08/10/27 第1回肝機能障害の評価に関する検討会議事録 肝機能障害の評価に関する検討会(第1回)議事録  日   時:平成20年10月27日(月)14:00〜16:00  場   所:航空会館7階 703会議室  出席構成員:和泉構成員、兼松構成員、田中構成員、林構成員、原構成員、        八橋構成員、柳澤構成員 ○名越課長補佐  定刻となりましたので、ただいまから肝機能障害の評価に関する検討会第1回を開催 いたします。  私は社会・援護局障害保健福祉部企画課の名越と申します。座長が決まりますまでの 間、ご案内を担当させていただきます。皆様方におかれましてはお忙しいところお集ま りいただきましてありがとうございます。議事に先立ちまして、障害保健福祉部長の木 倉よりご挨拶を申し上げます。 ○木倉障害保健福祉部長  ありがとうございます。部長の木倉でございます。どうぞよろしくお願い申し上げま す。  先生方には、日ごろから大変お世話になっています。また、今回は大変お忙しい中を この検討会をお願い申し出ましたところ、ご快諾いただきまして、誠にありがとうござ います。  障害保健福祉部全体では、障害の関係、障害者自立支援法で新しい法制のもとに3年 目を迎えるということで、その全体の見直しというようなことで、いろいろ審議会等、 検討をお願いしているところでございますけれども、いずれにしましても、障害者の保 健・医療・福祉というというものの充実に向けて、しっかりと頑張っていかなければい けない時期だろうというふうに思っております。  その一方で、本日の課題でございますが、今日はその身体障害の認定のご専門の皆様、 肝臓疾患のご専門の皆様にお集まりいただいております。これは、既にご案内のとおり でございますが、昨年12月、C型肝炎の訴訟の早期解決ということで、福田総理のほう から、一律の救済ということを決定をされまして、厚生労働省のほうで大臣以下、原告 弁護団の皆様と協議、あるいは作業部会というのを繰り返し開催してきておりまして、 この肝炎患者の皆様の恒久対策というものをきちんと位置づけていこうということで議 論を続けているところでございます。  その中で、今日も後でご説明申し上げますけれども、去る6月25日には、原告弁護団 の皆様方のほうから、非代償性の肝硬変、それから肝がん患者、これをその2級以上の 身体障害者手帳の対象とされたいという要求書をいただいておるところでございます。  従来は我々、肝炎に関しまして、原因も様々ある中で、その継続的治療が行われてい く中で治癒により改善する可能性もあるということでご説明をしてきておりますところ でございますが、一方で身体障害者福祉法の考え方の中の「身体に一定以上の障害が存 在をして、その障害が永続をして固定をする」ということに着目してとらえること、そ れについての難しさをどう考えるかという議論があったわけでございます。この中で今 般、舛添厚生労働大臣のほうから、肝炎問題を巡りますこれまでの経緯に鑑みまして、 ウイルス性肝炎に起因する肝機能障害のうち、身体障害としてとらえることができるも のがあるかどうかについて検討するようにという指示があったところでございます。  今の、身体障害の認定の仕組みは既にご案内かと思います。今日もご説明申し上げま すが、様々いろいろ考え方がつくり出されてきている中にありまして、構成員の皆様方 には、ウイルス性肝炎に起因します肝機能障害につきまして、この法律の上での基本的 な考え方、あるいはその他の障害とのバランスなどをお考えいただきながら、どういう ものを身体障害として位置づけることができるのかどうか、専門的なご見地からのご指 摘、ご意見を賜ればというふうに思っているわけでございます。  この問題につきまして結論を得ますまでには、なかなか難しい課題も多いかと思いま すが、特段のご協力、ご配慮のほどをお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いしま す。ありがとうございます。 ○名越課長補佐  続きまして、構成員の皆様をご紹介させていただきます。  資料1のほうに名簿を添付させていただいておりますので、お名前のみの紹介とさ せていただきます。  五十音順で、和泉徹構成員でございます。続きまして、兼松隆之構成員でございま す。田中純子構成員ございます。林紀夫構成員でございます。原茂子構成員でござい ます。八橋弘構成員でございます。柳澤信夫構成員でございます。  また、本日、欠席をしておられますけれども、国立障害者リハビリテーションセン ター、岩谷力総長にも構成員のご就任をお願いしているところでございます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  ただいま挨拶を申し上げました、障害保健福祉部長の木倉でございます。企画課長 の蒲原でございます。企画課課長補佐の天田でございます。  それから本日の議題に関し、事務局側といたしまして、健康局総務課、宮崎健康対 策推進官が出席をしております。  以上、よろしくお願いいたします。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。  お手元の議事次第のもと、資料1といたしまして「肝機能障害の評価に関する検討 会構成員名簿」、続きまして、資料2といたしまして「『肝機能障害の評価に関する 検討会』開催の経緯」と別紙がついております。続きまして、資料3といたしまして 「新しい肝炎総合対策について」、それから資料4「身体障害者認定基準等につい て」、そして資料5「肝機能障害について(ウイルス性肝炎の治療)」、以上の資料の ほか、参考資料といたしまして本検討会の開催要綱というのが付いております。お手 元にございますでしょうか。不足がありましたら、お申し出いただければと思います。  それでは続きまして、議事に入らせていただきます。  本検討会は公開でありますため、検討会での審議内容は厚生労働省のホームページ に議事録として掲載される予定でございますので、あらかじめご了承くださいますよ うお願いいたします。  続きまして、座長の選出でございます。互選ということにしておりますけれども、 どなたかご推薦いただけますでしょうか。  和泉構成員、どうぞ。 ○和泉構成員  柳澤先生に、ぜひお願いしたいと思いますけれども。 ○名越課長補佐  皆さん、よろしゅうございますでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○名越課長補佐  それでは、柳澤先生、座長席のほうへご移動をお願いいたします。  恐縮ですけれども、一言ご挨拶をいただければと思います。 ○柳澤座長  ただいま、座長にご指名いただきました、柳澤でございます。  この検討会は、先ほど障害保健福祉部長のお話にもございましたように、身体障害 者福祉法において、肝機能障害の方々をどのように位置づけるのかということについ ての学問的な立場からの検討を行う会というふうに理解しております。皆様方の適切 なご助言、ご発言によりまして、本会が所期の目的を達成するように願っております。 どうぞよろしくお願いいたします。  それから、事務局のほうからの依頼によりまして、座長の代理を一応定めておいて ほしいということでございました。座長の代理といたしましては、本日ご欠席ではご ざいますが、国立障害者リハビリテーションセンター総長であられます、身体障害者 福祉法に関する委員会・研究班の構成員でもございます、岩谷力総長にお願いしたい というふうに考えましたが、よろしゅうございますでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○柳澤座長  それでは、そのように扱わせていただきます。  それでは、早速議事に入らせていただきます。  まず、本日の議事につきまして、議事次第がございますけれども、一応、この内容 に沿いまして、事務局のほうから説明をしていただきたいと思います。 ○名越課長補佐  本日の議事でございますけれども、まず、本検討会の開催に至りました経緯につい て事務局のほうから説明をいたしまして、同時に宮崎健康対策推進官から肝炎総合対 策についての説明、その後、天田補佐から身体障害認定基準等について説明といった ものをまとめてさせていただきます。  これらの説明後に、ご質問やご意見等をいただく時間を設けさせていただきたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。  その後、肝機能障害に関しまして、ウイルス性肝炎の治療について、八橋構成員に ご説明をいただきまして、また質疑応答という形を取らせていただきたいと思います。  次回以降の検討事項につきましては、会議の最後に事務局のほうからお話をさせて いただこうと思います。 ○柳澤座長  どうもありがとうございます。それでは、本検討会開催の経緯でございますけれど も、これについて事務局のほうから。 ○名越課長補佐  事務局のほうから説明をさせていただきます。大変恐縮ですけれども、座ってお話 をさせていただきますので、ご了承いただきたいと思います。  私の方からは、資料2を使いまして説明をさせていただきます。  肝機能障害の評価に関する検討会の開催に至りました経緯について、お手元の資料 2をご参照いただければと思います。  このたび、舛添厚生大臣から、ウイルス性肝炎を起因とする肝機能障害の中で、ど ういうものを身体障害として位置づけることができるかどうかについて検討を行うよ う指示があったところでございますが、これはご存じの通り、平成14年に提起されま した、いわゆる薬害肝炎訴訟に関連をしたものであります。  昨年12月に当時の福田総理大臣から、訴訟原告の全員一律救済の決定というものが ございまして、これを受けて、今年の1月11日に議員立法によりまして、特定C型肝 炎ウイルス感染者救済特別措置法というものが制定されまして、これが1月16日から 施行され、薬害肝炎被害者の救済が始められました。  併せて今年度からは、後ほど説明がありますが、新しい肝炎総合対策ということで、 これは法に基づく保護とは別に、肝炎の総合対策が進められるということになってお ります。  そうした中、資料2の別紙1にございますように、原告・弁護団と国との間で、1 月15日に交わされました基本合意に基づきまして、原告・弁護団、国は継続して恒久 対策及び薬害再発防止対策について協議を行うことになりました。  その後、3月17日の1回目の原告・弁護団と、大臣の協議がございまして、恒久対 策検証及び再発防止、個別被害救済、3つの作業部会が設置されることが決まり、恒 久対策として、患者さんに対する医療支援や生活支援についての検討が行われること になったわけでございます。  