理責任者の配置がなされ、マネジメントに関しまし ては、従来行政処分あるいは措置という形で行ってきたサービスに代わって、個別のニーズに基 づくマネジメントという技術に関しては、我々は、まだまだ非常に劣っている、不足している面 があると考えておりますので、調整機能を重視した人材養成といったことも、視野に入れており ます。  それから、手話に関連いたしまして、学習支援ということも含めてですが、就労移行支援では、 従来は、第1ワーク、第2ワークといったような古典的な作業形態で訓練をしておりましたが、 現在はまず、基本的にパソコンを使いこなすということが極めて重要なので、聴覚障害の方はも とより視力障害の方も含め、コミュニケーション機能の拡大の面からもパソコンの利用の指導を 行っております。  視力の方には、文書を取り込んでそれを音声化したり、あるいは文字を拡大したりする機能が 役立ち、それから視覚的には実際に会話で話されている文章を、色を変えたり、目立ちやすくし て、順次会話に沿って強調部分が動いていくといったようなことも含めて、デイジーといった仕 組みの開発に、私どもの研究所が絡んで関わってきております。そういった面でパソコンを使う といったことは、かなり取り組んできているつもりでございます。  それから、研究開発のところでは、私どもの研究機関のスタッフ規模から言うと、余り基礎的 な研究というよりは応用、実際に役立つということをめざし、そういう意味では、現在既に市販 されているようなもの、使いやすいものあるいはゲームソフトで使われているものも含めて、実 際に利用していくということを研究開発の一つの方向としてやってきているつもりでございま す。  それから、情報の質ということについては御指摘のとおりで、今後も質を高めていくというこ とと、障害全般にわたる情報を整理して、今でもホームページ等で幾つか情報をお伝えするよう なことをやっておりますが、これも一つ本格的な体制として組んでいきたいと思います。  先ほど室長の方からも話がございましたが、センター全体の企画に係るスタッフの数が極めて 少なくて、国際協力、見学者への対応、JICA関連で各国から義肢装具等の研修の受け入れ、 センターで主催するセミナーあるいはシンポジウムの企画等についても、すべて企画課が係るわ けですが、非常によく働いてくれていますけれども、1つはそういった人員配置の面で今後充実 させる必要があると考えております。 ○伊藤座長 ありがとうございました。この件に関しまして、よろしいですか。 ○黒澤委員 私は、資料の説明をお聞きしまして、論点は網羅されていると思います。ですから、 それについては特別ありませんが、問題は、いかに実践していくかということだと思うんです。 今のお話もみんなそうですが、私は、2ページの方から先に話しますと、モデルというのは、理 論モデルと実践モデルというのがあるわけで、こうありたい、こういうふうにありたいという体 系的、理論的なシステムというのがあります。こういうものはやはりやらなければいけないんで すが、ただいま発達障害者や高齢者の問題、いろんな問題を入れるか、入れないか、これは実践 モデルなんです。  しかしながら、社会的に見ますと、リハセンターがどういう方向に今後いくべきかという、体 系的なモデルというのを用意しておいて、しかし現実はこういうところでやっているんだという きちんと整合性がとれた理論体系というのをつくっていくことが必要ではないかと思います。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、何百人か国立の機関の方で働いていらっしゃ ると思うんですが、そういう人が、心を一つにして、一つの理論の下にあるいはそういった理念 の下にやっていくというシステムをつくる必要が私はあるんではないかと思います。いろんなと ころで、これをやろうというのは結構なんですけれども、簡単に申しますと、リハセンターはど こに行くんだということです。  なぜかと申しますと、結局イノベーションや技術革新というのは、いつの時代にあっても、い つも先端なんです。しかし、例えば地域の保健福祉計画などを見ますと、障害者団体の方がたく さんいらっしゃいます。そういう人の意見を聞きますと、やはり就労の問題や、私が死んでいっ たらこの子はどうなるんだとか、あるいは生活の安心、安定をどのようにしてくれるのかという 問題が非常に切実なんです。  したがいまして、私は技術革新と同時に、そういった一人ひとりの地域に住んでいる障害者や 高齢者や児童が、例えば発達障害の児童が、どうやって安心、安定した生活を営めるかというこ とに関連できるような情報や、そういった意味の技術を持たなければいけないと思うんです。  そのためには、非常に自然科学的な、工学的な技術革新も結構ですが、同時に、非常に人間科 学的な、言わば具体的な形で革新とか進歩というのは目に見えない、人間の生きる姿というもの に対する研究開発もあり得るんだと思っています。そこが、実は日本の福祉の弱いところで、私 も50年以上やっておりますが、これは自然科学が非常に劣っているところでして、しかしなが ら、そこに住んでいる人は、そこが非常に大事なんです。一人ひとりの人間の生きる姿について どうサービスを使って、どのように心理的あるいは人格的にそれを成長発達して、そういう視点 がなければいけないと思うんです。  2ページのエビデンスとかシンクタンクという問題がありましたが、私の希望としましては、 是非そういった分野のシンクタンクやエビデンスについて十分な研究をして社会的承認を得ら れるような研究開発をすべきだと思うんです。そのためには、更生訓練所の役割が非常に大きい と思います。  研究所はありますけれども、やはり研究所というものが、常に更生訓練所、更生訓練所が地域 あるいは職業の方面に実践的に使われませんと、これは有用性を持たないと意味がありませんの で、先駆的なものを別にいたしまして、そういうことについて、是非お願いをしたい。私はそう いうことの体系をまず確認するということが必要ではないかと認識しております。  以上でございます。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○上野委員 上野でございます。