08/10/01 「安心と希望の介護ビジョン」第4回会議議事録          「安心と希望の介護ビジョン」第4回会議議事録 ○ 日時及び場所    平成20年10月1日(水) 14時58分から17時06分まで    厚生労働省 専用第18〜20会議室 ○ 出席委員    石川(誠)、石川(良)、太田、袖井、鳥羽、前田(座長)、村上、村田の各委 員    駒村、中村、古川、堀田委員は欠席 ○ 議題    安心と希望の介護ビジョンについて(委員からのプレゼンテーション) ○ 議事内容 ○大澤総務課長 それでは、若干定刻より早いのですけれども、出席予定の皆様方おそ ろいですので、ただいまから、第4回「安心と希望の介護ビジョン」を開催させていた だきたいと存じます。  本日は、大変お忙しいところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、駒村委員、中村委員、古川委員、堀田委員が所用により御欠席との御連絡をい ただいております。  なお、舛添大臣におきましては、国会業務によりまして、遅れて参る予定とのことで すので、あらかじめおわびを申し上げます。  引き続きまして、お手元の資料について確認をさせていただきます。  議事次第、座席図、開催要項に続きまして、資料1より各委員から御提出をいただい ている資料でございます。  資料1が石川誠委員からの御提出資料。  資料2が石川良一委員よりの御提出資料。  資料3が太田委員からの御提出資料。  資料4が袖井委員からの御提出資料。  資料5が鳥羽委員からの御提出資料。  資料6が古川委員からの御提出資料。  資料7が堀田委員からの御提出資料。  資料8が前田委員からの御提出資料。  資料9が村上委員からの御提出資料。  参考といたしまして、前回お配りをいたしました「今後議論を深めていく必要がある 事項」でございます。  資料に不備等ございましたら、事務局までお申し付けいただきたいと思います。  それでは、前田座長、議事進行方、よろしくお願いをいたします。 ○前田座長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  前回の会議の終了後に、事務局の方から御説明がございましたけれども、本日は各委 員からプレゼンテーションということで、御意見を伺いまして、その後、フリーディス カッションをするということとして、御自由に議論いただきたいと思います。  パワーポイント型のもので御準備いただいた方も多いのですが、プレゼンテーション としては、初めの予定としては委員お一人5分程度ということなのですが、せっかく御 用意いただいて、無理に5分で切ってしまって、余りにも尻切れになってしまうという のは好ましくないと思いますので、必ずしも5分になったら、理系の学会のようにすぱ っと切ってしまうみたいなことはいたしません。ただ、逆に5分で御準備いただいた方 も多いと思いますので、それはその御予定のとおり御説明をいただければと思います。  中身は実質的にはいろいろ考えた方がいいのかもしれませんけれども、申し訳ないの ですが、今回も「あいうえお」順ということでお願いしようと思っております。資料の 番号の順ということになりますが、まず石川誠委員の方から御説明をいただけるでしょ うか、よろしくお願いいたします。 ○石川(誠)委員 資料1でございます。私、リハビリテーション医療の専門の立場で、 ちょっと視野が狭いかもしれませんが、リハビリテーション医療の基盤整備ということ でお話をさせていただきます。  まず、1ページ目です。平成16年1月に高齢者リハビリテーション研究会報告書で、 「高齢者リハビリテーションのあるべき方向」がかなり明確に示されております。ここ には5項目の問題点が記されておりまして、急性期のリハが十分行われておらず、長期 にわたって効果が明らかでないリハ医療が行われている場合があり、医療から介護へ連 続するシステムが機能しておらず、リハとケアの境界が明確に区分されておらず、リハ とケアが混同して提供されている。また、在宅におけるリハが十分でないという5項目 で、これに沿って、平成18年もしくは19年、平成20年の診療報酬。介護報酬改定がなさ れたところだと思います。  問題は、この1ページ目の一番下に書いてあります。医療保険では算定日数の上限が 設定され、平成20年に一部緩和されましたが、長期にリハを要する場合には、現在の介 護保険では十分なリハサービスが提供されにくいというとこで、医療保険でも1人1か 月13単位、1単位20分ですけれども、それが実施できるようになっております。  2ページ、リハビリテーション医療は、病期に応じて行おうということで、医療保険 で急性期、回復期。介護保険で維持期に整理されつつあります。この維持期のリハとい う言葉も分かりにくいということで余り評判はよろしくないようです。維持期だからと いって、維持だけすればいいのかという誤解を招きますので問題はあるのですが、とり あえず慣例的にそう呼ばせていただきます。重要な点は、区分されても、それがシーム レスにつながるということであります。  介護保険における維持期の在宅リハは、通所リハと訪問リハと、短期入院もしくは入 所のリハが代表となっております。  さて、3ページになりますが、今までのリハ医療サービスを、医療も介護も一緒に記 載しておりますが、10項目に要約してあります。まず急性期にリハ機能が乏しいこと、 リハ専門病院が都市部に少ないこと、リハを理解する医師が絶対的に不足していること。 また、PT・OT・STが著しく不足していること。リハ医療に関わる看護・介護職の 養成が不足し、発症後の開始が遅く、長期に入院期間が及んでいるということです。そ して、リハの内容は機能訓練中心で、ADLが軽視されており、チームアプローチが未 熟で、退院後の在宅のリハサービスが極めて不十分であったということです。  更に、どうもリハ医療サービスの仕組みというのはわかりにくいということで、難解 だと大変評判がよろしくないという点がございます。それをどうするかでありますが、 これからのリハ医療サービスは、まず急性期にリハ機能を強化し、各地域に回復期のリ ハ病棟を整備し、リハを理解する医師や十分な専門職を配置し、勿論、看護・介護職も リハを理解し、発症後早く開始して入院期間を短くし、ADLを重視したリハサービス を提供し、チームアプローチが成熟化する。そして介護保険における、特に在宅リハサ ービスの充実が大きなポイントになります。それ抜きにして入院期間の短縮がなかなか 難しい。  もう一つ、リハがわかりにくいということで、もう少しわかりやすくシンプルに構築 するべきであるという10項目が目指すところであります。  今後の医療保険と介護保険のリハ医療サービスを簡単にまとめますと、上段が医療保 険ですが、医療保険では、身体機能を早期に改善し、可能な限りADLの向上を図り、 在宅復帰を目的とするリハ医療サービスになるかと思いますが、それには急性期におけ るリハ機能の強化、回復期ではリハ病棟の量的地域間の格差の解消、回復期リハ病棟が 豊富な地域と非常に少ないところとばらつきがございます。さらに質的にもっと高めな くてはいけないという2項目がございます。  問題の介護保険ですが、これは身体機能の維持及び生活機能の維持・向上を目的とす るリハ医療サービスとなりますが、それにはリハ提供拠点が充実していません。つまり、 提供拠点をより一層整備することが必要であり、そのために特に訪問リハビリのステー ションというものと、在宅のリハセンターの2つを特に強調したいと思います。  2番目として、これは介護保険の制度ができる前に、よくリハ前置主義という言葉が 使われて、十分に自立を図ってから介護保険サービスを受けるという仕組みが介護保険 制度の前に叫ばれたのですが、実際介護保険制度が始まると、リハ前置ではなくて、リ ハも一緒にというか、リハ前置の仕組みが機能していないのです。ですから、そういう ところをもう一回検討するべきではないかということと、その細目として、維持目的の リハとは別個に、必要に応じて短期集中的なリハを実施可能な体制を整備することが必 要と思われます。  具体的には、6ページに、今年の4月の審査分ですから、実際は3月のデータかと思 いますが、介護サービス・介護予防サービスにおける居宅サービスの受給者数は、全国 に271万人いらっしゃいます。その中で、ホームヘルプサービス、通所介護、福祉用具 は、常に御三家で非常に利用度が高いのですけれども、リハビリテーションとして、訪 問リハは5万人、1.8%。通所リハは46万人、17%の利用で、訪問リハが余りにも少な いことが問題です。これは利用者がいないのではなくて、利用したくても資源がなくて 利用できないということで、基盤整備ができていないと言えるわけであります。  そこで、7ページにそのリハ提供拠点の整備として、訪問リハステーションを標榜し ました。なぜこういうふうにしたかでありますけれども、PT・OT・STによる訪問 サービスというのは、非常に難解になっておりまして、訪問看護ステーションから行く と、訪問看護の区分になります。つまり、訪問リハにはならないのです。しかし、病院、 診療所、老健から行くと、訪問リハビリテーションとなります。また、医療保険と介護 保険で異なるため、4通りの区分、方法となっているのです。  大変に分かりにくくて、地域住民にも分からない、ケアマネージャーにも分からない、 かかりつけ医もよく分からないというところで、一元的に統一するべきではないか。そ して、訪問するところには、訪問リハステーションですという標榜をきちっとして、地 域に明らかにすべきと思われます。  また、かかりつけ医との連携が極めて重要ですので、訪問リハの指示書、計画書、報 告書という3点セットをいかなる場合にも義務づけるべきではないかと思われます。  もう一つ、リハ提供拠点の整備で2番目ですけれども、在宅リハセンターは特に新し い制度をつくって行わなくても、工夫すればできるような気がしておりますが、実は左 側の楕円形の水色の部分がそれであります。  有床診療所とか病院等、そうした入院、入所のできるところに、訪問や通所や短期入 所の多彩なリハサービス提供拠点を設置して、そこでコントロールされたサービスをし っかりと提供し、在宅主治医がリハのことがよく分からないときに、適切なリハ的支援 を在宅主治医に実施する。  そして、在宅リハに関する地域住民やケアマネージャーに対する相談窓口も設置する など、必要かつ十分なリハサービスが提供できるようなセンターを普及すべきと思いま す。  この絵の右側の方には、各居宅サービスが並んでおりますけれども、ケアマネジメン トの事業所、訪問看護ステーション、その下に訪問リハステーション、訪問介護ステー ション、その他の介護サービスとしてありますが、いずれも在宅主治医の支援体制を強 化するという意味であります。  在宅リハセンターとは具体的にどのようなものかと言いますと、9ページ、私は有床 診療所を有効利用することによって、臨機応変な対応ができ、いざというときのショー トステイ利用などに有効です。どうも現在の介護保険施設、例えば東京だけ特別かもし れませんけれども、ショートステイを予約すると3か月待ちという現実があって、全く 役立たないわけです。  また、ショートステイに入ると、入ったときよりも出るときの方が悪くなるとか、余 り好評でない。つまり、できることができなくなってショートステイから帰ってくるか ら、もう2度と利用したくないなどということもあって、リハ機能付きのショートステ イには、有床診療所が有効利用できるのではないかと思っております。具体的にはここ に在宅総合ケアセンター元浅草と書いてございます。実はこの会で先日、小規模多機能 施設を見学しましたけれども、大変すばらしい施設だったと思いますが、認知症中心で あるということと、比較的ADL的には軽度な方が多かったと思われます。もっと医療 依存度が高くて、重度の方もあのような多機能の施設が利用できればいいと思いますが、 それにはどうしても医療機能とリハ機能が必要でして、そういう意味で小規模多機能・ 在宅医療・リハサービス付きの拠点の普及を図る必要があるということで、この元浅草 の事例をここに紹介させていただきました。  これは在宅療養支援診療所で、24時間体制で医師の往診・訪問診療、さらに訪問看護 ステーションからの24時間対応を基盤として、そこに訪問リハ、外来診療と外来リハ、 通所リハビリテーション、ケアマネジメント事業所も一緒というスタイルで、小規模多 機能の医療込みのスタイルというものであります。  こうしたものが各地域にできると、大変利用価値は高いのではないかということであ ります。  最後に、リハ前置の仕組みの構築です。