08/10/29 第9回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録 第9回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会 開催日:平成20年10月29日(水) 場所:航空会館 501・502会議室 照会先:医薬食品局審査管理課  医療機器審査管理室 担当:田中・田畑        電話:03-5253-1111(内2787) ○北村座長 それでは、定刻となりましたので、第9回の「医療ニーズの高い医療機器 等の早期導入に関する検討会」を始めさせていただきたいと思います。  本日は御多忙の中、多くの方々にお集まりいただきまして、また、参考人の方々もお 忙しい中、ありがとうございます。  まず、出席確認と配付資料確認等を事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 御説明申し上げます。  最初に、9月1日付にて人事異動がございまして、新たに岸田修一審議官が御就任さ れておりますので、一言ごあいさつ申し上げさせていただきます。よろしくお願いしま す。 ○審議官 9月1日付で大臣官房審議官、医薬担当という名前ですが、医療機器も担当 しておりますので、よろしくお願いいたします。岸田でございます。  本日は御多忙の中、この検討会に御出席賜りまして感謝申し上げたいと思います。開 催に当たりまして一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  デバイスラグの問題につきまして、昨今、日本での医療機器が欧米に遅れて患者の下 に届くという問題提起があり、昨年、革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略 に審査の迅速化というものが提言されたところであります。また、今年6月の経済財政 施策の基本方針、いわゆる骨太2008におきましても、医療機器の審査の迅速化を今年の 秋までにアクションプランを策定することとなっておりまして、現在、その策定作業を 進めているところでございます。  これまでにもPMDAと一緒になりまして医療機器の審査員の増員、それから、治験 相談のメニューを拡充しまして治験相談の充実を図っていくと、こういう施策を進めて まいりました。更に今回のこの検討会の題目でありますけれども、欧米で使われている 医療機器で、日本でいまだ医療の現場に導入されていないニーズの高い医療機器を導入 するための方策を検討するために、本検討会が一昨年第1回目として10月に開催された と聞いております。  昨年は、第1弾として本検討会において13品目を選定いただきまして、そのうち既に 8品目が承認に至っていると聞いております。今後とも早期導入に向けて努力してまい りたいと、こういうふうに思います。  また、今年度におきましても、早期導入すべき医療機器として8品目につき選定して いただきました。  本日は、前々回に選定されました1品目と、前回選定されました1品目、計2品目の 評価をお願いすることにいたしております。この検討会の成果がニーズの高い医療機器 を待ち望んでいる患者さんにとって有益になりますよう、活発な御議論、御検討をお願 い申し上げたいと思います。  簡単ではございますが、検討会の開催に当たりまして、ごあいさつとさせていただき ます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局 ありがとうございました。  次に、本日御欠席の委員について御報告申し上げます。本日は、田野委員、平岡委員、 吉田純委員、渡辺委員が御欠席でございます。  なお、飯沼委員、佐藤委員、笠貫委員は、所用により少し遅れての御到着とお聞きし ておりますので、よろしくお願いいたします。  本日の検討会に併せまして、ワーキンググループの専門家として1名の参考人に御出 席いただいております。御紹介させていただきます。国立循環器病センター臨床研究開 発臨床試験室長、山本晴子様でございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。お席の方に御用意致しておりま す資料をごらんいただければと思います。  まず、議事次第、座席表。  資料1といたしまして「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会開催 要領」。  資料2といたしまして「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会検討 会委員名簿」。  資料3といたしまして「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の進 め方」。  資料4といたしまして「ワーキンググループの設置について」の報告でございます。  資料5といたしまして「ワーキンググループ報告書(顎関節用人工関節)」。  資料6といたしまして「ワーキンググループ報告書(頭蓋内動脈ステント)」。  資料7といたしまして「対象品目の現状」を御用意させていただきました。  なお、参考資料1といたしまして「顎関節用人工関節の評価資料」。  参考資料2といたしまして「頭蓋内動脈ステント評価資料」も御用意させていただい ております。  過不足等ございましたら、事務局までお申し出いただければ幸いでございます。  以上でございます。 ○北村座長 岸田審議官初め、ありがとうございました。  それでは、早速、議事に入りたいと思います。先ほどお話の中にございましたように、 本日の議題は2品目の早期導入の検討対象医療機器についての御議論をいただきたいと 思います。まずは事務局から確認事項のお願いをいたします。 ○医療機器審査管理室長 それでは、本日御検討いただきます品目についての利害関係 の確認をさせていただきましたので、その点について御報告をさせていただきます。  本検討会では、検討会委員は、検討品目に関して関与、または特別の利害関係を有す る場合は、検討会座長に申し出ることとされておりまして、関与がある場合には、当該 品目についての発言をすることができないというふうに取決めをさせていただいており ます。  今回検討いただきます顎関節用人工関節及び頭蓋内動脈ステントでございますが、委 員の先生方に利害関係について御照会させていただきましたが、利害関係があるという 御報告はお1人からもありませんでしたことを御報告させていただきます。  以上でございます。 ○北村座長 ありがとうございました。  ここまで、よろしゅうございますね。前回選定いただきました8品目についての公募 状況並びに本日の審議の項目について、事務局より御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 御説明申し上げます。お手元の資料7の最後の「平成20年度選定品目一覧表 (平成20年8月30日締め切り)」というページをごらんいただければと思います。  本件8品目につきましては、本年8月1〜30日の期間を設定いたしまして公募を実施 いたしましたところ、一覧表にございます企業の方から御参加の御要望がございまして、 一覧表としてとりまとめさせていただいております。  なお、横隔神経ペースメーカと抗ヘパリンPF4複合体抗体測定試薬につきましては、 公募時点で手挙げいただいた企業がおりませんので、本2品目につきましては引き続き 公募してまいりたいと考えております。  8品目の現状は以上でございます。  次に、本日の審議につきましての流れを御説明させていただきますと、本年2月に選 定いただきました4品目のうち顎関節用人工関節、前回選定いただきました8品目のう ち頭蓋内動脈ステントの2品目の審議をお願いいたしております。  なお、本日ご提出いたしておりますワーキング報告書の作成についてでございますけ れども、主担当及び副担当を選定ワーキング及び本検討会の委員により構成させていた だきまして、ワーキング報告書の作成をいただいております。  本日審議予定の顎関節用人工関節につきましては、主担当をワーキンググループの委 員である東京医科歯科大学医学総合研究科顎顔面外科教授の天笠光雄委員に、副担当を 本検討会の委員である東京医科歯科大学整形外科学分野教授の四宮謙一委員にお願いい たしまして、ワーキンググループの報告書を御作成いただいております。  なお、本日、天笠委員が所用のため御欠席でございますので、四宮委員より本件内容 につきましては御報告いただく予定でございます。  また、頭蓋内動脈ステントにつきましては、主担当をワーキンググループ委員である 国立循環器病センター臨床研究開発部臨床試験室長の山本晴子委員に、副担当を九州大 学大学院医学研究院循環器内科学講師の戸高浩司委員にお願いいたしまして、ワーキン グ報告書を作成いただいております。本件に関しましては、山本参考人より後ほど御報 告いただく予定でございます。  以上でございます。 ○北村座長 ありがとうございました。  それでは、早速、本題に入りたいと思います。まず、顎関節用人工関節の検討という ことで、本検討会委員であります四宮謙一委員から、ワーキンググループリポートの説 明をお願いしたいと思います。 ○四宮委員 それでは、ワーキンググループの報告をいたします。資料5でございます。  医療機器の名称は、顎関節用人工関節。  対象疾患は、損傷または疾患のある顎関節を再建することを目的に使用する。  検討医療機器名は、TMJ Joint Replacement System。  外国の承認状況は、欧州と米国で承認されておりますが、適応としましては、そこに ありますように、1.関節の状態:変形性関節炎、外傷性関節炎、慢性関節リウマチ。 2.過剰な異所性骨形成を伴う再発性強直症。3.他の処置が失敗した場合の修復処置。 4.無血管性壊死。5.複数回手術を受けた関節。6.骨折。7.機能的変形。8.悪 性病変。9.重い解剖学的不具合を伴う関節の変更または骨吸収。10。発達異常。  欧州も同様でございます。  対象医療機器の概要についてお話しします。本品は、側頭下顎関節部分(下顎骨頭及 び関節窩)の交換用に設計された人工顎関節全置換システムであり、顎関節の再建を目 的に使用されるものである。コバルト−クロム・モリブデン合金製下顎骨頭コンポーネ ント、側頭骨下顎窩と関節結節からなる超高分子ポリエチレン製関節窩コンポーネント 及びチタン合金製の下顎骨頭スクリュー及び関節窩スクリューの4種類で構成され、専 用手術器具がセットされている。  