08/10/03 第3回障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会議事録 第3回 障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会 議事録 (平成20年10月3日(金)18:00〜20:00 於:共用第6会議室) ○座長  ただ今から、第3回障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会を 開催いたします。本日の議題としては、2つ主なものがあります。1番目が、障害者の一 般就労を支える人材の現状と課題についての実態調査報告でございます。また、2番目 が就労支援機関の役割に応じた就労支援を行うために必要な能力要件等についてでござ います。それでは早速ですが、議題に入らせていただきます。まず、議題1の実態調査 結果につきまして、事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○事務局  説明に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料は、座席表、議事 次第がございまして、それから資料1として実態調査、資料2として障害者の一般就労を 支える人材の職務と能力要件、資料3として今後の進め方案をお付けしております。あ と、参考資料はそれぞれ1から5まであり、参考資料1は実態調査の集計結果、参考資料 2は第1回、第2回研究会の議論のポイントで、昨年の連携に関する研究会報告書の論点 も補足して付けてございます。参考資料の3は障害者の就労支援を担う人材について、 参考資料4は、今回実務専門家の方にお集まりいただいて、作業部会を設け、そこでい ろいろ作業をお願いし、作成をしていただきました。後ほどまたご説明を加えま す。参考資料5として、現行の各就労支援に関するカリキュラムをお付けしてございま す。資料については以上です。  それでは、議題1の調査結果の報告については、担当の秋場からご説明させていただ きます。 <議題1> ○事務局 秋場  地域就労支援室職場適応援助係長の秋場でございます。実態調査の結果報告をさせて いただきます。今回、このような形で発表させていただきますが、あくまで暫定集計と いうことで、最終的にはこの研究会の最後にまとめます報告書の方で確定値として発表 したいと思っております。  まず、資料1をご覧ください。調査の実施概要をご説明いたします。対象としまして は、就労移行支援事業者、障害者就業・支援センター、第1号ジョブコーチ法人と第2 号ジョブコーチ法人のそれぞれ6月末時点で連絡先が確認できた事業所について、記載 のとおりを対象としております。方法といたしましては、基本的にメールで行い、一部 郵送で行っております。調査票の内容ですが、事業所に対しては、所属している法人の 属性ということで、法人の形態、従業員数、実施している事業など。事業所の属性とし て、実施している事業、事業を開始した時期、従業員数、利用者数と、人材育成の現状 と今後。個人票といたしましては、個人の属性、また、職務、能力。その他として、研 修の関係や困っていること、相談先、満足度、将来展望などを聞いております。期間は、 資料に記載の期間に実施しました。結果の回収率ですが、5割から7割ぐらいの高い回収 率となっております。  1枚めくっていただきまして、本日は、職務、能力を中心にお話したいのですが、ま ず属性についてお話しいたします。資料は文字ばかりで見にくいので、皆様は参考資料 1のデータをご覧いただきたいと思います。  まず、移行支援事業所の属性ですが、社会福祉法人が4分の3ぐらい占めておりまして、 就労移行支援事業以外にB型を行っている事業所が最も多くなっています。また、2割の 法人がジョブコーチ助成金の認定法人となっておりました。ざっといきますと、事業所 の、3分の2が就労継続支援B型を行っています。また、就労移行支援事業を開始した時 期と一般就労に向けた支援を開始した時期を見たところ、ばらつきはありましたが、平 成18年度以降に一般就労に向けた支援を開始した事業所の内、ほとんどが就労移行支援 事業をきっかけとして一般就労に向けた支援を開始したことが分かりました。  従業員の規模は平均13.90人です。そのうち、就労支援に携わっている人は就労支援 員も含めて2.84人です。現在の利用者数は平均14.73人で、知的障害者が約6割を占めて いました。利用終了者数は、今回の回答票は、無回答なのか、ゼロなのか、やや分かり にくいところがありまして、確実なところだけを集計しております。利用終了者は平均 4.92人で、その内就職した者は平均2.18人でした。  続きまして、障害者就業・生活支援センターの属性にまいります。事業所の属する法 人は、社会福祉法人が9割、またケアホーム等を実施しているところが最も多くなって おりましたが、移行支援事業B型を行っている法人も5割程度ありました。また、約6割 の法人がジョブコーチ助成金の認定法人となっておりました。  従業員規模は平均4.78人、その内、就労支援に携わっている人は就業支援担当者も含 め3.44人になっております。現在の利用者数は平均191.81人で、知的障害者が約半数を 占めております。また、精神障害者についても、移行支援事業所に比べて、高い割合に なっております。  次に、第1号ジョブコーチ助成金認定法人にまいります。事業所の属する法人として は、やはり社会福祉法人が9割近くを占めておりました。障害者就業・生活支援センタ ーと同様にケアホーム等を実施しているところが最も多くなっておりまして、6割がB型、 5割が移行支援事業や障害者就業・生活支援センターを実施しておりました。ジョブコ ーチ助成金の認定法人には平成17年度上半期以前になった法人が約半数ほどありました。  事業所の属性にまいりまして、事業所は就労移行支援事業B型、障害者就業・生活支 援センター、ケアホーム等を実施しているところがそれぞれ3分の1程度ありました。 一般就労に向けた支援は、平成15年度以前に開始した事業所が6割以上でございました。  従業員規模は平均23.15人、その内、就労支援に携わっている人は約6人でございま す。ジョブコーチ養成研修終了者は1事業所当たり1.73人でございました。現在の利用 者数は、平均115人、その内、知的障害者が4分の3を占めております。  続きまして、第2号ジョブコーチ助成金の認定法人です。回答した事業所の内、約半 数が特例子会社になっております。ジョブコーチ助成金の認定法人になったのは、平成 18年度、19年度が多くなっています。  従業員規模は平均300人程度でございまして、就労支援に携わっている人は7.8人。 ジョブコーチ養成研修終了者は1.7人となっております。現在の利用者は平均58人で、 他と違い身体障害者が6割弱と、多くなっております。  続きまして、個人の属性にまいります。就労支援員ですが、大学、大学院卒の者が多 く、福祉系以外の者の方が多く、年代は20代、30代が多くなっています。就労経験を 見ますと、他の就労経験が一切なく、就労支援員として障害者就労支援に1年から3年 未満、若しくは1年未満という者が多くなっておりました。資格を見ますと、現在関係 資格を保有していない者が多くなっておりますが、社会福祉士所持者も2割程度おりま した。今後の希望としましては、ジョブコーチ養成研修の受講希望が5割弱おります。 また、社会福祉士資格取得希望も4割程度ありました。  続きまして、就業支援担当者にまいります。大学、大学院卒が多いのは一緒ですが、 福祉系の方がやや多くなっています。年代は少し上がって、30代、40代の方が多くなっ ています。就労経験についてですが、障害者の支援について5年以上、5年、10年の方が 多く、その中で就業支援担当者としては1年から3年、若しくは1年未満という方が多く なっています。現在関係資格は保有していない者が多くなっていますが、社会福祉士の 方も4分の1程度、また、精神保健福祉士などの率も高くなっています。今後としては、 社会福祉士や精神保健福祉士を取りたいという希望の方が3割程度ありました。  続きまして、第1号ジョブコーチの個人属性にまいります。大学、大学院卒の福祉系 以外の方が多く、年代としては30代の方が多くなっています。障害者支援について5年 以上、また、障害者就労支援の経験が5年から10年という方が多く、その内、ジョブコ ーチは1年から3年未満の経験の方が多くなっています。現在、関係資格を保有していな い人が多くなっておりまして、就業支援担当者と同じく、社会福祉士や精神保健福祉士 の資格取得希望が2、3割程度ありました。  専任か兼務かを見ますと、ジョブコーチ専任として活動している人は16.4%となって います。兼務している人の内、ジョブコーチ業務を3割から5割と回答する者が多くなっ ていました。また、1カ月の平均活動日数を見ますと、10日未満の人が多くなっています。  第2号ジョブコーチですが、福祉系以外の大学、大学院卒と中卒、高卒の方が多くな っていまして、年代は30代の方が多くなっています。企業等での就労経験や障害者就労 支援の経験が5年以上の者が多く、内ジョブコーチとしては1年から3年未満の方が多く なっています。現在関係資格を保有していないが、今後は精神保健福祉士や産業カウン セラー、臨床心理士などの資格を取りたいという希望が2割程度ありました。ジョブコ ーチの専任・兼務状況ですが、ジョブコーチ専任として活動している者は7.7%、兼務し ている方の内、ジョブコーチ業務は1〜5割と回答する者がほとんどでございました。ま た、1カ月の平均活動日数は15日以上と回答している方が多くなっています。  続きまして、事業所の人材育成について、資料の別添をご覧ください。事業所調査の 人材育成部分を抜き出したものになっております。現在の状況ですが、全般的に「勤務 時間中の外部研修、勉強会への参加を認めている」、「外部研修、勉強会に参加する際 の費用の補助をしている」と回答している事業所が大部分になっています。一方で、「 法人内、事業所内で研修、勉強会を行っている」と答えた事業所も3割から5割程度見ら れました。「人事異動により必要な業務を経験させることにしている」と答えた事業所 は、ジョブコーチ認定法人において比較的高くなっておりまして、就労移行支援事業所 では低くなっております。今後の方針については、無回答のところが多かったことから、 現在の状況から前進が1つでもあった事業所についてのみ集計を行っています。ただ、構 成比については、本来の有効回答数とは異なりますが、比較のため、現在の状況の有効 回答数で割ったものを表示しています。つまり、現在の状況の構成比と今後の方針の構 成比を足すと、将来像が見えるというイレギュラーな計算をしております。その結果、 第2号ジョブコーチや移行支援事業所において「これから事業所や法人内で研修、勉強 会を行っていきたい」と回答した事業所が多くなっています。また、「人事異動により 必要な業務を経験させる方針である」と回答した事業所も多くなっています。また、現 在プラス今後を見てみますと、8割以上の事業所において外部研修、勉強会への参加を認 め、参加する費用の補助をすることになり、5割以上の事業所、法人内で研修、勉強会を 行っていることになります。