すなわちリハをしっかりとやって、介護保険 サービスに繋がるのがよろしいかと思うのですが、そうしないと、リハを集中的にやれ ば良くなるケースがリハをできないで要介護状態が高いまま、介護保険サービスを利用 することになってしまいます。  特に、新たな疾患であれば、医療保険のリハに移行できますから問題ありませんが、 新たな疾患ではない原因では、例えばちょっと転んだとか、ちょっと風邪引いたとか、 身内に不幸が起こったとかで急速に寝たきりになっていくケース。そういうものを救う 何かいい方法を考えるべきではないかという提言であります。  以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  それでは、石川良一委員、お願いいたします。 ○石川(良)委員 それでは、今後、議論を深めていくテーマの中の地域力の向上とい うことで、本市で実施をしておりますことを少し中心にお話をさせていただきたいと思 います。  1ページ、実施すべき事業の方向性ということで、インフォーマルサービスが脆弱で あるために、公的サービスが必要範囲を超えて提供されているというのが現実ではない かと思います。  インフォーマルサービスへの支援が効率的に進められる必要があるのではないか。特 に、インフォーマルの中でも、例えばここに書かれていますけれども、高齢者のごみ出 しですとか電球の取り替えというのは、介護保険制度と自助ということのちょうど間に 当たるようなことについて、やはり地域の中でコーディネートをしていく、拠点を整備 して、またコーディネーターの支援等が重要ではないかなと思っております。  地域力を高める具体的な事例といたしまして、町内会、団地の自治会ですとか相互援 助の観点から、主体的に地域見守り支援を実践して、また成功している例がございます。 例えばここでは松戸、立川、高浜と書かせていただきましたけれども、立川市が一番私 どもに近いところですが、大山自治会というのがございまして、3,000人ぐらいの都営 団地ですけれども、その中で孤独死ゼロを実施しようということで、自治会と新聞配達 の皆さんですとか牛乳配達の皆さん、そういう方たちと契約をして、必ず電気のメータ ーが回っているかどうか、あるいは人がいないような静かな状況ではないか、そういう 場合は必ず自治会の方に連絡をしてもらって、自治会がすぐチェックをするというよう なことを既に実施をしていまして、極めて高い成果を上げているという事例も出てきて おります。  そして、自助、共助、公助という役割分担の考え方を浸透させる必要があるのではな いか。特に介護保険が立ち上がったことによって、自助と公助というのは定着をしたわ けですけれども、今まで地域の中にあった地域力が逆に弱まってしまった共助の部分と いうものをもう一度、特に都会では構築をすること。また、地方都市等では再構築をす るということが非常に重要ではないかと思います。  これは地方分権の観点からも非常に重要ではないかなと思っています。本市では、ア の介護支援ボランティア、これは一昨年に構造改革特区ということで申請をしまして、 昨年の5月から具体的に進めてきております。また、イの住民主体の介護予防地域活動 ということで、これは予防事業が始まる前からもう既に実施をしておりまして、それな りの効果を挙げているということでございます。具体的には内容については配慮させて いただきます。  まず、本市の概要を御説明させていただきますと、今、人口が8万1,134人。これは 少し前ですけれども、今月は今日からということで、今はもう8万2,000人を超えたと ころだと思います。人口がまだまだ増えている自治体であります。  高齢者の人口も1万2,528人で高齢化率は15.4%ということですから、全国平均ある いは東京都平均からしても高齢化率は非常に低い自治体であります。東京の都庁のあり ます新宿から約25kmというところで、通勤圏ということで住宅が中心の自治体でありま す。面積も17.97ということで、非常に狭い自治体と思っております。  また、一方で、多摩ニュータウンなどもありますので、新しい町と旧来の町がちょう ど合体したような課題を抱えている町であります。  この介護支援ボランティアでございますけれども、地域の中で新しくできた団地など、 地域のコミュニティー力を高めていかなければいけないということが大きな課題であり ます。また、社会参加を望む高齢者も非常に増えてきて、高齢者と言っても、今、非常 に元気でお若いということで、こうした人たちのパワーをどういうふうに活用していく のかということが重要ではないかなと思っています。  高齢者自身の介護予防につながる社会参加活動を支援することが非常に重要であり、 また、高齢者による介護等への支援ボランティアを褒賞とか奨励とかということによっ て評価をすることが非常に重要ではないかと思っております。  その結果として、地域支援事業費、介護給付費等の費用を直接・間接に抑制する効果 もあるのではないかと思っています。  現在も、昨年の9月から実際は始めておりまして、1年ちょっと経ったところですけ れども、多くの自治体から視察なども来ておりまして、周辺の自治体でも八王子市、あ るいは世田谷区などでも実際にもう実践をするという段階に入っておりまして、特に私 どもはボランティアと名前をつけていますけれども、有償になりますので、これはボラ ンティア精神に反するのではないかという意見もあります。これはもう別段ボランティ アという名前をつける必要はないわけでありまして、その自治体との考え方で選択をし ていけばいいのではないかと思っております。  ただ、日本の場合、互酬の精神と言いますか、何か少ししたら何かちょっと返すみた いな風土がありますので、むしろそういうものとこの支援ボランティア制度はマッチし ているのではないかと思っていまして、そういうこともあって非常に多くの方に参加を いただいております。  5ページ、制度は非常に簡単な制度でありまして、ボランティアをやっていただけれ ばスタンプを押して、そのポイントを集めたら1年間について5,000円分ポイントとし てお金を還元しますということで、これは私はいいですということも当然あるわけで、 必ずしも還元をすべての人がするということを求めているわけではない。ボランティア 活動をやることを評価していただくだけで十分だという方も中にはおいでになるわけで ありますけれども、こういったポイント制度を活用しているということであります。  6ページ、実際のところでございますけれども、当初は100人程度のところで予定し ていたのですけれども、273人ということで、大変多くの方が実際に登録をしていただ いておりまして、最高齢の方が93歳。90歳以上の方もおいでになります。男女比は、 大体7対3ぐらいで、男性の方がどうしても少ないということですけれども、市内の15 の団体がこの受け入れの機関になっていただいております。  実際のスキームにつきましては、社会福祉協議会がこの登録と実際のポイントの管理 を行うということでございまして、あとは私ども稲城市等々と連携をし、見ながら進め ているということでありまして、実際上どんなことをやっているかと言いますと、デイ サービス利用者への昼食の盛りつけ、配膳・下膳、これはケアハウス等のその施設に応 じたボランティアをやっていただいております。  9ページ、筋力向上トレーニングということで、筋トレ教室がございますので、こう いう器具を活用して、こういうところで一緒に号令をかけたり、あるいは既に実践をさ れている方がほとんどですから、器具の利用方法を指導したりというようなこともござ います。  3点目としては、小物づくりの指導。これは特別養護老人ホーム等が中心ですけれど も、レクリエーションの指導をしたり、話し相手になったりということでもポイントを 付与するということで、幅を広げております。  裁縫ボランティア、洗濯物の整理ですとか、ボタン付けといった、今までもうずっと やられている方もおいでになるのですけれども、こういう方たちも新たにこのポイント を付与するということでやっております。  小物づくり等やレクリエーションの指導。こういったトランプをやったり、いろんな レクリエーションに参加することもこのボランティアの一環ということは認めておりま す。  また、お誕生会はNPO法人で食事事業などをやっているところがありますけれども、 男性の方でコミュニケーションが余り得意ではない方は、こうやって台所を手伝うとい うことでも十分可能ですし、その人その人の特性に合った場所を選んでいけばいいので はいなかと思っております。  2点目としまして、これはいわゆる予防事業ということでございます。予防事業につ いては、介護保険制度ができる前、平成16年から実施をしておりまして「おたっしゃ21 」ですとか、介護予防に関わる講演会、イベントなどを実際にサポートして行っており ます。筋トレボランティアもございます。  講師・サブリーダーの育成のための事業も行っておりまして、特に転倒予防事業など の指導者としての役割も担っていただいております。  また、社会資源マップ等をつくりまして、介護予防に関する活動についてのグループ を掲載して、多くの方に参加をしていただけるようにしております。具体的には、この 転倒骨折予防教室ということで、こういう教室を行ったり、こちらの方もやはり女性の 方が非常に多いわけですけれども、男性の方も部分的には参加をしております。転倒骨 折予防教室ということで、これはいわゆる筋トレを自宅でもできるようなプログラムを つくりまして、ひもを使ったりというようなことで自宅でできるような筋トレみたいな ことも指導しております。  口腔機能向上のプログラムということで、これはほっぺたをふくらましたりとかとい うようなことをやっていますけれども、こういうこともやっていただいております。  自主グループも立ち上がっておりまして、稲城は大字が10ありますけれども、そのう ちの6つにふれあいセンターというのができていまして、そこの拠点でこういった教室 もつくっております。また、さわやかクラブということで新しいグループも立ち上がっ ておりまして、1つ大きなポイントは、この介護予防大会というのを実施していまして、 大会で皆が発表するということで、参加者も増え、また盛り上がってお互いに競い合い ながらやっていくということで非常にうまくいっているのではないかと思っています。  次に、これは先ほどお話をしましたふれあいセンターの皆さんが中心となって、地域 の敬老会などに参加をしていただいて、また盆踊りなども工夫をして、踊りの中で予防 事業を進めたり、本市は東京ヴェルディの拠点ということで、ヴェルディの応援歌を踊 りに振りつけたりとかということも活用しながらやっております。  最後、まとめのところでありますけれども、やはり地域住民は住み慣れた地域でいつ も安心して住み続けられるような体制をまずつくっていく。そのために何が必要なのか ということが大事ではないかと思います。そこで、住民自ら力を出し合って、自らつく り上げていくということが非常に重要ではないかと思います。  そして、介護サービスでは、地域の介護従事者がその地域に住む要援護の高齢者を支 える現状を踏まえて、地域重視の観点から、介護基盤の整備を行うことが重要ではない か。  コミュニティーの再生や地域活動を支援する仕組みに重点を置くことが、安定した介 護基盤の構築に資するものではないかと思っています。言わば、自助・公助ということ で介護保険制度ができ上がったわけでありますけれども、間に抜けている共助というも のを構築することによって、生きがいや地域とのコミュニティーによって支えられるネ ットワークの構築をしていくということが今後の介護保険にとっての大きな課題ではな いか。その1つの例として、紹介をさせていただきました。  以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、太田委員、お願いいたします。 ○太田委員 ビジョンを考えるに当たって、当事者とか家族の声も聞いて入れていかな ければいけないと思いますので、私の方からは、家族の立場からお話をさせていただき たいと思います。家族の視点から多様な介護の安心と希望を考えてみました。  まず1ページ目になります。介護とは、生きることそのもののサポートだと考えてい ます。要介護者が人生の真っただ中にいるのと同様、家族自身も人生の真っただ中にお ります。介護を最優先できない事情があります。  しかし、現実はどうしたらいいのということの連続です。どうしたらいいのと考える ことは、本当に不安を生んでまいります。家族は追い込まれています。介護者が不安で、 そのままそれが要介護者の不安につながり、安心も希望も実感なしというのが現在の状 態だと思います。  