08/10/03 第4回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会議事録 第4回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会 日時 平成20年10月3日(金) 10:00〜 場所 厚生労働省18階共用第9会議室 ○石井専門官 定刻になりましたので、ただいまより第4回「労働安全衛生法にお ける特殊健康診断等に関する検討会」を開催させていただきます。本日は、お忙し い中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。柳澤委員からは欠席の ご連絡を、大前委員から今日、急用のためご欠席というご連絡をいただきました。 ただいま土屋委員からもご連絡をいただき、30分ほど遅れていらっしゃるという ことです。本日の進行について、座長の櫻井先生にお願いしたいと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○石井専門官 お手元の資料の確認をさせていただきます。前回の資料と同じです が、第4回の議事次第に続きまして、座席表、資料1として「労働安全衛生法にお ける特殊健康診断の見直しについて」、これはまた本日メインにお使いいただく資 料です。資料2として「特殊健康診断の健診項目に関する調査研究委員会報告書」 を付けております。 ○櫻井座長 揃っていると思いますので、議事に入ります。議事の1、「労働安全 衛生法における特殊健康診断等の健診項目について」です。事務局から説明をお願 いいたします。 ○石井専門官 資料1「労働安全衛生法における特殊健康診断の見直しについて」 に基づいて、説明申し上げます。この資料については、前回、第3回の検討会まで のご議論を踏まえて修正を行ったもので、本日はこの資料に基づいて引き続きご議 論をいただきたいと考えております。まず初めに、前回のご議論を踏まえて修正及 び確認を行った点について、本日、再度ご議論をいただいて、その後、再度、第2 回、第3回でご議論いただいた全体を通じて、またご議論をすべき点等がありまし たらご意見をいただきたいと考えております。  最初に、前回の議論を踏まえて修正を行った点について、簡単に説明をさせてい ただきます。資料1の5頁にメタノールの項目があります。メタノールの項目につ いて、前回、眼科的検査について、いろいろなご意見をいただきました。その結果 として、見直し案の検査項目の右側のいちばん下の3)で「眼科的検査」に注が付 いております。いちばん下の注の検査内容として、視力検査、中心暗点、視野狭窄 等の検査ということで、視力検査はいちばん基礎になる検査であるということで、 視力検査についても入れてはどうかということで、注の部分の修正を行っておりま す。  6頁の酢酸メチルについても、同様に「視力検査」を注の本文の中に追加させて いただいております。  8頁の1、ブタノールの「聴力検査」について、前回ご議論をいただきました。 平成16年度の報告書にあった元の文献も櫻井先生にお示しいただいてご議論いた だいた結果、現時点で聴力検査を入れるのは尚早ではないかということで、今回の 資料では聴力検査を省いた内容に修正を行っております。  12頁の3、四アルキル鉛です。四アルキル鉛の規則について、前回の検討会にお いて鉛則と並びをとるべきではないかというご意見を頂戴しましたので、見直し案 の右側にあるように、1番目に「業務の経歴の調査」、2番目に「作業条件の簡易 な調査」、3番目・4番目が主な修正点ですが、3番目に「既往歴の調査」として、 そのあとに以下の自覚症状を記載、4番目として「四アルキル鉛による自他覚症状 と通常認められる症状の有無」というところに修正をしております。それから、 「血圧の測定」「血色素量又は全血比重の検査」「好塩基点赤血球数又は尿中のコ プロポルフィリンの検査」については削除して、右側の項目の5番・6番、「血液 中の鉛の量の検査」「尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査」ということで、 こちらについても鉛則と同様に見直すべきではないかというご意見をいただきまし たので、このように修正をさせていただきました。  13頁の4-01、ベンジジン及びその塩です。この項目について、尿路腫瘍の検査 について前回ご議論をいただいて、右側の見直し案の3)、4)にありますが、他 覚症状、自覚症状について、(頻尿・排尿痛等)という膀胱刺激症状は、膀胱炎に 主に見られるものであるというご意見をいただきましたので、主に膀胱腫瘍等のと きに見られる(血尿等)と修正をさせていただいております。右側の見直し案の 5)ですが、「尿沈渣の検鏡」となっていたところを、尿潜血検査を必ず行うとい う趣旨から、「尿潜血検査及び尿沈渣検鏡」。それから、医師が必要と認める場合 の検査の書き方ですが、「尿沈渣のパパニコラ法による細胞診及び尿中腫瘍マーカ ー又は超音波の検査」というように、表現の修正を行って、必要と認めた場合は尿 の細胞診を必ず行うということに書き方を明確化させていただきました。  17頁の4-21、オルト-フタロジニトリルです。これについては、前回、二次健診 の項目の4)ですが、現行項目では「胃腸症状がある場合で、医師が必要と認める ときは、肝機能検査又は尿中のフタル酸の量の測定」という記載がありますが、こ の「胃腸症状がある場合で」というところを削除すべきではないかというご意見を いただきましたので、右側の見直し案で「胃腸症状がある場合で」という部分につ いて削除をしております。  18頁の4-22、カドミウム及びその化合物です。これについては前回少しご議論 いただいてきたところですが、見直し案において一次健診の項目に「血液中のカド ミウムの量の測定」を入れるということと、二次健診について、ここにありますよ うに「胸部エックス線の直接撮影又はヘリカルCT検査」「喀痰の細胞診」「尿中 のβ2-ミクログロブリン、α1-ミクログロブリン、又はNAGの量の検査」というこ とで修正をしております。  20頁で、MBOCAについても生物学的モニタリングという観点から、見直し案の一 次健診の6)、「尿中の3,3′-ジクロロ-4,4′-ジアミノジフェニルメタンの量の 測定」を加えるということを前回の検討会でご議論をいただき、これは入れるべき だというご意見を頂戴しましたので、これを採用するということで前回ご議論をい ただいております。  22頁のトリレンジイソシアネートです。こちらは、見直し案の所で一次健診の 6)に「努力性の肺活量検査」を入れることと、二次健診の肺機能検査の所は「そ の他の肺機能検査」とするべきであるというご意見をいただきましたので、そのよ うに修正をさせていただいております。  