08/9/17 「安心と希望の介護ビジョン」第3回会議議事録          「安心と希望の介護ビジョン」第3回会議議事録 ○日時及び場所    平成20年9月17日(水) 13時00分から15時01分まで    厚生労働省 省議室 ○出席委員    前田(座長)、石川(誠)、石川(良)、太田、袖井、鳥羽、古川、堀田、中村、 村上、村田の各委員    駒村委員は欠席 ○出席参考人    大川、木之下、小山、園田、藤原、山崎の各参考人 ○議題    安心と希望の介護ビジョンについて(有識者からのヒアリング) ○議事内容 ○大澤総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第3回「安心と希 望の介護ビジョン」を開催いたします。  本日は大変御多忙のところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、駒村委員が所用により御欠席との連絡をいただいております。また、中村委 員には今回初めて御出席をいただいておりますので、御紹介をいたします。 ○中村委員 中村でございます。よろしくお願いします。 ○大澤総務課長 また本日は有識者からのヒアリングということで、大変お忙しいにも かかわらず、6名の有識者の方々に御出席をいただいておりますので、御紹介をさせて いただきたいと存じます。  国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部部長の大川弥生様でございます。  医療法人社団こだまクリニック院長の木之下徹様でございます。  社会福祉法人長岡福祉協会高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長の小山剛様で ございます。  明治大学理工学部建築学科准教授の園田眞理子様でございます。  夢のみずうみ村代表の藤原茂様でございます。  ケアタウン小平クリニック院長の山崎章郎様でございます。  引き続きまして、お手元の資料について確認をさせていただきます。  議事次第、座席図、開催要項に続きまして、資料1が大川参考人からの御提出資料で ございます。  資料2は、木之下参考人からの御提出資料でございます。  資料3は、小山参考人からの御提出資料でございます。  資料4は、園田参考人からの御提出資料でございます。  資料5は、藤原参考人からの御提出資料でございます。  資料6は、山崎参考人からの御提出資料でございます。  最後に、資料7「今後議論を深めていく必要がある事項」という資料を付けておりま す。  資料の不備等がございましたら、事務局の方にお申し付けいただきたいと存じます。  それでは、前田座長、議事進行方よろしくお願いいたします。 ○前田座長 それでは、議事に入りたいと思います。  まず初めに、非常にお忙しい中、本日本会合に御出席いただきました6名の有識者の 方々に厚く御礼を申し上げます。  本日は初めに有識者の方々から、今も資料の御紹介がございましたけれども、それに 従ってプレゼンテーションしていただきまして、その後、若干の時間をとってフリーデ ィスカッションをさせていただきたい。今日は有識者の方の御意見を拝聴することを中 心に進めてまいりたいと思います。  有識者の方には大変恐縮なのですけれども、時間の関係がございますので、お一人10 分ということで是非お願いしたいと思います。  それでは、「あいうえお」順ということで、大川先生から順にお願いしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○大川参考人 大川でございます。本日はこのような機会をちょうだいしまして、どう もありがとうございます。  私はあるべき介護の在り方ということを考えるに当たりましての介護の本質に関しま す考え方を、お手元の資料に基づいて述べさせていただきたいと存じます。  1枚目に要点をまとめております。大きくは3点ございまして、まず1点目は介護の 理念の再認識と再構築でございます。介護保険制度の発足当初より、尊厳の重視、自己 決定権の尊重、自立支援がうたわれておりました。その後の経緯も踏まえまして、この 実現に向けてのポイントを3つ示しております。  まず人を中心に考えることであります。しかし、現実には介護をうける人ではなく手 段としての介護が中心になり、サービスや制度を中心に論じられがちだと言えます。人 を中心として整理することで、よりよいサービス内容、制度が考えられると思います。  その具体的な考え方が、2つ目に示します統合モデルに立つことで、これはこれまで の医学モデルからの脱却と言えます。実は介護に関してもまた専門家だけでなく一般の 方々もこの医学モデルの考え方に強く縛られていると言えます。統合モデルとは、具体 的には生活機能の重視であります。  生活機能は、人が生きることの全体像を示す3つのレベルで分析的にとらえるICF の基本概念です。ICFは介護保険やケアマネジメントにおいて早くから取り入れられ、 また介護予防との関係で名称自体は広がりましたけれども、3つのレベルのうち心身機 能に偏り、ICFの特徴とも言える活動・参加の重視、また生活機能モデルの活用の点 では、残念ながらまだまだ不十分と言えます。  次に、介護自体を「よくし助ける介護」にしていく大きな変革が必要です。不自由な ことを補うだけの「補う介護」にとどまらないようにということであります。これは介 護の専門性、重要性を明確にすることでありまして、社会的評価の向上につながると考 えます。介護職になることが敬遠されがちであり、これに対し早期に行う対応としまし ては、経済的なことは重要と思います。それに加えまして、中長期的には専門性のある すばらしい職種であるということが広く社会一般に認められ、誇りを持って働けるとい うことが大事だと思います。  大きな2点目は、理念の実現に向けた具体的なサービスの在り方で、これは生活機能、 特に活動・参加の向上に向けた、めり張りの効いたプログラムと連携です。ここで強調 したいのも3点で、1つ目は医療。それも「治し支える医療」との連携でございます。 医療ビジョンの中で「治す医療」から「治し支える医療」への方向性が示されましたが、 この支えるというのは生活機能重視にほかならないと思います。すなわち介護と医療と の連携というのは、単にバトンタッチや連絡がよいということではなく、より本質的に 両者ともに生活機能を重視し、統合モデルに沿ってサービスを提供するということだと 考えます。  次に、自助・共助ですが、これは地域で支える医療・介護という観点であります。そ して、リハビリテーションは機能訓練と思われがちですけれども、生活機能向上に向け た「生活、人生をよくするリハ」へと大きな転換が必要です。この点は私自身も参加さ せていただきました老健局の高齢者リハ研究会で検討され、その内容は介護予防にはか なり活用されました。  しかしながら、リハ自体においては指摘された多くの問題点がまだ未解決でございま す。例えば維持期のリハと言われておりますが、これは根本的な問題点が指摘されてい るところであります。  3点目としまして、生活不活発病の予防・改善は緊急の課題であります。これは生活 が不活発なことによって運動機能だけではなく、知的な面、一見認知症様の症状も含め、 全身の機能低下が生じるものであります。しかしながら、年のせいや病気のせいと思わ れていることも少なくございません。  最後に、以上の概要につきまして、啓発及び専門者教育の体系化をより意識的行う必 要があると考えております。  では、幾つかのポイントを次のページから述べさせていただきます。  2ページ目は、まず介護をめぐる現状について見てみたいと思います。四角囲みの中 に横に3つ並んでいる、左から機能障害、活動制限、参加制約というのは、生活機能の 3つのレベルのそれぞれの困難な点、マイナス面でございます。  利用者、患者さんは生活機能の低下を呈しており、これはこの3つのレベルで分けて みるということが問題や課題を明らかにすることにも効果的であります。これらは病気 から生じ、左から右へとつながる矢印が示すように問題発生の因果関係を示すものであ ります。さて、このような人に対して、現状としては医療は病気と、それから生じる機 能障害を治すことが中心となっております。  一方、介護は活動制限、すなわち生活時に行っている、例えば身の回りの行為である とか食事であるとか調理であるとか趣味であるとか、そういうことを行う行為・動作の 不自由さ、難しさ、すなわち活動制限、という活動のマイナス面を助け、補うというだ けにとどまっております。このように医療と介護というものの対象は重なっておりませ んので、関係は医療から介護へバトンタッチ、もしくは同時期に関与していても分離、 分業的な関係といわざるを得ないと思います。  また、左下に示しております生活不活発病は、上向きの矢印で示しますように、ます ます機能障害を生じて悪循環をつくっていきます。しかし、介護・医療の専門家、また 利用者・国民も含め、これが改善できるものであるとの認識は不十分だと思います。  3ページがあるべき姿です。医療介護ともにその守備範囲は広くなって、生活機能に 対して専門性を生かしての共働になります。また、必要な時期に迅速にめり張りのある 資源を投入することとなります。介護は活動レベルにおいて、単に補うというだけでは なくて、積極的に向上させて低下を予防する、「よくし助ける介護」となります。また、 医療は活動・参加の観点からもみることによって、これが「支える」という観点だと思 っております。  利用者ともに生活不活発病への対応をし、また本人、国民全般の認識の向上、自助・ 共助が重要となります。このようなあるべき姿の基本となっているのは統合モデルの立 場に立つことであり、一方、前のページで示しました現状には、医学モデルに立ってい ることが大きく影響していると思います。  そこで4ページで、2つのモデルを比較してみました。まず下の統合モデルから御説 明申し上げますと、中央に横に3つ並んでいる心身機能、活動、参加の3つのレベルの 包括概念が生活機能であります。  そして、まさにこの図の中央に活動、すなわち介護の直接的な対象が位置しておりま す。生活機能に影響し低下を招く原因としては、病気だけではなく、下にございます背 景因子としての環境因子、個人因子の影響。また多くの双方向の矢印が示しますように、 相互の影響も重視するものです。  そして、解決に当たりましては、生活機能の各レベルは相対的な独立性を持つために、 機能障害が改善しなくとも活動自体を改善させるものと位置づけ、これが「介護でよく できる」という考えができることにつながるわけです。  上に示します医学モデルは、解決においても病気から発生する因果関係を重視した一 方向でマイナスの影響が中心となります。そこで活動・参加の改善には機能障害の改善 を不可欠とするというふうに考えていくことになり、介護としては補う介護ということ になっていくわけでございます。  5ページです。このような基本的考え方の違いはさまざまな特徴を持って違いを生じ るわけですが、例えば上の表の一番下に示しますように、専門家の本人への態度としま しても、パターナリズムか自己決定権の尊重かというようなことにも影響すると考えま す。  6ページです。統合モデルに立ち、介護の位置づけというものを整理してみます。活 動は日常生活の現状であります実行状況(している活動)と訓練時や本人が頑張ればで きるという能力(できる活動)を明確に区別することがまず大事です。  介護職は右上に示しておりますように「している活動」の専門家であります。この「 している活動」の意義というものをその下に示しておりますけれども、現状はこの意義 が十分には認識されていず、それが現在の介護職の役割や専門性の評価につながってい ると思います。また、左下にあります環境因子というのは、プラスに作用するだけでは なくマイナスになるということも留意が必要だと考えます。  7ページに進みまして、生活機能向上ということでまとめてみますと、これは今まで 述べました介護・医療だけではなく、さまざまな方々についての共通の課題であり、全 世代を通じた広い分野での取組みが必要だと考えます。また、健康を病気がないという だけではなく、生活機能も高い水準にある、という観点からとらえることも必要だと考 えます。  この生活機能はICFの基本概念でありますが、ICFは人が生きることの全体像に ついての共通言語であり、専門家のためだけではなく、御本人、御家族の真の自己決定、 また御本人たちと専門家が共働するための効果的なツールであります。  なお、一番下に示しましたように、例えば昨年度医療介護関係の国家試験では多くの 分野で出題されていますが、医師、看護師におきましては、過去出題が全くございませ ん。  8ページ、3番目のポイントでございます。生活不活発病であります。表に示しまし たように、全身のあらゆる機能が低下をいたします。この中の特定の症状にだけ注意を 払うというものではございません。生活不活発病の予防改善のかぎは生活の活発化です。 