事例を挙げて説明させていただきます。  まずAさんです。お母さんは入院中。お父さんは実家に1人。父は腰痛のため、毎日 通院。肺気腫もある。眠れない、食べられない、気力が出ないと毎日Aさんに電話をし てきます。Aさん自身も糖尿病などがあって、元気とは言えません。どうしたらいいの でしょうか。  Bさんです。父は脳梗塞による物忘れ。お母さんは心配性で精神科に通院。親はデイ ケアに週に3回通いますけれども、在宅中の世話は、精神科に通院しているお母さんの 負担になっています。Bさんが遠距離介護をするのですが、都合がつかないこともあり ます。一体どうしたらいいのでしょう。  Cさんです。両親は2人暮らしです。要介護5の父を要介護1でアルツハイマーの母 親がみています。弟と順番に介護に行くのですけれども、もうお母さんには内科でアリ セプトと睡眠薬を処方がされています。睡眠薬を飲むと妄想が起こるのですけれども、 やめさせたいのですが、お医者さんに言ってもこれ以上いい薬はないと処方をやめてく れません。お母さんは医者が処方してくれるのだからと言って、飲むことを続けます。 どうしたらいいのでしょうか。  Dさんです。独居60代の父親が、リハビリテーション施設を退院予定です。当面、在 宅で過ごせと言われました。老人保健施設がいっぱいなわけです。嚥下障害があるので、 在宅での訪問看護は引き受けられないと言われました。仕事を辞めてみろということな のでしょうか。  Eさんです。独居のお母さんは要介護1。Eさんはシングルで子どもが2人います。 長女は障害があって車いすを利用。母親を在宅で介護できる状況になくて、老人保健施 設へと考えているのですけれども、満員で無理のようです。  Fさんです。おじさんはシングルなのですけれども、認知症があって異常行動があり ます。透析も受けています。施設も病院にもなかなか入れない状況で、市の福祉事務所 は問題が起こると、子どもがいないのでFさんに電話をかけてきます。でも、Fさんの 父親も認知症で介護中です。Fさんはノイローゼになりそうだと嘆いています。  Gさんです。義母は独居です。ショートステイや訪問入浴などを利用しています。日 中は何とかなるのですけれども、夜が心配です。医師からは、夜間は誰かいた方がいい と言われるのですけれども、できないから困っているわけです。  Hさんです。実のお母さんは独居です。要介護2。認知症が進んでいます。夜間にか ぎを開けて徘徊するようになりました。警察からHさんの家に電話がかかってくるよう です。夜、1人が寂しいのかもしれません。  身につまされるような事例ばかりを挙げてしまいました。でも、これが多いわけなの ですけれども、1つほっとする事例を挙げてみました。  80代の独居の女性に聞いた話です。1人が寂しくて、ホームに入りたいということで した。有料老人ホームを見学に行かれました。きれいでホテルのようでした。しかし、 入居者と話をすると、自由がない、子どもたちが安心して来なくなったという愚痴ばか り。1人で生活できる幸せを実感したといいます。もう少し頑張ってみるつもりと彼女 は言っておりました。地域にサポートがあったら、こういうお年寄りは自宅で何とかや っていけるのではないでしょうか。  こうした「どうしたらいいの」の連続を減らす方法を私なりに考えてみたものが、最 後の11ページです。  冒頭に申し上げましたとおり、要介護者も介護者も生きている人間です。サポートが ない限り、追い込まれていきます。24時間体制で正確な情報提供、不安の受入れ、緊急 出動・預かりなどのサポート実践がなされる体制が必要だと思います。しかもそれはサ ポート実践ということで、地域に必要だと思います。適切な判断のできる優秀な人材が 必要ですので、先般から言われております、介護従事者の処遇改善は最優先するべきだ と思います。  現在の状況では、優秀なケアマネージャーと出会うと幸運なのですけれども、そうで ない場合の方が多いのが現状です。私もライターでいろんなところに文章を書いており ますけれども、常にいろんな人から聞かれます。いいケアマネージャーに出会うのはど うしたらいいのですか。忙しそうなケアマネージャーに要望を言うのは申し訳ない。嫌 われるのではないだろうか。これが現状です。  しかし、家族がいるとは限りません。シングルが増加しております。老老介護が増加 しております。遠距離介護など、家族の形態が変化しています。つまり、個別対応が必 要です。同居であっても、日中独居が今、中心になっています。  たとえ家族がいなくても、要介護者が尊厳を持って生きていける体制、だれもが安心 して老いていくためには必要だと考えています。  イメージとしましては、この間皆さんと見学に行きました、小規模多機能ホームはい ろんな課題を抱えているようですけれども、解決策の1つになるのではないだろうかと すごく期待を寄せております。  地域包括支援センター、ヘルパー、デイ、施設、病院、ボランティアセンター、先ほ どおっしゃっていましたリハビリのセンターなどもそうなのかと思いますが、個別に運 営されているのが現状ですけれども、何らかの形でネットワーク化し、在宅で皆さん、 地域で住み慣れた家で暮らしたいという願いをかなえていく方法がないのかなと考えて います。  すみません、以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  続きまして、袖井委員、お願いします。 ○袖井委員 私は、5分ということだったので、割に簡単なレジュメです。 ○前田座長 そうお願いしたので、申し訳ありません。 ○袖井委員 私はここ数年、在宅の看取り、介護の問題を考えておりまして、QOL (Quality of Life)からQOD(Quality of Dying)ということを提唱しております。今 までQOLということがかなり言われておりまして、高齢者の要介護高齢者についても QOLに関する研究なども出てきておりますが、その先に死があるということは避けら れない、そこを見つめる必要があると思うので、QOLよりもQODではないか。QO DDというQuality of Death and Dyingという言葉を使うこともありますが、死に方の 質というか、死の質みたいなものを考えていく必要があるのではないかということを考 えておりまして、その辺りのことについて少し発言させていただきます。  1つは、人口構造の変化ということで、日本は戦前の多産多死から、戦後、栄養状態 とか衛生状態がよくなって、少産少死型社会になったわけですけれども、20世紀の終わ りぐらい、あるいは21世紀になってから、少産多死型社会に変わってきたのではないか と思います。  既に2005年から死亡数が出生数を上回るという状況になっておりまして、現在は5人 に1人強が65歳以上で、10人に1人が75歳以上の後期高齢者ですけれども、2026年には 5人に1人が75歳以上になるということです。  そして、今のところは65歳以上の方が多いのですけれども、2016年にこれが逆転して、 75歳以上が65歳から74歳の前期高齢層を上回るということです。2025年には死亡数が出 生数のほぼ2倍になる。大量死の時代を迎えるということですから、この辺を見据える 必要があるのではないか。  2015年の高齢者介護というすばらしい報告書が出ましたが、2015年〜2025年、戦後の ベビーブームの世代が、いわゆる後期高齢者になるときですが、やはりその辺が危機な ので、この辺りが非常にクリティカルなピリオドとして注目していく必要があるのでは ないかと考えております。  いかに生きるかよりも、いかに生を終えるかが重要な課題になるのではないかという ことです。改正された介護保険では、住み慣れた家や地域で尊厳を持って暮らすとか、 尊厳を持って老いていくということが提唱されておりますが、私はその後に、住み慣れ た家や地域で老いて、そして死を迎える。尊厳を持った死を迎えるにはどうしたらいい かということを考える必要があると思うのです。  満足死という言葉がありますが、これは本人、家族あるいは医療・介護・看護などに 従事する人にとって、満足のいく終末期ケアあるいは看取りのケアということが必要か と思います。  先ほども申し上げましたが、QOLからQODへという、私は『死の人間学』という 本の中でそういうタイトルの論文を書いたのですが、やはり終わりよければすべてよし ではないですけれども、人生の最終段階に尊厳を持って、人間らしく、その人らしく生 を終えるという方策を考える必要があるのではないか。  介護も勿論大切ですけれども、要介護の状態がずっと続くわけではなくて、やはりそ こにいつか終わりが来るのですから、そこの人生の最終段階が質の高いものである必要 があると考えております。  最終段階における自己選択と自己決定の問題が重要かと思います。ただし、これは欧 米型の自己選択、自己決定とは違う、日本型の、いわゆる家族と相談しながらとか、医 者と相談しながらという決定の方法があると星野一正先生なども言っておりまして、日 本社会にふさわしい自己選択、自己決定という在り方が考えられるかと思いますが、現 在の日本の、特に病院における死に方と言いますか、死の迎え方というのは本当に全く 選択の余地がない、その人の主体性、自主、あるいは尊厳が守られないという悲しい状 況にあると思っております。  看取りの介護、ターミナルケアというのは響きが悪いということで、最近はthe End of Life Careという言葉を使いますけれども、やはり看取りの介護ということを介護の 中に位置づけていく必要があると考えております。  1970年代半ばに、在宅死と施設死の比率が逆転いたしまして、今は圧倒的多数の方が 病院で亡くなる、特に都会では9割以上かなと思いますが、それは女性の変化や家族の 介護力の低下ということも大きいかと思いますが、もう一つ、老人医療費の無料化とい うことの影響も大きかったのではないかと思います。お年寄りを施設とか病院に送って しまった方が、経済的にも物理的にも精神的にも楽になるというような、これ自体、医 療費の無料化がずっと続けられればそれに越したことはないのですけれども、そのマイ ナスの面も出てきたように思います。  在宅死の方が、本人の満足度が高いという調査もございます。ただし、これは死んで いく人に聞いているわけではなくて、日本福祉大学の近藤先生などのグループが、訪問 看護師の調査をなさった結果として、本人の満足度が高いという結果がありますし、前 回の山崎先生の御報告で、施設よりも在宅の方が費用が少ないというようなことがあり まして、この辺の正確なデータを得る必要がある。本当に在宅死の方が施設よりもお金 が少なくて済むのかということは、厚生労働省辺りにちゃんとした調査をお願いしたい と思っております。  ただし、在宅の場合に、先ほど太田委員から御報告がありましたように、家族は必ず しも満足してはいないということ。つまり、それは家族が非常に過酷な状態に置かれて いるので、高齢者が在宅で亡くなった場合に、勿論満足している家族もたくさんいます が、そうではない家族もかなりいる。できれば、うちにいてほしくないという想いもあ り、本当に在宅で看取るための労苦が非常に大変であったという家族も少なくありませ ん。  もう一つ必要なことは、住宅の問題ではないかと思います。医療・福祉サービスの拡 充が必要であるということは言うまでもないのですけれども、やはり要介護になっても 暮らし続けられる住宅の確保が必要ではないかということです。  先ほど、石川委員からリハビリのお話がありましたが、現在の日本の住宅の状況とい うのは、せっかく病院でリハビリをしてかなり機能を回復しても、家に戻ると住宅がバ リアだらけで、せっかく効果が出てきたのが元の木阿弥になってしまうというようなこ とが少なくありません。ですから、在宅ケアの受け皿としての住宅が整備されなければ、 笊で水を汲むようなものではないかと思っております。  在宅介護や在宅の看取りケア、あるいは終末期ケアというのは、必ずしも家族介護で はないと私は考えております。今後、ひとり暮らしが今後非常に多くなってくるので、 2030年ぐらいになると、高齢者世帯の中で一番多いのがひとり暮らし世帯と予測されて おります。  ですから、家族介護ではなく、家族の介護を当てにしなくともやっていかれるような ケアの在り方というのを考える必要があるかなと思います。  そのほかに考えるべきことは、ここでそこまで踏み込むことは無理かなと思いますけ れども、インフォームド・コンセントとか、延命治療が問題です。どこまで治療を続け るべきか、あるいはそれを誰が決めるのかという問題は非常に難しい問題です。  