その後、原告・弁護団と厚生労働省の間では、3回にわたりまして恒久対策に関す る作業部会というのが開催をされております。  6月15日に原告・弁護団から別紙2のように要求書が出されまして、続きまして、 7月下旬には、別紙3のような「厚生労働大臣からの回答を求める事項」というもの が提示をされました。  別紙2に書いてあります、要求書の抜粋のところ、これは資料2の一番最初のペー ジに載っておりますけれども、「第4 所得保障・生活保障に関する要求」というと ころに1番目の項目といたしまして、「非代償性肝硬変及び肝がん患者を2級以上の 身体障害者手帳の対象とされたい」という文章が掲げられています。  これは、別紙2で3ページにあります。それから、別紙3の厚生労働大臣からの回 答を求める事項の中の2ページ目に相当するところですけれども、3の項目といたし まして、「同要求書第4『所得保障・生活保障に関する要求』1項に関して」という ことで、「INF療法を受けながらなお治癒しない慢性肝炎患者、肝硬変患者及び肝 癌患者が厳しい生活環境の中で治療に苦闘している実態に鑑み、これら患者が安心し て暮らせるよう、身体障害者支援制度の中に肝炎対策を位置づけ、身体障害者手帳の 交付を受けられるようにされたい」という文章が掲げられているところでございます。  これに対しまして、8月1日、9月9日の2日間に分けて実施されました、2回目 の原告弁護団、厚生労働大臣の協議におきまして、大臣から、肝疾患すべてを身体障 害とすることは難しいものの、ウイルス性肝炎に起因とする肝機能障害の中でどうい うものを身体障害として位置づけることができるかどうかについて、専門家からなる チームを11月前を目途に設置して検討作業を開始するという旨の発言があったところ でございます。  本検討会は、このような経緯により設置が決まったものであります。  このたびは身体障害の認定基準について、これまでいろいろと専門的なご助言をい ただきました専門家の方々、肝疾患の専門家の方々と合わせて8名お集まりいただき まして、本検討会を構成をしております。  木倉部長のご挨拶にもありましたとおり、従来、肝疾患は治療により回復するもの もあるということもあり、障害が固定あるいは永続するという要件というものがござ いまして、なかなか判断が難しいところでありますけれども、今後、構成員の皆様方 からのご説明、あるいは患者さんからのヒアリングを含めまして議論をいただき、最 終的に何回の開催となるかわかりませんけれども、ウイルス性肝炎を起因とする肝機 能障害の中で、どういうものを身体障害として判断していくのかということについて、 一定の結論を求めていただくこととしております。どうかよろしくお願いをしたいと 思います。  経緯につきましての説明は、以上でございます。 ○柳澤座長  それでは、続きまして肝炎総合対策につきまして、宮崎健康対策推進官のほうから 説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○宮崎健康対策推進官  健康局総務課で健康対策推進官をしております宮崎と申します。総務課と併せて肝 炎対策推進室のほうも併任をしておりますので、私のほうから現在進めております肝 炎対策の状況につきましてご説明をさせていただきます。すみません、ちょっと座っ てご説明させていただきます。  今、説明の中にもございましたように、今年の1月には、薬害肝炎等を踏まえまし た基本合意書が取り交わされておりますけれども、その中に恒久対策として肝炎医療 の提供体制の整備、肝炎医療に係る研究の推進等、必要な措置を講ずるよう務めると いうことの項目が入っているところでございます。こうしたことも踏まえまして、現 在、平成20年度から新しい肝炎総合対策に取り組んでいるところでございます。  資料3を1枚お開きいただければと思います。  1ページ目でございます。「肝炎対策の推進」ということで、平成20年度の予算額 を提示をしております。この新しい肝炎対策につきましては、申し上げました基本合 意書に先立つ昨年の11月に、与党肝炎対策に関するプロジェクトチームの取りまとめ の中で、新しい肝炎総合対策を推進していくというような取りまとめもあり、こうし たいろんな経緯を踏まえまして、20年度予算におきましては207億円という、昨年度、 19年度の75億円から倍増以上の予算を獲得し取り組んでいるところでございます。な お、平成21年度予算につきましては現在概算要求の段階でございますけれども、1ペ ージ目の下のほうにございますように、本年度、20年度予算とほぼ同額の予算を概算 要求しているところでございます。  この現在進めております肝炎対策の方向性は、中段に掲げておりますように、肝が んへの進行予防、肝炎治療の効率的促進、また検査・治療・普及・研究をより一層総 合的に推進すること、検査未受診者の解消、肝炎医療の均てん化、正しい知識の普及 啓発等を方向性として意識しながら進めているところでございます。  2ページ目をご覧いただければと存じます。  この肝炎対策全体で200億円の予算を計上しておりますけれども、少し分類をいた しますと、5つの柱によって進めているところでございます。  まず1つ目が、インターフェロン治療に関する医療費の助成ということで、平成20 年度からスタートした事業によりまして、インターフェロン治療に関する医療費の軽 減というものを図っているところでございます。  2番目の柱が、肝炎ウイルス検査の促進ということで、保健所等におきます肝炎ウ イルス検査体制を充実いたしまして、検査を未受診でいらっしゃる方の解消を図って いくことを進めているところでございます。  3番目の柱が診療体制の整備と、医療提供体制ということでございます。健康管理 の推進と安全・安心な肝炎治療の推進、肝硬変・肝がん患者への対応ということで、 7.5億円を計上しているところでございます。  4本目の柱としましては、国民に対する正しい知識の普及ということでございます。  5本目の柱として、研究の推進というところに力を入れているところでございます。  以下、少しこの5本の柱に沿って内容を紹介させていただきますと、3ページ目を ご覧いただければと思います。  平成20年度から始まりました、1本目の柱であります「インターフェロン療法の促 進のための環境整備」、インターフェロン治療の医療費助成でございます。このイン ターフェロン治療の医療費助成につきましては、表中に少し具体的な内容を書いてお りますように、対象者といたしましてはB型及びC型肝炎の患者さんを対象とし、こ のB型及びC型肝炎の根治を目的としたインターフェロン治療を助成の対象としてい るところでございます。なお、インターフェロンの中には、代償性肝硬変を対象とし た適用となっているものもございますので、その意味では肝炎に加えまして、代償性 肝硬変の一部もこの助成の対象となっているところでございます。  こうした医療を対象といたしまして、自己負担額につきましては、全体の2割程度 の方、上位所得層につきまして5万円を限度とすると。また中間所得層、3割程度の 方につきましては3万円限度とし、上記以外の所得層、低所得層の方につきましては、 低所得とか中間も含めました5割ぐらいの方につきましては、上限1万円ということ でインターフェロン治療を受けていただけるような助成制度を設けているところでご ざいます。  これによりまして、目標といたしましては、1年間に10万人という目標を掲げまし て、7年間継続して実施することで、インターフェロン治療について未受診の方、治 療を受けたいけれども例えば経済的理由などで受けられない方をなくしていこうとい うことで、そうした目標を掲げて取り組んでいるところでございます。  先日、4月から6月までの第1四半期分の実績が出ましたけれども、4月から6月 まで、47都道府県の実績は、現在までに申請をされた方が1万8,000人に対して、交 付件数約1万2,000人という状況でございます。引き続きこのインターフェロン治療 に関する助成制度の活用を、より活用されるように周知等を進めていきたいと考えて いるところでございます。  2番目の柱が「肝炎ウイルス検査の促進」ということでございます。  これにつきましては、従来から保健所におきます肝炎ウイルス検査というものを行 ってきたところでございますけれども、昨年度からは医療機関に委託した形でのウイ ルス検査も可能といたしまして、特に1月からは、委託医療機関での検査を無料とな るように予算上の手当をいたしました。これにつきましては、できる限り多くの自治 体におきまして、保健所そしてまた委託医療機関でも検査が行われ、それで無料で受 けられるような体制を整備したいと考えておりまして、今なお一部、委託医療機関で の検査無料となっていない自治体等もございますので、そういうところにはいろいろ な働きかけをしているという状況でございます。  これを通じまして、未受診者の解消ということを目指しているところでございます。  5ページ目をお開きいただければと思います。  3点目は、医療体制の部分でございます。これにつきましては5ページ目、6ペー ジ目に書いておりますけれども、各都道府県を単位としての医療提供体制、肝炎治療 体制をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。先日、関連の 会議の中でも肝炎の、例えばインターフェロン治療につきましては、専門医の方がい らっしゃる医療機関と、専門医の方がいらっしゃらない医療機関では、例えば副作用 のコントロールの仕方ですとか随分差が出てくるんじゃないかというようなご意見な どもいただいているところでございます。  そういう意味で、専門医のいる医療機関と、かかりつけとして日常的な肝炎治療を 担当するような医療機関と、そういう連携をきちんと二次医療圏ごとにとった上で、 各都道府県ごとに原則1カ所、肝疾患診療連携拠点病院というものを整備をしていだ たいて、都道府県を単位として、肝炎治療に身近な地域で安心して受けられる体制を つくっていただきたいということで進めているところでございます。  現在の状況でございますけれども、47都道府県のうち、肝疾患診療連携拠点病院、 原則、都道府県1カ所でございますけれども、この1カ所の連携拠点病院を指定して いるところが、30府県になっております。なお、17都道県におきましては、未指定と いうことでございますけれども、今、肝炎対策室におきましてはこの未指定の都道県 に対しまして、場合によっては直接出向いていきまして未指定の解消といいますか、 遅くとも年度内には指定をすることで、全都道府県においてこの治療体制がとられる ようにということでお願いをして回っているという状況でございます。  6ページに具体的な肝疾患診療連携拠点病院の役割、あるいは二次医療圏ごとに1 カ所以上ということでお願いしております専門医療機関の役割等を記載しているとこ ろでございます。  