08/10/20 第3回肝炎治療戦略会議議事録 第3回肝炎治療戦略会議 厚生労働省健康局疾病対策課肝炎対策推進室 日時:平成20年10月20日 場所:法曹会館「高砂の間」 1、開会 2、議事  (1)C型肝炎難治症例に対するペグインターフェロンとリバビリン併用療法の治療     延長(72週投与)について  (2)その他 3、閉会 ○肝炎医療専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第3回肝炎治療 戦略会議」を開催いたします。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがと うございます。  まず初めに厚生労働省健康局長、上田の方からごあいさつを申し上げます。 ○健康局長 健康局長の上田でございます。本日は本当にお忙しいところを、各地から お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本年5月、6月に「肝炎治療戦略会議」を開催しておりますけれども、今後の肝炎研 究の方向性として、「肝炎研究7カ年戦略」をまとめていただいたわけでございます。 これを踏まえまして、来年度の厚生労働科学研究費補助金肝炎等緊急対策研究事業にお きましては、概算要求を増額をして行っているところでございます。  更に、ウイルス性肝炎における総合対策の柱として、今年度からインターフェロン治 療の医療費助成制度が開始されました。後ほど、利用状況なども御説明いたしますけれ ども、本日御参加いただきました委員の先生方、また参考人として御参加いただきまし た先生方を初めとして、多くの先生方の御協力、御指導をいただきながら、今後ともさ まざまな肝炎対策を着実に推進していきたいと考えているところでございます。  さて、ウイルス性肝炎に対するインターフェロン治療のうち、昨年度、厚生労働科学 研究の肝炎等克服緊急対策研究において、C型慢性肝炎の治療ガイドラインの補足とし て、C型慢性肝炎難治知例の一部症例には、ペグインターフェロン及びリバビリン併用 療法の投与期間の延長が望ましいとする報告がございます。  本日は、この延長治療に関して、実際診療を行っておられる先生方の御意見を賜る絶 好の機会と、このように考えております。この点について、活発な御議論をお願いでき ればと思っています。  またこの会議での全般的な御意見、御議論を受けて、肝炎対策の適切な施策により、 これを一層推進加速をしていくということで、対応をしてまいりたいと考えております。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○肝炎医療専門官 それでは、本日の出席者の先生方を紹介いたします。メンバー表の 順に従いまして、御紹介申し上げます。  委員の先生ですが、岡上武先生、済世会吹田病院院長でございます。 ○岡上委員 よろしくお願いいたします。 ○肝炎医療専門官 本日、欠席の先生もおられますので、御出席の先生のお名前をお呼 びしていきます。  次は熊田博光先生、公務員共済組合連合会虎の門病院分院長です。よろしくお願いし ます。  坪内博仁先生、鹿児島大学大学院医歯薬総合研究科、消化器疾患・生活習慣病学教授 です。よろしくお願いします。  林紀夫先生、大阪大学大学院消化器内科教授、本日、座長をしていただいております。  脇田隆字先生、国立感染症研究所ウイルス第二部部長です。よろしくお願いいたしま す。  なお、飯沼先生、金子先生、豊田先生は本日御欠席でございます。  また、本日議事に関するヒアリングのため、3人の先生を参考人としてお呼びしてお ります。  武蔵野赤十字病院副院長でいらっしゃいます泉並木先生、よろしくお願いします。  九州大学大学院教授、林純先生です。よろしくお願いします。  国立病院機構長崎医療センター部長でいらっしゃいます、八橋先生です。よろしくお 願いします。  これらの先生方に御参加いただいています。  ではここからの議事の進行は、座長である林座長にお願いしたいと思います。よろし くお願いします。 ○林座長 それでは座長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いしたい と思います。  それでは、事務局より、配布資料の説明をお願いいたします。 ○肝炎医療専門官 では、資料の方の確認をさせていただこうと思います。  1ページ目から戻っていただきまして座席表がございますけれども、現在このように 座っております。  メンバー表の方は先ほど申し上げました。  資料1というのが2ページございます。資料ページ番号は振っておりませんけれども、 「平成19年度厚生労働科学研究報告書」、C型慢性肝炎のガイドラインについての部分 を抜粋というところでございまして、めくっていただきますと、抜粋部分が四角で囲っ てあります。  更にめくっていただいて資料2と右肩に載っていますが、「72週投与の実態」と題字 がございまして、6人の先生方の資料がついております。こちらの方が1ページから33 ページまででございます。  資料3「72週投与に関する海外文献」は、英文でございますけれども、1ページから 12ページまでございますので、御確認ください。  参考資料1として「肝炎研究7カ年戦略」というものがございます。こちらの方は通 し番号1ページから10ページまで御確認ください。  参考資料2としまして、「平成21年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(案)」と しまして、そのうち、「肝炎等克服緊急対策研究事業部分抜粋」を参考資料2としてい ます。こちらの方は、通し番号1ページ目から5ページまでです。御確認ください。  最後でございますけれども、参考資料3「インターフェロン医療費助成の実績につい て」という紙でございますけれども、こちらの方は2ページございます。  資料は以上でございます。御不足等ございましたら、お申し出いただけますでしょう か。 ○林座長 よろしゅうございますか。  それでは議事に入らせていただきます。本日の議事は、「C型慢性肝炎難治例に対す る72週投与について」でございます。  C型慢性肝炎に対する、ペグインターフェロン及びリバビリンの併用治療が行われる ようになりまして、数年前に比べますと、治癒率は大きく改善しております。  ただ、日本人に多い難治型でございます、ジェノタイプ1b型の高ウイルス量の症例 には、通常48週間の併用治療が行われておりますが、治療に至る症例が約 50%でござい ますので、難治例と考えられるのが約50%ございまして、このことが非常に大きな問題 となっています。  現在、難治症例のうち、治療期間を延長し、治療が行われますと、late responderと いわれております、初期治療反応性が比較的よくないグループには、通常の投与期間を 延長し、72週投与というのが行われております。  今日の会議では、今、申し上げました72週投与の実態について、お集まりいただきま した先生方にスライドを用いて、お1人約5分程度の発表をいただきたいと思っており ます。発表が終わりました後に、意見交換をお願いしたいと思っております。  それでは、まず資料1につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○肝炎対策推進室長 肝炎対策推進室長の正林でございます。よろしくお願いします。  ちょっと部屋が熱いので、先生、もしあれでしたら上着をとっていただけたらと思い ます。  資料1であります。これは今年の春に、熊田先生が研究班の報告書として出されたC 型慢性肝炎の治療ガイドラインの補足の部分です。ここでは、「1b、高ウイルス症例 へのPeg-IFN+Ribavirin併用療法、投与期間の延長(72週間投与)の基準」ということ で、「投与開始後12週後にHCV RNA量が前値の1/100以下に低下するがHCV R NAが陽性(Real time PCR)で、36週までに陰性化した例では、プラス24週(トー タル72週間)の投与期間延長が望ましい」、このように記されています。  今日はこの72週投与、特に熊田先生のガイドラインについて、それぞれの先生から御 自分の研究の成果について御発表をいただき、御討論いただけたらと思っております。 ○林座長 どうもありがとうございます。それでは、72週投与の実態につきまして、各 先生から御発表をいただきたいと思います。委員の先生が3名と参考人の先生方3名に 御発表いただきますので、アイウエオ順に発表をお願いしたいと思います。  まず岡上先生からお願いできますでしょうか。 ○岡上委員 京都府立医大と関連病院で行いました1b high 患者さんに対する PEG/Ribデータです。  実はこれはReal time PCRでなく従来法での検討ですけれども、御承知のとおり、 従来法ですと4週までに陰性化しますとほぼ100%、5週から12週の間に陰性化しますと 70数%が著効になるということで、当時、私どもが延長投与、72週ではなく60週という のも設定したわけです。  これはどういうことかといますと、12週までに陰性化しなかったもので、12週の時点 で従来法で定性で陰性化した患者を48週投与群と60週投与群、それから12週の時点で陰 性化はしなかったけれども、前値1/100以下、すなわち2log以上の低下を示したものを 72週投与群と、それを行わなかった、すなわち48週で比較をいたしました。  そうしますと、いわゆるコンクリートEVR、12週から24週までに陰性化した群で、 48週で終わった群と60週で終わった群と、72週で終わった群を行いますと、60週と72週 は、48に比べますと有意に著効率が高くなっている。60週と72週では症例数の数のせい であるかもわかりませんけれども、有意差はございませんでした。  24週以降の陰性化群に対しては、従来法ですと2.8%ですけれども、72週投与すると 40%の著効率であります。  それで、現在私自身は、Real time PCRが採用になりまして、昨年のAASLDの プロトコールを日本流に改訂した。  すなわち従来法ですと4週までに陰性化したものをrapid virological responseとい うふうに言っていたわけですけれども、現在のReal time PCRですと8週までに陰性 化しますと、ほぼ100%、48週投与で著効になるわけですので、8週までに陰性化した群 は、48週でいいんじゃないか。  そのときに、これは日本では保険が通っていないわけですけれども、従来法ですと100 kIU未満ですね。現在法ですと約5log未満の患者さんはもう24週でいいのではないか。 すなわち延長だけではなくて、短縮もいいのではないかと思っています。  Real time PCRで8週の時点で陽性であるけれども、12週で陰性化した患者さんは、 48週で8週の時点では陽性であるけれども、12週の時点では2log以上の減少が見られる ものに対して延長投与しよう。12週の時点で2log未満の症例というのは、延長投与して も著効率は極めて低いわけですから、SVRを目指すという意味では、この時点で発が んリスクを考慮することは別としても、SVRを目指すという意味では、患者さんに事 実をお話しして中止をしたらどうかということで、今現在、私自身はこの方法でやって います。  実は土曜日に、すべてのデータがそろいましたので、ちょっと今日付け加えました。 これは虎の門の熊田班の症例と私どもの症例を、班の先生方の協力を得て、1570名の患 者さんで解析をして、その中で409例が肝生検を行って、なおかつISDRとコアのアミ ノ酸、糖をすべて解析したもので、著効率に寄与する因子を解析したわけです。  