医の倫理の問題、専門職教育における命の教育ないしDeath educationというのは、 医療、看護、介護などにおいて、そういう終末期のケアに関する教育というのは、今ご くわずかですけれども、一部の医学部では教育が行われていますが、まだまだ不十分か と思われますし、現在の介護福祉士とか、あるいは看護師さんの教育において、そこま でまだいっていないというのが実情です。ですから、その辺の問題、専門職の教育にお ける看取りケアをカリキュラムに入れていく必要性があると考えておりますので、私は そんな問題提起的なお話をさせていただきました。  以上でございます。 ○前田座長 ありがとうございました。  続きまして、鳥羽委員、お願いいたします。 ○鳥羽委員 資料5を5分以内で、簡潔に説明したいと思います。  1ページ目「国民の介護に対する不安」ということで、その問題点等を挙げてありま す。  「1.寝たきり・認知症にはなりたくない」は、原因疾患の予防が十分かという課題。  「2.寝たきり・認知症になっても家族に負担をかけたくない」は、サービスが十分 かというものです。  「3.寝たきり・認知症になっても最低限の自立を保持したい」は、慢性期のリハビ リテーションの課題です。  「4.寝たきり・認知症になっても急に病気になったらしっかり見て欲しい」は、医 療連携、特に救急医療体制と退院後の受け皿の課題です。  「5.寝たきり・認知症になっても尊厳をもって扱われたい」は、教育の問題と、介 護の人手の問題ですが、本日は1〜4まで私のデータに基づいて説明します。  2ページをごらんください。これは厚生労働省が委託を受けまして、2,000名くらい の老健、特養の患者さんの研究をしたもので、3ページを見ていただきますと、Barthel (自立度)生活のADLに影響を与えるようなものはどういうものがあるかということ です。赤が危険因子です。転倒、脳血管障害、骨折、膝関節痛、心不全です。緑は維持 するもので、意欲が保たれ、意思の伝達が図られ、目がよく見える人は寝たきりになり にくいということです。  4ページが、これらを施設及び地域のデータも含めて総括したものでございまして、 今まで脳血管障害あるいは認知症、骨折といったものですが、それ以外に慢性疾患や視 力低下による心の元気さの問題でありますとか、膝関節症あるいは筋力低下、転倒とい ったものの重要性が示唆されました。特に転倒に関しましては、骨折の9割が転倒から 起こるという形で、もう少しこの転倒のメカニズムをしっかりと解明すると同時に、こ ちらについて力を入れなければいけないと考えております。  5ページは、社会サービスが十分かというもので、このような項目を調べるとどうな るかということです。  6ページ目をごらんください。横軸は週1〜3日、毎日、毎日(昼夜問わず)介護し ている、各々8名の方が介護保険サービスを何個使っているかという形で、週1〜3日 の方は、平均1つ、毎日の方は2つ、昼夜を問わず介護をしている方は3つ利用して、 その介護度に応じて利用をしていて大変結構だということでございます。  7ページを見ていただきますと、縦軸は介護負担感、ガーリットというものではかる ものですが、毎日介護する方まではサービス利用によって、週1〜3日介護する人と同 じような介護負担感でおさまっていますが、昼夜を問わず介護をしている方の介護負担 感は解消されていないという形で、よりショートステイの拡充が必要であると提言させ ていただきましたが、先ほど言いましたように、ショートステイは非常に足りないとい うことが言えます。  8ページに慢性期のリハビリテーションの課題を挙げました。老人保健施設において、 短期集中認知リハビリテーションというものが行われまして、その研究班の班長をさせ ていただきましたが、この3か月における認知リハビリテーションにおきましては、中 核症状だけではなくて、いわゆる周辺症状という問題行動が有意に改善しております。  9ページをごらんください。どのようなものが改善したかというものは、pが0.05 以下のものが意味を持って改善したということでございますけれども、物をなくす、昼 間寝てばかりいる、介護拒否をする、何度も何度も同じ話を繰り返す、暴言、言いがか り、無関心、昼夜逆転といったさまざまな困った症状に対して改善が認められました。  このようなものは、先ほど石川委員のお話にもありましたように、在宅系のリハビリ、 老健におきましては、通所、デイケアといったものにこのようなリハビリテーションを 組み入れていくという形で、体だけではなくて、心のリハビリテーションといったもの も求められるところであります。  10ページをごらんください。これはより認知症が進んで寝たきりの方に排尿誘導を行 った成績でありますけれども、トイレ機能はオレンジの誘導前、赤が誘導後でございま すけれども、トイレ機能が全面解除から部分解除になったというだけではなくて、自分 の清潔であります歯ブラシ、くし、入浴といったもの、あるいは歩行、階段といった移 動までも改善しました。この方は慢性期のリハを受けていましたけれども、本当にその 患者さんの尊厳を守る排尿といったものを行うともっともっとよくなるということで、 いわゆる寝たきりの方あるいは認知症の進んだ方の尊厳や気持ちをどうやって推し量る かといった介護の技術が大事なことを示します。  11ページでは、上の方で意欲がよくなり、それに伴ってADLがよくなってくる。そ して、このような排尿機能は2年後も半分の方はトイレはポータブルでおしっこができ る状態が保たれていたという成績であります。  たかが2年後と思うのでしょうけれども、12ページを見ていただきますと、このよう な療養型病床におきます生命予後は2年半でありまして、私たちはこのような重度の方 は2年半の方たちを相手にして、何をしたらいいかということを考えなくてはいけない 介護技術だということです。  13ページは、看護師さんが発想した全国でもやられています伏臥位療法というもので、 うつぶせで寝たきりになって2年間天井を見ている生活ではなくて、少なくともそうい う方が車椅子で腹圧をかけられるようにするだけで、意欲が出たり、便秘がよくなると いう成績であります。このような現場の方から出た成績、アイデアを大切にして、14ペ ージを見ますと、医学と同じように、さまざまなお薬以外の成績が認知症やADLの低 下した方にどんどんとデータが出てきている現状であります。このようなものを是非生 かして、介護をやっている人たちは単なる面倒なお世話をしているだけではない、よく 勉強して、毎日必死に見ていてくださるということの尊敬を、国も我々も持たない限り、 介護技術者の離職はお金を上げただけではだめだと思います。  15ページは、医療との連携の課題で、うちの科の成績を出させていただいてあります。 ここで見ていただきたいのは、ほとんどが在宅ですけれども、ここの有料老人ホームか ら結構たくさん入ってこられて、それとは逆に療養型からは3人しか入ってこないとい うことなのです。  ですから、急性期の転科は、国の方針、レポートでは、療養型は安定しているので、 医療が要らないので急性病院に来ない。そうではなくて、療養型はその中で一定の医療 を果たしているから来ないのであって、ほかのところからが大変来るということです。  16ページは、その入院の8割は救急、すなわち高齢者は救急医療がもうどんどん増え ているということです。  17ページをごらんください。在宅復帰は53%にすぎませんが、特筆すべきは有料老人 ホームには十分帰れないということです。一旦救急に来たら、もう引き取ってくれない ところがたくさんある。それに比べて、療養型、一般病院はその受け皿になっていると いうデータです。  18ページは、在宅だけに特化した分析ですが、ごらんください。  19ページは、要介護と医療費というものは不可分で、出来高換算に、実はこの包括払 いを計算し直してもらったものですが、要介護度の高い方は、医療費も自然とかかると いうことです。医療と不可分であるという形を示しております。  20ページは、最後のものですけれども、認知症のプロジェクトができましたけれども、 転倒のプロジェクトも是非つくっていただきたいと特に思います。  そして、寝たきり高齢者が実際家でみられるのか。それは在宅医療が急速に進めばで きますけれども、正確な需要変化と受け皿数をしっかり公表してほしい。認知高齢者の 受け皿数の計画的な増加も示してほしいと思います。  慢性期リハビリは、石川委員と全く同意いたしますが、体だけではなくて心のリハビ リも是非加えていただきたいと思います。療養型病床の再編に関しましては、まずここ を減らすということは、救急医療、特に急性期医療が崩壊いたします。まず全面撤回し ていただきたいと思います。  慢性期医療に携っている医師及び介護・看護職に対する正当な評価を、教育体制の中 で構築していっていただきたいと思います。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。  資料6が古川委員で、古川委員は今日お出でになる予定だったのですが、お出でにな らないということですので、資料7も初めから御欠席の御通知をいただいていたのです が、ペーパーを出していただくということで、これは代わって読み上げることはいたし ませんので、お目通しいただければと思います。  資料8が私のもので、これは誤植があったりできの悪いもので本当に申し訳ないので すが、これに従って、それに補足的に説明をさせていただきたいと思うのです。  このビジョンの会議の中で、私が介護について何で入っているのだと、専門性がどこ にあるのだということなのです。専門性は勿論ないのですが、余り申し上げることでも ないし、ただ、ある程度説明で必要だと思うのは、私は20年間ぐらい親の介護をやって きたのです。まさに太田委員のおっしゃるとおり、人生の真っただ中、30代半ば〜50代 の半ばまでがずっと介護の人生と言いますか、高齢者の家族にとってまさに安心と希望 が介護にとって非常に必要だということを、もう実感いたします。  やはり初めのころは、安心して任せられる施設、ただ本当に急速に介護が進歩いたし ましたので、当時の初めのころの議論は余り説得力がないというか、ぴんと来ないのだ と思うのですが、今になりますと施設というのは本当によくなったと思います。  ただ、たまたま医療、病棟からもお宅は自宅でみてください、病院はベッドが足りま せんと言っていろんな病院からはじき出されて、その結果、在宅医療なのです。この会 のテーマとしては、在宅医療が好ましいということで、結果的に私は在宅医療で親にと ってもよかったし、我々にとってもある部分つらいし、プラスの面もあったとは思うの ですが、やはり基本的には1ページに書かせていただいたように、安心して任せられる 施設を充実させるということは当然大前提である。それを踏まえた上での在宅での質の 改善ということなのだと思います。  厚労省との関係ではそのことがあって、一部厚労省の知り合いがいた関係で、ALS 患者のたんの吸引問題の座長をやらせていただいたのです。そのときになぜこれが出て くるかというと、私はやはりたんの吸引を家族としてやるわけです。ところが、医療の 世界では家族はやっていいのですが介護の人はやってはいけないのです。それをどう広 げるか。そもそも医者はやらなければいけない。ここの会場で随分議論しましたけれど も、こんな難しいことを介護士にやらせられると思っているのかと看護師さんはおっし ゃるわけです。そこで大変なバトルがあったわけです。  ここは厚労省ですから、看護課の人もいらっしゃるしいろいろいらっしゃるので、発 言は全部公開ですから注意しなければいけないのですが、そういう関係で私はある程度 は介護の現場にいたという言い訳めいた話なのですけれども、それを踏まえて、提言と いうのは具体的なことでは余りないのですが、2点だけは強く申し上げたいということ なのですけれども、2ページ目で当時の状況では在宅の介護にせざるを得なくなったの で、介護施設が充実していればという想いはあったということです。私自身は、大学の 教師をやっていまして、本当に申し訳ない、ほかの方々から見ると時間がある程度余裕 があるし、職住接近で歩いて帰れる、都立大学のそばにあって、私は都立大学というと ころに住んでいますので、職住接近であったのですが、それでも非常に重いのは、家内 が英語の教師だったのですが辞めてもらって介護するということはあるわけです。だか ら、一生頭が上がらないということは当然あるわけです。  ただ、24時間は無理で、夜は夫婦で面倒を見るわけですけれども、昼間介護の方が来 ていただけるようになって、本当に初めは暗たんたる気分です。これでやっていけるの か。