08/09/16 第6回雇用・能力開発機構のあり方検討会議事録          第6回雇用・能力開発機構のあり方検討会               日時 平成20年9月16日(火)                  14:00〜               場所 中央合同庁舎第7号館共用会議室1 ○庄山座長 ただいまから、「雇用・能力開発機構のあり方検討会」の第6回 会合を開催いたします。本日は皆様方、大変お忙しい中ご参集いただきまし て、誠にありがとうございます。議論に先立ち、本日の代理出席の方をご紹 介いたします。日本経済団体連合会常務理事の川本裕康委員の代理で、労政 第一本部長の高橋様です。なお、本日は座長代理の今野委員、住田委員、川 本委員、大久保委員、高本委員、佐伯委員が所用によりご欠席となっており ます。本日は厚生労働省の舛添大臣にもご出席いただいておりますので、ご 挨拶をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○舛添大臣 どうも皆様、こんにちは。お忙しいところお集まりいただきま して、ありがとうございます。今から皆様方にご検討いただく前に、一言ご 挨拶申し上げたいと思います。  昨年末の独立行政法人整理合理化計画に基づき、これまでも公共職業訓練 のあり方、それからこの雇用・能力開発機構のあり方について、真摯な議論 を行っていただいておりますことに、心から御礼申し上げたいと思います。 この機構の改革に当たりましては、様々な無駄を排することは当然ですし、 私はやはり抜本的に見直すべきは見直し、改革すべきであると思います。昨 年は渡辺喜美さんが担当大臣でしたので、2人でいつも議論をし、例えば「私 のしごと館」などについても、きちんと現場を見てきました。  一方で、いま雇用の問題が非常に大きな問題になっています。フリーター の問題があったり、ワーキングプアという人たちに、どういう職業訓練をや るかということもあります。また、いまは石油の値段、原油の値段が非常に 上がっており、企業経営、とりわけ中小企業の経営が非常に厳しくなってき ています。しかし一方で、国際的な競争にも晒されているわけです。例えば、 今いる従業員の技能のスキルアップをどういう形でやるかということを考え たときに、そういう職業訓練に対しては、やはり国がきちんと責任を持って やるべきだろうと考えております。  私は、近代国家になぜ労働省があるかといえば、労働者の権利を守ってい くということが、近代国家の政策の1つである、政府の仕事の1つであると 思っております。そうでなければ、労働省というのは要らないはずです。国 際的に見てもILOを含めて、働く人の権利をきちんと守っていくべきだとい うことは、しっかりと認識された上での政府であるべきだと思います。  そういう中で、ではどういう形で国は責任を持っていくのかということも、 一方できちんと考えないといけない。  しかし雇用保険というのは、みんな苦しい企業経営の中から、従業員の皆 さんも経営者も出しているわけですから、いささかたりとも無駄な使い方が あってはいけないと思います。  先般、福田内閣で「5つの安心プラン」ということでまとめました。その 中の1つが労働の問題であるわけですから、働く人たちの権利を守っていき、 大きく変化する国際情勢、そして国際競争に晒される日本の企業が、そこに 働く人たちがきちんと必要な技能を身に付けていく、こういうことをお手伝 いするのが国の仕事であるべきであると思っております。そういう観点から きちんと議論をしていき、何が国民にとっていちばんプラスになるのか、こ ういう観点からの議論をしたいと思っております。  国民のお金を無駄にしないためには、どうすればいいのか。例えば「私の しごと館」についても、あれだけのお金を使って、あれだけの立派な建物を 造ったのに、ブルドーザーを入れて解体作業をしたら、がらくたになってし まうわけです。そういうことよりも、あれだけの立派な建物をどう有効活用 したらいいのか、こういう議論をした上で、最終的なあり方を検討すればい いのです。そういうことも含めて、きちんと議論すべきだと思います。  ここには各界の代表の皆さん方がお集まりなので、是非真摯な議論をして いただいて、国民のためになる改革案というものを出していただきたい。昨 年末に町村官房長官の下で、渡辺喜美さんと私と3人で議論をして、1年を 目途に、この機構の改革案をまとめようということでしたので、最終的に年 末までには是非、国民が納得のいく改革案をまとめて、実行に移したいと思 っております。こういう騒々しい政局であればこそ、こういう問題について 皆様方のような方々にお集まりいただいて、本当に真摯な検討をやっていた だくことは、ありがたいことだと思っておりますので、是非よろしくお願い したいと思います。ありがとうございます。 ○庄山座長 どうもありがとうございました。それでは、渡辺副大臣もお見 えですので、一言よろしくお願いいたします。 ○渡辺副大臣 厚生労働副大臣を拝命しております渡辺孝男でございます。 本日はご多忙のところご参集いただきまして、私のほうからも御礼申し上げ たいと思います。会議の前に一言、ご挨拶を申し上げたいと思います。  先ほど大臣のほうからもご発言がありましたが、雇用情勢が大変厳しくな っている、先行きが不透明であるという中で、年長フリーターやワーキング プア層が拡大しているという状況がありまして、雇用のセーフティネットと して大事な機能である職業訓練は、その重要性をさらに増しているというよ うに考えております。特に若い方々の非正規雇用の対策として、ジョブ・カ ード制度の充実などを政府の方針として推し進めているところでもあります ので、これらの施策を国の責任として行っていくことは大変重要である、必 要であると考えているところです。  委員の皆様方におかれましても、実際に職業訓練を行う場をご視察いただ いた上で、さまざまな議論を行っていただけると伺っております。私も実際 にポリテクセンターの視察をさせていただきました。非常に地域のお役に立 っていると考えているところです。舛添大臣からもご発言がありましたよう に、国民の皆様、特に失業しておられる方々、あるいはものづくりで、大変 な役割を果たしておられる中小企業の方々のためになるように、現場の実情 を踏まえた改革案について、ご議論を賜れれば幸いと思っております。  委員の皆様には、これからとりまとめに向けて大変なご努力をいただくわ けですが、なお一層、精力的なご議論をいただいて、良いとりまとめをして いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうござい ました。 ○庄山座長 渡辺副大臣、どうもありがとうございました。いま舛添大臣と 渡辺副大臣から、お言葉を頂戴しましたが、是非そういう線に沿ってまとめ てまいりたいと思っております。大臣と副大臣は、ここで所用によりご退席 ということでございます。                (大臣、副大臣退席) ○庄山座長 カメラ撮りはここまでですので、よろしくお願いいたします。 それでは議事に入ります。本日の議題は、機構のあり方についての論点を事 務局に整理していただきましたので、これに基づいて皆様方にご議論をいた だき、スケジュールどおりに進めさせていただきたいと思っております。で は資料No.2および資料No.3について、事務局からご説明をお願いいたします。 ○姉崎課長 資料No.1は、最近の経緯ということで用意させていただいてお りましたが、会議直前に間違いが見つかりまして、新しいものに直している 時間がなく、割愛させていただいております。大変恐縮でございます。  すでに委員の皆様方もご承知のように、前回、7月22日に当検討会で中間 整理をさせていただき、24日に有識者会議のほうにご報告させていただいた わけです。皆様方もその後の新聞報道等でご承知のように、8月13日に福田 総理から茂木大臣のほうに、早く検討するようにというご指示がありました。 その後いろいろな動きがありましたが、9月3日の有識者会議で、雇用・能 力開発機構のあり方についての論点整理ということで、ご議論がされたわけ です。そして9月5日の金曜日に、舛添大臣のほうから閣議後の記者会見に おいて、きちんとした改革案を作っていく、スケジュールとしては年末に向 けてといった趣旨の会見があったところです。そこで本日、検討会を迎えて いるわけです。実は明日、有識者会議も開かれると聞いております。  委員の皆様方にはお手元に、「雇用・能力開発機構に関する要望書一覧」と いう資料を、配付資料とは別に配付しております。この間に連合、中小企業 団体中央会、商工会議所から大臣宛に、雇用・能力開発機構に関する要望書 等をいただいております。北海道からずっとめくっていただきますと、各地 域においても各施設、地元の市町村、商工会議所、中小企業団体中央会、そ の他事業主団体の皆様方から、多くの要望書をいただいております。後でご 覧いただければと思います。6頁は連合からいただいた要望書、7頁は中小企 業団体中央会からの要望書、10頁は商工会議所からいただいた要望書です。 最後の12頁は、自民党のほうの動きの資料です。後ほどご覧いただければと 思います。  本日の議題である論点は、資料No.2です。資料No.3が図表編です。最初に資 料No.2の1頁の「検討の進め方」の(2)業務の必要性についての評価です。 第1回から第5回までご議論いただいて、7月22日の第5回の検討会におい て、中間整理のご議論をいただきました。その後、個別に委員の皆様方にご 照会をし、中間整理の確定をしたところです。それについては参考資料の1-1 から1-3ということで、最終的な確定版を配付させていただいております。 そして9月以降、中間整理の項目に沿って法人自体の存廃について検討して いきます。いま説明している資料は、中間整理の項目ごとに論点を整理させ ていただいたものです。  2頁の項目は、雇用のセーフティネットから始まります。真ん中の赤字で 書いてある部分が、7月の中間整理のときの表現で、その下が論点です。ま ず最初に、「雇用のセーフティネットとしての訓練について」ということで、 離職者訓練についてです。全国にわたるセーフティネットとして、国が責任 を持って実施を担保することが必要と言えるか。