08/09/18 第3回サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会資料議事録 第3回サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会 日時 平成20年9月18日(木) 14:00〜 場所 中央合同庁舎5号館17階専用第21会議室 ○安全対策課長(森) 定刻になっておりますので、第3回「サリドマイド被害の再発 防止のための安全管理に関する検討会」を開催いたします。事務局の医薬食品局安全対 策課の森でございます。本日ご出席の皆様におかれましては、お忙しい中、またこの検 討会にお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の検討会も公開で行うこ ととしておりますが、カメラ撮りについては議事に入る前までとさせていただいており ますので、ご協力をよろしくお願いいたします。また、傍聴なさっておられる皆様につ きましては、傍聴に対しての留意事項についてはお守りいただきたいと思いますし、ま た本日も2時間という時間の予定ですので、部屋も窮屈ですから、お体に障りがないよ うに気を付けていただければと思います。  本日、村上委員からご欠席の連絡をいただいております。また、木下委員については 特にご連絡はないのですが、大変ご多忙と伺っておりますので、少し遅れられるのでは ないかと思います。それから、藤本製薬株式会社より執行役員の長谷雅史部長、医薬情 報部の中尾智佳子次長に参考人としてご出席いただいております。また、前回まで参考 人としてご出席いただいておりました大阪大学大学院薬学研究科教授の那須正夫先生は、 本日はご都合のためご欠席となっております。  それでは、これ以降の議事進行について、武谷座長にお願いいたします。また、報道 関係者の方々には、申し訳ありませんが、頭撮りはここまでとさせていただきます。よ ろしくお願いいたします。 ○武谷座長 武谷でございます。冒頭に一言、簡単にご挨拶させていただきたいと思い ます。本検討会はこれまで2回行われて、委員の方々、あるいは各専門家の方々、大変 活発なご意見・ご討議を行っていただき、検討課題の問題点、論点もだいぶ整理されて きたのではないかと思っております。また、2回の議論を通じて共通の認識、理解を深 めることができたかと思っております。逆に、検討会を通じていくつかの問題点も指摘 されましたので、残りの課題について、是非、皆様方で建設的な活発なご議論を賜りま して、皆が納得する、合意するような方針が確認できればと思っておりますので、ご協 力のほどよろしくお願いいたします。  まず、本日の配付資料の確認を事務局からしていただきます。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。会場図に続いて議事次第。資料1「サ リドマイド製剤安全管理手順(案)」、資料2「サリドマイド製剤安全管理基準書(案) に関する意見募集において寄せられた御意見」、(平成20年8月30日〜9月11日分) です。資料3は那須参考人提出資料として、「TERMS第三者評価骨子(案)」です。資 料4「サリドマイド製剤の安全管理に関する確認事項について(案)」。続いて、参考資 料1として「サリドマイドの保険診療薬剤としての早期承認の要望」。参考資料2とし て「『サリドマイド胎芽病』に関して医学教育で教えるべき内容について」です。資料番 号は付いておりませんが、本日配付している資料として、「サリドマイド製剤安全管理基 準(案)について(意見のメモ)」ということで、山口委員より提出していただいており ます。配付資料の不足等ございましたら、事務局までおっしゃってください。なお、マ イクは取り上げずに、近くに寄せていただくような形で発言いただけますと、録音上大 変助かりますので、ご協力お願いいたします。 ○武谷座長 皆さん、資料は全部お揃いでしょうか。本日、まず最初にご議論いただく こととして、これまで委員の方々からいただいたご意見等を踏まえた基準書(案)です が、さらに修正バージョンができました。それを本日、藤本製薬より提出していただい ておりますので、この新たな案についてご説明いただきたいと思います。時間の制約上、 15分ぐらいでお願いできたらと思います。 ○中尾参考人 説明させていただきます。いままでの検討会で、委員の先生方、また意 見募集に関しては多くの意見を寄せてくださいました方々からの貴重なご意見を真摯に 受け止めまして、本剤の胎児の曝露防止の重要性を十分考えつつ、患者の立場に立って 再考して修正したものを、今回資料として提出させていただいております。  資料ですが、訂正や言葉を換えた部分、言葉を付け足した部分がアンダーラインで示 されております。削除したものについては、吹き出しのような形で、このような言葉を 削除しましたという形で表示しております。  表紙ですが、全般的な話も重なりますが、このTERMSは、患者や医療関係者の皆様 に安全にサリドマイドを使用、または服用していただくためのサポートツールであると 考えて作ったわけですが、全般的に強圧的な感じを受ける部分がたくさんあったという ことを我々も再考して、そういう表現がいくらかあったのではということで、表現を改 めております。ということで、表題も「基準」という言葉がふさわしいのか再考して、 「手順」という表現にさせていただきました。  目次を飛ばして、1頁に入ります。まず、TERMSを作成した背景、経緯などをしっ かり示す必要があるのではないかと考えましたので、そちらを追記しました。文章はあ らかじめ配付しておりますし、時間の都合もありますのでご紹介しません。皆さん一度 目を通していただけていると思いますので、何かありましたらまたあとでご意見をいた だけたらと思います。  2頁ですが、これは前回もご意見をいただいて、女性患者Bの対象がどのような方に なるかということについては、なるべくアクセスの制限がないようにということで再考 して、111行目に「その他」という文章を追記はしました。ただ、産科婦人科の先生方 として、化学療法による閉経の確認も含めた、このような診断が実際可能であるのかど うかということについても、本日はご専門の委員の先生もいらっしゃいますので、ご意 見も伺いながら、我々としての訂正案ということでご提示させていただいております。  3頁・4頁は、やはり強圧的な表現をいくらか柔らかくという訂正です。  5頁の5の(3)の教育を受ける対象者の方々に誰が実施するかという点ですが、パート ナーに対しての配慮はもう少し考えるべきではないかということで再考して、プライバ シーにかかわる方については医療機関の同席を必須としないということにしました。と はいえ、パートナーの方にも是非とも本剤の危険性などは知っていただきたいというこ とがありますので、患者や薬剤管理者よりご説明をお願いしたいと思い、情報提供を行 う方として患者または薬剤管理者にお願いしたいということで、こちらを訂正しました。 こういうことで、パートナーの方の同意をいただくという点がありましたが、そちらも 不要としました。そのことは9頁にお示ししてあります。250行目で、以前は「薬剤管 理者とパートナーの方から同意が得られている」という表現がありましたが、「パートナ ーの方」を削除しております。  9頁の245行目は、認知症などで患者自体が理解できないような方をどうするか明記 するべきだということです。そもそも、そういう方に対しては薬剤管理者というしっか りした方がいらっしゃるのでと考えておりましたが、明記しておりませんでしたので、 この部分は明記させていただきました。先ほどのパートナーの方の同意をいただかない ということに関連して、11項の304行、パートナーの方の情報もいただかないというこ とになっておりますが、万が一、追跡調査が必要になった場合にだけいただけますよう お願いしますということを、患者の同意書に入れております。これはまたあとで様式の ほうで説明いたします。  9頁の267、268行目ですが、患者の登録番号は、いつも携帯できるようにカードを 発行するのですが、このカードを利用することによって、他科他院や院外薬局で別の薬 をいただくときにお役に立てるような、活用できるものに、ツールをさらにグレードア ップしております。そのことについて、こちらに記載しております。  13頁に移りますが、その間についても、言葉の強圧的な部分などというところを整理 しております。13頁は、患者の診察前調査票について、前回は診察日にFAXをしてい ただくということでしたが、これについては患者の利便性なども考慮して、前日までと いうことにしました。内容も全面改定しております。また後ほど様式のところで説明い たします。また、この診察前調査票については、医師や薬剤師にはお見せせずに、とい う用紙でしたが、それが明記されておりませんでしたので、そちらを明記しました。360 行目からですが、処方日数については、本剤は新薬ということで、新薬の1年間のこと を書いておりましたが、それ以降についてもということで明記しております。14日分を 基本とするということにしております。  14頁については、13頁に準じて変更しております。  17頁の464行目から、男性患者のパートナーの避妊も、以前は完璧な避妊をしてい ただきたいということで、必ず実施していただきたいということでしたが、男性患者の パートナーに過度な負担をかけず、その一方では完璧な避妊も望みたいところではあり ますので、女性パートナーに対しては「なるべく同時に避妊されることをお勧めします」 ということにしました。緊急避妊についても強制ということではなく、同様に完璧な避 妊をしていただきたい選択肢として、情報をお伝えして、そういう選択肢もあるかなと いうことで、「緊急避妊」という項目を別途立てるわけではなく、避妊を失敗したときの 流れということで、こちらにそのような形で記載しました。また男性患者の避妊回避を 徹底すべき対象者は、妊娠する可能性のある女性パートナーだけでしたが、コンドーム を必ず付けていただくということで、男性患者に対してだけということにしております。 それは451行目の辺りで、相手のパートナーはどういう人かということを、特に記載は しておりません。  18頁です。献血の禁止期間が書いてありましたが、献血については多発性骨髄腫とい う疾患を考えて、期限を設けず禁止項目ということだけにしております。  19頁ですが、「逸脱時の対応」という項目を増やして、一方で「登録の取消し」を削 除しておりますので、それをこちらに合体させたような形になっております。先ほども 言いましたように、TERMS自体は、患者や医療機関の方々に安全にサリドマイドを使 用していただくためということですので、基本的には逸脱をなさらないようにお願いし たいのですが、さまざまな事情により逸脱されるような場合には、再度ご協力が得られ るように必要性をお伝えしていきたいと思っておりますので、そのようなことを記載し ております。ただ、どうしてもご理解されないような場合は、ステップを踏みながら登 録の取消しということもあります、ということをお伝えしてあります。  20頁です。社内に設置するTERMS委員会の委員の構成ですが、現在このように予定 している委員の方々がおりますので、こちらを明記しました。  21頁です。第三者評価機関の選定条件については、580行目のものについて、もとも とそういう条件でしたが、特にここに書いてありませんでしたので、これも明記しまし た。