前回、一言も話す機会がございませんでしたけれども、今、少 し話したいと思います。  私は、今日、難波室長が御説明になったことは非常にまとまっていて、頼もしく思いました。  というのは、江藤先生が御報告された中間報告にのっとって、かなりその分を含めて国の今後 の方針として進めてあるということで、非常に私は心強く思っております。  特に、黒澤先生ですか、人間的な心の問題が大事とおっしゃいましたけれども、全くそのとお りであります。  しかし、やはりサイエンスというか、科学的なことが根っこにありませんと、国の研究所とし ての存在意義が問われます。一番いい研究をやってそれを国民に還元するということだと思いま す。  最近の脳科学は、そういった心の問題と、実際に脳の中に起こっている問題を科学的なブリッ ジとして、非常によく研究が進められている。国立リハはその一番いいところを研究できるとい う立場にあると思います。  ですから、今後、国立リハで心の問題と、いろいろ高次脳機能障害と発達障害を併せてよりよ い研究が進んでいくものと期待しております。  それで、まず、8ページで今後の問題点と論点を挙げてありますけれども、まさにそのとおり でありまして、研究・教育まで支える人材を育成する必要があるということは、そのとおりだと 思います。  先ほど箕輪委員の方から、お話がありましたけれども、やはりいろんなレベルで、医師だけで はなく、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士、看護師、いろんなレベルで現場 に即した問題点があって、それを皆さん活かしているわけですね。ですから、それらの問題点を 持ち帰って、また、国立リハの中の研究制度なり研修制度で、一定期間研究をするといった流動 的な制度が必要ですね。よりよく研究するというか、現場だけであったらモチベーションがわか ない場合でもいろいろと工夫しながら患者に接するということで、生き生きとした仕事もできる わけですから、是非、このような仕組みを充実していただきたい。いろんなレベルで、働いてい る人たちは、常に向上心がありますから、ルーチンワークだけでは、どうしても皆さん大変です から、やはりいろんなレベルで研究がありますから、そういったことが非常に大事だと思います。  一定期間、今後も国立リハの中で、そういった制度を充実させて、回転するようにしていただ きたいと思います。  もう一つ、6ページで、確かに研究の資金を、外部資金を取ってこいということがありました けれども、これは少し気になります。というのは、この提言は、要するに厚生労働省がやってい ますから、やはりアメリカのNIHみたいな機能を持たせて、センターが、まず、中央の政府か らお金を取ってきて、それを皆さんに配分するという方向で、国立リハが中心になって、大きな 研究予算を取って、それを各地方とか、大学のいろんな研究機関に競争的資金で、応募させると いう格好で、ベクトルの流れが、国から地方に行くような、そういった研究の資金繰りも是非考 えてほしいと思います。  最後に、評価認証機構、これも大事ですので是非やっていただきたいと思います。  それと、前回私、参考人のご意見に非常に感銘を受けましたが、参考人の自分たちの側に立っ た委員が少ないということでした。  やはり、こういったサービスを受ける側の方のご意見を是非心にとめて、今後の計画をしてい ただきたいと思います。  確かに、ここには非常にいいことが書かれてありますけれども、人数が少なくなったからどう しようとか、将来地方の足切りを考えているような雰囲気も感じられますけれども、これは是非 慎重に考えてほしいと思います。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございます。先ほど黒澤委員から出された御意見に対して、事務局なり あるいは委員なり、オブザーバーの先生方なり御意見はございませんか。 ○江藤オブザーバー 先ほどの御指摘につきましては、基本的には理論と実践とそれに伴うサー ビスモデル、両輪で回らないと恐らく動かない問題だろうと思います。  したがいまして、個々のいろいろなニーズを吸い上げながら、それをどういったモデルとして つくっていくかという一連の作業の中では、確固たる理念や理論体系が重要であるとの御指摘は そのとおりだと思います。そういった点も踏まえてサービスモデルなり、事業モデルというもの をつくっていきたいと思っております。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○黒澤委員 要するに、私たちが、国立は昭和20年代からリハビリテーションとして日本を引 っ張ってきたわけです。そのときには、やはりリハビリテーションの体系が全人間的回復という スローガンだったわけです。  したがって、要点は全人間的回復であり、かつ体系的システムでリハをやらなければいけない ということのスローガンは下ろさない方がいいということだけなんです。  したがって、全人間というのは、一人ひとり地域に住んで生涯を送る人々のこともきちんと入 れた上での研究開発モデルではないかということを言いたかっただけなんです。当たり前といえ ば、当たり前のことなんで申し訳ないんですが、そういうことです。 ○伊藤座長 では、その辺を踏まえまして、どうぞ。 ○江藤オブザーバー 御指摘の点につきましては、これからも医療から職業訓練まで一貫した総 合リハという基本は崩すわけではありませんので、それに加えて、研究開発とか人材養成とか、 現行機能のままでいいかどうかという部分で少し整理をさせていただいたということです。 ○伊藤座長 ありがとうございました。 ○氏田委員 発達障害について、いろいろな委員の皆さんに言及をいただきありがとうございま す。現在、いわゆる知的の遅れが軽い方たちでもかなり社会生活上の苦しさをもっているという ことがあります。家族としては、正確性が高い情報の発信とセカンドケアというところまでをジ ョイントするような支援の形が欲しいと思っております。  