08/10/15 第3回審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会議事録 審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会  議事録 1.日時及び場所   平成20年10月15日(水) 10:00〜 厚生労働省 共用第7会議室 2.出席委員(5名)五十音順     神 山 美智子、 杉 浦 幸 雄、 花 井 十 伍、◎樋 口 範 雄、      日比野 守 男 (注) ◎座長   欠席委員(1名) 桐 野 高 明 3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)   岸 田 修 一(大臣官房審議官)    川 尻 良 夫(総務課長)   中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備  考   本委員会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 少し早いですが、委員の皆様が全員おそろいでございますので、ただ いまから第3回「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会」を開催させていただ きます。  まず、傍聴の皆様にお知らせいたしますが、傍聴に当たりましては、既に御案内して おります注意事項をお守りいただくよう、よろしくお願いいたします。  本日、先生方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきましてどうもありが とうございます。  会議に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第がござ います。それから、別紙でございますが、座席表と、「今後の方向についての意見」と いうことで、右肩に「当日配布」とございまして、桐野委員から御提出いただいている 資料がございます。議事次第の次でございますが、資料1「本委員会の基本的な論点の 再整理」、資料2「医薬品第一部会及び医薬品第二部会における審議参加の状況につい て」、資料3「薬事・食品衛生審議会における「審議参加に関する遵守事項」の運用上 の課題に関する研究班アンケート調査結果(暫定集計版)」、資料4は前回の資料3と同 じものでございますが、「米国FDAにおける最近の動向について」でございます。  それから、参考資料といたしまして五つございます。参考資料1は、遵守事項そのも の、参考資料2は、遵守事項の参考資料でございます。参考資料3は、第1回の会議で 資料6として提出させていただきました「検討すべき事項及びその検討方法」でござい ます。参考資料4は、前回の会議に提出させていただきましたものと同じ、FDAのガ イダンスの仮訳でございます。参考資料5は、FDA改革法の第701条の仮訳で、これ は新しい資料として提出させていただいているところでございます。  資料につきましては以上でございます。不足等はございませんでしょうか。よろしい でしょうか。  また、本日、桐野委員は、御都合が合わず欠席との御連絡をいただいてございます。 それから、審査管理課長は、所用のため途中で退席させていただく予定でございます。  それでは、議事進行を樋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○樋口座長 本日は第3回ということです。今御説明があったように、資料も豊富です。 前回は、薬事審議会の委員でいらっしゃる守殿参考人と、日本製薬工業協会から花輪参 考人にいらっしゃっていただき、今行われているルール等についてどういう感触を持っ ておられるか等について御意見を伺うということで、ヒアリングを行いました。それを 前提にして、今後のルールの在り方について再検討、検証を続けていこうということで す。  私の考えでは、本日も、現在行われているルールに関連したいろいろな情報、あるい は調査結果がある程度出てきました、まだ中間という話であり、後で御紹介があると思 いますが、その説明をいただいて、一種、勉強会というような、現状を把握する会かと 思っております。  ただ、本日、桐野先生はいらっしゃっておられないので残念なのですが、当日配付の 資料で「今後の方向についての意見」という書面があります。一枚紙ですからすぐに読 めるのですが、ある意味では難しいことが書かれています。第1段落の最後のところに、 今のルールの作り方は、薬事分科会に参加する委員が自ら申し合わせたルールに自主的 に従うという形式になるけれども、これでは利益相反マネージメントとは言えないので はないか。利益相反という問題は実際には極めて複雑な判断を要するので、それを委員 自身が判断し、説明責任を自ら負うという方法では、適切なやり方とは思えない。参考 になるのは、利益相反委員会等をつくっております国立大学法人で、桐野先生が知悉し ておられるのは東大であれ、東北大であれということだと思いますが、がっちりとした 体制をとっている。そういうきっちりとした体制がここにつくられているということを、 もう少し説明する必要があるのではないか、ということだと思います。  この検証・検討委員会でのアジェンダといいますか、何をやるのかということを初め に確認するために、資料1があります。私の理解が間違っているかもしれませんが、そ れに関連させて、桐野先生は今回のこの委員会から入っておられるということがありま す。それで、今までの2回の審議を見ていてこういう疑問を感じられたということで、 それは、根源的な問題でありますし、疑問の率直な提起自体は非常に有り難いことだと 思います。  その前の会から、継続と言えないのかもしれませんけれども、私などは入っています が、桐野先生の質問に真正面からきちんと答えられるのか改めて考えると、なかなか難 しい。それは、もしかしたら、こういう委員会をつくって、誰のためにやっているかと いうと、薬事審議会を含めた、薬事行政に対する国民の信頼を維持する、あるいは、そ れが少し損なわれているようであれば回復するということだと思います。言葉は何でも いいのですが、それは国民向けということですね。  国民の皆さんも、こういうことをやっているというところを見て、努力はしているで はないかと思ってくださっていると私は思っています。しかし、もう少し、桐野先生だ けではなく、国民向けに、このようなシステムをつくってきちんと対処しているという ことを、繰り返し繰り返しになるのかもしれませんが、説明することは必要なのかもし れません。桐野先生の御意見を伺って改めてそのように感じました。  ですから、このシステムが完璧だということはないかもしれませんが、とりあえずこ ういうシステムをつくってきちんとやるように努めています、というシステムの説明と、 それから、こちらの方が主たる我々の論題になると思いますが、実際にどういうルール でこの利益相反に対処しようとしているのか、今度はルールの中身を検証・検討してい るわけですから、こういう形で検証・検討をきちんとやっています、ということを伝え よう、ということかと思っております。  ですから、2段あるといいますか、それはおのずから表と裏というか、本当は一つの ことかもしれませんが、システムの話と、そのシステムのところで運用している具体的 なルールについての説明をできるだけ一生懸命やり、かつ、今後とも、それがどちらに ついても100点満点ということはないのですが、できるだけベターなルールにしようと 努力しているという様子をとにかく伝えたい、ということかと思っております。  そこで、実際に今日の眼目は一種の勉強会であり、そのためのいろいろな資料がある のですが、その前に、資料1を使って、今のことに関連する話、つまりこの検証・検討 委員会で何をやるのかということになると思いますが、それを事務局から説明していた だくことにします。 ○総務課長補佐 樋口座長から、本質的な部分について網羅的に解説をいただきました。 改めて、資料1に基づきまして、本委員会の基本的な論点の再整理について御説明させ ていただきます。  まず、本委員会でございますが、皆様御承知おきのとおり、本年5月から審議参加に 関する遵守事項が分科会及び対象の部会において適用されています。そのような中で、 遵守事項において、評価の基準や残された課題を検証・検討するということが第1の大 きな目的になってございます。  その目的に向かっていろいろ評価をするに当たり、何を誰が評価するかということで、 それぞれの関係者の対応関係について、どのような構図になっているかをおさらい的に 示させていただいたのが1番でございます。  真ん中の図でございますが、Aの営利企業・団体等、製薬企業等から寄附金・契約金 等が、Bの教授なり、Cの大学なり学部なり、そのようなところに受領がある。そうい った大学と営利企業の関係があって、その中で、その大学に属している教授等の先生が、 Dの薬事・食品衛生審議会に委員として参画される。参画される場合に何らかのルール が必要であろう。厚生労働省は、大臣が薬事・食品衛生審議会に諮問して答申をいただ く。このような一連の流れになっているわけでございます。  1の○の一つ目でございますが、企業等Aから教授等Bが「寄附金等」を受けること を、大学等Cとしてどのように評価するかということではなく、そのような「寄附金等」 を受けている教授等Bが合議体である審議会Dに委員として参画(審議・議決)すること を、審議会D(全体)としてどのように評価するかという観点から、本委員会の検証・検 討を進めていくというのが、基本的なスタンスの一つではないかと考えてございます。  2の、評価の基準をどう考えるか、これは、樋口座長からございました、具体的なア ジェンダの二つ目に当たるわけでございますが、○の一つ目といたしまして、運営状況 や諸外国の類似の事例に照らしまして、現行の申合せの妥当性の検証をしていただく。 既に5月から運用は始まってございますので、その検証を行う。  ○の二つ目といたしましては、上記の検証に当たって残された課題ということで、四 つございます。一つ目が、奨学寄附金を「寄附金等」に含めるかどうかという、奨学寄 附金の取扱いをどうするか。二つ目が、教授等個人あてではなく、大学・学部等の組織 あてのものとして受け取ったものまで申告の対象の「寄附金等」とするかどうかという、 組織の問題。三つ目が、「寄附金等」の申告方法は、現行のような、受領していない、 50万円、500万円で、4段階に区切ったチェック方式で良いかどうかという、申告の方 法。四つ目が、この基準は、審議会の審議のルールの一つの申合せという位置付けでよ いかという、遵守事項の位置付けの問題。こちらは、本日の参考資料3で、第1回の会 議から御検討していただいている中でも出させていただいてございますが、実際にどう いうルールでやるのが一番よろしいのかという、中身の問題については、このポイント に沿って御検討していただきます。  1番と2番を併せまして、薬事・食品衛生審議会の中立性、公平性、透明性をより高 めた形での審議を行うために、現在の遵守事項について、様々な角度から御検証・御検 討いただきたいというのが、資料1の説明になります。