そうしますと男性であることと、血小板の数が多いことと、ISDRの変異が2以上 ある例と、熊田先生のところで開発されましたコアのアミノ酸の70番がワイルドである。 これがSVRに寄与する因子であります。  今日の問題点は、いわゆるEVRになったたり、あるいはLVRになったり、どうい う患者さんが著効になって、どういう患者さんが再燃するか。すなわち再燃する例に延 長投与すれば、著効率がどういう患者さんが得られるかということで、EVRからの再 燃因子とLVRからの再燃因子を検討しました。  今お話ししましたように、2日前にでき上がったので、先生方に資料がなくて申し訳 ないんですけれども、単変量解析で10%以上の有意差があるものを、多変量解析にもっ てきたわけでありますけれども、EVRから、これは従来法のEVRですので、12週の 時点でHCV・RNAが定性で陰性化したというんですね。Cコンプリーティングウエ アの例ですけれども、そうしますと女性と血小板が15万未満というのが、実はEVRか らの再燃に寄与する因子でございまして、ISDRとか実はコアのアミノ酸70番とか91 番はここには関与していませんでした。  一方、late virological responderの再燃因子は、実はすべての組織も含めて、イン スリン抵抗性、糖すべて解析しましたけれども、この多変量解析で有意差はございませ んでした。  性別がやはり出てまいりました。すなわち女性がLVRからの再燃に非常に大きな因 子である。  投与終了時に陰性化していて、再燃した例です。そのETR例からの再燃ですと、や はり女性と投与前のウイルスの量と血小板の数が少ないということでありますと、どう しても女性ということが、再燃の大きな因子でありまして、実は60歳未満と60歳以上と、 分けてあるんですけれども、それには有意差はございませんでした。  以上でこういうことを背景にして、単に12週で陰性化する。あるいは24週で陰性化す るということだけでなく、こういうことも含めて、是非、熊田先生の班で検討していた だければ、更に詳しいことがわかるのではないかと思っています。  最後に、副作用のことで、実際48週間、72週連続投与したときに副作用の問題がない かということですけれども、基本的に肝臓の専門医ですと、48週の時点で、こういうも のすべてチェックして、延長投与に入るわけです。  そういうものをチェックして投与すれば、私どもの例の解析でも、48週から72週に延 長投与したからといって、重篤な副作用が増えたということは全くございませんので、 やはり48週の時点で、精神神経系の異常、あるいは空咳がないかどうか、視力障害の有 無、皮膚症状の有無とか、CBC、血糖、甲状腺等をチェックして延長投与すれば、延 長投与における副作用というのは、大した問題ではないのではないかというふうに思っ ています。  以上です。 ○林座長 ありがとうございます。後ほど議論いたしますが、特に聞いておきたいこと はございますか。よろしいでしょうか。  では続きまして、熊田先生、お願いします。 ○熊田委員 私たちは基本的には、72週投与のガイドラインは、私の班でのですから、 ガイドラインどおりに、72週投与を行っております。  現在までに。180例が終わっておりますが、判定ができたのは、投与終了、6か月経っ ているのが78例であります。  この中のウイルスの変異に関しては、最も治りにくいダブルミュータントが21%です。  これは、Real time PCRで測定し直しておりますが、72週投与の78例での著効率全 体では65%で、12週までに消えた人は、全例、治癒しております。  ただ問題は、12週以降に消えている人でも59%、24週以降でも28%、従来法の48週に 比べると、高い著効率が得られています。  これを年齢、性で見てみますと、従来、通常の48週では、50歳以上の特に女性は悪か ったんですが、72週になりますと、遜色ない程度まで治療効果が上がっている。  これをウイルスの変異ごとに、70のミュータント、難治の、特に超難治の症例を見て みますと、やはりウイルスが消えるのが、かなり遅くなりまして、ワイルドとミュータ ントで相当、差があるということがわかります。  最終的にコア領域の91番は差がありませんが、70の方に関しては、ワイルドタイプの 方はよく治りますが、ミュータントタイプの方は53%。数が少ないから有意差はありま せん。  それから、特に50歳以上の女性のところが、難治といわれているダブルミュータント でも 72週にすれば、相当、治療率が上がっているということで、48週とは違って72週投 与というのは、難治例に相当治療効果を上げるのではないかと考えています。  48週投与と、きちんと背景をそろえないといけないということで、72週投与をした中 の、65例とReal time PCRで全部測定し直して、late responderにしたわけですが、 65例とそれから48週間投与もReal time PCRにして、測定し直して、130例、年齢、性 別をマッチングしまして比較しました。  このように72週投与と、1対2のばらつきであります。  最終的には48週投与のlate responderは、当然ながら通常のパーセンテージで悪くて 32%に対して、72週投与は62%ということです。  それからNVR、ウイルスが消えない率も48週投与では、最後まで消えない人が29% 見られましたが、72週投与では9%でした。  それでこれを多変量解析をやりますと、何が出てきたかというと、やはり期間は出て きまして、72週の方が、統計学的にも明らかにいいということ。  それから70番目のミュータントは、やはり同じように関連しています。  もう一つは、HDL−cholesterolの値もぎりぎりで、有意差はありませんけれども、 ぎりぎりである。  まとめますと、72週投与は全体の著効率を65%に改善したということと、13週以降の ウイルスも52%に著効しましたし、50歳以上の女性でもよくなった。それからコアがダ ブルミュータントの人でも、48週では効果があるということであります。  最後に副作用ですが、当院では48週以降に中止になった症例が3例ございます。  1例は、顔面神経麻痺ということで、投与を中止しておりますが、因果関係はないと 考えておりますが、転帰は勿論回復していますが、肝炎のその後の様は、肝機能は正常 でウイルスは陽性のまま。  59歳の女性が、55週目に心不全ということで中止にしておりますが、因果関係はなし で回復している。この人も肝機能は正常です。  もう1人、左眼中心静脈血栓症になりました。この人は残念ながら見えないんですが、 右目は勿論見えるんですが、最終的にこの人は治っていますということで、直接ペグと リバビリンに関係する症例での72週によって、新たな何か併用療法による副作用が出る 症例はないという結果です。  以上です。 ○林座長 ありがとうございました。何か質問、ございますでしょうか。よろしゅうご ざいますか。  我々のところと関連施設の症例でございまして、今日お話しさせていただきますのは、 48週投与769例と72週投与129例の経過です。この72週投与はすべてReal time PCR法 でなく、従来法でのlate responderと判定した症例になっております。  48週投与と72週投与のバックグラウンド、そんなに大きな差があるわけではございま せん。  これがウイルスの陰性化時期別の、48週投与と72週投与の著効率です。黄色が72週投 与になります。  12週目までですと、投与期間を長くしても有意差はございませんが、16週ウイルス陰 性化した例では、46%に対して84%、20週目で6%に対して47%、24週で11%に対して 25%、やはり長期投与にすると、late responderについては、確実に著効率を上げるこ とができます。  24週を超えた症例でも、症例は少ないんですけれども、6%が28%ということで、25 −48週で5/18が著効となっています。  今度はlate responderで、トータルしますと48週投与が34%で、72週投与が63%の著 効率です。  基本的にウイルスの陰性化時期が遅くなりますと、勿論、著効率が72週投与でも悪く なってくるということになります。  72週投与のSVR例とnon-SVR例の、多変量解析の、ヘモグロビンの多い例で著効 になる可能性が高いのと、ウイルスの陰性化時期でございまして、やはり早くウイルス が陰性化したほど、著効になる率が高いということになります。  LVR例に対する72週投与の、それ以外のファクターを調べていきますと、年齢のフ ァクターで見ますと、こちらが65歳未満でこちらは65歳以上です。難治例の65歳以上で も、72週投与にしますと、著効率が15%から61%と、かなり高くなりますので、高齢者 の方について、この72週投与というのは、かなり有効な方法だということになります。  今度は65歳以上だけとりまして、性別に分けますと、65歳以上の女性というのは、48 週投与では著効率がかなり低くなりますけれども、72週投与にすると、14%に対して63% と、ほぼ男性と同程度の著効率になるということで、高齢の女性の著効率を上げる方策 としても、かなり有効な方策だと思っています。  それから、これは線維化進展例、予後の悪いファクターですけれど、こちらが肝生検 の線維化の軽い群と、進展する群に分けて72週投与の影響を見ます。これは線維化進展 例でも、ほぼ線維化が軽度のものと、同じ程度の著効率に持ち込むことができるという ことです。  こちらは血小板で12万未満と12万以上に分けたものですけれども、血小板が低い、12 万未満の例でも、超効率を15%に対して55%に上げられるということで、高年齢、女性、 線維化進展例については、治療期間を72週にすることによって、かなり著効率を上げる ということが可能ということになります。  最後の副作用ですけれども、先ほど岡上先生と熊田先生の御報告と同じように、我々 は実は48週まではここに書いてございますような副作用がございまして、特に年齢の高 い方は、赤が貧血によるもの、黄色はその他による中止ですけれども、48週目までは、 こういう副作用による中止が起こりますけれども、今のところ先ほどの症例で72週投与 では、1例も中止はございませんでした。  48週を超えて投与が継続できる症例については、それ以後に、余り重篤な副作用は、 今のところ認められないと思っています。  以上でございます。  何か御質問ございますか。  続きまして、泉先生よろしくお願いします。 ○泉参考人 武蔵野赤十字病院の泉でございます。  今日は、特に私どもが72週間ということで、今日のテーマに沿った症例を提示させて いただきたいと思います。  現在までにペグ、インターフェロン、リバビリン療法、12kDの561人、治療しており まして、1型で高ウイルスの方が473人で多いということです。  平的年齢は60歳で、最高77歳まで、治療をお受けになっているという現状です。  72週間治療できた36人について、調べました。少し絞り込みましょうということで、 12週でウイルスが消えている9例を除外しました。12週で陽性が27例でありますが、こ の中で24週でも陽性6例除外いたしまして、24週でマイナス、つまり12週で陽性、24週 でマイナスという方で、いわゆるlate responderをピュアなlate responderとして、こ の21例を解析させていただきました。  全体、48週間の治療でのウイルスが消えた患者さんが48%、そしてすべての患者さん を含んで36人ですが、41%のウイルスの消えた率です。