まず、国立リハビリテーションセンターについて言えば、4ページ、5ページの方にあります が、まず、5ページの方ですが、発達障害情報センターを設置してくださるということで、今年 10月からスタートしてくださっているのですけれども、今、申し上げたような両親が迷わない というところでいうと、正確でかつ体系的な情報発信の機能を是非ここに求めたいと思っており ます。  それから、今、皆さんの御意見からも個々のニーズを吸い上げながらという御意見が出ていた と思いますが、国として、この間、いろんな法律の改正が行われておりますけれども、法律の改 正がされる時には、当然、障害のある一人ひとりの願いや支援ニーズを踏まえての展開がされる のだと理解していますが、このような実態を把握するために、国としての調査研究機能を担って いるのはどこなのだろう?といつも思っていました。例えば、グループホームで住みたいという 方もいれば、一人暮らしをしたいという方もいらっしゃるというふうに考えますと、国として、 障害のある方の生活にはどのようなモデルが考えられるのか、ということなども提案していただ けたらと思うのです。前回、国立精神・神経センターのアンケート調査に発達障害ネットワーク が応じていますことから、センターのお名前を出させていただきましたが、つまり、必要に応じ て医療もジョイントした形で、きちんとした地域生活モデルというのができ上がっていかなけれ ばいけないと強く感じています。もちろん、箕輪委員がおっしゃるように、民間のいろいろな団 体もありますので、是非御活用いただき、国の障害者問題のことを考えてくださる中心の場所と して、国家プロジェクト、国家戦略を考えてくださるところになっていただければと期待してい ます。  今までのハコの中、つまりひとつの形の中で暮らす、よく言えば、冷たい風に当てずに世間か ら守っていくという考え方の時代もありましたが、今は、地域でいろいろな形の多様な生き方が 求められています。本人の願いがどのくらいかなえられるか?ハコからニーズへの流れの中で、 障害のある人の願いや夢を実現するための支援を、国リハが中心となった国家プロジェクトなど で、政策提言ができるような調査研究に取り組んでいただけるとすごくありがたいなと思います。  研修機能についても、全国各地で研修がたくさん用意される時代になっています。国はどの部 分を担うのかというところで、研修の在り方についても、かなり見直しが必要な時期に入ってい るのではないかと思うので、スーパーバイズなのか、それとも現場職員の研修なのか、あるいは 専門職の養成なのかという役割についても整理をして、地域と国の役割分担というところを考え ていただけるとありがたいと思っています。  そのあたりのお願いができればと思います。 ○伊藤座長 ありがとうございました。 ○仁木委員 今の氏田委員にも少し関連しますので、発言させていただきますが、私は、民間施 設の立場から、2つ申し上げたいと思うんですが、資料で言いますと、2ページの3番目の一番 下のところでありますけれども、民間施設と国立機関との役割をどう考えるかということで提言 されておりますけれども、この中で民間施設での取組みが十分でない頚髄損傷者の機能訓練ある いは新たな障害分野として高次脳機能障害、発達障害というのが挙げられておりますけれども、 私どもの法人で2つの身体障害者療護施設、一つは、新体系に移行しておりますけれども、それ を調べてみましたら、約5%、1つの施設で2人ぐらいというのがありましたけれども、パーセ ントで見てみましたら、大体5%ぐらいしかやはり施設で受入られておりません。  更に、右側に施設の取組みが十分でないテーマとしては、後のところでも少し出ていたと思い ますけれども、いわゆる強度行動障害、これらも民間ではなかなか対応が難しい分野であります。  新たな分野として挙げられている2つ、まさにそのとおりでありますけれども、高次脳機能障 害、そういう中で、高次脳機能障害につきましては、ほかのところで紹介もありましたけれども、 国立リハビリテーションセンターが平成13年から全国の中核的な機関ということで、全国の医 療機関や福祉施設から症例を集められまして、そして統一的な診断基準をつくった。  そして、更に支援プログラムを開発された。そして、現在は、その成果を普及する事業に取り 組んでおられるということで、更にその支援の効果についての検証もされているということであ りますけれども、この間の国立リハビリテーションセンターの高次脳機能障害の取組み、リハセ ンターのおかげで、全国の高次脳機能障害への対応のレベルが格段に進んだというふうに実感し ております。  これは、一つの成功事例だと思うんですけれども、私どもはその成果を活用させていただきま して、岡山県としての高次脳機能障害の支援普及事業の一端を担わせていただいております。  一方で、支援普及事業のみならず、高次脳機能障害の方を積極的に受け入れる地域活動支援セ ンター、これは障害者自立支援法で新たにできた制度でございますけれども、その地域活動支援 センターのI型で積極的に高次脳機能障害の方を受け入れて、試行錯誤でございますけれども、 支援をさせていただいております。  そんなことで、発達障害についても同じような形で、リハセンターあるいは国立秩父学園を中 心に、両者がどういう連携、役割分担でやるのかというのは次の検討課題だと思いますけれども、 取り組んでいただきたいと思っております。  更に、私が思っておりますのは、高次脳機能障害の次の「等」というのがありますけれども、 「等」の一つとして、私はいわゆる難治性てんかんという問題があるんではないかと思っており ます。難治性てんかんの方々の生活支援、これが等の中の一つとして課題となっていくんではな いかと感じております。  もう一点7ページ、学院の関係でございますが、この中の2番目で21の研修が実施されてい るというのがありますけれども、この中で、一番最後に書かれております相談支援従事者指導者 養成、それとサービス管理責任者指導者養成、この2つは、まず、相談支援従事者指導者研修と いうのは、介護保険で言えば、ケアネージャーに該当する人を養成する指導者を養成するという ことで、これは、相談支援従事者は、現在地域生活支援が重要な課題になっておりますけれども、 その地域生活支援を進める重要なキーパーソンになる人でございます。  