新たな話ではございませんが、 再整理ということで御説明させていただきました。 ○樋口座長 ありがとうございました。事務局から資料1の説明を伺って、委員の方々、 いかがでしょうか。私が桐野先生に代わって言うのも何ですが、桐野先生から聞かれて いる質問があって、それに対して「大丈夫ですよ、桐野先生」、と委員の方々はおっし ゃってくださいますか。 ○神山委員 論点の再整理ということでは、このまとめでいいのではないかと思います。 それで、桐野先生が言っておられるのは、最後の、位置付けをどうするのかということ ですね。この部分は、前のワーキンググループでもかなり論点になっていましたが、こ の検討会でも、ここは再度議論しなければいけないところではないかと思います。です から、これを議論するという論点の再整理の段階では、すぐに議論に入らなくてもよろ しいのではないでしょうか。 ○樋口座長 この最後の部分は、神山先生はどうお考えですか。私から見ると、申合せ という言葉に桐野先生は少しこだわっておられるか、あるいは誤解しておられると思っ ています。例えば5人の委員がいて、5人で申合せをしようという性格のものではない のではないかと思っています。薬事・食品衛生審議会がきちんとやっていることを示す ための、まさにルールを自分のところで作っているので、委員になるということは当然 そのルールに従うのは当たり前のことなので、委員になる度に、その申合せに私は参加 しますという、インフォームドコンセントではないですが、チェックをするという話で はないのではないかと思っています。 ○神山委員 私が前回お願いして、仮訳を出していただいた参考資料5の、アメリカの 連邦食品医薬品化粧品法ですが、アメリカでは2007年に法律を改正して、第7章に「利 益の相反」という章を入れています。それで、長官、日本で言えば厚生労働大臣だと思 いますが、長官が決定するという条文になっています。  例えば、諮問委員会の委員になった人間は、金銭的利益について長官に開示する。そ れから、そういう利益を得ている人は、特定の事項に参加することができないという条 文が、この法律の中にあります。ただし、その人の専門的な知識が必要な場合には参加 できるという特例措置があります。その特例措置がとてもたくさん細かく規定されてい ます。特例措置については、事前も事後も全部情報を開示するということが細かく決め られています。  このように法律を改正してくれれば、何ら問題はないですが、私たちの検討会で、法 律を改正してくれというところまでは言えないでしょう。薬事分科会規程は薬事分科会 長が作るものですが、この申合せの内容を薬事分科会規程よりも上位に位置させること はあり得ないと思うのです。現在、薬事分科会規程があって、その中に、もっと利益相 反の度合いが強い場合には、初めから委員にならないようなことも入れられているわけ ですから、それよりも下位規範であることは間違いないと思うので、薬事分科会規程以 上のところに入れなさいということになると、それはちょっと無理ではないかと思いま す。全体の法体系を崩すようなことになるので。  しかし、薬事分科会規程の中に入れるということまでは可能なのではないか。入れた 方がいいかどうかという話は別として、可能なのではないかと思っています。これは、 前のときにも、特に永井委員や笠貫委員は絶対にそうしてくれと主張しておられました。 それは、御自分が利益相反の立場に立たれることが多いので、やはり自分たちのお手盛 りの申合せのようなものでは、自分の良心が許さないということを強く言っておられた わけです。  ですから、薬事分科会規程に入れるという選択肢はあると思うのです。ただ、大学と 違って、非常勤というか、調査会とか審議会があるときだけ出ていくという人間に対し て、利益相反のための特別の委員会を設けるというのは、大学のような常勤の人を相手 にしているのであればともかく、そうではない人に対しては効率的ではないのではない かという気がします。誰がそういう説明責任を負うのかといったら、薬事分科会長に負 っていただくことが一番ふさわしいのではないかと思っています。 ○樋口座長 ほかの委員の方はいかがですか。 ○花井委員 今、位置付けの問題が議論されていて、まさに言われたように、もう少し きちんとという意味が、申合せではきちんとしていないから、きちんとという意味がど ういう考え方があり得るか。薬事分科会規程という議論が出ていましたが、もっと言え ば、薬事・食品衛生審議会が設置することを決めている法が薬事法なのですかね。それ は設置することができるくらいしか書いていないと思うのですが、時代に合わせてその 辺をもう少し、中立的な機関としてとか、そのようなことを入れることもできるのかも しれないとか、いろいろ方法はあると思うのです。それは、国会レベルでの議論が要る でしょう。ただ、その位置付けについては、きちんと位置付けるべきだという意味は、 要は、国民がこれはきちんとしているということが確認できるように位置付けるべきだ と、こういうことだと思うのです。  桐野委員の指摘は、一つは、一部大学での方法を評価しろということで言っていて、 一部には資料1で答えていると思うのです。要は、複雑な利益相反をマネージメントす るという考え方からすれば、ある程度の金額規準だけで、これは利益相反がある、ない、 と決める方法論に対しても、これはある程度違うのではないかという意味が入っている のかとも思うのです。そうでなければ、具体的に利益相反をマネージメントするシステ ムというのは、そういうことをするパートをつくるべきだということであれば、形式論 ではなく、もう少し実質的な利益相反を監視できるような人たちが要るのではないかと いう意味にも取れると思うのです。そこのところは、桐野委員がおられれば伺いたかっ たところです。  確かに、最初の段落の「利益相反の判断は複雑で」というのはみんなが理解していて、 単にその金額と、審議に参加する、発言するか、議決に参加する、しない、ある種これ だけの基準で、果たしてこれを利益相反の判断と言えるかという本質的な問いであると すると、それはまだ議論するべき点はあるのではないかと思います。  私の考えとしては、申合せという名称はともかくとして、薬事・食品衛生審議会が自 分で自分を見ているから甘いのではないかというものであれば、それはもちろん駄目だ ということだと思います。それから、その基準が、一般的な市民感覚からいって、この ようなもので利益相反をマネージメントしているシステムと言えないのではないかとい う疑念を持たれるようなものであれば駄目だということだけは、明確に言えると思いま す。 ○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。このシステムの方は、そもそも、本当にここ で我々5人あるいは6人で話してどうなるのかということはあります。上の薬事・食品 衛生審議会で、この点についてこういう委員会をつくってやってみてくれということで 委嘱されているだけなので、システム全体を引っ繰り返して、これがいいのだと言って、 我々に決定権限があるかというと、本当はそこまではないのでしょう。  ただ、こういうシステムの方がいいのではないでしょうかというくらいのトーンで何 か申し上げることは可能なはずです。それから、相手方もそのくらいの度量は持ってい てくださると思います。そういう意味で、非常に議論する価値のある問題だと思います。 中身をたくさん詰め込んでも、システム自体が非常に不透明であったり、何なのだとい う話になると、せっかく良いルールを工夫していても、うまく行かないこともあります ので。  それで、システムの方では、花井先生と神山先生に言っていただいたことと関連して、 私は少し感触が違うということだけは申し上げておきます。こういうルールをどういう 形式で作るかという話は、前の会からも議論があって、申合せでは足りないのではない か、もう少し上の規範できちんとやったらいいのではないかということもありますが、 私は、どちらかと言うと形式派ではなくて、実質派なのです。形だけ整えれば何とかな るというのは、何だかという感じがあります。  例えば、先ほど紹介されたアメリカの例で、このような法律まで作っているではない かと言っても、中身は非常に抽象的、概括的な話なので、このようなものでいいのであ れば、我が国も作ればいいと言ってもいいし、作らなくてもいいという話です。結局の ところは実質なのです。  ですから、実質のところをどうやって、つまり、形だけで国民がごまかされると言う と少し表現が悪いのですが、そういうのは本当に馬鹿みたいな話なので、申合せという 名前であれ何であれ、やはり実質のところで努力しているのだという話が伝わることの 方が重要だと思っています。  それから、中身を入れ込もうと思うと、簡単に決まらないような話なのではないかと 思っています。実証的に、経験を繰り返していって、やはりこういうルールでは、先ほ ど花井先生もおっしゃいましたが、50万円と500万円で決めていればいいのかというと、 本当はそのような話ではないのではないかということがあります。しかし、何もやらな いよりは、このように努力しているのだということは見せる必要がある。  しかし、やってみたら委員会が動かないではないか、あるいは、かえって今の委員の 方には非常に問題だと思われておられるか、あるいは、それにもかかわらず国民の方で も評価していないという話になると、何だったのかという話にもなる。そうすると、結 局、歩きながら中身を考えるということです。1年、2年、3年とやっていって、その 間には新たな問題も出てくるかもしれないし、我々も参考にしているわけですが、EU であれ、アメリカであれ、新たな議論も出てきたり、新たな仕組みが出てきたり、それ も参考にしてみようという話になる。  そうすると、今、形をきちんと決めるよりは、薬事審議会が自分たちで何とかせざる を得ないという話になってきたことを、何とか実質化する方が大事なのかなと思ってい ます。実質の方はなかなか難しいのですが、この委員会はどういう立場にあるのかとい うと、薬事・食品衛生審議会等の下部機関だと私は思っています。  下部というのはどういう意味かというと、単純に薬事・食品衛生審議会の委員だけで ワーキンググループをつくってやればよかったという議論もあると思うのですが、そう ではなくて、私のような部外者の人たちもわざわざ入れているのです。それにはやはり 意味があって、先ほど、薬事行政の中立性、透明性をいかに確保するかという話でこう いうことをやっているという事務局の説明があったとおり、ここで薬事・食品衛生審議 会は完全に自分たちだけでルールを作るということも一つの方法としてはあり得たと思 うのです。自主規制のルールとしてはあると思うのですが、その中に多少、部外者も入 れた上でルール作りをきちんとしますということです。中の人ももちろん入っているわ けですが、それが一つです。  それから、このように会議はすべて透明性ということで公開して、傍聴人であれ、こ の議事録であれ、樋口がこんな馬鹿なことを言っているということも全部逐語で出てい るのです。