ですからこれには難治例も入っ ております。早期にウイルスが消えたのに、72週という、入っていますので、late responderだけに絞って、12週にプラス24週で消えたという患者さんだけで絞ってみまし た。  そうしますと48週間では、31.8%のウイルス駆除率でありましたけれども、72週では 47.6%、約16ポイントの改善が見られたという結果であります。  従来法のアンプリコアで、72週間で治療した患者さんのウイルスが、いつ消えたのか ということと別に、治療効果を見たものです。そうしますと13週から24週間でウイルス が消える。ここまでのところは、著効率の改善が見られますけれども、従来法だと半年 を過ぎて、ウイルスが消えた方は、延長投与しても駆除できる患者さんはいなかったと いうことです。  今度は、現在はReal time法、より感度のいい方法になっています。そうしますと、late responderは、勿論上がるわけですけれども、一番問題となりますのは、25週から36週で あります。  今、熊田先生が厚生労働省のガイドラインで、36週でReal timeで消えた方も延長投 与すればよくなる。まさにそのとおりでありまして、36週までにウイルスが消えた患者 さんが38%ウイルスが消えて治ったということでありますので、新しい方法だと、もう 少し治療期間の後ろで消えた患者さんも、延長投与の可能性があるのではないかと思っ ています。  従来のアンプリコア法で、ウイルスがいつ消えたのかということと、著効率を年齢別 に分けてみました。そうしますと5週から8週でウイルスが消えた患者さんというのは、 年齢別にウイルスが消えた率は、余り変わらなかったということになります。  しかし、最も違ってきましたのは9週から12週でウイルスが消えた患者さんは、高齢 者では3か月までに消えているけれども半分以下しか治っていないということなので、 今後、高齢者、これを延長投与に少し含める可能性があるというふうに考えております。  ですからlate responderだけではなくて、もう少し、9週から12週ということも考え た方がいいのではないかというふうに考えています。  そしていわゆるlate responderに限ってみますと、高年齢の影響は余り出ていなかっ たというデータであります。  現在、用いているTaqMan PCRよりも感度がいい方法で年齢別に見ました。取り出し ますと60歳未満で、12週まで消えておりますと、全例、治っています。  ところが、ここが一番顕著に出てまいりまして、12週までで消えているんだけれども、 高齢者では、66.7%のウイルス駆除率である。したがって48週の治療では、再燃する人 が少し出てくるということになります。  ところがTaqMan PCR、Real time法で消えておれば、60歳未満と60歳以上では全く 差がないということでありますので、今後Real time 法になりますと、9週から12週の 患者さんまでを含んで、延長投与した方がいいのではないかということを考えています。  そして有害事象による中止率です。最初から72週でやるという患者さんはいらっしゃ らないので、48週での途中中止率は23.5%でございました。しかし72週というのは、途 中でウイルスの消え方が悪いという患者さんを含めて、48週間できた患者さんで、72週 までやっております。したがって中止例は自己中止の1例だけであります。  この減量ないし休薬率を見たものでありますが、そうしますと48週よりも72週間の方 が、減量・休薬率は高い。つまり減量しながら、あるいは中止をしながら安全に治療し ていった患者さんは、late responderになって、72週間の治療を受けていらっしゃると いう現状ではなかろうかと思っています。  これを48週間の治療と72週間の治療に分けて、減量なし、リバビリンだけ減量、ペグ だけ減量、両剤減量、両剤中止と分けてみますと、48週時点では、23.5%が中止になっ ていらっしゃいますが、48週間治療できた患者さんで、72週間までで中止になった患者 さんは、1人だけということで、これは自己中止でございます。  そしてリバビリンの減量と両剤の減量が72週間でこれだけということで、減量しなが らやった患者さんは、少しウイルスの消え方が遅かったので 72週間になっているという 現実ではなかろうかと思います。  実際に、これはすべて48週までに出た有害事象53例を見たものです。自覚症状という ものが最も多いわけですが、精神神経症状、呼吸器症状、眼底症状と皮膚症状、肝がん になった方が2人、脳出血が1人ということで、すべて48週間までに副作用が出ている ということです。  私のところでは48週間を超えて、72週間の段階で、新たな有害事象で中止になった方 はいらっしゃらないということでした。  そこで、このペグインターフェロン・リバビリン療法におきましては、late responder といわれるところの著効率、31.8%から47.6%に向上しているということですが、今後 の課題といたしましては、リアルタイム法を用いますと、もう少し遅い時期、36週まで にウイルスが消えた患者さんが、72週までの治療の候補になるのではないかと思ってお ります。  更に、有害事象でありますけれども、48週間治療できた患者さんは、72週治療して、 有害事象で中止するという患者さんは0でございました。したがいまして48週間から72 週間に延長することによる副作用による中止はなかったということです。  したがって72週間の治療というのは、リバビリン、両剤減量・休薬が多いんですが、 48週間治療を行えた場合には、72週間治療というのは自己中止の事例のみで、有害事象 がふえるということは、私どものデータでは全くございませんでした。  以上です。 ○林座長 ありがとうございました。御質問、よろしゅうございますか。  それでは次に林先生、お願いします。 ○林参考人 私たちはたくさんの施設でしたものですから、特に72週をやろうというわ けではなくて、場合によっては主治医によって延長をしてみたり、そういうことをして いますので、少しデータが違うかもしれません。  トータル的には、延長したのが、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量は、135例でした。 これはあくまでも48週より長い。  ここにありますように、52週から60週までが大体44%、60週間から72週間が30%、そ して72週以上というのが26%です。  これを全部まとめてみますと、女性と男性で、特に差はありませんでした。延長投与 と標準投与です。全体的に見ても、これはSVRには差がありませんでした。  しかしながら8週でも陰性では変わらないんですが、8週で陽性例では、やはり延長 投与の方が有意にSVR、著効率が高いという成績でありました。  これは12週までで見ますと、12週間でも陽性だった例でも、やはり延長投与の方が有 意にSVR率は高いという数字です。  これは72週間以上したものだけをまとめて、少ないのですが、31例でしてみました。  これも同じですけれども、特に女性男性でも、若干、高い低いがありますが、統計学 的には差はありませんでした。  しかし12週のところで切りますと、やはり12週で陰性した方に対しては、非常に延長 投与で有効率が高いという成績でした。  これはどこで消えたかというのは、症例数が少なくなるのですが、例えばこれは12週 で初めて消えた例での標準投与と延長投与、これではほとんど差がありません。数は少 ないから何とも言えないのですが、16週で初めて消えたという例では、やはり3/4は例 は、SVRでしたし、20週で初めて消えた例でも、あるいは36週で消えた例でも有効な 例があるので、やはり長期投与が結構、有効でないかと思っています。  これは標準投与の中止率ですけれども、31.6%でした。これは一般に言われているよ うに、全身倦怠感、うつとか、勿論、途中で希望というのでも、やめたりしています。  これも延長投与した分で実際に有害事象で中止したのは、注射部位に潰瘍ができた。 これは開業医の先生で同じところにしてあって、1例、64週で中止しています。  ほかにあと5例あったんですが、これはいずれも一つは経済的問題、もう一つは主治 医がもう効かないからやめようと言ってやめた例でありました。  ですから先ほど何遍もありましたけれども、延長投与した例では、ほぼ副作用という のは、余りないのではないかと思います。  以上です。 ○林座長 ありがとうございます。御質問、よろしゅうございますか。  それでは、八橋先生、よろしくお願いいたします。 ○八橋参考人 国立病院28施設のPegIFNα2bとRBV併用療法の登録症例の成績を提示 いたします。  これは2004年12月から2006年12月までです。最初の1年間は1型で後半の1年間が2 型ということで、ある一定期間に導入した症例は、全例登録いただきました。それで大 体1000例近くの登録で、御存じのように、1型は、60歳代高齢者に多いというのが、お わかりいただけるかと思います。  その中でいろいろ変則投与されている例もありましたので、いわゆる標準的な治療と して、治療期間は特に問うていないんですけれども、併用療法を標準的に行っている674 例1型と2型197例でいきますと、ITD解析でいきますと、1型は41%の著効率です。  もともと48週投与が必要だと言われていますので、そういうふうに46週以上に限定し ますと53例、この中には1本打ってやめた症例もカウントしています。  2型は、もともと半年治療で8割ということで、大体、開発治験の成績と同じような 成績が得られています。  1型の674例に限りまして、治療期間と治療効果のことについて、もう少し確認したい と思います。674のうち278は、41%の著効率なんですけれども、84例の方が23週以内に やめていましたし、112例の方が23週から46週でやめておられました。46週以上の方が、 478例いたということです。  それでいきますと、23週でやめた方、84例1例も治っていませんし、23〜46週で21% で、46週以上だと53%ということで、やはり治療期間は極めて重要だというふうなこと が確認できました。  46週まででやめてしまわれた方は、196例おられるわけです。その理由としては、副作 用が39%、特に問題はなかったけれども、ウイルスの下がりがないとか、6か月陽性で やめた 35%、その他というのがいろいろございまして、社会的な面、仕事と一緒にでき ないとか、当院は経済的な理由があったというふうなことでございます。  ちなみに参考程度に、6か月後RNA陽性率というところでは、ウイルス学的に反応 がないというのが88%で、高いというふうなことでございます。  本日のテーマで、72週延長投与がどれほど有効かというふうなことで、これは先ほど から言われていますが、これは従来法での判定ですけれども、4週までにウイルスが消 えたRVRの方、4週から12週のEVRの方、12週から44週のlate responder、no responderという4つの群に分けますと、確かに46、標準投与法では96引く67ということ で、やはり早期に消えた方が、極めて著効率は高く、遅くなると極めて難しいと、この 期間で駆除するのは難しい。  53週以上の症例が57例ございますがちょっとここは数が少ないんですけれども、やは りlate responderに関しては、24%著効率は、69%、0が27%ということで、有意に上 昇するということで、ここの反応性を示したものに関しては延長投与を考慮して、1回 の治療で駆除を目指すべきではないかというふうに思います。  