26頁の4-39のベンゼンの所です。ベンゼンの所については、血液系の検査の所、 見直し案の6)、7)のように、「白血球数の検査及び白血球の末梢血液像の検 査」「血小板数の検査」を加えるべきというご意見をいただきましたので、そのよ うに修正をさせていただき、これを採用したいと考えております。  最後に、29頁のメチレンジフェニルイソシアネートです。こちらも先ほどのTDI 項目と同様の修正を行うべきということでご意見をいただきましたので、TDIの項 目に倣った見直し案になっております。以上の項目について、前回の検討会におい てご議論いただいたところですが、何分項目が多いということで、だいぶ駆け足で やっていただいた部分が多くありますので、また本日お気付きの点等ありましたら ご意見をいただき、ご議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○櫻井座長 いまご指摘のあった部分、順次ご意見をいただいたほうがいいと思い ます。石井さんのほうから、順次、頁を指定していただけますか。 ○石井専門官 最初に5頁・6頁のメタノール、酢酸メチルの所ですが、眼科的検 査の内容について、また何かありましたらご意見をいただければと思います。 ○櫻井座長 2頁の右下の有機則全体の記載については、まだ修正が入っていませ ん。「視力検査、中心暗点、視野狭窄等」というように修正が。それと7)の「聴 力検査」は、もう要らないですね。 ○石井専門官 そうですね。 ○和田委員 視神経萎縮したときには視野の眼底検査でも所見がみられますので眼 底をやらなくてもいいですかね。 ○櫻井座長 眼科的検査の中で。 ○和田委員 眼底まで入れると大変ですか。 ○櫻井座長 やりますね。入れておきましょうか。たぶん眼科医は当然やります。 ただ、先に視野狭窄等を調べて、何かあればというステップを置くかどうかですね。 ○和田委員 視神経の萎縮がくれば乳頭の蒼白がくると思う。症状が出る前にそう いうのがくる可能性もある。 ○櫻井座長 見ますね。必須ですね。例示として入れたほうがよろしいでしょうか。 ○和田委員 視野狭窄の最後に「視野・眼底検査等」。 ○櫻井座長 次にまいりましょう。 ○石井専門官 先ほど説明から漏れたのですが、7頁のスチレンの所の眼科的検査 の所で、前回、事務局のほうで明確に確認しなかったものですから、いま「色覚検 査(CCI)等」と記載しているのです。これについてもこれでよろしいかどうか、 ちょっとご意見をいただければと思います。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。 ○山田委員 メーカーに聞いてみたら、これそのものは、いまはあまりないと言う のです。いま売っていないと。それで、もっとグラフィックに使う、色の百何十種 類のものでやっているのだということを言っていました。実は来週、うちに1回そ れを持ってきてよと言って、見せてもらうことになっているのです。 ○櫻井座長 スチレンの場合は、その他の眼科的検査よりも、まず色覚検査が重要 だということになっておりますので、このままでよろしいですか。これは「色覚検 査等」と。ただ、CCIというのは、そこまで指定しない。 ○山田委員 はい。どういう検査でやるのかというのでCCIでやっているのですが、 CCIというのはなかなか難しい。色を自分で選んで順番に並べていくようなことを やるらしいですね。 ○櫻井座長 括弧はないほうがいいかな。 ○山田委員 だから、いまのところはそれはCCIがいちばん良いのかどうかという のはわからないので、「色覚検査等」にしておいて、実際はまだCCIのようなもの もいるというのは、ほかの所で示されたほうがいいかなとも思いますけれども。 ○櫻井座長 このCCIというのは、ここではとりあえず。 ○清水委員 「色覚検査等」で。 ○櫻井座長 そのようにいたします。 ○和田委員 確認ですが、眼底検査は、5頁と6頁、両方同じようなものがありま すから、両方に入れてください。 ○櫻井座長 先に進んでください。 ○石井専門官 8頁のブタノールの「聴力検査」は省略ということで、今回は採用 しないということでよろしいでしょうか。 ○櫻井座長 よろしいですね。次に進んでください。 ○石井専門官 12頁の四アルキル鉛は、鉛則に揃えるということで整理させてい ただきましたが、これについてはいかがでしょうか。 ○圓藤委員 11頁の鉛で、医師が必要と認めるものの記載はありませんが、「神 経内科学的検査」を「神経学的検査」に変えること。 ○櫻井座長 ここにない。 ○圓藤委員 ありませんが、「神経内科学的検査」を「神経学的検査」に名称の変 更をお願いしたい。それに合わせて、四アルキル鉛のほうも、医師が必要と認める ものとして、作業条件の調査、貧血検査、プロトポルフィリン、神経学的検査を入 れたほうがいいのではないでしょうか。 ○櫻井座長 前回から、鉛に合わせるということは、一次健診だけではなく二次健 診も合わせるという前提で話は進んでいると思いますので、いまご指摘のとおりに なろうと思います。それでよろしいでしょうか。 ○和田委員 神経学的検査というのは、結局12頁の4)に入ることになりますね。 この表現もちょっとおかしいと思うのですが、4)の「四アルキル鉛による自他覚 症状と通常認められる症状の有無」というのは、どういう意味なのですか。前と後 ろと両方、自他覚症状と通常認められる症状と、分けていますよね。これはどうい う意味なのですか。12頁の四アルキル鉛の4)。あと3)は「既往歴の調査」です ね。次の頁のベンジジンは「ベンジジン及びその塩による他覚症状又は自覚症状の 既往歴の有無の検査」と丁寧に書いてある。こちらはただ、「既往歴の調査」とし て統一するか。 ○櫻井座長 これは鉛に合わせるとして、鉛はどのように記載されていたか。鉛も 四アルキル鉛も、規則として独立していますので、必ずしも特化則等と整合性がと れていないので。 ○和田委員 「鉛による自他覚症状と通常認められる症状の有無」というのは、ど ういう意味なのか。 ○山田委員 「自他覚症状と通常認められる症状」というのは、通常認められてい る症状が自他覚症状ではないですか。 ○櫻井座長 鉛によって起こると通常認められている症状があるか、ないかという。 ○和田委員 2つ書く必要はないのではないかと思うのです。 ○櫻井座長 ですから、これは丁寧に書けばすべてかかるわけですね。いわゆる特 殊健診の自他覚症状には、全部これがかかるわけです。それがここには丁寧に書い てある。 ○山田委員 四アルキル鉛によって生じると思われる自他覚症状。 ○櫻井座長 そうすると、ここの書き方はまずいですか。 ○和田委員 書き方だけの問題です。 ○山田委員 自他覚症状と。 ○和田委員 通常認められる症状というのは。 ○山田委員 この物質によって認められる症状ですよね。だから、四アルキル鉛に より通常認められる症状ですよね。これはそういうことですよね。四アルキル鉛の 中毒によって、通常認められている症状ですよね。鉛症状だから、いろいろな慢性 症状が出ると。自他覚症状は、それ以外にもいろいろな症状があるわけですよね。 イライラ、不眠云々というものですよね。 ○櫻井座長 それも四アルキル鉛によると通常認められているから書いてある。 ○山田委員 本来、自他覚症状は要らないのですかね。「四アルキル鉛による通常 認められる症状の有無」でいいのではないですか。 ○和田委員 あるいは、「四アルキル鉛による自他覚症状」だけでいいのではない かと思うのですけれども。 ○櫻井座長 そうですね。表現はどれがいちばんいいか。これだとちょっと長った らしいですけどね。 ○和田委員 普通認められる自他覚症状で、「四アルキル鉛による自他覚症状」で 通常認められる症状も入ってしまうと思うのです。だから、それでここまで書かな くていいのではないかと、それだけのことです。 ○圓藤委員 こういう表現の仕方は、鉛に書いてあるのですね。それが鉛だけなの か、ほかの化学物質もみんなこういう表現の仕方をしているのでしょうか。 ○櫻井座長 一覧表を見ないとわからないのですが、鉛だけ丁寧に書いてある。 ○圓藤委員 ここだけ丁寧で、ほかの部分と違うので、違和感があります。 ○櫻井座長 自他覚症状調査をやる人に理解を促すために、やや丁寧に書いたとい うだけのことですね。 ○圓藤委員 それは鉛則だけ丁寧に書いてあるのか、特化則も有機則も、このよう な表現の仕方をしてあるのでしょうか。 ○山田委員 特化則に書いていないと思いますから。あまり書いてないですよね。 ○和田委員 それを自他覚症状とは普通読み取らない。全部入ってしまうはずだと 思うのです。 ○山田委員 自他覚症状とは書いてあると思います。 ○石井専門官 ここは表をわかりやすく書いたため、法令の文言と若干ずれが生じ ていて、実は鉛則には「鉛による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有 無の検査」ということになっていて、さらに施行通達で、ここに書いてある1から 10の鉛による自覚症状及び他覚症状が示されていて、この有無をすべて確認しな ければならないということが施行通達によって示されております。実質はこの1か ら10までについて、すべて医師が問診や診察をして確認をすることになっており ますので、わかりやすい文言に統一するべしということであれば、この機会に変え ることも可能かと思いますので。 ○山田委員 そうしたら、通常認められる症状というのは、ここに全部載っていま すか。それは載っていないですよね。普通は通常認められる症状の有無は載せてお かなければいけないでしょう。 ○櫻井座長 鉛中毒によって通常認められる症状は、一応、全部載っているわけで す。 ○山田委員 神経症状という書き方になるから。 ○和田委員 通常だろうと、認められる症状ということでいいのではないですか。 わざわざ「通常認められる」なんて、またダブって書かなくてもいい。それだけの ことですけれども。だから、「四アルキル鉛による自他覚症状」でいいのではない ですか。そうすると、全部包含していると思うのですけれどもね。鉛もですね。 ○櫻井座長 それでいいですか。私はいいと思いますけれども。 ○和田委員 もう1つ、次の頁のベンジジンの所では、見直しの3)で「ベンジジ ン及びその塩による他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査」と丁寧に書いて ありますね。四アルキル鉛のほうは「既往歴の調査」だけしか書いていないので、 そういうのは統一するほうが。 ○櫻井座長 四アルキル鉛は、これは抜けていると思います。要するに鉛に合わせ るとしたら、自他覚症状の調査と血中鉛はデルタアミノレブリン酸の検査の結果も まず入れなければいけない。それは、これでは抜けている。それから、いまの表現 の問題はどうしますか。またちょっと整理しますか。 ○和田委員 統一するか、しないかだけのことです。丁寧に言うのか、簡略に「既 往歴」とするのか。それだけです。既往歴の所に四アルキル鉛も「自他覚症状」と 「鉛による検査の結果」というのを2つ入れなければいけないですね。 ○山田委員 四アルキル鉛の四肢の腱反射の「腱」が「建」になっている。 ○櫻井座長 それで、いま3番目にくる「既往歴の調査」については、特化則や有 機則まで整合性を取るかどうかということですが、有機則のほうはちょっと前に返 ってみますと、6頁・7頁は「既往歴の調査」と書いてあって、3行にわたって書 いてありますが、これは規則上どのようになっていましたっけ。 ○石井専門官 規則上は、「有機溶剤による健康障害の既往歴並びに自覚症状及び 他覚症状の既往歴の調査(別表のカラムに掲げる項目)」となっております。 ○櫻井座長 そうすると、この見直し案の書き方は、規則による書き方とは違って いるわけですね。 ○石井専門官 そうです。わかりやすくするために若干。 ○櫻井座長 わかりやすくするためにこうなっているわけですね。規則上の書き方 とどう整合性を取るかというのは、最後に考えればいいことですね。 ○和田委員 取るか取らないかだけの問題で、取らないというのだったらそれでい いと思うし、わかればいいということであれば。ただ、鉛の検査についても既往歴 の中に入れないといけないですよね。 ○櫻井座長 12頁の四アルキル鉛で、もう1つ私が気になっておりますのは、見 直し案の4行目、「3カ月以内ごと」というのはそのまま生きているわけですね。 3カ月以内ごとに血中鉛の測定やデルタアミノレブリン酸の測定を求めるかという ところなのですが。一方で、割合、四アルキル鉛は急性症状が問題なので、自覚症 状は3カ月以内ごとというのは意味があるわけですね。あるいは、「血液中の鉛の 検査と尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査は医師の判断により、6カ月以内 ごとに1回とすることもできる」というように注を書いたらどうかと。いかがでし ょうか。 ○石井専門官 医師の判断のほかに、例えばほかの項目で、前回異常が認められな いときに省略できるという規定がありますが、そのようなことも踏まえましょうか。 ○和田委員 そうですね。3カ月でやって、異常がなければ1回はスキップしてよ ろしいということでいいのではないですか。 ○櫻井座長 それもありますね。場合によっては6カ月内に1回も、省略してもい いと思います。 ○圓藤委員 逆もあるのではないかと。6カ月を原則にしておいて、必要なら3カ 月を追加するという。