また、3割から5割程度の事業所では、人事異動により就労 支援に必要な業務を経験させるということが分かりました。  続きまして、本日のメインテーマである個人の職務、能力要件について、結果をご報 告いたします。  まず、1番目は、業務量でございます。就労支援員と就業支援担当者を比較しました。 その結果、以下のような傾向が見られています。なお、今回、「傾向」や「多い」とい う言葉を使っておりますが、統計的な解析は行っておらず、あくまで構成比から見た解 釈になっておりますので、ご了承ください。  就労支援員の方が業務が多くなっていた項目は、やはり作業指導の関係のものです。 あと、その施設を利用する障害者の生活面に関わる支援が多くなっていました。就業支 援担当者につきましては、就業面での支援、求職活動などの支援と、定着支援の部分が 多くなっています。あと、ネットワークづくりです。共に行っている項目としましては、 アセスメント、支援計画の作成、訓練等の斡旋、ケア会議、ケース会議、家族との連絡 調整となっておりまして、共にあまり行っていない項目は、ハローワーク職員との同行 求人開拓やジョブコーチ支援となっておりました。  第1号、第2号ジョブコーチですが、別添の表2をご覧ください。第1号ジョブコーチに つきましては、支援計画の策定と職場開拓以外の項目について、業務量が多くなってい ます。特に、地域障害者職業センターとの連絡調整とフォローアップについては、7割 以上の方が業務が多いと回答していました。一方、第2号ジョブコーチは、ジョブコー チとして活動する際には、全般的にこちらに挙げた業務を行っておりまして、特にフォ ローアップと職場環境のアセスメントについては、7割以上の方が業務が多いと回答し ておりました。  別添表3をご覧ください。必要な知識スキルですが、それぞれ活動する上で、どのぐ らい活用する機会がありますかという質問をしたところ、以下のような傾向が見られま した。全般的に活用の機会があることとして、障害や職業的課題に関する知識、支援計 画の策定に関するスキル、マッチングのスキル、フォローアップのスキル、関係機関と の連携のスキルになっております。障害者就業・生活支援センターの職員が特に活用す る機会が多かったものとしましては、アセスメント、職業相談、職域開発などに関する スキルが高くなっていました。また、障害者就業・生活支援センター担当者と第2号ジ ョブコーチが多かったのは、企業関係の知識になっております。特徴的だったのは、就 業支援担当者は施設内、事業所内での作業指導に関する知識・スキルは活用する機会が ない。就労支援員はフォローアップ、定着支援の部分で、事業所への助言、適切な対応 を行うスキルは機会が少ないと答えています。  続きまして、それぞれ挙げた項目の知識、スキルが自分にどのぐらい備わっているか 質問したところ、以下のような傾向が見られています。ここは、全般的に、先に活用す る機会があると答えたものは、備わっていると回答し、一方で、就労支援員自身が不足 していると回答したもの、就業上の相談やマッチングのスキル、定着支援の関係、関係 機関との連携を行うスキルなどが不足していると答えております。  2号ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センター、1号ジョブコーチ、就労支援員の 順番で、どんどん下がっているのは、企業関係の知識でした。また、他に比べてやや不 足しているのは、2号ジョブコーチが障害者福祉に関する知識、就労支援員と1号ジョブ コーチが雇用促進法や雇用制度に関する知識となっております。  表5にまいります。こちらは、どうやってそれらのスキルを身につけたかについて、 最も効果的だった方法を1つ選んでもらう項目でしたが、当然の結果かも知れませんけ れども、ほとんどの項目で「仕事を通じて」という回答が多くなっておりました。その 中でも、研修や講習に参加したことによって特に効果的に身につけたと答えた者は、障 害者福祉に関する知識や雇用促進法、雇用制度に関する知識、就労支援員以外の方は障 害特性や職業的課題に関する知識、1号ジョブコーチ、2号ジョブコーチは支援計画の策 定に関すること、また、1号ジョブコーチは労働基準法などとアセスメントに関するス キル、2号ジョブコーチは定着支援や関係機関との連携のスキルと回答をしております。  表6から表8にまいります。一般就労に向けた支援に当たり、困っていることを、はい、 いいえで回答していただきました。2号ジョブコーチ以外で、困っていると答えた項目は、 就労支援に必要な知識が足りない、ノウハウが蓄積されていない、実習先や求人企業の 情報が少ないなどが挙げられております。逆に、全般的に困っていないと回答した項目は、 「外部研修に参加できない」、「対象となる障害者が少ない」、「職場の上司や同僚が 就労支援に関して理解がない」、「支援している障害者が一般就労に関して熱心でない」 などについては、困っていないと答えておりました。また、就労支援員だけが困ってい ると答えたものは、「就労支援に必要な研修の機会が不足している」、「実践的なノウ ハウを習得する機会が不足している」が、就労支援員だけが多かった項目になっており ます。  また、特に困っている項目を3つまで選んでもらったところ、先に述べたことと重なり ますが、就労支援員は、「求人企業がない」、「ノウハウが蓄積されていない」、「就 労支援に必要な知識が足りない」と回答しておりまして、就業支援担当者は同じ項目も ありますが、特徴的なのは、「企業に障害者の支援ノウハウを理解させるのが難しい」 となっています。1号ジョブコーチは、「企業や職場の情報が少ない」と回答している者 が多く、2号ジョブコーチは、「業務が多くて、就労支援を行う時間がほとんどない」が 一番困っていると回答しておりました。  表8は相談先についてですが、3つまで選んでもらったところ、同じ事業所の上司、同 僚と答えた者が多く、次にハローワークの担当者や障害者職業センターの障害者職業カ ウンセラー、他の機関で障害者の就労支援を担っている人を挙げる人が多くなっており ました。  研修の受講状況ですが、就労支援員は法人内で行う就労支援以外の研修の受講経験が 約4割ありまして、それ以外の研修については、「機会があれば受講したい」と答える者 が多くなっています。就業支援担当者は就労支援、就労支援以外の研修、及び機構でや っています就業支援基礎講座の受講経験が4割から5割程度ありまして、それ以外の研修 については、「機会があれば受講したい」、または「受講の予定なし」と答える者が多 くなっておりました。1号・2号ジョブコーチについては、法人内で行う就労支援、就労 支援以外の研修の受講経験が5割程度ありましたが、それ以外の研修については、機会 があれば受講したいと答えておりました。  表10は、研修の受講の希望を聞いたものです。受講したい研修プログラムについて質 問したところ、全般的に受講意欲が高かった項目は、専門的なもの、ケーススタディー が中心のもの、交流会などでした。逆に低かった項目としては、座学が中心の研修、2 号ジョブコーチの受講意欲が低かったものは、基礎的なものや、外部の専門家から就労 支援に関する助言やアドバイスをもらうようなこととなっております。  表11は、仕事の満足度について質問したところ、就労支援員は全般的にはやや満足し ていますが、能力・スキルの向上については、やや不満足と回答しております。就業支 援担当者は仕事の内容や職場の人間関係については満足していますが、報酬については やや不満足であり、結果として、総合評価はやや満足となっております。第1号ジョブ コーチは仕事の内容には満足しているが、報酬や能力、スキルの向上についてやや不満 足であり、総合評価はやや満足となっております。第2号ジョブコーチは能力スキルの 向上についてやや満足ですが、それ以外の項目で満足しています。  最後に、仕事の展望として表12をご覧ください。5年後にどのような仕事をしている と思うか質問したところ、全般的に「現在と同じ仕事をしている」と回答した者が多く なっていましたが、就労支援員と就業支援担当者は「障害者福祉の仕事をしている」と 回答した者が続いて多くなっていました。一方で、ジョブコーチの方々は、「ショブコ ーチ以外の障害者の就労支援の仕事をしている」と回答している者が多くなっておりま した。以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。さて、この調査結果ですが、まだ分析に時間があり ますので、分析の方向性について、少しこういったことをお願いしたいということ、あ るいは、感想、お気づきの点等ございましたら、どうぞご自由にご発言をお願いいたし ます。どうぞ、八木原委員。 ○八木原委員  お願いしたいことですが、困っていること、満足度などに関して、都市部と地方、中 堅どころの都市などエリアによってかなり違ってくるのではないかと思いますので、で きれば、その統計が欲しいと思います。 ○事務局  事業所の所在地についてデータを取っておりますので、その観点で分析をしたいと思 います。 ○座長  他にいかがでございましょうか。志賀委員どうぞ。 ○志賀委員  作業部会にも出させていただきましたので、アンケートの結果等はかなり長い時間見 させていただいておりまして、より深い分析というよりも、こういった仮説でもう一度 見直していただきたいということがございます。  最後の別添の別表11、12の項目の、満足度と仕事の展望というのが非常に面白い項目 だと、いつも眺めていました。個人的な感想ですが、表11の満足度を見ると、2号ジョ ブコーチが圧倒的に仕事のやり甲斐もあり、なおかつ報酬もよいということで、満足度 が非常に高い。ところが、5年後、仕事をしているかというと、一番低い。これは明ら かに、企業内での人事異動等があることが前提で、一時期のキャリアという感覚で今の 仕事の満足度が高いという回答であり、質が違うかなと思っております。  障害者就業・生活支援センターと1号のジョブコーチについてですが、こちらについ ても、福祉系の中では、就労移行支援事業と比べて、比較的やり甲斐がある。ただし、 先ほども報告でもありましたが、報酬には不満足という方々です。2つの違いは、将来 の仕事の展望で、障害者就業・生活支援センターの方はやり甲斐があって、報酬には不 満があるけれども、就労支援の仕事をするのであれば、障害者就業・生活支援センター でやりたいと回答されている方が多い。ジョブコーチの方は、就労支援の仕事も嫌いで はないけれども、ジョブコーチ1号である必要はない。就労支援に対する意欲はあり、 報酬への不満度は同じぐらいでも、今の職場ではない仕事を求めている層の人たちがい る要因というのは、やはり制度などの問題があるだろうというのは、これを見ても分か ると思います。  そして、一番分析が難しい就労支援員ですが、就労支援に対する満足度は低くはない が、淡い満足度であり、報酬に対する不満もあまりない。基礎データにもありますが、 資格がなくて、若い層です。当然、現在と同じ仕事をしていると思っている人たちも漠 然と多く、これについては、年齢等を見ても、本当に分析が難しい状況といえると思い ます。  