そういう形できちんとやっているというプロセスといいますか、ルール作り の透明性を非常に重視していて、しかも、ここで作られたルールというのは、我々が幾 らこういうことを言っても一種の提言なので、実際には拘束力はないと思うのですが、 一応、薬事・食品衛生審議会等ではそれを尊重してくださるという仕組みにはなってい ます。  しかも、裁量性の少ないルールを今のところ作っています。それは、わざとだと思う のです。50万円、500万円というのは形式的なのですが、とりあえずは裁量性の少ない ルールを作る。そうすると、闇でごまかしているという話はできなくなりますから、少 なくなりますので。本当にそれがいい方向なのかどうかはあると思うのですが。  そういう三点セットで、とにかく第三者である有識者にも入ってもらって、二つ目に、 国民の目線がきちんと届くような会議の形式でルール作りをやっていて、ヒアリングで あれ、何であれ、パブリックコメントを取ったり、そういうこともやって、できたルー ルはできるだけ裁量性の少ないルールというので、薬事・食品衛生審議会の方でも、そ れを実施するのはこの審議会だと思いますので、審議会の方でそれをきちんとしている。  我々は、一件一件について、このルール作りについて助言というか、助けているつも りなのですが、助けになっていないかもしれませんけれども、やはりルールの方でやっ ているので、一件一件については、本当にそれがきちんとやられているかどうかはまた 別の問題なのですが、それは、裁量性が少ないルールでどうでしょうかというのを持っ ていっているのと、それをきちんと厚生労働省であれ、薬事・食品衛生審議会が自ら監 視してやっているという仕組みをつくっているのではないかと理解しています。そうい う現状なのかなと思っています。  人によっては、これはがっちりした体制とは言わないのかもしれませんが、一応きち んとした仕組みをつくってやっていると私自身は思っています。桐野先生にうまく説明 ができていないかもしれないのですが。この件について、ほかの委員の方々はいかがで しょうか。 ○日比野委員 これは前のときもそうだったのですが、実際に動かしてみるといろいろ なボーダーラインの問題などが出てくることが当然予想されていました。しかし、細か く規定すればするほどかえって動かなくなるということで、とりあえず最低基準で動か してみよう、動かしてみて、それで不都合が出たらまた考え直しましょう、ということ が基本的なスタンスだったのではないかと思うのです。  ここで桐野先生が挙げられている、東北大学がどうこうというのは、それぞれの大学 でやってもらったら結構なことなのです。これは、薬事分科会として、どういうことが どうあってほしいということを一応のまとめとして出したわけです。確かに、これでは マネージメントが取れていないではないかということで、強制力を働かせる警察的な組 織をつくるのも一案でしょう。ですが、もし今それ無しで行ったときに、申合せでも何 でもいいのですが、このルールに違反した人が出たら、それが後で分かったときには、 それなりのいろいろな意味のペナルティを受けますね。それが実質的な拘束力になると 思うのです。  その場では逃られたとしても、それがばれたときにはそれなりのペナルティを受けて しまうわけですから、今それほどがっちりしたマネージメントの組織を別途つくる必要 があるのかと思います。それは、形式的で抜け道だらけとなればもちろん必要ですが、 今のところは、できるだけうまく機能させるために、簡単な組織で済めばその方がいい と思いますし、それで不都合が出てきたときに、これはまた新たな別の強制的なものを 考えればいいのではないかと思います。  それから、言葉として、「申合せ」といっても内規に近いものですし、「申合せ」と いう言葉がまずければ、それは変えればいいのではないかと思います。 ○杉浦委員 私も今回初めて入りましたので、最初はこの委員会がどういう位置付けに あるのかよく分からなかったところがあるのですが、今までの説明で、大体そのような 感じかなというのは何となく分かりました。 ○樋口座長 システムの話は、どのみちシステムが動いていく限りにおいては、こうい うシステムでいいのかということはずっと議論の対象になり、今回だけでもなく、それ から桐野先生がいらっしゃる場で、何度でも繰り返し議論していただければいいのでは ないかと思います。  それで、実際には、ここのアジェンダは、評価の基準を今のところ作っているので、 それが実際にやってみたらどうかということの検証と、それから、前々からの宿題があ るので、それを何とか一つでも解決しようということだと再確認する、こういう二つの アジェンダがこの委員会にはあるということを踏まえて、次に移りたいと思います。  それでは、議題1で、「部会等における審議参加の状況」。これは先回も少し出てき たのですが、もっと詳しい説明をいただけるということですので、お願いいたします。 ○総務課長補佐 資料の説明に入る前に、今の議論でございますが、本日は桐野先生は いらっしゃっていませんので、桐野先生がいらっしゃるところでの今後の議論も必要か と思いますし、今いただいた貴重な御意見は、桐野先生に事務局からきちんと伝えさせ ていただきたいと考えてございます。  それでは、資料2でございますが、医薬品第一部会と医薬品第二部会の審議参加の状 況でございます。前回の会合におきまして、遵守事項の運用状況を資料2の一番後ろに 参考として付けまして、延べ人数ベースの集計で御提示させていただきましたが、運用 状況の実態がこれでは分かりにくいという御指摘をいただきました。これを踏まえまし て、開催回数が比較的多く、承認審査等に係る調査審議を行っております医薬品第一部 会と医薬品第二部会につきまして、これまでに開催された部会の個別議題ごとの審議参 加の状況について取りまとめたものでございます。  また、現行の申合せと、暫定の申合せ、これは昨年の競合企業を対象としていないも のでございますが、その運用結果の差異についても検証していただきたく、出席委員に 対する直接議決に参加した委員の割合としても、別紙として取りまとめてございます。  まず、実際の運用状況でございます。1ページ目の1.医薬品第一部会でございますが、 定足数10名、総委員数は19名でございます。出席委員は、この部会の際には11名いら っしゃいました。真ん中のカラムで、「申告状況」と一番上にございまして、その下に 「申請企業関係」と「競合企業関係」ということで、それぞれ500万円以上で退出、若 しくは50万円〜500万円で議決不参加、これで申告された方の人数を、それぞれの議題 ごとに示してございます。  その隣のカラムは「対応状況」といたしまして、退出された委員、議決に参加されな かった委員の人数をそれぞれ示してございます。見ていただきますと、議題1では、申 請企業関係で議決不参加が3名いらっしゃって、実際に議決不参加が3名という形で議 論がなされたということでございます。議題3では、申請企業関係で議決不参加が2名 いらっしゃって、競合企業関係で退出の申告が1名、議決不参加の申告が2名いらっし ゃいました。これは重複もございますので、実際の対応状況としては、退出された方が 1名、議決不参加の方が2名という形で示している表となってございます。  「対応状況」を中心に御覧いただきますと、退出された方がいらっしゃった議題が、 議題3、議題9、議題10でございます。議決不参加につきましては、それぞれ数字が挙 がっているとおり、いろいろと議決不参加の方がいらっしゃるという状況でございます。  一番右の項に「直接議決に参加した委員数」とございまして、※2でございますが、 「議決不参加の場合には、当該委員は部会等に出席したものとみなし、当該委員の議決 権は、議決に加わった委員等の可否に関する議決結果に従って部会長により行使された ものとなる」という、申合せの議決権の行使の規定を挙げさせていただいてございます。 これを勘案して8人だったり9人だったりということで、これをもって定足数が下回っ てしまっているということではございませんが、実際に直接議決に参加した委員の人数 はこれくらいいたということを示している表でございます。  2ページ目、上のカラムが第一部会の続きでございますが、7月25日開催と、8月 29日開催で、それぞれ同様の数字を示してございます。7月25日開催は、出席委員数 は14名でございました。「対応状況」を見ていただきますと、議題1では議決不参加の 方が6名いらっしゃった、議題3では退出の方が2名いらっしゃったというような状況 でございます。遵守事項に準じてコンスタントに対応をしていただいている形になりま す。  8月29日開催の第一部会は、議題の順番が少し変わってございますが、※4を御覧い ただきますと、「遅れて来られた委員がおり、退出委員数を勘案すると定足数を割るお それがあったため、審議の順番を変更した」ということで、「出席委員数」を見ていた だきますと、冒頭の方は10名で、途中から11名になってございます。議題1、議題4、 議題5の「対応状況」の「退出」を御覧いただきますと、それぞれ退出の委員が1名い らっしゃいましたので、10名のときに議事をしてしまいますと、出席委員数が9名にな ってしまい定足数を割るということで、このようにやり繰りを行って議事を進めた形に なってございます。  続きまして、医薬品第二部会でございますが、定足数は9名、総委員数は16名でござ います。5月23日開催では、議題が五つございまして、出席委員数は13名でございま した。対応状況ですが、退出された方がいらっしゃったのは3議題、それぞれ1名ずつ、 議決不参加につきましては、0名のところもございますが、あとは2〜4名という状況 になってございます。7月31日の第二部会では、審議事項はございませんでした。8月 27日開催の第二部会におきましては、議題が三つございまして、出席委員数は11名。 対応状況ですが、議題3におきまして、退出の方が1名、議決不参加の方が1名という 状況になっているところでございます。  1枚めくっていただきまして、「別紙」で、グラフになっているものでございます。 先ほど申し上げましたが、現行の申合せと暫定の申合せ、暫定の申合せは競合企業が勘 案されていないものでございますが、それぞれ、出席委員に対する直接議決に参加した 委員の割合をパーセンテージで示してございます。ピンクの現行申合せの方は、競合企 業3社がございますので、直接議決に参加できない委員が増えるということで、下の方 を描いているという状況でございます。簡単ですが、説明は以上でございます。 ○樋口座長 これについて御意見、御質問等を伺いたいと思います。いかがでしょうか。 委員の皆さんが考えておられる間に、私の方から幾つかお聞きします。今伺ったことの 確認事項もあります。第一に、先回の、こういう委員会をつくっていたときに、幾つか のことを決めたのですが、その中で、私の個人的な考えかもしれないのですが、非常に 重要だったのは、ここでの議論が契機になってということだと思うのですが、医薬品第 一部会であれ、薬事・食品衛生審議会の議事録の公開が進んだということ。  