08/10/01 第8回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会議事録 第8回 ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する 労働者ばく露の予防的対策に関する検討会 日時 平成20年10月1日(水) 17:00〜19:30 場所 九段第3合同庁舎11階共用第4会議室 ○化学物質対策課企画官 定刻になりましたので、ただいまから第8回「ヒトに対する 有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を 開催いたします。本日の検討会は公開で行いたいと考えておりますのでよろしくお願い いたします。本日は明星先生から欠席の連絡をいただいております。  配付資料の確認をさせていただきます。資料1「作業環境測定のためのナノ粒子計測 技術」、資料2「局所排気装置の設置箇所及び機器に関する情報」、資料3「呼吸用保護 具の選定チャート」、資料4「検討会報告書(案)」です。参考資料として、ゴアテック スメンブレンフィルターバッグのパンフレットのコピーを付けております。  議事録は、後ほどホームページで公開されますので、今回議事要旨は作成しておりま せん。本会合の開催案内にも掲載させていただきましたとおり、会議中に写真撮影、ビ デオ撮影及び録音をすることは禁止させていただいておりますのでご協力をお願いいた します。  本日の進行ですが、明星委員より資料1、小川(順)委員より資料2、田中委員より 資料3を提出していただいておりますので、本日の議論についてはまず提出していただ きました資料等についてご検討いただき、その後報告書(案)についてご議論いただき たいと思います。以降の議事進行は福島座長にお願いいたします。 ○福島座長 本日は、審議していただくことが多いため、できるだけ時間内に終えるこ とに心がけたいと思いますが、ひょっとしたらずれるかもわかりません。その点はご了 承いただきたいと思います。まず資料1についてですが、明星委員が欠席ですので、事 務局から説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 明星委員に作っていただきました資料1を説明させていただ きます。作業環境測定のためのナノ粒子計測技術ということで、ナノ粒子の計測に当た って使用する機器等についての説明資料です。  3頁の2番は粒子の質量濃度測定です。「作業環境中の粉じん濃度の計測は、ある大き さ以上の粒子を除去する分粒機能をもったサンプラーを用い、フィルターによって粒子 をろ過捕集し、捕集前後の重量から粉じん量を求め、質量濃度を求めることが基本であ る」。  3頁の下のほうの光散乱相対濃度計です。「光散乱を用いて粉じん濃度をリアルタイム に測定する装置を図2に示す。これらの装置は相対濃度計と総称される。前述の粉じん の質量濃度測定と同時併行に測定した相対濃度計の指示値の比である、質量濃度変換係 数を求めた上で、作業環境計測に使用される。」。  一番下の行で、「一方ナノ粒子では感度も体積も減少するので、光散乱相対濃度計は 100nm以下のナノ粒子の計測に有効とはいえない。したがって、現在作業環境測定など で用いられている方法は、ナノ粒子の質量濃度測定に十分とはいえない。」。  3番は、面積基準の粒子濃度計です。「面積基準の粒子濃度計は近年市販されており、 その一機種の計測原理を図4に示す」ということで計測の仕方が書いてあります。5行 ほど飛びまして、「計測結果は内部で換算してナノ粒子の表面積で表示され、検出される 粒子は10〜1,000nm程度である」。  4番は、個数基準の粒子濃度計です。「光散乱式粒子カウンタ(以下OPC)は、エア ロゾル粒子をノズルから細く測定部に導入し、これに光を照射して、粒子からの散乱光 を検出器で受光し、この検出器の信号を電気信号に変換することにより、粒子数と粒径 を得る装置であり、広く使用されている」。次の頁の2行目で、「例外もあるが、OPCも 光散乱相対濃度計と同じく0.1μmが測定の下限であり、ナノ粒子の測定には不向きで ある」。  次は、凝縮核計数装置です。「凝縮核計数装置(以下CPC)は前述のOPCに加えて、 その前に過飽和のアルコール蒸気を生成する部分と冷却部からなっている」。2行ほど飛 びまして、「このためOPCでは検出できないナノ粒子も計数することができるが、粒子 の大きさの情報は持っていない。測定対象粒子の大きさは10〜1,000nm」。その下で、 「持ち運び可能な小型の製品も供給されるようになってきた。製品によるが10nm以下 のナノ粒子では流入したすべての粒子を計測しないことが知られている。」。  5番は、電気移動度粒径分析器、微分型電気移動度分級装置です。「図6に示すような 二重同心円型電気移動度分級装置(以下DMA)は、内筒に電圧を印加し、外筒との間 で電場を形成している。」。5行ほど飛びまして、「粒度分布測定装置や、単分散粒子発生 装置として使用されている。主にDMAの電極の長さを調節することにより1nmから分 級できるナノ粒子用DMAから1μm以上まで分級できる長尺DMAまでいろいろな種 類のものが開発市販されている。」。  6頁の真ん中のところの、走査型電気移動度粒径分析器です。「DMAとCPCの組合 せによりエアロゾル粒子の粒度分布を短時間で測定する方法は、Adachiらにより開発さ れたステップ法による測定法、さらにWang and Flaganによる印加電圧を連続的に変 化させるスキャニング法による測定法が開発され、実用化されている」。下のほうで 「SMPSの最近の機種は図6に示すようにDMAとCPCをコンパクトに一つにまとめ たものも市場に出ている。」。  7頁で減圧インパクタです。「エアロゾル粒子は、気流の方向や速度が急変しても変化 に追随できず、それまでの運動を持続しようとする。これを慣性効果といい、粒径の測 定や捕集によく利用される。慣性効果を利用した装置としてよく知られているものにイ ンパクタがある」。真ん中より少し下のところで、「その粒径分解能の良さから捕集粒径 を次第に小さくしてインパクタの列からなるカスケードインパクタが粒度分布測定装置 によく用いられる。」。一番下のところで、「電気量式減圧インパクタ(通称ELPI)は図 8に示すような装置で、粒子の荷電部と減圧インパクタの衝突板に微小電流計を接続し た粒子計測部からなる」。1行飛びまして、「高濃度のエアロゾルを計測することに適し、 ディーゼル排ガスに含まれる微粒子の計測などに用いられている。」。  7番は、顕微鏡観察やその他の測定法です。「ナノ粒子の計測では透過型電子顕微鏡 (TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察が不可欠である。」。  8番は、ナノ粒子の飛散する可能性のある作業環境の測定例ということで測定例が挙 がっています。  9頁の9番は、ナノ粒子のばく露測定の考え方ということで、明星先生の私見という ことで書いてあります。「ナノ粒子のばく露の測定において可能な方法を図10に掲げ た。」ということです。図10を見ますと、ナノ粒子のばく露測定の手法と目的というこ とです。(1)原材料、(2)作業環境、(3)個人ばく露、(4)詳細調査と分けて記述されています。 (1)のところでは、原材料の調査。(2)のところではA測定、B測定に準じたサンプリング ということで、その各々の測定項目等が挙げられています。  9頁に戻りまして、「測定において可能な方法を図10に掲げた。測定として、原材料、 作業環境、個人ばく露、より詳細な調査の4つが考えられる。これらは、それぞれ目的 が異なるが、(1)から(4)の順に測定費用が嵩むと予想される。(1)については原材料メーカ ーからの情報が期待できる。少なくとも(2)の作業環境の測定までは行い、作業環境改善 に努める。ナノ粒子に関係する粉じんの発生する場所や作業など作業環境の状態がわか れば、環境改善の選択や保護具の使用の参考にすることが可能である。」。(1)と(2)をやる のが現実的ではないかと書かれています。以上資料1についてご説明いたしました。  続きまして参考資料1についてご説明いたします。局所排気装置の除じん装置のフィ ルターの件です。もちろんHEPAフィルターでいいのですが、HEPAフィルター以外の フィルターではどうなのかという議論がありました。いろいろなメーカーに問い合わせ たのですけれどもなかなか情報がなくて、メーカーによってはとてもナノ粒子の捕集ま ではできないと言うメーカーもありました。今回出させていただきましたメーカーでは、 ナノ粒子の測定もできそうな感じの資料です。  ゴアテックスメンブレンフィルターバッグというのを1枚めくりますと、ゴアテック スメンブレンフィルターバッグは、ゴアテックスメンブレンと各種基材とをラミネート したものですということです。後ほどご覧いただけばよろしいかと思いますが、ちょっ と特殊な作り方をしたろ布のようです。  こちらを使ったろ過装置、除じん装置は使い捨てということではなくて、繰り返し使 用が可能であるということです。一番後ろの頁を見ていただきますと、粒径別の捕集効 率も上げております。粒径別の捕集効率をご覧いただきますと、0.15μmぐらいの粒径 のところが、一番捕集効率が悪くなっていて、それよりも大きくても、それよりも小さ くても捕集効率としては良くなっているというデータがあります。こちらは、高性能フ ィルターだからということが理由なのかもしれませんが、こういうデータもあるという ことで参考にしていただけたらと思います。以上です。 ○福島座長 資料1は明星委員のレポートですが、本日は明星委員は欠席ですので、個 人的に明星先生にお聞きいただけるとありがたいと思います。次に、資料2を小川(順) 委員から説明をお願いいたします。 ○小川(順)委員 資料2に基づいてご説明いたします。前回、局所排気装置をどうい う所に付けているのか、ということでご説明いたしましたが、さらに具体的にどういう 種類を付けているのかということで質問がありました。ナノマテリアルを製造している メーカー、それからナノマテリアルを入手して使用しているメーカーそれぞれからヒア リングをした内容をこの表に書いてあります。  上段は、ナノマテリアルの製造メーカーがどういう形をとっているのかについて記載 しています。合成したナノマテリアルの回収方法、製品の秤量・梱包・袋詰め工程、そ れぞれこの内容にあるようなタイプを使っているということです。下段で、ナノマテリ アルの使用メーカーについても、こういう回答をいただいていており、表のとおりです。  ただ、アンケートで回答を得たものは、それぞれ個々のメーカーがこういう形を使っ ているということであって、一般的にこういうものが共通項としてあるということでは ありません。また、この意見集約の過程では、各社とも一般的な粉じんを想定した装置 を導入しており、ナノマテリアルはどういう濃度にあるのかという測定方法、又、ナノ マテリアルに対してどのような風速を設定して局所排気装置を設置すればいいのか、と いうことはまだ漠然としておりますので、今後の研究も必要だというコメントを補記さ せていただきました。以上です。 ○福島座長 ただいまの報告についてご質問はございますか。 ○大前委員 吸引方向の上と横というのは、フードが上に付いているということですか、 あるいはフードが横に付いていて、フードが上に付いているという意味ですか。 ○小川(順)委員 上方向に吸引しているということです。 ○大前委員 フードが上にあるということですね。 ○小川(順)委員 そういうことです。 ○大前委員 スクラバーというのは、普通のウォータースクラバーということですか。 ○小川(順)委員 そう思いますが、そこまで詳しく聞いておりません。ウォータース クラバーだと思います。 ○大前委員 ウォータースクラバーで捕れるのですか。 ○小川(順)委員 その辺はどういうフィルターを付けるのかということと同じように、 やはり今後の検討が必要だろうと思います。 ○福島座長 ほかによろしければ、資料3を田中先生からお願いいたします。 ○田中委員 資料3です。現時点のハザード評価、あるいはばく露の測定評価ができて いないという段階での、呼吸用保護具の選定についてチャートの形で作りました。