就労支援の仕事というのは、基本的にはものすごくやり甲斐のある仕事ではあるけれ ども、5年を見越した場合、自分はどういうポジションになるか、だから今の満足度が あると読み返してみると、いろいろ見えてくると思います。それに向けての人材育成や 研修のプログラムを考えていく必要があると考えております。 ○座長  どうもありがとうございました。どうぞ小川委員。 ○小川委員  ある程度は予想していましたが、第1号ジョブコーチの専任の割合が非常に少ないの が残念だと思います。いろいろな理由が考えられると思いますが、それを掴みたいとは 思いますが、データが限られているので、少なくともこの58人の専任でやっているとこ ろが、どんなところか興味があります。例えば、法人の規模であるとか、他にどんな要 素があるでしょうか、専任で働かせられる法人というのは、どういう法人なのか。兼務 のところは、多すぎて掴みようがないと思うので、その辺を少し見ていただければと思 います。 ○座長  ありがとうございました。データ分析はまだ突っ込むところがいろいろありそうな気 がしますが、いかがですか。それでは、今のご提言等も踏まえまして、事務局の方で修 正をよろしくお願いいたします。  それでは、続きまして議題の2に入りたいと思います。本日のメインでございます。 役割に応じた就労を行うために必要な能力要件等について議題に入りたいと思います。 事務局の方から説明をよろしくお願いいたします。 <議題2> ○事務局  ご説明させていただきます。資料が多いので、限られた時間ですが、かい摘んでご説 明致します。  資料2の職務のたたき台ペーパーと、次の能力要件のたたき台ペーパーですが、その 前提として、先ほども申し上げましたが、今回作業部会において委員の方にお集まりい ただき作業をしていただきましたので、そちらの方から先にご紹介させていただきます。  お手元の参考資料4をご覧下さい。就労支援員につきましては、研究会委員でもいら っしゃいます志賀さんにお願いをしました。就業支援担当者につきましては、社会福祉 法人JHC板橋会ワーキング・トライの清家さん、1号ジョブコーチにつきましては、 NPOぴゅあさぽーと障害者就労支援センターげんき品川の小島さん、第2号ジョブコーチ につきましては、株式会社カネボウ化粧品人事グループ部長の塚田さんにお願いをして おります。それぞれ簡単にご紹介します。事務局の方で一定の様式をしし、就労支援の プロセスと職務、それに必要な能力要件として、必要な知識とスキルということで分類 をお願いしております。  資料4の1、就労支援員について志賀委員作成の資料ですが、就労支援員が中心とな る職務として<1>から<9>まで挙げていただいています。まず、<1>地域ネットワーク会議、 ネットワークの構築、<2>施設外就労・施設外支援に向けての開拓・調整や参加者の選抜・ 計画ですが、その場合に、必要な知識となるのは、施設外就労の役割や受注契約、施設 外就労の管理全般ということで、最終的なスキルとしては、工賃額と受注売り上げ見通 しなどとなっています。<3>職場体験実習(委託訓練等)、<4>・<5>職場開拓は、それぞ れハローワークとの連携、自主的な開拓となっております。それぞれ必要となる知識は、 委託訓練の流れや安定行政の制度と役割、必要な能力知識は、ハローワークとの綿密な 連携ができること、業務・職務分析、障害特性に合わせて調整する能力が必要となって おります。  <6>採用面接の支援、<7>初期の定着支援ということで、そのために必要なスキルとし ては、業務や職務を分析する能力、障害特性に合わせた調整が必要になるということで ございます。  2ページ目は、就労支援が比較的関わる職務を<1>〜<9>まで整理していただいていま す。<1>地域の勉強会・シンポジウム報告、学校・施設等の勉強会での事業報告、<2>施 設見学となっており、必要となるスキルとしてはプレゼンテーション、関係者との連携・ 人脈づくりです。<3>利用開始(暫定期間)、<4>継続利用(延長利用)ですが、それぞ れ必要な知識は、包括的なアセスメントの知識、能力は、インテークや状況把握が必要 と挙げていただいています。また、<7>訓練等給付請求業務では、訓練等給付の仕組みを 理解した上で、電算・請求の確認をすること。あとは、<8>フォローアップ等となってい ます。  3ページ目のフローチャートは、黒い星のところが主に就労支援が中心となる職務で、 白抜きの星のところが、就労支援が比較的関係のある職務ということで、作っていただ いておりますので、ご紹介します。  次に、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者について、ワーキング・トラ イの清家さんに作っていただきました。就労支援のプロセスでは、1.電話での相談問い 合わせ、これは非常に多いそうです。全ての支援において必要な知識・スキルは、ケア マネジメントの知識とケアマネジメントスキルということです。2.来所による相談(初 回面接)ですが、相談面接のスキルが必要になります。昨年、ワーキング・トライさん では5,000件以上の相談があったとお聞きしております。3.登録の場合の面接、4.具体 的活動場面での基本的職業スキルの確認ということで、それぞれ必要な知識としては、 職業評価の知識、チェックリストを付ける知識が必要だということ、5.雇用支援プログ ラム作成に当たって必要となる能力要件については、地域支援機関やハローワーク等の いろいろな関係施設の情報と知識、必要となるスキルについては、集団を運営するスキ ルが重要ですが、特にグループワークや日常生活・社会生活・自己管理のための社会生 活技能訓練(SST)等を行うスキルが必要になるということです。  支援の流れの中では、就労基礎訓練、職場体験講習等が挙げられ、職務としては、保 健師さん、施設との調整、協力事業所の開拓等で、必要な資質としては、作業の手順、 本人の課題等を踏まえての職務・課題分析の知識が必要となるということです。  9.求職活動、定着支援ですが、特に定着支援につきましては、適宜上司との情報交換 をするなり、節目で振り返りをすることが必要になってくるということです。それから、 企業に対しての支援として、企業からの相談への対応、障害特性の説明や職務分析や仕 事の切り出しに対する業務が必要となってきます。流れとしては、見学、面接、実習、 面接、トライアル雇用、本雇用ということで、この流れをコーディネートしていくこと が必要になってきます。在職者については、企業・本人からの相談に対応すること。ワ ーキング・トライさんの特徴かも知れませんが、啓発活動が増加しているので、プレゼ ンテーション能力が必要だということです。また、研修は座学が多いので、演習を増加 して欲しいというコメントがございました。  3番目に1号ジョブコーチについては、げんき品川の小島さんに作っていただきました。 まず「ジョブコーチが必要な対象者の選定」が作業項目として挙げられます。必要とな る知識は、それぞれの障害特性、ジョブコーチ導入による効果やジョブコーチ以外の社 会資源について知っておくことが必要だということ。次に「職業センターへの相談」と いうことで、職業センターの配置型ジョブコーチとの連携が必要になってきます。次に 「対象者へのアセスメント」ですが、アセスメントの場合に必要になってくる知識は、 職業評価、それぞれの特性に応じた対応をどのようにしていくかということで、能力と しては、本人の主訴を取ったり、信頼関係を構築していくことが必要であるということ です。それから、「事業主さんへのアセスメント」として、実際の職場を観察して職場 環境を把握することが必要だということ、その時に必要な知識は、これは前回の研究会 でも出ておりましたが、ビジネスマナーや当該企業の基礎的な情報を当然頭に入れてお くべきだということ。また、基本的な労働法や助成制度は知っておくべきということで す。必要なスキルとしては、信頼関係を構築し、ビジネスマナーを身につけることです。  「具体的な支援計画の策定」は、1号JCのみで支援する場合は、1号ジョブコーチ が作成をすることになりますが、そのために必要なスキルとしては、対象者の障害特性 や特徴、1次障害を見極めること、定着のために必要な支援内容について見通しを立て るスキルが必要であるということです。  少し飛ばして「集中支援」ですが、げんき品川さんでは1〜3カ月程度とおっしゃって おりましたが、その場合に必要なスキルは、障害特性を理解した上で職務内容や環境を 整えること、キーパーソンを選定することが重要だということです。それから、情報共 有という観点からも、記録を正確に作成しておく必要があるということでございます。  次に、移行支援、フォローアップですが、必要な知識としては、ナチュラルサポート に向けての移行支援の知識、それからフォローアップとして、職場定着のために必要な 支援事項をしっかり頭に入れておくことが必要だということでございました。その他と して、ジョブコーチ支援事項として、それぞれ障害者支援、事業主支援、家族支援とあ りますが、たとえば家族との連絡・連携体制ということで、連絡帳を活用したり、朝き ちんと起こして欲しいと伝えるなどの支援も必要になるということでした。  4番目の2号ジョブコーチについて、カネボウ化粧品の塚田部長に作成いただき、若干 事務局もお手伝いをしました。  2号ジョブコーチの支援内容としては、事業所内の職域開拓と対象者のアセスメント ですが、職域開拓をするためにはまず事業所の職務全般を理解した上で必要な業務遂行 能力、それから人員の判断を行うこと、その職種に必要となるスキルを確認した上で、 管理者側に提案するということです。「対象者のアセスメント」で重要なのは、基礎情 報の収集がまず重要だということ、障害特性や本人の職業準備性を把握する必要がある ということでございます。あとは、関係機関との連携・調整、障害者雇用に関する支援 制度の活用ということです。それらが、それぞれ必要な職務となってくるということで す。  それから、具体的に支援計画の策定に入って、職場環境のアセスメントですが、職場 全体の職務や主要な仕事の理解をすることが必要だということ。それに伴って、作業の 切り出し等に関して管理者に提案したり、職業準備性に応じた職務に適応させたり、文 字、絵図等で障害特徴、仕事の特徴に応じた指示書を作ったり、場合によっては、必要 な就労支援機関の先生についても行うということです。  それから、「職場における集中支援」、「集中支援の継続」、「フォローアップ」と 繋がっていきますが、集中支援で一番必要なのは最小限の介入による指導をしていくと いうこと。本人の職務における自立度の判断を行い、適性に能力を評価し、管理者に助 言するスキルが必要であるということ。あと、集中支援からナチュラルサポートへ移行 するタイミングを間違えないようにしないといけないということでした。  参考資料4の作業部会で作成した資料をご紹介した上で、資料2の方にお戻りいただけ ればと思います。それぞれの支援のレベルに応じた職務・能力要件の整理というのは当 然必要ですが、今回はとりあえず、一定のレベルの人材に必要な職務と能力要件という ことで整理をいたしました。  Aの就労支援につきましては、「利用開始」、「計画に基づく具体的支援」、「就職 に向けた準備」、「就職」、「定着支援」としております。