585行目以降の改善ですが、こちらは前回の検討会で皆さんとお話があったように、 行政の指示によって改訂すべきであろうということで、行政の指示により改訂を行って まいります。  24頁の個人情報の保護の部分です。個人情報については、しっかりと管理する責務が 我々にありますので、そのことを書いたわけですが、少し言葉が足りなかったと考えて、 足りなかった部分を追記しました。  様式ですが、基本的にはこちらの手順の内容に沿って変更しておりますが、特にとい うことでご紹介したい様式が様式4と様式6になります。こちらは手順のほうでもお話 しましたように、パートナーの同意をいただかない、情報もいただかないということで すが、万が一のときに情報をいただけるという約束をいただくことと、手順に合わせて、 男性患者でしたらパートナーの避妊の話などは、そのまま連動して直しております。  診察前調査票について、内容を再考して、もっと患者が答えやすいような形にしてい く必要があると考えて、全面改定という形で改定しております。様式21、様式22、様 式23になります。是非患者にお聞きしないといけないことは何かということを、再度 テーブルに挙げていって、その中で特にプライバシーにかかわるような部分については、 聞かずに済む、聞かなくてもしっかり本剤の胎児の曝露が防止できる項目があるならば、 それはほかの表現なり聞かないでいいのではないかということで、そういう部分につい てはどうしても聞かないといけないことは何かを再考して、様式21、様式22、様式23 は作成しました。  その際に、患者が何か困っていること、患者が何かしないといけないことをし忘れた、 それはどうしてなのか、そういう場合はこうしたほうがいいですと誘導できるようなも のになるように今回考えて、そのように患者がなるべく自然とTERMSを守っていける 形にできるように考えて改訂したつもりです。この様式21、様式22、様式23の改訂に 伴い、「遵守状況等確認票(A)」も、基本的に改訂をしてまいりました。様式について は、手順の内容に沿って変更させていただいたところです。以上です。 ○武谷座長 ただいまの修正案に関してのご討議・ご質問は、後ほどお受けしたいと思 います。続きまして、前回から問題になっておりました第三者評価の骨子が、那須委員 から素案が提出されておりますが、本日、那須委員はご欠席ということで、事務局の山 本さんからご説明いただきたいと思います。 ○事務局 事務局より、資料3について説明させていただきます。「TERMS第三者評価 骨子(案)」ということで、大阪大学大学院薬学研究科の那須先生より提出していただい ております資料です。まず、表裏2頁の資料ですが、「TERMS第三者評価の目的」、「調 査方法」、最後に「TERMS第三者評価委員会」、この3つの項目に分けて記載されてお ります。最初に目的ですが、円滑なシステムの運用を確保するため、医師、薬剤師、患 者等において実効性を困難にする要因を把握し、評価をする。患者、あるいは薬剤管理 者のサリドマイドに関する理解度を調査する。医師、薬剤師による患者へのサリドマイ ドに関する教育・指導の実施状況を調査する。TERMSの機能を総合的に評価し、上記 を踏まえ、TERMSの改善点について提言する、とされております。  続きまして「調査方法」ですが、こちらも1、2、3、3つに分けて記載されておりま す。まず、「患者への電話インタビュー」ですが、原則として電話インタビューとありま すとおり、電話にて行って、患者の視点に立ってTERMSに関する意見を聞いて、シス テムの改善につなげるものです。そのような目的を果たすために、インタビューに当た っては患者への負担を十分に考慮しながら、必要かつ十分な内容の質問項目を設定し、 一方で長時間にならないように配慮をするとされております。また、患者が認知症など、 やむを得ない事情がある場合や電話でのインタビューを希望されないような場合には、 紙面調査を行う、あるいは薬剤管理者が調査を代行するとされております。得られた情 報については、データベース化し管理するとともに、速やかに藤本製薬に転送するとさ れております。調査に関しては、服薬開始時およびその後、半年に1回以上実施すると されております。医師、薬剤師へのアンケートについては、書面にて行うこととされて おります。遵守状況等を記入していただいて返送していただく。そして、このアンケー トは1年に1回以上実施することになっております。調査項目についても、教育・指導 に関する実施状況を客観的に理解するための項目を設定することになっております。3 つ目のデータ処理ですが、収集された調査データについてはデータベース化して、評価 の基礎となるデータのための分析を行い、その結果をTERMS第三者評価委員会に提出 するとされております。  最後の「TERMS第三者評価委員会」ですが、委員構成についてはそちらにお示しし ているような方々とされております。このTERMS第三者評価委員会ですが、定期的、 3カ月を目処に1回開催し、アンケート調査、インタビューの分析結果を基に論議をし て、行政および藤本製薬に報告をする、そして行政との連携を図るとされております。 以上です。 ○武谷座長 また後ほどご議論いただきたいと思います。これと関連して、本日、山口 委員からご意見をいただいておりますので、ご説明いただきたいと思います。 ○山口委員 いま配られている資料4を拝見していたら、これはかなりの程度私の申し 上げたいことが入れられているのかと思いましたので、改めてということもないのかと 思うのですが、前回までの議論で、問題はあるかもしれないけれども、できるだけ早く 承認すべきだと。その点については、ほぼ意見の一致が見られたとは思うのですが、問 題がある場合において、今後それをどのように見直すかについては柔軟にという意見と、 これはやはり厳守すべきだという意見、そこの部分は実はかなり対立があったのではな いかと私は思ったのです。  この点については、私はいままでのいろいろな、いわゆる薬害と言われている裁判等 を見ても、一旦承認がなされたあとに、例えば製造方法を変えたということ、国の承認 もなしにこれを変えたなどといったことによって被害が拡大したなどといった事例があ りますので、今回はシステムに関するものですが、とりあえず不都合があっても厳守し ていくべきであろうと。そして、その見直しのための仕組みについては、何カ月か後、 あるいは何年か後という形に見直すのだということは決めておいて、その上で国がそこ に必ずかかわるといった形でやるべきではないかということです。この点は多発性骨髄 腫の患者の方からそういったご意見もあったところで、こういったご意見も傾聴に値す るのではないかということです。  そうすると、仮に一定期間厳守すべきだ、その期間はシステムはもう絶対変えてはい けないということになると、今度は、どうしてもこれは守れないけれども、緊急に必要 性がある場合もあり得ると思います。その場合において、手続きを守れないから全く薬 は手に入れられないのかとするのか、その場合においても何かしら判断をいただいて、 薬を手に入れられるようにするのか、そこのところの議論も一応必要ではないかと考え たということです。  その点については、ここに書きましたように、できれば現場における緊急避難的な判 断や運用は、避けるようにしていくべきではないかと。現場を信用しないわけではない のですが、患者の命とTERMSを守ることを天秤に掛けた場合において、現場としては 患者の命を守ろうという方向に判断が傾くことは十分あり得ることですので、やはりそ このところを国に判断していただくといった形でやっていくべきではないか、というこ とをちょっと申し上げたいということです。国が、国がというように申し上げています ので、厚生労働省としてどう思われるのかということはあるかもしれませんが、いろい ろな薬害に関する裁判等を見ておりますと、裁判所としても国に対して、そういったか なり積極的なものを求めているのかという感じがしております。このぐらいかかわって いかないと、逆にこの不作為の責任が問われることもあり得るだろうとも考えて、この ような意見を述べさせていただいた次第です。以上です。 ○武谷座長 以上を通して、まずは修正案に関してご議論をいただきたいと思います。 前回、指摘されたことを踏まえて、明らかな誤記もありましたし、閉経等の定義の問題、 あるいは妊娠に関して、個人の状況に深く立ち入りすぎるようなところがあったかどう か、あるいはプライバシーを担保するなどということが指摘されたかと思います。修正 が少し不十分だとか、ほぼ皆様方のご指摘に沿った形での修正案ということで、何かご 意見はありますか。 ○佐藤委員 いしずえの佐藤です。前回に比べて、ここでの意見が反映されて、格段に 良くなったと思っております。私がちょっと気付いたことなのですが、様式21から様 式23に関して、これは質問の内容というよりも、このような調査票を作るときのテク ニック上の問題かなと思うのですが、答える所が「はい」、「いいえ」となっているので す。時として、「はい」は何を意味するのかが曖昧なところがあります。例えば様式21 の2「服用状況について、飲み忘れはありません」、「はい」、「いいえ」というのは、飲 み忘れたのが「いいえ」なのか「はい」なのか、ちょっと混乱しますので、否定型の質 問ではなくて、あくまでも「飲み忘れたことがありましたか」、「あった」、「なかった」 などという答え方のほうがよろしいのではないかと思います。ほかの所も、「紛失したこ とがありましたか」、「あった」、「なかった」と、そのような回答のほうが紛れがなくて よろしいのではないかなと思います。 ○武谷座長 ご指摘のとおりかと思います。ここを再検討していただくということで、 よろしいでしょうか。 ○中尾参考人 はい、そのようにいたします。 ○武谷座長 質問の意味を明快にすると。 ○中尾参考人 はい。 ○武谷座長 ほかにいかがでしょうか。 ○久保田委員 私の意見でもあったのですが、背景について、新たに加えてくださって ありがとうございます。このうち、いまサリドマイドによって治療を受けている患者さ んが800人程度という、かなり具体的な数字が出てきたかと思いますが、それとプラス して、いったい何施設ぐらいで治療されているのか、あるいは何施設ぐらい必要になる のか、非常に重要な数字だと思います。前回も申し上げましたが、日本血液学会の研修 施設がおそらく500弱ぐらいあるわけですが、そこに一度にTERMSが入るとはとても 思えない。どのぐらいのスピードで何施設ぐらい、いつまでなのか。シミュレーション 的なことも含めて、その辺をかなり明確にしていかないと、技術的な話だという指摘も ありましたが、非常に重要なことですので、これがスムーズに全ての施設に入っていく までの移行期間をどうするのかを含めて、まずベーシックな情報として、何施設ぐらい 必要なのか。それに対して、できればいつごろまでにどういう形で、ということを含め て記載することが重要なのではないかと思います。 ○中尾参考人 どのような施設ですとか、どのような形でということですが、もちろん そういうことを計画はしていますが、いまのご意見はこちらの中にそれを書き込んだほ うがよろしいということですか。 ○久保田委員 そうですね。何施設ぐらい必要なのか、そのぐらいは基本的な数字とし てここに入れておいてもいいのではないかと。 ○武谷座長 久保田委員のご提案は、背景の中にですか。 ○久保田委員 そうです。いまここに1万4,000人のうちの800人程度と数字として出 されておりますが、その800人が具体的に何施設であるのか、あるいは今後何施設必要 なのかという基本的な数字として、正確なものは難しいとは思いますが、一応、推計は できると思いますので。 ○武谷座長 その辺りは、確かに実数として記載する場合の正確性が問題になりますが、 関連の学会とか、もう少しこの辺を調べて専門の団体等にお聞きして、可能ならば久保 田委員の意見に沿ったような形にいたすということで、いかがでしょうか。 ○安全対策課長 事務局のほうからも、おっしゃるおおよその施設について、わかる情 報をいろいろ精査をして、できるだけ具体的な数字を書き込めるように努力をしたいと 思います。 ○武谷座長 この修正案に関してですが、ほかにご指摘はありますか。 ○上甲委員 男性患者の避妊等々、たくさん再考いただきまして、どうもありがとうご ざいました。女性患者B、Cというのですか、修正案の2頁の108行からの部分で閉経 の定義について、もう少しご説明いただけないでしょうか。 ○安全対策課長 この閉経の定義の中で、この部分がいちばん重要なポイントの1つだ ったわけですが、本日お配りしている改定案をお送りした以降、専門家としての立場と いうことで、武谷先生にご相談をして、もう少しこれを直してはという話にもなってお りますので、事務局からそこをご紹介させていただきます。1つは、女性患者Bについ て、いま2つに分けて書いております。2番目に「その他、産婦人科医師が閉経してい ると診断した場合」ということを分けて書いてあります。しかし、この部分は産婦人科 の医師が診断するプロセスを事前に必要とする規定という格好になると、この部分での 患者の負担はどうしても出てくるということ。  それから、診断をする上で困難さが生じることが問題になるのではないか、というこ とがあります。そこを勘案して、現状ではこの部分は「自然閉経した女性」というとこ ろだけにまた戻しますが、その中の括弧の中の「50歳以上で2年間以上月経がない」と 書いている所ですが、この部分は我が国における医学的に定義をされている2つ目のカ テゴリーの「例えば」と書いている所、「更年期45から56歳女性において、1年以上 月経を見ない」という部分に置き換えては、というお話をさせていただいているところ です。したがって、2番目の「その他」の項は削って、その上で1番目の括弧内は、「45 歳以上で1年間以上月経がない」という形にしてはということで、ご専門の立場として 武谷先生からご提案をいただいて、そのように直してはと考えております。このことは 翻って、基本的に自然閉経の女性の厳密な医学的定義の部分でだけ規定する形になって おります。  一方で問題になるのは、化学閉経のケースについてどうなるのかということがもう1 つの課題としてあったわけですが、これについて縷々検討している中では、実際の診療 経験の中で申しますと、化学閉経をかなり長期間されているケースでも、その後戻った というケースが現実に存在するということ。その個々のケースについて、こういう基準 であればということが特定しにくい現状を考えると、現時点でその部分に化学閉経につ いての取扱いを書き込むことはなかなか難しいという状態になっております。したがっ て、この部分、化学閉経について、現状では規定できていないことになっているという ことです。 ○武谷座長 閉経の異常というと、早く閉経になってしまった、早発閉経、これは一般 に40歳未満ぐらいと言われており、一応、生理的な閉経年齢45歳から55歳ぐらいと いうことを考えますと、自然閉経は45歳を超えて1年間以上、月経を見ないというの が学問的にも妥当な表現である。それから、妊娠するかどうかという観点からも、そう いう縛りがあれば、通常は妊娠しないと。薬物による化学閉経、要するに化学療法です ね。抗癌剤をやられた方は、可逆的に一過性に閉経になることはあるけれども、確かに 1年全くない、あるいは45を超えて卵巣機能が戻るというのはエージングの問題がある ので、極めて稀であり、しかもそれが妊娠に結び付くというのは、まず起こりがたいの ではないか。そういう判断ですが、木下先生、ご専門の立場でいかがですか。 ○木下委員 ご指摘のとおりだと思うので、結構だと思います。 ○武谷座長 上甲委員、いかがなのでしょうか。多少これの幅が広がったことにはなり ますけれども。 ○上甲委員 はい。自然閉経について、45歳以上、1年以上月経がないというように幅 を広げていただいて、どうもありがとうございます。この点について、前回私は2点、 意見を具申させていただいたのですが、もう1つは若年の患者、無月経の患者は、おっ しゃったように可逆的であるということで、一概にそれが閉経とみなされるのは難しい、 あるいは一時的な無月経なのかということを判断するのは難しい。現場の産婦人科医に 任せると、混乱が生じる可能性があるということですね。 ○武谷座長 やはり若いほど可逆性といいますか、卵巣の回復力はありますので、ちょ っとそこまで含むのは無理があるかという気もいたしますが。 ○上甲委員 はい、わかりました。今日も配られている資料2の20頁に、30代の患者 からの意見が出されていて、まさしくここに当てはまる方からの意見です。こういう方 が現実にいらして、この人はいまのご説明どおりに当てはめると、カテゴリーCになる と。さりとて、現場の産婦人科医の先生に委ねて混乱が起きることを、私たちも望んで いませんし、検査をするガイドラインをいまから作ってくださいということになったら、 それはまた時間のかかることだということは承知していますので、現時点においてはや むを得ないのかなと。 ○武谷座長 そうですね。その場合には、かなり個別的に対応していただくことになる かと思うので、絶対的に黒か白かということはできない。大部分はこうだろうという推 測はできますけれども、断定できるかというと、それは難しいかと思います。 ○上甲委員 わかりました。この趣旨から言って、断定できないことをやってくれとい うつもりはありませんので、現段階においてはこれで承知しましたが、実際この意見募 集の20頁にある方のように、いるのは間違いない。将来的にも出てくる可能性が十分 ありますので、将来の検討課題として必ずインプットしていただきたい。何かレスキュ ーできる方法がないのかということは、検討課題に必ず挙げていただいて、この年齢層 の患者は絶対数が少ないので、将来的にたくさんこういうのが出てくる、主治医から出 てくる、患者から出てくるという数はたぶん嵩まないと思うのです。でも、1人でもそ ういう人が出てきたら、必ず検討していただくようにインプットしてください。 ○武谷座長 現時点では、個々の若い方の事例に関しては、専門医ともご相談して対処 していただくと、そういうことになりますでしょうかね。それ以外にはちょっと。そう いうのを付記するかどうかですが、そこは事務局でご検討いただきたいと思います。 ○安全対策課長 先回、そういったケースも含めて、システム上、患者にとって非常に つらい負担になるというケースに対して、改善の余地をどういうところに求めるのかと いうお話が課題であったかと思います。先ほど山口先生からご意見をいただいたところ でも、その改善についての規定の部分が話題になっておりました。基本的にはやはりあ る程度手続を踏んで改善するというプロセスは必要だろうし、そのプロセスが現場任せ になっていて、いろいろなバラエティになっていってしまうことに対して、まだ当座の 間は、当座という言い方が非常に緩かったりするといけないのですが、まずは事前に行 政のほうでの確認もした上で、これは本当にやむを得ないとか、これであれば大丈夫と いうことを、皆さんで確認をしていただいてやっていく道筋は持っておこうと。こうい う考えに立って、今回の規定の改善について、書き加えられた部分がその1つだと思い ます。  山口先生がご指摘の修正をすべきところが2カ所ある片方だけが、いま実は直ってい る状況です。21頁の9の2の改善については、行政に報告して指示に従うと、もう書い てありますが、ご指摘の点を踏まえると、20頁の「評価および改善」という部分につい て、直しきれていないところがあります。したがって、ここについて「改善すべき点が 認められた場合、あらかじめ厚生労働省、あるいは行政の了解を得て手順を改定する」 と改めるのではないかと思います。具体的に、この改める手続の今の時点の考え方とし て、個々のケースなり、あるいは実際の現場からの指摘として、TERMS委員会という ところでまず検討を行っていただいて、そちらで検討した上で改善すべき点について、 第三者評価機関にまた報告をしていただき、そちらから確かに改善すべきであるという 勧告をいただく。これが第三者評価機関について、先ほど説明いたしましたが、患者の 会の代表、あるいはいしずえの代表の方もいらっしゃる委員会の中で、こういう改善に ついて提案できるか議論をいただいて、行政のほうにも確認をして、それで対応すると いう道筋は一応作っております。これでの対応が先だってからおっしゃっていただいて いる、患者にとって非常に負担の重いケースについての対処の手立てとして考えている ところです。 ○木下委員 安全性を確保する意味で、例えば20代も含めて、30代など、閉経ではな いけれども無月経というのは、いくらでもあるわけです。Bに該当しない女性の場合に は、本剤の服用による治療方針が適切ということは内科のドクターが判断することです。 したがって、この方には処方が適切と判断する場合は、産婦人科の専門医と相談した上 でということのほうが安全であると思います。その辺はどうですか。 ○武谷座長 そのとおりかと思います。私の理解する範囲では、これは通常に月経があ って、妊娠能力があるような女性に、万が一でも妊娠することのないような非常に厳密 な基準はいま作っている。これがこのCに該当するわけです。ですから、このCの女性 を誤ってBの範疇に入れてしまうのが問題だということにはなるわけなのですね。です から、月経がない女性の扱いはCにするのか、あるいはBに入るのか、その辺りは専門 家の判断ということで。 ○木下委員 同感です。これはやはりBには入らないと思うのです。Cの所で、処方の 医師が適切と判断するということは、婦人科の専門医も含めてということのほうが安全 だと思います。 ○武谷座長 そうですね。 ○木下委員 無月経であっても、閉経ではないわけです。ですから、そういう場合に妊 娠しないような配慮も当然した上で処方すべきだと思います。 ○武谷座長 そうですね。繰り返しますが、これは間違って妊娠することがないように、 非常に厳重なガイドラインになっているわけで、そういうことを怠ってしまったことが 心配なのですから、そういうことがないように注意をしていただくということですよね。 ○安全対策課長 1つは、Cのカテゴリーに入ると、非常に煩雑なチェックを全部受け ることが前提になるのです。ですから、判断することをいちいちしないで、妊娠チェッ クをし、徹底的に避妊をしという負荷を全部掛けることになりますので、ここでいう「適 切」というのは、実は前は「ほかに治療の手立てがないというように考える場合」とい うように、多発性骨髄腫の治療のほうの判断として書いているものですので、そういう 意味でこう書いております。 ○木下委員 わかりました。 ○武谷座長 ここであまり時間をかけるつもりはないので、上甲委員のご指摘は、実際 に生理がなくて、専門医が明らかに妊娠する可能性がゼロという方までCの扱いにして、 非常に煩雑なチェックを受けるのはちょっとやりすぎではないかと。そういうことを上 甲委員はおっしゃっているわけですよね。 ○上甲委員 ですから、仮に39歳の患者がいらして、その人が自分は無月経だ、3年も 4年も無月経だと言っても、現時点ではこの中ではカテゴリーCに分類されることにつ いては承知しました。 ○武谷座長 強いて言うならば、Cの中で、「ただし、月経がない女性に関しては、専門 医の判断を仰ぐ」ということを。 ○上甲委員 私の理解はそうではありません。Bに該当しない人は全員Cに入って、C に入れば全員、処方時、毎回の妊娠チェックであるとか、男女ともの避妊を課せられる ということですよね。 ○武谷座長 そうです。 ○上甲委員 それで承知しました。 ○武谷座長 それでいいですか。 ○上甲委員 いいです。 ○武谷座長 いずれにしても非常に例外的なことなので、おっしゃることはよくわかる のですが、あまり細かい例外を想定してここで複雑にするのも、かえってわかりにくく なってしまう。 ○上甲委員 承知しました。将来的には考えていただきたいと思いますが、現時点にお いては承知しました。患者群Cに分類されると、先ほど言いましたように1回の妊娠検 査もさることながら、18頁の486行目にありますが、初回処方時、その前に服用開始4 週間前に妊娠検査をしなければいけない。そして、2週間前にも妊娠検査をしなければ いけない。そして、24時間前にも妊娠検査をして、初めて処方していいですよという段 階を踏むことになっていて、このことについてはカテゴリーCに分類されるのは、もう 仕方がない、諦める。しかしながら、治療を受ける間4週間も待たないといけないのは、 この間に病勢が悪化したらという懸念が、こういう患者には拭えないので、果たしてこ の4週間前から妊娠検査をして、そこが陰性であることを確認するのが妥当であるのか を伺いたいのです。というのは、レブアシストやSTEPSを見ましたら、4週間前では なく、もうちょっと手前なのですね。 ○武谷座長 ご質問の趣旨はわかりました。例えばできるだけ早急にサリドマイドを使 いたい患者がおられたけれども、妊娠反応をやっていなかったので、その時点で速やか に妊娠反応をやって、処方するのは4週間後になってしまうということですね。妊娠反 応で4週間遅れることが治療効果を損ねてしまうのではないかと。いまの検査だと、妊 娠反応は通常は妊娠4週で出るわけですね。プラスになるわけですね。ですから、これ は処方時にも妊娠反応をやるわけですので、4週間後プラスであっても、妊娠していれ ばそこで引っかかると。マイナスであった場合に、処方の2週間前にチャンスがあった 場合には、処方時には出る場合と出ない場合がありますね。ですから、少しそれを早め ることは、上甲委員のご提案は、4週間をもうちょっと短くできないかと。少し安全性 を見込めば、3週間とか、そういうことは可能では。木下先生、どうでしょうか。 ○木下委員 安全を見越して4週間としたのだと思うのですが、緊急性があるというな らまた話は別ですが、原則4週間としておいたほうがより安全だと思います。それはな ぜかと申しますと、3週間だってチャンスがあったのはいつかは、実は現実ではわから ないということもあります。本当に緊急性があり、病状のことから考えてとなれば、こ れまた例外的な措置として、きめ細かく、妊娠でないことを別の形でもチェックしてい くことにしたらどうかなと思います。 ○武谷座長 木下委員のおっしゃることはもっともかと思うのです。一方で、使う立場 でのお気持もある程度理解できるので、その中間案として1つ考えられることは、処方 を遡って、4週間、性交は全くなかったと。これは患者の申告ですが、それを信用する かどうか。ちょっと失礼な言い方になっていますが、それで「ない」とおっしゃった場 合には、そういう条件、その辺はいかがでしょうかね。それも1つのチョイスにはなり ますね。 ○木下委員 そうですね。これは例えば生理がきちんと毎月あって、排卵も起こってい るケースを想定していると思うのですが、若くて無月経の場合もありますので、原則は こういうことにしておいて、状況によっては例外的な対応もあり得るということにした ら先生のいわれるようなことでもいいのではないかと思います。 ○武谷座長 事務局、何かご意見ありますか。 ○安全対策課長 この点につきましても、事務局としてもずっと懸案であった話と理解 しております。現実にこの検討会でのご議論でも、とにかく、患者さんのサリドマイド に対する治療のアクセスを阻害してはいけないことが大前提だということからすると、 確かに、この薬の作用、効果からすると、一刻一秒をというような状態で使う薬では必 ずしもないという話も一方にはありますが、患者さんが実際に治療を求めて来られるま での間に相当苦労をなさっていて、すでに時間を相当費やしているケースもまた多数あ る。こういうことからすると、そこから4週間待てというのは、懸念のあるような性交 渉等が全くないということが確実なケースに待てと言うのはいかにも無理があると考え られると思うのです。ですから、確実性のない状態の場合は検査でもって4週間確認す るということですが、4週間以上全く性交がないということが確実というふうに主治医 が判断できる場合に何が何でも4週間待てということは無理なのではないか。その部分 をうまく表現できないかということで検討しては、と事務局としては考えるに至ってお りますが、いかがでしょうか。 ○武谷座長 上甲委員はそのような形なら了解し得るのでしょうか。 ○上甲委員 そうしていただけると、自分はBに入るのになと思いながら、いたしかた なくCに入った人も救済されますので大変ありがたいですし、この病気の特質として、 若くても骨の病変ができる方が大変多くて、性交渉どころではないというのが現実にあ りますので、どういう格好かわかりませんが、そういうふうなことを明文化していただ けると大変ありがたいです。 ○武谷座長 いまいちばん心配なのは処方時に妊娠反応が陰性で、妊娠していたという 妊娠の極く初期を何としてもさけたいと。それがいちばんポイントなのですね。ですか ら、4週間遡ってそういうチャンスがなかったということが事実ならば、皆さんがそれ で了解すれば、私としてはこれはそういう方向で修正できればと思いますが、確かに、 病名をアナウンスされて、さて治療まで4週間待ちなさいというのは、患者さんの心理 状態は察するに余りあるものがあろうかと思いますが、いかがでしょうか。 ○増山委員 ただ、私、ここで確認する必要があるのではないかと思ったのは、このシ ステムは、いろいろな患者さん、年齢もさまざまな方が利用されるということであれば、 すべてのことを想定するのは難しいと思うのです。いま上甲委員がおっしゃったような、 実際に稼働させると、思ってもみないようなこととかいろいろな事例が出てくるかと思 うのですが、基本的に誰がどういう手順で判断するかというところが少し不明確なので はないかと思うのです。  例えば、第三者評価機関のほうに報告するのは、基本的に、胎児への曝露、あるいは 何か薬を紛失したとか、このシステムそのものにすごく影響を与えるようなものについ ては報告することになるかと思うのですが、個々のすぐに判断して対応しなければいけ ないことについてはどういうふうになるのかなと。私は良いと思いますし、患者さんの 治療を見て不必要に待たせる必要はないと思いますので、その辺は十分に考慮した上で 問題がないという判断があればそのようにすることには全く異議はないのです。ただ、 どういう手順できちんとそれが行われるようになるかという、そういう手順を確認させ ていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○武谷座長 ご指摘のような懸念もあるかと思いますが、誰かが判断しないといけない ような、そのような曖昧な表現はできるだけ避けて、このガイドラインを見れば皆一律 に、一義的に判断できるようなものにしたいと考えてはおります。ただ、本質的に、こ のガイドラインそのものに無理があるような場合には、山口委員がおっしゃったような 形での対応と。そこは2段階に分けて考えていただかないといけないと思いますので、 いまの妊娠反応の議論も、どなたにも相談しないで、これを読めばすべてがご理解でき るような形に私はしたいと、そういうつもりで議論はしております。 ○木下委員 いま極めて例外的なことをお話になっていると思います。つまり、安全か どうかは妊娠反応だけで判断しているわけですが、産婦人科は誰でも知っていることで すが、もしも妊娠反応がマイナスであっても、卵胞刺激ホルモンや女性ホルモン、黄体 ホルモンを同時に測って、排卵の前のところで妊娠反応がマイナスだったら、なぜ4週 間待つかということにもなりますし、黄体ホルモンが出ている排卵した後の状況だった ら、マイナスでも可能性があるから再度妊娠反応をする必要があります。したがって、 ただ妊娠反応がプラスかマイナスかというだけでは、厳密に言うと、完全ではないので す。したがって、主治医の先生、つまり内科の先生だけではなくて、産婦人科の専門の 先生に、この方が本当に妊娠の可能性があるかどうかについて、相談すべきであって、 場合によっては、時期的には早くなる可能性はあると思ったのです。 ○佐藤委員 いまのことに関係するのは様式12だと思うのですが、患者さんの登録の 申請書のところに確認項目として、投与開始予定4週間前及び2週間前の妊娠検査が陰 性であったという所にチェックを入れるようになっているのですが、もしいまのことに ついて実際に例外を認めるとすると、これは実施できなかったけれどもこういう理由で 例外として4週間待たなくてもいいのではないかという、何か、理由書みたいなものを 付けるような書式がここにあるといいのではないかと思います。 ○武谷座長 そのとおりかもしれませんが、それは修正可能かと思いますが、確かに、 曖昧性を残さないと増山委員の指摘のとおりかと思います。ただ、現実に治療を受けら れる方にとって、非常に不都合が生じるようなことも避けたいということになると、原 案あるいは原案に代わるものとして、少なくとも、処方に先立つ4週間以内には性交は なかったと、ご本人がそのようなことをおっしゃっていただくことになりますね。それ で、また処方時にさらに妊娠反応をやるということですね。その後も毎週妊娠反応をや るということですね。 ○上甲委員 はい、それで結構です。 ○武谷座長 いかがですか、それで委員の方々が納得いただければ。 ○久保田委員 原則としてはそれでいいのだと思うのですが、そういう原則として起こ りにくいようなことが実際に起こった場合に何らかの形で記録として残るようなシステ ム、仕組みをつくっておくことが非常に重要だと思うのです。やられたのだけれども、 わからないままそういうことが終わってしまう、というのは大変問題だと思います。 ○武谷座長 重要な指摘かと思います。もしそれをお認めいただければ様式12にその 辺りの書式を少し変更していただくことになろうかと思いますが、それは可能ですよね。 ○中尾参考人 はい、検討いたします。 ○武谷座長 そのようなことでこれはよろしいでしょうか。 ○増山委員 いまのことに関連してなのですが、私が先ほどお尋ねしたのは、そういう 個々のいろいろなケースに、緊急に、ある程度時間をかけないで対応するためのツール というか、患者さんが誰にどのように相談すればそういうふうに対応していただけるの かというような、何といいますか、手順がどうなっているかということを私は確認した いと思うのです。