08/09/25 第10回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第10回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日 時:平成20年9月25日(木) 10:00〜12:30 2.場 所:厚生労働省17階 専用第18会議室 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、尾上構成員、小川構成員、門屋構成員、 坂元構成員、品川構成員、田尾構成員、寺谷構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、 広田構成員、三上構成員、安田構成員、良田構成員、香山参考人、早川参考人、藤原参考人 厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、蒲原障害保健福祉部企画課長、藤井障害福祉課長、福島精神・障害 保健課長、塚本障害保健対策指導官、林課長補佐、野崎課長補佐、矢田貝課長補佐 国土交通省: 武井企画専門官(住宅局住宅総合整備課住宅環境整備室) 4.議 事 (1)地域生活への移行・地域生活の支援について ・入院中から退院・退所までの支援の充実について ・住まいの場の確保について ・地域生活を支える福祉サービス等の充実について (2)精神科救急・精神保健指定医について ・精神科救急医療体制について ・精神保健指定医の確保について  5.議事内容 ○ 樋口座長  おはようございます。  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第10回の検討会を開催させていただきたい と思います。  構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうござい ます。  まず、本日の構成員の出欠状況について、事務局からお願いいたします。 ○ 林課長補佐  まず、本日の構成員の出欠状況等について御報告いたします。本日は、佐藤構成員、末安構成 員、谷畑構成員、町野構成員及び山根構成員より御欠席との御連絡をいただいております。なお、 事前に座長に御報告させていただきまして、佐藤構成員の代理として日本総合病院精神医学会理 事の藤原参考人に、末安構成員の代理として社団法人日本精神科看護技術協会常務理事の早川参 考人に、山根構成員の代理として日本作業療法士協会常務理事、精神障害問題担当の香山参考人 に御出席いただいております。  また、本日は、住まいの場の確保についても議題となっておりますので、国土交通省住宅局住 宅総合整備課住宅環境整備室、武井利行企画専門官にも御出席いただいております。  本日の出欠状況等については以上でございます。 ○ 樋口座長  それでは、藤原参考人、早川参考人及び香山参考人の御出席については構成員の皆様の御了解 をよろしくお願いしたいと思います。  では、早速議事に入りたいと思いますが、本日のテーマは地域生活への移行・地域生活の支援 についてというものと、それから、精神科救急・精神保健指定医についてという2つでございま す。  本日の進め方でございますが、まず、資料1につきまして事務局より説明をしていただいた後 に質疑の時間を取りたいと思います。その後、資料2につきまして、すなわち精神科救急・保健 指定医についてということで事務局より説明をいただき、質疑の時間を設けさせていただきたい と思います。  なお、障害者自立支援法の3年後見直しの議論のスケジュールの関係上、本検討会において本 日の各議題を御議論いただく機会は、基本的には今回のみとなる予定でございますので、今日は 皆様の御意見をできるだけ多くいただきたいと思いますので、各構成員におかれましては、でき るだけ御意見を簡潔にまとめていただければとお願い申し上げます。  それでは早速、資料1「地域生活への移行・地域生活の支援について」ということで事務局か ら説明をお願いしたいと思います。 ○ 野崎課長補佐  それでは、資料1に基づきまして説明させていただきたいと思います。資料1につきましては、 昨日行われました社会保障審議会の障害者部会でも同様のテーマを扱ってございまして、それを 踏まえた資料の構成とさせていただいております。  それでは中身に入りたいと思いますが、資料1全体が地域生活への移行・地域生活の支援につ いてということで、2ページからが「入院中から退院・退所までの支援の充実について」という ことで、最初の柱として掲げさせていただいております。  3ページをごらんいただきますと、こちらが先日おまとめいただきました論点整理でございま すが、その論点整理から関係する部分として抜粋させていただいております。まず、(1)の相談 支援の文脈ですが、下線を引いてあるところですけれども、現在の精神障害者地域移行支援特別 対策事業が主に担っている病院や施設からの退院・退所時の支援に加え、民間住宅等への入居時 や地域生活における緊急時の支援の充実について検討すべきではないか。  また(4)といたしまして、入院中から退院・退所までの支援の充実についてということで、最 初の「○」が、いわゆる特別対策事業のような地域定着に必要な体制整備を行う機能の充実につ いて検討すべきではないか。  また、長期入院・入所者に対する支援といたしまして、試行的にグループホームや民間賃貸住 宅等での生活を体験できる仕組みについて検討すべきではないか。  3つ目といたしまして、病院における地域移行に向けた取り組みの推進といたしまして、退院 に向けた支援を含めた取り組みについて、その推進のための方策について更に検討すべきではな いかという論点整理とさせていただいているところでございます。  4ページ以降は、既存の事業あるいはデータの整理となりますので簡単に概観したいと思いま すが、平成20年度から行っている精神障害者地域移行支援特別対策事業の概要でございます。 これは以前にも検討会でお示ししておりますが、こういった機能いわゆる個別の支援と体制整備 を行う2つの機能について充実してはどうかということでございます。  5ページ目でございますが、こちらが居住サポート事業の実施状況ということで、地域生活支 援事業に位置付けられております居住サポート事業の実施状況ですが、左上が市町村における実 施状況で、いまだ平成20年4月1日現在で未実施が86%ということでございます。また、この 居住サポート事業は、入居時の支援あるいは入居した後の緊急時の支援等を行う事業でございま すが、実際にこの事業によって入居に結びついた件数を見ますと、平成18年度に118件であっ たものが、平成19年度には323件と、入居に結びついた件数は伸びてきているという状況にご ざいます。  6ページが居住サポート事業のイメージ図となってございますが、具体的な事業内容は右下で ございますけれども、いわゆる物件あっせん依頼等の入居支援あるいはその緊急時等の対応とい った24時間支援というものを事業内容としてございます。  7〜9ページが、今申し上げました居住サポート事業と国土交通省で行っております、あんし ん賃貸支援事業の連携についてまとめさせていただいたものでございます。具体的には9ページ をごらんいただければと思いますが、こちらがその連携のイメージ図となってございますけれど も、いわゆる国土交通省のあんしん賃貸支援事業の中では、家主等とあんしん賃貸支援事業協力 店、いわゆる仲介業者が連携をして、情報データベースに物件を登録していくと。それと居住サ ポート事業が連携して、円滑な入居につなげていくといったものとなってございます。  10ページをごらんいただきますと、いわゆる退院・退所時の支援ということで、実際に報酬上 どう評価されているかというものをまとめた資料でございます。1として掲げさせていただいて おりますのが、障害福祉サービス報酬における評価ということで、障害者支援施設からの退所時 に地域移行加算として500単位ということで加算を設けているということでございます。具体的 な要件は枠の中を見ていただければと思います。  また、一方で、診療報酬の方でどのような評価をしているかというのが、2で掲げております 精神科病院からの退院時ということでございますが、1つは平成20年の改定で設けました精神 科地域移行実施加算ということで、要件としては精神病棟において入院期間が5年を超える患者 数の直近1年間の退院実績に基づいて評価を行うというものでございます。  また、(2)として精神科退院指導料でございますが、イが新たに設けたものでございますけれど も、入院期間が1年を超える精神障害者について、実際に退院した場合にその実績について加算 を設けるというものでございます。  11ページにございますように、精神科退院前訪問指導料も最近要件の緩和をしておりますけれ ども、退院前に患者さんの自宅等に赴いて、実際の退院に必要な相談等を行った場合に指導料を 取れるというものでございます。  以上が、報酬上の評価に関する資料でございますが、12ページが障害者の所在として資料をつ けさせていただいております。「在宅」で家族と同居されておられる精神障害者の方が219万人 いらっしゃるということで、問題意識としては地域移行といった場合に、必ずしも退院・退所時、 入院あるいは入所されている方だけではなくて、家族と同居されている方についてどういった支 援を行うのかという問題意識のもとで、この資料をつけさせていただいております。  以上を踏まえまして、13〜14ページで課題と検討内容とさせていただいておりますが、課題 につきましては、最初に、地域移行を支えるコーディネート機能ということについて、現在行っ ている特別対策事業のような取り組みが全国的に展開されることが期待されると。  また、居住サポート事業につきましては、居住サポート事業の事業内容であるような入居支援 あるいは緊急時のサポートについて充実を図っていくことが必要であると。  3つ目といたしまして、宿泊等の体験ということで、論点整理に掲げさせていただいていると おり、現在は給付の対象外とされていて事業者等の任意の取り組みとして行われている状況であ り、これについてどのようにしていくかということでございます。  4つ目として、家族との同居からの地域移行ということで、仮に家族に何かあった場合でも、 地域での生活を継続していくために、家族との同居中から障害福祉サービスを利用したり、ある いはグループホーム等での生活に移行したりすることが必要、あるいはそのための支援が重要で はないかという課題を掲げさせていただいております。  14ページに具体的な検討内容でございますけれども、最初に、地域移行を支えるコーディネー ト機能として、退所・退院が可能である方の地域移行を支えるために、入院・入所中の段階から 退院・退所に向けた相談や計画的な支援についての調整、更には実際の支援を行う取り組みにつ いて、全国的に実施されるよう充実させていくことが必要ではないか。  2つ目といたしまして、緊急時のサポートの充実というところですが、地域において安心して 暮らしていただけるように、入居に関する支援や緊急時に対応できる24時間のサポート体制な どについて充実を図っていくというべきではないか。  3つ目といたしまして、退所・退院後には自立訓練事業で実際の生活訓練を受けることができ るわけですが、それに加えて地域移行を希望している方について、入院・入所中の段階から宿泊 等の地域生活の体験等ができるような仕組みが必要ではないか。  4つ目といたしまして、家族との同居からの地域移行といたしまして、施設や病院からの移行 だけでなく、できるだけ地域生活を継続していくという観点から、先ほど申しましたように家族 との同居中からサービスの利用を可能とし、あるいは地域移行をするような支援が重要であって、 ケアマネジメントを行う際にこうした取り組みを進めていくこととしてはどうかということで、 4つの検討課題を掲げさせていただいてございます。  以上が、入院中から退院・退所までの支援ということで、まとめさせていただいたものでござ います。  15ページ以降が、地域生活を支えるという意味で非常に重要な機能である住まいの場の確保に ついて、資料をまとめさせていただいておりますので御説明したいと思います。  16ページでございますが、論点整理でどのようなことをまとめていただいているかということ です。最初に、住まいの場の確保、最初の「○」が問題意識でございますが、自宅以外の居住の 場の確保のための方策を講ずることが必要となっていると。この具体的方策をどのようにしてい くかということでございます。  2つ目の「○」でございますが、そうした観点からグループホーム・ケアホームについて、そ の設置を推進するための具体的方策について検討を行うべきではないか。また、民間住宅の活用 を推進するための具体的方策や公的保証人制度の更なる普及のための方策について検討を行っ てはどうか。  また、最後の「○」でございますが、公営住宅に関するものですけれども、現在でも精神障害 者の単身入居やあるいはグループホームとして公営住宅を活用することも可能となっているが、 今後優先枠設定による入居促進であるとか、グループホームへの活用の促進など、精神障害者の 入居を促進するための取り組みについて、国土交通省とも連携しつつ更なる強化を図るべきでは ないかとさせていただいてございます。  17ページ以降が、現在の事業の概要、実績についてまとめさせていただいております。グルー プホーム、ケアホーム、福祉ホームといった3つの居住系サービスについて概要をまとめさせて いただいております。  18〜20ページにつきまして、グループホーム、ケアホーム、福祉ホーム事業それぞれにつき まして、事業概要を整理させていただいております。これついては省略をさせていただきたいと 思います。  21ページでございますが、居住系サービスにつきまして障害福祉サービスでどのような見込み 量が定められているか、また、その実績がどのようになっているかという推移をまとめたもので ございます。平成19年度を見ていただきますと、見込み量としては4.5万人分を掲げてござい ますが、実際の平成20年3月時点の速報値を見ますと、4万2,000人分強という状況となって おりまして、整備は着実に進んでいるとは思いますが、まだ目標には達していないという状況に ございます。  22ページが、平成20年6月時点の居住系サービスの実施状況ということで障害種別に見たも のでございます。精神障害者の部分を見ていただきますと、括弧内は、平成20年1月における サービス提供量との差ということでございまして、グループホームについては約5か月で470人 分増加し、あるいはケアホームについても416人分増加しているということで、ただ一方、福祉 ホーム事業からの移行も一定程度あるとは考えられますが、数としてはこのように伸びてきてい るという状況でございます。  また23ページでございますけれども、こちらはグループホーム・ケアホームの整備推進のた めにどのような助成制度を設けているかを整理させていただいたものでございます。  1番は、グループホーム・ケアホームについて、アパートや一般住宅等を借り上げて事業を実 施するに当たって、その初度経費(敷金・礼金)の助成を行うといった事業でございます。  また、2番が平成20年度から行われているものでございますが、グループホーム・ケアホー ム整備費の助成ということで、新設であるとか改修費の助成を行う事業でございます。  以上が、グループホーム・ケアホームの設置推進というものに関する資料でございます。  24ページ以降が公営住宅に関する資料でございますが、簡単に触れたいと思います。管理戸数 の推移は順調に右肩上がりで伸びてきておりますが、平成15〜18年では219万となっておりま して、近年では横ばいとなっている。  一方で、25ページが公営住宅の応募倍率の推移ですが、倍率はかなり伸びてきておりまして、 近年では10倍程度となっていると。  26ページが、公営住宅のグループホーム事業等への活用ということで、実際に平成8年の公営 住宅法の改正によって、社会福祉法人または医療法人等がグループホーム事業を実施する場合に、 公営住宅を活用することができることとされております。その活用実績は一番下でございますが、 平成18年度末現在で539戸となっております。  27ページが、グループホーム事業への活用実績の推移を見たものでございます。  28ページは、論点整理にも掲げさせていただいておりますけれども、家賃債務保証制度の概要 です。これは国土交通省所管の財団である高齢者住宅財団による家賃債務保証制度となってござ いまして、(1)の対象者を見ていただきますと、精神障害者については1〜2級の方が対象とな っていると。