例えば、利用開始の場合は、 アセスメントから利用契約の締結。計画に基づく具体的な支援として、これは施設内で の作業指導が、先ほどのアンケート結果にもございましたが、やはり支援者の一番多い 業務だということで、まず作業指導を挙げています。それから、「品質管理、受注、納 品等の業務」、「施設外就労、施設外支援のコーディネート」、就職に向けた準備とし て、「ハローワークの求職登録の支援」や「求人検索の同行支援」、「ハローワークと 連携した上で職場を開拓」、場合によっては「トライアル雇用、委託訓練の各種制度の 活用などの調整」が必要になるということです。それから、職場定着支援については基 本的に就職後6カ月までを念頭に置いています。  Bの障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者でございますが、まず相談、電 話、来所がありまして、主訴を聴き取って、登録するかしないかを判断し、登録する場 合には他の機関との連携・調整する。それから、面接、アセスメントときまして、必要 情報の把握、それから、チェックリストを活用して課題を確認する等の業務になってい ます。それから、「個別支援計画の策定」をして、「計画に基づく具体的な支援」とな りますが、「関係機関の連携」、「併設や関係施設を利用した基礎訓練の実施」、「準 備訓練の斡旋や実習の斡旋」、また就業に伴う日常生活の問題点について常にフォロー して支援していくということです。  「就職に向けた準備」として、基本的には就労支援員さんと同じですが、「就業面の 相談」や「ハローワークの連携」、「必要に応じて企業面接の同行をする」と同時に、 「関係機関との調整」としております。それから、「就職」をして、「職場定着支援」 となりますが、その場合に、「定着支援計画の作成」や「個別面談」、「職場訪問等を 通じた定着の把握」等が必要です。それから、大事なのは、括弧で表示していますが、 「6.OB会の開催」で、これは定期的に開催し、居場所を確認して、皆で集まるというこ とが重要です。  次に、1号ジョブコーチですが、「支援対象者の選定」、「職業センターとの調整」、 「対象者・事業所のアセスメント、情報提供」となっています。「支援計画の策定」は、 当然地域センターと調整した上で、本人、家族、利用者の同意を取りつけること。「雇 用前支援」としては、適応能力の向上を図るための支援や、必要に応じて、通勤指導が 必要になるだろうということです。それから、「集中支援」ですが、これは記録の作成 や、まとめ時に関係者との綿密な打ち合わせが必要です。それから、「移行支援」とし ましては、計画に基づく支援を実施していく中でナチュラルサポートを形成し、記録を 作成し、情報共有を図るということです。それから、「フォローアップ」については、 トータル1年8カ月までと表示しておりますが、これはあくまで助成金の対象期間ですの で、その辺はご理解いただければと思います。  最後に2号ジョブコーチですが、一番重要なのは、事業所内での障害者雇用の理解を 深めるということです。特に、カネボウ化粧品の塚田部長がおっしゃっていましたが、 精神障害者の受け入れに当たり、精神科医を呼んで管理者や同僚を対象にお話しをして いただき、不安を払拭したそうです。それから、「企業内での職域を開拓」した上で、 「対象者へのアセスメント」、計画の作成をした上で、「職場環境のアセスメント」と して、働きやすい環境整備だとか、職務分析、作業に応じてその障害者の課題の分析を していく。集中支援をしながら移行支援に向けて、それぞれチェックリストの活用、ケ ース会議の開催等を行っていって、フォローアップをします。トータル1年になってい ますが、これも同様にジョブコーチ助成金の対象期間でございます。  続いて、次の2枚目の能力要件ですが、少し細かくなっていますが、人材育成または 研修体系をお考えいただく時に、どこに力点を置いていくべきか議論していく時に、こ れを参考にしていただきたいと思いまして、それぞれの支援員の職務に応じて、横軸で 濃淡をつけて作ってみました。  まず、「障害特性に関する知識を活用するスキル」は、二重丸が並んでいますが、こ れは全てに必要だという趣旨でございます。その下に、A1等表示してありますのは、先 ほど申し上げた職務の整理に記号を振っておりまして、その記号をここに当てはめたも のです。  「障害特性に応じた職業的課題に関する知識を活用するスキル」は、就労支援員が丸 で残りの就業支援担当者・ジョブコーチは二重丸にしてございます。  「障害者福祉に関する知識」は、あっせん機関である障害者就業・生活支援センター を二重丸にして、あとは丸にしています。  「企業に関する基礎的知識を活用するスキル」は、研究会の中でも、就労支援員が不 足している点ではないかというご意見がありましたが、就労支援員を丸にしています。  「職場の雇用管理に関する基礎知識を活用するスキル」は、障害者就業・生活支援セ ンターと2号ジョブコーチ、「法律や雇用制度に関するスキル」は、あっせん機関である 障害者就業・生活支援センターに二重丸です。次の基準法と最賃法も同様でございます。  「一般就労へ向けたアセスメントに関するスキル」は、就労支援員は三角にしていま す。  「具体的な就労支援計画の策定」は、障害者就業・生活支援センターと就労支援員は 丸です。特に、就労移行支援事業所で支援計画を策定するのはサービス管理責任者です が、就労支援員はサービス管理責任者を補佐する立場として丸をしています。  「施設内事業所への作業指導」は、障害者就業・生活支援センター以外は二重丸です。 「職業相談のスキル」は障害者就業・生活支援センターが二重丸。それから、「職場実 習先の開拓」、「障害者求人の開拓や職域開発に関するスキル」については、障害者就 業・生活支援センターが二重丸で、就労支援員が丸です。1号ジョブコーチはその後と して三角にしてございます。  「o仕事の選択やマッチング支援を行うスキル」は、障害者就業・支援センターと2 号ジョブコーチが二重丸です。  「職場定着支援」は当然のことながら、障害者就業・生活支援センター、1号ジョブ コーチ、2号ジョブコーチを二重丸にしています。  「障害者の状況に応じて事業主への助言、適切な対応を行うスキル」は、就業支援担 当者と両方のジョブコーチを二重丸にしています。  「その他」として、共通する事項をまとめておりますが、まず全過程で必要になるだ ろう「援助の原則」です。これは、カウンセリングの基礎的な認識ですが、皆それぞれ 重要だということ。また、「分かりやすく説明する能力」、「記録の作成」等について も全過程を通じて全支援者に重要だということです。  「チェックリストの活用」については、2号ジョブコーチは、丸が括弧になっていま すが、事業主向けのチェックリストを開発中でございますので、括弧としています。  「ケース概要の作成」、「コーディネート運営」、「グループワークやSST」につき ましては、就労支援員には必要な能力だろうということで二重丸にしてございます。  「就業に伴う日常生活の場」、「社会生活上の課題への対応能力」は、2号ジョブコ ーチを三角にしていますが、これは企業側にどの程度この能力を求めていくかというこ とで、三角で表示しております。「ビジネスマナー」。次の「関係機関の周知を図る能 力」の(前)というのは、支援の開始の前段階ということで、(前)と表示しています。 それから、「事務能力・請求業務」は、皆さんそれぞれ丸を付けてございます。  ということで、いろいろな整理の仕方があるかと思うのですが、とりあえず作業部会 で作業をしていただいたものやアンケートの結果に基づいて、職務や能力要件を整理し た表がこの資料2でございます。事務局からは以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。細かいので、理解してついていくのが少し大変だっ たと思います。2枚ありますが、最初の能力要件についてまず皆さんのご意見を伺い、 その後に、2枚目の資料と、別々に議論をした方がよろしいかと思います。では1枚目、 資料2という番号を打ってある方について、皆さんのご意見を伺いたいと思います。ど うでございましょうか。佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  この資料2と、先ほどご説明いただきました統計の結果と照らし合わせて、少し気に なっていることがございます。例えば、就労支援員が「業務量が多い」ということでや っている事柄と、就労支援員として必要である、要求されている職務なり能力要件との 間にギャップというか、ずれがあるのではないかという印象を受けました。業務量を取 りまとめたこの資料1ですが、こちらの要約で移行支援事業の就労支援員の「業務が多 い」を見ますと、障害者に対する作業指導や品質管理、それから生活面に関わる支援が、 業務量の大半を占めている形になっています。  ところで、必要とされる職務内容ですが、これは当然、就労支援員に必要なものが列 挙されているのだと思いますが、この資料2と照らし合わせて見ますと、実際に携わっ ている業務の多くは、資料2の「A2計画に基づく具体的な支援」の「<1>施設内の作業指 導」や「施設内での作業に関する品質管理、受注・納品等の業務」などで、こうした業 務だけで忙殺されているのではないかという懸念があります。従いまして、例えば、就 労支援員として必要な職務や能力に応じた訓練や研修を行う際には実際に従事している 業務内容との調整を合わせてやらないと、業務負担がより多くなるというようなことに ならないかという気がします。  これは本質から離れるかも知れませんけれども、実際に担当者がやっている業務の内 容と照らし合わせて、人材育成の方策を考えていった方がいいのではないかと思います。 このことは、障害者就業・生活支援センターやジョブコーチでも、似たような問題が、 もしかしたらあるかも知れません。支援担当者として必要とされるものと、現実にやら ざるを得ないこととの間にギャップがあるとすれば、それをどうやって埋めていくかと いうことも同時に考えておく必要があるのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでございましょうか。1枚目だけでは議論が進ま ないようでしたら、2枚目の能力要件やアンケート調査も含めて、総括的に皆さんのご 意見等をお伺いしたいと思いますが、どうでございましょうか。  私の方から事務局に確認をさせていただきます。2枚目の能力要件の丸バツというの は、先ほどの資料のどの図式をベースにして丸バツを付けていらっしゃるのですか。そ こを教えてください。資料番号の何番と対応させていらっしゃるのか。 ○事務局  アンケート項目の「知識・能力を活用する機会」の3に基づき、加えて本来やるべき 業務といいますか、その辺りも少し勘案しています。例えば実態調査の数字だけ見ると 三角かなと思われるものを丸に引き上げたりという調整を行った結果でございます。 ○座長  分かりました。丸バツの根拠はそういうことになっているそうです。これを踏まえま して、皆さんご意見をどうぞ。どうですか。  この資料2に基づいて、実際のカリキュラム編成に入っていくわけですね。