1頁 は、取扱い量の多い場合ということで、工業生産レベルの選定を考えました。ナノマテ リアルの取扱い作業において、労働衛生工学的な対策が施されている。それでばく露を 推定して分けてみました。  製造工程の密閉化、自動化、遠隔操作、あるいは材料を湿潤化、液体の状態で使用す る。そういう施設においては低濃度ばく露のリスクのある作業ということで、呼吸用保 護具として、防護係数10レベルの防護性能を有するもので、取換え式半面形防じんマ スク、及び使い捨て式の防じんマスク。その上に、中、高濃度ばく露で使用する作業で 選択できる呼吸用保護具ももちろん使用可能であります。  製造工程の密閉化等ができていない、十分でない。ただ、局所排気装置、プッシュプ ル型の換気装置の設置はしてありますという作業では、低濃度よりは若干ばく露が危惧 されるということで、中濃度ばく露のリスクのある作業ということで分けてみました。 指定防護係数としては50レベルの防護性能を期待するものとして、面体形(半面)の 電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク、そして取替え式全面形の防じんマスクを選 択できるようにしました。  局所排気装置、プッシュプル型換気装置の設置がされていないということ、また右側 にいきまして工学的な設備が講じられず、高濃度ばく露が予想されるような特殊な作業、 装置のクリーニングあるいは清掃作業、製品回収、リサイクル工程その他の場合には、 高濃度ばく露のリスクのある作業ということで、指定防護係数100〜1,000レベルの防 護性能を期待する保護具。面体形(全面)及びフード形の電動ファン付き呼吸用保護具、 送気マスク、及び防護係数1,000レベルの防護性能を期待するプレッシャデマンド形の エアラインマスクなどが選択できるということです。  ただし、環境中の酸素濃度が18%未満(酸欠のおそれのある作業)で使用する場合、 防じんマスク、電動ファン付き呼吸用保護具は不適ということで、送気マスクを選定し ます。有機溶剤、有毒ガスが共存する作業においては、電動ファン付き呼吸用保護具は 不適であるということ。防爆型が必要な作業部署においても、電動ファン付き呼吸用保 護具は不適であるということを記載してあります。  2頁は甲田委員から、取扱量が少ない場合で、試験研究レベルでの呼吸用保護具の選 定も少し考えてみたらどうだというコメントをいただきましたので、同様の内容で使用 する呼吸用保護具の選択を少し工夫してみました。これは製造工程とは異なり、おそら くこれは試験装置の密閉化、自動化、遠隔操作、あるいは材料の湿潤化、液体の状態で の使用ということであるかと思います。そういう試験条件であるとすれば、低濃度ばく 露のリスクのある作業ということで、防護係数が10レベル。それから、局所排気装置、 プッシュプル型の換気装置が設置されているのであれば、同様に低濃度のばく露リスク で使用できるマスクということです。どうでしょうか。  局所排気装置、プッシュプル型換気装置が設置されていない環境、及び特殊な作業に おいては中・高濃度のばく露のリスクのある作業ということで、防護係数が50レベル 以上の防護性能を期待するものということで、取扱い量によって、呼吸用保護具の選定 を分けてみました。  3頁ではそれをまとめてみました。使用量の多い工業生産レベルにおいては、密閉化、 自動化、遠隔、湿潤化では指定防護係数は10以上、局所排気装置、プッシュプル型が 設置されていれば50以上、工学的対策が施されていなければ100以上を1つのベース として呼吸用保護具を選定する。使用量の少ない試験研究レベルにおいては、何らかの 工学的対策が施されていれば、防護係数は10以上、工学的対策がなければ少し防護係 数の高いもので50以上ということで記載してみました。  今後これはハザード評価、あるいはばく露測定がまだ十分行われていない環境での選 定のチャートです、ということを下に記載しておきました。以上です。 ○福島座長 工業生産レベルで取扱いが多い場合とか、2頁では試験研究レベルで取扱 い量が少ない場合という2つの形で、いずれもディシジョンツリーの形で、非常にわか りやすくまとめられておりますけれども、まず取扱い量が多い場合のほうでご質問があ りましたらお願いいたします。 ○大前委員 製造工程の密閉化、自動化、遠隔操作、その次が材料の湿潤化、液体の状 態ということで、液体の状態はいいと思いますけれども、湿潤化はしばらくすると乾い てしまいます。したがって、これは若干注意を要するかという気がします。 ○田中委員 そこは検討させていただきます。 ○庄野委員 非常にわかりやすいチャートだと思うのですが、イメージを確認いたしま す。工業生産レベルにおける低濃度、中濃度、高濃度というのは大体どういうイメージ で考えたらよろしいでしょうか。  それから、ちょっと気になるのは濃度だけで考えていいのかどうか。いまの考え方と いうのはハザーダス×エクスポージャーだと思うのです。考え方としてはこれで間違い はないと思うのですけれども、ちょっと聞かせていただけますか。 ○田中委員 測定が対応していないものですから、この分け方が適しているかどうかと いうところは、もう少し議論の必要があるところだと思うのです。測定が付いてくれば、 密閉化、自動化、遠隔操作が設置されていれば、おそらくばく露あるいは環境にほとん ど発じんしていないとわかれば、また少し右側の選定基準のほうへずれてくるというレ ベルです。これをさらに細かく分けると、またわかりにくくなるということを踏まえて、 現時点での判断で大きく3つのグループに分けて呼吸用保護具の選定を検討して頂くも のです。もう少し情報が入りましたら、詳細に作り直したいと思っております。 ○福島座長 いまのところ量は別にしても、低・中・高と3つに分けて対応しようと。 そこの量的なことについてはまだまだこれからディスカッションが必要だという理解で よろしいですか。 ○田中委員 はい。 ○福島座長 1頁、2頁のディシジョンツリーについてのご意見をいただけたらと思い ます。 ○蒲生委員 有害性とかばく露の状況があまりわからない状況ながら、エキスパートジ ャッジメントといいますか、こういう何らかの参考になるものを出していただいたのは 非常にありがたいことだと思います。これは、ばく露とかハザードがわからない状況で すので一概には言えないと思うのですが、かなり安全側をイメージして作られたもので しょうか。 ○田中委員 そのつもりです。 ○蒲生委員 一概には言えないと思いますが、有害性や暴露に関する情報が得られれば、 もう少し低いグレードのものでもいいかもしれないという、そういった材料も多く出て くるかもしれないみたいな、そのような理解でよろしいでしょうか。 ○田中委員 はい。 ○小川(康)委員 この表では、試験研究レベルと工業生産レベルを分けていて、最終 的な段階では低濃度、中濃度、高濃度と分けています。十分考慮されているとは思うの ですが、この表現ですと、工業レベルであろうが、試験レベルであろうが、高濃度は同 じ高濃度になってしまいます。それにもかかわらず一方では軽くし、一方では重くする ということで、誤解を生じやすいのではないかと思うのです。これは、時間的要素を加 味して、試験レベルと工業レベルと分けているのでしょうか。 ○田中委員 そうです。これは、前回の検討会で甲田委員からコメントをいただいた中 の1つです。その現場の印象としては、ばく露に関して工場レベルと研究室レベルが、 取扱量が多い場合と少ない場合ということで、ナノマテリアルに対するばく露が違う。 それに合わせた形で、呼吸用保護具の選定を検討するというコメントをいただいていた ので分けてみたということです。先生がおっしゃるように、中・高濃度という表現がも しかしたら必ずしも適切な言葉ではないと思われます。言葉に関しては少し検討してみ たいと思っています。 ○福島座長 その点はお願いいたします。 ○大前委員 試験研究レベルというのは、たぶん実験室レベルというイメージだと思う のです。試験研究レベルと、工業生産レベルの間に、試作等々の工程が必ずあると思う のです。そこは意外と濃度が高くて、そこで結構障害を起こしていることがあります。 そちらの試作等々は工業生産レベルと同じような扱いにしたほうがいいのではないかと 思います。 ○田中委員 はい。現場の話を聞いて、それで加えてみるような形を検討します。 ○福島座長 ほかにありましたら、個人的に田中先生とディスカッションしていただい て、また事務局のほうにご連絡いただけるとありがたいと思います。  次は、資料4「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の 予防対策に関する検討会報告書」について検討を進めたいと思います。この報告書に関 しては、事前に先生方にはメール等でお送りし、ご意見をいただいております。ご意見 をいただいたのが、「報告書案の修正意見」という形で8枚ものにまとめられておりま す。いただいたご意見を資料にして、報告書と照らし合わせながらこれから検討し、最 終的な報告書作りに進みたいと思います。  したがって、報告書といただいた修正意見の両方を見ながら、各項目ごとについて検 討していきたいと思います。まず報告書の3頁、第1部「はじめに」、1、経緯のところ についていろいろなご意見をいただいております。基本的なこととして、これからの進 め方についてご意見をいただき、事務局レベルで修正できることに関しては本日の議論 からは割愛し、事務局サイドで直してもらいます。大きなことについてディスカッショ ンすると。ただし、事務局レベルでの修正のところでも、これはここの場でディスカッ ションしたほうがいいでしょうということがありましたら、それは積極的に発言してい ただきたいと思います。  もう一度繰り返しますと一つひとつ進めていますと、丸一日ぐらいかかるような形に なってしまいますので、大きな問題点だけをディスカッションする。そして字句の修正 という言い方をしては失礼ですけれども、それに類するようなことについては事務局に 任せます。しかし、ここだけはどうしても議論していただきたいということについては ここの場でディスカッションしていきたいという、この3つの形で進めていきたいと思 いますがよろしいですか。 ○蒲生委員 本日、最後までいく予定ですか。 ○福島座長 予定では、最後までいきたいと思います。それをまとめて、次回に最終的 なものを、もう一度ディスカッションの場で出していただくということでいきたいと思 います。 ○蒲生委員 今の進め方のご提案に対してコメントというのも僭越だとは思うのですが、 前回の最後のほうで、私がコメントしたのですが、一番最後の規制のあり方に関すると ころは、今までに我々が検討してきたことではないと考えております。検討時間も限ら れていて、本日最後までいくかどうかもちょっと怪しいということであれば、いま修正 意見を拝見したところでは、私も含めて、そもそもこれを議論するのだろうかという問 題提起をされている方が多いようですので、これを含めるべきかどうかというのを先に 議論していただければと思うのですが、いかがでしょうか。 ○福島座長 25頁のところは、今までの検討でどの程度までなされたのか。全く検討さ れていないようなことも含まれているという解釈でよろしいですか。 ○化学物質対策課企画官 前回ご議論いただいたときに、労働安全衛生法の現状につい てご説明いたしました。その中で、委員の先生方から、例えば元素であって、炭素とか 酸素とかで、酸素とオゾンが一緒に取り扱われてしまうとか、黒鉛とダイヤモンドが一 緒に取り扱われてしまうといったことについての問題意識というのはご発言があったか と思います。最後に、問題意識について事務局で案を取りまとめて、先生方にご覧いた だくということで終わったかと思います。そういう先生方のご意見も加味して作ったも のです。  ただ、ここでは対策まで全部細かく書いていくということではなくて、課題というこ とで問題意識の提示をするという形で取りまとめてあります。 ○福島座長 そうしましたら、ここで改めてもう一度これだけ取り上げて議論するのも 1つの方法ですけれども、これまでずっと議論してきた中身のことについて、これ以外 のことについて我々としての報告書に反映させるようなディスカッションをしていく。 