もう一つ、サービス管理責任者というのも挙がっておりますが、これも自立支援法で初めて出 てきたものでありますけれども、個別支援計画の作成、進行管理の責任者として、サービス管理 責任者というのが位置づけられておりますが、このサービス管理責任者というのは、まさに障害 福祉のサービスの質の向上にとって、大変重要な役割を果たす専門職であると思っております。  そういう人たちを養成する指導者を養成する、この指導者というのは、各県から何人か代表が 出て研修を受けさせていただいて、それで県に戻ってきて、県内のこういう資格を取ろうという 人たちの研修を企画し、実際に行うという役割を担っているのが、この指導者の方々でありまし て、これは大変私どもは重要な研修だと思っております。新しい制度ができた場合に、そういう 制度を実効あるものにするためには、やはり指導的な立場の人をどうしても養成する必要があり ますので、そういう意味でこの研修は大変意味のある研修であろうと思っております。  更に言えば、埼玉県の課長さんもいらっしゃいますけれども、自治体の職員の皆さんは、新し い制度ができて、制度改正に追いつくのは大変だという現状もありますので、自治体の職員の方 も積極的にもう少し受け入れて研修をやっていただければいいのではないかと思います。 ○伊藤座長 ありがとうございました。 ○寺山委員 今の仁木先生に続いての人材育成の発言ですが、7ページで、今の仁木先生の発言 に非常に感銘を受けました。  それと一緒に、言語聴覚士、義肢装具士なんかの専門職種の養成というのは、国家資格を有す るというのは、非常に今まで優秀な人材の100%の合格率でいったということで、今、指導的な 立場に立っている人が少なからずいるというのは、現状はそうですけれども、さて、これからど うするか、ほかのところでもたくさん養成を始めているというときに、私も非常に心配していた わけですけれども、江藤先生がお話になった中間報告の中に、これからの人材育成は教育も、研 究もできる指導層を国リハとしてやろうということで、1つの回答が大学校がいいんではないか、 文科省系列の大学ではなくてということで、大学校の中で実践的な患者さんも、障害を持った人 もフィールドワークも、これからは身体障害だけではなくて、統合しますと、知的障害その他心 身の総合的な障害を研究することも、研修することもできるという有利な立場があるとのお話で した。  それから、国リハは非常に指導層に恵まれていて、総長を始め、先生方はみんな大学の先生出 身でございますので、学生の論文を書かせるなんてお手のものだと思いますので、そういうこと で、トータルにここの国リハを拠点としたフィールドを大学院的に、よりステップアップした研 究の養成ということで、次の世代を人材育成していただけると思いました。  その内容は、コメディカル、メディカルだけではなくて、仁木先生がおっしゃいましたような ケアマネージャーの養成とか、障害者介護の専門家とか、あるでしょうけれども、そういう形で 広く考えていただくとうれしいということが1点です。これは意見です。  2番目は質問なんですけれども、ちょっと先走るかもしれませんが、これからの課題は、地域 について余り連携していないし、やっていない点がこれからの課題だとこの中にも書いてありま したけれども、国のレベル、ナショナルレベルの施設はどこもそうなんでありまして、どうする かという話で工夫のしどころだと思うんですけれども、1つは所沢だけでしょうかというのが質 問で、所沢はやはり都市型の地域ということで、もう一つ、いろいろな地域が日本全体にはある ので、幾つか地域を選んで、過疎地的なところとか、連携してもいいんですけれども、地域を幾 つか選んで、選択して地域支援へのリハビリテーションモデルというのをつくりいただくのも今 後の仕事かなということが2点目でございます。  3点目は、福祉機器の話ですけれども、6ページ、研究開発は非常に国リハはよくやっておら れるということを私も知っておりますけれども、評価の認証機関としての機能を持つべきではな いかということです。これは昔から言われているのでありまして、どこまで進んでいるのかとい う質問と、それから、福祉機器の評価機関というのはシステムとして日本全国を見回すと、まだ まだできていないと思うんですけれども、全体像の中の評価機関の中で、国リハはどういう位置 関係で、これから進めていくのか。これは御質問です。  以上、3点です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。今の質問にお答えいただけませんでしょうか。 ○岩谷委員 認証機構のことについてよろしいでしょうか。義肢装具などに関して、我々のとこ ろでいろんなことをやっております。介護の機器についても、少しずつ研究所では取り組んでお ります。性能試験とか、耐久性の試験とか、そういうようなことは受けてやっております。我々 が○適マークの認証機構になるかどうかは別にいたしまして、耐久性の試験などについては受け てはおります。今日は、研究所長がアメリカに出張中で詳しいところまで私はお答えできません が、十分そのようなことは考えております。  特に義肢装具に関しては、国内にそういう機関が、我々のところしかありません。私たちのこ の部門は、昭和6年にできた最も歴史の古い部門でありますので、我々としても十分に発展をさ せていかなければいけないと考えております。  もう一つ、寺山委員の御指摘の都市型モデルだけでいいのかという御指摘については、それで 十分とは全く考えておりません。現在、我々が持っている能力からすると、すぐに手を付けられ るところは所沢であるということです。全体の国立機関の再編ということが起こってきたときに は、例えば函館であるとか、そういうようなところで、そういうことを考えるということは当然 可能になろうかと思います。 ○伊藤座長 ありがとうございました。その点に関しまして、私からも意見を申し上げたいと思 います。例えば福祉機器の評価とか、何もこれは国立センターだけがやる必要性があるわけでは ないと思います。