ほとんどの例が72週投与なんですけれども、途中でやめてしまった例を解析しますと、 この中では、余りはっきりした差はございませんでした。  全く同様の症例なんですが、データマイニングということで、コンピュータを用いて、 こういうふうないろんな説明変数を全部コンピュータに入れまして、治ったか、治らな いかということで、決定木というような表現になっているんですけれども、1つの絵を アルゴリズムのように御理解いただきたいというふうに思います。  これは538例ですけれども、538例中242名の方、45%が著効となった集団の中で、コン ピュータ上は、この説明変数の中では治療3か月でウイルスが消えたかどうかというこ とが、非常に重要な因子でして、これがプラスの場合、3か月目でプラスの場合は17% の著効率にしかならない。ところが3か月後ウイルスがマイナスだと73%というふうに、 アルゴリズムに追っていただきたいというふうに思います。  それでいきますと、3か月目プラスの症例は17%なんですけれども、これはコンピュ ータ上の計算ですけれども、14か月以上、ある意味では延長投与すると、58%に著効率 が上がるということで、これは作為的なものではなく、すべてのデータと相互関係を踏 まえた上でのアルゴリズムでいくと、このようなデータマイニングとしても、延長投与 をすべきであろうというふうなことを示しているというふうに思います。  副作用に関してなんですけれども、674例中、副作用が原因で治療が中止された方は76 例ございます。ただ、同一症例で複数のイベントがあって、どちらが優位かちょっとわ かりませんでした。今回はこの92例、重複したイベントを持っている方がおられますが、 それらの副作用の内容と出現時期について、検討しています。  最も多いのが倦怠感、うつまでは行かないんですけれども、いらいらするとか、そう いうふうなこととか皮疹ということが多いということが、おわかりいただけるかと思い ます。  出現時期なんですけれども、ほとんどの副作用の8割程度が、半年までに出現する。 半年から46週までという方に出てきまして、結局46週から70週未満の中では、結局、副 作用が原因でやめられた方はないというふうなことでございます。  これはいろいろ考えないといけないと思うんですけれども、この併用療法の副作用と いうのは早期、6か月の間に出てきて、それに耐えられる方が次々、半年以上、48週以 上、投与されているということで、長期にやることで、少なくとも出現頻度が高くなる ことはないだろうというふうに考えています。  ただ、やはり間質性肺炎とか、長期に投与することで起こる副作用も、頻度としては 少ないかもしれませんが、今後、そういうふうなことには十分注意しながら、頻度とし てはそれに耐えられた方が延長投与が可能ということから言うと、頻度的には少ないも のだというふうに考えています。  以上でございます。 ○林座長 ありがとうございました。  一応これで6人の方に発表いただきましたが、続きまして今までの日本の成績は、既 にもう外国で、RCTで72週投与が有効だという成績が出ておりましたので、日本では なかなかRCTを試行することはできないという状況で、先ほどのはすべてRCTでは ございません。  そこで熊田先生の方から、外国から論文としてRCTのデータがございますので、そ れの御紹介をいただいてもよろしいでしょうか。 ○熊田委員 スライドはないですよね。  そこに印刷物があると思いますので、これはGenotype1で、48週投与と72週の、いわ ゆるランダマイズのコントロールスタディであります。  インターフェロンに関しては、ペグインターフェロンα-2aとリバビリンということ で、割り付けが行われています。  これは48週のグループが230例と72週に、最初から72週やるというグループが、225例 でありまして、ランダマイズしたスタディです。それのSVR rateがそれぞれありまし て、実際には、Figure1が割付け状況で、Table1が背景因子ですが、当然ランダマイズ の場合はどの48週投与群でも、72週投与群にも割付けには差がなかった。  次にFigure2のところに行きますけれども、最終的なTable2のところの、48週投与群 の48週目のウイルス陰性化率が71%と63%になっておりまして、その後の著効率は差が ないというふうになっています。  ところがその後、最終のデータを、Figure6で見ていただくといいかもしれませんが。 ○林座長 Figure3ですね。 ○熊田委員 Figure3のデータを見ていただきますと、特に12週目のところでの、48週 投与群とそれから72週投与群での治療効果が、17%と29%ということで、いわゆる日本 で言うlate responder、12週目以降の陰性化した症例で見ると、著効率が72週の方がい いというデータでありまして、海外は1aのタイプも多いということで、日本に比べると 48週投与の著効率も極めて悪いですし、72週も悪いんですが、その中でも48週と72週で は明らかに差があるという結果であります。  ランダマイズのスタディはこれしかないんですね。あと4点ほど出ていますけれども、 これだけはっきりしたランダマイズではなく、一部を取り出したものがあります。  以上です。 ○林座長 どうもありがとうございます。外国の方はRCTでやりますと、日本ほど大 きな差は出てきません。恐らく日本の方が、72週投与によりヒットする症例だけを選ん で、やっているので、有功率の差が大きく出ているんだと思います。今のところ、欧米 より日本の方が差が大きい傾向にあるということだと思っています。  全体を通じて御質問がございましたら、よろしゅうございますでしょうか。  それでは、恐らく議論になりますのが、今日データを拝見しますと、ほとんどの施設 で、48週投与よりは、72週投与の方が、有効率がいいということについては、余り御異 論がないと思うんですが、なぜ72週投与でなかったか。どういう層で有効率が上がって いるかというところが、議論になるというのと。  もう一つは、どういう対象症例を72週投与にすべきかということで、冒頭、熊田先生 の班の、36週目までにウイルスが2log下がって陰性化した例を72週投与にするかどうか。 どういう対象を長期投与の対象にするかというところが、一番の議論になるかとは思っ ています。 前半のことで、岡上先生、いかがですか。 ○岡上委員 基本的に大きな差はないと思うんですけれども、コアの70などを含めてや りますと、私のところが先生方と少し違うのは、高齢の女性が延長投与しても、離脱す る率が高いというのがありますので、その辺が少し違うのかなという感じで、ほかはほ とんど一緒です。 ○林座長 基本的に48週投与で難治だといわれているファクターを、個別にすべて解析 していっても、そういう指標であれば、基本的には幾つか差はございますけれども、有 効率上がってきているということで、熊田先生のコアのところの71番目をとっても、72 週投与をすれば、48週無効例でも有効率上がってくる。 ○熊田委員 そうです。 ○林座長 泉先生のところで拝見しましても、女性とかいわゆる難治のファクターは今 のところ72週投与すれば、ほとんどの例で上がってくると考えてよろしいですか。 ○泉参考人 おっしゃるとおり、難治の要因でも72週投与することによって、それがう まくオーバーカムできて、克服できて著効率が上がってくるということです。ですから ウイルスが消えるときが遅い方でも、難治例であっても、延長投与で治癒しているとい うことです。 ○林座長 従来言われている女性であるとか高齢であるとか、コア、先ほどのミューテ ーションとか、線維化進展例は、今のところ分けて分析していくと72週投与にすると、 やはり効率は上がってくるというふうに、考えてこれはよろしゅうございますか。  72週投与しても、全然そこの有効率は上がらない対象というのはございますか。熊田 先生、いかがですか。 ○熊田委員 例数をたくさんやれば、差は出てくると思いますが、基本的にはやはり一 番大きいのは、高齢女性が上がるということが一番だろうと思っていますので、どうし ても治らない人はやはりいるわけで、そこは次の世代にということになると思います。 ○林座長 八橋先生、そこはいかがですか。従来、言われている難治例のファクターの 中で、単純に半年間投与期間を長くするだけでは、有効率が上がらない対象というのは ございますか。 ○八橋参考人 そこまで絞り込んでいないんです。ただ、現在、高齢の方というより、 女性の方がほかの方に比べると、消失時期が1か月、2か月遅れますので、その方を今 48週でとめてしまうと、治りませんから、やはりここは延長するというふうな、1回で 治してあげるということを考えると、それは経済的に微妙じゃないかと思います。 ○林座長 特に日本人の問題は、女性と高齢者の問題が圧倒的に重要な問題で、そこの 層については、治療期間を長くすることによって、有効率を上げていくということで、 坪内さん。 ○坪内委員 私のところは、余りきれいにまとまっていなかったんですけれども、長期 投与したのは、39例で19例がSVRになっていたんですけれども、ちょっと先生方のと ころよりも悪いような気がして、そういう背景、個々の症例を見てみると、私のところ は結構、高齢女性が多いので、中止するのを恐れて、初期の投与量を減らしていたりす ると、長くやってもSVRに結びつかない可能性があるんじゃないかなというふうに思 っています。  そんな感じがありますので、やはり通常のきちんとした投与をして、72週でやるとい くことがSVRのあれには大事じゃないかと思います。 ○林座長 途中、泉先生、そのことに少し触れられていましたけれども、投与期間を少 し減らしても、72週投与で、全体として投与量をカバーできると、有効率を担保できる というお話をされました。その点、いかがですか。 ○泉参考人参考人 おっしゃるとおりで、どうしても72週になってしまう患者さんは、 途中で減量したりとか、安全性を重視して減量しながらやっている。それはウイルスが 消える時期が若干遅いので、結果的に72週をやっている。  しかし72週治療すれば、よく治っているということなので、安全に治療して長くやる ということは、高齢者あるいは女性については大事なんじゃないかなと思います。 ○林座長 我々のところの解析をお示ししませんでしたけれども、インターフェロンは、 ある程度維持できますと。リバビリンは初期に割と減量しても、72週投与でトータル量 だけで十分リカバリーできれば、著効率を担保できますので、特に女性で最初のときに、 貧血でなかなかリバビリンが投与ができない症例でも、72週投与にして、総投与量をあ る程度までできれば著効率はかなり上げられるのではないかという気はしています。  高齢者の女性については、治療期間を長くするというのは、かなり有効な方法ではな いかという気がしています。  林先生、それでよろしゅうございますか。 ○林参考人 私たちもそのこと、同じことなんですが、インターフェロンは、規定投与 量の80%以上、リバビリンは50%以上を保つように、期間でも延ばせば、高齢者でも有 効率は結構よくなると思います。 ○林座長 ということで今のところ、今、我々が48週投与で困っている難治例だと思わ れる症例についても、基本的には72週投与することによって、かなり有効率を上げてこ られるのではないかと思っていますが、次にどの対象者をするかという、熊田先生の判 定基準は非常にクリアカットなんですが、この点についていかがでしょうか。  