ところが、入浴なども大変だったのが入浴サービスができて、介護ができて、介護 保険制度ができて、昼間はある程度任せられるというような状況は、今から見れば現状 は足りないところを指摘するということもあれなのですけれども、私たちは下から見上 げてきた介護でして、よくやってくださった、ありがたかったという意識の方が強い。  ただ、その中で一番不満に残るのは、今後改善していただきたいと思うのは、医療と 介護の連続性。私は中医協の委員もやって、医療の側で点数を付けたりなどという仕事 もやっているわけですけれども、そこで議論していると、この問題は介護ですね、介護 でお金が出てくる話ですね、医療は別ですね、介護にもっとお金があるはずだというよ うな話をさっとするのです。介護は介護で医療のつながりの側から見ると、やはり別の 世界のものとして見るようなところがある。  ただ、寝たきりで、うちの場合はもうずっと要介護度が一番高い状況で、だから脳梗 塞を起こしてもうあれで、相当長い期間で、これは訪問看護の先生など看護師の力も大 きかったのだと思うのですが、長いこと一緒にいたということなのですが、やはり医療 的な不安が一番大きいのです。そこのところで、訪問看護とかお医者さんの充実。はっ きり申し上げると、点数から見たら介護の点数に比べて医療というのは物すごく高いで す。看護師さんに来ていただくということがいかに大変なことか。これをいかに合理化 して、医療組織の中で介護も看護も両方やっているものがかなりあるわけで、いろんな レベルのものがあるわけですけれども、合理的な配分と言いますか、勿論医療費はお金 がかかるし、先ほどのたんの吸引などでも技術的な水準を下げてはいけない、生命の安 全に関わる問題だからきっちりやらなければいけないというのは、そのとおりだと思う のですが、もう少しお互いに寄るような意味で、この間、大臣が医療と介護を根本的に 近づけて考えるとおっしゃったような、我々現場から、やってきた人間から見ると、非 常に大事なことで、ただそれを近づけるのは、逆に言うと、吸引の会などでやっている とよくわかるのですが、壁は非常に高いですから、これは言うは易く行うは難いことだ と思います。ただ、その方向で動いていただけるというのは非常にありがたい。  3ページ目は、今、申し上げた健康の問題なのです。切り分け過ぎてしまう。先生方 のお話にもありましたけれども、心の問題というのが非常に大きいと思います。やはり 母などは心の問題が一番大きいのだと思うのです。ただ、私は法律の中でも刑法という のをやっていて、生命が何だとか尊厳がとかやっている中で、もう一つは、精神医療の 世界には非常に深い関係があるのです。その先生方と話していると、医療と心の問題と いうのは不可分なはずで、逆に一般の医療でも心の問題は治療の中で重要なのだと思う のです。その意味でも、医療と介護の結びつきをもう一皮むいたところで、本題のとこ ろでもう少しつなげていただけるような、これはかなり長期的な課題だと思うのですが、 その中で、せめて少し形だけでも直していただきたいのは、もっと難しいのですが、医 師と看護師と介護士と患者の階層性です。それは物すごいものがある。それがかなり仕 事をしにくくしているということは感じている。ですから、私は医療の側にも申し上げ るべきことは申し上げなければいけないと思っているのです。  もう一つは、一番初期には母にも徘徊の時期があって、この時期が一番きつかったで す。この研究会でも前にも出てきましたし、認知症が入っていたのだと思うのですが、 寝たきりになるのは脳梗塞でも寝たきりになってしまうのですが、やはり認知症のケア 体制の構築は、あそこで専門の方がおっしゃったように、非常に重いですし、力を入れ てやっていただきたいということだと思います。  初めのころ、体を少し動かすとか、リハビリとか、いろんな機械を買ってきたり、素 人考えでいろいろやったのです。やはり素人ではどうしようもなかったのです。あの頃 はまだリハビリのリの字も我々末端には来なかったと思います。お医者さんの方に行け ばいいのかもれしないけれども、そんな余裕はないので、制度的に悪化を防止するリハ がもう少し入ってくる、一挙にもう完全なものをというよりも、少しでもリハビリを早 い段階からやっていくということは本当に家族から見るとすばらしいこと。  少しでも手を動くようにしたいと思うので器具を買ってくるんですけれども、素人で はだめなのです。それが4ページです。  あと介護の現場の方に本当にお世話になって、そこで今でもいろいろお話しを伺うの ですが、やはり成り手、辞めていく人がいる。これをどうするか。先ほど先生がおっし ゃったように給料だけではないし、尊敬、もっとやりがいのある職場にしていくという のは根本だと思います。ただ、給料も大事だと思います。  介護費用をもう少し上げていかないとだめだという実感を現場の方々と話していると 感じます。  経済的基盤抜きの精神論でも弱い。お金だけで、金がもうかるから介護がいい商売だ というのも困る。その意味で、やはりバランスのとれた介護報酬。ただ、引き上げる必 要性は個人的な意見ですけれども、非常に高いと考えています。  あと人が足りないから外国の方に来ていただくという議論が片一方であるし、政治的 にも移民を増やすとかというような議論があるのですが、それは必ずしも介護士、看護 師の問題解決につながるとは思えないです。やはり資格試験に受かって、日本語がそれ だけできる方に来ていただく。来ていただくことはすばらしいことだと思うし、それを 拒否するという意味ではないのですが、日本の国民がかなりの部分が、日本人が介護が できるような経済的な基盤とか魅力ある職場というものをつくり上げていかなければい けないのではないかということを強く感じます。  あとは法律家ですので、裁判所に行くと、老人問題としては成年後見の問題、裁判所 としても誠に不十分である。横領事件が起こったりなどして非常に問題である。気がつ いているけれども、どうしたらいいかというのがわからないので、やはり我々はある意 味で専門性を持った人間として、もっと取り組んでいかなければいけないと考えている。  非常にだらだらしゃべって雑駁な内容で申し訳なかったのですが、私のプレゼンはそ のくらいにさせていただきたいと思います。  続きまして、村上委員、お願いいたします。 ○村上委員 私は、今、特養にいますので、特養にいる立場からお話しさせていただき ます。  最初に「老後の安心は自分の主張から」ということです。今までのお話にありました ように、高齢者の生活、住み方、生き方というのは、各自の主張とか選択があって、そ れが支えられていくというのが介護保険制度であると思います。  そのステージごとの支えがあって、安心と希望がある、老後があるわけですが、今一 番問題なのは、先ほど太田委員のお話にもありましたように、介護者負担がかなり激務 だということです。  介護保険制度の中で、家族の方を中心とする介護者負担をどういうふうに解消するの かということがない限りは、在宅サービスが大変難しくなっていくという条件があるだ ろうと思っております。  4枚のパワーポイントを提言のほかに資料を付けておりますけれども、介護者のスト レスというものと、高齢者介護に対する世論調査、2枚があると思います。このストレ スは老施協で調べたものです。高齢者介護に対する世論調査は政府広報から出ているも のです。これをごらんになっていただいても、いかに介護者が大変な思いでいるかとい う状況がここからも見てとれるのではないかと思います。  今、65歳以上あるいは70歳以上の家族が介護している比率が80%を超えているという 状況でございます。また、我々が調べたところによりますと、家族介護のための離職と いうのが14万5,000人ぐらいいるとも言われております。そういうことでは、介護者に 対する負担をどうするかという問題を制度の中ではしっかりと位置づけていただきたい というのが1つでございます。  その次の多様な住まいと特養の位置づけということなのですけれども、18年の法改正 で、早目の住み替えということが出てまいりました。今までのお話の中にありましたよ うに、私は地域で住み続けられる状況がある方は、本当に最期まで地域で住み続けてい ただきたいと思っております。  ただ、それが十分できないときには、早目の住み替えということがあるのだろうと思 います。資料の中で「介護機能の分解と『生活』の分断図」とちょっと挑発的なタイト ルになっておりますけれども、この安心住空間が地域の中での住み方なのだろうと思い ます。これができない方については、早目の住み替えというものが出てくるのだという こと。この早目の住み替えの中で暮らし続けられる人、地域で住み続けられる人、こう いう方々は、最期まで住み続けていただきたいと思います。  そこに必要な介護サービスが出てきたときには、左側の病院とか看護とかその他のサ ービスを、これを取り入れていくという形だと思います。ただ、そのときに、これだけ で住み続けられない人が出てくる可能性がないのかということなのです。  家族の状況だとか、本人の身体状況だとか、あるいは地域の状況だとか、これからさ まざま変わってくるのだろうと思います。このときに住み続けられない人がいたときに、 どこで住むのかという問題が出てくると思います。  今のところは介護保険施設があるわけですが、特養もそのうちの1つです。私の位置 づけですけれども、特養は生活支援を一体的に提供するような支援施設だと考えており まして、最終的に特養というような機能が、これから先どのぐらい必要になってくるか という数値的目標をしっかりと分析して出していただきたいと思っています。  もう一つは、この特養を、先ほどの介護者の調査がありましたけれども、結果的には、 特養を求めている人が今40万人いるというような状況もあるわけですから、この特養の 位置づけというものをこれからどうするかということについては、中期的にはしっかり と位置づけていただきたいということが提案でございます。  もう一つ、見守りというものがあると思いますけれども、見守りというのは、非常に 軽く考えられがちなのですけれども、私は見守りというものがあって、初めて在宅サー ビスあるいは施設サービスの中で、その人自身の自発性を中心とした生活ができる、自 立支援ができると考えておりまして、これは私がつくった定義でございます。参考にし ていただきたいと思います。  「介護人材の安定的確保を」ということなのですけれども、私たちの調査によります と、特養のフルオープンができなかったところが、17年度が33%、19年度が63%。一部 ベッドを閉鎖せざるを得なかったところが19年度の新型特養で50%、従来型で60%、介 護職の離職率が25.3%というような状況でございまして、この状況というのは大都市だ けかなと思いましたら、実は私たちの十勝でも、もう本当にいません。フルオープンに できないというような状況が出ているわけでございます。  私は一番最初のときにもお話しさせていただきましたけれども、介護を支える介護従 事者の安定的な供給こそが、介護保険の維持に非常に重要だと思っております。これか ら120〜150万、更に介護士が必要だとはされているわけですけれども、介護士養成の施 設は、学生がもう50%を切っています。更に、高齢化だとか少子化が進んでいくわけで すから、これがもっと減少するという状況の中では、介護保険制度の存続さえどうかな と思っているわけでございます。  これは、資料の中の「今後の急激な少子・高齢化の進行」です。これは社会保障国民 会議で出た資料だと思いますけれども、こういうような状況の中で、本当に支え手がこ れからいるのかどうかということをしっかりと考えていかなければいけないと思ってお ります。先ほど前田座長から外国人労働者のお話がありましたけれども、9月30日の読 売にゲイリー・ベッカーさんが移民というものを積極的にというような論調がありまし たけれども、移民だけではなくて、介護労働者はもちろん、労働力を外国からというの は、これからもう本当に考えていかなければならないような状況になっているのではな いか。これについても私はきちっとしたデータの下で、それが必要かどうかということ は調べるべきだなと思っております。  そういう中で、この介護人材は給料を上げなければ、あるいは先の見通しがなければ、 もう本当に集まる状況ではありません。ですから、このことをしっかりとこれからの介 護の在り方の中で位置づけていっていただきたい。それも安定的に供給されるような状 況が必要だと思っております。  特養は「特養の医療機能に関する調査研究」が入っていますけれども、実に重度の方 々が特養の中にいらっしゃいまして、医療行為、医療的な行為も含めて、今やっている わけですが、ここを支えてきたのは歴史的には準看なのです。