08/10/27 第6回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会議事録 薬害肝炎事件の検証及び再発防止策のための医薬品行政 のあり方検討委員会(第6回)            日 時:平成20年10月27日(月) 15:00〜17:29           場 所:厚生労働省専用第18〜20会議室 ○寺野座長 お待たせいたしました。大臣がいらっしゃいましたので、ただいまから「薬害肝炎 事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」第6回を開会したいと思い ます。  委員の皆様には、大変お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。  本日は、公務多忙な中、舛添厚生労働大臣に会議冒頭から御出席いただいております。ただ、 3時半から次の公務があるということでございますので、20〜30分程度の御在席ということ になりますが、可能な限り、議論に参加したいということでございますので、よろしくお願い したいと思います。  では、大臣、一言お願いいたします。 ○厚生労働大臣 どうも皆さんこんにちは。引き続き、よろしくお願いします。今日で第6回目 の検討会になりますけれども、これは確実に前に進めないといけないと思いますので、御報告 をいただいた上で、忌憚のない御意見をいただければと思います。  私からは、以上でございます。 ○寺野座長 ありがとうございます。  それでは、議事に入りたいと思います。  私、ちょっと風邪気味なので、いつもの美声が出なくて、お聞き苦しいところがあるかと思 いますけれども、お許しをいただきたいと思います。  検証に入るということですが、前回、厚労省の事務局は、1つ後ろの列に座っておりました。 謙譲の美徳のつもりだったらしいのですが、やはり前にいるべきではないかという御意見もい ただきまして、初めからの予定ではありますが、本日から従来どおり、前の列に座ることにな っております。御了解をお願いします。  では、最初に事務局から、配付している資料について御説明をお願いします。 ○医薬品副作用被害対策室長 配付資料でございますけれども、議事次第、座席表、名簿のほか、 資料1、2が薄いものです。  資料2の参考資料が(1)〜(3)とございます。  資料3が薄いものでございます。  資料3の参考資料が分厚いものでございます。  資料4と5、資料5の参考資料でございます。  あと、委員の方から事前に、前回の委員会後にいただいた意見書ということで、水口委員の ものと最後に坂田委員の御意見をとじたものがありますのと、本日、追加で水口委員からいた だいている意見書も1部お配りしてございます。  不足がございましたら、お申し付けくださいませ。落丁等ございましたら、御指示いただけ ればと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。今日は資料がたくさんでございますけれども、前もってお 配りしているものもありますので、御熟読いただいているのではないかと思います。  それでは、大臣が先ほど申しましたように、20〜30分で退席されるということで、せっか く大臣に来ていただいておりますので、この間に是非発言や御質問をしたい方もおられると思 いますので、その時間を最初にとりたいと思います。いろいろお聞きしたいこともあるかなと 思いますので、できるだけ簡潔な御質問、御意見をお願いしたいと思います。  挙手をいただければありがたいのですが、どうぞ。 ○厚生労働大臣 なければ前に進めていただいても結構ですからね。 ○寺野座長 全くなければいってしまいますけれども、よろしいでしょうか。 ○厚生労働大臣 しばらく選挙もなさそうなので、しばらく私はおると思いますから、よろしく お願いします。 ○寺野座長 間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 資料が届くのが遅いんですよ。中身を全部読むだけでも大変。  今回、多くの人は金曜日に届いたんだと思うんですけれども、もうちょっと早くならないか なというのはあります。 ○堀内委員 それは班会議と関係あると思いますけれども、この委員会がかなりの頻度でやられ ておりまして、班会議はその中身を検討しておりまして、資料を集めて、今回は余り検討結果 というのは出てきませんけれども、次回からは検討結果を出したいと思っておりますので、こ れはもうぎりぎりのところでやっております。この班会議も先週実際やっているわけなので、 なかなか1週間前、2週間前に出すというのは、大変困難です。  我々もできるだけ一生懸命やりますけれども、そういう面で、できれば短時間で読んでいた だくように、よろしくお願いしたいと思います。 ○寺野座長 班員の先生たちも一生懸命やっておられるんですが、できるだけ時間を早めに送っ ていただければということを御要望しておきます。  そのほかございますか。大熊委員、どうぞ。 ○大熊委員 済みません、中座をいたしますので、先に話させていただきます。  資料1の最後のページに、研究班の体制というのが出ております。堀内先生が主任研究者と いうことは、前々から存じておりましたけれども、ほかの3先生はどういう尺度でお選びにな ったのかということを伺いたいと思います。  それから、4,500万円という、普通の研究者から見るとかなりの額なので、それをどのよう に使われる御予定なのかということと、この研究で明らかにしていただきたいことが、私にと っては3つあります。添付文書では、フィブリノゲンはこういう症例に使いなさいなどと書い てあるのに、それ以上にお医者さんたちが使ってしまったのはどういうわけだったのかとか、 そのようにお医者さんたちを仕向けたメーカー、企業の方たちは、なぜそういうふうにしたの かとか、厚労省は再三いろいろな注意を送っておられたわけですけれども、それが守られなか ったのはなぜかということを明らかにしていただきたいわけなんですが、ここにいらっしゃる 方たちだけでは、それは難しいのではないかと思っています。もっと社会学的なインタビュー に長けたような方もお入れになるとか、再三申し上げてきたように、薬害の当事者の方ならで はの視点というのもあると思いますので、そういう方々の願いを取り入れたような研究者もお 入れになった方が、実りある4,500万円に値する結果が得られるのではないかと思って、御質 問かつ御意見を申し上げたいと思います。 ○寺野座長 堀内委員、お答えできますか。 ○堀内委員 これは後で話をする予定でしたが、退席されるということで、今、先にやりますか。 ○寺野座長 そうですね。お願いします。 ○堀内委員 それでは、資料1の最後に研究班の体制という資料がございますので、それをごら んいただきたいと思います。  まず初めに、研究班の体制でございますが、この検討委員会がございまして、その中に研究 班がつくられたわけであります。検討委員会からの御意見をいただきながら、検討を行って、 その検証結果を案としてここに提案させていただくということでございます。それでまたここ で議論をしていただき、それを持ち帰って、また検討され続けるという形にさせていただきた いと考えております。  この研究班は、膨大な資料がございまして、それをすべて研究班のメンバーだけでやること は不可能でございますので、野村総合研究所に委託をすることは御了解をいただいているとこ ろだと思います。野村総合研究所に対し、資料を集めるとか、整理をするとか、どういうこと をやってくれというのは、研究班の方から指示をいたします。その資料をいただいて、研究班 で検討をするということでございますが、研究班は、この膨大な資料をやるのに、今のお話の ように研究者が4人というのは、確かに大変少ないと思います。ただ、最初の時点で、この 4,500万円という研究費、これは多いといえば大変多いんですが、少ないといえば少ないわけ でございまして、委託をすることによって、委託費というのがかなりかかってまいります。し たがって、余り多くするわけにはいかないということ、小回りのきく連携がとれる研究を行い たいということで、この4人にいたしました。  ただ、今、お話がありましたように、社会学的観点、いろいろな専門性を入れてくると、た くさんの班員になってしまいますので、その辺をどうするかということは、いろいろ伺いまし た。したがって、この一番下に書いてありますように「必要に応じて研究協力者を随時依頼す る」ということで、何とかクリアーできないかなと考えております。  選んだ観点ということでございますが、主任研究者は私がやれということでしたので、余り うれしくはなかったんですが、やらせていただくことにいたしております。  分担研究者は3人おります。  磯部先生は、三瀬先生が研究協力者だったわけですけれども、お辞めになりましたので、そ の後新しくということで、特に法律及び生命倫理などの面に関心をお持ちになっている先生と いうことでお願いをいたしました。主担当と書いてありますのは、私が全体統括で、製薬企業 関連の検証ということになっておりますが、磯部先生には、行政法から見た検証となっていま すが、行政法の専門家から見たということで、行政法から見たという意味ではございません。 資料の表現がちょっと不十分かと思いますが、行政法の専門家として、特に判決等から見て、 いろいろ問題点を抽出して、検証することをやっていただきたいと思います。それから、情報 伝達と対策の検証という問題でございます。  高木先生は、群馬大学の病態制御内科学、特に肝臓・代謝疾患の専門家でありますので、こ の肝炎の問題を医学的な観点から検討していただくということでございます。  津谷先生は、医療政策学と書いてありますけれども、薬剤疫学の専門家でもございますので、 そういう観点から、行政関連及び使用・発症実態ということを検証していただくということで あります。  今、お話がありましたように、社会学的観点あるいは患者の立場に立ってということがござ いますが、その前に、研究費の使い方を御理解いただいて、それから判断をしてもらった方が いいかと思います。  研究費が年間4,500万円ということでございますが、私も含めて、各班員の研究費は100万 円でございます。あと、交通費とか謝金等、会議はかなり頻繁に行われますので、その費用と して100万円を、それについては、私のところで事務局をさせていただきますので、そこにプ ールをしておくということで、そこから支払うということで、残り3,900万円を野村総合研究 所に委託するということでございます。こういう委託事業というのは、一人当たりの人件費と いうか、かかる費用。その人に払われるという意味ではなくて、この研究所に払われる金額が 高くなりますので、そのようなわけで、我々班員は、たかだか100万円の研究費でやるという ことでやっております。これが高いかどうかというのは、また御判断いただきたいと思います。  利益相反についてもお話ししておいた方がいいと思います。私は、普通は3年以内というこ とでございますが、直接三菱ウェルファーマからは、2002年に奨学寄付金を50万円いただい ております。  磯部先生は、ありません。  高木先生は、2006年に三菱ウェルファーマから、やはり50万円の奨学寄付金を受けています。  津谷先生は、ここに特任教授となっておりますけれども、東和薬品の寄附講座でございまし て、東和薬品というのは後発品メーカーでございますが、そこの寄附講座の特任教授というこ とでございます。  今、研究費は大変厳しい使用等の制限がございますけれども、このように現在、前のミドリ 十字を継続した三菱ウェルファーマからは、2人50万円程度もらっておりますけれども、班 会議で、我々はこれに関係なく、客観的にやりましょうという意思確認はしているところであ ります。  そんなところでよろしいでしょうか。 ○寺野座長 堀内委員に後で説明していただく予定だったんですけれども、前倒しで今の質問に 答える形で説明していただきました。  大熊委員、どうぞ。 ○大熊委員 今のだと、裁判とかそういうものは、既に過去にあったことですね。いろいろな資 料も既に出たもので、過去のものをあちこちこうやったり、整理したりしても、新しいものは 生まれないと思うんです。今までわかっていなかったことを4,500万円かけて、たびたび申し て恐縮ですが、私は300万円ぐらいしかもらったことがないので、この真相を究明するとか、 行政に新しい教訓をもたらすというのでは、このような専門の方たちだけでは不十分なのでは ないかなという気持ちは今も残っております。  それから、薬害被害の方たちがどういうふうに思われているかは、私はわからないので、伺 ってみていただけたらと思います。 ○寺野座長 坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 メンバーの選定は、私たち被害者の声がなぜ反映されないのでしょうか。私たち被 害者か原告団が推薦する方を入れていただきたいんです。熊本では、豪邸が建つほどの金額の 4,500万が使われますし、その成果がすばらしいものでなくてはいけないと思います。  堀内委員も4人の少ない中でとおっしゃっていますので、是非そこは検討いただきたいと思 います。 ○寺野座長 花井委員、どうぞ。簡潔にお願いします。 ○花井委員 今の議論に関連してなんですけれども、今、大熊委員と当事者の方からも発言があ ったんですが、私も非常に得心する部分は、薬害の再発防止の調査というのは、私どもはエイ ズでずっとやっていまして、ここでも5年前から今までやっている部分もあって、走っている んですけれども、実は今、大熊先生がおっしゃったように、医療現場における使われ具合とい うのを調査するときには、単純にいうと古い論点なんですが、存在論と意味論がありますね。 その意味論的観点がないと、薬害は解析できないんですね。意味論的観点からの解析に重要な のは、概念ツールになるわけです。幾つかの概念ツールというのは、やはり今までの研究で提 案されていまして、こういった部分は、いわゆる社会学、哲学的な領域の専門家が提案してい るさまざまなツールを使って、私どもはやるわけです。  ですから、今から全部をどうのというのではないですけれども、今、見たところで、高木先 生の分担部分において、特に医療現場ですね。例を挙げますと、医師が当時フィブリノゲンを 普通に使って当たり前と思った主観的意味世界が、それぞれあったわけです。その意味世界が どのように構築されたかということを見る。  それから、患者は患者でそこでどのような情報提供をされたかという、患者側の意味世界が あるわけですね。