全部または大部分を都道府 県に移管することについて、どのように考えるか。一方、都道府県や民間教 育訓練機関に移管できる部分があるのではないか。その訓練内容の高度化、 あるいは能力形成機会に恵まれない方への訓練、こうしたことに対する取組 を、国としては強化すべきではないかという論点です。  3頁の大きな2番目が、「ものづくり訓練について」です。ものづくりの訓 練にはポリテクセンターにおける在職者訓練と、ポリテクカレッジにおける 学卒者訓練とがあるわけです。高度なものづくり分野に特化した上で、国が 実施することが必要ではないか。ただ、国が実施する場合であっても、附属 の短期大学校については、都道府県あるいは民間に移管できる部分もあるの ではないか。ものづくり訓練の実施に際しては、地域の中小企業との連携を さらに強めていく必要があるのではないか。また地域の工業高校、高等専門 学校等との連携も強めていく必要があるのではないかという論点です。  4頁が「指導員訓練など職業訓練の基盤について」です。総合大における 指導員の養成ですが、指導員になる人の就職率が低いというのは、いかがな ものかと。例えば長期課程を廃止し、指導員になる人を対象とする基礎研修、 つまり短期の研修に切り替えるなどの抜本的な見直しが必要ではないか。一 方で、すでに指導員になっている人の再研修、再訓練については、国がきち んと実施することが必要ではないか。いま現在、総合大は相模原にあるけれ ども、見直しをした場合に、資産の効率的な活用の観点から、改善すべき点 があるのではないか。指導員の再訓練については、公共職業訓練に携わる指 導員だけではなくて、民間の指導員あるいは企業内で技能継承をするための 熟練技能者といった人たちも対象として、幅広く行ったほうがいいのではな いか。ISOのほうで教育訓練のガイドラインを作るという動きがあるけれど も、機構が持っているいろいろなノウハウを、そういったことに反映してい くということ、公開していくということができないかという論点です。  5頁が、職業訓練全体についてです。職業訓練の財源が雇用保険の事業主 負担分であることを踏まえ、機構の運営については事業主等が、より積極的 に関与することが必要ではないか。訓練に要するコストが適切かどうかとい うことを、検証する仕組みが必要ではないか。あとはPRといった論点です。  それから、従前のあり方検討会では説明してこなかったのですが、9月3 日の「行政減量・効率化有識者会議」での論点として、地域職業訓練センタ ーというのが取り上げられて、必要不可欠な業務とまでは言えないのではな いかということでした。  下のほうに※で書いてあるのが、地域職業訓練センターが地域における中 小企業労働者に対して訓練を行う事業主等々に場を提供する、地方公共団体 等が地域住民に対して、いろいろな講習等を実施する場の提供を行うという ことで、雇用・能力開発機構が全国82箇所の施設を設置をし、都道府県に対 して運営を委託しているもので、それぞれの自治体で効率的に使用されてお ります。平成19年度の実績で申しますと、全国82箇所で年間約180万人ぐ らいの利用があったということです。ただ一方で、82施設の平均の稼働率は 55%となっております。これについては一定の稼働率に満たない施設、稼働 率が少ない所については、有効に活用されていないということで廃止する、 縮小する、あるいは県へ移管することも含めて検討していくことが必要では ないかという論点です。  6頁が「民間教育訓練機関との役割分担についての論点」です。民間でで きるものは民間で、民間でできないものを国が行うという考え方です。その 際、在職者訓練と離職者訓練については、地域の民間との競合状況の確認を やっているわけですが、学卒者訓練についても、今後、競合確認をしっかり 行っていくべきではないか。失業者等に対する訓練は国で行う必要があるが、 民間を活用できる部分については、積極的に活用していくべきではないか。 ものづくり訓練はコストがかかるので、国が行う必要があるのではないか。 民間教育訓練機関が全然ないような地域における国の役割についてどう考え るか、という論点です。  7頁が「都道府県との役割分担についての論点」です。都道府県は地域の ニーズを踏まえたもので、国はセーフティネットと高度かつ設備にコストが かかるものづくり、という分担が適当ではないか。失業者が多発するような 緊急の場合に、全国ネットのメリットが活かせなくなるということを踏まえ ると、現在国で行っている業務をすべて都道府県に移管することは、あまり 適当とは言えないのではないかということです。  それから、厳しい経済情勢にある地域は財政も厳しく、一方で訓練のニー ズも大きいために、職業訓練業務をすべて都道府県に移管することになると、 都道府県間の格差も拡大してしまうのではないか。仮に移管する場合、財源 をどうするか、職員の移管をどうするかということが問題になるのではない か。また、都道府県にすべて移管していくことになりますと、財源が雇用保 険二事業ということで、事業主団体の理解が得られるかという論点がありま す。委託訓練については、地方分権改革推進委員会のほうから、民間に対す る委託訓練について、より積極的に都道府県のほうに任せるべきという勧告 をいただいています。それを踏まえて、都道府県により多く移管できる部分 があるのではないかという論点です。  8頁が「職業訓練業務以外の業務の方向性について」ということで、事業 主への相談・援助や助成金の関係についてです。能力開発にかかわるものに ついては、引き続き法人が実施し、それ以外の雇用管理にかかわるものにつ いては、別の所に移管する方向で検討する。キャリア・コンサルティング、 職業訓練を受けている受講生の資金の融資制度は、職業訓練と一体というこ とで、引き続き法人が実施するという方向で検討する。勤労者財産形成促進 業務については、整理合理化計画を踏まえて、他の組織に移管し、一部業務 については廃止も含めて検討する。雇用促進住宅はすでに廃止決定済みです が、廃止までの間の業務を他法人で実施することはなかなか難しいので、暫 定的に法人が実施するという方向で検討する。「私のしごと館」については、 民間委託終了後の機構からの切離しを検討していくということです。  こうしたことを踏まえて、9頁が組織全体のあり方です。以下のような論 点を踏まえて、ゼロベースで抜本的に見直すべきではないかということで、4 つ挙げております。1つ目が、国の役割や責任を果たす必要があるというこ とで、国が一定の関与を持つ仕組みです。2つ目が、労使が参画する、ある いは法人の運営をチェックできるような仕組みです。3つ目が、業務の効率 的な運営、特に資産の有効活用ということで、外部の専門家の意見を反映で きるような仕組みです。4つ目が、地域における職業訓練で、より地域のニ ーズを反映できるような、地域の中小企業等の連携の強化ができるような仕 組みです。こうした観点から、組織全体のあり方を考えるべきではないかと いう論点です。論点については以上です。  それでは資料No.3のほうで、新しい関係の資料だけご説明させていただき ます。まず2頁の「離職者に対する職業訓練の実績」です。これまではすべ て平成18年度の数字でご説明させていただきましたが、平成19年度の数字 が出ましたので、平成19年度の数字を念頭に置いていただければと思います。 真ん中の「業務実績」ですが、平成19年度の離職者訓練の合計が11万3,000 人で、就職者の約8割が中小企業です。施設内訓練については就職率が82%、 委託訓練については71.4%の実績です。  7頁がフリーターの職業訓練についてです。これも平成19年度の実績が出 ております。右側に日本版デュアルシステム、再チャレンジコース、企業実 習先行型訓練システムの受講者数、就職率の平成19年度の実績があります。  8頁が、この4月からジョブ・カード制度がスタートしておりますが、こ のジョブ・カード制度の中でも、下のほうにありますように、訓練生に対す る生活資金の融資、実施する企業に対する助成金の支給、プログラムのコー ディネート、始まる前後のキャリア・コンサルティング等々のところで、雇 用・能力開発機構がさまざまな役割を果たしているというものです。  10頁が在職者訓練の平成19年度の実績です。真ん中の緑色の所、平成19 年度が約5万人です。受講者の66%が中小企業の労働者で、従業員を派遣し た事業主の満足度、在職者訓練を受けた受講生の満足度は、それぞれ高い水 準になっているということです。  12頁が「学卒者に対する職業訓練」についてです。真ん中より少し上の平 成19年度の業務実績は、7,439人の在学生に対して訓練を行い、就職率は 98.4%で、8割が中小企業に就職しているということです。  17頁が「地域職業訓練センターについて」です。初めてご説明させていた だきますが、全国に82箇所あります。概要に「設置・運営」と書いてありま して、雇用・能力開発機構が設置しているのですが、雇用・能力開発機構が ここで具体的に何かをやっているということではありません。運営について はポリテクセンター所在地の都道府県に委託しているということで、いちば ん下にその実績が書いてあります。  21頁が「現在の都道府県に対する補助金・交付金制度」の概要です。都道 府県が実施する職業訓練に対して、国が援助しているものが2つあります。1 つが運営費に関する支援です。それが上のほうの「職業訓練に要する経費」 です。それから、施設整備費に対する支援というのが、下のほうの「施設整 備費」です。平成18年度の実績で申しますと、まずは運営費のほうですが、 都道府県の運営に要する経費が407億円の実績で、国からの交付金が120億 円、残りが都道府県の自己負担です。施設整備費については、国からの補助 が2分の1となっておりますので、県のほうが20億円です。  22頁が、都道府県に移管する場合に、職員の問題があるということです。 「ポリテクセンター所在地を出身地とする指導員の割合」が25.5%と書いて あります。例えば山形ポリテクセンターには職員が12人いるのですが、山形 県の人はゼロ人という意味です。職員がみんな全国異動で動いているもので すから、地元の人がなかなかいないということです。  23頁が、各職業訓練について細かく書いておりますが、業務の種類別に、 従事している職員数、その予算額等々の実績です。  