従来のアンプリコア法と、Real time PCR法、変わりますが、すべてもうReal time PCRですので、今回の対象者は、それで決めざるを得ないと思っていますけれども、 当然のことながら従来のアンプリコア法で、12週目から24週目までに陰性化する症例も、 Real time PCR法ではかりますと、24週を超えて陰性化してまいりますので、班会議 の36週というのは、1つの基準になるかと思っていますけれども、熊田先生、いかがで すか。 ○熊田委員 もともとは、やはり従来のオリジナル法だと、24週だったんですが、昨年 の時点でもうReal time PCRが治験でできていましたから、Real time にすると、や はり36週にしないと、どんどん落っこっちゃって治せる人が治らなくなりますので、基 本的にはReal time PCRでやれば、36週までもっていかないといけないだろうと思っ ています。 ○林座長 岡上先生が使っておられる、もう少し簡便にして、12週目に2log下がったと。 それも考えられると思うんですけれども、その点はいかがですか。陰性化を確認しなく ても、12週目で2log下がっていれば、72週の長期投与に含めるかどうかということです。 ○岡上委員 その症例を、きちんと解析していないのでわからないんですけれども、12 週で2logに低下した患者さんというのは、この熊田先生ので36週でほとんど陰性化して いるんですね。  ですから結果としてはほとんど同じだと思っています。だから早期に延長を決めるの か、36週で決めるのかだけの差であって、恐らく基本的な差はないと思います。 ○林座長 ただ、これは大きいですね。12週目に長期投与を決定するのか。36週目に長 期投与決定の人は、かなりの。 ○岡上委員 僕はなぜ12週で決めるかというと、我々のところではやはり65歳の女性と いうのが結構多いです。そうすると医療経済的なことも含めて、副作用も含めて、12週 の時点で、SVRを目指すのなら、もうそこで継続するのか、中止するのか。  ただ、そこで肝機能が正常化しますと、発がんリスクが下がってまいりますので、そ の2つのことを考慮して、私は患者さんにその話はしているので、どちらをとるかは。 ○林座長 とりあえず12週目で2log下がらない方は除外してしまって、あとはそのまま 投与して36週目でウイルスの陰性化を確認して、陰性化しなければ、そこでもう一遍除 外するという手もありますよね。 ○熊田委員 患者さんの心理を考えると、12週目で、もう、はい、あなたはだめですと、 48週にしなさいというのは、なかなか実際の臨床の場では、もうちょっと先生、使った ら消えるんじゃないんですかという気持ちに必ずなりますから、やはり36週目で消えて、 もう12週のときは36週目で消えないかもしれないよ。でもやはり消えなかったから、無 理をしないでおきましょうという話の方が、今回の女性の方の話から言うと、患者さん はその方が気持ち的にはやさしいと考えています。 ○林座長 泉先生、いかがですか。 ○泉参考人 まさに熊田先生がおっしゃったとおりで、私どものデータでも、このTaqman、 新しい感度のいい方法だと、36週で消えた方も、72週で治っていますので、やはりそう いう患者さんは、72週投与の対象にしてあげるべきだろうと思います。 ○林座長 12週目でTaqmanで少なくとも2log下がっていない人については、もう72週延 長投与の対象には含めない。そのまま投与を継続して36週で、ウイルスが陰性化しなけ れば、その方についても72週の延長投与には対象としないということで、原則上。  ほかの選択というのはございますか。 ○岡上委員 よろしいですか。僕はこのとおりでいいと思うんですけれども、36週で陰 性化しない原因の中に、いわゆる定量感度以下のがありますね。陽性。そうすると、そ の患者さんというのは、36週であなたは陰性化しないからやめたらいかがですかという と、恐らく、私は延長投与したら治る可能性が3割ぐらいあるんじゃないですかと。実 際3割ぐらいありますね。  ですからその辺を、僕は12週で、確かにあなたはもう治る可能性が少ないから、中止 したらいかがですかと言うのと、36週で言うのと、結果として36週まで頑張ったんだか ら、もう少しやれば、著効率が上がるからもう少し頑張りますと言う人が結構いるんで す。だからその辺をどうするかということに尽きると思います。 ○林座長 これは難しいですね。八橋先生、いかがですか。 ○八橋参考人 私は36週1本で、12週というのは、参考、指針として、余りそこで拘束 してしまうとどうかなというふうに思います。割と36週までには、陰性化する。 ○林座長 12週の2log下がるのは。 ○八橋参考人 勿論、それはかなり相関するけど、そこでもう切ってしまうのはどうか なと思います。 ○林座長 これは少し意見の分かれる点で、もう1点、先ほど八橋先生、泉先生で、8 週までは100%なんですけれど、8週から12週の症例をどう扱うかということで、12週目 まで行けばそこのところを延長投与されるんですけれども、8週から12週目でウイルス が消える人は、延長投与の対象にならない可能性が出てまいりますね。  その辺は、先生、どう思われますか。 ○泉参考人 一応Real timeの陰性化ということで見ると、高齢者が8週から12週目の陰 性化でも再燃してしまう。ただ、100分の1というくくりでいくと、ほぼ100分の1が達 成できているので、12週の1/100というところでまず1回縛って、36週というところでも う1回決めればいいかなというふうに思っていますけれど。 ○林座長 そえでよろしいですか。岡上先生、そこはよろしいですか。8週と12週。 ○岡上委員 私どもですと、12週で2logというのは、そういう。というのはF3、F4 というのは、結構そういうのがあるんですね。F1については陰性化するけれども、F 2、F4は感度以下で陽性というのが結構あるので、だから12週の2log未満36週で陰性 化というのを組み合わせすれば、そこでかなりきちんとなってくるんじゃないかなと思 います。 ○林座長 それでいいということで、最後は、問題は先ほどからあるように、12週を完 全な陰性をとるか、プラスの定量感度にはひっかかる、検出されるという。非常に微量 ですけれどもウイルスが少しだけ残っている症例、これはかなりあるんですね、実際問 題。  この扱いも非常に困っているところなんですが、ほかの先生、脇田先生、それはいか がですか。定量の。 ○脇田委員 その辺は非常に微妙ですね。ウイルス、定量できない、少量は残っている と。ただTaqmanで陰性になっていても、肝臓の中には多少残っているということですか ら、それはやはり方法による違いというだけのことであって、余りその点にこだわらな い方がいいかと思います。 ○林座長 ただ恐らく、厚労省の、来年の4月に、投与期間の補助の延長を出されると きに、これはもう規程として、明確な規程をつくらないとだめですね。  そのところで、12週目で2log下がるというマーカーと、36週目にウイルスが完全に 陰性化するか、定量感度以下のプラスまでを入れるかどうかという、ここの選択のとこ ろが、ちょっと微妙だ。 ○林参考人 ちょっと確認していいですか。  まず12週で2log下がって、更に36週でマイナスと2つクリアですか。 ○林座長 先ほどのだと。 ○林参考人 2つクリアですか。 ○林座長 とりあえず12週目、2log下がらない例については、72週投与の対象にはなら ない。なおかつ36週目にウイルスが陰性化するか。完全に陰性化するか。検出感度以下 になるか。ここはちょっと議論が分かれるところなんですが、その2つの条件だという こと。 ○林参考人 患者さんと一緒にやってみて、12週で決められるのは、非常に僕たちは難 しいかなという気がします。ですからもしかして、36週までに陰性化したという方が、 僕は何となく患者さんには説得力もあるかと。 ○岡上委員 いいですか。ただ、僕は12週で2log、2logにこだわるわけではないです。 そうしたら12週で1logしか下がっていない患者さんは、幾らやってもだめなんですね。 そうすると12週の時点である程度の幅は入れない限り、全部の症例で36週までに行くこ とになるわけじゃないですか。Non responderさえそこまで行くわけでしょう。ですから 12週で1logだったら、ほとんど延長投与しないでしょう。中止にもっていくわけでしょ う。  ですからその辺は、僕はやはりこれはある程度入れないと、医療経済的なことと、当 然のことながら、副作用がその時点までに非常に頻度が多いわけですから、それはもう きちんとすべきではないかなと思うんですけれど。 ○林参考人 そうしたら36週でマイナスになっていても、12週で2log下がっていなかっ たら、だめということですね。 ○岡上委員 いや、それはそうではなくて、僕の言っているのは、12週で2logを外しま すと、12週で1logしか下がれない患者さんは、48週どころか72週、96週やったって、著 効になる確率はゼロですから、そういう患者さんを省くために、12週の時点でのある程 度の判定は必要ではないかなということなんです。 ○林座長 実際、実は12週でなくて8週目に定量したら、ほとんど判定がついてしまう んでですね、実際問題は。だけれども8週で判定をして、8週で2log下がっていなけれ ば、48週の著効率はゼロです。実は8週でも判定はつくんだけれども、それをわざわざ 36週まで延ばさなければならないかという議論が出てくる。  それを12週の時点で2log下がるというところで、ある程度スクリーニングするとい うのも一つの方法で、患者さんは投与したいと恐らく言うんだけれども、実際問題、そ の層から著効になる例というのは、非常に限られてくるわけで、その時点で患者さんに そのことについては明確に、正確なデータをお伝えするというのも、考え方としては、 一つの考え方なので、12週目である程度、一つの基準をもって判定するというのも、サ イエンティフィックには非常にクリアカットだと思うんですが、ただ、患者さんの気持 ちを考えたときに、そこのところは、それで患者さんにもう延長投与は無理ですという のを伝えることができるか。 ○熊田委員 私は、自分でガイドラインを書いて、12週で2log下がらない症例は除外す るというガイドラインですから、勿論岡上先生と全く同じ意見です。  ただ36週のところで最終はしてあげないと、12週だけで判定すると、それは気の毒だ から、ちゃんと12週だけで判定するのではなくて、36週までもっていって、そこで判定 するということもやりたいと思います。  Real time PCRに関しては、やはり完全に明快にするということになるのであれば、 あとはもう厚労省側の、今回1人でも2人でも治すという考えであれば、やはり定性も、 要するに定量はできないんだけれども、定性がプラスまでは、含めないという形になり ますし。 ○岡上委員 そうですね。定量感度以下にするかですね。 ○熊田委員 定量感度以下にするという形。 ○林座長 そうするとその後に、もう1個関門を設けないといけないわけですね。 ○熊田委員 最後まで行っちゃいますね。 ○林座長 ええ。48週目のところで、もう一度関門を設定するという、少し複雑な設定 の仕方になるかもわかりません。 ○熊田委員 それで救われる人というのは、少ないんですけれども、ないわけではない ですから。 ○林座長 どのぐらいのパーセンテージですか。単純計算で。 ○熊田委員 5%ぐらいだと思いますけれども。私が自分でつくったガイドラインでは、 それが一番いいと思っていますから、先生方がそれでいいと言っていただければ、非常 にありがたいですけれども。 ○八橋参考人 助成制度になって、スタートして途中いろんなことで中断とか減量とか がありますね。