これがそろって、当時の現場が現象として存在する。これがどのような要因 によって形成されたかということを分析する。こういう手法は、やはり存在論ではなく、意味 論と言われるものだと思うんです。  高木先生も、勿論専門はエンピリカル・サイエンス中心の先生のようですけれども、やはり そういったことに対して、足場があれば可能とも思いますが、やはり研究協力者として、そう いった概念ツールに長けた先生を、当事者本人が入ってもいいですけれども、当事者が推薦す るとか、そういった形でうまく入れ込むと、いわゆる客観的な実態があったことを前提だけに やると、実は薬害の調査というのはうまくいかないというのは、私は12年間真相究明でやっ ていまして、いろんな領域の先生の専門領域のツールを使ってやっていた経験がありますので、 それぞれの特質とか、いい点、悪い点があるんです。ここで見ると、やはりどうしても存在論 に偏っていると見えますので、やはり医療現場の意味論というか、わかりにくいかもしれませ んけれども、そういうことを明らかにするには、やはりもう一人ぐらい、だれかそのへんに長 けた方がおられた方がいいように思ってしまいました。  ただ、100万円と聞いて、多いか少ないかとおっしゃられていましたけれども、これは相当 少ないと思いますね。むしろ総研の方がそれだけ取っているのであれば、そういう人材を輩出 してくれるのであればいいんですが、そうでなければ、ちょっと高いぞと言っていいと思いま す。平場で言う話ではないのかもしれませんが、そう思いました。  以上です。 ○寺野座長 わかりました。入り口のところで時間をとってしまって、中身がなくなってしまう と非常に困るのですが、どうしてもということがあれば、どうぞ。 ○堀内委員 ちょっとよろしいですか。  お気持ちは大変よくわかるんですが、最初にこの班会議を立ち上げるときに、できるだけ客 観的にというお話をして、客観的とは何ぞやという議論もありました。ただ、我々はできるだ け、確かに患者の方々のお気持ちは、十分にわかっているつもりですけれども、できるだけサ イエンティフィックにやりたい。サイエンティフィックというのは、再発を防止する。なぜこ ういうことが起こったのか、先ほどもお話がありましたけれども、それを明らかにして、再発 を防止するために何が必要かということを明確にするというのが、我々の第一義的な課題だろ うと思って、このような人選をいたしました。  その中で、今のお話や御質問の中でも、意見の中でも、どういう状態に患者が置かれていた かということについて、検討項目に入れるべきであるというのは、全くそのとおりだと思いま す。今、検討項目については、検討しておりますけれども、どんどん入れると、お金がとても 足りなくなるというのもまた事実でありまして、野村総研も社内ルールがありますので、その 中での人のやりくりということで、実はこれでも足りないというぐらいのお話を伺っておりま して、そういう面で我々が少ない金額で我慢をしているという点もあるわけで、実際上は、膨 大な資料を読みながら検討しているわけで、各人、多大な時間を使っているわけですので、そ の辺は御理解をいただければと思っております。これはきっと、私だけでは解決できる問題で はありません。 ○泉委員 今のサイエンティフィック的にやりたいという堀内先生のお話は、よくわかります。 しかしながら、これは事件として起きたのであって、私たちは、なぜこれが起きたのかという 社会性のところをどうしても知りたいんです。そのためには、この薬害肝炎だけの問題ではな くて、これまで国、行政の中で行われてきた裁判、例えば先ほど花井委員からありました薬害 エイズの問題、あとは、最高裁で出た薬害クロロキン菌訴訟の問題で、どういう話が出たのか。 特に薬事法では、こういう問題があるから、こういうふうにしないといけないよという指針が 出ているわけですね。そうすると、それを基に、この薬害肝炎を新たなサイエンティフィック な見方だけではなくて、今まであった、構築された上で、こういう注意があったということを 前提に考えたら、社会性のところはやはりやっていかなければいけないと思います。  そして、その中で具体的に言えば、私としては、なぜこのような使われた方をしたかという のを、検証として実際的にインタビューしてもらいたい。それが1つ。 ○堀内委員 今のお話は、まだたくさんあるかもしれませんが、時間がもったいないと思います のであれですけれども、なぜ起こったのかとか、違う薬害のことを細かく突っ込んでいくと、 とても時間がありませんので、それとの関連のことについては、十分やりたいと思っておりま すし。 ○泉委員 私はそのことを言っているのではないです。薬事法でいえば、56条のこの項目を注 意してやりなさいということを裁判の判例というか、エイズのときも和解の勧告に出ているわ けですよ。そういうことを前提にすれば、どういう観点を見なければいけないかというのは、 大体見えてくると思うんです。なぜこの薬が、製薬企業も厚労省も認識していたけれども、こ ういう売られ方をしたかという大熊先生の。 ○堀内委員 そういうことを検討しようと思っております。 ○泉委員 そうですね。  それともう一つは、厚生労働省にお願いしたいんですけれども、当時の輸入製剤がどのぐら いの数字であったかを省内の方から提出してもらいたいと思います。  この2点をお願いします。 ○堀内委員 今日はお出しできなかったんですが、各項目について、検証項目をこの前出しまし た。今回は出してありませんけれども、前の中には入っていると思います。その検証項目につ いて、もう一回、そのたびごとに出して、どう変わってきたかというのは、次回からきちんと 出したいと思います。その中で、今のようなお話が抜けていたら、それは具体的に出していた だければと思います。 ○泉委員 そうしたら、この間、横に書くという話がありましたけれども、WHOの方で1963 年ぐらいから、このフィブリノゲンに関しても出しています。ですから、それも一緒に出して いただけませんか。 ○堀内委員 細かい話はちょっと時間がありませんので、そういうのはどんどん出していただけ れば、外国の情報もできるだけ収集しております。 ○寺野座長 どうぞ。 ○厚生労働大臣 済みません、中座しないといけないので。  入り口なんですけれども、大事な話であったと思います。堀内先生の方で、研究費が高いか 安いかは別として、限られた予算でいろいろ御無理をお願いしていますので、ひとつよろしく お願いします。  それから、花井さんや坂田さん、泉さんがおっしゃったことを含めて、やはり私もそういう 社会学的なというか、社会論的なものは非常に大事だなと思います。サイエンスといって逃げ るといったらお医者さんに怒られるけれども、そうではなくて、つまり、私などもいろいろ興 味があるから、産婦人科などのあれを読んでいて、フィブリノゲンを使うのは当たり前だった とぱっと書いてあるわけですよ。その頭でいって、何で止血するのに、この一番いい止血剤を 使わないのかときてしまうんだけれども、そこの社会学的な意味みたいなことをおっしゃって いるんだろうと思いますから、個々に必要に応じて、研究協力者に随時依頼するということで、 私がいっぱいお金を取ってこられると、もっとできるんでしょうけれども、できる限り、省内 にある資料とかは、協力して出して、こういうことの解明に役立つことは、全省を上げて協力 したいと思いますし、また、堀内先生にもいろいろ御苦労をかけますけれども、こういうとこ ろを改善してくれというのが研究班の方であったら、また議論をしたいと思いますので、中座 をいたしますけれども、引き続きよろしくお願いいたします。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。 ○堀内委員 是非、研究費をもう少し出していただいて、たくさんの班員を選んでいきたいと思 います。 ○厚生労働大臣 頑張ってやります。 (厚生労働大臣退室) ○寺野座長 慌しいことですが、今のお話は非常に大事で、今日も実は正規の議題の中で、後で お話ししていただく予定でしたけれども、今、お話しいただきました。研究費の問題、あとの 研究協力者の問題という問題は、当然あると思いますね。研究費の問題は、出してくれるのか どうかわからないですけれども、今、話を聞いたから、必要なら少し増やしてくれるのかもし れないですが、それは行政にお願いして、社会学的な研究云々という問題は、非常に重要だと いうことを皆さん認識されていると思いますし、堀内委員もその点は御了解いただいているの で、研究協力者をどういう形で選ぶかということで、今後やっていただくということにしたい と思います。  それと、またいろんな意見がこれに関してあると思いますので、後ほどアナウンスしますけ れども、ファックスでもメールでもいいですから、御意見を出していただくということを期待 しておりますので、よろしくお願いします。  それでは、予定の議事に入らなくてはいけないんですけれども、最初に、前回時間が押しま して、足りなくなって、今回に延期した検証2というのがございます。これは製剤の使用実態、 感染の実態などというもの。  もう一つ、後半は検証6として、制度改正の経緯などを議題として、御意見をいただく予定 になっております。  前回の会議で、本委員会の今後の進め方等について質問、意見がございました。その意見に 対応するということで、事務局の方で整理しておりますので、どういう形で今からやっていく のかということを説明していただくということです。  研究班の部分は、今、堀内委員から御説明がありましたので、まず、事務局の方から御説明 をいただきたいと思います。 ○医薬品副作用被害対策室長 それでは、資料1につきまして、御説明したいと思います。  「本委員会と研究班における今後の進め方について」ということで、1ページをめくってい ただきますと、その流れ図が書いてございます。  これは事務局で勝手に決めるという話では勿論ございませんので、前回、どうなるんだとい う意見等がありましたので、一応こういうことではないかという案として、御議論いただけれ ばと思っております。  この流れ図でありますけれども、第1回の会議のときに、事務局から事件の検証については、 研究班で資料の収集、整理等の作業を行って、秋以降、この委員会で順次議論を行って、それ を踏まえて、研究班で更に調査研究を進めて、研究班としての報告書をまとめる。そして、こ の委員会の方では、事件の検証を踏まえた再発防止のための医薬品行政の在り方について、今 年度末を目途に提言を行っていただきたいということをお願いしたところでございます。これ は第1回のときに、そういった御説明をいたしました。  再発防止のための取組みにつきましては、提言をいただいて、この流れ図でいうと下になり ますけれども、流れとしては、中間まとめというのは7月の末にあったわけですが、今年度末 を目途に提言をいただいて、いただいた提言を基に可能なものについては、私どもとしまして は、21年度当初から、また予算措置等が必要なものについては、その具体化に向けた作業に も着手をしていきたいと思いますので、この委員会の提言につきましては、是非今年度中を目 途にとりまとめをしていただきたいと思っているところでございます。  ただ、一方で、前回の会議の中で、外国の例などを見ても、事件の検証というのは1年では とても難しく、ある程度の時間はかかるのではないかという意見がありましたほか、検証がす べて終わらなくても、そこの中から抽出された論点に対応をして、再発防止策について議論を して、提言を行うということは、やり方では可能ではないかという御意見もいただいたところ です。  こういった御意見を踏まえて考えた案ということでありますけれども、検証についての本委 員会の審議については、真ん中に矢印が上下に付いたものがございますが、事件全体の中から、 再発防止策の検討をするに当たって、問題となりそうなポイントを抽出して、提示をしていく ということで、今回も準備みたいなものですけれども、次回、その次回、その次の回には、そ ういった議論の進め方で効率的な議論を行っていただけるようにしたいと、研究班の方とも調 整をしていきたいと思っております。  一方で、研究班の方では、今年度中に検証作業全体を一通り終わらせるべく、鋭意作業を行 っていただいて、今年度の検証作業についての報告書をまとめていただくということは、今年 度の事業として大事なポイントであるんですけれども、ただ、やっていくうちに、どんどんこ れも必要、これも必要と大分出たりしていますが、そういったものをやっていきます中で、今 年度中に全部終わるかどうかというところが正直ございます。今年度末時点での進捗状況を踏 まえて、ぎりぎりまでいってからどうするか決めるというふうにはならないようにしたいと思 いますけれども、その後の継続的な検証作業の方法をどうするかということについても、検討 をすることにしたいということで、この流れ図で、年度末のところで研究班としての報告書作 成というのが終わった後、後ろにまで点々の余韻を若干残しておりますのは、そういった趣旨 でございます。  その際に、ではこの委員会の方は、提言を出した後どうするのかというところが、また話と してはありますけれども、そこはまた、そのタイミングで、この先どうしていくのかという検 討が必要になってくるのではなかろうかと思っているところでございます。  この関係で、本日、水口委員から、最終報告書というか、研究班の報告書自体をこの委員会 で議論できる討議をということもございますので、ここもどういった形でできるか、また考え ていく必要があると思いますけれども、問題意識としては、当然承れるべき話だと思っており ます。  2ページ目は、前回、この委員会の提言というのはどんなものになるのか。結論はまだ先取 りできないんだけれども、目次レベルでもという意見がございました。そういったものを横に 置いて議論もできればということでございましたので、これもかなりたたき台ということであ りますけれども、簡単に御説明いたします。  まず、1.で、薬害肝炎事件の経過及び再発防止策の観点から抽出される問題点ということ で、(1)で事件の検証ということで、事件の経過を、そのポイントを抜粋する形になろうか と思っています。その問題点として、どのようなものがあるかということのポイントを抜粋し ていく。  事件の検証の詳細は、研究班の報告が別にあるということで、そのポイントを再発防止の観 点から抽出したものだという形で経過を上げる。  それを踏まえて、こういった対策が必要であるということを(2)で一度整理をし、一方で、 2.