今、先生がおっしゃったことについて、決してこれだけが飛び抜けているとか、その前 の24頁までのことが全く別というようなことはないと思うのです。  ですから、先ほど申し上げたようなことで、3頁からずっと順番にやっていって、そ このことについては最終的にここに関してはもう一度ディスカッションをしたいという ことでしたら、それはそれでまた時間を設けてやるというような進行ではいかがですか。 ○庄野委員 確かにそれも理解できるのですが、我々の内部的なディスカッションにお きましても、それは日本化学工業協会(日化協)としてのディスカッションでもあるの ですが、これは産業界によっては大きな問題であります。この問題というのは、それな りの慎重な対応が必要だろうと思っています。必要であれば、きちんとした議論をやら なければいけないと思っています。  そういう意味で、少なくとも今の前提というのは、この検討会の中において、これを 本来の報告書に載せるべきかどうかという議論から始まっていると思うのです。やはり、 そこを前提としてクリアにしておかないと、全体の報告書のトーンからして、どのよう に持っていったらいいのか若干迷うような部分も出てくるような気がするのです。  ディスカッションするにしても、これをここに載せるかどうかという議論も含めて明 確なジャッジをしておかなければいけないのではないかと思うのですがいかがでしょう か。 ○化学物質対策課企画官 いずれにしても、全体的に議論していかなければいけないわ けですので、一番最初にここを取り上げていただいても別に構わないかと思います。 ○福島座長 これを見まして私の考え方の1つは、こういう言い方がいいかどうかは別 にして、自主的にどのような方法、対策を採ったらいいだろうか。もう1つは、今蒲生 先生が言われた規制のあり方です。この規制という言葉がいいのかどうかは議論が必要 だと思いますけれども、今の表現を使いますと規制がリンクしてきます。規制というこ とを考えると、自主的な管理というものがまた変わるのでしょうか。ナノマテリアルの 有害性のリスク評価というところまでのデータはまだないけれども、何らか予想される ことといえば安全性サイド、もっと言いますとベネフィットとリスクを考える。そのと きに、我々はどれだけベネフィットを享受するかということだと思うのです。  ベネフィットを享受するのが先決であって、そのためにはリスクを今のうちにしっか りと考えておくというスタンスでいます。そういうときに、両者によって、規制のため に前の自主的なことが変わるのかどうかということだと思うのです。私は、そうではな いのではないかと思うのです。予防ということを考えて、それが結局はベネフィットに つながっていくという考え方を持っています。 ○蒲生委員 座長のおっしゃるとおりだと思うのですが、それであれば3.のところまで のディスカッションが、まさに座長がおっしゃられるようなことに該当すると考えてい るのですが。 ○福島座長 3.というのは。 ○蒲生委員 一番最後の規制のあり方の手前までのことです。それが我々が議論してき た項目です。今の案の書きぶりがいいかどうかはあるとしても、内容的に言えば議論し てきた内容がおっしゃられるようなことであって、私の感触では4.というのは、それを さらにもう一段踏み込んでしまっているという印象があります。  そこまであえて踏み込むのか。4.を入れてたとしても、結果的には、暴露防止対策と してやるべきこととしては3.までと同じようなことしかいまは言えないかもしれない のだけれども、規制というような言葉が出てくると、それは自ずとそこにはとどまらな いわけで、いろいろなこととの関係もあると思います。おっしゃられるような趣旨であ れば、4.は要らないということなのではないかと思うのです。 ○福島座長 確かに蒲生先生が言われるように、私のような考え方ですと4.も要らない ではないかと。 ○蒲生委員 少なくとも現時点としてということです。 ○福島座長 それは、性善説ですね。我々社会全体に対して、ヒトの健康ということを 考えたら、どこまでそれが立ち込むかということがあると思うのです。 ○蒲生委員 私は、決してこういう議論をすべきではないと言っているのではなくて、 それは必要なときに必要なタイミングでやるべきだとは思うのです。この検討会の、こ のメンバーで、これをあと2回の間で何らか結論めいたことを付けてしまうのですか、 というところに私は懸念を持っております。そもそも規制などすべきではないという話 ではないのです。 ○福島座長 そういうことでしたら、規制すべきではないということで、ここの委員が みんな一致すればここは全く白紙になってもいいわけですよね。これは、あくまで我々 のこれまでの審議を経て、事務局がたたき台として作ったものなのです。他の先生方は いかがでしょうか。 ○化学物質対策課長 4.については、最初にこの検討会立ち上げのときから私どもが考 えていたことなのですが、説明の仕方が悪くて、先生方お一人お一人にここまでの範囲 でご検討いただく、というところが十分理解されていないところがあったかと思います。 当初から、ナノマテリアルについての取扱いについて、私どもは2月に通達を出し、そ の後この検討会を立ち上げて、さらに通達で出した内容についてご検討いただくという 延長線上で考えております。  ただ、そのタイトルが規制と書いてありますので、委員の先生方によってはかなりき つく受け止められているところがあるかと思うのです。ですから、表現については考え なくてはいけないかと思います。一応3.までの議論を踏まえて、行政としてどのように 安全衛生法上で取り扱っていけばいいのかというところの課題をここで整理したいとい うのが私どもの考え方です。  ですから、基本的には4.というのが、3.までの議論と別にあるのではなくて、3.まで の議論を踏まえて、当然の延長として行政として法令上の扱いをどう考えなければいけ ないのか、というようなことで少し書かせていただいています。  ただ、内容についてはいろいろ意見をいただいています。表現が不適切ではないのか、 誤解を生むようなところがあるのではないかとかいろいろ指摘を受けておりますので、 そこは十分議論を踏まえて直したいと思っております。一応当初からこのようなことも 当然考えて、これからの課題として整理をしたいということです。  例えば、第1パラグラフにはMSDSのことが書いてあります。MSDSについては、 基本的に情報の伝達ということなのですが、これまでの議論で、ナノマテリアルについ て有害性などについては必ずしもはっきりしていない中で、しかしナノマテリアルにつ いては、私どもも通達を出させていただいているように、やはり気をつけて取り扱って いただくというのが前提なのですけれども、情報伝達がないと、気をつけろといっても 最初の川上のところはいいのですけれども、川下については全く手がりがないのです。  情報伝達をしていただくことを前提として対策があるのではないか。そうすると、使 えるツールとしては何があるかと考えますと、MSDS程度しかないのではないか。ただ、 MSDSというのは、今のMSDSの前提としては、有害性がはっきりしているものが MSDSの中に入ってきていますので、ナノマテリアルについては一部ナノということで はないのですけれども、物としていくつかMSDSに既に入っているものがあります。そ れは、当然MSDSを交付していただくことになるのですけれども、そのほかのものにつ いては、MSDSというものに今のところには入っていないのです。そこのところはどう するのかということで、ここに書かせていただいているように、自主的な対応と書いて あるのですが、要するに義務付けということではないのですが、やはりそのような情報 伝達ということをやっていただいて、それが手がかりとなって対策もできるのではない かということで、第1パラグラフのところは書かせていただいたということです。決し て1.から3.までの議論を全く無視してこういうものができているということではなく、 あくまでも1.から3.までの先生方のご議論を踏まえ、その上で安衛法上どうしたらいい のかということを書かせていただいたということです。  化学物質については、意見の中には化審法で議論していないので議論する必要はない、 という意見もいただいているのですが、安衛法と化審法は全く観点が違いますので、化 審法が扱っていないので、安衛法で扱う必要はないということは論理的にはないです。 安衛法の中で、化学物質の届出の制度とか、有害性の調査の制度というのはあるわけで す。これは、ナノであろうとナノでなかろうと既に適用されているわけです。ただ、現 行の体系といいますか手続を考えますと、ナノであるとか、ないとかということに着目 した取扱いはなされていないということで、この辺りは課題があるのかということで少 し書かせていただいているところがあります。  タイトルが非常にストレートな表現をしていますので、何か新しい規制がギリギリと 導入されるのかというような受け止め方をされる方もあるかもしれませんけれども、こ こはそういうことではありません。あくまで現行の制度の枠とかそういうことを踏まえ て、今までの議論を踏まえて、行政の課題として何があろうかということ。それで具体 的な中身については、さらに議論が必要だろうということが基本的なスタンスです。で すから、ここで何かをこうする、ああするということよりも、将来に向けての議論を、 こういう課題が残っているので、さらに議論をすべきだというところでまとめたいとい うのが事務局側の考え方です。 ○蒲生委員 タイトルが少しストレート過ぎたかもということをおっしゃいましたが、 こういう規制とか、そういう取扱いを考えていくに当たっての論点整理という位置付け でよろしいのでしょうか。  私が個人的に思っていますのは、先ほど化審法とは直接関係ないとおっしゃられまし たけれども、化学物質の分類なり、何をもって新しい物質とみなすかというところはか なりセンシティブなところだと思いますので、当然それは関連法規制等の兼ね合いが整 理されるべきだと思います。同様に、国際動向の整理等も大事だと思います。そういっ た、議論の中で重要となる観点を挙げるような、論点出しというような感じでもよろし いですか。4.の内容は、それでは足りないというか、そういうことではないのだという 感じがありますでしょうか。 ○化学物質対策課長 最終的な具体的姿ということになると、いろいろずれがあるのだ と思うのですけれども、論点整理という言い方も1つだと思います。要するに、将来に 向かって、どういうことを考えていかなければいけないのかということを、ここで書い ていただくというか、まとめていただくということであります。 ○庄野委員 タイトル的に、規制のあり方という議論になってしまっているところがち ょっと問題なのです。この観点からは、例えば「今後の管理のあり方」などがあります。 先ほど座長がおっしゃられましたけれども、自主対応と規制とどう違うのだということ では、私は基本的に変わらないと思っています。ただ、法的な意味は若干位置付けが違 います。  先ほど蒲生さんが言われたような解釈で私はいいと思っています。ただ、ちょっと気 になりますのは、本質的に先ほど蒲生さんもおっしゃったのですけれども、これは一歩 踏み込みすぎているのです。特に、MSDS候補対象物質とか、下のほうにあります有害 性の調査を実施することが望ましいとかなり書いてあります。それはそうなのですけれ ども、ここの読み方から見ますと、労安法関係の第57条絡みがどうしても我々の頭に はちらつくのです。  そうすると、最終的に化学物質とナノマテリアルの切り分けはきちんとやらなければ いけない。その辺の議論を慎重にやるべきであって、それから本来のあるべき姿を求め ていく。今までと同じようにMSDSでやっていいのか、それで済むのかという議論には 決してならないでしょうと思っています。ですから、ここは文章の書き方にしても工夫 が必要なのではないかと思います。 ○化学物質対策課長 今のご意見ですけれども、基本的には賛成いたします。ただ、各 論といいますか、細かなところに入りますと、たぶんここの検討会ではなかなか難しい ところがあるだろうと思います。ここでも、さらに検討が必要であるというようなこと を書いているのは、まさしくそのようなことは慎重にこれからまた議論をしていかなけ ればいけないのではないか。