それまでも一応、適切な公開の仕方はしていたのだと思いますが、できるだけ迅速に、 はっきり名前も出した上で公開すべきではないかという意見がこういう委員会の中で非 常に強く出され、それを受け止めていただいて、薬事・食品衛生審議会の方でも公開の 方向にかじを切ったと伺っているのですが、これについては、この段階ではそれが実現 してもう公開されているのでしょうか。あるいは今後でもいいのですが、時間的なずれ はあってもいいのですけれども、一人一人の名前もあって、こういう発言をされたとい うことが、既に行われているのでしょうか。 ○総務課長補佐 現時点の医薬品の部会に関しましては、昨年のワーキンググループで 御意見をいただいて、薬事分科会の方で、そういう方向で行くということを御了承いた だいたところでございます。ただ、すべての部会の委員に御意見をお伺いした上で、そ の対応を総会に諮るという手続がございまして、その手続の部分で、すべての部分につ いて委員の名前が現時点ではまだ公開されてございません。  しかし、今年の5月からこの遵守事項の運用が開始されまして、会議の冒頭に、退出 される委員は何々委員、議決に参加されない委員は何々委員ということを事務局から申 し上げ、具体的にその議事が終わるところで部会長なり分科会長が、何々委員は議決に は参加しないでください、退出してくださいということを申し述べる、利益相反に関す るそのやり取りにつきましては、既に5月から運用されている分について、委員の名前 を公開した形で議事録は公開してございます。 ○樋口座長 今の私の質問は、資料2も含めてですが、利益相反ルールをとにかく作っ て、申合せであれ何であれ運用していると、こういう資料もこういうところに出てきた り、議事録の公開も進んで、そうすると、必然的に委員一人一人が利益相反について、 人によってはコンシャスに、人によってはナーバスに、とにかく意識せざるを得ない状 況になっていることだけは確かです。このルールより前からいろいろな事件もありまし たので、当たり前のことなのかもしれませんが、それは、ある意味で当たり前のことで あり、かつ、このように透明性が高まっているのはいいことなのかなと思います。  二点目は、資料2の1ページ目のところで、定足数が10名であるとありますね。医薬 品第一部会の定員は19名ですから、過半数の10名がいらっしゃらないと部会が成り立 たないということのようです。5月26日について言えば、1人だけ退出する議題があっ たので、かろうじてこの会議が成り立ったということです。これに関連して、従来から 19名の委員を選んでいても、皆さんお忙しい先生方だろうと思いますが、前と比べると、 急に出席率が悪くなったということはないでしょうね。時期もありますが、このくらい のことでずっとやってきていたけれども、今度新しいルールが入ったので、5月26日に ついて言えば綱渡りですよね。それから、綱渡りを極端にしたのが8月29日で、こちら は議題変更という形で更に綱渡りをやってみたということですね。そういう報告があっ たということは、認識せざるを得ないのだろうと思うのです。  それから、このようにいろいろな数字が挙がって、0ばかりですとあれですが、1以 上の数字が入っているというのは、ルールが効いているというか、働いているというか、 機能しているというふうにこれをプラスに評価するのかどうかが、今のこととの関係で はなかなか難しいのかもしれませんが、とにかく、ルールが存在意義を主張しているこ とだけは確かだというのが三点目です。  四点目は質問ですが、それぞれの議題について利害関係を申告されますね。これは出 席者だけですか。それとも、出席、欠席を問わず、みんなにということでしたか。本当 は、私は自分でルールの有り様を分かっていなければいけないのかもしれないのですが。 ○総務課長補佐 これに関しては、出席された委員にルールが適用される形になります ので、最初から欠席が分かっている方に関しては申告していただいておりません。 ○樋口座長 ついでに、もし分かればというだけなのですが、今年度に入って出席数が 例年に比べて激減したということはあるのでしょうか。 ○総務課長補佐 実際に事務を担当している者に聞きましたが、そういうことはござい ません。人数が減っているのは、審議会の委員は、いろいろ役職を持たれている先生が 多いので、半年くらい前に日程の調整等はさせていただくのですが、海外出張が入った り、大きな学会で学会長をされたりということがあると、どうしても出席率に響いてく るということでございます。急に激減したということではございません。 ○樋口座長 最後にもう一点、今の御説明を伺っていて、最後のところではっきり言っ てくださったのですが、我々のルールでは、申請企業だけではなくて、競合企業もチェ ックしようということにしました。それは、私の誤解でなければ、諸外国に比べて、日 本では厳しいルールを入れたのだと思います。それで、競合企業は三つですから、当然 3倍、数の上でも関係者が増えるに決まっているからということもあるのでしょうけれ ども、2枚目を見ると、議決不参加の数が随分大きくなっているということではあるの ですね。  今の説明について御意見、御質問をいただけますか。まだルールが適用されているの は何回かにすぎないので、1年経っているわけでもないので、これは一種、中間的な報 告なのだろうと思いますが、いかがでしょうか。 ○日比野委員 そのルールが始まって、おおむねうまく機能しているという認識ですか。 ○総務課長補佐 ルール自体が今年の5月に始まる前に、暫定ルールというもので申請 企業に関しては既に運用させていただいていることもございまして、先生方におかれま しては競合企業も増えたのだなという形でされています。ただ、これを見ますと、時々 運営が厳しい部分もあるのかなというところはございますが、ルールとしてはぎりぎり とは言いながら、何とか耐えて議事が進んでいるという認識でございます。 ○日比野委員 後から申告の内容を訂正してきたということは、今のところございませ んか。 ○総務課長補佐 今のところございません。 ○花井委員 形式的なことですが、委員の総数は定まっているのですか。最大何人とい うのは定まっているのですか。要は、増えた委員が、余りお金をもらっていない委員が 増えれば、出席率が上がるとか、そういう対応が可能かということです。それから、今 のことで、後から分かってしまったら、議決そのものは無効になるのですか。 ○総務課長補佐 三つ御質問をいただきました。まず、総数ですが、何らかの規定でこ こまでというのは、部会に関しては決まってございません。人数の制限がかかっており ますのは、もっと上位の、審議会なりの総数の規定は掲げてございます。ですので、理 論的に申し上げると、花井委員がおっしゃられたように、余りお金をもらっていない先 生で、たくさん出席される方が多く入れば、そこのところは、見た目は余りしんどくな くなることはあるかと思います。国民から見たときにそれが妥当かどうかは別にして、 計算上はそういう形になろうかと思います。  最後の御質問ですが、委員の申告に訂正はございませんでしたが、部会の直前に競合 企業がありますという申出が企業からあった品目がございます。それについては、競合 品目に関する申告の調査ができておりませんので、暫定的に審議を行わせていただき、 後日その品目についての申告の調査を再度行いまして、その結果をもって最終的な審議 という形にさせていただいたケースがございます。ですので、もし後で過誤と分かった ということであれば、そのような対応を今後もとらせていただくのかなと考えてござい ます。 ○樋口座長 最後の点は、現実がどうであれ、まず理屈だけの話で考えて、退出すべき 委員が申告しないで、典型的には非常に極端な例を考えているわけですが、何人もそう いう人がいて、後で分かったというと、こういうルールの下でやっているのだったら、 やはり会議の成立自体が問題でしたねという話にはなるでしょうね。 ○総務課長補佐 そういうことでございます。 ○樋口座長 そのためのルールですからね。 ○杉浦委員 競合企業を加えた現行のルールで行くと、当然、出席率は下がってくるわ けですが、当該企業だけではなくて、競合企業を入れて考えたということは、明らかに 一歩前進ではあると思うのです。非常に大事なところだと思います。当該企業だけとい うのは、やはり少し不十分な気がしますから。 ○樋口座長 ほかにいかがですか。それでは、また後で思い付かれたら御発言いただく ことにして、そのほかの資料の御説明を伺いたいと思います。 ○総務課長補佐 それでは、議題1の二つ目でございますが、「研究班アンケート調査 中間報告(暫定集計)」について御説明させていただきます。これは大部の資料になって ございますし、資料を事前に送付させていただいているということもございますので、 ある程度、割愛して御説明申し上げます。  こちらの研究班でございますが、平成20年度厚生労働科学研究で、薬事・食品衛生審 議会における「審議参加に関する遵守事項」の運用上の課題に関する研究班を立ち上げ てございます。研究代表者は、本日こちらにいらっしゃっていただいてございますが、 国立医薬品食品衛生研究所の長谷川隆一先生にお願いしてございます。こちらは暫定集 計版という形で、2008年10月6日に回収できたところまでを集計してございます。  冒頭に恐縮でございますが、表紙の一番下に(注)とございまして、本アンケート調査 結果において、他の設問に対する回答と比較した場合、不整合が生じています。例えば、 全体で見たときは500万円以上受領している方がいなかったのに、個別事項としてお伺 いすると500万円以上受領との回答が出てくるなど、そのような回答が幾つか見受けら れてございますが、本調査は無記名式で実施しておりまして、確認のための遡及調査の 実施は困難でございますので、今回はそのようなものも合わせて集計をした結果という ことを御承知おきいただければと思います。  1ページは目次でございます。今回の調査でございますが、Iとして「学部」、IIと して「教授」、IIIとして「審議会委員」、この三つのアンケート調査の概要となってご ざいます。  3ページは学部の調査でございます。調査の概要でございますが、まず目的ですけれ ども、現状の把握のため、寄附金・契約金等の会計処理方法を含めた実態の把握、また 組織に対する利益相反への考え方につきまして、全国の医学・薬学部の会計担当者に対 して、アンケート調査を実施してございます。調査項目につきましては、基本情報、奨 学寄附金、研究契約金の受領等、組織的利益相反にかかる各種バイアスを防ぐための手 法、ということでございます。調査の対象は、全国の国公立・私立大学の医学部、薬学 部から3分の1を無作為抽出してございます。これは、昨年も同様のアンケートを行っ てございまして、そちらと同じようにしてございます。調査時期は8月26日〜9月16 日。調査方法につきましては、先ほど申し上げましたが、自記式/無記名式での郵送調査 を行ってございます。回収率につきましては、33通で76.7%という結果でございます。  4ページからが実際の回答結果になります。まず、「御所属の大学、学部についてお 尋ねします」ということですが、大体、国立が4割ちょっと、公立と合わせて5割くら い、私立も5割くらいという形になってございます。