で、これまでの薬事行政等の制度改正経過等ということで、ここから先、整理の仕方の話 になりますけれども、これまでどういう制度改正があって、そうすると現状、薬害肝炎事件の 経過の中から抽出される論点に対して、現状更に何が必要か。あるいはほかの事件から考えら れる論点は何かないかといったことで、現状を整理する。  そうすると、3.で、薬害の再発防止のための医薬品行政のあり方等ということで、医薬品 行政、医療行政の取組むべき事項、あるいは企業の取り組むべき事項、医療従事者や患者・国 民の取組み、そして医薬品行政のあり方。ここも整理の仕方ですから、御意見をいただければ と思いますけれども、こういうことを整理した提言ということになるのではないだろうかと、 勝手ながら書かせていただきました。  以上でございます。 ○寺野座長 今、事務局から、今後のこの委員会の進め方についてはっきりしようという質問が ございましたので、今、概略を説明していただきました。  これについては、いろいろ御議論があると思うんですね。実際に検証作業等、再発防止のた めの提言というものとの関連は、夏以前にも議論いたしましたけれども、この検証作業に基づ いて、どういう提言ができるのか。しかも、前回は、今年度中にまとめるということでいいの かということで、もうちょっとやる必要があるのではないかという意見も出ました。  ただ、今、説明がありましたように、21年度からできるものは、どんどん実施していきた い、実行していきたい。この間、予算も要求しておりますし、そういう事情がございますので、 どういうことができるのかという提言は、やはり今年度中に出さなければいけないだろうと思 います。ただ、研究班としても、あるいは委員会としても、まだまだやるべきことは残る可能 性は十分あります。今の議論を聞いていても、十分ありますから、それはその後の、そこにあ る点線のところになると思います。これはおいおい、皆さんの御意見をいただいて、進めてい きたいと思っています。  あと、実際にどういう提言をするのかということは、小野委員からの御質問だったかと思う んですけれども、大体こういう形ではないかという概略を説明されましたが、これはまだ非常 にフレキシブルというか、まだまだざっとしたものでございますので、ここの細かいことを議 論していてもしようがないので、全体の流れとして、大きな観点で何かおかしいのではないか とか、こうしたらどうかという御意見がありましたら、2、3お聞きしたいと思います。  坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 資料1と資料2に関わることです。  資料1の1ページの検証作業のところに「研究班が、委員会に議論の素材を提供」と書いて ありますが、資料2がその素材になると思うんです。私は素人なので、この素材で、私たちの 肝炎拡大の実態をすべてとらえることはとても難しいです。  実際、資料も先週の金曜日の6時に自宅に届きました。西暦で書いてあったり、また昭和、 平成で書いてあったり、目次が書いていなかったりとかで、もうちょっとやさしい資料という か、もし金曜日に届いた時点でできなければ、今日ここに置いてある資料をもっと見やすくと いうか、やさしい資料にしていただけないかと思います。  そして、難しいから、もう少し資料を整理したもの、たたき台をいただけないかなと思いま す。そうしたら、とても議論しやすいと思います。例えば肝炎の発生率なんですけれども、企 業はアンケート調査を基に、静脈注射で4.6%としています。しかし一方、原告団の被害実態 では、45.6%となっています。そういった発生率を比較するようなものをまとめていただけれ ばと思います。  ちなみに私の実体験ですけれども、私が加熱製剤のフィブリノゲン投与を受けた病院では、 昭和62年7月〜昭和62年12月の6か月間で、今日来られていますけれども、原告団団長の 山口さん、出田さん、私を含めた9人の被害者が出ております。その感染率は100%と聞いて おります。   話を元に戻しますけれども、資料1についてです。  提言のイメージで、主体別とか、事項別とかいった二者択一ではなく、いわゆる合体型でな いと、物はとても見えにくいと思います。  以上です。 ○寺野座長 ただいまの御意見は、事務局の方でも了解してください。  そのほか、御意見ございますか。水口委員、どうぞ。 ○水口委員 先ほど、研究班報告書作成作業とこちらの提言の関係は御説明がありましたので、 今後、継続して、また討議していくということでいいと思います。私としては、研究班報告 書がもし年度内に出るのであれば、提言は提言としてまとめて、21年度から実施できること はしていくということに異論はありませんが、引き続き、さらに深まった検証が出るのであ れば、その検証を基に、さらに引き続いて、第2、第3の提言があってもいいと思います。 その辺はフレキシブルに考えていただきたいと思います。  いずれにしても、この検討会に、やはり報告書が出て、みなでその報告書を吟味しながら、 また次の検討をするという過程は保障していただきたいなと思っております。 ○寺野座長 御理解ありがとうございます。そういうことになると思うんです。実際、その後の さらなる検討が必要かどうかは、また各委員の皆さんの御意見を聞きながら、決めていきたい と思います。  提言はともかく、今年度いっぱいにまとめるという基本的な方針は、御了解いただきたいと 思います。 ○水口委員 まとめるのは結構ですが、報告書の最終のものが延びるのであれば、こちらもやは り延ばしていただきたいと思います。あるいは第2弾の提言ができる機会をやはり設けていた だきたいということです。 ○寺野座長 堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 ここに出ている資料は既存の資料ですけれども、それ以外の資料を極力今、集めて いる最中でありまして、検証ごとに分担をしておりますので、並行して検証を始めております。  ただ、すべてが今年度中にできるかどうか、なかなか難しい問題もありますので、必ずしも 最終報告書という形では、年度末には難しいと思います。できるだけのところまではやりたい と思いますけれども、専任でやっているわけではありませんし、先ほどからお話がありました ように、なかなか難しい資料が多いと思いますので、その辺をどう判断するかというところが あります。  ですから、中間段階でもそれをここへお出しして、議論をしていただくという形にはしたい と思いまして、ですから、次回からは、その一部を出させていただきますが、検証は幾つもあ りますから、それを一度にばっと出すわけにはいきませんので、だんだん順番に出して、議論 をしていただきたいと考えております。 ○寺野座長 ありがとうございます。  それでは、時間が大分過ぎてきましたので、また御意見がありまして、こういう方向で進め たらいかがかとか、提言の目次と内容についてもこうしたらいいのではないかという御意見が ありましたら、またファックスなり、メールなり、事務局の方にお知らせいただければ、十分 くみ上げることはできると思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、検証2、製剤の使用実態、感染の実態等々を議題としたいと思います。  まず、研究班で準備いただいた資料につきましては、野村総研から概略の説明、そして堀内 委員から補足をいただいた後に、厚労省から説明を行っていただきます。そして、一括して、 質疑応答をしたいと思いますので、御協力をお願いします。  討議の時間をできるだけ取りたいと思いますので、説明は簡潔にお願いしたいと思います。  では最初に、研究班について、野村総研の星野研究員、お願いします。 ○野村総研研究員 それでは、実態を把握するための入手済み資料の概要につきまして、私の方 から御説明させていただきます。資料2の1ページをごらんください。  ここに実態把握を行う際に参考となる入手済み資料をお示しいたします。ここにお示しいた します8つの資料を主に参考としながら、これから検証を行ってまいりたいと考えております。 なお、これらの資料のうち、3つの■の資料に関しましては、資料2に添付されております。 また、●の資料に関しましては、厚生労働省の資料として提示しております。  それでは、ここに示しました資料の概要を御説明いたします。2ページをごらんください。  まず、ウェルファイド社及び三菱ウェルファーマ社が厚生労働省に提出した報告書について でございます。これは資料2の参考資料(1)として添付してある資料でございます。  これは厚生労働大臣命令を受けて、複数回にわたり提出された報告書で、製造量や販売量、 フィブリノゲン製剤の使用対象疾患や肝炎発症率の推定等の調査が記載されております。  次に、薬害肝炎全国原告団、弁護団の被害実態調査に関する報告書及び薬害肝炎の被害実態 についてでございます。  被害実態調査に関する報告書は、薬害肝炎全国原告団の団員を対象としたアンケート調査で あり、製剤の使用実態及び肝炎感染者数、現在の病状等が記載されております。  また、資料2には記載しておりませんが、感染による差別の実態や、投与時の告知状況等に ついても記載されております。  薬害肝炎の被害実態は、フィブリノゲン製剤の使用実態及びフィブリノゲン製剤による肝炎 感染者数や肝炎発症率の推定がなされております。また、第IX因子製剤に関しましても、肝炎 感染者数が推定されております。  続きまして、非加熱血液凝固因子製剤を使用した血友病以外の患者における肝炎ウイルス感 染に関する調査研究報告書についてでございます。これは資料2の参考資料(3)として添付して あります。  この資料は、クリスマシン及びPPSB−ニチヤク等を含む輸入非加熱血液凝固因子を投与 された可能性がある非血友病患者に対する調査であり、その患者の投与原因となった原因疾患 やC型肝炎ウイルス感染検査の陽性率等が記載されています。  一方、資料2に添付してある資料は、以上の3資料でございます。  続いて、資料2の3ページをごらんください。  フィブリノゲン製剤の納入先医療機関に関する調査についてでございます。これはフィブリ ノゲン製剤が納入された医療機関に関する調査で、対象患者数や年代別投与患者数が記載され ております。  また、血液凝固因子の納入先医療機関の調査についてでございますが、この資料には、クリ スマシン及びPPSB−ニチヤクを含む28の対象製剤の投与状況及び年代別の投与者数等が 記載されております。  ここの3ページに示しております2資料に関しましては、現在も回答を回収しておりまして、 2週間置きに調査結果が更新されております。  最後に4ページをごらんください。  フィブリノゲン納入医療機関における投与の記録保存の実態に関する研究についてでござ います。この研究は、フィブリノゲン製剤が投与されたことが判明している施設を対象とした 研究であり、投与経路ごとの人数や肝炎ウイルスの感染状況等について記載されております。  続いて、フィブリノゲン製剤投与後の418例の肝炎等発症患者の症状等に関する調査検討会 調査報告書に関してであります。この資料は、418例の肝炎等発症患者のうち、田辺三菱製薬 及び医療機関等を通じて、製剤投与の事実のお知らせ等ができた方を対象とした調査であり、 肝炎ウイルス感染状況や現在の病状、またウイルス感染や製剤投与の認知時期等についても記 載されております。  最後に、企業、医薬食品局が保有していた血漿分画製剤とウイルス性肝炎症例等に関する調 査についてでございます。この調査は、血漿分画製剤を製造販売する企業に対しての調査で、 血友病以外の患者へ血漿分画製剤を投与していたところ、ウイルス性肝炎、またはその可能性 があった症例を企業に報告させ、まとめた資料でございます。  以上が、実態調査に関する入手済み資料の御説明でございます。今後は、これらの資料を用 いながら、実態を検証していく予定でございます。 ○寺野座長 堀内委員、補足ありますか。 ○堀内委員 今の御説明の最後のところの、今後これを用いてということで、これは基礎資料と いうことでございます。ですから、足りないところは現在も調べておりまして、全体として、 この中から何が言えるかということをきちんと検証していくということでございます。細かい、 どんな形でまとめるかということは、次回提案をさせていただきたいと思いますので、個々に いろいろ出していただいても、大抵そういうものは検証項目の中に入っていると思いますので、 次回それを見ていただいて、それからやっていただかないと、また時間がなくなってしまうだ ろうと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 次に厚労省の説明です。資料3に基づいて、林血液対策企画官、御説明をお願いい たします。 ○血液対策企画官 血液対策課の林と申します。よろしくお願いいたします。  資料3とその参考資料でございますけれども、事前に委員の先生方にお送りしたものから、 一部アップデートしたものをお配りしておりますので、そちらをごらんいただきたいと思いま す。  厚生労働省では、フィブリノゲン製剤、凝固因子製剤の投与を受けられた方々に、可能な限 り投与の事実をお知らせして、一日も早く検査を受けていただけるよう、取り組んできており ますが、本日はその全体像を御理解いただけるよう、改めてこれまでの公表資料を整理して、 用意させていただいております。  資料3の参考資料がそれでございます。内容が多岐にわたり、時間も限られておりますので、 説明は主として、資料3の6ページの資料3の方を用いて、ポイントのみ御説明したいと思い ます。  資料3の1ページの1.でございますけれども、本年1月、厚生労働省のホームページや新 聞折込広告を通じまして、フィブリノゲン製剤の納入先医療機関と非加熱の血液凝固因子製剤 を血友病以外の患者に投与した可能性のある医療機関のリストを公表いたしまして、広く肝炎 ウイルス検査の受診の呼びかけをしております。  また、7月には非加熱及び一部の加熱処理した凝固因子製剤も加えまして、血友病以外の患 者さんに投与された可能性のある医療機関のリストを公表して、再度、検査受診の呼びかけを 行いました。  次に、2.でございます。医療機関を通じて、製剤投与の事実が判明した方々に、可能な限 り投与事実をお知らせして、検査の受診を勧めております。フィブリノゲンにつきましては、 昨年11月、凝固因子製剤については本年2月に、納入先医療機関に対しまして、投与の事実 が判明した方々へのお知らせと、検査の受診勧告を依頼しております。  それから、フィブリノゲン製剤、凝固因子製剤のそれぞれについて、医療機関からの回答の 集計状況を公表いたしまして、2週間ごとに更新しております。