動かないと体が衰えるというのは常識でございますけれども、高齢者などでは緻密な対 応が必要でございます。特に病気のときには安静にも害があるということで、安静度の 指示だけでなく活動度の指導というのも重要かと思います。  9ページです。生活不活発病の原因であり、更に悪化させていく生活機能低下の悪循 環の重要性と、その発生のきっかけの3つのタイプを示しております。これらはその生 活不活発病の予防改善のプログラムづくりの基礎となりますが、説明をしている9〜10 ページは省略をさせていただきます。  この生活不活発病が介護保険関係で重視される背景となりましたのは、生活機能低下 の経過に2つのモデルがあるということでございます。左右の図とともに現状が黒の実 線で、今後、黄色の線で示す上の方に大きく向上させるということを示しております。  これまでは左に示します生活機能が急激に低下をする脳卒中モデルが、改善できる主 な対象と考えられてまいりましたが、右側の徐々に低下する廃用症候群モデルも改善さ せる対象と位置づけられ、介護予防の主な対象となりました。しかしながら、現在、対 応は残念ながら不十分でございます。  また、その後の私どもの研究では、脳卒中モデルにも廃用症候群モデルに移行する時 期があり、それを踏まえての対応が必要なことが明らかとなりました。すなわち介護だ けではなく、いわゆる維持期のリハのプログラムシステムの再構築が必要だと考えます。  最後のページでございます。この廃用症候群モデルの階段状に低下をする時期を拡大 したものでございます。これは特に病気の発症、増悪などで医療の関与が必要なときで ありまして、入院期間が短くなっている現状の中ではかなり大事なことだと思います。  左の現状の図で示しますように、疾患と活動の変化、特に改善の経過というものは並 行するものではございません。疾患が改善や退院をなさっても、活動、生活行為の不自 由は悪化していくということは少なくありません。  この活動レベルの低下に対し、右図のあるべき姿の下の方で示しておりますように、 医療中心の時期におきましても、生活不活発病を予防することの観点が必要です。そし て退院後などで介護が主な時期になりましても、生活不活発病ではないか、そしてそう であれば改善できる可能性はあるのではないかと考え、よくする介護という観点で関与 することが必要だと考えます。  以上、介護の理念の再認識とそれを実現する課題の幾つかを述べさせていただきまし た。介護の理念を含め、そしてそれを実現する生活・人生を考えた介護の方向性を示し ていただければと期待しております。  以上でございます。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  順にプレゼンテーションしていただいて、何か御質問がありましたら最後にというこ とにさせていただきたいと思います。  それでは、木之下先生、よろしくお願いいたします。 ○木之下参考人 こだまクリニックの木之下でございます。私の方は、本日の結論を先 に述べますれば、地域の日常、後ほど御説明申し上げますが、とりわけ周辺症状につい て認知症を診ることのできる在宅に伺う医者が必要であって、恐らくそれなしでは医療 と介護の連携が不可能であろうと考えております。なぜそう考えるのか。それにはどう したらよいのかについて、私自身の考えを述べたいと思います。  資料2をごらんください。私が普段診ている方々の御様子です。もしかして認知症と 認識されていないで御家庭におられる方もおられると思うんですが、言わば気の触れた ような状態、あるいはもう手に負えないような状態。一緒に生活などできないような状 態。こういった状態を言わば周辺症状と言います。  今回は次の資料にありますようなBPSDという言葉を使わさせていただきますが、 そういう暴言暴力あるいは落ち込みも含まれるのですけれども、非常にキー概念となる のは、精神科受診を拒むと書いてございますが、私は病気ではないと言って外来に行け ないといった方々が地域に相当多くおられるだろうというわけであります。  4ページ目をごらんください。しばしば誤解されている話を1回整理してから話を続 けたいと思うのですけれども、中核症状と周辺症状、すなわちBPSDと認知機能は分 けて考えるとわかりやすいのですが、この周辺症状というのはいつもあるわけではない。  例えばよくある誤解として、脱水がよくなると認知症が治るのです、とおっしゃる先 生もおられます。実は右の方に脳の写真を載せましたが、この脳がすべてうまって戻る わけではない。単にせん妄が改善しただけであって、当然そうすべきであろうと。ある いは介護職の方から聞かれることがあります。薬を切ると認知症が治ると。これも決し て認知症が治るわけではなくて、せん妄が改善すること。しかし、これも当然そうする べきであって、介護と医療が注意深く連携をする必要があろうというわけであります。  このせん妄というのは意識のレベルの低下であって、言わば周辺症状とはまた別に考 えるというのが認知症医療の考え方であります。  どれくらいBPSDがおられるのかという数値が5ページ目の資料にございます。実 は世界中を見渡しても、余り論文はありません。数少ない論文から推定するに7〜9割、 恐らく日本では8割以上。つまり認知症の方々が今200万人相当おられるというお話で ありますけれども、そのうちの8割くらいがこのBPSD、周辺症状を呈しているだろ う。そういった方々は非常に医療からも嫌われるし、施設からも嫌われるし、介護から も嫌われているだろうと。もしかして、そういった方々が地域にありふれているのでは ないかというわけであります。  6ページをごらんください。これは想像にかたくないわけですけれども、そういった 方々がおうちに住んでいれば、在宅ケアを継続できないだろう。では、施設に入れよう と。施設でもまた追い出されたりするわけで、比較的そういった方々を私は普段診てい るわけであります。  ものの見方を転じて7ページ目をごらんください。文字が書いてあります。斜線の下 に書いてある文字を含めれば、WHOが述べるところのネグレクテッドディジーズ、す なわち見捨てられた病気というわけであります。  しかし、今そのBPSDについて考えてみますれば、当然リーシュマニアとかシャー ガス病ではなくてBPSDであって、幸いなことに日本人は購買力が高く市場性は十分 ある、また幸いなことに戦地にはなっていない、という部分を斜線を引いて考えると、 そのほかはそのまま当てはまってしまう。言わば地域のありふれているBPSDは見捨 てられているのではないかと考えるわけであります。  8ページをごらんください。そういった意味での障害をありふれた人数でかけていく わけですけれども、そうするとヘルスケアニーズ、これはWHOが言うところの優先す べきヘルスケアニーズの優先度は相当高いはずであって、すなわち提供されるべくサー ビス、すなわちBPSD医療となるものがあれば、それはプライオリティーメディスン、 優先される医療であろうというふうにして考えるわけであります。  今後は私が普段診ている方々の事例をお二方ばかり御紹介申し上げます。表がありま して「しばしば遭遇する多剤使用による在宅BPSD例」と書いてございます。私が往 診したときにこれだけ薬を飲んでおられた方がおられました。これだけの薬を飲んで具 合が悪くないわけはないわけで、非常に強いせん妄状態でありました。伏字にしたのは、 これをいちいち載せると製薬企業の方から一件一件クレームというか、それに対して書 かないといけないので、大変申し訳ありませんが、伏字にさせていただいております。  普通は認知症の方や御高齢の方は比較的薬をまじめに飲まない方が多いのですが、こ の方に限っては全部まじめに飲んでおられました。1日48包で、御飯みたいなものです。 私はここから3剤にいたしまして、せん妄を改善したわけであります。これは極端な事 例として出してございますけれども、実はこういった方は相当多いというのが私の認識 であります。  10ページをごらんください。ありふれたBPSD、Dさんという事例であります。幻 視、妄想が激しい方で、妻の男、言わば嫉妬妄想に関連しているのですが、更に御長男 のことをその本人だと思えないと。家はゆがんで見えていると。だから自分の家ではな い。外来に行くと、なぜかその症状が消えていて、体の動きが悪いパーキンソン病とい う病気だったわけですけれども、薬がどんどん追加されてきた。精神症状がますます悪 くなって、高齢の奥さんもほとほと疲れたと。だんなを外来に連れていける状況でなく なった。一緒に生活などができる状況でなくなったということで、私のところに依頼が ありました。薬を見るとこういう薬が出ていました。  11ページをごらんください。この方を考えるに当たって、外来に行くと“しゃん”と してしまうのです。実はこれは認知症をやっている先生方は別に不思議ではなくて、あ る意味で当たり前の話であって、こういう認知症医療の知識が前の医師に足りなかった のだろうかと。あとは同時に嫉妬妄想でありますから、奥さんと御本人が来られて、奥 さんが嫉妬妄想を述べれば、御本人は何せ覚えていませんから、そこでけんかが始まり ます。つまりそういった関係性づくりをしながらやらなければいけない。  更にこの疾患は治療のストラテジーがあるにもかかわらず、このお医者さんはなさっ ていなかった。実はこれは医師が悪いということを申し述べたいのではなくて、非常に ガイドラインが使いづらい。ガイドラインが活用されない。既存の医療の扱いの見直し があるだろうと。  最も重要なのは、言わば実施する際にどうやって実施するか。これは非常に介護との 連携が基盤にないと何もできない。私はこの4点を挙げましたが、この症状が出るまで は、この方はおうちで普通に暮らしておられた。しかし、これが出て、もう破綻しかか っている。けれども、この4点をクリアーすれば、在宅で生活がまたできるのではない かというわけであります。  12ページをごらんください。その結果、その後ではあるのですけれども、医者として この薬を処方箋に書くのは非常に簡単なのですが、この背景にはケアマネとか御長男の 御苦労があって、初めて薬の調整が実現でき、相当よい結果に終わったという話であり ます。実は終わったというか、治療としての対象ではなくて、その後にまた病状は常に 変化しますので、在宅医、かかりつけ医のスタンスと言えば、この方が亡くなるまでは 診ていく必要があろうと思います。  BPSDを診る、言わば地域で診療する医師たちの調査が去年、厚労省の事業費を使 って行われました。その結果、これは報道された結果を出しただけなのですけれども、 わずかに軽減を含めるとBPSDの治療改善率は93%を超えるというわけでありますが、 どの医師も介護のスタッフの方々、あるいはケアマネの方々と強い連携をしている結果、 得られた数字であります。  BPSDの悪化要因。ただ単にBPSDだけがあるというわけではなくて、やはりそ の背景に薬剤の誤った使い方、あるいは体の病気があったりする。あるいは家族、介護 関係が悪かったりするというのが非常に多かったという結果も得られました。  要はそういった現場からの認識をまとめてみますと、BPSDはありふれている。し かし、見捨てられている。更に誤った介護は医療の温床となっているだろうと。その相 当するがおられるだろうと思われることと、そうなってしまったときにだれがどうして くれるか。実は今はわかりやすく言えば、何のセーフティーネットもないような状況で あります。  今回は介護ビジョンというわけでありますので、次のページをごらんください。ここ で議論しているのは医療に対する問題ではないかもしれませんが、数字として興味深い ものを挙げれば、薬による被害をアメリカでの調査では8兆円の損失があろうというよ うな数値もありました。日本の市場性を考えると、この半分くらいかもしれませんが、 相当しっかりとここを抑えることによって、医療費の削減効果は大きいのかなと考えて おります。  2番目に関して申し上げれば、やはり短絡的な本人不在の医療介入の在り方から脱す る必要性があろうと。大川参考人がおっしゃられたような、言わば統合モデルの活用等 が必要なのかなと考えました。  3番目に介護の連携。これは寄り添う、暮らすということの観点から医療との在り方 も再編制する必要があろうと。あとは制度、施策介入が必要であって、当然のことなが ら、これをやっても別に私は金持ちにはなりません。負担増の部分のインセンティブが あるわけでもないわけであります。  これは同じ話が介護の現場でも全く言える。相当きついにもかかわらず、それに対す るインセンティブがない。更に有効な連携へのインセンティブも必要だろうと考えるわ けでありますが、ただ単に加算を付けるだけでは恐らくだめで、それをどのような内容 に対してしっかり行っているかどうかの監視のシステムの導入ももしかして必要なのか なと考えております。  14ページをごらんください。介護について申し上げれば、私の方からはやはりどうし ても医療と介護は切り離さないでほしいと考えております。