なお、人工下顎窩と下顎骨頭が組み合わされた一体のシステムとなっており、下顎骨 骨頭コンポーネントの裏側には骨との結合性を向上させるため、プラズマ溶接によりチ タン粉がコーティングされている。  ページ2に行きます。対象疾患につきましては、顎関節疾患の多くは、保存的治療が 行われており、保存的治療が奏功しない数%の患者に対し手術が行われている現状であ る。顎関節の器質的変化と機能障害が伴っており、保存的治療や他の手術では治癒また は症状の軽快が望めない顎関節疾患患者が本品の適応となる。  具体的には、高度な変形性顎関節症、修復不可能な顎関節骨折、顎関節強直症、顎関 節腫瘍、既に手術が行われ、整形手術などでは修復が困難な顎関節障害者などが挙げら れる。  現在、我が国では、関節再建術及び関節窩の疾患に対応し必要な人工関節窩を含む人 工関節は未だ導入されていないことから、これらの疾患に対しては長期にわたる保存的 療法、関節形成術、あるいは顎関節強直症に対する顎関節受動術が行われている。  該当患者の詳細な数字を挙げることは不可能であるが、ある病院の状況から推察する と、顎関節疾患患者は年間新患患者数およそ6,000名の10〜15%に当たる600〜900名 程度が該当するものと思われる。そのうち手術対象となるのは数%(およそ10〜30名) であり、当該機器の適応となると考えられる患者は手術患者の半数以下と推定される。  医療上の有用性についてでありますが、上述したとおり、対象疾患に対する既存の治 療法の選択肢は限られており、必ずしも適切な治療を受けられていないのが現状である。 顎関節強直症に対する顎関節受動術で整復できない例や関節突起(下顎頭)骨折の症例 では、下顎枝の長さが減少している等のため、当該関節に対する外科的処置が困難であ り、疼痛管理のための薬物投与のみが治療法であることから開口状態になり、咀嚼が困 難となる。  提出された文献によれば、224例中329関節の症状例で3年以上の観察例が118関節 で観察され、満足度は99%とされ、また、224例中3年における最大切歯間距離を測定 した85例で、平均距離は29.3mm、術前の20.1mmをおよそ1cm上回っていたとされる。 有害事象としてはデバイスを抜去したものが15例(6.7%)、抜去を行わなかったが、 その他の有害事象は94例に見られたが、この有害事象には関係ないものも含まれており、 実際にはこの数字よりかなり少ないと考えられる。以上の結果からは、本装置が有用で あろうと推察される。  諸外国における使用状況について述べますと、これまでに年間約1,000症例が米国に おいて使用されており、その他EUでは年間約400症例、カナダでは年間300症例に使 用されております。  なお、その他の使用国としては、南米ではブラジル、メキシコ、コロンビア、欧州で はオーストラリア、その他ではエジプト、プエルトリコ等の国があります。  我が国における開発状況ですが、本品につきましては、Biomet Microfixation,Incの 日本国内販売代理店である株式会社メディカルユーアンドエイにおいて承認申請の検討 が過去行われたが、本邦では対象疾患数が非常にわずかであって、症例数の確保が難し いことから、臨床治験の実施が困難であるとの判断により承認申請を断念している。  なお、日本国内では顎関節として機能する人工骨頭を有する人工下顎関節インプラン トと、それを下顎に固定するプレートが供給されているのみであり、関節窩の疾患に対 して、完全な関節機能を有するインプラントは導入されていない。  検討結果ですが、対象患者数は少ないものの、当該疾患に対する治療方法が少ない現 状を踏まえると、既存の治療法で回復が困難な患者にとっては顎関節の形態と機能の回 復か望める本品のような下顎骨機能を有する人工関節全置換システムはQOLの向上に 極めて有用であり、導入が期待される。  問題は、本装置が日本人の規格に合うかどうか、また、本装置が長期に使用可能であ るかという点である。導入に当たっては、日本人の規格への適合性や米国における市販 後の長期的使用成績に関する情報を確認することが望ましい。また、本機器装着術にお いて顔面神経麻痺の発現がないかについても情報を確認するということであります。  副のワーキンググループの委員としまして若干の意見がございます。私、整形外科医 ですので、人工関節というのはよく周囲で使っているわけですが、そういうことを考え まして、人工関節ほど手術後に機能的に向上する手術というのは我々の中でもないぐら い、人工関節そのものは非常にいいということです。ただ、問題点がいろいろございま す。資料がございますが、例えば、フォローアップレイトが3年で329で118ですから、 約3分の1のフォローで99%有効であるとか、そういう面で、科学的な根拠としては、 提出された資料におきましては不十分であると考えております。  それから、主査が述べておりますように、日本人の骨、体格、あるいは顔の形も違い ますので、そういうのに本当に合うかというところが若干心配であります。  もう一つは、整形外科で使うような人工関節は、基本的にはクリーンルームのような 非常に清潔な場所で手術をいたします。それでも約1%感染が出ております。それから、 10〜20年で関節が緩くなってきて、それをリビジョンする例が10%程度ございます。  そういうことを考えますと、非常に洗練された、あるいは訓練された外科医が、適切 な施設を持っている場所で手術をすることが、将来的に、もし申請されたような場合に 望まれる。しかも、顔面神経麻痺等を起こすと大変重篤な合併症を引き起こしますので、 そう簡単な手術ではないということを付け加えさせていただきます。  以上です。 ○北村座長 四宮先生、ありがとうございました。  事務局から何か追加ございますか。 ○医療供給審査管理室長 特にございません。 ○北村座長 それでは、御質問、あるいは御意見、御討議をお願いしたいんですが、ま ず、カナダの人口で年間300例あるのに、日本の人口でおよそ10〜30名と10分の1に なっているんですね。これはやはり外国人に多い病気ですか。 ○四宮委員 私は整形外科ですから、本当のことを言うと専門ではありませんけれども、 そうではないと思うんです。 ○北村座長 ちょっと難しい手術だろうとおっしゃいましたけれども、これをやってい る主な外科医は口腔外科の人ですか。 ○四宮委員 人工骨頭に対しては、多分、口腔外科がやっていると思うんですけれども、 本来は頭頸部外科とか耳鼻科が行うべきだと思います。 ○北村座長 その辺は境界領域的なんですか。 ○四宮委員 境界領域です。やはり医師が行うべきだと思います。例えば、悪性疾患は あるわけですから、全身的なことがあるわけで、それは当然医師が行うべきだと思いま す。 ○医療機器審査管理室長 先生、済みません。この症例数ですけれども、患者数の推定 が難しくて、天笠先生の方からは、ある病院の実態ということで、外来新患6,000名ぐ らいの病院で、この対象になるのが大体10〜30の半分ですので、5〜15名ぐらいです。 ○四宮委員 多分、うちだと思うんです。 ○北村座長 1病院で30あれば、全然少なくないね。でも、前に、メディカルユーアン ドエイ社で、稀少疾患であるがゆえに治験を断念したとなっています。 ○医療機器審査管理室長 多分、口腔外科でやられているのが、頭頸部外科なのかです けれども、どこでも歯医者さんならできるという話ではないので、日本全体の患者数は わかりませんけれども、アメリカでも年間1,000例程度ということですので、日本でそ んなに多い疾患ではないというふうに理解しているんです。 ○北村座長 今まで日本では1回も使われたことはないんですか。 ○四宮委員 これは使っていないはずです。要するに、顎関節症というのは世の中に非 常に多くて、例えばナイトピースとか、そういうことで、口腔外科領域で保存的治療を されて、結構よくなる場合がある。ただ、交通事故などで、例えば、顎関節をつぶした とか、あるいは骨腫瘍でつぶれてしまったとすると、修復のしようがないわけです。そ ういう場合の患者さんが対応されるということで、めちゃ多いとは思いませんが、例え ば、私どものような歯学部が頑張っている病院ですと、この辺りの使用が多いですので、 意外と多いという可能性はあります。 ○北村座長 しかし、外傷でここが壊れた人はたくさんあって、今まで日本はどうして いたんですか。 ○四宮委員 何とか口が開くような、関節形成術とか、うまく骨がくっついた後、関節 を合わせるとか、整形外科でも股関節などをやりますので、ちゃんと手術をすればうま くいく場合もあるし、いかない場合もあるということです。 ○北村座長 この辺がよくわからないのです。これがBBで出てきて、今まで、マキシ ロフェイシャルサージャンとか、プラスチック系のサージャンはどうしていたんですか。 学会に募集したら初めて出てくるようなレベルで、余り要らなかったのか、何なんです か。代わりの機材はあるんですか。 ○四宮委員 人工関節ではなくて、人工骨頭を使って、関節窩の方は、天井の方は、屋 根の方は入れないで、人工骨頭だけ入れていた。そういう手術を多分やっているんだと 思います。 ○北村座長 何とかやりくりしている。 ○四宮委員 はい、やりくりしている。 ○北村座長 では、やりくりしてもらおうかということでもいいわけですか。 ○医療機器審査管理室長 ですので、BBでございまして、上と下とで両側の関節を形 成しているという意味では、これまで骨頭だけで、先ほど先生もおっしゃいましたけれ ども、何とか無理くりやっていたところが、QOLという点では非常に改善が見込める というのが学会の御要望なのだというふうに理解しております。 ○北村座長 どうぞ、土屋先生。 ○土屋委員 私、歯学部附属病院の薬剤部長ですけれども、歯科機材・薬品開発センタ ーも兼務しておりますので申し上げますと、やはり数が少ないということは現実でござ いまして、2,000人いても、こういう手術の適応になるのが数例ぐらいだろうというの はあるようでございます。  ただ、私、歯学部に行って気がついたことは、歯科領域というのは、結局、保険の関 係もあって、私費でのことが割とあるものですから、そうすると、個人輸入をされたり して治療するとかということが医科に比べると極めて多くあるんです。そうすると、ア メリカで承認されているからということで輸入をするとかという実態もあったりして、 私はこういうものをきちんと日本の薬事法の中でやれるように扱うことが非常に必要だ ろうと思います。  それから、現場の先生方にお聞きしますと、先ほどのお話ではないですけれども、こ こが凹んでしまったりとか、そういうことを言うと、そのことで手術を嫌がる患者さん もいらっしゃるということで、なかなかこの手の手術が今はできないでいるということ は現実でございました。  