資料3の1ページの下と2ペ ージの上の表に、それぞれ直近のお知らせの状況をお示ししております。  次に、2ページの表の下でございます。8月25日に、元患者の方々へのお知らせを更に進 めることを目的といたしまして、フィブリノゲン製剤の投与が判明した医療機関に対して、そ の後のお知らせ状況についてのより詳細な追加調査を行っております。  また、今月16日からは、これまでの書面による調査に加えまして、国立病院への訪問によ る調査も開始しております。  次に、3.でございます。投与事実のお知らせ等の依頼と併せまして、医療機関ごとにカル テ等、このカルテ等と申しますのは、カルテ以外にも手術記録、分娩記録、処方せん、輸液せ ん、注射指示せん、レセプトの写し等の記録類の保管状況の調査と、もしそれらの記録類が残 っている場合には、当分の間、それを保管してくださいということを医療機関に依頼しており ます。  この調査結果は、厚労省のホームページ上で公表いたしております。  その下、4.でございます。感染被害者の方々の早期一律救済の要請に応えるために、特別 措置法が議員立法されまして、今年1月16日から施行されたことを受けまして、法に基づく 給付金支給の仕組みにつきまして、厚労省のホームページにリーフレットやQ&Aを掲載して いるほか、先ほどの投与事実のお知らせ等の依頼や、後ほど出てまいります418例の方々の症 例一覧に関する取組み等を通じて、医療機関に対して、投与の事実が判明した方に給付金の仕 組みについても周知するようにお願いしております。  更に、氏名がわかっても、転居先の住所が不明等の理由で、元患者の方に対してお知らせで きないケースがあるということがございましたので、3ページの頭でございますけれども、本 年5月30日に、そういう場合であっても、各市区町村の住民票窓口に申し出ていただければ、 対応可能なケースもあるということを医療機関に情報提供いたしております。  次に5.でございます。19年度及び20年度の厚生労働科学研究で、国衛研の山口部長を主 任研究者といたしまして、フィブリノゲン及び凝固因子製剤を投与された方々の感染実態等を より詳細に調べるための調査研究事業を実施いたしております。  19年度は、フィブリノゲン製剤について、2月末時点で対象となる644施設のうち、476施 設から回答を得て、報告書が作成・公表されております。  20年度は、フィブリノゲン製剤に加えまして、凝固因子製剤の投与が判明した医療機関に ついても、肝炎ウイルスへの感染実態や死因等を含めた調査を実施することといたしておりま す。  6.でございます。フィブリノゲン以外のすべての血漿分画製剤に関しまして、昨年11月 の段階で製剤の投与を受けて、ウイルス性肝炎かその可能性のあった症例のうち、血友病の症 例を除いたものを企業から提出してもらい、整理した結果を今年4月30日に公表しておりま す。  また、特定製剤の投与や特定製剤以外の血漿分画製剤の投与を受けて、ウイルス性肝炎かそ の可能性があったとして医療機関から報告を受けて、局内に保有していたものから、患者さん の特定につながる可能性のある情報を含むものも整理して、同時に公表しております。  4ページの頭にございますように、これらの方々に対しても、企業や医療機関を通じて、告 知や受診勧奨を行っております。  次に、7.でございます。2002年に、当時の三菱ウェルファーマ社から厚労省に対して提 出された、いわゆる418名の症例一覧表に記載のあった方々へのお知らせですが、昨年10月 に、投与事実のお知らせと肝炎ウイルス検査の受診勧奨を行うことについて、この一覧表の提 出がございました2002年当時から思いを致すべきでなかったかという御批判を受けるという ことがございました。  そこで昨年10月から、418名の方々に対しまして、可能な限り投与事実をお知らせし、検 査の受診を勧めております。  更に、418名の方々の実態把握とお知らせ等がなかったことによる医学的影響等について分 析するため、調査検討会を設けて、伊藤厚生労働大臣政務官参加の下、昨年11月から調査・ 分析を行い、6月27日に調査報告書が公表されております。  更に9月30日までに、新たに9通の回答がございましたことから、それも含めた分析が行 われまして、本日付で改めて調査報告書がとりまとめられております。本日お配りした資料に は、この新しい調査報告書が追加されております。  調査報告書の概要は、その下の2)のとおりでございます。全部で111人の方から回答がご ざいまして、性別では女性、年齢では50代、40代が多いという結果でございました。  その下、現在または死亡時にC型肝炎ウイルスに感染している可能性が高いと回答のあった 方は66人。これは資料5ページの中ほどに図がございますけれども、その※3持続感染中と いう部分がありますが、そこの66人の方々がウイルスに感染している可能性が高いと回答の あった方々でございます。  一方、現在または死亡時にウイルスに感染していない可能性が高い方は38人。これはこの 図の右上の黒くなっている部分でございます。  また、図の欄外の*にございますように、死亡者が19名いらっしゃいましたけれども、そ の中でC型肝炎に関連する疾患で死亡された方は3人でございました。  その下の○でございますけれども、医療機関のフォローを受けている方の割合が高かったと いうことでございます。  6ページの(3)にございますように、回答のあった111名全員の症例分析を行いましたと ころ、2002年当時にお知らせ等がなかったことによる治療への影響は、情報がなく判断でき ない1名の方を除きまして、100名は治療開始時の遅れの可能性がないか少ないと考えられる が、1名の方は開始時期の遅れの可能性が否定できない結果であったとされております。  私からの説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 ありがとうございました。野村総研の報告並びに堀内委員からの補足、ただいま厚 労省からの説明がございましたけれども、この検証につきまして、皆さんの御意見をいただき たいと思います。  実際、製剤の使用実態とか、感染被害の実態等を報告いただきまして、この事件検証の上で、 あるいは今後の役割の再発防止に関して、どのような問題点や教訓がこの中に含まれているの か、考えられるのかということは、それぞれ委員の皆さんから御意見をいただきたいと思って おります。時間は限られておりまして、これが長くなると、また次の議題が次回に延びてしま いますので、時間的には、多分15分程度になると思いますけれども、皆さんの簡潔な御質問、 御意見をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。  清水委員、どうぞ。 ○清水委員 清水ですが、特に厚労省の報告は、調べた範囲内ではこれでよろしいのですが、当 然、研究班としても検討すると思うんですが、一体どのぐらいの母数なのか。どのぐらいの人 がフィブリノゲンなりを受けていたのか。時間の関係で、私は資料2の(1)にしか目を通せなか ったんですが、今、坂田委員からありましたように、随分このデータは錯綜している部分があ りまして、ちょっと読んだだけではなかなか理解できないということがあります。とりあえず は推定でもいいでしょうが、いずれ最終的にはきちんとしたある程度のデータを出していただ けるとは思ってはいるんですけれども、そういう検討は、今、提示されているような資料の中 から可能なのかどうなのか。更に追加する資料が必要なのかどうなのか。その辺について、現 時点でまだ検討中なら、それでも結構ですが、もし何かあれば、概略的な話もお聞かせいただ ければと思います。 ○寺野座長 堀内委員か野村総研、いかがでしょうか。 ○堀内委員 正確な数というとあれですけれども、概略は、この間、これはメーカー側の資料で すと、はっきりしたところから、あとのデータで議論をされておりますので、その前が余りき ちんとしたデータが出ておりませんが、トータルすると120万本ぐらいでしたか、かなりの多 い数になっています。そこは正確ではありませんので、そこは今、御容赦いただきたいのです が、それで一人当たり1.2本とか1.5、1.6本使われているということからしますと、投与数 というのは、本当は実際にこの検証の中でやりますので、そこで議論をしていただいた方がい いと思いますけれども、数十万人の人に使われているということになると思います。  その後、どのぐらい感染しているかというのが、議論のあるところですので、それはデータ に基づいて、今、ここでやっても、余り科学的ではありませんので、いろんな考え方があると 思いますので、それを出して、御議論をしていただければと思いますので、できれば後にして いただければと思います。 ○清水委員 追加でいいですか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○清水委員 資料2の(1)のウェルファーマから出された資料ですが、これだけでは、もうちょっ とわかりやすく整理をしてもらうことによって、ある程度の概略、非加熱の場合、加熱の場合、 SD処理をした場合と、一応3期に分けられると思うんですが、そのような区別だけでも、と りあえずは母数的な意味から見て、データの整理をしていただければ、ある程度概略的な感染 率と感染しているというのがわかるのではないかなということです。 ○寺野座長 そうですね。水口委員、どうぞ。 ○水口委員 私、今日は時間の節約のために、意見書を出させていただいて、今日の配付資料の 一番後ろに配付されておりますので、ご覧いただければと思います。  今の投与患者数の問題は、今回配られたいろいろな研究報告があって、それぞれ数に推定計 算や推定投与患者数の食い違いがあるわけです。被害発生から時間が経ってしまうと、その実 態を割り出すことが非常に難しいということ自体が非常に大きなこの事件の教訓だと思うん です。  肝炎のこの事件から、早期に実態把握するということの重要性の1つの教訓として出ている と思うんですが、もう一つ、では、早くわかれば現状で累積投与患者数が、現在のシステムで もわかっているようになっているのかということも、やはり大きな問題提起として、この会議 では受け止めなければならないだろうと思っています。  最近承認された抗がん剤で、2004年に推計計算で8万6,000人と言われた累計投与患者数 が、2005年には4万8,000人に推計計算が変わってしまった。世界で最初に承認されたイレ ッサという抗がん剤ですけれども、その累積使用患者数がわからないという現実があるわけで す。全例調査をしない限り、使用患者数の実態がわからないという現実は今もあるということ で、この肝炎が提起している問題を今後の教訓として、現在の問題にも結び付けて、使用患者 数をリアルタイムで把握できるようなシステム構築が課題であるということを、この報告書は、 物語っているのではないかということを申し上げたいと思います。  あとは、先ほど厚生労働省が平成19年度になってから、いろいろな医療機関公表をしたと いうことについてお話しになったわけですけれども、私はむしろ、この検証会議で意味がある ことは、厚生労働省がそういう医療機関公表に踏み切るまでの経過だと思います。これは厚生 労働省からは御報告がなかったのは、私はとても残念なのですが、実際は自発的に医療機関名 を公表されたわけではなくて、情報公開請求があって、それに対して開示を拒否されて、そし て、その異議申立ての手続で内閣府の情報公開審査会から、「国民の生命、健康、保護のため に公にする必要がある」という答申が出て、初めて医療機関名公表に踏み切っているわけです ね。再発防止という観点からいえば、平成19年度以降に現実にどういう公表をおやりになっ たかというよりは、そこに至る経過で何があったのかということの方がよほど重要で、ここは やはり検証の課題の中にきちんと位置づけていただければと思っております。  先ほど、社会的な観点からの差別等について、検証項目に加えることを検討していただいて いるということは、堀内先生におっしゃっていただきましたので、それは是非お願いしたいと 思います。 ○寺野座長 ありがとうございました。水口委員からは、意見書を出していただいておりますの で、参考にしてください。  そのほか、ございますか。清水先生、どうぞ。 ○清水委員 なぜ母数をということを申し上げたかということを明確にしておいた方がいいか と思うんですが、いろいろホームページ等を使って、周知を図っていても、母数がある程度推 定できませんと、通知をした対象から漏れてしまっている人が何人かいるのではないかという ことなんです。  ですから、そういう人たちにどうやってアプローチをして、周知を図っていくのかという問 題につながっていくという観点において、非常に大事なポイントではないかということを申し 上げたかったということです。 ○寺野座長 ありがとうございます。そのほか、御意見どうぞ。  椿委員、どうぞ。 ○椿委員 今回の被害の実態調査におきまして、資料2の参考資料(1)でウェルファーマが出して いるものを見ますと、ロットを中心に調べていらっしゃいますね。つまり、事の性質上ロット が危険であれば、それが非常に高い発症率を示すということは明らかなわけで、ウェルファー マなりミドリ十字が出してきたロットの中にそもそもどれぐらい危険なものがあったか。つま り、そのロットが使われた施設においては、相当な確率で発症せざるを得ない状況が残念なが ら起きたのではないかと思うので、恐らく製薬会社さんの方はそういう物の見方をしていたか ら、こういうものが出てきているのではないかという印象があるんです。ですから、本来の原 因系で調べられるような形にして、全体の患者さんの調査、割とそういうところが重要ではな いかという印象を持ちました。  それから、研究班の調査を見ますと、いわゆるリスク比が13、14という、普通からいうと 非常に高い値が出ているということ自体、勿論、今みたいなロット性があるので、どういうサ ンプリングをしているかということにもよりますけれども、かなり事が重大ではないかという 印象があります。この辺に関しては、堀内先生の方で、またいろいろお調べになっていただけ ればと思います。  今回の資料を見て、今の被害の実態調査とは違う視点なんですけれども、資料2の参考資料 (1)の付属書の中には、薬剤会社さんがどう対応したか。後天性低フィブリノゲン血症の中では、 もう既に再評価における試験はあきらめてということが、かなり早い段階で意思決定されてい る文言が見てとれたわけですけれども、そこからの解決というのはかなり時間が経ってしまっ ていたのではないかという印象があります。