続いて、7ページをお開きいただければと思います。  5本の柱のうちの4番目の柱でございますが、「正しい知識の普及と理解」という ことでございます。残念ながら、なお肝炎に関しまして正しい知識が十分に行き渡っ ていないというような状況があるということも仄聞いたすところがございます。職場、 あるいはいろんな場面におきまして、肝炎についての正しい知識を皆様に持っていた だきまして、患者の方あるいは感染者の方々がいわれのない差別を受けることのない ように普及・啓発に努めているところでございます。このために厚生労働省におきま しては、各種のリーフレットなどを都道府県あるいは医師会、事業者団体、そうした ところに配布をするというような形を通じた普及をしておりますし、あるいはホーム ページによる情報発信等も行っているところでございます。これにつきましても引き 続き、相当肝炎に関する知識は進んできたとはいうものの、なお引き続き力を入れて いきたいと考えているところでございます。  最後に8ページでございます。  「研究の推進」ということでございます。これにつきましては、本日のご出席の林 構成員に入っていただきまして、肝炎治療戦略会議というものを私どもは設けており まして、専門家の方々に肝炎治療に関するご議論をいただいているところでございま すけれども、この肝炎治療戦略会議におきまして、今年の6月20日に肝炎研究7カ年 戦略というものを取りまとめていただいたところでございます。  この7カ年戦略は8ページに記載がありますように、これまでの肝炎に関する研究 成果の上に立ちまして、新たにB型肝炎、C型肝炎、肝硬変、肝がん、そして基礎、 疫学、それぞれの分野におきましての重点課題というものを定めまして、戦略目標と して、今後7年間でB型肝炎については臨床的治癒率を約3割から4割、C型肝炎1 b高ウイルス型につきましても根治率を5割から7割、非代償性の肝硬変における5 年生存率をB型については25%から50%、C型については25%から35%、進行肝がん の5年生存率を25%から40%ということで、そのような目標を立てまして研究を重点 的に進めていこうという目標を立てていただいたところでございます。これに基づき まして、厚生労働省におきましては、厚生労働科学研究費等を活用して研究に力を入 れていきたいと考えているところでございます。  以上、新しい肝炎総合対策の5本の予算の枠組みに沿いまして、5本の柱に沿って ご説明いたしました。引き続きこの肝炎総合対策を、名前の通り総合的に進めていき たいと考えているところでございます。  以上でございます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。新しい肝炎総合対策ということでご紹介いただきました が、続きまして、もう一方に身体障害認定基準についての説明をしていただきたいと 思いますが、事務局のほうでよろしくお願いします。 ○天田課長補佐  企画課の天田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。恐縮ですが座ってご 説明をさせていただきます。  私からは、身体障害者に係る認定基準等につきまして、お手元の資料4に沿ってご 説明をさせていただきたいと思います。  まず、身体障害者福祉法の理念でございますが、身体障害者の自立と社会経済活動 への参加を促進するため、身体障害者を援助または必要に応じて保護することにより、 身体障害者の福祉の増進を図ることを目的としてございます。具体的なサービスの提 供につきましては、ご覧の通り平成18年4月に施行されました、障害者自立支援法に 大部分が移行いたしましたが、身体障害者福祉法それから障害者自立支援法等、相ま って推進することとしております。  お手元の資料1ページ目を開いていただきたいと思います。  まず、法令の規定といたしまして、身体障害者福祉法第4条でございます。これが 身体障害者の定義に関する規定でございまして、「『身体障害者』とは、別表に掲げ る身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の 交付をうけたもの」と規定されてございます。  身体障害者手帳の交付手続きに関する規定につきましては省略させていただいてお りますが、身体に障害のある方が、居住地の市町村を経由いたしまして、都道府県知 事に指定医師の診断書、意見書を送付いただいて手帳の申請を行っていただくことに なります。都道府県知事はその申請に基づいて審査を行い、法別表に該当すると認め たときは、申請者に対し、身体障害者手帳を交付するということになります。  なお、18歳未満の児童につきましても、この身体障害者福祉法に基づき手帳を交付 いたしますが、障害児施設の利用等につきましては児童福祉法等により給付を行うと いうことになります。また手帳の交付事務につきましては、大都市等の特例によりま して、指定都市及び中核市についても行ってございます。  資料に戻りまして、手帳の認定対象となる身体の部位でございます。第4条の下に 記述しております別表をご覧いただきたいと思います。  第1号が視覚障害、第2号が聴覚、平行機能障害、第3号が音声、言語、そしゃく 機能障害、4号が肢体不自由、5号が内部障害としまして、心臓、腎臓、呼吸器、そ の他政令で定める障害となっております。この政令で定める障害は、その下の身体障 害者福祉法施行令第36条に規定がございまして、ぼうこうまたは直腸機能障害、小腸 機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障害が対象とされてございます。  昭和59年以降、内部障害に係る認定対象の拡大を行った場合につきましては、この 政令に規定することとしてございます。  飛びまして、一番最後のページ、末尾の33ページをご覧いただきたいと思います。  「身体障害の範囲拡大の経緯」でございます。身体障害者福祉法が戦後法制の1つ としまして、昭和25年4月に施行されましたが、その当時は肢体不自由や視覚障害等 のいわゆる外部障害が認定対象となっていたのでございます。その後、昭和42年8月 に心臓、呼吸器の内部障害が追加されまして、それ以降、昭和47年に腎臓、59年にぼ うこう、直腸、61年に小腸、そして平成10年4月にヒト免疫不全ウイルスによる免疫 の機能障害を随時加えまして現在に至っております。  資料の2ページに戻っていただきたいと思います。資料番号といたしましては、資 料4の(2)でございます。  2ページから4ページまでが、現在の等級表でございます。これは身体障害者福祉 法第5条に身体障害者手帳の記載事項といたしまして、障害名及び等級の級別を記載 することにされておりまして、この規則別表第5号としてこの等級表を規定している ものでございます。  等級表はご覧いただきますように、それぞれの身体部位によりまして1級から6級 まで規定されておりますが、聴覚障害や心臓等の内部障害等につきましては、一部等 級の指定がございます。特に右側のほうに内部障害が固まって記述しておりますが、 内部障害につきましては、基本的には1級、3級、4級の指定がございます。ヒト免 疫不全ウイルスによる免疫機能障害につきましては、2級の指定もございます。それ から肢体不自由につきましては等級表上7級、これはページといたしましては、4ペ ージの末尾にございますが、7級が規定されておりますが、単独の障害ではこの手帳 の交付の対象とはなりません。他の部位との重複の場合に認定が可能になるというこ とになっております。  また、複数の障害が重複する場合がございます。この場合につきましては、それぞ れの部位別に級の認定を行った上で、指数をつけます。その合計指数によりまして総 合等級を定め、手帳を記載をするということになってございます。この指数の見方に つきましては、お手元の資料30ページ、31ページにございます。真ん中あたりの障害 等級の認定方法等がここに該当いたします。  続きまして、5ページから33ページまで、これが資料番号の(3)になりますが、身体 障害の等級の解説でございます。手帳交付事務を行う上でのガイドラインといたしま して、等級の審査に係る認定基準を都道府県等に通知したものでございます。  この6ページ目をご覧いただきたいと思います。身体障害者福祉法の障害認定につ きましては、先ほどの木倉部長からのご挨拶にもございましたように、身体機能に一 定の障害があること、その障害が固定または永続していること、この考え方に基づき まして認定を行っているところでございますが、永続する障害とは、第1の2、真ん 中の辺りでございますけれども、ここのところで障害が将来とも回復する可能性が少 ないものであれば認定の対象となり、必ずしも症状が固定している場合のみを対象と しているというものではございません。  個別身体部位ごとの認定基準におきましては、7ページ以降にございます。特徴的 な事項を若干ご紹介させていただきたいと思いますが、視覚障害から聴覚障害、音声 機能障害、そしゃく機能、それから肢体不自由までにつきましては、その部位の機能 障害が認定基準となってございます。視力障害がどのぐらい以下であるか、それから 下肢、関節、またはその下肢全体の機能はどうか、全廃かそれから著しい障害かとい った機能の障害、その程度によりまして等級を定めてございます。  内部障害につきましては、19ページ以降ございます。  基本的には、共通事項といたしましては、医学的な臨床所見及び日常生活上の制限 の度合いによりまして、等級を認定をしてございます。  若干ご説明いたしますと、心臓機能障害については19ページでございます。認定基 準といたしましては、18歳以上と18歳未満に分かれていること、それから人工ペース メーカーを装着した者または人工弁移植、弁置換を行った者は1級として認定される、 この記述につきましては20ページにございます。  腎臓機能障害につきましては、21ページからございますが、特徴的な事項といたし ましては、腎移植を行った方につきましては、抗免疫療法を要しなくなるまでは認定 の対象となるということ、また慢性透析療法を実施している方につきましては、透析 療法の実施前の状態で判定するとされております。  ちょっと飛びまして、ぼうこう、直腸機能障害でございます。これにつきましては、 ストマの造設及び排便排尿の機能の障害によりまして認定することになっております。 認定基準が、ストマ造設後6カ月を経過していない場合につきましては、6カ月経過 後の状態で再認定を行うということになってございます。  最後がヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、ページといたしましては27ペー ジになります。