ただ、課題としてはどんなことがあるのだろうかというと ころのまとめとしてやっていただければと思います。  ですから、何か結論をここで出すという話ではなくて、どんなところが課題として考 えられるのか。そういうようなところを主にまとめていただければと思っています。 ○福島座長 他にご意見はございますか。そうすると一言で言ってしまいますと、ここ のところはタイトルとして「労働安全衛生の観点から管理面から考えられること」とか、 何かそういうようなことでディスカッションできませんか。 ○蒲生委員 いま、事務局のほうから発言いただいたような内容であれば、私はそんな には違和感はありません。今後議論して、考えていきましょうという課題を出していく ということですから、それは特に異存はありません。時間をオーバーしてすみません。 ○福島座長 いえいえ、積極的に言っていただいて結構ですので。そうしましたらもう 一度確認しますが、今榎本課長からいただいた事務局としての考え方、それから、庄野 委員、蒲生委員からいただいた意見も含めて、我々としてここのところを最終的にどう するかという内容です。先ほど最初に申しましたように、これが灰色なのか白なのか何 でもいいと私も思うのです。何らかこの場でディスカッションして、ここのところに反 映させるような結論を出すという方向で、ディスカッションを進めていきたいと思いま す。よろしいですか。  もう一度前のほうに戻ってもらいます。1の経緯のところです。ここのところでいろ いろなご意見をいただきました。ありがとうございます。ここに関しては字句のことで 小川(順)委員からいただきましたが、定義が中と「はじめに」のところが違うという ことで、これは事務局で直していただくことにします。よろしいですか。後のことにつ いては先程申したような形でいきたいと思います。何かここのところで特別、今ディス カッションしたいということがありましたら、どうぞ。よろしいですか。それでは事務 局に直していただき、次回に審議したいと思います。  次の4頁、5頁のところはこのままで、ご意見はいただいていません。よろしいです ね。次に6頁に入りたいと思います。第2部の「ナノマテリアルの用途、生産量及び性 状について」です。ここのところでもいろいろなご意見をいただいています。1の我が 国におけるナノマテリアルの用途・生産量のところで、事務局に任せたいと思いますが、 ここでディスカッションしたいということがありますか。この場でということがありま したらどうぞ。 ○庄野委員 特に意見ということはありませんが、一応、私のほうからも業界の意見と して出させていただいていますので、是非ご検討を賜ればいいということです。ただ、 酸化チタンについて、二酸化チタンと表現が全般的に報告書として揃っていないのでは ないかと思いますので、これは必要かなと思っています。それだけです。 ○福島座長 わかりました。確かに所々違っているところがありますので、そこの表現 のところはきちっとしたいと思います。事務局、お願いします。 ○大前委員 今のところで、よろしいですか。 ○福島座長 どうぞ。 ○大前委員 酸化チタンというと、二酸化チタンしかないのですか。 ○庄野委員 ええ。 ○大前委員 それしかない、わかりました。 ○庄野委員 だから二酸化チタンと酸化チタンを、総称名として混同されているケース が多いのです。 ○大前委員 TiO2が二酸化チタンで、チタンに関してはそれ以外の例えばTi2O3とかは ないのですね。 ○庄野委員 ないです。 ○福島座長 よろしいですか。この修正意見の2頁目にもたくさんいただいています。 事務局にお任せしたいと思います。よろしいですね。7頁、8頁、9頁とずっといって、 テーブルのほうも8頁のところは一部修正があります。よろしいですね。10頁にいって、 2、ナノマテリアルの性状です。(1)ナノマテリアルの物性について、いかがでしょう か。蒲生先生からいただいていますが、これはナノ材料の諸物性の専門家に確認された いということで、事務局、お願いします。ずっと進んでいますが、よろしいですか。(2) のナノマテリアルの生体への影響のところは、いかがでしょうか。 ○庄野委員 ここでは特にどこという話はないのですが、あとから話が出てくる部分が あるのです。特にマウスとラットの試験ですが、ここの表現で我々としても実は同様の 資料というのがあるのです。1つはノックアウトマウスの件で被験資料がわかっている のですが、ペーパーでも明らかになっています。ラットのほうが不明で、果たして「同 様」という表現をどう捉えたらいいか若干気になっています。ラットの試験をやったと ころはわかっているのですが、どういう資料を使われたのか確認したいと思っています。 ○福島座長 私が知っている範囲では同じ三井です。だから、同様の資料なのであえて 言葉を書かなくてもいいのではないでしょうか。 ○庄野委員 ええ、必要ないと思います。 ○福島座長 「腹腔内注入試験やラットの」ということで。 ○庄野委員 そういうことだと思います。 ○化学物質対策課企画官 特に書かなくてもいいということですか。 ○福島座長 はい。前のほうに多層カーボンナノチューブと言っていますから、それで いいと思います。それでよろしいですね。 ○庄野委員 結構です。あとはマイナーなところですので、若干言葉を付けさせていた だきました。これは事務局でご検討いただければと思います。 ○小川(順)委員 こちらに記載させていただいたとおりなのですが、「炎症反応等が生 じることが判明している」という書きぶりですけれども、現時点ではこういった報告が あるというところまでではないだろうかと考えます。その辺の表現を見直していただけ ればということです。ここでは最終的に長期の吸入ばく露試験などの研究が必要だとい うことが示したいことだろうと考えますので、例えば「一部の物質により一定の条件下 で炎症があるということが報告されている」という程度で、表現をまとめていけばどう かと考えます。 ○福島座長 「判明して」というところは、「報告して」という淡々とした書き方にして いくということですね。 ○小川(順)委員 はい。 ○化学物質対策課企画官 ここでは、例として多層カーボナルチューブの、先ほども議 論に出たマウス、ラットの腹腔内等の注入試験のことを例として挙げているのですが、 今年になっていちばん注目を浴びた試験でもありますので例として挙げました。これは 削除したほうがよろしいでしょうか。 ○福島座長 それは事実ですから、ここに載せておけばいいと思います。事実は事実で すから。 ○化学物質対策課企画官 わかりました。 ○福島座長 皆さん、どうでしょうか。 ○蒲生委員 それは事実なのです。 ○庄野委員 事実は事実ですから。 ○蒲生委員 バランスという意味で言うと、吸入ばく露試験がまだされていないという 点について、私はコメントを書いたのですが、例えばリスク評価とかばく露評価のため の試験とか、そういった点をもうちょっと補強していただくと論旨が明確になるかなと 思います。 ○庄野委員 一応、データの出典は出しておいたほうがいいのではないかと思います。 ○福島座長 そういう意味で蒲生先生、ここの10頁の下のほうですが、今確かに「吸 入ばく露試験はまだ実施されておらず、人に対する健康影響を評価するためには、更な る研究が必要である」というところに、ちょっとくどいですけれども、「人へのばく露形 態を考えたリスク評価に適切な更なる研究が必要」だと。 ○蒲生委員 そういったことです。 ○福島座長 何かそういうように、もう少しくどく言いますか。 ○庄野委員 いや、そのぐらいでもういいのではないですか。 ○福島座長 表現は事務局にお任せするとして、何かそういうようなことを加えるとい うことにしたいと思います。よろしいですか。ここのことに続きまして、次に3頁にも たくさんいただいています。先ほど庄野委員からいただいた同様の資料で、これはよろ しいですね。 ○庄野委員 はい。 ○福島座長 あとは字句の訂正を事務局にお任せするという形で、よろしいですか。次 は11頁の第3部に入ります。「ばく露防止の予防的対策の検討の視点、範囲等について」 です。1の規制及び対策の現状について、いかがですか。ここも3ついただいています。 ○大前委員 「ヒト」ですが、疫学とかでは、ナノマテリアルの場合は片仮名でいいと 思いますが、ここの文章は漢字でもいいのではないですかね。 ○蒲生委員 そうですか。私だったら「ヒト」と片仮名かなと思っただけで、むしろ漢 字のほうが普通ですか。 ○大前委員 何かちょっと、違和感を感じます。 ○蒲生委員 それは特にこだわりません。 ○福島座長 疫学では漢字ですか。 ○大前委員 そうですね。 ○福島座長 では漢字のほうがいいですね。実験のほうになるとスピーシスを今度考え て。 ○蒲生委員 生物種としてのヒトの場合が片仮名、そうですね。 ○庄野委員 1つだけコメントを入れたのですが、検討の視点のところで「予防的考え 方」と書いていただいていますけれども、実はここは非常に微妙なところです。ご存じ のとおり、いわゆるプレコーショナリー・アプローチとブレコーショナリー・プリンシ プルというのは、過去国際的な場でかなりの議論がされているのです。私は予防的な考 え方という訳をするよりはアプローチと書いておいたほうが、ここはよろしいかと思い ます。これは非常に大きなターニングポイントでしたので、ご検討願いたいと思います。 ○福島座長 すみません、どこですか。ちょっとフォローできないです。 ○庄野委員 11頁の一番下です。かつ12頁に脚注を並べていて、確かにこの書き方で 内容的には問題ないと思っているのですけれども。 ○福島座長 ちょっとまだ、今は1だけです。大きな1の規制及び対策の現状で、まだ 3まで入っていません。 ○庄野委員 すみません。 ○福島座長 いいですか。また後でお願いします。1はよろしいですね。次は2の「検 討の範囲」です。ここが先ほど蒲生先生が言われたことだと思います。ここの3番目の ことについては、先程ディスカッションがあった考え方でもって、もう一度事務局で直 してもらうということでいかがですか。私は、先ほどの議論ですから、入れていくとい う形で進めたいと思います。2の(1)(2)(3)というのがあるのです。ここについて蒲 生先生からご意見をいただいています。 ○蒲生委員 先ほどでましたようにタイトルの文言をちょっと考えるとか、あと内容に ついても先程事務局の方がおっしゃったようなことであれば、よろしいかと思います。 ○福島座長 事務局、しっかりと考えていただきたいと思います。どうでしょうか。そ の方向で進めたいと思います。 ○庄野委員 確認したいのですが、(3)のタイトルの書き方が、若干変わる可能性があ りますね。 ○福島座長 変わります。 ○庄野委員 わかりました。 ○福島座長 若干というより、おそらく相当変わると思います。また皆さんに事前に見 ていただくという形になります。3の検討の視点というところはいかがですか。ここを 庄野委員、もう一度お願いします。 ○庄野委員 「予防的考え方」と書いているのですが、これはできたら「予防的アプロ ーチ」という、いわゆる原文を使われたほうがいいと思います。これは実は非常に重要 なところでしたので、これによってある意味でレギュレーションベースも変わる可能性 もありますから、是非、よろしくお願いしたいと思います。 ○福島座長 他にございませんか。よろしいですか。次に12頁、今の続きですが、よ ろしいですね。次は13頁で第4部「ばく露防止の予防的対策に係る検討結果について」 です。1の(1)についていかがでしょうか。対策の対象とするナノマテリアルの範囲に ついてということです。ここでもご意見を寄せていただいています。 ○庄野委員 私もここでかなり出させていただいているのですが、最初の方の2つは、 基本的には今までお話させていただいたところの話の延長です。内部的に若干の検討を いただいた上で、ご判断を願えればと思っています。あとは大きな注目すべき点はあり ません。 ○蒲生委員 12頁の視点の(3)に対する私のコメントと関係しますので、ここでコメ ントしようと思って先ほどコメントしませんでした。 ○福島座長 14頁ですか。 ○蒲生委員 12頁にあった、通りすぎたところです。「ナノマテリアルに共通したばく 露防止対策について検討することとした」というところに対して、私はコメントしてい るのですが、ここの対象とする物質、マテリアルの範囲についてということと基本的に 議論が重なると思いましたので、ここでコメントしたいと思います。  