そういった意味で、規格が日本に合うかどうかということは確かにあると思いますし、 高度なところでということは必要だと思いますが、歯科領域のものだとしても、薬事法 の上で乗せられるルールに持っていくという仕組みがないと、そうでないところに流れ てしまう可能性がありますので、こういう意味でも意義があるのではないかと思います。 ○四宮委員 歯科領域とおっしゃいました。確かに近いんですが、これは明らかに手術、 医療でありますので、これは歯科の方に含まれているわけではなくて、医療全体の手術 の中に入るわけです。ですから、そういうことに関しては、難しいのであれば、もうち ょっと日本人に合うようなデータをつくっていただいて、非常に有効であることは間違 いないですから、最終的には国民が使えるようにしていただきたい、そういうふうには 考えます。 ○北村座長 ほかに御意見ございますか。千葉先生、どうぞ。 ○千葉委員 恐らく有効性は間違いなくあるんだろうと思いますけれども、これを拝見 しても、合併症といいますか、有害事象が、いろんなものが混ざっていますので難しい と思いますけれども、42%というのは決して低くはない、むしろ驚くほど高いなという のが私の印象だったんです。こういった合併症、有害事象が起きるのは、使った後、大 体どれぐらいの期間で起きているのか、その辺のデータは拝見してもなかったんですけ れども、いかがでしょうか。 ○四宮委員 済みません。そういうことに関しては、私も文献を持っておりません。 ○千葉委員 もう一点は、日本人の顔の規格のデータというのは、もう相当蓄積されて いるものなんでしょうか。 ○四宮委員 歯学部に顔面学というのがありますし、それは確実にあります。 ○千葉委員 そうしますと、それに合ったものにこの規格をつくり変えさえすればいい だろうということですか。 ○四宮委員 でも、大きさとか、いろいろあるし、そうすると、スクリューの長さとか が変わってきますし、ルースニングが出てくるとか、いろいろ難しい面が出てきますか ら、ある程度科学的根拠がないと難しいんではないかと思います。 ○北村座長 ありがとうございました。  ほかに御意見ございますか。  今のワーキンググループの御報告と少しのディスカッションを踏まえましても、今ま では詳細はわからずにしても、そう多い疾患ではないがゆえに、むしろやりくりして、 あるいは個人輸入のような形で使われたこともあるかもしれませんが、QOLを上げる には大変重要であるので、薬事承認というコースを踏ませてやらせるべきだということ は大変ごもっともな御意見であろうと思います。  そこで、早期に承認すべきという考え方は基本的に委員会で同意が得られるものだと 思っていますけれども、その使用について、先ほど四宮先生から御説明ありましたよう に、日本人の規格に合うかどうか、スクリューの1本、顎の骨の分厚さ等、そういった ものも米国の資料参考だけではわからない点が残るんではないかということになります と、多少の治験的なものが必要なのか、あるいは、だれがこれを施行して、技術を習得 してやるのかということになれば、ガイドラインのようなものが要るのかどうか。もし ガイドラインを作成するならば、それは口腔外科医か。天笠先生は口腔外科ですか。 ○四宮委員 口腔外科の先生です。 ○北村座長 その両者が合わさった形というのも勿論、大変結構だと思います。そうい ったものはどうですか。ガイドラインが必要ですか。 ○四宮委員 私は必要だと思います。 ○北村座長 それと、日本人の規格に合うかどうかの判定はやはり必要なことから、直 ちに薬事承認という形ではなくて、何らかの形で、少数例でも治験を行うべき、臨床研 究というレベルかもしれませんが、行うべきかとお考えですか。 ○四宮委員 はい。 ○北村座長 もう一つ、米国における市販後の長期的使用成績に関する情報を確認しな さいと御意見いただいておりますけれども、この辺は、もう既に米国はそういう資料を 提供する段階に入っているんですか。 ○医療機器審査管理室長 アメリカで承認の際に、市販後の長期使用についてのデータ を取るように条件がついておりますので、製造メーカーの方で情報を収集しているとこ ろでございますので、そのデータを提供いただけるものと理解しております。今、情報 の収集については、日本への導入を考えている企業において進めていただいているもの と承知しております。  それから、先ほどの治験については、日本人の規格の適合性であるとか、また米国で の長期使用の成績等も踏まえて、PMDAと企業の方で詳細なデータも踏まえて御相談 を進めていただければありがたいなと思っております。 ○北村座長 私がまとめなければいけないことを既に室長からおっしゃっていただきま したので、そのとおりだと思っております。個人輸入等々の、結局、集計も何もできな い、日本で使われたことがあるのかどうかもわからない状態になっている、こういった ものが長期間あるわけですから、どういう問題を起こしてきているのかもよくわからな いという中で、米国の報告によれば、QOLを上げるには必要だから、早期導入には御 依存ない。それについてはPMDAと申請企業、メディカルユーアンドエイ社が、米国 で長期の使用においてのどういう問題点があるかの資料も収集をしてほしい。その上で、 日本人の規格に合うのかという点において、どれくらいの数でテストしてから薬事承認 に持っていくなどということをPMDAと企業側とでも御相談いただいて、当委員会と しては、早期導入については御異論ないという形でよろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○北村座長 では、そのようにさせていただきたいと思います。  続きまして、頭蓋内動脈ステントの検討に移らせていただきたいと思います。主担当 でございます山本晴子ワーキンググループ委員より、ワーキンググループリポートの説 明をお願いいたします。 ○山本参考人 国立循環器病センターの山本でございます。お手元の資料6をごらんく ださい。それから、別冊で、この製品の概要の資料がございます。  医療機器の名称は、頭蓋内動脈ステント。  対象疾患、使用目的は、頭蓋内の動脈硬化性血管狭窄に起因する一過性脳虚血発作ま たは脳卒中の患者に対し、頭蓋内血管を拡張することを目的に使用する。  検討医療機器名は、Wingspan Stent Systemで、輸入業者はボストン・サイエンティ フィックジャパン株式会社でございます。  外国の承認状況ですが、米国で2005年8月3日付でHDEを取得しております。HD EはHumanitarian Device Exemptionで、完全な承認というものではなく、限定的な承 認と聞いております。  欧州では2005年12月6日付でCE-markを取得されて、世界39か国で販売されている ということです。  適応ですが、米国では、システムが到達可能で、内科的治療に反応しない50%以上の 動脈硬化性狭窄を有する頭蓋内血管の内腔を開大させるために用いられる。  欧州はちょっと違いまして、頭蓋内の動脈硬化性血管狭窄に起因する一過性脳虚血発 作または脳卒中の患者に用いられるとされています。  概要ですけれども、Wingspan Stent System、以下「本品」と申しますが、一過性脳虚 血発作または脳卒中の原因である頭蓋内の血管狭窄部位の拡張を目的に使用される自己 拡張型ステントとデリバリーシステムです。  ステントの大きさは、自己拡張型のステントで2.5〜4.5mmまでの5種類がありまして、 長さも9〜20mmの3種類、計15種類のサイズになっております。  別冊の資料の最初のページを見ていただきますと写真が載っております。要は、コロ ナリーステントと同じような感じのシステムです。自己拡張型のメッシュ状のステント と、それを到達させるデリバリーシステム。勿論これはバルーンパンピングで、まず狭 窄部位をバルーンステントで拡張させた後にこのステントを入れて、そのステントが自 己拡張するという形になっております。  対象疾患ですけれども、内科的治療や外科的治療が困難な頭蓋内動脈狭窄症に対し、 物理的処置による狭窄部位拡張を目的として使用される。  動脈狭窄は動脈硬化によって起こるんですけれども、コレステロール、脂肪等が粥腫 として蓄積するなどで血管腔が狭くなり、十分な血流が確保できない状態である。これ は2種類の状況がありまして、1つには、余りに高度な狭窄になっているので、その先 の血流が確保できない状態もありますが、一般的には、そこの粥腫がその場で破綻をし て、そこで血栓が形成されて、更にその末梢の脳血管を閉塞することで梗塞が発生する。 これについては、高度狭窄ではなくて、もう少し狭窄度の低い状況でも起こり得ること でございます。  頭蓋内主幹動脈の狭窄病変を有する脳虚血性脳卒中は、日本人を初めとするアジア人 に多いというふうに世界的には言われております。  次のページにまいります。頭蓋内動脈狭窄症の治療としましては、基本的にはまず危 険因子の管理ということで、高血圧、高コレステロール血症、ここには書いておりませ んが、糖尿病も含まれます。それのリスク管理が1番で、その次に抗血小板剤の投与と いうことになります。ここまでが内科的治療となります。狭窄病変に対するバイパス術、 これは狭窄部位の先に外からのバイパスをかけるんですけれども、そういう外科的治療 もございます。バイパス術に関しましては、これは先に血流を送ることにはなりますけ れども、狭窄病変はそのまま温存されますので、その部位の粥腫の破綻による脳梗塞と いうものに対しては威力はないと考えられます。  症候性頭蓋内動脈狭窄の患者数の推定なんですけれども、これは残念ながら国内では 調査はございません。一応、試算をしてみました。これは私の試算でございますので、 どうかと思いますが、厚生労働省の平成11年の厚生科学研究費補助金で、脳卒中急性期 患者データベースというものがございまして、これは脳卒中データバンクということで、 現在もまだ続いております。要は全国の病院で急性期脳卒中として入院された方が登録 されております。これは2005年に出版されたものからですけれども、急性期患者が1万 2,934例、そのうち血管病変が記載された症例が9,127例で、9,127例を母集団としたと きに、頭蓋内動脈の中等度狭窄、50〜70%で5.1%、70%以上の高度狭窄は6.7%でござ います。  これだけだとまだわからないので、久山町研究というものがありまして、こちらはコ ミュニティーコホートで見たもので、こちらで見ましたときには、脳梗塞の年間発症率 が、 10万人当たり、男性で357、女性が260とされております。こちらから考えると、 脳梗塞の年間発症数が男性が22万人程度、女性が16万8,000人程度、計40万人弱とな ります。 