実態調査とは違う視点かもしれませんけれども、 本来どの段階でそういうことを既に当事者が認識していたかということについても、一応、御 確認いただければと思いました。 ○寺野座長 ありがとうございました。  堀内委員、そういうことでよろしいでしょうか。 ○堀内委員 貴重な御指摘だと思います。この辺については、当然やりたいと思っているところ です。 ○寺野座長 坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 資料2の参考資料(1)なんですけれども、7ページの下2行目に「今回の報告の概要 については、3月30日の『肝炎対策に関する有識者会議』に提示予定」と書いてあるんです けれども、企業から報告が上がっているのに、それに対して私が知っている範囲内では、厚労 省は何も行動されていないと思いますが、どうしてなんでしょうか。この時点でちゃんと行動 されていたら、カルテが残された可能性が高い人がかなりいらっしゃると思います。このころ、 肝炎プロジェクトチームを設置したり、この会議を開催されたり、肝炎絡みの委員会等が開催 されていると思うんですけれども、何が話し合われたのか。分厚い議事録などではなくて、ポ イントを押さえてある資料を提示していただきたいと思います。 ○寺野座長 これに関して、事務局から返答できますか。 ○医薬品副作用被害対策室長 平成13年3月にこの報告命令を出して、当時行われていた肝炎 対策に関する有識者会議との関係でどういった議論だったかは調査しまして、資料化したいと 思います。 ○寺野座長 小野委員、どうぞ。 ○小野委員 今回、資料を読んだんですけれども、先ほど花井委員がおっしゃっていた点です。 花井委員は格調高く意味論という言葉で説明されましたけれども、簡単にいうと、当時の人た ちがどう思っていたか。当時の人たちがどう思っていたかというのが探れるかと思って読んだ んですけれども、多分、この分厚い資料の中で2つか3つぐらいしかないです。あとは一生懸 命やっていますという厚労省の努力を認めてくださいということだけが書かれた資料だと思 います。  そんな気がするので、これからやっていくという堀内委員の言葉を信じて見たときに、昔の 人がどう考えていたかという資料が、せめてこの資料の3分の2になるぐらいのイメージで、 例えば承認とかポイントをいろいろとここに挙げていますね。承認のときに、担当者は一体ど う考えていたのか。まさに意味論という難しい言葉で言っていましたけれども、花井委員がお っしゃっているのは、そういうことですね。 ○花井委員 そのときの文脈に依存しているわけだから、端的にいって、まさにおっしゃるとお りだと思います。 ○小野委員 そういうものを出していただいて、別にここは裁判所ではないですから、何かそこ で妙なことをしても、済まぬと言えば多分皆さん許してくれますから、そもそもそういう目で ないとこういうものは追求できないんです。その覚悟で臨んでいただいて、特に418人リスト に関しては、恐らく現役の方々で、生々しい、私はこう思ってやったとか、我々の方が間違っ ている、 つまり、こちらの追求している委員の方が間違っていると思っている方が恐らくい るでしょうから、いたら、その人たちに対して、私はこう思うんだ。そういうことをそちらの 視点ではっきり言っていただく。そういうことをやれる機会をつくっていただけないか。それ が恐らく解決策として、先ほど来、薬害の方々の意見の裏にあるフラストレーションではない かと私は思うんですけれども、堀内先生、それは難しいですか。 ○堀内委員 3分の2をやるのは難しいと思います。場合によると提案をする中で、また出して いただければいいと思いますけれども、報告書の中にそれも含めて、どういう認識であったか とか、そういうことは入ってくると思います。だから、そのとおり、例えば医療関係者の考え 方はどうであったかとか、インフォームド・コンセントの問題なども当然入ってくるとは思い ますけれども、先ほどから言っているように、できるだけ客観的にやりたいというのは、感情 論を入れると、その気持ちは大変私もよくわかりますけれども、検証というのはまた意味合い が違うと思っております。ですから、出てきた案について、ここでもそうですが、患者の代表 の方々が入っておりますし、議論をしていただければいいと思いますけれども、それを3分の 2入れろというのは、なかなか難しいだろうと思っています。 ○小野委員 感情論ではなくて主観だと思います。花井委員のおっしゃっているのは主観です。 当時の担当者がこれは正しいと思った主観ですね。 ○堀内委員 それは先ほどのとおり、やるつもりです。 ○小野委員 わかりました。 ○寺野座長 社会学的な調査という言葉でも表されていましたけれども、実際インタビューを当 時の人たちにしてみろということなんだろうと思います。それがどこまで可能で対象をどうい う人にするか、どういう質問をするかというのはなかなか難しいところがあると思います。だ けれども、可能かどうかを検討してもらうということです。 ○堀内委員 関係者からやっても、それが本当に全体を代表している考え方なのかどうかという こともあります。ですから、学会の考え方を聞くのが1つあるかと思うんですけれども、また 学会は学会で統一見解みたいな形になってしまうので、それはそれで意義があることだと思っ ていますけれども、ただ、たくさんの人から聞くというのは、時間的にあれですね。時間との 勝負になっておりますので、難しいですね。 ○寺野座長 可能かどうか、どこまでできるかは検討していただくとして、またその評価という ものもなかなか難しいところがあるとは思います。それは堀内委員会の方で検討していただく ということで、次回ないし次々回にでも、その可能性と実行性について御報告いただくという ことでいいですか。 ○堀内委員 はい。 ○寺野座長 重要なポイントだと思います。  清水委員、どうぞ。 ○清水委員 今の堀内委員のお話は、時間的な制約等から確かにもっともだと思う部分もあるん ですが、HIVと血液供給というIOMの報告書がありますが、あれは非常にインタビューを 重視しているんです。関係者の多くの人からインタビューをしています。その中には学会ある いは業界としての準公式的な見解と、そういうことに携わった個々の人の見解が列記されてい ます。  したがいまして、学会側が多数の見解だったかどうかということも大事なポイントではあり ますけれども、そういうことに対して、そうとは言い切れないんだというような意見があった。 それが結局、後ほどなるほどと思われるようなことになったときに、逆になるほどと思われた 個人的な、主観的な見解であったとしても、それが取り上げられるようなプロセスというもの が今後の改革の中において生かされるべきではないかという印象を持つんです。したがいまし て、可能な限りインタビュー等を重視されまして、やっていただければと希望したいと思いま す。 ○寺野座長 こういうことに関しては、今、清水委員が言われたように、アメリカ等々、外国で 確かにインタビューを重視している。その辺りの1つのモデル的なインタビューの仕方という のはやはりあるんでしょうね。そういうことは、勿論、堀内委員も御存じだと思うんですけれ ども、その可能性を追求していただきたいというのがこの委員会のかなり多くの意見であると いうことを認識していただければと思います。  そのほかに御意見ございますでしょうか。花井委員、どうぞ。 ○花井委員 各論的なことなんですが、今、幾つか出た意見の中で、まず最初に清水委員がおっ しゃられたデータの見方です。正しいデータをどうやって導き出すか。それについては、BP L処理を途中でやめているんです。それは恐らく感染率が上がったんだと思うんですけれども、 そういうものが実際にそうなのかというと、先ほどロットが正確にわかればそういうこともわ かってくるというところで、そういう意味では、BPL処理前、処理後というものもデータと してあればということです。  それから、全体としてクリスマシンの資料が少ない気がする。  フィブリノゲンでは、のり使用とそうではない部分があります。本当はわからないんでしょ うけれども、しかし、本来のり使用の場合の感染率と当然違うので、そこが一番基礎になるデ ータの部分だと思います。  先ほど医療現場でどうのということで、1例を挙げたいんですけれども、フィブリノゲンを 使用していた産科の先生たちは、例えば判例があったから、フィブリノゲンを使わないと訴え られる。それで使わざるを得なかったんだというまことしやかな物語があるんです。  それ はもしかしたら本当かもしれないけれども、実際のところはよくわからないんですが、それは 使わなければ訴えられてしまうんだということが言われていることは本当なのか。  それから、もう一つあるんです。分画製剤はいつも置いておけるけれども、代替になる輸血 用血液製剤は日本赤十字社がすぐに持ってきてくれないんだ。だから、これを使わざるを得な いんだから置かざるを得ないという言説があるんです。これもまことしやかに言われるんです が、実際は本当なのかということなんです。  こういう幾つかのまことしやかな物語というものがあって、それは実態はどうだったのかと いうことが2点です。本当に訴訟ということが大きな影響を与えたのかとか、いわゆる輸血用 血液製剤の供給がこういう分画使用に走ったということに本当に原因していたのかというこ とについては、今後の血液事業を展開する上でも非常に重要な点です。もしかしたら、今のは 年末まで難しいのかもしれませんが、問題意識としてはやってほしい。  それから、先ほど水口先生が指摘した点がありますね。公開をしぶった。公開した肝炎の会 議でも、医療機関の公開というのは、いかにリーズナブルなものではないかという議論を公の 場で実はやっているんです。こういったことがあるので、意思決定のプロセスで、確かに医療 機関の公開は余りいいことではないという議論がなされたという事実もあります。  今から振り返れば、それはとてもけしからぬ話だと言って終わってしまうのかもしれません が、そうではなく、やはりそういう意思決定のプロセスで、医療機関の公開というものは難し いと思わせしめたものが当時あったんです。私らは勿論公開しろと言うわけですけれども、そ ういったものを明らかにすることによって、今後、同じような場合に、そういうことがないと いう水口先生の問題提起にも答えると思います。  以上です。 ○寺野座長 非常に貴重な御意見だと思いますけれども、山口委員ありますか。 ○山口委員 1点だけ手短に申し上げます。  先ほど水口先生がおっしゃった話なんですけれども、使用患者数をリアルタイムでという話 ですが、日本はそもそも医薬品の使用状況がはっきりわかるような情報ソースがないんです。 欧米などですと、医薬品や機器などに関する大きなデータベースがありまして、国がちゃんと 管理したり、アメリカなどではこれからもうちょっと大きなものをつくって管理していこう流 れになっているんです。  現在は自発報告に関するデータベースしかないわけで、そういうものですと、結局、先ほど 分母がわからないという話があったと思うんですけれども、やはり医薬品の安全性確保に関し ては限界があると思います。なので、実際に使用した患者さんがどれぐらいいるかとか、そう いうものがわかるようなデータベース、国を挙げての大規模なデータベースをつくっていかな ければ、これからしようがないのではないかというのが、私が当初のこの会に参加した1つの 意義というか責任だと思っているので、そういうものをつくっていただきたいと思っています。  そういうものを通して、未治療や重篤な副作用をすぐに発見したり、あるいはそういう医薬 品を使っている人をすぐにピックアップしたりとか、そういうことをやっていかなければいけ ないと思います。そういう観点で、対策というか、そういう視点で少し意見をいただけるとあ りがたいと思います。  私が一番手っ取り早いと思うのは、恐らくレセプトだと思います。2011年にレセプトデー タがナショナルデータベース化されるということで、多分それを一番使っていくことになると 思います。今、レセプトの使用の問題がいろいろ出ていますけれども、それを国が管理してき ちっと使っていくというのが一番いい方法だと思いますので、是非御検討いただければと思い ます。 ○寺野座長 堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 血液製剤については、ロット単位でだれにいつ使ったかというのは、既にすべての 血液製剤についてチェックがされております。ですから、これはいろいろな薬害等の教訓が行 政に生かされている点だと思います。やる方は極めて大変ですけれども、実際に行われている ということ。  それから、新しい医薬品は、使用適用とかいろいろ問題を起こす可能性があるものが出てき ていると思いますけれども、それについては、今、大抵、承認審査の中で全症例追跡調査をや ることが条件になっていると思います。数千例ぐらいについてはやるだろうということになっ ていると思いますので、その中でいろいろな問題点があれば、それを解決していくことになる と思いますので、そういう面では、当時から比べればかなり改善はされていると思います。  ただ、すべての薬ではなくても、それをずっと追跡調査をするというのは、かなり膨大な仕 事になって大変ではないかと思います。 ○山口委員 これは堀内先生の班でやっていただきたいということではなくて、提言として、今、 全数調査とありましたけれども、はっきり言ってごく一部の医薬品に限られているわけです。  韓国などはうまくレセプト情報を使っていまして、韓国は国民背番号制というか、だれが何 を使ったかということが全部把握できていて、実際に血液製剤などでも不適正な使用に関して、 だれが使ったかがすぐにピックアップできたとかそういう実例があるんです。  そういうことが日本でも今後できるのではないかと思っていますので、私としては、この検 討会で是非そういうものをつくっていきたいということは、これからも主張というか、何とか そうしたいという思いは持っております。 ○寺野座長 そうですね。将来というか近い将来ですけれども、いろんな医療情報が電子化され る。電子カルテを始めとして電子化される中で、そういうものを一応考えに入れた構築を要請 されるということですね。私もそうだと思います。  検証2の場面では、予想どおりたくさんの御意見をいただきました。  社会学的なという観点で、インタビュー等の重要性や感染率、発症率の根拠というもの。そ ういうものは非常に難しい問題がございますけれども、この辺もいろいろと御提言いただいた 内容で、可能なものは堀内委員会の方で実行していただくということです。