もし可能であれば認知症対 応型ケアマネみたいなものがおられて、非常に積極的に医療と介護への介入ができるよ うな状態。ましてや2番目のBPSDを理由に退所させたり見捨てたりするようなこと が恐らく現場では起こっているだろうと思うのです。それはやむなく起こっているだろ うと思うのですけれども、そういった意味でそういったペナルティーも含めて、しかし、 それだけだと人は動きませんので、できたらその負担増に応じた介護報酬を考えていた だく等々、例えばそれがキャリアパスに組み込まれるなど、介護スタッフのキャリアパ スに組み込まれるなどの手もあるのかもしれません。  17ページであります。BPSDに対する地域、住民への啓発も必要だろう。これは今、 国がやっているような取組みの継続研修プログラムとして、更にそのBPSDを含めて 考えていく必要があるし、セーフティーネットづくりはオーストラリアの事例では今年 から始まったそうです。365日24時間電話受付をして、必要があれば出向くというよう なシステムが国を挙げて、連邦政府のお金でできたようです。そういった在り方も必要 なのかなと。  18ページに「お福の会宣言」とあります。ともかく実は多職種の人が寄り合って話し をすると、いろいろそごが生じている。当事者も含む他職種が語り合って考える土台づ くりが必要で、ここに示したのは一人称の問題として、自分の問題としてとらえて、認 知症はどう扱われるべきかを考えた文章であります。ここに列挙したものを共有しなが ら、最大公約数の最低限の文章として示したものです。御参考になれば。  御清聴、どうもありがとうございました。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  続きまして、小山先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○小山参考人 それでは、私の方からは、現場の実際の中身を含めて、こうあってほし いということをお伝えしたいと思います。  1ページ目に抱えている課題を書いてございます。これは詳細は後ほど出てきますの で、簡単に申し上げますが、基本的に現在の介護保険は介護認定は必要ですけれども、 使う場合に施設と在宅では費用負担に格差が出ます。  介護者向けのサービスにいまだになっていますから、介護者のプラスαという介護量 しか今は提供していない。でも、現実問題は就労とか高齢などで同居家族すらも連続的 な介護は困難な状況に入っています。  もう一点、今度は集約型の施設に入った場合、それまで暮らしてきた人生が継続でき ない。住宅とは呼べないまだまだお粗末な住環境がある。  在宅には24時間365日連続するサービスがないということと食事がない。この2つは 施設では当たり前の話ですが、在宅にはありません。  目指している方向は、在宅定額サービスの拡大をすること。それを地域の中で行うこ と。住宅は普通の住まいを提供すること。24時間365日の拡大ということでございます。  2ページは、2015年の高齢者介護のときのヒアリングに報告させていただいたものを いまだに使わなければいけないという状況です。これは現在の施設を建築する場合の1 ベッド分の建築コストというのは、建売住宅の1軒分の4LDKに相当します。これは 土地も介護も両方とも入っていません。住環境の整備費用という意味で見たら、そうい う状況になっている。  3ページをごらんください。ところが働いていない学生がどういう環境に住んでいる かというと、この程度の環境は当たり前になっています。日本人として住んでいる学生 の住まいがこういう住まいで当然だという社会の中に、高齢者は何もない人気のないと ころで住むというのは間違いだと思います。  4ページをごらんください。認知症についてですけれども、従来は住み替えで認知症 になった人だけが移動していた世帯がありましたが、高齢者世帯が増加する中で、残さ れた高齢者が一人暮らしになってしまう。グループホームに入った方が混乱する。こう いった人たちがともに移り住む仕組みというのが必要だろうということで提供していま す。  5ページをごらんください。人生というのは自分のつくり上げたものが自分の人生と いうわけですから、そういった環境の要件の中でいかに住み暮らし続けるかということ を保障しなければいけないという意味です。  そういった場合に地域の外にあるいろんな仕組みに移り住んでも、自分の人生は継続 しない。ということは、その中にいかに粘り強く残るかということと、移った場合に速 やかにまたもとに生活に戻る保障をつくらなければいけないという意味で、こういった 図を示しているところでございます。  6ページをごらんください。1つは、従来の施設をサテライト型ということで、地域 に分散する方法。これは平成16年の構造改革特区申請をさせていただいて、その段階で 既に進めさせていただいております。2006年の法改正の中で、地域密着型サービスの中 にこの仕組みは組み入れられていますので、現在では全国どこでもできます。施設を分 散することと併せて小規模多機能型とセットで地域を見るという仕組みを現在提供して おります。これについても後ほど詳しく説明申し上げます。  7ページをごらんください。これは現在、既に(1)というところが先ほど申しました構 造改革特区でやったもの。(2)は今年既に準備に入って、今年度中に完成するもの。(3)(4) については第4期分散計画に申請中でございます。  8ページをごらんください。簡単に申しますと、こういうふうに施設サービスはサー ビスを効率的に提供するために効果はありますが、一人ひとりの生活を保障するという ことには非常に無理がある。そういった中身をどうしたら改善できるかと申しますと、 9ページをごらんください。  同一の建物の中だけで完結するという発想ではなくて、同一の地域内の中で完結する という方向を持ってすると、サービス提供は可能になる。ただ、これまでの介護保険の 仕組みでは出来高払いになっていましたから、在宅は非常に困難だと。でも、今回は小 規模多機能という定額制が発生しましたから、そういったものとの組み合わせの中では 地域社会の中で完結型ができる。この中に在宅療養支援診療所等々の提携等があれば、 もしかしたら医療系のことも含めて地域社会の中で完結できる仕組みができるのではな いかと思っています。  10ページをごらんください。利用者の人たちの声は、在宅で一人食暮らしをする。い わゆるアパートに一人で住んでみる。そういったときの不安が非常に大きいのが現実で ございます。その不安をどうやったら解消できるかということで、これは平成15〜16 年の未来志向研究プロジェクトで開発させていただいて、現在福祉用具として申請中で ございますが、これはテレビ電話を利用した在宅版のナースコールの仕組みでございま す。  音声と映像で状態確認ができる。お互いが顔を見ながら確認できるという意味では、 日本に多い中山間地、いわゆる移動してお宅までの距離が遠いといったところに非常に 有効でありますし、また一人暮らしについては、たとえ都会の中といえども情報管理と いう意味では非常に有効なものと思っております。これも平成15年から使用中でござい ます。  11ページをごらんください。これが先ほど申しました在宅と施設のアンバランスとい うところを非常に子どもじみた絵で恐縮ですけれども、回転ずしと飲み放題で比べてあ ります。左側の在宅の仕組みというのは1皿幾らになっていますから出来高です。右側 の定額制というのは、飲み放題、食べ放題5,000円とかいう世界でございますが、そう いった比較になるわけです。  でも、要介護認定というのは一つしかありませんから、要介護3は、3の介護状態に あるという人に対して、サービスを使う場所にいて、これだけ格差を生むというのは、 制度改正が要るのではないかと思っていました。その中で小規模多機能型居宅介護は在 宅サービスで定額制という形で提示されていることは非常に意味があるのではないかと 思っています。  12ページは、私どもの今までそういう思いでつくってきたサービスの並びです。黄色 で書いてあるエリアは人口19万、新たに市町村合併したところが合わせると28万の市内 にございます。四角枠で黄色になっているのは、今年オープンしたもの、あるいは3月 までにオープンするものがございます。その他見ていただくとおわかりのとおり、在宅 サービス系がばらまっているということで、大体直径距離で2〜3キロぐらいの範囲に サービスは置いてあります。  13ページをごらんください。これは今日の結論でございます。その中の1つの美沢と いうものでございます。これはサテライト型居住施設という従来の施設を分散したもの と小規模多機能型居宅介護の合築ものです。このやり方ですと、施設と言われる建物の 中の人も見られますし、地域の人たちも同時に見ていくという仕組みになります。  実はこのやり方はスウェーデンでやっている施設が地域社会も一緒に見ているという やり方と仕組み自体は一緒です。  もう一つ、特筆すべきことは、この土地と建物については公費負担はゼロです。どう してゼロでできるかというと、いわゆる民間のアパートを借り上げて、そちらに利用者 の方が移り住んで、私たちが事業者として移り住むということで介護はできるわけです から、建物については民間に委託できるという意味です。  そういった意味でこれをつくる際に民間の方にすべて出していただいていますので、 公費負担はゼロで実施しています。  これはやり方としては、都市部においては当然土地の問題がかかりますので、やはり これは公的な機関が所有している土地を低額で貸す、あるいは無償で提供するという形 であればこれを同じ仕組みで都市部に置いても可能だと思っています。  14ページです。今、申しましたように、美沢の事例ということでお話をしましたが、 特別養護老人ホームという名称は住宅でございます。小規模多機能型居宅介護という定 額サービスです。この2つが一括して地域単位ごとに提供できるとさまざまなサービス が不要というのは言い過ぎですけれども、括弧書きで統合できる、いわゆるインテグレ ートで、これはペースというアメリカのサンフランシスコでスタートしたプログラム・ オブ・オールインクルーシィブ・ケア・フォー・ザ・エルダリーという高齢者包括ケア プログラム。そういったやり方に非常に近いものなると思いますが、サービス提供者側 も効率的ですし、利用者側に対しても自分の生活を守るということには非常に効果的な のではないかと思っています。  課題は普通の暮らし、いわゆる学生ですら普通の住まいに住んでいるのが当然の社会 において、当然バス、トイレ、キッチンくらいが付いていて、人が住んでいる場所に建 っていて、そういう住環境をきちんと提供するということがまず必要だろうということ。  それを運営していくに当たって、従来のさまざまサービス種類を統合した中で規制緩 和等を行っていただくと、より効率的な提供が可能になるのではないかと考えておりま す。  以上、私ども実践している立場から提案させていただきました。ありがとうございま した。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  それでは、園田先生、お願いいたします。 ○園田参考人 明治大学の園田でございます。私のバックグラウンドは住宅建築です。 安心と希望の介護ビジョンが展開される場といいますか、空間のことについてお話しし たいと思います。特に大都市部郊外の高齢化が喫緊の課題だと思っておりまして、そこ での介護環境の構築と特に新しい住まいの可能性について、お話しさせていただきます。  現在21世紀の日本における高齢化の最大の課題は大都市であります。首都圏、名古屋 圏、関西圏、福岡圏の4つであります。特に高齢者の量では東京とか大阪が一番ですが、 割合の変化で見ますとその周辺一都三県の埼玉、神奈川、千葉という高度経済成長期に 地方から集まられた方が一国一城の主になられた大都市郊外が一番の問題です。そこに リタイアされた高齢者が今及び今後激増します。そここそが、一番大きな問題だと思い ます。  そうした状況の中で2000年4月から介護保険がスタートしました。私は介護保険制度 というのは大変よい制度過ぎた点もあるのではないかと思います。そうした結果、2006 年4月の見直し前の段階では、65歳以上人口で要介護認定を受けられた方が13.9%、こ れはどう考えて大きすぎる値です。つまり、介護以外のいろいろな困窮の内容が混ざっ てしまったのではないかと思います。  その結果、改正後の2006年4月からは、介護度の軽い方は予防に、重い方はより良い 施設できちんと看ようということに改まりました。そのどちらでもなく、真ん中に位置 する人に対しては「第三の住まい」が提案されました。その場合には、このビジョンに おいても重要な視点だと思うのですが、介護の問題と取り上げる以前において、その前 の見守りとか、あるいは食事を含む家事ということについての環境構築がなされない限 り、特に大都市郊外などにおいては、介護というところにはたどり着けないのではない かと思っています。  