それは記載の仕方、どちらを主にするかで、意味するところ はそれほど違わないですが。 ○和田委員 そうすると、何もしないで6カ月経って、あとで3カ月やればよかっ たのにとなると困るのではないですか。それはちょっと。 ○圓藤委員 自覚症状等がある場合は。 ○和田委員 3カ月ごとにしておいて、特になければ6カ月、場合によればやらな くていいということでいいのではないですかね。そうしないと。 ○櫻井座長 基本的には、この上の「3カ月以内ごとに1回」というのを生かす。 血中鉛の測定は、判断によってやることもあるし、1回パスしてもいいと。 ○和田委員 そのような感じでいいのではないですか。 ○櫻井座長 先に進んでよろしいでしょうか。次は13頁ですか。パパニコラ及び 尿中腫瘍マーカー又は超音波診断というようにしましたね。 ○和田委員 「又は」というのは、パパニコラ法による細胞診と尿中腫瘍マーカー は一緒にやりなさいという意味なのですか。それで、それ以外に「又は」というの は別で、超音波は別に考えてよろしいという意味なのですかね。言葉遣いがよくわ からないのですけれどもね。 ○櫻井座長 言わんとしているところは、パパニコラをやる場合には、必ずマーカ ー又は超音波をやってほしいという意味になっているわけです。 ○和田委員 これはそのように取っていいのですかね。 ○圓藤委員 「、」を入れていただければ。 ○山田委員 だから、「細胞診に加えて」と言ったら。 ○石井専門官 逆に先生方に、どれとどれを必須でやるということを言っていただ ければ、そのように読めるように、最終的な修正を。おそらく、これでもまだ不完 全な部分があろうかと思いますので。 ○櫻井座長 パパニコラをやると医師が判断した場合、尿中腫瘍マーカーか超音波 か、どちらかもやるようにしなさいという意味を圓藤先生は言っていらっしゃるわ けですよね。 ○圓藤委員 必須はパパニコラによる細胞診だと思います。もう1つは、どちらか 選ぶと。 ○櫻井座長 ですから、これは検査する側としては費用的にはいままでより確実に 増えるわけですよね。 ○山田委員 こちらのほうが感度はいいのですかね。要するに超音波で見たら腫瘤 が見えるというのはわかるかと思うのですが、腫瘍マーカーが出てきたときに、腫 瘍マーカーが高いから、もうこれは腫瘍だと言えるのですかね。 ○圓藤委員 いや、言えない。そのときは確認する。 ○山田委員 二次が要りますね。また超音波やる。 ○圓藤委員 いや、超音波ではなくて膀胱鏡のほう、二次のほうへ行きます。 ○櫻井座長 膀胱鏡でも、in situ以外はほとんど100%はっきりわかりますから ね。 ○圓藤委員 いちばんいいのは膀胱鏡なのですが、侵襲性があるので、一次に持っ ていけないということです。 ○櫻井座長 でも、実際は過去の高濃度ばく露症は、膀胱鏡をほとんど必須でやっ ていますでしょう。やっていますよ。だって命にかかわるから、少しぐらい侵襲が あってもやっていますよ。 ○和田委員 面倒くさいことをやるよりは、最初から膀胱鏡をやればいいのだと思 ったりしますけれどもね。 ○櫻井座長 低濃度ばく露症もいますから。 ○和田委員 そうですね。ということは、これは要するに、必要と認めるときはパ パニコラをやって、そのほか尿中の腫瘍マーカーか、あるいは超音波と、どちらか を選んで、両方ともやりなさいということなのですか。そういう意味なのですか。 ○圓藤委員 はい。 ○和田委員 そうすると、この表現は、パパニコラをやって腫瘍マーカーをやる人 と、細胞診をやって超音波をやる人、その2つ、どちらかをやりなさいという意味 なのですね。 ○圓藤委員 はい。 ○櫻井座長 それで、圓藤先生が前に言っておられた、腫瘍マーカーをやったら、 次は超音波をやるというやり方もある。つまり、6カ月ごとに交代させるという意 味ですね。 ○圓藤委員 はい。 ○山田委員 これは腫瘍マーカーのほうが安いですか。 ○圓藤委員 腫瘍マーカーのほうが安いでしょうね。 ○櫻井座長 超音波だと医療機関に行かなければいけない。 ○圓藤委員 超音波はできる施設が限られていますので。 ○山田委員 出かけていって、現場でやるのだったら腫瘍マーカーのほうをやるの でしょうね。そうすると、一次では、二次の膀胱鏡があるとするならば、超音波の 診断が別になくてもいいかなと。やはり要りますか。二次で膀胱鏡も腎盂撮影もあ るわけですから、そこへ超音波を入れたらいけませんか。というのは、二次は出か けていってやるわけですから、一次健診は大体現場でやるというように考えるなら ば、超音波の装置まで持っていってはやらないでしょう。 ○圓藤委員 ベンジジンはほとんどが手帳の人です。 ○山田委員 だから、もう来ていると。 ○圓藤委員 病院で実施することのほうが多い。それで超音波健診を入れたのです。 櫻井先生がおっしゃるように、もう最初から膀胱鏡をやるのだというのであれば、 超音波は必要ないですよね。 ○櫻井座長 超音波でわかるのは、ちょっと進んだものですからね。でも、割合は っきりみえることはありますよね。表在性のものは、ちょっと大きくても助かりま すからね。 ○清水委員 超音波で引っかかるレベルと腫瘍マーカーで引っかかるレベルとは、 相当ギャップがあるのではないですか。 ○櫻井座長 同じぐらいではないですか。 ○清水委員 同じなのですか。腫瘍マーカーだと、かなり早期に引っかかる。 ○櫻井座長 13頁。 ○圓藤委員 両方やっているという論文がなかったので、比較しにくいのですよね。 ○和田委員 例えば血尿がいっぱいあると。そのときに、一応はパパニコラを染め てみましょうと。あるいは、超音波、腫瘍マーカーをやってみましょうということ で、異常がなかったらもうそれでOKとしてしまうのですかね。血尿がいっぱい、 しょっちゅう出ているにもかかわらずですね。 ○櫻井座長 あとばく露レベルと考え合わせて、膀胱鏡までという場合もあるだろ うと思いますけれどもね。 ○和田委員 大したばく露でなければ、それでもう異常ないからとしてしまうので すかね。超音波は、血尿の場合、腎臓から来ているかどうかというのを見るので、 たぶん入れていると思うのです。 ○櫻井座長 結石なんかもわかりますしね。 ○和田委員 わかりますね。それで血尿が出ているかもしれないし。意味はあると 思うのですよ。 ○山田委員 ただ、いちばんの問題は腫瘍マーカーと超音波診断というのは同等の ものなのかという話ですよね。いまの話だったら、超音波のほうがいいのではない かという話ですよね。ほかの、除外項目もとれるのだから、腎臓の話もとれるのだ から、超音波のほうがいいのではないですかという話になりますよね。 ○圓藤委員 同等ではないですよね。 ○和田委員 意味が違いますからね。全部同じような検査ではないですから。同じ ところもあるけれども。 ○山田委員 それだったら、「又は」ではないと思うのです。