無理なものもある かと思いますけれども、御検討いただきたいと思います。  非常に貴重な御意見をたくさんいただきましたが、まだまだ資料がたくさんありますので、 じっくり読めば、まだまだ疑問が出てくるのではないかと思いますが、それに関しては、先ほ どから申しておりますように、メールなりファックスなりで厚労省の事務局まで御提出いただ きたいと思います。当面は今月31日金曜日を一応の締め切りに考えていただいて、厚労省に 出していただければ、堀内研究班の方にわたることになっておりますので、そういう形で御意 見をいただきたいと思います。  それでは、まだ後半の議題があるんです。検証6ということで、薬事行政等の改正経過等で ございまして、これは研究班並びに厚生労働省から御説明を受けることになります。研究班で 準備いただいた資料については野村総研から、厚労省の方で準備した資料については事務局か ら御説明いただいて、その後、一括して質疑応答にしたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  それでは、野村総研からお願いします。 ○野村総研研究員 よろしくお願いします。野村総研の者です。  資料4です。「国の制度的責任に関する各地裁判決指摘事項の抜き書き」ということで、今 回は、国が仕組みや制度的に改善の余地があると指摘されている部分を抜き書きをしておりま すので、簡単に御説明させていただいておきます。  1ページは「1.承認手続きについて」です。これは昭和39年、フィブリノゲン製剤の最 初の承認時のときの問題点です。ここでは、申請資料にはやはりずさんな面もあったというこ とが指摘されております。  例えば大阪判決ですと、医師の主観を排して、事後的検証可能な客観的な資料とは言えない ようなところがあるということを指摘されておりますし、福岡の資料では当時の医薬品製造指 針の要求する水準を満たしていない面もあるということが指摘されておりまして、当時の申請 資料は必ずしも完璧ではなかったということが指摘されています。  2ページ目です。昭和47年コーナインの輸入承認時の問題点です。ここで指摘されている のは、後天性の適応についてですが、後天性の第IX因子欠乏症に関する有用性を判断する資料 が十分に付いていなかったにもかかわらず、後天性にも適応があったということで、後天性に も適応すると言っている限り、後天性への有用性を判断する資料も付けておくべきであったと いう指摘がなされております。  4ページ目にいきます。クリスマシンの製造承認当時の問題点です。コーナイン輸入後にク リスマシンの製造承認がありました。ここでは名古屋地裁の指摘だけではあるのですが、「nonA、 nonB型ウイルスの感染の危険性を排除することができないので、治療上、不可欠の場合にの み使用すべきであるということを添付文書に明確な表現、表示方法をもって記載させる措置を とらなければならなかった」というような指摘がなされております。  ただし、クリスマシンというのは、先天性、後天性ともに有用性が肯定されていて、かつ、 それぞれの時期のいずれの時点でも、まだ非A非B型肝炎の予後が重篤であるという知見が確 立していかなったので、名古屋地裁が指摘するような問題はなかったという判決も見られます が、必ずしも十分ではなかったということが名古屋地裁の指摘している点であります。  5ページ目は、昭和62年、1987年の加熱フィブリノゲン製剤承認時の安全性審査の問題点 ということで、昭和62年というのは青森で集団感染が発生して、それが発覚したときです。 ここで指摘されているのは、そのような時期なので、より慎重に審査すべきであったというこ と。そういう時期であったにもかかわらず、結局、加熱製剤は10日間で製造承認したという こと。それは短くても十分なら良いのですが、内容的に見ても承認の過程は十分ではないとい うことが指摘されています。  もう少し丁寧に審査していれば、肝炎リスクが相当程度あることを前提として対策を立てら れたのではないかということや、副作用リスクや医療ニーズの調査をもっと広くする必要があ ったのではないかというような指摘がなされています。これが加熱製剤の承認の際の問題点と して指摘されている事項です。  7ページ目は「2.再評価について」です。前回の委員会で、年表でも御説明させていただ きましたが、第一次の再評価というのは、昭和42年、1967年以前に承認された医薬品に対し て行われたものでありました。しかし、昭和51年4月、フィブリノゲン製剤の名称変更があ りました。これまで「フィブリノーゲン」と言っていたものを「フィブリノゲン」という生物 学的製剤基準名の変更があったので、機械的に製剤の名称が変わったということで、昭和51 年4月の時点で新規承認という扱いになって、本来は昭和39年時点で承認されていたものと 同一の製剤であるにも関わらず、昭和42年以前の製剤ではないとされ、再評価をすり抜けて しまったという問題点です。  昭和53年時点で再評価対象を選択するときに、昭和51年に承認されたものが対象とならな かったということは、明らかに問題であり、再評価指定すべきであったという指摘があります。  あと、一番下の第二次再評価時の先送りの問題ですけれども、これは昭和60年、1985年に 非加熱の製剤が第二次再評価の対象として指定されています。再評価指定があったのは昭和 60年ですけれども、その後、青森の集団感染が62年にあって、非加熱製剤が回収されて、加 熱に切り替わるという問題があったせいもあって、結局、非加熱は回収になりました。ただ、 90年、平成2年には加熱製剤も再評価指定されています。しかし、結局、平成10年、1998年 まで再評価結果が公表されていません。  したがって、最初に出てきた昭和60年の再評価指定、非加熱製剤の再評価指定から考えて も14年、加熱製剤の再評価指定から考えたとしても8年の間、再評価指定の結果が公表され なかったという問題点があります。これは、再評価結果としては、最終的に先天性低フィブリ ノゲン血症に適応を限定せよというのが再評価結果の内容であったということを考えると、結 局、再評価に時間をかけて判断を先送りすることによって、後天性の有効性が否定されていな い状態が続き、あやふやなまま、否定されないまま使われていたということが問題だっただろ うということが指摘されています。  8ページ目です。「3.海外等からの情報収集について」です。FDAの承認取り消しが昭 和52年にありました。この件につきましては、9ページ目にあるように、米国の状況と日本 の状況には差があった。だから、米国で承認が取り消されたからといって、日本でも取り消す とは必ずしも言えない。そういう状況にはならなかったかもしれないという判断もありますけ れども、とはいえ、米国の情報を収集し検討する必要はあっただろう。もし情報収集をしてい れば、適応の限定や注意喚起はできたはずだということが指摘されています。取り消ししたか どうかということ以上に、調査・情報収集はすべきであったという指摘がなされています。  10ページ目は「4.医療現場への危険性の伝達について」です。加熱製剤になってからの 話が中心ですけれども、肝炎感染リスクが相当程度あるということを警告していく必要があっ ただろうと指摘されています。「指示・警告の不徹底さこそが本件薬害の本質である」という 指摘が東京地裁からなされているように、リスクがあるのであれば、きちんと指示・警告すべ きだということが指摘されています。  また、10日で承認しているわけですし、加熱製剤の承認時に安全性が十分に確認できてい なかったということは、厚生省も知っていたはずであろうという指摘があったり、そのころに はnonA、nonBの肝炎も進行性で重篤性が高いということも知っていたであろうからこそ、指 示・警告の徹底が必要だったという指摘がなされています。  水口先生の指摘の資料の3ページ目にある3番の話もそれに関係することだと思いますけ れども、同様の指摘がなされています。  それ以外に、低フィブリノゲン血症以外に使われていた可能性も把握できていたはずだとい うことが、11ページ目辺りに書いてあります。  ここでは、医療上のニーズや使用実態に関する調査不足が問題点として指摘されています。 特に低フィブリノゲン血症以外にも使われていたという可能性を把握することができたはず というところは、水口委員が御指摘の1番にも書いてある点でもあります。適応外使用が広が っているということが認識できたのではないかということが指摘されています。  12ページ目です。「5.添付文書、緊急安全性情報等」です。これも先ほどの話と似ており ますが、添付文書そのものについては、国の問題以上に製薬企業が問題だったという指摘が多 いのですけれども、申し上げましたとおり、nonA、nonB肝炎感染の危険性について、もう少 し添付文書に明確に記載させる必要があったという指摘がなされております。  また、加熱製剤承認時には、nonA、nonBの危険性があるということも知っていたはずです し、既に適応外にも広く使われているということもわかっていたはずですし、加熱なら安心だ と現場はとらえてしまい、更なる利用拡大が予想された。だから、承認する時にきちんと指示・ 警告をすべきだった。緊急安全性情報レベルの強い指示・警告が必要だったという指摘もなさ れています。  これは水口委員の御指摘の2番のところにもつながる話かと思いますが、このような問題点 が指摘されております。  裁判所の指摘事項の資料は、以上です。 ○寺野座長 それでは、次に厚労省の倉持安全使用推進室長から説明をしてください。資料5で す。 ○安全使用推進室長 安全対策課の倉持です。よろしくお願いします。座って説明をさせていた だきます。  お手元に資料5とその参考資料を御用意いただきたいと思います。主に資料5「薬事行政及 び関連施策・制度の改正経緯等」に基づきまして、説明をいたします。  めくっていただきまして、目次がございます。  1ページ目「これまでの制度改正の経過」について、御説明いたします。  2ページ目をごらんいただきたいと思います。これまでの薬事法改正の経緯について示して おります。それぞれ薬害事件との対比で示しております。  サリドマイド被害を踏まえまして、昭和40年代の行政指導によるモニター医療機関からの 副作用報告制度の導入や、スモン訴訟後、昭和54年の薬事法改正による回収命令や再審査、 再評価制度の導入及び医薬品副作用被害救済制度の制定等が行われております。  次にHIV訴訟の和解を受けまして、血液製剤等に対する制度的な対応を行ったのが平成8 年の薬事法改正でございます。  また、その後のHIV感染問題を端緒とした血液事業に関する制度の見直しについて議論が 行われたことを踏まえまして、血液製剤の安全性の一層の充実を図る観点で、法的な枠組みの 整備を行うため、平成14年に薬事法及び安全な血液製剤の安定供給の確保に関する法律、い わゆる血液法の改正が行われております。平成14年の改正で、生物由来製品に関するHIV、 肝炎等の感染症対策として、原材料の採取、製造から市販後の段階に至る一貫した安全対策の 強化を行う制度を構築することとなっております。  同時に医薬品医療機器総合機構法が制定されまして、血液製剤などの感染因子によるリスク を完全には否定することができない。そういった生物由来製品について、健康被害救済の制度 が創設されております。  医薬品等の審査、安全対策の実施体制の強化ということで、生物由来製品の健康被害救済制 度の施行と併せまして、医薬品医療機器総合機構を設立し、組織、人員の増強が図られている ところであります。  こういった一連の薬事法改正によりまして、現在の制度と、時点としましては青森で肝炎の 集団発生がございました昭和62年当時との制度の比較をしてみたものを、3ページから4ペ ージ目にかけて表としております。血液製剤の安全対策という観点で、製造、販売、市販後等 の各段階ごとについて全般的なものを取り上げております。  3ページ目の製造の関係でございますが、従来、慣行的に行なわれてきた承認審査につきま して、昭和42年に初めて承認審査の基本方針という形で承認審査の方針が明確化され、中で も臨床試験の実施方法などにつきましては、国際的な水準との整合性を踏まえまして、右の平 成20年の欄にございますが、平成8年の薬事法改正に基づいて、GCP遵守等の信頼性基準 が義務化されております。  血液製剤におきましては、過去にウイルス不活化処理が手続を経ずに変更されたことであり ますとか、また感染症は発症するまでの期間が長いため、原因究明や患者救済の観点から、投 与時点の製品の製造記録等がさかのぼれないといったトレーサビリティーの問題、更には加熱 製剤を導入した場合のウイルス不活化の能力の問題、外国の製造施設や採血施設の状況がわか らないといったような問題が指摘されてまいりました。  これらまでの一連の制度改正におきましては、例えば医薬品の製造方法などを承認書に記載 することを明確化するとともに、病原因子の不活化や製造方法の変更については、一部変更承 認を経なければ変更できないということを省令においても明記しておるところでございます。  また、血液製剤の特定生物由来製品の製造記録を製造販売業者において30年間保存するこ と、あるいは製造中の病原因子の混入防止のための措置、外国の製造施設に対する立ち入り調 査ができる規定などがその後整備されておりまして、更には外国の採血施設等も承認書に記載 するなど、血液製剤の特徴を考慮した製造に関する規定の整備がこれまで行なわれてきており ます。  また、生物由来原料基準における採血時のドナースクリーニングにおきまして、現在はC型 肝炎ウイルスの核酸増幅検査、いわゆるNAT検査等も導入しているわけでございますが、そ れだけではなく、血液製剤の加熱処理やウイルス除去工程が感染防止に効果があるのかどうか といったことを検証する、いわゆるウイルスバリデーションの基準なども設定されるようにな ってきております。  続きまして、3ページの後段、販売と医療の関係でございますが、遅発性の感染症は時間の 経過とともに感染原因究明や患者救済のトレーサビリティーのための販売記録、ロットの記録、 医療機関の使用記録などがわからなくなるといったような問題点が指摘されてきておりまし た。  また、血液製剤に起因するリスク情報が医療関係者や患者に適切に伝わっていないといった 問題、更には血液製剤であることを認識し、リスク情報を理解しないまま使用してしまったこ とがあったのではないかといったような指摘もございます。  更には使用者に採血国や献血等の選択ができる情報の提供がなされるべきではないかとい った問題もこれまで指摘されてきたところでございます。  