ヒト免疫不全ウイルスに感染しているということが、まず認定の要件 となってございます。併せまして認定基準につきましては、13歳以上と13歳未満で分 かれているということ、それから等級の指定といたしましては、その他の外部疾患に つきましては、1級、3級、4級という等級の指定がございますが、このヒト免疫不 全ウイルスによる免疫機能障害につきましては、2級という等級が特別に設定されて いるということでございます。  非常に簡単でございますが、以上でございます。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  少し今の身体障害認定基準は、この法律にかかわっておられる構成員の皆様方には おなじみのところでありますが、初めての方には少し理解しにくい面もあるかと思い ますが、またおいおいディスカッションしていただければと思います。  それでは、ここまでのところ、名越補佐から報告されました、本会議開催の趣旨、 それからまた宮崎健康対策推進官からの新しい肝炎総合対策、そしてまた、ただいま の天田補佐によります身体障害認定基準等の、この3つの説明につきまして、構成員 の皆様方のご質疑あるいはご意見をいただきたいと思いますが、どうぞざっくばらん にどのような順序でも結構ですから、ご意見をいただきたいと思います。いかがでし ょうか。 ○和泉構成員  今回その身体障害福祉法に基づく対策を考えるということですけれども、総合対策 の部分のどの部分をご担当しようとしているのかちょっと意図が見えてこないんです けれども、と申しますのは、医療の中で担当できることもありましょうし、私どもが 今対象としている中は症状・兆候がはっきりしてきて、しかも不可逆性の状態になっ たと、症状が固定したというときに初めて発動されるもののように私は理解している わけですけども、肝炎の場合にはそのことに対する理解が非常に今まで難しかったと いう技術的な問題があって延びてきたと理解しているんです。今回、政治的な決着で やることになったというのは確かに理解することはできますけれども、この枠組みの 中でどういう対象をお考えになっているのか、そこがちょっと見えてこなかった。宮 崎推進官にお伺いしたほうがいいんでしょうか。 ○柳澤座長  それでは、事務局からお答えいただいて、それからもし林構成員あるいは八橋構成 員からご意見があれば伺いたいと思います。  どうぞ。 ○名越課長補佐  まず、身体障害として認めるかどうかという前に、なぜ肝機能障害の方を身体障害、 あるいは障害者福祉施策の中でこなせなければいけないかということなんですけれど も、身体障害者福祉法は、先ほど天田補佐からの説明もありましたとおり、自立支援 法と相まりまして障害者の方の自立と社会への参加の部分をサポートする法律である というふうに考えることができます。そういうわけで、単に医療面であるとか、単に 経済面であるとか、そういう話ではなくて障害者施策、わかりやすく話をすれば、今 やサービスの大部分は自立支援法のほうに移ってしまいましたけれども、障害者福祉 サービスをいかに提供できるかといったところが主眼になるのではないかというふう に考えております。もちろん、障害者手帳制度に併せて多種多様な障害福祉サービス とは別の部分としてのサポートというものも付属的についてくるのはありますけれど も、そういったものを併せてその方の社会への参加、自立を支援していく方向で対策 が組まれているものというふうに考えています。  それに対しまして肝炎総合対策ですけれども、これは主に、いかに早く患者さんを 見つけまして、積極的に治療を行う、その治療に必要な医療費のほうを支援するとい うふうな、中心は医療対策であるというふうに整理できると思います。  宮崎推進官、できれば補足をお願いします。 ○宮崎健康対策推進官  今ご説明いただきましたように、新しい肝炎総合対策ということで今進めている対 策は、そのねらいといたしましては、肝炎というものが国内最大の感染症であり、感 染を放置すると肝硬変、肝がんへと進行して重篤な病態を招くという認識に立ちまし て、早期発見、早期治療ということを進めていくということで総合的な対策を進めて いるものでございます。  その中には医療費助成という制度もございますけれども、この医療費助成につきま しては、そういう意味で肝硬変、肝がんといった、より重篤な疾病を予防するという 観点で、B型、C型肝炎の根治を目的としたインターフェロン治療を助成の対象とし ているところでございます。  そういう意味で、これも含めまして新しい肝炎総合対策につきましては、国内最大 の感染症と言われる肝炎に対する医療的施策というものをまとめたものでございまし た。それとは別に、今お話がありましたような、この場におきましては、障害者施策 の中で位置づけることにつきましてのご議論をいただけるものだというふうに健康局 としては考えているところでございます。 ○柳澤座長  和泉構成員、それでよろしゅうございますか。一応、身体障害者福祉法のほうは福 祉ということであって、肝炎総合対策のほうが主として総合医療という面になってい ることですが、林先生のほうで何かございますか。マイクをお渡しして下さい。 ○林構成員  恐らく今のご質問は、病変の永続性のご質問だと思っております。それで、慢性肝 炎ですと、ウイルスが排除されますと病変はかなり正常に近い状態まで戻ってまいり ます。肝硬変の初期の段階ですと、ウイルス肝炎が起こりますと、慢性肝炎よりはそ れよりも軽度な病変まで戻ってまいりますけれども、肝硬変がある程度進みますと、 ウイルスの排除があっても、繊維化が完全に元に戻らないという例もございます。肝 病変の永続性をどういう対象に求めるかというところが、難しい点ではないかと思っ ております。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  八橋先生、何か。 ○八橋構成員  症状についてコメントすると、肝臓は体の中では工場のような働きをしています。そ れがきちっと働かない、肝不全の状態になるといろんな症状が出てきます。肝硬変とい う病態は、原則、一度肝硬変になると元には戻らない不可逆的なものであり、時間とと もに進行していくと考えられてきましたが、最近では、治療法の進歩により肝障害の原 因となるウイルスが排除されるないしウイルス増殖が止まると症状がよくなる方も中に はおられます。そのあたりの問題点が、多分議論のポイントになると思います。この点 に関しては、後でまた少しご紹介したいと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。それでは、よろしゅうございますでしょうか。  ほかにご質問。はい、どうぞ。兼松構成員。 ○兼松構成員  肝炎だけと、それから肝がんということになりますと、治療にかかる費用あるいは、 治療の方法あるいは検査の方法とか違ってくると思うんですが、これは同列として検 討をしていくんでしょうか、それとも個々、別個に考えながらいくのか、そういうと ころはいかがですか。 ○名越課長補佐  今回の議論の中では、肝炎ウイルスによって生じました肝疾患、肝機能障害のうち、 どの部分を障害として見れるかということが決まった段階で、その部分に関する医療 費をどう計算していくのかというのが議論になると思いますので、どっちが先かとい うのは、なかなか言いづらいところではあるんですけれども、これから先生方に肝炎、 肝疾患の治療あるいはその進展について、ご理解、ご確認をいただく中で、これにか かる費用はどのくらいかということもご紹介いただきながら議論を進めていただき、 そうして、まずは検討会としてその部分を、肝機能障害を身体障害としてとらえるか といったところを議論を収束していただくような手順でお願いをしたいというふうに 思います。 ○柳澤座長  いかがですか。ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○和泉構成員  内臓障害である、つまりサイレントなオルガンを対象にしているということで、非 常に話は難しくなっていくんだと思うんですけれども、もう一つはウイルス感染症で 概念的には非代償期に入ったものという概念で話をとらえていく必要があるかと思う んですけれども、そうするとHIVが非常に参考になると思うんですけれども、HI Vの実際の運用それから適用というのはどうなっているのか、つまり、全てはやはり お困りになっている方が世の中にいっぱいいらっしゃるわけで、その人たちにある意 味では公平に作動していかなければならないという問題を抱えているわけですので、 水準化ということを最初するときには考えなければいけないということになろうかと 思うんですけれども、そのときに参考になるかと思うんですけれども、先ほどちょっ と省略されたので、私はちょっとここは聞いてやろうと思って待ち構えてたんですけ ど、スキップされましたので、ぜひ教えていただければと思います。 ○柳澤座長 どうぞ、事務局のほうで。 ○蒲原企画課長  実は、私も別に医者ではないので細かなところまでわからないところがあるんです けれども、恐らくこの問題を整理していく過程では、まさに先生がおっしゃったよう に、今の身体障害者福祉法上における内部障害、今はHIVのことをおっしゃいまし たけれども、そのほかの内部障害におけるいわば一定の機能が、一定の状態が永続し ていると、こういうところを一個一個どうなっているかということのバランスをちょ っと見ていかなければいけないというふうに思います。  恐らく今日の段階では、簡単に少しわかる範囲であれだと思うんですけども、今日 の話をスタートしていって、いろんな声を聞いて、まとめていく過程で、おっしゃる ようなプロセスが細かく医学的なところを含めて、細かく整理をして出していくとい うことをこれからやっていきたいと思います。  ちょっと簡単ですみません。その意味では簡単です。 ○名越課長補佐  正直、今日HIVに関して完全にお答えできる資料を持ち合わせておりませんので、 また機会を改めてご説明をさせていただく時間をいただければと思いますけれども、 ほかの内部障害と違い、1級から2級を含めて4級まであるということで、よりきめ 細かく認定をしているという背景があると思いますけれども、ちょっと今、資料の材 料がないところで不正確なお話をするのは適切でないと思いますので、機会を改めま して説明をさせていただければと思います。 ○柳澤座長  それでは、そのようにお願いします。  ほかにいかがでしょうか。  