例えば、緊急でない場合は、患者さんへの電話でのインタビュー等で、 こういうことに不都合があるという声を患者さんからきちんと吸い上げられるような、 そういう丁寧な対応をしていただいて、3カ月に1回の第三者評価機関の中で、どこに 問題があるかということは十分に分析して解決できるような進言をしていただければと 思うのですが、そうではない、個々に固有の、このケース固有のいろいろな問題が起き たときに、システムはそういうものを想定していないので、例えばそれについてほとん ど触れていないということもあるかと思うのです。私、前回もお伺いしたかと思うので すが、例えばそれは主治医を含め患者さん、そこの現場で対応するものなのか。それと も、それは一つひとつ藤本さんのほうに報告した上で、そこの藤本さんの中にある TERMS委員会のほうで判断するという形になるのかということを確認させていただけ ればと思います。 ○武谷座長 事務局、よろしいですか。お答えいただければと思います。 ○安全対策課長 今の規定でいいますと、逸脱という項を立てていて、そこでTERMS 委員会のほうで逸脱していくケースに関しては受けるという格好になっているわけです。 そこで、今日議論になっているようなケースについてどう対処するかがもう少し読みや すくなっていることが必要ではないかと思うのですが、基本的には、ここから外れるケ ースはTERMS委員会が受けるという格好に仕組みとしてなっています。 ○増山委員 必ずしも逸脱したケースという括りだけではなくて、想定していないいろ いろな諸問題が出た場合も含めTERMS委員会の中で十分に議論するということでよろ しいでしょうか。 ○安全対策課長 そういう想定になっていると思いますが、藤本製薬さん、よろしいで すか。 ○中尾参考人 様式の21、22、23にも記入欄がありますし、患者さんの説明用冊子の ほうにも、コールセンターのようなお電話番号を書かせていただいておりますので、そ ういうところから患者さんの声が上がったものにつきましては、TERMS委員会も3カ 月に1回ぐらいの目安で行う予定なのですが、その報告書にそういうものはすべて書き 込みますので、同じようなカテゴリーのものは合体させますが、こういう意見があった ということについてはその場でそれなりの評価なりをしていくつもりではあります。 ○武谷座長 増山委員の質問はちょっと違うのではないかと思うのです。TERMS委員 会では、TERMSの軸の解釈とかTERMSの謳っていることの解釈、その辺に忠実に応 えるわけです。それを超えたもう少し高度な判断を臨機応変に、柔軟な判断を必要とす る場合に誰が責任をもってそれをジャッジするのか。そこに突き当たった場合に、 TERMS委員会としては自分たちの職務権限を超えたものであると言った場合に、これ は困ってしまう。そういうことですね。 ○増山委員 前回も少し申し上げたように、患者さんにそれほど過失があったわけでは ないのに、例えば薬が紛失してしまったというときに、今までの流れだと一時的に処方 を停止するといったようなことが出ていたかと思うのです。だけど、そうすると、治療 にすごく差し支えがあるので、そういった場合にきちんと相談して誰が公正に判断して やっていただくかというところは大事なのではないかと思うのです。 ○長谷参考人 この登録の所の妊娠していないことの証明ということを逸脱ということ で判断するのではなくて、ここの中に最初に入れたほうがいいという議論だと理解して いるのですが。 ○武谷座長 それに関してはこういう場合もあり得るということを説明すればある程度 解決するかと思うのですが、増山委員のご指摘は、それ以外にもいろいろな予期せぬ問 題が浮上した場合に必ずしもこのガイドラインをよく読んでも解決法が見つからないこ ともあるだろう、それはどうするのですかと。そういうご質問だと思います。増山委員、 そうですね。 ○増山委員 はい、そうです。 ○武谷座長 どういう問題が実際に出るか想定しようがないので、ここであらかじめ議 論するのも確かに難しいとは思うのです。これは事務局のほうから。 ○安全対策課長 具体的には、20頁の9の1の1の「TERMS委員会による評価」とい う所の中に、565行目ですが、「本手順を運用する上で判断に困難が伴う事例」というこ とが今回追加になっておりまして、ここがこのTERMS委員会の非常に大変な役割を担 う部分として追記されているところです。この部分の判断に困難が伴う事例をTERMS 委員会がどのように処理をするのかという、その細かな規定は明確に定められる必要が あるということはご指摘のとおりだと思います。先ほどの妊娠の判断等、閉経の判断等 の個々ケースに合わせて、非常に配慮が必要なケースについてここがきちんと判断でき るのかという点につきましては、今回、メンバー構成を具体的に書かれていますが、治 療にあたる血液内科専門家だけではなくて産婦人科医療の有識者ということで、そちら の専門家もこのメンバーに加わるという形をとっていることによって、専門的に妥当な 判断ができるコミッティになっているということは明確になっているのではないかと見 ております。そういうところで工夫・対応が可能ではないかと考えているところなので すが。 ○増山委員 そうすると、TERMS委員会も3カ月に1回が開催目処ですので、その中 で対応するということになるのでしょうか。 ○武谷座長 可能な限りはそうしていただきたいと思うのですが、それを超えると山口 委員のご指摘の問題になりますよね。山口委員がいみじくも書かれていますが、非常に 重大な予想し得ないような問題が生じた場合に、そこに必ず狂いがかかることを条件と して例外的措置を認める余地を残すほうが、現場における個々の緊急避難的判断・運用 を生じさせないためにも望ましいと。これはTERMS委員会の役割を超えていますよね。 だから、山口委員のご提案をどのように具体化するかという話に延長としてつながって はくるのです。山口委員、そうですね。 ○山口委員 そうです。まさに、増山委員がおっしゃっていたところを私もここのとこ ろでは考えておりまして、基本的には、TERMS委員会については制度自体を考えるも のの一つということで、ですから3カ月に1回ということなのだろうと思うのです。で は、何とか今こうしたいのだけれども、これをどうするのということをどこかに聞きた い、どこに聞いたらいいのだろうという、そういうことですよね。 ○増山委員 そうです。 ○安全対策課長 いまの「3カ月に1回定期」という部分の後にすぐ続いて「委員長が 必要と認める場合随時開催」ということが557行目から558行目にかけて書いてありま す。そういう意味で、最初に対応するのがTERMS委員会で随時対応していただくこと になっていて、そこで対応しなければならないということについて第三者評価機関のほ うにさらにスーパーバイズしていただき、行政もそこに加わって報告を受ける、あるい は必要なケースについては事前の了解をしてゴーサインを出すという格好で流れていく というふうに仕組みとして考えております。 ○武谷座長 いまのご説明は、TERMS委員会で処理しがたいことは評価委員会にもこ れを上申して、そこには国もある程度コミットしていくということですよね。増山委員、 いかがでしょうか。山口委員の提案も、そういう形で具現化できることにはなりますよ ね。 ○山口委員 承知しました。 ○武谷座長 ありがとうございました。これは重要なところなので少し時間をかけまし た。少し戻りますが、修正案はいまのような形でよろしいでしょうか。あと、第三者評 価の案もご説明しましたが、これに関してはいかがでしょうか。この前、佐藤委員のほ うから評価委員に関していろいろご指摘をいただいたと思うのですが、これでいかがで しょうか。これはあくまでも骨格でありまして、最終案は語句の言い回しなどの多少の 修正が入る余地があるのかもしれません。 ○上甲委員 患者が答えやすいような文言をたくさん含んでいただいて非常に安心して います。ありがとうございます。この患者の電話インタビューは患者さんが本当のこと を積極的に話したいと思って話さなければ、構えてしまったのでは意味のない形骸化す ると思います。私たちも、会員さんだけではなくて、患者さんアンケートをたまにやる のですが、私たちですら、お誘い文句をすごく気を使うのです。「答えたいのよ」という 文句にして、本当に自由にいろいろなことを話してもらえるようにする依頼の文言には すごく気を使いますので、たぶん、藤本製薬さんから患者宛に郵送する手紙が肝だと思 いますので、ここを、あなたのことを調べるのよ、という風に感じると、患者さんは構 えると思いますから、システム全体を評価して、より良くなっていくのよ、あなたのた めになるのよ、ということがその手紙に盛り込まれていたならば一生懸命に積極的に答 えられると思いますので、手紙の文言はすごく大事だと思いますから、僭越ですが、も しお手伝いさせていただけるならばそれをさせていただきたいと思いますし、よろしく ご配慮ください。お願いします。 ○武谷座長 その辺はよろしいですね。ありがとうございました。山口委員のご提案に 関連して、資料3の那須参考人の提出資料の末尾に「第三者評価委員会は行政との連携 を図る」という記載はあるのですが、こういう表現で、不測の事態で緊急の重大な判断 が生じた場合の体制としてどうでしょうか。いまの議論では、一応、最終的な決断を下 すステップになるという。 ○山口委員 差し支えないと思います。ただ、第三者評価委員会には行政関係者が入っ ていて、TERMS委員会自体は藤本製薬さんの中でしたっけ。ここに国がかかわるとい うことではないですね。 ○武谷座長 私の理解だと、TERMS委員会はTERMSの字句どおり、内容に沿って忠 実に治療がなされているかどうかと。それをチェックするということで、このガイドラ インを超えた高次の判断が起こった場合にはこの第三者評価委員会にそれを提起する。 ○山口委員 私は少し勘違いしていましたが、不測の事態のときには直接第三者評価委 員会ということでよろしいのですか。 ○武谷座長 いまの議論だと、TERMSの第三者評価委員会に図る、そこでは行政もか かわってくるといいますか、当然、いろいろな意味でコミットメントが必要かと私は考 えますが。 ○山口委員 そこのところはどうなのでしょうか。私は少し混乱しているかもしれない ので確認させていただきたいのですが、私はTERMS委員会なのかなというふうに思っ ていたのですが。 ○武谷座長 役割分担に関して、どのようにご説明したらよろしいですか。 ○安全対策課長 TERMS委員会というところの位置づけについて、もう一度クリアに しておく必要があるかと思うのですが、ここは社外の委員会で構成されるということに なっております。実際の患者さんが直接連絡する先はTERMS管理センターで、これは 藤本製薬が設置をしている実際の実務の拠点になります。そこに寄せられた個別の問題 も含めて困った話というものについて、この社外のTERMS委員会の専門家の意見、お 知恵を拝借して、こういうふうに対処したらということを考えていただいて、それを第 三者評価機関にチェックをしていただく。第三者評価機関は、あくまで公正中立な立場 で、もちろん患者さんの立場に立って機能することを目的としておりますので、こちら がそういう対応が妥当適切かどうかということについて評価をいただく。