どこをどうするか、途中で休んだりすると、12週目というのは、完ぺき な意味ではなくて、社会的というかそういうところで、12週目で2log下がらないケース もあるだろうと思うんです。  そういうようなのを考えると、36週マイナスという、そこを基本に考えるのがいいの ではないかというふうに思います。 ○泉参考人 今のは、要するに、72週間延長する可能性がある患者さんを選び出すとい うことなので、そうすると12週2log達成しない人でも、48週はいいわけですね。ですか らそこで12週2log下がった人で、かつ36週でマイナスということにしておけば、48週を 排除するわけではないので。 ○林座長 そうなんですけれども、ただ、肝臓学会の専門の人だけが治療するのなら、 恐らくそれでも全然問題はないと思うんですが、問題は、医療費補助が出てきたので、 非専門の方もたくさんおられるわけですね。  そこで、インターフェロンは副作用は、勿論あるわけなので、余りむだな投与してい ただいて患者さん側に不利益を与えなければ、私もそれで全然問題がないと思うんです が。  副作用の問題があって、確率からとれば5%とか1%の人に投与をそのまま継続して、 副作用が出ることのマイナス面の方が、恐らく大きいだろうということで、だから確率 の問題なので、ある程度の高い確率が得られないと、やはり意味がないような気はして います。  だから0%とか1%という議論は、避けていただいた方がいいような気はいたします。  これは今回結論を出さなくても、勿論次回にもう一度案が出てきますので、今のとこ ろの先生方の御意見は、12週目に2log下がるか下がらないかというので、まずそこで一 つの関門を設けるか、設けないかということです。  最終的な判定については、36週目にウイルスが陰性化するというのを、基本的な最終 判断基準とするということでよろしいでしょうか。中に36週目に、定量感度以下で、た だしマイナスでない症例の扱い、そこからは恐らく著効例が出てくる可能性があります ので、そこの扱いをどうするかという、これが恐らく問題だと思っておりますので、そ れをお考えいただいて、恐らく事務局の方で、原案をつくられると思いますので、その 原案を拝見した上ということでよろしいですか。  これは後議論を続けても、同じことの繰り返しなると思いますので、何か先生方、ほ かにこのことについて、御意見がございましたら。 ○八橋参考人 あと、一般的な医療とするのか、かなり専門家的なところにゆだねるの かというところまでは、余り議論は。  例えば今は2か月の副作用の延長投与に関しては、診断書を出して県で認めておれば、 審査するという。今度の72週というのも、どういうふうに、そういうふうな審査をする のか、しないのかという。 ○林座長 これは事務局、何か方策を考えておられますか。最初に48週投与の申請を出 しますね。そのあと72週まで見たいときに、ある時点で延長申請を出すという形になる んですか。 ○肝炎対策推進室長 まだそこまで議論が出ていなくて、この場で72週についての是非 について、いろいろ御議論をいただいて、それがいいと、おおむねそういう方向ですけ れども、そうなった段階で、我々の方で事務手続きをどうするかを考えていこうと思っ ています。 ○林座長 だから恐らく、今までは、最初の申請を出して認めていただいた上で治療を 始めますので、先ほどのですと、治療の36週目の時点で延長投与の対象者が挙がってく ると、それの延長の、そこから時間的な余裕がございますので、恐らく出して認めてい ただいた方については、延長部分についても補助が可能になる形になるという形が、ド クターは恐らくそれが一番やりやすいのではないかなという気はいたします。 ○肝炎対策推進室長 ただ、やはり全般的にではなく、専門医とかそういうふうなとこ ろで行われる方が、安全性の確認という点ではいいのではないかなと思っています。 ○林座長 この点はいかがですか。これは今、都道府県のほとんどのところは、専門医 だけのところは、東京都は専門医だけなんですか。 ○熊田委員 東京都は一応専門医が。申請も全部専門医だけにしましたけれども、やは り県によって違いますから、これを統一することは無理で、特に青森県なんかは専門医 がほとんどいない、3人しかいませんから、恐らく実態的に無理ですから、やはりこれ は統一はできないと思いますから、それは県ごとに対応する。  72週に関しては、最初は48週で勿論スタートして、それで条件が合った人には、延長 投与の申請で、それに必要なデータを付け加えてもらうという形しかないと思うんです。 それを専門医だけに限るというということになると、これはもうとても対応できないと 思います。 ○八橋参考人 専門医の定義もいろいろあるので、ある程度申請も含めて手続きがあれ ばいいと。 ○林座長 恐らく先生の御質問は、申請するのは専門医だけなのか、一般の先生も可能 なのかどうか。実際に治療をやるときに、治療行為は、専門医には限りませんよ。申請 のところだけですよね。今現在、それは都道府県でばらばらなので、恐らく、それを統 一するというのは、熊田先生がおっしゃるように、なかなか難しいのかもわからないと いう気がします。  それからもう1点、副作用の問題ですが、先ほど48週を超えて72週投与の間に、余り 大きな副作用はなかったような気がいたしました。この点はいかがでしょうか。  泉先生、いかがですか。 ○泉参考人 ほとんどの先生が、48週治療できた患者さんは、それを超えて72週をやっ たから新たな有害事象が出たということは、2〜3例だけでした。ですから48週投与が できる方については、延長投与で有害事象が更に起きるということは、余りないのでは ないかと思っています。 ○林座長 そうすると48週以降に起こる副作用は少ないので、48週まで投与が可能であ った方については、それ以後に副作用が出るということは、余りないと考えてよろしい ですか。  岡上先生、それでよろしゅうございますか。 ○岡上委員 いいと思います。その時点で専門医がきちんと評価するわけです。ただ、 それが評価せずにいきますと、多分、九大の出した皮膚の潰瘍、それまでに紅班とかあ ったと思うんです。それを恐らく治療せずにいったから、潰瘍になったと思うので、新 たに出たわけでは、多分ないと思いますので、それはそれでいいと思います。 ○林座長 熊田先生、よろしいですか。 ○熊田委員 はい。 ○林座長 恐らく48週を超えて、そのために起こってくる副作用というのは、今のとこ ろ余りないのではないかという気はしております。  あと先生方は、今3点議論させていただきましたが、これ以外に72週投与で何か議論 をさせていただいた方がいい点がございましたら、いかがでしょうか。 ○八橋参考人 頻度の方は決して高くないと思うんですけれども、仮に出た場合、日本 で48週だと、機構の方でいろいろ制度があるんですね。それは48週を超えると難しくな るという理解でよろしいでしょうか。 ○肝炎対策推進室長 副作用の被害救済のお話ですか。 ○八橋参考人 はい。 ○肝炎対策推進室長 この4月から、確かにインターフェロンは被害救済の対象になり ましたけれども、実際にそういう症例が出て、副作用被害救済で、ちゃんと認定の審査 会なり何なりを開いて個別に審査をしますので、実際に出てからでないとわからないん です。 ○熊田委員 ただ、基本的には、承認の条件に48週というので決めていないですね。48 週間使ってはいけないというのは何も書いてありませんから、当然、それはそのときに 勿論、相談になって、その委員になりますけれども、今は被害者救済の方もありますけ れども、それは72週は、当然その中で議論をするということになって、だからいけない という理由になったら、それはもう問題外になると思うんです。 ○林座長 特に恐らく延長72週まで認めてしまうと、それは逆に、そこまで認めること にほぼ近い形式になると思いますけれども。もともと48週でとめないと、1行も書いて ありません。 ○泉参考人 ただ、報道されると、全部の症例が、72週までいいんだということになっ てしまうので、やはり72週をやる必要のある患者さんというのは、ある程度ちゃんと特 定しているんだというアナウンスが、是非必要なのではないか。 ○林座長 そういう意味では、基準は余り複雑な基準にしない方が、一般の、専門医で ない先生方については、御理解いただきやすいと思いますので、余り何か所も何か所も 関門を置いて複雑化するというのは、無理ではないかという気がいたします。  それ以外、先生方はよろしいですか。  それでは、今日の御発表の内容、それから72週投与の御意見をいただけたと思ってお ります。  それでは時間も、まだ少しございますけれども、御意見がなければ、あと。 ○肝炎医療専門官 質問させていただいていいですか。 ○林座長 どうぞ。 ○肝炎医療専門官 延長投与ということで、海外の文献とかもいろいろ読ませていただ いたんですけれども、72週投与というところでストップする。つまり長くすれば長くす るほど、インターフェロンとウイルスが接触している方が、患者さんの治癒率、そうい ったものに近いというような感じを、素人的には受けるんですが、96週とか100何週とか、 こういった議論に、来年以降のガイドラインとかになってくるということは、あり得る んでしょうか。 ○林座長 恐らくならないと思います。それは外国で見ておりますが、今のところ、72 週を超えた比較試験というのは、ほとんど行われておりません。  その最大の理由は、実は新薬が、どんどん出てきています。逆に言うと、新薬を付け 加えることによって治療期間を短くしていこうという方向に来ていますので、あれより も2剤だけを使って治療期間を長くするという方向には、行かないのではないかと思い ますが、岡上先生、いかがでしょうか。 ○岡上委員長 96週と72週の比較試験が一つだけあって、それも全く差はないというの がありますので、今、林先生がおっしゃったとおりで、72週以上の投与は、SVRを得 るという意味では意味はないと思います。 ○林座長 ほかはよろしゅうございますか。  それでは、本日いただきました御意見をもとにいたしまして、事務局の方でたたき台 をつくっていただき、次回の会議で議論の上、意見の取りまとめをさせていただきたい と思いますが、それでよろしゅうございますか。  どうもありがとうございました。  それでは事務局の方から連絡とかございましたら、よろしくお願いいたします。 ○肝炎対策推進室長 何点かございます。  参考資料1は、先般、先生方におまとめいただいた「肝炎対策7カ年戦略」でありま す。これをいただいて、先ほど局長のあいさつにもありましたが、今は概算要求で、10 億ほど増額要求をしているところです。研究費についてです。  来年度の公募の課題について、これは参考資料2であります。ここについている資料 は、肝炎等克服緊急対策研究事業の部分を抜粋したものであります。すべての厚生労働 省が扱っている研究費については、審議会等で、次年度の研究課題についていろいろ議 論をして、公募するわけですが、もう間もなく、この形で公募することになっておりま す。  この新しい公募研究課題を考えるに当たっては、極力、「肝炎治療研究7カ年戦略」の 御議論いただいた内容を反映して、このように公募研究課題を設けております。  例えば、最初から行きますと、公募研究課題、一般公募型では、B型肝炎に関する臨 床研究分野、新規治療に関する研究。  次のページで、B型肝炎の難治症例の治療、ジェノタイプに応じた治療。  C型肝炎の臨床研究分野では、新規治療、ここでも例えば免疫負荷作用の増強を治療 に応用した研究とか、Nitazoxanide、血液浄化とか、それから難治症例のところ、その 下にプロテアーゼインヒビターのこともあります。  