次のページは、2015年の高齢者介護ということで打ち出された現在の基本方針です。 私はこれは非常に的確な設計図が描かれているのではないかと思います。地域を一つの 単位として24時間365日切れ目のない在宅でのサポートを行い、最も重度な介護を必要 とする人には、施設が本来の役割を果たす。  そしてもう一つ、実はその真ん中に、特に大都市の郊外部、中堅階層の方々にとって みれば、「新しい住まい」がもう一つの備えとしてなくてはならないのだと思います。 ここの部分が先進諸国と比べても日本が非常に手薄いところでありまして、量としては 65歳以上人口の大体5%。世帯数で言いますと約100万世帯が必要です。人数で言いま すと120〜150万人くらいがまだ全く手が付いていない状況だと思います。  そうした中で、これらをどのように実現していくのかを考えたのが5ページ目です。 高齢者と言ってもいろんな方がいらっしゃるので、きちんとセグメンテーションする必 要がある。高齢者の方々をきちんととらえるということをまずしなくてはいけないと思 います。  そうしますと、子育てが終わった後、子どもが育ち上がった55歳以降というのは何と 30年間あります。その30年間も細かく見ていきますと、最初の10年間の55〜65歳。これ は男性の年齢でとっておりますが、いわゆる成熟期、熟年期だと思います。その男性が 65歳になれば、社会の第一線から退いた引退期が約10年間あります。最後の10年間は是 非アンダーラインを引いていただきたいのですが、男性ではなくて女性の問題になりま す。女性の最後の10年間をどうするのかということが最終的な問題です。ここの問題を きちんと押さえておく必要があります。  次のページを見ていただきますと、大都市高齢者の老後の大問題は一体何かと言いま すと、勿論介護もありますが、その前に男性が70歳以上、夫婦だけですと、妻が虚弱化 すると家事困窮に陥ります。夫の介護に直面しますと、介護困窮に直面します。それで 夫を看取られた後、女性が75歳くらいが目安で単身になる人が多いのですが、見守り困 窮、孤立困窮の不安が生じます。また、遺族年金になりますから経済的にもカップルだ ったときとは違ってまいります。そして、最後に虚弱化の問題です。以上のように、老 後の問題は「介護」だけのことではありません。高齢者というのを一くくりにするので はなくて、男性、女性、カップル、シングル、何に困窮されているのかということを見 極めながら、問題を解いていく必要があるのではないかと思います。  私が是非こういうことを考える必要があると思っていることの1点目は、「高齢者住 宅」というものを新しくここできちんと位置づけることです。  高齢者住宅とは一体何かと言いますと、大都市郊外部の住宅地の高齢リタイア世帯で、 皆さんは一国一城の主になられたわけですが、大概は丘の上とか台地の上に住んでおら れます。道路と玄関の間に段差がある。そういうところで不便で住みにくくなったとこ ろから、早めの引越しをする必要がある。早めの引越しというのは植物の移植と同じだ と思うのです。次のところに根が生やせる余裕があるうちの生活の便利なところに住み 替えましょうというのが一つめの提案です。  もう一つは、90年代に頑張って市町村単位で、人里離れたと書きましたけれども、介 護施設をつくってきたわけですが、それを町中に戻していただけないでしょうか。そこ にこそ「高齢者住宅」の存在意義があるのです。  では、これをどうやってつくっていくのか。私は今、私たちに一番欠けているのは、 福祉というものを地域で循環させる。その仕組みをつくらないから、なかなかうまくい っていないと考えています。ここさえつくれば、私たちの社会というのも捨てたもので はないと思います。  まず1番目にすべきことは赤い丸のところです。とにかく高齢者自身が自分たちで頑 張っていただくことです。私は建築が専門ですけれども、1981年6月以前に建てられた 住宅は残念ながら耐震性の点で極めて不安があります。ですから、そのことを高齢者の 方にきちんと伝え、自分たちで手直しをしてもらう。  95年以前の住宅は、バリアフリーは考えられておりません。ですから、どこに問題が あるかは明らかなのです。そこを精一杯自分で努力してもらい、あるいは親子で助け合 っていただきバリアフリー化する。自己力を拡大するというのがまず一の手です。  では、社会で支えるところはどこかというと、これは本当にセーフティーネットです から、一番最後のところできちんと構えて待つ。ですから、私は赤色の矢印の部分が余 り出張るのはよくないのではないかと考えます。これは静かに後ろに控えていればいい のではないかと思います。  問題はその真ん中の仲間福祉、地域福祉と書いたところです。あるいは地域力、仲間 力の拡大とも言えます。その中に今回お話をしている「高齢者住宅」を位置づける。地 域にはさまざまな資源があるわけですから、自分で努力する分、社会が下支えする分、 それをつなぎ合わせる。地域力と仲間力を大きくして、お金も人もうまく循環するよう な仕組みを構築していく必要があるのではないかと思います。  次の1枚目はあくまで参考で、私の偏見と独断も入っております。人口構造、家族構 造の変化を見ますと、実は1989年のゴールドプランの策定以降、日本は頑張って社会福 祉、制度福祉を進めてきました。2001年、いわゆる構造改革という中で、個人福祉も頑 張ろうということになりました。でも、その2つだけでは足りないのだと思います。21 世紀はその真ん中に地域福祉、仲間福祉というものをきちんと位置づけ、大きくしてい くことが重要だと思います。  最後に「高齢者住宅」として、一体どういうものを考えていくのか。建築の立場から 言うと、実は空間として見ると、どうも3種類くらいのものが必要です。現状では、そ このところが定まっていないので、現場ではすごく混乱しています。  この3種類とは何かと言いますと、まず引退期後期でカップルでそろっているときに、 丘の上から下りてきて、町中で、特に男性はプライバシーを守った生活を楽しみたい。 ですから、アパートメント型のプライバシーが守られて、サービスも利用できる「シニ ア・ハイツ」と名前を付けてみましたが、そういうタイプのもの。  それから、老後期に女性が1人になると、女性はおしゃれな感じが大好きですし、コ ミュニケーション能力もありますから、おばあちゃんたちが仲良く住む「シニア・リビ ング」といったものが考えられます。  もう一つは、最後の受け皿として、「シニア・ホーム」というべきものです。こうい うものが3種類そろうと日本の地域社会も大分変わるのではないかと思います。  さらに、これらを実現するためのビジネスモデルも構築しなくてはいけません。喫緊 の課題は、居住の連続性を保障したビジネスモデルです。残念ながら「シニア・ハイツ」 だけ、あるいは「シニア・リビング」だけの単独型ではだめなのです。シニア・リビン グとシニア・ホーム、シニア・ハイツとシニア・リビングという継続的な居住を保障す る組み合わせで高齢者住宅をきちんと考えていく必要があるだろうと思います。  もう一つの課題は、ビジネスとしての事業資金の問題です。新しいビジネスとして共 益型、みんなで負担し合う、そういう新しいビジネスモデルをつくる必要があると思っ ています。  なぜなら、都市市民というのは主体性を持つというところで初めて力を発揮できるわ けです。自分たちで協力し合って、リスクも負担して共同するという仕組みが必要では ないでしょうか。一方で、建設補助金も大分縮小されていますので、そうした新しい共 益型のビジネスモデルの構築が不可欠ではないかと思います。  最後に、高齢者の考え方です。私は高齢者はかわいそうな人と考えるのは余りよくな いと思います。高齢者住宅というのは高齢者が自ら決定して、自分の持てる力を最大限 生かして生活する場であって、それは以前の生活と連続してつながっている。地域の中 で老いる。そういうのが一つのあるべき姿ではないかと思います。  最後に余計なことかもしれないのですが、私があえて建築という立場で今回加わらせ ていただいたので、少しだけ申し上げたいことがあります。介護保険の現状を見ますと さまざまなことがありますが、建築の空間、建物の空間と介護体制について、相当の誤 解があるように思います。  実は2003年まで特別養護老人ホーム、老人保健施設というのは、4床室で補助金が出 されてきたわけです。そこに介護保険では1対3と呼ばれる人員配置で来たわけですが、 2003年から原則住居モデルに変わりました。皆様方には「ユニットケア」という形で知 られているものです。空間の質を上げたのです。生活の質を改善するために上げたので すが、残念ながら介護の体制はそのままになっているわけです。現場のところでは、空 間モデルを変えたのに、介護職員の配置は以前のままですから、当然介護職の方に過重 な労働が強いられています。そこでのしわ寄せが相当来ている。あるいは空間に合わせ て人員配置を増やせば経費が嵩み別の制約が生じる。その結果、どちらも高離職につな がっています。特に、最近現場では、こうした状況を短絡的に捉えて、だから4床室だ なんて声が結構公然と言われています。私はちょっと待ってくださいと申し上げたい。 なぜなら建物は、今、建てているものは30年、40年、50年変えられません。ですから、 そこのところをくれぐれも間違えない設計図をお願いしたい。また、ユニットケアの「 ユニット」とは、皆さんチームと思っていらっしゃるかもしれませんが、ユニットとい うのは建築の専門用語では「住居」とか「住戸」という意味なのです。ですから、ユニ ットケアというのはハウス・アンド・ライフケアです。空間と生活が一体となって、あ たかも一軒のお家で家族とともに老いているような環境を提供しましょうというのがユ ニットケアの本来的な意味だと思います。ユニットということが単にチームとかグルー プということではないということを大変口幅ったいのですが、建築の立場から申し上げ たいと思います。  以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  続きまして、藤原参考人にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○藤原参考人 夢のみずうみ村の藤原でございます。10分間なので資料はどうしようか と思いましたが、余りビジュアルではないですが、原則として、うちの施設がどういう 実態であるかを数字で示させていただきます。第1回目のこの会の議事録などを読ませ ていただきますと、通所施設がどういう状況にあるかということを示す役割が私にある のかなと思って、数字を並べてみました。  我が施設は当初から大規模を考えていたわけでは全くありませんで、利用者さんの希 望を受け入れていきますと、気が付いたら大規模になってしまったという次第です。な ぜそうなったかというと、後ほど申し上げます自己選択、自己決定方式というやり方が 恐らく注目を得てきたのだろうと考えています。  施設の開設経過からお話申し上げます。当初、NPOで開設し、その後、実績が出ま したので、株式会社を立ち上げることができたということでございます。 経営につい ての御質問をいつもいただきますので、事業資金の実態をそこに掲げておきました。  ポイントとしましては、18年の改正以来、赤字に陥ったという点です。そこで、何と かその他の広報収入等で補い、昨年度決算は黒字をあげられたというところでございま して、運営はぎりぎりの中でやっているというのが実態であります。  「3.施設規模と定員増の経過」を見ていただきたいのですが、当初、山口デイは25 名定員で始めました。表を見ていただきますと、開設以後徐々に人数が増えてまいりま して、希望者を全てお引き受けするには定員を次々に増やさざるをえませんでした。 相当大きい施設であるということは延床面積などを見ていただくとおわかりだと思いま す。定員120名にした段階でもまだ利用希望者が増えてきましたので、防府という山口 に隣接した瀬戸内海側に施設を新設いたしました。  もうひとつのポイントは、18年の改正以降、定員120名になった段階で、小規模デイ と通常規模デイに分けたことです。分けた理由は、丸6年くらい経ってきて、いったん は、要介護度が改善してこられた方が徐々に重度化されてきたからであります。それで 小規模デイをつくりました。生きがい養生所と名づけました、重度の方に対応した施設 です。通常規模デイは人生の現役養成道場と呼んでおりまして、100名の平均要介護度 は1.21です。小規模デイ15名の平均介護度は2.38です。どんどんよくなられていきまし て、一番極端な方は要介護5の方が要介護2になり、丸6年経って、今また要介護3に そろそろダウンされるという経緯をたどっておられます。  男女比率でありますが、数字が書いていなくて申し訳ございませんが、山口デイは男 性が59.1、女性が40.9%で、男性が圧倒的に多い施設です。2号保険者が20%あります のが山口デイです。要は自己選択、自己決定という自分で好きなことをやっていくやり 方が男性に興味を与えているのだろうと考えております。  