ですから、 この資料2の図式というのは、かなり丁寧に見ておかないと、後のモデルカリキュラム 編成に直接関わる問題ですから、これにつきましては、皆さんのご意見をお伺いしたい のですけれども、どうでしょうか。どうぞ、小川委員。 ○小川委員  能力要件の表の方ですけれども、丸、二重丸、三角の、これをどういう意味で読みと るかによって違ってくると思います。私の考え方では第1号ジョブコーチのところはか なり二重丸が付いてしまうのですね。今回調査された内容ですと、兼務のジョブコーチ が非常に多くて、専任のジョブコーチがあれぐらい少ないと、実際にジョブコーチが担 当できる業務としては、今ここに書いてあることが適切だろうとも一方ではいえます。 ただ、実際にジョブコーチが成果を挙げるために必要な項目で丸を付けていったり、あ るいはジョブコーチネットワークの研修で必要であろうということで重視している項目 で見直していくと、現場の雇用管理に関する基礎知識を活用するスキル、現場の雇用管 理の状況をきちんと読みとるということは非常に必要になってまいります。それから、 制度活用に関しても、実際にその企業の人事担当の方と、この人に合った制度はどうい うことなのかということについて、直接説明しないまでも、やはり求められるスキルだ と思います。また、職場実習先の開拓に関するスキルですが、この辺はいいですかね。 マッチングに関するスキルは、是非二重丸、三重丸、やはり、ジョブコーチの一番大切 なところは、現場でのマッチングをつくるということだと思います。ということで、何 といいますか、第1号ジョブコーチとして理想的にやるべきものと、現実に業務として 多く担当しているものの差が、やはり出てきており、先ほど佐藤委員のおっしゃられて いることと同じようなことが、第1号ジョブコーチについてもいえるのではないかと思 います。ですから、これからカリキュラムを検討していく時のベースとして考える時に、 どういうふうにこの表を読みとって考えていったらいいのかということについて、もう 一息検討が必要かなと思いました。 ○座長  ありがとうございました。私もご指摘のとおりだと思います。就労支援員にしてもジ ョブコーチにしましても、今度は、ジョブコーチの質やレベルを階層としてどう考える かということに直接関わる問題かも知れませんね。他の方、これに関してどうでござい ましょうか。ご自由にお願いいたします。志賀委員どうぞ。 ○志賀委員  同じ話の連続になると思いますが、現在、就労移行支援事業所を運営している立場か らすると、私の方も資料を作らせていただいた1つとしては、基本的には第1号のジョブ コーチは、2号のジョブコーチの裏返しのような部分が、就労支援員の基本的な業務で あろうと考えます。ただ、就労移行支援事業所全体のインテークから長期的なフォロー アップまで流れにしていくと、そこの時間というのは非常に短くて、その間の職務はあ まり細かくは落とし込めないだろうというのが1つあります。何故そう言っているかと いうと、佐藤先生からもお話がありましたけれども、従来の旧法の授産施設でも就労支 援の担当者は1名配置されていたはずですが、実際には就労支援ができなかったという のは、まさに納期、品質、受注活動をしていたからであり、それを就労支援員がやった ら、結局前と同じことになってしまいます。やらねばならぬことは分かってはいるけれ ども、それについての指導・研修というのは、基本的には必要ないし、逆に、やっては いけないという言い方はいいかどうか分からないのですが、その辺は非常に否定的に見 ていかざるを得ないだろうと思っています。そのためにも、作業指導員もいますし、生 活支援については生活支援員も配置されているということです。  もう1つは、ジョブコーチであればスタートする前の段階のインテーク、この人の相 談を受けて、障害のある人の人生全般を見て、今就業生活というのにトライする可能性 があり、トライした方がよろしい、今のチャンスで是非頑張った方がよろしい、社会の ある程度プレッシャーのかかる環境に出た方がよいという、総合的な判断をする業務は、 これは障害者就業・生活支援センターの方に入っております。その辺の部分については、 就労移行支援事業所についても当然必要な大切な業務ではありますが、就労支援員は資 格要件が入らない部分での運営のやりやすさがありますし、かつサービス管理責任者と いう資格ができているわけです。全体の流れを通すのはサービス管理責任者と考えてい けば、就労移行支援事業所も障害者就業・生活支援センターに近いような形の全体の流 れはやるけれども、役割分担としてどこをやるかということで、1号ジョブコーチに近 い部分をやるということだと思います。そうやって考えてみると、この中では、障害者 就業・生活支援センターの就業支援担当者の業務というのは非常に膨大な業務で、専門 性が高いもので、これを運用していくというのは、かなりハードルが高い業務です。各 職業センターのカウンセラーの方がやられている業務だけではなくて、長期的な生活支 援までやっていくということで、非常に幅が広い業務です。その部分のどこを皆で分担 していくかというふうに逆に考えていくというのが分かりやすくていいのかなという気 もいたします。 ○座長  ありがとうございました。こういった議論を聴いていますと、今回の調査を踏まえま して、この資料というのは、一番ベースなところを全部洗いざらい出してくださった感 じがいたします。例えば就労支援員にしても、障害者就業・生活支援センターにしても、 1号ジョブコーチにしましても、今度はそれぞれの配属されている仕事の業務や位置づ けによって、この基本的なプログラムをもう少し色分けというか、位置づけというか、 濃淡をちゃんと決めていくということが1つ必要ではないかという議論と、それともう 1つ、1号ジョブコーチの場合ですと、質的な差異というものをもう少し考えていくこと が必要だという形のように、2つ議論の方向を進めていかなければならないという気が いたします。どうでございましょうか。他に何かご意見がございましたら、どうぞ。 ○岡野委員  私はどちらかというと1号ジョブコーチと関わりをもっている立場でお話をさせてい ただきますが、あるべき論としては、小川委員のおっしゃるとおりかと思いますけれど も、実態として、私はこの調査結果を見ていて、ああそうかなと思ったのですが、1号 法人で支援計画を策定する割合というのは、まだそれほど高くはない一方で、そういっ たスキルは十分におもちだとご回答になっています。実際に1号ジョブコーチの制度が 始まって間もないものですから、何ともいえませんが、まだ若い人たちがジョブコーチ に従事しています。一方で、ちょうど今日から総合センターで行うジョブコーチ養成研 修の地域研修が始まりまして、東京センターにおいても2名の方が講習を受けられまし た。何れもサービス管理責任者や施設長というお立場の人が1号ジョブコーチに名乗り を上げており、時代もだんだん変わってきたなと思っています。そういう中で、あるべ き論はともかくとして、実態としてはまだ若い人たちがこの仕事に携わっているという ことを考えますと、当面どこを目標にするのかというところも考えざるを得ないのかな と思います。将来としては、小川委員のおっしゃるとおりのところだと思いますけれど も、現実とのギャップを感じながらちょっと悩んで一言申し上げます。 ○座長  ありがとうございました。どうぞ。 ○佐藤委員  先ほど座長がおっしゃったことと同じことになりますが、この丸、二重丸、三角の区 別は、何れは研修カリキュラムを組む時の時間割の配分とか、そういうものに反映する ということを想定されているのだと思います。その際に、初めてこういう職務に就く人 を対象にして設定を考えるか、それとも、ある程度中堅クラスを考えるのか。例えば、 同じジョブコーチといっても、初めての人もいれば、相当経験を積んだ人もいるかも知 れません。どの辺のレベルを設定するかによって、この丸の付け方が少し違ってくるか も知れないという気がします。従いまして、一応基本的なパターンはあるとしても、そ の中でも例えば初任者に対しては、最低限ここは押さえましょうとか、もう少し経験を 積んだ人たちにはこの辺に重点を置いてやりましょうとかというように、いわば各段階 に応じた仕分けみたいなものも併せて考える必要があるのではないかという気がいたし ます。カリキュラムがこれ一本しかないということだと、多分対応しにくい、うまく実 状に合わないというケースも出てくると思うので、その辺は幾つかのパターンを想定し なくてはいけないのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでございましょうか。根岸委員、どうぞ。 ○根岸委員  私も佐藤委員と同じことをちょうど考えていましたが、前にレベル分けの研修も必要 というお話が出ていましたので、事業所別に分けてあるから、しっくりこなかったので す。やはり、事業所別に拘ることなく、佐藤委員がおっしゃったような形での整理も必 要かなと思います。それと、東京のハローワークでいいますと、障害者就業・生活支援 センターはまだ数が多くありません。東京の特徴としては、各区市町村に1つずつ就労 支援事業を立ち挙げているので、どちらかというと、各ハローワークの接触する就労支 援の人の人数としては、圧倒的にこちらの就労支援を担当されている方たちが多いので す。そうすると、その人たちの基礎力というものを上げていく必要度というのは結構高 いのかなというふうに思いました。 ○座長  ありがとうございました。他にどうですか。原委員、どうぞ。 ○原委員  多分、就労支援員が特別支援学校と大きく関わっていくことが多いと思うのですが、 調査結果を見ますと、ほとんど多くの方がOJTの中で実際に学んでいくというのが多く なっています。でも、実際には、先ほどから話題になっているように、日々の業務が多 くて、なかなか学ぶ機会がない。OJTを法人だけで行おうとすると、現状では難しいの だろうと思います。その中で、例えば、就業支援担当者でも1号ジョブコーチ、2号ジョ ブコーチでも、ハローワークもそうなのですが、一緒に同行する中でケースワークをし ていく。または、具体的なケースを担当する中で大きく学ぶチャンスもあると思います。 ですから、その辺をうまくキャリアアップをする研修や、それぞれの業務の中で同行し たり一緒にケースカンファレンスをするなど、実際にOJTの中で学べるような機会を就労 支援員の方にも、また特別支援学校の担当者の方にもあればよいと思います。そういう 機会を設けるために、1号・2号または就業支援担当者の方にはそうした人材育成も1つの 業務として位置づけるような方策も必要なのではないかと思います。現状では、外に出 て学ぶチャンスがないと思います。志賀委員のところは、非常にその辺がしっかりでき ていますので、学校関係者も多く学ぶチャンスがあると聞いていますので、そうした機 能があると個人の力量も上がるのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。山岡委員、どうぞ。 ○山岡委員  発達障害の団体から出ております。