「又」だったら、大 体同等だと思いますね。それだったら、細胞診も超音波も入れて、できたら、また やるのだったら腫瘍マーカーを入れたらどうだというように書いたらどうですか。 ○圓藤委員 検査はたくさんやったほうがだんだん上がっていくわけで、3つとも すべてやったほうがいいわけですけれども。 ○山田委員 3つ入れたらどうですか。 ○和田委員 3つともやって、それは医師の判断で選択してくださいぐらいの感じ でいいのではないですか。 ○圓藤委員 費用等を考えて2つに絞っていると。 ○櫻井座長 費用は非常に。やはり全員義務として求めるというところがあるので。 ○和田委員 だから、その3つのうち、いずれか又はすべてという感じでいいので はないかと。医師の判断で。 ○圓藤委員 これも医師の判断ですよね。医師が必要としている場合ですね。 ○櫻井座長 いずれか、又はすべてというと、1項目でもいいことになりますね。 ○和田委員 1項目でも、医師がそれでいいと言えば、それは医師の責任ですから いいのではないですか。 ○櫻井座長 これはそういう判断になりますね。圓藤先生、どうでしょうか。 ○石井専門官 すみません。一応、泌尿器科の専門医も持っているものですから。 実はこれ全部を必須にされると、実際、検査現場で尿検査は少なくとも必須になり ますので、その場で尿を出して、超音波で膀胱をのぞけと言われると、また尿を溜 めるまで待ってもらうかという問題か、あるいは判断なしに最初から全員に超音波 をやってから、膀胱のエコーをやってから尿をして検査をするということになると、 ちょっと現場のほうでも大変なのかなというところもありますので、その辺が超音 波検査を必須とされるとネックになってくるのかなと思うのですが。 ○和田委員 超音波検査では膀胱に尿を溜めておかないといけないから。 ○圓藤委員 13頁の見直し案で、5)ですが、「尿沈渣検鏡(医師が必要と認める 場合は、尿沈渣のパパニコラ法による細胞診)」ではないかと思います。それで、 「超音波診断」の後ろの括弧は。 ○山田委員 医師がやるときは、細胞診だけは括弧を付けろというわけですか。 ○圓藤委員 そうです。尿沈渣検鏡というものの説明として、「(医師が必要と認 める場合は、尿沈渣のパパニコラ法による細胞診)」ということですので、そこで 括弧を閉じるのではないかと思います。 ○櫻井座長 確かにそうですね。 ○圓藤委員 それで、「超音波診断」の後ろの「)」は要らない。 ○和田委員 ということは、腫瘍マーカーと超音波は必ずやりなさいということは 医師の判断ではなくてということですか。 ○圓藤委員 はい。 ○和田委員 医師の判断ではなくて、全員にやりなさいという意味ですか。 ○圓藤委員 はい。医師が必要と認めるというのは、どういう尿沈渣検鏡を行うの かということの説明だったと思うのですね。 ○山田委員 だから、そうなると尿中腫瘍マーカーと超音波検査というのは、医師 の判断でないということになりますね。そのままやりなさいと。 ○圓藤委員 一次ですから。 ○和田委員 それだけやりなさいということですか。 ○圓藤委員 どちらかですから。 ○山田委員 超音波検査を選んだ場合は、先ほどの場合尿も取っているから、待っ てもらわなければいけないですね、長いことね。2、3時間待って。 ○櫻井座長 そうしますか。それだと、さらに明確に費用的な負担が増えるわけで すね。全員に腫瘍マーカー又は超音波をやることになる。これは低濃度ばく露者で もそうしますか。 ○和田委員 パパニコラというのは、尿沈渣検鏡の中だけの意味ではなくて、全体 の医師が必要と認める場合という理解をしたほうがいいと思うのですよ。 ○圓藤委員 既に手帳を持っている人たちですから、高濃度ばく露者しかいないで すね。 ○櫻井座長 要するに尿路系の物質絡みでも、MBOCAもあります。それもいま統一 した形式にしようとしていたのですが、それは物質によって変えるというご意見で すか。 ○圓藤委員 これは禁止物質ですので、現在使用している人はほとんどいなくて、 過去に使用して、しかも高濃度ばく露であったという人たちに限られていますので。 ○櫻井座長 事業所側に義務付けられているのは、その事業場にいて、過去にばく 露していた人ですよね。それは全員、高濃度ばく露であったということですか。高 濃度かどうかを判断してやっていますか。たとえベンジジンであっても、主たる業 務と、ずっと横のほうで、それもある。だから、現実に大部分は高濃度ばく露者で あるというのはそのとおりかもしれないけれども、このようにここで義務付けると いう立場からいくと、そのように割り切っていいかどうかということなのです。だ から、「医師が必要と認める場合」という所は、ばく露のリスクを考える、判断を 求めているわけです。その判断に基づいて、尿沈渣のうちパパニコラをやるかどう かの判断。それと、尿中腫瘍マーカー又は超音波も同様だと思うのです。医師が必 要と認める場合というのは、やはりこちらにもかからないとまずいのではないです か。 ○圓藤委員 先生のご意見は、一次から外して二次のほうへ持っていくということ ですよね。医師が必要と認める。 ○櫻井座長 そこが問題なのです。一次なのに、なぜ「医師が必要と認める場合」 というのが入るのかという話になるのです。それは私も矛盾を感じていたのです。 尿沈渣検鏡だって、その中の医師が必要と認める場合というのは、既に二次的なも のなので。だけど、同時にやるから時期としては一次なのですね。尿沈渣を見てか らパパニコラに移行するとしたら、もう二次ですよね。 ○山田委員 それだったら、もう一次、二次なしで健診にしてしまうしかないです よね。 ○櫻井座長 ほかと合わせてすっきりさせるならば。 ○和田委員 パパニコラの検査ではすぐその場で判定はできないでしょう。やはり 沈渣を取って、標本を作って染色してなどということだから。 ○櫻井座長 医療機関まで来てもらってやることまで考えると、一次、二次という ことをやらないで、全部まとめてやってしまいますね。 ○和田委員 やるかどうかですよね。 ○櫻井座長 そのような実態を考えて。 ○山田委員 実態そのものが175人で、ほとんどが健診機関に来てもらってやって いるのだったら、一次、二次は一緒にやってしまいますでしょう。特に健康管理手 帳の人だったら、やるのではないですか。それだったら、一次、二次で分ける必要 はない。先ほど櫻井先生がおっしゃったように、膀胱鏡まで本人たちも感じている のだからやるのだということであれば、一次、二次と分けるよりは、健診1個でや ってしまったらいかがなものですかね。 ○櫻井座長 そうなると、いろいろ議論しましたが、ここにある案のままでもいい のではないかという気もするのですが、どうでしょうか。 ○山田委員 もう1つ、お聞きしたいのですが、二次検査で作業条件の調査という のは、もうほとんど禁止物質だから、作業条件の調査はもうできているのではない ですか。二次の1)の「作業条件の調査」というのは、どういう意味なのでしょう か。二次で入っている作業条件の調査。 ○櫻井座長 細かく考えれば、現実にはこの物質については作業条件の調査をあと でやるというのは要らないかなと思いますが、そこまで全部の物質について考えて やらなくても、現実に合わせればいいのだろうと思うので、整合性をとって入れて あることは、それでいいのではないか。いろいろご議論が出ましたが、見直し案で ここに書いてあるものの中で、そのまま事務局のほうで、パパニコラをやると決め た人については、腫瘍マーカー又は超音波をやるというように読めるように、カン マの位置を考えるとか、そのようにしていただくというのでいかがでしょうか。 ○圓藤委員 私が括弧の位置を変えろと言ったのは、尿沈渣検鏡の中に腫瘍マーカ ーの測定はないので、それで表現の仕方を変えてほしいだけなのです。「医師が必 要と認める場合は」というのは、全部にかかっているという解釈でしたら別です。 ○石井専門官 ここを独立させましょうか。ちょっと長く、無理矢理1個の所に押 し込めましたので、例えば「パパニコラ法による細胞診」の所までを5)にして、 6)として「医師が必要と認める場合には尿中腫瘍マーカー又は超音波診断の検 査」というものを新たに独立させるなどの書き方もできるかと思いますけれども。 ○櫻井座長 そうですね。それでどうでしょう。 ○圓藤委員 二次という意味かなと思ったのですけれども。一次、二次というのが、 一次をやったあと二次をやれという意味なのか、ほかの特健の中に医師が必要とす るものを、鉛などの場合は二次と言わずに入れていますよね。 ○櫻井座長 法規上は、特化則は一次健診をやって、その結果を見て二次をやれと いうようになっていると思うのです。そこが実は問題なのです。有機則はやろうと 思えば全部一緒にやれるのだけれども、特化則の特性なのです。そうなっているの です。だから、一次でやってもらいたいから、一次の6)で「マーカー又は超音 波」と入れるという方向で、いかがでしょうか。そういうことでお願いします。次 に進みます。 ○石井専門官 次は17頁のオルト-フタロジニトリルの「胃腸症状がある場合で」 の削除は、これでよろしいでしょうか。 ○櫻井座長 これはよろしいですね。先へ進めてください。 ○石井専門官 次の18頁のカドミウムの所は、前回いろいろご議論をいただきま したが、当初の修正案のとおりです。こちらについては、いかがでしょうか。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。山田先生もいろいろご意見がありましたが、これ でよろしいでしょうか。 ○山田委員 尿中カドミウムの量が二次で、血中が一次だというのは、いろいろあ りますけれども。この二次で尿中のカドミウムを測るというのは、長期ばく露かど うかを見るわけですか。この意義ですね。尿中のカドミウムの量を測定することの 意義ですね。 ○櫻井座長 血中のカドミウムよりも、尿中カドミウムの増量というのは、必ず遅 れて出ます。いちばん最初に、尿がパンと上がることがあるのです。作業に就いた とき。それはまだメタロチオネインに誘導されていないときだと思う。そのあと、 全然出なくなってしまいます。しばらく経ってから出てくるのです。その前に血中 カドミウムのほうが素直に上がってくる。 ○山田委員 ちょっとずれがあって、尿中と血中を測ると、相関があまりないので すよね。 ○櫻井座長 ある時期から先は必ず出てくるのです。だから、相関がないというの は、やや特殊だと思いますね。 ○山田委員 血中カドミウムは測っていないのですが、尿中は測っているのですけ れども。 ○櫻井座長 両方測っていただいたら、いま言っているようなことで。 ○山田委員 そうなってきたら、いままでのデータもあるから血中をここで測りな さいと言って、両方で1回見てみようというのはありますけれどもね。 ○櫻井座長 是非、両方測って見ていただきたいと思います。血中カドミウムのほ うが、早期のばく露の指標としては優れている、間違いない。よろしいでしょうか。 次はどうでしょうか。 ○石井専門官 20頁のMBOCAの生物学的モニタリングで、一次健診に尿中のMBOCA の測定ということで、前回はこれでよろしいのではないかということでしたが、よ ろしいでしょうか。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。5)の所はベンジジンと同様に。もしよければ、 水銀の所でご意見が。 ○山田委員 4-31で、二次検査で「尿中NAGの定量」ということが入っているの です。実はNAGと尿中の無機水銀を測ってみたときに、我々の所では蛍光灯の作業 で水銀をたくさん使うのですが、そこでやってみるとNAGはほとんど動かない。こ れは尿中水銀のほうが動いているというデータがあって、そのデータを示してみる と、どうもNAGの障害が出てくるよりも前に水銀が動いているというので、NAGよ りは尿中水銀のほうがいいのではないかという意見を出しているのですね。それは 1998年にJournal of Occupational Healthに出しているのです。NAGが動くほど、 現場ではそんなに水銀のばく露がないという結論にしています。ただ、魚などでは ちょっと上がってくるということが書いてあります。だから、NAGが本当にいいの かなと、ちょっと疑問がありました。自分の所ではNAGは上がらないと測定の連中 も言っておりますので、ちょっと考えていただければなと思っております。何でし たら、文献お持ちしていますので。 ○櫻井座長 二次検査の3)と4)の順番を変えたほうがいいですね。 ○山田委員 そうだということなのですけれども。 ○櫻井座長 順番を変えましょう。当然だと思いますね。NAGの影響指標であって、 尿中の水銀のばく露があっても、まだNAGが出ないレベルというのは当然あるわけ ですから、3)、4)を変えるということで、先へ進んでください。 ○石井専門官 続きまして、22頁のTDIの所ですが、一次健診の項目に努力性の 肺活量検査を入れ、二次健診の項目をその他の肺機能検査、TDI特異的免疫グロブ リンを入れるということで、前回ご了承いただきましたが、何かありますでしょう か。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。 ○和田委員 スパイロメトリーの話はここではなかったですか。 ○山田委員 努力性肺活量の測定の所ですよね。 ○櫻井座長 名前を変えますか。 ○和田委員 スパイロメトリー検査というように。 ○櫻井座長 どのように変えたらいいのか。 ○和田委員 スパイロメトリーであれば、努力性の肺活量も1秒率も同時にできま すから。 ○櫻井座長 全部入りますかね。つまり、努力性肺活量と書いたとき、それを含ん でいるか、もっと狭義になってしまうか。肺活量とやってしまうと、それだけ調べ ればいいことになって。 ○和田委員 1秒率のほうが先に落ちてくるはずなので。 ○櫻井座長 そのとおりです。それを目指しているのに、書き方はこうなっている ということですね。 ○土屋委員 そうしないと出てきてしまう。 ○石井専門官 そうですね。 ○櫻井座長 「スパイロメトリー検査」とやってしまいましょうか。そのほうがい いですね。 ○和田委員 そうしておけば両方ともできるわけですから。 ○山田委員 TDIの特異的な免疫学的検査というのは、グロブリンを測るのですか。 TDI特異的免疫グロブリンを測るのですか。 ○櫻井座長 TDIをくっ付けたグロブリンか何かと。 ○和田委員 たぶんIgGかIgMか、どちらかになるだろうと思うのですが、その量 を測る。 ○山田委員 それは結構ポピュラーなものなのですか。高いのではないですか。 ○櫻井座長 割合高くなくて検査できると、この前、大前委員が言っておられた。 ○山田委員 TDIは高いのではないでしょうか。 ○櫻井座長 値段は、安くはないかもしれませんね。第二次健診で必要と認めた場 合ということ。そうすると、「6)努力性肺活量検査」を「スパイロメトリー検 査」。 ○和田委員 あるいは「肺機能検査(スパイロメトリー)」としておいてもいいで すけれどもね。日本語で出したほうがよろしいですか。 ○櫻井座長 日本語で出したほうがよければですね。どちらがいいですか。 ○和田委員 「肺機能検査(スパイロメトリー)」。 ○櫻井座長 どちらがいいでしょう。日本語を主に書いているという、いままでの 流れからいくと、肺機能検査。 ○石井専門官 一応、じん肺法にも肺機能検査があり、じん肺法の施行規則におい ては「スパイロメトリー及びフローボリューム曲線による検査」という表現も使っ ておりますので、おそらくどちらでも記載は可能だと思います。 ○櫻井座長 では、「スパイロメトリー検査」。 ○山田委員 「スパイロメトリー検査」といいますか。スパイロメトリーで、もう 検査が入っている。 ○和田委員 じん肺法ではスパイロメトリーにしてある。 ○石井専門官 「による検査」ですね。 ○山田委員 「による検査」だったら正しいのですが、「スパイロメトリー検査」 は検査、検査になりますよね。 ○櫻井座長 スパイロメトリーそのものが検査。「スパイロメーターによる検査」 というのが、本当はいちばん正しいのですが、「スパイロメトリーによる検査」と いうのはちょっとダブるけれども、いいですかね。先へ進んでください。 ○石井専門官 続きまして、26頁のベンゼンの所です。こちらは血液の検査につ いて、見直し案の6)、7)で白血球と血小板について、このような見直しでよい のではないかというご意見をいただきましたが、何かありますでしょうか。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。白血病という重大な疾患を考えるとこうなったと いうことで、これでよろしいですね。特段ないようですので、先へ進みたいと思い ます。 ○石井専門官 続きまして、29頁のMDIです。現在のTDIの項目に倣うというと ころですので、先ほどのご議論を踏まえて、見直し案の6)も「スパイロメトリー による検査」と訂正をさせていただきます。 ○櫻井座長 よろしいですか。これで前回までの議論を踏まえた修正が1通り終わ りましたので、次の検討課題について、事務局から説明をお願いいたします。 ○石井専門官 今日まで4回にわたりご議論いただき、第1回はニッケルとヒ素に 関する健診項目、2回、3回、今日の4回において、既存の健診項目の見直しとい うことで、ご議論をいただきました。何分、項目が多々ありました関係で、駆け足 でご議論いただいた項目もありますので、念のため最後に既存の項目について、ま た何かご議論が残っているところがないか、簡単に確認だけさせていただいて、そ れについてご意見をいただければと考えております。  また戻って恐縮ですが、資料1の2頁、最初にご議論いただいた有機則の関係で す。現行項目からの変更項目として、これは全部の共通項目ですが、必ず実施すべ き項目の見直し案の2)に「作業条件の簡易な調査」を入れるということ。「尿中 蛋白の有無の検査」については、腎機能障害のない項目については省くということ。 それから、「貧血検査」「肝機能検査」についても同様の見直しを行うということ。 「神経内科学的検査」となっている項目については、「神経学的検査」とするとい うことについてご議論いただき、このような内容でご了承をいただいております。  今日はまだご議論いただいていませんが、4頁の二硫化炭素です。二硫化炭素に ついては、動脈硬化性変化の疾患が現れるということで、二次健診の項目の中に 「動脈硬化性変化の検査」ということで、健診項目としてはこのような書きぶりに しております。実際の施行通達等のガイドラインにおいて、検査内容として負荷心 電図、CT Angio、MRI等の検査を医師の判断において実施することをお示ししては どうかということで、ご了承いただいております。これについて、追加のコメント 等あれば、後ほどお願いしたいと考えております。  11頁ですが、鉛則については先ほどご議論いただき、資料は実際の法律用語か ら少し省略して書いてありますので、先ほどのご指摘を踏まえて、鉛則及びその化 合物の所、12頁の四アルキル鉛の所も、併せて修正をさせていただこうと考えて おります。  13頁のベンジジン及びその塩について、尿路系の腫瘍の検査について、ご議論 いただいた内容を踏まえて、尿中腫瘍マーカー、超音波診断の検査については、項 目を独立させる、医師の判断という項目を入れることで、修正をさせていただこう と思います。  そのほかの項目について、「尿中ウロビリノーゲンの検査」については、すべて 削除をする。その中で、肝機能障害のおそれがあるものについては、肝機能検査を 別途入れるということ。それから、まだ何カ所か「全血比重」の項目が残っていま したので、そこについてはすべて削除をして、貧血等の検査が必要な項目について はそのまま残す、あるいは貧血検査の項目自体が要らないという項目については、 その検査そのものを削除ということで、見直しをすることで合意をいただいたかと 思います。  今日は特にご議論をいただきませんでしたが、個別項目の中で、15頁のアルキ ル水銀化合物については、二次健診の項目で「尿中の水銀」が入った所は「血液中 の水銀の量の測定」で十分だということで、二次健診の項目から削除をするという ことで、前回までにご了承をいただいております。