防府デイサービスセンターも30名で始めましたが、この9月に定員110名にいたしま した。現在、毎週4名くらい希望者が来られて、月20名くらいが増えるという実態で、 このままいくと増設をしないとやっていかれないという状況です。新幹線に乗ってくる 人が3名もおられます。大変異常事態で、私はこういう施設をやはりあちらこちらにつ くっていきたい。是非つくっていただきたいということを希望しておりまして、今日の 会議に呼ばれたことを大変ありがたく思っています。  防府のデイは男性が51.1%、女性が48.9%で、やはり男性が多いです。2号保険者が 15.6%、平均の要介護度は1.09です。ここは昨年度、通所事業所評価加算をいただいた という経緯がございまして、どんどんよくなっていかれます。両施設とも、2号保険者 や、高齢者におきましても脳卒中後遺症の片麻痺の方が多いというのが特徴的です。そ ういうデイの中でリハビリができるというところが人気を得ている点だと思っておりま す。  利用者の通所エリアということですが、山口デイの方は一番遠いところで半径55キロ、 片道2時間が一番遠方です。防府のデイサービスセンターは片道が大体30キロで、1時 間程度の利用の範囲ということで、相当の市町村にまたがって、こちらを利用なさる。 要するに近くにデイがありながら、近くのデイに行かれない。なぜ行かれないのか。そ れは自己選択、自己決定方式を我が施設が行っているからだと思っております。  次に職員の採用と離職の状況から介護の実態をつかんで欲しくて、資料を作ってまい りました。夢のみずうみだからということで希望して来る職員が多くございます。そう いう採用でこれまでやって来ました。ここ2年前辺りでは、1回の公募に20名程度応募 者があったのですけれども、最近半年くらいは公募しても1〜2名程度であり、質のよ い職員の確保が大変難しくなりました。初任給を上げていこうということですが、上げ ますと既に勤めている職員の給料より上がってしまいますので、そういうこともできな い。だから、新卒の求人は応募者が今年も来ないのではないかと覚悟しております。  小規模のデイを2か所やろうと計画しましたが、人が集まらないので1か所しかでき ないという実態です。          さて、そのプログラム運営のやり方ですが、私どもは環境の仕掛けとプログラムの仕 掛けと2つ持っています。一番大きなプログラム運営方式は、家庭仕様で施設をつくる。 大規模ですが、うちの施設はすべて家庭仕様です。  例えば簡単に言えば、電気は蛍光灯ではありませんで、家庭のひもで引っ張る電球が 至るところに付いているようにしてあります。要はなるべく施設環境を家庭環境に近づ けていこうという形で、そこに書いてあるような理念でつくっております。  もう一つは、社会で暮らすということです。デイは日帰りですから、家に帰ったらバ リアがある。社会にもバリアがあるならば、デイにもバリアを設定して、そのバリアを どのように克服するかということを御指導しよう。そのハウトゥーを獲得して自宅に帰 っていただこうということで、バリアありの環境を施設の中では提供します。当然、ご 本人や家族と、重要事項説明書で説明し納得いただいて、通所開始時に同意書で契約を 結びます。  デイをご利用なさる方々の外出する機会を見ますと、デイに行かれる以外に外出して いない高齢者が多いと思います。だから私どものデイは街角だと自負しています。小さ な社会の街角です。ですから、大規模施設の廊下は道路です。目的を持って廊下を移動 して、自分のやりたい活動をやるために、部屋に出向いていく。その移動がまさに外出 訓練につながるものでありまして、ほとんどの利用者の方が1日に大体1キロくらいは 移動していかざるを得ないという環境にあります。  多くのデイでは、一度着席したら排泄、入浴、集団体操以外は動かないというのが実 態だと思っています。そういう意味では、うちの施設では動かざるを得ません。地域、 バリアという意識を施設の中に導入することは大事だと思っています。これ以外に移動 する仕掛けとか環境の仕掛けとかプログラムの仕掛けというものが幾つかあります。  例えば巡礼札所と称し、88か所の巡礼札所が施設にありまして、そこをどんどん歩い ていくとか、クイズ歩行といって、クイズを解きながら移動して施設内を歩くというも のです。プログラムの仕掛けのひとつとしまして施設内通貨というお金があります。そ のお金を払わないとあらゆるサービスが買えないのです。どんなサービスも受けること ができません。そこで、サービスを買うために、いろいろ移動して稼いでいただきます。 こうした環境の仕掛けが重要です。  自己選択、自己決定プログラムが我が施設最大の特徴だと申し上げましたが、重度の 認知症の方にとりましては限りなくマンネリ化したプログラムをやっていきます。中度 ・軽度の方におかれましては、自分でプログラムを選んで、自分で好きな活動をやって いただく、この自己選択、自己決定方式が望ましいと考えるわけでございます。  デイは朝来て夕方帰るわけですから、お土産を持って帰ろうねというのが合言葉です。 お土産はまず自信を持って帰ろうと。施設でできそうだった行為は家でもできますね、 家で実行してくださいね。こういう自信を持って帰る。  お土産の2つ目。新しい生活のやり方をどんどん教えますので、施設で体験したその 日に直ちに自宅で実行ができる。新しい生活方式のお持ち帰りが通所の特徴です。  もう一つ、家庭で使うものをお持ち帰りいただくということで、パンをつくったり施 設で苗をつくって持ち帰ったりということでして、ある程度自宅の家族をも巻き込んで 生きがいをつくっていこうということをやっております。それを宅配ビリテーションと 呼んでいます。  ここで考えてみたいことは、私どもがやっているデイでは、なぜこれほど軽度化する か。要介護度がどんどん軽度化してくるか。これをきちんと評価していかないとだめだ ということです。デイケアは評価も、医療もありますが、デイサービスでも評価を取り 入れるべきだと思います。その評価の中では運動機能が中心にとらえられていますが、 私はデイに限らず高齢者の評価の基本は、意思の働き、やる気に重点を置くべきだと考 えます。その意思をどう評価するかということで、資料にずらっと幾つか書いておりま すが、こういうような形で評価をし、それを実行しています。こういう形式と内容でど ういうふうに効果があるかを見ていきたいと考えております。是非、評価の在り方、デ イの評価の在り方について研究、検討する場を持っていただけたらありがたいと考えて おります。  最後に、私の施設は、大規模になる必要性があったから、大規模施設になりました。 大規模で多機能を持っています。自立支援の人たちがたくさん来ています。病院の外来 を卒業した後、私どものデイに来て生活機能訓練をやる人がたくさんいます。なぜかと いうと、朝来て夕方まで生活の実体験に基づく訓練、体験ができるわけです。ここで得 た機能を自宅へ持って帰れるわけであります。是非その自立支援の人たちも交え、三障 害をも交えた高齢者のデイとして、いろんな障害を持った人たちが多角的に参加できる ような多機能を持ったデイを是非認めていただきたいということで、大機能、多機能、 個別という通所介護施設について提言させて頂きたいと思います。私どものような自己 選択自己決定の施設を広げるという意味でも、是非お考えいただきたいと思っています。  以上でございます。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  それでは、最後に山崎参考人からお願いしたいと思います。 ○山崎参考人 東京小平市で在宅専門診療所を開いております、ケアタウン小平クリニ ックの山崎でございます。私は16年間外科医をしました。その後14年間はホスピス医を しておりまして、2005年から在宅専門の仕事を開始いたしまして、在宅につきましては 3年経ちました。その経験を踏まえて、お話をさせていただきたいと思っています。 今回のテーマについては、在宅緩和ケアの視点からという形で報告をさせていただきま す。  資料をごらんになっていただきたいのですけれども、緩和ケアという言葉はがん対策 基本法にも載っておりますし、しばしば使われておりますが、誤解されて使われている ことが多いです。  がん対策基本法にも載っていますので、緩和ケアというのはどうも医療の枠の中だけ で使われる言葉だろうと思われているのですけれども、実はそうではないんだというこ とを確認をしていただきたいと思います。  例えば資料の「WHOの緩和ケアの定義」によりますと「緩和ケアとは、生命を脅か す疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体 的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな(霊的な・魂の)問題に関して、きちんと した評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、 クオリティーオブ・ライフを改善するためのアプローチである」ということになってい ます。  身体的な問題は当然でありますけれども、例えばがんのような生命を脅かす疾患にか かった場合には、心理社会的な問題にも直面いたしますし、治らずに亡くなっていくよ うな場合もあるわけで、まさに自分が生きてきた意味を見失ってしまうような場面も出 てくるわけです。ですから、そういった面にも対処していこうというのが緩和ケアの考 え方でございます。  緩和ケアは医療であるというくくり方は間違っておりまして、緩和ケアは医療でもあ り、看護でもあり、介護でもあり、福祉でもある。そして、そういう多職種のチームに よって行われる人生支援のケアとも言えます。人生とは日常生活の連続でありますから、 生活支援のケアということにもなります。緩和ケアをそんなふうにとらえていただけれ ばと思っています。  次に「ホスピスで学んだこと」を整理してみます。例えばがんの痛みはかなり解決で きる問題であるということ。WHO方式が世界標準の疼痛治療法でありますが、しかし、 私ども現場にいる者たちや厚生労働省が頑張っていても、WHO方式はまだまだ認知されて いないので、たとえば、医者も患者も、適切にしようすれば安全な医療用麻薬であるモ ルヒネを使うことをためらって、痛みの中で苦しんでいる人がたくさんいるという現実 があります。痛みがきちんと緩和されれば、人生の長短にかかわらずに人は自分らしく 生きていくことができるのです。  あるいはまた、ホスピスで亡くなる方たちの経過を見ておりますと、看護師は看護と いう専門性を持っておりますけれども、その仕事のほとんどが介護です。例えば食事の 介助、入浴の介助、排泄の介助です。そういうことは亡くなる1か月以内になりますと、 自力では困難になってきますので、適切な介護が必要になってきます。つまり介護がな ければ人は生きていけないんです。ですから、看護師の仕事は看護でもありますけれど も、介護でもあるわけです。亡くなる1か月以内に起きる出来事は在宅でも全く同じこ とであります。どこであろうとも適切な介護がなければ、人は尊厳を持って生きること ができないのです。  現在の日本の医療保険制度、介護保険制度は、自立困難な人が尊厳を持って生きてい くためには、決して十分ではございません。そうすると社会保険では賄い切れないサー ビスを担う人たちとの協働が必要になってきます。つまりボランティアの皆さんとの協 働です。私たちがどういう理念の基に、何を目指して、どういうことをしようとしてい るのかということを、しっかりと地域社会に発信していきますと、必ず共鳴し、ボラン ティアとして参加してくださる人々がいるということを学びました。  また、現場の透明性ということはとても大事です。ボランティアの導入は、その透明 性を高めるためでもあり、同時に専門職が地域社会の人たちから見つめられるためでも あるということですね。プロはいろんな人に見つめながら仕事をすべきだと思っており ます。  ところで、がんの痛みが取れたとしても衰弱は避けられませんので、日常生活が崩壊 してきます。そのときに自立や人間の尊厳の崩壊という問題にも直面してきます。そこ をきちんとサポートしなければ、その状態で生きる意味を見出すことが出来ずに、早く 死にたいと思ったりすることもあります。そういうことに関してホスピスは適切なケア をしてきたと思っています。  以上のような経緯の中で、私は、緩和ケアは、がんの末期の方たちだけに必要なもの ではなくて、人生の困難に直面している全ての方々に共通して必要なケアであると考え るようになってきたのです。  ところが、今の日本では、緩和ケア病棟(ホスピス)は医療保険制度に基づいて動い ていますので、緩和ケアは、がんの末期とエイズの末期の方にしか提供できないんです。 そのうえ、私たちが病院で待っている限りは、来た人にしか適切なケアの提供ができま せん。私はそれを解決するためには我々がホスピスや病院で待っているのではなくて、 地域に出向けばいいんだと考えるようになりました。