50%以上の狭窄は米国での適応ですけれども、これで考えますと、11.8%がそ ういう狭窄を有する可能性があることになります。そうなりますと、一番大きく見積も って4万6,000人、70%以上で考えますと2万6,000人程度と推定されます。ただし、 この推定では、無症候性の狭窄、内科的治療で対応が十分可能な患者さんも含まれてお りますので、実際の内科的治療が有効でない小規模性狭窄ということになりますと、も っと少数になると思います。  米国では、Humanitarian Device Exemptionということで、年間患者数は4,000人以 下と推定されております。対象疾患がアジア人で多いとは言われておりますけれども、 米国でもアジア人は結構いらっしゃいますので、それから考えますと、国内においても 2万人台ということはまずないだろうと考えております。  次のページにまいります。医療上の有用性についてです。頭蓋内主幹動脈の狭窄性病 変を有する虚血性脳卒中。内頚動脈の頭蓋外につきましては、現在、ステントもありま すし、内膜の剥離術もございます。ですけれども、頭蓋内になりますと直達できません ので、そういう手術はできないことになります。ですから、頭蓋内の内頚動脈、あるい はそこから分岐している中大脳動脈、前大脳動脈の主幹部、余り細かいところになりま すとシステムが到達できません。あるいは、後ろの椎骨動脈から脳底動脈にかけての部 分となると思いますが、それを有する虚血性脳卒中に対する内科的治療については、脳 梗塞発症後1年間の再発率が約10〜17%、2年間で再発率約20%ということで、狭窄内 患者さんに比べては、再発率は有意に多いと言われておりまして、新たな治療戦略の確 立が重要な課題となっております。  外科的バイパス手術につきましては、残念ながら再発予防効果については、いろいろ 比較試験が行われた結果、余り明らかにはなっておりません。ですので、最近は非常に セレクトされた患者さんにしか行われていないということが現状です。  また、内科的治療を行っても脳神経症状の悪化が認められるもの、脳卒中発作の再発 を防げないと判断されるものに対しては、現在ではステントを行わないで、経皮的血管 形成術で拡張するということは実際には行われておりますが、血管解離、弾性反跳、再 狭窄等がしばしば見られるということでございます。  これらを解決する方法として、他の領域で使われておりますステント留置術に期待が かけられている現状です。  動脈用のバルーン拡張型ステントを使うのが現状だそうですが、勿論、脳血管に適合 したものではございませんので、重篤な合併症の報告もあると聞いております。  国内の実態調査ですが、循環器病研究委託費17公−1「カテーテルインターベンショ ンの安全性確保と担当医師の教育に関する指針作成に関する研究」というものがござい まして、出版されているものではございませんが、研究者から提供をいただいておりま す中間報告では、登録患者数1万1,281例のうち、頭蓋内動脈狭窄治療を行った症例は 454例でした。脳動脈瘤のコイル塞栓術などが大半を占めておりまして、頭蓋内動脈狭 窄治療は余り行われていないというのが現状です。  その結果、技術的成功、または部分的成功したものが大半を占めておりまして、不成 功だったのは7例。述後30日までの合併症は総数で52例起こっておりまして、4例は 死亡に至っているということです。  本品ですが、ナイチノール製の自己拡張型ステントで、誘導性に優れ、これまで用い られている冠動脈用バルーン拡張型ステントに比較して安全に頭蓋内血管の拡張を得ら れることが期待されております。内科的治療抵抗性で対象病変に起因する脳梗塞再発例 45例に本品を用いたWingspan and Gateway Safety Study、これがHDE獲得のために 米国で行われたスタディでございますが、これでは手技成功率が97.8%、術後30日間 の血管病変と同側の脳卒中は4.5%、死亡が2.3%ということですが、症例数が少ないの で、有用性に関するデータは勿論限られております。ただし、内科的治療が奏功しない 患者さんにとっては有用性があるだろうという判断の下でHDEを獲得されております。  ただし、対象となる患者の選定については議論がございます。米国における本品の適 用でございます50%以上の狭窄というのではちょっと甘いのではないか、更に高い狭窄 度でのみ使用すべきではないかという意見は国内にもございます。米国心臓協会と米国 脳卒中協会のガイドラインでは、症候性頭蓋内狭窄に対する血管形成術、ステント留置 術の有用性は確立しておらず、吟味中の治療であると明記されております。  また、症候性頭蓋内狭窄に対する内科的治療についても、近年、国内外でかなり活発 に検討されております。米国のガイドラインでは、最善の内科的治療(best medical t reatment)を、危険因子の治療、抗血栓薬の使用、それに加えて、最近はスタチンの使 用、この3つが必ず使われるべきというふうに明記されておるんですけれども、残念な がら、我が国の脳卒中ガイドラインでは、こういう特定の状況に対するbest medical t reatmentが何かということはまだ明文化されておりませんので、我が国においても、現 時点での内科的治療の在り方をある程度明確にした上で、内科的治療に勝る有用性があ るかということについて検討されるべきであろうと思います。ただし、直接の比較試験 というのは人数の関係で難しいかもしれません。そういう状況でございます。  諸外国における使用状況は、現在までの総販売数が約9,000セットと記載されており ます。  開発状況ですけれども、我が国では、頭蓋内動脈狭窄部位の拡張目的とした脳血管用 ステントの開発は行われておりません。医師主導治験が検討されているというふうに聞 いておりますが、まだ状況は把握されておりません。  検討結果ですが、本品は、患者は少ないものの、頭蓋内主幹動脈に症候性狭窄を有し、 内科的治療では十分に治療し得ない患者に対する新たな治療戦略となる可能性はあると 思います。早期導入の検討を行うことは適当と考えております。  ただし、内科的治療と比較した有用性に関する臨床成績が国内外を通して限られてお ります。  それから、対象となるべき症候性頭蓋内血管狭窄の狭窄度の定義が海外においても確 立しておりません。国内の専門家の間で、米国の適用よりも厳しい基準で適用を定める べきという意見もございます。Wingspan and Gateway Safety Studyでは、狭窄率50% 以上を対象として実施されておりますが、発売後にNIHがファンドした登録研究、N IH Funded Registryが2007年に出版されておりまして、これでは70%以上の頭蓋内 動脈狭窄の患者さんに対して登録をしておりますので、米国内でも実態は少し変わって いるということがございます。  それから、内科的治療の在り方について、国内で必ずしも明確化されていないという ことがございます。  というような状況を踏まえますと、導入に当たりましては、適応とする患者さんの範 囲が十分に検討される必要がございます。頭蓋内血管狭窄による虚血性脳卒中は、欧米 人に比べて、日本人を初めとするアジア人に好発すると言われておりますので、米国で 行われた臨床治験に加えて、国内でも一定の臨床治験データを収集することが望ましい と考えます。  また、脳血管のという、リスクの高い部位への適用でございますので、学会等の協力 も得つつ、施設、使用者の限定、また、どういうトレーニングをしていただくか、市販 後調査を実施する等の適正使用のためのガイドラインの策定も必要と考えております。  以上でございます。 ○北村座長 山本先生、ありがとうございました。  事務局の方から何か付け加えることはありますか。 ○医療機器審査管理室長 特にございません。 ○北村座長 それでは、御討議お願いしたいんですが、ちょっと気になるのが、もう既 に我が国では対象となる脳動脈狭窄治療が454例も行われている。このステントは冠動 脈のステントか。 ○山本参考人 恐らく冠動脈ステントを入れている例は余りないと思います。ほとんど はバルーンで拡張させるだけで、ステントは置かないということをしていると思います。 ○北村座長 ステントを使っているんではなくて。 ○山本参考人 はい。一部には使っている施設もあるかもしれませんけれども、それは かなり少数例で、これはほとんどステントではなくて、PTのみだろうと思います。 ○北村座長 その場合の適応というのは、循環器病研究委託費というのを使ってやって おられると書いてありますけれども、適応はでき上がっているんでしょうか。 ○山本参考人 この部分に関しましては、これはあくまで登録研究でございまして、や り方としては、ます、血管内治療を行える認定医というものが現在まだ500人もいない という状況です。これは平成17年に開始されていますけれども、参加している専門医が 374分の200と言われているので、全国で平成17年現在で、血管内治療をしてもいいよ という学会での認定を取っておられる方々が374名、そのうちの200人の方がこの研究 の登録に協力をされて、実際に自分たちが行った治療を登録されているということです ので、はっきりとこういうプロトコルでやってくださいというものではございません。 本当に実態を記録したものということだと思います。 ○北村座長 これはアジア人に多いとおっしゃいましたけれども、米国ではHDEの資 格で通っているんですけれども、日本ではとても治験をやるほどの数はない。 ○山本参考人 私は脳血管内科医ですので、現場の状況は経験として知っておりますが、 頭蓋内狭窄については、軽度の狭窄は結構頻繁に見かけます。ただ、高度狭窄があって、 更にそれを原因としてTIAを頻発するとか、脳梗塞を何回も再発するという方に関し ては、その中でも少数になる。結局、どこで切るかという患者の選定をどうかけるかで 患者さんが増えたり減ったりするところがありますので、そういう意味で、海外の状況 の適応をそのまま持ってくるだけではよろしくはないだろう。ですから、明らかにこう いう患者さんでやりましょうという、はっきりとした線引きがなされる必要があるだろ うと思います。 ○北村座長 どなたか御意見、御質問等ございませんか。どうぞ。 ○梅田委員 あらかじめ送られた開発中の製品の概要というのを読みますと、8ページ のNIH Funded Registryというデータの中で、5行目、留置後24時間以内の脳卒中 または死亡の発生率は6.2%と記載されています、これはかなり高い率ですね。それは どのようにに解釈できるのでしょうか。