そのほかの項目については、本 日、先ほどまでご議論いただいた項目でおおむね網羅されているかと思いますので、 これ以外の項目について何か追加のご意見等がありましたら、いただければと思い ます。よろしくお願いします。 ○櫻井座長 順不同で、お気付きの点がありましたら、全体にわたってどこでもご 指摘いただき、議論したいと思います。4頁、5頁の新しく加えた二次健診の「動 脈硬化性変化の検査」「眼科的検査」等についてだけ、いま注が入れてあるわけで すが、この注は現実には施行通達等でガイドライン的に示すという方向になるわけ です。そうすると、作業条件の、二次あるいは医師が必要と判断した場合実施する 検査の項目、すべて似たような形の書き方が必要になるわけですね。  それで考えた点は、「作業条件の調査」について、例えばどんな書き方をするだ ろうか。それなのですが、例えばこのように書くかなというのを言わせていただき ます。「作業条件の簡易な調査の結果、健康リスクとなるばく露が疑われる場合、 又はその他の必ず実施すべき検査の結果、健康影響が疑われる場合に行う」。考え 方として、こういうプロセスかなと思うのです。つまり、作業条件の簡易な調査の 結果、何かリスクがあるのではないかと思ったら、その他の項目の有無にかかわら ず、作業条件の調査をやる。また一方、作業条件の簡易な調査の結果がどうであろ うと、健康にかかわる健診項目で何か問題がある場合にも、作業条件の調査に移行 することになるのではないかと思いましたので、そんな考え方でよろしいでしょう か。  それから、腎機能検査や肝機能検査についても、同じような感じになりますが、 例えば肝機能検査について、こんな文になるかなというのを読ませていただきます。 「作業条件の簡易な調査及び作業条件の調査の結果、ばく露限界値を超えるなど、 健康リスクが想定される場合、又は一次健診における健康にかかわる健診項目の結 果、肝機能への影響が疑われる場合に行う」。あとの「作業条件の簡易な調査及び 作業条件の調査の結果、ばく露限界値を超えるなど、健康リスクが想定される場 合」、いま述べたのが、いままでその他の例えば6頁や7頁に書いてあるのと同等 になる。「作業条件測定の結果等を踏まえ、例えば200ppm以上のばく露を受けて いる」というような、ちょうど同等な感じになりますので、この辺りは整合性をと る必要が出てくるのだろうと思います。そのように考えたのですが、よろしいでし ょうか。 ○圓藤委員 結構だと思います。 ○櫻井座長 いまこのガイドラインを作る、叩き台を作る作業を進行中なので、そ ちらでの考え方として、いまのようなことで。 ○和田委員 肝機能検査だけについておっしゃったのでしょうか。 ○櫻井座長 いま肝機能についてだけ、例として挙げましたが、腎機能。 ○和田委員 何頁にあるのですか。 ○櫻井座長 2頁。 ○和田委員 しかし、それは神経学的検査など、全部。 ○櫻井座長 だから、先ほど来、今回新しく加えた「眼科的検査」、あるいは「動 脈硬化性変化の検査」についてだけ例示してあるけれども、これは全部同じである。 その際の書き方、あるいは考え方は、いまのようなことでおよそよければ、そうい う方向で叩き台を作る作業を進めたいと思います。 ○和田委員 肝機能とか貧血の症状がものすごく強くて、作業条件は何ともないよ、 検査をやる必要はないという意味なのですかね。 ○山田委員 健康障害が出ている場合はやるわけです。2つあるわけです。1つは 作業場の管理で、健康管理のほうでも出ていたらやるということですね。 ○櫻井座長 両方、こうくるように。作業環境情報に基づく、あるいは作業のやり 方に基づくリスクがありそうな場合、あるいは一次で一応調べる、健康にかかわる 項目にやはり異常がある場合と、両方から。 ○和田委員 肝機能検査異常は、いま労働者の70%ぐらい持っている、異常があ るわけで、それを全部やりなさいということなのですかね。 ○櫻井座長 そこは医師の判断でということになります。 ○山田委員 それが業務によるかどうかは、医師の判断ですよね。 ○櫻井座長 ちゃんとしてという言葉を入れておかないと。 ○山田委員 でも、難しいですよね。酒飲みが異常者にボンと入っていたりするの で、難しいですよ。しばらく禁酒させても下がらないかどうか、見なければいけな いですね。ところが、言うだけでしていないというのがありますよね。 ○櫻井座長 1、2度検査してフォローして、作業と関係ないと判断したらその先 はやらないとか、そういう医師の判断は、やはりきちんと入れる必要がある。それ から、比較的個別の問題ですが、4頁の二硫化炭素で、検査内容として「負荷心電 図、CT Angio、MRI等を」と例示しておりますが、例示するとしたら、例えば血圧、 頸動脈、超音波検査などもありますね。血圧はたぶん必須だと思いますが、選ぶと したらです。私が気が付いたのはそのぐらいです。ほかに、どんな点でも、もし追 加でご意見がありましたらどうぞ。 ○和田委員 二硫化炭素は、すべての血管障害がくるのですか。大きいものも小さ いものも。 ○櫻井座長 そうですね。腎動脈硬化も起こりますし。 ○和田委員 大動脈、頸動脈とかのもくるし。頸動脈とか、くるのですか。 ○櫻井座長 脳と心臓がきますから、頸動脈も当然くるだろうと。全身の粥状硬化 というデータも、高濃度ばく露ではありますので。今日はこんなところでよろしい ですか。 ○石井専門官 本日は、お忙しいところお集まりいただき、また活発なご議論をい ただきまして、どうもありがとうございました。本日までの議論を踏まえて、労働 安全衛生法における特殊健康診断の見直しについて、作業を進めさせていただきま す。健診項目だけにとどまらず、そのガイドライン等についても、貴重なご示唆を 多数いただきましたので、それに基づいて作業を進めてまいります。その際には、 また先生方にはいろいろ個別にご相談させていただくこともあろうかと思いますの で、どうぞご協力をお願いしたいと思います。  次回以降の検討会においては、実は健康管理手帳の交付要件等についても、新た に来年度からニッケルと砒素を健診の対象とすることになりました。健康管理手帳 の交付をどうするかという点等についても、若干ご議論いただく内容がありますの で、またお集まりいただくことを考えております。以前、10月30日を予備日とさ せていただいておりましたが、健康管理手帳については事務局での整理等にもう少 し時間をいただく必要がありますので、また後日改めて日程調整をさせていただく こととして、10月30日の予備日は今回はなしということにさせていただきたいと 思います。お忙しいところ恐縮でございますが、またどうぞご協力のほど、よろし くお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 電話03-5253-1111(内線5495)