地域に出向くというのは、つまり その人たちが住んでいる家に出向くということです。家はどんな病気であろうとも好き なだけいることができます。そこに緩和ケア(ホスピスケア)の経験を持ったチームが 出向いていけば、どのような疾患に対してでも在宅で適切なケアを提供できるし、それ によって在宅での療養を望む人々が人生の最後まで尊厳を保ちつつ家で過ごすことが可 能になります。そういうことを考えるようになったのです。そういう考えを実践するた めに、私たちが東京都小平市で取り組んでいるのがケアタウン小平なのです。  3枚目の資料は、パワーポイントの資料だったものですから、時間差で文字が出てく るものが一緒になってしまって、見にくくなっておりますけれども、私たちが目指した のは「安心して暮らせるコミュニティ、最期まで住みたいコミュニティ。たとえがんの 末期であったとしても、最期までそのコミュニティの中で尊厳と自立を持って暮らせる ことを保証するコミュニティ」であること示しています。  4ページをごらんください。このスライドでは在宅が中心にあります。そこに医療、 看護、介護が訪問することを表しています。更に在宅療養は家族介護が中心になります ので、家族の介護疲労を軽減するために、デイサービスが必要になってきます。もちろ ん介護保険のコーディネーターであるケアマネージャーも必要です。  つまり、こういうふうな多職種がネットワークを組んで在宅を支えていくことを示し ています。これは絵にすると非常にわかりやすいと思いますけれども、このチームは欠 陥を持っています。それは、この仕組みでは、医療、看護、介護は別々に訪問して別々 の所に帰るということなんです。つまり情報の共有に関しては非常に不十分であるとい うことなんですね。  この形態は現在各地で行われているネットワークの形ですし、この形でも慢性疾患の ように長い療養経過をたどる場合は問題がないかもしれません。しかし、末期がんのよ うに、とくに終末期には週単位で変化してくるような場合であったら、このようなネッ トワークでは適切なケアを提供することは難しいと思います。もちろんケアは可能なん です。しかし、そのケアのクオリティーは低いだろうと思っております。  そこでそれを克服するために5ページを見ていだきたいんですけれども、これは私ど もがケアタウン小平で取り組んでいる仕組みですが、医療、看護、介護の各事業体が1 か所に集約されていることを示しています。そして、それぞれが、別々に患者宅を訪問 しても戻ってくる場所が同じであることを示しています。戻ってくる場所が同じであれ ば、情報の共有も速やかにできます。つまり課題の解決が速やかに出来るということで す。  6ページを見ていただきたいのですけれども、こういうような事業をどんなふうに組 み合わせていったらいいんだろうかということを考えました。例えば医療法人が全部賄 うことは可能だったんですけれども、ホスピスで学んだチームケアは、各職種が対等な 関係性を持つチームでしたので、ピラミッド体制になりやすい、一法人で作り上げてい くチームではなく、すでに地域にある別々の事業体が共通の理念のもとに集まって、チ ームができればいいのではと考えました。  例えば地域社会の皆さんにボランティアとしての参加を促すためには、営利事業体で は難しいのではないかということを考えまして、NPO法人を設立いたしました。NPO 法人が中核事業体として、ケアタウン小平を支えていくということです。そこに24時間 対応する在宅療養支援診療所、株式会社が経営する居宅介護支援事業所とヘルパーステ ーション、そのハード部門を担う有限会社。この4つの事業体が集まってケアタウン小 平を構成することにしたのです。  ケアタウン小平の特徴をあらためてご説明しますと、7ページに見ていただいたらわ かりますように、ケアタウン小平は運営主体が違う、既存の事業体が1か所に集約した チームであるということです。そして、このケアタウン小平は税金の補助や助成を受け ていないということです。NPO法人が中核事業体になりますが、NPO法人の理事は 無償ボランティアです。現場の収入は現場に返すことを基本しています。介護保険は単 価が決まっておりますので、収入が現場で働かない役員などにも報酬として支払われる 仕組みでは、現場にフィードバックされるべきお金が減りますので、介護のような事業 を、大規模な営利企業が担う仕組みは相応しくないと考えています。また、NPO法人 は寄附を受けることができます。それは地域に返す、現場に返すということです。そし て、この取り組みはボランティアとの協働が要であると考えています。これが私たちの 取り組みの特徴です。  さて、8ページです。ケアタウン小平は3階建の建物でして、この建物を管理運営す る会社が運営しておりますけれども、1階部分に先ほどお示ししました医療、看護、介 護事業体を集めております。資料の赤い部分である訪問介護、デイサービス等はNPO 法人が運営しております。在宅療養支援診療所は個人開業でありまして、現在医師2名 が在宅専門でやっておりますけれども、10月から医師3名体制になります。24時間365 日の取り組みです。訪問看護ステーションも24時間365日で活動しておりまして、常勤 スタッフ6名が担なっております。  医療と看護と介護は同じフロアの壁1枚隔てたところにありますので、情報の共有は 非常にスムーズです。  2階と3階は賃貸のワンルームのマンションになっています。この建物の管理運営会 社は1階のテナント料だけでは運営できませんので、2階と3階をアパートにして、そ の入居者からの家賃も含めて、この建物を管理運営しているということになります。  9ページです。私どもはこの取組みを考えた時に、他でも実現可能なモデルを作ろう と考えました。そのモデルの想定では、私たちのケアタウン小平から一定のエリアに住 んでいる人たちにサービスの提供をすることでした。在宅療養の中心職種は訪問看護師 ですので、訪問看護ステーションの皆さんと相談をしました。その結果、ケアタウン小 平を中心にして半径3キロくらいであれば十分担えるということでしたので、そのエリ アを中心にサービスの提供を考えました。ケアタウン小平のデイサービスは従来のデイ サービスでは、その利用を断られてしまうことの多い、医療ニーズの高い人たちを中心 にケアを提供していますが、デイサービスには送迎がありますのでケアタウン小平を中 心に半径2キロに住んでいる人々をケアの対象にしています。私どもの診療所の訪問エ リアも訪問看護ステーションに合わせようと思ったんですけれども、まだまだ在宅を担 う診療所は少ないものですから、結果的に半径4〜5キロまで訪問することもあります。  ところで、2005年10月から2008年4月までの間に、私たちが在宅で関わって亡くなっ た患者さんは199人おりました。がんの患者さんは162名おりまして、そのうちの116人 (72%)はそのまま在宅で看取ることができました。残りの46人(28%)は病院に入院 いたしました。非がん患者さんたちも同じように7割は在宅で看取っております。  このうち、がん患者さんに限って言いますと、入院した理由のほとんどが介護力の限 界でした。例えば介護保険制度で末期がん患者さんたちに対しては、滞在型の介護がO Kになってくれば、つまり現在以上の長時間方の訪問介護がOKになれば、一人暮らし の人を含めて、多分9割くらいの人は最後まで自宅にいることが出来るだろうと思って います。  ところで、私たちは私たちの取り組みを都市型のモデルと位置付けています。例えば 広島の尾道市医師会方式のような取り組みもありますが、東京のようなところでは私た ちのようなセンター方式も一つの在り方なのかなと考えています。  望ましいセンターは、24時間の訪問診療、訪問看護、訪問介護を具体的に実践する場 所であると同時に相談事業もしているということですね。この規模になりますと、さま ざまな研修を受けることが可能ですので、研修センターにも成り得ます。このようにし て、24時間安心出来る在宅療養を支えることになります。私たちは今こういうものを目 指しているところです。  最後に、私たちは医療、看護、介護だけの、専門性のあるチームを作ってく地域社会 に貢献していくのだけではなく、子育て支援も含め、老若男女が集いながら、安心して 住むことのできる地域社会の創造を目指したいと考えています。ケアタウン小平がある だけで、何か安心するんだというものを目指していきたいと思っています。   以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。予定よりは非常に長めになっていたので すが、中身の濃い、この会にとって非常に重要なお話を伺えたと思います。これを踏ま えての議論は、基本的には次回、各委員に御議論いただくということですが、どうして もこの場で各発表者に質問とか意見を出しておきたい。  それから、せっかく来ていただいた有識者の方々から、ほかの参考人の発言を踏まえ て、これだけは大臣の前でいろいろ発言しておきたいということもあろうかと思います ので、委員会の委員の方の御発言は次回中心に必ず議論いたしますので、有識者の方か らの御発言を中心に。  資料7に基づいて、若干整理して大臣から御発言がいろいろお話を伺いたいと思いま すので、今のような議事で御発言をお願いします。委員の方には今日ここでいろいろお 話をしたいお気持ちはよくわかるのですが、御協力のほどよろしくお願いしたいと思い ます。  では、山崎参考人、どうぞ。 ○山崎参考人 在宅の緩和ケアに取り組んでおりますと、幾つかの課題が見えてきてお ります。  1つは、介護保険の制度上の問題です。例えば末期のがんが特定疾患に入りまして、 40歳以上の人たちも介護保険を利用できるようになりましたけれども、問題は、末期の がんと言われても亡くなる1か月前くらいまでは自力で動くことが可能なことが多いと いうことなのです。つまり、自力で動くことが大変になってきたために介護認定の申請 をしようとするころは、実は亡くなる一か月前のころであることが多いということなの です。ですから認定調査が入って、結果が来るころには亡くなっていたり、要介護4か 5であったりするのですが、調査の時点では、何んとか自力で動けてしまうものですか ら、認定結果は要支援であったり、要介護1位でしかないため、実状と大きなギャップ が生じてしまい、必要な介護が受けられない、すなわち適切に介護保険を利用できない ということになります。たとえば、認定申請する前後に、患者さんたちは急速に自力移 動が困難になりますので、すぐに、患者さんたちに必要なものは看護用のベッドになり ます。ですから、例えば末期のがんという診断が付いたら、その人たちは介護認定申請 時には、自動的に要介護2以上の判定をつけるぐらいの仕組みにしなければ、まさにそ うなったときの保険である介護保険が使えないということなのです。従来の認定プロセ スでは末期のがん患者さんたちは救われないことになります。次回の介護保険改定時に は、是非その辺のことを検討していただきたいと思います。  次にですが、最初にお話をしたように、私たちが係わりました在宅療養を希望されて いた患者さんの約7割は家で看取りましたが、残り3割の人たちは介護力の限界で病院 やホスピスに入院いたしました。そして、多くの方が、入院後3週間以内に亡くなって います。つまりあと3週間の在宅での介護をしっかりと支援できれば、その人たちは入 院しなくて済んだかもしれないということなのです。  ただ、先が見えていたとしましても、家族はもう限界で共倒れになってしまうという 恐れを感じていますので、私どもは病院やホスピスを紹介していますけれ、もし、予後 一か月以内と判断された場合に(多くの方は介護保険の認定申請をする頃なのですが)、 滞在型の介護や、時には24時間介護などが可能になれば、たとえ一人暮らしの方であ っても、最後まで家にいることが可能になると思われます。勿論それは在宅の療養を支 える24時間体制の医療、看護あるということが前提になりますけれども、そうすれば、 在宅療養を希望する9割り近い人々が最後まで住み慣れた家にいられるのではないかと 考えております。そうなりますと、病院やホスピスの役割もかなり変わってくるのでは ないでしょうか。以上2点を是非ご検討いただきたいと考えます。 ○前田座長 ありがとうございました。  ほかに御発言はいかがでしょうか。小山参考人、どうぞ。 ○小山参考人 先ほどの話の続きになるのですけれども、基本的に在宅生活という在宅 のケアの原則は、24時間介護が続くことと食事が食べられることです。これは日ごろ一 般家庭で行われている介護の原則です。これにプラスα、訪問看護があったり、相談が あったりというのが一般家庭の暮らし方です。  それを可能にする制度ということになりますと、どうしても定額制にしないと使う側 からすると、非常に高くなって使えない。この在宅介護の分野を定額制にできるかどう かが大きなかぎになるだろうと思っています。  同居家族がいらっしゃっても、先ほど申しましたように、同居家族のいる中で外から 人が入ってくる介護をするというのは非常に難しい。