この検討会で、どういう範囲の物質を対象とするかという議論のときに、かなり広い 範囲に、なるべく前広に議論しましょうということで、それは議論としてはよかったの だと思います。ただ、管理の対象であるとか、ここに書かれている対策が一律にmust として適用される対象のものとしては、ちょっと不適切ではないかと思います。これは 後ろに書かれている書きぶりとも関係するのですが、後ろに書かれている書きぶりのま まだとすると、これまで検討した対策の内容が適切である材料の範囲というのを、もう 1回検討しないと、ちょっとまずいのではないかというのが私の考えです。あくまでも ここに書かれていることは議論の対象とする範囲であったと思うのです。 ○福島座長 すみません、100パーセント理解できなかったのですが、12頁の(3)の 5行目ですね。 ○蒲生委員 はい。あと次の13頁で、対象の範囲に含まれるものに共通に適用される ような対策というふうに、もしこの報告書を捉えると、しかもこの後ろの書きぶりのま ま捉えるとすると、私がコメントしていますけれども、「必要である」とか「〜すること」 という言葉がかなり出てくるのです。そうなったときに、この範囲のナノマテリアルに 一律に適用するというのは、かなり無理があるのではないかということです。議論する 前提としてどのぐらいの範囲を念頭に置きましょうかという話と、出来上がってきたも のがこれに適用されるのが妥当だろうかという話とは、ちょっとまた違うのではないか。 再度議論するか、あるいは、あくまでこれは議論の前提であり、こういう範囲を念頭に ディスカッションしたという程度の書きぶりにしていただければと思います。 ○福島座長 もう一度繰り返しますと、まず個別の有害性というのはわかっていないと。 そういう状態の中で例えば14頁を見ても十幾つある。そういうものをひとまとめにし てまず議論しましょうということで、ここではこれから検討していったと。結果として、 その次の対策としてどうするかということについては、それはまた別の考え方を入れる 必要があるでしょうねということですか。 ○蒲生委員 対策として後ろで検討され、整理されてきたものが、後ろで今書かれてい るような書きぶりで書かれるのであれば、それは、この範囲のナノマテリアル全体に一 律にかかるものとはちょっと思えないということです。ですから後ろの書きぶりが変わ るか、前の位置づけが変わるか、あるいは前の内容を再検討するかをしないといけない のではないか。 ○福島座長 ただ、個々の有害事象が文字通りわからないですね。 ○蒲生委員 そうですね。 ○福島座長 そうすると、わからない状態で、今度どういうふうに書くかということに ついては、いかがですか。 ○蒲生委員 有害性に関しては、おっしゃるとおりかもしれないのですが、例えば固体 に埋め込まれているナノ材料といったものが、ここの対象とするナノマテリアルの範囲 の中では読み取れないので、そういうものも、あたかも粉体で上がってくるものと同じ ような扱いをうけることになっている。 ○福島座長 なるほど、わかりました。 ○蒲生委員 例えばフィルムのようなものも、ここの対象となるナノマテリアルの範囲 には入るのです。そういうことも頭に置きつつ議論はしてきたけれども、後ろに書かれ ていることは必ずしもそのようなナノマテリアルに適用するのが妥当とは言えない。 ○福島座長 それは反映していないということですね。 ○蒲生委員 ええ。 ○福島座長 わかりました。後ろのところにもう少し付け足していくということで、ど うでしょうか。蒲生先生の意見は確かにそうだと思います。いいですか。 ○小川(順)委員 似たようなことで、コメントも中に入れていますけれども、もう1 つの視点として取扱量の基準というのは若干の論議があっただろうと思います。その辺 も加味してご検討いただければと思います。 ○福島座長 それは1の(1)の中の範囲というところに、量的なことも加えたらどう かということですか。 ○小川(順)委員 年間の生産量とか取扱い量による差というのがあったと思うのです。 場所の特定はわかりませんが、その辺の論議の結果がインプットされていないと感じま す。 ○福島座長 私の理解ですと、ここのところはあくまで扱うナノマテリアルとして記載 されています。ここはこのままにしていきたいと思います。またどこか適切なところが あったら、そこのところで加えるということにしたいと思います。よろしいですね。14 頁の(2)はいかがですか。 ○名古屋委員 (1)ですが、6頁のところの表現と違って、例えば二酸化チタンになっ て先ほど酸化チタンになっていましたね。6頁のところはシリカになっているのが二酸 化ケイ素になっています。ここはちゃんとしなくてもいいですか。例えば二酸化ケイ素 だったらSiO2の二酸化ケイ素で、結晶質か非晶質で全然生体系が違うし、例えば二酸 化チタンだったら、これがルチルだとアナターゼで全然生体系が違うということ。ただ、 二酸化チタンでいつも書かれているけど、本当にルチルでやっているのか、アナターゼ でやっているのか。我々は分解するといっても、分解しないのとでは全然違いますよね。 そこのところは何も議論されないで、ただ名前が出ているのは何かちょっと違和感を覚 えてくる。  当然、二酸化チタンと書いているけれども、領域は幅広いですよね。どの領域を扱っ ているのか。何も書かないときは二酸化チタンと書かれると、粉末を扱っている二酸化 チタンは全部やるのかということになって、全然違う要素になってくるから、ここはち ゃんと書かないとまずいと思います。対象にするならきちっと書いたほうがいい。まし てや6頁との整合性はとっておかないともっとまずいのではないか。 ○福島座長 そうすると名古屋先生、ここの物質を書いているところに何か注釈を付け ていくという形をとるということですか。 ○名古屋委員 6頁のところは、先ほどもたぶんありましたね。酸化チタンという形で 書かれて、シリカとしか書かれていませんよね。ただ、取扱量だからというのはそうだ けれども、そことこちらは違ってもいいのかどうか。あと例えば13のところに物質の 「対象」と書かれると、その対象をやるわけですよね。そのときに二酸化けい素と言わ れたときに、非晶質の二酸化けい素かそうでないのかと言われると、生体系がたぶん違 ってくると思うのです。結晶質と非晶質は全然違ってくる。では二酸化けい素ならいい のかと。例えば二酸化チタンと言ったときに、ルチルとアナターゼで、ブルッカイトは ないと思いますけど、その3種類あるうち、すべてを対象にするのか。そこを書かない と製造としてはルチルが多いですが、決してアナターゼがないわけではなくて、アナタ ーゼもあるわけだから、そういう形の書き方をしておかないと、これを対象にして研究 するときに、ちょっと違ってくるのかなという気はします。  たぶん解剖所見を見ていても、いつもあるのは二酸化チタンとは書いてあるけれども、 そのときの表面活性がどうなのか、粒径がどうなるか、どういうものを使っているのか というのが統一されていないで動物実験しています。そういうところも対象とする時に ちゃんとしたほうがいいと、いつも思っているので、ここはちゃんと書かれたほうがい いと逆に思っただけです。それは事務局にお任せします。 ○福島座長 事務局、そこのところよろしいですか。 ○化学物質対策課企画官 今のお話は、二酸化チタンと二酸化ケイ素について、どうい ったものを対象にするか。またOECDで対象になっているかというのを調べて書くとい うことですか。それから先ほどの蒲生先生のお話で12頁の(3)のところですが、ここ では「ナノマテリアルに共通したばく露防止対策について検討することとした」と書い ていますけれども、後半のほうで具体的な対策をするときに、言われるようなフィルム に入っているときは例えばこういった対策については対象にしないとか、そういったよ うに書き分けることもできますけれども、(3)で書いてあるばく露防止対策に「共通し た」というのは、どういった形態であっても全部一律に同じことをするということでは なくて、全体的に検討したということを書いているのです。 ○蒲生委員 「共通した」は検討のほうに、むしろ意識としてはかかっているという感 じですか。 ○化学物質対策課企画官 そうです。 ○蒲生委員 それであれば、まさにそういうことだったと。 ○化学物質対策課企画官 ですから具体的なばく露防止対策を、物質の形状等によって 変わってくるというのは、また後半のほうで書くことも可能かと思います。 ○福島座長 「共通した」という言葉を、他に書いたほうがいいということですね。今 言われた、全体としてとか。 ○蒲生委員 そうですね。 ○福島座長 「ナノマテリアル全体としてのばく露防止対策」。 ○蒲生委員 ええ。 ○唐沢委員 この場である程度方向が固まれば事務局も助かると思いますので、12頁の (3)はいろいろご意見がありましたけれども、要するに、これは最初の部分で検討の 視点を書いてある部分ですから、例えばさっきも座長がおっしゃいましたけど、(3)の 最後の2行のところは、「個別の物質毎に固有の対策を検討するのではなく」は、これ でいいと思いますが、その次の文章です。例えば「ナノマテリアルにある程度共通した ばく露対策を中心として」とか、気持としてはそういう意味なのだろうと思います。こ れは何を視点にするかという話ですからね。第4部以降で具体的にいろいろなことが出 てくるわけですが、第4部だって、まだわかっていないことがかなりあるわけですから、 そこまできめ細かくは書けない部分が結構あるわけです。12頁の(3)は視点を言って いるわけですから、今私が言ったようなことも考えていただいて、ご検討いただければ と思います。 ○福島座長 ありがとうございました。事務局、お願いいたします。もう一度戻りまし て13頁から14頁にかけての(1)です。あと庄野委員からいただいている本報告書の 危険なマテリアルの定義が明確になっていませんという、ここのところはいかがですか。 ○庄野委員 今おっしゃっているのは、どこですか。 ○福島座長 13頁の1、基本的事項に係る検討結果で、そこの(1)をやっています。 庄野委員から、1つ目のポツと2つ目のポツにあるようなご意見をいただいて、2つ目 のポツなどはご紹介いただいたらどうかと思って発言したのです。 ○庄野委員 わかりました。特にここのところはサイズの問題の議論が十分できていな い。これは本当にそういう意味でナノマテリアル自身が、どういうメカニズムで毒性発 現をしているのかどうかというのは、若干議論ができていないのではないかと思ってい ます。少なくともサイズで一律に評価はできないだろうと我々は思っているところで、 こういう意見を出させていただきました。ただ、これに関しては広くナノマテの定義自 身からの議論が入りますので、国際的な動きも見ながら考えていかなければいけないの かなと思っています。 ○福島座長 ありがとうございました。よろしいですか。ほかにございますか。修正意 見のほうで4頁から5頁ですか、そして6頁にかけていろいろいただいています。サイ ズの定義ですが、5頁のサイズの定義で庄野委員からいただいていますけれども。 ○庄野委員 特に、3軸のうち1軸でも100nm以下の材料をナノ粒子とする定義、こ れは基本的に、おそらくこれで固まっていくのだろうと我々は思っていて、特に問題は ありません。ただ、通常の製造等の過程で、非意図的にナノレベルのサイズの物質が発 生している可能性はあるのですが、問題は、ここは対策の対象外として差し使えないと 思っていますというところの表現なのです。ここは粒度部分の考え方が入っていないの ではないかという気がしましたので、これは基準名を確認していったほうがいいと思い ます。これは国際的な議論の場でもこういう議論が出てきていますので、今後、マーク しておく必要があると思っています。その程度です。 ○福島座長 わかりました。事務局、ご意見がありますか。 ○化学物質対策課企画官 粒度分布については、一度、この検討会で議論していただい たことがあります。そのときの結論としては、測定の仕方によって粒度分布というのは 変わってきてしまうから、一律にその定義はできないということがありましたので、ど の程度ということになるのですが、100nm以下の物質が含まれれば、一応、対策の対象 にしていったほうがいいのではないかというご議論で落ち着いたかと思っています。