基本的なこととして、義肢装具に関しては補装具ですので、これは国立センタ ーがやるべきだと思いますが、例えば福祉用具系の臨床評価だとか、その辺のことになりますと、 これは地域性がありますし、それから利用者との関係からすれば、例えば横浜リハセンターでは 在宅リハという仕組みがございます。そうすると、そういうものの評価はやりやすくなるわけで、 この辺は役割分担するほうが適当だと思います。  ただ問題は、それを国立リハセンターが音頭をとってやってほしい。そこが中核として情報を 集約する、それを政策に反映する、そういうような役割は国立リハセンターにあるんだろうと思 います。  地域リハに関しても、やはり全国のそれをやっているところとの連携、そういうところの情報 収集、その音頭をやはり国立リハセンターにとっていただければ、今のモデルというのは解決で きてくるのではないかと思います。  ほかにございますか。 ○久松参考人 ろうあ連盟の久松です。具体的な例を含めて、少しお話ししたいと思います。  国リハ研究所の所長には、私どものろうあ連盟とある大きな会社との事業の連携について大変 お世話になりました。  皆さんも御存じのように、今の大手企業は、一般の技術開発に絞られて、障害者に係る福祉分 野の技術開発をほとんどやれない、止まっているような状況です。ある大手企業では、聞こえな い人に係わるコミュニケーション支援に関する技術開発をやっているのですが、技術開発が進め られない状況になり、研究所長にいろいろアドバイスをいただきました。研究所長から御支援を いただいた結果、企業としてもやはり社会貢献的な役割性をもった研究開発、技術開発をしてい く事業環境を当面続けていくことができるようになりました。  それはやはり、国リハの研究所ならではの話だと思います。研究所はそういう意味でのサポー ト的な役割と、その役割をきちんと出していく機能をもっていると思います。経済産業省ではな かなかできない人間工学的な、福祉工学的な研究のノウハウがあるからこそだと思います。  一方、経済産業省と総務省との委員会にも参加していますけれども、経済産業省と総務省では ISO、JISの関係で審議を積極的に取り組んでいます。その中で、障害者に関わる技術の話 は人間工学的な考え方がすごく影響が大きいのですが、残念ながら厚生労働省との関係の形が見 えていません。その辺の役割、サポートする機能としての国リハに対する期待は大きいです。  ISOの関係では、障害者の支援に係る技術の国際標準をつくっていくところに対してきちん と関わりをつくってもらいたいと思います。一般企業の公的施設、ISOに認可される機器を出 すように、積極的な関わりをサポートしていく仕組みをつくっていただきたいと思います。  今回の報告を読みますと、技術開発にかなり力を入れなければならないと書いてあります。そ の技術開発をどのように活かすのかは、今の国リハは限られた予算、限られた人員ですべて担っ ていくのは難しい状況です。何ができるか考えますと、研究している実績があるので、技術開発 しているところをサポートしていくということはかなりできるのではないかと思います。応用で きる機能を含めた技術開発のサポートをしていくことがいいと思います。  国立大学または一般の民間施設、研究所というところは、技術開発だけではなく、技術を活か した、使える部門をたくさんつくっています。そこに積極的に民間を活用するという機能を強く 進めていくという方法もあります。経済産業省、総務省の担っている特許マップ等をつくってい るのですが、残念ながら福祉に関するマップが見当たりません。だから福祉に関する技術開発の 正しい評価ができないという話もありますが、私も実感しております。是非国リハでやって、中 小企業に対しても技術的な援助、福祉に関してのマップをつくり、福祉機器に対する評価システ ムをつくっていただきたいと思います。  最後に、最近ろうあ連盟も含めて障害者団体は、JICAの事業に積極的に関わりをつくって います。アジアの人たちに支援をしていく活動をしていますけれども、JICAとの関係だけで はなく、今JICAと連携しているという情報を国リハに積極的に提供して、有機的なネットワ ークづくりをしていただきたいと思います。  もう一つ、手話通訳学科ですけれども、最近、手話通訳学科を受ける人が減っています。我々 は全国に卒業生を受け入れられる体制や受け皿をつくるように一生懸命努力しております。国リ ハだけではなく、いろいろな施設、ろうあ連盟、情報提供施設と有機的なネットワークをつくっ ていただくということをお願いしたいと思っております。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○片石委員 論点整理と中間報告を見まして、よくまとまっておりまして、特に本質的な意見が あるわけではありませんが、格調の低い話で申し訳ありませんが、今までこうやってきているリ ハセンターの活動、国立施設も含めてですけれども、もう少し外に宣伝していく必要があるので はないか。やはり、知られていないことが問題を必要以上に増幅している気もいたします。  例えば情報の発信も専門的な情報、それから内部で蓄積されたものも勿論大事でございますけ れども、より簡単な、例えば諸外国の障害者の数とか、置かれている立場、それから福祉制度は どうなっているか、簡単なものでいいんですけれども、実はそういうものが日本全国どこでも整 備されていない。勿論、私ども日本障害者リハビリテーション協会もそういうのを担う立場にあ るんですけれども、いかんせん資金面とマンパワーの問題でなかなかうまくいきません。  これは厚労省本省がやる問題なのかどうかいろいろありますけれども、やはり頭に浮かぶのは リハセンターということになりますので、是非そういうものを、これは外部の情報、ほかの人が 持っている情報を集めてくれればいいということで、そういう協力機関を設けて、例えば研究者 が外国に行って入手した情報とか、そういうものを随時もらって、各国別のシートをつくってお いて、そこに更新していくということでも、不十分なものでもいいと思うんですが、それがあれ ば大変多くの方から喜ばれるんではないか、そしてリハセンターの宣伝になるんではないかとい うふうに思います。  