そうすると、どうしても住み替え が必要になるのですが、住み替える住環境が現在の住み替えの場所では非常に不足して いる。これはやはり次の世代は本当に使えるのだという期待を持たせる制度にしないと、 介護保険を払うと住環境がどんどんひどくなるのですねということはあってはならない わけで、やはり保険の負担をする以上、そういった本人保険として使える住みやすい住 環境がきちんと用意される。  その場合に払える方については、もっと負担していただくべきだと思いますが、現在 多くの方が負担できない方がいらっしゃるのも事実ですので、そういった場合の住宅手 当等についても並行して考えていただくと、在宅というのは済むのではないかと思って いますので、御検討願いたいと思います。  以上です。 ○前田座長 それでは、藤原参考人、どうぞ。 ○藤原参考人 小規模多機能を計画しようという中で、地域住民から反対を受けていま す。団地の中に私どもが所有している2つの区画をそのまま使うということでやるので すが、その反対の理由は、地域密着にしてくれるなと反対されて困っています。私ども が施設のデイをすごく評価をいただいていながら、その造成した団地はいわゆる通常の 住宅ができるものだと理解していたのに、そんな社会的な施設が出るとは何事かと。  私どもがお願いしたいのは、市町村自治体の住民に対する小規模多機能のPRをもっ と住民にしっかりしていただきたいという点です。私どもはPRを一生懸命やるのです けれども、それはおたくの言い分だろうということになってしまいます。夜中に何かあ ったら小規模多機能の施設から職員が出向いていって病院にお連れできますし、ほかに もこういうサービスもできるのですよと、こと細かく具体例をあげて自治会や住民に説 明を一生懸命していますけれども、私どもがやるよりも自治体が説明していただけると 助かります。住民に向けた小規模多機能のPRを、国レベルで是非御検討いただければ というお願いでございます。 ○前田座長 ありがとうございました。  ほかに関連して、委員の方からでも御発言があれば、勿論お願いしたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○堀田委員 今の藤原さんのご発言に関連して、どの方々からも地域で暮らしていくた めには、個別で多様なサービスを連続的に組み合わせて提供することの重要性が示され たと思うのですけれども、そのときに、主に小山さんにお聞きしたいんですが、2〜3 キロおきに施設もたくさん置いていくということで、それぞれの地域でまず施設を建設 する段階で住民の理解をどう得てこられたのか。  更にその地域の中で、どの方々もボランティア、地域のコミットメントといったこと を話されましたが、新しいサービスをつくっていく段階で、地域住民の参加を、仲間力 という表現もありましたけれども、どうやって高めているかということをお聞きしたい。  もう一点、別の話題ですが、特に統合モデルで個別で多様なサービスをというときに、 本人と専門職が、ともに利用者の自己決定力を引き出しながら、必要なサービスをどん どん新たに生んでいく循環ができていないと、なかなか魅力を高めていくことが難しい と思う。その循環をつくっていくために、特に介護職のあり方、あるいは介護と医療の 連携など、提供する側に求められるもの、今、足りないものはどういうものなのか。も しよろしければ、これは大川先生にお聞きできますか。 ○前田座長 では、小山さんと大川さん。 ○小山参考人 私の話になってしまうのですけれども、私どもはいわゆる老人ホームで スタートして、その段階で利用されている皆さんのニーズが違うということに直面して、 でも在宅や地域社会にサービスがあるのかというとない。抱えるにはどうするのか。シ ョートステイで費用が出る。ショートステイで在宅生活の半分がみられるようになった ときに、残りの半分をどうするのか。当然、訪問介護、訪問介護、配食といったものを 休まず出ていくしかない。結果的には利用者のニーズに応えるたびにサービスをつくっ て、応えてサービスをつくっての繰り返しがまず一つありました。  もう一つは、いまだに続いていますけれども、私どもはやはり利用者の満足度を高め るというのは勿論なのですけれども、地域社会、コミュニティの満足度を高めていくと いう2つのCSを持っていることが使命だと思っています。  そういったことで開設以来、地域社会の皆さんとの話し合いだとか、あるいは子ども たちに対する教育とか、そういったものの繰り返しの中にサービスをつくってきた経緯 がございます。そういった意味ではベースとして、こちらがサービスをつくって広げた のではなくて、利用者の皆さんの声で、在宅が無理だということを聞きながらサービス をつくっていくみたいな形になって、現在の形は統合した方がより効果的になるという ことに行き着いているということでございます。 ○堀田委員 そうすると、新しく開設しようというときに、先程、藤原さんがおっしゃ ったような課題、周囲からの反対にはあったことがないということですか。 ○小山参考人 それはしょっちゅうあります。それは町内会とかそういったところに話 に行く。一番最初に疑問を持たれたのは、私どもは病院もありますので、ショートステ イを広げたときに開業医の先生たちが患者さんをとられるのではという疑問を持たれた。 70軒近くあった開業医の先生たちを一軒一軒回って、こういうサービスは開業医の先生 たちをサポートするサービスなのだということを説明に回って、現在では開業医の先生 から紹介していただくという仕組みに変わっているわけです。  それはどこの場所でもわからないことに対して疑問を持たれるのは当然ですから、そ れに対する説明行為をしょっちゅうしていかなければいけない。世代が変わっていきま すから、次の世代に対しても常に関わっていかないと、いきなりその場面になったとき の対応にすると後手後手になりますから、前もってということをいつもやっています。 ○前田座長 大川参考人、どうぞ。 ○大川参考人 1つは御本人のニーズをいかにひき出すかということと、もう一つはそ のニーズを実現するためにもし足りないことがあったらどういうふうにつくり出してい くのかということでよろしゅうございましょうか。  御本人のニーズをいかに出すのかということですけれども、まさに我々の、専門家と しての技術ではないかと思っています。ここで大事なのは、患者さんや利用者にしまし ても、この人に話をしたらば、具体的に対応してくれると思えば、希望を出されますけ れども、そうでなければなかなか表出されない、というのが専門家として非常に痛感す るところです。まず希望がでなければ、ニーズを明確にしていくことができません。  そもそも、今日申し上げましたように、生活機能の特に活動と参加は、むしろ専門家 よりも御自身の方が、どういう生活行為が不自由であるとか、どういう生活を送りたい か、社会的な問題は何かというのがわかりやすいわけです。それを表出しやすくするこ とが大事です。普通は専門家はなかなかそんな活動・参加に関することを聞いてくれな いのではないかと思いがちです。例えば私などは医者ですから、病気以外のそのような ことをうかがっても医者がそんなことを聞くのですかと、言われることは非常に多うご ざいます。この人に相談をしても、どうせ医者なのだからやってくれないだろうと、言 ってくれない。  ですから、まず希望を表出していただくにしましても、どういうものも我々専門家は 改善できるのか。技術として提供できるのかということを相手方にちゃんとまず理解し ていただくことが必要です。理解していただく具体的方法は、時間制約があるので申し 上げませんが、そういうことをやって希望を引き出すということになると思います。  次に、希望からニーズを引き出すことができましても、それを実現するための多様な サービス提供ができるのか。介護保険サービス関係においては、その地域にないとか、 今日もいろいろお話が出ましたが、そういうことがあると思います。それに関係するこ とですが、介護保険法の改正のときに介護予防関係でしたら、介護予防のサービス・支 援計画表をつくるときに途中の検討で本来はこういうふうなプログラムを組むべきだ、 サービスを提供すべきだというのがあって、しかしながら、現状としてはこういうプロ グラム・サービス提供にならざるをえないという2つを明確に分けようとも考えられま した。 このように本来こういうものをやるべきだけれども現状ではない、ということ がはっきりすれば、この本来必要だが欠けていることを集積していって、それを自治体 とか制度に生かそうという議論はしました。ただ、それはその後どうなったのか、とい う感じはいたします。  ですから、これはサービス等がないからできないということだけではなくて、それを 自治体なり国の単位で集積していくことによって、どういうシステムが本来あるべきか ということを考えていくことが必要ではないかと思っています。 ○前田座長 これは議論が尽きないというか、御質問も尽きないとは思うのですけれど も、資料7をごらんいただきたいのですが、今後議論を深めていく必要がある事項とし て、これは事前に大臣と御相談して、将来のビジョンづくりに当たって、今後議論して いく必要があると思われる事項をざっくりとまとめたものであって、今日これだけ6人 の方のお話を伺って、更にまた議論の方向を変えていかなければいけないと思うのです。  大きくは1点目として、地域での生活、在宅での生活を支えるための具体的な仕組み づくりの中身が一番重要だと思うのですけれども、必要なサービス、いつでもどこでも 365日24時間するには、どういう具体的なものが必要か。  医療と介護の統合があったという御説明がありましたけれども、連携、中身のことを どう考えていくか。  具体的に今日出てまいりました認知症の対応ですね。これも非常に重い問題だと思い ます。  2点目として、何人かのお方から御指摘いただいたと思いますけれども、介護従事者 をどう確保していくかという問題もあると思います。  3点目としては、地域の力をどう向上させるか。共助というものをどう考えていくか ということでございますけれども、時間が大分押してきてしまっているのですが、これ について、大臣の方からお考えがあれば、これから離れても、今日のお話を伺ったこと に関してでもよろしいので、御発言をいただければと思います。 ○舛添大臣 今日いらしていただいた先生方、どうもありがとうございました。10分間 では大変もったいない話を皆さんにしていただきました。何人かの先生方からおっしゃ られたことについて、まず山崎先生の方からがん患者の話ですが、これは要するに認定 に時間がかかることの問題点がある。これは慢性的な日常の場合と非常に違うので、こ ういう末期がん、しかも若ければ若いほど急速に進むのだと思いますので、そういうこ とについて、これは研究をさせていただきたいと思います。  それから、園田先生と小山先生からもありましたように、要するに住居の問題という のが私は非常に大きいと思っています。今の資料7でも1ページの一番に「高齢者の住 まいの在り方」ということがあるのですけれども、例えば園田さんの話を聞いていて思 ったのは、シニア・ハイツでも何でもいいのですけれども、若い世代、孫の世代との交 流をどこで持つのだろうか。  私が昔から冗談で言っているのは、おそらく緑したたる田舎に帰ってという選択肢も あるけれども、長生きをするなら六本木の真ん中の方がいいだろう。なぜなら若い女性 を常に見ていた方が元気になるだろうというような冗談を言っていたことがあるので、 そういう他世代との交流を今のモデルだったらどうするのかということが非常に大きい。 町中というのは恐らくそれがあるのだろうと思います。ただ単に山から下りてくるのが 物理的に大変だとかいうよりも、すぐにほかの世代、ほかの職種、若い人たちが活動し ているところがそばにあるというのは非常にいいのではないかということで、例えばそ ういうのも是非お教えいただければと思います。  小山さんがおっしゃった、これはまた時間が許せば補足していただきたいのですけれ ども、住み替えとか住環境の問題をおっしゃいましたけれども、具体的に例えばどうい うイメージを抱いておられるのか。つまり今の介護保険だと、例えばバリアフリーにな っていないから、バリアフリーにすれば、それはリフォーム代を補助しますみたいな感 じになっている。ただ、例えば30代、40代くらいで今から家を建てようという人は、最 初からそこまで全部、将来は孫と住むのか住まないのかもわからないし、家族構成から 何から自分の身体機能まで考えてやらないでしょうから、そのフレキシビリティーとい うのは園田さんもおっしゃったと思いますが、家の場合は今日つくって来年つくり変え るというわけにはいかないので、それをどうするか。  片一方では、政府で200年住宅というのをずっと昨年来研究していて、福田さんのビ ジョンの中に200年持てる住宅。つまり骨格は動かないけれども、中は変えていく。