そ こら辺の数値が、国際的にも定義が出てくるようであれば盛り込んでいければいいと思 いますが、まだそこまでの議論にはなっていないような気がいたします。 ○福島座長 わかりました。そうすると、あえてここに関してこの検討会での考え方と して議論しているという事実と、また議事録にもそれはあるわけですから、我々はそこ まで議論したということにしたいと思います。細かいことで私自身も大事だと思ってい るのですが、小川順先生から100nmより小さいというところに、約1nmという下が入 ったのですが、これは普通、国際的にはどういう定義になっているのですか。どちらが 正しい表現としておいたらいいのですか。 ○小川(順)委員 これは、どこまで対象を広げるかですが、ISOではこういうふうに 定義しているとの情報があると聞いていますので参考に検討していただければというレ ベルです。 ○福島座長 この検討会では、13頁に記載したようなことできています。これでよろし いですか。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 それでは、そのままにしたいと思います。あといかがでしょうか。あと事 務局のほうにお任せするということでいいですか。そうしましたら修正意見の6頁を見 てください。6頁の(2)対象とする労働者についてということです。報告書のほうでは 14頁です。ここはいかがでしょうか。ここもいろいろご意見をいただいています。小川 順委員、蒲生委員からいただいていますけれども、ご紹介していただけますか。 ○小川(順)委員 14頁から21頁にわたって、リサイクル、廃棄に際してのばく露防 止ということで記載がありますけれども、リサイクルとか廃棄のときのばく露の危険性 ということでは、あまり論議が進んでいないように今まで感じています。今後の論議対 象になるかどうかわからないのですが、ここで記載するのであれば、少なくとも「ばく 露の危険性がある」という表現を加えてはどうかという意見です。 ○福島座長 例えば、それは(2)の6行目から7行目に「当該製品を廃棄する際等に は」云々とあり、「従事する作業者がばく露する可能性が否定できない」ということがあ っても、そういうことを書くということですか。 ○小川(順)委員 この部分ではそうなのですけれども。 ○福島座長 また後で出てくるところで、そういうことを謳っておいたらどうでしょう かということですか。 ○小川(順)委員 はい。 ○蒲生委員 私のほうから。確かに考え方としてはナノ材料のライフサイクルを考えて というのは大事で、そういうところのリスクが見過されてはいけないというふうに思う のですが、ただ、現状のいわゆるナノマテリアルの使われ方を考える必要があります。 量の概念はここには基本的に書かれていませんが、ナノマテリアルが、例えば家電に含 まれているとすれば、家電リサイクルの業者に一律にこれがかかるかと言われると、こ の裾野の広さたるや相当なものがあると思われるのです。ですから現状の使われ方を考 えると、これを同列にこの中に対象として入れるというよりも、この報告書としては、 そういう可能性に留意して必要に応じてそういうもののリスクを検討していく。ある種、 今後の検討課題という扱いにとどめるほうがいいのではないか。例えば使用量が今後ま すます増えていくとか、特定のナノ材料のリサイクル、廃棄等でのばく露を受ける可能 性が明らかになっていくということがあれば、またリスクが生じる前に議論していくと いう考え方はあるかと思います。 ○福島座長 どうですか。 ○化学物質対策課企画官 今、ご議論いただいている14頁は、どういった労働者を対 象にするかということなので、ここでは廃棄処理に当たる労働者も含めるということに していただき、それで実際の対策が後ろのほうに出てきます。21頁の「廃棄物処理等に おける対応」というところで、具体的に廃棄物処理については、どういった対応を進め なければいけないかというのが出てきますから、ここで、今、蒲生委員がおっしゃった ようなばく露量や使用されている形態に配慮して、対策を講じるという趣旨のことを入 れたらいいのではないかと思います。 ○蒲生委員 対策を講じるべき状況が生じればみたいな書き方もあるでしょうし、ある いはどういう時に対策を講じる状況が生じるかということでもいいと思います。 ○化学物質対策課企画官 先程のところは対象とする労働者ということですので、あく までも労働する人は全部かかる。対策としては、言われるようなことに配慮して対策を 講じていくということになると思います。 ○蒲生委員 一律にかかるとなると、ものすごいことになるのではないかという懸念だ けですので、実際に対策を講ずるに当たってそういう限定が入るのであれば、特に大き な混乱はないのではないかと思います。 ○福島座長 そうしましたら、今、篠崎さんからのご説明がありましたように、ここは あくまで対象とする労働者ということで、ここは加えていくということ。あと対策のと ころで蒲生先生が言われたようなことを盛り込むということにしたいと思います。よろ しいですね。あとはいかがでしょうか。あと事務局にお任せするということで(2)は よろしいですか。次は(3)に入りたいと思います。ナノマテリアルのばく露の経路に ついてです。ここはよろしいですかね。ないですね。次は15頁の(4)です。ナノマテ リアルに関する製造・取扱い作業及びばく露の可能性についてです。ここについていろ いろご意見をいただいています。小川順先生、いかがですか。先ほどと同じような考え 方ですか。 ○小川(順)委員 はい、そうです。 ○福島座長 蒲生先生、いかがでしょうか。この15行目の云々というところですけれ ども。 ○蒲生委員 これ、作文の問題かもしれないですけど、あたかもアンケートの結果でこ れが示されたかのように書かれているので、たぶんこれは切れるのだと思います。 ○福島座長 そういう意味からすると、例えば段落を変えるとか。 ○蒲生委員 それでもいいです。 ○福島座長 修正意見のほうで7頁を見ると、小川順委員からいただいています。これ を紹介していただけますか。 ○小川(順)委員 ここでお話するべきだったと思いますが、対策のランク分けという ことをするにあたっては、取扱量や生産量という討議も、どこかの時点で入れていただ ければいいと思います。 ○福島座長 いかがでしょうか。 ○化学物質対策課長 小川順委員からのご意見ですが、確かにこれは報告書を検討する 中で、一時はこういうことも書き込んであったのですけれども、最終報告書のところか ら落としてあります。ご議論いただきたいところは、こういうような取扱い量や生産量 の大きさによって、一律にリスクが言えるのかどうかということです。労働の現場にお いては必ずしも取扱い量や生産量がイコールでリスクの対象にならない。つまり、どう いう形で取り扱っているかというところが重要なので、こういう数値の議論というのは なかなかしにくいのではないかと思います。そういうこともあって、私どものほうは議 論はあったのですが、報告書の中から落とさせていただいたところがあります。 ○庄野委員 今、課長が言われたように、この議論に関しては労働衛生対策の選択につ いて、こういう数量的な、いわゆる量が増えるとリスクが増えるという考え方は、私は まだあまり類例として見たことがありません。ただ、このときに確かにREACHという 考え方があって、トンネージバンド(Tonnage Band)によってのリスク評価というの はあるのですが、今、課長が言われるように、これはdata requirementのベースで決 めている話ですから、若干、これが混同されると我々も困るなと思っている部分があり ます。そういう意見をディスカッションさせていただいたと思っています。 ○福島座長 ほかにご意見はございますか。 ○蒲生委員 この場所なのかはわからないのですが、本日の最初のほうで田中委員から 出されたように、これは単純に量のことを言っているのではなく、試験研究レベルと大 規模に生産する場面といったように、一定限度プロセスともリンクしているところがあ ると思います。ですから、一律に量で切るのがいいかどうかわからないのですが、それ でもある程度プロセスとリンクした量のイメージについて、後の対策のほうで書き込む のでもいいのかもしれないですけれども、せっかく議論があったところですので、何か 反映していただければと思います。 ○福島座長 わかりました。そしたら事務局で一遍考えて、確かにここに量の考え方を、 生産量を考えて入れるべきだというところがあったら、それを入れてもらう。ただ、ど う考えても馴染まないということだったら、それはそのままで、また次回議論するとい うことにしたいと思います。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。20〜26行目と いうところで、蒲生委員からご意見をいただいています。 ○蒲生委員 これは、先程量のことで私はコメントしましたけれども、ナノマテリアル によって性状も相当違っているということがここには書かれているのですが、後ろのほ うにはそういう配慮がないようで、現状では、一律の扱いとする書きぶりになっている。 ただ、先程、性状によってこういう対策は要らないとか、そういう工夫をされるアイデ アもあるとお聞きしましたので、そういうふうに反映されるのであれば特には。 ○福島座長 事務局、よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。ないようでしたら次 は15頁の下のほうです。2の個別対策に係る検討事項及び検討結果に入りたいと思いま す。先程、初めのほうで蒲生委員が言われた、mustなのかというのがここに書いてあ りますけれども、紹介していただけますか。 ○蒲生委員 もともとこの検討会のタイトルにもありますように、有害性もばく露もよ くわからない対象について議論されていたことが、「必要がある」、「すること」というか なりmustな書き方になっていることに懸念がありまして、本当にmustという結論な のであればそれでいいと思いますが、その辺は慎重に言葉を使い分けていただければと 思います。議論してきた内容をまとめた報告書は、どちらかといえばここに書いたよう に、ある種の状況における1つの事例というかリコメンデーションであって、これを参 考に自分の所の材料あるいはプロセスというものを鑑みて、それぞれカスタマイズして ばく露低減に努めようというトーンとするほうが、委員会の趣旨からしても、あるいは 科学的知見の充足度からしてもなじむのではないかというコメントです。できれば、そ れを明示していただければというところです。 ○福島座長 今の言葉の問題は、もう一度報告書全体について検討していただけますか。 こうすることなのか、望ましいのか、必要なのか。正直を言って、私はその重みがわか らないので、お任せするしかないです。蒲生委員のご意見について、その他よろしいで すか。修正意見の8頁にいきます。そこにもご意見をいただいています。庄野委員、紹 介してください。 ○庄野委員 簡単にご紹介申し上げますと、基本的にはこういうナノに関しては十分な 情報がない中で、生産者の立場からいきますと、先ほど生産量の議論がありましたが、 生産量というより生産規模によって工場というのはいろいろな対応と設備が必要で、特 に非常に量の多い所になりますと設備投資といっても簡単ではない。基本的な問題点に 関わるようなことがあるので、ここで全般的に申し上げているのはフレキシブルな現実 的な対応をお願いしたいということです。特にどれを訂正しろという議論ではありませ んので、これを十分ご配慮願いたいレベルです。 ○福島座長 庄野委員から発言していただきましたが、そういう形でよろしいですか。 そこのところは考えて、また出してもらえますか。お願いします。ほかはいかがでしょ うか。  次は2、個別対策に係る検討事項及び検討結果、(1)作業環境管理の案についてはい かがですか。ア、ばく露状況の計測評価ということです。これもたくさんいただいて、 8、9頁ですね。ここのところで蒲生先生、小川順先生、どうでしょうか。 ○小川(順)委員 17頁の1〜3行目で、今日の前半で粒子の測定装置についての説明 がありましたが、ここの文面ですと「当面、一般的に利用可能な測定器を使って、ナノ サイズより大きい粒子を計測することにより、作業環境を管理していくことが実行可能 な」ということで記載されています。現実的にナノより大きい粒子を測って、それで管 理することに若干無理があるというか、今取れる対応としてはこうなのかもしれないで すが、むしろ研究開発的な要素がまだ多く残っているところに留めてはどうかという意 見です。 ○化学物質対策課企画官 測定の関係ですが、明星委員の資料がありますので、明星委 員のお考えですと作業環境のところまで測定したらどうかという提案だったと思います ので、いまの報告書の案文では一般的な粉じんの測定をしたらどうかということで出し ていますが、明星委員とまた相談させていただいて、ナノ物質を対象にして測定可能な 手法があるのかどうか配慮した書き方にしたいとは思いますが、いかがでしょうか。 ○福島座長 わかりました。ここのところにつきまして、ほかによろしいですか。次に、 唐沢委員からここに何か追加をしたらどうかというご意見をいただいています。 ○唐沢委員 よろしいですか。なかなかこれは難しいことではありますが、職業上のば く露限界がすぐにわかるものではないと思いますが、そういう視点みたいなこと、この ままの表現にこだわっているわけではありませんが、非常に重要なことでもあると思い ますので、科学的知見を待たなければいけないかもしれませんが、こんな趣旨を加えて みたらどうかと思ったわけです。 ○福島座長 いかがでしょうか。唐沢先生、もしこれをこの検討会に入れるとしたら、 場所として、課題とかそちらのほうに入れることはできませんか。 ○唐沢委員 それでも構わないと思います。 ○福島座長 どうなのでしょうか。そもそもその基準を策定できるように努めるという こと。尤ものご意見だと思います。今後の課題のほうで、もう一度議論したいと思いま す。よろしいですか。そうします。  報告書の17頁のイ、密閉構造とすべき箇所及び要件にもいただいています。小川順 先生、蒲生先生いかがですか。 ○小川(順)委員 現実的な対応として、18行目の「懸濁液と混ぜ合わせたり、混練す る作業は」というところで、グローブボックス内だけでできない作業もありますので、 局所排気装置という文言を付け加えてはどうかという提案です。 ○福島座長 「局所排気装置等の設置」を入れるということですね。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 事務局よろしいですか。蒲生先生も同じような意見ですか。 ○蒲生委員 私はどちらかというと作文レベルですが、この原案だと混練する作業を密 閉化したりグローブボックス内で行ったとしても、局所排気が必要と読めないでもない というところがあって、これは要らないということですかね。議論がどちらになってい たかの記憶がないのですが。 ○福島座長 要らないというと。 ○蒲生委員 グローブボックス内で作業をする必要がある。これが困難な場合に局所排 気なのか、それともグローブボックス内で作業をした上でさらに局所排気がかかってく るのか、そのあたりが、「アンケート結果では」というのが間に入っているせいもあって、 明確でないなと思ったので、クリアにしていただければというレベルです。 ○福島座長 わかりました。そこのところはちょっと直して、蒲生先生、小川順先生と やり取りをしていただけますか。  これは小川順先生ですか。修正意見の9頁の21行目については、先程と同じような ことですか。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 ですから、ばく露する可能性があるという言葉をここで入れてもらいたい ということでよろしいですか。 ○小川(順)委員 それで結構です。 ○蒲生委員 私のほうも、ある程度限定がないと、これは相当混乱が生じると。 ○福島座長 わかりました。危険性、可能性のどちらがいいですか。事務局にお任せし ます。何でも任せて申し訳ないです。  次はウ、局所排気装置等を設置すべき場所及び要件はいかがでしょうか。ここもたく さんいただいています。庄野委員、小川順委員いかがですか。これは、単に字句の修正 と解釈していいですか。何か変更ですか。 ○小川(順)委員 エまで入ってよろしいですか。 ○福島座長 17頁のウ、局所排気装置と設置すべき場所及び要件です。 ○蒲生委員 そこは私の意見です。製品の秤量というのが、ナノマテリアルを含む製品 もすべてこれに入ってしまうのかというか、ナノマテリアル自体が製品という意味かな と。どうもそこがわからなくて、使われる製品の多くはかどうかはわかりませんが、必 ずしもここに該当しないのではないかと思ったりもするので、これも単に記述を明確に してほしいということです。 ○福島座長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。記述の修正ということでよろし いですか。 ○蒲生委員 今はエをやっていますか。 ○福島座長 今はエをやっています。 ○蒲生委員 5行目の2つ目のところにコメントを書いていますが、HEPAフィルター 以上を設置すること自体は相当厳しいなというのがありますが、それでいながら後ろの ほうでは、効果が確認できればバグフィルターでもいいかもという書き方もあったりし ます。ここに限らずある程度フレキシブルな対応を、材料の性状とか施設のいろいろな ものに応じて選択するのだというところをもっと盛り込んでいただければと思います。 あまり1つの技術を固定的に書いてしまわないで欲しいという希望があります。それは、 ここに限らずですが。ただそれは、先程ナノマテリアルの性状に応じて書き分けるとい うことでしたので。 ○福島座長 結局、現状を考えると、そういういろいろな選択肢があってもいいのでは ないかということですね。 ○蒲生委員 そうです。その選択肢を全部書き込んでしまうのか。 ○福島座長 あるいは「こと」というふうに。 ○蒲生委員 あるいは、選択肢を全て書き込んだうえで「すること」という表現にして しまうのか、代表的な対策を記述した上で、これを参考に各自取り組むことという表現 にするのか。私の好みは後者ですが、その辺をご検討いただければと思います。 ○福島座長 予防原則ということで、どちらの格好がよろしいですか。ご意見はありま すか。 ○蒲生委員 現状、プロセスの状況とか、材料のバラエティーとか、将来的なものも含 めての多様性を考えると、すべてを書き込むよりは、少なくともこの段階では、ある種 の典型例としてこういうことだということにして、それはあくまでも参考なり大まかな 原則である、というほうが無理がないと思います。それは好みとか考え方で多少違って くるかもしれないですが、いかがでしょうか。ある程度フレキシブルな対応が取れるよ うな形にして欲しいです。ですから、それはmustな書き方をするのかということにも かかってくるとは思います。 ○福島座長 どうですか。 ○小西委員 最後の文章で、「必要であれば粒径を分析し」とか、今のお話にあったよう な状況のものを持っていって、そういうものを調整した場合にはそれに合ったものを選 択するけれども、そういうものをやらない場合にはHEPAフィルターを使いなさいとし たほうがいいのではないですか。調べた場合には、それに適応したものは使っていいで すが、調べたりということをやらないのであれば、HEPAフィルターを使っておけば安 全ですよという書き方にしてもいいのではないかと思います。そうすると、ケース・バ イ・ケースで対応できるわけですよね。 ○蒲生委員 今おっしゃられたようなものでいいと思いますが、ほかのところもそうい う記述が可能なところがあれば、そういうことを盛り込んでいただけると。 ○庄野委員 基本的には今までのご議論と同じなので、私もそこのところのコメントを しています。6行目は「望ましい」という表現のほうが、まだリーズナブルかと思って います。というのは、ちょっと裏がありまして、エの一番上にありますように大規模な ところでHEPAというのはかなり非現実的で、その辺をどう対応しようかなと非常に悩 んでいる状況です。我々も過去の過ちは繰り返したくないというか、作業所の配慮は十 分にしたいと思っていまして、あくまでも現実的観点で考えていきたいと考えています。 ○蒲生委員 そうすると、粒子のサイズがどうこうというのは1つあるかもしれないし、 それ以外にもそれなりの理由が付くのであれば。「それなり」というのがどう定義される かは難しいと思いますが、それが施設的なものであるとか材料、性状など、サイズもそ うですが、いくつかの観点があるとは思います。 ○福島座長 結論として、先ほど小西先生が言われたことを事務局で書いていただくこ とにしたいと思いますが、いいですか。 ○小川(順)委員 同等以上の性能という表現になっていますので、その辺をある程度 選択肢を広げるような意味で同程度などに表現上の工夫もご検討いただきたいと思いま す。 ○福島座長 わかりました。同程度、同等とか、そういうのをですか。ほかによろしい ですか。報告書の19頁の(2)の作業管理です。ア、作業規程の内容は蒲生先生、クエ スチョンが入ってよろしいですか。コメントのほうで。 ○蒲生委員 基本的には、文章をクリアにしてほしいということだけです。 ○福島座長 イはどうでしょうか。清掃方法です。これもよろしいですね。ウ、ナノマ テリアル作業場所と外部との汚染防止等。 ○小川(順)委員 これは定義上の問題で、特にドライな場合には飛散の可能性がある ということで、そういう表現を入れたらどうかというコメントです。 ○福島座長 「ドライな」という言葉を入れたらということですね。ご意見はあります か。 ○化学物質対策課長 ご意見の趣旨は理解できます。ドライなところはそうだと思いま すが、ウェットのところでも乾くというところはあると思いますので、少し広めに書い ておいたほうがいいのかなと思っています。 ○福島座長 どうでしょうか。 ○小川(順)委員 結構です。 ○福島座長 次はエ、呼吸用保護具を使用すべき場合は、唐沢先生よろしいですね。 ○唐沢委員 はい。 ○福島座長 20頁のオ、呼吸用保護具に求められる性能要件及び使用上の留意事項です。 ここはいかがでしょうか。ここも字句の訂正でよろしいでしょうか。小川順先生どうで すか。 ○小川(順)委員 今日、田中先生からもご説明があったところでは99.9%以上という ことになっていましたが、論議の中では95%でも対応できる可能性のある場合もあると いうこともありましたので、その辺は判断が可能のような表現というのが何かできない ものかという提案です。 ○福島座長 田中先生、どうですか。 ○田中委員 前回の委員会で、95%と99.9%の議論をしたと思います。結論としては、 前回の通達で99.9%を提示したということを変えるだけの大きなデータがまだ十分で ない。今アメリカからろ過材の捕集効率のデータが出始めて、必ずしも良い結果ばかり ではないということもご報告しました。今回の段階では、99.9%をいじらないというこ とを提案したということで、今日提出したのもそれを根拠に案を出したということで、 よければご了解いただければということです。 ○福島座長 よろしいですね。カ、保護手袋の要件等の問題、キ、ゴーグルと保護眼鏡 の使用等、これはいいですか。21頁のク、作業衣の使用上の留意事項及び脱着時等の管 理方法です。これは庄野先生。 ○庄野委員 これはそんなに大きな問題ではないですが、一応作業着というのは日常的 に結構使うので、影響力が大きい。これを持ち出さないこととする必要があると断定的 になると結構厳しいので、ケースによっては施設外に持ち出さないこととする必要があ るというふうにお願いできたほうがいいのではないか。あるいは、別のもう少しフレキ シブルな表現ができるのではないかなと思っています。 ○福島座長 基本としては、施設外に持ち出さないということでいいですか。ケースに よりというのは、そういう考え方ですか。 ○庄野委員 例えば、放射性物質とかバイオハザードもそうですが、ある一定の無毒化 といいますか、問題がなければいいような話になりますし、物によっても違いますので、 ケースによってはと思っていただければと思います。 ○福島座長 それでいいと思います。ケースによってはというのは、何か事務局からあ りますか。 ○化学物質対策課長 いままでの議論と、少し方向性が違うのではないかなと思ってい ます。