発達障害者支援センターはここの横軸に入れてい ただいていないのですが、ちょうど障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者と 近いところにあるとずっと見ておりました。やはり、この前もレベルや勤続年数の問題 も出ていたのですけれども、縦で研修ということもあると思うのですが、この資料2の 方でいくと、全てに共通する項目というのがあると思います。例えば発達障害者支援セ ンターだけの研修だと限られていて、いつも同じ中身になってしまうので、できれば共 通の研修、基礎研修みたいなものがあって、そしてレベル毎に分かれた研修ということ で、共通化できると、何か効果的なものとか、各地でできるとか、いろいろな相乗効果 が生まれるのではないかと思いました。 ○座長  ありがとうございました。他に皆さんどうでございましょうか。八木原委員、どうぞ。 ○八木原委員  私も今まで根岸委員や山岡委員が話されましたように、各センターの機能と、そこの 職員間のすきるは、私はそんなに変わりはないのだろうと思うのです。ということは、 まずはその基本的なところは、初級研修なりで、共通のものをやっていくということは 必要なのだろうと思っています。こうやって見ると、就労支援の分野で障害者就業・生 活支援センターの仕事がこんなにたくさんなのかと、我ながら驚きです。ただ、移行支 援事業の就労支援員さんたちも、やはりケアマネジメントをやらなければいけない、ア セスメントをしなければいけないというところが前提としてあるわけですから、この共 通項目というのは、絶対に必要で、ジョブコーチを含めてその研修は必要なのだろうと 思います。そして、その機関に応じて、その機関がその業務の内容だとか役割というも のがどこに位置づけられているかによって、また違った研修を組み立てていくという、 二重構造が必要なのだろうと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にご意見等いかがですか。志賀委員どうぞ。 ○志賀委員  この表を見ていて、何となく思いついたことがございまして、1つは、私たちの施設 で考えてみると、就労支援員は、最初に研修は受けておりますけれども、活動はしてい ませんから、ジョブコーチ等の仕事に新卒の職員が就くということはまずないわけです。 最初は、やはりいわゆる作業指導員であり、障害のある人と一緒にある一定の時間長く 過ごして、実感として大学で勉強したこと、あるいはいろんなところで勉強したことを 体験し、なおかつ先輩や研修を受けて学びます。実際の仕事はその後のスタートで、多 分ジョブコーチの研修も就労支援員の研修もそういう流れになるのだと思います。その 後は、例えばジョブコーチの場合は、スーパージョブコーチなのか、専門のジョブコー チなのか、やはりもう少しアセスメントなどもできる能力をもった、なおかつ長期的な 支えができるようになって欲しいと思います。当然そうなってくると、障害者就業・生 活支援センターの就業支援担当者、就労移行支援事業所でいえば、いわゆるサービス管 理責任者のような、もう少しレベルの高いものというような、今のレベルの問題でいく と、当然そのような流れになっていくのだと思います。是非考えていただきたいのは、 こうした研修をつくる際に、当然その中で働く職員としては、自分のキャリアアップで あり、当然その中で自分の生活もかかってきているわけです。それで、これを運営して いるところは、約8割が社会福祉法人やNPO法人であったり、医療法人であったりするわ けで、その中で1つの法人でキャリアアップを図る際に、こういうふうな流れができ、 専門性をもっていけるというような流れに、うまくできるような気がしてきました。も う1つは、やはり小さな法人も多いので、法人内だけではなくて、地域単位で、あるい はもう少し広域の地域単位で、法人の間の異動等、引き抜きになるのかも知れませんが、 そういうキャリアを求めて、能力のある人が新しい別の場所で、例えばここで書いてあ る1号ジョブコーチの役割からもう少しアセスメントとかその辺までできるような役割 にステップアップできるとか、そういった流れが、法人内や地域内で少し見えるような ものができるかも知れない。実際に運営はそんなに簡単ではないと思いますが、そうい うモデルができればなと思っております。 ○座長  他にどうでしょうか。どうぞ。 ○湯田委員  私は企業なので、2号ジョブコーチの方を見ておりますと、半分ぐらいは特例子会社 の方がいらっしゃりますが、やはり企業の場合、異動が非常に多くて、異動することに よって昇格するという人事のケースが多いのでそうなります。特例子会社の場合は、こ こに書いていただいている能力というのは、ある程度ジョブコーチの資格をもっていな くても、大体の者ができるように自然になっていくと思うのです。当社も5年、6年にな りまして、大体ジョブコーチは取っておりますけれども、他の者もできるようになりま す。例えば、採用でもそうです。ジョブコーチでなくても、人事担当がやるとなってい ます。企業の場合、ジョブコーチがどこに所属しているかということがあると思うので すが、多分1人で全部やるというのは、非常に難しいと思います。その辺のところで、 能力の要件という部分をどの辺の視点に置いてやるかというところですね。やはり、そ の助成金の要件でやるとなると、大企業の場合は非常にやり難い部分も出てくると思い ますので、2号の場合には、違った視点で考えなければいけないのではないかと思いま した。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでございましょうか。 ○小川委員  今回いろいろ整理していただいた資料は非常に分析的で、大変参考になるのですが、 もしかしたら、私の発言は先走り過ぎなのかも知れませんが、これをベースにカリキュ ラム等を考えていくということを頭に入れての見方ですが、ジョブコーチネットワーク で行ってきた研修でのウエイトの付け方ですけれども、やはり福祉施設等の職員がかな り対象に含まれると思いますので、福祉施設で働いていたら見えないところを、かなり ウエイトを置くことが大切になってくるのだと思います。業務量としてどうかとか、そ れも重要なのですが、ここについては非常に弱いだろうというところを押さえていくこ とになると思います。初任者について、若くて経験が少ないうちに、見えていない部分 についてしっかり見てもらって、その全体像について押さえてもらうことと、自分が一 体どこが欠けていて、どこについて変えていかなければならないかというところを認識 していただくということが、実際に研修期間というのは非常に短い時間の中で、かなり 集中的に気づきをしてもらわなければなりません。ですから、実際に研修のカリキュラ ムを作っていく段階になってくると、分析的な必要性以外に、どこをまず押さえて、発 想の転換であるとか、意識の改革であるとかをしていくかということを狙って行く必要 があると思います。そういった少し別の視点でのカリキュラムの検討というのも必要か なと思います。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでございましょうか。よろしいですか。  皆さんのご意見を伺っていて、確かに私も、今小川委員がおっしゃるように、非常に 分析的にしてくださって、具体的なカリキュラムのイメージが作りやすいのですが、議 論をもう少し丁寧にした方がいいと思うのは、ここにある就労支援員と、それから就業 支援担当者、ジョブコーチですね。2号ジョブコーチは湯田委員がおっしゃったように、 少し状況が違うかも知れません。残りの3つに関しては、考えてみれば、福祉系の関係 したところなのですね。なおかつ、ジョブコーチにしても、いわゆるグレードがある。 かつ就労支援員につきましては、実はあまり経験がない人たちが多い。また、サービス 管理責任者との関係がある。多分、就業支援担当者はこの図を見た限りでは、一番たく さんの能力要件が要求されています。ここにある4つの領域のうちの左側の3つですね。 就労支援員、就業支援担当者、1号ジョブコーチ、これらが全体の中のカリキュラムの 中身から見た時の階層性というのができるのではないかという気がします。どう思いま すか。  例えば、おそらく、1号ジョブコーチのより高等な、いわゆるハイレベルな1号ジョブ コーチというのは、項目の中身からすると、就労支援担当者です。かなり同じようなカ リキュラムを作らなければいけないような気がしますし、一方、この就労支援担当者の カリキュラムの中身を見ていますと、生活する部分に関しては抜いて、おそらく職業カ ウンセラーのカリキュラムとレベルを合わせなければならないような気がします。一方、 例えば、就労支援担当者というのは、ジョブコーチ部分については1号ジョブコーチの 要求される水準まではいかないかも知れません。そう考えていきますと、先ほど何人か の委員がおっしゃったように、いわゆる専門の領域を超えた格好で、多分幾つか横軸で カリキュラムの中で階層化ができるかも知れないということが、皆さんの意見ではない かと思うのですね。一方、最後に小川先生がおっしゃったように、これは具体的なプロ グラムの作り方ですよね。カリキュラムの中身としてどんな事が必要かということをや った後で、どういう順番で提示させていくかということが多分次のステップの議論にな るような気がいたします。どうでございましょうか。もう少しここでまとめておきたい という意見がございましたら、どうぞ。  これを踏まえて、職業センターのカウンセラーのカリキュラムに関して、岡野委員何 かございませんか。これに比べて、どういうレベルになりますか。今いったようなこと で、就労支援担当者のレベルと噛み合うのかどうか。あるいは、先ほど小川委員がおっ しゃるように、1号ジョブコーチのもう少し幅広いより、いわゆるエンプロイメント・ スペシャリスト的な、より専門的な話のレベルになってしまうと、職業カウンセラー的 な形にもっと近づくのかどうか。その辺を含めてどうでしょうか。 ○岡野委員  職業カウンセラーの場合は職業リハビリテーション計画を策定するというところが大 きな仕事になります。中核的なところですので、少し異なるところがあると思っていま す。また、もう1つは、事業所に対する個別指導だけではなくて、全体的な雇用管理に 関する対応も出てきますので、もう少し包括的なレベルにあると考えています。 ○座長  1号ジョブコーチのもう少し広い範囲というのは、どの辺りを想定すればよろしいの でしょうか。 ○小川委員  私は協力機関型ジョブコーチから第1号職場適応援助者に変わった段階で、ジョブコ ーチの役割と、職務の範囲が随分変わったと思っています。ただ、実態としては、この 調査でも、兼務が非常に多いなど現れているとおりですけれども、事業設計としては、 第1号職場適応援助者に変わったことによって、地域の福祉施設等が実際に利用者の就 職したいという、かなり具体的に求職活動を行う段階になった、利用者のアセスメント からその人に合った職場をハローワークさんと連携して、実際に見つける作業から、そ れから事業所にジョブコーチを説明する作業から、そこまでやっていくことが必要な段 階に、私は入っていると思っています。協力機関型ジョブコーチの場合には、そうでは ありませんでした。実態は実態としても、基本的にそういう職務範囲で第1号職場適応 援助者を考えて、そして、研修も行っていく。