そこで表示についてでございますが、血液製剤につきましては、特定生物由来製品であるこ とがわかり、献血、非献血の別、採血国の情報を記載させるとともに、薬事法に基づきまして、 医療側に使用に関するリスクベネフィット情報のインフォームド・コンセントを義務づけると ともに、それに対応した添付文書等の表示も義務づけることとしております。  また、販売先の記録につきましては30年、医療機関での投与記録については20年間の保存 を義務づけるといったような制度が導入されております。  医療機関におきましては、医療法や薬事法に基づきまして、医薬品医療機器に関する情報の 収集や安全使用といったことも義務づけられるようになってきております。  続きまして、市販後の安全対策でございますが、4ページ目にまいります。  血液製剤と関連した感染症につきましては、従来、副作用として報告すべきなのかといった ところが明確でないのではないかといった指摘や、感染症については広く国内外の情報を適時 適切に監視すべきであり、外国での措置や外国での感染症を含めて、漏れのない情報収集や対 策を迅速に講じる体制が必要だといったような指摘がなされてきております。  こういった指摘を踏まえまして、平成8年の薬事法改正では感染症報告や外国での措置とい った情報につきましても、厚生労働省に報告をするということが法律上明示されまして、企業 に報告が義務づけられたとろでございます。  更には平成14年の薬事法改正によりまして、これは薬害被害者の方々からの御提案を受け ての制度でございますが、感染症に関する学術論文など文献を収集し、それを半年ごとに定期 的に報告させ、製品と関連する世界中の感染症の発生動向等を漏れなく監視できるよう、感染 症定期報告制度を導入したところでございます。  こういったヘモビジランスの活動を実施する第三者の評価機関としまして、危機管理体制に あるような血液事業部会運営委員会を設置いたしまして、薬害被害者の方々にもメンバーとな っていただき、こういった諸外国を含む血液製剤に関連した報告事例を定期的に検討している ところでございます。  また、平成14年改正では、同時に保健衛生上の被害拡大の防止の観点で、副作用感染症報 告についても医療関係者から国への報告を義務づけているところでございます。  その他、危機管理体制としましては、いわゆる外国などでの危険情報が報告されても、その 処理が適正かつ組織として行なわれていなかったのではないか。特に外国からの情報収集が不 十分だったのではないかとった指摘がこれまでなされてきたところでございます。  外国での措置情報につきましては、従来のWHOというルートのみならず、日米及び日本と EUといった規制当局間での措置の情報の提供に関する覚書を締結などにより、直接的に外国 の規制当局と情報交換できる体制が現在構築されているところでございます。  また、薬事法に基づく薬事・食品衛生審議会における安全対策機能だけでなく、厚生労働省 内の危機管理実施要領や、先ほど述べました血液製剤のヘモビジランスとしての血液事業部会 運営委員会など、入手した情報をより透明かつ迅速に処理する体制が構築されているといった ところでございます。  このように、過去の血液事業や安全対策の行政におきまして、指摘された事項について、そ れを解決し、より安全な血液製剤等の供給を確保できるような制度や体制づくりにこれまで取 り組んできたところでございます。  次に「血液事業及び生物由来製品に対する規制について」でございます。  6ページ目をごらんいただきたいと思います。  その後、先ほど申し上げましたように、血液製剤によるHIV感染の問題を端緒としまして、 血液製剤の安全性向上や安定供給の確保を図るため、新たな法的枠組みの整備が強く求められ るようになりまして、血液法が平成14年に制定されたということでございます。  血液法の中では、法の目的が新たな血液事業の推進にふさわしいものに拡大され、血液製剤 の安全性の向上、安定供給の確保、適正使用の推進により国民の保健衛生の向上を図ることと されたところでございます。  血液事業の運営の指針となる基本理念は、6ページ目の真ん中の下に書かれてあります(1)〜 (4)といったような4つの基本理念が設定されておりまして、それに基づきまして、血液事業に 携わる関係者の責務が明確化されたところでございます。  7ページ目でございますが、血液法はその基本理念に血液製剤の安全性の向上を掲げており ますが、安全性確保のための具体的な規定は薬事法に定められておりまして、安全対策につい ては薬事法、国内自給原則や安定供給の確保、適正使用の推進等については、血液法に基づい て施策が講じられている。そのような関係にございます。  8ページ目でございますが、血液製剤はそのほとんどのすべてが改正薬事法の下での特定生 物由来製品に指定されておりまして、先ほど説明したように、製造・販売、使用、あるいは市 販後の安全対策の各段階において、一般の医薬品医療機器における各種対策に加えて、血液製 剤の持つ感染リスク等を踏まえた上乗せ規制が講じられているところでございます。  9ページから「医療現場での医薬品の使用に関連する法律や制度について」でございます。  10ページ目が「薬事法における病院・医師に対する主な規制について」です。  11ページ目をごらんください。「薬事法における病院及び医師に対する主な規制について」 でございますが、まず情報提供という面では、病院と医師には医薬品の製造販売業者等が行う 医薬品等の適正な使用のために必要な情報の収集に協力するよう努めること。また、医薬品の 製造販売業者等から提供される情報の活用、その他必要な情報の収集・検討・利用に努めるこ とが病院と医師に義務づけられているところでございます。  副作用の報告につきましては、先ほど説明しましたように、平成14年改正で厚生労働大臣 への報告が義務づけられているところでございます。  一番下の危害防止の面でございますが、これも平成14年改正で取り入れられた制度でござ いますが、医薬品の製造販売業者等が行う廃棄、回収等につきまして、医療関係者等が協力す るよう努めることが義務づけられたところでございます。  12ページ目でございますが、特定生物由来製品に係る説明でございます。これも平成14年 改正ですが、医師には特定生物由来製品について患者に説明を行い、理解に努めることが義務 づけられているところでございます。  真ん中の特定生物由来製品に関する記録及び保存についてございますが、これも先ほど説明 しましたが、現在、保存が義務づけられております。  一番最後の特定医療機器に関する記録及び保存でございますが、予期せぬ不備等が見出され た場合の緊急の対応のため、特定医療機器を利用する医師等は、利用した方に関する情報を承 認取得者、製造販売業者などへ提供することが義務づけられているところでございます。  13ページ目から「医療法における関係規定について」でございます。  14ページ目をごらんください。国民の医療に対する関心の高まりから、患者が安心感や信 頼感を持って医療を受けられるようにするため、平成18年の第5次医療法改正によって、医 療機関における医薬品の安全使用も含め、医療安全の確保に関する規定の整備がなされたとこ ろでございます。  具体的には上段にありますように、医療法6条の10というものが新設されまして、病院、 診療所等の管理者が医療の安全を確保するための指針の作成など、医療の安全を確保するため の措置を講じなければならないということにされたところでございます。  具体的には医療法施行規則の中で、病院等の管理者の講ずべき措置内容が示されておりまし て、時間がないので割愛しますが、14ページの下の第2項の1号、2号、3号といったとこ ろに措置内容が記載されているところでございます。  15ページ目でございますが、医薬品安全管理責任者につきましては、医薬品に関する十分 な知識を有する常勤職員であって、医師、歯科医師、薬剤師といったいずれかの資格を有して いる方が責任者になることになっておりまして、病院におきましては、管理者との兼務は不可 ということで指導が行なわれているところでございます。  その業務としては、15ページの下の(1)〜(4)にありますように、こういった医薬品安全管理 責任者は病院等の管理者の指示の下、業務を行うこととされております。  16ページ目でございますが、医薬品安全管理責任者は、医薬品の安全使用のために必要と なる情報の収集等を実施することになっているわけですが、具体的には医薬品の添付文書情報 のほか、製造販売業者や行政機関、学術雑誌等から幅広く情報を収集し管理することとされて おりまして、その1つの方策として、医薬品医療機器総合機構のホームページなどから、ここ に記載されているような情報を集めることが考えられるということで、得られた情報のうち必 要なものは、当該情報に係る医薬品を取り扱う従業者に対して、迅速かつ確実に周知徹底を図 ることとされておるところでございます。  17ページでございますが、第15次医療法改正では、医療の基本理念や医療関係者の責務に ついての規定が新たに整備されておりまして、医療は医療の担い手と医療を受ける者との信頼 関係に基づいて、医療を受ける者の心身の状況に応じて行われることといったようなことなど が医療の基本理念です。  あと、医師、歯科医師の責務。  一番最後は、医療に関する情報の提供等ということで、インフォームド・コンセントなどい ろんな規定が医療法改正に基づいて定められ、医療関係者の責務というのが医療法上も明確化 されてきたところでございます。  18ページ目でございますが「添付文書に記載された効能効果と医師の裁量について」でご ざいます。  19ページ目からごらんいただきたいと思います。添付文書に記載された効能効果や医師の 裁量につきまして、昭和55年の厚生省保険局通知におきましては、保険診療における医薬品 の取扱いについては、厚生大臣が承認した効能効果や用法、用量によることとされております けれども、有効性及び安全性が確認された医薬品、すなわち、副作用報告義務または再審査の 終了した医薬品を薬理作用に基づいて処方した場合の取扱いについては、学術上誤りなきを期 し、一層の適正化を図ることとされておるところであります。  最後の20ページ目になりますが、最高裁におきましては、医薬品に添付文書、いわゆる能 書の記載事項は、当該医薬品を使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載する ものであるとした上で、医師が医薬品を使用するに当たって、添付文書に記載された使用上の 注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつ き、特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるとされております。  また、向精神薬の副作用についての医療上の知見については、その最新の添付文書を確認し、 その医師の置かれた状況の下で可能な限りの最新情報を収集する義務があって、この場合は向 精神薬を治療に用いる精神科医は、向精神薬が本件添付文書に記載された過敏症状と皮膚粘膜 眼症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群を認識していなければならなかったと判じされ ているところでございます。  以上でございます。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。  野村総研から判決について、厚労省から薬事行政関連施策制度の改正経緯などについて、か なり詳しく述べていただきました。時間が迫っておりますので、それほどの時間はないんです が、幾つかこういう点についていろいろな問題点があるわけですけれども、それらが現行の制 度でカバーされているのかどうかとか、足りない点はどうかとか、いろいろ疑問があるかと思 いますので、若干のディスカッションを行いたいと思いますが、御意見ございますか。  小野委員、どうぞ。 ○小野委員 今の説明を聞くと、これで終わっている。すべて解決したと思われるわけです。 聞かれている方もそう思うし、私どもプロもそうかとだまされるわけですけれども、今、問題 にしなければいけない、これからどうやっていくかというところは、この表でいくと平成20年 というものがない状況ですね。  例えば昭和62年という状況下で、これが今だとしてどうなるか。あるいは平成20年という のが単独であって、これからわけのわからないことが起きる、想像を絶するようなことが起き たり、想像を超えたようなことが起きたときに大丈夫かという話をしなければいけないので、 全部こうやって予定調和みたいに話が終わることでないというのは大前提であるのが1つ。  そこに当たって、判例の示し方というのが、もしかしたら我々全員ですけれども、資料4、 何かだまされているのかもしれないんですが、裁判長が言ったことを並べて、これが正しいこ とです。弁護士の方に後で怒られるかもしれませんが、それを勉強して何とかしましょうとい っていては多分何も生まれなくて、これに添えていただきたいのは、当局の人たちがどう思っ たか、どういう主張をしたかです。  要は覆された論理なり主張なり気持ちなりを全部並べていただいて、どうしてそれはうまく いかないと裁判長は考えたのかとしていただかないと、何も生まれないのではないかと思いま す。  これに関してはそういう気持ちを受けるんですけれども、要はこういうものをつくるときに、 裁判長の言っていることは、それはそれで重みがあるものとして結構なんですけれども、今、 当局の方たちがこれに対してどう思っているか。今というよりも、この裁判に関しては数年前 の話ですね。だから、そう考えていた方の生き残りが、ここにほとんどの人が通られているわ けですから、なぜそう思ったのかということをまさにきちんと言っていただいて、なるほどと 思うところがあるのかもしれないし、これは全くおかしいというところがあるのかもしれない し、それをやらなければいけないのではないかと思うんですが、事務局の方に、その辺は全く ナンセンスと思っておられるかお伺いしたいです。 ○寺野座長 これに答えられるかどうかわかりませんが、厳しい御意見ですけれども、どうぞ。 ○医薬品副作用被害対策室長 基本的には、研究班の方でどういう整理で資料をつくられるかと いうことだと思うので、私どもの方から、この点の回答はなかなか難しいと思います。 ○小野委員 思っていることを言うのは無理ですか。あるいはこういうふうに主張されたという ことを並べられたら、この中でディスカッションになったら、それに対してお答えはいただけ ますね。