また、保証の対象としては未払い家賃あるいは原状回復費用等となっているという ことでございます。  以上が、現状の説明をまとめた資料でございますが、以上を踏まえまして、29ページ、30ペ ージで課題を整理させていただいてございます。  課題につきましては、今まで申し上げたようなことでございますが、簡単に申しますと、グル ープホーム等については整備促進という観点では利用者は伸びているけれども、目標はまだ下回 っていると。  2つ目のサービスの質の向上につきましては、グループホーム・ケアホームの人員体制やサー ビスの質について、夜間の体制を含めて充実を図るべきとの指摘がある。  また、3つ目の公営住宅の入居促進ということでは、障害者の地域移行の受け皿としてより積 極的な役割が期待される。また、公営住宅をグループホーム・ケアホームに活用するという意味 では、自治体ごとに取り組みに差異が見られる状況であり、下の括弧にあるように実績539戸の うち上位5都府県で387戸、72%を占めている状況にあると。  また、民間賃貸住宅の入居促進という観点では、あんしん賃貸支援事業制度を進めているもの の、現時点では全く普及が進んでいないということと、あるいは独り暮らしの障害者に対して民 間賃貸住宅を提供する際に、保証人がいないとか家賃不払いが心配などの声があるということで、 課題を整理させていただいております。  30ページが具体的な検討内容となりますけれども、若干重複する部分があるかもしれませんが、 グループホーム・ケアホームの整備促進という意味では、その整備について整備費の助成制度や 公営住宅の活用を図りながら、更に進めていくべきではないか。  また、グループホーム・ケアホームの質の向上という観点から、夜間支援体制を含めたサービ スに必要な人員体制の確保、支援内容の向上など、質の面でも充実を図っていくべきではないか。  3つ目といたしまして、公営住宅の入居促進を更に進めるため、1つは、国土交通省連携して 調査研究及び成果の普及をしてはどうか。あるいは民間アパート等の既存資源を公営住宅として 借り上げ、不足している住宅を確保してはどうか。  また、4つ目として、公営住宅のグループホーム・ケアホームとしての活用を促進するという 観点からは、国土交通省と連携した上で、現場における具体的な連携方策を示したマニュアルの 作成、あるいは公営住宅をグループホームとして利用するための改良工事費に対する助成の充実 が考えられるのではないかということでございます。  最後、民間賃貸住宅の入居促進ということでは、あんしん賃貸支援制度の普及あるいは公的家 賃債務保証制度の拡充・普及などが考えられるのではないかということで、以上が住まいの場の 確保に関する資料説明となります。  最後でございますが「地域生活を支える福祉サービス等の充実について」という柱でございま すけれども、32ページに論点整理の抜粋がございますが、継続的な生活支援を行うという観点か ら、訪問を通じた生活支援を行う機能について、現行の生活訓練の訪問型を含め、その充実を検 討すべきではないか。  また、いわゆるACTのようなものでございますが、精神症状が持続的に不安定な患者を含め、 地域生活を営む精神障害者に対する複合的なサービス提供の在り方について検討すべきではな いか。  最後の「○」でございますが、精神障害者本人による短期入所の利用の拡大を含め、精神障害 者が入院予防的に、または、一時的な休息をとるために利用するサービスの在り方について検討 すべきではないかということでございます。  33ページ以降が、現在の概要を整理させていただいておりますが、新しい訪問系サービスにつ いてということで、右側の自立支援給付という中で、特に居宅介護、行動援護の辺りが精神障害 者の方を念頭に置いたサービスとなっているということでございます。  34〜35ページについては、2つの事業について概要をつけさせていただいております。  36ページに利用者数の推移ということで、全体の推移をまとめさせていただいておりますが、 居宅介護については平成19年10月と比べて平成20年6月時点では104%、あるいは行動援護 については110%という状況になっているということでございます。  37ページが、居宅介護事業の利用者数の推移を障害種別に見たものでございますが、右側を見 ていただきますと、平成19年10月と比べて平成20年6月では精神障害者の方については112% まで利用者が伸びているという状況にございます。  以上が、自立支援法上訪問系サービスとして位置付けられているものでございますが、38ペー ジに自立訓練について概要をまとめさせていただいてございます。このうち下の生活訓練という 事業が精神障害者を対象としたものとなっているということでございます。  39ページが自立訓練(生活訓練)の事業の概要となっているということでございます。  40ページは、これら訪問系サービス、自立訓練以外で精神障害者の方が利用されるサービスと して、生活介護事業の概要を整理させていただいてございます。  41〜42ページでございますが、いわゆるショートステイ、短期入所事業について概要を整理 させていただいてございます。  42ページをごらんいただきますと、短期入所には大きく3つ種類がございまして、より入居系 のサービスに併設する、あるいは空床を利用する事業所、あるいはそういったものに併設しない 単独型の事業所という類型があるということでございます。  以上を踏まえまして、43ページに課題と検討内容を整理させていただいておりますが、まず、 課題を見ていただきますと、訪問系サービスにつきまして、訪問による生活支援を行う機能につ いて行動援護などのサービスも含めて、一層の活用を図っていくことが必要ではないかと。また、 重度の障害者についても、訪問系サービスやさまざまな支援を組み合わせて、地域での生活を支 えていくことが必要ではないか。  また、ショートステイについて申しますと、身近なところで利用できるようにするなど、充実 を図っていくことが必要ではないかという課題を踏まえまして、検討内容といたしましては訪問 系サービス等の在り方ですが、訪問による生活支援を行う機能について引き続きその充実を図っ ていくべきではないか。また、こうした訪問による生活支援を行う機能と訪問により医療を提供 する機能との連携を初めとして、精神症状が持続的に不安定な患者を含めて、地域生活を営む精 神障害者に対する複合的なサービス提供の在り方について更に検討すべきではないか。  最後、ショートステイの充実でございますが、同じく障害者が地域において安心して暮らすこ とができるよう、単独型のショートステイを含め更なる充実を図っていくべきではないかという ことで、検討内容をまとめさせていただきまして、論点整理で掲げられた項目について事務局と して資料を整理させていただいておりますので、これに基づいて御議論いただければと思います。  どうもありがとうございました。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。  それでは、ここで質疑の時間を設けさせていただきます。予定としては約1時間ぐらいはとれ ると思うんですが、ただいまの資料1について、3つに大きく分けて説明されておりますが、順 番は限りませんので、資料1全体について御質問・御意見がありましたらお願いしたいと思いま す。冒頭に申し上げましたように、本日はできるだけ多くの御意見をいただきたいということで、 それを念頭に置いて簡潔に御発言をお願いしたいと思います。 ○ 田尾構成員  時間の制限はあるようですが、少しお時間長くなるかもしれませんけれども、急いで申し上げ ます。  まず、3ページ目の論点整理と相談支援事業、4ページ目の特別対策ですけれども、これは繰 り返しになるかもしれないんですが、今はとても大切な事業ですが、将来的・長期的に新長期入 院の発生の可能性の予防を考えると、期限つきの事業ではなくて国の恒常的なシステムの中にと にかく入れていただきたいと。地域体制整備コーディネーターを入れ込む必要があると思ってい ます。それは相談支援事業の相談支援専門員だと思っているわけですが、今は特別対策で限定さ れていて、いつまで続くかもわからないということですけれども、恒常的で全国一斉にやれるよ うな制度に考えていただいていると思いますが、再度強調してお願いしておきます。入院中にこ そ外から迎えに行って、退院をコーディネートとする力が加わる。病院内部にもその力があるは ずですけれども、それが十分に機能できていなかったから、現状があるのだと思っています。是 非、この制度をこの機会に必ずつくっていただきたいと思っています。  それから、相談支援事業については13ページでも触れられていますけれども、何とか1人の 人に通して入院であろうが、在宅であろうが、グループホームに入居しようが経過を追ってケア マネがかかわっているという仕組みをこの機会につくっていただきたいと。入院でケアマネが切 れましたと、グループホームに入ったら切れますというのはおかしいです。そういうぶつ切れの 制度ではないものにしていただきたい。  同時に、居住サポート事業も、東京都から居住サポート事業はグループホームの利用者は利用 できないと言われました。これも同じように、サビ管がいるからという考え方なのですね。これ もおかしい。やはり入居前からケアマネージャーがかかわってグループホーム退去後も、要する に居住サポート事業でもケアマネがかかわっていくと。要するに、この事業もグループホーム入 居者が使えるようになっていくというような制度にしていただきたいと思います。  それから、7ページにあんしん賃貸支援事業がありますけれども、公営住宅がグループホーム に利用できることは大変いいことだと思います。これは是非推進していただきたい。ただ、居住 サポート事業がうまくいくかどうかというのは、かかわる人間がどこまで真剣に責任を持ってか かわっていくかというようなことだと思います。その姿勢が見えれば公営住宅は別にしても多く の不動産屋は特別な制度がなくても積極的に協力してくれるということを私たちは経験してい ます。ですから、これは事業者向けのメッセージになると思いますけれども、制度をうまく利用 する、しかし、頼り過ぎずに自分たちの姿勢・覚悟を明確に相手に伝えるということが必要だと 思っています。  ちょっとこのページの論点からずれますけれども、公的住まいとかグループホームについては 書かれているんですが、私たちが利用者を見ていて、住宅費の援助さえもらえれば生活保護を受 給せずに年金と働いたお金でやれるのにと思う人たちが随分います。でも、住宅費を含めるとど うしても生活保護を受給しないと生活できないという方たちがたくさんいますので、住宅を確保 するために物件を準備するというだけではなくて、費用面からも住宅費への援助ということを考 えていただければ、今の生活保護というのは収入を得るともらえるお金が減っていくという形に なります。そうではなくて、生活保護を受けずに住宅扶助だけもらえるような形になっていけば、 収入を得た分が自分たちのプラスになっていきますから、働く動機もつくようになると思うんで す。その辺の仕組みをもう少し考えていただけたらうれしいなと思います。  10ページの報酬上の評価について、精神科地域移行実施加算については大変よい方法だったと 思っています。私たちのかかわっている病院の多くが、この加算をとるあるいはとるべく努力し ています。より一層の影響を強めるということを確認し合っているところです。  一つ御検討いただきたいのは、5年以上の入院という、一度でも合併症で転院してしまうと入 院年数がゼロになってしまいます。長い入院の人たちには合併症の転院ということがよくありま すので、そのゼロというのは本質と違うと思います。その病院での通算入院年数が5年以上ぐら いの計算の仕方にしていただけると、入退院を繰り返す人も含めて対象に入れられるのではない かと考えます。  12ページの精神障害者の所在では、家族との同居が219万人もいるという現象、一つここで 議論されているのは統合失調症の人たちの障害がすごく多いですけれども、うつ病の障害も非常 に多く存在していて、その人たちのほとんどが在宅だということがあります。うつ病の問題も非 常に重要な問題だと思うんですが、この検討会ではそこまで言及できない状況にあるのが非常に 残念だと思います。  また、良田さんも非常に歯がゆい思いをしていらっしゃるのではないかと思いますが、統合失 調症でも家族がその人の人生のすべてをかけて介護に明け暮れているという状況がまだまだあ ります。この数字で言うと、単身が47万人でグループホームが5,000人ですけれども、私はい つも言っているのですが、20歳過ぎた障害者を退院だからといって自動的に家族のもとに返すの はおかしいと思います。13ページにも触れられていますが、もっと早い時期に自立を促すような 仕組みを考えるべきだと。家族が相談しやすい仕組み、それを受け止めやすい仕組み、これはや はり原則的には相談支援事業になるのではないかと思いますし、一方で家族会だとか、家族会の 組織としてのケアサポート機能をもっと強化できるような、もっと支援できるようなシステムを 国としても考えてもらえないかと。  14ページの検討内容についてはこのとおりだと思いますが、移行のための宿泊等の体験ですけ れども、当然、退院前提にグループホームの空き部屋を使って体験宿泊というのは私たちは行っ ていますが、加えて退院に備えて病院からサービス事業所への通所というのを行っています。そ こで仲間もできて、地域生活のイメージがついて退院への安心感につながっていくという現象が 明らかにあります。ですから、宿泊だけではなくて体験通所というのも前提に考えていただけな いかなと思います。  15ページからは住まいの確保についての資料ですけれども、論点整理にもありますように、家 族との同居と異なって、非常に長期になっている7万人の人たちは家族のところへは戻れない。 とすると、この資料を見る限り、国も何とか住居を提供して退院促進したい、地域移行したいと いうのが見えるんですが、これを実績にするためには何が必要かというときに、事業者への何ら かのインセンティブが大切なのではないかと考えます。  事業者の方では通所に比べると入所の支援の方が大変だというような印象がありますけれど も、ふだんからかかわっていれば、近目・遠目で見守りができればそれほど大きなことにならな い、あるいはなっても修復ができないことがないというのは経験上確信を持って言えることです。 お手元に黄色い分厚い冊子がありますが、一昨年プロジェクトの事業でつくった住居支援に関す る報告書なのでお配りしたんですが、この27ページに門屋さんが書いているところですけれど も「さまざまな出来事とその対応」というところで、入浴しないということで近所から苦情が来 たというY氏に対して、門屋さんは入浴するように指導したんじゃなくて、においが外に漏れな いようにドアを閉めるようにという指導をしているんですね。これが私たちの指導の仕方という か、地域での実践なんですね。その程度でやっていくこともできるのだということを理解してい ただいて、これはここの皆さん方というよりは、この会議を遠目に聞いていらっしゃる事業所の 方たちに申し上げたいと思っています。  門屋さんの帯広圏域では、17万人に対して200室の住居を支援しています。病床率を下げる ためには支援つき住居が必須なことは言うまでもありません。私たちは100室ほど提供していま すが、そんなに大変なことではないですね。だから、是非国もこれだけ一生懸命になってくれて いるのであれば、事業者が今立ち上がらなくてどうするかと。本人たちの生きる力とか我々の価 値を押しつけるのではなくて、リカバリーを信じるということがもう少し住まいの支援をしやす くなることになるのではないかと感じています。事業者よ、頑張ってくれというのがお願いです。  18ページのグループホームについてですけれども、住まいの供給は非常に大切なことですが、 21ページの平成23年度までの目標数字が以前は9万人だったと思うのです。これが下方修正さ れているのはどうしてなのでしょうか。やはり作りにくいという現状があるのだろうかと思いま す。現在、171点で6人の人が空きなく1年間入院して375万になります。この金額は以前の自 立支援法前に比べて増えていますけれども、以前は空きがあってもなくても一定金額の支払いが 認められていましたが、今は空きが出ると収入は下がります。375万人で常勤者の職員とサビ管 を雇うのは社会保険料なども考えると、非常に難しいという状況があります。