ですから、先ほど小西委員がおっしゃられたような方向で、ここについても記述 することではいかがかと思っています。ですから、原則は持ち出さないこととするとい うことで、例外的な措置として何か持ち出してもいいということがあるのであれば、そ こはいいと。 ○福島座長 理由があればということですか。 ○化学物質対策課長 はい。 ○庄野委員 わかりました。 ○福島座長 庄野委員が言われたケースによってはというところに、どちらかというと 条件を付けるということですかね。そういう形でいいですか。  ケ、作業記録の保管等です。唐沢委員から長期間保存しておくことが必要である。こ の点に関しまして、どうですか。ではそういうようにしたいと思います。  21頁の(3)健康管理に入ります。イントロダクションのところで、大前先生と蒲生 先生から主語を明確にする。お願いします。ほかはよろしいですか。(4)労働安全衛生 教育もご意見はいただいていません。そのままということでいいですね。(5)廃棄物処 理等における対応です。ここでは、いくつかいただいています。庄野先生、蒲生先生、 小川順先生からいただいています。最初のところは、庄野先生いかがですか。 ○庄野委員 これは業界からの意見も全部入っていますが、基本的に既に報告書にも書 かれているように、「カーボンナノチューブは750〜850℃で分解することにより焼却処 理できることが分かっており」というところで、「このように各ナノマテリアルの物性に 応じた方法により適切に処理する必要がある」。基本的に、いろいろなケースについて適 切に処理するというニュアンスである限り、我々のここの状況はお察しいただいている と判断していいと思っています。特に液体と固体の話をしています。ただ単に言い方と して、カーボンナノチューブが750〜850℃で分解することにより焼却処理できること が分かっておりというのは理由にはならないので、ここの表現は若干工夫していただい たらどうかというレベルです。 ○福島座長 ありがとうございました。よろしいですね。ほかにはどうですか。 ○蒲生委員 私の意見というかコメントは、製品の廃棄物という形だと、ライフサイク ルの先ほどの廃棄物の処理業者とか、そんなイメージですが、この箇所は、むしろ作業 場から出てくる廃棄物をどう管理するかという話なのではないかと思ったのですが、ど うですか。もし、これがライフサイクルの末端でという話だとすると、逆に言えばその 作業場から出てくるゴミをどうするのだという議論が報告書の中にないということにな ってしまうので。要は最初の1、2行だけを変えればいいのかなという気もしますが、 そこをクリアにしていただければと思いました。 ○福島座長 わかりました。1行目ですね。 ○蒲生委員 最初のパラグラフを、そもそもどういう意図のセクションかに合うような 書き方にしていただければと。 ○福島座長 事務局お願いします。小川先生、これは前と同じようなことで入れてもら いたいということですか。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 ほかによろしいですか。22頁の(6)非定常作業時の対応です。これも、 先ほどの唐沢委員からの長期間保存しておく必要があるという形でいいですか。(7)爆 発火災防止対策、(8)緊急事態への対応は、ご意見をいただいていませんが、いいです ね。  3、更なる研究・検討課題です。(1)生体への影響に関する研究にいろいろいただい ています。何か特別なコメントはありますか。 ○庄野委員 これは業界からご意見があって、「現時点では、国内でのナノマテリアルの 製造取扱い作業に従事する労働者は少ない一方で」あるということですが、それに関し て現実にかなりの人がおられることをおっしゃっています。これは、あくまでも疫学調 査の対象としての難しい部分でありますので、必ずしも単にこういう現状があるという ことだけでご理解願えればいいと思っています。ですから、特に大きな反論というわけ ではないですが、「少ない一方で」というのは意外と書かなくてもいいのではないかなと いう気もしますので、ここは工夫を願えればと思います。 ○福島座長 何行目ですか。 ○庄野委員 上から12行目ですか。 ○福島座長 23頁ですね。 ○庄野委員 はい。 ○福島座長 少ないというのは、単に労働者がいるということでいいということですか。 ○庄野委員 むしろ、ここでは疫学調査の実施が難しいということを言いたいがための 話だろうと思いますが、少ない一方でというわけでもないので、疫学調査が難しい現状 にあることは事実です。そういうことに対してのご議論だろうと思います。かといって、 そういう疫学調査の結果は取れるのかというとそれはまた別の問題ですし。 ○福島座長 むしろ、最初の「また」以下のところの「一方で」までを削除したらどう かということですか。 ○庄野委員 そういうことです。 ○福島座長 大前先生、いかがですか。 ○大前委員 いつまで経っても、データが出てこないだろうなと思って聞いていました。 これは企業のほうが人数が少ないにしても、ヒトのデータはネガティブでもポジティブ でも構わないわけですから、積極的に出していただかないと、結局は先ほどの許容濃度 も決まらないだろうなということです。動物でやらざるを得ないことになりますと、動 物でやればある程度簡単にできるかもしれませんが、それがヒトに当てはまるというと ころでも大きなギャップがありますので。 ○庄野委員 企業としても本来ならば取れればいいでしょうけれども、現状はそこまで 産業化の段階ではないです。そういう意味で、少ない一方でということが必ずしも疫学 調査ができないわけでもないだろうと思います。 ○福島座長 わかりました。そしたら削除して、「ナノマテリアルの疫学調査の実施は難 しいところであるが」としていいですか。「種類が多いことから」も取ってしまうという ことで。ほかはよろしいですか。  (2)ナノマテリアルのばく露防止に係る工学的対策に関する研究もア、イ、ウ、エ といただいていますが、それぞれの先生にお任せしてよろしいですか。オ、呼吸用保護 具の性能評価。修正意見の14頁にあります。いいですね。(3)情報の収集及び提供も 字句の訂正。25頁の(4)関係府省等との連携もいいですね。  最後に残りました問題の4、労働安全衛生の観点からの規制のあり方ということで、 先程ここに関しまして、こういうタイトルについてはもう一度事務局で練り直してもら う。考え方について、最初のほうでご意見をいただきました。もう一度それを踏まえて、 さらにここで是非この場で言っておきたいことがありましたら、発言をお願いしたいと 思います。この内容について、ここはこうするとかのディスカッションは、もうしない ほうがいいと思います。もう一度事務局で練り直してもらいますが、それに参考となる ようなご意見をいただきたいと思います。 ○唐沢委員 私は、安衛法の第28条の2をここで書きました。その趣旨は、法規制の 対象になっていない化学物質等については、自主管理の原則を安衛法の第28条の2で は謳っているわけですので、それをまず踏まえていただく必要があるだろうという視点 を提示しました。なお、今日のご議論で4の労働安全性の観点からの規制のあり方とい うタイトルをどうするかということとの関連がありますが、そういう視点を踏まえてい ただいたほうがいいのではないかと思っています。 ○福島座長 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。 ○庄野委員 私から数点コメントをしています。先ほど冒頭にも申し上げましたように、 特に安全衛生対策の現法規での規制から考えますと、化学物質とナノマテリアルの違い というものを、あるいは化学物質という従来のディフィニションですべてがカバーでき るのかどうか。あるいは、実際にナノマテリアルは化学物質のアプリケーションの1つ として捉えるのかどうかのご議論が、是非必要ではないかと思います。そういう意味で は、あるカーボンというもののMSDSについては、多様なものがきっとできるのではな いか。それこそスペックによって、ナノマテリアルに該当するカーボンもあるでしょう し、違うカーボンもあるでしょうから、そういう意味ではMSDS自身を新たに作るとい うよりか、むしろバージョンをどう変えていくかがリーズナブルな議論ではないかなと 思っています。  これも気になることですが、あくまでも通達においてナノマテリアルは「元素等を原 材料として製造された固体状の材料」という議論から考えますと、果たして第57条3 項でこれを扱うことが妥当かどうか。さらに、これを調査することによっては、現段階 での議論は非常に難しいですが、それを是非今後の課題としてあるべきではないかなと 思っています。ここが私のメインのポイントで、少なくとも法規上の情報のシェアや伝 達は非常に大事なことで、これはリスクマネジメントのベースですから、それはあって も然るべきでしょうけれども、ただ非常に根本的な議論がそこにありますので、一度こ れは十分にご議論願ったほうがいいのではないかと思っています。以上です。 ○福島座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○大前委員 目次の第3部、第4部の「ばく露防止の予防的対策」というのが先ほどか らずっと引っかかっています。タイトルが、「ばく露防止の予防的対策」というのは何だ ろう。「ばく露防止対策」でいいのではないかという気がします。例えば、2頁の目次が 第1部から第5部までありますが、第3部と第4部が「ばく露防止の予防的対策」です。 これは、単純にばく露防止対策で十分なのではないかと。防止と予防がダブっている気 がします。 ○福島座長 これは、「ばく露防止対策」でいいということですね。ありがとうございま した。もう一度お聞きしますが、4にさらに追加のコメントはありますか。ないようで したら、今日いただいたご意見をもう一度練っていただきまして、新しいバージョンを 作って提出していただいて議論したいと思います。よろしくお願いします。  全体を通して、ここはどうしても言いたいということはありますか。 ○蒲生委員 コメントではないですが、変えていただくとして次回が今月末だと思いま すが、改訂版だと事前に回覧していただけるものだと期待しているのですが、それがい つぐらいになりそうかということを教えていただければ。 ○福島座長 宿題ですね。どうですか。 ○蒲生委員 例えば、一ヵ月ありますので、メールベースの一往復ぐらいはやった上で、 次回を迎える、そういうことを想定されているのかとか。 ○化学物質対策課長 逆に、何時間ぐらいあればよろしいでしょうか。 ○福島座長 どうでしょうね。いただくと、今度は我々委員としても早急に返すことが 必要で、そしてまた作り直すことがありますので、ある面で言うと早く作ってもらいた いということになりますよね。 ○蒲生委員 メールベースなりで例えば一往復するとすれば。 ○福島座長 次回はいつですか。 ○化学物質対策課企画官 31日です。 ○蒲生委員 真ん中で一度いただけると、一度はメールで返して、それが次のときに。 ○化学物質対策課長 そういうようなご要望を踏まえまして、対応したいと思います。 ○唐沢委員 今度のテキストには行番号を入れてください。そのほうが非常に見やすい です。 ○福島座長 左端に。それは私も思っていました。お願いします。よろしいですか。大 幅に遅れまして申し訳ありません。皆様から活発なご意見をいただきましてありがとう ございました。議論をこれで終わりますが、事務局から何かご連絡はありますか。 ○化学物質対策課企画官 次回の開催日は、10月31日の17時から19時までです。場 所は、厚生労働省の5階の共用第7会議室です。本日の検討会の議事録についても、従 来と同じようにご確認いただいた上で、ホームページで公開したいと思っています。事 務局からは以上です。 ○福島座長 ありがとうございました。本日の検討会はこれで終わります。どうもあり がとうございました。 照会先                                     厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課                電話03-5253-1111(内線5510・5514)