24頁が「法人形態の比較について」です。現在、雇用・能力開発機構は独 立行政法人ですが、それ以外に公法人、特別民間法人、特殊会社ということ で、こうした法人形態の比較をしているものです。資料については以上です。 ○庄山座長 それでは、ただいまの「論点整理」をベースにして、皆様方か らご意見をお聞きしたいと思います。ご質問、ご意見等がありましたら、よ ろしくお願いいたします。 ○千葉委員 資料に「ものづくり」というのがたびたび登場するわけですが、 この「ものづくり分野」というものの定義は、どういうように理解したらよ ろしいのでしょうか。非常に抽象的な言い方だと思うのです。 ○姉崎課長 ものづくりの定義として、具体的にこれだというものがないの です。資料No.3の9頁に「ものづくり基盤技術振興基本法」というのがあっ て、ここでは「ものづくり」と書いてあります。しかし実はここにも、もの づくりの定義というのはないのです。具体的にはものづくりにかかわる基盤 技術ということで、13頁にありますように、「中小企業のものづくり基盤技 術の高度化に関する法律」の中で、20の技術を「特定ものづくり基盤技術」 と指定しております。基本的には製造業関係のいろいろな技術・技能を教え るのが、ものづくりという感じでイメージしていただければと思います。 ○清成委員 13頁の「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」 の説明ですが、これについては実は中小企業政策審議会でも議論をしまして、 私はそのときの委員だったのです。この20の技術を大括りにして、中小企業 庁の技術課で、相当詳細に検討しておりますので、大体この20の技術でイメ ージしていただければ済むと思います。  それから質問です。千葉委員に対する質問でいいかどうかは分かりません が、専門学校に新しい学校種ということで、ものづくりの専門学校をつくる ことを検討しようという動きがあると聞いております。それは進んでいるの でしょうか。 ○千葉委員 その分野の希望者はどんどん減り続けています。これは国家的 な問題だと思いますが、それについての何か新しい施策があるという話は聞 いておりません。 ○庄山座長 先ほどのご質問に加えて、何かご要望などがありましたら教え てほしいのですが。 ○千葉委員 これはセーフティネットの問題以外に、ここでは中小企業が要 望するような人材をここで養成するということも、条件として上がってくる のではないかと思います。中小企業の中には、ものづくり以外の分野を受け 持っている会社もたくさんあるのではないかと思うのです。運用とか管理と か、さまざまな職種が浮かんできます。私としては、このものづくりという 定義が曖昧な中で、ものづくりの専門家を育てていくということをあまりに も強調されているので、それについてちょっと疑問があったのでお聞きした のです。例えば、ビル管理などの仕事もあるわけですよね。そういうものも 当然含まれるべきではないかと思うのです。 ○庄山座長 サービス業に関係するようなところとかでしょうか。「ものづく り」と言い出すと、範囲が非常に広くなると思うのです。例えば技能五輪な どで言われているようなものだと、ものすごく範囲が広くなります。おそら く中小企業庁でまとめたときは、清成委員がおっしゃったように、ある範囲 についての特定ものづくりの基盤技術というイメージなのでしょう。いろい ろなところで議論されているのは、もうちょっと幅が広いのかもしれません ね。 ○千葉委員 ものづくりの場合には設備等々の費用の問題で、民間では教育 できないということが、前半のほうに書いてあるわけですが、民間の職業教 育機関でもできるような、お金の使い方としてふさわしいような分野もある のではないかと思います。社会の変化によって、その辺のところも柔軟に対 応していく必要があるのではないかと思います。 ○秋葉委員 少し関連するかもしれません。ものづくりだけに大変注目して、 いままで議論していたというか、書いた資料がそういう形だったわけです。 実は訓練機関でよくやっていたのが、在職者訓練としてIT関連がだいぶあっ たはずなのです。あとアビリティーガーデンでは、ホワイトカラー族に随分 やったはずなのです。それがこの4月に、40km以内にあるものはやめますと いう形でやめてしまったわけです。それから半年経ったので、それが民間に うまくスムーズに移行しているかどうかという調査があるかどうかです。  要するに、民間という流れは多分いいことだとは思うのですが、民間に任 せてもそれがスムーズに流れないと、結果として在職者訓練はうまくいかな くなります。その辺をうまく民間に渡すなら、どういう具合に渡したらいい かというのもきっちり考えていかないと、これからの日本の社会は成り立っ ていかない部分があります。特にITは座学が多いと思うので、どうしても民 間にあるということになる。ちゃんとしたものがあるかどうかは別ですが、 東京近辺にはいっぱいあるということで落ちてしまうわけです。しかしIT関 連にはちょっとした技術に、非常に大事な部分があります。たぶん、その辺 は非常に大きな悔いを残すのではないかという気がしています。もし半年経 って移行処置の間の何かがあれば、資料をいただきたいという気がしている のです。 ○庄山座長 事務局のほうはどうでしょうか。 ○美濃課長 情報関係の在職者訓練のお話かと思います。これについては政 策評価・独法評価委員会の方で、中小企業を主な対象として、ものづくり分 野を中心に、真に高度なもののみに限定して行う旨の勧告が出されました。 ご承知かと思いますが、その方向性に沿って、IT関係は順次撤退していこう という流れになったわけです。それがきちんと民間のほうで代替されている かどうかということについては、注視していく必要があると思いますので、 こちらとしてもそういった関心を持ちながら、今後も取り組んでいきたいと 思っております。 ○庄山座長 いまの件について、どなたからでも何かコメントと言いますか、 実態についてありますか。あちこちでIT人材の不足がものすごく言われてい て、その話とここの話をつないでいいかどうかは分かりかねますが、とにか く相当な問題になっていることだけは間違いありません。 ○草野局長 IT関係については、19頁の資料をご覧いただきたいと思います。 1つには民間でどのぐらいやっているかという中で、工業関係も専修学校で は結構多数ございます。工業関係を拡大して見ますと、右の図のようになり まして、情報処理というのが非常に多いわけです。ITについては従来から、 民間でできる最たるものの1つとして、任せるものは任せるということでや ってきております。  アビリティーガーデンでやっているのは、離職者訓練のホワイトカラー系 のものと、新たにホワイトカラー系でモデルカリキュラムを作るという2つ の役割があります。離職者訓練については、これだけ情報処理関係があるの で、こういうところを民間にお願いしてやっていただくことによって、1つ 対処できるのではないかということで整理したわけです。もう1つは、ホワ イトカラー系に係る新たなカリキュラム作りということで、委託訓練などを やる場合も資格を目指すのではなく、離職者訓練については就職できるとい うニーズを中小企業から汲み上げて、それをカリキュラムに反映することが 重要です。その一翼をアビリティーガーデンが担ってきたわけです。  実は、ここについては総合大学校のいわゆる調査研究の中で、いろいろな カリキュラムを開発しておりますので、そこでアビリティーガーデンの役割 を引き継いでやってはどうかと、現在考えております。離職者訓練というこ とですから、就職していただく必要があるわけですので、中小企業の中身に 応じて、カリキュラム内容もどんどん更新していかなければいけません。そ れはホワイトカラー系職種全般についても言えます。ですからアビリティー ガーデンでやっていたカリキュラムを更新していくというノウハウを、民間 の教育訓練機関と共同で開発していく、あるいは業界と共同で開発していく という機能については、総合大学校の調査研究という機能の中で、十分漏れ がないように引き継いでいく。逆にそういう意味では、総合大学校のカリキ ュラムを作っていく調査研究能力というのを充実していく必要があると考え ております。 ○庄山座長 ほかに何かあればどうぞ。 ○千葉委員 もう1つ質問です。これは勉強不足の部分だろうと思うのです が、訓練生の融資ということで、技能者育成資金というのがありますね。こ れは簡単に言うと、どういうような貸付制度でしょうか。 ○美濃課長 公共職業訓練を受けるときに、経済的理由により、その訓練を 受けることが難しい場合、所得とか、ある一定の要件に合致するような方に 対して、融資を行うことにより、訓練を受けやすくしようという制度です。 ○千葉委員 新規の学卒者に対しても、融資というのは可能なのでしょうか。 ○美濃課長 新規の学卒者に対しても、融資は行っております。 ○庄山座長 いま、これはどのぐらいの規模でやっておられるのですか。 ○美濃課長 具体的な額としては、離職者訓練においては1万8,200円です。 学卒の場合はいろいろな区分に応じて、上限ですと8万5,000円までありま す。具体的な人数としては、平成18年度ですと、合計で約2,800名程度、金 額にしますと14億円程度となっております。 ○千葉委員 本校は北海道にありまして、そちらのほうで融資制度をやって おります。これは国の公的なということになるのでしょうか、日本育英会の 資金あるいは都道府県等の融資が受けられないような方たちでも、学校で勉 強したいという人たちはたくさんいるわけです。本校では学校が保証人とな って、金融機関からお金を借りて入学をして、卒業して就職した後に借りた お金を返金していくという制度を用意しております。これについては沖縄辺 りからも、その制度を利用して入学したいということで、北海道の学校へ入 っているようなケースもあります。そういう子供たちに聞いてみますと、「こ の制度がなければ、自分は学校へ進めなかった。この制度があって本当によ かった」ということで感謝してもらっています。  今回の若年フリーターの問題なども、セーフティネットではないですが、 そういった形をとっていただくことで、そういう人たちにならずに済ませる という道もあるのではないかと思います。