そうすると、障害者就業・生活支援セン ターや就労移行支援事業で必要とされている内容と、かなり似ていて、ただ、オンザジ ョブの職場で行う部分の要件がかなり広くなっているというふうに考えています。 ○座長  ありがとうございました。あと、志賀委員にもう一度確認したいのですが、いわゆる 就労支援員の位置づけですが、サービス管理責任者の研修がありますね。その2つの関 連性というのは、どういう格好で捉えていけばいいのか。そういったサービス管理責任 者の下での就労支援員の研修といった時には、研修の中身をどこまで変えていけばいい のか。そこが見えないのですけれど、コメントいただけると有り難いのですけど。 ○志賀委員  就労支援員の立場から考えてみた場合には、施設の中では当然上下の関係、どういう 形にするか一概にいえませんけれども、一般的にはサービス管理責任者が実質的な施設 の運営全体のサービスの管理をするということです。管理者はもちろん管理職として職 員等の労務管理をするという位置づけでしょうが、今の仕組みではサービス管理責任者 が施設の中のサービス全体を統括するとなっています。職業リハビリテーション計画と 個別支援計画の違いというのは一体何だろうと思ったのですけれども、例えば、個別支 援計画を作るというのはまさにサービス管理責任者の仕事であり、インテークをして、 施設に合うかどうか、当然そういった中で就労移行支援事業所の中でも、必ずしも終わ りが職場の中での直接的な就労の支援をするという形で終わらない方たちの個別支援計 画を立てるわけです。ですから、非常に幅広い専門性が持たされているのが、サービス 管理責任者です。そういった面では、就労支援員はどちらかというと、ある程度就労を 目指した人に対して、現場に近いところで、職場に近いところで動くということで、も し、障害者就業・生活支援センターで第1号ジョブコーチを抱えていて、障害者就業・ 生活支援センターの中で全体のコーディネートができる人がいたとしたならば、福祉の 世界に3年目、4年目に入ってきた若い人が現場で動きながら、というイメージです。施 設の中でも、就労移行支援事業所の中でも、そういう形ができるのが一番、ある程度は 理想的かなとは思います。ただ、問題は、就労移行支援事業所等、逆に障害者就業・生 活支援センター、あるいはそういう就労支援機関との違いの問題は、やはりどうしても ありまして、障害者就業・生活支援センターは地域としてのサービスの全体を動かすと いうふうに考えているところがありますが、就労移行支援事業所はそういった考えを持 ちたくても基本的にはお客さんが来ないと仕事にならないということがあるので、どう しても事業所としてのエゴの部分もある程度出さざるを得ないということがあります。 地域全体の利益と、自分たちの事業所の経営の成り立ちというバランスをとらなければ いけないというのが、サービス管理責任者にはある。そういう面では、地域全体の問題 ではなくて、事業所のいわゆる請求業務をしながら人件費を割り算してというような、 そういう業務まである程度やっていかなければならないというのが、本当の意味の地域 就労支援の核になるサービス管理責任者ではないのかなと思っています。 ○座長  ありがとうございました。もう少しこの辺りに関して確認しておきたいということや、 ご意見等ございましたら、どうでございましょうか。小川委員どうぞ。 ○小川委員  この検討をしながら、私は特に就労移行支援事業で志賀さんが言ったサービス管理責 任者と就労支援員の違いを、どのように切り分けていったらいいのかなと思いました。 いわゆる福祉の業界での責任者の研修と、就労支援員に求めるものの研修は、どう違え ばいいのかについて、今の志賀委員の説明で非常に整理をされました。この委員会でど こに焦点を当てていけばいいのかというのは、少なくとも就労移行支援事業に関しては 大変よく整理されたと思います。 ○座長  他にご意見等ございましたらどうぞ。さて、まだこの議論は継続ということになりま すが、最後に、もう少し研修体制の在り方につきまして進めていきたいのですが、事務 局の方から説明がありましたらお願いいたします。 ○事務局  お手元の資料3に、人材育成のあり方に関する研究会、今後の進め方案ということで、 一応お出しさせていただいておりますので、それをご覧いただければと思います。今日 は第3回ということで、アンケート調査結果報告と就労支援機関の役割に応じた必要能 力要件等ということで、プロセス、職務、あるいはスキル、知識ということをご提案さ せていただきました。今日はいろいろと貴重なご意見、ご示唆等をいただきましたので、 それを踏まえてまた事務局あるいは作業部会の委員にお願いをして、作業を進めていき たいと思います。今後としましては、あと4回ぐらいを考えておりまして、11月頃に、 今まさに小川委員と志賀委員のやりとりもございましたけれども、就労支援員にスポッ トを当てて、その育成の在り方あるいは研修体系、研修内容について、レベル設定をど うするかも含めて、ご議論していただければと思っています。12月頃には、就業・生活 支援センターの就業支援担当者、ジョブコーチについて、また議論を深めていければい いと思っております。 ○座長  次回からいろいろ具体的な研修体制も入ってくるのですね。ですから、今回もう少し 丁寧に、どちらかというと、研修全体の体制の在り方について詰めておくことが必要だ と思います。次回からは、就労支援員についてになります。ただ、今、事務局から全体 の日程をお話ししていただきましたのは、議論の途中で、この就労支援員、就業支援担 当者、ジョブコーチの職種を越えて共通した部分があるということが指摘されてきまし た。そうしたことを踏まえた上で、どういった形で全体の研修体制を作っていくか、そ こについて皆さんのご意見を集めた方がよろしいかと思いますので、これに関して皆さ んのご自由なご意見をお願いいたします。  先ほども言いましたように、1号ジョブコーチにしてもレベルを変えないといけない、 就労支援員についても、サービス管理責任者との間の違いを明確にしていくこと、それ から、就業支援担当者、障害者就業・生活支援センターにしましても、職業センターと の間で少しずつ違ってきています。また、原委員の方からもありましたけれども、1号 ジョブコーチ、2号ジョブコーチを含めた具体的なこと、例えば一緒に研修をやるとか、 そういったことも含めて、研修の在り方、プログラムの進め方につきまして、皆さんの ご自由なご意見を賜りたいと思います。どうでございましょうか。どうぞ、志賀委員。 ○志賀委員  11月に就労支援員の育成の在り方が先になっていますが、逆にして欲しいという思い があります。  現在、私どもの地域のネットワークの中で、どうやって就労支援員や就労支援の関係 者、ハローワークも含めて連携を取りながら、レベルアップをしていくかということで、 川崎市ではワーク・モチベーション研修といって、仕事にモチベーションを持ちましょ うという研修をやっています。その中で、講師を呼んで来ての研修は継続的にやってい るのですが、今回やったうちの1つで演習でやったものを紹介いたします。  私たちの自治体では、障害者就業・生活支援センターではなくて、県単独の就労支援 センターがある。障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者のように非常に包括 的な仕事をしており、就労の実績もあり、定着支援の数も非常に多くて、ネットワーク も持っております。普段定期的に訪問する企業数も非常に多く、企業と近い仕事をして いる方が、先生役として、演習をやりました。すごく素朴なのですが、ある方を想定し た際に、企業にプロフィールをどういうふうに紹介するのか。履歴書を本人に書いても らいますが、支援機関もその人はどういった特徴をもっていて、こういった人ですと紹 介します。もちろん、本人にもその障害についてはちゃんと理解をしてもらう。事業所 にも分かりやすく、そして、プライバシーにも配慮をする。となると、どういうものを 書くか。それだけの研修をやったわけなのです。  やはり、そういうのが非常に大切です。実は、何故そういうことをやったかというと、 これまでは、就労移行支援事業所、授産施設、作業所から就労支援機関が企業とのアポ イントメントを取って、ハローワーク等と連携を取って、実習が始まる時は、全部就労 支援機関がそのプロフィールを書いていたのです。事業所がそういうのを書くという経 験がほとんどなくて、それはまずいだろうとなりました。事業所では個別支援計画を立 てて運営もしているわけですから、少なくともそれぐらいは就労移行支援事業所、ある いは継続支援事業所等では当然できなくてはいけないだろうということで、初めてやり 始めたことなのです。  先ほどの話では、事業所の中でのサービス管理責任者があり、その中での就労支援員 の役割というのは、将来的には就労移行支援事業所の正しいやり方だと思いますが、現 段階では、多くの就労移行支援事業所では全くできていない。となると、やはり地域の 中で、先発隊で進んでいるのは、障害者就業・生活支援センターであり、地域の就労支 援センタ0―で、なおかつ最近ぽっとできたのではなくて、十分に実績があり、地域の 中で機能しているところです。そういうところが、先生役としては非常に有り難い。こ こに、たたき台で出ているだけでも、これだけ本当にできれば、機能していれば、全く 問題がない。この中で、就労移行支援事業所がどうやってくっついていくか。ジョブコ ーチはその中でどのような役割をやっていけるか。そういう面では、必ずしもどこの地 域でも、いわゆる先生役、モデル的なものがあるわけではありません。その代わりの部 分を自治体によって差はあると思いますけれども、職業センターがそういった面の役割 とすると少し違うイメージがあります。その辺の実態を考えると、就労支援員の問題を 考えていただく以前に、包括的な面での就労支援機関として就業・生活支援センターの 職務をどう考えるか、それと職業センターの役割をどうするのかとか、ジョブコーチの 問題をどうするのかだと思います。今、研修プログラムは実態としてありますので、こ ちらの方を考えていただいて、そちらの中から、ではどの辺のところを今後就労支援員 の方に期待していくのかという方を考えて行く方が有り難いかなと思います。 ○座長  ありがとうございました。ただ、もう1つ、先ほどの志賀委員からのいろいろな議論 を聴いていて、業務が非常に立て込んでいて、研修を受ける機会がない。逆にいうと、 就労支援に関する研修の在り方というのに、どうすればいいんだろう。報告書としては、 業務の在り方に対してや研修を出させるように仕向ける体制づくりとか、そういったと ころまで触れるのでしょうか。そこは難しいですか。どうですかね。 ○志賀委員  まだ実態調査の結果自体が途中経過なので、何とも言えませんが、ぱっと見せていた だいた中では、実数としては就職実績が平均2.何人とありますけれども、実態としては、 全アンケートの回答600件の中で、複数人就職をさせていて、なおかつ継続的に、この 就労者は出て来そうだというところは、私が見たところ、20数件ぐらいしかございませ ん。つまり、1,200件ある事業所のうちの20数件だと、5%もありません。