まして、入院があ って空きが出ればなおさらです。入院させないために安定した人しか入れられないという現象が 起こっている。これは、グループホームの意味を考えると本末転倒です。病院のベッドと違って、 入院したから翌日からほかの人を入れるというわけにはいかないですね。半年間ぐらいその人が 戻ってくるために空けておかなければいけない。入院加算などもありますけれども、微々たるも ので焼け石に水だと。こういうことではなかなかグループホームをつくりにくいので、もう少し 考えていただきたいと。  30ページにグループホームの整備費の助成のことが書かれていますけれども、グループホーム を建てるときに都道府県によっては事前に住民同意を得るような指導があるところがあります。 私たちは何棟もグループホーム用にアパートを建ててもらっていますけれども、事前に話したこ とは一度もないです。事前説明は人の予期不安を高めます。住民とうまくやることは大切なこと ですけれども、それは事前同意をとることでは決してないと思います。そのような都道府県に対 しては、国から何らかの指導のようなものを出していただければと思っています。  最後ですけれども、43ページの自立訓練の訪問サービスですが、何らかの社会参加に結びつい ていない人を自宅に訪問して、それを促すサービスだと思っています。ホームヘルプなどの直接 サービスに比べて、高度な技術を必要とするサービスです。その人を迎えに行ってやる気を起こ させて外に引き出してこなければならない。これが十分に機能すると、精神の特徴である引きこ もりのような人たちに直接アクセスするサービスが持てるようになると思います。それに対して、 187点というのは余りにも点数が低いと思っています。  この自立支援法でほかのものの報酬は十分だと思うのですけれども、自立訓練の訪問型の報酬 とグループホームの報酬だけは、もう少し上げていただきたいと思っています。  長くなりまして済みません。ありがとうございます。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。  それでは、ほかの方どうぞ。 ○ 品川構成員  田尾構成員とほぼ同じ意見で、田尾さんにほとんどまとめて話していただいたんですけれども、 簡単に述べますと、本当に入院中から退院・退所から地域というところに、余りにも地域側の迎 え手が計画の中に言葉として入っていないんですよね。やはり退院した後に暮らすのは地域であ るので、地域のことをよくわかっている地域のケアマネさんに是非入院中からかかわっていただ いて、退院に向けての計画等に参加していただいて、なおかつ、それがずっとその方の地域での 生活を支える一貫して継続したようなサービスにつながるようなものをおつくりいただきたい なと思います。  それとグループホームなんですが、夜間支援というところに随分力を入れていただいているん ですけれども、実はグループホーム・ケアホームの利用者は日中活動を持っていても毎日利用さ れていない方、生活の場ですので風邪も引きますし、普通の発熱もいたします。そんなときは日 中活動に出かけないでグループホーム・ケアホームに朝からずっと横たわっています。でも、グ ループホームは夜間中心の支援だから、それを見過ごしていいかというと見過ごせません。世話 人が病院に連れていったり、昼食の準備を手伝ったり、用意したりというように、暮らしの場で すので昼間と夜間と分けられないいろいろなサービスが出てきているんですよね。その昼間のサ ービスを別に時間的に分けるとしたら、ホームヘルプの方に緊急に来てもらうとか、いろいろな サービスを使わないと暮らしの場では出かけるだけじゃなしに、自宅におられることもあるとい うことを御承知いただきたいと思います。  それから、居宅介護、ホームヘルプに関しましては、今、精神障害者のホームヘルプはほとん ど家事援助の支給しか出ていないんですよね。精神障害者のお風呂に入れない方を一緒にお風呂 に入れたりというような、身体的な障害がないのでなかなか認めにくい。でも、そこは精神疾患 特有のかかわり、難しさがあって、身体的なかかわり、メンタル的なかかわりを求められている 方がすごく多いんですね。ですけれども、そこを家事援助の単価で大変な思いをしてヘルパーさ んが入るというのは、なかなか引き受けてくださるヘルパーさん、事業所がないのが現状です。  表がありましたように、精神障害者のホームヘルプのニーズはすごく増えてきているんですけ れども、それを提供する事業者は本当にあるんでしょうか。看板は上げていますが、いろいろお 願いしたところ、うちでは無理ですとお断りになられる事業所が多いです。それは余り経験がな いということからも来ていますので、今後そういったホームヘルプに関しての障害者に特化する ような研修制度みたいなものも是非設けていただいたらいいと思います。何よりも居宅介護事業 に今ケアマネさんがついていないというところが、いろいろ困ったときに相談する先がないとい うのが現状です。  それと、生活訓練ですが、今の制度の中では通所型を先に行って、後から訪問型の生活訓練と いうのが個別支援計画の中に位置付けられて実施されるというのが認められているんですけれ ども、実際には通所できない方が多いんですよね。明日から来てくださいと言っても来られない。 お迎えに行かないとしようがない、お迎えに行っても出られない。訪問しますといろいろなもの が見えてきますので、まず、その暮らしの場に向いて通所できる、外出できるようなことを支援 する必要がありますので、その辺の順番的なものと、単価的もの、1,890単位ではすごくリスク が多いと思います。  以上です。 ○ 小川構成員  田尾構成員と品川構成員の意見に賛成なんですけれども、退院するときには保健師さんだとか、 あるいは生活保護の方だったら福祉のワーカーの方を呼んでケース会議を開いて地域でどうい うふうに暮らしていくのかということを、地域のキーパーソンも含めてケース会議を開いて退院 を進めていったわけですけれども、そういう取り組みをもう少し早めにしていく必要性というの はあると思うんです。私は前回、例えば3か月とか6か月とか目標を持って退院を支援していく ということを申し上げましたが、一般医療の入院医療ではクリニカルパスという取り組みもされ ているわけです。慢性期の方の症状が再燃したときは、なかなか症状が安定しないということも ありますけれども、初発の方であれば一晩寝ればよくなるとかそういう例も含めてあるわけです ね。それはそれぞれケースによって違って、この方がこのパスで合うかどうかというのは難しい んですけれども、退院の期間は柔軟にすることも含めて、目安として3か月なり、長くても半年 とかそういう取り組みをシステムとして考える。そのときに、地域の相談支援、ケアマネジメン トもきちんと入院当初から、症状が大変なときに入ってくるというのはなかなか難しいかもしれ ませんけれども、ある程度1週間経って落ち着いたころに御本人さんともちゃんお話をして、入 院当初から退院を目指していくんだという御本人の気持ちもきちんと、本当に入院している方と いうのは、いつ退院できるのかという不安があるわけですよね。そういう不安と精神症状とが絡 み合って、非常に精神的になかなか改善につながらない。そういう問題も実はあるわけです。本 当に退院したい、退院したい、いつ退院できるのかという焦りの気持ちをきちんと我々がかかわ って目標に向けて頑張りましょうねというメッセージも含めて一緒に取り組んでいくようなこ とを計画の中に入れていく。そのときに、入院当初、1週間とかそういうときにきちんとかかわ っていく、あるいは中間的に一月ぐらいにそういう会議を持ったりして、退院に確実に結びつけ ていくという取り組みが必要かなと思います。  長期入院は出さないんだという固い決意を持って考えていただきたいですし、例えば10ペー ジに精神科地域移行実施加算、一日につき5点というものもございますけれども、入院期間が5 年を超える患者、我々は5年と言うと当たり前みたいな感じもしますが、例えば、20歳のころに 発病して平均寿命が70歳だとすると、その方の人生の10分1入院しているわけですよね。場合 によってはもっと長い人もいらっしゃるわけです。そういうことを考えると、その人の人生の中 で5年というのは重いわけですね。我々は5年とか10年の方を見ているので、それが当たり前 だと思いますけれども、その方にとっての5年というのは非常に重い期間であると。やはり、そ れが5点なのかという問題もあるんですね。  あと、1年間5%以上ということですね。では、残りの95%の方はどうするんだと。そこは5% とかそういう話ではなくて、もうちょっと診療報酬上もきちんと手厚くする。そのためにはマン パワーも必要になるんですよね。現状のマンパワーでは診療報酬を上げてもなかなか結びつかな いと思いますけれども、やはりマンパワーも引き上げて、診療報酬も2倍にするぐらいの取り組 みが必要だと思います。そこはやはり5%だ、5点だという世界はやめにして、考えていくべき ではないかと思っております。  以上です。 ○ 長尾構成員  14ページの地域移行を支えるコーディネート機能というのは非常に大事だと思いますけれど も、やはりコーディネートするための居住の場であるとか、日中活動の場であるとか、サポート の場であるとか、サポートのシステムというものをきちんと整えないとコーディネートはできな い。だから、それをまずきちんと整えるというのがやはり先決であって、そういうものをやるこ とによって社会支援を整えるということをまずきちんとやるべきだというのはあると思います。  その中で、先ほどのグループホームについては、いろいろな整理のシステムというのがとられ ようとしているわけですけれども、まず初期の整備というものはいろいろな形の補助というのが ついているわけですけれども、先ほども出ていましたように、ランニングコスト、今の給付では グループホーム・ケアホームの単体では人件費が賄えない、そういう状況でこれをずっと継続し ていけるのか。そういうことがきちんとされなければ進むわけがないと。田尾構成員のところが どの程度やられているかわかりませんけれども、100人規模ということを言われていましたし、 恐らく日中活動の場といろいろ合わせながら成り立っているということがあると思いますし、も っと小規模なところはやはり単体ではやっていけないわけです。ですから、グループホームを返 上しようとしているところさえあるわけなので、そういうことではいけない。  もう一つ言えば、21ページの図は、グループホーム・ケアホームは共に精神・知的を合わせた 数ですよね。今は精神・知的という色づけはできないけれども、実際、精神の部分ではどれだけ 見込まれているのかということをお聞きしたいと思いますし、22ページでグループホームは精神 障害者が増えているということになっておりますが、実は平成18年に福祉ホームが地域生活支 援事業になりました。そのときに市町村によっては福祉ホームは自分のところの持ち出しが多く なるから、グループホームに移行しろという方向を随分出しているところがあります。日精協の 分だけを調べても、平成17年度が定員にして約1,000人弱。それが平成20年度では400人弱ぐ らいになっているんですね。ですから、福祉ホームからグループホームに移行している部分が結 構ある。そういう数をきちんと厚労省はつかんでおられるのか。それがグループホームがいかに も増えているようには見られるけれども、実質は本当に増えているのか、そういう疑問点が多々 あります。そういうことをやはりきちんと踏まえながらやらないと増えていかないのではないか と思います。  それから、27ページに公営住宅の障害者グループホーム事業活動実績がありますけれども、恐 らく平成17年までは精神・知的というものがあったと思うんですが、この内訳はどうなってい るのか。どの程度精神がこれで使われているのか、そういったことがわかればお示しいただきた い。  あと、ショートステイは以前にも述べたことがありますけれども、ショートステイはやはり精 神の場合には緊急的に必要な場合が結構あるわけです。入院をしないまでも、少しショートステ イを利用すればある程度、危機介入はできるという場合が結構あるわけですから、これを障害区 分認定がされる以前に緊急的に使われるようなシステムをきちんと確立していただきたい。  それとともに、その場というものは何らかのいろいろなサポートがあればいいわけなので、こ こに制度上いろいろありますけれども、例えば、地域生活支援事業の中の福祉ホームとか、ほか の部分でも何らかの空きがあってサポートできる体制があれば、そういったところでもショート ステイができるようなフレキシブルな部分もやはり必要ではないか。  それから、ホームヘルプについては先ほども出ていましたけれども、ホームヘルプも都市部は ある程度精神もやれるところが増えてきている。ただ、ちょっと郡部に行くと、ほとんど不可能 であるということが今でもなおかつ見られているわけで、それをもっと増やしていけるような施 策というものをきちんととっていかれるべきではないか。  それから、訪問、訪問看護ということも出ていると思いますけれども、今の自立支援法の自己 負担の分と、訪問看護は自立支援医療の部分が出てきますから、それにかかる負担と両方負担が あるわけです。その両方の負担と福祉部分と医療部分の負担を合算して軽減するような措置をき ちんととっていただきたい、そういうことを是非ともお願いしたいと思います。  以上です。 ○ 尾上構成員  田尾構成員と品川構成員のお話しするグループホームの実情は是非受け止めていただきたい。 今回やはり生活を支えていくというところでは、先ほどのショートステイに関して、各都道府県 によっては、この中で障害支援施設、その他厚生労働省令という形で書いてありますが、基本的 にはここを見る限り、グループホームの空床利用も可能であると解釈しますが、各都道府県によ っては空床利用も認めていないようなところもありまして、結局実施すると言ったとき実施でき ないという状況もあるので、その辺の行き届きということを実際の状況について、実態としてど うなのかという数値を出してほしいなと考えます。  もう一つ、行動援護に関しては、現状でいうと知的障害の方で、かなり動きがある方が対象と されていますが、実際、動きのないところに関してもきちんと支援できるようにしてほしいなと 思います。  あと、もう一つ事務局にお願いなんですけれども、先ほど長尾構成員からも出ていたんですが、 実際の公営住宅のグループホームの活用という部分に関して、実際精神のところがどのくらいあ るのかということもあるんですが、ここを見ると上位都道府県が幾つという形で書いてあるとい うことは、かなり都道府県によってばらつきがあるんじゃないかということで、都道府県ごとに 数値を出していただきたいなと思います。  もう一つ、公営住宅の精神障害者の方の単身入居ということが書かれておるんですが、この辺 も実際としてどのくらいなのかという数字的なものも示していただきたいなと思います。その辺 り、事務局でできれば整理して出していただきたいなと思います。  もう一つ、先ほど福祉ホームというところが実際、移行がどういう形にいっているのかという ところがあります。その辺が数値として全精社協としても本当は出さなければいけない部分では あるんですけれども、福祉ホームが地域生活支援事業の中に位置付けられたことによって、旧体 系の福祉ホームが実際に福祉ホームとグループホームに移行していると思いますが、地域生活支 援事業における福祉ホームの数値について実際どのくらいあるのかというところも、議論の中の 数値としてお示しいただきたいなと思っております。  以上です。 ○ 長野構成員  賛同する部分が多い発言の中で、更に長期入院を絶対につくり出さないという視点からいくと、 今、入院を短期にしてできるだけ早くお返しをするというところは随分施策化されてきたと思う んですが、その前だと思うんです。とにかく入院を回避するということが何よりも大切なことだ と確信しておりまして、その中でアウトリーチサービス、できるだけ病院から離れた生活の場所 で早く症状の増悪を察知して、医療的介入も含めて早くそこでお守りをする。更に、その水際で 先ほどショートステイの話が出ましたが、ショートステイを使いながら緊急の介入を行って、と にかく入院をしていただかないということが大事だろうと思います。しかし、医療も含めアウト リーチサービスの事業者が足りないというところが本当に切実だろうと思うんですね。  今、補助金体系が個別給付になった関係で、例えば、訪問一件の報酬の問題もありますけれど も、事業者にとっては、ある程度の件数を確保できるまで赤字を抱えなければいけないという問 題があると思うんです。