医学部の方が少し国立が多いとい う状況です。1.2は、研究科に所属されている教授の人数ですが、これは学部の規模等 をある程度示しているかと思います。全体的にばらつきが見られますが、医学部に関し ましては、どちらかと言うと51人以上のところが多く、比較的大規模。薬学部につきま しては、11〜20人、21〜30人のところにピークが来ておりますので、規模としては医学 部の方が薬学部よりも大きい形なのかなという状況でございます。  5ページからが実際に寄附金等の内容についてになります。まず、奨学寄附金につい てでございますが、2.1.1、奨学寄附金について、学内の制度的な位置付けがあるか、と いう問いでございます。全体(n=33)のところを御覧いただきますと、明文規程有りが 63.6%、明文規程はないけれどもルールがあるところが12.1%になってございまして、 7割5分が学内の制度的な位置付けはあるということでございます。一方、ルールがな いと答えられたところが24%あるというところでございます。  6ページでございますが、2.1.2、製薬企業からの奨学寄附金とそれ以外の寄附金を区 別して取り扱っているか、という問いでございます。寄附金として一括して取り扱われ ているところが4割くらい、奨学寄附金とその他を区別されているところが48.5%で5 割弱となってございます。国公立では寄附金として一括して取り扱う傾向が高く、私立 では奨学寄附金とその他を区別されているという傾向が見られます。  7ページでございますが、2.1.3、製薬企業からの奨学寄附金と研究契約金(治験や共 同研究、受託研究に係る費用)を区別して取り扱っているか、という問いでございます。 これは、ほとんどのところが「規程上、区別している」という回答でございますが、私 立の薬学部の幾つかで「区別していない」若しくは「規程はないが、区別している」と いうところで、完全に区別されているかというと、私立薬学部で一部例外があるという 結果でございました。  8ページでございますが、2.1.4、奨学寄附金の研究者による使用に関する規程はある か、という問いでございます。明文化した規程がある、若しくは、明文化していないが 取扱いのルールがあるところが70%強、特にルールはないと答えられたところが24.2 %という結果になってございます。  9ページでございますが、2.1.5、製薬企業からの奨学寄附金の使途制限はあるか、と いう問いでございます。「明文化した規程がある」若しくは「明文化していないが取扱 いのルールがある」と答えられたところが、合わせまして70%ほど、「特にルールはな い」とされたところが27%くらいという結果になってございます。  10ページでございますが、2.1.6、奨学寄附金の経理方法は機関経理か否か、という 問いでございます。グラフを御覧いただきますと、この小さな点の部分は「すべて機関 経理である」ということになってございます。国公立、私立の薬学部で一部、「原則機 関経理」であるというところ、また、私立の薬学部で一つ、「機関経理は行っていない」 という回答が出てきてございます。  11ページでございますが、2.1.7、奨学寄附金の使途の管理方法に係る規程の有無で ございます。「規程有り」が63.6%、「規程無し」が3割という形になってございます。  12ページでございますが、2.1.8、奨学寄附金に関し、個別の事例ごとに企業名、金 額及び受取人が対応づけられる形で書類上管理されているかどうか、という問いでござ います。全体のところを御覧いただきますと、「個別事例ごとに管理されている」とい うお答えが75%、「管理されていない」というお答えが21%でございます。国公立で「管 理されていない」というお答えをされているところが多くございます。私立はほとんど 管理されているというお答えでございます。  13ページでございますが、2.1.9、奨学寄附金の受領に関し、企業名、金額及び受取 人に関する情報の公表の取扱い、これは情報公開の取扱いでございます。結果ですが、 学部内外問わずすべて公表されているところは1校もございませんでした。学部内のみ すべて公表、学部内外ともすべては公表していないが、公開請求があればすべて公表す るとされているところが、表でいきますと横線の部分と斜線の部分でございます。全体 で言いますと15.2%と30.3%で、45%ほどが公開請求があれば公表するという回答にな ってございます。網掛けの部分は「情報公開請求があってもすべては公表しない」とい うことで、総計では45.5%の大学がそういう回答をしてございます。  14ページでございますが、2.1.10は、公開されている場合に、どのような方法でされ ていますか、という問いでしたが、残念ながら公開されている方がいらっしゃらず、母 集団が少なくて、結果としては余り役に立たなくなってございますが、学内の会議で周 知されたり、書類の閲覧が可能という答えになってございます。  15ページでございますが、2.1.12、奨学寄附金の受領に関し、拠出側の情報(企業名 及び各企業からの金額)の情報公開請求時にどのような対応をされているか、という問い でございます。全体のところを御覧いただきますと、33.3%は「企業名、金額すべて公 開」。ほかに「企業名を匿名化して金額を公開」、「一部省略する場合がある」という 回答がございますが、30.3%は「企業名、金額とも非公開」という回答になってござい ます。内訳を御覧いただきますと、国公立に関してはある程度公開する方向にあるのか なというところでございます。逆に、私立に関しては、「企業名、金額とも非公開」と されるところが、私立の医学部で66.7%、薬学部で50.0%と、比率が多くなっていると いうことでございます。  16ページでございますが、2.1.13は、奨学寄附金の受領に関し、受取側の情報(大学 の講座名、研究者名等)の情報公開請求時の公開方法について、同様に聞いたものでござ います。「研究者名、受領内容をすべて公開」とされているところは18.2%であるのに 対しまして、「公開していない」とされているところは36.4%。こちらも国公立と私立 で、ある程度差が出てきてございます。  17ページでございますが、2.1.14は、奨学寄附金に関して、光熱水料などの間接経費 を組織に割り当てるとする規程の有無について、お伺いしたものでございます。全体と して、54.5%が「規程で明文化し徴収」、36.4%が「明文規程はないが徴収している」 ということで、9割以上が間接経費は徴収しているという結果でございます。  18ページでございますが、2.1.15は、光熱水料などの間接経費の割当ての額でござい ます。1〜10%が7割5分、11〜20%が1割8分ということで、これくらいの額なのか なというところでございます。  19ページ以降につきましては、奨学寄附金以外の企業からの資金といたしまして、奨 学寄附金以外の寄附金、若しくは治験や共同研究・受託研究に係る研究契約金について、 同様の趣旨の回答を求めたものでございます。2.2.1は、資金の経理方法ですが、ほと んど機関経理であるという結果になってございます。  20ページでございますが、2.2.2、使途の管理方法につきましても、規程があるとこ ろが大多数という結果になってございます。  21ページでございますが、2.2.3、個別の事例ごとに企業名、金額及び受取人が対応 づけられる形で書類上管理されているか否か、という問いについて、受託研究等が入っ てございますので、ほとんど管理されているという答えになってございます。  22ページでございますが、2.2.4は、情報の公表の取扱いでございます。「情報公開 請求があってもすべては公表しない」というところが54.5%、「情報公開請求があれば すべて公表」というところが40%くらいという結果になってございます。  23ページは飛ばせていただきまして、24ページでございますが、2.2.7、拠出側の情 報につきましても、先ほどの奨学寄附金と同様の傾向でございます。36.4%が非公開で、 その他、一部マスキングして公開というところが多いということでございます。  25ページでございますが、受取側の情報につきましても、ほぼ同様の傾向でございま す。  26ページでございますが、間接経費につきましても、9割以上が間接経費を徴収され ているという結果でございます。  27ページでございますが、その割合につきましては、21〜30%を取るというところが、 受託研究等の方では27.3%と、少し多い傾向がございます。  28ページ以降は、寄附講座の開設や、研究生等の受入れについて、同様の質問をさせ ていただいていますが、回答数が少ないことと、時間の関係もあり、説明は省略させて いただきまして、53ページをお願いいたします。  53ページは、「組織的利益相反にかかる各種バイアスを防ぐための手法」でございま す。3.1.1は、そういう手法に何か規程があるか、という問いでございますが、「規程 等により、判断にバイアスを生じないよう周知」が39.4%、「明文化した規程はないが、 判断にバイアスを生じないよう周知」が18.2%、「特に対応していない」が36.4%とい う結果でございます。  続きまして、55ページでございますが、教授調査の結果について御説明申し上げます。 こちらは、先ほどの医学・薬学部43大学のうち5名をそれぞれ抽出し、215名について 送付してございます。回収の結果といたしましては、112通で52.1%の有効回答率でご ざいます。  56ページでございますが、医学・薬学部の割合としては、医学部の方が6割で多い。 国公立、私立に関しては、大体、半々という状況でございます。  57ページからは、先ほど会計担当者に聞いた質問と同じ質問でございますので、簡単 に御説明します。奨学寄附金の経理方法については、ほとんど機関経理であるというの が57ページの結果でございます。  58ページの使途に関する規程の有無について、59ページの奨学寄附金以外の資金の経 理方法について、60ページの奨学寄附金以外の使途の管理方法については、ほとんど学 部に聞いたものと内容、傾向は同じでございますので、説明は割愛いたします。  61ページからは、「学部内関係者の寄附金等の受領に関する認知の有無」についての 結果でございます。3.1.1は、講座内の関係者(准教授・助教など)に奨学寄附金の受領 があった場合に、把握しているかどうかということでございます。「すべて把握」、「お おむね把握」を合わせて、90%くらいは把握している。「把握していない」としたのは 2.7%だけという回答でございます。  62ページ、3.1.2は、この把握の方法でございますが、直接報告(義務、任意)、経理 担当者からの連絡、製薬企業からの連絡、という形で把握をされているという結果にな ってございます。  63ページ、3.1.3は、准教授・助教など、自分の部下に対する奨学寄附金以外の企業 からの寄附金、共同研究の研究契約金等についての把握の有無でございます。把握して いない方は6.3%で少し増えますが、ほぼ皆さん何らかの把握をされている状況でござ います。  