その中で、検 討するというのは、あまりにも早すぎる。どこを対象とするのか、5%からあと10%やる 気のある所を対象にした場合は、あとの85%はどうするのかという問題も出てきます。 その辺はまだ難しいと思います。 ○座長  分かりました。例えば、湯田さんのところの2号ジョブコーチさんの場合ですと、積 極的に研修を受けるというのは、企業内の体制として大丈夫なのでしょうか。どのよう に捉えればいいですか。 ○湯田委員  これは企業のトップの旗振りで、相当違うと思います。企業によっては、全子会社を 含めてやるぞとして、どんどん出している企業もあります。特例子会社の場合は、1つ のスキルということで、全員に、助成金が出るかどうかは別にして、いわゆるスキルア ップのための方法として受講する場合があると思います。しかし、全般的にみますと、 全体の社員の中では一握りである障害者の支援のために研修に出るというのは、なかな か難しいのではないかと思います。  同時に、企業側からしますと、就労させる前のところがわからないところです。多摩 地区で90社ぐらいのアンケートを取りましたら、ともかくマッチングがあればすぐ採る という企業は半分以上ありました。では、マッチングさせるのは誰だということになる と、企業内の状況が分かるのはハローワークさんですから、そこと1号などが連携して、 支援をすれば、相当いけるのではないかと思います。逆に言いますと、企業はそういう ところが分からないということだと思います。どういうふうにして仕事を創出していい か分からないということです。それから、制度、社会資源について知らないことがあり ますかと質問したところ、90社のうちほとんどが制度と社会資源については知らないと いう結果でした。それで、今回、職業センターの多摩支所さんをお招きしまして、説明 をいたしますけれども、そういう基本的なものも企業は知らないということです。この 辺をどうやって進めるかによっても、大分変わってくるのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。もう1つ質問ですが、企業の中でいきますと、いわゆる相 談員の研修がありますね。その相談員というものと2号ジョブコーチというのは、企業 の中では、どういう格好で研修や育成、あるいは、その考え方を整理していらっしゃる のでしょうか。 ○湯田委員  これは私見になりますけれども、やはり5人以上で1人登録しなければいけないという ことがございますので、そのために、研修を受けてもらうというか、養成研修を受けて もらうということはあると思うのですが、当社の場合は、それだからどうだということ は実はありません。ですから、それを持っていても、ほとんど活用する場面がありませ ん。そういうものに代わるようなもととして、就労支援会議がありますがそれは、相談 員研修を受けた、受けていないに拘わらずに、チームリーダーなど、そういう人が出て いますので、その資格があるからどうだというのは、私のところではありません。 ○座長  企業内の就労に関わる人材というのは、研修でいくつかあるのですけれども、あまり 関わりがないということだそうでございます。他の委員の方はどうでございますか。 ○小川委員  先ほどの今後の進め方についてですが、就労支援員の研修、人材養成の在り方につい ては、新たに考えないといけない課題だと思いますので、それをやることと、それから、 今ある就業・生活支援センターや第1号、第2号のジョブコーチの養成について、もう1 回検討するということも、この委員会でやらなければならないことだと思います。それ については、先ほどおっしゃられたような枠組みで進めていくことが必要だと思うので すが、せっかく今日のところまでの議論の中で、専門性をいろいろ分析してみると、横 断的な部分があると思います。原委員は遠慮されて、学校の先生のことは出してきませ んけれども、おそらく進路指導の先生にも共通する部分があるだろうと思います。初め て就労の人材の問題について、真面目にいろいろと分析してみたら、横断的な部分が多 いということが随分確認できたと思います。もし、機会を設けられるのであれば、横断 的な見方と、それから、そのレベルと人材について少しでも深められる機会があればい いなと、期待をしております。 ○座長  ありがとうございます。私も全く同感でございます。せっかくの機会ですので、今日 の議論、それから、事務局は調査も含めまして非常に丁寧に、プロセスの中身や要求す る能力要件など、丁寧に書いていらっしゃいますから、余計に施設を越えた横断的な人 材の在り方、おそらくヒエラルキー的なものもあるかも知れません。それがイメージと して涌いてきたような気がします。できることなら、そのようなところを少しまとめた 形で今後議論を進めていけばいいかと思います。他の委員でいかがですか。どうぞ。 ○根岸委員  その横断的な基礎研修みたいなものですが、研修に出にくいという調査結果がありま す。第2号ジョブコーチは「仕事を通じて」の他に、研修でいろいろな知識を得ていま すが、他は「仕事を通じて」習得したというのが圧倒的に多いとあります。ですから、 どのぐらいの期間であれば研修に出せるのかということも考えていかないと、結局人を 出せないとなると、研修を作っても意味がなくなってしまうと思いました。 ○座長  具体的なカリキュラムの日程作りですね。シラバス作りを含めて、本格的にモデルプ ログラムといった時には、そこも含めて考慮することが必要かも知れませんね。他にご 意見いかがですか。いよいよ本格的にプログラム作りに入っていきますから、その前に ご意見がありましたらお願いします。八木原委員、どうぞ。 ○八木原委員  就業支援担当者、このBのところです。就業・生活支援センターの仕事が非常に多い ですね。この多さというのは何故なのかということを考えていたのです。私のところに も1号ジョブコーチがおります。おりますが、複数でないと、自分のところで支援計画 を策定して、主体的に関わるというのは難しいのですね。職業センターのカウンセラー さんとのペアで動いていくという形になるのです。その場合、第1号ジョブコーチに与 えられた仕事内容というのは、職場適応援助者なので、そこに行っての仕事になります。 だけれども、そこに至るまでのいろいろな電話連絡など現場に行くまでの前後の仕事と いうのは、結構あるのですが、それは業務としてカウントされません。そういった本当 の仕事がカウントされないのであれば、そこも考える必要があるのではないかと思いま す。私たちは、ジョブコーチの仕事を把握して、つまりもっと広域なジョブコーチとし て考えて、それを職員のスキルとしてたたき込んだ方がやりやすいと思って、担当者に 仕事を振ってきたという経緯があります。ですので、ジョブコーチを考える時には、使 いやすいものにしていくということも1つはあるのではないかと思います。 ○座長  使いやすいというのは、仕事の中身を精選しろということですか。 ○八木原委員  仕事の中身というか、職場適応援助者ということになっていますから、仕事が限定さ れているわけです。職場に行くだけではなくて、職場に行くまでの打ち合わせだとか、 あるいは行った後の反省会だとか、そういったものはなされないことになっています。 ○座長  なるほど。そういったものも業務の範疇として明確にして、それに対する裏付けを付 けて欲しい。お金を含めてということですね。よく分かります。佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  誤解があってはいけないと思いますので、先ほどの自分の発言に一言付け加えます。 先ほど就労支援の実際の仕事が、作業指導や現場の仕事が中心になってしまっているの ではないかということを申し上げましたけれども、だから、研修の内容もそれに合わせ るという意味ではありません。むしろ何故そうなっているかということを考えますと、 もちろん仕事の忙しさもあると思いますけれども、やはり、この資料2の方でいけば、 利用開始に当たってのアセスメントの知識とか、あるいは就職に向けた準備に関する知 識とか、そういう担当者として必要なことについての十分な知識がまだ伝授されていな いということもあるかも知れません。ですから、就労支援員の仕事が本来どうあるべき かということから、カリキュラムの内容、体系を考えていただければいいのではないか と思いますので、一言補足させていただきます。 ○座長  ありがとうございます。私も多分にそういう面を考えていまして、先ほど障害者職業 カウンセラーのカリキュラムを確認したのは、例えば、資料2でも現場のノウハウやス キルとか、実際的なスキルが中心になっています。でも、例えば、就労支援に関する基 本的な知識といった場合には、そういった現場のスキルをさらに動かしていく見方、考 え方、理念などを座学でやらざるを得ないところがあります。多分、カリキュラム全体 を考えた時には、その辺りを基本として考えることが必要ではないかという感じがしま した。職業カウンセラーのカリキュラムをお聞きしたのはまさにそこのところです。  他にご意見等ございましたらお願いします。さて、ないようでしたら、そろそろ時間 になりましたので終わりたいと思います。次回の会議につきましても公開でいきたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。また、今回の議事録についても公開して差 し支えないと思いますので、皆さんご了解よろしくお願いいたします。  それでは、次回以降の日程につきまして、事務局の方からご説明よろしくお願いいた します。 ○事務局  資料3をご覧下さい。今日、各委員からいろんな貴重なご意見やご示唆をいただきま したので、第4回は11月に、議論の中身が今日のアンケート調査結果も若干分析が不足 しているところもございますし、レベル、階層をどうしていくか、見直した時どういう 検討材料があるのか。それから、志賀委員がおっしゃっられていましたけれども、就労 支援員の育成の在り方研修体系というよりも、まず就業支援担当やジョブコーチの議論 をもう一度深めて、就労支援員については、もう少し時間をかけてやっていこうと考え ております。次回の正式な議論の中身については、また近々にご相談をさせていただけ ればと思います。  恐縮ですが、この場で日程調整をさせていただきたいと思います。11月と12月に1回 ずつ研究会を開催したいと思っておりまして、事前にスケジュールを頂戴しているとこ ろによりますと、11月は17日、月曜日ですが、時間が18時から20時ということで、いつ も時間外で恐縮ですが、お願いできればと思います。  それから、皆さんお忙しいでしょうから、12月についても調整させていただきたいと 思いまして、12月15日、月曜日、こちらも夜になってしまいますけれども、18時から20 時の時間帯はいかがでしょうか。 ○座長  それでは、次回は11月17日の月曜日の午後6時からということで、第4回を予定したい と思います。どうもお忙しい中、長い間ありがとうございました。これで終了いたしま す。 【照会先】   厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室   電話:03−5253−1111(内線5854)