要するに、訪問、アウトリーチサービスも1人の方を十分お支えして、 それを見てこれなら使ってみようかという方が増えていく。だから、始めたところがある程度経 営が成り立っていくまで1年、2年という年数がかかる。その立ち上げのときに、ある一定の基 準を設けて、ある程度の補助があったりすると、事業者も立ち上げやすくなるのではないかと。 初めから1人30件、50件持てるということはあり得ませんので、実績を重ねて初めて件数が増 えていく、この立ち上げのところの補助が要るんじゃないかと思っております。  あと、ショートステイですけれども、これも例えば、小さな町だと年間数件必要かどうかとい うことになります。そこではショートステイ事業はやれないんですね。件数がないと人を雇えな いということになります。そうすると、入院を短期間で使えばいいやという発想になります。私 もずっとそう思っていたんですけれども、今のは、地域の中で支えできるだけ入院は避けるべき だと思っております。そういう事を実践しようとすると、一番大切なのはショートステイは場所 ではないんですね。別に泊まるところがあればそれで危機介入ができるわけではなくて、人がそ こにいらっしゃって初めてケアができて緊急介入ができます。そのためには、例えば、ショート ステイ事業に関して1人分の人件費がしっかり保証されて、そこでショートステイ事業をやると。 件数が増えるにしたがって人を増やせるという仕組みであるとかが必要だと思います。これから とても大事なサービスなのでそういうものが要るのだろうと思うんです。そうしないと、やはり ショートステイで誰かがケアをするときに、経験もない非常勤の方が短期でおるからといってサ ービスができるものではなくて、地域を知って、人を知って、その人をよく知った人がいて初め て危機回避ができますので、お一人分そういうようなことができると非常にショートステイの有 効利用が進むんじゃないかと思います。  あと、5ページで居住サポートの市町村の実施率が非常に低い。ここはやはりとても大事な問 題だと思うんですけれども、これが実施されているところはとても熱心な事業所さんがあって、 市町村にずっと働きかけたりとか、市町村がとても高い意識を持っているということになると思 うんですが、やはり市町村に対するインセンティブをかなり考えないと広がらないと思います。 人のこと、予算のことを含めてとても大事な事業なので、市町村に対するインセンティブという ことが検討されるといいと思っております。  以上です。 ○ 伊澤構成員  前の方の発言とかなりかぶりますけれども、御容赦ください。  相談支援については再三お話が出ておりますけれども、移行支援事業の人のつながりとトータ ルのマネジメントというものは、やはりとても重要だと思っています。継続的な支援をいかに確 保していくかというところは非常に大きな決め手を握っていると思いますので、そこはやはり強 調したいと思います。入院中からあるいは入所中から地域生活支援を想定したマネジメントの活 動により、円滑な地域移行と定着支援の実現を図っていくというところを明確に確認していきた いと思っております。時間や場面で人がぶつ切りの状態では、やはり支援の継続というのは保て ないと思います。  それから、ショートステイのお話が出ておりますけれども、現行の制度では認定区分の非該当 者についてはショートステイは活用できないという制度上の仕組みがございます。これは精神の 方は非該当者が実に多いという事実とともに、そういう非該当の方で福祉サービスの個別給付事 業を使っていないけれども、地域生活支援事業の地域活動支援センターの交流室などに足しげく 足を運んで気分調整をしたり、日常生活の維持を何とか確保しているという方々も大勢いらっし ゃるわけです。そういう方々の中で、不穏時あるいは揺らぎがあった場合にショートステイは非 常に有効なので、現行のいわゆる認定区分1以上という辺りは、やはり大きく見直していただき たいという感じがしております。  それから、生活訓練事業についても訪問型の話が出ております。やはり地域移行を進めていく 上で必要度は非常に高いと思います。先ほどお話もありましたが、単価が非常に低率で体制整備 が難しく取り組みにくいということはごもっともな話で、この辺の見直しを大きく図っていただ きたいと思います。  グループホーム・ケアホームに関しましては、ケアホームに関しては制度替えで出てきたメニ ューですけれども、非常に長い歴史を持っているグループホームですけれども、やはり単価設定 が171ポイントというのは非常に低いので、この辺の見直しの必要性はすごくあると思います。  それから、こういったホームの増設の戦略立てとして前にもお話ししたと思うんですが、一つ アイデアとして、グループホームを長らく運営していく、そこで地域定着を果たした方々が、そ こを地域の生活圏域としながら、ホームはホームで別に引っ越しをして新しい場所で新しいホー ムを立ち上げていく。前に住んでいた方々はそこに残りながら、一般の住民になりながらという、 いわゆるモバイル型のグループホームと言いましょうか、そういう取り組みもあっていいと思い ます。  公営住宅での取り組みも先ほどから話がありますけれども、自治体によって設置数について大 きなばらつきがあると見てとれます。何度か前の会議にもたしか資料が出ていたと思いますが、 そこで断トツに設置数が多いのが大阪でした。関係者に聞いてみると、住民に対する説明会を事 前に要しないというところが、いわゆる事業認定を進めていくときに一つの仕組みとしてあるよ うです。事前に住民に対する説明をすると、いわゆる事業施設コンフリクトというのがたちまち 起きてデッドロックでなくなってしまうという例が多い中で、大阪は事業コンフリクトは大きな 人権侵害であるというとらえ方の中で宣言を出して、グループホームの設置促進だけではありま せんけれども、特にホームの設置に関しては住民説明会を勿論全くやらないわけではないんです が、事前のものは必要としないと。それを設置の要件にしないというようなことを掲げていたり します。この辺りは大きな参考にすべきことなのではないかと思っております。  住まいの新たな確保といいましょうか、展開に関しては、先ほど尾上さんもお話しされていま したけれども、公営住宅の入居促進というところに着目したいと思います。優先入居枠というの がまだ精神の方にはしっかりとあてがわれていないという事実、この辺は早めに確保していただ きたいと思います。  居住サポート事業の拡大とあんしん賃貸支援事業の合体をさせながらの促進ということでお 話がありましたけれども、その際に私は肝だと思っているのは、いわゆる協力点、仲介議の確保 というところをどう進めていくかというところだと思っているんですね。その際に先行している あんしん賃貸支援の実際というところで、今の時点で武井さんの方から少しコメントいただける とありがたいなと思います。  あと、数回前にこれも新たな居住地の確保という辺りで話が出たと思いますけれども、いわゆ るトライアル入居という試み、例えば、法人が新たな物件を借りる、そこに退院を準備されてい る方が泊まりにくる。案配がよければ、その後その人の部屋として個人契約に切り替えていくと いうような仕組みで、いわゆる住むという実態を先行的に取り組んでいくようなことが仕組みと してできてくるとよろしいなと思っております。  最後に、ペラで皆さんの机上に置かせていただいたんですが、障害者福祉サービス事業所の防 火対策強化に関する意見書ということなんですが、9月22日に厚労省に提出させていただきま した。これは数回前に、本日は御欠席ですけれども谷畑構成員からもお話があった、グループホ ーム・ケアホームに対して火災が相次いだという事態がある中で、防火対策強化の動きがじわじ わ進捗していると。来年4月からは新基準によって対応されるということ。具体的な中身として は300平米というのが一つの基準なんです。それ以下、以上で防火設備の整備をきちんと進めて いかなければいけない。300平米以上ですと、自動火災通報設備などは必置義務になっていくと いうことなんですね。この辺りは、事業ごとにそういった防火対策を組み込んでいけばいいでは ないかという話なんですが、読んでいただければわかるんですけれども、複合的用途というふう に認定されてしまって、例えば、建物の一部を使ってケアホーム、グループホームをやっている、 だけれども、防火対象物は建物全体ですよというとらえなんです。ですから、先ほど申し上げた 300平米以上というのは建物全体が300平米を超えていれば、当然全戸に対してあるいは全テナ ントに対して防火対策を施していかなければならないということです。そんな面倒くさいことは うちはできないよというオーナーさんが出てこないとも限らないし、それから、一般住戸に、つ まりグループホーム・ケアホーム以外の部屋にお住まいの方がこれをどう見るかというところも あるし、では、そういう諸設備を入れていくための費用は誰が負担するのか、オーナーさんなの か事業者なのかという問題もあるし、設備を入れれば当然初期投資もかかりますけれども、半年 に一遍の法定整備の点検が必要ですから、そのランニングコストはどうするのという話も含めて、 非常に大きな問題になってきていると思っています。  もう一つ付け加えておきますと、これがケアホーム・グループホームだけに特化されたような 形で体制が進んでいるように思われがちなんですが、よくよく資料を見てみると諸事業が全部こ の対象になると思うんです。就労移行支援事業も継続の事業もそれぞれが、地域活動支援センタ ーも含めて対象になると。そうすると、特に都市部ではテナント方式で日中活動ができる事業な どが多く営まれていたりもしますので、総じて非常に大きな問題ではなないかと思っております。 この辺りは厚生労働省と総務省の消防庁の方では、これをどう扱っていくのかということで協議 を重ねていくということを聞き及んでおりますので、その辺の現状の協議状況と今後の方向性に ついて少しお話しいただければなと思っています。  以上です。 ○ 野崎課長補佐  公営住宅の関係等いろいろデータのお求めがありましたので、少しここでまとめて御回答させ ていただければと思います。 ○ 武井企画専門官(国土交通省)  先ほど27ページのところで、知的障害と精神障害でグループホームはどういう内訳になって いるんだというお話がございました。まず、平成16年度で言いますと、知的障害が336戸、精 神障害が60戸。平成17年度で言いますと、知的障害が389戸、精神障害が65戸。平成18年 度で言いますと、知的障害が461戸、精神障害が78戸という内訳になってございます。  幾つかお話の中でございましたように、やはりグループホームにつきましては地域性が非常に 多うございまして、先ほど御指摘がございましたように大阪府が断トツでございます。認知症の 高齢者も含めまして全部で300戸ほど大阪府の中で供給されていると。その他多いところが大体 20戸台程度で東京、長野、愛知、長崎辺りが多いという状況になってございます。 ○ 野崎課長補佐  福祉ホームの移行状況についてもお答えいたします。 ○ 矢田貝課長補佐  障害福祉課でございます。  福祉ホームからのグループホーム・ケアホームへの移行状況ということで、何人かの委員から 御質問がございました。これについて都道府県に照会をかけて、今はまだ精査中でございますの で確定の数字ではないという前提でお答えいたしますけれども、都道府県に今年4月1日現在で 福祉ホームがどの程度グループホーム・ケアホームに移行しているかとお尋ねいたしましたとこ ろ、精神障害者の福祉ホームのうち約70施設がグループホーム・ケアホームに移行していると いう数字でございました。これはどのくらいの割合かということで申しますと、平成18年9月 末現在の精神障害者福祉ホームA型について106ございましたので、そのうちの大体6割程度が グループホーム・ケアホームに移行していると。3分の1、4割ぐらいが福祉ホームとして残っ ているという数字が、一応速報という形でございます。また、ここについて数字が固まりました ら、またお示ししたいなと思います。  また、関連で2つ、御意見にわたるところは今後の議論に向けて受けとめて、私どもで議論し ていったり、もしくは報酬の改定の中で参考にさせていただいたりということになるかと思いま すが、数字的なもので先ほど9万人と8万人の御指摘、もしくは8万人の内訳がございました。 手元に正確なデータはないんですけれども、たしか9万人というのは当時の伸び率で単純に9万 人と決めていったものがあると思うんですが、この8万人という数字は都道府県ごとにきちんと より具体的に計画を立てていただいて、それを積み上げて平成23年度までに8万人分利用でき るようにということで、単なる伸び率ということだけではなくて、具体的な都道府県の積み上げ ということで定めている数字ということで、現時点では8万人というものを目指して着実に施設 整備費、公営住宅なりを活用して進めていくという方向なのかなと思っています。  この障害別の積み上げというものは数字としてはございませんけれども、利用の内訳について は次のページのようになっているという状況でございます。  最後に、消防庁の関係で簡単に今の状況を御説明させていただきますと、そもそも来年4月か ら消防法が厳しくなるというきっかけになったものは、この前の神奈川の綾瀬のグループホーム の事件ではなくて、それよりもかなり前の長崎で起きた認知症のグループホームの火災事故がご ざいまして、それ以降、福祉施設についての防火体制強化ということが政府内で議論されて、平 成21年4月から3年間以内に福祉施設についての防火体制の強化ということが決まったわけで ございます。具体的には簡単に申しますと、ケアホームなどで障害程度4以上の方が8割を超え るような施設については、自動火災報知設備をつけたり、275平米を超えるものはスプリンクラ ーをつけたりというものがあったり、それ以外のグループホーム、あと言及がございましたが、 障害福祉を行う施設についても300平米を超えるものは自動火災通報装置をつけていかなければ いけないということが決まっております。厚生労働省としてはそれに対応できるように、例えば、 施設整備の備品の整備の中でそうしたものを優先的に採択していくとか、そういうことで各自治 体を通じて新たな消防法の改正に適合していただくようお願いしているという状況でございま す。  御指摘のとおり、建物の一部にグループホーム・ケアホームがあった場合の取扱いというもの も、その際の政令の中で具体的に決まっておりまして、複合用途防火対象物という取扱いになる と。ただ、それについては、ケアホームが入っている場合は建物全体が複合用途防火対象となる と、グループホームであればそれが全体の1割以上かつ300平米以上の場合に、全体が複合用途 防火対象物になるという規制がかかるわけでございますが、複合用途防火対象物になった場合の 規制というのは、例えば全戸にスプリンクラーをつけなさいとか、ケアホーム並みのことを全戸 にしなさいということではなくて、複合用途防火対象物としての規制、例えば本来、自動火災報 知設備は本当は共同住宅、マンションなどであれば500平米以上だったものが300平米以上のと ころについてつけなさいとか、スプリンクラーであれば本来11階以上のマンションであれば11 階以上につけなさいというのが、例えば、ケアホームがその中にあるところは11階以上の建物 全体についてスプリンクラーをつけなければいけないというような規制になるということでご ざいます。  また、それ以外の例えば300平米未満のグループホームである場合には、本来のマンション、 共同住宅として11階以上にスプリンクラーをつけるとか、そういう規制がかかるということで、 段階的な規制になっているということでございます。これについては、消防庁さんとも協議しな がら現場でしっかりと準備していくということで、今協議を進めているところでございますし、 また消防庁の方で小規模施設に対応した防火対策に関する検討会を開催しておりまして、その中 に私どもがオブザーバーで参加したり、例えば、障害者のグループホーム学会の方に委員として 入っていただいて、そうしたグループホームを含めて施設の防火対策について公の場での検討を 行うということで検討も進めているというのが今の状況でございます。  以上でございます。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。 ○ 上ノ山構成員  地域移行特別対策事業に関してですが、これは17億円ついていますけれども、何年ぐらい先 までこれを続けていかれるつもりなのか、是非教えてほしいと思います。  