術後30日以内に9.6%ということは、最初にト ラブルを起こす率が高くて、その後はそれ程でもないということでしょうが、これはや や危険性のある治療法で、適応決定に際し十分このことに留意せねばいけないと思って 読んでいたのですが、いかがでしょうか。 ○山本参考人 勿論、ステントを留置するということですし、特に脳血管の、それも内 頚動脈から更に先とか、後方領域にしても、十分に選択した上で、そこで行う手技です ので、危険はあると思われます。ですから、患者の選択が非常に重要というのは、そこ も問題です。この6.2%は全員が死んでいるわけではなくて、脳卒中を起こしている率 が含まれております。ですから、手技にかかわる脳卒中をできるだけ起こさないという ところが一番重要です。 ○梅田委員 患者の同意を取る際に、このデータを見せましたら、やはり相当心配され るのではないかなと思うんです。 ○吉田委員 これは、治療関連死亡がこれだけ起こっているというわけではないんでし ょう。要するに、患者さんの病態がかなり重症で、そのためにこういうような治療に入 ったと、要するに、30日以内に死んだすべてのイベントですから、この治療が原因で死 んだわけではないんだと思うのですけれども、いかがですか。 ○山本参考人 これもアメリカのWingspanの市販後の登録調査なので、結局、実態調査 になるんです。ですから、治験のような、あるプロトコルをかけてやったものではなく て、トレーニングの度合いがどうだとか、その辺りは統制はとれておりませんので、多 少危ない状況でやっていらっしゃる施設があったのかどうかということがこれではわか らないという状況だと思います。 ○梅田委員 そういう意味で、治験を始めるならば、これは相当厳重な制約をつけない と難しいのではないでしょうか。 ○山本参考人 勿論そうだと思います。  脳血管治療の認定医の先生方もその辺は非常に慎重にはなっていらっしゃって、頸動 脈ステントについてもかなり厳しいトレーニングを受けてからでないとできないという レストリクションがついていますので、このものについても、この成績がというよりは、 行う施設、手技を行う術者をどうやってトレーニングして選定するかというところの方 が重要。それと、これを使うときのメディケーションをどうするか。冠動脈ステントに つきましても、結局、術前術後にどういうメディケーションをするかで全く成績が変わ ると言われていますので、どういうメディケーションの上でこれをするかという辺りが 一番重要になってくるんではないかと思います。それでかなり成績は左右されると思い ます。 ○北村座長 どうぞ。 ○吉田委員 今、山本先生がおっしゃったとおり、いろいろな条件は必要になってくる とは思うんですけれども、ただ、脳血管疾患のIVRの技術レベルで言うと、日本はか なり高い。そういう意味で言うと、そういう人たちがいる国にこういう道具が必要であ ることは間違いない。というのは、先ほど言いましたけれども、拡張しておしまいでは 全然治療になりませんので、ステントを留置しておくという治療法を我が国として持つ べきだということは私もそのとおりだと思います。  それから、そういう技術の上手な人たちの中には、広基性の動脈瘤に対して、ステン トを入れておいて、ステントの間から詰め物をして安全に治療するという方法を考えて いる人もいるんです。そういうことになりますと、道具の可能性を日本で開発してやる 必要があるということにもなると思うんです。  ボストン・サイエンティフィティックはかなりしっかりした会社ですし、研究者主導 の治験でやるというんではなくて、むしろ積極的に会社が介入して日本で展開するよう に要望したらどうかなと私は思います。こういうふうなテクニックは日本人は相当優れ たものがありますので、私は、AAになっていますけれども、AAAぐらいでもいいん ではないかと思っています。 ○北村座長 どうぞ。 ○千葉委員 基本的に今、吉田先生のおっしゃるとおりだと私も思います。ただ、ここ で一番問題なのは、日本ではbest medical treatmentが明文化されていないということ をはっきりおっしゃっておられます。だから、ステント以前の問題が結構大きいんでは ないか。それはステントを置いた術前後の管理にも当然関係しているわけですから、こ このところが同時進行といいますか、あるいは一歩先んじて、これをどんどんやってい ただくということは、やはり専門家の方にお願いしたいところです。  それから、もう一つ気になりましたのは、先ほど梅田先生のおっしゃった死亡率です。 確かにこれは低くはないと思うんですけれども、その下の方に更に、両試験とも95%以 上の主義的成功率が得られたとある。つまり、手技的にはうまくいったんだけれども、 数字だけ見ますと、結構危険な方もおられたんだということになります。そうしますと、 この評価を一体どうすればいいのかということになります。そこに今のbest medical t reatmentが確立されていないということが関係しているのではないかと、専門外ながら 思いますので、やはり内科的な部分というところを、基本的に私は吉田先生の意見に賛 成ですが、何とか早くしなければいけないなと思っております。 ○山本参考人 NIH Funded Registryの24時間以内のイベントですけれども、詳細 は、死亡が2例です。その死亡の原因は、1例がischemic pontine strokeですので、 橋の梗塞、もう一例がpontine hemorrhageですので、橋の出血です。non-fatalのisc hemic strokeは3例に起こっております。non-fatalのICH、頭蓋内出血が3例に起 こっております。という状況でございます。  それと、内科的治療が明文化されていないという背景には、日本で導入されている抗 血小板剤が海外と少し違うという状況もあります。クロピドグレルはもう通っておりま すが、逆に日本ではシロスタゾールが通っている。例えば、1剤の次に2剤を組み合わ せるときにどういう組み合わせをするかとかです。シロスタゾールが逆に頭蓋内狭窄に 有用であるというような限定的な結果も多少出てきておりまして、実際には内科的治療 での臨床治験も今、実施されているところですので、この辺りは、完全に決まっていな いというよりは、多分、世界じゅうでまだ模索中ということだと思います。  実際に2年ほど前に、こういう頭蓋内動脈の狭窄の患者さんに対して、これは海外で 行われたものですけれども、ワルファリンを飲ませるべきか、アスピリンを飲ませるべ きかというのもありまして、結局はワルファリンは余り意味がないということになった んです。海外でも抗血小板剤を使った方がいいということは確認されていますけれども、 それを更に抗凝固薬を使って強めた方がいいかどうかとか、まだ模索中のところではあ るので、なかなか、これでいいですよというのを決められる状況ではない。それと、ス タチンの使い方が国内と海外で高コレステロール血症の方の分布がかなり違うというこ ともありまして、全く海外と同じものがbest medical treatmentとして国内で使えるか どうかというのはやはり難しいところがあるので、国内でなかなか明記されていないと いうのが現状だろうと思います。 ○北村座長 笠貫さん。 ○笠貫委員 この機器の目的は生命予後の改善にあるのか、QOLの改善にあるのかと いうのが1つのポイントです。もともとの狭窄による一過性の脳虚血と、脳梗塞の再発 で評価されています。一過性虚血の予防でいくと、生命予後の評価はまだされていない ことになります。生命予後を改善するとしたら、先ほどの致死的な合併症との比較考量 ができますが、今の時点では比較考量さえできないかと思います。  もう一つ、先ほどアジアに多いと言われたという根拠が必ずしもはっきりしていない と思います。循環器領域の冠動脈ステントでさえ、適応、そして評価において、生命予 後か、QOLかと、長い年月で議論されています。そういう意味で、冠動脈造影検査と ステント治療法が一緒に進歩したことに問題があったわけです。多分、脳動脈造影検査 も今、非常に進歩、普及しています。それとステント治療が一緒に進歩してきています。  そうすると、山本先生が言われたように、脳動脈狭窄の50%が本当に一過性脳虚血を 起こすのか、脳梗塞を起こすのか、生命予後を悪くしているのかということが明らかで ない。これからデータを蓄積していくのだと思います。梗塞といっても、ラクナ梗塞と 動脈硬化性梗塞があり、日本人は脳出血が多いというときに、先ほどの血栓治療薬とワ ルファリンをどう使えるかという問題や再狭窄の問題があります。  そう考えた場合に、内科的にもっとすべきことがあるんではないでしょうか。日本に もいいデバイスを早期に導入しなくてはいけないということは私も賛成です。しかし、 今、詰めるべきことが余りにも多過ぎるというのは私の感じです。  もう一つ大事なことは、これを医師主導型治験としてすることはリスクが高過ぎると 思います。日本では医師主導型治験のインフラ整備が十分ではありません。法的整備も、 経済的基盤も不十分という状況です。まだ効果も評価が難しく、この手技も危険を伴っ ているというときに、医師主導型治験はやるべきではないのかなというのが私の意見で す。  もし会社がこれをするとしたら、臨床治験としてどういうものを組むかきちんと提案 して、PMDAと相談をして、これで救われる人、生命予後をよくする人は必ず出てく ると思うので、早急に導入するということを大きい目標として、会社が責任を持って臨 床治験を組むべきです。そして会社側とPMDAが早期に取り組むという姿勢を示すこ とになるんではないかと私は思います。 ○山本参考人 笠貫委員の御意見に対してですけれども、生命予後を見るのか、QOL を見るのかということですが、脳卒中の患者さんは、特に脳梗塞の患者さんは、生命予 後はそれほど悪くございません。逆に言うと、生命予後を必ずしも改善するものではな いと思います。ただし、1回起こすごとにQOLががくがくとものすごく下がっていく という問題がありますので、頸動脈ステントでもそうですけれども、主眼はやはり再発 を予防する。再発を予防することによって、結果的にQOLをよくするということだと 思います。ですから、生命予後を見るということは、恐らく頸動脈ステントでもまず難 しいと思いますし、コロナリーのステントよりも更に、生命予後に関して、これがどの ぐらいの影響を及ぼすかということは、恐らく全世界でものすごく大型の試験をやらな い限りはわからないだろうと思います。ですので、当面の目的は、これを行うことによ って脳卒中の再発を抑えることができるかということを見るものだと思われます。