64ページ、3.1.4の把握の方法についても、先ほどの奨学寄附金とほぼ同様でござい ます。  65ページからは別の観点でございまして、同一学部の教員、例えば循環器内科の先生 に対して、消化器内科の先生の奨学寄附金の受領に関して把握しているか、という設問 でございます。こちらの方では一転して、「把握していない」と答えられた方が54.5% で、半数を超えるという形になります。すべて把握されている方は8.9%、おおむね把 握されている方は20.5%いらっしゃるという状況になってございます。  66ページ、3.1.6ですが、これらの把握の方法につきましては、「学部内会議等に記 載」という形が多くなってございます。あとは、「経理担当者から連絡」、「直接聞い た」という形が多くなっております。  67ページは、奨学寄附金以外の受領に関しての、同一学部のほかの先生の状況ですが、 「把握していない」が67.0%ということで、同様の状況でございます。  68ページの把握の状況についても、同様ということでございます。  69ページにつきましては、所属の学部に対する寄附金等の受領についてはどうかとい うことで、「把握していない」が55.4%、「すべて把握」が7.1%、「おおむね把握」 が21.4%という形になってございます。  70ページ、3.1.10ですが、その把握方法につきましては、「学部内会議等に記載」と いう形が一番多い状況になってございます。  71ページでございますが、大学全体に対する寄附金の受領も、学部と同様の傾向で、 「把握していない」が56.3%、72ページでございますが、学部内会議や広報資料等で知 ったという状況になってございます。  73ページでございますが、4.1.1は、先生自身が奨学寄附金を受け取った場合に、各 種判断にバイアスが生じるか、生じないか、という設問でございます。全体で見て、「非 常にバイアスが生じる」と答えられた方はいらっしゃいませんでした。「バイアスが生 じる」、「ややバイアスが生じる」を合わせまして、2割くらいの方がバイアスが生じ る。「バイアスは生じない」という方が67.9%いらっしゃって、「むしろ厳しく評価す る」とおっしゃられる方が4.5%いらっしゃるという状況でございます。  74ページでございますが、講座内の関係者(准教授、助教など)が奨学寄附金をもらっ ているときにはどうか、という設問でございます。「バイアスが生じる」、「ややバイ アスが生じる」を合わせまして15%強、「バイアスは生じない」が7割という結果でご ざいます。  75ページは、先生自身が奨学寄附金以外の研究契約金等を受け取っている場合はどう かということですが、これも同じような結果でございます。  76ページの准教授、助教などが奨学寄附金以外の研究契約金等を受け取っている場合 についても、奨学寄附金の結果とほぼ同様の結果でございます。  77ページでございますが、講座外の関係者(同一学部)のほかの先生が奨学寄附金を受 け取っているときに、バイアスが生じるか、ということでございます。こちらは、「バ イアスが生じる」という結果はほとんどなくなり、大部分が「バイアスは生じない」、 「分からない」という結果になってございます。  78ページは、奨学寄附金以外の研究契約金でございますが、これも、「バイアスは生 じない」が多い。  4.1.7、4.1.8は、それぞれ学部、大学でございますが、「バイアスは生じない」とさ れている方が7割くらいという結果になってございます。  81ページからは、「寄附金等及びコンサルタント料等の個人的な報酬について」でご ざいます。こちらは、それぞれの先生に、寄附金等といたしまして、寄附金(奨学寄附金 を含む)、研究契約金、コンサルタント料等の個人的な報酬(原稿執筆料等)を全部含めた、 現行の審議会の遵守事項で対象となる寄附金等の総額について、上位3社についての回 答をお願いしてございます。  81ページ、5.1.1は、企業からの寄附金等の総額でございます。「50万円以下」から だんだん下がりつつ、「151〜200万円」のところに少しピークがございますが、このよ うな分布でございます。お一人、「951〜1,000万円」をもらっている方がいらっしゃる ことが分かるということでございます。  82ページは、直近の1年間に二番目に多く寄附金等総額を受領された企業ではどうか ということで、これもほぼ同じで、全体的に少し額が下がっているところでございます。  83ページは、三番目に多く受領された企業ということで、こちらもだんだん額が下が ってきているところでございます。  84ページ以降は、(1)でお答えいただいた企業からの寄附金等の内訳について、お伺 いしてございます。企業からの寄附金等のうち奨学寄附金について、84ページは、一番 多くもらったところはどうかというものを出してございます。傾向等については、総額 とほぼ変わらないという状況でございます。  85ページは、二番目に多く受領された企業からの奨学寄附金、86ページは、三番目に 多く寄附金等総額を受領された企業からの奨学寄附金となってございます。  87、88、89ページは、奨学寄附金以外の資金の総額として、どのような状況かを示し てございます。額がそれぞれ少なくなってきているということくらいなのかと考えてご ざいます。  90ページは、企業からの個人的な報酬について、どうかというところですが、「50 万円以下」が圧倒的に多く、それ以上もらっていらっしゃる方が散見されるという状況 が、90、91、92ページから取れるのかなと考えてございます。  最後に、審議会委員の調査結果に移ります。94ページを御覧ください。調査の概要で ございますが、目的といたしましては、「審議参加に関する遵守事項」の運用に関する 実態の調査でございます。調査項目は後ほど申し上げます。対象といたしましては、薬 事・食品衛生審議会薬事分科会の委員、若しくは臨時委員、これは部会等の委員であら れるわけですが、これらの方で、本年5月以降に開催された申合せの適用部会等に所属 されていて、実際に申告をされた方を対象に調査を行いました。有効回答率は、この時 点では68.1%、111名ということです。調査の開始が遅れまして、9月2日〜9月16 日と非常にタイトなスケジュールで行いましたので、このような結果になってございま す。  95ページを御覧ください。1.1.1は、委員申告フォーマットの記入に要した日数、こ れは、実際の作業着手から返送に至るまでの総日数がどのくらいかかったか、という設 問でございます。「1日以内」、「2〜3日」が多い。15日以上かかった方も1名いら っしゃったということになってございます。  96ページ、1.1.2は、初回の申告において、寄附金等の金額の確認に要した総時間、 問い合わせ時間も含めてどのくらいか、という設問でございます。「5〜30分未満」、 「30〜1時間未満」が主体という形になってございます。  97ページ、1.1.3は、記入に際して、先生自身が実際に拘束された時間を聞いており ます。「5分以内」、「6〜15分」、「16〜30分」と、おおむね30分以内、先生自身 も拘束されているということでございます。中には1時間以上の方もいらっしゃったと いうことでございます。  98ページは、委員申告のフォーマットの記入内容についての質問でございます。現行 のルールの申告の方式、「受領無し」、「50万円以下」、「50万円超〜500万円以下」、 「500万円超」というチェック方式についてどのようにお考えか、という設問でござい ますが、「評価できる」が50.5%、「やむを得ない」が42.3%、「余り評価できない」 が3.6%ということでございます。「余り評価できない」とお答えになられた方のコメ ントを下に付けてございます。  99ページ、1.3.1は、委員申告フォーマットの記入作業について、通常業務に対する 影響はあるかどうか、ということでございます。影響を感じられる方が1.8%、やや影 響を感じられる方が4.5%、余り影響を感じない方が36.0%、影響を感じない方が55.0 %という形になってございまして、ほとんど影響は感じられないのかなというところで ございます。  100ページは、情報の開示方法でございます。現行は、部会等の冒頭で申告状況につ いて報告した内容について、委員名を含め議事録で公開となってございます。また、申 告された内容については、厚生労働省ホームページで、そのまま公開するという形にな ってございます。これについて、どう感じるか、という設問でございます。負担を感じ られる方が0.9%、やや負担を感じられる方が5.4%、余り負担を感じられない方が39.6 %、負担を感じない方が50.5%という結果でございますので、総体的には余り負担は感 じられないというところでございます。  101ページ、3.1は、現行ルールについてどのように評価されますか、ということでご ざいますが、「評価できる」が47.7%、「やむを得ない」が48.6%という結果になって ございます。  最後、102ページでございますが、各委員から、自由コメントといたしまして、問題 点、改善すべき点等について調査させていただいた結果でございます。いろいろ書いて ございますが、かいつまんで申し上げますと、「寄附金等について」は、寄附金をもら うこと自体は当然のことで、寄附金は重要であるという御意見、それから、その取扱い に関しましては、個人の報酬と機関経理してあるものについては分けるべきではないか、 また、奨学寄附金を分けるべきではないかという御意見が来てございます。  「情報公開について」は、形式的な証左のために莫大な作業が費やされている、情報 開示は当然だ、公開すると審議に参加しにくくなる、という御意見が来てございます。  「審議参加の取扱いについて」は、利益相反で参加できない人が出てくることはやむ を得ないという御意見と、特定の方に負担がかかって、本当の専門家がきちんと出てこ なくなるのではないかという御意見がございます。また、従来行っていた審議対象のみ の調査だけで競合企業は要らないのではないかという御意見や、受領した人は参加すべ きではないという御意見もございます。  「その他」の意見として、これは社会に対する貢献である、報道機関の報道姿勢にも 問題があるのではないか、政府の機関としてのルール作りを早く確立してください、審 査にかかわる者の倫理意識の向揚と信頼が大切、国民、医師、企業の意識改革と開示の 徹底化が必要、という御意見をいただいてございます。  概要を取りまとめますと、奨学寄附金につきましては、何らかの規程はあって機関経 理はされておりますが、すべてが明文化されたものとはなってございません。情報公開 につきましては、国公立、私立で傾向が異なるものの、学外へは公開していない、また、 情報公開請求があってもすべては公表していないところがあるというところでございま す。教授調査につきましては、講座内関係者の寄附金等は認知されておりますが、それ 以外はしていない。バイアスを感じる率は低いですが、認知度とある程度比例している。 受領に関しては、こういう結果だったのかなというところでございます。審議会委員に 関しては、おおむねこれで良いか、やむを得ないという御意見だったのかなというとこ ろが、事務局としての当座のまとめといいますか、概要でございます。