例えば、自立支援員の人件費などが想定されていると思うんですけれども、この方を雇って事 業を行った場合、あと何年か後にこの事業を止めますといったときに、この人はどうなるのかと いうことを教えてほしいと思います。これまで何度も事業を立ち上げてははしごを下ろされると いうことを繰り返しておりますので、やるのはいいのですが見通しをちゃんと教えてほしいと思 います。それが第1点目の疑問点です。  第2点目は、地域体制整備コーディネーターというのが位置付けられていますが、これは従来 は都道府県の相談支援体制の整備事業として各地でやられていると思いますが、その事業とどの ように違うのか、あるいは重なるのか、あるいは都道府県の相談支援事業の中に含まれるものな のか、そのことについて教えていただけたらと思います。もし、これを都道府県事業とは別個に 地域体制整備コーディネーターというものをつくっておられる県があるとしたら、その県を教え ていただきたいと思います。  第3点は、この自立支援員に対する位置付けが、この文章の中でもあいまいでして、例えば、 13ページや14ページには地域移行推進員が地域移行を支えるコーディネーター機能を持つとい う書き方をしていると思います。地域移行推進員は直接サービスを行う人ですので、コーディネ ーター機能まで課せられるとかなりしんどいと思います。せっかく2つコーディネーターと自立 支援員と分けているのに、ここでは混同して記載されていると。恐らくこの事業の設定において 少しこの辺の役割分担があいまいになっているのではないかという気がするんです。そういうこ とも含めて、もしよかったら平成19年度のこの事業の実績を報告してほしいと思います。  これは退院促進事業のことですけれども、退院促進事業がこういう形で予算がついて進んでい くということは非常にいいことなんですが、各地でとにかく地域移行だということでアリバイ的 に形だけで進んでいくということを非常に危惧します。そうではなくて、実質的なものになるよ うにお願いしたいと。例えば、コーディネーターがやはり本来の機能を果たそうと思えばケアマ ネジメント能力をきちんと持たないといけないわけで、それに対するトレーニングはどうなって いるのか、そういうことを非常に心配するところです。今までの事業とかぶせて続けているとし たら、ほかの事業を持ちながらこれを片手間にやるということになってしまうと、動きが非常に 鈍くなるというおそれがあります。今までは一応質問で、あとは意見を言います。  これまでも言ったことですけれども、退院促進事業はこれだけ単体でやっていても意味がない ということです。ですから、これを精神保健福祉施策全体の中に位置付けなければならないと思 います。特に、今日は後半で話をされるであろう救急医療の問題とか危機介入の問題、早期支援 の問題とか、そういう問題全体の中で是非議論してほしいと。そして、前も言いましたけれども、 退院促進事業をするのであれば公的医療機関の退院促進をまずすべきであると。そのことに関す る言及を是非してほしいと。そこで、ベッドを確保するとともに、そこのスタッフが地域に出て アウトリーチを行うようなシステムをきちんと想定していただきたいと。そういう全体的な見取 り図がもしあれば私としてはありがたいと思います。そして、それを書くとしたら、自立支援法 ではなくてかねがね言っていますように、精神保健福祉法でどのように書くかということになる かと思うんです。ですから、精神保健福祉法でこういう地域移行にしても、早期発見、早期治療、 早期支援、危機介入等含めてそれを書き込んでいくかということです。今は自立支援法の改定の スケジュールに合わせて議論が進んでいますけれども、精神保健福祉法の改定のスケジュールに 関して教えていただけたらと思います。  以上です。 ○ 樋口座長  では、この段階でお答えされることがあったら。 ○ 野崎課長補佐  御質問のありました地域移行支援特別対策事業ですが、簡単に申し上げますけれども、従来、 地域生活支援事業の中に都道府県事業として位置付けられていたものを予算事業として抜き出 して新たに予算要求をしているということですので、そこの重複はないと考えております。要は、 新たに補助金立てをしてやっておりますので、都道府県で退院促進や地域移行支援をやっていた だく事業はこの特別対策事業であると、平成20年度からそういう形になっております。  地域体制整備コーディネーターと地域移行推進員の役割分担ですが、4ページの図でお示しし たとおりでございまして、やはり個別支援を行う地域移行推進員の方と、それに必要な体制整備 を行うコーディネーターということで位置付けをしております。予算の積算上はそのようにさせ ていただいております。  事業が形骸化すべきではないというのはそのとおりでございまして、そういうことがないよう に、例えば、この事業の立ち上げに当たりまして、厚生労働省としても全国のブロックを回りま して、この事業の具体化のための研修会であるとか、あるいは担当の課長さんにこの事業のため に来ていただいて、何とか事業の推進をということでお願いしているところでございます。特別 対策事業については、そういうところです。  予算がいつまで続くかということについては、具体的な年限等は勿論予算上定めておりません が、きちんとこの事業が円滑に行われるように平成21年度も予算要求しておりますし、引き続 き取り組みに努めていきたいと考えております。  また、この事業の全体の位置付けという御指摘がございましたけれども、それは本当に精神保 健医療福祉をどうつくっていくかという議論をまさに今やっていただいているところですので、 その中でこの事業がということではなくて、精神保健医療福祉施策の全体像というものを御議論 いただければと考えております。  簡単ですが以上です。 ○ 上ノ山構成員  精神保健福祉法の改正のスケジュールを教えてください。 ○ 野崎課長補佐  障害者自立支援法の見直しが来年予定されておりまして、その中で例えば今後の御議論の結果 として、例えば、精神保健福祉法についてもこういう規定を設けるべきだという御議論があれば、 自立支援法の改正の趣旨と合うものであれば、そちらの中で改正をするということも考えられる と思います。そういうスケジュールで考えております。 ○ 樋口座長  それでは、時間の関係もありまして、あとお二方、大塚構成員と広田構成員ということでここ は締めさせていただきます。 ○ 大塚構成員  田尾構成員、品川構成員、長野構成員の意見を支持しますので、なるべく重複は避けたいと思 いますが、今もお話が出ましたように、地域移行特別対策事業は位置付けが変わって本格的にと いうことにはなったものの、実際に現場で見ていますと、また切り替えとか混乱という状況には あると思います。体制整備コーディネーターも相談支援事業の中の相談支援専門員を中心に、 徐々に配置されてはきていますが、どんな人がどんなことをやっていくのかという辺りは今まさ に展開の最中だと思っています。  そんな中で、14ページの地域移行を支えるコーディネート機能というところがまさにここだと 思うわけですが、これを読んでいると、本来は医療機関の業務だろうなと田尾構成員もおっしゃ ったことと同様のことを感じているわけで、これをあえて自立支援法の中で出して対策を打たな ければならないということを若干ふがいなく思いながら、それでもやはり今喫緊の課題であり、 これを何とかしなければいけないと、こういう位置付けになったのだという認識しております。 そういうことを考えますと、今、予算の年限の期限もなかなか見通しがわからないというお話が ございましたが、やはりきちんと対策を打っていくためには、地域移行特別対策事業をできまし たら地域移行に関する個別給付化にできないものだろうかと思うところです。  併せて、居住サポート事業に関しても同じことを考えているわけですが、地域移行につきまし ても居住サポート事業につきましても、メーンになっているのはやはり相談支援なんですね。入 居支援のところも棒グラフが高かったですが、やはり24時間の支援とか見守り、今後の地域環 境づくりとか、住まう環境づくりといったところの支援体制にとても大きく割かれていまして、 やはり相談支援ということが中心にあると思っています。そう考えますと、相談支援事業と絡め ながら、この辺りは個別給付化に持っていけないものだろうかと考えます。そのことが今、市町 村の居住サポート事業の実施率の低さを解消することにつながるのではないかとも考え、制度設 計の変更になるかと思いますが、検討に値するものではないかと思う次第です。  併せて、体制整備コーディネーターが全国の圏域にどの程度配置されていく状況が整うかとい うこととも絡むわけですが、地域移行が進んでいきますと、支援が非常に困難な方々が残ってく るわけですが、その中に特徴的に上がってくるのが、やはり生活保護を受けていらっしゃる広域 の移行の支援をしなければいけない方、広域調整を伴う移行支援をしなければならない方とか、 合併症とか介護保険とかその他たくさんの制度をうまく駆使しながら移行支援をしなければな らない方々になると思います。地域体制整備コーディネーターは今、圏域ごとに配置・設置の方 向性で進んでおりますけれども、今回、生活保護部局の方はお見えではないと思うんですが、あ ちらが大変苦労をなさっているかと思いますが、広域調整をなさるような、例えば都道府県ぐら いの広域で配置ができるような方がいたらいいかなと思うところがあります。これは併せて、来 年度の概算要求で3.1億円ついております医療観察法の対象者についての支援のところも中身が いま一つつかめておりませんが、やはり手厚いケアとか広域に調整が必要な方々についてもそう いうところで対応ができないかなと思う次第で、もし検討していただけたらありがたいと思いま す。  それから、居住サポートで先ほど住宅扶助の話が出たんですが、公営住宅等々を活用しながら 物件確保を進めていったとしましても、やはり精神障害者の所得の保障の状態から言って、家賃 の支払いが困難だということが都市部では特にこの間あります。その中で、実際によく私は比較 をするのですが、身体障害の方々がアパート等々をお借りするときに、家賃の補助が例えば特別 承認額までいただけるということがあります。それはどういうことかというと、銭湯等になかな か行きづらいとか、いろいろなバリアフリーの問題があって、そこに特性を加味して配慮される ということがあるんですが、精神障害者の場合は目に見えないんですが、やはり幻聴とか妄想と かを持ちながら難しい、違った意味でのバリアをお持ちの方もいらっしゃるんですね。そういう ところを少し検討していただくということとか、逆に言えば、障害を持っている方々の住宅扶助 というようなことを検討していただくというようなことがあってもいいのではないかと思った りします。  それから、品川さんもおっしゃいましたが、ホームヘルプの居宅介護のところでも、実際に具 体的な家事援助ではないけれども、見守りとか、少し寄り添いといったようなことが必要でも、 今のところでは認めがたいとなっています。グループホームを利用する方々にも日中活動してい ないと利用が難しいとありますが、実際には日中活動をお休みになってしまう方もいたりとか、 入居した直後はなかなか、すぐ日中活動に通えないとか、そういうこともあるわけで、その辺の 特性を踏まえた要件の有り様を見直していただけると、単価の問題も併せてですが、ありがたい なと思っています。  そういう意味で言いますと、やはり精神障害の方々のケアを考えるときに、先ほどの長野さん の発想はすばらしいなと思ったんですが、ショートステイという箱も大事だけれども、結局人で 支えるところがあれば箱がなくてもできることがあるじゃないかというお話だったと思うんで すが、精神障害の方々のケアの場合、特に人にお金をつけるという発想を是非お持ちいただけな いかと強く思います。サービス管理責任者がいらっしゃるところは、例えばケアマネの体制が取 れないとかそういうところも併せて、トータルな入院前からとか地域生活中から、また再入院す るときとか、いろいろなものを活用するときに、トータルにその人の生活をケアマネジメントし ていく方と、その場所、場所でその中で使うサービスの有り様を管理していくマネジメント等を 分けながら、ダブルにそういう設定をしていくということも併せて検討していただければいいな と思います。  最後に、28ページの家賃債務保証のところにつきましては、是非、精神障害者の方々の内訳を 教えていただければありがたいなと思います。  以上です。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。今の段階では、さっきのところで資料をそろえてみたいなことにな りますか。 ○ 野崎課長補佐  最後に御指摘のあった点ですか。では、後ほど。 ○ 樋口座長  それでは、広田構成員、どうぞ。 ○ 広田構成員  田尾さんは個人的に尊敬しているんですけれど、2点ありまして、1点は、生活保護は働いて お金が入ると引かれてしまうと。これを一般国民が聞いたら、確かに憲法第25条に権利として 生活保護制度を使っているんだけれど、引かれてしまうというネガティブな言い方そのものを精 神障害者業界全体が持っていますけれど、そうではなくて、生活保護制度を使わないで住宅の補 助をしてもらえばいいんじゃないかというポジティブな形にした方がいいと思うのが1点です。  そのときに、大塚さんも言ったように、いわゆる精神障害者の特性で、私がそうなんですけれ ど、医療ミスで注射を打たれてしまって、その注射の副作用で22時間ぐらい歩き回って、幻覚 なども体験して、入院までして退院しても薬を飲まないと一睡もできないんです。薬を飲んでも 音がすると眠れないから、生活保護制度を私も使っていますが、53,700円の住宅費では暮らせな いということで、横浜市の精神障害者住み替え住宅制度という制度を使っています。ところが、 横浜市が勝手に来年3月で打ち切ってしまうということで、今、横浜市政記者クラブの記者たち と話をしていますが、そういう特性もあると。つまり、音がすると眠れないから民間のアパート はだめだし、コンクリも響くから山のふもとの一軒家を借りている。そういう特性もある。そう いう人に対しても、いわゆる住宅の施策を打ってほしいというのが1点。  それから、23ページのグループホーム・ケアホームに入るに当たっては、敷金・礼金の助成を 行うというところを広げていただきたい。私は夜中の2時まで夜回り相談員をやっているんです けれど、本当に多くの相談者に出会う中で、親のところから出るにしろ、家がない人にしろ、一 番最初に生活保護制度を使うにしろ使わないにしろ、住む場の確保で、この間も高齢者が漫画喫 茶で寝ていますよという話をしましたが、高齢者だけではなくて家のない人は漫画喫茶とかイン ターネットカフェで寝ていますが、そういう人も含めて精神疾患者が民間を借りるときでも、い わゆる最初のお金が出てくれば家の確保ができる。まずは、住宅の確保があって人間生きていく ということは、お金も同時にあればいいということだと思うんです。ですから、国は846兆円の 赤字がありますが、そこのところは手厚い住宅政策を打ってほしいと。  それから、ちょっと戻りますが4ページの地域生活ということで右側です。私は日中活動の場 というのはとっても嫌いで、日中生活じゃないかと思うんですが、日中生活の場になるのか、相 談支援事業になるのかわかりませんが、現在全国の仲間たちがピアサポートセンターとか、とこ ろによってはセルフサポートセンターという当事者が運営してそういう活動していますから、そ ういうものを入れてほしいということです。  もう一つ、田尾さんが良田さんはじくじたる思いがあるでしょうとおっしゃったんだけれども、 私は仲間が拉致被害者になっているわけだから、もっとじくじたる思いがあるということと、昨 日も部会でお話ししましたが、要するに、警察官にしろ、救急隊員にしろ、医者にしろ、ソーシ ャルワーカーにしろ、どこに行っても本人が大変だという話が出てこないで、家族が大変だ、家 族が大変だという話になるんですね。例えば、いわゆる家庭内暴力を起こしているような人を警 察を呼んできて親が入院させたがる、させなければならない状況もわかります、私はそういう場 面に遭遇します。でも、その人に話をよく聞いてみると、ほとんどの場合、よほどの急性期症状 でない限り因果関係があって、暴れるのではなくて暴れさせられている。これは暴れている側が 言いました。なるほど親に会ってみるとどっちが患者なのかと思う家族もたくさんいらっしゃい ます。