こういう資金が、我々のような学 校に入学する人にも利用できるような形にしていただけると大変ありがたい と思って、いまお聞きしたのです。  アメリカでは連邦政府が保証人になって、学生個人がお金を借りて、それ を就職後に返金するというのが一般的だという話を聞いたことがあります。 日本の場合は親の年収や親の状態によって融資が受けられずに、計らずも学 校に進めなくて、高等教育機関に進めなくて、それがひいては若年フリータ ーというところにつながっているのではないかと思います。こういうことに ついては、積極的に増強していただければありがたいと思います。 ○上原委員 資料の「論点整理」の8頁に「私のしごと館」のことが出てい て、切り離して検討するということですが、メディアなどで業績・効率など がいろいろ指摘されているときに、非常に無駄が目立つものの象徴として取 り上げられているわけです。現実に調べてみると、もともと平成元年ぐらい から構想があって、いろいろ議論されてきたのです。結果として、いわゆる バブル崩壊以降の失われた15年ぐらいになったわけですが、その初期に「勤 労体験プラザ」という名前で構想されて、「職業」とは、「働く」とはどうい うことなのかということで、小学生や中学生や高校生に具体的に見せよう、 という理念があって構想されたのだろうと思うのです。オープンが2005年と 言っていますから、まだ3年ぐらいしか経っていないわけです。当初はそう いう崇高な理念があって、できるだけ小さいころから職業を理解させて、若 年でのフリーター等ということのないように、安定的に就職させようという 大きな狙いがあったと思うのです。  現実にいろいろなお話を聞いてみると、この間にコストも削減すべく、図 書館などを早めに閉めたり、いろいろなことをやってきて、いまは民間にマ ネージメントを委託して、経過を見るような措置になっているわけです。こ の間いろいろやるに当たっては、閣議で検討されて、いわば承認された形で 進んできて、結果としてここで問題になっている機構が受けたというのが、 その経過ではないかと思うのです。機構が最初にあって構想したものではな いのではないかと思います。  支援的なお話も聞くと、キャリア教育の政策として、資金が6億円ぐらい 出ているのです。しかし国の政策として、先ほど言ったような理念に基づい て政策を打っているという部分はほとんど評価されないで、例えば年間10億 円から15億円ぐらいの赤字になっているという指摘が、ほとんどのメディア でなされて、これは全く無駄だと言われている。しかも膨大な、580億円も のお金をかけているというのがたたき台というか、本当にたたく台になって いて、それがすべてで、ほかのものも全部いけないのではないかというよう な議論の進め方になっていると思うのです。  それはある意味で、非常に一面的なことです。平成元年まで遡った理念を 尊重する必要が、今日もまだあると思います。フリーターが180万人とか、 ニートが60万人、80万人と言われているわけですから。そこのところを1 回、真摯に検討してみる必要があるのではないかと思うのです。  バブル以降の資金の感覚と今日の資金の感覚というのは、まるで1億円と 1,000万円ぐらい桁が違うというのは、我々も経験していることです。現実 に今日のアメリカのサブプライム以降を見ていても、全く同じ事を繰り返し ているわけです。今後も政策的に、いろいろな建物を造ったりすることもあ るだろうと思うのです。したがって今後の政策のときにも、一般の企業で言 うところの、ああいう箱は大きすぎたという失敗事例として、そこはしっか り押さえておく必要があるのではないかと思うのです。それがメディアでは ほとんど報道されない、非常に重要な部分ではないかと思います。それをベ ースに考えたときに、まさにあり方で整理されているように、雇用対策とい うのは引き続き重要だと思います。  いま、失業率は4%後半だと言われています。今日のこの環境を見ると、 これが毎月上がっていくのは、もう目に見えているわけです。しかも私も地 方でいくつか聞いてみると、標準で発表される失業率よりも、大概1%ぐら い高いのが地方の常識だというのです。そういう意味でこれからは、まさに 今まで打ってきている施策の出番が増える局面ではないかと思うのです。先 ほど大臣も言われていましたが、無駄は無駄で整理、統合、廃止、移管とい うのをやるべきでしょうし、一方で必要な部分、国が中心的に関与して雇用 政策をしっかりやるという部分については、譲れないのではないかと思うの です。そこら辺をもう少し掘り下げていく必要があるのではないでしょうか。  施策でも、ポリテクセンター等の地方とのダブりとか、地方に移管するも のは移管しろというのは、それはそれで検討すればいいと思うのです。ただ、 いろいろと資料を見ると、現地の出身者のいない所があるとか、人の問題と か、均一の職業訓練のノウハウというか、スキルを保ちながら伝承しようと すると、ちょっと言葉は堅いかもしれませんが、ある種の中央集権的なマネ ージメントがないと、ばらばらになってしまうのではないでしょうか。どこ かに格差みたいなものが出ていましたが、そういう恐れもあると思うのです。  それから、前回のヒアリングにも出ていましたが、都道府県によっては財 政の問題も出ていましたし、半分は負担するとか、いくつかの仕組みが出て いました。そういうものもよく精査しながら、一律的にバーンと、明日から 全部地方へというわけにはいかないのではないかと思います。移管をするに も、そういう検討が要るでしょうし、前段の民にできることは民にというの も、本当にそのとおりなのでしょう。この辺についてはほかの委員の方から も出ていましたように、移管していく過程での検証も必要でしょう。やはり いきなり来年からこうだというわけには、とてもいかないのではないかと思 いましたので申し上げました。 ○清成委員 いまのご発言は非常に示唆的で、重要なことをいくつかご指摘 になったと思います。私は、1つには議論の進め方だと思うのです。機構の ここの部分は必要で、重要だから残せというところからスタートすると、メ ディア等に叩かれてしまうことがあります。例えば職業訓練、中小企業のも のづくりという点に関していっても、かつて機構は必要なかったのです。必 要なかったから存在もしなかったのですが、その必要があってできたわけで す。  しかし、その必要性は変化してきています。変化してきているというのは、 若年層の技能工の養成は、ほとんど不可能になってきているということです。 そうすると、その中で日本の職業訓練はどうあるべきかという大局的見地か らの議論が必要になります。その場合に、これまで機構は何をやってきて、 ここのところをこう変えたらこんなに寄与できるという進め方でないと、議 論が逆さまになっているのではないかと思います。つまり機構を残せといっ たアプローチからいくと、そういう論理で進めてしまい、結局批判者が乗じ やすいのです。ですから、そこは少し考え直したほうがいいということです。  先ほど、大学校の調査研究機能という話がありました。しかしカリキュラ ム等については、実際に査定するノウハウがあるかもしれませんが、大局的 見地から、職業訓練はどうあるべきかということは、ほとんど議論していな いのではないかと思うのです。おそらく、そのようなノウハウがあるとも思 えない。これはむしろ厚生労働省の本省のほうで、国の政策として考えるべ きことではないかと思います。ですから議論の進め方を少し変えていかない と、有識者会議等にもなかなか対抗しにくいところがあると思うのです。  それから、重点というのは中小企業のものづくりと、もう1つは先ほどか ら問題になっているセーフティネットです。上原委員のお話で非常に示唆的 なのは、例えば大卒者について見ると、毎年、大学生が卒業しますよね。そ れで卒業後の進路を見ると、ニートやフリーター比率がいちばん高かったの が2003年度で、約25%なのです。それが景気回復によって、いまは10%を 切ってしまっています。少なくなっている。しかし、おそらくこれからまた かなり上がるだろうということが想定されるわけです。そして非常に問題な のは、例えば沖縄の大学の新卒の場合、現在でもニートやフリーター比率は 25%で、本土の最悪のときの水準なのです。あそこはセーフティネットとい っても、ものづくりの話ではなくてサービス産業です。そうすると、ものづ くりの話とセーフティネットの話というのは、かなりずれてくるわけです。  セーフティネットという場合、いまは地域間格差が開いていますから、地 域問題というところに行きつくわけです。ですから地域再生の政策とのかか わりで議論をしなければならないという点が、何か根本的に違うように思う のです。ですから、その辺も念頭に置いて、もし都道府県への分権化を考え るなら、これはやはり相当立ち入って、もう少し検討してから、こうあるべ きだというように言わないと、かえって都道府県が困ってしまうことにもな りかねません。全国的に何か統括してということも必要かもしれませんが、 具体的な効用のあり方というのは、いまは地域差がものすごいし、最低賃金 にしても相当地域差があるという状況ですから、もし分権化を図るとすれば、 その辺でもう少し立ち入った検討をしておく必要があるだろうと思います。 ○古賀委員 関連しますので、発言させてもらいます。私自身、これまでも この検討会で意見を申し述べてきましたが、技術的な部分は別にしても、機 構が果たしている雇用のセーフティネットと言うべき職業訓練政策というの は、やはり国がきちんとその役割と責任を果たしていかなければなりません。 ここはやはり非常に重要な共通項として、認識合わせをしておかなければな らないのではないかと思います。  したがって、今いろいろ議論されているような地方に移すとか。いや、都 道府県で実施可能なものは移管したらいいと私は思うのです。しかし雇用政 策、職業訓練政策、あるいは今ありましたようなものづくり政策で、国にち ゃんとした役割と責任が果たせるのかというところを押さえないと、そう簡 単に都道府県や民間にということはできないのではないかという感じがして ならないわけです。そこはもう少し、今ありましたような精査が必要ではな いかと思います。  そのことを軸として、機構そのもののさまざまな組織をどうすればいいか というのは、いろいろなアイデアが出てきます。