以上です。 ○樋口座長 ありがとうございました。資料3の研究班アンケート調査中間報告、暫定 集計という形なのですが、これについて御意見、コメント等をいただければと思います。 ○神山委員 少し先走った、結論めいたことを言うことになってしまうかもしれないの ですが、教授の調査を拝見しますと、総額でも500万円以下の方がほとんどです。951 万円〜1,000万円という方がお一人で、あとは全部総額で500万円以下に入っているわ けです。今度、奨学寄附金を除いてしまうと、その方たちの額がずっと少なくなってし まう。現行のルールでやっていても、綱渡り的ではあっても、500万円を超えていて退 室される方は1人くらいしかいらっしゃらないということと、この調査結果が合ってい るのではないかと思うのです。ですから、奨学寄附金を外すかどうかという意見はあり ますが、奨学寄附金が必ずしもすべての大学で機関経理されているわけではないので、 今の段階で奨学寄附金を外す必要はないのではないかと思いました。  それから、自由記載欄で、奨学寄附金について外すとか、国民の意識改革を図ること が必要だということが書いてあるのですが、確かに奨学金の位置付け、寄附金の位置付 けを明らかにすることは必要ですけれども、それは大学が先にやっていただかないと、 大学がすべて情報公開するとか、すべて機関経理するとか、すべての大学が自らその辺 のルールをしっかりやっていただかないと、この検討会でそこの問題に踏み込むことは できないのではないかと感じました。 ○花井委員 一部、母数が少ないこともあるのですが、全体の印象として、今の意見に 若干関連するのですが、奨学寄附金の会計や使われ方が不透明であることは相変わらず であって、もしこの委員会の使命が、奨学寄附金が利益相反に当たるかどうか、もしか したら当たらないのかもしれないし、当たるかもしれないと。このアンケートを見る限 り、それは当たらないということを大学側は証明できないという結果になってしまう。 そうすると、確かに、個人のバイアスも全くかからないし、これは私の権限の一切及ば ないお金で、名前だけなのです、と言われたところで、そうですか、と言えなくなって しまうような印象があるのです。  ですから、情報を一切公開しないというのは、結構、私立の医学部が多いのですが、 ちょっとあきれるのです。学をやる、つまり大学として学問をやるところで、学問の中 立性というものも問われている中で、これはここでの議論ではないですが、このような ことを公開すらしないなどと言っているというのは、ちょっと驚きである。この二つで すね。もちろん、結果からすれば、もっと大学が率先してそういうことを明らかにして いれば、そこにいる委員の先生方がどうかということを、本当はあれこれこの辺で議論 する必要はないのかもしれないということです。 ○杉浦委員 私は大学人の立場から言いまして、奨学寄附金をここから外すということ は、やはり良くないと思うのです。奨学寄附金というのは、確かに個人に研究教育を推 奨するために来ているのですが、特定の企業から来た場合には、これは人によってかな り違うかもしれませんが、私などは金額によってはかなりバイアスを感じるときがあり ます。それは高ければ高いほど、間違いなく、非常にオブリゲーションを感じます。そ れが幾らくらいかというのは人によって随分違うと思うのですが、全く感じないという ことはないと思うのです。  ですから、やはり奨学寄附金はここに含めておく必要はあると私は思います。むしろ 原稿料など、個人のこういうものは外しても構わないのではないかと思うくらいなので す。そういう感じはしました。学部とか大学に来ている奨学金は、実際上、個人にどの ように割り当てるかなどというのは、なかなか難しいです。ですから、こういうものは 外してもいいかもしれないという気は、私はしています。 ○神山委員 今、最後におっしゃったことは、組織としての利益相反をどう考えるかと いう、残された問題だと思うのです。このアンケートを見ると、学部に幾ら来ているか も分かっていない方が多いわけで、それを自己申告でやるというのは、不可能だと思う のです。ただ、准教授や助教のところに来ているお金は、ほとんど把握しておられると いう結果になっているわけです。現在のルールでは自分と親族なのですが、そこに自分 の部下の人たちを含めるかどうかも、検討課題で残っていると思うのです。そうなって くると、退出や議決不参加の人がもっと増えてきて、綱渡りどころか、成立しなくなる おそれがあるのかなということを、この結果で感じました。 ○杉浦委員 これは、昔からの講座制などと非常に関係していると思うのです。今は、 准教授や助教もできるだけ別個の研究者として独立させていこうという傾向にある。そ の場合には、教授がそれを把握しても、それに対してどうこうということはなくなって きている。しかし、依然として、昔のようなシステムをとっているところはないとは言 えません。それは確かにありますから。ただ、傾向としては、特に若い人などは独立さ せてやっていこうという傾向にはあるわけですから、講座というくくりで全部含めてす るかどうかというのは、ちょっと考える必要がありますね。 ○日比野委員 花井先生がおっしゃったように、私学の医学部がラフというか、ルーズ というか、甘いというか、それが一番浮き彫りにされているかなとも思います。奨学寄 附金の取扱いについて、確かにきちんとやっているところもあるし、そういうところに したら、外してくれというのは当然でしょう。ですが、これだけ甘いところがある限り、 外すというのは無理ですね。私学の中でも、もちろんきちんとやっているところもある のでしょうけれども、今後は私学の日本私立医科何とか連盟などの中で、駄目な私学に はきちんとやっている私学がしっかりとやるように指導して、全体の底上げをしない限 り、当分、奨学寄附金を外すというのは無理かなと思いました。 ○樋口座長 私の方からですが、今日の話は、貴重な調査だと思いますが、調査の中間 報告ということになっていて、中間というからには、最終というのがきっと予定されて いて、それはまたここで報告をいただけるのだろうと思うのです。そのときに、このよ うに具体的な資料を提示していただけるのは非常に立派なことだと思うのですが、私は 研究班と厚生労働省との関係が本当はよく分かりませんけれども、研究班としての、こ の調査結果からはどういう点がうかがわれるというような、ポイントを指摘したような ものも付けた上で、何かの報告をいただけるのかどうかということをお聞きしたいので すが。それはどういう御予定になっているかということです。 ○事務局 審議会と研究班との関係というのは、研究班そのものの報告書は年度末でご ざいまして、これに対して考察等は可能ではございますが、立場が少し違うのかなとい うことで、最終はもう少し精査したものを出すことになると思いますが、余り踏み込ん だ考察は避けたいなと思っております。 ○樋口座長 分かりました。奨学寄附金の扱い等は、こういう貴重な調査を踏まえて、 今も幾つかの御意見をいただいたので、我々の方で何とか議論を続けていくことになる と思います。  これは今の思い付きなのですが、思い付きでも話してしまえば議事録には全部載ると いうことなのでしょうけれども、神山先生がおっしゃったように、例えば奨学寄附金に ついても、情報公開請求というのは、基本的には公の機関に対してだけという話になっ ているので、私立大学に対しては、普通は適用がないわけです。ですから、それはそう いうことを前提にして答えが返ってきているのかもしれないのです。しかし、透明性と いう点でどうなのだろうか。国立と私立でこれほど違っていいのだろうかというのは、 議論があって然るべきことですね。  国立でももちろん例外もあるのですし、やはりこういうものについては、つまり、奨 学寄附金というものが、この前の花輪参考人のお話でもあったと思いますが、産官学、 あるいは産学で、きちんとした体制を組んで、本当に良い薬を開発していこうという趣 旨であるべきものだと思われます。それで、いきなり薬というわけでもなくて、基礎医 学、あるいは基礎的な薬学も含めてだと思いますが、そういう意味での学術というか、 学問を奨励していくための社会的貢献としてやっていただくことは、非常に有り難いこ となので、できるだけ奨励もしたい。  それほど立派な話であれば、きちんと公開すればいいではないかという話に、本当は なりますね。面倒さとか、コストの面はまた別の話としてあるので、良いことだから全 部やりなさいと言われても、非常にコストが掛かれば、何のためにやっているのかとい うこともあります。それで、オーバーヘッド、その他で、それが全部コストの方へ実際 に行ってしまうのでは、何のために寄附しているのか分からなくなりますからね。そう いう点はあるとは思います。  しかし、公開性を高めるということで、まず大学の方からしっかりしてくださらない と困るというのは、本当に正論だと私も思いますが、それを後押しするということはあ りますね。そうすると、先ほどの資料で、桐野先生の言葉ですか、利益相反というのは 極めて複雑なマネージメントを要求するのに、非常に単細胞的なルールで行われている のかもしれない。しかし、逆に、裁量を防ごうとすると、簡単なルールの方がかえって 分かりやすくていいということもあるので、なかなか一概には言えないのですが、利益 相反という問題自体が一筋縄でいかないことは重々みんなが承知している、誰でも分か るというわけです。  そうだとすると、例外的に透明性が欠けるところがあるから、奨学寄附金については ルールの変更ができないという、つまり、これで全部について一つのルールということ ではなくて、例えば、あるA大学では極めて公開性が高くて、きちんとしている。そこ から出てきておられるX委員については、奨学寄附金のこういう面倒な話は外してあげ るというアイデアはあるかもしれません。それは、大学の方できちんと公開しているか ら、見ようと思えばそちらで見られるから、ということもあるかもしれないのです。そ うすると、X委員は外れますので、X委員がどれだけ圧力を掛けるかどうか分かりませ んが、Y委員は外れないのは、自分の大学がそういう体制をとっていないからだという 話になると、大学の方も後押しされて、それではそのようにしないといけないというこ とになるかもしれない。  夢物語を言っているのかもしれないのですが、一律にこうだから、それで大学の方が 全部100%になるまで待っていましょうという話でなくてもいい。これが今一番良い例 かどうかは、ちょっと問題なのですが。ルール作りの考え方のところを話しているつも りなのですけれどもね。  杉浦先生がおっしゃるように、全部公開されていても、何百万円、何千万円もお金を もらっていると、やはりそれは影響があるということがあるので、はっきり透明性を出 しておいた方がいいというお考えも十分あって、奨学寄附金について今どうのこうのと いうことよりは、今の議論を聞いていて、こちらでルールを作るときに少し細かなとい うか、後押しをするようなルール作りみたいなものがあっても、先ほどの複雑なマネー ジメントにも対応するような努力もしているというところが見せられるかもしれない。 