私のほうから、先ほど和泉構成員が出されました件に関しましてちょっと伺いたいん ですが、身体障害者福祉法と、それから新しい肝炎総合対策というのをお話しいただき ましたが、身体障害者福祉法の中での内部障害のいろいろな疾患との比較ということで 今ご議論いただきましたけれども、私が伺っていてちょっと考えた点は、別の法律で対 応しているようなケース、例えば神経難病の場合などは、特定疾患対策事業というもの で対応していて、一方で身体障害者福祉法で、やはり障害の度合いに応じて中枢神経障 害ですから等級が認定されるということがありますよね。  特定疾患対策事業の場合は大体うまくいっているのかなというふうに思いますけれど も、法律の位置づけとしては、先ほど非常にはっきり申されましたように、身体障害者 福祉法はやはり福祉ということが目標であると、それから肝炎対策というのは進行の予 防なりあるいは早期発見なりといった、そういった医学的な面から肝炎をとらえるとい う、そういうふうな理解でよろしいわけでしょうか。特定疾患対策事業との関係。 ○名越課長補佐  ご指摘がありましたけれども、特定疾患対策は医療面をサポートする事業ですね。肝 炎総合対策も、同様に肝疾患の医療面をサポートする事業です。障害者福祉の面に関し て、身体障害者福祉法の中で神経難病という病気で切っているわけではなく、結果的に 神経難病の方は肢体の自由という障害が発生して身体障害に認定されるというような経 緯になっています。  一方で肝疾患の場合ですけれども、現行の身体障害の認定基準を満たす障害がある場 合は当然、身体障害になるわけですけれども、肝疾患であるというだけでそのまま身体 障害になるという話ではございません。また、肝疾患の症状悪化で何らかの身体障害者 の認定基準に入ってくるものは現状ではないと思います。  ちょっと話がややこしく、まどろっこしくなりましたけれども、特定疾患対策と肝炎 総合対策とは、ほとんど対と思っていただいて結構です。身体障害に関して結果的に神 経難病の方は身体障害になる方は結構いらっしゃいますけれども、肝炎、肝疾患に関し て、現状は身体障害者施策に乗っている人というのは比較的少ないのではないかという ような理解ができると思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。ご質問、ご意見ございますか。もし、ございませんでした ら先へ進みたいと思います。  今日、予定してございますのは、専門家でいらっしゃる八橋先生からウイルス肝炎治 療につきまして、パワーポイントを使ってご説明いただいて、私たち全員でこの問題点 あるいは現状について理解を深めるということなのであります。それでは、八橋先生よ ろしくお願いいたします。 ○八橋構成員  長崎医療センターの八橋でございます。  今日は、肝疾患とはどういう病気であり、患者さんが何に苦労されているのかという ふうな観点も踏まえて、わかりやすくまとめてきました。  まず、肝硬変の話をします。次に肝がん、B型肝炎、C型肝炎というふうな順番でお 話をする予定にしております。  これは、ちょっと見づらいスライドかもしれませんが、当院で入院された患者さんが 支払った医療費のリストでございます。最初に4日間の肝生検入院のケースを示してい ますが、4万8,000円は、患者さんが支払われた医療費です。実際の医療費は、この額 の大体約3倍の額とご理解いただければと思います。インターフェロン治療導入の入院 ケースでは12万円です。腹水コントロールに対するアルブミン使用、24日間というの は、肝硬変のケースで、おなかに水が溜まっている方を治療する場合には、1回の入院 でこれぐらいの医療費負担がかかります。  下の方には、主に肝がんの治療にかかわる患者さん負担の医療費を提示しています。 16万円から、入院中にラジオ波治療を2回おこなうと26万円です。実際の医療費は、 この3倍と計算されますが、かなりやはり高額な額になります。  肝硬変とはどういう病気なのかということですけれども、慢性肝炎初期の状態ないし 肝臓が正常な方は、スライドの左のような表面平滑な肝表面像を呈します。しかし慢性 肝炎から病気が進行して肝硬変まで進展すると、スライドのように肝表面がでこぼこし た感じになります。これを肝硬変結節と、我々は表現していますが、このような肝硬変 の状態にまで進行しますと、この変化は不可逆的なものであり、この結節が自然に消え てなくなることはないというふうにご理解いただきたいと思います。  ただ、肝硬変の多くの方は無症状であり、ほとんどの方は、症状もなく日常生活を送 られているのも事実でございます。  肝硬変の原因に関して、我が国のデータを提示します。スライドは最近、2008年6 月に肝臓学会で報告された3万例近くの集計結果でございます。この頻度というところ に注目していただきたいのですが、日本の肝硬変の60%はC型肝炎ウイルス感染が原 因でございます。B型肝炎ウイルスによる肝硬変が15%、アルコールによるものが15 %、その他というのはいろんな疾患がありますが合わせて約10%です。この集計結果 からは、日本の肝硬変の75%は、B型とC型のウイルス肝炎感染が関係していると考 えられます。  それと、C型の肝硬変の患者さんは、大体60歳以上の方に多いわけですけれども、 B型の肝硬変は、C型に比較すると若年であり40歳や50歳の方でもめずらしくはござ いません。原因ウイルスによって肝硬変の年齢層が違うというものも、少しご留意いた だきたいというふうに思います。  日本にどれぐらい肝硬変の方がおられるのかというのは、実は正確なデータはござい ません。大体幾つか、成書によりますと、かなり幅がある数字ですが、日本には20万 から40万人の肝硬変の方がおられるではないかと推定されています。症状がない方が 多数おられますので、そういう意味では実際の患者数を把握しづらい疾患単位でござい ます。  肝硬変の分類に関して、我々がよく使っている分類法とは、代償性の肝硬変と非代償 性の肝硬変と、大きくは2つに分けています。わかりやすく言いますと、症状のないケ ースでは代償性の肝硬変と呼びます。初期の肝硬変です。一方、何らかの症状のあるケ ースを非代償性の肝硬変と呼びます。肝硬変としては病状が進んだ状態でございます。  あと、肝硬変の程度を把握する分類としては、Child-Pugh分類というのが世界的に 使われています。5項目を評価する方法です。肝性脳症、腹水の2項目の有り無し、そ の程度に加えて、血液検査でわかる3つの検査項目を評価します。肝性脳症、腹水につ いては、実際の患者さんの症状を評価するようになります。おなかに水が溜まっていな いか、また肝臓は毒素を解毒する臓器ですので、解毒機能が低下してアンモニアが上昇 して意識障害をおこしていないか、その程度をスコア化します。あと血液検査所見も、 その値により1点、2点、3点とスコア化します。状態のいい方の場合は、スコアの合 計点は、1点が5項目ということで最低点の5点ということになります。最高は、3点 が5項目ということで15点ということになりますが、15点の方は、重篤であり、まず 生存できないような状況です。スコアの総点が10点以上の場合をChild−Pugh分類C と呼んでいます。Child−Pugh分類Cの場合は、非代償性の肝硬変と我々は診断してい ます。このChild-Pugh分類が、肝硬変の重症度を評価する方法として、世界的に普及 していると思います。  肝硬変の方の症状として、患者さんにご協力いただいて写真を撮らせていただいたん ですが、手掌紅斑という所見があります。掌が赤くなる、単に掌全体が赤くなるだけじ ゃなくて、掌の中央部分は白くなります。これが手掌紅斑で、肝硬変の1つの症状でご ざいます。ただし掌が赤いからといって日常生活で困ることはありません。あと肝硬変 の方では、首の回りから前胸部によく小さな血管が怒張した、くも状血管腫という所見 も見られるようになります。300例ほどの肝硬変の方を調べてみると、この2つの所見 は300例の肝硬変の方の約半数の方で、この2つの診察所見が見られます。  肝硬変の状態が進行していきますと、黄疸が見られるようになります。目(球結膜) が黄色くなります。また、おなかに水が溜まり(腹水)、おなかの皮膚の血管が怒張し ます。おなかの皮膚の血管の怒張の所見は、メデューサの頭というふうに呼ばれていま すが、なぜメデューサの頭なのかというと、ギリシャ神話の中で、メデューサという女 性が魔法をかけられて髪の毛が蛇になったという話があり、それにたとえられてメデュ ーサの頭というふうな名前がつけられています。  肝硬変の方は、最終的に何が原因で亡くなるか?死因についてご説明します。死因の ひとつに、食道静脈瘤の破裂があります。肝硬変になると肝臓が硬くなり、肝臓そのも のへの血流が低下して流れにくくなります。流れにくくなった血流は、肝臓の外の血管 内の圧を上昇させます。これを専門的には門脈圧亢進症と呼んでいます。食道下部の血 管の圧が上昇して、血管のこぶができ、食道静脈瘤が形成されるわけです。これが突然 破裂して吐血して死に至ることがあります。2番目の死因としては、肝硬変が進行して 肝臓の働き自体が悪くなるとともに解毒機能も低下して、肝不全、肝性脳症、昏睡とい う状態で亡くなる。3番目は肝臓がんの合併です。肝硬変は肝癌の前がん状態と考えら れており高率に肝癌を合併します。今から20年か30年前の肝硬変の方の死因の頻度と しては、食道静脈瘤の破裂、肝不全、肝癌、それぞれ3割・3割・3割、約30%ずつ の頻度と言われていました。しかし現在では各種治療法が進歩したことから、ウイルス 肝炎感染が原因で肝硬変となった方の死因の8割近くは、肝がんの合併によると考えら れています。  これは実際、食道の下部の内視鏡のスライドです。この狭くなった箇所を食べ物が通 過していくわけですが、肝硬変では、なぜかここに血管のこぶができてしまう。それが 破けますと、スライドのように一気に1リットルぐらいの出血を起こすわけです。しか し今では、内視鏡の治療法がよくなりました。食道静脈瘤が破裂して出血した場合でも 内視鏡を用いての緊急止血が可能です。今、食道静脈瘤から出血で止血できないケース とは数%であろうと思います。現在では、食道静脈瘤のある方は、破裂しないように事 前に予防的に治療を行うようにしています。  肝硬変の治療法を紹介します。肝硬変の状態が悪くなった場合には究極的には肝臓移 植しか方法がございません。C型肝硬変の治療法としてインターフェロン治療が一部の 方で承認されています。B型肝硬変に関しては、あとでお話ししますけれども、抗ウイ ルス療法を用いて、そのウイルス増殖を抑えると、B型の肝硬変の状態が劇的によくな る例がございます。しかし、肝硬変の治療の基本、治療法は、どうしても対症的になら ざるをえないのが実情です。腹水に関しては利尿剤を用います。あと、腹水が溜まった 上に肝不全の状態になると、免疫力が低下し腹膜炎をしばしば併発します。特発性腹膜 炎という病態ですが、この場合には、しばしば重篤となります。