今回、10月1日から準看 では重度化対応加算が取れなくなりましたけれども、そうなったとき、今、特養の中に 7%と言いますから、2万人ぐらいの方々がこれから重度の中でどうしていくのかとい う問題が出てくると思います。  準看の方々がそれは必死にやっていくと思いますけれども、制度上の問題としては、 本当に準看ではだめなのかという問題は改めて議論をしていただきたいと思います。  介護保険制度は理想だとか理念だけでは、高齢者の生活と命は守れないだろうと思う のです。もっとお年寄りの生活の実態だとか、介護を支えている人材の問題だとか、費 用だとかというようなものを総合的に見ていかなければ、安心と希望というのはないだ ろうと思っておりますので、そこのところをこれから検討していただきたいと思ってい ます。  最後に「21世紀型 特養図」というのは、特養を中心に書いています。それぞれの事 業所が中心になって書いたときに、この構図がどうなっていくのか。この連携の中に介 護を支えるということがあるのだろうと思っております。この在宅サービスの推進の中 に、老健だとか病院が入っていますけれども、これはここには入らないと思います。そ ういうことをお示しいたしました。  以上、私の提言でございます。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  最後に村田委員、お願いいたします。 ○村田委員 大臣、これまで皆様大変良い報告をなさいまして、私のだけを聞いていた だくのは恐縮です。資料はありませんで、取材者の立場から自らの考えを自らの言葉で 話したいと思います。  私がお話しする視点は、要介護高齢者にとっての安心と希望の持てる介護は何かとい うことを考えてみましたので、その視点からお話しいたします。  1つは、取材しておりますと、要介護者も家族も、また専門職も介護保険が万能であ るというような意識を持っておられるということを非常に強く感じます。介護保険とい うのは、あれもないこれもない制度でして、決して万能ではない。このことを基本的に 認識する必要があるのではないかと思うのです。  では何が足りないかと言いますと、これは先ほどの稲城の石川市長のお話とも同じよ うなことになりますけれども、これからひとり暮らし高齢世帯が増えるときに、在宅で の日常生活を守る上でのちょっとした手助けです。草むしりとかガラスふきというのが ありましたけれども、そういうことを支える支援が求められる。これは法的な制度で支 えるのではなくて、住民の支え合い、いわゆるインフォーマルな仕組みという言い方を されますけれども、これをもう少しきちんと精査して、つまり住民が支えるのは何かと いうことを精査して、ある程度開発する、組織化することも必要かもしれません。こう したインフォーマルな仕組みを公的な制度と組み合わせてトータルに提供するという仕 組みづくりをすることが1つ必要だと思います。  2番目は、先日の報告で、大川弥生先生が指摘されました、できないことを補うだけ の介護から、良くし、助ける介護への向上を図ることが大事という指摘がありました。 これは本当に私も常日頃実感していることでして、補う介護だけでは要介護高齢者が社 会から阻害されているという意識から脱却できないと思うのです。  それどころか、できないことが加齢とともに多くなってくるにつれて、あれもしてほ しい、これもしてほしい、こんなサービスがほしいと依存度を高めることにつながって くるのです。自助努力で乗り越えられないことを支援していくのは当たり前なのですけ れども、もう少し要介護高齢者の持てる能力、残された能力ということに着目して、や る気を引き出す。たとえ要介護状態になっても、生きる喜びとか、張りとか、生きがい とかといったことが感じられるプログラムを開発することが急がれると思います。  この点では、先週のヒアリング、夢のみずうみ村、理事長から余りそういう話はあり ませんけれども、ここの取組みは大変参考になると思います。私は何回も取材に行って おりますが、時間の関係でこれは省かせていただきますが、生きる喜びとか、張りとか、 生きがいを感じられるプログラムでデイサービスを提供しているところです。  つまり、サービスをプラスする、補うという考え方が中心でしたけれども、これから は引き算するという発想も必要ではないかと思っています。現状のサービスの在り方、 補う介護という考え方で行われているサービス提供を見てみますと、例えばデイサービ スは1日のプログラムは決まっていますし、食事は上げ膳据え膳ですし、施設内は要介 護高齢者ですからバリアフリーと、これは全国どこでも同じような形で提供されている のです。  結果的に利用者はお客様になってしまって、できることも何もさせてもらえない、プ ログラムをやらされているという感じで非常に無気力です。時間つぶしにデイサービス を利用しているにすぎないと実感することが物すごく多いのです。  こうしたスタイルから抜け出すには何が必要かと言うと、まず第一に、介護する側の 家族も含めた専門職です。そういう人たちの意識改革と補う介護から抜け出す研修が必 要だと思います。やる気を引き出す介護というのは何かということを徹底的に身につけ た人材を養成することが大事ではないかと思います。  同時に、良くする介護をして、評価を上げた事業者に対しては、それなりの評価を与 えるという仕組みをもっと広げる必要があるのではないかと思います。今、事業所評価 加算というのがありますけれども、もう少しこういうのを広めていって、やる気のある 事業所をきちんと認めていく。やる気のあるところもないところも同じで、結果を出そ うが出さなくても同じというのはどうも納得できない、質の向上を図れないのではない かと思っています。  3番目は、介護保険が理念として高々と掲げました自立支援です。これをもう少し徹 底させる。つまり自立支援というのは何かと考えたのですが、1つは身体的な向上を図 るということがあると思いますが、もう一つ、要介護高齢者といえども、自分の暮らし のありようは自分で決めるのだということをきちんと認めていく社会、認めていく介護 というものが大事だということも含まれていると思うのです。つまり、自己選択、自己 決定ということができる状況をつくり上げる。こういうケアの方法論というものを確立 することが大事ではないかと思います。  ただ、実際はどうかというと、まだまだパターナリズムというものが幅をきかせてお りまして、保護はするけれども、権利は認めない、それが良いのだという考えが非常に 強いですから、息苦しいと言いますか、そういう観点から抜け出られないと思います。 自己選択、自己決定という理念を掲げたことは徹底的に追求していくことが望ましいと 思います。  このパターナリズムという観点から、認知症の高齢者のことにも触れたいのですが、 今、要介護高齢者の半数は認知症であると実態調査できちんと分かっているわけです。 介護保険は介護の社会化ということが強く言われて、それがかなり根づいてきたとは思 うのですが、それと同時に、座長もおっしゃいました成年後見、後見の社会化はもっと 進めていかなければいけない。成年後見制度は法務省の問題だけではなくて、やはり福 祉の方からももう少しきちんとアプローチして、認知症高齢者といえども、残された能 力をきちんと発揮して、後見人に支えられながら豊かな生活を送れるのだということを きちんと世の中に示していかないと、圧倒的に認知症高齢者が多い今後を考えると、非 常に暗いのではないかなと思います。  そのためにも、地域包括支援センターがせっかくできたのですから、この機能を強化 して、ここに質の高い人材を配置するということも考えていいのではないかと思います。  この3点が要介護高齢者側から見た安心と希望が持てる介護という点で、私が考えて いる点なのですが、もう一つ、介護人材の処遇をよくして定着を図るという点から考え て申しますと、介護報酬を上げるのは当然の話ですけれども、上げた介護報酬がきちん と介護者に回るという仕組みを入れない限り、介護報酬を上げてもまた元の木阿弥で、 きちんと介護者に還元されるのだという道筋を介護報酬を上げるということと同時に考 えていかなければいけないと思っています。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。これで全委員から御意見を伺ったわけですけれ ども、特に今日はそれについて詰めてということではないのですが、各委員の議論をお 聞きになった上で、更に御発言をいただく。御質問があればその方を先にしていただい た方がいいとは思うのですが、基本的にはフリーディスカッションということで御議論 をいただきたいと思います。  共通にいろいろな施設を見せていただいたり、前回の報告を聞いた上で、また各委員 のお考えを一挙に御披露いただいたわけですけれども、それを踏まえて何か御発言はい かがでしょうか。先ほど私の仕切り方が悪くて、予定の5分ではなくてお話しいただけ ればと申し上げたので、あと30分ぐらいしか時間が残っていないのですが、どなたから でも御意見があれば出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  特にはというと時間があれなのですけれども、先ほど村上委員から出された問題とい うのは、別の意味でも我々、むしろそちらは私専門で、外国の人にどう入ってもらうか というのは非常に大きな問題で、そこはどうしても我々は刑事ですから、ヨーロッパの 話などを見ていると、そう単純に外国人を労働者として入っていただくわけにもいかな いという問題があるのです。そうすると、むしろ逆に何倍もコストがかかる。1,000万 人移民計画などということをおっしゃる方がいるけれども、私たちは信じられないので す。  GDPを維持するには、それだけ入れなければいけないとおっしゃるけれども、そこ はだんだん今ほかのところでも数字を詰めてやっていますけれども、難しくて、ただ、 先ほど私が申し上げたのは、やはり介護の問題は家庭で1人の方もいらっしゃるわけだ けれども、地域とか伝統とかということに乗っかって、少子化の問題も踏まえつつも対 応していかなければいけないのではないかということです。  足りない部分をある程度補うということはあるとは思うのですけれども、かなりの部 分、足りない部分全部を外国の方に来ていただいて、それで何とかしていこうという発 想では無理なので、むしろ介護の方の労働の条件をよくして、魅力のあるものにして介 護を支えていく方向が本道ではないかというのが、先ほど申し上げた私の考えなのです。  ただ、現場を踏まえていると、そういう悠長なことを言っていてはとても持ちそうも ないということなのでしょうか。 ○村上委員 外国人労働については、先ほどの今後の少子化だとか高齢化というものを 見ていきますと、これはこれから10年後とか20年後とか30年後ということですけれども、 少なくとも高齢の方々が更に高齢化する、これははっきりしているわけです。今60の方 が10年後には70になって、80になって、長生きすればするほど高齢の方は多くなる。  一方で、今の推測から言うと、少子化がどんどん進んでくる。そうすると、働き手と いうのはどこにいるのだという問題なわけです。この日本全体の経済の問題だけではな くて、本当に働き手がいなくなったときに、すべての分野で大変な状況なのではないか。 これをどう補っていくのですかという問題だと思います。  そういうことから、介護人材についても、私たちの会ではインドネシアだとかタイと いうことで、今それを国の方と詰めているという状況でございます。介護人材に関して 言えば働きたい人が働けるような状況を早くつくっていくことです。ですから、こうい う二段構えでいろんなことを考えていかなければいけないということでございます。 ○前田座長 ありがとうございました。その問題に関してでもよろしいのですが、あと 各委員の報告、お話があった中で気になった点でもよろしいですし、何か御発言はあり ますか。  では、石川良一委員、お願いします。 ○石川(良)委員 議論を深めていく課題で、また当面の大きな課題で、介護従事者の 処遇問題というのがもう非常に大きな課題で、これも何とかしなくてはいけないという ことは事実ですし、その認識は皆さん一緒だろうと思いますけれども、先ほど村田委員 さんのお話がありましたけれども、では本当に当然それに関わる介護報酬の改定をしな ければいけない。しかし、それがこの介護の従事者に行くのかどうかというところが非 常に大きなポイントになるのではないかなと思います。  