そういう中で、まさに大臣 が言っておられたように、直すべきところは抜本的に見直す必要もあるとい うことが出てくるのではないか。基本的なことですが、そのことを申し上げ ておきたいと思います。 ○志治委員 上原委員、清成委員、いまの古賀委員は、県への移管に絡めて の話だったと思いますが、県の立場から発言させていただこうと思います。 県によって、雇用情勢も産業構造も随分違います。それから、県立の職業訓 練施設の状況も違います。この機構が設置されているポリテクカレッジ、大 学校や短期大学校がある所もありますし、ない所もある。ポリテクセンター は、全国どの県もありますが、高度な内容の訓練をやっているポリテクセン ターもあるし、基礎的なことをやっている県もあります。そういう状況の違 う中で、県に移管の問題、具体の議論になっていくと、県によってまちまち になってくると思っています。  1例を紹介しますと、実は中部圏知事会議で、この機構の存廃に絡めて、 先ほどの要望一覧にも入っておりますが、中部圏知事会議として要望を出し ました。その内容は、ポリテクセンターやポリテクカレッジの機能の存続と いうことで要望は出しておりますが、その議論の過程でも、県によっては強 力にポリテクセンター、ポリテクカレッジの存続を求める県もありますし、 一方で、二重行政、地方分権を進める立場から、存続に消極的な県もありま す。  中間整理の段階でこういうことだと、これから県の移管の話に移っていき ますと、もちろん財源、職員の移管の問題がありますが、地域のそれぞれの 事情によって、全県の意向をまとめるのはとても大変なことになるのかなと。 もちろん制度の問題ですので、全国、全体としてどういう方針を決めるのか ということと、具体に県の移管の議論というのは、随分差が出てくるのかな と、感想ですが思っております。 ○本田委員 また最初に戻るのかもしれませんが、こうやって第6回まで会 議を重ねてまいりましたが、当初2回目ぐらいから有識者会議等々、たった 2回目から廃止の文言が見えるとか見えないとか、また国会では廃止ありき とか、何か感情的にものが動いているような気がしています。  これは6回、7回と、年内1年を目処にして、座長を中心にしてまとめて 提言をということですが、本当にこの意見が吸い上げられるのかどうなのか ということであり、もし廃止であるならば、廃止とした場合は、これからこ のセクションについてはどうしていくか、この大学をどうするのか、とどめ るのか、縮小するのか。費用はもちろんのこと、先ほどから出ております「私 のしごと館」等々、目立った、特出した支出に対して、いまどこでも騒がれ ています。  現実に先ほど上原委員がおっしゃったように、崇高な理念の下に作られて いることは尊重しなければならないのですが、全国の子供にこういうある日 の仕事の姿を理解させるために、京都の駅から1時間もかかる所に1個つく ることによって、これが全国の子供に理解させられるかどうかは、誰が考え たっておかしなことだと思うのですね。  ならば、そういうものに全国的にどうして540億もかけるのか。540億を ばらまくのか。それはやり方は別にして、多くの人の目に、あるいは多くの 人が利用できるためにはどうしていくかという場所の選定もあると思うので すね。それは1箇所に1,000億かけてつくろうが、私はまだ見学をしていな いからわかりませんけれども、例えば、そこに立っているお姉さんで、それ を見ることによって、私は将来アテンダントになろうなんていう夢を描くこ とが本当にできるのかどうかということですね。  できれば、今月中か、来月の上旬までに私も見学をしてみたいとは思って おりますが、そのようなことを踏まえて、何か廃止ということが前提で物事 が進んでいるような気もします。もしそうだとするならば、廃止なら廃止で 本当に決めた中で、この大学校をどうするのか、ポリテクセンターをどうす るのか、全部なくすのか、この一部を残すのか、そのような現実に近い意見 にしていくべきではないかと思うわけです。  だから、確かに良いものをつくっても、良い利用で良いことが行われてい る中には、前々からお話があったようにPR不足といいますか、国のお金を使 って、これをPRすることが良いのか悪いのかわかりません。だけれども、一 般国民が知らないことには、どうにもならないわけですね。こんなに良いこ とをやっているではないか。だけど、このぐらい使っているということが言 いたい部分です。  もともと「ものづくり」ということで話をしておりましたから、先ほど千 葉委員からも、ものづくりの定義はどこにあるのだということで言われます と、私もそこまで考えていたかなと思います。常に先端技術的に中小ではで き得ないようなものであるならば、それは特化して国がやるべきではないか。 そうではなくて、できるものは民間に移管してやっていったほうがいい。ど ういう方法にするにしても、あくまでも無駄を省くことで、見直すにはゼロ ベースでもう1回原点に立ってものを見て、それからかかるものにはかけて、 かけなくて済むものはかけるべきではない。やはり無駄というのは好ましく ないのではないか。  最後になりますが、フリーターとかニートの問題が、今後検討されると思 いますが、若者のものの考え方も、私どもが社会に出た年代と大きくずれて いるような気がしますね。例えば、いま上司が部下に対して、たまに「帰り 食事でも」と言うと、「いや、そんなことは要らないんだ。自分の時間だから 放っておいてほしい」と。でも、仕事はきちんとやってくれる。昔は結構、 酒を飲みながら先輩の情報やそうではないものをいろいろ教わったというこ とがありますが、そういうことがない。そして、定着もしないで、3年ぐら いで辞めていって、辞めることがキャリアを形成していくんだ、転職をする ことがキャリアアップになっていくんだと、違った考え方も若干そこにある のではないか。  中には素晴らしい人もいると思いますが、ミスマッチがいたる所に起きて いるのだろう。それを今後どのようにしていくかということは、厚生労働省 だけでできるのか、あるいは教育体系だから文部科学省ともよくすり合わせ しながらやっていくべきなのか、そのように思っています。 ○渡辺委員 お手元の「雇用・能力開発機構にかかる要望書一覧」で、先ほ どご紹介を賜りましたように、10頁に日本商工会議所として要望をお出しし たものがありますので、ご参照賜れば大変ありがたいと思います。日本商工 会議所としては、先週の12日(金)ですが、いまご覧いただいているお手元 の要望書に関して、福田総理、あるいは茂木行革大臣、舛添厚生労働大臣、 また、当あり方検討会の庄山座長にも提出させていただきました。  ポイントとしては、各地の商工会議所の意見を基にして、雇用・能力開発 機構のいわゆる職業訓練機能のうち、1つ目に、年長フリーターなど、就職 が困難な者が職業能力を身に付けるためのセーフティネットとしての訓練、 また2つ目に、高度な設備を必要とするものづくり技術の訓練については、 国の関与が必要と指摘している点です。また、職業訓練機能については、可 能なものは民間に移管するとともに、国と地方自治体の役割分担を精査して 見直していただくよう、求めております。なお、雇用・能力開発機構の職業 訓練に関しては、事業者が全額負担をする、いわゆる雇用保険二事業を財源 としておりますために、無駄を排し、あるいは企業のニーズに合わせたカリ キュラムに改善するよう、強調している点です。  この意見は全国にいまある516の商工会議所、141万の企業の総意であり ます。たしか6月27日だと思いますが、九州商工会議所の連合会のご意見を 申し上げましたが、その点も含め、今後の議論に反映させていただきたいと いう強い要望があります。  また、ものづくりの企業は、ほとんどが大学生ではなくて、一部、大学生 のブルーカラーもいらっしゃいますが、ほとんどが中学校あるいは高等学校 を卒業した方々で支えられています。しかし、そういう方々が少子高齢化の ために、現在非常に減っております。人口は必ず減ってまいります。したが って、いま現在、外国人まで雇わなければいけないという日本の製造業の実 態があるわけですので、そういう意味を含めて、日本の方だけではなく外国 の方々に対しても、そのようなものづくりの教育は必ず必要になってくるだ ろうと思っておりますので、ご検討のほどお願い申し上げたいと思います。 ○山田委員 これまでの議論、そして昨今のメディアの報道などを鑑みても、 いまの段階であまり抽象的なことを話しても、もはや意味がないのではない かと思っております。本来であれば、天下国家を考えて、職業訓練について どうあるべきかを語るべきなのでしょうが、もはや世間の関心は、雇用・能 力開発機構が解体するか否かに注目が集まっていますので、我々もここでは その点について話さなければならないのではないかと思っております。特に いまは都道府県に移管するか否かがメディアの注目になっておりますが、そ もそもこれを議論して、我々が「やはり国が全部やるべきだよね」という結 論になったところで、厚生労働省のこういう検討会ですから、雇用・能力開 発機構を守るために言っているのでしょうと思う人も当然多いでしょうと。  そうならないためにも、緊急にお願いしたい提案であるのですが、まずは 各都道府県、47都道府県にアンケートか何かを実施できないだろうか。今度 10月に開催予定の第7回までに集めて、我々都道府県代表の方も来ていらっ しゃいますが、やはり47都道府県、各都道府県がどう思っているかというと ころをベースに話さないと、理屈としてどうあるべきかは私は語れないので はないかと。少なくとも、有識者会議のほうは47都道府県の事情を鑑みて言 っているとは私には思えないので、こちらのあり方検討会としては、まずは 都道府県のニーズを汲み取ることをやってもいいのではないかと思っており ます。その上で、どうあるべきかを考えるのが筋だろうと。  論点整理で、資料No.2の9頁「組織のあり方について」の3番目ですが、「過 去に無駄遣いを行ったとの批判があったことを踏まえ」云々、「外部有識者か らなる第三者委員会の設置など」という話は、これまでほとんど議論されて いない話だと思います。ただ、これは非常に重要で、マスメディアの報道を 見ると、ほとんどが無駄遣いが多いから雇用・能力開発機構は悪い団体だと。 