肝硬変の症状、合併症 の中でも、腹膜炎と肝性脳症というのは、肝硬変がかなり進行した状態とご理解いただ きたいと思います。  繰り返しになりますけど、肝がんの方の三大死因は静脈瘤破裂、肝不全、肝がんで す。実際、我々の施設で1990年代の死亡原因を調べてみたんですけれども、大体8割 近くの方では、肝がんを原因として亡くなられていました。食道静脈瘤、肝不全、肝が んの治療法、いずれも20-30年前に比較するとはるかに良くなりました。しかし、現在 の医療レベルでも、どうしても肝がんを完全には克服できないことから、生命予後は改 善しても最終的には肝がんで亡くなられている方が多いとご理解いただきたいと思いま す。  肝臓の機能についてもう少しわかりやすくお話ししたいと思います。プロトロンビン というのは肝臓でつくられる蛋白のひとつですが、これを血液検査で調べることができ ます。プロトロンビン時間70%以上が正常値です。しかし肝臓の機能が低下してプロ トロンビン時間70%を低下しますと何らかの軽い症状が出てきます。さらに低下して プロトロンビン時間40%以下を示す状況になりますと、重篤な症状がしばしば見ら れ、一般的には、生命に危機があるというふうに我々は理解してします。生存困難と言 ってよいかと思います。当然日常生活は著しく障害されています。40%以下だとかなり 状態はよくないと解釈しています。しかしながら、問題は、プロトロンビン時間70% から40%の範囲内をどのように評価するか、先ほどのChild−Pugh分類A、B、Cを お示ししましたが、どこのあたりで線を引くかというのが今後の検討課題と考えていま す。  よろしいでしょうか。  次に肝がん治療についてご紹介します。肝がんの統計については、今、男性では肝が んはがん全体では3番目です。ただ最近では男性の肝臓がん患者数はすでに減りつつあ ります。女性においては5番目ですね。乳がんのほうが少し増えてきたといわれていま すが、男女とも、やはりがんの中では肝臓がんは上位に位置する疾患です。  次に日本の肝臓がんの原因でございますが、これは現在の状況とご理解いただいてよ ろしいかと思います。全国調査、九州全域の疫学データによりますと今、日本の肝臓が んの7割はC型肝炎が原因でございます。15%はB型肝ウイルスが関係しています。残 りの15%は非B非C型であり、そのうち、その半数はアルコールが原因で、残りの半 数の方は、今、一部の脂肪肝(NASH)が肝硬変やがんになるというふうなことが注 目されていますが、そういうものではないかというふうに言われています。肝がんとウ イルス肝炎との関連でまとめますと、日本の肝がんの85%は肝炎ウイルスが関与して いるとご理解いただきたいと思います。  肝臓がんの治療法としては、外科的に肝がんの部分の切除、内科的には局所療法、ラ ジオ波治療という方法があります。肝がんの個数が1個、2個ということでなく数個以 上になりますと、肝動脈、肝臓がんは肝動脈で栄養されていますので、その血管を塞栓 物質で閉塞したり、抗がん剤を入れるというような治療法です。あともう一つは肝臓移 植が行われています。  本日は、内科的治療法、放射線科的治療法を主に紹介します。  エタノール注入療法とは、肝がんの部分に針を刺しまして、そこに100%のアルコー ルを入れて凝固させて壊死させるというような治療でございます。ただ、ある程度のサ イズのがんに限られ、余り大きいものは治療できません。針が細く穿刺しやすいことか ら、現在においても、肝がんの場所が難しい場合では、このエタノール療法を行ってい ます。ただ、現在の局所療法の主流はラジオ波治療となっています。エタノール注入療 法と同様に針を刺すわけですけれども、針の先端部分3cm周囲を電気的に凝固させ肝 がんを変性、壊死させる方法です。エタノール注入療法よりも、広範囲に肝がんの治療 を行うことができます。ただ、場所的に穿刺が難しい場合など、このラジオ波治療が困 難な場合、各種合併症が危惧される上では適用が外れる場合がございます。  これは実際、使っているラジオ波の針でございます。これを肝臓の中に刺して、傘を 開くような形で開くタイプと、こういうふうに一本針を刺すタイプの、2種類ございま す。一本針のタイプは、針の長径を中心に楕円形、卵のような形でがん細胞を殺してい きます。これは実際の機械ですけれども、1回の治療での凝固時間は大体30分前後で 終わります。  これが実際に治療をしているところです。当院では。この治療は病室の横の処置室 で、患者さんとお話ししながらやっているというふうな状況でございます。  実際の例を示します。ここに約2センチの大きさの肝がんがございますが、1回の治 療で、この周辺を含めて、このように全部がん細胞を殺すことが可能です。昔だと肝臓 を切除しないといけなかったわけですが、ラジオ波治療では、体にも肝臓にもそう負担 かけることなく肝がんの治療することが可能です。  もう一つの方法が肝動脈塞栓術、です。やや専門的になりますが、肝臓がんは肝動脈 支配されています。その肝動脈に塞栓物質を入れて血管をつぶす、ないしは抗がん剤を 入れて治療するという方法です。適応は3個以上の多発した肝がんにおいて主に行われ ています。治療自体は足の付け根の動脈からカテーテルを入れまして、肝臓の中までカ テーテル到達させて、お薬を流すということをしています。実際スライドでは、ここ に、がんの箇所がみられますが、カテーテルを用いて、がんの近くのところにまで近づ いてから高濃度の抗がん剤を流してつぶしてしまうという方法です。ここに3個の肝が んがあります。2センチ、1.5センチ、1センチかと思いますが、薬を流した後は、こ のような形となります。  肝動脈塞栓術は、血管造影室にて、放射線科の協力のもとで治療を行います。1回の 治療時間は、およそ2時間から3時間です。  肝がんが進行してきますと、全身的に抗がん剤を投与する治療法を選択するようにな ります。ただ、他のがんと比較して、進行肝がんに対して確実に効く全身投与の抗がん 剤は、現時点ではないと言ってもよいかもしれません。経験的には、一部の方で非常に 薬との相性がいい場合には進行肝がんでも、急激に縮小する場合もございますが、その ような方は稀であり、肝がんは抗がん剤に対して治療抵抗性のがんであると私は考えて います。  これは私の患者さんの経過ですが、61歳のときに肝がんと診断しました。73歳で死 亡されています。初回診断時の肝がんの大きさは1センチでしたので、エタノール注入 療法で治療しました。ただ、肝がんというのは、一度治療したら完治する、ということ はなく、肝硬変という病態は前がん病変ですので、必ずと言っていいほど別の箇所から 新たに肝がんが発生しています。基本的には様々な治療を繰り返し追加していかなけれ ばなりません。この方は、がんと共存しながら13年間、生存されたわけです。13年間 のうち12年間は、症状はなく普通どおりのお仕事もされていたと思います。しかし最 後の、一年は、腹水、おなかの中に水が溜まる症状が出てきました。このように肝がん と共存しながらも10年以上に渡って治療を継続されながら生存される経過の長い方 は、今では珍しくなくなりました。それは治療法そのものがよくなったことを反映して いると思います。  肝硬変という病態は前がん病変であるとわかっている今、肝がんが出てから治療する のではなく、前段階、もっと積極的に肝がんの発生を予防するお薬はないのかと考える わけですが、幾つかの薬剤が開発されています。例えばレチノイドという薬剤は現在、 治験が進行しています。また既にある薬剤、例えばC型肝炎に対するインターフェロン 治療、B型肝炎に対する抗ウイルス剤も、肝硬変患者に投与をしないよりも、投与した ほうが発がんリスクを低下するということが、明らかとなっています。  いろいろな薬剤が今、開発中ないし、治験の段階にあります。こういう新たな薬剤が 世の中で広く使えるようになりますと、さらに肝硬変の方の発がん率も低下して、生命 予後もさらに改善されることが期待されます。  次にB型肝炎についてお話ししたいと思います。これは日赤のデータですが、日本に C型肝炎ないしB型肝炎の方が、どのぐらいいるのかという推定を示したものです。ス ライドは1995年から2000年の間に献血を受けられた方で、各世代のウイルス陽性率を 示したものです。このデータはバイアスがかかっていない集団というふうに言われてい ます。たとえば、50歳代の献血を受けた方の1.5%がB型のウイルスマーカー陽性、 1.8%がC型ウイルスマーカー陽性ですので、その世代の人口にその頻度を掛け合わせ ると実数が算出されます。各世代でそれぞれ計算して総和すると、日本には、およそC 型肝炎感染者は200万人、B型肝炎は130万人いると推定されます。  このスライドのB型肝炎ウイルスマーカーの陽性率に注目してください。30代、40 代、50代は、C型肝炎陽性率とほぼ同じか、むしろ若い世代では高い陽性率を示して います。このデータからは、日本からB型肝炎感染者が居なくなるに数十年要すると考 えられ、今後もB型肝炎に対する対策が将来にわたって必要ではないかというふうに私 は考えています。  また、B型肝炎感染者の肝臓の硬さにより、発がんリスクが異なることがわかってい ます。肝線維化が軽度、すなわち肝臓が柔らかい場合には、肝がん発生率は年率0.2 %、1年間で500人に1人肝がんができます。肝線維化が中等度、いわゆる慢性肝炎だ と年間1%、100人に1人ですね。代償性肝硬変だと年間2−3%、50人に1人です、 非代償性肝硬変の場合には年間7−8%と、10人に1人程度、肝がんが出てくるとい うことです。発がんリスクが肝臓の硬さによって異なるというふうなことがわかってい ます。  B型の治療は、大きくは、免疫を調節する治療法と、直接ウイルスの増殖を抑える治 療法に大別されます。ウイルスの増殖を抑える治療にはインターフェロンもございます が、今主流となっているのは、この内服の抗ウイルス剤です。B型肝炎ウイルスの増殖 を抑える経口の抗ウイルス剤です。このラミブジンという薬剤は、もともとHIVの増 殖を抑える薬剤として開発され、B型肝炎ウイルスの増殖も同様によく抑えるというこ とで、わが国では2000年から用いられるようになりました。  ただ、ラミブジンというお薬は、確かに治療早期には、ウイルス増殖をよく抑えます が、長く投与することで、早い場合には投与1年目、人によっては5−7年経過してか ら、早晩、薬が効かなくなる、薬剤耐性が出てくることがわかっています。このラミブ ジンに対してお薬が効かなくなるとアデホビルというお薬を追加投与しなければなりま せん。この方は8年近く、これらの薬剤を今も服用されています。1日の薬剤費はそう でもないのかもしれませんが、長期に服用しなければなりません。10年近く、ないし それ以上に長期に、この2剤を飲み続けなければいけないことを考えると、患者さんに は相当の負担になるのではないかと個人的には思っています。  