私ども保険者としては、当然介護報酬の改定というのは直接実際の負担分もそうです けれども、被保険者の保険料という形ではね返りますから、それがどれだけになるのか ということについては非常にシビアな立場ですけれども、それと合わせて、どういう方 法で本当に従事者のところにいくような方法をつくっていくのか、意外と制度的には難 しいのではないか、言わばモニタリング的に後付けでウォッチングすることは可能かと 思いますけれども、このことによってこういうふうに改善されましたということが本当 にどうやって見続けていくのかなということは喫緊の課題で、その辺りについてはどう いう方法をとっていくのか、我々として非常に関心の高いところです。  また併せて、パイの問題でも、パイを増やすことについて、もう誰も負担と給付の関 係で言って理解がされるならば、増やすというのはそんなに大きな抵抗にはならないわ けですけれども、その配分の中身をいじるというのはなかなか医療の部分などは特に進 まないわけで、介護についても今回いろいろと課題があるわけで、こういうものをどう いうふうに再配分していくのかということについては、かなり大英断をしていかないと、 結局のところ、いろんな特に給付費分科会などについては団体の代表が出ていますので、 その利害調整は先ほどお話がありますけれども、特養の看護師配置を準看でまかなって いる問題などでつっかかって止まってしまっているような状況ですから、その辺につい ては是非こちらのビジョンの方の提言みたいなもので引っ張っていくような流れという ものも非常に大事なのではないかなと思っております。 ○前田座長 ありがとうございました。今の点に関してでもよろしいですし、ほかでも いいですけれども、ほかにありますか。  袖井委員、どうぞ。 ○袖井委員 関連しているかもしれませんが、今日お話しになっているのは、大体皆さ ん共通して、身体介護の面なのです。家事サービスとか、いわゆる生活支援の面は余り 触れられていないのですが、在宅で特に1人でいられるためには、そういう家事サービ スが不可欠だと思うのです。介護保険はいろいろ大変なので、財政難の折から家事サー ビスの部分がどんどん切られていって、要介護だったのが要支援になってしまうという 状況があるのですが、例えば食事サービスとか家事サービスとかその部分がかなり充実 していれば、在宅でいられる可能性も高いかと思うのです。それで、稲城の石川市長さ んの介護支援ボランティア制度などというのも1つの道かなと思うのです。そういう家 事などの部分は、なるべく介護保険ではないところで何かできないのか。例えば地域に おける、いわゆる共助というようなところでできないか。例えば、オーストラリアとか アメリカには地域社会にそういうシステムがありますので、生活支援の部分については、 なるべく共助でできないかということを今、石川市長のお話を聞いて思いつきました。  介護は身体的なものに特化して、特に重度の方に特化できないかなと、これは私の全 くの、ちょっとまだどういうふうにシステム化するか考えていないのですが、特に地域 における共助というものをもっとこれから盛り立てていく。特にそれを生活支援に生か していくということを考えております。 ○前田座長 ありがとうございました。  非常に重要な御指摘だと思いますが、ほかにありますか。  鳥羽委員、どうぞ。 ○鳥羽委員 財源とか、その他が限られていると、やはり重点的なものを緊急度に応じ てやっていかなければいけないと思うのですが、それは1つは離職の問題もあるのです けれども、先ほどから出ています、袖井委員から大量死の時代が来るのである。そうす ると、本当に安心して死に場所をどこで見つけられるか。しかもいい介護を受けて死ん でいけるかという問題に対して、はっきりとしたビジョンの解答をつくらない限り、こ の会議は責任を持てないのではないかと思います。  そういう意味で、受け皿というものが総数としてどこで、どのような数で私たちは提 供できるかと考えますと、介護保険の重点は当然重度とか在宅医療といった重い人のこ とをまず見ていかなければならないのであろう。そうしますと、介護予防も勿論大切で すけれども、メタボ検診と絡めて、より若い世代からの国民運動の方に移して、介護保 険の中ではより重症の人、重度の人を見ていくようにシフトしないと安心した死に場所 の方が得られないのではないかと思います。  もう一つ、稲城市長のプレゼンは大変インプレッシブだったのですけれども、地域と 言っても行政単位でいいのかという問題があるわけです。医療やその他の受け皿は、市 の中で解決できる問題とそうではないところもあると思います。  認知症のことについて言えば、包括支援センターが大変重要視されていますけれども、 現状で、私は三鷹市の委員になっていますが、大変現状はお寒い状況で、いわゆる特定 支援事業のケアプランづくりだけで手一杯で、とても新しく認知症のことは引き受けら れるような情勢ではないということが現状のようでした。ですから、新しいことをきち んとやるのであれば、それに見合った実益を伴うようなものをしないと、何でも何とか 支援センターに任せれば連携がうまくいくというのは大変な幻想である。連携というも のは大変な予算、人の集まり、時間も要る、手間のかかるものだということで、連携と 書けば解決するということをまずビジョンの中から排除するということを、私は強く主 張したいと思います。 ○前田座長 ありがとうございました。ほかに関連していかがですか。  では、太田委員、どうぞ。 ○太田委員 医療と介護を一緒にするというような観点のお話もあったと思うのですけ れども、書こうと思って書き漏らしているというか書き切れなかったのですが、よく介 護者の親とか家族が倒れた場合に、病院から大抵の場合入院をして、そして在宅に行く ということが多いケースだと思うのですけれども、ここで医療と介護の引き渡しという ことで、退院時カンファレンスというものがあると思うのですけれども、これに関して やはりもっとしっかりと介護保険と医療保険と今、両方ともあるとは思うのですけれど も、なかなかこれが実際にされていない状況でありまして、特に先ほど先生のお言葉に もありましたけれども、介護職と医療職との段階的な格差ではないけれども、どうして もどちらが上か下かというような形がどうしてもありまして、そこはでもみんなが平等 であるべきですし、家族と要介護者本人、医療職、そこに必ずケアマネージャーが入っ て、引き渡しと言いますか連携はなしということで今おっしゃって思い出したのですが。 ○鳥羽委員 安易に連携という言葉を使わないでくださいということです。 ○太田委員 どうしてもそこですごい連携を取っていただいた上で、介護と医療が結び 付いていくというような仕組みが既にもうあるとは思うのですけれども、実際問題され ておりませんので、わざわざお医者さんがそんなケアカンファレンスに来てくれるのと か驚かれることの方が多いですので、そういうことがないようにうまく回していける方 法を考える必要があるように思います。 ○前田座長 村上委員、どうぞ。 ○村上委員 今の医師との関係、医療機関との関係なのですけれども、すごくうまくそ のところで結び付いているところというのはたくさんあるのだろうと思うのです。例え ば我々のところのドクターも、先ほどのお話がありましたように重度認知症の方で、本 当に24時間こちらでいろんなことをやっていると対応できない。こういう方に対して、 医師が関わってくれると本当に落ち着くのです。それで帰してくださる。  今は多分全体で50%ぐらい特養はみとりをやっていると思うのですけれども、みとり のときの最期をみとってくださいということもいつの時間でも来てくださるのです。で すから、そういうことでは、すばらしい結び付きの中で、1人のお年寄りをしっかりと みていくというところというのは、特養の中でたくさんと思いますので、そういうこと をもっともっと広げていけるような、こういうことをやることによって結果的にそこの 中にいらっしゃる高齢者のためにいい住みかになるのかなと思っています。 ○前田座長 ありがとうございました。ほかにありますか。  村田委員、お願いします。 ○村田委員 違うことでもいいですか。 ○前田座長 どうぞ。 ○村田委員 石川委員が御提案になったリハビリテーションのところで、訪問リハステ ーションとか在宅リハセンターというのはすごくいいと思って、こんなのが近所にあれ ば何と助かることよと思ったのです。特に有床診療所を使って仕組みをつくるというこ と。これはどこかでこういうモデル的なことをやっているのでしょうか。それと、これ は介護保険でも医療保険でも実現できるということなのでしょうか。 ○石川(誠)委員 それで、実は9ページに、これは実際に東京都台東区の元浅草で行 っているものの具体例を出したのですが、小さな土地に8階建てで建っている建物で、 地下に数台とめられる駐車場と駐輪場があって、1階が総合受付でケアマネージャーが 数名いて、2階に行くと診療所の外来、そこから往診・訪問診療なども行くわけですが、 そこにソーシャルワーカーが2名います。3階は3〜4時間コースの通所リハと言語療 法の訓練室、4階が理学療法・作業療法の訓練室、5階が6〜8時間コースの通所リハ ビリ、これは送迎サービス付きです。6階がわずか8床の病棟なのですが、実はここに 例えば経管栄養、気管切開のあるADL全介助の例、そういう重度で、それでも家族は 自宅でケアしていきたいという方の場合に、いつでも短期の入院ができるということで す。大体、一番利用する頻度は2泊3日とか3泊4日程度です。夜中に電話がかかって きて、ちょっと今、出かけたいのだけれども預かってくれないかというときにぱっと入 れるわけです。これが福祉系のショートステイだったらそうはいかなくて、予約3か月 待ちなのです。  やはりこういう多機能のものがないと、重度の方、医療必要度の高いケースは在宅で はなかなかみれないのです。そうすると、それが結局、療養病床に溜まっていくわけで す。ですから、療養病床を削減しようと思えば、こういうものをたくさんつくるしかな いと私は思うのですが、更にいいことは24時間体制の訪問看護があることです。つまり、 24時間体制の訪問看護と診療所は在宅療養支援診療所ですから、ともに24時間体制で機 能していますので頼りになるのです。訪問診療だけでやるところも今、都内にはたくさ んありますけれども、訪問診療だけだとどうしても訪問だけのサービスになってしまう のです。訪問しなくてもいいケースに行ってしまったりする。  もう一つ、以前はヘルパーステーションもここに入っていたのです。ただ、手狭だっ たから外出しにせざるを得なかったのです。私はいつも思うのですけれども、医師の訪 問と訪問看護と訪問リハビリと訪問介護が一緒になった訪問サービスステーションの時 代ではないかと思うのです。現状は各事業所がもう分散しているから、ケアカンファレ ンスなどというのはたまに開くだけで、フルメンバーが集まったケースなどというのは ほとんどないというのが現実です。ですから、小規模多機能も介護、福祉系だけで固め るのではなくて、医療も一緒になった小規模多機能の医療とリハ付き施設が小学校区1 つずつあるとかということになれば良いといます。そこでは居宅施設にもきちっとサー ビスできますし、それこそ特養に医療スタッフを付けないので、特養は介護スタッフだ けで固めて、特養に対しても全部サービスしてしまうとか、いろんな方法ができると思 っております。  この元浅草の中のスタッフは大変に汗をかいていますけれども、かなり生きがいを持 ってやっていて、通所サービスもありますので、介護スタッフ、介護福祉士の方も何人 もいて、それこそ先ほど医療と介護、医師と看護と介護と言うとヒエラルキーがあると か何とかありましたけれども、ここは全員医師も看護も介護もリハスタッフも「○○さ ん」付けで呼んでおりまして、対等の関係のチームを組んでやっているのです。 ○村田委員 そうすると、利用者は医療保険と介護保険と両方使ってやっているという ことですか。 ○石川(誠)委員 両方使っています。それをうまく采配を振るのがケアマネージャー と診療所付きのソーシャルワーカーということです。そこでどれが一番患者さんの利益 につながるかで決めていくわけです。 ○村田委員 すごくいいと思います。 ○前田座長 すごくいいというか、ですから、最後、経管栄養の段階になると、お医者 さんと言いますか、せめて看護師さんでも、だけどヘルパーの世界だとそこは非常に敷 居が高いということがあったわけで、個別のあれですけれども、ですから、おっしゃる ようなことができて、保険のあれが違うとかいろいろあるのかもしれないですけれども、 話し合いながらうまく進めていかれるというのは、私たちから見ると夢みたいな言うと ちょっとオーバーで、それは夢ではなくて現実にしていかなければいけないと思うので すけれども、なかなかひと時代前だからだとは思うのですけれども、壁を越えるのは大 変だという感じを持っていたのです。 ○鳥羽委員 壁のことについていいですか。今、そんなに壁はないです。私は高齢者、 介護、看護、医療フォーラムという介護職を一番上にする研究会を15年ぐらいやってい ますけれども、最初始めたところはありましたけれども、今は現場の声を大切にすると いうことです。チーム医療で少なくとも同心円でやるということは、医学教育の中でも 果たされてきましたので、むしろ制度上医師の権限をどれだけ在宅系の場合、看護の方 に移すか、どんどん移した方が私もいいと思いますけれども、介護の知恵でも医者の技 術と同等のものは同じ評価をして、同じように報いていく。金銭的にも制度的にも。そ ういうようなものを制度的に報いれば、ヒエラルキーというものは自然にもう少し古い 人を中心に去っていくと考えています。 ○前田座長 それは見解を改めて、認識を改めたいと思います。ほかにいかがでしょう か。  石川委員、どうぞ。 ○石川(誠)委員 それもと関係しているのですけれども、介護職の方々にいろんな段 階があります。多分、介護福祉士というものが一番完成されている形なのかもしれませ んけれども、介護福祉の資格はなくても、ヘルパー何級とかいろんな、またそういうも のが一切ない方もいらっしゃいます。  介護職の方々の教育研修のチャンスが、私はいろんな施設に配置されている人を見る とすごく少ないような気がするのです。そういうものをもっともっと充実させる、もし くは介護福祉士も大卒クラスにするとか、先ほど準看の話が出ましたけれども、看護協 会は準看廃止で、看護で一本化したいと考えているように、やはり介護も介護福祉士で 一本化するとか、そういうように教育制度をもっともっと充実させて、現場に出た後も きちっと卒後教育ができるとか、そういう手厚い制度を考えない限り、ちょっと姑息的 なことをやっても結局つけを後に回すだけになってしまうのではないかなといつもそう 思っております。 ○前田座長 先ほどの村上委員の御指摘にも、要するに成り手をどう確保していくかと 言いますか、それの中で準看を使うかどうかということも1つのある意味では細かな問 題で、もっと制度的に根本的にそういうことに携わりやすい状況をどうつくっていくか。 やはり真剣にそのときに医療と介護も含めて先ほど申し上げたような形で議論をすぐに はできないけれども、取りかかることはできるので、議論をしていただけたらと思うの です。  患者とか家族の側から見たら、余り難しいのはいいので、困ったときに、経管栄養を やっていて、つまってもすぐに相談できるところがあるとか、それをお医者さんの側に すっと持っていければありがたいのにというのが、それは非常に個別具体的で、そんな ことはもうとっくに解決されているところが多いということなのかもしれないのですけ れども、システム全体として、最後は介護を受ける側と介護をしている家族の側にとっ て安心で安全なもので、パーフェクトではないのですけれども、ほぼ大体安心して寝て いられる、いざ経管栄養で詰まってしまってどうしようというときにも安心していられ るという保障ですね。  国民がこの介護のビジョンなどに求めているのは、先ほど袖井委員がおっしゃったよ うに、私の場合でも最期亡くなるときがある意味で最終的な問題で重かったと思うんで すけれども、やはり途中も含めて何らかの意味で100%してくれとは言わないのだけれ ども、安心、制度としてはお金出してもこれだけのものは国民としてはありがたいとい うものを、私はただ要求水準は低いですから、かなりよくなっているとは思っているの ですけれども、医療と看護の壁がもう少し低くなればということだけ申し上げたい。す みません。  どうぞ。 ○袖井委員 先ほど村上委員が特養のことをお話しになりましたが、特養の人員配置に ついてどういうふうにお考えになりますか。私、母がずっと特養に入っておりましたし、 その関係である特養の、というか福祉施設の理事などをしていますが、現在の人員配置 ではとても無理だと思うのです。入居者がどんどん重度化していて、職員が離職してい くのは報酬の問題だけではないと思うのです。本当に走っています。だから、今の人員 配置のままでいけるのだろうか、質の高いケアなどが可能なのだろうかと思うのですが、 村上委員に御意見をお聞きしたいのです。 ○前田座長 すみません。では、お願いします。 ○村上委員 おっしゃるとおりです。全国調査では、3対1が基準になっていますけれ ども、今2.28ぐらいです。個室ユニットであれば1.8ぐらいになっていると思います。 ですから、その分だけ余分に人を入れています。例えば私のところもそうなのですけれ ども、時間時間で人が動いていますから、結局1人になる時間があったり、あるいはユ ニットであれば2ユニットで3人という時間があったりという状況が出てくるのです。 ですから、今、どこの特養も3対1の基準ではやれません。もっと多くの配置をしてい ます。だから介護職がいないというのもあるわけです。  もう一つは、先ほど介護報酬が変わったときに、本当に人件費分が還元されるのかと いうお話がありましたけれども、実際上は、そうして増員しているところに金がいって しまっているのです。ですから、私は今の人員配置基準で十分だと思いません。  もう一つは、これから介護人材がどんどん少なくなってくるときに、地域で暮らせる 方々、家で暮らせる方々、元気な方々は、しっかりとそこで生活してほしいし、最期ま で生活してほしいと思います。けれども、人生のステージの中で、病気とか障害とか、 あるいは環境とかが変わったときに、そこで住み続けられなくなった人がこれからどれ だけ出るかという問題だと思うのです。これをしっかり出してほしいと思うのです。  このときに、特養のような生活一体型で支援することになるわけですが、そこに対す る人材はどれだけ必要かということです。このときの人材をしっかり介護報酬上で、制 度上で位置づけてくれれば、費用対効果、人材確保など、効率的な介護ができるという ことも私はあると思っています。  ですから、選択肢の1つに特養というものを入れた上でこれから考えていただきたい と思います。 ○前田座長 ありがとうございました。時間が大体参ったようなのですが、大臣から特 によろしいですか。  では、舛添大臣、どうぞ。 ○舛添大臣 最後の締めくくりでいいですか。 ○前田座長 お願いいたします。 ○舛添大臣 今日は御承知のように、総理の所信表明に対する代表質問を国会でやって いたもので、遅れまして、すみませんでした。せっかくの皆さん方の御意見を全部お伺 いすることができませんでしたけれども、私の聞いた限りで、今後の課題のようなこと で御提案申し上げたいのは、やはり外国人労働者の問題。これは当面急場をしのぐとい うことで、本当にネコの手も借りたいということでやるのですが、長期的な観点から、 この方々をどうするのか。実は私は若いころずっとヨーロッパなので、つぶさに50年代 から今日に至る外国人労働者問題を見てきて、第三世代まで来ていて、アイデンティテ ィ・クライシスが起こっている。だから、自分はドイツ人なのか、トルコ人なのか、フ ランス人なのか、アルジェリア人なのか、サッカーのジダンのように成功した者はいい ですけれども、そうでない場合に差別と偏見があり、犯罪の原因になったりしているこ ともある。  そういうときに、しかし、それでもなお一つの国としては、異質の文化が入り、国の 強靭さというものが増して、つまりプラスの面もたくさんあるわけですけれども、ただ 目先の人手不足を解消するだけではなくて、長期的にこの方たちをどうするのか。帰化 させて日本人の一人として、子々孫々までなのか。それは古代だって大陸から来たり、 鹿児島なんかに行くと、焼き物の方は向こうから豊臣秀吉が連れてきたとか、そういう 者が代々続いているわけですから、そういうことも含めてやはり日本社会をどうするの かという観点も必要だろうと思います。  古代とは違うので、交通機関も発達していますから、極端に言ったら2年ごとに通っ てくるとか、そういうことだって可能かもしれないのですけれども、定着と帰化という ことでのヨーロッパの経験などは、どうするのですかと。  私が若いころは、よく冗談で、この前も話したかもしれませんけれども、ヨーロッパ の方々が言っていたのは、ロボットと外国人労働者と違う点が分かるかというのです。 日本はオートメーションでロボットでやった。向こうは手っ取り早いから、すぐ使い物 になる人を入れた。違いが2つある。1つは子どもを産むこと、もう一つは労働組合を つくること。それが今の問題にもなっている。  今、ロボットの話をしましたけれども、実は経済産業大臣と一緒に、介護ロボットの 開発を両省でやろうということでやっております。介護ロボットといっても、人間の形 をした、ひょこひょこ動くようなロボットだけではなくて、まさに介護の補助として、 アシスタントとして使える、電動ベッドなどでお年寄りを移動させるときに、私たちが 腰痛を抱えながらやるより、そういうものでうまくやれればいいわけですから、この介 護ロボットの可能性についても検討してみたいと思います。  先般、褥瘡学会に行ったときに、私が母親を介護していた10年以上前に比べても、褥 瘡防止のためのマットなど、そういう物もすごく水準が上がっているので、こういうこ ととも関連して、給付云々の話もあると思います。  それから、今、高齢者の医療にしても、介護にしても、とにかく財源の問題で、非常 に難しい問題があるものですから、袖井さんがおっしゃったし、何人かの方もおっしゃ ったように、石川市長さんのお話は聞けなかったのですけれども、家事とか草取りとか、 そういう支える部分を共助でやるとすれば、どういうシステムがあるのか。NPO、例 えばエコマネーのような、地域通貨のような試みもできるのではないかということで、 これはやはり家事援助ということもあるけれども、本当に重度の方に財源がいくために は、ここは共助でNPOで、地域の支えでできればいいということで、これをどうする か。  鳥羽先生から死に場所の問題が出たり、村田さんから成年後見制度の問題がありまし たけれども、我々が介護ということを考えたときに、介護保険と成年後見制度は車の両 輪ですと言っていて、介護保険はここまで進んできた。しかし、どうしても成年後見制 度というものが遅れを取っている。いろんな本もあるし、試みもあるし、皆さん一生懸 命やっているのですけれども、結局死に場所のようなことまで含めて、それはリビング ・ウィルのような話にもなってくるし、少しこの成年後見制度の活用ということは任意 後見を含めてできると思います。そのときに、日本社会の特性のようなこともあるのか なというようなことがあるので、いろいろ課題があるなという思いで、一部分ですけれ ども、皆さん方の御意見を承っていたところです。  最後の特養の人員配置とか、これは行政の面で、皆さん方の御提案をいただいて改善 できるところは改善していけばと思いますし、年末にかけては、やはり報酬の改定の問 題が一番大きい。石川市長さんがおっしゃったように、直接介護職員に行くのか。これ はまさに勤務医の報酬の場合と全く同じなので、こういう点では、診療報酬もそうだし、 介護報酬もそうですけれども、少し大胆に発想法を変えて直接行くような仕組み、直接 行くためには、医療でいうと診療報酬ルートではなくて他のルートから、直接の財政支 援をしないといけないので、仕組みも含めて検討してみてもいいと思います。ちょうど こういう政局ではあっても、逆にそういう状況だからこそ、是非この介護ビジョンを皆 さんのお力を借りて、いいものに仕上げて、あとどういう内閣になろうが、どういう政 権になろうが、このビジョンはきちんと守っていかないといけないというものをつくり たいと思いますし、また時間が許す限り、新たな視察ということも考えてやりたいと思 いますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。 ○前田座長 ありがとうございました。  それでは、最後に事務局から、次回のことについて御案内いただけますか。 ○大澤総務課長 次回の日程などにつきましては、また調整をいたしまして、後日御連 絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○前田座長 それでは、どうもありがとうございました。ちょっと時間を過ぎてしまっ て申し訳なかったのですが、本日の会合はこれで終了したいと思います。  どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 小野   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740