だから解体しようというのがメディアの報道ですので、そもそもの論点は過 去に無駄遣いが多かったと。ここをどう解決すべきか。  私はここに書かれているとおり、第三者委員会の設置などで無駄遣いが結 構な確率で防げると思います。過去の無駄遣いについても、雇用・能力開発 機構が勝手にやったわけでもなく、勝手にやったものもあるかもしれません が、私が聞く限りでの範囲内では、やれどこかの政治家が声をかけただの、 かけないだのといったところから、無駄遣いが起きているというように伺っ ておりますので、そのためにも第三者委員会の設置というのは、議論して設 置すべきならするという方針を早めに打ち立てたほうがよろしいのではない かと思っています。以上、県への緊急アンケートと第三者委員会の件、2点 についてお話させていただきました。 ○庄山座長 先のアンケートの件は、どういうステップで可能でしょうか。 ○草野局長 おっしゃるとおり、我々もアンケートは必要だろうと認識して おります。今日もいろいろご議論いただいて、検討の方針ということで、閣 議決定にありますように1年を目処に年末に向けてこれから詰めをしていく ということになると思います。そのときに、都道府県が本当に受けていただ けるのかどうかですね。それなくしては、要するにセーフティネットなりの 訓練を現実にやっているわけですから、あまり宙に浮いたような話をしても いけない。都道府県で受けていただける所があれば、極力そういう方向で我々 も努力していくということですので、その仕分けをするためにも、アンケー ト調査は早急にしたいと思います。それを踏まえて、次回でもご議論いただ けるように、少し詰めのためにもやりたいと思っております。 ○川本委員(高橋代理) 代理でございますが、発言させていただきたいと思 います。すでに何人かの委員からもご指摘もありますとおり、本日すでに第 6回目を迎えておりますので、年末のとりまとめに向けて、そろそろ具体的 なあり方について、検討するべき時期に至ったのではないかと思っていると ころです。その際には、当然のことながら、財源のあり方についても、十分 に検討をしていく必要があろうかと思っているところです。  例えば、資料No.2の3頁ですが、「中間整理を踏まえた論点」の中に、「ポ リテクセンターの在職者訓練及び能力開発大学校・附属短期大学校の学卒者 訓練については」ということで、最初の論点を書いた後に、2番目の論点と して「原則として国が責任を持って実施する場合であっても」の後に、附属 短期大学校だけについて述べておりますが、都道府県への移管、これがほか のものについても共通する文言です。都道府県に移管を検討する際において、 果たして雇用保険二事業のお金を、いまのとおり全額、都道府県にお渡しし ていくことになりますと、何のための改革なのかということにもなるのでは ないかと思っております。グランドピクチャーを描いていく際には、財源の あり方についても、それを含めたグランドデザインの案を是非お示しいただ いて、それに基づいて議論をさせていただければと考えているところです。 ○庄山座長 皆様方からいろいろご意見を頂戴いたしまして、ありがとうご ざいました。進め方そのものについて、これは以前からも出ておりますが、 そもそも国としてやるべきことだけはきちんとしなければいけないというこ とについて、いろいろな所に書いてあると思うのですが、「国の労働行政のあ り方」という件については、今まで進めたことについての見直しとか反省と いうこともあるかもしれません。時代とともに確かに変わってきているわけ ですし、そもそも生まれたときと今とでは、少し変わってきているのだろう なと思います。いろいろな方々が出ていますが、実際にこれの恩恵を受ける 人がどのように思っているのだろうかとか、何か変わってきているのかもし れないという気もしますので、その辺のところを次回までにもう少し整理を していただけますでしょうか。  これは厚生労働省の主たる業務のような気もしますので、ひとつご検討い ただきたいと思います。確かにそれがはっきりしていないと、なくてもいい ではないかという議論になってしまい、そもそもこれは何だったのだろうか という思いもします。当然、皆がわかっていることだというところもあるの ですが、もう一度ちょっと整理をしたほうがいいかなと、先ほどの話を聞い ていて感じたところです。  一方、今いろいろなところで議論をされていることについて、まとめてい かなければいけないと思うのです。皆様のご意見を総合しますと、1つは同 じようなお話ですが、雇用のセーフティネットにかかわる訓練、高度のもの づくりにかかわる訓練、あるいは指導員の研修・再訓練などの3点について は、やはりこれは国の責任、あるいは役割としてやっていかなければいけな いのではないかというのは、皆さん共通の認識ではないかと思うのです。こ の検討会そのものが厚生労働省の中にあるからどうのこうのという問題では なくて、国民として恩恵を与えられなければいけないところのものは、きち んと決めておかないと、私は非常に曖昧な集まりになってしまうなと思って おります。これは1番目として、きちんとまとめておくことが必要だろうと 思います。  その上で、いまいろいろ言われております、民間でできるものは民間にし たらいいと思いますし、都道府県が実施することが適当なものは、そのほう が効率的でいいということについては、先ほどから出ています。財源だとか 職員の問題等、多々難しい問題があることは承知しておりますが、やはり可 能な限り、移管したほうが効率的なものは、私は移管を検討するべきではな いかと思いますし、皆さんも同じようなご意見ではないかと思うのが2番目 です。  3番目に組織のあり方については、元々のお金はどこから出ているのだろ うかということです。したがって、これは労使の参画、資産の有効活用など がありますので、ゼロベースでいろいろ考えることは当然必要だと思うので すが、抜本的に見直しを行うと同時に、先ほど第三者の云々のところでご意 見がありましたが、やはりそういう形の第三者の委員会等を設けて、十分に 無駄のないような運用をすべきではないか、ということが皆様方の共通の認 識かなと、まとめさせていただいたのです。そういうことで、委員の皆様方 のコンセンサスを得たいと思うのですが、よろしいでしょうか。 ○清成委員 座長のご意見にほとんど全面的に賛成です。ただ、私は都道府 県へのアンケートは、もしやるなら慎重に、いい加減なものだったらやらな いほうがいいと思います。つまり、結果が独り歩きすると。結局、制度設計 をやるのは厚生労働省であり、国なのですよ。その場合の1つの素材にしか すぎないと思うのです。先ほど本田委員がご指摘になったように、産業構造 から雇用のあり方は、都道府県によって誠に異なっているし、ここにきて地 域格差がどんどん開いている。だから、問題性が違うのですね。そこで、財 源をどうするのかとか、すべて洗い浚いにして意見を聞かないことには、聞 いても何の意味もない。ただ、受けてくれるか、くれないかとか、そんなも のは非常にナンセンスだし、また有識者会議から、誘導してアンケートをや ったのだろうと言われかねないわけです。だから、もしおやりになるなら、 慎重に進めるべきだろうと思います。 ○庄山座長 いまの件は非常に貴重なご意見で、確かに質問の仕方が、結果 を見越して誘導するような質問をしたら、何のアンケートにもなりませんし、 前提条件がきちんとしていないと駄目かなと思います。それはちょっと工夫 していただいて、全部が全部ではなく、いろいろな地域のいま問題のある代 表的な所を聞いて、それはあくまでも参考という捉え方かもしれませんが、 委員の皆様方も興味のあるところだろうと思いますので、そういう方向でや っていただければと思います。 ○草野局長 ご趣旨を踏まえて、十分考えてみたいと思います。 ○庄山座長 以上、今日のご意見もそうでしたし、いままでの5回、6回目 の今日までを入れて、座長として、この前もある程度まとめるようなことを 申し上げて、皆様方にも一部お諮りしたところがあるかと思うのです。皆様 方のご意見を含めて、資料No.4ということで、今後の検討方針案について用 意させていただきましたので、まずは事務局から説明をいただいて、またこ れに加えて肉付けをさせていただければと思いますので、よろしくお願いし ます。 ○姉崎課長 資料No.4の「雇用・能力開発機構のあり方について(今後の検 討方針)(案)」です。「はじめに」ということで、当あり方検討会はこれまで 6回の議論を重ねてきたということ。それから、「現時点での検討方針を以下 のとおりとりまとめる」ということで、「はじめに」です。「これまでの主な 意見」ということで、これまでのあり方検討会における委員の皆様方の意見 として、特に、例えば雇用のセーフティネット等の訓練であれば、「国として その役割を継続すべき」との意見が出されているということで、整理をして おります。  第2パラグラフで、機構の役割を議論する前提として、こうした雇用、も のづくりの問題について、国の役割・責任で実施すべき範囲を明確にした上 で、それを担う組織のあるべき姿を検討すべきではないかということです。  2頁です。「検討の方向」ですが、「職業訓練における国の役割・責任の範 囲の明確化」ということで、実施できるものは民間や都道府県に任せるとい う視点を原則としつつ、これは国の役割・責任として実施すべき部分として、 (1)、(2)、(3)が考えられる。具体的には、上記の観点から、各施設等について、 最低限、国が行うことが必要な範囲について検討し、民間や都道府県が実施 することが適当なものについては、民間や都道府県の意向を踏まえつつ、こ れらへの移管等の検討をするということです。職業能力開発総合大学校につ いては、再訓練、指導のノウハウの蓄積等の調査研究は引き続き重要という ことですが、指導員の養成については、抜本的な見直しが必要なのではない かということです。  3頁で、都道府県への移管ということが大きな論点になっているわけです が、職業訓練業務の全て、あるいは大部分を都道府県に移管する場合には、 現実問題として都道府県の財政力、訓練実績に大きな差がある。こういう中 で、訓練の格差がさらに拡大するのではないか、緊急時の柔軟な対応ができ なくなるのではないかということで、国民の安心・安全が保証できなくなっ てしまうのではないかという懸念がある。  