そういうふうに考えたときに、本人をショートステイに行かせる話ばかり出てくるんだけ れども、そうじゃなくて、本人が家に残って、家族が危機的な状態のときに使えるレスパイトケ アが大事だと思います。本人が危機的な状態ということは家族も危機的な状態の中ですので。野 崎補佐がどういう生活をしているか知りませんけれども、例えば、親と一緒に暮らしていたと。 そうした場合に、今パラサイトシングルという言葉がはやっているそうです。昨日もここからの 帰りに京浜急行の中で、若い女の子2人が盛んに「パラサイトシングル」と言うから、「ちょっ とその意味教えて」と聞いたら、要するにちゃんと成人したんだけれども親から離れられないと。 それは、「昔のおばさん的に言うといわゆるオールドミスという言い方だ」と言ったら、「そのオ ールドミスって何ですか」と聞かれたので説明しておきましたけれども、そういうパラサイトシ ングルという社会の中で障害者だけが自立できないと言われるんだけれども、絶えず障害者に物 事を転嫁しないでほしい。それと、私たちは2万円ぐらいお金をいただいて、これだけの人を集 めて、それで国の施策と病院の経営のために患者をひきはがして連れてこようという話ですよ。 でも、ひきはがして連れてこようという前に、この前も言いましたが、末安さんが倒れそうにな ったから途中でやめましたけれども、精神病院で個人情報保護条例ということを盾に、いわゆる 病棟の中に家族しか入れないと。その家族というのは、はとこまでだということなんですよね。 はとこなんて私はどこにいるかわかりもしない。そういう時代錯誤、明治の精神病者監護法に戻 っているような、そういう現実離れしたことが実際に起こっているんですよ。それを変えて、ど んどん患者が病棟に行けば「ちゃんこ鍋がおいしいわよ、今度一緒に食べに行かない」とか、ち ゃんこ鍋を生まれて初めて食べたという人もいますから、そういうことがいっぱい起こるわけで すよ。そういう可能性を全部奪って、温室に入れて管理しちゃって、本人の能力をどんどんそい で、施設症にしてしまって、もう一回一からやり直しみたいな、冷凍食品みたいなやり方なんで すよね。とっても患者にとっては失礼なやり方で、そういうことをこの国はやっているんです。  それと、ショートステイ、ショートステイとおっしゃいますけれども、私は自分も駆け込み寺 やっていますからショートステイにいわゆる仲間を紹介しますが、とてもじゃないけど質の低い 職員のために余計具合が悪くなって、その後うちで休んでいったという人もいますし、私は1999 年に横浜市の課長から呼ばれて「あなたの発言は横浜市の職員の意識を変えてしまう。時間をか けて精神科救急医療をやろうとしているんだけれども、あなたの話を聞いてしまうと、みんなが すぐやりたがって困る。だから、あなたをケアマネジメント専門委員会の選考から外した」と言 われて、いろいろなゴタゴタがあって、私は2泊3日で3回休息入院したんですよ。もし、私が 今また体調を崩したら、ショートステイに行かないで、やはり2泊3日の休息入院に行くという ぐらいの現状は、申し訳ありませんけれども、福祉も相変わらず医者の見立てに依存し、ショー トステイにただ行くだけなのに病名を知りたがり、どういう状況かを知りたがり、自分の目を信 じないという現状ですので、ここにお集まりのような立派な方々ばかりではないと。どうやった ら質が上がるのかということです。  まだ目が覚めていませんので、もし失礼があったら、田尾さん、お許しください。  以上です。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。まだ御質問・御意見たくさんあると思いますけれども、後半の御議 論もございますので、一応資料1につきましてはこの辺りで閉じさせていただきまして、次に、 資料2に関しての説明を事務局よりお願いしたいと思います。 ○ 林課長補佐  資料2について御説明をさせていただきます。時間も押しておりますので、若干駆け足になる かと思いますが、御容赦ください。  まず、3ページ「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)から」でございま す。  精神科救急医療の充実については、都道府県によって精神科救急医療の体制が異なっているが、 地域の実情を踏まえつつ、どの地域でも適切な精神科救急医療を受けられる体制の確保を図る観 点から、都道府県による体制確保を制度上位置付けることについて、検討を行ってはどうか。  2つ目として、自殺企図患者等、精神科救急医療と一般救急医療の双方を必要とする患者に対 する適切な医療の提供を確保する観点から、一般救急医療と精神科救急医療との連携についても 制度上位置付けることについて検討を行ってはどうかとなっております。  また、3つ目と4つ目の各論の論点については、例えば総合病院における精神医療の提供を初 めとして、救急機能を含む一般医療と連携した精神医療提供体制における位置付け、あるいは精 神科救急の機能評価や精神科救急にふさわしい人員・構造基準の在り方等、精神科救急の質の向 上に関する議論、こういった各論の論点については年明け以降の検討の中で行ってはどうかとい うことになっております。  4ページ「精神科救急事業の変遷」、これは以前の検討会でもお示ししておりますけれども、 平成7年度から補助事業として精神科救急システム整備事業、精神科救急医療センタ事業をつく り推進してまいりましたが、2つの事業を組み換えて本年度から精神科救急医療体制整備事業と して更なる充実を図り、また、地域の実情に応じたフレキシブルな使い方ができるようにという ことを行っております。  また、診療報酬体系においても平成8年、平成14年に急性期入院料、救急入院料を創設して 評価し、また、平成20年度には精神科救急・合併症入院料を創設するなどいたしております。  5ページが、精神科救急情報センターについてでございます。精神科救急情報センターを各都 道府県に置くように補助をしておりまして、ここでは関係者あるいは一般からの御連絡を受けて、 救急医療機関の紹介を行っております。救急圏域ごとに空床確保を行う事業がございまして、そ ういったところに入院患者さんを紹介するといった事業を行っております。  6ページ目が、精神科救急医療体制、平成20年度以降の事業の模式的な図でございますが、 都道府県の中でその実情に応じたさまざまな体制をとることができるようにいたしておりまし て、例えば、Aブロックのように常時対応型の病院、輪番病院あるいは診療所といった機能を組 み合わせて圏域を構成しているところであるとか、あるいはDブロックのように輪番病院の順番 に毎日お願いして救急体制を構築していくというところなどいろいろな形をとれるようにいた しております。  7ページからが精神科救急の制度的位置付けでございます。現在の精神保健福祉法では第47 条2項でございますが、医療を必要とする精神障害者に対し、その精神障害の状態に応じた適切 な医療施設を紹介しなければならないという条文がございまして、この条文の一部を成すものと して位置付けが行われております。  8ページように、精神科救急医療体制整備事業の実施についてということで、あとは通知レベ ルでやり方についてお示ししているという状況でございます。  また、9ページの医療計画上の位置付けでございますが、医療提供体制の4疾病5事業の中で は救急医療という項がございます。その中で一応、配慮すべき事項として精神科救急医療が若干 書かれているということ。また、4疾病5事業以外に都道府県が任意に行う疾病の状況等に照ら して、特に必要と認められるときに行う事業として精神科救急医療が位置付けられているという 状況でございます。  11ページでございますが、精神科救急医療体制について都道府県の現在の状況でございますけ れども、47都道府県のうち輪番制のあるところが44、また常時対応できるような病院があると ころが15ということで、一部の都道府県はこれらを組み合わせて救急医療体制を構築している ということでございます。  また、精神科救急情報センターについては、24時間365日やっているところ、あるいは夜間・ 朝までと休日やっているところもございますが、夜間は準夜帯のみで終わるところや、休日のみ やっているところ、あるいは情報センターを持っていないところなど、自治体ごとにばらつきが 見られております。  12ページの精神科救急医療体制の都道府県別の状況でございますが、精神科救急医療圏域の設 定の考え方などは都道府県においてかなりいろいろな考え方がございまして、都道府県内に複数 の医療圏域を設けているところや、1つだけの医療圏域を設けているところなどがあるというこ とで、全体では146の精神科救急医療圏域が全国に設けられております。  13ページ、救急医療システムの利用状況でございますが、夜間・休日の電話相談件数や受診件 数など、システムの利用は年々伸びてきているという状況でございますが、実際には都道府県ご とに相当な地域差があるという状況です。  14ページ、一般救急と精神科救急の連携における課題でございます。実際の患者さんの状態は 身体の傷病と精神疾患の合併した状況であることが多々ございまして、例えば、自殺企図の患者 さんのように一命を取り留めた後、精神の問題に対処していかなければいけないというような場 合、救急搬送時に一旦、一般救急と精神科救急のいずれかに振り分けがなされてしまいますので、 一旦ここで一般救急の情報センターを通じて、一般救急の入院に行ってしまいますと、そこから 精神科の問題に対処するということがなかなか難しいという状況にあります。  また、一般救急、精神科救急相互に患者紹介を行うという仕組みもございませんので、一般救 急の中で精神科の問題にも対処していかなければいけないということがございます。逆に精神科 救急の方に身体合併症の対応も求められているわけですけれども、こちらもなかなか対応が難し いという状況がございます。  15ページ、そういった中で、平成21年度の概算要求においては精神科救急医療体制の強化に 対して前年度比53%増の26億円を要求させていただいておりまして、一般救急と精神科救急の 連絡調整体制の整備や空床の確保等について充実を図っているところでございます。  16ページ、これらを踏まえまして、課題と検討の方向として整理させていただいておりますが、 課題としては精神科救急医療体制の整備事業の実施や救急入院等への診療報酬上の評価により、 精神科救急医療体制の確保が進められてきたが、都道府県によって圏域の規模、医療施設の整備 状況を初めとして、精神科救急医療体制の機能が異なるなど、その整備が十分でない状況にある。  2つ目として、精神科救急体制と一般救急体制との連携が十分でなく、自殺企図患者等精神疾 患を有する救命救急患者や身体合併症を有する精神疾患患者など双方の治療が必要な患者に対 する医療の提供がスムーズに行われていない。  3つ目として、精神科救急医療体制の確保は精神保健福祉法上、医療施設の紹介の事務の一部 として実施されており、医療計画においては救急医療の確保に際して配慮すべき事項という位置 付けであるということでございます。  そこで、検討課題としては、都道府県による精神科救急医療体制の確保やモニタリングについ て制度上位置付けることとしてはどうかということ。また、精神科救急と一般救急の連携につい ても、制度上位置付けるとしてはどうかということを検討課題として挙げさせていただいており ます。  また、救急医療に関しましては、その他さまざまな各論の論点があるかと思いますが、それに ついては年明けの精神保健医療の再構築に関する検討の中で更に検討してはどうかと挙げさせ ていただいております。  18ページが、精神保健指定医の確保についての論点整理でございます。措置診察を含め、精神 科救急医療における精神保健師指定医の確保に困難を伴っているとの意見があることを踏まえ、 精神保健指定医の確保のための具体的方策、例えば、5年ごとの資格更新時に措置診察の実施状 況等を要件とすることや、都道府県の精神科救急医療事業への参画に関する義務を設けること等 について検討すべきではないかとなっております。  19ページ、精神保健指定医というのは患者の人権に十分配慮した医療を行うために必要な知識 を備えていただいている必要があることから、実務経験を有し、研修を終了した医師の中から精 神保健指定医を指定して業務を行っていただいているという政令でございます。  具体的な職務については20ページに列挙させていただいておりますが、大きく分けると2つ にカテゴリーが分かれておりまして、1つ目は医療機関等における職務として、例えば3つ目の 「・」の医療保護入院を必要とするかの判定とあるように、医療機関において適切な職務を行っ ていただいているというものがあります。  その一方で、公務員としての職務でございますが、都道府県知事の適正な権限行使を担保する ために行っていただいている職務、例えば、措置入院を必要とするかどうかの判定であるとか、 精神科病院への立入検査といった職務がございます。  21ページには、精神保健指定医の業務に対する診療報酬上の評価として、精神科保健指定医で あることによって診療報酬上、例えば通院・在宅精神療法の初診の点数がその他の医師と比べて 高く評価されているといったこと。また、病院の入院料等において精神保健指定医の配置が施設 基準として定められているようなものがあるということが紹介されております。  22ページが都道府県指定都市別の精神保健指定医の数でございます。都道府県と政令市に何人 の指定医がいらっしゃるか、そして、それが人口100万対どれくらいであるかといったことを書 かせていただいております。全体では指定医の数が1万1,792人、人口100万対では92人でご ざいますが、地域によって相当なばらつきがあるということも見られます。  また、23ページ、精神科病院と診療所の別でございますけれども、これも地域にはいろいろな ばらつきがございますが、全体では精神科病院の常勤の指定医が6,220人、診療時の常勤の指定 医が1,940人などとなっております。  24ページ、精神保健指定医の新規指定・更新の数でございますけれども、近年徐々には増えて きているという状況がございます。  25ページ、関係者の方々の意見でございます。衛生部長会から要望書をいただいておりまして、 精神保健指定医の確保について財政措置を講じてほしいという意見とともに、指定資格の更新の 際に、精神保健福祉法第27条第1項、第29条の2及び第34条第1項に基づく診療の実績、こ れらは例えば緊急措置診察といった診療の実績でございますが、あと、医療観察法に基づく鑑定 の実績等を条件として加えてほしいというような意見をいただいております。  この問題に関しましては、都道府県と政令指定都市にこのたびアンケート調査を行わせていた だきました。64の自治体すべてから解答をいただきまして、平成19年度の措置診察の実施状況 についてまとめてございます。  まず、措置診察の件数でございますが、延べで1万3,276件、緊急措置診察が2,969件、合わ せると1万6,000件余りの措置診察がございます。  一自治体当たりでは、小さな自治体では数十件、あと大都市を含める自治体では数百件といっ た分布になっております。  27ページでございますが、措置診察の件数に占める指定医所属先の割合ということで、実際に どこに所属されている指定に診察していただいているかということでございますが、指定医療医 の先生に半分以上の措置診察をやっていただいているという自治体が46、3割以上をやっていた だいている自治体が14ということでございます。また、次いで多いのが国・都道府県立病院で ございまして、3割以上の措置診察が国公立病院の先生にやっていただいているところが10の 自治体、また、1割以上は国・都道府県立病院にやっていただいているところが29の自治体と いうことでございます。これらに比べると、非指定病院であるとか診療所といったところでやっ ていただいているというところが総体的に少なくなっております。  また、精神保健福祉センターや県・市にたくさんのところをやっていただいている自治体が幾 つかあるということが見られます。  28ページ、措置診察の件数に占める指定医所属先の割合別の自治体数でございますが、措置診 察のやり方についてはいろいろなやり方があるようでございまして、1・2次診察とも通報地(警 察署)等において行っていただいているところが34、1・2次診察とも受け入れ病院においてや っていただいてるところが14、それらを組み合わせているところが9つ。