更にその下、副作用発現の低減を目指す研究というテーマも設定しています。  それから次のページ、肝硬変、肝がんではがんワクチンとか免疫細胞導入。  基礎研究分野で、肝疾患モデル開発では、iPS細胞を用いた細胞リプログラミング 技術、発がん機構の解明、治療的ワクチンの開発、代謝免疫系の相互作用。  次のページでは社会医学的研究分野、疫学関係では全国規模のデータベース構築とか です。  (7)で肝再生に関する研究ということでヒトiPS細胞、骨髄幹細胞等々、例示を 挙げています。  あと、肝がんについても集学的治療に関する研究といった形で、一応チェックしたつ もりではありますけれども、大体、7カ年戦略に盛り込まれた内容を、この公募研究課 題そのものであったり、あるいは留意点の方に書かせていただいて、これで間もなく公 募にかける予定でございます。  先般は大変活発な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。  それから続きまして、参考資料3、この4月から始めましたインターフェロン医療費 助成の実績について、ちょうど4月、5月、6月、私どもが第1四半期と呼んでいます けれども、第1四半期分について、まとまりましたので御報告をしております。  これは、各月の申請の件数とそれから、受給者した人の交付件数を載せております。 都道府県別に載せておりますが、一番下の合計の欄をごらんいただくと、申請も交付も、 4月よりは5月、5月よりは6月の方が、件数が多くなっております。  ところどころ0という数字が入っております。例えば4月は、申請が0、交付も0と いうところがありますが、こうした都道府県は4月から一応制度がスタートしましたけ れども、0の都道府県は、残念ながら準備が間に合わなくて、実際の受付は5月以降に なったというところは、4月は0になっています。  申請の件数と交付の件数が違う県はほとんどですけれども、これは当然でありまして、 申請があって、大体その月あるいはその翌月、場合によっては翌々月に認定審査会が開 かれて、そこで交付されたりしますので、多くの都道府県に聞いたところでは、大体申 請のあったものは、数か月以内にはほぼ100%交付はしている。余りはねることはないと いうふうには聞いています。  まだ制度が開始して間もないころのデータですので、これをもってこれが多いのか少 ないかという評価は、現段階ではできませんけれども、制度スタート時に、十分な普及 啓発ができていない都道府県は多々あったというふうには聞いています。私どもとして はできるだけこれを活用していただきたいと思っていますので、引き続き普及啓発には 努めていきたいと思っています。  最後のページは、4月から6月にかけての、受給者の所得の階層別の分類であります。 A階層、B階層、C階層とあります。その下の中に書いてありますけれども、A階層と いうのが市町民税の課税年額が年間6万5,000円未満、Cが23万5,000円以上、Bが真ん 中ということで、当初、A階層50%、B階層30%、C階層20%を見込んでおりましたが、 4月から6月にかけてのデータを見る限りでは、おおむね予想したとおりのシェアが表 されています。  私の方からは、以上であります。 ○林座長 何か御質問ございましょうか。 ○泉参考人 東京都が4月5月、0になっています。東京都独自の助成の方に入ってい るので、0ということなんですか。 ○肝炎対策推進室長 はい。実は都道府県の単独事業というのが、東京とか北海道とか 長野、そういうところはもともと何年も前から単独事業をやっています。そういうとこ ろは、徐々に国の制度に変換していったり、そういうまさに4月、5月、6月というの は、過渡期の段階でして、北海道は、いずれも交付が0になっていますけれども、その 結果です。東京もそうですね。途中から6月から出てきていますが、ここに表されてい るのは、いわゆる単独事業の数字は入れていませんので。 ○林委員 福岡も交付0ですが、そういうことですか。 ○肝炎対策推進室長 福岡の場合は、多分、手続きが遅れているためだと思います。 ○林委員 結局、今までは高額医療でかえていたのが、それもなくてものすごく、怒ら れているんです。どうなっているのかと。 ○林座長 ほか、よろしゅうございますか。 ○健康局長 中座をしておりまして、失礼いたしました。  先ほどから72週の延長投与の問題を議論していただきました。私は途中抜けていまし て、そこでかなりいろんな議論がされたと思うんです。その中身にも関係あることかも しれないんですが、2点ばかり、今日の残された時間、あるいは次回、教えていただき たいということでお願いしたいことがございます。  ちょっと紙がなくて、口頭で恐縮でございます。  1つは、インターフェロン治療の助成制度が始まったわけなんですが、私どもいろん なことを聞いている中で、2点ばかり関心事があります。  1つはいかにして副作用による中断例を減らすのかということであります。特に全国 的に見れば、実地医家にお願いしている部分もございまして、このような副作用による 中断を減らすために、国として、特に実地医家に目がけて何をしたらいいのか。どうい う周知をすればいいのかというようなことについて、教えていただきたい。  その一方で、当然ながら、患者さんの立場には、十分インターフェロン治療の動機づ けというんですか、そういうものがないと、長期間にわたるわけでありまして、動機づ けもしっかりしないといけなければならない。恐らく患者さんにはしっかりした動機づ け、あるいは、インフォームドコンセントなのかもしれませんし、治療の内容を十分に 説明することなのかもしれません。  一方、実地医家に対しては、それをうまく運用していただくような、そういうことに ついて、今、この場で少し教えていただく。あるいは次回でも結構です。  特に我々としては、肝炎については、今、隣の正林が全国の、若干、県レベルで対策 が遅れている県に対して訪問して、お願いをしているという。県庁に対してお願いをし ている。こういう状況もありまして、そういう現場で、そういうものを生かしていきた いということで、先ほど申し上げたように、中断例を減らすために、実地医家に何を周 知し、患者さんにはどういうことを動機づけすればいいのかということについて、何か 御示唆があれば、教えていただきたい。  特に難治例という方々が、どういう方々であるかということを、ある程度、実地医家 には整理をして、その上で患者さんにも十分承知していただいて、治療に入っていただ くということが非常に重要ではないかと、この点については思っているところでござい ます。  2番目のお願いというか御相談は、これもなかなか科学的には難しいことだとは思う のですが、治療の最初の導入期に、入院がおおむね2週間程度要るということでござい ます。実際働いている方、勿論家庭の主婦でも、2週間でも入院することは非常に大変 だということです。これは勿論副作用とか動機づけとの関連もあるのですが、もう少し 入院期間を短く、例えば1週間ぐらいにすれば、お盆休みとかお正月の間に入院をして、 そして退院後地域でまた治療を続けていただける。こういうことも可能になるのではな いかというふうに思っております。  ただ、なかなかこれは副作用との関連もございますので難しいと思うのですが、この 辺の入院期間というものを何とか短縮する。あるいは地域の医療機関と連携することに よって、うまく運用して患者さんが最初の導入期をうまく過ごせるようにできないか。  今申し上げた2点について、何か今日この時点で、御示唆をいただく。あるいは次回 に、少し何か御議論していただけたらと、このように思っているところです。よろしく お願いします。 ○林座長 いつも患者さんのサイドから言われている点です。以上2点ですが、最初に 副作用の中断例を減らすため、専門家の先生は慣れておりますので、うまくやっていた だけるんですが、非専門家の方も、最近、多く治療されていますので、恐らくそこで中 断例が多くなると思いますが、この対策はいかがですか。 ○泉参考人 やはり連携ということで、連携パスというのを、今、地域でやらせていた だいています。やっていただく先生方は多いんですけれども、やはり大腿骨の骨折とか 脳卒中みたいな、インセンティブです。保険とかそういうものを後押しやれば、もっと 進むかなと思っています。 ○林座長 ほかに。大体専門の先生方は、こうすると副作用がないとか、割とわかって いるんですが、それをうまくどう伝えるかということだと思うのですが、岡上先生、い かがでしょうか。 ○岡上委員 今、局長さんがおっしゃったことは、2点あると思うんです。まず治療前 に、患者さんの病態をきちんと把握しているかどうかということと、治療中の問題です ね。  治療前に例えば高血圧、糖尿病、甲状腺機能、あるいは高齢者ですと、関連する陰影 の増強があるかないかとか、そういうことをきちんとチェックしてやれば、かなりの率 で下がると思うんです。  もう一つは治療中に、どういう時期でこういう副作用が起こりやすいかということ、 専門家に書いていますので、例えば甲状腺機能ですと3か月に1回チェックして、まず どうもなかったら、それ以後起こる可能性は少ない。例えば眼底出血ですと、視力の低 下、目が見えなくなったことはないですかとか、そういうこと聞くだけでもわかるわけ です。  そういうことを各時点で、チェックする。すなわち、投与前の患者さんの状態と、治 療中のフォロー、こういう時点でこういうことをチェックするとことをやれば、私はか なりの率で減少できると思います。 ○林座長 それを国としてどういう方策をとればというところが、恐らく。 ○岡上委員 こう言っても来る人は、大体決まっていますね。その辺は、難しいですね。 ○林座長 熊田先生、何か方策ありませんか。これも非常に重要な問題なんですけど。 ○熊田委員 やはり専門家をさせるというか、使われている先生の再教育というか、そ こを徹底するのが一つと。  もう一つは、実は副作用で、中止になるのが最も多いのは、全身倦怠感やうつなんで す。今、βインターフェロンとリバビリンがまだ申請中というか、もう治験も終わって いるのに、なかなか認可されない。再試験が行われているのですが、やはりそこを早く、 データが出ているので、そこを承認すると、かなりαの一番の弱点は、うつと全身倦怠 感で、実際にβとリバビリンが治験が行われたわけですから、早くそこをやっていただ けると、相当減ると、私は思っています。 ○林座長 ほかによろしいですか。坪内先生 ○坪内委員 やはり、実地医家の先生に、そういったことを徹底するということが大事 なので、私は今、鹿児島県の医師会の理事もさせていただいているのですが、結構、医 師会組織というのは、上から回ってきたことについては対応するので、やはり厚労省側 から医師会なんかにも、こういう肝炎対策は国の事業でやっているので、医師会の先生 方も協力するように言っていただいて、各地区で、そういう佐賀県なんかは医師会を巻 き込んで、そういう肝炎専門の先生の講演を聞いていないとインターフェロン治療に参 加できないみたいなことをやっているそうなんです。  それをどこまでやるかは別として、ある程度そういった医師会を巻き込むということ が、非常に大事なのではないかと思います。 ○林座長 2点目ですが、次に難治例の患者さんに、治療の動機づけは非常に難しいん ですけれども、これの前段階として、今、実際に肝炎検査に来ていただける率が思った より低いということで、この前検査センターの方がアンケートをとられて、僕も聞いて びっくりしたんですけれども、なぜ検査にいかないかという理由を聞くと、私は、輸血 をしていないとか、私はフィブリノーゲン製剤を使ってないから検査に行かないんだと いう答えが、実はものすごく多いんです。  