当時こう思ったから、こういう主張をしたんですということは言っていただかないと、 話が全然前に行かないのではないかと思います。建設的な議論が何一つ生まれないのではない かと思うので、嫌かもしれませんけれども、御意見なりその当時どう思ったかということを言 っていただく。  もしこの場では恐ければ、堀内先生のところできちんと意見表明をしていただいてはどうか と思います。 ○堀内委員 それは主訴がどうで、反論がどうかというまとめ方をしております。ただ、今回こ こへ出てきているのは、判決がどうだというデータですけれども、1つの資料として出ている ということであります。ですから、それをもう少しきちんと評価をしたいということで専門家 の班員に入っていただいたということで、それについては、そういう形でこれからもう少しき ちんと整理をしてから出したいと思っています。  ついでですから、もう一つ言わせていただきます。これは私から逆に質問なんですが、この 法律をやればこれまでのいろいろな問題点から法改正をやられて、同じなんですけれども、薬 害は起こらないということなのか。あるいはどういうところに問題があるか。もう少しこうい う法律ができているんだけれども、どこが問題かということを出していただかないと、細かい ことを言われても困ります。特に法律用語を使われても、かなりあいまいな表現が多いです。 ですから、わからないと思いますので、これは事務局の話だと思いますけれども、その辺を整 理して、いろいろな過程でこういう法律がある。それについては、この法律がきちんと守られ れば十分なのか。あるいはまだこういう抜け道があるとか、すり抜けるところがあるのではな いかとか、改正しなければいけないとか、そういう問題点を指摘していただければと思います。 ○寺野座長 水口さん、先にどうぞ。 ○水口委員 前回申し上げたことですけれども、判決をここで分析の資料の1つとして使うとい うことの意味です。そこは検討の視点を与えるということで意味があるんだろうと思っていま して、そういう視点をより深める上で、小野先生がおっしゃるように、もうちょっと詳しい資 料があった方がいいということであればそれはそうですが、裁判のやり直しみたいなややこし い話に私たちが引きずり込まれないようにしたい。  前回も申し上げましたけれども、裁判というのは、結局、損害賠償法上の違法にならない線 はどこかという視点で基本的には検討しておりますので。やはり共通の基盤として確認をして おきたいのは、別の次元で私たちは議論をするんだということ。これが確認できていれば、誤 りはないと思っております。  それから、今日、私が判決文の中から、時間の節約のために事前配付になかったものを幾つ か指摘させていただいたのですけれども、判決の判断のところだけではなくて、私の意見書の 3ページの(4)に判決の事実認定の中で、問題が起きたときに薬務局がミドリ十字社との間で、 どうやって軟着陸させようかというような観点でやりをとりしたということが、事実認定のと ころでされていのです。問題がわかったという後に、どういうふうにそれに対し、前向きに、 早く誤りを認めて対応していくのかという姿勢がやはり重要だと思うんですが、そういうとこ ろについて問題を投げかける指摘などもありましたので、御紹介しました。そういう意味で、 判決というのは、視点を与えるということで、ここで利用することを確認していただいたらい いと思います。  先ほどの裁判の制度の改定は、まさに小野先生がおっしゃったように、説明を聞いたら、こ れから薬害は少なくとも血液製剤では起きないだろうと思ってしまう説明です。安全対策の検 討のときに、事務局から「これがやりたいけれども、これができていない。これができていな い。」ということを積極的に出していただいているわけで、ここまでよくやりましたというこ とを報告していただくのではなくて、ここがまだ課題として残っていますということで、お分 かりになっているものがあれば、むしろ、そういうことを出していただく方が、ここの会議で は議論が進むと思います。  15分か20分かよくわかりませんけれども、事務局の説明をずっと聞いていて、聞いている 人はみんな早く終わってほしいと思っていたと思うんです。ざっーと聞いても頭に入らない。 だから、事前の進行についての意見書で読めばわかるものを、今日、坂田さんは易しいとおっ しゃいましたけれども、易しい資料をお願いした。この場で20分近くもずっと書面をただ読 み上げているのを聞くというのは、進行として考えていただきたいと思います。 ○寺野座長 御指摘いただいた点は、私の責任もあるのかもしれないんですけれども、進行につ いて問題はあるんですけれども、ただ、資料はお配りしていますが、本当に皆さんよく読んで 御理解されているという前提に立った話でいっていいのかどうかということも含めて説明が あったと思うんです。おっしゃるとおり、現在の状況だけではなくて、その中から今後起こり 得るような状況に対する体制をどうつくっていくのかということは、今後の課題としていいと 思います。今からこれを検討するんだ。そのベースになるものを、今日、基礎資料として出さ れたんだと把握していただければ、今からこれではだめだ。まだここをやらなければいけない というところを皆さんで議論していただければいいと思います。  判決に関しては、判決固有で出てきたものは、やはり原告、被告のそれぞれの主張があるわ けで、そこら辺の整理と厚労省がそれに対してどう対応したかということと、その判決の結果、 先ほどの制度等あるいは法律がどう変わってきたかのかという関連性を出していただかない と、この判決を出した意味づけが薄いと私は感じました。だから、それは次の段階として、必 要だろうと思います。  堀委員、どうぞ。 ○堀委員 今日は医師としての発言の側面になるんですけれども、先ほどから効能効果とか適用 外だとか安全性の問題という単語が出てきていると思うんですが、適用外といったときに、適 用を絞って使用すべきだという話もあったと思うんですが、大方の医師は、当然何らかの理由 があって患者さんに使う。これは行動原理として原点にあると思うんです。  そうなると、先ほど花井先生もおっしゃっていましたけれども、そのときの医療現場がどう いう情報でこれを使うことを判断したのかというところは、やはり今後検討していってほしい し、また添付文書の効能効果だったり、有効性、安全性に関する情報が最新の医療現場の状況 に追いついていない場合も勿論あるわけで、むしろ、積極的に使わないといけないケースとい うのもあり得ると思います。なので、今回の件に関しては、どうしてそのときに医療現場は使 うことを選択したのかという中身の部分をもうちょっと掘り下げてほしいということ。  それから、逆にどういう情報提供が現場にあったら、現場がこれを使わなかったか。あるい はどういう情報を現場が欲していたのかということを知りたいと思うんです。添付文書の改定 とか安全性情報というものも勿論1つのツールとしてすごく重要だと思うんですが、果たして 現場にそれが十分に伝わっているか。あるいはそれで十分だと思っているかという受け手側の ことも今後は大事なのではないかと思います。  末端の現場の医師からいくと、厚生労働省というのは本当に雲の上で、多分、存在を身近に 感じるところではないんです。添付文書は勿論見ながらやるにしても、患者さんのためにと思 っている現場にちゃんと情報がくるかというところの中身を、今後もう少し掘り下げたい。制 度だけではなくて、そういう視点も入れてほしいと思います。  以上です。 ○寺野座長 ありがとうございました。  山口委員、どうぞ。 ○山口委員 手短に申します。  先ほどの堀内委員、水口委員から話があったと思うんですけれども、私としては機構の方に もいろいろと意見を聞きたいんです。というのは、実際に制度がこうなりましたといっても、 現場で安全性対策などをやられているのは機構の職員の方です。そういう方から生の声や意見、 考え方を聞かないと、ここで何かいろいろ言って対策を立てても、実際の現場にとってはそん なことはナンセンスとか、そういうことは当然あるでしょうし、やはり本省の方だけではなく て、機構の方にもこういう議論やこういう書類をつくるときに是非参加していただきたいとい うのが私の意見です。 ○寺野座長 そうですね。正式な機構の方ではないけれども、機構経験者は結構入っておられる わけで、それはその立場から発言してほしいです。是非遠慮なくお願いします。厚労省の方も そうでない方も、機構の職員であったときの立場も十分考慮して発言していただければありが たいと思います。機構の職員が正式なメンバーになっているということも確かに必要だったの かもしれないです。あるいはここに出てきてもらうということも必要かもしれません。  坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 すばらしい資料をいただいているんですけれども、厚労省の資料の2ページなんで すけれども、私が言いたいことはこれなんです。昭和36年とか38年としてありますけれども、 ほかの資料は西暦で書いてあったりするんです。私は本当に素人ですから、よかったら西暦を 先に書いてもらって、括弧して昭和何年と書くとか、そこら辺の資料の統一をやっていただき たいと思います。  薬事法改正について私の意見なんですけれども、薬事法というのは事件が起きないと改正さ れていませんし、犠牲者が出ないと法改正になっていません。それはとてもおかしいことだと 思います。しかし、現場で働かれている職員の方々の中にも、事件が起きる前から改めなけれ ばいけないと思っておられた方がいらっしゃったと思います。是非日ごろから自分たちが取り 組まれている仕事を振り返り、改めるべきは改める心をしっかり持っていただきたいと思いま す。  以上です。 ○寺野座長 ありがとうございます。非常に適切な御意見かと思います。  清澤委員、どうぞ。 ○清澤委員 最初に2点言いたいんですが、野村総研の方の資料で10ページの東京判決のとこ ろです。これは前回も私が言ったんですが、HBIG製剤による肝炎発生を受けてという文言 があるんですが、HBIG製剤を入れた本当の理由というのは、多分B型肝炎を防ぐためだと 思うんですが、その前に実際にB型肝炎がどれだけ起きていたのかということの調査、今度H BIGを入れたら肝炎がどれだけ本当に出たのか。そういうことがわかったら調べていただき たい。というのは、このHBIGというのは今も使われていると思います。今、清水先生とも 話をしたんですが、HBIGで肝炎が起こるというのは、私は聞いたことかないので、その辺 のところを確認していただきたいということです。  それから、製造の方のことなんですが、今回のフィブリノゲンもどれだけロットが出て、ど のロットにどれだけC型肝炎ウイルスが入っていたのかというデータは、多分会社は持ってい ると思います。そのロットがどれだけ使われているかということも多分把握していると思いま す。そうすると、恐らく発生患者数の見積もりはできるのではないかと私は思っているんです。 だから、そういう会社の資料も是非提出してもらったらいかがかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。  先ほど清水委員からも御指摘いただいた点ですけれども、これはどこまで可能かわかりませ んが、よろしくお願いいたします。  清水委員、どうぞ。 ○清水委員 今のことに関連しまして、HBIG製剤による肝炎発生は私も聞いたことがないも のですから、多分これはHBIG処理をした血漿でフィブリノゲンをつくったという意味では ないかと勘ぐってしまったんですけれども、そこら辺を確認していただきたいと思います。 ○野村総研研究員 そういう意味です。これは判決をそのまま書いているのでこういう表記にな っていますけれども、HBIG製剤で肝炎ではなくて、HBIGを添加して処理したものの製 剤ということで、当時はB型肝炎だと思っていたのでHBIGを処理したということです。 ○清水委員 そうなりますと、HBIGが使われだしたのは1970年の後半からなんです。その 当時には免疫グロブリンを打っても、今のC型は予防できないという報告も既に出ていますの で、その辺の事実関係は当時のミドリ十字かと思うんですが、学術レベルというのはちょっと 問題になるという感触も持ちますので、その辺は明確にしておいていただけたらと思います。 ○寺野座長 そうですね。今後まだ存在するものに関しての議論ですから、大事な点です。  よろしいでしょうか。間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 検証の項目のことで、案というのは前回出ているんですけれども、前回も今回も含 めて委員の方々からいろいろな意見が出ていますね。インタビューもしたらどうかという案も 出ていて、予算や時間の問題があるので検討するというお話ですけれども、その辺りは整理し ていただかないと、何をやって何をやらないのかということがわからない。検証項目というの は、第2案でもいいですけれども、整理していただきたいと思います。 ○寺野座長 そうですね。今日いろいろ御意見をいただいたので、またそれに基づいて新たな検 証項目が出てくる可能性もあるわけで、それはまた堀内委員にお願いして、整理していただく ということです。 ○間宮委員 それは、次回、検証項目について、まとめたものを出していただけるということな んですか。 ○堀内委員 先ほど申し上げました。 ○寺野座長 よろしいですね。  時間が大分過ぎてしまったので、本日の議論はこの辺で終わりたいと思っています。今日、 非常にたくさんの資料を御提供いただいたんですけれども、まだまだ不消化な点もありますの で、この辺は疑問点あるいは御意見があったら、先ほど言いましたように、金曜日までにメー ル、ファックス等で厚労省事務局まで是非御提出いただきたい。それをまた次回、次々回で紹 介して検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上で本日の会議は終了いたしますが、事務局からアナウンスはございますか。 ○医薬品副作用被害対策室長 次回の会議でございますけれども、11月11日火曜日の3時から 5時、場所はまた本日と同じ専用18〜20会議室を予定してございます。よろしくお願いいた します。 ○寺野座長 それでは、第6回の会議を終わりたいと思います。御協力ありがとうございました。 御苦労様でした。ありがとうございます。   (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111