都道府県が実施可能なものとして、移管を検討する場合でも、職員の問題、 財源の問題等々あるわけですので、個別の施設ごとに都道府県と綿密な協議 を行いながら、移管のあり方を検討し、可能なものから順次ということでや っていく必要があるのではないかという論点です。  次の「組織のあり方」ですが、組織全体のあり方については、以下の点に 留意をしながら、ゼロベースで見直しを行うということで、国の関与、労使 の参画、第三者委員会の設置等による資産の有効活用のチェック、地域にお ける職業訓練の運営についての中小企業等との連携です。この方針に基づい て、当検討会において速やかに議論を進め結論を出すということで、次回以 降、具体的な改革の案について議論をしていくということです。  「最後に」ということで、あり方検討会の検討対象は職業訓練業務で、職 業訓練関係以外の業務については、できるだけ他法人等への移管なり廃止と いう方向で検討し、機構については、その職業訓練業務に特化をしていくと いう形での見直しを、厚生労働省に対して要望するということです。以上で す。 ○庄山座長 この件について、何かご質問、ご意見はありますでしょうか。 ○山田委員 2頁の中段に「民間や都道府県が実施することが適当なものに ついては」云々という話があるのですが、こちらのほうも具体的に書けるこ とがあれば書いたほうがいいのではないかと思いました。つまり、国に残す 分については具体的に書いているのに、民間や都道府県に移す部分が具体的 でないので、これは私が全く第三者で普通に読むと本当かなと思ってしまう ので、できれば具体的にあるほうが望ましいかと思いますが、それは可能な のでしょうか。 ○草野局長 これから精査しなければいけないと思っていますが、例えばも のづくりですと、職業能力開発短期大学校と、県立校が6校あります。です から、短期大学校は高卒2年のものづくり訓練ですが、こういうレベルにつ いては機器整備、ある程度のノウハウを都道府県も蓄積しておりますので、 全国に12校ある短期大学校は、この全部が適するかどうかわかりませんが、 その12校をベースとして都道府県に移管できるかどうかの意向を探ってい くことは考えられます。12校そのものかどうか、場合によっては能開大に格 上げするものもありますが、例えば10校ぐらいは短期大学校の候補として考 え得るのではないかということもあります。  それから、全国にポリテクセンターが現在61ヵ所あります。これは都道府 県によっては2校以上あるものもあります。北海道のような所ですと非常に 広いので、3校とか4校ということになっておりますが、それ以外の都道府 県で果たして2校とか、複数必要なのかという問題もあるわけです。ぎりぎ りのセーフティネットとして考えた場合には、例えば都道府県に1校をベー スに考えていくという整理の仕方もあると思います。そうすると、61ありま すので、都道府県に1校だとすると47で、東京都にはありませんが、その代 わり北海道などは非常にエリアが広いので、複数ということもあると思いま す。大体、数としては例えば10校程度を候補として、重なっていることがあ れば都道府県への移管を検討していくということもあろうかと思います。  そういう形で、これから精査していきますが、都道府県へ移管する、ある いは都道府県でやるのが効果的か、そういう観点から精査して、例えば現時 点ですが、ポリテクセンター10校とか、職業能力開発短期大学校10校、合 わせて20校程度については、一応私ども事務局としても候補として考えてい きたい。具体的には、少しすり合わせをして精査していく必要がありますが、 そういうものについては都道府県ともすり合わせをしながら、可能なものに ついては移管ということを、現実的な方途として考えているところです。 ○清成委員 いまのご発言で都道府県への移管という話があったのですが、 民営化は考えられないのかということです。つまり、都道府県が責任を持ち、 例えば短期大学校などを学校法人に移してしまうなどというやり方が多分に あり得ると思うのです。先ほど千葉委員に対する質問ということで発言した のは、専門学校の業界団体で検討されているのですね。新しい学校種として、 ものづくり専門学校に特化しようと。その場合、おそらく私学助成、あるい は国の何らかの助成が前提となっている、あるいは国からの委託、あるいは 都道府県からの委託、その辺が含まれて検討しているように思うのです。  だから、単純に都道府県への移管ということでできるのか、あるいは民営 化しつつ移管するなどという、いろいろな組合せがあり得ると思うのです。 ですから、具体的なことをここに書けというほうが、私はちょっと無理だと 思うのです。だから、ここは選択肢が複数あって、そういう問題なものです から、やはり慎重に事を進めるということであれば、私は具体的に書く必要 はないと思います。 ○庄山座長 この件については、これは基本的なことを書いておりますので、 ここから先のところは、例えば数人のワーキンググループを作って、もう少 し詰めてもらうとか、方向性だけは、基本的には国がやらなければいけない ことはきちんとやるのだということのする。しかし、民でできるもの、ある いは地方でできるものは大いにやったらいいということになっています。い ま局長から具体的なお話が出ましたが、例えばいま委員から言われたように、 確かに民間にできるものもあるかもしれないですね。それは、もう少し次回 以降ぐらいに詰めて、年末までにある程度の事例でお話ができるようになれ ばと思っているのですが、そんな理解でよろしいでしょうか。 ○草野局長 よろしいと思います。県と申しましても、民を排除しているわ けではありませんし、セーフティネットについては、民で全面的にやるのは いかがかという問題もあると思います。ものづくりについては、民間でやっ ているところもあるわけですので、そういうことを踏まえて幅広に考えさせ ていただきたいと思います。  ただ、その中でも、これからということもありますが、非常にスピード感 を求められている面もありますので、我々としてある程度のものは切り出し て、お任せできるものはお任せすることも必要ですので、我々としてはいま 事務局として申し上げたようなことをベースに、また官民でどれだけやる、 あるいは地方や民間でどれだけやるのが適しているか、その性格の議論もい ただきながら、最終的に詰めていきたいと思います。 ○山田委員 すみません。私の言った意図がちょっとずれてしまったので改 めて。具体的なというのは、確かにそういうポリテクセンターいくつかとい うのも大事なのでしょうけれども、どちらかというと表現の問題で、例えば 国に残すべきなのは雇用のセーフティネットとしての訓練だ、中小企業のも のづくりの基幹労働者育成だというように出ているではないですか。でも、 任せていいものは何かを文章で知らせてほしいのです。いま現在、雇用・能 力開発機構でやっているのですが、今後移管するような内容、例えばホワイ トカラーのITの関連だったり、何かいろいろあるのです。その辺もちゃんと 国はこれをやります、譲るのはこれですというように、文章で示すのが私は まず大事かなと。  その上に具体的なものが入れられるならば入れたほうがいい場合もありま すし、清成委員のおっしゃるとおり、いろいろ選択肢があるものはそういう ので考えるというように明記したほうがいいと思います。まずは、文章とし て同じように(1)、(2)、(3)みたいな形で出ると、一般国民としてはわかりやす い。現時点だとわかりづらいというだけです。 ○庄山座長 その辺はちょっと工夫してください。 ○秋葉委員 専門学校が新しい学校種をつくるかどうかというのはよくわか らなくて、私も承知していないのですが、いろいろな施設の指定管理者制度 ができていますから、それに応募してある程度どうやってやるかというのは、 多分、施設は設備があって、教育内容がはっきりしていて、そういうのはも しかすると応募できるかもしれないということは可能だと思うのです。  2頁のいちばん最後に総合大学校の話がありますが、これだと縮小してい くようなイメージなのです。ものづくりは、確かに2割しか指導者にはなっ ていないということがありますが、おそらく日本全体から見ると、あと8割 はどこかに散らばっていて、非常に力になっているのだろうと思うのですね。 逆に言うと、雇用・能力開発機構から外して、独立させて1つの大学校にし てしまうというか、もしあれだったら大学院までつくって、センターとして 大学と競わせるというかな。先ほど大学と比較している表などがありますか ら、いろいろな仕事をお願いするなら、委託研究みたいな形で全部出してい って、その成果を競わせるということで、もっと発展させていろいろなこと を考えてもいいのではないかという気がします。 ○上原委員 総合大学校を、国の役割・責任の明確化のいちばん下に書いて あるのですが、「必要である」と書いてあって、だけど抜本的な見直しが必要 だということだから、抜本的な見直しをどのように考えているのかは、もう 少し詰めないといけない。我々も見学させていただきましたが、大変立派な 施設ですよね。体制も大変良くて、一般教養はないけれども、国立大学並み の授業よりプラスアルファだということでしたが、ああいう部分の就職率の 問題があって、工夫も何か書いてあるみたいですが、その辺のイメージがも う少し伝わるようにしてもらえばいいのかと思います。 ○古賀委員 ちょっとイメージ的な質問なのです。資料No.4のあり方につい ての今後の検討方針については、私自身はこのことで網羅されていると思い ます。ただ、この検討方針に基づいて、座長がおっしゃったように、いまか らの議論にもよるのでしょうけれども、出口をどういうイメージで持たれて いるのか。例えば、いまあるように61あるポリテクセンターは、いくつは県 に移譲する、そういうことまで出口としてイメージして議論をしなければな らないのか。例えば総合大学校については、こういう形態でやるのだという ところまで、出口として考えて我々は議論しなければならないのかどうか。 その辺はどういう感じなのですか。それによっては、我々の情報の集め方か ら、極めて専門的なところに陥る可能性もあるわけですよね。ということも 含めて、少しお聞かせ願えればありがたいと思いますけれども。 ○草野局長 数字のことばかり10校と申し上げましたが、山田委員がおっし ゃったように、国でやるべきことと都道府県なり民間でやるべきことという それぞれの性格的な機能をご議論いただいて、その性格的機能がはっきりす れば、その基準に基づいて、どこの訓練校がどれに当たるかという、この当 てはめは我々のほうでやらせていただくということだろうと思います。山田 委員がおっしゃったように、国でやるべきこと、あるいは地方、都道府県、 民間でやったほうが効率的・効果的だということの機能をご議論できるよう に、我々として資料を用意したいと思います。  それから、総合大学校については、見ていただいたように指導技法という ことをやっていて、やはり、教えることとできることというのは違うという ことで、かなり徹底してやっています。教えることができるということは技 能を客観視することで、これはいま現場でも品質管理、あるいは現場知を設 計の段階に入れ込むなどという上でも、非常に重要な役割を担っており、そ ういう機能を後退させるわけにはいかないわけです。他方、指導員になって いる者が少ないという実態もあるわけで、その辺の矛盾をどう解決するか。  そこで、1つのやり方としては、ここは指導員養成ということになります と、指導員になる者が少ないということなので、指導員になることが予定さ れている者、あるいはなっている者、そういう者を対象とした基礎研修のよ うなものに切り替えていくのは1つの手だと、我々も思っています。ただ、 問題は4年制で折角やっていた、技能を覚える過程で指導方法も一緒に覚え てしまうといった、ご覧になっていただいたように、こういうやり方の有効 性は、かなり中身のある部分がありますので、そういうものについては総合 大ということでやるのがいいのか、あるいは能開大は全国10箇所ありますが、 そういう中で単に技能を覚えるだけでなく、指導、技能を客観視することも 一緒に教えていくということもあり得るわけです。そこは総合大だけでなく、 能開大も含めた幅の広い訓練施設の中で、どのようなやり方が可能かという ことを含めて、ご議論いただきたいと思っております。 ○千葉委員 先ほど山田委員のほうから、都道府県に対する調査ということ で、これを委託するに当たって受けるほうの状況がどうであるかを、アンケ ートという方法がいいのかどうかは別にして、調査が必要だというお話があ りました。これについては、民間に任せられるものについては民間にという 考えを、前回の論点整理においても、今回においても、色濃く感じるわけで す。民間はどのぐらいのことができるのかということも、十分に調査をして、 精査をした上でなければ、どれが民間に移せるのかわからないということで、 なかなか結論が出てこないことだと思いますので、この点についても民間の 調査も、ひとつ今後の検討方針の中にも盛り込んでいただけるとありがたい と思うのですけれども。 ○庄山座長 いろいろ検討の中に入れていただきたいと思います。 ○本田委員 1つは千葉委員のほうから話がありましたが、私もできるもの は民間にということを常々発言させていただいております。この組織のあり 方等々、細部にわたって詰めていく段階で、おそらく議論されることだろう と思います。今日的には毎日のようにコンプライアンスに関することが出て きますので、民間に移行した場合は、その辺のところは相当きちんとしたハ ードルを構築しておかないといけないと思います。  各業界で過去に大きな問題がありますね。文部科学省においては、大学で 東北の田舎町にあったのですが、学校に行ったら学生はみんないなかったと いう問題とか、食の問題もそうです。いままさしく農林水産省でやっている ようなことも、事故もそうですね。こういうことで、あらゆる省庁にかかわ ってくると思いますが、素晴らしい民間がある反面、馴合いの中で、またそ のような民間だからこそ起こり得るいい加減さもあると思うのですね。そう いうことは、この組織のあり方の中で今後詰められることだろうと思います が、忘れてしまうものですから、気が付いたときに申し上げました。 ○志治委員 先ほど古賀委員から出口の話がありました。先ほどもお話しま したが、県によって非常に現状がまちまちですので、一般的な、例えばポリ テクセンターはどうするの、あるいは大学校をどうするのという全県に対す るアンケート調査は、ほとんど意味がないと思っています。先ほど局長が言 われましたが、具体の施設について、個々の施設についてどうするのかとい う部分が、県としてはいちばん関心があるところです。  一方で、資料No.4の3頁の「都道府県に移管する場合の問題点」の「また」 の所で書いてありますが、最後の本当の出口のところは、個々の施設ごとに 県と協議を行いながら決めていくことになると思うのですが、それを年末ま でにこの検討会で結論を出すのは、とてもスケジュール的に難しい。もちろ ん県としては県の考え方がありますが、当然地元の産業界なり労働界、ある いは企業のニーズ等を把握した上で結論を出していくことになっていくので、 とても個々の施設ごとの結論というのは、県に振っていただいてもそう短期 間に出るものではないなという感じはします。  先ほど山田委員、あるいは局長も言われましたが、国と県で役割分担する ポリテクセンターでも、どういうものは県に移管する方向でやっていくのか などという基本的な考え方というのですか、そこは、おそらくこの検討会と しては、そういう方向性は出口でも出していかなければいけないと思うので すが、具体の個々の施設云々という話になっていくと、時間的にも短期間に まとめていくのは難しいのではないか。そこまで検討会で踏み込むのかな、 という若干疑問もあります。 ○草野局長 おっしゃるとおりだと思います。ですから、ここの検討会では 考え方、機能の整理ということをやっていただいて、我々はそれを基に、今 度は施設について当てはめをやっていく。考え方としては、候補のようなも のをある程度、我々のほうで固めて、その中から現実に一つひとつの施設に 当たってどうかというのは次の段階。おそらく3段階あると。機能の面、考 え方の面での整理、次にそれを当てはめて、候補を考える段階、その候補の 中から具体的にこの施設ということで、都道府県、あるいは地域の中小企業 の方も含めてお話するという段階でやっているのかと思います。ですから、 ここでは最初の考え方、機能の整理をしていただいて、私どもはそれをベー スに候補を少し考えていくという実務的立場からやっていきたい。そういう 3段階ということで、最初の段階について、この場でお決めいただくという ことではないかと思います。 ○山田委員 この場で各都道府県へのアンケートという、都道府県の皆さん には迷惑をかけるであろうことを言い出した者としての発言なのですが、私 が危惧するのは、声の大きな知事の意見が結局、全都道府県の意見を代表し ているのだという、いまのマスコミの流れがいちばん危険だと思うのです。 それはおかしいだろうと。各都道府県の知事、有名な方も無名な方も絶対意 見があると思いますので、私は本当に先ほどおっしゃられたような考え方に ついてだけでも、アンケートを取るほうがまだベターなのかなということで 申し上げました。細かいところは個々の事情があると思うので、まだだろう なと私も思っております。 ○庄山座長 この進め方については、もうすでにここに別資料でたくさんも らっているものもあります。どのように具体的にやるか、確かにあまり意味 のないアンケートになってしまうと、取ったことが逆になってもまずいです し、ちょっと工夫が要るかと思います。 ○上原委員 中央会の資料があると思うのですが、「要望書一覧」の8頁、9 頁です。ここでは、雇用・能力開発機構そのものを残せということは一言も 言っていなくて、中で議論したときには、9頁のいちばん最後の機構の持っ ている職業訓練機能を国として維持し、そして残さないと。その機能の改善・ 充実を図ってくれということなのですね。そこがひっくり返ってしまうと変 な話になってしまうので、念を押しておきたいと、このように改めて申し上 げたいと思います。 ○志治委員 例えば私ども愛知県は、大学校や短期大学校はありません。な い大学校や短期大学校について、仮にアンケートを聞かれても、現状がわか りませんので答えようがない。そういう答えようがないと回答する県もある だろうし、場合によれば二重行政や分権一般の考え方から、やはり廃止すべ きだというスタンスで答えられる県もあるかもしれません。だから、一律の アンケートではなくて、具体のそれぞれの県の実情に即したものでないと意 味がないというのですか、そういう感じはします。 ○庄山座長 ほかに特にありませんでしたら、皆さん方から頂戴いたしまし たご意見を踏まえて、一応、当検討会の方針として、今日の今後の検討方針 について、いろいろご注意をいただいているところもありますので、プラス して若干の修正を行うということで、また皆さんとご相談させていただきま すが、これは私に任せていただいてよろしいでしょうか。  そういうことで、今日のご意見も含めて今後の検討方針ということにさせ ていただいて、次回以降より具体的な形に入るのですが、先ほどから、出口 論がいろいろ出ていますが、ここの検討会でできる制約条件などいろいろな ことがあろうかと思います。その辺のところも、できれば次回にはこのよう な形でというのが言えればよろしいのではないかと思うのです。是非そのよ うにまとめていきたいと思っております。次回以降の進め方について、事務 局のほうからご説明をお願いしたいと思います。 ○姉崎課長 次回の7回目については、10月を予定しております。いま日程 の調整をさせていただいておりますが、具体的な日程については、改めて調 整してご連絡をさせていただきたいと思います。次回は、本日とりまとめて いただいた今後の検討方針に基づいて、具体的な改革案についてご議論いた だきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 ○庄山座長 特に皆様からありませんようでしたら、予定された時間にもな りましたので、本日の第6回の「雇用・能力開発機構のあり方検討会」を終 わりにさせていただきます。皆様方のご協力、どうもありがとうございまし た。 (照会先)職業能力開発局総務課   TEL:03-5253-1111(内線5948)      03-3502-6783(直通)   FAX:03-3502-2630