また、少なくともいず れかを診察する指定医の所属医療機関に移送して実施するところが7ございますが、いずれも指 定病院に所属する指定医の方々に診察をやっていただいているというところが最も多くなって おります。  29ページ、措置診察における指定医の選定方法としては、常時確保あるいは当番制を導入して いるところが幾らかある一方で、管轄地域全体からその都度選定したり、近隣の病院の指定医に その都度依頼されているところが多くなっております。  30ページでございますが、措置診察における指定医確保のために実施している具体的な対策と しては、措置診察へのインセンティブの強化をしているところが幾つかある一方、協力の依頼を しているというところが多数となっております。また、特別な対策を行っていないという自治体 も28という状況でございました。  31ページ、措置診察における指定医確保にかかる問題点としてアンケートで挙がっているもの を見ますと、体制の問題として指定医が少ないであるとか、措置診察の件数が多いということ、 あるいは予算がかかる、報酬が低いといったことが挙げられております。  また、医療機関に問題としては特定の指定医にどうしても偏ってしまう、診療所の医師の協力 が得にくいといったことが挙げられておりました。  また、夜間・休日に指定医と連絡がとれないといったこと、措置診察の意義や必要性を十分認 識していただけないといったこと、協力を拒否することにペナルティがないために特に理由がな くても拒否されるというような意見が出ておりました。  32ページ、少し話題が変わりますが、精神保健指定医の更新手続についててございます。精神 保健指定医は5年に1回資格を更新していただくことになっておりまして、研修を受講して更新 申請を行う必要がございます。傷病、長期の海外渡航等のやむを得ない理由がある場合に限って 研修の受講を延期することができることになっておりますが、更新を怠ると指定医資格が自動的 に失効するという形にございます。  他方、例えば運転免許証であると、たまたま更新を失念したような場合であっても失効から6 か月以内の場合であれば、その理由を問わず試験が免除されまして、視力検査等と講習によって 再取得ができるというような形になってございます。  33ページ、実際の執行者数でございますが、理由のわからない失効者、失念等を含んでいると 思われますが、年に100人程度いらっしゃるという状況でございます。  これらを踏まえまして、34ページの課題と検討の方法でございますが、課題として都道府県に おいて措置診察を行う精神保健指定医の確保に困難が生じているということ、また、措置診察は 主として指定病院、公的機関に勤務する精神保健指定医において行われており、その他の職務に 従事する精神保健指定医が指定業務を行うことは少ない。また、精神科の救急医療体制が円滑に 機能するためには、救急医療機関における精神保健指定医の確保が重要であるということ。  4つ目として、更新手続の失念等により指定医資格が失効する例が見られ、その場合に新規に 要件を満たして取得する必要があるということでございます。  検討の案として右に4つの「○」をお示しいたしておりますが、1つ目として、精神保健指定 医の5年ごとの資格更新時に措置診察等、公務員として行う職務への参画、当面は当番制として 何月何日はどの先生にやっていただけるというようなリストに載っていただくというものを想 定しておりますが、こういったものを要件として指定医の参画を促してはどうか。ただし、救急 医療等を行う医療機関や公的機関等に勤務する指定医の確保に困難を来さないよう、このような 勤務に従事する指定医についても資格を更新できることとしてはどうか。  2つ目として、措置診察等を行う指定医の確保について、都道府県の一層の努力も必要ではな いか。  3つ目として、精神保健指定医の救急医療への参画についても規定し、指定医の参画を促して はどうか。  4つ目として、なお失念等により指定医資格の更新期限を超えた場合について、運転免許と同 様、再取得の際に一定の配慮を行うこととしてはどうか、このような検討課題を挙げさせていた だいております。  資料2の説明については、以上でございます。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。  それでは、この精神科救急あるいは精神保健指定医に関することで、残りの時間で御意見をい ただきたいと思います。 ○ 良田構成員  今日は、冒頭から良田の名前が何回か出てきて、どうしようかと思っていたんですけれども、 何か言うべきことができていたのでよかったなと思っております。  救急のことは前から本当にいろいろと議論になっていることで、救急の必要性などは家族会な どに出ても救急の必要性ということはすごく言われるんですけれども、ちょっと視点を変えて見 まして、先ほど長野さんがおっしゃった長期入院をさせないということは入院させないことだと いうことから派生すると、なるべく救急の事態を発生させないというか、そういうことがまず必 要なんじゃないかなと思っています。今までの前半の議論の中ですべてが含まれてくると思うん ですけれども、その人をトータルでケアマネジメントしていったりとか働きかけを続けていく、 あるいは何か疾患があるような人に対して、あるいは自殺願望があるような人に対しても、個別 のしっかりとしたケアができているということが、やはり救急というものの存在を減少させてい くのではないかと思っております。  それから、待っているサービスでは全然できないので、アウトリーチサービスが非常に有効で あると思います。というのは、非常に困難な状況にある人というのは来なさいということにはな かなか対応できないわけですから、そうしているうちに少しずつ自分が追い詰められていくとい う状況にあるわけですので、アウトリーチサービスがしっかりとできているということが、とて も大事なのではないかと思います。  その上で、先ほど長野さんがおっしゃった事業者が非常に足りないと。立ち上げのときの基準 を設けて、そういう公的な補助をする必要があるんじゃないかということに大賛成です。やはり なかなか簡単にはアウトリーチサービスはできないと思うんです。ですから、公的な責任を持っ た経済的な支援というものがあって、丁寧で継続的な支援ができていれば、救急というものを減 らせるのではないかなと思っております。  以上です。 ○ 長尾構成員  救急のことは検討は来年ということですか。 ○ 野崎課長補佐  論点に掲げさせていただいているように、救急の質の向上に関する議論については来年以降と いうことで考えておりますが、「制度上位置付ける」ということについて御議論をいただきたい のは、先ほどどういう法改正のスケジュールでという御指摘がありましたけれども、この自立支 援法の改正のタイミングに合わせて御議論いただきたいと考えております。 ○ 長尾構成員  では、16ページの検討として、都道府県の救急医療体制の確保やモニタリングについて制度上 位置付けることとしてはどうかと。そのときの制度上位置付けるというのはどういうことを意味 されているのかをお聞きしたいのが1点。  それから、概算要求での救急医療体制の強化というのは9億円増えて26億円と。これは相談 支援事業と身体合併症の問題等も含めてだとは思うんですけれども、実際これまでいろいろ制度 上のものとして常時対応型施設等も入りましたが、やはり輪番病院というのは非常に大きな役割 を担っているし、これまでもそれは機能していると思いますが、その中でやはり各都道府県があ る程度空床確保の料金については、上積みしていた部分も結構あるんですが、それがいろいろな 財政上の問題からどんどん削られてきているというのが現状です。やはり国庫補助の部分という のは、きちんとそういうものを担保できるようなものを、これも上積みできるように今後考えて いただきたいということをお願いしたいと思います。 ○ 樋口座長  今の前半のことに関して。 ○ 野崎課長補佐  制度上位置付けるというのは、今の精神保健福祉法上の規定がそもそも医療施設を紹介すると いうことだけで規定されておりまして、予算ではあるいは診療報酬では救急の位置付けというの を少しずつ充実させてきているということもありますので、アウトプットをどのようなものとす るかはありますけれども、精神保健福祉法の改正も含めて御検討いただければと考えております。 一つの形としては、精神保健福祉法に救急体制の確保を明示するといったこともあり得ると考え ています。 ○ 中島構成員  今、各都道府県等の財政が逼迫してというお話がありましたけれども、こういう施策の中で半 分国、半分地方という形の事業が多いわけですね。そうしますと、自治体の財政が非常に逼迫し ておりますと、それが十分な形で実施されないということが非常にあるわけですね。その辺りに ついての工夫というものがこれから要るんじゃないかなと思います。  もう一つ、今、長尾構成員がおっしゃったモニタリングの件ですけれども、やはりこれは各都 道府県によって輪番制等がうまく回っているところと十分機能していないところがございます ので、やはり空床確保料のただ取りというような面も時には見受けられますから、きちんとした モニタリングをやっていくということで、質の担保を図っていくということは必要だろうと思い ます。  以上です。 ○ 藤原参考人  まず、一般医療と救急との連動ということにおいては、総合病院の機能をいかに高めるか、充 実するかということだと思うんですが、お手元にお配りした1枚の有床総合病院精神科人員配置 調査というものがあります。これでごらんになっていただくとわかるように、一施設当たりの精 神科総合病院の病床数というのは86床あるにもかかわらず、常勤医師数は平均で3.7人、精神 保健指定医数は2.3人ということで、特に東北とか北海道とか非常に貧弱な医療になっていると いう現実があります。これは一つは、診療報酬上問題、医師の16対1の評価、一般病院に対し ての評価が非常に手薄いということがあって、本来の救急に対して総合病院が関与できていない ということがあるのではないかと考えています。  もう一つは、先ほど御説明にあった医療計画について、救急において精神科も配慮すべきとは 言われているんですが、実際に医療計画の中で今、小児科・産科に関しては各都道府県の医療課 でかなり綿密なデータを分析しているんですね。2次医療圏ごとに分娩数がどうだとか、小児科 の受診数がどうだとか、医師がどのくらいいるということをかなり正確に割り出して、それに対 して施設としてどういうふうに配備するかということが議論されているんです。ところが、精神 科においてはここでうたわれてはいますけれども、実際にはその流れというのは医政局から各都 道府県の医療課のようなところに話が行って分析が進んでいるということではあるんですけれ ども、精神の分野というのは障害福祉課とか都道府県でそういうところですよね。ですから、当 然医療課の方はそういうことを認識していない、精神科医療がどうなっているかというのは自分 たちは余り関与していないということになっていて、精神科では医療計画とは言われていても全 然救急に関しても、精神医療全体に関しても配慮されていないという現実があるわけで、その辺 りに是非、国の方で精神障害保健課と医療課との連携、または各都道府県に対してそういう医療 計画のもとでより踏み込んだ、精神科においてもやはり救急は地域医療を支えるためには2次医 療圏をある程度軸にするとか、救急圏域というのはやはり広過ぎると思うんですね。ある程度も う少し狭い、日常的な診療もカバーできるような救急の仕組みをつくるためにはどうするか。そ のためには、診療所の協力であるとか、総合病院のバックアップということも必要で、今回御提 案いただいているような指定医の更新ということに対しても、措置入院の問題というのは非常に 大きいと思うんです。そういう業務に指定医がかかわることも重要なんですけれども、地域にお いて必要な救急に対して診療所なり精神科医がどうかかわるかという部分も是非、指定医の更新 のときには評価するような仕組みをつくっていって、地域ごとの連携をしっかりつくれるような 仕組みを是非国からも御提案いただきたいと思っています。  以上です。 ○ 坂元構成員  指定医の更新につきまして要望させていただいた全国衛生部長会です。指定医の不足問題は自 治体によって非常に差があります。比較的充足している自治体もあれば、非常に困っているとい う自治体もあるということです。全国衛生部長会の中でも指定医の更新要件の中に措置業務の要 件を入れるということは実はいろいろ議論になって、余りやり過ぎるとこの程度の診療報酬の加 算では指定医を辞退するという方が出てきてしまうんじゃないかという議論も当然出てきまし た。しかしやはり指定医の本来の趣旨から言えば、1回もそういう措置業務や救急業務等に携わ らなくても講習会出席だけで更新できるのはおかしいのではないかという議論が多勢を占めて、 こういう形での全国衛生部長会からの要望を出させていただいた次第でございます。  そのほかにも例えば26ページの表を見ると、実際に措置入院の場合は別個の機関に属する2 人の指定医が認定するという形になっておりますが、どうしても指定医が不足して確保できない 場合、ここにありますような緊急措置入院という形で1名の指定医でもできる形で処理してしま って、72時間以内にもう一人指定医を見つけるというような形が行われていると思います。実際 この中がすべてそうだというわけではありませんが、そういう形で苦慮している自治体があるの も事実です。それから、28ページの表を見ていただくと、これも各自治体によって差があるんで すけれども、例えば、警察官通報があって、自治体の人間が警察署に行くと、そこでいわゆる指 定医で1次診察もしくは2次診察をやっている自治体もある反面、全くやっていないで警察から 直接病院に連れていっている場合もあります。警察署から病院に連れていっているのはどういう 形でやっているのかというと、そこは強制力はありませんから任意に近い形でやっております。 だから、車の中で下ろしてくれと言われたら不安があっても下ろさざるを得ないということもあ るということです。措置業務というのは自治体によってもかなり差がありますが、やはり根幹に あるのは指定医の確保の問題があります。それから、当然もう一つは、精神科救急病院の病床の 確保という、つまり2つの要点があるということで、このお願いをしていきたいということで意 見を述べさせていただきました。 ○ 小川構成員  総合病院の精神科の話が出ましたけれども、私も総合病院の精神科のベッドの問題も含めてき ちんと充実させていかなければならないと考えています。  精神科の救急の場面で本当に数は少ないんですけれども、例えば、手に負えなくて警察官がす 巻きにして連れてきた方が、開けてみると黄疸が出ていて、本当に救命救急の対象の方であった り、あるいは脳の器質的な疾患の方が精神症状を起こして重大な他害行為を行ったり、身体的な 病気でそういう形に、結果としては非常に重大な他害行為を行うような場合も、数は少ないんで すけれども実際にあるんですね。そういう事態に至らない方も含めて、身体疾患をベースに精神 科救急を訪れるような方々がいらっしゃるということが、やはり精神科救急と一般医療と連携が なければそういう方々の命を救えないということになるわけですね。全身に黄疸が回ってぐった りした方は、その後救急車を呼んで連れていったわけですけれども、その方が本当に命が救われ たかというのは私は非常に心配だったケースなんです。数少ないかもしれませんが、身体疾患を ベースにそういうこともあるんだということも是非御理解いただきたいと思います。そういう意 味では、総合病院の精神科のベッドの確保とか、総合病院に精神科がないところも含めてどう充 実させていくのかということは国民の健康や命の問題として重要だと思っています。  もう一つ、精神保健福祉法の改正の話が出たので教えていただきたいんですけれども、10年来、 20年来いろいろ積み残した課題があると思うんです。例えば、精神障害者の定義の問題や保護者 制度の問題、それに関係する医療保護入院の問題、そういう問題について次の改正ではそういう 話は残された課題にしていくということなのかどうか、あるいはそういうことも含めて議論する 余地があるのか、そういうことを是非教えていただきたいと思います。  また、資料として移送制度の問題について実態がどうなっているのか、先ほど坂元構成員から もお話がありましたけれども、各都道府県で体制がバラバラではないかと思うんです。移送制度 が始まったときには、いろいろ解釈をめぐって、あるいは体制をめぐって混乱もあったかと思い ますけれども、その後のうまくいっているのかいないのか、是非その辺の実態を明らかするよう な資料もお願いしたいと思います。  