です ので、結果的にはQOLを中心に考えるものだろうと思います。  以上でございます。 ○北村座長 どうぞ。 ○笠貫委員 山本参考人の意見は大事なことだと思います。私が冠動脈ステントの話を したのは、心筋梗塞の場合と脳梗塞との違いをどうとらえるか、あるいはこれをどうい うプロセスで早期に導入するかというときに大事だと思います。脳卒中で倒れたときに、 先ほど言いましたように、ラクナ梗塞か、脳出血か、ステントの再狭窄か、動脈硬化性 の脳梗塞かがわからないところで、QOLで評価するしかないですね。早期導入でも、 心筋梗塞より慎重なステップを踏んでほしいというのが私の感じですが、そう理解して よろしいですか。 ○山本参考人 病型の診断と、狭窄部位が脳梗塞の、あるいはTIAの原因になってい るかどうかという診断は、脳卒中の専門医に関していえば、そこについては問題はござ いません。ただ、日本じゅうの脳卒中を診ているお医者さんのレベルが必ずしも一定で はないというところが一番の問題であります。それにつきましては、施設を限定する、 術者も限定するというところが一番重要だろうと思います。  先生が御心配になっていらっしゃいますように、余り脳卒中を診ていなくて、病型も よくわからない、これがatherosclerpticな狭窄部位が問題になって起こっている、そ して、この方に対するbest medical treatmentは何であるかということが判断できない という方が、このWingspan Stent Systemを使うか、使わないかということを決定する ことは非常に危険であります。ですけれども、脳卒中の専門医にとっては、それは問題 はないことで、そういう方々が判断をすべきですので、施設限定ができるかどうかわか りませんが、施設、術者、厳しい患者選定基準が必要だと思われます。逆に言うと、そ こができるのであれば、必ずしも笠貫委員の御心配が本当になるとは思わないんです。 ですから、先行する頸動脈ステントが現状うまく発しているようであれば、同じような いろいろなトレーニングの基準とかをかけることで、ある程度は解決可能な問題ではな いかと思います。これは私の私見でございます。 ○北村座長 ほかにございますか。どうぞ。 ○吉田委員 笠貫先生のお話は、恐らく冠動脈ステントも開発された当初はいろいろな 問題があったり、本当によくならなかったり、他部位の梗塞が起こって大変な思いをし たり、あるいは別の問題とか、いろいろあったりしたので、ステントもそんなに簡単で はないんだということをおっしゃりたいんだということはわかるんです。  ただ、脳血管が狭窄しているのは明らかにわかっていながら、そこに何も手を出して はいけないというか、出す手段が今、日本にはないわけです。それをやってうまくいく かどうかわからない部分もないわけではないし、かなり冒険的ではあるにしろ、そうい うふうな方向に関して道を閉ざしてはいられないだろうと思うんです。  外国ではそういうことに関してアプローチができるのに、日本ではできない。そうす ると、日本の患者さんが外国にそういう治療を受けに行ってしまうということだってあ り得るんです。そうすると、日本人と外国人は違いますから、西洋人に慣れている医者 が日本人を治療してうまくいくかどうかということもわかりません。大きな道筋として は、導入するというのが前提で、それをいかにうまく導入するかという話になってきて、 それはこの委員会では恐らく詰め切れないと思うので、専門的なところでしっかりやっ てくださいというふうな形で、この委員会として意見が、同じ思いになってくれればい いかなと、私個人は思っています。  それから、ちょっと逸れますけれども、笠貫先生が医師主導治験はいい加減のように 言われましたけれども、私は機器開発は知りませんけれども、薬の方はもうGCP対応 できちっとデータセンターを置いて、日本医師会の方に国が委託したグラントを使って やっていますので、医師主導治験が質が悪いと言われると、ちょっと心外に思います。 ○笠貫委員 質が悪いと言ったつもりはありません。私が申したのは、これだけリスク の高いデバイスをやるときに、法的責任を、医師主導型臨床治験のときには各医療機関 が持つことになり、補償問題が起こったときに、だれが払うかという問題もあります。 しかし、先生が言われるように、これを早期に日本で導入にいくかということは私も大 賛成です。そのためには、きちんとした責任体制が法的にも経済的にもある企業が持つ べきで、私はそういう意味で医師主導型の臨床治験ではなくて、企業主導型の治験でや っていただきたいということです。 ○北村座長 なかなか難しい問題を含んでいます。この委員会で導入していく必要があ ろうということはほぼ一致しているんだと思いますが、幾つかの御意見を伺いましても、 直ちに、1年以内に導入して、機械の導入を先行して、それの下にある、だれがするの か、どの程度の病気にするのか、どのように薬物療法を加えるのかがよくわかっていな い状況で機械だけを承認するというのはいかがなものかという御意見が大勢を占めたよ うな気がいたしております。必要なことは必要であろうと言うが、実際、QOLの改善 といっても、これは急性期の脳梗塞のときにも治療する器具なんですか。脳梗塞直後に も起こるのであれば、この死亡率が発生したというのもわかる。 ○山本参考人 そうですね。2種類あると思います。TIAを繰り返している方に比較 的待機的に使われる場合と、再発してこられた方の急性期に使われる場合の2種類があ ると思います。 ○北村座長 初期は使わないんですか。 ○山本参考人 本当の急性期であれば、勿論、血栓溶解治療が優先されると思います。 ですから、その後の比較的急性期のときに使う。ですから、起こされてきて、急性期に 更に再発を繰り返す、あるいは神経徴候が更に増悪していくという方については、脳梗 塞急性期の、例えば、1週間、2週間の間に使用される可能性もあると思います。ただ、 それはよりリスクが高くなります。 ○北村座長 そうすると、今、申し上げた、あるいは御意見いただきましたような基本 にある点の我が国における問題を解決するということは、半年でできるとか、1か月で できるというものではないでしょうね。 ○山本参考人 ある程度のコンセンサスはあると思いますので、どういう状況の患者さ んには、こういう治療は必ず必要であるというものを積み上げることは可能ではないか と思います。  それと、先ほど言いました急性期の患者さんでこれを使うというのは、逆に言います と、これを使わないと更に脳梗塞を増悪して神経症状が増悪していって、QOLがすご く下がる可能性があるときに使われるということだと思いますので、ある意味では、う まくいったときには劇的に改善するかもしれません。ですから、それは急性期に機械的 に起こっている原因を取り除くということで、逆に患者さんの予後を改善することに、 メディカルよりは更に効果を発揮する可能性も勿論含んでいると思います。 ○北村座長 機械の承認をするまでには、しかし、先ほどもありましたように、どのよ うな施設で、どのような基準で治療を行うか、どのような時期の脳梗塞に対して、どの ような狭窄程度にやるかという一種のガイドラインの作成ができ上がった後でないと、 先に承認することはよろしくない。そうしますと、同時にスタートにかけて、基準ライ ンが専門家の中で了解を得られた後に承認していくというようなステップもPMDAに おいては考えていただかなければいけないのかもしれません。別個に進めるわけにはい かないだろう、2つを併せて進める必要があると思います。  そのときに、日本人においての治験を行うべきかどうかです。ガイドラインさえしっ かりしていれば、技術的な習熟をしておればよいのか。やはり何例かにおいてそれを日 本人に使って、観察をした上で承認していく方が安全なのかどうか、それは専門家の御 意見はどうですか。 ○山本参考人 もう一度、済みません。ちょっと長くて、ごめんなさい。 ○北村座長 聞いていた人で結構です。 ○吉田委員 専門家ではないんですけれども、いいですか。この委員会は日本中の心配 を背負っているような気がします。そんなことまで考えなくていいんではないでしょう か。笠貫先生のおっしゃるように、私も初めから言いましたけれども、治験をやった方 がいい。治験は、こういう適応疾患に関して有効か、無効か、QOLがよかったか、悪 かったかを評価するためにやるわけです。その治験でやった適応条件というのは、もし 結果がよければ、そのまま日本の国の適応条件になるわけです。こうこう、こういう病 態の人にはこういうものを使ってよろしいということになるわけです。ガイドラインも 勿論大事だし、その間、ガイドラインを整備してほしいというふうな要望をやるのはい いんですけれども、基本的に治験に取り組んでもらえれば、その辺もおのずから解決す るんではないかと私は思いますが。 ○山本参考人 ごめんなさい。聞いていなかったのは、先ほど急性期に使うかどうかと いうことで、別冊資料の5ページのところで、患者様の選択基準が、治験登録の24時間 以内に新しい脳神経学的症状を呈していないことと、直近の脳梗塞発症から7日以上経 過しているということがございましたので、それを読んでいて、済みません。 ○北村座長 山本先生、ありがとうございます。中谷先生、ありますか。 ○中谷委員 このステントというのは、例えば急性期、吉田委員が言われたような形で のストラテジーとして使いたいというのが出てくると思うんです。ところが、これでな されているのは、今、言ったような形で、どちらかというと安定期に入ったものを対象 にしている。今さっき議論していたのは、そこのところが、ステント治療そのものに対 してどう考えるか。逆に言ったら、考えるべきことだとは思ったんですけれども、もし そうなってくると、このステントを戦略としてどう使うかということになってくるんだ ったら、それこそ医師主導よりも、こういうところまで広げるとか、こっちとは切り分 けてやるとか、すごい大きな戦略を持ってやられるべきところになってくるんではない かという気はしたんです。この辺のところの認識も必要ではないかと思って、先生が言 われるように、今後、こういう新しい器具で戦略的に使うということも含めたことまで、 提言的な形になるのか知りませんけれども、やることは考えておいてもいいんではない かと思いました。 ○北村座長 結論としては、規模の大きさは問わずとも、しっかりとした治験の形態を 踏んだ方がよいということですか。 ○中谷委員 はい、そうです。 ○笠貫委員 医療機器と医薬品との違いは、人種差に大きなポイントがあると思います。 技術が非常に高いのは日本のメリットですが、虚血性の脳梗塞の実態、内科的治療の日 本人における、例えば、抗血小板薬や、ワルファリンも含めて、人種差があります。