ラミブジンというお薬は確かに薬剤耐性が高率に出現するという問題点はあります。 しかし、この薬が出現する前の1990年代には、B型肝炎ウイルスの増殖が持続し肝細 胞が破壊されて肝不全で亡くなる方は少なくありませんでした。スライドは、60歳台 の女性の方の経過です、入院当初は、非代償性の肝硬変の状態で、腹水、黄疸も見られ ました。このプロトロンビン時間という値、肝臓の働きを示す指標ですが20%という 低い値です。40%を低下すると命にかかわるかとお話しましたが、そのような状態でし た。ところが、このお薬を服用して半年経過すると、肝臓が少し膨らんだ状態となり、 腹水も消失しました。プロトロンビン時間も70%まで改善しました。従来こういう劇 的な改善は見られなかったのですが、抗ウイルス剤を用いてウイルス増殖を完全に抑え ると、肝臓の働きがよくなるということが明らかになりました。今この方は非常にお元 気な状態となり海外旅行にも行かれています。治療法の進歩により、このような非代償 性の肝硬変の場合でも、一部の症例においては肝予備能が回復する、可逆的であると理 解することが必要かと思います。  経口の抗ウイルス剤には、ラミブジン、アデホビルで、エンテカビルの3種類があ り、それぞれの特徴はスライドに記載したとおりです。  薬代についてですが、1日の薬剤費はラミブジンが639円で、エンテカビルは1058 円です。そのラミブジン耐性になるとアデホビルとの2剤飲まなければいけないことか ら、それは1日2,000円近くになります。それを10年以上に渡って服用しなければな らない。この辺りの状況、B型肝硬変で、2剤服用されている方では、長期的にはかな りの負担になっているのではないかと推察します。  次に、C型についてお話しします。  C型肝炎の場合も肝臓が硬くなるにつれて発がんリスクが高まってきます。1980年 代には、C型肝炎の病状が進行しまうと、その進行を止めることは不可能でした。しか し、C型肝炎にインターフェロンを投与すると発がんリスクも低下し、肝硬変の状態で も、線維化の改善が見られるということがわかりました。早い時期にインターフェロン でウイルス駆除すれば、特に慢性肝炎の初期の段階で治療しウイルスが完全に除去され れば、ほぼ正常に近い肝臓の状態にまで回復することが期待されます。早めに診断して 早めに治療するということが重要だということです。  C型肝炎の治療法も、大きく2つに分類されます。病気の進行を抑える治療法として はウルソという内服薬があります。ウルソはもともと胆石の治療薬です。あとミノファ ーゲンという注射を投与する、これは長期に投与することになります。あと、最近注目 されているのは瀉血ですね。過剰な鉄の肝臓の蓄積が肝臓に悪いということで、今、鉄 制限食を心がけていただくとか、食事の内容にも気をつけていただくように指導してい ます。鉄制限食で肝臓機能がよくなった例も経験しており、今C型肝炎と鉄の関係が注 目されています。  しかしながら、C型肝炎の治療法としては、可能な限りウイルス駆除を目指すべきで す。従来型のインターフェロンというのは15年前からありましたが、どうもそれだけ ではなかなか駆除できないことがわかりました。現在は週1回のペグインターフェロン とリバビリンという抗ウイルス剤を併用する治療法が主流となっています。スライド は、ご高齢の方の経過です。病気もそれほど進んでいなかったことから、ウルソを服用 していただくようにしました。ウルソ服用で肝機能(ALT値)が正常化しました。ウル ソは、もともとは、熊の胆嚢を材料にした生薬がオリジナルであり、1,300年前からあ る歴史あるお薬です。  日本のC型肝炎のウイルスの型は、大きく3つの型に分かれます。1b型、2a型、 2b型の3種類です。この1b型というのは7割を占めていますが、インターフェロン が効きにくいタイプで、60歳以上の方に多いということがわかっています。  1b型の方では、従来型のインターフェロンでは9%しか治らなかったものが今では 50%、2人に1人、治癒させることが可能となりました。これは国立病院のデータです が、1b型の場合1年間近く治療期間が必要となりますが53%の方が治癒していま す。2a 2b型の場合は半年間の治療で8割の方でウイルス駆除が成功しています。  ただ、このペグインターフェロンとリバビリン併用療法には、いろんな副作用がござ います。生命に重篤なものとしては、間質性肺炎、500人に1人の頻度と言われていま す。次にうつ、ちょっと気分が落ち込む程度は結構おられるんですけれども、うつが重 篤になり放置すると中には自殺する人がおられます。そのような重篤なうつは、100人 に1人と言われています。この2つの副作用は要注意です。  スライドは、治癒された方の経過です。ただ、この方は途中まで順調に治療が推移し ていましたが、4月に入り職場の配置換えもあって、そういうストレスが重なり、うつ の状態になりました。うつの治療で2回入院していただいて、何とか持ちこたえ回復し たことから、注意深く観察しながら治療を継続することで最終的に治癒となった方で す。やはり1年間の治療の間にはさまざまなことがあります。患者さんご自身、当事者 にしかわからない状況があり、職場と家庭など、様々な葛藤の中で治療を継続する、そ のあたりを両立させる為に、皆さん悩んでおられるような気がします。  このスライドは肝がん再発を抑止するためのインターフェロン少量長期療法の経過で す。2センチの肝がんができました、これは腹腔鏡下で手術して摘出しました。しかし 1年後、別のところに再発しました。この再発箇所にはラジオ波で治療しました。この ままでは、1年周期で肝癌は再発すると予想されましたので、インターフェロンを、ど ちらかというとウイルスを消すためではなく発がん抑止ということで治療を開始し、今 も継続投与しています。その後、この方の肝がんの再発は2008年の今もみられませ ん。腫瘍マーカーであるAFPも低下しています。このように、インターフェロンを用 いての肝癌再発抑止の治療法もおこなっています。  これは最後のスライドです。インターフェロンは非常に高価な薬です。しかし特にC 型においてはウイルスが駆除できると劇的に予後がよくなります。ウイルスが駆除され ると発がんリスクは十分の一以下に低下することが明らかとなっています。患者さんに は可能な限り、やはりインターフェロン治療を受けていただきたい。もちろん副作用と か仕事のとの両立とか、いろんな問題が存在します。しかし、今年の4月から医療費助 成制度が始まり、医療費問題の多くは解決しました。実際この助成を受けた方にお聞き すると、非常によい制度だと言われています。今後は、この助成制度をうまく活用して いただいて、適正に治療を受けていただき、治る可能性の高い方は早く治っていただき たいと思っています。一方、治癒困難な方には新たな治療法を早急に提供できるよう に、私自身が努力しなければと思っています。スライドは長崎県の場合の医療費助成の システムを示したものです。  以上でございます。 ○柳澤座長  八橋先生どうもありがとうございました。ウイルス肝炎の病型、そしてまた現在の治 療、予後などにつきまして、総括的にお話しいただきましたが、いかがでしょうか、構 成員の皆さん方からご質問ございますか。  病型についてちょっと伺いたいんですけれども、私はまったく部外者で最近勉強して いないんですけれども、かつてB型、C型でないウイルス肝炎に対して、E型の肝炎と いう概念がございましたですね。あれは今どうなっているんですか。 ○八橋構成員  ウイルス肝炎には、A、B、C、D、Eという5種類ございます。その中で、A型と E型というのは経口感染で感染し、急性肝炎の病態だけでございます。血液感染で感染 し、持続感染化し、最終的には肝がんに進展する可能性を有するウイルス肝炎として は、日本ではB型とC型が問題になるとと思います。 ○柳澤座長  わかりました。ありがとうございました。  ほかにいかがですか。どうぞ。 ○和泉構成員  大変先端の話をも含めてありがとうございました。大変勉強になりましたですけれど も、ちょっと1つお伺いしたいのは、日本肝臓病理学会のガイドラインが出されており ますけれども、このガイドラインに従って治療した結果、水準としてのアウトカムはど うであるのか、それがやはりこういう審査の場合にはどうしても知りたい話になるわけ ですね。特にChildのCにいくのを何とか阻止できる、その成績というものがあれば、 それを特に、1回のガイドラインではなかなかうまくいかないでしょうから、5年ぐら いの見直しをしたようなガイドラインで、どれぐらいのアウトカムが出ているのか、そ れがありますと、この話の場合にかなり有力な根拠となってお話がしていきやすくなる んじゃないかというふうに想定するんですけれども、データはおありでしょうか。 ○八橋構成員  学会ないし厚生省の研究班でも肝疾患に関するガイドラインが作られています。例え ばインターフェロン治療法、抗ウイルス剤のガイドライン、あと肝がんのガイドライン もございます。しかし、肝硬変の方に対するガイドラインというものがあるのか、私は 明確には理解できていません。もちろん、肝硬変という病態に対する研究は行われてい ますが、肝硬変という疾患でまとめたガイドラインや、こういうふうな方に対してはこ ういうふうなお薬を使うべきとか、まとまったデータとしてはないのではないかなと思 うのですが、兼松先生、いかがでしょうか? ○兼松構成員  ないですね。 ○八橋構成員  私も、この検討をおこなう上では、やはり日本の肝硬変の方の実態をきっちり調べる 必要があると思っています。肝硬変の定義をどうするのか、肝硬変の半数以上の方は全 く症状がない実情も踏まえて、なかなか病気のくくり方が難しいところがございます。 ウイルス肝炎の場合は、ウイルスが陽性であれば、その方を追っかけていけばいいわけ ですが、肝硬変というふうなくくり方でなかなか。データで存在するのは、肝臓移植さ れた方のデータ、肝がんの方のデータです……。 ○和泉構成員  いや、今は肝がん全体を考える必要はないんじゃないでしょうか。B型とかC型を、 肝がん全部をやるということになると、ほかのものとの水準化が非常に、がんの人は皆 ということになってしまいますから非常に難しくなると思いますので、例えばB型、C 型の人がこういうふうに進行していくというようなそのシステムはわかりましたですけ れども、インターベンションを加えた場合にどれぐらいの結果が期待できるんだ、それ で、がんの状態になってもどれぐらいの期待度があるんだ、そういうものが、エビデン スとしてあれば、それはそれで、ここで話し合う有力な材料になるんじゃないかという 私の指摘です。 ○八橋構成員  肝がんの治療成績というのは、それなりには明らかとなっています。生存率もきちん 出ています。ただ、肝硬変という病気のくくりで、わが国のまとまったデータはないよ うな気がします。 ○柳澤座長  よろしゅうございますか。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○原構成員  虎の門病院の原でございます。  最近の肝炎の治療、肝硬変の治療は随分進歩しているということを勉強させていただ いたのですが、私はどちらかといいますと、腎疾患で腎不全としての身体障害者扱いの 診断基準にずっと関わってきたのですが、腎臓病の場合は、腎不全でもう透析しか治療 法はないという非常に明確なものが出てきているわけですね。それで、等級がある程度 決められます。  今日、先生の話を伺っていると、ある程度の部分はかなりリバーシブルな部分がある と。可逆性、不可逆性、そのポイントをどこかでやはりきちっと出していただけると、 すごく決めやすいんじゃないかなと。ある程度それはポイントでの表示も構わないと思 いますし、この肝硬変のChild分類ですか、こういったもの、あるいは日本での成績と か、そういったものから検討していただいたほうが、私は賛同しやすいんじゃないかと 思うのですね。非常に治療が進歩しているだけに、戻り得る部分、戻り得ない部分、そ ういったものをちょっとクリアにしていくということが、一番、今重要じゃないかなと いう気がいたします。腎不全の等級との考え方とにディスクレパンシーがあると思いま す。その疾患の治療となると、むしろ特定疾患の対策としての治療という分野になっ て、身体障害者としての扱いの部分をどうとらえていくかということのポイントを少し 決めていかないと難しいのじゃないかなという気がいたしました。  私の感想と、今後の方向付けということでコメントさせていただきました。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  何かございますか。兼松先生は構成員としていらっしゃいますけれども、先ほどの八 橋先生のお話は、基本的には内科的な治療ということでしたけれども、現在この肝炎 と、それからその後の合併症の流れの中で、日本の場合は恐らく生体部分肝移植が主だ と思うんですが、何とかそういった肝移植なんかは実際に行われているのでしょうか。 ○兼松構成員  そうですね、生体肝移植は1989年に日本から始まりまして、既に日本の中で、4,000 例を越える生体肝移植が行われています。初期の頃は子供さんであったり、あるいは成 人のいろんな肝炎ウイルス以外の肝炎の移植が多かったんですけれども、最近はB型あ るいはC型肝炎ウイルス関連の移植の患者さんというのも増えてきています。  現在、これは一番最近では2006年までしか研究会としてのデータはまとまっていま せんけれども、そこでいきますと約10%ぐらいが肝炎ウイルス関係、特にC型肝炎ウ イルス関係が10%、さらにもう10%、ほかの10%は肝がんとC型肝炎を持っている方 の肝臓移植というのが日本の中で行われているということでございまして、過去約20 年をまとめますと、C型肝炎ウイルス関係で移植される方は20%ぐらいということに なるだろうと思います。 ○柳澤座長  肝移植を行う場合には、何か基準とかガイドラインというのはございますか。 ○兼松構成員  ええ。それは、やはり先ほど来言っております、Child−Pugh分類で非常に肝機能が 悪いという方、これがまず第一でありますけれども、それとともに肝臓がんというもの が一緒にできました場合には、個数それから腫瘍の大きさ、そこで一定の基準がござい ます。それによって、それを具体的に申しますと、もし肝臓がんが1個であれば5セン チ以内の径であるということ、それから2個か3個であれば、一番大きなものが3セン チ以内であるというようなものが、肝移植としても再発が少ないということで一応基準 がつくられていますし、そういう状態であれば保険適用として肝移植が認められている のが日本の現状です。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。ご質問、あるいはご意見。 ○和泉構成員  もう一ついいですか。基本的には、症状固定というのがかなりこの場合には、問題に なるんですね。6カ月ぐらいの症状固定が、インターベンションを加えた後でもそうで すし、加えない場合もそうですけれども、症状が進行していくとまた認定がなかなかし にくい。その症状固定というものが、しかも有症状になってから、先生の言われたのだ と、プロトロンビンが70%を割った後の有症状になってもおかしくないという時点 で、その症状固定が6カ月ぐらい持続するというようなことが、なだらかなカーブであ ってもそれは構わないんだろうけれども、一定の許容範囲で認められる時期というのは 想定されるんでしょうか。  ちょっと私の頭の中では、そのプロトロンビンタイムが70%を割ってから、ちょっ と坂を転げ落ちるように悪くなってみたり、効く人はぐっとよくなったりということ で、症状固定という、ここには概念がどうしても必要になる審査になるんですけれど も、そこの壁というのはどうなんでしょうかね。これは破れるんでしょうかね。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。今のご質問の6カ月症状固定というのは、身体障害者福祉法の等 級を決める場合には、それだけの要件が必要だということがあるものですから、その点 が実際、肝炎から代償性、非代償性の肝硬変、肝がんになっていくという経過で、どう いうふうなところでそういった症状固定というものをもたらすことができるか、例えば 現状での治療でどのぐらいのことが期待できるか、あるいはまた、将来の可能性として はどうかといったような点についてのご質問かと思いますが。 ○八橋構成員  おっしゃられたとおりで、治療により患者さんの状態も変化しますし、あと薬の反応 性に関しても、よく効く方とそうでない方とが分かれます。単に症状だけを評価するこ とは難しいため、客観的な評価ということではChild−Pughスコアで5項目を点数化し て、これは何点なのかと評価する。症状の固定に関しては、6カ月後もスコアが何点な のかというふうな観点からも評価していくべきではないかと思います。スコアの中で具 体的な点数、すなわち,何点から非代償性と定義するか、という点から議論をしなけれ ばいけないと思います。  プロトロンビン時間が70%とか60%という値では、症状が出ない方のほうが大多数 ですので、70%を割れば、非代償性というふうには私には思いません。むしろ40%前 後の方が、非代償性に該当すると考えます。  補足しますと、あとC型肝硬変の方は、現在の治療法を用いてもウイルスを消すこと が非常に難しい状況です。しかし、B型肝炎の抗ウイルス剤と同様に、副作用のほとん どないお薬が今後、C型肝炎治療薬として出てくれば、状況は一変するかと思います。 しかし、現時点ではB型よりもC型肝硬変の方のほうが、病気の進行は不可逆性である と考えられます。B型肝硬変の場合は、抗ウイルス剤の投与により、半年後には非常に 状態がよくなる、非代償性から代償性へと改善することがありますので、そのあたり は、薬剤の反応性、時間という要素も加味して評価していかなければならないと思いま す。 ○柳澤座長  ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。  今日はこの検討会での検討課題についての背景となっております、法的な根拠、そし てまた、総合的な肝炎対策の現状といったようなことについて、事務局のほうからご説 明いただいて、そしてまた八橋先生からウイルス性肝炎の病態、治療の現状ということ についてのお話を伺いました。ある意味で勉強会ということだったわけですが、これか らまた会を先に進めていきたいというふうに思いますが、もし終わる前に皆さんからた だいまの点以外でもご発言がございましたら、どうぞ。何かご要望あるいはご意見はご ざいませんでしょうか。  もしございませんでしたら、本日の検討会は以上で終わりにしたいと思いますが、次 回以降の予定につきまして、事務局のほうから説明して下さい。 ○名越課長補佐  ご議論ありがとうございました。次回の検討会でありますけれども、第2回は11月 17日、月曜日を予定しております。開始時間でございますけれども、本日より30分遅 れ、14時30分スタートということで開催させていただきます。また、ご案内のほうを いたしますし、出席のご確認のほうは別途させていただきますので、ご協力をお願い したいと思います。  次回の内容でございますけれども、患者さんからのヒアリング、それからウイルス 性肝炎の疫学、それから肝疾患治療の今後の展望についてということで発表をしてい ただき、今日に引き続く議論をお願いをする予定としております。  今日の議論の補足になりますけれども、今日は医療面の話が非常に多うございまし たけれども、どうして肝機能障害に対して障害者福祉が必要なのかといったところに ついて、患者さんのほうから話をいただく必要があるかなというふうに考えておりま す。  事務局のほうから、説明は以上でございます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  事務局のほうで用意しております、次回の検討課題、これは17日ということで、皆 さん方のご予定を伺って決めさせていただいておりますけれども、さらにウイルス性 肝炎の疫学、これは田中先生がいらしてますが、そのお話、あるいはまた患者さんの ほうからのこういった要望が検討会にまとまるまでの経過についてのご希望といった ようなことについての話を伺うというであります。  それでは、特段の発言がございませんでしたら、今日の会議はこれで終了にいたし たいと思います。  それでは事務局、何か。 ○名越課長補佐  本日は本当に大変お忙しい中、ご議論いただきまして誠にありがとうございました、 次回のご案内につきましては、別途差し上げますので、よろしくお願いいたします。  最後に事務的な話で恐縮なんですけれども、本日は飛行機をご利用の構成員の方々 は、恐縮ですがチケットの半券を事務局のほうへ提出していただいて、またお帰りの 際に封筒を渡しますので、今日、帰るほうのチケットの半券のほうもよろしくお願い したいと思います。  以上でございます。 ○柳澤座長  どうもご苦労さまでした。終わります。 (了) (照会先) [肝機能障害の評価に関する検討会事務局] 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課指導係  TEL 03−5253−1111(内線3029)  FAX 03−3502−0892