今、 日本はとにかく片っ端からフロー的に変えていけばいいような感じがありますが、高度 成長モデルをやっていても、やはりステップということを考えたらどうだ。ストップと いう考え方と介護における住居というのは、ひょっとしたら矛盾するかもしれない。こ れが一つあると思うのです。  資料7の1ページの「高齢者の住まいの在り方」というのは、ここを特出ししてやる ようなことが必要かなと。これは国土交通省とか住宅の部会などがありますから、そう いうところがあると思います。  地域住民との問題は藤原さん、小山さんもおっしゃって、これはどこにでもあると思 いますが、他省庁との連携で総務省との連携をやろうということで、私の改革推進室の 中に1人、総務省から来てもらっております。しかもこういうことの専門家が来ており ますので、それを活用しながら考えたいと思います。後期高齢者の問題と介護保険の問 題を言うと、介護保険で例えば天引きということをやっていますね。後期高齢者でも天 引きをやっています。なぜ介護のときに天引きをしかられなくて、今度はしかられるの だろうか。ほとんど後期高齢者は介護保険の準用なのです。そうするときに地域との関 わり合いで我が省の問題になるのだけれども、介護をやっている局はしっかりしていて、 保険をやっているところはだめだったということを私は言いたいのかなと思われている。 半分はそういうことなのですけれども、そんなことを含めて、自治体との関連は大きな 問題だと思います。それで小山さんが説得したというのがありますけれども、そういう ことの問題も取り上げていきたいと思っております。  例えば2ページ目には、EPAに基づくインドネシアの介護士の問題なども、やはり そろそろ本格的にやらないといけないということで書いていますが、これは大きな理念 を大川さんもおっしゃいました。それから、木之下さんが現実に医療との絡みで相当、 薬の量をいかに減らすかということで御苦労をなさっておられました。前から木之下さ んにはいろいろお世話になっていて教えていただいているのですが、長期的な課題とし て、ここには明記していないですけれども、安心と希望の医療ビジョンをやって、医師 不足の解消とか手立てを何とか具体策にまとめて、来年度の予算、補正予算にという形 で持ってきたので、それに続いての介護ビジョンなのですが、私はやはり長期的と言っ ていたけれども、中期的な課題として、介護と医療の一体化ということをやらざるを得 ないと思います。  そうすると、この2つの保険制度を近々に、もうそう長期ではなくて、私の感覚から 言うと、そんなに年でもないのですけれども、私が政治家をやっている間に考えないと いけないかなと思います。  がんの話をなさいましたね。例えば介護保険だと負担は40歳以上です。医療はそうで はないでしょう。医療の負担の在り方で後期高齢者だって、若者からの支援をどうする のか。そういうことでいろいろと問題があるので、特定疾患の認定の仕方もそうですし、 今、全部の皆さんのお話の中で共通しているのは、医療と介護を分けていられませんよ ということは全員共通していたと思うので、そういう問題意識があれば、制度上も難し いからやらないというのは役人は言えることなのですよ。だけれども、我々はそういう ことを言ってはだめなので、難しかろうが何をしようが新しい制度設計をやるのが政治 家の仕事ですから、それをやる。優秀なスタッフが我が省にもたくさんいますから、み んなでそういう方向になっていくと思いますので、1つの課題として、それこそ長期的 ではなくて中期的課題として、医療と介護の隙間を埋めるというのをどうすればいいの か。それは保険制度一体化も一つあります。  先ほど山崎先生がおっしゃったような課題もあると思いますので、そろそろ考える時 期に来ているなというのを今日一番痛切に考えました。  もう一つは、やはり省庁の縄張りというか、そういうものを離れて考える。地域との 関係で、総務省とか市町村、国と地方がばらばらであってはけません。住宅のつくり方 ひとつを見てもそうなので、是非この検討会がそういうことの問題提起ができる検討会 であっていただければ、ここでしっかりしたものをつくっておけば、大変申し訳ないで すがこういう政治の混乱の状況であり、近いうちに総選挙もあると思いますけれども、 次なる政権がどういう政権であれ、これは国民的な課題でやらないといけないので、そ れこそどの政党が政権をとろうと、我々がきちんとここで議論したことを踏まえてやる ようなことをやりたいと思っていますので、限られた時間ですけれども、そういう大き なアンビションを持って臨みたいと申し上げて、あと6分くらいしか時間がなくなりま したけれども、私が示した園田先生、小山先生、山崎先生、手短に御反応があれば、い ただければと思います。 ○前田座長 園田参考人、どうぞ。 ○園田参考人 おっしゃるとおり六本木に暮らせればいいと思いますが(笑)。高齢者 が町中で暮らせるということが孫の世代との交流ということも含めて、大変重要だと思 います。最初のプレゼンテーションでは、まじめに話さなければと思って「シニア・ハ イツ」と言ったのですが、私は別名「グランパ・アネックス」とも言っています。おじ いさんの隠れ家とかおじいちゃんの別宅といったところです。例えば65歳だったらまだ まだなので、そこで地域で起業していただくとか、そういうことも考えています。  もう一つは、今、日本の65歳以上の方は85%持ち家ですから、少なくとも1つの持ち 家があります。それに加えてもう一つ、0.5宅持ってもらうのはどうか。これからは、 1.5宅の時代ということで、その0.5宅はおじいちゃんの仕事場でもいいし、あるいはシ ングルの息子さんとか娘さんがいれば、そういう方が住むということでもいい。1世帯 1.5宅ということも住宅という上では非常に意識しています。  2点目の200年住宅は、自民党で推進されていることで言うと、人間で200年の寿命の 方はいらっしゃらないですね。だから、200年住宅というのは住宅を長持ちにするなら、 住み方を変える必要がある。今までの住宅は、住む人と住宅をジャストに合わせて、カ タツムリ型の住宅をつくってきたわけです。しかし、人生が90年近くなったら、住宅は 住宅でいろんな種類ものがあり、そこを私たちはヤドカリのように移り住んでいく。 そういう意味で言うと、カタツムリ型からヤドカリ型に住み方と住宅の環境を変えなけ ればいけないのです。  その意味で重要なのは、200年住宅はまだ建設というところに軸足があるのですが、 これからより重要になるのは「流通」ということです。これは若い世代もお年寄りも含 めて、経済的な状態も含めて、住むということに関して言えば、建設と同時に流通の仕 組みをこの中に入れることが実は介護の安心ということにもつながるのではないかと思 います。  以上です。 ○前田座長 小山参考人、どうぞ。 ○小山参考人 住み替えのポイントというのは先ほど申しましたように、1つは生活圏 域内に置くこと。特に認知症の方については、生活圏から外れるとよけい混乱する。そ のときに先ほど言いましたように、夫婦で一緒に移動するということを考えなければい けないですから、そういう住環境が要るというのが1つのポイント。  もう一つのポイントは、使い回しが効く住宅。今までの高齢者用のサービスの住宅と 呼ばれるものは、ほとんど使い回しが効かないレベルの住宅ですから、やはり次の世代 もそこに住んでも大丈夫というくらいの住環境を持っていれば、そこで高齢者の数が変 わっても若い世代が次に使えるという形のものがどうしてもいるのだろうということと 住宅を使う、あるいは住み慣れた自分の家を使う。  どちらでも構わないですけれども、例えば共同住宅を真ん中に置いたときに、そこの ケアスタッフが道路を廊下として自宅を居室としたケアを両方一緒に見ていく。そうい ったものであれば、例えば地方だと公民館とかがありますし、都心部だとマンション1 つか2つとかいうのが想定されるのだと思うのです。でも、どちらにしてもそういうふ うに住み替えをする場合としない場合の両方にも使えるのは、その近くにフルタイムの 介護をセットに置くということが重要だと思うのです。 ○前田座長 山崎参考人、どうぞ。 ○山崎参考人 私は長らくホスピスでケアを取り組んできた結果として、先述もいたし ましたが、ホスピスケアを地域(在宅)で展開していくべきと考えるようになったので すが、それを実現するいいアイデアがなかなか見えませんでした。そこで、1年間ほど 休職し、各地を見て回ったり、考えたりいたしました。その時に気が付きましことに、 介護の世界でも先進的な取り組みは色々なされていて、認知症の人々や自立の困難な高 齢者の皆さんの尊厳を守ろうと努力されていることはよく分かったのですが、しかし、 たとえば末期のがんのように、治癒が難しい病気になってしまった場合には、そこで最 後まで暮らすことは出来ずに、結局病院に行かざるを得ないことがほとんどなのだとい うことでした。現在の病院では、ホスピスを除けば、患者さんの尊厳を守れるような医 療環境はほとんどありません。日本の介護は利用者の自立や尊厳を守るために、どんな に先進的な取り組みで努力しても、それは利用者ががんのような病気になる前までで、 その後は、自立や尊厳を守ることが難しい病院に渡してしまうのだということがわかっ たのです。つまり、従来の日本の介護の限界はそこだと思いました。そこで、その限界 に、私どもが取り組んできたホスピスケアが参加すれば、その問題は解決できると思っ たのです。それが、ケアタウン小平の取り組みでもあります。  その、我々の取組みを通しまして今考えていますことは、デイサービスだけでは家族 の介護疲労解放にはつながらないし、しかし医療ニーズが高い人を受け入れてくれるシ ョートステイもあまりないという現実の中で、家族が本当に疲弊しきっているというこ とです。  ですから、例えば小規模多機能居宅介護事業は今ほとんど認知症モデルになっており ますけれども、医療ニーズの高い人たちをモデルにした小規模多機能介護事業も必要で あると考えています。そこに、専門性の高い外づけの訪問診療、訪問看護がしっかりと 参加できれば、病院は急性期と特定の高度な医療をするところでしかなくなってしまう のではないかと思います。医療ニーズの高い人を対象にした小規模多機能介護事業が可 能になれば、そのくらい変わり得るのではないかと思います。  もう一つ言わせていただきますと、3年間の間に在宅で亡くなった人の亡くなる前2 か月間の訪問診療費、訪問看護費、訪問介護費、薬剤費などを、何十名か調査してみた のですが、在宅では家族や本人が満足度の高い医療や看護や介護を受けても、なおかつ 病院に入院して必要とされる費用よりもかなり安くなっているだろうということです。 そのデータを幾つか持っております。  さて、医療ニーズの高い方々を対象にした小規模多機能型居宅介護事業や、滞在型介 護なども、介護保険改定時の研究課題にしていただければ、まさに安心と希望の介護ビ ジョンだけではなくて、安心と希望の医療、看護、介護、生活ビジョンを打ちたてられ るのではないかと考えております。 ○前田座長 ありがとうございました。大臣の方からよろしいですか。 ○舛添大臣 ありがとうございました。結構です。 ○前田座長 ちょうど時間になりまして、委員の方の御発言を私が遮るような形になっ て申し訳なかったのですが、次回は全員御発言いただいて、今日の御議論を踏まえて、 やはり医療と介護の結び付き、地域的な立場は関係なく、非常に重要なことで次回じっ くり議論をさせていただきたいと思います。  大澤課長の方から、次回のことについての御案内をいただければと思います。 ○大澤総務課長 既に各委員の先生方にも御案内が行っていると思いますけれども、次 回は10月1日水曜日の午後3〜5時を予定しております。なお、場所については調整中 ですので、決まり次第御連絡をさせていただきます。  次回は今、座長の方からもお話がありましたように、各委員の先生方からプレゼンテ ーションということで、お一人5分程度の御発言をしていただければと思っております ので、よろしくお願いします。その御発表の内容につきましては、先ほど座長から御説 明がありました資料7「今後議論を深めていく必要がある事項」の各事項に沿いまして、 例えば当面、1〜2年の短期的な視点でありますとか、あるいは今後10年、20年といっ た長期的な視点でありますとか、そういった角度からの御意見をいただきまして、さら に議論を深めていただければと考えております。  資料を提出される場合には、事前に事務局の方に送付していただければと思いますけ れども、詳細については後日御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いい たします。  以上です。 ○前田座長 それでは、本日の会はこれで終了させていただきたいと思います。今日は どうもありがとうございました。特に有識者の方、ありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 小野   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740