それから、今もやられておりますけれどもセミナーを開催するとか、これもまた本質から外れ た話で申し訳ないですけれども、学院の立派な講堂がありますので、ああいうものを関係の学会 とかセミナー等に開放していく。今も勿論開放しておりますけれども、そういうことによって、 多くの人にリハセンターに来てもらう、所沢に足を運んでもらうということが必要である。そう することによってリハセンターも、より正確な認識を深めてもらえるのではないかというふうに 思います。  最後に、これも今日の議論に直接関係ございませんが、国際協力というものも当然大きな柱に 中間報告に書いていただいておりますので、大変結構なことだと思いますけれども、今、考えて みると、やはりこれを本格的に発揮するためには、独自の外国旅費というのがないとうまくいか ない。  JICAのお金とか、そういうのは特定の目的のために、こういうときに行くということです けれども、リハセンターの関係者が独自に用事があっていくというときには、なかなか難しいと いうのがありますので、これはなかなか難しいかもしれませんけれども、国際医療センターの例 なんかも勉強していただいて、これは管理室の問題だと思いますが、何とか事前に年度当初に一 定の外国旅費の枠取りをするとか、そういうことで、リハセンターの研究者等が随時外国に行け るということで、そういうことで、国際協力もより実のあるものになってくるんではないかとい うことでございます。  以上、余り本質と関係ない話ですけれども、よろしくお願いいたします。 ○伊藤座長 ありがとうございました。では、奥沢委員、どうぞ。 ○奥沢委員 埼玉県ですけれども、国立施設の役割についてですけれども、多くの民間施設ある いは地方自治体で対応できない部分、あるいは十分でない部分、新しい課題の部分、こういった 内容につきまして、これまでも大きな役割を担ってきておりますし、これは今後とも自治体の立 場で活用させていただければ、よろしくお願いしたいと考えております。  また、前半のテーマの中で人材の育成、情報の発信というのも同じでございますけれども、県 レベルでもリハセンターでいろいろそういった研修だとか情報等を提供しておるわけでござい ますが、なかなか必ずしも十分でない部分がある。  国立の豊富な専門的な人材、あるいは福祉、医療、職業と一貫した、そういった提供している 立場で、これらについても引き続き情報提供等、あるいは人材の育成をよろしくお願いしたいと 思っています。  それから、民間施設と同様のサービスを提供するのではなくてという点については、これはま ったくそのとおりだと思いますし、加えて言えば、地方自治体と同じようなサービスを提供する のではないということでございます。これは次回のテーマになっていると思いますので、こうい った整理の中で次回にまた議論をさせていただければと思います。  1点だけ、4ページの最初の部分ですが、自立支援法との関係だと思うんですけれども、障害 全体を視野に入れつつもという部分なんですけれども、これの意味ですが、精神とか知的という のも含めて、本来検討しなければならないというふうにとらえるということでよろしいのか。ま た、仮にそういった意味合いだとすれば、内部ではどういった御議論がされていたのか、御紹介 いただければと思います。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。では、最後の部分について、障害全体を視野に入れつつ もということについて、内部で検討したことを含めてお願いいたします。 ○江藤オブザーバー 内部でも、自立支援法に則して3障害への対応ということで、これからの 方向について議論しております。  まず、現状認識ですが、更生訓練所の利用者の中で、ICD-10の国際の疾病分類において、 精神及び行動の障害に分類される疾病をもつ方が、50名近い規模で実はいらっしゃいます。疾 患名で言うと、統合失調症ですとか、あるいはうつ、うつはかなり多いのですけれども、そうい った疾患も抱えて、就労を目指しておられる方も増えているわけです。  その場合に、医学的な管理をして、必要に応じて病院で対応するわけですけれども、そのため の人員配置、人材等に関しては、まだまだ足りないかなということがございます。  いずれにしても、当面している高次脳機能障害は、実は社会行動障害など、広い意味で精神障 害とオーバーラップするような障害でございます。それから、発達障害も児童精神の領域ですの で、こういったところにモデル的に取組みながら、精神あるいは知的障害に関しても取り組んで いける体制を整えて、将来的には3障害を対象として受け入れることを考えております。 ○伊藤座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。 ○山崎委員 今の御報告を拝見させていただいて、こちらの機能をどんなふうに考えていくのか、 あるいはこの理念というものをどう考えていくのかというところから始まって、それぞれの機能 の特化すべきもの、あるいは点検すべきものなどいろいろなお話がいただけたと思うんですけれ ども、皆様のお話を聞かせていただきながら、やはり、情報発信の仕方という表現になっている んですけれども、情報というのは情報の精度とか質とか密度とか、あるいは利用のしやすさとか、 課題に十分対応しているかとか、つまり情報の出し入れが必要になるのであって、情報を一方的 に発信するという機能からもう一歩進められて、情報提供、企画・立案機能というふうになって いるんですけれども、ここに持っていらっしゃる数十年にわたる蓄積とか、あるいは研究や教育 や研修やプログラム開発など、いろいろなものについては、もっと力を入れるといいますか、こ れにかなりシフトし直して、そして全体的に情報の出し入れのありようについて、本当はもう少 し基本的な側面も含めて、予算を特化できないかもしれませんけれども、私は一つ例を挙げます と、私は東京ボランティア市民活動センターの所長をしているんですけれども、例えばDV被害 の方々が、地域の中で自立支援ができないかというプログラムを実はマイクロソフト社に打診し たんです。  