以上です。 ○ 樋口座長  今の点はよろしいですか。 ○ 福島精神・障害保健課長  特に、いろいろここで議論している場面でも何回か御指摘があった話で、保護者制度とかいろ いろ御議論があることは我々も承知していますけれども、今は特に自立支援法の見直しと合わせ て行う法改正の部分で手当をすべきものがあるやなしやということで、特に年内の議論は限定さ せていただきたいと考えておりまして、それ以外との言いますか、今御指摘があったような課題 というのは、また引き続きの議論の中でさせていただければと考えております。 ○ 安田構成員  先ほどの良田さんと長野さんの意見で関連なんですけれども、事業所の立ち上げのときに非常 に厳しいと、軌道に乗るまで大変だということで、そこで何か助成する仕組みがあったらどうか というのは賛成なんですが、既にもう制度があったような気もするので、例えば、介護労働安定 センターがたしか立ち上げ時の助成金を出していたと思いますし、あと、自立支援法の特別対策 であったかなかったかちょっと忘れたんですが、今日でなくていいので、もしそういう立ち上げ 時助成の制度が既にあるならば、まとめて実績がどのくらいかとかそういうものをいただければ と思います。 ○ 長尾構成員  指定医の件につきまして、最後の34ページの部分で更新手続の何らかの失念等によって配慮 を行うというのは結構だと思います。指定医の更新を措置診察等の公務員業務、救急も含めてに なっていますけれども、それに限定するというのは若干いかがなものかと。指定医の業務という のはそれだけにとどまらず、一般の医療保護入院であるとか中での隔離拘束、さまざまな病院で の業務というのは指定医としてここに書かれているようなものがそれぞれあるわけなので、やは り指定医の更新においてはそういう指定医の業務を行っているということがあれば、指定医の更 新では差し支えないのではないかと私は思いますので、公務員業務ということだけに限定すると いうのは指定医そのものの制度の根幹にかかわる問題ではないかと思いますので、これはいかが なものかと思います。 ○ 三上構成員  救急の問題でお話をさせていただきますが、精神科救急の体制については12ページにありま すように、各都道府県によってかなり体制が違うんだなと思いました。神奈川県のように1県1 精神科医療圏のところもありますし、大阪、島根のように2次医療圏ごとのところもあると。ど ちらがうまく円滑に動いているかというのはよく検証していただきたいと思います。  ただ、精神科救急について一番困るのは、緊急措置であるにしろ、あるいは医療保護にしろ、 入院させるということになりますと指定医の当直が要ります。平日日勤帯で確保することは可能 ですが、夜間や休日の当直に指定医を確保するということが非常に困ると。先ほど藤原参考人か ら出ました一施設当たりの総合病院の精神保健指定医は2.3人ということですから、当直を毎回 していただくということになると2日に一遍はするということですから到底無理だということ になりますと、精神科医療圏についてはやはり集約化をして広い医療圏の中で、ERではないで すが1日あるいは2日ぐらいは預かれるような中核病院をつくって、そこに指定医をある程度確 保して、日勤帯に転送するという大胆な発想も必要ではないかと思います。  それから、先ほどありました指定医更新の問題について、指定医業務というのは公務員業務だ けではないということはよく理解していただきたい。また、指定医に対する報酬上の問題という のも先ほど出ましたけれども、例えば、措置診察に対する評価といったものにきちんとしていた だくのはいいわけですが、今それが非常に低いと。その代わりに、指定医であるために指定医の 初診であるとか通院・精神療法等に点数をつけるということで評価をするということで、少しず れているのではないかという気がしますので、その辺も併せて考えていただきたいと思います。 ○ 香山参考人  この発言が終わったら帰らなければいけないような時間帯になっておりますので、幾つか発言 させていただきたいと思いますし、また、いつ来れるかわかりませんので。  措置入院の患者さんが再入院してくる割合というのがどれほどなのかを知りたいというのが あるんですが、臨床現場にいますと再入院してくる方の割合が非常に高いなと思っているところ なんですが、どうしてそういうことになるかというと、やはり地域での支援サービスが不足して いるということに尽きるんじゃないかということと、あとは、入院中の急性期で対応していくと 3か月で退院していただかなければいけないということから言いますと、そこの中での治療サー ビスをどう充実させていくかということは、非常に重要なポイントなのではないかと思います。 それが結局は長野構成員や良田構成員がおっしゃるように地域でどう支えていくかということ を充実させることが、結果的にはそこに反映するんだということに尽きるのかなと思います。  そこで、医療と先ほどの長期入院のこちらとこちらは結局はくっついて、きちんと統合された ような形で論議されるということが重要なんじゃないかという気がしています。これが切り離さ れて、また、あたかもあるかのように論議されると、また大きな間違いが起こるのではないかと 思います。そこの中で、訪問型のサービスなども医療がやるべきことと、自立支援法等でやるべ きことを整理するということが必要で、先ほどの論議の中でも訪問型のサービスを充実させなけ ればいけないと言っていますが、医療の中でもやっていかなければいけないと言っています。そ こをどういうふうにすみ分けていくのかみたいな、全体像をきちんと整理していただくというこ とが必要なんじゃないかと。  あと、いろいろなサービスを充実させていく中で、人材をどう養成していくかということ、そ の体制整備をしていくということもきちんとうたっていかないと、絵に描いたもちになってしま わないように、サービスが充実していかないというようにならないようにする工夫をどうしてい くかということも重要なことなのではないかと思っております。  以上です。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。  時間的なことがございますので、大体あと10分ぐらいでこれを終了させたいので、そのおつ もりで発言をコンパクトにお願いしたいと思います。 ○ 中島構成員  指定医の職務についていろいろ御意見が出ていましたが、医療機関における職務、公務員とし ての職務、この両者を併せ持つ機能として指定医が規定されているわけですから、公務員として の職務についても、ほんの少しの経験は問うてもいいんじゃないかと思います。  以上です。 ○ 長野構成員  関連して。指定医の更新のときの措置入院に限定するのは、やはり慎重にすべきではないかと 思っています。愛媛県の実数を調べてきたんですが、平成19年の年間措置入院が36件、指定医 診察が80件ぐらいだと思うんですが、指定医が127人おります。そう考えると、一生懸命患者 さんに任意で入院していただくことを今から医療の方向性としてやっていく中で、下手したら更 新のための措置入院がつくられかねないと思いますので、やはり慎重に議論すべき問題、これは そもそも救急でみんなで参画して患者さんを地域で支えようとするための方策であるので、単純 に義務化すればいいということではないと思います。  あと1点だけ。救急医療ですが、制度の位置付けもとても大事なんですが、それとともに一般 市民に精神科救急がありますよという告知が全くなされていないのだろうと思うんですね。初め て発病した人がいつでも診てもらえると思われている方はほとんどいらっしゃらないと思いま すので、その方策が必要ではないかと思います。  以上です。 ○ 広田構成員  精神科救急指定医を参画させてくれというのは私が言った意見なんですけれども、警察に行っ たときに私が精神障害者と言ったら、署の保護室で精神の人を一晩預かっているけれども、患者 さんの人権にかかわりませんかというのが10年前の話で、それからいろいろな記者会見なども やって、結果的に神奈川は24時間化ができましたが、今の課題でそのときも一番問題になった のはベッドが足りないことと、精神保健指定医が足りなかったんですね。ですから、長野先生が おっしゃるように措置診察ではなくて、精神科救急システムに参画することを義務付けること。 そして、特に上ノ山先生に申し上げたいんですけれども、クリニックの患者の相談もたくさん受 けますが、患者を引っ張ってしまって、それで体調が物すごく悪いという人がいますから、病院 に紹介した方がいいという人もいます。そして病院は自前の患者は365日、24時間診るという 形にしていただきたいということです。  そういうことで精神保健指定医の5年ごとの更新の義務として、精神科救急システムを義務付 けると。それなくして国民に精神科の救急医療がありますよなんて言ったって、実際はないんで すから。そういう意味で言えば、ほかの医療と同じように精神科救急医療があることが、まさに 3万人を超えた自殺者、恐らくほとんどが初発ですよ。そういう意味で言えば、ただ福祉が整っ ていると。福祉というのは精神障害者が使える福祉です。精神障害者以外の人は福祉を使えない わけですから、福祉を使っていないところで精神科救急医療が果たす役割は今日的にとても大事 な課題だと思いますのと、さっきも話が出ましたが私は寝ていましたから聞き漏らしましたけれ ども、社会資源の事前説明会はなしよということを是非やっていただきたいと。なぜかと言われ たら、国連の権利条約だと。障害者が一人の市民として暮らすためにそういうホームを建てると きに、なぜ障害者だから説明しなければいけないんですかということにしていただきたいという ことです。 ○ 大塚構成員  香山さん、長野さん、広田さんに関連してなんですが、救急を話すときに地域生活支援の観点 から話すのであれば、少し実態をデータでお示しいただきたいなと思います。香山さんがおっし ゃったように、措置の方の再入院がどうなっているか、多分措置の方の地域移行が大変弱いのだ ろうと思っているのが1点です。  もう一つは、現場の感覚からすると多くの方がかかりつけ医を持っていらっしゃる方のような 気がするんです。そこは何が課題として浮き彫りになるのかということを、ちょっと怖くて語れ ませんが考えないといけないと思います。  それと28ページの措置の地域運用格差についても、先ほど2点こういう理由があるんじゃな いかという背景を坂元先生がおっしゃられましたが、やはり地域偏在も含めて結局遠いところに 措置とか医療保護で入ってこられる、そうすると地域移行がまた大変になるという非常な悪循環 を来しているわけですので、この際、これは精神保健福祉法の改正を待たずに、障害者自立支援 法の観点から、地域で暮らすことの支援をする体制の中での救急医療とか精神科医療の在り方だ と思いますので、是非その辺の実態もお示しいただきながら検討できるといいと思います。 ○ 上ノ山構成員  今度の平成20年度に創設された事業のいきさつを私なりに推察しますと、身体合併症の問題 だとか、あるいは診療所の問題とかありますが、精神科救急医療センター事業で全国的に展開し ようとしたけれども、それには無理があったと。そして、これまでの既存の輪番体制をきちんと 維持していく中で、それを共に働かせていくような形にしようということがあったのではないか と思うんですけれども、私の認識は間違っていますでしょうか。  それから、その場合、6ページの図だと常時対応型病院というような言葉が出ています。その ほか中核的なセンターというのが9ページに出ています。それから、11ページには基幹病院とい う言葉が出ています。これはそれぞれ同じものを指すのか、違うものを指すのか、恐らくスーパ ー救急をとっているような施設のことを指しているのだろうと思うんですけれども、そういう認 識でいいのかどうかということ。  それから、結局、今回輪番制を大事にしようということであれば、基幹病院と言われていると ころと輪番との連携の取り方をきちんとしないとシステムとして機能しない。11ページだと輪番 制のある都道府県が44、基幹病院のある都道府県が15で、47都道府県を超えていますので重な っているところがあるということですよね。これが果たしてうまく機能しているかどうかという ことを教えていただきたいと思うんです。というのは、基幹病院がしっかりすればするほど地域 の輪番体制が貧困化していくという懸念もあるわけです。基幹病院で全部救急患者さんを診てし まって、ほかのところが救急体制に対してやや手を引いてしまうという流れがあるかもしれませ ん。ですから、そういう場合には連携についてちゃんと考えていかなければいけないのではない かと思います。  例えば、輪番体制の中でも急性期治療病棟を持っている病院がありますが、その病院が救急中 核病院から後送されてきた患者さんを受け入れた場合に、急性期治療病棟入院料が確保できるか どうかとか、そういうところも丁寧に見ておかないと、後方に受け取った病院はそういう急性期 の扱いを受けないということであれば困るわけですよね。  その場合に、私は圏域ということが非常に大事だと思います。12ページに圏域に関する資料を 出していただいたのでかなり参考になるんですが、精神科救急医療圏域の定義についても是非教 えていただきたいと思います。やはり中核病院があって、輪番体制があってということであれば、 そこでどのように病床を確保していくかということは、かなり緊密な連携を持って話し合ったり して、お互いに救急体制をつくっていくんだという意識が必要になってくると思うんです。その ためには、余りにも広い圏域だとそういう顔の見える関係ができない。やはり適切な2次医療圏 に準じた体制の中でお互いに連携を取り合う体制を考えていただきたいと。  そして、後方支援病院と言われる病院に関しても、例えば、私どもの空床はこれだけあるから お宅はどうだということで話し合うような形をとって、後方の支援体制もきちんと連携をとって いけるような圏域であったらいいなと思います。  圏域の中で起こった事例に関しては、圏域の病院にできるだけ入院してもらって、入院しても らった圏域で地域生活支援をやっていくと。つまり、圏域単位で救急も地域生活支援もすべて考 えていくような形がいいのではないかと。というのは、今回の自立支援法では市町村に事業の丸 投げの傾向がありますけれども、精神科の領域に関しては圏域というものを重要視して、その中 でシステムを考慮していく必要があると思っています。その点に関して、またお答えいただきた いと思います。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。  今のことに関しては、今の時点で何かございますか。 ○ 林課長補佐  簡単にお答させていただきますが、平成20年度以降、地域の実情に応じた救急の組み方がで きるようにしたということについては、構成員おっしゃるとおりでございます。常時対応型病院 と精神科救急入院医療の関係でございますが、これは同じものと考えていただいて結構でござい ますけれども、当面の間は精神科救急入院医療の算定がまだできていない病院もありますので、 そういったものも今後算定できるように移行していただくように考えております。  あと、基幹病院という言葉については、この資料をまとめるに当たって使わせていただいてお りますが、輪番制ではなくて、いつも空床を確保するような病院として、特段何かに定められた 言葉ということではないということでございます。 ○ 樋口座長  ありがとうございました。  まだまだ御議論があろうかと思いますが、大分時間を超過してしまいましたので、この辺で本 日の議論は終了させていただきたいと思います。  また、事務局においては本日の意見を踏まえて、今後対応をお願いしたいと思います。  それでは、事務局から次回以降の連絡をお願いします。 ○ 林課長補佐  次回でございますが、第11回は10月17日金曜日、15〜17時半で、場所が全国都市会館にな ります。また、第12回は10月29日水曜日、15〜17時半で、場所は航空会館を予定しておりま す。時間・場所とも本日と異なっております。御留意のほどよろしくお願いいたします。  また、お手元に次回以降の出席確認についての用紙を準備しておりますので、そちらに御記入 いただきまして、御提出をお願いいたします。  事務局からは以上でございます。 ○ 樋口座長  どうも長時間にわたりましてお疲れさまでございました。これにて終了いたします。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)