だから普通の方は、輸血とかそういうことをやっていなければ、もう肝炎にかかって いないと思っておられる方がかなりおられるみたいなので、その辺の対策も非常に重要 かなと思っています。  それになおかつ陽性とわかった方で、治療をしない方も、たくさんございます。この 動機づけをどうするかということで、何か先生方、御意見ございますでしょうか。これ も皆さんどこも困っている問題ですが。 ○八橋参考人 結構若い40歳の方は、検診で見つかって治療してうまくいっている例が 多いんですけれど、やはり仕事をされていて、検診検査を受けない。わかっていてもや はり仕事で治療を受けられないという。やはり40歳の働き盛りの方に、より検査も治療 も受けやすい環境をつくらないといけないなというふうに思います。  どういうふうにすればいいのか。やはり入院期間を短くする。ただこれは病院的には、 また別の問題がありますので、できれば外来導入すると、例えば診療報酬の方も、そう いうふうなのをちょっと考えていただけると、外来導入が進むと、ちょっとインセンテ ィブがないと、なかなか病院としても苦しいところがあります。  やはり、理想的には外来導入ができる治療だと思います。これをやらないと、働き盛 りの人を治療にもっていくのは難しいという気がしています  ただ外来で導入する場合は、外来でかなりの時間を費やさないといけませんので、外 来導入、インターフェロン導入のときに、何か別の診療的な何かがありますと、かなり 進むのではないかなと。 ○林座長 今の御質問の入院期間の問題とも関連する。入院期間を1週間にするという のは、男性の患者さんに治療してやっていただくのには、非常に重要ですね。特にサラ リーマンの方は、なかなか2週間というと。1週間というとOKで、2週間ではしんど いと言いますので、やろうと思ったらできますし、慣れてくると別に1週間入院で困る ことはないと思います。  クリティカルパスの問題を書いていただいています。クリティカルバスできちんとや れば、1週間の入院で、あとは外来でやるということは、全然可能だと思っています。 ただ、実際問題、2週間入院している施設の方が、多いのかもわかりませんけれども、 そこは少しそういう啓発活動をやっていくと、入院期間は短くできるのではないか。  クリティカルパスをつくって、代表的な例を提示するということもいいとは思ってい ますけれども。 ○熊田委員 添付文書が2週間と書いてあるんですね。これが一番やはり、原則として 2週間の入院をすると。これはやはりかなり大きな問題で、これが添付文書を変えると いうのは、現実的には不可能なので、それをどう、もう少しは柔らかくするような形で、 推進をしていくかということが、どう考えるかというと、特に開業医の先生が導入しよ うとすると、添付文書が2週間と書いてあって、その入院をしないで、何か副作用とか 大きなことが起こったら、これは医療的な法的なことを受けるのではないかという、そ ういう気持ちも相当ありますから、やはり外来導入と入院導入でどちらが安全かという のは、もう入院導入に決まっていますから、その辺の問題も大きなことだと思います。 ○泉参考人 やはり外来導入するとなりますと、医療スタッフ、看護師の負担です。専 門看護師がどうしても必要だということなので、やはりインターフェロンとなると、抗 がん剤、化学療法に近いようなところもあるので、やはり専門看護師によるサポートと いうものについて、インセンティブの話ばかりで申し訳ないんですけれども、病院がそ こを踏み切るのはインセンティブがあるかないかというのは、かなり大きいので、是非、 専門看護師に対してのサポートというのを少し誘導してあげれば、ちょっと進む可能性 が十分あるのではないか。  それから専門医がいない地域ですね。やはり医師がいなくても専門看護師がいるとい うこともカバーできる部分が、かなり大きいのではないかと思います。 ○林座長 がんの方は専門看護師さんの制度がありますね。そういう試験を受けている 方がおられます。肝炎は、そういう制度がございませんので、病院の中でも恐らく部署 がどんどん変わってしまうので、教えても覚えたころに、ほかの場所に変わってしまう ということが、起こってしまうんだと思います。  その辺から解決すると、少しこの問題は解決するかもわからないです。 ○熊田委員 そうなると、やはり診療報酬の、特にインターフェロンの導入の保険をち ゃんと入れてあげないといけないと思うんです。  内保連で、例えば20年度は神経内科の打診ですね。ハンマーをでたたくとかいろんな ものがものすごく時間がかかる割に、診報酬が全く同じというのは、おかしいというこ とで、実際に内保連の方につきましたね、中医協で。  それと同じように、外来導入をインターフェロンをするならば、外来導入時の保険点 数をちゃんとつけて、そのかわりきちんと、そのかわりというかやらないとできません から、そういう制度もきちんとしてやっていかないといけないだろう。  そうすれば、外来で行われる人は、ドクターがこの人は、外来で行えそうである。こ の人はだめである。当然、外来で診て判断できますから、結果的には入院の費用が、そ れだけ浮きますから、十分外来導入の方が、医療経済的にははるかに少なくなりますか ら、そういうものをきちんと制度をつくらないといけないと思っています。  実際には22年の改定の要望書の中に、消化器の中ではそれを入れるというふうに、も う消化器学会で決まっておりますから、そういうことと連動していただけると、非常に 外来導入がやりやすく、むしろむだな入院が減ると思います。 ○八橋参考人 やはり専門看護師をつくるというのは、すごく効果的だと私は思います。 看護師の間でも要求が大きいんですけれども、やはり今、チーム医療で対応しなければ いけませんので、そういうものを踏まえた専門看護師をつくるというのが、一番、制度 としてもいいのではないかと。 ○林座長 大阪でも500床近くの病院は、やはり肝炎の患者さんが多いので、そこでそう いう看護師さんの要求が強いんです。病院によっては、そういう方が長くいてくれる病 院は非常にやりやすいんですけれども、どうしても病院の中の勤務場所の配置がえがあ りますので、その専門家が全然関係のないところに行ってしまうという。 ○八橋参考人 既に頑張っておられる方は、おられるんですけれど、勤務交代されるん です。そのあたりを。 ○林座長 それは恐らくその専門性を認めてあげると、割と長くそこでとどまっていた だければ、非常に患者さんにとっては、もう慣れていますので、非常にメリットは大き いと思いますが。  ほかによろしいですか。 ○肝炎医療専門官 一つ質問なんですけれども、専門看護師みたいなもののイメージな んですけれども、外来で、例えば先生方が診察をして、導入したり。翌日来たときには、 もうその専門看護師みたいなものだけでも、今日は帰っていいよぐらいなことまでは言 えるような、それぐらいのレベルのものですかね。 ○泉参考人 イメージとしては、やはり外来化学療法をやっているような専門看護師で すね。好中球が減った、血小板が減った、自覚症状、眼底は大丈夫か、咳は出ていない か。そういう副作用のチェックまでちゃんとやってくれるような。 ○肝炎医療専門官 そうして先生に御相談できるぐらいの看護師だと。 ○泉参考人 そうすると専門医が非常に少ない県とか、看護師さんだったら養成できる のではないかと思います。 ○肝炎対策推進室長 実際には、それはどのぐらいの養成期間でできますか。 ○泉参考人 それはわからない。 ○岡上委員 私のところの病院は、実は火曜日と水曜日に、基本的にしようと決めて、 その日の看護師を決めているんです。その看護師には、厚労省が出している白血球が幾 らになったらというのがあります。それを渡して、こういうふうになっていたら、外来 をやっている私なり肝臓の医師に連絡をしてくれと。そうでないものは、前処方でやっ てくれというふうにやっています。  そんなに難しいものではないので、1週間なら1週間きちんと教えれば、看護師は能 力がありますので、化学療法の認定看護士のような、そんな長い教育期間というのは、 僕は必要ないと思います。 ○林座長 岡上先生、熊田先生のように、病院長の先生が肝臓の専門家だと、看護師さ んの配置転換しないんですけれども、病院長がほかの専門の科の方は、そういうのが育 ってきても、その方が配置転換させる。それが大きいので、がんの専門の看護師さんは 非常に大きくて、その資格を持っている方は、やはり化学療法からほかのところに動か しませんよね、よほどのことがない限り。それが非常に重要かなという気はします。 ○岡上委員 私のところは、結構条件のいい患者は、入院させずに最初から外来でやっ ているんです。ただ、八橋先生か泉先生が言ったように、院長の立場からすると、病院 経営がありますから、それは確かに、熊田先生が言われたように、例えば外来導入する ときには、点数を1.5倍にするとか、そういうことをしていただかないと、病院はどんど んつぶれていっていますので、その辺も含めて考慮いただければ、恐らく肝臓の専門医 のところでは、若い患者さんは、最初から外来で十分にいけると思います。  うちはかなり最初から外来でやっています。 ○熊田委員 特に再投与なんかは、もう本当に、1回インターフェロンを経験している 人で40代、50代、60前までの人は、本当に入院なしでいけると。ですけれどそれをやる には、そういったインセンティブをつけていただく。入院の分が、それだけものすごく 減るわけですから。 ○岡上委員 私のところは入院も10日以内に全部していますので、先生が言われたよう に、2週間の入院というのは、1〜2週間と書かれた方がいいかもしれません。2週間 入院する必要は僕はないと思っています。 ○健康局長 あと、肝炎の拠点病院で、夜間診療をお願いするというのは、難しいです か。 ○岡上委員 それは給料。もう医師不足の状況で、夜間までいきますと、もうとてもじ ゃないけれど、医師の配置というのがなかなか困難ではないでしょうか。虎の門とか武 蔵野のように、医者が余るほどいる病院は別でしょうけれども、我々は恵まれている方 ですけれども、やはりそれはかなり厳しいと思います ○熊田委員 それはむしろ逆に、提携している開業医の先生たちが、例えば、この霞が 関の近くでは、インターフェロンだけ夜間投与しますという先生がいらっしゃるんです ね。  導入のときが大事で、夜間にわざわざするのは、むしろ病診連携でどんどんいけばい いわけで、病院が夜間投与するメリットはないと思います。 ○林座長 特に大阪ですと、南の方、肝臓を専門にやっている病院数が非常に少なくな って集中してきていますので、そこの病院に猛烈に患者さんが集まって、大変な状況で、 紹介を持たない方はすべてお断りしても、ものすごい数の増加率なんです。  実際問題、そういうところで夜間を診るというのは、ほぼ無理だと。やはりある程度、 患者さんも専門医のいるところにどんどん集中してきていますので、なかなか夜間は難 しいかもわかりません。今の医師数では。  ほか、よろしいですか。  あと事務局は。 ○肝炎対策推進室長 あとは、先ほどの議論を事務局の方で整理させていただいて、次 回に向けてまとめの用意をさせていただきたいと思います。 ○林座長 どうもありがとうございました。  それではこの会議を終了させていただきたいと思います。  本日はお忙しいところ、お集まりいただき、どうもありがとうございました。 以上 (紹介先) 厚生労働省健康局疾病対策課肝炎対策推進室 03−5253−1111