そ うした内科的治療とこのステントとの関係を考えたときに、日本で治験をするときは、 デバイスだけではなくて、対象に人種が出てる可能性があります。内科的治療を必ずか み合わせていかないといけないという意味では、これからの考え方として、こういうデ バイスの場合にはきちんとした日本人の治験をするという方向性が出てくるんではない かと思います。このデバイスについては、きちんとした治験を組んでいただきたいと思 います。  そのときに、中谷委員がおっしゃったように、心筋梗塞でも、急性心筋梗塞と慢性の 冠動脈疾患のステントの適応の問題があります。添付文書ではまだ急性心筋梗塞に禁忌 になっているんですが、実際行われているという現状があり、それで助かっている人も います。それは、一回認可された上で、どう普及していくかという過程での適応拡大と いう話になります。私はまずこの問題を含めてきちんと治験ができるプロトコルを組ん で、そのプロトコルをつくるときに、神経内科医も入って外科医とプロトコルをつくっ て、施設と医師とを十分考えていただいて、それでPMDAの方で治験を許可するかど うかの話に進んでいただきたいと思います。 ○北村座長 ほかに御意見ございませんか。どうぞ。 ○千葉委員 この会議の課題ではないと思いますけれども、今、内科的治療、つまり、 薬物の治療とデバイスというものが少しごっちゃになっているところがあるなと感じま した。内科的治療が明文化されていないのは先ほど申し上げたとおりですけれども、吉 田先生は、きちんとしたガイドラインで、恐らくそこでは内科的治療の在り方もきちん と決めた、その患者さんの中でこのデバイスをやってみていいんではないかという御意 見ではないですか。 ○吉田委員 ガイドラインでなくてもいいんです。研究グループが、治験のグループが 定めた中の基準に従って、それがうまくいけば、その基準をみんなで使えばいいし、だ めだったら、その基準が間違っているということになるわけです。 ○千葉委員 それは内科的基準も決めてということですね。 ○吉田委員 勿論です。笠貫先生がおっしゃったように、外科も内科も含めて、IVR のレビューロジックも入れてやったらいいと思う。 ○千葉委員 少し大きい話ですが、これはニーズの高い医療機器の導入に関するとなっ ていますけれども、実は医療機器だけでやりますと、今のような議論が常にこれからも 出てくると思うんです。本来、医療機器と薬剤のニーズの高いものの導入に関する検討 会というふうに発展すれば、こういう話は起きないんだろうと実は思っておったんです。 ですから、まさにこの話がそこに出たと私は思います。  私は、吉田先生のおっしゃるとおり、グループがどういう形態であれ、内科的な部分 をきちんとした上での治験は、ステントというのは戦略としては今後日本でももっとも っと伸びるべき大事な戦略ですから、積極的にやることは賛成はしております。ですか ら、今のところの担保を取ってということだと私は思っております。 ○北村座長 ほかに。 ○笠貫委員 内科の進歩には不確実さが伴い、そこにガイドラインとは何ですか、エビ デンスとは何ですか。エビデンス自体が時代とともに変わり、ガイドラインの改訂が必 要になります。そういう中で、どこで線引きをして、内科的治療、薬とデバイスをどう 関係づけていくか、非常に難しい問題だと思います。ここでは、内科的治療を踏まえた 上で、機械を議論しており、薬と機械が乖離して、機械だけをどう早期導入するかとい う話ではないと思います。そういう意味では、薬の進歩と機械の進歩、それから、今度 のデバイスのように、機械を使った後も薬を使わなくてはいけないという両方の意味を 持っているデバイスが増えてくるので、内科系も外科系も含めて一緒に議論することが 大切だと思います。ここは医療機器の早期導入でありながら、薬のことも十分踏まえて 議論しているというとらえ方でいいんではないかと思っています。 ○千葉委員 私は別に乖離しているとか、一緒にすべきだという議論をしたのではなく て、まさに先生のおっしゃる視点でこの会が議論されることが非常に望ましいというこ とを申し上げたので、笠貫先生の御意見に全く賛成でございます。 ○北村座長 なかなか難しい問題を含んでいまして、これはどうしますか。申請してき た学会は複数ですか、単独ですか。 ○医療機器審査管理室長 複数の学会であったかと思いますけれども、また確認をさせ ていただければと思います。 ○北村座長 今の御議論のように、将来、これが認可された場合に、現在の知識とかか ら判断して、ある程度までは詰まってきている点もあるという山本参考人の御意見もあ りましたので、学会の方で、一体どのような内科的薬物治療を行って、どの程度の疾病 に対して行うのか。そして、先ほども議論になりました医師主導の治験をするに当たっ ても、臨床研究をするに当たっても、来年の4月1日で倫理法が大分厳しくなりますの で、救済の処置も明確に示しておかねばならないという形になりますので、実際やろう という学会があるのであれば、可能なのかどうか、どう考えているのか。治験をやろう というのであれば、医師主導であろうが、申請学会が早期導入を申請しながらも、治験 もやろうと言っているのか。一方、今度、企業を募集した場合には当然、ボストン・サ イエンフィティック社が手を挙げるでしょうから、症例数などはPMDAと検討してい ただければいいんですが、治験をやる意向があるのか。それがないから医師主導でやり たいと学会側の人たちは言っているのか、その辺も踏まえて一度整理していただくこと はできますか。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○北村座長 本質的には、そういう条件がそろえば、早期導入をして、適応のある患者 さんに御利用いただく。承認後の治療成績の明確な追跡ができるように、例えば、初め てになるかもしれませんが、脳のトラッキング機材に認定するとか、そういったことも 踏まえていくのか。その辺、一度、学会の方で、今のような基本にある問題点をどう整 理して考えているのかをお聞きいただくのがいいんではないかという気が座長といたし ましてはしたんですが、そのようなことが事務局として可能ですか。 ○医療機器審査管理室長 この検討会でこれまでも御議論いただいた、昨年度選んだ13 品目のうちの多くのものについては、学会のガイドラインの策定をお願いしまして策定 していただいて、例えば、頸動脈ステントにつきましても、8学会か10学会か合同で、 先ほど山本先生から御発言ありましたように、非常に厳しいトレーニングのガイドライ ンもつくっていただいて、それを踏まえて承認をしていったわけでございまして、今回 のこの品目についても、内科、外科を含めて、関係学会にはガイドラインの策定を、本 日のこのワーキングの報告にもありますように、つくっていただく予定でございます。 ○北村座長 そのとおりなんですけれども、ここの委員会で承認して、同時並行として 学会とのガイドラインを進めなさいと言う前に、医師主導の治験をしようと学会が言っ ているわけでしょう。企業側がそれをどうするか。今日の御意見でも、企業側にやらせ た方がよい、あるいは企業がやるべきではないのかというような意見もありましたので。 学会側は医師主導で治験をして、そのデータをもって承認を申請しようとしているのか。 そうではなくて、外国のデータをもって、1年以内に承認して使わせてくれと言って出 てきているのか。それであれば、今のような基盤になる条件がそろっていないと考える わけなんです。そういう意味で、ガイドラインの方とか、やり方とか、その辺を明確に していただいて、もう一度この会にかけていただくことはどうか。ここでは早期承認い たしましょう、同時に今までやってきたように、学会側にはガイドラインの作成、トレ ーニングの在り方を考えてもらいましょうというのは、ちょっと反論が多いような気が しているんです。  あるいは逆に言えば、この委員会としては、形は問わずとも治験はあるべきという形 で、それをやるにはとても1年以内の承認などはできませんね。ですから、時期は遅れ るかもしれないけれども、治験をやるという結論にするのか。あるいは外国のデータを 尊重して、我が国での、小規模の、日本人に適合するのかどうかを見るというようなテ スト的なものをして承認するのか。先ほどの器具の場合はそうでしたけれども、こちら の場合においては治験があるべきではないかという御意見が多いような気がします。た だ、我が国で正式な治験を企業にやりなさいと言って、ここで決めたとしても、やれな ければ日本の患者さんが使えなくて困ることになる。そちらの方からでき上がってきた 委員会でもあります。一方、医者たちは、医師主導の治験をやろうということが書いて ありますので、その辺りの考え方がちょっとわからない。やはり何らかの形での治験を やってもらいたい。そのデータをもって早期導入を図るということになるんですかね。 ○医療機器審査管理室長 このワーキングのレポートは、国内で一定の臨床治験データ を収集することが望ましいと考えられるということで、若干含みを残したような表現に なっておりますけれども、今日の御議論を聞いていますと、国内での臨床治験、治験を 実施することは、やらなければ難しいのかなというふうに私は理解いたしました。とは 言っても、多分、対象患者は非常に少なくて、アメリカでも44例の臨床治験をもって、 HDE(Humanitarian Device Exemption) として承認を受けておりますので、国内でや ろうとしても。 ○北村座長 そうは言うものの、17年に始まったインターベンションの安全性の委員会 では、頭蓋内狭窄治療454例を3年間でやっているんです。ですから、ステントが認可 されれば、大半ステントが入っていく可能性はありますね。ですから、その辺が私にも 完全にはわからない。 ○佐藤委員 ワーキンググループでは、最初これをAAにしているわけですけれども、 御存じのようにAAというのは生命に重篤、かつ有用性というのは、ほかに代替法がな いということです。今回、山本参考人のお話を聞いている際に、代替法がない、つまり、 70%以上の狭窄が内科的治療も難しい、このままだと生命、あるいはQOLの非常な障 害があるということでしたら、先ほどの、このぐらいのリスクがあっても仕方がないと いう話になるんだと思うんです。やはり70%以上の非常に大きな狭窄の予後というか、 ナチュラルヒストリーをはっきりしていただければ、もしかしたら治験でなくてもいい のかもしれない。その辺のデータがすぐに取れるのか、取れないのか、その辺がいかが なものか。今のままだと治験は多分、実質できないんではないかと思います。 ○山本参考人 そのデータは、ナチュラルヒストリーはすぐには取れないだろうと思い ます。 ○佐藤委員 もし取れないんだとしたら、やはり対象を絞る。つまり、もう明らかにQ OLが落ちている方のみにこれを行うとかにしないと、ある程度のリスクがあってもこ れをやるというのに納得する患者さんは少ないのかなと思います。 ○山本参考人 勿論そうだと思います。現在、ADLが100%というか、十分な方が、 あえてこのリスクを取って、これをやりましょうという方はまずいらっしゃらないと思 います。やはり何らかの障害がある、もしくは障害があった履歴があって、内科的治療 でも再発してしまうという方。ですから、そこの絞り方が、非常に気をつけて絞ってい ただかないと、狭窄がありますね、ではステントで広げましょうというようなことにな ってしまってはいけないと思います。 ○笠貫委員 私は、治験ができないという考え方がもともとおかしくて、日本で実現で きる、実行できる治験のプロトコルをどうつくるかということが企業サイドの知恵と、 それから、PMDAがそれをどう評価するかだと思います。  ちなみに、植込型除細動器は20症例でしています。その中で、どうしても適応のある 患者さんの場合には、治験をしている施設に患者さんを送るようにしたり、先ほどの急 性期のことは除かれますけれども、難治性の場合にはそういう手段もあります。先ほど 座長がおっしゃいましたように、どうプロトコルをつくるかというのがこれからの知恵 だろうと思います。その前提として、これは早期導入が日本で必要だという認識を持っ て進めていただけたら、それでいろんなことが解決されていくのかなという感じはいた します。 ○吉田委員 北村先生が心配されているのは、この委員会で、企業が試験をやるべきだ、 そうだそうだと結論を出しておしまいにして、後から企業が受けられない、例えばボス トンの本社が日本ではやらないと言っているといったときに八方塞がりになってしまっ て、せっかくの機械が普及しなくなるかもしれない、治験もできなくなるかもしれない ということだろうと思います。そこで、研究者主導でやろうとしているのはどういう理 由だとか、どういうプロトコルでやろうとしているんだとか、どういうメンバーでやろ うとしているのかということも含めて情報を取ってもらって、次回、皆さんに紹介して もらえれば、こういうことだったら企業でなくてもいいよという話になるかもしれない し、それでも企業に何とかやらせるしかないだろうという結論になるかもしれない。だ から、今日ここでイエスかノーかみたいな形で、我々の委員会の判断を決めてしまうの はちょっと問題があるんではないかとさっきからおっしゃっているんだと思います。そ れは、何とかつぶさないようにするためにどうしたらいいかという意味で。 ○北村座長 ありがとうございます。 ○医療機器審査管理室長 今日は非常に御議論をいただいて、PMDAも大変ありがた いと思っていると思いますけれども、先生方の御意向といいますか、結論としては、非 常に患者は限らなければならないかもしれないけれども、早期に導入すべきものである。 恐らく日本での実施可能な治験を組んでやるべきである。そのときには、医師主導でや るのか、企業治験でやるのかということですけれども、いずれにしても承認に向けてど ういうやり方ができるのか、もう少し情報を集めて、次回、御報告はさせていただきた いと思います。  ただ、医師主導でやっても、これはあくまでも治験としてやるということであれば、 現時点でも企業主導と同じ内容のGCPがかかっています。来年度から施行される新し い臨床研究の倫理指針とは別に、治験のGCPがきちんと医師主導についてもかかって いますので、補償の問題であるとか、企業治験と同じように対応を組むことになります ので、日本で実施可能な治験がどういうふうに組めるかということについて、現状を次 回、御報告させていただきたいと思います。  ただ、方向としては、ワーキングにおまとめいただきましたように、早期導入の必要 はあるだろう。ここに書かれたようないろいろな問題がありますので、日本での治験を しつつ、承認に向かっては、適正使用についてのガイドラインの策定が必須ということ で、事務局としてはそこに向けて走り出し始めたいと思っております。次回、治験の実 施可能性については御報告をさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょ うか。 ○北村座長 ありがとうございます。導入の流れの中で、この委員会の今日の意見では、 (2)の治験推奨というところが皆さんの意見ではないかと思います。これが果たして症例 数とどの程度のパーセンテージの狭窄を選択してやるとなった場合に、医師主導、ある いは企業の治験が組めるものかどうかも含めて、全く使えないまま、また何年間もほっ たらかしで、冠動脈ステントを代用しているというようなことだけは避けさせたいとも 思います。その辺の状況をもう少し勘案した上で、現時点では(2)の治験推奨という形で、 PMDAと個別相談に入っていただいても結構かと思います。  PMDAも、1番の既存データの活用による申請の推奨と、今、出てきましたような (2)の治験推奨がこの委員会の判断に基づいて動いておられるのか、PMDA独自の判断 がその上に加わると思うんですけれども、加わる場合、(1)にするか、(2)にするかという ようなところをもう少し明確に我々にもお教えいただだいたらありがたいなと思うんで す。例えば、大急ぎにするのに(2)などを推奨してもできやしない、それだったら、使え ないままか、使えるか、どっちがいいんですかという究極の選択になりますよというこ とで決めておられるのか。PMDAの個別に皆任せ切っておるのだけれども、(1)(2)はこ この委員会の判定によってやっていますとおっしゃるのか。そうではなくて、独自の判 定の委員会をやっておられると思うんですけれども、そのとき、どういう場合に(1)にし、 どういう場合に(2)にするかです。今日も既存のデータの活用はわずか44例ほどだそうで すけれども、そこを使って通してしまえという考えもある人もおるかもしれない。それ はだめだと言う人もおるかもしれない。本日のように(2)推奨となった場合に、それは可 能かどうかも含めて、PMDAのある程度の、(1)か(2)の基準というものがあるのであれ ば、是非御指示いただきたいと思うんです。 ○医療機器審査管理室長 PMDAに代わって私が理解している点をお答えしますと、 この検討会では、早期導入に向けた、いろいろな、治験が必要であるかとか、またはガ イドラインの必要性であるとか、適応疾患の限定だとか、まさに今日御議論いただいた ようなことについて、貴重な御意見をいただいて、それも踏まえて、最終的にはPMD Aとして判断していると理解しています。本日御提出した資料は限られた資料でござい まして、先生方のお手元に、現時点で本品について得られているすべてのデータを御提 示しているわけでもございませんので、まずは日本の医療として早期導入すべきなのか どうかということを基本的にはお決めいただきたいということでございまして、その先、 治験をどう組むのかとか、既存データだけで本当にいけるのかについては、もう少し詳 細なデータも含めて、最終的にはPMDAが、ここでの議論を十分参考にさせていただ きながら決めていく。  (1)(2)と言っているのは、流れ図の個別にPMDAとの相談になったときに、(1)として は既存データの活用による申請、(2)としては治験を実施してからにしましょうというこ とで、(1)でいけるのか、(2)でいけるのかについては非常に難しい判断で、一律に正解な 回答があるわけではないので、本当に個別に、外部の専門家の意見もいただきながら、 PMDAとして最終的には御相談に乗っているということでございまして、ここでの御 議論も踏まえて、更に外部専門家の意見も踏まえて判断をしているということかと思い ます。 ○吉田委員 決定権はないけれども、言うことは言ってくださいと、そういうことです ね。 ○医療機器審査管理室長 はい。今日の御議論は大変ありがたい御意見でございまして。 ○北村座長 この委員会としては楽なんですけれども、PMDAとしては重大な責任が あるし、この委員会と企業側の意見とが相反する場合も十分あるわけです。それから、 企業側の意見と、こういった委員会の意見とが相反する場合のPMDAの考え方という のは、やはりある程度透明性を持たせるべきではないかとも思われるし、そういった意 味で、指示があれば言ってくれということであります。  それでは、一応、この機器については、我が国の医療に必要であって、医師たちが早 期に使えるようにするべきであるという本質的なところは了解であるが、しかし、今ま での御議論を踏まえて、治験的なものをどのレベルで行うべきかということはPMDA にお任せするとして、そういうことをやっていただきたいという判断にさせていただき たいと思います。  それでは、以上の2点をもってこの委員会の業務は終了しますが、事務局から報告事 項がありましたら、どうぞ。 ○医療機器審査管理室長 資料7の進捗状況について御報告をさせていただきたいと思 います。  資料7の1ページ目、2ページ目が19年度当初に第1弾として選定していただいたも のでございまして、初めの13品目でございますが、水色で網かけにさせていただいてい る8品目については、その後、優先審査等を経まして、既に承認になっております。ま だ審査中のものが幾つかありますが、どの品目も先に進んでいるというふうに認識して おります。  2月の検討会で追加4品目選定されたものが3ページにございまして、これについて は、前回2品目御評価いただき、本日、顎関節用人工関節について御検討いただきまし たので、これから進んでいくということでございます。  最後のページは、初めに御報告させていただきました、前回選んでいただいた8品目 で、本日1品目御審議いただきましたので、次回以降、順次できるだけ早く評価レポー トをおまとめいただいて検討いただきたいと考えております。  以上でございます。 ○北村座長 ありがとうございました。大変活発な御議論をいただきましたが、一応、 2つの議題を無事、無事といいますか、問題を残した形ではありますけれども、方向性 としては、事務方の方から確認と、PMDAの方には、その場合、どういう対処をする かを御検討いただいて、また改めて御報告いただくということを俵木室長の方からお言 葉をいただいた次第です。  これで終わってよろしいんですか。 ○医療機器審査管理室長 はい。ありがとうございました。 ○北村座長 第9回の本委員会をこれで終了させていただきます。ありがとうございま した。 ○医療機器審査管理室長 どうもありがとうございました。