そうしましたら、ではやってみようという話になりまして、数百台の機械をいただいて、これ をシステムエンジニア、それからプログラム開発をしなければいけないということで、これをま た読売新聞にお願いして、650人のSEの方が入ってくださって、それから数か月間プログラム を準備して全国展開をさせていただいたことがあって、これはアメリカのマイクロソフト社も見 に来てくださって、そして、日本としては面白いという話になったことが、それを今数年続けて いるんですけれども、自社だけでやっていこう、つまり、国立リハビリテーションセンターだけ でやろうとすると、いろいろ予算の問題とか人があるんですけれども、今、プログラムのつくり 方というのは、やはりNPOとか、それからいるいろんな関連の、特に情報関係はたくさんのス トックが日本の中にはたくさんありますので、そういう方々も特にデイジーなんかも完全にそう だったと思うんです。デイジーは、国際的な団体もありますけれども、私どものところで交流会 なんかをやりますと、大部分がボランティアの方々です。  そういう市民参画型に切り替えていくといいますか、そういう力を借りながら情報の発信のツ ールのつくり方、かなり今は違ってきているのではないかということで、出し入れができるよう な、そういうネットのかけ方や個人情報の保護、いろんな問題がありますけれども、このつくり 方を、やはり発想を変えていくということによって、国リハが持っていらっしゃる情報がもっと 生き生きと当事者団体だったり、地域のいろんな、私は地方にいるせいか、生まれたときから、 自分の子どもが障害かどうかというところは、医療的なケアが非常に必要になります。  今度は、子どもさんが、支援教育などに行くようになると、今度はそこでまた教育の分野にい ってしまう。それから今度は終わって、地域に出るとなると今度は福祉の問題になって、その情 報がみんな切れてしまっているんです。これを障害的に体系化してほしいということを自治体の 皆様によく言われているんですけれども、そういうことも含めて、やはり情報の組み立て方、情 報の出し入れ、情報の加工と利用のしやすさについては、特段の知恵を結集して、国リハの持っ ていらっしゃるストックを、やはり見える形に双方向に変えていくということをやってみるプロ ジェクトを立ち上げられて、中の職員だけでやろうとすると、当然限界もありますし、出し入れ にも勿論、制度の問題もありますけれども、そうしたことの工夫を少し根本的にやって見るとい うこともあるのかなと思います。  そうすると、もっと外からよく見えるし、何をやっているかもわかりやすくなるし、また外か らの情報も入ってきやすいという部分があるのかなと思ったりもしました。  2点目に、研修学習支援、訓練の人材の問題なんですけれども、かなりリハ関係のところは、 大学も多くなりましたし、それから研修機関も多くなったんですけれども、例えばOTなりPT なりが、専門団体として体系的な研修プログラムをもっていらっしゃいますし、それを段階的に していくということがあるんですけれども、それが必ずしも検証されていたり、例えば、課題別 研修と段階別研修と、それから専門研修とアップツーデートのその問題の研修というものが実は ばらばらに行われていて、その点は看護などは非常に段階的なものと課題別が体系的にかなり今 整理をされてきております。大学院の専門看護師に至るまでのプログラムなど、そうしたものも 含みながら、是非国の機関として、研修の体系のありようということと目指す方向性について是 非関係の団体と議論を重ねながら、それをお示しくださると、皆さんもすごく役に立ってくるの かなと思ったりもします。  学習支援の仕方も、いろんなプログラムのつくり方が今出てきていると思うんですけれども、 人材で特に教育をしたり訓練をしたりするファシリテーターを含めた、専門を特化された方々の 人材のことについて、寺山委員もおっしゃいましたけれども、私も、今それが非常に必要だなと いうのを痛感しておりまして、そのためには、例えばこちらは国際協力やJICA、いろんなと ころとの研修はありますが、国際会議だとか、国際研究機関との連携も多分していらっしゃると 思うんです。  今、障害に関します障害学なんていう学科もできておりますけれども、かなり幅広なものと専 門化されているものと両方あると思うんですが、最近デカルトは評判が悪いという話ではありま せんけれども、ここにも書いてありますが、バイオサイコソーシャルな部分だけではなくて、や はり人が人として、その人らしく生きていくというところがやはり今問われていまして、そうし ますと、バイオサイコソーシャルスピリチュアルなことも含めた、やはり全人的な復権というも のの持つ意味というのは、自然科学なり、社会科学なりの壁を超えた一つの障害学といいますか、 そこの提示がやはり今問われているように思われてなりません。  その辺のことを考えると、専門化すると、どうしても仕切っていって、縦割りになっていきま す。それをある程度ホリスティックに重ねていけるようなところが国リハならできるといいます か、その提示をやはりしていただけると、自然科学は自然科学、人間科学は人間科学となってい るもので、今、科学のありようも問われているのは、ヒトゲノムの問題からだけではなくて、そ うした側面に含めますような、もう少し大きめな研究プロジェクトを少し立ち上げていただいて、 このミッションといいますか、障害者の方々が地域で安心して暮らし続けることの持つ意味を御 提示いただけるのではないかと思ったりもしました。  最後に企画提言の問題なんですけれども、ここにいろんな事項が双方向で入っていきますと、 もしかすると目が届かなかったり、潜在化されて、今、私は権利擁護の方の仕事をしているせい か、地域の中でグレーゾーンであった障害者の方々の問題が非常に浮かび上がってきました。そ の中でほとんど手が付いていなかったいろいろな部分も実はあります。  そうしたものなどについて、情報とそれから企画提言は非常に密接な関係が出てくると思いま すが、そのダイナミックな動きが出てくると、非常に生き生きとした、いろいろなものに必要な、 そしてディマンドに沿った、単なるニーズに沿ったではなくて、ディマンドに沿ったプログラム 開発も望ましく見えてくるのではないかと思いながら、聞かせていただいたんですが、大胆なも のの言い方で申し訳ありませんが、もしよろしければ、そんな方向がミッションとして考えてい っていただけるとすると、児童に精神科が配置されたり、それからほかのところではできない高 次脳機能障害の問題とか、その他重複の方々の問題とか、深めていらっしゃる部分がたくさんあ りますので、それらを深めていただくものと、横に広げていただくものと両方を視野に入れて考 えていただければありがたいと思いました。 ○伊藤座長 ありがとうございました。ちょっと制限時間をオーバーしております。座長権限で 15分ほど延ばさせていただいて、16時15分で終了とさせていただきたいと思います。手短に お願いします。 ○山内委員 山内でございます。ごく簡単に感想を述べさせていただきます。本検討会は「国立 更生援護機関の今後のあり方に関する検討会」と称する、かなり限定的な検討会なので、それの 報告案としまして、各既存の施設の中どういうことをすべきかということにかなり限定した報告 書であっても本検討会の趣旨に合っているとは思いますが、今後の議論に、もう一つ別の切り口 を考えて進めていただければと思います。  いわば施設縦割り的な考え方に、横割り的な考えを入れる。すなわちテーマ別の検討です。例 えば先ほどから時々出ていました頚髄損傷の問題があります。頚損患者の今後の社会復帰まで含 めた問題をどうとらえるかというような疾患ベースというか、障害別の切り口です。そういうこ とを考慮に入れて今後進めていただけると、既存機関だけではなく、その他の機関、かつ民間機 関など含めての今後のあり方などが、浮かび上がるんではないかと思います。 ○伊藤座長 ありがとうございました。その件に関して、先ほど仁木委員から出されたことが私 は気になっているんですが、発達障害について、高次脳機能障害のモデル事業がありまして、こ れで国立リハセンターが果たした役割は大きい。  これと同じように発達障害についてもやってほしいんだというような意見だったと思います が、その可能性はあるんですか。 ○岩谷委員 私たちがどうして発達障害の情報センターをお引き受けしたかということが絡ん でおります。厚労省の中で発達障害に対するいろいろな支援の企画をしているのは、障害保健福 祉部です。私たちは、障害保健福祉部の施策であることの意味を、医療の問題だけではなくて、 医療と福祉と、それから就労がつながって始めて意味があるととらえて、手を挙げたわけでござ います。  しかし、現実的には、医療と教育の方が、先にずっと走っております。我々は、発達障害があ って、その方たちが成人した後に、お困りになっている人たちに対する取組を始めました。  したがって、我々は今、発達障害全部のことについて、対応できる力をもっておりませんが、 これをきっかけに、biopsychosocial approachの1つのモデルとして取り組んでいきたい。そう なったときに初めて障害をもっている方たちの最終的な目的が達成されるんだろうと考えてい るわけです。すぐにということはとてもできませんが、力を蓄えていきたいということでござい ます。 ○伊藤座長 座長の立場上、あまり発言をしてはまずいんですけれども、発達障害について先行 している立場で申し上げますと、当面の対象として成人期の方々をやる。これはよろしいかと思 いますが、ただ発達障害については、小さいときからきちんと対応してきた人と、そうでない人 とでは大きな違いがございます。  成人期の場合には、二次障害が前面に出てきているために人格障害というような別の診断名が 付いていることもあります。見方を変えれば、成人期になっても発達障害と診断されている方は 多分軽症な方という面もございますので、そういう意味では、モデル地域をきちんともってこど もからやる必要がある。早期に発見をして、早期に療育できるという条件が1つだろうと思いま す。  それと、成人までつなげていく機関が必要だと思います。その際に人材の問題としては臨床心 理士を何とかしなければいけないでしょう。この分野を医療としてもきちんと取り組むことを含 めて考えますと、臨床心理士の資格制度の問題も大きな課題ではないかと思います。この問題は 発達障害だけではなくて高次脳機能障害についても同じことが言えるわけですから、我々として は大きな課題だろうと思っております。  15分が来てしまいました。今回できなかった部分について、11ページ以降は次回の検討会で 議論をしていただきたいと思います。  そのときに、10ページまでのところで言い足りなかった点につきましては、併せてお聞きし たいと思いますので、よろしくお願いいたします。  今日はちょっと消化不良のところがあったかと思いますが、初めて提示された資料でございま すので、これを基に次回、先を進めると同時に、今日の部分についても、もう一度議論をするこ とを条件にしておきたいと思います。  どうもありがとうございました。それでは、これで今日の議論は終了とさせていただきますが、 事務局から今後の予定についてお話いただきたいと思います。 ○難波施設管理室長 本日は御熱心な御議論をありがとうございました。次回以降の日程でござ いますが、第1回目で、第3回目は12月16日という御連絡をさせていただいたんですが、諸 般の事情がございまして、キャンセルをさせていただきたいと思っております。  したがいまして、第3回の検討会につきましては、年明けの1月28日水曜日14時30分から ということでお願い申し上げたいと思います。  また、第4回につきましても、2月27日金曜日10時からということでよろしくお願い申し上 げたいと思います。正式な御案内は別途させていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。 ○伊藤座長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。  どうもありがとうございました。 【照会先】  [国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会事務局]   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部   企画課施設管理室指導係   電話:03-5253-1111(内線3085)