しかし、それで本当にそういう効果を生むかどうかも含めて検証してみないと、何とも 言えないような話を少し申し上げました。  資料4は、先回も配られていて、時間がなくなってということがありますので、今日 は必ずこの説明までは入ろうと思っています。それでは、お願いいたします。 ○総務課長補佐 資料4でございます。これは前回、概略は御説明申し上げております。 米国FDAでございますが、1ページに1〜4までございます。これは経緯でございま す。1といたしまして、FDAは、これまで2000年のガイダンスというもので、利害関 係の程度と、それに応じて取るべき措置について、様々な寄附金ごとに上限を定めて運 用をしてございましたが、複雑であって、かつ裁量があるので、一貫性のある結果が得 られなかった。  2といたしまして、そのために、決定プロセスを大幅に簡略化・合理化して、2007年 3月にガイダンス(案)を出してございます。  3といたしまして、その後、米国議会が、FDA改革法701条を制定いたしまして、 新たな利益相反の制限や、審議不参加決定の適用免除措置(特例措置)の評価基準の確立 に加えて、潜在的な利益相反が少ない諮問委員会のメンバーの募集、また年間の特例措 置の上限といたしまして、2008年度から特例措置の率を全体で5%減らすことを求めて いるところでございます。  こちらの実際の法律につきましては、参考資料5に、連邦食品医薬品化粧品法を改正 するための法律ということで、「第701条 利益の相反」を出してございます。中に書い てあるのは、今御説明したことが法律の様式で書いてあるという形で御理解いただけれ ばと思います。  4といたしまして、FDAの内部評価におきまして、「潜在的な利益相反の評価」と 「特例措置」の改善が必要とされたことから、今般、「利益相反及びFDA諮問委員会 への参加の適格性を判断するための手順に関するガイダンス」が制定されたという経緯 になってございます。  2ページでございます。「5.2000年ガイダンスと比較した場合の主要な変更点」で ございますが、(1)といたしまして、個人又はその配偶者、未成年の子供に過去1年以 内に総額50,000ドルを超える不適格な経済的利益がある場合は、諮問委員会へは参加し ない。1年以内に50,000ドルという基準でございます。  (2)といたしまして、利益相反が顕著であると判断された状況では、特例措置を採ら ない。この状況に係る具体的な四つのシナリオが示されてございまして、※のところで ございますが、例えば、特別公務員又はその勤務先組織が、諮問委員会会議で議論され る予定品目の申請企業から契約、助成金、共同研究開発協定を受けており、かつ、特別 公務員(委員)が会議の議題となる製品と同じ製品、若しくは同じ適応に関する治験の総 括医師若しくは治験分担医師であるときには、特例を付与されない。  簡単に申し上げますと、こちらの審議会で行っております申請資料の作成関与委員に 当たる方に関しては、特例は付与されないというようなことが、四つのシナリオで、そ れぞれケース的に書いてございます。ほかには、申請企業の品目の会社の役員になって いるときなど、そのような規定がございます。  (3)といたしまして、特例措置の判断に際し、すべての事例について、メンバーの参 加が諮問委員会に対して不可欠な専門知識をもたらすかどうかの調査を行う。特例を与 える前に、そのメンバーが本当に不可欠な専門知識をもたらすのかどうかという調査を 必ず行うことになってございます。  (4)といたしまして、年ごとに特例措置の数の上限が設けられたということでござい ます。  以下、「6.フローチャートにおける各段階の仮訳」ということで、実際にどういうス テップを踏んで判断するかということを御説明いたします。ステップ1ですが、「会議 の議題は「特定の事項」か」ということで、会議自体若しくはその結果もたらされる行 政措置の一部について、特定の人若しくは個別に特定可能な集団の利益に焦点を当てた 審議、決定、又は措置に関する事項が含まれるか。要するに、利益相反という関係が生 まれる特定の会議事項かどうかという判断でございます。「いいえ」の場合は、特例措 置無しに会議への参加ができる。「はい」の場合は、ステップ2に行きます。  ステップ2といたしまして、「特定の事項は、組織の金銭的利益に予測可能な直接的 影響を及ぼすか」。ここはいろいろ書いてございますが、例えば、市場動向、表示、市 販後の要求事項、医療機器のクラスの分類・再分類、このようなものに関しては、予測 可能な直接的影響を与える会合の例という形で出されております。「いいえ」の場合に は、特例措置無しに会議に出られる。「はい」の場合には、ステップ3に行く。  ステップ3に行った場合には、影響を受ける可能性がある製品及び組織を明確化して、 職員に金銭的情報の開示フォームの記入を求めます。  ステップ4といたしまして、「職員、又はその利益が当該職員に帰属する人物/組織は、 (職員が知り得る限りで)影響を受ける可能性がある製品/組織に関して金銭的利益を有 するか」。「いいえ」で、金銭的利益がない場合は、会議に参加できる。「はい」の場 合は、ステップ5に行きます。  ステップ5といたしまして、「特定の事項は、職員、又はその利益が当該職員に帰属 する人物/組織への金銭的利益に対して、直接的かつ予測可能な影響を及ぼすか」。直接 的かつ予測可能な影響を及ぼさない金銭的利益といたしましては、例えばある企業が諮 問委員会の審議対象となっていない製品又はその競合製品の研究のために、メンバーの 所属組織と契約があったり、助成金を提供されているという場合で、会社として実際に かかる製品、品目若しくはその競合品目と関係のない医薬品に関する助成金等をもらっ ている場合には、それは関係しないという形になってございます。ここで品目に絞って いる形になってございます。「いいえ」の場合は、特例措置無しに会議に参加できる。 「はい」の場合は、ステップ6に行きます。  ステップ6といたしまして、「一般的な免除規定の適用後に、職員、又はその利益が 当該職員に帰属する人物/組織は、なお不適格な金銭的利益を有するか」。これは、分離 型基金や投資信託等に関しては一般的に免除されているところでございますが、それ以 外にまだ残るかというところで、「はい」の場合はステップ7に行きます。  ステップ7ですが、先ほど申し上げました「5.の(2)に例示された、特例措置が適用 されない不適格な金銭的利益があるかどうか」。治験の総括医師とか、治験の関与者で あるかどうかという場合で、「はい」の場合には会議に参加不可、「いいえ」の場合に はステップ8に行きます。  ステップ8では、「本人、その配偶者及び未成年の子供が有する不適格な金銭的利益 の総額が50,000ドル以下であるか」。「いいえ」の場合は、会議には通常は参加不可で す。「はい」の場合は、ステップ9に行きます。  ステップ9に行った場合、「諮問委員会へ不可欠な専門知識を提供するために、その メンバーの参加が必要か」ということで、「はい」の場合はステップ10に行きますが、 「いいえ」の場合は会議に参加不可です。  ステップ10aは、「そのメンバーが特別公務員の場合」、諮問委員会の委員である場 合には、「その人物の参加の必要性が、関与する金銭的利益により生じる利益相反の可 能性を上回るか」。ステップ10bは、「そのメンバーが一般公務員の場合」、FDAの 職員になりますが、「金銭的利益はその職員に求められる信頼性に影響を及ぼし得るほ ど深刻なものではないか」。これらが基準として、「いいえ」の場合には会議に参加不 可、「はい」の場合には、特例付与の上限の数、年に5%のシーリングがございますが、 それと矛盾しない場合に特例が推奨される。このような一連の流れで、FDAでは運用 されているということでございます。以上です。 ○樋口座長 残り時間が少なくなったのですが、いかがでしょうか。 ○神山委員 例えば3ページのステップ4で、「当該職員に帰属する人物/組織」という のが、先ほどのアンケートで出てきた、自分のところの准教授や助教に対しての金銭的 利益ということに当たるのではないかと思うのです。最初のところで、全体的な規則と して本人と近親者が入っていますね。その後で、だんだん来ると、今度はその人に帰属 する人物や組織で、知り得る限りで影響を受ける利益があるというところが出てくると、 やはり准教授や助教に対する利益はどうするのかということは、検討すべき事項として 残ると私は思います。 ○樋口座長 逆に、その次のステップ5のところで、ここで品目に絞られていますとい う御説明がありましたが、確認なのですけれども、つまり、アメリカの場合、ある企業 が、今、この委員会の審議対象となっていない製品に関連して、助成金か、補助金か、 奨学金か、何かを出していても、例えば今の神山先生との連結で言えば、本人のものも もちろんですが、准教授に対して与えられている場合も、直接的かつ予測可能な影響は 及ぼさないというふうに読めますよね。及ぼしていないということで「いいえ」で、そ うすると、それは会議への参加と議決可能と、そのように単純に読んでよろしいですか。 ○総務課長補佐 アメリカの場合には、一例を申し上げますと、A社が審議会に高血圧 の薬を申請していたと。その高血圧の薬そのものと、競合品目になるであろう高血圧の 薬を造っている競合他社の高血圧の薬に関しての研究契約金、寄附金等に関しては、ア メリカはカウントいたします。ただ、申請しているA社の胃薬に関しての研究契約金を もらっている、若しくは、競合企業として高血圧の薬が当たっている競合企業のほかの 向精神薬についての研究契約金をもらっている場合は、対象にならないという形での取 扱いになっています。 ○樋口座長 ありがとうございます。とにかく、これはまた次回以降の検討の我々の資 料ということだと思います。時間が迫っていますので、今日はこのくらいかと思ってい るのですが、委員の方から何かございますか。  それでは、議題としては「その他」ということもあるのですが、事務局の方で何かご ざいますか。 ○総務課長補佐 本日はどうもありがとうございます。冒頭から最後まで、多数、非常 に有意義な御指摘をいただいたものと考えてございます。こちらをまとめさせていただ きまして、次回の委員会ではこれまでの議論を踏まえまして、検討すべき事項に対する 本委員会としての考え方についての実質的な議論を、次回以降から開始していただく予 定としてございます。桐野先生は本日いらっしゃってございませんが、先ほど申し上げ ましたように、事務局から本日の議論についてはお伝えした上で、次回以降の委員会で 実質的な議論をしていただく中で、先生の御意見をいろいろとお伺いできるかと考えて ございます。  次回の委員会でございますが、11月7日(金)午後4時から開催予定となってございま す。場所等についてはまだ決定してございませんが、決まり次第、先生方に御連絡させ ていただければと考えてございます。 ○樋口座長 それでは、今日はここまでにしたいと思います。長時間にわたって、どう もありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)