あるいは、そ の改善の提案について、もっとこうしたほうがいいというならばその提言をいただくと いう役割分担になっております。  その部分がなかなかわかりにくいところがありますので、絵をご覧いただいたほうが 説明としてはスッキリしやすいと思うのですが、資料4に事務局のほうで絵にしたもの を用意しております。これをご覧いただいて頭の整理に役立てていただければと思いま す。いま申し上げたようなTERMS委員会と管理センターと第三者評価機関の関係と、 その右側に行政の位置づけ関係、相互の関係を図示したものを用意しております。 ○山口委員 この20頁を拝見すると、先ほどの不測の事態につきましては第三者評価 機関ではなくてTERMS委員会ということだろうと思うのです。ですので、その上で、 TERMS委員会は国がかかわる形ではなくて有識者からということだろうと思うのです。 それから第三者評価機関に行って、そしてさらに厚生労働省に行くという流れですね。 私は、特にそういった不測の事態などについて、仮にこのTERMS委員会が判断をする というようなことであるとすれば、特に緊急のものであるので、ここのTERMS委員会 と国との間に1つ矢印があるべきではないかという気がします。 ○武谷座長 いかがでしょうか。そのTERMS委員会と第三者評価機関、国とのかかわ りについて、その図式についての議論になっていますが、増山委員もこの辺りをご指摘 されているということです。 ○安全対策課長 この絵で、2枚目に個別事例の処理の流れという格好で、まさしくい まのようなケースを想定して、どういうふうに話が動いて流れていくのかということを 書き出しているのですが、基本的に、TERMS管理センタープラスTERMS委員会の所 と行政の所の間にラインがないのはまずいと考えておりまして、右側の厚生労働省、ピ ンクの所とTERMS管理センターの所の間に、伺い・了解というような、行って来いの 関係のプロセスを予定しているという図になっています。実際のオペレーションをでき るだけスムーズにするためにも、こういう流れ図をきちんと規定しておいて運用に持ち 込むことが大事ではないかと考えております。 ○武谷座長 よろしいでしょうか。 ○増山委員 いまの説明でかなりスッキリしたと思うのですが、もう1つ、最後に確認 なのですが、前回の議論の中でも、第三者評価機関の運用というのは、あくまでもここ はTERMSのそのシステムが潤滑にうまく流れていくために問題点を分析して評価して 提言をするというような機関であって、何か問題を解決したり、こういうふうにしなけ ればいけないというような、ここ自体が主体的にTERMSのシステム自体に何か働きか けることはしない。私はそういう理解なのですが、それでよろしいですよね。 ○安全対策課長 那須先生にも確認しましたが、そのとおりです。ここが第三者である ためには判断に直接そのままかかわってしまうとその忠実な立場にならなくなるという ことがいちばん大事なのだ、というふうにおっしゃっていました。 ○増山委員 それで、私はそういうことを受けて、では判断が必要な場合はどこでやる のですかということだったのですが、それは、TERMS委員会が特に難しい問題であれ ば厚労と連携をとって行っていく、ということでよろしいでしょうか。 ○安全対策課長 はい、そのように考えております。それを第三者評価機関のほうでも きちっとチェックをいただいて、公明正大な格好で動かしていくということで想定して おります。正確に言いますと、TERMS委員会のお知恵を拝借してTERMS管理センタ ーのほうから私どものほうにその相談があって、妥当と考えられるものについて確認を しつつ進めるという形、それがこの絵の正確な説明です。 ○増山委員 はい、わかりました。 ○武谷座長 いずれにしても、想定外のことが起こった場合では、誰かがその正しい判 断を責任を持って下すような流れにしておいてほしいということかと思います。そうい うことで是非お願いしたいと思います。そうしますと、いまの修正案、山口委員のご提 案、あるいは第三者評価、これに関していまご指摘していただいたことはそれを何らか の形で組み込むということでこれはご了承いただけますか。 (異議なし) ○武谷座長 ありがとうございました。では、お認めいただいたとさせていただきます。 続きまして、事務局から提出されておりますのは藤本製薬のサリドマイド製剤の安全管 理に関する確認事項ですが、これは事務局からご説明いただきます。 ○安全対策課長 資料4です。実は、先にこの資料を使ってご議論いただいてしまいま したので今更なのですが、この資料を用意しましたのは、今日も含めてこれまで3回の 検討会のご議論がどのようなことでこのTERMSを含めた安全管理についてご議論いた だいたのか、それをできるだけクリアにしておきたいと考えました。ここまでのご議論 で明らかに検討会総意として異存のないところと思われるところを事務局案として整理 した紙がこの資料4です。構成は2つになっていますが、まず、基本的な考え方と対応 ということで3つ挙げています。このサリドマイド製剤については胎児曝露等による健 康被害を二度と起こさないということを目標に、患者が治療を受ける権利や人権にも配 慮し、実効性のある安全管理を実行すること。厳格な安全管理方策、このTERMSとい うのは患者に必要な治療を確保するために関係者が守るべき事項であって、藤本製薬、 医療関係者、患者及び行政がその役割を認識しそれぞれの責任を果たすべきものである ということ。これについて共通の理解であったというふうに考えております。  それから、サリドマイド製剤の承認時にTERMSの実施を藤本製薬に義務付け、関係 者の理解と協力によって適切に運営させること。これはきちんと守るということについ てしっかり義務付けてほしいということも、この検討会の総意であったかと思います。  それから、第三者評価委員会の活用により個々の事例の対応を含め、TERMSの運営 の透明性を確保するとともに、遵守状況及び安全管理の効果がモニターされ、継続的に 適時適切な改善が行われるものにするということ。これも、現行のTERMSの運用をし ていく中で改善すべき点をきちんと対応していくことを補償するということも大事な話 ということでご意見が出ておりましたし、これが検討会としての総意というふうに考え ましたのでこのように書かせていただきました。それを図として説明したものは、先ほ どの議論でご覧いただいた全体的なそれぞれのメカニズムがどういう役割を担っている かという図が2枚付けてあります。  それから、こうした検討会における議論として、基本的に一致していると思われると ころのほかに、非常に重要な話として行政の取組みが重要な争点であったというふうに 理解しておりまして、これにつきまして5点ほど挙げております。安全管理方策の実施 に関しては、承認の際の条件とするということとともに、当該方策の変更等についても 国の関与の下で透明に管理されるものとするということです。これは事前にきちんと確 認をして、承諾を得て、それから改訂がなされるということを意味しております。  TERMS実施の適切性をモニターする第三者評価委員会に対して、サリドマイドによ る健康被害再発防止の観点から、行政が関与及び支援をする。これも、委員の構成の中 に行政の人間が入るということや何某かこの委員会の運営についてサポート、お金を出 せないかというご提案について、行政としてもやりたいということをここに書いており ます。  先天異常モニタリングについて関係学会の先天異常サーベイランスや関係学会の専門 家の協力の下、国及び医薬品医療機器総合機構における先天異常に関する副作用等の評 価体制を充実するとともに、TERMSの適正な運用にも資するものとする。これも、実 際に今後このサリドマイドが使われるようになっていく中で、万が一のことも考えると、 先天異常に対する感度、精度、判断の的確性、こういったことを担保するために体制の 強化を図るということを行政として考えているというふうにご説明した点です。  もう1つ、万が一、サリドマイド製剤により服用者や子に健康被害が発生した場合、 副作用被害救済制度による救済が可能となるよう対応に努めるとともに、患者の治療を 確保しつつ、改善等に係る措置を速やかに実施する。これも、先回の検討会のご議論で、 万が一のケースのときの被害にあわれた方に対する手を差し延べるという部分がどうな るのかというご質問に対するお答えとして書かせていただいております。  5番目の、TERMS導入の移行期や患者が他の治療用途において使用するために継続 される個人輸入についても、患者や医師の責任の下で適切な管理がなされるよう電子的 な登録管理の仕組みづくりを進めるということ。これも、私もSMUDと呼ばれている 登録管理のシステムをきちんと運用することも必要というふうに考えておりまして、こ れについても対応を進めていくことを行政として考えているということを明らかにして おります。こうしたことを行政の取組みとして行うということを明確にして、この検討 会におけるご議論の中で明らかになったこととして紙にまとめさせていただいたもので す。 ○武谷座長 いままで議論していたことをこういう形で集約していただいたものかと思 います。確認書に関しまして、これは藤本製薬、行政、あるいは医療にかかわる方、患 者さんのご協力、いろいろな方がこの確認事項を遵守していただくことになりますが、 こういうことでご理解いただけますか。 ○佐藤委員 4点ほどになります。第1点は行政の取組みについてですが、この中で、1 項目、いしずえがお願いしていた事柄で欠けていたことがありまして、それはこのサリ ドマイドの危険性に関する教育と周知について行政、国は何をするのかというところが 抜けておりますので、これを是非入れていただきたいというお願いです。  それに関連する資料として、参考資料の2ですが、この検討会の第1回で参考人とし てご講義をいただいた木田先生に「サリドマイド胎芽病に関して医学教育で教えるべき 内容について」というものをまとめていただきまして、これはごく概略というか、大き な項目をただ並べているだけのものですが、これを具体化したものについて、きちっと 医師国家試験の出題基準に採用することも含めてご検討いただきたいというふうにお願 いいたします。これが第1点目です。  第2点目は、いまの行政の取組みの(4)なのですが、被害の救済のことなのですが、 (4)を読むと、「万が一、サリドマイド製剤による服用者や子に健康被害が発生した場 合」とありますが、この「子」というのは胎児を含むということでよろしいですか。も しそうであれば「胎児」というふうに明記していただいて、法律上子どもと言った場合 に出生前の胎児は含まないと聞いたことがあるのですが、胎児の死産あるいは胎児の死 亡ということも救済の対象になることを明記していただきたいと思いますが、いかがで しょうか。 ○安全対策課長 いまの点につきましては、ここで首の振り方をきちんとしておかなけ ればいけないのですが、いまここで書いている「子」という部分につきましては、産ま れたお子さんのことを想定して書いていて、胎児に被害があった場合の話につきまして は、むしろ、女性の服用者の方のほうで例えば胎児死亡等の場合に、負担はその服用さ れた母体のほうにかかってくる部分について救済制度の適用対象としては考えられると いうことで、書き分けて服用者と子というふうに書いているということです。 ○佐藤委員 それであれば、「服用者(服用者の胎児を含む)」というふうに明記してい ただけないでしょうか。 ○安全対策課長 基本的には、この法律上の規定の中の話ですので、具体的な表現や、 どのような内容を意味するかということについてはご相談させていただきたいと思いま すが、現状で、法律上の文言からの関係でいくと、このような書き方になるということ でご理解いただきたいと思います。 ○佐藤委員 では、表現は後日ということで、この服用者の中に胎児が含まれるという 理解でよろしいということですね。 ○安全対策課長 胎児直接に対する救済は法律上の規定の中では現状難しいという話が あってのことなので、ここで我々が考えているのは、その胎児に対する影響を介して母 体のほうに現れた影響、実際に母体に負担がかかった部分について考えているというこ とです。 ○山口委員 私はこれの判定部会の委員もやっておりますので、その点について少し申 し上げますと、結局、今、救済の対象になっているのが疾病と後遺障害と死亡だけなの です。ですので、胎児が例えば死亡したという場合においては救済の対象には現状では ならないということなのだろうと思います。現状においても、健康被害が生じた場合に は、この間の判定部会で紹介された除外医薬品の報告においても、サリドマイドは除外 医薬品の指定を受けていなかった記憶がありますので、現状でも救済の対象にはなるの ですが、おそらく、胎児を含めるためには新たな立法であるとか、そういうことが必要 になってくるのだろうなと。ですからそういうふうなお答えになるのだろうなと思いま すが、そういった事情だということです。 ○佐藤委員 いまのような解釈であると、いしずえはこの点については容易には納得で きないということだけいまここで述べさせていただきます。3点目は、行政の取組みの (1)の安全管理方策の変更に関する点で、国の関与の下で透明に管理されるものとす るということなのですが、いしずえとしては、細かい点は除いて、これは国の許可要件 とすべきだと前に意見を述べさせていただいたのですが、「関与の下で」というのは少し 曖昧な表現ではないかと思うのですが、ここについてももう少し具体的に書いていただ くことは可能でしょうか。 ○安全対策課長 文言表現について、ご趣旨の点についてご提案いただければ検討する ことはやぶさかではございません。それで、4番につきましては、現行の副作用被害救 済制度の中での話としてはこうであるということを書いております。ただ、それ以外に、 実際にこのサリドマイドにおける健康被害の問題は、服用された患者さんご当人の問題、 副作用による健康の被害の問題だけではなくて、全く責めのないということで、責任の ないそういうお子さんというか、胎児も含めて、その方々に出てくる被害というものに ついてどのように手を差し延べるかということが大事と私どもは考えております。これ につきまして、今の副作用被害救済制度でできることは何なのかというのをここに書い ているのであって、それ以外の手立てについて考えないということではありません。そ れについてどのような手を差し延べる手があるのかということについて、これは藤本製 薬さんにも検討いただいていますし我々の側でもどのようなことができるのかというこ とについて検討を続けることが必要ではないかと考えている。今の考えとして申し上げ られるところはこのようなことですので、その点はご理解いただきたいと思います。 ○佐藤委員 4点目は先天異常モニタリングについてです。ここの文言を読みますと、 実際には何をやるのかよくわからなくて、今の段階で文字にできる限界もあるのかなと いう点も理解はしますけれども、この点については、いしずえはサリドマイドが承認さ れるか否かという話が出てくるずっと前からこれに関しては国の仕事として先天異常モ ニタリングをやってくださいというお願いはし続けていることですので、今後も引き続 き、これは医薬食品局という範疇を超える話ではあると思うのですが、厚生労働省とし て先天異常モニタリングそのものの充実ということについて是非ご検討いただきたいと いうふうにお願いさせていただきたいと思います。  もう1つだけ、これは文字の誤りなのですが、1行目の「暴露」が日偏が付いていま せん。もう1つの3枚目でしたか、この図解の所の「暴露」も日偏が付いていませんの で、そこをご訂正いただければと思います。 ○武谷座長 これは日偏が入るのですよね。 ○安全対策課長 1点抜けていると言われた部分があったので、その点についてですが、 確かに、教育ということ、あるいはこのTERMSそのもののもっと幅広い周知というこ とにつきましては、前回の検討会で厚生労働省としての取組みについてということで紙 をお出ししております。その中に挙げていたものが今回のこのペーパーには含まれてな いということと理解しておりまして、その安全管理方策等の周知及びその実施に係る関 係者への協力依頼というふうに3番目の項目で掲げていたことがもう少し言葉を補って ここに盛り込まれるということが必要ということと理解してよろしければ、そのように 対応させていただきたいと思います。 ○佐藤委員 それで結構です。 ○武谷座長 教育に関しては、この資料でDVDとか何かがありますね。これをうまく 利用していただくと教育にも資することになるのでしょうか。 ○安全対策課長 それにつきましては、患者さんあるいは医療関係者に対する教育の問 題の話のほかに、医学教育あるいは学校教育の中における話としてというご要望を承っ ておりますので、それにつきましては関係のその部局、部署に我々のほうから要請をし ていって対応するということでやっていますので、その際に、木田先生からいただいた ものも含めてお伝えをして検討いただくように要請していくということでいかがかと考 えております。 ○武谷座長 国家試験の内容までここで決断を下すのは少し無理があろうかと思います ので、そういうものを伝えていただくということでよろしいですね。 ○佐藤委員 趣旨としましては、いま課長が言われたように、教育の重要性というのは 2つの点があります。第一に、サリドマイドが承認される場合には日本にいるすべての 人がこの製剤の危険性について十分理解していくということが、被害を防止するために 非常に重要なことだと思っています。そういう意味では、広く一般の生徒さん、学生に 対する公的な教育の中でサリドマイドの危険性に対する教育がなされることが重要です。 第二に、特に医療関係者への専門教育においては、サリドマイド製剤そのものの危険性 とともに、サリドマイド胎芽病という病気がどんな障害であったのかということも含め て、きちっと理解していることが重要であります。それからまた、万が一、被害が起き た、あるいはサリドマイド胎芽病と似た障害を負った子どもが産まれたときに、それが サリドマイド製剤によるものかそうでないのかの鑑別診断を行うためにも特に医学教育 にそのことが盛り込まれることが重要であるという、そのような認識からのお願いです。 ○武谷座長 おっしゃることは十分理解できます。それはそれなりに関係各位にお伝え いただくということですが、そういうことでよろしいですか。 ○佐藤委員 はい。 ○武谷座長 ここで結論を出すべき問題ではないかと思います。 ○七海委員 いまのご説明の(5)ですが、「TERMS導入の移行期や患者が他の治療用 途において使用するために継続される個人輸入についても、患者や医師の責任の下で適 切な管理が行われるよう電子的な登録の仕組みを進める」とあるのですが、我々、個人 輸入が管理ができないから発売に持っていったというふうに基本的に考えていたのです。 それで、この前、適用外使用もきちんと追跡しますよという藤本製薬さんのご説明もい ただいたのです。これだと、ある一定の時期は移行期間として仕方がないと思うのです が、常に個人輸入というものを今後とも認めていくような文案に見えるのですが、その 辺はいかが理解させていただいてよろしいのでしょうか。 ○安全対策課長 個人輸入を完全に禁止する、排除するということが現実的には困難だ という認識は確かにあります。ここで考えているのは、永続的にそういうルートを想定 しそのまま残していこうと考えているわけでは決してありません。ここで、あくまで、 現在個人輸入の手立てでなければアクセスできない状態におられる患者さんに対して、 その道を断つようなことはしない、その部分については適切な管理をする必要があるの だ、ということを意図して書いているものですので、大部分は、今回のこのTERMSに よって管理されることになるということを基本としております。その点は考え方として ははっきり申し上げておきたいと思います。文言上の表現として誤解がないようにとい うご指摘だと思いますので、それについて工夫をさせていただければと考えております。 ○武谷座長 これを推奨するとか、これを積極的に容認するという意味ではないという ことで読み取れるのではないかと思いますが、この表現はよろしいでしょうか。 ○七海委員 それは仕方がないと思うのですが、登録システムづくりは今の時代に仕方 がないのかなという気はしますが、折角、藤本製薬さんが発売されて、外国からの輸入 というものはなるべく禁止していただきたいというのが思いでございます。そうでない と、安全管理ができないと思いますので、その辺で、これだと「移行期や患者が他の治 療用途」と書かれると、移行期だったらわかる。でも、発売後例えば3年も5年も経っ てもまだ続くというのであれば、それは少し違うのではないかという気がしましたので。 ○武谷座長 そのとおりかと思いますが、ここに「移行期」と限定書いておりますので、 それをストレートにとればそういうことは認められないということになろうかと思いま すが、そのように解釈していただいていかがでしょうか。 ○安全対策課長 文言上の表現についての工夫としては、いまの「治療用途において使 用するために継続せざるを得ない場合の」という修正はその意図とするところがもう少 し出るかと思います。 ○七海委員 そうしていただければありがたいです。 ○武谷座長 そうすると、今の時点では最終的にどのようなことになるのですか。 ○安全対策課長 (5)の「TERMS導入の移行期や患者が他の治療用途において使用す るために継続せざるを得ない場合の個人輸入についても」ということで、「患者や医師の 責任の下で適切な管理がなされるよう電子的な登録管理の仕組みづくりを進める」とい うふうに改めさせていただきたいということです。 ○武谷座長 それでよろしいですか。 ○七海委員 それで結構です。 ○武谷座長 それ以外に、この確認事項に関してご指摘はありませんか。佐藤委員から 何点かご指摘がありますが、それはまた検討していただくということで。 ○安全対策課長 いまの(5)については七海委員からご了解をいただいたところです が、ここまでのご指摘について一応確認しておきたいと思います。基本的な考え方の(1) の所、「胎児暴露」の誤字を訂正する。2の「行政の取組み」の(1)ですが、「国の関与」 というのが不明確ということですので、「国の了解を得て透明に管理されるものとする」 というふうに改めてはいかがかと思います。それから、抜けているという部分ですが、 (6)の「安全管理方策等の周知及びその実施に係る関係者への協力依頼を行う」とい うことをここに追記する。こうした修正を確認事項について行いたいと思いますが、不 足な点がありましたらご指摘いただきたいと思います。 ○武谷座長 佐藤委員、いかがでしょうか。 ○佐藤委員 そうしましたら、提案なのですが、(3)と(4)に関して、「いしずえから このような意見が出ている」ということを併記していただくことが可能であればお願い したいと思うのです。 ○安全対策課長 「このような」という意見の部分は文面をいただけますか。 ○佐藤委員 いますぐには完全なものは思いつきませんが、先天異常モニタリングにつ いては、先天異常モニタリングそのものを国の事業として行うべきであるという意見が いしずえから出されたということをここにおいて確認したというようなことです。(4) については、胎児の被害に対して、この場合は生きて産まれれば子どもが補償の対象に なるのですから、亡くなってしまった胎児に対して直接何かというのは難しいとしても、 その胎児の親に対しての何らかの補償ということに関して、ここの副作用被害救済制度 の対象とならない場合についても検討すべきであるという意見が出たということですか ね。もう一度言いますが、(4)については、副作用被害救済制度の対象にならない場合 においても、胎児の死亡等においても何らかの救済措置がとられるべきであるという意 見がいしずえから出されたと。そのような表現でいかがでしょうか。 ○安全対策課長 文案の正確なところについては後ほど確認をさせていただければと思 いますが、ここの検討会でこういったことが確認されているということとして書くこと はやぶさかではありませんが、検討会全員の総意として合意をした話というものとご意 見として出ていた部分については区別はさせていただきたいと思いますが、よろしいで すか。 ○佐藤委員 結構です。 ○武谷座長 それ以外はこれでご了承いただけますか。 (異議なし) ○武谷座長 ありがとうございました。この確認事項は、当然、本日出席していただい ている藤本製薬にとっても重く受けとめるべきものかと思いますが、それを踏まえて、 藤本製薬専務取締役の藤本雅也様に少しご発言いただきたいと思います。 ○藤本様 藤本製薬の藤本でございます。本日を含め計3回にわたりましてお時間を割 いていただき、サリドマイド安全管理手順に対し貴重なご意見を賜りましたことを深く 感謝いたしております。併せまして、TERMSの試運転に際し、病気を押してボランテ ィアとしてご参加いただきました患者の方々に対し心より御礼申し上げます。サリドマ イドの申請企業といたしまして、当検討会で、また、パブリックコメント等を通じお寄 せいただきました建設的なご意見をTERMSに反映させ、今後の運用に充てたいと考え ております。また、将来的には第三者評価機関のご提言を真摯に受けとめ、より良いシ ステムへと改善改良すべく行政のご指導を通じて進めていきたいというふうに考えてお ります。同製剤をお待ちになっていらっしゃいます患者様への安定供給と、二度と被害 が起こらないよう安全管理の徹底を、企業の責務といたしまして社を挙げて取り組んで まいりたいと考えております。今後もさらなるご指導をよろしくお願い申し上げご挨拶 とさせていただきます。本日は、皆様、ありがとうございました。 ○武谷座長 ありがとうございました。委員の方々、会社側に対して少しご要望やお話 になりたいことはありますか。 ○七海委員 内容を見ると、藤本製薬さんのMRの方の役割が非常に重要だと思うので す。したがって、MRの方の教育とか、そういうものを十分にやっていっていただきた いという一点でございます。 ○武谷座長 その点はよろしいですね。 ○藤本様 わかりました。 ○山口委員 もう1点は、これは厚生労働省にもお願いという部分もあるのですが、少 なくとも、ある程度きちんと軌道に乗るまでは担当者の方、これにかかわった方、よく わかっている方の人事異動をなくするというか少なくするというか、できるだけ長くか かわっていただくことをお願いしたいということです。これは希望ですけれども。 ○木俣委員 私どもサリドマイドの薬剤を扱わしていただく者といたしましては、皆様 のお手元の29日までのパブリックコメントで、私どもの薬剤管理者からの意見としま して、サリドマイドについて麻薬、覚醒剤、睡眠導入剤のように、乱用とか暴力団等に よる不正流通というようなことが考えられない薬剤だからこれほどの管理レベルでとい うような意見もありましたが、この検討会、また、サリドマイドの制度の安全管理手順 というのは大変安全性が担保された優れたシステムだと思いますので、私どもの社内で も管理者にその辺を徹底させまして、流通における安全管理を徹底して実行していきた いというふうに考えます。よろしくお願い申し上げます。 ○佐藤委員 いま藤本製薬の藤本専務様からご挨拶をいただきまして、初めて会社を代 表する方からのきちっとしたお言葉を伺えてよかったと思っています。最後に一言だけ、 感情的なことを言わせていただきたいのですが、それはサレドという商品名についてで す。これは藤本製薬さんが決めることですので、いしずえがとやかく言うことでは本来 ないのですが、率直な被害者感情だけから言わせていただくと、この商品名に関しては 非常に残念です。いしずえの内部で、こんなふざけた名前はない、という声がたくさん 寄せられています。サレドという言葉は、日本語で言うと、「たかがサリドマイド、され どサリドマイド」ということを連想させます。そういう意味で、この製剤の重みをどれ ほど考えてこの名前を付けられたのかということをかねがねから疑問に思っておりまし た。本当はこんなことは言いたくないのですが、そういう率直な被害者感情がおそらく 今後も残るだろうということだけはご理解いただきたいと思います。 ○増山委員 TERMSを遵守していくということは患者さんにとってはかなり負担にな ることだというのは、私たちこの議論に参加した者は十分理解できたのではないかと思 っています。ただ、これはまだいろいろな煩雑な面や、十分に患者さんにとって使いや すいようなシステムになっているかというと、おそらく不十分な部分がたくさんあると 思うのです。ただ、私自身は、このTERMSがあることによって適正な治療を受けるこ とができる機会を確保するということに必ずつながっているのではないかと思っていま す。また、この議論に加わった皆さんは、このTERMSが実際にスタートした後もきち んと稼働していくように、是非、全力でサポートしていただけるようお願いしたいと思 います。 ○武谷座長 ありがとうございます。このような検討会、TERMSを議論することによ って、はからずもいしずえの会の方々あるいは患者様の会の方々と理解しあうようにな りつつあるということかと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○遠藤委員 病院で実際にサリドマイドを扱うのは、たぶん、私どもの所だろうと思う のですが、1回目のときに上甲委員からも言われましたが、確かに煩雑な制度なのです が、病院の中でこの制度のシステムをきっちり運用して、安全に服用されるように我々 会員に周知をすることと、病院の中でシステムをきちっと動かしていくことをお約束し たいというふうに思っています。 ○上甲委員 骨髄腫の患者さんの中には、すごく煩雑だとおっしゃる方がいるかもしれ ませんが、こうやっていしずえの方々が協力してくださって、専門の先生方が真摯に議 論してくださってできたものだということを日本中の1万数千人の患者さんにしっかり 知っていただいて、患者さんが自覚しないといくらきちんとしたシステムであっても機 能しませんので、患者さんにしっかり広報するのが私たちの務めだと思っています。多 大な協力をくださったいしずえの皆様、本当にどうもありがとうございました。 ○武谷座長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。本日、サリドマイドの 安全管理手順TERMSについて何回か議論したこと、さらにそれに基づいて修正を加え たと。それから、第三者評価委員に関する案についてもご検討いただき、いろいろな予 想しがたい事態が生じた場合の対応のあり方についてもご議論いただいた。それから、 いちばん大事な国あるいは藤本製薬、患者さんの会、それぞれが基本事項を確認してい ただいて、安全管理を実効性を深めていくということで、ある程度、皆さんの共通の理 解が得られてきたのではないかと思うわけです。ただ、その確認事項に関して、基本骨 格はこれでお認めいただいたということですが、一部、佐藤委員からのご指摘のことを どのように盛り込むかということもあります。 ○安全対策課長 佐藤委員から、いしずえの要望ということについてここに書き込んで ほしい、というご提案ですが、事務局としましては(7)として、「なお、3について国 による事業として行うべきであること、(4)について胎児の死亡自体に対する救済措置 を講ずるべきことについてサリドマイド被害者から要望がなされている」ということを 書き加えてはいかがかなと思いますが、いかがでしょうか。 ○武谷座長 佐藤委員、そういうことでよろしいですか。 ○佐藤委員 それで結構だと思います。 ○武谷座長 そうすると、確認事項は全員がご承認いただいたという判断でよろしいで しょうか。 (異議なし) ○武谷座長 ありがとうございます。それでは、予定された議題はこれで終了いたしま したので、事務局から案のご案内をしていただけますか。 ○安全対策課長 本日は、本当に活発な、真摯なご議論をいただきまして誠にありがと うございました。本日の議事録につきましては、ご出席の皆様の了解を得た上で公表さ せていただきますので、よろしくお願いいたします。これまで合計3回の検討を行って いただきまして、サリドマイドのこの安全管理手順TERMSにつきまして、相当な改善 をすることができたと事務局としても思っております。そして、この検討会の皆様にも 納得をしていただけるような、そういう成果としてまとめてこれたのではないかと思い ます。事務局としても大変ありがたかったと感じており、深く感謝しております。この TERMSにつきまして、ここまでおまとめいただいたものにつきまして、医薬品等安全 対策部会、この審議会のほうの部会に議論をいただくように進めさせていただきたいと 考えております。その点についてはよろしいでしょうか。 (異議なし) ○安全対策課長 ありがとうございます。本日まで皆様にご議論いただきましたことに 対しまして、本日出席しております医薬食品局長より一言ご挨拶を申し上げます。 ○医薬食品局長 局長の高井でございます。3回にわたりまして大変ありがとうござい ました。いろいろなご意見、ご審議をいただいて、私も聞かせていただいて本当に大事 な案件をご議論いただいたなと思っております。国としても、いただいたご意見を踏ま えましてしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、皆様方にはこれからまた何か とご指導いただくと思いますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○安全対策課長 事務局からは以上でございます。 ○武谷座長 これで本日の検討会を終了いたしたいと思います。3回にわたりましてい ろいろとご協力いただきましてありがとうございます。いしずえの会の方々の主張も、 十分、私たちも胸をうたれるものがあり、一方で患者さんの方々の気持も大変切実であ るということで、このような検討会を通じて双方が理解していただいたということは大 変ありがたいことかと思っています。それでは、皆様方、いろいろとお助けいただきま してありがとうございました。 照会先:医薬食品局安全対策課     03−5253−1111